ベトナムに“昭和のイケイケ感”を見た! 未来に賭けた東急が「鉄道に頼らない街づくり」をホーチミン郊外で展開中

2024年1月、人口が1億人を突破したと発表されたベトナム。特に、ベトナム南部に位置する都市・ホーチミンは都会化が進み、都市圏も拡大中だ。

↑ホーチミンの街中。筆者が訪れたタイミングが旧正月前だったため、街には多くの飾りが出ていた。

 

そのベトナムに、いち早く注目していた日本企業が東急である。東急といえば、東急田園都市線や東急東横線などの鉄道のイメージが強いが、それを基盤にした街開発こそが同社の大きな強みだ。

 

東急はいま、ベトナムに新都市をつくる大規模プロジェクトを進めている。その場所は、ホーチミンの中心からおよそ30km離れたビンズオン。大規模な工業団地があるビンズオンだが、都市としての開発はまだ途上にある。

 

東急はこの地で、マンションに加え、ショッピングモールなどの商業施設やバスのような交通手段の整備までをも含めた、総合的な街づくりを進めている。同社がベトナムを選んだ理由やプロジェクトの全容、できつつある新たな都市の姿を現地で取材した。

 

現在のベトナムは、高度経済成長期の日本に似ている

東急がベトナムに進出したのは2012年のことだ。現地のベカメックス社をパートナーにして、現地法人・べカメックス東急を設立。現地政府が進めていたビンズオン新都市の開発プロジェクトに参画した。同社の資本金は525億円だそうで、その数字からは東急の本気度がうかがえる。

 

べカメックス東急の釣 佳彦さんは、「2012年当時、ベトナムでのライバルとなる日系企業はほぼいませんでした。ほかの企業からすると『東急は騙されているんじゃないか』というような温度感だったと思います」と語る。だが東急の目論見通り、ベトナムは大きな経済成長を遂げ、それは現在も続いている。

↑べカメックス東急の釣 佳彦さん。

 

東急がベトナムを選んだ理由は、同国が「高度経済成長期の日本に似ている」からだ。似ているポイントは2つ。人口の質とGDPである。

 

ベトナム国民の平均年齢は33歳と若い。年齢分布は15歳から65歳が全体の約67%を占め、5歳から17歳の若年層も20%以上。そのグラフは理想的な三角形を描いており、持続的な人口増が見込める。この人口の質の高さが、高度経済成長期の日本に似ているというわけだ。またベトナムのGDPは、1970年代の日本と同程度。東急は、かつて日本が実現したのと同じような成長曲線をベトナムも辿るであろう予想したのだ。

 

そんなベトナムにおいて、ホーチミンは人口900万人を超える国内屈指の大都市だ。人口密度は約4500人/km2で、日本の福岡市と同程度。2024年12月には同国初の地下鉄が開通するなど、急速に発展が進んでいる。

↑ホーチミンの道路には、多数のバイクが行き交う。高層ビルが多く建ち並び都会化は進んでいるものの、公共交通機関などの交通インフラには弱さがある。

 

一方、東急が街づくりを進めるビンズオン省は、ホーチミンの30km北に位置する、いわば都市郊外。大規模な工業団地こそあるが、ホーチミンとの間を結ぶ鉄道もなく、都市としての開発はこれからだ。

 

ビンズオン省の中央に位置する「ビンズオン新都市」の面積は、約1000haにおよぶ。その開発プロジェクトには東急が参画しており、同社は約100haの開発を担当。100haは、東京ドーム21個分以上の広さだ。

↑ビンズオン省のマップ。中央の赤い部分がビンズオン新都市だ。

 

↑ビンズオン新都市の完成後の模型。多くの建物と緑が調和した街になっている。

 

ビンズオン新都市の開発は途上にあり、完成にはまだ10年以上の歳月がかかる。釣さんによると、「べカメックス東急が開発を手がけるエリアにおける現在の竣工率は約2割。当社が手がけるエリアでの住宅の戸数は、最終的には1万5000から2万が目標」だという。

↑ビンズオン新都市のなかにある、べカメックス東急が手掛けるマンションの模型。

 

マンションの部屋からもわかる、ベトナムの生活水準の向上

今回の取材では、すでに竣工したマンションの部屋やモデルルームを見ることができた。ビンズオン新都市に建つマンションのなかでもミドルレンジにあたるMIDORI PARK The GLORYの部屋の特徴は、ダイニング・リビングが玄関と同じ空間にあること。日本では見慣れない間取りだが、釣さんによるとベトナムではこれが好まれるのだそうだ。

↑MIDORI PARK The GLORYの建物。

 

↑MIDORI PARK The GLORYのダイニング。玄関のドアを開けてすぐのところにある。

 

部屋の天井が高いのも、ベトナムならではの特徴だ。この部屋の天井の高さは2.85mあり、日本のマンションよりも余裕が感じられる。MIDORI PARK The GLORYの一戸あたりの価格はスリーベッドルームなら日本円で2500〜3000万円で、この部屋の天井の高さは、ベトナムの同価格帯の物件と比べて同じ程度だという。また、バルコニーの奥行が1.8mも確保されている点は、日本ではあまり見られないポイントだ。

↑書斎も広々としていた。ここでなら、ゆったりと作業に励むことができそうだ。

 

一方、2024年2月に着工した最高級マンション・MIDORI PARK The TENのダイニング・リビングは、自然配光が採用され、温もりと高級感あふれる空間に仕上がっている。その天井の高さは3.5mで、ミドルレンジの物件と比べてさらに高い。釣さんも「ここより天井の高い部屋はベトナムでも見たことがありません」と語る。

 

価格は、ベッドルームが3部屋のタイプで、日本円にして約6000万円。こういった高級な住居が生まれていることからも、ベトナムの経済が成長し、生活水準が上がっていることがよくわかる。

↑MIDORI Park The TENのダイニング(写真はモデルルーム)。什器による印象の違いもあるが、The GLORY以上の高級感を感じる。

 

ところで、日本における東急といえば、鉄道を敷設して、それを中心とした街づくりを行うイメージが強い。それに対して、ビンズオン新都市では、まだ鉄道が敷設されていない。だが釣さんは、「東急田園都市線を敷設したときは、鉄道を作る前から住宅などの開発用地獲得を進めていたという過去があり、ビンズオン新都市の環境もそれに似ています」という。

 

そもそも、ベトナムでは鉄道がそれほど発達していない。南北の主要都市を結ぶ鉄道こそあるものの、都市と近郊を結ぶ路線はほぼ未整備だ。2024年12月には、ビンズオン省近くのホーチミンで同国首都初となる地下鉄が開通したが、その開発はまだ途上である。

 

釣さんは「ビンズオン新都市は、将来ホーチミン周辺の鉄道網が発達したとき拠点になるような場所であり、鉄道が誘致できるような街をいまから作りたいと考えています」と語る。この将来予測があったからこそ、東急は2012年という他社に比べてかなり早い時期に、ベトナムへの進出を決めたのだ。

 

釣さんによれば、「東急の本業は街づくり」。住宅や鉄道の開発は単体のビジネスに過ぎず、それらを包括した街の開発こそ、同社の本質なのだ。

 

ショッピングモールには日系企業が多数進出

ビンズオン新都市での開発も、東急の本質に則ったものとなっている。べカメックス東急は、マンションだけにとどまらない街づくりを手掛けており、ショッピングモールのSORA gardens SCもその一環だ。

 

この商業施設には多くの日系企業が入居している。入口にはイオンやユニクロ、ニトリのロゴが掲出されており、ここがベトナムであることを感じさせない。

↑SORA gardens SCの入口。

 

入口をくぐると、イオンや無印良品の店舗が目に入る。両店舗の看板は日本で展開されているものと同じだし、イオンでは寿司などの日本食も多く売られているから、ここが日本ではないかと見紛ってしまうほどだ。この内観を見ただけでも、多数の日系企業がビンズオン新都市に進出していることがわかる。

↑SORA gardens SCの内部。右手に無印良品、左手にイオンの店舗が見える。

 

このほか、当地ではファミリーマート、すき家、三菱地所レジデンス、ALSOK、パナソニックなどがビジネスを展開。特にパナソニックは、べカメックス東急と深く連携している。

 

同社は、べカメックス東急が手掛けるマンションには配線器具を、モデルルームには家電を提供。また、べカメックス東急が催す新都市の住民を招いたイベント・森のシンフォニーのスポンサーにもなっている。釣さんは「東急1社だけでは、街の魅力を発信できません。パートナーと組んで、ビンズオン省内に新都市や日本の魅力を広めています」と語る。

↑マンション内に設置された、パナソニックの配線器具。

 

ホーチミンを歩いていると、日系企業の看板がしばしば目に入る。そのデザインは先述のSORA Gardens SCで展開されているものと同様、日本で見かけるのと同じものばかりだ。日系スーパーで売られている商品には、日本語のパッケージにベトナム語のシールを貼ったものが少なくない。ベトナムの人々にとって、それだけ日本が身近な存在になっている証左といえよう。

↑ホーチミンでも有数のショッピングモールで見かけた焼肉ライクの店舗。ロゴを漢字とカタカナのまま掲示している。

 

開発が進んだホーチミンはもはや完全な大都会だが、対するビンズオン新都市の開発はまだまだこれからだ。ここでのべカメックス東急による街づくりは、ベトナムの郊外にまで日本の魅力を伝える取り組みでもあるといえるだろう。

ベトナムが大興奮!「麺がピンク色の即席麺」の正体とは?

最近、ベトナムでは名産品「ドラゴンフルーツ」を練りこんだ、色鮮やかなピンク色の麺のインスタントラーメンが話題となっています。インスタントラーメン消費大国である同国で、どうしてこのような麺が誕生したのでしょうか? 現地からレポートします。

↑ベトナムで大人気

 

ホーチミン市食品産業大学研究センターの科学者たちが開発したこのインスタントラーメンは、2022年に発売されました。当初はあまり知られていなかったようですが、その後テレビCMで放送されると、一度聞いたら忘れられない歌詞とメロディーのCMソングや、ピンク色のドラゴンキャラクターが話題に。若者たちの間でSNSを中心に拡散され、新しいトレンドとして注目されるようになりました。「麺がきれいなピンク色でかわいく、コシもあり、おいしい!」とSNSでは高評価です。

 

店頭のほかにオンラインショップでも販売されていますが、あまりの人気の高さに一時的に在庫切れになったお店もあるようです。

 

もともとベトナムは、インスタントラーメンの消費量がとても多い国。食品新聞によれば、2022年には国全体で約85億食を消費し、中国やインドネシアに続いて世界第3位の消費大国なのです。この数字は国民一人当たり年間約85食、4日に1回はインスタントラーメンを消費している計算になります。日本は5位で年間約60億食、1人当たり年間約48食なので、ベトナムがいかにインスタントラーメンを多く食べているかがよくわかります。

↑ドラゴンフルーツを練り込んだ即席麺

 

では、このピンク色の麺はどうして生まれたのでしょうか? 理由はコロナの影響です。

 

ドラゴンフルーツの生産国として有名なベトナムですが、コロナの時期には輸出が大幅に制限され、出荷されず行き場のないドラゴンフルーツが倉庫に山積みの状態となりました。価格がどんどん下落し、廃棄処分が増えていた状況を救済するべく開発されたのが、このピンク色のインスタントラーメンなのです。

 

ドラゴンフルーツは栄養が豊富。さらに清涼感があり食べやすいので、「インスタントラーメンの辛みや刺激をまろやかにするのではないか?」と考案され、商品化に至りました。ピンク色の麺という見た目のかわいらしさだけでなく、新鮮なドラゴンフルーツを使い、保存料も使用されていないため、健康志向の人たちからも注目されています。

 

まだある! ドラゴンフルーツを使った食べ物

↑ドラゴンフルーツをパン生地に練り込んだ「バインミー」

 

同じような事例として、ベトナムのケンタッキー・フライド・チキン(KFC)が挙げられます。やはりコロナ禍でドラゴンフルーツを使ったピンク色バンズのバーガーが期間限定で登場しました。発売時は大きな話題になり、「ピンク色のバンズがキュートで絶品!」と評判でした。

 

また、柔らかめの小さなフランスパンに具を挟んだベトナムのサンドイッチ「バインミー」でも、ドラゴンフルーツを練り込んだピンク色のパンが登場。通常のバインミーよりもしっとりしてフルーティーな味だそうで、人気があり過ぎて行列ができたそうです。

 

さらには、ドラゴンフルーツ入りのライスペーパーも販売されています。見た目が美しい鮮やかなピンク色の生春巻きが食卓で目を引きます。

 

コロナの時期にドラゴンフルーツを救済するために考案されたピンク色のインスタントラーメンは現在も大人気。ベトナムでは、これからもドラゴンフルーツを使った食べ物がヒットしそうです。

 

頭痛に悩むベトナム人男性、精密検査で頭蓋骨にとんでもない物が見つかる

激しい頭痛に5か月間も悩まされたあげく、病院に行ったら頭蓋骨に箸が刺さっていた……。そんな衝撃の事実がわかったベトナム人男性のニュースが海外で報じられました。

↑一体これは何だ…?(画像提供/New York Post/YouTube)

 

その男性(35歳)は、激しい頭痛が続き、体液も出てきたといいます。そして11月25日にベトナム中部の街ドンホイにある病院を訪れました。

 

医師がCT検査を行ったところ、2本の箸が鼻から脳まで突き刺さっていたことが判明。頭蓋骨内部の圧力(頭蓋内圧)が上昇しており、稀なケースではありますが、生命の危機を脅かす可能性もあると、医師は診断しています。

 

ここで気になるのが、当の本人が知らない間になぜ2本の箸が頭蓋骨に刺さっていたのか? 男性も初めは箸が見つかった事実に当惑していたそうですが、ふと5か月前の出来事を思い出したそう。

 

なんでもこの男性は飲みに出かけて、ケンカに巻き込まれてしまっていたのです。その騒ぎのことは本人の記憶にほとんどなかったのですが、「誰かが何かの物体で自分の顔を刺した」ことだけは覚えていたそう。

 

その騒動の後、男性は病院に運ばれましたが、鼻の異常や箸は見つけられなかったのだとか。その結果、男性は5か月もの間、箸が頭の中に刺さったまま、過ごすことになったのです。

↑箸を摘出

 

幸いなことに男性は医師によって手術で箸を除去。脳や脊髄の動脈なども処置され、男性の容態は安定していると報じられています。

 

むやみに鼻の穴にモノを入れては危険だし、酔ったときの行動も、十分注意したほうが良さそうですね。

 

【主な参考記事】

New York Post. Man who suffered headaches for 5 months learns he had chopsticks stuck in his brain. November 28 2023

海外で働く「ベトナム人労働者」が15倍に急増! 需要が旺盛な日本企業は2400人を要請

日本で働く外国人労働者を国籍別に見た場合、最も多い国はどこでしょう? 答えはベトナムです。2023年、同国はさらに多くの人材を海外に送り出しており、その数は前年同期比の15倍。世界各国でベトナム人の労働者が増える見込みです。

↑ベトナム人労働者への需要が増す日本だが、世界各国で争奪戦になる可能性も

 

厚生労働省によると、日本で働く外国人労働者の総数は172.7万人(2021年10月末時点)。国籍別に見ると、3位フィリピンの19.1万人、2位中国の39.7万人を上回っているのがベトナムの45.3万人。日本で働く外国人労働者の約26%を占めています。

 

それほど日本に多くの労働者を送り出しているベトナムですが、2023年はさらに多くの人材を海外へ派遣しています。2023年1月から3月までの第1四半期で、海外に送り出した人材は3万7923人。同国の年間計画の34.5%を占め、前年同時期と比べると15倍以上にも増えているのです。

 

ベトナム国内で日本向け人材の育成と派遣を行う機関のESUHAIの副所長によると、2023年初頭に日本企業から2400人の労働者の派遣の要請を受けたとのこと。需要が高い分野は食品や食品加工業、機械工学、製造、自動車関連業など。最近は医療業界からの要請も多いといいます。新型コロナウイルスのパンデミックが落ち着きを見せ、多くの業界で労働需要が急増していることから、人員不足に陥る日本でベトナムに白羽の矢が立ったのでしょう。

 

日本企業がベトナム人を欲しがる理由は、ベトナムが親日国であることや、儒教の国ということもあり、礼儀正しく、温厚で勤勉な人が多く、日本人と価値観が似ていることが挙げられます。多くの企業がすでにベトナム人労働者を受け入れている実績があるので、初めて外国人労働者を受け入れる企業にとっても安心感があるでしょう。

 

一方、ベトナム側にも「日本で働けば稼げる」というイメージがまだあるようです。人口が東南アジアの中でもそれなりに多く(2022年は約9946万人)、送り出し機関も他の国よりたくさん存在しているので、供給量が多いと見られます。

 

しかし、労働力不足にあえぐ国は日本だけに限りません。ベトナム労働省海外労働局によると、2023年3月の単月だけで9494人を海外に送り出し、前年同期比で8.66倍となっているそうです。送り出し先は日本のほか、台湾、韓国など。海外に労働者を派遣できるライセンスを所有する現地の約500社では、人材の研修を行って、海外からの要請に応じて適正なスキルを持った労働者を派遣しているそうです。

 

ベトナム労働省海外労働局は2023年に欧州諸国とも労働協定を結びたいと考えており、その協定が締結されれば、アジアのみならず世界各国にベトナムから労働者が派遣されることになります。

 

2023年に予定されているベトナムから海外に行く人材の数は約11万人。アフターコロナで人材不足に直面する多くの国を支えることになりそうですが、各国で優秀なベトナム人の奪い合いになることも予想されます。

 

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住宅設備に商機あり! パナソニックがベトナム市場に注力するワケ

現在、日本国内の配線器具分野などで大きなシェアを占めているパナソニック エレクトリックワークス社(以下、EW社)。その好調ぶりは国内だけでなく、ASEAN諸国をはじめとする海外にも波及しています。

 

EW社が注力している国のひとつがベトナムです。同国では、コロナ禍のなかでも人口増加が続いているため、国民の平均年齢が30歳程度と若く、ASEAN諸国のなかでも、継続的かつ大きな経済成長が見込まれています。それにあわせて、都市部では戸建て住宅やビルなどの新築着工件数が着々と増加しており、配線器具や換気送風機器、照明といった、建築に紐づく電材のニーズが急速に拡大中です。

 

ベトナムの住宅着工数(1000戸)

出所:IHS Markit 2022年4月

 

そんなベトナムにおいてEW社は、新工場建設などの大胆な展開を行うことをこの夏に発表。現地での展示会「Panasonic SMART LIFE SOLUTIONS 2022」も開催し、ベトナム国内のデベロッパーや工務店など、パートナーとなりうる企業を探っています。

 

EW社が着々と開拓を進めるベトナムの電材市場。ベトナムという国の独自性や、マーケットの現在と今後の可能性、そのなかでEW社がとっていく戦略について、現地法人であるパナソニック エレクトリックワークス ベトナム有限会社の社長・竹宇治一浩さんにお話を伺いました。

竹宇治一浩さん●2012年にパナソニック株式会社 エコソリューションズ社(現:エレクトリックワークス社)に配属。インドでの海外赴任経験後、20194月より現職(当時社名はパナソニック エコソリューションズ ベトナム社)。

 

ブレーカー、シーリングファンなどの商材で、ベトナム国内シェア1位を達成

EW社がベトナムに注力する最大の理由は、その高い経済成長の余地です。IMFが予測する同国のGDP成長率は、2022年で前年比6.0%、23年には7.2%、24年は7.0%と高い水準で安定。新型コロナウイルスが猛威を振るった2020年から2021年にかけては前年比2%台に成長が落ち込みましたが、その後はしっかり持ち直すという予測が出ています。ベトナム市場には成長国らしいニーズが溢れていると竹宇治さんは言います。

 

ベトナムの実質GDP成長率

出所:IMF統計 2022年4月

 

「急速な都市化の進行、コロナ禍の影響などにより、ベトナム国内の建築市場にも多彩なニーズが発生してきました。具体的には、電化率の高まりを支えるより安心安全・高品質な配線器具、排気ガスによる大気汚染やウイルスへの対策をした快適で安全な空間を作る換気送風機器といったものです。EW社では、ブレーカーやコンセントなどの配線器具、換気扇などの換気送風機器、照明機材の3点の商材を通して、そういったニーズを満たし、ベトナム社会に貢献できるような事業を展開しています」(竹宇治さん)

空気清浄機や換気扇など、現地で販売している換気送風機器

 

ブレーカーやコンセントなどの配線器具

 

EW社とベトナムの関係は古く、その歴史は1994年にまで遡ります。最初に扱った分野は配線器具で、その後2000年代にかけて、ポンプ、シーリングファン、換気扇、扇風機などの水・換気送風機器でもベトナム市場に進出。これらの分野ではすでに大きな成功を収めており、配線器具、ブレーカー、シーリングファン、換気扇、ポンプといった商材で、同国内シェアトップを達成しています。同社のベトナム国内での売上は、2007年から2020年にかけて約10倍に伸長しており、それらの商材が成長を牽引してきました。

 

一方で、2019年に遅れて参入したジャンルが照明機材。EW社では、参入したのが最近であることに加え、都市部の建築ラッシュなど急速に需要が高まっていることから市場開拓の余地が大きいと考え、この照明機材分野を今後最も成長が見込めるジャンルとして注力しています。

住宅用の照明機材

 

開発拠点をベトナムに置き、ローカライズを徹底

すでにベトナム市場で成功を収め、今後さらに勢いを拡大していこうとするEW社。成功の秘訣には、徹底したローカライズへのこだわりがありました。

 

「実は、ベトナムよりも先に、同じ東南アジアのタイに進出していて、ある程度、ASEANの方々の嗜好やニーズは掴めていました。そのため、配線器具の分野でベトナムに進出した際は、タイ市場からの水平展開を最初に行い、その後ローカライズを推進。とはいえ、これは進出当初の話で、現在はニーズをベトナム国内で吸い上げ、それを開発・生産に反映していくことに力を入れています。特に、配線器具・換気送風機器の分野では、ベトナム南部のビンズオン省で新工場を建設している最中です。2023年の生産開始を予定しているこの工場には開発部隊も配置する予定で、ベトナム市場オリジナルの製品を作れる体制を整えようとしています」(竹宇治さん)

ベトナム・ビンズオン省に建設予定の工場の完成予想3Dイラスト

 

このビンズオン新工場の特徴は、日本国内の工場と同様の生産ラインを導入しているという点です。これは、パナソニックグループの最大の強みである、高品質と高い供給力をベトナム市場でも活かすため。先述した通り、急速な発展が進むベトナムの都市部では、安全性の高い電材が大量に求められており、EW社が国内で培ってきた地力が、東南アジアの地でも活かされていることになります。

 

また竹宇治さんによれば、IAQの新工場では、中東など、その他アジアの国に輸出する製品の開発・製造も行うとのこと。ベトナムだけでなく、アジア・中東にシェアを広げるための拠点がまもなく誕生します。

 

一方で、これからの新規開拓が急がれる照明機材の分野では、現地メーカーとのOEM(委託生産)契約によって生産を行うとしています。これは、EW社がこれまで蓄積した製造技術やノウハウをパートナーとなるベトナム国内のサプライヤーに提供して、現地で自社生産のものと同品質の商品を製造するという方式です。

 

「配線器具・換気送風機器の分野は、いままさに多くの需要が発生しており、これを満たせるだけの供給体制を構築することが、メーカーとして最も大切なことだと考えています。新工場の建設に踏み切ったのは、それが理由です。一方で、照明機材はこれから成長していく・させていく分野なので、OEMで体制を整え、いずれは地産地消を目指していく、ということになります」(竹宇治さん)

 

OEMだと、ローカライズの質が落ちることはないのかと思われる読者もいるでしょう。EW社では、その質をしっかり担保するため、ベトナム現地に照明機材の研究開発を担うエンジニアリングセンターを開設。商品の生産こそOEMですが、その開発はしっかり自社の手で行っています。EW社の照明機材は、日本国内なら阪神甲子園球場や新国立競技場、ASEAN地域ではインドネシアの世界遺産・プランバナン寺院、マレーシアのイオンモール Nilaiなど、有名・大型施設への導入事例が多くあります。ベトナムでも、スポーツや景観、あるいはインフラなど、現場のニーズに沿った提案と商品開発をしていくため、開発拠点を現地に置くことにこだわっているというわけです。

インドネシア・プランバナン寺院のライトアップ風景

 

困難も多いが、魅力あふれる市場

ベトナムという異国の地でビジネスを展開するのは、簡単なことばかりではないといいます。新工場の建設にあたっても、予測のできない苦労があったそうです。

 

「工場建設に関して、現地の政府の規制があるのですが、それがしょっちゅう、しかも急に変わるんです。なので、計画の練り直しを複数回行うことになり、工場の建設認可もなかなか取得できず、とても大変でした。そういった苦労はありますが、ベトナムという市場は魅力にあふれていると私は思います。単純に成長市場だというのはありますが、現地の人々はとても勤勉で、仕事熱心。それに、コロナ禍があって競合の海外企業にも撤退するところが出たため、いまはシェアを拡大するチャンスなんです」(竹宇治さん)

展示会でのお客様会議風景

 

また、竹宇治さんの元で働くスタッフの安田 竜さんはこう語ります。

 

「私はインドネシアからの転勤でベトナムにきたのですが、この地には、日系企業がビジネスを展開しやすい土壌があると肌で感じています。まずは、食品、医療、リテールなどの分野で、多くの日系企業がすでに進出しているため、日本の製品に対する信頼感が元から高いということ。また、親日的な人が多く、現地の企業とパートナーシップを結ぶ際にも、信頼関係を構築しやすいように思います。ベトナム人の社員は、日本人に似て真面目で勤勉な人多く、その点でもやりやすいですね」(安田さん)

 

今後も継続した成長が見込まれる市場であるとともに、日本に対する信頼感の高さや勤勉な国民性など、日本企業が事業を展開する上でも非常に魅力あるベトナム。住宅設備関連事業はもちろん、さまざまな業種において、同国の経済発展をビジネス面でサポートするチャンスが今後も増えそうです。

 

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ベトナムで挑戦するミズノのSDGs―― 子どもの肥満率40%の国に「ミズノヘキサスロン」と笑顔を

【掲載日】2022年7月5日

 

本記事は、2020年9月9日にGetNavi webで掲載された記事を再編集したものです

 

「なんてつまらなそうに体育をしているのだろう」。総合スポーツメーカーであるミズノ株式会社の一社員が6年前に抱いたこの違和感が、ベトナム社会主義共和国の教育訓練省とともに同社が進めている「対ベトナム社会主義共和国『初等義務教育・ミズノヘキサスロン運動プログラム導入普及促進事業』」のきっかけでした。

 

ベトナムでは子どもの肥満率が40%以上

同事業は、ミズノが開発した子ども向け運動遊びプログラム「ミズノヘキサスロン」を、ベトナムの初等義務教育に採用・導入する取り組みです。ミズノヘキサスロンとは、ミズノ独自に開発した安全性に配慮した用具を使用し、運動発達に必要な36の基本動作を楽しみながら身につけることのできる“運動遊びプログラム”のこと。スポーツを経験したことがなく、運動が苦手な子どもでも、楽しく遊び感覚で走る、跳ぶ、投げるなどの運動発達に必要な基本動作を身につけられます。日本国内向けに2012年1月から開始、これまで多くの小学校や幼稚園、スポーツ教室、スポーツイベントなどで導入され、運動量や運動強度の改善といった効果も示されています。

「ミズノヘキサスロン」のホームページ

 

そもそもベトナムでは、子どもの肥満率が社会課題となっていました。同社の法務部 法務・CSR課 課長補佐 SDGs推進担当(2020年取材当時)の柴田智香さんによると、「ベトナムの義務教育は小学校が6歳から始まり5年間、中学校が4年間。授業は1コマ30分と短く、国語や算数に力が入れられていて、体育はあまり重きを置かれていない状態です。また体育といっても、日本のように球技や陸上があるわけではありません。校庭も狭く、体操レベルの授業しか行われていないそうです。子ども時代に運動をする習慣が少ないためか、生涯で運動する時間が先進国の10分の1ほど。WHOによると、ベトナムの子どもの肥満率は40%を超え、同国教育訓練省も社会課題として認識していました」ということです。

法務部 法務・CSR課 課長補佐 SDGs推進担当(2020年取材当時) 柴田智香さん

 

ベトナム教育訓練省公認のもと約200校で活用

ベトナムの抱える課題を目の当たりにした担当者は、「ミズノヘキサスロンというプログラムなら、ビジネスとして成立し、校庭が狭くても効果を発揮できるのではないだろうか」と思いつき、2015年にベトナムに提案を開始しました。しかし話は簡単には進みませんでした。

 

「ベトナムの学習指導要領に関係するので、一企業のセールスマンが政府にプレゼンをしても相手にされません。ちょうどタイミングよく、文部科学省が日本型教育を海外に輸出するための『日本型教育の海外展開推進事業(EDU-Portニッポン)』というプログラムを行っていたのですが、弊社もそのスキームに応募し、2016年に採択されたのです。日本政府のお墨付きをいただいての交渉とはいえ、ビジネスの進め方も慣習も異なるため、一進一退の攻防が繰り広げられたようです。そこでまず、約2年間かけて子どもたちの身体機能の変化に関するデータを収集しました。その結果、運動量は4倍、運動強度は1.2倍だったことを同国教育行政に報告しました。その後、在ベトナム・日本大使館やジェトロ(日本貿易振興機構)様などの協力を得ながら、2018年9月に、『ベトナム初等義務教育への導入と定着』に関する協力覚書締結に向けた式典が行われ(場所:ハノイ 教育訓練省)、翌10月に覚書締結に(場所:日本 首相官邸)まで至ったのです」(柴田さん)

 

ミズノヘキサスロン導入普及促進活動は、ベトナム全63省を対象に行われました。農村部など経済的に厳しい家庭の子どもたちなども分け隔てなく実施しています。また、小学校の教師を対象とした、指導員養成のためのワークショップには、現在までに約1700人の教師が参加。ワークショップに参加した教師が自身の担当する小学校で指導に当たり、多くの小学生がミズノヘキサスロンを活用した体育授業を受けています(2020年6月現在)。

ワークショップに参加した小学校の教師たち。ベトナムは女性教師が約70%を占めている

 

「ミズノヘキサスロン」で子どもたちに笑顔を

「本事業は、“誰ひとり取り残さない”というSDGsの理念に立っており、ベトナムの小学生全720万人全員が対象です。現在、ベトナムの学習指導要領附則ガイドラインにミズノヘキサスロンを採用いただき、教育訓練省公認のもと、モデル校に導入されていますが、学習指導要領の本格的な運用には時間がかかっています。しかしながら、ベトナムの関係各所からは『狭い場所でやるのにも適している』『安全に配慮しているし、いいプログラムだ』と評価いただいていますし、何よりも、子どもたち自身が楽しそうに体育の授業を受けていることが写真から伝わってきます。

楽しそうに体育の授業を受けるベトナムの子どもたち

 

子どもの時に運動をする習慣ができると、大人になってからも運動を続けると思います。ミズノヘキサスロンによって運動の楽しさを知り、習慣づけられることで、将来的にも健康を保てるのではないかという期待が持てます。また、弊社の用具を使ってもらうことで、今後、ミズノという会社に興味をもっていただけたり、子どもたちがプロサッカーやオリンピックの選手になるなど、そんな未来につなげられたら素敵ですね」(柴田さん)

エアロケットを使って「投動作」を学ぶプログラム

 

今後の展開について、「現時点ではベトナムに注力しているという状態ですが、例えば、ミャンマーやカンボジアなど、他のアジア諸国でもビジネスチャンスはあると思います。ですが、まずはベトナムで事業として成功しないことには、他の国にアプローチするのはやや難しいと感じています。逆にベトナムでモデルケースができれば、他の国にも売り込みやすくなるのではないでしょうか」と柴田さん。ベトナム初等義務教育への本格的な導入が待たれるところです。

 

さまざまな課題への重点的な取り組み

来年で創業115年の節目を迎える同社。今回の対ベトナム事業もそうですが、さまざまな取り組みのベースとなっているのが、「より良いスポーツ品とスポーツの振興を通じて社会に貢献する」という経営理念です。その理念のもと、社会、経済、環境への影響について把握し、効果的な活動につなげるため、自社に関するサステナビリティ課題の整理をし、重要課題の特定を2015年度に行いました。

 

「CSR・サステナビリティ上の重要課題として“スポーツの振興”“CSR調達”“環境”“公正な事業慣行”“製品責任”“雇用・人材活用”という6つの柱を掲げています。そのなかでも“環境”については1991年から地球環境保全活動『Crew21プロジェクト』に取り組み、資源の有効活用や環境負荷低減に向けた活動を行っています。また、CSR調達に関しては、他社様から参考にしたいというお話をよくいただいております。

サプライヤー先でのCSR監査の様子

 

商品が安全・安心で高品質であることはもちろんですが、“良いモノづくり”を実現するために生産工程において、人権、労働、環境面などが国際的な基準からみて適切であることが重要と考え、CSR調達に取り組んでいます。そのため本社だけでなく、海外支店や子会社、ライセンス契約をしている販売代理店の調達先までを対象範囲とし、取引開始前は、『ミズノCSR調達規程』に基づき、人権、労働慣行、環境面から評価。取引後は3年に1度、現場を訪問し、調査項目と照らし合わせながらCSR監査を実施しています」(柴田さん)

 

また、総合スポーツメーカーらしい取り組みも多くあります。その1つが、「ミズノビクトリークリニック」です。これは、同社と契約をしている現役のトップアスリートや、かつて活躍をしたOB・OG選手による実技指導や講演会。全国各地で開催し、スポーツの楽しさを伝えると共に、地域スポーツの振興に貢献しています。

水泳の寺川綾さんを招き、熊本市で開催されたミズノビクトリークリニック

 

「2007年からスタートしたのですが、昨年度は全国で89回開催しました。“誰ひとり取り残さない”という部分では、気軽にスポーツをする場、楽しさを伝える場所に。選手の方たちにとっては、これまでの経験で得た技術や精神を子どもたちに伝える場になっています。技術や経験は選手にとっていわば財産。それを伝えることに使命感を持っている方も多く、有意義な活動となっています」(柴田さん)

 

スポーツによる社会イノベーションの創出

また、SDGsの理解と促進を深めるために、社員向けの啓発活動も実施。2019年度には3回勉強会が実施され、子会社を含め、のべ約7700人が受講したそうです。

 

「社員一人ひとりが取り組んでいくことは、企業価値の創造でもあると思います。SDGsを起点に物を考え、長期的、継続的かつ計画的に様々な課題に取り組んでいく。これからも引き続き、持続可能な社会の実現に貢献し、地球や子孫のことを思い、ミズノの強みを持って、新しいビジネスにも挑戦していきます。それにより企業価値やブランド価値の向上を目指していきたいと思います。CSRは責任や義務というイメージがありますが、SDGsは未来に向けて行動を変えるというか、アクションを起こすということ。2030年の未来に向けて、今まで弊社が行ってきたことにプラスして、全社員が一丸となって取り組んでいきます」(柴田さん)

 

さらに2022年度中に、スポーツの価値を活用した製品やサービスを開発するための新研究開発拠点が、大阪本社の敷地内に完成予定です。

新研究開発拠点のイメージ ※実際の建物とは異なることがあります

 

「スポーツ分野で培ってきた開発力と高い品質のモノづくりを実現する技術力。そんなミズノの強みを生かし、SDGsに貢献できるような新しい製品であったり、人であったり、どんどんつくっていけたらと思います。競技シーンだけでなく、日常生活における身体活動にも注力し、スポーツの力で社会課題を解決する社会イノベーション創出を目指します。新しい開発の拠点となる施設。SDGsの取り組みとともに、弊社にとって新しい幹になると考えています」(柴田さん)

 

創業者である水野利八さんは、「利益の利より道理の理」という言葉を残しました。スポーツの振興に力を尽くし、その結果としてスポーツの市場が育ち、それがめぐり巡って、事業収益につながるという考え方です。その想いは、創業から今に至るまで変わらず、ミズノグループの全社員に受け継がれているそうです。スポーツの持つ力を活かして世界全体の持続可能な社会の実現にさらに貢献していくに違いありません。

 

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