スズキ「ジムニー ノマド」の人気は間違いなかった。2025年プロが注目する国産車5選!

日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員の一人でもある、モータージャーナリストの岡本幸一郎さん。その岡本さんがいきなり受注停止のスズキ「ジムニー ノマド」をはじめ、2025年に登場するかもしれない注目すべき国産車5台を紹介します。

 

【その1】発表からわずか4日で受注停止の人気車種

スズキ

ジムニー ノマド

265万1000円(税込)〜

もともと「ジムニー」は、小さいながらも高い走破性能を持つ世界最小の本格的クロスカントリー車として、その性能を本当に必要とする職業や一部のマニアックな層から絶大に支持されていたが、販売台数としてはそれほど多くなかった。ところが、2018年にモデルチェンジした現行型は、愛嬌のあるカジュアルなルックスをはじめ、従来に比べると大幅に改善された乗り心地や周囲に見劣りすることのない先進運転支援装備の採用などが効いて、いきなり一般ユーザーをも巻き込んだ大ヒット車となり、ずっと納車の遅れが伝えられるほどの状況になった。

 

その一方で、現行ジムニーには歴代ジムニーにはなかったロングボディの5ドア版が存在し、先に海外から導入されたことが知られると、日本での販売を望む声がヒートアップした。2025年1月30日、5ドアモデル「ジムニー ノマド」が日本で発売されるや注文が殺到し、発表からわずか4日後にいきなり受注停止という異常事態になった。ただでさえ人気のジムニーに実用性に優れる5ドアがあれば人気が出るのは確実と思っていたら、こんなに早くこうなるとは予想を超えていた。1日も早く受注が再開されるよう願いたい。

 

【その2】6代目フォレスターいよいよ発売!

スバル

フォレスター

価格未定

「日常から非日常まで使えるSUV」をコンセプトに、スバルSUVの中核モデルとしてずっと安定の人気を誇ってきた「フォレスター」。人気の秘訣は、ちょうどよいサイズとクセのないキャラクターとソツのない完成度と使い勝手のよさにある。フォレスターの伝統である、ほどよくスクエアなフォルムや、独自の水平対向エンジンを軸にすべてを左右対称にレイアウトしたシンメトリカルAWD(※)による優れた走行性能に惹かれるファンも少なくない。6代目となる新型もそのあたりをしっかりと受け継いでいる。すでに海外ではモデルチェンジした新型が発売済み。

 

先だって「クロストレック」に初めて搭載され、燃費がよくて力強いことからとても評判のよい2.5リッター水平対向エンジンに、トヨタの技術を応用したスバル独自のシリーズパラレルハイブリッド方式のシステムを組み合わせたストロングハイブリッド「S:HEV」がフォレスターにも搭載されることを期待している人も少なくないはずだ。また、スバルといえば運転支援システム・アイサイトに魅力を感じる人も多い。最新の機能を身に着けたアイサイトが、より安全で快適なドライブを提供してくれるに違いない。

※:スバルによって開発された常時4輪駆動システム

 

【その3】日本車で高級なワゴンがあったら欲しい

トヨタ

クラウンエステート

価格未定

現行16代目「クラウン」は4つの個性がラインアップされるうち、2025年春時点でセダン、スポーツ、クロスオーバーと3つのバリエーションが販売中。残るひとつの「エステート」もそう遠くないうちに発売されるはずだ。エステートと呼ぶとおり、ステーションワゴンとSUVをクロスオーバーさせた新しいタイプの機能的なSUVであり、大人の雰囲気で余裕のある走りとアクティブライフを楽しめるクルマを目指しているという。

 

肝心の荷室スペースは非常に広く、リアシートを倒すとフルフラットデッキになるなど、使い勝手にもこだわっている。パワートレーンは定番の2.5リッターのハイブリッドのほかに、長距離をどっしりゆったりと走れるように味付けされたPHEVが選べる。ワゴンとして見たときに、いまや日本車のワゴンは数えるほどしかないが、輸入プレミアムブランド車は一定の支持を得ていて、日本車で高級なワゴンがあったら欲しいという人は少なくないはずだ。

 

【その4】昭和のデートカーが令和に復活!

ホンダ

プレリュード

価格未定

元祖デートカーとして知られる「プレリュード」が復活するという情報に胸躍らせている人が続出しているようだ。かつて若い頃にプレリュードに乗っていた人たちが結婚し、出産を迎え、子育て時期にはファミリーカーに乗っていた。しかし、実は2ドアクーペに乗りたいと思っていた人は大勢いるだろう。そんな子離れしたタイミングを迎えた2ドアクーペ好きたちが、車名を聞いただけでテンションが爆上がりしそうな魅力的なクーペの登場となる。

 

実車をぜひ見てほしいと感じさせるよう、スタイリッシュさには大いにこだわったという。夫婦で旅行に出かけるときに荷物を積み下ろししやすいよう、過去のモデルとは違ってハッチバックの流麗なファストバックスタイルを採用するのも特徴だ。パワートレーンにはクルマのキャラクターに合わせて専用にチューニングしたハイブリッドのe:HEVを搭載し、4WDもラインアップされる見込みで、走りにも期待できそうだ。

 

【その5】東京オートサロン2025にコンセプトカーが展示されて話題に

ダイハツ

ミライース GRスポーツ

価格未定

東京オートサロン2025にコンセプトカーが展示されて話題となった「ミライース GRスポーツ。ベーシックな軽自動車である「ミライース」に、強力なターボエンジンと5速MTを搭載するとともに、全日本ラリー選手権の参戦マシンから流用したスポーティなデザインの前後バンパーをまとい、足まわりにはBBS鍛造ホイールとブリヂストンのポテンザRE050A、コクピットにはレカロ製スポーツシートなどを装着。走りに特化したホットハッチに仕立てたというクルマである。

 

位置づけとしては、コペンに続いてGRの一員となるとともに、ダイハツがかねてから力を入れている国内ラリー等のモータースポーツ向けのベースモデルとしても市販化に期待する声は小さくない。件のコンセプトカーの反響が非常に大きいので、おそらく市販されることになりそうだが、願わくはミライースがベースなことだし、価格があまり高くならないよう期待したい。

 

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「こんなに万能なファミリーカーはない」プロが絶賛したクルマって? 2024年ファミリー層にオススメの国産車5選

日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員の一人でもある、モータージャーナリストの岡本幸一郎さん。その岡本さんが2024年に登場したクルマのなかから、比較的手ごろな価格帯を中心に、ファミリー層におすすめしたい国産車を5台紹介します。

 

【その1】こんなに万能なファミリーカーはない

ホンダ

フリード

250万8000円(税込)〜

まずは、日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したことでも知られるフリードだ。初代からずっと「ちょうどいい」とアピールしているとおり、狭い場所でも取り回しに苦労しない手頃なサイズでありながら、車内は3列目までしっかり使えるほど広々としている。スライドドアの開口部が幅広く高さも十分に確保されていて、ステップの段差もなく乗り降りしやすい。ファミリーカーとして、たしかにこれほど日本で「ちょうどいい」クルマはない。

 

さらにフリードは走りもいい。新たに搭載したホンダ独自のe:HEVと呼ぶハイブリッドシステムにより、スムーズで力強い走りを実現していて、大人数を乗せてもストレスを感じることもない。しかも燃費が抜群にいい。4WD性能も望外に高くて、降雪地の人も不安に感じる必要はないだろう。

 

一方のガソリン車は軽快な走りが持ち味だ。アクセルを踏み込むと、いかにもホンダらしい元気のいいサウンドを楽しめる。乗り心地が快適で、ハンドリングも素直で意のままに操れて、直進安定性も高く、ボディが小さいながらもロングドライブでも疲れ知らずだ。こんなに万能なファミリーカーはない。デザインは万人向けの「エアー」と、SUVテイストの「クロスター」が選べる。

 

【その2】この雰囲気を乗員全員が味わえると思えば割安にすら思える

マツダ

CX-80

394万3500円(税込)〜

SUVでファミリーカーなら、「CX-80」が最強だろう。ひと足先に登場したCX-60の3列シート版であり、後輪駆動ベースで、直列6気筒のディーゼルエンジンや本格的なPHEVの設定など特徴的な部分を共有しつつ、全長とホイールベースを延長。3列目の十分な居住空間の広さを実現しているのが他のクロスオーバーSUVにはないポイントだ。

 

内外装デザインもなかなか見応えがある。インテリアでこれほど高いクオリティ感を達成するには、ヨーロッパのメーカーだったら軽く1000万円を超えるに違いない。その意味では、CX-80も決して安くはないが、この雰囲気を乗員全員が味わえると思えば割安にすら思えてくる。

 

大柄なサイズで後輪駆動ベースのクルマらしく、ドライブフィールは重厚でありながらスポーティだ。特にいまや貴重な直列6気筒ディーゼルエンジンは、直列6気筒ならではの奥ゆかしい響きを味わわせてくれる。

 

【その3】懐かしいけれど新しいイメージの仕上がり

トヨタ

ランドクルーザー250

520万円(税込)〜

より本格的なクロスカントリー車が好みの人には、「ランドクルーザー250」がある。原点回帰を図り、あえて高級路線ではなく質実剛健を追求したところがポイントだ。中身は最新のSUVそのもので、装備も非常に充実していながらも、見た目や走りは新しいけれど懐かしく、懐かしいけれど新しいイメージに仕上がっている。

 

車内や荷室の広さも十分で、並のSUVに比べると座る位置が高い。着座姿勢も立ち気味で、高い目線から周囲を見下ろす形になるのも特徴だ。

 

悪路走破性はとてつもなく高くて、このクルマで走れない道は日本にはないと思っていいだろう。おそらく本領を発揮させる機会は、普通に過ごしている分には訪れないだろうが、それだけの実力を持ったクルマに乗れるのると思えるのは頼もしいことこの上ない。

 

【その4】アクティブなファミリーにもってこい

スズキ

スペーシア

153万100円(税込)〜

小さなファミリーカーには、各メーカーがそれぞれ腕によりをかけた力作が勢ぞろい。なかでも、2024年末の時点でのイチオシは、「スペーシア」だ。軽ハイトワゴンはどれも概ね同じような方向性でまとめられているなかでも、スペーシアはもっとも軽く、マイルドハイブリッドを搭載していて、軽快な走りとクラストップの低燃費を実現。先進運転支援機能が充実しているという強みもある。

 

車内には収納スペースが豊富に設けられていて、ひとつひとつがより使いやすいよう工夫されている。リアシートにリラックスして座れる「オットマンモード」、座面上の荷物の落下を防ぐ「荷物ストッパーモード」、安定した姿勢を支える「レッグサポートモード」という3通りのモードを選べる「マルチユースフラップ」というユニークな機能を採用したのもポイントだ。

 

SUVテイストのギアは遊び心のある内外装デザインのほか、撥水加工シートや防汚タイプのラゲッジフロアを採用しており、ステアリングヒーターが全車に標準装備されている。アクティブなファミリーにもってこいだ。

 

【その5】EV航続距離が100kmを超えた!

三菱

アウトランダーPHEV

526万3500円(税込)〜

電動化モデルに興味のある人には、マイナーチェンジした「アウトランダーPHEV」をすすめたい。大容量化と高出力化した新開発のバッテリーにより、EV航続距離が100kmを超えたのがうれしいかぎり。ふだんはBEVと同じように乗れて、ガソリンを使うのは遠出するときだけという付き合い方ができる。走りにも磨きがかかって、より静かでなめらかで力強くなり、乗り心地がよくなってハンドリングの一体感も増している。

 

新設定された最上級グレードなら、海外のプレミアムブランドにも負けない高級感あるインテリアや、ヤマハと共同開発したという高性能オーディオシステムの卓越したサウンドが楽しめるのもポイントだ。広くはないが、いざとなれば3列目シートもある。

 

電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)のバッテリーを活用し、家庭の電力供給源として機能させる先進技術V2HやV2Lにも対応。「走る蓄電池」のような使い方も可能だ。

 

 

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「走りと乗り心地」に納得! 発売1か月で3万8000台を受注した新型「フリード」の魅力に迫る

ホンダのコンパクトミニバン、ホンダ「フリード」が今年6月、フルモデルチェンジして三代目となりました。受注状況も絶好調のようで、なんと発売開始後1か月で月間販売計画の約6倍となる3万8000台を記録! その人気の秘密はどこにあるのか、試乗を通してレポートします。

↑三代目「フリード」は標準車の「エアー」(左)と、アウトドア志向に振った「クロスター」(右)の2タイプと明確なキャラクター分けが行われた

 

■今回紹介するクルマ

ホンダ フリード e:HEV(エアー EX[FF]、クロスター[4WD])

250万8000円〜343万7500円(税込)

 

ラインナップは「エアー」と「クロスター」の2タイプ

フリードは初代より手頃なサイズと高い実用性が評価され、ホンダ車の中でも常に上位に入る人気車です。先代はモデル末期になっても月間1万台近くを販売するほどの人気を得ていましたが、これはまさにファミリーカーとして“ちょうどいい”ことが評価されてきたからこそ。そして、様々な面で進化を遂げた三代目は、その良さを継承しながらも新型ならではの改良が加えられて誕生しました。

 

ラインナップは大きく分けて標準車の「エアー」と、アウトドア志向に振った「クロスター」の2タイプとなり、ステップワゴンと同様、明確なキャラクター分けが行われました。パワートレーンは1.5リッター直4ハイブリッド「e:HEV」と、同じ1.5リッターのガソリンエンジン車で、それぞれにFFと4WDを用意。このラインナップは先代と同様ですが、そこに新型ならではの改良が加えられたのです。

↑「フリード e:HEV エアー EX」/3列6人乗りFF

 

↑「フリード e:HEV クロスター」/2列5人乗り4WD

 

フリード初、パワーユニットにe:HEV採用!

その改良のポイント一つ目は、ハイブリッドモデルのパワーユニットを刷新したことです。先代はデュアルクラッチトランスミッション(DCT)を使った「i-DCD」を採用していましたが、三代目はそれを「e:HEV」に変更。これはホンダのコンパクト車としては「フィット」や「ヴェゼル」に続くもので、走行用モーターと発電用モーターの2つのモーターを備えて走行状況によって駆動力を自動的に切り替えるハイブリッドシステムとなります。

↑ハイブリッドシステム「e:HEV」のパワーユニットは、最高出力106PSの1.5リッター直4エンジンに最高出力123PSのモーターを組み合わせた

 

これによって、i-DCDを上回る加速性能を実現することとなり、市街地でのスムーズな加速だけでなく、特に登坂や高速域での加速性能にも余裕を感じ取れるようになりました。今までどちらかといえば得意ではなかった高速での走行でも、一段と力強さを感じるようになったのです。

 

二つ目はプラットフォームの進化です。ベースこそ先代からのキャリーオーバーとはなりますが、ホンダによればフロアやサイドシル、フロアフレームを一新し、開口部やダンパーの取り付け部、リアクォーターピラーも大幅に剛性をアップしたとのこと。その結果、走り出せば先代とは別モノとの印象を受けます。街乗りでのしなやかな走りは上質ささえ感じさせるほどでした。

 

ただ、室内の広さは先代とはほぼ同じです。全長で45mm長くなっていますが、これはその大半を新搭載となったe:HEVを収めるためにフロント部を拡大したため。一方でベースモデルとなるエアーは5ナンバー枠に収めていますが、クロスターは25mm増しの3ナンバー枠となりました。

 

3列シート車にリア専用エアコンを採用

室内に入ると水平基調のダッシュボードが最近のホンダ車らしさを感じさせます。視界も良好で、運転席からは周囲を広々と見渡すことができます。インパネには大容量の収納ボックスや取り出しやすさを追求したトレーを配置。さらに、シートの肩に当たる部分を細身にして後席からの圧迫感を抑えたことで、2列目や3列目のシートからの抜けのいい視界を実現していることも見逃せません。

↑フリード エアーの運転席回り。内装は明るいトーンでまとめられている

 

↑フリード クロスター/2列5人乗りの運転席回り

 

ダッシュボードは基本的に硬質パネルで構成されますが、それでもエアーにはダッシュボードの上部に手触りが心地よいファブリックが施され、それがナチュラルさを演出。また、ホンダのコンパクトミニバンとして初めて、リア用エアコンが3列シートの上級グレードに標準装備されたのは新型の大きなポイントとなるでしょう。

↑3列シート車に標準装備されるリア専用エアコン

 

さて、試乗したのは、2列5人乗りのクロスター(4WD)と、一番の売れ筋となると思われる3列7人乗りのエアーEX(FF)で、いずれもe:HEV仕様です。そして、別の日に2列5人乗りのクロスター(FF)のガソリン車にも試乗しました。

 

2列目がもっとも快適なのは3列6人乗り仕様

まず、e:HEVのクロスターですが、新型フリードで2列5人乗りが選べるのはクロスターのみで、これは先代でいえば「フリード+」から置き換わったもの。また、クロスターとエアーでは2列目がキャプテンシートとなる3列6人乗りも選べ、さらにこのクロスターに限っては、車椅子のまま乗り込める「スロープ」や「助手席リフトアップシート」を備えた福祉車両も用意されました。ただ、エアーにある3列7人乗り仕様はクロスターに用意されていません。

↑フリード e:HEV クロスター/2列5人乗りのスロープ仕様。電動インチで車椅子を引っ張り上げることができる

 

その中で、2列目に座ってもっとも快適だったのは3列6人乗りのキャプテンシートでした。細身ながら身体にフィットする専用シートである上に、左右にアームレストがあることで身体を常に安定させることが可能だったからです。対して、2列5人乗りのシートは2列目がベンチシートとなり、特にe:HEVではフロアが高めとなるために太ももが座面から離れることもあって、乗車中はどうしても不安定になりがち。ミニバンらしい快適さを2列目で感じたいのなら、3列6人乗りのキャプテンシートをおすすめしたいですね。

↑フリード エアーの2列目。3列6人乗り仕様の2列目はキャプテンシートとなる

 

とはいえ、乗り心地だけを捉えれば2列5人乗りでも驚くほど快適でした。先代はともすればハンドリングの良さを重視して、路面からの反応をリアルに伝えてくる印象でしたが、新型はそれとは真逆。三代目フリードは、ミニバンとして熟成の乗り心地に達したといえるかもしれません。

↑今回の試乗では横浜の市街地から首都高速を経由するルートを走行しましたが、路面からの突き上げもしなやかで、シートを介したショックはほとんど伝わってこない

 

その4WDシステムは先代同様の電子制御油圧多板クラッチを備えたプロペラシャフト付「リアルタイムAWD」で、これはSUVのヴェゼルと同じもの。発進時より積極的にリアに駆動配分するため、ステアリングを切ったときなどでも思い通りにトレースできるのがメリットです。実際、後述するエアーのFFと比べると、明らかにどっしりとした安定感があり、決してパワフルな印象こそありませんが、市街地での発進は極めてスムーズにこなしてくれていました。

 

軽快な走りを見せたe:HEVのFF。市街地で十分なガソリン車

次に試乗したのが3列7人乗りのエアー EX(FF)です。4WDに比べて車重が軽くなることもあって、その走りの軽快さではシリーズ中ナンバーワンといえます。アクセルを踏めばリニアに加速し、HVならではの力強さをより感じさせるものとなっていました。フリードには燃費向上が期待できる「ECON」モードが備えられていますが、このモードでも十分な加速を発揮。そして、これをOFFにすればモーターらしさをよりしっかりと感じられる走りとなります。これなら高速道路の流入でも不満は感じないでしょう。

 

さらに3列7人乗りのエアー EX(FF)は、路面からの反応でも一段としなやかさが増していました。多少ロールが大きめではあるものの、足回りのフリクションも徹底して抑えられているようで、その乗り心地はひとクラス上のミニバンと比べても遜色ありません。エンジン音も静かですし、ロードノイズの侵入もかなり少なめとなったこともあり、ミニバンとしての快適性はこのグレードがピカイチであると感じました。

 

最後に2列5人乗りのクロスター(FF)のガソリン車です。モーターを搭載していないだけに絶対的なパワー感はe:HEVに比べると落ちるのは確かです。しかし、それでも市街地での走行に限ればほとんどストレスは感じないレベルにあり、高速道路への進入もECONモードにしなければ十分な加速力が得られます。特に組み合わせたCVTは、あたかも変速があるかのように段をつけた加速フィールが味わえ、アクセルを踏んだときの心地良さを感じさせてくれるものでした。

 

全車速追従のACCやブラインドスポットインフォメーション採用

新型となって様々なドライブアシスト機能も進化しています。特に見逃せないのが、電子制御パーキングブレーキ(EPB)+オートブレーキホールド(ABH)が全グレードに標準装備されたことと、ブラインドスポットインフォメーション(BSI)が一部グレードに搭載されたことです。

↑フリード エアーのシフトレバー回り。パーキングブレーキが電動化されたのに伴い、オートブレーキホールド機能も装備された

 

EPBの採用は渋滞追従機能付アダプティブクルーズコントロール(ACC)の実現をもたらすもので、先行車がいない場合は設定した車速を自動で維持し、先行車がいる場合は自動で加減速して適切な車間距離を保ちます。ただ、センシングが従来のミリ波レーダーと単眼カメラの組み合わせから、単眼カメラのみとなったことで、先行車との距離の検知はやや不安定な印象です。それでも渋滞時もACCが継続できるメリットは大きいといえます。

↑運転支援に使われるセンシングがフロント上部に設置された単眼カメラ(中央)で行われる

 

また、BSIは車線移動する際、ミラーでは見えなくなっている斜め後方の車両検知してくれるというもので、車線移動での安全性を高めるのに有効な装備となっています。ベースグレード以外はすべて装備されているのはうれしいポイントです。

↑ベース車以外のすべてに装備されるブラインドスポットインフォメーション。隣車線の斜め後方にいる車両を検知するとアイコンがオレンジに光る

 

三代目フリードは、3列目シートすべてで快適に座れる長所を引き継ぎつつ、ハイブリッド車はe:HEVに進化し、乗り心地でもひとクラス上の上質さを獲得しました。課題となっていた先進安全装備でもライバルに追いついたことで、コンパクトミニバンとしての魅力度をさらに向上させたのは間違いないでしょう。

 

SPEC【e:HEV エアー EX(FF)】●全長×全幅×全高:4310×1695×1755mm●車両重量:1480kg●パワーユニット:1.5L水冷直列4気筒エンジン+交流同期電動機●エンジン最高出力:78kW/6000〜6400rpm[モーター最高出力:90kW/3500〜8000rpm]●エンジン最大トルク:127Nm/4500〜5500rpm[モーター最大トルク:253kW/0〜3000rpm]●WLTCモード燃費:(6名)25.4km/L・(7名)25.3km/L

SPEC【e:HEV クロスター(4WD)】●全長×全幅×全高:4310×1720×1780mm●車両重量:(5名)1560kg・(6名)1580kg●パワーユニット:1.5L水冷直列4気筒エンジン+交流同期電動機●エンジン最高出力:78kW/6000〜6400rpm[モーター最高出力:90kW/3500〜8000rpm]●エンジン最大トルク:127Nm/4500〜5500rpm[モーター最大トルク:253kW/0〜3000rpm]●WLTCモード燃費:(5名)21.3km/L・(6名)21.1km/L

 

撮影/松川 忍

 

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フリード、クラウン エステート、ジムニー5ドア、スイスポ――24年下半期のクルマの勝者はどれだ?

前回は「2024年上半期ベストヒット」と題して、クルマのトレンドやヒット車種を紹介しましたが、今回はその下半期版として、「次に何がくるのか?」というネクストトレンドを3つのキーワードでまとめました! クルマ編は、今回もモータージャーナリストの岡本幸一郎さんに解説をしていただいています。

 

キーワード01【フリード】

ホンダのコンパクトミニバン「フリード」の新型モデル(3代目)が6月に発売され、快進撃を続けています。岡本さんも大本命モデルと太鼓判!

 

「ティザーサイトが立ち上がって間もない頃、あるイベントでフリードがちょっと展示されたんですね。そうしたら長蛇の列ですよ! スーパーカーとかじゃないのに、少しでも早く見たい人がこんなに大勢いるんだと驚きました」(岡本さん)

 

そもそもフリードとはどのような車種なのでしょうか?

 

「ちょうどいい、に尽きるかなと思います。取り回しのいいコンパクトなサイズで、だけど室内は広くて3列目までしっかり座れる。絶妙なバランスですね」(岡本さん)

 

今回のモデルチェンジの一番の変更点はどこでしょう?

 

「今まで、結構リコールされた『i-DCD』というハイブリッドシステムを最後まで積んでいたのがフリードだったんですね。今回、モデルチェンジで最新の『e:HEV』という、非常に効率も性能も高いシステムに置き換えられています。なので走りが見違えると思います」(岡本さん)

 

キーワード02【プレミアム価格帯のワゴンに異変?】

プレミアム価格帯、特に輸入車のメルセデスベンツ、BMW、アウディが強いワゴンの領域で異変が起こるのではないか、と岡本さん。

 

「まず、ワゴンってすっかり減っちゃったんですよね。日本も昔は各メーカーがワゴンをラインナップしてたと思うんですけど、今や数えるほどしかない。アメリカのメーカーに至っては一台もありません。みんなSUVになった。そんな中でも比較的健闘しているのはドイツのメーカーのワゴンです」(岡本さん)

 

しかし、岡本さんはトヨタ「クラウン エステート」(2024年発売予定)の復活に注目。「エステート」は「クラウン」のステーションワゴンです。

 

「クラウンはもともとワゴンがあったんですけど、しばらくなかった。今回出る16代目クラウンの実車を見てまいりました。これがひょっとしたらアッパーミドルの輸入車のクラスを食うのではないかと思うような出来栄えですね」(岡本さん)

 

比較対象は大きさ的にはメルセデスの「Eクラス」、BMWの「5シリーズ」、アウディの「A6」あたりとのこと。

 

「プレミアム性のある日本のワゴンって最近なかったんです。そこに名乗りを上げたクラウンが、どう受け入れられるかは非常に興味深い。円安で輸入車の価格が上がっていることもあって、これまでドイツのプレミアムブランドのワゴンを買っていた人が、クラウンのエステートに行くんじゃないかなと私は踏んでおります」(岡本さん)

 

キーワード03【キャラ立ち系続々】

上半期のまとめでは「ランドクルーザー250」「トライトン」と個性が際立っている車種を紹介しましたが、下半期以降もさらに“キャラ立ち系車種”が続々出てくる、と岡本さん。

 

「下半期に間に合うかはわかりませんが、面白そうな車があります。たとえば『ジムニー5ドア』や『スイフトスポーツ』。スズキで価格もそれほど高くならないでしょう。

 

あとは『ランドクルーザー』の小さい版が出るという噂もあります。『カローラ クロス』くらいのサイズと言われてますけど、ランクルに恥じない内容で出てくる。ちゃんとラダーフレームを使って、本格的な悪路走破性もあって、デザインはランクル。これ、めちゃめちゃ売れそうな感じしないですか?」(岡本さん)

 

先に名前が上がったスイフトスポーツはどうでしょうか。

 

「2023年はスイフト全体の中で、スイフトスポーツの販売比率が5割も行ってるんです。2023年はベース車のスイフトがモデル末期だったので特殊な状況かなと思っていたら、そんなことはなくて、新型スイフトになってからも4割ぐらいの高い販売比率だそうです」(岡本さん)

 

では、キャラが立っているクルマが売れる理由とは?

 

「せっかく買うなら面白いものという風に皆さん思ってらっしゃるのではないかと。付加価値ですね。基本性能はもちろん、基本を踏まえた上での付加価値に購入する理由を求めているのではないでしょうか」(岡本さん)

 

多様化して魅力的な選択肢が増えている今、どのようなトレンドが形成されるか、下半期も目が離せません。

 

 

まとめ/柚木安津

ホンダ「WR-V」の価格はすべて250万円以下!取り回しの良さとクラス随一の車内スペースが大きな魅力

ますます高くなっている新車価格。もはや以前のように気軽に新車を買うのは難しい状況となっています。そんななかで注目したいのがホンダから登場した新型SUV「WR-V」です。パワーユニットをガソリンエンジンのみとすることで、今どきの新車とは思えない手軽な価格帯を実現しています。今回はそのWR-Vの試乗レポートをお届けします。

 

■今回紹介するクルマ

ホンダ WR-V(試乗グレード:Z+)

価格:248万9300円(税込、以下同)

 

オーソドックスな仕様と開発・生産の手法で低価格に

では、WR-Vはいくらで買えるのでしょうか。価格を聞いてビックリ!なんと、もっともベーシックな「X」なら209万8800円で買えるんです。「装備がチープだから?」と思いそうですが、上級の「Z」でも234万9600円。さらに専用エクステリアを備えた「Z+」でも248万9300円と、全ラインナップが250万円以内に収まっているのです。今どき200万円超えが珍しくない軽自動車とさえ真っ向から勝負できる価格帯と言っていいでしょう。

↑上位グレードの「Z」に専用エクステリアを加えた「Z+」。ウィンドウモールやドアモールにシルバー加飾をしている

 

この価格が実現できた背景にはいくつか理由があります。冒頭で述べたように、エンジンを1.5リッター自然吸気直4ガソリンとし、これにCVTを組み合わせるだけと、今どきの日本車ならほとんどラインナップされているハイブリッドは採用されていません。駆動方式もFFのみで4WD設定はなし。特に目新しさを感じる技術は盛り込まれておらず、極めてオーソドックスな造り込みが価格を抑えられた一つの要因となっているのです。

↑角張ったフォルムがゆったりとした車内スペースを確保した

 

開発から生産に至るまでの手法も低価格実現の要因の一つと思われます。実はWR-Vは、開発をタイの四輪開発拠点である「ホンダR&Dアジアパシフィック」が担当し、生産をインドの「ホンダカーズインディア」が行なうグローバルモデルとなっています。加えてグローバルモデルとはいえ、投入するのは日本とインド、南アフリカのみ。つまり、右ハンドル仕様に絞る、徹底したコスト管理のもとで生まれたのがWR-Vというわけです。

↑タイヤは「Z」「Z+」にアルミホイール付き215/55R17(写真)を装備し、「X」には215/60R16を組み合わせる

 

ACCまで備えたHonda SENSINGで安全運転を支援

となれば、いろいろ妥協の産物なのかと思われがちですが、内容を見ればそんなことはないことがすぐにわかります。たとえば、安全装備としてはHonda SENSINGが装備されており、衝突軽減ブレーキをはじめ、急アクセル抑制機能や路外逸脱抑制機能といった一通りの安全機能を装備したほか、アダプティブクルーズコントロール(ACC)、オートハイビームなどの運転支援機能も充実しています。

 

強いて残念な点を挙げれば、パーキングブレーキが機械式となっていること。そのため、ACCは30km/h以下になると自動的に解除されてしまい、渋滞時に使うことはできません。それと、新型車という割には、ブラインドスポットモニター機能がオプションでも用意されていないのはちょっと残念ですね。

 

外観は、シャレたデザインが増えてきた最近のSUVにしては、珍しいほど全体に角張ったデザインで、フロントグリルもなかなかの迫力ぶり。特に運転席に座るとフロンボンネットの端がしっかり把握できるあたりは、クロスカントリー向けなスタイルにも見えます。しかも最小回転半径は5.2mと、ハンドルを切ったときの取り回しも良好で、それだけに4WDがラインナップにないのが惜しいと思えるほどです。

↑マッチョなフォルムを印象づけるフロントグリル。LEDフォグライトは「Z」「Z+」にのみ装備される

 

インテリアは水平基調のシンプルなデザインで、地味さはあるものの、機能面で困ることはまったくなく、必要なものはすべて装備されています。ソフトパッドはドアトリムだけですが、それもこのクラスとしては上出来。なによりも全体の仕上がりが良く、チープさを感じることはなく、これなら、多くの人にとって不満を感じることはないだろうと思いました。視界の広さも特筆もので、それが運転中のストレス軽減に役立つのは間違いありません。

↑実用性を重視したシンプルなダッシュボード。ステアリングやシフトセレクターには本革を採用しています

 

↑フロントワイドビューカメラと前後8つのソナーセンサーを用いた安全運転支援システム「Honda SENSING」を全車で標準装備。右はオプションのドライブレコーダ

 

角張ったフォルムがもたらしたクラス随一のスペースユーティリティ

一方で、「Honda CONNECT」に対応する9インチのナビはディーラーオプションで20万2400円。試乗車では試せませんでしたが、独自のコネクテッドサービス「Honda Total Care プレミアム」によってエアコンやライトをリモート操作したり、スマホでドアロックを解錠/エンジンを始動させたりといった、さまざまな便利機能が使えるようになるとのこと。ただ、ナビ機能としては起動に少し時間がかかるのが気になりました。

↑9インチ Honda CONNECTナビはディーラーオプションで20万2400円。ナビ機能(下)を標準装備しつつ、スマホを接続できるディスプレイオーディオ(上)としても使用可能。ほかに8インチ Honda CONNECTナビやディスプレイオーディオも選べる

 

↑7インチTFT液晶メーターとアナログスピードメーターの組み合わせ。ほかにHonda SENSINGなどの情報を表示する

 

↑エアコン操作部の下にはスマホを置ける収納スペースが用意され、その右にはナビと接続できるUSB端子を、左下には充電専用USB端子を備える

 

そして、WR-Vで最大の美点となっているのが車内の広さです。これは角張ったフォルムがもたらしているものと思われますが、車内すべてがゆったりとしていて、特に後席に至っては上級グレードのヴェゼルよりも明らかに広いスペースを確保している印象を受けます。しかも、このクラスにしては贅沢な後席専用エアコン吹き出し口まであるのです。Zグレード以上に装備される後席アームレストを組み合わせれば、ちょっとした高級車並みの雰囲気が楽しめそうですね。

↑モノトーンながらシャレたデザインを織り込んだフロントシート。サイズもたっぷりとして長距離ドライブも楽ちんだった

 

↑クラス随一の広さを確保したリアシート。「Z」以上にはセンターアームレストも備え、使用時は大人2名がゆったりと座ることができる

 

↑このクラスとして装備されることがほとんどない後席専用エアコン吹き出し口を全車に装備。その下にはシガーソケットも備えられた

 

荷室容量は458L(5名乗車時/床下収納を除く)と、クラスを上回る収容力を確保しています。特に床面を低く取ってあり、天井までの高さも十分あるため、キャンピングなどで必要となる荷物の積載にも十分応えられるほどです。6:4分割式のリアシートを倒した際はフラットにはなりませんが、むしろ、家族4人が乗車したときの収容力を評価すべき仕様と言えるでしょう。

↑カーゴスペースは床面が深く、自転車(27インチ)などかさばるものも楽に収納可能。リアシートはフラットにたためないが、スペースユーティリティは十分だ

 

乗り心地は少し硬めなものの、特に不満はなし

それでは、いよいよ試乗です。試乗したのは上位モデルの専用エクステリアを備えた「Z+」。

 

今回は都内から郊外へトータル120kmほどを走行してみました。パワートレインは1.5リッター直4 i-VTECガソリンエンジンで、これにCVTを組み合わせたシンプルなものです。最高出力は118PS、最大トルク142N・mと、特に目を引く数値とは言えませんが、スムーズな加速力は日常のドライブであれば十分なパフォーマンスを備えていると言えます。ただ、アイドリングストップ機能はなく、また、高速での加速では少しノイジーに感じるかもしれません。

↑パワートレインは1.5リッター直4 i-VTECガソリンエンジンで、これにCVTを組み合わせる

 

乗り心地は少し硬めの印象で、低速で走っていると路面からの突き上げはややタイトに感じます。しかし、その分、コーナリングではロールもしっかりと抑えられていて、峠道も安心して走行できました。そういった面を踏まえれば、個人的にはこの硬さは乗り心地も含め、十分に許容範囲に入っていると言っていいでしょう。

 

120kmほどの距離を走った結果の燃費は、エコランを少し意識した往路では18.2km/Lを記録。復路では普通にアクセルを踏んで走行した結果、15.8km/Lという結果でした。カタログ値では16.4km/L(WLTCモード)となっていましたから、ほぼ想定通りの結果が得られたと判断できます。

↑WR-Vに試乗中の筆者

 

全体としてWR-Vは秀でた部分は特に見つからないものの、かといって不満に感じる部分もない。しかし、クラスを超える車内スペースがもたらす、ゆったりとした空間と優れた実用性はこのクラスとしては随一のものです。新車価格が高騰する中で、予算面で軽自動車を考えていながら、そこに踏み切ることに躊躇していた人にとってWR-Vはまさに打って付けの一台。発売1か月で目標の4倍となる1万3000台もの受注を獲得した理由もここにあるのだと思います。

 

SPEC【Z+】●全長×全幅×全高:4325×1790×1650mm●車両重量:1230kg●総排気量:1496L●パワーユニット:水冷直列4気筒 DOHC16バルブ●最高出力:118PS/6600rpm●最大トルク:14.5kgf-m/4300rpm●WLTCモード燃費:16.2km/L

 

撮影/松川 忍

 

 

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フルモデルチェンジで注目度アップ!2023年大ヒットのミニバン&軽自動車をプロが解説

コロナによる制限が緩和し、人気観光地には多くの観光客が訪れ賑わった2023年。GetNaviヒットセレクションのレジャー部門から、本記事では大人気のトヨタ「アルファード/ヴェルファイア」とホンダ「N-BOX/N-BOX カスタム」を紹介しよう。フルモデルチェンジを遂げた両モデルの注目ポイントとは? 2台を選んだモータージャーナリストの岡本幸一郎さんと本誌乗り物担当がじっくり解説する。

※こちらは「GetNavi」 2024年1月号に掲載された記事を再編集したものです

 

私たちが解説します

モータージャーナリスト 岡本幸一郎さん
軽自動車から高級車まで続々と登場する新型車のほぼすべてに試乗し、原稿の締め切りに追われる生活を送る。消費者目線の評価が身上。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

 

本誌乗り物担当 上岡 篤
2023年は撮影絡みのキャンプしかできず残念。仮にデリカミニを所有したらどんな体験ができるのだろうと想像を膨らませて、2024年こそはキャンプに出かけようと計画中。

 

大人気の両モデルが揃ってフルモデルチェンジ

人気モデルのフルモデルチェンジとあって注目度は抜群。アルファード/ヴェルファイアは工場出荷目処が明示されず、販売店に問い合わせの状態に。N-BOXも先行受注で約1万7000台と人気だ。

 

ミニバン

プラットフォームを全面刷新してより快適な移動を後押し

トヨタ
アルファード/ヴェルファイア
540万円〜892万円
2023年6月発売

乗る人すべてが快適に過ごせることを目指して、プラットフォームとパワートレインを一新。モデルチェンジを機にヴェルファイアはより走りを重視した志向になり、専用のサスペンションやパワートレインが設定されている。

↑最上級の「エグゼクティブ ラウンジ」の車内。全席本革シートとなるほか、2列目シートでは照明や空調を個別に設定できるモードも

 

↑優れた動力性能と省燃費を実現する2.5Lダイナミックフォースエンジンをハイブリッドモデルに搭載。アクセル操作に的確に反応する

 

極めて高い完成度に感心。兄弟車の差別化も巧い

「トヨタ2モデルは期待超えの高級感と快適性を実現して驚き。歴代初となる走りの差別化もポイントです。ターボを搭載したヴェルファイアの鮮烈な走りは特筆です」(岡本さん)

 

軽自動車

コンセプトはキープしつつより上質&安全性能を強化

ホンダ
N-BOX/N-BOX カスタム
164万8900円〜236万8200円
2023年10月発売

8年連続軽四輪販売台数日本一を誇る、ホンダ軽の屋台骨がフルモデルチェンジ。前モデルまでで評価されてきたコンセプトをキープしつつ、後席シートの居住性や収納スペースの見直しが図られた。安全運転支援技術も進化している。

↑ホンダの軽として初となる7インチTFT液晶モニターを採用。Honda SENSINGの作動状態などをわかりやすく表示してくれる

 

↑助手席前は小物類をディスプレイしたくなるようなインパネトレーを装備。N-BOXにはコルクカラーが用意されており、質感が高められている

 

先代の良さを徹底研究し、さらに上質さをプラス

「N-BOXは日本一売れている同車の良さを徹底的に検証し、キープすべき点は継承。そのうえで使いやすさや上質さを磨いたのがポイントで、安全運転支援技術も進化しています」(上岡)

ベストセラーに相応しいデキ!3代目「エヌボックス」静粛性と乗り心地に進化を実感

今回は、国産乗用車のベストセラーとして君臨するNボックスの新型をチェック!

※こちらは「GetNavi」 2024年1月号に掲載された記事を再編集したものです

 

まさにベストセラーの後継に相応しい完成度!

ホンダ
エヌボックス

SPEC【カスタム(FF)】●全長×全幅×全高:3395×1475×1790mm●車両重量:920kg●パワーユニット:658㏄直列3気筒DOHC●最高出力:58PS/7300rpm●最大トルク:6.6kg-m/4800rpm●WLTCモード燃費:21.5km/l

進化のほどは快適性能の高さで実感できる!

軽自動車カテゴリーのみならず、いまや国産乗用車のベストセラーとして君臨しているNボックスが3代目へと進化。この新型では、拡大するユーザー層のニーズに対応すべく持ち前のユーティリティや扱いやすさをブラッシュアップ。走りについても、すでに評価の高かった先代のそれをベースとして一層の進化を遂げている。

 

その内外装は、最新のホンダ車らしくシンプルで親しみやすい仕上がり。視界を良くする等、機能面も着実に向上している。また、運転支援機能であるホンダ・センシングの検知機能や制御を高度化する等、安全性が一層高められた点も要注目のポイントだ。

 

搭載するパワートレイン、シャーシ回りは基本的に先代を踏襲しているが、制御やセッティングを見直すことで快適性や操縦性が進化。カタログ燃費も自然吸気、ターボともにわずかだが数値が向上している。今回は自然吸気版に試乗したのだが、特に印象的だったのは静粛性の高さと穏やかな乗り心地。動力性能も日常域なら必要にして十分、かつCVT特有の悪癖も上手く抑えられているので、大きな負荷がかかる領域を除けば軽自動車であることすら意識させない。その完成度の高さは、まさに国産乗用車のベストセラーモデルに相応しいものと言えそうだ。

 

低床レイアウトの美点も継承!

後席座面をチップアップさせ、背の高い荷物でも立てたまま積載できる強みは新型でも健在。独自の低床レイアウトにより、通常の荷室も使い勝手は秀逸。

 

広さ、座り心地ともに上々!

写真はカスタムの室内だが、標準仕様は落ち着いた色使いでリビングルーム感覚を演出。後席の座り心地でライバルを凌ぐ点も健在だ。

 

標準仕様はシンプルで親しみやすい仕立てに

標準仕様は、最新のホンダ車らしいシンプルなデザインを採用。ボディカラーの選択肢も10色と豊富だ(カスタムも2トーンを含む9色を用意)。

 

カスタムは上質感と精悍なイメージを強調!

Nボックス・カスタムは精悍なフロントマスクの造形等で上級グレードらしさをアピール。自然吸気エンジン搭載車の走りは、静粛性の高さと快適な乗り心地が印象的だ。

 

運転のしやすさにも配慮した作り

合わせ鏡を使う独自の補助ミラーは、新型で一層高機能に。オプションでフロントガラス用ロールブラインドが装備できる等、使い勝手への配慮も行き届く。

 

自然吸気、ターボともに熟成化

先代から継承されたエンジンは、各種制御の洗練度がアップ。自然吸気(写真)、ターボともに燃費も向上した。

 

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ホンダ新型「アコード」の魅力を解説! 先進的で斬新な機能が満載

ホンダ「アコード」が、11代目として日本でも2024年春に発売されることが明らかになりました。アコードは1976年に初代が登場したホンダのミッドサイズセダンです。以来、その活躍の場は海外にまで広がり、今やアコードは同社の世界戦略車種として揺るぎない地位を獲得するまでになりました。今回は事前撮影会でキャッチした新型アコードの魅力についてレポートします。

↑北米に続いて、2024年春、日本市場にも投入されることが決まった11代目新型アコード

 

Google ビルトインのインフォテイメントなど先進技術を満載

今回導入されることになった新型は、初代から一貫して持ち続けてきた「人と時代に調和したクルマ」の思想を踏襲。それでいて新開発の2.0L直噴アトキンソンサイクルエンジンと高出力モーターを組み合わせた新開発2モーター式ハイブリッドシステムで、スムーズで上質な走りを実現。そのうえでDセグメントにふさわしい高品質なインテリアと、最新のコネクティビティや最新の安全技術を装備した“新世代のミドルサイズセダン”としています。

 

なかでも注目すべきは、日本のホンダ車として初めてコネクテッドサービスに「Google ビルトイン」を搭載したことと、ホンダが開発を進めてきた最先端の安全技術「HondaSENSING 360」を初採用したことです。

↑日本車として初めてコネクテッドサービスに「Google ビルトイン」を搭載。Apple CarPlayやAndroid Autoにも対応する

 

Google ビルトインは、OSにAndroidを採用したもので、アコードのダッシュボード上に設置されたインフォテイメントシステムに組み込まれています。ディスプレイは12.3インチとホンダ車としては最大クラスのサイズ。スマホやタブレットのようにタッチ操作ができるほか、Google アシスタントの音声コマンドを活用してGoogle マップで目的地設定、残燃料や走行距離の確認やエアコンの温度調節などが可能となっています。

 

【Google ビルトインを画像でチェック】(画像をタップすると閲覧できます)

 

この機能で見逃せないのは、スマホなどで使っているGoogle アカウントでログインできることにあります。これにより、車内で使えるGoogle アシスタントやGoogle マップ、Google Playのほか、最新のアプリなどがひとつのGoogle アカウントの下でシームレスに利用できるようになるのです。たとえば、スマホで管理していたスケジュールや住所などがアコードのインフォテイメントシステムでも反映されるようになり、過去に検索した目的地履歴も反映可能。この便利さは一度使ってみればすぐにわかります。

 

国内初採用となる先進運転支援システムのHondaSENSING 360は、約100度の有効水平画角を持つフロントセンサーカメラと、計5台のミリ波レーダーを組み合わせることで、360度の車両監視が可能になるというものです。なかでも従来のHonda SENSINGの機能に加えて、前方交差車両警報、車線変更時衝突抑制機能、車線変更支援機能もサポートすることになったのは新たなプラス。これがより安心・安全な運転環境が提供されることにつながるわけです。

 

また、ホンダは新型アコードのHondaSENSING 360において、2025年にもドライバーの異常や周辺の環境を的確に検知することで、事故リスクを低減し、さらにハンズオフでの走行が可能になる機能も追加することを予定しています。今後のHondaSENSING 360の進化にも期待したいですね。

 

ロー&ワイドなプロポーションと斬新さあふれる新機能に注目!

さて、新型アコードを前にすると、ロー&ワイドなプロポーションで構成されていることが一目でわかります。メッシュ調のフロントグリルを軸にフルLED化した薄型フロントヘッドライトと、横一文字のリアコンビネーションランプで前後共にワイドな印象を強調。加えて、リア方向の流麗で洗練されたファストバックスタイリングが走りに対する力強さをしっかりと伝えてきます。

↑ロー&ワイドなプロポーションが印象的な新型アコード。リア方向の流麗で洗練されたファストバックタイリングが力強い走りを伝えてくる

 

インテリアは、最近のホンダに多い水平基調のデザインの中に統一感のあるコーディネイトを採用したプレーンな印象。これが開放的でノイズの少ない、優れた前方視界を確保しています。手に触れる部分にはソフト素材をふんだんに採用しており、触感からして上質さをしっかりと伝えてきます。また、クラストップレベルの広さを持つ車内空間は、大人4人(定員は5名)がゆったりとくつろいで移動できる十分な広さとなっていました。

 

【インテリアを画像でチェック】(画像をタップすると閲覧できます)

 

車内のLED照明にもこだわりを見せています。それはインパネラインやドアラインなどに施された、色の好みや室内温度などを総合的に判断して“光”で演出するマルチカラーのアンビエントライトです。7色のLEDカラーが用途に応じて自動的に変化するというもので、その光はユーザーが好みに応じて選ぶことも可能。ドア開閉やエアコンの温度調節、音声認識の発話と連動するほか、SPORTモードに切り替えたときには専用カラーへ切り替わってスポーティさを演出します。ややギミック的な印象はぬぐえませんが、使ってみればその変化に意外な楽しさを感じたのも確かです。

↑インパネラインやドアラインなどには“光”で演出するマルチカラーのアンビエントライトを採用

 

使い勝手を高める機能としては「エクスペリエンスセレクションダイヤル」の採用に注目です。車内環境のスマートな操作体験を提供するために考案されたもので、ダイヤルを回してプッシュすることで、使いたい機能をあっという間に選択できる機能です。使いたいスイッチがどこにあったか探す必要なんて一切ないため、車内には従来なら装備されていたハードスイッチ類はほとんど見当たりません。これがインテリアによりスッキリとした印象を導き出すことにもつながったと言えるでしょう。

↑使い勝手を高める「エクスペリエンスセレクションダイヤル」を採用。時計はアナログ/デジタルが選択できる

 

しかも、このダイヤルの中央には時計が表示され、アナログ/デジタル式が選択できるほか、背景には好みの動く模様を設定することも可能となっています。スマホのように、ここに家族の写真とか好みの画像に入れ替えられたらきっと喜ばれるでしょうね。ちなみに、この機能はアジア向けアコードのみに搭載される専用機能とのこと。先行で発表された北米仕様には搭載されていないそうです。

 

事実上のホンダ車のフラッグシップ。新エンジンの走りが楽しみ!

今回はあくまで事前撮影会ということで試乗はできていません。伝え聞くところでは、第4世代2モーターハイブリッドシステムによる走りのパフォーマンスは、相当に期待が持てるとのこと。洗練されたデザインと上質なインテリア、デジタル時代にふさわしいインフォテイメントシステム、最先端の運転支援システムなど、その内容はこれまでの国産セダンにありがちな地味なイメージが払拭される可能性大です。

 

価格は「600万円クラスになりそう」とのことでしたが、車両価格が高くなっている今となってはそれも仕方ないのかもしれません。いずれにしても新型アコードは、日本で販売されるホンダ車にとって事実上のフラッグシップとなります。どんな走りを見せてくれるのか、来年の春の登場が今から待ち遠しいですね。

 

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気持ちの良い「音」の秘密に衝撃! ホンダZR-Vのディテールをチェック【クルマの神は細部に宿る。】

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載。今回は、ホンダが北米から導入した新型SUV、 ZR-Vを取り上げる。特徴的な顔つきはカッコ良いのか悪いのか!?

※こちらは「GetNavi」 2023年10.5月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【PROFILE】

永福ランプ(清水草一)
日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。初老となり運転支援装置の必然性を実感、クルマを評論する際に重要視するように。

安ド
元ゲットナビ編集部員で、現在ではフリーエディター。妻子を抱えても愛車はMTにこだわる。

 

【今月のGODカー】

HONDA
ZR-V

SPEC【e:HEV Z AWD】●全長×全幅×全高:4570×1840×1620mm●車両重量:1630kg●パワーユニット:1993cc直列4気筒エンジン+電気モーター●エンジン最高出力:141PS(104kW)/6000rpm●エンジン最大トルク:182Nm/4500rpm●WLTCモード燃費:21.5km/L

293万2600円〜410万3000円

 

エンジンがものすごく気持ち良いe:HEV

安ド「殿! 今回はホンダのSUV、ZR-Vです!」

永福「うむ。実質的なCR-Vの後継モデルだな」

安ド「えっ、そうだったんですか。CR-Vよりはコンパクトで、ちょうど良いサイズですね」

永福「CR-Vは世界で5番目くらいに売れているホンダの大ヒットモデルだが、日本ではサイズが大きすぎて売れず、消滅してしまった。そこでCR-Vより少し小さいSUVを、新たに投入したというわけだ」

安ド「クルマって、どんどんサイズが大きくなってきていますけど、海外ではもっと大きくなってるんですね!」

永福「実はこのクルマ、ホンダのメイン市場たる北米では、HR-Vの名前で売られている」

安ド「えっ! 以前日本でも販売されていた、あの小さくてオシャレだったHR-Vが、こんなに大きくなっていたんですか!」

永福「うむ。海外向けの先代HR-Vは、日本の先代ヴェゼルだったが、現行のヴェゼルは、北米では売られていない」

安ド「……何がなんだかわかりません!」

永福「私もだ。ヴェゼルのような日本で売れ筋のモデルは、北米では小さすぎて売れないので、車名が複雑なことになっているのだ」

安ド「とにかくZR-Vは、日本では新型車ですよね!」

永福「うむ。ベースはシビック。シビックのSUVバージョンと思えば良い」

安ド「今回の試乗車はe:HEVというハイブリッドシステムを搭載していますが、これもシビックと同じですね」

永福「だな。私はe:HEVが大好きなのだ。ハイブリッドだが、エンジンがものすごく気持ち良い」

安ド「スポーツモードにすると、エンジンがパワフルで音もスポーティで、たしかに良い感じでした!」

永福「実はその時、エンジンは発電しているだけで、実際にはモーターが駆動しているのだが、ものすごく気持ち良いだろう」

安ド「ええーーーーっ! あの良い音がしてる時、エンジンは発電機なんですか!?」

永福「私も聞いてビックリした。まるでF1マシンのような良い音がするのに、実際には電気だけで走っているんだからな」

安ド「衝撃です!」

永福「衝撃だな」

安ド「もうひとつ衝撃だったのは、顔のおちょぼ口です!」

永福「言われてみればおちょぼ口だな」

安ド「当初はなんだこりゃと思っていたのですが、見ているうちにだんだんマセラティみたいに思えて、好きになってきました!」

永福「言われてみれば、マセラティもおちょぼ口でカッコ良いな」

安ド「昔の価値観だと絶対カッコ悪いんですけど、不思議です!」

永福「ひょっとこのようなおちょぼ口がカッコ良く思えてくるんだから、たしかに不思議だな」

 

【GOD PARTS 神】パワーユニット

ハイブリッドでも速くて気持ち良い

ハイブリッドモデルは、2.0L直噴エンジンに2モーター内蔵電気式CVTを組み合わせた「スポーツe:HEV」を搭載。ドライブモードを「SPORTモード」にすれば、まるで自然吸気式レーシングエンジンのような力強い加速を味わえます。「ECONモード」にしても、街中であれば走りにまったく不満は感じません。1.5L VTECターボエンジン仕様もあります。

 

【GOD PARTS 1】フロントグリル

顔の中央に位置する枠なし個性派デザイン

水平に並んだヘッドライトの間にはグリルが配置されています。グリル自体には枠がなく、内部は11本の縦ラインで仕切られています。フロントまわりの中央に位置していて、なんだかひょっとこ顔ですが、インパクトはかなり強いです。

 

【GOD PARTS 2】ボディカラー

艶っぽさが感じられる上質なボディ色

取材車両のボディカラーは、新色の「プレミアムクリスタルガーネット・メタリック」でした。言葉で表現するのが難しいカラーで、赤かと思いきや紫だったり、マルーンのようにも見えたり、光の状態では茶色っぽくも見えます。ZR-Vらしい艶っぽさが感じられますね。

 

【GOD PARTS 3】ドアハンドル

ムキムキイメージを共通化

顔も個性的ですが、インテリアでも個性を発揮しています。直線的でシンプルだったヴェゼルと比べて、抑揚のある筋肉質な雰囲気です。ドア内側の握る部分も、このようにムキムキな感じで、後述するセンターコンソールと共通イメージになっています。

 

【GOD PARTS 4】車名

 

スタンダード派か個性派か?

かつてホンダのSUVといえば、1990年代にヒットした「CR-V」でした。その後、HR-Vやエレメント、MDXなど個性的SUVを経て、ヴェゼルが大人気に。このZR-VのZには「究極の」といった意味があるそうで、ホンダのSUVここに極まれりという感じでしょうか。

 

【GOD PARTS 5】ハイデッキセンターコンソール

 

上質さと使い勝手の良さを兼ね備えたインテリアはマッチョ系

筋肉質で立体的な造形となったセンターコンソールは、デッキが2層になっていて、下段のトレイには小物を入れることができます。さらに下段の両サイドには、USB端子(Type-AとType-C)を備え、スマホの充電がしやすかったです。

 

【GOD PARTS 6】ラゲッジルーム

必要にして十分な荷室スペース

ミドルクラスのシビックがベースということで、ボディサイズに合わせて荷室もかなり使えるサイズ。リアシートを畳めば床面はほぼフラットになりますし、床下アンダーボックスもあります。荷室内にスポット照明も複数設けられていて便利です。

 

【GOD PARTS 7】シフトセレクター

ホンダの新しいスタンダード?

ボタン式のシフトセレクターが採用されています。クルマのATシフトは、時代ごと、メーカーごとにさまざまに形を変えてきましたが、ホンダはこのボタン式をスタンダードにしていこうと考えているのかもしれません。

 

【GOD PARTS 8】パワーテールゲート

上級車の装備も全モデル標準搭載

荷室のトビラはボタンひとつで開閉できますが、この電動式トビラがZR-Vでは全モデル標準装備になっています。高級車やラージサイズのモデルに多いパワーテールゲートですが、ZR-Vも高ランクのクルマということですね。

 

【GOD PARTS 9】ステアリングヒーター

押しやすいところに配置されたボタン

寒い日に重宝するステアリングヒーターは、パワーテールゲート同様、高級車によく搭載される装備です。ZR-Vでは、ステアリングの手前側、目立つところに設置されていて、すぐにステアリングの持つところを温かくできます。

 

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なぜVW「ID.4」ホンダ「ZR-V」アウディ「Q4 e-tron」が売れているのか?【2023年上半期売れたモノ乗り物編】

『GetNavi』が選ぶ「2023年上半期売れたものSELECTION」。今回は「乗り物編」から、フォルクスワーゲン「ID.4」、ホンダ「ZR-V」、アウディ「Q4 e-tron」をピックアップ!

※こちらは「GetNavi」 2023年8月号に掲載された記事を再編集したものです

 

フラットで使いやすく広い室内が魅力!

フォルクスワーゲン
ID.4
514万2000円〜648万8000円

ID.4はEV専用プラットフォームを採用。モーターはリアに搭載し後輪を駆動する。航続距離はモデルによって異なるが、もっとも長いモデルで500㎞以上の走行が可能。ドライブシャフトレスのフラットで使いやすく広い室内も魅力だ。

↑物理的なスイッチが少なく近未来的なデザインのインパネ。シフトセレクターはメーターナセル横にある

 

↑バッテリーハウジングもボディ剛性確保にひと役買っている。これはスポーツカーの発想と同じもの

 

【ヒットのシンソウ】

<証言者>自動車ライター・海野大介さん
専門誌からフリーに転向しウェブを中心に活動。1級小型船舶操縦免許や国内A級ライセンスを持つ。

特別仕様車は完売御礼! 標準グレードも好調

「日本初導入を記念した特別仕様車のローンチエディションは導入直後から完売になるほど。ハード&ソフトの制御を見直して航続距離を伸ばした標準販売グレードの販売を前倒しするほどの人気です」(海野さん)

売れ行き:★★★★
革新性:★★★★
影響力:★★★★

 

ヴェゼルとは一線を画す“大人向け”の質感が好評

ホンダ
ZR-V
293万2600円〜410万3000円

CR-Vの後継モデルで、プラットフォームはシビックと共通。パワーユニットは1.5lのターボと、2lエンジン+2モーター式ハイブリッドのe:HEVの2つ。それぞれにFFと4WDが用意される。上質なインテリアが魅力だ。

↑ZR-Vにはスノーをはじめとする4つのドライブモードを用意。スイッチひとつで切り替え可能だ

 

↑SUVながらもセダンライクな運転席のZR-V。室内空間自体は広く、後席の快適性も確保されている

 

【ヒットのシンソウ】

<証言者>自動車ライター・海野大介さん

事前受注を含め3万2000台以上を受注

「2023年4月の発売が発表されたのは昨年の11月ですが、事前受注を含めすでに3万2000台以上を受注しています。グレードによっては受注をストップしていたものもあるほどの人気ぶり」(海野さん)

売れ行き:★★★★★
革新性:★★★
影響力:★★★★

 

アウディの電動化を強力に牽引する同社初のコンパクトSUV

アウディ
Q4 e-tron
638万円〜728万円

アウディのEV、e-tronシリーズに加わった同社初のコンパクトSUV。ボディはSUVとSUVクーペスタイルのスポーツバックの2種類が用意されている。最大出力204PS、最大トルク31.6kg-mを誇るモーターはリアに搭載。

↑先進的なデザインのインパネ。上下フラットなステアリングやフローティングセンターコンソールなどが並ぶ

 

↑充電口はリアに装備。1充電で最大594㎞走行可能で、100kmぶんの充電は8kWの普通充電で約1時間40分だ

 

【ヒットのシンソウ】

<証言者>自動車ライター・海野大介さん

魅力的な価格になり同社EVの中心モデルに

「それまでアウディのEVと言えばすべて1000万円を超える高額モデルでしたが、Q4 e-tronは600万円台からとリーズナブル。2022年のアウディの販売台数の10%はQ4 e-tronが占めると言われているほどです」(海野さん)

売れ行き:★★★★
革新性:★★★★
影響力:★★★★

 

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圧倒的人気で即受注停止となった「新型シビック タイプR」見た目は知的でエレガント。その乗り心地は?

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載。今回は、発売されるやいなや圧倒的な人気ですぐに受注停止となってしまった新型シビック タイプRを取り上げる!

※こちらは「GetNavi」 2023年4月号に掲載された記事を再編集したものです

 

【レビュアーPROFILE】

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。初老となり運転支援装置の必然性を実感、クルマを評論する際に重要視するように。

 

安ド

元ゲットナビ編集部員で、現在ではフリーエディター。妻子を抱えても愛車はMTにこだわる。

 

【今月のGODカー】ホンダ/シビック タイプR

SPEC●全長×全幅×全高:4595×1890×1405㎜●車両重量:1430㎏●パワーユニット:1995㏄直列4気筒ガソリンターボエンジン●最高出力:330PS(243kW)/6500rpm●最大トルク:42.8㎏-m(420Nm)/2600〜4000rpm●WLTCモード燃費:12.5㎞/L

499万7300円

 

永福ランプが探る小さなパーツの大きな浪漫

安ド「殿! 今回はシビック タイプRです! 早くも何年ぶんかが売り切れて、受注停止らしいです」

 

永福「同じく売り切れのフェアレディZは、月に100台程度しか販売しないのでまだわかるが、こっちは月400台だ。なのに、あっという間に4年ぶんが売り切れてしまった」

 

安ド「やっぱり、ハイパワーなガソリン車が、そろそろ消えるからなんですかね?」

 

永福「人間、もう買えないと思うと、余計に欲しくなるのだな」

 

安ド「個人的には、MTのみの設定という点にグッと来ます。僕はMT車しか買ったことない男ですから!」

 

永福「MTのみのモデルが、2万台も売れただけで奇跡だな」

 

安ド「でも、新型シビック タイプRは、先代に比べると見た目は地味ですよね?」

 

永福「地味というより知的でエレガントと言うべきだろう。先代は後ろから見ると『ランボルギーニか?』と思うほどハデだったが、新型は羊の皮を被った狼だ。タイプRの伝統になりつつあるリアスポイラーも、真後ろから見ると薄い板1枚に見えるので、あまり目立たないしな」

 

安ド「このリアスポイラー、よく見ると複雑な形状でカッコ良いんですよね!」

 

永福「思えばリアスポイラー付きのクルマは貴重な存在になった」

 

安ド「羽根の付いたクルマに憧れた世代としては、これだけで泣きそうです!」

 

永福「リトラクタブルヘッドライトは20年前に消えたが、リアスポイラーもこれが最後かもしれないな」

 

安ド「ところで、走りはどうですか? やっぱりスゴいですか」

 

永福「もちろんスゴい。しかしあまりにも完成度が高く、公道ではスゴさがわかりにくいのが残念だ」

 

安ド「そうなんですか!」

 

永福「シビック タイプRはFF最速のスポーツモデル。300馬力を超えるパワーを前輪だけで路面に伝えるから、先代、先々代は、アクセルを全開にするだけで多少クルマが暴れた。そのじゃじゃ馬感が好きだったが、新型はそういうじゃじゃ馬感がほとんど消えている」

 

安ド「僕には、速くて楽しいとしか感じませんでしたが……」

 

永福「ディープなマニアは、速いだけでは満足できないのだ!」

 

安ド「なぜじゃじゃ馬感がなくなってしまったんでしょう?」

 

永福「サーキットでの速さを突き詰めてシャーシ性能を上げていくと、自然とそうなるのだ」

 

安ド「自然とそうなるんですか!」

 

永福「しかしまぁ、ほとんどの人は、このクルマの本物感に触れるだけで満足するだろう」

 

安ド「ですよね! 僕は満足しました! MTですけど4ドアなので実用性もありますし、ファミリーカーとして使えます!」

 

永福「乗り心地も悪くないしな」

 

安ド「次の愛車にしたいです!」

 

永福「言うだけならタダだからな」

 

【GOD PARTS 1】シフトノブ

握りやすい形状で操作感も上々な伝統のアルミ製

トランスミッションは6速MTのみで、潔ささえ感じさせます。そしてこのアルミ製のシフトノブはタイプRの伝統にもなっていて、握りやすく、操作感も上々。ただし寒い冬の朝に乗る際はかなり冷たくなっているのでご注意を。

 

【GOD PARTS 2】ステアリング

バックスキン仕様で滑りにくく操作しやすい

最近のクルマらしく操作スイッチが配置されていますが、全体のデザインはシンプルです。握る部分は滑りにくいバックスキン素材になっています。かつてサーキットを走る人たちからは、このような素材が好まれたものです。

 

【GOD PARTS 3】+Rモード

ビンビンに過激な走りが味わえる

走りを楽しむためのドライブモードは、「COMFORT」「SPORT」などが選べますが、その前方にあるスイッチを押せば、「+Rモード」になります。これは電子制御をオフにして運転操作の応答性を過敏にしたモードで、剥き出しの走りが味わえます。

 

【GOD PARTS 4】ディスプレイ

走行情報を記録して表示、腕を磨くことにも貢献!

スポーツモデルではありますが、現代のモデルらしく、データロガーシステム「Honda LogR」が装着されています。各種走行情報を表示するほか、走行データを自動で保存、解析してスコア化。ドライバーのパフォーマンスアップを助けてくれます。

 

【GOD PARTS 5】バケットシート

伝統の赤いシートが身体をしっかりホールド

赤いバケットシートもタイプRの伝統的アイテムです。ただし、かつてのようなRECARO社製ではなく、「Honda TYPE Rシート」となっています。身体をホールドして姿勢をキープできるので、キツいコーナーでも運転しやすいです。

 

【GOD PARTS 6】エンジン

ターボの利点を加えて進化を遂げた心臓部

かつて「タイプR」のエンジンと言えば高回転型のNA(自然吸気式)でしたが、近年のシビックタイプRはターボで武装されました。しかしこのエンジンはターボらしい強烈な加速に加えて、NAのようなスムーズな回転まで味わえます。

 

【GOD PARTS 7】タイヤ&ホイール

オリジナル設計による高い強度とハイグリップ

横から見るとわかりますが、タイヤがめちゃくちゃ薄いです。これは走行性能を高めたミシュラン社による特別なハイグリップタイヤで、ホイールもリバースリム構造という、歪み低減、内側の接地圧安定を狙った専用設計になっています。

 

【GOD PARTS 8】エアコン吹出口

フェンスのような雰囲気で内装のアクセントに

普通のエアコンのフィンの手前にフェンスのような網目状のカバーが施され、風向きを変えるためのレバーが突き出ています。シンプルなインテリアにあって、このエアコンの吹出口だけはデザインが凝っていて雰囲気があります。

 

【GOD PARTS 9】ディフューザー

車体下の空気を整えて走りを安定させる黒い溝

ボディの後方下部はブラックアウトされていて、フィンがつけられています。これがいわゆる「ディフューザー」というもので、ボディ下部を通る空気を利用して走行安定性を高めます。3本出しマフラーも迫力満点です。

 

【これぞ感動の細部だ!】リアスポイラー

空力を操るレーシングマシン風エアロパーツ

リアスポイラーは当然ながら専用設計で、微妙にグネグネした不思議な形をしています。ホンダはF1に参戦していたメーカーということもあって、空気力学に沿ったこのような難解な形状を生み出すことができたわけですが、超高速域でのダウンフォース獲得の一助となるに違いありません。

 

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撮影/我妻慶一

ホンダ「ヴェゼル」。人気車種のデザインや装備に隠された魅力を改めて深堀り!

初代モデルが大ヒットしたホンダ「ヴェゼル」だったが、2021年に登場した新型モデルは、デザインイメージを一新。ライバルとは一線を画するシンプル&クリーンなデザインで、コンパクトSUV市場でも目立った存在となっている。本稿ではそのデザインや装備に隠された魅力を深堀りする。

 

■今回紹介するクルマ

ホンダ/ヴェゼル

※試乗グレード:e:HEV PLaY

価格:227万9200円~329万8900円(税込)

 

新型ヴェゼル、他車との違いはデザインの妙にある

コンパクトSUV市場はここ数年ずっと活気に満ちている。なかでもホンダのヴェゼルは、2013年に登場した先代型がブランニューモデルであったにも関わらずヒット作となり、2014年から3年連続で新車販売クラスナンバーワンに輝いた。手頃なサイズと価格、そしてアクのないデザイン、室内の広さなどが人気を博した要因だ。

 

そんなヴェゼルが新型へフルモデルチェンジしたのは2021年だが、現在のコンパクトSUV市場にライバルは多く、トヨタの「ヤリスクロス」や「C-HR」、日産「キックス」などが存在している。では、この市場で新型ヴェゼルが打ち出した違いが何かといえば、それはデザインの妙だ。

 

切れ長のヘッドライトというのは現代SUVのトレンドでもあるが、ボディ同色グリルは新型ヴェゼルの真骨頂である。まるでグリルが存在しないように見えて、無機質な感じで無印良品っぽいというか、シンプルでクリーンなイメージだ。初めは違和感を覚える人もいるかもしれないが、見慣れてくると、品がよく、知的に見えてくる。

 

一方で、やはりクルマには目立つグリルがあってこそ、みたいなユーザーも一定数存在する。その証拠に、オプションパーツでは、ボディ色と異なるブラックのグリルが人気らしい。ないものねだりという人もいるだろうが、これはつまり、ボディ同色グリル以外の部分でもヴェゼルのデザインが優れていることの証明にほかならない。

↑e:HEV PLaY専用カラーバーオーナメント付フロントグリル

 

ボディサイドには、水平基調でまっすぐなウエストラインがフロントからリアまで伸びている。しかもこれが結構高い位置に設定されていて、車両全体の重心が高いように感じられる。しかし、スポーツカーでは重心が高く見えるとカッコ悪いが、ヴェゼルのようなSUVでは問題ない。むしろ重厚さが感じられて、乗員の安心感にもつながる。

 

さらに、サイドラインからつながるように高い位置に配置された、左右につながった形状のテールランプも特徴的だ。ランプ内はサイバーなデザインが施されていて、リアのアクセントになっている。また、その上のリアウインドウはかなり傾斜がつけられていて、クーペライクなスタイリングになっている。横から見るとクルマが前傾姿勢をとっているようにも見えるが、このアンバランスさがヴェゼルのおしゃれさを引き立てている。

↑エクステリアのデザインは、クーペライクなプロポーションを際立たせている。試乗車のボディカラーは、サンドカーキ・パール&ブラック

 

全体的に見てみると、ライバル車と比べて、端正なラインで、シンプルかつ品のある雰囲気にまとめられている。清潔感がありすぎて毒が足りないという人もいるようだが、他に似てない独自性という意味では頭ひとつ抜け出しているようにも感じる。

↑e:HEV PLaYは、18インチアルミホイール(ブラック+切削)+スチールラジアルタイヤを履く

 

室内は外観同様クリーンなイメージ

ウエストラインが高いがゆえ、室内スペースは狭そうにも見えるが、さにあらず。「フィット」譲りのセンタータンクレイアウトによって、車内には余裕が感じられる。また、リアシートは座面を跳ね上げてからシートバックを前方へ倒すことができるので、ラゲッジルームを拡張した際の床面がしっかりフラットになる。こういったところはSUVを趣味の道具として使う人にとって重要なポイントだ。

↑予約ボタンを押してクルマから離れるとテールゲートが自動で閉まる「予約クローズ」機能付き。個別の車両設定により、閉まった後に自動でキーロックさせることも可能だ

 

外から見ていると、なんだかボディが大柄に感じられる。たしかに先代モデルより全長と全幅は拡大されているものの(全高は低くなった)、しっかりコンパクトなモデルで、それはシートに座ってみると実感できる。ボディ全体の感覚は掴みやすいし、特別視界が悪いということもない。なお、インテリアデザインも、外観同様クリーンなイメージでまとめられていて好印象だ。

↑インテリアのデザインではしっかりと芯の通った「かたまり感」のあるソリッドなフォルムでSUVの力強さを表現

 

↑e:HEV PLaY専用のコンビシート(グレージュ)。シートサイドにオレンジのステッチをあしらった遊び心のあるデザイン

 

↑これはちょうどイイ! フロント左右に配置された「そよ風アウトレット」。風が体に直接当たることなく穏やかに頬をなでます

 

パワーユニットは、1.5Lガソリンエンジンと、同じく1.5Lベースのハイブリッドがラインナップされている。今回試乗したハイブリッドモデルは、アクセルを踏み込んでもそれほど加速感が鋭いわけではない。どちらかといえば穏やかで上質で、のんびり走ってちょうどいいクルマといった趣である。サスペンションはほどよい固さで乗り心地も上々。先代型と比べて静粛性は高くなっているし、心地よさという部分でしっかり進化を感じられた。

↑最高出力106PS/6000-6400rpm、最大トルク127Nm/4500-5000rpmを発生する直列4気筒DOHC 1.5リッターアトキンソンサイクル i-VTECエンジン

 

進化という部分では、先進運転支援装置の「ホンダセンシング」も最新バージョンが搭載されている。高速道路走行中に前走車との車間を自動でキープして走れるACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)は渋滞追従機能付きとなったことで、渋滞走行がさらに楽になった。標識認識機能で走行中の道路の制限速度を見落とすことも減り、先行車発進お知らせ機能は信号停車時に後方からクラクションを鳴らされるのを防いでくれる。

↑空力性能においては、F1マシンの設計・開発などを行なうHRD Sakuraの風洞実験施設を使い、コンパクトSUVトップクラスの空力性能を目指したという

 

売れ筋のカテゴリーであり、各メーカーから数多くラインナップされるコンパクトSUVのなかで、あえてヴェゼルを選ぶ人というのは、きっとシンプルな暮らしを好む、都会的で品のある人なんだろうなぁと思えてくるから不思議である。

 

SPEC【e:HEV PLaY】●全長×全幅×全高:4330×1790×1590㎜●車両重量:1400㎏●パワーユニット:1496cc直列4気筒エンジン+電気モーター●エンジン最高出力:78kW/6000-6400rpm●エンジン最大トルク:127Nm/4500-5000rpm●WLTCモード燃費:24.8㎞/L

 

文/安藤修也 撮影/茂呂幸正

 

 

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【西田宗千佳連載】初期のEVは「運転以外でいかに良い要素を搭載できるか」が差別化ポイント

Vol.123-4

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回のテーマはソニー・ホンダモビリティがCES 2023で披露したEVの話題。これから登場するEVに期待したいところを見ていく。

↑AFEELA(アフィーラ)というブランド名は同社がモビリティ体験の中心に掲げる「FEEL」を表したもの。本プロトタイプをベースに開発を進め、2025年前半に先行受注を開始し、同年中に発売を予定。デリバリーは2026年春に北米から開始する

 

EVがスマートフォンのように“ソフトで決まる”時代が来ると、どうなるのだろう?

 

もちろん、自動運転・運転補助などの出来が重要であるのは間違いない。ただ、それは当然のようにどのメーカーも競う、基本的な部分になると考えていい。そうすると、特に初期に差となってくるのは“運転以外の部分でいかに良い要素を搭載できるのか”ということだ。

 

そこでは、自動車に搭載されているセンサーをいかにほかのことに活用するかが重要になってくるだろう、と予測している。たとえば、自動車にはカメラやLiDARを使った距離センサーが搭載されているが、それを自動車や人を避けるために使うのは当然と言える。

 

だが、そのセンサーを使い「ドライバーがこれからいく場所で雨が降りそうなら教える」とすればどうだろう? ちょっとしたことだが、いままでの自動車とは違った要素が生まれる。

 

要は、スマホで「アプリからセンサーを使う」ようなものなのだ。現状では、どんな使い方が良いかはまだわからない。それはスマホのときも同じだった。だが、初期に「モーションセンサーを使ってビールを飲む画像を出す」アプリが作られたように、とてもくだらない使い方からでも、始めてみることに意味がある。そのうち、EVに向いた新しい用途が開拓されてくることだろう。

 

特に今後は、自動運転の進歩により、“自動車に乗っているが、運転はしていない”時間も長くなっていく可能性がある。そんな時間をどう快適に過ごすか、そのためにどんな機能が必要となるのか、もポイントになってくる。そこでは単に「カーオーディオが充実している」レベルを超えるなにかが求められるはずだ。自動車内のディスプレイでゲームをする機会は少ないだろうが、これから行く場所や交通状況などを3Dグラフィックスで表示するケースも増えていくので、ゲーム機クラスの処理性能を求められるようになるとも予測されている。

 

ただこうなると問題になるのは、「スマホやゲーム機は安価で、数年おきに買い替えることもできるが、自動車はそうもいかない」という点だ。ソフトで機能が変わるということは、機能アップに耐えられるだけの性能を持ち、10年単位という“クルマのライフサイクル”のなかでも、IT機器としての性能が陳腐化しない方法論を考える必要が出てくる。

 

そのためAFEELAは、発売段階から「数年先を見据えた処理性能」を搭載することになる、と考えられている。もともと高級車を狙っており、IT系のパーツで高価なものを選んでも価格面でのバランスは取れるだろう。その先には、内部のプロセッサーなどを交換できるようにするかもしれない。

 

どちらにしろ、EVでは従来の車と異なり、プロセッサーの性能なども気にする必要が出てくるだろう。そうなったらまさに“スマホのような存在”と言えるかもしれない。

 

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【西田宗千佳連載】ソニー・ホンダのAFEELAに見る「EVはスマホ化する」仕組みと理由とは

Vol.123-3

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回のテーマはソニー・ホンダモビリティがCES 2023で披露したEVの話題。EV設計の考え方を解説する。

↑AFEELA(アフィーラ)というブランド名は同社がモビリティ体験の中心に掲げる「FEEL」を表したもの。本プロトタイプをベースに開発を進め、2025年前半に先行受注を開始し、同年中に発売を予定。デリバリーは2026年春に北米から開始する

 

ソニー・ホンダモビリティの川西 泉社長兼COO(最高執行責任者)は、「AFEELA」のプロトタイプのデザインコンセプトについて「スマートフォン」と明言している。確かに非常にシンプルな線で構成されており、フィーチャーフォン=既存のスポーツカーと定義すると、スマートフォン=AFEELAと言いたくなるような形状ではある。

 

これはかなりコンセプチュアルな話であり、彼らとしては見た目でEVとしてのコンセプトを表したい……という意識で作ったのだろうと考えられる。

 

すなわち、自動車がガソリンベースからEVになっていくことで、フィーチャーフォンからスマートフォンに変わったような変化がやってくる、と強く主張したかった、という話である。

 

なぜそうなるのか? それはEVをどう設計するのか、という考え方の問題になってくる。

 

ソフトウェアで機能が変わるのであれば、それを司るプロセッサーや、実行に必要なメモリーなどは十分な容量が必要になる。だが、従来のガソリン車に近い考え方で自動車を作ると、「処理」は自動車を構成する部品のひとつでしかない。多少の修正は効く、アップデートが可能なように作ることはできるが、“性能が余る”ほど与えるとコストに跳ね返ってくるので、できるだけギリギリのプロセッサーしか採用されない。逆にそうなると、アップデートでできることも限られてくる。

 

過去はそれで良かった。エンジンや足回りの完成度が自動車の出来を決める部分であり、ソフトウェアは付加価値に過ぎなかったからだ。

 

だが、今後は違う。EVになりモーター駆動になると、エンジンの時代に比べ、差別化できる領域は減ってくる。

 

もちろん過去の自動車開発で培ったノウハウは重要だし、安全性能まで視野に入れると、そんなに簡単にEVを作れるわけではない。とはいえ、EVとしてのサイズや用途が異なっても、ガソリン車時代のように多数のエンジンやプラットフォームを開発する必然性は薄くなる。同じ機構のプラットフォームを、EVのサイズや用途に合わせてバッテリー搭載量を変えるなどの“カスタマイズ”でカバーできるようになってくる。

 

そうすると、EVを他社と差別化するには、ソフトの領域と、アップデートでの価値向上が大きな役割を果たすようになる。そうなると、スマートフォンの差異がソフトやそれを支えるプロセッサーで決まったように、EVについても、いかに高性能なソフトを走らせる“余力のある”ハードを搭載し、ソフトでの違いを際立たせられるのか……という話になると考えられる。

 

これはまさに、フィーチャーフォンとスマートフォンの違いである。そこでQualcommがソニーに接近してくるのも、また不思議な話ではない。

 

では、AFEELAでは具体的にどんなことができるようになるのか? その予測については、次回解説する。

 

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ホンダ新しいタイプのSUV「ZR-V」試乗。高い静粛性と気持ちの良い走りは感動もの

ホンダが上級SUVとして2023年4月21日に発売を予定してるのが『ZR-V(ゼットアールブイ)』です。「CR-V」が日本市場からなくなった今、その後継車種としてホンダの上級SUVを支える重要な位置付けにあるといえます。今回はそのZR-Vの試乗レポートをお届けします。

 

■今回紹介するクルマ

ホンダ/ZR-V

※試乗グレード:e:HEV Z(4WD)

価格:294万9100円〜411万9500円(税込)

↑ボディカラーはスーパープラチナグレー・メタリック

 

都市型クロスオーバー的な雰囲気の新しいSUV

ZR-Vのコンセプトは“都会的なスタイルとセダンのような走り”。単にSUVとしてだけでなく、セダン的な使い勝手と走りを併せ持つホンダの上級SUVとして登場しました。そのZR-Vを前にすると、SUVらしいボリューム感のあるボディと流れるようなフォルムが、都市型クロスオーバー的な雰囲気に満ちあふれていることを実感します。タテ格子のバーチカル・フロントグリルは斬新で、その存在感は十分に異彩を放っていました。

 

ZR-Vのラインナップは、ホンダ独自のハイブリッド「e:HEV」と、ガソリンエンジンとして1.5Lターボが用意され、駆動系にはいずれも4WDと2WD(FF)を組み合わせることができます。

 

また、グレードは上級の「Z」とベースグレードの「X」がそれぞれ用意され、そのうち「Z」にはアダプティブドライビングビームやETC2.0車載器付きホンダコネクト・ナビゲーション、本革シート、12スピーカーBOSEプレミアムサウンドなどが標準で装着されます。まさにホンダの上級SUVらしい充実した装備といえるでしょう。

↑ZR-Vのラインナップには1.5Lターボエンジンを搭載したガソリン車もラインナップする。写真はXグレード

 

そんなZR-Vで試乗したのは、「e:HEV」の4WD車で、グレードも上位のZ。価格も420万円弱という結構なお値段のクルマです。価格面ではトヨタ「ハリアー」や、日産「エクストレイル」あたりともガチンコでぶつかるグレード。ただ、そうした状況でもZR-Vはこの両車に十分対抗し得る素晴らしいスペックを備えていたのです。

↑プラットフォームはシビックベースだが、足回りはCR-V譲りのパフォーマンスを発揮した

 

上級SUVらしいプレミアム感あふれるインテリア

クルマに乗り込むとインテリアはプレミアム感にあふれていました。試乗車のシートはパワー機構付きの本革製で、マットなグレー色に近い“ブラック”。その素材感は極めて高く、ダッシュボードのソフトパッドも心地よい弾力を伝えてきます。よく見るとソフトパッドは艶やかなガラスパールを散りばめたパール調表皮となっており、外装と同様、光の当たる具合で陰影ができることで、しっとりとした高級感を演出する造りとなっているのです。

↑曲線と直線を上手に交えた躍動感に溢れたデザインのインテリアは、極めて機能的でもある

 

↑後席シートはSUVらしいゆとりのあるスペースを確保している。シートは6:4可倒式を採用する

 

また、センターコンソールは中央を盛り上げるハイデッキタイプとすることで、運転席と助手席の各乗員に適度なパーソナル感を持たせており、さらにコンソール下側の凹みにはUSB端子を備えた収納スペースまで装備。もちろん、ワイヤレス充電にも対応しているので、手軽にスマホを充電することが可能です。

↑左右の席のセパレーターとしての役割も果たすコンソール。e:HEVにはボタン式シフトが採用されている

 

中でも“Z”の装備で見逃せないのが、BOSEプレミアムサウンドシステムの搭載で、車種独自の専用チューニングを施すことでクリアで臨場感あふれるサウンドをもたらしてくれます。しかも、サラウンドサウンドを体験できる「Centerpoint」システムを搭載したフルスペック仕様。限られたスペースで臨場感たっぷりのBOSEサウンドが楽しめるのは大きな魅力といっていいでしょう。

↑Zグレードには12スピーカーを備えたBOSEプレミアムサウンドシステムが標準で装備される

 

↑BOSEの「Centerpoint」は、12スピーカーを活用することで臨場感たっぷりのサラウンドが楽しめる

 

↑BOSEプレミアムサウンドシステムは、サブウーファーとセンタースピーカーを組み合わせた12スピーカーから成る。高性能スピーカーを車室内に最適配置しています

 

エンジンONがほぼわからない驚きの静粛性

ZR-Vは走りも素晴らしいものでした。ZR-Vの「e:HEV」は、2.0L・4気筒エンジンとホンダ独自の2モーターシステムを搭載したハイブリッド車となっています。これはシビックに採用されている「スポーツe:HEV」をZR-V向けに仕様変更したもので、充電用と駆動用のモーター2基を電気式CVT内に搭載。状況に応じてエンジンとモーターそれぞれの駆動を切り替えて使う独自の方式となっています。

↑ZR-Vのe:HEVに搭載された2.0L・4気筒エンジンとホンダ独自の2モーターシステムのハイブリッドシステム

 

具体的には、発進時や市街地での低速走行などではモーターのみのEVモードで走行し、加速時やある程度速度域が上がるとエンジンの動力で発電しながらハイブリッド走行します。さらに高速道路で高い速度で巡航するシーンになるとクラッチでエンジンと直結し、100%エンジンの力で走行するモードに切り替わるのです。いわば、シリーズ式ハイブリッド走行とエンジン走行のいいとこ取りをしたハイブリッドエンジンといえるでしょう。

 

この日の試乗コースは、会場となった羽田空港近くのホテルから首都高速~一般道を経由するルートです。

 

走り出して真っ先に気付いたのが高い静粛性でした。モーターで走行している時が静かなのは当然としても、エンジンがかかってもそれがほとんどわからないほど静かなのです。1.5Lエンジンを組み合わせるe:HEVを搭載した「ヴェゼル」では、アクセルを踏み込んだ際にエンジン音がハッキリと聞こえていましたが、それとは静粛性のレベルがまるで違います。高速道路の合流でもアクセルを踏み込んでもその傾向は変わらず、ロードノイズも十分抑えられていました。

↑市街地走行から都市高速に至る日常使いで優れたパフォーマンスを発揮したZR-V

 

都市高速のきつめのカーブにもしっかりと踏ん張る

足回りはしっかりと踏ん張ってコーナーを曲がっていく印象です。都市高速のきつめのコーナーを曲がった時でも車体がリニアに反応してスムーズに向きを変え、思い通りのラインを確実にトレースしていくのです。シビックを八ヶ岳で走らせた時、そのトレース能力に驚いたものですが、少なくともそれに匹敵する素晴らしさ。

 

ドライブモードは各走行シーンに応じた4つのモードから最適な設定に変えられ、e:HEV車にはパドルシフトを使って、回生ブレーキの強さを4段階で調節することができます。これを上手に使えば、峠道などで減速度を上げながら楽に走行することができるはずです。

 

一方で乗り心地は若干堅めでした。都市高速の継ぎ目などは確実に伝えてくるのです。しかし、不快さは感じないレベル。むしろ道路の状況が伝えられてくるリニア感が好ましく感じたほどです。乗り心地も良好で、後席に座った人からも不満は出ませんでした。

 

試乗を終えて実感したのは、ZR-Vはコンセプトの“都会的なスタイルとセダンのような走り”を確実に達成しているということです。特にe-HEVと組み合わせた走りは感動もののレベルで、「スムーズさ」と「静粛性」、そして「動力性能の高さ」の3本柱をしっかりと発揮していたのには驚きました。ホンダの新しい上級SUVとして、ぜひ試乗してみることをおすすめしたいです。

↑SUVらしく収納スペースも十分な容積を誇る。テールゲートはハンズフリーアクセス機能付パワーゲートが備わる

 

SPEC【e:HEV Z(4WD)】●全長×全幅×全高:4570×1840×1620㎜●車両重量:1630㎏●モーター:1993cc直列4気筒直噴エンジン+デュアルモーター●最高出力:エンジン141PS/6000rpm(モーター184PS/5000〜6000rpm)●最大トルク:エンジン182Nm/4500rpm(モーター315Nm/0〜2000rpm)●WLTCモード燃費:21.5km/L

 

写真/松川 忍

 

 

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【西田宗千佳連載】EVだけでは、自動車も社会も変わらない

Vol.123-2

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回のテーマはソニー・ホンダモビリティがCES 2023で披露したEVの話題。今のEVの立ち位置をとらえ直す。

↑AFEELA(アフィーラ)というブランド名は同社がモビリティ体験の中心に掲げる「FEEL」を表したもの。本プロトタイプをベースに開発を進め、2025年前半に先行受注を開始し、同年中に発売を予定。デリバリーは2026年春に北米から開始する

 

自動車の中身を知らない人には意外なことかもしれないが、現代の自動車はすでにコンピューターなしでは成り立たない。バックモニターやナビなどにコンピューターが必要なのはわかりやすいところで、省エネ性能や排ガス規制をカバーするためには、エンジンでの微細な燃焼コントロールは不可欠。ドアの鍵制御にだってコンピューターは必須で、すでに自動車内にはネットワークが張り巡らされている。

 

とはいうものの、ここから電気自動車(EV)の普及によって起きる「ソフトウェア制御」は、もっと高度なものになる。モーターをベースとしたEVでは、効率的かつ快適に走るには、ほとんどの部分をコンピューター制御で動かす必要があるからだ。また、現在のモーター+バッテリーは、単純な馬力や燃費では、ガソリンエンジンに敵わない。そのため、加速性能の快適さや高度安全運転など、ソフトウェアの力で制御できる部分で差別化し、ガソリンエンジン車に負けない車を作らねばならない。

 

ただ、冒頭で述べたように、自動車の電気制御はすでに当たり前になっている。特にハイブリッド車が登場して以降、その重要性は高まるばかりだ。だとするなら、それがEVになっても本質的な変化ではない……と考えることもできる。

 

だから「EV」といっても、その設計思想によって、実際の自動車としてのあり方は大きく変わる。シンプルなEVとテスラのようなEVでは、考え方がまったく異なるのだ。

 

結局のところ、走るための“パワートレーン”を電気にしても、それは“自動車からのCO2排出量が下がる”だけに過ぎない。発電所の稼働量などを考えると、それだけで良いことがある、というわけでもないのだ。

 

自動車は高価で、本質的には危険な乗り物である。パワートレーンの大幅な変更は、“自動車がより安全で快適な乗り物にすること”とセットでなければ進まない。だから、自動運転や高度安全支援の話がセットで語られる。自動車の乗り方・使われ方からエネルギー供給の仕組みまで、全体が変化して初めて“ガソリンから電気へ”の変化が価値を持ってくることになり、そこでは「ソフトウェアでの処理」が重要である……ということなのだ。

 

ただ、走ることに特化したソフトウェア処理の場合、実は個人向けより、企業向けの方が大きなインパクトを持つ。メンテナンスの簡素化や自動運転・高度運転支援などの効果により、輸送管理のコストが下がることに大きな価値がある。

 

とはいうものの、ソニー・ホンダモビリティの「AFEELA」も、テスラも、個人向けのEVである。

 

個人向けのEVでは、また別の形でソフトによる進化が期待されているのだが、それはどういう部分になるのだろうか? その点は次回解説する。

 

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【西田宗千佳連載】ソニー・ホンダが目指す「自動車のスマホ化」

Vol.123-1

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回のテーマはソニー・ホンダモビリティがCES 2023で披露したEVの話題。同社がEVで目指すクルマの新しい在り方とは何か。

↑AFEELA(アフィーラ)というブランド名は同社がモビリティ体験の中心に掲げる「FEEL」を表したもの。本プロトタイプをベースに開発を進め、2025年前半に先行受注を開始し、同年中に発売を予定。デリバリーは2026年春に北米から開始する

 

スマホへの変化のようにクルマも変化していく

ソニー・ホンダモビリティは、年初に米ラスベガスで開催された「CES 2023」のソニーグループ・ブースで、同社のEV(電気自動車)「AFEELA(アフィーラ)」のプロトタイプを公開した。

 

ソニーは2020年にEVの試作車「VISION-S」を公開。2022年にはホンダとの協業による市場参入を正式に発表している。それを受け、今年は、市場投入に向けたプロトタイプを公開した……という流れだ。

 

展示自体は静止した形で行なわれたが、中身はできていて、走るクルマだ。ただ公開されたのはプロトタイプであり、そのままの形で市販されるものではない。

 

VISION-SとAFEELA・プロトタイプの最大の違いは“デザイン”だ。VISION-Sはスポーツカーらしいデザインだったが、AFEELAはかなり線がシンプルになった。

 

「まるでスマホのようだ」

 

そう思ったなら、直感は正しい。ソニー・ホンダモビリティの川西 泉社長は、AFEELAへの変化の背景にある思想を“フィーチャーフォンからスマートフォンへの変化”に例える。

 

フィーチャーフォンの時代、携帯電話のデザインは複雑だった。中身としての機能では差別化しづらかったからだ。だがスマホになると、機能の多くはソフトで実装されるようになった。差別化はハード+ソフトで行なわれるようになり、デザインはシンプル化していくようになった。

 

カスタマイズや進化がEVで当たり前になる

自動車はEVになると、ソフトウェアで制御される領域が多くなっていく。だとすれば、差別化要因はソフトウェアの進化で生まれることになるだろう。そして、デザインはよりシンプルになるのでは……。そんな発想から、デザインのトレンドから外れた、シンプルな線で構成されたAFEELAのデザインが生まれたと川西社長は語る。

 

デザインには賛否両論あると思う。その点も含め、「あくまでプロトタイプであり、製品はこのままとは限らない」と川西社長は説明する。しかし「基本的にはこのラインで行く」とも語っているので、“スマホ的な変化”を軸に据えていくことだけは間違いないようだ。

 

EVでクルマがスマホ化するとはどういうことなのか? ポイントは2つある。

 

ひとつは「カスタマイズが当たり前になる」ということ。自動車のカスタマイズといえば、パーツ交換や内装の変更を指した。だがスマホでは、アプリの入れ替えや壁紙の変更は当たり前。同じスマホでも、使っている人によって姿は違う。EVも、車内にあるディスプレイの見た目や、そこで使われる機能を自分で変えられるのはもちろん、ナビゲーションや“乗り味”など、走行に関する機能を変えられるようにもなる。

 

次は「進化」。スマホがOSのアップデートやアプリの追加で進化するように、EVも進化する。テスラのように、発売後アップデートで機能が変わる自動車も増えていくが、AFEELAも同様に、機能やアプリ追加をしていくことで、進化するEVになることを目指している。

 

もちろん、こうした要素を加えていくには、従来の自動車とは作り方を変える必要が出てくる。それはどういうことなのか? その点は次回以降解説する。

 

週刊GetNavi、バックナンバーはこちら

ちょっとトガった魅力も併せ持つ丸目がイイ! イマドキの軽自動車&コンパクトカー6選

近年、素材整形技術の進化とともに、シャープなデザインを特徴とする“ツリ目”ライトのクルマが増えてきた。一方で、古くから存在し続けているのは“丸目”ライトを持つクルマたち。ファニーな印象を与えがちな丸目ライトだが、その瞳の奥に秘めたトガった魅力を分析していこう。

※こちらは「GetNavi」 2022年12月号に掲載された記事を再編集したものです

 

ワタシが評価しました!

自動車評論家

清水草一さん

これまで50台以上のクルマを愛車としてきたベテラン評論家。専門誌でデザインに関する連載を持っていたほどクルマの見た目にはうるさい。

 

【その1】ルーツのデザインを生かして軽自動車のスタンダードに!

ホンダ

N-ONE

159万9400~202万2900円(税込)

軽自動車販売台数7年連続ナンバーワンのN-BOXの兄弟車で、より低重心な運転感覚が味わえるトールワゴンモデル。デザインは初代モデル同様、ホンダ車の始祖であるN360がモチーフで、2代目となる現行型もレトロな雰囲気を持っている。

SPEC(Premium Tourer・FF)●全長×全幅×全高:3395×1475×1545mm●車両重量:860kg●パワーユニット:658cc直列3気筒ターボエンジン●最高出力:47kW/6000rpm●最大トルク:65N・m/4800rpm●WLTC燃費:23.0km/L

 

[ココはトガっている] 丸にこだわったホイールも選べる

丸目だからといってデザインすべてが丸系ではなく、全体的には四角や台形などとの組み合わせ。ただ、ホイールにはしっかり丸系デザインが用意されている。足元にも丸を配置することで楽しさを演出。

 

↑真正面や真後ろから見ると台形になっていて、安定感を演出している。ファニーな顔と裏腹に、踏ん張り感のある力強い造形だ

 

↑レトロっぽい外観に対して、インテリアはモダンなイメージでまとめられている。心地良く使いやすい空間に仕上がった

 

↑ターボエンジンに6速MTを組み合わせたスポーツグレード「RS」もラインナップ。スポーツモデルが得意なホンダの面目躍如だ

 

子どもが描いたようなたくらみのない愚直さ

N-ONEの丸目は本物の丸目、つまり真円だ。円形のヘッドライトは、照明の基本形。半世紀ほど前に四角いヘッドライト、つまり角目が登場するまで、クルマのヘッドライトは、すべて丸目だった。

 

つまりN-ONEの丸目は、昔のヘッドライトの形そのもの。昔は丸目のクルマしかなかったけれど、現在は丸目はレアだし、真円の丸目はさらに希少。それだけで人の「目」を引き付け、ホンワカした郷愁を感じさせてくれる。

 

加えてN-ONEのデザインは、N360など、半世紀前のホンダ車のデザインをモチーフにしている。当時のクルマのデザインは、今見ると子どもが描いた絵のようで、これまたホンワカした郷愁に浸ってしまう。いや、現代の子どもたちが描くクルマの絵はたいていミニバンらしいので、これまた「昔の子どもが描いた絵」と言うべきかもしれないが……。

 

細かいことはさておき、この、たくらみのない愚直なデザインが、N-ONEをちょっと特別なクルマに見せる。断面が台形で、大地を踏ん張る感やスピード感があるのも、一種のレトロデザインなのである。

 

【その2】オープンカーの楽しみを広げてくれる個性的デザイン

ダイハツ

コペン セロ

194万3700~214万7200円(税込)

2代目となる現行型コペンの、第3のスタイルとして2015年に追加された人気モデル。“親しみやすさと躍動感の融合”をテーマにしたデザインは、丸目のみの意匠で高い評価を得ていた初代コペンを彷彿させ、根強いファンが多い。

SPEC(セロS・5速MT)●全長×全幅×全高:3395×1475×1280mm●車両重量:850kg●パワーユニット:658cc直列3気筒ターボエンジン●最高出力:47kW/6400rpm●最大トルク:92N・m /3200rpm●WLTC燃費:18.6km/L

 

[ココはトガっている] デザインアレンジが自由自在!

現行型コペンは内外装着脱構造を備え、樹脂外板やヘッドランプなどを交換して、別のスタイルへ変更することが可能。クルマのデザインを自由に変更して自分らしさを表現できる。

 

↑リアコンビネーションランプの形状も丸! 前から見ても後ろから見ても、親しみやすさと躍動感を感じられるルックスだ

 

↑なんといってもコペンは軽自動車唯一のオープンスポーツモデル。風を感じながら爽快にドライブを楽しむことができる!

 

↑「アクティブトップ」と呼ばれる電動開閉式トップを採用。屋根を閉めてしまえば快適な室内スペースを確保できる

 

昔のクルマのようなカタチで運転の本来の喜びに浸る

創世記のフェラーリ、たとえば166MMといったクルマを見ると、「カマボコにタイヤを4個付けて、丸い目と四角い大きな口を描いたような形」をしている。NHKのマスコットキャラクター「どーもくん」の顔をつけたイモムシ、と言ってもいい。

 

コペン セロのデザインは、それに非常に近くはないだろうか?

 

目は真円ではなく微妙に楕円だが、真正面から見るとほとんど丸。テールランプも丸。ボディは斜めのエッジを付けたカマボコ型だ。

 

そして2人乗りのオープンカー。いまでこそオープンカーはゼイタク品だが、昔はオープンカーが標準で、雨の日のために幌が用意されていた。つまりコペン セロのデザインは、70年くらい前の標準的な自動車の形、と言えなくもない。

 

すなわち、コペンは特殊なドライビングプレジャーを提供するクルマだが、本質は本来の自動車そのものということ。だからデザインも、70年くらい前の自動車に似ているのである。そしてこのクルマで走れば、70年くらい前の人が感じたのと同じ、原初的なヨロコビに浸ることができるというわけだ。スバラシイじゃないか。

 

【その3】どんな道も力強く駆け抜ける古典的4WD車の最新形

スズキ

ジムニー

155万5400~190万3000円(税込)

約20年間販売された先代型に代わり、2018年にモデルチェンジした軽クロスカントリーSUV。登場するや否や爆発的な人気で1年以上の納車待ち状態に。オフロード向きのラダーフレーム構造と、最新の安全装備を採用している。

SPEC(XG・4速AT)●全長×全幅×全高:3395×1475×1725mm●車両重量:1050kg●パワーユニット:658cc直列3気筒ターボエンジン●最高出力:47kW/6000rpm●最大トルク:96N・m/3500rpm●WLTC燃費:14.3km/L

 

[ココはトガっている] 縦横無尽のオフロード性能!

初代モデルから一貫して採用されているのはパートタイム式の4WD。雪道、荒地、ぬかるみ、登坂路など、様々なシーンに合わせた駆動パターンを選ぶことができて、高い悪路走破性能を発揮する。

 

↑軽自動車ではなく1.5Lエンジンを搭載するワイドボディの「ジムニーシエラ」もラインナップ。よりパワフルな走りを求める人向け

 

↑シンプルにして機能性を徹底追及したインテリアデザイン。骨太なオフロードモデルを欲するユーザーにぴったりだ

 

機能に一極集中したパワフルなデザイン

ジムニーのデザインは、余計な工夫を何もしていない。悪路の走破性の高い、いわゆるジープタイプのカタチのまま作っている。

 

ヘッドライトも当然丸い。繰り返すが、ジムニーは余計な工夫を一切排除している。つまり、80年前のジープとまったく同じなのだ。この機能オンリーのデザインパワーは、すさまじい破壊力を持って、我々の心に食い込んでくる。

 

【その4】アクティブな乗り方に耐える現代仕様のタフデザイン

スズキ

ハスラー

136万5100~181万7200円(税込)

2020年に現行型となる2代目モデルへモデルチェンジした、クロスオーバーSUVタイプの軽自動車。使い勝手のいい軽ハイトワゴンに流行りのSUV風のデザインを施し、高レベルの低燃費性能と安全性能、小回り性能を備えている。

SPEC(HYBRID Xターボ・2WD)●全長×全幅×全高:3395×1475×1680mm●車両重量:840kg●パワーユニット:658cc直列3気筒ターボエンジン●最高出力:47kW/6000rpm●最大トルク:98N・m/3000rpm●●WLTC燃費:22.6km/L

 

[ココはトガっている] インテリアデザインはギア風!

従来の軽自動車では見たことがなかったような自由度の高いデザイン。インパネ正面に3つのサークルを設けるなど、どこかギアっぽさ、おもちゃっぽさを感じる作りになっている。

 

↑ポケットやトレーなどを備えたアウトドア向けのインテリア。買い物袋を提げられるフックやシート座面下の収納も搭載する

 

↑シート脇のラインなど、内装を彩るホワイト/オレンジ/ブルーといったカラーアレンジもグレードによって選ぶことができる

 

印象をガラリと変える目尻の付け足しがニクい

ジムニーは3ドアだが、ハスラーは5ドアなので実用性が高い。ジムニーはボディの角が角ばっているが、ハスラーは適度に丸みを帯びている。そして丸目の外側に目尻を付けたハスラーの顔は、ジムニーに比べるとグッとソフトで、ぬいぐるみっぽく感じられる。

 

つまり「ジムニー的な機能オンリーデザインのソフト&カジュアル版」というわけだ。

 

【その5】世界から愛されて50年超丸目の哲学を今に受け継ぐ

BMW

MINI

298万~516万円(税込)

長年にわたって販売されていたクラシック・ミニが、2001年にBMWによってリボーンさせられてからすでに3代目。独自の乗り味「ゴーカートフィーリング」はそのままに、メカは現代的にアップデートされている。

SPEC(クーパー・5ドア)●全長×全幅×全高:4025×1725×1445mm●車両重量:1260kg●パワーユニット:1498cc直列3気筒ターボエンジン●最高出力:100kW/4500rpm●最大トルク:22oN・m/1480〜4100rpm●WLTC燃費:15.6km/L

 

[ココはトガっている] クセの強い特別仕様車が続々登場!

ブランド力とファッション性の高さもあって、さまざまなカラーリングの特別仕様車が次々に登場している。写真は、英国のストリートアートの聖地の名を冠した「ブリックレーン」

 

↑ボディサイズは拡大されてきたものの、インパネ中央に丸い大型ディスプレイを配置したポップなデザインはいまも健在だ

 

↑伝統の3ドアハッチバックに加え、コンバーチブルやクロスオーバーSUV、ワゴン風のクラブマン、5ドアもあり

 

生まれたのはまだ丸目しかなかった時代

59年に誕生した元祖ミニは、最小のサイズで最大限の居住性を追求した偉大なる大衆車で、極限までシンプルだったから、当然ヘッドライトは丸目だった。

 

現在のミニのデザインは、あくまで元祖ミニを出発点としている。サイズは大幅に大きくなったが、フォルムはあくまで元祖を彷彿とさせる。ミニは元祖ミニっぽくなければ、ミニじゃなくなってしまうのだ。

 

【その6】ファニーフェイスでロングセラーモデルに!

フィアット

500

255万~324万円(税込)

3ドアハッチバックタイプのイタリア製コンパクトカー。かつての名車のリバイバルデザインで2007年に発表されたが、登場から約15年が経ったいまもファンから愛されており、ほぼ変わらぬデザインのまま販売され続けている。

SPEC(TWINAIR・CULT)●全長×全幅×全高:3570×1625×1515mm●車両重量:1010kg●パワーユニット:875cc直列2気筒ターボエンジン●最高出力:63kW/5500rpm(ECOスイッチON時57kW/5500rpm)●最大トルク:145N・m/1900rpm(ECOスイッチON時100N・m/2000rpm)●WLTC燃費:19.2km/L

 

[ココはトガっている] 待望のEVモデルがデビュー!

新型EV(電気自動車)として誕生した「500e」は、500のデザインを受け継いだモデルとして6月に発売された。ヘッドライトは上下に分割されて「眠そうな目」となる。価格は473万円から。

 

↑旧モデル同様、かたまり感のあるプロポーション。エンジンは1.2L直列4気筒に加え、875cc直列2気筒も設定される

 

↑室内空間にも丸をモチーフとしたデザインが散りばめられている。正面パネルのカラーパーツもキュート

 

レトロモチーフを現代に蘇らせた快作

現在のフィアット500は、ミニと同じく、半世紀以上前の大衆車がモチーフ。元祖は機能第一だったが、現在はファンカーで、実用性は二の次になっている。もちろんヘッドライトは丸目だ。

 

こうして見ると、現在の丸目カーは、すべて昔のクルマがモチーフ。丸目にすると激しく昔っぽくすることができる。目が丸いって、スゴいパワーなんですね!

 

 

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ソニーとホンダの自動車「AFEELA」正式発表! プロトタイプ画像はこちら

ソニー・ホンダモビリティはラスベガスで開催中の家電見本市「CES 2023」にて、新ブランドの自動車「AFEELA(アフィーラ)」のプロトタイプを発表しました。

↑ソニー・ホンダモビリティより

 

AFEELAのエクステリアには、「知性を持ったモビリティがその意思を光で語りかける」ための「Media Bar」を搭載。インテリアはラウンド基調のデザインを採用し、カラーリングもシンプルなものとなっています。

 

車内外には計45個のカメラ、センサーを搭載。室内のインキャビンカメラやToFセンサーでドライバーの運転状況や走行状態をモニタリングし、不慮の交通事故を防止します。またクラウドサービスと連携して、ユーザーごとにパーソナライズされた車内環境を実現。エンターテイメント機能も充実させ、ゲーム開発会社のEpic Gamesとモビリティサービスやエンタテイメントに関する協業を始めます。さらにセンシング技術を活用した拡張現実(AR)により、直観的なナビゲーションが提供されます。

 

↑ソニー・ホンダモビリティ

 

自動運転に関しては「レベル3」も目指すとともに、市街地等のより広い運転条件下での運転支援機能となる「レベル2+」の開発を実施。最大800TOPSの演算性能を持つECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)、Qualcomm Snapdragon Digital ChassisのSoCを搭載します。

 

AFEELAはこのプロトタイプをベースに開発を進め、2025年前半に先行受注を開始。同年中に発売し、納車は2026年春に北米から開始する予定です。ソニーとホンダが本気で作った自動車、その乗り心地が実に気になります。

 

Source: ソニー・ホンダモビリティ

ホンダ「N-ONE」、ルーツのデザインを生かして軽自動車のスタンダードに!

近年、素材整形技術の進化とともに、シャープなデザインを特徴とする“ツリ目”ライトのクルマが増えてきた。一方で、古くから存在し続けているのは“丸目”ライトを持つクルマたち。ファニーな印象を与えがちな丸目ライトだが、その瞳の奥に秘めたトガった魅力を分析していこう。

※こちらは「GetNavi」 2022年12月号に掲載された記事を再編集したものです

 

ワタシが評価しました!

自動車評論家

清水草一さん

これまで50台以上のクルマを愛車としてきたベテラン評論家。専門誌でデザインに関する連載を持っていたほどクルマの見た目にはうるさい。

 

ホンダ/N-ONE

159万9400~202万2900円(税込)

軽自動車販売台数7年連続ナンバーワンの「N-BOX」の兄弟車で、より低重心な運転感覚が味わえるトールワゴンモデル。デザインは初代モデル同様、ホンダ車の始祖である「N360」がモチーフで、2代目となる現行型もレトロな雰囲気を持っている。

SPEC(Premium Tourer・FF)●全長×全幅×全高:3395×1475×1545mm●車両重量:860kg●パワーユニット:658cc直列3気筒ターボエンジン●最高出力:47kW/6000rpm

 

子どもが描いたようなたくらみのない愚直さ

N-ONEの丸目は本物の丸目、つまり真円だ。円形のヘッドライトは、照明の基本形。半世紀ほど前に四角いヘッドライト、つまり角目が登場するまで、クルマのヘッドライトは、すべて丸目だった。

 

つまりN-ONEの丸目は、昔のヘッドライトの形そのもの。昔は丸目のクルマしかなかったけれど、現在は丸目はレアだし、真円の丸目はさらに希少。それだけで人の「目」を引き付け、ホンワカした郷愁を感じさせてくれる。

 

加えてN-ONEのデザインは、N360など、半世紀前のホンダ車のデザインをモチーフにしている。当時のクルマのデザインは、今見ると子どもが描いた絵のようで、これまたホンワカした郷愁に浸ってしまう。いや、現代の子どもたちが描くクルマの絵はたいていミニバンらしいので、これまた「昔の子どもが描いた絵」と言うべきかもしれないが……。

 

細かいことはさておき、この、たくらみのない愚直なデザインが、N-ONEをちょっと特別なクルマに見せる。断面が台形で、大地を踏ん張る感やスピード感があるのも、一種のレトロデザインなのである。

 

[ココはトガっている] 丸にこだわったホイールも選べる

丸目だからといってデザインすべてが丸系ではなく、全体的には四角や台形などとの組み合わせ。ただ、ホイールにはしっかり丸系デザインが用意されている。足元にも丸を配置することで楽しさを演出。

 

↑真正面や真後ろから見ると台形になっていて、安定感を演出している。ファニーな顔と裏腹に、踏ん張り感のある力強い造形だ

 

↑レトロっぽい外観に対して、インテリアはモダンなイメージでまとめられている。心地良く使いやすい空間に仕上がった

 

↑ターボエンジンに6速MTを組み合わせたスポーツグレード「RS」もラインナップ。スポーツモデルが得意なホンダの面目躍如だ

 

 

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2022年、プロがもう一度乗りたいとウズウズする国産車5選!スポーツカーばかりと思いきや……

新車試乗会以外にも、さまざまなクルマに乗る機会がある自動車評論家やライター。本稿では、さまざまなクルマを見て乗ってきた自動車評論家・岡本幸一郎さんに、今年(2022年)出会ったクルマのなかから、最も「もう一度乗りたくてウズウズする」国産車5台をピックアップしてもらいました。おすすめグレード付でお届けします。

 

【その1】FFなのにアクセルを遠慮なく踏める

ホンダ

シビック タイプR

「シビック タイプR」といえば、FF量販車で世界でも1、2を争う速さを身につけたクルマだけあって、まずエンジンフィールがすばらしいのなんの。アクセルと一体化したかのような俊敏なレスポンスと、踏み込んだときの力強い加速と、トップエンドにかけての痛快な吹け上がりと、控えめな中にも野太く吠えるエキゾーストサウンドに惚れ惚れ。2リッター4気筒エンジンとして世界屈指の仕上がりだ。

 

それを引き出すシフトフィールも、シフトを操ること自体にも喜びを感じられるほどよくできている。330PSのパワーを前輪だけで受け止めるとなると、普通なら空転してしまいそうなところ、トラクション性能も十分すぎるほど確保されているおかげで、遠慮なくアクセルを踏んでいける。

 

ハンドリングはまさしくオン・ザ・レールという言葉がピッタリ。意のままに気持ちよく操ることができて、舵を切った方向にグイグイと進んでいく。さすがは「2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤー」でパフォーマンス部門賞に輝いただけのことはある、最高にエキサイティングなクルマだ。

 

【その2】登場7年ですげーグレードが出た!

マツダ

ロードスター

おすすめグレード:990S

「ロードスター」は登場からまもなく7年というタイミングで、持ち前の走りの楽しさをさらに高めるための大きな動きがあった。ひとつはKPC(=キネマティック・ポスチャー・コントロール)という新技術の採用だ。これによりGが強めにかかるようなコーナリングでのロールが抑えられ、旋回姿勢が安定してドライバーとクルマの一体感がより高まった。

 

もうひとつは、軽さにこだわりある走りに特化した特別仕様車「990S」の追加だ。1トン切りを印象づけるモデル名のとおり、車両重量を990kgにとどめるとともに、軽量の鍛造ホイールの装着をはじめシャシーやエンジン、ブレーキなどが専用にセッティングされている。

 

軽量コンパクトなロードスターは、2シーターでホイールベースが短いことも効いて、もともと手の内で操れる感覚が高いが、「990S」はさらに軽やかで気持ちのよい人馬一体感を実現している。既存のロードスターでなんとなく感じられた、ステアリングとタイヤの間に何か挟まっているような感覚が払拭されて、よりダイレクト感のある走り味になっているのだ。グリップ感が高く、フラット感もあり、ロールだけでなくブレーキング時のピッチングも抑えられている。

 

こうした改良と特別仕様車の追加が効いて、売れ行きのほうも発売から時間が経過したスポーツカーではありえないような増え方をしているらしい。中でも件の「990S」の販売比率がかなり高いというのも納得だ。

 

【その3】FFベースでつまらなくなった? 全然そんなことない!

トヨタ

クラウン クロスオーバー

おすすめグレード:RS

ガラリと変わって話題騒然の新型「クラウン」は、それだけでも乗ってみたい気持ちになるのはいうまでもないが、中でも「RS」モデルは走りっぷりも予想を超えていて驚いた。

 

いかにも速そうな名前のとおりエンジンもモーターも強力なデュアルブーストハイブリッドは、272PSの2.4リッターターボエンジンと前後に約80PSのモーターを組み合わせ、システム最高出力で349PSを発揮するというだけあってけっこう速い。モーターならではのレスポンシブでシームレスな加速フィールも気持ちがよい。さらにコーナリングでは、リアモーターで積極的に後輪の左右の駆動力に差をつけるとともに、4輪操舵機構や電子制御デバイスを駆使することで、クイックな回頭性を実現しているのもポイントだ。

 

クロスオーバーの2.5リッター自然吸気エンジンにTHSを組み合わせた他グレードとは別物で、大柄でけっして軽くないクルマでありながら、加減速もハンドリングがとても俊敏に仕上がっている。そのあたり、FFベースになってつまらなくなったとは言わせたくないという開発陣の意地を感じる。スタイリッシュなルックスだけでなく、走りのほうも鮮烈な仕上がりだ。

 

【その4】最新CVTの実力、いい感じ

スバル

WRX S4

おすすめグレード:sport R EX

もとはモータースポーツ由来だった「WRX」が、時代の流れで今では高性能ロードゴーイングカーという位置づけに。本稿執筆時点では3ペダルのMTを積む「WRX STI」の販売が終了し、将来的にもラインアップされるかどうかわからない。しかし、2ペダルの「WRX S4」はしっかり進化している。

 

275PSと375Nmを発揮する2.4リッター直噴ターボのFA24型に、「スバルパフォーマンストランスミッション」と呼ぶ最新のCVTが組み合わされるのだが、これがなかなかのもの。駆動力の伝達にかかるタイムラグが払拭されているほか、従来とは比べものにならないほどダイレクト感があり、マニュアルシフト時のシフトチェンジも驚くほど素早い。エンジン回転が先に上昇して、あとから加速がついてくる感覚もほとんど気にならない。

 

さらにはリアよりに駆動力を配分するVTD-AWDも効いて、小さな舵角のままコーナーをスムーズに立ち上がっていけるのも、WRX S4ならでは。2グレードあるうち、44万円(税込)高い「STI Sport R」は、「GT-H」に対して装備が充実しているのに加えて、走りの面ではZF製の電子制御ダンパーが与えられるほか、SIドライブではなく、より細かく設定できるドライブモードセレクトが搭載されるのが大きな違いとなる。

 

【その5】サーキットのちょい乗りだけでもう惚れてます

日産

フェアレディZ

おすすめグレード:バージョンST

この往年の雄姿を思い出すスタイリングを目にしただけで、乗りたくてたまらない気持ちになる。実のところ本稿執筆時点では筆者はサーキットでちょっとだけ乗った程度なのだが、見た目の魅力はもちろん、400PSオーバーを誇るV6ターボエンジンの刺激的なパフォーマンスや、全面的に見直したという洗練されたシャシーチューニングにより、かなり走りもよさそうな雰囲気がヒシヒシと伝わってきた。だからこそ、もう一度乗りたくてうずうずしているところです……(笑)。

 

 

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ミニバン2トップ買うならどっち? フルモデルチェンジした「ノア/ヴォクシー」と「ステップワゴン」をプロが“買いたい度”でジャッジ!

1月にトヨタの「ノア/ヴォクシー」、4月にはホンダの「ステップワゴン」がフルモデルチェンジし、絶好調だ。小さい子どもの父親でもあるモータージャーナリストが両車をジャッジ。どちらのモデルに心惹かれるのか?

※こちらは「GetNavi」 2022年12月号に掲載された記事を再編集したものです

 

KEY TREND ≪ミニバン復権≫

家族ドライブ……その象徴であるミニバンの代表的モデルが揃ってモデルチェンジし、いずれも好調だ。世界的にSUV活況のなかでミニバンが依然人気なのは、日本特有の傾向と言える。

 

私がジャッジしました!

モータージャーナリスト

岡本幸一郎さん

幼い子どものためにミニバン購入を検討中のモータージャーナリスト。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

 

【エントリーNo.1】持ち前の強みを生かしながらすべてをアップデート

■ノア

■ヴォクシー

トヨタ

ノア/ヴォクシー

267万円〜396万円(税込)

トヨタのミドルクラスミニバンが8年ぶりにフルモデルチェンジ。広い室内空間や、より快適・便利に使える装備や進化した安全運転支援技術が人気を集めている。発売後4か月で両車合わせて約15万台を受注するほどの爆売れモデルに。

SPEC●【ノア ハイブリッドS-Z 2WD】●全長×全幅×全高:4695×1730×1895mm●車両重量:1670kg●パワーユニット:1797cc直列4気筒+モーター●最高出力:98PS(72kW)[95PS(70kW)]/5200rpm●最大トルク:14.5kg-m(142Nm)[18.9kg-m(185Nm)]/3600rpm●WLTCモード燃費:23.0km/L

●[ ]内はモーターの数値

 

【エントリーNo.2】デザインが激変し、見ても乗ってもやさしいクルマに

■ステップワゴン AIR

■ステップワゴン SPADA

ホンダ

ステップワゴン

299万8600円〜384万6700円(税込)

初代ステップワゴンが登場してから26年。4月にデビューした6代目は初代へのオマージュを込め、直線を生かしたクールなデザインに変化。AIRとSPADAの2ラインが用意され、外装をはじめインテリアの装備も異なっている。

SPEC●【e:HEV AIR】●全長×全幅×全高:4800×1750×1840mm●車両重量:1810kg●総排気量:1993cc●パワーユニット:直列4気筒DOHC+電気モーター●最高出力:145[184]PS/6200[5000〜6000]rpm●最大トルク:17.8[32.1]kg-m/3500[0〜2000]rpm●WLTCモード燃費:20.0km/L

●[ ]内はモーターの数値

 

見た目だけでなく作りもしっかり確認することが重要

人気の高いMクラスミニバンを代表する2台が今年、偶然にもほぼ同時期にモデルチェンジした。さらには日産の「セレナ」も、というウワサもあるが、まずはこの2台、色々と対照的で実に興味深い。

 

デザインテイストがまったく異なるのは見ての通りで、キープコンセプトのノア/ヴォクシーに対し、ステップワゴンはガラリと変わった。コワモテが好まれる時代に一石を投じるやさしい雰囲気に、共感する声も多いようだ。

 

一方の中身は、ステップワゴンがプラットフォームやパワートレーンをキャリーオーバーして大幅に“改良”したのに対し、ノア/ヴォクシーはTNGAの採用による“全面刷新”となる。両車ではハイブリッドの仕組みもまったく異なるが、ドライバビリティや燃費に優れる点では共通している。

 

ミニバンであれば車内の作りの違いも気になるところ。同じ3列シートを有する空間でも細かな装備や使い勝手は当然異なるため、それぞれ得意とする部分をチェックしてみるべきだろう。

 

購入検討の際は、買ってからどう使いたいのかを具体的にイメージしながら選んだほうが良い。

 

【ジャッジ1】デザイン……引き分け!

見た目の印象はまったく別物で好みがはっきり分かれそう

ノアを含めトヨタ勢は従来の路線を踏襲。ヴォクシーは薄めのライトとグリルによる派手な顔となったのに対し、ステップワゴンはシンプルでクリーンなデザインに一変。新設の「AIR」はそれがより顕著だ。引き分け。

 

■ノア/ヴォクシー

↑ヴォクシーは先鋭かつ独創的なスタイルを追求。怪しく光る特徴的な薄いフロントランプによって夜でもその存在感を強調している

 

■ステップワゴン

↑売れ筋のSPADAと比べても、AIRはよりクリーンでシンプルなデザインとされている。細いメッキモールがさりげなく施されている

 

【ジャッジ2】走り……ステップワゴン勝利!

ハイブリッドのメカニズムは異なるがどちらも良くできていて感心!

ノア/ヴォクシーのプラットフォームおよびパワートレーンは従来からの全面刷新。対してステップワゴンは従来のものをベースに大改良したもので、完成度の高さで一歩リードしている印象だ。ステップワゴンの勝ち!

 

■ノア/ヴォクシー

↑独自のシリーズパラレルハイブリッドの進化した最新版を搭載。後輪をモーターで駆動する「E-Four」が設定されたのも特徴だ

 

■ステップワゴン

↑モーター走行を中心に状況に応じ様々なドライブモードを使い分け、効率の良い走りを実現。クルーズ走行時はエンジンを直結する

 

【ジャッジ3】後席の居住性……ステップワゴン勝利!

ノア/ヴォクシーも十分だがステップワゴンが上回る

ノア/ヴォクシーも十分すぎるが、従来よりもサイズアップしたステップワゴンのほうが広さ感で上回る。乗り心地の良さも加味すべきポイントだ。ステップワゴンに軍配。

 

■ノア/ヴォクシー

↑7人乗り仕様の2列目シートがスゴい。横にスライドさせることなく745mmもの超広々とした足元空間を実現したことには驚くばかり

 

■ステップワゴン

↑3列目の着座位置を高くするとともに前方のシート形状を工夫することで開放的な視界を実現。乗り物酔いさせないための配慮も◎

 

【ジャッジ4】使い勝手……引き分け!

3列目シートを使わないときのしまい方は重要なポイント

3列目シートを使わないときに左右に跳ね上げるのか床下に収納するのかで、使い勝手はまったく違う。ただし、どちらも一長一短あるので優劣はつけられず。よって引き分け!

 

■ノア/ヴォクシー

↑両車ともパワーバックドアが設定。ノア/ヴォクシーは任意の角度で保持できる機構や、ボディサイドにもスイッチがあり重宝する

 

■ステップワゴン

↑3列目シートを床下に収納できるので、使わないときでも側面がスッキリとして広く使える。シンプルな操作で簡単にアレンジできる

 

【ジャッジ5】運転支援……ノア/ヴォクシー勝利!

両社の最新の装備を搭載現状ではトヨタがややリード

共に最新の機能は非常に充実していて、不足はない。その上でノア/ヴォクシーが条件付きでハンズオフドライブを可能とした点や、リモート駐車/出庫を可能とした点で優位だ。

 

■ノア/ヴォクシー

↑運転者が前を向いて眼を開いていることをドライバーモニターカメラで確認。ハンズオフが可能かどうか、システムが判断する

 

■ステップワゴン

↑ACCが渋滞追従機能付きへと進化。さらに、低速走行時に前走車に合わせて車間距離を保ちながら車線の中央付近を維持する機能も

 

【総合判定】私が買いたいのは……ステップワゴン

デザインや3列目シートの使い勝手はさておき、僅差だがステップワゴンが優位

どちらも完成度は十分に高く、買って後悔することはない。それを大前提にどちらか一方を選ぶとなると、わずかにステップワゴンに軍配だ。動力性能や燃費は互角だが、静粛性や乗り心地などの快適性や走りの上質な仕上がりには、乗るたび感心せずにいられないからだ。

 

 

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合弁会社「ソニー・ホンダモビリティ」がスタート。第一弾はエンタメ重視の高付加価値車

ソニーとホンダによる合弁会社「ソニー・ホンダモビリティ」が10月13日、新会社設立記者会見を開催し、新会社として今後の方向性や商品計画が明らかになりました。そこでは新会社として今後の方向性や商品計画などが説明され、両社による新たなモビリティがいよいよ動き出すことになったのです。

 

すべては2020年1月に登場した『VISION-S』がきっかけ

↑ソニーがEVコンセプトとして発表しているSUVの「VISION-S02」(左)と、「VISION-S01」(右)

 

振り返れば、ソニーがEVコンセプト『VISION-S』を発表して世間を驚かせたのが、2020年1月に米国ラスベガスで開催されたCES2020でのことでした。この時は予告なしで公開されたことに加え、そのあまりに高い完成度から「ソニーがEV(電気自動車)を発売するのか?」「日本版テスラになるのか」などと、騒然としたのを思い出します。

 

その後、ソニーはコロナ禍でオンライン開催となったCES2021で、欧州を舞台にテスト走行する映像を公開。VISION-Sが単なるモックアップでないことを映像を通して訴え、“ソニー製EV”の誕生への期待はますます高まったのでした。

 

そして、2022年1月、事態は大きく動きます。ソニーはその第二弾「VISION-S02」を発表し、その席上でソニーの吉田憲一郎CEOが2022年中にもEVの販売を検討する新会社「ソニーモビリティ」を設立すると宣言したのです。

↑2022年1月に開催されたCES2022では、ソニーの吉田憲一郎CEOが2台のEVコンセプト「VISION-S」を前に、ソニーとしてEVの市場投入計画を宣言した

 

そして3月、新たな発表が再び世間を騒がせました。なんとソニーとホンダが新たな合弁会社を2022年中に設立し、電気自動車(EV)の共同開発と販売、モビリティ向けサービスの提供について共同で事業化することを発表したのです。この瞬間、それまで噂ばかりが先行していた“ソニー発のEV”がいよいよ現実味を帯びることとなったのでした。

 

2025年前半にオンラインにて受注開始。デリバリーは翌2026年から

↑新会社設立の目的について、そのコンセプトについて説明したソニー・ホンダモビリティ代表取締役 会長 兼 CEOの水野泰秀氏

 

では、10月13日の新会社設立記者会見で明らかにされたのはどんな内容でしょうか。まず明らかにされたのは今後の行動計画です。それによると、ソニー・ホンダモビリティが第一弾車両を発表するのは2025年前半で、同時にオンラインでの受注を開始します。そして2026年春に北米でデリバリーを開始し、日本国内向けには2026年後半を予定。その先には欧州での展開も視野に入れているとのことでした。

 

生産はまず北米で行い、状況次第では日本での生産もあり得るとのことです。ただ、ソニー・ホンダモビリティはいわゆる企画会社であって、生産はすべて本田技研工業に委託する形となるため、本田技研工業の生産計画に左右されるとのことでした。

 

気になるのは発売される車両の概要でしょう。会見に登壇したソニー・ホンダモビリティの代表取締役会長兼CEOの水野泰秀氏は、「ソニーが培ってきたネットワーク技術やエンターテイメント性を備えたかつてない高付加価値のクルマ」であると説明しました。個人的には、ソニーでいえば“ウォークマン”的な、ホンダで言えば“HONDA e”的な、よりカジュアルなモビリティの誕生を期待していましたが、そうではないようです。

 

むしろ、エンターテイメント性に高付加価値を求めるのであれば、それこそソニーが提案してきた『VISION-S』シリーズがそれに近い形なのかもしれません。VISION-Sにはダッシュボードの左右いっぱいにビルトインされたディスプレイ、360リアリティオーディオを組み込んだシートが組み込まれていました。それはまさに“動くAVルーム”そのものです。

 

走行中でもエンタメが楽しめる自動運転レベル3に対応

↑第一弾は「ソニーのエンターテイメント性を加えた高付加価値のモビリティになる」と説明するソニー・ホンダモビリティ代表取締役 社長 兼 COOの川西泉氏

 

一方、ホンダには世界で初めて自動運転レベル3の認証を受けた技術があります。レベル3を実現していれば、渋滞中などの一定条件内の利用にはなりますが、運転中にディスプレイを凝視しても構わなくなります。つまり、この組み合わせこそがソニー・ホンダモビリティが目指す“高付加価値なモビリティ”の一つの形と言えるのではないでしょうか。

 

ソニー・ホンダモビリティの代表取締役社長兼COOの川西泉氏は、自動運転のレベル3やレベル2+についても言及し、その実現のために「800TOPS以上(1秒当たり800兆回以上)の演算性能を発揮する高性能SoC(System on Chip)を採用する」と説明していました。このスペックから自動運転の性能を推察するのは困難ですが、少なくとも言及する以上は相応の高性能を発揮する状態でリリースされるのは間違いないでしょう。

 

会見が終わり、あとは記念写真かと思った時、ステージ上のスクリーンに浮かび上がったのは「January 4, 2023 in Las Vegas」の文字。これは年が明けた1月4日より米国ラスベガスで開催される「CES 2023」を指していることは明らかです。これまでソニーはこのCESでVISION-S関連の重要な発表を行ってきただけに、おそらくソニー・ホンダモビリティによる第一弾が披露されるのかもしれません。そんな期待を抱かせ、この日の会見は終了しました。

 

「ソニーモビリティ」としての別の展開はあるのか?

↑会見終了後、改めて握手を交わして記念写真に応じた川西COO(左)と水野CEO(右)

 

ただ、会見で明らかにされていない件が残っています。それは2022年1月にソニーの吉田CEOが発表した「ソニーモビリティ」の具体的な行動計画に対する言及は一切なかったこと。実は3月に行われたホンダとの合弁会社設立発表の際、吉田CEOは「ソニーが提供するサービスのプラットフォームをホンダ車以外の自動車メーカーにも使ってもらうこと」と発言していました。これはもしかしたら、別ブランドでの展開も視野に入れているということなのでしょうか。

 

ただ、それでもソニーが独自に展開することはないでしょう。生産を委託するにせよ、家電メーカーが自動車の販売を独自に進めることはリスクが大き過ぎるからです。あくまでエンターテイメント性を極めたプラットフォームの提供だけにとどめ、いわゆる“Sony inside”みたいな展開が インフォテイメントシステムなどを通して発展していくのではないかと考えます。

 

このあたりを担当者に尋ねてみましたが、「現状では発表できるものは何もない」とのこと。もし、ソニーのプラットフォームがホンダ車以外で展開されるのであれば、個人的にはここでこそウォークマン的なモビリティを期待したいところです。いずれにしろ、まずは来年のCES2023での展開に注目していきたいと思います。

 

 

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特徴的な走りのハイブリッド車に試乗! ルノー「アルカナ E-TECH」とホンダ「シビック e:HEV」独自の魅力に迫る

気になる新車を一気乗り! ハイブリッド車は高い燃費性能など経済性のメリットに注目が集まるが、今回の「NEW VEHICLE REPORT」で紹介するルノー・アルカナ E-TECHとホンダ・シビック e:HEVは、走りのキャラクターも特徴的。かつてはF1でしのぎを削っていた両ブランド最新作の、その独自の魅力は何か?

※こちらは「GetNavi」 2022年10月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【その1】F1譲りのハイブリッド技術で独自の走りが楽しめる!

【ハイブリッド】

ルノー

アルカナ E-TECHハイブリッド

SPEC●全長×全幅×全高:4570×1820×1580mm●車両重量:1470kg●総排気量:1597cc●パワーユニット:直列4気筒DOHC+電気モーター●最高出力:94[49/20]PS/5600rpm●最大トルク:15.1[20.9/5.1]kg-m/3600rpm●WLTCモード燃費:22.8km/L

●[ ]内はモーターの数値

 

ドグミッションの採用でダイレクトな走りを実現

F1では速さ、市販車では燃費が追求されるハイブリッド技術だが、高度なエネルギー制御が要求される点は同じ。ルノーによれば、E-TECHにはF1で得られたノウハウが惜しみなく投入されている。また、機構面で要注目なのは、トランスミッションに同じくモータースポーツではお馴染みの、ドグミッション(※)を組み合わせていること。軽量&コンパクトで高効率化にも有効な反面、快適性に難があるため市販車では敬遠されてきた構造だが、E-TECHでは電気モーターを駆使してシフトショックなどを排除。ATらしい洗練された変速を実現した。

※:通常のマニュアルミッション(シンクロミッション)と違ってクラッチを切らずにシフトアップ&ダウンが可能になるシステム。シフトチェンジの速さが魅力で、モータースポーツではよく使われている。デメリットには、シフトショックが大きい、音が大きいなどがある

 

その走りはアクセル操作に対するダイレクトな反応が印象的で、スポーティと評しても差し支えない軽快な身のこなしだ。カタログ上では若干控えめな燃費も、実際には市街地で20km/L近く、高速では23km/L以上をマーク。国産勢とはひと味違う個性派ハイブリッド車として、魅力的な選択肢であることは間違いない。

 

[Point 1]最新モデルらしいインターフェイス

画像化されたメーターや、7インチタッチスクリーンが備わるセンター部など、インパネ回りはハイブリッドらしい作り。運転支援系の装備も充実している。

 

[Point 2]SUVらしい使い勝手

室内は前後席ともに十分な広さ。前席にはシートヒーターも装備される。荷室容量もフランス車らしく、通常時で480Lと余裕たっぷりだ。

 

[Point 3]E-TECHは選択肢が拡大中

走りは意外なほどスポーティな味付け。アルカナはE-TECH仕様(429万円)のみだが、日本向けルノー車ではすでにルーテシアにも設定済み。

 

[Point 4]E-TECHは軽量&コンパクト

E-TECHは、1.6Lガソリン+2モーターにドグミッションを組み合わせ、本格派ハイブリッドながら軽量&コンパクト化を実現。幅広い車種に対応している。

 

 

【その2】実感するのは“デジタル時代のスポーティ”!

【ハイブリッド】

ホンダ

シビック e:HEV

SPEC●全長×全幅×全高:4550×1800×1415mm●車両重量:1460kg●総排気量:1993cc●パワーユニット:直列4気筒DOHC+電気モーター●最高出力:141[184]PS/6000[5000〜6000]rpm●最大トルク:18.6[32.1]kg-m/4500[0〜2000]rpm●WLTCモード燃費:24.2km/L

●[ ]内はモーターの数値

 

センスの良さを感じさせる「音」と「視覚」のチューニング

昨年、先行発売されたガソリン仕様もスポーティな味付けで話題を呼んだシビックだが、新たに追加されたe:HEVも乗る人を楽しませるハイブリッド車に仕上げられている。その構成は、2Lガソリンエンジン+2モーター内蔵電気式CVTという組み合わせで、カタログ上の燃費は24.2km/L。その大柄なボディサイズを思えば、最新エコカーに相応しい“少食”ぶりを実現している。

 

だが、その真価は積極的に操った際のほうが実感しやすい。まず、効率最優先のハイブリッド車ではエンジンの情緒など二の次というのが相場だが、2L直噴ユニットは回そうという気にさせる仕上がり。これには車内のスピーカーから軽快感などを演出する音を付加するASC(アクティブサウンドコントロール)、加減速時の見え方まで吟味したパワーメーターの貢献度も高い。お見事なのは、それらの演出が単なる“ガソリン車風”ではなく、適度なデジタルテイストに調律されていること。

 

それを受け止めるシャーシも、積極的な走りに応える仕上がりだ。入力に対して正確に反応する操縦性、堅牢なボディはスポーティなセダンとして通用する水準にある。その点では、経済性と趣味性を両立したいオトナのクルマ好きにも狙い目な1台と言えそうだ。

 

[Point 1]電動車らしさは視覚面で演出

インパネ回りは、ガソリン車のタコメーター風にも動くパワーメーター、センターディスプレイのパワーフロー表示。ハイブリッドらしさを演出する。

 

[Point 2]スポーティにして実用的な仕立て

室内の使い勝手は、ハイブリッド版でもガソリン仕様と同等。前後席は、ミドル級セダンとして十分に実用的な広さ。荷室容量は後席を使用する通常時でも404Lを確保する。

 

[Point 3]e:HEVの主張は最小限

まもなく発売されるスポーツ仕様、タイプRは専用ボディを採用するが、e:HEVの外観は基本的にガソリン仕様と同じ。モノグレードで価格は394万200円。

 

[Point 4]高効率ぶりは最強レベル

2L直噴エンジンは、新長期規制に対応する環境性能の高さと一層の高効率化、静粛性の向上など、全方位的に進化している。最大熱効率は41%に達する。

 

文/小野泰治 撮影/市 健治、宮越孝政

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ホンダ「シビック e:HEV」で“デジタル時代のスポーティ”を実感する!

気になる新車を一気乗り! ハイブリッド車は高い燃費性能など経済性のメリットに注目が集まる。今回の「NEW VEHICLE REPORT」ではホンダ・シビック e:HEVを紹介。走りのキャラクターも特徴的な魅力に迫る。

※こちらは「GetNavi」 2022年10月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

実感するのは“デジタル時代のスポーティ”!

【ハイブリッド】

ホンダ

シビック e:HEV

SPEC●全長×全幅×全高:4550×1800×1415mm●車両重量:1460kg●総排気量:1993cc●パワーユニット:直列4気筒DOHC+電気モーター●最高出力:141[184]PS/6000[5000〜6000]rpm●最大トルク:18.6[32.1]kg-m/4500[0〜2000]rpm●WLTCモード燃費:24.2km/L

●[ ]内はモーターの数値

 

センスの良さを感じさせる「音」と「視覚」のチューニング

昨年、先行発売されたガソリン仕様もスポーティな味付けで話題を呼んだシビックだが、新たに追加されたe:HEVも乗る人を楽しませるハイブリッド車に仕上げられている。その構成は、2Lガソリンエンジン+2モーター内蔵電気式CVTという組み合わせで、カタログ上の燃費は24.2km/L。その大柄なボディサイズを思えば、最新エコカーに相応しい“少食”ぶりを実現している。

 

だが、その真価は積極的に操った際のほうが実感しやすい。まず、効率最優先のハイブリッド車ではエンジンの情緒など二の次というのが相場だが、2L直噴ユニットは回そうという気にさせる仕上がり。これには車内のスピーカーから軽快感などを演出する音を付加するASC(アクティブサウンドコントロール)、加減速時の見え方まで吟味したパワーメーターの貢献度も高い。お見事なのは、それらの演出が単なる“ガソリン車風”ではなく、適度なデジタルテイストに調律されていること。

 

それを受け止めるシャーシも、積極的な走りに応える仕上がりだ。入力に対して正確に反応する操縦性、堅牢なボディはスポーティなセダンとして通用する水準にある。その点では、経済性と趣味性を両立したいオトナのクルマ好きにも狙い目な1台と言えそうだ。

 

[Point 1]電動車らしさは視覚面で演出

インパネ回りは、ガソリン車のタコメーター風にも動くパワーメーター、センターディスプレイのパワーフロー表示。ハイブリッドらしさを演出する。

 

[Point 2]スポーティにして実用的な仕立て

室内の使い勝手は、ハイブリッド版でもガソリン仕様と同等。前後席は、ミドル級セダンとして十分に実用的な広さ。荷室容量は後席を使用する通常時でも404Lを確保する。

 

[Point 3]e:HEVの主張は最小限

まもなく発売されるスポーツ仕様、タイプRは専用ボディを採用するが、e:HEVの外観は基本的にガソリン仕様と同じ。モノグレードで価格は394万200円。

 

[Point 4]高効率ぶりは最強レベル

2L直噴エンジンは、新長期規制に対応する環境性能の高さと一層の高効率化、静粛性の向上など、全方位的に進化している。最大熱効率は41%に達する。

 

文/小野泰治 撮影/市 健治、宮越孝政

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従来のハイブリッド車の概念を超えた!ホンダ11代目「シビック」の爽快な走りを体験

シビックが誕生して50年。6MTをラインナップに揃えるなど、スポーティな走りが改めて注目されるホンダ『シビック』に、ハイブリッドシステム「e:HEV」が追加されました。コンセプトは“爽快スポーツe:HEV”。進化したシビックの新時代の走りを体験してきました。

 

【今回紹介するクルマ】

ホンダ/シビック

※試乗グレード:e:HEV

価格:319万円~394万200円(税込)

↑“爽快スポーツe:HEV”としてデビューした11代目シビック。新開発2リッター4気筒直噴エンジンを踏み合わせたe:HEVとした

 

環境にも優しく、走りにも優れた新世代「e:HEV」

シビックが誕生したのは1972年、ホンダの4輪車の中で最も長い歴史を持ちます。この年は世界的に大気汚染が重要課題となった時期とも重なり、自動車メーカーはその対応が求められていました。特に米国で施行された排出ガス規制(いわゆる)「マスキー法」への対応は世界でもっとも厳しく、それに対応できないメーカーが続出したのです。

 

そんな中でホンダはこれをクリアするCVCCエンジンを開発。環境に取り組むメーカーとして一躍注目を浴びるようになりました。その上で人を中心に考えたパッケージングや走り、省エネルギーを高次元で両立させたことでビジネスとしても成功を収めることになります。以来、シビックはその意味で「市民」に広く浸透し、歴代のシリーズ販売台数は2700万台にも及びます。これは名実ともに日本を代表する自動車の一つといっても過言ではないでしょう。

 

11代目となる現行シビックは2021年9月に登場しました。日本市場にはハッチバックのみの投入となりましたが、フロントからリアエンドまで流れるようなデザインは、走りを一段と意識させるアグレッシブさに富んだものとなっていました。特に最初に投入されたターボ付き1.5リッター・ガソリン車は、そのデザインから受ける期待を裏切らないスポーティな走りを見せ、シビック本来の姿を取り戻したことを強く印象づけるものでした。

 

そして2022年6月、その走りに環境性能も高めたホンダ独自の「e:HEV」がラインナップに追加されたのです。このシステムに組み合わされるエンジンは新開発の2リッター直4直噴ユニットで、ここには燃料をシリンダー内に直接噴射する直噴システムを新たに採用。燃料を無駄なく燃焼させることが可能となり、従来型e:HEV用2.0Lエンジンを上回る高トルク化と、エンジンモードでの走行可能領域拡大を実現したのです。

↑シリーズパラレス型ハイブリッドとした新型シビック「e:HEV」

 

↑日本市場にはハッチバック型のみが展開される

 

このエンジンは、燃焼の高効率化も図られ、その数値は世界トップレベルの約41%もの熱効率を実現。同時に燃料の直噴化によってトルクと燃費性能を向上させています。

 

ハイブリッド方式は、発電用、駆動用の2つのモーターを備えるものです。街中などの低速域ではエンジンが発電用モーターの原動力としてその役割を果たし、高速域になるとエンジンと車輪が直結して駆動するよう切り替わります。つまり、ハイブリッド方式を状況に応じて最適な切り替えを行うシリーズパラレス式としたのです。

 

ここまでのスペックから推察して、最初は「結局、新型シビックは燃費重視の環境車なの?」と想像しました。しかし、それは走って的外れだったことがすぐにわかりました。試乗コースとして設定されたのは八ヶ岳周辺のワインでイングロード。新型シビックはそこで想像以上に爽快で楽しい走りを見せてくれたのです。

 

小気味よいステップ感で従来のHEVとは明らかな違いを実感

アクセルを軽く踏むと、それだけで力強いトルクを伴いながらスムーズにクルマを前へ走らせます。そしてアクセルをグッと踏み込むと動きは一変。エンジンの回転が先行するハイブリッド車らしさはまったく感じられず、まるで変速機でもあるかのような小気味よいステップ感を伝えながらグイグイ加速していったのです。特に興味深いのはこのステップ感で、実はこの効果はエンジン制御によって生み出されていました。

 

ホンダはこれまでもe:HEVでハイブリッド特有の、エンジンの回転が先行する違和感を抑えてきました。シビックに搭載した新エンジンでは、高回転までエンジンを回した際、燃料と点火を一旦カットし、回転が落ちたところで再びエンジンを回し始める新機構を採用。この制御をすることで、むしろターボ付き1.5リッター・ガソリン車よりもメリハリのある動作を実現することになったのです。ここにシビック本来のスポーティさを“復権”しようとする開発陣の意気込みが伝わってきますね。

↑パワーユニットは新開発の2リッター直4直噴エンジンを組み合わせた「e:HEV」とした

 

半端ない静粛レベルにも驚きました。実はフロントスピーカーからはノイズと逆位相の音を出すノイズキャンセラーが組み込まれており、これが走行中のノイズを聞こえにくくしているのです。しかも、スポーツモードにするとアクティブサウンドコントロールが作動して、パワーの高まりと共に電子音を発生させます。その効果も自然で嫌みがない。このあたりのチューニングもスポーティさを志すシビックらしい仕掛けとも言えるでしょう。

 

ステアリング制御は電動パワーステアリング(EPS)によるもので、適度な重さを伴いながら切っただけ曲がっていく感じ。これも自然で扱いやすいものです。ステアリングにはパドルレバーが装着され、マイナス側を操作することで回生ブレーキも段階的に高まり、その減速Gもわかりやすく表現されていました。この機能は特にワインディングではメリットを実感すると思います。

↑シビック「e:HEV」にはハイブリッド車系に採用する電気式無段変速機が組み合わされる

 

試乗当日は雨にたたられましたが、ほどよく固められた足回りとの相性も良く、ワインディングを気持ち良く駆け抜けることができました。若干、段差を乗り越えたときのバタツキ感が気になりましたが、それでもハイブリッド化による重量増が効いているのか、ガソリン車よりも突き上げ感はしっかり抑えられているように思いました。

 

広々とした視界と安全性にも寄与するHMIが使いやすい

インテリアは、低いフロントフードとあいまって広々とした視界を生み、爽快な気分にさせてくれる仕様です。聞けば、Aピラーの位置を50mmほど後ろへ下げたことで水平視界がグッと広がったんだそうです。近年はADASとしても交差点で歩行者を含むセンシングが重視されていますが、こうした車体設計から安全性が高める姿勢は評価したいと思います。

 

ダッシュボードには広がり感を強調するパンチングメタルのエアコンアウトレットを採用しています。これはクリーンな見え方と優れた配風性能を両立させた新開発のフィン構造を内蔵したもので、空調の最適化も同時に図っているとのこと。車内は長時間にわたって過ごすことも少なからずあるわけで、こうした配慮も新型シビックの爽快さを実感できるポイントの一つと言えるでしょう。

↑低いダッシュボードと後ろへ50mmずらしたAピラーとも相まって広々とした視界を実現した

 

また、ホンダのHMIの考え方である「直感操作・瞬間認知」を追求し、10.2インチのフルグラフィックメーターを採用しました。メーターの左半分にオーディオなどのインフォテインメントの情報を、右半分にはHonda SENSINGやナビなどの運転支援情報などをそれぞれ表示します。ステアリングスイッチの位置と同様の左右配置とすることで、直観的な操作を可能としているのが特徴です。

↑運転席シートは余裕のあるサイズで長時間座っていても疲れにくそうだ

 

↑ニースペースに余裕があり、後席も大人がゆっくり座れる。運転席シートにシートバックポケットがないのは残念

 

↑後席はシートバックの高さにも余裕があり、大人二人がゆったりとくつろげる

 

さらに新世代コネクテッド技術を搭載した車載通信モジュール「Honda CONNECT(ホンダコネクト)」も搭載します。スマホでドアロック解除やエンジン始動を含む「ホンダ・デジタルキー」などが利用できるコネクテッドサービス「ホンダ トータルケア プレミアム」にも対応しました。ガソリン車のEXとe:HEVには「BOSEプレミアムサウンドシステム」が搭載されているのも見逃せません。

↑サブウーファーを含む全12スピーカーを組み合わせるBOSEプレミアムサウンドシステム

 

試乗したシビックe:HEVは、従来のハイブリッド車の概念を根底から覆すクルマとして仕上がりました。その手法は少し人工的ではありますが、乗ってみればそのコンセプトを裏切らない爽快さを実感させてくれるはず。11代目シビックはスペック以上に、期待を裏切らないクルマに仕上がっていたと断言できます。ぜひ、試乗してみることをおすすめします。

 

SPEC【e:HEV】●全長×全幅×全高:4550×1800×1415mm●車両重量:1460kg●パワーユニット:2.0L直4 DOHC 16バルブ●最高出力:104kW[141PS]/6000rpm(135kW[184PS]/5000〜6000rpm)●最大トルク:182N・m[18.6kgf・m]/4500rpm(315N・m[32.1kgf・m]/0〜2000rpm)●WLTCモード燃費:24.2km/L

※()内は電動機(モーター)の数値。

 

 

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プロが選んだ「ヒット確定モノ」はコレ! 2022年下半期NEXTトレンド予報「乗り物・レジャー」11選

Withコロナがすっかり定着し、新しいライフスタイルが生まれゆくなか、さて、2022年下半期はどうなっていく……? これから流行る「ヒット確定モノ」を、「乗り物」「レジャー」のプロたちに断言してもらった。

※こちらは「GetNavi」2022年9月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

その1【SAKURA】先進技術を搭載しつつ、日常使いも重視した注目の軽EV

 

モノ知りインフルエンサー

本誌乗り物担当

上岡 篤

クルマだけでなく鉄道や飛行機(旅客機)好き。久しぶりに運航するANAのホノルル線、A380に乗りたい!

 

セカンドカーのニーズを取り込み早くも2万台の受注を突破(上岡)

【軽EV】

2022年6月発売

日産

SAKURA

239万9100円~294万300円

日産が開発し三菱が生産する同車は先進的な内外装を備え、最新世代のEVであることを強調。180kmという航続距離は、軽ユーザーの半数以上の走行距離が1日30km以下という調査も含めて決定したという。ガソリン車からの買い替えに加えて“2台目需要”にも応える。

 

↑先進安全装備も充実。自動的に車間を維持し、ハンドル操作も支援する「プロパイロット」を「G」に標準装備する

 

↑内外装には和モダンといえる要素も採用。日本伝統の水引からインスピレーションを受けたアルミホイールの意匠もそのひとつだ

 

↑9インチのナビモニター、7インチのメーターディスプレイを水平配置することで、先進性を強調。「G」にはカッパー加飾を備える

 

ヒットアナリティクス

期待が高い軽への導入で受注数は想定以上に

EVはこれまで航続距離アップが各社の狙いだったが、SAKURAは軽自動車規格ならではの航続距離に割り切ったことがプラスに。補助金を加味すれば「EVってこんな価格で買えるの?」という割安感も大きな魅力だ。都市部だけではなく地方でも普及する要素は大!

 

その2【ダックス125】レトロモダンスタイルが時代にマッチ

 

モノ知りインフルエンサー

トラベルライター

中島 亮さん

旅にまつわるエトセトラについて各種メディアに寄稿。ホンダの単気筒ばかり10台ほど乗り継いできた単車好き。

 

世界で愛された名車が時を経て令和に復活(中島)

【レジャーバイク】

2022年9月発売予定

ホンダ

ダックス125

44万円

1969年にデビューして一世を風靡した、ホンダ ダックスを現代風にアレンジ。モンキー125、スーパーカブC125、CT125・ハンターカブと、立て続けにヒットを連発している原付二種レジャーバイクの真打として注目されている。タンデムOKというのもポイント。

 

↑空冷単気筒エンジンに、4速トランスミッションを組み合わせる。クラッチ操作は不要で初心者も安心

 

↑視認性に優れた液晶タイプのメーター。ヘッドライトと同じ、クロムメッキのモールでデザインの統一感を出している

 

ヒットアナリティクス

オヤジには懐かしく若者には新鮮なデザイン

維持費が安く、原付(50cc以下)のような法的制限を受けず、取り回しがラクで、パワーは必要十分。125ccの原付二種は最強のシティコミューターだ。デザイン面の評価はもちろん、再構築するにあたって最新技術を駆使。発売開始後は、納車まで数か月待ちとなるだろう。

 

その3【ストリーモ】“安心感”を追求した電動マイクロモビリティの新機軸

 

モノ知りインフルエンサー

本誌乗り物担当

上岡 篤

 

乗り物の大前提となる“安心感”に真正面から取り組んだ意欲作(上岡)

【電動マイクロモビリティ】

2022年6月発売(一次抽選販売受付開始)

ストリーモ

Striemo Japan Launch Edition限定モデル

26万円

独自開発した「バランスアシストシステム」の搭載により、極低速から快適な速度までいずれの速度域でも安定した走行を実現。“安心感”を追求することで乗り物としての楽しさを感じられる次世代型電動モビリティだ。

 

↑前輪1輪+後輪2輪の3輪構成も安定感を支える要因。段差や傾斜のある路面でもふらつかず、バランスを崩す不安がないのが魅力だ

 

↑重量は約20kg、W480×H1180×L1090mmで持ち運びできる折りたたみ式。約3時間30分のフル充電で30km(郊外実測値)走行できる(※スペックはプロトタイプのため製品版では変更になる可能性あり)

 

ヒットアナリティクス

ホンダ発のベンチャーで信頼度はとても高い

電動キックボードは都市部で利用する人が増えましたが、これまで“このメーカーって大丈夫?”という場合もチラホラ。ストリーモはホンダの社内起業制度「IGNITION」からスタートアップした企業の製品で、製品の信頼度は高い。3輪にしたのも安全面から見て正解。

 

その4【富士モータースポーツミュージアム】情熱に彩られたモータースポーツの歴史を辿る

 

モノ知りインフルエンサー

トラベルライター

吉原 徹さん

ライター/編集者として、国内外の旅とアウトドアを主なテーマに活動。そろそろ海外取材にも行きたい!

 

世界のラリーや耐久レースで活躍した憧れのレーシングカーが揃い踏み(吉原)

【ミュージアム】

2022年10月オープン

富士モータースポーツミュージアム

同時開業のホテルと融合した空間に、世界のメーカーが手がけた歴代のレーシングカー約40台を展示。各時代を象徴する名車を鑑賞しながら、約130年にわたるモータースポーツの歴史に触れられる。

(住)静岡県駿東郡小山町大御神645

 

↑サーキットに隣接する「富士スピードウェイホテル」も同時開業。一部の客室からはレース観戦もできる

 

↑レーシングカーのほか、技術展示も予定。3階のカフェからは富士スピードウェイの最終コーナーを見られる

 

ヒットアナリティクス

クルマ好きの聖地となる一大リゾートへと進化中!

10月7日開業予定のミュージアムやホテルは、国際サーキット場の富士スピードウェイを中核とする「富士モータースポーツフォレスト」プロジェクトの一環。来年以降もレーシングチームガレージ、レストラン等の商業施設がオープン予定で、さらに注目が集まるだろう。

 

その5【どこかにマイル】国内旅行に脚光が集まるいまこそ積極利用したい!

 

モノ知りインフルエンサー

トラベルライター

中島 亮さん

 

まだ見ぬ日本の魅力を発見するチャンスがある(中島)

【特典航空券】

2016年12月スタート

JAL

どこかにマイル

JALのマイルを国内線の特典航空券に交換するには、往復12000マイル以上が必要だが、これは半分の6000マイルでOK。行先はJALが提案する4つの候補地から決まり、旅先がわからないワクワク感も醍醐味だ。

 

(C) 日本航空

 

↑友人同士で同時に申込可能。出発・到着日時は4~6つの時間帯から選択でき、申込から3日以内に行先決定の通知がくる。HPに観光情報も掲載

 

ヒットアナリティクス

思いがけない場所へ新たな出会いに期待!!

実は、このサービスは5年以上前から実施されている。ただ、コロナ禍を経た現在、円安や燃油サーチャージの高騰などで国内旅行が見直されている現在こそ注目を集めている。まだ出会ったことのない風景や文化に触れるチャンスでもあり、利用者が増えると予想。

 

その6【星野リゾート】2022年の新規開業は10施設!

 

モノ知りインフルエンサー

トラベルライター

加藤 愛さん

旅の編集・ライター歴19年。地酒や温泉を求め全国各地を訪れる。テーマパーク取材後は万歩計チェックが毎度の楽しみ。

 

季節とともに移り変わる棚田の風景と温泉に癒やされる(加藤)

【宿泊施設】

2022年8月開業

界 由布院

1泊2食3万5000円~(1室2名利用時の1名ぶん)

星野リゾートの温泉旅館ブランド「界」の20施設目として、由布院温泉にオープン。“棚田暦で憩う宿”をコンセプトとし、宿の中心には棚田を一望できる「棚田テラス」を設ける。由布岳に面した開放的な露天風呂も魅力。

 

↑「蛍かご」から着想を得た照明を全室に設置。ヘッドボードやソファには大分名産の竹を取り入れている

 

こちらもCHECK!

↑11月に開業予定の「界 雲仙」。ステンドグラスを施した大浴場など意匠にもこだわる

 

ヒットアナリティクス

多様なニーズに応えるブランド展開が見事

星野リゾートは国内外に62施設を展開。「界」ブランドは今年、由布院に加えて1月にポロト、11月に雲仙と出雲が開業。同社が手がけるホテル「OMO」は4月に大阪、5月に金沢、そして7月には沖縄に「BEB」とオープンが相次ぎ、旅行需要の高まりとともに注目を集めそう。

 

その7【BEACHTOWN 日比谷公園】新しいカタチの都市型スポーツコミュニティ

 

モノ知りインフルエンサー

トラベルライター

中島 亮さん

 

自然と調和し心身が健やかになるサービスが充実(中島)

【フィットネス施設】

2022年6月オープン

BEACHTOWN 日比谷公園

プログラム利用3300円~

日比谷公園内にある建物のフロアをリノベーション。公園の緑を眺めながら取り組むヨガを中心としたスタジオプログラムを軸に、屋外でのランやウォーキング、郊外でのアウトドアプログラムなど月間150レッスン以上を提供する。

(問)050-3177-5403
(住)東京都千代田区日比谷公園1-5 緑と水の市民カレッジ2F

 

↑公園の森に囲まれたヨガスタジオ。風や鳥のさえずりなど自然を感じることができる。平日は7時~営業

 

↑スタンドアップパドルボードで水面を進むSUPなどアウトドアツアーも人気。プロガイド付きで初心者も安心

 

ヒットアナリティクス

人と自然にふれあい楽しく健康になれる

コロナ禍により人と人の関わり方が変容。テレワークなどで仕事上の人間関係が希薄になった反面、休日は同好の士で集まり過ごすことを求める人が増えている。そのニーズに、さらに「健康」「自然」という多くの人が求めるキーワードをかけ合わせことでヒットにつながりそう。

 

その8【FUJIYAMAスライダー】全長120m、高低差55mを一気に滑降! 速すぎる&怖すぎるすべり台が爆誕

 

モノ知りインフルエンサー

本誌レジャー担当

金子麻衣子

旅行ガイドブックの編集・執筆をしていたこともあり、旅行好き。子どもが大きくなったら、趣味のひとり旅を再開したい!

 

絶景の感動から絶叫の滑降へ日本最長で最恐のすべり台(金子)

【アトラクション】

2022年7月オープン

富士急ハイランド

FUJIYAMAスライダー

利用料800円~(シーズンにより異なる)

富士山を望む地上55mの展望デッキから全長120mのコースを急降下する日本最長のチューブ型スライダー(※同社調べ)。先が見えない真っ暗なスライダーを専用のスライディングマットに乗って滑降する20秒間には、絶叫コースターとは異なるスリルが。

(問)0555-23-2111
(住)山梨県富士吉田市新西原5-6-1

 

↑昨年夏に誕生した「FUJIYAMAタワー」の最上部に位置する展望デッキから真っ暗なコースを一気に滑降する

 

ヒットアナリティクス

“絶叫の殿堂”に現れた新感覚のアクティビティ

「FUJIYAMA」や「高飛車」からホラーハウス「戦慄迷宮」まで、絶叫アトラクションの多彩なバリエーションこそが富士急ハイランドの魅力。そこに「FUJIYAMAスライダー」という新感覚のすべり台が加わったことは、全国の“絶叫ファン”を呼び込むきっかけになるはず!

 

その9【東急歌舞伎町タワー】歌舞伎町の新たなランドマークとなる超高層エンタメビル

 

モノ知りインフルエンサー

トラベルライター

吉原 徹さん

 

東京カルチャーの新たな発信地として大ブレイクの予感!(吉岡)

【複合施設】

2023年1月竣工予定

東急歌舞伎町タワー

歌舞伎町の新宿ミラノ座跡地に高さ225m、噴水をモチーフとした新たなシンボルが誕生。地上48階・地下5階建ての超高層複合施設には、17~47階に開業する2つのホテルのほか、9・10階の映画館、6~8階の劇場、地下1~4階のライブホールといった施設が揃う。国内最大級となるホテル&エンタメ複合施設として注目を集めること間違いなし!

(住)東京都新宿区歌舞伎町1-29-1・3

 

↑新宿ミラノ座の名を継承する総席数900席規模の劇場「THEATER MILANO-Za」

 

↑39~47階にはラグジュアリーホテル「BELLUSTAR TOKYO」が開業。45~47階には都内を一望できるレストランもオープン

 

ヒットアナリティクス

インバウンドの再開もヒットを後押しする要因に

東急歌舞伎町タワーの開業に合わせて隣接するシネシティ広場周辺の再開発も進行しており、空港連絡バスの乗降場なども整備される予定。“アジア最大級の歓楽街”として世界的にも人気が高い歌舞伎町の新たなシンボルとして、多くの外国人旅行者が訪れることも予想される。

 

その10【横浜マリンタワー】横浜のシンボルが今秋リニューアルオープン!

 

モノ知りインフルエンサー

本誌レジャー担当

金子麻衣子

 

歴史あるシンボルタワーが現代風にアップデート(金子)

【タワー】

2022年9月リニューアルオープン

横浜マリンタワー

入場料平日1000円、土日祝1200円(展望フロア)

1961年の竣工以来、横浜のシンボルとして愛されてきた横浜マリンタワーが約3年間の大規模な改修工事を経て、この秋リニューアルオープンする。外壁をグリーンで彩った施設内には、散策途中に立ち寄りたいレストランやバー、旅のライブラリー、展望フロアなどが入る。

(住)神奈川県横浜市中区山下町14-1

 

↑全長106mを誇る横浜マリンタワー。地上約100m、30階にある展望フロアは、アートと街が映像で融合するメディアアートギャラリーに

 

ヒットアナリティクス

横浜ベイエリアに注目施設が続々開業!

昨年は桜木町からみなとみらいを結ぶロープウェイが開通。2022年は3月に「横濱ゲートタワー」、5月に「ウェスティンホテル横浜」が開業し、6月には「横浜みなと博物館」がリニューアルするなど、横浜ベイエリアは新規開業ラッシュ。これらの相乗効果で訪れる人が増えそうだ。

 

その11【新九頭竜橋】新幹線の横をクルマが走る!? 日本初の道路&新幹線併用橋が開通

 

モノ知りインフルエンサー

鉄道写真家

久保田 敦さん

鉄道雑誌をはじめ、旅行誌などで幅広く活躍中。鉄道の躍動感にこだわった作品に定評があり、写真展も開催する。

 

ほかに類を見ない構造で今から試運転が楽しみです(久保田)

【橋梁】

2022年10月開通予定

新九頭竜橋

福井県福井市北部の九頭竜川に開通する全長約415mの橋は、新幹線と道路が橋脚を共有する日本初の橋梁。中央に設けられた新幹線の路線の両サイドに片側2車線の県道と歩道を設け、鉄道ファンを中心に注目を集める。10月22日は開通を記念したランニングイベントを開催。

 

↑橋の中央に2024年春に延伸開業予定の北陸新幹線の線路が設けられている。橋の開通により交通量分散が見込まれ、渋滞の緩和にも期待がかかる

 

ヒットアナリティクス

これまで見たことのない新幹線の姿を楽しめるかも

防音壁が高いため乗用車から新幹線が見えるかは不明だが、バスなどの高い目線なら見える可能性も。福井駅に近い場所で停車する列車は速度が遅く、“見る”には適しているかも。近くには無料の展望台を備えた森田配水塔もあり、鑑賞スポットとして人気になりそうだ。

“安心感”を追求した「バランスアシストシステム」搭載! 電動マイクロモビリティ「ストリーモ」

Withコロナがすっかり定着し、新しいライフスタイルが生まれゆくなか、さて、2022年下半期はどうなっていく……? これから流行る「ヒット確定モノ」を、各ジャンルのプロたちに断言してもらった。今回はホンダ発ベンチャーから誕生した、電動マイクロモビリティ「ストリーモ」を紹介。

※こちらは「GetNavi」2022年9月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【ストリーモ】“安心感”を追求した電動マイクロモビリティの新機軸

 

モノ知りインフルエンサー

本誌乗り物担当

上岡 篤

クルマだけでなく鉄道や飛行機(旅客機)好き。久しぶりに運航するANAのホノルル線、A380に乗りたい!

 

乗り物の大前提となる“安心感”に真正面から取り組んだ意欲作(上岡)

【電動マイクロモビリティ】

2022年6月発売(一次抽選販売受付開始)

ストリーモ

Striemo Japan Launch Edition限定モデル

26万円

独自開発した「バランスアシストシステム」の搭載により、極低速から快適な速度までいずれの速度域でも安定した走行を実現。“安心感”を追求することで乗り物としての楽しさを感じられる次世代型電動モビリティだ。

 

↑前輪1輪+後輪2輪の3輪構成も安定感を支える要因。段差や傾斜のある路面でもふらつかず、バランスを崩す不安がないのが魅力だ

 

↑重量は約20kg、W480×H1180×L1090mmで持ち運びできる折りたたみ式。約3時間30分のフル充電で30km(郊外実測値)走行できる(※スペックはプロトタイプのため製品版では変更になる可能性あり)

 

ヒットアナリティクス

ホンダ発のベンチャーで信頼度はとても高い

電動キックボードは都市部で利用する人が増えましたが、これまで“このメーカーって大丈夫?”という場合もチラホラ。ストリーモはホンダの社内起業制度「IGNITION」からスタートアップした企業の製品で、製品の信頼度は高い。3輪にしたのも安全面から見て正解。

懐かしい? 新鮮? 世界で愛された名車を現代風にアレンジ……ホンダ「ダックス125」

Withコロナがすっかり定着し、新しいライフスタイルが生まれゆくなか、さて、2022年下半期はどうなっていく……? これから流行る「ヒット確定モノ」を、各ジャンルのプロたちに断言してもらった。今回は、9月22日に発売予定のレジャーバイク「ダックス125」を紹介。

※こちらは「GetNavi」2022年9月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【ダックス125】レトロモダンスタイルが時代にマッチ

 

モノ知りインフルエンサー

トラベルライター

中島 亮さん

旅にまつわるエトセトラについて各種メディアに寄稿。ホンダの単気筒ばかり10台ほど乗り継いできた単車好き。

 

世界で愛された名車が時を経て令和に復活(中島)

【レジャーバイク】

2022年9月発売予定

ホンダ

ダックス125

44万円

1969年にデビューして一世を風靡した、ホンダ ダックスを現代風にアレンジ。モンキー125、スーパーカブC125、CT125・ハンターカブと、立て続けにヒットを連発している原付二種レジャーバイクの真打として注目されている。タンデムOKというのもポイント。

 

↑空冷単気筒エンジンに、4速トランスミッションを組み合わせる。クラッチ操作は不要で初心者も安心

 

↑視認性に優れた液晶タイプのメーター。ヘッドライトと同じ、クロムメッキのモールでデザインの統一感を出している

 

ヒットアナリティクス

オヤジには懐かしく若者には新鮮なデザイン

維持費が安く、原付(50cc以下)のような法的制限を受けず、取り回しがラクで、パワーは必要十分。125ccの原付二種は最強のシティコミューターだ。デザイン面の評価はもちろん、再構築するにあたって最新技術を駆使。発売開始後は、納車まで数か月待ちとなるだろう。

ホンダ新型「ステップワゴン」、最大の魅力は時代に異を唱えるシンプルデザイン

ミニバンブームが終焉したといわれるなか、2Lクラスのミドルサイズミニバンの間では、いまだに熾烈な争いが続いている。かつてのようなカクカク系シンプルデザインを取り戻した新型「ステップワゴン」のクルマとしての実力はどれだけ向上しているのか、ハイブリッドモデルについてレポートしていこう。

 

【今回紹介するクルマ】

ホンダ/ステップワゴン

※試乗グレード:e:HEV スパーダ プレミアムライン

価格:299万8600円~384万6700円(税込)

 

ユーザーの心を掴んだ新型ステップワゴン

ステップワゴンといえば、新型で6代目となる、日本における老舗的存在のミニバンだ。1996年に初代モデルがヒットして以来、ミニバンブームを牽引する存在だったが、ここ10年ほどは、トヨタ「ノア/ヴォクシー」や日産「セレナ」に対して、販売面で苦戦していた。

 

「フリード」や「シエンタ」などのコンパクトライン、「アルファード」や「オデッセイ」などのプレミアムラインの間に挟まる形で、2Lクラスのミドルラインは、日本のミニバンの王道ともいえる。そして、このカテゴリーの覇権を握るべく、日本を代表する3大メーカーが、それぞれ製品の実力を磨き続け、切磋琢磨してきたわけだ。

 

そんな状況下で、2021年末から早めにスタイリングを(ティザー広告で)公開して、ユーザーの心を掴んだのが新型ステップワゴンである。2022年5月に発売されると、発売から約1ヶ月での初期受注台数は2万7000台。これは、先代型(2015年)の約1万5000台、先々代型(2009年)の約1万8000台を超える数字となった。

 

まず新型のスタイリングが公開されて、最初に目についたのは、初代、2代目モデルのような角張ったデザインへの回帰であった。現在、流行りのツリ目でもなく、ギラギラ光る大型グリルのオラオラ顔でもない。まるで白物家電のような、シンプルで飽きのこないルックスは、見た人にクリーンな印象を与える、現在のミニバンにおいて白眉の出来だ。

↑先代ではボディ全長が4690mmだったのに対し、4800~4830mmにまで拡大。全幅も拡大しており、全車が3ナンバーになった

 

リアもコンビランプを細く縦型にするなど、このあたりも初代モデルへの回帰といえる。シンプルで親しみやすいという意味でいえば、コンパクトカーの「フィット」にも通じる雰囲気もあり、デザインの捉え方は人によって様々だが、筆者は心地よささえ感じられた。

 

また、このシンプル系デザインも、グレードによって二種類のスタイルに分類される。まずは新グレード「AIR(エアー)」。よりシンプルさが強調されていて、無印良品のようなデザインが好きな人におすすめだ。一方、「SPADA(スパーダ)」は、2代目モデルから受け継ぐ、ある意味、ステップワゴンにとっては伝統になりつつあるグレード。メッキパーツなどを施したチョイ悪な雰囲気と豪華な装備を特徴としている。

↑スパーダのフロントフェイス。ダーククロームに仕上げたシャープなメッキパーツによって、上質でありながら品格ある佇まいだ

 

インテリアもクリーンな印象のデザインにまとめられているが、ダッシュボード上にファブリック素材が使われている。ただそれがしつこくない程度にうまく配置され、スッキリした印象。ドライブ中、視界のなかにこの素材が見えているとなんだか心地いいから不思議である。スッキリ派の人にとっては、最近の他のホンダ車と同じくドライブスイッチが採用されて、シフトノブが存在しないことも好ましいに違いない。

↑室内はブラックを基調に仕上げられている。リビングのような柔らかく落ち着いた雰囲気

 

↑「P」「R」「N」「D」と独立した押しボタン式のシフトセレクター。マットな質感の樹脂パーツも室内に落ち着きをもたらしている

 

↑ダッシュボード上にスエード調の表皮。ココも落ち着いた雰囲気を演出するポイントなのでしょう

 

なんてったって燃費がいいことが嬉しい!

パワーユニットは、2Lエンジンベースのハイブリッドと1.5Lガソリンターボモデルの2種類から選ぶことができる。今回試乗させてもらったのはハイブリッドモデルで、ホンダ独自の2モーターを用いた「e:HEV」ハイブリッドシステムが搭載されている。ガソリンにモーターのアシストが加わるので、低回転域から力強く加速してくれて不足感がない。重心が高いミニバンにしてはコーナーでも安定しているし、なんと言っても燃費がいいことが嬉しい。

 

↑パワーユニットは最高出力145PSの2リッター直4エンジンに同184PSの駆動用モーターを組み合わせた「e:HEV」

 

ミニバンならではのポイントである3列目シートはどうかというと、従来型より着座位置が高く設定されているため、視界がよく、3列目着座時の閉塞感があまり感じられない。シート自体も厚めのクッションで座り心地も悪くない。とはいえ、3列目シートは常時使用しないユーザーがほとんどであるため、収納方法が重要となるが、これもまた優秀。背もたれを前方に倒せばそのまま2アクションで床下収納できる容易さを備えている。

↑3列目シート格納時荷室幅、約1195mm

 

前述のように「3列目シートは1年に数回しか使わない」ユーザーが多くなっていることから、重要視されるのが2列目シート。新型では、780mmの前後ロングスライドに加えて、左右にもスライドできるキャンプテンシートをラインナップ。2列目に座る家族の快適性が高まるというのは、ミニバンを選ぶファミリー志向のユーザーにとって嬉しいことである。

↑座面などメイン部に「ファブテクト」、サイド部に「プライムスムース」を用いたコンビシートを採用。このプライムムースは、しっとりとした質感を持つ合皮で、汚れやシワに強い機能性の高さが魅力だ

 

なお、先代型で目玉装備だった「わくわくゲート(左右上下2方向開きのバックドア)」は残念ながら廃止されてしまった。これがあるから先代型ステップワゴンを選んだという人もいるだろうが、コストなどさまざまな問題があったのだろう。その分、というわけではないが、パワーテールゲートはメモリー機能付きで、開度(開く角度)を任意に調節できるようになった。開けた時に指定した位置で止めることができるので、自宅駐車場のサイズや形状に合わせた開け方できる。

↑パワーテールゲート。開閉操作はスマートキーまたはテールゲートのスイッチから

 

ミニバンとしての使い勝手や広さに関してはどのクルマも横並びになり、ミニバンとしての強烈な魅力は発揮しにくくなったなか、新型ステップワゴン最大の魅力は時代に異を唱えるシンプルデザインだった。ステップワゴン発売の数か月前に新型ノア/ヴォクシーが発売され、今年度内には新型セレナの登場も噂される。自分のライフスタイルに最も合うデザインはどれか、競合車と比較して選び出したい。

 

SPEC【e:HEV スパーダ プレミアムライン】●全長×全幅×全高:4830×1750×1845㎜●車両重量:1840㎏●パワーユニット:1993㏄直列4気筒エンジン●最高出力:145PS/6200rpm●最大トルク:175Nm/3500rpm●WLTCモード燃費:19.5㎞/L

 

撮影/茂呂幸正 文/安藤修也

 

 

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ピュアEVとミニバンそれぞれの魅力を実感できる! ヒョンデ「アイオニック5」とホンダの新型ステップワゴンに試乗

気になる新車を一気乗り! 今回の「NEW VEHICLE REPORT」でピックアップするのは、「ヒュンダイ」改め「ヒョンデ」のピュアEVとなるアイオニック5と、いよいよ発売が開始されたホンダの新型ステップワゴン。続々と登場する本格EVと、日本の主軸ファミリーカーでもあるミニバンの最新作だ。その実力やいかに?

※こちらは「GetNavi」 2022年9月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【その1】ピュアEVの魅力がダイレクトに実感できる!

EV

ヒョンデ

アイオニック5

SPEC【ラウンジ】●全長×全幅×全高:4635×1890×1645mm●車両重量:1990kg●パワーユニット:電気モーター●バッテリー総電力量:72.6kWh●最高出力:217PS/4400〜9000rpm●最大トルク:35.7kg-m/0〜4200rpm●一充電最大航続距離(WLTCモード):618km

 

見た目でも中身でも「電気」の魅力をアピール

乗用車市場では12年ぶりの復活となるヒョンデが日本向けに用意したモデルは、このアイオニック5とFCV(燃料電池車)のネッソ。いずれも環境性能が高いモデルで、販売もオンラインのみという導入手法に注目が集まっている。主力は当然ながら前者だ。

 

その内外装は、SUV風の仕立てが主流となるEVのなかでも実に個性的。大柄なハッチバック的な外観は電動モデルらしさがダイレクトに表現され、内装もクルマというより最新家電のような風情だ。その一方、室内の広さを筆頭とする使い勝手も申し分ない。

 

今回は2WDに試乗したが、走りでも最新のEVらしさが実感できる。アクセル操作に対する鋭いレスポンスや日常域での力強さ、静粛性の高さは電気モーターならではの魅力で、それを受け止めるシャーシもフラットな乗り心地を筆頭として良好。最大で600kmオーバーの航続距離まで考慮すれば、有力な最新EVの選択肢のひとつであることは間違いない。

 

[Point 1]室内と荷室は広々

大柄のボディとあって前後席の空間は余裕たっぷり。前席にはオットマンも備わる。荷室容量はリアだけで527Lを確保し、フロントにも57Lの荷室を用意する。

 

[Point 2]テーマは「パラメトリックピクセル」

ハッチバックのボディ形態ながら、まるでコンセプトカーのような大胆なデザインで独自性を強調。2WDの電気モーターはリアに搭載し、駆動方式はRRとなる。

 

[Point 3]プレーンでワイド感を強調する作り

インパネ回りはシンプルなデザインで、家電的な親しみやすさも感じさせる。シフト操作はステアリングコラムに付けられたダイヤルで行う。

 

[Point 4]電源供給機能も充実

後席下の中央には、AC100Vコンセントを装備。給電機能はこれだけではなく、普通充電のソケットにアダプターを装着すれば外でも電気製品が使用できる。

 

[ラインナップ](グレード:パワーユニット/駆動方式/税込価格)

アイオニック5: 電気モーター/2WD/479万円

アイオニック5 ボヤージュ:電気モーター/2WD/519万円

アイオニック5 ラウンジ:電気モーター/2WD/549万円

アイオニック5 ラウンジAWD: 電気モーター×2/4WD/589万円

 

 

【その2】その持ち味はミニバンの本質を突いた作り

ミニバン

ホンダ

ステップワゴン

SPEC【エア(e:HEV)】●全長×全幅×全高:4800×1750×1840mm●車両重量:1810kg●総排気量:1993cc●パワーユニット:直列4気筒DOHC+電気モーター●最高出力:145[184]PS/6200[5000〜6000]rpm●最大トルク:17.8[32.1]kg-m/3500[0〜2000]rpm●WLTCモード燃費:20.0km/L

●[ ]内はモーターの数値

 

2、3列目シートの快適性が大幅に進化!

6代目ステップワゴンは、先代から全長と全幅を拡大。これまで「5ナンバー級」と呼ばれてきたミドルサイズの国産ミニバンのなかでは大柄になったが、その効果は室内に入ると誰でも実感できる。キャプテンシート版の2列目は、実に780mmというロングスライド機構を搭載。ライバル車を凌ぐ広さを実現している。

 

また、使わない際は簡単操作で床下に収まる3列目も、居住性の高さは現実のサイズ以上。新型では先代より遮音性が高められたこともあって、居心地の良さは予想以上だ。さらに付け加えると、2、3列目は着座位置を前席より高めて、クルマ酔いしにくい良好な視界を実現。つまり、すべての座席で快適性を高めるべく入念なアップデートが施されているわけだ。

 

パワーユニットは、1.5Lのガソリンターボと、2Lガソリン+2モーターによるハイブリッドという2本立て。前者で4WDが選べることも含め、構成そのものは先代と変わらないが、当然中身は進化している。1.5Lターボでは必要にして十分な速さと自然なレスポンスを、ハイブリッドでは電気駆動らしい静粛性を実感できる。また、操縦性も背の高いミニバンらしからぬ水準なので、走りも相応に楽しみたいというお父さんにも積極的にオススメできる。

 

[Point 1]キーワードは“視界の良さ”

運転支援系の装備が充実したフロントシートまわりは、こちらも視界の良さを追求。2人掛けとなる2列目のキャプテンシートは前後だけでなく左右にもスライド。スパーダではオットマンも装備する(2列目は3人掛けのベンチシートも選択可能)。

 

[Point 2]グレードは3タイプとシンプル

グレードは先代からの続投となるスパーダ(写真)と、それをベースとして高級感を演出するプレミアムライン。そして内外装をシンプルに仕立てたエアの3タイプが用意される。

 

[Point 3]見た目同様に走りもナチュラル

1.5Lターボは、CVTミッション特有の悪癖を抑え込みつつ必要十分な動力性能を実現。ハイブリッドは、電気駆動モデルらしい静粛性の高さが魅力だ。

 

[Point 4]荷室の使い勝手は依然ライバルを上回る

片手でも行える簡単操作で床下に格納できる3列目の「マジックシート」は先代から踏襲。3列目使用時は、左写真のようにシート後方に実用的な空間が出現する。

 

[ラインナップ](グレード:パワーユニット/駆動方式/ミッション/税込価格)

エア:1.5L+ターボ、2.0L+電気モーター/2WD、4WD(※)/CVT、電気式無段変速/299万8600円(324万600円)[338万2500円]

スパーダ:1.5L+ターボ、2.0L+電気モーター/2WD、4WD(※)/CVT、電気式無段変速/325万7100円(347万7100円)[364万1000円]

スパーダプレミアムライン:1.5L+ターボ、2.0L+電気モーター/2WD、4WD(※)/CVT、電気式無段変速/346万2800円(365万3100円)[384万6700円]

※:e-HEVは2WDのみ ●( )内は4WD、[ ]内はe-HEVの価格

 

文/小野泰治 撮影/神村 聖、宮門秀行

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

ホンダの新型ステップワゴンはミニバンの本質をさらに追及した快適さ

気になる新車を一気乗り! 今回の「NEW VEHICLE REPORT」でピックアップするのは、いよいよ発売が開始されたホンダの新型ステップワゴン。その実力やいかに?

※こちらは「GetNavi」 2022年9月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

その持ち味はミニバンの本質を突いた作り

ミニバン

ホンダ

ステップワゴン

SPEC【エア(e:HEV)】●全長×全幅×全高:4800×1750×1840mm●車両重量:1810kg●総排気量:1993cc●パワーユニット:直列4気筒DOHC+電気モーター●最高出力:145[184]PS/6200[5000〜6000]rpm●最大トルク:17.8[32.1]kg-m/3500[0〜2000]rpm●WLTCモード燃費:20.0km/L

●[ ]内はモーターの数値

 

2、3列目シートの快適性が大幅に進化!

6代目ステップワゴンは、先代から全長と全幅を拡大。これまで「5ナンバー級」と呼ばれてきたミドルサイズの国産ミニバンのなかでは大柄になったが、その効果は室内に入ると誰でも実感できる。キャプテンシート版の2列目は、実に780mmというロングスライド機構を搭載。ライバル車を凌ぐ広さを実現している。

 

また、使わない際は簡単操作で床下に収まる3列目も、居住性の高さは現実のサイズ以上。新型では先代より遮音性が高められたこともあって、居心地の良さは予想以上だ。さらに付け加えると、2、3列目は着座位置を前席より高めて、クルマ酔いしにくい良好な視界を実現。つまり、すべての座席で快適性を高めるべく入念なアップデートが施されているわけだ。

 

パワーユニットは、1.5Lのガソリンターボと、2Lガソリン+2モーターによるハイブリッドという2本立て。前者で4WDが選べることも含め、構成そのものは先代と変わらないが、当然中身は進化している。1.5Lターボでは必要にして十分な速さと自然なレスポンスを、ハイブリッドでは電気駆動らしい静粛性を実感できる。また、操縦性も背の高いミニバンらしからぬ水準なので、走りも相応に楽しみたいというお父さんにも積極的にオススメできる。

 

[Point 1]キーワードは“視界の良さ”

運転支援系の装備が充実したフロントシートまわりは、こちらも視界の良さを追求。2人掛けとなる2列目のキャプテンシートは前後だけでなく左右にもスライド。スパーダではオットマンも装備する(2列目は3人掛けのベンチシートも選択可能)。

 

[Point 2]グレードは3タイプとシンプル

グレードは先代からの続投となるスパーダ(写真)と、それをベースとして高級感を演出するプレミアムライン。そして内外装をシンプルに仕立てたエアの3タイプが用意される。

 

[Point 3]見た目同様に走りもナチュラル

1.5Lターボは、CVTミッション特有の悪癖を抑え込みつつ必要十分な動力性能を実現。ハイブリッドは、電気駆動モデルらしい静粛性の高さが魅力だ。

 

[Point 4]荷室の使い勝手は依然ライバルを上回る

片手でも行える簡単操作で床下に格納できる3列目の「マジックシート」は先代から踏襲。3列目使用時は、左写真のようにシート後方に実用的な空間が出現する。

 

[ラインナップ](グレード:パワーユニット/駆動方式/ミッション/税込価格)

エア:1.5L+ターボ、2.0L+電気モーター/2WD、4WD(※)/CVT、電気式無段変速/299万8600円(324万600円)[338万2500円]

スパーダ:1.5L+ターボ、2.0L+電気モーター/2WD、4WD(※)/CVT、電気式無段変速/325万7100円(347万7100円)[364万1000円]

スパーダプレミアムライン:1.5L+ターボ、2.0L+電気モーター/2WD、4WD(※)/CVT、電気式無段変速/346万2800円(365万3100円)[384万6700円]

※:e-HEVは2WDのみ ●( )内は4WD、[ ]内はe-HEVの価格

 

文/小野泰治 撮影/神村 聖、宮門秀行

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アウトドアでの便利さに“惚れ”るクルマを深“掘り”! キャンプの相棒5選

クルマはキャンプの相棒として欠かせない存在であり、より個性的なアウトドアライフを楽しみたいならキャンプギアだけでなく“クルマ選び”も重要なポイントになる。ここでは専門家を魅了する5台のモデルを解説する。

※こちらは「GetNavi」 2022年6月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

私が選びました!

自動車ライター

並木政孝さん

元輸入車雑誌編集長である希代の自由人。アウトドアにも精通し、キャンプやカヌー、バス釣りにも傾倒する。

 

選ぶならアウトドアで活躍する機能性と個性を重視

猛威を振るうコロナ禍の影響もあり、野外で楽しめる開放的なキャンプが爆発的なブームを迎えている。週末のキャンプ場が満員御礼の状態になっているいま、ほかのキャンパーとはひと味違うクルマを選ぶことで個性を主張するのもオススメだ。

 

しかし、形ばかりのクルマでは意味を成さず、スタイルに伴う性能を備えていなければならない。オートキャンプや車中泊での利便性、遊び道具を満載できる積載性能、悪路の走破力などアウトドアならではの使い勝手は欠かせない。そして、キャンプという非日常だけでなく、日々の暮らしで使える快適性を合わせ持った二面性を備えたクルマを選ぶことも重要なポイントだ。

 

尖り過ぎない実用性と快適性、そしてキャンプ使用で威力を発揮してくれる個性的なクルマ選びこそが、快適なキャンプには大切だ。それに適した5モデルを紹介しよう。

 

 

「現代アウトドアにピッタリなパワーソース」に“ホレ”る

【その1】家電も使える未来のクルマ電気の力でキャンプを満喫

三菱

アウトランダー PHEV

462万1100円〜532万700円

存在感を示すアウトランダー PHEVは、その名の通り、プラグインハイブリッドのメリットを生かした1台だ。バッテリーからは最大1500Wの電気がアウトップットでき、家庭用の電気調理器や暖房器具の使用を可能とする。

SPEC【P】●全長×全幅×全高:4710×1860×1745mm●車両重量:2110kg●パワーユニット:2359cc直列4気筒+ツインモーター●最高出力:133[116/136]PS/5000rpm●最大トルク:19.9[26.0/19.9]kg-m/4300rpm●WLTCモード燃費:16.2km/L●EV走行換算距離:83km

●[ ]内は電気モーター(前/後)の数値

 

↑フロアコンソールとラゲッジルームの2か所にACコンセントを備え、最大1500Wの電力を供給。ホットプレートや暖房器具も使える

 

↑4輪の駆動力、制動力を最適にコントロールするS-AWC。ツインモーターをと呼ばれる4WD機能が快適かつ安全な走行性能を提供

 

↑開口部の段差をなくした広大なラゲッジスペース。多彩なシートアレンジを可能とし、フラットにすることで荷物を満載できる

 

[ココに“ホレ”た!] 自然にもやさしいPHEVは万一の災害時でも実力発揮

災害時にも威力を発揮するのが大きな魅力。ガソリンが満タン状態なら通常の家庭で、エンジンで発電しながらV2H機器を介して約12日間分の電気を供給可能です!(並木さん)

 

 

「走破性と醸し出す雰囲気」に“ホレ”る

【その2】質実剛健な新型ラングラーでアウトドアの王道を突き進め

ジープ

ラングラー アンリミテッド

704万円〜743万円

2018年にJKからJLへと進化を遂げたものの、ラングラーとしての基本スタイルは踏襲。操縦性、安定性、質感を向上させることで先代モデルの不満を解消している。日常と非日常の楽しさを両立できる憧れの存在だ。

SPEC【RUBICON】●全長×全幅×全高:4870×1895×1850mm●パワーユニット:3604ccV型6気筒●最高出力:284PS(209kw)/6400rpm●最大トルク:35.4kg-m(347Nm)/4100rpm●WLTCモード燃費:8.0km/L

 

↑約800mmの奥行きを持つスクエアなラゲッジは荷物を積みやすい。セカンドシートを倒せば2000Lへと容量を拡大できる

 

↑独立したラダーフレームは負荷にも強く、悪路を走行するジープらしい設計。ボディ自体の耐久性も高くなりライフスパンが長くなる

 

[ココに“ホレ”た!] 年式を経ても味が出て一生付き合える良き相棒

ジープのイメージを踏襲し、時代や年式に左右されることなく乗り続けることができるロングライフは大きな魅力。4WDの走破性能が安心感を提供してくれます。(並木さん)

 

 

「フランス車らしい優雅さ」に“ホレ”る

【その3】キャンプをバカンスに変えるフランス生まれの人気モデル

シトロエン

ベルランゴ

335万8000円〜374万9000円

キュートなスタイルと実用的な室内アレンジを融合させた、フランスのエスプリが漂う一台。「マルチアクティビティビークル」をコンセプトに誕生したモデルだけに、アウトドアでの使い勝手はパーフェクトと言える。

SPEC【SHINE XTR PACK】●全長×全幅×全高:4405×1850×1850mm●パワーユニット:1498cc直列4気筒ディーゼル+ターボ●最高出力:130PS(96kw)/3750rpm●最大トルク:30.5kg-m(300Nm)/1750rpm●WLTCモード燃費:18.0km/L

 

↑約90cmの奥行きを誇るラゲッジ。床下にリヤシートを収納すれば1.7mの長尺モノも収納でき、容量は最大2126Lまで拡大する

 

↑エアチュープ構造のフレームを付属のポンプで膨らませる純正タープを用意。完成サイズはW2500×H1800×D2500mmとなる

 

[ココに“ホレ”た!] フランスは商用車もシャレオツであります!

フルゴネットという商用車をベースに開発され使い勝手は良好。「モジェット」と呼ばれるパノラミックガラスルーフとストレージを一体化した開放的なルーフは絶品です。(並木さん)

 

 

「カスタマイズ性の高さ」に“ホレ”る

【その4】商用車ながらも快適性は抜群でカスタムベースとしても最適!

トヨタ

プロボックス

149万1000円〜201万4000円

アウトドアフリークの間でただいま人気急上昇中なのが、商用ベースの本車。リフトアップキットやキャリアなどのカスタムパーツが続々とリリースされ、手を加えることで精悍なアウトドア仕様へとモディファイ可能だ。

SPEC【F・ハイブリッド】●全長×全幅×全高:4245×1690×1525mm●車両重量:1160kg●パワーユニット:1496cc直列4気筒+モーター●最高出力:74[61]PS/4800rpm●最大トルク:11.3[17.2]kg-m/3600〜4400rpm●WLTCモード燃費:22.6km/L

 

↑商用車として生産されたモデルだけに開口部も広く積載能力は高い。シンプルなラゲッジルームはフラットで、DIYにも最適な設計

 

↑カスタムのトレンドはアウトドアに似合う武骨なスタイル。バンパーガードや大型のパイプ製キャリア、リフトアップに加えマットな塗装を施すことも

 

[ココに“ホレ”た!] 商用バンを大変身させる絶妙なカスタムセンス!

キャンプでの実用性を考えれば商用車の選択もアリ。乗り心地の悪さは新型モデルでは解消されました。カスタマイズすれば快適なアウトドア仕様へ変身します!(並木さん)

 

 

「経済性と遊びゴコロ」に“ホレ”る

【その5】必要最低限とは呼ばせない軽バン王者の底力を知る!

ホンダ

N-VAN

127万6000円〜187万2200円

人気の軽バンとしてアウトドアマンたちからの信頼度は抜群。低床プラットフォーム助手席側のBピラーをなくしたことで利便性を拡大した。仕事に遊びに活躍してくれるモデルだ。

SPEC【+STYLE FUN・ターボ】●全長×全幅×全高:3395×1475×1960mm●パワーユニット:658cc直列3気筒+ターボ●最高出力:64PS(47kw)/6000rpm●最大トルク:10.6kg-m(104Nm)/2600rpm●WLTCモード燃費:18.8km/L

 

↑アレンジが多彩なシートは運転席以外のすべてに荷物が積める。テールゲートから助手席までフラットに設計された室内は使いやすさに優れる

 

↑フルフラットにできる車内は車中泊に最適。社外パーツも豊富で自分らしいスタイルへとカスタムする楽しさを持つ。コスパは抜群だ

 

[ココに“ホレ”た!] キャンプに最適な構造はオリジナリティが光る!

高い経済性と唯一無二のオリジナリティが光る傑作モデル。キャンプや釣り、サーフィンなどのソト遊びをサポートする“秘密基地”的な雰囲気が男心を刺激します。(並木さん)

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

必要最低限とは呼ばせない軽バン王者の底力を知る!

クルマはキャンプの相棒として欠かせない存在であり、より個性的なアウトドアライフを楽しみたいならキャンプギアだけでなく“クルマ選び”も重要なポイントになる。本稿では専門家を魅了するホンダ「N-VAN」を解説する。

※こちらは「GetNavi」 2022年6月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

私が選びました!

自動車ライター

並木政孝さん

元輸入車雑誌編集長である希代の自由人。アウトドアにも精通し、キャンプやカヌー、バス釣りにも傾倒する。

 

「経済性と遊びゴコロ」に“ホレ”る

ホンダ

N-VAN

127万6000円〜187万2200円

人気の軽バンとしてアウトドアマンたちからの信頼度は抜群。低床プラットフォーム助手席側のBピラーをなくしたことで利便性を拡大した。仕事に遊びに活躍してくれるモデルだ。

SPEC【+STYLE FUN・ターボ】●全長×全幅×全高:3395×1475×1960mm●パワーユニット:658cc直列3気筒+ターボ●最高出力:64PS(47kw)/6000rpm●最大トルク:10.6kg-m(104Nm)/2600rpm●WLTCモード燃費:18.8km/L

 

↑アレンジが多彩なシートは運転席以外のすべてに荷物が積める。テールゲートから助手席までフラットに設計された室内は使いやすさに優れる

 

↑フルフラットにできる車内は車中泊に最適。社外パーツも豊富で自分らしいスタイルへとカスタムする楽しさを持つ。コスパは抜群だ

 

[ココに“ホレ”た!] キャンプに最適な構造はオリジナリティが光る!

高い経済性と唯一無二のオリジナリティが光る傑作モデル。キャンプや釣り、サーフィンなどのソト遊びをサポートする“秘密基地”的な雰囲気が男心を刺激します。(並木さん)

 

 

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ファミリーキャンプで快適に遊べるクルマはどっちだ!? ミニバン両雄徹底解剖

4〜5人が多いファミリーキャンプは当然荷物も多くなる。そんなとき便利なのはやはりミニバンだ。今年モデルチェンジしたミニバンの代表的モデルを、父親モータージャーナリストがキャンプ目線でチェックした。

※こちらは「GetNavi」 2022年6月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

私がチェックします!

モータージャーナリスト

岡本幸一郎さん

幼い男女二児の父。あらゆるカテゴリーの新型車を幅広く網羅する気鋭の日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

 

【エントリーNo.1】シンプルなデザインに回帰! 進化したe:HEVにも期待

ホンダ

ステップワゴン

299万8600円〜384万6700円(税込)

誕生から25周年を迎えた今年フルモデルチェンジ。初代のデザインをオマージュした直線的でシンプルなデザインが印象的だ。ホンダ独自のセンタータンクレイアウトから生まれる車内高は圧倒的で、大きな荷物も載せやすい。

●スペックは未発表(4月13日現在)

 

乗り物酔いを起こしにくいインテリアに要注目

ステップワゴンは新型も先代までの「スパーダ」は継続。新たに「エアー」というモデルも加わった。

 

質感が高められたインテリアは、水平基調でノイズレスなデザインとすることで視野を安定させ、乗り物酔いを起こしにくくするという新しい着眼点で設計されている。実は我が家も4歳の娘が乗り物酔いしやすいので、どれぐらい効果があるのか大いに気になるところ。より心おきなく遠出できるようになるなら願ってもないことだ。

 

使い勝手では、出先で広い車内を自在にアレンジできるのがありがたい。従来型で話題となった独自の「わくわくゲート」の採用は見送られたが、床下格納式の3列目シートは踏襲している。このほうが格納したとき側面がスッキリするので、大きくて背の高い荷物を積みやすいというメリットもある。

 

走りについても、進化したe:HEVが遠出でも真価を発揮してくれることに期待したい。

 

[Point 1] 乗員が自由に居場所を選べるシートアレンジ

1列目から3列目まで、それぞれに求められる機能に対応する柔軟なアレンジが可能。広くフラットなスペースを作り出すこともできる。

 

[Point 2] 3列目の乗員にもより快適な居住性を提供

着座位置を高めるとともに、目障りにならないよう前方のシートやヘッドレストの形状を工夫。後席からの開放的な視界を実現している。

 

[Point 3] 床下格納式ならではの便利な使い方ができる

3列目シートを分割して床下に格納可能。格納すると床下は使えなくなるが、側面が空くので背の高い荷物を端に寄せて積むことができる。

 

[Point 4] 右席75mm、左席115mmの中寄せスライドが可能に

2列目シートは左右にもスライド可能。内側と外側で前後スライド量を変えたことで、どの位置でもロングスライドできるようになっている。

 

岡本’s CHECK!

素直になったデザインはより多くの人に受けそう

従来型も完成度は高かったが、クセのあるデザインが賛否両論だった。新型はより多くの人に受け入れられそうなデザインになったので、販売も伸びるはず。本誌発売直後に予定されている試乗の機会が楽しみだ。

※:未試乗なので予想値

 

 

【エントリーNo.2】コンセプトをキープしながら中身を全面的に刷新

トヨタ

ノア

267万円〜389万円(税込)

7人乗り、8人乗りを設定する人気のミニバン。モーターとバッテリーの高効率化を実現した新世代ハイブリッドの設定をはじめ、スマホアプリで駐車を遠隔操作できる機能や、車内Wi-Fiなどの先進装備を満載している。

SPEC【S-Z(ハイブリッド・2WD)】●全長×全幅×全高:4695×1730×1895mm●車両重量:1670kg●パワーユニット:1797cc直列4気筒+電気モーター●最高出力:98PS/5200rpm●最大トルク:14.5kg-m /3600rpm●WLTCモード燃費:23.0km/L

 

最先端技術を積極的に導入し誰にでも使いやすく配慮

新型ノアは全面的に刷新。プラットフォームにTNGAが採用され、ハイブリッドシステムも新しくなり、走行性能が大きく向上した。待望のE-Fourを選べるのも、未舗装路を走る機会のあるハイブリッド派にとって朗報だ。

 

さらに先進運転支援装備もこれ以上ないほど充実した。一定条件下でのハンズオフ走行を可能とした「アドバンスドドライブ」もノアの目玉だ。遠出する際にもドライバーの負荷を軽減してくれる。

 

使い勝手においても、よくぞここまで配慮したものだと感心する。3列目シートはワンタッチで跳ね上げられるようになったほか、バックドアには任意の角度で保持できるよう進化。パワーバックドア装着車ではスイッチをドアではなく車体両側の後端に設置したおかげで、より使いやすくなった。キャンプに出かけて大きな道具を積み下ろしする際などに、ありがたみを実感できるはずだ。

 

[Point 1] ボディ骨格の最適化で広い室内空間を実現

左右のCピラー間距離が従来に比べて75mmも拡大した。1400mmを超える室内高と相まって、室内空間は広々としており開放感バツグンだ。

 

[Point 2] 運転席からの視界は良好でストレスフリー

ピラーやダッシュボードまわりの形状の工夫で運転席からの視界は非常に良好。インテリアの質感や各部の使い勝手も大きく向上している。

 

[Point 3] 2列目シートのために快適装備をクラス初採用

2WDの7人乗りの2列目キャプテンシートにオットマン機構とシートヒーターを採用。超ロングスライド機構はより使いやすく進化。

 

[Point 4] インフォテインメント系やハイテク装備も大幅進化

スマホ操作で駐車および出庫できるリモート機能をハイブリッド車に設定。狭い枠に駐車したいときでも車外から操作できる。

 

岡本’s CHECK!

人が乗降しやすく荷物の積載もラクラク

パワースライドドア設定車は助手席側のユニバーサルステップを搭載。子どもや高齢者でも乗降しやすい。室内高は最大1405mmを実現し、背の高い荷物も積みやすく、キャンプなどで多くなる荷物にも十分対応する。

 

 

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ホンダ「ステップ ワゴン」はシンプルなデザインに回帰! 進化したe:HEVにも期待

4〜5人が多いファミリーキャンプは当然荷物も多くなる。そんなとき便利なのはやはりミニバンだ。今年モデルチェンジしたミニバンの代表的モデルのひとつホンダ「ステップ ワゴン」を、父親モータージャーナリストがキャンプ目線でチェックした。

※こちらは「GetNavi」 2022年6月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

私がチェックします!

モータージャーナリスト

岡本幸一郎さん

幼い男女二児の父。あらゆるカテゴリーの新型車を幅広く網羅する気鋭の日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

 

乗り物酔いを起こしにくいインテリアに要注目

ホンダ

ステップ ワゴン

299万8600円〜384万6700円(税込)

誕生から25周年を迎えた今年フルモデルチェンジ。初代のデザインをオマージュした直線的でシンプルなデザインが印象的だ。ホンダ独自のセンタータンクレイアウトから生まれる車内高は圧倒的で、大きな荷物も載せやすい。

●スペックは未発表(4月13日現在)

 

ステップ ワゴンは新型も先代までの「スパーダ」を継続。新たに「エアー」というモデルも加わった。

 

質感が高められたインテリアは、水平基調でノイズレスなデザインとすることで視野を安定させ、乗り物酔いを起こしにくくするという新しい着眼点で設計されている。実は我が家も4歳の娘が乗り物酔いしやすいので、どれぐらい効果があるのか大いに気になるところ。より心おきなく遠出できるようになるなら願ってもないことだ。

 

使い勝手では、出先で広い車内を自在にアレンジできるのがありがたい。従来型で話題となった独自の「わくわくゲート」の採用は見送られたが、床下格納式の3列目シートは踏襲している。このほうが格納したとき側面がスッキリするので、大きくて背の高い荷物を積みやすいというメリットもある。

 

走りについても、進化したe:HEVが遠出でも真価を発揮してくれることに期待したい。

 

[Point 1] 乗員が自由に居場所を選べるシートアレンジ

1列目から3列目まで、それぞれに求められる機能に対応する柔軟なアレンジが可能。広くフラットなスペースを作り出すこともできる。

 

[Point 2] 3列目の乗員にもより快適な居住性を提供

着座位置を高めるとともに、目障りにならないよう前方のシートやヘッドレストの形状を工夫。後席からの開放的な視界を実現している。

 

[Point 3] 床下格納式ならではの便利な使い方ができる

3列目シートを分割して床下に格納可能。格納すると床下は使えなくなるが、側面が空くので背の高い荷物を端に寄せて積むことができる。

 

[Point 4] 右席75mm、左席115mmの中寄せスライドが可能に

2列目シートは左右にもスライド可能。内側と外側で前後スライド量を変えたことで、どの位置でもロングスライドできるようになっている。

 

岡本’s CHECK!

素直になったデザインはより多くの人に受けそう

従来型も完成度は高かったが、クセのあるデザインが賛否両論だった。新型はより多くの人に受け入れられそうなデザインになったので、販売も伸びるはず。本誌発売直後に予定されている試乗の機会が楽しみだ。

※:未試乗なので予想値

 

 

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メーカー直系カスタムカーは完成度が抜群! 個性的な4ブランドを紹介

クルマ好きにとって愛車を自分流に仕立てることはひとつのテーマだ。アフターパーツメーカーも数多くあるけれど、それならばいっそのことメーカー直系のカスタムカーはいかが? 個性的な4つのブランドをここに紹介する!

※こちらは「GetNavi」 2022年4月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

クルマにピッタリ合った完成度の高さが魅力

その昔、クルマのオプションはアルミホイールやフォグランプが大半だったころ、メーカーが直接カスタマイズしたクルマはショーモデルや競技車両がほとんどだった。レースではワークス、市販はアフターパーツと線引きされていたのだ。それが最近ではメーカー直系のチューニングパーツやコンプリートカーが購入可能になった。メーカー直系ということはメーカークオリティが保たれているということ。アフターパーツながらも品質保証がつくモノもあり、新車購入時にオーダーすれば納車時には希望のスタイルになっている。

 

メーカー直系のカスタムカーは大きなアドバンテージがある。例えばベース車両の開発段階から積極的に関われるため様々なテストデータなどを入手でき、クルマに合ったパーツが開発可能という点だ。またそのパーツは単体でもディーラーで購入可能。ベース車を知り尽くしているからこそ、バツグンの完成度を誇るカスタムカーが手に入るのだ。

↑メーカー直系カスタムのメリットは納車時には“完成”していること。オリジナルのシルエットを崩さないのも魅力だ

 

【その1】RALLIART

ラリーアート from 三菱

ラリーアートは三菱自動車のワークスチーム。同社のモータースポーツ活動を支えるブランドで、ギャラン、ランエボでのWRC、パジェロでのパリダカなどラリーやレースで大活躍した。

 

そんなモータースポーツのイメージを受け継ぎながら、自分らしい走りスタイリングを求めるユーザーにワクワク感を届けるべく、純正アクセサリーの販売を展開していくという。またモータースポーツへの参戦も再度検討するというから期待大である。

 

[History] 活動休止を経て復活したラリーアートに注目!

1984年に設立。三菱のモータースポーツ活動のブランドであり、自動車メーカーチームとして競技への参加や競技用部品の開発、ドライバーの支援などを行ってきた。2010年に活動を休止したが2021年、純正アクセサリーとして幅広いモデルへの展開で復活が発表された。

 

【イチオシモデル】復活ラリーアートのカスタマイズカーに注目!

アウトランダー RALLIART Style

パーツ価格未定

「昨年発売したアウトランダーのPグレードに、今春発売予定のラリーアート純正アクセサリーを装着した『ラリーアートスタイル』です。かつてのラリー活動からインスパイアした同ブランドを印象付ける、マッドフラップやサイドデカールで走りにかける情熱を表現。ブラックで統一されたホイールやルーフスポイラーとボディの赤いアクセントカラーで、スポーティなスタイルを提案しています!」(ラリーアート)

 

ラリーアートのコンセプトモデルが続々!

写真上はエクリプス クロス・ラリーアートスタイル。同ブランドの方程式に沿ったカラーリングやマッドフラップを装備。写真下はビジョン・ラリーアート・コンセプト。オンロードのイメージを強く出し、新しいラリーアートの可能性を表現する。

 

【その2】MODELLISTA

モデリスタ from トヨタ/レクサス

トヨタのメーカー直系カスタマイズブランド。イタリア語で“デザイナー”を意味するモデリスタの最大の特徴はそのデザイン。コンセプトは「Resonating Emotion~響感の創造~」で、感性に訴求するデザインだ。デザインをクルマと“響鳴”させて、新たな価値へと昇華させる。

 

ベース車の造形やデザインと対話して造られる同ブランドのエアロパーツは独創的なデザインが多い。また実用性重視のパーツも発売している。

 

[History] ユーザーの「もっと」に応える

“あなたの「もっと」に応えたい”をモットーにユーザーの願いを叶えるブランドとして1997年にスタート。設立当初は特別仕様のクルマ製造がメインだったが、2008年頃よりトヨタやレクサスなどのアフターパーツによるカスタムカーの製造がメインになった。

 

【イチオシモデル】躍動的で生命力のあるデザインがウリ!

ノア/ヴォクシー

パーツ価格3300円(税込)~26万4000円(税込)

「ノア、ヴォクシーともフロントフェイスに注目してください。ノーマルからガラリと印象が変化するパーツをリリースしています。またリアのイルミルーフスポイラーもオススメのパーツ。LEDライトがリアビューを先進的な雰囲気にドレスアップしているのがポイントです!」(モデリスタ)

 

↑東京オートサロン 2022で初披露されたモデリスタのノアとヴォクシー。メッキの加飾パーツがアクセントだ

 

【その3】AUTECH

オーテック from 日産

オーテックジャパンは日産グループ内の特装車メーカー。あの「西部警察」の劇中車を作っていた会社であり、生粋の技術者集団といわれる。初代社長はスカイラインの父として知られる桜井眞一郎氏だ。

 

カスタムカーブランドの「AUTECH」は同社のクラフトマンシップを継承しつつ、スポーティでありながらも高級感漂うスタイリングが特徴。ブランドアイコニックカラーは創業地である茅ヶ崎の海と空をイメージしたブルーだ。

 

[History] いまやNISMOも手がける名門

日産グループ内の特装車メーカーとして1986年に設立。当初はトラックなどの商用車中心だったが、のちに乗用車もラインナップ。いまも人気の「ハイウェイスター」は同社製が発祥。近年ではスポーツドライビング向けのNISMOシリーズの開発も行っている。

 

【イチオシモデル】高級感漂うスタイリングと細部までこだわったインテリアが自慢

ノート AUTECH CROSSOVER

253万7700円(税込)~279万6200円(税込)

「先進コンパクトであるノートをベースに、オーテックブランドのプレミアムスポーティなコンセプトとSUVの機能やスタイルを融合。内外装ともに専用品を盛り込んだオーテック仕様の、走りまでにもこだわった、すべてに上質感のあるコンパクトクロスオーバーモデルです!」(オーテック)

 

↑同社専用シートやウッド調のフィニッシャーなど上質さに定評がある。車内はクラスを超えた雰囲気を持つ

 

【その4】Modulo X

モデューロ X from ホンダ

ホンダの4輪車純正アクセサリーを手がけるホンダアクセスが作り上げたコンプリートカーブランドがモデューロ X。メインのコンセプトは、ホンダ車を知り尽くしたエンジニアが匠の技で熟成させたカスタムカー。開発アドバイザーはあの“ドリキン”こと土屋圭市氏だ。特にエアロ開発では実効空力を重視し、低速度域でも効果が感じられるエアロパーツを搭載。サスやホイールも専用に仕立てたもので、あらゆる路面環境でも高い接地感が魅力だ。

 

[History] アルミホイールのブランドとしてスタート

モデューロは、ホンダアクセスのアルミホイールブランドとして1994年に誕生。1990年代後半にはエアロパーツやサスペンションなどラインナップを拡大した。2013年にはHonda純正のコンプリートカーブランド、モデューロ Xシリーズがデビューした。

 

【イチオシモデル】空力効果のある“エアロ”と専用の足まわりで意のままに走れる

FIT e:HEV Modulo X

286万6600円(税込)

「FIT e:HEV Modulo Xは土屋圭市さんと開発担当者による徹底した走り込みによって完成しました。ビギナーから腕に覚えのある方までドライビングが楽しめる1台です。また年内発売を目指して、ヴェゼル e:HEVのモデューロ Xも開発中です。お楽しみに!」(モデューロ X)

 

↑パワートレインに手を加えず、エアロパーツ、ホイール、サスペンションで走りの質を高めることが信条だ

 

 

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空力効果のある“エアロ”と専用の足まわりで意のままに走れる「モデューロ X」

クルマ好きにとって愛車を自分流に仕立てることはひとつのテーマだ。アフターパーツメーカーも数多くあるけれど、それならばいっそのことメーカー直系のカスタムカーはいかが? 本稿ではホンダの「モデューロX」を紹介する!

※こちらは「GetNavi」 2022年4月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

Modulo X

モデューロ X from ホンダ

ホンダの4輪車純正アクセサリーを手がけるホンダアクセスが作り上げたコンプリートカーブランドがモデューロ X。メインのコンセプトは、ホンダ車を知り尽くしたエンジニアが匠の技で熟成させたカスタムカー。開発アドバイザーはあの“ドリキン”こと土屋圭市氏だ。特にエアロ開発では実効空力を重視し、低速度域でも効果が感じられるエアロパーツを搭載。サスやホイールも専用に仕立てたもので、あらゆる路面環境でも高い接地感が魅力だ。

[History] アルミホイールのブランドとしてスタート

モデューロは、ホンダアクセスのアルミホイールブランドとして1994年に誕生。1990年代後半にはエアロパーツやサスペンションなどラインナップを拡大した。2013年にはHonda純正のコンプリートカーブランド、モデューロ Xシリーズがデビューした。

 

【イチオシモデル】

FIT e:HEV Modulo X

286万6600円(税込)

「FIT e:HEV Modulo Xは土屋圭市さんと開発担当者による徹底した走り込みによって完成しました。ビギナーから腕に覚えのある方までドライビングが楽しめる1台です。また年内発売を目指して、『ヴェゼル e:HEV』のモデューロ Xも開発中です。お楽しみに!」(モデューロ X)

 

↑パワートレインに手を加えず、エアロパーツ、ホイール、サスペンションで走りの質を高めることが信条だ

 

これが世界のスタンダード! ホンダ新型「シビック」の完成度を調べてみた

1972年の初代モデル発売から、今年で50周年を迎え、累計販売台数は2700万台を超えるホンダの「シビック」。世代によって、この車名を聞いてイメージする姿はそれぞれでしょう。40代半ばの筆者が真っ先に思い起こすのは、コンパクトなハッチバックのシルエット。免許を取って間もない若者でも乗りやすく、それでいて走りも良いクルマというイメージでした。

 

そんな時代からすると、サイズも大きくなり車格も上がった現行の「シビック」。約7年間の日本で販売されない期間(「タイプR」のみ限定で販売)を経て、先代モデルで日本市場に復帰し、今回乗ったモデルは11代目に当ります。世界的に見るとホンダ車の中で2番目に売れているという現行「シビック」の完成度を探りました。

 

【今回紹介するクルマ】

ホンダ/シビック

※試乗車:EX

価格:319万円/353万9800円(税込)

 

上質さと落ち着きを感じさせる外観・内装デザイン

現行「シビック」で国内販売されるのは、5ドアハッチバックのボディタイプ。グレードは「EX」と「LX」の2種類が用意されますが、今回乗ったのは上位の「EX」グレードです。低く抑えられたボンネットから、リアに向けて水平基調で伸びるラインはシャープで、キャビンの形状はクーペライクなもの。20世紀に販売されていた「シビック」のハッチバックと比べると、大人向けのデザインになったと感じます。

↑よけいな威圧感はないものの、確かな存在感を漂わせるヘッドライトデザイン

 

↑テールエンドに向かってなだらなに収束するクーペのようなラインが特徴

 

フロントウィンドウは見るからに広く、視界が良さそう。車内に移動しても、開放感のある視界が実感できます。「EX」グレードは内装にレッドステッチや合成皮革が多用され、上質な仕上がり。落ち着ける空間が演出されています。

↑広いフロントウィンドウには「Honda SENSING」用のカメラも装備

 

↑水平基調で高さを抑えたインパネのラインで開放感のある広大な視界を確保

 

↑ハニカムデザインのエアコンの吹出口など、細かい部分にも配慮が感じられます

 

シートに身を沈めると、適度なホールド感と、それでいてどこにも窮屈さを感じさせない座り心地が味わえます。昨今流行りのSUVに比べると明確に低い着座位置に、ワクワクしてしまうのは世代のせいでしょうか。レザー製で適度な太さのステアリングホイールも、握り心地が良く、ドライビングへの期待感を盛り上げます。

↑上質な座り心地で、タイトな印象はないのにしっかりと体をホールドしてくれるシート

 

爽快さを存分に味わえるドライブフィール

搭載されるエンジンは1.5Lの直噴VTECターボ。最高出力は182PS/6000rpmで最大トルクは240Nmを1700〜4500rpmという低回転から広い領域で発揮します。組み合わせられるのは6速MTとCVTの2種類で、この時代に初期受注の約4割がMTという比率の高さに驚かされます。

↑現在、ホンダの主力パワートレインといってもいい1.5L直噴VTECターボエンジンを搭載

 

まずドライブしたのは6速MTのほう。先代モデルもMTの出来が良く「乗るならMTがいい」と強く感じたものですが(販売台数の約3割がMTだったとの事)、その印象はさらに強まりました。手首の動きだけでシフトが決まり、コクっとゲートに収まるフィーリングも良くなっているので、低速でも適度なクルマを操っている感が味わえます。また、エンジンも高回転になるほどレスポンスが高まるので、シフトを駆使して気持ちの良い回転数を維持するのが本当に爽快です。

↑金属製のノブに革を巻きつけたデザインとなり、フィーリングもさらに向上した6速MT

 

↑MTでも機能するACCなど、「Honda SENSING」の出来の良さも好印象

 

CVTに乗り換えても、爽快なフィーリングは変わらず。CVTにありがちなエンジンとタイヤの間にクッションがあるような感覚ではなく、ダイレクトに駆動力が伝わっているような印象です。特にアクセルを大きく開けた加速時や、ブレーキング時には段階的な変速を行う、ステップアップ/ダウンシフト制御が搭載されているので、エンジンの気持ちよさを存分に味わうことができました。

↑CVTでは「ノーマル」「スポーツ」「ECON」の3つのモードが切り替え可能

 

足回りは硬さは感じないものの、全体的にしっかりしていて、絶大な接地感が伝わってきます。低速で市街地を走っていても、ゴツゴツした印象は一切ないものの、確実に路面を捉えている感覚。高速道路では直進安定性が高く、「Honda SENSING」と相まって、長距離ドライブの疲労は確実に少ないでしょう。ワインディングでもしなやかに動く感覚は変わりませんが、荷重の増える分、路面にタイヤを押し付ける感覚が強まり、速度に合わせてスポーツしている感覚も高まってきます。ステアリングを切ると、低いノーズがスッとインに向いてくれて意のままに操れる感覚はまさに爽快。現行「シビック」の開発コンセプトである“爽快”をまさに体現する走りです。

↑硬さは感じないものの、確実に路面を捉え、意のままに動く爽快な走りが味わえます

 

高いユーティリティ性も確保

スポーツカー並みに楽しい走りが味わえる「シビック」ですが、居住性やユーティリティ性も高次元で両立しています。クーペのようなシルエットではありますが、実際にリアシートに座ってみると、ヘッドスペースに窮屈さは全く感じません。足元の空間も広く、家族をリアシートに乗せても不満が出る心配は皆無でしょう。

↑身長175cmの筆者が座っても、窮屈さを感じないリアシート

 

ラゲッジスペースは合計452Lと大容量。かつ開口部も広いので荷物の出し入れはしやすく、使い勝手はかなり良さそう。シートは6:4分割式で倒すとフラットに近いスペースを作り出すことができます。同クラスのSUVと比べても遜色のない容量と使い勝手で、気を使う部分といえば車高が低い分、重い荷物の積み下ろしで腰をかがめる必要があるくらいでしょう。ちなみに、シートを倒した状態で寝転んでみましたが、大人1人が体を伸ばして寝られる広さはありますが、途中に高低差があるので、流行りの車中泊にはちょっと向かないかもしれません。

↑荷室の床が下げられ、大容量を実現しているラゲッジスペース

 

↑6:4分割式のリアシートを倒すことで、さらに広大なスペースを確保できます

 

↑横引きタイプのカーゴエリアカバーに加えて、テールゲートにも荷物を見えなくするカバーが取り付けられます

 

街中では乗り心地が良く、高速道路では疲労の少ない安定感があり、ワインディングでは爽快な走りが味わえる。それでいて、ラゲッジスペースも広くて使い勝手も良いので、この価格帯ではライバルとなるであろうSUV勢に対しても劣るところがありません。使い勝手の良さと走りの楽しさを高次元で両立しているのは、歴代「シビック」の共通点ですが、現行モデルはさらに上質さが加わっている印象です。

 

違いのわかる大人向けのクルマと言いたいところですが、海外では若い世代に売れているとのこと。これが現在の世界のスタンダードだということでしょう。確かに、ここまで走らせる楽しさを味わえ、使い勝手と上質さも併せ持つクルマはなかなか思い浮かびません。国内での販売計画台数は月1000台と控えめですが、現行モデルのシビックはもっと売れてしかるべきと感じた試乗体験でした。

↑米国では「2022北米カー・オブ・ザ・イヤー」も受賞しています

 

SPEC【EX】●全長×全幅×全高:4550×1800×1415mm●車両重量:1360kg【6速MT1330kg】●パワーユニット:1.5L直4 DOHC 16バルブ●最高出力:134kW[182PS]/6000rpm●最大トルク:240N・m[24.5kgf・m]/1700〜4500rpm●WLTCモード燃費:16.3km/L

 

撮影/松川 忍

 

 

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「買って間違いなし!」と断言する2021年コンパクトSUV5選。おすすめグレード付き

近年、「クロスオーバーSUV」の人気は高く、SUVといえばクロスオーバーSUVを指す場合も多く見られます。クロスオーバーSUVとはクロスカントリー車の高い走破性と、乗用車の快適性を「融合(クロスオーバー)させる」という意味が込められています。

 

そのクロスオーバーSUVのジャンルのひとつであるのが、コンパクトSUV。ボディサイズはミドルサイズSUVよりも小さくてコンパクトカーサイズ、欧州でいうとBセグメントにあたります。日本では近年、ラインアップが拡充しており、人気ジャンルのひとつとなっています。今回は自動車評論家の岡本幸一郎さんが断言する、2021年に登場した「買って間違いなし!」のコンパクトSUVを5台紹介します。

 

【その1】このサイズの中で考えられることはすべてやりつくした

ホンダ

ヴェゼル e:HEV Z(4WD)

311万8500円(税込)

2021年4月に「ヴェゼル」の2代目モデルが発売した。このサイズの中で考えられることはすべてやりつくしたという完成度が光る1台。手ごろなサイズを初代から踏襲しながらも、これがヴェゼル!? と思うほど雰囲気はガラリと変わって、まるで車格が上がったかのよう。流麗なクーペスタイルながらも車内は広く開放的で、独自のセンタータンクレイアウトによる低くフラットなフロアのおかげで高さのある荷物もラクに積み下ろし可能。エアコンの「そよ風モード」のようなユニークなアイデアも光る。

 

初代とは別物の「e:HEV」によるスムーズな加速と低燃費も魅力。乗り心地もいたって快適で、実は4WD性能も想像以上に高い。見た目のオシャレな「PLaY」も魅力的だが、なぜか4WDの設定がなく、納期にも時間を要することから、現時点では「Z」の4WDをイチオシとしたい。

 

 

【その2】カローラの名にふさわしくあらゆる面でそつのない仕上がり

トヨタ

カローラ クロス ハイブリッド(4WD)

279万9000円(税込)〜

トヨタは2021年9月、カローラシリーズ初のSUVである「カローラクロス」を発売した。コンパクトとミドルの中間的なサイズ感だが、充実した装備内容のわりに価格はコンパクトクラス並みにリーズナブル。一連のカローラシリーズとの共通性を感じさせるスッキリした内外装デザインをはじめ、各部の広さも走りもカローラの名にふさわしくあらゆる面でそつのない仕上がりで、なんら気になるところがない。

 

SUVとしてのニーズに応えるべく居住空間も荷室も十分な広さが確保されていて、リアシートを倒すとロードバイクだって積めるほどだ。ガソリン車とハイブリッドのどちらにもよさがあるが、イチオシはハイブリッドの後輪をモーターで駆動するE-Four。非常時給電モードを備えたAC100V/1500W電源コンセントが設定されているのも魅力。

 

 

【その3】ノートの魅力をさらに昇華させる上品さも感じられる

日産

ノート AUTECH CROSSOVER FOUR(4WD)

279万6200円(税込)

バリエーションを多彩に揃える新型「ノート」。そのラインアップのひとつとして加わったのがカスタムグレードの「AUTECH」で、コンパクトSUVクラスに数ある車種の中でも異彩を放っている。AUTECHブランドの一員と位置づけているのは、カタログモデルにはない特別感を表現するため。

 

とっつきやすいコンパクトなサイズ感はそのままに、専用に仕立てられた内外装は、並み居る競合車に対してひと味違う雰囲気を感じさせる。動力源をe-POWERのみにわりきったのも特徴で、内燃エンジン車にはない瞬発力のある加速はモーター駆動ならでは。さらに、従来車とは別でリアに高出力モーターを配した現行型の4WDは、ハンドリングの仕上がりも抜群によくなっていてオススメだ。

 

 

【その4】新型は粗削りだった走りも洗練された

ダイハツ/トヨタ

ロッキー ハイブリッド(2WD)/ライズ ハイブリッド(2WD)

211万6000円〜(税込)/216万3000円〜(税込)

ダイハツの5ナンバーサイズのSUVが「ロッキー」。トヨタ「ライズ」は、ロッキーのOEM車になる。貴重な5ナンバーのSUVであり、最小回転半径が5.0mと小回りが利きながらも、クロカンテイストのたくましいフォルムと、5ナンバーサイズながら車内や荷室の十分な広さが確保されているのが強み。予想していたとおり大人気を博す。

 

発売から2年が経過。これまでエンジンが1.0Lターボのみだったが、2021年に1.2Lの自然吸気とハイブリッドが加わった。当初は全体的に粗削りだった走りも最新版はずいぶん洗練されていて、「e-SMART」と名づけられたダイハツ独自のシリーズ式ハイブリッドは、バッテリー容量もモーター性能も控えめでエンジンは頻繁にかかるものの、モータードライブならではのスムーズで静かで上質な走りを実現している。

 

 

【その5】キャプチャーを選ぶなら「インテンス テックパック」

ルノー

キャプチャー インテンス テックパック

319万円(税込)

ルノー「キャプチャー」はすでに欧州ベストセラーSUVになったほどの実力の持ち主で、あらゆる点でクラスを超えている。スタリッシュな外観は見てのとおりで、内装の質感もなかなか高い。上級車からのダウンサイザーに向けて最適なスペースを確保すべく全長とホイールベースが長く確保されているほか、リアシートが16cmも前後にスライド可能で、荷室容量はクラストップの536Lと圧倒的な広さを誇る。

 

このクラスの量販モデルとしてはかなり速い154PSで270Nmを発揮する1.3L直4ターボエンジンは、4気筒らしい上質な吹け上がりを実現。極めて俊敏なハンドリングも持ち味。20万円差で操舵支援や電動レザーシートの付く「インテンス テックパック」を選ばない手はない。

 

 

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登場から約10年で累計販売台数300万台突破! ホンダ「Nシリーズ」は、もはやNipponの名車です !!

“いま”爆売れ中のモノを「乗り物」からセレクトしてみました。モータージャーナリストの岡本幸一郎さんが、ホンダ「Nシリーズ」のヒットの背景を解説します。消費者ニーズに“ビッタビタ”な“ゴン攻め”の軽自動車の雄、知らないとマジでヤバいです!!

※こちらは「GetNavi」 2021年10月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

1年で平均約30万台を販売する軽自動車の雄

【軽自動車】 2017年9月発売

ホンダ

Nシリーズ

Nシリーズは若い子育て世代やミニバンなどからの乗り換え層も納得の豊富なバリエーションを誇る。軽自動車の限られたサイズを最大限に生かす工夫が満載の室内空間や、荷室の使い勝手の良さが支持され、ロングヒット中だ。

 

N-BOX

142万8900円〜194万2600円(税込)

軽自動車離れした室内の広さで人気のスーパーハイトワゴンの金字塔。抜群のスペース効率や走りの良さ、扱いやすさが支持されている。シンプルなデザインも好評だ。

 

N-BOX Custom

176万9900円〜215万2700円(税込)

アッパーグリルのメッキを立体化し、よりフロントマスクを強調したことで硬派な印象に。以前は運転席寄りだったフロントのナンバープレートをセンターに配しているのも特徴だ。

モータージャーナリスト

岡本幸一郎さん

大型輸入車から軽自動車まで、使う人目線で見るのがモットー。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員も務める。

 

徹底的なリサーチとホンダの技術力が融合

一時は軽自動車からの撤退も考えたというホンダが、一転、やるからには頂点を極めるという決意で送り出したのがNシリーズだ。

 

「代表的存在のN-BOXは、軽ハイトワゴンがどのように使われ、何が求められているのか。徹底的なリサーチに基づく企画力と、数々の金字塔を打ち立てた第2期ホンダF1直系の技術力の融合で生まれた傑作です」(岡本さん)

 

販売台数は6年連続で首位をキープするなど実績は輝かしい。シンプルなデザインも人気の理由だが、それだけではない。乗れば誰でもわかる気持ちの良い走りや、いち早く標準搭載した先進運転支援システム。軽の常識を打破した充実の性能が国民の心を惹き付けて止まないのだ。

 

ラインナップも豊富!

N-WGN

129万8000円〜182万7100円(税込)

シンプルなデザインのN-WGNは2019年に2代目が登場。最新の運転支援技術「Honda SENSING」を全車に標準装備する。

 

N-VAN

127万6000円〜187万2200円(税込)

軽商用バンとしてレアなFF車。ピラーレスのスライドドアで開口部が広く、床はフラットで使い勝手が良い。

 

N-ONE

159万9400円〜202万2900円(税込)

ボディパネルを先代から流用したデザインが話題になった2代目。6MTを導入するなど操る楽しさも備える。

 

岡本さんが語る! Nシリーズ3つの魅力

【その1】低床設計が生み出すバツグンの使いやすさ

ホンダ独自のセンタータンクレイアウトを採用。通常は燃料タンクのある後部座席の下が平らになるため、荷室フロアが競合車よりもずっと低く、リアシートをチップアップすることもできる。

 

【その2】軽自動車の水準を超えた高い予防安全技術

いち早くミリ波レーダーと単眼カメラを用いた高度なシステムを全車標準装備としたのが画期的。JNCAPの衝突安全性能についても、N-BOX、N-WGNが最高ランクの5つ星を獲得している。

 

【その3】豊富なラインナップで多様な使い方ができる

同じシリーズながら4モデルそれぞれがまったく異なるキャラクターの持ち主である点もポイント。商用車の新しい姿を目指したというN-VANは、キャンパーとしても人気を集めている。

 

【トレンドのツボ】N-BOXは6年連続軽自動車販売台数トップ!

中核を担うN-BOX・N-BOX Customは、2015年度から6年連続で軽自動車販売台数No.1。2017〜20年度は、登録車(小型車・普通車)を含めた台数でも4年連続でトップに輝き、21年も絶好調だ。

●出典:全国軽自動車協会連合会の年度別新車販売台数データ

 

 

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ホンダ「ヴェゼル」が爆売れ中!! クルマのプロが「欠点がない」とまで言い切る実力に迫る

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をする「クルマの神は細部に宿る。」。今回取り上げるのは、先代モデルのヒットに続き、新型も売れに売れている「ヴェゼル」。イメージを一新したデザインや使い勝手、インテリアの質感はどうなのか?

※こちらは「GetNavi」 2021年9月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【レビュアーPROFILE】

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。2018年以降、ペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更している。

 

安ド

元GetNavi編集部員で、現在ではフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今月のGODカー】ホンダ/ヴェゼル

SPEC【e:HEV PLaY】●全長×全幅×全高:4330×1790×1590mm●車両重量:1400kg●パワーユニット:1.5LDOHCエンジン+モーター●エンジン最高出力:106PS(78kW)/6000〜6400rpm[モーター最高出力:131PS(96kW)/4000〜8000rpm]●エンジン最大トルク:13.0kg-m/4500〜5000rpm[モーター最大トルク:25.8kg-m/0〜3500rpm]●WLTCモード燃費:24.8km/L

227万9200円(税込)〜329万8900円(税込)

 

外観同様に、走りも内装も上質な高級感

安ド「殿! 新型『ヴェゼル』が売れまくっているそうです!」

 

永福「うむ」

 

安ド「写真をひと目見たときから、良いなと思ってましたけど、実物はさらに良いですね!」

 

永福「同感だ。写真をひと目見た時から良いなと思っていたが、実物はさらに良い」

 

安ド「僕と同じことを言わないでください!(笑)」

 

永福「同じことを思ったのだから仕方なかろう」

 

安ド「ヴェゼルのデザインは、具体的にはどこが良いんでしょう?」

 

永福「まずシンプルであることだ。余計なラインやらえぐりやら、あるいはギラギラしたデコレーションがまったくない」

 

安ド「ボディ同色グリルもですか?」

 

永福「あれも、よりシンプルな方向だ。ボディと同じ色なのだから」

 

安ド「なるほど!」

 

永福「そして、ウエストラインがほぼ水平だ。これが、スピード感や威厳を強調しないニュートラルな雰囲気を醸し出し、日本人好みの清潔感につながっている」

 

安ド「だから良いデザインに見えるんですね!」

 

永福「うむ。海外でこのデザインがウケるかどうかはわからないが、日本人の深層心理には強く訴えかけてくる。初代『ソアラ』のように」

 

安ド「初代ソアラ! 僕はまだ子どもでした」

 

永福「わしですら10代だった」

 

安ド「僕はこのデザイン、ホンダの『HR-V』みたいに、縦方向に潰れた感じが好きなんですけど」

 

永福「HR-Vも相当古いぞ」

 

安ド「若い読者にはチンプンカンプンでしょうか」

 

永福「お互い、例えが古くてイカンな」

 

安ド「走りも内装も上質ですよね。『フィット』のSUV版とは思えない高級感でした」

 

永福「うむ。見た目同様、すべてが上品で清潔感がある。しかも室内が広い」

 

安ド「燃費も良かったですよ。実測で19km/Lくらい走りました」

 

永福「フィットとほぼ同じハイブリッドシステムだからな」

 

安ド「このクルマ、良いところずくめですね!」

 

永福「うむ。若干価格は張るが、一般の皆様には手放しでオススメできる。まぁオススメするまでもなく売れているが」

 

安ド「じゃ、殿のようなカーマニアは、こういうクルマ、欲しいと思いますか」

 

永福「安ドはどうだ?」

 

安ド「僕ですか? 僕はいりませんよ。MTがないですから」

 

永福「MT車しか買わないとは、不便な人生よのう。わしはATでもいいぞ」

 

安ド「じゃ殿は買いますか?」

 

永福「買うわけがなかろう。なにせヴェゼルには、カーマニアにとって一番大事なものがない」

 

安ド「それはなんですか?」

 

永福「欠点だ。欠点のないクルマなど、面白いはずがなかろう」

 

【GOD PARTS 1】ボディサイドライン

水平に引かれたラインでシンプルさを演出

先代より全長が拡大されたことで前後に長い印象を受けるデザインですが、ボディサイドに一本通されたウエストラインが、それをさらに強調しています。この水平基調のラインが、スッキリとした印象を演出しているのです。

 

【GOD PARTS 2】シート生地

クールで上質な印象を与える特別な素材を採用

上級グレードの「PLaY」には、プライムスムース素材とファブリック素材を組み合わせた「グレージュ」と呼ばれるシート表皮が採用されています。派手過ぎることもなく、大人っぽくて、コンパクトSUVとは思えない高級感が味わえます。

 

【GOD PARTS 3】LEDルームランプ

静電式なのでそっと触れるだけ

パッと見たところルームランプの周囲にスイッチが見つかりませんが、なんと静電式で、ランプの周辺をそっと触れれば点灯できます。暗いなかでもなんとなくそのあたりに触れるだけで良い、ユーザーに優しい装備です。

 

【GOD PARTS 4】そよ風アウトレット

エアコンからの風が直接身体に当たらない

エアコン吹き出し口中央のツマミを操作することで、風向きを自在に変更できます。外側の細長い「そよ風アウトレット」を選べば、風が乗員に直接当たらず、身体を包み込むような流れに。ほど良い心地良さを味わえます。

 

【GOD PARTS 5】エアコンコントロールパネル

触りたくなるアナログなダイヤル

最近はなんでもデジタルでタッチパネルになりつつありますが、ヴェゼルのエアコン操作系は、節度感の良いダイヤルとボタンで構成されていて、良い雰囲気です。左右下にはUSBソケットが配置されています。

 

【GOD PARTS 6】リアシート

ユーティリティ性に優れたシート設計

↑通常時

 

↑チップアップ

 

↑ダイブダウン

 

燃料タンクを車体中央下に配置したホンダ独自の「センタータンクレイアウト」によって、ボディサイズのわりに室内空間は広めです。リアシートはチップアップ(跳ね上げ)とダイブダウンができるので、スペースを巧みに使うことができます。

 

【GOD PARTS 7】リアコンビランプ

あのクルマみたいなデザイン

左右のかたまりが一直線に結ばれたデザインの、リアコンビネーションランプが採用されています。天地方向の幅はかなり薄型ですが、ワイド感が強調されクールな印象です。一部では、昨年発売されたトヨタのハリアーに似ているとも言われています。

 

【GOD PARTS 8】減速セレクター

パドル操作で自在にエンブレ感覚を調整可能

ATシフトを「D」レンジから「B」レンジへ切り替えれば、アクセルを離した際の減速感をステアリング奥のパドルで調整できる状態になります。4段階にコントロールできますが、最大にしても日産のe-POWERほど強烈ではありません。

 

【GOD PARTS 9】パノラマルーフ

紫外線や熱をカットする特殊なガラス素材を採用

一部グレードに設定されるパノラマルーフには、「Low-Eガラス」なるものが採用されています。これは赤外線や紫外線をほぼ遮断しつつ、日差しによる熱も従来比約50%カットしてくれるもの。フロントは電動、リアは手動でカバーを外せます。

 

【これぞ感動の細部だ!】ボディ同色グリル

シンプルで飾らない印象を与えるセンスフルなデザイン

フレームレスのボディ同色グリルは、一見、印象が薄いように感じますが、慣れるとこれがなかなか素敵です。そもそもグリルという構造物は、デザイン的にはクルマのフロントフェイスに威厳や迫力を与えるものですが、ここをシンプルにしたことで、逆に洗練された印象を受けるのです。向かって右上部にさりげなく配置されたトリコロールの「カラーオーバーオーナメント」もオシャレです。

 

撮影/我妻慶一

 

 

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売れている理由を体感! ホンダ新型「ヴェゼル」のクラスを超えた魅力

今年3月の受注開始以来、すでに約3万台もの受注を集めているホンダの新型「ヴェゼル」。世界的に人気の高いコンパクトSUV市場の中にあっても、厚い支持を集め続けているモデルです。イメージを一新し、ホンダの新しい“顔”となるモデルがどんな魅力を持っているのか、実車で体感してきました。

 

【今回紹介するクルマ】

ホンダ/ヴェゼル

※試乗車:e:HEV Z(FF)

価格 227万9200円〜329万8900円(税込)

↑ボディカラーはツートーンカラーを含め全11色。写真のボディカラーはプラチナホワイト・パール

 

 

写真で見るより実車はカッコいい

従来モデルから大きくイメージを変えたのが外観デザインです。大きめのフロントグリルと切れ長のライトを組み合わせたフロントフェイスは、発表時に写真で見た限りではあまり良い印象を持っていませんでした。しかし、実車を目の前にすると、この印象を覆すほどカッコいい。特に少し角度をつけて斜め前から見ると、グリルの微妙な凹凸が付けられたデザインにグッときます。平面で見る写真では、この辺りの3Dなデザインが伝わりにくいのが、当初の印象の要因だったようです。

↑この角度から見ると、グリルの3Dデザインがわかりやすい。メッキではなく同色に塗られているのも好印象

 

SUVでありながら、クーペ風に絞り込まれたシルエットは従来モデルから継承されていますが、新型はテールランプが水平基調となり、さらにスマートな印象となっています。

↑キャビン後方の造形はクーペのような流麗なラインを維持

 

↑スタイリッシュな印象を決定づけるウインドウと一体化したデザインのドアノブも継承される

 

↑テールランプは薄型で水平に伸びたデザインとなり、スッキリとした見た目に

 

広くなったように感じるインテリア

車内に足を踏み入れると、前モデルよりも広くなったように感じます。全幅は20mm広くなっていますが(「RS」「Touring」グレードとは同一)車体サイズはほぼ同一なので、インテリアのデザインが、「フィット」などと同じく水平基調で高さを抑えたものになっているこのが要因でしょう。個人的には華美な装飾を抑えた、オーセンティックな作りが好印象です。

↑飾った所のないインテリア。水平に広がるデザインで見通しも良い

 

リアシートに乗り込むと、広くなったという印象はさらに強くなります。ヘッドスペースは大きく変わりませんが、足元、特にヒザの辺りの空間が広くなっているのです。聞けば先代モデルより35mm広くなっているとのこと。コンパクトSUVは後席の居住性がやや狭く感じるものも少なくありませんが、この広さは特筆モノです。

↑フロントシートを大人が乗って快適な位置に合わせても、後席のニークリアランスは余裕がある

 

もう1つ触れておきたいのがラゲッジスペースです。6:4分割のリアシートは前に倒すと座面ごとダイブダウンするので、限りなくフラットな荷室空間が出現します。これだけフラットになるSUVの荷室はなかなかありません。荷物の積み下ろしがしやすいだけでなく、車中泊もできそうです。試しに寝転んでみましたが、見た目以上にフラットで、大人1人であれば快適に寝られそうでした。

 

↑身長175cmの筆者でも車体に対して斜めになれば横になれます。この状態でも、床面に角度がないので快適

 

細かい部分にも配慮を感じる

細部に目を向けても車内で快適に過ごすための配慮が行き届いているのが感じられます。フロント左右のエアコン吹き出しには「そよ風アウトレット」と呼ばれる機構を装備。これは、通常のエアコン吹き出し口の外側に、もう1つのアウトレットを備え、乗員の体に直接風を当てることなく車内を涼しく(冬は暖かく)保てるものです。

↑運転席側と助手席側はそれぞれ吹き出し口を選べるため、隣に女性を乗せた場合に、直接冷風を当てないようにできる

 

ドアのデザインは、ステップ部分まで覆う形状に。これはオフロードなどを走った際などに、ステップの部分に泥が付くことを防ぐための構造。乗り降りの際に、ステップの汚れが服の裾などに付かないようにというSUVらしい配慮です。

↑ドアが下に伸びてステップまで覆うことで、アウトドアユースでの服の汚れを防いでくれます

 

↑「e:HEV PLaY」グレードに装備される「パノラマルーフ」は開放感の高さが魅力

 

↑リアゲートは予約クローズ機能や、ハンズフリーでの開閉にも対応。トノカバーが吊り下げ式になっているのも便利です

 

クラスを超えた走行性能

今回試乗したのは「e:HEV」と呼ばれるハイブリッド・パワートレーンを搭載したグレード。先代モデルのハイブリッドは「i-DCD」という1モーターのパワートレーンでしたが、e:HEVは2モーターです。基本的にはエンジンを発電用に用い、駆動はモーターが担うシステムですが、エンジンの効率が高くなる高速クルーズ時だけは、エンジンを駆動に用います。加速力に優れるモーターと、一定速でのクルージングで効率が高まるエンジンの得意なところをそれぞれ活かしたパワートレーンといえます。

↑e:HEVはモーター走行のEVモードを中心に、ハイブリッドモード、エンジンモードと様々なドライブモードを使い分けます

 

「i-MMD」と呼ばれていた頃から、そのパワートレーンを搭載したモデルはいくつも乗ってきましたが、完成度にますます磨きがかけられている印象です。発進時はモーターらしい力強い加速が味わえ、中間速度での加減速もスムーズ。過去にドライブした際には、発電機として用いているため、アクセル開度に関わらず一定回転で回り続けているようなエンジン音に違和感をおぼえたこともありましたが、新型「ヴェゼル」ではそうした違和感もほぼ払拭されています。

↑モーターならではのスムーズで力強い加速感が「e:HEV」の魅力

 

そして、最も感心したのが足回り。大径ホイールを履き、サスペンションのストロークが長いSUVは舗装路を一定以上のペースで走るとフワフワと落ち着かない印象を受けたり、逆にサスペンションを締めすぎているように感じるモデルも少なくありません。しかし、新型「ヴェゼル」は足回りがしなやかに動きつつも、しっかりと路面を捉え、速度が上がってもタイヤを路面に押し付け続けてくれている印象。低速域では路面の凹凸をいなすように乗り心地が良く、高速域ではしっかり踏ん張ってくれるような足回りです。

↑重心の高いSUVでありながら、コーナーリングも楽しめる

 

2019年、先代モデルに「TOURING」グレードが追加された際、コーナーリング性能の向上に驚いた記憶が鮮明に残っていますが、聞けば新型はこの「TOURING」と同等のボディ剛性を基本に、足回りをさらに煮詰めているとのこと。ボディ剛性を高めることで、サスペンションは柔らかくすることができ、しなやかな動きを実現しているのです。足回りの完成度だけで言えば、2クラスくらい上の高級SUVにも勝るとも劣らない印象でした。

↑街乗りや高速クルージングは快適で、ワインディングに入ればコーナーが楽しい

 

試乗の最後に、限られた時間ですがパワートレインがガソリンエンジンの「G」グレードにも乗ってみました。受注状況は「e:HEV」が93%を占めるとのことでしたが、ガソリンモデルも好印象。出だしの加速や、しっとりした走行感はハイブリッドに分がありますが、バッテリーを積んでいない軽さからくる素直なハンドリングに、こちらも捨てがたいと感じました。メーカー担当者いわく「素うどんのような」グレードとのことでしたが、その分、このクルマの素性の良さが味わえた気がしました。これから選ぶのであれば、どちらも一度乗ってみることをおすすめします。

 

SPEC【e:HEV Z(FF)】●全長×全幅×全高:4330×1790×1590mm●車両重量:1380kg●パワーユニット:1496cc直列4気筒DOHC+e:HEV(i-MMD)●最高出力:78kW[106PS]/6000〜6400rpm【モーター96kW[131PS]/4000〜8000rpm】●最大トルク:127N・m[13.0kgf・m]/4500〜5000rpm【モーター253N・m[25.8kgf・m]/0〜3500rpm】●WLTCモード燃費:24.8km/L

 

撮影/松川 忍

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

 

人気SUV、ホンダ「ヴェゼル」がフルモデルチェンジ! プロが6項目で徹底チェック!!

SUV年間販売台数で4度トップに輝いたホンダ・ヴェゼルが初のフルモデルチェンジ。2代目もトップに輝く資質は有しているのか……? デザインや居住性、SUVで必須とされる使い勝手の良さなど、全方位でモータージャーナリストが徹底的にチェックした!

※こちらは「GetNavi」 2021年6月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

ホンダ

ヴェゼル

227万9200円〜329万8900円

ガソリンエンジンモデルと、発電用と走行用モーターを2基搭載するハイブリッドモデル「e:HEV」がラインナップ。先代と同等のコンパクトサイズながらホンダ独自のセンタータンクレイアウトの採用などで、居住性と使い勝手の良さが光る。

SPEC【e:HEV PLaY・2WD】●全長×全幅×全高:4330×1790×1590mm●車両重量:1400kg●パワーユニット:1496cc直列4気筒+2モーター●最高出力:106PS(78kW)/6000〜6400rpm●最大トルク:13.0kg-m(127Nm)/4500〜5000rpm●WLTCモード燃費:24.8km/L

 

【ヴェゼルのココがスゴイ!】

広さや使い勝手はそのままにデザインや安全装備も進化!

「取り回しのしやすいサイズ感や広々とした居住空間はそのままに、水平基調のスリークなデザインに生まれ変わりました。走行性能だけでなく、先進安全装備・コネクティッド機能も進化しています。実車を見ればその良さに納得していただけます!」(ホンダ広報PR)

 

私がチェックしました!

モータージャーナリスト

岡本幸一郎さん

1968年生まれ。コロナ後に家族で旅するためのSUVの購入を検討中。メカニズム関連にも詳しい。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

見た目も中身も成熟して車格も一気に向上した

大ヒットした初代の後を受けて登場した2代目を目の前にした第一印象は、「これがヴェゼル!?」と思うほど成熟していて、車格が一気に上がったように見えた。このクオリティの高さはハンパない。

 

インテリアの質感も驚くほど高く、装備がさらに充実している。吹き出しを工夫したエアコンのように目の付けどころがユニークな独自のアイテムも装備。このサイズのなかに考えられる機能や要素はすべて盛り込んだという印象だ。安全運転支援装備も、このクラスとして申し分ないほど充実している。

 

ハイブリッドがメインとなるが、発電用と走行用の2つのモーターを搭載し、モーター走行を中心にエンジンを含め状況に応じて最適に使い分けるというシステムはホンダ最新仕様。初代とは別モノだ。走りや燃費の良さでは定評があり、ヴェゼルにもそのシステムが搭載されたのは大歓迎だ。

 

過去4回もSUVの年間販売首位に立つほどの人気モデルだったヴェゼルが、再びその座に戻ってくる日は遠くないだろう。

 

【Point1】デザイン

評価 ★★★★★

どの角度から眺めても新鮮なこれまでのホンダ車にない造形

突出したノーズにグリルレスっぽいフロントもなかなかイケメンだし、クーペらしさを強めたサイドビューも絶妙だ。彫りの深い造形も独特。なかでも最上級の「PLaY」は細かな部分にもこだわりが表現されている。

 

↑先代よりもAピラーの角度を立て、直線的なボンネットのデザインとすることで力強さを演出。大径タイヤも功を奏している

 

↑大型フロントグリルを採用しているが、ボディと同色とすることで一体感を増している。「PLaY」グレードでは3色のアクセントも

 

【Point2】走り

評価(予想) ★★★★

リニアなレスポンスで低燃費な従来とは別物のe:HEVを搭載

基本的に同じハイブリッドシステムを搭載する同社のフィットから想像するに、レスポンスが良く力強いスムーズな走りで燃費も良いことが期待できる。おそらく乗り心地も、より快適志向になっているはずだ。

 

↑1.5L4気筒エンジンを搭載。エンジンでの走行とモーター走行を使い分けることにより、走行状況に応じた最適なパワー配分が可能

 

↑e:HEVは発電用と走行用2つのモーターを搭載。強い加速時はエンジンの力で発電したモーターを駆動し、パワフルに走行できる

 

【Point3】居住性

評価 ★★★★

見た目と広さを巧みに両立運転環境の不満もなし

コンパクトSUVという限られたサイズのなかで、スタイリッシュなフォルムを実現しながら車内空間も不満のない広さが確保されていることに感心。ドライビングポジションも調節しやすく、視界が良好で見切りも良い。

 

↑メーターには9インチのカラー液晶を採用し視認性は高い。各種スイッチも分かりやすい位置に配され、ラクに操作できる

 

↑車体下部に燃料タンクを配置する“センタータンクレイアウト”により、リアシートの足下は広々。リクライニングもできるのは◎

 

【Point4】使いやすさ

評価 ★★★★★

持ち前のアドバンテージに加え電動テールゲートまで設定した

従来通りフロントシート下部に燃料タンクを配置するセンタータンクレイアウトを採用。車体後部のフロア高が低いおかげで高さのある荷物も積めるのがヴェゼルの強みだ。このクラスのSUVではまだ珍しい電動テールゲートの設定も重宝する。

 

↑初代の低床設計による荷物の積みやすさは継承。リアシートは6:4の分割可倒式。倒した際も床面がフラットになり使いやすい

 

↑リアシートの座面を跳ね上げれば背の高いモノもラクに積載可能。これもセンタータンクレイアウトがもたらすメリットのひとつだ

 

【Point5】安全運転支援技術

評価 ★★★★

進化した「Honda SENSING」が安全な運転を支援してくれる

さらに進化した「Honda SENSING」を搭載。後方誤発進抑制機能、近距離衝突軽減ブレーキ、渋滞追従機能付アダプティブクルーズコントロール(ACC)などが追加され、より安心・安全な運転をサポートする。

 

↑歩行者事故低減ステアリングを搭載。歩行者側の車線を逸脱し歩行者と衝突の危険を察知すると、音とディスプレイ表示で警告する

 

↑高速道路での渋滞時に設定した車間距離を保持しながら、アクセルやブレーキを操作せずに走行可能。運転者の疲労が軽減される

 

【Point6】快適・便利装備

評価 ★★★★★

クラスの常識を塗り替える装備の充実ぶりに感心した

開口部を極限まで広げたパノラマルーフによる開放感は絶大。コネクティッド機能やUSB端子、タッチ式ルームランプなど時代に即した装備を搭載したり、そよ風アウトレットのような独自のアイデアにも要注目だ。

 

↑フロント左右に配置される“そよ風アウトレット”。直接当たる風とは異なるやさしい風を送り、外気の熱や寒さもカットしてくれる

 

↑「PLaY」グレードに設定される、頭上に開放感をもたらすパノラマルーフ。リアシート側はパネルを着脱する方式を採用している

 

【講評】

ベストセラー返り咲きは確実! 見れば見るほど感心させられた

「もはや現時点でできることはほぼやり尽くした印象で、完成度の高さに本当に感心させられっぱなし。それでいて価格はあくまでヴェゼルの枠に収まっているのもうれしい。あとは実際に走ってみてどうなのか、楽しみですね!」(岡本さん)

ホンダ「シビック TYPE R」を試乗してスポーツカーの魅力について考えてみた

ホンダのスポーツモデルの代名詞的な位置付けになっているのが「シビック TYPE R」。1997年にグレードとして追加され、現行モデルは5代目となります。多くのメーカーが高性能車をテストするニュルブルクリンク北コースにおいて、FF市販車世界最速の記録を残していることを記憶している人も多いでしょう。

 

【今回紹介するクルマ】

ホンダ/シビック TYPE R

価格:475万2000円

 

搭載されるエンジンは2000ccのVTECターボで最高出力320PSと最大トルク400Nmを発生。正直なところ、公道ではフルパワーを発揮するシーンはありません。それでも、このマシン、発売から間をおかずに予定していた販売台数が終了するほどの人気を博しています。実際に最新型に試乗しながら、その理由について考えてみました。

↑ハイパワーなだけでなく、超軽量クランクトレーンや軽量アルミ製ピストンを採用し、俊敏なレスポンスと13km/L(WLTCモード)という好燃費を両立するエンジン

 

熟成の域に達したマイナーチェンジ

2020年10月にマイナーチェンジを果たしたこのモデル、次期型「シビック」の登場が噂されている状況でもあり、現行の“最終バージョン”といえる完成度。生産拠点である英国工場の閉鎖も決まっているため、今後の去就も注目されるところです。

↑歴史ある“TYPE R”のエンブレムが次期型にも受け継がれることが期待される

 

マイナーチェンジによる変更点は、まさに熟成の域に達したものです。押しの強いスタイリングはそのままに、フロントグリルの開口面積を拡大し、冷却性能の向上とダウンフォースレベルを強化。ブレーキには2ピースタイプのフローティングディスクを採用し、ハードブレーキング時のフィーリングを向上させるなど、サーキットを主舞台とするマシンらしい進化を果たしています。

↑前後バンパーの形状を小変更し、冷却性能をアップ。ダウンフォースも向上させている

 

ベースモデルは「シビック」のハッチバックですが、「TYPE R」は遠目で見てもベース車とは異なるオーラを放っています。張り出したブリスターフェンダーや大型のリアスポイラー、タダ者ではない雰囲気の20インチホイールなど、圧倒的な存在感があります。

↑大型のスポイラーだけでなく、小さなエアロスタビライジングフィンが刻まれているのが本気のマシンである証

 

サスペンション性能もブラッシュアップされています。電子制御のアダプティブ・ダンパー・システムやサスペンションブッシュのアップデートによって、ハンドリング性能を向上。スポーツ走行時のダイレクト感を増すとともに、荒れた路面での接地性・制振性も進化させています。

↑熱に強いツーピースディスクを採用することでサーキットでのブレーキフィールを向上

 

↑3本のセンター出しマフラーから響くエキゾーストノートに気分がさらに高まる

イメージカラーの「レッド」で彩られた内装

内装に目を向けてもステアリングの表皮がアルカンターラとなり、シフトノブの形状も従来の丸型からティアドロップへと変更。より操作精度を高めました。

↑ステアリングホイールは握りやすくフィット感の高いアルカンターラに

 

↑ティアドロップ形状となったシフトノブは、触れただけでシフト位置が把握しやすい

 

「TYPE R」のイメージカラーであるレッドに彩られた内装に気分を高ぶらせながら、ホールド性に優れたバケットタイプのシートに体を滑り込ませます。着座位置は低く、これぞスポーツマシンという視界。エンジンをスタートさせると、迫力ある音が耳だけでなくお腹にも響いてくるように感じました。

↑体を包み込むようにホールドするバケットシートにも「TYPE R」のエンブレムが

 

↑本気のスポーツモデルでありながら、後席の居住性も高く、シートを倒せば広大なラゲッジスペースが出現することもこのマシンの魅力

「TYPE R」はクルマを操る“楽しさ”を味わえる

6速MTのシフトを操作してクラッチをつなぐと、外観や排気音からすると拍子抜けするほどスムーズに走り出せます。街中を走らせていても乗り心地はかなり快適。マイナーチェンジ前のモデルよりもサスペンションのゴツゴツ感はやわらいでいる印象で、アダプティブ・ダンパー・システムの制御が緻密になっていることが、低速域での乗り心地にも効いているようです。

 

このマシンにはCOMFORT、SPORT、+Rの3つの走行モードがありますが、特にCOMFORTモードでの快適性が向上している印象でした。とはいえ、COMFORTといえども操作に対するダイレクトなレスポンスはスポーティーなクルマ並み。SPORTモードでは本気のスポーツカーになり、+Rモードではレーシングカーに変貌するという印象です。

↑3つの走行モードを備えるが、+Rモードはほとんどサーキット専用という仕上がり

 

混み合った街中を走っても、一昔前のスポーツカーのようにストレスを感じることがないのは、現代のスポーツマシンらしいところです。とはいえ、このマシン本来の性能の一端が感じられるのは高速道路やワインディングに足を伸ばしてから(“本領”を発揮するには、サーキットに持ち込まなければなりませんが)。とにかく操作に対してダイレクトにクルマが動いてくれるので、操るのが楽しくて仕方ありません。

 

高速道路を制限速度内で走っていても、アクセルやブレーキに対する反応が俊敏なので意のままに車体を動かすことができます。気持ち良く変速できる6MTの操作感もこれに一役買っていて、ついつい必要ない変速をしてしまうほど。コーナーではブレーキングからステアリングを切り込むと、スパッとノーズが入って思い描いたラインに乗ってくれます。そこからアクセルを踏み込んでも、ハイパワーなFF車にありがちなアンダーステアが顔を出すこともなく、むしろイン側に引っ張られるような感覚。荷重をかければかけるほどタイヤがしっかりと路面を掴んでくれるようで、ついついスピードを上げてしまいそうになります。

↑高性能のFFマシンらしく、フロントからグイグイ向きが変わっていく感覚が楽しい

 

公道での試乗だったので、このマシン本来の性能を味わうことはできませんが、その一端を感じるだけでも十分に刺激的でした。ワインディングでの試乗後はうっすらと汗ばんでいたほどで、クルマを操るのがスポーツというか一種のアクティビティであると感じられたほど。マニュアルの変速操作はもちろんですが、ステアリングやアクセル操作に対してクルマがリニアに反応する楽しさ、そしてサスペンションやステアリングから伝わってくる情報が脳を刺激する気持ち良さを味わうことができました。

 

純粋にこのマシンの“速さ”に惹かれる人も多いのでしょうが、こうしたクルマを操る“楽しさ”を味わいたくて「TYPE R」を選んだ人も少なくないのではないでしょうか。実際にステアリングを握っている間は、パソコンやスマホに向かっているときとは違う脳の回路がつながっているような感覚があり、それこそがこの時代にスポーツマシンを選ぶ価値なのではないかと思います。

↑こんなマシンがガレージにあれば、仕事の合間に少し乗るだけでも良い気分転換のアクティビティになりそう

 

SPEC【TYPE R】●全長×全幅×全高:4560×1875×1435mm●車両重量:1390kg●パワーユニット:1995cc直列4気筒DOHC+ターボ●最高出力:235kW[320PS]/6500rpm●最大トルク:400N・m[40.8kgf・m]/2500〜4500rpm●WLTCモード燃費:13.0km/L

 

撮影/松川 忍

 

 

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新時代の電気シティコミューター、Honda eの実力とは?

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をする「クルマの神は細部に宿る。」。今回は、昨年ホンダが打ち出した新時代の電気シティコミューター、Honda eを取り上げる。絶賛か、はたまた酷評か?

※こちらは「GetNavi」 2021年3月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【PROFILE】

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。2018年以降、ペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更している。

 

安ド

元GetNavi編集部員で、現在ではフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今回のGODカー】Honda/Honda e

SPEC【Advance】●全長×全幅×全高:3895×1750×1510mm ●車両重量:1540kg ●パワーユニット:電気モーター ●最高出力:154PS(113kW)/3497〜10000rpm ●最大トルク:315Nm(32.1kg-m)/0〜2000rpm ●一充電走行距離(WLTCモード):259km

451万円〜495万円

 

価格を高くして、販売台数を絞る理由とは

永福「安ドよ。このクルマ、どうだ」

 

安ド「欲しいと思いました!」

 

永福「そうか……」

 

安ド「過去1年間に乗ったニューモデルのなかで、一番欲しいと思いました。同じEVでも、テスラなんかよりずっとおしゃれじゃないでしょうか!」

 

永福「ワシもそう思う」

 

安ド「殿もですか!」

 

永福「このクルマは貴族だ」

 

安ド「貴族ですか!」

 

永福「シンプルでとても気品がある。本物の貴族はシンプルな服を着ていると聞くが、まさにそれだ」

 

安ド「本物の貴族に会ったことはありませんが、そうなんですね!」

 

永福「わしも会ったことはない」

 

安ド「ガクッ! でもインテリアは、シンプルというより超ハイテクなイメージですね」

 

永福「ドアミラーはデジタル表示だし、インパネの右から左まですべて液晶パネル。助手席前のパネルは何を映すのかと思いきや、ステキな庭園風景の壁紙などで、それはそれで癒されるものだな」

 

安ド「走りも良かったです! 小回りも利きますし」

 

永福「しかし安ドよ。このクルマを買ってはならない」

 

安ド「僕は買いたくても買えませんが、なぜですか?」

 

永福「ホンダさんが、買わないでくれと言っているからだ」

 

安ド「そんなことを言ってるんですか!?」

 

永福「内心はそう思っているに違いない」

 

安ド「確かに価格は高いとは思いますけど」

 

永福「上級グレードのアドバンスだと約500万円。日産リーフと比べて、ぶっちゃけ100万円くらい高い。しかも日本では年間たったの1000台しか売らない。これは『買うな』ということだ」

 

安ド「いったいナゼでしょう!?」

 

永福「近い将来バッテリー革命が起きる。現在のリチウムイオン電池は、全固体電池(※)に取って代わられる。となると性能は大幅に向上し、逆に価格は下がっていく」

※:電流を発生させる電解質を従来の液体から固体にした電池で、発火や液漏れのリスクがなくなり安全性が向上する。過酷な環境で使われることが多いEVの動力として期待されている

 

安ド「Honda eのバッテリーもそれになるんですか?」

 

永福「なるだろう。ひょっとして、最初からそれを前提で設計しているかもしれない。つまり現在のHonda eは仮の姿。航続距離の短さもそれが原因だ」

 

安ド「そうなんですか!」

 

永福「今回はとりあえず、『電動化にも取り組んでいますよ』という企業姿勢を見せることが目的で、本音ではあまり売りたくないのだ。なぜなら、今のHonda eを買うと損するからだ!」

 

安ド「損するんですか!」

 

永福「数年後には、大幅に性能が向上し、価格も安くなった本物のHonda eが登場する。だからいま買うと損をする。ホンダとしてはお客様に損をさせたくない。だからこんなに価格を高くして、販売台数も絞っているのだ!」

 

安ド「さすが殿、慧眼です!」

 

永福「すべて憶測だ」

 

安ド「ガクッ!」

 

【GOD PARTS 1】インパネ

ディスプレイが並んだ未来感溢れる室内風景

インパネの端から端まで複数の大型ディスプレイが並べられています。もうこれだけで圧倒的な未来感が感じられますが、どのディスプレイも高精細で非常に見やすいことにも驚かされます。

 

【GOD PARTS 2】ファブリックシート

特別な素材感を持つソファのようなシート

「メランジ調」と呼ばれる高級感と温かみの感じられる素材感が再現されている特別なシートは、まるで柔らかなソファのようなイメージです。ただし長時間乗ってみると、乗り心地が特別良いというわけではないようですが。

 

【GOD PARTS 3】センターコンソール

温かみのある木目で未来すぎない空間に

インパネやこのセンターコンソールの表面にはウッド調の素材を用いて、未来的で冷たいイメージになりがちな車内に温かみをもたらしてくれています。前方の革ベルトを引くとドリンクホルダーが出てきます。

 

【GOD PARTS 4】前後ドアノブ

まるで何もないように面へ溶け込んだ形状

フロントのドアノブはポップアップして使う仕様になっており、リアのドアノブもリアウィンドウの後端に溶け込んでいます。どちらもボディ全体のつるんとしたスタイリングと一体化しているのです。

 

【GOD PARTS 5】ヘッドライト&リアライト

同形状にまとめられた前後デザイン

フロント

リア

フロントとリアのライトまわりがそっくりです。前後で対になっているデザインというのは珍しくておしゃれですね。価格はあまりかわいくないですが、スタイリングは「おしゃれ」や「かわいい」だらけです。

 

【GOD PARTS 6】スマホ連携

当然のように採用されたイマドキカーのトレンド

最新のEVらしくスマホ連携機能が搭載されていて、ドアロックやエアコン、カーナビなどを車外からでもスマホで操作できます。愛車の位置も表示できるので、広い駐車場などで便利です。

 

【GOD PARTS 7】バッテリー

低い重心を実現してスポーティな走りを実現

車体下部にはリチウムイオンバッテリーが搭載されています。おかげで重心が低くなり、走行フィールも軽快です。後輪駆動なことも含めて、走りの楽しさを忘れないホンダらしいEVと言えます。

 

【GOD PARTS 8】パーソナルアシスタント

話しかけると浮かび上がる謎キャラクター

メルセデス・ベンツの「ハイ、メルセデス!」でかなり一般的になった音声認識システムですが、Honda eでは「オーケー、ホンダ!」と声をかけます。すると、謎のキャラクター(写真)がディスプレイに登場して応対してくれます。

 

【GOD PARTS 9】充電ポート

給油とは違った特別な感覚を演出

充電ポートはボンネットフードの前方中央に設置されています。フタの表面はガラス製になっていて、給電中は内部のLEDが発光するなど、ガソリン車への給油とはひと味違った特別感や未来感が演出されています。

 

【これぞ感動の細部だ!】サイドカメラミラー

見にくそうだが慣れれば実用性はかなり高い

量産車としては初めてカメラミラーシステムが標準搭載されています。車内には6インチのモニターが設置されていますが、画角が広く、画像もかなり鮮明です。バック時の操作感など多少の慣れは必要ですが、従来のアナログサイドミラーと比べても実用性は劣りません。むしろ夜などは風景が明るく表示されて視認性が高いので、使い勝手では勝っているかもしれません。

コンパクトカーの変貌ぶりを徹底ガイド!

コンパクトカーは取り回しの良さや燃費の面で有利なのは当然だが、スポーツカーばりのパワフルな走りを誇るモデルや、快適な装備や先進の安全運転装置を搭載するモデルも多くなってきた。その変貌ぶりは、これまでのコンパクトカーに対する概念を変える大きなインパクトだ。

※こちらは「GetNavi」 2021年2月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

ボディサイズが小さくても装備や使いやすさは向上

ひと昔前はコンパクトカーと言えば営業車という印象や、オシャレなモデルがあるものの実用車というイメージが多かったかもしれない。しかしいまはまったく違う。

 

コンパクトカーの取り回しの良さや使い勝手の良さに磨きがかかり、そこに先進安全装備のアシストも入れば苦手な車庫入れだってラクに完了。室内や荷室も工夫されているため大人4人でも余裕で乗れるし、ドライブを楽しく、ラクにする快適装備も充実している。コンパクトカーほどその進化ぶりに驚くクルマはないのだ。

 

【1】取り回しが良いボディサイズで運転がラク!

クルマのサイズが大きくなっても日本の道路幅はなかなか広がらないのが現状。その点コンパクトカーは小回り性能の基準となる最小回転半径が、ほとんどのモデルで5mを下回っている。狭い路地も、混み合うスーパーの駐車場も、ラクに運転することが可能だ。

横1695mm、縦1500mm
横3940mm

 

5ナンバーサイズで立体駐車場もラク!

コンパクトを謳うクルマでも全幅1700mmを超える3ナンバーサイズが多いが、トヨタ・ヤリスは5ナンバーサイズだ。立体駐車場も難なく利用可能。

 

↑クルマの小回り性能の目安となるのが最小回転半径。一般的には5m以下ならば小回りが利くとされる。ヤリスの最小回転半径は4.8mで取り回しがしやすい(ヤリス X・2WD)

 

【2】コンパクトなボディが生むインパクト大な走り

クルマは軽い方が良いというのは、レーシングカーも市販車も同じ。コンパクトカーは車重が軽く、キビキビした走りを味わえる。そこにパワフルかつレスポンスの良いエンジンを載せれば楽しくないはずがない。クルマが持つパワーを使い切る魅力もそこにはある。

 

価格良し、走り良し、軽くて税金も燃費も良しの優等生

走りの良さで多くの人を魅了するスズキ・スイフトスポーツ。軽量ボディ+ターボエンジンが刺激的なドライビングを実現する。

 

↑スイフトスポーツに搭載されるエンジンは1.4L直噴ターボで140PS/230Nmを誇る。実にリッターあたり100PSの大出力エンジンだ

 

↑スイフトスポーツの走りを支える超高張力鋼板と高張力鋼板を組み合わせたボディ。強靭なボディながら990kgという軽さを実現した

 

【3】燃料にかかるコストもコンパクト

排気量の小さなエンジンは燃費が良い。特にコンパクトカーは車重も軽くでき、同じ排気量の大きなクルマよりも燃費に分がある。ガソリン代ばかりでなく、自動車税などの税制面でも有利だ。また軽自動車よりも車両価格が安いモデルもあり、コストパフォーマンスが高い。

【コンパクトサイズSUV】トヨタ ライズ(ガソリン・2WD) WLTCモード燃費18.6km/L

 

【ミドルサイズSUV】トヨタ RAV4(ガソリン・2WD) WLTCモード燃費15.8km/L

 

【4】コンパクトカーにこそ搭載が進む安全装備

かつては高級車の高価なオプションだった先進安全装備が、コンパクトカーにも続々と標準搭載されている。コンパクトカーを選ぶ運転初心者や、運転に対して不安を感じる人、ミニバンなどからコンパクトカーに乗り換えるシニア層にこそ求められる装備だからだ。

 

マツダのエントリーモデルは安全装備が上級車並みに充実

最適なドライビングポジションやサスペンションにもこだわるマツダ2の安全性能。最新の安全装置も充実している

 

<コンパクトカー「マツダ2」でもこんなに充実!>

マツダ2にはハイ・ビーム・コントロール以外、多くが全モデルに標準装備される。その充実ぶりは高級セダンのマツダ6にも匹敵するものだ。

 

■アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート

ブレーキを自動制御し衝突回避を支援。対車両だけでなく対歩行者もカメラで検知している。

 

■AT誤発進抑制制御

前後進時にアクセルが一定以上踏み込まれると警告。エンジン出力を制御し加速を抑制する。

 

■リア・クロス・トラフィック・アラート

駐車場や路地などでバックする際、自車に接近する車両をドライバーに音などで警告する。

 

■SRSエアバッグシステム

側面から衝突された場合にも乗員を守るサイドエアバッグ、カーテンエアバッグを標準装備。

 

■車線逸脱警報システム

車線をウィンカーなしに踏み越えようとすると、音とステアリングの振動でドライバーに警告。

 

■ブラインド・スポット・モニタリング

自車に隣接する車線後方約50mを検知。接近車がいる状況でウィンカー操作を行うと警告する。

 

■ハイ・ビーム・コントロール・システム

対向車や先行車、ライトなどを検知して自動でハイビームとロービームを切り替えるシステム。

 

【5】これがコンパクトカー? と、驚く快適装備

ひと昔前のこのクラスの装備は上級モデルに明らかに見劣りし、エアコンひとつ見てもオートエアコンが付いていれば良いほうだった。それがいまや美肌効果も期待できるエアコンやUVカットガラスなど快適装備も充実。ひとクラス上の豪華装備を誇るクルマも多くなった。

 

使い勝手の良い室内空間に快適装備をトッピング

“皆に心地良い室内空間”を目指したホンダ・フィット。室内の広さが好評の同車をさらに快適にする装備が充実している

 

↑フィットでは、いまや必需品のUSBポートをセンタコンソールに用意。急速充電対応タイプの設定もある

 

↑スイッチでパーキングブレーキを操作できる電子制御パーキングブレーキ。フィット全モデルに標準装備

 

↑開口部の大きなフィットの荷室は豊富な後席のシートアレンジと相まって使い勝手◎。床面もほぼフラットに

 

↑イオンを放出して車内の空気を浄化するプラズマクラスター搭載エアコン。フィットではグレード別に設定

 

ホンダの新型「アコード」に乗って感じた「オトナがセダン」に乗るべき3つ理由

今の30〜40代の人たちが子どもの頃、クルマと言えばセダンがスタンダードでした。その後、荷室を拡大したステーションワゴンが流行ったり、ミニバンブームもあり、今はSUVが人気。でも、最近はセダンも復権の兆しを見せています。その理由について、ホンダの新型「アコード」に乗りながら考えてみました。

 

【今回紹介するクルマ】

ホンダ/アコード

※試乗車:EX

価格 465万円

↑ボディカラーは全5色。写真はルナシルバー・メタリック

 

【理由その①】クーペのような流麗なスタイリング

アコードといえば、ホンダを代表するセダンモデル。累計販売台数は2000万台にのぼります。初代モデルは1976年に登場し、現行モデルは10代目。ワイド&ローなスタイルをより強調し、リアに向かって流れるようなラインはクーペに近く、かつてのセダンのイメージとは一線を画するものです。

↑クーペのような流麗さと、力強さを両立したリアビュー

 

フロントフェイスも力強さの中に端正さを感じさせるもの。個人的にはキラキラ輝くようなグリルパーツを多用することなく、それでいて迫力あるデザインに仕上がっているところに好感を持ちました。

↑複数のLEDを組み合わせたキレ長のフロントライトが端正さを際立たせる

 

ワイド&ローで艶やかさを感じさせるデザインは、近年流行りのSUVを見慣れた目には新鮮に写ります。乗る人が少なくなっているからこそ、人と違ったクルマに乗りたいなら、セダンを選ぶ価値が出てきたと言ったらひねくれすぎでしょうか。ただ、このスタイルを見ると乗りたいと思わせられる人は少なくなさそうです。

↑インテリアも奇をてらうことなく、上質さを追い求めた仕上がり

 

それでいて、トランク容量は573Lもあり、クラストップの収納力を誇ります。可倒式のリアシートを前に倒せば、さらに容量を拡張できるトランクスルー機構を採用し、使い勝手でもSUVに劣る部分はありません。

↑リアシートを倒してトランク容量を拡張できるので、収納力はちょっとしたSUV以上

 

↑個人的にはこの角度からの見た目が好み。コレで収納力も高いとは!

 

【理由その②】重心が低く、スポーティなハンドリング

ドライバーズシートに腰を下ろすと、着座位置の低さがちょっと新鮮。低く抑えられた重心位置の近くに座っている感覚が伝わってきて、走りの良さを予感させます。アイポイントも低いのですが、視界は非常に広く、窮屈さを感じさせません。

↑見るからに低い着座位置がやる気にさせてくれるドライビングポジション

 

実際に走り出しても、すぐにこのクルマの素性の良さが伝わってきます。このモデルのために開発された新世代プラットフォームは剛性が高く、重心も低く設定されているので、カーブでも挙動変化が少なく、とても落ち着きのあるハンドリングです。重心位置の高いSUVとは異なり、地面にピタッと貼り付いているような挙動が気持ちいい。近年のSUVは低重心を売りにするモデルも増えてきましたが、それとは明らかに違う意のままに動くハンドリングが味わえます。

↑挙動変化が少なく、落ち着いたハンドリングはセダンならではのもの

 

そもそもセダンは、重心高が低いだけでなく、ボディ剛性も高めやすい構造。箱を3つ組み合わせたような作りが、1ボックスや2ボックス構造より剛性が高いことは想像しやすいでしょう。フロントだけでなく、左右のリアタイヤの上を結ぶような形のボディ構造となっているので、いたずらに補強を入れなくても剛性が高められる素性の良さを持っているのです。

↑ガチガチに固められたわけではなく、設計からくる剛性感が心地いい

 

かつてのアコードには「ユーロR」というスポーティさを全面に押し出したグレードが設けられていたこともありましたが、このモデルのハンドリングはそうしたやんちゃな雰囲気とは別種のもの。ハイスピードでコーナーを抜けられる性能は持っていますが、急がされることなく余裕を持って走るのが似合う乗り味でした。

↑走行モードの切り替えにも対応していますが、スポーツモードよりコンフォートモードで走りたくなる

 

【理由その③】静かで乗り心地がいい

走り出してすぐに気づかされたのが車内の上質な静けさ。特にタイヤが路面から拾うはずのロードノイズが耳に入ってきません。セダンはエンジンルームやトランクルームとキャビンが遮断された構造となっているため、静粛性に優れています。タイヤハウスがキャビン内にないことも、ロードノイズを低減するのに有利。ミニバンやSUVなどに比べて、空力的にも優れたボディ形状なので風切り音も低減されます。

↑エンジン音はもちろん、風切り音やロードノイズも少なく、静粛性の高い室内

 

パワートレインがハイブリッドであることも、静かさに一役買っています。搭載されるのはホンダ独自のハイブリッドシステム「e:HEV(イー エイチイーブイ)」。2モーターのシステムで、以前は「i-MMD」と呼ばれていたモノですね。基本的にモーターの力で走行し、エンジンは発電用に動くというシステムで、エンジンの効率が高い高速域だけエンジンを駆動にも用いるという先進的なシステムです。燃費はJC08モードで30km/L。

↑鋭い加速力と高い燃費性能を実現する2モーターのハイブリッドシステム

 

高速道路を使った長距離移動もしてみましたが、静かなうえに車体のロールが少なく、路面の継ぎ目などからのショックも体に伝わりづらいため、移動後の疲労もあまり感じずに済みました。渋滞追従機能付きのアダプティブクルーズコントロールや、車線維持支援システムなど安全運転支援システムも充実しているのも、高速ドライブの快適さに一役買ってくれています。このクルマとなら、いつもより足を伸ばして遠出がしたくなりそう。

↑フロントに装備されたミリ波レーダー部に「Honda SENSING」の文字が刻まれる

 

あらためてセダンに乗ってみて感じたのは、重心位置が低く、静かで剛性も高めやすいなど長らくクルマのスタンダードなカタチとして普及しているのには、それなりの理由があったのだということ。以前は“おじさんの乗るクルマ”というイメージもありましたが、流麗なスタイルは“大人のクルマ”という雰囲気。海外では、SUVの数が増えているため、人とは違ったスタイルを求める若い人にむしろ人気が高まっているという話も聞きます。数が少なくなってきた今だからこそ、あらためて乗りたいカテゴリーになっていると感じました。

↑効率的なボディー設計、および軽量サブフレーム、薄肉燃料タンク、エキゾーストサイレンサー等の採用により前モデルに比べ50kgの軽量化も達成しています

 

SPEC【EX】●全長×全幅×全高:4900×1860×1450mm●車両重量:1560kg●パワーユニット:1993cc水冷直列4気筒DOHC+ターボ●最高出力:107kw[145PS]/6200rpm【モーター135kw[184PS]/5000〜6000rpm】●最大トルク:175N・m[17.8kgf・m]/3500 rpm【モーター315N・m[32.1kgf・m]/0〜2000rpm】●WLTCモード燃費:22.8km/L

 

撮影/松川 忍

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

安全なクルマは好みで選べる!「カテゴリ別」安全+αの最適モデル指南

衝突被害軽減ブレーキをはじめとして安全性能についてはお墨付きのモデルのなかから、より便利に、楽しく使えるモデルをプロがチョイス。スタイルや走り、使いやすさなど自分の好みに合ったモデルを選んで、ワンランク上の快適ドライブを満喫しよう!

※こちらは「GetNavi」 2021年1月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

私が選びました

モータージャーナリスト

岡本幸一郎

高級輸入車から軽自動車まで幅広く網羅。各社の予防安全技術の多くを体験済み。日本・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員も務める。

【タイプ1】SUV

多くの新モデルが登場し、安全運転支援技術も最新のモノが搭載されることが多いSUV。走破性能や使いやすさで優れたモデルもあるが、総合性能で選ぶならトヨタ・RAV4だ。

 

【独創性で選ぶなら】クーペ的なシルエットとインテリアの心地良さが秀逸

マツダ

MX-30

242万円〜305万2500円

SUVでありながらクーペ的シルエットとフリースタイルドアが印象的なモデル。インテリアにはコルクやペットボトルなどサステナブルな素材を用いて心地良さを演出する。

 

↑同社のRX-8以来となる観音開きを採用したフリースタイルドア。ピラーがないぶん後席の乗降もしやすい

 

[岡本’sジャッジ]

 

【先進機能で選ぶなら】e-POWERとプロパイロットの先進性を1台で味わえる

日産

キックス e-POWER

275万9900円〜286万9900円

日産独自のハイブリッド方式であるe-POWERと、安心・快適なドライブを実現するプロパイロットという、2つの先進機能が1台で楽しめる。EV走行時の静粛性も特筆モノだ。

 

↑アクセルペダルひとつで加減速が行えるe-POWER Drive。アクセルとブレーキの踏み替え回数も減ってラク

 

[岡本’sジャッジ]

 

【使いやすさで選ぶなら】3列シートを備えたモデルは人も荷物も余裕で乗せられる

メルセデス・ベンツ

GLB

512万円〜696万円

コンパクトなサイズながら、身長168cmまでの人が座れる3列目シートが便利なモデル。3列目シート使用時でも130L、シート格納時では500Lの荷室を活用して積載できる。

 

↑大人数で乗車するときに便利な3列目シート。身長168cmの人までに限られるが、あるとやはり便利だ

 

[岡本’sジャッジ]

 

【走破性能で選ぶなら】ジープ最強モデルが誇る世界最高の悪路走破性能

ジープ

ラングラー

499万円〜621万円

高い最低地上高、大径タイヤなどの見た目から想起するとおりのオフロード性能を誇るモデル。なかでも悪路走破性能を強化したアンリミテッド ルビコンは世界最強と言われる。

 

↑マニュアルで切り替えるパートタイム4×4を搭載。自動で前後輪に駆動力を分配するフルタイム4×4も採用する

 

[岡本’sジャッジ]

 

【デザインで選ぶなら】デザインは軽快ながら操縦安定性の良さが光る

 

フォルクスワーゲン

T-Cross

303万9000円〜339万9000円

若々しいデザインとカラーバリエーションが魅力のコンパクトSUV。一見軽快なモデルだが、ドイツ車ならではの高い操縦安定性もポイント。2WDのみなのが少々残念ではある。

 

↑リアシートは140mmスライドが可能。後席の広さを自在に変え、同時にカーゴスペースの拡大にも役立つ

 

[岡本’sジャッジ]

 

【総合性能で選ぶなら】悪路も難なくこなすオールラウンダーSUV

トヨタ

RAV4

274万3000円〜402万9000円

前後左右のタイヤへのトルク配分を変更する独自のダイナミックトルクベクタリングAWDを採用し、悪路走破性が高い。もちろんオンロードでの快適さもトップクラスを誇る。

 

↑路面の状況に応じて最適なトルク配分を行うダイナミックトルクベクタリングAWD。高い走破性を実現する

 

[岡本’sジャッジ]

 

【タイプ2】コンパクトカー

コンパクトカーでトップを争うトヨタ・ヤリスとホンダ・フィットがモデルチェンジし、走りや使い勝手が一層向上。走りを楽しみたいならスズキ・スイフトスポーツも選択肢のひとつだ。

 

【使いやすさで選ぶなら】広々とした室内空間は使い勝手も良好!

ホンダ

フィット

155万7600円〜253万6600円

広々とした室内空間と快適な乗り味でコンパクトカーらしからぬ心地良さを提供してくれる。後席の座面をはね上げて背の高いモノを積載できるなど、使い勝手も抜群に良い。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【走りの良さで選ぶなら】強力ターボと軽量ボディが刺激的な走りを実現

スズキ

スイフトスポーツ

187万4000円〜214万1700円

1.4Lの強力直噴ターボエンジンと970kgの軽量ボディで刺激的な走りが楽しめ、コスパも抜群に良いモデル。クルマを操るのが好きな人にはうれしい6速MTも選べるのは◎。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【燃費の良さで選ぶなら】操縦安定性に優れた驚異的低燃費モデル

トヨタ

ヤリス

139万5000円〜249万3000円

新形プラットフォームの採用で高い操縦安定性を実現。36.0km/Lというハイブリッド車の驚異的な燃費に目が行きがちだが、ガソリン車でも最高21.6km/Lと優秀な数値だ。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【タイプ3】ミニバン

使い勝手の良い日産・セレナや、走りの良さを楽しめるホンダ・ステップワゴンに注目。独創的な三菱・デリカD:5のクロカン走破性能は他のミニバンにはない優位点だ。

 

【走りの良さで選ぶなら】低床設計が生み出すしっかりとした走りが魅力

ホンダ

ステップワゴン

271万4800円〜409万4200円

ホンダ独自のセンタータンクレイアウトが可能にした低床設計が、低重心のしっかりとしたフットワークを生む。ハイブリッド車の強力な加速と低燃費も大きな魅力だ。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【使いやすさで選ぶなら】シートアレンジが多彩で広い室内を自在に使える

日産

セレナ

257万6200円〜419万2100円

広い室内と、乗り方や使い方によって自由にアレンジできる3列シートが特徴。通常の約半分のスペースがあれば開閉できるハーフバックドアを設定するなど、芸が細かいのも◎。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【独創性で選ぶなら】個性的なフロントマスクと走破性能は唯一無二の存在

三菱

デリカD:5

391万3800円〜447万2600円

SUVとの融合を図った独創的なミニバン。話題となったコワモテのフロントマスクも印象的だ。走行シーンに応じてドライブモードを選択できるなど、ミニバン唯一無二の存在。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【タイプ4】軽自動車

販売台数No.1を誇るホンダ・N-BOXの牙城は揺るがないが、遊び心満点のスズキ・ハスラーとダイハツ・タフトが華々しくデビュー。安全で楽しく使える軽が充実した。

 

【快適性で選ぶなら】独特な愛らしさに快適な乗り心地がプラス

スズキ

ハスラー

128万400円〜179万800円

愛らしい独特のデザインはもちろんだが、軽自動車らしからぬ快適な乗り心地にも驚かされる。丸目のヘッドライトと大きな3連フレームを備えたインパネデザインは個性的だ。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【楽しさで選ぶなら】乗員スペースと荷室を分け多彩な使い方が可能

ダイハツ

タフト

135万3000円〜173万2500円

フロントシートをクルースペースとし、リアシートと荷室を荷物の積載スペースと位置付けることで、快適な室内空間を実現。開放的な天井のスカイフィールトップが魅力的だ。

 

[岡本’sジャッジ]

 

【使いやすさで選ぶなら】驚異の室内高が生む自由自在の室内空間

ホンダ

N-BOX

141万1300円〜212万9600円

センタータンクレイアウトによる低床設計で、子どもなら立ったままでも余裕で着替えられる室内高に驚き。両側スライドドアとスライドシートで、小さな子どもも乗せやすい。

 

[岡本’sジャッジ]

「このEVに乗りたい!」プロが乗りたいモデル4選

コンパクトモデルから大型SUVまでEVが選べるようになったいま、プロが魅力を感じる珠玉の4モデルを紹介。EVならではの加速力はもちろん、バッテリー性能など、それぞれのモデルが有する特徴はEVならではのものだ。

※こちらは「GetNavi」 2020年12月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【Model.1】清水草一さん(モータージャーナリスト)

モータージャーナリスト

清水草一

自動車ライター。フェラーリを愛し、生涯EVは買わないつもりだったが、家庭用蓄電池も兼ねるならアリな選択と思い始めている。

 

家庭用電源として使えて耐久性も高い!

ホンダ

Honda e

451万円〜495万円

ホンダ初の量産EV。EVの大きなボディや航続距離の短さを改善して「街乗り」に特化した。ラインナップは154PSのアドバンスと136PSの標準モデルの2種。いずれも駆動方式はRRで最大航続距離は250km以上を誇る。

SPEC【Advance】●全長×全幅×全高:3895×1750×1510mm ●車両重量:1540kg ●最高出力:154PS(114kW)/3497〜1万rpm ●最大トルク:315Nm(32.1kg-m)/0〜2000rpm ●一充電走行距離(WLTCモード):259km

 

都市型コミューター&家庭用蓄電池にはベスト

私の場合、自宅でソーラー発電をしていて、電力の固定価格買取がそろそろ終わる。なので災害対策も兼ねて蓄電池の導入を考えているのだが、実は蓄電池としてはEVが一番コスパが高い! ただし、V2H(ビークル・ツー・ホーム)ができるのは国産EVのみ。つまりリーフとHonda eのみだが、Honda eのバッテリーは水冷式で、おそらくバッテリーの寿命がずっと長い。だから中古価格も下がりづらい(はず)。航続距離は実質せいぜい200㎞だけど、都市型コミューターとしては十分。しかもいま買える世界中のEVの中で一番シンプルでカッコいいと思う。以上の理由で私はHonda eを選択する!

↑容量は小さめだが、ラジエター方式(水冷)の温度管理システムを搭載している。バッテリーの劣化は気にしなくていいはずだ

 

↑家庭用の蓄電池としても使えるのは、いまのところ国産EVのリーフかHonda eの2択。前述の水冷バッテリーが選択のキモとなった!

 

【Model.2】会田 肇さん(カーITジャーナリスト)

カーITジャーナリスト

会田 肇

クルマやカーナビ、カーオーディオをはじめ先進交通システムにも造詣が深い。海外モーターショーにも積極的に足を運んでいる。

 

高揚感を呼ぶ先進性とトレーシング性の高さは圧巻

アウディ

e-tron Sportback

1327万円〜1346万円

スタイリッシュなクーペ風のシルエットが印象的な、日本初上陸となるアウディのEV。駆動方式はアウディ伝統のクワトロ(4WD)だが、通常は主にリアのモーターのみを駆動させてエネルギー消費を抑える。2.5tを超える車重ながら、0〜100km/h加速は5.7秒という優れたトルク性能を誇る。

SPEC【55 quattro 1st edition】●全長×全幅×全高:4900×1935×1615mm ●車両重量:2560kg ●最高出力:407PS(300kW)●最大トルク:664Nm(67.7kg-m)●一充電走行距離(WLTCモード):405km

 

先進性が高いメカニズムと高い操挓感が魅力のEV

アウディQ3をベースに先進技術を盛り込んだ、日本初導入となるアウディのEV。象徴的な装備が、ドアミラー代わりの「バーチャルエクステリアミラー」で、カメラで捉えた後方映像をインテリア側の有機ELモニターに表示する。解像度が高く、光学ミラーと比べても遜色がない。

 

コックピットのデザインも近未来的で高揚感を昂らせるのに十分。走ればライントレース性が高く、とても2.5t近くの重量車とは思えないほど楽に操れる。充電効率も極めて高く、航続距離もそれほど心配なさそう。この先進性と走りの良さを見事に両立させるe-tronSportsbackで、EVの真価を試したいのだ。

 

↑高解像度な電子ミラーシステムで昼夜を問わず鮮明に後方を映し出す。左右のカメラをボディ外寸内に収めているのも見事だ

 

↑3つの大型ディスプレイに取り囲まれ、左右には後方確認用OLEDモニターが備わる。この先進性がドライバーを高揚感で包み込む

 

【Model.3】川端由美さん(自動車・環境ジャーナリスト)

自動車・環境ジャーナリスト

川端由美

自動車専門誌の編集記者を経てフリーに。現在では自動車の環境技術や次世代モビリティについても取材活動を行っている。

 

電動モビリティの牽引役が誇る凛としたスタイルのEVが日本上陸!

プジョー

e-208

389万9000円〜423万円

208が完全EVをラインナップに加えて8年ぶりにモデルチェンジ。FFホットハッチのイメージ通り、フロントにモーターを配して重量物のバッテリーは床面に置くなど低重心化し、走行性能を高めている。立体的な視覚効果が特徴である「3D i-Cockpit」など印象的な内装も特徴だ。

SPEC【GT Line】●全長×全幅×全高:4095×1745×1465mm ●車両重量:1500kg ●最高出力:136PS(100kW)/5500rpm ●最大トルク:260Nm(26.5kg-m)/300〜3674rpm ●一充電走行距離(JC08モード):403km

 

プジョーらしい凛としたスタイルに目が奪われる

プジョーといえば、“フランス製のおしゃれなクルマ”というイメージが強い。しかしプジョーの親会社であるPSAグループは電動モビリティの牽引役であり、最先端技術を続々と開発している。

 

e-208と出会ったのは、昨年3月のスイス・ジュネーブでのこと。コンパクトなボディサイズながら、凛としたスタイリングに目を奪われた。中身に目を向ければ、新開発の「e-CMP」なる電動プラットフォームを内包する。

 

こんなクルマで郊外に向けてハンドルを切れば、プジョーらしい猫足でひたひたと走り抜けるんだろうなあ、と想像をかき立てられる。早く乗りたい! の一言に尽きるEVである。

 

↑最新世代の車両プラットフォーム CMP(Common Modular Platform)を採用。バッテリー容量は50kWhとこのクラスでは大容量だ

 

↑デジタルヘッドアップインストルメントパネルには「3D i-Cockpit」を採用。ホログラムによる情報投影が行われ、多彩な情報を確認可能

 

【Model.4】岡本幸一郎さん(モータージャーナリスト)

モータージャーナリスト

岡本幸一郎

高級輸入車から軽自動車まで幅広く網羅。続々登場するEVのほとんどの車種をすでに試乗済み。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

 

最大走行距離560kmと0-100km/h加速3.4秒は驚異的!

テスラ

テスラ モデル3

511万円〜717万3000円

世界中が注視するEVに特化した新興勢力のテスラ。これまでは高価な車種が多かったところ、昨年日本上陸を果たした普及版のモデル3は現実的な価格帯に。日本仕様は標準+αの性能の後輪駆動仕様と、デュアルモーターAWDの高性能版、および走行距離重視仕様の3タイプ。

SPEC【スタンダードレンジ プラス】●全長×全幅×全高:4694×1933×1443mm ●車両重量:1612kg ●最高出力:286PS(211kW)●最大トルク:350Nm(35.6kg-m)●一充電走行距離(WLTPモード):409km

 

現実的な価格帯ながら秘められた実力は驚異的

全幅こそそれなりに大きいものの、テスラに共通する流麗なフォルムを持つボディは、日本でもあまりもて余すことなく使えそうなサイズ感。先進的な装備の数々を搭載した室内は、全面をガラスで覆ったルーフにより極めて開放的なのもうれしい。

 

走りの実力もかなりのもので、最速で0-100km/h加速がわずか3.4秒という瞬発力は、この価格帯のクルマでは類を見ない。最大で約560kmという長い走行距離も強みだ。さらには世界に先駆けて半自動運転を実現したオートパイロットや、定期的にクルマが新しくなるワイヤレスソフトウェアアップデートなど、テスラならではの魅力を凝縮している。

 

↑超シンプルなインパネ。大型ディスプレイにナビや車速等すべての情報が表示され、空調等の機能の操作も行う。運転以外はすべてココで完結

 

↑CHAdeMO(チャデモ)よりもはるかに扱いやすく高速で充電できるテスラ独自規格のスーパーチャージャーが全国の要所に設置されている

アクアも意外に高評価! 自動車評論家が選ぶ国産コンパクトカー10傑

前回の記事では、ノート、ヤリス、フィットをガチ採点したが、国産コンパクトカーの注目モデルはそれだけにとどまらない。本記事では、自動車評論家の清水草一さんに登場いただき、最新モデルから登場から10年近く経つモデル末期のものまで、現行車種の中から、コンパクトカー十傑をピックアップした。

※こちらは「GetNavi」 2021年2月号に掲載された記事を再編集したものです。

モータージャーナリスト

清水草一さん

編集者を経て自動車ライターに。大乗フェラーリ教開祖を名乗りつつ、道路交通ジャーナリストとしても活動。

 

【関連記事】

ノート、ヤリス、フィットーー「国内3強コンパクトカー」を厳しく採点! 一番よかったのは?

 

 

【ハッチバック編】

サイズに制限のあるコンパクトカーでも後席を倒して多くの荷物を積め、高い実用性を誇る。サイズ感もつかみやすく運転しやすい。

 

【その01】トヨタの定番小型ハッチバックは欧州で人気アリ!

トヨタ

カローラ スポーツ

216万9000円〜284万1000円

ワイド&ローのスポーティなシルエットのボディに用意されたパワーユニットは、ハイブリッドと1.2Lターボの2種。1.2LターボにはiMTと呼ばれるMTも設定。同社のコネクティッドカーとしての顔も持つ。

 

【ココがスゴイ!】バランスは抜群! 基本性能の高さに納得

カローラというと、日本ではツーリングが人気だが、欧州では断然コレ。ガソリン車にMTが用意されているのも欧州風味でイイ!(清水)

 

【その02】ホンダのEVは原点回帰のシンプルデザイン

ホンダ

Honda e

451万円〜495万円

ホンダの新型EVはタウンユースを強く意識し、1充電あたりの走行距離は最長283km。それまでのEVと違い走行距離を伸ばすよりも、短時間の充電で走れる距離を重視。その結果、わずか30分の充電で200kmを走行可能だ。

 

【ココがスゴイ!】後輪駆動ゆえの小回り性能に驚愕

航続距離は短めだが、それはシティコミューターに徹しているから。軽より小回りが利いて感動! デザインはシンプルの極致で美味だ。(清水)

 

【その03】スズキらしい個性が光る隠れた傑作!

スズキ

イグニス

 142万3400円〜203万600円

クロスオーバーSUV風のコンパクトカー。軽自動車並みの3.7mの全長は街なかで扱いやすいサイズだ。今年の仕様変更ではデュアルカメラブレーキサポートや助手席のシートヒーター、オートライトが全車標準装備となった。

 

【ココがスゴイ!】室内の広さよりも走りとデザインを優先

やんちゃな顔つきに大地を踏ん張る台形のフォルムは、いかにも走りそう。インテリアはイタリアの小型車みたいでセンス抜群だぜ!(清水)

 

【その04】クラス唯一のクリーンディーゼル搭載で我が道を行く

マツダ

マツダ 2

 145万9150円〜266万7500円

デミオから改称された同車は、パワーユニットは直噴ガソリンエンジンとディーゼルエンジンをラインナップ。特にディーゼルモデルはクラス唯一の搭載車種で、その静粛性能には定評がある。落ち着いたデザインも好評だ。

 

【ココがスゴイ!】唯一無二を掲げるマツダの真骨頂

ディーゼルエンジンを積んだコンパクトカーは、世界的に貴重になりつつある。豊かなトルクとしっかりした足周りは長距離向きだ。(清水)

 

【その05】痛快! そして便利! 国民車にもなれる万能型ホットハッチ

スズキ

スイフト スポーツ

 187万4400円〜214万1700円

エスクード用のエンジンに専用チューンを施した140PSを誇る1.4L直噴ターボを搭載。MT比率が比較的高いのも特徴のモデル。後席も使える実用性と軽快な走りは多くのユーザーが認めるところ。200万円以下からという価格設定も魅力だ。

 

【ココがスゴイ!】走りが楽しい! それでいて弱点なし

1.4L直噴ターボエンジンの加速は痛快そのもの。6速MTはもちろん、6速トルコンATでも十分楽しめる。広さや燃費にも不満ナシさ。(清水)

 

【その06】モデル末期でも魅力が褪せないハイブリッドカー

トヨタ

アクア

181万8300円〜219万8900円

2011年デビューのハイブリッド専用車。車両価格も手の届きやすいハイブリッドカーとしてロングセラーに。パワートレインは2代目プリウスをベースにし燃費面でも高評価。低重心で、シャープなハンドリングも意外な魅力だ。

 

【ココがスゴイ!】登場から10年でも売れ続けるモンスター

ものすごくフツーのクルマに見えて、実は重心が低く、曲がるのが得意。ハイブリッドバッテリーの重量配分の妙だ。いまだに魅力アリ!(清水)

 

【SUV編】

SUVは魅力的だけれども、大きなボディはちょっと……と考えるユーザーにはピッタリのコンパクトカー。その視界の良さは特筆モノだ。

 

【その07】無敵の小型オフローダーは世界中で大ヒット

スズキ

ジムニー シエラ

 179万3000円〜205万7000円

クロカンモデルらしい武骨なスタイリングやラダーフレームなど多くの“本格”装備を持つクルマ。ミッションは信頼性の高い5MTと4ATを設定する。欧州にも輸出されるモデルなので、高速走行も構えることなく巡行可能。

 

【ココがスゴイ!】無骨なデザインが走破性能とマッチ

“ミニGクラス”ともいえる武骨なデザインが、シンプルで実にカッコイイ。悪路の走破性能は世界の一級品。無敵の小ささも強力な武器だ。(清水)

 

【その08】ゴツい顔した優しいヤツ、地味だけど憎めないね

ダイハツ

ロッキー

 170万5000円〜236万7200円

ダイハツのクルマづくりの新コンセプト、DNGAに基づいたSUV。エンジンは1Lの直3ターボで98PS。組み合わされるミッションはCVTのみで、すべてのモデルに4WDが設定されている。トヨタ・ライズとは兄弟車。

 

【ココがスゴイ!】走りも居住性も満足のコンパクト

目立ったところはゼロだが、走りも乗り心地も居住性も適度に満足。SUVだと構えずに、フツーの小型車として買って間違いなし。(清水)

 

【その09】ヤリスに足りない部分をすべて満足させました

トヨタ

ヤリス クロス

 179万8000円〜281万5000円

ヤリスとメカニカルコンポーネンツを共有するSUV。コンパクトな分類に入るが全幅で1700mmを超えるので3ナンバーサイズだ。パワーユニットは1.5Lガソリンエンジンとハイブリッドの2本立てで先進安全装備も充実。

 

【ココがスゴイ!】コンパクトだけれど押し出し感は十分さ

大ヒット中のヤリスの弱点は、後席の狭さ。でもヤリス クロスならまったく問題ナシ。見た目もカッコイイし、4WDも選べるぜ。(清水)

 

【その10】オシャレな都会派ながらキラリと光るスバルイズム

スバル

SUBARU XV

220万円〜292万6000円

現行モデルは2017年登場。2020年9月に大幅な改良が加えられた。基本メカニズムはスバルの伝統、水平対向エンジンにシンメトリカルAWDを組み合わせたもの。スバルの先進安全装備アイサイトを全モデルに標準装備。

 

【ココがスゴイ!】オシャレSUVだが走りは本物

XVに乗っていると、オシャレでアクティブな遊び上手に見えるから不思議だよね。もちろんスバル車だけに、走りは地味に本物さ。(清水)

 

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ノート、ヤリス、フィットーー「国内3強コンパクトカー」を厳しく採点! 一番よかったのは?

ヴィッツの名を改称したトヨタ・ヤリス、ホンダ・フィット、日産・ノートが揃ってフルモデルチェンジ。販売台数でトップを競う国内3強コンパクトカーがもたらす衝撃度を、プロが厳しい目でジャッジ。採点項目は、デザイン/走り/インテリアの上質さ/コスパ/安全性能の5項目で各20点満点で評価した。

 

※こちらは「GetNavi」 2021年2月号に掲載された記事を再編集したものです。

モータージャーナリスト

岡本幸一郎さん

軽自動車から高級輸入車まで、ユーザー視点をモットーに広く深く網羅。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

 

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【その1】日産ならではの先進技術を満載した未来感あふれる新顔

日産

ノート e-POWER

202万9500円〜218万6800円

モーターは先代ノートに比べ、トルクを10%、出力を6%向上。よりパワフルで気持ちの良い発進加速と、中高速からの追い越しでの力強い加速感を実現する。エンジンの作動頻度低減や、車体の遮音性能向上により静粛性もアップ。

SPEC【X】●全長×全幅×全高:4045×1695×1520mm●車両重量:1220kg●パワーユニット:電気モーター+1198cc直列3気筒DOHC●最高出力:116[82]PS/2900〜10341rpm●最大トルク:28.6[10.5]kg-m/0〜2900rpm●WLTCモード燃費:28.4km/L ※[ ]内は発電用エンジンの数値

 

動力源はe-POWERのみ! プロパイロット搭載も魅力

8年ぶりにモデルチェンジしたばかりのノートは、ガラリと雰囲気が変わった。フラットながら豊かな面の抑揚を持つ斬新な外観とともに、ハイテク感満載のインテリアもかつてない雰囲気。個性的な柄のシートの質感も高い。

 

動力源は、日産お得意のエンジンで発電した電気により100%モーターで走るe-POWERのみという割り切りよう。既存の簡易版ではなく、前後に2基の強力なモーターを搭載して4輪を駆動する本格電動4WDが選べるのも新しい。

 

高速道路での自動制御を行う「プロパイロット」をコンパクトカーとして初搭載。しかもカーナビと連携して急なカーブの手前であらかじめ減速する等の、日産初の機能を備える点にも注目だ!

 

日産独自のVモーションが精悍な顔つきを作り出す

↑薄型のヘッドライトから繋がる日産独自のVモーションフロントグリルが印象的。新しくなったロゴマークを市販車として初採用する

 

直線的なラインが印象的な上質感あふれるインテリア

↑1本の直線がインパネの一体感を生む。ナビゲーションとメーターは1枚の板で繋がったようなつくりで、視線の移動を少なくしている

 

360度に渡り周囲を見回す全方位運転支援システム

↑カメラとレーダーによってクルマの周囲を見回して安全運転を支援する、全方位運転支援システムを搭載。プロパイロットも備える

 

岡本’s ジャッジ
ついにこのクラスにもプロパイロットを搭載! 先進的なインテリアの質感は上々だが、斬新なスタイリングは好みが分かれるかも。e-POWERのみとなり価格が上がったのは否めず。
【衝撃度21】
・デザイン 4
・走り(予想) 4
・インテリアの上質さ 4.5
・安全性能 5
・コスパ 3.5
※各項目5点満点、計25点満点で採点(以下同)

 

【その2】改名とTNGA化で心機一転!キャラの立つデザインも光る

トヨタ

ヤリス

139万5000円〜249万3000円

コンパクトカー向け新プラットフォーム「TNGA」を採用し、軽量かつ高剛性、低重心なボディを実現。軽快なハンドリングを実現するとともに、ハイブリッド車では最高36.0㎞/Lの燃費を誇る。

SPEC【HYBRID X・2WD】●全長×全幅×全高:3940×1695×1500mm●車両重量:1050kg●パワーユニット:1490cc直列3気筒+モーター●最高出力:91[80]PS/5500rpm●最大トルク:12.2[14.4]kg-m/3800〜4800rpm●WLTCモード燃費:36.0km/L  ※[ ]内はモーターの数値

 

どの動力でも驚異の低燃費! ハイブリッドは瞬発力抜群

他の2モデルよりもコンパクトで、内外装とも個性的なデザインが光る。車内は前席重視のつくりで、ファミリー層には不向き。その意味では他の2モデルと市場で競合するものの、ガチンコのライバルではなさそう。ワンタッチで好みのポジションに戻せる運転席シートはアイデア賞モノだ。

 

高いボディ剛性は走りの良さにも寄与している。3種類から選べるパワーソースの燃費はいずれも上々で、ハイブリッドは意外なほど瞬発力にも優れる。3モデルで唯一MTの設定があるのも特徴だ。

 

ボタンを押すだけで駐車操作をアシストする

↑駐車の際ステアリング・アクセル・ブレーキ操作を自動で制御。ドライバーの負担を大きく軽減してくれる

 

ムダをそぎ落として高い操縦安定性を実現

↑コンパクトカーとして初めてTNGAを採用。低重心化することで操縦安定性が高まり、運転もしやすい

 

岡本’s ジャッジ
燃費は驚異的。思い切った内外装デザインや、トヨタのハイブリッドの先入観を打破する瞬発力ある走りにも驚いた。半面、インテリアや走り味がややチープなところが気になる。
【衝撃度18】
・デザイン 4.5
・走り 3
・インテリアの上質さ 3
・安全性能 3.5
・コスパ 4

 

【その3】「心地良さ」をテーマに開発された万能モデル

ホンダ

フィット

155万7600円〜253万6600円

視界の広さや、座りやすさ、運転しやすさといったユーザビリティを追求。特に低床設計が生む使い心地の良さは特筆モノで、多彩なシートアレンジが可能。長いモノから背の高いモノまで余裕で積載できる。異なる5つのタイプから選べるのも◎。

SPEC【e:HEV BASIC・2WD】●全長×全幅×全高:3995×1695×1515mm●車両重量:1180kg●パワーユニット:1496cc直列3気筒+モーター●最高出力:98[109]PS/5600〜6400rpm●最大トルク:13.0[25.8]kg-m/4500〜5000rpm●WLTCモード燃費:29.4km/L ※[ ]内はモーターの数値

 

低いフロアが生む広い室内が優れた使い心地を実現する

独自のセンタータンクレイアウトによる低いフロアを実現。コンパクトながら、広々とした室内空間をより有効に使えるのが特徴だ。後席の居住性には特に優れ、シートを跳ね上げて背の高い荷物を積むこともできる。

 

e:HEVのエンジンは高速クルーズ時など以外はほぼ発電機として機能し、モーターが駆動力を担う仕組み。リニアで効率にも優れている。柴犬をイメージしたという親しみやすい外観が想起させる通り、触れるほどにジワジワと心地良さを実感させるモデルだ。

 

モーター+エンジンでパワフルな走行が可能

↑発電用と走行用2つのモーターとエンジンを搭載。加速時や高速クルーズ時などパワフルな走行が可能だ

 

使い勝手の良い荷室は十分な高さを確保する

↑前席下部に燃料タンクを置くことで実現した低床設計。荷室の高さも十分で、背の高いモノも積載できる

 

岡本’s ジャッジ
プラットフォームは他モデルの流用ながら、完成度の高い快適な走り味を楽しめる。極細ピラーにより視界が極めて良好で、車内は外見から想像するよりも広々としているのも強み。
【衝撃度21.5】
・デザイン 4
・走り 4.5
・インテリアの上質さ 4
・安全性能 4.5
・コスパ 4.5

 

Honda eに乗ってきました。最小回転半径4.3mの実力を迷路のようなコースで試乗

いよいよ10月末にリリースされるHonda初の市販電気自動車「Honda e」に試乗するチャンスが巡ってきました。ホンダが横浜に用意した特設会場は全長800m、コース幅は3.5m。白く綺麗な段ボールを積み重ねまるで道幅の狭い教習所のようでした。試乗コースが屋内というのはEVならではのこと。ゼロ・エミッションだからこそ可能としています。

 

Honda eはデザイナーの遊び心が溢れている

最初に、ボディサイズのおさらい。軽自動車クラスのようにすら感じられるHonda eのスリーサイズは、全長×全幅×高さ=3895×1750×1510mm。Honda Fitより100mm短く55mm幅広で5mm低く、乗車定員4名の5ドアハッチバックです。ホイールベースは2530mmとなります。ここで特筆すべきなのがHonda eの最小回転半径の小ささです。わずか4.3mという数値はホイールベース2520mmのN-BOXでも4.5m〜4.7mなのですから、いかに小回りが効くかが分かります。

↑シティコミューターとしてたっぷりなサイズ感と街を和ませるデザインには思わず名前を付けたくなるペットのような存在

 

コース上のクルマに乗り込む前に、本田技研工業の広報担当三橋文章主任にHonda eの概要説明を受け基本的なことを教えていただき、三橋氏から渡されたFind Honda e Challengeカードの出題を解きます。個性的なHonda eはアイコン化されていて、サイドビューのシルエットがクルマの前後に3か所、隠されているのだそう。そして、市販車全てにこのアイコンが隠されているのだそうです。これはぜひ、皆さんもHonda eを見かけたら探してみてください。かなり小さなアイコンですが必ず入っています。Honda eのデザイナーとのコミュニケーションともいえる部分です。

↑当日配布されたFind Honda e Challengeカード

 

登録されたスマートフォンがキーの代わりに

Honda eでは自前のスマートフォンに専用アプリ(Hondaリモート操作)をダウンロードし登録することでスマートキー機能を持たせることが可能です。そのスマホを携帯し、ドアに近づくと自動的にドアノブがポップアップし、ノブを引けばロックが解除されスムーズに乗り込むことができます。Honda eではそこで終わりではなく、国産車初で、エンジンの始動までが可能となりました。いつものように部屋からスマホを携帯してクルマに近寄ればドアが開けられ、エンジンの始動までできるのです。さらにオーディオやエアコンのコントロールも可能なので、例えば暑い夏の日、お出かけ時には、家でHonda eの充電をしている状態で電力負荷の大きいエアコンの初期作動をさせることができます。乗り込み時に快適な室内環境を作っておけるだけでなく、走行用の電力の確保もできるのです。

↑国産車で初めてパワーオンまで行うことを可能としました

 

さて、いよいよHonda eに乗り込みました。私のように規格外に大きな体型でも十分に受け入れてくれる室内はブラック、グレイ、効果的なアクセントに用いられるブラウン、木目の色合いが基調の落ち着いた雰囲気です。家のリビングからの延長のようなイメージで、日常の生活の中でそのまま自然にHonda eがいる感覚です。それがシームレスということなのです。

↑シンプルで心安らぐリビングのような空間。パネルには、リビングテーブルのようなぬくもりを感じる自然な風合いのウッド調パネルを採用しています

 

インテリアでまず目を引くのが車室幅一杯に広がっている5連のモニターです。左右外側のモニターにはドアミラー代わりのサイドカメラミラーシステムからの映像がクリアに映し出されます。ドライバーの目線から見て自然なレイアウトのため、後方視界の違和感や不安はなく良い感じ。荒天時も雨の雫がカメラに付着しない設計になっていること、雨粒の付いたガラスを通して外のミラーを見る必要がないので、クリアな後方視界が期待できそうです。

↑中央には、12.3インチのスクリーンを2画面並べた「ワイドスクリーン Honda CONNECT ディスプレー」を配置。運転席や助手席でそれぞれ表示機能を選択できます

 

↑クラウドAIによる音声認識と情報提供をおこなう「Hondaパーソナルアシスタント」を搭載。「OK, Honda」と呼びかけることで、音声認識によりリアルタイムの情報を提供してくれます。オリジナルキャラクターがなんとも言えずポップ

 

↑カメラで捉えた映像はインストルメントパネル左右に配置した6インチモニターに映し出されます。サイドカメラミラーシステムは、170万画素の高精細カメラ

 

↑ドアミラーのかわりにサイドカメラミラーシステムを採用。これが車幅減に少し貢献し、狭い路地での心配も減ります

 

迷路コースを難なくクリアする理由

エンジンがかかり、Dボタンを押すことで走行可能となります。アクセルペダルを踏み込めば通常のクルマ同様に前進。このコースでは走り始めるとすぐに最初の直角カーブが迫ります。クルマの四隅に気を配りますが、モニターでの内側の確認にも、ハンドルの切れる感じにも違和感はなく静かにすっと曲がります。きついと思っていた狭い直角カーブもスルスルとスムーズにクリア。最小回転半径4.3mを実現させる裏にはEV専用設計のシャーシの恩恵があります。

 

ガソリンエンジン、ハイブリッドカーはシャーシレイアウトのベースをガソリン車のものとしているのがほとんどです。対して、Honda eは当初からEV。重量物のバッテリーは低重心化し、もしもの事故の衝撃から守るためにフロア下に敷き詰められるようにレイアウトされました。当初考えられていた前輪駆動から発想を変更。駆動輪を後ろにし、モーターもリアマウントにすることで、フロントにスペースの余裕をつくりました。通常のガソリン車よりも構造材の間隔を短くし、フロントサスペンション部に有効なスペースを生みました。

↑車両の床下にはバッテリーを格納する薄型IPU(インテリジェント・パワー・ユニット)を配置

 

そうして有効なスペースを利用してよく切れるステアリング機構となったHonda eが生まれました。しかしこのままではハンドルを切る量(=回転量)が増えてしまいます。Honda eでは可変ギアレシオを使い、小蛇角の時と大きくハンドルを切る時のステアリングギア比が変わりロック トゥ ロックは3.1回転で不自然さのないステアリング機構を生み出しています。地味な部分かもしれませんがHonda eの実用的な走りの魅力を大きく上げる機構といえるでしょう。

↑RR(リアモーター・リアドライブ)が可能にした大きく切れるステアリングにより、最小回転半径4.3mに

 

Honda e Advanceの高トルクと大パワー

Honda eにはベーシックグレードのHonda eとハイパワーグレードHonda e Advanceの2種類があります。今回試乗したのはハイパワー版のAdvanceでした。最高出力は113kW(154PS)と最大トルクが315N・m(32.1kgf・m)はこのコースでその実力を試すことはできませんでしたが、小回りがきくHonda eとこのコースに慣れてくると、かなり思い切った走りができるようになってきます。アクセルを深く踏み込むとレスポンスよく高トルクが発生され、見た目の可愛さを遥かに超えた加速をします。ノーマルモードとスポーツモードの実力はまた別の機会に広い道で試してみたいと思いました。

↑リアにはコンパクトかつ大出力のモーターを配置しています

 

Honda eは減速時にも楽しいドライビングを提供。通常のAT車のようなアクセル、ブレーキの2ペダル運転とシングルペダル運転の選択ができます。その選択もボタンを押すだけで完了。アクセルペダルを離すだけで減速が行われます。ハンドルの奥にあるパドル式の減速セレクターによってブレーキの効き具合を3段階にコントロールできます。これによりアクセルワークに集中できるスポーティーなドライビングが可能なことを確認することができました。

↑シングルペダルコントロールによって、加減速の切り替えをスムーズに行えます

 

ドライバーだけでなく同乗者を退屈させない

出先での充電時やドライブ中もHonda eはドライバーだけでなく、同乗者も退屈させません。5面のHonda Connectディスプレーは充電中にも走行中にも助手席の同乗者にも扱いやすく使用が可能です。また、ナビの情報など左右のモニターの情報を簡単にドライバーにも見やすく提供することができます。今回の迷路試乗では『街なかベスト』な乗り味の確認がメインでした。Honda eにはまだまだ魅力的なコンテンツが沢山あります。別のシーンでも試してみたいと感じました。その魅力が十分にあることは確かです。

 

Honda e 451万円(税込)/Honda e Advance  495万円(税込)

試乗車SPEC【Advance】●全長×全幅×全高:3895×1750×1510mm●車両重量:1540kg●モーター:交流同期電動機●最高出力:113kW(154PS)/3497〜10000rpm●最大トルク:315N・m(32.1kgf-m)/0〜2000 rpm●一充電走行距離WLTCモード:259km●交流電力量消費率WLTCモード:138Wh/km

 

 

撮影/野田楊次郎

 

 

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Honda初のEV市販車「Honda e」は「かわいい」の中に最先端が宿る一台

いよいよHonda初の市販EV(電気自動車)、「Honda e(ホンダ イー)」が10月30日に発売されることが決定しました。日常ユースに特化したシームレスなモビリティとして登場したHonda e。そのかわいらしい雰囲気には実は開発者の熱い想いと先進技術が詰まっています。

↑Honda e 発表会でのHonda e開発責任者の一瀬智史氏。2019東京モーターショーで国内発表されました

 

人と社会とクルマのシームレスな関係

8月27日のプレス発表では開発責任者の一瀬智史氏が開発コンセプトを語りました。「未来のシームレスな生活パートナーとなるEV」であること。EVが活きるのは街なかだと考え、『街なかベスト』なEVを目指したこと。「他にはないユニークな魅力を持つ、本質を追究したEV」であること。これからの生活のあらゆるシームレス化に対応できるモビリティであること。クルマと社会、お気に入りの生活、行動、情報、あらゆるモノと繋がるのがこれからの世界です。これを「シームレスライフ」と呼び、それを創り上げるのがHonda eと位置づけたのです。

↑これまでのEV開発の発想を大きく転換したHonda e。サイズも佇まいも「街なかベスト」です。価格はHonda eが451万円、Honda e Advanceが495万円

 

これからのコンパクトカーのベンチマークとなるクルマ作りを意識しているのがHonda e。大胆にもEVでありながら航続距離を延ばすことをメインにしていません。航続距離を延ばすためにバッテリーを多く積むことでクルマは大型化し、重量も増してしまう。実際の街でのクルマの使用を考えると本当にこれがベストなのか? というところに立ち返り開発しています。それを端的に示すのが、長距離移動時は公共交通機関やハイブリッドカーを使用してもらおうという割り切り。これまでのEVの発想を変え、本当の合理性を追求しています。

↑デザインニュアンスにホンダを世界の自動車メーカーにした初代シビックのオマージュを感じさせます。街の人々を和ませるエクステリアデザイン

 

愛らしい顔のあるエクステリアデザイン

まずは特徴的な表情を持つ外観から見て行きましょう。ボディサイズは全長×全幅×高さが3895×1750×1510mmと、Honda Fitより100mm短く55mm幅広で5mm低いことになります。乗車定員は4名で5ドアハッチバックの形状。まさしく街なかベストなサイズです。余計なノイズを廃した機能的でシンプルなボディデザインとなっています。車幅内に収まったサイドカメラミラーシステムや手触りの良いガラスの充電リッドもデザインアクセントとしています。ちょっと恐面のクルマが多い中、Honda eは街を和ませることでしょう。

↑サイドカメラミラーシステム。駐車する時には側方下部も写します

 

↑ボディカラーは全7色

 

インテリアは自宅とシームレスに繋がるイメージ

通常の乗車時に加え、30分の急速充電時にも乗員が車内にいる時間があることも意識し、その時間を快適にしたいという想いと、室内はくつろげる家とのシームレスなイメージを形にしています。シックな色合いのシートやインテリアはリビングにいるかのよう。ブラウンのシートベルトやシートのタグもカラーアクセントとしてモダンな雰囲気を醸し出しています。リビングテーブルのようなウッド調のパネルの上に5つのモニター画面からなるワイドヴィジョンインストルメントパネルが室内幅一杯に広がります。スイッチ類は極力整理され、シンプルなデザインと人に優しい操作性を実現。

↑Honda eのインテリア。シンプルな中に沢山の先進機能が詰まっています

 

デザイン上のアクセントとなっているサイドカメラミラーシステムはこれまでのドアミラーに変わるシステムです。両サイドの6インチモニターにはそのシステムからの映像が映し出されます。これまでのドアミラーと違和感のない位置に配置され、ワイドで自然な映像は降雨時のミラーやガラスにつく雨滴の影響を受けることなくクリアに表示します。

 

センターに並ぶ2つの12.3インチの「ワイドスクリーンHonda CONNECTディスプレー」はドライバーだけでなく、助手席の同乗者も操作でき、それぞれに快適な表示機能を選択したり、左右のアプリを入れかえたりなど自在な操作性を実現。スマートフォンとの接続によって音楽アプリやエンターテイメントアプリを表示することも可能です。運転者、同乗者が共に快適で楽しい時間を過ごせそう。

↑HMI&AIの活用で多様な機能を誇るワイドスクリーンHonda CONNECTディスプレー

 

スマホをデジタルキーとして使用することも可能に

Honda eは、スマートフォンと連携して様々なコネクテッド機能を活用することができます。スマホから目的地をナビに送ったり、広い駐車場でクルマの位置が分からなくなった時に探したり、ドアロックの解除、充電リッドの開閉なども可能。さらに、遠隔エアコン操作にも対応しており、出発時間に合わせて車内の温度調整もできます。この機能は電力消費の大きいエアコンの最初の温度調整をプラグインの間に行うことで航続距離への影響もおさえる機能となっています。

 

また、専用のアプリをダウンロードすることでスマートフォンをデジタルキーとして使用することが可能に。スマートキー/スマートフォンを持ってクルマに近づくとフラットだったドアノブがポップアップします。シートに座りドアを閉めるとエンジンスタートまでを自動で行うことが可能。また、クラウドAIによる音声認識と情報提供を行う「Hondaパーソナルアシスト」を採用し、「OK,Honda」と呼びかけることで最新のリアルタイム情報を表示可能。シンプルに構成されたインストルメントパネルも含め、Honda eのHMI(ヒューマンマシンインターフェイス)によって快適なドライブが可能となります。

 

優しい雰囲気だけじゃない高トルクモーターの走り

駆動モーターはアコードe:HEVの高トルクモーターを使用。Honda e専用設計の高剛性シャーシのセンターフロアにバッテリーを、モーターはリア荷室下にレイアウトしています。低重心で安定感があるだけでなく、フロントタイヤの切れ角も大きく取ることができ、4.3mという軽自動車以下の最小回転半径を実現し、タウンユースの助けになります。最大トルク315Nm(32.1kgf・m)の大トルクモーターを活用した走りはキビキビとしたものに。スポーツモードやアクセル操作のみの停止までコントロールできるシングルペダルモードなど、道路状況や走行状況に応じ、好みの運転スタイルを選ぶことができます。

↑コンパクトなボディに組み合わされるハイパワーモーターにより気持ちの良い走りを実現

 

Honda eには通常の「e」と17インチホイールなどを備えたハイパフォーマンスな「e Advance」の2つのグレードをラインナップ。「e」はフル充電での航続距離がWLTCモード値で283km。JCO8モード値で308km。「e Advance」の最大トルクは「e」と同じものの、「e」の最高出力が100kW(136PS)に対し113kW(154PS)と高出力な分、航続距離はそれぞれWLTCモード値で259km。JCO8モード値で274kmとなります。

 

家庭での200vでのフル充電には10.2時間。夕方充電を開始すると翌朝にはフル充電が終わっている状態となります。また、30分の急速充電では80%の充電が可能となり、202kmの走行が可能となります。街なかベストと銘うっていますが、急速充電をうまく活用することで遠距離の走行に対応できます。

↑ご家庭の200vでは10.2時間でフル充電が可能。災害時などはHonda eを電源とすることも可能

 

↑囲い線のある駐車場へのパーキングサポート、線のないスペースへのサポートを行います

 

 

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「天気の子」バージョンのスーパーカブが本当に出た! ピンクの車体がいい感じ!

2019年に公開された新海 誠監督の劇場版アニメーション映画『天気の子』は観客動員数1000万人、興行収入140億円を超えた2019年公開映画No.1の大ヒットとなりました。劇中で主人公の森嶋 帆高(もりしま ほだか)がピンチの時に、はつらつとしたキャラクター夏美が乗るスーパーカブが帆高を救います。池袋から代々木を目指して帆高を後ろに乗せ疾走するスリリングなシーンが痛快で印象的でした。そこに登場するスーパーカブをモチーフに『天気の子』製作委員会監修のもと、製作されたのが「スーパーカブ『天気の子』ver.」なのです。

↑「スーパーカブ110・『天気の子』ver.」の価格は、31万3500円(税込)

 

実用車の代表のスーパーカブ?

今回、『天気の子』の劇中同様のサマーピンクのボディカラーにブラウンのシートの組み合わせたスーパーカブの実車が誕生しました。実はこのスペシャルモデル、当初映画のキャンペーン用の特別展示車両として作られ、2019年9月から開始された『天気の子』展のフォトスポットに登場したのです。

↑「スーパーカブ50・『天気の子』ver.」の価格は、26万9500円(税込)

 

実はホンダのスーパーカブは1958年(昭和33年)にデビューした当初からその外観は大きくは変わっていません。それはデビュー当初から乗り手のことを考えた優れたパッケージングと高い信頼性、そして圧倒的な低燃費を実現していたから。新聞配達、出前、郵便配達など、働くバイクとして、また世界の人々の足としてバイクの代名詞となるほど世界を走り回っています。その累計生産台数は1億台というのだから驚きです。

 

実はオシャレなスーパーカブ

実用的で働きもののスーパーカブでしたが、その絶対的な信頼性、多くのバリエーションによってお洒落な乗り物としてもスーパーカブの人気が高まってきました。今回の『天気の子』 Ver.は当初あくまでもイベント用で市販の予定はないと言われていました。しかし、2020年4月より始まった本田技研工業のバイクレンタルシステム=HondaGO BIKE RENTALの原付2種クラスでレンタル専用モデルとして設定。そして、それが話題となり劇中と同じ110ccモデルと原付の50ccモデルが限定で発売されることになったのです。中身は高い実用性を誇るスーパーカブのまま、サマーピンクのボディカラーとブラウンシートを採用。この限定車にはレッグシールドの内側上部に『天気の子』Ver.専用ステッカーも配置されプレミアム感を出しています。

↑『天気の子』Ver.ステッカー

 

受注期間限定販売は?

この「スーパーカブ50・『天気の子』Ver.」が500台限定、「スーパーカブ110・『天気の子』Ver.」が1500台限定で7月23日から受注期間限定で販売されることが決まりました。映画のワンシーンのように2人乗りするなら、110ccのスーパーカブ110ですよ! 受注終了は2020年10月31日までの予定となります。

↑成約者全員に劇中で夏美が使用していたヘルメットをプレゼント

 

 

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「天気の子」バージョンのスーパーカブが本当に出た! ピンクの車体がいい感じ!

2019年に公開された新海 誠監督の劇場版アニメーション映画『天気の子』は観客動員数1000万人、興行収入140億円を超えた2019年公開映画No.1の大ヒットとなりました。劇中で主人公の森嶋 帆高(もりしま ほだか)がピンチの時に、はつらつとしたキャラクター夏美が乗るスーパーカブが帆高を救います。池袋から代々木を目指して帆高を後ろに乗せ疾走するスリリングなシーンが痛快で印象的でした。そこに登場するスーパーカブをモチーフに『天気の子』製作委員会監修のもと、製作されたのが「スーパーカブ『天気の子』ver.」なのです。

↑「スーパーカブ110・『天気の子』ver.」の価格は、31万3500円(税込)

 

実用車の代表のスーパーカブ?

今回、『天気の子』の劇中同様のサマーピンクのボディカラーにブラウンのシートの組み合わせたスーパーカブの実車が誕生しました。実はこのスペシャルモデル、当初映画のキャンペーン用の特別展示車両として作られ、2019年9月から開始された『天気の子』展のフォトスポットに登場したのです。

↑「スーパーカブ50・『天気の子』ver.」の価格は、26万9500円(税込)

 

実はホンダのスーパーカブは1958年(昭和33年)にデビューした当初からその外観は大きくは変わっていません。それはデビュー当初から乗り手のことを考えた優れたパッケージングと高い信頼性、そして圧倒的な低燃費を実現していたから。新聞配達、出前、郵便配達など、働くバイクとして、また世界の人々の足としてバイクの代名詞となるほど世界を走り回っています。その累計生産台数は1億台というのだから驚きです。

 

実はオシャレなスーパーカブ

実用的で働きもののスーパーカブでしたが、その絶対的な信頼性、多くのバリエーションによってお洒落な乗り物としてもスーパーカブの人気が高まってきました。今回の『天気の子』 Ver.は当初あくまでもイベント用で市販の予定はないと言われていました。しかし、2020年4月より始まった本田技研工業のバイクレンタルシステム=HondaGO BIKE RENTALの原付2種クラスでレンタル専用モデルとして設定。そして、それが話題となり劇中と同じ110ccモデルと原付の50ccモデルが限定で発売されることになったのです。中身は高い実用性を誇るスーパーカブのまま、サマーピンクのボディカラーとブラウンシートを採用。この限定車にはレッグシールドの内側上部に『天気の子』Ver.専用ステッカーも配置されプレミアム感を出しています。

↑『天気の子』Ver.ステッカー

 

受注期間限定販売は?

この「スーパーカブ50・『天気の子』Ver.」が500台限定、「スーパーカブ110・『天気の子』Ver.」が1500台限定で7月23日から受注期間限定で販売されることが決まりました。映画のワンシーンのように2人乗りするなら、110ccのスーパーカブ110ですよ! 受注終了は2020年10月31日までの予定となります。

↑成約者全員に劇中で夏美が使用していたヘルメットをプレゼント

 

 

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60年代の米国向けモデルを復刻! ファン垂涎の「スーパーカブ」を解説

誰もが知っているバイク、スーパーカブ。昨年シリーズ累計生産台数1億台を突破した伝説的なシリーズです。今年はそんなスーパーカブ60年目の誕生日。そこでホンダから、ビジネスライクなイメージを覆す記念モデルが登場します。バイク好きもそうでない人も、要注目です!

 

【教えてくれた人】

フリーライター

並木政孝さん

モーター誌編集長を経てフリーに。幼いころ父親がスーパーカブに乗っていたため、特に思い入れが強いです。

 

ビジネスイメージを払拭した所有欲を満たせる一台

スーパーカブといえば、そば店の出前や郵便配達など“はたらくバイク”のイメージが強いです。しかし、1960年代の米国輸出向けモデルCA100をモチーフとしたこの60周年記念車は、ビジネスライクなイメージとはかけ離れたカジュアルでポップなデザインが特徴。目を引く個性的なカラーリングに、クロームメッキのエンブレムやパイピングシートを配することで特別感を演出し、所有欲を満たしてくれます。

 

スーパーカブならではの魅力である燃費性能や静粛性、耐久性は、本車でも高い水準で実現。デザインと使い勝手を両立するため、記念モデルでありながら、日常の足として乗り回したくなる一台です。

 

 

ホンダ

スーパーカブ5060周年アニバーサリー

24万3000

11月22日発売(受注は10月31日まで)

シリーズ誕生60周年記念モデル。1963年に米国で話題を呼んだ広告のイラストをモチーフとします。マグナレッドを主体としたボディに、ツートーン仕様のシートやブラックのリアキャリアなど、特別なカラーリングが施されました。

SPEC●全長×全幅×全高:1860×695×1040㎜●車両重量:96㎏●パワーユニット:49cc空冷4ストロークOHC単気筒●最高出力:3.7PS(2.7kW)/5500rpm●最大トルク:0.39㎏-m(3.8Nm)/5500rpm●総排気量:49cc●始動方式:セルフ式(キック式併設)●燃料タンク:容量4.3ℓ●WMTCモード:燃費69.4km/ℓ

 

↑同社が米国で展開した「ナイセスト・ピープル・キャンペーン」のポスター。老若男女(犬も!)をユーザーとして描くことで、大衆性を訴求しました

 

【ココがプロ推し!】

誰でもパーソナルに使える“快楽性”が魅力

60周年記念車のモチーフとなったCA100は、1960年代当時の米国ではびこっていた「バイク乗り=アウトロー」というネガティブなイメージを払拭したモデル。どんなユーザーでもパーソナルに乗りこなすことができる “快楽性”が魅力です。

 

↑クロームメッキエンブレムをはじめ、独自の意匠が随所に配されています。ファンならずとも購買意欲をかき立てられます

 

 

【スーパーカブの歴史をおさらい】

スーパーカブは昨年、シリーズ累計生産台数1億台突破というモーター史に残る金字塔を打ち建てました。偉大な歴史を彩った名車の数々を振り返ります。

 

【その1】1958年発売

スーパーカブ C100

発売当時価格5万5000円

初代モデル。低床バックボーン式フレームや空冷4ストロークOHVエンジンなどを備える画期的なバイクでした。

 

 

【その2】1983年発売

スーパーカブ50 スーパーカスタム

発売当時価格14万4000円

圧巻の低燃費180㎞/ℓを達成。空気抵抗をできる限り小さくするデザインで燃費性能を徹底追求しました。

 

 

【その3】1991年発売

スーパーカブ50 スタンダード

発売当時価格14万5000円

機械式フューエルメーターを採用するなど機能が充実。サイドカバーとレッグシールドを白色で統一しました。

 

 

【その4】2007年発売

スーパーカブ50 スタンダード

発売当時価格20万4750円

二重構造のチューブに、パンク防止液を封入した独自のタフアップチューブを標準装備。エンジンも大幅改良されました。

 

 

【その5】2017年発売

スーパーカブ50

23万2200円

フロントに初代を彷彿とさせるロゴを配置した現行モデル。ヘッドライトはシリーズで初めてLEDを採用しました。

今月の乗ってよかったクルマ3台ーーCX-3に、クラリティPHEVに、ポロGTI

本記事では、プロが最近乗って良かったと思ったモデルを厳選して、コンパクトにお届けします。今回は、マツダのクロスオーバーSUV、CX-3の大幅改良モデルをフィーチャー。そのほか、ホンダの燃料電池車に追加されたプラグイン・ハイブリッドや、人気のフォルクスワーゲン ポロのスポーティモデルGTIと、多彩なラインナップを試乗して紹介します!

 

 

その1

エンジンを一新して快適な走りを手に入れた

マツダ CX-3

(SUV)

SPEC【XD Lパッケージ(4WD/AT)】●全長×全幅×全高:4275×1765×1550㎜●車両重量:1370㎏●パワーユニット:1756㏄直列4気筒DOHCディーゼル+ターボ●最高出力:116PS/4000rpm●最大トルク:27.5㎏-m/1600〜2600rpm●WLTCモード燃費:19.0㎞/ℓ

乗り心地が滑らかになりエンジンの力強さもアップ

CX-3は2015年に登場以来、早くも4回目のアップデートとなりました。今回の改良では初めて内外装のデザインをリニューアルしたことも話題となりましたが、注目したいのは何といってもエンジンが一新された点です。本車の主力となるディーゼルターボエンジンは、排気量1.5ℓから1.8ℓに拡大。さらに、昨年追加された2ℓガソリンエンジンも改良されています。足まわりの仕様変更、専用タイヤの採用、シート構造の見直しなどもあり、より快適な走りを手に入れました。

 

今回は、ディーゼルとガソリンの両方に試乗しましたが、いずれも従来モデルからの進化を実感できました。乗り心地は格段に滑らかになり、エンジンは日常域における力強さが大幅にアップしています。また、フロント/リアドアの外板や、リアドアガラスを厚くしたことで、静粛性を高めたのも好印象。スタイリッシュな外観のクルマという印象が強かったCX–3は、走りの質感と快適性が向上して、一層魅力的なモデルとなりました。

 

【注目ポイント01】操縦性はスポーティ

新開発タイヤの採用や足回りの仕様変更などの効果で、従来モデルと比べて乗り心地が格段に滑らかになりました。その一方で、持ち前のスポーティな操縦性は損なわれていません。

 

【注目ポイント02】質感も使い勝手も向上

室内では、前席の構造材が変更されたほか、パーキングブレーキを電動化したことでセンターコンソールのデザインを一新。質感に加えて使い勝手も向上しています。

 

【注目ポイント03】ディーゼルは1.8ℓターボに

ディーゼルエンジン(上)は、実用燃費の向上を図り1.8ℓに拡大。2ℓガソリン(下)も燃焼室や冷却まわりなど、細部を磨いて全域のトルク向上と燃費改善を実現しました。

 

 

その2

EV航続距離はPHEVのなかでもトップ

ホンダ

クラリティ PHEV

(セダン)

SPEC【EX】●全長×全幅×全高:4915×1875×1480㎜●車両重量:1850㎏●パワーユニット:1496㏄直列4気筒DOHC+モーター●エンジン最高出力:105PS/5500rpm●エンジン最大トルク:13.7㎏-m/5000rpm●モーター最高出力:184PS/5000〜6000rpm●モーター最大トルク:32.1㎏-m/0〜2000rpm●WLTCモード燃費:24.2㎞/ℓ●EV航続距離:101㎞

 

FCV仕様をはるかに凌ぐユーザビリティを獲得した

珍しいFCV(燃料電池車)として知られるホンダ クラリティに、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)仕様が追加されました。そのシステムはガソリンエンジンに電気モーター、総電力量17kWhのバッテリーを組み合わせたものですが、最大の魅力はEV走行時の“アシの長さ”。JC08モードよりリアルに近いとされるWLTCモードで101㎞という航続距離は、数あるPHEVのなかでもトップの性能なのです。

 

実際に試乗すると、満充電時のEV走行はやはり最高でした。日常的な使用環境ならエンジンの出番はなく、室内は常に静粛。水素充填の不便さが否めないFCVに対して、本車が大きなメリットを持つことは間違いありません。

 

【注目ポイント01】室内はくつろぎ感をアピール

充電&給油口の開閉スイッチが3つもあるのはPHEVならではですが、室内の作りは基本的にFCVと同じ。バッテリーは床下に搭載されるが、室内空間の広さは十分です。

 

【注目ポイント02】容量はFCVより大幅にアップ

FCV仕様は巨大な水素タンクにスペースを取られてしまいますが、PHEVでは512ℓもの荷室容量を実現。後席が分割可倒式となるため、長尺な荷物の積載も可能です。

 

 

その3

パワフルな走りは“ホットハッチ”に相応しい

フォルクスワーゲン ポロ GTI

(ハッチバック)

SPEC●全長×全幅×全高:4075×1750×1440㎜●車両重量:1290㎏●パワーユニット:1984㏄直列4気筒DOHC+ターボ●最高出力:200PS/4400〜6000rpm●最大トルク:32.6㎏-m/1500〜4350rpm●JC08モード燃費:16.1㎞/ℓ

 

ボディサイズに見合わない重厚な乗り心地を味わえた

フォルクスワーゲンの高性能なスポーツモデルに与えられる伝統ある称号「GTI」を冠したポロが、日本に上陸しました。エンジンはゴルフGTIと共通の2ℓターボを採用し、最高200馬力&最高トルク32.6㎏-mのパワーを備えています。全長約4mのコンパクトボディでこれを実現したのは圧巻で、“ホットハッチ”に相応しい性能でしょう。

 

パワフルではあるものの、ドライビングフィールに粗さはありません。わずか1500rpmで最大トルクに到達するエンジンは、日常域での扱いやすさも感じさせました。引き締まった乗り心地は上々で、ボディサイズに見合わない重厚感をも味わえるほど。速いだけでなく、ちょっと贅沢なコンパクトカーとして、オススメしたい一台です。

 

【注目ポイント01】エンジンはゴルフ譲りの2ℓ

ポロGTIで初採用となる2ℓターボエンジンは、ゴルフ用がベース。先代に対して出力が8馬力、トルクは7.1㎏-m向上しています。ミッションはツインクラッチの新世代ATです。

 

【注目ポイント02】チェック柄シートなどを継承

GTIの伝統でもあるチェック柄のシートファブリックや、トリムパネルをはじめとするレッドのアクセントで、室内はスポーティな装いになります。快適装備も充実しています。

 

文/小野泰治 写真/宮門秀行

清水草一がホンダ N-BOX を徹底解剖!「機能に徹したこの雰囲気がイイ」

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載。今回はいま日本で一番売れているクルマを取り上げます。

 

【登場人物】

永福ランプこと清水草一

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、Webなどで、クルマを一刀両断しまくっています。2018年になってペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更。本連載をまとめた「清水草一の超偏愛クルマ語り」も先日発売に。

 

安ド

元ゲットナビ編集部員のフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいます。

 

【今回のクルマ】ホンダ N-BOX

SPEC【G・L ホンダ センシング(FF)】●全長×全幅×全高:3395×1475×1790㎜●車両重量:890㎏●パワーユニット:658㏄直列3気筒DOHCエンジン●最高出力:58PS(43kW)/7300rpm●最大トルク:6.6㎏-m(65Nm)/4800rpm●カタログ燃費:27.0㎞/ℓ●138万5640円〜227万4480円

 

機能に徹したこの雰囲気がイイ!

安ド「殿! この連載も今回でついに150回(※)です!」※本誌掲載時

清水「そうか」

安ド「月刊誌で150回ということはえーと、12年半です!」

清水「まだそんなものか」

安ド「えっ! 12年ってすごいじゃないですか!」

清水「いや、もっと長く続いているような気がしてな。私が少年のころから」

安ド「まさか。まだ免許すら持ってないじゃないですか!」

清水「そうだった」

安ド「ところで今回は、連載150回を記念して、日本一売れているクルマを借りてきました!」

清水「ホンダのN-BOXだな」

安ド「そのなかでも、いま最も売れているグレードだそうです!」

清水「意外にもカスタムではないのだな」

安ド「はい。この『G・L ホンダセンシング』が、僅差ながら一番売れているそうです!」

清水「ノーマルのN-BOXは、何だかホッとするな」

安ド「殿はカスタムがお嫌いですか?」

清水「うむ。あのギラギラしたヤンキーテイストがダメだ。しかしノーマルは枯れた感じでイイ。機能に徹したこの雰囲気、ほとんど商用だ」

安ド「それは良い意味ですか?」

清水「もちろんだ。例えればシトロエンのHトラックのような」

安ド「〝アラレちゃん〟に出てきたトラックですね。僕もノーマルのほうがオシャレだし、センスが良いと思います! この黄色と白のツートンカラーも良いですね。ツートンカラーは6〜8万円くらい高いそうですが」

清水「それだけで遊び心が感じられる。N-BOXを買う人は、意外とそういったオプションをバンバン付けて、総額200万円オーバーも普通だと聞く」

安ド「そうなんですか!?」

清水「これも車両本体価格が約150万円と決して安くはない。普通車コンパクトのパッソやヴィッツのエントリーグレードよりむしろ高いが、売れまくっておる」

安ド「どうしてでしょう?」

清水「一般ユーザーは、車両価格より維持費の安さを優先する傾向がある。軽ならとにかく維持費が安い。そして、なるべく長く乗りたいから装備はケチらない。結果、総額200万円のN-BOXが売れまくる。そういう流れなのだろう」

安ド「さすが殿、慧眼です!」

清水「まったくのあてずっぽうだ」

安ド「ガクー! でもN-BOXが販売台数1位になる前は、ずっとプリウスやアクアが1位だったわけですよね」

清水「その通り。N-BOXはどれだけオプションを付けても、プリウスやアクアよりはかなり安い」

安ド「つまり、“日本一売れるクルマ”が、前より安いクルマになったわけですね?」

清水「うーむ。そう考えると、まだまだデフレマインドは続いておるのかもしれぬな……」

 

【注目パーツ01】2トーンカラー

多彩なカラーから選択可能

4種類のおしゃれな2トーンカラーが設定されていて、さらに単色も12色用意しています。売れているクルマは他の人と同じになってしまって嫌という人も多いようですが、これならオリジナリティを出せることでしょう。

 

【注目パーツ02】エンジン

街中の通常走行で不満なし

キープコンセプトの二代目モデルながら、プラットフォーム(車体骨格)とエンジンは新開発されました。ターボとノンターボの2種類がありますが、こちらはノンターボ。といっても動力性能に不満はなく、十分キビキビ走ります。

 

【注目パーツ03】タイヤ角度モニター表示

車庫入れ時の心強い味方

車庫入れなどの際、メーターディスプレイの左側にタイヤの状態がデジタル表示されます。何度か切り返しをしていると、いまタイヤがどちらを向いているかわからなくなってしまう人も多いようですが、これならすぐわかりますね。

 

【注目パーツ04】テールゲート

独自設計で荷室の広さを確保

燃料タンクを後席下に置かない設計により、開口部の高さが先代モデルと比べて低くなりました。一方で、先代と同様に床が低くて天井は高いので、リアシートを前方へ倒すだけで、自転車を折りたたまずに積載することができます。

 

【注目パーツ05】助手席スーパースライドシート

ファミリー目線でうれしい超便利機能

最量販グレードには設定されていませんが、助手席のロングスライド機能が便利です。助手席を目一杯後方へ下げれば、後席の子どもの世話ができますし、後席と運転席との間の車内移動も可能となるのです。

 

【注目パーツ06】運転席アッパーボックス

小物を入れる場所が豊富

新型ではメーター搭載位置が上方へ移動されました。運転時の目線移動距離が少なくなることは安全運転につながります。そして、空いた場所には小物入れを搭載。収納はほかにもたくさんあり、小物の受け入れ体制は盤石です。

 

【注目パーツ07】ヘッドライト

ライトが眩しくないか自動判断

まるで目のようなリング状の可愛いLEDライトが全グレードで標準装備。また「ホンダ センシング」の機能のひとつ、オートハイビームが搭載されているので、前方の状況を考慮して自動でハイ/ロービームを切り替えます。

 

【注目パーツ08】ハンズフリースライドドア

手が離せないときでも開けられる

いまや同クラスの軽自動車では当たり前の電動スライドドア。さらに、N-BOXにはキーさえ携帯していればドアの下に足を踏み出すだけで自動開閉する機能がオプション設定されています。最初は上手くできませんが、慣れれば簡単です。

 

【注目パーツ09】Aピラー

視界をさらに広くする工夫

Aピラー(フロントウインドウとサイドウインドウ間の柱部分)が極細化されたことで、運転席からの視界が良くなりました。もちろん堅牢なボディ構造が採用されているので、衝突安全性能にはさほど影響ありません。

 

【これぞ感動の細部だ】ホンダ センシング

突入事故にも歯止めをかける

安全運転支援システム「ホンダ センシング」が、軽としては初めて、しかも全グレードに標準搭載されました。さらに衝突軽減ブレーキや車線維持支援といった従来の機能に加え、後方誤発進抑制機能を追加。これは真後ろに障害物がある状態でアクセルを踏み込んだ場合に、後方への急発進を抑制します。コンビニなどへの突入事故が減るかもしれませんね。

 

 

【参考にした本】

タイトル:清水草一の超偏愛クルマ語り

価格:926円+税

清水草一が「シビック タイプR」を徹底解剖!「非日常のカタマリ。つまりフェラーリ的なのだ」

ベテラン自動車ライターの永福ランプこと清水草一とフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載。今回は、カーマニア垂涎の傑作スポーツモデル! シビック タイプRをチェックしました。

 

【PROFILE】

永福ランプこと清水草一:日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖です。自動車評論家としてはもはやベテランの域で、様々な自動車専門誌や一般誌、Webなどに寄稿し、独自の視点でクルマを一刀両断しまくっています。本連載をまとめた「清水草一の超偏愛クルマ語り」も先日発売に。

 

安ド :元ゲットナビ編集部員のフリーエディター。MJブロンディを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今回のクルマ】ホンダ シビック タイプR

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SPEC ●全長×全幅×全高:4560×1875×1435㎜ ●車両重量:1390㎏ ●パワーユニット:1995㏄直列4気筒DOHCターボエンジン ●最高出力:320PS(235kW)/6500rpm ●最大トルク:40.8㎏-m(400Nm)/2500〜4500rpm ●カタログ燃費:12.8㎞/ℓ  ●価格:450万360円

 

安ド「殿! このクルマ、まるでロボットアニメのマシンですね!」

清水「うむ。かつてランサーエボリューションが〝ガンダム系”の代表だったが、そのランエボもいまはない。ところがこのシビックタイプRは、かつてのランエボ以上のガンダム系デザインと言ってよかろう!」

安ド「顔もガンダムっぽいですけど、ルーフ後端についてるフィンがものスゴいです!」

清水「ものスゴいな!」

安ド「殿はこんな子どもっぽいデザインのクルマ、お嫌いですよね?」

清水「……いや、このクルマに関しては、決して嫌いではない。正確には、好きになってしまいそうだ」

安ド「マジですか!」

清水「なんだかんだいって、我々カーマニアは中身を重視する。どんなに『クルマはカッコ』と思っていてもな……」

安ド「つまり、中身がいいってことですか?」

清水「うむ。コイツの走りは本当にものスゴい。まさに非日常のカタマリ。つまりフェラーリ的なのだ」

安ド「えっ!美の化身であるフェラーリに似てるんですか!?」

清水「見た目は似ても似つかないが、中身の方向性は同じ。どこまでも速く、そして過剰に過激なのだ」

安ド「なるほど!」

清水「ボディのしっかり感、シャシー性能もとてつもないが、私が特に感じ入ったのは、2リットルターボエンジンのフィーリングだ」

安ド「乾いたいい音がしますね!」

清水「音も悪くないが、回せば回すほどターボパワーが高まる過激な特性にホレた。いまどきのダウンサイジングターボにはない、古典的なレーシングターボ。たとえれば、フェラーリF40のような」

安ド「殿!そんな神車の名前を口にしていいんですか!」

清水「低速トルクはたっぷりあり、実用性満点でありながら、本領を発揮するのは4000回転から上。そのまま7000回転まで、天井知らずにパワーが盛り上がる。思わず『このまま死んでもいい』と思ってしまうほどだ」

安ド「ええっ!フェラーリに命を賭けた殿が、ホンダ車で死んでもいいんですか!」

清水「ホンダはやはりエンジンメーカーだ。つまり、魂はフェラーリと同じ。ミニバンや軽では影を潜めたその本質が、このタイプRに込められている」

安ド「なるほど!ところで殿。限定モデルだった先代のタイプRのエンジンとは、かなり違いますか?」

清水「スペック的にはわずか10馬力アップなのだが、フィーリングは、はるかに澄んでいてピュア。フェラーリ的に感じたぞ」

安ド「スペックではなくフィーリングなんですね!そういえば6速MTも、ストロークが短くてコクコク入るし、メカニカルな感覚が心地良かったです!」

清水「まるでレーシングカーだな」

安ド「そうなんです。速すぎてアクセル全開にできません!」

 

【注目パーツ01】6速トランスミッション

回転数自動同期システム付き

歴代のタイプR同様、アルミ製シフトノブを備えた6速マニュアルです。変速時に回転数を自動で合わせてくれるので、ダウンシフトをカッコよく決められます。下部には、シリアルナンバー入りアルミ製エンブレム付きです。

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【注目パーツ02】カーゴエリアカバー

珍しく横から引っ張るタイプ

“トノカバー”と呼ばれる荷室上部のフタが、このクルマでは珍しく横からビヨヨーンと伸びてきます。おかげでハッチバックに連動して開閉はできませんが、ラッピングフィルムみたいで、出し入れすると楽しい気分になります。

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【注目パーツ03】3本出しマフラー&ディフューザー

見た目と実力を兼ね備えたリアまわり

高出力モデルというと左右2本出しマフラーが定番ですが、これは中央3本出し。フェラーリF40や458イタリアを髣髴とさせ、攻撃的で素敵です。両脇の黒いフィンは整流板で、車体の下を流れてきた空気を整えます。

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【注目パーツ04】スリット

空気の流れを整えるエアロパーツ

ボンネットの上に空気を取り入れるためのスリット(穴)があります。この空気でエンジンを冷やすのかと思いきや、どうもフロントタイヤ後方のスリットから抜ける構造のようです。空気の流れを大切にしているのですね。

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【注目パーツ05】20インチ30扁平タイヤ

大径サイズ化により高性能を発揮

ひと目見たときの違和感はなんだろうと思ってよく見ると、ものすごくタイヤが薄いです。「30扁平」というと、ひと昔前はスーパーカー用だった超扁平サイズ。見た目に違わずスーパーカー並みのパフォーマンスを実現してくれます。

20171226-yamauchi_3のコピー

 

【注目パーツ06】フロントフェイス

メカニカルな雰囲気のロボ顔

どちらかといえばさっぱり顔だった先代モデルと違い、今作は戦闘的で“ロボット感”溢れる雰囲気となりました。このロボ顔が嫌な人は先代型をおすすめしますが、先代型の中古車も人気が高く、価格はなかなか下がりません。

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【注目パーツ07】ドライブモードスイッチ

その日の気分でモードを変える

「タイプRでもたまには気を抜いて走りたい!」人向けにコンフォートモードを備えました。逆に、「もっと速く! 誰よりも速く!」と望む人には+Rモードもあります。ハンドリングや乗り心地などの味付けが変わります。

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【注目パーツ08】タイプRシート

高いホールド性を実現する形状

やはりタイプR伝統の赤いバケット型(体を包み込む形状の)シートを備えています。体の大きい人にとっては窮屈そうですが、体重80キロ超えのぽっちゃりな安ドでもすっぽり入りましたので、大丈夫だと思います。

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【注目パーツ09】大型リアスポイラー&ボルテックスジェネレータ

抵抗を抑えて空気の流れを整える

先代モデルもリアスポイラーは大型でしたが、このようなデコボコは付いていませんでした。このリアウインドウ上部についているデコボコが、走行時にルーフ上に流れる空気を整えて効果的にリアスポイラーに導くのです。

20171226-yamauchi_8のコピー

 

[これぞ感動の細部だ! VTECターボエンジン]

レーシングカーのようなレスポンス

回せば回すほどパワーが溢れてくる超高回転型の高出力エンジンで、非常に官能的です。まるでピュアレーシングカーのような走りを実現しながら低速トルクもしっかりあって乗りやすい、近年まれに見る傑作エンジンであります。ちなみに北米では、モータースポーツに参戦する顧客向けに、このエンジンを単体で販売するのだとか。スゴい!20171226-yamauchi_12

 

 

【参考にした本】

タイトル:清水草一の超偏愛クルマ語り

価格:926円+税

 

「モンキー」の復活が待ちきれない人のための基本情報おさらい

半世紀近く愛され続け、昨年8月にその歴史に一度幕を下ろした「ホンダ モンキー」。伝説の名機が、7月12日に125ccへとパワーアップを遂げて復活します。ここでは、そんな大注目のモデルを改めて紹介します。

 

遊び心のあるデザインはそのままで125ccにパワーアップして復活!

ホンダ

モンキー 125

39万9600円〜43万2000円

遊び心のあるデザインを踏襲しつつ、パワフルかつ扱いやすい125㏄エンジンを搭載したことで利便性と快適性がアップ。バネ下重量を軽減する倒立フロントフォークやディスクブレーキを採用し、安全性も確保されています。

SPEC●全長×全幅×全高:1710×755×1030㎜●車両重量:105㎏●パワーユニット:124㏄空冷4ストロークOHC単気筒エンジン●最高出力:9.4PS/7000rpm●最大トルク:1.1㎏-m/5250rpm●カタログ燃費:67.1㎞/ℓ

 

スタイルを踏襲しながら走行性能は革新的に進化

1967年に国内向け市販モデルが登場して以来、ホンダ・モンキーはクラシカルでキュートなフォルムと高い機動力で、若者を中心にヒット。原動機付き自転車の先駆けとして、約50年にわたって愛されてきました。昨年8月にその歴史に幕を下ろし、いまだ余韻も残るなか、125㏄にパワーアップしたモンキー 125が発表されました。

 

注目は、革新的に進化した走行性能。エンジンは空冷式の4ストローク単気筒に4速マニュアルトランスミッションを組み合わせ、痛快な走りを楽しめます。また、電子制御により理想的な燃焼をアシストする技術を採用し、効率の良いエンジンのパフォーマンスを実現。さらに、上位モデルのブレーキシステムには、高精度な制動を実現するABSを装備しています。

 

↑パールネビュラレッドとバナナイエローの2色展開。125ccとなりましたがレトロポップなデザインはそのままです

 

一方で、車両はやや大型化したものの、元々の魅力であるクラシカルなデザインを踏襲。ヘッドライトやフューエルタンク、サイドカバー、シートなどに見られる「モンキーらしさ」は健在で、オールドファンも納得できる仕上がりです。

 

運転には小型二輪免許が必要となりましたが、原付のように時速30㎞の速度制限や二段階右折を必要としない点は、特に都市部において大きなメリット。また、自家用車を所有する人なら「ファミリーバイク特約」を使えば、125㏄以下のバイクは格安の保険料で済むことも購入への追い風となります。

■今回のモンキーはここが進化!

その1「ヘッドライト」

クラシックスタイルでも最新のLEDを採用

独立した小型のヘッドライトケースはクラシカルなスタイルですが、LEDはロー/ハイビームの切り替えに対応する最新のものを採用。視認性を確保しています。

 

その2「タイヤ&ホイール」

快適さとキビキビとした走りを両立

“モンキーらしい”12インチの極太タイヤを、Y字スポークデザインのアルミキャストホイールにセット。快適な乗り心地でリラックスしながらも、キビキビした走りを楽しめます。

 

その3「フューエルタンク」

定番の台形デザインは容量を確保

丸みを帯びたユニークな台形デザインは、1967年のZ50Mから続く定番スタイル。ウイングマークをあしらったエンブレムが特徴です。容量は5.6ℓで、カタログ上は約376㎞走行可能となっています。

 

その4「シート」

厚さと広さを確保して座り心地は快適

125㏄となりましたが乗車定員は1名のままとしてデザインをキープ。タックロールデザインで厚みのあるクッションは座り心地が良く、座面の広さも魅力です。

 

その5「サスペンション」

最新技術の採用で快適な走りを実現

スチール製モノバックボーンフレームを基本に、倒立式のフロントフォークとツインリアショックを採用。路面への優れた追従性を実現し、様々なシーンで快適な走りを楽しめます。

 

その6「ブレーキ」

安心感のある安定した制動フィール

フロント・リアともに油圧式のディスクブレーキ。上級モデルでは、フロントのみABS(アンチロック・ブレーキ・システム)を採用し、より安心感のある制動力を発揮できます。

 

その7「エンジン」

ストレスのない加速を実現する

125㏄となった空冷式4ストロークOHCエンジンは、単気筒ならではの広域に渡るトルクフルな出力特性で、ストレスのない加速を実現。痛快な走りと、経済性・環境性を両立します。

■知られザル、モンキーの進化の歴史

モンキーのルーツは、かつてホンダ系列の企業が運営していた遊園地・多摩テックの遊具にあります。60年近くにおよぶ進化の歴史をたどりました。

 

【1961年発売】子どもから人気を博した“始祖”

Z100

テーマパークの遊具として製造されたモンキーの“始祖”。5インチのタイヤをリジットフレームに搭載しています。子どもたちから絶大な人気を誇りました。

 

【1963年発売】道走行仕様は海外でヒット

CZ100

公道での走行に対応させたモデルチェンジ版。翌64年から行った海外への輸出販売が好評だったことから、国内向け仕様の開発が始まりました。

 

【1967年発売】国内向け初の市販モデル

Z50M

国内の公道向けとして登場した初代市販モデル。初めて「モンキー」と名付けられました。5インチタイヤにリジッドサスという構成で、エンジンは50㏄です。

 

【1969年発売】車体が大型化しパワーアップ

Z50A

ハンドルの折りたたみ機構を継続しつつ、車体を大型化。タイヤサイズも8インチに拡大され、エンジン最高出力は2.6PSへとパワーアップしました。

 

【1970年発売】フロントフォークが脱着可能に

Z50Z

Z50Aがベースのマイナーチェンジモデル。フロントフォークが脱着式となり、リアブレーキが右ペダルへと変更されました。マフラーはアップタイプに。

 

【1978年発売】約30年に渡るロングセラーに

Z50J-I

ティアドロップ型5ℓ燃料タンクを搭載。発売以降、約30年に渡ってロングセラーモデルとして活躍します。同時期に兄弟モデルのゴリラが登場しました。

 

【2009年発売】排出ガス規制に対応した最後の小猿

JBH-AB27

07年に施行された排出ガス規制に適合させるため、約30年ぶりにフルモデルチェンジを果たした最後の“小猿”。17年夏に惜しまれつつ生産終了しました。

持っていれば絶対安心! 災害時にも活躍できる便利なアウトドアグッズ4選

5月はバーベキューやキャンプなどアウトドアに最適な季節。そこで今回は、水と塩で発電するランタンや、お馴染みのカセットボンベを使った発電機などを紹介します。レジャーだけでなく、持っておけば災害時にも活躍してくれること間違いナシなので、ぜひチェックしてみて下さい。

出典画像:Scrubba Japan 公式サイトより

 

[その1]

水と塩で発電するランタン

出典画像:グリーンハウス 公式サイトより

グリーンハウス
GH-LED10WBA-WH
グリーンハウスの「GH-LED10WBA-WH」は、乾電池や充電が不要のランタン。搭載された10灯のLEDが、水と塩の発電により点灯します。発電のメカニズムは単純で、マグネシウムと炭素の間に電解液となる塩水を入れると、イオンが溶け出して電気が発生する仕組み。乾電池と比べ、環境にもやさしいクリーンエネルギーです。

 

<注目ポイント>
・乾電池や充電不要
・最長120時間使用可能
・海水でも発電可能
本体に装着された金属棒の発電寿命は最長120時間。消耗品なので、別売りの金属棒を予備に持っておくと緊急時にも安心です。専用のUSBケーブルが付属しており、USB機器の充電も可能。海水でも発電できるので、釣りや海のレジャーでも役立ってくれるでしょう。

 

[その2]

お馴染みのカセットボンベを使用する発電機

出典画像:ホンダ 公式サイトより

ホンダ
EU9iGB(エネポ)
カセットボンベで電気を作るホンダの発電機「EU9iGB(エネポ)」。カセットボンベのセット方法は、本体上部に2本差し込んでレバーを固定するだけ。従来のガソリンを使った発電機とは違い、液体をこぼさないように気をつけながら注ぐ手間もありません。

 

<注目ポイント>
・ガソリン不要のカンタン燃料
・折りたたみ式ハンドル搭載で持ち運びに便利
・縦型のスリムなデザイン
カセットボンベをセットしたら、スイッチを「運転」に合わせてグリップを引けば発電開始。初めての人や機械が苦手な人でも、手軽に安心して使えます。スイッチやレバーの横には、操作の順番に沿った大きな数字を記載。さらに折りたたみ式のハンドルと大型キャスターがついているので、キャリーバッグを片手で引くように移動できます。

[その3]

火を使わずにお湯を沸かせるのです!

出典画像:トライ・カンパニー 公式サイトより

トライ・カンパニー
湯わかしBOX
トライ・カンパニーの「湯わかしBOX」なら、火を使わずにお湯を沸かせます。アルミ粉末の反応熱を利用するので、水を注ぐだけでOK。最大1Lまで加熱可能で、BOX本体は耐水・保温性に優れた紙製品が使われています。

 

<注目ポイント>
・火を使わないでお湯を沸かせる
・BOX本体は耐水・保温性に優れた紙製品
・A4サイズでコンパクト
付属のキャップつきスパウト袋を使えば、保温しながらポットのように必要な量だけ注ぐことが可能。さらに広口のファスナー袋なら、お湯を沸かしながらレトルト食品や缶詰類の温めにも使えます。A4サイズとコンパクトなので、防災用避難袋に収納しておけるのも嬉しいポイントですよね。

 

[その4]

場所を選ばず洗濯できる特殊なバッグ

出典画像:Scrubba Japan 公式サイトより

Scrubba
Scrubba Wash Bag 2017
「Scrubba Wash Bag 2017」は、いつでもどこでも衣類を洗濯できるアイテムです。バッグに水と洗剤、衣類を入れたら、密封して外側から手で揉むだけ。内側に洗濯板状の突起がついているので、しっかりと汚れを落とせます。

 

<注目ポイント>

・重量142gのポケットサイズ
・中身と水量が確認できる透明窓つき
・防水ドライバッグとしても使用可能
バッグ本体の外側側面に滑り止め加工が施されているため、ごしごし洗っても滑りません。中身と水量が確認できる透明窓がついているので、洗濯中の泡立ち具合をチェックできるのも特徴です。使わないときは折りたたんでおけばポケットに入るコンパクトサイズなので、旅行やアウトドアに最適。

【2018年春版】激戦区「国産コンパクトSUV」で最も評価が高い一台は? 4大モデルを評論家がシビアに判定

SUVは世界のクルマ市場で大きなトレンドとなっていますが、日本での主流は使い勝手の良いコンパクトSUVです。トヨタ C-HRから王座奪回を狙うホンダ ヴェゼルは改良され、三菱はエクリプス クロスでスズキはクロスビーで参入。覇権を握るのはどれでしょうか? プロがシビアな目でチェックしました。

※採点はすべてガソリンエンジンの4WDモデルで行いました。グレードは、エクリプス クロスがG、ヴェゼルがG Honda SENSING、クロスビーがHYBRID MZ、C-HRがG-T

 

【解説する人】

モータージャーナリスト 岡本幸一郎さん

動画メディア出身の自動車評論家。今年2人目の子どもが誕生し、家族のためのクルマ選びを検討中です。

 

小型SUVのトレンドは個性的な“攻め”のデザイン

かつては大柄なモデルが主流だったSUVですが、ここ数年はダウンサイジング化が顕著。デザインも多様化しており、個性的なモデルが目立つようになりました。オーソドックスなスタイルのヴェゼルに代わって、スポーティなC-HRが2017年のSUV販売台数1位となったのは、その象徴です。

 

三菱自動車が満を持して送り出したエクリプス クロスは、シャープかつダイナミックな佇まい。スズキのクロスビーは、同社の軽自動車ハスラーを踏襲したポップな仕様。好き嫌いが分かれそうな“攻め”のデザインですが、いずれも高い人気を博しています。

 

【その1】三菱4年ぶりとなる新型車は大胆なデザインが特徴

三菱自動車

エクリプス クロス

253万2600円~309万5280円

同社では4年ぶりとなる新型車で、発売前から約5000台もの受注を集めた注目モデル。斬新なリアデザインが特徴です。●全長×全幅×全高/車両重量:4405×1805×1685㎜/1550㎏(4WD・G)【駆動方式:FF、4WD】【乗車定員:5名】【総排気量:1498㏄】【カタログ燃費:14.0㎞/ℓ(4WD)】

 

クーペのようなルーフ形状や大胆なサイドラインが特徴。上下2分割されたリアウインドウも印象的です。

 

運転席横にはタッチパッドコントローラーを搭載。運転姿勢のままでオーディオシステムなどの操作が可能です。

 

エンジンは1.5ℓ直列4気筒直噴ターボ。独自の四輪制御技術を採用し、安定感のある走りを実現します。

 

本車は世界約80か国で展開されるグローバルモデル。そのため、インパネデザインはコンサバ仕様です。

 

乗員まわりのスペースには十分な余裕を確保しています。リアシートはスライド&リクライニングが可能。

 

【JUDGEMENT】

独自技術で充実の走りと高い安全性能を実現する

衝突被害ブレーキシステム[FCM]など「Mitsubishi e-Assist」が高い安全性能を実現。デザインは好みが分かれそう。

 

【その2】走りと安全性を高めて王者への返り咲きを狙う

ホンダ

ヴェゼル

207万5000円~247万5000円

2013年登場のベストセラー車がマイナーチェンジ。安全運転支援システム「ホンダセンシング」が全車標準搭載となりました。●全長×全幅×全高/車両重量:4330×1770×1605㎜/1180㎏(4WD・G)【駆動方式:FF、4WD】【乗車定員:5名】【総排気量:1496㏄、1496㏄+モーター】【カタログ燃費:19.6㎞/ℓ(4WD・G)】

 

力強いSUVスタイルを磨いたデザイン。インラインLEDライトを採用するなど先進性も高められています。

 

ミニバンのヒットメーカーらしく使い勝手の良さが光る荷室空間。小型ボディながら容量を確保しています。

 

ハイブリッドシステムが改良され、加速フィーリングがスムーズに。ガソリンエンジン車も燃費が向上しました。

 

Apple CarPlayやAndroid Autoに対応。運転中のオーディオ再生や通話操作を容易にします。

 

形状が改良されたフロントシートはホールド性や快適性を向上。ステッチが変更され、質感も高められました。

 

【JUDGEMENT】

走りの課題を改善しつつリーズナブルな価格をキープ

足回りを改善し、乗り心地の硬さを解消。デザインには少し野暮ったさもありますが、200万円台で買えるのはおトクです。

 

 

【その3】大人の遊び心をくすぐるポップなデザイン

スズキ

クロスビー

176万5800円~214万5960円

同社の人気軽自動車ハスラーのデザインを生かしつつボディサイズを拡大。エンジンは1ℓターボのみで、4WDも用意します。●全長×全幅×全高/車両重量:3760×1670×1705㎜/960㎏(HYBRID MZ)【駆動方式:FF、4WD】【乗車定員:5名】【総排気量:996㏄】【カタログ燃費:20.6㎞/ℓ(4WD)】

 

ハスラー同様の丸いヘッドライトと横長グリルが特徴。ぶ厚いフェンダーモールがSUVらしさを強調します。

 

荷室の表面には撥水素材を採用し、濡れたものでも気にせず積み込めます。リアシートは5:5の分割可倒式。

 

1ℓ直3ターボエンジンは6速ATとの組み合わせ。最低地上高の高さも相まって、悪路走破性はまずまずです。

 

コンパクトですが全高を高くして乗員の居住性を確保。シートにはボディカラーとマッチしたパイピングが施されます。

 

 

ポップなデザインのインパネ。自動ブレーキや誤発進抑制機能など安全装備は十分。

 

【JUDGEMENT】

縦方向に広がりを感じる室内スペースは独自の魅力

荷室の奥行きが短く、装備の充実度で劣ります。ウインドウが立っていることで広さを感じさせる独特の居住空間が面白いですね。

 

 

【その4】プリウスと共通の車体構造で高い運動性能を実現

トヨタ

C-HR

251万6400円~292万9200円

現行型プリウスと共通の車体構造を採用し、ハイブリッドとターボエンジンを選べる。2017年の販売台数はSUVで1位に輝きました。●全長×全幅×全高/車両重量:4360×1795×1565㎜/1470㎏(G-T)【駆動方式:FF、4WD】【乗車定員:5名】【総排気量:1196㏄、1797㏄+モーター】【カタログ燃費:15.4㎞/ℓ(4WD・G-T)】

 

絞り込まれたスタイリングはダイヤモンドがモチーフ。ツートンカラー仕様(メイン写真)は昨夏に追加。

 

プリウスでも採用する同社の新型プラットフォーム(車体骨組)「TNGA」を採用。運動性能を高める効果があります。

 

1.8ℓエンジン+モーターのハイブリッド(写真)と、1.2ℓターボエンジンを用意します。

 

オーソドックスながらスポーティな雰囲気。衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense P」を備えます。

 

上級モデルでは、ファブリックと本革を組み合わせた上質なシートを採用。室内空間はさほど広くはありません。

 

【JUDGEMENT】

視界や居住性を犠牲にしてスポーティなデザインを実現

ハンドリング性能の高さが好印象。後方の視界や後席の乗降性は、デザインのために割り切って犠牲にしています。

 

ホンダNボックスシリーズが販売で2冠!

ホンダは4月5日、軽自動車「N-BOX」シリーズが2017年度(2017年4月〜2018年3月)における販売台数が22万3449台を記録し、軽四輪車新車販売台数において3年連続となる第1位を、さらに登録車を含む新車販売台数においても第1位を獲得したと発表した。ホンダが新車販売台数において、同年の暦年・年度ともに首位を獲得したのは2002年度に「フィット」が達成して以来、15年ぶりになる。

 

 

 

 

N-BOX/N-BOXカスタム(2017年9月フルモデルチェンジ)

 

N-BOXシリーズは「N-BOX」、「N-BOX +(エヌボックス プラス)」、「N-BOX SLASH(エヌボックス スラッシュ)」をラインアップし、幅広い層から支持を獲得。2017年9月にフルモデルチェンジされた新型N-BOXは、軽乗用車最大級の室内空間や存在感あるデザインに加えて、先進の安全運転支援システム「Honda SENSING(ホンダ センシング)」の採用や、優れた走行性能・燃費性能の面でも好評を得ている。なお、4月19日には、新たにスロープ仕様の追加が発表される予定だ。

 

 

 

N-BOX+(2017年8月終了)

 

 

 

N-BOX SLASH(2018年1月マイナーチェンジ)

 

●N-BOXシリーズ発売以来の歩み
2011年12月 N-BOX発売
2012年 6月 累計販売台数10万台達成
2012年 7月 N-BOX+発売
2012年11月 累計販売台数20万台達成
2013年 3月 年度軽四輪車販売台数第1位獲得
2013年 5月 累計販売台数30万台達成
2013年10月 累計販売台数40万台達成
2013年12月 年間軽四輪車販売台数第1位獲得
2014年 3月 年度軽四輪車販売台数第1位獲得
累計販売台数50万台達成
2014年10月 累計販売台数60万台達成
2014年12月 N-BOX SLASH発売
2015年 3月 最高月間販売台数3万633台を記録
2015年 4月 累計販売台数70万台達成
2015年11月 累計販売台数80万台達成
2015年12月 年間軽四輪車販売台数第1位獲得
2016年 3月 年度軽四輪車販売台数第1位獲得
2016年 6月 累計販売台数90万台達成
2016年12月 年間軽四輪車販売台数第1位獲得
累計販売台数100万台達成
2017年 3月 年度軽四輪車販売台数第1位獲得
2017年 6月 累計販売台数110万台達成
2017年11月 累計販売台数120万台達成
2017年12月 年間四輪車販売台数第1位獲得
2018年 3月 年度四輪車販売台数第1位獲得

 

 

 

かつての「シティ」や「シビック」を彷彿とさせる、ホンダの電気自動車「アーバンEVコンセプト」市販型は2019年に発売か!?

2017年フランクフルトモーターショーで初公開された、ホンダの電気自動車「アーバンEVコンセプト」が2019年にも発売とウワサされている。

 

 

このほど公開された予想CGでは、コンセプトモデルで採用されていた、かつて大人気を博した初代「シティ(1981年発売)」のようなレトロな丸眼ヘッドライトを含め、初代「シビック」をも思い出させるようなフロントマスクが印象的だ。

 

 

 

しかし新開発のEVプラットフォームを採用するスタイルは、「シティ」のような背高ではなくクーペの雰囲気を醸し出すCピラーに特徴をもたせ、フェンダーに切れ込みが入れられたワイド感が強調されている。

 

パワーユニットについての情報はまだないが、国産EVのトップを走る日産「リーフ」同等のパフォーマンスを持ち、航続距離は1回の充電で400km程度になるという。

 

 

 

室内には大型のディスプレイが装備され、人工知能(AI)を用いた「ホンダ・オートメーテッド・ネットワーク・アシスタント」の搭載が予想されている。

 

2030年までには市販車の3分の2以上を電動化する計画をもつホンダにとって、この「アーバンEVコンセプト」はその第一弾となるはずだ。

 

 

 

【中年名車図鑑】リトラクタブル&Hマークで「ホンダの顔」を打ち出した3ドアハッチバック

1980年代は本田技研工業からスポーツスピリットあふれるモデルが数多くリリースされた時代だった。4輪車進出時の原点回帰、F1イメージの拡大展開――自動車マスコミは様々な賛辞をおくる。そんな最中の1985年、クイントが「インテグラ」のサブネームを付けて第2世代に移行した。今回は“DOHCロマン”のキャッチフレーズを冠して市場に放たれた小型スペシャルティの「クイント・インテグラ」で一席。

【Vol.61 ホンダ・クイント・インテグラ】

1982年は本田技研工業にとって記念すべき年となった。アメリカのオハイオ州に建設していた乗用車工場がついに稼動したのだ。米国でのホンダ車の人気はいっそう高まり、それと合わせて連結ベースの純利益は上昇の一途をたどる。この流れはクルマの開発体制にも波及し、やがて首脳陣は海外ユーザーの志向を踏まえた新型車の企画を推し進める方針を打ち出した。

 

■日米共同で進められた車両デザイン

1985年2月、シビックとアコードの間を埋めるファミリーカーのクイントがフルモデルチェンジを遂げる。車名はサブネームにインテグラ(INTEGRA)を付けて「クイント・インテグラ」と名乗った。インテグラの語源は英語のIntegrateで、「統合する」「完全にする」という意味。ホンダが持つハイテクノロジーをひとつに統合したクルマということで命名していた。このモデルはアメリカの上級ディーラーであるアキュラ(ACURA)ブランドからも販売する予定だったため、デザインの企画は日米共同で進められる。最も大きな特徴はフロントマスクで、スポーティなリトラクタブルヘッドライトにホンダの頭文字である“H”マークを中央にあしらっていた。この顔は1982年11月にデビューした2代目プレリュード、そしてインテグラ登場の約3ヵ月後に日本デビューを果たす3代目アコードにも採用される。80年代前半は「日本車はメーカーごとの顔がない」といわれていた時代。その打開策としてホンダの開発陣が企画したのが、リトラクタブルヘッドライト&Hマークだったのだ。

 

■スポーティな3ドアモデルから販売を開始

スペシャルティカーのテイストを盛り込んだクーペ風3ドアハッチバック。デビュー当初、全車1.6L直列4気筒DOHC16Vユニットを採用。“DOHCロマン”のキャッチフレーズを冠した

 

クイント・インテグラは、最初に3ドアハッチバックが市販に移される。ハッチバックとはいっても、ラップラウンドウィンドウ+ノッチデッキハイテールで構成したリアの処理はクーペのように流麗で、初代クイントのファミリーカー的なスタイルとは一線を画していた。当時の開発スタッフによると、「スペシャルティカーが好きなアメリカ人の志向を重視した結果で生まれたデザイン」だったという。

 

メカニズムはインテグラの車名の通り、当時のホンダの技術を結集=インテグレーテッドしたものだった。エンジンは全車にZC型1590cc直列4気筒DOHC16Vユニットを搭載し、上級グレードにはPGM-FIを名乗る最新の電子制御式燃料噴射装置を装着する。パワー&トルクはPGM-FI仕様で135ps/15.5kg・m、キャブレター仕様で115ps/13.8kg・mを発生した。組み合わせるトランスミッションには5速MTとロックアップ機構付3速ATを設定。フロアパンは新設計で、そこに3代目“ワンダー”シビックで定評のある前トーションバー・ストラット/後トレーリングリンク・ビーム式の“スポルテック(SPORTEC)サスペンション”をチューニングし直して組み込んだ。

 

インテリアについては、2450mmのロングホイールベースを活かした前後に長いキャビンスペースや可倒式リアシートを備えた利便性の高いラゲッジスペース(VDA方式で最大431L)などが訴求点となる。また、ラップラウンドスラント形状のインパネと低位置に配したメーターバイザーによって、広く明るい前方視界を確保していた。

 

 

■国内外で人気モデルに昇華

前後に長いキャビンスペース、可倒式リアシートを備えたラゲッジスペースが相まって、日常での使い勝手は良好。計器類を低い位置に配しており、前方視界は広かった

 

“DOHCロマン”のキャッチフレーズを冠して市場に放たれたクイント・インテグラは、とくに走りの面で高い評価を得た。シビックよりも落ち着いた挙動で、プレリュードと比べると軽快に走る。しかも、ZC型エンジン+PGM-FIのパワーユニットが爽快な加速を味わわせてくれたのだ。

 

この好評に呼応するように、クイント・インテグラは車種バリエーションを鋭意増やしていく。1985年10月にはロックアップ付き4速ATを用意。その1カ月後には実用性の高い5ドアハッチバックがラインアップに加わる。1986年10月には“セダン深呼吸”のキャッチを謳った4ドアセダンがデビューし、同時に1.5Lエンジン仕様(EW型1488cc直列4気筒OHC12V)の廉価版も設定された。1987年10月にはマイナーチェンジを実施。内外装の一部デザイン変更やZCエンジンの出力アップなどを行う。「最初はアメリカで人気のある3ドアのクーペスタイルを、その後で日本や欧州市場に向けた実用ボディを設定した」と、当時のホンダ・スタッフはその戦略を振り返った。

 

結果的にクイント・インテグラは世界の市場で受け入れられ、人気の定番モデルに発展する。そして、開発陣にとっては「ホンダ車はスポーティなイメージを内包すべき」という事実を再認識させる一台となり、それに倣って1989年4月にはよりスポーティに仕立てたうえで単独ネームとなった“カッコ インテグラ”こと次世代の「インテグラ」を市場に放ったのである。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

ホンダの最新セダン、「アメイズ」って何者?

2月7日、ホンダのインド法人であるホンダカーズインディア・リミテッド(以下、HCIL)は、第14回デリーオートエキスポ 2018で新型車「AMAZE(アメイズ)」を初公開したと発表。このモデルは’18年中にインドでの発売を予定している。

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プラットフォームは新開発!

この新型車は2代目にあたるが、初代はアジア市場向けに開発されたコンパクトハッチバックの「BRIO(ブリオ)」をベースとして’12年に発売された「BRIO AMAZE(ブリオ アメイズ)」でタイやインド市場で成功を収めている。そこで、今回の2代目は、インド市場における1クラス上のプレミアムセダンの特長を備えたコンパクトセダンとして開発された。

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新開発のプラットフォームを採用し、全長4m以下とコンパクトな車体サイズでありながら空力にも配慮した洗練されたセダンスタイルに、ゆとりある広々とした室内空間と十分なトランクスペースを備えている。

 

また、優れた走行性能と快適な乗り心地を実現するとともに、最新の安全技術を採用している。

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2月7日に行われたプレスカンファレンスには、ホンダ代表取締役社長 八郷隆弘とHCIL社長 上野洋一郎が登壇し、新型「アメイズとインド市場について以下のスピーチを行なった。

 

・ホンダ代表取締役社長 八郷隆弘のスピーチ骨子

「インド市場は、ホンダの世界販売において重要なマーケットのひとつであり、ホンダは今後3年以内に、新たに6機種をインド市場へ投入する予定です。本日発表する新型アメイズと、グローバルモデルである新型『CR-V』、そして新型『CIVIC(シビック)』はその内の3機種であり、インド市場へのさらなるコミットメントの証です」

 

・HCIL 社長 上野洋一郎のスピーチ骨子

「HCILの2017年度の販売は、前期比17%増と素晴らしい成長を遂げています。今後の新商品投入により、2018年度はさらなる成長を目指します。新型アメイズは、インドの量販車セグメントにおけるホンダブランドの価値を高めることに寄与します。また、インド市場においては、歴代モデルの中で初となる、ディーゼルエンジンをラインアップに加えた新型CR-V、そして新型シビックにより、プレミアムブランドとしての確固たるプレゼンスをさらに強化していきます」

順調に販路を拡げるホンダ・ジェット

1月26日、ホンダの航空機事業子会社のホンダ エアクラフト カンパニー(HACI)は、「ホンダ・ジェット」の中国におけるディーラーであるホンダ・ジェット チャイナが広州白雲国際空港内において稼働を開始したことを受け、ディーラー開所式を開催したと発表した。

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ホンダ・ジェット チャイナはホンサン・ジェネラル・アビエーションにより運営され、香港およびマカオを含む中国本土で小型ビジネスジェット機ホンダ・ジェットの販売・サービスを実施する。

 

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式典には広州市の政府関係者をはじめ、ホンサン・ジェネラル・アビエーション会長の周 玉玺氏、そしてホンダ技研工業の代表取締役社長 八郷隆弘氏、ホンダ・ジェットの開発責任者でHACI社長 藤野道格氏らが出席した。

 

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ホンダ・ジェットは、主翼上面のエンジン配置や自然層流翼型、一体成型複合材胴体など、ホンダの独自開発技術の採用により、小型ジェット機としてクラス最高水準の最高速度、最大運用高度、上昇性能、燃費性能および室内サイズを実現した小型ビジネスジェット機。現在、ホンダ・ジェットはカナダとメキシコを含む北米、欧州、中南米、東南アジアおよび中国で販売されている。

 

 

 

FF最速を目指した4代目シビック タイプRの魅力を1/18サイズに凝縮!

本格的RC(ラジオコントロール)モデルや高品質なミニカーといったホビー製品の製造・販売を手掛けるトップメーカー・京商は、新旧の“日本の名車”をモチーフとしたレジン製ミニカーブランド「samurai」シリーズの新商品として、1/18スケールのホンダ・シビック タイプRを発売した。

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「samurai」は、同社が展開するミニカーブランドの中でも、プレミアムな位置づけがなされるハイグレードなシリーズ。実直かつ愚直なまでのこだわりから生まれた“日本の名車”をテーマに、美しいボディラインの再現や高品質な塗装などを追求し、その商品を見た人すべてが「実車と錯覚した……」と感じてしまう、まるで工芸品のような仕上がりが魅力だ。

 

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今回モデル化されたのは、2015年3月、量産FF車での当時のニュルブルクリンク北コース最速タイム、7分50秒63を記録したことで話題となり、日本国内でもそのタイムにちなみ750台が限定販売されたFK2型。タイプRならではのグラマラスでワイドなスタイルが魅力のエクステリアはもちろん、レッドとブラックのカラーが特徴的なコクピット周りまで、細部にわたって精密に再現されている。

 

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カラーはチャンピオンシップホワイトとクリスタルブラックパールの2色をラインナップ。前者が500台、後者が300台の限定生産となる。購入は京商のホームページまたは全国のミニカー販売店で。

 

京商
● Samurai 1/18スケール Civic Type R 1万5000円(税別)

★お問い合わせ

京商株式会社
〒243-0034 神奈川県厚木市船子153
お客様相談室 046-229-4115
月曜〜金曜(祝祭日を除く)13時〜19時
http://dc.kyosho.com/ja/

 

 

 

みたび激変?ホンダ・インサイトのプロトタイプが間もなく登場

ホンダの米国現地法人であるアメリカン・ホンダモーターは12月19日、2018年1月20日から一般公開が始まる北米国際オートショー(通称:デトロイトショー)にて、フルモデルチェンジを受けるハイブリッドセダンの「ホンダ・インサイト」のプロトタイプをワールドプレミアすると発表し、その写真を公開した。

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ホンダ・インサイトは、1999年に米国市場初のハイブリッドモデルとして発売された初代、2009年に登場した2代目に続く3代目に生まれ変わる。ホンダのセダンラインアップにおいては、シビックの上位車種に位置付けられ、スタイリッシュなデザインと革新的な2モーターハイブリッドシステム「スポーツ ハイブリッドi-MMD」を採用する。

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新型インサイトは米国のインディアナ工場で生産され、米国市場では2018年夏から発売が予定されている。

人気のホンダ「フリード」にコンプリートモデルが登場!

本田技研工業は、人気のコンパクトミニバン「FREED(フリード)」をベースに、その走行性能とデザインにさらに磨きをかけたコンプリートモデル「FREED Modulo X(フリード・モデューロ・エックス)」を12月15日(金)に発売する。このフリード Modulo Xは、専用開発のサスペンションや空力特性を活かしたパーツなど、Moduloブランドが培ってきた「上質でしなやかな走り」を実現するチューニングを施し、ミニバンとしての使い勝手の良さや室内の快適性を損なうことなく、ドライバーには「意のままに操る」走りを追求した運転の楽しさを、同乗者には上質で快適な乗り心地をそれぞれ提供。存在感のある専用エクステリアや質感を追求した専用インテリアに加え、「9インチプレミアムインターナビ」が選択可能となる。

 

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このModulo Xとは、ホンダ車を知り尽くした熟練のエンジニアが、ベース車両の走行性能、居住性、デザインに「匠の技」を注いで完成させるコンプリートカーブランド。フリード Modulo Xの開発では、「エモーショナル ツアラー」をコンセプトに、所有する喜びを体現した存在感のあるデザインとともに、アルミホイールやサスペンション、空力パーツなど数々の専用装備により、意のままに操れる操縦性と、上質かつしなやかな乗り味を追求している。

 

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圧倒的な存在感を放ち、所有する満足を高めたスポーティーな専用エクステリアは、空力デザインに基づき、専用エアロバンパーやフロントグリルによる押し出し感の強いフロントデザインを採用。インテリアはドライバーが見て触れて感じる上質さを追求。ピアノブラック調のインテリアパネルやシート表皮にモカブラウンを採用することで、ブラックとブラウンを基調とした上質な室内空間を提案している。

 

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見やすい大画面の9インチプレミアムインターナビに加え、ドライブレコーダー(ナビ連動タイプ)、USBジャックといった人気装備を標準装着した仕様と、ナビゲーションを自由に選択可能な仕様を用意。全国メーカー希望小売価格は、1.5リッター直噴エンジン+CVTモデルが2,830,680円(6名乗車)と2,852,280円(7名乗車)。ハイブリッド+7速DCTモデルは、3,130,920円(6名乗車)と3,152,520円(7名乗車)となる。

 

 

 

ホンダ「S2000」の後継モデルが2019年市販化に向けて加速中!

欧州からホンダ「S2000」の後継モデルに関する最新情報が入った。予想CGによると。最新の「NSX」や「ビジョングランツーリスモ」の流れを汲んだボディシルエットが特徴的だ。

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フロントにはグリルから左右吸気口までつながる、ホンダ得意のウイングバーを大胆にデザイン、その中にコの字型LEDを配置。またエアロダイナミクスを向上させる大型フロントスプリッターが装着されている。

 

注目のパワートレインは、8速DCTと組み合わされる2リッター直列4気筒ターボエンジン+VTECで、最高出力は400ps程度が目安とされる。ボディはカーボンファイバーを多用した軽量ボディは100kg以下が想定されている。

 

2017年7月にモックアップ画像が流失した同時期にホンダは「ZSX」の名称を商標登録しており、それは数年前から「ベイビーNSX」とも噂されているモデルとリンクしている。そしてそれを追うようにホンダは11月9日、「グランツーリスモ」と開発したミッドシップスポーツ、「スポーツ ビジョングランツーリスモ」を発表している。

ホンダ・スポーツ・ビジョン・グランツーリスモホンダ・スポーツ・ビジョン・グランツーリスモ

 

つまり「S2000」の後継車は「スポーツ ビジョングランツーリスモ」市販版として、「ZSX」という車名で登場する可能性が高く、2019年市販化へ向け、開発が加速してきているのは間違いなさそうだ。

 

 

 

累計生産台数1億台! ホンダ「スーパーカブ」が売れ続けているのには理由があった

毎日当たり前のように目にしているために、凄さに気づかないモノがある。モビリティの世界では本田技研工業(ホンダ)の原付バイク「スーパーカブ」が代表格だろう。

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デビューはなんと60年近く前の1958年。それ以来、基本設計を変えずに作り続けられ、今年10月には累計生産台数1億台という金字塔を達成した。4輪車の単一車種最多生産台数が、カブト虫の愛称で知られるフォルクスワーゲン「ビートル」の2152万台だから5倍近い。いかに偉大な記録かということが分かる。

 

そんなスーパーカブが記録達成と同時にモデルチェンジを実施。平成28年排出ガス規制への適合でエンジンが日本専用になったことに合わせデザインをリファインし、生産拠点も中国から日本に戻った。これを機に試乗会が行われたので参加してきた。

 

学生時代にアルバイトで乗って以来かもしれないスーパーカブ。あのときは仕事の道具という認識しかなかったけれど、今回は取材対象。いろいろ観察していくうちに、1億台の理由がおぼろげながら伝わってきた。

 

まずは壊れにくい設計。エレクトロニクスを駆使した複雑な機構は用いず、可能な限り簡単な構造を用いている。たとえばトランスミッションはクラッチ操作なしでイージーライドを実現しているが、そこに使われているのは遠心クラッチと言って、スロットルを開けると遠心力の原理でクラッチがつながり、閉じるとクラッチが切れて変速できるという仕組みなのだ。

ボディのあちこちに60年間の知恵、ノウハウが詰まっているボディのあちこちに60年間の知恵、ノウハウが詰まっている

 

燃料タンクはシートの下にあるので、給油時はシートを跳ね上げて行う。シートはどうやって固定しているのかチェックしたら、裏に付いているゴムの吸盤を、タンク側の出っ張りに引っかけていた。昔からこの方法だという。車体のあちこちに創意工夫が散りばめてある。

 

スーパーカブは最新型でもセルモーターだけでなくキックスターターを装備している。たとえ出先でバッテリーが弱っても、エンジンを掛けて帰ってくることができる。これもまた壊れにくさ重視の証だ。

 

もうひとつ感心したのは乗りやすさだ。エンジンを低い位置に水平に置き、上にタンク、シートというレイアウトなので重心が低く、ガソリンの量が変わっても走りに影響しにくい。加えてシートと前輪を結ぶフレームはスクーター並みに低いので乗り降りがしやすい。

 

しかしそれは、つまらない乗り物であることを意味しているわけではない。50ccと110cc、2種類の排気量を試して確信した。エンジンは50は静かかつ滑らかだが、110はモーターサイクルらしい鼓動を伝えてくる。前述した遠心クラッチとシフトペダルを使った変速は、スムーズに走らせるにはマニュアル・トランスミッション(MT)並みのコツが必要となる。つまり乗りこなす面白さを備えている。大径タイヤで支えられた車体をリーンして曲がる走りもまたモーターサイクルそのものだ。

 

単に壊れにくくて使いやすいだけだったら、1億台は達成できなかったのではないか。実用車でありながら操る楽しさをしっかり備えているから多くの人に愛されているのではないかと思った。

 

そしてデザイン。レッグシールドからリアフェンダーにかけてのS字カーブに丸型ヘッドランプを組み合わせたカタチは、ひと目見てスーパーカブと分かる個性をものにしている。しかもこのカタチ、今回のモデルチェンジで復活したものだ。海外向けには角形ヘッドランプにスマートなスタイリングの従来型が国外で作られる。日本のモビリティとしては珍しい、伝統を受け継いでいこうという動きも見せているのだ。

 

来年でデビュー60年なのに現役の実用品として立派に通用し、趣味的な面で見ても満足できるデザインと走りを備えている。このバイクの生みの親でもある本田宗一郎氏は、やはり偉大な人物なんだと改めて思った。

 

【著者プロフィール】

モビリティジャーナリスト 森口将之

モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材し、雑誌・インターネット・講演などで発表するとともに、モビリティ問題解決のリサーチやコンサルティングも担当。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本デザイン機構理事、日本自動車ジャーナリスト協会・日仏メディア交流協会・日本福祉のまちづくり学会会員。著書に『パリ流環境社会への挑戦(鹿島出版会)』『富山から拡がる交通革命(交通新聞社)』『これでいいのか東京の交通(モビリシティ)』など。

THINK MOBILITY:http://mobility.blog.jp/

【中年名車図鑑】フランス某ベストセラーカーも真似た!? マンガにもなった絵心を誘う軽自動車

ホンダは1974年のライフを最後に、軽乗用車の生産を取りやめていた。しかし、1980年代前半には軽ボンバン(ボンネットバン)を中心に市場での軽自動車の人気が復活。ホンダも再度このカテゴリーへの参入を画策し、1985年に新世代の軽自動車を発売した――。今回は革新的なパッケージングとスタイリングで脚光を浴びた初代トゥデイ(1985~1998年)で一席。

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【Vol.43 初代ホンダ・トゥデイ】

1985年8月、本田技研工業の新しい本社社屋“ホンダ青山ビル”が東京都港区南青山に竣工した。新時代を迎えた同社は、さっそく翌9月に新型車を発表する。約11年ぶりのHONDAブランドの軽乗用車となる「トゥデイ」(JW1)のデビューだ。

 

■軽自動車の人気が高まった背景

ホンダのエントリーカーは1970年代後半がシビック、1980年代前半はシティがその役割を担っていた。一方、80年代初頭から中盤にかけて、日本の自動車市場では軽ボンバンを中心とする軽自動車の販売台数が飛躍的に伸びていく。1980年には100万台を突破して約106万台を記録し、1984年には約149万台にまで達していた。第2次オイルショックに端を発する軽自動車の見直し風潮、そしてセカンドカー需要の伸長などが、販売台数増加の主要因である。この傾向をコンパクトカー造りに長けたホンダが見逃すはずがない。シティのデビューが一段落したころから、軽乗用車の本格的な開発に着手しはじめた。

 

■異例のロングホイールベースで広い室内空間を実現

当時は、第二次オイルショックのなか軽自動車が見直されはじめた時期。トゥデイはその軽自動車需要を見越して開発された当時は、第二次オイルショックのなか軽自動車が見直されはじめた時期。トゥデイはその軽自動車需要を見越して開発された

 

デビューしたトゥデイを見て、業界関係者は驚いた。AA型シティのトールボーイスタイルとは正反対、さらに既存の軽乗用車よりもずっと低い全高(1315mm)を採用してきたのである。しかも、ホイールベースが2330mmと軽自動車としては非常に長かった。これらのプロポーションが実現できた要因は、新開発のシャシーやメカニズムにあった。フロアパン前部はサイドシル一体成形の“バスタブ型”を採用。さらにEH型545cc直列2気筒OHCエンジン(31ps/4.4kg・m)と組み合わせるギアボックスをクランク軸と一直線上に置き、そのうえでデフを真下に配置した。集積型のシャシーとコンパクトな動力源――これらを具現化したからこそ、フロントタイヤを目一杯前方に配置することができ、最大限の室内前後スペースを構築できたのである。

 

室内に入ると、その独特の雰囲気に引きつけられる。低いノーズのラインとほぼ一直線上につながる大きく傾斜したAピラー、そのAピラーに沿う広大な面積のフロントガラス、レーシングカーのような大きな1本アームのワイパーなど、すべてがオリジナリティにあふれていた。ステアリングやインパネ、シートのデザイン、インテリアカラーも非常に凝っており、全体的にカジュアルでお洒落なムードが漂っていた。

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インテリアは傾斜したAピラー、大きなフロントガラスによって個性的な雰囲気を演出。シートデザイン、カラーリングも凝っていたインテリアは傾斜したAピラー、大きなフロントガラスによって個性的な雰囲気を演出。シートデザイン、カラーリングも凝っていた

 

セカンドカー・ユーザーが多いことも想定して、トゥデイは維持費の安い4ナンバーの軽ボンバン(フロントにボンネットを配した商用登録のハッチバックスタイル軽自動車)として設定される。5ナンバー仕様が登場したのは、1988年2月発表のマイナーチェンジ時だった(発売は同年3月)。このときはE05A型547cc直列3気筒OHC12Vエンジン(PGM-FI 仕様のMTが42ps/4.6kg・m、同ATが42ps/4.7kg・m)の採用、5速MTと3速ATの設定(従来バンは4速MTと2速AT)、角目ヘッドランプの装着、電動サンルーフの装備などもニュースとなった。

 

ホンダ独自のコンセプトを満載した初代トゥデイだったが、一部のファンからは熱烈な支持を集めたものの、販売成績は大成功とまでは至らなかった。室内高の低さや可愛すぎるルックス、スポーツ仕様の未設定などが、当時のユーザーの購入欲をあまりそそらなかった要因だ。最終的に乗用モデルは新規格への移行(1990年2月。搭載エンジンはE07A型656 cc直列3気筒OHC12V)を経て、1993年1月に第2世代へとモデルチェンジ。商用モデルはトゥデイPROとして継続販売され、また1994年9月には快適装備を組み込んだトゥデイ・ハミングを設定して、1998年10月に軽自動車の規格改定が行われる直前まで販売を続けたのである。

 

一方、この初代トゥデイの概念構成に非常に近いコンパクトカーが1992年にフランスでデビューする。車名は「ルノー・トゥインゴ」。ルノーの開発陣がトゥデイを参考にしたかどうかは明言されていないが、車両コンセプトやデザインアプローチが近いことは確かだった。トゥインゴはその後10年以上、ルノー車のボトムラインを支える重要なモデルとして位置づけられる。もし初代トゥデイの輸出仕様があったなら……本田技研工業の世界戦略車として予想以上の大ヒットを記録していたかもしれない。

 

■イメージキャラクターには当時の人気女性タレントを起用

ところで、初代トゥデイはクルマ自体のインパクトも強かったが、イメージキャラクターでも大注目を浴びた。起用されたのは当時売り出し中だった今井美樹さん。同時期に出演した味噌汁のCMを覚えている人も多いだろう。トゥデイではCMやポスターのほかに、カタログでもキュートなルックスを披露した。ちなみに、2代目トゥデイでは当時“3M”と呼ばれたアイドルの一角、牧瀬里穂さんがイメージキャラクターに起用される。一方、3Mのうちの宮沢りえさんはダイハツ・オプティ、観月ありささんは三菱パジェロ・ミニのイメージキャラクターを務めた。

 

トピックをもうひとつ。初代トゥデイはコミックの世界でも引っ張りだこで、藤島康介さん作の『逮捕しちゃうぞ』やヘッドギア企画(コミック版の作者はゆうきまさみさん)の『機動警察パトレイバー』でのミニパト仕様を筆頭に、多くの漫画に起用される。それだけ初代トゥデイのスタイリングが魅力的で、絵心を誘ったのだ。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。