「スト6」に学ぶ対人関係の駆け引きとメタバースの数少ない成功事例

超大作が立て続けに発表された2023年ゲーム業界。普段ゲームをしていない人、する時間がない人でも、「これだけはプレイしておいた方がイイ!」と筆者が強くオススメしたい一作こそ「ストリートファイター6」です。

↑シリーズ最新作「ストリートファイター6」のタイトル画面

 

同作は、かつて対戦格闘ゲームブームを生み出し、対戦格闘ゲームというジャンルを根付かせた歴史的ゲーム「ストリートファイター」シリーズの最新作。もちろん同作も対戦格闘ゲームとして作られているのですが、対戦格闘ゲームファンならずとも……いや、ゲームに興味がなくとも、ビジネスに関わる人間であれば誰もが注目すべき要素が盛り込まれています。

 

ゲームを取り巻く環境そのものをゲーム内に取り込んだ「バトルハブ」

↑今作もこれまで同様、メインとなるのは他プレイヤーとの対戦要素

ジャンル名に含まれた「対戦」という言葉が示す通り、対戦格闘ゲームは他プレイヤーと対戦することが前提。このため、「勝ち負け」というかたちで実力差がはっきり示されるという特徴を持っています。だからこそ「eスポーツ」としても成立するのですが、一方で、ゲームをプレイする人すべてがシビアに勝ち負けを楽しむわけではありません。

 

たとえば野球においても、プロは勝ち負けをシビアに追求しますが、レクリエーションとして楽しむ人たちだっています。ただこれまでの対戦格闘ゲームは、勝ち負けをシビアに追求するという側面に強くフォーカスが当たっていました。

 

↑オープンワールドで展開するストーリーが楽しめる一人用の「ワールドツアー」

 

これに対し本作は、一人で楽しめる「ワールドツアー」や、他プレイヤーと触れ合える仮想空間「バトルハブ」といったモードを用意。特に注目すべきモードがバトルハブです。

↑ゲームセンターがメタバース的に表現された「バトルハブ」

 

バトルハブは、ゲーム内に作られた仮想ゲームセンターであり、本作の対戦以外にも、開発元のカプコンが過去にゲームセンター向けに提供していたレトロゲームがプレイ可能。

 

さらに、ゲーム大会や、狩野英孝氏をはじめとした有名配信者とゲームを楽しめるイベントなどといったものまで実施されています。つまり本作は、ゲームという娯楽商品の範疇に留まるものではなく、「ゲームセンター」や「ゲーム大会」「ゲームコミュニティ」といった、ゲームをとりまく環境そのものを取り込んだ巨大サービスといえるでしょう。

↑「ストリートファイター6」以外のレトロゲームもプレイ可能。まさにゲームセンター!

 

単純に「おもしろいゲーム」ならいくつもありますが、サービスとしてここまでのスケールを持つものはそう多くありません。また、仮想空間……いわゆる「メタバース」の一事例としても注目度が高いです。

 

メタバース的なコンテンツは多数生まれていますが、成功しているものはさほど多くありません。その中で本作のバトルハブは継続的に人を集め、実施しているイベントも成功を収めています。つまり本作のバトルハブは、メタバースの成功事例のひとつといえるでしょう。

 

「対人的な駆け引き」が集約された対戦格闘ゲームの最新事例

↑相手の心理を読んで勝つ! 駆け引きこそ、対戦格闘ゲームの醍醐味

一方、本作を「対戦格闘ゲーム」という観点から見た場合でも、プレイすべき価値が存在します。それは、「対人的な駆け引き」が集約されている点。対戦ゲームであれば、基本的に対人的な駆け引きが盛り込まれていますが、中でも対戦格闘ゲームは運の影響が少ないため、それが強く勝敗に影響します。

↑これまで通りの操作でプレイできるクラッシック操作以外に、シンプルなモダン操作を搭載

 

対戦格闘ゲーム未経験だと、ルールや操作に難しいイメージがあるかもしれません。しかし、本作はシンプルに操作できる「モダン操作」が用意されており、「コマンド」と呼ばれる複雑な操作を学ぶことなく楽しめます。

 

また、ルールも基本的には「ジャンケン」の延長。打撃技にはガード、ガードには投げ、投げには打撃技……というかたちで、ゲーム内の行動はジャンケンにおける「グー・チョキ・パー」のような「3すくみ」となっています。つまり、相手が選択した行動より強い行動を選べばOK。

 

↑勝利するためのコツは、相手の攻撃に対して有利な行動を取ること

 

さっき「運の影響が少ない」と書いたのに、「ジャンケンだなんて、運そのものじゃないか!」と思わせたかもしれません。しかし対戦格闘ゲームはジャンケンと違い、同時に行動しなければならないわけではありません。自分は行動を選ばず様子を見守り、敵が攻撃してきたらガード……といった後出しが可能なわけです。

↑ただ有利な行動を繰り返すだけではなく、相手の行動を誘うための引っ掛けも重要

 

だったら、誰もが後出しを狙うのではないか? ……それがそうでもありません。ここに対人的な駆け引きが加わってくるのです。たとえば、相手に投げを決めるためには、相手のそばまで接近しなければなりません。これを相手目線から見ると、「相手が接近してきたということは、投げを狙っているんだな」となります。投げに有効なのは打撃技……でしたよね。

 

ということは、あえて接近することで相手に打撃技を出させ、その隙に別の攻撃を当てる……といったことができるかもしれません。つまりは心理戦――対人的な駆け引き。

↑対戦格闘ゲームで学べる「駆け引き」は、ビジネスや実生活でも活用可能!

 

相手の立場になって、相手の出方を見る……こうした「駆け引き」の技術は、ビジネスの現場でも有効です。そもそも昔から、仕事にも活用するという前提で「将棋」や「囲碁」、「麻雀」といったゲームを嗜む人たちは一定数存在しました。本作は、ある意味、その最新事例といっていいでしょう。

 

最新技術の結晶という意味でも「プレイする価値アリ!」な一作

↑2023年オススメの一作! 旬なうちにお試しあれ

 

仮想空間を作り上げる3D技術、多人数でコミュニケーションを行ったりイベントを実施したりといったインターネットサービスとしての設計、そして何より、対人的な駆け引きを最大限盛り上げるためのゲーム設計。こうした要素を最新のグラフィック技術で表現した本作は、最新技術に触れるという点でも「プレイする価値アリ!」。ぜひ旬である今のうちに……というわけで、2023年最もイチオシなゲームタイトルといえます。

 

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ディズニー、“7000人レイオフ”一環として約1年でメタバース部門廃止

米ウォルト・ディズニーが今後2カ月の間に約7,000人をレイオフ(一時解雇)する一環として、メタバース部門を廃止したと報じられています。

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↑ディズニーがメタバース部門廃止

 

The Wall Street Journalの報道によると、メタバース部門はディズニーの豊富な知的財産を使って、新たな技術フォーマットで双方向のストーリーテリングを実現する方法を目指していたとのこと。要はピクサーやマーベル、『スター・ウォーズ』などの映画や番組を活用して、ファンをメタバースに没入させる手法を探っていたようです。規模は小さかったものの、同社の消費者向け製品部門の幹部だったマイク・ホワイトが率いていた部署だと伝えられています。

 

前ボブ・チャペックCEOがホワイト氏をメタバース戦略担当の責任者に任命したのは2022年2月のこと。それから約1年と少しで、メタバース部門が閉鎖されたことになります。

 

しかし、現CEOのボブ・アイガーはメタバースに対して前向きのようです。同氏は2022年3月(CEOに就任する前)、ユーザーがメタバース用アバターを作れるモバイルアプリの新興企業Genies Inc.に投資し、取締役に就任していました

 

ディズニーが他のチームを通じてメタバースに取り組み続けるかどうか、まだ明らかではありません。しかし、莫大かつ魅力あるコンテンツを抱えているディズニーだけに、有名キャラクターたちと交流できる夢の世界を実現してくれると期待したいところです。

 

Source:The Wall Street Journal
via:TechCrunch

ChatGPTとMicrosoft 365 Copilotが話題、3月注目のデジタルネタを3本に厳選!

スマホやモバイル関連の注目ニュースをピックアップしてお届け。3月のトピックは、

 

・賢いAI「ChatGPT」が話題集める、マイクロソフトが怒濤の製品展開

・auがメタバースに本腰、ソフトバンクも対抗

・ホリエモンの携帯回線「ホリエモバイル」提供開始

 

の3本です。

 

ChatGPTの強化版登場、マイクロソフトもチャットAIで怒濤の発表

2月から3月にかけて、OpenAI社が開発するチャットAI「ChatGPT」が大きな話題を集めています。ChatGPTは、“コンピューターに話しかけると、もっともらしい返事が返ってくる”というサービスです。

↑ChatGPTはAIがチャット形式で質問に答えてくれるWebサービスです

 

特筆すべきはその高機能さで、インターネット上のサイトからさまざまな分野の情報を学習しており、多少専門的な内容の質問をしても、すらすらと結果を返してきます。3月15日に発表された新バージョン「GPT-4」で駆動するChatGPTは、米国の司法試験の合格ラインに到達するとのこと。また、GPT-4は限定的な「マルチモーダルエンジン」となっており、テキストでの入出力だけでなく、画像で入力して文章で返答できるように改善されています。

 

ChatGPTはトライアルサービスとしてOpenAIのWebサイト上で、無料で試せるようになっており、月20ドルの有料プランに加入すると、GPT-4ベースのChatGPTも試用できます。

 

OpenAIの独占パートナーとして100億ドル以上を投資しているマイクロソフトは、2月から3月の半ばにかけて、同社製品の多くにAI機能を搭載する方針を示しています。チャットAIについては、検索エンジンの「Bing」やWebブラウザーの「Edge」に実装されていますが、今後はさらにOffice 365など多くの人が使うサービスに順次展開される予定です。

↑GPT-4をベースとした「新しいBing」は、スマホ向けのEdgeやSkypeへの搭載も発表されました

 

Office 365向けのAIチャット機能「Microsoft 365 Copilot」は、3月16日(米国時間)に発表。Copilot(副操縦士)という名前から想像できるように、オフィスワーク中の操作を手伝ってくれるチャットAI機能となっています。現在は限られたユーザーでテストされており、順次拡大する見込みです。

 

Microsoft 365 Copilotのイメージ動画

 

たとえば、Wordでは企画案やメールの文面なども、さまざまな文書を出力できるようになっています。発表時のプレゼンテーションでは「娘の卒業祝いのスピーチを作成して」と指示すると、それらしい体裁のスピーチ原稿が一瞬にして出力されるというデモンストレーションが披露されました。

 

また、文書の体裁を整えることもできます。たとえばOneDriveに保存されている写真をちりばめた、PowerPointのプレゼンテーション用スライドを自動で作成といったことも可能です。

↑ExcelにおけるMicrosoft 365 Copilot。チャット欄に問いかけるだけで、表から必要な情報を取得できます

 

 

ChatGPTが注目を集めて以来、日々新しい発表が続いている生成AIの世界ですが、競合となる言語モデルの開発では、グーグルが挙げられます。3月15日にはGmailやGoogle Workspace向けに、チャットAIを活用した文章案作成・編集機能を発表。このほか、Metaや中国の百度なども開発に名乗りを挙げています。競争はこれから本格化していくことでしょう。

 

【関連リンク】

ChatGPT

ChatGPTの概要(OpenAI)

新しいBing

3月15日:Google、Google Workspaceに生成AIを導入

3月16日:マイクロソフト、AIによる文章編集機能、Microsoft 365 Copilotを発表

3月22日:マイクロソフト、新しいBingのチャット機能をモバイル版のSkypeとEdgeに拡大

 

KDDI、「αU」でメタバースに本腰

KDDIは3月7日、新たなメタバースサービス「αU(アルファユー)」を発表しました。αUは、スマホで参加できる仮想空間サービスです。

 

αUには、オンラインゲームやSNSのように交流ができる場所や、3Dのライブ映像が楽しめるコンテンツが用意されており、すべてスマホで利用できるようになっています。各サービスは3月以降、順次提供されます。

↑KDDIが発表した、メタバース関連ブランドのαU

 

αUのメイン会場といえるのが、「渋谷」や「大阪」といった実在都市を再現した仮想空間です。最大20人までのユーザーが集まって、会話やチャットをできるようになっています。会話の遅延を抑えて、その場にいるように話せるとのこと。

↑大阪をモチーフとしたαUメタバースの仮想空間

 

エンタメ体験では、夏以降に順次コンテンツを提供します。3D空間内でライブを楽しめるコンテンツのほか、YouTubeの映像技術を取り入れており、スマホ上で動くコンテンツとしては滑らかな映像表現が特徴。「BE:FIRST」や「水曜日のカンパネラ」などの人気アーティストが手掛けるライブコンテンツが提供される予定です。

↑αUライブはYouTubeの映像配信技術を取り入れた、なめらかな3D表示が特徴

 

アイテム販売ではメタバース空間内の自室に飾れるアイテムや服装が販売されるほか、NFTアートも取り扱われます。デジタル絵画や3Dフィギュアを特典としたNFTで、αUメタバースの自室に飾れるうえに、不要になったらNFTマーケットで二次流通(転売)することも可能となっています。

 

実在の都市空間との連動要素として、オンラインショッピング体験も提供されます。これは、実際の都市空間に存在するお店の人とビデオ通話をつないで交流できるという体験で、メタバース空間でお店の雰囲気を味わいつつ、ビデオ通話で品物を確かめたり、より具体的な説明を聞いたりできるという内容です。ファッションブランドやauショップなど、全国各地の店舗とつなぐサービスを展開する予定としています。

↑αUのバーチャルショッピング体験。メタバース空間でお店の雰囲気を楽しみつつ、実店舗と動画をつないでショッピングできます。夏以降に提供開始予定

 

αUブランドでは、“メタバース”という言葉から連想される機能の多くをサービスとして取り入れていますが、一方で各サービス間の連携は薄く、その点がこれからの課題となりそうです。たとえば、メタバース空間でのアイテムに使われる“通貨”は、現時点ではアイテムを購入できるゲーム内通貨のような位置づけにとどまっており、ライブコンテンツを購入したり、実空間のアイテムを購入したりすることはできません。

 

また、仮想空間の完成度もまちまちで、既存のオンラインゲームなどと比べても操作性が良くないと感じる部分もありました。ソフトウェアとしての作り込みの弱さと、スマホの処理能力が不足という、両方の要素で開発の余地がありそうです。

 

KDDIはメタバースにおいて「オープンイノベーション」を掲げ、積極的に外部の企業と連携して開発を進めていく方針を示しています。メタバース間での連携も呼びかけており、たとえば1つのアバターで複数のメタバースにログインできるようにしたり、あるメタバースで購入したデジタルアイテムをほかのメタバースでも使えるようにしたりといった構想が含まれています。

 

メタバース関連では、NTTドコモが子会社のNTTコノキューを設立し、仮想空間プラットフォームの「NTT Door」を運営しています。KDDIではこうした携帯キャリア系のメタバースサービスも含めて、他社サービスとの連携を打診していく方針です。

 

【関連リンク】

αU(アルファユー)

KDDI、メタバース・Web3サービス「αU」始動

 

ソフトバンクは“2.5Dメタバース”に進出

KDDIの発表に合わせるかのように、ソフトバンクも3月7日にメタバースサービスを発表しました。ソフトバンクは、韓国NAVER系の「ZEP」と「ZEPETO」という2つのメタバース空間でサービスを提供。両メタバースに出店したい企業や自治体への支援も展開するとしています。

 

このうちZEPは、韓国で2022年に開発されたメタバースで、日本での展開がほぼ初の海外進出となるサービスです。メタバースとは言っても、2Dの箱庭ゲームのような見た目で、メタバース空間内で近くにいる人と音声チャットをしたり、ビデオ通話をつないだりする機能を備えています。

↑ソフトバンクがメタバース進出の足場にしたのは、韓国初のメタバースサービスであるZEP

 

ZEPの特徴は手軽さです。スマホのブラウザー上で動作するため、アプリをインストールする手間がありません。仮想空間を制作する側としても、3Dのメタバースよりも手間がかからずに空間を制作できます。たとえば、地域の観光スポットを紹介する空間を制作してポスターにQRコードを貼っておくといった活用法も期待できるでしょう。

 

できることは既存のアバター交流型SNSと変わりませんが、スマホでのメタバース体験に限界がある時点では、より賢いアプローチかもしれません。

 

【関連リンク】

ソフトバンク、なにわ男子の世界観満載のメタバース空間「なにわ男子HOUSE」をオープン

 

ホリエモンの携帯回線「ホリエモバイル」が発表

エックスモバイル(X-mobile)は3月16日、起業家の堀江貴文氏がプロデュースする格安SIM「HORIE MOBILE(ホリエモバイル)」の提供を開始しました。NTTドコモ網のMVNOで月20GBのデータ容量と、5分かけ放題がついて料金は月額3030円と、大手キャリアのオンラインプランに近い水準です

↑堀江貴文氏がプロデュースするHORIE MOBILE

 

このプランだけの特徴として、堀江貴文氏が配信するコンテンツが無料で提供されます。メールマガジン「デイリーホリエニュース」や、音声配信サービスの「Voicy」や「ZATSUDAN」での視聴権などが付帯されるほか、堀江氏が展開するパン屋「小麦の奴隷」で毎月1個カレーパンがもらえるクーポン券も配布されます。さらに、堀江氏による限定イベントも実施する方針としています。すべてのコンテンツを利用するなら総額1万円程度かかるため、堀江氏に興味がある人にはうれしい特典といえそうです。

 

また、携帯電話会社のポイントプログラムのようなサービスも提供されます。月額利用者にイーサリアムベースの独自トークン(暗号資産)を付与する仕組みで、トークンは料金からの割引に充てられるほか、ほかの契約者に再販売することも可能としています。サービス開始当初から保有している人ほど有利な仕組みとするとしていることから、こちらも開始当初に契約するホリエモンファンほどうれしい特典といえるでしょう。

 

サービス内容だけ見ればホリエモンファン向けの携帯サービスという印象も受けますが、ホリエモバイルでは「LCCモバイル」と銘打って、幅広いユーザーにアピールしていく方針です。

↑エックスモバイルの木野将徳社長(左)と堀江貴文氏

 

一方で、ホリエモバイルでは、大手キャリアからの乗り換えるユーザーもターゲットとしています。日本でのMVNOの利用比率は携帯ユーザーのうち13.4%(2022年9月時点、総務省)となっていますが、堀江氏は「対象となる(潜在的なユーザー)はもっと多いと思う。ホリエモバイルで初めて、ドコモやauなどとは違う販売方法があるのを知った人もいるのではないか。そうした人にも広げていきたい」と語っています。

 

エックスモバイルはMVNOとしては珍しく、100店舗以上の取り扱い店舗網を有しています。特に地方や離島部では、地元の有力な商店にX-mobileを扱ってもらう形で店舗展開を拡大しています。実店舗でスムーズに契約できるようにすることで、大手キャリアのオンライン専用プランは難しいと考えている人にも訴求していくといいます。

 

【関連リンク】

エックスモバイル、「HORIE MOBILE」をリリース

 

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もう? アップルのAR/VRヘッドセットのレンズが2月出荷の報道

アップルのAR/VRヘッドセット向けのレンズが早ければ2月にも出荷されるとの情報を、台湾紙のDigiTimesが報じています。

↑MacRumrosより

 

AppleのAR/VRヘッドセットの情報に関しては、今年の春に発表されて秋にも発売されるとの情報があります。また、公式アプリには「Reality OS/xrOS」の文字列も登場。一方で、廉価なAR/VRヘッドセットが開発されているとの報告も伝えられています。

 

DigiTimesによれば、Genius Electronic Optical(GSEO)というメーカーが「Reality Pro」とも呼ばれる、アップルのAR/VRヘッドセット向けのレンズモジュールを来月から出荷するとのこと。GSEOはアップルのAR/VRヘッドセットのレンズモジュールを供給することになります。

 

アップルのAR/VRヘッドセットに関しては、BloombergのMark Gurman記者が「6月のWWDC前に製品が発表される」と報告していました。そして続くWWDCでは、先述のxrOSの詳細が開発者向けに紹介され、秋にヘッドセットが出荷されるとしているのです。

 

開発者やプロフェッショナルを対象とし、3000ドル前後(約39万円)と高価でニッチな製品になるとも予測されている、アップルのAR/VRヘッドセット。今後のARやVRを含めた「メタバース業界」がどのように発展するのかを占うという意味でも、大事なプロダクトとなりそうです。

 

Source: DigiTimes

2022年はソーシャルVRで文化の醸成が加速、2023年はインフルエンサーが登場するかも

2021年頃からインターネットを中心に注目を集めてきた「メタバース」というキーワード。

 

アバターの姿でネットのバーチャル空間に集まり、世界中の人と交流できるという内容で、なかでもVR機器を装着して別世界に行ったような体感が得られる「ソーシャルVR」(VRSNS)の新しさに注目が集まっている。そんなメタバースの2022年を振り返り、2023年の可能性を予測していこう。

 

同じメタバースでも全然違う「ソーシャルVR」

まずは体験したことがない方に向けて、ソーシャルVRについてもう少し前置きを語っておきたい。キーワードは「身体性」だ。

 

メタバースという言葉が指す範囲はとても広く、バトルロイヤルゲームの「フォートナイト」やオンラインゲームプラットフォーム「ROBLOX」といったよく挙げられるサービスだけでなく、「FF14」のようなMMORPG、「ZEPETO」をはじめとするアバターを使うソーシャルアプリなども含める場合がある。

 

ソーシャルVRもその中の一つで、海外なら「VRChat」や「Rec Room」、国産なら「Cluster」「バーチャルキャスト」「VARK」「XR CLOUD」「Vket cloud」などさまざまなサービスが登場してきている。

↑VRChatのWebサイト

 

ジャンルとしての始まりはここ1、2年のメタバースムーブメントより古く、安価なVR機器が大々的に市販された2016年の、いわゆる「VR元年」前後に立ち上がっている。2021年10月にFacebookが社名をMetaに改名し、メタバースに本腰を入れるという発表のインパクトもあってか、やってることは同じだがラベルだけVRからメタバースに変わったという印象だ。

 

そんなソーシャルVRが、ほかのメタバースと大きく異なるのは、自分=アバターそのものという感覚を得られる点にある。

 

VR機器とモーションキャプチャーが現実とアバターの体の同一化を加速

VR機器をかぶったことがない人に説明しておくと、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着すると視界の端まですべてCGの世界で覆われ、頭を上下左右に振ると、そのまま自然に周囲を見回すことができるようになる。コントローラーを持った両手の位置にはCGの手が出現しており、目の前のものを自分の手で掴んだり動かしたりすることが可能だ。

 

つまり、今までタッチパネルやゲームコントローラー、キーボードとマウスなどを使っていた操作が、自分の体を使って現実世界と同じ感覚で指示できるようになる。たとえば、ソーシャルVR内で知り合いを見つけたら手を振ってアピールしたり、握手やハグで親密さを伝えたり。リアルでは目の前にいないはずなのに、会っている感覚がある。この非言語コミュニケーションを多分に含む交流を自然にできるのが、ソーシャルVRならではの強みだ。

↑たとえばこのように複数人で集まって打ち合わせなども可能

 

さらに民生用のモーションキャプチャー機器の登場が、現実とアバターの体の同一化を加速させる。通常、VR内におけるユーザーの姿勢は、頭部のHMDと両手のコントローラーの3点から推測している。つまり下半身は「多分こんな感じだろう」と予測した状態なのだが、たとえば足を組んだり、寝たりするなどの反映されにくい動きもある。リアルと同じ感覚で動かせるアバターだからこそ、きれいに見せたい……。

 

そこで腰や下半身にモーションキャプチャー機器を装着することで、全身の動きをアバターに反映できるフルボディトラッキング、通称「フルトラ」を導入するユーザーも出てきた。元来、モーションキャプチャーというのは完全に業務用のものだったが、キャラクターの姿で動画投稿や生配信を行なうVTuberのムーブメントもあり、2017年の「VIVEトラッカー」あたりから数万円で購入できる製品も登場してきた。

↑2021年に登場した最新のVIVEトラッカー(3.0)(プレスリリースより)

 

まだまだ嗅覚や味覚は得られないものの、物語の中で夢見られてきたフルダイブ型のVRに近いものに触れられる。2022年においてメタバースはさまざまな角度で語られているが、このソーシャルVRの体験の新しさは外せない要素になる。

 

企業はメタバース上のイベントが目立つ。リッチな体験をオンラインで提供

さて、2022年のソーシャルVRは、地固めの時期だったと思われる。新しいハードやサービスが大々的にヒットしたというよりは、企業発とユーザー発というふたつの矢印から文化の熟成が進んだ印象だ。

 

企業発では、メタバース上でのイベントが引き続き目立った。2018年よりVR法人のHIKKYが実施し、世界最大級をうたうメタバース上のイベント「バーチャルマーケット」は、「VRChat」と「Vket Cloud」にて夏と冬の2回開催。この12月に開催した「2022 Winter」では、クリエイターの出展とは別に、パリ、名古屋、札幌を模したメタバースのワールドに、JR東海、ヤマハ、ビームス、大丸松坂屋百貨店など約70の企業がブースを展開した。自社製品の世界観を体感してもらったり、リアルの店舗で働くスタッフがメタバース上で接客したりと、来場者にブランドをアピールしていた。

↑ビームスの出店は5回目。なお、この画像は開発段階のもの(プレスリリースより)

 

同じVRChatでいえば、日産が電気自動車の「日産サクラ」、モスバーガーが「月見フォカッチャ」の発売に合わせて、VRChat上で独自のワールドを用意してPRする展開もあった。

 

国産メタバースである「clsuter」では、KDDI/一般社団法人渋谷未来デザイン/一般財団法人渋谷区観光協会が2020年より展開する「バーチャル渋谷」のイベントが、ゴールデンウィークやハロウィンに合わせて実施されていた。

↑「バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス 2022」(プレスリリースより)

 

コンテンツホルダーのメタバース立ち上げも目立った。具体的にいえば、テレビ朝日の「光と星のメタバース六本木」、テレビ東京の「池袋ミラーワールド」、小学館の「S-PACE」(スペース)など、枚挙にいとまがない。バンダイナムコも2月に発表した中期計画で150億円規模をメタバースに投資すると発表し、「ガンダムメタバース」の構想を発表している。

 

たとえば、商品の概要や値段を調べたかったらWebサイトで事足りるが、生の声や細かい使い勝手を聞きたければ店舗を訪れてスタッフに聞いた方が早い。……といったように、単純に情報を知る以上のリッチな体験をオンラインで提供できるのがメタバースのメリットになる。広い文脈では、イベントや店舗のDXとも言えるわけで、この流れは来年も加速していきそうだ。

 

アバターファッションの販売と購入が加速

ユーザー発では、語りたいことはいろいろあるが、特に注目したいのがアバターファッションにおける経済圏の拡大だ。いわゆるUGC(ユーザー生成コンテンツ)の流れで、個人や小規模チームがつくったアバターやファッション小物がオンラインで販売され、それをユーザーが購入して着用して楽しむという流れが加速した。

 

ソーシャルVRのUGCの中心にいるのは、おそらくVRChatだろう。VRChatは、当初からアバターやワールドなどでユーザーがカスタマイズできる範囲が広く、それこそ「Blender」などのCG作成ツールでアバターを作り、ソフトウェア開発プラットフォームの「Unity」を介してアップロードして、完全オリジナルな体で活動することができた。そうした背景から、CGやVRのクリエイターを惹きつけてきた。

 

一方で、クリエイター気質ではないユーザーが増えてくると、アバターの体をゼロからつくるのはハードルが高すぎるけど、好みのものを選択して、自分らしくカスタマイズして使いたいというニーズが生まれていく。ここ2、3年でピクシブが運営するオンラインストアサービス「BOOTH」にて、CGクリエイターがアバターやそのファッション小物を売り、ユーザーが「改変」して使うという流れが強固になってきた。

↑BOOTHのWebサイト

 

5年前なら、オリジナルのCGキャラクターをデータで売るというのはそもそも成立しなかった。元来、こうしたアバターファッション市場は、ゲームのスキンやアバター交流アプリなど、ひとつのサービスに閉じた中で展開されてきたが、オープンになり、UGCのクリエイターが参入できるようになったのが新しい。

 

電通が12月に発表した「メタバースに関する意識調査2022」によれば、15〜26歳の「Z世代」の男性において、「アバターやアバターアイテムの購入」を行なっているのが54.5%、前年の22.6%と比較して2.4倍も伸びている。clusterもユーザーが作成したアイテムを売買できる「ワールドクラフトストア」を今年9月にオープンさせた。

 

ソーシャルVRなら「かわいい」になれる

なぜアバターファッションが伸びているのか。それはソーシャルVRが生活に根付いてきたことの裏付けだろう。

 

前述のように、ソーシャルVRではアバターの体を自分の体として認知させる特性がある。そしてアバターの体は、写真加工アプリで補正するというレベルではなく、文字通り性別や種族を超えてなりたい姿を選べるわけだ。

 

そこでたとえばかわいいアバターをまとえば、男性の体ではなかなか難しい、かわいいという褒め言葉を目の前の人からもらえるし、実際ソーシャルVRの中で写真を撮ってもかわいいと自認できる。ネットでシェアしても注目してもらえて承認欲求も満たされる。そしてモテる。

 

TwitterやInstagramをはじめとするSNSは、自分は誰かにとって価値のある存在だと認められたいという欲望も飲み込んで成長してきた。ソーシャルVRは、その注目の矢印を直接自分の体に向けて、さらには自己イメージを上書きできる点が強みになるだろう。もちろん、単純にかわいくなれたから、かわいいファッションを身につけて楽しくなりたいというニーズもあるだろうが……。

 

2022年は前述のビームスだけでなく、アダストリアがVRChat向けアバターをリリースしたり、フェリシモがクリエイターとコラボしたりと、アパレル企業がメタバースファッションに興味を示した年だった。そしてアバターを美しく動かすモーションキャプチャーに関しても、2023年1月ソニーが「mocopi」(モコピ)を発売するなど、より一般化が加速しそうだ。

↑モバイルモーションキャプチャーデバイス「mocopi」(プレスリリースより)

 

2023年はそうしたアバター周りの土壌が整ったうえで、クリエイターだけでなく、アバターを使いこなすおもしろい人が集まり、ソーシャルVR発のインフルエンサーが増える年になるかもしれない。企業発の動きとともに、こうしたユーザー発の動きも見逃せない。

 

ソーシャルVRに関しては、一度HMDをかぶって体験しないと絶対にその価値がわからない。まだという方は、時代の最先端を知るという意味でも、ぜひどこかで体験しておいてほしい。

 

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ソニー、メタバースなどで手軽に活用できそうなモバイルモーションキャプチャーデバイス「mocopi」発表

ソニーは11月29日、自分の動きをデータ化する“モーションキャプチャー”を実現できる小型デバイス「mocopi」(モコピ)を発表。2023年1月下旬に発売します。ソニーストアでの価格は4万9500円(税込み)です。

 

mocopiは、500円玉より少し大きい丸形のデバイスを体に装着し、スマホアプリで接続することで、アプリ内のアバターを自分の動きとリアルタイムに同期させることが可能。モーションキャプチャーとして収録、保存できます。

 

保存したデータはMP4形式の動画として編集や配信に使用できるほか、BVH形式のデータにして3DCG編集ソフトの「Unity」「MotionBuilder」に取り込んだり、VRアプリ「VRChat」のアバターとして使用したりできます。

 

デバイスは頭にひとつ、両手首にひとつずつ、腰にひとつ、両足首にひとつずつの、計6個を装着。付属のバンドとクリップで固定するだけなので、専用のスーツなどは不要です。デバイスとスマホはBluetoothで接続します。なお、接続できるスマホと対応OSは以下のとおり。

Android
Xperia 5Ⅳ、Xperia 1Ⅳ、Xperia 5Ⅲ、Xperia 1Ⅲ、Xperia 5Ⅱ、Xperia 1Ⅱ/Android 11以降

iOS
iPhone 14 Pro Max、iPhone14 Pro、iPhone14 Plus、iPhone14、iPhone 13 Pro Max、iPhone13 Pro、iPhone13、iPhone 12 Pro Max、iPhone12 Pro、iPhone12/iOS 15.7.1以降

↑装着する部位ごとに色分けされているので、付け間違えはなさそう

 

↑付属のバンドとクリップにデバイスを装着して使うので手軽

 

アプリ内では収録・保存のほかに、動くアバターや背景色の変更、さらには口元を合わせるリップシンクも可能となっています。

↑収録画面

 

↑こちらはイメージだが、実際のスマホアプリでは激しいダンスもリアルタイムに合わせてくれる

 

まだまだ根強い人気のVTuberや、盛り上がりが注目されるメタバース内でのコミュニケーションで必要な、アバター制作を手軽にできるデバイスとして期待が集まりそうです。

アップル幹部、「メタバースという言葉は絶対に使わない」と発言。Meta社への当てつけ?

アップルがAR/VR(拡張現実/仮想現実)ヘッドセットを開発しているのは、同社は正式に認めたことはないものの、ほぼ公然の秘密となっています。そんななか、アップルの幹部が「メタバース」という言葉は絶対に使わないと発言したことが注目を集めています。

↑Image:WSJ

 

これはアップルのワールドワイドマーケティング担当上級副社長グレッグ・ジョスウィアック氏と、ソフトウェア担当上級副社長クレイグ・フェデリギ氏が、米The Wall Street Journalが開催したイベントに参加したときに述べられたことです。ちなみに同社が事実上、今後iPhoneへのUSB-C採用を認めたのと同じ場です。

 

そこで2人は、WSJのジョアンナ・スターン記者からインタビューを受けました。話の流れでスターン氏は、噂のアップル製ヘッドセットについて彼らに尋ねましたが、当然ひと言も答えてもらえませんでした。

 

それからスターン氏は2人に「the metaverse is(メタバースとは)」のフレーズを完成させるように頼みましたが、ジョズウィアック氏はすぐに「a word I’ll never use(私が絶対に使わない言葉だ)と答えています。

 

アップル幹部が将来の製品について話を避けるのは、いつものことです。しかし、メタバースについては言葉を濁すどころかバッサリと否定。今月初めに同社のクックCEOが「メタバースは一般人に理解できないと思う」と言ったこともあり、メタバースを推進するために社名まで変えたMeta社(元Facebook)に当てつけているようだと話題を呼んでいる次第です。

 

まさに数日前、Metaのマーク・ザッカーバーグCEOは自社のVRエコシステムがオープンだと主張。そして噂のアップル製ヘッドセットは逆の方法に進みそうであり、競合他社とユーザーの両方に損害を与えかねないと述べたばかりです。

 

アップルとMetaの関係はあまり良好ではないことが知られていますが、アップルがAR/VRヘッドセットを正式に発売すれば、ますますギスギスするのかもしれません。

 

Source:WSJ Tech Live 2022(YouTube) 
via:9to5Mac

Metaのアバターに足が生える。Xbox Cloud GamingやTeamsにも対応へ

米メタは開発者向けイベント「Meta Connect 2022」にて、VRプラットフォーム「Horizon Worlds」の改善のほか、VRヘッドセットによる「Xbox Cloud Gaming」や「Microsoft Teams」への対応などを発表しました。

↑メタより

 

これまで、Horizon Worldsでユーザーが使用するアバターは上半身だけが地面から浮かぶという、ちょっと不自然なものでした。しかし来年度のいずれかのタイミングにて、上画像のようにアバターに下半身が実装されます。

 

メタによれば、表情豊かでより写実的なアバターの導入も検討しているとのこと。さらにInstagramの「Reels」や「Messenger」、「WhatsApp」でアバターが利用できるようになるとも明かしています。また今年後半には、VRのアバターストアが公開され、服や特定の外観が購入できるようになります。

↑メタより

 

さらにVRヘッドセット「Meta Quest」シリーズに、米マイクロソフトのクラウドゲームサービスのXbox Cloud Gamingが今後対応します。これにより、VRヘッドセットの大画面で高画質なゲームを楽しむことが可能になります。ただし、こちらの機能のリリース時期は発表されていません。

↑メタより

 

また、メタのコラボレーションツール「Horizon Workrooms」では、TeamsやOffice、Windowsも利用できるようになります。これにより、Meta Questはビジネスでもさらに活用できるようになりそうです。

 

イベント発表されたハイエンドVRヘッドセット「Meta Quest Pro」とともに、大幅に強化される同社のVRプラットフォーム。ゲームから事務作業までVR上でこなす時代がくるのか、注目したいものです。

 

Source: The Verge 1, 2, 3

メタ、社員すら自社メタバースアプリをあまり使っていないらしい…

米メタ(旧フェイスブック)が開発をすすめるメタバースアプリ「Horizon Worlds」について、バグが多く社員すらもほとんど利用していないことを、海外テックサイトのThe Vergeが報じています。

↑Mark Zuckerberg / Metaより

 

昨年には社名をフェイスブックからメタに変更するなど、メタバースへと全力投球を続けるメタ。Horizon Worldsとは、利用者がVRヘッドセットを装着して自分のアバターを操作し、他人と交流するサービスです。

 

The Vergeが入手した社内メモによると、メタにてメタバース部門の担当副社長となるVishal Shah氏は、「Horizon Worldsをより多くのユーザーに開放する前に、品質とパフォーマンスの問題を確実に修正するため、年内はチームは『クオリティロックダウン』になる」と述べています。また、モバイル版アプリのリリースも延期される可能性があるとしています。

 

さらにShah氏は「社員がまだ十分にHorizon Worldを使っていない」と述べ、チームに少なくとも週に1回は同アプリを使わせる計画を立てています。「この組織の全員が、Horizon Worldsを好きになることを自分の使命とすべきです。そのために、まず使ってみる必要があるのです」とのこと。

 

以前にはCEOのマーク・ザッカーバーグ氏があまりにも低品質な自撮りを披露したことでも話題となった、Horizon World。メタは10月11日に「Connectカンファレンス」の開催を予定しており、アバターグラフィックの大幅改善を予定していますが、はたして問題はグラフィックだけなのかが気になるところです。

 

Source: The Verge

いよいよ高級VRヘッドセット「Quest Pro」発表? Metaが10月11日にイベント開催を発表!

かつてのFacebookがMetaに改名してから約1年、同社は10月11日に2回目の「Connect」イベントを開催することを発表しました。どのようなハードウェア製品やサービスを公開するかは明かされていませんが、以前から予告していた高級ヘッドセット「Project Cambria」をお披露目するのは確実とみられています。

 

Meta公式アカウントは「メタバースの構築と拡張現実および仮想現実の未来を探求する1日限りのバーチャルイベント」と説明しています。今のところ予定セッションや、登壇する出演者についての情報はありません。

しかし、先月ザッカーバーグCEOは著名ポッドキャスターのジョー・ローガン氏の番組に出演し、そこで「10月に出る予定の次期デバイス」と公式に(?)漏らしたことで、高級ヘッドセットが発表されることは分かっています。この製品の名前は、おそらく「Meta Quest Pro」になると噂されています

 

ザッカーバーグ氏は番組のなかで、新デバイスは視線と顔をトラッキングして「VR空間でアイコンタクトのようなこと」ができると述べていました。つまりユーザーの表情を追跡して「笑ったり、顔をしかめたり、口角を上げたり、どんな表情でもリアルタイムで」(VR空間での分身である)アバターに反映されるというわけです。

 

さらにザッカーバーグ氏は、本製品は400ドル(米国価格)のMeta Quest 2よりはるかに高価で、複合現実感のある機能を搭載すると言っていました。ちなみにMeta公式には「800ドルよりかなり高くなるはずだ」と回答したことがあり、1000ドル(約14万円)近くになる可能性もうかがわれています。

 

同社はメタバース関連技術に数十億ドルを投じているため、これまでの進捗と次にやって来るものを話すはず。それをVRアバターにしゃべらせるかもしれませんが、また「2002年のゲームソフトみたい」と言われないように祈りたいところです。

 

Source:Meta Newsroom(Twitter) 
via:TechCrunch

MetaザッカーバーグCEOのVR自撮り画像、素朴すぎて話題に。「2002年のゲームソフトみたい」との声も

元FacebookことMeta社のマーク・ザッカーバーグCEOのVRアバター画像が素朴すぎたことが話題となり、後にクオリティをアップした画像を公開することなりました。

↑Image:Meta

 

ことの始まりは、ザッカーバーグ氏がメタバースアプリ『Horizon World』をフランスとスペインで開始することを発表するFacebookの投稿に付けたスクリーンショットでした。そこでは虚ろな表情のVRアバターが、素朴すぎるエッフェル塔やサグラダ・ファミリアの前で自撮りしており、まるで10年以上も時代が遡ったかのようです。

 

この画像がツイッターなどに拡散して一人歩きし、メタバースの未来に何十億ドルも注ぎ込んだうえに社名までMetaに変えた本人のアバターが、なぜこんなに無表情で生気がないのかと話題をかっさらったしだいです。

 

これではメタバースではなく2012年の(Wii Uや3DSのネットワークサービス)Miiverseのようだなどと、たとえ話も時を遡っていき、2002年の任天堂ゲームキューブ用ソフトみたいだとの声も飛び出しました。

 

その声に応えて、Wii用の『World Baby』(空想上のゲーム)パッケージ画像を自作する人まで現れました。

 

ザッカーバーグ氏はこれらの批判に言及はしていませんが、前に投稿した写真が急いで撮ったため「かなり簡素」だったと言い、改めて表情もありライティングもされた自分のVRアバターや、リアルに描かれた古代遺跡のCGを投稿。そしてHorizonのVRグラフィックにつき「大きなアップデート」を計画していると述べています。

 

さらにザッカーバーグ氏は「Horizonのグラフィックはヘッドセット(自社のMeta Quest 2など)でももっと多くのことができますし、非常に速やかに改善しています」と付け加えています。懐かしすぎる作風のVRアバター画像が、将来性あるメタバースと真逆の方向だったと気づいたのかもしれません。

Source:Mark Zuckerberg(Instagram)
via:Engadget

「メタバース」で今何ができる? 今後どうなる? 3D都市データを駆使する制作者に聞いた、メタバースの基礎知識と楽しみ方

エンタメ業界を中心に、最近よく耳にするようになった「メタバース」という言葉。2022年はメタバース元年、とも言われますが、実際どういうものなのかわからない、という人も多いのではないでしょうか。

 

そこで今回は、メタバースの基礎知識やXR(VR・AR・MR)との違い、メタバースの活用事例など、未来への可能性を含めてわかりやすく解説します。3DCG技術を用いてメタバース空間の制作に携わっている、株式会社キャドセンターの古川修さんに話を聞きました。

 

そもそも「メタバース」って何? その魅力とは?

メタバース(Metaverse)は、「超越した」という意味を持つ「Meta」と、「宇宙や世界」を意味する「Universe」という単語を組み合わせた造語のこと。では実際に、メタバースとはどういったものなのでしょうか?

 

「『メタバース』とは、インターネット上に3次元CGで構築された仮想の空間のことをいいます。しかし、まだ線引きもあいまいで、厳密な定義があるわけではないんです。一般的には、オンラインの3D空間でユーザー同士がアバターを介してコミュニケーションしたり、ゲームを楽しんだり、映像を見たり。そういった体験ができるサイバー空間全般を指すことが多いです。具体的には『あつまれどうぶつの森』や『マインクラフト』といったゲームも、メタバースに分類されると言われています。

メタバースのなによりの魅力は、現実空間で不可能な体験が可能という点です。ライブ会場に行かなくてもアーティストのライブを楽しめたり、現実ではなかなか行くことができない観光スポットに仮想的に訪れることができたり。距離を感じさせない体験を共有しながらユーザー同士がコミュニケーションできるのも、メタバースならではですね。

また、アバターを介してなりたい自分になれるという魅力もあると思います。オンライン空間だからこそ、自分の好きなように自分をプロデュースできるので、外見など本来の自分に縛られることなく楽しむことができます」(株式会社キャドセンター・古川修さん、以下同)

 

混同されやすい、XR(VR・AR・MR)とはどう違う?

メタバースとよく混同されやすいのが、XR(VR・AR・MR)という言葉です。その違いについても解説していただきました。

「メタバースは『仮想空間』を意味する言葉で、XR(VR・AR・MR)は『仮想空間を表示する技術』のこと。いずれも、メタバース空間にアクセスするための手段といえます」

 

VR(Virtual Reality:仮想現実)

「ヘッドマウントディスプレイといったVR機器を装着して、3DCGなどでつくられたサイバー空間を360度体験できる技術です」

 

AR(Augmented Reality:拡張現実)

「現実空間でスマートフォンやタブレットをかざすと、その画面のなかに仮想のデジタル情報を表示させる技術です。スマートフォンアプリの『ポケモンGO』なども、ARの技術が使われています」

 

MR(Mixed Reality:複合現実)

「VRとARを組み合わせたようなもの。専用のグラスを装着することで、現実空間にCGや文字データを合成して表示する技術です。現在は、工場の点検業務や医療現場のトレーニングなど、一部の専門性のある領域で利用されているようです。これからますます発展が期待されています」

 

ヘッドマウントディスプレイを装着し、メタバース空間にアクセスする古川さん。

 

メタバースに注目が集まる、その背景とは?

メタバースという言葉自体は以前からあったものなのだそう。それではなぜ、今こうして話題となっているのでしょうか? 古川さんは「2022年はメタバース元年とも言われています。ここまで注目されるようになったのは、主に3つの背景があると考えています」と話します。

 

1.Facebook社が「Meta」に社名を変更した

「Google Trends」より。

 

「昨年10月、世界最大級のコミュニケーションプラットフォームを運営するFacebook社が、社名を『Meta』に変更し、メタバース事業に力を入れると宣言しました。それまではごく一部の人しか知らなかったキーワードだったのですが、この出来事がきっかけとなり、メタバース業界に参入する企業が続々と増えたのです。実際にこの時期の検索トレンドを調べてみると、この時期から注目度が急激に上がっているのが分かります」

 

2.VR機器やPCの性能が向上し、アクセスしやすくなった

「メタバース空間をより楽しむのに必要なVR機器の性能が向上し、かつ安価で購入することができるようになったのも、一つの理由といえます。それまでは数十万円かかっていたヘッドマウントディスプレイも、今では5万円程で購入できるようになっています。

また、以前はハイスペックなグラフィックボードを搭載したPCでなければ体験できないサービスが多かったのですが、近年は3D技術の向上により、スマートフォンやノートパソコン、ゲーム機でも楽しむことができるようになっています。より多くの人がアクセスしやすくなったことも、注目されるようになった大きな要因です」

 

3.コロナ禍によって需要が拡大した

「コロナにおける、対面のコミュニケーションや移動の制限は、メタバースのブームを加速させました。バーチャル空間でもコミュニケーションを楽しみたい、あの場所に行ってみたいという人々のニーズに応える手段として、メタバースに注目が集まったのだと思います」

 

エンタメだけじゃない! 日本と海外のメタバース活用事例

「現状のメタバースは、アニメやゲームでの活用が多いのですが、さまざまな分野に広がりを見せています。メタバース空間を提供するプラットフォームもたくさん誕生しているんですよ」と話すのは、キャドセンターのプランナーさん。実際にどのようななサービスがあるのか見ていきましょう。

 

・仮想の新宿で買い物も!「REV WORLDS」

「REV WORLDS (レヴ ワールズ)」
ダウンロード無料
iOS / Android

三越伊勢丹が提供する、スマートフォン向けアプリです。新宿東口をモデルとした仮想都市や仮想の伊勢丹新宿店といったメタバース空間に訪れ、チャットやモーションを活用して、アバター同士でコミュニケーションを取りながら、お買い物やメタバース空間の散策を楽しむことができます。ECサイトと連動しているので、訪れた仮想の伊勢丹新宿店で実際に商品を購入することも可能です。期間限定のイベントや催事なども開催されています。

 

・さまざまなメタバース空間が集まるプラットフォーム「DOOR」

DOOR
無料(一部有料)

『DOOR』は、NTTが提供するメタバースのプラットフォーム。企業や団体がコンサートや展示会、バーチャルショップといったさまざまな用途のメタバース空間を、このプラットフォームを通して提供しています。また、個人でメタバース空間を作成し、展開することもできます。利用者はアバターとなってメタバース空間に入り、ボイスチャットなどでコミュニケーションが可能です。

 

キャドセンターでは、首里城や平泉といった文化財を訪れることができるコンテンツを作成し、「DOOR」上で提供している。

 

・自分の作ったコンテンツをバーチャル上で収益化可能「The Sandbox」

The Sandbox(ザ・サンドボックス)
無料(一部有料)

 

現在、海外を中心に大きな注目を集めているのが、Bacasable Global社のゲーム「The Sandbox」です。「マインクラフト」のような見た目をしていますが、一番の違いは、このゲーム内で自分のつくったデジタルコンテンツを売って、収益化できる所にあります。

 

本来、デジタルコンテンツは安易にコピーできてしまうので、資産価値があるとみなされていませんでした。しかし『デジタルだけど複製できない』という特徴を持った技術(NFT)を用いることで、唯一無二のデータをオンラインで売買することができるようになりました。『The Sandbox』でも、その技術によって、自分でつくったゲーム内で使用できる装備や装飾品などを販売し、『SAND』と呼ばれる仮想通貨として収益化が可能。世界には、『The Sandbox』でお金を稼いでいる人もいるようです。

 

仮想空間といえど、現実と見紛うような精緻さで作り込んだメタバースも。リアルさを追求することで、どういった可能性が広がるのでしょうか?

妥協なき“リアリティ”への追求
キャドセンターのメタバース空間づくり

今回取材を行ったキャドセンターは、メタバース空間のデータ制作を行っている会社です。20年以上も前から3D都市データを作成してきたノウハウを生かし、クライアントが求める高度な空間をつくり上げてきたと言います。

フォト・リアリスティック3次元都市データ 「REAL 3DMAP」

 

「現実の街や観光地などを舞台としたメタバース空間をつくる際、当然ながらその場所の3D都市データが必要となってきます。例えば、秋葉原を舞台にしたメタバース空間をつくりたいとなれば、本来秋葉原の街を計測するところから始まるのですが、当社は長年作成してきた3D都市データを持っているので、そのデータをベースとして制作することができるのです。

 

蓄積してきた3D都市データは、空撮写真や測量を経てつくられた正確なもの。さらに、不動産のCGパースなどを多く手掛けてきたこともあり、『地図の正確さ』と『表現のクオリティ』両方の意味での“リアリティ”を実現できるところが弊社の強みです。この都市データはメタバース空間制作だけでなく、3Dハザードマップとして防災分野で活用されたり、映画などの背景などにも利用されたりしています」

大日本印刷株式会社 バーチャル秋葉原
アプリ版 ※DMM「Connect Chat」上にて利用可能。/ ブラウザ版

 

「バーチャル秋葉原」も、キャドセンターの技術とノウハウが生かされたコンテンツのひとつ。同社が所有する「REAL 3DMAP TOKYO」という3D都市データをベースに、人気クリエイターKEIGO INOUE氏のデザインビジュアルを融合させた、まるでSFの世界のようなメタバース空間です。

 

「バーチャル秋葉原では、アバターが集まってチャットで交流することはもちろん、同時に映像を見ることができるウォッチパーティーや、画家やイラストレーターによる展示会など、さまざまなイベントに参加することができます。また、一部のバーチャルショップでは、ECサイトと連動して実際に商品を購入することも可能です」

 

メタバースの可能性を広げる「街バース」

同社は、メタバース空間のベースデータとして活用できる3D都市データ「街バース」をリリース。第一弾として発表したのは、開業から100年を迎えた東京駅周辺(丸の内エリア)。順次、地域は拡大していく予定だといいます。

街バース

「街バースは、現実の都市空間を忠実に再現しているだけでなく、実際にアバターが歩くメタバースのデータとして必要不可欠な、人の目線からみた景色を再現しているのが特徴です。さらに、実際の街を歩いているかのような“フォトリアル”なデータを追求しました」

 

街バースは、「アイレベル」(人の目線の高さ)で見た景色のリアリティが魅力。

 

「ただ映像が綺麗なだけでもなく、ただ地図として正確なだけでもない。その二つの要素を組み合わせることで、メタバースの仮想体験自体がよりリアルになっていくと考えています。街バースをはじめとするコンテンツ制作を通して、メタバースの可能性がますますひろがっていくとうれしいです」

 

「メタバースが普及したからといって“リアル”がなくなるわけではありません。実際、私たちの元には『オンラインで体験してもらって、実際の来場につなげたい』といったご相談も多いです。みなさんも、インスタグラムで見た投稿をきっかけに実際のお店を訪れる、なんてことも多いですよね。それと同じように、気軽に利用できるオンライン空間があるからこそ、リアルにもつなげることができるようなハイブリッドなサービスは、今後ますます求められてくると考えています。

今、メタバースはまさに過渡期。それでもこの流れは止まることなく、買い物や仕事、教育現場など、今後もさまざまな分野に広がっていくと思います。そしていつか、『メタバースがリアルを超える』なんて未来がやってくるかもしれませんよ」

 

【プロフィール】

株式会社キャドセンター / 古川 修

同社プロデュースグループのプランナーとして、クライアントへの提案やコンペ等のコンセプト決定と提案書作成など、受託案件の実現へ向けた総合プロデュースを担当。学芸員の資格を持っており、文化財の3Dデジタルスキャンやテクスチャ撮影のコーディネートを担当することも。
https://www.cadcenter.co.jp/

アップルやメタのAR/VRヘッドセット、サムスン製マイクロLEDディスプレイが入ってる?

米アップルとメタ(旧:フェイスブック)による開発が噂されるAR/VRヘッドセットに、韓国サムスンのマイクロLEDディスプレイが搭載されるとの情報を、韓国語ニュースサイトのThe Elecが伝えています。

↑Ground Picture/Shutterstock.comより

 

マイクロLEDとは、微細なLEDをディスプレイの一つ一つの画素として利用する技術。これにより、従来の液晶ディスプレイや、LEDをバックライトとして利用する「ミニLED」と比べて、さらなる発色の良さや薄型化が期待されます。また以前にメタは、現在開発中のVRヘッドセットの試作機を多数公開するなど、新製品の投入への期待が高まっています。

 

今回の報道によれば、サムスンによるマイクロLEDディスプレイの利用に意欲をみせているのはアップルやメタだけでなく、サムスン(親会社のサムスン電子)も含まれるとのこと。また、部品はガラス基板ではなくシリコン基板を利用することになります。

 

一方で収益性の低さが予測されるために、サムスンはマイクロLEDディスプレイの部品製造を避けてきたという経緯も伝えられています。これはAR/VRヘッドセットの市場規模が、スマートフォンと比べて非常に小さいことも要因の一つです。

 

現時点での噂では、アップルは来年末までにAR/VRヘッドセットを投入するとされています。またこちらは独自開発の「M2」チップを搭載するなど、かなり高性能な製品となるようです。さらに、メガネ型の「ARスマートグラス」や、AR/VRヘッドセットの第2世代モデルの噂も伝えられています。

 

「メタバース」という言葉に代表されるように、これからの発展が期待されるVR/ARヘッドセット。近いうちに、より使いやすくて高性能な製品が登場することを期待したいものです。

 

Source: The Elec via 9to5Google

元FacebookのMeta、VRヘッドセットの試作機を一挙に公開! 目標は「バーチャル世界と現実の区別が付かなくなる」こと

Metaは17日(米現地時間)、Metaの研究開発部門についての情報公開イベント「Inside the Lab」をメディア向けに開催しました。その場で、数々のVRヘッドセット試作機を公開するとともに、マーク・ザッカーバーグCEO自らが最終的な目標は「視覚的チューリングテスト」、つまり仮想現実が現実世界と見分けが付かなくなることだと述べています。

Meta

 

ザッカーバーグ氏と研究部門Reality Labs(旧Oculus)のチーフサイエンティストであるマイケル・エイブラッシュ氏によれば、完ぺきなVRヘッドセットに必要な条件は、まず処方メガネなしに20/20のVR視力が得られるような高い解像度。さらに可変焦点深度や視線追跡が必要で、近くにも遠くにも簡単に焦点を合わせたり、現在のレンズに付きものの光学的歪みも修正できる、という具合です。

 

さらに、これらの要素をすべて軽くて装着しやすいヘッドセットに入れ込む必要があります。今回のイベントで日の光を見たプロトタイプも、その目標をめざすまでの道のりであり、どれだけ進歩してきたかが示されたわけです。

 

まず網膜に近い解像度、つまり人の目レベルの解像度をテストした試作機が「Butterscotch」です。これは視力検査表の一番下を、VRで読み取ることができるというもの。しかし、そのためにはMeta Quest 2の水平視野角を半分にする必要があり、実用には耐えないとの判断だったようです。

Meta

 

そして「Starburst HDR」は、HDRをVRで実現しようとするものです。電源ケーブルやファンなどを束ねた電子機器の集まりであり、最大2万ニトの輝度を実現できるとのこと(Quest 2は100ニト)。これは頭に装着するには大きすぎて重すぎるようで、取っ手を持って双眼鏡のように覗き込まれていました。

 

これらの機能をなるべく(全てではない)詰め込みつつ、かなり洗練されているのが「Holocake 2」です。これまでで最も薄い上に完全に機能する実機であり、PCに接続した状態であらゆるVRゲームをプレイできるそうです。

Meta

 

さらに次世代製品のコンセプトとして紹介されたのが「Mirror Lake」です。ホログラフィックレンズやHDR、機械式バリフォーカル(可変焦点)レンズ、視線追跡などを搭載した実機はまだないものの、Metaが数年がかりでめざす理想像が確認できます。

Meta

 

この「Mirror Lake」はハイテクなスキーゴーグルのような見かけで、レーザーバックライト付きのLCD画面を搭載する予定とのこと。また、前側に外部ディスプレイを搭載し、目線や表情を外に見せる方法も開発しているそうです。

 

Metaが年内に発売予定の高級VRヘッドセット「Project Cambria」は年内に発売される予定ですが、「顔にかぶるノートPC」として仕事もできるとの噂話もありました。そちらは10万円以上になると見られていますが、より高度な「Mirror Lake」はそれどころではないはず。メタバースの野望を叶えるためにも、コストダウンが実現できるよう祈りたいところです。

 

Source:Engadget

アバターでの生活が当たり前になる! 世界最大のバーチャルマーケットを運営する「HIKKY」にメタバースの“未来”を聞いた

バーチャルな空間でのコミュニケーションが加速する2022年は“メタバース元年”と言われますが、本当にそうなのでしょうか。そこで、世界最大のバーチャルマーケットを運営する「HIKKY」に、メタバース内でアバターを作って楽しみ、そして暮らすメリットを聞いてみました!

※こちらは「GetNavi」 2022年3月号に掲載された記事を再編集したものです

 

この人に聞きました!

メタバースクリエイター

さわえみかさん

広がり続けるバーチャルマーケットをはじめとした、展示会の世界を彩りつづけているメタバースクリエイティブディレクター。

 

メタバースのなかに生活・経済・文化圏をつくる

1回の開催で100万人超が訪れるようになったバーチャルマーケットは、主にVR SNSであり、メタバースサービスのひとつであるVRChatで開催されてきたバーチャルリアリティマーケットイベントです。規模感・クオリティ共に世界トップクラスで、メディアのニュースでは主に企業ブースが取り上げられますが、それだけではありません。実はVRChatユーザーのクリエイターが集まり、自分たちの作品を展示する場でもあるのです。

 

「クリエイターの活躍の場や、楽しいと思える場所を広げていくためにバーチャルマーケットを作っているんですよ」と言うのはワールド全体のアートディレクションを担当するさわえみかさん。VRChatに限らず、VR SNSは仮想空間で構築されるものゆえに、重力など現実の物理現象にとらわれない表現が可能。テーマパークのような夢いっぱいの空間のなか、コンセプトにマッチした作品や企業ブースが展示されることで、現実を超えるメタバースを実現しています。面白いのは、アバターなどを作っている3DCGクリエイターだけが主役ではないことです。

 

「ファンタジーな雰囲気のワールドには、ファンタジーな衣装をまとったアバターの人たちが路上ライブをやっています。文化活動が交流につながる場所にもなっているんです」(さわえさん)

 

↑VRヘッドセットを用いれば、メタバースの世界のなかに身体ごと入り込んだかのような圧倒的な没入感を体感することができる

 

バーチャルマーケットを運営するHIKKYは、代表取締役の舟越 靖さんと、取締役である動く城のフィオさんによる「クリエイターが好きな表現活動をして、生きていけるようになるべき。メタバースのなかに生活圏、経済圏、文化圏を作っていきたい」という思いから生まれたベンチャー企業。個人が自作アバターを販売するだけではなく、メタバース内での活動が認められて、そこでの企業イベントに関わるデザイナーや出演するミュージシャンやダンサーが増えてきている現在、まさにVR空間のなかで暮らして生きていける世界が成り立ちつつあります。

 

アバターワークにはメリットが数多い

アバターで暮らすことに最初は抵抗があっても、やがて慣れます。仮想空間ゆえに好きな場所へすぐジャンプでき、待ち合わせ場所に行くのに時間がかからないため、時間を効率良く使って生活できる場ともなり得るのです。実際にHIKKYは社長、役員、社員全員がVR出社を行い、VR空間内で業務を執り行っているそうです。

 

「普段は自宅でノーメイク。でもVRなら瞬時に着飾った姿になって打ち合わせも商談もできるんですよね」(さわえさん)

 

リモートワークやワーケーションであっても、バーチャルなオフィスに入れば、いつもどおりの仲間と会って、ちょっとした相談や雑談だって気楽に行える。Zoomのような2次元の会議システムとは違ったメリットが、アバターワークにはある。この生活に慣れてしまうと、リアルよりはるかに楽だと思えるのでしょう。

↑HIKKYではスマホ単体でもバーチャル空間に入れるよう、VRコンテンツ開発エンジン「Vket Cloud」を開発、提供している

 

HIKKY運営のバーチャルマーケットはすでに7度開催! 出展ブース数は「ギネス世界記録(TM)」にも認定された

プロの接客スタッフがVR内のブースに降臨し、インパクトのあるキャラクターが縦横無尽にワールド内を動き回る。ECを超えるVRコマースの、それも最先端が揃うメタバースイベントが、HIKKYが運営するバーチャルマーケットです。

「クリエイターがアバターを作るという表現活動が収益に結びついて生きていけるように」と開催されたバーチャルマーケット。最大で114万人を集める巨大イベントとなったことから、企業出展も伸びてきています。2021年12月4〜19日に開催されたバーチャルマーケット2021では、過去最大となる約80社が出展。リアルに寄せたブースもあれば豪華絢爛な見栄えのブースもあり、エンタメ体験や、ショッピングを楽しめるバーチャル空間に仕上がっていました。

↑バーチャルリアリティマーケットイベントにおけるブースの最多数、そして1時間でTwitterに投稿されたアバターの写真の最多数(2311枚)として「ギネス世界記録(TM)」にダブル認定!

 

【あの企業も?!】バーチャルマーケットに出展した企業

 

その1:BEAMS

3回目の出展となったBEAMS。一見するとリアルな店舗。館内を巡ると、Netflix映画「浅草キッド」の舞台となった昭和のバーチャル浅草が現れるインタラクティブな展示が秀逸でした。

 

その2:大丸松坂屋百貨店

寿司やローストビーフの3Dモデルで彩られた空間を展開。ごちそうグルメ2700点が購入できるコーナーのほか回転グルメカウンター席や座敷席があり、リアルに腹ペコに!

 

その3:東京マルイ

バーチャルシューティングレンジに、バーチャルサバイバルゲームが楽しめるフロアもあった東京マルイのブース。電動ガンの楽しさ面白さを思う存分味わえる仕掛けでした。

 

その4:HP

VR SNSの充実度を高めるVRヘッドセットやゲーミングPC製品を展示。プレゼントキャンペーンの写真ツイート企画では、多くのユーザーが様々なプレゼントを嘆願していました。

 

その5:ローソン

セルフコーヒーマシンなど、体験コーナーを多数展示。アバターの自撮り写真をからあげクンのパッケージにバーチャルプリントできるオリジナル品製作サービスも人気。

 

その6:JR東日本(特別協力)

ARで見たらこうなる? という次世代リアル都市を感じさせてくれたパラリアル秋葉原。その玄関にあるのがデジタルツインなJR秋葉原駅。券売機や改札は、見た目も音も超リアル!

 

執筆/武者良太

知らないうちに使っているかも!? 実は身近なメタバースサービスを紹介

メタバースって難しい。イマイチよくわからないし、自分には関係ない、なんて思っている人も多いかも知れません。しかし、私たちが生活のなかで利用している遊びやビジネスには、すでにメタバースを使ったサービスを提供しているものもあります! 今回は、知らないうちに私たちが使っている身近なメタバースについて紹介します。

※こちらは「GetNavi」 2022年3月号に掲載された記事を再編集したものです

 

【その1】実在するショールームを再現し24時間365日クルマの展示が楽しめる

バーチャルギャラリー

日産

NISSAN CROSSING

日産が東京・銀座で運営する「NISSAN CROSSING」を三次元化し、バーチャルギャラリーとしてソーシャルVRサービスのVRChat内に再現。“デジタル上での新たなコミュニケーションの場のひとつ”として一般ユーザーにも公開しており、会場内には電気自動車アリアの展示が行われています。今後は新車発表会や講演などの発信のほか、ユーザーが体感できるコンテンツ公開を予定。先日は、電気自動車と共に地球温暖化について考えるツアーが開催されました。

 

↑バーチャルギャラリー「NISSAN CROSSING」の外観はスタイリッシュ。中に入るとフリースペースやカフェスペースなども設けられている

 

<広報さんに聞いた>ココが自慢です!

2階にはコミュニティの皆さんがイベント等を実施できるよう広い空間を準備しました。ここで先日もパフォーマーによるダンスイベントが開催されました。ぜひVR内の友人とカフェのラテアートを片手に会場見学、イベント実施等楽しんで使ってください!

 

【その2】リアルとバーチャルが融合した新しい買い物体験ができる

バーチャルショッピングアプリ

凸版印刷

メタパ(TM)

仮想空間上に構築した複数の店舗を、ショッピングモールのようにひとつに集約した「メタパ(TM)」がスタート。3DCG化された商品を様々な角度から見られ、AR機能を使って実際のサイズ感や部屋に置いたときのイメージも確認できます。出店店舗の第1弾として「Virtual b8ta」がオープン。また、実店舗に設置されたアバターロボットからボタンひとつで「Virtual b8ta」へアクセスすることも可能です。バーチャルとリアルを自由に行き来して新しい買い物体験ができます。

 

↑複数人が同時に接続することで音声やテキストでの会話が可能に。共有した人しか店舗に入れないプライベートルーム機能も実装予定

 

<広報さんに聞いた>ココが自慢です!

「メタパ(TM)」は、メタバースのショッピングモールです。スマホでいつでもどこでも友人や家族とバーチャル店舗体験が実現します。3DCG化された商品を自由な角度で確認できるうえに、AR機能で自転車などの大きい商品も実寸大で見ることができます!

 

【その3】時空を飛び越えて自宅でグループ旅行

バーチャルトラベルプラットフォーム

ANA NEO

SKY WHALE

“時空を超える旅客機”をコンセプトとしたバーチャルトラベルプラットフォーム「SKY WHALE」が2022年にローンチされます。3DCGで描かれた世界の様々な都市や絶景スポットを旅行できる「Skyパーク」のほか、空港でのショッピングやエンタテインメントをイメージした仮想ショッピング空間「Skyモール」、バーチャル上での医療・教育・行政などのサービスを展開する「Skyビレッジ」で構成。それぞれ自宅にいながらグループ体験を同時に楽しめます。

 

↑「Skyパーク」では「のんびり」「弾丸」など旅の好みを設定できる。バーチャルでの旅行体験に合わせて、現実の旅行を予約できる

 

<広報さんに聞いた>ココが自慢です!

ANAが世界中を巡るメタバース旅行にご案内します。仲間と一緒にアバターを作って、グループショッピングやグループ旅行に出掛けましょう。世界初・最高峰の品質をお届けします。また、マイル会員様にはお得な特典も予定しています!

※画像は開発中のものです

 

【その4】いつでも集まる場所を共有できる次世代のワークプレイス

クラウドオフィス

OPSION

RISA

画面共有、テキストチャット、ボイスチャットなどの機能を搭載したクラウドオフィス。アバターのユニークな動きで喜怒哀楽を表現できるモーション機能や、一言つぶやき機能が搭載されています。ちょっとした雑談や相手の様子の察知など、テレワーク環境で失われたひとつの居場所を共有する体験を、離れていても実現。バーチャルオフィスにアバターで出勤することや、部署やチームによってフロアを分けることもできるので便利です。

 

↑バーチャルならではの景色を選ぶことができる。特別な機材や設定は不要で通常のPCのブラウザ上で作動。手軽に利用可能だ

 

<広報さんに聞いた>ココが自慢です!

当社は全社員が異なる地域に住み、リモートワークで勤務しています。RISAはアバターの動きや効果音機能と、ステータスや一言コメントで簡単に相手の状況を把握でき、出社している感覚で仕事ができます。1か所に集まれる安心感とアバターの臨場感が最大の魅力です!

【ここにもメタバースを使ったサービス! 】銀座に実在する日産のショールームがバーチャルに

私たちが生活のなかで利用している遊びやビジネスには、すでにメタバースを使ったサービスを提供しているものもあります! 今回は、知らないうちに私たちが使っている身近なメタバースについて紹介します。

※こちらは「GetNavi」 2022年3月号に掲載された記事を再編集したものです

 

実在するショールームを再現し24時間365日クルマの展示が楽しめる

バーチャルギャラリー

日産

NISSAN CROSSING

日産が東京・銀座で運営する「NISSAN CROSSING」を三次元化し、バーチャルギャラリーとしてソーシャルVRサービスのVRChat内に再現。“デジタル上での新たなコミュニケーションの場のひとつ”として一般ユーザーにも公開しており、会場内には電気自動車アリアの展示が行われています。今後は新車発表会や講演などの発信のほか、ユーザーが体感できるコンテンツ公開を予定。先日は、電気自動車と共に地球温暖化について考えるツアーが開催されました。

 

↑バーチャルギャラリー「NISSAN CROSSING」の外観はスタイリッシュ。中に入るとフリースペースやカフェスペースなども設けられている

 

<広報さんに聞いた>ココが自慢です!

2階にはコミュニティの皆さんがイベント等を実施できるよう広い空間を準備しました。ここで先日もパフォーマーによるダンスイベントが開催されました。ぜひVR内の友人とカフェのラテアートを片手に会場見学、イベント実施等楽しんで使ってください!

【ここにもメタバースを使ったサービス! 】バーチャルオフィスに出社しよう! 次世代ワークプレイス「RISA」

メタバースって難しい。イマイチよくわからないし、自分には関係ない、なんて思っている人も多いかも知れません。しかし、私たちが生活のなかで利用している遊びやビジネスには、すでにメタバースを使ったサービスを提供しているものもあります! 今回は、アバターがユニークなバーチャルクラウドオフィス「RISA」を紹介します。

※こちらは「GetNavi」 2022年3月号に掲載された記事を再編集したものです

 

いつでも集まる場所を共有できる次世代のワークプレイス

クラウドオフィス

OPSION

RISA

画面共有、テキストチャット、ボイスチャットなどの機能を搭載したクラウドオフィス。アバターのユニークな動きで喜怒哀楽を表現できるモーション機能や、一言つぶやき機能が搭載されています。ちょっとした雑談や相手の様子の察知など、テレワーク環境で失われたひとつの居場所を共有する体験を、離れていても実現。バーチャルオフィスにアバターで出勤することや、部署やチームによってフロアを分けることもできるので便利です。

 

↑バーチャルならではの景色を選ぶことができる。特別な機材や設定は不要で通常のPCのブラウザ上で作動。手軽に利用可能だ

 

<広報さんに聞いた>ココが自慢です!

当社は全社員が異なる地域に住み、リモートワークで勤務しています。RISAはアバターの動きや効果音機能と、ステータスや一言コメントで簡単に相手の状況を把握でき、出社している感覚で仕事ができます。1か所に集まれる安心感とアバターの臨場感が最大の魅力です!

【ここにもメタバースを使ったサービス! 】空港でのショッピングもできるバーチャルトラベル「SKY WHALE」

メタバースって難しい。イマイチよくわからないし、自分には関係ない、なんて思っている人も多いかも知れません。しかし、私たちが生活のなかで利用している遊びやビジネスには、すでにメタバースを使ったサービスを提供しているものもあります! 今回は、バーチャルで世界旅行を楽しめるサービスを紹介します。

※こちらは「GetNavi」 2022年3月号に掲載された記事を再編集したものです

 

時空を飛び越えて自宅でグループ旅行

バーチャルトラベルプラットフォーム

ANA NEO

SKY WHALE

“時空を超える旅客機”をコンセプトとしたバーチャルトラベルプラットフォーム「SKY WHALE」が2022年にローンチされます。3DCGで描かれた世界の様々な都市や絶景スポットを旅行できる「Skyパーク」のほか、空港でのショッピングやエンタテインメントをイメージした仮想ショッピング空間「Skyモール」、バーチャル上での医療・教育・行政などのサービスを展開する「Skyビレッジ」で構成。それぞれ自宅にいながらグループ体験を同時に楽しめます。

 

↑「Skyパーク」では「のんびり」「弾丸」など旅の好みを設定できる。バーチャルでの旅行体験に合わせて、現実の旅行を予約できる

 

<広報さんに聞いた>ココが自慢です!

ANAが世界中を巡るメタバース旅行にご案内します。仲間と一緒にアバターを作って、グループショッピングやグループ旅行に出掛けましょう。世界初・最高峰の品質をお届けします。また、マイル会員様にはお得な特典も予定しています!

※画像は開発中のものです

【ここにもメタバースを使ったサービス! 】凸版が提供するショッピングモール「メタパ」

メタバースって難しい。イマイチよくわからないし、自分には関係ない、なんて思っている人も多いかも知れません。しかし、私たちが生活のなかで利用している遊びやビジネスには、すでにメタバースを使ったサービスを提供しているものもあります! 今回は、メタバースを使ったサービスのなかから、「メタパ」を紹介します。

※こちらは「GetNavi」 2022年3月号に掲載された記事を再編集したものです

 

リアルとバーチャルが融合した新しい買い物体験ができる

バーチャルショッピングアプリ

凸版印刷

メタパ(TM)

仮想空間上に構築した複数の店舗を、ショッピングモールのようにひとつに集約した「メタパ(TM)」がスタート。3DCG化された商品を様々な角度から見られ、AR機能を使って実際のサイズ感や部屋に置いたときのイメージも確認できます。出店店舗の第1弾として「Virtual b8ta」がオープン。また、実店舗に設置されたアバターロボットからボタンひとつで「Virtual b8ta」へアクセスすることも可能です。バーチャルとリアルを自由に行き来して新しい買い物体験ができます。

 

↑複数人が同時に接続することで音声やテキストでの会話が可能に。共有した人しか店舗に入れないプライベートルーム機能も実装予定

 

<広報さんに聞いた>ココが自慢です!

「メタパ(TM)」は、メタバースのショッピングモールです。スマホでいつでもどこでも友人や家族とバーチャル店舗体験が実現します。3DCG化された商品を自由な角度で確認できるうえに、AR機能で自転車などの大きい商品も実寸大で見ることができます!

元FacebookのMeta社、メタバースではなく現実の店舗を5月にオープン。VRゲームをプレイできる大画面ディスプレイもあり

元FacebookのMeta社は、5月9日(米現地時間)に同社初の実店舗をオープンすることを発表しました。同社が熱く推進しているメタバースの中ではなく、米カリフォルニア州バーリンゲームにあるキャンパス内にて物理的なショップが営まれることになります。

 

これはMeta社が仮想世界に軸足を置きながらも、ハードウェア事業の比重が増していることを表す動きでもあります。「Meta Store」はReality Labs(AR(拡張現実)とVR(仮想現実)を研究する部門)の近くにあり、同社のVRヘッドセット製品であるMeta Quest 2や、スマートグラスの「Ray-Ban Stories」 のほか携帯デバイスが展示され、お客は従業員とビデオ通話したりVR体験をしたりとインタラクティブなデモが楽しめる予定です。

 

Meta社にとって実店舗は、単にハードウェアを売るだけでなく、より多くの人にVRとARの技術を知ってもらうための位置づけです。店頭でのVRデモは「壁から壁までの」巨大なLEDディスプレイで行われ、たとえばヘッドセット内に表示されている『ビートセイバー』のゲーム画面などが現実の視界いっぱいに広がるというぐあいです。

Meta

 

また、マーク・ザッカーバーグCEOも、自らのFacebookページにてMeta Storeを予告しています。「私たちの製品が人々をつなぎ、メタバースを構築していくなかで何が起こるかが分かる素晴らしい体験です」とのことです。

 

最初の店舗は1550平方フィート(約144平方メートル)という控えめなものですが、米The New York Timesは昨年秋、Meta社が世界中にリアル店舗を開くことを検討していると報じていました。同社のメタバース部門は2021年に100億ドルの損失を出していましたが、粘り強い努力を期待したいところです。

 

Source:Meta

メタバースがモノ・コトの常識を変えている! ゲーム・ファッション・ビジネスの3分野の“いま”に迫る

いま「メタバース」として認識されているサービスには、具体的にどんなものがあり、どんなトレンドがあるのか。ここではゲーム、ファッション、ビジネスの3分野におけるメタバースについて、それぞれの概要と傾向をチェックしていきたい。

※こちらは「GetNavi」2022年3月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

メタバースの“いま”を探る

↑日産は実在するショールームをバーチャルギャラリーとして再現。デジタル上での新たなコミュニケーションの場のひとつとなっている

 

私が解説します

デジタルライター

井上 晃さん

メタバースは2017年ごろからゆるく追う。Questでは卓球とお絵描きが好き。21年末の忘年会はclusterで実施した。

 

《ゲーム分野》

オンライン空間に集まり「一緒に何かをする」という点で、ゲームは20年以上の歴史を持つ。オンラインゲームにおける、遊びながらコミュニケーションをする“場所”としての役割は、メタバースを語るうえで無視できないテーマのひとつとなっている。

 

ゲームのメタバース的体験はVR化や用途の変換に注目

広義の「メタバース」は新しいものではない——。語源はニール・スティーヴンスンが1992年に発表したSF小説「スノウ・クラッシュ」に遡るが、3D空間で人が交流する概念はそれ以前からある。現実のサービスについては、オンラインゲームの原型が登場したのが97年ごろ。米Linden Lab社によるMMOG(大規模マルチユーザー参加型オンラインゲーム)の「セカンドライフ」が提供されたのが03年だ。

 

このように「アバターで集まって交流する」という体験は、ゲーム分野に一日の長がある。家庭用ゲーム機でのオンラインサービスも一般化したので、ゲームでの交流は経験済みな方も多いだろう。

 

そんなゲームにもここ数年で顕著な変化が2つあった。ひとつは個人で入手しやすいVRヘッドセットが普及し、VRが身近になったこと。例えば、Thirdverseが提供する「ソード・オブ・ガルガンチュア」では、VRのアクションゲームをオンラインマルチプレイで楽しめる。もうひとつは、既存のオンラインゲームが交流用途で使われだしたことだ。特に、EPIC GAMESの「フォートナイト」は、新たに戦闘禁止のマップ製作ガイドラインなどを整えるなど、メタバース的役割を意識的に伸ばしている。

 

メタバースの代表的ゲームはコレだ

 

【その1】マイクロソフト 「マインクラフト」

Mojang (c) 2009-2021

ブロックで自由に世界を作るゲームで、「サンドボックス型(※)」に分類される。世界で最も売れたゲームでもある。サーバーを介したマルチプレイが可能で、第三者が公開した「配布ワールド」を訪れる遊び方もある。Java版と統合版の差に注意したい。

※隔離された領域でプログラムを実行し、問題発生時においてもほかのプログラムに影響を及ぼさないようにする仕組み。公園の「砂場」を意味し、外部から仕切られた環境で自由に遊べる状況から由来する

 

↑大規模な人数で同じワールドに集まることも可能だ。ただし、サーバーを用意するなど、ネットワークの知識が必要になる部分もある

 

【その2】サードバース 「ソード・オブ・ガルガンチュア」

(c)Thirdverse, Co., Ltd.

2019年に正式リリースされたのち、SteamやOculus Quest Storeなどのストアで高く評価されたタイトル。巨大な敵を、剣と盾で討伐していく迫力ある“剣戟(けんげき)”がテーマのVRアクションゲームで、4人のマルチプレイにも対応している。

 

↑武器は剣と盾で決まっているわけではなく、様々な片手武器や両手武器を選択可能。二刀流スタイルでのプレイも可能となっている

 

【その3】EPIC GAMES 「フォートナイト」

(c)2022,Epic Games,Inc.

2017年にリリースしたTPSゲーム(※)だが、独自マップを作れる「クリエイティブモード」も備えている。21年末には戦闘行為なしで、ミニゲームや会話を楽しむための「パーティーワールド」を作成するにあたってのガイドラインを提示した。

※サードパーソン・シューティングゲーム(Third Person shooting game)の略称。 自分が操作するキャラクターの後方あたりからの視点でプレイする

 

↑メタバース化が進むフォートナイトでは、バーチャルコンサートが開催されることも。20年には米津玄師の出演が話題になった

 

《ファッション分野》

3D空間でアバターが着る衣服「バーチャルウエア」が盛り上がっており、大手ブランドの参入やクリエイターの成功事例など話題にはこと欠かない。厳密な「メタバース」との関連性は低いが、投機的なNFTコレクションの展開も過熱する。

 

アバターのファッションが新たな金鉱となりつつある

メタバースにおける課金要素として、アバターが着る「バーチャルウエア」の注目度は高い。

 

バーチャルウエアはすでにアプリ内課金などの仕組みを用いて販売されている。例えば、韓国のNaver Z社が提供する3Dアバターソーシャルアプリ「ZEPETO(ゼペット)」では、ナイキやラルフローレンといった大手を筆頭に、様々なファッションブランドがアイテムを販売している。

 

また、ブロックチェーン技術を活用したNFT(非代替性トークン)の認証技術を用い、アイテムに関連する「鑑定書/証明書」的情報を含めた販売が行われる方向性も加速する。最近ではアディダスが2021年末に、NFTアイテムを販売して話題となった。

 

名だたるブランドがメタバースに参入

 

【その1】adidas Originals

NFTコミュニティと連携した展開を進める

有名スポーツブランド「adidas(アディダス)」のアパレルラインであるadidas Originalsは2021年12月、NFTコレクションとなる「Into The Metaverse」をリリース。その売り上げは26億円に上ったと発表している。

 

↑公式サイト表記によれば、NFTの購入者は、2022年に実際のアイテムを手にする権利も得ているという。リミテッドエディションは完売した

 

【その2】NIKE

メタバース参入のための基盤を整えた

昨年11月に「Roblox」内で「NIKELAND」を開設。12月にはバーチャルスニーカーなどのNFTアイテム製作を手掛けるRTFKT(アーティファクト)スタジオを買収するなど、積極的なメタバース進出を図っている。

 

↑ナイキ本社から着想を得たというNIKELANDでは、様々なミニゲームを楽しめる。アバターでナイキ製品を着用できるデジタルショールームも

 

【その3】ラルフローレン

アプリ内バーチャルウェアを販売中

ファッションブランドのラルフローレンは2020年夏に、スナップチャット内のアバター機能「Bitmoji」用の服を発売。21年夏には「ZEPETO」内でバーチャルウエアを発売するなど、デジタル市場へ堅実に展開中だ。

 

↑20年5月にSnowから独立したNaver Z社が提供する「ZEPETO」にて、アプリ内通貨で購入できるバーチャルウエアが販売されている

 

《ビジネス分野》

「メタバース」の一側面を構築する要素として、VR空間で会議などを行うためのコラボレーションツールも重要だ。同ジャンルではメタ社が先行する一方で、マイクロソフトも本格参入を宣言しており、目が離せない市場と言える。

 

没入型の会議室に集まって会議を行える時代になった

ビジネス向けのVRコラボレーションツールはまさに群雄割拠の状態で、各ストアで様々なサービスが展開されている。なかでも、プラットフォーマー自体が提供するサービスとして、メタ社の「Horizon Workrooms」や、HTCの「VIVE Sync」などは代表的な存在だ。また、マイクロソフトもMRフレームワークである「Mesh」を用いて「Teams」を拡張したツールを発表しており、2022年前半にプレビューとして提供予定である。

 

こうしたツールを使えば、遠隔地にいる複数人が同じ空間に集まって、臨場感のあるコミュニケーションを取ることが可能。ウェブ会議ツールに次ぐ新しい形の会議室として、注目度は高まっている。

 

オンライン会議では足りない“多彩な”やり取りが可能

 

【その1】Meta「Horizon Workrooms」

Quest 2があれば入れる無料のVR会議室

2020年8月発表のVRコラボレーションツール。VRヘッドセット「Meta Quest 2」を使って無料で利用でき、バーチャルな会議室でコミュニケーションが行える。先駆的に提供されたツールだが、現在提供されているのは、まだベータ版だ。

 

↑一部のノートPCや周辺機器をVR空間に持ち込んで作業できる。PC画面のモニター投影や、ホワイトボードへの書き込みなどにも対応

 

【その2】マイクロソフト「Mesh for Microsoft Teams」

Teamsのビデオ会議にアバターで出席することも

2021年11月に発表されたツールで、同社のコミュニケーションプラットフォームである「Teams」を基盤としつつ、3Dアバターを介したコラボレーションができるようにしたもの。2022年前半にプレビュー版が提供開始予定だ。

 

↑会議や交流が行える3D空間が提供されるほか、ビデオ会議にアバターで参加するといった機能も搭載される予定だ

没入型のVR会議室も……ビジネス×メタバースの“いま”を探る!

いま「メタバース」として認識されているサービスには、具体的にどんなものがあり、どんなトレンドがあるのか。今回はビジネス分野におけるメタバースについて、概要と傾向をチェックしていきたい。

※こちらは「GetNavi」2022年3月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

《ビジネス分野》

「メタバース」の一側面を構築する要素として、VR空間で会議などを行うためのコラボレーションツールも重要だ。同ジャンルではメタ社が先行する一方で、マイクロソフトも本格参入を宣言しており、目が離せない市場と言える。

 

没入型の会議室に集まって会議を行える時代になった

ビジネス向けのVRコラボレーションツールはまさに群雄割拠の状態で、各ストアで様々なサービスが展開されている。なかでも、プラットフォーマー自体が提供するサービスとして、メタ社の「Horizon Workrooms」や、HTCの「VIVE Sync」などは代表的な存在だ。また、マイクロソフトもMRフレームワークである「Mesh」を用いて「Teams」を拡張したツールを発表しており、2022年前半にプレビューとして提供予定である。

 

こうしたツールを使えば、遠隔地にいる複数人が同じ空間に集まって、臨場感のあるコミュニケーションを取ることが可能。ウェブ会議ツールに次ぐ新しい形の会議室として、注目度は高まっている。

 

オンライン会議では足りない“多彩な”やり取りが可能

 

【その1】Meta「Horizon Workrooms」

Quest 2があれば入れる無料のVR会議室

2020年8月発表のVRコラボレーションツール。VRヘッドセット「Meta Quest 2」を使って無料で利用でき、バーチャルな会議室でコミュニケーションが行える。先駆的に提供されたツールだが、現在提供されているのは、まだベータ版だ。

 

↑一部のノートPCや周辺機器をVR空間に持ち込んで作業できる。PC画面のモニター投影や、ホワイトボードへの書き込みなどにも対応

 

【その2】マイクロソフト「Mesh for Microsoft Teams」

Teamsのビデオ会議にアバターで出席することも

2021年11月に発表されたツールで、同社のコミュニケーションプラットフォームである「Teams」を基盤としつつ、3Dアバターを介したコラボレーションができるようにしたもの。2022年前半にプレビュー版が提供開始予定だ。

 

↑会議や交流が行える3D空間が提供されるほか、ビデオ会議にアバターで参加するといった機能も搭載される予定だ

 

私が解説します!

デジタルライター

井上 晃さん

メタバースは2017年ごろからゆるく追う。Questでは卓球とお絵描きが好き。21年末の忘年会はclusterで実施した。

アディダスやナイキなど、名だたるブランドがメタバースに参入! ファッション×メタバースの“いま”を探る

いま「メタバース」として認識されているサービスには、具体的にどんなものがあり、どんなトレンドがあるのか。今回はファッション分野におけるメタバースについて、概要と傾向をチェックしていきたい。

※こちらは「GetNavi」2022年3月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

《ファッション分野》

3D空間でアバターが着る衣服「バーチャルウエア」が盛り上がっており、大手ブランドの参入やクリエイターの成功事例など話題にはこと欠かない。厳密な「メタバース」との関連性は低いが、投機的なNFTコレクションの展開も過熱する。

 

アバターのファッションが新たな金鉱となりつつある

メタバースにおける課金要素として、アバターが着る「バーチャルウエア」の注目度は高い。

 

バーチャルウエアはすでにアプリ内課金などの仕組みを用いて販売されている。例えば、韓国のNaver Z社が提供する3Dアバターソーシャルアプリ「ZEPETO(ゼペット)」では、ナイキやラルフローレンといった大手を筆頭に、様々なファッションブランドがアイテムを販売している。

 

また、ブロックチェーン技術を活用したNFT(非代替性トークン)の認証技術を用い、アイテムに関連する「鑑定書/証明書」的情報を含めた販売が行われる方向性も加速する。最近ではアディダスが2021年末に、NFTアイテムを販売して話題となった。

 

名だたるブランドがメタバースに参入

 

【その1】adidas Originals

NFTコミュニティと連携した展開を進める

有名スポーツブランド「adidas(アディダス)」のアパレルラインであるadidas Originalsは2021年12月、NFTコレクションとなる「Into The Metaverse」をリリース。その売り上げは26億円に上ったと発表している。

 

↑公式サイト表記によれば、NFTの購入者は、2022年に実際のアイテムを手にする権利も得ているという。リミテッドエディションは完売した

 

【その2】NIKE

メタバース参入のための基盤を整えた

昨年11月に「Roblox」内で「NIKELAND」を開設。12月にはバーチャルスニーカーなどのNFTアイテム製作を手掛けるRTFKT(アーティファクト)スタジオを買収するなど、積極的なメタバース進出を図っている。

 

↑ナイキ本社から着想を得たというNIKELANDでは、様々なミニゲームを楽しめる。アバターでナイキ製品を着用できるデジタルショールームも

 

【その3】ラルフローレン

アプリ内バーチャルウェアを販売中

ファッションブランドのラルフローレンは2020年夏に、スナップチャット内のアバター機能「Bitmoji」用の服を発売。21年夏には「ZEPETO」内でバーチャルウエアを発売するなど、デジタル市場へ堅実に展開中だ。

 

↑20年5月にSnowから独立したNaver Z社が提供する「ZEPETO」にて、アプリ内通貨で購入できるバーチャルウエアが販売されている

 

私が解説します!

デジタルライター

井上 晃さん

メタバースは2017年ごろからゆるく追う。Questでは卓球とお絵描きが好き。21年末の忘年会はclusterで実施した。

マイクラやフォトナも! ゲーム×メタバースの“いま”を探る

いま「メタバース」として認識されているサービスには、具体的にどんなものがあり、どんなトレンドがあるのか。今回はゲーム分野におけるメタバースについて、概要と傾向をチェックしていきたい。

※こちらは「GetNavi」2022年3月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

《ゲーム分野》

オンライン空間に集まり「一緒に何かをする」という点で、ゲームは20年以上の歴史を持つ。オンラインゲームにおける、遊びながらコミュニケーションをする“場所”としての役割は、メタバースを語るうえで無視できないテーマのひとつとなっている。

 

ゲームのメタバース的体験はVR化や用途の変換に注目

広義の「メタバース」は新しいものではない——。語源はニール・スティーヴンスンが1992年に発表したSF小説「スノウ・クラッシュ」に遡るが、3D空間で人が交流する概念はそれ以前からある。現実のサービスについては、オンラインゲームの原型が登場したのが97年ごろ。米Linden Lab社によるMMOG(大規模マルチユーザー参加型オンラインゲーム)の「セカンドライフ」が提供されたのが03年だ。

 

このように「アバターで集まって交流する」という体験は、ゲーム分野に一日の長がある。家庭用ゲーム機でのオンラインサービスも一般化したので、ゲームでの交流は経験済みな方も多いだろう。

 

そんなゲームにもここ数年で顕著な変化が2つあった。ひとつは個人で入手しやすいVRヘッドセットが普及し、VRが身近になったこと。例えば、Thirdverseが提供する「ソード・オブ・ガルガンチュア」では、VRのアクションゲームをオンラインマルチプレイで楽しめる。もうひとつは、既存のオンラインゲームが交流用途で使われだしたことだ。特に、EPIC GAMESの「フォートナイト」は、新たに戦闘禁止のマップ製作ガイドラインなどを整えるなど、メタバース的役割を意識的に伸ばしている。

 

メタバースの代表的ゲームはコレだ!

 

【その1】マイクロソフト「マインクラフト」

Mojang (c) 2009-2021

ブロックで自由に世界を作るゲームで、「サンドボックス型(※)」に分類される。世界で最も売れたゲームでもある。サーバーを介したマルチプレイが可能で、第三者が公開した「配布ワールド」を訪れる遊び方もある。Java版と統合版の差に注意したい。

※隔離された領域でプログラムを実行し、問題発生時においてもほかのプログラムに影響を及ぼさないようにする仕組み。公園の「砂場」を意味し、外部から仕切られた環境で自由に遊べる状況から由来する

 

↑大規模な人数で同じワールドに集まることも可能だ。ただし、サーバーを用意するなど、ネットワークの知識が必要になる部分もある

 

【その2】サードバース「ソード・オブ・ガルガンチュア」

(c)Thirdverse, Co., Ltd.

2019年に正式リリースされたのち、SteamやOculus Quest Storeなどのストアで高く評価されたタイトル。巨大な敵を、剣と盾で討伐していく迫力ある“剣戟(けんげき)”がテーマのVRアクションゲームで、4人のマルチプレイにも対応している。

 

↑武器は剣と盾で決まっているわけではなく、様々な片手武器や両手武器を選択可能。二刀流スタイルでのプレイも可能となっている

 

【その3】EPIC GAMES「フォートナイト」

(c)2022,Epic Games,Inc.

2017年にリリースしたTPSゲーム(※)だが、独自マップを作れる「クリエイティブモード」も備えている。21年末には戦闘行為なしで、ミニゲームや会話を楽しむための「パーティーワールド」を作成するにあたってのガイドラインを提示した。

※サードパーソン・シューティングゲーム(Third Person shooting game)の略称。 自分が操作するキャラクターの後方あたりからの視点でプレイする

 

↑メタバース化が進むフォートナイトでは、バーチャルコンサートが開催されることも。20年には米津玄師の出演が話題になった

 

私が解説します!

デジタルライター

井上 晃さん

メタバースは2017年ごろからゆるく追う。Questでは卓球とお絵描きが好き。21年末の忘年会はclusterで実施した。

2022年のバズワード「メタバース」とは何か――メタバースとVR・ARとの違いって?

メタバースとは、自分のアバター(分身)を作って自由に活動できる仮想空間のことだが、いまいちピンとこない人が多いだろう。“メタバース”はフワッとした言葉であり、実態がわかりにくい。どのような世界をメタバースと言うのか。VRやARとは何が異なるのか。普及に向けてどんな要素が必要なのかを明らかにしていく。

※こちらは「GetNavi」 2022年3月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

メタバースとは何か

↑VRを使った会議サービスの様子。しかし、こうしたサービス=メタバースそのものではない

 

私が解説します!

ジャーナリスト

西田宗千佳さん

得意ジャンルはPC、デジタルAV・家電。そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。

メタバースとは新しい生活圏を作ること

いきなり結論なのだが、メタバースに明確な定義はない。色々な人が多様な観点からメタバースについて述べているが、これが正解という話があるわけでもないのだ。だが、あえて定義をするなら「デジタル空間に人間の新しい生活圏を作ること」と言えるだろうか。

 

メタバースというと我々は、3DCGで作られた空間に、ヘッドマウントディスプレイを装着して入り込む姿を想像する。それも確かにメタバースのひとつではある。VR技術を使うと、我々の視覚や聴覚を簡単に奪うことができるからだ。自宅のリビングにいたはずなのに広大な砂浜に移動していたり、たくさんの人々と一緒にコンサート会場にいたりという体験をするには、VR技術の活用が不可欠だ。

 

一方で、もっとシンプルな話もある。メタバースを「人工の生活圏」と定義するのであれば、いまのSNSだって十分に「人工生活圏」なのだ。日常の何割かをそこで過ごし、人々と交流し、ときにはショッピングもする。これが“生活”でなくて何なのだろう?

 

ただ、さすがにテキストメインのSNSでは新しさに欠けるし、できることの限界も大きい。だが、VR技術を使ってコンピュータのなかに空間を作り、そこを生活の場として活用するのであれば、可能性ははるかに大きくなる。

 

土地の広さや重力の有無など、現実世界の制約から解き放たれ、自分の姿をはじめ、性別も容姿も違う、別のキャラクターとして時間を過ごすことができるなら、それは「新しい生活の場」と言える。

 

SNS最大手であるフェイスブック社が「メタ」に社名変更し、メタバース事業への注力を始めたことから、「メタバース」という言葉は一気にブーム化したわけだが、これも新しい生活圏をいち早く作ることが目的だ、と考えると納得しやすい。彼らは、フェイスブックやインスタグラムといったSNSの先にある存在としてのメタバースを重視しているのだ。

 

↑2021年10月に、Facebookがメタバース事業への注力を宣言し、社名をMetaへと変更。毎年100億ドルの開発投資を行うと発表した

 

重要なのは「相互接続性」だがいまはまだまだ道半ば

一方で、いまの「VR」や「AR」とメタバースの関係はわかりづらくなっている。VRやARにより、我々は“現実とは違う世界”を体験できるが、それだけでメタバースと言えるわけではない。

 

例えば、メタが提供している「Horizon Workrooms」はVRを使った、非常に実用性の高い会議サービスである。だが、Horizon Workroomsがメタバースか、というとそうではない。あくまでひとつの会議サービスだ。同じように、VRでコミュニケーションを行う「VRChat」もあくまでコミュニケーションのためのサービスに過ぎず、メタバースそのものではない。各種ゲームも同様だ。

↑Metaが提供する「Horizon Workrooms」。自分のアバターで参加し、バーチャル上の同じ空間で会議を行うことが可能となっている

 

なぜメタバースと言えないのか? 理由は、メタバースの「メタ」という言葉の部分にある。メタとは“上位の”という意味を持ち、複数のサービスが相互につながっている様を表している。

 

ゲームやコンサート、会議室などのサービスがそれぞれバラバラに存在していても、大きな成長は難しい。アバターを共通で使えたり、ゲームからコンサートへシームレスに移行できたりすることで、VRサービスの集まりは、本当の意味での生活圏になっていく。それぞれのサービスがつながれば、着飾るようにアバターのアイテムを集めておいたり、友人を呼んでチャットするためにメタバース内に“家”を持ったりと、各サービスの主たる目的とは異なる要素が出てくる。その部分が出来上がってはじめて、我々はコンピュータの世界に新たな生活空間を持ったと言えるのである。

 

それを実現するには、どこかが1社サービスを作れば良い、という話ではない。相互接続性や金銭のやり取りなどの仕組みは出来上がっておらず、検討すらこれから始まる段階だ。メタをはじめとして、メタバースに真剣に取り組んでいる企業は、5年先、もしくは10年先に向けた開発を進めている。インターネットの次の段階としてメタバースが生まれるには、まだそのくらいの時間が必要であり、各社の協力体制も必要だ。いまのブームはその一部がようやく見えた段階に過ぎないのである。

 

メタバースはVRやARと何が違うのか

 

「VR(仮想現実)」とは…

VRゴーグルを装着して現実に近い世界に没入

VRは「Virtual Reality」の略。VRゴーグルを装着すると、限りなく現実に近い世界に没入できる感覚が得られる。ゲームやライブなどのエンタテインメントの世界が先行しているが、教育分野や、遠隔地から手術や治療を支援する医療や介護などにも活用が広がっている。

 

↑没入するためにはVRゴーグルが必須。初期のモデルは映像と音声の遅延による“酔い”が課題だったが、最新モデルでは改善されている

 

「AR(拡張現実)」とは…

実風景に視覚情報を重ねて目の前の世界を拡張する

ARは「Augmented Reality」の略。VRが作られた映像などの世界に没入されるのと異なり、実在する風景にバーチャルの視覚情報を重ねて表示することで、目の前にある世界を“仮想的に拡張する”というもの。代表的なものに「ポケモンGO」がある。

 

↑ARは家具やファッション業界が注目。スマホアプリを利用してバーチャルで導入イメージをつかむことができ、購入前の検討に役立つ

 

「メタバース(仮想空間)」とは…

アバターを作って生活する人工的な生活空間

「Meta」と「Universe」を組み合わせた造語。自身のアバターを作成し、ネット上に構築された人工的な生活空間で行動するのが基本。相互にコミュニケーションしながら買い物をしたり、メタバース内で商品を製作・販売したりといった経済活動を行うこともできる。

 

↑自分が設定したアバターを仮想空間のなかで自由に動かせる。現在はゲームの世界が一歩リードしているが、ビジネスシーンなどにも活用可能

 

メタバースの世界でよく出てくるワードを解説

 

【Word 1】アバター

メタバースの世界では自分の姿は自由に選べる

自分の分身として活動するキャラクター。メタバースの世界では、自分のアバターを作成することが第一歩となる。自分の姿をリアルに再現する必要はなく、顔や肌の色、服装なども自由に選べ、仮想空間での“自分”となる。

 

↑メタバースプラットフォーム「cluster」でのアバター作成シーン。顔のパーツは細かく選ぶことができる。服装も自由に設定可能だ

 

【Word 2】プラットフォーム

メタバースの土台となる基本的な実行プログラム

メタバースの世界を構築するために必要なプログラム。Metaやマイクロソフトなども参入し、その覇権争いは激化中。ただしメタバースが普及するには、特定のプラットフォームに頼らないオープンソースのサービスが必要にもなる。

 

↑プラットフォームのひとつであるVRChatを使用した、バーチャルマーケット。好きな空間で他のアバターとの交流が楽しめる

 

【Word 3】XR

VRやARなどを統合したメタバースに必須の技術

XRとはクロスリアリティの略で、VR、ARに加えてMR(複合現実)の総称。デバイスの進化による解像度の向上や5G回線などによる高速通信により、現実の映像とバーチャルの世界の融合が進んでいる。メタバースには欠かせない技術だ。

 

↑XRがより進化すれば、実物と見分けがつかない立体映像をホログラムで表示できるようになる。メタバースの発展に欠かせない要素だ

 

【Word 4】デジタルツイン

現実世界の環境をコピーし仮想空間のなかで再現する

リアル(物理)空間にある情報をIoTなどで集め、送信されたデータを基に仮想空間でリアルの空間を再現する技術。現実世界の環境を仮想空間にコピーする鏡のなかの世界のようなイメージで、“デジタルの双子”の意味の通りだ。

 

↑デジタルツインの導入効果が期待されるのが製造業。物理空間の情報を反映した仮想空間のなかで製品を試作することが可能だ

専用アプリやHMDがなくても楽しめる! ドコモ、マルチデバイス型メタバース「XR World」をスタート

NTTドコモは、Webブラウザから無料で参加でき、バーチャル空間ならではのコミュニケーションを楽しめるマルチデバイス型メタバース「XR World」を、3月31日に開始しました。

 

XR Worldは、バーチャル空間でアバターを通して、相互にコミュニケーションを取りながら、音楽・アニメ・ダンスなどのエンタメコンテンツや、スポーツ・教育・観光など、幅広いジャンルのコンテンツを楽しめるサービスです。

 

一部コンテンツを除き無料で楽しめるほか、アプリ不要でWebブラウザから利用可能で、専用のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)がなくても、PC、スマートフォン、タブレットから、気軽に利用できます。

 

サービス開始当初は、「リスアニ!LIVE 2022」に出演した藍井エイルさんや南條愛乃さんなど全18組のアーティストによるライブ映像など、音楽ジャンルのコンテンツから提供。森口博子さん専用ワールド「森口博子 GUNDAM SONG COVERS」では、“大人のためのガンダムソング・カバーアルバム”最新作「GUNDAM SONG COVERS 3」の楽曲を試聴機で楽しんだり、MVを視聴したりすることができます。

 

4月下旬には、「リスアニ!」の新作オンラインライブの開催や、タワーレコードのレーベルに所属するアーティストの楽曲が楽しめる専用ワールド「TOWER RECORDS」、三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE 今市隆二さん専用ワールド「CHAOS CITY-RYUJI IMAICHI-」がオープンします。

 

将来的には、アバターのカスタマイズ機能や、趣味嗜好の合ったユーザー同士が集まり、共通の話題で盛り上がれる機能を提供予定としています。また、HMDを使った360度没入体験への対応も予定しているそうです。