2032年までに約7.3兆円の成長!「アニメ・マンガ市場」の商機は途上国にあり

加速度的に拡大する世界のアニメ市場。コロナ禍の影響による「巣ごもり需要」は出版や動画配信業界にとって追い風となりましたが、アニメ関連業界は今後さらに成長すると予測されています。コンテンツ配信におけるプラットフォームの多様化がアニメの人気を世界中で高めると同時に、発展途上国でも市場が拡大する見込み。この波に乗るために、新たなビジネス機会を狙う企業が現れています。

世界中で成長するアニメ産業

 

2022年7月に米国のマーケットリサーチ企業Future Market Insights(FMI)が発表したデータによれば、世界のアニメ市場は2032年までに約530億ドル(約7.3兆円※)の成長が見込まれているとのこと。その中でも大きく注目されているのが、音楽コンサートやステージ上でのパフォーマンスといったライブ・エンタテイメント部門。新型コロナウイルスのパンデミックによる影響で同部門は停滞していましたが、コロナ禍が収束するにつれて回復し、長期的には同業界を牽引していくであろうと予測されています。

※1ドル=約137円で換算(2022年7月23日現在)

 

また、スマートフォンやタブレットなどユーザーのデバイスが多様化する一方、テレビやケーブルではなく、インターネットを通して視聴者に直接コンテンツを配信する「OTTプラットフォーム」志向が世界各地で拡大。NetflixやDisney+、Amazon Prime Videoなどの動画ストリーミングサービスの普及が、アニメの人気を押し上げるようになりました。同様にオンラインゲームの発展もアニメやマンガのファンを増やすと見られています。

 

そんなアニメ市場で日本は不動の地位を築いてきました。FMIによると日本のマーケットシェアは43%以上で、今後も日本の優位は続くとされています。以前から日本が生み出すマンガやアニメは国境を超えて数多く流通しており、レベルの高さに衝撃を受けた世界中の子どもや若者が日本への憧れを抱いてきました。

 

可処分所得が増えている発展途上国では、アニメ・マンガ市場がさらに成長する可能性があります。最近では、日本の専門学校がアニメやマンガを専門的に教える学校をマレーシアで開校。熱心な若者が勉強に励んでいますが、この動きは日本の教育業界における少子化の影響を反映しているだけではなく、アニメ・マンガ業界で外国人材の活用が加速していく可能性を示唆しているかもしれません。昨今では日本の制作会社は慢性的な人材不足に陥っているため、どうしても外国人材を育成することが必要。すでに作品のローカライゼーション(現地化)では、多くの現地人材が活用されるようになりました。

 

このように、世界のアニメ・マンガ市場には、出版社やテレビ局といったメディア企業だけでなく、テクノロジーやゲーム、教育など、幅広い産業から多くの企業が参戦しており、経済発展が著しい発展途上国にも商機がありそうです。

 

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こんな場所になぜ!? マレーシアの熱帯密林にある「スタバ地獄寺店」……

クアラルンプールからクルマで1時間ほど、高原リゾートとして人気の「ゲンティン・ハイランド」。道中に見る熱帯の森林地帯から突然、カジノやホテルなどの娯楽施設が立ち並ぶ、巨大な街へと一気に拓ける風景は圧巻です。その手前にある中華風の仏教寺は絶景スポットとして有名。しかし、そのお寺は別名「地獄寺」と呼ばれており、さらに奇妙なことに境内にはなぜか誰でも知っているアレがあるのです。それは一体……?

 

一見するとごく普通の東南アジアの仏教寺だが……

地獄寺の正式名称は「清水岩廟」。もともとは山頂にあるカジノを中心とした「ゲンティン・ハイランド」を興した華僑の富豪リム・ゴートン氏が私財などを寄付し建立した寺です。ゴートン氏のビジネスが大成功を収めたことから、それにあやかろうといまでは世界中から参拝者が訪れる寺になっています。

 

なかに足を踏み入れると、八重の仏塔や大仏、仏殿などが、整備された敷地内に点在しており、ゆっくりと拝観できます。また、寺自体が断崖絶壁に建てられていることから、ここは熱帯雨林のジャングルを眺められる絶景スポットでもあるのですが、一体なぜ「地獄寺」と呼ばれているのでしょうか?

 

その理由は、「園世勤((Journey To Enlightenment)」というあるアトラクションにあります。中国古来の言い伝えをもとに作られたという「10大地獄の部屋(10 Chambers of Hell)」です。

これは「生きている間に悪いことをすると地獄でこんな目に遭うよ」という教えを、閻魔大王とその手下たちを中心にジオラマ化したもの。この「the 地獄ワールド」が散策順路に沿って繰り広げられるという、ちょっとカオスな世界観になっています。公式サイトを見ると「子どもたちも興味津々!」のようなことが書かれてあるのですが、実際は夜中にトイレに行けなくなりそうな世界が広がっています。

 

このような、ごまかし的な感じも含めて東南アジアらしさが感じられるのが地獄寺の魅力です。そして、敷地内にはいかにもひなびた感じの飲食店やお土産店があったりします。ゲンティン・ハイランドの手前にあるため、観光客はそれなりに入っているのですが、平日などは閑散としていることもあります。

 

そんなローカル感たっぷりの雰囲気のなか、ふと違和感を感じるものがあります。「えっ、あの緑の人魚のロゴは?」

実は、地獄寺になぜかあの「スターバックスコーヒー」がテナントとして入っているのです。普通にスーベニアマグカップなども置いてあるし、もちろんスタバカードだって使えます。

 

でもファストフードなどの店はほかに1つもありません。しかも、コーヒーではなくお線香の香りが漂ってくるのも、どことなくシュール。さらにここは高度1000mのジャングルのなかにある寺です。「なぜこんな所にスタバが!」という意外性がSNS映えするのか、スマホで写真を撮る人が多数いました。

 

この「地獄寺のスタバ」ですが、公式サイトを見てみるとどうやら「アトラクションの1つ」というくくりになっているようです。エンタメだけではなく、地味におしゃれを追求しているのでしょうか? さすが一代でリゾートタウンを築きあげた富豪が建てたお寺という感じですね。

 

ちなみに「地獄寺」にはロープウェイで行くことも可能。その場合は乗車券を提示すると、スタバのドリンクやフード類が10%オフになると書いてあります。この微妙なお得感がなんとも言えません。

 

さて、「地獄寺」には地獄以外もあって、後にはちゃんと天国(らしき)風景も用意されていて本気で安堵します。

 

鶴が飛び、きれいなお姉さんたちが舞って踊っていて、とてもわかりやすい天国感。ただし、こちらから散策を始めてしまうと「天国→地獄」となって、救いようのない、後味の悪い気持ちになるので注意してくださいね。

というわけで、地獄から戻った後のフラペチーノは至福の一杯。スタバからは地獄も見えないので、安心してください。スタバの場所は仏殿の前にあるエレベーターの真下。並びにある「マレーシア風おでん」店の匂いに混ざり、コーヒーの香りが漂ってくるのですぐ分かるはずです。

「スライム」がマレーシアで大流行中!! 女子中高生を夢中にさせるワケは?

原色や蛍光色などの派手な色合いと、なんとも言えない触感で知られる「スライム」。子ども時代にこの玩具で遊んだことがある人も多いかと思いますが、そのスライムがなぜかいま、世界中でブームになっているのをご存知でしょうか。筆者が住むマレーシアでも女子中高生を中心に子どもから大人まで大人気なのです。

 

なぜここまで盛り上がっているのでしょうか。その人気の秘密はソーシャルメディアにありました。

 

まるでスイーツ! 手作りスライムのクオリティがすごい

スライムブームのポイントは自分で”調合(カスタマイズ)”すること。色、質感、香りなどを自分好みに選んで、オリジナルの手作りスライムをソーシャルメディアにアップすることが爆発的に流行しているのです。Instagramを見てみると、「インスタ映え」する画像や動画がたくさんアップされています。

 

もう一つの人気の秘密は、自分だけの調合をすることで、世界に1つだけのオリジナル作品を生み出せること。これは「レシピ」と呼ばれることが多く、実際にその見た目の効果もあるせいか、料理やスイーツのような雰囲気も醸し出しています。

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スライムの作り方や材料は、以下の材料を混ぜるだけ。ちょっとした化学実験のようでもあり、身近なもので簡単に作れるようです。

 

・フラバー(Flubber):お店で売っているドロっとしたもの

・フラッフィー(Fluffy):ふわっとしたホイップクリーム状のもの

・ボラックス(Borax):定番の鉱物のホウ砂が使われているもの

 

(※スライムを作るときに化学物質を使うことで皮膚にやけどを負ったりする事例が一部報告されているので十分に注意してください。ケミカルフリーのレシピなどもあります)

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なかにラメやグリッターなどを入れたり、色を工夫したりすることによって、カラフルでキュートな自分だけのスライムを作ることができるのです。

 

最近では、人気が出たオリジナルのスライムを販売するビジネスまでも登場し、注目されています。これもソーシャルメディアでいかに目立つかが鍵となっています。

 

色鮮やかだったり、幻想的だったり、アップされた写真はまさに「インスタ映え」しています。#slimemalaysiaにもマレーシアの手作りスライマーの作品が既に2万5000点以上もアップされており、毎日増え続けています。

 

女子中高生のストレス解消アイテムとして定番化!?

女子中高生の間でスライムが人気となっている理由にはストレス解消が挙げられます。マレーシアはゆったりのんびりしている南国のイメージがありますが、やはり学生は勉強のプレッシャーを感じています。また、安全面を考えると子ども同士で遊びに行くということはありません。手作りスライムはそんな学生たちが家で1人でも楽しめるという点でも支持されているのです。

 

ソーシャルメディアにアップして「いいね」をもらえば、自己肯定感も高まるため、スライムにハマっていくということもあるかもしれません。自分だけのオリジナルスライムを作り、デコったり、デザインを考えたりすることが楽しいのはもちろん、材料を混ぜているときや完成したスライムを触っていると「癒される」のだそうです。手作りスライムがマレーシアだけではなく世界で人気を博しているのは、この辺りにもヒントがあるのかもしれませんね。