ミラーレスカメラ、本格撮影を楽しむなら14万円以下で十分説。

ミラーレスカメラは低価格機もあるが、ボディ単体で14万円程度のモデルでも機能や性能が充実。価格や性能比に優れ、高コスパに本格撮影が楽しめる。

※こちらは「GetNavi」2023年11月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【教えてくれたのは……】

カメラライター・河野弘道さん

ウェブや雑誌、広告などでの執筆・撮影・編集を軸に活動。普段はミラーレスと一眼レフの併用だが、最近は前者の比重が増大中。

 

上位機種譲りの高機能・高性能を小型・軽量ボディに凝縮!

キヤノンEOS R10

APS-Cサイズセンサー採用の中級機。上位機種EOS R3譲りでディープラーニング活用の被写体認識AF「EOS iTR AF X」を搭載し、人物や動物、乗り物を認識し自動追尾する。連写性能も高く、動く被写体に強い。4K60p対応の動画撮影機能も魅力だ。

・実売価格:13万2000円
・質量:約429g(バッテリー、SDカード含む)
・サイズ:約W122.5×H87.8×D83.4mm
・有効画素数:約2420万画素 APS-Cサイズ
・4K/60p(クロップ時)

 

【POINT!】動く被写体に強く一瞬を逃さない!

被写体認識AFと最高約23コマ/秒連写の組み合わせが秀逸で、動く被写体の一瞬を高確率で捉えられる。ボディ内手ブレ補正は非搭載なので、手ブレ補正機能付きレンズを組み合わせよう。

↑人物や動物の瞳を検出し、AF&追尾する瞳検出に対応。顔、頭部、胴体の検出も可能で、マスク使用時なども機能する

 

↑メイン・サブの2つの電子ダイヤルに加え、背面にマルチコントローラーを装備。AFフレーム移動などに使用可能だ

 

↑電子シャッター使用時にAF追従での最高約23コマ/秒連写が可能。子どもなど、動き回る被写体の一瞬を逃さず撮れる

 

↑バリアングルモニターを採用。加えて、画面のタッチ操作で動画記録の開始/停止ができ、自撮りやVlog撮影にも向く

 

【レンズキットでも20万以下!】

130gと軽量で手ブレ補正機能も搭載の標準ズームキット

EOS R10
RF-S18-45 IS STM レンズキット
実売価格14万8500円

35㎜判換算で約29〜72mm相当となる、標準ズームキット。約4段ぶんの手ブレ補正機能を搭載する。レンズは約130gと軽く本機に最適。

 

広角から望遠まで1本で楽しめる約8.3倍の高倍率ズームキット

EOS R10
RF-S18-150 IS STM レンズキット
実売価格18万1500円

35㎜判換算で約29〜240mm相当の高倍率ズームキット。手ブレ補正機能は約4.5段ぶん。最大撮影倍率0.44倍で、近接撮影にも強い。

 

軽量かつ丈夫なボディと素早く正確なAFが魅力!

ニコン
Z 50

Zシリーズ初のAPS-Cサイズ機。マグネシウム合金製ボディで、丈夫かつ軽量だ。ハイブリッドAFや、人物の顔と動物に対応の被写体認識AF搭載で、AFが素早く正確。自撮りもできるチルト式モニター採用する。ボディ内手ブレ補正は非搭載。

・直販価格:11万9900円
・質量:約450g(バッテリー、SDカード含む)
・サイズ:約W126.5×H93.5×D60mm
・有効画素数:2088万画素 APS-Cサイズ
・4K/UHD/30p

 

【POINT!】リアルタイムの表示を見ながら最高約5コマ/秒連写で撮れる

質感の高いボディとシンプルな操作性が魅力。連写は、基本設定で約5コマ/秒と少なめ(拡張機能で最高約11コマ/秒)だが、被写体の動きをほぼリアルタイムに表示しての撮影が可能だ。

↑薄型ボディだが、グリップは十分な深さで握りやすい。レリーズなどのボタンやダイヤル類も右手で無理なく操作可能だ

 

↑モニター右端に「拡大」「縮小/サムネイル/ヘルプ」「DISP」のタッチキーを配置。タッチ中心のシンプルな操作性を実現

 

↑画像を好みの仕上がりにできる、20種類の「Creative Picture Control」を搭載。静止画・動画両対応で、効果の度合いの調整も可能だ

 

強力な手ブレ補正や防塵・防滴仕様の採用などで安心感あり!

パナソニック
LUMIX
DC-G99D

レンズ内手ブレ補正との連動が可能なボディ内手ブレ補正を搭載し、最大5.0段分の補正が可能。防塵・防滴設計で、撮影環境を選ばない。連写はAF追従で最高約6コマ/秒。4K動画からの切り出しによる、「4Kフォト」にも対応する。

・実売価格:9万9000円
・質量:約536g(バッテリー、SDカード含む)
・サイズ:約W130.4×H93.5×D77.4mm
・有効画素数:約2030万画素4/3型
・4K/30p

 

【POINT!】防塵・防滴設計でフィールド撮影に向く

防塵・防滴に配慮された設計で、山岳などのフィールド撮影に向く。4/3型センサー採用により、小型な交換レンズが多いのも魅力。ただし、センサーが小さいぶん高感度撮影には不利だ。

↑ボディ内手ブレ補正を搭載。レンズ内手ブレ補正対応レンズ使用時には、2つの補正機構を連動させる「Dual I.S.」「Dual I.S.2」に対応

 

↑AF追従で最高約6コマ/秒の連写に対応。しかも、RAW+JPEGで45コマ以上、JPEGで300コマ以上連続撮影できる

 

↑防塵・防滴に配慮した構造を採用。防塵・防滴仕様のレンズと組み合わせれば、多少の雨やホコリなら問題ない

 

性能や機能を重視するなら14万円程度のモデルがベター

コスパ重視でミラーレスカメラを選ぶ場合、10万円以下の入門機を選びがちだ。だが、本格撮影を楽しもうとすると、機能や性能面で物足りなくなる。

 

そこでオススメなのが、ボディ単体で14万円程度、レンズキットで20万円以下の製品だ。おもに入門機より少し上の中級機だが、最新機能が搭載されることも多く、性能を加味すると非常に高コスパなモデルが多い。

 

なかでも、キヤノンEOS R10は、上位機種であるEOS R3にも搭載の被写体認識AFや、電子シャッターを活用した最高約23コマ/秒連写など、最近トレンドとなっている機能や性能を持つ。多くのシーンに対応できる、ハイ・パフォーマンスなモデルだ。

 

これに対し、ニコン Z50は販売開始こそ2019年末だが、頻繁にファームウェアアップデートを実施。人物と動物に対応の被写体認識機能などの機能追加のほか、使い勝手の向上も図られている。そのため、現時点では最新とは言えないまでも、十分に魅力的な製品で、本体の作りも良い。

 

パナソニックのLUMIX DC-G99Dは、センサーサイズが異なり、EOS R10やZ 50とは少し方向性も異なる。防塵・防滴性能など、ハードウェア面で優れており、連写などよりもタフさが重視されるシーンで重宝する1台だ。

ニコンが一眼レフカメラ開発から撤退と報道、本当のところは?

日本経済新聞は7月12日、ニコンが一眼レフカメラの開発から撤退したと発表しました。一方で、ニコンはこの報道を「憶測にもとづくもので、当社が発表したものではない」とコメントしています。

↑SAVIKUTTY VARGHESE/Shutterstock.com

 

ニコンは1959年に一眼レフカメラ「ニコンF」を発表し、フィルムカメラビジネスに参入しました。その後に一眼レフカメラがデジタルへと移行し、また本体内部にレフ板のない「ミラーレスカメラ」のラインナップが増えている現在も、ニコンは一眼レフカメラの販売を続けています。

 

今回の報道で気になるのは、ニコンが日本経済新聞の報道を完全に否定しているわけではない点です。ニコンは「デジタル一眼レフカメラの生産、販売、サポートは継続しており、ご愛用のお客様には引き続きご安心してご利用頂ければと思います」と伝えており、一眼レフカメラの開発が継続しているかどうかについては言及していません。

 

また日本経済新聞は、これまでも「あえて」業界筋の未発表情報を報じ、その後にメーカーが「当社が発表したものではない」と否定。しかしその後、メーカーから報道どおりの公式発表がなされることもありました。

 

現在デジタルカメラ業界はミラーレスカメラへの移行という大きな流れのなかにあり、そんな状況でニコンが一眼レフカメラの開発を中止したとしても、なんら不思議ではありません。一眼レフカメラに愛着がある方にはなんとも寂しさを感じさせる報道ですが、スマートフォンの急速な高画質化という時流の中で、カメラメーカーも必死に生き残り策を模索していることが予測されます。

 

Source: ニコン日本経済新聞

Vlog撮影に最適! Zシリーズ最小・最軽量……ニコン「Z 30」

ニコンイメージングジャパンは、「ニコン Z マウント」を採用したAPS-Cサイズ/DXフォーマットミラーレスカメラ「ニコン Z 30」を、8月5日に発売予定。現在、予約販売を受け付けています。市場想定価格は税込9万7900円(ボディ)。

 

 

同製品は、2018年9月発売「ニコン Z 7」に採用した画像処理エンジン「EXPEED 6」と、2021年7月発売「ニコン Z fc」に採用したイメージセンサーを搭載。常用感度ISO100~51200に対応し、シーンを問わず高品質な映像が撮影できます。動画撮影時も、人や犬、猫の瞳を検出する「瞳AF」「動物AF」を搭載しており、動画・静止画を問わず、動きのある被写体の瞳をより確実に捉えられます。被写体の動きや構図の変化に応じてピントを合わせ続ける「AF-F(フルタイムAF)」も搭載。

 

すべてのNIKKOR Z レンズを使うことができ、DXフォーマット/FXフォーマット問わず、Vlog撮影に最適な広角レンズや、ボケを活かせる単焦点レンズ、一本で幅広い撮影を楽しめるズームレンズなど、撮影目的に合わせてあらゆる表現が楽しめます。

 

「ニコン Z シリーズ」で最小・最軽量となるボディーに加え、視認性をより高めた、大きい動画撮影ボタンや、ウィンドマフを装着しやすい大型マイク、撮影中であることがひと目でわかる「RECランプ」などの搭載や、動画最長記録時間125分対応など、Vlogなどの動画撮影に最適化。

 

タッチパネルを採用したバリアングル式液晶モニターにより、スマートフォンと同様の感覚でタッチ操作ができ、撮影操作や設定変更、画像再生時のピンチイン、ピンチアウトなども可能。写っている状況を確認しながらの自撮りだけでなく、被写体を真上から撮影する真俯瞰撮影や、足元などからの低位置撮影もできます。

 

また、ボディとレンズを組み合わせたキットも同時発売。市場想定価格は、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR付き「Z 30 16-50 VR レンズキット」が税込11万9900円、NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR、NIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VR付き「Z 30 ダブルズームキット」が税込15万700円。

ニコン史上最強のフラッグシップが年内に発売! 「ニコン Z 9」予約は11月2日から

ニコンイメージングジャパンは、3月10日に開発を発表した、「ニコン Z マウント」採用のフルサイズ(ニコンFXフォーマット)ミラーレスカメラ「ニコン Z 9」を、年内に発売予定です。11月2日10時より予約販売を開始。市場想定価格は70万円前後とみられています。

 

同製品は、ニコンの最先端技術を結集させた「ニコン Z シリーズ」初のフラッグシップモデル。新開発の積層型CMOSセンサーと画像処理エンジン「EXPEED 7」により、同社史上最高のAF性能を実現。9種類の被写体検出(人物、犬、猫、鳥、自転車、バイク、車、列車、飛行機)に対応し、多様な被写体の決定的なシーンを逃しません。

 

動画撮影では、約125分の8K UHD/30pの動画を、外部レコーダーを使わずカメラボディー内のメモリーカードに記録可能。4K UHD/120p/60p/30pにも対応します。縦横4軸チルト式の画像モニターにより、縦位置、横位置問わずハイアングルおよびローアングルでの撮影が容易になり、ユーザーの利便性が大幅に向上しています。

 

従来の光学ファインダー(OVF)や電子ビューファインダー(EVF)の見えを超える電子ビューファインダー「Real-Live Viewfinder」を新たに搭載。ファインダー像の消失が起きないよう同一画像を表示する従来のブラックアウトフリー撮影とは異なり、実際の被写体の動きを常に表示して、表示飛びもなく、被写体を途切れなく目で追うことができます。

レトロデザインがおしゃれなニコンのミラーレス一眼「ニコン Z fc」登場

ニコンイメージングジャパンは、APS-Cサイズのミラーレス一眼カメラ「ニコン Z fc」を発表しました。発売は7月下旬を予定しています。なお、7月1日の10時から予約販売を開始します。

 

ニコン Z fcは、ニコンの歴史的なカメラ「FM2」にインスパイアされたデザインを「Zシリーズ」で初めて採用したモデル。レトロな外観になっているほか、ダイヤルデザインや「Nikonロゴ」の刻印を取り入れるなど、細部にまでこだわっています。また、ボディはマグネシウム合金を採用しており、高い堅牢性を備えているのもポイントです。

 

さらに、Zシリーズとしては初のバリアングル式モニターを搭載。モニターを横方向に開くことができるので、Vlog撮影などに使用できるとしています。なお、モニターは正面に向けると自動的に自撮りモードに切り替わります。このほか、0.39型のEVFも搭載しています。

 

スペック面では、有効画素数2088万画素のCMOSセンサーと画像処理エンジン「EXPEED 6」を搭載。これにより、静止画・動画ともに細部や質感を鮮明に描写できるとしています。また、ISO感度は100-51200までをカバー。暗い場所でもクリアな撮影が可能です。

 

さらに、2020年末に登場した「ニコン Z 7II」や「ニコン Z 6II」に搭載された、人物やペットの瞳にピントを合わせる「瞳AF」「動物AF」を採用。これに加えて、広い範囲で顔や瞳をより確実に捉える「ワイドエリアAF」も採用し、画面内に複数の人物や動物がいる場合でも、狙った人の瞳やペットの瞳にピントを合わせることができます。

 

動画は4K UHD(3840×2160ドット)30pの撮影が可能。瞳AFや被写体を追い続ける「フルタイムAF」にも対応しています。

 

カメラとiOS端末およびAndroid端末を連携できるアプリ「SnapBridge」にも対応。カメラで撮影した静止画・動画をSNSで簡単に共有できるほか、カメラの最新ファームも入手できます。

 

本体サイズは約幅134.5×奥行き43.5×高さ93.5mmで、レンズやバッテリーを含めた重量は約445gです。インターフェイスはUSB Type-C、HDMI、ステレオミニジャックをそろえます。

 

なお、キットレンズは「NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR」をベースに、シルバーカラーを採用した標準ズームレンズと、単焦点レンズ「NIKKOR Z 28mm f/2.8 (SE)」が付きます。

ニコンの見る「映像とカメラの未来」(後編)ーーニコンの「変わるべきところ」と「変わらずにいるべきところ」

一般社団法人カメラ映像機器工業会(CIPA)によると、2020年のデジタルカメラ年間累計出荷台数は世界全体で888万6292台、金額では4201億3770万6000円。前年比で見ると台数で58.5%(前年:1521万6957台)、金額では71.6%(前年:5871億4300万2000円)と、カメラ市場の縮小傾向が続いています。

 

去る3月に、カメラ市場を支えるメーカー・ニコンの2021年3月度における連結決算予想をもとにしたニュースが報じられました。市場全体と同じく、コロナ禍の影響を色濃く受けたその内容に多くのニコンユーザーが、驚きの声を上げたのは記憶に新しいのではないでしょうか。

 

GetNavi webでは、話題の渦中にあるニコンに今後の戦略についてのインタビューを敢行。前編では、新開発モデル「Z 9」に始まる、製品戦略から昨今のユーザーとの接点について伺いました。

 

【関連記事】

ニコンが見据える「映像とカメラの未来」(前編)ーー新たなユーザーに提供したいカメラ体験とは?

 

後編では、メーカー目線で見たコロナ禍の実態から、「センセーショナルな報道」を受けて、今考えている思いについて伺いました。インタビューに答えて頂いたのはニコンから、映像事業部 UX企画部長 大石啓二さん、ニコン イメージング ジャパンから、執行役員 マーケティング本部長 若尾郁之さんです。

↑株式会社ニコン 映像事業部 UX企画部長 大石啓二さん(写真右)、株式会社ニコン イメージング ジャパン 執行役員 マーケティング本部長 若尾郁之さん(写真左)

 

コロナ禍でカメラ市場に起きたこと

――コロナ禍では、イベントの中止や旅行の自粛だけでなく、製造の現場にも影響が出ているという報道もありました。ニコンのカメラ製造において、どんな影響がありましたか?

 

若尾「量販店で実施していた店内セミナーなども以前のような形ではできない状況が続いています。またニコンの製品は、“触ってもらえれば良さがわかる”と言われたりもしますが、グリップ感などをなかなか試してもらえないというところが、残念です」

 

大石「私を含む商品企画のメンバーも、現場の声を積極的にお伺いする機会が減ったのは事実ですね。国内外を問わず販売店の方々と直接お会いして率直なご要望を伺うなどの機会を作っておりましたが、これが原則できなくなってしまったのは痛手と感じています。オンラインでは伝わり辛いニュアンスもあると思います。そのほかプライベートでもこれまでは訪れた量販店の店頭にて、購入を迷っているお客様と販売スタッフの方の会話が耳に入ってくると、その中から色々なヒントを頂けたりすることもあったりしたのですが…」

 

――実際の販売にも、大きな影響があったのでしょうか?

 

大石「緊急事態宣言の発令があった昨年の春先は、売上の落ち込みは確かにありました。それは、他社様でも近い状況だったのではないかと想定しています。先行きが見えない中で、カメラのような高額商品の購入意識が下がったのはやむを得ないですが、一方でそのような状況下でもSNSなどを通した自己表現のニーズはコロナ禍以前と変わらず、その結果としてカメラの販売は数か月のうちに盛り返し、直近では対前年比でほぼ同レベルにまで回復しております。その背景には、 “自分の表現を広げていきたい”という想いを持ったお客様が、自粛生活の中でも発信に注力した背景があると分析しています」

 

「また、世界各地でマイクロレンズが大きく売り上げを伸ばしたのも特徴的な出来事でした。外出が制限される環境下で、室内で撮影を楽しみたいニーズの増加を強く感じられました。ニコンでも家の中で撮影を楽しむためのコンテンツを作ったり、アメリカでは(現在は終了しておりますが)オンライン講座『Nikon School』の無償化を行うなど、お客様に学び、表現する機会を継続して提供し、大変好評をいただきました。お客様がこれらコンテンツを有効活用して、状況が平穏に戻りましたら、いつでも撮影を楽しんで頂けるような機会を整えています」

 

若尾「日本でも海外同様に、マイクロレンズが売れる傾向は見えました。コロナ禍だから撮影をやめるということではなく、その中でもできる表現を促せるように、ニコンでは室内撮影に関するコンテンツの発信を行いました」

 

――コロナ以降、リモート会議などで使われるWebカメラのニーズも新しく生まれ、カメラや撮影の可能性がより広がったようにも感じます。

 

大石「CP+2021オンラインで開催した技術者パネルディスカッションでは、ニコンの登壇者がPC内蔵のカメラではなく、Zマウントシステムのカメラと『Webcam Utility』で参加したところ、“ニコンだけ画質良くない?”と話題になったんです(笑)そういった細かなところでもお客様にニコンのシステムで何ができるのか?を認識してもらえることは大変ありがたいと思っています。」

 

「CP+2021」で感じた、オンラインへの確かな手応え

 

――イベントの自粛によって、2021年のCP+はオンラインで開催されました。ニコンとしては、この点をどう評価していますか?

 

若尾「ニコンイメージングジャパンとしては、今年のCP+には非常に手応えを感じています。2017年と2018年に“ニコンファンミーティング”を開催するなど、お客様との接点をリアルな場で作ってきました。しかし、コロナ禍でイベントを大々的にやることはできず悩んでいたので、CP+で学んで得たことはとても大きかったです」

↑ニコンファンミーティング2018の様子

 

――従来は写真家中心だった展示内容が、今年はネットやSNSと親和性の高いYouTuberや、旅行撮影が得意なプロトラベラーなどを講師に迎えたプログラムになっていましたが、その転換への反響はいかがでしたか?

 

若尾「これまでCP+に足を運んでいたお客様は、従来型のイベントを欲していたのだろうとは思います。しかし、これまでのCP+のコンテンツラインナップからすると、だいぶバラエティに富んだものにできたはず。お客様が多彩な撮影体験を求める傾向にあるので、そこにアプローチしないといけない。そこがうまく合致できたのかなと思います」

 

「CP+では、YouTubeのチャットとコメント欄をオープンにして、コミュニケーションできるよう試みました。今まで取り組んでいなかったことですが、登壇者と視聴者の一体感を生むことができたと思います。オンラインならではのコミュニケーションの可能性を強く感じられましたね。また、コロナが終息したとしてもオフラインだけに戻るとは思えませんので、今後も動画コンテンツは増やしていきたいと思っています。直近の課題は、オフラインのCP+で行っていた機材のタッチ&トライをどう補完して、商品の良さをアピールしていくか、ですね」

 

――CP+以外にも、オンラインを活用した試みは増えているのでしょうか?

 

若尾「写真教室の『ニコンカレッジ』では、オフラインだけだった講座をオンラインでも開始しました。ニコンカレッジの講師が、新宿のニコンプラザからセミナーをライブ配信したりといった、学びのタイミングを外さない取り組みも始まりました。また、NICO STOP(ニコストップ)というウェブマガジンを定期的に公開しています。オンラインを活用することで、常にユーザーのみなさまと写真との接点を絶やさないよう意識しています」

 

――ニコンのサイトでは、若き感性のクリエイターによる作品とインタビューが読める「Zcreators」など、従来のモノだけでないコト訴求を意識した発信が目立っていますね。

 

若尾「Zcreatorsは、実際にZシリーズを使っていただいている若い写真家が、どういう気持ちで写真を撮っているのか、自分の写真に対しての向き合い方をまとめたものです。モノの側面だけでなく、コトの側面、学びの側面と、いろいろな形で発信するように意識して、あらゆる事象が写真につながるような発信を続けています」

 

――先ほども話にあがりましたが、機材のタッチ&トライが難しい現状について、何か考えている施策はありますか?

 

若尾「カメラを試用したい人が、欲しいカメラを借りて試してから購入できる施策として「airClosetMall(エアクロモール)」でのサービスを2020年の秋から開始しました。自分の好きな場所で撮って試したいという要望に応えたもので、Z 6II、Z 6、Z 5、Z 50と一部NIKKOR Z レンズの貸し出しを行っています」

 

センセーショナルな報道を受けて――新たに見据える「変わるべきこと」「変わらずにいるべきこと」

――3月に「ニコンがカメラ事業から撤退」というセンセーショナルな情報が駆け巡りました。大石さん、若尾さんは、その記事から何を感じましたか?

 

大石「記事の内容もさることながら、それを受けての市場の反応、リアクションの大きさに、改めてこれだけ多くのお客様にご心配をいただいているということを実感しました。記事の内容を受けて“ニコン大丈夫か”“俺が買いに走るわ”という声もウェブ上で拝見しました。我々も日々しっかりと商品企画を行いながら皆様により感動を与える製品をお届けできるよう臨んでいます。改めてこういった声を発信いただいたみなさんの期待に、しっかりと応えていくことが我々の使命、という会話を社内でも多くのメンバーと交わしておりました」

 

若尾「ニコンというブランドには、企業そのものに想いを寄せ、応援してくれるファンの皆様がいるのだと改めて実感しました。先ほどお話したファンミーティングに集まっていただいた方々は、元々ニコンに思い入れを強く持っていただいていましたが、今回はさらに新たな若いユーザーの方までも、愚直にモノ作りをしてきた我々を応援してくれたことにもの凄く感動しています。だからこそ、やはりきちんと応えていかなくてはいけない、と責任を強く感じています」

 

――今回の報道に対する反応を見ていると、ニコンのユーザーには、ニコンに変わってほしくない層と、大きく変わってほしいと思っている層に分かれていると感じました。それぞれ、どういった点がそのような思いを生んでいると思いますか?

 

大石「カタログスペックに表れる基本性能に加え、ニコンでは長くカメラを作り続けてきた経験から、お客様がカメラを手にしたときに伝わる『感覚性能』とでも言うべき、使う際の心地よさにもこだわりを持った企画、開発を行っています。基本性能は、もちろん大切なのですが、触ってわかる信頼感や安心感は一朝一夕には生み出せません。そうしたツールとしての完成度は、これまでニコンのカメラを使って頂いているお客様に向けても変えてはいけない部分と考えています。一方でお客様がカメラに求めるニーズは時代とともに日々変わっていて、自撮り動画をより簡単に撮影したいというニーズをはじめ、動画と静止画を問わず様々なニーズがあり、それぞれの用途に応じて使いやすい機材が求められているのではないかと考えています。従来のような上位機種の機能を下位機種に展開していくモノ作りではカバーしきれないこれらのニーズに応えるために、各商品をどのような特徴を持たせ仕上げていくかが私たちの命題です」

 

若尾「耐久性への信頼、グリップ感、性能そのものに対する安心感などは、これからも維持していかなくてはいけません。では、変えなくてはいけないところとはどこなのか? “ストレスフリーなカメラ”という評価についてのお話をしましたが、被写体や撮影シーンによっては、ストレスに感じることも出てくるわけです。そういう部分をユーザーの声から吸収して変えていきながら、本当の意味での“ストレスフリーなカメラ”を作り続けていくというのが、大事であると感じています」

 

大石「私も実は入社以前は、ニコンは何となく頑固な会社というイメージがありました。しかしニコンの中の人になってみると、答えはYesでありNoでもある、両方の側面をもった面白い会社だったというのが正直なところです。例えば現在一眼カメラ動画が世の中で当たり前になり、動画と静止画がシームレスになっておりますが、その起点として当社は世界初となる動画撮影機能を搭載したデジタル一眼レフ『ニコン D90(2008年発売)』を発売しました。また、私が商品企画を担当しましたD5500では新素材を用い、これまでにない大幅なボディの薄型化を実現するなど、実はニコンは初めてに挑戦するチャレンジングな企業なんです。さまざまな試みを継続的に行っている会社なので、お客様からの声を傾け、守るべき歴史は守りながらもニーズを反映したモノ作りを行うメーカーなのです」

 

――とは言え、変わってほしくないという声もそれなりにある中で、どういう舵取りをしていくかは難しいところですよね。今ある良きところを保ちながら、新しいユーザーを取り込むにはどういった施策が必要だと考えていますか?

 

大石「そうですね、例えば我々は市場をこれまでのようなエントリー、ミドル、ハイアマチュアといったリテラシーの軸だけでなく、お客様が映像表現に何を求めているかという『ニーズ軸』でも見ています。例えば、ニコンのお客様は機材に対する信頼性、愛着を重視される方と、そのカメラで撮影した画像を楽しむ方の両者がおり、 “カメラ趣味層”と“表現趣味層”という2つの大きな軸が存在すると捉えています。“カメラ趣味層”の人にとっては、撮影体験も価値ですが、機材そのものや性能も価値なのです。逆に、『撮れること』に重きを置いている新たな世代の“表現趣味層”の方々に対して、そのニーズに応える感動体験を、カメラシステムを通じて提供することで、ぜひニコンのファンになっていただきたいと思っています」

 

――最後に、これまでのニコンユーザー、そしてこれから新しくニコンユーザーになり得る方々に向けてメッセージをお願いします。

 

大石「開発発表しましたZ 9をはじめ、既にニコンファンであるお客様、そしてこれから映像表現を一眼カメラで楽しみたいと考えているお客様の双方に、感動と驚きを感じていただける商品を企画することに、我々は引き続き全力を注いでいます。ボディ、レンズをはじめ、Zマウントシステムとして皆様のニーズに応える商品をクラス問わず、これからもしっかりと出していきますので、ぜひ楽しみにお待ちください」

 

若尾「Z 9の反応を見ると、ニコンに期待して頂いていることを改めて感じます。その期待に応えられるだけのアウトプットを、出し続けていきますのでご期待ください」

 

本取材を通して、ニコンが現在のユーザーに対する考え、ビジョンに触れることができました。取材を行ったのちに、一眼レフカメラの国内製造終了の報せが出たのも記憶に新しいかと思います。本記事ではボリュームを考えあえて控えましたが、数年前からタイの工場に製造のメインとなっている旨もキャッチ。続く報道に不安がよぎったファンユーザーにこそ、本記事を通してこれからのニコンに期待を抱いてほしいと思います。

 

撮影/中田 悟

ニコンの見る「映像とカメラの未来」(前編)ーー新たなユーザーに提供したいカメラ体験とは?

一般社団法人カメラ映像機器工業会(CIPA)によると、2020年のデジタルカメラ年間累計出荷台数は世界全体で888万6292台、金額では4201億3770万6000円。前年比で見ると台数で58.5%(前年:1521万6957台)、金額では71.6%(前年:5871億4300万2000円)と、カメラ市場の縮小傾向が続いています。

 

去る3月に、カメラ市場を支えるメーカー・ニコンの2021年3月度における連結決算予想をもとにしたニュースが報じられました。市場全体と同じく、コロナ禍の影響を色濃く受けたその内容に多くのニコンユーザーが、驚きの声を上げたのは記憶に新しいのではないでしょうか。コロナ禍における生活様式の変化、また動画・映像コンテンツの普及を受けて加速するスマホでの撮影ニーズ…。カメラメーカーにおいて、この流れははたして逆風なのか、それとも新たな変革期を迎える前触れなのか?

 

そんな中、新たなミラーレスカメラのフラッグシップモデル「ニコン Z 9」の開発進行を発表したニコン。このたびGetNavi webでは、「Z 9」の開発発表を皮切りに、ニコンが今のカメラ市場にどういう戦略を持って立ち向かおうとしているのか、その真意を取材することに。ニコンからは、映像事業部 UX企画部長 大石啓二さん、ニコン イメージング ジャパンからは、執行役員 マーケティング本部長 若尾郁之さんにお話を伺いました。

↑株式会社ニコン 映像事業部 UX企画部長 大石啓二さん

 

↑株式会社ニコン イメージング ジャパン 執行役員 マーケティング本部長 若尾郁之さん

 

一桁機の最高を目指す「ニコン Z 9」

――ニコンのミラーレスカメラは、「Z 7II」をはじめ、「Z 7」「Z 6II」「Z 6」「Z 5」による5機種のフルサイズ(FXフォーマット)機と、「Z 50」のAPS-Cサイズ(DXフォーマット)機をラインナップしています。開発発表された「Z 9」も、「一桁機」となりますが、どういった位置付けの製品になっていくのでしょうか?

 

大石「”9″は一桁で最大の数字となりますが、これを冠したZ 9はZマウントシステムにおいてのフラッグシップ機、つまり最高機種の位置づけとなるモデルです。世の中で求められている映像体験は大きく変わってきており、お客様が撮りたい表現の幅も併せて広がってきています。プロやアマチュアの方を問わず、その映像表現というゴールに向けて静止画と動画を区別せず、シームレスに撮影できる製品となっています」

 

↑3月に開発発表された「ニコン Z 9」。ニコンのフルサイズミラーレスカメラの中で、静止画・動画ともに過去最高の性能を発揮することを目指すモデルとされている

 

――ということは、Z 9は動画撮影でも静止画撮影でも使いやすいカメラになるということでしょうか?

 

大石「はい。Z 9では、最新のセンサーとエンジンを搭載し、高画質な静止画が撮影できるだけでなく、ニコンで初めて8K動画記録に対応するなど動画撮影機能も進化しています。静止画、動画を問わずプロの方々にもその性能を満足してお使い頂けるモデルとして企画しています」

 

インフルエンサーが評価する Zマウントシステムのポイントは「高い光学性能」

 

――ミラーレスカメラシステムである「Zマウントシステム」において、特にユーザーからの評価を受けているのはどういった点でしょうか?

 

大石「多くの方に評価を頂いているのは光学性能の高さですね。Zマウントシステムは大口径マウントを採用することで最高の光学性能を実現し、使って頂ける皆様に感動的な撮影体験を提供することを目指しております。実際に市場からも徐々に「Zレンズに外れなし」というコメントも頂戴しており、そのコンセプトを理解頂いていることは、当社で製品に関わったメンバーも大変嬉しく感じています」

 

――ユーザーと接する機会の多い若尾さんとしては、いかがですか?

 

若尾「インフルエンサーやYouTuberの方と、ニコンの機材についてお話している時にいただく声は、“NIKKOR Z レンズの質の良さ”です。一言でレンズの質というと抽象的に聞こえますけれど、使い勝手やボケ具合、アウトプットされた画像の色合いなどを、総合的に高く評価していただいていると感じます」

 

「また、SNSなどユーザー同士がコミュニケーションする場では、光を取り込む部分であるレンズ構成も含めて、いろいろな形で高く評価いただいている様子を見ています。その一方で、インフルエンサーの方からは、SNSのオープンな場でもハッキリと厳しい意見をいただくことも。一方的に“良いです”と言わない点が、フォロワーからすると第三者的な視点を持った説得力になっているんでしょうね」

 

↑初のオンライン開催となった、国内最大のカメラ機器展示会「CP+2021」では、ニコンブースでより若い世代の写真家・クリエイターを起用していたのが印象的だった

 

Z 7II 、Z 6IIが意味するもの

――ミラーレスカメラのZ 7II 、Z 6IIについても質問させてください。なぜ新しい機種ではなくて、第2世代のカメラにしたのでしょうか?

 

大石「Z 7、Z 6発売の際には、皆様にお求め頂いたカメラを長きに渡り満足感をもってお使いいただけるよう、継続的なファームアップで機能向上を図っていくことをお伝えしました。これまでに瞳AFへの対応をはじめこれを実践してきておりますが、一方で縦位置撮影に対応するバッテリーグリップやカードスロットの増設などハードウェア面についても市場より多くのご要望を頂いておりました。これらに対応し、また新たに手にされた方が、よりストレスフリーに撮影を楽しんでいただけるよう第2世代のZ 7II、Z 6IIを発売することに至りました」

 

↑2020年12月に発売されたフルサイズミラーレスカメラ「ニコン Z 7II」。有効4575万画素の裏面照射型ニコンFXフォーマットCMOSセンサーを搭載する

 

若尾「 Z 7II 、Z 6IIは、“ストレスフリーのカメラ”であるとよく言っていただいています。お客様がストレスなく撮影に集中できるカメラに仕上げられたのも、初代機の欠点を早く解決したいという企画・設計の強い意志があってこそなのです」

 

――やはり、ユーザーに対する思いとそれなりの覚悟があったのですね。

 

大石「市場からの声を形にする上で、全く新しい機種をイチから作るか、Z 7、 Z 6をベースとして機能強化を図ったモデルを作るかについては、社内でも相当議論を行いましたね。Z  7、Z 6発売後、画作りや一眼レフカメラと共通性を持った操作感など基本性能について高く評価を頂いていたため、これをベースとして市場より望まれるハード面のブラッシュアップを行い、より早く皆様の要望に応えることを優先してZ 7、Z 6をベースとしたZ 7IIとZ 6IIの発売を決めました」

 

――葛藤の末の発売だったわけですね。ユーザーからの意見もさまざまあったようで…。

 

大石「Z 7II、Z 6IIを発表した当初は、“これが最初のカメラでよかったんじゃないか”という厳しいご意見も頂きました。もちろん今回の決断で、そういった反応を頂くことは予想していましたが、お客様の撮影シーンによってはZ7、Z 6ではなくこの機種で、よりストレスフリーな撮影を楽しんで頂くために、まずはこれに対応した商品を出すことが重要だと考えました」

 

――ユーザーの不満を少しでも早く解消したい。その思いを実現したのがZ 7II 、Z 6IIだったということなんですね。

 

映像表現を体感した新しいユーザーの受け皿になりたい

――スマートフォンのカメラ性能が進化した昨今では、撮影はスマートフォンで十分と考える人は少なくありません。しかし同時に、より感度の高いユーザーの中には改めてちゃんとしたカメラが欲しいという思いを持っている人も増えていると感じます。メーカー側から、「ユーザーが育ってきた」と感じるような場面はありますか?

 

大石「ここ数年で急速な撮影ニーズの変化を感じています。これまでは、より高い画素数、より高いコマ速を…といったスペック面の進化が重視されてきました。一方で最近では機材性能もさることながら、静止画・動画を問わず“このシーンをこういう風に撮りたい”という皆さんが頭の中で描いた自分のイメージを、しっかり表現として具現化できる…そのような思い通りの自己表現ができる機材が求められていると感じています。」

 

若尾「現場で感じているのは、以前はメーカー発信の情報を受け取る方が多かったのですが、最近はインフルエンサーからの情報を取りに行って、YouTubeを見て自分で学ぶような、情報に対して能動的な若い世代の存在を感じています。インフルエンサーが使っている機材を見本にする傾向も強まっていて、Zシリーズの広がりにもそういう側面がありました。カメラを買う際の意思決定が、従来と違って来ているのかなと思いますね」

 

確かに、クチコミやインフルエンサーの発信する情報を購入の参考にする人は少なくありません。これに続けて大石さんは、

 

大石「インフルエンサーの人たちも、もともと機材の始まりはスマートフォンからという方が多いと思います。自己表現をしていく中で、他のお客様の作品に対する差別化のためにカメラを買い替える、という人が少なくないんです。フォロワーの人たちは、その過程を見てきています。“あの機材があるからこうした表現ができるんだ”というインプットがあるので、“いつかは同じ機材を買って、そういう世界を体験したい”という想いが芽生えていくのでしょう」

 

ソフトウェア「NX Studio」が目指すものとは

大石「ニコンは、新しい映像表現を求めるお客様の次のステップをサポートしていきたいと考えています。これからもハイアマチュア層の方々は我々にとっても大切なお客様ですが、一方で新しくカメラを購入されたお客様が気軽に画作りに挑戦でき、また自分が思い描いたイメージを、撮影後にしっかりと再現できる機会を提供したいと考えています。」

 

――3月に投入されたソフトウェア「NX Studio」も、その一歩なのでしょうか?

 

大石「『NX Studio』は、閲覧ソフトの『ViewNX-i』と編集ソフトである『Capture NX-D』を統合したソフトです。カメラで撮影した後さらに、楽しみながら思い通りの作品に仕上げていく体験をして頂きたくて今回このソフトを開発しました。2つの別のソフトを1つにしたというだけではなく、UIをもっとわかりやすくしてほしい、処理速度をもっと速くしてほしいといった、これまでのお客様の声を反映し、開発陣と細かいところまで議論して改良を行いました。おかげさまで、発表後お使いいただいた方からは良い反応を頂いており我々も安堵しています。今後も色々なご要望、ご意見を頂く機会があろうかと思っていますが、それに応えられるよう継続的にバージョンアップを図っていきます」

 

NX StudioはWin/Mac両対応のアプリ

 

 

↑「NX Studio」の画面イメージ

 

若尾「『NX Studio』をユーザーとして使っていますが、使いやすく感じています。無償でダウンロードできるので、撮影後の工程を楽しむという意味では、ハードルが低く設計されていますね。ひと昔前は、撮って出しのままで映像を楽しむということが多かったですが、現在はインスタの投稿などを見ると、非常に独特な表現をしている作品も多いです。そういった投稿を見て、“こういう表現を自分もしてみたい”というニーズが生まれているのだと思います」

 

――手間をかけてでも、いいものを作りたいユーザーが結構多いみたいですからね。

 

大石「『ViewNX-i』と『Capture NX-D』の統合を考えた当初、従来からこのソフトをお使い頂いている方に対し、より使い勝手を向上したものを提供したいという想いがありました。加えて初めてこういったソフトを使う方々にも、ぜひ画像を編集する楽しみを味わって頂きたいと考えました。今まで撮ったままの画像、もしくはスマホアプリ等で簡単なレタッチで編集を行い画像共有されていた方に、一眼カメラならではの高画質な画像をもとに、自分の思い通りの表現を簡単に実現できる、という体験価値をぜひ体験してほしいです」

 

ニコンとしては、撮るだけで終わらない。撮影後の楽しみを提案していくことで、ユーザー層を広げていこうということのようです。前編である本稿では、近年の製品に対する考え方、今後のユーザーとの取り組みを伺いました。後編では、コロナ禍による影響の実態、そして記事冒頭でも述べた件の業績に対する報道について、お話を伺っていきます。

 

 

撮影/中田 悟

「CP+2021」総括レポート前編:初のオンライン開催で見えたカメラメーカーの「ある変化」

2020年2月25日から28日にかけて、日本最大の一般向けカメラ、映像機器の見本市である「CP+2021」が、コロナ禍の影響から初のオンラインで開催されました。昨年は同様の理由から中止となってしまったイベントだけに開催を喜ぶファンの声や期待が大きかった一方で、オンラインではカメラやレンズの実機に触れることができないなど、大きな制約がある中での開催となり、出展者であるメーカーがどのような工夫をしてくるかといったことにも注目が集まっていたイベントです。

 

本稿では、4日間に渡ったオンラインイベントの様子や主要出展各社の特徴、主だった新製品、全体としてのトレンドなどについて前後編の2回に分けてリポート。前編となる今回は、CP+公式サイトと主要カメラメーカーについてです。

 

CP+公式サイトはカメラメーカー特設ページのポータル的役割に

まず、CP+2021の公式サイトでは、主催者(一般社団法人カメラ映像機器工業会・CIPA)イベントとして、会期初日に「キーノートスピーチ」「CIPAデジタルマーケット・セミナー」「上級エンジニアによるパネルディスカッション」の3つを実施。フォトアワード「ZOOMS JAPAN 2021」の受賞作品発表なども行われました。

 

主催者イベントについては、主に現在のカメラ市況の分析やトレンドについて解説するもので、業界関係者やプレス向けの色合いが濃いイベントです。とはいえ、今回はオンラインとなったことで一般の方の視聴も行いやすくなったので、来年も視聴したいと思った人もいたのではないでしょうか? また、今回のイベントでは、CP+公式サイト以外は参加メーカーのサイト上に特設ページを設ける形で行われたため、CP+公式サイトは、そのポータルとして機能していました。各社へのリンクは、参加者の目的ごとの絞り込みができるほか、SNSの情報なども確認できるようになっていて、ポータルとしての使い勝手は、初のオンラインイベントとしては悪くなかったと思います。

↑CP+2021公式サイトのトップページ。公式チャネルでは、主催者イベントのほか、出展各社の注目コンテンツをリンクしていた。また、出展社のセミナーの検索も可能

 

それでは、今回参加したカメラメーカーについて、それぞれ見て行きましょう。

 

【カメラメーカー1】OMデジタルソリューションズ(オリンパス)

オリンパスの映像事業部門が独立する形で2021年1月に誕生した新会社で、OM-Dシリーズをはじめとした、マイクロフォーサーズのミラーレスカメラなどを展開。CP+2021では、目立った新製品の発表などはなかったものの、同社のYouTubeチャンネル「OLYMPUS LIVE」を活用して、新会社の決意などを表明しました。カメラ機材や交換レンズを活用している写真家のトークや、撮影テクニックを解説するセミナーなども多数配信。既存の「OLYMPUS LIVE」のコンテンツも充実しているため、同社製品のユーザーだけでなく、これからカメラを購入しよういうユーザーにも役立つものになっていました。

 

↑配信では、写真家の山岸 伸さんと海野和男さんのプレミアムトークのほか、吉住志穂さん、佐藤岳彦さんのトークなどを実施。画面は、吉住志穂さんによる「OM-Dで撮る花写真」

 

【カメラメーカー2】キヤノン

TOKYO FMとタイアップした番組形式の映像配信、「CP+2021 ONLINE Canon Imaging Channel」を実施。ラジオ・パーソナリティーによるトークを交えつつ、写真家やタレントのトーク、製品の活用テクニックなどを配信。同社のフルサイズ・ミラーレスカメラ、EOS Rシリーズや新コンセプトカメラであるiNSPiC REC、PowerShot ZOOMなどのコンセプトやデザインワークについてのトーク、開発者による解説なども行われました。イベントに合わせた製品発表などはなかったようですが、フルサイズミラーレスのEOS R5、R6、交換レンズのRF50mm F1.8 STMなど、比較的最近発表・発売された製品の展示が多く、ユーザーの注目度も高かったのではないかと思います。ライブ配信ではリアルタイムのアンケートなども実施し、インタラクティブ性が高く参加者も十分楽しめたのではないでしょうか。

↑ライブ配信中心のコンテンツで、各プログラムの合間には、TOKYO FMのパーソナリティーらがトークを行うという本格的な番組構成。一日中見ていても飽きない工夫がされていた

 

↑プログラムは、「Catch the Technique」「Catch the Future」「Catch the Fun」「Catch the Community」の4つのカテゴリーに分けられ、さまざまなトークやセミナーが展開された。画像は、ハービー・山口さんによるトーク「モノクローム写真の魅力」より

 

【カメラメーカー3】ソニー

α7/9シリーズや各種交換レンズについてのコンテンツもありましたが、やはり2021年1月に発表されたフルサイズミラーレスカメラ「α1」、同年2月に発表されたフルサイズセンサー採用の映像制作用カメラである「FX3」、2つの注目機種に関連したコンテンツが多かった印象。この2製品を軸に写真家や映像作家による、機材紹介や使いこなしについてのセミナーやトークが数多く実施されました。今回は特に映像関連のコンテンツが多くなっている印象で、FX3などの専用機はもちろん、α7シリーズなどの動画撮影機能も含め、同社のカメラとレンズが動画撮影にも適している点や、そのための機能が理解できる内容になっていました。

↑オンライン上に同社のブースを再現することで、新製品などを体感できるように工夫されていた

 

↑セミナーやワークショップは、AとBの2ステージ構成。およそ40名のさまざまなジャンルの講師が登場し、イベントを盛り上げた。画像は山下大祐さんによる「瞬間と一時と、マルチに魅せる鉄道表現」より

 

↑ソニーの新製品「α1」。有効約5010万画素メモリー内蔵フルサイズ積層型CMOSセンサーを搭載し、約30コマ/秒の高速連写や8K 30pの動画撮影に対応するなど、現時点での“究極”とも言えるスペックのミラーレスカメラ。予想実売価格で88万円(ボディ)という超高価なモデルながら、プロだけでなく多くのハイアマチュアの注目を集めている。2021年3月19日発売予定

 

↑Cinema Line プロフェッショナルカムコーダー FX3。αシリーズミラーレスカメラと同じEマウント採用のプロ仕様ビデオカメラで、4K動画撮影対応で映像制作の現場に最適化した、豊富な機能を装備する。予想実売価格/50万4900円(ボディ)、2021年3月12日発売予定

 

【カメラメーカー4】ニコン

2020年後半に発売されたフルサイズミラーレスカメラ、NIKON Z 7II、Z IIとNIKKOR Zレンズの機能や特徴を中心に、写真家や映像作家などによるセミナーやトークを展開。Zシリーズの使い勝手の良さやレンズの写りの良さが伝わってくるコンテンツが豊富に用意されていました。今回は、写真だけでなく、映像制作の現場でZシリーズのカメラやレンズが適していることにも重点が置かれ、写真用にZシリーズを購入したユーザーにも、気軽に質の高い動画撮影を楽しんでもらおうといった方向性のコンテンツも用意。写真と動画の両方が高いレベルで楽しめるカメラとしてのZシリーズの魅力が伝わる内容になっていました。

↑オンラインステージはライブと事前収録のコンテンツを組み合わせて、4日間行われた

 

↑オンラインステージには19名の写真家や映像作家などが登場し、ニコンのカメラやレンズの魅力、現場での使いこなしなどについて解説した。画像は、動物写真家の半田菜摘さんの「Z シリーズで出会う北海道の野生動物」より

 

【カメラメーカー5】パナソニック

動画・映像制作Tipsサイト「Vook」とコラボし、ライブ配信プログラム「Creators Live! with LUMIX」を実施。2月26日は写真、27・28日は映像制作に主要テーマを分け、写真家や映像作家によるセミナーなどを配信しました。製品の紹介はもちろんですが、LUMIXを用いた写真や映像の作品制作の基本や、プロでも役立つ表現テクニックやTipsなども紹介。配信によるコンテンツは、ほとんどの内容がリアルタイム配信で、ためになる内容だけでなく適度に笑いありハプニングありの関西風味も加わって、長時間のコンテンツでも飽きずに見ていられる内容でした。

↑「Creators Live! with LUMIX」と題した、ライブ配信を実施。配信そのものは2月26日からの3日間だったが、内容が濃く、見応えのあるコンテンツが多かった

 

↑2月26日「写真を、究めよう。」、27日「動画を、はじめよう。」、28日「動画を、究めよう。」とテーマが設けられて配信された。3日中2日が動画関連となっていて、同社の動画への力の入れようが伝わる。画像は写真家・相原正明さんによるセッションより

 

【カメラメーカー6】富士フイルム

会期中のライブ配信によるコンテンツは用意されていなかったものの、発売になったばかりの新製品、FUJIFILM GFX100SをはじめとしたラージフォーマットカメラのGFXシリーズ、APS-CサイズカメラのXシリーズ、人気のインスタントカメラ“チェキ”など、製品タイプごとの動画コンテンツが用意され、特に同社の製品に興味のあるユーザーには、大変参考になる内容になっていました。また、同社の伝統ともいえるプリントサービスについても紹介され、プリントのお試しサービスも展開(2021年3月31日まで実施)。撮影からプリントまでを完結できる同社の総合力を実感できる内容になっていました。

↑FUJIFILM GFX100S、X-E4の2機種の新製品や人気のX-T4といったカメラだけでなく、プリントサービスについてのコンテンツも用意され、同社ならではの写真の楽しみ方が提案されていた

 

↑写真家によるトークなどのほか、上の画像のような開発者による対談なども実施。開発中のエピソードなども交えて、同社製カメラの使いやすさや魅力を伝えていた。画像は「X-E4 開発者トーク」より

 

↑FUJIFILM GFX100S。43.8×32.9mmの大型センサー採用で有効約1億200万画素の超高画素機ながら、約900gの軽量ボディを実現。5軸式で最大6段分の効果を持つ手ブレ補正を搭載し、超高画素で手持ち撮影が楽しめる。実売価格/76万8900円(ボディ)、2021年2月25日発売

 

↑FUJIFILM X-E4。携帯性に優れたスクエアなボディに、APS-Cサイズの有効約2610万画素センサーを搭載。ノイズが少なく高感度でも高画質に撮れるほか、4K動画撮影時も低ノイズだ。180度まで跳ね上げ可能なチルト式背面モニター採用で自撮りにも最適。画像のシルバーボディのほか、ブラックボディも用意。実売価格/10万8900円(ボディ)、2021年2月25日発売

 

【カメラメーカー7】リコー

動画配信としては、近日中の正式発表や発売が見込まれているAPS-Cサイズフラッグシップ一眼レフ「PENTAX K-3 MarkIII」や、シリーズ30周年を迎えた高級コンデジのGR、360度全天球カメラのTHETAに関連したコンテンツや写真家のセミナーが中心。このほか、ライブ配信を駆使して、PENTAX K-3 MarkIIIのオンライン・タッチ&トライ(予約制)が行われていたのは特徴的でした。また、新製品として2月25日発表の「HD PENTAX-FA31mm F1.8Limited」など3本のレンズや「J limited」と称されたPENTAX K-1markIIのカスタムモデル、開発発表が行われた「HD PENTAX-DA★16-50mm F2.8ED PLM AW」(仮称)についても紹介されていました。

↑PENTAXのKシリーズ一眼レフ、リコーGRシリーズ、THETAシリーズの3つが同社の主力機種だが、やはり今回は、貴重な一眼レフの新製品、PENTAX K-3 MarkIIIの注目度が高かったようだ

 

↑4日間に渡り、ライブ配信を含めた数多くのコンテンツを配信。特に2本のCP+公式チャネル枠は、写真家・森山大道さんが登場したり、『一眼レフに未来はあるか?』と称した挑発的な対談企画が行われたりして、同社ユーザー以外の注目も集めていた。画像は佐々木啓太さんによるセミナー「HD FA Limited 新しい3姉妹と語る写心」より

 

↑PENTAX K-3 MarkIII。同社のAPS-Cサイズ機のフラッグシップとして開発が進められているモデル。発売日や価格などは未定だが、基本性能が高いことはもちろん、操作性やファインダーの見え味などにもこだわった注目の一眼レフだ

 

 

↑左から「HD PENTAX- FA43mmF1.9 Limited」「HD PENTAX-FA31mmF1.8 Limited」「HD PENTAX-FA 77mmF1.8 Limited」。アルミ削り出しの外観やシャープな写りと美しく柔らかいボケ味を両立した写りなどが特徴の高品質な交換レンズ。カラーは画像のシルバーのほか、ブラックも用意。4mm F1.9が8万7000円、77mm F1.8が12万円、31mm F1.8が15万6000円(各メーカー希望小売価格・税別)、2021年4月下旬発売予定

 

各カメラメーカーのオンライン発表を見て…

今回のカメラメーカーの出展内容は、写真撮影だけでなく、動画撮影に力を入れたものが多かったのが特徴的でした。これは、質の高い動画撮影が可能なフルサイズミラーレスカメラが普及し始めたこと、プロを含む映像作家がフルサイズミラーレスカメラを積極的に使い始めたことなどがあると思います。特にパナソニックは、イベントを行った3日中、2日を動画向けのコンテンツとしていたのは特徴的で、内容的にも動画撮影の初心者からプロの作家まで満足のできるものになっていて、勝負をかけてきたな……という印象。今回の出展社では、リコーだけが現行のミラーレスカメラを持っていない状況ですが、同社は一眼レフの新製品を出すことで、一眼レフや同社のファンの心を掴む方向で勝負をしていて、そちらも魅力的に感じられる内容でした。

 

後編ではカメラメーカーより、さらに配信でのアプローチが気になるレンズメーカーの出展状況からトレンドを見ていきたいと思います。

 

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ニコン、完成度を高めた王道フルサイズミラーレス「Z 7II」「Z 6II」を発表! 「いったん様子見」勢も今度は買い!?

ニコンは10月14日、フルサイズミラーレスカメラの新モデル「Z 7II」「Z 6II」の2モデルを発表。発売はZ 7IIが2020年12月、Z 6IIが11月6日の予定で、ニコンダイレクトでの価格(ボディ単体/税込)はZ 7IIが39万8200円、Z 6IIが26万8400円となっています。

↑Z 7II。大きさは約134×100.5×69.5mm、重さは約705g(バッテリーおよびメモリーカードを含む)

 

↑Z 6II。大きさは約134×100.5×69.5mm、重さは約705g(バッテリーおよびメモリーカードを含む)

 

ユーザーの声を反映して完成度を高めた王道フルサイズミラーレスカメラ

ニコンは2018年秋に初代「Z 7」「Z 6」でフルサイズミラーレス市場に参戦しました。Z 7は有効4575万画素センサー搭載の高画素モデル、Z 6は有効2450万画素センサー搭載のスタンダードモデルで、今回発表された2代目モデルでもこのセンサーは継承されています。

↑Z 7II/Z 6IIは画像処理エンジンを2つ搭載した「デュアル EXPEED 6」を採用

 

一方で、Z 7II/Z 6II共通の進化点として、画像処理エンジンを2つ搭載することにより基本性能が大きく向上しています。例えば、AF/AE追従での連続撮影速度の高速化(Z 7:約9コマ/秒→Z 7II:約10コマ/秒、Z 6:約12コマ/秒→Z6 II:約14コマ/秒)や、連続撮影可能コマ数の増加(Z 7:約23コマ→Z 7II:約77コマ、Z 6:約35コマ→Z6 II:約124コマ ※ロスレス圧縮RAW(L)時/12bit時)を実現。あわせて従来から“自然な見え”で好評の電子ビューファインダーもコマ間のライブビューの表示フレーム数が増加して連続撮影中の画面表示が滑らかになっているので、動く被写体をより正確に捉えることができます。

 

加えて、AF性能も進化しており、暗所での撮影で活躍する低輝度性能が向上したほか(Z 7II:-3EV、Z 6II:-4.5EV)、「瞳AF」「動物AF」は動きのある被写体の撮影で安定したピント合わせができる「ワイドエリアAF」にも対応。進化した連写性能とあわせ、より動体撮影に強くなっています。

 

また、新モデルでは、ユーザーの声を受けて初代モデルからさまざまな点で仕様や操作性が改善されているのも特徴です。大きなところでは、本機のターゲット層であるプロ/ハイアマチュア層から特に要望が多かったと思われるダブルスロットの採用や縦位置パワーバッテリーグリップへの対応、長時間の撮影などでも安心なUSB給電への対応などが挙げられます。

↑Z 7II/Z 6IIはCFexpress(Type B)/XQDカードスロットと、SDカード(UHS-II対応)スロットのダブルスロットを採用。初代モデルはCFexpress / XQD対応のシングルスロットだった

 

両機とも搭載するセンサー自体は初代モデルと同じものの、総合的な使い勝手のブラッシュアップや動体撮影性能の向上により、「撮れる画」や「対応できるシーン」は大幅に増えたといえます。初代モデル登場時はいったん様子見をしていた人も多いと思いますが、弱点をつぶして完成度を高めたZ 7II/Z 6IIであれば食指が動くのではないでしょうか。

ニコンからも新しいフルサイズミラーレスが出た! 「Z 5」は既存モデルとどこが違う?

7月上旬にキヤノンが「EOS R5」「EOS R6」という新モデルを発表したことで再び盛り上がりを見せているフルサイズミラーレス。今度はニコンがコスパに優れた新型機「Z 5」を発表しました。既存モデルとの比較を交えつつ、新製品の詳細を見ていきましょう。

↑有効2432万画素のフルサイズセンサーを搭載するニコン「Z 5」。写真は、キットレンズにもなっている同時発表の標準ズームレンズ「NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3」を装着した状態。8月下旬発売予定で、参考価格(税込)はボディ単体で18万2600円、レンズキットが22万2200円

 

フルサイズミラーレスデビューにうれしい高コスパモデル

ニコンは2018年秋に高画素モデル「Z 7」とスタンダードモデル「Z 6」でフルサイズミラーレス市場に参戦。翌2019年11月には、同じZマウントを採用しつつセンサーをフルサイズよりも小さなAPS-Cサイズとした小型軽量モデル「Z 50」を発売しました。

 

今回発表されたZ 5はセンサーの画素数的にはZ 6に近しいですが(Z 5:有効2432万画素、Z 6:有効2450万画素、Z 7:有効4575万画素)、後継機というよりは良いところを継承しつつ一部のスペックを抑えることでコスパとの両立を図ったフルサイズ入門者向けモデルといえます。

 

具体的にZ 5とZ 6の違いを見ていくと、まず見た目でわかるところではZ 6のボディ上面に搭載されている撮影情報などを表示するパネルがZ 5では省力されています。機能面では連写性能の違いが目立ちます(Z 5は低速で約1~4コマ/秒、高速で約4.5コマ/秒。Z 6は低速で約1~5コマ/秒、高速で約5.5コマ/秒、さらに拡張で約12コマ/秒に対応)。また、前述の通りセンサーの画素数はほぼ同じですが、Z 6は光をより効率的に取り込める「裏面照射型」を採用しているため、暗所での撮影に関わる一部のスペックではZ 6がやや優位となっています。そのほか、動画に関してもZ 5ではフルHDでの120p記録や動画Log出力などの上位機能が省かれています。

 

一方、Z 6/7で好評だった約369万ドットのEVFをはじめ、映像エンジンやボディ内手ブレ補正、ハイブリッドAFシステム、防塵・防滴性、堅牢性などは踏襲。むしろ、撮影可能枚数が増えているなど、部分的にZ 5が勝っている点もあります。

 

個人的には、ラインナップとしては下位モデルという位置づけながら、ニコン Zシリーズの大きな魅力である“自然な見え”と評判のEVFをきっちり受け継いでいるのが非常にうれしいポイント。全体としてどう工夫して価格を抑えるかというなかで、このカメラを手に取るであろうユーザーをしっかり想定し、うまく機能の取捨選択がなされている印象です。

↑メディアスロットはZ 6がXQDカード(もしくはCFexpressカード)のシングルスロットだったのに対し、Z 5(写真)ではSDカードのダブルスロットに変更されています。これはむしろ多くのユーザーにとってメリットといえるでしょう

 

さて、肝心の価格はというと、7月28日時点のZ 6のボディ単体の実売参考価格が24万2820円であるのに対し、Z 5のボディ単体の予約価格は18万2600円と約6万円も安くなっています。一般用途であればスペック差をそこまで感じないわりに価格差が大きく、またフルサイズミラーレス市場全体を見回しても20万を切るモデルはあまりないためコスパの高さが光ります。フルサイズミラーレスデビューを考えている人にとってはかなり有力な選択肢となりそうです。

ついに発売された「ニコン Z 7」、その実力は? 実際に使って確信した2つのメリット

ニコンの新型フルサイズミラーレスカメラである「Z 7」が9月28日にいよいよ発売。本機は発表と同時に予約が殺到するほどの人気ぶりとのことですが、実売で43万7400円(ボディ)という高価なカメラで、かつ新マウントの採用によりレンズやマウントアダプターも必要であることを考えると、いかにこのカメラが注目を集めているかがわかります。本稿では、このニコン Z 7の実写と実際に使用してみての感想などをレポートしたいと思います。

【今回紹介するカメラはコレ!】

ニコン
Z 7
実売価格43万7400円

新設計の「Zマウント」を採用する、ニコンの新型フルサイズミラーレスカメラ。外観はファインダー部などの意匠が一眼レフのDシリーズから大きく変わっているものの、グリップなどの操作に関わる部分にDシリーズとの共通点が多く、Dシリーズから持ち代えても違和感はありません。タッチパネルやサブセレクターの採用により操作性が向上している印象です。

 

【関連記事】

ついに「フルサイズミラーレスカメラ」市場に打って出たニコン、その特徴や狙いとは?

 

操作性は踏襲しつつ圧倒的な“軽さ”を手に入れた

「ニコンファンミーティング」などのイベントですでに実機に触れた人もいるかと思いますが、本機はグリップ部のデザインなどを従来のDシリーズから踏襲。そのため、ニコンユーザーにとっては、ほぼ違和感なく使えるものになっています。しかもフルサイズ機であることを考えると、“とにかく軽い!”というのが第一印象です。

 

キットレンズにもなっている「NIKKOR Z 24-70mm F4 S」も約500gとF4の高性能ズームレンズとしては軽量で、ボディとレンズを合わせても約1175g(バッテリー、カード含む)なのでなおさら軽く感じるでしょう。例えば、スペックの近い同社の一眼レフ「D850」では、軽量な普及タイプの標準レンズ「AF-S NIKKOR 24-85mm F3.5-4.5G ED VR」と組み合わせると約1470g(バッテリー、カード含む)となり、300g近い差があります。

 

しかも、「NIKKOR Z 24-70mm F4 S」は繰り出し部分の沈胴機構を備えていて、収納時には88.5mm(レンズマウント基準面からレンズ先端まで)となり、コンパクトに持ち運べるのもメリットです。

↑Z 7にNIKKOR Z 24-70mm F4 Sを装着した状態。ズームリングを広角側(24mm)からさらに回転させることで、レンズの繰り出し部分が引っ込み、さらにコンパクトになる(写真は繰り出した状態)

 

操作性の面では、背面モニターが3.2型のチルト液晶となっており、タッチ操作も可能。手持ちでのローポジション撮影などが容易で、三脚使用時にモニターを見ながらのタッチ操作で素早く設定を変えるといったことも可能です。

↑モニターは、上下可動式のタッチパネルとなっている。手持ちでのローポジション撮影などが行いやすいほか、三脚使用時の視認性や操作性向上にも役立つ

 

また、撮影関連のボタンが右手側に集中配置されているので、ファインダー(EVF)を見ながら設定を変更する場合も快適。さらに、ジョイスティックタイプの「サブセレクター」が採用され、AF測距点の選択も素早く的確に行えます

 

加えて、ボディ上面には撮影情報液晶が用意されているので、同じシーンを露出を変えながら撮る場合や、残り枚数やおおよその露出、露出モードなど、素早くカメラの状態を確認したい場合に役立ちます。ただし、電源を切ると何も表示されなくなります(同社の一眼レフの従来機では残り枚数などが表示される)。もっとも、ミラーレス機の場合は一眼レフに比べると電力消費が多めの傾向があるので、無駄な電力を少しでも消費しないという点ではメリットとも言えます。

↑ボディ上面の情報表示液晶は、シャッター速度や絞り、露出補正量、撮影可能枚数、バッテリー残量などを素早く確認できる

 

気になる“描写力”を標準ズームと35mm単焦点でチェック!

前にも記したように、キットレンズにもなっている「NIKKOR Z 24-70mm F4 S」は、非常にコンパクトな標準ズームでF4のズームとしては軽量です。ただ、一般に「コンパクトで軽量なレンズは写りもそれなりなのでは?」と思われがちなのも確か。今回はその点を実写でチェックしてみました。

 

また、今回はもう1本、「NIKKOR Z 35mm F1.8 S」も用意しました。こちらも約370gと大口径なF1.8のレンズとしては軽量な部類といえますが、Fマウント(一眼レフ)用の「AF-S NIKKOR 35mm F1.8G ED」に比べるとサイズ・重さともに大きくなっています。とはいえ数十グラムの差なので、その分画質が良くなっているのであれば、納得がいく差だと思います。

↑今回使用したNIKKOR Z 24-70mm F4 S(上)とNIKKOR Z 35mm F1.8 S(下)。レンズ鏡筒のデザインは、Fマウントレンズからは大きく変わり、かなりシンプルな印象を受ける。2本とも高性能な新シリーズ「S-Line」の製品。最近の高性能レンズでは性能を引き出すために鏡筒がかなり太いものが増えているなか、少なくともこの2本は細身な印象で、携帯性にも優れているといえる

 

この2本で実写チェックを行ってみたところ、標準ズーム、35mmレンズともに絞り解放から極めてシャープな写りが得られ、ボケ描写も美しく、高画素なZ 7との組み合わせでも十分以上の性能が得られることを実感できました。加えて、Z 7自体の描写も色鮮やかで見栄えのする写りという印象。また、ホワイトバランスなどの設定を「オート」に設定しても、多くのケースで自然な色再現が得られます

↑NIKKOR Z 24-70mm F4 Sを24mm・F8にセットして撮影。ズームレンズの広角側は画面の四隅が流れてしまうものも多いが、このレンズはそうしたことがなく、四隅でもかなりシャープな写り。4575万画素と高画素なZ 7の性能を十分に引き出すことができる。Z 7の写りも色鮮やかでメリハリの効いた色再現で好印象

 

↑NIKKOR Z 35mm F1.8 Sの絞り開放で撮影。ピント位置は極めてシャープでありながら、前後のボケのクセが少なく、美しいボケを生かした写真が撮れる

高感度も十分実用的な画質

次に高感度での写りをチェックしてみましたが、ISO6400程度までは解像感の低下が比較的少ない印象。常用最高感度となっているISO25600でも色の変化などが少なく、多少解像感が低下したり、暗部にムラが確認できたりするものの、実用的な画質といえるでしょう。

↑ISO6400で撮影。ノイズは多少発生するものの、超高感度域としては解像感の低下が少なく、十分実用的な画質だ

 

↑ISO12800で手持ち撮影。かなり暗いなかでの撮影だが、絞りをF8にして被写界深度(ピントが合って見える範囲)を稼ぎながらも1/30秒で撮影できた。結果、画面右下に写る低速走行中の機関車をどうにか止めて写すことができた

 

注目の「ボディ内手ブレ補正」の実力は?

Z 7で気になるのが、同社のレンズ交換式カメラでは初となる、約5段分の効果というボディ内手ブレ補正の性能です。そこで、手持ち撮影でどの程度の低速シャッター撮影が行えるか試してみました。

 

その結果、62mm(24-70mmF4レンズの望遠側)で1/4秒でもブレなく撮ることができました。これなら、下の写真のように三脚なしで水の流れを表現したり、夜景撮影を楽しんだりすることが十分可能だと思います。

↑水の流れを1/4秒の低速シャッターで手持ち撮影。約5段分とされる手ブレ補正のおかげで62mmの中望遠域でありながら、水の流れ以外の岩や苔などをぶらさず撮ることができた

 

新搭載のピクチャーコントロールで写真に変化を

こうした写りの基本的な画質のほか、Z 7の絵作りで気になるのが、新搭載のピクチャーコントロール[ミドルレンジシャープ]と[Creative Picture Control]です。

 

[ミドルレンジシャープ]は、「輪郭強調」と「明瞭度」の中間の細かさの模様や線に対して効果的とのこと。実際に試してみると差が出るのは細かい部分ですが、緻密な風景写真の質感描写などに効果的だと感じました。

 

[Creative Picture Control]については、いわゆるデジタルフィルターで、20種類が用意されています。これらについては、撮影後に画像加工をすることなく手軽に効果が得られるので、写真に変化を付けたい場合に使ってみるといいでしょう。

↑Creative Picture Controlのデニム(上)とバイナリー(下)で撮影。Creative Picture Controlでは計20種類の効果が選べてその度合いも調整でき、同じシーンでも印象が大きく異なる仕上がりを手軽に楽しめる

 

動きモノ撮影にも対応。ただし、連続撮影枚数に注意

Z 7は通常撮影においてAF/AE追従で約5.5コマ/秒、14ビットRAW撮影時で約5コマ/秒での連写(拡張設定で約9コマ/秒)が可能です。そこで、負荷の大きな14ビットRAWで実際に走行中の列車を撮影してみました。

 

結果、多少タイミングを計る必要はあるものの、動きモノの撮影にも対応できる印象。ただ、連続撮影枚数が18コマ(4秒弱)となっているため、できるだけ短時間での連写に留めるのが連写時のコツとなります。長めに連写する必要がある場合は、連続撮影枚数が25コマとなるJPEGで撮影するのが良さそうです

↑画面の左1/3程度の位置に先頭車両が入ったあたりから連写を行って、連続撮影枚数の少なさをカバー。何度かテスト撮影を行い、約5コマ/秒で先頭車両が画面右端に写る位置を計算しながら撮影した

 

ボディは「Z 6」とどちらを選ぶか見極めるべし

短い時間でしたが、実際にZ 7で撮影してみての感想は、やはりボディが軽く気軽に持ち歩けることと、レンズも比較的小型で描写性能に優れていることの2つがZ 7を使う最大のメリットだと感じました。

 

特に風景撮影やスナップを撮影するユーザーには、小さく軽いことは撮影フィールドが広がることに直結するので、メリットが大きいと思います。また、EVFやモニターで撮れる画像を実際に見ながら撮れるので、一眼レフに比べるとエントリーユーザーも使いやすいのではないでしょうか。

 

強いて問題を挙げるとすればその価格の高さですが、フルサイズの高画素モデルの価格としては特別に高いということはありません。ただ、従来のFマウントレンズを持たず(あるいは使わず)、新規でレンズも揃えるとしたら、金額的な負担はかなり大きくなります。

 

レンズ性能が極めて高く、それだけの価値はあると思いますが、ボディに関しては、11月下旬発売予定のZ 6(参考価格/27万2700円)と比べてみて、本当に高画素が必要か見極めてみるのもよいでしょう。

↑ニコン Z 6。基本的なデザインはZ7と同様。画素数は有効2450万画素だが、高感度撮影や連写に強い

ついに「フルサイズミラーレスカメラ」市場に打って出たニコン、その特徴や狙いとは?

2018年8月23日、ニコンから、新型フルサイズミラーレスカメラ「NIKON Zシリーズ」2機種が発表されました。このカメラは35㎜判フルサイズのセンサーを備えつつ、レンズマウントは約60年の歴史を持つ伝統の「Fマウント」ではなく、新設計の「Zマウント」を採用。2017年に100周年を迎えた同社が“次の100年”に向けて開発したという、いま最も注目されているカメラとなっています。

 

本稿では、このNIKON Zシリーズの特徴や魅力に加え、いまニコンがフルサイズミラーレスカメラ市場に参入する狙いや、今後も含めた注目ポイントについて解説していきます。

↑8月23日に行われた、NIKON Zシリーズの発表会「New Products Global LAUNCH EVENT」より。NIKON Z7を手に新製品発表を行う、ニコン代表取締役 兼 社長執行役員の牛田一雄氏。「究極・最高を意味しアルファベットの最後の1文字として未来への懸け橋を想起させるもの」として新シリーズ名を「Z」としたという

 

↑同発表会より、新製品のコンセプト「MIRRORLESS REINVENTED」について解説する、ニコン 常務執行役員 光学事業部長の御給伸好氏。①大口径マウント採用による新次元の光学性能を持ち、②エルゴノミクス、信頼性、画像品質、互換性といった「NIKON QUALITY」を継承し、③未来の映像表現の進化への対応する、という3つの価値を新たに提起するものとして、Zマウントシステムでミラーレス市場に参入するという

 

最大の特徴は新規格のレンズマウントにあり! そのメリットは?

今回登場したニコンのミラーレスカメラの最大の特徴は、いままでにない新規格のレンズマウントを採用した点にあります。従来、ニコンのレンズ交換式カメラは、約60年の歴史を持つ「Fマウント」を基本としてきました。それは、デジタルカメラになっても変わらず、途中、1型センサー用の「NIKON 1マウント」なども登場しましたが、プロ・アマ問わずメインストリームは現在においてもFマウントのカメラです。

 

とはいえ、このFマウントはセンサーの前にミラーボックスを備えた「一眼レフ」用の規格であり、ミラーレス用としては不向き。フランジバック(センサー面からレンズマウント面までの距離)が46.5㎜、マウントの内径が44㎜で、そのままミラーレス機を設計すると、ミラーレスカメラのメリットの1つである小型軽量化が難しいなどの制約が出てしまいます。

 

そこでニコンが新型ミラーレスカメラのために用意したのが、全く新しいミラーレス用マウントである「NIKON Zマウント」です。このマウントでは、フランジバックを16㎜と短くし、マウントの内径を55㎜と大きくとったことで、レンズ設計の自由度を高めています。これにより、ボディの小型軽量化(Zシリーズ2機種は、ともに約675g)だけでなく、特に広角レンズにおいて、収差の少ない高画質なレンズの登場が期待できるなどのメリットがあります。

↑マウント径の大きさは、他社製品と比べても圧倒的な大きさ。ボディとレンズ間の通信は、現状で11点の電子接点で行われ、機械的な結合は廃されている。これにより、今後の情報伝達の多様化や大容量化に対応する

 

Z7/Z6の基本スペックをおさらい。両者の違いは?

それでは新型マウントの話はいったんここまでとして、今回発表されたZシリーズ2機種の基本スペックをチェックしてみましょう。

 

まず1機種目は、“ニコン史上最高画質”を謳う「NIKON Z7」(以下、Z7)。有効4575万画素と高画素でありながら、裏面照射型CMOSセンサーの採用や新型画像処理エンジン「EXPEED 6」の採用などにより、常用感度で最高ISO25600を達成しています。

↑NIKON Z7。ボディが薄型化されてはいるが、大型グリップの採用で十分なホールド性が確保されている。操作性は、ボタン類を右手側に集中配置したタイプで、印象としては同社のD5600などに近い。発売は2018年9月下旬予定、参考価格は43万7400円(ボディ)

 

高速なAFが可能な像面位相差AFと高精度なコントラストAFを併用したハイブリッドAF採用で、493点のAF測距点により、画面の約90%の範囲でAFが行えます。ミラーレスカメラを使ううえでキモとなるEVFは、約369万ドットの有機ELパネルで視野率は約100%を確保。加えて、液晶モニターに3.2型約210万ドットの上下可動式タッチパネル液晶が採用されているので、背面モニターを使っての撮影も快適です。

↑Z7での試し撮り。解像感が極めて高く、花の質感などが立体的に描写されている。レンズ(24-70㎜ F4使用)も優秀で、収差が少なくニコンらしいキリっとした写り。ボケ描写も、ズームレンズであることを考えると極めて優秀といえる

 

2機種目は、“オールラウンドフルサイズミラーレス”「NIKON Z6」(以下、Z6)です。本機は画素数こそ2450万画素ですが、常用感度が最高ISO51200と高く、高速連続撮影も約12コマ/秒(Z7は約9コマ/秒)での撮影が可能。AF測距点は273点とZ7に比べると少なめですが、画面の約90%をカバーする点はZ7同様です。

↑NIKON Z6。基本的なデザインはZ7と同様。高感度撮影に強く、静止画だけでなく動画撮影においてもその実力を発揮すると思われる。ちなみにZ6、Z7ともに4K/30pやフルHD/120pの動画撮影に対応し、独自のN-Log記録によるグレーティング(撮影後の色などの調整)も可能だ。発売は2018年11月下旬予定、参考価格/27万2700円(ボディ)

 

EVFや背面モニターなどもZ7同等で、Z7に比べると動きモノ撮影や舞台などでの高感度撮影などにも向くカメラといえそうです。ちなみに今回の2機種では、ボディ内(センサーシフト式)手ブレ補正が搭載され、使用レンズを問わず、約5段分の手ブレ補正が有効な点も魅力の1つとなっています。

このタイミングでの市場参入の狙いは?

Z7/Z6の2機種は、現行のFマウントカメラでいうと、D850とD750が比較的近いスペックを持っています。

 

主なスペックを見比べてみると、Z7とD850が4575万画素で連写速度も最高約9コマ/秒(D850はマルチパワーバッテリーパックMB-D18とリチャージャブルバッテリーEN-EL18b使用時)、常用最高感度もISO25600で同等といえます。また、D750とZ6は、連写や常用最高感度では最新モデルであるZ6が勝るものの、画素数2432万画素と同等です。

↑D850(上)とD750(下)。D850は高速連写も可能な高画素モデルとして人気が高い一方で、年齢の高い層を中心に重さを気にするユーザーも少なくない。そうしたユーザーにとって、Z7の登場は朗報といえるだろう。D750は、フルサイズ一眼レフとしては軽量で、画素数にこだわらないユーザーの支持を集めている。ただ、連写性能などに物足りない部分があり、そうしたユーザーとって、さらに軽量化しつつ連写性能や高感度性能をアップさせたZ6は魅力的に写るはず

 

D850/D750とも両機とも同社を代表する人気機種で、特に昨年発売のD850はプロ・ハイアマ層を中心に高い支持を集めています。発表会では、Fマウントを採用する一眼レフカメラは光学式ファインダーなどの利点から根強い支持があるとして、今後も一眼レフカメラの開発・生産は継続しておくことが明言されていました。

 

では、Fマウント一眼レフカメラで多くのシェアを持っているニコンが、いまになってフルサイズミラーレス市場に製品を投入する狙いはどこにあるのでしょうか?

 

その答えは、現状でフルサイズミラーレスカメラを投入している国内唯一のメーカー、ソニーの動きが参考になるでしょう。ソニーは、「α7シリーズ」でフルサイズミラーレス市場を切り開いたパイオニアといえますが、そのシェアはここにきて急速に伸びています。レンズ交換式フルサイズカメラ市場でおよそ30%程度を有しているといわれ、ニコンやキヤノン、ペンタックスなどフルサイズ一眼レフカメラを展開するメーカーを脅かす勢いです。

↑2018年3月発売のソニー「α7Ⅲ」。同社の最新フルサイズミラーレスカメラは3世代目となっており、そのアドバンテージがどの程度あるのか、逆にニコンの新製品が先行するαシリーズにどの程度まで追いついているのか気になるところ。近い将来、両社が切磋琢磨して、より優れたミラーレスカメラが登場してくることも期待される

 

また従来のミラーレスカメラは、EVF採用によるファインダー表示の遅れ(タイムラグ)などが問題になっていましたが、表示速度が高速化し、表示品位も向上したことで、特殊な状況以外ではそうした不満もあまり聞かれなくなってきました。むしろ最近は、ホワイトバランスや露出などが撮影画像とほぼ同等の表示が可能な点や、暗い場所でも像を明るく映し出せるなどのメリットが見出だされるようになってきています。

 

つまり、そうしたミラーレスのデメリットの多くが解消されつつあり、かつメリットが感じられるようになったいま、ハイエンドカメラを得意とするニコンが、満を持して投入したのが新型のZシリーズだといえます。しかも、一般にフランジバックが短く、マウント内径が大きいほうがレンズ設計などの点で有利といわれているなかで、フランジバック18㎜、マウント内径約46㎜のソニーEマウントを超えるマウントを用意できた点は、今後のレンズ展開において大きなポイントだといえます。

 

レンズラインナップの今後に期待! “ニコン史上最高の明るさ”を持つ製品も

現状、Zマウントレンズは「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」、「NIKKOR Z 35mm f/1.8 S」、「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」の3本のレンズの登場がアナウンスされているほか、「NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct」という超大口径のレンズの開発も発表されています。ただ、それでも計4本のラインナップということで、今後の展開が期待される状況です。

↑NIKKOR Z 24-70mm f/4 S。ズーム全域で最短撮影距離0.3mと近接撮影に強く、収差も極めて少ない標準ズーム。ナノクリスタルコート採用でゴーストやフレアも発生しにくく、幅広い撮影フィールドに対応する。発売は2018年9月下旬予定、参考価格/13万2300円

 

↑NIKKOR Z 35mm f/1.8 S。ボケ描写が美しく、点光源などのフレアが少ない。EDレンズ2枚、非球面レンズ3枚を採用した贅沢な設計だ。ナノクリスタルコートも採用。発売は2018年9月下旬予定、参考価格/11万700円

 

↑NIKKOR Z 50mm f/1.8 S。軸上色収差が徹底的に除去され、画面全域で高い質感描写や解像力を発揮する。近距離撮影でのボケ描写も美しく、動画を含めた多くのシーンで活用できる標準レンズ。ナノクリスタルコート採用。発売は2018年10月下旬予定、参考価格/8万1000円

 

↑NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct。ニコンでは、Zシリーズ用レンズ中、独自の高い品質管理がなされ、光学性能が高い製品を「S-Line」と呼称している(今回の4製品は、いずれも該当)が、そのラインナップ中、Zマウントシステムの新次元の光学性能を象徴するレンズとして開発されているのが本レンズだ。ニコン史上最高の明るさを持つF0.95のマニュアルフォーカスレンズで、ボケ描写や解像感、点像再現性に優れるという

 

↑発表会では、今後のレンズロードマップなどについても解説された

 

しかしながら、「マウントアダプター FTZ」によって数多くのFマウントレンズが使用できること、Fマウント機の周辺アクセサリーが流用できること、また、現時点でそれらのユーザーが相当数存在することを考えると、ソニーα7シリーズと互角に勝負できる素地は整っているといえるかもしれません。少なくとも、ニコンZシリーズの登場で、今後さらにミラーレスカメラ市場が盛り上がっていくことは間違いないでしょう。

↑マウントアダプター FTZ。Aiニッコール(改造含む)以降のMFレンズを含むFマウントニッコールレンズをZマウントカメラに取り付けられるアダプター。モーター内蔵レンズでは、従来のDシリーズ同等のAF速度が得られるという。また、VR機構を有していないレンズでは、ボディ内の手ブレ補正が機能するといった点も魅力だ。発売は2018年9月下旬予定。参考価格/3万5100円でボディとのキットも用意されている

 

↑Zシリーズの発表会当日にFマウントの新レンズAF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VRが発表された。これは、今後もFマウントカメラ及びレンズについても開発を続けていくとの意思の表れと思われる。本レンズは、レンズの小型化に貢献する「位相フレネルレンズ」を採用した超望遠の意欲作であり、高解像でフレアの少ない仕様となっている。アダプターを介してZシリーズで使用することもできるが、今後、Fマウントカメラ&レンズとZマウントカメラ&レンズがどのようにすみ分けされ、発展していくのか楽しみだ

 

コスパで選ぶならコレ!! プロがオススメする「格安カメラ&レンズ」まとめ

価格が安い、安すぎてちょっと心配になってしまうくらいの格安アイテムを、プロ・専門家が徹底的にチェック! 独自機能やおすすめポイントなど、良いところも悪いところも含めて惜しみなくレビューをお伝えしていきます。今回のテーマはミラーレスカメラや一眼レフカメラ、交換レンズ、ストロボ、三脚といった格安カメラ用品です。

 

まだまだ発展途上のスマホカメラとは異なり、最近の一眼カメラはもはや安定期にあります。一世代前の旧製品でも、十分に納得できる画質と性能なのです。そんなおトクな格安モデルのなかから特にオススメの機種を紹介します。

 

【○×判定した人】

カメラマン・永山昌克さん

写真スタジオを経てフリーに。写真や動画撮影のほか、カメラ誌やWEB媒体での執筆も多数。

 

一世代前のモデルでも画質や操作性に不都合はない

エントリークラスのカメラは各社1〜2年ごとに新製品が登場しますが、モデルチェンジ後しばらくの間は旧製品も併売されます。この、いわゆる型落ち品が格安で、コストパフォーマンスが非常に高いです。

 

最近のモデルチェンジは、画質や操作性が大きく変わるわけではなく、新機能の追加がメインであることが多いです。その新機能が自分にとって重要でなければ、あえてひとつ前の製品を選ぶのも十分アリなのです。余った予算で交換レンズを1本追加したほうが、写真撮影の楽しみはいっそう広がります。

 

交換レンズに関しても、高価な新モデルだけが優れているわけではありません。発売が古い安価なレンズでも、描写性能に優れた製品はたくさんあります。ここで取り上げるのは、そんな掘り出し物の数々です。

 

【カメラ編】

その1

タッチ操作や4K動画に対応した薄型軽量モデル

パナソニック

LUMIX GF9

実売価格6万9800円(ダブルレンズキット)

【ミラーレス(EVF非搭載)】【1600万画素】【秒約5.8コマ連写】【常用最高ISO25600】【約269g

薄型軽量ボディの入門機ながら、4Kフォトによる30コマ/秒の高速連写など、便利で実用的な機能が満載。液晶は自分撮りがしやすいチルト可動式で、タッチ操作にも対応。ボディに巻き付けられた合皮素材は、低価格を感じさせない高品位な雰囲気を生み出しています。

SPEC●レンズマウント:マイクロフォーサーズ ●モニター:3.0型約104万ドット、チルト式(上方向のみ)、タッチ対応 ●EVF:非搭載 ●サイズ:約W106.5×H64.6×D33.3㎜

 

【check】

画質:〇

中級機に匹敵する描写力

ローパスレスの16M Live MOSセンサーを搭載し、中級機に匹敵する描写力。フォトスタイル機能によって細かく色をカスタマイズできる点も◎。

 

操作性:○

初心者でも安心して使いこなせる

操作部はシンプルにまとまっていて使いやすいです。薄型のキットレンズ装着時のボディバランスは良好で、切れ味の鋭いシャッター音も好印象。

 

機能:○

「4Kプリ連写」が動体撮影に好適

独自の「4Kプリ連写」では、シャッターボタンを押した前後の60コマを自動的に記録できます。撮るのが難しい動物や野鳥、子どもなどの撮影に好適。

 

 

その2

ワンランク上の撮影も楽しめる高機能モデル

パナソニック

LUMIX GX7 Mark 

実売価格6万9800円(標準ズームレンズキット)

ミドルクラスの高機能ミラーレス。高さを抑えた横長ボディに、視認性に優れた電子ビューファインダーと、アングルの自由度を高めるチルト可動液晶を搭載。撮影モードはオートからマニュアルまで完備。

【ミラーレス(EVF搭載)】【1600万画素】【秒約8コマ連写】【常用最高ISO25600】【約426g】

SPEC●レンズマウント:マイクロフォーサーズ ●モニター:3.0型約104万ドット、チルト式、タッチ対応 ●EVF:約276万ドット ●サイズ:約W122×H70.6×D43.9㎜

 

【check】

画質:〇

ハイアマも満足できる解像感

撮像素子は特に高画素ではありませんが、ローパスフィルターレス仕様であり、解像感は優秀なレベル。キットレンズの写りも悪くありません。

 

操作性:×

2ダイヤルは便利だがチルト液晶が惜しい

電子ダイヤルはグリップの前後に2つあって多機能をスムーズに設定可能。ただし、チルト液晶は自分撮りや縦位置撮影に非対応なのがイマイチ。

 

機能:〇

一段上の機能が薄型ボディに凝縮

強力なボディ内手ブレ補正や4Kフォトによる高速連写、本格モノクロモードなど、一段上の機能が満載。各ボタンの機能を柔軟にカスタムできるのも便利です。

 

 

その3

シンプルな操作性が魅力の小型軽量機

ニコン

D5300

実売価格6万4900円(AF-P 18-55 VRキット)

小型軽量ボディとシンプル操作が魅力の一眼レフ。使用頻度の高い項目にダイレクトアクセスが可能なiボタンを搭載。凝った効果を素早く適用できるスペシャルエフェクトなどのビギナー向け機能も充実しています。

【一眼レフ】【2416万画素】【秒約5コマ連写】【常用最高ISO12800】【約530g】

SPEC●レンズマウント:ニコンFマウント ●モニター:3.2型約104万ドット、バリアングル式、タッチ対応 ●OVF:約95%、約0.82倍 ●サイズ:約W125×H98×D76㎜

 

【check】

画質:〇

高精細な2416万画素

低価格の旧モデルながら、最新の中級機に匹敵する2416万画素の高精細を実現。遠景の細かい部分までシャープに描写できます。

 

操作性:×

ライブビュー時のAFの遅さが残念

一眼レフとしては小型軽量なボディであり、携帯性とホールド性を両立。しかし、ライブビュー使用時のAFの遅さとタイムラグが残念です。

 

機能:〇

39点位相差検出AFが使えるのが良い

AFには、最大39点の測距点を自動/手動で選べる位相差AFを採用。ペットや子どもといった動体にも、ストレスなく軽快に合焦します。

 

【交換レンズ編】

その1

高倍率ズームレンズ】低価格と高倍率、小型軽量を兼ね備える

タムロン

18-200mm F/3.5-6.3 Di Ⅱ VC (Model B018)

実売価格2万5650

高倍率ズームのパイオニアであるタムロンが、2015年に発売したAPS-C一眼レフ用レンズ。より倍率の高い製品と比べても、持ち運びに優れた小型軽量である点がうれしい。低価格ながら、適度な剛性感も備えています。

【キヤノンEFマウント用】【ニコン用】【ソニーAマウント用】

SPEC●35㎜判換算焦点距離:28〜310㎜ ●最短撮影距離:35㎜時0.77m、180㎜時0.49m ●フィルター径:62㎜ ●長さ:キヤノン用96.6㎜、ニコン用94.1㎜ ●質量:約400g

↑幅広い焦点距離をカバー。そのため、自由に動けない場所でも狙いに応じた厳密なフレーミングが可能です

 

【ここが〇】

手ブレ補正の効きが良好

ズームすると前玉部分が長くせり出しますが、鏡胴にガタつきはなく、安っぽさは感じません。手ブレ補正の効果も十分にあります。

 

【ここが×】

AFスピードが遅めでもたつく

AFの作動音はあまりうるさくありませんが、AFスピードは遅め。マウント部がプラスチック製である点も不満。

 

その2

【マクロレンズ】銘玉といわれる「タムキュー」の2008年モデル

タムロン

SP AF90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 (Model272E)

実売価格2万9140円

タムロンの90㎜マクロといえば、高画質と美しいボケに定評があり、1979年発売の初代モデル以来、モデルチェンジを繰り返しながら多くのユーザーに親しまれています。これは2008年発売モデル。AFはうるさいが画質は一級品です。

【キヤノンEFマウント用】【キヤノン用】【ニコン用(AFモーター内蔵:272EN Ⅱ)】【ソニーAマウント用】【ペンタックス用】

SPEC●35㎜判換算焦点距離:90㎜ ●最短撮影距離:0.29m ●フィルター径:55㎜ ●長さ:97㎜ ●質量:約400g

↑PC上で等倍表示すると、花粉の粒がはっきりわかるくらいシャープに解像。リアルで立体感のある描写が得られました

 

【ここが〇】

切れ味の鋭い描写力が魅力

フルサイズ対応ながら四隅まで高解像を実現。一方で、絞り開放値ではピントを合わせた前後に美しいボケが生じます。

 

【ここが×】

AF駆動音が少々大きめ

超音波モーター非搭載なのでAF駆動音は少々大きめ。AFからMFに切り替える際、ピント位置が動きやすい点も×。

 

 

その3

【望遠ズームレンズ】1万円台前半で超望遠域を味わう

タムロン

AF70-300㎜ F/4-5.6 Di LD MACRO 1:2 (Model A17)

実売価格1万2240円

フルサイズに対応した小型軽量の望遠ズーム。通常の最短撮影距離は1.5mですが、マクロモードを選ぶと0.95mまでの接写もできます。手ブレ補正は非搭載。ゴースト対策として前玉にはマルチコートが施されています。

【キヤノンEFマウント用】【ニコン用(AFモーター内蔵:A17N Ⅱ)】【ソニーAマウント用】【ペンタックス用】

SPEC●35㎜判換算焦点距離:70〜300㎜ ●最短撮影距離:通常1.5m、マクロモード時0.95m(180-300㎜域) ●フィルター径:62㎜ ●長さ:116.5㎜ ●質量:約458g

↑描写性能は色収差がやや目立ち、最上とはいえませんが、十分に実用的。小動物をアップで撮れるのは便利です

 

【ここが〇】

軽量で携帯性に優れている

フルサイズ対応ながら、質量458gという軽さが最大のメリット。300㎜側でF5.6というスペックやマクロ機能も◎。

 

【ここが×】

手ブレ補正が非搭載

300㎜の超望遠撮影ができるが手持ちではブレやすいので、手ブレ補正非搭載は残念。AFが遅めといった弱点もあります。

 

 

その4

【単焦点レンズ】単焦点レンズの入門用に打って付け

シグマ

30mm F2.8 DN

実売価格1万6360

わずか140gの軽さを実現したミラーレス用単焦点レンズ。両面非球面レンズの採用で諸収差を補正したほか、スーパーマルチレイヤーコートによってフレアやゴーストの発生も低減しました。AFは駆動音の静かなリニアAFモーター式です。

【マイクロフォーサーズ用】【ソニーEマウント用】

SPEC●35㎜判換算焦点距離:マイクロフォーサーズ60㎜、APS-C45㎜ ●最短撮影距離:0.3m ●フィルター径:46㎜ ●長さ:40.5㎜ ●質量:約140

↑スムーズなボケは単焦点ならでは。この写真では、絞り値F2.8に設定し、被写体に近寄ることで背景をぼかします

 

【ここが〇】

小型軽量で画質も優秀

キット付属の標準ズームに比べて小型軽量で、携帯性が高いです。画質もキットレンズより上で、美しいボケが得られます。

 

【ここが×】

外装に指紋がつきやすく目立つ

開放値F2.8は、キットレンズよりは明るいものの、F1.8クラスよりは暗く、中途半端な印象。外装も指紋がつきやすいです。

 

【撮影アイテム編】

その1

薄型軽量のクリップオンストロボ

GODOX

TT350デジタルカメラフラッシュ

実売価格1万4310

各社のTTLオート撮影に対応したクリップオンストロボ。単3形乾電池2本で駆動し、200gと軽量です。マルチ発光や高速シンクロ撮影に対応するほか、発光部を上下左右に動かすことで天井や壁を使ったバウンス撮影も行えます。

【ストロボ】【キヤノン用】【ニコン用】【ソニー用】【富士フイルム用】

SPEC●ガイドナンバー:36(105㎜、ISO100) ●フラッシュ範囲:24〜105㎜(14㎜ワイドパネル付) ●電源:単3形乾電池2本 ●サイズ/質量:W62×H140×D38㎜/200g

↑背面には、各種機能の設定状態がひと目でわかる液晶パネルを装備。その下のホイールを回して発光量を調整します

 

【ここが〇】

各社のTTL発光に対応

4つのメーカー用の製品が用意され、押すだけのフルオート撮影で使用できます。高速シンクロなどの機能も充実。

 

【ここが×】

チャージに時間がかかる

単3形乾電池2本で駆動するのは携帯性では有利ですが、4本使用の他社製品に比べてチャージに時間がかかります。光量もやや弱め。

 

 

その2

憧れのカーボン三脚がわずか1万円で購入可能

アマゾンベーシック

トラベル三脚 130cm  5小型

実売価格9980

軽量で剛性感の高いカーボン素材を採用したトラベル用三脚。脚を伸ばし、中央のエレベーター部分を動かすことで、高さは30.5〜135.5cmの範囲で調整可。ボールヘッドの自由雲台やクイックプレート、キャリングケースも付属します。

SPEC●耐荷重:3.6㎏ ●全高:135.5㎝(EVあり) ●最低高:30.5㎝ ●縮長:31㎝ ●質量:1.11㎏

 

↑持ち運ぶ際は、脚の部分を反転させることで小さくまとめることが可能。出っ張りが少ないナット式ロックも便利

 

【ここが〇】

カメラバッグに収納可能

縮長が31㎝と短いので、通常のカメラバッグに入れて持ち運ぶことも可能です。また、ローアングル撮影にも対応します。

 

【ここが×】

一眼レフ用には安定感が不足

全長135.5cmはやや物足りず、脚も5段でセッティングに時間がかかります。ミラーレス用で大きな一眼レフには不向き。

 

 

 

カメラ開発者はかく語りき――「カメラグランプリ2018」受賞カメラの誕生秘話

第35回を迎えた「カメラグランプリ2018」(カメラ記者クラブ主催)の贈呈式が、2018年6月1日に都内で開催された。ノミネート56機種のカメラと、72本のレンズのなかから、大賞を「ソニー α9」、レンズ賞を「オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO」、WEB投票によるあなたが選ぶベストカメラ賞とカメラ記者クラブ賞を「ニコン D850」、同じくカメラ記者クラブ賞を「パナソニック LUMIX G9 PRO」が受賞。もちろんその一つひとつに誕生ストーリーがあるわけで、贈呈式では各社開発者の皆さんがそれぞれの開発秘話を語ってくれた。

 

カメラグランプリ2018 大賞

「ソニー α9」

ブラックアウトフリーが受け入れられるか心配だった

「開発は3年以上前から始まっていた」とソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ株式会社 デジタルイメージング本部第1ビジネスユニット シニアゼネラルマネジャーの田中健二さんは言う。ミラーレスにポテンシャルを感じ、動体に対する弱点、撮影枚数の少なさなど、いくつもの課題をクリアしてきた。その一つの形がα9だ。

 

また、「高速で大きなデータを処理するため、世界初のイメージセンサーが必須だった」と同本部商品設計第1部門設計1部3課統括課長の町谷康文さんは話す。センサーの開発と、カメラに組み込んでからのパフォーマンスの検証に多くの時間を費やした。常に被写体を見ながら撮影できるブラックアウトフリー技術は「新しい体験なので、開発側としてはユーザーに受け入れられるかが心配だった」と明かす。

↑ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ株式会社・田中健二さん(右)と、カメラグランプリ2018実行委員長・猪狩友則さん(アサヒカメラ編集部)

 

カメラグランプリ2018 レンズ賞

「オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO」

ボケにくい構造は小ボケの範囲が広いことにつながる

今年もオリンパスがレンズ賞をさらい、史上初の3年連続受賞となった。

 

マイクロフォーサーズは焦点距離が短く、構造的にボケ味は出しにくい。「なぜ不利な中で戦わなければならないのか。当初、開発陣の中にはそんな声があった」とオリンパス株式会社 光学システム開発本部光学システム開発3部1グループ グループリーダーの宮田正人さんは明かす。研究部門からボケには大きなボケと、小ボケの二つがあり、小ボケの領域は光学的な設計で作り出せると指摘があった。「ボケにくい構造は、小ボケの範囲が広いことにつながり、開発の目的が見えた」と言う。

↑オリンパス株式会社・宮田正人さん

 

カメラグランプリ2018 あなたが選ぶベストカメラ賞・カメラ記者クラブ賞

「ニコン D850」

シャッター音に最後までこだわった

あなたが選ぶベストカメラ賞とカメラ記者クラブ賞をダブル受賞したD850。WEB投票によるあなたが選ぶベストカメラ賞では、投票初日から1位をキープしていた。

 

高画素化、高速化が特徴のD850だが、開発陣が最後までこだわったのはシャッター音だそうだ。「製造の直前まで部品の修正を続けた」と株式会社ニコン 開発統括部 総括部長の池上博敬さんは話す。電子シャッターによるサイレント撮影を新機能に加えつつ、音やシャッターの感触を重視した。「そこも撮影者の楽しみの一つであり、使う人の琴線に触れる製品開発をこれからもしていきたい」と言う。

↑株式会社ニコン・池上博敬さん

 

カメラグランプリ2018 カメラ記者クラブ賞

「パナソニック LUMIX G9 PRO」

歴史のあるカメラメーカーに近づきたいとチャンレンジしてきた

パナソニックは今年創業100周年を迎えたが、カメラ事業は18年目。「歴史のあるカメラメーカーに近づきたいとチャンレンジしてきた」とパナソニック株式会社 アプライアンス社イメージングネットワーク事業部 事業部長の山根洋介さんは話す。

 

「10年前にミラーレスを手がけ、一発で終わったコミュニケーションカメラCM10、動画機能を尖らせたGHシリーズと、亜流、ニッチなところを攻めてきた」と放ち、笑いを誘った。対して「LUMIX G9 PRO」は徹底的に画質、絵づくりを追求した。そのアイデンティティを表現したのが肩部のダイヤルに入れられたレッドラインだ。「今回受賞されたメーカーさんに比べ非常に控えめで小さいものだが、熱い想いは負けず劣りません」。

↑パナソニック株式会社・山根洋介事さん(右)と、カメラ記者クラブ代表幹事・福田祐一郎(CAPA編集部)

 

文:市井康延

写真:カメラ記者クラブ、市井康延

 

 

【2018夏版】ボーナス出 た ら買いたい「高付加価値一眼」ベスト5をプロが選出

本記事では、2018年の夏ボーナスに本命の一眼カメラをプロが実際に試してテスト。こだわった写真が撮れる各社の意欲作5製品+αを紹介、各項目を5点満点で採点しました。

 

【チェックした人】

カメラマン・永山昌克さん

写真スタジオ勤務を経てフリーに。写真や動画撮影のほか、カメラ誌やWEB媒体での執筆も多数。

 

【その1】

小型軽量ボディとハイスペックを両立したフルサイズミラーレス

ソニー

α7

実売価格24万4330円(ボディ)、26万9870円(ズームレンズキット)

人気α7シリーズの最新作。昨年発売のプロ向け高画素機α7R Ⅲから、防塵防滴ボディや高速連写を受け継ぎながら、画素数を2420万画素に抑えることで、一般ユーザーに手の届く価格を実現。全部入りともいえる中身の濃さを誇ります。

SPEC【画素数:2420万画素】【連写:秒約10コマ】【常用最高感度:ISO51200】【質量:約650g】●レンズマウント:Eマウント●モニター:3.0型約92万ドット、チルト、タッチ対応●EVF:約236万ドット●サイズ:W126.9×H95.6×D73.7㎜

新開発の裏面照射センサーを搭載し、常用最高感度ISO51200と低感度時の広ダイナミックレンジを実現。

 

上位機α7R Ⅲに勝る693点のAF測距点に対応。画面端の被写体にもスムーズにピントを合わせられます。

 

ほぼ無音で撮影できるサイレント撮影機能をα7R Ⅲなどから継承。最高約10コマ/秒の連写も上位機に匹敵します。

【作例】

フルサイズセンサーはボケ表現や高感度の強さに加え、発色が豊かで階調に深みがあるという利点があります。観覧車の鮮やかな色と金属感もリアルに再現できました。

 

【永山カメラマンのジャッジ!】

画質:☆×4

機能:☆×5

操作性:☆×4

交換レンズの豊富さ:☆×3

幅広い撮影シーンや被写体でオールマイティに活躍する性能

画質と機能、操作性と、いずれもハイレベル。動体から風景、人物、静物まで幅広いジャンルで役立つでしょう。交換レンズは急速に増えているものの、高価で大型のものが中心なので注意(永山さん)

 

【その2】

プロも愛用する高画素&高速フルサイズ

ニコン

D850

実売価格39万9600円(ボディ)

2014年に発売された「D810」の後継機。新センサーの採用によって高画質化を図ったほか、連写やAF、ファインダー、液晶モニター、動画機能などあらゆる部分が進化。AFは最上位機のD5と同じく153点測距に対応します。

SPEC【画素数:4575万画素】【連写:秒約7コマ】【常用最高感度:ISO25600】【質量:約1005g】●レンズマウント:ニコンFマウント●モニター:3.2型約236万ドット、チルト、タッチ対応●OVF:100%、0.75倍●サイズ:W146×H124×D78.5㎜

ファインダーには、同社製品では最大となる倍率0.75倍のペンタプリズムを採用。大きな表示で被写体をくっきりと見ることができます。

 

高感度に有利な裏面照射型の4575万画素センサーを搭載。大判印刷にも適した高精細な写りが得られます。

 

ボディは、悪条件での撮影に強い防塵防滴対応のマグネシウム合金製。グリップは深く、ホールド感も良好です。

 

【永山カメラマンのジャッジ!】

画質:☆×5

機能:☆×5

操作性:☆×4

交換レンズの豊富さ:☆×5

多彩なレンズを生かして本格撮影が楽しめる

画質にこだわりつつ、レスポンス面でも妥協したくない人にオススメ。ボディは大柄で重いため、気軽なスナップには不向きですが、大口径レンズとの相性はよく、本格スポーツ撮影やスタジオ撮影には好適です(永山さん)

【その3】

Kissシリーズが25周年を迎えてミラーレス化!

キヤノン

EOS Kiss M

実売価格8万10円(15-45キット)、10万890円(ダブルズームキット)

ファミリーカメラの定番「EOS Kiss」シリーズ初のミラーレス一眼。従来のKissに比べて一回り以上小さなボディに、デュアルピクセルCMOS AFなどの最新技術を凝縮。充実したビギナー向けガイド機能も搭載します。

SPEC【画素数:2410万画素】【連写:秒約7.4コマ】【常用最高感度:ISO25600】【質量:約387g】●レンズマウント:EF-Mマウント●モニター:3.0型約104万ドット、バリアングル、タッチ対応●EVF:約236万ドット●サイズ:W116.3×H88.1×D58.7㎜

 

高速AF技術デュアルピクセルCOMS AFに対応。ピント合わせは快適です。

 

上下左右に回転するバリアングル液晶によって、自分撮りなども楽しめます。EVFも搭載します。

 

【永山カメラマンのジャッジ!】

画質:☆×4

機能:☆×3

操作性:☆×4

交換レンズの豊富さ:☆×3

中級一眼レフ並の画質とAF

高画素APS-Cセンサーが生み出す画質は、中級一眼レフに匹敵するレベル。AFなどレスポンス面も快適です。交換レンズは、他社に比べるとまだ少なめ(永山さん)

 

【その4】

所有欲を満たすスタイリッシュなデザインも魅力

オリンパス

OM-D E-M10 Mark

実売価格8万6650円(ダブルズームキット)

フィルムの一眼レフを思わせるデザインを採用した、エントリー層向けのミラーレス一眼。E-M10シリーズの3代目であり、新たに4K動画に対応したほか、アートフィルターなどの撮影機能がいっそう向上しています。

SPEC【画素数:1605万画素】【連写:秒約4.8コマ】【常用最高感度:ISO25600】【質量:約410g】●レンズマウント:マイクロフォーサーズ●モニター:3.0型約104万ドット、チルト、タッチ対応●EVF:約236万ドット●サイズ:W121.5×H83.6×D49.5㎜

 

入門機ながら強力な5軸手ブレ補正を内蔵。薄暗いシーンでも手持ちで安心して撮れます。

 

新搭載したAPモード。星空を光跡として表現するモードなど、一段上の撮影が楽しめます。

 

【永山カメラマンのジャッジ!】

画質:☆×3

機能:☆×4

操作性:☆×3

交換レンズの豊富さ:☆×4

充実した撮影機能とレンズが◎

画質はクリアで見栄えがいいですが、最新モデルにしては画素数は控えめ。撮影モードはオートからマニュアルまで充実。交換レンズも数多く揃っています(永山さん)

 

【その5】

AF追従で20コマ/秒を誇る高速連写番長

パナソニック

LUMIX G9 Pro

実売価格21万4920円(ボディ)、29万5920円(標準ズームキット)

動画に強い同社のミラーレス一眼のなかでも、特に静止画を重視したハイエンド機。世界最速をうたうAFと超高速連写によって、動体の決定的瞬間も確実に捉えられます。ボディはやや大きめのマグネシウム合金製。

SPEC【画素数:2033万画素】【連写:秒約20コマ】【常用最高感度:ISO25600】【質量:約658g】●レンズマウント:マイクロフォーサーズ●モニター:3.0型約104万ドット、バリアングル、タッチ対応●EVF:約368万ドット●サイズ:W136.9×H97.3×D91.6㎜

 

AF固定60コマ/秒の超高速連写に加えて、連写を長時間続けられる4K&6Kフォト機能も搭載。用途に応じて選べます。

 

天面にはミラーレス一眼では希少なサブ液晶を搭載。各種の設定状態をひと目で把握できます。

 

【永山カメラマンのジャッジ!】

画質:☆×4

機能:☆×5

操作性:☆×4

交換レンズの豊富さ:☆×4

やや高めの価格に見合った高性能

シリーズ最大画素数とローパスレス設計によって、精細な描写を実現。機能は盛りだくさんで、交換レンズも豊富。あらゆる被写体に対応できる実力です。

 

アクションカメラ、コンパクトデジカメ、ビデオカメラも狙い目!

非一眼カメラの分野でも高付加価値モデルが続々と登場中。レンズ交換ができない代わりに機動力に優れ、動画や静止画をより自由に楽しめる3台をチェックしました。

 

【アクションカメラ】

定番アクションカメラの画質や手ブレ補正が進化

GoPro

GoPro HERO6

実売価格4万4820

【映像解像度:4K】【写真解像度:12MP】【防水:10m】【質量:約117g】

人気のHEROシリーズ最新作。手のひらサイズの小型ボディに新プロセッサーを搭載し、4K/60Pや高精細なスローモーション撮影に対応。手ブレ補正も強化され、使い勝手は上々です。

SPEC●モニター:2.0型●記録メディア:microSD●インターフェイス:USB-C、マイクロHDMI●サイズ:W62.3×H44.9×D33㎜

 

【コンパクトデジカメ】

コンパクトなボディにAPS-Cセンサーを搭載

キヤノン

PowerShot G1X Mark Ⅲ

実売価格12万1860

【画素数:2420万画素】【連写:秒約7コマ】【常用最高感度:ISO25600】【質量:約399g】

小型ボディにAPS-Cサイズの大型センサーと光学3倍ズームを搭載。一眼レフEOSから継承した明快な操作性や、安定感のある画質、自由度の高いバリアングル液晶なども魅力です。

SPEC●センサーサイズ:APS-C●レンズ:24〜72㎜(35㎜フィルム換算)●モニター:3.0型約104万ドット、バリアングル、タッチ対応●EVF:約236万ドット●サイズ:W115×H77.9×D51.4㎜

 

【ビデオカメラ】

カメラ内で編集ができる「あとから補正」が進化

 

パナソニック

HC-VX985M

実売価格5万4400円

【映像解像度:4K】【光学ズーム:20倍】【デジタルズーム:250倍】【質量:約395g】

光学20倍ズーム搭載のビデオカメラ。4K動画を編集する「あとから補正」が進化し、特定の被写体を追尾したり、アップにしたりできます。小型ボディやスマホとの連携機能も魅力です。

SPEC●センサーサイズ:1/2.3型●レンズ:30.8〜626㎜(35㎜フィルム換算)●モニター:3.0型46万ドット、タッチ対応●サイズ:W65×H73×D141㎜

一眼レフの王道・ニコン「 D850」再評価レビュー! 「高画質」と「高速連写」どっちも欲しい贅沢派にぜひ

昨秋発売のニコンのフルサイズ高画素機「D850」は画素数が従来モデルのD810の3635万画素から4575万画素にアップ。連写性能も大幅に増え、AFシステムや画像処理エンジンはフラッグシップ機のD5同等となっている。

 

D810まで採用されていた内蔵フラッシュは廃止されたが、ペンタ部を中心にシャープで精悍なデザインとなり、可動式背面モニターが採用されたことで従来機以上の機動力を獲得。ここでは、こうした数多くの改良により人気となっている同機種を従来モデルと比較しながら、その特徴について紹介する。

↑高画素モデルながら連写に強く、ボディ単体で約7コマ/秒を実現。さらに、ボディ底面に取り付けるマルチパワーバッテリーパックMB-D18を併用すると約9コマ/秒で撮影できる。参考価格/ 39万9600円(ボディ)
↑高画素モデルながら連写に強く、ボディ単体で約7コマ/秒を実現。さらに、ボディ底面に取り付けるマルチパワーバッテリーパック「MB-D18」を併用すると約9コマ/秒で撮影できる。実売価格/ 39万9600円(ボディ)

 

【基本スペック】

画素数を上げながらも連写性能が格段に向上

有効画素数4575万画素で、最高約7コマ/秒(MB-D18使用時は9コマ/秒)の高速連写という“画質と高速性能の高次元バランス”が、D850の魅力の神髄。画素数での優位性はより高まり、連写性能はフラッグシップ機D5に近づいた。可動式モニター採用で機動性はD750並み。高級機ではあるが、多くのユーザーにとって非常に魅力的なフルサイズ機になるだろう。

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画素数を増やしながらも常用ISO感度上限値は1段アップ。4K動画撮影にも対応した。質量はわずかに増したが、機能や仕様からすれば納得いく数値だ。ISO感度ボタンの位置などは変更されたが、基本的なボタンレイアウトは前機種を踏襲。モニターのタッチ操作に対応し、操作性も向上している。

↑正面
↑正面

 

↑背面
↑背面

 

↑上面
↑上面

 

↑可動式(チルト式)の液晶モニターを搭載しているが、D810ボディ(左)と比べても特に厚みは感じない。内蔵フラッシュを廃止したことで、前方へのせり出しも抑えられている
↑可動式(チルト式)の液晶モニターを搭載しているが、D810ボディ(左)と比べても特に厚みは感じない。内蔵フラッシュを廃止したことで、前方へのせり出しも抑えられている

 

↑背面モニターはタッチ操作対応。直感的にAF 測距点を選択可能で、タッチシャッターを切ることもできる
↑背面モニターはタッチ操作対応。直感的にAF 測距点を選択可能で、タッチシャッターを切ることもできる

 

↑高速で信頼性の高いXQDカードと、UHS-Ⅱ規格対応のSDカードのダブルスロット仕様。高速連写後の書き込みも速い
↑高速で信頼性の高いXQDカードと、UHS-Ⅱ規格対応のSDカードのダブルスロット仕様。高速連写後の書き込みも速い

【特徴①画質】

ニコンデジタル一眼レフ初の「裏面照射型CMOSセンサー」採用

有効4575万画素の撮像素子は、ニコンデジタル一眼レフ初の裏面照射型CMOSセンサーとなっている。このタイプは、フォトダイオード上に配線層が重ならないため、入射光を素子に効率的に導ける。これにより、優れた高感度性能や感度全域で広いダイナミックレンジが得られる。さらに、高い解像感が得られる光学ローパスレス仕様な点も画質向上に寄与している。

↑開放F2.8の高性能な大口径望遠ズームを使用し、ユニークな構造のビルを撮影。極めて解像感が高く、立体感のある描写が得られた。雲などの階調も豊かで、高画素でもダイナミックレンジが広いことを感じさせる写りだ。120ミリ相当 絞り優先オート(F8 1/250秒) WB:晴天 ISO64
↑開放F2.8の高性能な大口径望遠ズームを使用し、ユニークな構造のビルを撮影。極めて解像感が高く、立体感のある描写が得られた。雲などの階調も豊かで、高画素でもダイナミックレンジが広いことを感じさせる写りだ/120mm相当 絞り優先オート(F8 1/250秒) WB:晴天 ISO64

 

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↑裏面照射型センサーに加え、画像処理エンジンにD5と同じ「EXPEED5」を採用。高画素センサーから得られる情報を高速・高精度に処理。優れた描写と同時に、約9コマ/秒の高速連写や、4K UHD動画も実現された
↑裏面照射型センサー(上の写真)に加え、画像処理エンジンにD5と同じ「EXPEED5」を採用(下の写真)。高画素センサーから得られる情報を高速・高精度に処理。優れた描写と同時に、約9コマ/秒の高速連写や、4K UHD動画も実現された

 

【特徴②高速連写】

約9コマ/秒の高速連写に対応

「最高約9コマ/秒」の連写が可能なので、従来のD800シリーズ機とは異なる本格的な連写が堪能できる。また、ニコンデジタル一眼レフ初の「シャッターカウンターバランサー」を搭載。これにより、画質に悪影響を及ぼす露光中の機構ブレも徹底的に低減された。

↑ボディ単体の約7コマ/秒連写で捉えた、走るフラミンゴの一瞬。14ビットロスレス圧縮RAWで約51コマの連続撮影が可能なのも魅力だ。200mm相当 マニュアル露出(F3.5 1/3200秒) WB:自然光オート ISO400
↑ボディ単体の約7コマ/秒連写で捉えた、走るフラミンゴの一瞬。14ビットロスレス圧縮RAWで約51コマの連続撮影が可能なのも魅力だ/200mm相当 マニュアル露出(F3.5 1/3200秒) WB:自然光オート ISO400

 

【特徴③高感度】

高画素機だが、高感度でも高画質

サイズが同じセンサーで高画素化が進むと、高感度性能の悪化が懸念される。だが、裏面照射型CMOSセンサーと画像処理エンジン「EXPEED5」との連携で、D850は常用感度ISO25600を実現。3635万画素のD810と比較しても、その高感度画質の向上が確認できるほど画質がアップしている。

↑ISO12800の高感度で夜景を手持ち撮影。それでも1/25秒の低速シャッターとなったが、カメラブレもぜず、感度を考慮すれば十分に高画質に撮影できた。46ミリ相当 絞り優先オート(F4 1/25秒) -0.7補正 WB:オート ISO12800
↑ISO12800の高感度で夜景を手持ち撮影。それでも1/25秒の低速シャッターとなったが、カメラブレもぜず、感度を考慮すれば十分に高画質に撮影できた。46mm相当 絞り優先オート(F4 1/25秒) -0.7補正 WB:オート ISO12800

 

【CP+2018/ニコン】人気のD850をメインに主要レンズのタッチ&トライができるニコンブース

今年のニコンブースは新製品の数は少ないものの、人気の「D850」を中心に、ニッコールレンズスタジオと名付けられたタッチ&トライコーナーが充実。レンズ焦点距離やモデル撮影、マクロなど7コーナーが設けられ、シーンに応じて撮影を試せるようになっていた。またNシアターとフォトギャラリーで迫力ある作品が数多く展示されている。ブラックステージとイエローステージの2つのステージで、連日ステージイベントが開催される。新しい映像体験空間 Nシアターも必見!

 

20180302_y-koba9 (1)

ブース正面ではニコンの現行カメラとニッコールレンズ、アクセサリーが揃って来場者を迎えてくれる。これだけ揃うと圧巻!

 

20180302_y-koba9 (2)

モデル撮影体験コーナーに居並ぶ「D850」とニッコールレンズ。使ってみたいと思っていた大口径レンズを手にしてモデル撮影ができる絶好の機会だ。撮影したデータは持ち帰りができる。

 

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超望遠コーナーでの一番人気は、発売されたばかりの「AF-S NIKKOR 180-400mm f/4E TC1.4 FL ED VR」。初日の午前中から、早くも順番待ちの列ができていた。

 

20180302_y-koba9 (4)

ブース上階に設けられた超望遠レンズと双眼鏡体験コーナー。ブース上空にはターゲットになる鳥の剥製がいるので、超望遠コーナーに立ち寄ったらぜひ探してみてほしい。

 

20180302_y-koba9 (5)

リビングシーンを想定したセットでは、広角〜標準系レンズのタッチ&トライができる。

 

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ニッコールレンズの魅力を伝える『私のNIKKOR』3冊が、インフォメーションコーナーで入手できる。ニコンファンなら絶対に手に入れたい小冊子だ。

 

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Nシアターは、写真家が見ていたのと同じ風景を共有できる新しい映像体験空間。三好和義さん、ヨシダナギさん、林典子さん、上田晃司さんと、D850の世界(星野佑佳さん、河野英喜さん、中野耕志さん)のプログラムが用意されている。

 

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ニコンオリジナルグッズでは、ショルダーバッグとトートバッグタイプのカメラバッグ5種が参考出品として展示。Nikon×PORTERの新コラボバッグも展示されている。

 

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高性能のプロテクトフィルター「ARCREST(アルクレスト)」では、小口径の52/58/62mmの3サイズを開発中とのこと。価格、発売日は未定。

 

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2017年に全国7会場で開催されたニコン100周年記念ファンミーティングの様子が、壁面パネルで紹介されていた。

 

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ファンミーティングでも人気を集めていたスペースカメラの特別展示

 

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中野耕志さんと上田晃司さんの、私物の撮影機材を展示するD850×フォトグラファーズギアのコーナー。実際にプロが使用している装備を目にすることができる。

 

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ブース右手に設けられたブラックステージ。ニッコールクラブ顧問の大西みつぐさん、小林紀晴さん、佐藤倫子さん、ハナブサ・リュウさん、三好和義さん(左から)が、クラブの魅力を熱く語っていた。

 

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ブース左手のイエローステージでは、河野英喜さんがポートレート撮影術を実演。3月2日(金)・4日(日)には、ステージ内で佐藤倫子さんによる参加型ポートレート撮影体験も実施。

※各日とも、ニコンブース内インフォメーション窓口にて先着順で参加整理券を配布

 

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ニコンイメージングジャパンの公式キャラクター「ニコンちゃん」と、ニコンブースを案内してくれたニコンイメージングジャパンの馬橋さん。

 

〈写真・文〉柴田 誠

超高画素カメラに対応するプレミアム超広角MFレンズ「サムヤン XP14mm F2.4」のニコン用発売

フルサイズ対応の超広角MFレンズ。5000万画素オーバーの超高画素カメラや8K動画撮影に合わせた設計を採用している。発売中のキヤノンEFマウントに続いて、ニコンFマウントが2018年2月9日(金)に発売される。2018年2月9日発売。価格はオープン価格(直販価格:税込 113,400円)。

 

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非球面レンズ2枚、ハイブリッド非球面レンズ1枚、超低分散ガラス、高屈折率レンズを採用し、優れた描写性能を実現。独自技術のUMCコーティングを施し、フレアやゴーストを抑制。鏡筒には信頼性の高いアルミ合金を採用している。

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■主な仕様

●マウント ニコンFマウント ●焦点距離 14mm ●レンズ構成 14群18枚 ●絞り羽根枚数 9枚 ●画角(対角) 114.12°(フルサイズ)/ 89.2°(APS-C) ●開放絞り F2.4 ●最小絞り F22 ●最短撮影距離 0.28m ●最大撮影倍率 0.08倍 ●フィルター径 フィルター取付不可 ●サイズ(最大径×全長) φ95×109.4mm* ●質量 791g* ●付属品 ケース

 

* キヤノンEFマウント用の数値。

1.4倍テレコン内蔵の超望遠ズームレンズ「ニコン AF-S NIKKOR 180-400mm f/4E TC1.4 FL ED VR」

ニコンFXフォーマット(フルサイズ)対応の超望遠ズームレンズ。焦点距離は180〜400mm。内蔵の1.4倍テレコンバーターを使用することで、超望遠560mmまでカバーできる。2018年3月9日発売予定。価格は1,472,000円(税別)

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蛍石レンズ1枚、EDレンズ8枚を含む19群27枚のレンズ構成(テレコンバーター非使用時)で、高画素デジタルカメラに対応する高い解像力を発揮。ナノクリスタルコートをはじめとする低反射コーティングを採用し、フレアやゴーストを抑制する。

三脚座装着時。三脚座装着時。

 

■1.4倍テレコンバーター内蔵

一眼レフカメラ用NIKKORレンズで初めて1.4倍テレコンバーターを内蔵。内蔵テレコンバーター使用時は252〜560mmをカバーする*。望遠端の最大撮影倍率は、内蔵テレコンバーター非使用時で0.25倍、内蔵テレコンバーター使用時は0.36倍となる。

 

* 内蔵テレコンバーター使用時の開放F値は5.6になる。

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テレコンバーター使用/非使用の切り換えレバー。ファインダーを覗きながら、カメラのグリップを握ったまま操作できる。

 

■内蔵テレコン使用時も効果が変わらない手ブレ補正VR機構

手ブレ補正VR機構を搭載し、内蔵テレコンバーターの使用/非使用にかかわらず4.0段分の補正効果を発揮(NORMALモード時)。電源を入れた直後から、安定したファインダー像とブレを抑えた撮影画像が得られる。スポーツシーンなど、動きの激しい被写体を撮影する際に有効なSPORTモードも搭載。

 

■撮影時の姿勢に配慮した操作系

ベアリングを採用することで縦位置/横位置の構図変更がスムーズにできる三脚座リング、三脚座をホールドしたまま左手親指で操作できるズームリングなどを採用。操作時も姿勢を変えず撮影できるように配慮した設計になっている。

 

■AF性能

モーターの駆動制御アルゴリズムを強化し、AF追従性能を向上させている。安定した露出制御が可能な電磁絞り機構を採用。

 

■防塵・防滴構造

鏡筒の各所にシーリングを施し、ホコリや水滴の侵入を防ぐ防塵・防滴構造。保護ガラスの前面には撥水・撥油性に優れたフッ素コートも施している。

 

■主な仕様

●マウント ニコンFマウント CPU内蔵Eタイプ ●焦点距離 180〜400mm(内蔵テレコンバーター使用時 252〜560mm) ●最大口径比 1:4(内蔵テレコンバーター使用時 1:5.6) ●レンズ構成 19群27枚(EDレンズ8枚、蛍石レンズ1枚)、保護ガラス1枚、内蔵テレコンバーター 5群8枚 ●画角 13°40′〜6°10′(FXフォーマットのデジタル一眼レフカメラ)/ 9°〜4°(DXフォーマットのデジタル一眼レフカメラ)

 

■内蔵テレコンバーター使用時

●9°50′〜4°30′(FXフォーマットのデジタル一眼レフカメラ)/ 6°20′〜2°50′(DXフォーマットのデジタル一眼レフカメラ) ●絞り羽根枚数 9枚(円形絞り) ●開放絞り F4(内蔵テレコンバーター使用時 F5.6) ●最小絞り F32(内蔵テレコンバーター使用時 F45) ●最短撮影距離 2.0m(ズーム全域)
最大撮影倍率 0.25倍 ●フィルター径 φ40.5mm ●サイズ(最大径×長さ) φ約128.0×362.5mm ●質量 約3500g ●付属品 かぶせ式レンズキャップ LC-K103、裏ぶた LF-4、かぶせ式フード HK-41、組み込み式フィルターホルダー(専用)、40.5mmネジ込み式ニュートラルカラーNCフィルター、ストラップ LN-2、レンズケース CL-L2

一眼レフカメラの“動体王”はどっち!? ニコン/キヤノンのミドルクラス定番2モデルを実写比較

一眼レフカメラは、スピーディな位相差AFを使いつつ、光学ファインダーを見ながら撮影できるので、動体撮影との相性ぴったり。ここでは、連写とAF性能にこだわった中級一眼レフ2機種の「動体対応力」を徹底比較。どちらが子どものイベント撮りなどに強いか、ケース別に1~5の5段階(最高は5)で検証していきます。

※記事内の価格は2017年12月末時点の編集部調べによるものです

 

【エントリー①】

タッチ対応チルト式液晶を採用した好バランスモデル

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ニコン
D7500
実売価格14万4180円(ボディ)

ニコンDXフォーマットの最上位機D500から画像処理エンジンとセンサーを受け継ぎつつ、ファインダーなどのスペックを抑えて、小型軽量化と低価格化を図ったモデル。AFは51点測距で、連写は最高8コマ/秒に対応しています。

20171222_yamauchi_19↑ファインダーに視野率100%のペンタプリズムを採用。クリアな見え方で倍率も大きく、長時間のぞいても目が疲れにくくなっています

 

【SPEC】

●有効画素数:約2088万画素 ●モニター:3.2型チルト式液晶 ●連写:最高約8コマ/秒 ●ファインダー倍率:約0.94倍 ●大きさ・重さ:W135.5×H104×D72.5mm・約720g

 

【CHECK 01】向かってくる動き:5(合焦率100%)

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遠方からカメラの方向に向かってくる急行列車を最高速で連写。全40コマを正確なピントで撮影できました。

 

【CHECK 02】複雑な動き:5(合焦率92%)

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左右前後に不規則に走り回る子どもを、高速連写+AF-Cモードで撮影。高い確率でしっかりと追従しました。

 

【CHECK 03】暗所での動き:4(合焦率84%)

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薄暗い水槽の魚を高速連写で撮影。-3EV対応というスペックどおり、暗所でも作動するAFを実感できました。

 

【CHECK 04】ライブビュー時:2(合焦率16%)

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動くオモチャをライブビューで撮影。残念ながらライブビューの場合、動体のAF撮影は実用性が高くなさそうです。

 

 

【エントリー②】

ライブビュー撮影時も正確&高速なAFが魅力

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キヤノン
EOS 9000D
実売価格10万1970円(ボディ)

ボディ右肩にサブ液晶を搭載したキヤノンの中級一眼レフ。一眼レフとしては小さくて軽いボディながら、オールクロス測距の45点AFに対応。ライブビューが高速な「デュアルピクセルCMOS AFや最高6コマ/秒連写も魅力です。

20171222_yamauchi_17↑バリアングル液晶を採用。ボディの軽量さやライブビュー時の高速AFと相まって、フリーアングル撮影の自由度が高くなっています

 

【SPEC】

SPEC●有効画素数:約2420万画素 ●モニター:3.0型可動式液晶 ●連写:最高約6コマ/秒●ファインダー倍率:約0.82倍 ●大きさ・重さ:W131×H99.9×D76.2mm・約540g

 

【CHECK 01】向かってくる動き:5(合焦率95%)

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同じく向かってくる急行列車を最高速で連写。40コマ中の38コマを正確なピントで撮影できました。

 

【CHECK 02】複雑な動き:4(合焦率71%)

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高速連写+AIサーボで撮影。光線などの条件によってたまに外すこともありましたが、まずまずの性能です。

 

【CHECK 03】暗所での動き:5(合焦率91%)

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薄暗い水槽の魚を高速連写。こちらも-3EV対応というスペックどおり、優秀な暗所時AFを確認できました。

 

【CHECK 04】ライブビュー時:4(合焦率88%)

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高速走行するオモチャをライブビューで撮影。ファインダー撮影時と大きく変わらない優秀な動体AFです。

 

 

文・作例/永山昌克  撮影/高原マサキ(TK.c)