猫と人間は会話できるのか?−−大事なのはデータとテレパシーだ!

「くらしのラボ」と月刊「ムー」のコラボ企画。6回目を迎えた今回は「猫様」をテーマにお送りする。「くらしのラボ」のムービーでは最新IoTデバイスからコミュニケーションの可能性まで触れられているが、まだまだ語り切れていない部分がある。本稿ではそういう部分について、「くらしのラボ」の監修を務める”家電王”中村剛さん、「ムー」三上編集長、そして、RABO代表取締役・伊豫愉芸子さんの鼎談形式で掘り下げていく。猫様についてはもちろん、そこから展開する壮大な話にご注目いただきたい。

 

くらしのラボ
くらしのラボYouTubeチャンネル

 

●伊豫愉芸子(左)/東京海洋大学大学院博士前期課程修了。2018年2月22日の猫の日に、株式会社RABOを創業。
●中村剛(中央)/『TVチャンピオン』スーパー家電通選手権で優勝。「くらしのラボ」の監修を務める「家電王」。無類のネコ好き。
●三上丈晴(右)/スーパーミステリーマガジン「月刊ムー」5代目編集長。

 

猫の一生を見守り続けるCatlog

過去に玩具として動物語の翻訳デバイスは存在したが、今回お話を聞く伊豫さんの開発したCatlogは、そういったものとは一線を画すものだ。バイオロギング(生物に小型のビデオカメラやセンサーを取り付けて画像やデータを記録し、行動や生態を調査する研究手法)をもとにしたCatlogのデバイスとサービスについて、まずは伊豫さんに聞いてみた。

 

伊豫:Catlogにはふたつのデバイスがあります。まずプロダクトの冠名が入った首輪型デバイスの『Catlog』、そしてトイレの下に置くボード型の『Catlog Board』の2種類です。首輪型は24時間365日猫様が日常のどんな行動をいつ何回したとか、月別・季節別の行動で変化がなかったかといったことから、異変があった時にお知らせして体調の変化を確かめ、体調管理に役立てていくことができます。

日本では、家の中にトイレを置いている猫様の割合が98%くらいです。ボード型の方はいつも使っているトイレの下に敷くだけで体重、うんちとおしっこの回数と量、頻度、滞在時間を取得できます。これによって体調の変化に気づきやすくなり、データを体調管理に役立てていくデバイスになります。ふたつのデバイスに記録された行動すべてを、Catlogのアプリでトータルな形の管理とサポートができるというサービスとプロダクトです。

↑首輪型のCatlog。猫様の首元の微細な振動がどの行動に当てはまるのかAIで判定

 

↑ボード型の「Catlog Board」。トイレの下に置くだけで、排せつの量や回数、体重をすべて自動で記録。 おしっこ・うんちの判別に加えて、トイレの滞在時間も分かる

 

中村:ペットとのコミュニケーションでは、本当に正しいかどうかはわからないけれども「こんなこと喋ってるよね」という感じで推し量ることができるようになりました。ただ、どんな装置を使っても、それが本当にペットの気持ちを表しているかどうかは誰にも分りません。言葉の翻訳はなかなか難しいと思います。

 

三上猫に限らず、動物とのコミュニケーションは言葉だけではないと思います。今ネット上で猫の言葉をフレーズで作れるアプリがあるらしくて、それで「こっち来いよ」と話しかけたら本当に寄ってきたようです。

人が猫の真似をしたところで、多分人間の可聴領域と猫の可聴領域は違うでしょう。だからそこまで再現できる“猫語”−−人間の耳には聞こえないけれども、猫には聞こえているというところまでやれるのがいいと思うし、可能性はありますよね。そういう意味で、Catlogは言葉ではないけどデータを獣医さんのところに持って行って、直近1か月のデータとして見せることができるでしょう。

 

伊豫:基本的には毎日元気で楽しく可愛く生きているのですが、猫様は体調変化や体調不良を隠しやすい生き物であるといわれています。見ていると真顔ですし、犬のように自分からコミュニケーションを積極的にしていくわけでもないので、いつもとの違いがわかりにくいのです。極端な例で言えば血尿が出ているとか、おしっこをしなくなっているとか、あるいはトイレの回数が異常に増えるというような異変が起きた時になって初めて飼い主さんが動物病院に連れて行きます。

獣医さんからすると、すでにもう症状がかなり進んでいることもあります。体調がいつから悪くなったのかを尋ねられても、飼い主さんはパニック状態に陥っていて細かいことは思い出せません。普段の生活と何が違うのかということに関しても、定量的にうまく伝えられなかったりします。

動物医療の現場でも、普段と何が違うのか、普段はどういう行動をしているのかについての情報の入手法という課題がありました。Catlogによって、情報の間を埋めるというか、見えていなかった時間をデータで埋めるということをしています

 

三上:Catlogは医療器ではないのだろうけれど、今後は獣医師さんが相談をされた時に、「これを付けておいて何かあったらデータを送ってください」とCatlogを渡すような使い方も今後考えられませんか?

 

伊豫:実際そういう風に使っていただいている方も非常に多くて、獣医さんにCatlogのデータを見せることができるということが動物病院に行くきっかけになったり、行った後の診断の助けになったりしています。

 

中村:人間も一緒ですね。病気で検査をする時に、24時間の心電図データを取る装置をつけたり、データとして日記のようなものを書いたりします。人が書くとあやふやな内容になってしまうものを残そうということなので、やろうとしていることは同じだと思います。

 

伊豫:Catlogの特徴はマイナスの部分を0にするだけではなく、0をプラスにすることです。私もそうですが、健康の不安を抱えながら猫と暮らしたいわけではありません。家族としてより多くの愛を注ぎたいという気持ちがあって一緒にいるので、0をプラスにするというところを大切にしているのも大きな特徴です。こうした姿勢を反映する方法として、アプリにアバターのようなアニメーションを使って、どなたもご自分の猫様を投影できるようにしてあります。

1度使っていただくと、ほとんどの方が使い続けてくださいます。Catlogと一緒に猫様の一生を見守っていただいているお客様が非常に多いです。

 

猫と人間のコミュニケーションはテレパシー!?

 

三上編集長:海外にも同じような器具はあるのですか?

 

伊豫海外にも似たような装置は多いのですが、ほとんどが犬向けです。家の外での散歩の経路を取得して運動量を知るための二次元トラッカーとして使うものは結構種類があります 。犬と猫は動物として全く種類が違って、飼い主さんの飼い方も全然違います。

外に出ることが多いワンちゃんに室内向きセンサーは無理で、多くの電力が必要なGPSを入れなければいけません。バッテリーを考えると装置がかなり大きくなります。私も開発中に海外からいくつか購入して猫様につけたら、明確に嫌がりました。

見たい情報も違いますし、ちゃんと動物の種ごとに、飼い主さんのユースケースごとに特化したプロダクトが必要であるということで、猫様専用の装置を世界で初めてCatlogを開発しました。いろいろな国の方々が知ってくださっています。

 

中村:猫様とのコミュニケーションについて、たとえば実家で猫を飼っていた人が上京して、遠くにいながら様子を知りたいというニーズはありますよね。

 

伊豫:実際、コロナ禍の中でそういうケースは多かったのです。実家に帰れなくなってしまい、実家の猫様にCatlogをプレゼントして、共同飼い主という機能を使って、遠くの猫様をみんなで一緒に見守るということをされていた方もいらっしゃいます。

われわれはCatlogをライフログ・ベースド・メディスンと呼んでいます。日常の生活データを医療に活かすエビデンス・ベースド・メディスンの派生で、ライフログをベースにした医療という意味です。

 

 

中村:見守るとか可愛がるといっても、家にいる間ずっと撫でているわけではありません。猫がそばに来ても「ちょっと後でね」ということもあります。でもある程度の時間離れたままだと、どうしているかすごく気になってしまいます。Catlogは猫の体調管理装置であると同時に、おそらくは人間の体調管理装置でもあると思います。

コミュニケーションについての話に戻りますが、言葉で語りかけるよりもボディーランゲージで働きかけたほうが効果的なのでしょうか?

 

伊豫:私はブリ丸とおでんという猫様2匹と暮らしていますが、全然性格が違うので、接し方も違います。うちの2匹は、共通して抱っこはあまり好きではありません。ただ、近寄って撫でてもらうのは好きです。撫でてほしくない時は、すっとどこかへ行ってしまいます。

これは人間も一緒だと思うのですが、性格の差のようなものがあるので、この子にはこういう接し方、この子にはこういうコミュニケーションというふうにしています。ブリちゃんに関しては私の言葉を理解していると感じられることが多いので、言葉で伝える機会も増えます。多分わかっているだろうと思うので、何か悪いことをしたときは、なぜダメなのかということを言葉で切々と訴えます。

↑RABOのCCO(Chief Cat Officer )でもある「ブリ丸」

 

中村:私も話しかけます。うちの猫は、たとえばブラッシングしてほしい時は自分から近づいてきますが、何かを嫌だと感じた時は逃げていきます。それほど嫌ではない時は、ちょっと逃げてまた戻ってくるというのが猫なんです。足にすりすりしてくることもあるので、ボディーランゲージというよりは、体と体の物理的距離が大きな要素だと思います。近くに来る時は心の状態がいいのだろうと思います。

 

三上まあ、ひとことで言うとテレパシーでしょう。動物はそういう力があります。言語で語りかけるのではなく、思念で語りかけるのがいいでしょう。動物側も、こちら側の脳をひそかにスキャンしていると思います。

 

伊豫:わかっているのだろうと思うことがありますね。言葉で話しかけている時も、ちゃんとこちらの顔を見て、多分今解釈しようとしているんだろうなと感じます。今は早口だったからわからなかったかもしれないと思って、もう1度ゆっくり話したら、今度はわかったねという瞬間があります。

 

三上:もともと野生動物だから、周囲の空気を読むといった能力がないと生きていけないのだと思いますね。

 

伊豫:頭がいいと思いますね。何をやったら人間が動くかということを理解していると思います。それに、猫様は押し引きをわかっているんですよ。

 

 

Catlogのデバイスとサービス、そして「猫様と人間は会話できるか?」という疑問をメインテーマにしてお送りした今回の鼎談。次回はさらに、動物と話す超能力者や植物同士のコミュニケーション、そしてガイア理論まで範囲を広げて話を展開していきたいと思う。

 

(構成・執筆:宇佐和通/撮影:我妻慶一)

 

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「朝」「オス」「無関心」岩合光昭氏が伝授するネコ写真をうまく撮るためのコツ――『カラー新版 ネコを撮る』

動物の写真は、わたしたちの心をなごませてくれます。ネコ写真が与えてくれる「癒し」は圧倒的です。TwitterやInstagramに投稿されたものが、何万リツイートや何万いいねを集めています。

 

カラー新版 ネコを撮る』(岩合光昭・著/朝日新聞出版・刊)という本があります。動物写真の第一人者による、ネコ写真をうまく撮影するためのコツや心がけを紹介します。

 

 

「朝」を狙う

朝、ネコは朝日を浴びに出てくる
これこそがネコ撮影のポイント。お日様が出てくるときが、ネコの活動の開始でもある。朝日が差し込むところに、ネコはいると考えていい。

(『カラー新版 ネコを撮る』から引用)

 

著者の岩合さんは、日の出(朝4時半〜6時半)からカメラを持って出かけます。そして朝10時前には、いったん撤収します。太陽が高くなれば、陰影が短くなるからです。

 

そして、ヒトが活動を始めれば空気中に塵(ちり)や埃(ほこり)が混じります。透明感のあるシャープネスなネコ写真を撮るためには、まさに「早起きは三文の徳」というわけです。

 

岩合さんのアドバイスどおり、早朝に出かけてみたところ……見つけました!
ある企業の従業員向けの駐車場に、5〜6匹のネコたちがたまっていました。出勤前の広い駐車スペースにて、野良ネコたちが寝ころんだり追いかけっこをしていたり。眼福でした。

 

 

「オス」を狙う

モデルネコに適しているのは圧倒的にオスだからだ。オスは習性として、自分の身体を見せたがり、自分の存在をアピールしたがる。(中略)声をかけたときに「え、オレのこと?」と、こちらを睨まず興味を示すのなら、しめたものだ。

(『カラー新版 ネコを撮る』から引用)

 

たしかに、路上でネコと出会ったとき、太っていたり、ひょうきんな顔つきをしたネコのほうが、すぐに逃げないような気がします。写真を撮りやすい、カメラを構えても逃げにくいのはオスだそうです。

 

【オス猫の特徴】
・体が大きい
・額(ひたい)の幅が広い
・骨格がしっかりしている
・足が太い

 

メスの猫は警戒心が強い傾向にあります。お母さんネコならば、なおさらです。こちらが一歩近づいたとき、ネコがすこしでも身構えるモーションを見せたときは、いさぎよく諦めましょう。

 

ネコの写真を撮るためにカメラを構えても、すぐに逃げられてしまう……。ネコに警戒されないためのコツを紹介します。

あえて「無関心」をよそおう

あなたがネコを見つけるよりも先に、ネコはあなたをしっかり見定めている、と言ったら驚くだろうか。(中略)このヒトは大丈夫、そうネコが判断したときに、あなたの側に近づいてくるし、写真を撮らせてくれる。

(『カラー新版 ネコを撮る』から引用)

 

鷹の目(ホークアイ)は、けっして獲物を見逃さない、観察力のするどさをあらわす言い回しです。猫の目(キャッツアイ)だって負けていません。

 

ネコは、刹那のあいだに、あなたの人柄や危険性を見抜きます。本書『ネコを撮る』の著者いわく、ネコは「ネコに対する敬意」すらも感じ取ります。たかがネコという気持ちでいる撮影者には、けっしてベストショットを撮らせてくれません。

 

 

すべての出会いがシャッターチャンス!

カメラレンズに顔を向けてくれない。お尻や背中を向けられてしまう。ネコを撮影するときのお悩みあるあるです。

 

シャッターチャンスは1日に何回もあるわけではないし、1週間の取材でもおそらくシャッターチャンスは、2回か3回あるかないかだ。(中略)1週間のうちの5日目や6日目まで何も撮れなくて今回の取材はダメだと思うことがほとんどなのだ。

(『カラー新版 ネコを撮る』から引用)

 

ネコ写真のプロフェッショナル、日本有数の動物写真家でさえ、1週間で2〜3枚しかベストショットを撮影することができないそうです。

 

動物写真は「静止画」ですが、生きて動いている「一瞬」を切り取ったものです。ネコが動くのは当たりまえですから、ピンぼけや構図を気にせずに、愛情のおもむくままにシャッターボタンを押しましょう。

 

本書『カラー新版 ネコを撮る』には、100枚を超えるネコ写真がオールカラーで収録されています。ネコ撮影のノウハウを学べるだけでなく、何度も読み返せるネコ写真集としてもオススメです。お試しください。

 

【書籍紹介】

カラー新版 ネコを撮る

著者: 岩合光昭
発行:朝日新聞出版

岩合光昭さんのねこ写真の原点、ロングセラー『ネコを撮る』をオールカラーに。モデルねこの探し方、機嫌の取り方、決定的瞬間のシャッターチャンス……。岩合さんのねこ写真の秘密に迫る。傑作をオールカラーで楽しめる待望の新版で、新作も一部所収する。

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【可愛すぎる動物動画】手を差し伸べるだけが教育じゃない!? 子猫を助ける親猫の姿に学ぶ人間たち

世界中の面白動画が集まるYouTube。ネットサーフィンならぬ“動画サーフィン”をしていたら、いつの間にか何時間も経ってしまったという人も多いだろう。この記事では、記者が“動画サーフィン”をして見つけ出したとっておきの“可愛い動物動画”を紹介。この動画ならば1つ見るだけで満足してしまうかも!?

出典画像:YouTubeより

 

・Mama Kitty’s Rescue

投稿者:TheLilyot

 

「Mama Kitty’s Rescue」という動画には、木に登ったはいいものの降りられなくなってしまった子猫が登場。わが子を懸命に助けようとする親猫の姿を、世界中の視聴者が見守った。

 

動画の冒頭には、木の間で前足と後ろ足を必死に突っ張り「ニャー」と鳴き続ける子猫が登場。今にも落ちそうな体勢で、助けを呼んでいるようにも見える。すると地面から見上げていた親猫が、するすると木を登って子猫のもとへ。首根っこをくわえて、子どもの体勢を立て直した。

出典画像:YouTubeより

 

その後子猫は、地力で木を降りて地面に着地。親猫が救助を完遂したわけではなかったが、視聴者からは「きっと子猫に“木の降り方”を教えたんだよ!」「人間の親も、この親子から学ぶことは多いはずだ」「どっちも助かってよかった… 子猫も木の降り方を覚えたみたいだし次は安心だね」「助けるだけが教育じゃないんだな」と称賛の声が。同動画は世界中で600万回以上再生され注目を集めている。

 

そのほか、「猫ってこんなに木登りが得意なんだな」といった驚きの声が。ひょっとしたら親猫も、このような失敗を経て木登りを覚えたのかもしれない。

ねこ経済新聞 @nekokeizai

RT @gallerymiki: 今週も先週に引続き、 『猫と熊猫』展を開催中です!!! お店のアイドル、クマのパピィちゃんの、 パンダコスも今月限定となっておりますので、 ぜひぜひ見に来て下さいね☆ ☆ネコとパンダ☆ 海外の方にも大好評頂いております(≧∀≦*) #ネコ #パ…