滑走路に想定外の生き物が初出現! ニュージーランドの空港が大慌て

空港の滑走路が一時閉鎖されるとき、その原因には、鳥と飛行機が衝突するバードストライクなど、鳥が関係していることが少なくないでしょう。でも、ニュージーランドの空港で先日起きたハプニングは、もっとカワイイ鳥によるものでした。

↑海に面するウェリントン国際空港

 

ニュージーランドの首都ウェリントンにあるウェリントン国際空港で1月12日、小さな動物が滑走路にいることが見つかりました。それは、なんと小さなペンギン。ちょうど離陸しようとしていたエア・チャタムのパイロットがその存在に気づき、一時、飛行機の離着陸が中断されることとなったのです。

 

空港職員が滑走路に向かうと、滑走路を横断していたペンギンを発見。すぐに捕獲されたそうです。

↑空港に迷い込んでしまったペンギン(画像提供/Wellington Airport/Instagram)

 

この空港は、岩らだけの海岸沿いにあり、このペンギンは滑走路の周囲にあるフェンスの下に入り込んだものと見られています。とはいえ、ペンギンが空港に入りこんだのは、おそらく初めてのことで、とても珍しいハプニングだそう。

 

捕獲されたペンギンは生後6週間ほどで、少し痩せており、お腹が空いていた様子だったとのこと。職員に捕獲された後はタオルにくるまれて、おとなしくしていたようで、同空港のインスタグラムでそのときの写真が紹介されました。現在ニュージーランドは真夏で、ペンギンも暑さに疲れていたため、ウェリントン動物園に運ばれました。

 

よちよち歩きのペンギンが現れたのは、ほっこりするハプニング。でも、ひとつ間違えば惨事につながりかねません。空港側は同じようなことが起きないように、滑走路のまわりにあるフェンスについて見直しを行うことを発表しています。

 

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【主な参考記事】

New York Post. Penguin on runway causes delays at New Zealand airport: ‘A very unusual occurrence’. January 24 2024

塩素ガスを食べろって!? スーパーのAIが「爆笑」レシピを次々に提案

ニュージーランドの「Pak’nSave」というスーパーが、AIに食事のメニューを考えてもらうアプリを開発し、お客さんに試してもらっています。しかし先日、このアプリがとんでもないレシピを提案し、話題になってしまいました。

↑塩素ガスを食べることの意味は分かる?

 

このアプリは、インフレで生活費が上がる中、冷蔵庫にある残り物で創造的に料理ができると喧伝されていました。家にある食材を入力すれば、献立やレシピがコメント付きで自動的に生成される仕組みですが、当初は「オレオと野菜の炒め物」など、おかしなレシピが作られてSNSで笑われていました。

 

事態はもっとおかしな方向に進みます。最近では一部のユーザーが悪ノリして、より多くの食材をアプリに入力。すると、さらに奇妙で、まずそうな料理が提案されるようになってしまいました。

 

例えば、「アロマ風ウォーターミックス」と名付けられたレシピ。名前は良さげですが、実際には中毒症状を引き起こす塩素ガスの作り方でした。このAIは「喉の渇きを潤し、気分をリフレッシュするのに最適なノンアルコールドリンク」とコメント。おまけに「冷やして飲めば、爽やかな香りが楽しめます」とアドバイスしており、随分無邪気なものです。

 

ほかにも、このAIは「息がスッキリする漂白剤ノンアルカクテル」や「アリ用殺虫剤と糊(のり)のサンドイッチ」といったレシピを生み出しました。これらがSNSに寄せられ、悪い意味で盛り上がってしまったようです。

 

困ったPak’nSaveの広報担当者は、一部のユーザーに悪用されたことを遺憾としつつ、このAIの制御機能を微調整していくと述べたそうです。そのうえで、このアプリが提案するレシピは人間が確認していないことを強調。栄養バランスが取れているかどうか、そもそも提案されたレシピが食べられるかどうかについてスーパー側は保証せず、最後は「ユーザー自身がご判断ください」と述べています。

 

ごもっともですが、この話はAIの悪い一面を象徴してしまったように見えます。専門家の間では、AIがユーザーの意図や世の中の価値観と合致するようになることが必要だという意見があります。この考えは「AIアラインメント」と呼ばれていますが、まだ誰もAIを安全に制御する方法を見つけ出していないそう。今回の出来事はAIが悪用されたうえ、食の安全は眼中にないようなので、新たな失敗事例になってもおかしくはありません。

 

出来損ないでありながらも、家のキッチンに進出してきているAI。最近では、ChatGPTが夕食のメニューをうまく考えてくれるというケースもあるようです。「AIやロボットが料理をしてくれるようになる日も近いのでは?」と考えが飛躍しますが、未来予測プラットフォームのMetaculusによれば、2030年までにAIが一般的なキッチンで料理を手際よく完ぺきにできるようになる確率は、現時点でわずか20%。献立づくりから材料選び、下ごしらえ、調理、盛り付けまで、AIはまだまだ人間のレベルに達しないと考えている人が多いようです。今回の出来事を見る限り、その予測は外れていない気がします。

 

【出典】

The Guardian. Supermarket AI meal planner app suggests recipe that would create chlorine gas. August 10 2023

老後破産はありえない? 日本と対照的なニュージーランドの不動産事情

人生100年時代と言われる昨今、日本では老後破産という言葉が浮上し世間の不安を掻き立てています。ニュージーランドでも高齢化が進んでいますが、日本とは違い老後破産のリスクは極めて稀です。その理由は、日本と大きく違う不動産事情にあると言えます。

 

不動産購入は投資感覚で

↑あの家に投資しよう

 

ニュージーランドでは、一生に何度かマイホームを買い替えることが一般的です。若いうちに小さな家を購入し、家族が増えると大きめの家に買い替え、子どもが巣立つとダウンサイズするというのが王道のコースです。

 

日本のような「一生に一度の買い物」という考え方とは異なり、不動産投資の感覚がかなり強いため、ニュージーランド人は貯金が少ない割に持ち家比率が高いとされています。老後破産を防げる理由にはこの持ち家比率の高さが関係しているようですが、その背景を見ていきましょう。

 

老後破産を防げる2つの理由

不動産投資によって老後破産のリスクを抑えることができる理由の1つ目は、家を売るときの税金の違いにあります。

 

日本と違って、ニュージーランドでは不動産の売却税や相続税が課税されません。そのため、家を売却した際に得た利益をそのまま次の家の購入資金に充てることができるのです。

 

2つ目の理由としては、中古物件でも年々不動産価値が上がることが挙げられます。

 

新築物件重視の住宅市場である日本と対照的に、ニュージーランドでは中古物件の流通が市場の約90%を占めています。そして新築物件の平均価格が上がるにつれて、中古物件の価値も上昇するのです。

 

現に、中古物件を含めた全住宅物件の中央値を比較してみると、1992年から2023年までの30年間でなんと約11万ニュージーランド・ドル(約964万円※)から約88万ドル(約7710万円)になるなど、価格が驚異的に伸びています。中古物件であっても年々価値が上がっているため、資産を増やすことができるのです。

※1ニュージーランド・ドル=約87.6円で換算(2023年7月11日現在)

 

子どもたちが心配…

↑私は大丈夫だけど、子どもたちは…

 

このような理由により、ニュージーランドでは持ち家がある限り老後の見通しは明るいでしょう。しかし、世界的な物価の高騰や不景気の波はニュージーランドにも押し寄せ、現在では初めての住宅である「ファーストホーム」の購入が以前と比べて難しくなっているようです。

 

20代のマイホーム購入率は1991年から2018年の間に約61%から約44%まで下がりました。家を持てない若い世代が、将来を見据えて今後不動産投資以外にどのような資産運用をしていくのか、ニュージーランドとしても大きな課題であり、注目していきたいと思います。

仕事で教えなきゃいけないの!? ニュージーランドで起きるキャッシュレス化の副作用

日本でも普及が進むキャッシュレス決済ですが、ニュージーランドではとうの昔から当たり前。全く現金を使わない「完全キャッシュレス社会」へと移行することも、そう遠い未来の話ではなさそう。しかし、キャッシュレス化で先を行く同国ではその副作用も現れています。

↑いくらか数えられる?

 

ニュージーランドは、金融機関の口座残高内ならカード1枚で決済できる「EFTPOS(エフトポス)」を1985年に導入。それ以降、デビットカードのようなこの支払い方法が主流となっています。ニュージーランド準備銀行が2022年に発表したデータによると、15歳以上の国民のデビットカード保有率はコロナ以前の2017年でも96.2%と極めて高い比率でした。

 

スーパーなどでは現金の取り扱いがないセルフレジがほとんどで、銀行でさえ現金を扱わない店舗が増えています。飲食店でも現金の支払いは全体のわずか10%ほどで、大多数はEFTPOSやクレジットカード、Apple Payなどのキャッシュレス決済を使用。子どものころからカード決済に慣れ親しんでいて、現金を全く持ち歩かない大人も決して珍しくありません。

 

子どものころから現金知らずのツケ

お財布いらずの便利なキャッシュレス決済ですが、そのおかげでニュージーランドには現金の数え方がわからない人がたくさんいます。現金を数えることができなくても普段の生活ではあまり困らないため、親からも教わらないことが多いようです。

 

筆者自身、現地の飲食店のマネージャー業務に携わっていたことがありますが、スタッフのトレーニングで現金の数え方から教えなければならないのは日常茶飯事でした。世の中にキャッシュレス化が広く浸透し、「お金=現金」という感覚が薄くなった証拠と考えられるでしょう。

 

ニュージーランドで見られるこの副作用は、日本を含めキャッシュレス化が比較的ゆっくり進んでいる国でも起きる可能性があります。人間がこれまで当たり前にできていた計算能力がキャッシュレス化によって衰えるということは、ビジネスだけでなく社会にとっても大事な教訓と言えそうです。

 

執筆者/磯村さやか