ワイン初心者におすすめ! メルシャンの甘口でフルーティな「ジョイ」シリーズ3種

メルシャンは、コンチャ・イ・トロ社の「ジョイ」シリーズより、「ジョイ ジューシー レッド」「ジョイ ブライト ホワイト」を2月20日より、「ジョイ フルーティ ロゼ」を3月4日に発売します。

↑「ジョイ ジューシー レッド」、「ジョイ ブライト ホワイト」、「ジョイ フルーティ ロゼ」

 

記事のポイント

近年ワイン市場では、日常的にワインを飲む層だけでなく、ワイン初心者や若年層にも飲みやすい、甘口でフルーティな味わいのワインの需要が高まっているといいます。今回発売するワインはいずれも酸味が程よく、甘みが楽しめるとのこと。ワインデビューにぴったりでは。

 

「ジョイ」は、「誰もが楽しめるワイン」をコンセプトに生み出された、Z世代などの若年層やワイン初心者にも飲みやすいシリーズ。「もぎたてのフルーツを思わせるような程よい甘み」が特徴だといいます。

 

今回発売するのは、以下の3種類です。

 

・ジョイ ジューシー レッド

チェリーやストロベリー、フランボワーズのような、赤い果実の華やかでフルーティな香りで酸味は穏やか。バランスのとれた上品な味わい。

 

・ジョイ ブライト ホワイト

洋ナシやメロン、熟したリンゴやピーチなどフルーツの香り。程よい酸味とフレッシュで甘みのある味わい。

 

・ジョイ フルーティ ロゼ

熟したリンゴやピーチ、ラズベリーのような赤い果実の香り。穏やかな酸味と程よい甘みのある、やわらかい味わい。

 

パッケージは品種や産地を訴求せず、ワインの楽しさが伝わるカラフルなデザイン。「ワインは難しい」というイメージを払拭する狙いがあります。

 

メルシャン
「ジョイ ジューシー レッド」、「ジョイ ブライト ホワイト」、「ジョイ フルーティ ロゼ」
アルコール度数:ジョイ ジューシー レッド 10.5%/ジョイ ブライト ホワイト 12%/ジョイ フルーティ ロゼ 11%
容量:750ml(瓶)
価格:オープン

高まるノンアル市場にスパークリングワイン登場! 「贅沢ワイン気分 スパークリング白/ロゼ」

メルシャンは、アルコール0.00%の本格ノンアルコールスパークリングワイン「贅沢ワイン気分 スパークリング 白/ロゼ」を9月3日から発売します。

 

キリンが調査した結果、近年は健康意識の高まりなどを背景に、“休肝日を作る習慣”や“あえてノンアルコール飲料を選ぶ”という人が増えているそうです。ビール飲料以外のノンアルコール飲料へのニーズも高く、なかでもノンアルコールワインは直近5年間で約4倍と市場が拡大したことが調べでわかりました。

 

ノンアルコール飲料でもワインらしい味わいを実現することを目指し、同社の特許技術である「特殊ブドウ果汁」を使用して開発したのが今回の贅沢ワイン気分 スパークリング 白/ロゼです。厳選したブドウ果汁を煮詰めてから加えることで、ワインのようなコク・複雑味を実現しており、白は爽やかな香りと味わい、ロゼはカシスのような華やかな香りと複雑さのある味わいに仕上がっています。

 

また、パッケージには品質感とスタイリッシュさを感じてもらえるようにと、あえてボトル缶を採用しているとのことです。

 

ブランド:メルシャン

商品名:贅沢ワイン気分 スパークリング 白/ロゼ

容量:290ml

価格:オープン

低アルでやさしい発泡感が心地いい!「甘熟ぶどうのおいしいワイン スパークリング 缶」を8/27より新発売

メルシャンは、ぶどう本来の甘さが楽しめるアルコール度数3%のボトル缶スパークリングワイン「甘熟ぶどうのおいしいワイン スパークリング 缶(赤/白)」を8月27日より全国で新発売。

「甘熟ぶどうのおいしいワイン スパークリング 缶」は、ぶどう本来の甘さで多くのワインノンユーザーやワインライトユーザーからも好評な「甘熟ぶどうのおいしいワイン」ブランドから新たに発売する、低アルコールのボトル缶タイプのスパークリングワインです。

 

当商品は、ブランドのコンセプトである“ぶどう本来の甘さ”に、すっきり飲める“心地よい発泡感”を加え、飲みやすい味わいに仕上げています。

 

①中味について

・赤:ぶどう本来のジューシーな甘さが楽しめる、やさしい発泡感が心地よいスパークリングワイン。
・白:ぶどう本来のさわやかでフルーティな甘さが楽しめる、やさしい発泡感が心地よいスパークリングワイン。

 

②パッケージについて

・ぶどうの果実感を大きく表現することで、「おいしそう」と直感的に感じられるようなデザイン。
・品質感とスタイリッシュさが感じられる、ボトル缶を採用。

 

メーカー:キリンビール
商品名 :「甘熟ぶどうのおいしいワイン スパークリング(赤/白)」
アルコール度数: 3%
容量・容器: 290ml・ボトル缶
価格(税別): オープン価格

アジア最高位に選ばれたメルシャン「椀子ワイナリー」がワイン醸造同様に力を入れていること

近年、国内外で注目を集めており、人気が高まっている日本ワイン。長野県上田市にある「シャトー・メルシャン 椀子(まりこ)ワイナリー」は、その年の世界最高のワイナリーを選出するアワード「ワールド ベスト ヴィンヤード」で、2023年のアジアNo.1に選ばれました。

 

名実ともに日本のワイン文化をけん引する存在となったメルシャンと椀子ワイナリーでは、より革新的なワイン造りを実践・発信するべく、サステナブルに焦点をおいたワイナリーツアーの開催を発表。現地に赴き、その取り組みを取材しました。

↑「シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー」。2003年に開園した椀子ヴィンヤード内に2019年開業し、2023年7月「ワールド ベスト ヴィンヤード2023」に日本のワイナリーで唯一、2020年から4年連続選出。同時にザ・ベスト・ヴィンヤード・イン・アジアにも選ばれました。ちなみにヴィンヤードとはぶどう畑のこと

 

一部の国のワインばかりが消費される日本を変えたい

なぜ、メルシャンがサステナブルなワイン造りに注力するのか。それはSDGsが世界的な目標であることはもちろん、ワイン造りが農業と密接な関係があり、地域社会や自然との共生が欠かせないと確信しているから。

↑地域や先人、自然への感謝を話す、メルシャンの長林道生社長

 

しかし、日本のワイン業界の現状は、海外と比較すると後れをとっているのだとか。この実情については、日本で唯一の「Master of Wine」(マスター・オブ・ワイン。ワイン業界において最も名声が高いとされる資格)で、名前の後に「MW」を付記することが許されている大橋健一さんが教えてくれました。

 

今夏、世界中のマスター・オブ・ワインが集うシンポジウムがドイツで開催されました。そこで大橋さんが驚いたのは、すべての講演でサステナビリティについて触れられていたこと。つまり、海外のワイン業界ではサステナビリティがきわめて重要視されているのです。

↑大橋健一MW。自らの立場も踏まえたうえで、国内メーカーと一丸になってワイン業界の意識を変えていかないといけない、世界からリスペクトされるための課題はたくさんあると力説します

 

大橋MWの考える、日本人の意識改革のひとつがワインの立ち位置。日本人1人あたりのワイン消費量は1年間で4本にすぎないそうで、ほかのお酒と比べると“日常酒”となっておらず、価格も高め。極端にいえば“ハレの日に飲む高級品”となっており、「ワインはたまにしか飲まない贅沢品だからサステナブルでなくてもいいんじゃないか、サステナブルな見地からは外れてもいいんじゃないかとか。日本ではそういう傾向が見受けられます」と警鐘を鳴らします。

 

つまり、国内におけるワインはラグジュアリーグッズとしての側面ももっており、サステナブルな観点としてはけっして歓迎できるものではないということ。

 

「ラグジュアリーグッズであるがゆえに、日本では圧倒的に偏った国のワインばかり消費される傾向が否めません。加えて公共性の面においては、まったくサステナブルではないのです」と大橋MW。こうした現状を、椀子ワイナリーを中心にシャトー・メルシャンが変えていこうと試みていることを教えてくれました。

 

見学や試飲で楽しむ新設のSDGsツアーを体験

椀子ヴィンヤードの開園は2003年。かつて桑畑であったものの生糸業の衰退とともに放棄され、荒廃農地となっていた土地をぶどう畑に転換して誕生しました。高品質なワインを造るために下草を刈るなどの丁寧な農作業を行い、雄大な草原環境を生み出し、現在では希少種を含む様々な生きものが生息する豊かな自然環境に回復させています。つまり、椀子ヴィンヤードはもともとサステナブルに意欲的なヴィンヤードなのです。

↑椀子ヴィンヤードの広さは約30ヘクタールと、東京ドーム約6個分。標高約600~650mに位置し、メルローやシャルドネ、シラーやソーヴィニヨン・ブランなど、白黒約8種類のブドウを垣根式で栽培しています

 

そんな同ワイナリーによる新たな取り組みが、見学体験や試飲を交えて楽しみながらヴィンヤードの価値を伝えていく「シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー SDGsツアー」。2023年は9月2日と11月11日(ともに土曜)の2回開催し、今後も季節ごとに年間5回程度実施予定とのことで、その一部をいち早く体験させてもらいました。

↑この日案内してくれたのは、シャトー・メルシャンの小林弘憲ゼネラルマネジャー。SDGsツアーのスタート地点である一本木公園にて

 

椀子ヴィンヤードは10年以上前から地元・塩川小学校の学びの場にもなっているそう。3年生になるとじゃがいもを栽培・収穫。4年生になるとぶどう収穫、そして5年生はその植樹を体験する特別授業が盛り込まれるのだとか。これは郷土愛を育む体験として、また食育の観点からも素敵な取り組みだと感じました。

↑ヴィンヤード内の畑。毎年7月下旬が収穫期で、そのじゃがいもは児童の学校給食に使われるとか。その後は地元の委員会が蕎麦を植え、秋冬にかけて収穫するサイクルです

 

SDGsツアーではもちろん、ぶどうの木や果実も見学できます。取材時は夏だったため果実は青々としていましたが、秋には熟して収穫となり、9月のSDGsツアーはやや酸味が強いものの試食できるとのこと(11月は収穫後の時季ですが、残っていれば試食可)。

↑椀子ヴィンヤードの代表品種のひとつ、メルロー。お盆ごろに黒くなり、あえて食べごろがあるとすれば(生食用品種ではなく加工用品種であるため)収穫時期の9月下旬とのこと

 

SDGsの取り組みは、収穫後のぶどうにも。例えば、醸造時にぶどうの実を搾ったあとの皮や種、茎などを活用するための堆肥場が圃場の端にあり、ここで約2年間微生物にゆっくりと発酵させて肥料にします。ぶどうのカスは焼却炉で燃やすようなことはせず、また外部から持ち込む肥料を少なくすることで、運搬時に発生するCO2の排出を最小限に抑えているのです。

↑堆肥場で発酵させた、ぶどうの皮や種など。年間15~18トン出るカスが、約2年でサラサラの状態に。土地が広く、近隣に民家がないからできることと、小林マネジャーは言います

 

良好な草原環境へと整備された椀子ヴィンヤードには在来種や希少種などの多様な植物が生育しており、2014年から実施している生態系調査では、絶命危惧種を含む昆虫168種、植物289種が確認されているそう。その一例が、絶命危惧種の蝶「オオルリシジミ」の幼虫唯一の食草である「クララ」です。

↑オオルリシジミの幼虫が唯一食べる草、クララ。根を食べるとクラクラするほど苦いことが名称の由来とか。オオルリシジミが飛んでくることを願って、クララを増やす活動をしています

 

施設にもサステナブルな取り組みがあまた

また、椀子ワイナリーは施設自体がSDGsに配慮した設計になっています。それは「グラヴィティ・フロー」という、高低差を利用した設備や、動線により自然にかかる重力で果実や果汁を移すシステム。余計な動力が不要であるとともに、ぶどうの繊細な個性が損なわれず、エレガントで特色のあるワインが造れるというメリットがあります

↑ワイナリーは斜面を利用した設計。なお、圃場が近いため収穫後にすぐ運べるというメリットもあります

 

椀子ワイナリーは山の高台にあるため、冷涼であることも特徴。これはワイン樽熟成庫の空調面で大きな効果があり、冷房が必要なのは初夏〜盛夏ぐらいだそう。SDGsツアーでは、そんな熟成庫への入室もできます。木を通して呼吸をするワイン樽はかすかに優美な香りを放ち、心地いい気分に浸れることでしょう。

↑熟成庫では年間を通じて15℃以下、湿度70%以上をキープ。なお樽はフランスの10数社から購入し、材質はほぼフレンチオークです

 

ラストはお待ちかねのテイスティング。椀子の気候風土を表現する定番ワインのほか、オススメの限定品を含む計6種が味わえます。そのなかには高級銘柄の「シャトー・メルシャン 椀子オムニス」も。SDGsツアーの参加費はひとり税込1万円ですが、決して高くないといえるでしょう。

↑写真は一例で、右端が椀子オムニス。発売当初は海外の高級ワインで採用されるような重厚な輸入ボトルでしたが、いまやその価値観は一変。現在は環境に配慮し、国産の軽量なボトルを採用しています

 

残暑はまだまだ続きますが、今年もあっという間に実りと収穫の秋が訪れるでしょう。つまり、ぶどう狩りやワインの季節でもあります。椀子ワイナリーでは今回紹介したSDGsツアー以外にも様々なイベントが開催されているので、行楽シーズンでもある秋に、旅行も兼ねて訪ねてみませんか。

 

【SHOP DATA】

シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー

住所:長野県上田市長瀬146-2
営業時間:10:00~16:30(テイスティングカウンター ※L.O.16:00)

※営業日は公式サイトのカレンダーを要確認

■アクセス

<電車の場合>
しなの鉄道「大屋駅」からタクシーにて約10分、JR北陸新幹線「上田駅」からタクシーで約25分

<車の場合>
上信越自動車道「東部湯の丸」ICより約10分

https://www.chateaumercian.com/winery/mariko/

 

【フォトギャラリー】(画像をタップすると閲覧できます)

アジア最高位に選ばれたメルシャン「椀子ワイナリー」がワイン醸造同様に力を入れていること

近年、国内外で注目を集めており、人気が高まっている日本ワイン。長野県上田市にある「シャトー・メルシャン 椀子(まりこ)ワイナリー」は、その年の世界最高のワイナリーを選出するアワード「ワールド ベスト ヴィンヤード」で、2023年のアジアNo.1に選ばれました。

 

名実ともに日本のワイン文化をけん引する存在となったメルシャンと椀子ワイナリーでは、より革新的なワイン造りを実践・発信するべく、サステナブルに焦点をおいたワイナリーツアーの開催を発表。現地に赴き、その取り組みを取材しました。

↑「シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー」。2003年に開園した椀子ヴィンヤード内に2019年開業し、2023年7月「ワールド ベスト ヴィンヤード2023」に日本のワイナリーで唯一、2020年から4年連続選出。同時にザ・ベスト・ヴィンヤード・イン・アジアにも選ばれました。ちなみにヴィンヤードとはぶどう畑のこと

 

一部の国のワインばかりが消費される日本を変えたい

なぜ、メルシャンがサステナブルなワイン造りに注力するのか。それはSDGsが世界的な目標であることはもちろん、ワイン造りが農業と密接な関係があり、地域社会や自然との共生が欠かせないと確信しているから。

↑地域や先人、自然への感謝を話す、メルシャンの長林道生社長

 

しかし、日本のワイン業界の現状は、海外と比較すると後れをとっているのだとか。この実情については、日本で唯一の「Master of Wine」(マスター・オブ・ワイン。ワイン業界において最も名声が高いとされる資格)で、名前の後に「MW」を付記することが許されている大橋健一さんが教えてくれました。

 

今夏、世界中のマスター・オブ・ワインが集うシンポジウムがドイツで開催されました。そこで大橋さんが驚いたのは、すべての講演でサステナビリティについて触れられていたこと。つまり、海外のワイン業界ではサステナビリティがきわめて重要視されているのです。

↑大橋健一MW。自らの立場も踏まえたうえで、国内メーカーと一丸になってワイン業界の意識を変えていかないといけない、世界からリスペクトされるための課題はたくさんあると力説します

 

大橋MWの考える、日本人の意識改革のひとつがワインの立ち位置。日本人1人あたりのワイン消費量は1年間で4本にすぎないそうで、ほかのお酒と比べると“日常酒”となっておらず、価格も高め。極端にいえば“ハレの日に飲む高級品”となっており、「ワインはたまにしか飲まない贅沢品だからサステナブルでなくてもいいんじゃないか、サステナブルな見地からは外れてもいいんじゃないかとか。日本ではそういう傾向が見受けられます」と警鐘を鳴らします。

 

つまり、国内におけるワインはラグジュアリーグッズとしての側面ももっており、サステナブルな観点としてはけっして歓迎できるものではないということ。

 

「ラグジュアリーグッズであるがゆえに、日本では圧倒的に偏った国のワインばかり消費される傾向が否めません。加えて公共性の面においては、まったくサステナブルではないのです」と大橋MW。こうした現状を、椀子ワイナリーを中心にシャトー・メルシャンが変えていこうと試みていることを教えてくれました。

 

見学や試飲で楽しむ新設のSDGsツアーを体験

椀子ヴィンヤードの開園は2003年。かつて桑畑であったものの生糸業の衰退とともに放棄され、荒廃農地となっていた土地をぶどう畑に転換して誕生しました。高品質なワインを造るために下草を刈るなどの丁寧な農作業を行い、雄大な草原環境を生み出し、現在では希少種を含む様々な生きものが生息する豊かな自然環境に回復させています。つまり、椀子ヴィンヤードはもともとサステナブルに意欲的なヴィンヤードなのです。

↑椀子ヴィンヤードの広さは約30ヘクタールと、東京ドーム約6個分。標高約600~650mに位置し、メルローやシャルドネ、シラーやソーヴィニヨン・ブランなど、白黒約8種類のブドウを垣根式で栽培しています

 

そんな同ワイナリーによる新たな取り組みが、見学体験や試飲を交えて楽しみながらヴィンヤードの価値を伝えていく「シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー SDGsツアー」。2023年は9月2日と11月11日(ともに土曜)の2回開催し、今後も季節ごとに年間5回程度実施予定とのことで、その一部をいち早く体験させてもらいました。

↑この日案内してくれたのは、シャトー・メルシャンの小林弘憲ゼネラルマネジャー。SDGsツアーのスタート地点である一本木公園にて

 

椀子ヴィンヤードは10年以上前から地元・塩川小学校の学びの場にもなっているそう。3年生になるとじゃがいもを栽培・収穫。4年生になるとぶどう収穫、そして5年生はその植樹を体験する特別授業が盛り込まれるのだとか。これは郷土愛を育む体験として、また食育の観点からも素敵な取り組みだと感じました。

↑ヴィンヤード内の畑。毎年7月下旬が収穫期で、そのじゃがいもは児童の学校給食に使われるとか。その後は地元の委員会が蕎麦を植え、秋冬にかけて収穫するサイクルです

 

SDGsツアーではもちろん、ぶどうの木や果実も見学できます。取材時は夏だったため果実は青々としていましたが、秋には熟して収穫となり、9月のSDGsツアーはやや酸味が強いものの試食できるとのこと(11月は収穫後の時季ですが、残っていれば試食可)。

↑椀子ヴィンヤードの代表品種のひとつ、メルロー。お盆ごろに黒くなり、あえて食べごろがあるとすれば(生食用品種ではなく加工用品種であるため)収穫時期の9月下旬とのこと

 

SDGsの取り組みは、収穫後のぶどうにも。例えば、醸造時にぶどうの実を搾ったあとの皮や種、茎などを活用するための堆肥場が圃場の端にあり、ここで約2年間微生物にゆっくりと発酵させて肥料にします。ぶどうのカスは焼却炉で燃やすようなことはせず、また外部から持ち込む肥料を少なくすることで、運搬時に発生するCO2の排出を最小限に抑えているのです。

↑堆肥場で発酵させた、ぶどうの皮や種など。年間15~18トン出るカスが、約2年でサラサラの状態に。土地が広く、近隣に民家がないからできることと、小林マネジャーは言います

 

良好な草原環境へと整備された椀子ヴィンヤードには在来種や希少種などの多様な植物が生育しており、2014年から実施している生態系調査では、絶命危惧種を含む昆虫168種、植物289種が確認されているそう。その一例が、絶命危惧種の蝶「オオルリシジミ」の幼虫唯一の食草である「クララ」です。

↑オオルリシジミの幼虫が唯一食べる草、クララ。根を食べるとクラクラするほど苦いことが名称の由来とか。オオルリシジミが飛んでくることを願って、クララを増やす活動をしています

 

施設にもサステナブルな取り組みがあまた

また、椀子ワイナリーは施設自体がSDGsに配慮した設計になっています。それは「グラヴィティ・フロー」という、高低差を利用した設備や、動線により自然にかかる重力で果実や果汁を移すシステム。余計な動力が不要であるとともに、ぶどうの繊細な個性が損なわれず、エレガントで特色のあるワインが造れるというメリットがあります

↑ワイナリーは斜面を利用した設計。なお、圃場が近いため収穫後にすぐ運べるというメリットもあります

 

椀子ワイナリーは山の高台にあるため、冷涼であることも特徴。これはワイン樽熟成庫の空調面で大きな効果があり、冷房が必要なのは初夏〜盛夏ぐらいだそう。SDGsツアーでは、そんな熟成庫への入室もできます。木を通して呼吸をするワイン樽はかすかに優美な香りを放ち、心地いい気分に浸れることでしょう。

↑熟成庫では年間を通じて15℃以下、湿度70%以上をキープ。なお樽はフランスの10数社から購入し、材質はほぼフレンチオークです

 

ラストはお待ちかねのテイスティング。椀子の気候風土を表現する定番ワインのほか、オススメの限定品を含む計6種が味わえます。そのなかには高級銘柄の「シャトー・メルシャン 椀子オムニス」も。SDGsツアーの参加費はひとり税込1万円ですが、決して高くないといえるでしょう。

↑写真は一例で、右端が椀子オムニス。発売当初は海外の高級ワインで採用されるような重厚な輸入ボトルでしたが、いまやその価値観は一変。現在は環境に配慮し、国産の軽量なボトルを採用しています

 

残暑はまだまだ続きますが、今年もあっという間に実りと収穫の秋が訪れるでしょう。つまり、ぶどう狩りやワインの季節でもあります。椀子ワイナリーでは今回紹介したSDGsツアー以外にも様々なイベントが開催されているので、行楽シーズンでもある秋に、旅行も兼ねて訪ねてみませんか。

 

【SHOP DATA】

シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー

住所:長野県上田市長瀬146-2
営業時間:10:00~16:30(テイスティングカウンター ※L.O.16:00)

※営業日は公式サイトのカレンダーを要確認

■アクセス

<電車の場合>
しなの鉄道「大屋駅」からタクシーにて約10分、JR北陸新幹線「上田駅」からタクシーで約25分

<車の場合>
上信越自動車道「東部湯の丸」ICより約10分

https://www.chateaumercian.com/winery/mariko/

 

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梅酒の歴史を変えたメルシャンの「まっこい梅酒」は何が革新的だったのか?

初夏における風物詩のひとつ「梅酒作り」。そんな梅酒のシーズンに、国内の最大手ワインメーカーであるメルシャンの藤沢工場から、“サステナブルな梅酒”のお披露目と、普段は公開していない施設内部の様子を見せます、というお知らせが。好奇心をくすぐられ、行ってきました。

 

↑メルシャン藤沢工場。外観からはうかがえませんが、設立は1920年と100年以上も前。しかもワイン生産量では日本一を誇る工場です

 

完熟南高梅ブランドは危機的状況だった

今回主役となる商品は、商品名に“真に濃い”や英語の“McCoy=本物の”という意味が込められた「まっこい梅酒」。2011年から発売されているロングセラーですが、誕生には生産地の課題解決に寄与する奥深いストーリーがあるのだそう。

↑「まっこい梅酒」は500ml(400円)、1000ml(600円)、2000ml(1090円)と3種のサイズがあり、アルコール度数は10%です(金額は税抜希望小売価格)

 

使う梅の生産地は和歌山県みなべ町。梅の代表品種として知られる「南高梅」発祥の地であり、生産量も日本一。青梅も、梅干しの生産量も日本一という、まさに梅の聖地です。そんな王者は当時、「完熟南高梅」のブランド価値の危機に瀕していました。

 

まず、和歌山県で生産される梅は4割以上がみなべ町産です。また、県全体における梅の用途は7割以上が梅干しや梅漬け(干さない梅干しのこと)用の完熟梅。そして約2割はスーパーなどでおなじみの青梅、その他が飲料用となります。

↑メルシャンの資料より

 

しかし、2000年代になると梅の輸入量が急増し、梅干しは安価な中国産に押され、全体の価格が下落する状況に。加えて、みなべ町は町内の海岸部と山間部で収穫期が異なり、約1か月遅くなる山間部の収穫期には、梅の市場価値が下落しているという、もともとの地理的課題もありました。

↑梅干し以外で完熟南高梅の用途を拡大することは、みなべ町の急務だったのです(メルシャンの資料より)

 

そこで最もダメージを受けるのは生産者。このままでは売り上げが落ち、日本一の梅を作る生産者やその後継者も減ってしまう――。この課題を解決する方法として行き着いた答えが、完熟南高梅の用途を増やして販売量を拡大すること。そこに賛同したのがメルシャンでした。ワインのリーディングカンパニーとしての知見をフルに生かした、完熟南高梅仕込みの果実酒造りに挑んだのです。

 

主流の青梅ではなく完熟梅で酒を造るという挑戦

とはいえ、それまで多くの梅酒は青梅で造るのが伝統的であり主流でした。完熟南高梅仕込みの果実酒造りに確立されたノウハウが少なく、そんななかで着目したのが、完熟南高梅がもつ桃のような香味です。この香りを最大限に生かせれば、これまでにないおいしい梅酒が造れるに違いないとの確信をもって、あらためて梅の圃場(ほじょう)を調査しました。

↑左から、青梅、樹上完熟梅、完熟落下梅。「まっこい梅酒」に使われているのは右端の完熟落下梅で、香りは梅というより桃に近く、驚かされました

 

調査は、和歌山県の「うめ研究所」に協力を得て行われました。梅酒造りに最適な収穫エリアは、水はけがよい急斜面で昼夜の気温差があるみなべ町の山間部であることが判明。さらに、完熟梅のフルーティーな香りの成分が、桃やココナッツのような「ラクトン類」とパイナップルやバナナのような「エステル類」であること、完熟香が最も強くなるのは収穫後期のわずか数日間であること、大粒の梅ほど果実味が強まることなどのデータも得たそうです。

 

また、香りの成分を突き止める研究と並行して行われたのが、素材のおいしさを最大限に引き出す製造技術の開発でした。やがて見出したのが、梅の種だけを漬け込む「豊潤たね熟製法」と、凍結させた完熟梅を漬け込む「凍結完熟浸漬製法」。

 

「豊潤たね熟製法」によって、アーモンドや杏仁を思わせる香味成分「ベンズアルデヒド」が青梅酒の10倍に。そして「凍結完熟浸漬製法」は梅を凍結させない製法に比べて完熟香が6倍アップするという研究結果が出たとか。

↑1は生果を漬け込んだ原酒(「まっこい梅酒」には不使用)、2が「凍結完熟浸漬製法」による原酒で、3が「豊潤たね熟製法」の原酒

 

製法の違いを知るべくそれぞれの原酒をテイスティングしてみました。凍結梅酒を漬け込んだ原酒(上記写真の2)は一般的な梅の原酒(同1)に比べてフレッシュで華やかな香りがしっかりしています。また、生き生きとした酸味も感じられました。また、梅の種を漬け込んだ原酒(同3)は、確かに杏仁のようなミルキーなまろやかさを感じ、どこか麦汁のようなコクも。これらがブレンドされることで、レイヤー感の豊かな味わいになるということでしょう。

 

また、梅の種を漬け込んだ原酒(同3)は、確かに杏仁のようなミルキーなまろやかさを感じ、どこか麦汁のようなコクも。これらがブレンドされることで、レイヤー感の豊かな味わいになるということでしょう。

↑あらためて「まっこい梅酒」も試飲。凝縮感のある濃い味と、こっくりした飲み口が印象的です。また、それでいて後口はすっきりしており、アルコール度数10%とは思えない清涼感も秀逸

 

なお2011年の「まっこい梅酒」発売以降、メルシャンが安定した価格で完熟南高梅を仕入れることで価値は向上。また、他社でも完熟南高梅を使った梅酒が商品化されたり、ピューレ化したジャムやシロップが販売されたりと用途も拡大。現地における梅の卸売価格も上昇傾向となり、ブランドは守られました。加えてみなべ町の山間部では梅生産の意欲も年々高まり、園地拡大を積極的に進めている若い生産者が増えているそうです。

↑みなべ町の山間部では離農する人は少なく、大学卒業後に後継ぎとして帰ってくる若者も多いとか(メルシャンの資料より)

 

100歳を超える工場が追求する最新的な取り組み

そんな「まっこい梅酒」はどのように出荷されていくのか。取材ではその一部も見ることができました。「まっこい梅酒」の原酒は原材料の産地である和歌山県で造られ、それが藤沢工場へ送られたのちにブレンドなどを行いパッケージ化されていきます。

↑商品ごとに、連続で高速写真を撮ったり目視で確認

 

そのため取材時に見学できたのはほぼ最終工程にあたる検品や箱詰めでしたが、安全面など大前提として取り組むことのほかに、同社が積極的に行っているのが環境への配慮。「まっこい梅酒」に関しては開封確認可能なキャップを採用することで、1000mlと2000ml商品のシュリンクフィルムを廃止に。

↑シュリンクフィルムの廃止により、約30%のCO2削減が可能になったとか

 

ほかにも近年のメルシャンでは、2022年に「おいしい酸化防止剤無添加ワイン」用に軽量ペットボトル開発したり、2023年に太陽光発電を工場の屋根などに導入して再生可能エネルギー比率を上げたりと多くの取り組みを行っています。「まっこい梅酒」の商品化自体もサステナブルな取り組みですが、様々な観点から脱炭素への対策を実施しています。

↑こちらが「おいしい酸化防止剤無添加ワイン」の新旧ペットボトル比較。720mlボトルを従来の34gから29gに軽量化することで、年間約286トンのCO2排出量削減を見込んでいるとか

 

なお今回取り上げた「まっこい梅酒」は、2023年に中味とパッケージがリニューアル。新技術「コク付与技術」により、完熟南高梅らしい桃のようなフルーティーな味わいを強化し、いっそうコク深く濃厚なおいしさになりました。まだ飲んだことがない人は、ぜひこの機会にいかがでしょうか。

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

3000円は破格すぎ!リニューアルしたメルシャン「勝沼ワイナリーツアー」がスゴい

燃料費高騰などの影響で輸入ワインの値上げが叫ばれる一方、日本ワインは注目度を高めています。それは価格的な利点に加え、日本ワインのクオリティが年々高まっているから。そんな日本ワインのふるさとであり、日本一のワイン産地が山梨県勝沼市です。

 

市内には30を超えるワイナリーがあり、見学ツアーを行っているところも。今回は、なかでも有名かつ、2022年5月にリニューアルを果たした「シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリー」のツアーを紹介します。

↑「シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリー」。JR中央本線「勝沼ぶどう郷駅」からタクシーで約8分、同線「塩山駅」からタクシーで約10分の場所にあります

 

現存する日本最古のワインがここに

同ワイナリーでは主に2つのプランがあり、本稿で紹介するのは所要時間約90分でじっくり体験できる「勝沼ディスカバリーツアー」(3000円)。もうひとつは、より贅沢かつ上級者向けの「勝沼ワインメーカーズスペシャルツアー」(1万円/約100分)となります。

 

両方ともワインテイスティング付きで、「勝沼ディスカバリーツアー」では4種の飲み比べが可能。まずはワイン資料館で、動画やパネルを参照にメルシャンの理念や歴史を学ぶところから始まりました。

↑ワインギャラリーの向かいにある、ワイン資料館。もともとは1904(明治37)年に建てられた宮崎葡萄酒(※)の第二醸造所で、1997年に県の有形文化財に指定されました

 

メルシャンは1877(明治10)年に創業した、日本初の民間ワイン企業「第日本山梨葡萄酒会社」がルーツ。同社の伝習生としてフランスに派遣された高野正誠氏と土屋龍憲氏は、日本におけるワイン造りの偉人としても有名です。

 

※宮崎葡萄酒:「大日本山梨葡萄酒会社」の共同創業者・宮崎市左衛門氏の子息である光太郎氏が設立

↑パネルの右下の2人が高野氏と土屋氏。このツアーにはガイドも付き、今回担当してくれたのはホスピタリティ・マネージャーの生駒 元さん。同ワイナリーで仕込み統括も務めたスペシャリストです

 

メルシャンの最近のトピックスとしては、2020年にワイン資料館が、文化庁より日本遺産に登録。また「シャトー・メルシャン 椀子(まりこ。長野県上田市)ワイナリー」が2020~2022年と3年連続で、「ワールド ベスト ヴィンヤード」に日本で唯一ランクインし、アジアNo.1のワイナリーとしても名声を高めています。

 

次は過去の醸造設備や古樽などの現物資料と写真パネルを参照しつつ、昔のワイン醸造がどのように行われ進化していったかを学びます。

↑1887(明治20)年ごろに使われていた圧搾(あっさく)機。粉砕機でつぶしたぶどうをこの機械でさらに搾り、果汁をとっていた

 

なお、上階のフロアには現存する日本最古のワインなどが展示。こちらは高野正誠家の蔵に眠っていた1879年産のヴィンテージで、1976年に偶然発見されたそうです。100年以上経っていたものの保存環境がよかったため、中身も健全とか。

↑日本最古のワインがこちら。隣には、高野氏と土屋氏がワイン造りを学んだフランス・トロワ郊外モングー村の、クロ・サン・ソフィーの丘で造られたワイン(1976年産)が並んでいます

 

時季によってはぶどうの味見ができる

次はワイナリー敷地内の、多種多様なぶどうの木が並ぶ圃場(ほじょう)「祝村(いわいむら)ヴィンヤード」へ。ここには白黒約20種のぶどうが植えられており、生育状況によってはぶどうの実を味見することもできます。

↑「祝村ヴィンヤード」。ぶどうの味見でオススメの時季は8月下旬とのこと

 

なお、日本では1本の木から多く収穫できるなどの利点がある棚式栽培(頭上ほどの高位置で育てる)が主流ですが、ここでは収穫量が少ないぶん凝縮感に優れたぶどうが育つ、欧州で主流の垣根栽培が採用されています。

↑こちらの黒ぶどうはカベルネ・フラン。粒は比較的小さめで、凝縮した果実味や軽やかな酸味を感じました。甘みも十分あります

 

年間約500トンのぶどうがここでワインになる

ここからはツアーの後半。最初の敷地を出て3~4分ほど坂を下り、醸造現場へ。メルシャンは勝沼のほか椀子、桔梗ヶ原(ききょうがはら。長野県塩尻市)と計3つのワイナリーがあり、ここはそのうち最大の生産量を誇ります。

↑醸造所。メルシャン全体で使用する年間約650トンのぶどうのうち、約500トンがこの勝沼でワインになります

 

ツアー限定で見学できる施設は数か所。まずは18~21℃の冷蔵空間に大型のステンレスタンクが並ぶ「Bセラー」内を通って、「レセプション(仕込み場)」へ。ここでは山梨のほか、秋田や福島といったヴィンヤード産ぶどうの仕分けなどを行うほか、常温の発酵タンクもあります。

↑「レセプション」。これ以上近づくことはできませんが、日時によっては実際に稼働している状況も見学できます

 

次いで、産地や区画、ぶどう品種ごとにステンレスや木桶など様々なタンクが置かれた「Aセラー」。また、スタンダードタイプのワイン原酒を貯蔵するための巨大なワイン樽が並ぶ「Fセラー」を見学。各セラーは、ぶどうの産地や品種、ランクなどによって分けられています。

↑大中小の多彩な約100ものタンクが並ぶ「Aセラー」。なお、C、D、Eのセラーはありません

 

↑「Fセラー」にはひとつ約3300リットルという巨大なオーク樽がズラリ。エンジェルズシェア(蒸発)を最小限にするため、樽が卵型(空気に触れる面を少なくする)になっているのも特徴です

 

「Fセラー」の見学後は、敷地内の「ビジターセンター」に移動。内部の「地下セラー」へ行くと、そこには500~600もの樽が貯蔵されていました。なお、ここには特別なプライベート空間「オルトゥスルーム」が併設。用途の一例として、1万円のプラン「勝沼ワインメーカーズスペシャルツアー」ではテイスティングルームとして使われるそうです。

↑「地下セラー」。バニラの甘やかさを感じさせる、ワイン樽の妖艶な香りが漂っていました

 

テイスティングは五感を使ってわかりやすく学べる

「勝沼ディスカバリーツアー」の最後は、ワイン資料館に戻ってお待ちかねのテイスティング。白赤2種ずつの計4種を試飲し、この日は「岩出甲州きいろ香 キュヴェ・ウエノ 2021」「北信シャルドネ キュヴェ・アキオ 2019」「穂坂マスカット・ベーリーA シングル・ヴィンヤード 栽培責任者 横内栄人 2018」「塩尻メルロー 2018」が提供されました。

↑生駒さんが解説しているモニター資料は、ひとり1台に貸与されるタブレット端末で同内容が閲覧可能

 

ユニークなポイントのひとつが、「○○の香りを感じ取ろう」と、各ワインの特徴的な香りを生駒さんが解説しながら手ほどきしてくれるところ。「ワインのテイスティングノート、よくわからないんだよね」という人は、これを体験するとコツがつかめるはずです。

↑こちらは「岩出甲州きいろ香 キュヴェ・ウエノ 2021」を対象としたトライアル。グレープフルーツのほか、かぼすやすだちといった和柑橘のニュアンスも

 

テイスティングの4種はそれぞれ、同色のワインでもキャラクターが異なるタイプで組み合わせてくれるので、香りの違いを感じやすいのも特徴です。

 

「北信シャルドネ キュヴェ・アキオ 2019」は南国果実やバニラ、アーモンドのニュアンス、「穂坂マスカット・ベーリーA シングル・ヴィンヤード 栽培責任者 横内栄人 2018」はストロベリーにクリーミーさが合わさった明るくエレガントな果実味。そして「塩尻メルロー 2018」は、ブルーベリーやカシス風味の奥にごぼうなど、根菜類の要素が見え隠れ。

 

↑気に入った銘柄があれば、ぜひワインギャラリーへ。左から4600円、5500円、5200円、5800円(ワイナリー販売価格)で買えます

 

なお、ワイナリーで食事とともにペアリングを楽しみたいという人は、ツアーの申し込みとは別に「ペアリングBOX」を予約しましょう。こちらは老舗グランメゾン「銀座レカン」の元シェフ・ソムリエが店主を務める勝沼の人気フレンチ「ビストロ・ミル・プランタン」特製となり、ワインによく合う料理が少量のポーションで詰め合わせになっています。

↑「ペアリングBOX」は1800円。ワインは別途、1杯700円となります。1か月前の同日~1週間前の同曜日までに電話で予約を(ビジターセンター:0553-44-1011)

 

冒頭で輸入ワインの高騰に触れましたが、2021年のボージョレ・ヌーヴォーも同様に高くなっていて、そのぶん日本のヌーヴォー(新酒)に注目が集まっています。そこで、もし今季同ワイナリーを訪れるなら、お土産には「シャトー・メルシャン 日本の新酒」がオススメ。

 

↑「シャトー・メルシャン 日本の新酒」。白は「山梨県産甲州 2021」、赤は「山梨県産マスカット・ベーリーA 2021」で、ともに1本2000円です

 

ここまで「勝沼ディスカバリーツアー」を紹介しましたが、じっくり90分学べるうえに4杯のテイスティング付きで3000円という料金は破格でしょう。ビギナーにこそオススメ(上級者の人は1万円のほうへ)といえる同ツアー。ワイン好きで未踏の人はぜひ予約を!

 

【WINERY DATA】

シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリー

住所:山梨県甲州市勝沼町下岩崎1425-1

アクセス:JR中央本線「勝沼ぶどう郷駅」からタクシーで約8分、同「塩山駅」からタクシーで約10分

営業時間:ワイン資料館9:30〜16:30、ワインギャラリー・ワインショップ10:00~16:30、テイスティングカウンター10:00~16:00(L.O.)

定休日:年末年始

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

 

ノンアルバーも出現! 進化する「ノンアルコール」「低アルコール」のお酒と楽しみ方

「ノンアルコール」や、アルコール度数の低い「ローアルコール(低アルコール)」のお酒が昨今、注目を集めています。もともと健康志向の高まりや多様化の流れのなかで、ビールを中心にワインや日本酒などでもノンアルコールの商品はありましたが、2021年はより勢いづいている様子。

 

たとえば、アサヒビールが“スマートドリンキング”の提唱とともに今春発売した、アルコール度数がたった0.5%の「アサヒ ビアリー」が話題に。また、ノンアルコール仕様のスピリッツ(蒸溜酒)をはじめ、国内外からさまざまなブランドが、日本の市場に進出しています。

 

↑日本初のノンアルコールジン「ノンアルコールジン・ネマ 0.00% スタンダード」(左=税込3200円。以下同)と、ロンドン発のノンアルコールブランド「/shrb」の「シュラブ オレンジ&ジンジャー」(右=594円)

 

このトレンドの背景とは? 商品のバリエーションはどこまで広がっている? さらに、“ノンアル”“ローアル”をどのように楽しんだらいい? 専門家へのインタビューとともに解説していきましょう。

 

“まるでお酒な飲み応え”に進化! ノンアル市場はますます拡大

ノンアルコールドリンクの新商品でヒットしている代表格といえば、サントリーの「のんある晩酌 レモンサワー ノンアルコール」。2021年3月の発売から約2か月で、1000万本の出荷数を突破(250ml換算)しており、ノンアルコール飲料としては異例の売れ行きとなっています。

↑「のんある晩酌 レモンサワー ノンアルコール」131円。レモンの香気成分をノンアルコール飲料に封じ込め、焼酎由来の旨味をノンアルコールのエキスとして凝縮させる製法により、リアルなレモンサワーの味を再現しています

 

また前述の「アサヒ ビアリー」も好調で、6月29日からは首都圏・関信越の1都9県で第2弾となる「アサヒ ビアリー 香るクラフト」を新発売。第1弾と同じくアルコール度数は0.5%で、フルーティな香りとコクを感じられる味が特徴です。なお、日本の酒税法では「アルコール度数1%以上」がお酒の定義となるため、0.5%の場合はソフトドリンク扱いに。缶のラベル表記も「炭酸飲料」となります。

↑「アサヒ ビアリー 香るクラフト」195円。醸造したビールからアルコールを除去する独自の技術により、ビール特有の飲み応えを感じられるのが同ブランド最大の特徴です

 

このようなコンビニやスーパー向けの小売り商品がヒットする一方、バーでは「モクテル」と呼ばれるノンアルコールカテゴリーが数年前から注目の的に。これは“擬似”を意味する「モック」と「カクテル」を組み合わせた造語で、お酒が苦手な人を中心に親しまれてきました。ただ最近は、お酒が苦手でなくても、あえてモクテルを好んで飲む人も珍しくなくなってきているのです。

 

日本で“ノンアル”が支持されはじめている理由

では、なぜ最近になって、ノンアルコールやローアルコールのお酒が注目されはじめたのでしょうか? 歴史やトレンドに詳しい、日本初のモクテル専門店「Low-Non-Bar」(ローノンバー)の店長、高橋弘晃さんに教えていただきました。

↑東京・日本橋にある「Low-Non-Bar」のバーテンダー兼店長の高橋弘晃さん

 

日本におけるロー/ノンアルコール人気の先には、欧米で生まれたカルチャーが関係していると、高橋さんは言います。それは、「ソバーキュリアス」というスタイル。これは直訳するとソバーが「シラフ」、キュリアスが「〜したがる」というニュアンスをもっており、「積極的にシラフになりたい」といった意味を表します。

 

「欧米人は日本人よりアルコールに強い体質ですが、体に残る人はいて、依存症やアルコールの過剰摂取がひとつの社会問題になっています。そこで生まれたのが、自らの意思で適量を調整し生活を豊かにしようという『ソバーキュリアス』の考え方。モクテルは1920年代のアメリカの禁酒法時代に誕生したといわれています。当時はクラシカルだったレシピも、近年はより洗練され、ハイクオリティな味わいになっています」(「Low-Non-Bar」バーテンダー兼店長・高橋弘晃さん、以下同)

↑欧米ではノンアルコールドリンクもどんどん先進的に。写真は世界一のレストランとして名高い「ノーマ」のDNAを受け継ぐ「NON」(すべて3456円)

 

海外のさまざまなフードが日本で広まるのと同じように、またグローバル化や多様化の流れの中で、少しずつ日本でも「ソバーキュリアス」が浸透。さらに日本の場合は、働き方改革が大きく影響していると高橋さんは言います。

 

「アルコールの好き嫌いにかかわらず、身体的に合わない人が日本には多く、半数近いとも言われています。しかしながら日本には昔ながらの『飲みニケーション』があり、仕事などの付き合い上でお酒を飲まなければならない場面が少なからずありました。ただ、こうした文化が徐々に“パワハラ”もしくは“アルハラ”とも表現されるような文脈でとらえられるようになり、働き方改革とともに薄まりつつあります」

 

たとえば今、アサヒビールが掲げる“スマートドリンキング”は、「お酒を飲む人・飲まない人、飲める人・飲めない人、飲みたい時・飲めない時、あえて飲まない時など、さまざまな人々の状況や場面における“飲み方”の選択肢を拡大し、多様性を受容できる社会を実現するために、商品やサービスの開発、環境づくりを推進していく」というもの。まさにこの考えが今、日本に広がりつつあるといえるでしょう。

↑ベルギーのノンアルコールドリンク「ビアー・デザミ」(330ml 675円)。「アサヒ ビアリー」同様にビールからアルコールのみを除去し、アルコール入りのビールと遜色ない味に仕上げています

 

では、お酒好きがあえてノンアルコールを選ぶ理由には、いったいどういう心理があるのでしょう。欧米と同様に、生活を豊かにしようという考え方によるものでしょうか?

 

「やはり健康志向は関係していますね。たとえば高齢の方のなかには『酒はもう一生分飲んだ』ということで、ノンアルコールを楽しむ方もいらっしゃいます。あとは、お酒は好きだけど酔いたくない、酔っている時間をクリエイティブなことに使いたい、酔いが回って眠くなることを避けたい、といった心理です」

 

その一方、お酒が飲めない人はなぜ一般的なソフトドリンクではなく、あえてお酒をモチーフにしたノンアルコールドリンクを選ぶのでしょうか?

 

「アルコールが苦手でも、バーの雰囲気が好きという方はいらっしゃいます。おいしいカクテルを作るバーテンダーでも、お酒が飲めない、弱いという方は少なくありませんし、実は私自身もお酒に強いわけではありません。また、レストランにおける食前や食後に、コーヒーやお茶のほかに楽しめるドリンクがあるなら飲みたいということで、モクテルを希望される方もいらっしゃいます」

 

「ノンアルコールドリンク」と「ソフトドリンク」はなにが違うの?

「Low-Non-Bar」で提供されているモクテルには、どんなメニューがあり、どんな味わいなのでしょうか? 高橋さんに作っていただきました。

 

1杯目は、店名を冠した「Low-Non-Bar」。4種のベリー、赤パプリカ、グレープフルーツ、シュラブ オレンジ&ジンジャーで構成し、炙ったローズマリーが上品な香りのアクセントになっています。

↑「Low-Non-Bar」1540円。ハーブのエッセンスにはじまり、ジューシーなベリーのあとに広がる複層的な酸味と香り。普通のミックスジュースとは、“味の層”の厚みがまったく違います

 

↑生の果実をミキシングしたり、ローズマリーを炙ったり。それらが美しい所作で作られていきます

 

「バーに馴染みのない方でも飲みやすく、モクテルの魅力が伝わりやすい一杯として考案した、シグネチャーカクテルです。ベリーのフルーティな甘酸っぱさが主体ですが、シュラブの酸味やパプリカの野性味を感じる、大人な味わいが特徴ですね。なおシュラブというは、ヨーロッパで飲まれていたビネガーベースのドリンクで、柑橘類はクエン酸の爽やかな酸味ですが、シュラブは酢酸なのでのどにひっかかる酸味があります」

 

もう一杯は「フレンチ’20」というモクテル。ジンとシャンパンで作るクラシックカクテル「フレンチ75」を、ノンアルコールスタイルで再構築しています。

↑「フレンチ’20」1430円。優美で爽快な果実味があって、余韻にはどこかロースヒップティーのニュアンスを感じる華やかな酸味も

 

↑ノンアルコールジンと氷をシェイクして一気に冷やし、ノンアルコールのスパークリングワインとブレンド。仕上げにレモンピールをひと搾り

 

「『フレンチ75』は、フランスの大砲がモチーフになっていて、アルコール度数の高いカクテルです。この「’20」は度数が低いという意味と、開業の2020年をかけました。ベースのノンアルコールジン『ネマ』は、バラがキーボタニカルのひとつになっているので、フローラルな香りを印象的に感じていただけると思います」

 

どちらのモクテルにも、一般的なジュースやソフトドリンクにはない奥行きや複層性、各素材の相乗効果によって重なり響き合うふくよかな味の厚みを感じました。高橋さんはこの違いを、嗜好性でとらえていると言います。

 

「明確な定義はないのですが、極端に例えるとすれば、のどが乾いてゴクゴク飲むお茶はソフトドリンク。一方で、京都の茶屋でたしなむ抹茶には、のどの渇きとは別の癒しの側面があると思います。前者が生理的欲求を満たすためのものであれば、後者は嗜好性や知的好奇心を楽しむものといえるでしょう。

 

お酒にも、発酵や蒸溜などを経たアルコールの複層的な味わいや酔いという嗜好性があると思います。例えば一般的なジンジャーエールにウォッカを加えるだけで、モスコミュールという嗜好品になるように。ただ、ノンアルコールの場合は、お酒による嗜好性を加味できないので、味や香りを独自に調合し組み立てることで嗜好性を高めているのです」

 

では、嗜好性のあるノンアルコールドリンクは、どこで手に入るのでしょうか? 調べてみると、「nolky/ノルキー」というオンラインショップにプロ御用達の商品群がずらり。トレンドの「クラフトコーラ」や「コンブチャ」なども、多彩にそろっています。

 

身近な果物とシロップで“ノンアルカクテル”が作れる!

高橋さんが作るようなプロの味とまではいかないまでも、モクテルは身近な店で手に入る果物を使って、自宅で気軽に作ることができます。ベースは、カシスリキュールの元祖として有名なフランスの「ルジェ」から今春新発売された商品が、比較的手に入れやすいでしょう。

↑「ラグート カシス」(右)と「ラグート ピーチ」(右)。ともに1450円で、アルコール度数が約0.5%のシロップです

 

「ラグート カシス」と「ラグート ピーチ」は果実由来のフルーティな香り、フレッシュさと心地よい甘さが楽しめる味わい、飲み終わりに広がる長い余韻が特徴。どちらも、原液1に対して炭酸水を5の割合で入れ、1/8にカットしたオレンジを4個加えれば完成。生カシスオレンジテイスト、生ファジーネーブルテイストのモクテルが完成します。

 

日本酒や梅酒にもノンアルコールのトレンドが到来

ノンアルコールドリンクは、おなじみのビールテイスト飲料やレモンサワー風ドリンク以外にも、バリエーションはさまざま。ほかにも「アルコールは飲めないけれど、“お酒”は飲みたい!」に応える、代表的な商品を紹介します。

 

【スパークリングワインテイスト】フルーティですっきりした味のスパークリング

メルシャン
「メルシャンスパークリング アルコールゼロ 白」
「メルシャンスパークリング アルコールゼロ ロゼ」
実勢価格 400円前後

 

果実由来のフルーティ感や酸味、喉ごしが心地よいスパークリング。ぶどうの自然な香りやみずみずしさが感じられ、すっきりとした味わいです。

 

【ジンテイスト】バラのエッセンスを軸にした日本初のノンアルコールジン

ネマ「ノンアルコールジン・ネマ 0.00%」
3200円~

 

無農薬のバラとスパイス、八ヶ岳山麓の源流の湧き水をベースにした、日本初のノンアルコールジン。スタンダードなジンのほか、薬草味のある「アブサン」、甘みに特徴のある「オールドトム」、スモーキーで力強い「ウイスキー」など多彩なバリエーションがあります。

 

【日本酒テイスト】華やかで飲みやすい大吟醸酒をイメージ

月桂冠「月桂冠 スペシャルフリー」
390円

 

華やかで飲みやすく、日本酒のなかでも人気が高い大吟醸酒をイメージ。大吟醸酒に特有のフルーティな香りを感じるフレーバーを活用し、甘みや旨みを与えるアミノ酸を配合することでコクをもたせた味わいが特徴です。

 

【梅酒テイスト】日本一の梅酒をモチーフにした重厚感のある味わい

「ノンアルコールの百年梅酒 “百年零-ZERO-”」
864円

 

世界最大の梅酒イベント「天満天神梅酒大会」で日本一になった「百年梅酒」がモチーフ。持ち味である梅の酸味、蜂蜜の甘み、ブランデーのコクの3つを分析し、アルコールを使わずに組み直すことで、おいしさを再現。アルコールを飲んだときの高揚感や重厚感を出すために苦みにも注目し、梅ジュースとは一線を画す仕上がりになっています。

 

「海外製のノンアルコールスピリッツ素材はいったん出きったと思いますが、日本ではこれから認知されていく状況ですから、もっとラインナップは充実していくと期待しています」と高橋さん。これまで、日本でノンアルコールといえばビールが主流でしたが、ヒット商品も登場してますます身近になりつつあるロー/ノンアルコールドリンク。今後のバリエーション増加にも注目です。

 

※価格はすべて消費税込みです。

 

【店舗情報】

Low-Non-Bar

所在地=東京都中央区日本橋3-2-4 nefi nihombashi 1階
電話番号=03-6665-6022
営業時間=月~土17:00~翌1:00、日祝17:00~23:30
定休日=不定休
アクセス=JRほか「東京駅」八重洲北口徒歩3分、東京メトロほか「日本橋駅」B3出口徒歩2分

http://orchardknight.com/bar/low-non-bar

※緊急事態宣言などにより、営業時間が変動する可能性があります。

 

種類豊富でコスパ最高。メルシャン「国産デイリーワイン」のおすすめ3選

メルシャンはプレミアムなラインからお値打ち価格のものまで、実に様々なワインを販売しています。特にデイリーワインは約100種類のラインナップがあり、日々のワインライフを支えてくれる存在。

 

その定番が「おいしい酸化防止剤無添加ワイン」、「ボン・ルージュ」、「ビストロ」です。今回はこの3ブランドの特徴を紹介するとともに、取材でわかったメルシャンのモノづくりの技術力をお伝えします。

 

↑メルシャンの豊富なラインナップから、定番のデイリーワインを紹介

 

【その1】14年連続No.1の「おいしい酸化防止剤無添加ワイン」

メルシャンのデイリーワインといえば、外せないのが「おいしい酸化防止剤無添加ワイン」シリーズ。2003年に発売した同シリーズは、「スタンダード」「シードル」「ソーダ」「オフ日和」「厳選素材 プレミアム」など豊富なバリエーションを展開。多様化するニーズに応え続けた結果、無添加カテゴリーの国内ワイン売上シェアにおいて、14年連続でNo.1という金字塔を打ち立てています。

 

「おいしい酸化防止剤無添加ワイン」はブドウ本来の味わいを楽しむのがテーマで、素材や製法にさまざまなこだわりがあります。原料となるブドウは、味わいごとに最適な品種を世界中からセレクト。収穫したてのブドウを現地ですばやく濃縮果汁にして、凍結させた状態で日本に輸送します。そして国内の製造工場で、ブドウ品種や味わいに合わせた酵母と、ワインを酸化させない独自の「フレッシュ製法」によって、みずみずしいワインが造られるのです。

 

今回は、同シリーズの中でも特に素材や製造技術にこだわった「厳選素材 プレミアム」を試飲してみます。今年の9月にリニューアルされました。

 

↑「おいしい酸化防止剤無添加ワイン 厳選素材 プレミアム」(参考価格630円/720ml)

 

赤はチリ産のカベルネ・ソーヴィニヨンを、白はオーストラリア産のシャルドネを使用。高級品種として知られるこれらのブドウを使い、濃厚でコクのある味わいを実現しています。

 

果実由来の香味、複雑味、味の厚みは格別。酸化防止剤無添加で丁寧に造った、ブドウ本来の自然なおいしさが楽しめます。甘味も特徴で、この甘味は欧風のおつまみだけでなく、ご飯やおにぎりにも合います。

 

↑厳選素材が生み出すコク深い味わいを楽しめます

 

【その2】長寿商品「ボン・ルージュ」

メルシャンには、他にも注目すべきブランドが多数あります。続いて紹介するのは、1996年発売のロングセラーブランド「ボン・ルージュ」。ポリフェノールを通常のワインよりも多く含んだ、健康志向の方にもオススメのデイリーワインです。

 

↑「ボン・ルージュ 赤」(参考価格:720ml 600円)

 

ポリフェノール含有量の多いワインは、一般的には長期間発酵によってタンニン抽出量が増えて、渋味・苦味が強い傾向にありますが、本商品は独自の技術でタンニン抽出を抑制。重厚ながらもフルーティーな味わいを実現しました。今回は定番の赤を試飲。ポリフェノールがたっぷりで、まろやかな渋味と果実本来のコクを感じます。

 

【その3】海外に負けないを目指した「ビストロ」

デイリーワインからもう1品、「ビストロ」シリーズをご紹介。こちらも1995年発売と、かなりのロングセラー。「いつもの時間をちょっと幸せに」をコンセプトに、海外のワインに負けない味わいを目指して造られたワインです。

 

↑「ビストロ すっきり白」(参考価格:720ml 410円)

 

独自のフードマッチ製法によって、魚介類と合わさることで生臭さを引き起こす物質を軽減。食事との相性は抜群です。140種もの中から厳選した酵母を使用して、国内工場で製造されています。今回は白を試飲。柑橘系のさわやかな香りが特徴のすっきりした味わいで、普段の食事に合わせやすそうです。

 

原料と技術力でワイン好きのニーズに応える藤沢工場

今回紹介した3ブランドをはじめ、数々のワインを造っているのがメルシャン藤沢工場。先日開催された同社のオンライン発表会で、その一部を見学しました。

 

工場の設立は大正9(1920)年。今年で100周年を迎えた歴史ある工場で、日本のワインブームや市場をけん引してきたメルシャンの屋台骨を、長きにわたって支え続けています。実は果実酒生産量の日本一は神奈川県なのですが、その生産量の95%を占めるのがメルシャン藤沢工場。630品目もの商品を生産しており、その規模の大きさがうかがえます。

 

↑メルシャン藤沢工場

 

ワインはブドウの収穫時期に醗酵するのが一般的で、季節やその年ごとに、造られるワインの味わいは変化。ですが、メルシャン藤沢工場では、いつでも変わらぬ味を生み出すことができます。それを可能にしたのが、世界中から選りすぐった原料と、オリジナルのブレンド技術です。

 

メルシャンではワインの原料となる濃縮ブドウ果汁やバルクワイン(海外で発酵させたワイン)を、世界5大陸から調達しています。北半球と南半球でブドウの収穫時期が異なることを利用して、年間を通じて安定した品質を維持。そうして仕入れた原料を絶妙にブレンドさせることで、商品の“いつもの味わい”を再現しているのです。

 

↑安定した味わいと、値ごろな価格の両立を可能にするのはブレンド技術にあります

 

ブドウ果汁やバルクワインは、それぞれ個性が異なります。この多様性を活かして、メルシャン藤沢工場ではおよそ100種類ものデイリーワインを製造。品質の追求と技術力で、あらゆるワイン好きのニーズに応えているのです。

 

↑メルシャン藤沢工場では、年間を通じて品質の安定したワインを製造できます

 

メルシャンは、藤沢工場の創業100周年と藤沢市制80周年を記念した「メルシャン藤沢工場 オンライン開放祭」を今年11月に開催したり、藤沢市と連携したイベントをおこなったりするなど、ワインのコミュニティを活性化させる活動も積極的に行っています。

 

こうした活動に触れつつ、メルシャンのデイリーワインを味わえば、今まで以上に国内製造ワインの楽しさを実感できるはず。皆さんも豊富なラインナップからお気に入りの1本を見つけて、毎日の食卓に彩りを添えてみてはいかがでしょうか。

 

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

 

 

ワインの聖地・勝沼。新酒を祝う「ド定番イベント」の事前キット内容が豪華すぎる!

日本ワイン発祥の地であり、生産量でも日本一の山梨県。なかでも甲州市・勝沼町はその中心地として知られ、多数のぶどう畑やワイナリーがあります。特に有名なのは、日本初の民間ワイン醸造所「大日本山梨葡萄酒会社」をルーツとする「メルシャン」でしょう。

 

↑「シャトー・メルシャン勝沼ワイナリー」。ぶどう畑、醸造所、ワイン資料館、テイスティングカウンターなどが充実した施設です

 

同社では毎年秋に収穫や新酒を祝うイベントとして1974年から「シャトー・メルシャン ハーベスト・フェスティバル」を開催してきましたが、ニューノーマル時代と言われる今年は内容を再設計。オンラインでも参加できる「シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリーフェスティバル2020」として開催されます。豊富なコンテンツのなかから、本稿ではその一部をご紹介。おうちでの楽しみ方をお伝えします。

 

 

無料でワインを学べるコンテンツが盛りだくさん

「シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリーフェスティバル2020」が開催されるのは、11月7日(土)、8日(日)の2日間。両日11:00~16:00に、冒頭の勝沼ワイナリーからYouTubeやZoomでライブ配信されます。

 

↑YouTubeからの閲覧は参加無料!

 

フェスのプログラムは多岐にわたります。たとえば、近隣のワイナリー醸造家とのトークショー、ワインセミナー、オンラインワイナリーツアー、ぶどうアートコンテスト、希少なワインが当たる「謎解き!シャトー・メルシャン」などなど。参加者とワイナリーが直接つながり、双方向で楽しめる企画が豊富に用意されています。

 

↑事前に行われたオンライン体験会にて。近隣ワイナリーのほか、自社の公認のクラブ活動のひとつにワインクラブがある、人気セレクトショップ「ユナイテッドアローズ」も参加します

 

そして、このフェスを最大限に楽しむために用意されているのが、事前販売される「おうちで勝フェスキット」です。勝沼で醸造されたばかりの「シャトー・メルシャン 日本の新酒」(赤・白・ロゼから1本選択)や、「ユナイテッドアローズ×シャトー・メルシャン コラボ限定Tシャツ(フリーサイズ)」「おうちで勝フェスガイドブック」など、こちらも充実の内容。

 

↑キットは税込5500円。10月25日(日)までの注文でフェス前日の11月6日(金)までに届き、10月26日(月)以降の注文は、フェス開催日以降に届けられます

 

なお、「おうちで勝フェスガイドブック」は、家での楽しみ方や、勝沼の見どころ情報などが満載。さらに、「シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリー」で使える500円クーポンと、キリンオンラインショップ「DRINX」で使える500円クーポンが付いているのもポイント。

 

↑クーポン付きでお得。また、フェス当日に正解発表される「謎解き!シャトー・メルシャン」の質問やヒントも載っています

 

 

ワインを傾けながら視聴すると楽しさも倍増

ひと足先に、キットのワインを付属のグラスで味わってみました。筆者のものはサンプルですが、実際には2020年仕込みの、ワイナリーでもすぐ売り切れる人気の新酒が届きます。選べるのは、マスカット・ベーリーA、甲州、ロゼの3種類。筆者は昨年醸造の「山梨甲州 2019」をテイスティングしました。

 

↑「山梨甲州 2019」。和柑橘や青リンゴといったさわやかな果実の香りが感じられ、心地よい酸としっかりとした厚みのある辛口ワインです

 

付属のグラスはシャトー・メルシャンのロゴが入ったもので、食洗器対応で割れにくいトライタン樹脂を採用。アウトドアやベランダ飲みなどでも活躍してくれる優れものです。

 

↑香りをしっかり受け止める万能タイプのデザイン。脚がないタイプで、収納や持ち運びにも便利です

 

事前体験会では、トークショーやオンラインワイナリーツアーも体験。Tシャツを着て、ワインを傾けながら視聴すると、五感で楽しめるぶん入ってくる情報も、よりダイレクトに感じられます。

 

↑ワイナリーツアーでは、通常公開していない地下セラー等を含め、造り手の視点で内部を紹介したあと、ライブで答えるQ&Aコーナーも

 

↑おつまみも用意してみました。こちらは発売40周年を迎えた「小岩井 オードブルチーズ」。熟成チーズと発酵バターによる濃厚なコクと素材のうまみが、果実味あふれるワインにマッチ

 

豊富なコンテンツのなかから一部を紹介しましたが、「シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリーフェスティバル2020」には事前の申し込みで参加可能な有料コンテンツや、人気のレストラン、現地で試飲しながら楽しめるイベントなど目白押し。公式サイトにはスケジュールを含めた全貌が載っているので、ワイン好きの人はぜひチェックを!

 

【URL】

https://www.fes.chateaumercian.com/

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

 

「オーガニックワイン」がグッと身近に。メルシャン新商品は味も価格も「やさしい」

新型コロナウイルスは消費者の行動や心理にも影響を与えています。そのひとつが、エシカル消費の隆盛。グルメにおけるエシカル(道徳的・倫理的)な選択のひとつは、オーガニックな食品を摂取することです。

 

そんな時流を受けて、メルシャンから画期的なオーガニックワイン「ビストロ オーガニック」と「オーガニック スパークリング N…」が9月1日に登場しました。自分はもちろん地球にもやさしいワインについて、開発の背景と実飲レポートをお届けします。

 

↑「ビストロ オーガニック」(写真右)と「オーガニック スパークリング N…」(写真左)。身近にオーガニックワインを楽しめる新商品です

 

日本でもシェア拡大なるか?

近年、様々な食品ジャンルで“オーガニック”への関心が高まっていますが、これは何も日本に限った話ではありません。オーガニック食品は世界的にブームになっています。

 

「健康」や「環境」への意識が強まるなか、ワイン市場においてもオーガニックのシェアは伸長中。たとえばワインで有名なフランスでは、2023年に消費されるワインのうち、5本に1本がオーガニックワインになると予想されています。

 

そのほか、ドイツやイギリスもオーガニックワインへの需要が高いのですが、特にスウェーデンやフィンランドなどの北欧は世界でも屈指。とあるビオワイン(有機栽培のぶどうで造られたワイン)の団体の調査によると、スウェーデンで飲まれているワインの半分がオーガニックなのだとか。

 

↑オーガニックワインはヨーロッパを中心に世界的に人気です(メルシャンの新商品発表会の資料より)

 

そしてオーガニックワインが支持される最大の理由は、おいしいから。味の基準は主観的な要素を含みますが、実際に筆者の周囲でも「オーガニックワインはおいしい」という声は多いです。

 

オーガニックワインへの注目度が世界的に高まっているなか、まだまだ日本では、特に20~30代のワイン消費は伸び悩んでいます。メルシャンの調べによると、その一番の理由は、味でも価格でもなく「何を選んでいいか分からない」からのよう。

 

↑「コロナ禍の経験で、人や社会・環境に配慮した商品への興味関心の度合いは変化したか」に対する調査では、20~30代のほうが全世代平均より強いという結果が出ています

 

その一方で若者たちのエシカル消費への関心は高く、従来のオーガニックワインの「価格が高い」「購入できる店が近くにない」という課題を解消できれば、ヒットする可能性は大いにあります。

 

そこに目を付けたメルシャンがリリースしたのが、今回紹介する「ビストロ オーガニック」と「オーガニック スパークリング N…」です。「おいしく気軽に楽しめるデイリーなオーガニックワイン」という従来にないコンセプトを打ち出して、シェア拡大を図ります。

 

和の料理にも合う

それでは、実際にメルシャンの新商品を飲んでみましょう。まずは「ビストロ オーガニック」から。「メルシャン ビストロ」シリーズは、1995年に発売されたロングセラーブランド。今回はそのオーガニック版として、白と赤がリリースされました。

 

↑こちらが「ビストロ オーガニック」。どちらも内容量は720mlで、参考価格は税抜600円前後。アルコール度数は11%です

 

まず特徴的なのはペットボトル入りであること。これはコルク栓を開けたり、ビンを捨てたりするのが面倒だという同社のアンケートの声を反映したものかもしれません。原料はもちろん、無農薬の有機栽培ぶどう。メルシャンの藤沢工場で丁寧に製造された国内製造品です。

 

↑日本人の好みに合わせた、果実味豊かなオーガニックワインです

 

生臭さを引き起こす物質を軽減するメルシャン独自の製法「フードマッチ製法」が採用されていて、ふだんの食事に合わせやすいのも特徴。家庭的な和風の料理にもマッチします。

 

↑和の料理にも合わせやすく、毎日の食卓を彩ってくれます

 

↑白は味わいも香りもフルーティで、スッキリとやわらかい口当たりを感じます

 

↑赤はスパイシーさと甘い香りが同居しながらも、心地よい飲み味になっています

 

続いては「オーガニック スパークリング N…」です。スペイン産の有機栽培ぶどうを100%使用して、こちらも藤沢工場で製造されたスパークリングワインです。

 

↑「オーガニック スパークリング N…」はビン入りです。内容量500mlで、アルコール度数12%。参考価格はこちらも税抜600円前後です

 

商品名の「N…」には、「Neo(新しい)」、「Natural(自然な)」、「Non chemical fertilizers(化学肥料未使用)」の、3つの意味が込められているのだそう。

 

↑白とロゼの2種類がリリースされました

 

「オーガニック スパークリング N…」には、欧風のおつまみを合わせてみました。スッキリとした泡のタッチと、ワイン自体の爽やかな果実味が相まって、料理もお酒も進みます。

 

↑しっかり味の付いた欧風おつまみをチョイスしました

 

↑白は全体的にドライな味わいながら、柑橘系のフレッシュな香りが楽しめます

 

↑ロゼは中辛口。凝縮されたベリー系の香りと酸味がいいバランスです

 

どのワインも、ふだん使いとして楽しむことを想定して造られているだけあって、料理との相性は抜群。甘すぎず・辛すぎずで飲みやすく、多くの人の味覚に合うでしょう。

 

↑味わいも価格もデイリーワインにぴったり。好きな料理と合わせてみてください!

 

いくらエシカル消費が世界的に増えているといわれても、自分のライフスタイルを大きく変えるのは難しいところ。オーガニックワインなどをきっかけに、気軽にその価値観に触れてみるのは、導入としてはアリでしょう。

 

もし自分にも地球にもやさしい暮らしを実現したいなら、いつものワインをメルシャンのオーガニックに変えてみるところから、スタートしてみてはいかがでしょうか。

 

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