高級時計製造のノウハウを身近に感じる逸品!! 「ネオ・クラシック」腕時計のハイコスパモデル9選

高級時計は上を見ればキリがありませんが、現実的な予算でも良品は入手できます。しかも今年はコストパフォーマンスに優れた時計の当たり年。落ち着きある意匠に秘められた革新性にも注目です。ここでは、コスパに優れ、なおかつ2018年のトレンドである「ネオ・クラシック」なウオッチをセレクトしました。

 

【その1】

「山に挑む冒険の精神」を時計に反映

モンブラン

モンブラン 1858 オートマティック

Ref.117833

32万4000円

モンブラン傘下のミネルバの創業年をシリーズ名に冠した2針時計。文字盤外周のレイルウェイパターンやコブラ針など、古典的な意匠を満載しています。エイジング加工を施した自社製カーフストラップとブロンズベゼルが、使い込まれたツールの雰囲気を醸し出します。

SPEC●ムーブメント:自動巻き(Cal.MB24.15)●素材:SSケース、カーフストラップ●サイズ:φ40×D11.07㎜●防水性:10気圧

↑1858のデザインルーツは、1920年代に作られたミネルバ製クロノ

 

【CLASSIC POINT】

クロノグラフの名門の伝統を継承

1920年代製の手巻きクロノグラフの意匠を取り入れ、デッドストック品のような風合いに仕上げました。

 

【NEO POINT】

「山岳冒険家」という新境地

山岳冒険家が愛用するツールのような世界観とミネルバの伝統の融合は、モンブランの新機軸です。

 

 

【その2】

端正な表情に最新技術を集約した一本

ボーム&メルシエ

クリフトン ボーマティック COSC

Ref.M0A10436

35万6400円

ブランドが属するリシュモン グループと共同開発した自社製ムーブを搭載。2層のシリコンの角度を変えて結合するTwinspiner™技術を用いたシリコン製ひげゼンマイを筆頭に、最新素材を内部に採用。優れた精度と耐磁性に加え、120時間駆動も実現しました。

SPEC●ムーブメント:自動巻き(Cal.ボーマティックBM12-1975A COSC)●素材:SSケース、アリゲーターストラップ●サイズ:φ40×D10.3㎜●防水性:5気圧

↑1950年代の製品に着想を得たクリフトンは、流麗な形状が特徴

 

【CLASSIC POINT】

着け心地の良い王道ケース

かつての自社製品譲りの柔らかなラインを描くケースは、腕への干渉が少なく着け心地に優れています。

 

【NEO POINT】

革新的な新型ムーブメント

機能はシンプルでも標準性能は大幅に向上。日付表示も大きくするなど、実用性は極めて高いです。

 

 

【その3】

1943年製の耐磁時計の意匠を再現

ティソ

ティソ ヘリテージ 2018

Ref.T119.405.16.037.01

11万8800円(予価)

1943年に発表されたスモールセコンド仕様の耐磁ウオッチの意匠を現代に復刻。ヘアライン仕上げが施されたドーム型の文字盤にヘリテージロゴを配し、クラシックな雰囲気たっぷりに仕上げました。大型の手巻きムーブを搭載し、直径は42㎜の現代的なサイズです。

SPEC●ムーブメント:手巻き(Cal.ETA6498-1)●素材:SSケース、カーフストラップ●サイズ:φ42㎜●防水性:5気圧

↑ティソは1930年代より耐磁時計を製作。その先進性はいまも別格

 

【CLASSIC POINT】

1943年製モデルの復刻版

面積の広い文字盤にシンプルな書体のインデックスなどは、1943年製モデルそのものです。

 

【NEO POINT】

現代サイズで古典を味わう

大型ケースはシースルーバック仕様で、秀でた耐磁性能はないものの機械の動きが存分に楽しめます。

 

 

【その4】

防水性能から愛称がついた人気作が再誕

ブローバ

デビルダイバー

Ref.98B320

9万720円(予価)

欧米で“獣の数字”とされる666フィート(=20気圧)の防水性能を文字盤に記したことから、「デビル ダイバー」の愛称で呼ばれた1970年代製ダイバーズウオッチを復刻。個性的な柱形インデックスやオーバルケースがレトロな雰囲気を醸し出しています。

SPEC●ムーブメント:自動巻き(Cal.8210)●素材:SSケース&ブレスレット●サイズ:φ44㎜●防水性:20気圧

↑文字盤色までオリジナルモデルを忠実復刻した限定666本の新作

 

【CLASSIC POINT】

味わい深い文字盤の表記

文字盤6時位置にある「SNORKEL」表記は、ダイビングがレジャーになった1970年代を象徴しています。

 

【NEO POINT】

力強く堅牢な作りに変更

ケースは直径44mmの現代的なサイズ。肉厚ブレスと合わせ、堅牢な雰囲気に仕上がっています。

 

【その5】

35年目のフルメタル化で形を変えずに進化を遂げる

カシオ

G-SHOCK

Ref.GMW-B5000D-1

6万4800

誕生35周年を迎えるG-SHOCKの原点であるスクエアケースを継承しながら、フルメタルケースを初採用。内部には、Bluetooth®+電波ソーラームーブメントを搭載。スマートフォントの同期で、世界中あらゆる場所で正確な時刻を示します。液晶版の視認性を高めるなど、細部も大幅に進化しました。

SPEC●ムーブメント:クオーツ(BLE搭載電波ソーラー)●素材:SSケース&ブレスレット●サイズ:W43.2×H49.3×D13㎜●防水性:20気圧

↑1983年に誕生した世界初の耐衝撃ウオッチのDW-5000C-1A

 

【CLASSIC POINT】

バンドのディンプル模様をSSで再現

G-SHOCKの樹脂バンドの特徴であるディンプル模様をメタルで再現。ケース形状だけでなく、細部までオリジナルデザインにこだわりました。

 

【NEO POINT】

構造もモジュールも現代的に進化

スマートフォンリンクに対応する新型モジュールを搭載しながら、オリジナルのサイズ感をキープ。6か国語の曜日表示にも対応しています。

 

 

【その6】

自動巻き版はさらに上質感が向上

モーリス・ラクロア

アイコン オートマティック

Ref.AI6008-SS002-430-1

21万600

1990年代のヒット作、カリプソに着想を得て2016年に誕生したコレクションに自動巻き版が加入。ベゼルやケースをシャープに仕上げ、文字盤には高級感漂うクル・ド・パリ装飾が新たに施されました。

SPEC●ムーブメント:自動巻き(Cal.ML115)●素材:SSケース&ブレスレット●サイズ:φ42×D11㎜●防水性:20気圧

 

【CLASSIC POINT】

特徴的なベゼルのツメが、往年のカリプソを彷彿とさせます。懐かしくも新しい印象。

 

【NEO POINT】

エッジの立ったケースがモダンな雰囲気を演出。11mmまで厚みを抑えた点も現代的です。

 

 

【その7】

現代に蘇った1970年代の名作

ミッシェル・エルブラン

ケイプ カマラ スペシャルエディション

Ref.1645/B04

14万7960円

南仏の避暑地にインスピレーションを得た新コレクションの特別仕様。コンパスをイメージした盤面や角形インデックスは、かつて製造していたスペースマスターというモデルに着想を得たものです。

SPEC●ムーブメント:自動巻き(Cal.SW200-1)●素材:SSケース+ブレスレット●サイズ:φ40.5×D10.35㎜●防水性:10気圧

 

【CLASSIC POINT】

1970年代製モデルと同様のツートーンのダイアルを採用。針の形状も復刻されました。

 

【NEO POINT】

ビス入りのベゼルとシャープなケースで、モダンな雰囲気に仕上げています。

 

 

【その8】

レトロなケース形状が新鮮な一本

ゾディアック

オリンポス リミテッドエディション

ミステリーダイアル

Ref.ZO9704 

12万5000円(予価)

スティングレー型と呼ばれる独特なケース形状がユニークな、1961年製ミステリーダイアルウオッチを復刻。時針がプリントされた文字盤が回転し、まるで針が浮いているように時刻を表示します。

SPEC●ムーブメント:自動巻き(Cal.STP3-13)●素材:SSケース、レザーストラップ●サイズ:φ37×D11㎜●防水性:5気圧

 

【CLASSIC POINT】

毒棘を持つエイを想起させる形状がケース名の由来。当時の雰囲気が楽しめます。

 

【NEO POINT】

ブランドが属するフォッシル グループが製造した、スイス製高性能ムーブを搭載しています。

 

 

【その9】

四角へのこだわりが生んだ独創機

 

ラドー

トラディション 1965 M オート

Ref.R33019215 

22万6800円

1965年にラドーが手がけた角形時計を世界限定1965本で忠実復刻。ケース形状から、針、インデックスに至るまで、徹底して初号機を再現。9時位置の錨ロゴは時計の向きに合わせて回転します。

SPEC●ムーブメント:自動巻き(Cal.ETA2671)●素材:SSケース、レザーストラップ●サイズ:W35×D10.6㎜●防水性:5気圧

 

【CLASSIC POINT】

独特のデザインは、1965年当時のマンハッタンのスカイラインに着想を得たものです。

 

【NEO POINT】

トレンドカラーのブルーにヘアライン仕上げを施し、現代性をもたせています。

 

文/水藤大輔  撮影/山口雅則

【SIHH2018先行発表】硬軟織り交ぜたクロノグラフの秀作4本をモンブランが発表

筆記具にはじまり、バッグやレザーグッズなど様々なアイテムを展開し、世界的な知名度を誇るモンブランは、実は腕時計の新作見本市ジュネーブサロン(SIHH)に出展するなど、時計界でも確固たる地位を築いています。間もなく2018年のSIHHがはじまる時期ですが、本開催を前に、モンブランが4本のクロノグラフを発表してきました。

 

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クロノグラフ発展の歴史を反映した「スター レガシー」

最初に取り上げるのは、装いも新たに登場となった「モンブラン スター レガシー コレクション」のクロノグラフ2作。1858年に創立した名門メーカー、ミネルバの遺産にインスピレーションを受けてリニューアルされた定番「スター」の新世代機です。

 

20180112_hayashi_WN_02「モンブラン スター レガシー コレクション」は、誕生20周年を迎えた「スター」のドレスウオッチラインとしての特徴を残しながら、ミネルバが遺したスイス時計製造の伝統とデザインの洗練を追求するべく生み出されました。

 

 

「モンブランスターレガシー ニコラ・リューセッククロノグラフ」価格未定。自動巻きCal.MB R200。直径44.8mm、厚さ15.02mm。3気圧防水「モンブランスターレガシー ニコラ・リューセッククロノグラフ」価格未定。自動巻きCal.MB R200。直径44.8mm、厚さ15.02mm。3気圧防水

 

 

「モンブラン スター レガシー ニコラ・リューセック クロノグラフ」は、2008年に発表されて以来、モンブランウオッチコレクションのアイコンだったモノプッシャー クロノグラフを採用。フランス宮廷の時計師ニコラ・リューセックが1821年に開発したクロノグラフへのオマージュを捧げた名デザインが、最新モデルのためにブラッシュアップされています。

 

文字盤は、シルバーホワイトダイアルを採用。従来はフラットだったオフセンターのアワーサークルとチタニウム製のクロノグラフ回転ディスクは、ドーム型で立体的な作りとなっています。

 

「モンブランスターレガシー オートマティック クロノグラフ」価格未定。自動巻きCal.MB 25.02。直径42mm、厚さ14.23mm「モンブランスターレガシー オートマティック クロノグラフ」価格未定。自動巻きCal.MB 25.02。直径42mm、厚さ14.23mm

 

 

「モンブラン スター レガシー オートマティック クロノグラフ」は、伝統的な高級時計製造のノウハウと、ミネルバの歴史が融合した実用モデル。シルバーに近いホワイトダイアルとリーフ型のブルー針、ブラックのアラビア数字など、調和のとれたデザインに仕上がっています。独特の陰影を持つレザーストラップは、先のニコラ・リューセックと同じく、フィレンツェにあるモンブランレザーアイテムの自社工房「プレテリア」で開発されたもの。本機では、高級感あふれるスフマートレザーが使われています。

 

 

前年にリニューアルしたタイムウォーカーからも2本のクロノグラフが加入

ストップウオッチブランドとしても名を馳せていたミネルバの歴史を反映して2017年にリニューアルされた「タイムウォーカー」からも、スター レガシーと同じく2作のクロノグラフが公開となりました。

 

ミネルバは、デジタルウオッチ普及以前に、スポーツ、医学、映画、テレビ等の時間計測がつきものの分野のプロフェッショナルから絶大な信頼を集めていたブランドでもあります。その中でもとりわけ支持が厚かったのがモータースポーツの世界で、特にラリーでの刑事においては、数々の世界的なレースで採用されていました。

 

こうした伝統を継承して世代交代を果たした現代のタイムウォーカーは、往年の栄光を反映したレーシングウオッチへと変貌。最新型も、古き良き時代を感じさせるデザインに、最新の仕様を加えた味わい深いものとなっています。

 

「モンブランタイムウォーカーマニュファクチュールクロノグラフ」価格未定。自動巻きCal.MB 25.10。直径43mm、厚さ15.2mm。10気圧防水「モンブランタイムウォーカーマニュファクチュールクロノグラフ」価格未定。自動巻きCal.MB 25.10。直径43mm、厚さ15.2mm。10気圧防水

 

 

「モンブラン タイムウォーカー マニュファクチュール クロノグラフ」は、新たなクロノグラフ機構を備えた、アイコニックな3カウンターの「パンダ」ダイアルが最大の特徴。ホワイトダイアルの中にブラックのカウンターを配したフェイスは、クラシックなレーシングカーのダッシュボードを彷彿とさせます。

 

固定ベゼルにハイテクブラックセラミックを、大型設計リューズにブラックDLCコーティングを採用するなど、最新技術を導入して時計の持つレーシングスピリッツをより印象的なものにしています。

 

「モンブランラリータイマークロノグラフリミテッドエディション100」価格未定。直径50mm、厚さ15.2mm。3気圧防水。100本限定「モンブランラリータイマークロノグラフリミテッドエディション100」価格未定。直径50mm、厚さ15.2mm。3気圧防水。100本限定

 

 

「モンブラン クロノグラフ ラリータイマー リミテッド エディション 100」は、前年に限定発表されたモデルの再発版。1960年代のミネルバ製ラリータイマー ストップウオッチに着想を得ながら、自社製造のモノプッシャー クロノグラフを備えた直径50mmのビッグウオッチです。

 

この時計は、ケース裏のストラップ脱着装置を使って簡単にストラップが取り外せ、ストップウオッチへと変型します。さらに、ケース裏の2本のアームを使えば、自動車のダッシュボードにも固定できるようになるのです。

 

裏蓋には、自動車のグリルをかたどった開閉式のカバーがあり、これを開けると自社製の手巻きモノプッシャー クロノグラフCal.MB16.29を見ることができます。ちなみにこのムーブメントは、1930年にミネルバが手がけた伝説的なCal.17.29をベースに開発されたもの。ストラップはもちろん「プレテリア」オリジナルとなっています。

 

本開催を前に新コレクションを披露してしまうところに、2018年SIHHへの意気込みが感じられます。果たしてジュネーブの会場では、事前発表の新作を超える話題作が発表されるのか。要注目です。

 

モンブラン公式サイト http://www.montblanc.com/