文句なしのカッコ良さ! ボルボのEV第1弾「C40 リチャージ」の走りはどう?

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をする「クルマの神は細部に宿る。」。今回は、全ラインナップEV化宣言をしたボルボのEV第1弾モデルを取り上げる! カッコは良いが、走りはどうだ?

※こちらは「GetNavi」 2023年1月号に掲載された記事を再編集したものです

 

 

【レビュアーPROFILE】

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。初老となり運転支援装置の必然性を実感。クルマを評論する際に重要視するように。

 

安ド

元GetNavi編集部員で、現在ではフリーエディター。妻子を抱えても愛車はMTにこだわっている。

 

【今月のGODカー】ボルボ/C40 リチャージ

SPEC【プラス・シングルモーター】●全長×全幅×全高:4440×1875×1595mm●車両重量:2000kg●パワーユニット:電気モーター●総電力量:69kWh●最高出力:231PS/4919〜11000rpm●最大トルク:33.6kg-m(330Nm)/0〜4919rpm●一充電走行距離:502km(WLTCモード)

659万円〜759万円(税込)

 

素晴らしい性能だけに日本のEV充電の利便性が残念

安ド「殿! この連載にボルボが登場するのは久しぶりですね!」

 

永福「うむ」

 

安ド「久しぶりに登場のボルボは、EVの『C40 リチャージ』です!」

 

永福「EVか……」

 

安ド「そんな憂鬱そうな顔をしないでください!」

 

永福「ボルボはディーゼルエンジンの販売をすでにやめ、ガソリン車の販売も近い将来やめると、急激に電動化を進めている。しかし日本で乗ることを考えると、まだEVを買う気にはなれないのだ」

 

安ド「でも、このC40 リチャージ、素晴らしかったですよ!」

 

永福「たしかに素晴らしいな」

 

安ド「デザインは間違いなくカッコ良いですし、走りも2tという車両重量を考えると、あれだけギュンギュン走るのはスゴいです。カーブでも安定してますね!」

 

永福「付け加えると、乗り心地が絶妙だし、内装のセンスも良い」

 

安ド「今回乗ったのはFFの『シングルモーター』でしたけど、4WDの『ツインモーター』も乗ってみたいです!」

 

永福「ツインモーターの加速はこんなもんじゃないぞ」

 

安ド「そうなんですか!」

 

永福「シングルモーターの最高出力231PSに対して、ツインモーターは408PS。停止状態から100km/hまでの加速は、私が以前乗っていたフェラーリ『458イタリア』とほぼ同じだ」

 

安ド「エエッ! そんなに速いんですか!」

 

永福「うむ。実は乗ったことはないのだが、想像はつく。スーパーEVの加速感は、どれも似たようなものだ」

 

安ド「無音でグワーンと加速するんですね!?」

 

永福「うむ。最初は感動するが、飽きてしまう。このシングルモーターで十分だろう」

 

安ド「そう思います! 値段もツインモーターより100万円安いですし」

 

永福「しかし、このクラスのEVは、日産もトヨタもヒョンデも、どれも同じに思えてしまう。ただひとつ違うのは、テスラだ」

 

安ド「えっ、殿はテスラ派ですか?」

 

永福「もちろんだ。テスラが断然優れている」

 

安ド「テスラのどこがそんなに優れているんですか?」

 

永福「独自の充電ネットワーク『テスラ スーパーチャージャー』を持っていることだ。テスラだけが、日本の要所要所で、テスラ専用の充実した超高速充電サービスを受けられる。他のEVは、順番待ちして1回30分ほど急速充電して、それで100kmちょいしか走れない。この差はあまりにも大きい」

 

安ド「そうなんですか!」

 

永福「日本のEV界では、テスラだけが貴族で、あとは庶民なのだ。ボルボだろうとジャガーだろうと、サービスエリアなどで充電の順番待ちをする必要がある。EVはクルマの性能より、充電の利便性が圧倒的に重要なのだ」

 

安ド「勉強になりました!」

 

【GOD PARTS 1】フロントグリル

穴は埋められたが下部に謎の隙間あり

XC40には立派なグリル(空気取り入れ口)がありましたが、このC40はEVなのでエンジン車のように吸気を必要とせず、フタのようなもので埋められています。が、よく見ると下にちょっと隙間があって、微妙な表情を形作っています。

 

【GOD PARTS 2】リアシート脇の小物入れ

何を入れるか悩む収納スペース

リアシートの脇には、コンパクトな小物入れが設置されています。こういった場所に小物入れがあるクルマはなかなか見ませんが、スッと手の届くところにあるので便利といえば便利。使わないといえば使いませんが。

 

【GOD PARTS 3】スターターレス

キーを挿して回すこともボタンも押すこともなし

スターターボタンもキーを挿すキーシリンダーもありません。では、どうやって走り出せばいいのかというと、ただキーを携帯しながら運転席に座るだけ。これだけで勝手にモーターが起動し、シフトを「D」レンジに入れればもう走れます。

 

【GOD PARTS 4】エンブレム

小さな文字で書かれたオシャレネーム

リアには「RECHARGE(リチャージ)」と車名が書かれたエンブレムが貼られています。意味は「充電する」ということで、ボルボのピュアEV第一弾ということを高らかに謳っています。なお、ツインモーターの4WDは、この下に「TWIN(ツイン)」と付きます。

 

【GOD PARTS 5】ボンネット下収納

フタの下のフタの下に厳重に守られたスペース

モーターをフロントの床下に積むこのクルマでは(4WDモデルはリアの床下にもモーター)、ボディ前方に収納スペースが用意されています。ボンネットを開けてみると、さらにもう1枚フタが……。なんだかマトリョーシカみたいでした。

 

【GOD PARTS 6】レザーフリーインテリア

まるで本革のような質感の新素材を採用

その名のとおり内装に革素材が使われていません。自然環境を守るというボルボの強い意思が感じられますが、なんとボルボはまるで革のようなタッチのインテリア素材を開発! 自然な肌触りで、言われるまで気付きませんでした。

 

【GOD PARTS 7】リアコンビランプ

技術の進歩が生み出した複雑にねじられた形状

まるで「S」のような、いや、「L」と「E」を組み合わせたような複雑怪奇な形状をしています。さらに、触ってみるとかなり凸凹していて、カッコ良いかどうかは別にして、昨今のクルマパーツ業界における造形技術の進歩が感じられます。

 

【GOD PARTS 8】ルーフ&テールゲートスポイラー

上でも下でも整流してさらなる効率化を実現

スポイラーというパーツはスポーツカーに装着されるものだと思われがちですが、実は空力を整えることは燃料消費量にも好影響を及ぼします。C40 リチャージは最新のEVということで、これ見よがしに、上下2段のスポイラーを付けています。

 

【GOD PARTS 9】シフトノブ

穴の空いた形状はどこからきたのか?

ボルボのインテリアといえば、以前はセンターコンソールに左右貫通した横穴が象徴的でしたが、この最新モデルではシフトノブに横穴が残されていました。ここに指を通して操作するわけではなく、ただのオシャレデザインなんでしょうね。

 

【これぞ感動の細部だ!】ワンペダルドライブ

強烈なブレーキ感覚に慣れてEV時代に備えよ

日本では日産のe-POWERでお馴染みかもしませんが、アクセルペダルだけで加速も減速も停止もできる「ワンペダルドライブ」機能がこのC40 リチャージにも搭載されています。しかし、アクセルペダルを緩めたときの回生ブレーキはかなり強烈。これをギクシャクしないように運転することがEVとの共存の第一歩と思って、修行に励みましょう。

 

撮影/池之平昌信

 

 

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輸入クーペらしい2台! BMW「2シリーズ・クーペ」とボルボ「C40リチャージ」を試乗レポート

気になる新車を一気乗り! 今回の「NEW VEHICLE REPORT」はBMWの新型2シリーズ・クーペとボルボのピュアEVクーペとなるC40リチャージを取り上げる。前者はBMWの伝統を守るコンパクト、後者はSUVとのクロスオーバーという違いはあるが、いずれも輸入車のクーペらしさを感じられるモデルだ。

※こちらは「GetNavi」 2022年8月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【その1】4WDでも後輪駆動のBMWらしさを満喫!

クーペ

BMW

2シリーズ・クーペ

SPEC【M240i xDriveクーペ】●全長×全幅×全高:4560×1825×1405mm●車両重量:1710kg●総排気量:2997cc●パワーユニット:直列6気筒DOHC+ターボ●最高出力:387PS/5800rpm●最大トルク:51.0kg-m/1800〜5000rpm●WLTCモード燃費:10.9km/L

 

パワフルかつ爽快な伝統の操縦性は健在!

他の2シリーズとは異なり、引き続き伝統の後輪駆動レイアウトをベースとする2ドアクーペが登場。先代と比較すればボディは特に前後方向が拡大されているが、それでも現行BMWのなかでは最もコンパクトな後輪駆動モデルというポジションを保持している。

 

日本向けのパワーユニットは、4気筒2Lガソリンターボと3L直列6気筒ガソリンターボの2タイプ。トランスミッションはいずれも8速ATとなるが、駆動方式は2Lが後輪駆動なのに対し、3Lは4WDを組み合わせているのが先代モデルとの大きな違いだ。

 

今回はその最上級グレードとなるM240iに試乗したが、4WDとはいえ後輪駆動的なハンドリングを披露する点はいかにもBMW。現状先代モデルに用意されたMTの設定はないが、単にパワフルなだけではなく、吹け上がりに爽快さを感じられる6気筒ともども、伝統的なBMWらしい操縦性を味わうには、まさにうってつけの1台に仕上げられている。

 

[Point 1]伝統的なクーペのスタイルを継承

他の2シリーズはFF駆動を基本とした骨格を採用するが、この2ドアクーペのみエンジンを縦置きにするFRベースの骨格を採用。結果としてスタイリングはよりクーペらしさが強調されることに。

 

[Point 2]室内は兄貴ぶんの4シリーズ譲り

FRベースの基本骨格を採用するため、室内の作りも他の2シリーズとは別物。兄貴ぶんにあたる4シリーズに近い仕立てとなる。乗車定員は後席が2人掛けとなる4名だ。

 

[Point 3]クーペとしての実用性は上々

荷室容量はグレードを問わず通常時で390Lを確保。ドイツメーカーのクーペらしく、コンパクト級といえども実用性はハイレベルだ。

 

[Point 4]パワーユニットは2タイプ

日本仕様のエンジンは、これもBMWらしい直列6気筒の3Lターボ(写真)と4気筒2Lターボの2本立て。ミッションは、いずれも8速ATを組み合わせている。

 

[ラインナップ](グレード:エンジン/駆動方式/ミッション/税込価格)

220iクーペ・スタンダード: 2.0L+ターボ/2WD/8速AT/508万円

220iクーペ・スポーツ:2.0L+ターボ/2WD/8速AT/550万円

M240i xDriveクーペ:3.0L+ターボ/4WD/8速AT/758万円

 

 

【その2】ピュアEVでも走りはスポーティなクーペ級!

BEV

ボルボ

C40リチャージ

SPEC【ツインモーター】●全長×全幅×全高:4440×1875×1595mm●車両重量:2160kg●パワーユニット:電気モーター(交流同期電動機)×2●バッテリー総電力量:78kWh●最高出力:408PS/4350〜13900rpm●最大トルク:67.3kg-m/0〜4350rpm●一充電走行距離(WLTCモード):485km

 

EVらしい刺激も味わえる初の日本向けボルボEV

C40リチャージは、日本向けのボルボでは初となるピュアEV。ベースはコンパクトSUVのXC40だが、その外観はグラスエリアをコンパクトにまとめ、クーペとSUVのクロスオーバーモデルに仕立てられている。とはいえ室内や荷室回りの空間はSUVとしても十分に通用する広さを確保。車内を明るく演出するサンルーフが装備されることもあって、大人が後席に座る場合でも狭いと感じるようなことはない。

 

また、最新のボルボらしく室内はレザーフリーとして再生素材を積極採用するなど、環境にも配慮した作り。プレミアムなモデルらしい高級感を演出しつつ、高い社会性も兼ね備えている。

 

ピュアEVのパワートレインは、前輪を駆動するシングルモーター仕様と、後輪にもモーターを配したツインモーターの2種。今回の試乗車は後者だったが、その走りはスポーティなクーペ風の見た目に違わない刺激に満ちていた。最新のEVでは、エンジン車から乗り換えた際の違和感を排除する狙いからアクセル操作に対する反応を穏やかにしたものもあるが、C40リチャージは電気モーターの力強さをダイレクトに表現。EVが退屈なクルマではない、ということを実感するにはピッタリな1台に仕上げられている。

 

[Point 1]クーペボディはEV専用

クロスオーバーモデルとなるC40は、グラスエリアをタイトに仕上げてクーペらしさを演出。搭載するパワーユニットはEVのみ。7月にはXC40(コンパクトSUV)のピュアEV版もオンライン購入サイトがオープン。

 

[Point 2]室内はサステナブルな作り

Androidベースのインフォテインメントを標準搭載。サンルーフを装備して、開放感ある室内を実現した。レザーフリーで、再生素材のカーペットを採用するなど、環境にも配慮。

 

[Point 3]使い勝手はSUV級

荷室容量は通常時でも413L。最大で1205Lに拡大するなど、使い勝手はSUVとして満足できる水準。またフロントフード下にも収納スペースが備わる。

 

[Point 4]充電プラグは2か所

急速充電(写真)、普通充電プラグはボディ左側の2か所。パワートレインは前輪を駆動するシングルモーターと後輪にもモーターが備わるツインの2種類を用意。

 

 [ラインナップ](グレード:エンジン/駆動方式/税込価格)

プラス・シングルモーター:電気モーター/2WD/599万円

アルティメート・ツインモーター:電気モーター×2/4WD/699万円

 

文/小野泰治 撮影/郡 大二郎

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

EVらしい刺激も味わえる初の日本向けボルボEV「C40リチャージ」

気になる新車を一気乗り! 今回の「NEW VEHICLE REPORT」はBMWの新型2シリーズ・クーペとボルボのピュアEVクーペとなるC40リチャージを取り上げる。前者はBMWの伝統を守るコンパクト、後者はSUVとのクロスオーバーという違いはあるが、いずれも輸入車のクーペらしさを感じられるモデルだ。

※こちらは「GetNavi」 2022年8月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

ピュアEVでも走りはスポーティなクーペ級!

BEV

ボルボ

C40リチャージ

SPEC【ツインモーター】●全長×全幅×全高:4440×1875×1595mm●車両重量:2160kg●パワーユニット:電気モーター(交流同期電動機)×2●バッテリー総電力量:78kWh●最高出力:408PS/4350〜13900rpm●最大トルク:67.3kg-m/0〜4350rpm●一充電走行距離(WLTCモード):485km

 

EVらしい刺激も味わえる初の日本向けボルボEV

C40リチャージは、日本向けのボルボでは初となるピュアEV。ベースはコンパクトSUVのXC40だが、その外観はグラスエリアをコンパクトにまとめ、クーペとSUVのクロスオーバーモデルに仕立てられている。とはいえ室内や荷室回りの空間はSUVとしても十分に通用する広さを確保。車内を明るく演出するサンルーフが装備されることもあって、大人が後席に座る場合でも狭いと感じるようなことはない。

 

また、最新のボルボらしく室内はレザーフリーとして再生素材を積極採用するなど、環境にも配慮した作り。プレミアムなモデルらしい高級感を演出しつつ、高い社会性も兼ね備えている。

 

ピュアEVのパワートレインは、前輪を駆動するシングルモーター仕様と、後輪にもモーターを配したツインモーターの2種。今回の試乗車は後者だったが、その走りはスポーティなクーペ風の見た目に違わない刺激に満ちていた。最新のEVでは、エンジン車から乗り換えた際の違和感を排除する狙いからアクセル操作に対する反応を穏やかにしたものもあるが、C40リチャージは電気モーターの力強さをダイレクトに表現。EVが退屈なクルマではない、ということを実感するにはピッタリな1台に仕上げられている。

 

[Point 1]クーペボディはEV専用

クロスオーバーモデルとなるC40は、グラスエリアをタイトに仕上げてクーペらしさを演出。搭載するパワーユニットはEVのみ。7月にはXC40(コンパクトSUV)のピュアEV版もオンライン購入サイトがオープン。

 

[Point 2]室内はサステナブルな作り

Androidベースのインフォテインメントを標準搭載。サンルーフを装備して、開放感ある室内を実現した。レザーフリーで、再生素材のカーペットを採用するなど、環境にも配慮。

 

[Point 3]使い勝手はSUV級

荷室容量は通常時でも413L。最大で1205Lに拡大するなど、使い勝手はSUVとして満足できる水準。またフロントフード下にも収納スペースが備わる。

 

[Point 4]充電プラグは2か所

急速充電(写真)、普通充電プラグはボディ左側の2か所。パワートレインは前輪を駆動するシングルモーターと後輪にもモーターが備わるツインの2種類を用意。

 

 [ラインナップ](グレード:エンジン/駆動方式/税込価格)

プラス・シングルモーター:電気モーター/2WD/599万円

アルティメート・ツインモーター:電気モーター×2/4WD/699万円

 

文/小野泰治 撮影/郡 大二郎

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

安全なクルマ“四天王”の先進技術を徹底診断!

高級車から軽自動車まで多くのクルマに導入が進んでいる予防安全技術。そのなかでも交通事故ゼロを目指して、予防安全にいち早く着目して独自の技術開発を進めてきた「安全なクルマ」四天王の先進技術のスゴさを診断する。

※こちらは「GetNavi」 2021年1月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

私たちが解説します

自動車・環境ジャーナリスト

川端由美

工学博士。エンジニアから自動車専門誌の編集部員に転身し、現在はフリーランスのジャーナリスト。テクノロジーとエコロジーを専門とする。

モータージャーナリスト

岡本幸一郎

高級輸入車から軽自動車まで幅広く網羅。各社の予防安全技術の多くを体験済み。日本・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員も務める。

 

【No.1】SUBARU/アイサイト

追突事故発生率はわずか0.06%! 高速道路で活躍する新機能も便利(川端)

SUBARU

レヴォーグ

310万2000円〜409万2000円

高速道路でのステアリング操舵支援や渋滞時ハンズオフ運転機能、自動車線変更などを実現する「アイサイトX」をオプションで設定。大型11.6インチのセンターディスプレイや12.3インチのフル液晶メーターなどが採用されている。

 

1999年から安全ひと筋 事故ゼロを目指し続ける

アイサイトは1999年からスバルがコツコツ開発してきた技術の蓄積から生まれた機能だ。実際の事故データでも驚く数字が出ており、アイサイトVer.3搭載車の追突事故発生率は、なんと0.06%(※)。一般的な事故発生率と比べると、ひとケタ小さい値だ。

 

新型レヴォーグに搭載された新世代のアイサイトはさらに進化。事故防止のためだけでなく、渋滞時のハンズオフ運転や料金所手前での自動減速など、高速道路で日常的に使える機能が充実した。レーダーにより交差点での飛び出しにも自動ブレーキがかかるなど、その性能はさらに向上している。

※:2014〜2018年の間に国内で販売したアイサイトVer.3搭載車の人身事故件数について調査した結果。公益財団法人 交通事故総合分析センターのデータを基にSUBARUが独自算出した

 

↑ステレオカメラの視野を広げ、コーナーレーダーを搭載。デジタルマップと複合させて、目では見えにくい物体まで検知する

 

↑アイサイトXでは、デジタルマップのデータとGPS情報を活用。高速道路のカーブ手前で、自動で減速する

 

↑前側方プリクラッシュセーフティでは、死角から近づく車両を検知。警告に加えて、自動ブレーキまで支援する

 

[川端さんの診断結果]

ブレーキ制御性能 ★★★★★

ステアリング制御性能 ★★★★★

市街地でのアシスト性能 ★★★★

高速道路でのアシスト性能 ★★★★★

 

【No.2】トヨタ/トヨタ セーフティセンス

高級車からコンパクトカーまで幅広く充実させるのはさすが(川端)

トヨタ

ヤリス クロス

179万8000円〜281万5000円

レーダークルーズコントロールをはじめとする高度な駐車支援システムや、もしものときにドライバーやクルマを助けるヘルプネットなど充実した装備を誇る。ハイブリッドモデルで最高30.8km/Lの燃費性能も優秀だ。

 

安全装備を幅広く展開して多くの人の安心につなげる

さすがトヨタ! と思うのは、クラウンのような高級車はもちろん、ヤリスのようなコンパクトカーまで安全装備を充実させている点。なぜなら、この種のエントリーカーの需要は、初心者や高齢者など運転技術に不安を抱くドライバーにこそ高いからだ。ヤリスなどで採用される駐車支援機能は、初心者にうれしい機能だろう。

 

交差点右折時に直進してくるクルマを検知するだけでなく、その先の横断歩道を渡る歩行者も検知してブレーキ操作支援を行うのは、優れたセンシング技術の賜物。これをコンパクトカーにも導入するのは、さすがトヨタ! である。

 

↑注目すべきは街灯のない夜の道でも自動ブレーキが作動する点。視野の悪い状況でのドライバー支援の機能も充実している

 

↑交差点を横断する歩行者を検知して、自動ブレーキをかける機能も搭載。優れたセンシング技術で実現した

 

↑駐車スペースへの誘導を行う機能を搭載。メモリ登録した区画線のない駐車スペースへも誘導してくれる

 

[川端さんの診断結果]

ブレーキ制御性能 ★★★★

ステアリング制御性能 ★★★

市街地でのアシスト性能 ★★★★★

高速道路でのアシスト性能 ★★★★

 

【No.3】ボルボ/インテリセーフ

独自の視点で予防安全を研究し先進技術を実現させる先駆者(岡本)

ボルボ

XC60

639万円〜949万円

車両や歩行者、サイクリスト、大型動物との衝突を回避、または衝突被害を軽減するための警告およびブレーキ作動を行うシティ・セーフティを搭載。全ラインナップが電動化を実現し、48Vマイルドハイブリッドとプラグ・イン・ハイブリッドモデルが揃う。

 

衝突軽減ブレーキの先駆者でいち早く歩行者などにも対応

日本では自動停止する機能が認められていなかったところ、その突破口を開いたのは日本のメーカーではなくボルボだ。完全停止可能なブレーキを日本で初めて導入したのが2009年のこと。以降、先進技術を次々に取り入れるとともに、いち早く歩行者やサイクリスト、大型動物なども検知できるようにした。最新の技術は被害軽減ブレーキの作動を自車線内に入ってきた対向車や右折時の対向車にも対応させたほか、ステアリングを制御して障害物との衝突回避や対向車線へのはみ出しからの復帰なども実現。より多くのシーンに対応できるように進化している。

 

↑様々な対象物を検知可能。交差点での右折時には対向車の動きを監視し、万一の際には被害軽減ブレーキを作動させる機能も

 

↑後方から追突の危険を検知した場合、ブレーキ力を高めて二次被害を予防する。シートベルトの巻き取りも行う

 

[岡本さんの診断結果]

ブレーキ制御性能 ★★★★

ステアリング制御性能 ★★★★★

市街地でのアシスト性能 ★★★★★

高速道路でのアシスト性能 ★★★★

 

【No.4】メルセデス・ベンツ/レーダーセーフティ

事故を検証することで生まれる予防安全技術は最先端をいく(岡本)

メルセデス・ベンツ

Eクラス

769万円〜1144万円

前方約250m、側方約40m、後方約80mを検知するレーダーと、約90mの3D視を含む約500m前方をカバーするステレオカメラを搭載。衝突時の衝撃音の鼓膜への影響を低減する「PRE-SAFEサウンド」技術も採用する。

 

SクラスからAクラスまで同等の機構を惜しみなく搭載

メルセデス車が関わった事故現場に急行してあらゆる形態の事故を検証してきた知見を活かし、安全性の向上に取り組んできたメルセデス・ベンツ。その答えのひとつがレーダーセーフティだ。自然現象の影響を受けにくいミリ波レーダーなどによって、周囲のクルマや状況を認識してドライバーをサポートする安全運転支援システム。これをすべてのモデルで搭載しているのも同社ならではだ。

 

最近では他社に先駆けてARナビも採用。カメラで捉えた前方風景をナビ画面に重ねることで運転に余裕を生む技術は、やはりメルセデスの知見が成せる先進性である。

 

↑移動したい方向へウィンカーを点滅させるだけで自動で車線変更が可能。高速道路などでの運転をラクにする

 

↑衝突時のダメージを最小限に抑える「PRE-SAFE」。わずか数秒の間に乗員の命を守りやすい状態に調整する

 

↑天候や周囲の明るさに影響を受けることなく高度な検知が可能なミリ波レーダー。多目的カメラと複数のセンサーを組み合わせて安全運転支援を行う

 

[岡本さんの診断結果]

ブレーキ制御性能 ★★★★★

ステアリング制御性能 ★★★★★

市街地でのアシスト性能 ★★★★

高速道路でのアシスト性能 ★★★★★

安全なクルマ“四天王”の先進技術を徹底診断!

高級車から軽自動車まで多くのクルマに導入が進んでいる予防安全技術。そのなかでも交通事故ゼロを目指して、予防安全にいち早く着目して独自の技術開発を進めてきた「安全なクルマ」四天王の先進技術のスゴさを診断する。

※こちらは「GetNavi」 2021年1月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

私たちが解説します

自動車・環境ジャーナリスト

川端由美

工学博士。エンジニアから自動車専門誌の編集部員に転身し、現在はフリーランスのジャーナリスト。テクノロジーとエコロジーを専門とする。

モータージャーナリスト

岡本幸一郎

高級輸入車から軽自動車まで幅広く網羅。各社の予防安全技術の多くを体験済み。日本・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員も務める。

 

【No.1】SUBARU/アイサイト

追突事故発生率はわずか0.06%! 高速道路で活躍する新機能も便利(川端)

SUBARU

レヴォーグ

310万2000円〜409万2000円

高速道路でのステアリング操舵支援や渋滞時ハンズオフ運転機能、自動車線変更などを実現する「アイサイトX」をオプションで設定。大型11.6インチのセンターディスプレイや12.3インチのフル液晶メーターなどが採用されている。

 

1999年から安全ひと筋 事故ゼロを目指し続ける

アイサイトは1999年からスバルがコツコツ開発してきた技術の蓄積から生まれた機能だ。実際の事故データでも驚く数字が出ており、アイサイトVer.3搭載車の追突事故発生率は、なんと0.06%(※)。一般的な事故発生率と比べると、ひとケタ小さい値だ。

 

新型レヴォーグに搭載された新世代のアイサイトはさらに進化。事故防止のためだけでなく、渋滞時のハンズオフ運転や料金所手前での自動減速など、高速道路で日常的に使える機能が充実した。レーダーにより交差点での飛び出しにも自動ブレーキがかかるなど、その性能はさらに向上している。

※:2014〜2018年の間に国内で販売したアイサイトVer.3搭載車の人身事故件数について調査した結果。公益財団法人 交通事故総合分析センターのデータを基にSUBARUが独自算出した

 

↑ステレオカメラの視野を広げ、コーナーレーダーを搭載。デジタルマップと複合させて、目では見えにくい物体まで検知する

 

↑アイサイトXでは、デジタルマップのデータとGPS情報を活用。高速道路のカーブ手前で、自動で減速する

 

↑前側方プリクラッシュセーフティでは、死角から近づく車両を検知。警告に加えて、自動ブレーキまで支援する

 

[川端さんの診断結果]

ブレーキ制御性能 ★★★★★

ステアリング制御性能 ★★★★★

市街地でのアシスト性能 ★★★★

高速道路でのアシスト性能 ★★★★★

 

【No.2】トヨタ/トヨタ セーフティセンス

高級車からコンパクトカーまで幅広く充実させるのはさすが(川端)

トヨタ

ヤリス クロス

179万8000円〜281万5000円

レーダークルーズコントロールをはじめとする高度な駐車支援システムや、もしものときにドライバーやクルマを助けるヘルプネットなど充実した装備を誇る。ハイブリッドモデルで最高30.8km/Lの燃費性能も優秀だ。

 

安全装備を幅広く展開して多くの人の安心につなげる

さすがトヨタ! と思うのは、クラウンのような高級車はもちろん、ヤリスのようなコンパクトカーまで安全装備を充実させている点。なぜなら、この種のエントリーカーの需要は、初心者や高齢者など運転技術に不安を抱くドライバーにこそ高いからだ。ヤリスなどで採用される駐車支援機能は、初心者にうれしい機能だろう。

 

交差点右折時に直進してくるクルマを検知するだけでなく、その先の横断歩道を渡る歩行者も検知してブレーキ操作支援を行うのは、優れたセンシング技術の賜物。これをコンパクトカーにも導入するのは、さすがトヨタ! である。

 

↑注目すべきは街灯のない夜の道でも自動ブレーキが作動する点。視野の悪い状況でのドライバー支援の機能も充実している

 

↑交差点を横断する歩行者を検知して、自動ブレーキをかける機能も搭載。優れたセンシング技術で実現した

 

↑駐車スペースへの誘導を行う機能を搭載。メモリ登録した区画線のない駐車スペースへも誘導してくれる

 

[川端さんの診断結果]

ブレーキ制御性能 ★★★★

ステアリング制御性能 ★★★

市街地でのアシスト性能 ★★★★★

高速道路でのアシスト性能 ★★★★

 

【No.3】ボルボ/インテリセーフ

独自の視点で予防安全を研究し先進技術を実現させる先駆者(岡本)

ボルボ

XC60

639万円〜949万円

車両や歩行者、サイクリスト、大型動物との衝突を回避、または衝突被害を軽減するための警告およびブレーキ作動を行うシティ・セーフティを搭載。全ラインナップが電動化を実現し、48Vマイルドハイブリッドとプラグ・イン・ハイブリッドモデルが揃う。

 

衝突軽減ブレーキの先駆者でいち早く歩行者などにも対応

日本では自動停止する機能が認められていなかったところ、その突破口を開いたのは日本のメーカーではなくボルボだ。完全停止可能なブレーキを日本で初めて導入したのが2009年のこと。以降、先進技術を次々に取り入れるとともに、いち早く歩行者やサイクリスト、大型動物なども検知できるようにした。最新の技術は被害軽減ブレーキの作動を自車線内に入ってきた対向車や右折時の対向車にも対応させたほか、ステアリングを制御して障害物との衝突回避や対向車線へのはみ出しからの復帰なども実現。より多くのシーンに対応できるように進化している。

 

↑様々な対象物を検知可能。交差点での右折時には対向車の動きを監視し、万一の際には被害軽減ブレーキを作動させる機能も

 

↑後方から追突の危険を検知した場合、ブレーキ力を高めて二次被害を予防する。シートベルトの巻き取りも行う

 

[岡本さんの診断結果]

ブレーキ制御性能 ★★★★

ステアリング制御性能 ★★★★★

市街地でのアシスト性能 ★★★★★

高速道路でのアシスト性能 ★★★★

 

【No.4】メルセデス・ベンツ/レーダーセーフティ

事故を検証することで生まれる予防安全技術は最先端をいく(岡本)

メルセデス・ベンツ

Eクラス

769万円〜1144万円

前方約250m、側方約40m、後方約80mを検知するレーダーと、約90mの3D視を含む約500m前方をカバーするステレオカメラを搭載。衝突時の衝撃音の鼓膜への影響を低減する「PRE-SAFEサウンド」技術も採用する。

 

SクラスからAクラスまで同等の機構を惜しみなく搭載

メルセデス車が関わった事故現場に急行してあらゆる形態の事故を検証してきた知見を活かし、安全性の向上に取り組んできたメルセデス・ベンツ。その答えのひとつがレーダーセーフティだ。自然現象の影響を受けにくいミリ波レーダーなどによって、周囲のクルマや状況を認識してドライバーをサポートする安全運転支援システム。これをすべてのモデルで搭載しているのも同社ならではだ。

 

最近では他社に先駆けてARナビも採用。カメラで捉えた前方風景をナビ画面に重ねることで運転に余裕を生む技術は、やはりメルセデスの知見が成せる先進性である。

 

↑移動したい方向へウィンカーを点滅させるだけで自動で車線変更が可能。高速道路などでの運転をラクにする

 

↑衝突時のダメージを最小限に抑える「PRE-SAFE」。わずか数秒の間に乗員の命を守りやすい状態に調整する

 

↑天候や周囲の明るさに影響を受けることなく高度な検知が可能なミリ波レーダー。多目的カメラと複数のセンサーを組み合わせて安全運転支援を行う

 

[岡本さんの診断結果]

ブレーキ制御性能 ★★★★★

ステアリング制御性能 ★★★★★

市街地でのアシスト性能 ★★★★

高速道路でのアシスト性能 ★★★★★

EVブランドへと舵を切ったボルボ、「V90クロスカントリー」の実力は本物か? ロングドライブで検証

クルマのキャラクターを「深く」理解する上で一番有効なのは、やはりそのクルマと長く接すること。そこで今回は2020年秋のアップデートで全グレードが電動化されたボルボのクロスオーバーSUV、V90クロスカントリーで北陸を目指してみました。プレミアムにして個性的選択でもあるこのモデル、果たしてどんな一面を見せてくれるのでしょうか?

 

ボルボV90クロスカントリー

744万円~904万円(試乗車:B6 AWD Pro 904万円)

SPEC【B6 AWD Pro】●全長×全幅×全高:4960×1905×1545mm●車両重量:1920kg●パワーユニット:1968cc直列4気筒DOHCターボ+電動スーパーチャージャー+電気モーター●最高出力:300ps/5400rpm●最大トルク:420Nm/2100~4800rpm●WLTCモード燃費:11.3km/L

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

 

2020年のボルボは日本仕様の全モデルをハイブリッドとプラグインハイブリッドに!

プレミアムブランドの中では、早々にパワーユニットのフル電動化に向けたビジョンを明確にしたボルボ。2020年も主力モデルが矢継ぎ早にアップデートされ、日本導入モデルはガソリンのハイブリッド、もしくはプラグイン・ハイブリッドにすべて置き換えられました。その結果、本格導入からさほど経っていないクリーンディーゼル仕様はすでに新車販売のラインナップからドロップしています。

 

ディーゼルはガソリンとは別途で整備体制を整えねばならない等、導入に際しては相応のコストが生じているはず。さらに近年、新車販売の主流となっているSUVカテゴリーではディーゼル人気が高いことまで含めると、個人的には初めて日本向けボルボのディーゼル撤退という話を耳にした際に「なんてもったいない!」という印象を抱きました。

 

ディーゼル版ボルボの商品力が決して衰えていなかったことを思えば、それはなおさらの話です。ですが今回、ハイブリッドとなったV90クロスカントリーに接したことで少なからず考え方が変わりました。なぜなら“プレミアム級”SUVのパワーユニットとして、ガソリンのハイブリッドがピッタリといえる仕事ぶりを披露してくれたからです。

↑エクステリアは、2017年の上陸以来初となるデザイン変更を受けました。前後バンパーやフロントグリル、アルミホイールの造形が変更されています

 

V90クロスカントリーのパワーユニットは48V電装を組み合わせたガソリンのハイブリッドに統一

さて、導入以来初の大幅アップデートとなったV90シリーズにおける最大のトピックは、先述の通りパワーユニットが一新されたことです。純内燃機関だったガソリン仕様の「T5」と「T6」、そしてクリーンディーゼルの「D4」に代わり、高効率な48V電装を組み合わせたガソリンハイブリッドの「B5」と、それに電動スーパーチャージャーを組み合わせた「B6」を新採用。また、ステーションワゴンのV90にはプラグインハイブリッドの「リチャージ・プラグイン・ハイブリッドT8」が新設定。導入される全グレードが、電動化モデルとなりました。

 

V90をベースとしたクロスオーバーSUV、V90クロスカントリーが搭載するのは250ps/350Nmを発揮するガソリンターボ+電気モーターのB5と300ps/420NmのB6。ハイブリッド化にあたって、2Lのガソリンターボは実に90%ものパーツが新設計。シリンダー表面処理の改良などで摩擦抵抗の低減を図るなど、高効率化と洗練度が高められたほか、条件に応じて2気筒での走行を可能にする気筒休止システムも組み合わせて経済性を向上させています。

 

また、48V電装の導入によって可能となったB6の電動スーパーチャージャーは絶対的なパフォーマンス向上に加え、従来のT6に採用されていたルーツ式スーパーチャージャー比でエンジン重量の低減や快適性の向上などにも貢献しています。

↑リアのコンビネーションランプも意匠が改められウインカーはシーケンシャルタイプに

 

安全性に定評あるボルボらしい新機軸としては180km/hの最高速度リミッターとケア・キー導入もニュースのひとつ。どちらもボルボ乗車中の死亡事故、重傷者の発生をゼロにすることを目的に採用されたもので、後者は運転経験が浅い、あるいは不慣れなドライバーに貸し出す際などに最高速度をリミッターより低く設定できるもの。人によっては「余計なお世話」と感じるかもしれませんが、古くから独自の事故調査チームを組織して安全性向上に取り組んできた、他ならぬボルボの決定だと思えば納得する人は多いはずです。また、日本の環境で走らせる限り、リミッターやケア・キーで不利益を被るユーザーはいないでしょう。むしろ、ケア・キーについては不測の事態における暴走抑止するという意味でのメリットも期待できるはずです。

 

持ち前の安全性の高さ、という点でも新しいV90シリーズは万全です。ボルボらしい「対向車対応機能」に代表される衝突回避・被害軽減ブレーキの最新版「シティセーフティ」に加え、全車速追従機能付きアダプティブ・クルーズコントロール(ACC)や車線維持支援機能、道路逸脱回避機能などは全車に標準で装備されています。

↑北欧神話にちなんで「トールハンマー」と名付けられたヘッドライトのT字型グラフィック。現代のボルボ・デザインにおける象徴的手法のひとつです

 

↑B6 AWD Proのホイールは、ダイヤモンドカット/マットグラファイトの2トーン仕立てとなる5Vスポーク。サイズは8.0J×20インチで、これに245/45R20サイズのタイヤを組み合わせています。B5ユニット搭載モデルのホイールサイズは18インチと19インチ

 

プレミアムなハイブリッド車に相応しい静粛性と振動の少なさでディーゼルとの違いをアピール!

今回北陸までの試乗に供されたのはV90クロスカントリーのトップグレードとなる「B6 AWD Pro」。名前の通り、搭載するパワーユニットは2Lガソリンターボ+電動スーパーチャージャー+電気モーターという“フルコンボ”状態。これに8速ATを組み合わせて、駆動はSUVモデルらしい4WDとなります。ちなみにB5を搭載するV90クロスカントリーも、トランスミッションと駆動方式はB6と同じ。装備内容がほぼ同じ仕様も選べますから、B5とB6のどちらを選ぶかは絶対性能の要求水準(と予算)次第というところでしょう。

 

試乗の行程に関する指定は特になし。東京を出発したら、あとは夜までに金沢に到着すればOKという、良い意味で緩いものでした。そこで、カメラマン氏の提案により経由地を飛騨市に設定。今回は古典的な日本の風景とV90クロスカントリーの組み合わせで行こう、ということに。

 

まずは、都内から首都高速を経て中央道を目指したのですが、走り出して最初に実感したのは黒子に徹するエンジンの仕事ぶりでした。いまや音や振動が煩わしいディーゼルなど、少なくともプレミアムを自認するブランドのクルマでは皆無。ボルボのディーゼルもその例に漏れませんでしたが、新しいB6はそれに輪をかけて静粛、かつ振動の類がありません。快適性の点においてガソリンとディーゼルに極端な差がないのはいまや常識。とはいえ、たとえばエンジン違いの同じクルマで比較すれば、音にしろ振動にしろガソリンの優位がついぞ揺らがなかったのもまた事実。

 

ディーゼルといえば経済性の高さや持ち前の大トルクを活かした日常域の力強いドライブフィールも魅力ですが、低速でストップ&ゴーを繰り返す使用環境なら洗練度は良質なガソリンエンジンの方が一枚上手。B6は、そんなことを改めて実感させてくれる出来映えです。構造上、EVを彷彿とさせる電気駆動モデルらしさはソコソコといったところですが、エンジン自体が静粛なことに加え、アイドリングストップ&スタート時の振動も上手に抑え込まれているのでプレミアムSUVらしい高級感に不満を抱くことはありませんでした。

↑300psのパワーと42.8kg-mのトルクを発揮するだけに、絶対的な動力性能はパワフルといえる水準。新しいハイブリッドのパワートレインは静粛性の高さも印象的です。また、ロングドライブでは終始快適な乗り心地も魅力のひとつでした

 

そんな好印象は、随所にアップダウンが存在する中央道に入っても変わりません。今回の旅程は担当編集氏と前述のカメラマン氏が同乗するオジサン3名+撮影機材+1泊分の私物×3という状況でしたが、当然ながら動力性能は余裕たっぷり。アクセルを深く踏み込む領域でこそロードノイズをかき分けて室内に進入したエンジン音を意識することになりますが、それとて絶対的なボリュームは最小限。音質も不快な類ではありませんから、積極的に走らせる場面ではほど良いBGMにもなり得ます。

 

また、当日はコロナ渦ながら交通量が多めということでACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)を筆頭とする運転支援機能もあれこれと試したのですが、制御の洗練度が高いことも印象的でした。この種の機能は、ドライバーの運転スタイルに合わないと嫌われる傾向があったりもするのですが、V90クロスカントリーのそれはクルマ任せにしてもストレスを感じない水準にあります。寄る年波のせいなのか、もはや自分のペースで走れない環境だと運転することが面倒になってきている筆者のような人種には、ロングドライブの疲労を軽減する上でも間違いなく有効な機能になり得ていました。

↑48V電装の採用したことで(古くから乗用車は12Vが標準)、B6には電動スーパーチャージャーを追加。B5比で50psのパワーと70Nmのトルクが上乗せされています

 

オーディオなどの快適装備もアップグレード! シャシー性能も熟成の域に到達

飛騨に直行する場合、ルートは中央道から上信越道に入り松本ICまで利用するのが普通ですが、今回は諸般の事情から岡谷ICで降りて一般道から上高地をかすめて高山、飛騨に至る国道158号線を目指しました。東京を出発してすでに数時間。雑談のネタも尽きてきたのでオーディオのBGMで気分転換を図りました。

 

試乗車にはオプションのB&Wプレミアムサウンド・オーディオシステムが装備されていたのですが、出てきた音に早速反応したのが音楽好きの担当編集氏。実は今回のマイナーチェンジで、B&Wのシステムもアップデート。ウーファーのコーン素材が変更されたほか、ツィーターも新しいダブルドームに。さらにアンプが強化されDSPのモードも一層充実したものとなっています。その昔、カーオーディオの別冊を作っていた筆者の場合、その変更内容は理解できても従来型と比較して音がどう変わったのかは分かりかねたのですが、とりあえず走行する車内でもクリアな音質で、かつ聞いていて気分を高揚させる音作りであることは確認できました。また、装備面ではワイヤレス・スマートフォン・チャージも標準化されたので、Apple CarPlayなどのリンク機能を活用すれば手持ちのライブラリーを気軽、かつ高音質で楽しめるようになったことも朗報といえそうです。

↑現行ボルボらしい、上質にして清潔感を漂わせるインパネ回り。基本的なレイアウトに大きな変更はありませんが、PM2.5粒子の最大95%を排出できる「クリーン・ゾーン-アドバンスト・エア・クオリティ・システム」を搭載。室内の空調環境がアップグレードされたほか「ワイヤレス・スマートフォン・チャージ」を標準装備するなど、快適性に磨きがかけられました

 

国道158号線は典型的な山越えの国道、ということで、その折々で今回は操縦性も簡単にではありますがチェックしました。クロスカントリーも含めたV90シリーズは、ボルボの主力プラットフォームである「SPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー)」を採用。電動化や自動運転時代に対応するとともに、シャシー性能もそれ以前のボルボ車より大幅に底上げされたのですが、新しいV90クロスカントリーでは洗練度も着実にアップしていることが確認できました。

 

以前、SPAを採用した初期のXC90に試乗した際は十二分な剛性感が確認できる一方、ステアリングに伝わるフィードバックなどに粗さを感じたものですが、それももはや昔の話。いざ乗り手がスポーティに振る舞おうと思えば、それに応えられる能力はしっかりと備わっています。また、ベースとなるV90より大幅に地上高を高めたクロスカントリーですが、ロールを筆頭とする挙動は基本的にナチュラル。B6搭載車のタイヤは45扁平の20インチという好戦的なサイズですが、乗り心地もプレミアムなSUVとして満足できる仕上がりでした。

↑ボタン類が整理されたステアリングのACC回り

 

↑タブレット風インターフェイスとなるセンターディスプレイは、現行ボルボに共通する仕立て

 

↑B5とB6のAWD Proのウッドトリムは、今回のアップデートでラインナップされた「ピッチドオーク」(写真)と「グレーアッシュ」の2タイプ

 

十二分な存在感を発揮しながら、日本の風景にもマッチするフォーマルさも両立

さて、そんなロングドライブのひと区切りとなる飛騨市に到着したのは昼を大幅に過ぎた時間帯。遅めの昼食を済ませ、早速“フォトセッション”に突入したのですが古風な飛騨の町並みとの相性はご覧の通り。ボルボによれば、V60をステーションワゴンの本流とするなら、このクルマのベースとなったV90はスタイリッシュな風情を重視したスペシャルティ系ワゴンとのことですが、そこにSUVテイストをプラスしたV90クロスカントリーは個性派でいながらフォーマル性も兼ね備えた仕上がりといえるでしょうか。

 

ワゴンベースのクロスオーバーとしては異例に高い地上高(本格SUVに匹敵する210mmもあります)と、天地が薄く、そして前後に長いボディの組み合わせは好き嫌いがはっきり分かれるであろう“攻めた”佇まい。ですが、存在感を主張しつつも決して悪目立ちする造形ではないことは飛騨市内に佇む写真からも明らかです。いまやSUVはコンパクトからプレミアム級まで選択肢が豊富ですが、それだけに単にSUVというだけで個性的な選択にはなり得なくなっているのも事実。その意味では、サイズ(とクラス)相応の落ち着きを確保しつつ、普通のSUVとは明らかに違うカタチのV90クロスカントリーは狙い目の1台といえるでしょう。

↑たっぷりとしたサイズのシートは、優れた快適性にひと役買っている出来映え。シート表皮はグレードを問わず本革が標準ですが、上級グレードのProはパーフォレーテッド仕様のファインナッパレザーとなります

 

↑ボルボはステーションワゴンの老舗だけに、荷室は容量、形状ともに優れた使い勝手を実現しています。後席と荷室を隔てる、しっかりした作りのラゲッジネットが備わる点も本格派らしい美点のひとつです

 

残る行程、飛騨から金沢まではせっかくなので後席に居場所を移しました。一般的な乗用車の場合、前席と後席を比較すると純粋な乗り心地は前後のタイヤから距離が取れる前席が勝るというのが普通。そこで、巨大でロープロファイルなタイヤを履いたV90クロスカントリーではどの程度の落差があるのかという、少し意地悪な視点で試してみたのですが結果的には十分に快適でした。

 

大ぶりなサイズ、なおかつワゴン用としてはホールド性にも優れたリアシートは秀逸な座り心地で、心配されたタイヤからの入力も許容範囲内。長いホイールベースの恩恵でフラットなライド感が満喫できました。ファミリー層を筆頭に、この種のモデルは後席の使用頻度が高くなるはずですが、この出来映えなら後席に座る家族から不満が出ることはないでしょう。

↑リアシートもサイズに余裕があり、かつ広大な足元スペースと相まって極上のリラックス空間です

 

……と、後席のツッコミどころをあれこれ探している間に目的地である金沢へは夕食前のタイミングで到着。ほぼ1日中走り続けの状態で、普段の新車試乗会と比較すれば格段に長い時間をクルマと過ごしたわけですが、結果的には定評あるボルボの長所ばかりが目立ったというのが正直な感想です。

 

ちなみに、全行程を通じた燃費は11km/L弱。カタログのWLTCモード燃費が11.3km/Lであることや、なにひとつ燃費を考慮した走らせ方をしなかったことを思えば秀逸な結果です。日本では軽油がガソリンより圧倒的に安いので、純粋な燃料費で依然ディーゼルが優位なのは確か。ですが、おそらくV90クロスカントリーを選ぶユーザーにしてみれば、その差はもはや誤差の範囲内といえるかもしれません。

↑5m近い全長と1.9mを超える全幅とあって、狭い場所だとそのボリュームを意識させられるのは事実。とはいえ、スクエアなボディ形状は見切りに優れるのであまり持て余しません。個性的なSUV仕立てながら、悪目立ちする心配のない佇まいは古風な日本の風景とも不思議とマッチしています

 

ボルボのディーゼルを所有する担当編集がB6に乗って思ったこと

担当編集・尾島の愛車はボルボのディーゼル車です(2019年式)。近い将来ボルボのラインナップからディーゼルが落ちると聞きつけ、「これはなんとしても手に入れておかねば」と清水の舞台から飛び降りる勢いで購入しました。泉のごとく湧き出るトルク、優秀な燃費、ランニングコストの安さからディーゼルにはとても満足していたわけですが、そんな折、ついにボルボのラインナップからディーゼルがなくなる日がやってきました。

これはぜひとも今後ボルボの主役となる48V電装搭載ガソリンハイブリッドを試さねばなるまい、となかば使命感から参加した今回の試乗会(なんなら、やっぱりディーゼル買っておいてよかった~と思いたかったのです)。実際に試乗して何を感じたのかというと、静粛性とそれがもたらす終始高級車然としたふるまいの上品さ。ディーゼルも乗り込むうちに音や振動はあまり気にならなくなりますが、いざ乗り比べればガソリンハイブリッドの圧倒的な静粛性が際立ちます。加えて電動スーパーチャージャーを追加しているB6はパワーもトルクの厚みも充分で、踏み込めばハッキリと速い。その気になればこの大柄で重たいボディを実に機敏に走らせます。

燃費とランニングコストはディーゼルに軍配が上がりますが、この価格帯のプレミアムカーを購入する層はそこまで目くじらを立てないだろうとも思われ、むしろワインディングをがんがん走った今回の試乗でも11km/Lを余裕で上回る燃費をたたき出すのだから経済性だって合格点。これはガソリンハイブリッド、ありだなぁと思った次第です。ボルボを検討中の皆さん、ディーゼルの不在を嘆く必要はなさそうですよ!(尾島信一)

 

撮影/神村 聖

 

清水草一がボルボ XC40を徹底解剖! 「日本の軽自動車のような使い勝手のいいインテリア」

ベテラン自動車ライターの永福ランプこと清水草一とフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載です。今回はボルボの新世代プラットフォーム(骨格)と先進安全装備が採用されたSUVをチェックしました!

 

【登場人物】

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、Webなどで、クルマを一刀両断しまくっています。2018年になってペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更。本連載をまとめた「清水草一の超偏愛クルマ語り」も先日発売に。

 

安ド

元ゲットナビ編集部員のフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいます。

【今回のクルマ】ボルボ XC40

SPEC【T5 AWD Rデザイン】●全長×全幅×全高:4425×1875×1660㎜●車両重量:1690㎏●パワーユニット:1968㏄直列4気筒DOHCターボエンジン●最高出力:252PS(185kW)/5500rpm●最大トルク:35.7㎏-m(350Nm)/1800-4800rpm●カタログ燃費:12.4㎞/ℓ●389万〜549万円

 

「日本の軽自動車のような使い勝手のいいインテリア」

安ド「殿! 今回はボルボの最新コンパクトSUV、XC40です!」

清水「それにしても不思議だな」

安ド「なにがです?」

清水「ボルボはなぜこんな良いクルマが作れるのか」

安ド「と言うと?」

清水「ボルボは規模の小さいメーカーだ。グローバル販売台数は三菱自動車の約半分」

安ド「たった半分ですか!?」

清水「親会社は、中国の民族系自動車メーカー・吉利汽車」

安ド「そうでしたっけ!?」

清水「なのに、こんなに良いクルマを作っている。このクルマ、カッコ良いし乗っても実に良い」

安ド「確かに!」

清水「スタイルは凝縮感が高く、それでいて遊び心もある」

安ド「クールさとかわいさを両立していると思います!」

清水「逆スラントしたこのノーズなんて、いまどき特徴的でステキじゃないか」

安ド「力強いですね!」

清水「ボディはレンガのようにしっかりしていながら、乗り心地も快適だ」

安ド「SUVなので車高が高いのに、コーナーで不安定感がまったくなく、スイスイ曲がって気持ち良かったです!」

清水「エンジンもパワフルだな」

安ド「2ℓターボですが、アクセルを踏むと、モリモリ力が湧いてきますね!」

清水「そして私が何より感心したのは、インテリアだ」

安ド「さすが北欧のクルマですよね!」

清水「いや、私が感心したのは、北欧家具みたいだとかいうことよりも、日本の軽自動車みたいだったことだ」

安ド「は?」

清水「まず、小物入れが多い」

安ド「そう言えば」

清水「ボルボと言えば、フローティング・センタースタックなど、オシャレだけれど使いづらいインテリアで有名だったが、XC40は違う。その部分がドーンと大きな小物入れになっている」

安ド「ですね!」

清水「しかもセンターコンソールのヒジ置き内にはボックスティッシュが入り、その前にはゴミ箱も装備されている」

安ド「僕もティッシュが入るのにはビックリしました!」

清水「グローブボックスには、レジ袋掛けまであるから恐れ入った」

安ド「確かに日本の軽自動車みたいです!」

清水「それでいて生活臭はなくオシャレさん」

安ド「内装のフェルト生地なんかもステキでした!」

清水「ボルボがフォード傘下のときは、こんな良いクルマは作れていなかったぞ」

安ド「そう言えばそうですね……」

清水「なぜ中国資本傘下に入った途端、こんな良いクルマを作るようになったのだろう」

安ド「……人海戦術ですか?」

清水「んなわけないだろう」

 

 

【注目パーツ01】フロントフェイス

ブルドッグのような顔つき

2016年に発表された「40.1」というコンセプトカーほぼそのままという、エキセントリックなデザインです。特にグリルの上部がなんとなく前方に突き出ているブルドッグみたいな顔つきは、オリジナリティに溢れていてオシャレ!

 

【注目パーツ01】Cピラー

モダンさを感じさせるライン

車体側面のウエストラインが、サイドウインドウとリアウインドウ間のCピラー(柱)の部分で一気に上へ向かっています。このあたりは先行モデルのXC90やXC60とは印象が異なりますが、モダンで挑戦的なデザインに好感が持てます。

 

【注目パーツ03】グローブボックス・フック

まるで国産車のような親切装備

助手席前のグローブボックス中央には、袋などをぶら下げられるフックが付いています。国産の軽やコンパクトカーのような親切装備で、お買い物の際にとても便利です。フックは収納しておくこともできます。

 

【注目パーツ04】フェルト生地

素朴な雰囲気を醸し出す

オレンジ色の部分には、触るとふわふわのフェルト素材が採用されています。ちなみにフェルトの発祥は中央アジアらしく、ボルボの祖国・スウェーデンとはまったく関係ないようですが、素朴なオシャレ感が好印象です。

 

【注目パーツ05】カード挿し

懐かしくも新しい2つのカード用スリット

運転席右前にはカード保管用のスリットを備えています。ひと昔前にはカード挿しがあるクルマもよくあったものですが、最近はすっかり見なくなりました。一体何のカードを挿しておくべきか悩みますが、ひと回りして新しい感じがします。

 

【注目パーツ06】大容量ドアポケット

スピーカー移設でスペース確保

収納が多くて便利ですが、ドアポケットも前後に長く、タブレットも収納できます。なぜこんなに大きくできたかといえば、ドア前方下部にたいてい備わっているはずのスピーカーがダッシュボード奥に移設されているからです。

 

【注目パーツ07】デコレーションパネル

グレードごとに車内のイメージを演出

ダッシュボードにはグレードごとに見た目の異なるパネルが設定されています。写真はその名も「カッティングエッジ・アルミニウム」で、シャープな印象。ほかにもウッド調や地図柄などがあり、室内のイメージが変わってきます。

 

【注目パーツ08】ダストボックス

あると便利なゴミ箱を標準搭載

ゴミ箱っぽい収納があるクルマはあっても、こうやってわかりやすくフタ付きのゴミ箱が付いているクルマは珍しいですね。後方のヒジ置き内にはボックスティッシュも収納できます。外から見てわからないのが美点です。

 

【注目パーツ09】スマホワイヤレス充電器

これなら置き場に迷わない

センターディスプレイの下部には、一部の国産車で見られるスマートフォンの“置くだけ充電”機能が採用されています。同機能の対応機種でないとしても、スマホをしっかり固定しておける置き場として重宝します。

 

【これぞ感動の細部だ】ラゲッジスペース

便利で多彩なアレンジ

容量もそれなりですが、アレンジにアイデアが溢れていて便利です。後席の左右分割可倒はもちろん、床板を折り曲げれば便利なフックが使えます。さらにフタ部分のトノカバーは床下に収納することもできる設計になっています。両手がふさがっていてもバンパー下で足を動かすだけでゲートが開閉するハンズフリー機能も魅力です。

 

【参考にした本】

タイトル:清水草一の超偏愛クルマ語り

価格:926円+税

 

【1分解説】昨年カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した「ボルボ XC40」に乗る

注目モデルをコンパクトに紹介するこのコーナー。今回は昨年カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したボルボ  XC40をピックアップします。

 

洗練された走りが魅力のコンパクトSUV

ボルボ

XC40(SUV)

SPEC【T5 AWD Rデザイン】●全長×全幅×全高:4425×1875×1660㎜●車両重量:1690㎏●パワーユニット:1968㏄直列4気筒DOHC+ターボ●最高出力:252PS/5500rpm●最大トルク:35.7㎏-m/1800〜4800rpm●カタログ燃費:12.4㎞/ℓ

プレミアムSUVといえる乗り心地の良さを堪能

結論から言うと、XC40は、昨年の欧州カー・オブ・ザ・イヤーの名に恥じることのない秀作。外観は、SUCらしい押し出しの強さと、ボルボの伝統ともいえるゴツさが感じられ、それでいて洗練されています。内装は、カジュアルな風味のなかに上質感があり、使い勝手を高めるためのギミックも満載。SUVとしてはコンパクトなサイズですが、居住空間や荷室の広さにも申し分がありません。

 

それ以上に印象的だったのは、走りが極めて洗練されていたこと。今回試乗したのは、高性能な2ℓターボエンジンを搭載する上級クラスのT5。環境を問わず軽快な走りを実現する動力性能は、圧巻の出来栄えでした。乗り心地の良さもプレミアムSUVと呼べる水準にあり、日常使いでも良さを感じられるでしょう。ボルボといえば、タフで安全な銘柄という評価が定着していますが、本車はそれだけではありません。走りや乗り心地、使い勝手、デザインなど、あらゆる点において高い満足感が得られました。

【注目ポイント01走りは軽快かつ上質

 

252PSを発揮する2ℓターボ+4WDの動力性能は、スピーディかつ軽快な印象。加えてボルボらしいプレミアム感のあるドライビングが楽しめました。300台限定車の1stエディションは即完売したといいます。

 

 

【注目ポイント02荷物に応じて多彩にアレンジ可能

荷室容量は通常時が586ℓで、リアシートを完全に畳むと最大1336ℓに拡大する。フロアボードは、荷物に応じて多彩なアレンジが可能なつくりとなっています。

 

 

【注目ポイント03インテリアに細やかな配慮

大胆な色使いや最新のボルボらしい上質感が印象的な室内は、細やかな配慮も行き届いています。グローブボックスに折りたたみ式フックが備わり、軽い荷物が掛けられるなど機能性が高いです。

ボルボ初のプレミアムコンパクトSUV、「XC40」が日本上陸!

ボルボ・カー・ジャパンは3月28日(水)、同ブランドのコンセプトストアである東京港区のボルボスタジオ青山において、同ブランド初のプレミアムコンパクトSUVとなる「新型XC40」を国内初披露。そのアンベールとともに登壇したボルボ・カー・ジャパンの木村隆之代表取締役社長は、ここ数年でのSUV市場の伸長ぶりやカジュアルな都市型コンパクトSUVモデルの優位性について述べるとともに、新型XC40のモデルラインナップおよび価格、同日からの発売を発表した。

 

 

また、このプレスカンファレンスのためにチーフデザイナーのマクシミリアン・ミッソーニ氏も来日。刺激に満ちた都市の生活を反映したというデザインや力強いプロポーションがもたらすSUVらしい存在感、細部にまでこだわったスポーティーでカジュアルなスタイリングを強調。特にフロントでは、新世代ボルボのアイコンである北欧神話の「トールハンマー」をモチーフとしたT字形LEDヘッドライトや、力強く張り出したフロントグリル、立体的な造形のフロントバンパーを採用することでタフなイメージを表現。一方、リアセクションには、ボディサイドに回り込むL字型のLEDテールライトでワイドさを強調すると同時に、大きく張り出したルーフエンドスポイラーでスポーティーさを演出。インテリアはスマートフォンやタブレット、バッグ、ティッシュボックス等が置けるよう、インテリアデザインを最適化。スマートフォンを置くだけで充電できる「ワイヤレス・スマートフォン・チャージ」の採用や、グローブボックスにバッグなどが掛けられるリトラクタブルフックを追加。低音用スピーカーをダッシュボード側に移動することで、大型のペットボトルとノートPCも収納できる大容量ドアポケットを創出するなど、日常生活での使いやすさを追求している。

 

 

新開発プラットフォーム「CMA(コンパクト・モジュラー・アーキテクチャー)」に搭載されるパワートレインは、2.0リッター直列4気筒直噴ターボと8速ATの組み合わせで、上位モデルの「T5」が最高出力252psと最大トルク350Nmを発揮する高出力版のフルタイム4WD仕様で、190ps/300Nmのスタンダード版エンジンを積む「T4」にはFF仕様も用意される。加えて、90シリーズやXC60とほぼ同等となる16種類以上の先進安全・運転支援技術「インテリセーフ」を標準装備するほか、新機能として「オートブレーキ機能付CTA(クロス・トラフィック・アラート)」も採用。これは、駐車スペースから後退して出庫する際、リアバンパーに内蔵されたミリ波レーダーによって接近する車両を検知し、警告音でドライバーに知らせるとともに、必要に応じてオートブレーキを作動させ、衝突の回避または衝突被害の軽減を図る。

 

 

 

車両本体価格は、XC40 T4の3,890,000円からXC40 T5 AWD Inscriptionの5,490,000円までとなり、デリバリーは2018年第2四半期以降の予定とのこと。なお、1月下旬から先行予約を受け付けた限定300台のXC40 T5 R-Design 1st Edition(5,590,000円)はすでに完売とのこと。

ボルボ・カー・ジャパン https://www.volvocars.com/jp

 

最新の北欧デザインはこうして作られる――ボルボ・チーフデザイナーが考える「XC40」と新しい小型車のカタチ

新型XC90/60シリーズに引き続き、待望のコンパクトSUVとして日本での発売が開始されたXC40シリーズ。小型専用のモジュールアーキテクチャーである「CMA」を採用し、同社のコンパクトセグメントの先駆けとして、大きな期待が寄せられています。そのタイミングに合わせてエクステリアデザイン部門のチーフであり、バイスプレジデントでもあるマクシミリアン・ミッソーニ氏が来日。このチャンスを生かすべく、XC40のデザインについて直撃インタビューを慣行。Q&A形式で紹介していきます。

PROFILE

マクシミリアン・ミッソーニ(Maximilian Missoni)

1979年生まれ、オーストリア出身。フォルクスワーゲン・エクステリアデザイナーを経て、2012年にボルボ・カーズ入社。エクステリアデザイン部門のチーフに就任し、2014年よりボルボ・カー・グループのエクステリアデザイン部門バイスプレジデントを務める。現在、開発中のすべてのボルボ、およびポールスターのエクステリアデザインにおける統括業務を担当。

 

 

世界に通用するグローバルデザインを具現化

 

Q:XC40は日本の道路事情にマッチしたサイズですが、アジア市場を狙っているのでしょうか?

 

A:アジア圏での販売は重要な条件ですが、XC40はグローバルな視点で作られています。ボルボはスウェーデン、アメリカ、中国の3か国にデザインスタジオを設立し、どの地域にもマッチするデザインを追求しています。その新提案がXC40であり、どの国でも認められるデザインこそがグローバルデザインの魅力であり、同車の存在意義を高めるファクターになっているのです。オキサイトレッドなどの大胆なボディカラーをラインナップしているので、日本の街並みにもマッチすると思います。

 

 

イメージした動物は生意気なブルドッグ

 

 

Q:なぜ、大成功を収めたXC90シリーズのデザインを踏襲せず、新たなデザインに挑戦したのでしょうか?

 

A:先に発売されたXC90シリーズは優雅で精悍なデザインが大きな魅力ですが、XC40はXC90/60とは違ったキャラクターを持っているのが特徴です。世界中で100を越えるアワードを獲得しているXC90のデザインを踏襲し、新たなデザインに挑戦しないという選択肢もありましたが、それでは意味がありません。ボルボの考え方はとてもシンプルです。ブランドとしてのアイデンティティは必要ですが、コンパクトなセグメントならではの「若さ」と「挑戦的なイメージ」で勝負することに意味がある。

XC90/60のスケールダウンではダメ。XC40ならではの個性を表現することにこだわりました。XC90の場合、フロントフェイスのモチーフにライオンを選びましたが、そのまま小さくしてしまうと猫になってしまう。そこで、XC40にはブルドッグをセレクトし、ちょっぴり生意気な造形を表現しています。

 

 

ボルボらしい2つのデザインを大切にしている

Q:日本人が持つボルボのイメージはスクエアな四角いイメージですが、エクステリアデザインにボルボらしい伝統は残されているのでしょうか?

 

A:ボルボらしいデザインとして2つの時代からインスピレーションを得ています。1960~1970年代に登場したP1800やP1800SEの優雅なデザインは素晴らしいですね。エレガントで流れるようなラインは現在の新型モデルにも生かされ、流れるようなルーフラインを見てもらえれば理解してもらえると思います。また、1980~1990年代のボクシーなデザインはボルボのアイコンとも呼べる大切なもの。現在のボルボは両時代の良い部分をブレンドしているといっても良いと思います。ただし、レトロな懐古主義に頼り過ぎるのではなく、常に新しいデザインを生み出すことが重要なのです。

 

 

インテリアデザインにも新たなる挑戦を!

Q:XC40はエクステリアも革新的です。ボルボの新しい提案は何を基本に行っているのでしょうか?

 

A:XC40のインテリアではスペースを最大限に生かすことをコンセプトに、クルマを使い人がどのようなアイテムを持ち込むのかを徹底的にリサーチすることから始めました。基礎からスペースを考え直し、日常的に使うアイテムをベストな状況で整理できるようにデザインしたのです。例えば、ドアのスピーカーを廃することで生まれたスペースにラップトップパソコンを収納できるようにしています。また、収納するだけでなく使用する素材にもこだわり、ライニングにフェルトを使用するなど新たな素材への挑戦も。ベーシックなモデルでは「高級な素材が使えないから」と諦めず、デザインでインテリアの質を上げる努力も行っています。それがスカンジナビアデザインであり、ボルボが北欧のイメージを大切にしている所以なのです。

 

 

スタイリングに躍動感を表現

Q:エクステリアデザインを統括するミッソーニさんですが、XC40のスタイルで一番魅力的に見える部分は?

 

A:XC40はエキサイティングなデザインが特徴的で、他のモデルとは違ったアグレッシブさを表現するためにフロントグリルを逆スラントさせ、止まっている状態でも走り出しそうな躍動感を表現しました。個人的にはフロントからボディを斜めに見たポジションがお気に入りです(笑)。実はフロントよりもリヤのトレッド幅を大きくしているので、この位置から眺めると迫力を感じていただけると思います。

 

 

未来のクルマはボルボが牽引して行く

Q:最後に今後のボルボが進むべきデザインの方向性、ミッソーニさんが考える未来のビジョンを教えてください。

 

A:現在、エクステリアデザインという仕事はとても幸せな環境にあると思っています。それは、ボルボを含めて自動車というものが新たな世界へと進み始めているからです。自動運転や電気自動車への過渡期にデザインに携わるということは、新たな世界を作ることになる。それにはメカニカルな進化に対してデザインも新たなる挑戦をして行かなければなりません。クルマの未来は私たちボルボが牽引して行きます。

ロジャー・ムーアが所有した、ボルボP1800がドイツのイベントに登場!

ボルボ・カーズは、007シリーズのボンド役でも知られ昨年亡くなった俳優のサー・ロジャー・ムーアが所有し、英国のテレビ・ドラマ「セイント」にも登場した1967年製の「ボルボ1800S」をドイツのエッセンで開催される「テクノ・クラシカ・エッセン」に展示する。期間は3月21日~25日の5日間。

 

 

 

この1800Sは、1966年にスウェーデンのトースランダ工場で生産されたもの。ボディカラーはパールホワイトで、希少なオリジナル「トランケイテッド」スポーク・デザインのミニライト・ホイール、ヘラー製フォグランプ、ボルボ製ウッドステアリングが装備されていた。

 

そして、車内は「セイント」撮影時の状態のまま。ダッシュボードの温度計、スタジオ撮影の際に乗車する出演者に冷風を送るための独立したインテリアファンが取り付けられている。

 

 

ムーアは、この1800Sの最初の所有者として登録され、ロンドンの車両登録番号である「NUV648E」は1967年1月20日に発行。以来、しばらく愛用することになる。

 

そして「セイント」で有名な「ST1」のナンバープレートを付けて、1967年2月に撮影されたエピソード「ダブルダイヤモンド」でデビュー。1969年のシリーズ終了まで、主人公サイモン・テンプラーの愛車として使われた。その後、俳優マーティン・ベンソンに売却された後、何人かの所有者の手を経て2000年代初めにほぼオリジナルの状態にレストアされた。

 

 

ちなみに「セイント」は、作家レスリー・チャータリスの1920年代の作品に登場する主人公サイモン・テンプラーの別名で、小説セイント・シリーズは一連の映画作品を生み出し、後に人気を博す英国ITCテレビ制作のテレビ・ドラマの原作にもなった。このテレビ・ドラマは1962年10月から1969年2月までに118のエピソードを放映、英国とアメリカで大きな成功を収めた。後に80か国以上で配給され、ロジャー・ムーアが演じたセイントはいつも白いボルボP1800クーペを運転していた。

 

 

ボルボXC40が欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞

ボルボ・カーズはこのほど、新型コンパクトSUVの「XC40」が、2018年欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したことを発表した。この権威ある賞は、ボルボにとって初の栄冠となる。

今回の受賞を受けて、ボルボ・カー・グループのホーカン・サムエルソンCEOは次のようにコメントしている。

 

「新型XC40がこの栄誉を授かったのは、タイミングとしても理想的です。ボルボは、初めて世界市場に向けて3種類のSUVを発売しました。XC40は、急速に成長するコンパクトSUVセグメントにおいて、当社のさらなる成長に大きく貢献してくれることでしょう」

XC40はボルボ・カーズの新しいコンパクト・モジュラー・ビークル・アーキテクチャー(CMA)を採用した最初のモデル。このプラットフォームは、今後発売される予定の電気自動車を含む40シリーズの量産車種のすべてに採用される予定となっている。

今回のXC40の受賞は、グローバルに展開する新しいボルボSUVラインナップが完成し、欧州と北米の両大陸でカー・オブ・ザ・イヤーに選ばれたことを意味している。大型SUVのXC90、ミッドサイズSUVのXC60のいずれもが、過去2年間で北米トラック/ユーティリティ・オブ・ザ・イヤーを受賞。日本でも昨年、新型XC60が日本カー・オブ・ザ・イヤーの大賞を受賞したことはご存知のとおりだ。

また、XC40は、英国の代表的な自動車雑誌「What Car ?」によるカー・オブ・ザ・イヤー受賞など、このところ多くの注目を浴びており、2018年欧州カー・オブ・ザ・イヤーの受賞はこれらに続く快挙となった。

ちなみにこのXC40、日本では3月に正式発表・発売を予定していることが1月26日にアナウンスされているので、まもなく発売されるものと見られる。また、正式発表に先駆けて、全国300台限定の「XC40 T5 AWD Rデザイン 1stエディション(559万円)」の予約注文を、現在受け付けている。

ユーロNCAPが2017年のベスト・イン・クラスを発表

欧州で新車の安全性能評価を行うユーロNCAPが、2017年のベスト・イン・クラスを発表。年間を通じて最も安全性評価が高かったクルマを賞するもので、安全性のカー・オブ・ザ・イヤーといってもいいだろう。なお、同賞は各セグメントのベスト・イン・クラスを表彰するが、カー・オブ・ザ・イヤーのようにその中の1台に大賞(本賞)を授けるようなシステムはとっていない。

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栄冠に輝いたモデルは別表の通りだが、エグゼクティブクラスではフォルクスワーゲン(VW)の最新モデルであるアルテオンが受賞。乗員保護や安全装備の高評価に加え、歩行者保護性能が’17年にテストされたモデルの中でトップだったのが大きかったようだ。 中型および大型のSUVセグメントであるラージ・オフロードクラスではボルボXC60が受賞。XC60は乗員保護および安全装備で他の追随を許さず、同ブランドのV90/S90をも上回ってベスト・イン・クラスに輝いている。

 

スモール・オフロードクラスでは、日本にはまだ入っていないVW T-Rocが受賞。各項目の評価はXC60やアルテオンには劣るものの、このクラスとしては最高の安全性と評価されたようだ。コンパクトカーのカテゴリーであるスーパーミニでもVWポロが受賞。歩行者保護や安全装備ではやや厳しい評価だったが、総合的な評価でベスト・イン・クラスに選ばれたようだ。ちなみに6クラスのうち3クラスをVWが制しており、これはなかなかの快挙といえそうだ。

 

コンパクトSUVのクラスであるスモールMPVではオペル/ボクソールのクロスランドXが受賞。日本への正規輸入はなく、各項目の評価もさほど高くないが、このクラスでは最も安全と結論づいけられている。そしてスモールファミリーカーのクラスではスバル・インプレッサ/XVがベスト・イン・クラスを受賞。小児保護性能では全車トップ、歩行者保護性能でも高評価を得た結果で、日本車では唯一の受賞として誇ってもいいだろう。’18年からは夜間の歩行者検知機能や自転車検知機能も評価基準に加えるなどより厳しくなるユーロNCAPだが、’17年の最高評価を上回るクルマが次々と出てくるのか。期待したい。