熱中症に必須・NGな飲み物は?管理栄養士が教える塩分やカリウムを効果的に摂取できる熱中症対策ドリンクレシピ

近年は夏になると、猛暑を超えて“酷暑”と表現するにふさわしい日が続くようになりました。2024年も7月21日までの1週間で9000人もの人が熱中症で病院へ搬送される事態に。

 

この熱中症を予防するために欠かせないのが、水分補給・塩分補給・基礎体力・睡眠でしょう。なかでも“水分補給”は意識している人も多いのではないでしょうか。ところが、水分だけを補給することがかえって熱中症の発症へつながるおそれもあるとされています。

 

では、熱中症を防ぐためには何を・いつ飲んで水分補給すればいいのか、熱中症対策に有効なドリンクのレシピとともに、管理栄養士であり菓子・料理研究家として活躍するShieさんに教えていただきました。

 

 

熱中症対策の水分補給に
何をどう飲めばいい?

熱中症を予防するうえで水分補給が大切であることはよく知られています。具体的に、いつ、何を摂取すればよいのでしょうか?

 

「普通に生活しているだけで、人は尿、便、呼気、そして汗から1日に約2〜3.5リットルもの水分を失っています。とくに炎天下では汗をよくかきますよね。汗の99%が水分なので、水分補給はとても重要です。
ただし、この水分の摂り方にはコツがあります。身体が一度に吸収される水の量はコップ1杯程度と限度があります。喉が乾いたからと言って一気に摂るのではなく、こまめに摂ることが大切。具体的には、1日に200mlほど、グラスに8回程度に分けて飲むのがよいとされています。意識して計画的に飲むようにするといいでしょう」(管理栄養士・Shieさん、以下同)

 

体重50kgの女性に必要な水分量は1日1750ml程度

「生活スタイルによって個人差がありますが、たとえば健康な女性(30歳・体重50kg)の場合、1日に摂取すべき必要な水分量は1750mlほど。
飲料のみではなく食べ物からの水分量は5割程度を占めているとの報告がありますので(※1)、1日3食を食べると900ml弱の水分を食事で賄っていることになります。そのため、食事を抜いてしてしまうと、その分、必要な栄養素だけでなく水分も不足してしまうので、夏に食欲がなかったとしても3食しっかりとることが大切です」

 

水分と一緒に塩分も摂ったほうがいい?

水分補給だけを行うと、血液中の塩分やミネラル濃度が低くなってしまい、かえって熱中症になりやすいと聞きます。実際、水分と一緒に、塩分も摂ったほうがよいのでしょうか?

 

「発汗によって、水だけではなくナトリウム等の電解質も失われます。ナトリウムは食塩の形で摂取されることが多く、食べ物の消化を助けたり、神経や筋肉の働きを調整してくれるミネラルです。そのため、たしかに熱中症対策には塩分補給は大切だと言えますし、大量発汗時には1リットルあたり1〜2g程度の食塩濃度で摂取するのがおすすめです。
とはいえ、厚生労働省によって推奨目標とされる1日の食塩摂取量は男性7.5g、女性6.5g未満とされており(※2)、直近の国民・健康栄養調査によると平均で1日に10g程度の塩分を摂取していると報告されています(※3)。つまり、日常の食生活の中ですでに食塩は十分に摂れていることが多いため、激しい運動や長時間の労働等での大量の発汗時でなければ塩分を追加で摂取することは気にしなくてもよいでしょう。とくに高血圧の方や腎臓に疾患のある人は過剰に摂取しないようにしましょう」

 

意識して摂取したい栄養素は「カリウム」

「汗をかくと失われるミネラルはナトリウムだけでなく、次いでカリウムも排泄されてしまいます。カリウムは私たちの体にとって大切なミネラルであり、神経伝達や筋肉の収縮・細胞間の浸透圧の調整などの働きがあります。カリウムを含む食材は、野菜やフルーツ。野菜では里芋・ほうれん草・じゃがいも、フルーツではバナナ・キウイ・ぶどうなどに多く含まれます。夏のフルーツの代表格であるスイカにも、多くのカリウムが含まれています。夏には積極的に摂りたい食材ですね。フルーツなら、ドリンクにも取り入れやすく簡単に摂取することができます」

 

食事から摂る栄養も大切に

「飲み物だけでなく、エネルギー源となる糖質や炭水化物、免疫機能を調整したり、抗酸化作用のあるビタミンCも熱中症になりにくい体づくりには欠かせません。とはいえ、どんな栄養素も歯車のように重なり合って体を整えるので、バランスよく食べることが大切です」

 

【POINT!】
熱中症対策には、水分・塩分・カリウムを意識しながらバランスの摂れた栄養素を摂取しましょう

 

マスクが体温を上げる原因に!? 屋外でも家でも要注意の「熱中症」対策

 

熱中症対予防に適したドリンクと
意外と適さないドリンク

熱中症予防には、具体的にどのような飲み物が効果的なのでしょうか?

 

熱中症予防に適した飲み物は?

・麦茶
「熱中症予防として冷たい飲み物は体を冷まし、水分補給をするのに役立ちます。利尿作用のあるカフェインも含まれていないので量を心配せずに飲める点もいいですね。ただ、発汗時に失った塩分はほぼ含まれていないため、大量に汗をかいた場合は、別途、少量の食塩等で電解質を補うように心がけましょう」

 

・スポーツドリンク
「激しい運動をして多くの汗を流したときの水分補給に適しています。エネルギーとなる糖質を適度に含み、かつ塩分も入っているため、腸管で効率よく水分を吸収します。糖質量は経口補水液等より高めな傾向があり、その量はスポーツドリンクごとに異なるため、肥満や血糖値を気にする場合は、表示の炭水化物(≒糖質)の含有量を確認することをおすすめします。1時間以上の運動をする場合、食塩0.1〜0.2%(100ml中ナトリウムが40〜80mg、糖質4〜8%程度のものが、疲労回復に加え、水分補給効果にも役立つとされています。※4)」

 

・水
「水分を補給することは、熱中症予防のため、非常に重要ですので、積極的に回数を分けて摂るようにしましょう。一方で注意したいのが、大量の発汗時です。水分だけを大量に摂取すると、体内のナトリウム濃度が薄まることにより、体がイオンバランスを保とうと水分を尿として排出。かえって脱水症状を起こしやすくなることがあります(※5)。喉は潤うものの、水分だけを補給するとかえって熱中症の発症へつながってしまうこともあるので、合わせて少量の塩分も補給するようにしましょう」

 

熱中症予防に適さない飲み物は?

・コーヒー・紅茶・緑茶などカフェインを多く含むドリンク
「カフェイン入りのドリンクは利尿作用があり、水分を体内から排出してしまうので、おすすめしません。外出先のカフェなどで飲むことも多いと思いますので、あまり神経質になることはありませんが、熱中症予防の観点からは、控えた方が良いでしょう」

 

熱中症の症状が現れたときに摂取する飲み物は?

・経口補水液
「熱中症予防よりも、熱中症の症状が見られたタイミングで摂るのが望ましいです。経口補水液は電解質となるナトリウムやブドウ糖が1:1の割合で含まれるなど、下痢や嘔吐、頭痛などの際にも体内への吸収効率が高くなるよう適切な濃度で作られています。塩分を多く含んでいるため、常用して飲むと塩分過多になることもあり注意が必要です」

 

冷たい飲み物のほうがいい?

ドリンクの温度は5〜10℃がよいとされています。飲み物の温度が冷たい方が、胃に滞在する時間が短く吸収が早いことが分かっています(※6)。また、外気温や激しい運動により高まった体温を下げるには、冷たい飲み物の方が深部体温の上昇を抑制し作業の持久力を向上させるのに効果的です。
ただ氷のたくさん入ったドリンク等、冷たすぎる場合は胃腸への負担がかかる恐れもあり、逆に温かいドリンクでは、さらに体温を上げてしまうこともあります。温度に関しても意識して摂りましょう」

 

参考=
(※1)Tani Y, Asakura K, Sasaki S, et al. The influence of season and air temperature on water intake by food groups in a sample of free-living Japanese adults. Eur J Clin Nutr 2015; 69: 907-13.
(※2)厚生労働省.日本人の食事摂取基準(2020年版).1−7 ミネラル
(※3)厚生労働省.国民健康・栄養調査(令和元年).令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要
(※4)公益財団法人 日本スポーツ協会. スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック nechusho_yobou_guidebook_2018.pdf (japan-sports.or.jp)
(※5)日本救急医学会.熱中症診療ガイドライン2015
(※6)独立行政法人 日本スポーツ振興センター. 競技者のための猛暑対策ガイドブック 第5章

 

続いてShieさんに、熱中症対策に有効なドリンクのオリジナルレシピを教えていただきます。見た目にも夏らしく、“熱中症対策”としてかまえずにおいしく飲める2品です。

 

見た目にも涼やかな
熱中症対策ドリンクレシピ 2

鮮やかな色合いが美しく、かつ熱中症対策としての栄養素もしっかりと摂れるおすすめドリンクレシピをShieさんに教えていただきました。

 

・涼を感じさせる「フルーツキューブの炭酸水」

「炭酸水を注ぐと、レモンの酸味と適度な甘さとフルーツ味の氷が溶け出し、爽やかな風味が広がります。溶けやすい氷なので、飲み進めるたびに変化する味を楽しみながらお召し上がりください。水分補給に加え、糖質や食塩、フルーツに含まれるカリウムやビタミンも摂ることができるので、発汗量の多いときにもおすすめです」

 

【材料(2人分)】

・お好みのフルーツ(スイカ・キウイ・オレンジ・ブルーベリーなど)……合計200g程度(※複数のフルーツが入ったカットフルーツが手軽でおすすめ)
・炭酸水……300ml程度
・ミント……お好みで

 

〈A〉
・砂糖……50g
・塩……少々(親指と人さし指でひとつまみ、0.2gほど)
・レモン汁……大さじ1
・水……100ml

 

【作り方】

1.フルーツは種のあるものは取り除き5mm角程度に切り、製氷皿に入れる。

「製氷皿のマスに入れやすいように小さめにカットするといいでしょう。ブルーベリーは丸のままでもOKです」

 

2.Aを混ぜ合わせる。

「甘さはお好みで調整可能です。おいしさの観点から、適度な糖質量でレシピを組み立てていますが、運動をたくさんした後など、水分補給をより重視したい場合は砂糖の量を大さじ2〜4杯程度に減らして下さい。甘さを増やしたい場合は、炭酸水の方にガムシロップを足すといいでしょう。砂糖でも代用できますが、多少溶けにくさがあります」

 

3.1に2を注ぎ入れ、冷凍庫で凍らせる。

「2~3時間ほどで凍ります。キューブとして使いたいのでしっかりと凍っていることを確認してください」

 

4.グラスに3を入れる。

「色を楽しめるように、お好みでキューブを入れる順番を工夫しても楽しいです」

 

5.炭酸水を注ぐ。

「キューブは糖分も多く含んでいるので通常の氷より速く溶けていきます。飲む直前に炭酸水を注ぐと、キューブの溶け具合による味の変化をより段階的に楽しむことができます」

 

6.グラスのふちにミントを添える。

「ミントを添えればより清涼感がアップします。炭酸の爽快感とフルーツのみずみずしさでぜひ涼を感じてください」

 

・栄養豊富なひんやり心地よい「甘酒のフルーツスムージー」

「“飲む点滴”と称されるほど栄養価の高い甘酒は、夏バテ予防にも効果的。熱中症予防に有用な食塩やカリウムも適度に含みます。さらにヨーグルトにはタンパク質やカルシウムが豊富に含まれていて、善玉菌が腸内環境を整え、免疫機能も整えてくれるダブル効果が期待できるドリンクです。また、 ミックスベリーには熱中症予防に必要なカリウムに加え、免疫機能を整えたり、抗酸化作用を持つビタミンCも多く含まれます」

 

【材料(2人分)】

・冷凍ミックスベリー……120g

 

〈A〉
・甘酒(ノンアルコール)……200ml
・プレーンヨーグルト……200ml
・はちみつ…… 大さじ1

 

【作り方】

1.Aを混ぜ合わせる。

「ヨーグルト、甘酒、はちみつの順に注ぎ入れよく混ぜ合わせましょう」

 

2.ポリ袋に冷凍フルーツを入れ、600Wの電子レンジで20~30秒ほど温めます。

「温めすぎに注意してください。手でつぶせるくらいの柔らかさがベスト」

 

3.手でもみ潰す。

「フルーツの原形をどれくらい残すかはお好みですが、ストローで飲む場合には、ジュレのように、ほぼ液状にした方が飲みやすくなります」

 

4.フルーツをグラスに入れる。

「スプーンを使って入れてもよいのですが、写真のようにポリ袋の端をハサミで切り注ぎ入れれば簡単に入れることができます」

 

5.1を4へ注ぎ入れる。

「ある程度勢いよく注ぎ入れることで、下のフルーツと混ざり合いきれいなマーブル模様ができあがります」

 

「今回は冷凍ミックスベリーを使いましたが、さまざまなフルーツで色と味を変えて楽しむことができます。冷凍フルーツを使ったレシピなので、市販の冷凍フルーツやフレッシュフルーツを切って冷凍庫にストックしておけば、いつでも手軽に作れますよ」

 

猛暑が続くと疲れやすく、食欲が減退しがち。目にも楽しく気分も上向くレシピで、免疫機能を整える栄養素をしっかりと補いながら夏バテしないしっかりとした体力づくりを心がけ、暑い夏を乗り越えましょう。

 

 

Profile

管理栄養士 / Shie

株式会社ネクストエル取締役。管理栄養士であり、菓子・料理研究家。大手食品メーカーにて数多くのサラダ・惣菜・調味料などの商品開発に取り組んだのち、2021年に独立。レシピや商品開発、コラム執筆、料理や菓子の教室を主宰するなど活躍の幅を広げている。2021年の監修書籍『オートミール健康レシピ』(扶桑社)がAmazonにてベストセラーに。

残暑を乗り切る「スパイス×フルーツ」レシピ…代謝を促すスパイスとミネラル豊富なフルーツで夏バテ撃退食に!

スパイスカレー人気に象徴される、近年のスパイスブーム。とくに辛いものが欲しくなる夏は、スパイスをきかせたグルメがいっそうおいしく感じられるはず。とはいえ、スパイスで大汗をかいたら、脱水症状を招いてしまうのでは……? そこで組み合わせたいのがフルーツです。体のほてりを落ち着かせたり発汗を促し体温を下げたりする働きをもつスパイスに、ビタミンとミネラルがたっぷりのフルーツのタッグは最強の夏バテ回復食に! 「スパイス×フルーツ」のレシピで、厳しい暑さが残るこの時期を乗り越えましょう。

 

スパイス料理の監修や、スパイスの使い方を学べるサロンを運営する大平美弥さんに、おすすめの「スパイス×フルーツ」レシピを教えていただきました。

 

パクチーブームから火がついた? スパイスブームのきっかけ

ここ10年ほどの間に、何度かスパイスを盛り上げるブームがありました。

 

「パクチーや、かけるラー油などの流行がその一つです。2016年頃、パクチー味のスナックが発売されたりパクチー料理専門店がオープンするなど、パクチーが空前のブームとなりました。これにより、スパイスは “手軽に味や風味を変えられる食材” という意識が徐々に浸透したと思います。
さらにブームを加速させたのが、コロナ禍。自炊が増え、レジャーとしてキャンプが注目されました。自宅やアウトドアシーンで自炊が増えたことで、 “いつもの食卓に変化を持たせたい” “キャンプ先でも手軽においしい食事を楽しみたい” 、さらにSNSの登場によって “手軽に写真映えする食事を作りたい” というニーズが増えました。その思いにマッチしたのがスパイスというわけです。

 

例えば、桃にディルを加えて、オリーブオイルをひと回ししただけの『桃ディル』。切ってかけるだけの簡単な料理なのに、あっという間におしゃれでおいしい、ワインに合うおつまみに早変わりです。そんなお手軽な魅力がさまざまな人に受け入れられ、スパイス人気は徐々に広がっていきました」(スパイスライフアドバイザー 大平美弥さん、以下同)

 

夏にふさわしい「スパイス」と「フルーツ」の効果とは?

10年以上前は、スパイスは専門店や高級食材を扱うお店でしか購入できませんでした。でも今では近所のスーパーやドラッグストア、100円ショップでも手に入り、身近な食材となっています。このスパイスを夏に摂ることには、たくさんの効果があるといいます。

 

「夏は汗をかくことでミネラルが失われ、食欲不振や体のだるさを招きます。また、冷たい飲み物の飲みすぎや冷房で体が冷えることによって、胃腸が弱り、自律神経が乱れ、体調を崩しやすい季節でもあります。
スパイスには、そんな体の不調を整えてくれる働きをもっています。体を温めたり、水分代謝を促したり、胃腸の働きを整えたりするなど、さまざまな効果があります。
また、フルーツは、ビタミン、ミネラルが豊富で栄養価に優れ、水分補給にも最適です。ジューシーでさっぱりとした味わいは、食欲がないときでも食べやすいという良さがあります。
そんな甘味のあるフルーツと、辛みや苦みを持つ刺激的なスパイスは相性抜群。素材の味を引き立て、それぞれの良さが組み合わさって、新しいおいしさが生まれます」

 

それでは、フルーツをたっぷりと使った、スパイスレシピを紹介していきましょう。

 

体のほてりを落ち着かせるセージを効かせた「いちじくと桃のフルーツゼリー」

「セージを水に漬け込んだ “セージ水” をゼリーにしました。セージには、スーっとした清涼感と苦みによって、体にこもったほてりを落ち着かせる働きがあります。また、甘みにスッキリさを与え、爽やかな後味に。セージ水を沸かして飲むだけで暑さが和らぐので、私は好んで飲んでいます。甘酸っぱいフルーツと、つるんとした喉ごしの良さは、暑さの残るこの時期にぴったりですよ」

 

【材料(2人分)】

・白桃……1/2個
・いちじく……1/2個
・粉ゼラチン……5g
・セージ水……200ml
・酒……大さじ1
・砂糖……大さじ2

 

【作り方】

1.1時間前に、セージを水に漬け込んでおく。

「漬ける時間によってセージ水の濃さが変わります。まずは約1時間前から漬け込んだものから、さらにしっかり味わいたいかたは、前日の晩から漬け込んでおくと良いでしょう。今回のレシピは乾燥ハーブを利用していますが、フレッシュハーブを利用しても良いですね。乾燥ハーブは、乾燥することで芳香をぎゅっと凝縮しています。一方、フレッシュハーブは葉の緑が見た目にも鮮やか。どちらにも良さがあります。フレッシュハーブを利用するときは、乾燥ハーブの約2倍の分量を使用しましょう」

 

2.桃といちじくは、皮をむき1.5cm角に切る。

「スプーンですくいやすい大きさにカットします。いちじくは、へたを包丁と手で挟んで下にひっぱるようにむきましょう。むききれなかった皮は、同じく上から下へそぐようにむきます」

 

3.いちじくと桃をグラスに均等に入れる。

「分量のフルーツと水で、コップ約2杯分のゼリーができます。透明なグラスを用意すると、果物の鮮やかな色が映え、見ためも涼やかに」

 

4.耐熱ボールに、セージ水、酒、砂糖を入れ、ゼラチンを振り入れる。600Wの電子レンジで1分半加熱する。

「通常ゼラチンは、水でふやかしてから加熱しますが、電子レンジで加熱する場合は、ふやかす工程を省いてもダマになりにくいです。加熱後は、ダマにならないようすぐに混ぜましょう。ゼラチンにお酒を混ぜることで、ゼリーに風味や香りが加わり、おいしさに奥行きができます」

 

5.混ぜてグラスにそそぎ入れ、冷蔵庫で冷やし固める。

「セージをそのままゼリーに入れて固めるかはお好みで。入れることで、爽やかな見た目になります。セージはそのまま食べることができますが、食感がモソモソしているので、苦手な方は取り除いても良いでしょう」

 

胃腸を整えるナツメグで食欲不振を撃退! 「真夏のフルーツフランベ」

「ナツメグは、加熱することで風味が増します。ナツメグに含まれるオイゲノールは、甘いバニラのような香りをもっています。たっぷりのバターと砂糖でキャラメリゼされたバナナに、酸味のあるベリーのソースが爽やかにマッチ。香り立つナツメグが合わさって、贅沢なスイーツに。ナツメグには胃腸を整え食欲を増進し、発汗を促し体温を下げる効果があります」

 

【材料(2人分)】

・バナナ……2本
・ミックスベリー(冷凍)……70g
・砂糖……30g
・バター……大さじ1~1.5
・レモン汁……適量
・ナツメグパウダー……適量
・ラム酒 ……30cc

 

【作り方】

1.フライパンにバターを熱し、砂糖とレモン汁を加え混ぜる。

「バターが焦げないよう、弱火でゆっくり溶かしていきます。バターがフツフツとしてきたら、砂糖を入れ、砂糖が溶けたら、レモン汁を加え混ぜます」

 

2.砂糖があめ色になってきたら、バナナを入れて炒めます。

「半分に割った種の部分を下にして、フライパンに入れます。何度も動かすとバナナがドロッとなってしまうので、フライパンをやさしく動かし絡めながら、上下を一度ひっくりかえしましょう。バナナは、生で食べられるので火をしっかり通さなくてもOK。全体に絡まれば大丈夫です。」

 

3.バナナに飴色の砂糖が絡まったら、ミックスベリーを入れ、ソースを絡めながら炒める。

「ミックスベリーは、あらかじめ室温に出して柔らかくしておきましょう。ミックスベリーのかわりに、旬のフルーツを使用しても良いですね」

 

 4.ナツメグパウダーを入れたら、仕上げにラム酒を加えさっとフランベし、アルコールを飛ばす。

「バナナ全体にナツメグがかかるよう、指で振り入れましょう。ラム酒がフランベされると、バター、ナツメグの香ばしく甘い香りがふわっと部屋全体に広がり、食欲もわいてきます」

 

弱った胃腸の消化を助けるクミンシードがたっぷり「メロンときゅうりのサラダ」

「メロンの青さをスイーツではなく、食事として楽しんでもらいたくて考えたレシピです。クミンには、シードと粉状のものがありますが、是非シードを使用してもらいたいです。歯で噛んだときに、独特の苦みと爽やかさが広がり、シードのプチプチとした食感も楽しめます。メロンはものによって、フルーツとして甘味がたりないことも。そんなときは、このようにサラダに変化させることで、いつもと違ったメロンのおいしさに出会えます。クミンには、消化促進、免疫力アップ、リラックスなどの効果があります。またスパイスの刺激が減塩効果にもつながります」

 

【材料(2人分)】

・メロン……1/4個
・トマト……1個
・きゅうり……1本
・塩……適量
・ブラックペッパー……適量
・マヨネーズ……大さじ2
・レモン汁……小さじ1
・クミンシード……小さじ1

 

【作り方】

1.マヨネーズにクミンシードを入れて混ぜる。

「前もって混ぜておくことで、マヨネーズの油分にクミンシードの香りが溶けて味がなじみます」

 

2.きゅうりは小口切りに、トマトは食べやすい大きさに切りましょう。

「きゅうりの切り方はお好みで。トマトは、1/8のくし形に切り、さらに2~3個程度に切り分けると良いでしょう」

 

3.メロンを食べやすく切り、レモン汁をかけておく。

「メロンにレモン汁をかけることで爽やかな甘味に。サラダとしての下味をつけます。夏はメロンが安く手に入る時期ですが、1玉では量が多い場合、カットメロンを利用しても良いでしょう。これからの季節は、梨や柿を代用してもいいですね」

 

4.ボウルに1と2、3を入れ和え、冷蔵庫で冷やしておく。

「食べる直前まで冷蔵庫で冷やしておくことで、味がなじみます」

 

 5.食べる直前に味見をし、塩、ブラックペッパーで味をととのえる。

「ブラックペッパーもスパイスのひとつです。かける量はお好みで。食べる直前に、砕いたブラックペッパーをかけると、ピリリとした辛さが広がり、サラダのアクセントになります」

 

インドや中国では、古くからスパイスを健康や美を保つための生薬として取り入れてきました。日本のわさびやしょうがなども同様で、味わいへのアクセントだけでなく、食欲増進や殺菌効果も期待して食してきたのです。刺身にわさびを合わせるように、おいしいから付け加えたくなる。そんな楽しい気持ちでスパイスを取り入れ、健康維持に役立ててみてはいかがでしょうか。

 

プロフィール

スパイスライフアドバイザー / 大平美弥

体に影響がでるほどの偏食を、スパイスとハーブで乗り越えたことで “食” への興味があふれだす。インド、インドネシア、中国、韓国など各国の料理教室に参加し、見識を深める。スパイスコーディネーターマスターを取得。スパイスクッキングアドバイザー受験資格を取得できる講座や料理教室を行う。Miya Spice Salonを主宰し、スパイスビューティー協会の代表も務める。スパイスの楽しさを広めようと講演、テレビ、ラジオ出演、レシピ作成、スパイス&ハーブティーの監修、レストランシェフとのコラボ企画や飲食店のメニュー開発及びコンサルティングなども行う。
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