空気入りタイヤと乗り味ほぼ同じ! ブリヂストン「エアフリーコンセプト」試乗レポート

空気を入れる必要がないタイヤ、すなわちパンクしない「エアフリーコンセプト」が、ブリヂストンによって開発され、その試乗体験会が開かれました。開発された背景には何があったのか、そして走行フィールはどうだったのかをレポートします。

↑特殊形状のスポークで荷重を支える、空気を使わずパンクもしないタイヤ「エアフリーコンセプト」

 

空気の代わりに特殊形状のスポークを使うからパンクしない

エアフリーコンセプトとは、具体的にどんなタイヤなんでしょうか。タイヤはこれまで空気を高圧充填することで膨らませ、それによって車体の荷重を支えることが基本となっていました。エアフリーコンセプトでは特殊形状のスポークが空気の代わりを果たすため、パンクしないだけでなく空気圧管理などのタイヤメンテナンスも一切不要です。

 

また、路面に接するゴムの部分についても、リトレッドによる張り替えが可能になっているのもポイントとなります。

 

特に注目したいのが、路面から受けたショックの吸収方法です。今までのタイヤでは充填された空気がクッションの役割を果たしていましたが、エアフリーコンセプトでは特殊形状スポークが衝撃に応じた変形によってクッションの代わりをつとめます。

 

つまり、このスポークの素材や造り込み次第で、乗り心地やその特性を変化させることができるのも、エアフリーコンセプトの大きな特徴と言えるでしょう。

↑エアフリーコンセプトの技術概要

 

また、パンクしないためにスペアタイヤが不要となることも見逃せません。最近はスペアタイヤが非搭載のクルマも増えていますが、それでもパンク修理キットは必要になるわけで、それを不要とすればその分だけ重量削減にもつながり、ひいては燃費や走行性能にプラスとして作用します。特にバッテリーによる重量増が避けられないEVにとってメリットは大きいと言えます。

 

開発の背景にあるサステナビリティビジネス構想とは?

このエアフリーコンセプトの開発にあたって、背景にあるのが、ブリヂストンが目指すサステナビリティビジネス構想です。

 

たとえば、タイヤは使うことによって摩耗していき、タイヤの溝がなくなれば、新しいタイヤに履き替えるのがこれまでの常識でした。しかし、エアフリーコンセプトでは路面に接するゴムの部分をリトレッドによる張り替えで対応し、特殊形状スポーク部分は何世代にもわたって繰り返して使うことを前提に開発されているのです。

↑エアフリーコンセプトが最初に発表されたのは2011年。当初は“パンクしない”ことを訴求したが、現在はサステナビリティをメインに訴求する

 

もちろん、スポークが樹脂である以上、長年使っていけば劣化も進んでいきます。しかし、その場合でもエアフリーコンセプトでは、耐用限度が訪れたら粉砕してリサイクルできるようにして、再び材料として繰り返し活用されることを想定しています。

↑耐用年数が過ぎたスポーク部分は、粉砕してチップ化して再利用できるように配慮されている

 

そもそもタイヤの原料である石油は有限な資源であり、そのサステナブルな社会を実現するためにも、石油の消費を抑えて繰り返し使っていくことが求められます。また、タイヤには天然ゴム以外にもさまざまな構造材や配合剤が加えられており、使用済みとなったタイヤを素材ベースで精密に分解する技術の開発も重要です。

↑タイヤに使われている材料は化学物質だけでもこれだけ多岐にわたる。これを素材ベースで分解する技術の開発も進む

 

ブリヂストンではさらに天然ゴムの代わりに、砂漠に自生する植物「グアユール」を使う技術も開発中とのこと。これが実現すれば、現在の天然ゴム産地地域への一極集中の緩和につながり、資源の持続可能性を大きく高められる可能性も出てきます。ブリヂストンとしてはこうした活動を通じ、2050年までに「作る、使う、再生」における完全循環を目標としているのです。

↑砂漠に自生する植物「グアユール」を使うことで、天然ゴム産地地域への一極集中の緩和につながっていく

 

路面の突起を超えても不快なショックはうまく吸収してくれた

では、肝心のエアフリーコンセプトの乗り味はどうだったのでしょうか。

 

試乗は東京都小平市にあるブリヂストンのテストコース「B-Mobility(ビー モビリティ)」で行なわれました。試乗車両はタジマモーターコーポレーションが開発した超小型EV「ジャイアン」。タイヤのサイズは超小型モビリティ向けに開発された「145/70R-12」で、これを4輪すべてに装着し、大人2人が乗車した状態で試乗することになりました。

↑試乗に使われたタジマモーターの超小型モビリティ「ジャイアン」。手前がエアフリーコンセプトを履いた車両で、奥のジャイアンは空気入りタイヤ「スニーカー」を履いている

 

↑超小型モビリティのジャイアンに装着されたエアフリーコンセプト(サイズ:145/70R-12)。トレッドのパターンはやや大きめのブロックとなっていた

 

走り出すと真っ先に感じたのはゴツゴツとした硬さでした。そのままだとイヤだなぁと思いましたが、速度が20km/hを超えるあたりからその印象はなくなり、逆にしっとりとした、落ち着いた乗り心地を感じるようになりました。

↑低速域でこそやや硬めの印象だったが、速度が20km/hを超えるあたりからしっとりとした、落ち着いた乗り心地を体感できるようになった

 

路面の突起を繰り返し乗り越えるシーンでは、車体の剛性の低さはあるものの、衝撃に対する不快さはほとんどなし。空気入りタイヤと比べてもほぼ差がないように思いました。

↑路面の突起を乗り越える瞬間のエアフリーコンセプト。スポークが変形して衝撃を吸収しているのがわかる

 

続いて連続するコーナリングでの走行です。ステアリングを切っていくと、リニアに反応して思ったよりもシャープな印象を受けます。これはトレッド部の剛性が高いのとスポーク部の柔軟な動きが功を奏しているのではないかと思いました。ただ、トレッド面のブロックが大きいことが災いしているのか、パターンノイズが速度の上昇と共に大きくなってくるのは気になりました。

↑連続するカーブでもハンドリングは想像以上にシャープで、空気入りタイヤとほとんど変わらない軽快な印象だった

 

今回試乗したエアフリーコンセプトは、高速走行での使用を想定していません。ブリヂストンとしてはSUVやミニバンといった、より重量のある車両への対応もロードマップに含めていますが、実現にはスポーク部分の次元の違う設計が必要になるとのこと。

 

当面はまず普及が予想される身近な超小型モビリティ向けに市販化し、そこから100%リサイクルが可能な循環型社会の実現を踏み出していく考えのようです。空気を使わない新時代のタイヤの登場を今から心待ちにしたいと思います。

↑エアフリーコンセプトの実用化に向けて、出光興産の事業所内において社会実装への実証実験を展開中だ

 

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ブリヂストンが「ソーラーカーサミット 2023」を開催。なぜ太陽光に力を注ぐ?

ブリヂストンは、ソーラーカーの最新技術と未来を語るイベント「Bridgestone Solar Car Summit 2023」(以下、ソーラーカーサミット)を開催しました。

このイベントには、同社のモータースポーツ部門長・堀尾直孝さんのほか、ソーラーカーについての研究を行う東海大学の木村英樹教授らが登壇。最もサステナブルなEVであるソーラーカーの近年の動向、世界最高峰のソーラーカーレースについて、トークを展開しました。この記事では、その模様をお届けします。

 

ソーラーカーレースのための“究極のカスタマイズタイヤ”

ブリヂストンは世界最高峰のソーラーカーレース「Bridgestone World Solar Challenge」(以下、BWSC)のタイトルスポンサーを務めており、サステナブルなモータースポーツを推進するなかで、技術の極限への挑戦を通じ、ソーラーカーの技術革新を後押ししています。

↑株式会社ブリヂストン モータースポーツ部門長 堀尾直孝さん

 

BWSCは、20以上の国と地域から40以上のチームが参加するソーラーカーレース。オーストラリアの北部ダーウィンから南部のアデレードまで、約3000kmにもなる道程を太陽光によって生み出された電力のみによって走破する、長く過酷なレースです。

 

堀尾さんはBWSCについて「各国の多様なエンジニアによる産学共創の場、次世代のソーラーカーを作るためのオープンプラットフォーム」だと語ります。2023年10月に開催されるBWSCでは、日本から、東海大学、工学院大学、和歌山大学、呉港高校の4チームが参加予定。ブリヂストンは参加43チーム中、35チームにタイヤを提供予定です。

 

ブリヂストンが提供するタイヤは、ソーラーカーに特化したものになっています。設計を担当した同社の木林由和さんによると「限られた電力で長距離を走り切るための転がり抵抗の軽減や軽量化と、耐パンク性能をはじめとする耐久性を両立した、究極のカスタマイズを施している」とのこと。

↑株式会社ブリヂストン モータースポーツ部門 MSタイヤ設計第1課 木林由和さん

 

このカスタマイズは、同社の誇る商品設計基盤技術「ENLITEN」により成立しました。またこのタイヤは、環境負荷の軽減にもこだわっており、再生資源・再生可能資源比率が前回大会の30%から63%に増大しています。

 

原付バイク以下の馬力で90km/hを実現

堀尾さんに続いてプレゼンテーションに登壇したのが、東海大学教授の木村英樹さんです。木村さんは、BWSCに出場する東海大学のチームの監督も務めています。木村さんは、ソーラーカーが従来からどれほどの進化を遂げているかについて語りました。

↑東海大学 木村英樹教授

 

ソーラーカーの進化は、太陽光パネル、モーター・インバーター、バッテリー、タイヤといった各種パーツの性能向上に加え、ボディの軽量化や空気抵抗の低減、それらを可能にするコンピューターシミュレーション技術の向上といった、多様な要因によって成り立っています。これらの複合的な進化の結果、近年のBWSCで走行するソーラーカーは、小型化と高速化、信頼性の向上を同時に実現したものになりました。

 

木村さんによると、ソーラーカーの走行速度は、かつては50〜60km/h程度だったそうですが、現在では90km/hにまで上昇。しかも搭載する太陽光パネルの面積を、従来の半分に減らしたうえでの速度向上だといいます。今回、東海大学が2023年のBWSCのために設計したソーラーカーの馬力は原付バイク以下でありながら、この速度を実現します。小さな力で高速を生み出すこの車は、数多の最先端技術の結晶なのです。

 

限界に挑むことで見える世界がある

ソーラーカーのボディに用いられる、炭素繊維強化プラスチック素材を開発する、東レ・カーボンマジックの奥 明栄さんもプレゼンテーションを行いました。同社は炭素繊維の分野で世界のトップランナーである東レグループのなかにあって、炭素繊維の用途拡大を目的とする技術開発を担っています。

↑東レ・カーボンマジック株式会社 奥明栄代表取締役社長

 

↑炭素繊維が使用されるジャンル

 

奥さんは「競争によって生まれるテクノロジーや、世界一を目指すことで生まれるアイデア、限界に挑むことで見える世界がある」と語ります。その考えをもとに、東レカーボンマジックは、東京都大田区の町工場から五輪を目指す「下町ボブスレー」、トラックバイク、スポーツ用の義足、車いすマラソンのホイールなどに素材を提供してきました。

↑東レ・カーボンマジックが支援しているチャレンジャーやアスリート

 

極限の環境で繰り広げられる世界最高峰のソーラーカーレース・BWSCも同様です。同社にとってBWSCは、新技術、高性能化のための手段を実践で試せる「走る実験室」となっています。「BWSCは、学生はもとより、若きエンジニアたちが創造力、判断力、実行力、協調性を身につける場」だと、奥さんは言います。

 

東レ・カーボンマジックにも、学生としてBWSCを経験してから入社した社員がいるといい、彼らは入社時から即戦力として活躍しているそうです。

 

メーカー、科学者、エンジニアから見た、BWSCという大会の意義

プレゼンテーション後には、堀尾さん、木村さん、奥さんに、工学院大学教授の濱根洋人さんを加えた、4名によるクロストークセッションが行われました。そこで各者が強調したのが、BWSCという大会の意義です。

↑クロストークセッションの様子

 

「ブリヂストンがモータースポーツの活動を始めて、60年になります。ブリヂストンとしては、モータースポーツ文化を関連企業とともに支えていくこと、サステナブルなモータースポーツを強化していくことをコンセプトにしていますが、BWSCはこれに合致したものだと思っています」(堀尾さん)

 

「BWSCは、競争であり共創の場です。スタート前はピリピリした雰囲気がありますが、走りきってみると皆笑顔で、各チームによる情報交換が活発に行われています」(木村さん)

 

「BWSCは、“極めて”という表現がぴったりなモータースポーツだと思っています。最先端の素材を、F1より先に実践で使えるんですから」(濱根さん)

 

「色々な技術を持ち寄って、世界一を競うという体験を学生のうちにできるのは、非日常的で、かけがえのないものだと思います。BWSCは、エンジニアとしての可能性を広げ、様々な力を身につける機会になります」(奥さん)

 

ブリヂストンは2020年を「第三の創業」とし、Bridgestone 3.0の初年度と位置付けました。サステナビリティを経営の中核に据え、2050年には「サステイナブルなソリューションカンパニー」を目指しています。 BWSCはブリヂストンにとって単なる大会スポンサーという立場ではなく、今後の未来を占う活動のひとつといえるでしょう。

 

世界の最先端が詰まったBWSCは、2023年10月21日〜29日にかけて開催予定。そこで生まれた出会いが、未来のイノベーションを生むかもしれません。

「ブリザックVRX3」がSUV向けサイズを拡充。氷上での高い能力と一般路での扱いやすさを実感

ブリヂストンのスタットレスタイヤと言えば『BLIZZAK(ブリザック)』。雪国での装着率No.1という超有名ブランドです。特に2021年に発売された「VRX3」は、ブリヂストン曰く『新次元のブリザック、史上最高、史上最強のブリザック』として誕生しました。そして、今シーズンはそのラインナップにSUV専用サイズを新たに追加したのです。今回はその試乗レポートをお伝えします。

↑ブリヂストン「BLIZZAK(ブリザック)VRX3」。スケートリンクでのコーナーリングもしっかりとグリップ感があり安心して走行できた

 

街乗り中心の使い方に最適なスタッドレスタイヤ「ブリザックVRX3」

いまやSUVの人気は世界的に高まっていて、日本も例外ではありません。街には多くのSUVが走るようになり、普通のセダンと同じような使い方をする人も増えています。しかし、SUVは車高が高く車体も重いため、カーブなどではどうしてもタイヤに負荷がかかりやすくなるのも確かです。特に冬用として使うスタッドレスタイヤは、低温下でもしなやかさを保てるよう、トレッド面が気泡を含んだ柔らかい発泡ゴムで作られているため、この影響が受けやすくなります。

 

そこでSUVならではの特性に合わせたスタッドレスタイヤが必要になるわけです。

↑ダントツの氷上性能をSUVユーザーへサイズを拡大したブリザックVRX3

 

実はブリヂストンには、すでにSUV向けスタッドレスタイヤとして『DM-V3』が用意されていて、今回、BLIZZAKがSUV向けタイヤを発売することで、下は225/60R17~上は235/55R20まで12サイズがかぶることになります。もし、このサイズに該当するとしたら、どちらを選べばいいのでしょうか。

 

ブリヂストンによれば、「雪深い山岳路など、スキーをはじめとするレジャーへ出掛ける際はDM-V3をおすすめしたい」とのこと。つまり、DM-V3は積雪を噛み込みながら走破していくのが得意であって、そのためにトレッド面の溝を大きめに割いています。ただ、これによって路面への接地面積は自ずと小さくなるため、これが凍った路面はやや苦手となります。さらに乾いた路面を走れば、ロードノイズが少し大きめに出がちです。

 

そこで、普段使いとして雪深い道路を走ることはあまりなく、「積雪があまりない街乗りでも快適に走れるスタッドレスタイヤが欲しい」という声が多く聞かれるようになりました。SUV向けVRX3が登場した背景にはそんな理由があったのです。

 

発泡ゴムの改良と排水性能向上でブラックアイスバーンにも強い

ただ、これはスタッドレスタイヤとして、グリップ力を抑えたということではありません。実は街乗りでは交差点付近に多いブラックアイスバーン対策が欠かせないのです。ブラックアイスバーンとは昼間は気温が高くなって雪が溶け、夜になると気温が下がって凍結し、この上を信号待ちなどで発進/停止が繰り返することで鏡面状態となった路面を指します。ここは特にスリップしやすい危険な箇所として知られることから、街乗りで使うスタッドレスタイヤにはそんな場所でもしっかりグリップすることが求められるのです。

 

VRX3はそうした状況下に特に注力して開発されました。それだけに氷上での性能は極めて高い! そして、ドライ路面ではスタッドレスタイヤ特有のパターンノイズも抑えて快適なドライブが楽しめる! 加えて、重量の重いSUVに対してもしっかりとした剛性で足元を支える。そんなスタッドレスタイヤがSUV向けのVRX3というわけです。

 

ではVRX3はそれをどうやって実現したのでしょうか。そのポイントは、ブリヂストンが得意としてきた発泡ゴムを進化させたことにあります。前モデル「VRX2」では発泡ゴムの気泡を円形としていましたが、それをVRX3では楕円とする「フレキシブル発泡ゴム」としたのです。これによって、氷にしぶとく食らいつく能力を高めることに成功したのです。

 

その上でトレッドパターンの形状にも変更を加えました。たとえば氷上で滑る原因ともなる氷とタイヤの隙間に生まれる水を徹底して排出するために、サイプの形状を工夫して水の逆流を抑えています。さらにトレッドパターンも溝の幅を狭くすることで接地面積も拡大し、これがパターンノイズの低減にもつながりました。

 

つまり、フレキシブル発泡ゴムとトレッドパターンのデザイン変更による排水能力の向上が、氷上でのグリップ力を高めることの決め手になっているということなのです。

 

氷上でのしっかりとした手応えと一般路での扱いやすさを実感

だけど実際のところはどうなのか。今回の試乗会はそんな疑問に答えるため開催されたのです。試乗は氷上での能力を試すためにスケートリンクと、ドライ路面でのフィーリングを体験するために一般公道に分けて行われました。

↑氷上での試乗体験をするために特設で用意された東京郊外のアイススケート場

 

まずスケートリンクの特設コースで走らせると、そのグリップ力にしっかりとした手応えを感じました。さらにフルブレーキングによる制動能力も試しましたが、車重があるSUVでも不安なく停まることができたのです。ならば、旋回ではどうか。少し意地悪をして速度を上げ気味に走ってみると、前モデルVRX2よりも外側に膨らむ速度域が明らかに高かったのです。

↑ブリザックVRX3は、氷上を旋回しても優れたグリップ力を発揮した

 

VRX3がデビューした際に開かれたセダン系モデルを使った試乗会で、同じようなコースでの体験をしていますが、車重のあるSUVでも明らかな進化を見つけることができました。まさに“史上最高”“史上最強”を謳うVRX3の実力、ここにあり! そんな印象を抱いた次第です。

↑セダン系の試乗も体験。直線コースでのフルブレーキングする体験でもグリップ力の確かさを実感できた

 

次は一般公道での試乗です。走り出してすぐにわかったのが、スタッドレスタイヤにありがちな曖昧さがないということです。スタッドレスタイヤは溝を大きく取っているため、ブロックごとの剛性が一定を超えるとヨレた感じになり、これがハンドルを操舵したときに曖昧さが伝わってくることが多いのです。その感覚がVRX3ではほとんど感じさせなかったのです。

↑ドライ路面での試乗は一般道のほか、「ブリヂストン イノベーション パーク」のテストコース「B-Mobility」でも行われた

 

しかも走行中のパターンノイズはほとんど伝わってきません。乗り心地の収束性も高く、路面の継ぎ目からの振動もきれいにいなしてくれます。もちろん、クルマ側の能力にも依存してる部分も小さくないと思いますが、それでもここまでノーマルとの差を小さくできているのには正直言って驚かずにはいられませんでした。この状態なら同乗者がスタッドレスタイヤであることをまず気付かないでしょうね。

↑スタッドレスタイヤにもかかわらずVRX3は、ドライ路面でのターンノイズも最小限に抑えられていた

 

↑ブリヂストン イノベーション パーク「B-Mobility」では、路面の継ぎ目を走行する体験もできた

 

今まで、冬場になってスタッドレスタイヤに履き替えて走ると、否応なしに“スタッドレスタイヤ”を実感することが常でした。実際は走っているウチにそれも諦めにも変わっていくのですが、VRX3ならそんな諦めは不要なのです。しかもスタッドレスタイヤとしての能力も高く、アイスバーンにも圧倒的な強さを発揮します。まさにスノードライブはシーズン数回程度という都市部在住者にとって、VRX3は最適なスタッドレスタイヤとなるのではないでしょうか。

↑試乗した日は、ブリヂストン イノベーション パークの見学会が実施された。ブリヂストンのコア技術や製品を実際に見て触れることができる

 

 

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ブリザック「VRX3」を試乗! ドライ路面・積雪路での実力を比べた

昨年9月、世界No.1のタイヤメーカーであるブリヂストンから、乗用車用の最新スタッドレスタイヤ「BLIZZAK VRX3(ブリザック ヴイアールエックススリー)」が発売しました。4年ぶりにモデルチェンジされたこのタイヤは、“新次元のプレミアムブリザック”と位置付けられているだけに、その能力の高さは大いに気になるところです。今回は北海道での試乗を通してその実力を体験して参りました。

 

北海道と東北北部の主要五都市で2台に1台が装着

そもそもブリザックといえば1988年に登場以来、33年にわたって進化を重ねてきた歴史あるスタッドレスタイヤです。その評価は特に積雪地で高く、ブリヂストンの調査によれば、北海道と東北北部の主要五都市での一般車装着率はほぼ2台に1台に近い46.2%。札幌市のタクシー装着率に至っては69.5%にものぼる高い装着率! このデータからはブリザックがいかに多くの人から信頼性を獲得しているかが推察できると思います。

↑北海道や北東北5都市では20年連続装着率No.1 という実績につながり、ほぼ2台に1台がブリザックを装着するまでになった

 

BLIZZAK VRX3はその最新モデルとして、そうした実績を踏まえてさらなる「氷上性能の大幅向上、ライフ性能、効き持ちの向上を実現した新次元のプレミアムブリザック」として誕生しました。ブリヂストンによれば、氷上制動性能を先代「VRX 2」比で20%向上させながら、耐摩耗性などライフ性能も17%も向上させているとのこと。開発陣としては、そのほかにもメインの氷上性能だけでなく、ドライ路面や雪混じりの路面など、非積雪地域での性能向上にも努めたそうで、その性能もぜひ体験して欲しいとも話していました。

↑さらなる「氷上性能の大幅向上、ライフ性能、効き持ちの向上を実現した」(ブリヂストン)ブリザック「VRX3」

 

↑「新次元のプレミアムブリザック」として、氷上性能の向上をメインとするがライフ性能の向上、さらに静粛性や応答性の高さもポイント

 

中でもライフ性能についてはユーザーがもっとも求めることです。しかし、スタッドレスタイヤの構造上、氷上や積雪路でもグリップ力を高めれば摩耗はしやすくなり、早いタイミングでの交換が必要になります。そこでVRX3ではこの相反するテーマにあえて挑戦。積雪路や氷上での水はけ能力を高めつつ、タイヤブロックのサイズを均一にして接地圧を路面に行き渡らせるなどして偏摩耗性を向上させたのです。

↑氷上性能を向上させた大きな理由は“水を吸い上げる力”。VRX3では水路の断面を従来の「丸」→「楕円」とすることで吸い上げる容積を増やした

 

↑最新のシミュレーション技術を駆使して実現した「予測技術」も投入し、さまざまな条件での高い対応力を生み出すことにつながった

 

ドライのオンロードで乗り心地の良さや高い静粛性を実感

さて、今回の試乗、“冬の北海道”ということでスノードライブを予想していました。ところが、訪問した12月中旬は道路上に積雪がゼロ! というあいにくのコンディション。雪上試験はテストコースに人工降雪機で雪を降らせてやっとコースを作り上げたという状態でした。つまり、期せずして開発陣が話していた、積雪路とドライ路面での実力を同時に北海道の地で体験することになったのです。

↑試乗会場は新千歳空港にほど近いカート場。積雪がない中、人工降雪機で雪を降らせてコース作りが行われていた

 

オンロードでの試乗はフォルクスワーゲン「ポロ」とアウディ「A4アバント」の2台。ポロはFFで185/65R15サイズを、A4アバントは4WDで245/40R18サイズを装着していました。

 

ポロは元々、路面からの反応がキツメに出る傾向にありましたが、それがVRX3を履くことでそれをいなしてくれているようにも感じました。それでいてステアリングの応答性が良いものだから、スタッドレスタイヤではありがちなグニャッとした曖昧さはなく、ドイツ車らしいキレの良いフィーリングとして体感できたのです。

↑唯一のFFモデルだったフォルクスワーゲン・ポロでの乗り心地はかなり硬めだったが、それでもシャープな応答性が気持ち良かった

 

A4アバントでは、走り出すとしっかりとしたフィールがすぐに感じ取ることができました。スタート時にはA4アバントが発生する太いトルクを確実に路面へ反映させて、コーナリングでも腰くだけするような印象はありません。気持ち良いハンドリングを体験させてくれたのです。中でも驚いたのが乗り心地の良さと静粛性です。荒れた路面でもその振動を和らげてくれている印象で、さらに静粛性の高さはスタッドレスタイヤとは思えないハイレベルなものでした。これならバッテリーEVで使った場合でもそのメリットを十分感じ取れるはずです。

↑VRX3のブロックは剛性が極めて高く、少し車重のあるアウディ・A4アバントでもコーナリングや強めのブレーキングでも腰砕け感がほとんど感じない

 

わだちのあるシャーベット状の積雪路でも安心して走れる心強さ

続いては、人工雪で作られたテストコースでの試乗です。雪質としてはほぼ“雪解け”状態の、わだちも多い条件の良いものではありませんでした。むしろこの状態は、日本の非積雪地で大雪が降った翌日あたりに生まれるシャーベット状の路面にも似ています。そういった意味では除雪がされない都会での走行をリアルに再現されたコンディションともいえます。

 

試乗は軽自動車から上級サルーンまですべて4WDという多彩な車種での体験となりました。ここで実感したのは車種を問わず、トラクションがしっかり効いていたことです。車重の軽い軽自動車である日産「デイズ」でこそ、わだちで跳ねるような印象がありましたが、そんな状態でも路面のグリップはしっかりキープ。4WDということもあって、ステアリングを勢いよく切った場合でもコントロールは極めてしやすく、安心して走行することができたのです。

↑軽量な日産・デイズではやや乗り心地が硬めで跳ねる感じがしたが、路面をしっかりとグリップして急ハンドルでもコントロールがしやすかった

 

また、メルセデス・ベンツ「Eクラス」ではFR系4WDとして別のフィーリングを味わうことができました。このクルマでは基本的に後輪の駆動力をメインとした上で、ステアリングを切ったときは前輪でグリップしながら操舵していく感じになりますが、この状況にもVRX3はしっかりと対応してくれます。重めの車重が功を奏している面もあるかとは思いますが、感覚としてはグリップ力に余裕を生み出したと言った感じでしょう。この余裕がいざという時の助けにつながるのです。

↑FR系4WDのベンツ・Eクラスは重量級だが、ステアリングを切ったときでも前輪がしっかりと食いついている感じ。余裕のあるグリップ力を実感した

 

今回、スケート場での氷上試乗と合わせ、異なった3パターンでの体験ができたわけですが、それを通して理解できたのは。VRX3があらゆるシーンで高い能力を発揮するスタッドレスタイヤであるということです。氷上でも前モデル「VRX2」からの進化を感じさせましたが、ドライ路面での乗り心地の良さや静粛性を、シャーベット状の積雪路ではコントロールしやすさはまさにプレミアム感を実感できるものでした。こうした着実な進化があるからこそ、VRXシリーズが多くのユーザーから支持される理由なのだと再認識した次第です。

 

 

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4年ぶりのフルチェンジ!“新次元のプレミアムブリザック”VRX3の実力を一足早くチェック!

世界No.1タイヤメーカーのブリヂストンから、今年9月、最新の技術を投入したスタッドレス「BLIZZAK VRX3(ブリザック ヴイアールエックススリー)」が4年ぶりに発売されることが、本日7月15日に発表されました。同社によればこのVRX3を“新次元のプレミアムブリザック”としており、その実力の一端を先駆けて体験して参りました。

↑新横浜スケートセンターで行われたブリザック「VRX3」の事前試乗会。氷上でのグリップ力を体感することができた

 

氷上性能の大幅向上、ライフ性能、効き持ちの向上を実現

「ブリザック」は1988年に誕生し、変化するユーザーの声を反映しながら今やダントツの氷上性能を発揮。それが北海道や北東北5都市では20年連続装着率No.1 という実績につながり、ほぼ2台に1台がブリザックを装着するまでになりました。中でも見逃せないのが業務で使うタクシー業界で7割もの車両に装着されていることです。これはまさにブリザックに対する高い信頼性がもたらした結果と言えるでしょう。

 

そうした実績を踏まえ、さらなる「氷上性能の大幅向上、ライフ性能、効き持ちの向上を実現した」(ブリヂストン)のがVRX3なのです。

↑ブリザックVRX3の3種。左から主に軽自動車向け155/65R14、プリウスなど中型車向け195/65R15、大型乗用車向け225/45R18

 

VRX3の商品コンセプトは、氷上性能の大幅な向上と、ライフ性能、効き持ちの向上を実現した「新次元のプレミアムブリザック」です。ブリヂストンによれば、近年の暖冬化傾向により降雪量は年々減少傾向にあり、積雪はないものの、凍結路面に遭遇するシーンが特に増えていると言います。VRX3は特にそういったシーンでの“効きの良さ”を高めることを最大のテーマとして登場したのです。

 

また、VRX3はスタッドレスとしての効果を長持ちさせることにもトライしています。一般的にスタッドレスタイヤは柔らかいコンパウンドを使用しているため、寿命は短くなるのが常識。ユーザーも長持ちして欲しいという思いはありながら、この効果を維持するために我慢してきた部分でもあります。そこで、ユーザーの切実な思いに応えようと、VRX3の開発にあたってはこの相反する部分にも敢えてトライしたというわけです。

 

滑りの原因を毛細管現象で除去する発泡素材を採用

そもそもタイヤはどうして氷の上で滑るのでしょうか? その原因は氷の表面に発生する「水の膜」にあります。この膜がタイヤと氷の間にすき間を生み出し、これが原因となって滑るのです。スタッドレスタイヤでは氷が溶け出す温度で発生する現象であり、仮に氷が溶け出さない北極圏のような厳寒地ではこうした状況は発生しません。むしろ、氷の上でもタイヤはしっかりとグリップします。日本の降雪/積雪地は全般に氷が溶ける気温であることが多い事に加え、降雪量も多い。その意味では世界でも特殊な環境にあるんだそうです。

 

さて、そうした日本の環境に向けて誕生したVRX3ですが、氷上での効果を発揮するためにまず実施しているのは水の除去(除水)です。水を可能な限り取り除くことで、滑りの要因を低減。次に路面にしっかりと接地させて摩擦・ひっかきを働かせることでグリップ力を高めます。ただ、これらは従来製品でも実施してきたことでもあります。今回はその性能を進化させるために新たな素材として、新タイプの発泡ゴムを採用。これが除水性能と接地性の向上に大きく寄与したと言います。

↑路面でタイヤがスリップする要因は、路面との間に水膜ができるから。これは氷上の上でも同じで、スタッドレスタイヤでその効果を発揮するには除水がキモとなる

 

発泡ゴム進化の秘密はその形状にありました。従来は球状の発泡と水路の発泡で水の膜を除水していましたが、VRX3ではその断面形状を楕円形に変更しているのです。これが毛細管現象をさらに際立たせることにつながり、吸水力の大幅アップに成功。接地面積をミクロ単位で拡大させ、グリップ力の向上をもたらしたというわけです。

↑トレッド面には新発泡素材と新デザインのサイプを組み合わせることで除水効果を大幅に高めている

 

スタッドレスタイヤの柔らかさを長期間にわたって維持する新素材を配合

また、この新発泡ゴムにはゴム部分に従来使っていたオイルよりも分子量が高い新素材を配合しています。これも見逃せないポイントです。

↑VRX3では発泡ゴムの形状を楕円とすることで除水能力をさらに進化させ、接地でのグリップ力を高めている

 

実はスタッドレスタイヤのグリップ力確保に柔らかさはとても重要で、これはオイルなどを配合して対応するのが一般的です。しかし、オイルは時間と共に抜けてしまい、それによりゴムは徐々に硬化していってしまいます。ブリザックではここに気泡を含ませることで柔らかさを維持してきましたが、それでもオイル抜けは発生します。そこで、VRX3では新素材の配合で対応することにしたのです。これはオイルと違って経年による抜けが発生しにくく、柔らかさを長期間にわたって維持できるという特徴を持ちます。これによって氷上での“効き”を長期間にわたって確保したのです。

↑VRX3では新発泡ゴムの配合により、使用年数によるゴムの硬化を抑え、柔らかさ維持で効きを長持ちさせている

 

それだけではありません。トレッドパタンの変更により、確かな除水と高剛性化を進めているのです。突起つきブロック・端止めサイプを採用することで、除水した水を再び侵入することを抑制し、これがパタン全体として接地性アップにつながってグリップ力向上に貢献しました。さらにサイプ角度を見直してパタン剛性をコントロールすると共に、リブの配置やブロック形状の均等化によって接地圧を均一化することでタイヤと路面の滑りをさらに抑えることにも成功したそうです。

↑新デザインのパターンを採用することで除水能力を高め、マクロな接地能力を向上させている

 

↑タイヤと路面の滑りにしっかり対応するためにトレッド変形を抑制するパタンの高剛性化を実現した

 

横方向への滑りで旧モデルとの違いを実感! 発進やブレーキングでも効果

では、これらを装備したVRX3の実力はどうなのか。体験したのは横浜市にある新横浜スケートセンターです。試乗車は現行プリウス2台。前モデルであるVRX2と比較しながらの体験となりました。スケートセンター内ということもあり、速度域は最高で15km/hまでで、メニューは主に直線での発進とブレーキング時のグリップ力と、コーナーでの横方向への滑りの体験。実際に走行してその違いを感じ取ることにしました。

↑新横浜スケートセンサーに用意された試乗コース。最高15km/hでVRX3のグリップ力を体験した

 

最初はVRX2からスタートです。アクセルを控えめに踏むと、スケートセンターでの氷上は管理が行き届いているせいでしょうか、予想していたよりもしっかりと発進していきます。最初のコーナーではゆっくりと切りはじめ、最後に円を描く周回へと移ります。周回ではおよそ10~15km/h程度で走りましたが、VRX2でも結構粘ってくれます。ただ、15km/hに近づくあたりから外へと脹らみ出し、何回か周回するうちにスピンアウトも体験してしまいました。

 

VRX3ではどうでしょう。ここは予想以上の違いを感じました。VRX2では外へ膨らみ出した速度域でもVRX3はしっかりと踏ん張ってくれるのです。さすがに15km/hを超えると完全にアウトでしたが、それまでの速度域ではVRX3の方が明らかに周回がスムーズに行えたのです。つまり、これは横方向のグリップ力が向上していることの証しなのだと思います。ステアリングの操舵感もVRX3の方がしっかりとした印象で、それがコーナリングでの安心感を与えてくれたのでしょう。

↑旧モデルVRX2との比較試乗では、VRX3のグリップ力が明らかに優れていることを感じることができた。写真はVRX3を履いたプリウス

 

次に直線路での発進とブレーキングで、速度は15km/h。所定位置からフルブレーキングし、目印位置からどの程度で停止できるかを試しました。結果はVRX2でも十分なグリップ力を感じることができ、不安な印象はほとんどありません。次に試乗したVRX3と比較した印象では、いくらかVRX3の方がしっかりとした感じで止まってくれるかな? という程度の違いでした。ただ、いざという時に、このわずかな差が命取りになる可能性はあります。少しでもグリップ力が高い方が良いことはより大きな安心感につながるのです。

 

ウインタードライブでの安心感と楽しさをアップするブリザック「VRX3」

今回の試乗で感じたのは、本来ならわずかな差でしかないスタッドレスタイヤのスペックの中で得た氷上での確かな進化です。ステアリングを切ったときのしっかり感は次元の違いすら感じます。ブリザックVRX3は、氷上性能の大幅な向上と、ライフ性能のさらなる進化を遂げることで効き持ちの向上を実現しました。節約志向の人でもウインタードライブでの安心感と楽しさを十分感じ取れる新次元のスタッドレスタイヤと言えるでしょう。

↑デモカーのトヨタ・プリウスに装着したブリザックVRX3。タイヤサイズは195/65R15

 

ブリザックVRX3の発売は2021年9月1日を予定。ラインナップは111サイズを用意し、タイヤの速度記号はすべて「Qレンジ(最高速度160km/h)」となっています。

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると表示されます)】

 

ブリヂストンの大充実ミュージアム「ブリヂストン イノベーションギャラリー」がオープン!見所を4つにわけて紹介

ブリヂストンが2020年11月21日「Bridgestone Innovation Gallery(ブリヂストン イノベーションギャラリー)」を東京小平市にオープンさせました。この施設はブリヂストン社の歴史をはじめ、タイヤに関する様々な知識や、同社が手がけるタイヤ以外のイノベーション、さらに将来へ向けた取り組みなどを紹介したミュージアムです。

 

ブリヂストンは将来に向け、この地に「Bridgestone Innovation Park(ブリヂストン イノベーション パーク)」の建設を計画しており、本ギャラリーはその最初の施設となるもの。今後は社内外の交流を促進する施設やテストコースなどを備えた総合的な施設へと発展させる計画です。リニューアルオープンは当初、2020年春を予定していましたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けこの日のオープンとなりました。

↑ブリヂストンが東京・小平市に計画している「ブリヂストン イノベーション パーク」の完成予想図。白いビルに今回リニューアルした「ブリヂストン イノベーションギャラリー」が入っている

 

ブリヂストンの誕生、現在、未来を4つのパーツに分けて展示

ギャラリーの入口に展示されているのは世界最大級のタイヤです。サイズは59/80R63となっていますが、ヨコにある説明によれば、直径:4022mm、幅:1459mmとなっていて、重量はなんと5223kg! とあります。これはダム建設用の巨大ダンプなどに採用されるタイヤなんですね。

↑ブリヂストン イノベーションギャラリーのエントランス。右側にあるタイヤは世界最大級の大きさで、東京工場のシンボルともなっている

 

ギャラリーは2フロアを使用しており、エントランスホールには企画展スペースとして利用することが可能です。たとえば「エコ絵画」の展示や近隣の小中学校の生徒を対象にしたワークショップなどの開催を想定しているとのことです。館内は大きく「WHO WE ARE〜挑戦の歩み」「WHAT WE OFFER〜モビリティ社会を支える」「HOW WE CREATE〜創造と共創」「WHERE WE GO〜新たなチャプターへ」の4つのゾーンに分けて展示されています。それではゾーンごとに一つずつ紹介していきましょう。

 

【その1】WHO WE ARE〜挑戦の歩み

ブリヂストンがこれまで挑戦してきた歴史やグローバル企業として躍進する取り組みなど、その歩みやDNAを感じられるゾーンとして構成されています。同社の創業者である石橋正二郎氏の生い立ちに始まり、ブリヂストンが純国産タイヤメーカーとして創業し、海外やモータースポーツへ進出してグローバル企業として成長するまでの過程が一望できます。創業当時のタイヤ(レプリカ)の他、ブリヂストン初のラジアルタイヤ、広告に使ったブリキ看板など展示物も豊富で、懐かしくもあり、興味深い展示となっています。

↑創業者の石橋正二郎氏を紹介するパネルと、右下にあるのは創業当時のタイヤ(レプリカ)。右上にあるのは当時のブリヂストンの広告

 

↑その昔、幹線道路には2キロごとにブリヂストンの取扱店を用意し、これが顧客の信頼性向上に貢献した

 

↑F1用タイヤを開発するために実際にテストで使用されたF1マシン。これが契機となってブリヂストンのグローバル化へと突き進んだ

 

【その2】WHAT WE OFFER〜モビリティ社会を支える

ここはブリヂストンのを紹介するコーナーです。タイヤの基本原料であるゴムなどの素材そのものからタイヤの構造などを学習でき、幅広い製品群も展示されています。同社が取り扱う自転車や乗用車用、航空機用まで様々なタイヤなどによって社会を支えていることがわかります。参加型の展示も多いのも特徴で、様々なゴム素材を引っ張ってその違いを知るコーナーや、上から落として弾性の違いを体感するコーナーなどを用意しています。空気が抜けても走れるランフラットタイヤの解説や、軽量化技術「ENLITEN(エンライテン)」など、タイヤの最新技術を知ることができるのも見逃せません。

↑ブリヂストンが扱う様々な種類のタイヤを展示し、それらはどんな用途に使われているかを当てるクイズ形式で展示。裏側に答えが表記してある

 

↑タイヤの製造工程をタイヤの素材と共に順を追ってわかりやすく解説されている

 

↑様々な路面を再現したサンプル上で、最適化したタイヤの特徴を知ることができる。驚くのはその路面がホンモノと見紛うほどリアルに再現されていることだ

 

↑タイヤの表面を張り替えて繰り返し使う「リトレッド」について紹介。業務用途ではこの利用が常識となっている。左がすり減ったタイヤで、表面を張り替えて完成させたのが右

 

【その3】HOW WE CREATE〜創造と共創

ここではブリヂストンが手掛けるスポーツ製品や建築ソリューションなど、現在開発中のものも含めた、イノベーションが紹介されています。体験コーナーも多く、NVHソリューションシミュレーターでは騒音、振動、ハーシュネスの発生具合とそれを抑制する効果などを実際に体験。ゴルフのスイングフォームを録画して骨格の動きと体重移動の流れを解析するコーナーも用意されています。また、同社のアスリートやパラアスリートへの支援活動についても紹介されていました。変わったところでは、サイホン原理による新しい排水システム「スマートサイホン」のデモ装置で、同社が建築分野などにも幅広く進出している事業内容を知ることができます。

↑騒音や振動、ハーシュネスを座って体感できるNVHソリューションシミュレーター。NVH効果をON/OFFしてその効果を体感できる

 

↑オリンピック用に開発し、正式採用されたフルカーボン製自転車。車体重量は7kgにも満たないという

 

↑ゴムと樹脂を分子レベルで結びつけた世界初のポリマー「SUSYM(サシム)」を使って試作したタイヤ(コンセプト)

 

↑タイヤ作りで最も重要なパターンの元となる現場を再現した展示。映像と実物で手彫りする様子が解説されていた

 

【その4】WHERE WE GO〜新たなチャプターへ

ここは未来を感じさせてくれるコーナーです。映像が流れる通路を通過するとそこはブリヂストンが描く未来を感じ取れる世界。同社が誇る最新テクノロジーが紹介されていました。なかでも興味深かったのは、JAXAとトヨタが開発中の月面探査車(ローバー)用のタイヤの展示です。注目は金属で織り込んだ特殊な素材が使われていること。月面温度は昼夜の寒暖差が280度もあり、とてもゴム製タイヤでは対応できないとのこと。重量は1本300kgもあるとのことですが、重力は地球の1/6になるため50kg相当になるんだとか。展示からはそんな月面で活躍するローバーの姿が目に浮かんでくるようです。

↑JAXAとトヨタが開発中の月面探査車(ローバー)用のタイヤ。素材はゴムではなく、金属などの特殊な素材でできている。重量は1本で約300kg

 

↑インホイールモーターのEV(電気自動車)向けに開発されたタイヤで、走行中でのワイヤレス給電を可能としている

 

↑2017年のインディ500で優勝した佐藤琢磨選手のマシン(レプリカ)。ブリヂストン傘下のファイアストン・タイヤを履いている

 

ギャラリーを一通り回って感じたのは、クルマやタイヤに少しでも興味があれば訪れてみる価値はあるということ。とにかく資料や展示が豊富で、これらが無料で楽しめることも大きいです。子どもが楽しめるコーナーも用意してあるので、家族で訪れてもいいですね。知らず知らずのうちにタイヤをもっと身近に感じられるようになるでしょう。日曜/祝日はお休みですが、週末の土曜日ならOK。時間つぶし以上の収穫が得られると思いますよ。

 

「ブリヂストン イノベーションギャラリー」へのアクセス

JR山手線・高田馬場駅から西武新宿線に乗って30分ほどの小川駅東口から徒歩で5分程度で着きます。東京都心から少し離れた小平市にありますが、実際に乗り継いでいくとアクセスは比較的良い。入場料は無料。日曜/祝日と年末年始は休館日です。なお、クルマでの出掛けた場合は無料の駐車場が利用できます。

 

 

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スノーシーズン、まもなく到来! 安全、快適性を備えた「いまゲットしたい厳選スタッドレスタイヤ」4モデル

スキー、スノーボード、冬景色の鑑賞に写真撮影。はたまた、雪化粧した庭を見ながらの温泉三昧……。アクティブ派も、のんびりタイプも、それぞれに楽しみなウィンターシーズン。お出かけの相棒となるクルマの足もと、スタッドレスタイヤはもう準備しましたか?

 

スタッドレスタイヤは日進月歩

雪道や凍結路を走行するために開発されたスタッドレスタイヤ。日本は、世界的にも希な豪雪地帯を持ち、また交通量が多い地域もあり、スタッドレスタイヤには高い性能が要求されます。一般的な積雪路のみならず、水分を多く含んだ雪、クルマによって踏み固められ、夜に凍ったアイス路面などにも対応しなければなりません。

 

スタッドレスタイヤに求められる性能は、なにはともあれ「滑らないこと」「滑りにくい」こと。そもそも路面が滑りやすくなるのは、その表面に水の層や膜ができるから。そのため、スタッドレスタイヤはトレッド(タイヤのパターン)を工夫して、路面の水を掃き出したり、吸い取ったりしています。

 

また、低温になると硬くなるゴムの性質を緩和することも重要です。冷たい路面でもタイヤの柔軟性を保ち、マクロのレベルでタイヤと路面をピッタリと張り付かせ、グリップさせるのです。タイヤメーカーは、それぞれタイヤを構成する成分やブレンド方法を研究して、寒くてもグリップが落ちないタイヤの開発に勤しんでいます。

 

さらに最近では、スタッドレスタイヤといえども、雪や氷上のグリップ性能に加え、通常の路面でのグリップ、耐久、低燃費、そしてウェット性能など、総合的に高いバランスが求められる時代に。

 

スタッドレスタイヤの寿命は約3年といわれます。ただ、使われ方によって左右される要素も多く、さまざまな工夫が施されたトレッドが摩耗していると、本来の性能が発揮できない場合も。新製品が出そろい、豊富なサイズが用意されるこの時期に、一度、スタッドレスタイヤの購入を検討してみてはいかがでしょう?

 

購入したタイヤが取り付け店に直送される「タイヤ取付サービス」!

楽天市場では、ショップで購入されたタイヤをお近くの取付店へ直送。タイヤの取付までを行う「タイヤ取付サービス」を提供しています。クルマに詳しくない人でも、気軽に購入できるのです!

※タイヤ取付サービスの詳細はコチラ

 

冬の道に挑むオススメのスタッドレスタイヤ4選

世界的にも条件の厳しいニッポンの冬道。さまざまなシチュエーションにバランスよく対応できるスタッドレスタイヤが、各社から販売されています。それではオススメのスタッドレスタイヤを紹介しましょう!

 

[01]

ニッポンの冬道を知り尽くした優れた総合性能

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ブリヂストンブリヂストン・ブリザックVRX2

楽天市場実売価格 5994円から(1本)

日本のスタッドレスタイヤの歴史を牽引してきたブリヂストンの代表銘柄、ブリザック。最新のVRX2は、雪、氷、そして乾いた路面でも優れた性能を発揮する総合力の高さが自慢です!

 

<注目ポイント>

・「滑らない」性能をアップしたアクティブ発泡ゴム2

・接地力を高める非対称パターン

・ロングライフで経済的

ブリザックVRX2は、路面の水膜を吸い取り、しっかり接地させる新素材「アクティブ発泡ゴム2」を採用。接地性を高め、タイヤのグリップを確保する「非対象パターン」と併せ、路面状況を選ばず、しっかり止まり、曲がるスタッドレスタイヤとなりました。走行中のふらつきを軽減し、乗り心地を向上させたのも新パターンの特徴です。ブロック剛性がアップしたのも注目ポイント。タイヤパターンの変形を抑えて摩耗を抑制して従来より22%長いロングライフを実現、高い総合性能と経済性を両立させました。

 

[02]

高性能が長続きする先進技術を投入

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ミシュランタイヤ

ミシュランX-ICE3+

楽天市場実売価格 7400円から(1本)

厳しく、変化に富んだ日本の冬道を知り尽くした、ミシュランの日本チームが開発したX-ICE3+。最新技術の採用により、タイヤが磨耗しても「効果長持ち」を謳うミシュランタイヤの自信作です。

 

<注目ポイント>

・「Mチップ」内蔵の表面再生ゴム

・3つの技術によるグリップ力

・温度に適応する新素材

ミシュラン X-ICE3+は、本来の性能を長続きさせる「表面再生ゴム」を採用。これは、タイヤの素材に微細な物質「Mチップ」を無数に内蔵したものです。タイヤの摩耗が進むと、表面に露出したMチップが溶けて、無数のマクロの穴が出現。路面の水分を除去してブレーキング性能を維持します。また、ミシュランが誇る細かなブロック形状「トリプル・エフェクト・ブロック」もさらに進化。路面に噛みつくエッジ効果がアップしたほか、横ブレしにくい、安定した走りも実現しています。履き始めから強力に効くアイスブレーキングが、履き替え時まで続く。それが、X-ICE3+です。

 

[03]

氷上制動性能15%アップの冬の万能モデル

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ヨコハマタイヤ

ヨコハマ・アイスガード6

楽天市場実売価格 6170円から(1本)

ヨコハマ・アイスガード6は従来モデルよりも氷上性能をさらにアップしながら、トータルバランスも追求。耐久性、低燃費、ウェット性能、そして静粛性をも向上させた総合力の高さに注目です。

 

<注目ポイント>

・氷に効く「プレミアム吸水ゴム」

・燃費を良くする低ごろがり抵抗

・騒音エネルギー33%減の新パターン

路面の水膜を吸水し、路面に密着し、氷の表面をひっかくエッジ効果。これら3つの効果を、ナノ技術を駆使して実現させたのが、ヨコハマの誇る「プレミアム吸水ゴム」です。具体的には、ナノレベルの「新マイクロ吸水バルーン」と「エボ吸水ホワイトゲル」が路面の水を吸い上げると同時に、エッジ効果によって氷の表面を噛みます。また、低温時のタイヤの柔軟性のカギとなる素材がシリカで、これをタイヤコンパウンド内に均一に分布させる「シリカ高反応ホワイトポリマー」を採用してマクロな凹凸にしっかり密着、凍結路面での性能をアップさせました。その結果、氷上での制動距離を15%、ウェット路面でも5%短縮させています! パターンノイズに配慮した新タイヤパターンによって、騒音エネルギーを33%低減し、車内の快適性が向上したことも見逃せません。

 

[04]

ミニバンやSUVのふらつきを抑えるスタッドレス

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東洋ゴム工業

トーヨー・ウィンタートランパスTX

楽天市場実売価格 1万円から(1本)

背が高いミニバンやSUV、車重が重くなりがちなハイブリッドモデル。そうしたクルマの、冬道でのコーナリングやレーンチェンジ時のしっかり感を提供してくれるのがトーヨー・ウィンタートランパスTX。アイス性能も従来モデルにくらべ引き上げられています。

 

<注目ポイント>

・アイス性能アップの「NEO吸着ナノゲルゴム」

・ふらつきを抑える「スーパーハイターンアップ構造」

・経年劣化を抑制する「トリプルトレッド構造」

背が高く、重くなりがちなクルマの冬道走行を強力にサポートするのが、トーヨー・ウィンタートランパスTXです。「吸水」「密着」「ひっかき」の3要素を瞬時に機能させる「NEO吸着ナノゲルゴム」を採用。また、ミニバン専用の夏タイヤ「トランパス」での経験を活かし、スタッドレスタイヤにも横剛性に強い「スーパーハイターンアップ構造」を採り入れ、走行中のふらつきを抑えます。トレッドの内側には、スーパーソフト・コンパウドを配してアイス性能を向上させ、外側にはソフト・コンパウンドを使ってコーナリング時などの操縦安定性を高めています。ベースにソフトキープコンパウンドを敷いて経年変化軽減を図っていることも見逃せません。ミニバン、SUV、ハイブリッドカーのオーナーの方は、ウィンタートランパスTXをチェックしてみてはいかがでしょう?

 

提供:楽天市場

ドライブシーズン到来! 安全性、快適性を備える「いまゲットしたい厳選タイヤ」5モデル

圧倒的なパワーが自慢のスポーツモデル。給油のたびに燃費が楽しみなエコカー。家族みんなで出かけるミニバンタイプ。クルマの種類はさまざまですが、何を選んでも共通していることがあります。それは、いずれもタイヤで走っているということ。

 

1本のタイヤが地面と接地している面積は、一般的なクルマではがき一枚。高性能スポーツカーでピザ一枚といわれています。その限られた面積に乗員の命がかかっているのです。……ちょっと大袈裟に聞こえるかもしれませんが、本当のハナシ。クルマでのお出かけが増えるこの時期。一度、愛車のタイヤをチェックしてみませんか?

 

※楽天市場「夏タイヤ特集」ページはこちらをクリック!

 

タイヤ交換時期は購入後5年が目安

タイヤの交換時期は、購入後、だいたい5年が目安です。見た目パリッとしていて、溝もまだまだ、といったコンディションでも例外ではありません。タイヤは、さまざまなゴムや素材からつくられた工業製品。見た目の劣化が少なくとも、年を追うとともに特性が変わり、初期の性能が出せなくなっていきます。「もったいない」と思う気持ちは大切ですが、「乗員の安全はもっと大事」と割り切る判断も時には必要です。

 

通勤、通学、レジャーなどで、クルマを多用するオーナー人は、ときどきタイヤの溝を確認してみましょう。とりあえず、前輪のタイヤの溝に5円硬貨を差し込んで、「五円」の文字が隠れていたらまだ大丈夫。溝が減って、「五円」がすっかり見えるようになっていたら、要注意。タイヤのスリップサインを探してください。

 

 

タイヤのスリップサインとは、溝の中に、小さく凸状になっている部分のこと。タイヤ側面の三角▲マークが示すあたりのトレッド面を見てみましょう。溝の一部がわずかに途切れているはず。それがスリップサインです。

 

もしスリップサインの出っ張りが、左右のトレッドと繋がっているようなら、すぐにタイヤを取り替えてください! 残り溝1.6mmを切っている状態ですから。スリップサインの頂部が左右と比較してまだ凹んでいるけれど、高低差がなくなってきているようなら、そろそろタイヤ交換を意識しましょう。特にウェット時は制動距離が大幅に伸びます。

 

特に高速道路などで路面が水に覆われていると、タイヤが水膜にのって、クルマ全体がツーッと滑って「冷や汗をかく」なんてことも起きやすくなります。タイヤの溝は、地面をしっかり蹴る働きのほか、踏んだ水を外に押し出す、排水機能も担っています。すり減っていると、この機能が低下してしまうんです。

 

空気圧のチェックも重要

タイヤの空気圧について、ほとんど気にしないという人もいるようですが、空気圧も重要です。タイヤをチェックする際は、タイヤの減り具合だけでなく、減り方も気にしてみましょう。トレッドの減り方が左右で違っていたり、センター付近だけ、はたまた両サイドだけ摩耗が激しい場合があります。これは、たいていはタイヤの空気圧が適正でなかったため生じる現象です。またときにはクルマの操舵装置、アライメント(タイヤの向き)に問題があることも。「おかしいな」と思ったら、一度、販売店、専門店などに相談することをオススメします。

 

↑タイヤの空気圧については、運転席側ドアの車体付近に貼られている空気圧表示シールで確認できます。適正な空気圧がわからなかったり、タイヤ内の空気量を調整して欲しいときは、スタッフのいるガソリンスタンドでチェックをお願いしてみましょう。きっと、すぐに対応してくれるはずです

 

さて、めでたく新品タイヤに履き替えると、どんなメリットがあるのでしょう? もちろん、本来のグリップ性能、安全性能が確保されます。すぐに実感できることではないけれど、安心です。加えて、クルマの乗り心地がよくなります。

 

ひとたびクルマに装着されたタイヤは、クルマが曲がったり、減速したり、加速したり、ただまっすぐ走っているだけでも、常に負荷がかかり、摩耗していきます。タイヤ本来の「丸さ」が、実用に支障ないレベルで、ですが、損なわれていきます。運転者も気づかないレベルで、転がり性能が悪化し続けるんです。また、4輪それぞれの摩耗状態が異なることも、乗り心地に影響を与えます。

 

タイヤを新調すると、4輪のバランスがしっかり取られます。そのうえ個々のタイヤの真円性が高いので、交換直後はハンドルを握って走り出したとたん、そのスムーズな乗り心地に「オッ!」と思うはず。すぐに感覚がなじんでありがたみが薄れてしまいますから、交換直後の小さな感動を大切に!!

 

安全性、快適性を高める車種別おすすめタイヤ5選

最近では、クルマの種類に合わせた特性を揃えたタイヤが数多く販売されています。ぜひ愛車に最適なタイヤをチョイスしてください。そしてクルマに装着した後は、こまめなタイヤチェックを欠かさずに! それではタイプ別のオススメタイヤそ紹介しましょう。

 

[セダン向け]

フォーマルさが際立つ「ブリヂストン・レグノ」シリーズがオススメ

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ブリヂストン

ブリヂストン・レグノGR-X1

楽天市場実売価格 8550円から(1本)

ブリヂストン・レグノシリーズは、運動性能、安全性能を高い次元でバランスさせ、さらに圧倒的な静粛性を誇る同社のトップエンドモデル。キャビンと荷室をハッキリと区別し、乗員の快適性を重視するセダンタイプのクルマにピッタリのタイヤです。さらに一歩進んだ上質さを手に入れられるでしょう。

 

<注目ポイント>

・防弾チョッキなどに用いられる「アラミド素材」の使用

・高い運動性能、安全性能にプラスして、驚きの静粛性も実現

・トレッドパターンに、5種類のピッチを持つブロックを並べた配列を採用

すでに35年を超えるヒストリーをもつブリヂストン・レグノ。ロードノイズを可能な限り抑えるトレッドパターンの研究はもとより、タイヤ構造の研究や、新素材の採用にも積極的。なんと防弾チョッキなどに用いられるアラミド素材を構造材に取り込んで、衝撃吸収性を向上すると同時に、その柔軟性を活かして、上質な乗り心地、快適性をもたらしているのです。運動性能も高いブリヂストン・レグノは、総合性能に優れた、まさに王道タイヤです。

 

[ミニバン向け]

ミニバン向けには、「トーヨー・トランパス」シリーズ

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東洋ゴム工業

トーヨー・トランパス

楽天市場実売価格 5030円から(1本)

大人数を乗せることを想定しているミニバンは、一般的なセダンやハッチバックよりボディサイズが大きく、車高も高くなります。そのため、上屋(ボディ)を支えるタイヤの負担も大きくなりがち。そんなミニバンの特性に、いちはやく対応したのが、トーヨーのトランパスシリーズ。走行中のミニバンのふらつきや、タイヤの偏摩耗を抑える技術が搭載されています。

 

<注目ポイント>

・タイヤの内側と外側のトレッドパターンを変えた「非対称3本溝パターン&ワイドトレッド」を採用

・細かいトレッド部分が立体的に支え合う「3Dマルチサイプ」

・タイヤ側面の剛性を上げる「スーパーハイターンアップ構造」を導入

大きく重くなりがちなミニバンボディを支えるために、タイヤにもよりしっかりとした構造が必要となります。トランパスは、コーナリング時などに荷重がかかるタイヤの外側に、内側よりも剛性が高く、広めに接地できるトレッドパターンを採用。一方、細かいトレッド部分は立体的に支え合うことで、コーナリング性能をアップしています。さらに内部構造を見直して、タイヤ側面の剛性を高めていることも見逃せません。ミニバンを不安感なくドライブしたい方に!

 

[SUV向け]

SUV乗りは「ヨコハマ・ジオランダーSUV」に注目!

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ヨコハマタイヤ

ヨコハマ・ジオランダーSUV

楽天市場実売価格 6300円から(1本)

いまやトレンドの中心車種となり、すっかり一般化したSUV。タフなオフロード性能より、オンロードでの快適性が求められるなか、そんなユーザーニーズをしっかりキャッチしたタイヤが、ヨコハマ・ジオランダーSUVです。グリップ性能と燃費の良さの両立を図り、車重が重くなりがちなSUV用タイヤとして、ロングライフ性にも配慮されています。昨今の、乗用車に近づいたクロスオーバーSUVをメインターゲットに据えたタイヤ、それがヨコハマ・ジオランダーSUVです。

 

<注目ポイント>

・新コンパウンド技術「ナノブレンドゴム」

・新素材オレンジオイルを採用

・SUV用の専用構造&トレッドパターン採用

バランスの取れた高いトータル性能が自慢。静粛性や高速安定性を追求しつつ、低燃費とグリップのよさという、これまで相反すると考えられてきた性能を両立。その秘密は、素材のしなやかさを確保するオレンジオイルの配合と、さまざまな特徴を持つ素材を上手にブレンドするコンパウンド技術「ナノブレンドゴム」の開発でした。冬でもソフトさを失わないコンパウンドは、低燃費のための転がりやすい素材ながら、しっかり路面に食いついてグリップします。また、ジグザグのグルーブ(縦溝)や、横方向に細い溝を設けることで、スノー性能とウェット性能もアップ。SUV用タイヤとして、十分な耐久性・耐摩耗性を備えています。

 

[軽自動車向け]

人気の軽自動車には、「ダンロップ・LE MANS V」がイチオシ

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住友ゴム工業

ダンロップ・LE MANS V(ル・マン ファイブ)

楽天市場実売価格 5800円から(1本)

ニッポンの国民的愛車として、すっかり定着し、人気上昇中なのが軽自動車です。経済性、静粛性、乗り心地を高い次元で達成することを目的に、軽自動車用タイヤとしての厳しい条件に正面から挑んだのが、ダンロップ・LE MANS Vです。限られた設定面積のなか、「長持ち+低燃費」性能に、快適性を加えた、いまイチオシの軽自動車用タイヤです。

 

<注目ポイント>

・静かに走る「SHINOBIテクノロジー」

・特殊吸音スポンジの採用

・耐偏摩耗性能をアップ

軽自動車に求められる経済性、運動性能にプラスして、ロングライフ、静粛性、そして乗り心地を向上させたダンロップ・LE MANS V。右へ、左へ、細かく曲がることの多い軽自動車の使われ方を考慮して、タイヤの両側面の剛性を強化した左右非対称パターンを採用。しかも、溝の側面に小さな突起「溝壁セレーション」を並べて溝の中の気流をコントロールしてパターンノイズを低減しています。タイヤの内部には吸音スポンジを貼って、タイヤ内部の空洞共鳴音を吸収。さらに、タイヤのサイドウォールをバネに見立てて、全体がたわむことで、路面からの衝撃を効果的に吸収。快適な乗り心地を実現しました。「SHINOBIテクノロジー」を搭載したLE MANS V。ニンジャのように、静かに、スムーズに軽自動車を走らせたい貴方に!

 

[スポーツモデル向け]

高性能スポーツモデルには、「PILOT SPORT 4」を履かせたい

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ミシュランタイヤ

ミシュラン・PILOT SPORT 4

楽天市場実売価格 1万1880円から(1本)

乗って楽しく、見て美しく、所有する喜びも得られるスポーツカー。そんなクルマには、ヨーロッパの名門、ミシュランのPILOT SPORT 4はいかがでしょう? 従来から定評あるドライグリップとウェット性能の両立をさらに押し進めました。注目のモータースポーツ、フォーミュラEで培われたテクノロジーを活かしたダイナミックグリップが自慢の、すべての性能を妥協しないハイパフォーマンスタイヤです。

 

<注目ポイント>

・路面をしっかり捉えるダイナミックグリップ

・優れたウェット性能

・深い「黒」のベルベット加工

他社に先駆けてラジアルタイヤを世に出したミシュランは、世界中でトップブランドと認められています。なかでもPILOTシリーズは、同社のハイエンドスポーツモデルとして、高い人気を誇ります。PILOT SPORT 4は、同シリーズの中堅モデル。排水性に配慮し、縦方向の排水性を高めるストレートグルーブ、横方向のアンチサーフシステムによって、ウエット性能を確保、グリップ&ブレーキング性能とのバランスを取っています。また、プレミアムタイヤとして、見た目も重視。新しいモールド技術によって表面をベルベット加工し、より深い「黒」を実現しています。スポーツモデルを所有する喜びを、さらに高めることでしょう。

 

※商品価格は、2018年5月20日時点の楽天市場の最安値を記載しています。

 

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簡単にわかるブリヂストン「BLIZZAK VRX2 」解説! スタッドレスの王者、最新作の出来は?

タイヤの世界では早くもスタッドレスのシーズンに突入です。今回は、装着率が16年連続ナンバーワン(札幌市、旭川市、青森市、盛岡市、秋田市の5都市において。期間は2017年1〜2月)のブリヂストン「ブリザック」の最新作をレポートします。

 

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ブリヂストン

BLIZZAK VRX2

9018円〜9万504円

SPEC●タイヤサイズ:135/80R12 68Q〜245/40R20 95Qの109サイズ

 

「非対称サイド形状」で安心の走りを実現

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ふらつきを軽減し、高い直進安定性と応答性を発揮。氷雪路だけでなくドライ路面にも強さを発揮します。

 

「アクティブ発泡ゴム2」を生かす「非対称パタン」

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ブロック剛性の向上やラグ溝の増加などにより接地性を高めました。力強くグリップします。

独自の発泡ゴムやパターンの進化により接地性を向上

クルマの先進安全技術の普及が進んでいるのは非常に喜ばしいこと。ただし、最終的にクルマの走りを左右するのはタイヤであることには違いありません。特に、冬道ではタイヤへの依存度が高くなることはいうまでもありません。

 

そんななか、1988年の誕生以来、氷上に強いスタッドレスタイヤの第一人者BLIZZAKが、さらなるスペックアップを遂げました。最新モデルでは、同社史上最高の性能を実現しているといいます。

114_06_実画↑氷上のトラクションが増し旋回速度が10%強も向上。旋回中も横に逃げず前へ前へと進んでいきます。車速を高めたときのコントロール性も高くなっています。(写真は非発泡ゴムタイヤ)

 

 

氷上でのダントツの制御性と、それを発揮し続けるために、こだわったのは“接地”。氷上で滑る原因である水膜を、最新版の発泡ゴムがより効果的に除水。タイヤパターンの進化により、グリップ力の向上を図っています。

114_05_実画↑氷上ブレーキは10%短縮され、スラロームでの印象も別物。ブレーキの踏み始めから減速感があります。剛性向上により操舵に対する応答遅れも小さくなっています。

 

これにより、もともと競合製品をリードしていた氷上性能が、さらなる高みへと達しています。この性能は運転して即座に体感できるほど明らかで、新旧の差は決して小さくありません。これからの季節に頼もしい逸品です。

 

 

【車種別インプレ】

輸入車:高性能4WD車の潜在能力を引き出す

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運動性能の高いクルマとの相性もバッチリです。コントロール性に優れ、スポーティな走りを楽しめます。

 

ミニバン:ふらつきを抑えた快適で安定した走り

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重心の高いミニバンでもコーナリング時に腰砕けになることがないです。不安なくドライブできます。

 

軽自動車:圧雪とは思えない意のままの走り

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軽いクルマでは雪上グリップや剛性に余裕があります。舗装路を夏タイヤで走るのと近い感覚で走れます。