ビジネスシーンでも使いやすい! Apple Watch対応強撥水仕上げの牛革ベルト

多くのユーザーに愛されているApple Watchに対応した、交換用牛革ベルトをホン・モノ・ケイカクが開発! 牛革でありながら強力な撥水加工を施し、ビジネスパーソンの夏にも最適な逸品だ。

 

雨や汗の気になる季節も安心して使える撥水仕上げに

ホン・モノ・ケイカクは昨年、本クロコ素材のApple Watch対応ベルトを開発・発売。たちまち人気商品となった。本作は、その魅力をカジュアルな価格で楽しめる廉価版として開発。メイン素材に使用しているのは、強力な撥水加工を施した牛革である。ここにクロコ型押しの表面加工を施した。Apple Watchの普及とともに、スーツスタイルでも使いたいというニーズに応えた上品なデザインだ。

 

手がけるのは、世界屈指の時計ベルトメーカーの老舗・バンビ社。梅雨や夏の時期に革ベルトの悩みとなる水滴や汗ジミも、強力な撥水素材が解消し、高いパフォーマンスを発揮する一本に仕上がった。

 

Apple Watchは、ベルトの付け替えが簡単。オン・オフでラバーベルトの付け替えを手軽に楽しめるのがうれしい!

 

 

【Material】

強力撥水レザー

撥水・防汚効果の高い保護剤を、革のなめし時と染色時に浸透加工。水や油汚れに強く、使い始めの美しい状態を保てるのが特徴だ。同じ革を表のクロコ調型押し面と、裏の素押し面の2枚合わせで使用する。

 

 

【Detail】

↑Apple Watchのフォルムに合わせて開発。根元側の金属ピース側の幅をふくらませつつ、装着感を重視して剣先はやや細めに仕上げた

 

↑へり返しの仕立ては、最高級革ベルトに多く採用される高等技術を採用。芯材を表革で包み込み、エッジの部分を美しい仕上げに。革の使用量が多くなる贅沢な作りだ。使用初期の早い段階から腕になじみやすいよう、根元側の肉盛りは抑え気味に

 

↑裏材にも表革同様に、撥水性の高い強力撥水の牛革(型押しなしの素押し)を採用。撥水、防汚効果に優れ、汗の染み込みや汚れを防ぐ

 

 

 

バンビ
Apple Watch対応
強力撥水牛革ベルト
価格:7560円(税込・送料無料)
カラー:ブラック、ネイビー、ワイン、チェスナット
サイズ:
●42mmモデル
長さ:12時側80mm、6時側120mm × 幅:24mm
●38mmモデル
長さ:12時側80mm、6時側120mm × 幅:22mm

 

 

 

【追加生産なし!】田中将大の2018年モデルの実戦使用グラブ! 50本限定で販売開始!!

ホン・モノ・ケイカクは、ヤンキースの田中将大投手が2018年シーズンに使っているグラブとまったく同じ作り&仕様のプレミアムレプリカを、50本限定で販売します。

 

本人モデルではなく「ゲームで実戦使用するため」の2018年用モデルを販売

通常販売される本人モデルとは異なり、本製品は田中投手本人が「ゲームで実戦使用するため」の2018年用モデル。ミズノのグラブ職人に作り込む部分などを本人が直接伝え、細かくチューニングが施されています。

 

手がけるのは、ミズノが世界に誇るグラブマイスター・岸本耕作さんです。氏によると、田中投手のグラブは、構造が外野手用に似ているとのこと。“9人目の野手”としてフィールディングや捕球を重視しつつ、投球時に「もっと自然に左手に力が入るように」との理想を求めてたどり着いた形だそう。

小指の“指袋”に小指と薬指を収める田中流に合わせ、2本の指が収まる特殊な構造。投球時に左手へ自然に力が入るよう工夫しており、人差し指のポケットはオフセット配置しています。

 

ブランドロゴが入るグラブ背面には2016モデルから、メッシュ素材を採用。通気性の確保はもちろんのこと、軽量化や重量バランスの適正化にも貢献しています。

 

ウェブの構造を一新した本モデル。革のパーツ裁断の方法を工夫し、部位ごとに革の硬さを可変した構造です。これによりグラブを握りこんだ際、ポケットの丸みが崩れないようになっています。

 

直接左手で握りこむ裏革には、「氣持ち」の3文字を縫い込み。ピンチで自分や相手に勝つには気持ちを強く持つことが大事、という座右の銘で、楽天時代から縫い込んでいます。

 

グラブ背面の親指部分には、疾走するペガサスの姿と、自らの名を組み合わせたロゴマークを刻印。その脇には、ヤンキーズでの背番号“19”を刺繍しています。

 

高校時代からミズノのグラブを愛用。グラブへのこだわりは人並外れたものがあり、力強く安定したピッチングのために、自らの感性に合うグラブを日々追い求めています。

 

田中投手がプロ入りして以来、制作監修を担うのは、ミズノが誇るグラブマイスターの岸本耕作さん。常に高みを求める選手の要望を盛り込み、蓄積した経験とノウハウを元に、理想のグラブを生み出します。

 

縫製やひも通しなどの工程を経て出来上がったグラブに様々な道具で仕上げを施します。軟らかさや張り具合、形状など、田中投手の要望に合わせ細かく調整。熟練の岸本氏でも生産本数は1日1〜2本ほどといいます。

 

プロモデルには、生後6か月〜1年の牛の革“キップ”と、2歳以上になる牛革“ステア”を使用。田中投手は高校時代から、柔らかくしっとりした感触のキップを好んでおり、特にキメ細かくツヤがあり、張りのある革を厳選しています。

 

【商品概要】

 

ミズノプロ

Masahiro Tanaka “MODEL 2018″プレミアムレプリカグラブ

directed by Kosaku Kishimoto

価格:19万4400円(税込・送料無料)、特製ケース付き

ホン・モノ・ケイカクでは一昨年、イチロー選手が偉大な記録を刻んだ年に、グリスアップまで施した本人仕様のプレミアムレプリカグラブを販売。発売からあっという間に完売となった人気企画で、その第2弾となります。6月23日から販売開始で、予定数の50本がなくなり次第終了となり、以降の追加生産はありません。

 

通常ではまず市場に出回らない、入手が困難な「本人がゲームで使用するためのモデル」ですので、ぜひこの機会をお見逃しなく!

 

美しき「ムラ」と「艶」が ビジネスシーンにも映える! 超薄マチが使いやすい! UKコードバン長財布

ホン・モノ・ケイカクの財布のなかで特に人気を集めていたものの、希少な材料が入手できず欠品していた「UKシェルコードバン薄長財布」が、満を持して復活! 英国の老舗タンナーが作る、極上な艶を持つシェルコードバンと、機能的な薄長財布の魅力をお伝えしよう。

 

 

ポケットを膨らませない! レア・コードバンの薄財布

馬のお尻の部分から採れる高級革・コードバン。中心にある丈夫で滑らかな繊維質「コードバン層」を、革の裏側から削り出して作られる高級皮革だ。頑丈なことから、高級紳士靴やバッグ、ランドセルに用いられることが多い。

 

近年、その需要はどんどん高まっているのだが、原皮からコードバンを作れるタンナーは現在世界にほんの数社しか存在しない。そんな状況のなか、少数生産ながら1世紀ものあいだ変わらぬ技法で静かにコードバンを作り続けているのが、英国の老舗タンナー、クレイトン社だ。原皮は、豊かなコードバン層を持つアイルランドとスコットランドの農耕馬から採れたもの。時間をかけてピット槽で丁寧になめされ、出荷される。そのすべての革が「Aランク」指定という高い品質を誇る。

 

この薄財布「グロス」には、日本ではまだ希少なこのクレイトンのコードバンを表革全面に使用。外革の縫製箇所を激減させる発想の転換によって、驚きの薄さを実現している。同時に、コードバンの持つ美しさと手触りを、最大限に味わえるものに仕上げた。無論、実用上、必要十分なカードや硬貨を収納する能力も備える。ジャケットの内ポケットやパンツのポケットを膨らませることなく、上品さを演出するアイテムだ。

 

【Materia】
シェルコードバン

175年の技術力が高貴な艶と美しい「微ムラ」を生む

手がけるのは、英国・ダービーシャー州に社を構えるクレイトン社。創業175年という長い歴史を誇る老舗だ。いまでこそブライドルレザーで有名なメーカーだが、コードバンも1世紀以上生産する。近年の需要の高まりを受け、その生産を強化。長い歴史で培われた確かな技術力で、コードバンを仕上げる。本作の内革には、植物タンニンなめしレザー「栃木レザー」を使用。

 

 

【Manufacture】

手間がかかる入念な本磨きがギラリと存在感を放つ!

小野勝久氏が代表を務めるクランプは、池之端銀革店を母体とするブランド。ヘビーウエイトレザーを用いたベルトを中心に、素材の風合いを生かした製品を作り続けている。特にエッジ部分のコバをハンドワークで磨いていく「本磨き」は、クランプの代名詞。本作でもその妙技を体感できる。

 

珍しい英国製のシェルコードバンを、表革にふんだんに使った薄マチL字ファスナー長財布。綴じ代を1辺に集約することで、高い機能性を確保しつつ驚きの薄さを実現した。カードも8枚以上収納可能。コードバンの艶と滑らかな手触りを生かし、服やカバンのポケットにするりと滑り込む使いやすさが魅力だ。

↑光り輝く結合部のコバは、長い時間と手間をかけ、職人の手と木製器具でひとつひとつ磨く。樹脂を盛って手軽に処理したのと異なり、経年変化により深い味わいが出てくるのだ

 

 

【Detail】

↑使用感を損なわない、極限まで切り詰めたサイズ。全パーツが研磨されたYKKの最上級ファスナー「エクセラ」の採用で、金具が引っかかることなく、するりとポケットに収まる!

 

↑薄いジップ財布の元祖とも言うべき構造を考案し、財布にイノベーションをもたらしたクランプの薄長財布。ポケットはもちろん、小さなバッグの中でも邪魔になりにくい

 

↑まとめの縫い代を1辺に集めることで、コードバンの丈夫さと美しさを生かしつつ、厚みを抑えることに成功している。L字ファスナーは開閉しやすく、中身の視認性も高い

 

↑中央のコイン収納部は容積も十分。しかしこれは、硬貨をよりたくさん入れるためというよりも、広い面積に分散させ、厚く膨らむことを防ぐ意味が込められた構造だ

 

↑コイン収納の両脇は横向きに、それ以外の部分には縦向きで、合計8枚のカード収納部を装備。取り出しやすさも良好だ。縦向きカード収納の底辺を縫わないのは、厚みを抑える工夫

 

↑1か所で革をまとめた独特の構造のため、そのコバは特に強く主張する。まとめられた部分は、なんと8枚もの革が縫い合わされ、職人の手でピカピカに磨き上げられている

 

 

クランプ
UKシェルコードバン
薄長財布「グロス」
価格:4万3740円(税込・送料込)
サイズ/質量:W178×H95×D20mm/142g
カラー:ブラック、チョコ、ネイビー、クラレット

「極薄財布」の傑作! ベルギー産レザーが生み出す“トラ”柄にほれぼれ

究極の薄さを追求し、2013年のグッドデザイン賞を受賞した二つ折り革財布「薄い財布」。 カードは5枚まで、小銭は計999円までといった具合に、極限まで“無駄を排除する”哲学が共感を生み、 現在もロングセラーを続けています。今回、そんな名作にベルギー産の極上艶革を使用した別注モデルが登場しました。

 

特有の〝トラ〟柄を生かす! 熟練技能者の裁断技

キャッシュカードやクレジットカードにポイントカード……。年々増えるカード類は、財布を肥大化させる大きな要因です。この問題を根本的に解決したのが、アブラサスの名作「薄い財布」。二つ折り財布ながら実使用時の厚さはわずか約13mmで、カードポケットに収まるカードは5枚まで、小銭収納部に入る硬貨は計999円までと、大胆に割り切ることで薄さを極めています。

 

今回はこの財布が、ベルギー産の極上艶革「ルガート」でリメイクされています。カタチにするうえで最も神経をすり減らした作業が、革の裁断。ルガートは“トラ”柄が特徴的な革。ムラが多く安定しないため通常は避ける部分ですが、その美しさを財布に宿すべく企画されました。

 

しかし、やみくもに裁つと、独特の美しさが台なしになります。そこで、財布の顔になる部分には“トラ”が斜めに入るよう裁断。縦や横に走る柄では財布がゆがんで見える恐れがありますが、斜め柄をルールとし、安定したデザインへと仕上げています。

 

また、元の革はおよそA4サイズ大の 1枚革で作られており、財布のパーツとしてはかなり大きめです。そのため、革を無駄なく、かつ美しい柄に裁断できる熟練技能者の技なしには、決して実現しません。極限の薄さからくるクセになる機能美と、革特有の艶やかさを、ぜひ堪能してください。

 

グッドデザイン賞受賞作の大人気小財布をベルギー産の極上艶革でリメイク!

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単に薄いだけでなく、持ち歩くカードの枚数と硬貨の収納数を限定することで、整理された生活スタイルをも提案する「薄い財布」。コンパクトな本体には機能的なディテールが満載だ。本作は、素材にベルギー産の牛ショルダー革「ルガート」を使用した別注品で、躍動感ある“トラ”柄と丁寧に染め上げた革色を味わえます。商品ごとに模様の濃淡が異なる個性も魅力。

 

〈ネイビー〉

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〈ワイン〉

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〈オレンジ〉

 

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天然のシワが得も言われぬ 文様を描く傑作牛革

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本品に採用されている「ルガート」は、1873年設立のベルギー唯一のタンナー、タンナリー・マズール社(Tannerie Masure)が提供する牛ショルダー革。最大の特徴は、牛が頻繁に動かす首から背中、足にかけて走る独特の模様“トラ”で、その濃淡が革の表情を絶妙に変えます。また、“トラ”の模様は完全に一致することがないため、本品もひとつひとつ異なる表情が出ます。さらに、きめ細やかで艶やかな仕上がり、そして、丈夫さと耐久性に優れる点もルガートの魅力。生産過程でたっぷりと加脂してあるため、使い込むほどに経年変化によって生じる深い艶を楽しめます。まさに、革好きにはたまらない傑作牛革と言えます。

 

機能性

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一般的な二つ折り財布は、重なる革の枚数が10〜20枚にもなりますが、本作では最大5枚へとスリム化。また、カード収納部とコイン収納部とが重ならないように工夫し、厚さ約13mmを実現しました。

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紙幣を押さえる三角の切り込み部分に隠しポケットを用意。カギやお守り、いざというときのための紙幣などを入れておけるので、外出時はポケットの中が整理された状態で出かけられます。

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ポケットの裏面には、カードや紙幣を出し入れしやすいよう、滑りを考慮した加工を施しています。本品は単に薄いだけでなく、こうした日常の実用性にもこだわった財布なのです!

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硬貨収納部には、500円玉1枚、100円玉4枚、50円玉1枚、10円玉4枚、5円玉1枚、1円玉4枚の計15枚、つまり999円がぴったり収まります。ポケットは浅めで小銭が取り出しやすいです。

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驚異的な薄さを実現しながら、5枚のカードと、紙幣や硬貨をしっかり収納できます。革が重なる枚数を減らして最小限のパーツで構成したほか、縫い目を極力減らすなど工夫が満載です。

 

四国の革職人が魅せる! 難易度の高い裁断が生み出す個性

ユニークな発想で財布に変革をもたらすデザイナー・南 和繁氏の斬新なアイデアを製品へと昇華させるのは、長年、革小物に携わってきた四国の熟練技能者。革の裁断から縫製に至るまで、随所に技が光ります。5枚のカードと999円分のコインを収めた際の絶妙なシルエットなど、徹底的に計算し尽くされたデザインは一流の技あってこそ実現します。

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極限の薄さを実現するために、革の裁断から縫製まで、各工程で精緻な作業が求められます。デザイナーの南氏によると「縫い目が0.3mmズレただけでも、この製品は成立しない」のです。

 

アブラサス

薄い財布 ベルギーレザーver. 「ルガード」

17800円

サイズ:W95xH98xD7mm

質量:42g

カラー:ネイビー、ワイン、オレンジ

カード収納可能枚数:5枚

 

 

スタイリストが自腹買いして「正解」と思った逸品を公開! 石川英治のギフト向けアイテム5選

ホン・モノ・ケイカクの商品スタイリングを手がけるスタイリストの石川英治さん。時計・宝飾からアパレル、デジタルガジェットまで、世界中のさまざまなアイテムに触れてきた石川さんが、実際に自腹で購入し「買って良かった!」と絶賛する、ギフト向けの逸品をご紹介します。

 

【その1】どこからどう見ても紙コップ! ユーモアのセンスに感服!!

アメリカ本国ではすでにあったティファニーの雑貨シリーズ「ホーム&アクセサリー」ラインが、日本でも本格的に展開スタート。目移りするコレクションだけど、中でもこの「エブリデイ オブジェクト ペーパー カップ」がおすすめです!

 

これ、見た目は紙コップに見えますが、素材はペーパーではなく、日本製のボーンチャイナ(陶器)なんです。陶器なんですが、飲み口がクルンと丸くなってるところとか、うしろの継ぎ目で紙っぽく塗装が少しズレているところとか、熱いの注意!のコーション書きとか、どう見ても紙カップにしか見えなくて、芸が細かい!

 

こういうディテールの作り込みを本気でやる、ユーモアのセンスが素晴らしいですよね。

 

【その2】ちょっとしたギフトにふさわしい美しい極上オーナメント

クリスマスのオーナメントにもトレンドがあります。2017年は純金使いと、ガラスの中に羽根を入れたものが流行しました。たとえば吹きガラスとハンドペイントにこだわって作られた、ドイツ製のオーナメント。24金のゴールドを使ったあしらいで、贅沢なオーナメントです。吹きガラスなので、引っかける部分が金具じゃなくガラスでできています。さすがドイツのグッズ、おもちゃのオーナメントとはレベルが違いますよね。

 

オーナメントって、実はたくさんなくてもいいんですよね。ツリーの中にひとつあるだけで美しい。リボンをかけてひとつだけプレゼントしても喜ばれると思います。しかもどれも5000円以内。ちょっとしたギフトとしてプレゼントしやすいし、いただく方もうれしいですよね。

 

◆Oberfrankische Glas&Design(オーバーフレンキッシュ グラス&デザイン)
24-carat real gold collection.

価格:各4320円(税込)/リビングモチーフ

 

ガラスの中に羽根を入れたオーナメントもトレンドです。会社や自宅のデスクに彩りとしても置くのもいいですよね。 ちょっとしたプレゼントにぴったりです。

◆Thuringer Glas(チューリンガーグラス)ドロップオーナメント
価格:各1944円(税込)/リビングモチーフ

 

【その3】存在感抜群! カラークリスタルの「まねき猫」

猫好き&クリスタル好きな私にとって、カラークリスタルは最も重要なコレクターズアイテムです。世の中にいい素材の猫グッズが少ないのが悩みどころでした。そんな中で見つけたのがこのバカラの「まねき猫」! 小さく控えめなサイズの置物ながら、どんな部屋でもキャッチーなアイテムになる存在感を放っています。

 

今回購入したのは、このシリーズで新たに登場したというレッド。首にはバカラのロゴ「B」マークが入った鈴をさげています。

 

 

【その4】40代以上の男性の懐かしい思い出につながる洒落の利いたアイテム

ヨーヨーは、小学校時代を思い出しますね。その頃流行っていたのが、コカコーラとスプライトのヨーヨー。家にたまたまふたつあって、コカコーラが欲しかったのに、兄貴とケンカになってスプライトになっちゃったんだよね。その時の無念をここで晴らそうと思いまして…思わず食いついてしまいました。ルイ・ヴィトンのヨーヨー(笑)。

 

創業以来、トランク製造にとどまらない、こうした遊び心あふれるアイテムを創作してきた歴史があるルイ・ヴィトン。フラワーモチーフのモノグラムは、ヨーヨーが回転するとカラフルな色が浮かび上がって楽しいです。40代以上の男性の懐かしい思い出につながる、洒落の利いたアイテムですね。

 

 

コレクションのひとつとして手元に残したい鋏の名品

鋭利なシルエットに、スマートなフォルム。たかがハサミと思いきや、歯と歯が擦れ手に伝わる時の摩擦感がゾクゾクします! アドラーは日本の刃物ブランドである木屋が、日本人の使い勝手を考えぬき、刃物の街であるドイツ・ゾーリンゲンのハサミメーカーに特注したオリジナルモデルです。

 

材料は高級ステンレスで全身鍛造。リングは指にやさしい手仕上げで、板からつくったハサミと比較すると、切れ味が全く違います。残念ながら、職人がもういなくなって、生産ができなくなっているようで、在庫も少なくなっています。名品が少なくなる世の中ですが、コレクションのひとつとして殿堂入りにしました。

外遊び派の強い味方「PVC」は完全に水を遮断する

ホンモノ素材辞典vol.10
今回のホンモノ素材辞典は、完全に水を遮断し、アウトドア製品に最適な素材「PVC」です。

 

様々なカタチで実生活に溶け込んでいるPVC

PVCとは、ポリ塩化ビニル(Poly Vnyl Chloride)の略。合成樹脂としてはとても一般的な素材で、「塩ビ」「ソフトビニール」などと呼ばれることも。塩化ビニルは「腐食」に強く、非常に幅広い用途に対応できますが、そのままではかなり硬くてもろいうえ、紫外線による劣化も早いのが欠点。そこで、製品に活かす際には「可塑剤」と呼ばれる薬品と、劣化を防ぐ「安定剤」を加えて、柔らかく加工します。

 

可塑剤の量によって、さまざまな形状に成型できるため、身近なところでは、水道の配管などに使うパイプ、波板やシートといった建築素材、透明な“ビニール袋”などに。また、医療用のサポーターやカーテン、毛布やマット類、漁網などに用いられる「PVC繊維」「ポリ塩化ビニル繊維」と呼ばれる繊維そのものに加工されたり、ナイロン繊維の加工用(コーティング)素材として用いられることもあります。

▲フルクリップのニューダレスF4 type GNのメイン素材として使われている「トリプルG2」は、有害物質不使用で、防汚性、難燃性、抗菌性能を持つ高機能PVC

 

防水性の高さからアウトドア向けバッグやギアで大活躍

製品の品質タグなどに「PVC」と書かれていた場合、それはPVCをナイロン生地に貼り付ける加工が施された「PVC加工ナイロン生地」を意味します。

 

見た目や風合いはふつうのナイロン生地と変わりませんが、その防水性の高さに決定的な違いがあります。もともと密に織られたナイロン生地には、水濡れに強いという特長がありますが、PVC加工を施すことで、裏面に貼り付けられたPVCが完全に水を遮断するため、レインウェアや、渓流釣りなどで使用するウェーダーと呼ばれるパンツ、アウトドア用のバックパックなどのバッグ類に最適な素材となるのです。

 

ベースはナイロンなので、カラーバリエーションが豊富なうえ、しなやかで汚れにも強いため、アウトドア向けとしては非常に使い勝手のよい素材といえるでしょう。

 

反面、通気性がまったくないため、レインウェアなど衣料品に使用した場合、蒸れの問題が発生することも。透湿性を兼ね備えた高機能な防水素材もありますが、PVC加工のほうが耐久性が高く、価格も安価に抑えられるというメリットがあります。

 

一方、バッグ類に使用する際は、縫い目の裏張りといった処理は必要になるものの、防水性の高い製品を作ることが可能です。

 

 

PVC加工ナイロンとターポリンの違いは?

最後に、防水性の高い生地としてPVCとよく並べて語られる、ターポリンについても少し触れておきましょう。

 

「PVC」がナイロンをベースにした生地であるのに対し、ターポリンは、ポリエステル製の生地に合成樹脂を貼り付けて作られます。かなり厚手でごわごわしているため、衣料品に使われることはほとんどなく、建築関係で用いられるシートや店舗店頭の日よけテントなどに用いられてきました。近年では、その独特の剛性感や耐久性の高さで、完全防水のバックパックや、マリンスポーツで荷物を収納するような大容量のバッグなど、アウトドアギアに個性を演出する素材として人気を集めています。

 

 

■ホンモノケイカク
http://hon-mono-keikaku.com/

【コーデュラ610P】高耐久素材「コーデュラ・ナイロン」の数字の読み方

ホンモノ素材辞典vol.9
今回のホンモノ素材辞典は、アウトドアからビジネスバッグまで。人気の高強度、高耐久性素材「コーデュラ・ナイロン」です。

 

 

ナイロンの7倍もの強度を持つ驚異の繊維

アウトドアで使われるバックパックやダッフルバッグ、近年流行りのタフな作りのビジネスバッグなどを購入した際、黒地に白とオレンジの文字で「CORDURA FABRIC」と書かれたタグがついていたことはありませんか?

これは、耐久性と強度の高さで最高峰の評価を得る「コーデュラ・ファブリック」が使われている証です。

 

コーデュラとはアメリカのインビスタ社が開発し、特許を取得した人工繊維で、その強度は、なんとナイロンの7倍。この繊維を使った生地を「コーデュラ・ファブリック」、あるいは「コーデュラ・ナイロン」と呼びますが、繊維そのものの強度が高いうえ密に織られているため、引き裂きや摩耗に強く耐久性も抜群。実際に使ってみると、ちょっとした天候不順に出くわしても雨が染み込みにくいことが実感でき、実用性の高さでもトップクラスの素材と言えるでしょう。

 

ちなみにインビスタ社の母体は、かつてナイロンを世に送り出したデュポン・テキスタイル・アンド・インテリア社。つまり、コーデュラはナイロンの正統的な最新進化形態、と言っても過言ではありません。

 

 

コーデュラ製品の数字が意味するものは?

ひとくちにコーデュラ・ナイロンと言っても、他の繊維と組み合わせて織られたものなど、さまざまなバリエーションがあります。

 

日本でよく目にする「コーデュラ1000」や「コーデュラ500」の「500」や「1000」は、「デニール」という値から取ったもの。デニールは糸や繊維の太さに使われる単位で、9000メートルの長さにおける重量が表されています。たとえば500デニールなら、9000メートルで500グラム。1000デニールなら9000メートルで1000グラムというわけです。

 

コーデュラ500は500デニール、コーデュラ1000は1000デニールの繊維が使われているので、より重く太い繊維からなるコーデュラ1000のほうが、強度も高く、よりゴツい仕上がりの生地ということになります。

 

日本で流通しているコーデュラ・ナイロン製品のうち、主なものをご紹介しましょう。

 

【コーデュラ8号】
コットンにコーデュラ素材のナイロン25%を加えた生地。帆布のような風合いを実現しつつも耐久性に優れ、耐摩耗性も高められています。

【コーデュラ610P】
コーデュラブランドではありますが、ポリエステルベースのコーデュラ・ポリエステルを素材に使った生地。テフロン加工が施され、水や油などを弾きます。

【コーデュラ500】
500デニールのコーデュラナイロンで織られた生地。引き裂きや摩耗に対する高い強度を誇り、アウトドア用ギアやバッグに適しています。

【コーデュラ1000】
1000デニールのコーデュラナイロン100%の生地で、500に比べてより強度が高く、ボリューム感も増しています。ヘビーデューティをウリにするようなハード系バッグやポーチなどで使われます

【コーデュラ1680】
1680デニールのコーデュラナイロン100%で織られた生地。コーデュラ1000よりもさらに太い繊維が使われ、ナイロン系で最強クラスの強度を誇るため靴やインテリアなどにも用いられています。

 

タフな環境にもヘタることなく応えてくれる、コーデュラはそんな魅力的な素材なのです。

 

 

■ホンモノケイカク
http://hon-mono-keikaku.com/

【保存版】プロがどうしてもこだわる革のメンテナンス「6つのポイント」

革で作られた靴やバッグ、財布などは、使い込むことで風合いがよりよく“変化”していきます。革の素材によってはエイジング(経年変化)することで、重厚な雰囲気を醸しだすことが、商品の付加価値となっているものも。しかし、革のエイジングも一歩間違うと、ただ“みすぼらしいだけ”の劣化状態になってしまう危険もあります。極上の艶を出すには定期的なメンテナンスが不可欠です。

 

そこで愛着ある革製品と長くつき合うには、ふだんどういうことを心がけ、どういったメンテナンスを施していけばいいのかを、6つのポイントをご紹介します。お話を伺ったのは、革製品のメンテナンスグッズ「M.モゥブレイ」シリーズを展開しているR&Dの広報、上野 哲(あきら)さんです。

 

↑革製品のメンテナンスについて教えてくださったR&Dの上野哲さん

 

 

ポイント1:動物の革は人の肌と同じく「保湿」が重要です

革製品は極度に乾燥したまま放っておくと、割れたり破れやすくなったりキズがはいったりと、劣化が早く進んでしまいます。エイジングを楽しむ以前に損傷が出てしまっては意味がありませんよね。経年変化をしている最中にも、革の表面に充分なうるおいを与えておくことが重要です。人間の肌のケアと同じく、「保湿」することで革は長持ちします。

 

 

ポイント2:凹凸の多い革にはブラシを使いまずは汚れを落とします

オイルが入ったもの、シボが入っているものなど、革にもさまざまな表面加工を施しているものがあります。基本的にはどの革もメンテナンスの作業は変わりません。ホコリなどの汚れを落としてから、全体に少量のクリームを薄く塗り伸ばしてあげるだけです。

 

ただ、表面の凹凸があるような革にクリームを塗る場合は、そのすき間にホコリなどが入り込んでいることもありますので、まずは柔らかい獣毛などを使ったブラシでクリーニングしてからクリームを塗るのがいいでしょう。

 

靴をはじめ、汚れが目立つようなものには、汚れ落とし専用の水性クリーナーを使ってください。ただ、通常のメンテナンスクリームにも水分が含まれているので、これを塗り込むだけでもたいていの汚れを落とすことができます。クリーナーはメンテナンスクリームで間に合わないような、しつこい汚れを落とすときに使います。

 

長財布やコインケースなどは、内側のコインが当たる部分が黒ずんできますが、これは微細な金属粉などが革にすり込まれてしまった状態。クリーナーを使ってもなかなか落ちないので、それも「味」と思ってあまり神経質にならず、楽しむのがいいと思います。

↑表面の凹凸があるような革は、あらかじめこのような獣毛の柔らかいブラシでホコリを落としてからクリームを塗る。これは靴用でかなり大きいが、もっと小さいサイズもあり、革小物にはそちらのほうが便利

 

 

↑▲落ちにくい汚れには、水性のクリーナーを使う。写真は「M.モゥブレィ・プレステージステインクレンジングウォーター」。革に優しい素材のみで作られていて、ほのかにオレンジのよい香りがする

 

 

ポイント3:クリームの塗りすぎ、多すぎる水分量もNGです

革製品のメンテナンスは、かさつきを感じる一歩手前ぐらいの状態でトリートメントを施すのが理想です。ただし、メンテナンスの頻度は多ければいいというものではありません。革が含むことができる油分、水分には限界があり、それを超えるとベタベタしてしまったりして使い勝手が悪くなるだけでなく、逆に艶感が失われくすんだ肌目になることも。目安としては、見た目に艶感がなくなり、少しかさついているかな?と感じる質感になったら、クリームを少量ずつ塗り伸ばし、含浸させていきましょう。

 

「ナイロン素材=安物」という常識を覆してしまった「リモンタナイロン」は深みのある色合いと滑らかな肌触りが特徴

ホンモノ素材辞典vol.8

今回のホンモノ素材辞典は、実用性だけでなく、高い質感をも兼ね備えている「リモンタナイロン」です。

 

 

有名ブランドがバッグに採用。一躍有名に

「リモンタナイロン」とは、生地の名前ではなく「リモンタ社が手がけるナイロン素材」の総称で、深みのある色合いと滑らかな肌触りが特徴です。

 

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リモンタ社は、イタリアのロンバルディア州レッコレッコ県南西部にあるコスタ・マズナーガで、1893年に創業を開始した歴史ある繊維メーカーです。繊維産業の盛んなコモからもほど近いこの土地で、ジャカード織の布やタペストリーなどを生産していましたが、徐々に事業を拡大。衣料品や家具といった、幅広い分野の素材を手がけるようになりました。

 

そんなリモンタ社が一躍名を馳せたのは、1970年代後半のこと。バッグで有名なイタリアの一流ブランド・Pが、同社のナイロン生地「ポコノ」を採用したのがきっかけでした。主にテントやパラシュートといったアウトドアやミリタリー製品に用いられていたポコノは、薄くて軽量、丈夫なうえに防水性も併せ持つという、高い機能性を誇りました。しかも、細い繊維を緻密に織り込んだポコノは、独特の光沢と、シルクのような手ざわりのよさまで兼ね備えていたのです。

 

以来、同社の高い技術と幅広い製品バリエーションは世界的に知られることとなり、さまざまなブランドが採用。ビジネスバッグを中心に、あらゆる製品へと活用されています。

 

リモンタナイロンのバリエーション

リモンタ社は、ポコノ以外にも数多くの製品を世に送り出しています。その中から、代表的なものをご紹介しましょう。

 

デービス
リモンタ社の主力商品のひとつ。高密度で水が染み込みにくく、ハリの強さも絶妙なため、バッグのアウターに最適です。同社の生地全般に言えることですが、イタリアンレザーにも通じる発色のよさは、さすがの一言。豊富なカラーバリエーションが楽しめます。

 

ダボック
これも、リモンタ社の主力商品で、デービスをベースに、コットンなどの素材をボンディング(貼り合わせ)加工したもの。デービスのメリットに加え、ボンディングする素材によって異なった風合いが生まれます。

 

ティワ
リモンタ社の技術が注ぎ込まれたナイロンタフタです。タフタとは、もともと細かなウネのある平織地の薄い絹織物のこと。それをナイロンと微量のポリウレタンによって高密度に織り上げることで再現しています。非常にソフトで、若干の撥水性もあります。

 

ジョージア
まるで厚手のコットンのような質感を持つジョージア。ナイロンなので、厚みがあっても軽量です。そのうえ、キャンバス地のように織り目が深く、汚れにくいのも特長です。

 

実用性だけでなく、高い質感をも兼ね備えていることから、とくにバッグにおいて、皮革素材=高級、ナイロン素材=安物という常識までも覆してしまった「リモンタナイロン」。ぜひ一度お手にとり、その魅力を堪能してください。

 

 

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【革の知識】純国産皮革素材「スクモレザー」は知らないと損! 藍色のグラデで世界を魅了

ホンモノ素材辞典vol.7

今回のホンモノ素材辞典は、抜群の個性と希少性を誇り、海外ブランドも魅了する美しきメイド・イン・ジャパンの皮革素材「スクモレザー」です。

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職人技のバトンリレーで生まれる究極の藍染革

スクモレザー最大の特長は、なんといっても濃淡さまざまな表情を見せる藍の色。その唯一無二の美しさは、染めに使われる藍の育成から染料の生成、染色、そしてなめしに至るまで、複数の職人がそれぞれの持てる技を注ぎ込むことにより生み出されます。

 

その名に冠された「(すくも)」とは、国選定無形文化財に指定されている徳島県の阿波藍で作られた天然の染料のこと。現在、わずか5軒しかない阿波藍師のひとりである外山良治氏が、自身の畑で育てた藍の葉を約600年続く伝統の製法で乾燥・発酵・熟成させて作り上げます。

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その希少な染料と、着物の染色に使われる「天然灰汁建本藍染」という伝統的かつ手間のかかる技法を用いて革を染めるのが、京都にある浅井ローケツの二代目・浅井直幸氏。染め上がった革には、兵庫県・龍野のタンナーによって特殊な仕上げ加工が施され、ようやく鮮やかな藍色を纏った最上級の皮革素材「スクモレザー」として、世に送り出されていくのです。

 

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海外ブランドも魅了する美しきメイド・イン・ジャパン

スクモレザーのカラーバリエーションは、濃淡のグラデーションを織りなす全8色。もっとも色味の濃い「留紺(とめこん)」から、藍の瓶にわずかに浸したくらいの薄い色味の「瓶覗(かめのぞき)」まで、それぞれに日本語の色名が付けられています。さらにデザインレザーとして、伝統的な技法である「絞り染め」や「ローケツ染め」が施されたものもラインナップには並んでいます。

 

他の皮革素材とは一線を画す、鮮やかで深みのある色合いと個性的な染めのパターン。その美しさで、最上級の素材しか取り扱わない海外ブランドをも魅了するスクモレザーは、まさに世界に誇れる純国産皮革素材なのです。

 

 

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プロはこうする!「革のメンテナンス」の外せないテクニックを動画と写真で実演解説!

本記事では、メンテナンスクリームによるケアを、革製品のメンテナンスグッズ「M.モゥブレイ」シリーズを展開しているR&Dの広報、上野 哲(あきら)さんに実演していただきました。

 

 

まずは指の上にコットンを置き、余った部分をねじるようにして指に巻き付け、握り混むのが基本です。

 

1本の指を使うか、2本を使うかはお好みで。広い面積は2本、細かいところは1本という使い分けもアリ!

 

コットンにつけるクリームは「少ないかな?」と思うくらいが適量。足りなければ何度か繰り返していきます。クリームが多すぎると艶が失われ、べたつきの原因に。あくまでもつけすぎないことが大事です。

 

クリームを塗った際にコットンに色が付きますが、これは革が色落ちしているのではなく、表面に浮いた染料がコットンに色移りしているだけなので、心配は無用。ひと通り塗り終わったら、コットンのクリームのついていない部分で、念入りにから拭き。余分なクリームを拭き取ってやることで艶が出てきます。

 

20180226honono05-e1516089937414↑コットンは塗る指の上に重ねたあと、余った部分をねじるように、手のひらの側に持って行く

 

20180226honono06-e1516090009342↑上野さんは、人差し指だけで作業する「1本指派」。広い面積を手早く仕上げられる中指併用の「2本指派」もいるのだとか

 

20180226honmono07-e1516090039115↑コットンにクリームを取る。しつこいようだが、多くつけすぎないことがポイント。足らない場合は、回数でカバー

 

20180226honmono08-e1516090079725↑全体に薄く塗り、そしてクリームのついていない乾いた布で、しっかりとから拭きする。余分なクリームをから拭きで綺麗に拭き取ることが艶を出すポイント

 

02180226honmono09-e1516090108863↑から拭きを終えた状態。余分なクリームが残っていると、この艶が出てこない。素材として使ったのは、ホン・モノ・ケイカクで取り扱っているアブラサスの「薄い財布 イタリアンレザーver.『シエナ』」。独特のムラ感と深い艶が非常に美しい

 

20180226honmono10-e1516090134383↑メンテナンスを終えたコットンには、このように赤い染料が残っている。しかしこれは革が色落ちしているのではなく、表面に浮き出していた余分な染料を拭き取っているだけ。神経質になる必要はない

 

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財布の買い時は「暦」が大事だった! 2018年春のスーパーラッキーデーを公開

「運」や「ツキ」というのは、科学的な根拠がなく、証明できないのに、普段から身の回りで上がり下がりを感じる、不思議な存在。多くの人が元旦から八百万の神々に願いを託すのは、科学的根拠がなくとも、心のうちに何かしらの不思議な物を感じ取っているからなのではないでしょうか。験担ぎはそのひとつ。「信じる物は救われる」という言葉が示すように、強い願いを込めることで、自分に暗示を掛け、仕事や取り組みを成功へ導いているのかもしれませんね。

 

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ここでは年に一度の験担ぎのひとつ、「春財布」「福財布」について、ご紹介します。

 

ちなみに、革財布で「一生モノ」って、あり得えないなぁと考えています。

 

比較的過酷な環境で使われる革財布は、どんな高いブランド品で耐久性が高くても、3年もすれば、エッジのコバが剥げたり、表面はすり切れたりして、だいぶお疲れになってくるものです。クリームで栄養を与えながらメンテナンスして、大事に使ってもやはり疲れてきた財布を、人前で出すことも考えると定期的に新しいモノと交換すべきだと思います。

 

 

春財布、福財布のいわれについて

では、そんな財布の買い換えるきっかけは、やはり新年。せっかく験を担ぐならば、1年の中ではやはり元旦からの「春財布」ということになります。諸説ありますが、春の始まりは「新春」と呼ばれるように、元旦から始まり、5月5日の「立夏」までが、暦の上では「春」と定義づけられているようです。
ちなみに、「春財布はお財布がパンパンに『張る財布』にちなんで金運が上がり縁起がいいとされる」……ってのをよく見ますが、あれはどこかの人が後付けで作った、ただのダジャレでしょうね……(笑)。

 

 

春財布の買い時、使い始めに最高の日とは?

新年に財布を買い換える「春財布」の縁起。財布の使い始めによいとされている日がさまざまあります。ちなみに、大安や一粒万倍日……など、日本にはさまざまな「縁起の良い日」がありますが、これらの元ネタのほとんどは、古来から作られていた暦(カレンダーのようなもの)の、中段や下段に書かれていた日々の吉凶についての一言メモ「暦注」に記載されていたものです。せっかくなので、縁起のいい日に関して少し深掘りしてみましょう。

 

暦注に関しての説明は下記を参照ください。

 

「暦注」は、昔の暦の注記、すなわち暦の中断・下段に記載される注記事項をいう。暦注は、日付・節句・月の満ち欠けなど本来の事項の下に記載され、中段には十二直、下段には選日・二十八宿・九星など、さまざまな日の吉凶に関する事項が書かれていた(昔の暦はいくつもの段に分かれ、暦注は中段・下段に記載されていた)。 また暦注は、七曜や二十四節気・干支なども入れ、広く、暦に記載される事項すべてを含む場合にも用いられることがある。

「現代こよみ読み解き辞典」(岡田芳朗・阿久根末忠 編著 柏書房)より抜粋

 

簡単に言えば、暦注とは、一般庶民たちの「生活の指針」となるように日々の吉凶を配したもので、「悪い日を避ける」ことに重点を置いて使われたものなのだそうです。「科学的根拠がない迷信」といってしまえばそれまでですが、今でも三隣亡(さんりんぼう)の日は大工さんは仕事を休み、結婚式は大安に、お葬式は友引に…と、古くから今にいたるまで、日本人の日々の行動は、意外と暦注に左右されています。古くから生活の中になじんだこれらの縁起になぞらえることは、日々の行動のきっかけを与えることにもなります。

 

「験担ぎ」=プラス方向の「自分の心への暗示」をかける

と考えれば、縁起のいい日に財布を購入する、使い始めるという行動は、今年一年、頑張りたい自分に暗示をかけていくことなのだと思います!

 

 

2018年初頭の「スーパーラッキーデー」は?

それでは、縁起がいいとされる日の種類と、今年初頭のラッキーデーをご紹介しましょう。

●大安
暦注の主役ともいうべき、「六曜」の中で、もっとも縁起のいい日。結婚式や物事のはじめ事はもとより、内閣改造までも大安に行われるほど、もっとも民間に浸透している暦注です。1年に約60回ほど巡ってきます。万事において上手く進む吉日とされ、財布の使い始めや購入する日にも適した日と言われています。

●一粒万倍日
一粒のモミが万倍にも実る稲穂になるという、とても縁起の良い日です。よろず事を始めるのに良い日とされ、仕事始め、開店、種まき、お金を出すことに良い日とされます。逆に借金や借り物をすると、それも万倍になってしまうため、タブーだそうです。1ケ月に4~7回程度巡ってきます。

●天赦日(てんしゃにち)
これも「暦注下段」に記されている、年に5~6度しかない吉日です。文字通り天がゆるす日ということで極上の大吉日で、何をするにも最善の日とされており、財布の使い始めにはとても縁起のいい日です。

●寅の日
十二支に基づく考えで、12日周期で巡ってくる吉日。「虎は千里行って千里戻る」という言い伝えから、旅立ちに良く、婚礼には忌む日とされているようです。これが別の解釈ともミックスし、虎の黄色という色を金運の象徴としてとらえ、金運に縁起のいい日ととらえる説も存在するようです。

●不成就日
この日は文字通り万事において成就しない日とされています。結婚や開店などはもちろん、願い事すら凶とされる日…。しかもどんなにラッキーデーが重なろうと、この不成就日が重なってしまうと、全部打ち消し&不成就! なんとも最悪のバッドデーです…。

これら縁起のいい日が、ぴったりと重なってしまう2018年初頭の「スーパーラッキーデー」も調べてみましたのでご紹介します!
(あわせて不成就日が重なっている日もご紹介します…)
財布の購入&使い始めの「験担ぎ」の目安に、参考にしてみてください。

×<2月15日(木)>天赦日+大安+寅の日+不成就日
×<2月26日(月)>一粒万倍日+大安+不成就日
○<3月11日(日)>一粒万倍日+ 寅の日
○<3月23日(金>)一粒万倍日+寅の日

※参考資料:「現代こよみ読み解き辞典」(岡田芳朗・阿久根末忠 編著 柏書房)

【革の知識】「シエナ」の透明感あふれる発色と経年変化は、1枚ずつのハンドメイドの着色から生まれる!

ホンモノ素材辞典vol.4

植物タンニンなめし(ヌメ革)の牛革の中でも、透明感あふれる発色と上質な質感が魅力の、タリア・トスカーナの大手タンナー・MPG社が作るシエナについて今回は解説します。

 

透明感ある発色のイタリア製傑作ヌメ革

イタリアで作られる、数々の名レザー。中でも植物タンニンなめし(ヌメ革)の牛革は、ブッテーロなど雰囲気のいい革がそろっています。さらに、そんなヌメ革の中でも、上品な質感と得も言われぬ発色、筋のいい経年変化をすることで人気が高いのが、イタリア・トスカーナの大手タンナー・MPG社が作る「シエナ」です。
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植物のタンニンで革をなめした後に加脂をして、1枚ずつハンドメイドで着色していきます。ラッカーや顔料でべったりと染色するのではなく、透明感を残した染色で、色気のあるムラ、グラデーションが現れ、どのカラーでも独自の味わいが楽しめます。またキレイに色落ちしていくエイジングの妙も計算済みなのです。

 

折り曲げる財布だから「シエナ」の特性が活きる

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適度な 張りとしなやかさのバランスが良く、革内部にまで含浸したオイルが手に吸い付くような独特の肌触りを生むのが、シエナの特徴です。

 

折り曲げた部分がやや明るく見えるのは、染みこんだオイルが繊維中を移動し、革色が変わる「プルアップ」という特性です。ですので、「薄い財布」のような、折り曲げる箇所が多い財布に向いていると言えます。
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また、この革の最大の魅力は、自然な色ムラのある色彩美と発色の良さ、グラデーションのある深い光沢。写真のように、色の濃淡が製品にいい「表情」をつけてくれています。それと引き換えに、シエナはひっかき傷やアタリと呼ばれる圧迫痕がつきやすいという弱点も持ちます。それを補ってあまりある色彩と光沢が醸し出す気品が魅力です。

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革素材は時と共に、細かな傷や、使用者の手の脂を吸い込むことで、色や風合いが変化していきます。こうしたエイジングもまた、革素材の製品を持つ楽しみ。シエナの場合、きらきらと革の表面で生まれていた光沢が、少しずつ、革の内側へと沈み込むような落ち着いたものへと変わっていきつつ、革本来が持つ艶やかさを失うことはありません。

 

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広島カープ前監督 野村謙二郎さんが明かす人心掌握術。 「部下の能力を解き放つリーダーがしている7つの行動」 後編

2016年シーズン、25年ぶりにプロ野球セントラルリーグを制覇。2017年もレギュラーシーズンを圧倒的な強さで制し、見事に連覇を達成した広島東洋カープ。その強さの裏側には、選手一人ひとりの個性を活かし、それぞれのパフォーマンスを最大に引き出す独自の指導法や環境づくりがあった。

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そんな最強チームをつくりあげた立役者のひとりが、元監督の野村謙二郎さん。Bクラスの常連だったカープを立て直し、強いチームへと成長させた野村さんが、ご自身の体験から習得されたリーダーシップ論や組織マネージメント術は、まさにビジネスパーソンも必見の内容。

 

野村さんに教えていただく「最強の”カープ”仕事術」、今回はその後編をお届けします。

 

前編はこちら

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<プロフィール>
野村謙二郎(のむら・けんじろう)
1966年、大分県生まれ。佐伯鶴城高校から駒沢大学へ進学。大学4年時にソウル五輪に野球日本代表として出場し、銀メダルを獲得した。88年のドラフト1位で広島東洋カープへ入団。90、91年と2年連続で盗塁王を獲得。91年はリーグ優勝にも貢献。95年には打率.315、32本塁打、30盗塁をマークし、史上6人目のトリプルスリーを達成した。2005年、通算2000本安打を達成し、その年を最後に現役引退。その後、野球解説者などを経て、10年に広島東洋カープの監督に就任する。就任当初は下位に低迷するものの、13年、14年と、2年続けてクライマックスシリーズ進出を果たす。14年シーズン限りで監督を退任。現在は野球解説者として活躍する傍ら、MLBカンザスシティ・ロイヤルズの編成部門アドバイザーを務めるほか、広島大学大学院の教育学部健康スポーツで改めて野球を学んでいる。著書は『変わるしかなかった。』(ベストセラーズ)。共著に『広島カープの血脈』(山本浩二氏との共著/KADOKAWA)、『広島カープ最強伝説の幕開け』(大野豊氏との共著/宝島社)がある。

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5.肝心なのは任せる勇気。ミスは責めず、成功はものすごくほめる

監督2年目のシーズンから、私は我慢して自ら口を出す機会を極力減らし、指導の多くをコーチの方々にお願いしました。でも、もしかしたら、それが自分にとってもチームにとっても、大きなターニングポイントだったかもしれません。

 

監督1年目、私がコーチに一任できなかったのは、自らがすべてを把握しておかないと気が済まなかったからです。コーチの人たちもやりづらかったでしょう。

 

でも、チームには本当に多くの人たちが関わっている。だからもっと、チーム全体で問題を認識し、シェアし、いっしょに前へ進んでいかなくてはいけないのではないかーー。そこに気づいた時から、すべてのことがうまく前へ進むようになりました。

 

例えば、シーズン中、プロ野球ではほぼ毎日試合があり、試合前にはその日のスタメンを決めなければなりません。相手のピッチャーは右投げなのか、左投げなのか、どんな選手が出てきそうか、など、向こうの出方を読んで決めていきます。

 

現在のカープを例にとると、スターティングメンバーはほぼ決まっていますが、相手のラインナップ次第で誰を起用するか迷う打順・ポジションというが、ひとつかふたつはあるものです。そんな時は「今日はあいつの調子が良さそうだな」とか「彼を使ってみるかな」とか「ファームで好調だから若手を使ってみようかな」と、結構迷うものなのです。

 

さて、どうするか? 私はそんな時、バッティングコーチの方に「今日の7番どうします? 迷いますよね? 誰を起用しましょう?」といった具合に、コーチに判断を委ねていました。もちろん、自分の中にも答えはあります。コーチがどの選手を推してくるのかも、ある程度は分かっています。それでも「彼でいきましょう!」とコーチが推薦してきた選手を使う。それにゴーサインを出して起用します。

 

でも、コーチが推薦してくれた選手が、その日、打てないこともありますよね。そんな時でも私は「打てなかったじゃないですか!」と、絶対にコーチを責めないようにしていました。逆に推薦してくれた選手が打った時は、翌日のミーティングで「起用が当たりましたね、さすがです。ありがとうございます!」と、他のコーチの前で声を掛けるよう心掛けました。そのコーチは「たまたまですよ!」と謙遜しながらも喜んでくれるものです。

 

ミスをした時、負けた時、数字が出なかった時、モノが売れなかった時ーー。そんな時に「なにをやってるんだ!」と任せた担当者を叱ってしまうと、その人はもう、本来の実力を発揮できなくなりますよ。以降はプレッシャーになるだけです。逆に、ほめ言葉というのは、次回もまた頑張ろう、とか、明日またやるぞ、と前向きに受け止めてくれる。私の下手なほめ言葉でも、声を掛けられる方にとってはうれしいものなのです。

 

仕事を任せるというのは任せる側にとって難しく、とても勇気のいることです。特に、野球界ではプレーヤーとして実力のあった人が監督を務めることが多く、会社組織では仕事のできる人が管理職に就くのが一般的ですから、なおさらでしょう。ですが、リーダーは過去の自分を一度、脇に置く。自らやった方が上手にできる、早くできるかもしれないけれど、あえて部下に仕事を任せてみる。そういう覚悟が大切だと思います。

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6.リーダーがまずやるべきは、気持ち良く働ける環境づくり

監督就任当初は、カープを変えてやると意気込み、すべてを自分でやろうとしていた私ですが、監督をやっていくうちに、徐々に考えが変わっていきました。やっぱりチームというのは、選手に頑張ってもらわないといけないものですし、活躍してもらわなきゃいけないわけです。選手が活躍してくれれば、みんなが喜び、潤います。では、選手に気持ち良くプレーしてもらい、活躍させるにはどうすればいいのでしょう?

 

この”気持ち良く”という言葉は、私より上の世代の方にとって、ものすごく抵抗があるようです。野球も仕事も気持ち良くできるわけがない、と。

 

ところが最近の若い子や子どもたちは、”楽しむ”ということを平気でいえるようになっています。例えば高校野球では、ピンチの際、伝令が出て来て選手たちがマウンドに集まって指を1本、空へ立て、笑顔で声を交わすといったシーンが時折、見受けられます。その結果、彼らが落ち着きを取り戻し、プレーに集中することできたという報告もあるほどです。

 

そうしたムードづくりというのも、リーダーにとっては重要な仕事だと思います。私も監督時代は、チームのムードづくりのために、選手たちといかにコミュニケーションをはかるか、腐心したものです。

 

でも監督というのは、部署のトップです。対監督となると、選手たちも構えてしまいます。距離感を詰めようと監督が立ち位置を低くしてしまうと、その分、選手たちも引いてしまうので、距離感自体は変わりません。だからといって、横並びのポジションまで監督が立ち位置を下げてしまってはダメ。それでは単なる友だちになってしまいます。結局のところ、監督とコーチ、そして選手の距離感、会社に置き換えると、社長と中間管理職、そして現場の社員の距離感というのは、変わらないものなのです。

 

ただし、チームの空気感というものは、リーダーの考え方ひとつで変えることができると思います。私は選手に近づいていったり、立ち位置を下げたりして距離感を詰めるのではなく、試合後に食事へ行ったり、バカを言いあったりして、普段の自分を見せることで、選手との空気感、チームのムードを変えるよう心掛けました。「俺って、いつもは苦虫かみつぶしたような顔をして野球をやっているけど、ユニフォーム脱いだらこういう人間なんだよ」と、構えていない自分を見せるようにしたのです。

 

そうやって、選手たちと食事や酒を飲みに行き、時にはカラオケに行ったり、バカをやったりしながらも、必ず彼らには「俺はひとつだけ自信を持っている。ユニフォームを来たら人が変わるからね」と言い続けました。最初の頃は、その話をすると、酒の場がシーンと静まりかえったほどです。

 

いくら遊んでもいいし、なにをしてもいいけれど、ユニフォーム着た瞬間に性格が変わるやつが、プロ野球の世界では絶対に成功している。だから監督の顔色をうかがいながら練習やプレーをすることはないけれど、ユニフォームを着たら性格まで変われ。そう言い続けていたら、それが浸透したのか、チームの空気感が良くなったように感じます。

 

こういった私の行動に対し、一部のコーチからは「甘やかしすぎではないか?」、「それでは監督の沽券に関わる」といった苦言も出たほどです。でも、それで選手がやる気になってくれて、気持ちよく働けるのならば、リーダーとしては普段の自分をさらけ出せますし、こんなに楽なことはありません。あの辺りから、カープが変わっていく手応えを感じましたね。

_TA_5656↑書かれた言葉は「努力・前進・努力」

 

 

7.部下のパーソナルな情報と話すネタを集める

監督時代、私は選手の中に”情報提供者”を置いていました。監督やコーチが見ていない中、ロッカールーム内でどんな出来事があったのか、選手どうしでどのような会話が交わされていたのか、ゲーム後の食事会ではどんなことがあったのかーー。あらゆる情報を、とある選手から提供してもらっていました。まさにそれは、選手とコミュニケーションを図るためのネタ集めでした。

 

でも、そういったことを繰り返していると「監督、今度A選手に突っ込んでやってくださいよ、昨日、飲み屋でモテモテだったんです」といった情報が、自然と選手の方から入ってくるようになりました。なので、バッティング練習中「今日はめちゃくちゃキレがいいけど、昨日、よっぽどいいことあったんだねぇ」と突っ込むと、A選手は「え、なぜ監督が知ってるんですか!?」と返してきて、その場が盛り上がります。そして、ロッカールームへ戻ったA選手は「誰だよ、あのネタを監督に話したの!」と言い始め、今度は試合前に、選手どうしの会話が自然と弾むのです。

 

ほかにも奥さんや子供の記念日、お祝い事など、書類には乗ってない、部下の趣味とか学歴以外のネタ、最近なにがあったのか、とか、それに対してどう感じたのか、といった、パーソナルな部分の情報を得ていると、部下との会話のきっかけになります。部下の個人としての興味や考え方がわからず、どういう風に接していいか分からない状態だと、仕事するのも大変だと思うのです。

 

最近、若い子たちはあまりお酒を飲まなくなりました。また、飲み方や飲み会の文化も変わってきています。先輩が行くとおっしゃるならお供します、という時代とは、随分変わりました。でもあの飲み会文化というのは、リーダーにとってはとても貴重な情報源だったように思えます。なので、それに代わる独自の情報源を確立することも、リーダーにとっては重要なことなのかもしれません。

 

 

◎最後に

私はこの春から広島大学の大学院へ通い、改めて野球を学んでいます。研究の主なテーマは”4スタンス理論”。これは、人間のカラダには4つのタイプがあって、それぞれのタイプに合ったカラダの使い方があるという考え方で、それがスポーツの動きにも応用できるということです。

選手にはさまざまなタイプの人間がいて、それぞれに合ったコーチングを行うべきだと考えていた私にとって、これは打ってつけの理論でした。例えば、イチロータイプの子どもにホームランばかりを狙えといっても、そうはなかなかボールを遠くへ飛ばせないでしょうし、逆に松井秀喜タイプの子どもにイチローのようなヒットマンになれといっても、ボールにバットを当てることさえ難しいかもしれません。

実は、そういった選手の個性を重視しない昔ながらの指導法によって、野球への情熱を失い、野球から離れていく子どもが少なくないのです。学校教育での教え方が変わり、野球の教え方も変わってきているいま、子どもたちそれぞれの個性や、肉体的特徴に合わせたコーチングができる指導者の育成を目指し、野球を楽しくやってもらうことを目的に、日々学んでいます。

その背景にあるのは、これからますます厳しくなる少子高齢化社会の中でも、新しいスター選手にどんどん出てきて欲しいと思い。まずはそうした環境づくりの面から、スポーツ界に貢献できればと考えています。

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<最新著書>
野村の考え。やる気にさせる組織の作り方

2010年から5年間、広島東洋カープの監督を務めた野村謙二郎さん。それまで万年Bクラスだったチームを立て直し、2013年には初めてクライマックスシリーズに進出。翌2014年も同シリーズへ進出し、優勝を狙えるチームをつくりあげた。そして2016年、カープは25年ぶりにリーグ優勝。それは、元監督の野村さんが種をまき育てたことが、大きく花開いた瞬間でもあった。本書は、カープ黄金期の礎を築いた野村さんが、自身の野球に対する取り組み方や考え方、チームマネージメントなどを通じ、企業で生きるリーダーのあり方などを語った1冊。カープファンや野球ファンのみならず、ビジネスパーソンも必見の内容だ。

広島カープ前監督 野村謙二郎さんが明かす人心掌握術。 「部下の能力を解き放つリーダーがしている7つの行動」 前編

2016年シーズン、25年ぶりにプロ野球セントラルリーグを制覇した広島東洋カープ。17年もレギュラーシーズンを圧倒的な強さで制し、見事に連覇を達成。まさに、黄金期の到来を予感させる。

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巷で言われている豊富な練習量は、もちろんカープの強さの源だが、実はそれ以外にも、選手一人ひとりの個性を活かし、それぞれのパフォーマンスを最大に引き出す指導法や環境づくりも、いまのチームをつくりあげた大きな原動力になったという。

 

そんな最強チームをつくりあげた立役者のひとりが、前監督の野村謙二郎さん。野村さんはBクラスの常連だったカープをどのようにして立て直し、いかにして強いチームへと成長させたのか? 野村さんがご自身の体験から習得されたリーダーシップ論や組織マネージメント術は、野球の世界だけにとどまらず、まさにビジネスパーソンも必見の内容。野村さんに教えていただく「最強の”カープ”仕事術」を前後編にわたってご紹介します。

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<プロフィール>
野村謙二郎(のむら・けんじろう)
1966年、大分県生まれ。佐伯鶴城高校から駒沢大学へ進学。大学4年時にソウル五輪に野球日本代表として出場し、銀メダルを獲得した。88年のドラフト1位で広島東洋カープへ入団。90、91年と2年連続で盗塁王を獲得。91年はリーグ優勝にも貢献。95年には打率.315、32本塁打、30盗塁をマークし、史上6人目のトリプルスリーを達成した。2005年、通算2000本安打を達成し、その年を最後に現役引退。その後、野球解説者などを経て、10年に広島東洋カープの監督に就任する。就任当初は下位に低迷するものの、13年、14年と、2年続けてクライマックスシリーズ進出を果たす。14年シーズン限りで監督を退任。現在は野球解説者として活躍する傍ら、MLBカンザスシティ・ロイヤルズの編成部門アドバイザーを務めるほか、広島大学大学院の教育学部で健康スポーツ教育学を専攻し改めてコーチングを学んでいる。著書は『変わるしかなかった。』(ベストセラーズ)。共著に『広島カープの血脈』(山本浩二氏との共著/KADOKAWA)、『広島カープ最強伝説の幕開け』(大野豊氏との共著/宝島社)がある。

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1.イエスマンにならない。NOの理由を言葉できちんと説明する

私は高校、大学時代に主将に指名され、プロ入り後もカープの選手会長を任されました。そうしたチームリーダーというのは、会社に置き換えると中間管理職のようなポジションといえます。

 

キャプテンやリーダーに指名される人間には、必ず資質があります。野球の経験を踏まえていうと、まずある程度、技術を持っていなければいけません。会社に置き換えて考えると、仕事ができなければいけないわけです。

 

その上で、自分の意見をはっきり言える、自分の意見に筋がとおっている人物こそが、リーダーに選ばれるのだと考えています。

 

そういった資質は、皆さん、学生時代に現れ始めるものかもしれません。私自身を振り返ってみると、大学時代にキャプテンを任されたことが、その後を左右する貴重な経験となりました。

 

大学1年生から見た大学4年生というのは、結構”オジサン”です(笑)。1年生の頃は、4年生のキャプテンのやっていることや、働きぶりというのは、全く分かりませんでした。でも、いざ自分がキャプテンになってみると、それまでとはお付き合いする方たち、そしてお付き合いの仕方が大きく変わったのです。

 

例えば、大学野球連盟の会議に出席させてもらう。するとそこで、運営されている大人の方たちと話をします。そういった場では、もちろん相手に失礼があってはいけないので立ち居振る舞いには気を配りますし、その上で、こちらも自分たちの意見を伝えなければいけません。そういった舞台に立たせてもらったのは、私にとって初めての経験でした。世の中から見たら取るに足らない小さな出来事だったのかもしれませんが、人生の準備段階において、素晴らしい経験をさせていただいたと感じています。

 

その後、私はドラフトを経てプロ野球の世界に入ります。チームの先輩やコーチたちは、テレビや新聞などで見たことがある人。プロの世界で活躍されている方ばかりです。そういった方たちに、プロ1年生の私が認めてもらうためには、まずは仕事をしっかりこなさなければいけない。プレーで認めてもらいたいと考えたわけです。その上で、皆さんとのお付き合い、コミュニケーションがしっかりできるよう注意しました。

 

コミュニケーションがしっかりできる、というのは、単なるイエスマンにならない、と言い換えられるかもしれません。先輩や上司から「こうしろ」「ああしろ」といわれた際、違うと思ったら「違います」、イヤと思ったら「イヤです」と応えられる人間。しかも、なぜ違うのか、どうしてイヤなのか、その理由まではっきり伝えられること。そういう人は、上からも下からも、周りから自然と頼られる人でしょう。それこそが、リーダーに欠かせない要素、資質のひとつだと思うのです。

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2.部下や後輩の表情を読み取り、疑問を解消してやる

プロ入り直後は、周りにいるのはプロの先輩ばかり。「こうやれ」「ああやれ」と言われたら「やらなければいけないんだ」と受け止める自分がいる半面、「なぜやらなければならないのだろう?」と疑問に思うことも何度かありました。

 

しかし、そういう声というのは、上の方には伝えにくい。なかなか言えないですよね。それでも、自分が見て、感じて、実際にやってみて、やっぱりおかしいな、と感じたら、私はできるだけ、先輩やコーチにその疑問を投げ掛けるようにしていました。

 

でも、その時に「いいんだよ、黙ってやれ」といった対応をされる先輩やコーチに対しては、正直、不満を感じたのも事実です。逆に「この練習はこういう理由があるからやるんだよ」としっかり説明してくださる先輩やコーチに対しては、私自身も理解でき、納得でき、練習にも身が入ったものです。

 

こうしたケースというのは、実は会社組織においても見受けられるものではないでしょうか。部下が相談に来た際、中間管理職の方の説明や教えを理解してもらえず、部下に「え!?」っという不満の表情をされるーー。

 

その時、中間管理職の方は「いいから、とにかくやれ!」といって部下を突き放すのではなく、相手の相談内容に対して静かに耳を傾け、部下の顔を見て話をし、部下の表情を読み取る。その上で、部下の疑問を受け付け、真摯に答える。そういう姿勢が大事だと思うのです。

 

「こいつ今、オレに対して疑問を抱いたな」とか「納得していないな」というのを見抜いたからといって、「いいよもう、アイツなんて」と部下を突き放してしまうと、組織やチームのピラミッドが崩壊してしまいます。それがエスカレートすると、部下の存在がうっとうしく感じられ、最終的にはパワハラへとつながってしまいかねません。

 

現役時代を振り返ってみると、私が練習内容に疑問を抱いて質問した際、「なるほど、そういう考えもあるな」と理解していただき、意見を認めてくださる先輩やコーチの方とはコミュニケーションをとりやすく、いっしょに仕事をしやすいなと感じたものです。そういうムードというのは、野球界だけでなく、きっと会社組織でも同じではないでしょうか。

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3.部下の性格やタイプを見極めて対応・起用する

監督時代、試合前の練習では、バッティングケージの後ろから野手のフリーバッティングをチェックするのが日課でした。私は彼らの練習を見ながら「おはよう、調子どうだい?」など、できるだけ皆に声を掛けるよう心掛けていました。

 

ある日、A君、B君、C君という、性格の異なる3選手がバッティング練習をしていました。

 

その日、A君はとてもいい感じで打っていました。「良い感じだね」と声を掛けると「ありがとうございます!」と彼。重ねて「今日は2、3本いけるね?」と褒めると、A君は「頑張ります!」といって足取り軽くロッカールームへと帰って行きます。

 

次はB君です。「調子はどう?」と声を掛けると「別に。普通ッス」とぶっきらぼうな反応。でも、調子は良さそうだったので「感じ、いいね!」と声を掛けると、今度もまた「え、そうですか? 普通ッス」と彼。最後に「今日も頼むよ」と盛り上げても、B君は「ういッス」とだけ言ってロッカールームへと戻っていきます。

 

そして、最後はC君です。私は彼の練習ももちろんチェックしていたのですが、取材の対応など他のことに追われ、彼に声を掛けるのを忘れていました。するとC君は、私がA君、B君に私が声を掛けていたのに、自分には声を掛けてこないことを不安に感じたのか、練習を終えると、私の周りを行ったり来たりしていたのです。

 

C君としては、監督である私に声を掛けて欲しいのです。「僕はどうでしたか?」と評価をして欲しいのです。そこで私が「ごめんごめん、もちろん見ていた、良かったよ!」と声を掛けると、C君は「ありがとうございます!」といって、ロッカールームへ駆け足で帰っていきました。

 

A君は明るく、C君はかわいい。でもB君に対しては「なんだコイツは!?」って思っちゃいますよね。でも、チームや組織を率いる監督やリーダーは、そのB君タイプの人間の性格こそ、しっかり把握し、きちんと対応しなくてはいけないのです。

 

そこで私は、B君はシャイなのかな、と彼の性格を予想し、毎日のあいさつ以外は、できるだけ人前で声を掛けないようにしました。例えば、グラウンドに大勢の人が居る時は、みんなに聞こえるような声では会話をしない。話をするのなら、ロッカールームへ帰る際にすれ違う時とか、「ちょっと時間とれないか?」と監督室へ呼ぶなど、1対1で話をするようにしました。

 

意外に思われるかもしれませんが、実はこのようにスタッフやメンバーの性格やタイプをつかみ、それぞれに合った対応をするよう心掛けると、逆に、リーダーや中間管理職のストレスも、減っていくものなのです。

 

「調子はどうだい?」という私の問いかけに、「別に、普通ッス」と応えたB君。多くの方なら思わずカチンとくるシーンでしょう。でも彼にしてみたら、特に悪気があるわけではないのです。単に、表現方法が下手なだけ。小学校や中学校の際、教育者に「そういう対応はダメだろ!」と指導されてこなかった、怒られてこなかっただけなのです。「野球が上手なだけではダメだ。野球できなくなったらどうする? あいさつはきちんとしろ。いつも笑顔でいろ」といった社会人としてのルール、マナーを教わってこなかった。考えをこのように転換できるようになると、カチンとこなくなりますし、ストレスも軽減できるものなのです。

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4.リーダーの「我慢」が、部下の主体性を伸ばす

私が監督になった頃、カープは長い低迷期にありました。それでも私は、監督就任会見で「優勝を目指します」とあえて宣言しました。

 

それは、選手たちの意識を変えるのが目的でした。なぜなら当時、選手の口から出てくるのは「Aクラスを目指します」、「クライマックスシリーズ出場を狙います」といった消極的な目標ばかり。確かに、カープは私が現役時代の1991年を最後に、リーグ優勝から遠ざかっていましたが、戦う前から、選手たちの心理は、1位ではなく、入賞を目指す寂しい状態になっていたのです。

 

そんなカープへ、私は「よし、このチームを変えてやる!」と意気揚々で飛び込んでいきました。監督になって最初のシーズンは、自ら指示を出し、自分で行動してと、とにかくなんでも自分でやりました。自分でやらないと不安だったのです。

 

そうして迎えた監督就任1年目。自分から勢力的に動き回り、チームを変えてやると意気込んで臨んだシーズンも、蓋を開けてみたら、結果は5位に終わりました。

 

シーズン終了後、なぜ結果が出なかったのか? 冷静に考えてみました。すると、私自身はどうだったのか? 選手やコーチへの接し方はどうだったのか? 自分の言い方が悪かったのではないか?…と、選手やコーチたちではなく、自分に反省の矛先が向かったのです。

 

そこで2年目からは、キャンプの時点から自分で口を出す機会を極力減らすよう心掛けました。その代わり、指導を任せるコーチの方々とのミーティングでは「野村が目指す野球はこういうものです」「こういうピッチャーやバッターを育ててください!」などと、再三にわたってお願いをしていました。

 

でも「チームを変えてやる!」と意気込んでチームに帰ってきた私にとって、口を出さない、出せないというのは、ものすごくつらいことでした。なので、練習が始まると、わざと違うところへいって、練習を見ないようにしていたほどです。近くで見ていると、なにかしら口を挟みたくなりますからね。全体練習の時には、ダイヤモンドではなく外野へ移動し、外野で練習が始まるとブルペンへ、といった具合に、少し引いた位置からチームを見るようにしていました。

 

マスコミの人や周りの人からは「野村はやる気があるのか?」と思われていたみたいですが、私としてはものすごく我慢していたのです。でもその結果、コーチの方が手を抜けないと感じてくれたみたいで、逆に練習は熱が帯びたようでした。

 

<後編へ続く>

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<最新著書>
野村の考え。やる気にさせる組織の作り方

2010年から5年間、広島東洋カープの監督を務めた野村謙二郎さん。それまで万年Bクラスだったチームを立て直し、2013年には初めてクライマックスシリーズに進出。翌2014年も同シリーズへ進出し、優勝を狙えるチームをつくりあげた。そして2016年、カープは25年ぶりにリーグ優勝。それは、元監督の野村さんが種をまき育てたことが、大きく花開いた瞬間でもあった。本書は、カープ黄金期の礎を築いた野村さんが、自身の野球に対する取り組み方や考え方、チームマネージメントなどを通じ、企業で生きるリーダーのあり方などを語った1冊。カープファンや野球ファンのみならず、ビジネスパーソンも必見の内容だ。

広島カープ前監督 野村謙二郎さんが明かす人心掌握術。 「部下の能力を解き放つリーダーがしている7つの行動」 前編

2016年シーズン、25年ぶりにプロ野球セントラルリーグを制覇した広島東洋カープ。17年もレギュラーシーズンを圧倒的な強さで制し、見事に連覇を達成。まさに、黄金期の到来を予感させる。

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巷で言われている豊富な練習量は、もちろんカープの強さの源だが、実はそれ以外にも、選手一人ひとりの個性を活かし、それぞれのパフォーマンスを最大に引き出す指導法や環境づくりも、いまのチームをつくりあげた大きな原動力になったという。

 

そんな最強チームをつくりあげた立役者のひとりが、前監督の野村謙二郎さん。野村さんはBクラスの常連だったカープをどのようにして立て直し、いかにして強いチームへと成長させたのか? 野村さんがご自身の体験から習得されたリーダーシップ論や組織マネージメント術は、野球の世界だけにとどまらず、まさにビジネスパーソンも必見の内容。野村さんに教えていただく「最強の”カープ”仕事術」を前後編にわたってご紹介します。

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<プロフィール>
野村謙二郎(のむら・けんじろう)
1966年、大分県生まれ。佐伯鶴城高校から駒沢大学へ進学。大学4年時にソウル五輪に野球日本代表として出場し、銀メダルを獲得した。88年のドラフト1位で広島東洋カープへ入団。90、91年と2年連続で盗塁王を獲得。91年はリーグ優勝にも貢献。95年には打率.315、32本塁打、30盗塁をマークし、史上6人目のトリプルスリーを達成した。2005年、通算2000本安打を達成し、その年を最後に現役引退。その後、野球解説者などを経て、10年に広島東洋カープの監督に就任する。就任当初は下位に低迷するものの、13年、14年と、2年続けてクライマックスシリーズ進出を果たす。14年シーズン限りで監督を退任。現在は野球解説者として活躍する傍ら、MLBカンザスシティ・ロイヤルズの編成部門アドバイザーを務めるほか、広島大学大学院の教育学部で健康スポーツ教育学を専攻し改めてコーチングを学んでいる。著書は『変わるしかなかった。』(ベストセラーズ)。共著に『広島カープの血脈』(山本浩二氏との共著/KADOKAWA)、『広島カープ最強伝説の幕開け』(大野豊氏との共著/宝島社)がある。

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1.イエスマンにならない。NOの理由を言葉できちんと説明する

私は高校、大学時代に主将に指名され、プロ入り後もカープの選手会長を任されました。そうしたチームリーダーというのは、会社に置き換えると中間管理職のようなポジションといえます。

 

キャプテンやリーダーに指名される人間には、必ず資質があります。野球の経験を踏まえていうと、まずある程度、技術を持っていなければいけません。会社に置き換えて考えると、仕事ができなければいけないわけです。

 

その上で、自分の意見をはっきり言える、自分の意見に筋がとおっている人物こそが、リーダーに選ばれるのだと考えています。

 

そういった資質は、皆さん、学生時代に現れ始めるものかもしれません。私自身を振り返ってみると、大学時代にキャプテンを任されたことが、その後を左右する貴重な経験となりました。

 

大学1年生から見た大学4年生というのは、結構”オジサン”です(笑)。1年生の頃は、4年生のキャプテンのやっていることや、働きぶりというのは、全く分かりませんでした。でも、いざ自分がキャプテンになってみると、それまでとはお付き合いする方たち、そしてお付き合いの仕方が大きく変わったのです。

 

例えば、大学野球連盟の会議に出席させてもらう。するとそこで、運営されている大人の方たちと話をします。そういった場では、もちろん相手に失礼があってはいけないので立ち居振る舞いには気を配りますし、その上で、こちらも自分たちの意見を伝えなければいけません。そういった舞台に立たせてもらったのは、私にとって初めての経験でした。世の中から見たら取るに足らない小さな出来事だったのかもしれませんが、人生の準備段階において、素晴らしい経験をさせていただいたと感じています。

 

その後、私はドラフトを経てプロ野球の世界に入ります。チームの先輩やコーチたちは、テレビや新聞などで見たことがある人。プロの世界で活躍されている方ばかりです。そういった方たちに、プロ1年生の私が認めてもらうためには、まずは仕事をしっかりこなさなければいけない。プレーで認めてもらいたいと考えたわけです。その上で、皆さんとのお付き合い、コミュニケーションがしっかりできるよう注意しました。

 

コミュニケーションがしっかりできる、というのは、単なるイエスマンにならない、と言い換えられるかもしれません。先輩や上司から「こうしろ」「ああしろ」といわれた際、違うと思ったら「違います」、イヤと思ったら「イヤです」と応えられる人間。しかも、なぜ違うのか、どうしてイヤなのか、その理由まではっきり伝えられること。そういう人は、上からも下からも、周りから自然と頼られる人でしょう。それこそが、リーダーに欠かせない要素、資質のひとつだと思うのです。

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2.部下や後輩の表情を読み取り、疑問を解消してやる

プロ入り直後は、周りにいるのはプロの先輩ばかり。「こうやれ」「ああやれ」と言われたら「やらなければいけないんだ」と受け止める自分がいる半面、「なぜやらなければならないのだろう?」と疑問に思うことも何度かありました。

 

しかし、そういう声というのは、上の方には伝えにくい。なかなか言えないですよね。それでも、自分が見て、感じて、実際にやってみて、やっぱりおかしいな、と感じたら、私はできるだけ、先輩やコーチにその疑問を投げ掛けるようにしていました。

 

でも、その時に「いいんだよ、黙ってやれ」といった対応をされる先輩やコーチに対しては、正直、不満を感じたのも事実です。逆に「この練習はこういう理由があるからやるんだよ」としっかり説明してくださる先輩やコーチに対しては、私自身も理解でき、納得でき、練習にも身が入ったものです。

 

こうしたケースというのは、実は会社組織においても見受けられるものではないでしょうか。部下が相談に来た際、中間管理職の方の説明や教えを理解してもらえず、部下に「え!?」っという不満の表情をされるーー。

 

その時、中間管理職の方は「いいから、とにかくやれ!」といって部下を突き放すのではなく、相手の相談内容に対して静かに耳を傾け、部下の顔を見て話をし、部下の表情を読み取る。その上で、部下の疑問を受け付け、真摯に答える。そういう姿勢が大事だと思うのです。

 

「こいつ今、オレに対して疑問を抱いたな」とか「納得していないな」というのを見抜いたからといって、「いいよもう、アイツなんて」と部下を突き放してしまうと、組織やチームのピラミッドが崩壊してしまいます。それがエスカレートすると、部下の存在がうっとうしく感じられ、最終的にはパワハラへとつながってしまいかねません。

 

現役時代を振り返ってみると、私が練習内容に疑問を抱いて質問した際、「なるほど、そういう考えもあるな」と理解していただき、意見を認めてくださる先輩やコーチの方とはコミュニケーションをとりやすく、いっしょに仕事をしやすいなと感じたものです。そういうムードというのは、野球界だけでなく、きっと会社組織でも同じではないでしょうか。

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3.部下の性格やタイプを見極めて対応・起用する

監督時代、試合前の練習では、バッティングケージの後ろから野手のフリーバッティングをチェックするのが日課でした。私は彼らの練習を見ながら「おはよう、調子どうだい?」など、できるだけ皆に声を掛けるよう心掛けていました。

 

ある日、A君、B君、C君という、性格の異なる3選手がバッティング練習をしていました。

 

その日、A君はとてもいい感じで打っていました。「良い感じだね」と声を掛けると「ありがとうございます!」と彼。重ねて「今日は2、3本いけるね?」と褒めると、A君は「頑張ります!」といって足取り軽くロッカールームへと帰って行きます。

 

次はB君です。「調子はどう?」と声を掛けると「別に。普通ッス」とぶっきらぼうな反応。でも、調子は良さそうだったので「感じ、いいね!」と声を掛けると、今度もまた「え、そうですか? 普通ッス」と彼。最後に「今日も頼むよ」と盛り上げても、B君は「ういッス」とだけ言ってロッカールームへと戻っていきます。

 

そして、最後はC君です。私は彼の練習ももちろんチェックしていたのですが、取材の対応など他のことに追われ、彼に声を掛けるのを忘れていました。するとC君は、私がA君、B君に私が声を掛けていたのに、自分には声を掛けてこないことを不安に感じたのか、練習を終えると、私の周りを行ったり来たりしていたのです。

 

C君としては、監督である私に声を掛けて欲しいのです。「僕はどうでしたか?」と評価をして欲しいのです。そこで私が「ごめんごめん、もちろん見ていた、良かったよ!」と声を掛けると、C君は「ありがとうございます!」といって、ロッカールームへ駆け足で帰っていきました。

 

A君は明るく、C君はかわいい。でもB君に対しては「なんだコイツは!?」って思っちゃいますよね。でも、チームや組織を率いる監督やリーダーは、そのB君タイプの人間の性格こそ、しっかり把握し、きちんと対応しなくてはいけないのです。

 

そこで私は、B君はシャイなのかな、と彼の性格を予想し、毎日のあいさつ以外は、できるだけ人前で声を掛けないようにしました。例えば、グラウンドに大勢の人が居る時は、みんなに聞こえるような声では会話をしない。話をするのなら、ロッカールームへ帰る際にすれ違う時とか、「ちょっと時間とれないか?」と監督室へ呼ぶなど、1対1で話をするようにしました。

 

意外に思われるかもしれませんが、実はこのようにスタッフやメンバーの性格やタイプをつかみ、それぞれに合った対応をするよう心掛けると、逆に、リーダーや中間管理職のストレスも、減っていくものなのです。

 

「調子はどうだい?」という私の問いかけに、「別に、普通ッス」と応えたB君。多くの方なら思わずカチンとくるシーンでしょう。でも彼にしてみたら、特に悪気があるわけではないのです。単に、表現方法が下手なだけ。小学校や中学校の際、教育者に「そういう対応はダメだろ!」と指導されてこなかった、怒られてこなかっただけなのです。「野球が上手なだけではダメだ。野球できなくなったらどうする? あいさつはきちんとしろ。いつも笑顔でいろ」といった社会人としてのルール、マナーを教わってこなかった。考えをこのように転換できるようになると、カチンとこなくなりますし、ストレスも軽減できるものなのです。

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4.リーダーの「我慢」が、部下の主体性を伸ばす

私が監督になった頃、カープは長い低迷期にありました。それでも私は、監督就任会見で「優勝を目指します」とあえて宣言しました。

 

それは、選手たちの意識を変えるのが目的でした。なぜなら当時、選手の口から出てくるのは「Aクラスを目指します」、「クライマックスシリーズ出場を狙います」といった消極的な目標ばかり。確かに、カープは私が現役時代の1991年を最後に、リーグ優勝から遠ざかっていましたが、戦う前から、選手たちの心理は、1位ではなく、入賞を目指す寂しい状態になっていたのです。

 

そんなカープへ、私は「よし、このチームを変えてやる!」と意気揚々で飛び込んでいきました。監督になって最初のシーズンは、自ら指示を出し、自分で行動してと、とにかくなんでも自分でやりました。自分でやらないと不安だったのです。

 

そうして迎えた監督就任1年目。自分から勢力的に動き回り、チームを変えてやると意気込んで臨んだシーズンも、蓋を開けてみたら、結果は5位に終わりました。

 

シーズン終了後、なぜ結果が出なかったのか? 冷静に考えてみました。すると、私自身はどうだったのか? 選手やコーチへの接し方はどうだったのか? 自分の言い方が悪かったのではないか?…と、選手やコーチたちではなく、自分に反省の矛先が向かったのです。

 

そこで2年目からは、キャンプの時点から自分で口を出す機会を極力減らすよう心掛けました。その代わり、指導を任せるコーチの方々とのミーティングでは「野村が目指す野球はこういうものです」「こういうピッチャーやバッターを育ててください!」などと、再三にわたってお願いをしていました。

 

でも「チームを変えてやる!」と意気込んでチームに帰ってきた私にとって、口を出さない、出せないというのは、ものすごくつらいことでした。なので、練習が始まると、わざと違うところへいって、練習を見ないようにしていたほどです。近くで見ていると、なにかしら口を挟みたくなりますからね。全体練習の時には、ダイヤモンドではなく外野へ移動し、外野で練習が始まるとブルペンへ、といった具合に、少し引いた位置からチームを見るようにしていました。

 

マスコミの人や周りの人からは「野村はやる気があるのか?」と思われていたみたいですが、私としてはものすごく我慢していたのです。でもその結果、コーチの方が手を抜けないと感じてくれたみたいで、逆に練習は熱が帯びたようでした。

 

<後編へ続く>

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<最新著書>
野村の考え。やる気にさせる組織の作り方

2010年から5年間、広島東洋カープの監督を務めた野村謙二郎さん。それまで万年Bクラスだったチームを立て直し、2013年には初めてクライマックスシリーズに進出。翌2014年も同シリーズへ進出し、優勝を狙えるチームをつくりあげた。そして2016年、カープは25年ぶりにリーグ優勝。それは、元監督の野村さんが種をまき育てたことが、大きく花開いた瞬間でもあった。本書は、カープ黄金期の礎を築いた野村さんが、自身の野球に対する取り組み方や考え方、チームマネージメントなどを通じ、企業で生きるリーダーのあり方などを語った1冊。カープファンや野球ファンのみならず、ビジネスパーソンも必見の内容だ。