クルマの神は細部に宿る。【フォルクスワーゲン/ID.4編】欧州でもっとも売れているEVの実力とは?

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載。今回は、2022年末から日本に導入された、VW(フォルクスワーゲン)が本命と据える新世代EVを取り上げる。

※こちらは「GetNavi」 2023年9月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【PROFILE】

永福ランプ(清水草一)
日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。初老となり運転支援装置の必然性を実感、クルマを評論する際に重要視するように。

安ド
元ゲットナビ編集部員で、現在ではフリーエディター。妻子を抱えても愛車はMTにこだわる。

 

【今月のGODカー】

Volkswagen
ID.4

SPEC【Pro】●全長×全幅×全高:4585×1850×1640mm●車両重量:2140kg●パワーユニット:電気モーター●最高出力:204PS(150kW)/4621〜8000rpm●最大トルク:310Nm/0〜4621rpm●一充電走行可能距離:618km

514万2000円〜648万8000円

 

ヨーロッパでもっとも売れているEV

安ド「殿! 今回はVWのEV、ID.4を取り上げます!」

永福「またEVか」

安ド「え? このコラムでEVを扱うのは久しぶりですよ」

永福「そうだったか。最近ニューモデルの試乗というと、EVばかりなのでな。ところが日本では、EVはまだ全体の4%弱しか売れていない。うち半分近くを日産のサクラと三菱のekクロス EVの軽EVが占めている。その他のEVはほとんどが不人気モデル。元気が出ないのだ」

安ド「そうなんですか!?」

永福「前述の軽EV以外でそこそこ売れているのは、日産のアリアとテスラくらい。富裕層の間では、ポルシェのタイカンなどのチョー速EVが人気だが」

安ド「ID.4は、アリアのライバルですね!」

永福「うむ。世界的に見れば、こういうコンパクトSUVタイプが、EVとして最もスタンダード。ID.4は、ヨーロッパで一番売れているEVなのだ」

安ド「EV販売数世界一のテスラより売れているんですか?」

永福「ヨーロッパではな」

安ド「確かに、すごく普通に乗れる気がしました!」

永福「これぞスタンダードだ」

安ド「でも、シフトスイッチがインパネに付いていたり、適度に個性的な部分もあって、なかなか良いと思います!」

永福「デザインもスタンダード感満点だ」

安ド「グリルが小さいのはEVっぽいですけど、それ以外はすっきりスポーティで、カッコ良いと思います!」

永福「嫌味がないな」

安ド「走りも自然でした!」

永福「まるでガソリン車のように自然、と言われているが、驚いたのは、加速が遅いことだ」

安ド「エッ、これで遅いんですか!?」

永福「EVは、アクセルを踏んだ瞬間に最大トルクが出るので、どのEVも、走り出した瞬間は『ゲッ、速い!』と思うものだが、ID.4はその感覚が一番小さい」

安ド「これでですか!」

永福「テスラのモデル3 パフォーマンスなどは、発進加速で本当にムチ打ちの症状が出た。それに比べると“ものすごく遅い”と言ってもいい」

安ド「僕は十分速いと思いましたけど……」

永福「不必要に速くないと言ったほうがいい。VWは大衆車メーカー。その良識の表れだ」

安ド「なるほど!」

永福「そのわりに、電費が特に良くはないのが残念だ。ヒーターも効率の悪いタイプなので、冬場は電気を食うぞ」

安ド「ウリはなんでしょう?」

永福「VWは、グループのアウディ、ポルシェとともに、独自の専用充電ネットワークを作る。ディーラーに行けば、待たずに90 kWの急速充電ができる確率は高い。なにしろ売れてないからな」

安ド「ガクッ!」

 

【GOD PARTS 神】床下の厚み

バッテリーを床下搭載したことで走りも安定

ドアを開けると見るからに床下が分厚いですが、これは床下のアンダーボディにリチウムイオンバッテリーが敷き詰められているためです。重量物であるバッテリーが床下にあるため、必然的に重心が低くなり、走りも安定しています。ちなみにクルマの下側を覗いてみると、バッテリーがあるためフラットになっています。

 

【GOD PARTS 1】ドライバーモニタ

広い視野を生み出す超小型ディスプレイ

運転席前のモニタは薄くて小さいです。小さいので表示される情報も必要最小限ですが、これが意外にも見やすくて、無駄を省くことは大切だと実感させられます。運転席からの広い視界を生み出すことにも役立っています。

 

【GOD PARTS 2】ウインドウオープナー

後席の窓を開けるならワンステップ必要

4ドア車なのに、窓を電動開閉するスイッチであるオープナーが左右2つしか付いていません。しかし、よく見るとその前方に「REAR」と書かれていて、そこを押すとリアウインドウの操作に切り替わります。これはメリットがよくわかりません(笑)。

 

【GOD PARTS 3】ドライブモードセレクター

珍しいところに付いているシフト操作レバー

「ドライブモード」という名が付いていますが、いわゆるシフトセレクターです。運転席モニタの右側に一体化していて、グリンと回すことでシフトを選べます。シフトとしてはいままで見たことのない形状ですが、操作感は意外とすぐ慣れてしっくりきます。

 

【GOD PARTS 4】ラゲッジルーム

広くて使える荷室がアウトドアでも大活躍

SUVスタイルでありながらワゴンのようでもあるID.4。その荷室は前後方向に長く、広くなっています。後席シートを前方へ倒せば1575Lもの大容量となります。スタイリングは都会的ですが、荷室が広いのでアウトドアレジャーにも向いています。

 

【GOD PARTS 5】センターコンソール

ドリンクも小物もいろいろ入る

フロント左右シート間にはシフトレバーがあることが多いですが、ID.4のシフトは右頁のようにメーター横に設置されています。結果、ドリンクホルダーや小物入れがたくさん設置されています。スペースの有効活用というやつですね!

 

【GOD PARTS 6】フロントデザイン

EVに大型グリルは必要なし!

エンジン車ほど吸気を必要としないため、EVに大型グリルは必要ありませんが、ID.4もやはりスッキリした顔をしています。しかし、VWの象徴たるゴルフなどは、最近大型グリルを付けてなかったので、違和感がありません。

 

【GOD PARTS 7】ボンネット下

ありそうでなかった収納

モーターを後輪近くに搭載しているため、ボンネットの下にはきっとポルシェやフェラーリのように収納があるのではと期待したのですが、空調関係の機器などが積まれていました。やはりフロントの収納はあまり使わないからでしょうか。

 

【GOD PARTS 8】アクセル&ブレーキペダル

VWらしい遊びゴコロ

よく見ると両ペダルに「再生」「停止」のマークが付いています。動画サイト隆盛の時代が生み出した遊びゴコロですね。かつてビートルには一輪挿しを付けたこともありましたが、VWはいつの時代も伊達なブランドなのです。

 

【GOD PARTS 9】パノラマガラスルーフ

いまどきっぽい操作で類まれなる開放感

Proグレードのみ標準搭載される大型ガラスルーフです。運転席の頭上あたりから後席後ろまで広がっていて、シェードを開けると車内に開放感があふれます。操作は物理スイッチではなく、タッチして指を前後に滑らせて操作するいまどきっぽい形になっています。

 

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なぜVW「ID.4」ホンダ「ZR-V」アウディ「Q4 e-tron」が売れているのか?【2023年上半期売れたモノ乗り物編】

『GetNavi』が選ぶ「2023年上半期売れたものSELECTION」。今回は「乗り物編」から、フォルクスワーゲン「ID.4」、ホンダ「ZR-V」、アウディ「Q4 e-tron」をピックアップ!

※こちらは「GetNavi」 2023年8月号に掲載された記事を再編集したものです

 

フラットで使いやすく広い室内が魅力!

フォルクスワーゲン
ID.4
514万2000円〜648万8000円

ID.4はEV専用プラットフォームを採用。モーターはリアに搭載し後輪を駆動する。航続距離はモデルによって異なるが、もっとも長いモデルで500㎞以上の走行が可能。ドライブシャフトレスのフラットで使いやすく広い室内も魅力だ。

↑物理的なスイッチが少なく近未来的なデザインのインパネ。シフトセレクターはメーターナセル横にある

 

↑バッテリーハウジングもボディ剛性確保にひと役買っている。これはスポーツカーの発想と同じもの

 

【ヒットのシンソウ】

<証言者>自動車ライター・海野大介さん
専門誌からフリーに転向しウェブを中心に活動。1級小型船舶操縦免許や国内A級ライセンスを持つ。

特別仕様車は完売御礼! 標準グレードも好調

「日本初導入を記念した特別仕様車のローンチエディションは導入直後から完売になるほど。ハード&ソフトの制御を見直して航続距離を伸ばした標準販売グレードの販売を前倒しするほどの人気です」(海野さん)

売れ行き:★★★★
革新性:★★★★
影響力:★★★★

 

ヴェゼルとは一線を画す“大人向け”の質感が好評

ホンダ
ZR-V
293万2600円〜410万3000円

CR-Vの後継モデルで、プラットフォームはシビックと共通。パワーユニットは1.5lのターボと、2lエンジン+2モーター式ハイブリッドのe:HEVの2つ。それぞれにFFと4WDが用意される。上質なインテリアが魅力だ。

↑ZR-Vにはスノーをはじめとする4つのドライブモードを用意。スイッチひとつで切り替え可能だ

 

↑SUVながらもセダンライクな運転席のZR-V。室内空間自体は広く、後席の快適性も確保されている

 

【ヒットのシンソウ】

<証言者>自動車ライター・海野大介さん

事前受注を含め3万2000台以上を受注

「2023年4月の発売が発表されたのは昨年の11月ですが、事前受注を含めすでに3万2000台以上を受注しています。グレードによっては受注をストップしていたものもあるほどの人気ぶり」(海野さん)

売れ行き:★★★★★
革新性:★★★
影響力:★★★★

 

アウディの電動化を強力に牽引する同社初のコンパクトSUV

アウディ
Q4 e-tron
638万円〜728万円

アウディのEV、e-tronシリーズに加わった同社初のコンパクトSUV。ボディはSUVとSUVクーペスタイルのスポーツバックの2種類が用意されている。最大出力204PS、最大トルク31.6kg-mを誇るモーターはリアに搭載。

↑先進的なデザインのインパネ。上下フラットなステアリングやフローティングセンターコンソールなどが並ぶ

 

↑充電口はリアに装備。1充電で最大594㎞走行可能で、100kmぶんの充電は8kWの普通充電で約1時間40分だ

 

【ヒットのシンソウ】

<証言者>自動車ライター・海野大介さん

魅力的な価格になり同社EVの中心モデルに

「それまでアウディのEVと言えばすべて1000万円を超える高額モデルでしたが、Q4 e-tronは600万円台からとリーズナブル。2022年のアウディの販売台数の10%はQ4 e-tronが占めると言われているほどです」(海野さん)

売れ行き:★★★★
革新性:★★★★
影響力:★★★★

 

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フォルクスワーゲン「ゴルフ R ヴァリアント」は典型的な“羊の皮を被った狼”だった

GT-R然り、タイプRもまた然り、数多く存在する走り志向のクルマにおいて、「R」の称号は、今も特別なものである。では、長年、世界のスタンダードとされてきたフォルクスワーゲン ゴルフではどうか。「R」をどのようなモデルと位置づけ、どれほどスポーティなモデルに仕上げているのだろうか?

 

■今回紹介するクルマ

フォルクスワーゲン/ゴルフ R ヴァリアント

※試乗グレード:R

価格:652万5000円(税込)

 

まだまだ買えるぞゴルフR!

シビックタイプ「R」は、2万台もの注文が殺到して約4年分が売り切れたため、早くも受注停止になったが、ゴルフの「R」ならまだ買える! ゴルフRは、伝統あるゴルフ「GTI」を超えるパフォーマンスを持つ最強のゴルフ。究極のスポーツハッチバック&ワゴンを目指したマシンだ。

 

直列4気筒2.0Lターボエンジンは、最高出力320PS/5350-6500rpm、最大トルク420Nm/2100-5350rpmを誇っている。従来のRに比べても、10PS/20Nm強化されたわけだ。数字的にはわずかだが、この手のスポーツモデルは、進化し続けることが重要だ。

 

300馬力オーバーのパワーを受け止めるべく、ゴルフRは誕生当初から4WDの7速DSG(デュアルクラッチAT)のみの設定となっている。330馬力のシビックタイプRが、FFのMTのみなのに比べると、かなり正反対のキャラクターだ。シビックタイプRはサーキットに狙いを定めた超絶スポーツモデルだが、ゴルフRの主戦場は公道。速度無制限区間のあるアウトバーンでは、4WDの安定性が強く求められるのである。

↑フロントに搭載される2L直4ターボエンジン。トランスミッションは「DSG」と呼ばれる7段のデュアルクラッチ式ATが組み合わされる

 

前述のように、エンジンは320馬力を誇っている。初代ゴルフRは300馬力、2代目は310馬力、そしてこの3代目は320馬力と、台本があるかのように少しずつパワーアップを果たしている。かつて国産4WDスポーツの頂点を争ったランエボやインプレッサWRXが、280馬力だったことを思えば、320馬力という出力の過激さがよくわかるだろう。

 

しかし、実際のゴルフRは、それほどすごいクルマという感覚を抱かせない。ATのみなのでイージードライブであることは言うまでもないが、エンジンのフィーリングも、出力の向上とともに、逆におとなしくなっている。

 

7速DSGは極めて洗練され、もはや通常のトルコンATと区別がつかないほどスムーズだ。エンジンも低速域から使いやすく、フツーに走っているかぎり、そこらのファミリーカーに毛の生えたような程度に感じてしまう。乗り心地も、究極のスポーツモデルとは思えないほど快適だ。これは、オプションの可変ショックアブソーバーの効果だろうか? よく言えばウルトラ洗練、悪く言えばちょっと退屈という印象である。

↑ボディーカラーは、「ラピスブルーメタリック」(写真)に「ピュアホワイト」と「ディープブラックパールエフェクト」を加えた全3色のラインナップ

 

思い起こせば、2010年に登場した初代ゴルフRは、サウンドの演出が凄まじかった。ATがシフトアップするたびに「バウッ!」という中吹かし音(?)が轟いて、まるでランボルギーニを運転しているような錯覚に襲われた。VWグループは、1999年にランボルギーニを傘下に収めており、その知見が生かされたのか? と感じたものだが、2代目はサウンドがややおとなしくなり、この3代目はさらにおとなしくなっている。

 

新型ゴルフRも、ドライブモードを「レース」にすれば、アクセルを戻した時に「ボッ!」とレブシンクロを行なうし、アクセル全開で加速すれば、それなりに勇ましい音がするが、初代Rを知っている者には、物足りなく感じてしまう。

 

サウンドは、速さを体感する上で重要なポイントだ。近年欧州では、騒音規制が非常に厳しくなっており、もはやゴルフがランボルギーニのような音をさせることなど許されない。その影響でゴルフRも、ずいぶん地味になったように感じてしまうのだ。

↑ダイナミックターンインジケーター付きLEDマトリックスヘッドライト「IQ.ライト」。カメラで対向車や先行車を検知し、片側22個のLEDを個別制御する

 

「羊の皮を被った狼」たる理由

試乗したのは、ゴルフ R ヴァリアント(ステーションワゴン)。車両重量は1600kgとかなりの重量級だ。ランエボやインプレッサWRXは1300kg前後だったから、それに比べるとだいぶ重く、加速も相殺される。速いと言えば速いが、「ウルトラバカ速ッ!」ではない。そのぶんゴルフ R ヴァリアントは、広いラゲージやゆったりした室内など、高い実用性を持っている。「R」のエンブレムも非常に地味で目立たない。

↑見やすい大型10.25インチTFT液晶ディスプレイを採用。通常のメーター表示やナビゲーションマップなど、好みに応じて表示を切り替え可能

 

↑ホールド性もR専用ファブリック&マイクロフリースシート。ブルーのRロゴがステキ!

 

↑最大1642Lの大容量ラゲージスペースを持つ。荷物の形状や量に合わせて室内をフレキシブルにアレンジできる

 

ただ、前後バンパーはR専用であり、リアのディフューザーと4本のテールパイプが、タダモノではないことを示している。マニアが見れば、GTIより15mm低い車高や、19インチホイールの間から覗くブルーのブレーキキャリパーで、「うおお、Rだ!」と識別することが可能。このクルマは、典型的な「羊の皮を被った狼」である。

↑クロームの輝きと迫力あるルックスを演出する、クロームデュアルツインエキゾーストパイプ。足元は19インチのアルミホイールと245/35ZR19サイズのタイヤだ

 

↑VWロゴの下でさりげなく光るRエンブレム

 

では、新型ゴルフ R ヴァリアントが、ただの旦那仕様のスポーツモデルかと言えばさにあらず、新型Rのハイライトは、4WDシステムが、従来の4モーションから、「Rパフォーマンスベクタリング」に進化した点にある。4モーションは、前後輪のトルク配分を変えて最良の駆動力を得ていたが、新型Rは後輪に湿式多板クラッチを2個加えることで、後輪左右のトルク配分を変えることができるのだ。つまりコーナリング中は、外側タイヤの駆動力を増すことで、よりグイッと曲がらせることが可能というわけだ。

 

私はかつて、フェラーリ458イタリアを所有していた。458には「Eデフ」という名の左右駆動トルク配分システムが備わっており、恐ろしいほど曲がるクルマだった。コーナーで外に膨らむことはまずありえず、逆に曲がりすぎて内側のガードレールに激突しないように注意する必要があった。

 

では、新型ゴルフRもそんな感じかというと、まるで違う。普通に走っていたら、左右駆動トルク配分をしていることなど体感できない。458はそこらの四つ角を曲がるだけで「うひぃ! 曲がりすぎる!」という感覚だったが、ゴルフRは実に自然だ。セッティングがまるで違う。

 

それはワインディングロードでも同じ。まったく自然によく曲がるだけで、特段意識させるような挙動は起きない。サーキットで限界まで攻めれば違うと思いますが、一般ドライバーが公道で、左右トルク配分を体感するのはまず不可能。それよりも、「ゴルフRは進化を続けている!」という事実(勲章)のほうが重要なのだ。なにしろ「R」なのだから。価格は652万5000円。もちろんゴルフのラインナップ中、最高価格である。

 

SPEC【R】●全長×全幅×全高:4650×1790×1465㎜●車両重量:1600㎏●パワーユニット:1984cc直列4気筒ターボエンジン●最高出力:320PS/5350-6500rpm●最大トルク:420Nm/2100-5350rpm●WLTCモード燃費:12.2㎞/L

 

撮影/茂呂幸正

 

 

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VW「ID.4」がついに日本市場に登場!初EVでも違和感ない“普通”な乗り味を実感!

フォルクスワーゲン初となる電気自動車(BEV)がついに日本市場へ上陸しました。ドイツ本国では2020年9月にデビューしていましたが、日本導入はなかなか実現せず、「2022年内に間に合うのか?」といった声も聞かれましたが、11月22日、日本での発売が発表。そして、12月中旬、やっと「ID.4 Pro Launch Edition」に試乗する機会に恵まれました。

 

■今回紹介するクルマ

フォルクスワーゲン/ID.4

※試乗グレード:Pro

価格:514万2000円(税込)〜

↑ボディサイズは全長×全幅×全高=4585×1850×1640mm。プラットフォームにはEV専用の「MEB」を使用し、広いスペースユーティリティが大きな特徴となっている

 

ラインナップは「Lite(ライト)」と「Pro(プロ)」の2グレード

日本に導入されるID.4は、「Lite(ライト)」と「Pro(プロ)」の2グレードの展開で、前者は125kW(170PS)のモーターを52kWhのリチウムイオンバッテリーで駆動し、航続距離は435km。後者のプロはその高出力版で150kWh(204PS)のモーターと77kWhのバッテリーの組み合わせ、航続距離は618km(いずれもWLTCモード)と発表されています。今回試乗できたのは後者のプロで、「ID.4 Pro Launch Edition」は日本で展開するその記念モデルとして導入されました。

↑ボンネット内には150kWh(204PS)のモーターを組み込み、77kWのバッテリーで駆動される

 

ID.4はフォルクスワーゲンの電動化専用プラットフォーム「MEB(モジュラー エレクトリック ドライブ マトリックス)」を採用するだけに、車格を見てもゴルフのような存在にも思いがち。しかし、実際は現行ゴルフよりも遙かに大きいボディを持つ「SUV」としてラインナップされたモデルとなります。ボディサイズは全長4585mm×全幅1850mm×全高1640mmで、ホイールベースは2770mm。ゴルフと比べると全長290mm長く、全幅で60mm広く、全高も165mm高い。さらにホイールベースも150mmも長いのです。

↑伝統のVW流のデザインを伝えながら、クローズドされたBEVらしいフロントグリルを採用する

 

「MEB」の採用により、広い室内スペースとカーゴルームをもたらしました。特に2770mmのホイールベースはそのまま室内スペースの拡大につながっています。室内全体が車体のサイズをそのまま反映するかのように広々としていて、運転席まわりも十分なゆとりがあり、後席に至っては足を組んで余裕があるほど。このあたりはまさにフォルクスワーゲンの空間作りの上手さが活かされていると言えるでしょう。

↑リアビューはSUVスタイルそのものを実感させるデザインだ。Proはフロント235/50 R20 8J×20インチ、リア255/45 R20 9J×20インチを履く

 

圧倒的な広さの室内とカーゴルーム。クリーンなインテリアも好印象

SUVらしくカーゴルームの容量も圧倒的な広さを持っています。数値で表すと、前後席を使った時で543L、後席を倒せば最大1575Lにまで拡大できるのです。まさにSUVとして十分な容量を確保したと言っていいと思います。

↑SUVとして使うのに十分な容量を備えたカーゴルーム。中央にはスルー機能も備えられた

 

インテリアは余計な加飾がないクリーンな印象で、それはまさにシンプルイズベストをそのまま表したような造り込みを感じます。ドライバーの正面には5.3インチのメーターディスプレイが配置され、ダッシュボード中央にはインフォテイメントシステムとして使う12インチディスプレイを用意しています。ただ、ライトは後者が10インチとなり、いずれもナビゲーションの設定はなく、コネクテッド機能も搭載されていません。手持ちのスマートフォンをつなぐことが前提となるディスプレイオーディオと思った方が良いでしょう。

↑ダッシュボードとフロントガラスの間にあるLEDストリップにより、光のアニメーションで各種情報を通知するシステム“ID.LIGHT”を新採用

 

↑Proには「シートマッサージ機能」と「パノラマガラスルーフ」が標準装備される

 

↑空間的には足をゆったり組めるほどの広さがあるが、後席使用時はヘッドレストをリフトアップする必要がある

 

ただ、メーターディスプレイはステアリングコラムに直付けされているため、チルト/テレスコピックしても視認性が大きく変わることはありません。ディスプレイ右にはドライブモードの切替スイッチがあります。最初こそステアリング陰にあって、あちこち探してしまいましたが、一度その位置を憶えてしまえば、これ一つで前進/後退、パーキングへの切替ができ、誰もが使いやすさを実感するでしょう。

↑ドライバーの正面には5.3インチのメーターディスプレイ。ステアリングコラムと一体で上下に稼働する

 

↑メーター横に備えられたドライブモードセレクター。手元で操作でき、しっかりしたクリック感が使いやすい

 

エンジン車からの乗り替えでも違和感なく運転できる!

ガソリン車と大きく違うのは、リモコンでドアを開けて運転席に座ると、その時点でシステムが自動的に起動すること。わざわざスイッチを押すこともなく、そのままドライブモードを切り替えれば走り出すことができるのです。降りる時はその逆で、降車してキーをロックすれば自動的にOFFとなります。撮影にはちょっと困りましたが、普段使いとして考えれば極めて効率の良いインターフェースと言えるでしょう。

↑LEDマトリックスヘッドライト「IQ.LIGHT」。フロントカメラで対向車や先行車を検知し、マトリックスモジュールに搭載された片側18個(両サイドで36個)のLEDを個別に点灯・消灯を制御する

 

走り出してまず感じたのは、強烈な加速というよりもフワッと車体を前へ押し出していく感じ。電動車にありがちなトルクを前面に出すような印象はまったくありません。ひたすらスムーズに、速度域が上がっていく感じです。かといってパワーがないわけじゃありません。アクセルを強めに踏み込めば、そこは電動車、あっという間に思い通りの速度域に達してくれます。カタログ値の0→100km加速が8.5秒というのも頷けますね。

↑「ID.4 Pro Launch Edition」を試乗する筆者

 

ハンドリングの追従性も高く、カーブが連続する峠道でもノーズを自在に向けることができるなど、BEVならではの重さを感じることはほとんどありませんでした。峠道を走る愉しさを実感させてくれるクルマと断言して間違いないでしょう。

 

強いて言えば、回生ブレーキの効き方もマイルドで、Bモードに切り替えてもそれほど減速Gは感じないために、下り坂ではフットブレーキに頼らざるを得ませんでした。裏返せば、ガソリン車からの乗り換えでも違和感なく“普通”に乗れる、その素晴らしさを実感させてくれるのがID.4と言えるのかもしれません。

↑2tを超えるBEVの重量を感じさせない回頭性の良さが、峠道を走る愉しさをもたらしている

 

SPEC【Pro】●全長×全幅×全高:4585×1850×1640㎜●車両重量:2140㎏●モーター:交流同期電動機●最高出力:204PS/4621〜8000rpm●最大トルク:310Nm/0〜4621rpm●一充電走行距離WLTCモード:618㎞

 

撮影/松川 忍

 

 

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どれもハイレベルな完成度! ボディタイプの異なる新車3モデルに試し乗り

気になる新車を一気乗り! 今回の「NEW VEHICLE REPORT」でピックアップするのはトヨタの新型「ノア/ヴォクシー」とBMWのピュアEVである「iX3」、そして新型フォルクスワーゲン「ゴルフGTI」の3モデル。ミニバンにSUV、ハッチバックとボディタイプは異なるが、どれも人気モデルだけに完成度はハイレベルだ。

※こちらは「GetNavi」 2022年5月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【その1】まさに横綱相撲! 使い勝手は究極の域に到達

SUV

トヨタ

ノア/ヴォクシー

SPEC【ヴォクシーS-Z(ハイブリッド2WD)】●全長×全幅×全高:4695×1730×1895mm●車両重量:1670kg●パワーユニット:1797cc直列4気筒DOHC+電気モーター●最高出力:98[95]PS/5200rpm●最大トルク:14.5[18.9]kg-m/3600rpm●WLTCモード燃費:23.0km/L

●[ ]内は電気モーターの数値

 

走りの面でオススメなのは最新世代のハイブリッド仕様

新型ノア/ヴォクシーは基本骨格を一新し、運転支援システムも最新モデルに相応しい充実ぶりを誇る。だが、実車に接してとりわけ印象的だったのは使い勝手に配慮した作り込みの徹底ぶりだ。パノラミックと表現したくなる前席の視界の良さや、電動スライドドアに装備できる機械式サイドステップ、そして開口位置を選べるバックドアなど、実用性に優れた細やかな配慮はもはや究極の域。ノアとヴォクシーでは前後の造形でキャラクターを差別化しているが、見た目の洗練度も先代より着実に進化している。

 

パワーユニットは、最新世代となるハイブリッドと2Lガソリンの2本立て。その動力性能は後者でも不足はないが、走らせて楽しいのは間違いなく前者だ。絶対的な力強さに加え、アクセル操作に対する自然な反応は先代より引き締まった足回りにもピッタリ。ハイブリッドは装備まで考慮すると事実上の値下げとなり、コスパの面でも絶対にオススメだ。

 

[Point 1] 先進装備と実用度はトップレベル

視界の良さが特徴のインパネ回りは運転支援システムや使い勝手もハイレベル。2列目シートは3人掛け仕様も設定された。電動スライドドアの助手席側には機械式サイドステップも装備できる。

 

[Point 2] ヴォクシーはノアよりもアグレッシブ

外観がノアよりアグレッシブになるヴォクシーは、基本的なグレード構成もS-ZとS-Gの2種に絞られる。価格はノアの同グレードよりも若干高めの設定だ。

 

[Point 3] 荷室の使い勝手も向上

バックドアの開口位置を選べる(電動と機械式の2タイプ)荷室は容量、形状ともに申し分ない。3列目シートの格納操作も先代より容易になったのはうれしい。

 

[ラインナップ](グレード:エンジン/駆動方式/ミッション/税込価格)

X:2L、1.8L+電気モーター/2WD、4WD/CVT、電気式無段変速/267万円、(286万8000円)[305万円、(327万円)]

G:2L、1.8L+電気モーター/2WD、4WD/CVT、電気式無段変速/297万円(316万8000円)[332万円(354万円)]

Z:2L、1.8L+電気モーター/2WD、4WD/CVT、電気式無段変速/324万円(343万8000円)[359万円(381万円)]

S-G:2L、1.8L+電気モーター/2WD、4WD/CVT、電気式無段変速/304万円(323万8000円)[339万円(361万円)]

S-Z:2L、1.8L+電気モーター/2WD、4WD/CVT、電気式無段変速/332万円(351万8000円)[367万円(389万円)]

●[ ]内はハイブリッド車、( )内は4WD(E-Four)の価格

 

【その2】スポーティでありながら貫禄も旗艦級!

 

【その2】ピュアEVでも伝統的なBMWらしさが楽しめる!

EV

BMW

iX3

SPEC●全長×全幅×全高:4740×1890×1670mm●車両重量:2200kg●パワーユニット:交流電気モーター●最高出力:286PS/6000rpm●最大トルク:40.8kg-m/0〜4500rpm●WLTCモード最大航続距離:508km

 

走りの性能は最新EVに相応しいレベルを確保!

ほぼ同時期に上陸したBMWの最新ピュアEVでも、iXと比較すれば伝統的なBMWらしさが色濃いのがiX3。そのベースはSUVのX3で、内外装には随所に独自デザインを採用するが、一見する限りEVであることは意識させない。電気モーターはリアに搭載。組み合わせるバッテリーの総電力量は80kWhで、満充電時の最大航続距離は508km。最新のEVらしく高い数値となっている。

 

その走りは、見た目のイメージ通りだ。EVならではの静かさや滑らかな加速を実感させる一方、アクセル操作の反応やスポーティな身のこなしはBMWの伝統に通じる味付け。普段の生活においてEVを楽しみたい、というニーズにはピッタリの1台だ。

 

[Point 1] 内装はX3に準じたスポーティな仕立て

外観と同じく、内装も基本的な作りはX3と変わらない。BMWの内燃機関各車に通じるスポーティなテイストが持ち味となっている。

 

[Point 2] 外観は随所が独自の造形に

外観はMスポーツ仕様ということでスポーティ。随所にブルーのアクセントが入り、EVであることを主張する。税込価格は862万円。

 

[Point 3] 荷室は通常時510Lと十分な広さを確保

エンジンモデルのX3比には若干劣るが、荷室容量は通常時でも510Lと十分な広さ。後席をたたんだ最大時は1560Lまで拡大する。

 

 

【その3】軽快で力強い走りは伝統の旗艦ならでは

ハッチバック

フォルクスワーゲン

ゴルフ GTI

SPEC●全長×全幅×全高:4295×1790×1465mm●車両重量:1430kg●パワーユニット:1984cc直列4気筒DOHC+ターボ●最高出力:245PS/5000〜6500rpm●最大トルク:37.7kg-m/1600〜4300rpm●WLTCモード燃費:12.8km/L

 

積極的に操る魅力を備えた万能スポーツハッチバック

単に高性能というだけではなく、ゴルフのイメージリーダー的存在でもあったGTIが最新世代へとスイッチ。ベースとなる8代目はマイルドハイブリッドの投入でも話題を呼んだが、GTIは引き続きハイスペックな2Lのガソリンターボを搭載。駆動方式も先代と同じくFF方式を踏襲する。

 

その走りは、もちろんGTIの称号に相応しいレベルにある。2Lターボは、パワフルなだけではなく全域での扱いやすさを両立。トラクション性能にも優れるだけに、積極的に操る場面では能力を使い切る喜びも見出せる。また、先代比では身のこなしが一層軽快な点も持ち味のひとつ。快適性も上々とあって“万能なハッチバック”としての魅力度は高い。

 

[Point 1] 新しさと伝統が融合する

室内はメーターのグラフィックなどが専用仕立てとなるほか、伝統的なチェックのシート柄などでGTIらしさを演出。装備も充実している。

 

[Point 2] 走りはパワフルで軽快

GTIは“押し”の強いフロントマスクに加え、リアゲート中央の車名ロゴが「GOLF」ではなくなる(税込466万円)。軽快かつパワフルな走りが楽しめる。

 

[Point 3] パワーユニットは歴代でも最強レベル

一部例外を除けば、搭載する2Lガソリンターボのアウトプットは歴代GTIでも最強レベル。速さに加え、フレキシビリティの高さも魅力。

 

文/小野泰治 撮影/郡 大二郎、市 健治

 

 

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軽快で力強い走りは伝統の旗艦フォルクスワーゲン・ゴルフならでは

気になる新車を一気乗り! 今回は8代目「フォルクスワーゲン・ゴルフ」に、早くも伝統のスポーツモデル「GTI」が追加設定されたので紹介します。

※こちらは「GetNavi」 2022年5月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

積極的に操る魅力を備えた万能スポーツハッチバック

ハッチバック

フォルクスワーゲン

ゴルフ GTI

SPEC●全長×全幅×全高:4295×1790×1465mm●車両重量:1430kg●パワーユニット:1984cc直列4気筒DOHC+ターボ●最高出力:245PS/5000〜6500rpm●最大トルク:37.7kg-m/1600〜4300rpm●WLTCモード燃費:12.8km/L

 

単に高性能というだけではなく、ゴルフのイメージリーダー的存在でもあったGTIが最新世代へとスイッチ。ベースとなる8代目はマイルドハイブリッドの投入でも話題を呼んだが、GTIは引き続きハイスペックな2Lのガソリンターボを搭載。駆動方式も先代と同じくFF方式を踏襲する。

 

その走りは、もちろんGTIの称号に相応しいレベルにある。2Lターボは、パワフルなだけではなく全域での扱いやすさを両立。トラクション性能にも優れるだけに、積極的に操る場面では能力を使い切る喜びも見出せる。また、先代比では身のこなしが一層軽快な点も持ち味のひとつ。快適性も上々とあって“万能なハッチバック”としての魅力度は高い。

 

[Point 1] 新しさと伝統が融合する

室内はメーターのグラフィックなどが専用仕立てとなるほか、伝統的なチェックのシート柄などでGTIらしさを演出。装備も充実している。

 

[Point 2] 走りはパワフルで軽快

GTIは“押し”の強いフロントマスクに加え、リアゲート中央の車名ロゴが「GOLF」ではなくなる(税込466万円)。軽快かつパワフルな走りが楽しめる。

 

[Point 3] パワーユニットは歴代でも最強レベル

一部例外を除けば、搭載する2Lガソリンターボのアウトプットは歴代GTIでも最強レベル。速さに加え、フレキシビリティの高さも魅力。

 

文/小野泰治 撮影/郡 大二郎

 

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気になる新車を一気乗り! 個性と走りが際立つ日産・フォルクスワーゲン・BMWの新車をレポート

本記事では、個性と走りが際立つモデルをピックアップ。国産勢からは日産のプレミアムコンパクトであるオーラをベースとしたオーラ ニスモ、輸入車からはフォルクスワーゲン・アルテオン シューティングブレークと、BMW・M4クーペという、ドイツの2モデルだ。

※こちらは「GetNavi」 2021年11月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【No.1】その魅力はスポーティにして上質な走りにあり!

ハッチバック

日産

オーラ ニスモ

SPEC【オーラ ニスモ】●全長×全幅×全高:4125×1735×1505mm●車両重量:1270kg●パワーユニット:電気モーター+1198cc直列3気筒DOHC●最高出力:136[82]PS/3183〜8500[6000]rpm●最大トルク:30.6[10.5]kg-m/0〜3183[4800]rpm●WLTCモード燃費:23.3km/L

●[ ]内はガソリンエンジンの数値

 

しなやかな乗り心地は国際級と言える出来映え!

先代はノートをベースとしていたが、新型はノートの上位モデルに当たるオーラに、独自のチューニングを施すニスモ仕様に。ノート時代は走りとスタイリングが好評だったので、新型でもこの2点は入念に仕上げられた。外観は空力性能向上にも貢献する本格的なエアロパーツや、オーラよりリム幅を拡げた専用ホイールなどを装備。内装も、シックな装いのオーラから一転、スポーティな仕立てとなる。

 

シリーズ特有のハイブリッドのeパワーはニスモ独自の制御となり、足回りも独自セッティングを採用。それに合わせてボディもリア回りが強化されている。

 

その走りはスポーティでありつつも上質なライド感が印象的。特に日常域ではしなやかさを感じさせる足回りの動きや、一層の磨きがかかったアクセル操作に対するレスポンスは、オーラの特別モデルに相応しい。この完成度なら、ノート ニスモのオーナーだけでなく、輸入車コンパクトオーナーをも納得させるに違いない。

 

[Point 1] 空力パーツはモータースポーツ由来

ニスモ・レーシングと共同開発されたエアロパーツは、フォーミュラEを彷彿とさせる精悍なイメージだけでなく、実際の空力性能も向上。専用ホイールは、オーラよりリムが拡大された。オーラ ニスモの車両価値はモノグレード設定で286万9900円(税込)。

 

[Point 2] レッドのアクセントでスポーティな仕立てに

内装は、レッドのアクセントとダークトーンの組み合わせでスポーティに仕上げられた。多彩な表示機能を持つデジタルディスプレイのメーターも、ニスモ独自のグラフィックに。

 

[Point 3] レカロ製シートは日常での走行にも適する

オプションとなる専用仕立てのレカロシートは、スポーツ走行時のホールド性だけでなく日常域の走行にも配慮した作りとなっている。座り心地も上々だ。

 

 

【No.2】新作ワゴンはスタイリッシュな外観で勝負!

ステーションワゴン

フォルクスワーゲン

アルテオン シューティングブレーク

SPEC【TSI 4モーション Rライン・アドバンス】●全長×全幅×全高:4870×1875×1445mm●車両重量:1720kg●パワーユニット:1984cc直列4気筒DOHC+ターボ●最高出力:272PS/5500〜6500rpm●最大トルク:35.7kg-m/2000〜5400rpm●WLTCモード燃費:11.5km/L

 

エレガントな風情は4ドアクーペを凌ぐ個性

その最大の特徴は、やはりエレガントな風情を感じさせる外観だ。ボディサイズは4ドアクーペ版のアルテオンとまったく同じだが、このシューティングブレークでは伸びやかなルーフ形状が前後の長さを一層強調している。現行のフォルクスワーゲンでは、いま一番“攻めた”デザインであることは間違いないだろう。

 

シューティングブレークの導入を機に運転支援システムや内外装の細部こそアップデートされたが、2Lガソリンターボエンジンをはじめとする基本的ハードウエアは従来通り。駆動方式は4WDのみだが、それだけに走りは全方位的にソツのない仕上がりだ。ひと味違うワゴンとしても、狙い目の1台と言うことができる。

 

[Point 1] ワゴンとしての実用性も高い!

デザイン重視とはいえ、フォルクスワーゲンらしく実用度もハイレベル。荷室容量は通常時でも565L、最大では1632Lに達する。

 

[Point 2] 前後の長さと低さを強調する外観

外観は前後の長さと車高の低さが印象的。4ドアクーペ版(ファストバック)より大きく見えるが、ボディサイズは全高に至るまでまったく同じだ。

 

[Point 3] インパネ回りはワイド感を強調

インパネ回りは、マイナーチェンジでワイド感を強調する造形に。運転支援系の装備は、最新のフォルクスワーゲン他モデルと同じく最先端レベルだ。

 

[ラインナップ]

Rライン:2.0L+ターボ/4WD/7速DCT/587万9000円(税込)

Rライン アドバンス:2.0L+ターボ/4WD/7速DCT/644万6000円(税込)

エレガンス:2.0L+ターボ/4WD/7速DCT/644万6000円(税込)

 

 

【No.3】さらに研ぎ澄まされた武闘派BMWの急先鋒!

クーペ

BMW

M4クーペ

SPEC【M4クーペ・コンペティション】 ●全長×全幅×全高:4805×1885×1395mm●車両重量:1730kg●パワーユニット:2992cc直列6気筒DOHC+ツインターボ●最高出力:510PS/6250rpm●最大トルク:66.3kg-m/2750〜5500rpm●WLTCモード燃費:10.1km/L

 

ただ速いだけではなく走りの質感も楽しめる!

スポーツ性を極めるBMW Mモデルのなかにあっても、とりわけ“戦闘力”が高いことで知られる「M4クーペ」。今年上陸した最新版では、その資質に一層の磨きがかけられた。エンジンは引き続き直列6気筒の3Lツインターボだが、先代のそれとは別モノで、トランスミッションも専用の8速ATに。当然シャシーも独自のチューニングで、数々の制御システムにはドリフト走行の診断機能まで備わる。

 

その走りは、見た目のイメージ通りにシャープな味付けながら、快適性も納得できる水準を確保。また、先代比では特にエンジンの情緒溢れる吹け上がりも印象的だ。BMWらしさを味わうという点では、これだけでも乗る価値がある、と断言したい。

 

[Point 1] 6気筒エンジンらしい質感の高さも魅力

基本構造こそSUVのX3M用などと同じエンジンだが、味付けはクーペに相応しいもの。直列6気筒らしい、吹け上がりの質感も魅力だ。

 

[Point 2] 各装備がMモデルの専用仕立てに

ディスプレイやシフトレバー回り、シートなどがMモデル専用仕立てとなる室内。スポーティなのはもちろん、ラグジュアリーでもある。

 

[Point 3] まもなく4WDも選べるように!

現在の日本向けは6速MT仕様のみのベースモデルと8速ATを組み合わせるコンペティション、およびその軽量化版となるトラックパッケージの3モデル。間もなく4WD版も登場予定となっている。

 

[ラインナップ]

M4クーペ:3.0L+ツインターボ/2WD/6速MT/1298万円(税込)

M4クーペ コンペティション:3.0L+ツインターボ/2WD/8速AT/1348万円(税込)

M4クーペ トラックパッケージ:3.0L+ツインターボ/2WD/8速AT/1460万円(税込)

 

文/小野泰治 撮影/篠原晃一、小林俊樹、郡 大二郎

 

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フォルクスワーゲンの新作ワゴン「アルテオン シューティングブレーク」はスタイリッシュな外観で勝負!

本記事では、個性と走りが際立つモデルをピックアップ。フォルクスワーゲンのフラッグシップ「アルテオン」がマイナーチェンジし、このタイミングで登場したステーションワゴン「アルテオン シューティングブレーク」に試乗してみました。

※こちらは「GetNavi」 2021年11月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

エレガントな風情は4ドアクーペを凌ぐ個性

ステーションワゴン

フォルクスワーゲン

アルテオン シューティングブレーク

SPEC【TSI 4モーション Rライン・アドバンス】●全長×全幅×全高:4870×1875×1445mm●車両重量:1720kg●パワーユニット:1984cc直列4気筒DOHC+ターボ●最高出力:272PS/5500〜6500rpm●最大トルク:35.7kg-m/2000〜5400rpm●WLTCモード燃費:11.5km/L

その最大の特徴は、やはりエレガントな風情を感じさせる外観だ。ボディサイズは4ドアクーペ版の「アルテオン」とまったく同じだが、この「シューティングブレーク」では伸びやかなルーフ形状が前後の長さを一層強調している。現行のフォルクスワーゲンでは、いま一番“攻めた”デザインであることは間違いないだろう。

 

シューティングブレークの導入を機に運転支援システムや内外装の細部こそアップデートされたが、2Lガソリンターボエンジンをはじめとする基本的ハードウエアは従来通り。駆動方式は4WDのみだが、それだけに走りは全方位的にソツのない仕上がりだ。ひと味違うワゴンとしても、狙い目の1台と言うことができる。

 

[Point 1] ワゴンとしての実用性も高い!

デザイン重視とはいえ、フォルクスワーゲンらしく実用度もハイレベル。荷室容量は通常時でも565L、最大では1632Lに達する。

 

[Point 2] 前後の長さと低さを強調する外観

外観は前後の長さと車高の低さが印象的。4ドアクーペ版(ファストバック)より大きく見えるが、ボディサイズは全高に至るまでまったく同じだ。

 

[Point 3] インパネ回りはワイド感を強調

インパネ回りは、マイナーチェンジでワイド感を強調する造形に。運転支援系の装備は、最新のフォルクスワーゲン他モデルと同じく最先端レベルだ。

 

[ラインナップ]

Rライン:2.0L+ターボ/4WD/7速DCT/587万9000円(税込)

Rライン アドバンス:2.0L+ターボ/4WD/7速DCT/644万6000円(税込)

エレガンス:2.0L+ターボ/4WD/7速DCT/644万6000円(税込)

 

 

文/小野泰治 撮影/小林俊樹

 

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進化したVW8代目「ゴルフ」は名ハッチバック。 “世界基準”モデルは電動化とデジタル化を実現!

フォルクスワーゲン「ゴルフ」の8代目が日本に導入されました。ラインナップは1リットル3気筒エンジン搭載の「アクティブ」と呼ばれるモデルと、1.5リットル4気筒エンジンを搭載する「スタイル」及び「Rライン」。新型ゴルフは、インポートカーの中でも今人気なんです。

※こちらは「GetNavi」 2021年10月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

先進のデジタル技術で実現する使いやすい心地良さ

【ハッチバック】2021年7月発売

フォルクスワーゲン

ゴルフ

291万6000円〜390万3000円(税込)

跳ね上げ式のバックドアを持つ、ハッチバックのベンチマークがフルモデルチェンジ。全モデルでマイルドハイブリッドを採用。タッチ操作可能な10インチのモニターやフルデジタルメーターにより、運転席まわりのデジタル化を実現した。

 

↑48Vマイルドハイブリッドシステム。ターボエンジンに不利な低回転域のトルクを補い、燃費や加速に貢献する

 

↑10インチのディスプレイ。オンライン化を実現する「Discover Pro」も対応し、ネットワークを通じ快適にドライブできる

 

【トレンドのツボ】1か月で予約は1000台を超えベンチマークモデルへの期待大

2月に早くも予約注文が開始されたが、1か月で1000台を突破。マイルドハイブリッドやデジタルコクピットなどを導入した、ハッチバックのベンチマーク的存在に期待が集まる。

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

安全なクルマは好みで選べる!「カテゴリ別」安全+αの最適モデル指南

衝突被害軽減ブレーキをはじめとして安全性能についてはお墨付きのモデルのなかから、より便利に、楽しく使えるモデルをプロがチョイス。スタイルや走り、使いやすさなど自分の好みに合ったモデルを選んで、ワンランク上の快適ドライブを満喫しよう!

※こちらは「GetNavi」 2021年1月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

私が選びました

モータージャーナリスト

岡本幸一郎

高級輸入車から軽自動車まで幅広く網羅。各社の予防安全技術の多くを体験済み。日本・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員も務める。

【タイプ1】SUV

多くの新モデルが登場し、安全運転支援技術も最新のモノが搭載されることが多いSUV。走破性能や使いやすさで優れたモデルもあるが、総合性能で選ぶならトヨタ・RAV4だ。

 

【独創性で選ぶなら】クーペ的なシルエットとインテリアの心地良さが秀逸

マツダ

MX-30

242万円〜305万2500円

SUVでありながらクーペ的シルエットとフリースタイルドアが印象的なモデル。インテリアにはコルクやペットボトルなどサステナブルな素材を用いて心地良さを演出する。

 

↑同社のRX-8以来となる観音開きを採用したフリースタイルドア。ピラーがないぶん後席の乗降もしやすい

 

[岡本’sジャッジ]

 

【先進機能で選ぶなら】e-POWERとプロパイロットの先進性を1台で味わえる

日産

キックス e-POWER

275万9900円〜286万9900円

日産独自のハイブリッド方式であるe-POWERと、安心・快適なドライブを実現するプロパイロットという、2つの先進機能が1台で楽しめる。EV走行時の静粛性も特筆モノだ。

 

↑アクセルペダルひとつで加減速が行えるe-POWER Drive。アクセルとブレーキの踏み替え回数も減ってラク

 

[岡本’sジャッジ]

 

【使いやすさで選ぶなら】3列シートを備えたモデルは人も荷物も余裕で乗せられる

メルセデス・ベンツ

GLB

512万円〜696万円

コンパクトなサイズながら、身長168cmまでの人が座れる3列目シートが便利なモデル。3列目シート使用時でも130L、シート格納時では500Lの荷室を活用して積載できる。

 

↑大人数で乗車するときに便利な3列目シート。身長168cmの人までに限られるが、あるとやはり便利だ

 

[岡本’sジャッジ]

 

【走破性能で選ぶなら】ジープ最強モデルが誇る世界最高の悪路走破性能

ジープ

ラングラー

499万円〜621万円

高い最低地上高、大径タイヤなどの見た目から想起するとおりのオフロード性能を誇るモデル。なかでも悪路走破性能を強化したアンリミテッド ルビコンは世界最強と言われる。

 

↑マニュアルで切り替えるパートタイム4×4を搭載。自動で前後輪に駆動力を分配するフルタイム4×4も採用する

 

[岡本’sジャッジ]

 

【デザインで選ぶなら】デザインは軽快ながら操縦安定性の良さが光る

 

フォルクスワーゲン

T-Cross

303万9000円〜339万9000円

若々しいデザインとカラーバリエーションが魅力のコンパクトSUV。一見軽快なモデルだが、ドイツ車ならではの高い操縦安定性もポイント。2WDのみなのが少々残念ではある。

 

↑リアシートは140mmスライドが可能。後席の広さを自在に変え、同時にカーゴスペースの拡大にも役立つ

 

[岡本’sジャッジ]

 

【総合性能で選ぶなら】悪路も難なくこなすオールラウンダーSUV

トヨタ

RAV4

274万3000円〜402万9000円

前後左右のタイヤへのトルク配分を変更する独自のダイナミックトルクベクタリングAWDを採用し、悪路走破性が高い。もちろんオンロードでの快適さもトップクラスを誇る。

 

↑路面の状況に応じて最適なトルク配分を行うダイナミックトルクベクタリングAWD。高い走破性を実現する

 

[岡本’sジャッジ]

 

【タイプ2】コンパクトカー

コンパクトカーでトップを争うトヨタ・ヤリスとホンダ・フィットがモデルチェンジし、走りや使い勝手が一層向上。走りを楽しみたいならスズキ・スイフトスポーツも選択肢のひとつだ。

 

【使いやすさで選ぶなら】広々とした室内空間は使い勝手も良好!

ホンダ

フィット

155万7600円〜253万6600円

広々とした室内空間と快適な乗り味でコンパクトカーらしからぬ心地良さを提供してくれる。後席の座面をはね上げて背の高いモノを積載できるなど、使い勝手も抜群に良い。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【走りの良さで選ぶなら】強力ターボと軽量ボディが刺激的な走りを実現

スズキ

スイフトスポーツ

187万4000円〜214万1700円

1.4Lの強力直噴ターボエンジンと970kgの軽量ボディで刺激的な走りが楽しめ、コスパも抜群に良いモデル。クルマを操るのが好きな人にはうれしい6速MTも選べるのは◎。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【燃費の良さで選ぶなら】操縦安定性に優れた驚異的低燃費モデル

トヨタ

ヤリス

139万5000円〜249万3000円

新形プラットフォームの採用で高い操縦安定性を実現。36.0km/Lというハイブリッド車の驚異的な燃費に目が行きがちだが、ガソリン車でも最高21.6km/Lと優秀な数値だ。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【タイプ3】ミニバン

使い勝手の良い日産・セレナや、走りの良さを楽しめるホンダ・ステップワゴンに注目。独創的な三菱・デリカD:5のクロカン走破性能は他のミニバンにはない優位点だ。

 

【走りの良さで選ぶなら】低床設計が生み出すしっかりとした走りが魅力

ホンダ

ステップワゴン

271万4800円〜409万4200円

ホンダ独自のセンタータンクレイアウトが可能にした低床設計が、低重心のしっかりとしたフットワークを生む。ハイブリッド車の強力な加速と低燃費も大きな魅力だ。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【使いやすさで選ぶなら】シートアレンジが多彩で広い室内を自在に使える

日産

セレナ

257万6200円〜419万2100円

広い室内と、乗り方や使い方によって自由にアレンジできる3列シートが特徴。通常の約半分のスペースがあれば開閉できるハーフバックドアを設定するなど、芸が細かいのも◎。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【独創性で選ぶなら】個性的なフロントマスクと走破性能は唯一無二の存在

三菱

デリカD:5

391万3800円〜447万2600円

SUVとの融合を図った独創的なミニバン。話題となったコワモテのフロントマスクも印象的だ。走行シーンに応じてドライブモードを選択できるなど、ミニバン唯一無二の存在。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【タイプ4】軽自動車

販売台数No.1を誇るホンダ・N-BOXの牙城は揺るがないが、遊び心満点のスズキ・ハスラーとダイハツ・タフトが華々しくデビュー。安全で楽しく使える軽が充実した。

 

【快適性で選ぶなら】独特な愛らしさに快適な乗り心地がプラス

スズキ

ハスラー

128万400円〜179万800円

愛らしい独特のデザインはもちろんだが、軽自動車らしからぬ快適な乗り心地にも驚かされる。丸目のヘッドライトと大きな3連フレームを備えたインパネデザインは個性的だ。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【楽しさで選ぶなら】乗員スペースと荷室を分け多彩な使い方が可能

ダイハツ

タフト

135万3000円〜173万2500円

フロントシートをクルースペースとし、リアシートと荷室を荷物の積載スペースと位置付けることで、快適な室内空間を実現。開放的な天井のスカイフィールトップが魅力的だ。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【使いやすさで選ぶなら】驚異の室内高が生む自由自在の室内空間

ホンダ

N-BOX

141万1300円〜212万9600円

センタータンクレイアウトによる低床設計で、子どもなら立ったままでも余裕で着替えられる室内高に驚き。両側スライドドアとスライドシートで、小さな子どもも乗せやすい。

 

[岡本’sジャッジ]

“クルマは充電”が新しいドライブ様式になる! EVメーカーの現在地

世界各国でエンジン車への規制が強まるなか、自動車メーカーは近年こぞってEVを開発し世に送り出している。走行可能な距離が短い、充電スポットが少ないという不安は、もはや過去のもの。これからのクルマは“充電”が新たなドライブ様式となる。スポーツカーで有名なポルシェも、誰もが憧れるラグジュアリーカーのロールス・ロイスやアストンマーティンもEVを発表。もはやどのメーカーも避けて通れないクルマの電動化は、いまどうなっているのか。自動車ジャーナリストの川端さんに話を聞くとともに、世界の自動車メーカーの現在地を解説!

※こちらは「GetNavi」 2020年12月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

自動車・環境ジャーナリスト

川端由美さん

工学修士。エンジニアから自動車専門誌の編集部員に転身し、現在は、フリーランスのジャーナリスト。テクノロジーとエコロジーが専門。

 

排出ガス規制と政府の援助で着々と進むクルマの電動化

英語で“Petro Head”と言えばクルマ好きのこと。Petroとは石油のことだから、ひいてはエンジンとクルマは切っても切り離せない……というのはもう過去の話。多くの自動車メーカーがEVを発表する時代が来ている。その背景にあるのが、欧州委員会による「2050年までにカーボンニュートラル(※)を目指す」という発表だ。さらに、2030年までに自動車からの排出ガスによるCO²排出量を半分まで削減(2020年第3四半期比)し、2040年に新型車はほぼCO²を排出しないクルマだけになるというロードマップを描いている。

※ライフサイクルで見たときに、二酸化炭素の排出量と吸収量がプラスマイナスゼロになる状態のこと。2017年にパリで開かれたワン・プラネット・サミットでカーボンニュートラル宣言が発出された

 

この動きは、中国やアメリカでも加速している。中国では政府が税の優遇などを設けて、電池を含めたEV産業全体を後押ししている。アメリカのカリフォルニア州では、2035年までに州内で販売されるすべてのクルマを排ガスゼロにするという意欲的な目標を打ち出している。世界は電動化に向けて、着々と進んでいるのだ。

 

世界EVメーカーシェアランキング】

テスラが約18%と圧倒的なシェア。これは2016年に発表され手ごろな価格で大人気となったモデル3の影響が大きい。日本メーカーがベスト10に入っていないのは残念。

● ウェブサイト「EV Sales」の2020年1月から8月までの販売台数ランキングデータより引用。

● 販売台数のなかにはPHEV(プラグ・イン・ハイブリッド車)も含まれる

 

《アメリカ》

EVの世界シェアで断トツのトップを走るテスラが市場を牽引。シボレーのボルトEVは2021年に次期モデルが登場する予定だ。

 

【No.1】世界シェアでトップを走る気鋭のEVメーカー

テスラ

起業家イーロン・マスクを中心に「自分たちが乗りたいカッコいいエコカーを作ろう!」と一念発起。スポーツカー、セダン、SUVに続き手ごろなモデル3と、新車を連発中だ。

 

【No.2】転んでもタダでは起きない⁉ GM渾身のEVで巻き返す

シボレー

リーマンショックで倒産の憂き目にあったGMだが、政府から低利の融資を受けて電池とEVのボルトを開発。高級車ブランドのキャデラックでも、2023年にEVを発売予定だ。

 

《アジア》

政府の援助を受けられるなどEVの開発環境が整えられた中国は、多くのメーカーが参入。元々は電池メーカーなど、異業種企業も多い。

 

【No.1】商用EVのトップメーカーから乗用車へも進出

比亜迪汽車(中国)

電池メーカーとして創業し、EVメーカーを買収。いまEV商用車では世界一だ。アウディからデザイナーを招聘し、王朝シリーズで乗用EVにも進出。トヨタとの合弁も開始した。

 

【No.2】洗練されたデザインを武器に欧米市場への進出を目論む

広州汽車(中国)

2025年までに全車種をEV化すると宣言。心臓部には日本電産製モーターを積むeAxleを搭載し、スタイリングは欧州高級車メーカーから引き抜いてきたデザイナーが担当する。

 

【No.3】年内上場を目指す注目のEVスタートアップ

威馬汽車(中国)

コネクテッド・カーや購入後のアフターサービスなどをウリにした“スマートカー”として話題。「中国版Google Map」を提供する百度と手を組んで、自動運転や車載AIも提供する。

 

【No.4】中国版イーロン・マスクが起こしたEVメーカー

上海蔚来汽車(中国)

中国経済界の若手カリスマであるウィリアム・リー氏が創業。大気汚染を解決しようと、「青空の訪れ」を意味する「蔚来」を社名にした。自社工場を持たず、SUVのES8を委託生産。

 

【No.5】自社生産と提携を使い分け世界への販路拡大を続ける

上海汽車(中国)

第一汽車、東風汽車と並び、中国の三大自動車メーカーのひとつ。自社での生産も手掛ける一方、他国の企業と提携を結び拡大。イギリスの名門ブランドMGのEVをフランスで発売した。

 

【No.6】委託生産の依頼や出資と共に自社EVも発売する多様な戦略

長安汽車(中国)

今後10年で27車種ものEVを発売すると意気込む。自社ブランドを拡大すると同時にEVメーカーの蔚来に生産を委託したり、愛馳に出資したりと、多様なEV戦略を目論む。

 

【No.7】ボルボの親会社はEV専用ブランドも立ち上げた

吉利汽車(中国)

中国系大手であり、ボルボの親会社であり、ダイムラーの大株主。EV専用ブランド「ジオメトリ」を設立し、テスラのモデル3をライバルと目論む小型セダン、Aを発表した。

 

【No.8】EVのラインナップを拡充し自動運転技術も磨く

ヒュンダイ(韓国)

コンパクトハッチ・コナのEV版の登場に続き、SUVの45を発売予定。3月にジョイスティックで操作し、自動運転への切り替えも可能なコンセプト「Prophecy」を発表した。

 

《日本》

日産と三菱が日本のEVを牽引してきたが、ホンダとマツダも参入。日産は新型アリアの販売を予定し、やっちゃえシェア獲得となるか。

 

【No.1】ハイブリッド王国ニッポンでピュアEVの道を突っ走る

日産自動車

世界に名だたる“ハイブリッド王国”であるニッポンだが、日産は一貫してEV開発を貫いている。リーフは2017年に2世代目となり、なんと累計50万台(!)を販売している。

 

【No.2】小さいながらもグローバルでEVを展開

三菱自動車

EV開発の歴史は1960年代から。早朝の新聞配達に静かなクルマが欲しいと考えた結果、EVを開発することになったという。コツコツと開発を続け、2009年に世界初の量産EVを発売。

 

【No.3】電気駆動になってもホンダ独自の走りの魅力は健在

本田技研工業

電気の時代においても、ホンダは走って楽しいクルマを作ることを重視している。Honda eでは、走行距離を200㎞と割り切りつつ、コンパクトでキビキビ走るモデルに仕立てている。

 

【No.4】クリーンディーゼルだけじゃない EVにもしっかり着手

マツダ

昨今のマツダはクリーンディーゼルが有名だが、電動化にも着手している。第1弾となるMX-30はヨーロッパで販売開始。日本では2021年にリース形式での販売を開始する予定だ。

 

《ヨーロッパ》

EU各国でCO2排出規制が発出されたことで、続々とEVが登場。目標年度を定めてEVへシフトするメーカーも多く、その動きに注目だ。

 

【No.1】EVでも最善の性能と快適性を提供する

メルセデス・ベンツ(ドイツ)

「最善か無か」を旨とするメルセデス・ベンツだけに、EVでも高性能かつ快適なクルマを開発する姿勢を崩さない。EQCでは、パワフルなモーターと自社製電池を搭載している。

 

【No.2】次世代に向けてイチから刷新したEVを開発

BMW(ドイツ)

バイエルン・エンジン製作所を略した社名のBMW。徹底したエンジン屋のBMWがイチから刷新したEVブランドのiでは、EV特有の気持ち良い走りをBMW流に仕立てている。

 

【No.3】壮大な販売目標を揚げてEV市場の席巻を狙う

フォルクスワーゲン(ドイツ)

2025年までに300万台のEVを販売するという意欲的な目標を掲げるフォルクスワーゲンは、続々とEVモデルを発売している。第1弾となるiD.3に続き、iD.4も発売されている。

 

【No.4】電動化を推し進める国の牽引役となるメーカー

プジョー(フランス)

国を挙げて電動化を推し進めるフランス。プジョーはその牽引役となっている。日本上陸を果たしたe-208では、パワフルなモーターと大容量電池を組み合わせた心臓部を持つ。

 

【No.5】日本にもEVがお目見えしEVの販売比率拡大を目指す

アウディ(ドイツ)

アウディの電動シリーズe-tron Sportbackが待望の日本上陸を果たした。さらにe-tron SUVが続く。2025年までに20車種のEVを発表し、40%のEV販売比率達成を目指している。

 

【No.6】欧州最多のEV販売台数を誇る

ルノー(フランス)

30万台のEV累計販売台数を誇るルノー。一番人気の小型車・ゾエは販売台数を伸ばしており、累計販売台数は10万台を超える。今年はカングーのEV版コンセプトモデルも発表。

 

【No.7】「あのポルシェが!」と世界を驚かせた

ポルシェ(ドイツ)

世界有数のスポーツカーブランドも、量産EVであるタイカンを発売。最高250km/h、0-100km/h加速2.8秒というハイパフォーマンスを誇る。2021年モデルも欧州で発表された。

 

【No.8】レースで鍛えたEVの技術を量産モデルにも投入する

ジャガー(イギリス)

F1のEV版であるフォーミュラーEに参戦しているジャガー。量産EVでもI-PACEを発売した。最大696Nmもの大トルクを発揮するモーターによって、スポーティな走りを実現する。

今年は208やルーテシアが入ってきたので「欧州コンパクトカー」Best 5を決めてみた

2020年は7月にプジョーの208が、11月にルノーのルーテシアが導入されるなど、ヨーロッパのコンパクトカーの主力モデルが相次いで上陸。都市部の石畳、山岳路、そして高速道路と、ヨーロッパの道はかなりシビアだ。そんな環境で生まれ鍛えられたヨーロッパのコンパクトカーのなかから、気になる3台をそれぞれチョイス。プロたちがナットクした珠玉の5台がコレだ!

※本稿は「GetNavi」 2021年2月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【採点した人】

5人それぞれで1位から3位を選出。1位10点、2位7点、3位5点のポイントとし、獲得ポイントの合計で1位から5位までの順位を決定した。

岡本幸一郎さん(モータージャーナリスト):若いころにはホットハッチを乗り継いだことも。世界のあらゆるカテゴリーのクルマを網羅し豊富な知識を持つ。

清水草一さん(モータージャーナリスト):生涯購入したクルマは合計50台。フェラーリのみならず、使い勝手が良く走りの楽しい小型車も愛する。

安藤修也さん(自動車ライター):モーター誌をはじめ、一般誌、マンガ雑誌などで手広く活動中。数年前に欧州の道路を1000km走破した経験を持つ。

塚田勝弘さん(自動車ライター):フリーランスとして新車、カー用品を中心に執筆・編集に携わって約16年。元・GetNavi本誌のクルマ担当。

上岡 篤(GetNavi本誌クルマ担当):小気味良く走るヨーロッパのコンパクトカーは大好き。最近は乗ることが少なくなったMT車を渇望している。

 

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【第5位】★獲得ポイント:10

 乗った人を必ず魅了するゴーカートフィーリング

MINI MINI 3ドア

267万円〜470万円

意のままに操ることが可能なワイドトレッドやショートオーバーハングが魅力の、MINIの伝統を最も良く受け継いでいる3ドアモデル。アプリを通じて広がるMINI Connectedの採用など、伝統のなかにも革新が宿っている。

SPEC【COOPER S】●全長×全幅×全高:3860×1725×1430mm●車両重量:1270kg●パワーユニット:1998cc直列4気筒●最高出力:192PS/5000rpm●最大トルク:28.5kg-m/1350〜4600rpm●WLTCモード燃費:14.5km/L

【ポイント内訳】安藤修也 3位(5ポイント)/岡本幸一郎 3位(5ポイント)

 

普遍的なアイコンだが一番の魅力は走りにあり

MINIの代名詞にもなっている「ゴーカートフィーリング」という言葉がある。乗車位置が低いため、まるでゴーカートのように路面の状況を克明に感じ取れるリアリティのある乗り味。そして、ボディ四隅にタイヤが配置されていることで、キビキビとした軽快な操舵フィーリングが味わえる。誰もが一度は欲しいと思うクルマだが、支持される理由はキュートなルックスだけではない。実際に運転してみるとそれが間違いだと気づく。そう、このクルマはなにより走りが楽しいのだ。(安藤)

↑COOPER S搭載の1998cc直噴ターボエンジン。余裕あるパワーとトルクでパワフルな走りを実現する

 

【第4位】獲得ポイント:17

まるでレーシングカー!? これぞ羊の皮をかぶった狼

フォルクスワーゲン ポロ GTI

386万円

ラジエーターグリルやブレーキキャリパーの赤色が特徴のポロGTI。力強い走りを生み出す2.0Lの直噴ターボエンジンのパワーを6速DSGトランスミッションが受け止めて最適な駆動力を発揮し、快適な走行を実現する。

SPEC●全長×全幅×全高:4075×1750×1440mm●車両重量:1290kg●パワーユニット:1984cc直列4気筒+ターボ●最高出力:200PS/4400〜6000rpm●最大トルク:32.6kg-m/1500〜4350rpm●JC08モード燃費:16.8km/L

【ポイント内訳】清水草一 1位(10ポイント)/上岡 篤     2位(7ポイント)

 

2リッターターボの気持ち良さにビックリ仰天

ポロGTIには本当に驚いた。2.0Lとそれほど大きな排気量でもないエンジンが、まさかこんなに気持ちイイなんて〜! アクセルを床まで踏み込むと、まるでレーシングカーのようなサウンドがあぁぁ〜〜〜〜! 実際にはそれほど速くありませんけどね、運転の楽しさは天下一品! それでいてボディはポロそのものなので、同社のゴルフよりもコンパクトで取り回しが良くて室内の広さもちょうどいい。まさに欧州コンパクトカーの王道ですな! これに乗っときゃ間違いないぜ。(清水)

↑ノーマルに加えエコ、スポーツ、カスタムの各モードを選択可能。ステアリング、エンジン特性も変更される

 

【第3位】獲得ポイント:19

パワフルさとサウンドはフィアット500とは別モノだ!

ABARTH アバルト

595 300万円〜400万円

フィアット500をベースに、強烈なパワーを生み出す1368cc直列4気筒ターボエンジンを搭載したホットハッチ。しっかりと固められた足周りやホールド感が高い専用のシートにより、スポーツ走行の楽しさを実感できる。

SPEC【コンペティツィオーネ・5MT】●全長×全幅×全高:3660×1625×1505mm●車両重量:1120kg●パワーユニット:1368cc直列4気筒+ターボ●最高出力:180PS/5500rpm●最大トルク:23.5kg-m/2000rpm(スポーツモード時25.5kg-m/3000rpm)●JC08モード燃費:13.1km/L

【ポイント内訳】安藤修也 2位(7ポイント)/塚田勝弘 2位(7ポイント)/上岡 篤 3位(5ポイント)

 

スポーツモードON時の圧倒的なトルクは強烈!

ナリはフィアット500だが、その中身はまったくの別モノであるアバルト。エンジンに火を入れればブロロンッ! とうなる覚醒的なサウンドに心躍らされる。圧巻は、スポーツモードボタンをONにした瞬間。メーターのグラフィックが変化し、過給圧計のSPORTの文字が点灯。数値はノーマル時と比較して2.0kg-mのアップでしかないが、トルクは圧倒的に異なる。街なかで似合うのはフィアット500だが、ワインディングロードを駆け抜けるなら断然アバルトである。(上岡)

↑インパネのSPORTボタン。押すとスポーツモードに切り替わり、数値以上のトルク感アップを実感できる

 

【第2位】獲得ポイント:22

クラスを超えた中身が光る実力派フレンチコンパクト

ルノー ルーテシア

236万9000円〜276万9000円

力強くスポーティで、シャープな印象を与えるフロント部を中心に優美なデザインを実現した新生ルーテシア。手に触れるインテリアの多くにソフトパッドを使用し、上質さと滑らかな触感をもたらしている。

SPEC【インテンス テックパック】●全長×全幅×全高:4075×1725×1470mm●車両重量:1200kg●パワーユニット:1333cc直列4気筒+ターボ●最高出力:131PS/5000rpm●最大トルク:24.5kg-m/1600rpm●WLTCモード燃費:17.0km/L

【ポイント内訳】岡本幸一郎 1位(10ポイント)/清水草一 2位(7ポイント)/塚田勝弘 3位(5ポイント)

 

前作のRSを凌ぐ動力性能で速さはホットハッチ並み

見た目も中身もクラスを超えた1台。内装では本革シートやソフトパッドまで採用し、前後席も十分に広く、391Lを確保する荷室容量など実用性にも優れる。

 

日産や三菱とのアライアンスに基づいた新規プラットフォームによる走りは軽快で快適。それにメルセデスを加えた仲で開発されたエンジンは1.3Lながら相当に速い。静粛性も高く、乗りやすくて快適なうえ、刺激的な走りを楽しめるのだから思わず感心してしまう。日産のプロパイロットにルノー独自の制御を盛り込んだという先進運転支援装備も充実している。 ユニークなデザインに加えて優れた要素を身に付けた、超実力派のフレンチコンパクトだ。(岡本)

↑低回転域から24.5㎏-mの最大トルクを発生させる直噴ターボエンジン。余裕のある走りを実現している

 

↑運転モードが選択できる「ルノー・マルチセンス」。エンジンの出力特性やステアリングフィールも変更可能だ

 

 

【第1位】獲得ポイント:32

街なかでの小気味良さと高速域の安定性を備えた傑作

プジョー 208

239万9000円〜423万円

躍動感のあるフォルムに、3本爪のモチーフを前後ライトに採用したスポーティな外観、新世代の「i-Cockpit」を採用した内装が目を引く。衝突被害軽減ブレーキやアダプティブクルーズコントロールなどの先進装備も充実。

SPEC【208 GT Line】●全長×全幅×全高:4095×1745×1465mm●車両重量:1170kg●パワーユニット:1199cc直列3気筒+ターボ●最高出力:100PS/5500rpm●最大トルク:20.9kg-m/1750rpm●WLTCモード燃費:17.0km/L

【ポイント内訳】塚田勝弘 1位(10ポイント)/上岡 篤 1位(10ポイント)/岡本幸一郎 2位(7ポイント)/清水草一 3位(5ポイント)

 

昔の“猫足”ではなくても木綿豆腐のようなしなやかさ

新型208は、Bセグメントで現在ベストといえる走りを堪能できる。小径ステアリングもあってフットワークは軽快そのもので、高速域の安定性も兼ね備えている。交差点ひとつ曲がっただけで楽しいと思える味付けを濃厚に感じさせながら、ボディはあくまでミシリともいわずしっかりしたものだ。

 

208も含めて最近のプジョーは、“猫足”と表現された昔のしなやかな乗り味一辺倒ではないが、以前のドイツ車へのコンプレックスを感じさせた硬さもない。100PS/20.9kg-mの1.2Lターボは数値以上に力強く感じるし、トルコン付のATはダイレクト感のある変速マナーで、楽しさとスムーズさを兼ね備えている。(塚田)

↑PSAグループ最新の「CMP」を採用。軽量化や、空力性能の向上、駆動系や足周りの転がり抵抗の低減を叶える

 

↑「インターナショナルエンジンオブザイヤー」に5年連続で選出。燃費も改善し、WLTCモードは17.0km/L

 

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SUV界のバランスを変えるか!? VWがクロスオーバーSUV「T-Roc」を解説

2020年7月15日、ついにフォルクスワーゲン(VW)のクロスオーバーSUV新型「T-Roc(ティーロック)」が発表となりました。世界的な新型コロナ禍によるロックダウンなどがあり、当初の計画より遅れての発表です。

ステージ上にはVWの新ロゴと4グレードのT-Rocが置かれ、ティル・シェアCEOのプレゼンテーションが始まりました。「T-Rocの登場によって、VWのSUVラインナップが完成となりました。T-RocはクロスオーバーSUVの新機軸となっていくものだと考えています。日本のSUVマーケットの約3/4を占めるのがスモール/コンパクトセグメントであり、VWとしてもそこに焦点をあてました」。

↑シンプルに整理されたVW新ロゴを使用しての新車発表は今回が初となりました

 

「VWのSUV3兄弟の一番大きな『ティグアン』は2017年にデビューし、ラインナップの80%がクリーンディーゼルである「TDI」となっています。それにより、今回のT-Rocでもクリーンディーゼル車とすることに決めました。また、これまでのVWのお客様と新たなお客様の双方に満足してもらえるよう、ダイナミックで多才なSUVとコンパクトで俊敏なハッチバックの長所を組み合わせています。もちろん、そのハッチバックというのは世界のハッチバックのベンチマークとなっている「ゴルフ」に他なりません。そして、T-Rocでは4つのグレードを設け幅広いニーズにお応えします」と、ティル・シェアCEOは語りました。

↑日本のSUVマーケットの状況。約75%がスモール、コンパクトSUVとのこと。T-RocはVWのSUV「T-Cross」と「Tiguan」の間に当てはまるボディサイズです

 

さらに「全長4240mm(TDI R Lineは4250mm)、全幅1825mm、全高1590mm、ホイールベースが2590mmとなり、最小回転半径が5.0mとなっています。まさに日本の道路に『丁度いい』という印象を持ってもらえるでしょう。SUVならではの高い着座位置と広い視界の快適さを味わってみて下さい。きっとその安心感を感じてもらえると思います」と、ティル・シェアCEOは続けました。自信に満ちたCEOのプレゼンテーションのあとは、もう少し近寄ってT-Rocを見てみましょう。

↑左からT-Roc「TDI Sport」、「TDI Style Design Package」、「TDI R-Line」。All My T-Roc! VW新ロゴと共に

 

T-Rocの4つの特徴【その1】エクステリアデザイン&ボディカラー

ヘッドライトと一体となったフロントグリルやヘッドライトの下にLEDのデイタイムライトを装備したフロントデザインは、T-Rocの特徴のひとつ。大型エアインテークとアンダーボディガード、リアディフューザーによりSUVらしい力強さを表現し、クロームのウィンドウトリムはロングルーフの流麗なクーペをイメージ。さらにツートンのボディカラーでは全高を低く見せる視覚的効果を生み、スポーティな印象を与えます。T-Rocは、オンでもオフでもスタイリッシュに乗ることができるデザインが魅力でしょう。

↑都会的に洗練されたT-Rocのスタイリッシュなデザイン。独特の形状のバンパーをもつTDI R LINEのみ、全長が10mm長くなります

  

↑TDI SportのLEDヘッドライト

 

↑LEDデイタイムランニングライト

 

↑流麗な曲線を描くリアビュー。TDI R-Lineグレードでは専用のフロント&リアバンパー、サイドスカート、リアスポイラーを装着しています

 

用意されているグレードはTDI Style、TDI Style Design Package、TDI Sport、TDI R-Lineの4つ。

↑ベーシックなTDI Style

 

↑ホワイト/ブラックのルーフカラーを選べるTDI Style Design Package

 

↑18インチアルミホイールの採用などスポーティグレードのTDI Sport

 

↑19インチアルミホイールに加え、アダプティブシャシーコントロールによる乗り心地調整機能を備えたTDI R-Line

 

ボディカラーは9色の基本バリエーションがあるだけでなく、グレードによってはブラック、ホワイトのルーフカラーを追加料金なしで選択することができます。2トーンボディはVWのSUVでは初めての採用となり、ポップな色合い、シックな色合いが用意されていて、色を選ぶ楽しみも味わうことができます。

↑カラーバリエーションの基本は9色。それに加えグレードによっては、ホワイトかブラックのルーフカラーが選べます

 

T-Rocの4つの特徴【その2】Golf以上のユーティリティ

インテリアは2590mmのロングホイールベースを活かし、乗員5人に対し十分な室内空間を提供。各種メーター類を水平に配置することで、運転中の視線移動を少なく自然に行えるよう設計されています。また、VW純正インフォテインメントシステムの「ディスカバープロ」とデジタルメータークラスター「アクティブインフォディスプレイ」により、インテリアの洗練度がアップ! ハンドル右のスポーク部にあるボタンで、アクティブインフォディスプレイに表示する情報を選択できます。メーター、カーナビ、車両の情報などをあらかじめ設定することで欲しい情報が見やすい場所に表示できるのです。

↑ステアリングホイールの右スポーク部分にファンクション切り替えスイッチがあります

 

↑アクティブインフォディスプレイに車両情報とナビを映したところ

 

↑スピードメーター、タコメーターとカーナビの画面を同時に表示できます

 

TDI Design Packageではエクステリアデザインに合わせ、ブルー、イエローのインテリアカラーを選ぶことが可能です。同色のデコラティブパネル、シートのステッチが与えられます。

↑イエローのデコラティブパネルを装着したTDI Design Package

 

ラゲッジスペースの容量は5人乗車時で445L。後席をすべて折り畳んだ時には最大1290Lと、このクラストップレベルの容量となります。ちなみに、その容量は同社のゴルフ以上。

↑たっぷりの収納力を発揮し、オンタイムもオフタイムも充実させます

 

通常時はラゲッジスペースが少々上げ底になっていますが、リアシートを畳んだ時にフロアがフルフラットになります。さらに、フロアを低く下げるとリアシートを倒さなくてもラゲッジスペースがたっぷりと増えます。デイリーユースはもとより、週末に家族や仲間と共に出かける時にも充分なラゲッジスペースが用意されているのです。

↑リアシートを倒した時は、ラゲッジスペースのフロアを上げ底状にするとフラットな荷室となります

 

↑5人乗車時でもラゲッジルームの床を一段下げればこれだけの収納できます

 

T-Rocの4つの特徴【その3】ドライバビリティ

そして3つめの特徴は、走りです。高効率な4気筒2L、TDIクリーンディーゼルエンジンによる走りは、ロングドライブも快適。エンジンの最高出力は110kW(150PS)/3500-4000rpm、最大トルクが340Nm(34.7kgm)/1750-3000rpmとなります。

 

最高出力、最大トルクの発生回転域が広く、クリーンディーゼルならではの余裕のある走りと高い経済性の両立をはかっています。組み合わされるトランスミッションは7速のDSGです。

↑クリーンディーゼル2.0L TDIエンジンと2.0L TDIエンジンの性能曲線

 

なお、燃料消費率はJCO8モードで19.5km/Lで、WLTCの高速道路モードでは21.0km/Lです。

 

T-Rocの4つの特徴【その4】全グレード標準の上位予防安全装備

最後、4つめの特徴は予防安全装備です。MQBプラットフォームにより、今まで上位機種に採用されている充実した予防安全装備が全グレードに用意されました。全車速追従機能付きACC(アダプティブクルーズコントロール)や、車線の逸脱防止などをサポートするLane Assist(レーンキープアシストシステム)を標準装備。これによって快適で安全な運転が実現しました。

 

近年では、車内の人の安全だけでなく、車外の人に対する「対人安全性」が重要視されています。VWでは歩行者などの人を検知するシステムにカメラではなくレーダーを用いて、雨や夜の視界の悪い時に人を見つけやすい特徴があります。このような上位機種に使用されていた安全装備がクラスを超えて充実しているのもT-Rocの特徴ですね。

↑ACC作動イメージ。上級車種と同等の予防安全装備が充実しています

 

いかがでしょう、オールマイティに使える丁度良いSUV。VW T-Rocのイメージは掴めたでしょうか? 平日は街での生活を豊かにしてくれるT-Roc。スポーティで都会的なデザイン、そのコンパクトなボディと日本の道でも扱いやすい操作性によって週末には街を出ることが楽しみになります。

 

気になる各グレードの販売価格(すべて税込)はTDI Styleが384万9000円、TDI Style Design Packageが405万9000円、TDI Sportが419万9000円、TDI R-Lineが453万9000円となります。

↑各グレード別の外観イメージ

 

 

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机上を走るティッシュ箱!? 「VWバス」のティッシュボックスでワーゲン愛が高まる~

クルマ型ギフトの販売を行うフェイスは、「VWバス ティッシュボックス ケースプラス」を発売中。カラーはレッド、ブルー、グリーン、クリームの4色展開で、同社直営Webショップ「CAMSHOP」で購入できます。

↑価格は3850円(税込)。商品サイズは266×113×119mmです

 

 

VWバス ティッシュボックス ケースプラスはティッシュを入れるだけでなく、いろいろな使い方を楽しめる商品にリニューアルしました。フロントにしっかりフォルクスワーゲンのマークが入り、フロントのライトも透明なパーツを使用したこだわりの仕様。リアライトも、パーツを使用し本物の感じを限りなく再現しています! しかもタイヤが回るので走らせることも可能ですよ。

↑VW T1バスモデルのティッシュボックスは簡単に取り外し可能です。袋型のティッシュ専用のティッシュケースとなっています

 

↑ペン立てや小物入れなど、いろんな用途に使えるカップホルダーも付属

 

↑食卓テーブルに置いてみたりするのもオシャレですね

 

↑本格的なラバーのタイヤにホイールもメッキ処理されてティッシュケースの範疇を超えています

 

かわいらしいデザインなので、家族や友人などへのプレゼントにも最適でしょう。

 

※こちらの商品は、箱なしティッシュ専用(袋タイプ)のティッシュボックスです。
推奨品:ハローソフトパックティッシュ195×205mm

 

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机上を走るティッシュ箱!? 「VWバス」のティッシュボックスでワーゲン愛が高まる~

クルマ型ギフトの販売を行うフェイスは、「VWバス ティッシュボックス ケースプラス」を発売中。カラーはレッド、ブルー、グリーン、クリームの4色展開で、同社直営Webショップ「CAMSHOP」で購入できます。

↑価格は3850円(税込)。商品サイズは266×113×119mmです

 

 

VWバス ティッシュボックス ケースプラスはティッシュを入れるだけでなく、いろいろな使い方を楽しめる商品にリニューアルしました。フロントにしっかりフォルクスワーゲンのマークが入り、フロントのライトも透明なパーツを使用したこだわりの仕様。リアライトも、パーツを使用し本物の感じを限りなく再現しています! しかもタイヤが回るので走らせることも可能ですよ。

↑VW T1バスモデルのティッシュボックスは簡単に取り外し可能です。袋型のティッシュ専用のティッシュケースとなっています

 

↑ペン立てや小物入れなど、いろんな用途に使えるカップホルダーも付属

 

↑食卓テーブルに置いてみたりするのもオシャレですね

 

↑本格的なラバーのタイヤにホイールもメッキ処理されてティッシュケースの範疇を超えています

 

かわいらしいデザインなので、家族や友人などへのプレゼントにも最適でしょう。

 

※こちらの商品は、箱なしティッシュ専用(袋タイプ)のティッシュボックスです。
推奨品:ハローソフトパックティッシュ195×205mm

 

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今月の乗ってよかったクルマ3台ーーCX-3に、クラリティPHEVに、ポロGTI

本記事では、プロが最近乗って良かったと思ったモデルを厳選して、コンパクトにお届けします。今回は、マツダのクロスオーバーSUV、CX-3の大幅改良モデルをフィーチャー。そのほか、ホンダの燃料電池車に追加されたプラグイン・ハイブリッドや、人気のフォルクスワーゲン ポロのスポーティモデルGTIと、多彩なラインナップを試乗して紹介します!

 

 

その1

エンジンを一新して快適な走りを手に入れた

マツダ CX-3

(SUV)

SPEC【XD Lパッケージ(4WD/AT)】●全長×全幅×全高:4275×1765×1550㎜●車両重量:1370㎏●パワーユニット:1756㏄直列4気筒DOHCディーゼル+ターボ●最高出力:116PS/4000rpm●最大トルク:27.5㎏-m/1600〜2600rpm●WLTCモード燃費:19.0㎞/ℓ

乗り心地が滑らかになりエンジンの力強さもアップ

CX-3は2015年に登場以来、早くも4回目のアップデートとなりました。今回の改良では初めて内外装のデザインをリニューアルしたことも話題となりましたが、注目したいのは何といってもエンジンが一新された点です。本車の主力となるディーゼルターボエンジンは、排気量1.5ℓから1.8ℓに拡大。さらに、昨年追加された2ℓガソリンエンジンも改良されています。足まわりの仕様変更、専用タイヤの採用、シート構造の見直しなどもあり、より快適な走りを手に入れました。

 

今回は、ディーゼルとガソリンの両方に試乗しましたが、いずれも従来モデルからの進化を実感できました。乗り心地は格段に滑らかになり、エンジンは日常域における力強さが大幅にアップしています。また、フロント/リアドアの外板や、リアドアガラスを厚くしたことで、静粛性を高めたのも好印象。スタイリッシュな外観のクルマという印象が強かったCX–3は、走りの質感と快適性が向上して、一層魅力的なモデルとなりました。

 

【注目ポイント01】操縦性はスポーティ

新開発タイヤの採用や足回りの仕様変更などの効果で、従来モデルと比べて乗り心地が格段に滑らかになりました。その一方で、持ち前のスポーティな操縦性は損なわれていません。

 

【注目ポイント02】質感も使い勝手も向上

室内では、前席の構造材が変更されたほか、パーキングブレーキを電動化したことでセンターコンソールのデザインを一新。質感に加えて使い勝手も向上しています。

 

【注目ポイント03】ディーゼルは1.8ℓターボに

ディーゼルエンジン(上)は、実用燃費の向上を図り1.8ℓに拡大。2ℓガソリン(下)も燃焼室や冷却まわりなど、細部を磨いて全域のトルク向上と燃費改善を実現しました。

 

 

その2

EV航続距離はPHEVのなかでもトップ

ホンダ

クラリティ PHEV

(セダン)

SPEC【EX】●全長×全幅×全高:4915×1875×1480㎜●車両重量:1850㎏●パワーユニット:1496㏄直列4気筒DOHC+モーター●エンジン最高出力:105PS/5500rpm●エンジン最大トルク:13.7㎏-m/5000rpm●モーター最高出力:184PS/5000〜6000rpm●モーター最大トルク:32.1㎏-m/0〜2000rpm●WLTCモード燃費:24.2㎞/ℓ●EV航続距離:101㎞

 

FCV仕様をはるかに凌ぐユーザビリティを獲得した

珍しいFCV(燃料電池車)として知られるホンダ クラリティに、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)仕様が追加されました。そのシステムはガソリンエンジンに電気モーター、総電力量17kWhのバッテリーを組み合わせたものですが、最大の魅力はEV走行時の“アシの長さ”。JC08モードよりリアルに近いとされるWLTCモードで101㎞という航続距離は、数あるPHEVのなかでもトップの性能なのです。

 

実際に試乗すると、満充電時のEV走行はやはり最高でした。日常的な使用環境ならエンジンの出番はなく、室内は常に静粛。水素充填の不便さが否めないFCVに対して、本車が大きなメリットを持つことは間違いありません。

 

【注目ポイント01】室内はくつろぎ感をアピール

充電&給油口の開閉スイッチが3つもあるのはPHEVならではですが、室内の作りは基本的にFCVと同じ。バッテリーは床下に搭載されるが、室内空間の広さは十分です。

 

【注目ポイント02】容量はFCVより大幅にアップ

FCV仕様は巨大な水素タンクにスペースを取られてしまいますが、PHEVでは512ℓもの荷室容量を実現。後席が分割可倒式となるため、長尺な荷物の積載も可能です。

 

 

その3

パワフルな走りは“ホットハッチ”に相応しい

フォルクスワーゲン ポロ GTI

(ハッチバック)

SPEC●全長×全幅×全高:4075×1750×1440㎜●車両重量:1290㎏●パワーユニット:1984㏄直列4気筒DOHC+ターボ●最高出力:200PS/4400〜6000rpm●最大トルク:32.6㎏-m/1500〜4350rpm●JC08モード燃費:16.1㎞/ℓ

 

ボディサイズに見合わない重厚な乗り心地を味わえた

フォルクスワーゲンの高性能なスポーツモデルに与えられる伝統ある称号「GTI」を冠したポロが、日本に上陸しました。エンジンはゴルフGTIと共通の2ℓターボを採用し、最高200馬力&最高トルク32.6㎏-mのパワーを備えています。全長約4mのコンパクトボディでこれを実現したのは圧巻で、“ホットハッチ”に相応しい性能でしょう。

 

パワフルではあるものの、ドライビングフィールに粗さはありません。わずか1500rpmで最大トルクに到達するエンジンは、日常域での扱いやすさも感じさせました。引き締まった乗り心地は上々で、ボディサイズに見合わない重厚感をも味わえるほど。速いだけでなく、ちょっと贅沢なコンパクトカーとして、オススメしたい一台です。

 

【注目ポイント01】エンジンはゴルフ譲りの2ℓ

ポロGTIで初採用となる2ℓターボエンジンは、ゴルフ用がベース。先代に対して出力が8馬力、トルクは7.1㎏-m向上しています。ミッションはツインクラッチの新世代ATです。

 

【注目ポイント02】チェック柄シートなどを継承

GTIの伝統でもあるチェック柄のシートファブリックや、トリムパネルをはじめとするレッドのアクセントで、室内はスポーティな装いになります。快適装備も充実しています。

 

文/小野泰治 写真/宮門秀行

100万円台のVW車は本当にお得か? 「クルマ&カー用品」4製品をプロが○×チェック

価格が安い、安すぎてちょっと心配になってしまうくらいの格安アイテムを、プロ・専門家が徹底的にチェック! 独自機能やおすすめポイントなど、良いところも悪いところも含めて惜しみなくレビューをお伝えしていきます。

 

クルマというとどうしてもハードルの高い買い物と思いがちですが、今ではデザインと実用性にこだわった国産ミニバンと、上質なスタイリングと走りを両立する輸入ハッチバックはいずれもU-200万円と、意外とお手ごろな価格で手に入ります。話題のドラレコや電アシも含めて、専門家がシビアに〇✕判定しました。

 

【○×判定した人】

クルマ編集・ライター 安藤修也さん

元ゲットナビ編集部員。スーパーカーから軽自動車まで、幅広いジャンルのクルマに日々触れています。

軽より少し高いだけの価格ではるかに凌ぐ満足度を得る

近年の新車ランキング上位で多くを占めるのは軽自動車ですが、人気の理由はもちろんコスパの高さ。車両価格が安いだけでなく、燃料代や税金、保険料などの維持費も普通車に比べてリーズナブルです。

 

とはいえ、高速道路を走行するときなどは、軽自動車ののんびりとした加速感に不満を感じる人も多い。また、ボディ剛性にはどうしても不安が残る。これらを解消するためにターボエンジン搭載グレードを選んだり、安全装備をオプションで付けたりすると価格が大きく跳ね上がり、結局200万円を超えてしまうこともままあります。

 

ここで紹介するトヨタ シエンタとフォルクスワーゲン up!は、いずれも普通車ながらエントリーグレードなら100万円台で購入できる。前者は、ミニバンらしからぬスポーティなデザインと3列シート7人乗り、後者はVWらしい質感の高いスタイリングと走りが特徴です。最近の軽自動車は、全体に性能が高められているのも事実。とはいえ、それらに少し上乗せした価格で、はるかに凌ぐ満足度を手に入れられるクルマとしてオススメしたい。

 

【その1 トヨタ シエンタの場合】

スポーティなコンパクトボディに余裕のある3列シートを搭載

トヨタ

シエンタ

168万9709円〜

「ユニバーサルでクールなトヨタ最小ミニバン」をコンセプトとし、従来の“ハコ型”イメージを覆すスポーティな外観が特徴。小型ながら3列目までゆとりある室内空間や、高齢者や子どもにやさしい乗降性も備えています。SPEC【X“Vパッケージ”・FF】●全長×全幅×全高:4235×1695×1675㎜●車両重量:1310㎏●パワーユニット:1496cc直列4気筒DOHCエンジン●最高出力:109PS(80kW)/6000rpm●乗車定員:7人●JC08モード燃費:20.6㎞/ℓ

 

↑後方に絞ったキャビンと、コーナーが張り出したアンダーボディが特徴のリアデザイン。安定感のあるスタンスです

 

【Check!】

デザイン:〇

有機的でシトロエンのよう!

「まるでシトロエンのような有機的なデザインは、ミニバンのイメージとは一線を画します。カラーリングもアバンギャルド!」

 

走り:×

走りは凡庸だが燃費性能は高い

「走りは凡庸で高速走行には向きません。ただ、街乗りがメインなら問題なく、ハイブリッドでもガソリンでも燃費性能は◎」

 

快適性:〇

3列目シートは床下収納式

「このコンパクトボディに3列シートを収めたのは素晴らしい。3列目は床下収納式で、使わないときは室内をかなり広く使えます」

 

総評

「デザインに面白みの欠けるミニバンのなかではユニークな存在。最もリーズナブルな価格で買える7人乗りカーとして高く評価したいです」

【その2 フォルクスワーゲン up!の場合】

VWのエントリーモデルながら質感の高いスタイリングが魅力

ハッチバック

フォルクスワーゲン up!

159万9000円〜

スタイリッシュなデザインが人気の小型ハッチバック。軽自動車よりひと回り大きいほどのサイズで、大人4人が無理なく乗れる室内スペースを確保します。ユーロNCAPで最高評価5つ星の安全性能も魅力。SPEC【move up! 2ドア】●全長×全幅×全高:3610×1650×1495㎜●車両重量:930㎏●パワーユニット:999㏄直列3気筒DOHCエンジン●最高出力:75PS(50kW)/6200rpm●乗車定員:4人●JC08モード燃費:22.0㎞/ℓ

 

【Check!】

内外装の質感:〇

上質かつポップなスタイリングが魅力

「エントリーモデルといえども、内外装は輸入車らしく質感高い仕上がり。ドライバーを選ばないポップなスタイリングも魅力的です」

 

走り:〇

路面に吸いつくように走る!

「同クラスの国産車と比べて、シャーシ性能がかなり高いです。運転操作にリニアに反応するだけでなく、路面に吸いつくように走ります」

 

パワーユニット:×

パワーは物足りなさを感じる

「1ℓ3気筒エンジンに5速ASG(セミAT)の組み合わせ。先代からギクシャク感は改良されましたが、パワーに物足りなさを感じることも」

 

総評

「200万円以下で買える輸入車が少ないなか、本車はかなり割安感あり。トランスミッションも改善され、普通に乗れる良いクルマとなりました」

 

 

【その3 オウルテックのドライブレコーダーの場合】

証拠映像に使うのは厳しいが基本性能は必要十分

オウルテック

OWL-DR05-BK

実売価格6790円

W71×H69×D31㎜の小型サイズながら、視認性が高い2.4インチTFT液晶モニターを搭載。画質はHD/30fpsですが、LED信号対策や、地デジ放送受信時に影響を及ぼさないノイズ低減など、基本性能を押さえています。

 

【Check!】

操作性:〇

物理ボタンの操作が快適

「タッチ操作には非対応ですが、画面下部にまとめられた物理ボタンによる操作は快適。ボタンピッチも適度で誤操作が少なくなります」

 

画質:×

細かい文字は視認しづらい

「HD画質のため解像感は低く、ナンバープレートなどは読み取れないことも。サイズのわりに画面が大きくて見やすいのは好印象でした」

 

機能性:○

車上荒らしなども録画できる

「モーションセンサーが動くものを検知すると、自動で録画がスタート。いざというときの録り逃しを防げます」

 

総評

「画質の粗さやGPS非搭載など“省略点”は多いものの、ドラレコとしての機能性は及第点。『とりあえず付けたい』という人にオススメです」

 

 

【その4 電動アシスト自転車の場合】

各パーツにこだわって快適な走りを実現

21Technology

DA246

実売価格5万4800円

3段階のアシストモードを搭載し、走行環境によって使い分けて節電可能。CST製の高品質タイヤや、軽量アルミクランク、肉厚のU字型サドルなど、一つひとつのパーツにこだわった。カラバリは4色を用意します。

 

【Check!】

乗り心地:〇

シフトチェンジが滑らか

「シマノ製6段変速ギアが、滑らかなシフトチェンジを実現。街乗りなら快適な走りを楽しめます。グリップシフターもシマノ製です」

 

アシスト力:〇

バッテリーは小型でも高性能

「最新ではないものの、小型軽量のパナソニック製リチウムイオンバッテリーを採用。約3.5時間の充電で最長約60㎞走行可能です」

 

デザイン:×

ママチャリ感は否めない

「いかにもママチャリなデザイン。スーツスタイルでのライドも訴求していますが、スタイリッシュではないです」

 

総評

「子どもの送り迎えや買い物時などに乗る、実用車としての用途なら十分な性能。一般的な電アシの半額程度と考えればかなりお買い得に思えます」

 

 

【1分解説】満を持して登場!「フォルクスワーゲン パサートTDI」ってどんなクルマ?

注目モデルをコンパクトに紹介するこのコーナー。今回は期待されながらも導入が遅れてしまい、ついに日本に上陸したフォルクスワーゲン ポロをピックアップします。

 

力強い走りで「汚名返上」の切り札に

フォルクスワーゲン

パサートTDI

(セダン/ワゴン)

SPEC【ヴァリアント ハイライン】●全長×全幅×全高:4775×1830×1510㎜●車両重量:1610㎏●パワーユニット:1968㏄直列4気筒DOHCディーゼル+ターボ●最高出力:190PS/3500〜4000rpm●最大トルク:40.8㎏-m/1900〜3300rpm●カタログ燃費:20.6㎞/ℓ

長距離のドライブであるほど走りの性能を満喫できる

約3年前に発覚した「不正事件」により、フォルクスワーゲンのディーゼル車は著しく信頼を失ってしまいました。本来はもっと早いタイミングで日本へ導入されるはずだったパサートTDIは、最高水準の排ガス浄化システムを備えるユニットを搭載し、満を持して登場。強豪ひしめくディーゼル乗用車のなかで、色々な意味で注目度の高いモデルとなっています。

 

元々堅実な走りが魅力のパサートはディーゼルとの相性がピッタリで、トルク感や力強さは期待通りでした。試乗したのはワゴンタイプのヴァリアントでしたが、荷物を多く積んでの長距離ドライブほど同車の良さを満喫できるでしょう。「汚名返上」の切り札として、十分な説得力が感じられました。

 

【注目ポイント01ワゴンとセダンを用意

ワゴンボディのヴァリアント(写真)に加え、セダンも選択できます。その走りは実用域の扱いやすさと経済性の高さが持ち味。

 

【注目ポイント02内装もエンジンも快適

グレードはハイラインとエレガンスラインの2種。上級のハイラインはレザーシートを標準装備します(写真上)。2ℓディーゼルは快適な走りを実現(写真下)。

【1分解説】フォルクスワーゲン ポロの最新のやつってどんなクルマ?

注目モデルをコンパクトに紹介するこのコーナー。今回は輸入コンパクトハッチバックの注目車・フォルクスワーゲン ポロをピックアップします。

 

スモールカーの“お手本”がさらに進化

 

フォルクスワーゲン

ポロ

SPEC【1.0TSIハイライン】●全長×全幅×全高:4060×1750×1450㎜●車両重量:1160㎏●パワーユニット:999㏄直列3気筒DOHC+ターボ●最高出力:95PS/5000〜5500rpm●最大トルク:17.9㎏-m/2000〜3500rpm●カタログ燃費:19.1㎞/ℓ

 

小さなクルマだと忘れるほど走りの質感が大きく向上!

ポロは初代が1975年に登場して以来、これまでに1400万台以上が生産されている世界的なヒットカー。約8年ぶりのモデルチェンジとなった6代目にあたる新型は、フォルクスワーゲンが「MQB」と呼ぶ新世代骨格を採用。このクラスの〝お手本〟といわれてきた作りが格段に進化しています。

 

ボディは先代よりひと回り大型化。日本では3ナンバー扱いになりますが、そのぶん室内空間、特に後席や荷室は劇的に広くなりました。また、ゴルフでも採用されている新しい骨格は、走りの質感の向上にも大きく貢献。ドイツ車らしい剛性感の高さやフラットな乗り心地は、小さなクルマに乗っていることを忘れさせるほどの出来映えです。

 

エンジンは1ℓターボで、組み合わせるギアボックスは新世代ATの7速DCT。動力性能は必要にして十分ですが、静粛性が高いため日常域では扱いやすい。堅実かつ上質という新型のキャラクターにマッチする性能でした。

 

【注目ポイント01】荷室容量は大幅に拡大

荷室容量は後席を使用する際は351Lで、倒すと最大1125Lとなる。先代比でそれぞれ71L、173Lぶん拡大されました。

【注目ポイント02】運転支援システムも充実

駐車支援の「パークアシスト」(写真)や歩行者検知機能付きの衝突回避&被害軽減ブレーキなど、運転支援システムも充実。

 

【注目ポイント03】大型化しながらも外観はシャープで上質に

シャープなキャラクターラインが印象的な外観は、最新世代のフォルクスワーゲンらしく質感が高い。全長と全幅は先代比でそれぞれ65㎜拡大されました。

 

【注目ポイント04】装備はゴルフ並に充実

外観だけでなく室内の質感もハイレベルです。新世代のインフォテインメントシステムやテレマティクス機能を採用。装備の充実度は、兄貴分のゴルフに匹敵する水準になりました。

【1分でわかる】フォルクスワーゲンの新しい旗艦車「アルテオン」ってどんなクルマ?

本記事では、業界最注目のモデル、フォルクスワーゲンのフラッグシップ・アルテオンの魅力をコンパクトに紹介していきます。

 

VWの魅力を凝縮した旗艦モデル

 

フォルクスワーゲン・アルテオン

SPEC【Rライン4モーション】●全長×全幅×全高:4865×1875×1435㎜●車両重量:1700㎏●パワーユニット:1984㏄直列4気筒DOHC+ターボ●最高出力:280PS/5600〜6500rpm●最大トルク:35.7㎏-m/1700〜5600rpm●カタログ燃費:13.3㎞/リットル

 

【グレード&価格】

<Rライン4モーション>

エンジン:2.0リットル+ターボ/駆動方式:4WD/ミッション:7速DCT/価格:549万円

<Rライン4モーション・アドバンス>

エンジン:2.0リットル+ターボ/駆動方式:4WD/ミッション:7速DCT/価格:599万円

 

広くて快適な室内空間でプチ贅沢な気分を味わえる

フォルクスワーゲンの新フラッグシップ・アルテオンは、ボディ形態こそ5ドアハッチでしましたが、クーペ風4ドアとして位置づけられるモデル。パッと見ではそのスタイリングの良さが目を引くものの、実車に接してみると、むしろ実用性の高さが強く感じられました。

 

室内、特に後席はリムジンを彷彿させるほど広くて快適。プチラグジュアリーな気分を堪能できます。さらに、ワゴン級の広い荷室空間を備えるうえ、4WD駆動でスポーティな動力性能を実現するため、SUV的な乗り方も楽しめます。安全装備についても、最新モデルらしい充実ぶりで不足はありません。

 

「フォルクスワーゲンのいいところ、ぜんぶ。」とは本車のキャッチコピーですが、その謳い文句に偽りのない完成度です。

 

【注目ポイント01】荷室の容量はワゴンに匹敵

荷室容量は通常時でも563L。リアシートをたためば最大で1557Lに達する(数値はISO測定値)。この容量は、ミドル級のワゴンと比較しても遜色がないレベルです。

【注目ポイント02】クーペ風のスポーティな装い

フォルクスワーゲンでは、以前導入されていたパサートCCの後継に相当。リアにハッチゲートを持つ5ドアボディですが、外観はクーペ的なスポーティ仕立てとなりました。

 

【注目ポイント03】運転支援装備も最先端レベル

室内はスポーティなテイストでまとめられていますが、デジタルディスプレイなどのハイテク装備も充実。自動運転時代を予感させる運転支援システムも漏れなく装備します。

 

フォルクスワーゲン・ゴルフにマイクロハイブリッド仕様が登場

フォルクスワーゲンはこのほど、1.5リッター直4ターボエンジンにモーターを組み合わせたマイクロハイブリッドパワートレイン「1.5 TSI ACT BlueMotion」を現行型のゴルフに搭載したと発表した。

1.5リッター直4ターボエンジンは、高性能スポーツカーに搭載するターボチャージャー「VTG(ヴァリアブル・タービン・ジオメトリー)」を採用、130psを発揮する。トランスミッションは7速デュアルクラッチのDSGを組み合わせる。

その一方で、130km/hまでの車速、1400〜4000rpmまでの回転域で作動する気筒休止機構(2気筒モード)や、12V電装システムを組み合わせることにより、複合モードで20.8km/L、高速モードで24.3km/Lの欧州モード燃費を実現している。

12V電装システムは48Vシステムより小規模なシステムで、コンパクトなリチウムイオンバッテリーと組み合わされる。アイドリングストップ時など、エンジンが停止しているときに電装パーツの電力を供給する役割も担う。

今後、この新しいパワートレインは、フォルクスワーゲンの他のモデルにも搭載されていく見通しだ。

新型フォルクスワーゲン・トゥアレグがデビュー

フォルクスワーゲンは3月23日、中国・北京でフルモデルチェンジを受けた新型「トゥアレグ」を発表した。

3代目となったトゥアレグのボディサイズは全長4878×全幅1984×全高1702mm、ホイールベースは2894mm。従来型と比べて全長は約60mm、全幅が約40mm拡大されたことに伴い、キャビン空間が広くなった。一方でホイールベースは約10mm縮小し、全高は約40mm低くなっている。拡大されたボディは荷室スペースの拡大にも充てられた。荷室容量は後席使用時で従来型の697Lから810Lとなった。

ボディはアルミとスチールのハイブリッドで、従来型より最大で106kgの軽量化を実施。アルミはボディ全体の48%を占めるという。

エンジンは231ps仕様と286ps仕様の2種類のV6ディーゼルを皮切りに、追って340psのV6ガソリンと、421psのV8ディーゼルが搭載される。さらにシステム出力367psのプラグインハイブリッドも搭載される見通しだ。後輪操舵システムの採用もニュースのひとつだ。

ワイド&ローフォルムとなった新型のエクステリアは、大型化されたフロントグリルを装着するマスクが特徴的。前後のLEDライトはシャープな造形で、先進的なイメージを強調。イノベーション・コックピットと呼ぶデジタル化の進んだインパネは上質感が高く、高い快適性を予感させるデザインでまとめられている。

ナイトビジョンアシスタンスシステムや、半自動でステアリング操作をサポートするロードワークレーンアシストといった運転支援システムや、インフォテイメントシステムはVW最新の機能や技術が用いられた。

【1分でわかる】フォルクスワーゲン「eゴルフ」ってどんなクルマ?

注目モデルをコンパクトに紹介するこのコーナー。今回は、定番インポートハッチバックのEVモデルをピックアップ。出来映えは上々で、作り手独自のキャラクターも実感できる仕上がりです。

 

ゴルフ初のピュアEVが上陸

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フォルクスワーゲン
eゴルフ

SPEC【eゴルフ】 ●全長×全幅×全高:4265×1800×1480mm ●車両重量:1590㎏ ●モーター種類:交流同期電動機 ●最高出力:136PS/3300〜11750rpm ●最大トルク:29.5kg-m/0〜3300rpm ●バッテリー総電力量:35.8kWh ●最大航続距離:301km

 

EVモデルでもゴルフらしい良質な走りを実現する

コンパクトカーの「お手本」として長年君臨してきたゴルフに、ピュアEVモデルが追加されました。

 

すでにプラグインHVはGETの名前で導入済みでしたが、こちらは完全なゼロエミッションを実現。その航続距離は、最大で301kmとなっており、ほぼ同じタイミングで発売された新型日産リーフと比較すれば控えめな数値ですが、EVとしてはこちらも十分に実用的です。日本仕様は「CHA de MO」の急速充電にも対応するので、長距離のドライブ時でも不安は少ないです。

 

その走りは、EVというよりクルマとしての高い完成度を強く意識させるものです。低速から力強く、スムーズで静粛な点はいかにもEVらしいが、常に良質なツール感を醸す点は、さすがゴルフという出来映えです。

 

【注目ポイント01】使い勝手はガソリン仕様と同じ

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メーター回りを中心にEVモデル専用の装備が与えられていますが、基本的な仕立てはノーマルなガソリン仕様のゴルフと変わりません。それだけに新鮮味は薄いものの、使い勝手は秀逸です。

 

【注目ポイント02】バッテリーは前後シート下に搭載

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Der neue Volkswagen e-Golf

総電力量35.8kWhのリチウムイオン電池は、前後のシート下に搭載。ガソリンエンジンがあった場所には電気モーターが収まります。充電は、200V&急速充電に対応。

フォルクスワーゲンの未来モビリティが1年を経て進化!

フォルクスワーゲングループは、「フォルクスワーゲングループ・ナイト・ジュネーブ-未来を形作るアーバンモビリティ」と題されたジュネーブ・ショーの前夜イベントにおいて、完全な自動運転のためのモビリティコンセプトの最新バージョン、「SEDRIC・School・Bus(セドリック・スクールバス)」を発表した。

 

 

 

 

フォルクスワーゲンは、持続可能、安全で便利なモビリティを実現するために、ブランドの垣根を越えたアイデアプラットフォームとして、自動運転車両の重要性を強調。セドリック・モビリティ・コンセプトの最新バージョンを発表することによって、フォルクスワーゲングループが自動運転の分野において世界的なリーダーの役割を果たすという目標の実現に向かって進んでいることを示唆している。そして、セルフ ドライビングシステム(SDS)の開発は、いつでも、どこでも、誰もがボタンを押すだけで利用できるモビリティのビジョンを具現化するものであり、未来のパーソナル モビリティの技術的な基盤を形成している。

 

 

 

セドリックは、昨年のジュネーブ・ショーでの初公開以来、完全自動運転の世界を見据えブランドの垣根を越えてアイデアを生み出すプラットフォームとして機能してきた。そして、1年の間で自動運転システムの開発、周囲の環境や交通データ分析を認識するためのシステムが大きな進化を遂げ、最新のセドリック・スクールバスは、スマートなモビリティソリューションを代表するシンボルとなった。フォルクスワーゲン グループは、渋滞や大気汚染、そして安全性に関係する都市の問題を克服するために、このモデルを活用することを考えてる。

 

また、自動走行システムの技術的進化と平行する形で、デザイン、ユーザー体験および快適性の領域におけるソリューションの開発も進められており、「フォルクスワーゲングループナイト」で発表されたセドリックの最新版は、どのような場所にも採用でき、万人が利用できるパーソナルモビリティを完成させる願望を明確に示すものとなった。

 

 

 

この「セドリック・スクールバス」は、イエローとブラックの基本色にグラフィティ(落書きのようなデザイン)を配し、内外装ともスクールバスのデザインを採用した。そして、ひとつの大きな塊のようなプロポーション、頑丈なボディピラー、そして広々とした室内スペースによって、このクルマの親しみやすいキャラクターが強調されたものになった。一方、インテリアはステッカーで飾られたアルミ製のボックスが、4座のうちの2座のベースとなり、大型OLEDディスプレイとして設計されたフロントウインドーは、オンボードエンターテインメントを上映できる。

 

また、“OneButton”と呼ばれる操作エレメントを使用。ボタンを押すだけで自動運転の電気自動車を呼び出し、ドアツードアで便利な移動を可能にし、子供たちを移動させるための理想的な自動運転車両となっている。

 

関連情報は、ウェブサイト(http://www.discover-sedric.com)に掲載されている。

 

 

 

新型フォルクスワーゲン・トゥアレグのテスト模様が公開

3月23日に開幕する北京モーターショーで新型トゥアレグのワールドプレミアを予告しているフォルクスワーゲンは、3月1日、新型トゥアレグのテスト走行の模様を公開した。

 

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公開されたのはスペイン・サラゴサで行われたテスト走行の様子。公開された写真は、荒れた路面からオンロードでのテスト走行が収められている。発表前のため、ボディには一部カムフラージュが施されている。

 

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フォルクスワーゲンではすでに、極寒から猛暑までのあらゆる場所で、これまで延べ300万km以上にわたってテストを重ねてきたという。新型には前後アクスルにスタビライザーを装着したほか、後輪操舵システムを搭載しているとのこと。これらによって、大柄なボディながら高い取り回し性と走行安定性を両立させているという。

 

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インテリアではデジタルコックピットの採用がニュース。12インチと15インチのふたつのディスプレイが装備され、インフォテイメントやナビゲーション、空調制御などをコントロールできる。

 

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フルモデルチェンジを受けて3代目に進化したトゥアレグの登場は、目前に迫っている。

 

 

 

フォルクスワーゲンがジュネーブ・ショーで「I.D.VIZZION」を世界初公開!

フォルクスワーゲンは3月6日から始まる、ジュネーブ・モーターショーに出展する「I.D.VIZZION(I.D.ヴィジョン)」を公開した。このコンセプトカーは、未来のパーソナルモビリティに対するフォルクスワーゲンの取り組みを体現したもの。また、未来のクルマのデザインが、どれほどエレガントでエモーショナルなものであるかをアピールするフォルクスワーゲンの提示でもある。

 

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フォルクスワーゲンの「I.D.」ファミリーとしては4作目となるこのモデルでは、自動運転の可能性を徹底追及。数多くのアシスタンスシステムを備えた「デジタル・ショーファー」は、ステアリングをはじめとする操作系を使わずにクルマを制御することを想定している。運転、各種操作やナビゲーションは自動的に行なわれ、乗員はボイスコントロールやジェスチャーコントロールを介してバーチャルホストとコミュニケーション。バーチャルホストは、デジタル・エコシステムに組み込まれることで乗員の好みを学習、各乗員個別に対応する機能も持つという。

 

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クルマとしてのアウトラインだが、この「I.D. VIZZION」の全長は5.11m。EVのシステムパワーは225kWを発揮し、最高速度は180 km/hをマークする。111 kWhの総電力量となるリチウムイオンバッテリーは、ブレーキ回生を活用した場合で最大665kmの航続距離を実現している。また、電気モーターは2つ搭載。インテリジェントな制御によって駆動は4WDとなる。

 

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この「I.D. VIZZION」は、フォルクスワーゲンによる完全な電気アーキテクチャーである「MEB」の大きな可能性を示すものだが、フォルクスワーゲンでは2025年までに20車種以上の電気自動車導入を計画している。2020年にコンパクトクラスの電気自動車として「I.D.」が発売。その後にSUVの「I.D. CROZZ(アイ.ディ.ク ロス)」、および「I.D. BUZZ(アイ.ディ.バズ)」が続くことになる。

 

 

ユーロNCAPが2017年のベスト・イン・クラスを発表

欧州で新車の安全性能評価を行うユーロNCAPが、2017年のベスト・イン・クラスを発表。年間を通じて最も安全性評価が高かったクルマを賞するもので、安全性のカー・オブ・ザ・イヤーといってもいいだろう。なお、同賞は各セグメントのベスト・イン・クラスを表彰するが、カー・オブ・ザ・イヤーのようにその中の1台に大賞(本賞)を授けるようなシステムはとっていない。

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栄冠に輝いたモデルは別表の通りだが、エグゼクティブクラスではフォルクスワーゲン(VW)の最新モデルであるアルテオンが受賞。乗員保護や安全装備の高評価に加え、歩行者保護性能が’17年にテストされたモデルの中でトップだったのが大きかったようだ。 中型および大型のSUVセグメントであるラージ・オフロードクラスではボルボXC60が受賞。XC60は乗員保護および安全装備で他の追随を許さず、同ブランドのV90/S90をも上回ってベスト・イン・クラスに輝いている。

 

スモール・オフロードクラスでは、日本にはまだ入っていないVW T-Rocが受賞。各項目の評価はXC60やアルテオンには劣るものの、このクラスとしては最高の安全性と評価されたようだ。コンパクトカーのカテゴリーであるスーパーミニでもVWポロが受賞。歩行者保護や安全装備ではやや厳しい評価だったが、総合的な評価でベスト・イン・クラスに選ばれたようだ。ちなみに6クラスのうち3クラスをVWが制しており、これはなかなかの快挙といえそうだ。

 

コンパクトSUVのクラスであるスモールMPVではオペル/ボクソールのクロスランドXが受賞。日本への正規輸入はなく、各項目の評価もさほど高くないが、このクラスでは最も安全と結論づいけられている。そしてスモールファミリーカーのクラスではスバル・インプレッサ/XVがベスト・イン・クラスを受賞。小児保護性能では全車トップ、歩行者保護性能でも高評価を得た結果で、日本車では唯一の受賞として誇ってもいいだろう。’18年からは夜間の歩行者検知機能や自転車検知機能も評価基準に加えるなどより厳しくなるユーロNCAPだが、’17年の最高評価を上回るクルマが次々と出てくるのか。期待したい。

 

 

 

2017年の輸入車ランキング、ミニの牙城は崩れず

輸入車セールスが好調だった’17年は、外国メーカー乗用車が前年比3.7%増の30万5043台と、初めて30万台を超えた。輸入車のピークは’96年の32万4973台だが、当時は人気のあったアメリカンSUVやバンが貨物車登録だったこともあり、この台数は外国メーカー車の乗用車・貨物車トータルのもの。外国メーカー乗用車に限れば’96年でも29万9409台と30万台に届いておらず、’17年は新記録となった。当時とはブランド/モデル構成は変わったものの、輸入車ブーム再び、と見ていいだろう。

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乗用車ブランド別ではメルセデス・ベンツが前年比1.2%増の6万8215台と伸び率はやや鈍化しながらも3年連続で首位をキープ。フォルクスワーゲン(VW)が’14年に打ち立てた6万7438台を上回り、輸入乗用車販売記録を塗り替えた。2位BMWは3.9%増と伸び率ではメルセデスを上回ったものの、台数は5万2527台と1万5000台以上も水を開けられている。

 

VWは3年ぶりに前年比プラスとなったが、4万9036台と5万台にも達せず3位に甘んじる。新型ポロが上陸する’18年の奮起に期待したいところだ。続く4位のアウディは0.6%減の2万8336台とやや元気なく、5位にはBMWミニが3.6%増で続いている。ちなみに上位ブランドで伸び率トップは9位ルノーの34.2%増で、年の中盤まで8位プジョーと激しく競い、最終的に後塵を拝する結果となったものの、’18年も伸びが期待できそうだ。

 

そして乗用車の車名別ランキングでは別表の通りミニが’17年に続いて2年連続で首位を獲得。前年比3.6%増の2万5427台は、3万台を超えた最盛期のVWゴルフほどではないものの人気は衰えていないようだ。’17年も新型クロスオーバーの追加に加え、ディーゼル車やエントリーモデルの充実などを図り、ミニの牙城をしっかり守った形だ。

 

ゴルフは、マイナーチェンジ効果が期待していたほどではなかったようだが、わずかに台数を伸ばして2位をキープ。やや行き渡った感はあるものの、特別仕様車の設定などでお買い得感が増すであろう。’18年も伸びを保つのか、興味深いところだ。続く3位と4位にはメルセデス・ベンツが入ってきたが、Eクラスが新型車効果もあって9位からジャンプアップ。ステーションワゴンやクーペの追加が後押しし、上位常連のBMW3シリーズをも上回ったところは特筆できる。さらに10位以下ながらGLCも着々と台数を伸ばしており、一度はベスト20外へ下がったGLAも20位で復帰。各セグメントで手堅く稼ぐこのメルセデスの強さこそが、ブランドトップを維持する原動力となっているのだろう。

 

一方、BMWは3シリーズがやや元気がないものの、5シリーズは新型車効果でベスト20外からいきなり10位へランクイン。台数ではまだEクラスにおよばないものの、デリバリーが安定する’18年は上位へと上がってきそうだ。また、BMWは1シリーズやX1も好調で、まだ新型となって間もないためベスト20には入っていないX3もランクインしてくるはず。加えてニューモデルX2の投入もあり、’18年はBMWの攻勢からも目が離せない。

 

’18年も多くのニューモデル投入が予定される輸入車マーケット。30万台超えを果たした’17年を上回る盛り上がりとなることは間違いないだろう。

 

 

【東京モーターショー2017】「すぐそこにある」最新が揃う堅実さは、まさにフォルクスワーゲンならでは!

出展車両の9台中、実に8台がジャパンプレミアとなるフォルクスワーゲンだが、そのラインナップは実に堅実。売っていない、あるいは売る予定のないクルマは1台も存在せず、唯一近未来的なのはVR(仮想現実)、あるいはAR(拡張現実)を駆使したインタラクティブな展示コーナーぐらいのもの。

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ブースの主役は往年の名車、「タイプ2」のオマージュ的キャラクターのI.D BUZZだが、このコンセプトカーも2022年の市販化がアナウンスされている。

 

 

I.D BUZZ

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20171101_hayashi_LV_04↑2022年の市販化が決定しているフルEVのミニバンで、航続距離は600㎞以上という実用性の高さが魅力。発売時期から察せられる通り、運転支援システムも完全自動運転レベルになるとか。その外観は往年のミニバス「タイプ2」を彷彿とさせる仕上がり

 

すでに商品化されている展示モデルにも見どころは多い。今回の準主役は最近日本でも発売されたアルテオンだが、要注目株はやはり新型ポロと走り好きにはたまらないup! GTIだろう。いずれも2018年にはリリースされる予定だ。

 

 

ポロ

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20171101_hayashi_LV_06↑欧州Bセグメントのベンチマークとして君臨してきたポロの最新バージョン。ゴルフと同じく、MQBと名付けられたフォルクスワーゲン入魂の基本骨格を採用。ボディは先代より大きくなったが車重は逆に軽くなった

 

 

アルテオン

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20171101_hayashi_LV_08↑かつてはパサートCC、後に単にCCと名乗った4ドアクーペの実質的な後継モデル。外観はクーペテイストながら、ワゴンに匹敵する使い勝手を実現している点も魅力のひとつで運転支援システムも充実。日本には280㎰を発揮する2ℓターボ+4WD仕様が導入。価格は5,490,000~5,990,000円

 

 

up! GTI

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20171101_hayashi_LV_10↑フォルクスワーゲンではルポGTI以来となるスモールクラスのスポーツモデル。115㎰と200Nmを発揮する1ℓ3気筒ターボに6速MTを組み合わせ最高速は197㎞/hをマーク。その車重は本国仕様で1トンを切る997㎏

 

 

パサート・ヴァリアントTDI

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‘18年初頭の導入が決定したパサートのディーゼルモデル。搭載するのは2ℓターボで、日本仕様はEGR、尿素SCR、DPFを標準で装備するという。そのキャラクターを思えば、待望の正式導入といえるだろう。↑‘18年初頭の導入が決定したパサートのディーゼルモデル。搭載するのは2ℓターボで、日本仕様はEGR、尿素SCR、DPFを標準で装備するという。そのキャラクターを思えば、待望の正式導入といえるだろう

 

 

eゴルフ

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日本でもすでに受注開始となっているゴルフ初のフルEV。200Vの普通充電とチャデモの急速充電に対応。35.8kWhの総電力量を持つリチウムイオン電池を搭載し、最大の航続距離は301㎞という。モーターの出力とトルクはそれぞれ136㎰と290Nm。価格は4,990,000円。↑日本でもすでに受注開始となっているゴルフ初のフルEV。200Vの普通充電とチャデモの急速充電に対応。35.8kWhの総電力量を持つリチウムイオン電池を搭載し、最大の航続距離は301㎞という。モーターの出力とトルクはそれぞれ136㎰と290Nm。価格は4,990,000円