フルモデルチェンジで納車は1年先!?「5代目プリウス」人気のヒミツ【2023年上半期売れたモノSELECTION 乗り物編】

『GetNavi』が選ぶ「2023年上半期売れたものSELECTION」。今回は「乗り物編」から、トヨタ 5代目プリウスをピックアップ。フルモデルチェンジをして納車は1年先とも言われる人気のヒミツに迫ります!

※こちらは「GetNavi」 2023年8月号に掲載された記事を再編集したものです

 

ハイブリッドカーのパイオニアは走りとスタイルが大変身!

トヨタ
プリウス
320万円〜460万円

8年ぶりにフルモデルチェンジ。歴代モデルでもっともスポーティなデザインを採用している。スポーティさはデザインだけでなく最高出力152PSの2ℓエンジンを新開発するなど、高い走行性能も魅力となった。

↑外部からの充電も可能なPHEVモデルも登場。バッテリー搭載位置などで、いまのところ2WDモデルのみだ

 

↑近未来的なインパネ。メーターは独立した7インチ、センターディスプレイはグレードによりサイズが異なる

 

↑新たに設定された2lエンジンのハイブリッドモデル。システム最高出力は従来比1.6倍の196PSを誇る

 

【ヒットのシンソウ】

<証言者>自動車ライター・海野大介さん
専門誌からフリーに転向しウェブを中心に活動。1級小型船舶操縦免許や国内A級ライセンスを持つ。

納車は1年先とも言われる人気っぷり

「日本自動車販売協会連合会の5月新規登録台数では9233台で、トヨタのヤリスに次ぐ2位に浮上。受注台数は非公開ですが、1〜5月までに月販基準台数の約1.7倍になる3万5000台以上は販売済みです」(海野さん)

売れ行き:★★★★
革新性:★★★★★
影響力:★★★★

 

元祖ハイブリッドカーはデザインと走りが激変!

今年1月にフルモデルチェンジしたプリウスは「ハイブリッド・リボーン」が基本コンセプト。それは同車の強みでもある燃費をはじめとする高い環境性能に加え、「ひと目惚れするデザイン」や「虜にさせる走り」を兼ね備えたモデルに変化させたことだ。

 

「特にボンネットからAピラーが一直線につながるあたりは、まさにスポーツカー。さらに先代よりも45mmも低くした全高は1420mmと、こちらもまさしくスポーツカー並みです」(海野さん)

 

プリウスのアイコン的デザインと言える、「モノフォルムシルエット」を引き継ぎながら低重心かつスタイリッシュなプロポーションにしているのが新型の特徴だ。

 

走りの良さも人気のポイント。第2世代となったTNGAのプラットフォームは高い剛性と低重心化を実現しており、新しく搭載された2lエンジンは従来モデルの1.6倍の最高出力を誇る。

 

「走り出せば、パワフルな加速はもちろんのことステアリングのレスポンスも俊敏です」(海野さん)

 

タイヤは19インチながらも幅を狭くして空気抵抗を減らすなど細かいところも抜かりがない。先進安全・運転支援システム「トヨタセーフティーセンス」も標準装備し、全方位的に魅力のあるクルマに仕上がっている。ヒットも納得だ。

 

元祖ハイブリッドカーの歴史をおさらい!

■初代(1997〜2003)
世界初の量産ハイブリッドカー。1.5lエンジンにモーターを組み合わせ、当時の10・15モード燃費では28km/lを実現した。

 

■2代目(2003〜2009)
5ドアハッチバックへ変化。ハイブリッドシステムも進化し、4人乗りハイブリッドカーとしては世界最高の燃費35.5km/lを実現。

 

■3代目(2009〜2015)
エンジンが1.8lへ拡大し、燃費は世界トップクラスの38.0km/lに。また大きくなったボディで室内の快適性も向上している。

 

■4代目(2015〜2023)
新プラットフォームを採用。ハイブリッドシステムの小型軽量化を図るなどの改良で、驚異的な40.8㎞/ℓの燃費を達成した。

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

注目はキレキレのデザインだけじゃない! 新型トヨタ「プリウス」試乗レビュー

ハイブリッドの選択肢が豊富ななか、その元祖であるプリウスが独自の魅力を満載して登場。今回は劇的に生まれ変わったトヨタ「プリウス」をピックアップ。

※こちらは「GetNavi」 2023年7月号に掲載された記事を再編集したものです

 

大胆なスタイリングに相応しい走りも楽しめる!

トヨタ
プリウス

SPEC【Z(FF)】●全長×全幅×全高:4600×1780×1430mm●車両重量:1420kg●パワーユニット:1986㏄直列4気筒DOHC+電気モーター●最高出力:152[113]PS/6000rpm●最大トルク:19.2[21.0]kg-m/4400〜5200rpm●WLTCモード燃費:28.6km/l
●[ ]内は電気モーターの数値

 

見よ、この劇的に生まれ変わった姿を! 低くワイドでフロントウインドウの角度はスーパーカー並み。タイヤも19インチを履く。乗降性や後席の居住性は推して知るべしだが、こんなにスタイリッシュになるとは予想外だった。

 

それだけではない。スポーティなルックスに相応しく、走りもスポーツカー顔負けの仕上がりだ。新たに主力に位置づけられた2lハイブリッドは、従来型と同等の低燃費を達成しつつ胸のすくような加速感や俊敏なレスポンスを実現している。ハンドリングも、まさに意のまま。ドライブフィールも、これまでとは一線を画する出来映えだ。また4WDのE-Fourでは走りの一体感がより高まり、舗装路しか走らない人にも積極的に薦めたくなる。

 

さらに新型はPHEV(プラグイン・ハイブリッド)もスゴい。EV走行距離が最大105kmと大幅に向上したのも大したものだが、ハイブリッド比で約1.5倍の出力を持つ強力なモーターを搭載。6.7秒という0〜100km/h加速は、ハイブリッドより0.8秒も速く静粛性にも優れる。加えて外部給電機能も標準装備だ。

 

いまやハイブリッドの選択肢が豊富ななか、その元祖であるプリウスが独自の魅力を満載して登場したことは大いに歓迎したい。

 

PHEV仕様は一層高性能に!

19インチタイヤ装着車では87㎞だが、17インチ仕様ではEV航続距離が105㎞に。2WDのみだが電気モーターも高性能化されている。

 

サイズを考えると少し控えめ

荷室容量は、後席を使用する通常時で284〜370l(バックドアガラス下端まで)。ボディサイズに対しては若干ながら控えめだ。

 

パワーユニットは2タイプ

ハイブリッドシステムのエンジンは、KINTO専用車が1.8ℓ。その他のグレードはPHEVも含めて新開発の2lユニットを搭載する。

 

受け継いだのはボディ形状だけ?

5ドアハッチバックというボディ形状こそ先代と変わらないが、モノフォルムを強調する外観は実にスタイリッシュ。個性的な造形のライトまわりはフルLED化されている。

 

電気駆動モデルらしさを強調する作り

インパネはドライバー正面に7インチのトップマウントメーターを装備するなど、電気駆動モデルらしさを強調する仕立て。室内は前後席ともに十分な広さを確保する。

 

構成/小野泰治 文/岡本幸一郎 撮影/郡 大二郎

盗難台数ワースト1は「プリウス」、盗難率では断トツ「ランクル」。愛車を盗難から守る方法は意外にアナログかもしれない…

イモビライザーをはじめとする各種盗難防止装置の普及や、警察の啓発活動などにより、ひところに比べると自動車盗難は大幅に減少している。警察庁による自動車盗難件数(認知件数)を見ても、2008年の27668件から2017年の10213件まで、この10年間で1/3近くにまで減っている。(ちなみに2004年には6万件超もの車両盗難が発生していた) とはいえ、いまだに1日約30台の車が盗難に遭っている計算になる。また、自動車盗難が起こりやすい地域もかなり特定されているというから興味深い。

■全国ワースト10都道府県で、全体の8割

以下は、警察庁発表の都道府県別の盗難件数である。2016年も2017年も上位7位までの順位は変わっていない。驚くのは、ワースト10までの合計盗難件数で全体の約8割を占めているということだ。自動車窃盗団は盗んだ車を秘密のヤードで解体し、海外に「輸出」するそうだから、見つかりにくいヤードが確保でき、港が近いエリアが車両窃盗に好都合なのかもしれない。

■盗難車で多いのは?

かつて盗難されやすい車種と言えば、ハイエースやランドクルーザーが常連だった。筆者の知人も、車3台をタテに停めている自宅駐車場で、一番奥にもちろん施錠した状態で停めていたランドクルーザー「だけ」が盗まれた経験を持つ者もいる。現在はどうだろうか?以下は一般社団法人日本損害保険協会が2000年から毎年11月に調査をしている自動車盗難事故実態調査の結果である。(なお、こちらの数字は自動車盗難件数ではなく、損保会社が盗難に対して保険金を支払ったケースのみが対象)

 

こちらの調査ではプリウスが4年連続でワースト1となっている。ランドクルーザー、ハイエースも相変わらず上位だ。

そして以下は、警察庁発表の車種別盗難台数及び盗難率である。2016年および2017年中における自動車盗難データを関連資料から抽出し、盗難台数が多い5車種について算出したものだ。

 

【車種別の盗難台数及び盗難率】

カッコ内は盗難率(千台比)

2016年     2017年

トヨタ プリウス:1,058(0.6)  986(0.5)

トヨタ ハイエース(レジアス含む) 1,391(1.7)  878(1.1)

トヨタ ランドクルーザー:510(2.3) 478(2.2)

いすゞ エルフ:377(0.5)     289(0.4)

スズキ キャリィ:269(0.1)

 

※損保と警察庁で1位が異なるのは、損保は保険金を支払った事案でカウント、警察庁は盗難の認知台数でカウントしているため。

 

2016年の盗難台数としてはハイエースが1位、プリウスが2位となっているが2017年では逆転してプリウスが1位となっている。しかし、驚くのは3位のランドクルーザーで、盗難率が群を抜いている。1000台当たり2台以上が盗難に遭っている計算でこれはなかなか高比率。プリウスはそもそも保有台数が多いので数字は多いが、盗難台数の比率は1000台あたり0.5-0.6台。ランドクルーザーはその4倍となる。

■盗難に遭わないようにするにはどうしたらいいのか?

まず、「キーを付けたままで車から離れない」ということがまずは重要だ。当たり前と言われればそれまでだが、いまだに自動車盗難件数の4分の1は「キーあり」盗難である。コンビニの駐車場など、エンジンをかけたままで車から離れるドライバーも後を絶たない。スペアキーをバンパーの裏や車体下に貼り付けるのも絶対NG。家の中でも安心できない。夜中に玄関のカギを開け、玄関の上に置いてあるキーを使って盗んでいく手口も少なくない。車のガラスを割ってトランクのシリンダーを抜いてその場でキーを複製という方法も健在だ。

 

盗難防止装置で武装すれば対策は万全か?というと実は最近はそうでもないらしい。車と鍵のIDを一致させてエンジンをかける防犯システム「イモビライザー」の普及で車両盗難は大幅に減ったものの、近年は新しい手口が広まりつつある。「キープログラマー」と言われるネット通販でも簡単に入手できる手のひらサイズの機器を使う手口だ。本来は車の整備や合鍵を作る際に使うものだが、これを悪用してイモビライザーを解除し、IDを書き換えたりして盗んでいくとのこと。イモビライザーの解除に特化した「車両窃盗仕様」も闇ルートでは流通しているとか。

 

さらに、スマートキーを「電波ジャック」する手口も報告されている。これは、車から発せられる微弱な電波を増幅させて離れた場所のキーと車を照合させてロック解除をする方法である。

 

最新の防犯システムをもってしても盗まれてしまう…。窃盗団のターゲットになりそうな車は、防犯シャッター付きの車庫にいれ車両保険はもちろんつける。屋外駐車場に置いている場合はワイパーに挟まれたチラシをマメに排除する。このチラシ(車の高価買取をうたうような内容が多いらしい)は、窃盗団が挟んでいくケースも多い。チラシが長期間挟まれたままだと、オーナーが車にあまり乗らない「盗みやすい車」として狙われるので、チラシはマメに排除し、あまり乗らない時期も週に1度は車を動かし、洗車をすることも有効かもしれない。

 

なお、車両保険に入っていても鍵がついていたり、ドアロックをしていなかったりユーザー側に少しでも過失があると保険金が支払われない場合もあるので要注意だ。

 

【著者プロフィール】

加藤久美子

山口県生まれ 学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。一般誌、女性誌、ウェブ媒体、育児雑誌などへの寄稿のほか、テレビやラジオの情報番組などにも出演多数。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。愛車は新車から19年&24万キロ超乗っているアルファスパイダー。