ついに発売された「ニコン Z 7」、その実力は? 実際に使って確信した2つのメリット

ニコンの新型フルサイズミラーレスカメラである「Z 7」が9月28日にいよいよ発売。本機は発表と同時に予約が殺到するほどの人気ぶりとのことですが、実売で43万7400円(ボディ)という高価なカメラで、かつ新マウントの採用によりレンズやマウントアダプターも必要であることを考えると、いかにこのカメラが注目を集めているかがわかります。本稿では、このニコン Z 7の実写と実際に使用してみての感想などをレポートしたいと思います。

【今回紹介するカメラはコレ!】

ニコン
Z 7
実売価格43万7400円

新設計の「Zマウント」を採用する、ニコンの新型フルサイズミラーレスカメラ。外観はファインダー部などの意匠が一眼レフのDシリーズから大きく変わっているものの、グリップなどの操作に関わる部分にDシリーズとの共通点が多く、Dシリーズから持ち代えても違和感はありません。タッチパネルやサブセレクターの採用により操作性が向上している印象です。

 

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操作性は踏襲しつつ圧倒的な“軽さ”を手に入れた

「ニコンファンミーティング」などのイベントですでに実機に触れた人もいるかと思いますが、本機はグリップ部のデザインなどを従来のDシリーズから踏襲。そのため、ニコンユーザーにとっては、ほぼ違和感なく使えるものになっています。しかもフルサイズ機であることを考えると、“とにかく軽い!”というのが第一印象です。

 

キットレンズにもなっている「NIKKOR Z 24-70mm F4 S」も約500gとF4の高性能ズームレンズとしては軽量で、ボディとレンズを合わせても約1175g(バッテリー、カード含む)なのでなおさら軽く感じるでしょう。例えば、スペックの近い同社の一眼レフ「D850」では、軽量な普及タイプの標準レンズ「AF-S NIKKOR 24-85mm F3.5-4.5G ED VR」と組み合わせると約1470g(バッテリー、カード含む)となり、300g近い差があります。

 

しかも、「NIKKOR Z 24-70mm F4 S」は繰り出し部分の沈胴機構を備えていて、収納時には88.5mm(レンズマウント基準面からレンズ先端まで)となり、コンパクトに持ち運べるのもメリットです。

↑Z 7にNIKKOR Z 24-70mm F4 Sを装着した状態。ズームリングを広角側(24mm)からさらに回転させることで、レンズの繰り出し部分が引っ込み、さらにコンパクトになる(写真は繰り出した状態)

 

操作性の面では、背面モニターが3.2型のチルト液晶となっており、タッチ操作も可能。手持ちでのローポジション撮影などが容易で、三脚使用時にモニターを見ながらのタッチ操作で素早く設定を変えるといったことも可能です。

↑モニターは、上下可動式のタッチパネルとなっている。手持ちでのローポジション撮影などが行いやすいほか、三脚使用時の視認性や操作性向上にも役立つ

 

また、撮影関連のボタンが右手側に集中配置されているので、ファインダー(EVF)を見ながら設定を変更する場合も快適。さらに、ジョイスティックタイプの「サブセレクター」が採用され、AF測距点の選択も素早く的確に行えます

 

加えて、ボディ上面には撮影情報液晶が用意されているので、同じシーンを露出を変えながら撮る場合や、残り枚数やおおよその露出、露出モードなど、素早くカメラの状態を確認したい場合に役立ちます。ただし、電源を切ると何も表示されなくなります(同社の一眼レフの従来機では残り枚数などが表示される)。もっとも、ミラーレス機の場合は一眼レフに比べると電力消費が多めの傾向があるので、無駄な電力を少しでも消費しないという点ではメリットとも言えます。

↑ボディ上面の情報表示液晶は、シャッター速度や絞り、露出補正量、撮影可能枚数、バッテリー残量などを素早く確認できる

 

気になる“描写力”を標準ズームと35mm単焦点でチェック!

前にも記したように、キットレンズにもなっている「NIKKOR Z 24-70mm F4 S」は、非常にコンパクトな標準ズームでF4のズームとしては軽量です。ただ、一般に「コンパクトで軽量なレンズは写りもそれなりなのでは?」と思われがちなのも確か。今回はその点を実写でチェックしてみました。

 

また、今回はもう1本、「NIKKOR Z 35mm F1.8 S」も用意しました。こちらも約370gと大口径なF1.8のレンズとしては軽量な部類といえますが、Fマウント(一眼レフ)用の「AF-S NIKKOR 35mm F1.8G ED」に比べるとサイズ・重さともに大きくなっています。とはいえ数十グラムの差なので、その分画質が良くなっているのであれば、納得がいく差だと思います。

↑今回使用したNIKKOR Z 24-70mm F4 S(上)とNIKKOR Z 35mm F1.8 S(下)。レンズ鏡筒のデザインは、Fマウントレンズからは大きく変わり、かなりシンプルな印象を受ける。2本とも高性能な新シリーズ「S-Line」の製品。最近の高性能レンズでは性能を引き出すために鏡筒がかなり太いものが増えているなか、少なくともこの2本は細身な印象で、携帯性にも優れているといえる

 

この2本で実写チェックを行ってみたところ、標準ズーム、35mmレンズともに絞り解放から極めてシャープな写りが得られ、ボケ描写も美しく、高画素なZ 7との組み合わせでも十分以上の性能が得られることを実感できました。加えて、Z 7自体の描写も色鮮やかで見栄えのする写りという印象。また、ホワイトバランスなどの設定を「オート」に設定しても、多くのケースで自然な色再現が得られます

↑NIKKOR Z 24-70mm F4 Sを24mm・F8にセットして撮影。ズームレンズの広角側は画面の四隅が流れてしまうものも多いが、このレンズはそうしたことがなく、四隅でもかなりシャープな写り。4575万画素と高画素なZ 7の性能を十分に引き出すことができる。Z 7の写りも色鮮やかでメリハリの効いた色再現で好印象

 

↑NIKKOR Z 35mm F1.8 Sの絞り開放で撮影。ピント位置は極めてシャープでありながら、前後のボケのクセが少なく、美しいボケを生かした写真が撮れる

高感度も十分実用的な画質

次に高感度での写りをチェックしてみましたが、ISO6400程度までは解像感の低下が比較的少ない印象。常用最高感度となっているISO25600でも色の変化などが少なく、多少解像感が低下したり、暗部にムラが確認できたりするものの、実用的な画質といえるでしょう。

↑ISO6400で撮影。ノイズは多少発生するものの、超高感度域としては解像感の低下が少なく、十分実用的な画質だ

 

↑ISO12800で手持ち撮影。かなり暗いなかでの撮影だが、絞りをF8にして被写界深度(ピントが合って見える範囲)を稼ぎながらも1/30秒で撮影できた。結果、画面右下に写る低速走行中の機関車をどうにか止めて写すことができた

 

注目の「ボディ内手ブレ補正」の実力は?

Z 7で気になるのが、同社のレンズ交換式カメラでは初となる、約5段分の効果というボディ内手ブレ補正の性能です。そこで、手持ち撮影でどの程度の低速シャッター撮影が行えるか試してみました。

 

その結果、62mm(24-70mmF4レンズの望遠側)で1/4秒でもブレなく撮ることができました。これなら、下の写真のように三脚なしで水の流れを表現したり、夜景撮影を楽しんだりすることが十分可能だと思います。

↑水の流れを1/4秒の低速シャッターで手持ち撮影。約5段分とされる手ブレ補正のおかげで62mmの中望遠域でありながら、水の流れ以外の岩や苔などをぶらさず撮ることができた

 

新搭載のピクチャーコントロールで写真に変化を

こうした写りの基本的な画質のほか、Z 7の絵作りで気になるのが、新搭載のピクチャーコントロール[ミドルレンジシャープ]と[Creative Picture Control]です。

 

[ミドルレンジシャープ]は、「輪郭強調」と「明瞭度」の中間の細かさの模様や線に対して効果的とのこと。実際に試してみると差が出るのは細かい部分ですが、緻密な風景写真の質感描写などに効果的だと感じました。

 

[Creative Picture Control]については、いわゆるデジタルフィルターで、20種類が用意されています。これらについては、撮影後に画像加工をすることなく手軽に効果が得られるので、写真に変化を付けたい場合に使ってみるといいでしょう。

↑Creative Picture Controlのデニム(上)とバイナリー(下)で撮影。Creative Picture Controlでは計20種類の効果が選べてその度合いも調整でき、同じシーンでも印象が大きく異なる仕上がりを手軽に楽しめる

 

動きモノ撮影にも対応。ただし、連続撮影枚数に注意

Z 7は通常撮影においてAF/AE追従で約5.5コマ/秒、14ビットRAW撮影時で約5コマ/秒での連写(拡張設定で約9コマ/秒)が可能です。そこで、負荷の大きな14ビットRAWで実際に走行中の列車を撮影してみました。

 

結果、多少タイミングを計る必要はあるものの、動きモノの撮影にも対応できる印象。ただ、連続撮影枚数が18コマ(4秒弱)となっているため、できるだけ短時間での連写に留めるのが連写時のコツとなります。長めに連写する必要がある場合は、連続撮影枚数が25コマとなるJPEGで撮影するのが良さそうです

↑画面の左1/3程度の位置に先頭車両が入ったあたりから連写を行って、連続撮影枚数の少なさをカバー。何度かテスト撮影を行い、約5コマ/秒で先頭車両が画面右端に写る位置を計算しながら撮影した

 

ボディは「Z 6」とどちらを選ぶか見極めるべし

短い時間でしたが、実際にZ 7で撮影してみての感想は、やはりボディが軽く気軽に持ち歩けることと、レンズも比較的小型で描写性能に優れていることの2つがZ 7を使う最大のメリットだと感じました。

 

特に風景撮影やスナップを撮影するユーザーには、小さく軽いことは撮影フィールドが広がることに直結するので、メリットが大きいと思います。また、EVFやモニターで撮れる画像を実際に見ながら撮れるので、一眼レフに比べるとエントリーユーザーも使いやすいのではないでしょうか。

 

強いて問題を挙げるとすればその価格の高さですが、フルサイズの高画素モデルの価格としては特別に高いということはありません。ただ、従来のFマウントレンズを持たず(あるいは使わず)、新規でレンズも揃えるとしたら、金額的な負担はかなり大きくなります。

 

レンズ性能が極めて高く、それだけの価値はあると思いますが、ボディに関しては、11月下旬発売予定のZ 6(参考価格/27万2700円)と比べてみて、本当に高画素が必要か見極めてみるのもよいでしょう。

↑ニコン Z 6。基本的なデザインはZ7と同様。画素数は有効2450万画素だが、高感度撮影や連写に強い

ソニー、ニコン、そして――キヤノン「EOS R」の登場で「フルサイズミラーレスカメラ」はどうなる?

8月23日発表のニコン「Zシリーズ」に続き、キヤノンも9月5日に新型フルサイズミラーレスカメラ「EOS R」を発表しました。ニコンが高画素機の「Z 7」と高速連写機の「Z 6」の2製品の同時発表だったのに対し、EOS Rのみというのは、やや物足りなさも感じます。が、そこはさすがキヤノンというべきか、画素数を有効約3030万画素に高めつつボディの実売価格を20万円台半ばに抑えた意欲的な中級機に仕上がっており、今後のフルサイズミラーレスカメラの普及に大きく影響を与えるはずです。

 

ニコン、キヤノンという主要メーカーが相次いで新機種を投入したことにより、すでにα7/9シリーズで先行するソニーも含め、今後、このジャンル(フルサイズミラーレスカメラ)がさらに注目を集めることは間違いないでしょう。そこで本稿では、EOS Rのスペックや使用感などを踏まえつつ、現状の3社の立ち位置や課題、注目ポイントなどについて考察していきます。

キヤノン
EOS R
発売:2018年10月下旬予定
参考価格:25万6500円

有効約3030万画素のフルサイズセンサーを搭載する、ミラーレス一眼。新マウントとして、「RFマウント」を採用しています。外観はEOSやEOS Mシリーズの基本デザインを踏襲しており、従来モデルのユーザーなら違和感なく使えるはず。

●撮像素子/36×24㎜有効約3030万画素CMOSセンサー ●レンズマウント/キヤノンRFマウント ●常用ISO感度/100~40000 ●連写/最高約8コマ/秒 ●ファインダー/約369万ドット ●背面モニター/3.15型約210万ドット、バリアングル式タッチパネル ●サイズ/約W135.8×H98.3×D84.4㎜ ●質量/約660g(バッテリー、カード含む)

 

バランスの良さが光る実用的な一台。ユニークな新操作ギミックも

まず、キヤノン EOS Rの基本スペックをチェックしてみると、前述のとおり画素数は約3030万画素で感度は常用で最高ISO40000、連写が約8コマ/秒と、おおよそ他社の高画素機と高速連写機の中間的なスペックとなっています。とはいえ、実用上はプロスポーツなどを撮影するのでない限り十分以上の性能を持っており、デジタルカメラのEOSシリーズ共通の基本思想である「快速・快適・高画質」を体現したカメラだといえるでしょう。

 

AFも同社独自の像面位相差AFである「デュアルピクセルCMOS AF」を採用し、AF測距点も最大143点で画面の横約88%、縦約100%をカバー。加えてAF追従性能なども向上し、瞳AFへの対応や低輝度限界EV‐6を実現するなど、さまざまなシーンでAFの合いやすい仕様となっているのも特徴です。

 

操作性は、既存のEOS Mシリーズのものを踏襲しつつ、ボディ上面に「撮影情報表示パネル」や左右のタップ操作とスライド操作に好みの機能を割り当てられる「マルチファンクションバー」を、レンズ鏡筒部に「コントロールリング」を追加することにより、従来モデル以上に素早いカメラ操作を可能にしています。

↑ボディ背面右手側上部に配置された「マルチファンクションバー」は、バーの左右がボタン(タップ操作が可能)となっており、左右のスライド操作で素早い設定変更が可能。AFやISO感度、ホワイトバランス設定などの機能ショートカットが割り当て可能です(上)。撮影時と再生時で機能を変えることもでき、再生画像の拡大・縮小なども手早くできます(下)

 

↑レンズ鏡筒部に新設された「コントロールリング」。ISO感度や絞り、露出補正などの機能を割り当てて、素早く設定可能。適度なクリック感があり、使用感も上々

 

EVFは約396万ドットと高解像で、背面モニターは3.15型約210万ドットのバリアングル式タッチパネルとなっており、EVF、背面モニターともに快適な撮影が可能。サイズ感は、大きさに関しては他社製品に比べるとやや厚みがあり、大きめに感じられるものの、重さは約660g(ボディ、バッテリー、カード含む)と軽量で、グリップ部も十分な深さと高さがあって握りやすくなっています。

↑実際に手にしてみると、小型・軽量ボディながらEOS一眼レフ同様の高いホールド性に感心しました。EVFが高精細でクリアな点に加え、バリアングル式の背面モニターを搭載しているフルサイズミラーレスカメラはほかになく、本機の魅力の1つとなっています

 

このように、ボディ単体で見ると飛びぬけたスペックは多くはないものの、実際に手にしてみると、トータルでのバランスの良さが光り、実用的なカメラだと実感できます。

 

意欲的なレンズラインナップに高まる期待。マウントアダプターはまさかの4種類!?

レンズに関しては、マウントに新しい「RFマウント」を採用。EFマウント同様の内径54㎜の大口径を確保しながら、ミラーがないことでショートバックフォーカス化(レンズ最後端から撮像面までの距離が短いこと)を可能にし、レンズ設計の自由度や画質を高めることに成功しています。

 

ボディと同時に発表されたレンズは、24-105㎜F4、28-70㎜F2、50㎜F1.2、35㎜F1.8マクロの4本。大口径レンズ中心のラインナップで、その性能が気になるところ。特に28-70㎜F2は、フルサイズ用としてはこれまでにない、ズームレンズで開放F2の超大口径を実現しており、新たな写真表現が可能になるレンズとして要注目の1本です。

↑RF24-105㎜ F4L IS USM。F4の標準ズームとしては小型・軽量で質量は約700g。約5段分の強力なレンズ内手ブレ補正を搭載している点も魅力。発売は2018年10月下旬予定で、参考価格は15万円

 

↑RF50㎜ F1.2L USM。F1.2と極めて明るく、高解像、高コントラストな標準レンズ。美しく大きなボケ描写が得られ、収差も極めて少ない仕様となっています。発売は2018年10月下旬予定で、参考価格は31万5900円

 

↑RF28-70㎜ F2L USM。ズーム全域でF2の明るさを実現した標準ズームレンズ。3枚の非球面レンズと3枚のスーパーUD&UDレンズを使用し、実用的な大きさで大口径化。最短撮影距離も39㎝と被写体に十分近寄って撮れるのも魅力です。発売は2018年12月下旬予定で、参考価格は40万8100円

 

↑RF35㎜ F1.8 Macro IS USM。最大撮影倍率0.5倍のハーフマクロレンズ。F1.8と大口径で約5段分の手ブレ補正機構も搭載されているので、手持ちでの近接撮影が楽しめます。305gと小型・軽量で、通常撮影時も高画質が得られます。発売は2018年12月下旬、参考価格は6万8710円

 

現状では4本のみのラインナップということで、交換レンズの少なさを気にする人がいるかもしれません。しかし、別売の純正マウントアダプターを併用することでEFマウントレンズが一眼レフボディと遜色なく使えるので(EF-Mレンズ除く、EF-Sレンズはクロップで対応)、RFマウントにないレンズはEFマウントレンズで補完できます。EOS一眼レフユーザーにとっては、現在使用中のレンズがそのまま使えるのは大きなメリットといえるでしょう。

 

興味深いのは、純正マウントアダプターを4種類も用意している点。特にEFレンズ使用時にコントロールリングを使えるようにしたアダプターが用意されている点がユニークです。

↑マウントアダプターは、通常の「マウントアダプター」(上から1番目、参考価格/1万3770円)のほか、コントロールリング付きの「コントロールリングマウントアダプター」(同2番目、参考価格/2万7500円)、フィルター内蔵型の「ドロップインフィルターマウントアダプター円偏光フィルター A付」(同3番目、参考価格/4万1310円)と「ドロップインフィルターマウントアダプター可変式NDフィルター A付」(同4番目、参考価格/5万5080円)の4種類を用意。発売は、上2つが2018年10月下旬、下2つが2019年2月下旬予定

ソニー、ニコン、そしてキヤノン――フルサイズミラーレスカメラ市場はどうなる?

キヤノン EOS Rの登場で国内主要3社がフルサイズミラーレスカメラで競争するという状況になりました。ユーザーにとっては選択肢が増えてカメラを選ぶ楽しみが増したわけですが、実際のところ、どのカメラを選べばいいかは悩ましい問題でもあります。

 

まず、このジャンルで先行するソニーは交換レンズが豊富で、ボディもスタンダードといえる「α7Ⅲ」、高画素な「α7RⅢ」、高感度な「α7SⅡ」、高速連写仕様の「α9」が揃い、従来モデルも併売しているので、必要な性能や予算に応じた選択ができるというメリットがあります。

 

ニコン Zシリーズは、高画素機のZ 7と高速連写機のZ 6を用意。専用レンズは現状では数が少ないものの、超大口径の高画質レンズが使えるメリットがあります。

 

キヤノンはボディこそ1機種ですが、ニコン同様に超大口径レンズがラインナップされている点がメリット。20万円台半ばでバランスに優れたボディが使えると考えるとお買い得に思えます(その点は、ニコン Z 6も20万円台で購入できて魅力的です)。

 

また、ニコンとキヤノンに関しては、モーター内蔵タイプであれば、従来の一眼レフ用レンズをアダプターを介して専用レンズ同様の使用感で使えるというのもメリットの1つです(ソニーもAマウントレンズが使えますが、AFについてはトランスルーセントミラー方式になります)。

↑11月下旬発売予定のニコン Z 6。有効2450万画素で約12コマ/秒の連写が可能です。操作性などは上位機種のZ7同様で、重さも675g(バッテリー、カード含む)と小型・軽量。参考価格は27万2700円(ボディ)とフルサイズミラーレスとしては比較的低価格。ただ、記録媒体が高価なXQDカードのみとなっている点が費用面でやや気がかり。アダプター併用で多くのFマウントレンズも使用可能な点は同社の一眼レフユーザにとってうれしいところ

 

↑ソニー α7Ⅲ。画素数は有効約2420万画素で約10コマ/秒の連写が可能。実売価格が23万3000円と最新のフルサイズミラーレスカメラとしては低価格。本機に限らず、α7シリーズは3世代目と熟成が進んでおり、カメラのレスポンスや操作性などがかなりこなれてきているのも魅力です

 

ニコンとキヤノンはレンズ性能を追求している一方で、最初のラインナップが高価なレンズ中心となっており、高画質かつ手ごろな価格の普及タイプレンズの登場が期待されます。これはソニーも同様ですが、Eマウントレンズは、すでに低廉なサードパーティー製レンズが登場しつつあります。

↑タムロン 28-75mm F2.8 Di III RXD(Model A036)。ソニーEマウントの大口径標準ズーム。高い解像力と柔らかなボケ描写を両立した高性能レンズながら、実売で9万4500円と購入しやすい価格も魅力。ニコンZマウント用やキヤノンRFマウント用の登場も期待したい1本です

 

このように各社特徴がありますが、共通しているのは、静止画だけでなく、本格的な4K動画撮影機能なども盛り込むなど、将来性の高いモデルを投入している点。今後を見越してこれからフルサイズカメラを買うなら、ミラーレスカメラが有力な選択肢になるでしょう。

 

将来的にミラーレスカメラの性能や機能は、まだまだ伸びてくるはずです。既存の一眼レフユーザーならまずはサブカメラとして、新規ユーザーなら使いやすいフルサイズ・エントリーとして、各社の20万円台のフルサイズミラーレスカメラ(ソニー α7Ⅲ、ニコン Z 6、キヤノン EOS R)を検討してみてはいかがでしょうか?

ついに「フルサイズミラーレスカメラ」市場に打って出たニコン、その特徴や狙いとは?

2018年8月23日、ニコンから、新型フルサイズミラーレスカメラ「NIKON Zシリーズ」2機種が発表されました。このカメラは35㎜判フルサイズのセンサーを備えつつ、レンズマウントは約60年の歴史を持つ伝統の「Fマウント」ではなく、新設計の「Zマウント」を採用。2017年に100周年を迎えた同社が“次の100年”に向けて開発したという、いま最も注目されているカメラとなっています。

 

本稿では、このNIKON Zシリーズの特徴や魅力に加え、いまニコンがフルサイズミラーレスカメラ市場に参入する狙いや、今後も含めた注目ポイントについて解説していきます。

↑8月23日に行われた、NIKON Zシリーズの発表会「New Products Global LAUNCH EVENT」より。NIKON Z7を手に新製品発表を行う、ニコン代表取締役 兼 社長執行役員の牛田一雄氏。「究極・最高を意味しアルファベットの最後の1文字として未来への懸け橋を想起させるもの」として新シリーズ名を「Z」としたという

 

↑同発表会より、新製品のコンセプト「MIRRORLESS REINVENTED」について解説する、ニコン 常務執行役員 光学事業部長の御給伸好氏。①大口径マウント採用による新次元の光学性能を持ち、②エルゴノミクス、信頼性、画像品質、互換性といった「NIKON QUALITY」を継承し、③未来の映像表現の進化への対応する、という3つの価値を新たに提起するものとして、Zマウントシステムでミラーレス市場に参入するという

 

最大の特徴は新規格のレンズマウントにあり! そのメリットは?

今回登場したニコンのミラーレスカメラの最大の特徴は、いままでにない新規格のレンズマウントを採用した点にあります。従来、ニコンのレンズ交換式カメラは、約60年の歴史を持つ「Fマウント」を基本としてきました。それは、デジタルカメラになっても変わらず、途中、1型センサー用の「NIKON 1マウント」なども登場しましたが、プロ・アマ問わずメインストリームは現在においてもFマウントのカメラです。

 

とはいえ、このFマウントはセンサーの前にミラーボックスを備えた「一眼レフ」用の規格であり、ミラーレス用としては不向き。フランジバック(センサー面からレンズマウント面までの距離)が46.5㎜、マウントの内径が44㎜で、そのままミラーレス機を設計すると、ミラーレスカメラのメリットの1つである小型軽量化が難しいなどの制約が出てしまいます。

 

そこでニコンが新型ミラーレスカメラのために用意したのが、全く新しいミラーレス用マウントである「NIKON Zマウント」です。このマウントでは、フランジバックを16㎜と短くし、マウントの内径を55㎜と大きくとったことで、レンズ設計の自由度を高めています。これにより、ボディの小型軽量化(Zシリーズ2機種は、ともに約675g)だけでなく、特に広角レンズにおいて、収差の少ない高画質なレンズの登場が期待できるなどのメリットがあります。

↑マウント径の大きさは、他社製品と比べても圧倒的な大きさ。ボディとレンズ間の通信は、現状で11点の電子接点で行われ、機械的な結合は廃されている。これにより、今後の情報伝達の多様化や大容量化に対応する

 

Z7/Z6の基本スペックをおさらい。両者の違いは?

それでは新型マウントの話はいったんここまでとして、今回発表されたZシリーズ2機種の基本スペックをチェックしてみましょう。

 

まず1機種目は、“ニコン史上最高画質”を謳う「NIKON Z7」(以下、Z7)。有効4575万画素と高画素でありながら、裏面照射型CMOSセンサーの採用や新型画像処理エンジン「EXPEED 6」の採用などにより、常用感度で最高ISO25600を達成しています。

↑NIKON Z7。ボディが薄型化されてはいるが、大型グリップの採用で十分なホールド性が確保されている。操作性は、ボタン類を右手側に集中配置したタイプで、印象としては同社のD5600などに近い。発売は2018年9月下旬予定、参考価格は43万7400円(ボディ)

 

高速なAFが可能な像面位相差AFと高精度なコントラストAFを併用したハイブリッドAF採用で、493点のAF測距点により、画面の約90%の範囲でAFが行えます。ミラーレスカメラを使ううえでキモとなるEVFは、約369万ドットの有機ELパネルで視野率は約100%を確保。加えて、液晶モニターに3.2型約210万ドットの上下可動式タッチパネル液晶が採用されているので、背面モニターを使っての撮影も快適です。

↑Z7での試し撮り。解像感が極めて高く、花の質感などが立体的に描写されている。レンズ(24-70㎜ F4使用)も優秀で、収差が少なくニコンらしいキリっとした写り。ボケ描写も、ズームレンズであることを考えると極めて優秀といえる

 

2機種目は、“オールラウンドフルサイズミラーレス”「NIKON Z6」(以下、Z6)です。本機は画素数こそ2450万画素ですが、常用感度が最高ISO51200と高く、高速連続撮影も約12コマ/秒(Z7は約9コマ/秒)での撮影が可能。AF測距点は273点とZ7に比べると少なめですが、画面の約90%をカバーする点はZ7同様です。

↑NIKON Z6。基本的なデザインはZ7と同様。高感度撮影に強く、静止画だけでなく動画撮影においてもその実力を発揮すると思われる。ちなみにZ6、Z7ともに4K/30pやフルHD/120pの動画撮影に対応し、独自のN-Log記録によるグレーティング(撮影後の色などの調整)も可能だ。発売は2018年11月下旬予定、参考価格/27万2700円(ボディ)

 

EVFや背面モニターなどもZ7同等で、Z7に比べると動きモノ撮影や舞台などでの高感度撮影などにも向くカメラといえそうです。ちなみに今回の2機種では、ボディ内(センサーシフト式)手ブレ補正が搭載され、使用レンズを問わず、約5段分の手ブレ補正が有効な点も魅力の1つとなっています。

このタイミングでの市場参入の狙いは?

Z7/Z6の2機種は、現行のFマウントカメラでいうと、D850とD750が比較的近いスペックを持っています。

 

主なスペックを見比べてみると、Z7とD850が4575万画素で連写速度も最高約9コマ/秒(D850はマルチパワーバッテリーパックMB-D18とリチャージャブルバッテリーEN-EL18b使用時)、常用最高感度もISO25600で同等といえます。また、D750とZ6は、連写や常用最高感度では最新モデルであるZ6が勝るものの、画素数2432万画素と同等です。

↑D850(上)とD750(下)。D850は高速連写も可能な高画素モデルとして人気が高い一方で、年齢の高い層を中心に重さを気にするユーザーも少なくない。そうしたユーザーにとって、Z7の登場は朗報といえるだろう。D750は、フルサイズ一眼レフとしては軽量で、画素数にこだわらないユーザーの支持を集めている。ただ、連写性能などに物足りない部分があり、そうしたユーザーとって、さらに軽量化しつつ連写性能や高感度性能をアップさせたZ6は魅力的に写るはず

 

D850/D750とも両機とも同社を代表する人気機種で、特に昨年発売のD850はプロ・ハイアマ層を中心に高い支持を集めています。発表会では、Fマウントを採用する一眼レフカメラは光学式ファインダーなどの利点から根強い支持があるとして、今後も一眼レフカメラの開発・生産は継続しておくことが明言されていました。

 

では、Fマウント一眼レフカメラで多くのシェアを持っているニコンが、いまになってフルサイズミラーレス市場に製品を投入する狙いはどこにあるのでしょうか?

 

その答えは、現状でフルサイズミラーレスカメラを投入している国内唯一のメーカー、ソニーの動きが参考になるでしょう。ソニーは、「α7シリーズ」でフルサイズミラーレス市場を切り開いたパイオニアといえますが、そのシェアはここにきて急速に伸びています。レンズ交換式フルサイズカメラ市場でおよそ30%程度を有しているといわれ、ニコンやキヤノン、ペンタックスなどフルサイズ一眼レフカメラを展開するメーカーを脅かす勢いです。

↑2018年3月発売のソニー「α7Ⅲ」。同社の最新フルサイズミラーレスカメラは3世代目となっており、そのアドバンテージがどの程度あるのか、逆にニコンの新製品が先行するαシリーズにどの程度まで追いついているのか気になるところ。近い将来、両社が切磋琢磨して、より優れたミラーレスカメラが登場してくることも期待される

 

また従来のミラーレスカメラは、EVF採用によるファインダー表示の遅れ(タイムラグ)などが問題になっていましたが、表示速度が高速化し、表示品位も向上したことで、特殊な状況以外ではそうした不満もあまり聞かれなくなってきました。むしろ最近は、ホワイトバランスや露出などが撮影画像とほぼ同等の表示が可能な点や、暗い場所でも像を明るく映し出せるなどのメリットが見出だされるようになってきています。

 

つまり、そうしたミラーレスのデメリットの多くが解消されつつあり、かつメリットが感じられるようになったいま、ハイエンドカメラを得意とするニコンが、満を持して投入したのが新型のZシリーズだといえます。しかも、一般にフランジバックが短く、マウント内径が大きいほうがレンズ設計などの点で有利といわれているなかで、フランジバック18㎜、マウント内径約46㎜のソニーEマウントを超えるマウントを用意できた点は、今後のレンズ展開において大きなポイントだといえます。

 

レンズラインナップの今後に期待! “ニコン史上最高の明るさ”を持つ製品も

現状、Zマウントレンズは「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」、「NIKKOR Z 35mm f/1.8 S」、「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」の3本のレンズの登場がアナウンスされているほか、「NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct」という超大口径のレンズの開発も発表されています。ただ、それでも計4本のラインナップということで、今後の展開が期待される状況です。

↑NIKKOR Z 24-70mm f/4 S。ズーム全域で最短撮影距離0.3mと近接撮影に強く、収差も極めて少ない標準ズーム。ナノクリスタルコート採用でゴーストやフレアも発生しにくく、幅広い撮影フィールドに対応する。発売は2018年9月下旬予定、参考価格/13万2300円

 

↑NIKKOR Z 35mm f/1.8 S。ボケ描写が美しく、点光源などのフレアが少ない。EDレンズ2枚、非球面レンズ3枚を採用した贅沢な設計だ。ナノクリスタルコートも採用。発売は2018年9月下旬予定、参考価格/11万700円

 

↑NIKKOR Z 50mm f/1.8 S。軸上色収差が徹底的に除去され、画面全域で高い質感描写や解像力を発揮する。近距離撮影でのボケ描写も美しく、動画を含めた多くのシーンで活用できる標準レンズ。ナノクリスタルコート採用。発売は2018年10月下旬予定、参考価格/8万1000円

 

↑NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct。ニコンでは、Zシリーズ用レンズ中、独自の高い品質管理がなされ、光学性能が高い製品を「S-Line」と呼称している(今回の4製品は、いずれも該当)が、そのラインナップ中、Zマウントシステムの新次元の光学性能を象徴するレンズとして開発されているのが本レンズだ。ニコン史上最高の明るさを持つF0.95のマニュアルフォーカスレンズで、ボケ描写や解像感、点像再現性に優れるという

 

↑発表会では、今後のレンズロードマップなどについても解説された

 

しかしながら、「マウントアダプター FTZ」によって数多くのFマウントレンズが使用できること、Fマウント機の周辺アクセサリーが流用できること、また、現時点でそれらのユーザーが相当数存在することを考えると、ソニーα7シリーズと互角に勝負できる素地は整っているといえるかもしれません。少なくとも、ニコンZシリーズの登場で、今後さらにミラーレスカメラ市場が盛り上がっていくことは間違いないでしょう。

↑マウントアダプター FTZ。Aiニッコール(改造含む)以降のMFレンズを含むFマウントニッコールレンズをZマウントカメラに取り付けられるアダプター。モーター内蔵レンズでは、従来のDシリーズ同等のAF速度が得られるという。また、VR機構を有していないレンズでは、ボディ内の手ブレ補正が機能するといった点も魅力だ。発売は2018年9月下旬予定。参考価格/3万5100円でボディとのキットも用意されている

 

↑Zシリーズの発表会当日にFマウントの新レンズAF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VRが発表された。これは、今後もFマウントカメラ及びレンズについても開発を続けていくとの意思の表れと思われる。本レンズは、レンズの小型化に貢献する「位相フレネルレンズ」を採用した超望遠の意欲作であり、高解像でフレアの少ない仕様となっている。アダプターを介してZシリーズで使用することもできるが、今後、Fマウントカメラ&レンズとZマウントカメラ&レンズがどのようにすみ分けされ、発展していくのか楽しみだ

 

コスパで選ぶならコレ!! プロがオススメする「格安カメラ&レンズ」まとめ

価格が安い、安すぎてちょっと心配になってしまうくらいの格安アイテムを、プロ・専門家が徹底的にチェック! 独自機能やおすすめポイントなど、良いところも悪いところも含めて惜しみなくレビューをお伝えしていきます。今回のテーマはミラーレスカメラや一眼レフカメラ、交換レンズ、ストロボ、三脚といった格安カメラ用品です。

 

まだまだ発展途上のスマホカメラとは異なり、最近の一眼カメラはもはや安定期にあります。一世代前の旧製品でも、十分に納得できる画質と性能なのです。そんなおトクな格安モデルのなかから特にオススメの機種を紹介します。

 

【○×判定した人】

カメラマン・永山昌克さん

写真スタジオを経てフリーに。写真や動画撮影のほか、カメラ誌やWEB媒体での執筆も多数。

 

一世代前のモデルでも画質や操作性に不都合はない

エントリークラスのカメラは各社1〜2年ごとに新製品が登場しますが、モデルチェンジ後しばらくの間は旧製品も併売されます。この、いわゆる型落ち品が格安で、コストパフォーマンスが非常に高いです。

 

最近のモデルチェンジは、画質や操作性が大きく変わるわけではなく、新機能の追加がメインであることが多いです。その新機能が自分にとって重要でなければ、あえてひとつ前の製品を選ぶのも十分アリなのです。余った予算で交換レンズを1本追加したほうが、写真撮影の楽しみはいっそう広がります。

 

交換レンズに関しても、高価な新モデルだけが優れているわけではありません。発売が古い安価なレンズでも、描写性能に優れた製品はたくさんあります。ここで取り上げるのは、そんな掘り出し物の数々です。

 

【カメラ編】

その1

タッチ操作や4K動画に対応した薄型軽量モデル

パナソニック

LUMIX GF9

実売価格6万9800円(ダブルレンズキット)

【ミラーレス(EVF非搭載)】【1600万画素】【秒約5.8コマ連写】【常用最高ISO25600】【約269g

薄型軽量ボディの入門機ながら、4Kフォトによる30コマ/秒の高速連写など、便利で実用的な機能が満載。液晶は自分撮りがしやすいチルト可動式で、タッチ操作にも対応。ボディに巻き付けられた合皮素材は、低価格を感じさせない高品位な雰囲気を生み出しています。

SPEC●レンズマウント:マイクロフォーサーズ ●モニター:3.0型約104万ドット、チルト式(上方向のみ)、タッチ対応 ●EVF:非搭載 ●サイズ:約W106.5×H64.6×D33.3㎜

 

【check】

画質:〇

中級機に匹敵する描写力

ローパスレスの16M Live MOSセンサーを搭載し、中級機に匹敵する描写力。フォトスタイル機能によって細かく色をカスタマイズできる点も◎。

 

操作性:○

初心者でも安心して使いこなせる

操作部はシンプルにまとまっていて使いやすいです。薄型のキットレンズ装着時のボディバランスは良好で、切れ味の鋭いシャッター音も好印象。

 

機能:○

「4Kプリ連写」が動体撮影に好適

独自の「4Kプリ連写」では、シャッターボタンを押した前後の60コマを自動的に記録できます。撮るのが難しい動物や野鳥、子どもなどの撮影に好適。

 

 

その2

ワンランク上の撮影も楽しめる高機能モデル

パナソニック

LUMIX GX7 Mark 

実売価格6万9800円(標準ズームレンズキット)

ミドルクラスの高機能ミラーレス。高さを抑えた横長ボディに、視認性に優れた電子ビューファインダーと、アングルの自由度を高めるチルト可動液晶を搭載。撮影モードはオートからマニュアルまで完備。

【ミラーレス(EVF搭載)】【1600万画素】【秒約8コマ連写】【常用最高ISO25600】【約426g】

SPEC●レンズマウント:マイクロフォーサーズ ●モニター:3.0型約104万ドット、チルト式、タッチ対応 ●EVF:約276万ドット ●サイズ:約W122×H70.6×D43.9㎜

 

【check】

画質:〇

ハイアマも満足できる解像感

撮像素子は特に高画素ではありませんが、ローパスフィルターレス仕様であり、解像感は優秀なレベル。キットレンズの写りも悪くありません。

 

操作性:×

2ダイヤルは便利だがチルト液晶が惜しい

電子ダイヤルはグリップの前後に2つあって多機能をスムーズに設定可能。ただし、チルト液晶は自分撮りや縦位置撮影に非対応なのがイマイチ。

 

機能:〇

一段上の機能が薄型ボディに凝縮

強力なボディ内手ブレ補正や4Kフォトによる高速連写、本格モノクロモードなど、一段上の機能が満載。各ボタンの機能を柔軟にカスタムできるのも便利です。

 

 

その3

シンプルな操作性が魅力の小型軽量機

ニコン

D5300

実売価格6万4900円(AF-P 18-55 VRキット)

小型軽量ボディとシンプル操作が魅力の一眼レフ。使用頻度の高い項目にダイレクトアクセスが可能なiボタンを搭載。凝った効果を素早く適用できるスペシャルエフェクトなどのビギナー向け機能も充実しています。

【一眼レフ】【2416万画素】【秒約5コマ連写】【常用最高ISO12800】【約530g】

SPEC●レンズマウント:ニコンFマウント ●モニター:3.2型約104万ドット、バリアングル式、タッチ対応 ●OVF:約95%、約0.82倍 ●サイズ:約W125×H98×D76㎜

 

【check】

画質:〇

高精細な2416万画素

低価格の旧モデルながら、最新の中級機に匹敵する2416万画素の高精細を実現。遠景の細かい部分までシャープに描写できます。

 

操作性:×

ライブビュー時のAFの遅さが残念

一眼レフとしては小型軽量なボディであり、携帯性とホールド性を両立。しかし、ライブビュー使用時のAFの遅さとタイムラグが残念です。

 

機能:〇

39点位相差検出AFが使えるのが良い

AFには、最大39点の測距点を自動/手動で選べる位相差AFを採用。ペットや子どもといった動体にも、ストレスなく軽快に合焦します。

 

【交換レンズ編】

その1

高倍率ズームレンズ】低価格と高倍率、小型軽量を兼ね備える

タムロン

18-200mm F/3.5-6.3 Di Ⅱ VC (Model B018)

実売価格2万5650

高倍率ズームのパイオニアであるタムロンが、2015年に発売したAPS-C一眼レフ用レンズ。より倍率の高い製品と比べても、持ち運びに優れた小型軽量である点がうれしい。低価格ながら、適度な剛性感も備えています。

【キヤノンEFマウント用】【ニコン用】【ソニーAマウント用】

SPEC●35㎜判換算焦点距離:28〜310㎜ ●最短撮影距離:35㎜時0.77m、180㎜時0.49m ●フィルター径:62㎜ ●長さ:キヤノン用96.6㎜、ニコン用94.1㎜ ●質量:約400g

↑幅広い焦点距離をカバー。そのため、自由に動けない場所でも狙いに応じた厳密なフレーミングが可能です

 

【ここが〇】

手ブレ補正の効きが良好

ズームすると前玉部分が長くせり出しますが、鏡胴にガタつきはなく、安っぽさは感じません。手ブレ補正の効果も十分にあります。

 

【ここが×】

AFスピードが遅めでもたつく

AFの作動音はあまりうるさくありませんが、AFスピードは遅め。マウント部がプラスチック製である点も不満。

 

その2

【マクロレンズ】銘玉といわれる「タムキュー」の2008年モデル

タムロン

SP AF90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 (Model272E)

実売価格2万9140円

タムロンの90㎜マクロといえば、高画質と美しいボケに定評があり、1979年発売の初代モデル以来、モデルチェンジを繰り返しながら多くのユーザーに親しまれています。これは2008年発売モデル。AFはうるさいが画質は一級品です。

【キヤノンEFマウント用】【キヤノン用】【ニコン用(AFモーター内蔵:272EN Ⅱ)】【ソニーAマウント用】【ペンタックス用】

SPEC●35㎜判換算焦点距離:90㎜ ●最短撮影距離:0.29m ●フィルター径:55㎜ ●長さ:97㎜ ●質量:約400g

↑PC上で等倍表示すると、花粉の粒がはっきりわかるくらいシャープに解像。リアルで立体感のある描写が得られました

 

【ここが〇】

切れ味の鋭い描写力が魅力

フルサイズ対応ながら四隅まで高解像を実現。一方で、絞り開放値ではピントを合わせた前後に美しいボケが生じます。

 

【ここが×】

AF駆動音が少々大きめ

超音波モーター非搭載なのでAF駆動音は少々大きめ。AFからMFに切り替える際、ピント位置が動きやすい点も×。

 

 

その3

【望遠ズームレンズ】1万円台前半で超望遠域を味わう

タムロン

AF70-300㎜ F/4-5.6 Di LD MACRO 1:2 (Model A17)

実売価格1万2240円

フルサイズに対応した小型軽量の望遠ズーム。通常の最短撮影距離は1.5mですが、マクロモードを選ぶと0.95mまでの接写もできます。手ブレ補正は非搭載。ゴースト対策として前玉にはマルチコートが施されています。

【キヤノンEFマウント用】【ニコン用(AFモーター内蔵:A17N Ⅱ)】【ソニーAマウント用】【ペンタックス用】

SPEC●35㎜判換算焦点距離:70〜300㎜ ●最短撮影距離:通常1.5m、マクロモード時0.95m(180-300㎜域) ●フィルター径:62㎜ ●長さ:116.5㎜ ●質量:約458g

↑描写性能は色収差がやや目立ち、最上とはいえませんが、十分に実用的。小動物をアップで撮れるのは便利です

 

【ここが〇】

軽量で携帯性に優れている

フルサイズ対応ながら、質量458gという軽さが最大のメリット。300㎜側でF5.6というスペックやマクロ機能も◎。

 

【ここが×】

手ブレ補正が非搭載

300㎜の超望遠撮影ができるが手持ちではブレやすいので、手ブレ補正非搭載は残念。AFが遅めといった弱点もあります。

 

 

その4

【単焦点レンズ】単焦点レンズの入門用に打って付け

シグマ

30mm F2.8 DN

実売価格1万6360

わずか140gの軽さを実現したミラーレス用単焦点レンズ。両面非球面レンズの採用で諸収差を補正したほか、スーパーマルチレイヤーコートによってフレアやゴーストの発生も低減しました。AFは駆動音の静かなリニアAFモーター式です。

【マイクロフォーサーズ用】【ソニーEマウント用】

SPEC●35㎜判換算焦点距離:マイクロフォーサーズ60㎜、APS-C45㎜ ●最短撮影距離:0.3m ●フィルター径:46㎜ ●長さ:40.5㎜ ●質量:約140

↑スムーズなボケは単焦点ならでは。この写真では、絞り値F2.8に設定し、被写体に近寄ることで背景をぼかします

 

【ここが〇】

小型軽量で画質も優秀

キット付属の標準ズームに比べて小型軽量で、携帯性が高いです。画質もキットレンズより上で、美しいボケが得られます。

 

【ここが×】

外装に指紋がつきやすく目立つ

開放値F2.8は、キットレンズよりは明るいものの、F1.8クラスよりは暗く、中途半端な印象。外装も指紋がつきやすいです。

 

【撮影アイテム編】

その1

薄型軽量のクリップオンストロボ

GODOX

TT350デジタルカメラフラッシュ

実売価格1万4310

各社のTTLオート撮影に対応したクリップオンストロボ。単3形乾電池2本で駆動し、200gと軽量です。マルチ発光や高速シンクロ撮影に対応するほか、発光部を上下左右に動かすことで天井や壁を使ったバウンス撮影も行えます。

【ストロボ】【キヤノン用】【ニコン用】【ソニー用】【富士フイルム用】

SPEC●ガイドナンバー:36(105㎜、ISO100) ●フラッシュ範囲:24〜105㎜(14㎜ワイドパネル付) ●電源:単3形乾電池2本 ●サイズ/質量:W62×H140×D38㎜/200g

↑背面には、各種機能の設定状態がひと目でわかる液晶パネルを装備。その下のホイールを回して発光量を調整します

 

【ここが〇】

各社のTTL発光に対応

4つのメーカー用の製品が用意され、押すだけのフルオート撮影で使用できます。高速シンクロなどの機能も充実。

 

【ここが×】

チャージに時間がかかる

単3形乾電池2本で駆動するのは携帯性では有利ですが、4本使用の他社製品に比べてチャージに時間がかかります。光量もやや弱め。

 

 

その2

憧れのカーボン三脚がわずか1万円で購入可能

アマゾンベーシック

トラベル三脚 130cm  5小型

実売価格9980

軽量で剛性感の高いカーボン素材を採用したトラベル用三脚。脚を伸ばし、中央のエレベーター部分を動かすことで、高さは30.5〜135.5cmの範囲で調整可。ボールヘッドの自由雲台やクイックプレート、キャリングケースも付属します。

SPEC●耐荷重:3.6㎏ ●全高:135.5㎝(EVあり) ●最低高:30.5㎝ ●縮長:31㎝ ●質量:1.11㎏

 

↑持ち運ぶ際は、脚の部分を反転させることで小さくまとめることが可能。出っ張りが少ないナット式ロックも便利

 

【ここが〇】

カメラバッグに収納可能

縮長が31㎝と短いので、通常のカメラバッグに入れて持ち運ぶことも可能です。また、ローアングル撮影にも対応します。

 

【ここが×】

一眼レフ用には安定感が不足

全長135.5cmはやや物足りず、脚も5段でセッティングに時間がかかります。ミラーレス用で大きな一眼レフには不向き。

 

 

 

「逸材を撮るならこのカメラ!」プロレスラー・棚橋弘至が認めた本格ミラーレス「FUJIFILM X-H1」

「タナハシ~!」黄色い歓声の響く後楽園ホール。最近のプロレス会場は、「プ女子」(女性のプロレスファン)と呼ばれる新たなファン層に牽引されるように、活気に満ちあふれています。そして、そのファンの多くがカメラやスマホを手に試合を撮影しています。しかし、プロレスに代表されるような、動きが速く照明が限られた室内でのスポーツ撮影はブレやピンボケが発生しやすく、上手く撮るのが非常に難しい被写体。そこで重要になるのが、高感度やAF性能に優れたカメラと、被写体に最適化したカメラ設定です。

 

GetNavi webでは、そうしたプロレス撮影向きのカメラや設定を知って、かっこいいプロレス写真を撮ってもらいたい! ということで、スポーツ写真家の山田高央さんを講師にプ女子読者を招待しての撮影会を実施。山田さんオススメの富士フイルム製ミラーレス一眼「FUJIFILM X-H1」と山田式プロレス用スペシャル設定を駆使して、存分に撮影を楽しんでいただきました。

 

さらに後日、撮影会当日の試合に出場し、今回の参加者がともにファンだという新日本プロレスの棚橋弘至選手に3人の作品をプリントして見ていただき、山田さんとともにプロレスやプロレス写真の魅力、面白さなどについて語ってもらいました。本稿では撮影会~インタビューまで、その一部始終をお届けします!

↑「色鮮やかで力強い写真を撮っていただけて感激です。表情などもすごくシャープに撮れていてスゴイ! X-H1は軽くて、操作も簡単。しかも、AFが速い! プロレスの試合を撮るならコレ! ですね」(新日本プロレス・棚橋弘至選手)。棚橋選手のインタビューは記事後半でたっぷりご紹介!

 

【今回紹介する製品はコチラ!】

富士フイルム
FUJIFILM X-H1
実売価格25万8660円(ボディ)

仕上がりの良さで定評のある「フィルムシミュレーション」や高感度性能に加え、シリーズ初のボディ内5軸手ブレ補正、フリッカー低減撮影機能などを備えるハイパフォーマンスモデル。防塵・防滴・耐低温構造を持つ高剛性・高耐久ボディも魅力です。撮影会では、このボディに小型で高性能な望遠ズームレンズ「フジノンレンズ XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS」(実売価格8万460円)を組み合わせて使用しました。現在、期間内(~2018年9月30日)に購入した場合に3万円がキャッシュバックされるキャンペーンも実施中。

製品の詳細情報はコチラ↓
http://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/x/fujifilm_x_h1/

■キャッシュバックキャンペーンの詳細についてはコチラ↓
http://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/promotion/xh1_cash_back2018/

 

ロープにピントが合って選手がピンボケ――“プロレス撮影あるある”解決法とは?

撮影会当日、まずはカメラの使い方や撮影時の設定、撮り方のコツなどを山田高央さんが作品を交えながらレクチャー。その後、後楽園ホールに移動し、FUJIFILM X-H1(以下、X-H1)を使って実際の試合の写真を撮る、というプログラムです。

【講師】

山田高央さん。1968年東京都出身。日本写真芸術専門学校卒。出版社写真部を経て2005年からフリーとして活動開始。週刊誌・月刊誌などではスポーツ・ポートレートなどジャンルを超えて多方面で作品を発表している。日本スポーツプレス協会会員・国際スポーツプレス協会会員。

 

【参加者】

小山さん。海外遠征も厭わないプロレス好きで、普段はコンデジを使用。選手がピンチのときの表情が好きだが、ぶれてしまうことが多く、なかなか上手く撮れないと悩み中。

 

石塚さん。棚橋選手が好きでプロレスを見るようになり、写真も撮るようになったという。高倍率ズーム機のオート機能で撮影を楽しむも、ブレやピンボケ、露出アンダーなどで苦しんでいる。

 

野口さん。気合を入れてミラーレス一眼を購入するも、ロープにピントが合ってしまい、ピンボケになることが多いそう。

 

山田さんによると、プロレスを客席から撮る場合には、

①ロープが邪魔でピントが合わない

②シャッター速度が遅くなってぶれる

③照明の加減によって露出が変化しやすい

という3つが問題になってくるといいます。

 

①については、AF測距点の位置をいかに素早く、最適な位置に合わせられるかがポイント。ピントは必ずしも顔に合わせるのではなく、顔とほぼ同じ距離にあり、かつ比較的動きの緩やかな胸の位置などで合わせると、合わせやすいとのこと。②については、被写体を止めて写すにはシャッター速度を目安として1/1000秒以上にする必要があり、そのためにはISO感度を上げて撮らないと露出アンダー(暗く写る)になるため、高感度時の性能がキモになります。③については、写真の明るさを一定に保つ必要があり、自動露出ではなく、マニュアル露出の使用がオススメとのこと。

 

これらの条件を考えると、AF測距点の操作がしやすく、高感度でも画質が破綻しない、しかも連写に強いというX-H1はプロレス撮影にぴったりだと、山田さんは語ります。蛍光灯などの照明のちらつき(フリッカー現象)による露出や色のばらつきを低減する「フリッカー低減機能」が搭載されている点も、室内スポーツ撮影における確実性を高めてくれるでしょう。

↑X-H1は、フォーカスポイントを直感的に動かせる「フォーカスレバー」を背面に装備。ファインダーをのぞきながらでも、ロープの合間をぬうようにピントを合わせることができます

 

↑上面には感度ダイヤル、シャッタースピードダイヤルという専用ダイヤルを装備。難しい印象のあるマニュアル撮影も手軽に行えます。また、大きなサブ液晶モニターで細かな設定状況が一目でわかる点も◎

 

↑AF-Cモード時の動体追従性を、被写体やシーンに応じて3つのパラメーターで細かく設定可能。「加速減速に強い」「激しい動きに強い」など5つのプリセットに加え、ユーザーカスタムにも対応します

 

↑高精細で視認性の高い、369万ドットの大型EVFを装備。連写モードを中速の「CM」にすると、ブラックアウトする時間が短くなり、動く被写体も快適に追いかけることができます

 

そのほか、ホワイトバランス(WB)などもオートでは多少のタイムラグが出る可能性があるので、固定するほうがチャンスに強くなるそうです。それらを踏まえた、プロレス撮影用のオススメ設定が以下の表のようになります。

【山田式プロレス用“スペシャル設定”(後楽園ホール版)】

↑「フィルムシミュレーション」は、フィルムメーカーである富士フイルムならではの絵作り機能。プロレス撮影では、スタンダードである「PROVIA」に設定し、なおかつWBを3600Kにすることでやや赤寄りの鮮やか描写となり、筋肉を美しく表現できます

 

実際の撮影での狙いとしては、選手がコーナーポストに登っているシーンなどは写真撮影に邪魔なロープがなく、確実に押さえたいシーン。さらに、試合中でも選手がにらみ合っているシーンや組み技が決まったシーンなどは、比較的動きが緩やかなので狙いどころです。そのほか、動きが速いシーンは狙いにくいですが、その場合は動きを予想しながら、最適なピントの位置を考えつつ構図を決めるのがポイントです。

↑講義では技術的な指導に加え、「何よりもあきらめないことが重要。連写するのであれば、イメージしている動きが終わるまでは連写を止めない。あるいは、狙った次の瞬間も撮ってみる。そうしたことで、運を呼び寄せるのも撮影のコツ」と山田さんは語ります

 

↑初めて手にするX-H1に興味津々の参加者。がっちりしたボディですが、約673g(レンズは除く)と見た目の印象ほど重くはなく、グリップもしっかりしているため女性でも無理なく扱えます

 

「単なる記録じゃない楽しさがあった」クリアな描写に大満足!

講義のあとは、いよいよ後楽園ホールに移動です。イベント当日もホールは満員。周りを見渡すとカメラを持った方も大勢いて、気持ちが盛り上がってきます。ということで、参加者の皆さんに試合前の意気込みを聞いてみました。

「仕事では一眼も使ってはいるのですが、X-H1はファインダーがキレイで期待しています。かわいい表情をアップで狙えたらと思います」(小山さん)

「躍動感のあるシーンを狙ってみたいですね。本格的なカメラで(グリップがしっかりしているので)持ちやすいです。あと、いい写真が撮れたら自分で大きなパネルに仕上げたいと思います。」(石塚さん)

「あわてずに撮りたいシーンをじっくり撮れたらと思います。ロープに邪魔されずにピントが合わせられるかどうか、挑戦してみます」(野口さん)

↑後楽園ホールは満員。試合が近づくにつれ、会場の熱気が高まっていきます。ファンのコールや拍手が続き、選手が入場。いよいよ試合開始です!

 

↑みなさん、撮影中は真剣そのもの。決定的瞬間を収めようと、夢中でシャッターを押していました

 

試合前半は少し緊張気味でしたが、後半はカメラにもかなり慣れてきたようです。当日、棚橋選手はセミファイナルの出場で、ちょうどいいタイミングでの撮影となりました。熱戦が終わり、3人とも数百枚の写真を撮って満足した様子。撮影後の感想を聞いてみると、

「いつもよりもキレイに撮れていてうれしかったです。アップで撮れて、新たな萌えポイントも見つかるなど、単なる記録じゃない楽しさがありました」(小山さん)

「ファインダーをのぞいただけでもキレイで、撮っていてテンションが上がりました。瞬間瞬間がぶれずに髪の毛までキッチリ撮れていてすごかったです」(石塚さん)

「思った以上にAFが合っていました。クリアに撮れて、満足度は100点でした」(野口さん)

みなさん、いままでの失敗を克服しつつ、撮影を楽しんでいただけたようです。試合はもちろん、最新一眼で撮るプロレス写真の仕上がりに、心底満足されていた表情が印象的でした。

 

こちらが参加者のみなさんが実際に撮影した写真。ベストな1枚を山田カメラマンのコメントとともにどうぞ!

↑小山さん撮影。「フレーミングを横にとり、相手選手とレフェリーを画面いっぱいに入れることで、リング上の緊張感を表すことができました。相手に向けられる棚橋選手のシャープな視線が勝負の厳しさを感じさせてくれます」(山田さん)

 

↑石塚さん撮影。「相手選手をコーナーに追い込み攻め続け、次の技を繰り出す僅かな合間に見せた、棚橋選手の気合いに満ちた表情が見事に写し出されています。被写体から目を外さない心掛けが、このような素晴らしい作品を生みました」(山田さん)

 

↑野口さん撮影。「試合前のアナウンス、彼の耳には全く聞こえていないような集中力。棚橋選手の表情から緊張感が伝わってきます。一瞬の動きも見逃さず捉えることで、真剣勝負を十分に感じさせてくれる作品となりました」(山田さん)

「写真1枚で多くのことが伝わる」棚橋選手ロングインタビュー

後日、参加者のみなさんの写真を見てもらうため、山田さんとともに棚橋選手を取材させていただきました。写真を見た瞬間「この写真いいなあ~」と一言。今回使用したX-H1にも触っていただきましたが、「持ちやすくて操作しやすい」と大変お気に入りのご様子でした。

 

――早速ですが、普段ファンの方が撮られた写真を目にされる機会はありますか?

棚橋弘至選手(以下、棚橋):最近、リングサイドで写真を撮ってくださる方が増えて、すごくうれしいんです。そこで、ポーズを少し長くとるようにしていますし、シャッターチャンスには合図もしています。ビッグマッチだと、そうしたシーンが特に増えますね。写真をツイッターなどのSNSにアップされている方もいるので、けっこう写真を目にする機会は多いです。

 

――では、今回の参加者の方の写真をご覧になられての感想はいかがでしょうか?

棚橋:この写真、いいなあ~。やっぱり、被写体もいいのかな(笑)。プロレスの試合って動画で見ることが多いと思うのですが、実は印象的なシーンというか、いわゆる“名シーン”と呼ばれるものは、写真のほうが記憶や記録に残るので、1枚の写真に残したいという気持ちがあります。そんななかで、いまはたくさんのファンのみなさんが写真を撮ってくださるというのは、本当にありがたい。その写真をSNSなどで見た方がプロレスを好きになってくれる可能性もありますし。

SNSや口コミを通じて、ファンの方が新しいファンを増やしてくれているのですが、そのときに1枚の写真があるかどうかで印象が変わると思うんです。例えば、同じ「面白かった」というツイートでも、そこに1枚の写真がつくだけで面白さが伝わりやすい。まさに「百聞は一見に如かず」です。文字が少なくても写真1枚で多くのことが伝わりますよね。

↑「様々な表情を撮っていただいていて、うれしいですね。しかも、髪の毛までシャープ。枝毛まで写ってそうですね(笑)」(棚橋選手)

 

――今回の撮影で使用したX-H1はBluetoothによるワイヤレス通信に対応していて、手軽にスマホに転送できるのでSNSへの投稿も簡単なんです。ところで、ご自身でも写真を活用される機会はありますか?

棚橋:巡業で各地を周っていますが、そうしたときに、自分がどこにいって、何を食べて、何を見たのか……それらを撮った1枚の写真を添えてブログなどにアップするようにしています。そうすることで、ファンの方にも追体験してもらえると思うので。

 

――写真はご自分で撮っていらっしゃるのですか?

棚橋:基本的に写真はすべて自分で撮っています。例えば、セルフタイマーを使ってモデル風に歩いているシーンを撮ってみたりとか。ときにはタイミングが合わなくて、失敗したりもするんですけどね(笑)。試行錯誤しています。

↑「1枚の写真で伝わることの多さを日々実感しています。それだけに、ブログの写真なども大切にしているんです」(棚橋選手)

 

――選手の立場から見たプロレス写真の面白さについて教えてください。

棚橋:リング上には喜怒哀楽が満ちていて、試合前の集中している顔だったり、相手に対して気迫で押している顔だったり、ときにはやられて苦しみもがいている顔だったり、様々なシーンがあると思いますが、そうした様々な表情を見られるのも写真の良い点だと思います。自分で見て気づかされることも多いですね。(参加者の写真を見ながら)……少し、ダイエットしなきゃいけないかな? G1(※)に向けて頑張らないと……。今日は歩いて帰りますね(笑)。

※毎年恒例の“真夏の最強戦士決定戦”「戦国炎舞 -KIZNA- Presents G1 CLIMAX 28」のこと。インタビューは本大会の開幕前に行いました

↑棚橋選手自身が撮ってほしいシーンについてうかがうと、「先日、棚橋選手は横顔がかっこいいですねって言われたので、棚橋を撮るなら横顔でってことで。じゃあ、正面はどうなんだという話ではあるんですが(笑)」と笑顔で語ってくれました

 

――読者の方の写真に続いて、プロの写真家である山田さんがX-H1で撮られた写真もご覧ください。

山田高央カメラマン(以下、山田):撮る側からすると、コーナーポストに上がったときやキメのシーンで少しタメを作っていただけると、私だけでなく、一般の方も撮りやすいと思うのですが、棚橋選手はそうした点も気を遣っていただいているんですね。撮影するファンにとっては本当にうれしいはず。一般の方もそうしたシーンが1枚でも撮れると、満足度が高いのではないかと思います。

↑入場後、ポストに上って決めポーズをとる棚橋選手。こうしたシーンでは選手が静止してくれることも多く、大きなシャッターチャンスに!(撮影/山田高央)

 

↑パートナーとの交代を待つ棚橋選手の真剣な一瞬の表情を捉えた1枚。ズームでぐっと寄って表情を切り取ると、選手の新たな一面が見えてきます(撮影/山田高央)

 

↑客席からだと、どうしてもロープが被ることが多くなりますが、X-H1のフォーカスレバーを駆使すればロープを避けてのAFも容易です(撮影/山田高央)

 

↑技を掛け合う激しいシーンでは、ある程度動きを予測してシャッターチャンスを待ちましょう。必ずしも画面内でロープを水平にする必要はなく、むしろ斜めになっているときのほうが躍動感が出る場合も(撮影/山田高央)

 

棚橋:さすがプロですね。画角にキチッと収まっていて、1枚1枚の表情がすべて違っている。選手の側では、写真を見るとどんな気持ちで試合をしていたかを思い出すことができるのですが、ファンの方が見ても、その時々の表情などから、シーンや感情を想像していただけると思います。そういう点でも写真は良いですよね。

 

――今回は山田さん含めて、このX-H1で撮影していただきました。棚橋選手も、よろしかったら少しカメラを触ってみてください。

棚橋:おっ、連写が速いですね。しかもAFも速い。撮りたいところに瞬時にピントが合う。以心伝心って感じですね。一眼カメラって少しハードルが高い印象もあったんですが、これは意外と軽くて撮りやすいです。操作も簡単だし、使っていくとカスタマイズできる部分も多いと思うので、初心者でもハイアマチュアでもプロでも撮影が楽しめそう。プロレスの試合を撮るなら、このカメラって感じですね。写りも、表情だけでなく髪の毛の1本1本まで見事に解像してますし。

↑「これは“100年に一台の逸カメラ”だ!!」(棚橋選手)

 

山田:私は普段の仕事ではリングの下から撮っているので意識していなかったのですが、今回のように客席から撮ると、やはり選手の前にロープが入るので、難しいケースもあるんですよね。その点、このカメラはフォーカスレバーでピントの位置を自在に変えられるなど、本当に撮りやすいんですよ。

 

棚橋:よく、ロープにピントが合っていて選手がピンボケになっている写真、ありますよね。

 

山田:そうなんです。今回参加された方からも、ロープにピントが合ってしまうという声が多くて。でも、このカメラは選手にピントが合いやすくて、一般の方でも使いやすいカメラだと思います。

 

棚橋:使いやすさとか、ピントの合わせやすさとか、これはもうプロ泣かせじゃないですか? 色もインパクトがあって、少し“盛れる”感じ。リングは照明が入るので背景が黒くなりますが、先ほど見せていただいた作品だと黒のトーンというか、黒い色のバリエーションもしっかり出ています。いまの時代、写真が盛れるというのは、SNSなどで使う場合などには重要ですよね。

↑「背面モニターもファインダーも見やすくてクリアですね。ピント合わせが特に速い!」(棚橋選手)

 

山田:プロレスのリング上は照明もきれいなので、そうした黒い色のトーンなどがきれいに写ると、選手もよりかっこよく撮れると思います。色も濃くそれでいてトーンもしっかり出るので、棚橋選手がおっしゃるとおり、写真が盛れるカメラですね。カッコいい写真が撮りたくて、今日は棚橋選手が出るから見に行こう! という方もいるのではないかと思います。そんな方に使ってもらいたい1台です。

 

棚橋:そうだと僕もうれしいですね。これだけ情報やエンタテインメントが数多くあるなかで、名前と顔を覚えてもらえるというのは本当に重要だと思います。会場でも、顔と名前が一致している選手は、応援しやすいと思いますし、そのぶん、声援も増えます。写真ももっと撮ってもらいたい。ただ、入場のときは拍手もしてもらいたいので悩ましい……。2回拍手して1回撮るって感じでお願いできるといいですね(笑)

 

――試合も写真も楽しんでほしいということですね。

棚橋:そうですね。もっともっと楽しんでほしいですね。試合を楽しんで、帰って写真を見て楽しんで、さらにプリントして楽しんでと1粒で3度楽しめる。そんな楽しみ方をしてもらえればと思います。

↑取材当日はA1サイズにプリントしたパネルも用意。大きくプリントして楽しめるのも一眼ならでは

 

――それでは最後になりますが、今回の参加者の方と読者のみなさんにメッセージをお願いします。

棚橋:みなさんにたくさん写真を撮って頂いているおかげもあり、いま、プロレスはさらなる発展が感じられるものになっています。もっといい写真を撮っていただけるように、我々ももっといい被写体であるために……僕もダイエット頑張ります(笑)。7月14日の大田区総合体育館から8月12日の日本武道館まで、G1 CLIMAX 28という全国的なシリーズも行われます。ここは1つ優勝して、優勝旗を振り回すといった感じで、絵になるシーンを目指しますので期待してください。最後に、GetNavi webとCAPA CAMERA WEBをご覧のみなさん、愛してま~す!

今回は3人の読者の方にFUJIFILM X-H1を使ってプロレス撮影を楽しんでいただきましたが、参加者の方はもちろん、指導していただいた山田さん、さらには被写体となっていただいた棚橋選手も含めて、みなさん納得の写りを得ることができました。

 

高感度に強く、フィルムシミュレーションにより色鮮やかでトーンも美しい。そんな富士フイルムのカメラの特徴に、快適なAFやクリアなEVF、高速連写など、ハイパフォーマンス機ならではの魅力がプラスされたFUJIFILM X-H1。このカメラなら、撮るのが難しい室内スポーツも楽しく撮れる――そんな魅力を存分に実感できるイベントになりました。読者のみなさんも、プロレスをはじめ、室内スポーツを撮るならFUJIFILM X-H1で存分に撮影を楽しんでみてはいかがでしょうか?

製品の詳細情報はコチラ↓
http://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/x/fujifilm_x_h1/

■キャッシュバックキャンペーンの詳細についてはコチラ↓
http://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/promotion/xh1_cash_back2018/

 

取材・執筆/河野弘道  モノ・状況撮影/我妻慶一

上質なカメラはスペックだけじゃ語れない!! “10のこだわり”から解き明かす「OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II」の魅力

カメラはともすると画素数や連写といった数字(スペック)だけに目がいってしまいがち。しかし、長く使う“相棒”として考えると、手にしたときの質感や細部の作りこみが満足感を左右する重要なポイントになります。本稿では、そんな使い心地を徹底追求したカメラ、「OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II」のこだわりを見てみましょう。お得なレンズキットの発売とキャッシュバックキャンペーンが始まったばかりの、いま注目の逸品です。

 

【今回ご紹介する至高の逸品】

OLYMPUS
OM-D E-M1 Mark II
実売価格(税込):23万5440円(ボディ)、26万7840円(12-40mm F2.8 PROキット)

OLYMPUS OM-D E-M1 Mark IIは、プロや写真愛好家から熱い支持を受けているミラーレス一眼。AF/AE追従で最高18コマ/秒、AF/AE固定なら最高60コマ/秒という驚異的な高速連写をはじめ、高速AFやボディー内手ぶれ補正、防塵防滴ボディーといった高い性能・機能を備えた、同社のフラッグシップモデルです。今回新たに、画質と使い勝手のよさに定評のある標準ズーム「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO」がセットとなった「12-40mm F2.8 PROキット」が新登場しました。

■製品の詳細情報はコチラ
https://olympus-imaging.jp/product/dslr/em1mk2/

 

細部に宿る名機の魂――満足感を高める「10のこだわり」

OM-D E-M1 Mark IIが人気の理由は、フラッグシップにふさわしい高い性能や高画質に加え、どんなシーンで使っても常に快適に撮影が楽しめる、そのユーザービリティの高さといっていいでしょう。

 

では、具体的にOM-D E-M1 Mark IIのどこがどういうふうに快適で使いやすいのでしょうか。その魅力を10のこだわりから探っていきましょう!

 

【こだわり1】

手になじむ深いグリップ

OM-D E-M1 Mark IIを手にしてまず感じるのは、グリップの握りやすさです。前面の深い凹みには中指が、背面に広く設けられたサムグリップ部には親指がそれぞれフィットし、指にラバーが吸い付くような手触りを感じながら、ボディーをバランスよく支えることができます。右手だけでもしっかりと構えられますし、そのうえで左手をレンズの下から支えるようにして添えると、完璧なホールディングが得られます。

 

【こだわり2】

見やすい電子ビューファインダー

一般的にカメラを手に取ったら、次にカメラを顔の高さまで上げて、ファインダーをのぞきます。ごく当たり前の動作のように思えますが、実は、これがすんなりとできるカメラは意外と多くありません。

 

その点、OM-D E-M1 Mark IIは電子ビューファインダーがレンズ光軸上にあり、ボディーとファインダー、グリップ、レンズのそれぞれの配置バランスがきっちりと考えられています。そのため、カメラを真っ直ぐに持ち上げたときに、ファインダー接眼部がちょうど目の位置にきます。それゆえに、「手に取る、持ち上げる、ファインダーをのぞく」という一連の動作が非常にスムーズなのです。

 

【こだわり3】

心地よいシャッターフィーリング

実際の撮影で使い心地を決める、特に大切な要素といえるのが、シャッターボタンのフィーリングです。OM-D E-M1 Mark IIのシャッターボタンは、グリップを握ったときに人差し指が自然に掛かる場所に配置されています。

 

そして、シャッターボタンを押したときのレリーズ感は絶品。位置に加え、傾斜の角度や手触り、指があたる部分の面積、半押しまでの感触、全押しまでの深さ、レリーズ音、振動といったことをすべて計算したうえで設計されていることを実感できるでしょう。

 

【こだわり4】

ほどよいトルク感のあるダイヤル

各種のダイヤルの操作感も大切です。OM-D E-M1 Mark IIは、フロントダイヤル、リアダイヤル、および撮影モードダイヤルという3つのダイヤルを装備していますが、いずれも適度な大きさとほどよいトルク感を備えています。これにより、気持ちよく、かつ正確に各種の設定値をコントロールすることができます。

 

【こだわり5】

滑らかに動くバリアングル液晶モニター

OM-D E-M1 Mark IIは、バリアングル液晶モニターを搭載し、カメラの向きの縦横を問わず、自由なアングルから撮影しやすいことが特徴の1つです。しかも、ヒンジ部の動きが滑らかで、開閉の動作は極めてスムーズ。ガタつきはまったく見られず、強度的な安心感もあります。

カメラにはさまざまな可動部がありますが、なかでもバリアングル液晶モニターは特に動きが大きく、撮影中に頻繁に動かす部分だからこそ、開閉の滑らかさと剛性感が大切です。

【こだわり6】

素早く確実に押せる背面ボタン

一眼カメラ、特にハイスペックモデルの上面および背面には、各種の操作ボタンが所狭しと配置されています。初めて手にしたビギナーの場合、これらの数多いボタン類にハードルの高さを感じるかもしれません。

 

OM-D E-M1 Mark IIにおいても高機能ゆえにボタン類の数はやや多めですが、心配は無用です。いずれも直感操作を意図して効率よくレイアウトされており、各ボタンの役割をいったん覚えれば、その後の操作感は快適そのもの。ファインダーをのぞきながらでも、液晶モニターを開いた状態でも、常に押しやすい位置にボタンがあります。しかも、自分の撮影スタイルに応じて各種ボタンの割り当てを細かくカスタマイズすることも可能です。

 

【こだわり7】

プロの信頼にも応えるダブルスロット

ボディー側面には、SDカードのダブルスロットを装備。常にバックアップを取り、撮影画像を慎重かつ安全に管理しなければならないプロにとっては必須ともいえる仕様です。もちろんアマチュアカメラマンにとっても、その信頼性の恩恵は大きいといえます。

 

【こだわり8】

高級感に満ちた外観デザイン

軍艦部のデルタ形状とシャープな稜線は、フィルムの一眼レフカメラ「OM」シリーズから受け継がれたもの。頑丈なマグネシウム合金外装や精悍なレザートーン塗装と相まって、モノとしての魅力を感じさせる高品位な外観デザインに仕上がっています。

 

【こだわり9】

ハードに使っても安心な防塵防滴構造

OM-D E-M1 Mark IIのボディー各所にはシーリングが施され、防塵と防滴、さらには-10℃の耐低温に対応しています。砂やホコリ、雨、水しぶきなどを気にすることなく、撮影に専念できることは大きなメリット。悪条件だからこそ、人とは違った写真が撮れるチャンスがある、といってもいいでしょう。

 

【こだわり10】

ファームアップによる機能の追加と拡張性

OM-D E-M1 Mark IIは、USBケーブルを使ってPCとつなぐことで、ユーザー自身の手で簡単にファームウェアのアップデート(=ファームアップ)が行えます。こうしたファームアップによって新しい機能を追加したり、機能や操作性をいっそう使いやすく改良できる点も見逃せません。このように進化し続けるからこそ、長く付き合えるカメラなのです。

↑今年2月に行われた「バージョン2.0」へのファームアップでは、新アートフィルター「ブリーチバイパス」に対応。フィルム現像時に行われる「銀残し」の手法を再現し、まるで映画の1コマのような雰囲気のある渋い写真に仕上がります

 

お得なレンズキットが発売&キャッシュバックキャンペーン実施中!

最後に、忘れてはならない情報をお伝えしましょう。それは、こうした魅力満載のOM-D E-M1 Mark IIが、さらにお得に購入できるキャッシュバックキャンペーンがいま実施中であること(8月19日購入分まで)。ボディー単体なら1万円分、満を持して登場したレンズキット「12-40mm F2.8 PROキット」なら2万円分の、UCギフトカードによる キャッシュバックが行われます。

 

特に、レンズキットは、通常であればボディー23万5440円+M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO単体9万2448円で計32万7888円のところ、レンズキット+キャッシュバック利用では実質24万7840円となり、なんと約8万もお得に! 購入するにはまたとないチャンスと言えるでしょう。

↑「12-40mm F2.8 PROキット」に付属する標準ズーム「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO」。F2.8通しの大口径ながら、重量わずか382gの高機動力も魅力のレンズです

 

↑12-40mm F2.8 PROキットで撮影。EDレンズなどを贅沢に組み込み、各種の収差を良好に補正。ズーム全域で切れ味の鋭い描写を実現しています

 

↑12-40mm F2.8 PROキットで撮影。最短撮影距離20cm、最大撮影倍率は35mm判換算で0.6倍相当を誇り、マクロレンズのような接写も楽しめます

 

キャッシュバックキャンペーンがあるとはいえ、20万円を超えるハイエンド機なので、もちろん迷っている方も多いかもしれません。しかし、“モノ”としての良さから得られる満足感や耐久性の高さ、ファームアップなどで長く使えることを踏まえれば、むしろ総合的にはお得。ミラーレス一眼ならではの軽快さ、そして高い防塵防滴性能を備えていることから、夏秋の行楽に連れていく「旅の相棒」としてもオススメです。

■製品の詳細情報はコチラ
https://olympus-imaging.jp/product/dslr/em1mk2/

■キャッシュバックキャンペーンの詳細はコチラ
https://olympus-imaging.jp/event_campaign/campaign/c180606a/index.html

 

※本記事内の価格は、オリンパス公式オンラインショップの価格を参考にしています

 

製品撮影/高原マサキ

カメラ開発者はかく語りき――「カメラグランプリ2018」受賞カメラの誕生秘話

第35回を迎えた「カメラグランプリ2018」(カメラ記者クラブ主催)の贈呈式が、2018年6月1日に都内で開催された。ノミネート56機種のカメラと、72本のレンズのなかから、大賞を「ソニー α9」、レンズ賞を「オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO」、WEB投票によるあなたが選ぶベストカメラ賞とカメラ記者クラブ賞を「ニコン D850」、同じくカメラ記者クラブ賞を「パナソニック LUMIX G9 PRO」が受賞。もちろんその一つひとつに誕生ストーリーがあるわけで、贈呈式では各社開発者の皆さんがそれぞれの開発秘話を語ってくれた。

 

カメラグランプリ2018 大賞

「ソニー α9」

ブラックアウトフリーが受け入れられるか心配だった

「開発は3年以上前から始まっていた」とソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ株式会社 デジタルイメージング本部第1ビジネスユニット シニアゼネラルマネジャーの田中健二さんは言う。ミラーレスにポテンシャルを感じ、動体に対する弱点、撮影枚数の少なさなど、いくつもの課題をクリアしてきた。その一つの形がα9だ。

 

また、「高速で大きなデータを処理するため、世界初のイメージセンサーが必須だった」と同本部商品設計第1部門設計1部3課統括課長の町谷康文さんは話す。センサーの開発と、カメラに組み込んでからのパフォーマンスの検証に多くの時間を費やした。常に被写体を見ながら撮影できるブラックアウトフリー技術は「新しい体験なので、開発側としてはユーザーに受け入れられるかが心配だった」と明かす。

↑ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ株式会社・田中健二さん(右)と、カメラグランプリ2018実行委員長・猪狩友則さん(アサヒカメラ編集部)

 

カメラグランプリ2018 レンズ賞

「オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO」

ボケにくい構造は小ボケの範囲が広いことにつながる

今年もオリンパスがレンズ賞をさらい、史上初の3年連続受賞となった。

 

マイクロフォーサーズは焦点距離が短く、構造的にボケ味は出しにくい。「なぜ不利な中で戦わなければならないのか。当初、開発陣の中にはそんな声があった」とオリンパス株式会社 光学システム開発本部光学システム開発3部1グループ グループリーダーの宮田正人さんは明かす。研究部門からボケには大きなボケと、小ボケの二つがあり、小ボケの領域は光学的な設計で作り出せると指摘があった。「ボケにくい構造は、小ボケの範囲が広いことにつながり、開発の目的が見えた」と言う。

↑オリンパス株式会社・宮田正人さん

 

カメラグランプリ2018 あなたが選ぶベストカメラ賞・カメラ記者クラブ賞

「ニコン D850」

シャッター音に最後までこだわった

あなたが選ぶベストカメラ賞とカメラ記者クラブ賞をダブル受賞したD850。WEB投票によるあなたが選ぶベストカメラ賞では、投票初日から1位をキープしていた。

 

高画素化、高速化が特徴のD850だが、開発陣が最後までこだわったのはシャッター音だそうだ。「製造の直前まで部品の修正を続けた」と株式会社ニコン 開発統括部 総括部長の池上博敬さんは話す。電子シャッターによるサイレント撮影を新機能に加えつつ、音やシャッターの感触を重視した。「そこも撮影者の楽しみの一つであり、使う人の琴線に触れる製品開発をこれからもしていきたい」と言う。

↑株式会社ニコン・池上博敬さん

 

カメラグランプリ2018 カメラ記者クラブ賞

「パナソニック LUMIX G9 PRO」

歴史のあるカメラメーカーに近づきたいとチャンレンジしてきた

パナソニックは今年創業100周年を迎えたが、カメラ事業は18年目。「歴史のあるカメラメーカーに近づきたいとチャンレンジしてきた」とパナソニック株式会社 アプライアンス社イメージングネットワーク事業部 事業部長の山根洋介さんは話す。

 

「10年前にミラーレスを手がけ、一発で終わったコミュニケーションカメラCM10、動画機能を尖らせたGHシリーズと、亜流、ニッチなところを攻めてきた」と放ち、笑いを誘った。対して「LUMIX G9 PRO」は徹底的に画質、絵づくりを追求した。そのアイデンティティを表現したのが肩部のダイヤルに入れられたレッドラインだ。「今回受賞されたメーカーさんに比べ非常に控えめで小さいものだが、熱い想いは負けず劣りません」。

↑パナソニック株式会社・山根洋介事さん(右)と、カメラ記者クラブ代表幹事・福田祐一郎(CAPA編集部)

 

文:市井康延

写真:カメラ記者クラブ、市井康延

 

 

【2018夏版】ボーナス出 た ら買いたい「高付加価値一眼」ベスト5をプロが選出

本記事では、2018年の夏ボーナスに本命の一眼カメラをプロが実際に試してテスト。こだわった写真が撮れる各社の意欲作5製品+αを紹介、各項目を5点満点で採点しました。

 

【チェックした人】

カメラマン・永山昌克さん

写真スタジオ勤務を経てフリーに。写真や動画撮影のほか、カメラ誌やWEB媒体での執筆も多数。

 

【その1】

小型軽量ボディとハイスペックを両立したフルサイズミラーレス

ソニー

α7

実売価格24万4330円(ボディ)、26万9870円(ズームレンズキット)

人気α7シリーズの最新作。昨年発売のプロ向け高画素機α7R Ⅲから、防塵防滴ボディや高速連写を受け継ぎながら、画素数を2420万画素に抑えることで、一般ユーザーに手の届く価格を実現。全部入りともいえる中身の濃さを誇ります。

SPEC【画素数:2420万画素】【連写:秒約10コマ】【常用最高感度:ISO51200】【質量:約650g】●レンズマウント:Eマウント●モニター:3.0型約92万ドット、チルト、タッチ対応●EVF:約236万ドット●サイズ:W126.9×H95.6×D73.7㎜

新開発の裏面照射センサーを搭載し、常用最高感度ISO51200と低感度時の広ダイナミックレンジを実現。

 

上位機α7R Ⅲに勝る693点のAF測距点に対応。画面端の被写体にもスムーズにピントを合わせられます。

 

ほぼ無音で撮影できるサイレント撮影機能をα7R Ⅲなどから継承。最高約10コマ/秒の連写も上位機に匹敵します。

【作例】

フルサイズセンサーはボケ表現や高感度の強さに加え、発色が豊かで階調に深みがあるという利点があります。観覧車の鮮やかな色と金属感もリアルに再現できました。

 

【永山カメラマンのジャッジ!】

画質:☆×4

機能:☆×5

操作性:☆×4

交換レンズの豊富さ:☆×3

幅広い撮影シーンや被写体でオールマイティに活躍する性能

画質と機能、操作性と、いずれもハイレベル。動体から風景、人物、静物まで幅広いジャンルで役立つでしょう。交換レンズは急速に増えているものの、高価で大型のものが中心なので注意(永山さん)

 

【その2】

プロも愛用する高画素&高速フルサイズ

ニコン

D850

実売価格39万9600円(ボディ)

2014年に発売された「D810」の後継機。新センサーの採用によって高画質化を図ったほか、連写やAF、ファインダー、液晶モニター、動画機能などあらゆる部分が進化。AFは最上位機のD5と同じく153点測距に対応します。

SPEC【画素数:4575万画素】【連写:秒約7コマ】【常用最高感度:ISO25600】【質量:約1005g】●レンズマウント:ニコンFマウント●モニター:3.2型約236万ドット、チルト、タッチ対応●OVF:100%、0.75倍●サイズ:W146×H124×D78.5㎜

ファインダーには、同社製品では最大となる倍率0.75倍のペンタプリズムを採用。大きな表示で被写体をくっきりと見ることができます。

 

高感度に有利な裏面照射型の4575万画素センサーを搭載。大判印刷にも適した高精細な写りが得られます。

 

ボディは、悪条件での撮影に強い防塵防滴対応のマグネシウム合金製。グリップは深く、ホールド感も良好です。

 

【永山カメラマンのジャッジ!】

画質:☆×5

機能:☆×5

操作性:☆×4

交換レンズの豊富さ:☆×5

多彩なレンズを生かして本格撮影が楽しめる

画質にこだわりつつ、レスポンス面でも妥協したくない人にオススメ。ボディは大柄で重いため、気軽なスナップには不向きですが、大口径レンズとの相性はよく、本格スポーツ撮影やスタジオ撮影には好適です(永山さん)

【その3】

Kissシリーズが25周年を迎えてミラーレス化!

キヤノン

EOS Kiss M

実売価格8万10円(15-45キット)、10万890円(ダブルズームキット)

ファミリーカメラの定番「EOS Kiss」シリーズ初のミラーレス一眼。従来のKissに比べて一回り以上小さなボディに、デュアルピクセルCMOS AFなどの最新技術を凝縮。充実したビギナー向けガイド機能も搭載します。

SPEC【画素数:2410万画素】【連写:秒約7.4コマ】【常用最高感度:ISO25600】【質量:約387g】●レンズマウント:EF-Mマウント●モニター:3.0型約104万ドット、バリアングル、タッチ対応●EVF:約236万ドット●サイズ:W116.3×H88.1×D58.7㎜

 

高速AF技術デュアルピクセルCOMS AFに対応。ピント合わせは快適です。

 

上下左右に回転するバリアングル液晶によって、自分撮りなども楽しめます。EVFも搭載します。

 

【永山カメラマンのジャッジ!】

画質:☆×4

機能:☆×3

操作性:☆×4

交換レンズの豊富さ:☆×3

中級一眼レフ並の画質とAF

高画素APS-Cセンサーが生み出す画質は、中級一眼レフに匹敵するレベル。AFなどレスポンス面も快適です。交換レンズは、他社に比べるとまだ少なめ(永山さん)

 

【その4】

所有欲を満たすスタイリッシュなデザインも魅力

オリンパス

OM-D E-M10 Mark

実売価格8万6650円(ダブルズームキット)

フィルムの一眼レフを思わせるデザインを採用した、エントリー層向けのミラーレス一眼。E-M10シリーズの3代目であり、新たに4K動画に対応したほか、アートフィルターなどの撮影機能がいっそう向上しています。

SPEC【画素数:1605万画素】【連写:秒約4.8コマ】【常用最高感度:ISO25600】【質量:約410g】●レンズマウント:マイクロフォーサーズ●モニター:3.0型約104万ドット、チルト、タッチ対応●EVF:約236万ドット●サイズ:W121.5×H83.6×D49.5㎜

 

入門機ながら強力な5軸手ブレ補正を内蔵。薄暗いシーンでも手持ちで安心して撮れます。

 

新搭載したAPモード。星空を光跡として表現するモードなど、一段上の撮影が楽しめます。

 

【永山カメラマンのジャッジ!】

画質:☆×3

機能:☆×4

操作性:☆×3

交換レンズの豊富さ:☆×4

充実した撮影機能とレンズが◎

画質はクリアで見栄えがいいですが、最新モデルにしては画素数は控えめ。撮影モードはオートからマニュアルまで充実。交換レンズも数多く揃っています(永山さん)

 

【その5】

AF追従で20コマ/秒を誇る高速連写番長

パナソニック

LUMIX G9 Pro

実売価格21万4920円(ボディ)、29万5920円(標準ズームキット)

動画に強い同社のミラーレス一眼のなかでも、特に静止画を重視したハイエンド機。世界最速をうたうAFと超高速連写によって、動体の決定的瞬間も確実に捉えられます。ボディはやや大きめのマグネシウム合金製。

SPEC【画素数:2033万画素】【連写:秒約20コマ】【常用最高感度:ISO25600】【質量:約658g】●レンズマウント:マイクロフォーサーズ●モニター:3.0型約104万ドット、バリアングル、タッチ対応●EVF:約368万ドット●サイズ:W136.9×H97.3×D91.6㎜

 

AF固定60コマ/秒の超高速連写に加えて、連写を長時間続けられる4K&6Kフォト機能も搭載。用途に応じて選べます。

 

天面にはミラーレス一眼では希少なサブ液晶を搭載。各種の設定状態をひと目で把握できます。

 

【永山カメラマンのジャッジ!】

画質:☆×4

機能:☆×5

操作性:☆×4

交換レンズの豊富さ:☆×4

やや高めの価格に見合った高性能

シリーズ最大画素数とローパスレス設計によって、精細な描写を実現。機能は盛りだくさんで、交換レンズも豊富。あらゆる被写体に対応できる実力です。

 

アクションカメラ、コンパクトデジカメ、ビデオカメラも狙い目!

非一眼カメラの分野でも高付加価値モデルが続々と登場中。レンズ交換ができない代わりに機動力に優れ、動画や静止画をより自由に楽しめる3台をチェックしました。

 

【アクションカメラ】

定番アクションカメラの画質や手ブレ補正が進化

GoPro

GoPro HERO6

実売価格4万4820

【映像解像度:4K】【写真解像度:12MP】【防水:10m】【質量:約117g】

人気のHEROシリーズ最新作。手のひらサイズの小型ボディに新プロセッサーを搭載し、4K/60Pや高精細なスローモーション撮影に対応。手ブレ補正も強化され、使い勝手は上々です。

SPEC●モニター:2.0型●記録メディア:microSD●インターフェイス:USB-C、マイクロHDMI●サイズ:W62.3×H44.9×D33㎜

 

【コンパクトデジカメ】

コンパクトなボディにAPS-Cセンサーを搭載

キヤノン

PowerShot G1X Mark Ⅲ

実売価格12万1860

【画素数:2420万画素】【連写:秒約7コマ】【常用最高感度:ISO25600】【質量:約399g】

小型ボディにAPS-Cサイズの大型センサーと光学3倍ズームを搭載。一眼レフEOSから継承した明快な操作性や、安定感のある画質、自由度の高いバリアングル液晶なども魅力です。

SPEC●センサーサイズ:APS-C●レンズ:24〜72㎜(35㎜フィルム換算)●モニター:3.0型約104万ドット、バリアングル、タッチ対応●EVF:約236万ドット●サイズ:W115×H77.9×D51.4㎜

 

【ビデオカメラ】

カメラ内で編集ができる「あとから補正」が進化

 

パナソニック

HC-VX985M

実売価格5万4400円

【映像解像度:4K】【光学ズーム:20倍】【デジタルズーム:250倍】【質量:約395g】

光学20倍ズーム搭載のビデオカメラ。4K動画を編集する「あとから補正」が進化し、特定の被写体を追尾したり、アップにしたりできます。小型ボディやスマホとの連携機能も魅力です。

SPEC●センサーサイズ:1/2.3型●レンズ:30.8〜626㎜(35㎜フィルム換算)●モニター:3.0型46万ドット、タッチ対応●サイズ:W65×H73×D141㎜

【保存版】今さら聞けないカメラ用語の基本&ミラーレス一眼時代の写真の撮り方

デジカメや一眼を買ったら一度は聞くことになるカメラ用語たちを集めてみました。撮影モード/露出補正/AFなどなど。さらに、よい写真でもっとも重要な要素のひとつ、構図についてもまとめてみます。本記事では、現在カメラ市場で勢いのあるミラーレス一眼を機材として使いながら、ボーナスや行楽シーズンを前に一眼を購入する人/購入したけど使い方がわからない人に向けてわかりやすく解説していきます。

 

今さら聞けないカメラ用語①「撮影モード」

P,S,A,Mを使いこなしワンランク上の撮影表現に挑戦しよう

ミラーレス一眼は、フルオートで気軽に撮影できるだけでなく、狙いに応じて絞りやシャッター速度を細かく設定して撮ることも可能です。人に差をつけたワンランク上の写真を目指すなら、基本となる以下の4つの撮影モードを理解することから始めましょう。

【その1】P―「プログラムオート」

速写性を重視したスナップ用途などに便利で【絞りは自動】【シャッター速度は自動】

絞り値とシャッター速度の両方をカメラが自動的に決めてくれるモード。気軽なスナップショットや、タイミング重視で撮影したいときに役立ちます。

目に止まった光景をメモ感覚で気軽に撮りたいときはプログラムオートが◎

 

【その2】S/Tv―「シャッター速度優先オート」

子どもや電車など動きのある被写体を撮るときに使用し【絞りは自動】【シャッター速度は任意】

シャッター速度を設定すると、それに対応した絞り値が自動的に決まるモード。動きのある被写体を止めたり、ぶらしたりしたいときに役立ちます。

↑動く被写体を高速シャッターで写し止めたり、低速シャッターでぶらしたりできます

 

【その3】A/Av―「絞り優先オート」

背景をぼかしたいときに便利なモードで【絞りは任意】【シャッター速度は自動】

絞り値を撮影者が設定すると、それに対応したシャッター速度が自動的に決まるモード。前後をぼかした表現や、深いピントを得たいときに役立ちます。

↑絞り値を小さくすると被写体の前後がぼけます。逆に大きくするとくっきり写せます

 

④M―「マニュアル露出」

撮影者の意図を反映しやすい上級者向きのモード【絞りは任意】【シャッター速度は任意】

シャッター速度と絞り値の両方を撮影者が設定するモード。ボケの範囲や被写体の動感、明るさなどをすべて自分でコントロールしたいときに役立ちます。

↑カメラを三脚にセットして夜景を撮る場合など、じっくりと撮影したいときに便利です

 

今さら聞けないカメラ用語②「露出補正」

ダイヤル操作で容易に明暗をコントロール

P、A、Sの撮影モードでは、写真の明るさ(露出)をカメラが自動的に決めてくれます。その明るさを撮影者の狙いに応じて明るくしたり暗くしたりするというのが露出補正の役割です。軽やかな表現を狙うときは+側に、重厚な表現を狙うときは−側に補正するとよいでしょう。

【+1のとき】

 

【±0のとき】

【−1のとき】

 

 

今さら聞けないカメラ用語③「ピント合わせ」

ミラーレスならではの高機能化したAFを確実に使いこなそう

ミラーレス一眼が一眼レフカメラに勝るメリットのひとつは、AF機能が充実していること。AF測距点は画面の広範囲をカバーし、顔認識や瞳AFなどの付加機能も豊富です。そんな高機能を宝の持ち腐れにしないように、正しい使い方をマスターしましょう。AFモードはAFの動作特性を決める機能であり、AF-SやAF-Cなどが選べます。AFエリアモードは、どの測距点を使ってAFを作動させるかを決める機能。被写体や自分の使い方に応じて設定しましょう。

 

AFの種類①「AFモード」

被写体の動きに応じて選択

AF-Sはシャッター半押しでAFが一回だけ作動し、静物撮影用に適します。AF-Cは半押し中ずっとAFが作動し続けます。動体用に最適。

 

AFの種類②AFエリアモード

被写体や撮影スタイルに応じて選択

AFロックを利用してピントを合わせる場合は、1点を狙うAFエリアモードが便利。AFロックを使わない場合は、多点がベターです。

 

AFの種類③「タッチ&ドラッグAF」

モニター上をなぞってAF測距点を切り替える

ファインダー撮影時に背面モニター上をなぞって測距点を選べる機能。タッチ&ドラッグAFやタッチパッドAFなど、名称は機種によって異なります。

 

AFの種類④「タッチAF」

指先の直感操作でピントを合わせる

タッチパネル搭載のミラーレス一眼の多くは、タッチAF機能に対応。指先の操作で測距点を素早く選べます。合焦と同時に撮影することも可能。

 

AFの種類⑤「顔/瞳認識AF」

ポートレートの撮影用に好適

人物の顔を認識してピントを合わせるだけでなく、目にピントを合わせる瞳AF対応のカメラが急増中。右目か左目かを選べるものもあります。

 

今さら聞けないカメラ用語④「構図」

既存のパターンに当てはめる感覚で構図と被写体を探そう

人が見て美しいと感じる写真にはいくつかの構図のパターンがある。そんな写真を撮るには、前もってパターンを頭に入れておき、パターンに当てはめるような感覚で構図を決めたり、被写体を探したりするといいでしょう。特に使われることが多い4大構図を紹介します。

 

撮影に役立つ4大構図パターン①「三分割構図」

当てはめやすく活用度の高い構図パターン

水平方向と垂直方向のそれぞれに画面を三分割するラインを引き、そのラインが交わる点や線、面にポイントになる被写体を配置する構図。汎用性が高く、多くの被写体やシーンに役立ちます。

 

↑最も基本的な構図のパターン。画面に安定感とバランス、調和を与え、写真の見栄えを高めることができます

 

 

撮影に役立つ4大構図パターン②「日の丸構図」

被写体が弱いと平凡な写真になるが強い被写体には最適

メインの被写体を画面の真ん中に置いた構図。被写体に対する興味や関心がストレートに表現された構図であり、素直な写真になりやすいです。使う際は、被写体を大きく捉えるのがコツ。

 

↑この構図の注意点は、被写体が平凡だと単調な印象になること。インパクトの強い被写体には効果的です

 

 

撮影に役立つ4大構図パターン③「対角線構図」

道や並ぶものなどを当てはめると迫力や奥行きを表現できる

ポイントになる被写体を画面の対角線付近に配置した構図。対角線に沿って動きや迫力、スピード感を表現できるほか、視線の誘導効果もあります。また奥行きの表現にも役立ちます。

 

↑斜めのラインを生かします。静止している被写体でも、対角線を意識した構図にすると画面に動感が出ます

 

撮影に役立つ4大構図パターン④「曲線構図」

対角線構図よりやわらかい印象で道や川などに使う

画面内にS字やC字型を作り出すことで、優美さや穏やかさを感じさせる構図。見る人の視線を誘導し、奥行きや躍動感を強調する効果があります。道や川を撮る際によく使われます。

 

↑直線的な構図は硬くて緊張感があるのに対し、曲線構図ではやわらかくて開放的なイメージを演出できます

 

 

今さら聞けないカメラ用語⑤「グリッド線表示」「水準器表示」

ライブビューに重ねて表示して構図の目安にする

多くのミラーレス一眼が、画面上に格子線を表示するグリッド機能や、カメラの傾きを知らせる水準器表示に対応します。これらを利用することで、傾きのない安定した構図で撮りやすくなります。

 

↑グリッド線表示。カメラによっては数種類の格子パターンが用意されています

 

 

↑水準器表示。不自然な傾きを防止¥できます。建物や風景などを撮る際に欠かせない機能です

 

 

今さら聞けないカメラ用語⑥「レンズ交換」

カメラ操作だけじゃない!一眼カメラの醍醐味はレンズ交換にあり

広角や望遠など、多様な交換レンズを上手に使いこなすには、それぞれのレンズの特性を知ることが大切です。単に写る範囲が広いか狭いかの違いだけでなく、レンズによって被写体の遠近感やボケの表現にも大きな変化が見られる点に注目しましょう。

 

【レンズの特徴①】広角レンズは遠近感の強調や深いピントに有利

広角レンズとは、焦点距離が短く、画角(写る範囲を角度で表現したもの)が広いレンズのこと。目前の光景の広い範囲を一画面で捉えられるほか、遠近感を強調したり、背景までくっきりと写したりしやすい。スナップや風景の撮影用にも便利です。

↑28㎜相当のレンズを使い、F5.6で撮影。背景のボケが弱いのがわかります

 

↑左と同じレンズで撮影。欄干が長く伸び、遠近感が強調されています

 

 

【レンズの特徴②】望遠レンズは遠近感の圧縮やボケの表現に有利

望遠レンズとは、焦点距離が長く、画角(写る範囲を角度で表現したもの)が狭いレンズのこと。遠くの被写体をアップで引きつけて撮影できるほか、遠近感を圧縮したり、背景をぼかしたりしやすいです。ポートレートやスポーツ撮影用としても役立ちます。

↑160㎜相当のレンズを使い、F5.6で撮影。広角に比べて大きくぼけました

 

↑左と同じレンズで撮影。欄干や背景が圧縮されたように写っています

 

 

【参加費無料!!】最新カメラでプロレスをカッコよく撮ろう!! プロが教える撮影会参加者募集【6/17】

従来の格闘技ファンに加え、プ女子(プロレス女子)と呼ばれる女性ファンを新規に獲得するなど、近年再び大きな盛り上がりを見せるプロレス業界。なかでも数多くのスター選手を抱え、このプロレス人気をけん引し続けているのが「新日本プロレス」です。今回ゲットナビウェブでは、その新日本プロレス、そしてカメラ業界の老舗メーカー・富士フイルムとコラボした撮影会を実施することになりました!

 

舞台は6月17日(日)  の東京・後楽園ホール。使用するカメラは、今年3月に発売された富士フイルムのミラーレス一眼「FUJIFILM X-H1」です。

富士フイルム
FUJIFILM X-H1
実売価格21万8660円

従来から定評のあった“写真画質”に磨きをかけつつ、シリーズ初となるボディ内手ブレ補正やフリッカー低減機能を搭載したハイパフォーマンスモデル。防塵・防滴・耐低温構造の高剛性ボディもあいまって、これまで以上に難しいシーンでの撮影を可能としています。

 

「カッコいい、でもうまく撮るのは難しい」その悩みを最新カメラ&プロの指導で解決!

なぜプロレスで撮影会? と思われるかもしれませんが、その理由は「写真を撮りたいと思っている人は多いのに、うまく撮るのが難しいスポーツ」だから。普段プロレスを見に行かれる方ならご存知だと思いますが、慣れていないと読みづらい激しい動きや屋内ならではの照明のバランスなどによって、大きくぶれてしまったり、露出が定まらなかったりしてしまいます。

 

そこで今回は、スポーツカメラマンの山田高央さんを講師に迎え、事前におすすめの撮り方や設定などを解説。そのうえで、スポーツ撮影のプロも認める最新ミラーレス一眼を使い、思う存分、実際の試合でカッコいい写真を撮ってもらおうという企画になっています。後日、撮っていただいた写真をプリントして出場していた選手に見ていただく予定なので、もしかすると、あなたが撮った写真にコメントがもらえるかも!?

 

定員は3名、そして参加費は無料!! お席もこちらでご用意します。 本撮影会の様子は、顔写真や氏名、コメント、撮影いただいた写真などを使ってGetNavi webおよびCAPA CAMERA WEBにて記事化される予定ですので、こちらに同意いただける方のみご応募ください。プロレスが楽しめて最新カメラで撮影も学べる、このとっておきのチャンスをお見逃しなく!

 

【開催概要】

●日時:6月17日(日) 16:00~(試合終了まで)

●場所:後楽園ホール、および周辺の会議室

●定員:3名

●参加費:無料(※お席もこちらでご用意します。ただし、会場までの交通費は参加者ご自身のご負担となります)

●申込み方法:コチラの応募フォームより必要事項をご記入のうえ、ご応募ください

●申込み期間:6月5日(23:59)まで

※人数に限りがあるため、実際にご参加いただける方にのみ、6月8日(金)ごろまでに編集部よりメールまたはお電話にてご連絡させていただきます

 

【講師プロフィール】

山田高央(ヤマダ タカオ)さん

1968年/東京都出身/日本写真芸術専門学校卒

出版社写真部を経て2005年からフリーとして活動開始。週刊誌・月刊誌等でスポーツ・ポートレート等ジャンルを選ばず多方面で作品を発表している。日本スポーツプレス協会会員・国際スポーツプレス協会会員。

20万円超えでも大人気、ソニー「α7 III」はなぜ選ばれる? 約2か月使ったプロが語る7つの魅力

ソニー「α7 III」は、有効2420万画素のフルサイズセンサー搭載のミラーレスカメラです。20万円を超える価格にもかからわず、今年3月の発売以来、好調なセールスを記録中。その魅力は何でしょうか。約2か月間使用したユーザーの立場から、特に気に入った点と不満点を挙げてみました。

↑ソニー「α7 III」。同社オンラインショップでの価格はボディのみで税別22万9880円

 

フルサイズミラーレス「α7シリーズ」第3世代のスタンダード機

ソニー「α7シリーズ」は、35mmフルサイズセンサーを搭載したミラーレスカメラのシリーズです。いまのところ8モデルが存在し、2013~2014年に発売された「α7」「α7R」「α7S」が第1世代で、2014~2015年に発売された「α7 II」「α7R II」「α7S II」が第2世代、2017~2018年発売の「α7R III」と「α7 III」が第3世代となります。

 

このうち最新モデルであるα7 IIIは、第3世代のスタンダード機という位置付け。高画質と高速性、高機能をバランスよく兼ね備えています。

 

α7 IIIの実売価格はボディ単体で20万円台の前半。決して手ごろとはいえませんが、昨年発売されたα7R IIIが30万円以上、最上位モデル「α9」が40万円以上もすることから考えると、不思議とα7 IIIの20万円台がリーズナブルに感じられます。もし発売の順番が逆だったら、価格から受ける印象は違ったかもしれません。

↑撮像素子には、有効2420万画素の35mmフルサイズ裏面照射型CMOSセンサーを搭載

 

↑チルト可動液晶を備えた小型軽量ボディはシリーズ共通の特徴

 

そんなα7 IIIを私自身も入手し、これまでのところ仕事から作品、プライベートまで幅広く有効活用しています。特にお気に入りのポイントを以下の7点にまとめてみました。

 

【魅力その1】フルサイズ機では最小クラスのボディ

魅力としてまず挙げたいのは、フルサイズ機として抜きん出た機動力の高さ。正確には、α7 IIIだけでなく、α7シリーズに共通したメリットです。

↑レンズのサイズと重量については、高価な大口径レンズを使用する場合、一眼レフ機と大きな差はなくなります。とはいえ、α7 IIIのレンズキットに付属する標準ズーム「FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS」は比較的小さくて軽量。携帯性重視の用途では、おすすめです

 

α7 IIIの外形寸法は幅126.9×高さ95.6×奥行き73.7mm。初代機α7や2代目α7 IIに比べるとグリップが大型化したぶん、奥行きは増していますが、幅と高さはほとんど変わっていません。

 

バッテリーとカード込みで約650gという重量に関しては、2代目α7 IIよりも51gアップし、α7シリーズではα7R IIIに次いで2番目に重くなっています。ただ、それでも他社のフルサイズ一眼レフに比べると100g以上も軽量です。

 

一眼レフ機の場合、画質を重視してフルサイズ機を選ぶか、携帯性を重視してAPS-Cサイズ機を選ぶか、という二者択一になりがちですが、α7 IIIなら画質にも携帯性にも妥協せず、両方のメリットが得られます。

 

【魅力その2】撮影条件を問わずスムーズにピントが合う高速AF

性能面では、強力なAFが魅力です。像面位相差AFは693点、コントラストAFは425点もの測距点を備え、どちらも画面の広範囲をカバー。構図の真ん中でも端でも、静物でも動体でも、明所でも暗所でも、撮影条件を問わずスムーズにピントが合うのはとても快適です。

↑最上位機α9に搭載した動体予測アルゴリズムを最適化して搭載。動体に対するAF追従性は、α7 II比で約2倍。野鳥や乗り物、スポーツなどの被写体も、ストレスなく撮影できます

 

AFまわりの付加機能としては、目にピントを合わせる「瞳AF」や動きものの撮影に役立つ「ロックオンAF」に対応。背面に新設されたマルチセレクターによって、数多い測距点をダイレクトに選択できることや、被写体追従感度といったAF設定を細かくカスタマイズできる点も便利です。

 

かつて動体AFはミラーレスカメラの弱点と言われていましたが、α7 IIIでは、ほとんどのシーンで一眼レフ機に遜色のない動体AF性能を体感できるでしょう。

 

【魅力その3】シャッターチャンスを逃さない高速連写

連写は、最高で10コマ/秒に対応。α7シリーズではα7R IIIと並んで最速を誇ります。しかも連続撮影可能コマ数は、JPEG最高画質で約163枚、RAWで89枚と十分。人物や乗り物、スポーツなどの動きのある被写体を撮る際に重宝します。

 

あまりに快適なので、調子に乗って連写しすぎると、あとからの写真セレクトに時間がかかる点にはご注意を。軽快に作動する画像管理ソフトが欠かせません。

↑波打ち際で遊ぶ子どもたちを高速連写でスナップ。1人がジャンプした瞬間に約10コマを連写し、あとからシルエットのバランスが最もいい1枚をセレクトした

 

私の場合、本格的なスポーツ撮影というよりは、ポートレートやスナップがメインなので、Hi+(10コマ/秒)やHi(8コマ/秒)はほとんど使わず、連写のときは主にMid(6コマ/秒)を活用しています。つまり、私のふだんの用途では最高10コマ/秒はオーバースペック……。とはいえ、どんなシーンでも対応できるという安心感があります。

【魅力その4】シャッター音を消せるサイレント撮影機能

サイレント撮影とは、電子シャッターを利用することでシャッター音を無音にする機能のこと。他社のミラーレスではもはや当たり前の機能になりつつありますが、従来のα7シリーズの場合、サイレント対応はα7R IIIやα7R II、α7S II、α7Sなどの上位機種に限られていました。

 

そんななか、スタンダードモデルのα7 IIIでもようやく静音撮影が可能に。これは撮影の幅を広げる、ありがたい進化です。

↑サイレントモードで撮影。必要に応じて連写もできます

 

個人的には、子どもの寝顔のほか、舞台撮影やインタビュー撮影の際に重宝しています。注意したいのは、サイレント撮影をオンにしてシャッター速度を高速にすると、人工照明下では画像に帯状のムラが生じる場合があること。これについては、シャッター速度を下げることで低減できます。

 

【魅力その5】シリーズ最長を誇るバッテリー持久力

バッテリーには、リチウムイオン充電池「NP-FZ100」を採用。CIPA準拠規格の撮影可能枚数は、ファインダー使用時で約610枚、液晶モニター使用時で約710枚。α7 IIに比べて2倍以上であり、α7シリーズでは最多となっています。また、USB給電/充電に対応することもうれしいポイントです。

 

ただし、持久力があるぶん、フル充電までの時間は約4時間45分とやや長め。充電が待ちきれない人は、オプションの急速充電チャージャーを購入するといいでしょう。

↑側面の端子カバー内には、USB Type-C端子とマイクロUSB端子を装備。本体充電の場合、どちらを使っても充電時間は同じ。ケーブルを差す際に、端子カバーが邪魔になる点は気になります

 

【魅力その6】階調再現域が広い、同価格帯トップクラスの高画質

そして、大前提ともいえるα7 IIIの大きな魅力は、画質の美しさです。撮像素子には新開発した有効2420万画素のフルサイズ裏面照射型センサーを、処理エンジンには「BIONZ X」をそれぞれ搭載し、この価格帯のカメラではトップクラスともいえる高画質を実現しています。

 

特に気に入ったのは、暗部から明部までの階調再現域が広いことです。α7 IIIのプレスリリースによると「低感度時は、約15ストップ(※1)の広いダイナミックレンジを実現」しているとのこと。明暗差の大きなシーンでも、白とびや黒つぶれを最小限に防ぐことができます。

※1:1ストップは、1段分の絞り値に相当
↑花壇のチューリップにストロボを照射して撮影。しべの花粉を確認できるくらい細部まで精密に描写。クリアな発色や滑らかな広階調も確認できます

 

例えば上の写真は、一見すると背景が黒くつぶれているように感じるかもしれませんが、実際には暗部にも情報がきちんと残っています。その証拠に、オリジナルのJPEG画像をPhotoshopなどで明るく補正すると、暗い背景部分には、見えていなかった葉っぱや地面などが浮かび上がってきます。

 

画質に関する注意点としては、解像感が非常に高い反面、シーンによってはモアレ(※2)が生じる場合があること。モアレはRAW現像時に補正するか、あるいは構図やアングルを変えることで目立たなくすることができます。

※2:モアレとは、規則正しい模様がある被写体を撮影すると、被写体の本来の模様とは無関係に現れる、不自然な縞模様のこと。建造物の壁面や金網、フェンス、衣服などに生じやすい

 

【魅力その7】暗い撮影シーンで実感した「そこそこの高感度」の画質の美しさ

高感度画質の美しさも大きなメリットです。α7 IIIの最高感度は、常用でISO51200、拡張でISO204800に対応。これほどの高感度は、私の用途ではめったに使わないので、個人的には最高感度にはあまり興味がありません。むしろありがたいのは、ISO3200~ISO12800くらいの「そこそこの高感度」の画質が美しいことです。

 

例えば、室内でストロボを使わずに人物を撮る際は、ISO1600~3200程度を多用します。また、ライブや水族館といったさらに暗いシーンではISO3200~12800を利用します。そんなときに、高感度のありがたみを実感します。

↑ISO3200で撮影。拡大表示にしてもノイズはほとんど気になりません

 

もちろん、これまでのほかのカメラでも、同じくらいの高感度は使っていましたが、α7 IIIなら、よりノイズが目立たず、より階調が広く、低感度に比べたときの発色の低下も抑えられています。自分的に許容できる感度の幅が広がった、という印象です。

 

【不満点とまとめ】細かい操作性には改善の余地アリも、トータルとしての満足感は非常に高い

一方でα7 IIIに対する個人的な不満は、主に操作性に関する部分です。

 

例えば、シリーズの第2世代までは非対応だったタッチパネルに対応した点。これ自体は使い勝手を高めるうれしい進化といえますが、肝心のタッチの反応があまり快適ではありません。メニュー操作にタッチパネルが使えない点にも疑問が残ります。

 

背面ダイヤルについては、従来より少し改善されたとはいえ、まだ持ち運び時などに不用意に動いてしまうことがあります。そのほか、背面モニターの情報表示が多過ぎて邪魔に感じることや、AFエリアの表示がわかりにくいことなどもやや気になります。

↑操作のカスタマイズは比較的豊富。自分の撮影スタイルに応じて、ファンクションメニューやカスタムキー、マイメニューなどをきちんと設定しておくことが、使い勝手を高めるうえで欠かせません

 

こうした改善要望はありますが、トータルとしての満足感は非常に高いカメラです。価格に見合った価値は十分にあると感じました。特に小型軽量のフルサイズ機を求める人には、強くオススメできます。

↑人気の高倍率ズーム「FE 24-105mm F4 G OSS」を装着。Eマウントの交換レンズはここ数年、急速に増えていますが、他社の一眼レフ用レンズに比べるとまだ選択肢は少なめ。自分の用途に合う交換レンズがあるかどうかも要チェックです

パナ、10年目のミラーレスは入門&中級とも侮りがたし!! 超本気2モデル詳細レビュー

ミラーレス一眼のパイオニア的存在であるパナソニックは、第1号機の発売から10年目を迎える2018年、積極的に新製品を発表しています。ここでは、前作から大幅進化を遂げた「LUMIX GF10/GF90」と「LUMIX GX7 Mark Ⅲ」の2モデルに注目。その実力をチェックしました!

 

コンパクトボディながらユニークな撮影機能が満載

パナソニックは、プロ仕様の上級機からビギナー向けの初級機まで、幅広いミラーレス一眼のラインナップを展開。そして、昨年末から今春にかけて、意欲的なミラーレス新製品を数多く投入しました。

 

なかでも注目は、手のひらサイズの小型軽量ボディを誇るローエンド機「LUMIX GF10/GF90」です。小型ながら撮影機能が豊富で、4K動画や高速連写、22種類のフィルターなどに対応。自分撮り機能として、美肌効果や背景ぼかしが選べる点もユニークです。

 

さらに一段上の高機能を求めるなら中級機「LUMIX GX7 MarkⅢ」が狙い目。コンパクトなボディに独自のチルト式ファインダーや5軸手ブレ補正などを搭載します。白黒フィルム風の粒状効果を加えられるなど、マニア心をくすぐる作画機能も充実しています。

 

【今回テストしたモデルはコレ!】

自分撮り機能がいっそう充実した小型ミラーレス

パナソニック
LUMIX GF10/GF90
実売価格7万4800円(ダブルレンズキット)

【1600万画素】【秒約6コマ連写】【常用最高ISO25600】【約270g】

2017年発売の「LUMIX GF9」の後継機。自分撮り対応のコンパクトボディを継承しつつ、撮影機能がいっそう充実。4K解像度で撮影した秒間30コマの連写画像から自分のベストな表情の1コマを切り出せる4Kセルフィー機能は、従来よりも広範囲を撮影可能になりました。夜景セルフィーも新搭載です。

SPEC●撮像素子:有効1600万画素4/3型Live MOSセンサー ●レンズマウント:マイクロフォーサーズ ●液晶:3.0型、104万ドット ●メモリ:microSDXCほか ●サイズ:W106.5×H64.6×D33.3mm

↑ファインダーやホットシューを省くことで小型軽量ボディを実現。操作ボタンも少なめ

 

【特徴01】

右手でも左手でも自分撮りがしやすい

液晶を180度回すと自分撮りモードが起動。左肩のフォーカスセレクトボタンでの撮影が可能に。美肌やスリムなどの効果も適用できます。

 

【特徴02】

素早く4K連写ができる専用ボタンを装備

4Kフォト機能を素早く呼び出すための専用ボタンを天面に搭載。通常の4K連写のほか、4K連写(広角)や4Kプリ連写なども選べます。

 

 

LUMIX GF10/GF90の実力を画質・休日力・旅行力の3分野でチェック!

<評価内容>

●画質

色味:オート撮影時の色味を判定。偏りや、実際と記憶のどちらに近い色味かをチェックしました。

高感度:各機種の最高感度まで、同一条件でテスト。ノイズと解像度のバランスを確認しました。

※テスト条件:色味は、屋外にて感度を最低感度に設定し、そのほかの機能を揃えて撮影。高感度は、屋内にて条件を揃えて撮影。掲載カット以外にも、全感度で撮影して評価しました

●休日力

AF:AFの範囲や速度、精度。子どもやペットなど動き回る被写体を追えるか注目しました。

フィルター機能:画像をデジタル加工して個性的な描写にするフィルター機能。数と効果をチェック。

スマホ連携:撮影中のリモコン機能や、撮影後の転送機能などの使い勝手を判定。対応機能もまとめました。

 

●旅行力

軽さ:撮影時、携帯時ともに重要なフルセットでの質量を実測。軽いほど持ち歩きはラクです。

バッテリー性能:ミラーレス一眼の泣き所のバッテリー持ちを比較。USB充電への対応も確認しました。

モニターの見やすさ:屋外で撮ることの多い旅先。晴天下での背面モニターの見やすさをチェックしました。

 

【画質】8/10

色味:☆×5

クリアな発色に好印象を受ける

濁りのないクリアな発色で、青空や樹木、赤レンガなどの色を正確に再現できました。オートの露出やホワイトバランスも的確です。

 

高感度:☆×3

高感度でもくっきりとした写り

オリンパス製品と同じく、センサーサイズは小さめ。ISO6400を超えると暗部ノイズが目立ちはじめ、同時に解像感が低下します。シャープネスは強めで、高感度でもくっきりとした描写です。

ISO6400

 

ISO25600

 

【休日力】13/15

AF(測距点の数&範囲):☆×4

独自の「空間認識AF」が快適

コントラストAFの一種である独自の「空間認識AF」に対応。測距点は49点と少なめですが、実写では動体にもしっかりと追従できました。

 

フィルター機能:☆×5

22種類のフィルターが選べる

フィルターは、オールドデイズやクロスプロセスなど22種類と非常に豊富。フィルターなし画像の同時記録ができる点も便利です。

 

スマホ連携:☆×4

【Bluetooth:×、NFC:×、QRコード:○、自動転送:○】

リモート撮影や自動転送に対応

リモート撮影では、カメラ側/スマホ側のどちらからでも、撮影や細かい設定変更が可能。撮影直後の自動転送にも対応します。

 

【旅行力】12/15

軽さ(※):☆×5

小さな記録メディアを採用

記録メディアにmicroSDを採用しており、354gの軽量ボディを実現。サイズも非常に小さく、日常的に持ち歩いても苦になりません。

※:ボディ+キットレンズ+カード+バッテリー+ストラップの合計(編集部調べ)

 

バッテリー性能:☆×3

持久力は不満だがUSB充電は便利

CIPA準拠の撮影可能枚数は、約210枚。もの足りない枚数ですが、USB充電への対応は便利。モバイルバッテリーでの充電も可能です。

 

モニターの見やすさ:☆×4

細かいカスタマイズも可能

屋外での見やすさはまずまず。輝度のほか、コントラストと彩度、赤み、青みをそれぞれ細かくカスタマイズできる点もありがたいです。

 

LUMIX GF10/GF90の総合評価は?

小型バッグに入れて気軽に持ち歩き、自分撮りした写真などを素早くSNSにアップする用途にピッタリ。ターゲット層は女性ですが、圧倒的小型ボディは男性のホビーユースにも役立ちます。ワンタッチで設定を初期化できるリセットボタンなどを備え、細部の使い勝手も良好。

ストリートフォト用ならコッチがおすすめ! 携帯性と使い勝手を両立した薄型グリップ&ツインダイヤル

パナソニック
LUMIX GX7 Mark Ⅲ
実売価格11万3250円(ズームレンズキット)

【2030万画素】【秒約6コマ連写】【常用最高ISO25600】【約450g】

2016年に発売されたLUMIX GX7 Mark Ⅱの後継機。センサーの高画素化による画質向上を図ったほか、メリハリ感のあるモノクロ表現「L.モノクロームD」やフィルム風の「粒状」効果に新対応。ボディ内手ブレ補正の搭載や外部フラッシュの採用など一段上の高機能も魅力です。

SPEC●撮像素子:有効2030万画素4/3型Live MOSセンサー ●レンズマウント:マイクロフォーサーズ ●液晶:3.0型、124万ドット ●メモリ:SDXCほか ●サイズ:W124×H72.1×D46.8mm

 

【特徴01】

構図の自由度をいっそう高める2つのチルト機構

チルト可動式の液晶モニターを搭載。また、前モデルでは省かれたファインダーのチルト可動機構も復活しました。マクロやローアングルでの撮影時に役立ちます。

 

【特徴02】

4K動画を応用した多彩な撮影機能

レンズ画角をフルに生かせる「4K連写(広角)」や、深いピントが得られるフォーカス合成、動きを捉える軌跡合成などに対応。4Kを利用した付加機能が充実しています。

 

【GF10/GF90とココが違う!】

ワンランク上の画素数や利便性が魅力

晴れた日の屋外撮影のほか、望遠レンズ使用時に便利な電子ファインダーの搭載が魅力。またセンサーの画素数が多く、風景などの細部表現で有利になります。

 

 

ライカブランドの名玉から携帯重視の薄型まで揃う交換レンズ

パナソニックのミラーレス一眼は、オリンパスと同じくマイクロフォーサーズシステムを採用。この2社にサードパーティ製品を加えた多数の交換レンズが利用できます。なかでも特に相性がいいのは、独自の強力な手ブレ補正「Dual I.S.」などが使えるパナソニックの純正レンズです。

 

大きなボケが欲しいならコレ!

 

パナソニック
LUMIX G 25mmF1.7 ASPH.
実売価格1万8640円

【焦点距離50mm相当】【フィルター径46mm】【全長52mm】【約125g】

昔ながらの標準レンズにあたる焦点距離50mm相当の単焦点レンズ。人間の視覚に近い自然で素直な画角で撮影できるほか、開放F値が明るいので暗所でのノーストロボ撮影にも役立ちます。

 

ワイドもテレも1本で撮りたいならコレ!

 

パナソニック
LUMIX G VARIO14-140mm F3.5-5.6 ASPH./POWER O.I.S
実売価格6万5860円

【焦点距離28〜280mm相当】【フィルター径58mm】【全長75mm】【約265g】

手ブレ補正を内蔵した10倍の高倍率ズーム。ステッピングモーターによる高速AFや、動画用にも適した静音駆動に対応。LUMIX GX7 Mark Ⅲとの組み合わせでは「Dual I.S.」が利用できます。

 

 

文・作例撮影/永山昌克

画質は最高評価!! 富士フイルムの実力派ミラーレス「X−E3」を徹底チェック!

富士フイルムは、そもそもフィルムや銀塩カメラを数多く発売していたメーカーであり、デジタル時代のいまでも画質や操作性へのこだわりを強く感じさせます。ここでは、同社のミラーレスカメラ中級機「X−E3」の実力を、画質・休日力・旅行力の3分野で判定。あわせて、おすすめの交換レンズや入門機についても解説します。

 

高機動な小型ボディと直感的ダイヤル操作を両立

富士フイルムのミラーレス一眼は、絞りリングやシャッター速度ダイヤルを備え、フィルムカメラのようなアナログ操作ができることが特徴。最初は戸惑うこともありますが、慣れればスムーズにカメラをコントロールできます。

 

なかでも昨秋発売の「X−E3」は、メカダイヤルによるアナログ操作と小型軽量ボディを両立。機能面では、位相差AFや高速連写モードに新対応したほか、タッチパネルやジョイスティックによる直感操作が可能になりました。趣味として写真撮影を楽しみたい人に最適なモデルに仕上がっています。

 

また今年2月には、ビギナー向けに一般的な操作性を採用したエントリー機「X−A5」を発売。こちらは180度回転するチルト背面モニターや美肌モードを備え、自分撮りなどが気軽に行えます。

 

【今回テストしたモデルはコレ!】

325点のAFで14コマ/秒の高速連写に対応

富士フイルム
X-E3
実売価格12万4790円(レンズキット)

【2430万画素】【秒約14コマ連写】【常用最高ISO12800】【約337g】

上位機「X-T2」などと同等のセンサー&エンジンを搭載しつつ、レンジファインダーカメラ風の薄型軽量デザインを採用。前モデル「X-E2」と比べた場合、連写やAFが大きく進化し、電子シャッターによる14コマ/秒の連写と、325点の位相差AFに対応しました。内蔵ストロボや液晶の可動機構は非搭載となります。

SPEC●撮像素子:有効2430万画素APS-C型CMOSセンサー ●レンズマウント:Xマウント ●液晶:3.0型、236万ドット ●メモリ:SDXCほか ●サイズ:W121.3×H73.9×D42.7mm

↑般的な十字ボタンはなく、ジョイスティックとタッチパネルで各種設定を行います

 

【特徴01

スティックやスワイプで直感操作ができる

AF測距点の選択は、背面スティックまたはタッチパネルで直感的に行えます。さらに液晶上のスワイプ操作に、様々な機能を割り当て可能です。

 

【特徴02

フルオートに設定できる専用レバーを搭載

電源レバーの後ろに「オートモード切換レバー」を装備。細かく機能を設定したあとでも、即座にフルオート撮影に移行できるのが便利です。

 

画質・休日力・旅行力の3分野で実力を判定!

<評価内容>

●画質

色味:オート撮影時の色味を判定。偏りや、実際と記憶のどちらに近い色味かをチェックしました。

高感度:各機種の最高感度まで、同一条件でテスト。ノイズと解像度のバランスを確認しました。

※テスト条件:色味は、屋外にて感度を最低感度に設定し、そのほかの機能を揃えて撮影。高感度は、屋内にて条件を揃えて撮影。掲載カット以外にも、全感度で撮影して評価しました

 

●休日力

AF:AFの範囲や速度、精度。子どもやペットなど動き回る被写体を追えるか注目しました。

フィルター機能:画像をデジタル加工して個性的な描写にするフィルター機能。数と効果をチェック。

スマホ連携:撮影中のリモコン機能や、撮影後の転送機能などの使い勝手を判定。対応機能もまとめました。

 

●旅行力

軽さ:撮影時、携帯時ともに重要なフルセットでの質量を実測。軽いほど持ち歩きはラクです。

バッテリー性能:ミラーレス一眼の泣き所のバッテリー持ちを比較。USB充電への対応も確認しました。

モニターの見やすさ:屋外で撮ることの多い旅先。晴天下での背面モニターの見やすさをチェックしました。

 

【画質】10/10

色味:☆×5

晴天らしさが伝わる鮮やかな色

クリアな青空と鮮やかな緑が表現され、晴天らしさが伝わる気持ちの良い発色となりました。忠実とはいえないが記憶色に近い仕上がりです。

 

高感度:☆×5

クラストップの高感度性能

独自のセンサーとエンジンによって、高感度ノイズを目立たないように低減。APS-Cセンサーではトップ級の高感度性能といってよいでしょう。ISO12800でも汚い印象はなく、実用的な画質です。

ISO6400

 

ISO25600

 

休日力:11/15

AF(測距点の数&範囲):☆×5

豊富な測距点と便利なジョイスティック

像面位相差AFに対応。測距点は325点と豊富で、ジョイスティック操作で素早く選べるのが便利。快適に合焦する性能を実感しました。

 

フィルター機能:☆×3

フィルターの種類はやや少なめ

ミニチュアやポップカラー、パートカラー、ハイキーなど8種類のフィルターを用意。連写や動画撮影との併用ができないのは残念です。

 

スマホ連携:☆×3

【Bluetooth:○、NFC:×、QRコード:○、自動転送:○】

多機能だが使い勝手には課題も

Bluetooth接続に対応し、画像の自動転送ができます。リモート撮影の際、カメラ側にライブビューが表示されない点はやや使いにくいと感じました。

 

旅行力:10/15

軽さ:☆×3

キットレンズはやや重い大口径タイプ

撮影時の質量は669g。ボディはミラーレス一眼として比較的軽量ですが、キットレンズが大口径タイプであるため、総質量はやや重め。

 

バッテリー性能:☆×4

持久力は普通だが、USB充電が便利

CIPA準拠の撮影可能枚数は約350枚で、ミラーレス一眼としては標準的なバッテリー性能。USB充電に対応している点は何かと心強いです。

 

モニターの見やすさ:☆×3

晴天の屋外では見えにくくなる

初期設定の状態ではやや暗く、晴天屋外では見えにくいです。明るさは±5段階に調整できるので、見えにくい場合は+側に設定したいですね。

 

X-E3の総合評価は?

同社独自のセンサー&映像エンジンが生み出す豊かな発色と、フィルムを換える感覚で絵作りを楽しめるフィルムシミュレーションを小型軽量ボディで味わえる点が魅力。やや重くなるものの、明るく切れ味の鋭い標準ズームが付属することも描写にこだわるユーザーには◎。

チルト液晶を求めるならコッチがおすすめ! 雑貨的なデザインと一般的な操作系を併せ持つ入門機

富士フイルム
X-A5
実売価格6万8460円(レンズキット)

【2424万画素】【秒約6コマ連写】【常用最高ISO12800】【約361g】

2016年に発売されたエントリー向けモデル「X-A3」の後継機。自分撮り対応のチルト背面モニターを受け継ぎながら、新たに像面位相差AFや4K動画、かすみ除去フィルター、Bluetooth機能などに対応。キットレンズが沈胴式の薄型タイプに変更されたことも見逃せません。

SPEC●撮像素子:有効2424万画素APS-C型CMOSセンサー ●レンズマウント:Xマウント ●液晶:3.0型、104万ドット ●メモリ:SDXCほか ●サイズ:W116.9×H67.7×D40.4mm

 

【特徴01

人肌を滑らかに補正できる美肌モード

自分撮りの際は、瞳AFで目にピントを合わせられるほか、自動美肌モードによって人肌を明るく滑らかに再現できます。その効果は3段階から選択可能です。

 

【特徴02

超高速シャッターや無音撮影ができる電子シャッター搭載

エントリー機ながら電子シャッター機能を搭載し、最高で1/32000秒の高速シャッターが使えます。また、電子シャッターによる無音での撮影にも対応。

 

【X-E3とココが違う!】

チルト式液晶やストロボ搭載でビギナーにうれしい

両機とも薄型ボディですが、チルト可動式の背面モニターや内蔵ストロボを備えることはX-A5の大きなメリット。ただし、外装の高級感や画質ではX-E3に及びません。

 

 

描写に優れた単焦点や防塵防滴レンズなど多彩

富士フイルムのAPS-Cミラーレス一眼は、Xマウントレンズに対応。超広角から超望遠まで20本以上のレンズラインナップが用意されている。特に、描写性能に優れた単焦点レンズが充実しています。製品名に「WR」があるものは防塵防滴に、「OIS」があるものは手ブレ補正に対応。

 

ワイドもテレも1本で撮りたいならコレ!

 

富士フイルム
XF18-135mmF3.5-5.6 R LM OIS WR
実売価格8万5870円

【焦点距離:27〜206mm相当】【フィルター径:67mm】【全長97.8mm】【約490g】

27〜206mm相当の焦点距離を持つ高倍率ズーム。世界最高をうたう効果5段分の手ブレ補正を内蔵し、薄暗いシーンでも手持ちでの撮影ができます。防塵防滴ながら軽量なことも魅力。

 

大きなボケが欲しいならコレ!

 

富士フイルム
XF50mmF2 R WR
実売価格4万7590円

【焦点距離76mm相当】【フィルター径46mm】【全長59.4mm】【約200g】

200gの軽量を誇る中望遠の単焦点レンズ。ポートレートのほか、部分を切り取る感覚のスナップ用にも最適です。ほぼ無音で高速作動するAFや、適度なトルク感のあるMF操作も使いやすいです。

 

 

文・作例撮影/永山昌克

2018年春の最注目カメラの実力は? “王者”キヤノンの「EOS Kiss M」徹底検証!

一眼レフの分野でトップシェアを誇るキヤノンは、最近、急激にミラーレス一眼に力を注ぎ始めました。なかでも最新作の「EOS Kiss M」は、同社の技術力を集結した今春最大の注目モデルです。今回は、そんな同モデルの実力を画質・休日力・旅行力の3分野で判定。休日力は家族の週末などにおける使い方での実力を、旅行力は旅先での使い勝手について評価しました。

 

Kissブランド初のミラーレスが早くも人気

キヤノンは、フィルム時代から続く入門者向けレンズ交換式カメラの定番シリーズ「Kiss」の名を冠した初のミラーレス一眼「EOS Kiss M」を今年3月に発売。ブランド力の高さに加えて、気軽に持ち運べる小型軽量ボディや充実した高機能が評価され、早くも人気機種となっています。

 

特に注目は、連写とAFが進化したこと。これまでの一眼レフのKissシリーズに遜色ない動体撮影性能を備えているのです。激しく動き回るペットや子どもの撮影用にもうってつけといえます。

 

また既存モデルでは、コストパフォーマンスに優れた「EOS M100」も狙い目。電子ビューファインダーは非搭載ですが、よりビギナー向けのシンプル操作やオプションのカバーを付けて着飾れる薄型ボディが特徴になっています。

 

【今回テストしたモデルはコレ!】

一眼レフを上回る高速連写と広範囲AFを実現

キヤノン
EOS Kiss M
実売価格9万4620円(15-45キット)、11万8560円(ダブルズームキット)

【2410万画素】【秒約7.4コマ連写】【常用最高ISO25600】【約387g】

新エンジン「DIGIC 8」の採用によって連写やAFが高速化したほか、無音で撮影できるサイレントモードや、目にピントを合わせる瞳AF、4K動画などの機能に新対応。また、モニターが前モデルのチルト式からバリアングル式に変更になり、初級者向けのガイド機能もいっそう充実しました。

SPEC●撮像素子:有効2410万画素APS-C型CMOSセンサー ●レンズマウント:EF-Mマウント ●液晶:3.0型、104万ドット ●メモリ:SDXCほか ●サイズ:W116.3×H88.1×D58.7mm

↑電子ファインダーと背面モニターを光軸上に配置。撮影時の視線移動が最小限で済みます

 

【特徴01】

同社ミラーレスでは初のバリアングル背面モニター

上下左右に可動するバリアングル液晶を搭載。ラクに自分撮りができるほか、カメラの横/縦位置を問わず、自由なアングルから撮影しやすいです。

 

【特徴02】

AFエリアが広くなり構図の自由度が大きく向上

独自の技術「デュアルピクセルCMOS AF」がさらに進化し、測距点は画面のほぼ全域をカバー。画面端にある被写体にもスムーズに合焦します。

 

 

画質・休日力・旅行力の3分野で実力を判定!

<評価内容>

●画質

色味:オート撮影時の色味を判定。偏りや、実際と記憶のどちらに近い色味かをチェックしました。

高感度:各機種の最高感度まで、同一条件でテスト。ノイズと解像度のバランスを確認しました。

※テスト条件:色味は、屋外にて感度を最低感度に設定し、そのほかの機能を揃えて撮影。高感度は、屋内にて条件を揃えて撮影。掲載カット以外にも、全感度で撮影して評価しました

 

●休日力

AF:AFの範囲や速度、精度。子どもやペットなど動き回る被写体を追えるか注目しました。

フィルター機能:画像をデジタル加工して個性的な描写にするフィルター機能。数と効果をチェック。

スマホ連携:撮影中のリモコン機能や、撮影後の転送機能などの使い勝手を判定。対応機能もまとめました。

 

●旅行力

軽さ:撮影時、携帯時ともに重要なフルセットでの質量を実測。軽いほど持ち歩きはラクです。

バッテリー性能:ミラーレス一眼の泣き所のバッテリー持ちを比較。USB充電への対応も確認しました。

モニターの見やすさ:屋外で撮ることの多い旅先。晴天下での背面モニターの見やすさをチェックしました。

【画質】8/10

色味:☆×4

やや赤っぽいが見栄えのする色

わずかにマゼンタに寄った発色で、実際よりもレンガの色が赤っぽく感じます。コントラストはやや高めで、適度なメリハリがあります。

 

高感度:☆×4

ISO6400まではノイズが目立たない

ISO12800では暗部ノイズがやや目立ちますが、それでも小さな印刷やウェブ用途なら十分に使えるレベル。ISO25600では、ノイズリダクション処理の影響で細部の解像感が低下します。

ISO6400

 

ISO25600

 

【休日力】14/15

AF(測距点の数&範囲):☆×5

スピーディなAF性能を実感

デュアルピクセルCMOS AFの測距点は143点で、横88×縦100%の範囲をカバー。実写では高速で正確なAF性能を確認できました。

 

フィルター機能:☆×4

撮影時または撮影後に適用可能

油絵風や水彩風、ソフトフォーカスなど7種類のフィルター効果と4種類のHDR効果を用意。撮影時だけでなく、撮影後の適用も対応可能です。

 

スマホ連携:☆×5

【Bluetooth:○、NFC:○、QRコード:×、自動転送:○】

撮影直後に自動転送できるのがラク!

スマホやタブレットからのリモート撮影や画像確認、撮影直後の画像自動転送が可能。QRコードはアプリダウンロード用のものは有り。

 

【旅行力】11/15

軽さ(※):☆×4

Kissシリーズでは最小軽量ボディ

総質量は540g。EVF付きでこの軽さは見事です。ボディだけでなく、キット付属の標準ズームが約130gと軽量なことも特筆に値します。

※:ボディ+キットレンズ+カード+バッテリー+ストラップの合計(編集部調べ)

 

バッテリー性能:☆×2

予備バッテリーを用意したい

CIPA準拠の撮影可能枚数は、ファインダー撮影でも背景モニター撮影でも約235枚。少々心もとない枚数です。USB充電非対応も残念。

 

モニターの見やすさ:☆×5

屋外でも視認性は良好

十分な輝度があり、屋外でもくっきり見られます。モニターを一時的に明るくする機能をカスタムボタンに割り当てられる点も便利です。

 

EOS Kiss Mの総合評価は?

ビギナーでも扱いやすいEOS Kissシリーズの伝統と、最新技術満載のEOS Mシリーズの高機能が融合した、小型軽量で使い勝手に優れたミラーレス一眼です。樹脂外装のボディにあまり高級感がないことと、バッテリー持久力の低さは惜しいですが、実用性は極めて高いです。

コスパ最重視ならコッチがおすすめ! 上位機と同じセンサーを備えたローエンドモデル

キヤノン
EOS M100
実売価格6万1630円(15-45キット)、6万9800円(ダブルズームキット)

【2420万画素】【秒約4コマ連写】【常用最高ISO25600】【約302g】

EOS Mシリーズのローエンドに位置するモデル。センサーやエンジンは上位モデル「EOS M5」や「EOS M6」と同等のものを搭載し、49点測距のデュアルピクセルCMOS AFにも対応。より薄型軽量なボディと、よりシンプルな操作系、おしゃれに着飾れるアクセサリーなどが魅力です。

SPEC●撮像素子:有効2420万画素APS-C型CMOSセンサー ●レンズマウント:EF-Mマウント ●液晶:3.0型、104万ドット ●メモリ:SDXCほか ●サイズ:W108.2×H67.1×D35.1㎜

 

【特徴01】

ファッション感覚で着せ替えが楽しめる

アクセサリーとして9種類のフェイスジャケットが同社オンラインショップで限定発売中。3色のボディカラーと組み合わせて、27通りのスタイルが選べます。

 

【特徴02】

ビギナーでも迷わず扱えるシンプルな操作性

ボタンやダイヤルの数は最小限に抑えられ、ほとんどの操作をタッチパネルによって直感的に行えます。ビギナーでも安心!

 

【EOS Kiss Mとココが違う!】

電子ビューファンダーはオプションでも非対応

標準でもオプションでも、電子ファインダーには非対応。液晶モニター撮影に限られるので、望遠レンズ装着時はやや安定感に欠けます。またAFや連写の性能も控えめ。

 

 

【レンズも注目】

この1本で写真が変わる! 軽量コンパクトで描写性能に優れたEF-M

キヤノンのミラーレス用「EF-Mレンズ」は現状では6製品。他社に比べて少なめであり、特にボケを楽しめる明るいレンズがあまりないのが残念です。ただ、描写力と携帯性はいずれも良好。ここでは、比較的ボケに有利な単焦点レンズと、利便性に優れた高倍率ズームを紹介しましょう。

 

大きなボケが欲しいならコレ!

キヤノン
EF-M22mmF2 STM
実売価格2万4060円

【焦点距離35mm相当】【フィルター径43mm】【全長23.7mm】【約105g】

焦点距離が短いため、あまり大きなボケは期待できませんが、圧倒的な薄さと軽さを誇り、描写性能にも優れたパンケーキタイプの単焦点レンズ。最短撮影距離は0.15mと短く、マクロ表現も楽しめます。

 

ワイドもテレも1本で撮りたいならコレ!

キヤノン
EF-M18-150mmF3.5-6.3 IS STM
実売価格5万2740円

【焦点距離29〜240mm相当】【フィルター径55mm】【全長86.5mm】【約300g】

EF-Mレンズでは最大となる約8.3倍の高倍率に対応しながら、質量わずか約300gの軽量コンパクトを実現。0.25mまで寄れる近接性能や、シャッター速度換算で約4段分の手ブレ補正も魅力です。

 

 

文・作例撮影/永山昌克

オリンパスのおしゃれミラーレス「PEN E-PL9」を画質・休日力・旅行力の3分野で徹底分析!

オリンパスのミラーレス一眼は、美しいデザインや充実した機能が魅力です。エントリー層向けの主力商品としては、女性や若年層に人気の高い「PEN」シリーズの新作「PEN E-PL9」と、一眼カメラ風スタイルの入門機「OM-D E-M10 MarkⅢ」を発売中。個性的なデザインが光る2台です。今回は、その実力を画質・休日力・旅行力の3分野で判定。休日力は家族の週末などにおける使い方での実力を、旅行力は旅先での使い勝手について評価しました。

※テスト条件:色味は、屋外にて感度を最低感度に設定し、そのほかの機能を揃えて撮影。高感度は、屋内にて条件を揃えて撮影。掲載カット以外にも、全感度で撮影して評価しました

 

ユーザーの所有欲を満たす高品位なボディデザイン

オリンパスのミラーレス一眼は、外観デザインへのこだわりが見どころのひとつ。今年3月に発売された入門機「PEN E−PL9」は、薄型ボディに高品位な革調素材を巻き付け、クラシックカメラを思わせるレトロな雰囲気と、手になじむ上品な質感を生み出しています。

 

また、昨秋発売の「OM−D E−M10 MarkⅢ」では、一眼レフ風の正当派カメラデザインを採用。低価格ながら適度な高級感があり、装着レンズを問わず、しっかりカメラを支えて撮影しやすい形状となっています。

 

機能と操作面では、両モデルに共通して搭載された「アドバンストフォトモード」に注目。このモードでは、多重露出やHDR、ライブコンポジットといったワンランク上の撮影機能が簡単操作で活用できるよう工夫されています。

 

【今回テストしたモデルはコレ!】

夜景や星空などワンランク上の撮影も手軽!

オリンパス
PEN E-PL9
実売価格9万5300円(ダブルズームキット)

【1605万画素】【秒約4.8コマ連写】【常用最高ISO25600】【約380g】

2016年に発売された「E-PL8」の後継機。持ち運びに便利な薄型ボディを受け継ぎながら、ストロボの内蔵やグリップ形状の改善によって使い勝手が向上。新機能としては、懐かしさと現代風の雰囲気が融合したアートフィルター「ネオノスタルジー」や4K動画、ハイスピード動画などに対応しています。

SPEC●撮像素子:有効1605万画素4/3型Live MOSセンサー ●レンズマウント:マイクロフォーサーズ ●液晶:3.0型、104万ドット ●メモリ:SDXCほか ●サイズ:W117.1×H68×D39mm

↑モニターは下に最大180度まで可動するチルト式。電子ファインダーには非対応です

 

【特徴01

装着する全レンズで作動する手ブレ補正内蔵

望遠撮影時に生じやすい「角度ブレ」と夜景撮影で生じやすい「回転ブレ」を補正するボディ内手ブレ補正を内蔵。手持ちでも安心して撮れます。

 

【特徴02

凝った撮影が簡単にできるAPモード

アドバンストフォトモード(AP)では、星空を光跡として記録するライブコンポジットや、無音で撮れるサイレント撮影などが行えます。

画質・休日力・旅行力の3分野で実力を判定!

<評価内容>

●画質

色味:オート撮影時の色味を判定。偏りや、実際と記憶のどちらに近い色味かをチェックしました。

高感度:各機種の最高感度まで、同一条件でテスト。ノイズと解像度のバランスを確認しました。

 

●休日力

AF:AFの範囲や速度、精度。子どもやペットなど動き回る被写体を追えるか注目しました。

フィルター機能:画像をデジタル加工して個性的な描写にするフィルター機能。数と効果をチェック。

スマホ連携:撮影中のリモコン機能や、撮影後の転送機能などの使い勝手を判定。対応機能もまとめました。

 

●旅行力

軽さ:撮影時、携帯時ともに重要なフルセットでの質量を実測。軽いほど持ち歩きはラクです。

バッテリー性能:ミラーレス一眼の泣き所のバッテリー持ちを比較。USB充電への対応も確認しました。

モニターの見やすさ:屋外で撮ることの多い旅先。晴天下での背面モニターの見やすさをチェックしました。

 

【画質】7/10

色味:☆×4

やや黄色っぽいがバランスのいい発色

ほどよく彩度が強調された見栄え重視の発色。ごくわずかに黄色っぽいのが惜しいですが、ほかのシーンではバランスのいい色が得られました。

 

高感度:☆×3

高感度ノイズはそれなりに見られる

センサーサイズがあまり大きくないため、ISO6400以上では中間調から暗部にかけてザラザラとしたノイズが目立ちました。シャープネス強調は控えめで、誇張のない自然な描写です。

ISO6400

 

ISO25600

 

【休日力】12/15

AF(測距点の数&範囲):☆×3

動体に課題があるが、測距点数は十分

ミラーレス入門機で一般的なコントラストAFを採用。測距点121点と比較的多く、瞳AFにも対応。動体に対するAF性能はやや不満。

 

フィルター機能:☆×5

多彩なフィルターとオプション効果が◎

全16種のアートフィルターを搭載。ピンホール効果やホワイトエッジ効果、上下ぼかし効果などもフィルターに重ねて適用できます。

 

スマホ連携:☆×4

【Bluetooth:○、NFC:×、QRコード:○、自動転送:○】

電源オフ後に自動転送ができる

リモート撮影時、スマホ画面にライブビューを表示するとカメラ側は表示されないのが不便。Bluetoothの自動転送機能は便利です。

 

【旅行力】12/15

軽さ(※):☆×4

軽さと利便性を併せ持つ標準ズームがいい

撮影時の総質量は505gと軽め。沈胴式の標準ズームは、本体の電源オンによって自動的にせり出すタイプで、速写性の面でも有利です。

※:ボディ+キットレンズ+カード+バッテリー+ストラップの合計(編集部調べ)

 

バッテリー性能:☆×4

小型モデルでは良好なバッテリー性能

CIPA準拠の撮影可能枚数は、約350枚。小型のミラーレス一眼としてはまずまず良好なレベル。USB充電に非対応な点はやや残念。

 

モニターの見やすさ:☆×4

屋外でも画像チェックは問題ナシ

明るい屋外でも液晶の視認性は、大きな問題のないレベル。モニターの調整機能としては、輝度と色温度のカスタマイズに対応します。

 

E-PL9の判定結果は……?

撮影意欲を刺激する高品位なボディに、全レンズ対応の手ブレ補正や多彩なアートフィルター、アドバンストフォトモードといった高機能を凝縮。高感度画質と動体AFにはやや課題はありますが、それ以外はバランスの良い総合性能といえます。豊富な交換レンズも魅力。

EVFで撮りたい人にはコチラがおすすめ! 

オリンパス
OM-D E-M10 Mark
実売価格9万7020円(ダブルズームキット)

【1605万画素】【秒約4.8コマ連写】【常用最高ISO25600】【約410g】

ボディ天面に電子ビューファインダーを備えた「OM-D」シリーズのローエンドモデル。1605万画素センサーや121点AF、高速連写、4K動画、多彩な撮影モードといったスペックは「E-PL9」とほぼ同等で、そのうえでより強力なボディ内5軸手ブレ補正に対応しています。

SPEC●撮像素子:有効1605万画素4/3型Live MOSセンサー ●レンズマウント:マイクロフォーサーズ ●液晶:3.0型、104万ドット ●メモリ:SDXCほか ●サイズ:W121.5×H83.6×D49.5mm

 

【特徴01

素早くモードを切り替えられる専用ボタンを新搭載

ボディ左肩部分にショートカットボタンを装備。そのときに選択している撮影モードに応じて、モード選択画面や撮影設定画面をワンタッチで呼び出せます。

 

【特徴02】

明快に整理されたメニューUIで素早く操れる

シーンモードのメニューデザインが従来モデルから一新。ジャンル別にシーンが整理されているので、使いたいモードに素早くアクセスできます。

 

【E-PL9とココが違う!】

ファインダーの有無と液晶の可動角度が異なる

電子ビューファインダー(EVF)を標準装備することが大きな違い。そのぶん、ボディはやや重いです。また、背面モニターが下に最大180度まで可動するE-PL9に対し(上には約80度)、本機は上に約85度、下に約45度。自分撮りには非対応です。

 

 

【レンズも注目】

この1本で写真が変わる! 魚眼から広角、望遠まで豊富な種類を誇るレンズ群

オリンパスのミラーレス一眼は、マイクロフォーサーズシステムに準拠し、同システム用の豊富な交換レンズすべてが利用できます。高級レンズだけでなく、財布に優しい低価格レンズも選べる点は心強い。ここではポートレートに適した単焦点と利便性抜群の高倍率ズームを紹介します。

 

大きなボケが欲しいならコレ!

 

オリンパス
M.ZUIKO DIGITAL 45mmF1.8
実売価格2万6790円

【焦点距離90mm相当】【フィルター径37mm】【全長46mm】【約116g】

背景をぼかしたポートレート撮影に最適な中望遠の単焦点レンズ。気軽に持ち運べる軽量コンパクトさや、無音でスムーズに作動するAF性能も魅力。カラーはブラックとシルバーから選べます。

 

ワイドもテレも1本で撮りたいならコレ!

 

オリンパス
M.ZUIKO DIGITAL ED14-150mmF4.0-5.6Ⅱ
実売価格6万2200円

【焦点距離28〜300mm相当】【フィルター径5mm】【全長78mm【約285g】

28mm相当の広角から30mm相当の望遠までを1本でまかなう10.7倍の高倍率ズーム。レンズ先端から約33cmまで寄れる近接能力の高さや、悪条件に強い防塵・防滴対応もポイントです。

 

 

文・作例撮影/永山昌克

これからカメラを趣味にしたい人へ――パナソニック「LUMIX GX7 Mark III」という“バランス重視”の選択

入門機から上級機まで幅広いラインアップを誇るパナソニックのミラーレス一眼。なかでも高機能と携帯性をバランスよく両立させた、“ツウ好み”の中級機が「LUMIX GX7 Mark III」です。本稿では前モデルとの比較を交えながら、その実写レビューをお伝えしましょう!

 

【今回紹介するカメラはコレ!】

パナソニック
LUMIX GX7 Mark III
実売価格9万4780円(ボディ)

パナソニック「LUMIX GX」シリーズは、レンジファインダーカメラを思わせるスリムな横長ボディを採用したミラーレス一眼です。初代「LUMIX GX7」は、ボディ内手ブレ補正やチルト可動式ファインダーといった高機能を凝縮したモデルとして2013年に発売。さらに2016年には、手ブレ補正の改良やセンサーのローパスレス化を図った2代目「LUMIX GX7 Mark II」が発売されました。

 

そして今回取り上げるのが、2018年3月に登場した3代目「LUMIX GX7 Mark III」です。機動力と速写性を重視した「ストリートフォト一眼」という基本コンセプトを受け継ぎながら、センサーの高画素化や撮影機能の強化を実現しています。

SPEC●撮像素子:有効2030万画素、4/3型MOS センサー ●常用感度:ISO200~25600 ●連写:約9コマ/秒(AF固定)、 約6コマ/秒(AF追従) ●モニター:3.0型、 約124万ドット、可動式(チルト式)、タッチ対応 ●ファインダー:約276万ドット ●大きさ・重さ:約124×72.1×46.8mm・450g

 

「速写性」に優れたスリムな横長ボディに可動式ファインダーが復活

まずは、GX7 Mark IIIの外観を前モデルGX7 Mark IIと比較しながら、その進化点をチェックしていきましょう。

 

GX7 Mark IIIの外形寸法は、幅124×高さ72.1×奥行46.8mm。前モデルよりわずかに大型化していますが、実際に手にしたときのサイズ感はほとんど同じ。バッテリーとカードを含めた重量は24g増して450gで、これは電子ビューファインダー搭載のミラーレスとしては比較的軽量です。

↑左が既存モデルGX7 Mark IIで、右が新モデルGX7 Mark III(以下も同じ)。グリップの形状が変化したほか、前面右下の「L」マークが省かれています

 

外見上の大きな違いは、GX7 Mark IIでは固定式だった電子ビューファインダーが、上に最大90度動くチルト可動式になったこと。初代モデルの仕様が復活したことになります。ファインダーをのぞきながらローアングルで撮るときに役立ちます。

↑GX7 Mark III(右)ではチルト可動式の電子ビューファインダーが復活。下を向いた姿勢で、目の前の風景を撮ることができます

 

↑GX7 Mark III(右)では、天面の右端に露出補正ダイヤルが追加され、直感的に露出を変更できるようになりました。それにともなって電源スイッチの位置が移動しています

 

液晶モニターについては、ドット数を104万画素から124万画素へと高精細化しています。液晶モニターのチルト可動は上に約80度、下に約45度に対応。タッチパネルによってAF測距点を素早く選択できる点はこれまでと同じです。

↑背面では、フォーカスモードレバー(フラッシュボタンの左)が追加された点が大きな変化です。それ以外のボタン類の基本レイアウトは継承。液晶は高画素化し、メニューUIは1画面あたりの情報量が増えるよう一新されました

 

↑細かな点ですが、側面の端子カバーも改良。GX7 Mark III(右)では、カバーを押しながらスライドさせることで、本体内部にカバーが格納されるユニークな仕掛けを新採用しています

 

操作面では特に、フォーカスモードの採用によってAFS(一度ピントを合わせるとフォーカスが固定される、静止した被写体向けのAFモード)とAFC(シャッターボタンを半押ししている間ピントを合わせ続ける、動く被写体向けのAFモード)をダイレクトに切り替え可能になったことと、露出補正ダイヤルによって明るさ調整をスムーズに行えるようになったことが便利に感じました。液晶が精細化し、メニューの1画面により多くの情報を表示可能になった点もうれしい改良です。

 

フィルムを思わせる、深みのあるモノクロ表現が全3種類

次に、撮影機能を見ていきましょう。機能面での注目は、発色傾向を調整できるフォトスタイル機能が進化し、新たに「L.モノクロームD」が追加されたこと。これはディテールを残しつつ、ハイライトとシャドウをいっそう強調したモノクロ表現です。従来からある通常の「モノクローム」や「L.モノクローム」と合わせ、3種類のモノクロを狙いに応じて使い分けることができます。

↑フォトスタイル「モノクローム」。一般的なモノクロ表現を得たいときはこれを選択します

 

↑フォトスタイル「L.モノクローム」。より豊かな階調表現を狙うときなどにおすすめです

 

↑フォトスタイル「L.モノクロームD」。コントラストを高めに描写したいときなどに役立ちます

 

さらに、これらのモノクロのフォトスタイルには、オプション設定として「粒状」が追加されました。画像にザラザラとした粒状感を与え、白黒フィルムのような質感を作り出す効果です。手っ取り早く、雰囲気あるモノクロ作品に仕上げたいときに役立つでしょう。

↑アナログライクなランダムノイズを加える「粒状」の設定画面。効果は「弱/中/強」の3段階から選べます

 

細かな使い勝手が向上! おなじみ4Kフォトにも新機能

LUMIXではお馴染みの4Kフォト機能については、「オートマーキング」と「軌跡合成」に新対応しました。オートマーキングとは、4Kフォトによって秒間30コマ連写で撮影している間、被写体の動きや人物の顔をカメラが自動検出し、画像選択時に自動的にその位置にマーキングを行う機能です。これにより、画像選択がスムーズに行なえます。

↑軌跡合成では、4Kフォトで撮影した連写画像を1枚に合成することで、被写体の動きを軌跡として表現することができます

 

そのほかには、新たにBluetooth 4.2(Bluetooth Low Energy)に対応し、スマホやタブレットと常時接続が可能になったことや、よく使う機能を登録できるマイメニューを搭載したことなども、使い勝手を高める進化といえます。

↑Bluetooth接続に新対応。リモート起動をオンにしておくと、カメラの電源がオフの状態でもスマホ側から起動して画像閲覧や転送などが素早く行えます

 

↑電源はリチウムイオン充電池「DMW-BLG10」。撮影可能枚数は、液晶モニター使用で約260枚(ファインダー使用で約250枚)。高画素化したため、前モデルよりやや少なくなったのは残念ですが、引き続きUSB充電対応である点は便利

高画素化&ローパスレスセンサーが生み出す精密描写

撮像素子には、4/3型有効2030万画素のLive MOSセンサーを搭載。ローパスフィルターレス(※)という仕様を継承しつつ、前モデルの有効1600万画素よりも高画素化したことで、被写体の細部までをより精密に表現可能になっています。感度は引き続きISO100~25600に対応(ISO100は拡張感度)。高画素化しつつも、高感度ノイズは目立たないように低減されています。

※ローパスフィルターとは、撮像素子の前に取り付けられたフィルムで、画像情報として必要な光の波長だけを通すことで「モアレ」や「偽色」を防ぐためのもの。解像感を低下させてしまう副作用があり、近年ではモアレや偽色を高画素化や画像処理エンジンの進化によって抑え込むことで、ローパスフィルターを搭載しない“ローパスフィルターレス”仕様のカメラも増えている

 

<高感度画質を従来機と比較>

では、実際に高感度画質をチェックしてみましょう。

 

ISO400/GX7 MarkII

 

ISO400/GX7 MarkIII

 

ISO3200/GX7 MarkII

 

ISO3200/GX7 MarkIII

 

ISO25600/GX7 MarkII

 

ISO25600/GX7 MarkIII

GX7 Mark III単体で見た場合、ISO400を超えるあたりから暗部ノイズが徐々に目立ちはじめますが、等倍鑑賞をしないのであればISO3200でも十分に実用的。最高感度のISO25600については、ノイズに加えて彩度の低下がやや気になりますが、かなり暗い場所で動きを写し止めたいときなど特殊な条件下では役立つこともあるでしょう。なお、前モデルとの比較では、高感度での彩度低下は気になりますが、ノイズ低減に関しては向上しています。

 

新生“ストリートフォト一眼”の実力を実写チェック!

ここからは、実際の作例を見ながらその描写や使い勝手を検証していきましょう。

↑ローパスフィルターレスのセンサーによって、遠景のディテールまでをくっきりと描写。曇天ながらクリアで抜けのいい写りが得られました

 

↑低ノイズの高感度画質に加え、「Dual I.S.」対応のボディ内手ブレ補正を搭載しているので、薄暗いシーンでのスナップ撮影も快適に行なえます

 

↑斜め後ろから光を当てることで周辺部を暗く落とし、花の色彩感を強調。暗部はつぶれることなく、シャドウからハイライトまでを滑らかに再現できています

 

↑小さなシワやキズ、指紋までをはっきりと確認できるくらいシャープに解像。立体感や質感の表現も十分に満足できるレベルです

 

↑フォトスタイル「L.モノクロームD」を選択。適度に強調されたコントラストによって、車体の金属感を際立たせています

 

↑フォトスタイル「L.モノクロームD」を選択。レスポンスの速さを生かし、路上のパターンと自転車の影が重なった瞬間をスナップしてみました

 

【結論】旅行はもちろん、日常的に持ち歩きたいスナップカメラ!

今回の試用では「LUMIX G VARIO 12-32mm / F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S.」と「LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7 ASPH.」という2本のレンズを使いました。どちらも小さくて軽いレンズであり、GX7 Mark IIIとの相性は良好。軽いフットワークでスナップ撮影を満喫できました。

↑レンズキットに付属する標準ズーム「LUMIX G VARIO 12-32mm / F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S.」を装着。この状態でも総重量は約517gと軽量です

 

個人的に気になったのは、機械式のシャッター音がやや長めで、音に高級感や切れ味が感じられないこと。一方、電子シャッター選択時の疑似シャッター音については、比較的シャープで心地いい音です。

 

執筆時点で10万円弱という実売価格については、前モデルの発売当初と大差ないものの、個人的にはやや高めに感じます。とはいえ、携帯性と高画質、高機能を兼ね備えたモデルを求める人や、可動式ファインダーに魅力を感じる人、ストリートスナップに取り組みたい人にはおすすめできます。

 

休日や旅行での使用はもちろん、日常的に持ち歩いて、例えば通勤や通学の帰りに趣味の写真撮影を楽しむのもいいでしょう。

画素数がほぼ同じのミラーレスカメラ、何が違う? キヤノン3モデルの意外な「差」と「選び方」

キヤノンのミラーレスカメラであるEOS Mシリーズは、小型・軽量で低価格な「EOS M100」を中心に人気を博している。そこに、この3月から“EOS Kissシリーズ初”のミラーレスカメラ「EOS Kiss M」が加わったことで、これまで以上に注目を集めている。

 

しかも、このEOS Kiss MはEOS M100同様にエントリーモデルという位置づけながら、スペック上は上位モデルの「EOS M5」に勝るとも劣らない性能を持っており、初級~中級のユーザーにとっては、Kiss M、M100、M5のどれを選ぶのがベストなのか悩んでしまう点も多いだろう。そこで本稿では、新登場のEOS Kiss Mを軸に上位モデルのEOS M5やEOS M100と比較。それぞれの機種の特徴などを探ってみた。

EOS Kiss M(中央)とEOS M5(右)はEVFを搭載し、一眼レフに似たデザイン。EOS M100(左)はEVFを非搭載としたことで小型・軽量化されただけでなく、スッキリとしたスクエアボディとなっている。センサーサイズや画素数はほぼ横並びだが、後発のKiss Mは映像エンジンが新型の「DIGIC8」となっており、そのパフォーマンスや画像の仕上がりの違いが気になるところ。

 

【基本スペック比較】

数値上では最新の映像エンジンを搭載するEOS Kiss Mに注目

3機種の基本スペックを比較してみると、センサーサイズや画素数はほぼ同じで、AFに像面位相差AFの「デュアルピクセルCMOS AF」を採用している点も同様。目立つところではEOS M100のみEVFが非搭載という違いはあるものの、いずれも可動式(可動方向に違いはある)のタッチパネル液晶モニターが採用されているなど、あまり差を感じさせない部分が多い。

EOS Kiss Mには最新の映像エンジンが採用されていることもあり、連写速度が最高約10コマ/秒(サーボAF時は約7.4コマ/秒)と高速でAF測距点が最大143点、最高ISO感度が51200(感度拡張時)と、ほかのモデルに比べて数値上ではEOS Kiss Mが優れている点が多い。

 

では、上位モデルのEOS M5の利点はというと、連続撮影可能枚数がRAW+JPEGで約16枚(Kiss Mは約10枚)と多い点が目を引く。またEOS M100に関しては、やはり約302gと軽量で小型な点がポイントだろう。

 

このほか、動画撮影機能にも違いがあり、EOS M100とEOS M5がフルHD(1080/60p)対応なのに対し、EOS Kiss Mは4K/24p撮影にも対応している。しかも、ボディ内の電子式手ブレ補正とレンズ側の光学式手ブレ補正の協調制御が可能な「コンビネーションIS」採用(対応レンズとの組み合わせで機能)で高精細な4K動画の手持ち撮影なども行いやすくなっているほか、4K動画からの静止画切り出しも可能だ。ちなみに、コンビネーションISについては、EOS M5やEOS M100にも採用されている。

 

【操作性比較】

操作性には明確なクラス分けが! 撮影スタイルに合わせて選ぶべし

数字上でのスペックでは最新モデルであるEOS Kiss Mがやや優位という程度で、3機種間に格別大きな差はなかったが、その操作性を見てみるとクラス分けが明確に行われているのがわかる。

 

まず、最初級モデルといえるEOS M100は、撮影モードダイヤルに絞り優先やシャッター速度優先などのモードがなく、モニター上で設定する方式。そのため、撮影モードを撮影条件に合わせて頻繁に変える撮り方よりも、フルオートでの撮影をメインにして、背景をぼかしたり、動体を止めて写したりといった効果を狙うときのみ撮影モードを変えるといった使い方が向いている。その意味で、かなりコンデジに近い使い方ができるミラーレスカメラといった印象だ。

↑EOS M100の撮影モードダイヤルには、「シーンインテリジェントオート」「通常撮影」「動画撮影」の3つのモードが配されている。絞り優先オートなどは、通常撮影モード(カメラマーク)にして、設定画面で撮影モードを選択する。手に持った印象は、グリップが浅めなのが気になるものの、軽量なので標準ズームレンズ装着時なら片手でも十分ホールドできる

 

一方、最上位機であるEOS M5は、各撮影モードがダイヤルに配置されているのはもちろん、メイン電子ダイヤルやサブ電子ダイヤル、コントローラーホイールなどのダイヤル類を備え、各種の設定を撮影意図に合わせて変えながら撮るといった撮り方に向く。同社のミドルクラス以上の一眼レフカメラユーザーであれば、操作性が似ているためサブ機としても扱いやすいだろう。

↑上面にメインとサブの電子ダイヤルのほか、独立した露出補正ダイヤルを備える(親指部分)。また、背面にコントローラーホールも装備され、各種設定がダイレクトに操作可能だ。グリップが深めでホールディングしやすいが、ボディの重さはやや気になる

 

EOS Kiss Mは、どちらかというとEOS M5に近い操作性となっているが、サブ電子ダイヤルやコントローラーホイールが省略され、ボタン類とメイン電子ダイヤルや十字キーとの組み合わせで設定変更を行う方式で、M5とM100の中間的な操作性といえる。

↑上面に撮影モードダイヤルとメイン電子ダイヤルを備える。サブ電子ダイヤルやコントローラーホイールは省略されているので、ボタンとメイン電子ダイヤルを組み合わせて露出などの設定を行う。グリップが大きく、比較的軽量なのでホールディングしやすい

 

背面モニターに関しては、3機種共通の特徴としてタッチパネル液晶が採用され、各種の設定もタッチ操作で行える。これは、ダイヤル数の少ないEOS M100やEOS Kiss Mでは、特に有効な機能だと感じる。また、EOS M5やEOS Kiss MでのEVF使用時には、液晶モニターに触れることでAF測距点の変更が行える「タッチ&ドラッグAF」にも対応し、EVF使用時の操作性向上に一役かっている。

↑背面モニターは、3機種ともに可動式だが、最新のEOS Kiss Mが上下左右可動のバリアングル式なのに対し、EOS M5は上下チルト式、EOS M100は上方向への跳ね上げ式だ。この点では、縦位置撮影にも対応しやすい、EOS Kiss Mのバリアングル式が使いやすい

【画質比較】

画素数はほぼ同じながら、手持ちで夜景を撮るならEOS Kiss Mが有利

前述のように画素数などは3機種ともにほぼ同じ仕様となっているが、EOS Kiss Mでは、映像エンジンが新型になっており、画質の差も気になるところだ。そこで3機種での実写を行って比較してみた。

 

まずは通常撮影時の画質をチェックするため、3機種で同じシーンを撮影。いずれもISO100、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:スタンダードで撮影したが、3機種ともほぼ同じ結果となった(ここではEOS M5とEOS Kiss Mの作例を掲載)。この撮影結果を見る限りでは、EOS M5やEOS M100のほうが色鮮やかに感じられ、逆にEOS Kiss Mは階調が豊かに感じられるが、その差は極わずかだ。

↑EOS M5で撮影

 

↑EOS Kiss Mで撮影

 

続いて高感度時の画質をチェックするため、ISO25600でF8、1/200秒という条件で撮影。ホワイトバランスは太陽光に固定している。見比べてみると、差はわずかながら、EOS Kiss Mは暗部の色ムラが少ない印象。さらに拡張感度ながらISO51200も使えることを考えると、高感度での撮影はKiss Mがやや有利だ。

↑EOS M100で撮影

 

↑EOS M5で撮影

 

↑EOS Kiss Mで撮影

 

今回試した限りでは、同一条件での通常撮影においてはほとんど差はないと感じた。ただし高感度では、わずかながらEOS Kiss Mが色ムラなどが少なく、解像感も高い結果となった。作例ではISO25600で撮っているが、ISO6400以上を使って夜景の手持ち撮影などを行うなら、EOS Kiss Mが有利だろう。

 

【連写比較】

連写速度が最も速いEOS Kiss Mが良い……とは限らない!?

このほか、連写についても試してみた。こちらは、連写速度はEOS Kiss Mが速いものの、サーボAF(シャッターボタンを半押ししている間、被写体にピントを合わせ続けるAFモード)を使ってRAW+JPEGで高速連写できるのは約1秒であり、その点で2秒以上連写できるEOS M5のほうが有利に感じた。また、EOS M100は連写速度は遅いものの4秒以上の連写が可能で、速度は不足しがちだが、特に動きの速いものを撮るのでなければ実用上の不満は少ない。

 

実際の作例を見ていこう。下の写真はいずれもサーボAFを使い高速連写モードで撮影。露出はシャッター優先で1/500秒を使用、画像記録はRAW+JPEGとした。撮影は、先頭車両の前面が画面左に入った時点でシャッターボタンを押し、先頭車両が画面から見切れるまでを撮影。各カメラで先頭車両の前面が画面のいちばん右端に写った写真を掲載している。

↑EOS M100で撮影

 

↑EOS M5で撮影

 

↑EOS Kiss Mで撮影

 

結果、EOS M100(上)とM5(中央)は、連写速度はEOS Kiss M(下)に及ばないものの連続撮影枚数が多く、画面の右端に先頭車両を入れることができた。一方でEOS Kiss Mは連写できる時間が短かく、かなり手前の時点で撮影が止まってしまっている。

 

もっとも、JPEGのみでの連写ならEOS Kiss Mでも4秒以上の連写が可能なので、EOS Kiss Mで高速連写を行う場合は、JPEGで撮るようにするか、あるいは連写速度を低くして撮影すればその実力をフルに発揮できるだろう。

 

ちなみにこの写真が撮れるまでの連写枚数は、M100が11枚、M5が14枚、Kiss Mが8枚であった

 

【まとめ】

選択肢が広がり、撮影スタイルやレベルに価格差を加味して選べるように!

キヤノンのミラーレスカメラは、EOS Kiss Mの登場で入門機から中級機の層に厚みが出て、ユーザーのレベルや使い方に合わせたカメラ選びができるようになったと感じる。

 

コンデジやスマホからのステップアップには、小型・軽量なEOS M100が扱いやすさの点で魅力的。中・上級者にはEOS M5や、今回は取り上げなかったが、EOS M5に近い操作性でEVFを外付け式としたEOS M6もある。そして、注目のEOS Kiss Mは、カメラを本格的に始めたい初心者や中・上級者のサブカメラにもぴったりだ。

 

また、予算に合わせたカメラ選びもしやすくなった。EOS M100の4万7570円というボディの実売価格(執筆時点)の安さは圧倒的で、EVFが必要なく、フルオートで気軽に撮影を楽しみたいならEOS M100がベストだろう。ほかの2機種を見ると、EOS M5の実売価格は9万7120円でEOS Kiss Mは7万9380円(ともにボディ)。2万円弱の差があり、高感度や4K動画撮影機能の搭載、最大143点のAF測距点などを考えると、EOS Kiss Mが非常にお買い得といえる。

 

とはいえ、M5にも上位機種ならではの良さがあり、今回チェックした高速連写時の実力のほか、外装の高級感や操作性の高さは、同社の一眼レフの中級機に準じたものであり、中級以上の一眼レフと併用しても違和感なく使える点はさすが。現時点で同社のEOS 80Dなどの中級一眼レフを使用していて、サブに小型一眼をと考えているなら、使いやすさの点でEOS M5という選択肢もあるだろう。ただ、その場合も同社の中級一眼レフには4K動画撮影機能搭載モデルは存在しておらず、4K動画撮影も楽しみたいという場合には、EOS Kiss M一択となる。

↑EOS M100で撮影。小型・軽量モデルは片手での撮影も容易。撮影シーンも自動認識してくれるフルオートを使えば、花やテーブルフォトなどの日常のシーンを素早く撮れる。大きさもコンデジに近く、普段使いのカメラに最適

 

↑EOS M5で撮影。今回テストした結果でもわかるように連写速度と連写枚数が比較的多く、RAW+JPEGでの高速連写にも向く。こうした点は、さすが最上位モデルと感じられる

 

↑EOS Kiss Mで撮影。高感度での撮影に強く、手持ちでの夜景や室内撮影も高画質で失敗なく撮れる。JPEGでの高速連写や静止画切り出しが可能な4K動画、高精細なEVFなどを使いこなせば、上位機に勝るとも劣らない撮影が楽しめる。コスパのよさも魅力

 

入門機でも実力は折り紙つき!! 「はじめてのカメラ」におすすめなミラーレス一眼【パナソニック/富士フイルム】

ミラーレス一眼のなかでも、入門機は特に豊富な選択肢があり、各社とも1〜2年ごとにモデルチェンジを行っています。本記事では、パナソニックと富士フイルムの現行モデルをご紹介しましょう!

※「画質」は、ISO感度と絞り値、焦点距離を揃え、露出とホワイトバランスはオートで撮影して評価。「AF」は、カメラに向かって走るオモチャの電車をAF-Cモードで連写して評価。「電子シャッター」は、高速な扇風機を撮影することで、動体歪みの発生具合をテストしました。スジが多く写るものほど歪みが生じがちです

 

【私が評価しました!】

カメラマン 永山昌克さん

雑誌やWEBで撮影と執筆を行います。休日は、父としてミラーレス一眼で息子たちの成長記録を撮影。

 

【その1】

さらに自分撮りを強化した極小マイクロミラーレス

 

パナソニック
LUMIX GF10/GF90
実売価格9万5130円(ダブルレンズキット)

昨年発売のGF9の後継機。180°反転するチルト式タッチパネル液晶などを受け継ぎつつ、自分撮り機能を強化。夜景をバックにした自分撮りに対応するモードやスリム効果などが利用可能になりました。ボディは、オレンジのほか、ホワイトやブラックも用意します。

【SPEC】
●撮像素子:4/3型、有効1600万画素MOSセンサー ●常用最高感度:ISO25600 ●レンズマウント:マイクロフォーサーズ ●モニター:3.0型、約104万ドット、チルト、タッチ対応 ●EVF:非対応 ●大きさ・重さ:W106.5×H64.6×D33.3㎜・約270g

↑ボタン類は最小限。多くの操作はタッチで行います

 

↑ボディの内側にリセットボタンを搭載。様々な設定をいじったあとでも、素早く初期状態に戻せます

 

画質:★×3

画素数こそ少なめだが発色や階調は良好

クリアな発色と滑らかな階調性、低ノイズな高感度画質を実感。少なめの画素数が惜しいです。

 

AF:★×5

コントラストAFでも良好なテスト結果

合焦率は96%と優秀。コントラストAFで、顔・瞳認識AFや追尾AFにも対応します。

 

電子シャッター:★×4

歪みはやや見られるものの、用途に応じて切り替え可能

動体歪みの度合いは普通。撮影メニューから、メカ/電子シャッターの切り替えができます。

 

【プロのイチ押し機能!】

スマホ感覚の美肌モード

顔認識と連動した美肌モードやスリムモードを搭載。自分撮りをいっそう際立たせられます。

↑美肌補正の画面。プレビューを見ながら補正の度合いを調整できます

【その2】

クラシカルデザインで4K動画撮影にも対応

富士フイルム
X-A5
実売価格7万2080円(レンズキット)

APS-C型センサーを搭載するXシリーズ最廉価機。レトロな雰囲気漂うデザインを受け継ぎながら、新たに像面位相差AFに対応。発色や高感度画質なども進化している。タッチ操作もサポートするほか、4K動画撮影機能やBluetoohでのスマホ連携機能も備えます。

【SPEC】
●撮像素子:APS-Cサイズ、有効2424万画素CMOSセンサー ●常用最高感度:ISO12800 ●レンズマウント:Xマウント ●モニター:3.0型、約104万ドット、チルト、タッチ対応 ●EVF:非対応 ●大きさ・重さ:W116.9×H67.7×D40.4㎜・約361g

↑液晶モニターは上側に180°回転。自分撮り時は、背面のダイヤルでズーム操作などが可能です

 

↑コマンドダイヤルは、回しやすい角度で配置

 

画質:★×4

大きな印刷にも適した高解像と鮮やかな色

彩度とシャープネスを適度に高めた見栄え重視の画質。A3印刷に耐える解像感もあります。

 

AF:★×3

瞳AFを使えるが動体追尾はもの足りない

AFは位相差を併用するハイブリッド式。今回の条件では合焦率75%とあまり振るわず。

 

電子シャッター:★×2

 

歪みがやや目立っており高速で動く被写体は不向き

 歪みが大きめなので、高速で動く被写体には注意。その場合はメカシャッターを使いましょう。

 

【プロのイチ押し機能!】

 光量調整に長けたフラッシュ

 内蔵ストロボは、スーパーiフラッシュ対応。シーンに応じて自然な光量に調整されます。

↑小型軽量ながら内蔵ストロボと外部ストロボの両方に対応する点も◎

 

第1号機の発売から10周年でますます勢いにのるミラーレス一眼。機能の進化も著しく、目が離せませんね! 今回紹介したエントリーモデルよりもワンランク上のミドルクラスをお探しであれば、こちらの記事をチェックしてみてください。

「Kiss」の名前はダテじゃない!! キヤノン渾身のミラーレス「EOS Kiss M」丸わかりレビュー!

3月にキヤノンから、EOS Kissシリーズ初のミラーレスカメラ「EOS Kiss M」が発売された。これまで同社のミラーレスカメラはEOS Mシリーズとして独自の展開を遂げてきたが、本機は一眼レフカメラ入門機のベストセラーモデル「EOS Kissシリーズ」の思想を取り入れ、初心者でも扱いやすく、しかも上位機種並みの高性能という伝統を受け継いだモデルとなっている。ここでは、その実力や操作性などを、実写を交えて紹介する。

キヤノン
EOS Kiss M
実売価格/7万9380円(ボディ)、9万5580円(15-45㎜レンズキット)、12万9340円(18-150mmレンズキット)、11万4980円(ダブルズームキット)、11万2290円(ダブルレンズキット)

EVF搭載で小さな一眼レフのような外観を持つミラーレス一眼。ボディカラーは、ホワイトとブラックの2色が用意されている。製品名がボディ上面に記されていることもあり、正面から見るとスッキリとした印象を受ける。

 

【基本スペックをチェック!】

最新映像エンジン採用でエントリー機とは思えぬハイスペックに!

まずは、本機の基本スペックをチェックしてみよう。

 

撮像素子は有効約2410万画素のAPS-Cサイズで、現行のEOS Mシリーズと同等だ(厳密には、ほかのモデルは有効約2420万画素)。一方で、映像エンジンには最新の「DIGIC8」を採用。現行のEOS Mシリーズは「DIGIC7」採用なので、それによる進化が注目される。

 

実際、連写速度は約10コマ/秒(シングルAF時、サーボAF時は約7.4コマ/秒)と高速化。これはEOS Mシリーズ最上位モデルの「EOS M5」の約9コマ/秒を超え、同社製一眼レフの中級機「EOS 7D MarkⅡ」と同等だ。

また、常用最高感度はISO25600とほかのMシリーズ同等ながら、拡張感度設定によりISO51200相当まで対応している。AFも像面位相差AFとコントラストAFを併用した「デュアルピクセルCMOS AF」を採用し、測距点は最大143点にアップ。より細やかなAFが可能なので、フレーミングの自由度なども高まっている。

 

そのほか、Wi-FiやBluetooth、NFCへの対応により、スマホなどへの画像の転送もスムーズでSNSへの画像アップロードも快適。同社のミラーレスカメラとしては初の4K動画撮影にも対応し、写真や動画撮影を存分に楽しめる仕様となっている。

↑スマホなどとの接続は、Wi-FiとBluetoothに対応し、NFCでの接続も可能。専用アプリ「Camera Connect」により、スマホの画面を見ながらのリモート撮影やボディ側の画像の閲覧、スマホへの画像取り込みなどが可能

 

↑リモート撮影中のアプリ画面。シャッター速度や絞りなどのほか、ISO感度やホワイトバランス設定など、必要な操作をスマホから行って撮影することができる

 

【操作性をチェック!】

小型軽量ながらファインダー&バリアングル液晶搭載の本格派

次に操作性を見ていこう。まずは、ボディ背面のボタン類が右手側に集中配置されていることに注目したい。これは、EOS Kissシリーズの伝統を色濃く引き継いでいる点で、右手だけで撮影から再生といった操作のほとんどが行えるため、初心者でも迷わず操作しやすい。ちなみに、上面の撮影モードダイヤルなども右手側に配置されている。

↑電源スイッチを含むボタン類が右手側に集中配置されている。加えて、タッチパネル式液晶モニターの採用などによりボタン数も少なめなので、初心者でも操作に迷いにくくなっている

 

↑こちらの作例では、絞り優先オートで露出補正を+1にして明るく仕上げた。レンズは、122㎜(195.2㎜相当)の望遠を使用して絞りをF8に設定。背景を適度にぼかしつつ、チューリップの花をシャープに写した。EOS Kiss Mは、ボタンやダイヤルが右手側に集中配置されているので、こうした細かい設定も行いやすい

 

ユーザーインターフェイスも初心者にやさしい作りとなっており、各撮影モードを使うことで得られる効果が作例の表示により視覚的にわかる「撮影モードガイド」や、説明付きで分かりやすいメニュー表示などが採用されている。

↑「撮影モードガイド」の例。撮影モードダイヤルを操作することで表示され、どういった効果が得られるかが作例と解説文で理解できるようになっている。不要な場合は、設定により従来型の表示にすることも可能

 

↑初心者でも使いやすい「シーンインテリジェントオート」は、どんな被写体かをカメラが認識し、自動的に被写体に最適な設定で撮影できる。さらに画面のアイコンをタッチすることで背景のボケや彩度、コントラストなどを好みに応じて調整できる

 

また、小型軽量ながら高性能EVFや可動式液晶を備えている点も、本機の操作性を高めている一因だ。タッチパネルの採用もうれしい。

↑背面モニター使用時は、撮影・再生時のカメラ設定やピントの位置などを画面タッチ操作で設定できる。EVF使用時は、タッチパネルに触れることでAF位置を変えられる「タッチ&ドラッグAF」に対応する

 

↑EVFは約236万ドットの高精細タイプを採用。接眼部にアイセンサーが搭載され、背面モニターとEVFの自動切り替えが可能

 

↑背面モニターは、上下左右可動のバリアングル式。撮影ボジションを問わずラクな姿勢で、自由なアングルでの撮影が可能だ

【実写でチェック!】

携行性、AF、手ブレ補正――実に軽快に撮影が楽しめる!

実際に手にして撮影してみると、まず驚くのがその軽さだ。現行Mシリーズの最軽量モデルは「EOS M100」の約302gだが、こちらのモデルはEVFを搭載していない。EVF搭載モデルとしては、EOS M5があるが、こちらは最上位機種ということもあり約427gとやや重い。

 

その点EOS Kiss Mは約387gでM5よりも約40gも軽量となっている。ミラーレスカメラは小型モデルが多いこともあり、その見た目から実際よりも重く感じられるケースも少なくないが、本機は適度な大きさのグリップが備わっていることもあり、持ちやすく軽快に撮影が楽しめる。

↑十分な深さのあるグリップを採用。小型ボディであるため指は余りがちだが、軽量なので片手でも十分にカメラを支えられる

 

画質も十分に高精細で、ジャイロセンサーと撮像素子からのブレ情報を活用した「デュアルセンシングIS」により、手持ち撮影を行っても高精度に手ブレが補正され、ブレによる失敗が少ない。また、高感度でもノイズが発生しにくく、夕景や夜景、室内撮影なども安心して行える。

 

↑18-150㎜レンズの105㎜(168㎜相当)、ISO100、F6.3(開放)で撮影。画素数が有効約2410万画素と高く、小さな花の1つ1つまでシャープに写せた。画面の四隅でごくわずかに像が流れているが、絞り解放であることを考えると十分以上に優秀な写りだ

 

↑夜の東京タワーとこいのぼり。画面全体にピントが合うように絞りをF16まで絞っての手持ち撮影、というブレが心配になるシーンだが、ISO12800にすることで1/60秒で撮影できた。ノイズも目立たず、色再現も自然だ。

 

続いて、AFと連写性能をチェック。向かってくる列車をAIサーボAFでピントを合わせながら高速連写で撮影した。動きはそこまで速くなかったものの、AFが十分に追従していることを確認できた。

↑ AIサーボAFで撮影しているので、連写速度は約7.4コマ/秒。RAW+JPEGで撮影する場合は、10コマまで高速連写が可能だ。時間にすると約1秒と短く、その後は低速連写となる。そのため、撮影開始のタイミングが重要だ。動きが読めない被写体の場合は、JPEGのみでの撮影(約33枚撮影可能)がオススメ。

 

また、簡単な設定でさまざまな写真表現が可能な「クリエイティブフィルター」も楽しい。写真を印象的に仕上げたい場合に活躍するだろう。

↑「クリエイティブフィルター」の「水彩風」を使用。18㎜(28.8㎜相当)の広角で新緑と空を広く入れて撮影した。フィルターは、水彩風のほか「ソフトフィルター」や「ラフモノクローム」「トイカメラ風」「HDR」など複数が用意されており、フィルターによっては、効果の強弱などの調整も可能

 

【総まとめ】

扱いやすさと高性能を両立した、入門機を超えた入門機! サブカメラにも◎

EOS Kiss Mは、軽量で操作しやすく入門機として魅力的なのはもちろん、基本性能が高く、中・上級者にとっても不満なく使用できるパフォーマンスを持っている。そのため、入門者の最初の1台としてはもちろん、同社の一眼レフのサブカメラとして捉えても活躍が期待できる1台だ。

 

数少ない弱点としては、専用のEF-M交換レンズの数が執筆時点で6本と少ないのが気になるところ。ただ、この点に関しても「マウントアダプター EF-EOS M」を使用すれば、ほとんどすべての一眼レフ用EF&EF-Sレンズを使用することができる。

 

そのため、本機で大口径レンズを使っで大きなボケ描写をしたい、超望遠レンズで遠くの被写体を大きく写したい、といった場合には、このアダプターと目的に合ったEF&EF-Sレンズを揃えるのがおすすめ。むしろ、そうしたレンズや外付けフラッシュなどの拡張性の高さも魅力の1つと言えるだろう。

「最上位ミラーレス一眼」はどこまで進化したか? ソニー/富士フイルムの二大モデルを実写比較

近年のハイクラスミラーレスではソニーの躍進が著しいですが、富士フイルムも強力なフラッグシップを投入しました。両機ともプロユースまで視野に入れたモデル。ここではその2台をプロのカメラマンが評価しました。なにかとイベントが多く撮影の機会が多い4月〜5月。ちょっと奮発して、最高級のモデルを買ってみてはいかがでしょうか。

 

※「画質」は、ISO感度と絞り値、焦点距離を揃え、露出とホワイトバランスはオートで撮影して評価。「AF」は、カメラに向かって走るオモチャの電車をAF-Cモードで連写して評価。「電子シャッター」は、高速な扇風機を撮影することで、動体歪みの発生具合をテストしました。スジが多く写るものほど歪みが生じがちです。

 

【解説する人】

カメラマン 永山昌克さん

雑誌やWEBで撮影と執筆を行います。休日は、父としてミラーレス一眼で息子たちの成長記録を撮影。

 

秒10コマ以上の高速連写や高精度な位相差AFに対応

写真愛好家など中上級者向けの分野でも、一眼レフからミラーレス一眼への主役交代が進んでいます。なかでも注目は、ソニーと富士フイルムが投入した新モデル。

 

ソニー「α7Ⅲ」は、人気のフルサイズ機α7シリーズの最新作であり、従来モデルの「α7Ⅱ」からあらゆる部分が進化。特に連写やAFといったスピード面での性能アップが目覚ましいです。

 

一方の富士フイルム「X-H1」は、シリーズ初のボディ内手ブレ補正を搭載するなど、同社技術の粋を注いだ最上位機です。動画性能やボディ剛性も大きく向上しています。

 

今回の試用は短期間でしたが、両機ともプロ仕様の一眼レフに勝る高機能と高速性、快適さを実感できました。20万円を超える価格を決して高価に感じない完成度の高さです。

 

【ソニー】

これからの“標準”となる爆売れ必至フルサイズ

ソニー

α7

実売価格26万9870円(レンズキット)

そのスペックの高さがプロやハイアマチュアから高く評価されているα9やα7R Ⅲといった上位機の長所を受け継いだスタンダード版。693点の位相差AFや10コマ連写、ボディ内5軸補正などのプロ機級の性能を、フルサイズ機としては破格の小型ボディに凝縮しました。【2420万画素】【秒約10コマ連写】【常用最高ISO51200】【約650g】

SPEC●レンズマウント:Eマウント●モニター:3.0型約92万ドット、チルト、タッチ対応●EVF:約236万ドット●サイズ:W126.9×H95.6×D73.7㎜

 

↑背面操作部のレイアウトは、先行する上位機α9やα7Rとほぼ同様。固化幕ボタンをカスタマイズできます

 

 

↑α9などと同じく、スティック形状のマルチセレクターを装備。ぐりぐりと動かしてAF測距点を軽快に移動できます

 

画質:★×5

撮影の自由度が大きく広がる階調や感度の余裕

今回のテスト機のなかでは唯一のフルサイズ機ということもあり、画素数こそほかのモデルと大きく変わりませんが、階調描写と高感度画質は抜きん出ていました。ISO6400やISO12800でも描写に汚い印象は皆無で、撮影の自由度は非常に高いです。

 

AF:★×3

浅い被写界深度ゆえシビアな合焦が求められた

AFテストの合焦率は85%と振るわない成績。テストは画角を統一して行いましたが、本機はセンサーサイズが大きいため、焦点距離が長くなり、被写界深度がシビアになることが影響しました。

 

電子シャッター:★×3

サイレント撮影の動体の歪みはやや目立つ

動体歪みの度合いはやや大きめでした。上位モデル「α9」とは異なり、アンチディストーションシャッターが非搭載なのは残念。もちろん通常のメカシャッターによる撮影なら歪みは生じません。

 

【イチ押し機能!】

裏面照射センサーによる超高感度に注目

新開発のフルサイズ裏面照射型センサーによって、拡張最高感度ISO204800に対応。屋内スポーツや野生動物など、薄暗いシーンで高速シャッターを使いたいときに役立ちます。

↑超高感度は、星景などの写真を撮るユーザーにもありがたいです

 

【富士フイルム】

写真も動画も最上級のXシリーズ新旗艦モデル

富士フイルム

X-H1

実売価格25万8660円(ボディ)

Xシリーズ最上位機として、ボディ内手ブレ補正を初搭載。既存モデルのX-T2より一回り大型化しましたが、ボディ剛性が強化され、大口径レンズ装着時のバランスは向上しました。AFや連写、動画も進化し、動きモノに強いカメラに仕上がっています。【2430万画素】【秒約8コマ連写】【常用最高ISO12800】【約673g】

SPEC●レンズマウント:Xマウント●モニター:3.0型約104万ドット、3軸チルト、タッチ対応●EVF:約369万ドット●サイズ:W139.8×H97.3×D85.5㎜

 

↑防塵防滴&耐低温に対応したマグネシウム合金製ボディ。表面硬度8H相当の対擦り傷性も備えています

 

↑各種設定値を素早く確認できるサブ液晶を天面に新搭載。電源オフでも露出補正量や電池残量などを表示してくれます

 

画質:★×4

初期設定では見栄えを重視した鮮やかな発色傾向

独自のAPS-Cセンサー「X-Trans CMOS III」と処理エンジン「X-Processor Pro」によって、フルサイズに迫る高解像と低ノイズを実現。発色は、青や緑は濃厚に、赤や肌の色は明るく再現。人肌を美しく見せる見栄え重視の傾向でした。

 

AF:★×4

動く被写体にもしっかりと追従する十分なテスト結果

AFテストの合焦率は90%と十分。AFは最大325点の測距点を持つ像面位相差AFに対応します。タッチパネルまたはフォーカスレバーを使って、ダイレクトに測距点を選べる点も快適です。

 

電子シャッター:★×4

 

撮影シーンに応じてシャッター方式を自動選択できる

 動体歪みの度合いは及第点。撮影メニューから、メカシャッター、電子先幕シャッター、電子シャッターの選択ができ、シーンに応じて各方式を自動的に切り替えることもできるのが便利です。

 

【イチ押し機能!】

映画のような落ち着いた色と豊かな階調

新フィルムシミュレーションとして、映画用フィルムの色合いを模した「ETERNA(エテルナ)」に対応。動画だけでなく静止画でも使用でき、雰囲気ある写りが得られます。

↑フィルムシミュレーションは撮影時や現像時に選択可能

 

 

クラシックで新しい、そんなミラーレス――もはや名機確定「FUJIFILM X-E3」を改めて評価&レビュー!

ミラーレス一眼は光学ファインダーを持たないためデザインの自由度が高く、コンパクトデジカメのようなスクエアでスマートなデザインのカメラも存在する。そうしたカメラの注目株が、昨年発売された富士フイルム「FUJIFILM X-E3」だ。このX-E3は、ファインダー搭載ミラーレスのXシリーズで最小最軽量ボディを実現し、2430万画素センサーと画像処理エンジン「X-Processor Pro」の組み合わせで、画質に関してもハイレベル。タッチパネルの採用により操作性も進化している。ここでは、このX-E3について従来機からの進化点や特徴をチェックし、その魅力を探る。

↑上面のシャッター速度ダイヤルなどは従来機種を踏襲しつつ、背面モニターをタッチパネル化。十字ボタンなどを廃して、すっきりとした操作系を実現
↑上面のシャッター速度ダイヤルなどは従来機種を踏襲しつつ、背面モニターをタッチパネル化。十字ボタンなどを廃して、すっきりとした操作系を実現。実売価格/ 8万7510円(ボディ)

 

【基本スペック】

画素数が2430万にアップして4K動画撮影などにも対応

独自のカラーフィルター配列を採用するローパスフィルターレス構造の「X-Trans CMOSセンサー」は、高品位画質の重要ポイント。そのセンサーの有効画素数が1630万画素から2430万画素にアップ。画像処理エンジンの進化などで、常用ISO感度も1段アップした。タッチ対応モニターや、4K動画撮影機能も魅力。それでいて、ボディ横幅はかなり抑えられた。

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↑正面
↑正面

 

↑背面
↑背面

 

↑上面
↑上面

 

↑X-E2はフラッシュが内蔵されていたが、X-E3には非搭載。代わりに「クリップオンフラッシュEF-X8」が付属している
↑X-E2はフラッシュが内蔵されていたが、X-E3には非搭載。代わりに「クリップオンフラッシュEF-X8」が付属している

 

【特徴①タッチパネル】

タッチパネル採用により十字キーを省略したシンプルな操作系

操作面では、タッチパネル式背面モニターにより、直感的にピント位置の移動やレリーズ操作が可能。スマホのようなフリックやダブルタップなどの操作に対応し、各種の機能呼び出しや設定を直感的に行える。これにより十字キーを省略して背面がシンプルになり、よりグリップしやすいボディに進化した。

↑十字キー操作のような感覚で、フリック操作で主要機能を呼び出して設定できる。スマホのような感覚で、違和感なく操作を行える
↑十字キー操作のような感覚で、フリック操作で主要機能を呼び出して設定できる。スマホのような感覚で、違和感なく操作を行える

 

↑ファンクション設定により、各種ボタンの機能割り当てが変更できる。上下左右のフリック操作で呼び出せる機能も変更可能
↑ファンクション設定により、各種ボタンの機能割り当てが変更できる。上下左右のフリック操作で呼び出せる機能も変更可能

 

【特徴②AF】

像面位相差AF採用で高速かつ高精度なAFが可能

AF測距点は91点(最大325点)。高速で高精度な位相差AFエリアは全画面の横50%と縦75%の広い範囲をカバーする。画像認識アルゴリズムの改善で、被写体への追従性も向上。また、フォーカスレバーによるダイレクトな操作で、迅速なAF測距点選択が行える。

↑背面のフォーカスレバーを操作し、被写体に重なるAF測距点を選択。タッチAFが可能なだけでなく、ファインダー使用時の測距点選択も快適だ。305mm相当 絞り優先オート(F4.8 1/60秒) +0.3補正 WB:オート ISO400
↑背面のフォーカスレバーを操作し、被写体に重なるAF測距点を選択。タッチAFが可能なだけでなく、ファインダー使用時の測距点選択も快適だ/305mm相当 絞り優先オート(F4.8 1/60秒) +0.3補正 WB:オート ISO400

 

【特徴③連写】

電子シャッター使用により14コマ/秒連写が可能

小振りでクラシカルな外観だが、本格的な連写機能を搭載。メカシャッター連写の最速値は8コマ/秒で、画質設定がJPEGモードなら連続62枚まで撮影することができる(非圧縮RAWでは23枚)。なお、電子シャッター設定時には、約14コマ/秒という高速連写も可能だ。

↑食事中のチョウを「8.0コマ/秒」の高速連写で撮影。フォーカスレバーによる測距点選択と相まって、リズミカルに一瞬が捉えられた。305mm相当 絞り優先オート(F4.8 1/60秒) +0.3補正 WB:オート ISO400
↑食事中のチョウを「8.0コマ/秒」の高速連写で撮影。フォーカスレバーによる測距点選択と相まって、リズミカルに一瞬が捉えられた/305mm相当 絞り優先オート(F4.8 1/60秒) +0.3補正 WB:オート ISO400

 

【特徴④フィルムシミュレーション】

手軽にフィルム感覚での仕上がり設定が可能

80年以上のフィルム製造で培ったノウハウを生かした「フィルムシミュレーション」も、Xシリーズの大きな魅力の1つだ。PROVIA /スタンダード、Velvia /ビビッド、ASTIA /ソフト、ACROS、など、フィルムを交換するような感覚で仕上がりが調整できる。

↑豊かな階調を追求した新モノクロモード「ACROS」で撮影。さらに、グレインエフェクト機能も使い、フィルム風の粒状感を演出した。305mm相当 シャッター優先オート(F4.8 1/500秒) WB:オート ISO250
↑豊かな階調を追求した新モノクロモード「ACROS」で撮影。さらに、グレインエフェクト機能も使い、フィルム風の粒状感を演出した/305mm相当 シャッター優先オート(F4.8 1/500秒) WB:オート ISO250

 

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↑フィルムシミュレーションは計15モードを搭載

 

↑「グレインエフェクト」の機能は、メニューの画質設定内で設定する。OFF、弱、強から強度を選択可能
↑画像の粒状感が調整できる「グレインエフェクト」の機能は、メニューの画質設定内で設定する。OFF、弱、強から強度を選択可能

 

【特徴⑤Bluetooth】

スマホとの常時接続が可能で画像の自動転送が容易

Bluetooth機能を搭載。これにより、専用アプリを導入したスマホやタブレットと常時接続が可能になり、撮影画像を自動的に転送することが可能になった。また、スマホやタブレットを使ったリモート撮影やカメラ内閲覧も可能だ。

↑セットアップメニュー内の「Bluetooth設定」。各端末とのペアリングや、機能のオンオフ、自動画像転送の有無を設定できる
↑セットアップメニュー内の「Bluetooth設定」。各端末とのペアリングや、機能のオンオフ、自動画像転送の有無を設定できる

 

【2018年春版】ソニーの人気ミラーレス一眼「α6500/α6300/α6000」3モデルの「違い」と「買い」の正解【後編】

後継機が発売されると、旧モデルは注目されなくなりがち。とはいえ、新旧の差が少ない製品も多く、旧モデルが実はお買い得というケースも少なくない。そこでここでは、ソニーのAPS-Cサイズミラーレス一眼、α6500、α6300、α6000の3世代のカメラを比較。それぞれの操作性や画質、連写性能などをチェックした。カメラ初心者的視点で吉森信哉さん、プロカメラマンの視点で永山昌克さんの評価を交え、3機種を評価する。

※記事内の価格は2018年3月現在の編集部調べによるものです

α6000シリーズは、APS-Cサイズ一眼で中級機の位置付けだが、連写は3機種とも約11コマ/秒と高速。新機種のほうが機能や性能面で進化しているが、2014年登場のα6000でも、あまり古さを感じない
↑α6000シリーズは、APS-Cサイズ一眼で中級機の位置付けだが、連写は3機種とも約11コマ/秒と高速。新機種のほうが機能や性能面で進化しているが、2014年登場のα6000でも、あまり古さを感じない

 

【連写性能を比較】連写速度は同じだが連続撮影枚数でα6500が圧倒

連写は3機種とも約11コマ/ 秒。ただし、α6300とα6000はRAW+JPEGだと連続21コマまでの対応で、α6500のみ連続100コマまで対応だ。

 

「今回実際に特急電車などを撮影したが、連続100コマのα6500は不足を感じることはなかった。ほかの2機種は連続21コマまでで、2秒弱しか高速連写できず、やや不満が残る。撮影開始のタイミングを上手く調整する必要がありますね」(吉森)

 

「α6300やα6000では、JPEGのみの連写を行うのがオススメ。AF追従も3機種とも優れていますが、不規則に動く被写体の場合は、測距点数の多いα6500やα6300が、ピントが合いやすいと思います」(永山)

↑奥の信号機の位置に先頭車両が来たら連写を開始。RAW+ JPEGで連写して高速連写の最終カットか、画面に先頭車両が入っている最後のカットを掲載
↑写真のように奥の信号機の位置に先頭車両が来たら連写を開始。RAW+ JPEGで連写して高速連写の最終カットか、画面に先頭車両が入っている最後のカットを掲載

 

↑α6300とα6000は、スペックどおり21コマ目以降で連写速度が低下し、その後は秒間1 ~2コマの連写になってしまった。α6500は、電車の先頭が画面を通り過ぎても連写できた。AF測距点自動選択を用いて撮影したが、3機種ともほとんどのカットでピントが合っていた。電車など、規則的な動きの被写体では、AFの差はほとんどないといえる
↑α6300とα6000は、スペックどおり21コマ目以降で連写速度が低下し、その後は秒間1 ~2コマの連写になってしまった。α6500は、電車の先頭が画面を通り過ぎても連写できた。AF測距点自動選択を用いて撮影したが、3機種ともほとんどのカットでピントが合っていた。電車など、規則的な動きの被写体では、AFの差はほとんどないといえる

 

【吉森信哉さんの連写性能の10段階評価】
●α6500・9/10
●α6300・6/10
●α6000・6/10

連写は、α6500の一択といっていいと思う。特に初心者の場合は、連写開始のタイミングを計るのは難しく、撮り続けられるほど有利だ。

 

【永山昌克さんの連写性能の10段階評価】

●α6500・9/10
●α6300・6/10
●α6000・5/10

連写は3機種とも十分速いが、連続撮影枚数でα6500が圧勝。連写中のAF追従については、α6300も測距点数が多くα6000よりもやや有利だ。

 

【価格比較】ダブルズームキットも選べるα6000がコスパに優れる

それぞれのボディの大手量販店での実売価格は、α6500が15万730円、α6300が10万4560円、α6000が6万4670円と大きな差がある。しかもα6500はレンズキットの設定がなく、別途レンズも必要だ。レンズキットは、α6300が10万8990円、α6000が7万5470円でα6000はダブルズームキット(8万7530円)も選べる。

 

「Eマウントレンズを持っているならα6500がおすすめですが、レンズも購入するとα6500は20万円程度必要。α6000ならダブルズームキットでも10万円を切るのが魅力です」(吉森)

 

「キットレンズを単体で買うと標準ズーム、望遠ズームともに3万円以上する。α6500は画質重視で高級レンズを狙うのもアリだと思いますが、そうなると予算的には25万円コース。コスパはα6000が圧倒的です」(永山)

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↑キットレンズのE PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS(写真)は、実売価格3万2640円。ダブルズームキットの望遠レンズ(E 55-210mm F4.5-6.3 OSS)も実売価格3万2590円なので、ダブルズームキットは非常にお得だ

 

↑高級なバリオ・テッサーT* E16~70ミリ F4 ZA OSSは、8万5970円。写りは申し分ないので、α6500の性能をフルに引き出したいなら有力候補
↑高品位なバリオ・テッサーT* E16-70mm F4 ZA OSSは、実売価格8万4230円。写りは申し分ないので、α6500の性能をフルに引き出したいなら有力な候補だ

 

【吉森信哉さんの連写性能の10段階評価】
●α6500・5 /10
●α6300・6/10
●α6000・9/10

α6000のコスパは圧倒的。4K動画を撮るにはα6300以降が必要だが、初めてEマウントのカメラを買う場合や静止画オンリーというならα6000ダブルズームキットが○。

 

【永山昌克さんの連写性能の10段階評価】

●α6500・6/10
●α6300・7/10
●α6000・9/10

できればα6500を選びたいが、キットレンズがないことも考慮するとやはり高価。ただ、4K動画機能も捨てがたく、α6300がバランス良く感じる。

価格変動は少なく、新機種登場時期にやや安くなる程度

α6000シリーズは旧機種も併売となっているため旧型でも型落ちせず、価格低下しにくい製品ではあるが、それでも時間経過や新機種の登場によって多少の低価格化は期待できる。そこで今後の価格変動を「価格.com」に掲載のα6000ボディの平均価格グラフを参考に予想してみよう。

↑グラフの青い線が購買支援サイト「価格.com」でのα6000ボディの平均価格(赤い線は最安値)だ。グラフは過去2年間のものだが、初値は6 万1000 円で最近でも5万9000円台。とはいえ、α6500登場時期となる、昨年12月に5万7000円台をマークしている。どうやら新機種登場時期が狙い目のようだ
↑グラフの青い線が購買支援サイト「価格.com」でのα6000ボディ(ブラック)の平均価格(赤い線は最安値)だ。グラフは過去2年間のものだが、初値は6 万1000 円で最近でも5万9000円台。とはいえ、α6500登場時期となる、昨年12月に5万7000円台をマークしている。どうやら新機種登場時期が狙い目のようだ。(2018年2月時点)

 

2014年登場のα6000は初値が6万1000円で、初値の段階でα6500よりもかなり低価格だった。グラフを見ると、2016年中盤に価格高騰しているが、これは4月に発生した熊本地震の影響と思われ、それを除くと2015年後半から16年にかけては概ね6万円台前半、2017年が6万円台前半から5万円台後半で推移。α6500登場の昨年12月に5万7000円台と比較的低価格になった。α6500も価格は大きくは変動せず、新機種登場時期に多少安くなる程度と思われる。

 

【総合評価】コスパのα6000と機能のα6500で識者の意見も割れる

操作性や実際の写りなどを考えるとα6500が魅力的だが、価格も考慮するとα6300やα6000に分がある。価格と性能のバランス面では、写りがα6500に近く、4K動画撮影も可能なα6300がベストな印象もある。

 

「まずは、高速連写が必要かで判断するのがいいと思います。連写はα6500がやはり有利。5軸手ブレ補正の有無については、手ブレ補正対応レンズを使えば、ほかの2機種でもある程度カバーできます」(永山)

 

「決定的な差があるのは、連写と価格。画質はRAW現像や仕上がり設定でカバーできそうです。性能重視のα6500、バランス重視のα6300、コスパのα6000といった感じ。個人的には、α6300は少し中途半端な印象。予算次第でα6500かα6000を選びたい」(吉森)

 

α6500の機能も凄いが、α6000のコスパも凄い。メインの被写体と予算に合わせて機種選びすれば、後悔のない買い物ができそうだ。

 

【吉森信哉さんの総合評価】
●α6500・41/50
●α6300・33/50
●α6000・34/50

トータルではα6500が優れているが、コスパで有利なα6000も魅力的。画素数的には3機種とも同等なので、4K動画撮影機能が必要なければα6000でも十分撮影を楽しむことができると思う。

 

【永山昌克さんの総合評価】

●α6500・42/50
●α6300・34/50
●α6000・31/50

プロ目線という点で操作性や画質に優れたα6500をおすすめしたい。とはいえ、コスパも重要なので、サブ機と割り切れるならα6000も良さそうだ。α6300は手軽に4K動画を楽しみたい人に向く。

 

【まとめ】こんな人にオススメ!
a6500/連写や操作性を重視する人に向く
a6300/4K動画撮影を手軽に楽しみたい人に最適
a6000/コスパ重視で小さな一眼が欲しい人に向く

 

写真/吉森信哉 解説/河野弘道

 

協力/価格.com

【2018年春版】ソニーの人気ミラーレス一眼「α6500/α6300/α6000」3モデルの「違い」と「買い」の正解【前編】

後継機が発売されると、旧モデルは注目されなくなりがち。とはいえ、新旧の差が少ない製品も多く、旧モデルが実はお買い得というケースも少なくない。そこで本稿では、ソニーのAPS-Cサイズミラーレス一眼、α6500、α6300、α6000の3世代のカメラを比較。それぞれの操作性や画質、連写性能などをチェックした。カメラ初心者的視点で吉森信哉さん、プロカメラマンの視点で永山昌克さんという両カメラマンの評価を交え、両機を評価する。

↑α6500(中央)、α6300(左)とα6000(右)。2014年の初代モデルα6000の発売から3年以上経過したが3機種とも現行機だ。それだけに、性能や金額の差が気になる
↑α6500(中央)、α6300(左)とα6000(右)。2014年の初代モデルα6000の発売から4年が経過したが、3機種とも現行機だ。それだけに、性能や金額の差が気になる

 

【基本スペック比較】画素数などは同等だが連続撮影枚数に差

基本スペックは3機種とも2400万画素クラスで、α6000は有効約2430万画素とわずかに画素数が多い。連写速度や常用感度も3機種ともに同じ。ただし、連続撮影枚数は、α6500が高くなっている。AF測距点数は、α6500とα6300が多くなっているが、3世代とも像面位相差AFには対応しており、スペック上の差はわずかだ。

 

「α6500とα6300は発売時期も半年しか違わず、スペックも差がないように見えますが、α6500はボディ内手ブレ搭載でモニターのタッチ操作対応。連続撮影枚数がα6500はRAW+JPEGで100枚、α6300とα6000が21枚です。AF測距点数も考慮すると、動きモノを撮るならα6500の一択のように思います」(永山)

 

「連写性能を求めないなら、α6000の価格は魅力的。α6300はちょっと中途半端かも」(吉森)

↑α6000の発売からα6500登場まで3年近く経過している割にスペックの差は少ない。それだけα6000の完成度が高かったということだが、α6500ではBluetoothへの対応や連続撮影枚数の増加などのブラッシュアップが図られた。加えて、ボディ内手ブレ補正にも対応しているので、常用感度は同じでも室内や夜景など、撮影の幅が広がった。(※)RAW+JPEG時
↑α6000の発売からα6500登場まで3年近く経過している割に、スペックの差は少ない。それだけα6000の完成度が高かったということだが、α6500ではBluetoothへの対応や連続撮影枚数の増加などのブラッシュアップが図られた。加えて、ボディ内手ブレ補正にも対応しているので、常用感度は同じでも室内や夜景など、撮影の幅が広がった(※)RAW+JPEG時

 

↑各機種の動画設定を比較。α6500とα6300が4K/30p対応でα6000がフルHD/60pまでのサポートとなっている。記録形式は、いずれも業務用の記録形式を民生化したXAVC Sを選択可能だ。α6000はAVCHDのみ対応だったが、ファームウェア2.0で100MbpsのXAVC Sに対応した(4K撮影は不可)
↑各機種の動画設定を比較。α6500とα6300が4K/30p対応でα6000がフルHD/60pまでのサポートとなっている。記録形式は、いずれも業務用の記録形式を民生化したXAVC Sを選択可能だ。α6000はAVCHDのみ対応だったが、ファームウェア2.0で100MbpsのXAVC Sに対応した(4K撮影は不可)

 

【吉森信哉さんの基本スペックの10段階評価】
●α6500・9/10
●α6300・7/10
●α6000・6/10

4K動画撮影にこだわらなければ、α6300とα6000の差は小さい。連写を多用するならα6500がオススメだが、価格差を見るとα6000も魅力的。

 

【永山昌克さんの基本スペックの10段階評価】

●α6500・9/10
●α6300・7/10
●α6000・5/10

α6300にはないボディ内手ブレ補正は動画にも有効でα6500がオススメ。あくまでサブ機として見るなら、小型・軽量なα6000もアリ。

 

【操作性を比較】タッチパネル採用で操作性に優れるα6500が◎

α6000とα6300を比べると、α6300では背面のAEロックボタンの周囲にレバーが付き、AF/MF切り替えとAFロックを切り替えて使えるようになった。次にα6300とα6500を比べると、α6500はグリップ部が大型化して天面にカスタムボタンが追加されている。背面モニターもタッチ対応になり、操作性が向上した。

 

「使い勝手の面でタッチパネル採用は大きいと思います。それと、α6500はボディ内5軸手ブレ補正も搭載され、安心して手持ち撮影ができる点も魅力です」(吉森)

↑基本的なデザインやボタンレイアウトは3機種で共通だ。目立った違いは、α6500のグリップが大型化した点で、持ちやすさは格段に向上している。機能割り当てが可能なカスタムボタンも天面に2つ用意された。α6000にはAF/MF切り替えボタンがないが、カスタムボタンには登録可能だ
↑基本的なデザインやボタンレイアウトは3機種で共通だ。目立った違いは、α6500のグリップが大型化した点で、持ちやすさは格段に向上している。機能割り当てが可能なカスタムボタンも天面に2つ用意された。α6000にはAF/MF切り替えボタンがないが、カスタムボタンには登録可能だ

 

↑α6300(右)では横方向に太かったグリップが、α6500(左)では細めで深さのあるグリップに変更された。これにより、手が大きな人でもホールドしやすくなった
↑α6300(右)では横方向に太かったグリップが、α6500(左)では細めで深さのあるグリップに変更された。これにより、手が大きな人でもホールドしやすくなった

 

20180130_kohno_001

↑α6500は背面モニターがタッチ操作対応になった。タッチAFが可能なほか、ファインダー使用時にはタッチパッドとして機能し、AF位置を素早く変更できる
↑α6500は背面モニターがタッチ操作対応になった。タッチAFが可能なほか、ファインダー使用時にはタッチパッドとして機能し、AF位置を素早く変更できる

 

【吉森信哉さんの操作性の10段階評価】
●α6500・9/10
●α6300・7/10
●α6000・6/10

タッチ操作が可能な点でα6500を高く評価したい。α6300とα6000は操作性の面の差はあまりないが、α6300の電子水準器の搭載は◎。

 

【永山昌克さんの操作性の10段階評価】

●α6500・9/10
●α6300・6/10
●α6000・5/10

グリップが持ちやすく、タッチ操作対応のα6500を評価。動画撮影時のAFもタッチ操作なら行いやすく、録音中のノイズも最小限に抑えられる。

【画質を比較】差はわずかながら新機種ほど写りも進化

画素数は基本的に変わらないので、感度を上げない限り解像力は同等かと思われたが、実際は異なるようだ。α6300以降はセンサーの集光力がアップしており、拡張感度でISO51200に対応するなど、高感度性能も向上している(α6000は拡張感度に非対応)。

 

「各機種とも低感度、高感度のどちらも十分優秀な描写だと思いますが、α6000は、高感度撮影時にわずかながらノイズが見られます。α6300ではノイズが減り、α6500では解像感もアップ。大きくプリントしないとわからないレベルの差ですが、新型のほうが画質はよくなっているようです」(永山)

↑α6500とα6300は適度にメリハリが効いた写りなのに対し、α6000は比較するとわずかに緩い写りでシャープネスが弱めにかかっているようだ。結果としてα6500とα6300の解像感が高く感じられる。気になる場合は、α6000の設定などでシャープを少し高めにするといいだろう
↑各機種のISO100(低感度)での画質を比較。α6500とα6300は適度にメリハリが効いた写りなのに対し、α6000は比較するとわずかに緩い写りでシャープネスが弱めにかかっているようだ。結果としてα6500とα6300の解像感が高く感じられる。気になる場合は、α6000の設定などでシャープを少し高めにするといいだろう

 

↑最高常用感度のISO25600まで感度を上げて撮影。拡大して見ると、いずれもノイズを処理した形跡が確認できるが、α6500はムラが少なく、質感も十分に残っている。α6300はノイズは目立たないものの、質感が粗く感じる。α6000は多少ノイズは残っているが、質感描写は悪くない
↑最高常用感度のISO25600まで感度を上げて撮影。拡大して見ると、いずれもノイズを処理した形跡が確認できるが、α6500はムラが少なく、質感も十分に残っている。α6300はノイズは目立たないものの、質感が粗く感じる。α6000は多少ノイズは残っているが、質感描写は悪くない

 

【吉森信哉さんの画質の10段階評価】
●α6500・9/10
●α6300・7/10
●α6000・7/10

低感度、高感度ともにα6500が優秀であった。ただ、低感度ではα6300、高感度ではα6000の画質も悪くはなく、この2機種は甲乙付け難い。

 

【永山昌克さんの画質の10段階評価】

●α6500・9/10
●α6300・8/10
●α6000・7/10

最新のα6500の画質が優秀なのは当然として、低感度でのα6300の画質もダイナミックレンジが広めで好印象。α6000も解像感は悪くない。

 

後編では連写性能やコスパの比較、買い時情報などを紹介していく。

 

写真/吉森信哉 解説/河野弘道

プロが溺愛するオリンパス「M.ZUIKO PROレンズ」珠玉の3本ーースペックだけでない美しさを語り尽くす

吉森信哉のレンズ語り~~語り継ぎたい名作レンズたち~~ 第1回「オリンパス M.ZUIKO PROレンズ」

 

一眼レフやミラーレス一眼の醍醐味は、“交換レンズを駆使できる”ことである。カメラボディは同じでも、違うレンズを装着することで、まったく異なる視覚効果(画面の広さ、遠近感、ボケの度合い)が得られるのである。だから、そのカメラでどんなレンズが使用できるかは、極めて重要なポイントだ。

 

そして、名作といわれる製品は、ただハイスペックなだけでなく、語りたくなるポイントがある。本連載ではそんな“語りどころ”にフォーカスし、おすすめの交換レンズを紹介していく。

 

第1回で取り上げるのは、オリンパスのM.ZUIKOレンズ群のなかでも、高い光学性能と防塵防滴や堅牢性を兼ね備え、過酷な状況下でも高画質が得られる「M.ZUIKO PROレンズ」(現在9本)。本稿では、同シリーズでも特に魅力的な描写やパフォーマンスが得られる3本をピックアップして紹介したい。

 

【その1】

驚きの明るさと近接能力を誇るハイスペック魚眼レンズ

オリンパス
M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
実売価格10万7710円

交換レンズとしては世界初「F1.8」の明るさを実現した、画期的な魚眼レンズ。対角線画角が180°と極端に広いが、高い光学性能により画面中心から周辺まで優れた描写を得ることができる。

●焦点距離:8mm(35mm判換算:16mm相当) ●レンズ構成:15群17枚(非球面レンズ1枚、スーパーEDレンズ3枚、EDレンズ2枚、スーパーHRレンズ1枚、HRレンズ2枚) ●最短撮影距離:0.12m ●最大撮影倍率:0.2倍(35mm判換算:0.4倍相当) ●絞り羽根:7枚(円形絞り) ●最小絞り:F22 ●フィルター径:- ●最大径×全長:62mm×80mm ●質量:315g ●その他:防塵・防滴・耐低温性能

 

コツさえつかめばダイナミックな空間表現が思いのまま!

画角が極端に広くて、画面周辺部に向かうほど像が大きく湾曲する。その魚眼(フィッシュアイ)レンズの独特な描写は、肉眼とは異なるダイナミックな空間表現を可能にする。だが、その独特な描写ゆえに“特殊なレンズ”という印象を持つ人は多いだろう。

↑魚眼の独特な描写が楽しいM.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO。さらに、ボディがOM-D E-M1 MarkⅡ(2月28日公開のファームウェアVer.2.0以降を適用)なら、新規機能の「Fisheye補正」によって、歪みのない3種類の画角の超広角レンズとしても使用できる

 

事実、魚眼レンズを思い通りに使いこなすには、ある程度は経験を積んでコツをつかむ必要がある。例えば、画面内に“目を引くポイント”を取り入れたり、画面の四隅に目障りなモノを入れない、といったことである。そういった点に注意しながら、F1.8の明るさを生かした夜間の手持ち撮影を楽しんだり、レンズ先端から2.5cmまでピントが合う近接能力を生かしたダイナミックなマクロ撮影などを堪能したい。

 

次の作例では、逆光の光と影が印象的な竹林を、すぐ近くから見上げるように撮影。対角線画角180°の広大な画面と、竹や周囲の木が大きく歪む描写が、実際よりも開放的な雰囲気に演出してくれる。

オリンパス OM-D E-M1 Mark Ⅱ M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO 絞り優先オート F11 1/60秒 WB:オート ISO250

 

このレンズの最短撮影距離は12cm。だが、それはセンサー面からの距離で、レンズ先端からの距離は前述の通り「2.5cm」である。次の作例をご覧いただいてわかるように、その抜群の近接能力によって、極端に画角が広い魚眼レンズでも一輪の桜をここまで大きく写せるのだ。

オリンパス OM-D E-M1 MarkⅡ M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO 絞り優先オート F5.6 1/160秒 +1補正 WB:オート ISO200

 

また、レンズの被写界深度(ピント位置の前後のシャープに見える範囲)は、焦点距離が短いほど深くなる。だから、焦点距離わずか8mmの本レンズは、必然的に被写界深度は深くなる。一方、F値が明るいほど被写界深度は浅くなる。だから、F1.8の開放で撮影すれば、割と近い被写体なら、狙った被写体の前後をぼかすことも可能になる。

オリンパス OM-D E-M1 MarkⅡ M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO 絞り優先オート F1.8 1/5000秒 WB:オート ISO200

 

ボケ表現だけでなく、開放F値が明るいということは、それだけ“ISO感度を上げなくても速いシャッターが使える”ということである。次の作例は夜間、外灯に照らされる植え込みの木を、手持ちで撮影したもの。こうした場面でも、極端な高感度が避けられ(ボディ内手ブレ補正の効果も手伝って)、画質劣化を最小限に抑えることができた。

オリンパス OM-D E-M1 MarkⅡ M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO 絞り優先オート F1.8 1/5秒 -0.3補正 WB:オート ISO800

 

【その2】

ボケを極めし「F1.2大口径単焦点シリーズ」の中望遠レンズ

オリンパス
M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO
実売価格13万7490円

人物撮影に最適な画角を持つ、大口径中望遠レンズ。特殊レンズを贅沢に使用し、高い解像力が得られるレンズである。と同時に、ボケを極める「F1.2大口径単焦点シリーズ」の1本でもある。その開放F1.2での“美しくにじむボケ”は、一般のレンズとはひと味違う。

●焦点距離:45mm(35mm判換算:90mm相当) ●レンズ構成:10群14枚(EDレンズ1枚、HRレンズ4枚、非球面レンズ1枚) ●最短撮影距離:0.5m ●最大撮影倍率:0.1倍(35mm判換算:0.2倍相当) ●絞り羽根:9枚(円形絞り) ●最小絞り:F16 ●フィルター径:62mm ●最大径×全長:70mm×84.9mm ●質量:410g ●その他:防塵・防滴・耐低温性能

 

ズームレンズにはない上質なボケで被写体の存在感を高める

単焦点レンズの魅力のひとつに“開放F値の明るさ”が挙げられる。もちろん、ズームレンズと同等の明るさ(もしくは暗い)の製品もあるが、広角から中望遠の焦点距離なら、F1.2やF1.4といったズームレンズにはない明るさの製品も多い。この45mmもそんな中望遠レンズで、F1.2の明るさでピント位置の前後を大きくぼかした“被写体を浮かび上がらせる”描写を堪能することができる。

↑本レンズと同じ焦点距離のレンズとしては、「M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8」というコンパクトな製品もあるが、F1.2大口径単焦点シリーズの“より大きくて上質なボケ描写”や、PRO仕様の堅牢で重厚感のある作りは魅力的

 

また、広角17mmと標準25mmと中望遠45mm(本レンズ)の3本は、ボケを極める「F1.2大口径単焦点シリーズ」にもカテゴライズされている。最先端の超精密機器「収差測定器」を使用して、歴史的な名レンズの“レンズの味”を検証。そして、ボケ描写に影響を及ぼす球面収差の調整を最適にコントロールして、開放F1.2の“美しくにじむボケ”を実現するレンズなのだ。

 

百聞は一見にしかず、ということで、同じ被写体を開放のF1.2とF2.8で撮り比べてみた。「F2.8」は大口径ズームの開放F値でお馴染みの数値で、これでも十分に明るい印象がある。だが、F1.2はそれより「2段と2/3段」も明るい。そのぶん、背景描写などでボケ効果の違いを実感する。

↑F1.2で撮影

 

↑F2.8で撮影/オリンパス OM-D E-M1 MarkⅡ M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO 絞り優先オート WB:晴天 ISO200

 

では、この美しいボケ味を生かした作例を見ていこう。まずは、あまり明るくない古民家の雛飾り。そのなかの一体の人形を、前後の飾りや人形を絡めながら撮影。90mm相当の中望遠の画角は、こういった撮影に最適で、距離的にあまり大きくボケない飾りや人形も“美しくにじむボケ”によって、上質な写真に仕上げられた。

オリンパス OM-D E-M1 MarkⅡ M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO 絞り優先オート F1.2 1/30秒 WB:電球 ISO800

 

続いて、閑散とした冬枯れの花壇に咲く、可憐なスイセンの一群。そのなかの一輪にピントを合わせ、開放F1.2で撮影することで、周囲の花や背景を大きくぼかした。背後に広がる冬枯れ花壇の“まろやかなボケ”も美しい。

オリンパス OM-D E-M1 MarkⅡ M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO 絞り優先オート F1.2 1/640秒 WB:オート ISO200

【その3】

超強力手ブレ補正で手持ち撮影が可能な600mm相当の超望遠レンズ

オリンパス
M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO
実売価格31万6760円

非常に高い光学性能と、防塵防滴性能や堅牢性を持った、600mm相当の単焦点超望遠レンズ。オリンパスの交換レンズでは、初めてレンズ内に手ブレ補正機構を搭載(ボディ内手ブレ補正方式を採用しているため)。OM-D E-M1 MarkⅡやPEN-Fなどのボディとの組み合わせで、ボディ内手ブレ補正機構とレンズ内手ブレ補正機構をシンクロさせて補正効果を高める「5軸シンクロ手ブレ補正」を実現した。

●焦点距離:300mm(35mm判換算:600mm相当) ●レンズ構成:10群17枚(スーパーEDレンズ3枚、HRレンズ3枚、E-HRレンズ1枚) ●最短撮影距離:1.4m ●最大撮影倍率:0.24倍(35mm判換算:0.48倍相当) ●絞り羽根:9枚(円形絞り) ●最小絞り:F22 ●フィルター径:77mm ●最大径×全長:92.5mm×227mm ●質量:1,270g(三脚座除く)、1,475g(三脚座含む) ●その他:防塵・防滴・耐低温性能

 

一般的な望遠ズームとはひと味違う圧倒的な引き寄せ効果

超望遠レンズといえば“特殊なレンズ”という印象があるが、現在は、比較的リーズナブルな150-600mmなどの超望遠ズームが発売されている。しかし、その光学性能(解像力や開放F値など)は、単焦点の500mmや600mmのレンズには及ばない。

 

とはいえ、35mm判フルサイズ対応の500mmや600mmのレンズは、大きさや重さの面で簡単に扱えるシロモノではない。たとえば、フルサイズ対応の600mmF4だと、全長400mm台・質量4000g弱。このくらいになる。だが、本製品は、600mm相当F4ながら「全長227mm・本体質量1270g」という小型軽量な設計だ。

↑4本レンズで、ボディ内手ブレ補正機構とレンズ内手ブレ補正機構をシンクロさせる「5軸シンクロ手ブレ補正」が可能になるボディは、前述のとおりM-D E-M1 Mark ⅡとPEN-F。あとは、ファームウェアVer.4.0を適用したOM-D E-M1と、ファームウェアVer.2.0を適用したE-M5 Mark Ⅱも可能

 

そして、特殊レンズを贅沢に使用した光学設計・製造技術の結集によって“オリンパス史上最高の解像力”を実現している。また、シャッター速度換算6段分の補正効果が得られる「5軸シンクロ手ブレ補正」の実現によって、通常の超望遠レンズでは考えられないような、手持ちでの低速シャッター撮影(1/15秒とか)も可能になる。

 

次の作例は、同じ場所から600mm相当(本レンズ)と200mm相当(一般的な望遠ズームの望遠端)で撮影したもの。手前に障害物があったり、時間的に難しかったりなどの理由で、撮りたい被写体に近づけないケースは多い。そんなときには、望遠レンズの引き寄せ効果(遠くの被写体が拡大できる)が必要になる。動物園などの撮影では、特にその効果の重要さを実感する。このケースでも、200mm相当までの一般的な望遠ズームだと不満な大きさだが、600mm相当の超望遠なら十分な大きさに写せた。

↑600mm相当で撮影

 

↑200mm相当で撮影/オリンパス OM-D E-M1 MarkⅡ 絞り優先オート WB:オート ISO200

 

離れた動物が大きく写せる……だけでなく、600mm相当の極端に狭い画角なら、その動物の一部分だけを切り取ることも可能になる。次の作例では、夕方の光を浴びるゾウの表情を、穏やかな目を中心に切り取ってみた。

オリンパス OM-D E-M1 MarkⅡ M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO シャッター優先オート F5 1/1000秒 WB:オート ISO200

 

さらに、本レンズでは、焦点距離を1.4倍に変えるテレコンバーター「M.ZUIKO DIGITAL 1.4x Teleconverter MC-14」が使用できる。それによって、焦点距離を300mm相当からさらに「840mm相当」に伸ばすことができるのだ。野鳥などの撮影で、その効果のありがたさを実感!

オリンパス OM-D E-M1 MarkⅡ M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO+M.ZUIKO DIGITAL 1.4x Teleconverter MC-14 シャッター優先オート F7.1 1/1000秒 WB:オート ISO200

 

↑全長14.7mm・質量105gと、非常にコンパクトで軽量なテレコンバーター。3群6枚(HRレンズ1枚)のレンズ構成で、画質の劣化がほとんどなく望遠効果を高めることができる。PROシリーズのレンズと同様に、防塵・防滴・耐低温性能も備えている

 

今回はオリンパスのM.ZUIKO PROレンズから3本を紹介した。今後も注目すべき名作レンズについて語っていきたい。

【CP+2018/ソニー】最新α7 III タッチ&トライには長蛇の列! 待望のヨンニッパも開発発表

CP+2018開幕直前の2018年2月27日に、フルサイズミラーレスの最新機種「α7 III」を発表したばかりのソニーブース。もちろん、同機種をはじめ、プロユースの「α9」や「α7R III」など、主力のαシリーズがフルラインナップで展示され、タッチ&トライコーナーは長蛇の人だかりと盛況だった。

20180302_y-koba5 (2)

今回、隠し球の開発発表として姿を現したのが「FE 400mm F2.8 GM OSS」。αユーザー待望の「ヨンニッパ」がいよいよ登場との報に来場者の関心も高く、ケース内展示ながら思い思い撮影する姿が散見された。展示品は操作部表示などがない試作モデルのようで、アナウンスパネルも「開発発表」のプレートのみ。詳細スペックや発売時期などはまだ謎のままだ。

 

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やはり来場者のお目当ては、発表されたばかりの「α7 III」だ。有効約2420万画素、35mm判フルサイズセンサー搭載のα7シリーズにおけるベーシックモデルだが、AF/AE追随で最高約10コマ/秒という高速連写性能は、もはやプロユースにも対応する高スペック。いち早く操作してみたいという人で行列ができていた。写真は「α7 III」と大光量&連続発光のワイヤレスフラッシュ「HVL-F60RM」。

 

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「α7 III」とともに発表された電波式ワイヤレスフラッシュの「HVL-F60RM」も展示と体験コーナーを設置。コマンダー機能を搭載して最大15台まで連動制御が可能。

 

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もちろんソニーαシリーズのフラッグシップ「α9」も出品。試写スペースは、スポーツパフォーマーの動きを望遠レンズで狙う人でごった返していた。

 

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超小型コンパクトデジカメの「RX0」は、そのさまざまな使い方を提案。面白かったのは、αシリーズのホットシューに「RX0」を取り付け、サブカメラとしてレリーズケーブルで接続することによって異なる2つのコンテンツを同時撮影できる「デュアルカメラ撮影」を提案した。望遠と広角、動画と静止画など、さまざまなコンビネーション撮影への可能性が想像できる。

 

〈写真・文〉水澤 敬

【CP+2018/パナソニック】新レンズ「LEICA DG 50-200mm F2.8-4.0」に注目! LUMIX Gシリーズのラインナップが充実

パナソニックブースでは、2月27日に発表されたばかりのLUMIX Gシリーズ新レンズ「LEICA DG VARIO-ELMARIT 50-200mm/F2.8-4.0 ASPH./POWER O.I.S.」を展示。マイクロフォーサーズ規格では35mm判換算100-400mmとなる望遠ズームに、来場者の関心が集まっていた。もちろん、同社のミラーレス一眼 LUMIX Gシリーズもフラッグシップ機の「G9 PRO」をはじめ、新製品の「GX7 Mark III」など6機種をラインナップ。ハイエンドからエントリーまで、棲み分けが充実した多様なモデルを展示していた。

 

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今年のパナソニックブースいちばんの目玉は、ズーム全域で美しいボケと高画質を実現した「LEICA DG VARIO-ELMARIT 50-200mm/F2.8-4.0 ASPH./POWER O.I.S.」。2018年5月24日発売で、メーカー希望小売価格は255,000円(税別)を予定している。特徴は、何といっても手ブレ補正を制御するDual I.S.2に対応した、35mm判換算で400mmという超望遠撮影が可能という点。これ1本でスナップから動物、スポーツ撮影など、あらゆるシーンに対応できるのは大きな強みとなる。

 

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プロユースを想定した「LUMIX G9 PRO」。注目の機能は、やはり空間認識(DFD)AFと人体認識技術(Human Detection)。多くのシーンで高度なAF撮影を可能にしてくれる。

 

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空間認識AFのデモでは、前後に動き続ける人形にピントが追従する実演を展示。パナソニックのAFキーテクノロジーをアピールしていた。

 

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人体認識技術のデモでは、不規則に移動する人形の顔に、常にピントが合っていることを実演。モニター展示に映し出されるAF追従シーンに来場者も驚きの声をあげるシーンも見られた。

 

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主力であるLUMIX Gシリーズの最新機種「LUMIX GX7 Mark III」も展示。同モデルにはボディ5軸とレンズ2軸の「Dual I.S.」が搭載され、ストリートフォト撮影に無類の強さを発揮する。

 

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エントリーモデル「GF10/GF90」の展示は、若い女性を意識した華やかなスペースで行われていた。

 

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新色として登場したホワイト×ローズゴールドのボディは、実際に見ると高級感のあるエレガントなカラーリングとなっている。

 

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パナソニックブースの写真家セミナーには、『CAPA』でもおなじみの写真家・森脇章彦さんが登壇。「LUMIX G9 PRO」やLEICAレンズの魅力とカスタムセッティングについての解説を行っていた。このほか、新美敬子さんやコムロミホさんなども登壇予定なので、興味のある人はぜひパナソニックのCP+専用サイトをチェックしてほしい。

 

〈写真・文〉水澤 敬

【撮影旅×OM-D E-M1 Mark Ⅱ】実際に役立った機能はコレだった! “早春の花景色”をいざ撮影

“早春の花景色”をテーマとした撮影旅のなかで、実際に役立った機能や撮影ポイントなどを紹介する本企画。前編ではソニーのレンズ一体型カメラ「Cyber-shot RX10 IV」をご紹介したが、後編ではオリンパス「OM-D E-M1 Mark Ⅱ」(以下、E-M1 Mark Ⅱ)と交換レンズ2本を取り上げたい。

■Cyber-shot RX10 IV編はコチラ↓
https://getnavi.jp/camera/233559/

 

【今回の旅の相棒】

オリンパス「OM-D」シリーズフラッグシップ機と広角ズーム&マクロレンズ

20180227_y-koba6 (15)オリンパス
OM-D E-M1 Mark Ⅱ
実売価格20万7900円

マイクロフォーサーズ規格のミラーレス一眼カメラで、オリンパス「OM-D」シリーズのフラッグシップモデル。有効画素数2037万画素Live MOSセンサー、新開発高速画像処理エンジン「TruePic Ⅷ」を搭載し、AF/AE追従で「最高18コマ/秒」の高速連写を実現している。従来モデルOM-D E-M1と同様、防塵・防滴・耐低温(-10℃)設計の高信頼ボディなので、厳しい撮影環境下でも安心して使える。そして、OM-D E-M1ではファームアップ(バージョンアップ)で可能になった「深度合成」や「フォーカスブラケット」などの撮影機能も、最初から搭載されている。

 

また、交換レンズとして、今回の撮影では次の2本を使用した。

20180227_y-koba6 (16)M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO
実売価格13万6620円

ズーム全域でF2.8の明るさ(開放F値)を誇る、小型・軽量な大口径の広角ズームレンズ。風景や建築写真をはじめ、夜景や天体写真などでも活躍する。今回の撮影では、RX10 IVではカバーできない超広角(14mm相当まで)でのダイナミックな空間描写に期待。

 

20180227_y-koba6 (17)M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro
実売価格2万8660円

重さわずか128gの非常に軽快な標準マクロレンズだが、その最大撮影倍率は2.5倍相当(35mm判フルサイズ換算での倍率。以下同)と、多くのマクロレンズよりも高倍率で撮影できる。RX10 IVの最大撮影倍率も0.49倍と立派な値だが、この30mmマクロレンズで得られる倍率は、その遥か上を行っている。

 

【使って実感! 役立ちポイント①深度合成】

深度合成モードで奥行きのある被写体をシャープに描写!

通常、ピント位置の前後をシャープに描写させるには、レンズの絞りを十分絞り込む必要がある(F16やF22など)。だが、被写体までの距離が近いと、目一杯絞ってもシャープに描写される範囲(奥行き)が不十分と感じることも多い。そんな場合でも、E-M1 Mark Ⅱに搭載される「深度合成モード」で撮影すれば、極端に絞らなくても深い範囲をシャープに描写できるのだ。

20180227_y-koba6 (18)↑深度合成モードは「撮影メニュー2→ブラケット撮影→Focus BKT→On→深度合成→On」という階層をたどって設定する

 

深度合成モードでは、1回のシャッターで8枚の写真が高速で撮影されて、それをカメラが自動で合成して、手前から奥までピントが合った写真が完成する。メモリーカードに保存される画像は、8枚の撮影画像(RAWとJPEGどちらも可能)と合成画像1枚(JPEG)。なお、合成された画像は、撮影画像よりも少し画角が狭くなる(上下左右に7%カットされる)。

20180227_y-koba6 (19)↑深度合成モードで撮影(絞りF5.6)

 

20180227_y-koba6 (20)↑通常モードで撮影(絞りF5.6)

 

20180227_y-koba6 (21)↑通常モードで撮影(絞りF22)/共通データ:OM-D E-M1 Mark Ⅱ M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro 絞り優先オート WB:オート ISO200

 

梅林内に咲くスイセンの一群を撮影。F5.6とあまり絞らない設定で深度合成モード(機能)を使用すると、ピントを合わせた画面中央後方の花だけでなく、その後ろ(画面左側)や手前にある花までシャープに描写することができた。ちなみに、通常モードでF5.6で撮影すると、ピントを合わせた花と隣の花以外は大きくボケてしまう。かといって、最も絞ったF22で撮影すると、背景は目立ち過ぎるようになり、ピントを合わせた部分は光学的な要因(回折現象)で解像感が落ちてくる。

 

【使って実感! 役立ちポイント②ハイレゾショット】

50Mハイレゾショットで、より高解像な描写を実現!

E-M1 Mark Ⅱは有効画素数2037万画素Live MOSセンサーを採用する20M(メガ)のデジタルカメラ。だが、0.5ピクセル単位でセンサーを動かしながら(ボディ内手ブレ補正機構を利用して)8回撮影する「ハイレゾショット」機能を使用すれば、50Mセンサー相当の高解像な画像を生成することが可能になる(画質モード設定で、とファイル容量を抑える25Mにも設定可能)。ちなみに、OM-D E-M5 Mark ⅡやPEN-Fにも本機能は搭載されている(画素数は異なるが)。

20180227_y-koba6 (22)↑ハイレゾショットは「撮影メニュー2」内から設定する。そこでOffとOnを切り換えるのだが、実際には「On」という項目はない。Offから、シャッターボタンを全押ししてからシャッターが切れるまでの時間(0~30秒)を設定するのである

 

この撮影に際しては、三脚使用が不可欠。また、ハイレゾショット撮影では、解像力の高いM.ZUIKO PROレンズやM.ZUIKO PREMIUMレンズを使うことで、より高い効果を得ることができる。今回使用した2本のレンズも、このカテゴリーに含まれる製品だ。

 

次の作例では、早咲きの白梅の木を、広角ズームで下から見上げるように撮影。抜けるような青空に浮かびあがる白い花が印象的だ。その繊細な小さな白い花を、50Mのハイレゾショットが描き出す。なお、ハイレゾショットでは基本的に“動く被写体はNG”だが、E-M1 Mark Ⅱでは新画像処理エンジン「TruePic Ⅷ」の働きにより、風景撮影時の風の影響や水のわずかな動きならば、画像の乱れを効果的に抑制(不自然なブレにならないよう)できるようになった。

20180227_y-koba6 (23)OM-D E-M1 Mark Ⅱ M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO(8mmで撮影) 絞り優先オート(50Mハイレゾショット) F8 1/500秒 -0.3補正 WB:オート ISO200 三脚

 

実際のところ、ハイレゾショットを使うとどのくらい高解像になるのか、通常撮影と比較してみよう。

20180227_y-koba6 (24)↑50Mハイレゾショットの画像(8160×6120)と、20M通常撮影の画像(5184×3888)の両方から、枠で囲んだ範囲を切り出してみる

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA↑50Mハイレゾショットからの切り出し(左)と通常撮影(20M)からの切り出し(右)

 

当然、画素数の多い50Mハイレゾショットのほうが切り出し画素数も多くなる。それを、20M通常撮影の切り出し画素数(240×240)と同じ画素数に変更して、両者の細部描写をチェックする。極端に違うわけではないが、木の幹の表面や白梅の一輪一輪を見ると、50Mハイレゾショットのほうが緻密さが感じられるだろう。

 

【使って実感! 役立ちポイント③交換レンズ】

交換レンズを利用して写真にバリエーションを!

特定の被写体を目的とした撮影旅の場合、ともすれば似通った写真になりがちなので、交換レンズをうまく使って写真にバリエーションをもたせたい。また、今回訪れた三溪園には、歴史的価値の高い建造物や、雰囲気の良い飲食処などが園内各地に点在する。“早春の花景色”を撮る際にも、こういった建造物や飲食処もうまく絡めて撮影すれば、花の写真のなかに“歴史的な要素”や“日本庭園の風情”を盛り込むことができるだろう。

 

次の作例ではマクロレンズを使用。昼食をとった食事処「待春軒」にあった吊り下げ旗の“赤色”をアクセントにして、白梅の枝をアップで狙う。

20180227_y-koba6 (27)OM-D E-M1 Mark Ⅱ M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro 絞り優先オート F4 1/200秒 -0.7補正 WB:オート ISO200

 

こちらは重要文化財に指定される「旧矢箆原家住宅」内を見学した際の1枚。そこの棚に飾られていた季節の花(ツバキ、アセビ、白梅)を、広角ズームを使って建物内の様子も写し込んだ。ちなみに、フラッシュ撮影はNGなのでご注意を。

20180227_y-koba6 (28)OM-D E-M1 Mark Ⅱ M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO(8mmで撮影) 絞り優先オート F2.8 1/3秒 WB:オート ISO800

 

今回の撮影旅では2種類のカメラ(と2種類のレンズ)を試したわけだが、1台で超望遠域を含む広い撮影領域をカバーできる「Cyber-shot RX10 IV」、独自機能と交換レンズによる多彩な撮影が楽しめる「OM-D E-M1 Mark Ⅱ」、それぞれの良さを実感できた。ここから春本番に向け、いろいろな花が見ごろを迎えるので、読者のみなさんも、ぜひお気に入りのカメラをもって撮影旅に出かけてみてはいかがだろうか。

 

【撮影スポット紹介】 

20180227_y-koba6 (2)

今回のメイン撮影スポット「三溪園(さんけいえん)」は、明治から大正時代にかけて、生糸貿易で財の成した原 富太郎(雅号、三溪)によって造られた、総面積約17万5000平方mに及ぶ日本庭園。園内には、京都や鎌倉などから移築された歴史的価値の高い建造物が配置され、梅や桜、藤、花菖蒲など、季節の花々が園内を彩る。特に園内には約600本の紅梅や白梅があり、梅の名所としても知られている。竜が地を這うような枝振りの臥竜梅(がりょうばい)や、花弁の根元にある萼が緑色の緑萼梅(りょくがくばい)など、興味深い品種もある。2月中旬から3月上旬にかけて開かれる「観梅会」(2018年は2月10日~3月4日)をはじめ、1年を通してさまざまな催しが行われている。

■三溪園ホームページ
http://www.sankeien.or.jp/index.html

【撮影旅×Cyber-shot RX10 IV編】実際に役立った機能はコレだった! “早春の花景色”をいざ撮影

2月から3月前半あたりは、まだまだ寒い日が多くて、野山や公園なども“冬枯れの風景”が広がっている。だが、全国のいろんな場所で梅の花が咲き始め、少しづつ“春の予感”を感じさせる時季でもある。そんな早春の花景色を求め、オリンパス「OM-D E-M1 Mark Ⅱ」とソニー「Cyber-shot RX10 IV」という2台のデジタルカメラを持って、横浜市の東南部にある庭園「三溪園」を訪れてみる。その撮影のなかで役立った機能を中心に、カメラの魅力や撮影旅のポイントを2回にわけて紹介。前編ではソニー「Cyber-shot RX10 IV」編をお届けする。

【今回の旅の相棒】

24-600mm相当をカバーする光学25倍ズームのレンズ一体型カメラ

20180227_y-koba5 (3)
ソニー
Cyber-shot RX10 IV
実売価格20万5070円

有効約2010万画素メモリー一体1.0型積層型CMOSイメージセンサーを採用し、24-600mm相当(35mm判フルサイズ換算)の光学25倍ズームレンズを搭載する、レンズ一体型デジタルカメラ。この高倍率ズームレンズは前モデルにも搭載されていたが、本モデルでは、クラス世界最速「0.03秒」の高速AFや、AF/AE追従「最高約24コマ/秒」という驚異的な高速連写性能を実現している。

 

早春の花景色という今回の撮影テーマでは、その高速性能はあまり威力を発揮する場面は少なかったが、スポーツや野生動物などの激しい動きや一瞬の変化を捉えることが可能な頼もしいカメラである。防塵・防滴に配慮したボディ設計も心強い。

 

【使って実感! 役立ちポイント①光学25倍ズーム】

広角~望遠まで幅広い領域を1台で描写しきる!

RX10 IVに搭載されるZEISS(ツァイス)ブランドのVario- Sonnar (バリオ・ゾナー) T∗ 24-600mmF2.4-4は、ズーム全域で高コントラストかつシャープな画質を実現する、大口径・高倍率のズームレンズ。超望遠撮影時や暗所撮影時に威力を発揮する4.5段分の補正効果がある「光学式手ブレ補正機能」も搭載しているので、優れたレンズ性能や1.0型センサーの実力が引き出せる。さらに、望遠端600mm相当で約72cmまで被写体に寄れるテレマクロ撮影も堪能できるのだ(最大撮影倍率も0.49倍と高い)。

 

次の3枚の作例は同じ場所から撮影したものだが、24-600mm相当という広いカバー領域のおかげで、これだけ違った表現が可能になる。

20180227_y-koba6 (4)↑24mm相当で撮影

 

20180227_y-koba6 (5)↑300mm相当で撮影

 

20180227_y-koba6 (6)↑600mm相当で撮影/共通データ:Cyber-shot RX10 IV 絞り優先オート(F4) WB:オート ISO100 三脚

 

ここでは青空を背景にして、紅梅の木を見上げるように撮影。広角24mmだと、梅の木の周囲の様子まで写し込める。望遠300mmは、一般的な望遠ズームレンズの望遠端の画角。離れた枝の紅梅の様子がよくわかる。そして、超望遠600mmだと、その枝の特定の花が大きく写せるようになった。なるべく身軽でありたい撮影旅において、これだけ違う表現をレンズ交換なしで楽しめるというメリットは大きい。

 

使って実感! 役立ちポイント②超望遠効果

超望遠ならではの作画効果で、離れた被写体の存在感を高める!

望遠レンズには、離れた被写体を大きく写せる「引き寄せ効果」や、被写体(ピント位置)の前後が大きくぼかせる「ボケ効果」などの効果が顕著になる(ただし、ボケ効果に関しては、センサーサイズも関係してくる)。こうした作画効果は、200mmや300mm相当あたりの一般的な望遠域でも実感できるが、500mmを超えるような超望遠域になると、よりドラマチックな描写が得られるようになる。

 

この超望遠レンズ特有の効果を利用すれば、近づけない花の存在感を高めたり、華やかな“色彩のボケ”によって、幻想的な雰囲気に仕上げたりすることができるのだ。

 

次の作例では、画面奥の白梅にピントを合わせつつ、画面内の左側を“鮮やかな赤いベール”のようなサザンカの前ボケで彩り、写真を華やかに演出することができた。

20180227_y-koba6 (8)Cyber-shot RX10 IV 600mm相当で撮影 絞り優先オート F4 1/250秒 +0.7補正 WB:オート ISO100

 

上の写真の撮影状況が次の写真。赤いサザンカの花はカメラに近い距離にあるため、離れた白梅にピントを合わせると、サザンカのほうは大きくボケて写るという仕組みだ。

20180227_y-koba6 (7)↑庭園内の飲食処「待春軒」の前にある白梅(の花)を、梅の木の横に咲いていたサザンカの花と絡めながら撮影してみた

 

三溪園内では、何種類かの野鳥の姿も楽しむことができる。ちょうど、近くの松の木にヒヨドリがやってきた。人を警戒している様子はないが、極端に近づけるわけではない。こういった被写体も、600mm相当までカバーする RX10 IVなら容易に大きく写すことができる。

20180227_y-koba6 (9)Cyber-shot RX10 IV 500mm相当で撮影 絞り優先オート F4 1/250秒 +0.7補正 WB:オート ISO640

 

使って実感! 役立ちポイント③ロックオンAF

ロックオンAF+フォーカスホールドボタンで、狙った梅の花を継続追尾!

画面内に多くの花が入る場合、“どの花にピントが合っているか”が重要になる。狙いが決まったら、選択したフォーカスエリアに被写体を重ねて、シャッターボタンを半押し保持……というのがセオリー。だが、実際の撮影では、故意または不意の構図変化や風による枝の揺れなどで、フォーカスエリアから被写体が外れることも少なくない。

 

そんなときには、フォーカスエリアモードの「ロックオンAF」が役立つ。シャッターボタン半押しでピントを合わせると、そのあと被写体が移動しても、自動的にAFエリアも移動して被写体を追尾してくれるのである。また、レンズ鏡筒の横に配置されている「フォーカスホールドボタン」に、シャッターボタンと同様のAFを作動させる機能を割り当てて使用すれば、シャッターを切ったあとも追尾機能が継続されるのだ。

20180227_y-koba6 (10)↑「フォーカスエリア」設定画面で「ロックオンAF」にカーソルを合わせて設定。なお、この「ロックオンAF」は、フォーカスモード(ピントの合わせ方)が「コンティニュアスAF」の場合に設定可能になる

 

20180227_y-koba6 (11)

20180227_y-koba6 (12)↑画面上に表示されるフォーカスエリア(AF枠)に花を重ねて、シャッターボタンを半押し(保持)。そうすれば、構図を変えたり被写体が動いたりしても、フォーカスエリアも合わせて移動して被写体を捉え続ける

 

20180227_y-koba6 (13)↑左手の親指がかかっている部分がフォーカスホールドボタン。ここへの機能の割り当ては「MENU→撮影設定2→カスタムキー(撮影)」の操作で設定する

 

次の作例では、カメラを縦位置に構えながら、狙った紅梅の上下の空間の割合を変えながら構図を微調整して撮影。「ロックオンAF+フォーカスホールドボタン」の撮影方法を選択すれば、フォーカスエリアが移動するだけでなく、被写体やカメラの“前後の動き”にも対応できる(コンティニアスAFの機能により)。

20180227_y-koba6 (14)Cyber-shot RX10 IV 600mm相当で撮影 絞り優先オート F4 1/250秒 +0.7補正 WB:太陽光 ISO1000

 

RX10 IVは決して小型・軽量というわけではないが、これ1台で超望遠を含む幅広い範囲をカバーでき、交換レンズが不要のため持ち運ぶ機材が少なくて済む。なるべくフットワークを軽くしておきたい撮影旅にはもってこいだろう。今回の撮影シーンでは取り上げなったが、本機は高速AF&連写によって動きモノ撮影にも強く、さまざまなシーンで活躍できるカメラだ。後編では、「OM-D E-M1 Mark Ⅱ」編をお届けする。

 

【撮影スポット紹介】 

20180227_y-koba6 (2)

今回のメイン撮影スポット「三溪園(さんけいえん)」は、明治から大正時代にかけて、生糸貿易で財の成した原 富太郎(雅号、三溪)によって造られた、総面積約17万5000平方mに及ぶ日本庭園。園内には、京都や鎌倉などから移築された歴史的価値の高い建造物が配置され、梅や桜、藤、花菖蒲など、季節の花々が園内を彩る。特に園内には約600本の紅梅や白梅があり、梅の名所としても知られている。竜が地を這うような枝振りの臥竜梅(がりょうばい)や、花弁の根元にある萼が緑色の緑萼梅(りょくがくばい)など、興味深い品種もある。2月中旬から3月上旬にかけて開かれる「観梅会」(2018年は2月10日~3月4日)をはじめ、1年を通してさまざまな催しが行われている。

■三溪園ホームページ
http://www.sankeien.or.jp/index.html

 

【保存版】パナソニックのミラーレス一眼「LUMIX(ルミックス)」をイチから解説! 初級機/中級機/上級機の違いは? 独自機能は?

パナソニックは、2008年に世界初のミラーレスカメラを発売したメーカーだ。以来、数多く製品を発売し、現在では上級機から初級機まで豊富なラインナップを誇る。特徴は、現行のほとんどの製品が4K撮影に対応するなど、静止画に加えて動画を重視していること。レンズマウントにマイクロフォーサーズマウントを採用し、レンズの種類が非常に豊富な点にも注目だ。ここでは、そうしたパナソニックのミラーレス一眼を代表機種を上級、中級、初級にわけて紹介。それらの特徴について解説する。

 

【上級機】プロの愛用者も多い、動画に強い高機能機

最上位GHシリーズ「LUMIX GH5」は、クロップなしで撮影できる4K/60pの動画撮影機能や、4:2:2 10bitの4K記録、6Kフォト対応など、他社がまだ実現できていない本機独自の魅力を多数有する。手ブレ補正にはボディ側とレンズ側が連動するDual I.S.2を採用。このほか、GH5には画素数をあえて下げて、高感度撮影能力を強化した派生モデル「LUMIX GH5S」も用意されている。

↑●撮像素子:4/3型、有効約2033万画素LiveMOS センサー ● 背面モニター:3.2 型約162 万ドット、バリアングル式タッチパネル ●シャッター速度:1/8000 ~ 60秒、バルブ ●サイズ:138.5×98.1×87.4㎜ ●質量:約725g ●参考価格/21万7300円(ボディ)●撮像素子:4/3型、有効約2033万画素LiveMOS センサー ● 背面モニター:3.2 型約162 万ドット、バリアングル式タッチパネル ●シャッター速度:1/8000 ~ 60秒、バルブ ●サイズ:138.5×98.1×87.4㎜ ●質量:約725g ●実売価格/24万560円(ボディ)

 

↑防塵防滴に加え、耐低温性を備えたマグネシウムボディ。サイズと重量は一眼レフ並に大きくて重め。グリップは深く、ホールド性は良好だ

防塵防滴に加え、耐低温性を備えたマグネシウムボディ。サイズと重量は一眼レフ並に大きくて重め。グリップは深く、ホールド性は良好だ。

 

↑同社では最多となる有効2033万画素の4/3型Live MOSセンサーを搭載。高速読み出しにより、ローリングシャッター現象を抑えている

同社では最多となる有効2033万画素の4/3型Live MOSセンサーを搭載。高速読み出しにより、ローリングシャッター現象を抑えている。

 

↑ボタン類が多く、多機能を素早く操作可能。右手親指の部分には、測距点を動かせるジョイスティックやフォーカスモードレバーがある

ボタン類が多く、多機能を素早く操作可能。右手親指の部分には、測距点を動かせるジョイスティックやフォーカスモードレバーがある。

 

【こちらもおすすめ】①静止画フラッグシップ機「LUMIX G9 PRO」

↑動画に特化した印象のあるGH5に対し、静止画のフラッグシップとなるのが「ルミックスG9 PRO」。AF追従での20コマ/秒連写や「6K PHOTO」、約6.5段分のボディ内手ブレ補正など静止画に求められる最新の機能を装備する

動画に特化した印象のあるGH5に対し、静止画のフラッグシップとなるのが「LUMIX G9 PRO」。AF追従での20コマ/秒連写や「6K PHOTO」、約6.5段分のボディ内手ブレ補正など、静止画に求められる最新の機能を装備する。実売価格は22万6670円(ボディ)。

 

【こちらもおすすめ】②高感度撮影モデル「LUMIX GH5S」

 

↑画素数を有効1028万画素に抑えるなどにより、ルミックス史上最高の高感度性能を実現。常用感度で最高ISO51200、感度拡張でISO204800(静止画、動画共)を達成している。加えて、CINEMA 4K撮影に対応するなど、動画撮影で特に威力を発揮する

画素数を有効1028万画素に抑えるなどにより、LUMIX史上最高の高感度性能を実現。常用感度で最高ISO51200、感度拡張でISO204800(静止画、動画ともに)を達成している。加えて、CINEMA 4K撮影に対応するなど、動画撮影で特に威力を発揮する。実売価格は32万3870円(ボディ)。

 

【中級機】機能と携帯性、高速性のバランスが抜群!

3月15日に発売される同社の中級機最新モデル「LUMIX GX7 Mark III」は、46.8㎜の薄型ボディに約4段分の効果のあるDual I.S.やチルト式モニターとチルト式EVFなどを装備した有効2030万画素機。Dual I.S.は、兄弟機のGX8では実現できていなかった、動画撮影時にも有効で写真も動画もブレなく楽しめる。フォーカスモードレバーや露出補正ダイヤルが新設されるなど、操作性も向上している。4Kフォトに対応するほか、メカシャッターでの約9コマ/秒の連写も可能だ。

↑●撮像素子:4/3型、有効約2030万画素LiveMOSセンサー ●背面モニター:3型約124万ドット、チルト式タッチパネル ●シャッター速度:1/4000~60秒(電子シャッター使用時は1/16000~1秒)、バルブ ●サイズ:124×72.1×46.8㎜ ●質量:約450g ●発売/2018年3月15日予定 ●参考価格/10万7870円(ボディ)●撮像素子:4/3型、有効約2030万画素LiveMOSセンサー ●背面モニター:3型約124万ドット、チルト式タッチパネル ●シャッター速度:1/4000~60秒(電子シャッター使用時は1/16000~1秒)、バルブ ●サイズ:124×72.1×46.8㎜ ●質量:約450g ●発売/2018年3月15日予定 ●実売価格/10万7870円(ボディ)

 

↑3型の124万ドットチルト可動液晶モニターを搭載。静電容量式のタッチパネルに対応し、AF測距点の選択やコマ送りがスムーズに行える。EVFもチルト式でローポジション撮影などに対応しやすい

3型の124万ドットチルト可動液晶モニターを搭載。静電容量式のタッチパネルに対応し、AF測距点の選択やコマ送りがスムーズに行える。EVFもチルト式でローポジション撮影などに対応しやすい。

 

【こちらもおすすめ】約2030万画素の兄弟機「LUMIX GX8」

↑GX7マークIIの兄弟機といえるルミックスGX8。バリアングル背面モニターやDual I.S.を備えた2030万画素機だ

GX7 Mark IIIの兄弟機といえるLUMIX GX8。バリアングル背面モニターやDual I.S.を備えた2030万画素機だ。

 

↑GX8は、チルト可動式のLCDファインダーを搭載。液晶はバリアングル式で、カメラの縦横を問わず自由なアングルで撮影しやすい

GX8も、チルト式のLCDファインダーを搭載。液晶はバリアングル式で、カメラの縦横を問わず自由なアングルで撮影しやすい仕様だ。

 

【初級機】チルト液晶や4K動画対応の薄型軽量機

同社の入門機は「LUMIX GF10/GF90」。奥行き33.3㎜、重量270gの薄型軽量ボディながら、チルト可動液晶や4Kフォト機能を搭載した入門機。EVFは非搭載だが、ローパスフィルターレスの1600万画素 Live MOSセンサーの採用などにより高画質&高速AFを実現した。チルト可動式の液晶モニターを跳ね上げることで、セルフィー撮影が行いやすく、新機能の「夜景&自分撮りモード」の搭載により、夜景を背景にしたセルフィー撮影も失敗なく撮れる。

↑●撮像素子:4/3型、有効約1600万画素LiveMOSセンサー ●背面モニター:3型約104万ドット、チルト式タッチパネル ●シャッター速度:1/16000~60秒、バルブ ●サイズ:106.5×64.6×33.3㎜ ●質量:約270g ●参考価格/9万7070円(ダブルレンズキット)●撮像素子:4/3型、有効約1600万画素LiveMOSセンサー ●背面モニター:3型約104万ドット、チルト式タッチパネル ●シャッター速度:1/16000~60秒、バルブ ●サイズ:106.5×64.6×33.3㎜ ●質量:約270g ●実売価格/9万7070円(ダブルレンズキット)

 

↑チルト可動式の液晶モニターを跳ね上げることでセルフィーが容易に撮れる。ボディ正面向かって右側上面にファンクションボタンを配置し、このボタンにシャッターボタン機能を割り当てることで、右手でのセルフィー撮影が行える

チルト可動式の液晶モニターを跳ね上げることでセルフィーが容易に撮れる。ボディ正面向かって右側上面にファンクションボタンが配置され、このボタンにシャッターボタン機能を割り当てることで、右手でのセルフィー撮影が行える。

 

【パナソニック一眼の5つの特徴】最先端技術満載で動画・静止画ともに強い

高精細な動画から静止画を切り出せる4K/6Kフォトは、LUMIX(ルミックス)シリーズの目玉ともいえる機能。事実上、プロ向け一眼レフに勝る30~60コマ/秒の超高速連写ができる。AFについては、独自の空間認識技術によって、コントラスト検出方式ながらストレスのない速度を実現。手ブレ補正は、初期はレンズ側補正だったが、最近はボディ側補正に対応した製品が増加中だ。

 

【特徴1】4K⁄ 6Kフォト

4Kまたは6Kサイズで動画を撮影したうえで、あとからその動画を再生し、好きなコマを静止画として保存できる機能。画素数は制限されるが、30~60コマ/秒の高速連写を行っているのと同じであり、動体の決定的瞬間を捉えられる。

↑GX7マークⅢは、ボディ背面にある十字キーの下ボタンで「4Kフォトモード」を素早く呼び出せる↑GX7 Mark IIIは、ボディ背面にある十字キーの下ボタンで「4Kフォトモード」を素早く呼び出せる

 

↑4Kフォトモードは、シャッターボタンを押している間連写する4K連写、1度押すと連写開始、次に押すと終了する4K連写(S/S)、押した前後が記録される4Kプリ連写の3つが選べる↑4Kフォトモードは、シャッターボタンを押している間連写する4K連写、1度押すと連写開始、次に押すと終了する4K連写(S/S)、押した前後が記録される4Kプリ連写の3つが選べる

 

↑飛び立つ瞬間を6Kフォトで撮影し、大きく翼を広げた1コマを採用。1800万画素相当の画素数があるので、細部までシャープに描写できている。24mm相当 シャッター優先オート(F4 1/2000秒)-0.3補正 ISO200 WB:太陽光↑一部モデルが対応する6Kフォト。こちらの作例では、飛び立つ瞬間を6Kフォトで撮影し、大きく翼を広げた1コマを採用。1800万画素相当の画素数があるので、細部までシャープに描写できている。24mm相当 シャッター優先オート(F4 1/2000秒)-0.3補正 ISO200 WB:太陽光

 

【特徴2】空間認識AF

LUMIXは、AFに独自の「DFDテクノロジー(空間認識技術)」を採用。複数のライブ画像から空間を認識し、レンズの光学データを参照しながら、被写体距離を瞬時に算出する仕組みだ。これによって他社ミラーレス上位機で一般的な像面位相差AFを採用せず、コントラストAFのみにもかかわらず、スピーディなAF駆動を可能にしている。

 ↑遠方から向かってくる電車を高速連写+AF-Cモードで撮影。AFはしっかり追従し、約20コマの全カットで正確なピントを確認できた。120mm相当 シャッター優先オート(F7.1 1/500秒)ISO200 WB:オート↑遠方から向かってくる電車を高速連写+AF-Cモードで撮影。AFはしっかり追従し、約20コマの全カットで正確なピントを確認できた。120mm相当 シャッター優先オート(F7.1 1/500秒)ISO200 WB:オート

 

【特徴3】サイレントモード

LUMIXのミラーレスカメラは、現行の全製品がサイレントモードを搭載。これをONにすると、電子シャッターを用いた完全な無音撮影ができる。演奏会やイベントのほか、ゴルフなどのスポーツ、赤ちゃんの寝顔などシャッター音を出したくないときに重宝する機能だ。

↑サイレントモードは撮影メニューからON/OFFの選択ができる。シャッター音だけでなく、合焦音やセルフタイマーの音も鳴らなくなる↑サイレントモードは撮影メニューからON/OFFの選択ができる。シャッター音だけでなく、合焦音やセルフタイマーの音も鳴らなくなる

 

【特徴4】手ブレ補正

最近のLUMIXシリーズ中級機以上はレンズ内とボディ内の両方で補正する「Dual I.S.」に対応。ボディ内で5軸の補正を行ったうえで、角度ブレの細かいブレはレンズ内補正が連動して処理する仕組みだ。静止画だけでなく動画や4K/6Kフォトでも作動する。

↑GH5では、ボディ内手ブレ補正(B.I.S.)にレンズ内補正(O.I.S.)を連動制御させ、中望遠~望遠域では5段分の補正性能を誇る↑GH5では、ボディ内手ブレ補正(B.I.S.)にレンズ内補正(O.I.S.)を連動制御させ、中望遠~望遠域では5段分の補正性能を誇る

 

↑手前から奥までをシャープに見せるため絞りをF11に設定。シャッター速度は1/2秒まで落ちたが、手持ちで問題なく撮影できた。24ミリ相当 シャッター優先オート(F11 1/2秒)ISO200 WB:太陽光↑手前から奥までをシャープに見せるため絞りをF11に設定。シャッター速度は1/2秒まで落ちたが、手持ちで問題なく撮影できた。24mm相当 シャッター優先オート(F11 1/2秒)ISO200 WB:太陽光

 

【特徴5】シーン認識

ビギナー向け機能として、全機種が「おまかせiAモード」を搭載。ヴィーナスエンジンの認識機能によって自動的にシーンが判別され、各種設定を最適化してくれる。例えば接写の場合、近づいてもピントが合わせやすくなる。

↑「おまかせiA」で自動撮影。シーン認識により、自動で被写体や撮影条件に応じた最適なカメラ設定となる。この写真でも、色鮮やかに花を撮ることができた↑「おまかせiA」で自動撮影。シーン認識により、自動で被写体や撮影条件に応じた最適なカメラ設定となる。この写真でも、色鮮やかに花を撮ることができた

その「常識」、勘違いかも? カメラを買う前に知っておくべき15のこと

限られた予算内でできるだけ高性能なカメラやレンズが欲しい、と考えるのは誰もが同じです。しかし、高スペックな点ばかりをアピールするメーカーの宣伝文句を鵜呑みにするだけでは、自分に合ったカメラを選ぶことはできません。ここでは、一眼をまだ所有したことがない人や、エントリー一眼を所有して買い足していきたい人向けに、購入時に気をつけたい、カメラ選びにおける15の誤解を挙げてみました。

 

(1)画素数が多ければ画質がいい

(2)センサーサイズは大きいほうがいい

(3)最高感度は高ければ高いほうがいい

(4)スポーツを撮るなら連写が速ければいい

(5)ミラーレスカメラよりも一眼レフカメラのほうが動体撮影に有利

(6)一眼レフカメラよりもミラーレスカメラのほうが携帯性に優れる

(7)最新モデルのほうが性能がいい

(8)高感度性能が高いカメラがあればストロボは必要ない

(9)手ブレ補正機能搭載のカメラがあれば三脚は必要ない

(10)ズーム倍率は高いほどいい

(11)レンズの開放F値は明るいほどいい

(12)レンズの最短撮影距離は短いほうが接写に強い

(13)サードパーティ製のレンズは純正レンズよりも性能が低い

(14)最初はとりあえずレンズキットを買えばいい

(15)カメラは古くなるが、レンズは一生使える

 

それでは、ここからは1つ1つ解説していきましょう。

 

【カメラ編】

1●画素数が多ければ画質がいい(……とは限らない!)

画素数はデジカメの性能を決める重要なポイントの1つ。画素数が増えるほど被写体の細部までを正確に再現しやすくなります。ただし画質には、画素数だけでなくセンサーサイズやレンズ性能なども関わってきます。ゆえに、必ずしも多画素=高画質とはいえません。例えば1.0型2010万画素センサー機よりも、APS-Cサイズ1620万画素センサー機のほうが高画質というケースもあります。

20180221_y-koba6 (1)↑デジカメの画質は、画素数だけなく、センサーサイズやレンズ性能などによっても差が生じます

 

2●センサーサイズは大きいほうがいい(……とは限らない!)

デジカメに使われる主なイメージセンサーをサイズの小さい順に並べると、1/2.3型、1.0型、4/3型、APS-Cサイズ、35mmフルサイズとなります。画素数が同じである場合、基本的にはセンサーサイズが大きいほど高画質になります。ただし、センサーサイズに比例してボディとレンズは大きく、重くなる傾向があります。いくら高画質でも、持ち歩いて使わなければ宝の持ち腐れでしょう。

20180221_y-koba6 (2)↑左は35mmフルサイズセンサー、右はAPS-Cサイズセンサー。センサーサイズが大きいほど高画質ですが、そのぶんボディやレンズも大きくなります

 

3●最高感度は高ければ高いほうがいい(……とは限らない!)

最近のデジカメは高感度化が進み、最高感度ISO12800やISO25600は珍しくなく、なかにはISO102400以上に対応したフルサイズ一眼もあります。こうした超高感度は、屋内スポーツなど薄暗い場所で被写体ブレを防ぎたいときなどに役立ちます。ただし一般的な用途で、これほどの高感度が必要になるケースはあまりないともいえます。私自身はISO12800以上はめったに使いません。スペックの数値に惑わされず、自分の用途に合った機種選びを心がけましょう。

20180221_y-koba6 (4)↑薄暗い水槽内を泳ぎ回る魚でも、ISO12800程度の高感度があれば、その動きを写し止めることが可能です

 

4●スポーツを撮るなら連写が速ければいい(……とは限らない!)

スポーツシーンなど動きの速い被写体を撮る際は、高速連写に対応したデジカメが有利です。ただし「最高10コマ/秒」といった連写速度の数値だけでなく、連続して何コマまで撮影できるか、つまり「連続撮影可能コマ数」も重要です。これが少ないカメラでは、連写したあとに待ち時間が生じ、シャッターチャンスを逃してしまう場合があります。

20180221_y-koba6 (3)↑こうした動体を快適に撮影するには、連写のスピードに加えて「連続撮影可能コマ数」も要チェックです

 

5●ミラーレスカメラよりも一眼レフカメラのほうが動体撮影に有利(……とは限らない!)

以前は、動きのある被写体を撮るには、ミラーレスカメラよりも一眼レフカメラが有利といわれていました。その理由は、ミラーレスカメラが採用している電子ビューファインダー(EVF)やAFの性能が、一眼レフカメラに見劣りしていたからです。しかし最近では、光学ファインダーに遜色のない見え方をするEVFを搭載したミラーレスカメラや、動体に対しても快適に合焦・追従できるAF性能を備えたミラーレスカメラが登場。もはや必ずしもミラーレスカメラが動体撮影に不向きとはいえません。

20180221_y-koba6 (5)↑動体の撮影ではAFや連写性能のほか、ファインダーの見やすさが重要なポイントになります

 

6●一眼レフカメラよりもミラーレスカメラのほうが携帯性に優れる(……とは限らない!)

ミラーレスカメラは一眼レフカメラとは異なり、ミラーボックスや光学ファインダーを搭載していないため、ボディを小型軽量に設計できることが大きな利点です。携帯性重視なら、一眼レフカメラよりもミラーレスカメラのほうが有利なことは間違いありません。ただし、開放値の明るい大口径ズームといった高価なレンズは、ミラーレス用でもそれなりに大きく重くなります。レンズも含めたサイズと重量では一眼レフと大差ない、といったケースもあります。

20180221_y-koba6 (6)↑ミラーレス用のソニー「FE 24-70mm F2.8 GM」は886gという重量級の標準ズーム。同スペックの一眼レフ用標準ズームに比べて特に小型軽量とはいえません

 

7●最新モデルのほうが性能がいい(……とは限らない!)

デジカメの各種技術は日々進化しており、基本的には旧機種よりも新機種のほうが高性能になります。ただし、その進化のスピードが落ち着いてきているのも事実。数年前に発売された型落ちのモデルでも、最新モデルに比べて画質やスピードはほとんど変わらず、いくつかの機能を追加しただけ、というケースも見られます。新機能にこだわりがなければ、お買い得な旧製品を狙ってみるのもいいでしょう。

20180221_y-koba6 (7)↑2015年発売のオリンパス「E-M10 Mark II」は、すでに後継機「E-M10 Mark III」が登場したため旧機種となりましたが、画質や性能が大きく劣るわけではありません

 

8●高感度性能が高いカメラがあればストロボは必要ない(……とは限らない!)

最近のデジカメは高感度性能に優れています。感度を高く設定すれば、薄暗いシーンでもストロボを使わずに撮ることが可能。ただ、だからといってストロボが不要とはいえません。ストロボには、被写体を明るく照らすだけでなく、被写体本来の美しい色合いを引き出す働きや、瞬間光によって動きを写し止めるといった効果もあります。

20180221_y-koba6 (8)↑こうした逆光のシーンでは、ストロボを強制発光させることで影になった部分を明るく再現し、被写体本来の鮮やかな色彩を引き出せます

 

9●手ブレ補正機能搭載のカメラがあれば三脚は必要ない(……とは限らない!)

最近の多くのデジカメは手ブレ補正機能を備えています。手ブレ補正を利用すれば、三脚を使わず、夕景や夜景を手持ちで撮ることも可能で、その点をセールスポイントに挙げるカメラも少なくありません。しかし、すべての撮影で三脚が不要になるかというと、そうではありません。三脚にはブレ防止だけでなく、画面を安定させ、狙いどおりの構図で撮るという働きがあります。また、10秒を超えるような長時間露光でも必須です。

20180221_y-koba6 (9)↑星空などの長時間露光や比較明合成、タイムラプス撮影などでは三脚が欠かせません

 

【レンズ編】

10●ズーム倍率は高いほどいい(……とは限らない!)

ズーム倍率の高いレンズは、レンズ交換の手間を省けるという大きなメリットがあります。ただし、ズーム倍率が高いほどレンズの開放F値は暗くなる傾向があり、手ブレや被写体ブレには要注意です。加えて、高倍率になるほどシャープネスや周辺画質が低下する傾向もあります。

20180221_y-koba6 (10)↑広角から望遠までを1本に集約した高倍率ズームは、抜群の利便性を誇りますが、その代わり、画質や開放値に物足りなさを感じる場合もあります

 

11●レンズの開放F値は明るいほどいい(……とは限らない!)

レンズの開放F値は明るい(数値が小さい)ほど、より速いシャッター速度が使えたり、より大きなボケを表現できたりするメリットがあります。ただし、明るいほどレンズのサイズは大きくなり、重量は重くなりがちです。

20180221_y-koba6 (11)↑開放値の明るいレンズでは、こうしたボケの表現が楽します。その代わり、レンズのサイズや重量はアップします

 

12●レンズの最短撮影距離は短いほうが接写に強い(……とは限らない!)

交換レンズのスペックに「最短撮影距離」というものがあります。これはセンサー面から、ピントが合う被写体までの最も短い距離のこと。数値が小さいほど接写に有利です。ただし、接写の強さは、最短撮影距離だけでは決まりません。例えば、最短撮影距離が20cmの広角レンズよりも、最短撮影距離が35cmの標準レンズのほうが被写体を大きく写せます。レンズの接写性能を知るには、どれくらい大きく写せるかの倍率を示す「最大撮影倍率」をチェックすべきです。

20180221_y-koba6 (12)↑こうした近接を楽しみたい場合は、「最大撮影倍率」の大きなレンズを選択しましょう

 

13●サードパーティ製のレンズは純正レンズよりも性能が低い(……とは限らない!)

サードパーティ製のレンズといえば比較的求めやすい価格が魅力ですが、性能面は純正レンズに見劣りする、と考えている人がいるかもしれません。しかし近年は、純正レンズと遜色ない高性能なサードパーティ製レンズも増えています。安かろう悪かろうは昔の話。純正か非純正かにこだわらず、自分の撮影スタイルに適したレンズを選ぶといいでしょう。

20180221_y-koba6 (13)↑サードパーティ製レンズは、純正レンズにはない焦点距離と開放値を備えていることも大きな魅力です

 

14●最初はとりあえずレンズキットを買えばいい(……とは限らない!)

初めて一眼レフやミラーレスを購入する際は、標準ズームなどが付属するレンズキットを選ぶのが無難です。キット付属の標準ズームは、幅広い用途に使いやすい焦点距離をカバーしたうえで、小さくて軽く、画質的にも十分なレベル。コストパフォーマンスは非常に高いといえます。ただし安価かつ便利な反面、写真が平凡になりやすいという弱点もあります。実用性の追求ではなく趣味として写真撮影を楽しみたいのであれば、キットレンズではなく、広角または標準の単焦点レンズから入門するのもおすすめです。

20180221_y-koba6 (14)↑開放値F1.4の50mm単焦点レンズで撮影。こうした奥行きのあるボケ表現は、キットレンズではなかなか味わえません

 

15●カメラは古くなるが、レンズは一生使える(……とは限らない!)

カメラのボディに比べると交換レンズは製品寿命が長く、「レンズは一生もの」といわれることがあります。確かに、しっかりとした作りの高級レンズは、長く使い続けることができます。ただ一方で、最近のレンズはAFや手ブレ補正用のモーターや電子回路などが凝縮されたデジタル機器です。シンプルな構造を持つフィルム時代のMFレンズに比べると耐用年数(法定上の意味ではない実質的な年数)は短く、さすがに一生使い続けるのは困難でしょう。

20180221_y-koba6 (15)↑フィルム時代のMFレンズは、構造が比較的シンプルな光学製品です。AFや手ブレ補正といった機能はありませんが、たとえボディを買い替えても長く使い続けることができます

 

以上が、カメラ初心者が購入時に気をつけたい誤解です。カメラ選びに、絶対にこうしなければならないというルールはありません。固定観念にとらわれず、自分に合ったカメラとレンズを見つけてください。

 

ハイブリッドミラーレス一眼は仕事カメラの最適解!? 「LUMIX GH5」導入1か月レポ

ウェブ界隈では昨今、動画の需要が急速に拡大しています。浮き沈みの激しいこの業界、我々ゲットナビウェブも早急に取り組まねば……ということで、新しい編集部カメラを導入することになりました。それが、動画撮影機能に定評のあるパナソニックのハイブリッド一眼「LUMIX GH5」です。

 

パナソニックといえば、昨年11月に静止画のフラッグシップモデル「LUMIX G9 PRO」を、そして今年1月には動画機能と高感度性能を強化した「LUMIX GH5S」を立て続けに発表し、急速にミラーレス一眼のハイエンドラインナップを充実させています。その原点とも言うべき存在が本モデル。せっかくこれだけの名機を導入したからには、レビューしないわけにはいきません!

 

【今回紹介するアイテム】

20180201_y-koba2_01

パナソニック
LUMIX GH5
実売価格24万5520円(ボディ/2018年2月時点)

有効約2033万画素のローパスフィルターレスセンサーを搭載し、写真画質と動画記録を高い次元で両立するハイブリッド一眼。ボディ内5軸手ブレ補正とレンズ内2軸手ブレ補正を組み合わせる「Dual I . S . 2」や4K60pの動画記録、約18メガ・秒間30コマ高速連写が可能な「6Kフォト」など、ハイレベルな機能を多数搭載しています。

SPEC●撮像素子:有効約2033万画素4/3型センサー ●レンズマウント:マイクロフォーサーズ ●モニター:3.2型、約162万ドット ●サイズ/本体質量:W138.5×H98.1×D87.4㎜/約725g

20180206_y-koba10 (4)↑背面モニターは従来機・GH4から視認性の向上と省電力化の両方を実現。バリアングル式のため、ロー/ハイアングル撮影が手軽に行えます

 

20180206_y-koba10 (3)↑背面のファインダー横に搭載されたジョイスティックで、直感的にフォーカスエリアの選択が可能。ファインダーも約368万ドットと高精細で、視認性は抜群!

 

取材カメラとしての実用度は? 撮影条件の厳しい「発表会」を想定して試してみた

まず気になるのは、編集部カメラとして取材撮影で実用的か、という点。もちろん、GH5の性能の高さは疑うべくもないのですが、主な使用場面として想定される発表会などは光量の少ない屋内であることが多く、通常撮影で高性能だからといって手放しで受け入れるわけにはいきません。

 

そこで、昨年末よりゲットナビチームに加わった我妻カメラマンに実際に使ってもらうことにしました。舞台は1月某日に開催された、ゲットナビの新年会。新年会ということで開催はもちろん夜、しかも会場の照明が控えめな落ち着いた雰囲気です。大勢の参加者の手前、ライティングの自由はきかず、カメラの実写にはなかなかに厳しい条件。ここで十分な結果が得られれば、たいていの取材現場で実用的だと証明できるでしょう。

20180206_y-koba7_1_2↑こちらが会場となったカフェ。雰囲気は申し分なしなのですが、カメラ的にはやや厳しい条件です

 

実際、ブレないよう撮影するために、カメラの感度をノイズが心配になるISO1600まで上げる必要がありました。しかしながら、製品発表時に「LUMIX史上最高画質」を謳った実力はダテではありません! ISO1600ともなると、さすがにノイズも見られますが、それが目立ちすぎず自然な仕上がりとなっています。マイクロフォーサーズ機としては十分以上に健闘していると言えるでしょう。

20180206_y-koba7_2_2↑ISO1600という高感度ながら、ワインボトルのラベルの細かな文字を拡大しても問題ないレベルで精細に描写。「GH5の場合は高感度ノイズを無理に抑え込むのではなく、破綻のない自然な描写に近づけている印象です」(我妻)

 

20180206_y-koba7_3_2↑会場のテーブルには美味しそうな料理がずらり。「立食形式の人ごみのなかでも、バリアングル液晶を活用することで、邪魔にならないよう自然な体勢で撮影できました」(我妻)

 

人が入れ替わり立ち替わり登壇した会場前方のプロジェクター付近では、シャッター速度5段分を誇るボディ内手ブレ補正と高速AFが真価を発揮。特にAFはスポーツや電車といった動きモノ撮影で話題にされがちですが、こうした暗所での反応も重要な評価ポイントです。

20180206_y-koba7_4_2↑「ベストなアングルを探して動き回りながらの撮影となったので、ピタッと止まる手ブレ補正と、AFのレスポンスの速さに助けられました」(我妻)という言葉どおり、輝かしい未来を見据える(?)我らがゲットナビウェブ編集長の横顔をきっちり捉えています

 

GH5の使い勝手について我妻カメラマンに聞いたところ、ファインダーを覗きながら親指の操作だけでフォーカスエリアの選択ができるジョイスティックの操作性が想像以上に便利だったとのこと。加えて、RAWデータのクセのなさも気に入ったようで、「例えば色をもちあげても破綻が少なく、後処理を前提に撮影することの多い職業カメラマンにとっては非常にありがたい」と語ります。

 

そのほか、SDカードのダブルスロットや防塵防滴ボディ、ホールドしやすい大きなグリップなど、ハイエンド機ならではの信頼性の高さも本モデルのウリ。本格的な趣味撮影はもちろん、仕事機としても納得の1台と言えそうです。

 

4Kだけじゃない! 基本仕様が充実しすぎな動画機能

新年会では試せませんでしたが、ここからは肝心の動画機能についても少し触れておきたいと思います。

 

GH5の動画機能といえば、高品位かつ滑らかな「4K/60p記録」や、圧倒的な階調表現を誇る「4K HDR撮影」、多くの色情報を持つ「4:2:2 10bit記録」などがまっさきに挙げられるでしょう。

 

……が、こうした記録形式の話に終始してしまうのはもったいない! GH5は動画を脇役ではなく主役の1つに備えたという点で、「基本機能」こそ注目すべきカメラなのです。ということで、ここからは動画カメラマンとしての実務経験もある我妻カメラマンに、実際に使ってわかったGH5の“地味スゴ”動画機能をピックアップしてもらいました。

 

①クイックメニューから簡単に撮影設定が行える!

一般的な一眼カメラは静止画メインにつくられているため、動画の設定が深い階層に埋もれがち。その点、GH5は各種設定が静止画同様クイックメニューからすばやく行えるうえ、動画記録中の設定変更にも対応します。地味なようで、普通はいちいちメニュー画面から設定する手間を考えると撮影時の利便性は雲泥の差です。

20180206_y-koba10 (10)↑記録形式やフォトスタイルなどをクイックメニューからすぐに呼び出すことが可能。フォトスタイルで、映像制作のスタンダード「709ライク」に対応した点も動画経験者にはうれしいトピック

 

②ハイスピード撮影が楽しい!

記録フレームレートを手軽に変更できるVFR(バリアブルフレームレート)機能を搭載。記録フレームレートを基準より高くすることで、ドラマッチなスローモーション映像になり、逆に基準より低くすることでコミカルなクイックモーション映像を得ることができます。同様の機能を備えたカメラはほかにもありますが、本機はメニューの比較的浅い階層にこの設定が用意されているというのもポイント。

 

③動画版ISO感度を設定できる!

ちょっとユニークところでは、静止画とは別に動画の感度設定が可能な点が挙げられます。静止画メインでたまに動画も撮る、という人にとっては「ふ~ん」という感じですが、動画カメラをメインで使っている人には地味にありがたい仕様なんだとか。

20180206_y-koba10 (9)↑こちらは静止画でのISO感度設定画面ですが、動画の設定と区別するため、わざわざ「(写真)」という表示が。これは珍しい!

 

そのほか、映画でよく使われる「アナモフィックレンズ」という特殊なレンズにも対応。動画カメラマンであれば、これまでのレンズ資産を有効活用することができます。

 

一方、気になった点としては、我妻カメラマン曰く「動画撮影時にバッテリー消費が激しいところ」だそう。高機能なぶん致し方ないところかもしれませんが、予備のバッテリーは複数本用意したほうがよさそうです。

 

やっぱり自分でも使ってみたい! 気になる独自機能も試してみた

ここまでいろいろと我妻カメラマンに試してもらいましたが、編集部カメラということは自分たち編集部員も使いこなす必要があります。そこで、僭越ながら編集部を代表して筆者が実際に使ってみることに。……とはいえ、GH5はハイエンド機。意気揚々と撮影に出かけたものの、「操作がわかりませんでしたッ!!」ではシャレにならんぞ……という不安にかられます。

 

ところが、そんな心配はどこへやら、GH5は極めて直感的に操作ができました。メニューのUIもシンプルでとってもわかりやすい!

20180206_y-koba7_05↑ボディがガッチリしているとはいえ、同クラスの一眼レフカメラに比べると圧倒的に小型・軽量。歩き疲れしにくいので、街スナップにもぴったりです

 

20180206_y-koba10 (6)↑メニュー画面上でDISP.ボタンを押すと、その項目の解説を表示可能。このクラスのカメラを使う人であれば使用頻度は少ないかもしれませんが、こうした親切仕様はなんだかうれしくなります

 

さて、操作に慣れてきたところで、ここからはGH5の独自機能を試してみたいと思います。

 

まずは、パナソニックが誇る超高速連写「4Kフォト」をさらにパワーアップさせた「6Kフォト」機能です。秒間30コマの高速連写はそのままに、約18メガ(4Kフォト比で約2.25倍)の高品質画像を切り出せるよう進化。解像度がアップしたことで、これまでは難しかったA1相当サイズでの印刷や、大胆なトリミングにも耐えられるようになりました。

20180206_y-koba7_11_2↑6Kフォト機能で、物陰から現れた電車を狙いどおりのタイミングで捉えることに成功。やや離れた位置からの撮影だったので、編集時に不要な背景部分除去すべくトリミングしましたが、解像度に問題は見られません

 

通常撮影から6Kフォトへは、天面のドライブモードダイヤルですばやく切り替え可能。再生画面でも、1回の6Kフォトで撮影された画像はひとまとめに表示されるので、再生画面が膨大な数の似た画像で埋まってしまうということはありません。

20180206_y-koba10 (2)↑6Kフォトや連写、後述の「フォーカスセレクト」機能は、天面のドライブモードダイヤルで設定可能。「ここは6Kフォトで!」と思った瞬間に切り替え可能なので、シャッターチャンスを逃しません!

 

続いて、とてもユニークな「フォーカスセレクト」機能を使った撮影に挑戦。これは、「撮影したあとにフォーカス位置(ピントが合っている位置)を選べる」という、なんとも不思議な機能です。何はともあれ、次の3枚の写真をご覧ください。

20180206_y-koba15 (1)

20180206_y-koba15 (2)

20180206_y-koba15 (3)↑上から、手前の白い花、ピンクの花、背景にそれぞれにピントが合っています。しかし、シャッターを切ったのは一度だけ!

 

このように、ピント位置の違う写真を一度のシャッターで撮影できるのが、フォーカスセレクト機能なのです! フォーカスポイントに迷ったときも、とりあえずこの機能で撮影しておけば、あとからじっくり選ぶことが可能。また、ピント位置の異なる複数の写真を合成してピントの合った範囲を広げる「フォーカス合成」という機能にも対応します。

 

導入したばかりなのでまだまだこれから、というところですが、ここ数日使っただけでもそのポテンシャルの高さを身をもって知ることができました。写真も静止画もワンランク上の機能を持つこのGH5とともに、このウェブ業界の荒波を乗り越えていく所存です!

 

 

キヤノンのミラーレス一眼「EOS M」を大解剖! 初級機/中級機/上級機はどう違う?

キヤノンはミラーレスカメラへの参入がかなり遅かったが、最近は意欲的な製品を投入し、シェアを拡大中だ。特徴は、カメラとしての基本部分を同社の一眼レフから継承していること。4Kや無音シャッターに対応したモデルがまだないなど、機能面ではやや物足りなさもあるが、安定感のある画質や洗練された操作性など、実際に使うとわかる魅力は少なくない。そこでここでは、そうしたキヤノンのミラーレス一眼の代表機種を上級、中級、初級にわけて紹介。それらの特徴について解説する。

 

【上級機】3.2型の大型モニターと高精細EVFを備えた高機能モデル

↑●撮像素子:22.3×14.9㎜、有効約2420万画素CMOSセンサー ●背面モニター:3.2型約162万ドット、チルト式タッチパネル ●シャッター速度:1/4000~30秒、バルブ ●サイズ:115.6×89.2×60.6㎜ ●質量:約427g ●参考価格/12万1500円(ボディ)

キヤノン
EOS M5
実売価格(2018年1月時点):10万6740円(ボディ)

キヤノンの上級機である「EOS M5」は、EOS Mシリーズで初めてEVFを標準装備した高機能モデル。一眼レフを一回り小型化したようなデザインを採用し、下方向に最大180度動くチルト式の液晶モニターを搭載。高速AFや最高9コマ/ 秒の連写にも対応する。

●撮像素子:22.3×14.9㎜、有効約2420万画素CMOSセンサー ●背面モニター:3.2型約162万ドット、チルト式タッチパネル ●シャッター速度:1/4000~30秒、バルブ ●サイズ:115.6×89.2×60.6㎜ ●質量:約427g

↑センサーはAPS-Cサイズで、マウントは独自のEF-Mマウントを採用。アダプターを用意することで、豊富なEF/EF-Sレンズが使用可能になる

センサーはAPS-Cサイズで、マウントは独自のEF-Mマウントを採用。アダプターを用意することで、同社が一眼レフ用として展開する豊富なEF/EF-Sレンズも使用可能になる。

 

↑0.39型/約236万ドットのEVFを搭載。EVFをのぞいた状態で液晶モニターをなぞると測距点を動かせる「タッチ&ドラッグAF」にも対応している

0.39型/約236万ドットのEVFを搭載。EVFをのぞいた状態で、液晶モニターをなぞって測距点を動かせる「タッチ&ドラッグAF」にも対応しており、直感的かつ正確なピント合わせが可能だ。

 

↑天面には2つの電子ダイヤルと露出補正ダイヤルを装備。感度やホワイトバランスなどもダイヤルを回すことでスムーズに変更できる

天面には2つの電子ダイヤルと露出補正ダイヤルを装備。感度やホワイトバランスなどもダイヤルを回すことでスムーズに変更できる。

 

【中級機】EVFをオプションにしてさらなる小型軽量化を実現

 

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キヤノン
EOS M6
実売価格(2018年1月時点):9万6660円(ボディ)

一足先に発売された上位機EOS M5の画質と主要機能を継承しつつ、EVFを外付けのオプションにすることで、いっそうの小型軽量化を実現した中級機が「EOS M6」だ。露出補正ダイヤルの同軸上にサブ電子ダイヤルを備えるなど、高機能がシンプルに整理されている。外装は主に樹脂素材で、グリップ部には表面にシボ処理を施したラバーを採用。カラーバリエーションは、シルバーとブラックの2モデルを用意。

● 撮像素子:22.3×14.9㎜、有効約2420万画素CMOSセンサー ●背面モニター:3型約104万ドット、チルト式タッチパネル ●シャッター速度:1/4000~30秒、バルブ ●サイズ:112×68×44.5㎜ ●質量:約390g

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液晶はチルト可動式で、自分撮りやロー/ハイアングル撮影に対応。背面にファインダーのでっぱりがないぶん、小さなバッグでも気軽に持ち運ぶことができる。

 

↑液晶はチルト可動式で、自分撮りやロー/ハイアングル撮影に対応。外付けEVFとして円筒形デザインの「EVFDC2」などを使用できる

状況によってはファインダー撮影も行いたいというユーザー向けに、外付けEVFとして円筒形デザインの「EVF-DC2」(実売価格2万1770円/2018年1月時点)などを用意。

 

【初級機】コスパ良し! 自分好みにコーディネートできる薄型軽量機

↑ホワイト、ブラック、グレーの3色のボディカラーが用意され、別売の9種類の専用フェイスジャケットと組み合わせることでで27通りのカラーバリエーションが楽しめる。約180°チルト液晶&自分撮りモードで自分撮りが快適に行えるほか、BluetoothやWi-Fiでスマートフォンと連携でき、SNSへの投稿も簡単

キヤノン
EOS M100
実売価格(2018年1月時点):5万1650円

EOS M100は、シンプルさを追求した小型軽量ボディとフェイスジャケットによる豊富なデザインが大きな魅力。上位モデルと比べると、連写性能など一部の機能はやや控えめだが、センサーや画像処理エンジンはEOS M5、M6と同等のものを搭載する。それでいて、価格はかなり抑えられている点もメリットだ。

●撮像素子22.3×14.9mm、有効約2420万画素CMOSセンサー ●背面モニター:3型約104万ドット、チルト式タッチパネル ●シャッター速度:1/4000~30秒、バルブ ●サイズ:108.2×67.1×35.1mm ●質量:約302g

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ホワイト、ブラック、グレーの3色のボディカラーが用意され、別売の9種類の専用フェイスジャケットと組み合わせることで27通りのカラーバリエーションが楽しめる。

 

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上方向に約180°チルトする液晶や自分撮りモードによって、自分撮りが快適に行える。Bluetoothでスマホと常時接続することにより、スマホへの転送も簡単だ。

 

【キヤノン ミラーレス一眼・5つの特徴】高速AFと直感操作のタッチパネルが魅力

最近のEOS Mシリーズは、独自の「デュアルピクセル CMOS AF」に対応。従来機の弱点だったAF速度を改善し、快適なフォーカス駆動を実現している。操作面では、全モデルがタッチパネルを備え、各種設定を直感的に調整できる点や、中級機以上は一眼レフ風のダイヤル操作を採用している点が特徴といえる。手ブレ補正についてはレンズ側での対応となる。

 

■特徴1/高速AF

現行モデルの多くはキヤノンが誇る独自機能「デュアルピクセル CMOS AF」に対応。これはCMOSセンサーの画素1つ1つを独立した2つのフォトダイオードで構成し、全画素の情報を位相差AFに利用する技術だ。これによってシーンの明るさや動きの有無を問わず、素早いAF駆動が行える。

↑「デュアルピクセル CMOS AF」では、すべての画素が位相差AFセンサーとして機能する。撮像面の80×80%の範囲で高速AFが作動

「デュアルピクセル CMOS AF」では、すべての画素が位相差AFセンサーとして機能する。

 

↑従来の「ハイブリッドCMOS AF」では、CMOSセンサー上に位相差AF画素を配置。測距点の範囲でも測距スピードでも不利になる

一方、従来の「ハイブリッドCMOS AF」では、CMOSセンサー上に撮像用画素とは別に位相差AF画素を配置していた。そのため、測距点の範囲でも測距スピードでも不利になる。

↑動きの速い被写体ながら「デュアルピクセル CMOS AF」によって狙いどおりの位置に合焦。使っていて気持ちよく感じるAF性能だ。80ミリ相当 シャッター優先オート(F5.6 1/800秒)ISO800 WB:日陰↑動きの速い被写体ながら、「デュアルピクセル CMOS AF」によって狙いどおりの位置に合焦。使っていて気持ちよく感じるAF性能だ。80mm相当 シャッター優先オート(F5.6 1/800秒)ISO800 WB:日陰

 

■特徴2/タッチAF

EOS Mシリーズは初代機からすべての製品がタッチAFに対応。タッチした位置にピントを合わせ、そのままシャッターを切ることができる。特に、シャッターボタンに指が届きにくくなる自分撮りの際に役立つ機能といっていい。また各種の機能選択や再生コマ送りの操作もタッチパネルで行える。

↑タッチ操作の感度は「標準/ 敏感/しない」から選べる。タッチAFをオフにして、測距点の選択のみにタッチ操作を使うことも可能だ

タッチ操作の感度は「標準/ 敏感/しない」から選べる。タッチAFをオフにして、測距点の選択のみにタッチ操作を使うことも可能だ。

 ↑被写界深度が極めて浅いF1.8での接写だったが、タッチパネルを利用することで目の部分に確実にピントを合わせることができた。80ミリ相当 シャッター優先オート(F1.8 1/200秒) ISO800 WB:オート↑被写界深度が極めて浅いF1.8での接写だったが、タッチパネルを利用することで目の部分に確実にピントを合わせることができた。80mm相当 シャッター優先オート(F1.8 1/200秒) ISO800 WB:オート

 

■特徴3/ダイヤル操作

EOS M6やEOS M5は天面に2つの電子ダイヤルと露出補正ダイヤルを装備。絞りとシャッター速度、露出補正をダイレクトに調整できる。電源の状態を問わず、露出補正の設定値が瞬時にわかるのも便利だ。

 

■特徴4/手ブレ補正

EOS Mシリーズの手ブレ補正は、レンズシフト式でセンサーシフト式対応のモデルは存在しない。そのぶんボディが小型軽量となっているが、EOS M6とM5では電子式の5軸手ブレ補正を採用。安定感の高い動画撮影が楽しめる。

 

■特徴5/クリエイティブアシスト

クリエイティブアシストは、絞りや露出補正、ホワイトバランスなどの撮影用語を「ぼかす~くっきり」「暗く~明るく」「寒色~暖色」などの言葉に置き換えて、ビギナーでもさまざまな機能設定が簡単にできるように配慮したモード。これなら、カメラ初心者でも手軽に設定ができる。各項目はタッチ操作によるスムーズな調整が可能だ。

↑「すっきり~鮮やか」のスライダーを指でなぞると彩度調整ができるなど、ビギナーにも優しいインターフェイスを採用している

「すっきり~鮮やか」のスライダーを指でなぞると彩度調整ができるなど、ビギナーにも優しいインターフェイスを採用している。

↑クリエイティブアシストを選び、コントラスト+4で撮影。道路の文字や質感が強調され、平凡な風景ながら印象の強い写真になった。83.2ミリ相当 プログラムオート(F5.6 1/80秒) ISO250 WB:オート↑クリエイティブアシストを選び、コントラスト+4で撮影。道路の文字や質感が強調され、平凡な風景ながら印象の強い写真になった。83.2mm相当 プログラムオート(F5.6 1/80秒) ISO250 WB:オート

すべてを極めた3代目「α7RⅢ」に死角なし!! 驚愕のフルサイズミラーレスを7000字、作例18枚でレビュー

ソニーの35mm判フルサイズミラーレス一眼“α7シリーズ”のカメラは、いくつかのタイプに分類される。スタンダードタイプの「α7」。画素数を抑えて高感度性能を追求した「α7S」。そして、高画素タイプの「α7R」。この3タイプに分かれる。いずれのタイプも、2代目の製品が登場している(製品名の最後に「Ⅱ」が付く)。今回紹介する「α7RⅢ」は、高画素タイプ「α7R」の3代目モデルになる。

20180129_y-koba2 (37)↑今回使用した、標準ズームとのセット「α7RⅢ+FE 24-105mm F4 G OSS」と、望遠ズーム「FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSS」。ミニマムながら、いろんな撮影に対応できる組み合わせである。ボディ単体の参考価格は39万9470円(2018年1月時点)

 

センサー画素数は2代目と同じ有効約4240万画素(同じく裏面照射型CMOSセンサー)だが、これまでのα7シリーズに欠けていた高速連写性能を高めたモデルへと進化。その最高速度は「約10コマ/秒」で、従来のα7シリーズの「約5コマ/秒」を大きく凌駕している(α7Rのみ4コマ/秒)。高解像と高速性能の両立――それがα7RⅢの最大の特徴だ。

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ボディデザインは、2代目の各α7モデルを踏襲。より高い高速性能を持つα9のようなドライブモードダイヤルは装備していない。だが、背面にはα9と同様のマルチセレクター(ジョイスティック状の操作パーツ)を装備するなど、細かな部分で操作性が向上している。

20180129_y-koba2 (5)↑従来のα7シリーズには、シンクロターミナルが備わっていなかったが、α7RⅢではしっかり装備(α9にも装備されている)

 

20180129_y-koba2 (6)↑正面から見ると、ほとんどα7RⅡと見分けが付かない(グリップ部の上部は微妙に違うが)。背面の端を見ると、そこにある小さな銘板でα7RⅡとα7RⅢの違いがわかる

 

約4240万画素で最高約10コマ/秒だと!? 「高画素」と「高速連写」をハイレベルで両立

今回のα7RⅢは、新開発のシャッターチャージユニットや、画像処理システムの刷新により、有効約4240万画素の高画素モデルでありながら「AF/AE追従で最高約10コマ/秒」という高速連写を実現している。そして、同社の超高速モデルのα9(AF/AE追従で最高約20コマ/秒)に搭載される新AFアルゴリズムを本機用に最適化。画像処理システムの刷新もあって、AFの速度や精度、AF追随性能が飛躍的に向上している。

 

ただし、どんなに高速で連写できても、連続撮影枚数が少ないと、あまり実用的とは言えない。その点、α7RⅢでは、バッファーメモリーの大容量化や内部処理システムの高速化、UHSスピードクラス「UHS-Ⅱ」の採用などにより、JPEG時・圧縮RAW時で最大76枚、非圧縮RAW時で約28枚という連写持続性能を実現した(いずれも連続撮影モード「Hi+」時。UHS-ⅡI対応SDXCメモリーカード使用時)。これだけあれば、通常の撮影で不満を感じることはないだろう。

 

また、データ書き込み中の操作性も向上している。連続撮影後のメモリーカード書き込み中でも、Fn(ファンクション)メニュー上から撮影設定が変更でき、メニュー画面へのアクセスや設定変更も可能。さらに、再生画面へのアクセスもでき、連写撮影後すぐに撮影画像の確認に移行できるのだ。書き込み終了までただ待つだけという状況がなくなったことで、よりストレスなく高速連写を使用できる。

20180129_y-koba2 (9)↑最も高速でAF/AE追従連写ができる「連続撮影:Hi+」に設定した状態。ただし、取扱説明書に記載されていた「絞り値がF8より大きいときは[連続撮影:Hi+]、[連続撮影:Hi]、[連続撮影:Mid]での連続撮影中はフォーカスが1枚目の撮影時の位置に固定されます」という記述内容には注意したい

 

次の写真は、始発駅を出発した電車が最初の踏切に差し掛かるところを「連続撮影:Hi+」モードで撮影。スピードあまり速くなくても、目の前を通過する乗り物の動きの変化は大きい。だが、「最高約10コマ/秒」の連写モードで、きめ細かくフォローすることができた。

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20180129_y-koba2 (12)[撮影データ(3枚共通)]ソニー α7RⅢ FE 24-105mm F4 G OSS(24mmで撮影) シャッター優先オート F4 1/2000秒 WB:オート ISO200

 

続いて、こちらに向かってくる特急列車を、同じく「連続撮影:Hi+」モードで撮影。上の写真が1枚目、下の写真が62枚目である。設定画質モードはRAW+JPEG(圧縮RAW、ファイン)。ここでは1枚目と62枚目をセレクトしたが、実際には先頭車両前面が画面から見切れる70数枚目まで途切れることなくスムーズに連写することができた。

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20180129_y-koba2 (14)[撮影データ(2枚共通)]ソニー α7RⅢ FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSS(300mmで撮影) シャッター優先オート F5.6 1/2000秒 WB:オート ISO1600、3200

 

次の作例では、ヘラサギが飛び立つ瞬間を「連続撮影:Hi+」モードで捉えてみた。移動する電車やクルマよりも難易度の高い(一瞬の変化が大きい)被写体だが、まずまずの結果を得ることができた。

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20180129_y-koba2 (17)[撮影データ(3枚共通)]ソニー α7RⅢ FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSS(300mmで撮影) シャッター優先オート F5.6 1/1000秒 -0.3補正 WB:オート ISO3200

 

こちら作例も「連続撮影:Hi+」モードで捉えたなかからの抜粋。こうした細やかな動きの瞬間を切り取ることができるのも、高速連写ならではだ。

20180129_y-koba2 (18)[撮影データ]ソニー α7RⅢ FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSS(300mmで撮影) シャッター優先オート F5.6 1/1000秒 WB:オート ISO2000

 

画像処理システムも一新! より高精細でクリアな描写を実現

α7RⅢで大きく目立つトピックは、先に挙げた高速連写性能であるが、本機の進化点はそれだけではない。

 

有効約4240万画素の35mmフルサイズ裏面照射型CMOSセンサーという点は、従来のα7RⅡと同じである。だが、α7RⅢは従来比(α7RⅡとの比較。以下同)約1.8倍の高速処理を実現した新世代の画像処理エンジン「BIONZ X(ビオンズ エックス)」を搭載。さらに、イメージセンサーからの読み出し速度を約2倍に高速化する新世代フロントエンドLSIも採用している。こういった、画像処理システムの一新により、中感度域で約1段分ノイズを低減し、高解像と低ノイズ性能を両立しているのだ。また、人物撮影における肌の色合いの再現性なども向上させている。

 

さらに、光学式5軸ボディ内手ブレ補正の性能も向上し、世界最高(※本機発表時点の、35mmフルサイズセンサー搭載デジタルカメラとして)5.5段の補正効果を実現。これにより、本機の高解像性能を最大限に引き出すことができる。ちなみに、α7RⅡの補正効果は最高4.5段だった。

 

次の作例は、夕方の赤みを帯びたと影が印象的な、高層ビル群を見上げるように撮影。有効約4240万画素によるビル細部の高精細さや、青空や日陰部分のノイズレスで滑らかな描写が印象的だ。

20180129_y-koba2 (7)[撮影データ]ソニー α7RⅢ FE 24-105mm F4 G OSS(24mmで撮影) 絞り優先オート F11 1/30秒 -0.3補正 WB:オート ISO125

 

こちらは、逆光に映える色づいた木々の葉を撮影。画面内に強烈な太陽を写し込んだが、センサー部のARコーティング(※光の反射を抑え、ゴーストやフレアの発生を最小限に抑える反射防止膜)付きシールガラスの採用や、同じくARコーティングが施されたレンズの性能により、全体的にクリアな描写を得ることができた。

20180129_y-koba2 (8)[撮影データ]ソニー α7RⅢ FE 24-105mm F4 G OSS(24mmで撮影) 絞り優先オート F8 1/125秒 WB:オート ISO100

 

カードスロットもうれしいデュアル化! ただ、ちょっと気になる点も

カードスロットの仕様変更も、α7RⅡからの進化したポイントに挙げられる。シングルからデュアル(ダブル)になり、SDカードスロットとSD/MSカードスロットの2つのメディアスロットを搭載する。そして、2枚のメディア間での、リレー記録、同時記録、RAW/JPEG・静止画/動画の振り分け記録などの選択ができる。もちろん、メディア間のコピーも可能だ。なお、下段(スロット1)のSDカードスロットは、UHSスピードクラス「UHS-Ⅱ」対応なので、該当SDカードを使用すれば、さらに高速に記録できる。

 

スロットのデュアル化はもちろんうれしいのだが、スロット1とスロット2の配置と、メニュー画面上(選択時)のスロット1とスロット2の表示(上下)が逆なのは、ちょっと謎な仕様である。また、メニュー内には「記録メディア選択」とは別に「再生メディア選択」の項目もあるが、個人的には後者の機能は「不要では?」という気がした。記録メディアを選択すれば、再生メディアもそれに準ずる。そして、再生時に切り換えが必要になったら、ボタンやダイヤル操作で一時的に再生メディアを切り換える……という方法で十分だと思う。

20180129_y-koba2 (19)↑上段…ではなく、下段がスロット1で、上段がスロット2。スロット2のほうは、SDカードとメモリースティックデュオの兼用スロットになる

 

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20180129_y-koba2 (21)↑一方、メニュー画面だと、上がスロット1で、下がスロット2。実際のスロットの配置が“上がスロット2、下がスロット1”になったのは内部構造の問題だと思うが(想像だが)、どうも釈然としない

 

20180129_y-koba2 (22)↑「再生スロット選択」機能を実際に使用(選択)してみたが、便利さよりも“煩わしさ”を感じた。まあこれは個人的な感想なので、撮影スタイルによっては、この機能が必要だ、便利だ、と感じる人もいるだろう

 

4枚の画像を合成して解像感に優れた1枚を生成する「ピクセルシフトマルチ撮影」

撮影機能の注目点としては「ピクセルシフトマルチ撮影」の搭載が挙げられる。この撮影機能では、ボディ内手ブレ補正機構を高精度に制御して、イメージセンサーを正確に1画素分ずつずらして計4枚の画像が撮影される。そして、その4枚の画像がもつ約1億6960万画素分の膨大な情報から、解像感に優れた1枚の画像(画素数は通常撮影と同じ約4240万画素)を生成するのである。ただし、α7RⅢ本体では撮影のみが可能で、それを合成して1枚の画像を生成するには、ソニー純正のソフトウェア「Imaging Edge」の「Viewer」「Edit」が必要になる(PC上での作業)。

 

では、ピクセルシフトマルチ撮影の仕組みを簡単にご紹介しよう。本機での通常撮影を含め、ほとんどのデジタルカメラでは、1画素ごとにR・G・Bのうち1色分の色情報を取得し、残りの2色分の色情報は周辺画素の情報から補間処理を行っている。それに対して、ピクセルシフトマルチ撮影では、有効約4240万のすべての画素でR・G・B の全色情報が取得できるので、補間処理をせずに直接合成して画像を生成する。それにより、色モアレ(偽色)の発生を最小限に抑え、より高精細かつ忠実な質感描写が可能になるのだ。

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20180129_y-koba2 (24)↑計4枚の撮影が自動で行われる「ピクセルシフトマルチ撮影」では、その撮影間隔が設定できる

 

正確に1画素分ずつずらした4枚の画像を合成する必要があるため、当然、ピクセルシフトマルチ撮影では三脚使用が不可欠となる。また、被写体にブレが発生すると正しく画像が合成されないので、基本的に“完全に静止している物”が撮影対象。たとえば、建築物や美術品といった被写体である。だが今回は、ちょっと意地悪な発想で(笑)、風などによるブレが想定される屋外風景にあえてチャレンジしてみた。下の写真が、実際にピクセルシフトマルチ撮影で生成したものだ。

20180129_y-koba2 (25)[撮影データ]ソニー α7RⅢ FE 24-105mm F4 G OSS(30mmで撮影) 絞り優先オート(ピクセルシフトマルチ撮影) F8 1/30秒 WB:太陽光 ISO100 三脚

 

では早速、細部を拡大してチェックしていこう。幹の表面は光に変化があって比較しづらいが、幹に取り付けられた案内(説明)板の文字に注目すると、ピクセルシフトマルチ撮影のほうが、高精細でシャープなことがわかる。

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20180129_y-koba2 (27)↑上がピクセルシフトマルチ撮影、下が通常撮影

 

次の部分切り出し比較では、ピクセルシフトマルチ撮影による幹表面の質感のシャープさやリアルさがよくわかる。……と同時に、幹の後ろの“風に揺れる葉”の部分に、不自然な規則的な縞模様が生じているのも確認できる。しかし、これは今回の誤った被写体選択が原因であり(あえてブレたらどうなるかを検証するためだったのだが)、本来の使い方(完全に静止している物を撮る)であれば問題ないはずだ。

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20180129_y-koba2 (29)↑上がピクセルシフトマルチ撮影、下が通常撮影

 

思っていた以上に良好! 高画素機ながら高感度性能も侮れない

高画素モデルで懸念されるのが、高感度域での画質。一般的に、センサーサイズが同じなら、画素数を少なくしたほうが高感度画質は良くなると言われているからだ。確かに、α7シリーズを見ても、高感度画質を重視したα7Sラインのモデル(α7SⅡ、α7S)のセンサーは「有効1220万画素」と、かなり控えめな仕様になっている。

 

だが、高画素センサーモデルだからといって本機の実力は侮れない。α7S並みとはいかなくても、裏面照射構造による高い感度特性やギャップレスオンチップレンズ構造(※集光効率を飛躍的に高める独自構造)、最新のイメージセンサー技術などにより、高い高感度性能を実現している。常用ISO感度の上限はISO32000まで高められ(α7RⅡはISO25600)、高感度域の撮影でも低ノイズな高画質を得ることができるのだ。

20180129_y-koba2 (30)↑ISO感度設定の画面。他モデルと同様、ISOオート時の下限値と上限値が簡単に設定できる点は便利!

 

ここからは、ISO3200以上の高感度時の画質をチェックしていこう。車体の細部(シャープに見える部分)を確認すると、ISO25600まで思った以上に良好。背後の空あたりでノイズ感をチェックすると、感度が1段上がるごとにノイズ感は増してくるが、あまりうるさいことを言わなければ、ISO12800くらいまでは許容できそう。さすがにISO25600になると色ノイズ(主にムラ)が少し目立ってくるし、色再現もわずかに渋くなる。とはいえ、このISO25600の描写に関しても、思っていた以上に良好だった。

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20180129_y-koba2 (34)↑上からISO3200、ISO6400、ISO12800、ISO25600で撮影したもの。[撮影データ(4枚共通)]ソニー α7RⅢ FE 24-105mm F4 G OSS(33mmで撮影) 絞り優先オート F8 WB:カスタム(マニュアル) 三脚

 

次の作例は、画質が重視される風景で、ISO1600で撮影したもの。細部の描写が良好なのはもちろん、フラットな空部分の描写もノイズ感が少なくて良好な仕上がりだ。

20180129_y-koba2 (35)[撮影データ]ソニー α7RⅢ FE 24-105mm F4 G OSS(24mmで撮影) 絞り優先オート F8 1/20秒 -0.3補正 WB:太陽光 ISO1600

 

続いて、画質よりもブレのないシャープな描写が優先される動物スナップでも試してみた。光量に恵まれない日陰(しかも夕方)の撮影だったが、ISO6400に設定したおかげで、1/1000秒の高速シャッターでシャープに写すことができた。画質に関しても、こういう撮影としては十分なレベル。

20180129_y-koba2 (36)[撮影データ]ソニー α7RⅢ FE 70-300mm F4.5-5.6 G OSS(300mmで撮影) シャッター優先オート F5.6 1/1000秒 WB:オート ISO6400

 

【まとめ】シリーズのなかで“最も対応力が高いモデル”

最初に述べたとおり、ソニーの35mm判フルサイズミラーレス一眼「α7シリーズ」は、スタンダードタイプ、画素数を抑えて高感度性能を高めたタイプ、高画素タイプの3つのタイプに分かれている。だが、いずれのタイプも“高速性能”には不満があった(まあ、約5コマ/秒が遅いとは言わないが)。

 

だから、ソニーEマウントユーザーが高速連写をしようと思ったら、最も高価なα9(2018年1月現在の参考価格はボディ単体で51万7010円)か、APS-Cサイズ機のα6500(AF/AE追従で最高約11コマ/秒)などを選ぶ必要があった。

 

だが、今回紹介した“高画素タイプの3代目”のα7RⅢなら、2400万画素台のα9やα6500とはひと味違う高解像な描写が得られ、α6500並の本格的な高速連写も堪能できる。そういう意味では、これまでのα7シリーズのなかで“最も対応力が高いモデル”と言えるだろう。

 

【SPEC】

20180129_y-koba2 (1)

ソニー
α7RⅢ
参考価格39万9470円(ボディ/2018年1月時点)

●撮像素子:35mmフルサイズ、有効約4240万画素CMOSセンサー ●レンズマウント:ソニーEマウント ●ファインダー:0.5型、約369万ドット ●背面モニター:3.0型、約144万ドット(タッチパネル) ●大きさ・重さ:約126.9(幅)×95.6(高さ)×73.7(奥行き)mm・約657g

富士フイルムのミラーレス一眼カメラを完全解説! 初級機/中級機/上級機も比べてみた

富士フイルムのミラーレス一眼は、長年フィルムを製造し続けてきたメーカーだけに、そのノウハウを生かした「フィルムシミュレーション」や、独自のカラーフィルター配列を用いた「X-Trans CMOSセンサー」を採用するなど、独自性が高い。また、光学性能や鏡筒の材質感、操作性にこだわったXマウント交換レンズに魅了されるファンも多い。近年は中判ミラーレスの発売でも注目を集めている。ここでは、そうした富士フイルムのミラーレス一眼の代表機種を、上級・中級・初級にわけて紹介。それらの特徴について解説する。

 

【上級機】像面位相差AFや高精細なEVF採用で快適・確実な撮影を実現

Xシリーズミラーレス一眼の旗艦モデルとなるのが「FUJIFILM X-T2」。2430万画素のAPS-Cサイズセンサー「X-Trans CMOS Ⅲ」を搭載し、卓越した高画質を誇る。高速・高精度な像面位相差AFや高精細なEVFなども採用され、快適で確実な撮影を実現。4K動画撮影にも対応する。

↑●撮像素子:23.6 × 15.6㎜、有効約2430 万画素X-Trans CMOS Ⅲセンサー ●背面モニター:3 型約104 万ドット、3方向チルト式 ●シャッター速度:1/8000 ~ 30秒、バルブ ●サイズ:132.5×91.8×49.2㎜ ●質量:約507g ●参考価格/16万4100円(ボディ)●撮像素子:23.6×15.6㎜、有効約2430万画素X-Trans CMOS Ⅲセンサー ●背面モニター:3 型約104万ドット、3方向チルト式 ●シャッター速度:1/8000~30秒、バルブ ●サイズ:132.5×91.8×49.2㎜ ●質量:約507g ●参考価格(2017年1月現在)/17万8780円(ボディ)

 

↑X-T2のボディ素材には、軽量ながら堅牢性や耐久性に優れるマグネシウム合金が採用されている。防塵・防滴構造も実現している↑X-T2のボディ素材には、軽量ながら堅牢性や耐久性に優れるマグネシウム合金が採用されている。防塵・防滴構造も、上位モデルならではの魅力

 

↑3方向チルト式プレミアムクリア液晶を採用。横位置時は上下チルト、縦位置時は上にチルト。縦横で光軸がズレないのが特徴↑3方向チルト式プレミアムクリア液晶を採用。横位置時は上下チルト、縦位置時は上にチルト。縦横で光軸がズレないのが特徴だ。タッチパネルは非搭載

 

【こちらもおすすめ!】EVFとOVFを切り替えられる「X-Pro2」

↑同社の旗艦モデルの1つ、X-Pro2。EVFとOVFを切り替えて使用できる、エレクトロニックレンジファインダー機。クリアで広いファインダー像が特徴だ

同社のもう1つの旗艦ミラーレス一眼が、X-Pro2。EVFとOVFを切り替えて使用できる、エレクトロニックレンジファインダー機。クリアで広いファインダー像が特徴だ。2018年1月現在の参考価格は21万1550円(ボディ)。

 

【中級機】小型軽量ボディでも写りは上位モデル譲り

同社の中級機「FUJIFILM X-T20」は、小型軽量のボディに、直感的に操作できる各種の専用ダイヤルを配置。上位モデル譲りの2430万画素APS-Cセンサー「X-Trans CMOS Ⅲ」と「X-Processor Pro」を搭載しており、画質的にも遜色はない。4K動画撮影機能にも対応する。

↑●撮像素子:23.6×15.6㎜、有効約2430万画素X-Trans CMOSⅢセンサー●背面モニター:3型約104万ドット、チルト式タッチパネル●シャッター速度:1/8000~30秒、バルブ●サイズ:118.4×82.8×41.4㎜●質量:約383g●参考価格/10万1050円(ボディ)●撮像素子:23.6×15.6㎜、有効約2430万画素X-Trans CMOS Ⅲセンサー ●背面モニター:3型約104万ドット、チルト式タッチパネル ●シャッター速度:1/8000~30秒、バルブ ●サイズ:118.4×82.8×41.4㎜ ●質量:約383g ●参考価格(2018年1月現在)/10万6350円(ボディ)

 

↑静電式タッチパネルの採用により、撮影時に「タッチフォーカス」や「フォーカスエリア選択」、「タッチショット」が可能になった↑X-T2では非搭載の静電式タッチパネルの採用により、撮影時に「タッチフォーカス」や「フォーカスエリア選択」、「タッチショット」が可能になった

 

↑従来の約4倍の処理速度が可能な画像処理エンジン「X-Processor Pro」により、静止画や動画のレスポンス、品質などが大幅に向上↑従来の約4倍の処理速度が可能な画像処理エンジン「X-Processor Pro」により、静止画や動画のレスポンス、品質などが大幅に向上

 

【初級機】初心者でもアクティブに撮影が楽しめる軽量モデル

同社の初級機「FUJIFILM X-A3」は、EVF非採用の小型軽量モデルで、レトロなデザインが大きなウリ。1/32000秒まで対応した電子シャッターを搭載するなど機能が充実しており、自撮りに便利な180度回転チルト液晶モニターも装備する。中・上位モデルと違ってX-Trans CMOSセンサーは非搭載ではあるが、タッチ操作に対応するなど必要十分な機能をもつ。初心者でもアクティブに撮影が楽しめる軽量モデルといえる。

↑X-Trans CMOSセンサー非搭載モデルだが、タッチ操作に対応するなど必要十分な機能を持つ。初心者でもアクティブに撮影が楽しめる軽量モデルだ。●撮像素子:23.5×15.7㎜、有効約2420万画素CMOSセンサー●背面モニター:3型約104万ドット、チルト式タッチパネル●シャッター速度:1/4000 ~ 30秒、バルブ●サイズ:116.9×66.9×40.4㎜●質量:約339g●参考価格/6万8300円(レンズキット)●撮像素子:23.5×15.7㎜、有効約2420万画素CMOSセンサー ●背面モニター:3型約104万ドット、チルト式タッチパネル ●シャッター速度:1/4000 ~ 30秒、バルブ ●サイズ:116.9×66.9×40.4㎜ ●質量:約339g ●参考価格(2018年1月現在)/8万460円(レンズキット)

 

【富士フイルム一眼・5つの特徴】独自センサーにより精細で色再現に優れる

富士フイルムのデジタルカメラは、以前から独自センサーを用いることで、同社ならではの写りや高感度性能を実現してきた。Xシリーズのミラーレスカメラも同様で、最近のカメラでは「X-Trans CMOS Ⅲ」が用いられている。また、写真用フィルムの特徴をデジタル写真の仕上がりにフィードバックした「フィルムシミュレーション」なども魅力となっている。

 

■特徴1/独自センサー

中・上級モデルには、独自の「X-Trans CMOS Ⅲ」を採用する。このタイプのセンサーの特徴は、非周期性の高い(周期パターンを複雑化した)カラーフィルター配列を採用している点。通常のセンサーはローパスフィルターでモアレや偽色を低減するが、若干解像力が低下してしまう。その点、このセンサーなら光学フィルターなしでもモアレや偽色を抑制でき、センサーの解像度を限界まで引き出すことができる。

↑X-Trans CMOS Ⅲの断面。上から、マイクロレンズ、X-Transカラーフィルター、遮光層、位相差画素、フォトダイオードという構造↑X-Trans CMOS Ⅲの断面。上から、マイクロレンズ、X-Transカラーフィルター、遮光層、位相差画素、フォトダイオードという構造

 

↑実際の画素数を上回る高い解像力が得られる「X-Trans CMOSⅢ」センサー。従来比約2倍の高速読み出しで、AFや連写性能に貢献↑実際の画素数を上回る高い解像力が得られる「X-Trans CMOS Ⅲ」センサー。従来比約2倍の高速読み出しで、AFや連写性能に貢献

 

↑X-T20で撮影。F16まで絞ったため、小絞りボケによる画像劣化が懸念されるが、「点像復元」機能の搭載もあり、高精細に写せた。29ミリ相当 絞り優先オート(F16 1/85秒)+0.3補正 WB:オート↑全体をシャープに写すために絞り値を大きくしていくと、逆に解像力の低下したねむい画質になってしまう場合がある。X-T20は、こうした画質劣化をデジタル画像処理によって改善する「点像復元機能」を搭載。この作例でもF16まで絞ったが、高精細に写せた。29mm相当 絞り優先オート(F16 1/85秒)+0.3補正 WB:オート

 

■特徴2/フィルムシミュレーション

富士フイルムは、PROVIA、Velvia、ASTIA、といったカラーリバーサルフィルムを作り続けてきた。それらの色や階調を再現した描写が得られる仕上がり設定が「フィルムシミュレーション」。カラーネガやモノクロのフィルムなどを想定した設定も用意されている。

↑具体的なフィルム名で仕上がりが選べる。フィルムの特徴を生かした描写は同社ならでは↑具体的なフィルム名で仕上がりが選べる。フィルムの特徴を生かした描写は同社ならではだ

 

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↑写真上から、自然な仕上がりのプロビア、、色鮮やかに仕上がるベルビア、モノクロフィルムのアクロスで撮影。フィルムカメラでは、被写体や撮影シーン、また自分の好みや作画意図でフィルム銘柄を使い分けていたが、「フィルムシミュレーション」はそんな感覚で使える↑写真上から、自然な仕上がりのプロビア、色鮮やかに仕上がるベルビア、モノクロフィルム風のアクロスで撮影。フィルムカメラでは、被写体や撮影シーン、また自分の好みや作画意図でフィルム銘柄を使い分けていたが、「フィルムシミュレーション」もそのような感覚で使える

 

■特徴3/専用操作ダイヤル

機能ごとの専用操作ダイヤルを装備している点も、Xシリーズの特徴だ(X-A3は除く)。右手側にはシャッタースピードと露出補正、機種によっては、左手側にドライブや感度ダイヤルも備える。これらのダイヤルで各機能が直感的に設定できるほか、電源オフ時でも設定状態が確認できるというメリットもある。

↑ダイヤルを採用したことで、視認性が高まりカメラの状態も分かりやすい。フィルム時代のカメラを使用していたユーザーにも好評↑ダイヤルを採用したことで、視認性が高まりカメラの状態もわかりやすい。フィルム時代のカメラを使用していたユーザーにも好評

 

■特徴4/高感度

「X-Trans CMOS Ⅲ」と画像処理エンジン「X-Processor Pro」の組み合わせは、高感度性能にも寄与する。この点に関しては、実はカタログなどではあまり強調されていない。だが、実際に使用すると、ほかのAPS-Cサイズ機よりも高感度域での解像感に優れ、低ノイズで撮影できる。

↑常用感度上限のISO12800でもノイズが少なく、解像感も高め。拡張感度ならISO51200まで撮影できる↑常用感度上限のISO12800でもノイズが少なく、解像感も高め。拡張感度ならISO51200まで撮影できる

 

↑X-T20の常用感度上限ISO12800で撮影。ノイズやノイズ処理による不鮮明さが目立ちがちな感度だが、本機はノイズも少なく解像感も高い。27ミリ相当 絞り優先オート(F4 1/42秒)+0.3補正 WB:白色蛍光灯↑X-T20の常用感度上限ISO12800で撮影。一般的にノイズやノイズ処理による不鮮明さが目立ちがちな感度だが、本機はノイズも少なく解像感も高い。27mm相当 絞り優先オート(F4 1/42秒)+0.3補正 WB:白色蛍光灯

 

特徴5/4K動画

フルHD動画に加えて、X-T2とX-T20は4K動画(3840×2160)撮影機能を搭載。動画でもセンサーの特徴が生き、高精細でモアレやジャギーの少ない動画撮影が堪能できる。また、撮影中に絞りや露出補正などの設定変更も可能で、本格的な撮影が行える。

↑4K動画撮影の設定は、メニューの「動画設定」の「動画モード」内で行う。ちなみに、動画撮影時はHDMIモニター出力が可能で、外部マイク入力も行える本格仕様↑4K動画撮影の設定は、メニューの「動画設定」の「動画モード」内で行う。ちなみに、動画撮影時はHDMIモニター出力が可能で、外部マイク入力も行える本格仕様

 

↑すでに「フィルムシミュレーション」の特徴は述べたが、同機能を4K動画撮影時にも反映させられる。その独特な描写を楽しみたい↑すでに「フィルムシミュレーション」の特徴は述べたが、同機能を4K動画撮影時にも反映させられる。その独特な描写を楽しみたい

 

 

LUMIX史上最高の高感度でシネマ4K動画も撮影できるミラーレス一眼「パナソニック LUMIX GH5S」

高感度性能と動画性能を強化したミラーレス一眼カメラ。静止画・動画とも常用でISO 51200、拡張でISO 204800に対応し、LUMIX史上最高の高感度画質を謳っている。動画撮影機能はシネマ4K/60p記録が可能。2018年1月25日発売。オープン価格(直販価格:ボディ 税別 299,880円)

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■デュアルネイティブISOテクノロジー

常用でISO 160〜51200、拡張でISO 80〜204800の幅広い感度域に対応。一般的なイメージセンサーは高感度になるほどノイズも増幅されてしまうという課題があったが、低ISO感度用と、低ノイズ・高ISO感度用の2系統の専用回路を切り換える「デュアルネイティブISOテクノロジー」により、高感度撮影でもノイズを抑えることができる。

 

■画素数を抑えて低ノイズ化

1028万画素のLiveMOSセンサーは、画素数をあえて抑えることで、センサー表面に埋め込まれた撮像素子のセルサイズを約1.96倍(GH5比)まで拡大。これによって撮像素子1つあたりの受光能力が高められ、ノイズ耐性を測る指標といわれるS/N比を約1.5段アップ(GH5比)し、感度特性を約2.4倍(GH5比)に向上させた。

 

■動画撮影機能

GH5と同じく、すべての記録方式で時間無制限*の動画記録が可能。映画製作で用いられるシネマ4K(4096×2160)サイズでの60p動画記録や4:2:2 10bit記録にも対応するなど、映像制作現場のニーズに応えるさまざまな動画撮影機能を搭載し、「GH5 プロフェッショナル動画エディション」と位置づけられている。

 

* バッテリーとSDカードの容量に依存。周囲温度40℃を超えると自動停止する場合がある。

 

■その他の機能

約8メガ・秒間60コマの高速連写で決定的瞬間を捉える「4Kフォト」、AF追従で約8コマ/秒の高速連写性能、焦点距離を変えずにアスペクト比を変更できる「マルチアスペクト」、−5EVまでの低照度環境でのピント合わせをサポートする「ローライトAF」などを搭載。Wi-FiとBluetoothに対応し、スマートフォンやタブレットからのリモート操作が可能。

GH5との比較GH5との比較

 

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■主な仕様

●品番 DC-GH5S(ボディ)
●有効画素数 1028万画素 ●撮像素子 4/3型 Live MOSセンサー ●マウント マイクロフォーサーズマウント ●ISO感度 ISO 80(拡張)~204800(拡張) ●シャッター速度 メカシャッター 60~1/8000秒(バルブ 最大約30分)、電子シャッター 1~1/16000秒、動画 1/25~1/16000秒 ●ファインダー 0.5型 約368万ドット 有機ELライブビューファインダー ●画像モニター  3.2型 約162万ドット フリーアングルモニター(静電容量方式タッチパネル) ●記録媒体 SD/SDHC/SDXCメモリーカード(ビデオスピードクラス60対応) ●サイズ(幅×高さ×奥行き) 約138.5×98.1×87.4mm(突起部を除く) ●質量 約580g(本体のみ)/約660g(バッテリー、メモリーカードを含む) ●付属品 ボディキャップ、ホットシューカバー、アイカップ、フラッシュシンクロ端子キャップ、バッテリーグリップ接点カバー、ショルダーストラップ、バッテリーパック(7.2V)、バッテリーチャージャー、ACアダプター、USB接続ケーブル2本(バッテリーチャージャー専用、カメラ接続用)、BNC変換ケーブル、ケーブルホルダー
付属ソフト PHOTOfunSTUDIO 10.0XE、LUMIX Tether、SILKYPIX Developer Studio SE、LoiLoScope 体験版(いずれもダウンロード版)

10万円前後の「ミラーレス一眼」で最も万能なのはどれ? オリンパス/富士/ソニー/キヤノンを4項目比較

最近のミラーレス一眼は、一眼レフを超える勢いでカメラ市場を牽引中。特に熱いのは、実売10万円前後のミドルクラス機です。今回は、そんな人気の中級ミラーレス一眼4モデルを同時にテストし、その総合性能=万能性を検証。4項目を5点満点で評価しました。

 

【テストした人】

カメラマン 永山昌克さん

雑誌やWEB媒体で撮影と執筆を行う。休日は小さなカメラを持って子どもの成長記録を撮ることに余念がない。

 

画質とAFはハイレベル!操作性はそれぞれ個性アリ

「ミラーレス一眼は、携帯性に優れるがスピードや操作性に課題がある」と言われていたのは昔の話。最近のミラーレス一眼は、画質はもちろん、使い勝手の面でも一眼レフに引けを取らないレベルに達しつつあります。今回のミドルクラス4製品のテストでは、大きく進化した最新ミラーレス一眼の実力をまざまざと感じることができました。

 

特に感心したのは、動体に対してもしっかりと追従するAFと連写のレスポンスのよさです。オモチャの電車のほかに、本物の電車や走り回る子どもの撮影も試したが、いずれもストレスを覚えることなく、快適に撮影が楽しめました。

 

操作に関しては、メーカーごとに個性があり、人によって向き不向きが別れるでしょう。EVFやチルト可動の有無、ボディサイズや質量、グリップ感などにも差があるので、これらは要チェックです。

 

ファインダーを重視して一眼レフ、趣味性を優先して高級コンパクトという選択もありますが、なんでも撮りたいと考えるなら、「万能」なミラーレス一眼がオススメです。

 

【その1】

強力な手ブレ補正と握りやすいボディが魅力

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オリンパス

OM-DE-M10 MarkⅢ(画像右)

実売価格8万4860円(ボディ)、10万6450円(ダブルズームキット)

小さなボディに強力な5軸手ブレ補正を内蔵。薄型ながらしっかりと握れるグリップを備えるほか、左右のバランスが取れた正統派デザインも魅力。メニュー画面などのUIが前モデルよりシンプル化し、ビギナーでもわかりやすくなりました。SPEC●レンズマウント:マイクロフォーサーズ●EVF:約236万ドット●サイズ:W121.5×H83.6×D49.5㎜●有効約1605万画素●4/3型センサー●3.0型チルト式液晶●約410g

 

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「AP」モードを新搭載。星空や夜景を手軽に美しく撮れる「ライブコンポジット」などの独自機能をスムーズに選べます。

 

【CHECK01】画質:4

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ほかの3台より画素数がやや少なく、細部表現では少し不利。クリアな色と滑らかな階調には好印象。

 

【CHECK02】AF:3 合焦率50%

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位相差AFに非対応のため、室内の動体AFは苦戦。屋外での電車の撮影では、まずまず良好な性能でした。

 

【CHECK03】操作性:4

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大型のダイヤルや光軸上に配置したEVFなど、カメラとしての使い勝手は上々。さらにチルト式液晶も備えます。

 

【CHECK04】スマホ連携:4

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BluetoothやNFCは非搭載。画面に表示させたQRコードを使って素早くWi-Fi接続ができるのが◎。

 

【その2】

高画質と高速連写を両立した小型モデル

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富士フイルム

X-E3(画像左)

実売価格10万7990円(ボディ)、14万2250円(レンズキット)

X-T2などの上位製品と同等のセンサー&エンジンを搭載しつつ、レンジファインダーカメラ風の薄型軽量デザインを採用。高精細なEVFやタッチ対応液晶を備えており、AFや連写も従来機より大きく進化した。ストロボは非搭載。SPEC●レンズマウント:Xマウント●EVF:約236万ドット●サイズ:W121.3×H73.9×D42.7㎜●有効約2430万画素●APS-Cセンサー●3.0型液晶●約337g

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連写スピードは、メカシャッターで最高8コマ/秒。さらに、電子シャッターでは14コマ/秒という超高速に対応します。

 

【CHECK01】画質:5

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緑や肌の色が美しい発色。高感度画質も低ノイズで、キットレンズも隅まで精密に解像する一段上のものです。

 

【CHECK02】AF:4 合焦率80%

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画面の広範囲をカバーする位相差AFによって、快適なAF性能を実現。追従特性のカスタマイズも可能です。

 

【CHECK03】操作性:3

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一般的な十字キーは非搭載。スティックとタッチパネルで各種設定を行う独自のスタイルは少々とまどいます。

 

【CHECK04】スマホ連携:4

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Xシリーズでは初めてBluetoothに対応。スマホと常時接続しておき、必要なときに素早く連携できます。

 

【その3】

4K動画撮影にも対応した最上位APS-Cセンサー機

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ソニー

α6500(画像右)

実売価格15万3720円(ボディ)

APS-CセンサーのソニーEマウント機として最上位に位置し、発売以来、高い評価を得ている人気機種。小型ボディにEVFとチルト液晶を備えており、ボディ内手ブレ補正も搭載。防塵防滴仕様で、秒間最大約11コマの連写にも対応します。SPEC●レンズマウント:Eマウント●EVF:約236万ドット●サイズ:W120×H66.9×D53.3㎜●有効約2420万画素●APS-Cセンサー●3.0型チルト式液晶●約453g

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動画は全画素読み出しの4K記録に対応。6K相当の情報量を凝縮して4K記録する仕組みで、非常に高精細な映像が得られます。

 

【CHECK01】画質:4

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良好な解像感と見栄えのする発色で、滑らかな階調が見事。標準ズームは、周辺画質がやや甘いのが惜しいです。

 

【CHECK02】AF:5 合焦率 93%

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4Dフォーカスシステムと呼ぶ425点の位相差AFを搭載。動き回る被写体にもほぼ確実に追従してくれました。

 

【CHECK03】操作性:3

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カスタムボタンが豊富で、ダイヤルの操作感も良好。タッチパネルの反応の悪さと液晶の横長さがやや残念。

 

【CHECK04】スマホ連携:4

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Bluetooth非搭載も、Wi-Fi、NFC、QRコード接続に対応。カメラにアプリを入れて機能拡張も可能です。

 

【その4】

独自構造のセンサーで高速&広範囲AFを実現

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キヤノン

EOS M6(画像左)

実売価格8万7450円(ボディ)、8万8660円(EVFキット)、9万8450円(レンズキット)、10万4230円(ダブルズームキット)

一足先に発売された最上位機EOS M5から、内蔵EVFを省き、外付けオプションとすることで小型軽量化を実現。わかりやすく簡潔にまとまったUIや、オプションのアダプターを介して一眼レフEOS用のレンズが使える点も魅力です。SPEC●レンズマウント:EF-Mマウント●EVF:外付け(実売2万1920円)●サイズ:W112×H68×D44.5㎜●有効約2420万画素●APS-Cセンサー●3.0型チルト式液晶●約390g

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最大180度回転するチルト液晶を採用。アングルを問わず、快適に撮影可能で、自分撮りまで無理なく行えます。

 

【CHECK01】画質:4

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オート露出とホワイトバランスに安定感があります。どんなシーンでも押すだけで見栄えのいい絵が得られました。

 

【CHECK02】AF:4 合焦率83%

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独自の「デュアルピクセルCMOS AF」に対応。動体に対しても的確にピントを合わせ続けてくれました。

 

【CHECK03】操作性:3

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ダイヤルで素早く露出補正できるのは◎ですが、特筆すべき点は少なめ。右肩のカスタムボタンは押しやすいです。

 

【CHECK04】スマホ連携:4

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Bluetoothにも対応。撮ってすぐスマホに写真を転送したり、スマホをリモコンにして撮影したりできます。

2017年発売の狙い目カメラはコレだ! プロが選ぶ「コスパ&実用度で“買い”なカメラ」Best5

前回の記事では、プロカメラマンの吉森信哉さんに、2017年に発売されたカメラのなかから“意表を突かれたカメラ”Best5を解説してもらいました。1歩抜きん出た機能・性能をもつこれらの製品たちは見ていてワクワクしますが、どうしても高価になりがち。そこで本記事では、同じく吉森カメラマンに“コスパ・実用度”というテーマで5機種を選んでもらいました。実際に購入を検討するならこのあたりが狙い目ですよ!

※記事内の価格は2017年12月27日時点の編集部調べによるものです

 

【第5位】カシオ EXILIM EX-ZR4100

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“超広角19mm”でダイナミックな表現が可能

「メイクアップテクノロジー」により、肌の階調を残したまま段階的に自然で滑らかな肌を表現でき、さらに人物の周囲の景色をアート作品のように仕上げる「メイクアップアート」を搭載するなど、自分撮りをキレイに仕上げる独自機能が魅力のコンパクトデジカメ。液晶モニターも180度まで開くチルト式なので、快適な自分撮りが楽しめる。また、19mm相当の超広角域までカバーする、高性能な光学5倍ズームレンズを搭載。これによって、ほかのコンパクトデジカメでは得られない、ワイドでダイナミックな描写や表現が可能だ。

 

【選出理由】

メーカーの製品紹介ページの「特長」をチェックすると、まず最初に「メイクアップテクノロジー」や「メイクアップアート」などの、美肌・美顔・美景といった機能が紹介されている。そこに、このカメラの方向性(誰に訴求したいカメラなのか)を見ることができる。たしかに、こうした機能は“自分や景色を美しくドラマチックに表現したい人”にとって魅力的だ。ただここで注目したいのは、それらに隠れてしまいがちだが、基本仕様や機能も非常に優秀なカメラである点。撮像センサーの画素数は「有効1210万画素」と控えめなものの、サイズは一般的なコンデジよりも大きい「1/1.7型」。画像形式はJPEGだけでなくRAWでも記録できる(RAW現像が行える)。そして、何よりも魅力的なのが、搭載される光学5倍ズームが“超広角19mm”をカバーしている点。これによって、より広い空間を写し込むことができ、遠近感を強調したダイナミックは絵作りが可能になるのである。実際に撮影してみても、そのレンズ描写(性能)や画質の良好さに感心させられた。

 

【SPEC】

●カメラ形式:レンズ一体型コンパクト ●撮像素子サイズ:1/1.7型 ●有効画素数:1210万画素 ●搭載レンズ(35mm判相当):19~95mm ●ISO感度:80~6400 ●シャッター速度:1/20000~15秒(撮影モードにより異なる) ●AF方式(測距点数):TTLコントラスト方式(25点) ●連続撮影速度:30コマ/秒 ●ファインダー:- ●液晶モニター:チルト式3.0型・92.16万ドット ●動画記録:フルHD(1920×1080)対応 ●外形寸法(幅×高さ×奥行き):108.3×61.5×37.7mm(突起部除く奥行き28.0mm) ●質量(本体のみ):約209g ●参考価格:4万5370円

 

■EX-ZR4100の詳細はコチラ↓

豊富なメイクアップ機能で理想の自分に! 自撮りが楽しいコンパクトデジカメ「カシオ EXILIM EX-ZR4100」

 

 

【第4位】オリンパス Tough TG-5

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タフ性能だけでなく、画質や高度な撮影機能も魅力

広角端でF2.0を誇る明るいレンズを搭載し、新開発の高性能イメージセンサーや最新の高速画像処理エンジン「TruePic VIII」によって、従来以上の高画質を実現したタフネスコンパクトカメラ。映像にトラッキング情報を加えて高い臨場感が得られる「フィールドセンサーシステム」も採用する。さらに、充実したタフ性能をベースに、新たに耐結露も実現。また、堅牢性を重視したコンパクトデジカメでありながら「4Kムービー」などの動画撮影機能も備えている。

 

【選出理由】

単にタフ性能やアウトドア機能が優れているだけでなく、高画質の追求や、各種アクセサリーによる表現領域の拡大。そうした点が、Tough TG-5の大きな魅力である。画質面では、高速かつ高感度性能に優れた新開発の「Hi-speed裏面照射型CMOSイメージセンサー」と、同社のミラーレス一眼のフラッグシップモデル「OM-D E-M1 Mark II」と同じ画像処理エンジン「TruePic VIII」を採用。これにより、常用感度域での画質向上や、高感度時のノイズレベルをISO感度1段分改善することに成功(従来モデル「STYLUS TG-4 Tough」との比較)。さらに、マクロ写真の表現を広げる4つの撮影モード(顕微鏡、顕微鏡コントロール、深度合成、フォーカスブラケット)や、別売の2種類の接写用アクセサリー(LEDライトガイド LG-1、フラッシュディフューザー FD-1)からなる「バリアブルマクロシステム」の魅力も大きい。フィッシュアイとテレの2種類のコンバーターレンズも使用できる。

 

【SPEC】

●カメラ形式:レンズ一体型コンパクト ●撮像素子サイズ:1/2.33型 ●有効画素数:1200万画素 ●搭載レンズ(35mm判相当):25~100mm ●ISO感度:100~12800 ●シャッター速度:1/2000~1/2秒(夜景モードとAモードは最長4秒) ●AF方式(測距点数):TTLコントラスト方式(25点) ●連続撮影速度:約20コマ/秒 ●ファインダー:- ●液晶モニター:3.0型・約46万ドット ●動画記録:4K(3840×2160)対応 ●外形寸法(幅×高さ×奥行き):113×66×31.9mm ●質量(本体のみ):約250g(充電池、メモリーカード含む) ●参考価格:5万880円

 

■Tough TG-5の詳細はコチラ↓

トラッキング情報を記録できる“タフ”な相棒! 防水コンパクトデジカメ「オリンパス Tough TG-5」誕生

 

 

【第3位】富士フイルム instax SQUARE SQ10

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インスタントカメラでありデジタルカメラでもある

撮ったその場でプリントが楽しめる、インスタントカメラのinstax“チェキ”シリーズ。そのなかで、デジタルイメージセンサーと画像処理技術を初めて搭載したモデルが、この「instax SQUARE SQ10」だ。つまり、インスタント写真(プリント)が作れるだけでなく、多彩な画像編集や加工機能によって、撮影または画像再生中にいろいろな効果を生かした写真が作れ、自由にプリントできるのである。

 

【選出理由】

インスタントカメラは、撮影したその場でプリントが作れるカメラである。……が、「instax SQUARE SQ10」はデジタルカメラでもある。つまり、撮影画像をデジタルデータとして保存しつつ、必要に応じてプリントすることができるのだ。それゆえに、撮影時や撮影後の画像エフェクト(明るさ調整、ビネット、各種フィルター効果、など)によって、通常のインスタント写真では難しい多彩な表現が可能になる。もっとわかりやすく言えば、デジタルカメラと画像編集ソフトとプリンターを一緒に持ち歩いている……という状態なのである。これは実に楽しい!! そんな楽しい多機能カメラが約3万円で買えるのは実にウレシイ。

 

【SPEC】

●カメラ形式:ハイブリッドインスタントカメラ ●撮像素子サイズ:1/4型 ●記録画素数(ピクセル):1920×1920 ●搭載レンズ(35mm判相当):28.5mm ●ISO感度:100~1600(自動) ●シャッター速度:1/29500~1/2秒、バルブ(最長10秒) ●AF方式(測距点数):TTLコントラスト方式(中央) ●連続撮影速度:- ●ファインダー:- ●動画記録:- ●外形寸法(幅×高さ×奥行き):119×127×47mm ●質量:450g(フィルムパック、バッテリーを含む) ●参考価格:2万9000円

 

■instax SQUARE SQ10の詳細はコチラ↓

【作例多め】“撮り直しができる”新発想チェキ、富士フイルム「instax SQ10」を使い倒し!

 

 

【第2位】ペンタックス KP

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軽快かつ高品位なミドルクラス一眼レフ

内部構造の最適化により、薄型でコンパクトな携帯性に優れたボディを実現。新型CMOSイメージセンサーと、高速画像処理エンジン「PRIME IV」との組み合わせにより、ISO819200の超高感度撮影も可能にしている。また、イメージセンサーユニットを微細にずらしながら4回撮影して合成する超解像技術「リアル・レゾリューション・システム」を搭載。これにより超高精細な画像を得ることができる。

 

【選出理由】

ミドルクラス以上の一眼レフは大柄で重いものが多いが、携帯性や撮影時の負担を考えると、少しでも小柄で軽量なもののほうがありがたい。とはいえ、エントリークラスの製品だと、機能や仕様に不満が多くなるし、ボディの質感もあまり良くない……。だが、このKPは小型で軽量な設計ながら、ボディ素材に軽量で堅牢なマグネシウム合金を採用し、剛性感や高品位な材質感を実現している。そして、同社の35mm判フルサイズ機「K-1」譲りの、動体補正対応の超解像技術「リアル・レゾリューション・システム」も搭載。こういった高度な機能も搭載しているので、軽快な撮影だけでなく、本格的な高精細描写を追求する撮影にも威力を発揮する。さらに、グリップ部が簡単に交換できるグリップ交換システム(3タイプ)を採用しているので、使用レンズや撮影スタイルに応じてたボディカスタマイズが可能。こういった“趣味性”も、このKPの魅力である。

 

【SPEC】

●カメラ形式:レンズ交換式一眼レフ ●撮像素子サイズ:APS-Cサイズ ●有効画素数:約2432万画素 ●搭載レンズ(35mm判相当):- ●ISO感度:100~819200 ●シャッター速度(※は電子式):1/6000(※1/24000)~30秒、バルブ ●AF方式(測距点数):TTL位相差検出方式(27点) ●連続撮影速度:最高約7コマ/秒 ●ファインダー:一眼レフレックス式ファインダー(視野率約100%・約0.95倍) ●液晶モニター:チルト式3.0型・約92.1万ドット ●動画記録フルHD(1920×1080)対応 ●外形寸法(幅×高さ×奥行き):約131.5×101.0×76.0mm ●質量(本体のみ):約643g ●参考価格(ボディ):10万4480円

 

■ペンタックス KPの詳細はコチラ↓

最高感度ISO 819200で撮影条件を選ばない! グリップカスタマイズもユニークな「ペンタックス KP」新登場

 

 

【第1位】キヤノン EOS 9000D

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上位機顔負けの実力を備えたエントリーモデル

エントリークラスでありながら、ボディー上面に表示パネルと、2つの電子ダイヤルを搭載。高い視認性と操作性を実現した、本格志向ユーザー向けのモデルとなっている。また、同社のエントリークラスで初めて「デュアルピクセルCMOS AF」を搭載し、ライブビュー撮影時における高速なAFを実現。ファインダー撮影時においても、上位機「EOS 80D」と同じオールクロス45点AFを採用するなど、まさに上位機並の実力を備えた実力派エントリーモデルである。

 

【選出理由】

従来モデルのEOS 8000Dはもう1つのエントリーモデル「EOS Kissシリーズ」と異なり、エントリークラスながら上面に表示パネルと、前後に2つの電子ダイヤルを搭載する本格志向のモデルであった。EOS 9000DはそのEOS 8000Dの基本仕様を受け継ぎ(外観もほぼ一緒)、操作性だけでなく撮影機能も上位機並にレベルアップされている。オールクロス45点AFの搭載、ライブビュー時にCMOSセンサーの画素が撮像と位相差AFの両方を行う「デュアルピクセルCMOS AF」の採用、ファインダー撮影時に約2420万画素の高画素(RAW/JPEGラージ)で約6コマ/秒の高速連続撮影が可能……など、ミドルクラス並の性能なのである。上位機「EOS 80D」にも防塵・防滴対応や視野率100%の広いファインダー、約7コマ/秒の高速連続撮影など魅力的な部分はあるが、EOS 9000Dは多くの機能や仕様で追いついており、映像エンジンに関してはEOS 80Dよりも進化しているのだ。

 

【SPEC】

●カメラ形式:レンズ交換式一眼レフ ●撮像素子サイズ:APS-Cサイズ ●有効画素数:約2420万画素 ●搭載レンズ(35mm判相当):- ●ISO感度:100~25600(拡張:上限51200) ●シャッター速度:1/4000~30秒、バルブ ●AF方式(測距点数):TTL位相差検出方式(45点) ●連続撮影速度:最高約6コマ/秒 ●ファインダー:一眼レフレックス式ファインダー(視野率約95%・約0.82倍) ●液晶モニター:ワイド3.0型・104万ドット ●動画記録:フルHD(1920×1080)対応 ●外形寸法(幅×高さ×奥行き):約131.0×99.9×76.2mm ●質量(本体のみ):約493g ●参考価格(ボディ):10万1970円

 

■EOS 9000Dの詳細はコチラ↓

エントリー一眼の新定番! キヤノンEOS 9000DとEOS Kiss X9iはどちらを買うべき?

2017年のカメラカテゴリ総決算! プロが意表を突かれたカメラBest5

2017年も数々のカメラ新製品が登場し、市場を賑わせました。本稿ではプロカメラマン・吉森信哉さんが、2017年に発売されたカメラ製品のなかから“意表を突かれたカメラ”という切り口で5製品をピックアップ。選出理由も含め、ランキング形式で紹介してもらいます。

※記事内の価格は2017年12月27日時点の編集部調べによるものです

 

【第5位】富士フイルム GFX 50S

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1kgを切る小型軽量の“中判ミラーレス”

GFX 50Sは、「FUJIFILM G フォーマット」のイメージセンサーを搭載する、小型軽量ボディの中判ミラーレスカメラ。その中判サイズの有効5140万画素CMOSセンサーと、画像処理エンジン「X-Processor Pro」の組み合わせにより、35mm判フルサイズ機を上回る超高画質を実現する。そして、静電式タッチパネルを採用する背面モニターや、防塵・防滴・耐低温構造の高剛性マグネシウム合金製ボディの採用などにより、過酷な屋外撮影での高パフォーマンスも期待できる。

 

【選出理由】

超高画質が期待できる、中判サイズ(43.8×32.9mm)の5140万画素CMOSセンサーを搭載。これだけでも35mm判フルサイズ一眼レフカメラに対するアドバンテージになるが、GFX 50Sのボディの重さは1kgを切る軽量設計だ。この「約740g」という質量は、予想以上の軽さであった。また、EVF(液晶ビューファインダー)は、富士フイルム初の着脱式で、使い方に合わせたボディスタイルが選択できる。このあたりのフレキシブルさも驚いた点である。さらに、液晶モニターはタッチパネル対応なのでメニュー操作や測距点選択などが迅速に行えるし、縦位置にも対応できる3方向チルト機構の採用も機動性の高さにつながっている。

 

【SPEC】

●カメラ形式:レンズ交換式ミラーレス ●撮像素子サイズ:中判(43.8×32.9mm) ●有効画素数:約5140万画素 ●ISO感度:100~12800(拡張:下限50、上限102400) ●シャッター速度(※は電子式):1/4000(※1/16000)~60分、バルブ、タイム ●AF方式(測距点数):TTLコントラストAF(425点) ●連続撮影速度:約3コマ/秒 ●ファインダー:電子式ビューファインダー(視野率100%・0.85倍) ●液晶モニター:3方向チルト式3.2型・約236万ドット ●動画記録:フルHD(1920×1080)対応 ●外形寸法:147.5×94.2×91.4mm(最薄部41.6mm) ●質量(本体のみ):約740g ●参考価格(ボディ):80万4060円

 

 

【第4位】キヤノン PowerShot G1 X Mark III

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1.0型機を彷彿とさせる小型軽量ボディにAPS-Cサイズセンサーを搭載

キヤノンのコンパクトデジカメで、初めてAPS-Cサイズのセンサーを採用したモデル。その有効約2420万画素のCMOSセンサーと、新設計の光学3倍ズームレンズにより、美しいボケや豊かな階調を生かした表現が可能だ。さらに、映像エンジンDIGIC7の搭載により、高感度撮影時のノイズ耐性や高解像度を実現し、独自のデュアルピクセルCMOS AFの採用で「AF追従時・約7コマ/秒」の高速・高精度な連続撮影も実現している。

 

【選出理由】

1.0型センサー機のPowerShot G5 Xと見紛うサイズ&デザインの小型ボディに、APS-CサイズのCMOSセンサーと高性能な光学3倍ズームレンズを搭載。筆者のようにG5 Xを使ったことがある人間なら、素直に驚いてしまうだろう。「あれと同程度サイズのAPS-Cズーム機が可能なのか!」と(※高級コンデジのスタンダードは1.0型センサーで、APS-Cサイズセンサーはそれよりも大きい)。しかも、前述の高速・高精度な連続撮影や、「ピクチャースタイル」の搭載、防塵・防滴構造の採用など、一眼レフEOSシリーズのミドルクラス機並の機能や仕様を備えている点も恐れ入る。そして、一眼レフとはひと味違う軽快なサイズ&質量のカメラだけに、より軽快で快適な高品位撮影が堪能できる。

 

【SPEC】

●カメラ形式:レンズ一体型コンパクト ●撮像素子サイズ:APS-Cサイズ ●有効画素数:約2420万画素 ●搭載レンズ(35mm判相当):24~72mm ●ISO感度:100~25600 ●シャッター速度:1/2000~30秒、バルブ ●AF方式(測距点数):デュアルピクセルCMOS AF(49点) ●連続撮影速度:最高約9コマ/秒 ●ファインダー:電子式ビューファインダー(視野率100%) ●液晶モニター:バリアングル式3.0型・約104万ドット ●動画記録:フルHD(1920×1080)対応 ●外形寸法:約115.0×77.9×51.4mm ●質量(本体のみ):約375g ●参考価格:12万7460円

 

■PowerShot G1 X Mark IIIの詳細はコチラ↓

センサーは大きく、でもボディはコンパクトに! キヤノン「PowerShot G1 X Mark Ⅲ」の与えた衝撃

 

 

【第3位】ソニー Cyber-shot DSC-RX0

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アクションカメラと見紛うタフネス仕様の高画質モデル

プレミアムコンパクトRXシリーズの高画質技術を、防水性や堅牢性を備えた小型ボディに凝縮したコンパクトデジタルカメラ。水中や砂ぼこりが舞う環境、限られたスペースでの撮影など、あらゆる過酷な状況下での撮影を実現する。また、ワイヤレス接続や有線接続で複数台を組み合わせての多視点撮影なども可能。

 

【選出理由】

近年、ツーリングやマリンスポーツなどのアウトドアで、小型で堅牢なアクションカメラが活用されている。DSC-RX0はそうしたカメラを彷彿とさせる、小型で斬新なフォルムが目を引く。だが、その中身(実力)は、紛れもなく高画質設計のRXシリーズそのものである。撮像センサーには、高感度・低ノイズで広いダイナミックレンジを実現する、有効約1530万画素のメモリー一体1.0型積層型CMOSイメージセンサーExmor RSを採用。まず、この大型センサーに驚く。そして、搭載レンズは高解像で歪みの少ない広角「ZEISS Tessar T* 24mm」レンズ。こういったハイグレードな主要パーツを、約59.0×40.5×29.8mmの超小型ボディに搭載しているのだ。また、水深10mの防水性能、2.0mの落下耐性、200kgfの耐荷重……というタフネス性能も見逃せない。

 

【SPEC】

●カメラ形式:レンズ一体型コンパクト ●撮像素子サイズ:1.0型 ●有効画素数:約1530万画素 ●搭載レンズ(35mm判相当):24mm ●ISO感度:125~12800(拡張:下限80) ●シャッター速度:1/32000~1/4秒 ●AF方式(測距点数):ワイド(25点自動測距)など ●連続撮影速度:最高約16コマ/秒 ●ファインダー:- ●液晶モニター:1.5型・約23万ドット ●動画記録:フルHD(1920×1080)対応 ●外形寸法:59.0×40.5×29.8mm ●質量(本体のみ):約95g ●参考価格:8万3490円

 

■Cyber-shot DSC-RX0の詳細はコチラ↓

超小型なのに1型センサー&ツァイスレンズを搭載! ソニー「Cyber-shot RX0」はいったい何者!?

 

 

【第2位】ニコン D850

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高画素化と高速化を図ったフルサイズ一眼レフの主力モデル

ニコンのデジタル一眼レフで初めて裏面照射型CMOSセンサーを搭載し、有効4575万画素と高画素ながらISO64~25600の広い常用感度域を実現。また、ボディ単体でも最高約7コマ/秒、マルチパワーバッテリーパック「MB-D18」使用で最高約9コマ/秒の高速連続撮影が可能になる。タッチパネル対応のチルト式液晶モニターも搭載。センサー画素数と高速連写性能を両立させた、ハイレベルな35mm判フルサイズ一眼レフである。

 

【選出理由】

従来モデルに当たるD810も「有効3635万画素」と十分に高画素な一眼レフだったが、本製品は「有効4575万画素」とさらに高画素化。しかも、入射光を効率的にフォトダイオードへ導く裏面照射型CMOSセンサーなので、高感度性能(領域と画質)も大きく進化している。そして、高速連続撮影の性能も、D810の「最高5コマ/秒」から、バッテリーグリップ装着で「最高9コマ/秒」へと大幅スピードアップ。その“高画素化と高速化”のレベルアップに感心する。と同時に、近年ミラーレスカメラに押されぎみの一眼レフの“底力”を見せつけられた思いだ

 

【SPEC】

●カメラ形式:レンズ交換式一眼レフ ●撮像素子サイズ:35mm判フルサイズ ●有効画素数:4575万画素 ●ISO感度:64~25600(拡張:下限32、上限102400) ●シャッター速度:1/8000~30秒、バルブ、タイム、X250 ●AF方式(測距点数):TTL位相差検出方式(153点、選択可能55点) ●連続撮影速度:約7コマ/秒、約9コマ/秒(マルチパワーバッテリーパック「MB-D18」装着で電源が「EN-EL18b」の場合) ●ファインダー:一眼レフレックス式ファインダー(視野率約100%・約0.75倍) ●液晶モニター:チルト式3.2型・約236万ドット ●動画記録:4K(3840×2160)対応 ●外形寸法:約146×124×78.5mm ●質量(本体のみ):約915g ●参考価格(ボディ):39万9600円

 

■D850の詳細はコチラ↓

【待ってました!】有効4575万画素のフルサイズ一眼レフ「ニコン D850」正式発表!

 

 

【第1位】ソニー α9

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プロ仕様一眼レフを凌駕する、驚異の高速連写ミラーレス

新開発の有効約2420万画素フルサイズ積層型CMOSイメージセンサーと、進化した画像処理エンジンBIONZ X。この組み合わせにより、AF/AE追従「最高20コマ/秒」の高速連写を実現。また、大容量バッファメモリーの搭載により、20コマ/秒連写で圧縮RAW241枚/JPEG362枚1の大量連続撮影も可能。

 

【選出理由】

ごく一部のプロ仕様35mm判フルサイズ一眼レフならば、毎秒十数コマの高速連写が可能である。が、このα9は、ミラーレス(ミラーがない)構造上のメリットを生かし、AFとAEを追従させつつ「最高20コマ/秒」という驚異的な高速連続撮影を可能にした。その“一眼レフを超える超高速連写が可能なフルサイズ機”という点に、非常に驚きを覚えた。しかも、電子シャッター撮影なので、一眼レフのようなシャッターごとのブラックアウトも発生しない。また、その高速性能だけでなく、圧縮RAWモードで「241枚」という大量の連続撮影が可能である、という点にも度肝を抜かれる。少し大げさに表現すれば、スポーツなど一瞬を捉える撮影に革命をもたらしたカメラ、とも言えるだろう。

 

【SPEC】

●カメラ形式:レンズ交換式ミラーレス ●撮像素子サイズ:35mm判フルサイズ ●有効画素数:約2420万画素 ●ISO感度:100~51200(拡張:下限50、上限204800) ●シャッター速度(※は電子式):1/8000(※1/32000)~30秒、バルブ ●AF方式(測距点数):ファストハイブリッドAF(693点) ●連続撮影速度:最高約20コマ/秒(電子)、最高約5コマ/秒(メカ) ●ファインダー:電子式ビューファインダー(視野率100%・約0.78倍) ●液晶モニター:チルト式3.0型・144万ドット ●動画記録:4K(3840×2160)対応 ●外形寸法(幅×高さ×奥行き):約126.9×95.6×63.0mm(グリップからモニターまで) ●質量(本体のみ):約588g ●参考価格(ボディ):50万6930円

 

■α9の詳細はコチラ↓

注目ミラーレス一眼の真価を問う! ソニー「α9」対「動きモノ」

 

 

 

見慣れた景色が輝く「作品」に! 軽量・高画質なミラーレスカメラ「FUJIFILM X-E3」で街スナップ@代官山

スマートフォンのカメラの高画質化が著しい昨今、街スナップのような日常シーンなら「スマホカメラで十分!」と考える人は多いでしょう。一眼カメラは、動きの激しいスポーツや乗り物などを撮る人向けの特別な装備であって、普段使いするようなものではない、といったイメージがあるのかもしれません。今秋、そんなイメージを覆す画期的なミラーレスカメラ「FUJIFILM X-E3」が登場しました。本稿では、日常シーンをキラキラと輝く「作品」へと昇華させる同機の魅力を、写真家・コムロミホさんに解説してもらいます。

【今回紹介するアイテム】

PH-08_R

FUJIFILM
X-E3
オープン価格(直販価格:ボディ 税込 12万3660円)

ファインダー付きのXシリーズでは最小・最軽量となるボディに、フラッグシップモデルと同じ有効2430万画素APS-CサイズCMOSセンサーと画像処理エンジンを搭載したミラーレスカメラ。携帯性と高画質を両立させ、さらに動画は4K/30pの記録にも対応する。カラーはブラックとシルバーの2種類。11月には開放F2の単焦点レンズ「XF23mmF2 R WR」とのキットも発売された(価格はオープンで、直販価格は税込 15万660円)。

●撮像素子:有効約2430万画素APS-CサイズX-Trans CMOSⅢセンサー ●画像処理エンジン:X-Processor Pro ●常用ISO感度:ISO200~12800 ●AFシステム:91点(最大325点) ●連写性能:約8コマ/秒(電子シャッター時:約14コマ/秒) ●ファインダー:約236万ドット有機EL(倍率0.62倍) ●液晶モニター:3.0型約104万ドット(タッチパネル) ●大きさ・質量:幅121.3×高さ73.9×奥行き42.7mm・約337g(バッテリー、記録メディア含む)

 

■詳しい製品情報はコチラ
http://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/x/fujifilm_x_e3/

 

【著者Profile】

20171204_y-koba2 (10)

コムロミホ

アシスタントを経て、人物を中心として広告や雑誌等で撮影をする一方、ライフワークでは海外、国内と街スナップを撮り歩いている。またカメラに関する執筆やカメラ教室の講師としても活躍する。

 

ハイスペックながら撮り疲れしない携行性&操作性

富士フイルムのミラーレスカメラ「Xシリーズ」には、エントリーモデルからハイエンドモデルまで5つのラインナップがあり、今回紹介するX-E3はその中級モデルに位置する。軽量コンパクトながらもハイスペックな本格派。今回はこのX-E3を持って、代官山へスナップに出かけることにした。作例とともにカメラの魅力と撮影テクニックをご紹介したい。

 

まずは、外観や操作性について。カメラを持ち運ぶときは常に首からカメラを下げているため、デザインもカメラを選ぶうえで大事なポイントだ。X-E3は革張りのような質感で高級感があり、カメラらしいクラシカルなデザインを採用。カメラの上部には金属を使用し、重厚感のある見た目だが、質量は約287g(本体のみ)と軽量で携帯性に優れる。今回の撮影では被写体を探しながら1日中代官山を歩いたが、疲れることもなくスナップを楽しむことができた。この身軽さと手軽さがミラーレスカメラのメリットの1つだろう。

20171204_y-koba2 (11)↑「持つ喜び」を感じられるクラシカルな外観ながら、ボディは小型・軽量でスナップ撮影にぴったり。 新キットレンズ「XF23mmF2 R WR」との相性も抜群だ

 

スナップは日常の出来事や出会った光景を一瞬のうちに切り取る撮影方法で、いろいろなところに目を向けて、とにかく迷わずにシャッターを切ることが大切。そのため、カメラには速写性が求められる。その点、X-E3はタッチパネルの背面モニターを搭載しているため、ピント合わせや機能の呼び出しもスマホのような感覚で直感的な操作が可能。さらにスティックタイプのフォーカスレバーを新搭載。上下左右斜めの8方向に可動し、フォーカスエリアの移動もスムーズに行える。そして、EVF(電子ビューファインダー)が搭載されているため、ファインダーを覗きながら被写体を捉えることができ、撮影に集中できるのがうれしい。

20171204_y-koba2 (6)↑背面はボタン数を必要最低限に絞ったシンプルなデザイン。十字キーも省略されているが、タッチパネルと新搭載のフォーカスレバーと呼ばれるスティックで快適に操作できる

 

一眼カメラならではの高精細画質やボケで日常風景を印象的に表現

X-E3は同社の上位機種である「X-T2」、「X-Pro2」と同じ2430万画素のX-Trans CMOSⅢセンサーを搭載し、最新の画像処理エンジンを採用。風景や建物などディテールのある被写体を撮影すると、細部までしっかりと再現してくれているのがわかる。スマホなどで気軽に撮るのもいいが、思い出のワンシーンや旅先での風景などの一瞬一瞬は一眼カメラの高画質で残したいものだ。

20171204_y-koba2 (15)↑建物に書かれた文字やレンガのディテールを細部まで再現しており、画像中央から周辺まで高い解像感を実現している。センサーだけでなく、フジノンレンズの描写力の高さも実感することができた

 

そして、スマホとの大きな違いはボケを生かした撮影を行えること。より大きなボケを作りたいときは単焦点レンズというF値が小さいレンズを使用する。単焦点レンズはズームができないが、大きなボケを作りやすく、暗いところでも手ブレしにくいというメリットがある。

 

X-E3のキットレンズは単焦点レンズの「XF23mmF2 R WR」とズームレンズの「XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS」のどちらかを選択できる。両者とも描写力の高いレンズなので、どちらを選んでも後悔のない1本といえるが、ボケを生かした写真やスナップには単焦点レンズのXF23mmF2 R WRをおすすめしたい。

20171204_y-koba2 (2)↑今回、新たにX-E3のレンズキットとして登場した単焦点レンズ「XF23mmF2 R WR」。●希望小売価格:6万2000円(税別) ●レンズ構成:6群10枚 ●最短撮影距離:22cm ●最大撮影倍率:0.13倍 ●絞り羽根:9枚(円形絞り) ●フィルター径:43mm ●大きさ・質量:外径60×全長51.9mm・約180g

 

23mmは35mm判換算で35mm相当となる広角で、被写体と背景の両方を際立てやすく、街スナップとして面白みのある画角だ。大きなボケを作りたいときはF2に設定し、できるだけ被写体に近づくことがポイント。そうすることで、被写体が際立ち、主題が伝わりやすい写真になる。またXF23mmF2 R WRは小型軽量でX-E3との相性も良く、軽快にスナップを楽しむことができた。

20171204_y-koba2 (3)↑単焦点レンズのXF23mmF2 R WRを使い、開放F値に設定して撮影。店先にさまざまな雑貨がディスプレイされており、背景がごちゃごちゃしていたが、大きなボケを作ることでアンティークの人形だけが際立つ1枚に仕上がった

 

Xシリーズが誇る「色」へのこだわりとフィルムシミュレーション機能

長年フィルムを作ってきた富士フイルムの色に対するこだわりが、本機の絵作りにも直結している。鮮やかな色も淡い色もグラデーション豊かに再現し、クリアで抜けのいい色表現を実現。印象に近い色表現で、被写体の美しさが素直に伝わりやすい写真になる。特に人物の肌の色の再現性は高く、透明感のある美しい肌の色に仕上げてくれる。

20171204_y-koba2 (13)↑スタンダードのPROVIAで撮影。鮮やかなピンクから淡いトーンまでをグラデーション豊かに表現し、グリーンや紫、青も見た目に近い印象に仕上がっている

 

そして、さまざまな色表現を楽しめるフィルムシミュレーションという機能があり、実際にあるフィルムの特徴を生かした絵作りとなっている。例えば「Velvia」は色鮮やかでシャープネスが高く精密な描写を得意とするフィルムだが、フィルムシミュレーションのVelviaでも同じような効果を得られる。フィルムシミュレーションは全部で15種類の効果があり、被写体やシーンに合わせて選択すれば作品性の高い1枚に仕上げることが可能だ。次の作例は、15種類のフィルムシミュレーションで同じシーンを撮影したもの(クリックすると拡大可能)。

PROVIA/スタンダード Velvia/ビビッド ASTIA/ソフト ACROS ACROS(+Yeフィルター) ACROS(+Rフィルター) ACROS(+Gフィルター) クラシッククローム PRO Neg.Hi PRO Neg.Std モノクロ モノクロ(+Yeフィルター) モノクロ(+Rフィルター) モノクロ(+Gフィルター) セピア

今回、代官山のスナップで個人的に最も気に入って使ったのは「ACROS」という粒状感のある、豊かな階調再現にこだわったモノクロモード。まさにフィルムのACROSらしくシャドーの締まりに粘りがあり、独特な立体感を演出してくれる。代官山といえばオシャレな街の代名詞だが、裏路地は古い住宅街が建ち並び、意外と静かでもの寂しげな雰囲気がある。次の作例では、ACROSモードの粒状感あるモノクロが代官山のおしゃれな雰囲気にも裏路地にもマッチし、フィルムライクな仕上がりが年代を感じさせる1枚に仕上げることができた。

20171204_y-koba2 (8)↑フィルムシミュレーション「ACROS」でピザ屋に入る女性の後ろ姿を切り取った。店内だけを撮影するのではなく、ドアもフレーミングすることで奥行感のある写真に仕上がった。ドアと室内では明暗差があるが、粘りのあるシャドーのおかげで店内の床や自転車の質感も残っている

 

スマホでは難しい、動きモノの撮影や暗所撮影でも大活躍

動く被写体を撮影するときはピント合わせの速さが重要になるが、X-E3はAF(オートフォーカス)性能も向上。広いAFエリアをカバーするフォーカスモード「ゾーン」や「ワイド/トラッキング」を使えば、動く被写体にも高速かつ正確にピントを合わせることができる。そして、AF追従時は被写体の動きや速さに合わせて5つのAF設定を選ぶことができ、複雑に動く被写体でもしっかりとピントを合わせ続けてくれる。次の作例のような動きの速い小型犬はピント合わせが難しいが、激しい動きに強いSET 5を選択することで、きっちり犬にピントが合い、かわいらしい表情を切り取ることができた。

20171204_y-koba2 (12)↑AF-C(シャッターボタンを半押ししている間、動く被写体にピントを合わせ続ける機能)に設定し、連写で撮影。動きの速い被写体だったが、正確で素早いAFのおかげでしっかりとピントを合わせることができた。また、動きの速い被写体を撮影するときは被写体がぶれないように、できる限りシャッタースピードを速く設定しよう

 

冬になると街を賑やかにするイルミネーション。思わず写真を撮りたくなる被写体の1つだろう。しかし、スマホで暗いところを撮ると、写真にザラザラとしたノイズが現れてしまい、見た目の美しさが伝わりにくくなってしまう。そういうシーンもぜひ本機での撮影をおすすめしたい。

 

暗いシーンで撮影するときは手ブレしないようにISO感度の数値を大きくする必要があるが、高感度にするとノイズが発生しやすくなる。しかし、X-E3は高感度性能が高く、高感度のISO3200で撮影しても目立つノイズはなく、高精細に表現。そのため、夜の街や雰囲気のある暗いカフェやバーなどでの撮影でも安心して手持ち撮影を楽しむことができる。そして、イルミネーションであれば電飾のように小さな光源を大きくぼかすことで、丸ボケという丸い光の玉を作ることができる。単焦点レンズを使って開放F値に設定し、オーナメントなどに近づいて撮影すると、キラキラと輝く丸ボケになる。

20171204_y-koba2 (16)↑手ブレしないようにISO感度をISO3200にして撮影。こうした高感度で撮影しても目立つノイズもなく、オーナメントのディテールもしっかりと表現できていることがわかる。また背景を大きくぼかしたことで、イルミネーションが丸ボケとなり、幻想的な写真に仕上がった

 

豊富で高品質なフジノンレンズで撮影の楽しみが広がる

Xシリーズの交換レンズにはさまざまなラインナップがあり、小型ながらも性能の高いレンズが多い。レンズを交換すれば表現の幅も広がり、さらに撮影が楽しくなるだろう。

 

今回はキットレンズに加え、11月末に発売されたばかりの「XF80mmF2.8 R LM OIS WR Macro」を使用してみた。こちらは等倍撮影可能な中望遠マクロレンズで、防塵・防滴・耐低温構造を採用。レンズ質量が約750gとX-E3に装着するにはやや重めの印象だが、非球面レンズなどの特殊レンズを贅沢に使用したレンズ設計で描写力が高い。等倍付近まで被写体に近づいてもピント面の解像感が高く、ボケも滑らかだ。

20171204_y-koba2 (1)↑2017年11月にに発売された中望遠マクロレンズ「XF80mmF2.8 R LM OIS WR Macro」。●希望小売価格:16万8500円(税別) ●レンズ構成:12群16枚 ●最短撮影距離:25cm ●最大撮影倍率:1倍 ●絞り羽根:9枚(円形絞り) ●フィルター径:62mm ●大きさ・質量:外径80×全長130mm・約750g

 

中望遠マクロレンズは被写体に接近しなくても小さな被写体を画面いっぱいに捉えることができるため、近づくと逃げてしまうような昆虫などの撮影にも向く。またマクロ撮影だけでなく、F2.8のボケを生かしたポートレート撮影やスナップにも活躍する万能レンズである。

20171204_y-koba2 (9)↑カフェで注文したおしゃれなドリンクをXF80mmF2.8 R LM OIS WR Macroで撮影。上に乗っていたフルーツを画面いっぱいに捉えることで、フルーツのみずみずしさや質感が伝わる写真になった。ここまで大きく被写体を写すことができるのが、マクロレンズの面白さだ

 

【まとめ】軽量・コンパクトで毎日持ち歩きたくなるカメラ

今回、午前中から夜まで1日中歩きながら被写体を探したが、軽量・コンパクトであるおかげで疲れずにスナップを楽しむことができた。街スナップは歩けば歩くだけシャッターチャンスに出会えるため、カメラが小さいということは大事なポイント。X-E3は毎日首からぶら下げて持ち歩きたくなるようなデザインで、さまざまなシャッターチャンスに恵まれそうだ。

 

そして、フィルムシミュレーションを使用すれば、そのシャッターチャンスをより印象的でアーティスティックな1枚に仕上げることができる。カメラのなかでイメージを作りこめるため、被写体にカメラを向けるのが楽しくなる。さらにBluetoothを使用すればパソコンを使わなくてもスマホに直接転送できるため、撮ったその場でSNSなどにシェアすることも可能だ。

 

「スマホで十分派」の人も、本機を手にすればその考えが変わるはず。毎日の記録をぜひX-E3とともにたくさん残してもらいたい。

 

■詳しい製品情報はコチラ
http://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/x/fujifilm_x_e3/

 

※本記事は12月20日発売の「CAPA1月号」との連動企画です。CAPA1月号には、ここでは掲載しきれなかった作例が盛りだくさん!詳しくはコチラをチェックしてみてください(遷移先の情報は12月20日に更新されます)

「ルミックス=動画>静止画」は過去のものに! もう1つの最上位ミラーレス一眼「G9 Pro」がそのイメージを覆す

従来、パナソニックのLUMIX(ルミックス)・デジタル一眼は、ハイエンドの「GH」と中・上級機の「GX」、中級機の「G」、入門機の「GF」と4つのシリーズで構成されてきた。このうち現行のハイエンドモデルにあたるのが今春発売の「ルミックス GH5」だ。同機は4K60pで時間制限なく動画が撮れたり、Log記録に対応したりするなど、動画に特化したプロ機として存在感を示している。一方で、写真の愛好家やプロカメラマンからは、もっと写真(静止画)に特化したモデルが欲しいという声が上がっていた。

 

11月16日に国内発表された「ルミックス G9 Pro」は、そうしたユーザーの声を強く意識したモデルとなっており、今回はモデル名にも「Pro」の称号を与えている。ここでは、同日行われたルミックス G9 Proの発表会の様子を交えつつ、同機の魅力を探ってみたい。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA↑ルミックスG9 Pro。発売は2018年1月25日の予定で、実売想定価格は税別21万円前後(ボディ)。ボディ上面に撮影情報表示液晶が搭載された一方で、G8までは内蔵されていたフラッシュがG9 Proでは廃止された。そのぶんシャープな印象のデザインとなっている

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA↑マイクロフォーサーズ機ということもあり、プロ機として考えると非常に小型・軽量なルミックス G9 Pro。写真のように、女性でも無理なくグリップ可能なサイズでありながら、頑丈かつ最新の機能が存分に楽しめるモデルとなっている

 

「写真」に特化したもう1つのフラッグシップ機

ルミックスGシリーズは、前モデルとなるG8までは中・初級機といった位置付けで、低価格機ながら高精細なEVFを搭載し、必要十分以上の機能を持つお買い得モデルといった印象であった。しかし今回のG9 Proは、冒頭にも記したように、プロカメラマンやハイアマチュアが使うことを強く意識したモデルとなっている。

 

また、G9 Proはマイクローフォーサーズ第1号機となるルミックス G1登場から10年目に発売される記念すべきモデル。パナソニック イメージングネットワーク事業部の山根洋介氏も、「ミラーレスカメラ10年の集大成といえるモデルで、写真(静止画)に特化したフラッグシップ機です」と語る。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA↑壇上でミラーレス一眼の10年を振り返りつつ、新製品について語る、山根洋介氏

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA↑「Pro」仕様の証として赤いラインを撮影モードダイヤル基部に配置。外観にモデル名を配していないが、それもG9 Proの高級感に繋がっている。

 

ルミックス史上最高の写真画質と圧倒的な連写&手ブレ補正

まず画質面では、センサーにローパスフィルターレスの有効2030万画素LiveMosセンサーと最新の画像処理エンジン「ヴィーナスエンジン」の採用などにより、ルミックス史上最高の写真画質を実現。高解像で立体感があり、階調特性や色再現にも優れているという。また、G9 Proでは絵作りに新たな思想を導入し、例えば動物などでは、生きているものの生命力や生命美が感じられる絵作りを目指したそう。また、今後登場する同社の一眼についても、こうした思想を反映させた統一感のあるものになるという。

 

連写は、AF追従で約20コマ/秒(メカシャッター使用時は約9コマ/秒)で、AF合焦速度も約0.04とトップクラスだ。ミラーレス一眼でポイントとなるEVFも約368万ドットの有機ELで高精細。視野率約100%なのはもちろん、倍率も約0.83倍と広い視野を実現している。手ブレ補正には、ボディ内手ブレ補正が採用され、ボディ単体で約6.5段分、レンズ内手ブレと協調して補正を行う「Dual I.S.2」対応レンズ使用時なら、望遠側でも約6.5段分の補正効果が得られるとしている。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA↑約20コマ/秒の連写は、電子シャッター使用時に有効で最大連続50コマまで(2.5秒間)撮影可能。それ以上の連写を行いたい場合は、後述の6Kフォトモードを使うことで実質30コマ/秒、4Kフォトモードを使うことで実質60コマ/秒で撮れる。切り替えは、撮影モードダイヤル基部のドライブモードダイヤルで行う

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA↑背面のジョイスティックの質感も向上。節度ある動きで、素早くAF測距点の変更が行える。そのAFも画面内の各被写体までの距離を検出し、高速なAFを実現する「空間認識AF」が進化したことで、極めて高速になっている

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA↑そのほかのボタン、ダイヤル類もクリック感が最適で快適。要望が多かったという上面の撮影情報表示液晶も新設され、現在のカメラ設定が一目でわかるようになった

 

ボディ外装もオールマグネシウム合金製で防塵・防滴仕様。2枚のSDメモリーカードを使用できるダブルスロット(UHS-II対応)も装備され、写真愛好家やプロカメラマンも納得できる仕様となっている。このほか特徴的な機能として、ボディ内手ブレ補正の機構を活用してセンサーを動かしながら8回連続で連写を行って自動合成し、約8000万画素に相当する高解像写真を生成できる「ハイレゾモード」を搭載。約1800万画素で30コマ/秒の連写(動画撮影)を行い、好み位置で写真を切り出せる「6Kフォト」に対応。従来からの「4Kフォト」は、60コマ/秒での撮影が可能だ。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA↑実際に手にしてみると、グリップが深めで持ちやすく、しっかりとグリップできる。シャッターボタンも適度な深さで軽いタッチでレリーズでき、連写も快適だ

 

ライカ銘を冠した超望遠単焦点レンズも発表

交換レンズについては、LEICA DG ELMARIT 200mm F2.8 POWER O.I.S.を発表。希望小売価格42万円(税別)で受注生産となる高級レンズだが、35mm判換算で400mm相当・開放F2.8となり、AF駆動にルミックス初となる「スリーマグネットリニアモーター」を採用したことで、AFが高速でスポーツや動物撮影など動きの素早い被写体の撮影にも有利。1.4倍のテレコンバーターが同梱され、560mm相当F4のレンズとしても使用できるほか、別売の2倍テレコンバーター(800mm相当F5.6)の使用も可能だ。

20171120_y-koba2_1_R↑特殊低分散ガラスを用いた、UEDレンズを2枚採用。色収差が少なく、ハイコントラストな描写を実現している。希望小売価格42万円(税別)で、発売は12月中旬を予定

 

今回の発表会ではG9 Proの実機を試用することができた。ボディの高級感はかなり増しており、外装の質感など、GH5よりも質が高いと感じる部分も多い。シャッターボタンのフィーリングも深すぎず、浅すぎずといった印象で撮影しやすいものであった。4K60pでの動画撮影が10分までという制限があるので、本格的な動画撮影を行うなら制限のないGH5が優れるが、静止画メインで使うならG9 Proのほうが価格面も含めてオススメだ(GH5は参考価格23万6830円)。

ここがスゴいぞ、オリンパスのミラーレス一眼! 入門機~フラッグシップまで全解説

フィルム時代のカメラを復活させたかのようなデザインのPENシリーズやOM-Dシリーズで、スタイリッシュなカメラというイメージが強いオリンパス。だが、実はライブバルブ、ライブコンポジット、深度合成、ハイレゾショットなど豊富な独自機能も魅力となっている。また、発売後のファームウェアアップデートも頻繁で、機能追加が期待できる点もポイントだ。そうしたオリンパスのマイクロフォーサーズ一眼の代表機種を上級、中級、初級にわけて紹介。それらの特徴について解説する。

↑多くの機種が強力なボディ内5軸手ブレ補正を搭載し、使用レンズを選ばず失敗なく撮影できる。クラスを問わず、コンパクトで質の高いボディが採用されている点も魅力だ↑多くの機種が強力なボディ内5軸手ブレ補正を搭載し、使用レンズを選ばず失敗なく撮影できる。クラスを問わず、コンパクトで質の高いボディが採用されている点も魅力だ

 

【上級機】豊富な機能と耐久性を備えたフラッグシップ

カメラグランプリ2017を受賞した同社のフラッグシップモデル「OM-D E-M1 MarkII」。AF、AEともに追従した状態での秒18コマ連写に対応し、オールクロス仕様の像面位相差センサーを備える。そのほか、最大5.5段の補正が可能な5軸手ブレ補正機能を搭載する。

↑OM-D E-M1 MarkII。カメラグランプリ2017を受賞した同社のフラッグシップモデルだ。AF、AEともに追従した状態での秒18コマ連写に対応し、オールクロス仕様の像面位相差センサーを備えるほか最大5.5段の補正が可能な5軸手ブレ補正機能を搭載。●撮像素子:4/3型、有効約2037万画素LiveMOS センサー ● 背面モニター:3 型約104 万ドット、バリアングル式タッチパネル ●シャッター速度:1/8000 ~ 60秒、バルブ ●サイズ:134.1×90.9×68.9㎜●質量:約574g ●参考価格/23万5440円↑●撮像素子:4/3型、有効約2037万画素Live MOS センサー ● 背面モニター:3 型約104 万ドット、バリアングル式タッチパネル ●シャッター速度:1/8000 ~ 60秒、バルブ ●サイズ:134.1×90.9×68.9㎜ ●質量:約574g ●参考価格/22万1620円

 

↑防塵、防滴、耐低温設計にも関わらずボディは498gと軽量。サイズも小型だが、グリップは大きめで、手の大きさを問わず持ちやすい↑防塵、防滴、耐低温設計にも関わらず、ボディは本体のみで498gと軽量。サイズも小型だが、グリップは大きめで、手の大きさを問わず持ちやすい

 

↑メイン、サブ2つのダイヤルを備え、操作性に優れる。背面のレバーで2つのダイヤルの機能を切り替えられ、4つの設定を即座に変更できる↑メイン、サブ2つのダイヤルを備え、操作性に優れる。背面のレバーで2つのダイヤルの機能を切り替えられ、4つの設定を即座に変更できる

 

こちらもおすすめ! 小型ボディで充実の機能が魅力のPEN-F

↑オリンパスには、OM-Dシリーズのほか、PENシリーズもラインナップされている。そのフラッグシップはPEN-Fだ。OM-Dよりも小型ボディながらEVFを内蔵、充実した機能を備える。●参考価格/12万6900円(ボディ)↑オリンパスには、OM-Dシリーズのほか、PENシリーズもラインナップされている。そのフラッグシップはPEN-Fだ。OM-Dよりも小型ボディながらEVFを内蔵、充実した機能を備える。●参考価格/12万3430円(ボディ)

 

【中級機】ファームアップで機能は最新機種並み

同社の中級機に当たるのが、OM-D E-M5 MarkII。2015年2月の発売だが、フォーカスブラケットの追加などのファームウェアアップデートを重ね、最新機種にも迫る性能を維持。防塵防滴、耐低温ボディにもなっており、過酷な撮影シーンにもしっかりと応えてくれる。ダイヤル配置など、操作系が上位機種とほぼ同じなのもうれしい。

↑OM-D E-M5 MarkII。フォーカスブラケットの追加など、ファームウェアアップデートを重ね、最新機種にも迫る性能を維持。防塵防滴、耐低温ボディにもなっており、過酷な撮影シーンにもしっかりと応えてくれる。ダイヤル配置など、操作系が上位機種とほぼ同じなのもうれしい。●撮像素子:4/3型、有効約1605万画素LiveMOSセンサー●背面モニター:3型約104万ドット、バリアングル式タッチパネル●シャッター速度:1/8000 ~ 60秒、バルブ●サイズ:123.7×85×44.5㎜●質量:約469g ●参考価格/9万8280円↑●撮像素子:4/3型、有効約1605万画素LiveMOSセンサー ●背面モニター:3型約104万ドット、バリアングル式タッチパネ ●シャッター速度:1/8000 ~ 60秒、バルブ ●サイズ:123.7×85×44.5㎜ ●質量:約469g ●参考価格(ボディ)/8万3740円

 

↑小型・軽量ボディだが、直線の多い安定したデザインで大型ストロボ用のシンクロ接点も備える本格派。バリアングル式の背面モニターも便利↑小型・軽量ボディだが、直線の多い安定したデザインで大型ストロボ用のシンクロ接点も備える本格派。バリアングル式の背面モニターも便利

 

↑別売のパワーバッテリーホルダーはカメラグリップ部とバッテリーホルダー部が分離できる。カメラグリップ部にはヘッドフォン端子を搭載し、動画撮影にも重宝する↑別売のパワーバッテリーホルダーは、カメラグリップ部とバッテリーホルダー部が分離できる。カメラグリップ部にはヘッドフォン端子を搭載し、動画撮影にも重宝する

 

【初級機】ボディ内手ブレ補正や連写などが魅力

今秋にはエントリークラスの最新モデル「OM-D E-M10 Mark III」が登場。410gと小型・軽量ながら、強力な5軸手ブレ補正や秒8.6コマの連写、4K動画撮影などに対応する。「SCN(シーン)」や「AP(アドバンストフォト)」などの4つのカメラアシスト撮影モードにより、カメラ初心者でも簡単にクリエイティブな写真が撮影できる。

↑399gの小型・軽量機ながら、動画撮影にも有効な5軸手ブレ補正や秒8.5コマの連写、タイムラプス動画撮影機能などに対応。高級感のある金属外装を備え、2ダイヤル式の操作系で上位機種にも劣らない素早い操作が可能。EVFも見やすく、使い勝手に優れる。●撮像素子:4/3型、有効約1605万画素LiveMOSセンサー ●背面モニター:3型約104万ドット、チルト式タッチパネル ●シャッター速度:1/4000 ~ 60秒、バルブ ●サイズ:119.5×83.1×46.7㎜ ●質量:約399g ●参考価格/6万5880円↑●撮像素子:4/3型、有効約1605万画素Live MOSセンサー ●背面モニター:3型約104万ドット、チルト式タッチパネル ●シャッター速度:1/4000 ~ 60秒、バルブ ●サイズ:121.5×83.6×49.5mm ●質量:約410g ●参考価格(ボディ)/8万7480円

 

【オリンパス一眼6つの特徴】ボディ内手ブレ補正や画像合成機能が魅力

最新のオリンパスのOM-DシリーズやPENシリーズは、強力なボディ内5軸手ブレ補正を備え、静止画、動画ともにブレなく撮れる。特にOM-D E-M1 MarkIIでは、対応レンズとの組み合わせで最大6.5段分の補正効果が得られる。このほか、深度合成機能など、ボディ内での画像合成機能も魅力だ。

 

特徴1/手ブレ補正

同社の現行一眼の全モデルが5軸のブレに対応した強力な手ブレ補正を搭載している。特にE-M1 MarkIIとM.ZUIKO DIGITAL ED12~100mm F4.0 IS PROとの組み合わせでは、ボディとレンズの手ブレ補正が協調することで最大6.5段分もの補正が可能だ。

↑E-M1マークⅡ+対応レンズでは、レンズ内手ブレ補正とカメラ内の補正機構がシンクロ。最大6.5段の補正効果で、この写真のような1秒を超える夜景の手持ち撮影も可能だ。50ミリ相当 マニュアル露出(F5.6 1.3秒) ISO200 WB:オート↑E-M1 MarkII+対応レンズでは、レンズ内手ブレ補正とカメラ内の補正機構がシンクロ。最大6.5段の補正効果で、この写真のような1秒を超える夜景の手持ち撮影も可能だ。50mm相当 マニュアル露出(F5.6 1.3秒) ISO200 WB:オート

 

特徴2/防塵・防滴

E-M1 MarkIIやE-M5 MarkIIは、ボディのつなぎ目はもちろん、ダイヤルや、シャッターボタンなどの可動部までシーリングが施されている。レンズやバッテリー交換時に水が入らないように注意すれば、ほこりの多い環境や、雨や水しぶきのかかる状況でも安心して使える。

↑赤い線で示されているのがシーリングされた部分。ボディの気密性が高く、対応レンズを使えば、多少の水なら気にせず撮影可能だ↑赤い線で示されているのがシーリングされた部分。ボディの気密性が高く、対応レンズを使えば、多少の水なら気にせず撮影可能だ

 

↑PROシリーズレンズはボディと同じようにシーリングが施されている。E-M1マークⅡなどと組み合わせれば、雨対策は万全だ↑PROシリーズレンズはボディと同じようにシーリングが施されている。E-M1 MarkIIなどと組み合わせれば、雨対策は万全だ

 

特徴3/アートフィルター

カメラ内で画像を加工し、演出を加えるデジタルフィルターを同社では「アートフィルター」と呼ぶ。ポップアート、ファンタジックフォーカスなど種類が多く、設定ごとに効果の強弱が変えられる。バリエーションも豊富で気軽に個性的な写真が楽しめる。

↑部分的にコントラストを強くして明暗差を強調する「ドラマチックトーン」を使用。動物のオブジェを不思議な雰囲気に仕上げた。42mm相当 プログラムオート (F8 1/160秒) -0.7補正 ISO200 WB:オート↑部分的にコントラストを強くして明暗差を強調する「ドラマチックトーン」を使用。動物のオブジェを不思議な雰囲気に仕上げた。42mm相当 プログラムオート (F8 1/160秒) -0.7補正 ISO200 WB:オート

 

特徴4/深度合成モード

ピントをずらして撮影した複数の写真をもとに、広範囲にピントが合った写真を生成する画像合成の一種。マクロ撮影など、被写界深度の浅い被写体で重宝する。これをカメラ内で自動で行えるのが深度合成モード。深度の深い写真を簡単に撮影できる。

↑小さな被写体は、絞り込んでもすべてにピントを合わせることは難しい。深度合成モードなら、画面全体にピントの合った写真にできる↑小さな被写体は、絞り込んでもすべてにピントを合わせることは難しい。深度合成モードなら、画面全体にピントの合った写真にできる

 

特徴5/高速AF

E-M1 MarkIIは、121点オールクロス像面位相差AFセンサーを搭載し、被写体にピントを合わせ続けた18コマ/秒連写が可能。これは、数値的にいえば一眼レフのフラッグシップ機を凌駕している。また、そのほかの機種もコントラストAFの改良により、かなり高速なAFを実現している。

↑列車を約18コマ/秒の高速連写で捉えた。従来のミラーレス機のAFでは厳しい条件だが、EM-1マークⅡなら問題なく撮影できる。80ミリ相当 シャッター速度優先オート(F2.8 1/2000秒) ISO800 WB:オート↑列車を約18コマ/秒の高速連写で捉えた。従来のミラーレス機のAFでは厳しい条件だが、E-M1 MarkIIなら問題なく撮影できる。80mm相当 シャッター速度優先オート(F2.8 1/2000秒) ISO800 WB:オート

 

特徴6/ハイレゾショット

0.5画素単位でセンサーを動かしながら8回撮影し、それらの画像をもとに5000万画素相当の画像を生成するのが「ハイレゾショット」だ。被写体の動きに弱いという弱点もあるが、E-M1 MarkIIでは、最新画像処理エンジン「TruePicⅧ」により被写体の動きによる画像の乱れを最小限に抑え、自然な写りを実現している。

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↑ハイレゾショットは、センサー位置をごくわずかに動かして高画素の画像を生成するため、撮影には三脚が必要だ。被写体の動きには強くなってはいるが、動いた部分の解像が低下することもあるので、動かない被写体が向いている。ハイレゾショット使用(左)と通常撮影(右)を比較すると、約5000万画素となる左の写真のほうが、細かい部分まで描写されているのがわかる↑ハイレゾショットは、センサー位置をごくわずかに動かして高画素の画像を生成するため、撮影には三脚が必要だ。被写体の動きには強くなってはいるが、動いた部分の解像が低下することもあるので、動かない被写体が向いている。ハイレゾショット使用(左)と通常撮影(右)を比較すると、約5000万画素となる左の写真のほうが、細かい部分まで描写されているのがわかる

 

 

写真/吉森信哉 解説/青柳敏史

人気ミラーレス一眼「ソニー α(アルファ)シリーズ」まとめ――入門機/中級機/上級機の違いを一挙解説

ソニーは、他社に先駆けて35mm判フルサイズ仕様のミラーレス一眼カメラを開発・販売。コニカミノルタから受け継いだ既存の一眼レフの流れを汲むAマウント製品もあるが、注目度が高いのはEマウントのミラーレス一眼だ。エントリーユーザーにも使いやすいAPS-Cサイズ機から、プロやハイアマが注目するフルサイズ機まで、ニーズに合わせた幅広いシリーズ展開も魅力。ここでは、そうしたソニー製ミラーレス一眼の現行ラインナップの代表機種を「上級機」「中級機」「入門機」にわけて紹介。その特徴について解説する。

↑高感度撮影に特化したα7SII。高感度での4K動画撮影にも向き、天体撮影などに活用されるケースも多い↑高感度撮影に特化したα7SII。高感度での4K動画撮影にも向き、天体撮影などに活用されるケースも多い

 

【上級機】レンズの性能をフルに生かす4240万画素機

上級機としては、α7シリーズが該当する。なかでもα7RIIは、有効約4240万画素の35ミリ判フルサイズ裏面照射型CMOSセンサーを採用する、高画素タイプのフルサイズ機。高解像感が得られるローパスフィルターレスセンサーを採用し、同社が誇るツァイスやGマスターなど高性能レンズの能力を最大限に引き出せる。

↑α7RII。有効約4240万画素の35ミリ判フルサイズ裏面照射型CMOSセンサーを採用する、高画素タイプのフルサイズ機。高解像感が得られるローパスフィルターレスセンサーを採用し、同社が誇るツァイスやGマスターなど高性能レンズの能力を最大限に引き出せる。● 撮像素子:35.9×24.0㎜、有効約4240万画素CMOSセンサー ●背面モニター:3型約123万ドット、チルト式 ●シャッター速度:1/8000~30秒、バルブ ●サイズ:126.9×95.7×60.3㎜ ●質量:約582g ●参考価格/33万9980円(ボディ)↑● 撮像素子:35.9×24.0㎜、有効約4240万画素CMOSセンサー ●背面モニター:3型約123万ドット、チルト式 ●シャッター速度:1/8000~30秒、バルブ ●サイズ:126.9×95.7×60.3㎜ ●質量:約582g ●参考価格/35万660円(ボディ)

 

↑裏面照射構造を採用した、世界初の35ミリ判フルサイズセンサー。有効約4240万画素で、優れた高感度性能と広ダイナミックレンジも実現した↑裏面照射構造を採用した、世界初の35ミリ判フルサイズセンサー。有効約4240万画素で、優れた高感度性能と広ダイナミックレンジも実現した

 

↑399点の像面位相差AFセンサーは撮像エリアの45%をカバーする範囲で高密度に配置。厳密なピント合わせや高い動体追従性を実現にしている↑399点の像面位相差AFセンサーは撮像エリアの45%をカバーする範囲で高密度に配置。厳密なピント合わせや高い動体追従性を実現にしている

 

信号処理システムを一新した「α7R III」もまもなく発売

20171113_y-koba1_01↑11月25日発売予定のα7シリーズ最新モデル「 α7R III」。イメージセンサーからの読出し速度や画像処理速度が大幅に向上し、α7R IIでは最高約5コマ/秒だったAF/AE追従連写が本機では最高約10コマ/秒と2倍の速度に進化している。●参考価格/39万9470円(ボディ)

 

秒間約20コマ連写が可能なα9も登場

↑世界初のメモリー内蔵積層型CMOSセンサーを搭載するフルサイズ一眼α9。最高約20コマ/秒のブラックアウトフリー連続撮影などが可能だ。●参考価格/52万2620円↑世界初のメモリー内蔵積層型CMOSセンサーを搭載するフルサイズ一眼α9。最高約20コマ/秒のブラックアウトフリー連続撮影などが可能だ。●参考価格/52万2620円

 

【中級機】像面位相差AFなど注目機能“全部入り”小型機のα6500

中級機としては、APS-Cサイズセンサーを搭載した小型ボディに、光学式5軸ボディ内手ブレ補正や425点の像面位相差AFなどを採用したα6500を用意。AF/AE追従で最高約11コマ/秒の高速連写も実現している。高画質な4K動画撮影にも対応。センサーサイズ以外は上級機に近い、いわば“全部入り”の中級機となっている。

↑●撮像素子:23.5×15.6㎜、有効約2420万画素CMOSセンサー ●背面モニター:3型約92.1万ドット、チルト式タッチパネル ●シャッター速度:1/4000~30秒、バルブ ●サイズ:120×66.9×53.3㎜●質量:約453g ●参考価格/14万4190円(ボディ)↑●撮像素子:23.5×15.6㎜、有効約2420万画素CMOSセンサー ●背面モニター:3型約92.1万ドット、チルト式タッチパネル ●シャッター速度:1/4000~30秒、バルブ ●サイズ:120×66.9×53.3㎜●質量:約453g ●参考価格/14万4190円(ボディ)

 

↑画素加算のない全画素読み出しによる高解像4K動画記録の機能を搭載。豊富な情報量を凝縮した映像は、圧倒的な解像力を実現している↑画素加算のない全画素読み出しによる高解像4K動画記録の機能を搭載。豊富な情報量を凝縮した映像は、圧倒的な解像力を実現している

 

↑画面上を指でなぞってフォーカス位置を移動させる「タッチパッド機能」を搭載。ファインダー使用時のスムーズなフォーカス移動が行える↑画面上を指でなぞってフォーカス位置を移動させる「タッチパッド機能」を搭載。ファインダー使用時のスムーズなフォーカス移動が行える

 

【入門機】初心者に最適なタッチパネル採用のα5100

エントリーユーザー向きの小型軽量APS-Cサイズ機としてはα5100がある。連写が6コマ/秒で動画もフルHDまでだが、179点像面位相差AFセンサーの採用によって速くて正確なファストハイブリッドAFを実現。タッチ操作に対応したチルト可動式液晶モニターなど、初心者にも使いやすい機能を持つ。

↑●撮像素子:23.5×15.6㎜、有効約2430万画素CMOSセンサー ●背面モニター:3型約92.1万ドット、チルト式 ●シャッター速度:1/4000~30秒、バルブ ●サイズ:109.6×62.8×35.7㎜ ●質量:約283g ●参考価格/5万2440円(ボディ)↑●撮像素子:23.5×15.6㎜、有効約2430万画素CMOSセンサー ●背面モニター:3型約92.1万ドット、チルト式 ●シャッター速度:1/4000~30秒、バルブ ●サイズ:109.6×62.8×35.7㎜ ●質量:約283g ●参考価格/5万2440円(ボディ)

 

↑チルト式液晶モニターは、上方向に約180度可動する。モニターを跳ね上げることで、画面を見ながらの自分撮りが簡単に行える↑チルト式液晶モニターは、上方向に約180度可動する。モニターを跳ね上げることで、画面を見ながらの自分撮りが簡単に行える

 

【αシリーズ5つの特徴】機種ごとに特徴的な機能を備えるのが魅力

αシリーズの場合、機種ごとに得意ジャンルが設けられている。例えば、α7RIIは有効約4240万画素の高画素、α9は秒間約20コマの高速連写、といった具合。そのため、特徴ある最新機能を全部入れた機種というのは存在せず、APS-Cサイズのα6500が全体のバランスがいい機種といえる程度で、機種ごとの魅力が際立っている。それを前提に5つの機能について紹介する。

 

特徴1/最先端なセンサー

α7RⅡとα9は、裏面照射型35ミリフルサイズCMOSセンサーを搭載。センサーの配線層をフォトダイオードの下に配置する構造で、高画素でも高いダイナミックレンジが得られる。加えて、α9はメモリー一体積層型センサーとすることで、高速データ読み出しも可能だ。

↑α9ではメモリー一体積層型CMOSセンサーを採用。センサーからの信号を高速処理する回路とデータを取り込むメモリーをセンサーと一体にして、これまで以上の高速読み出しを実現した↑α9ではメモリー一体積層型CMOSセンサーを採用。センサーからの信号を高速処理する回路とデータを取り込むメモリーをセンサーと一体にして、これまで以上の高速読み出しを実現した

 

↑α7RIIなどでは、受光面を上にした裏面照射構造に加え、ギャップレスオンチップレンズ構造や反射防止膜を採用。集光率を大幅に向上させ、低ノイズや高い解像感を達成している↑α9やα7RIIなどでは、受光面を上にした裏面照射構造に加え、ギャップレスオンチップレンズ構造や反射防止膜を採用。集光率を大幅に向上させ、低ノイズや高い解像感を達成している

 

↑α7RⅡで撮影。高性能レンズを用いることで約4240万画素の高い解像感を得られただけでなく、裏面照射型センサーによる豊かな階調再現で自然な写りとなった。85mm相当 絞り優先オート(F3.5 1/100秒) ー0.3補正 ISO500 WB:オート↑α7RⅡで撮影。高性能レンズを用いることで約4240万画素の高い解像感を得られただけでなく、裏面照射型センサーによる豊かな階調再現で自然な写りとなった。85mm相当 絞り優先オート(F3.5 1/100秒) ー0.3補正 ISO500 WB:オート

 

特徴2/ボディ内5軸式手ブレ補正に対応

最新のαシリーズミラーレス一眼は、ボディ内に5軸手ブレ補正機構が搭載されている。一般的なレンズ内補正式では対応できるのは角度ブレのみだが、ボディ内5軸式採用により、回転ブレなどにも対応。その補正効果は最高約4.5段分(α9は5.0段分)となっている。

↑角度ブレ(Pitch/Yaw)に加え、マクロ時などに発生するシフトブレ(X/Y)に対応。夜景撮影で目立つ回転ブレ(Roll)も補正される↑角度ブレ(Pitch/Yaw)に加え、マクロ時などに発生するシフトブレ(X/Y)に対応。夜景撮影で目立つ回転ブレ(Roll)も補正される

 

特徴3/高速連写

高速連写に強い機種が多く、中級機のα6500でも約11コマ/秒、高画素なα7RIIでも約5コマ/秒の連写に対応する。なかでもα9は、読み出し速度が高速なメモリー一体積層型CMOSセンサーを採用し、電子シャッター使用で約20コマ/秒の連写を実現。しかも、ファインダー像が撮影中も途切れない、ブラックアウトフリー仕様となっている。

↑α9で撮影。望遠ズームを使用し、マントヒヒ同士がケンカする場面を狙う。最高20コマ/秒の高速連写により、動感溢れる瞬間を逃さず捉えることができた。300mm相当 シャッター優先オート(F5.6 1/2000秒) ISO1600 WB:オート↑α9で撮影。望遠ズームを使用し、マントヒヒ同士がケンカする場面を狙う。最高20コマ/秒の高速連写により、動感溢れる瞬間を逃さず捉えることができた。300mm相当 シャッター優先オート(F5.6 1/2000秒) ISO1600 WB:オート

 

特徴4/高感度

α7SIIでは画素数を約1220万画素に抑え、徹底した低ノイズ設計とすることで最高ISO感度409600を実現。このほかのモデルも、裏面照射型構造を採用するなどして、α9は常用感度ISO51200を達成。センサーの小さなα6500も常用ISO25600、拡張ISO51200で撮影できる。

↑α9で撮影。最高20コマ/秒の連写が注目されるが、高感度性能の高さも魅力。常用感度上限の描写も良好で高感度での高速連写が生きる。24mm相当 絞り優先オート (F5.6 1/15秒) +0.3補正 ISO51200 WB:オート↑α9で撮影。最高20コマ/秒の連写が注目されるが、高感度性能の高さも魅力。常用感度上限の描写も良好で高感度での高速連写が生きる。24mm相当 絞り優先オート (F5.6 1/15秒) +0.3補正 ISO51200 WB:オート

 

特徴5/4K動画

4K動画撮影機能も高性能。6K相当で映像を取り込んで高画質化を図ったα9やα6500、α7RⅡやα6500で可能な、センサーの24×14mmの部分を用いるSuper35㎜時の全画素読み出しで画素補完のない質の高い動画など、高解像で階調再現に優れた撮影が行える。

↑4Kの記録フォーマットには、プロ用の規格を民生用途に拡張した「XAVC S」を採用。高精細で圧縮ノイズの少ない4K映像表現が可能だ。HDMI出力に対応し、非圧縮映像を外部レコーダーに記録することが可能。また、HDMI同時出力で外部モニター確認しながら本体内記録も可能。オプションも豊富でプロ用途にも適した性能を持つ↑4Kの記録フォーマットには、プロ用の規格を民生用途に拡張した「XAVC S」を採用。高精細で圧縮ノイズの少ない4K映像表現が可能だ。HDMI出力に対応し、非圧縮映像を外部レコーダーに記録することが可能。また、HDMI同時出力で外部モニター確認しながら本体内記録も可能。オプションも豊富でプロ用途にも適した性能を持つ

 

 

 

 

「ミラーレス一眼」10年史――初号機~最新モデルに見る、ミラーレス一眼の「これまで」と「これから」

ミラーボックスを省くことで小型軽量化を図ったミラーレス一眼の第1号機の発売からまもなく10年目を迎える。現在は国内外合わせて10社以上がミラーレス一眼を発売。CIPAの統計によると、レンズ交換式カメラ市場のなかでの一眼レフとミラーレスの割合は、年々ミラーレスが高くなっており、2016年には総出荷金額ベースで約29%に達している。まずは、そんなミラーレス一眼の歴史を誕生から振り返ったうえで、これからミラーレス一眼が向かう方向を占ってみよう。

↑CIPAが発表したレンズ交換式デジタルカメラの年間出荷金額をグラフ化したもの。全体の金額は年々縮小しているが、ミラーレスの比率は徐々に高まっている↑CIPAが発表したレンズ交換式デジタルカメラの年間出荷金額をグラフ化したもの。全体の金額は年々縮小しているが、ミラーレスの比率は徐々に高まっている

 

↑ソニー α7 RII。2015年8月の登場以来人気を集める有効約4240万画素機。最近はこうした高画素モデルだけでなく、高速連写や高感度など、一眼レフをも凌駕するミラーレス一眼の人気が高まっている↑ソニー α7 RII。2015年8月の登場以来人気を集める有効約4240万画素機。最近はこうした高画素モデルだけでなく、高速連写や高感度など、一眼レフをも凌駕するミラーレス一眼の人気が高まっている

 

【~2008年/ミラーレス前夜】一眼レフでのライブビュー撮影が可能に

1990年代~2000年代前半のデジタル一眼レフは、フィルムカメラと同じように光学ファンダーを覗いて撮ることしかできなかった。そんななか、2004年にフルタイムライブビューを可能にした初の一眼レフ、オリンパスE-330が発売。以後、一眼レフでのライブビューが一般化した。

↑オリンパス E-330の透視図。撮像センサーのほか、光学ファインダーの光路にライブビュー専用のセンサーを組み込むことで撮影タイムラグの少ない撮影を可能にしていた。また、レンズからの光を横に反射させることでボディの高さを抑えたユニークなカメラでもあった↑オリンパス E-330の透視図。撮像センサーのほか、光学ファインダーの光路にライブビュー専用のセンサーを組み込むことで撮影タイムラグの少ない撮影を可能にしていた。また、レンズからの光を横に反射させることでボディの高さを抑えたユニークなカメラでもあった

 

【2008年】マイクロフォーサーズがミラーレス第1号

ミラーレス一眼は、イメージセンサーが常に動作する、ライブビュー状態で使うことが前提であり、そのためには発熱や消費電力を小さく抑える必要があった。それを可能にする低消費電力センサーが開発されたことで、2008年にパナソニックから世界初のミラーレス一眼、ルミックスG1が登場。翌年にはオリンパスからもミラーレス一眼のE-P1が発売された。

↑パナソニック ルミックスG1。世界初のミラーレスカメラ。一眼レフを思わせるデザインながら、既存の一眼レフよりも一回り以上のコンパクト化を実現↑パナソニック ルミックスG1。世界初のミラーレスカメラ。一眼レフを思わせるデザインながら、既存の一眼レフよりも一回り以上のコンパクト化を実現

 

↑一眼レフでは、レンズから入った光をミラーで反射させ、光学ファインダーやAFセンサーへと光を導く必要がある。一方ミラーレスでは、光が直接センサーにあたり、そこからライブ映像が出力され、EVFやモニターに表示される仕組み。ミラーがない分、、フランジバックが短くでき小型軽量化に有利だ↑一眼レフでは、レンズから入った光をミラーで反射させ、光学ファインダーやAFセンサーへと光を導く必要がある。一方ミラーレスでは、光が直接センサーにあたり、そこからライブ映像が出力され、EVFやモニターに表示される仕組み。ミラーがないぶんフランジバックが短くでき、小型軽量化に有利だ

 

【2009~2012年】各社からミラーレス一眼が続々と登場

第1号機の発売以降、さまざまなカメラメーカーや家電メーカーがミラーレス一眼の分野に参入し、数多くの製品が登場。そのほとんどのメーカーは、ミラーレス用に独自のレンズマウント規格を新たに開発・採用しての参入だった。

↑オリンパスはパナソニックと同じマイクロフォーサーズ規格のE-P1を発売。レトロなデザインやアートフィルターで人気を集めた↑オリンパスはパナソニックと同じマイクロフォーサーズ規格のE-P1を発売。レトロなデザインやアートフィルターで人気を集めた

 

↑ソニーは2010年にNEX-3とNEX-5を発売。従来のAマウントとは別に、新たにEマウントを採用。初期はAPS-Cサイズに特化していた↑ソニーは2010年にNEX-3とNEX-5を発売。従来のAマウントとは別に、新たにEマウントを採用。初期はAPS-Cサイズに特化していた

 

→キヤノンは2012年にEOS Mを発売。新開発EF-Mマウントを採用し、アダプターを介して一眼レフ用レンズも使用可能だ↑キヤノンは2012年にEOS Mを発売。新開発EF-Mマウントを採用し、アダプターを介して一眼レフ用レンズも使用可能だ

 

【2012~2016年】ミラーレスカメラの実用性が向上

2012年以降もミラーレスの普及は進んだ。主なユーザー層は、コンパクトカメラからステップアップする人や、一眼レフのサブ機として使用する人たちだ。そのため2010年代前半はエントリークラスやミドルクラスの製品が中心だった。その後、さらに高性能化が進み、2013年には初のフルサイズミラーレスα7/α7Rが登場。中級者以上がサブではなくメイン機として選ぶケースも増えてきた。その間、ミラーレス一眼の弱点であったAF速度や連写速度などの課題も徐々にクリアされてきた。

 

■AFの高速化/像面位相差AFを採用

ミラーレスで一般的な「コントラストAF」は、ピントが合った位置が最も像のコントラストが高くなるという現象を利用。レンズを動かしてコントラストの高い位置を検出する。そのためピントは正確に合うが、AFを速くするのは難しい。一方、一眼レフで使われている「位相差AF」は、いわば三角測量に近い方法で被写体を2点から見たときの位相のズレを検出する方式で高速なAFが可能だ。そこで、イメージセンサー上に位相差検出用のセンサーを複数置いてAFを行う「像面位相差AF」を採用する製品が増加。快適なAF速度と動体追従性を実現している。

 

■連写速度の向上/電子シャッターで超高速連写を実現

ミラーレスでは、電子シャッターを使うことで高速連写ができるモデルが増えている。一眼レフのメカシャッターのようにミラーやシャッター幕を物理的に動かす必要がないので、10コマ/秒クラスの超高速連写ができる製品も少なくない。

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→メカシャッター(上)では10コマ前後の連写が現在の上限。センサー(下)使用の電子シャッターは、読み出しや画像処理回路の高速化で、さらなる連写が可能に↑メカシャッター(上)では10コマ前後の連写が現在の上限。センサー(下)使用の電子シャッターは、読み出しや画像処理回路の高速化で、さらなる連写が可能に

 

【2016~2017年】中判などの高画質機もミラーレス化が進む

2016年以降は、独自センサー採用のシグマsd Quattroや富士フイルムとハッセルブラッドが手がけた中判ミラーレスなど、一段上の画質を備えた機種も登場。特に大型のセンサーを採用した中判カメラは、ブレが目立ちやすくカメラの内部振動によって画像がぶれてしまうケースもあるため、ミラーボックスがないミラーレスは最適といえる。加えて、一眼レフより設計の自由度が高く、小型化できる点も中判カメラを設計するうえでの魅力だ。

 

このほか、ソニー α9などのように電子シャッターや高速読み出しが可能なセンサーを用い、超高速シャッターや高速連写を実現したカメラも登場。今後、画質と速度の両面で一眼レフを超えるカメラが登場することを予感させる。

↑富士フイルムのGFX 50Sは、32.9×43.8㎜という大きなセンサーを備え、画素数は5000万超。既存の中判デジタルカメラに比べ、大幅なコンパクト化を実現。レンズやファインダーなどのアクセサリーが豊富に用意されているのも魅力だ↑富士フイルムのGFX 50Sは、32.9×43.8㎜という大きなセンサーを備え、画素数は5000万超。そのうえで、既存の中判デジタルカメラに比べ、大幅なコンパクト化を実現。レンズやファインダーなどのアクセサリーが豊富に用意されているのも魅力だ

 

↑ハッセルブラッドX1D-50cも、GFX同様に32.9×43.8mmの5000万画素超のセンサーを使用。世界初の中判ミラーレス一眼だ。スッキリしたデザインでファインダーも内蔵↑ハッセルブラッドX1D-50cも、GFX同様に32.9×43.8mmの5000万画素超のセンサーを使用。世界初の中判ミラーレス一眼だ。スッキリしたデザインでファインダーも内蔵

 

↑シグマsd Quattro Hは、独自に開発したAPS-HサイズのFoveonセンサー「Quattro H」を採用。クリアな発色と5100万画素相当の圧倒的な精細感を誇る↑シグマsd Quattro Hは、独自に開発したAPS-HサイズのFoveonセンサー「Quattro H」を採用。クリアな発色と5100万画素相当の圧倒的な精細感を誇る

 

【ミラーレス一眼のこれから】デジタルならではの付加価値に期待

ミラーレスカメラは9年間で急速に進化し、もはやどの製品を選んでも大きく外すことはなく、クラスに応じた満足感が得られる。画質もスピードも操作面も、一眼レフに追いつきつつあるといっていい。当面の課題はバッテリー持久力くらいだろう。今後も、画質やスピードといったカメラとしての基本部分の高性能化はさらに進むだろうが、このまま単に画素数や連写速度などのスペックを高めるだけでは十分ではない。これからはユーザーに欲しいと思わせる魅力や価値をいかに加えるかがカギになる。幸いにして、センサー以外の主要部分がメカで構成された一眼レフとは異なり、ミラーレスはデジタル化された部分が多いので、まだまだ技術革新の余地はある。あっと驚くような新機能や新製品に期待したい。

 

プロ用一眼を凌駕するミラーレス一眼

↑ソニー α9。初期のミラーレスカメラは動体撮影が苦手だったが、最近では一眼レフに匹敵する動体追従性や、一眼レフを超える連写速度を持つミラーレスカメラが登場。その代表格がソニーα9だ。スポーツやポートレート、ネイチャーなどプロの現場でもα9ユーザーが増加中だ↑ソニー α9。初期のミラーレスカメラは動体撮影が苦手だったが、最近では一眼レフに匹敵する動体追従性や、一眼レフを超える連写速度を持つミラーレスカメラが登場。その代表格がソニーα9だ。スポーツやポートレート、ネイチャーなどプロの現場でもα9ユーザーが増加中だ

 

↑オリンパス OM-D E-M1 MarkII。マイクロフォーサーズのミラーレスカメラは、小型軽量に加えて、4Kなど動画機能の充実、連写の速さ、強力な手ブレ補正などが独自の魅力になっている。なかでも昨年末登場のオリンパスE-M1 Mark IIは、手持ちでの長時間露光という新しい撮影方法を生み出した↑オリンパス OM-D E-M1 MarkII。マイクロフォーサーズのミラーレスカメラは、小型軽量に加えて、4Kなど動画機能の充実、連写の速さ、強力な手ブレ補正などが独自の魅力になっている。なかでも昨年末登場のオリンパスE-M1 Mark IIは、手持ちでの長時間露光という新しい撮影方法を生み出した