走る道を選ばない、タフなクルマで行こう! プロが証言するワールドクラスのオフローダー4選

“タフそう”なクルマは数多いが、岩場や泥濘路などの本格的なオフロードを安心して走行できる、ガチでタフなクルマは限られている。険しい道を突き進む走破性を備えた、本物のタフなクルマのスゴさをプロが証言!

※こちらは「GetNavi」 2021年11月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

プロがそのタフさを証言! 世界を走破するタフなヤツら!

【その1】高級・高性能でどんな道も快適! すべてがオーバースペックすぎる

メルセデス・ベンツ

Gクラス

1080万円~1530万円(税込)

1979年に初代モデルが登場して以来、メルセデスの本格的オフローダーを一手に担うGクラス。数々の装備による悪路走破性はピカイチだが、その変わらない無骨なデザインも人気で、オンロードユース層からも人気が高い。

SPEC【G 350d】●全長×全幅×全高:4725×1860×1970mm●パワーユニット:2986ccV型6気筒ディーゼルターボ●最高出力:245PS(118kw)/3600rpm●最大トルク:61.2kg-m(600Nm)/1600~2400rpm●JC08モード燃費:10.8km/L

 

モータージャーナリスト

岡本幸一郎さん

日本に6台しかない「6×6」や希少なカブリオレなど、様々なG

時代とともに高級化しても受け継ぐ本質は変わらない

40年余り前、元々NATOのために開発された軍用車を民生用にアレンジしたのがGクラスのはじまりだ。そう聞いただけでもどれほどタフであるかがうかがい知れよう。当初のGクラスは、まさしく質実剛健なオフローダーだったのだが、やはりメルセデスの一員らしく高級感や快適性が求められるようになり、時間の経過とともに高級SUVとして進化してきた。

 

とはいえ2018年にアップデートした現行型でも、屈強なラダーフレームにリアリジッドアクスル、LOWモードギアに前後と中央の3つのデフといった伝統の基本構成は変わっていない。それでいて世のオフローダーでダントツの性能を誇るAMGモデルがあるのもGクラスならではである。

 

街なかで乗るにはすべてがオーバースペックに違いない。その点がまたGクラスの魅力でもあるのだ。

 

【岡本さんが証言!】なぜGクラスはタフなのか

[証言1] 鋼鉄製ラダーフレームにフロント独立懸架を直付け

ロの字型の鋼材をMAG溶接した新設計ラダーフレームを採用。ダブルウィッシュボーン化したフロントサスをサブフレームを介さずに取り付け、十分な地上高を確保する。

 

[証言2]「LOWレンジ」モードでは最大の悪路走破性を実現

デフロック、もしくは通常の2倍以上の駆動力を発揮するオフロード向けの低速ギアのLOWレンジを搭載。選択すると足まわりやアクセル特性を最適化できる。

 

[証言3] 3つのデフの作動/解除はワンタッチで自由自在

通常のオフローダーではデフロックの作動/解除には面倒な操作が必要。Gクラスはスイッチひとつで3つのデフを個別にメカニカルロックできる伝統の機能を備える。

 

[証言4] 悪路で役立つ情報を表示するオフロードスクリーン

外見とは逆にインテリアは先進的に。12.3インチワイドディスプレイには勾配、傾き、方位、舵角、デフロックの状況など悪路走行に特化した情報を表示できる。

 

【その2】一輪さえ接地していれば走行可能な世界屈指の絶対的オフローダー

ジープ

ラングラー アンリミテッド ルビコン

658万円(税込)

ジープ ラングラーのなかでも最強の悪路走破性を誇るのがルビコン。2WD/4WD-H/4WD-Lの切り替えができる副変速機はルビコン専用で、最終変速比は4.100。他のラングラーモデルよりも、さらに力強い走破性を生む。

SPEC●全長×全幅×全高:4870×1895×1850mm●パワーユニット:3604ccV型6気筒●最高出力:284PS(209kw)/6400rpm●最大トルク:35.4kg-m(347Nm)/4100rpm●WLTCモード燃費:8.0km/L

 

環境・自動車ジャーナリスト

川端由美さん

工学修士。エンジニアから自動車雑誌の編集記者を経て、自動車ジャーナリストに転身。ルビコン・トレイルを走破した猛者でもある。

世界屈指のオフローダーは難コースで走破性を鍛える

タフなことで知られるジープにおいて抜きん出たオフロード性能を持つのがラングラーであり、そのなかでも最上級の走破性を誇るのがルビコンである。その名の由来は、ルビコン・トレイルと呼ばれるアメリカの難関オフロードコースに由来しており、ここで鍛え上げられた証なのだ。

 

四角四面のスタイリングは、運転席からの見晴らしを重視した設計で、無骨なバンパーも簡単に外せる。機能の詳細を挙げるとキリがないが、実際にルビコンを走破した経験から言えば、一輪が接地しているだけでも走れたり、砂が浮いた岩場のような滑りやすい路面でも駆け上がれたり、ビーバーの住む深い川にジャブジャブ突っ込んだりと、まさに「道なき道を走る」ことができるのが本車だ。

 

ルビコンに乗らずして、タフなクルマを語るなかれ、である。

 

【川端さんが証言!】なぜラングラー アンリミテッド ルビコンはタフなのか

[証言1] スタビライザーを解除して悪路走破性を高められる

電子制御式フロントスウェイバーディスコネクトシステムを搭載。悪路でスタビライザーを任意に解除し、フロントアクスルの動きを拡大。走破性を一層高めている。

 

[証言2] ほぼフラットになる荷室にガンガン荷物が積める

2列目シートを前方に倒せば、ほぼフラットになる広大な荷室が登場。その容量は4ドアモデルで最大約2000L。キャンプでも大きな荷物をガンガン積載できる。

 

[証言3] 悪路走破性の高いギア比はルビコンだけのシステム

独自の4WDシステムである「ロックトラックフルタイム4×4システム」。4Lのギア比を4:1の低レンジにすることで、オフロードの走破性をより向上している。

 

[証言4] バンパーを簡単に外してアングル角を拡大できる

アプローチアングルやデパーチャーアングルは元々大きいが、バンパーを取り外すことでより拡大できる。ラチェットハンドルと対応ソケットがあれば簡単に行える。

 

【その3】タフさはそのまま受け継ぎスタイリッシュに進化!

ランドローバー

ディフェンダー

551万円~1171万円(税込)

70年にわたるランドローバーの歴史を象徴するモデルが、昨年登場した新型ディフェンダーだ。先代のタフな魅力はそのままに、堅牢性をさらに向上。もちろん快適性は天文学的にアップしており、まさに無敵のタフネスだ。

SPEC【110 X-Dynamic SE D300】●全長×全幅×全高:4945×1995×1970mm●パワーユニット:2993cc直列6気筒ディーゼルターボ●最高出力:300PS(221kw)/4000rpm●最大トルク:66.3kg-m(650Nm)/1500~2500rpm●WLTCモード燃費:9.9km/L

 

自動車ライター

清水草一さん

『そのフェラーリください!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、自動車ライター/道路交通ジャーナリストとして活動。

無敵のタフネスを受け継ぎ都会でも超絶ハマる

先代ディフェンダーは、元をたどれば70年以上作り続けられたイギリスのジープ的存在。世界各国の軍用車両や警察、消防車両などに多数採用され続けてきたモデルで、タフさのカタマリである。

 

新型は、先代のタフさをそのまま受け継ぎつつ、都会にも完璧にマッチするスタイリッシュなデザインと、洗練された快適な乗り味を手に入れた。そのエレガントなボディの至るところに、先代譲りの超タフなメカや意匠が散りばめられている。

 

もちろん悪路の走破性は無敵だ。日本ではサイズが大きすぎて、林道では取り回しに苦労しそうだが、これも真のタフなクルマだと思えば納得。超ヘビーデューティな4WD機構はもちろんのこと、ピカイチなのはその渡河性能だ。なんと水深90cmまで耐えられるように設計されているのである。

 

【清水さんが証言!】なぜディフェンダーはタフなのか

[証言1] クリアサイトグラウンドビューで車体の下を確認可

3つのカメラの映像をリアルタイムで合成し、ボンネットの下の状況をモニターに映し出す。クルマの下にある轍や岩を確認できる、魔法使いのような機能だ。

 

[証言2] ほぼ垂直に切り立ったテールラインが印象的

徹底的に実用性を重視すると、車体は限りなく直方体に近づく。先代ディフェンダーもテールラインは垂直だったが、新型もその設計を受け継いでいる。

 

[証言3] 実用的かつスムーズな直6ディーゼルターボ

エンジンは、2L4気筒ガソリンターボのほかに、3L直6ディーゼルを用意。この性能が素晴らしく、しかもディーゼルとは思えない超絶なる滑らかさだ。

 

[証言4] 電子制御エアサス搭載で水深90cmまで走行可

電子制御エアサスペンションを搭載。標準車高より40mm低いアクセス向け車高から、75mmアップのオフロード向け車高まで変更できる。渡河性能は最大90cmだ。

 

タフなクルマこそキレイな車内を! ナノイーで清潔空間を保てる

ランドローバーの多くのモデルで、カビや菌、花粉、ニオイを抑制できるパナソニックのナノイーを搭載。過酷な道を進むタフなクルマにこそ望まれる装備だ。さらに将来的には、新型コロナウイルスへの抑制効果が検証されているナノイーXの搭載も検討中。今後の進化にも期待だ。

↑広い車内はフロント、2列目シート、3列目シート独立で空調のコントロールが可能。もちろん同期させて調節することもできる

 

↑モニター内の「ion」アイコンをタッチすればナノイーが車内に充満。一般的なイオンより長寿命のため、広い車内でも効果がある

 

【その4】狭い道でも分け入ることができるコンパクトボディとタフな走り

スズキ

ジムニー

148万5000円~190万3000円(税込)

4代目の現行型も、新開発されたラダーフレームをはじめ、FRベースの副変速機付パートタイム4WD、3リンクリジッドアクスル式サスペンションという伝統に則っている。衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全装備も設定。

SPEC【XC 5MT】●全長×全幅×全高:3395×1475×1725mm●パワーユニット:658cc直列3気筒+ターボ●最高出力:64PS(47kw)/6000rpm●最大トルク:9.8kg-m(96Nm)/3500rpm●WLTCモード燃費:16.2km/L

 

自動車ライター

塚田勝弘さん

新車、中古車、カーナビゲーションなどのカー用品などを中心に取材、執筆している自動車ライター。元GetNavi編集部の乗り物担当。

小さくて軽いのが最大の武器大型トラックでも救出できる

数あるオフローダーのなかでもひときわコンパクトなボディを生かして、林道でもあぜ道でも狭い住宅街でも躊躇なく走れるのがジムニーの魅力だ。軽さも武器で、深い雪でも泥濘路でも容易に発進可能。しかも力持ちで、動画サイトでは歴代ジムニーが雪にハマった大型トラックを牽引して救出している様子を見られる。さらに現行型は、ブレーキLSDトラクションコントロールを標準化し、左右輪どちらかがスリップした際でも脱出しやすくなった。雪深い狭い山道を走らせたら世界最強だろう。

 

ラダーフレームによる高い耐久性やメンテナンス性はもちろん、修理できる専門ショップもパーツも多く、メンテナンスしながら長い年月乗れるタフさもある。中古車を手に入れて直して乗ったり、カスタマイズしながら楽しんだりする愛好家が多いのが特徴だ。

 

【塚田さんが証言!】なぜジムニーはタフなのか

[証言1] 大きな段差でもバンパーや車体の下側に接触しない

悪路走破時に重要な3アングル(アプローチ/ランプブレークオーバー/デパーチャー)に十分な余裕がある。岩場でも、見上げるような急勾配でも楽にクリア可能だ。

 

[証言2] 一定速で坂を降りられるヒルディセントコントロール

凍結した下り坂など滑りやすい路面でも4WD時にスイッチをオンにすることで、ブレーキを踏まなくても一定速でクリアできる機能。ステアリング操作に専念できる。

 

[証言3] いざというとき頼れるのが4WD低速用の「4L」

通常は2WD走行が基本で、豪雨時に「4H」にすれば安定した走りが可能。泥濘路や急勾配、他車を救出する際は「4L」にすることで通常の約2倍の駆動力が得られる。

 

[証言4] 剛性と耐久性を備えるタフなラダーフレーム

ラダー(はしご)型の強固なフレームに車体を載せる。現行型は中央部にX型のフレーム、前後にクロスメンバーを追加し、ねじり剛性を先代よりも約1.5倍向上させた。

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

タフさのカタマリ。ランドローバー「ディフェンダー」の4つ+αの見逃せない細部

“タフそう”なクルマは数多いが、岩場や泥濘路などの本格的なオフロードを安心して走行できる、ガチでタフなクルマは限られている。険しい道を突き進む走破性を備えた、本物のタフなクルマのスゴさをプロが証言! プチ連載形式でお届けしている本記事、今回はランドローバーのディフェンダーを清水草一さんがレポートします。

※こちらは「GetNavi」 2021年11月号に掲載された記事を再編集したものです。

タフさはそのまま受け継ぎスタイリッシュに進化!

ランドローバー

ディフェンダー

551万円~1171万円

70年にわたるランドローバーの歴史を象徴するモデルが、昨年登場した新型ディフェンダーだ。先代のタフな魅力はそのままに、堅牢性をさらに向上。もちろん快適性は天文学的にアップしており、まさに無敵のタフネスだ。

SPEC【110 X-Dynamic SE D300】●全長×全幅×全高:4945×1995×1970mm●パワーユニット:2993cc直列6気筒ディーゼルターボ●最高出力:300PS(221kw)/4000rpm●最大トルク:66.3kg-m(650Nm)/1500~2500rpm●WLTCモード燃費:9.9km/L

 

自動車ライター

清水草一さん

『そのフェラーリください!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、自動車ライター/道路交通ジャーナリストとして活動。

 

無敵のタフネスを受け継ぎ都会でも超絶ハマる

先代ディフェンダーは、元をたどれば70年以上作り続けられたイギリスのジープ的存在。世界各国の軍用車両や警察、消防車両などに多数採用され続けてきたモデルで、タフさのカタマリである。

 

新型は、先代のタフさをそのまま受け継ぎつつ、都会にも完璧にマッチするスタイリッシュなデザインと、洗練された快適な乗り味を手に入れた。そのエレガントなボディの至るところに、先代譲りの超タフなメカや意匠が散りばめられている。

 

もちろん悪路の走破性は無敵だ。日本ではサイズが大きすぎて、林道では取り回しに苦労しそうだが、これも真のタフなクルマだと思えば納得。超ヘビーデューティな4WD機構はもちろんのこと、ピカイチなのはその渡河性能だ。なんと水深90cmまで耐えられるように設計されているのである。

 

【清水さんが証言!】なぜディフェンダーはタフなのか

[証言1] クリアサイトグラウンドビューで車体の下を確認可

3つのカメラの映像をリアルタイムで合成し、ボンネットの下の状況をモニターに映し出す。クルマの下にある轍や岩を確認できる、魔法使いのような機能だ。

 

[証言2] ほぼ垂直に切り立ったテールラインが印象的

徹底的に実用性を重視すると、車体は限りなく直方体に近づく。先代ディフェンダーもテールラインは垂直だったが、新型もその設計を受け継いでいる。

 

[証言3] 実用的かつスムーズな直6ディーゼルターボ

エンジンは、2L4気筒ガソリンターボのほかに、3L直6ディーゼルを用意。この性能が素晴らしく、しかもディーゼルとは思えない超絶なる滑らかさだ。

 

[証言4] 電子制御エアサス搭載で水深90cmまで走行可

電子制御エアサスペンションを搭載。標準車高より40mm低いアクセス向け車高から、75mmアップのオフロード向け車高まで変更できる。渡河性能は最大90cmだ。

 

タフなクルマこそキレイな車内を! ナノイーで清潔空間を保てる

ランドローバーの多くのモデルで、カビや菌、花粉、ニオイを抑制できるパナソニックのナノイーを搭載。過酷な道を進むタフなクルマにこそ望まれる装備だ。さらに将来的には、新型コロナウイルスへの抑制効果が検証されているナノイーXの搭載も検討中。今後の進化にも期待だ。

 

↑広い車内はフロント、2列目シート、3列目シート独立で空調のコントロールが可能。もちろん同期させて調節することもできる

 

↑モニター内の「ion」アイコンをタッチすればナノイーが車内に充満。一般的なイオンより長寿命のため、広い車内でも効果がある

 

ランドローバーの「新しいディフェンダー」はいいのか? 微妙なのか? その価値を細部から分析

ベテラン自動車ライターの永福ランプとフリーエディターの安ドが、深いような浅いようなクルマ談義をするクルマ連載。今回は、英国の伝統的ブランド「ランドローバー」が、1948年以来70年以上も販売してきた、ディフェンダーの新型をチェック!

 

【関連記事】

永福ランプこと清水草一さんの連載記事はコチラ

 

永福ランプ(清水草一)

日本中の貧乏フェラーリオーナーから絶大な人気を誇る大乗フェラーリ教の開祖。様々な自動車専門誌や一般誌、ウェブなどで、クルマを一刀両断しまくっている。2018年以降、ペンネームを「MJブロンディ」から「永福ランプ」へ変更している。

 

安ド

元ゲットナビ編集部員で、現在ではフリーエディター。永福ランプを慕い「殿」と呼んでいる。

 

【今月のクルマ】ランドローバー/ディフェンダー

SPEC【110 SE】●全長×全幅×全高:4945×1995×1970mm●車両重量:2240kg●パワーユニット:2.0L直列4気筒+ターボ●最高出力:300PS(221kW)/5500rpm●最大トルク:400Nm/2000rpm●WLTCモード燃費:8.3km/L

529万円~1124万円

 

【ランドローバー「ディフェンダー」を写真で先見せ(画像をタップすると拡大画像が表示されます)】

 

安ド「殿! ディフェンダーと言えば、キング・オブ・オフローダーですね!」

永福「そうなのか?」

安ド「レンジローバーは砂漠のロールスロイスですけど、オフロードでの走破性なら、ディフェンダーがキングじゃないでしょうか!」

永福「真のキングはランドクルーザーではないか」

安ド「ランドクルーザーの愛称はランクルで、キング・オブ・オフローダーはディフェンダーです!」

永福「そうなのか」

安ド「そのディフェンダーが72年ぶりにフルモデルチェンジしました!」

永福「うむ」

安ド「先代もカッコ良かったですけど、新型も猛烈にカッコ良いですね!」

永福「それは違うだろう」

安ド「違いますか?」

永福「お前は、旧国鉄の旧型車両、たとえばキハ40形を見てカッコ良いと思うか」

安ド「キハ……何ですか?」

永福「あまりにも古臭いがゆえに情緒満点ではあるが、あれをカッコ良いというのは正確には違うはず。新型ディフェンダーは、そのあまりにも古臭くて情緒満点の旧型デザインモチーフを取り入れている。それは、シブいとかステキとかセンスが良いとは言えるが、カッコ良いというのはちょっと違う」

安ド「シブくてステキでカッコ良いです!」

永福「そうか。それにしてもデカいな」

安ド「デカいですか?」

永福「グレードによっては全幅2008mm。全長も5mを超えている。すさまじいデカさだ」

安ド「僕はふだんパジェロに乗っているので、デカさは気になりませんでした」

永福「確かに、走っているときはそれほど大きく感じない。ボディは真四角だし見切りもいい。しかし、駐車の時は大変だ。左右幅が駐車枠パンパンになってしまうし、デカすぎてコインパーキングに停められない」

安ド「停められませんか?」

永福「ほとんどのコインパーキングは、全幅1.9m、全長5mまでなのだ。一応、規約上は」

安ド「実際にはそれよりデカいのも停まってますよね?」

永福「まあな」

安ド「それより僕は、サイドステップがないのが気になりました。しかも前席のピラーに取っ手もない。乗り降りに苦労します」

永福「高齢者はまず乗り降り不可能だな」

安ド「殿は新型ディフェンダーに否定的なんですか?」

永福「いや、スバラシイ!」

安ド「具体的にはどこが」

永福「ソフトに威張りが効いて、ちょいレトロでステキなデザインで、乗り心地が良くて、走りも十分。しかもそのわりに値段が驚くほど安い!」

安ド「最後で一気に来ましたね!」

 

【注目ポイントその1/グラブバーハンドル】悪路での安心感を高める助手席前の“つかむところ”

ダッシュボードには、助手席の人がつかむことができるバー状のデザインが施されています。なぜかといえば、オフロード走行中に車体が揺れるから。絶対必要かどうかはともかく、つかんでいるだけで安心感が増してきます。

 

【注目ポイントその2/ラゲッジルーム】荷室は広くフラットで機能性は抜かりなし

オフロード走行やアウトドア愛好家御用達のモデルだけに、荷室はかなり広く、汚れが付きにくい表面素材が採用されています。さらに、後席は座面を跳ね上げて前方へ倒せる構造で、荷室のフラット化に貢献します。

 

【注目ポイントその3/ボンネット】お茶を濁すような謎の凸凹模様

旧型のデザインを受け継いでいる部分は散見されますが、凹凸ボンネットは流石に再現が難しかったようです。代わりに……なのかわかりませんが、このようなアウトドア感あふれる模様のカザリ板が付いていました。意味はないと思います。

 

【注目ポイントその4/ボルト】オフローダーっぽい内装の剥き出しデザイン

インテリアデザインは、あえてボルトを剥き出しにするなど、いい意味でゴツくて荒々しい雰囲気にまとめられていて、いかにもオフローダーらしいイメージ。もちろん、素材感や角が取れた感じなど、全体的にはモダンなんですけどね。

 

【注目ポイントその5/エアサスペンション】ボタン操作だけで高くも低くもできる

岩場や凹凸路などを走破するため、ボタン操作で自在に車高が変えられるエアサスペンションが搭載されています。なお、舗装路を走っているとびっくりするほど乗り心地が良くて、他のオフロードSUVより快適性が高いです。

 

【注目ポイントその6/3Dサラウンドカメラ】ありえないはずの角度から車体を見ることができる

車庫入れ中、センターディスプレイには3D映像が! 車体各部に取り付けらたカメラから得られた画像をその場で合成して、車両斜め上の角度からの映像を映し出してくれます。なお、車体下の映像を映し出すこともできます。

 

【注目ポイントその7/アルパインウィンドウ】後席の斜め上に設置された明かりとり

後席から天井を見上げると、ポッカリとお空を見られる小窓が設置されています。これは「アルパインウィンドウ」と呼ばれるディフェンダーならではの装備で、やはり旧型から受け継いだもの。車内が明るい雰囲気になりますね。

 

【注目ポイントその8/リアライト】後方に見られる素朴なライト

オフローダーの間ではカリスマ的な存在だった旧型ディフェンダーですが、日本ではあまりその姿が知られていません。リアライトがポコポコと置かれている感じは、旧型をモチーフとしたニューデザインです。旧型では愛らしい小さな丸型でしたが。

 

【注目ポイントその9/エンジン】気になるエンジンラインナップ

日本導入当初は、この2.0L直列4気筒ガソリンターボエンジンのみでしたが、2020年11月に3.0L直列6気筒ディーゼルエンジンが追加設定されました。この2.0Lガソリンでも十分走るのですが、カーマニアとしてはディーゼルが気になります!

 

【これぞ感動の細部だ!/リアの直角デザイン】唯一無二のデザインをオリジナルから受け継ぐ

見てくださいこの絶壁! まるでエベレストかベン・ネビス山かというくらいの直角デザインです。これも旧型から受け継いだデザインモチーフですが、現在流行中のクロスオーバーSUVではこのような形状は見られません。唯一、メルセデスのGクラスは平らに近いですが、それでも若干前方に傾いています。タイヤを背負っているモデルも少数派になりました。

 

撮影/我妻慶一

サッカー日本代表・吉田麻也選手がランドローバーの新アンバサダーに就任!! その理由は?

日本が2大会ぶりにベスト16に進んだサッカーワールドカップ。その興奮の余韻が残るなか、東京・銀座の「JAGUAR LAND ROVER STUDIO」に日本代表のセンターバック、吉田麻也選手が現れた。ランドローバーの新アンバサダー就任式典に出席するための登場だ。サッカー解説者の北澤 豪氏とのトークセッションも行われ、ワールドカップの裏話なども含め、式典は大いに盛り上がった。

↑ランドローバーの新ブランド・アンバサダーに就任したプロサッカー選手の吉田麻也氏。右は2018年に入って新たにラインナップされた「ヴェラール」

 

↑ランドローバーの歴代アンバサダーに加わり、パネルにサインをした吉田選手

 

イギリスと日本の架け橋に

式典の冒頭、ジャガー・ランドローバー・ジャパンのマグナス・ハンソン社長が登壇し、吉田選手をアンバサダーに起用した背景について説明した。

 

「吉田選手はイギリスのプレミアムリーグで7年目となり、日本人として初めて100試合以上のゲームに出場している。ランドローバーと同じように、イギリスと日本の架け橋になるべく就任していただいた。吉田選手は際限なく完璧を目指して頑張っており、それは“Above & Beyond”というランドローバーのフィロソフィーと同じ。ランドローバーに乗ってもらうことで、吉田選手が次なるチャレンジに邁進する助けができると思っている」(マグナス・ハンソン社長)

 

その後、ハンソン社長が吉田選手を招き入れると、「Welcome to Land Rover Family!」と吉田選手に声をかけながらランドローバーのビッグキーを手渡した。今後、吉田選手は「ランドローバー」のクルマに乗りながら、アンバサダーとしてランドローバーの魅力を発信していくことになる。

↑吉田選手を笑顔で迎え入れるジャガー・ランドローバー・ジャパン 代表取締役社長のマグナス・ハンソン社長(右)

 

あの激闘の裏側を語る

続いて、サッカー解説者の北澤 豪氏のMCによるトークセッションが開かれた。ワールドカップから間もないとあって、取材陣はあの激闘の裏側に興味津々。吉田選手にワールドカップを戦った感想を北澤氏が根掘り葉掘り聞いた。

↑就任会見では北澤 豪氏(左)と吉田選手によるトークショーが開かれた

 

北澤氏:ワールドカップを終えて、いまの感想はでどうですか?

吉田選手:最低限の目標だった予選突破ができたという安心感はちょっとありますが、個人的な目標は“次のところ”(ベスト8)だったので、正直、悔しさのほうが大きいですね。成田空港で多くの方から祝福されたのは驚きましたが、自分にとっては大きなギャップがありました。多くの方から「ありがとう」「おめでとう」と言ってもらえたのはもちろんうれしいですが。でも、選手は何が必要なのかを考えながら次のワールドカップまでの4年間を突き進んでいきたいと思ってます。

 

帰国した日、最初に行ったのは選手とスタッフを交えての焼肉パーティ。そこでは大いに飲んで笑って涙も分かち合ったという。

 

吉田選手:強化試合のパラグアイ戦のあとぐらいからチームの状態はよくなってきました。監督が替わってゴタゴタしているなかで、試合がうまくいっていない。これはやるしかないと追い込まれた状態になって覚悟ができたんだと思います。何より、ワールドカップでのコロンビア戦で勝てたのが大きかったですね。日本の皆さんの期待値も変わったでしょうし、僕らも勢いに乗るきっかけになりました。

 

北澤氏:ベルギー戦で2-0になったときに「いけるぞ」って感じはあったのでしょうか?

吉田選手:そう思ってしまったのがよくなかったんじゃないかなと思っています。2-0のままでOKという感覚になった瞬間、裏でボールをもらう回数が減り、セーフティな選択をするようになって相手が前に出てくるきっかけを作ってしまった。横パスなんかのミスからシュートまでいかれるシーンも出てきましたからね。本来ならDFは集中すべきなのに(これで)バタついてしまった。アンラッキーなところから失点し、そこから修正できなかったというのはやはり経験値が足りないんだなと思いました。

 

北澤氏:逆にヤバイと思ったのはいつ頃なのでしょうか?

吉田選手:フェライニ選手が入ってきたところですかね。フェライニ選手とシャドリ選手が入ってきたところから相手のリズムをなかなかこっちのリズムに持っていけなくなって。センタリングを上げられたとき、ルカク選手をマークしていてフェライニ選手がフリーになっているのが一瞬見えたんですが、そこをカバーに行けなかったし、コーナーキックをキャッチされてGKをブロックできなかった。これもサッカーですし、ここから学んでレンジローバーと同じように走り続けていかなくてはいけないと思います。

↑アンバサダーとして早くもランドローバーの魅力について語る吉田選手

 

サッカーの話から無理やりレンジローバーに結び付ける発言には北澤氏も思わず苦笑。吉田選手は早くもアンバサダーとしての自覚を持っているようだ。ただ、吉田選手は以前からランドローバーに対して憧れを強くしていたという。

 

北澤氏:ランドローバーの新ブランド・アンバサダーに就任した気持ちはどうですか?

吉田選手:ランドローバーはずっと憧れのブランドでしたし、イギリスでは国産車ですがみんなが憧れるブランドです。プロに入ったばかりの頃、先輩が乗っているのを見て羨ましく思ってました。そんなブランドにこうしたお話をいただけたのは光栄ですし、うれしく思います。

 

北澤氏:プレミアリーグの選手たちはレンジローバーをどう見ているんでしょうね。

吉田選手:レンジローバー、ランドローバーは家族用に1台は持っていて、特にイギリス人にとってこのブランドへの憧れは強いと思いますね。試合のとき、駐車場を見ると必ず6~7台は駐まっていますからね。

 

北澤氏:ここにあるヴェラールにも乗ったとのことですが、感想はいかがでしたか?

吉田選手:いやー、ホントに乗り心地が良かったです。運転もスムーズでしたし、安定感もあります。後ろもいいですね。

 

北澤氏:お、運転手付き?

吉田選手:あ、この言い方はよくなかったですね(笑)。後ろに子どもを乗せたシチュエーションでも安定して乗れると思いますし、(SUVなんで)奥さんから「荷物が入らない」なんてことも言われなくて済みます。インテリアも品の良さも半端ないです。リビングでソファに座っているような感覚で座れるのは、ある意味部屋みたいなもの。身体が大きいのでレンジローバーのサイズはとてもありがたいですね。

 

長谷部選手や本田選手の代表引退があり、監督も替わって、これから日本代表は新チームになっていく。そのなかで吉田選手はリーダーシップをとって若手を引っ張っていかなければならない存在となる。ここで吉田選手がパネルに記したのは、「Best 8」というシンプルなキーワード。もちろんこれは2022年のワールドカップでの目標であり、吉田選手も「これ以外考えられない」とコメントした。最後に吉田選手からは「今回のワールドカップでの悔しさをバネに、さらに上へと邁進していく」ことが宣言された。

↑次なる目標について「Best8」を掲げた吉田選手

 

なお、JAGUAR LAND ROVER STUDIOでは、吉田選手のランドローバー・アンバサダー就任を記念し、7月26日~8月26日までに吉田選手直筆のサインボールや目標を記したパネルなどが展示される予定となっている。

↑7月26日~8月26日までの期間、JAGUAR LAND ROVER STUDIOでは吉田選手がロシアワールドカップで着用したユニフォームやシューズ、目標を記したパネルなどが展示される

【THE・無骨!】13年ぶりに復活したトヨタの世界的ワークホースの実力

個性派SUVの選択肢としても有望なピックアップトラックを紹介。語るべき長い歴史を持つ両車の魅力を試乗の感想を交えつつ、とことんガイドします。

 

世界的ワークホース、13年ぶりに日本で復活!

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トヨタ

ハイラックス

SPEC【Z】●全長×全幅×全高:5335×1855×1800㎜●車両重量:2080㎏●パワーユニット:2393㏄直列4気筒DOHCディーゼル+ターボ●最高出力:150㎰/3400rpm●最大トルク:40.8㎏-m/1600〜2000rpm●カタログ燃費:11.8㎞/L●価格:326万7000円(X)〜374万2200円(Z)

 

 

エンジンは2.4Lのディーゼルターボを搭載

トヨタのハイラックスといえば、耐久性の高さに代表される実直な作りが世界的に評価されている銘柄。1968年に初代が登場して以降、これまでに約1730万台が180の国や地域で販売されてきました。日本では04年に販売終了となっていましたが、SUV市場の多様化を睨んで13年ぶりに復活。ボディタイプは、5人乗りのダブルキャブ仕様がセレクトされています。

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エンジンは、2.4ℓのディーゼルターボで、走りは飾り気のない見た目のイメージ通り。全長は5.3m以上、車重が2tを超える巨体とあって小回りは利きませんが、日常域では十二分な扱いやすさを発揮するのは意外でした。

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とはいえ、いわゆる乗用車ではないので、車内で聞こえる音は大きめ。また、積載を前提としているだけに、乗り心地もやや硬い。それだけに、SUVだと思うとそのキャラクターは無骨過ぎる印象も受けますが、何よりも個性を重んじるニーズにはピッタリの一台であることは確かです。

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充実の装備はトヨタ基準

上級グレードとなる「Z」の快適装備は、ピックアップトラックとはいえ乗用車レベル。トヨタ車らしく質感も高いです。

 

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悪路走破性は折り紙付き

堅牢なサスペンションは、長いストロークを持つだけに悪路走破性も秀逸。起伏の激しい路面でも優れた追従性を発揮します。

 

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まさにタフ&シンプル

最大積載重量は500㎏。オプションが豊富とあって、荷台は様々なコーディネートが可能(上)。4WD機構(下)はシンプルなパートタイム式で、通常時は2WDとなります。