バブル期の定番デートスポット「大黒PA」──いつの間にかサブカル系クルマ文化の聖地となっていた!

大黒PAは神奈川県横浜市鶴見区の首都高速道路神奈川5号大黒線上にある高速道路上の休憩施設である。筆者は大黒PA&横浜ベイブリッジが1989年9月27日にオープンしてからこれまでクルマ雑誌の取材を含め、数えきれないくらい大黒パーキングに通って来た。オープンから28年経過し、大黒PAは今や、日本のサブカル系クルマ文化の発信地となり、多くのクルマ好きが集まる「聖地」となった。英国国営放送BBCの人気車番組「トップギア」が取材に訪れるほど、世界的にもメジャーな場所となっている。

 

■なぜ大黒PAはクルマ好きの聖地になったのか?

そもそも、大黒PAにクルマ好きが集まるようになったのか? それは簡単。以下の地図を見ればわかる通り、東京方面からも神奈川方面からも集合しやすいのである。

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上下線で集合しやすいといえば、東京湾アクアラインの「海ほたる」も人気があるが、こちらは千葉方面からと川崎方面からではパーキングの階が異なるので、千葉方面からの参加者が多い場合は少々面倒かも?また、駐車場はほとんどが建物の中になるため開放感がいまいちだ。その点、大黒PAはどこからでも利用しやすく、広々とした平面駐車場で、コンビニやレストラン、軽食コーナーも利用しやすい位置に配置されているのもイイ感じだ。

 

◇1989年~1999年

今思えばオープンして2年位は週末の大混雑が続いていた。時はまさにバブル真っ盛りな頃。週末の夜はBMWやメルセデス、フェラーリなどのバブリーなデートカーが続々と大黒に集まっていた。開通して2~3年はベイブリッジの路肩に停車して写真を撮る車も多かったのだ(危険極まりない!)。当時は「24時間闘えますか」の時代で、週休二日制が徹底しておらず、混雑は土曜日に集中していた。東京方面からベイブリッジを渡って大黒パーキングに入り、そこから再び首都高に乗って新山下あたりで降りて、山下公園に行く……というのがお決まりのドライブデートコースだったのだ。

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クルマ好きがたくさん集まり始めたのは90年代終わりの頃である。大黒PAが便利な場所という認識が広まったことも理由だが、もっと大きな理由はインターネットの普及にある。パソコン通信利用者には懐かしいニフティサーブには様々なクルマコミュニティができて、いわゆる「オフ会」という催しが盛んに開催されるようになった。その場所として大黒PAはクルマ系オフの会場やツーリングの発着地点として人気となったのである。夜、大黒PAに集まる車が増えてきたのも90年代末頃からである。当時は警察の陣容もこぢんまりとしていたこともあり、無法地帯となり治安がかなり悪かった時期もあった。

 

◇2000~2010年

2000年に入ると週末の大黒PAには多くのクルマ好きが集まるようになった。いわゆる音響系の車やローライダーのクルマたちがどっと増えたのもこの時期。北関東在住の音響系の車に乗る若者が「大黒デビュー」を夢見てクルマを作る(=オーディオ類を組み込む)姿を取材したことも何度かある。あまりお行儀のよくない車も増え、無許可で屋台を出すものや爆音で駐車場内を走り回るクルマ、対立するグループ同士のけんかも週末の夜には頻繁にあった。

 

一般利用者からのクレームも増え、(音がうるさい、威圧感があって怖い、利用しにくいなど)2000年代半ばから週末の夜には大黒PAがたびたび閉鎖されるようになった。閉鎖されるということは、一般利用者も使えなくなるということ。不便極まりない。しかし、この措置のおかげで「音響系」やアブナイ系の車はぐっと減ったのも確かだ。それに代わって?増えてきたのがいわゆる「痛車」である。2000年代後半から大黒PAにも痛車の姿が増えて来た。

 

◇2010年~現在

2010年代に入ると大黒PAに集まるクルマの中心は痛車やスポコン車、ロータリー車(マツダRX7やRX8など)となった。音響系やローライダー、ハイドロなどの車が規制の関係でめっきり減ってしまったことにより、週末の大黒PAに集まる車はおとなしくなってきたように思う。

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駐車場もすみわけができていて、痛車エリア、スポコン(ヴィッツ、シビック、インプレッサなどが中心)、ローライダー、メーカー別、車種別などで分かれており、グループ同士の対立やケンカなどもほとんどなくなり、治安のよい状態が保たれている。大黒PAも大幅にリニューアルして駐車スペースも増え、トイレやコンビニも新設され利用しやすくなった。

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世界で「大黒PA」の名前が知られるようになったのも2010年前後からである。実は先日、クルマ好き高校生息子の車情報ネットワークで「大黒PAでトップギアが撮影している!」という情報を得た。日曜日の夜10時を過ぎていたが、行ってみることに。そしたら本当に撮影をしていた!しかもクルーの数がものすごく、最初はギャラリーが集まっているのかと思ったが近くに行くと全員外国人で、数にして100人近く?いたるところにクルーがいた。取材されている車は、GT-RやRX-7(FD)、シビック(EK)など。スポコン系、チューニング系が中心だったが、実はトップギアの取材はこの日だけではなく、10日以上日本に滞在し、日本各地の「クルマ好きの聖地」で撮影を行っていたようである。

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日本のサブカル系クルマ文化の最前線に触れたい人は、迷わず大黒PAに行くべし!

 

【著者プロフィール】

自動車生活ジャーナリスト 加藤久美子

山口県生まれ 学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。一般誌、女性誌、ウェブ媒体、育児雑誌などへの寄稿のほか、テレビやラジオの情報番組などにも出演多数。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。愛車は新車から19年&24万キロ超乗っているアルファスパイダー。

LINE MUSICで聴ける! 平野ノラも思わず「おったまげ~」なバブリープレイリスト

YouTubeで1500万回以上再生され、メディアやイベントなどにも登場するなど、いま日本中で話題となっている大阪府立登美丘高校ダンス部の動画をご存じでしょうか。荻野目洋子さんの1985年のヒット曲「ダンシング・ヒーロー(Eat You Up)」に合わせて、現役の女子高生が当時のバブリーなメイクや衣装に身を包み、キレのあるダンスを披露するというものです。

YouTube「【TDC】バブリーダンスPV 登美丘高校ダンス部 Tomioka Dance Club」より↑YouTube「【TDC】バブリーダンスPV 登美丘高校ダンス部 Tomioka Dance Club」動画より

 

曲の合間には、バブリーなギャグで人気の芸人・平野ノラさんのネタを挟むなど、圧倒的なダンス力とエンターテイメント性を両立したステージは、見る人すべてを惹きつけるパワーを備えています。

 

そんな登美丘高校ダンス部の活躍を受け、音楽ストリーミングサービスのLINE MUSICでも、歌謡曲・演歌カテゴリのランキングに「ダンシング・ヒーロー」が数週間にわたりトップを独占し続けるなど、バブリーな曲に再び注目が集まっています。

20171116-i07↑LINE MUSICの11月13日付の「歌謡曲・演歌」カテゴリーのランキング

 

そこで今回は、GetNavi編集部がセレクトした“バブリー”な楽曲を集めたプレイリストをご紹介。「LINE MUSIC」アプリをダウンロードすれば有料会員でなくても試聴ができますので、ぜひバブリーなプレイリストを楽しんでみてください。

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※PCから試聴可能(Chromeブラウザでは動作しない場合があります。その場合はほかのブラウザでお試し下さい)
※スマホ・タブレットで試聴する場合は「LINE MUSIC」アプリ(無料/アプリ内課金)が必要となります

 

「テンション上がるバブリーな10曲」 by GetNavi web編集部

01.ダンシング・ヒーロー/荻野目洋子
(1985年11月リリース)

言わずと知れた80年代ディスコ歌謡の金字塔。アンジー・ゴールドのヒット曲「Eat You Up」(邦題:素敵なハイエナジー・ボーイ)に日本語詞をつけてカバーしたところ、大ヒットに。長山洋子「ヴィーナス」やBabe「Give Me Up」、Wink「愛が止まらない ~Turn It Into Love」など、80年代のユーロビートのカバーブームの先駆けとなった。

 

02.WAKU WAKUさせて/中山美穂
(1986年11月リリース)

作詞:松本 隆×作曲:筒美京平×編曲:船山基紀のゴールデントリオによる和製ディスコ歌謡の名曲。前作「ツイてるねノッてるね」、次作「派手!!!」と合わせて同トリオ3部作(その2)となっている。ちなみにその1は、「『C』」、「生意気」、「BE-BOP-HIGHSCHOOL」の3曲。本場のユーロビートをそのまま持ってきたような完成度の高いトラックに、「頭カラッポにして踊ろうよ」というはっちゃけた歌詞がマッチ。その後の角松敏生と組んだ「CATCH ME」や井上ヨシマサによる「Rosa」など、ミポリンのイケイケ路線の礎を築いた。

 

03.Toy Boy/シニータ
(1987年7月リリース)

イントロを聴いただけで当時の思い出が甦ってくる人も多いであろう世界的ヒット曲。当時、カイリー・ミノーグやリック・アストリーといったアーティストを次々にヒットさせていた英PWLレコードのストック・エイトキン・ウォーターマンがプロデュースしている。同氏の独特のメロディアスなサウンドと底抜けに明るい雰囲気は日本でも受け入れられ、この曲は1988年の洋楽年間ヒットランキング1位を記録した。

 

04.抱きしめてTONIGHT/田原俊彦
(1988年4月リリース)

本人主演のフジテレビの月9ドラマ「教師びんびん物語」の主題歌として、ドラマとともに大ヒットを記録。ド派手なイントロもさることながら、歌番組などで披露されたバックダンサーを引き連れての華麗なステージを記憶されている方も多いのでは? スター“田原俊彦”を印象付ける決定打にもなった本曲は、「ザ・ベストテン」の年間ランキング1位にも輝いている。

 

05.TATOO/中森明菜
(1988年5月リリース)

ハイヒールにボディコン姿で踊る中森明菜の姿が印象的な、これぞ“バブル!”な1曲。ビッグバンド風のブラスサウンドとデジタルを融合させた刺激的なサウンドは、まばゆいほどにゴージャス。当時いろいろあった中森明菜も、この曲で吹っ切れたのではないだろうか。

 

06.リサの妖精伝説-FAIRY TALE-/立花理佐
(1988年7月リリース)

80年代には、「たけしの挑戦状」や「さんまの名探偵」、「ラサール石井のチャイルズクエスト」など、有名人やアイドルを起用した「タレントゲーム」が数多く登場した。任天堂がディスクシステムでリリースした「リサの妖精伝説」もそのひとつ。この曲は同ゲームのイメージソングとして発売され、歌詞のなかにゲームのヒントが隠されているなどのメディアミックスが話題になった。「サリナバチタ~」というフレーズを連呼するなどネタ曲としてみられがちな本曲だが、DEAD OR ALIVEのヒット曲「You Spin Me Round (Like a Record)」を彷彿させるようなバキバキのトラックは、意外と本格的な仕上がり。編曲はなんと小林武史が担当している。なお、歌詞が異なるシングルB面収録の「リサの妖精伝説 -BE-BOP HIGHSCHOOL-」も必聴だ。

 

07.Too Many Broken Hearts/ジェイソン・ドノヴァン
(1989年2月リリース)

金髪サラサラの髪に明るい笑顔でアイドル的人気を誇ったジェイソン・ドノヴァンのヒット曲。前述のシニータと同じく、PWLレコードからリリースされた。藤井 隆の代表曲「ナンダカンダ」は、同曲にインスパイアされていると思われる。なお、藤井氏が80年代サウンドにオマージュを捧げた2015年リリースのアルバム「COFFEE BAR COWBOY」も至極名作なのでチェックしてほしい。

 

08.嵐の素顔/工藤静香
(1989年5月リリース)

みんなマネした↑→↑→の振り付けが印象的な工藤静香の代表曲。おニャン子発のアイドルたちが次々に失速していくなか、80年代後半のアイドル四天王の一角にまで登りつめた工藤静香(残りの3人は、中山美穂、南野陽子、浅香 唯)は、89年に「恋一夜」「嵐の素顔」「黄砂に吹かれて」といったヒットを連発し、同年の年間シングルランキングTOP10に3曲をランクインさせた。後藤次利によるロックなサウンドはいわゆるディスコ的な曲ではないが、当時の工藤のファッションやヘアメイクなども含め、バブル感の高い1曲。

 

09.Fade Out/小泉今日子
(1989年5月リリース)

松本伊代や早見 優、シブがき隊など売れっ子が多く生まれた“花の82年組”のなかでも、中森明菜とともに頭ひとつ飛びぬけた存在だったキョンキョン。80年代後半からはトレンディ女優としても活躍していたが、月9ドラマの主題歌として大ヒットしたカバー曲「学園天国」の前にリリースされたこの曲は、クリエイターに支持されることも多かったオシャレ番長・キョンキョンが本気でクラブサウンドに取り組んだ問題作。当時最先端のハウスミュージックを取り入れたトラックに、起伏の少ないメロディ、ささやくようなアンニュイなボーカルなど、いわゆるユーロビートとは違う肌触りに仕上がっている。作詞・作曲・編曲は近田春夫。

 

10.淋しい熱帯魚/Wink
(1989年7月リリース)

前述のユーロビートのカバー曲「愛が止まらない ~Turn It Into Love」で一躍注目を集めたWinkが、オリジナルの国産ユーロビートに挑み、見事にヒットさせた本曲。大作曲家・筒美京平の片腕として、榊原郁恵 「ロボット」や柏原芳恵 「ト・レ・モ・ロ」、小泉今日子「迷宮のアンドローラ」、中山美穂「『C』」、C-C-B「Romanticが止まらない」など、多くのテクノ歌謡の編曲を担ってきた船山基紀によるアレンジは、ここにきて本場のサウンドとなんら遜色のないレベルまで完成されている。いまでもWinkの代名詞として語り継がれる「ハローウェ~」部分の振り付けもインパクト大。

 

以上、聴くだけで元気になれそうなバブル時代の名曲10曲をご紹介しました。仕事に出かける前や通勤時など、テンションを上げていきたいときにオススメですので、ぜひLINE MUSICでチェックしてみて下さい。