ユーロNCAPが2017年のベスト・イン・クラスを発表

欧州で新車の安全性能評価を行うユーロNCAPが、2017年のベスト・イン・クラスを発表。年間を通じて最も安全性評価が高かったクルマを賞するもので、安全性のカー・オブ・ザ・イヤーといってもいいだろう。なお、同賞は各セグメントのベスト・イン・クラスを表彰するが、カー・オブ・ザ・イヤーのようにその中の1台に大賞(本賞)を授けるようなシステムはとっていない。

20180207_hayashi_LV_01

 

 

20180207_hayashi_LV_02

 

 

栄冠に輝いたモデルは別表の通りだが、エグゼクティブクラスではフォルクスワーゲン(VW)の最新モデルであるアルテオンが受賞。乗員保護や安全装備の高評価に加え、歩行者保護性能が’17年にテストされたモデルの中でトップだったのが大きかったようだ。 中型および大型のSUVセグメントであるラージ・オフロードクラスではボルボXC60が受賞。XC60は乗員保護および安全装備で他の追随を許さず、同ブランドのV90/S90をも上回ってベスト・イン・クラスに輝いている。

 

スモール・オフロードクラスでは、日本にはまだ入っていないVW T-Rocが受賞。各項目の評価はXC60やアルテオンには劣るものの、このクラスとしては最高の安全性と評価されたようだ。コンパクトカーのカテゴリーであるスーパーミニでもVWポロが受賞。歩行者保護や安全装備ではやや厳しい評価だったが、総合的な評価でベスト・イン・クラスに選ばれたようだ。ちなみに6クラスのうち3クラスをVWが制しており、これはなかなかの快挙といえそうだ。

 

コンパクトSUVのクラスであるスモールMPVではオペル/ボクソールのクロスランドXが受賞。日本への正規輸入はなく、各項目の評価もさほど高くないが、このクラスでは最も安全と結論づいけられている。そしてスモールファミリーカーのクラスではスバル・インプレッサ/XVがベスト・イン・クラスを受賞。小児保護性能では全車トップ、歩行者保護性能でも高評価を得た結果で、日本車では唯一の受賞として誇ってもいいだろう。’18年からは夜間の歩行者検知機能や自転車検知機能も評価基準に加えるなどより厳しくなるユーロNCAPだが、’17年の最高評価を上回るクルマが次々と出てくるのか。期待したい。

 

 

 

どこかで見たような……元英国の名門、MG最新SUVの安全性は?

ユーロNCAPはこのほど、新生MGのコンパクトSUV「ZS」のクラッシュテストを実施し、総合評価が3つ星だったことを発表した。

 

20180111_hayashi_LV_09

 

MG ZSは2017年4月の上海オートショーでデビューしたコンパクトSUV。全長4314×全幅1809×全高1611mm、ホイールベースの2585mmのボディに、106ps/141Nmを発揮する1.5リッター直4エンジンや、111ps/160Nmを発揮する1.0リッター直3ターボエンジンを積む。エクステリアデザインが、マツダのCXシリーズに似ているように見える部分があるのは気のせいか……。

 

20180111_hayashi_LV_10

 

ユーロNCAPの安全性試験で最高評価となる5つ星を獲得するには、「成人乗員保護性能」で80%以上、「子供乗員保護性能」で75%以上、「歩行者保護性能」で60%以上、「安全補助装置」で50%以上という4項目のパセンテージをすべてクリアしなければならない。

 

 

新型MG ZSの結果は「成人乗員保護性能」で71%、「子供乗員保護性能」で51%、「歩行者保護性能」で59%、「安全補助装置」で29%という評価で、総合で3つ星に。最高評価の5つ星を獲得する新型車が多く登場している昨今では、かなり厳しい結果となった。とくに安全補助装置の項では29%と、課題を残すこととなった。

 

 

 

どこかで見たような……元英国の名門、MG最新SUVの安全性は?

ユーロNCAPはこのほど、新生MGのコンパクトSUV「ZS」のクラッシュテストを実施し、総合評価が3つ星だったことを発表した。

 

20180111_hayashi_LV_09

 

MG ZSは2017年4月の上海オートショーでデビューしたコンパクトSUV。全長4314×全幅1809×全高1611mm、ホイールベースの2585mmのボディに、106ps/141Nmを発揮する1.5リッター直4エンジンや、111ps/160Nmを発揮する1.0リッター直3ターボエンジンを積む。エクステリアデザインが、マツダのCXシリーズに似ているように見える部分があるのは気のせいか……。

 

20180111_hayashi_LV_10

 

ユーロNCAPの安全性試験で最高評価となる5つ星を獲得するには、「成人乗員保護性能」で80%以上、「子供乗員保護性能」で75%以上、「歩行者保護性能」で60%以上、「安全補助装置」で50%以上という4項目のパセンテージをすべてクリアしなければならない。

 

 

新型MG ZSの結果は「成人乗員保護性能」で71%、「子供乗員保護性能」で51%、「歩行者保護性能」で59%、「安全補助装置」で29%という評価で、総合で3つ星に。最高評価の5つ星を獲得する新型車が多く登場している昨今では、かなり厳しい結果となった。とくに安全補助装置の項では29%と、課題を残すこととなった。

 

 

 

スバル・インプレッサ/XVがユーロNCAPでファイブスターに

スバルはこのほど、新型インプレッサおよびXVが、欧州の安全性能評価基準である「ユーロNCAP」において、最高評価となるファイブスター(5つ星)を獲得したことを発表した。

 

20171212_hayashi_LV_03

 

 

 

ユーロNCAPの安全性試験でファイブスターを獲得するには、「成人乗員保護性能」で80%以上、「子供乗員保護性能」で75%以上、「歩行者保護性能」で60%以上、「安全補助装置」で50%以上という4項目のパーセンテージをすべてクリアしなければならない。

20171212_hayashi_LV_04

 

新型インプレッサのテストモデルは2.0i-Sアイサイトだったのだが、「成人乗員保護性能」で94%、「子供乗員保護性能」で89%、「歩行者保護性能」で82%、「安全補助装置」で68%という評価を得て、4項目すべての条件をクリア。

 

一方、新型XVのテストモデルも2.0i-Sアイサイトで、「成人乗員保護性能」で94%、「子供乗員保護性能」で89%、「歩行者保護性能」で84%、「安全補助装置」で68%という評価で全4項目をクリアした。

 

2016年評価以来、歩行者への衝突回避または衝突被害軽減性能を評価する自動緊急ブレーキ試験が追加され、スバル独自の運転支援システム「アイサイト」を標準装備したインプレッサとXVはいずれも高い評価を獲得した。

 

スバル車のユーロNCAPでの最高評価の獲得は2009年のレガシィ、2011年のXV、2012年のフォレスター、2014年のアウトバック、2016年のレヴォーグに続き、6回目となった。

 

 

 

三菱エクリプス クロスがユーロNCAPで5つ星を獲得!

三菱自動車は11月9日、新型コンパクトSUV「エクリプス クロス」が、欧州の新車を対象に安全性能を厳しい試験条件で総合評価する「ユーロNCAP(European New Car Assessment Program)」において、最高評価となる5つ★を獲得したことを発表した。

20171113_hayashi_LV_05

 ユーロNCAPの安全性試験で5つ★を獲得するには、「成人乗員保護性能」で80%以上、「子供乗員保護性能」で75%以上、「歩行者保護性能」で60%以上、「安全補助装置」で50%以上という4項目のパーセンテージをすべてクリアしなければならない。

 

新型エクリプス クロスのテストモデルは1.5リッターエンジンを搭載する2WD仕様だったのだが、「成人乗員保護性能」で97%、「子供乗員保護性能」で78%、「歩行者保護性能」で80%、「安全補助装置」で71%という評価を得て、4項目すべての条件をクリア。見事5つ★獲得となった。

 

エクリプス クロスは、衝突時のエネルギー吸収とキャビンの変形抑制を両立させた衝突安全強化ボディ「RISE」に加え、小柄な乗員に対しても高い乗員保護性能を実現するよう設計したシートベルトと7つのSRSエアバッグの採用により、成人乗員保護の項目においてスモールオフロードクラスでトップレベルとなる97%を獲得。さらに、子供の乗員保護の項目においても高い評価を獲得した。

20171113_hayashi_LV_06

また、デザインを重視したクーペSUVながら、ヘッドライトやバンパー等の車両先端部分の衝撃吸収性を高め、エンジンフード下に十分なスペースを設けることで高い歩行者保護性能を確保。歩行者保護の項目においても同クラストップレベルとなる80%を獲得している。

 

さらに、衝突被害軽減ブレーキシステム「FCM(Forward Collision Mitigation System)」により、市街地での一般的な走行速度を考慮したユーロNCAP試験条件ですべて衝突を回避した。

 

エクリプス クロスは、2017年10月3日より欧州に向け量産車の出荷を開始。今後、豪州、北米、日本など約80カ国で展開される計画で、今年度の出荷は約5万台が予定されている。

 

 

子供の車内置き去りを防ぐシステムも含め、ユーロNCAPが’25年に向けて新たなロードマップを示す

新型車の安全性能がどんどん高まっていく中で、それを評価する側も次々と新たなハードルを設定。衝突時のキャビンを守るボディ構造や、サイド&カーテンエアバッグ装備は当然となり(もちろんまだ未装備のクルマもあるが)、さらに衝突被害軽減ブレーキに代表される先進安全装備も「装着されていないクルマは評価の価値なし」といい切る評価組織も出てきている。

自動車安全性向上計画の優先順位を設定した「ロードマップ2025」。ロードマップの中では、今後の自動運転技術にも注目している。

 

その先端をいくのが欧州のユーロNCAPとアメリカのIIHS(全米道路安全保険協会)だが、ここにきてユーロNCAPが新たな方向性として「ロードマップ2025」を公表。同機構の20周年に合わせてのプランだが、その内容は多岐におよび、自動車メーカーはもちろん、IIHSや日本の自動車アセスメント(JNCAP)などへ影響をおよぼすことになりそうだ。
20171110_suzuki3

そこに示された今後評価が必要となる次世代安全機能を挙げていくと、「居眠り運転などを防ぐ運転者監視システム」、「緊急自動ステアリング」、「後退時や交差点で有効な衝突被害軽減ブレーキ」、「他車やインフラなどと通信して危険を防ぐV2X(車車間・路車間通信)」、「追突時のムチ打ち被害軽減の強化」、「歩行者および自転車保護性能の進化」、「事故時の救出性の確保」、「車内置き去りの検出」など。たしかにどれもクルマに起因する危険の除去には欠かせないもので、’25年までにすべて実現させるのが理想としている。

 

ユーロNCAPはこうした次世代安全機能を評価するシステムを随時導入し、自動車メーカーなどに装備化をうながしていく考えだが、「V2X」などは道路側のインフラ整備を待たなければならない面もあり、評価は簡単ではない。一方で日本の現状から見ていくと、歩行者保護性能の進化はもちろん、ニュースで目にすることの多い「車内置き去り」への対応は注目に値する。

20171110_suzuki4

ユーロNCAPのロードマップでは最後に置かれているが、日本では車内への子供置き去りによる熱中症事故のニュースが後を絶たず、最近では幼稚園や保育園の送迎バス内での置き去りも報じられている。また、被害者は幼児・子供だけでなく高齢者や身体障害者におよぶ可能性も高く、いち早い対応が迫られる部分でもある。車内にカメラを設置して子供などの存在を確認し、危険な状態を感知してクルマの所有者や緊急サービスセンターへ通知がいくシステムはすでに実用化されており、ユーロNCAPはその評価を想定しているが、日本でもスマートフォンを活用した車内チェックシステムの構築は難しくないはず。JNCAPでも装着を推奨するなどの取り組みが望まれるところだ。

20171110_suzuki1

先進安全機能の標準装備化は、コスト増=車両価格上昇がついて回るだけに悩ましい面もあるが、この多岐におよぶユーロNCAPのロードマップ提示を参考に、日本でもできるところから導入の検討を望みたいところ。交通事故の犠牲者を減らしていくことはもちろん重要だが、車内置き去りなどクルマにまつわる悲劇を全体的に減らす視点も欠かせない。また、このユーロNCAPの提示したロードマップが今後、欧州の新型車開発にどう反映されていくのか、そのあたりにも注目したいところだ。