「弘南鉄道6000系」に泊まれる!? 備品や機器類で装飾し、車内を再現したコンセプトルーム

津軽の鉄道文化にひたれるコンセプトルームが、青森県・弘前市の宿泊施設「GOOD OLD HOTEL」内に登場!

 

Clan PEONY津軽は、津軽地域で営業する私鉄・弘南鉄道大鰐線でかつて運行されていた、弘南鉄道6000系車両をテーマにした「弘南鉄道コンセプトルーム」の予約受付を、12月11日に開始しました。一般向けの宿泊は、12月17日にスタートします。

 

記事のポイント

弘南鉄道6000系は、1960年から約30年間、東京急行電鉄(現:東急電鉄)で運用され、弘南鉄道が譲り受けたのち2006年まで定期運行していた車両です。その6000系の車内を細部に渡って再現するために、弘南鉄道が監修したコンセプトルーム。机の中に至るまで、鉄道ファンの心をくすぐるアイテムがふんだんに詰まった客室になっています。

 

今回のコンセプトルームでは、実際の運行時に車内で使用していた座席や荷物棚、看板などの備品、計器やヘッドライトなどの機器類を室内装飾に用いています。ホテルでありながら、弘南鉄道の歴史に浸りつつ往年の車両に乗車しているような気分を味わえます。

↑室内に再現された座席。※写真は工事中のものです

 

↑入り口付近に、年表や社訓、スイッチ類などが据え付けられています ※写真は工事中のものです

 

↑机のなかにも備品類が盛りだくさん ※写真は工事中のものです

 

↑昔懐かしいつり革も、運行当時のまま設置 ※写真は工事中のものです

 

コンセプトルームが開設される「GOOD OLD HOTEL」は、繁華街の集合ビルをリノベーションした“泊まれるスナック街”として話題の宿泊施設。鉄道ファンはもとより、昭和レトロの雰囲気を満喫したい人や、古き良き時代の思い出に浸りたい人にとっても見どころ満載では。

 

Clan PEONY津軽
弘南鉄道コンセプトルーム
販売価格 :1部屋2万円(通常時)※時期によって変動あり
部屋タイプ:洋室ツイン(ベッド2台、最大定員2人、バス・トイレ付、禁煙)

 

“住みたい街”博多に暮らすように泊まる!「CROSS Life」ホテルが旅行や出張のベースキャンプ化しそうなワケ

福岡がいま熱い。昨年末発表された、令和2年の国勢調査(5年に一度行われる)の結果によれば、福岡県は昭和45年の国勢調査以降、人口が増加し続けている。とくに福岡市は政令指定都市のなかでトップの増加数・増加率。県内の北九州市が全市町村で最大の人口減を記録したのと対照的である。

 

自治体は国際会議の誘致やスタートアップへの支援などが功を奏していると胸を張るが、大東建託による2022年の「住みたい街 自治体ランキング(全国)」でも福岡市が3年連続で1位。ビジネスのしやすさだけでなく、交通機関や飲食店の充実ぶりなど暮らしやすさも評価されている。

↑博多名物の屋台は、令和になっても健在だ

 

もとより歴史と文化、庶民の暮らしとビジネス、そして買い物やアクティビティなどの遊び場を、2.5km四方にミニマムパッケージ化したような街なのだ。

 

そんな福岡、とくに文化の色濃い博多区を拠点に滞在するのに、うってつけの場所が生まれた。2022年10月1日に天神地区と春吉地区に同時開業したホテル、「CROSS Life(クロスライフ)」だ。繁華街やオフィス街に近いエリアにあり、観光にもビジネスにも立地はいかにも便利そうだ。

↑クロスライフのサイン。写真はクロスライフ博多柳橋

 

クロスライフの客室と大浴場、食事などのサービスは?

まずは、気になる客室と共用部から見てみよう。

 

↑アートとネオンサインが点在するソリッドな「クロスライフ博多天神」のロビーラウンジ

 

↑こちらは博多の伝統と現代らしいカジュアルさが共存し、あたたかみを感じさせる「クロスライフ博多柳橋」

 

↑客室。クロスライフ博多天神は「コンフォートツイン」(定員2名)、クロスライフ博多柳橋はソファベッド付きの「コンフォートツイン」(定員3名)がボリュームゾーン。写真はクロスライフ博多天神の「ユニバーサルキング」

 

↑クロスライフ博多天神には、4名を収容できる「ロフトツイン」が11室あるのが特徴

 

↑クロスライフ博多柳橋には、2段ベッドを備える客室がベッドのサイズ違いで4室(各定員4名)

 

↑客室備え付けの備品の一部。モノトーンにそろえられミニマルな印象

 

↑大浴場には「NATURAL HEALING」をテーマにしたデジタルアートを設置。時間と共に刻々と変化する。浴場内にはサウナも完備する

 

↑提供される朝食(ビュッフェスタイル)の一例。博多らしい食材も堪能できるのがうれしい

 

↑チェックインはフロント、あるいは自動チェックイン機でも行える

 

↑アメニティはフロントに用意されており、必要な分だけゲストがピックアップするスタイル。また、館内にはランドリールームも。このあたりはカジュアルホテルらしい

 

オリックス ホテルズ&リゾーツの新ブランドが提案する滞在スタイルとは?

さて、このクロスライフ博多天神、クロスライフ博多柳橋を擁する「クロスライフ」は、オリックス・ホテルマネジメントが展開するORIX HOTELS & RESORTS(オリックス ホテルズ&リゾーツ)が新たに手がけたホテルブランド。

 

現在、札幌・京都・大阪の3都市に展開する「CROSS HOTEL」のシスター(妹)ブランドと位置付け、「地域とのつながり」というコンセプトを踏襲しながら、20〜30代向けのカジュアルラインとして誕生した。

↑国内全15軒、約3500室を展開するオリックス ホテルズ&リゾーツのブランドポートフォリオ。運営会社のオリックス・ホテルマネジメント執行役員で営業本部長の森直樹氏は、「人生におけるさまざまなステージに寄り添うブランドでありたい」と意気込む

 

上のポートフォリオを見ると“カジュアル”に位置付けられる「クロスライフ」だが、筆者が実際に宿泊して感じたのは、ただのカジュアルホテルにとどまらない存在だということ。なぜなら、博多カルチャーの断片を違和感なく点在させ、宿泊者を館内で思い思いにくつろがせる、むしろ出かけたくなくなりそうな一風変わったホテルなのだ。

 

その背景には「Play with Local 〜地域と一緒に〜」「My 3rd Place 〜自分らしい居場所〜」「360°Life 〜自由なライフスタイル〜」という、3つのコンセプトがある。

 

カジュアルホテルらしくない3つの体験とは?

日本のホテルブランドとしては珍しいコンセプト型のホテル。3つのコンセプトに呼応したそれぞれの“体験”を、前出のオリックス・ホテルマネジメント執行役員・森直樹氏のコメントとともに見ていこう。

 

1.地域の文化を“知る”入り口がある

 

「Play with Local 〜地域と一緒に〜」をもっともわかりやすく体現するのが、クロスライフ博多柳橋に導入された小石原焼(こいしわらやき)の数々。小石原焼とは、ろくろを回しながら器に幾何学的な模様をつけていくのが特徴の、博多織や久留米絣と並ぶ福岡の伝統工芸だ。50軒ほどの窯元が現存しているという。

↑写真のように刷毛を使って釉薬に模様をつけたり、刀で彫り込みをいれたりして独特の模様と風合いを生み出す

 

↑こちらは刀で模様をつけたもの

 

クロスライフではこの小石原焼を、博多柳橋の各階のサインに使用している。同じ小石原焼でも作家によって作風はまったく異なり、各階で違う作家の作品が階数を表示したり部屋番号を彩ったりしている。ただしセキュリティ上、宿泊階以外には行けないのが残念。ここに一部を紹介しよう。

 

↑クロスライフ博多柳橋のエントランスに鎮座するのは、福岡県在住の彫刻家によるもの。江戸時代に北九州で生まれた木綿織「小倉織」の端材を活用しており、ゲストはチェックイン時に渡される紐を自ら結んで完成に関われる

 

伝統から打って変わり、現代のカルチャーとの入り口も設けている。例えば「My Favorite Coffee by CROSS Life」の取り組み。ユニークなカフェが多い福岡のカフェ文化の一端を、クロスライフのカフェにおいてリレー形式で提供することで、味わい知ってもらおうというものだ。

↑クロスライフのカフェで提供中の「manucoffee(マヌコーヒー)」。独自焙煎による風味豊かな味わいに加え、コーヒーかすを活用した有機肥料の開発や、イラストレーターの支援など、コーヒーショップにとどまらない活動でも支持されている

 

↑コーヒーのおいしさに、マヌコーヒーの実店舗を訪れた。サイケデリックなコーヒーを目指す、と内装にも世界観が表れている

 

クロスライフ博多天神には、地元のアーティストたちによる現代アートが館内の目立つところに飾られ、まるでギャラリーのように鑑賞できる。こちらも一部をチェックしてみよう。

 

大事にしたのは、「ここで体験して終わりにしないこと」だという。「クロスライフですべてを体験できるわけではありません。クロスライフで関心をもち、実際のお店や工房へ足を運んでいただき地域を盛り上げる、その動線を作りたいと思っています」(森氏)

 

2.地域の人と“つながる”伝言板がある

↑ロビーに設置されたコネクトボード

 

地域との接点をつくるという点では、両ホテルともロビーに設置された伝言板「コネクトボード」も大事な役割を果たす。地域のいいものを気づいた人から気軽にシェアしていこう、という提案だ。

 

「観光客だけでなく、地元の人にも『こんな素敵な場所が身近にあった』と気づいていただくきっかけにしたいです」(森氏)

 

ちなみに伝言板ではないが、変化を続ける博多に残った“下町”感を間近に感じられるのも、ギャップがあっておもしろい。クロスライフ博多柳橋は、発祥は昭和初期、今にいたるまで“博多の台所”と呼ばれ親しまれている「柳橋連合市場」に隣接している。

↑ホテルの窓から隣接する「柳橋連合市場」を望める。昔ながらの情緒を色濃く残す場所だ

 

↑実際に訪れ、店主とコミュニケーションをとりながら買い物したり食堂に立ち寄ったりできる。夕方には続々と店じまいするので、早めの訪問がおすすめ

 

3.一日中“自由に過ごせる”多機能型コミュニティスペースがある

↑クロスライフ博多柳橋の2階に位置する「360°Hub」

 

「360°Hub(スリーシックスティーハブ」と名付けられたのは、ラウンジ。朝食営業が終わったあとは、終日カフェとして開放される。極端にいえば、コーヒー1杯で夜まで過ごせてしまう。そこには、“ハブ”としたとおり、ひとりでノマドワークするだけでなく、訪れるさまざまな人との接点にもなってほしい、という思いが込められている。

 

「“コワーキングスペース”と限定せず、読書をする、絵を描くなど自分らしく時間を過ごせる空間にしたい。自宅、職場、そしてもうひとつの居場所として使って欲しいと思います」(森氏)

↑クロスライフ博多天神のカフェ&バーの奥に位置する「360°Hub」

 

ゲストがそれぞれの都合や好みに合わせて過ごしながら、自然と地域と接点をもてる。そんな仕組み作りが試みられている。

 

森氏は、「ホテルとは従来、宿泊するための場所にすぎず、気軽に足を運べる場所ではありませんでした。クロスライフでは、宿泊者だけでなく、通りすがりの人や地元の人にも気軽に来て、思い思いに時間を過ごしていただきたい」と話す。

 

文化も、遊びも、ビジネスも、活気あふれる今の福岡・博多を、各々の時間軸にしたがって体験するなら、いわば“ベースキャンプ”にしたくなる「クロスライフ」は、選択として大いにアリだろう。

 

クロスライフ博多天神
福岡市中央区春吉三丁目26番30号

クロスライフ博多柳橋
福岡市中央区春吉一丁目6番5号

 

カジュアル滞在を極めるなら
東京=博多間をつなぐ「ジェットスター」がお得!

最後に、“足”の選択肢は? 九州の玄関口である福岡へは交通手段が豊富だが、首都圏からよりお得に向かうなら、LCC「ジェットスター」がおすすめだ。2022年7月に日本就航10周年を迎え、現在は国内15都市・17路線を運航している。

 

ジェットスターを使えば、成田空港第3ターミナルが発着地となるが、LCC最大のメリットである運賃は、最安運賃片道5580円(エコノミークラス「Starter」の片道運賃。支払手数料、空港使用料等別途。諸条件適用)。競合他社でジェットスターを下回る価格のフライトがあれば、その価格より10%引きとなる「最低価格保証」のサービスもある。

 

しかも朝イチの便なら、最新機材「エアバス A321LR」に乗れるのだ。

↑ジェットスターの最新機材「エアバス A321neo(LR)」

 

↑CFMインターナショナル社の新型エンジンによって燃費効率が向上、環境負荷軽減にも一役買う

 

↑座席背面。モバイル端末ホルダーやUSBポートが設置され、目的地まで自分のスマホやタブレットを充電しながら使用できる(“機内モード”に設定要)

 

快適さを我慢することなく、気軽な旅を楽しめるはず。年末年始、春休み、ゴールデンウィークと今後半年で続く大型連休に活用してはいかがだろうか。

 

 

取材・文・撮影=GetNavi web編集部

部屋には運転席まで!! 乗り物好きは部屋から出ない! 京都タワーホテル「電車の部屋」と「バスの部屋」

〜〜京都タワーホテルが京阪電車&京阪バスとのコラボルームを販売〜〜

 

観光都市・京都。通常なら、ホテルに到着後すぐに観光スポットへ……となりそうだが、乗り物好きが観光そっちのけで部屋にこもってしまうだろう“特別な部屋”が京都タワーホテルに誕生した。

 

用意されているのは、電車好き向けの2部屋と、バス好き向けの1部屋。期間限定のサービスで、先着順ながら非売品の特製プレゼントもあるという。

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

 

【はじめに】京都駅中央口の目の前にそのホテルの部屋はある

京都駅の烏丸中央口(からすまちゅうおうぐち)の目の前にある京都タワーホテル。ランドマークでもある京都タワーと同じ建物内にあり、京都駅から徒歩2分という距離が魅力だ。

 

この京都タワーホテルが2020年の11月10日に用意したのが、「京阪電車トレインルーム8011号」。さらに、この3月1日からは「京都バスコンセプトルーム」、3月16日から「叡山電車トレインルーム」の提供を始めた。とにかく乗り物好きが泊まりたくなるような部屋なのだ。もちろん、家族で泊まっても楽しめるサービスも用意されている。それぞれどのような部屋なのか見ていこう。

 

【鉄道好きには①】京阪電車8000系をテーマにした部屋

京都タワーホテルは、京阪電気鉄道株式会社と同じグループである京阪ホテルズ&リゾーツ株式会社が運営するホテルだ。その縁を活かして京阪電気鉄道とコラボしたのが「京阪電車トレインルーム8011号」。京阪電車の特急8000系をテーマにした部屋である。

↑広々としたツインルーム。ベッドスローは京阪電車8000系の車体色を再現した。記念撮影用の8000系イラストパネルが用意される

 

ちなみに京阪電車8000系といえば、大阪と京都を結ぶ「京阪特急」としておなじみ。2階建て車両を連結、さらに有料のPREMIUM CARを連結する特急として人気がある。そんな8000系色が濃厚な特別な部屋を仕立て上げた。さっそく部屋の中を見てみよう。

 

壁には迫力ある8000系車両の写真がいくつも飾られている。さらに、ふだん間近で見ることができない「側面行先字幕」や「側面種別字幕」、また京阪線で使われたレールやバラストなどが展示。京阪電車の大きな路線図も貼り付けられ、さらに鴨東線(おうとうせん)開通&8000系誕生30周年記念のヘッドマークまで! どれも見入ってしまうアイテムばかりだ。

 

ホテルのフロントでは、京阪電車のDVDや書籍、プラレール(京阪電車8000系PREMIUM CAR!)の無料貸し出しといったファン垂涎のサービスもある。

↑窓近くには吊手や折り畳み式の補助イスが設置される。もちろん8000系と同じものだ。眼下には京都駅の烏丸中央口が望める

 

◆部屋番号のプレートは8000系そっくり

先に部屋の解説をしてしまったが、部屋のドアにも注目したい。京阪電車の正面には、下記の写真のように車両番号が記されている。その車両番号のデザインと、部屋の番号札がそっくりなのだ。数字のロゴ、プレートのデザインを見比べても、ほぼそのままだ。

 

この8011号。元の部屋番号は811号室なのだが、8000系にちなんで、4ケタにし、「8011号」としてしまったのである。鉄道ファンにしてみれば、このこだわりぶりがうれしい。

↑京都市内を走る京阪本線の8000系車両。正面の車両番号のデザインそっくりのプレート(左上)が部屋の入口に付けられる

 

この部屋に泊まると、うれしい特典もある。すでに配布は終わったが、先着宿泊50組までは「カットレール文鎮」(非売品)がプレゼント。本物のレールをカットしたぴかぴかの文鎮だった。さらに110組目までは「京阪電車オリジナルノート」(非売品)が1冊プレゼントされた。

 

110組目までに滑り込めなくとも、8011号室に宿泊中にSNSやブログなどに投稿すれば、投稿者全員に京阪電車ノベルティグッズが1点プレゼントされる(なくなり次第終了)。部屋を利用する場合の概要は以下のとおりだ。

 

○期間:2021年11月9日(火)まで。 
○利用:各日限定1室 ツインルーム(1〜3名まで利用可能) 
○宿泊料金:9000円〜/2名1室利用1名様料金(消費税・サービス料込み、宿泊税は別途)
※料金は宿泊日・人数で変動あり

 

【鉄道好きには②】さらに叡山電車とのコラボルームも用意

京都市内、出町柳駅から八瀬比叡山口(やせひえいざんぐち)・鞍馬方面を結ぶ叡山電鉄。鞍馬や比叡山への観光の足として利用されている。

 

この“えいでん”または“叡山電車”として市民から親しまれる叡山電鉄とのコラボ企画が3月16日から始まった。その名もずばり「叡山電車トレインルーム」。「京阪電車トレインルーム8011号」に負けず劣らず、とても鉄道色が濃い部屋なのだ。

↑部屋には、美しい紅葉の中を走る展望列車「きらら」の写真がたっぷり。右にみえるように叡山電車の運転機器も備えている

 

ドアを開けると、まさに“えいでん”一色。叡山電車といえば、紅葉が大人気の路線だが、そうした紅葉に包まれて走る叡山電車900系展望列車「きらら」の名シーンがいっぱい。さらに鮮やかなモミジ色、「EIDEN」の名入りベッドスローが目に入ってくる。

 

反対側の壁には1990年ごろまで多くの車両で使われたホーロー製の行先方向板や、側面に掲示された方向幕が掲げられる。当時の叡山電車の行先方向板は、やや小さめだったことがわかる。方向幕の中には「留置車」や「回送」という表示も。これは鉄道ファンにとって垂涎の品物でしょう、きっと。

↑ベッドの足元側の壁には30年ほど前まで使われていた行先方向板や、側面用の方向幕がふんだんに。まさにお宝級のインテリア!

 

さらに、さらに……。

 

◆触れてみたい!旧車両のマスターコントローラー

実際に使われていたマスターコントローラーとブレーキハンドルが部屋に装備されたのである。通称、「マスコン」または「マスコンハンドル」と呼ばれる機器は、いわずもがな、電車の速度制御に必要な機器だ。

 

同部屋に装備されたマスターコントローラーは、デオ600形という電車の運転台に実際に設置されていたもの。デオ600形は1979(昭和54)年から翌年にかけて6両が製造された形式で、2008年11月に廃車されている。今回、この部屋を飾る重要なアイテムとして10数年ぶりに公開されたわけだ。

↑部屋内に用意されたマスターコントローラーとブレーキレバー。イスも用意されているので、じっくりと感触を確かめたい

 

↑部屋の入口には「盆ラマ」が。名所「もみじのトンネル」をイメージした路線をメイプルオレンジ色の900系「きらら」が走る

 

これはじっくり感触を味わいたい装備だ。それこそ、この部屋に泊ることができた宿泊者の特権でもあるのだから。

 

ほかにも部屋の入口に900系展望列車「きらら」のNゲージ模型の「盆ラマ」が飾られる。ちなみに「盆ラマ」とは、盆栽ふうの小ジオラマのことだ。赤や黄色に色づく木々に包まれて走る「きらら」が絵になる。さらに、八瀬比叡山口駅で使われていたカットレール(本物のレールをカットした)の置物や、鞍馬線で使われたバラスト、また記念撮影用の「きらら」のパネルが用意される。部屋では運転席展望映像DVD「紅葉の叡山電鉄」を楽しむこともできる。

 

さらに、宿泊100組までは叡山電車「きらら」にちなんだオリジナルグッズがプレゼントされるというからうれしい。

↑宿泊50組目までは「きらら」のラバーキーホルダーが、51〜100組目までは「マルマン×きらら」のスケッチブックをプレゼント

 

○期間:2022年3月15日(火)まで
○利用:各日限定1室 ツインルーム(1〜2名まで利用可能)
○宿泊料金:9500円〜/2名1室利用1名様料金(消費税・サービス料込み、宿泊税は別途)
※料金は宿泊日・人数で変動あり

 

ちなみに、叡山電鉄の鞍馬線は2020年7月に起きた豪雨災害による土砂崩れで、市原駅〜鞍馬駅間の運転休止が続いている。ちょうど3月12日には、「2021年秋までを目処に運転を再開する見通し」ということが発表された。この秋には名物の「もみじのトンネル(市原駅〜二ノ瀬駅間)」のもみじが、鮮やかに染まる光景を、展望列車「きらら」の車内から楽しめることができそうである。

 

【バス好きには】京阪バスN1081車両の運転席を再現!

京都タワーホテルではこの3月から「京阪バスコンセプトルーム」の宿泊も受付け始めた。こちらはバス好き向けだ。

 

京阪バスコンセプトルームというように、同じ京阪グループの京阪バス株式会社とコラボして造り上げた部屋である。京阪バスといえば、白地に赤ラインと目立つ装いの路線バス、高速バスを走らせている。ホテルの眼下にある京都駅のバスロータリーでもこのバスの姿をよく見かける。

 

注目したいのは、部屋の中にバスの運転席が再現されていることだ。実際に走っていた京阪バスN1081車両の運転席を利用している。京阪バスN1081は2002年12月から2018年10月まで在籍していた車両だ。

↑京都タワーホテル911号室の室内。バスの運転席のほか、京阪バス方向幕パネルが飾られる。さらにベッドスローは白地に赤ライン

 

↑室内に設けられた運転席は、実際に在籍していた京阪バスの座席や部品が取り付けられた。降車ボタン付きにぎり棒なども装着される

 

◆部屋のプレートはバス停の表示にそっくり

部屋の細部を見ていこう。入口は、京阪バスのバス停表示を再現した丸型。そこに911号室とある。ドアを開けると窓側に設けられた運転席にやはり目が行く。走っていたN1081の運転席で、ハンドル、座席、インストルメントパネル、ミラー、さらにアクセルペダル、ブレーキペダル、サンバイザーまで付く。左上を見れば、運賃表示器まで装着されている。

 

部屋のインテリアも、実際に京阪バスの監修を受けて制作された。路線バスの車両写真に、京都遊覧案内図パネルや、京阪バス方向幕パネル、バス降車ボタン、スターフと呼ばれる運転指令票まで用意される。まさに運転席に座れば、路線バスの運転手になったような気持ちになれるわけだ。

↑911号室の入口には京阪バスのバス停表示にちなんだデザインが。もうこれだけでバス好きは気持ちが盛り上がりそうだ

 

↑天井にはバスに装着された出口パネルが付く。部屋内には京阪バスのミニュチュアカーも展示(左下)

 

◆150組目まで宿泊特典の特製プレゼントあり

さまざまな特典も用意されている。同部屋に宿泊した人には先着順(150組限定)で京阪バスのオリジナルグッズがプレゼントされる。

 

たとえば、10組目まではバス降車ボタン(非売品)がプレゼントされた。さらに11〜30組目までは下敷き(非売品)、31〜70組目まではクリアフォルダー(非売品)が。さらに71〜100組目は実際に使われていた方向幕をカットしたカット方向幕(非売品)、101〜120組目はミニチュアカー「ザ・バスコレクション第12弾」、121〜150組目は「バスたま」(何度ひっくりかえっても自動復帰して走る京阪バスオリジナルのおもちゃ)のプレゼントがある。

 

また同部屋を子ども連れで利用する場合には特別なサービスが。小学生以下で30分限定ながら「京阪バスの子ども用制服」を貸し出し、客室内設置のフォトブースで撮影ができるのだ。

 

バス好きには魅力的なサービス盛りだくさんである。

↑先着順ながらさまざまなプレゼントを用意。10組目まではバス降車ボタンがプレゼントされた。カット方向幕も30組のみにプレゼント

 

○期間:2022年2月28日(月)まで。 
○利用:各日限定1室 ツインルーム(1〜3名まで利用可能)
○宿泊料金1万円〜/2名1室利用1名様料金(消費税・サービス料込み、宿泊税は別途)
※料金は宿泊日・人数で変動あり

 

 

どの部屋も細部までこだわっており、乗り物好きを納得させることは間違いなし。すぐに予約して泊まるしかない!