ザ・ノース・フェイスの万能シューズ「VECITV 3.0」コレクション! トレイルもロードも対応可能

THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)の「VECITV 3.0」コレクションから3つのシューズが登場。トレイルランナーのパフォーマンスを最大限に引きだす3モデルが3月14日よりローンチする。それぞれの特性が異なる3モデルはトレイルシーンやランナーの好みに合わせてチョイスできる。

 

ザ・ノース・フェイス アスリートによるフィールドテストのフィードバックを元に3年の歳月をかけて開発されたソールユニット“VECTIV(ベクティブ)”が“VECTIV 3.0”へと25SSよりアップデートしました。

 

最初に紹介する「Summit VECTIV Pro 3」は、5層構造の新しいソールユニットが特徴のフラッグシップモデル。反発性を高める10mm EVAフォームを内蔵。デュアルプレート設計により、ボトムのカーボンプレートで反発性を追求しながら、トップの TPU&リサイクルカーボンプレートで安定性もサポート。

↑「Summit VECTIV Pro 3」3万3000円(税込)

 

続いて紹介する「Summit VECTIV Sky 2」は、大幅な軽量化を実現したスピードモデル。US9サイズで、質量が約 240g。ミッドソールに軽量・高反発・高クッションが特徴のEVA フォームを採用することで、前モデルよりも約30gの軽量化を実現。ラグを5mm 設計にし、グリップ性と操作性も向上しています。

↑「Summit VECTIV Sky 2」2万9700円(税込)

 

最後に紹介する「VECTIV Enduris 4」は、トレランシューズに求められる機能をバランスよく備えた万能モデル。再構築された 3層構造のソールデザインでクッション性と安定性を両立。アウトソールはラグを4mm設計にし、グリップ性も向上。初めてトレランにチャレンジする人にも選びやすい一足です。

↑「VECTIV Enduris 4」2万4200円(税込)

 

今回の「VECITV 3.0」コレクションの登場に併せて、2025年3月16日より、東京高尾山の麓の施設「Mt.TAKAO BASE CAMP」にてレンタルサービスがスタート。VECTIV 3.0 の最新3モデルの履き比べのほか、25年春夏より登場する「HST Fume 6」をはじめとするバックパックを高尾のフィールドで試すことができます。

 

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3月15日にニューバランス国内初のランニングコンセプトストア「ニューバランス Run Hub代々木公園」をオープン!

ニューバランスジャパンが、3月15日に代々木公園C地区に国内初となるランニングのコンセプトストア「ニューバランスRun Hub 代々木公園」をオープン!

 

ニューバランスRun Hub 代々木公園は、東京のランニングシーンを肌で感じながら、様々なランナーと交流することができる新たなオフィシャルストアです。ニューバランス最新のランニングシューズやアパレル、限定ランニングアイテムなど充実したラインナップを取りそろえ、ニューバランスならではの店頭サービスである3Dスキャンによる足の計測、フィッティングサービスはもちろん、シューフィッター、ニューバランスの社内資格を取得したランニングスペシャリストをはじめとするスタッフがランニングを楽しむユーザーをサポートします。

 

ランニングコミュニティとのつながりを強化し、ランナーやコミュニティをつなげるハブスポットとしてのカフェも常設し、ランニングやフィットネスなど店舗内外で定期的にイベントも開催。ランニングや体を動かすことを通じて、ユーザーのライフスタイルをより充実させるさまざまな体験を提供します。

 

ニューバランスRun Hub代々木公園では、ランニングコンセプトストアならではのユニークな商品を展開します。ランニングに特化したアイテムを中心に取り揃え、新商品の発売に合わせて、海外や国内のマラソン大会の限定アイテムなども取りそろえます。

 

■店舗情報

ニューバランスRun Hub代々木公園(New Balance Run Hub Yoyogi Park)

住所:東京都渋谷区神南1丁目1番12階

営業時間:11:00~19:00

※イベント、季節により変更あり。以下はオープニングイベントのため営業時間が変更となります。

3/15(土)13:00~19:00
3/17(月)13:00~19:00
3/23(日)9:00~19:00

 

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アディダス「SUPERNOVA」シリーズ刷新! 初心者からベテランまで、自分に合うランニングシューズを選べる

アディダス ジャパンは1月17日、ランニングシリーズ「SUPERNOVA(スーパーノヴァ)」シリーズの新モデルを一斉に発表しました。同日から順次販売開始予定です。

 

記事のポイント

エントリー向けから軽量モデルまで、幅広いラインナップを揃えるSUPERNOVAシリーズの最新世代が登場しました。いずれも普段使いに適したバランスで快適性やクッション性が整えられているため、毎日のランニングを楽しみたいランナーにおすすめです。

 

SUPERNOVAシリーズは、日常のランニングを心地よく楽しむのに適する「走り心地」に注目したシューズ。

 

定番モデル「SUPERNOVA RISE 2(スーパーノヴァ ライズ 2)」、安定性に特化した「SUPERNOVA SOLUTION 2(スーパーノヴァ ソリューション 2)」、クッション性と安定性のバランスがとれたエントリーモデル「SUPERNOVA STRIDE 2(スーパーノヴァ ストライド 2)」、軽量モデル「SUPERNOVA COMFORTGLIDE(スーパーノヴァ コンフォートグライド)」など、計4モデルが一斉にアップデートされました。

↑SUPERNOVA RISE 2

 

↑SUPERNOVA SOLUTION 2

 

↑SUPERNOVA STRIDE 2

 

↑SUPERNOVA COMFORTGLIDE

 

いずれも前モデルの方向性を継承しつつ、アッパー、ミッドソール、アウトソールといった各部の機能性を向上させているのが特徴です。

 

たとえば「SUPERNOVA RISE 2」は、アッパーのサンドイッチメッシュ素材の構造を刷新し、通気性とフィット感を向上させることで柔らかな足当たりを実現。厚みを増したヒールクッションや、履き口周りのパーツへのソフトな素材を採用することなどにより快適性を向上させているほか、ミッドソールには新たに開発されたフォーム素材「DREAMSTRIKE+」を使用しています。

 

価格は「SUPERNOVA RISE 2」が1万5400円(税込)、「SUPERNOVA SOLUTION 2」が1万5400円(税込)、「SUPERNOVA STRIDE 2」が1万3200円(税込)、「SUPERNOVA COMFORTGLIDE」が1万4300円(税込)です。

 

アディダス
SUPERNOVA RISE 2
市場想定価格:1万5400円(税込)

アディダスから、エントリーランナー向けランニングシューズ登場! 「ADIZERO DURAMO SPEED 2」

エービーシー・マートは、アディダスのランニングシリーズ「ADIZERO(アディゼロ)」の新モデル「ADIZERO DURAMO SPEED(アディゼロ デュラモ スピード) 2」を全国のABC-MART、ABC-MART公式オンラインストアで1月9日に販売開始しました。

記事のポイント

お正月明けということもあって、「今年こそランニングを習慣化したい……」なんて人は多いのでは。「ADIZERO DURAMO SPEED」シリーズは、そんな人におすすめの鉄板エントリー向けランニングシューズ。今回の最新モデルでは各部の機能性をアップデートし、柔軟性や通気性が向上しているそうです。

 

快適な履き心地でランナーの足をサポートするなど、エントリーランナーにおすすめのランニングシューズ「ADIZERO DURAMO SPEED」シリーズの新作。前モデルから、アッパー、ミッドソール、アウトソールなどの機能性をアップデートしています。

 

アッパーには、軽量で柔軟性の高いエンジニアード・メッシュを採用し、通気性とサポート性を向上。ミッドソールには、フルレングスのLIGHT STRIKE(ライトストライク)ミッドソールを採用し、前モデルよりも更に高い柔軟性を持ちながら、優れたクッション性を実現しました。加えて、軽量で優れた耐久性を持つアウトソールが、さまざまな路面環境でも安定した走行を実現するとしています。

↑「ADIZERO DURAMO SPEED 2M」

 

男性向けの「ADIZERO DURAMO SPEED 2M」は、24.5~29cm(0.5cm刻み)、30cmモデルを用意。カラーはFTWR/CORE/LUCI、CORE/FTWR/GREY、CORE/LUCI/TEAMの3パターン展開で、価格はいずれも9900円。

↑「ADIZERO DURAMO SPEED 2W」

 

女性向けの「ADIZERO DURAMO SPEED 2W」は、22.5~25cm(0.5cm刻み)モデルを用意。カラーはCRYS/ZERO/HI-R、CORE/FLAS/LUCIの2パターン展開で、価格はいずれも9900円です。

 

アディダス
ADIZERO DURAMO SPEED 2
市場想定価格:9900円(税込)

「ビギナーはハイテクを選んではダメ」ランシュー初心者が知るべき4つの条件とオススメモデルをプロが伝授!

箱根駅伝やニューイヤー駅伝の影響もあり、巷でもハイテクランニングシューズは話題となっているが、これから走り始めようとしているランニング初心者はそういったシューズを選ぶべきではない。本稿ではランニング初心者が選ぶべきシューズを5モデル紹介する。

 

ビギナーが選ぶべきシューズの特徴とは?

1.着地衝撃吸収性に優れていること

歩行時の脚部にかかる衝撃は体重の1.2~1.5倍程度なのに対し、ランニング時のそれは体重の3倍程度といわれている。それだけに脚力の充分でないランニング初心者が選ぶべきシューズは着地衝撃吸収性、すなわち優れたクッション性を持っていることが不可欠。

 

2.安定性に優れていること

上級者向けシューズは着地してから素早く蹴り出せるように、安定性はそれほど重視しされていない。その点、初心者は着地にぐらつきが感あるとケガや故障の原因となるので、安定性に優れたシューズを選びたい。

 

3.足にフィットしたシューズを選ぶこと

幅が広い、甲が高い、踵が狭いなど、人間の足の形状は千差万別。それだけに足とシューズのフィットはとても重要なので、購入するときは必ず試し履きをしたほうがいい。一部のモデルは足長だけでなく、ワイドタイプなどできるので適したものを選ぼう。

 

4.適度な反発性があること

ランニング初心者にとって最も重要なのは脚部の保護性能だが、それだけを重視したシューズで走っていると、ランニングの楽しさを感じられないのも事実。保護性能にプラスして適度な反発性能も備えたシューズのほうがモチベーションをキープできる。

 

ビギナーが履くべきシューズはコレ!

【その1】トータルバランスに優れたお買い得な1足

アディダス

スーパーノヴァ ライズ

1万5400円(税込)

日本のランニングシーンにおいて、アディダスのランニングシューズで真っ先に想起されるのは「アディゼロ」シリーズで間違いないであろう。一方で初心者にとってアディゼロシリーズはハイスペック過ぎるところもあったが、「スーパーノヴァ ライズ」は、クッション性、安定性、反発性の絶妙なハーモニーにより、ビギナーから中級のランナーまであらゆるレベルのランナーに対応してくれる。

 

ミッドソールには、新フォーム素材のDREAMSTRIKE+(ドリームストライクプラス)を採用。これはアディダスのハイパフォーマンスシューズに採用されているLIGHTSTRIKE PRO(ライトストライク プロ)にインスパイアされ、さらなるアップデートを施して開発された素材で、より効率的に着地衝撃を緩和できるようになった。加えて、アウトソールにEVA素材の「サポート ロッド システム」を組み込んでいるのも大きな特徴。これはランニング中の足の動きから着想されたテクノロジーで、高いサポート性と着地から蹴りだしまでのスムーズな体重移動を絶妙に両立している。

 

個人的にもアディダスのスーパーノヴァ ライズは2024年に最も履いた回数の多いランニングシューズのひとつ。トータルバランスに優れた1足なので、何度履いて走っても飽きがこなかった。1万5400円(税込)というリーズナブルなプライスもうれしい。

 

【その2】前作譲りの優れた走行性能に安定性をプラス

ニューバランス

フレッシュフォーム エックス 1080 v14

1万9800円(税込)

ニューバランスの1080シリーズは、初代モデルが2011年に登場して以来、同ブランドを代表するランニングシューズのひとつとなった。着地時に脚が極端に内側に倒れ込むことのないニュートラルランナーに向くモデル。前作「フレッシュフォーム エックス 1080 v13」は、柔らかいミッドソールを採用することにより、フワフワした走行感で大ヒットした。

 

大ヒット映画の続編が期待外れに終わることも少なくないが、今作はどうなのか……? 「フレッシュフォーム エックス 1080 v14」は、そんな不安を払拭するような完成度。単一フォームに凸凹のハニカム構造を融合させ、フレッシュフォームのミッドソールの硬度が上がったことで、特に着地安定性が大幅にアップ。前作はミッドソールの柔軟性を強調するために、中級以上のランナーからは「もう少し安定性があれば……」という声も聞かれたが、カチっとした着地安定性を提供することに成功しており、実際に履いたシリアスランナーからの評価も高い。ビギナーで特にクッション性と安定性を求めるランナーには特にオススメしたい1足だ。

 

【その3】昔ながらのベーシックな走り心地が嬉しい

ブルックス

ゴースト16

1万7600円(税込)

各ブランドがランナーを効率よく、楽に走らせるための機能競争をエスカレートさせることにより「最近のランニングシューズは目新しい機能を付けすぎて自分の足で走っている気がしない!」という声を聞くようになった。そのような状況で、いい意味で昔ながらの走り心地をキープしているのが、ブルックスの「ゴースト16」だ。ゴーストは、ブルックスというブランドのみならず、ランニングシューズ業界全体でもベストセラーの一角を占めるほどの人気シリーズ。あらゆるレベル、様々なタイプのランナーに対応してくれる汎用性の高さでも知られている。

 

第16弾となる今作は、ミッドソール素材に液化窒素ガスを混ぜ、臨界発泡させて成型したミッドソール素材「DNALOFT v3」を採用。これまでの同シリーズよりもソフトな走行感にアップデートされているほか、同シリーズ特有のバランスの取れた走り心地はしっかりとキープされている。一方、ミッドソールの硬度は柔らかくなったが、無駄な沈み込みはないので、安定性はしっかりと確保。最近トレンドのフワフワとした感触のシューズもいいが、初心者には走りの基本を習得しやすいゴースト16のようなトラディショナルなモデルもオススメだ。

 

【その4】シーズン毎に機能性アップを続けるロングセラー

ミズノ

ウエーブライダー28

1万6500円(税込)

ランニングシューズ業界でも屈指のロングセラーとなっているのが、ミズノのウエーブライダー。第28弾モデルは、ミッドソールをボリュームアップかつ硬度を柔らかくすることで、クッション性を強調した走り心地となっている。ミッドソールはMIZUNO ENERZYとMIZUNO ENERZY NXTを組み合わせることで、前作より反発性が15%、クッション性を20%向上させることに成功。それでいてウエーブプレートがミッドソールに内蔵されていることで、走行安定性も疎かになっていない。

 

以前からウエーブライダーを履いてきたランナーからすると、「ウエーブライダーなのに随分とボリューミーになったなぁ……」と思うかもしれないが、ウエーブライダーらしさはしっかりとキープしている。軽量性を追求することで「一昔前のランニングシューズと比較すると、どのブランドのシューズもアウトソールやミッドソールの耐久性が落ちたのでは⁉︎」という声を聞くことも増えたが、このウエーブライダー28の耐久性は心配なし。そういった意味では1足のシューズで、できる限り長い期間走りたいというランナーにも最適なセレクトとなるだろう。

 

【その5】長い距離を楽に走りたいランナーに最適

ヨネックス

カーボンクルーズXR

1万9800円(税込)

ヨネックスといえばバドミントンやテニスのイメージが強く、「ランニングシューズを展開しているの⁉︎」と驚く人も少なくないだろう。しかしながら、最近リリースされたプロダクトは、多くのランナーから支持され、その走行性能が評価されている。

 

今秋リリースされた「カーボンクルーズXR」もそのひとつ。ミッドソールにヨネックス独自開発の衝撃吸収反発素材「パワークッション プラス」を内蔵。ミッドソールの厚さが40mm以上という厚底クッション設計により、高い保護性能を実現するとともに、フラット形状のカーボンプレート「3Dパワーカーボン」を組み合わせ、筋肉負担軽減と優れた走行安定性を実現している。超厚底ながら安定性もしっかり確保しており、クッションによる高反発を好み、デイリーランやフルマラソンを思い切りエンジョイしたいというランナーに最適な1足。その快適な走行感により、ランナーに「いつまでも走っていられる!」と思わせるプロダクトとなっている。

 

ラケットスポーツで培ったカーボン加工技術をランニングシューズにも応用したカーボンクルーズ XR。初心者のランニングを、より一層楽しいものとしてくれるのは間違いない。

 

 

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今年は攻めたな! 駅伝選手が「毎年楽しみ」と語るナイキ「EKIDEN PACK」の新作が炎をまとって登場

ナイキは、駅伝からインスピレーションを得たデザインの「EKIDEN PACK」コレクションのシューズ4種を発表。10年以上続く本コレクションとなる新作は、駅伝が誕生して間もない頃のストーリーをインスピレーションした“炎”のデザインを採用した斬新なデザインとなっています。また、発表会では現役の駅伝ランナーによるトークセッションも行われました。

 

選手を照らした“伝説の炎”が再び足元に

毎年1月2・3日に行われる“正月の風物詩”箱根駅伝。第1回大会は大正9年(1920年)、1月ではなく、2月14日と15日の2日間で行なわれました。往路がスタートしたのは午後1時だったため、途中ですっかり日は暮れ、小田原中学徒歩部の生徒が松明(たいまつ)を持って、各ランナーを伴走しました。その松明の炎からインスピレーションを得たファイヤーパターンのグラフィックが、今回のEKIDEN PACKでは取り入れられています。

 

今回登場したEKIDEN PACKは「アルファフライ3」「ヴェイパーフライ3」「ズームフライ6」「ライバルフライ4」の4モデル。レース本番用から日々のトレーニング用まで、幅広いレベルのランナーの要望に応え、サポートできるラインナップになっています。

↑「それぞれのデザインのディテールと、アップデートされた『ズームフライ』と『ライバルフライ』は少し深めにお話します」と登壇したナイキジャパンの太田氏

 

「炎のデザインは、2002年に発売された『エア ストリーク スペクトラム プラス』にも取り入れられたものになります。日本の駅伝ランナーの意見を聞いてデザインされ、長く続くストリーク シリーズの一足ですけれど、ナイキのなかでも伝説的なモデルとして知られている一足でもあります」(太田氏)

 

ランニングの常識を変えた「アルファフライ」

アルファフライ3は今回の「EKIDEN PACK」最大の特徴であるファイヤーパターンをアッパーに纏います。ミッドソールにも、炎をイメージしたグラデーションが採用されているのがポイントです。

↑「ナイキ アルファフライ 3 プレミアム」3万9655円(税込)。ランニングの常識を変えた「アルファフライ」モデルを引き継ぎ、デザインを変更

 

また、シュータン部分には、エア ストリーク スペクトラム プラスでも採用されていた漢字で“戦(いくさ)”、戦うという文字が入る、日本由来のストーリーが色濃く反映されたデザインとなっています。ヒール部分にも、左足に“駅”、右足に“伝”と、それぞれ駅伝の文字が施されています。

↑左足のヒール部分には“駅”。シュータンには“戦”の文字が施されている

 

さまざまな歴史を打ち立ててきた「ヴェイパーフライ」

ヴェイパーフライ3も、ファイヤーパターングラフィックとミッドソールのグラデーションパターンのデザインがインパクト大。インソールも同様に、中敷にはブランディングとファイヤーパターンが施されています。

↑「ナイキ ヴェイパーフライ 3」3万7730円(税込)

 

シューズ自体の特徴としては、シュータンに配した軽いパッドが、シューレースによる足の甲の圧迫感を軽減しています。また、アウトソールの薄型ラバーを改良し、耐久性を損なうことなく素材使用量を削減し、厚みを抑えて軽量化。足裏のZoomXフォームはミリ単位で増量し、より滑らかな体重移動を実現させたランニングシューズになっています。

↑ヒールには「アルファフライ3」と同様に“駅伝”の文字

 

より軽く、より速く進化した「ズームフライ6」

ズームフライ6はナイキ最高のクッショニングのテクノロジーと、カーボンプレートのイノベーションを盛り込み、ランナーの練習の質の向上や自己ベスト達成をサポート。トレーニングからレーシングまで幅広く使えるハイブリッドなシューズとして、タフなロングランやテンポ走といったレースに向けた練習から、レース本番まで幅広く対応します。

↑「ナイキ ズームフライ 6 プレミアム」1万9800円(税込)。トレーニングだけでなく、レース当日にも対応する

 

また、「ズームフライ5」と同じズームXフォームとキャリアフォームの2層構造ながら、キャリアフォームが覆うように全体をカバーする上下の2層構造に変更。これによりズームXフォームの割合を増やし、キャリアフォームの割合は少し減らして、より軽量化を実現するとともに反発性の向上も実現しました。

 

さらに、ズームフライ6では、よりレースに近いライド感を出すためにヴェイパーフライ3と同じ形状のプレートを使用。スーパートレーナーとして適した硬さにプレートが調整されています。また、ヴェイパーフライ3と同じ形状のカーボンプレートですが、トレーニングでも快適に使えるように高さが調整されたプレートが採用されています。

 

ランナーがレースシューズに求める要素とトレーニング用のシューズに求める要素、それぞれを最大限に掛け合わせることが重要ということから、アッパーは軽さを保ちながらも長時間履いても快適で柔らかい素材のアッパーを採用しました。

↑2層構造のメッシュを採用し、通気性と耐久性を損なうことなく、靴下のような快適さも提供

 

部活生のためにアップデートした「ライバルフライ4」

最新のライバルフライ4は、前足部にZoom Airを搭載することで鋭い蹴り出しと安定した反発力を実現し、クシュロン 3.0フォームも前バージョンより柔軟性と反発性が向上。Zoom Airはナイキ独自のエアーテクノロジーで、エアと繊維が中に入ったエアバッグに上から圧力がかかることで、この中の繊維がたわみ、そして元に戻る力を活用して優れた反発力を生み出します。他の高反発なミッドソールのフォーム素材と違って、非常に長持ちし、薄くて接地感があるのも特徴です。

↑「ナイキ ライバルフライ 4 」1万1550円(税込)。イノベーションと価格の観点から部活生に人気のシリーズ

 

今までのライバルフライシリーズは、アルファフライやヴェイパーフライのような最速のレーシングモデルとは、デザインの印象が異なるモデルでした。しかし、今回のライバルフライ4では、より最速のレーシングシューズを彷彿させるような速さが感じられるデザインに仕上げられています。

↑中足部に搭載された丈夫なプラスチックパーツにより、前モデルよりも素早く反発力のある体重移動が可能に

 

シューズへの思い、駅伝への思い

発表会の後には、現役の駅伝ランナーによるトークショーが始まり、東洋大学の石田洸介選手、東海大学の兵藤ジュダ選手、中央大学の柴田大地選手、駒澤大学の桑田駿介選手が登壇。最新のEKIDEN PACKの印象や今後の意気込みを語ってくれました。

↑右から、駒澤大学の桑田選手、中央大学の柴田選手、東海大学の兵藤選手、東洋大学の石田選手

 

――最新の「EKIDEN PACK」の印象は?

「毎年シューズのデザインが楽しみで、このシューズを履いて早く走りたいです」石田選手

「炎を基調としたデザインが非常にモチベーションも上がりそう」兵藤選手

「特別なシリーズなので、頑張ろうっていう気持ちのモチベーションになります」柴田選手

「今年は今までいない奇抜なデザインで、すごいやる気を出させてくれます」桑田選手

 

駅伝とともに風物詩となっているナイキのEKIDEN PACK。彼らは新春にどんな走りを見せてくれるのか、そのときにはシューズにも注目してみましょう。そして、彼らの炎のような燃える思いが共有できるEKIDEN PACKのシューズで履いて走れば、ランをより楽しむことができるかもしれません。

 

 

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ブレない、ズレない。ランシューの世界的名作、ニューバランス「1080」は14代目で何が変わった?

ニューバランスジャパンは、全世界で人気のロングセラーモデル、Fresh Foam Xファミリーの最新モデル「Fresh Foam X 1080(フレッシュフォームエックス テンエイティー)v14」を発表しました。Fresh Foamはクッション性をコンセプトに2011年に初代が誕生。以降、毎年進化を続け、今作の14代目は、ブレない重心移動と安定したライド感、踵周りと甲周りのフィット感の向上を実現しました。

 

誕生から13年。常に進化し続ける「1080」シリーズ

2011年に極端な足の倒れ込みの心配がないニュートラル着地のランナーに向け、クッション性の高いタイプのシューズとして開発された「1080」。アメリカ市場を中心に全世界で評価を得ている同シリーズは、2016年にミッドソールに「Fresh Foam」を採用したことで大きな変革期を迎えました。

 

当時の一般的なソールテクノロジーは、例えば、土踏まずをサポートするためにプラスチック素材が使われるなど、ミッドソールにいろいろなパーツを組み合わせることで安定感を出していた時代でした。それをニューバランスはFresh Foamという素材を開発したことにより、一つの素材だけで、クッション性と安定性を実現できるようになりました。

↑発表会場では歴代の1080も展示。13年にわたる進化の変遷を辿ることができた

 

そして2020年にFresh Foamから、さらにクッション性、反発性を増したミッドソール「Fresh Foam X」へと進化しました。より楽しく、より快適に走れるクッション性と2層構造による安定性を兼ね備えたモデルとして、トップアスリートのコンディション作りやリカバリー、日々のランニングからウォーキングまで、あらゆるレベルのランナーの様々な目的の足元を支えています。現在は「Run your way.」という「トップアスリートから初心者まで、走っていればランナーだ」というコンセプトのもと、これから走ってみようという人や、ウォーキングを始める人も含め、より多くの人に履いてもらえるモデルとなっています。

↑発表会に参加したランニングコミュニティの方々に、「v14」のアップデートのポイントを紹介するニューバランスジャパン マーケティング部PR&デジタル課の高橋政仁氏

 

Fresh Foam X 1080の14代目として発表された本シューズは、定評のあるクッショニングはそのままに、走行安定性が格段に向上しました。衝撃吸収性に優れたミッドソールFresh Foam Xに、走行安定性に重点を置いてサイドウォールを改良し、アウトソール構造を一新してぶれない重心移動と屈曲を提供。革新的なデザインと軽量性・通気性に優れたメッシュアッパーなどにより、ランニングから普段使いまで幅広いシーンで活躍するシューズとなっています。

↑様々なアップデートにより、さらに進化したFresh Foam X 1080v14。ニューバランス公式オンラインストアおよび一部のニューバランスオフィシャルストアにて発売中。価格は1万9800円(税込)

 

蹴り出し時に重心を中心にガイドすることでブレを軽減

接地時の踵からの重心移動に注目し、「v13」に比べて重心が中心に集まる設計にデザインを一新しました。優れた屈曲性はそのままに、蹴り出し時にもっとも負担のかかる前足部のラバー形状を改良、接地面積も増大させ、よりスムーズに着地しやすい構造にアップデート。踵部外側には「N durance」を搭載し耐久性も考慮しています。

↑踵での着地から蹴り出す前足部に向けガイドを設置することで重心移動がぶれにくくなる

 

「着地をしたときに、足が外側や内側に傾きがちな人がいますが、アウトソールのこのガイドを使うことで、まっすぐに走れるように体重移動をサポートします。履いていただくと足の運びがしやすく、歩きやすさ、走りやすさを実感いただけます」(ニューバランスジャパン マーケティング部PR&デジタル課マネージャー 小澤真琴氏)

 

約2倍にせり上がったサイドウォールが踵をホールド

ランニングシューズのなかで、もっともシューズの性格が出るのがミッドソール。Fresh Foam Xの厚みは前作と変わらないものの、前作と比べてサイドウォールが約2倍の高さに。これによって包み込まれるような踵周りのフィット感を実現し、高低差の少ないドロップ構造のアウトソールとの相乗効果で安定したライド感を提供します。

 

「ソール外側の凹凸もFresh Foamの特徴。以前は六角形の形状で内側と外側で凹凸を変え、安定性とクッション性をもたらしていましたが、今作はデザインと位置を変化させています」(小澤氏)

↑前作に比べてサイドウォールを高く設定することで踵をしっかりホールドする

 

↑外から見たときにソールの厚みが増したように見えるが、サイドウォールが高くなっただけでソール自体の厚みは前作と変わらない

 

アッパーの甲部を二重構造にすることで通気性とフィット感が向上

環境に配慮したリサイクル素材のエンジニアードメッシュアッパーは、軽量化と通気性が向上しています。特に熱を持ちやすい甲周りのデザインを改善したことで、確かなフィット感を実現しました。

 

「外側のニットの下に、薄いメッシュが張ってあり、空気を含むような離れ方をしているので通気性だけでなく、中のメッシュが足を抑えることでフィット感もさらに良くなっています」(小澤氏)

↑甲の上のメッシュ部分は、中にもう1枚メッシュが張られた二重構造になっている

 

普段使いも考慮したカラーとうれしいワイドタイプ

カラーラインナップはメインのネイビーを含め、メンズは全6色、ウィメンズは全5色にて展開。メンズにはソール部分も同色のオールブラックが用意されているので、普段使いでも抵抗なく履くことができます。前作は大きめのNロゴを配したことで良好なセールスを記録したので、今回も大きめのNロゴに。さらには、ニューバランスのスニーカーのなかでも人気カラー、グレーもラインナップしています。

 

「Fresh Foam X 1080v14はスピード走行、ゆっくり走行に対応できるシューズです。日常のウォーキングにもおすすめできるタイプなので、さまざまなシーンで使っていただける一足になります。前作とコンセプトは同じですが、より走りやすい、より歩きやすいというところが進化しているので、気に入っていただける方が増えるのではないかと期待しています」(小澤氏)

↑メンズのカラーバリエーションは全6色。当日は会場のカフェに合わせてコーヒー豆の袋でもカラーを演出

 

 

一方で、幅(ワイズ)もカラーによってはやや細い、標準、幅広と甲の周りが選べる3種類を用意。それは、日本人に多い「甲高だんびろ」にも対応するためです。甲高はシューレース(紐)で調整できますが、幅に関しては革靴のように足の形状に馴染んで伸びていくようなことがないので、幅がきつい場合はシューズのサイズを上げるしかありませんでした。そうすると、足と屈曲部を適合させているシューズ設計がうまく活かせない場合があります。実際、サイズが合わないシューズを履いていると、足の怪我やマメにつながったり、走りにくかったりするので、まずは自分の正しい足のサイズを知ってほしいそうです。

 

「ニューバランスのランニングシューズの場合は、複数の幅を選べるのが特徴。直営店では3Dスキャンを用意しており、足を計測させていただいて、それをもとにジャストフィットのシューズだったり、どの形が合うか、どのサイズが合うかというのを、スタッフがアドバイスさせていただきます。実際、自分の足の形やサイズをよく知らない方が多いので、お店で自分の足の形状を測り、フィッティング体験をするとすごく感激される方もいます。ですから、フィッティングはぜひやっていただけたらと思います」(小澤氏)

↑ネイビーはやや細い(D)、標準(2E)、幅広(4E)の3タイプから選べる

 

ジャストサイズのシューズは、走りやすさも変わり、疲れやすさも変わってきます。ぜひ一度、ニューバランスの直営店に足を運び、フィッティングを試してみてはいかがでしょうか。走る楽しみがさらに広がるかもしれませんよ。

 

 

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ランニングシーンだけでなく普段履きでもイケる!ニューバランスのランニングショーツ「RCショーツ」

普段のランニングやトレーニングはもちろん、日常でも使いたくなる動きやすさと快適さを追求したランニングショーツ「RCショーツ」よりニューカラーが順次登場します。

 

選べるレングスと豊富なカラーバリエーションを用意

RCショーツは、レーザーホールパンチングを施した4WAYストレッチ素材を採用することで、優れた通気性と軽量性を実現。外出しのウエスト紐、リフレクトロゴも搭載しています。

 

縫い目の少ないシームレス構造のインナーブリーフは、通気性とサポート性に優れているので、ストレスのない快適なランニングを実現。

↑通気性とサポート性に優れたインナーブリーフ

 

伸縮性に優れた4WAYストレッチが効いた素材を採用することで動きやすく、パンチング加工によって通気性と軽量性がアップ。

↑軽量で動きやすい4WAYストレッチ素材

 

ランニング中に安定感をもたらす設計に改良された背面外側のジッパーポケットにはスマホが収納可能。内側にはレース時の栄養補給用のジェルや小物などが収納できるドロップインポケットを2つ装備。

↑背面外側にはジップポケットを装備

 

↑ランナーそれぞれのニーズや好みに合わせて、メンズは3、5、7 インチを、ウィメンズは3、5 インチのレングスを豊富なカラーバリエーションで展開

 

↑「RCショーツ 3インチ(シームレスインナーブリーフ付き)」7590円(税込)

 

↑「RCショーツ 5インチ(シームレスインナーブリーフ付き)」7590円(税込)

 

↑「RCショーツ 7インチ(シームレスインナーブリーフ付き)」7590円(税込)

 

↑2024年夏より展開するニューカラーは、メンズ、ウィメンズそれぞれ鮮やかなカラーバリエーションにてラインナップに加わります

 

RCショーツは、ニューバランス公式オンラインストア、ニューバランスオフィシャルストア、一部のニューバランスお取り扱い店舗にて販売します。

 

 

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ナイキ ランニングのペガサスシリーズに、新たな顔!「ナイキ ペガサス プラス」

ナイキ ランニングのペガサスシリーズに、軽さと反発性に優れた「ナイキ ペガサス プラス」が登場します。

 

改良や革新を続けるペガサスシリーズ!

ペガサス プラスは、「ペガサス ターボ」から着想を受けながら、シューズのイノベーションを進化させたものです。ペガサスシリーズは信頼できるフィットと反発性のあるクッショニングで評価されていますが、ペガサス プラスもこの系統を受け継いでいます。フライニットのアッパーはあらゆるランでもしっかりと快適に足をサポートさせつつ、ニットのデザインに組み込んだ通気孔が通気性を確保します。

↑「ナイキ ペガサス プラス」1万9800円(税込)

 

ペガサス ターボのミッドソールは2つのフォームを組み合わせていましたが、ペガサス プラスはフルレングスのズーム X フォームを用いています。ズーム Xはナイキでも最軽量かつ最も反発性に優れたフォームで、これまでのペガサス ターボと比べても最も高いエネルギーリターンを実現します。

↑ナイキランニングの伝統的なワッフルソールをベースにしたパターンのラバーアウトソールが、ほとんどの路面において優れたトラクションを提供

 

ペガサス プラスのシュータンの端からアウトソールには、ターボシリーズから引き継がれたレーシングストライプが伸びています。ヒール部分には視認性を高めるリフレクターとペガサスの名前にちなんだ翼のマークが施されています。

 

ナイキ ペガサス プラスは8月8日からナイキメンバー先行で、その後、8月15日よりNIKEアプリ、NIKE.COM、NIKE 直営店やその他ナイキ販売店で発売予定です。

 

 

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スイスイ走れるOnの新作ランシュー「Cloudsurfer Next」

スイスのスポーツブランド「On(オン)」は、汎用性が高く軽快なライド感の新作ランニングシューズ「Cloudsurfer Next(クラウドサーファー ネクスト)」が登場。

 

ランニング初心者にもおすすめな一足ですぞ

本作は、Onの主要なパフォーマンスランニングモデルのひとつである「Cloudgo (クラウドゴー)」のミッドソールを、 CloudTec Phaseにアップグレード。インラインモデルの「Cloudsurfer (クラウドサーファー)」よりもさらに滑らかで 汎用性が高く、「あなたも、スイスイ走れる」をコンセプトに、普段のランニングをよりスムーズに感じられ、ランニング初心者にもおすすめな一足です。

↑On「Cloudsurfer Next」1万8700円(税込)

 

クッション性と軽快なライド感が特徴のCloudTec Phaseと、前足部の特徴的なロッカー構造が力強い蹴り出しをサポート。また、足全体を優しく包み込むようにフィットするアッパーは、しっかりと足をホールドし、快適性が持続するプ レミアムな履き心地です。

↑エンジニアードメッシュアッパーは軽量で通気性に優れ、OnのレーシングモデルCloudboomシリーズから着想を得て設計

 

快適な履き心地と推進力で、毎日のランニングに最適なCloudsurfer Nextは、8月1日から全国の取扱店舗とOnのオフィシャルオンラインショップ、およびOn Tokyoにて発売します。また、同日からワイドモデル 「Cloudsurfer Next Wide」も展開。

 

 

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普段使いからロングランまでサポートする。ニューバランス「Fresh Foam X 860」がv14にアップデート

ニューバランスは、安定性とスムーズなライド感を実現するEVAボード搭載のスタビリティモデル「Fresh Foam X (フレッシュフォーム エックス)860 v14」を発売。

 

2層構造のミッドソールに、新しくEVA BOARDを搭載

フレッシュフォーム エックス860 v14は、軽さと適度な反発のある2層構造のFresh Foamミッドソールを採用し、全体的な軽量化とスムーズなライド感を実現。アウトソールはFresh Foam X 1080にも使われている新しいデザインを採用しています。走行データに基づき、接地から蹴り出しまで安定した足運びをサポート。新たに搭載したEVAボードが面で支える安定感を発揮し、縦構造のアウトソールの形状と相まって、左右の過度な屈曲を抑制しながら、前への安定した走行をアシストします。

↑「Fresh Foam X 860 v14」1万6500円(税込)

 

【メンズ用カラーラインナップ】

 

フレッシュフォーム エックス860 v14は、ニューバランス公式オンラインストア、一部のニューバランスオフィシャルストアにて販売中です。

 

 

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これは画期的だ! Teva初のトレイルランニングサンダル「Aventrail」

今年40周年を迎えたTeva(テバ)は、スポーツサンダルのカテゴリーを超え、新たなテクノロジーで再定義したTeva初の画期的なトレイルランニングサンダル「Aventrail(アベントレイル)」を、6月11日より発売します。

 

Aventrailは、「Feel The Wind Through Your Toes–つま先で、風を感じよう–」をコンセプトに、Tevaの“自然を楽しむ”というフィロソフィーに基づき、長い距離や悪路でも“自然を楽しみながら、自由に走れるランニングサンダル”として開発されました。トレイルランニングにおいて最高のランニング体験を提供するために、サンダルとシューズ間に生じるギャップを埋め、パフォーマンス性、反応性、クッション性、快適性、スタイルのすべてを1つにした革新的なモデルです。

↑「Aventrail」。メンズ、ウィメンズ共に各2色展開、価格は2万900円(税込)。重量約337g(27cm)

 

柔らかなエンジニアードニットアッパーが通気性と起伏の多い地形でも前足部の安定性を提供し、新たに開発したWストラッピングシステムにより足全体がしっかりと固定され、フィット感を自在に調整可能です。優れた反発性とクッション性を発揮するHYPER-COMFテクノロジーと耐久性とグリップ力に優れたTevaオリジナルのSPIDER RUBBERアウトソールにより、下り坂でも十分なサポートを提供。内蔵されたナイロンプレートは推進力を安定させ、ねじれを補正。力強い走りとアップヒルでの加速を叶えます。ランニングシューズよりも足を覆う部分が少なく、前足部に自由な感覚や開放感をもたらします。ランナーの好みに応じて、ソックスを履いても裸足でも快適に使用可能。

 

 

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アディダス「SUPERNOVA」シリーズに、新シューズ「SUPERNOVA PRIMA」がラインナップ!

アディダス ジャパンは、走ることを楽しむための「心地よさ」を提供するランニングシリーズ「SUPERNOVA(スーパーノヴァ)」より、次世代クッション素材「DREAMSTRIKE+(ドリームストライクプラス)」をアディダス ランニングシューズ史上最大量搭載し、優れた快適性とサポート性を両立した新たなモデル「SUPERNOVA PRIMA(スーパーノヴァ プリマ)」を発売。

 

ランニングの快適性とサポートを両立!

アディダスはSUPERNOVAを昨年12月に大幅刷新し、長年に渡るパフォーマンスシューズの知見と先進的テクノロジーを組み込みながら、幅広いレベルのランナーが日々のランで気軽に使える新シリーズとして発売を開始しました。そして今回、レベルアップを目指すランナーに向けたモデル、SUPERNOVA PRIMAが新たにラインナップ。

↑「SUPERNOVA PRIMA」1万9800円(税込)

 

本モデルでは、高機能ランニングシリーズ「ADIZERO(アディゼロ)」に搭載されたミッドソール素材「LIGHTSTRIKE PRO(ライトストライク プロ)」をヒントに開発された次世代クッション素材「DREAMSTRIKE+(ドリームストライクプラス)」を「SUPERNOVA RISE」よりも 13%増量(※)。つま先からかかとまでフルレングスで配置されたDREAMSTRIKE+フォームが、前足部の強い蹴り出しを叶えるとともに、毎日のランニングにこれまで体感したことがない走り心地と快適さを提供します。

※:SUPERNOVA RISEにおけるDREAMSTRIKE+搭載体積量との比較

 

人間工学に基づき設計された革新的なLIGHTTRAXIONアウトソールが、ミッドフットとフォアフットの動きをサポート。軽い履き心地とたしかなグリップ力が持続します。従来のSUPERNOVAシリーズのシューズよりも、幅広のサポートロッドを搭載し、さらに安定した着地を実感できます。

 

柔らかなフォームとソフトなテキスタイル素材が、かかとを包み込むように優しくサポート。

 

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アディダスのランシュー「ADIZERO SL」にアップデートモデルが登場! 日々のジョグに軽さを求めるなら打ってつけ

アディダス ジャパンは、1秒でも速いベストタイムを目指して走るランナーのためのランニングシリーズ「ADIZERO(アディゼロ)」より、優れた軽量性と安定性を両立させたトレーニング用ジョグに適したランニングシューズ「ADIZERO SL 2(アディゼロ エスエル ツー)」を2024年6月1日に発売。

 

トップアスリートのペース走から、シリアスランナーの日々のジョグ練習まで幅広く

アディダスは、2022年12月の発売以来、「ADIZERO」のなかでもあらゆるシーンで使用可能なランニングシューズとして、幅広いレベルのランナーから高い支持を受けてきた「ADIZERO SL」を今回大幅刷新し、「ADIZERO SL 2」として新たに発表。足への負担を軽減する軽量設計と、反発を効率的に推進力に変えるミッドソールで、トップアスリートのペース走や、フルマラソンで自己ベストを目指すランナーの日々のジョグを支えます。

↑「ADIZERO SL 2」1万4300円(税込)。重量(27.0cm):232g

 

 

ミッドソールには、今まで前足部のみに採用されていた「LIGHTSTRIKE PRO(ライトストライク プロ)」を、つま先からかかとまでフルレングスで配置。クッション性、反発性、弾力性、軽量性など全てをハイレベルで実現した低密度高反発素材を全面に配置することで、優れた軽量性はそのままに、安定した着地と、よりスムーズな前方推進やペースアップを実現しています。

 

またアッパーには「ENGINEERED MONO MESH(エンジニアード モノ メッシュ)」素材を新たに採用し、柔らかく足を包み込む優れたフィット性と高いサポート性を提供。

 

そしてアウトソールに搭載された「ADIWEAR RUBBER(アディウェア ラバー)」は、その高いグリップ性と耐摩耗性で、何度も繰り返されるジョグ練習やペース走でも、安定したパフォーマンスを発揮できるようサポートします。

 

 

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ミズノの「スムーズ スピード プロジェクト」はステージ2へ突入。ジョグに注力したニューモデル「MIZUNO NEO VISTA」を発表

ミズノが2022年から始めている「SMOOTH SPEED PROJECT(スムーズ スピード プロジェクト)」はステージ2へ。「ジョグこそがスピードを生み出す」をコンセプトに、6月14日11時より発売されるジョグやスピード練習に適したニューモデル「MIZUNO NEO VISTA(ミズノ ネオ ビスタ)」が発表されました。

 

ゼロベースで「スムーズなランニングとは何か」を追求するプロジェクト 

1906年に創業者の水野利八氏が大阪で水野兄弟商店を始めてから、110年を超える長い歴史の中で数多くのプロダクト、テクノロジーを開発してきたミズノは、2022年より「スムーズ スピード プロジェクト」を推進しています。それは「スムーズなランニングとは何か」を考え、既成概念にとらわれずゼロベースですべてやる、いいことがあったら全部取り入れる、そんなプロジェクトです。

 

2022年にはプロジェクトの第1号商品として、フルマラソンではなく、ハーフのショートディスタンスで圧倒的な力を発揮するプロトタイプ「WAVE DUEL PRO(ウエーブ デュエル プロ)」を発表しました。以降、「デュエル プロ」をフルマラソンまでアップデートした「WAVE REBELLION PRO(ウエーブリベリオン プロ)」。2024年には、よりスピーディにアップデートチューニングした「WAVE REBELLION PRO 2(ウエーブ リベリオン プロ 2)」が発表されました。

 

「REACH BEYOND」のフィロソフィーの元、気合と愛情で突き進む

「『リベリオン プロ』が中心にあるスーパーシューズの開発はステージ1。このステージはどんどん続いていきますが、もう一つ新たな動きをします。それがレースシューズ開発で培った革新をデイリーランニングに持ち込む、それこそ今日のメインプロダクトとなるジョグにこだわった新モデルMIZUNO NEO VISTAです」と、今回の発表会で力強く語ったのは、シューズ企画担当の青井俊輔氏です。

↑自宅にはミズノのシューズ400足以上を所有する“ミズノ愛”に溢れる青井氏

 

ミズノのフィロソフィーには「REACH BEYOND」があります。これは「絶対に立ち止まらない。満足しない。とにかく次に進み続ける」という精神のもと、全社員が気合とミズノへの愛を持って「スムーズ スピード プロジェクト」を突き進めています。

 

「この2年少しの間にさまざまなプロダクトを出してきましたが、どれも非常に良好なセールスを記録しています。その間に我々は、2つのことをしてきました。素材の改革、それから構造の改革です」(青井氏)

↑なかでもスムーズな走りを生む底面構造は特許を取得、他社は決して真似ができない

 

素材では、これまで「Mizuno Enerzy(ミズノ エナジー)」という柔らかく、高反発な素材をランニングシューズに採用していましたが、今回はクッション性、E-リターン(高反発)、そしてライトネス(軽量性)の3つの重要な要素をバランス良く合わせ持った新素材「Mizuno Enerzy nxt(ミズノ エナジー ネクスト)」が採用されています。

 

また、この素材をソール全面に単に使うだけではなく、超大ボリュームで今回搭載しました。その厚みは前足部36.5ミリ、後足部にいたっては44.5ミリ。大ボリュームで新素材を使うことで、柔らかくて脚にかかる負担を軽減し、さらにエナジーリターンが強くて反発、推進力を感じることができます。

 

このことにより、以前発売されたシューズ「Wave Neo Ultra(ウエーブ ネオ ウルトラ)」と比較すると,クッション性でかかとが54%増、そして前足部が83%増し、柔軟な接地で脚にかかる負担を軽減します。

↑前足部では同社比83%もの負担を軽減。大ボリュームでも素材は軽量で片足265g(27.0cm)と軽量化も成功

 

また、2層構造のソールの間には、1997年にトタン屋根の波型から着想し開発され、同社の定番中の定番シューズ「WAVE RIDER(ウエーブ ライダー)」に28年間もの間に渡って採用されている「MIZUNO WAVE(ミズノ ウエーブ)」の改良版を搭載することで、高い安定性も実現しました。

↑前に進む推進力の指標となるエナジーリターンは後足部で35%、前足部が60%アップしている

 

他社の追随を許さない革新的な特許構造

革新的な素材の開発に続いて、他社では絶対に真似ができない同社独自の機能が、特許を取得している特徴的な底面構造、「SMOOTH SPEED ASSIST(スムーズ スピード アシスト)」です。

 

「『ウエーブ リベリオン プロ』から受け継いだこの構造は特許を取得しています。この特許構造がもうズバリ、楽に走れちゃう。これだけはもう他社さんがどんなに頑張っても特許で守られていて真似できない。我々独自のポイントになります」(青井氏)

 

ソールの支え台構造が、スムーズな走りを生み出す脚の角度維持をサポートします。その仕組みをシーソーに例えています。「スムーズ スピード アシスト」が搭載されているシューズは、足関節の回転運動における支点と作用点の距離、これを短くすることができます。短くすると力点にかかる力、これを低減させることができます。これが、マラソンディスタンスにおけるすべての歩数の中で発生してくるがゆえに、下腿三頭筋の伸張性収縮の一般的な指標とされる「底屈トルクの負の仕事」を低減することができるのです。

↑特許を取っている底面構造により、走行時常に最適な角度を維持することで、体重移動をサポート

 

「リベリオン プロ」では履いた時のシューズの中での足の角度は11度となっています。これは時速20キロ、マラソンでキロ3分ぐらいで走る高速ランナーに最適な立地の角度でした。今回の「ネオ ビスタ」が標準としたのは時速12キロ。キロ5分で走る際に理想的に支えることができる角度を追求した結果、5度に設定されています。

↑「リベリオン プロ」(左)はしっかりかかとが上がっているのが特徴。今回の「ネオ ビスタ」とは見た目にも大きく違う

 

「ふくらはぎがめちゃめちゃ楽になる。トレーニングで最後まで脚を残すことができ、ハードなトレーニングをして、また次の日もそれをこなすことができる。そういったところに繋がってくる機能になります」(青井氏)

 

箱根10区を区間賞で走るパワーを持ったホールド感 

アッパーには「WAVE DUEL NEO(ウエーブ デュエル ネオ)」で採用されたワンピースニット構造が採用されています。これは2020年の箱根駅伝10区、創価大学の島津雄大選手が区間賞を獲得した時に履いていたシューズとしても知られています。

 

「非常にしなやかでありながら高いホールド感。箱根10区を区間賞で走るパワーを持ったこのホールド感を生かしながら、デイリーランニングにも生かせるようによりしなやかに柔らかく開発。そして通気性を高める、履きやすくする、さまざまな改良を加えて今回のニットアッパーにたどり着きました」(青井氏)

 

現在はGMOインターネットグループで活躍する島津選手は「ネオ ビスタ」の開発にも携わっており、今回は動画メッセージが紹介されました、

↑「キロ6分ぐらいのジョグから、ハイペースの3分30ぐらいのレース走まで、幅広く使っています」と島津選手

 

「普段の練習だったり、ちょっと負荷を高めて少しハイペースで走ろうと思うときにも役立ちます。パーソナルでフルマラソンに出る方もいると思いますが、そういう場合でも『スムーズ スピード アシスト』がサポートしてくれて、結構スピードも出しやすいシューズだと思います。もちろんクッション性も優れているので、足の負荷という点も軽減できます。なので、練習からレースまで履くことを考えると市民ランナー、一般ランナーの方におすすめしたいシューズ」と、ネオ ビスタをどのような人にすすめたいかを語りました。

 

デイリーランナーからエリートランナーまで幅広く対応。次なるステージは……

ネオ ビスタはランを楽しむデイリーランナー(サブ5.0~/1キロあたり約7秒)、記録向上を目指すランナー(サブ3.0~4.0/1キロあたり約4秒15~5秒45)、さらにはエリートランナー(~サブ2.5/1キロあたり約3秒30)まで、幅広い層に対応しています。

↑メンズのほかに、ウィメンズ、ユニセックス(写真)の3モデル。価格はどれも2万2000円(税込)

 

「『ミズノ ネオ ビスタ』のネオは『新しい』、ビスタは『眺望』を意味します。見たことない景色を一人でも多くのランナーの方に、このシューズを通じて見られるかもしれない。実際に見ていただきたい。我々ミズノ自身も新しい世代にどんどん生まれ変わっていきます。そして『ミズノネオ』は単発では終わりません」(青井氏)

↑ステージ2に入った「スムーズ スピード プロジェクト」はさらに次のステージも用意されている

 

「ステージ1はスーパーシューズ、ステージ2ではスーパートレーナーを作りました。では次はなんだ? やはりステージ3があるんです。デイリートレーナーをここに持ち込んでいきます。近いうちにこのネオ ビスタの機能を持った、もう少しお買い求めやすい価格で、よりさまざまな方に使っていただけるモデルがどんどん出てくるので、ぜひ期待をしていただけたらと思います」(青井氏)

 

「ミズノ愛」と「REACH BEYOND」の元、次はどのような革新を見せてくれるのでしょうか。今後の「スムーズ スピード プロジェクト」からも目が離せません。

 

 

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スポーツウェアの廃棄物削減を目的とした、Onの循環型プログラム「Cyclon」に新作が登場

スイスのスポーツブランド「On(オン)」 は、スポーツウェアの廃棄物削減を目的とした循環型プログラム「Cyclon(サイクロン)」に2つの新作モデル 「Cloudrise Cyclon(クラウドライズ サイクロン)」と「Cloudeasy Cyclon(クラウドイージー サイクロン)」が、2024年5月21日より加わることを発表。

 

日常のランニングとジムや普段使いに適したシューズ

Onは、2022年に世界初のリサイクル可能なランニングシューズ「Cloudneo(クラウドネオ)」を発表し、世界中のランナーへサブスクリプションサービスを通じて提供しています。本サービスに登録しているランナーは、約6か月ごとに新しいシューズを受け取り、履き古したシューズをOnへ返送することで、回収したシューズの素材がリサイクルされ、廃棄物削減に貢献することができます。

 

今回発表した、Cloudrise Cyclonは、現在発売中のパフォーマンス・ランニングシューズCloudneoと同様、2種類の高品質で高性能なポリアミドから設計されています。アッパー部分は90%がトウゴマから作られた植物由来の素材(PA11)、ソール部分には同じく30%以上が植物由来の素材(Pebax)が使われており、リサイクルが可能になってい ます。また、2層構造のCloudTecでクッション性に優れ、アッパーは様々な足型に合う幅広のフィット感が特徴になっており、ニュートラルな走り心地で日々のランニングシーンで活躍する一足です。

↑「Cloudrise Cyclon」月額3380円(税込)

 

Cloudeasy Cyclonは、リサイクル可能なだけでなく、新たなアッパー素材が採用されています。Onは、この素材開発のために、リサイクルPETプラスチックとポリエステル繊維の技術革新で世界をリードするLoop Industries社と提携。シューズ業界で、このLoop Industries社の技術を使用した製品を発表する初の企業となります。

 

アッパーはこのInfinite Loop技術によって、100%リサイクル・ポリエステル繊維の糸で作られています。繊維から繊維の循環を可能にするLoop PETの開発により、ポリエステル繊維の廃棄物を再び新しいシューズのアッパーに使用することが可能となります。そして、シューズのソールには、ISCC PLUS認証を受けたEVAを採用し、その半分は廃油から作られた植物由来の原材料から作られています。また、ハーフのSpeedboardが安定したライド感をもたらし、ジムなどでのトレーニングシーンや、普段使いにぴったりの一足となっています。

↑「Cloudeasy Cyclon」月額3380円(税込)

 

日常のランニングに適したCloudrise Cyclon、ジムや普段使いに適したCloudeasy Cyclonは、5月21日からオフィシャルオンラインショップより申し込み可能です。

 

 

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アシックスが高機能ランニングシューズ「NIMBUS MIRAI」を発売。シューズリサイクル3つの問題点を解決へ

アシックスは、シューズに使われている材料を容易に分別し、リサイクルできるようにしたランニングシューズ「NIMBUS MIRAI(ニンバスミライ)」を4月12日から発売開始しました。これに先立ち行われた発表記者会見では、商品情報や開発背景について語りました。

 

シューズリサイクルの3つの問題点を解決するNIMBUS MIRAI

商品名の「NIMBUS」はラテン語で「雲」を意味し、アシックスではランニングシューズの最高峰ブランド「GEL-NIMBUS(ゲルニンバス)」に由来します。「MIRAI」には、“持続可能な世界が当たり前となるべく、次世代のランナーと一緒に考えて行きたい”という思いを込めて名付けられました。

 

NIMBUS MIRAIは、シューズの各部位にリサイクル素材を採用し、アシックスを代表するクッション性を重視した高機能モデルとして開発されました。従来と同等の品質や性能を保ちながら、廃棄時にシューズの回収サービスを設け、環境保全への意識改善に取り組む方針です。

↑ユニセックスランニングシューズ「NIMBUS MIRAI」2万2000円(税込)

 

↑ミッドソールには、軽量でやわらかく、跳ねるように反発するFF BLAST PLUSの機能性はそのまま。約24%に植物由来材を使用し、さらに環境に配慮された新たなフォーム材「FF BLAST PLUS ECO」を採用

 

フットウエア生産統括部マテリアル部⻑の上福元史隆氏は、開発経緯について「シューズは世界で年間約239億足が生産されているが、そのうちの使用済みシューズ95%以上がリサイクルされず埋め立てられるか焼却処分になる」というデータを紹介しました。その理由に「アッパーとソールを分離できないこと」、「シューズのアッパーは複合素材でできていること」、「回収とリサイクルできる環境が整っていないこと」の3つの主な理由を挙げ、「NIMBUS MIRAIは、サステナブルと高い機能性を両立させた最上位シューズである」と説明。また開発期間には約3年7か月を要したことを明かしました。

 

これら3つの問題を解決すべく、まず取り組んだのはアッパーとソールが分解可能な接着剤の独自開発です。「使用時に従来と同等の接着強度を保ちつつ、熱を加えれば簡単に剥がせるようにしたことで容易に分別してリサイクルすることができます」と上福元氏は語ります。

↑NIMBUS MIRAI開発責任者 フットウエア生産統括部マテリアル部⻑の上福元史隆氏

 

素材について、パフォーマンスランニングフットウェア統括部デザイン部の安藤良泰氏は、「通常数十種類あるアッパー素材は本体、補強部、ハトメなども全てポリエステル系繊維の単一素材でできており、そのうち75%以上が再生ポリエステルを使用しています。素材を単一にすることでパーツ分解の作業を削減し、高い精度で再生が可能になる」と説明しました。

↑デザイン担当者 パフォーマンスランニングフットウェア統括部デザイン部の安藤良泰氏

 

また、素材にポリエステルを選んだ理由について、上福元氏は「アパレル素材として使われるポリエステルはリサイクルのスキームが整っていることから、シューズでも同じようなリサイクルのループが実現できるのではないかと考えた」ことがきっかけであると話しました。

 

回収されたシューズのアッパー部分は、新たなシューズに生まれ変わり、ミッドソールとアウトソール部分は玉砕処理後、マットやパネルなどの素材の一部にリサイクルされる予定です。

 

シューズ回収に参加し、ともにサーキュラーの実現へ

安藤氏は最も重要な点として、「ランナーの皆さまに履き終わったシューズの回収活動に参加していただくことです」と、顧客を巻き込んだ参加型のサステナビリティであることをポイントに挙げました。

 

足の甲部分にあたるシュータンかシューズボックスに施されたQRコードを読み込むと、回収方法が記載された特設サイトにアクセスできます。オンラインで受付することができ、シューズを回収するスムーズな環境も整っています。

↑シュータンに施されたQRコードを活用し、シューズを回収。ともにサーキュラーの実現へ

 

↑アッパーやアウトソール、ミッドソールなどを容易に分解してリサイクルすることができる

 

上福元氏は、「特殊な材料を使うなど、どうしても高くなる部分がある」としたうえで、「継続的に販売し、規模を拡大していくことが重要。これまで困難と言われてきた、使用済みシューズを資源に戻すアクションを、お客さまと一緒に始動したい」と語りました。

 

サーキュラー実現に向け、継続的かつ様々な角度からサステナビリティに取り組む

↑(左から)サステナビリティ部⻑の井上聖子氏、フットウエア生産統括部マテリアル部⻑の上福元史隆氏、パフォーマンスランニングフットウェア統括部デザイン部の安藤良泰氏、サーキュラーエコノミー研究家の安居昭博氏

 

開発にあたり、アシックスの開発チームは、日本で初めて“ゼロ・ウェイスト(ごみゼロ)”宣言をし、独自のリサイクルの仕組みを取り入れている徳島県上勝町を訪問しました。

 

安藤氏は「町内でリサイクル出来ていない20%の内訳にシューズが含まれていると知り、廃棄を考慮して作られていないシューズ産業の現状を改めて感じた。開発段階からリサイクルを意識することが重要です」と当初を回想。開発のプロジェクトを進めるにあたり、上勝町の訪問が大きかったことを明かしました。

↑NIMBUS MIRAIの部材

 

デザインについて安藤氏は次のようにコメントしています。「サーキュラリティを意味する円や、リサイクルのループのストーリーを手書き風デザインで描くことで、お客様と親しみを持ってコミュニケーションをしたいという想いが一体となり、このループを完成させたいという意味を込めました。カラーは真っ白ではなく、あえてポリエステル素材そのものの色を生かした生成色を採用しています」。

 

また、上福元氏は「機能性・デザイン性は崩さず、“ニンバス”の名に恥じないというところから進めた。『サステナブルな商品だから使う』というのも重要だと思うが、お客さまには快適さやデザイン性、機能性をメインに選んでもらえたら嬉しい。『自分が好きだから』、『自分が履きたいから』というところでまず入っていただき、それでなおかつサステナブルにも気を遣っている商品だということを感じてほしい」と話しました。

 

サステナビリティ部長の井上聖子氏は、「ネットゼロ(温室効果ガス排出量ゼロ)」に向けて、循環型ビジネスへの転換が必要不可欠と考えています。サーキュラーを実現するためにNIMBUS MIRAIは重要なマイルストーンになります。自社の製品材料が『次の製品に循環されること』、『製品の品質・機能性とサステナビリティの両方を追求すること』、『お客様と一緒にアクションを取っていくこと』」を挙げ、NIMBUS MIRAIを通じてさらに取り組みを活性化させていくことを宣言しました。

↑サステナビリティ部長の井上聖子氏

 

また、発表会にゲストとして登壇したサーキュラーエコノミー研究家の安居昭博氏は、アシックスの取り組みについて「商品開発の段階からリサイクルを見据えるサーキュラーエコノミーに取り組むことは、これから異業種にも広がっていくのではないかと思う。特に自社独自の接着剤の開発はシューズ産業のみならず、建築や電化製品といった他分野でも大きなステップになると思う」とコメントしました。

 

NIMBUS MIRAIは、アシックスラン東京丸の内、アシックスフラッグシップ原宿、アシックスストア大阪、アシックスオンラインストアにて発売中です。

 

 

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発売日が待ち遠しい! ナイキの新ランニングシューズ「ナイキ ペガサス 41」

ナイキ(NIKE)は、新ランニングシューズ「ナイキ ペガサス 41」を発表しました。

 

ランナーにさらなるエネルギーリターンをもたらす

ナイキ ペガサス 41 には、ナイキ リア クト X フォームのフルレングス ミッドソールが新たに搭載され、前作のペガサス 40のナイキ リアクト フォームと比較して13%以上のエネルギーリターンを提供します。リアクト X フォームの導入により、反発性と安定性が向上するだけでなく、従来のリアクト フォームと比較して、製造工程におけるエネルギー使用量の削減により、ミッドソールを製造する際の二酸化炭素排出量を一足あたり少なくとも43%削減するよう設計されています。また、ペガサス 41には、前足部と踵部にエア ズーム ユニットを搭載し、クッショニングシステムを完成させています。

 

アッパーにはエンジニアード メッシュを採用し、前モデルよりも軽量で通気性が向上し、快適性が高められています。シューズ のダイナミック ミッドフット フィットシステムは、シューレースと中足部内側のバンドを直接連動させて、足全体を包括的にサポート。ナイキのイノベーションのスーパーサイクルとナイキ独自のエアが生み出したペガサス 41は、アスリートの声を聞き、それに応えるナイキの力を形にしたものです。

↑「ナイキ ペガサス 41」

 

2024年のペガサス シリーズには、「ナイキ ペガサス イージーオン」、「ナイキ ペガサス トレイル 5」、「ナイキ ペガサス トレイル GORE-TEX」、「ナイキ ペガサス 41 GORE-TEX」など、あらゆるニーズ、能力、地形に対応するモデルが展開されます。例えば、ペガサス イージーオンはあらゆるアスリートのためにデザインされており、アスリートがシューズを簡単に履いたり脱いだりできるように踵が折れ曲がり、レースにはトグルを使ったシステムを採用しています。

↑「ナイキ ペガサス イージーオン」

 

ペガサス41のボルト カラーは、NIKE.COMや一部のナイキ販売店にて6月上旬に発売予定で、ブループリント カラーは今夏発売予定です。

↑「ナイキ ペガサス 41 “ボルト カラー”」

 

 

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初めてのランニングシューズとして最適解だな!プーマの新作「Velocity NITRO 3」を履いて走ってみた感想

プーマの新ランニングシューズ「ヴェロシティ ニトロ 3(Velocity NITRO 3)」の発売に伴い行われた、都内を走る“ランセッション”「PUMA NITRO NIGHT RUN」に編集部員・野田が参加してきました。

 

スムーズな履き心地と最適なクッショニングを提供

まずは、青山学院大学が箱根駅伝で初優勝した2015年と、大会三連覇を達成した17年大会でも優勝のゴールテープを切った、プーマ ジャパン商品企画本部・安藤悠哉氏からヴェロシティ ニトロ 3の商品説明がありました。「プーマは最近、特にランニングへ力を入れています。今回はプロダクトの心地よい柔らかさとブレない履き心地を体感してもらえればと思います」とのこと。

↑プーマ ジャパン商品企画本部・安藤氏

 

ヴェロシティ ニトロ 3は、競技ランナーのジョグシューズからエントリーランナーのマラソンシューズまで、あらゆるランナーが弾む走りを体験できるシューズです。爆発的な速さを提供するプーマ独自の革新的なテクノロジー「ニトロフォーム(NITROFOAM)」と、硬クッションで安定性の高い「プロフォームライト(PROFOAMLITE)」を組み合わせたソールが特徴のノンプレートランニングシューズを採用。

↑「ヴェロシティ ニトロ 3」1万4300円(税込)。かかと〜つま先の高低差 (ドロップ)は8mm

 

これまでのモデルに比べニトロフォームを2ミリ増量することにより、クッション性と安定性を兼ね備えています。

↑クッショニングとライド感を提供するニトロフォーム。プロフォームライトと呼ばれるEVAミッドソールフォームは、安定性と耐久性を提供する2層構造

 

↑アウトソールは、「PUMAGRIP(プーマグリップ)」を搭載し、耐久性の高いラバーを使用。走っている時に見える足裏の色使いもグッド!

 

ランセッションにて程よい厚底感を体験

『ヴェロシティ ニトロ』シリーズの3代目の履き心地は、実際どうなのか? PUMA NITRO NIGHT RUNにてそれを体験してみました。大勢の参加者の中からチーム分けされ、私はYoutuberのたむじょーさんのチーム。まだまだ肌寒い夜、東京・南青山から代々木公園あたり(片道約1.3km)までを往復して走りました。

 

足を入れてみると、一体型のガセットタンとオーソドックスなエンジニアードメッシュアッパーという組み合わせですけど、フィット感は非常に高いと感じました。アッパーにはパワーテープ(PWRTAPE)が搭載されていて、これが補強と軽さを両立しています。蛍光色を使用したサイケデリックなカラーリングも特徴ですね。

↑最初に履くと「ソールがちょっと薄いな」って感じる人もいるかもしれませんが、走ると印象が変わります

 

重量は285g(片足27cm)ということ。走ってみるとそれよりも軽く感じました。カーボンプレート非搭載なので、カーボンプレート系のシューズが苦手というランナーにも良いでしょう。それぐらいの走力のランナーにも十分対応できる機能が備わっていると思います。

↑一体型のガセットタンで足との一体感を高めます。シュータンにはヴェロシティ ニトロ 3のロゴが

 

かかとで接地した時にクッションを感じやすいフィーリングですけど、“ブレない厚底”というように、どんな接地でもしっかり受け止めてくれる安定感がありますよね。

↑後日、雨の日でも走ってみましたが、アウトソールに搭載されているプーマグリップの力は問題なし

 

当日着用したのは、「ランニング用ウーブンジャケット」、「ランニング用6インチショーツ」。ジャケットは、背中にベンチレーション加工が施されているので、風通しがよく、体から発する熱を逃がしてくれます。ショーツの後面には、小物や貴重品を入れるのには便利なジップポケット付き。両アイテムに共通して言えることは、着用しているのかな?と思うほど、かなりの軽量ということ! これからの季節にはちょうどいいランニングウェアでした。

↑「ランニング用ウーブンジャケット」1万1000円(税込)、「ランニング用6インチショーツ」6600円(税込)

 

1万4300円(税込)という価格は、比較的リーズナブルなので魅力的です。プーマのシューズが気になる方は、まずこのシューズから試してみてはいかがでしょうか。とくに初心者には、初めてのランニングシューズとしておすすめと感じました。

 

 

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いつものランも、日々の鍛錬も、特別なレースまで。ニューバランス「FuelCell Rebel v4」

ニューバランスジャパンは、反発弾性に優れたFuelCellシリーズの中でも、弾むような推進力でランナーをスピードランへの誘う「FuelCell Rebel (フューエルセル レベル)」より、新作のv4を発売。

 

スピード走行を快適にサポート!

スピード走行を支える軽量性・反発性がコンセプトのFuelCell Rebelは、新たにミッドソールにPEBA配合のFuelCellを採用、さらなる軽量化に加え、反発弾性が向上。前作v3と比較し、前足部のフィット感を改善し、より転がる感覚・足抜けを意識した形状にアップデート。さらに、FANTOMFIT構造のアッパーが、よりストレスフリーな履き心地を実現。いつものランも、日々の鍛錬も、特別なレースまで、スピード走行を快適にサポートします。

↑「FuelCell Rebel v4」1万6500円(税込)※メンズ

 

走行時における伸縮具合を考慮したData to Designコンセプトのもと編み込まれたエンジニアードメッシュを採用。

↑前作v3と比較し、前足部のつまり感が解消し、さらにFAMTOM FIT構造により、たしかなFit感とストレスフリーな履き心地を実現

 

前作v3と比較し、より反発性のあるPEBA配合のFuelCellコンパウンドを採用し、中足部から前足部にかけて、より転がる感覚、足抜けを意識した設計形状に。

↑さらなる軽量化に加え、反発弾性が向上し、スピード走行にも最適に

 

前足部にソリッドラバーを、踵部にN duranceを採用。Data to Designは中足部から前足部の足抜けと屈曲時の反発性を意識した設計に。

↑新しいラバー配置と、滑りにくい意匠はあらゆるスピードにも対応する安定感と反発をアシスト

 

FuelCell Rebel v4はニューバランス公式オンラインストア、ニューバランスオフィシャルストア、その他ニューバランス取扱店舗にて販売スタート。

 

FuelCell Rebel v4の発売に合わせて、記録にチャレンジする人、自分のペースで楽しむ人、すべてのランナーを尊重し、それぞれの走りを応援する想いを込めて、3月11日AM 10:00~4月21日PM 23:59までの期間、「New Balance Running TRY ON CAMPAIGN(トライオンキャンペーン)」を開催。キャンペーン期間中に対象商品を対象店舗にて購入し、シューズに満足できなかった場合、商品代金の返金と返品時の送料が無料となるキャンペーンです。

 

 

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HOKAから新作の厚底ランニングシューズが登場! アスリート向けとエントリー向けの2モデルを新開発

パフォーマンスフットウェアおよびアパレルブランド、HOKA(ホカ)から新作ランニングシューズ「CIELO X1(シエロ エックス1)」と「SKYWARD X(スカイワード エックス)」が登場。3月1日に行われたプレス向けイベント「FLY LAB EXPERIENCE」にて、新製品の説明と特別ゲストHOKAアンバサダーの柏原竜二さん、HOKAアスリートの鎧坂哲哉選手、三代目J SOUL BROTHERSの山下健二郎さんらによるトークセッションが行われました。

 

速く走るためだけの機能性を搭載した「CIELO X1」

CIELO X1は、強力な推進力を発揮する本格アスリート向けのロードレーシングシューズ。新開発のエンジニアードニットアッパーに、反発性に優れた2層の「PEBAミッドソールフォーム」やランナーを前進させるよう設計されたミッドソール構造「MetaRocker」を採用しました。さらに、ウィング形状にアップグレードした「カーボンファイバープレート」や非対称の「アクティブフットフレーム」など純粋に速く走るための機能を搭載し、トップスピードで走る際の安定性を保ち、ダイナミックなランをサポートする要素が取り入れられています。

↑スピード性を重視し、本格ランナー向けに開発されたCIELO X1のシューズ構造

 

 

 

↑ブルーを基調に緑のグラデーションをあしらったCIELO X1のEvening sky/Lettuceカラーと、レッドを基調に黄をあしらった新色Cerise/Solar Flareカラーの2色展開。各3万8500円(税込)

 

かつてないクッショニング性を体感できる「SKYWARD X」

一方でSKYWARD Xは、あらゆるランナーの走りをサポートするロードランニングシューズとして開発。リサイクルポリエステルを使用したフラットニットアッパーに、ソフトで反発性の高い「PEBAフォーム」や「カーボンファイバープレート」、安定性を向上させた「スーパークリティカルEVAフレーム」など、画期的なクッション性とスムーズな走り心地を体感することができます。CIELO X1に対し、エントリーランナーからレースで完走を目指すランナーまで、幅広い方に対応する1足として開発されました。

↑エントリーからシティランナーまで幅広く対応し、普段履きにも最適なSKYWARD Xのシューズ構造

 

↑ホワイトを基調に青と赤をあしらったSKYWARD Xのメンズカラーと、同じくホワイトを基調に黄と赤をあしらったウィメンズカラーの2色展開。各3万5200円(税込)

 

HOKAマーチャンダイジング スペシャリストの大庭貴士氏は、「CIELO X1は、トップレベルの記録を狙う選手に向けて開発されました。ソールに『PEBAフォーム』やウィング形状の『カーボンファイバープレート』を用いる事で、スピードのある走りに大切な反発性と推進力を向上させました。さらに、アウトソールの戦略的なラバーや足をしっかりとホールドするニットアッパーを採用することで、力を横に逃がす事なく前への推進力を得ることができるシューズとなっています」と、同商品の利点を解説。

 

またSKYWARD Xについては、「どんなランナーにも相応しいモデルとして“いかにラクで楽しく、長く走ってもらえるか”という点にフォーカスして開発しました。サスペンションシステムや、凸型のカーボンファイバープレートを採用した最新構造が、滑らかな推進力と高いクッション性を体現いただけると思います。用途は両極端であるものの、これらをHOKAの最新テクノロジーとして提案することで、より多くのお客様に満足してもらえると思います」とコメントしました。

↑CIELO X1の構造を説明するHOKAマーチャンダイジング スペシャリストの大庭貴士氏

 

HOKAアスリート鎧坂選手と宮下選手が語る「CIELO X1」の魅力

同イベントには、HOKAアンバサダーの柏原竜二さんとHOKAアスリートの鎧坂哲哉選手、宮下隼人選手が登壇し、トークセッションを実施。CIELO X1の着用感について、鎧塚選手は「最初に着用した時は、履きこなせるかどうか心配になるくらいクッション性があり、新感覚な履き心地でした。記録を伸ばしたい時に適したシューズだと思うのでまずはたくさん履いて慣らしていきたいです」とコメントしました。

 

宮下選手は「これまでのシューズと比較してクッション性が抜群に向上したように感じました。練習でも履いていますが、足への負担が少なくマラソンなどの長距離で大きな武器になるのではないかと思います。普段なら失速してしまう後半30キロ以降でも、スピードの落ち込みを軽減できるのかなと感じています」と期待を寄せます。

 

柏原さんは、「地面との接地面が少ない分、つま先に体重が乗りやすくなっているのでまずは使いこなせるか、そして今後は既存シューズとの使い分けも大切になってくると思います。レースではハーフ以上の長距離で力を発揮してくれるのかなと感じています。また普段から着用できるカラーリングやデザインも気に入っています」と第一印象を話しました。

↑左からHOKAアスリートの鎧坂哲哉選手、同じくHOKAアスリートの宮下隼人選手、HOKAアンバサダーの柏原竜二さん

 

また、HOKAのシューズを愛用するスペシャルゲストとして三代目J SOUL BROTHERSの山下健二郎さんと、お笑い芸人のチョコレートプラネットが登壇。アンバサダーを務める柏原竜二さんとともにSKYWARD Xの魅力について語りました。

 

山下さんは「HOKAのシューズはロケ撮影やステージでもよく履いています。このSKYWARD Xはクッション性はもちろんのこと、つま先に体重をかけることで自然と前に進む推進力を感じました。ダンスやパフォーマンスでも使えそうだと感じています。」と、ステップを踏みながらその履き心地の良さを体感しました。

 

チョコレートプラネットの長田さんは「まず軽さにびっくりしました。体感としてはアポロチョコ2粒分くらいの軽さです」と笑いを誘い、「バネがついているかのように跳ねて、自ら前進する感覚があります。足を入れた瞬間から長年履いているようなフィット感があって、思わず走り出したくなる1足です」と話し、松尾さんは「履いていてとにかく軽いし、ホントに疲れにくい。プレゼントやギフトなど友人にもおすすめしたいですね」とコメント。

 

これを受けて、柏原さんは「普段の足元からパフォーマンスシーンまで着用することができると感じました。細部にわたって色々なギミックが組み込まれているので、ぜひ履いて体感してほしいです」とまとめてくれました。

↑左からHOKAアンバサダーの柏原竜二さん、三代目J SOUL BROTHERSの山下健二郎さん、チョコレートプラネットの長田庄平さんと松尾駿さん

 

CIELO X1のEvening sky/Lettuceカラーは2月1日、Cerise/Solar Flareカラーは2月22日、SKYWARD Xは、4月15日からHOKA公式サイトと各店舗で順次発売予定です。

 

 

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アシックスがトップアスリート向けランニングシューズ「METASPEED PARIS」で頂上を目指す!

2019年11月、アシックスはトップアスリートが勝てるシューズを開発すべく「Cプロジェクト」を発足させました。そこで開発された「METASPEED(メタスピード)」シリーズが、パリオリンピックを目前にした今、最強形態となる「METASPEED PARIS(メタスピードパリ)」シリーズとして進化しました。

 

「METASPEED」シリーズの最新作にして最強形態

2020東京オリンピック・パラリンピックに伴って新設された有明アリーナにて、アシックスのトップアスリート向けランニングシューズ最新作の発表会が行われました。アシックスは2019年に社長直轄組織「Cプロジェクト」を発足し、「METASPEED」シリーズを設計しましたが、今回発表された「METASPEED PARIS」はそのシリーズの最新作にして最強形態となっています。発表会では、はじめにミッションのリーダーであるCプロジェクト部長の竹村周平氏から製品開発の背景が語られました。

↑「このシューズを着用し、より多くのアスリートがパーソナルベストを更新できることを願っています」と語る竹村氏

 

「年末年始に行われた各種駅伝大会をご覧になられた方も多いと思いますが、アシックスのシェアは着実に向上し『METASPEED』シリーズを着用した選手が好成績を残しました。本日新たに発表させていただくのがシリーズ最新作、『METASPEED SKY PARIS(メタスピードスカイパリ)』『METASPEED EDGE PARIS(メタスピードエッジパリ)』となります。本商品の開発にあたっては、世界中の100人以上のエリートアスリートとともに、何時間にも及ぶミーティングを通じ、熱い議論を重ね、各部位の形状や機能の向上を進化させました。その結果、さらなる軽量化に加え、反発性やクッション性の向上を実現しました」(竹村氏)

↑ストライド型ランナー向け「METASPEED SKY PARIS」。サイズ:22.5~29.0cm(0.5cm刻み)、30.0cm 価格:2万7500円(税込)

 

↑ピッチ型ランナー向け「METASPEED EDGE PARIS」。サイズ:22.5~29.0cm(0.5cm刻み)、30.0cm 価格:2万7500円(税込)

 

「Cプロジェクト」の“C”は、同社の創業者である鬼塚喜八郎氏の言葉「まず頂上を攻めよ」の“頂上”の頭文字をとっています。METASPEEDシリーズ発表後は多くのアスリートに注目され、測定できるアスリートの数も何倍にも増えたことで集約に苦労したそうです。

 

ここで、METASPEEDシリーズを履いて1月28日の大阪国際女子マラソンで日本記録更新の2時間18分59秒のタイムを出した前田穂南選手から届いたビデオメッセージが紹介されました。ビデオの中で、前田選手は「記録更新をさらにチャレンジしたい」「世界を目指す」と抱負を語りました。

 

竹村氏は前田選手の言葉を受け「私達もまだまだ現状に満足はしていません。足を止めることなく、引き続きアスリートとともに、商品開発を行いながら、頂上を目指していきます」と力強く語りました。

 

シューズがアスリートのスタイルに寄り添う

METASPEEDシリーズは、一歩一歩の歩幅をより伸長させ、早く走ろうとするストライド型と、上下動を少なく抑え、小さなステップを踏むのが特徴のピッチ型の走法の違いに着目し、ランナーが日頃のトレーニングで身につけた走り方を維持しながらパフォーマンスを向上できるよう設計されています。最新作、METASPEED SKY PARISとMETASPEED EDGE PARISの詳細について、Cプロジェクトの立野謙太氏から説明がありました。

↑「METASPEED PARISシリーズがパーソナルベストの更新の良き相棒になれれば大変うれしい」と立野氏

 

「アスリートがシューズに合わせるのではなく、シューズがアスリートのスタイルに寄り添うことで、最大限にパフォーマンスを発揮できることこそが、アシックスのソリューションではないかと考え、2モデルを展開しました」(立野氏)

 

初代のMETASPEEDシリーズは2021年3月に誕生し、その翌年の2022年6月にはより反発性を向上させた「METASPEED +(メタスピードプラス)」シリーズが発売されました。そして2024年、新たに設計されたMETASPEED PARISシリーズのプロダクトコンセプトが姿勢でした。

↑従来のモデルからデザインを一新し、適切な姿勢とキック時の角度をレース中に保ち続けることを追求

 

従来のシューズでは、走行距離が30kmを越えるあたりで疲労により走行姿勢が崩れ、パフォーマンスが低下していました。そこでアシックスが着目したのが、適切な姿勢と、蹴り出し時の角度です。

 

「適切な蹴り出し角度を安定させることで、レース後半の疲労時にも、体が後傾することを防ぎます。この課題をクリアするために、私達はアスリートの声を聞き、議論を重ね、各シューズの部位の形状や機能構造を進化させました」(立野氏)

 

また、METASPEED SKY PARISは、前のモデルより約20g(片足27cm)軽量化。METASPEED EDGE PARISは、前のモデルより約25g(片足27cm)の軽量化を実現しています。

↑前作の「METASPEED SKY+」の約205gからMETASPEED SKY PARISは約185gに。「EDGE +」の約210gからEDGE PARISは約185gへ軽量化

 

また、両モデルとも軽量のクッションフォーム材の中でも優れた反発性を発揮する新素材「FF TURBO PLUS(エフエフターボプラス)」をミッドソール全面に搭載しています。着地と同時に変形、圧縮し、素早く元の形状に戻ることで、跳ね返るような感覚が得られます。

↑前モデルのクッション材「FF TURBO」と比較し約8.0%軽く、反発性を約8.2%、クッション性を約6.0%向上

 

2モデル特有のアップデートポイント

ここで特別ゲストとして、ハーフマラソン合計タイム日本最速の兄弟、兄の太田智樹選手(トヨタ自動車)と弟の直希選手(ヤクルト)がリモート出演。それぞれのモデルについての概要が説明されました。

↑現在アメリカで合宿中の太田智樹選手は、METASPEED PARISのプロモーションムービーにも登場。直希選手は奄美大島からリモートに参加

 

太田智樹選手はMETASPEED EDGE PARISのプロトタイプを着用し、ニューイヤー駅伝では2区で区間賞。直希選手はMETASPEED SKY PARISのプロトタイプ着用し、同駅伝1区で区間賞を取りました。

 

太田直希選手が履いたMETASPEED SKY PARISのアップデートポイントが、大きな反発力を生み出せるように幅を広くしたカーボンプレートの配置です。

 

「カーボンプレートは足に近い位置にフラットに配置し、カーボンプレート全体でフォーム材を圧縮。蹴り出し時の荷重が最も加わりやすい母指球直下を含む関節の部分までエリアの幅を広げることで、より広い面積、広い範囲でフォーム材を圧縮し、高反発を得られる設計にアップデートしました。これにより、前のモデルに比べて約12%の反発領域向上を実現しました」(立野氏)

 

直希選手は「前作より反発性を感じやすく、体が跳ねるような感覚。接地した時の安定感は増したように感じましたし、接地した時にぐらつきとかもなく、とても走りやすかった」と感想を述べました。

 

智樹選手が履いたMETASPEED EDGE PARISアップデートポイントは、ミッドソールの厚みとカーボンプレートの傾斜をつけた配置です。

 

「ミッドソールの前足部を前のモデルよりも約3mm厚くし、反発性を向上。これにより、前のモデルに比べて約20%の反発領域向上の実現となりました。また、つま先に向かって下がるような傾斜をつけてカーボンプレートを配置することで、前方向への推進力を生み出しました」(立野氏)

 

智樹選手は「前作のいいところはすごく伸ばされています。以前だと、つま先の方に走り終わった後ダメージがあったんですけど、今回のレースではなくなっていたのは非常に良かった」と手応えを感じています。

↑足とシューズの一体感、フィット性を追求したアッパーの下には、ストライド型とピッチ型に特化したテクノロジーが詰め込まれている

 

「過去の自分を越える」「自分史上最速」

発表会の最後には、太田兄弟の母校でもある早稲田大学競走部の現役選手も参加したトークショーが行われ、後輩からの悩みに太田兄弟がアドバイスを送りました。

↑先輩からのアドバイスに緊張気味に聞き入る早稲田大学競走部の現役選手(右3人)

 

そして最後に、METASPEED PARISシリーズのキーコピー“挑もう。最速の自分へ。”について、太田兄弟からランナーの皆さんにメッセージをいただきました。

 

「練習や試合できつい部分があると思うけど、自分の目標だったり過去の自分を超えた時の達成感は一番大きいと思うので、ぜひ『METASPEED PARIS』シリーズを履いて昔の自分、過去の自分を超えていってほしい」(太田智樹選手)

 

「ランニングは楽しいことなので、きつい練習などもあるとは思いますが、まずは楽しんでほしい。そして自分の目標を越えられるように、自分の自分史上最速を目指して頑張ってほしい」(太田直希選手)

 

METASPEED PARISシリーズは、3月11日からアシックスオンラインストアで一般発売し、3月21日よりアシックス直営店(一部店舗を除く)、全国のスポーツ用品店でも順次発売されます。

 

“挑もう。最速の自分へ。”。ランナーにとってはレベルの違いはあっても、今日の自分を越えたいという思いは永遠のテーマです。あなたも、お近くのアシックス直営店、全国のスポーツ用品店でMETASPEED PARISシリーズを体感すれば“最速の自分”へのヒントが見つかるかもしれません。

 

 

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ニューバランスが「名古屋ウィメンズマラソン2024」にてリユースプロジェクトを開催

ニューバランスジャパンは、より持続可能な未来への取り組みとして、リユースプロジェクトをスタート。ニューバランス直営店舗での店頭ディスプレイによるダメージや汚れ、ストアスタッフが着用したシューズやアパレルなど、通常は廃棄している製品を、仕分け・クリーニングを施しリユースアイテムとして販売(※)するPOP UP STOREを期間限定でオープンします。

※ブランド主導のリコマースオペレーティングシステム「Retailor(リテーラー)」を提供するFree Standardの協力のもと実施。

 

名古屋ウィメンズマラソン2024でPOP UP STOREをオープン

ニューバランスがシルバースポンサーとして協賛している「名古屋ウィメンズマラソン2024」に際し、同大会開催期間中にニューバランスが名古屋市栄にオープンするコミュニティスペース「Run your way. Park」にPOP UP STOREを併設。ランニングやライフスタイルのアパレル、シューズをラインナップします。

 

ニューバランス直営各ストアスタッフに貸与したユニフォームや、店頭ディスプレイ品を回収し、仕分け・クリーニングし販売可能な製品をリユースアイテムとして販売。今まで廃棄していた製品をリユースアイテムとして販売することで、GHG(温室効果ガス)削減を見込んでいます。

 

名古屋ウィメンズマラソン2024のほかに、「 名古屋シティマラソン2024」、「名古屋ウィメンズホイールチェアマラソン」開催期間中においてもPOP UP STOREを併設します。

 

リユース販売品について。ユーザーショッピングを安心して楽しんでもらうため、全品クリーニングやメンテナンスを施した商品を販売。

 

【洗剤について】環境に配慮した洗剤を使用し、素材に合った正しいクリーニングを行っています。専門工場で1点1点丁寧に、洗浄から仕上げまで行っています。

 

【検品について】安心して買物をしてもらうため、商品の品質には徹底的にこだわっています。今まで愛用されてきた商品を全品クリーニングやメンテナンスを施した商品を販売。

 

【販売商品について】洗濯をしても取れない特殊インクを使って、「RE」スタンプを品表タグに押印しています。※シューズはシュータンの裏のタグに押印。

 

開催日時:2024年3月9日10:00~19:00、3月10日10:00~19:00

場所:TOKYO MERCATO サカエヒロバス

愛知県名古屋市中区栄3丁目5-10

販売商品:ランニング、ライフスタイル、トレーニングカテゴリーのアパレル、シューズ

 

 

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音楽、ランニング、カルチャー、アスリートによる本格的なマラソンコーチングまで。ポップアップスペース「On Energy Hub 」

スイスのスポーツブランド「On(オン)」は、2024年3月1日から3月3日まで、日本橋兜町にて、ポップアップスペース「On Energy Hub (オン エナジー ハブ)」をオープン。

 

3日間を通して様々なコンテンツを用意!

On Energy Hubは、「ランナーがエネルギーを補給するための実験的な空間」をコンセプトに掲げています。開催期間中は、科学的に裏付けられた、ランニングに最適なオリジナルサウンドトラックを聴きながら、Onの最新ランニングシューズやアパレルの試着が可能。その他、開催地である日本橋兜町に出店しているショップとのコラボレーションとして、走った後にはコーヒーを楽しむことができるランニングイベントも開催します。加えて会期中には、2023年からパートナーシップを結んでいる「SUBARU 陸上競技部」を招き、トーク&ランニングセッションも実施。

 

また、ロンドンを拠点に活動する新鋭クリエイティブエージェンシー「ASPEKT (アスペクト)」による写真展も開催します。本展示は “Through Our Lens”と称し、ASPEKTの創設メンバーである3名による写真、映像、そしてサウンドインスタレーション で構成されたランニングとそれを取り巻く文化を表現したもの。3日間を通して、世界中のランナーたちと交流ができる、様々なコンテンツを用意します。

 

音楽、ランニング、カルチャーをテーマにしたエキジビションから、アスリートによる本格的なマラソンコーチングまで、さまざまな角度から「走ること」を堪能することができるポップアップスペースとなっています。

 

【開催期間】2024年3月1日 7:30〜21:30

3月2日 7:30〜20:00

3月3日 9:30〜19:00

【開催場所】景色/Keshiki(東京都中央区日本橋兜町6-5)

■タイムテーブルに関してはコチラ

https://energyhub-tokyo.events.on-running.com/

Onの新作「Cloudmonster 2」。モンスター級のクッショニングと高いエネルギーリターンがアップデート!

スイスのスポーツブランド「On(オン)」を代表するモデル「Cloudmonster(クラウドモンスター)」は、モンスター級のクッショニングと高いエネルギーリターンで人気を得ています。2022年の発売以来、より高いクッション性と反発性、パフォーマンス性をアップデートした新作「Cloudmonster 2」を、2月22日からOnオフィシャルオンラインショップ、On Tokyoおよび全国の取扱店にて発売します。

 

クラウドモンスターファミリーの追加モデル

Cloudmonster 2は、汎用性が非常に高く、あらゆるランナーに向けてより高いパフォーマンスが発揮できるよう、前作に比べてシューズ全体がアップデート。前作よりも軽量で反発性の高いナイロンミックス製のSpeedboardが搭載され、アッパーにはリサイクルポリエステルを100%使用したエンジニアードメッシュを採用していることで、ストレスのない快適な履き心地の一足が誕生しました。

↑「Cloudmonster 2」2万1780円(税込)
↑本作のCloudTecソールは、密度の異なる二層構造のHelionスーパーフォームが採用されています。前足部にかけて厚く配置された上層フォームが高い反発力を維持しながら、下層部分のフォームでよりソフトなクッション性と衝撃吸収を実現

 

そのほか、科学、音楽、ランニングパフォーマンスを融合させた特別キャンペーンを実施。このキャンペーンでは、科学的知見に基づいてランナーのために楽曲を制作しました。この制作では、Onが提供するランニング・コミュニティのフィードバックを独自に取り入れて、ランナーへ走るためのエネルギーを与えます。

 

Onがパートナーと制作した楽曲が配信されるだけでなく、日本橋兜町では3月1日から3月3日の期間、ポップアップス ペース 「Energy Hub(エナジーハブ)」 がオープン。ランナーが音楽・カルチャーを感じながら、エネルギーを補給できる空間になっています。

 

 

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日々のランを心地よく楽しむ! アディダス「SUPERNOVA」シリーズのNEW2モデルが登場

アディダス ジャパンは、走ることを楽しむための「心地よさ」を提供するランニングシリーズ「SUPERNOVA(スーパーノヴァ)」より、走り心地と安定性、高いクッション性を同時に実現した「SUPERNOVA RISE(スーパーノヴァ ライズ)」に加えて、新モデル「SUPERNOVA SOLUTION(スーパーノヴァ ソリューション)」と「SUPERNOVA STRIDE(スーパーノヴァ ストライド)」を発表。

 

もっと多くの人にランニングを楽しんでほしい

アディダスはランニングシリーズ「SUPERNOVA」を昨年12月に大幅刷新し、アディダスが持つ長年に渡るパフォーマンスシューズの知見と先進的テクノロジーを組み込みながら、日々のランに気軽に使える新シリーズとしての展開を開始。同シリーズに新たな2モデルが加わり、さらに幅広いレベルのランナーに寄り添い、日々のランを心地よく楽しむことを足元からサポートしていきます。

 

ランニングシリーズ「ADIZERO(アディゼロ)」に使用されているミッドソール素材「LIGHTSTRIKE PRO(ライトストライク プロ)」をヒントに開発された次世代クッション素材「DREAMSTRIKE+(ドリームストライクプラス)」を搭載しながらも、異なる素材やパーツ、テクノロジーを組み合わせることにより、それぞれのランナーの異なるニーズに応えるモデルとなっています。ランニングを続けていくための最も重要な要素のひとつである「走り心地」に注目し、もっと多くの人にランニングを楽しんでほしいというアディダスの願いのもと開発されています。

↑「スーパーノヴァ ソリューション」1万5400円(税込)。※メンズ3色&ウィメンズ1色展開予定

 

↑新フォーム素材DREAMSTRIKE+が、毎日走りたくなる快適さとクッション性を提供

 

↑硬度・剛性を高めたEVA素材を使用した「スタビリティ サポート ロッド」と調整された内側構造がサポート性を強化し、ランナーが求める優れた安定性を実現。また高い耐久性を持つゴム素材を使用し、戦略的に設計された接地面デザインが施された「ADIWEAR(アディウェア)アウトソール」が、ランに必要なグリップ力を提供

 

↑「エンジニアード サンドウィッチ メッシュ」が足全体を快適に包み込み、優れたフィット性と通気性を実現した軽量アッパーを搭載

 

↑「スーパーノヴァ ストライド」1万3200円(税込)。※メンズ5色&ウィメンズ3色展開予定

 

↑前足部に配置された新フォーム素材DREAMSTRIKE+が、毎日のランにぴったりの快適な履き心地を提供

 

↑前足部のクッショニングを補完するために搭載された「キャリア EVA」が、高い耐久性とかかとからつま先への移行時に優れたサポート性を実現。また革新的な「ADIWEAR アウトソール」が、ランに必要なグリップ力を提供

 

↑アッパーに採用された「ライト ウェイト エンジニアード メッシュ」が軽量性を担保しながら、柔らかくシンプルな構造で快適なフィット性をもたらす

 

日々のランニングを心地よく楽しむことを足元から支える「SUPERNOVA」新コレクションは、2024年2月15日より一部先行発売、2月22日より一般発売を開始します。

 

 

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ソフトな履き心地と快適性を追求! アシックスランシュー「GEL- NIMBUS 26」が登場

アシックスジャパンは、ソフトな履き心地と快適性を追求したランニングシューズ「ゲルニンバス26(GEL- NIMBUS 26)」を、1月18日からアシックスオンラインストアで先行発売し、1月25日からアシックス直営店(一部店舗を除く)、全国のスポーツ用品店などで順次販売します。

 

走りを軽く快適に感じさせる!

「ゲルニンバス」シリーズは、1999年から展開している、アシックスを代表するクッション性を重視した高機能モデルのひとつです。「NIMBUS」はラテン語で「雲」を意味し、文字通り走りを軽く快適に感じさせ、雲の上で走っているような履き心地を提供します。

 

ゲルニンバス26は、アッパー(甲被)に足当たりの良いエンジニアードニットを採用しています。部位によって密度を変えることで、必要箇所を補強しつつ、通気性にも優れた仕様になっています。また、ベロ部と履き口部には伸縮性のあるニット素材を採用し、足の上部をやわらかく包み込むようサポートします。

↑「GEL- NIMBUS 26」1万9800円(税込)。24.5〜29cm、30cm、31cm、32cm

 

靴底は、独自開発のラバー素材2種類を配した「ハイブリッドアシック スグリップ」を採用し、グリップ力と耐久性を両立させています。中部に、さまざまな路面コンディションでも優れたグリップ力を発揮する「アシックスグリップ」を使用し、着地や蹴り出し時に力のかかりやすいつま先部とかかと部にはアシックス従来ラバーと比較し、約3倍の耐摩耗性をもつ「エーハープラス」を採用しています。

 

ミッドソール(甲被と靴底の間の中間クッション材)は、全面に環境に配慮したクッショ ンフォーム材「エフエフブラストプラスエコ」を採用し、軽量でやわらかなクッション性を実現しています。また、かかと部に足にかかる負担を軽減する衝撃緩衝機 能「ピュアゲル」を内蔵しています。

↑クッションフォーム材の約24%に再生可能なサトウ キビ由来の素材を使用しています

 

ゲルニンバス26では、製品ライフサイクル(材料調達・製造・輸送・使用・廃棄)で排出される温室効果ガス排出量(カーボンフットプリント)を表示します。

↑ゲルニンバス26のカーボンフットプリントは10.8kg CO2e

 

 

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アンダーアーマー史上最大の反発力を実現! 最新レーシングシューズ「UAベロシティ エリート2」実走レビュー

「中村 優の走って試して優言実行」

どうも、走るタレント中村優です。2024年も楽しく走っていろいろな製品をレポートしていきたいと思います。今回は、昨年末に発表したアンダーアーマーの新ランニングシューズ「UAベロシティ エリート2」の発表会に行ってまいりましたので、実走レビューを含めてお伝えさせていただきます。

 

走るほどに加速する「UAベロシティ エリート2」の特徴

UAベロシティ エリート2は、前モデル「UAフローベロシティ エリート」から大幅なアップデートしており、2023年12月27日に世界に先駆けて日本先行発売しています。

↑ドーム代表取締役CEO・北島義典さんにより、UAベロシティ エリート2がお披露目されました

 

通気性と柔軟性を備えたテープと刺繍が施された「WARPアッパー」は、強い反発に対しても水平と垂直のテープラインが足元をシートベルトのようにしっかりと固定。前モデルからプレートの配置を前傾にセッティングすることにより、着地からの推進力をより前方向に改善しています。

↑「UAベロシティ エリート2」2万6400円(税込)。カラーはBlack/White/Beta、Black/Anthracite/Whiteの2色。サイズは22.5cm〜30.0cm(ユニセックス)の展開となります

 

ソール部は、異なる特性を持つ2層のクッションフォーム(軽量で柔らかくも優れた弾力性を持つPEBAXフォーム×アウトソールのラバーを取り除いたFLOWソール)に、業界で最も硬度かつ純度位の高いフルレングスのカーボンファイバープレートを挟んだ「FLOW MIDSOLEシステム」に。ほかには、ソール幅を広げることによりエナジーリターンと着地からの蹴り出しのガイダンスを最大化。アウトソールのラバーを取り除いたUAフローフォームが軽量化と自然な接地感を実現しています。

↑超臨海発泡技術によるPEBAXフォームを20%以上増量。オフセット(ドロップ)は前モデルの8mmから2mmに

 

発表会では、昨年11月のつくばマラソンでサブ3を達成されたばかりのハリー杉山さんが登壇。1km3分45秒〜3分30秒でUAベロシティ エリート2の走り心地を体感され、「圧倒的爆発力がある」とその反発力に驚かれていました。

↑UAベロシティ エリート2を履き、トレッドミルにて試走するタレントのハリー杉山さん

 

「UAフローベロシティ エリート」からの進化!

↑こちらは前モデルUAフローベロシティ エリート

 

UAフローベロシティ エリートは、2022年のニューヨークシティマラソンでシャロン・ロケディ選手が履いて初優勝を果たしたシューズ。もっと勝つため、もっと速く走るために、ロケディ選手にフォーカスして開発を進め誕生したのが、UAベロシティ エリート2というわけです。

 

ちなみに前モデルUAフローベロシティ エリートの片足重量約212g(27cm)に対して、最新のUAベロシティ エリート2(27cm)は約240gと増量しています。軽さを求めるのではなく、質量を増やしてでも反発性の高いPEBAXフォームを増量することで、アンダーアーマー史上最大の反発力を実現したのですね。

 

ゆるゆるファンランナーが「UAベロシティ エリート2」で走ってみた!

フルマラソンは5時間くらいかけてゆっくり走るのが好きな私には縁がないUAベロシティ エリート2、と思っていたのですが、商品発表会に参加してシューズの性能に俄然興味が湧きました。スピードが必要な時、ポイント練習するときに取り入れてもいいかもしれない……と理由をつけて、私もUAベロシティ エリート2の反発を体験してみました!

 

まず見た目が格好良い! 赤が映える! そしてゆるゆるファンランナーには怯んでしまいそうなくらい速そうに見える……! 足入れした感想は、土踏まずから踵にかけてはフラットで安定していて、前足部はボールの上に乗っているかのように弾力を感じました。つま先にかけてソールがクイっと上がっているので、歩くだけでも前に進む力が大きく働くのがよくわかります。

↑アッパーの刺繍は格好良いけど履き心地はどうなんだろう……と心配していたら、思いのほか優しく足にフィットする! 個人的に好きな履き心地です

 

普段走る時は1km5分30秒〜6分くらいで走るのが気持ちいいと感じるのですが、UAベロシティ エリート2を履くからには! と、サブ3ペースを意識して、短い距離ですが1km4分切るくらいのペースで走ってみました。

 

カーボンプレートの配置が前傾にセッティングされている効果なのか、着地のエネルギーが反発してバイーンと前に押し出される感じ。どんどん脚が回転して、「確かにこれはスピードが出るのも納得」。蹴っているつもりはないのに思い切り地面を蹴り上げてるかのように進む! アンダーアーマー史上最大の反発を謳うだけあります。

 

ただ私の走力だと1km4分ペースはほぼ全速力に等しいので、残念ながら1kmも持たず。仕方なく1km4分45秒くらいに落とし、それも2〜3kmで限界がきたので1km5分台まで落として走りましたが、この反発をしっかり味わって慣らしてからだと1km5分台ペースでも気持ちよく走れることがわかりました。

↑おそらく1km3分台で走った時に、最もこのシューズの性能が活きるということだと思います。 カーボンプレート入りシューズ自体そういうものなのかもしれませんが、スピードが出せる人ほどより大きな反発を得られる、という感じがしました

 

ちなみに私の感覚だと、体感1km5分30秒ペースで走って、実際は1km5分10秒くらいまでスピードが出ていたので、より速く走りたい! という人にはサブ3レベルでなくても使えるシューズなのではないかなと思います。 私もリレーマラソンやポイント練習などスピードが必要な時に、UAベロシティ エリート2を活用してみます。

 

 

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アシックス「NOVABLAST 4」。ボリューム感あるデザインが爽快な走り心地を生み出すワケ

アシックスジャパンは、心地よいバウンス感を追求したランニングシューズ「NOVABLAST 4(ノヴァブラスト 4)」を、1月5日からアシックスオンラインストアで先行発売し、1月11日からアシックス直営店(一部店舗を除く)、全国のスポーツ用品店などで順次販売します。

 

ジョグ〜ビルドアップ走、インターバル走にもオススメ

ノヴァブラスト 4は、ボリューム感のあるデザインとしながら、履いてすぐに軽さと優れた反発力が感じられるなど、爽快な走り心地を追求したノヴァブラストの最新作です。ミッドソール(甲被と靴底の間の中間クッション材)全面に軽量で反発性に優れたクッションフォーム材「FF BLAST PLUS ECO(エフエフブラストプラスエコ)」を採用。 クッションフォーム材の約24%に再生可能なサトウキビ由来の素材を使用しています。また、 蹴り出し時に力がかかりやすい母趾球部を厚くすることで、より跳ね返りを感じられる構造となっています。さらに、かかと部の接地面積を広げることで安定した足運びをサポート。

↑「NOVABLAST 4」1万5400円(税込)。ウィズはスタンダードとワイドがあります

 

↑靴底の中央部分にくぼみを付け、荷重がかかった時に変形しやすくしたのが特徴。復元する力が変形した素材に働き、トランポリンのように弾むような感覚が得られるようになっています

 

アッパー(甲被)は、軽量で伸縮性に優れた「エンジニアードウーブン」を採用。前部やベロ部に多くの孔を設けることで通気性を高めています。また、アッパー内側とベロ部をつなげた構造にすることで足とシューズの一体感、フィット性を向上させるととも に、スピード走行時のブレを抑制します。

↑製品ライフサイクル(材料調達・製造・輸送・使用・廃棄)で排出される温室効果ガス排出量(カーボンフットプリント)を表示

 

フルマラソンで4時間から5時間の完走を目指すランナーのほか、ペース走やジョグといったトレーニング用としてもおすすめです。

 

 

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【2024新年版】シンプルにランニング初心者にオススメな「ランシュー」5選!/大田原 透の「ランニングシューズ戦線異状なし」

ギョーカイ“猛者”が走って、試して、書き尽くす! ランニングシューズ戦線異状なし

2023-2024冬の陣 番外編

 

「年末年始の休暇を機に、ランニングをはじめよう!」という気分は、テレビの向こうで箱根を駆ける、学生さんの神々しいまでの走りに触発されるから。ノースリーブのランシャツ&生足剝き出しのランパン。あれだけの力走だから、寒さも感じないのね〜♪

 

この時期、駅伝やマラソン大会がたくさん開催される理由は、気温。肌寒い13℃くらいだと、過度な体温上昇が抑えられ、好タイムが出るからだ。しかし、狙う記録がタイムではなく、あくまで体重の減量や維持である我々は、寒さが和らぐ、お昼ごろの冬の陽だまりのなかを走りたい。

 

という時に気になるのは、足元のシューズ。せっかくのやる気を冷やさないためにも、長く使える高性能、しかも走る自分がカッコよく見える一足が欲しい。そこでGetNavi webのランニングシューズ連載の特別編、年始に履きたい5選を紹介する。

 

【その1】“元祖”厚底、ホカの元味「クリフトン 9」

ホカ

クリフトン 9

2万900円(税込)

フランスの山々で生まれたHOKA(ホカ)。山を駆け下る際のクッション性のニーズから厚底を打ち出し、今や世界のランニングシューズの厚底トレンドを生んだブランドである。そのホカのシューズのラインナップのど真ん中に位置する、いわば元味が「クリフトン」なのだ。

 

9代目となる「クリフトン 9」は、ご覧の厚底ながら、重量はたったの248g(片足27㎝)。履いて立つだけで、見た目通りのクッション性で “これで走れるの?” と思えるほどふんわりと足を包み込んでくれる。“運動不足解消なのでウォーキングから”という方にもピッタリ、転がるように足が前に出る。

 

その理由は、ホカ独自のロッカー構造「メタロッカージオメトリー」にある。踵から爪先にかけての揺りかご状にラウンドさせたロッカー形状により、重心の移動をアシスト、転がるように足が前に出てくるというワケ。

↑路面をグリップしつつ擦り減りにくい靴裏のラバー(黄色)は高重量になりがち。効率よく配することで、ミッドソール(白色)の軟らかさを損なうことなく、軽量化にも寄与

 

1㎞を6分で走るペースで走ると(ランナーは「キロ6分」と呼びます)、衝撃の強さに応じて厚底のEVAフォーム材の反発性が高まり、バネが効いてくる。シューズは変わらないのに、走るペースで勝手にギアチェンジする感覚。クリフトン 9、まるでオートマ車なのである。

 

ちなみにガチランのペース(キロ5分以速)に速度アップしても、先ほどのギアチェンジ感は(残念ながら設計的に)得られない。しかし、ガシガシ下る坂道では、幅広の靴底とクッション性の高いミッドソールのパフォーマンスが抜群に効く。さすがのトレラン起源なのだ。

 

クリフトン 9で走る最適な速度帯は、初心者にぴったりの歩く~キロ6分代。もちろん初42.195㎞のフルマラソン、雪辱を晴らすフル4時間切りのレベルでも、クリフトン 9はしっかり対応してくれる。長~く履ける一足なのである。

 

【その2】断トツのコスパの日本ブランド、ミズノ「ウエーブライダー27」

ミズノ

ウエーブライダー27

1万4850円(税込)

日本のモノ作りを体現するブランド、ミズノ。そのミズノが、アップデートの度に絶対の自信を持って市場に投入するランニングシューズが「ウエーブライダー」である。最大の特徴は、シューズの中足部に内蔵されたミズノウエーブと呼ばれるプレートだ。

 

ミズノウエーブにより、着地から蹴り出しまでのねじれを最小限に抑え、走りを安定化。シューズ1足あれば始められるランニングだからこそ、その1足にすべてを預けられるウエーブライダーに、絶対の信頼を寄せ続ける数多くのランナーがいるのも頷ける。

 

27回目のアップデートとなる「ウエーブライダー27」は、ミズノが履き心地にこだわり抜いたモデルだ。実際に履いてみると、かかとから足首回りのホールド感は、前作26と比べても各段に向上している。“機能ではなく、履き心地をアップデート”したモデルなのだ。

↑中足部の肉抜きしたミッドソール(白色)の穴の奥に見えるのが、安定性に寄与するミズノウエーブ(黄色と青色のグラデ)である

 

海外ブランドが物価高と為替の影響で、価格を上げざるを得ない状況下にも関わらず、ウエーブライダー27は前作から据え置きの1万4850円(税込)! このスペックのモデルとしては、まさに破格のコスパ。エントリー層、乗り換え層に対して、“ライダーここに在り!”と狼煙を上げた戦略モデルでもある。

 

安定性を売りにするミズノウエーブを内蔵したライダーは、初心者が最初に選ぶ一足にもちろん相応しい。北米やヨーロッパでも日本のライダーが受け入れられている理由のひとつが、スポーティな普段履きとして、ウォーキングから近距離のジョギングでも使える点

 

ガチなスポーツも得意なミズノだけに、初フルマラソンも、もちろん申し分なし。ランニングのフォームにまだ自信がなかったり、ケガからの復帰時など、走りをサポートするプレートがあると心強いと感じた方は、一度ショップで足を入れてみることをすすめたい。

 

【その3】“シューズ通”が選ぶブルックスの大型新人「ゴーストマックス」

ブルックス

ゴーストマックス

1万9800円(税込)

日本のランニングマーケットの七不思議のひとつが、BROOKS(ブルックス)の知名度が今ひとつということ。100年以上の歴史を持ち、北米のランニングショップで圧倒的な人気とシェアを誇るアメリカの巨人だけに、ブルックスを履いているだけで“おっ、シューズ通!”のブランドなのである。

 

ガタイがデカいUSの方々が履いても、しっかり走りをサポートするクッショニングモデルと言えば「ゴースト」。今回ご紹介したいのは、不動の定番モデルであるゴーストを厚底化した「ゴーストマックス」である。2023年10月から展開が始まった、まさに大型新人モデルだ。

 

ブルックスのお家芸の素材といえば、ミッドソールのEVA(エチレン酢酸ビニル共重合樹脂)。ブルックスは1975年に、業界に先立ちEVAをランニングシューズに採用。その後、名だたるスポーツメーカーで、EVAを使用しないブランドはないほどの定番素材となった。

↑靴裏のブラウンのラバーの奥に見えるベージュの部材が、最新EVAの「DNA LOFT v2」である

 

EVAの改良に余念のないブルックスは、最新のEVA素材をゴーストマックスに使用している。衝撃吸収性が高く、着地衝撃に応じて反発性が正比例して上がる「DNA  LOFT v2」である。DNA  LOFT v2をマックスに使うことで、ウォーキングから普段のジョギング、初フルマラソン完走まで、幅広く対応してくれるシューズに仕上がっている。

 

誤解を恐れず書けば、ゴーストマックスの走り心地は、ペースが遅くても早くても変化しない。スピードが上がるとバネ感が増すタイプのシューズもあるが、ゴーストマックスは安定安心なタイプのシューズと言える。

 

ランニングシューズとしての味付けがマイルドなので、「本格的なランニングシューズを選ぶのは、実は初めて……」という方にも、ゴーストマックスはピッタリな一足だ。DNA  LOFT v2は耐久性にも富んでおり、“ヘタリにくい”という点も見逃せない

 

【その4】伝統と革新が共生する新機軸、アシックス「ゲル‐カヤノ 30」

アシックス

ゲル‐カヤノ 30

1万9800円(税込)

ガチで走るランナーからの信頼も絶大なアシックス。そのアシックスのシューズのなかでも、“THE アシックス”な一足と言えば「ゲル-カヤノ」である。運動不足のためのウォーキング&ジョギングに始まり、脂肪燃焼のためのラン、42.195㎞の彼方を目指すフルマラソンまで幅広く対応する、アシックスが誇る汎用機である。

 

そのゲル-カヤノが誕生から30回目のアップデートを迎え、フルモデルチェンジとなった。刮目すべきは30回目の節目に、惜しげもなく新技術を搭載した点だ。昨今のランニングシューズの開発競争の激化に、まさに「ゲル-カヤノ 30」はアシックスのプライドをかけて一石を投じた一足なのだ。

 

注目は、衝撃吸収のゲルは新素材「ピュアゲル」へ進化。ピュアゲルはわらび餅ほどの軟らかさになり、かかと部に内蔵された。さらに筆者を驚かせたのが、走行を安定させる新システムをゲル-カヤノ 30に搭載したこと。「4Dガイダンスシステム」と呼ばれる、全く新しい構造である。

↑中足部に配されたグレーのレモン形のパッドが、4Dガイダンスシステムのキモとなる部材だ

 

4Dガイダンスシステムの狙いは、長距離走行時のフォーム変化の解析データを基に、シューズの設計と素材の配置を見直すことで、安定性と快適性を持たせた点にある。その肝はシューズの中足部に配置した、軟らかく反発性に優れた大きな部材だ。

 

従来の“硬い部材で補強する”常識を、軟らかな部材の採用で覆した、“柔よく剛を制する”画期的な発想を、シューズ全体の構造で体現したのが4Dガイダンスシステムなのだ。正直、最初はブッ飛びの変貌ぶりに面食らったが、実際に足を入れて走ってみると、全く異なるアプローチの4Dガイダンスシステムなのに、ゲル-カヤノらしい安定感なのだ。

 

ゲル-カヤノ 30のおすすめの履き方は、先入観を持たずに履いて走ってみること(笑)。その上で、またこの記事を読んでいただければ、なるほど納得いただけるだろう。伝統と革新が共生する、ランニングシューズの未来形を感じてもらえるだろう。

 

【その5】オンの優しきマッチョ、「クラウドエクリプス」

オン

クラウドエクリプス

2万1780円(税込)

“雲の上の走り”が得られるシューズと評されるOn(オン)。そのオンが2023年3月に発表した新システムが「クラウドテックフェーズ」である。雲の上の走りを極めるべく開発されたクラウドテックフェーズは、軽量にして衝撃吸収に優れた独自素材「ヘリオン」を使い、バイオメカニクス的に最適解な走りを得られるようコンピュータ解析によって設計されたミッドソールである。

 

適所に空間を配したミッドソールは、スピードを減ずることなく、着地衝撃を吸収する。このクラウドテックフェーズをメガ盛りにした新たなラインが、今回の「クラウドエクリプス」。2023年11月に発売が開始されたばかり。

 

履いて立つと、わずかに沈み込む。まさに、雲の上(乗ったことないけど…)。歩き出せば、一歩一歩が新雪を踏んでいるかのよう。つま先からかかとに掛けて、ゆりかごのようにラウンドさせたロッカー形状のため、前へ前へと転がるように足が運ばれてゆく

↑クラウドエクリプスには、二層のクラウドテックフェーズが搭載されている(肉厚の白い部材)。中足部のクリーム色の部材が「スピードボード」だ

 

運動不足解消のためのウォーキングにクラウドエクリプスを履いたら、“もう少し遠くまで歩こっかなぁ〜”になざるを得ない快適さ。誰もが散歩の達人になってしまうこと請け合いなのである。

 

走り出すと、勝手にスピードが上がる。ロッカーが効いており、ドウドウと減速させねばならぬほどだ。ソールの中足部に配された「スピードボード」の反発力も、カラダを勝手に前に進ませる。クラウドエクリプス、最初こそ優しいが、なかなかのマッチョである。

 

速度コントロールのコツは、走る姿勢。あごを引き、わずかに前傾姿勢になれば、スピードが出る。減速したければ、周囲の景色を眺めるべくあごを僅かに上げよう。下肢の筋力がランニングに不慣れなうちは、あごの力を抜き、景色を楽しみながら走るのが、正しいクラウドエクリプスの楽しみ方と言える。

 

 

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華やかな一年の幕開けを祝う! On「クラウドモンスター」の春節エディション

スイスのスポーツブランド「On(オン)」は、 「Cloudmonster (クラウドモンスター) 」の春節エディションを、2024年1月4日からOn Tokyo、On オフィシャルオンラインショップ、atmos全国7店舗およびatmos オンラインショップにて数量限定発売します。

 

辰年の龍に関連のあるディテールをデザイン

On最大級のCloudTecを備えたクラウドモンスターの春節エディションは、圧倒的なクッショニングはそのままに、辰年の龍に関連のあるディテールをあしらっています。アッパーに配された細かな文字は、龍の簡体字「龙」。幸運を象徴するカラーと組み合わせて、華やかな一年の幕開けを祝います。

↑「クラウドモンスター」2万1780円(税込)

 

↑「クラウドモンスター」2万1780円(税込)

 

モンスター級の心地よさと本格的なランニングパフォーマンスが融合したクラウドモンスターは、Helionスーパーフォームを採用し、超ソフトな着地を実現。足を入れた瞬間から続く快適な履き心地と、大胆なロッカー形状がもたらすユニークなライド感で、ランニングが今よりさらに楽しくなる一足です。

 

 

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箱根駅伝は2024年大会で第100回!初心者へ出場経験あるスポーツライターが解説する見どころと注目大学は?

2024年で第100回大会を迎える箱根駅伝。これまでの長い歴史の中でさまざまなドラマが生まれ、多くの人々を魅了してきました。そこで箱根駅伝の魅力をあらためて探るべく、箱根駅伝の出場経験があり現在スポーツライターとして活躍する酒井政人さんにお話を伺いました。第100回大会の見どころや、現地観戦を楽しむポイントについても解説していただきます。

 

箱根駅伝はいつ、なぜ始まった?

そもそも箱根駅伝、正式名称「東京箱根間往復大学駅伝競走」が始まったのは1920年(大正9年)のこと。マラソンの父として知られる金栗四三らの「世界に通用するランナーを育成したい」という思いが、大会創設の発端になりました。途中、第二次世界大戦の影響による中止があったため、100周年だった2020年ではなく、2024年に第100回を迎えます。

 

現在、箱根駅伝の出場資格があるのは、関東学生陸上競技連盟に加盟している大学のうち、前年の大会でシード権を獲得した上位10校と、10月の予選会を通過した10校、そして関東学生連合(予選会を通過できなかった大学の記録上位者によるチーム)を加えた合計21チームです。この21チームが、東京の読売新聞社前から箱根の芦ノ湖までの往路5区間・復路5区間の合計10区間、合計271キロの距離を、襷をつなぎながら走り、競い合います。

 

箱根駅伝のコース。距離が長いだけでなく、アップダウンが顕著なことやロケーションが大きく異なるのも特徴。基本的に東海道を辿っていくコースのため、かつては蒲田と戸塚にも踏切が存在し時間のロスやアクシデントも生まれたが、現在は高架化のため姿を消している(箱根登山鉄道の踏切は存在するがレースに合わせて時間調整を行なっている)。

 

2024年の箱根駅伝は、
第100回大会にふさわしい華やかな大会に

2024年の箱根駅伝は、記念すべき第100回の大会。酒井さんも「節目の年にふさわしい、華やかな大会になると思います」と話します。今回の大会は、通常の大会と具体的にどのようなところが異なるのでしょうか?

 

「通常の大会と第100回大会との違いは、出場枠が21から23に増えることです。今大会は関東学生連合の編成がないため、実質的には参加できる大学がいつもより3校増えます。また今大会の10月の予選会は、関東地区以外の大学にも参加資格が与えられ、全国大会に近い形になっています。しかし残念ながら、予選会で関東勢以外のチームが出場権を獲得することはできませんでした。それでも、この第100回大会をチャンスと捉えて挑むチームが全国各地に見受けられ、予選会からすでに通常とは異なる特別な大会になっていると思います」(スポーツライター・酒井政人さん、以下同)

 

長距離選手にとって憧れの舞台
「箱根駅伝」の特徴や魅力とは?

 

今大会は全国大会に近い形とはいえ、通常は関東の大学しか出場することができない箱根駅伝。しかしながら全国の長距離選手が憧れる大会であり、全国的にも高い知名度を誇っています。箱根駅伝ならではの特徴や魅力はどのようなところにあるのでしょうか?

 

箱根駅伝は、出雲駅伝・全日本大学駅伝と並んで『大学三大駅伝』と呼ばれています。その中で箱根駅伝は、ほかの二つの大会と比べると距離が長いところが大きな特徴です。距離が長いと、“ブレーキ”(アクシデントなどにより、想定タイムを大きく下回ること)が起きやすくなります。例えば全日本大学駅伝なら1分の遅れで済むようなミスも、箱根駅伝では3分の遅れになるなど、一つのミスが響いて命取りになることもあるのです。そのため順位変動が起きやすく、誰も予想しない展開になることもあります

 

箱根駅伝(2024年)の各区の距離と高低差を示す図。大会のスタート/ゴール地点となる読売新聞社前がある東京・大手町は、海抜1〜6m程度。途中の何度か急坂を挟みながらも小田原中継所地点では10mにすぎないが、そこから1区間で国道1号線の最高標高地点874mを目指して一気に駆け上がることになる。

 

「そしてなんといっても、箱根駅伝はコースが特徴的です。ビルが立ち並ぶ都会のど真ん中からスタートし、海沿いを走り、最後は山を登っていく。復路は逆になりますが、ロケーションが大きく変わるのは魅力の一つです。テレビでずっと観戦していると旅をしているような気分が味わえると思います。また、開催日程も1月2~3日という、正月休みを取って暇な方にとっては絶妙なタイミング(笑)。たとえばサッカーなどのように劇的な変化がすぐに起きる競技ではないので、家でゆっくりしながら楽しく観戦できるところも、箱根駅伝がここまで知名度を誇る理由の一つかもしれません」

 

スタート地点は日本の金融の中心地、大手町。※写真は2022年10月より以前のもの。

 

東京→横浜と街を過ぎて、3区は湘南の海沿いを通る国道134号線へ。正面に富士山、左に相模湾と大会一の景勝地だが、時に気温の上昇や強い向かい風が選手の敵に。

 

往路のゴールであり復路のスタート地点が、箱根・芦ノ湖畔。5区の山上りは最大の難所とされる。

 

復路の10区は日本橋を迂回するコースのため、1区より距離が長くなる。沿道には大勢の観客がつめかけ鈴なりに。

 

さらに、箱根駅伝の長い歴史の中で変化してきたことや、最近の傾向についても教えていただきました。

 

箱根駅伝のルートは基本的にずっと変わっていません。しかし2006年から2016年まで、主に中継所付近の工事の影響で5区が今より2.5キロほど長い時期がありました。5区はもともと800メートル超の標高差がある過酷なコースですが、今より距離が長かった時期には『山の神』と呼ばれる名選手も生まれました」

 

2018年第94回大会の往路を首位から第3位までにゴールした5区の選手たち。同大会は、復路6区で東洋大学を逆転した青山学院大学が総合優勝を飾った。

 

「また、最近の傾向として挙げられるのは厚底シューズの登場です。シューズの性能がアップしたことで一気に高速化が進みました。これは近年で一番大きく変化したところだと言えるのではないでしょうか」

 

注目のチームや選手は?
第100回箱根駅伝の見どころ

来たる第100回大会に向けてチェックしておきたいのが、注目のチームや選手。今大会も箱根駅伝を取材されるという酒井さんに、見どころを教えていただきました。

 

・前代未聞の「2年連続3大会制覇」なるか⁉ 圧倒的な強さを誇る駒澤大学

前回大会で優勝した駒澤大学。長年指揮をとってきた大八木弘明監督は昨年度で勇退し、現在は総監督に。選手たちへの接し方の変化も話題を呼んだ。写真提供=月刊陸上競技

 

「なんといっても今大会で注目のチームは、連覇のかかる駒澤大学。駒澤大学は3人のエースを擁する選手層の厚さに加え、長年培ってきた指導力、箱根駅伝での戦い方、『世界を目指す』という意識の高さなど、あらゆる面で強さをもっているチームです。

 

そして駒澤大学は昨年度、出雲駅伝・全日本大学駅伝・箱根駅伝の3大会制覇を成し遂げました。3大会制覇は史上5校目で、駒澤大学史上初のこと。そして今年度に入ってからも、出雲駅伝・全日本大学駅伝で圧倒的な強さを見せ、優勝しています。まだどこの大学も成し遂げたことのない『2年連続3大会連覇』という偉業を達成できるのか。今大会における大きな注目ポイントです」

 

・第100回大会に照準を合わせ、28年ぶりの優勝を目指す中央大学

「駒沢大学を追いかけるチームとして有力なのが、前回大会2位の中央大学。前回の2区、3区で区間賞を獲った選手が残っていて、ほかにも良い選手が揃っています。中央大学は出場回数も優勝回数も最も多い大学ですが、この28年間は優勝していません。特に吉居大和選手ら強力選手が最終学年を迎える第100回大会に照準を合わせ、これまで取り組んできたようなので、このチャンスを絶対に逃すまいと『打倒駒澤』で挑んでくるはずです」

 

・スーパールーキーの走りに期待! 10年ぶりの出場となる東京農業大学

「今大会、10年ぶり70回目の出場権を手に入れたのが東京農業大学です。実は僕の母校でもあります。なかでも1年生の前田和摩選手は、10月の予選会では日本人トップの記録を叩き出し、全日本大学駅伝でも2区で区間新記録の快走を見せました。後輩だからという贔屓目ではなく(笑)、スーパールーキーとして注目すべき選手の一人だと思っています」

 

各チームが試行錯誤する
“チームで勝つための戦略”も見どころ

箱根駅伝は、選手たちの走りはもちろんですが、各チームの戦略や駆け引きも大きな見どころです。そこで酒井さんに、チームとしての戦い方や戦略を考えるときのポイントについて教えてもらいました。知っておくと、より深く箱根駅伝を楽しめるはず。

 

「最近の戦略として多いのが、エース級の選手がどの区間を走るのかを当日までわからないようにすることです。箱根駅伝では毎年12月10日頃に各校16人の登録選手が発表され、29日頃に登録選手の中から1~10区間を走る選手が発表されます。残りの6人は補員(控え選手)になりますが、当日変更で最大4人までメンバーを入れ替えることが可能です。ただし入れ替えられるのは、1~10区間の選手と補員の選手のみ。例えば2区と3区の選手を入れ替えるなど、すでに区間が決まっている選手同士をチェンジすることはできません。そのため、エース級の選手をあえて補員メンバーに入れて、どの区間に入れるかを当日まで隠しておくチームが多くあります。

 

もちろんチームによっては、最初に発表した1~10区までのメンバーを変えないところもあるのですが、直前に選手が体調不良になるなど、不測のトラブルが起こることも考えられます。最近は特に、そうしたリスク管理の意味も含めて、エース級の選手を補員にしておくチームが多い印象です」

 

距離が長く、区間によって特徴も大きく異なる箱根駅伝は、誰がどの区間を走るかなど「チームとしてどう戦うか」という戦略を立てることも重要です。

 

「例えば2区は『花の2区』とも呼ばれるように、各校のエース級選手たちが走ることの多い区間です。2区は距離が長い上に、途中に激しいアップダウンもあり、難しいコースと言われています。さらに1区から2区は僅差で襷を渡されることが多いので、最初の順位が決まる重要な区間です。さらに5区や6区も山登り・下りがある特徴的なコース。この辺りは特に差が付きやすいので、だいたい2区と5区を走る選手を決めてから、他の区間を走る選手を決めていくことが多いのではないかと思います。

 

例えば、山登りが苦手なチームは5区で差を付けられやすいので、2区だけでなく、3、4区にも速い選手を配置したり、ずば抜けて速い選手がいないチームは、2区で差を付けられすぎないよう、他の区間でカバーして少しずつ順位を上げていける配置にしたり……。区間の特徴と自分たちのチームの特徴をあわせて考えながら、いかに短所を補い、長所で攻めていけるかを考えていく必要があります。こうしたチームプレーは駅伝の魅力だと思います」

 

箱根駅伝を現地で楽しむ際のポイント

10区。写真提供=月刊陸上競技

 

家でゆっくり箱根駅伝を観戦するのも良いですが、現地で観戦するとまた違った楽しみがあります。現地で観戦する時の注意点やおすすめの観戦方法をうかがいました。

 

「現地観戦をするときに留意しておきたいのが、中継所はとにかく人が多いということ。特にゴール付近は身動きが取れなくなるほど人がいるので、覚悟が必要です。個人的には、中継所やゴール以外の、沿道から走っている選手を見るのがおすすめ。早朝で現地へ行くのは大変かもしれませんが、6区の箱根山中は比較的人が少なめだと思います。

 

また意外と穴場なのが、選手たちが来る1時間前くらいの中継所です。選手が走る姿は見られませんが、ウォーミングアップ中の選手たちを見たり、緊張感ある雰囲気を感じたりすることができると思います。テレビで見るのとはまた違った箱根駅伝の一場面を見られるのも、現地観戦ならではの楽しみ方ではないでしょうか」

 

101回目以降の箱根駅伝はどうなる?

最後に、長い歴史をもつ箱根駅伝の「これから」について、酒井さんにうかがいました。

 

「箱根駅伝はもともと、世界に通じる選手を育成しようという目的で始まった大会です。今大会は全国大会に近い形になりましたが、個人的には今後も箱根駅伝を一部全国化にするのも良いのではと思っています。例えば、全日本大学駅伝では8位までに入った大学が翌年のシード権を獲得できるのですが、その中で地方トップのチームを箱根駅伝に招待するなど、強いチームが関東の大学に挑むような形でやるのは一つの方法かなと考えています。
というのも、地方にはすでにそれぞれ駅伝の大会がありますし、関東まで来るのにはお金もかかってしまうため、あまり現実的とは言えないからです。それでも、全国の選手たちが切磋琢磨して高め合えるような方法を模索していけると良いですよね」

 

近年は、早稲田大学出身の大迫傑(おおさこすぐる)選手のように、箱根駅伝よりも自分の目標を優先する選手も出てきたといいます。

 

「トップ選手の中には、箱根駅伝も大切にしながらさらにその先の“世界”を見据えている選手もいる一方で、大学卒業後は競技を辞めるつもりで、箱根駅伝に全てを賭ける選手も当然います。そうやっていろんな考え方の選手がいるところも、箱根駅伝の面白いところです。そして何より学生たちが懸命に走る姿は、見ていて自然と元気をもらえると思います。ぜひ第100回の記念すべき大会を、それぞれの視点で楽しんでもらいたいと思います」

 

 

Profile

スポーツライター / 酒井政人

東京農業大学1年時に箱根駅伝10区出場。故障で競技の夢をあきらめ、大学卒業後からライター活動を開始。現在は雑誌、WEBを含めさまざまな媒体で執筆している。著書に『箱根駅伝は誰のものか』(平凡社)、『ナイキシューズ革命 “厚底”が世界にかけた魔法』(ポプラ社)など。

テーマは“反発”!ミズノの「WAVE REBELLION」シリーズの進化が止まらない!

駅伝シーズンへ向けて選手たちが着々と調整を進めている一方で、この時期は各メーカーから多くの新製品が出てきます。そのようななかミズノは12月、2024年春夏新製品ランニングシューズ発表会を東京都内で開催し、「WAVE REBELLION(ウエーブリベリオン)」シリーズの第2弾、3モデルを発表しました。

 

「WAVE REBELLION」シリーズ、注目の第2弾が登場

現在、高反発ソールがシェアを広げているランニングシューズ市場ですが、こうしたなかでミズノの主力商品として位置付けられているのは、2023年1月に初代が登場したWAVE REBELLIONシリーズ。今回は、その後継モデルとして「WAVE REBELLION PRO 2(ウエーブリベリオンプロ2)」、「WAVE REBELLION FLASH 2(ウエーブリベリオンフラッシュ 2)」、「WAVE REBELLION SONIC 2(ウエーブリベリオンソニック2)」がそれぞれ発表されました。

 

本発表に際して、ミズノ コンペティションスポーツ事業部マーケティング部部長の太田友宏氏は、「革命的な製品でお客様にアプローチしていきたい」とコメント。第2弾のテーマは「反発」とのことで、「スピードランナーが求める反発を高い次元で今回レベルアップしています」と力を込めました。

↑コンペティションスポーツ事業部マーケティング部部長の太田氏

 

シリーズ最大の武器は前作と同様、「SMOOTH SPEED ASSIST(スムーススピードアシスト)」機能。同社グローバルフットウエアプロダクト本部パフォーマンスランニング企画課 課長の青井俊輔氏によると、実際にシューズを着用した選手からは、「短距離のスターティングブロックをずっと足の下につけている感じ」という驚きのフィードバックも得られたそうです。

↑グローバルフットウエアプロダクト本部パフォーマンスランニング企画課 課長の青井氏

 

踵から着地し前足部に抜けていくヒールストライク走法ではなく、前足部から中足部で着地するフォアフット走法にあわせて設計されたスムーススピードアシストは、中足部のソールを分厚くすることにより、踵の落ち込みを抑えるだけでなくシューズからの反発が得られ、ふくらはぎ周りにかかる筋肉の負担を軽減する効果も期待できます。

 

フルマラソンサブ2.5を目指すレース用トップモデル!

前作「WAVE REBELLION PRO」では、選手から高い評価が得られた一方、「1キロ3分を超える走行スピードでもう少し反発が欲しい」という意見も寄せられ、今回そのフィードバックを得て開発されたのが、WAVE REBELLION PRO 2です。その主なアップデートポイントは、3つあります。

↑「WAVE REBELLION PRO 2」2万5300円(税込)。約215g(片足27.0cm)、2023年12月22日発売予定

 

1つ目は、トップミッドソールに搭載されている独自の高反発ミッドソール素材「MIZUNO ENERZY LITE+(ミズノエナジーライトプラス)」の搭載量を約32%増やした点で、足入れをした瞬間により柔らかいクッション感が得られます。

 

2つ目の変更点は、設計を大きく見直したカーボン入りナイロンプレート「MIZUNO WAVE」の形状。前足部に突起を設けた今作は、中足部の左右が羽状に巻き上がった設計へと変化しており、これら2つの複雑な立体構造を組み合わせることによって、前作のプレートと比べて曲げ剛性が600%アップしました。

 

最後に3つ目は、すでに前述したスムーススピードアシストで、フォアフット走法のランナーが1キロ3分のスピードで走った際に、よりしっかりと踵の部分が地面につくよう角度を調整し、効果がより得られるように仕上げられています。

↑カーボン強化ナイロンプレートを内蔵(ミッドソール黒い部分)。最厚部分で66.6mmの厚みのあるソール(27.0cmの場合)

 

その他にも、接地面積の向上で安定感が増す設計となったアウトソール「G3」。エリアごとにデザインを変えたミッドソール素材、軽量化を追求したヒールカウンターの構造など、スピードランナーをサポートするために多くのアップデートが施されました。

↑前作でセパレート構造だったミッドソールは、繋ぎ合わせた形状へと変更されています

 

「国内外問わず選手に着用いただいている状況が生まれてきております。引き続きスムーススピードアシストという独自の機能を打ち出すことによって差別化を図り、すべてのランナーの自己ベスト達成をサポートしていきたいと考えております」(同社グローバルフットウエアプロダクト本部パフォーマンスランニング企画課の川西広朗氏)

↑グローバルフットウエアプロダクト本部パフォーマンスランニング企画課の川西氏

 

スピードを追求し、サブ3を目指すランナーへ

「3分40秒という走行スピードにおいて、我々のスムーススピードアシストがいい結果を出しました。これをより多くのランナーの方に届けたい、より幅広い方々に反発を届けたい、というのが『REBELLION FLASH』に課された使命です」。青井氏がそう語る今回のWAVE REBELLION FLASH 2は、前作と全く違うシューズに仕上がりました。イメージとしては、初代WAVE REBELLION PROを少しチューンナップしたような一足です。

↑「WAVE REBELLION FLASH 2」1万8700円(税込)。約245g(メンズ片足27.0cm)、2024年1月19日発売予定

 

こちらも主なアップデートポイントが3つありますが、最も大きいのは、スムーススピードアシストが搭載された点。フルマラソンを3時間未満で走る「サブ3」から4時間未満で走る「サブ4」まで、幅広いランナーに向けたマイルドな設計となっており、初代「PRO」を好んでいた方にもおすすめのモデルです。

 

2つ目は、トップミッドソールを「MIZUNO ENERZY LITE(ミズノエナジーライト)」からミズノエナジーライトプラスに変更したことで、クッション、反発がともに前作から50%以上アップしました。また、ボトムミッドソールには、引き続きミズノエナジーフォームを使用しているため、より柔らかくクセのない履き心地を求める方にマッチします。

↑厚み前足部35.5cm・後足部36.0cm(27.0cm)のソール設計。グラスファイバーで強化されたナイロンプレートを採用しています

 

そして3つ目は、シンプルな形状に進化したMIZUNO WAVE。WAVE REBELLION PRO 2と同じく、こちらも新たに左右の巻き上げ構造を採用していますが、違いとして注目したいのは、そのプレート幅。PRO 2と比べてもかなり幅が広く、安定性に自信がないという方も安心して走れる仕様になっています。

 

その他のポイントとしては、アッパーの主な仕様がPRO 2とほぼほぼ共通していますが、踵の構造が違い、オーソドックスなヒールカウンターを搭載しています。

↑前作のG3アウトソールではなく、あえてラバーを使用している点。これによって柔らかい接地感、よりクセのない接地感を実現しています

 

「前作と打って変わって非常に大きなアップデートをしていると思いますし、このシューズがスムーススピードアシストを今シーズン広げるにあたって非常に大事なシューズだと我々は意気込んでいます」(グローバルフットウエアプロダクト本部パフォーマンスランニング企画課の松木直人氏)

↑同社グローバルフットウエアプロダクト本部パフォーマンスランニング企画課の松木氏

 

接地感覚を鍛えるジョグ、LSDにもおすすめ

最後に紹介するのは、反発と安定を備えたレーストレーニングモデル、WAVE REBELLION SONIC 2。ランニングを始めてから少し時間が経ち、そろそろスピードを上げて走れるシューズを探している、というランナーにおすすめの一足です。今回は、細部の形状や素材にこだわり、前作から約20gの軽量化(片足27.0cm)に成功しました。

↑「WAVE REBELLION SONIC 2」1万4300円(税込)。約240g(メンズ片足27.0cm)、2024年1月19日発売予定

 

PRO 2、FLASH 2と違い、スムーススピードアシストは採用されていませんが、さまざまな使い方ができる便利な一足です。上位レーシングシューズと併用し、接地感覚を鍛える使い方もおすすめ。クッション性と反発性のバランスに優れたミッドソール素材ミズノエナジーフォームは、より軽やかな走りをサポートします。前足部24.0cm・後足部32.0cm(27.0cm)の程よい厚みです。

 

また、ミズノランニングの基幹モデル「WAVE RIDER 27」と同じ足型を使用しており、中足部から踵にかけてのウエーブプレートの形状も、同モデルをほぼ踏襲しているため、ライダー27からの履き換えを考えている方は、違和感なく移行していけるかもしれません。

 

2022年には、「SMOOTH SPEED PROJECT」を立ち上げ、スピードランナーの快適な走りを追求してきたミズノ。「『今までランニングシューズをこう作ってきました、その延長で物を作ります』ってことは絶対にしない」と青井氏が話している通り、既存のやり方に囚われず、ランナーのために革新的なシューズを開発し続けています。

↑WAVE REBELLION 2シリーズ。気になった方は、ぜひ一度足を通してみてはいかがでしょうか

 

 

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HOKAのスタビリティシューズ「ARAHI 7」! 通気性とフィット感を向上させたモデルだ

HOKAでは、安定性に優れた人気のスタビリティシューズ「ARAHI(アラヒ)」を刷新し、通気性とフィット感を向上させた「ARAHI 7(アラヒ 7)」を12月28日よりHOKA直営店、HOKA公式サイト、全国の取り扱い店舗にて発売します。

 

動物性の原料を含まないヴィーガン素材を採用

ARAHI 7は、リサイクルポリエステルを使用したフラットニットアッパーと、柔らかいタンやデュアルガゼットにより、前作よりもさらに通気性とフィット感を向上させています。また、アウトソールには耐久性に優れたゾーンラバーを使用し、ARAHIの特徴であるアルファベットの“J”の形状をしたJ-Frameテクノロジーを搭載。ダイナミックスタビ リティの象徴である、J-Frameは足元の安定性を確保し、オーバープロネーションを抑止するフレームで高いサポートとプロテクションを実現し、体重移動を正しく導きます。

↑「ARAHI 7」2万2000円(税込)。メンズ用は5色展開、282g(片足28cm)

 

すべての素材にはHOKAの代表的なロードランニングシューズモデルの「CLIFTON 9(クリフトン 9)」 や「GAVIOTA 5(ガビオタ 5) 」と同様に動物性の原料を含まないヴィーガン素材を採用しています。

↑通気性とフィット感を両立させるように設計されたフラットニットアッパー

 

↑中足部のフィット感を強化するシューホール構造とアイレットオーバーレイの形状を採用

 

↑アウトソールはゾーンラバーを採用

 

 

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プーマが「EKIDEN RUSH PACK」を発表。全てのランナーの速くなりたいという思いを叶える

プーマ ジャパンはこのほど、駅伝やマラソンが本格化するシーズンに向けて、レーシングモデルを含む4つのシューズ「EKIDEN RUSH PACK(エキデン ラッシュ パック)を発表しました。「ファンランナーからアスリートまで、全てのランナーの速くなりたいという思いを叶える」というミッションのもと開発されたコレクションには、箱根への熱き想いが込められていました。

 

ランニング業界においてプーマの認知度、信頼性を高める

創業75年目にあたる2023年、最後のローンチとなったエキデン ラッシュ パックの発売に先駆け、商品、機能、特徴を詳しく説明する発表会が行われました。商品説明を前に、プーマジャパン ランニング・カテゴリーリーダーの今井健司氏が挨拶を行うと共に、プーマランニングのグローバルな中期戦略と、プーマジャパンのミッションが語られました。

↑箱根駅伝をプラットフォームの中心に据えた中期的戦略を語る今井氏

 

「ランニングの業界においてプーマというブランドの認知度、そして信頼度を高める活動をここ2年間ぐらい行ってきました。中期戦略として、『ファンランナーからアスリートまで、全てのランナーの速くなりたいという思いを叶えるブランドになる』をグローバルのミッションに、プーマジャパンでは箱根駅伝を全てのプラットフォームの中心に据えて、今後も活動を強化、継続していきます」(今井氏)

 

箱根駅伝をベースに、高校生や社会人に対するアプローチも行っており、高校では12月24日に行われる全国高校駅伝において2チームがプーマを着用して参加することが決定。そして、社会人ではニューイヤー駅伝において、3チームの着用が決定しています。

 

「2024年はオリンピックイヤーということで、プーマブランドはトップのレーシング層だけではなくファン層も含めた形でのマーケティング活動を強化していきますのでご期待ください」(今井氏)

 

プーマ独自の革新的テクノロジー「NITRO」

続いて商品の説明では、青山学院大学が箱根駅伝で初優勝した2015年と、大会三連覇を達成した17年大会でも優勝のゴールテープを切った安藤悠哉氏が登壇。安藤氏は現在、プーマ ジャパンの商品企画本部にて今回のエキデン ラッシュ バックの開発にも取り組んでいます。

↑トップレーシングモデルを手に、自身の経験をもとに駅伝の想いを語る安藤氏

 

「コレクション名にもついていますが、とにかく駅伝にフォーカスしています。私も以前、駅伝を夢見て、そして駅伝で走ることを目標に頑張ったランナーです。駅伝にかけるランナーの想いがわかる一人として、このプロダクトに関わることを非常に光栄に感じています」(安藤氏)

 

プーマ ランニングの中核となるのが、爆発的な反発力と軽量性を両立させたプーマ独自の革新的なテクノロジー「NITRO(ニトロ)」です。ニトロには、大きく4つの特徴があります。

 

【ソフト】モールドに窒素を注入し、快適なクッショニングを提供。

【超高反発】トップアスリートでテストを実施し、爆発的な速さを提供。

【アジャスト可能】それぞれのプロダクトに合わせて硬度や厚さを変更可能。ターゲットランナーに最適なニトロを提供。

【進化】日々進化し、テストを繰り返しながらさらなる速さを提供し続ける。

 

今回発表されたエキデン ラッシュ バックは、デザインにも熱い想いが込められています。個性と速さを表現したエネルギッシュなサイケデリックカラーを採用し、駅伝ランナーの力の源になる襷(たすき)をデザイン。そして100%レースで力を出し切ってほしいという想いがデザインにも込められています。

↑駅伝の象徴である襷デザインの中には、「パワー オブ 襷 フォア エキデン」と「襷が力になる」の文字が入る

 

↑今回、記念すべき100回大会を迎える箱根駅伝。そこにもかけて、富士山と日の丸を表すパッチには100%力を出し切ってほしいという想いも込められている

 

「プロダクトはテクノロジーが重要ですが、あえてデザインにもこだわっています。ランナーの方はわかると思いますが、レースに挑む前、シューズを履く瞬間は一つスイッチを入れるタイミング。そこで、こういったカラー、それからデザインを見て、もう一度スイッチを入れてレースに挑んでいただきたい。開発はグローバルで行っていますが、日本からのインプットで駅伝ランナーのためにデザインしています」(安藤氏)

 

サブ2.5は約1分24秒、サブ3.5は約2分30秒の短縮を実現 

今回エキデン ラッシュ パックとして登場するのが4モデル。

 

「FAST-R NITRO ELITE 2(ファスト アール ニトロ エリート 2)EKIDEN RUSH」

「DEVIATE NITRO ELITE 2(ディヴィエイト ニトロ エリート 2)EKIDEN RUSH」

「FAST-FWD NITRO ELITE (ファストフォワード ニトロ エリート)EKIDEN RUSH」

「DEVIATE NITRO 2(ディヴィエイト ニトロ 2)EKIDEN RUSH」

 

なかでも、ランナーの速さをよりサポートできるよう、非常に高いアップグレードになっているのがトップレーシングモデルのファスト アール ニトロ エリート 2 EKIDEN RUSHです。

↑前モデル「ファスト アール ニトロ エリート」から進化した、「ファスト アール ニトロ エリート 2 EKIDEN RUSH」3万5200円(税込)

 

フォーカスポイントは3つあります。まずは推進力。同モデルはカーボンプレートが前作に引き続き採用されていますが、今回はプレートを突き抜けた構造にしたことで、ストライドを伸ばす効果もあります。次に反発は、前作同様にミッドソール素材に「NITRO ELITE FORM(ニトロ エリート フォーム)」を採用しています。製法を変えることで前作のニトロ エリート フォームとは全く違う別物としてアップグレード。アッパーでも、フィット感を高めるための「ULTRA WEAVE(ウルトラウィーブ)」にはサポート性、軽量性に優れた素材が採用されています。

↑左側が前モデル、右側が今回のファスト アール ニトロ エリート 2との前方推進力の比較。親指に力が乗りやすくなったことで、つま先の方までしっかりと体重移動ができるようになった

 

↑ランニングエコノミー(効率性)は前モデルから1.3%向上し、プレートも構造によりストライドは1.2%長くなった

 

↑前モデルと比較して、2時間半のサブ2.5ランナーの場合、フルマラソンでタイムが約1分24秒短縮。サブ3.5ランナーの場合、タイムが約2分30秒と大幅に短縮できることがデータで証明された

 

速さむき出しのトップレーシングからファンランナー向けモデルまで

残りのエキデン ラッシュ パックは以下の3モデル。まずは推進力がありながらも、レーシングモデルと比べてクッショニング、安定性を向上させたファンランナー向けのディヴィエイト ニトロ エリート 2 EKIDEN RUSH。

↑「ディヴィエイト ニトロ エリート 2 EKIDEN RUSH」2万9700円(税込)

 

前足部が削れている独特な形状は山登りといった傾斜にも非常に合っていると、好評のファストフォワード ニトロ エリート EKIDEN RUSH。

↑「ファストフォワード ニトロ エリート EKIDEN RUSH」3万1900円(税込)

 

ロングレースでも最後までサポートし、フォアフットからヒールストライクまで、どんな接地走法のランナーにも対応するディヴィエイト ニトロ 2 EKIDEN RUSH。

↑「ディヴィエイト ニトロ 2 EKIDEN RUSH」2万2000円(税込)

 

元箱根走者のアスリートも太鼓判!

発表会の最後には、箱根駅伝を経験し、現在はプーマ契約アスリートとして活躍している中西亮貴選手と米満怜選手が登壇。ファスト アール ニトロ エリート 2 EKIDEN RUSHのインプレッションを語ってくれました。

↑左からコニカミノルタ陸上競技部所属の米満選手、トーエネック陸上競技部所属の中西選手

 

すでに練習で着用している両選手のインプレッションについて。中西選手は「反発力がすごく強く、グリップ力が素晴らしいという第1印象を受けました」。米満選手も「キタって感じで、テンションめちゃめちゃ上がって、柔らかいし、反発もあるし、最高のシューズだなって。それしかなかった」と揃って反発力の高さを実感しています。

 

また、中西選手は雨の中で出場したMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)を振り返り、グリップ力の良さに驚いたとのこと。「レース後に参加した周りの選手から『走行中滑らなかった?』と聞かれたんです。ファスト アール ニトロ エリート 2 EKIDEN RUSHは全然滑らなかったので、グリップ力が優れているを感じました」。米満選手も「カーボン剥き出しなところなど、シンプルにかっこいい」と笑顔で話しました。

 

新春の風物詩として毎年様々なドラマで感動させてくれる箱根駅伝。ランナーにとって誰もが特別な想いを持つ“襷”を纏ったエキデン ラッシュ バックには、トップランナーだけでなく、ファンランナーの「速くなりたい」を叶えてくれるモデルが揃っています。駅伝の想いが込められた一足に、あなたもきっと出会えるはずです。

 

今回発表されたエキデン ラッシュ パックは、プーマストア 原宿キャットストリート、プーマストア 大阪、プーマ公式オンラインストア、プーマアプリ、一部取扱い店舗にて販売します。

 

 

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日本初レビュー!“走ることを楽しめる”ブルックスの「グリセリン21」/大田原 透の「ランニングシューズ戦線異状なし」

ギョーカイ“猛者”が走って、試して、書き尽くす! ランニングシューズ戦線異状なし

2023「ブルックス」冬の陣③「グリセリン21」の巻(後編)

 

日本で展開しているランニングシューズを、各社の担当者に取材し、走る速度別にインプレする、このGetNavi web連載。今回はブルックス(BROOKS)の最新モデル、2024年1月下旬に発売予定の「グリセリン(GLYCERIN)21」にフォーカスする。日本では馴染みの薄いブルックスだが、本国アメリカで100年以上続く老舗中の老舗。日本を含めた東アジアでの再プロモーションが急ピッチで進められ、今後の注目度が間違いなく上がるブランドなのである。

 

そのブルックスのロングセラーモデルがグリセリンで、今回インプレを行うのは21代目。日本ではGetNavi webが、最初に記事として扱う機会を得ることになる。グリセリンは、ブルックスの売り上げの大きなウエイトを占める、クッション重視モデルの代表格。ランニングがライフスタイルの一部になっている人たちが、走ることそのものを楽しめる一足である。

↑2024年1月下旬発売予定、「グリセリン21」2万2000円(税込)。カラー:4色展開(メンズ)、4色展開(ウイメンズ)。サイズ:25~29㎝(メンズ)、22~26㎝(ウイメンズ)。重量:280g(27㎝片足)。ミッドソールドロップ10㎜

 

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いよいよ、グリセリン21を試走!

この連載での試履きは、“今週末、たまにはカラダを動かそっかなぁ~”な気分に合わせ、4つのスピードでシューズのインプレを行っている。まずは、シューズに足を入れた感覚、およびウォーキング。そして、「運動不足解消」が目的で走る、1㎞を約7分(=キロ7分)の、の~んびりペース。

 

続いて、脂肪を燃焼させる「痩せラン」に適した、1kmを約6分(=キロ6分)のゆっくりペース。最後は、距離ではなく、走る爽快感重視の、1㎞約4分30秒~5分で走る(キロ4.5~5分)「スカッと走」である。

 

【まず、履いてみた!(走る前の足入れ感&ウォーキング)】

ランニングシューズは、かかとに合わせて履くのが基本。シューレース(靴ひも)を緩めて立ち上がると、さすが老舗のブルックス、グリセリン21はかかとをしっかりホールドしてくれている。ミッドソールのクッション材「DNA LOFT v3」は、体重を受け止め、わずかに沈み込む。今風のランニングシューズの軟らかさ、心地よい。

 

グリセリンに搭載されているDNA LOFT v3は、世界で最初にEVAをランニングシューズに採用したブルックスが開発した、EVA素材だ。EVAにラバーを配合し、窒素ガスで発泡させている。DNA LOFT v3は衝撃吸収性に優れるだけでなく、弾力性と反発性にも富む。モチっとした感覚で、リズムよく歩ける。

 

グリセリン21は、つま先からかかとにかけて、揺りかごのようなラウンドのロッカー構造なので、シューズが転がるように前へ前へとカラダを運んでくれる。ソールが厚底過ぎて、一歩一歩がもたもたする感じはない。スタスタと進む感覚だ。

 

【運動不足解消ジョグ(1㎞を7分で走るペース)】

日頃の運動不足には、必ず理由がある。しかし、いくら理由を並べても、カラダが軽くなるワケではない。“時間ができたら運動する”ではなく、日々のスケジュールに運動の時間を先手必勝で作る。週7回を決めておけば、雨や急用で運動の予定が1日や2日潰れても、大した影響ではない。

 

1㎞を7分かけてのんびり走る運動不足解消ジョグ。早足に毛が生えた程度のスピードだから、最初こそ辛くともすぐに慣れるはず。グリセリン21のロッカー構造は、走ると乗り味の快適さを実感できる。ミッドソールのDNA LOFT v3は、衝撃を吸収するだけでなく、跳ねてくれるので、心地よいのだ。

 

シューズが快適だから、明日も走ろうっかなぁ~となれば、しめたモノ。普段の生活圏からわずかに離れたエリアまで、散歩ならぬ散走するだけで、世界も拡がる。運動不足もいつの間にか解消。グリセリン21は、そんな気分にさせてくれる。

 

【痩せラン(1㎞を6分で走るペース)】

痩せるために、サウナスーツなど衣類を着込んで汗を流す。そんな御仁を、最近は目にしなくなった。理由はシンプル、走って落ちたのは水分で、脂肪ではないことに世間が気づいたから。しかも、カラダの深部の体温が上がってしまえば、運動は長続きしない。一般的には、体重(㎏)×距離(㎞)=消費エネルギー(kcal)と言われているので、体重という重りを遠くまで運んだ分だけ、脂肪は燃えてくれるのだ。

 

そのためにも、快適に、遠くまで走れるペースが、脂肪燃焼に効く。痩せランは、隣で走る人とおしゃべりができるニコニコペースが基本。70㎏の人が10㎞走れたら、蕎麦二人前分が消費される計算だ。ランチを抜くか、休み休みでも走ってみるか、脂肪を減らしたければ自明の理だろう(両方は、エネルギーの消費先でもある筋肉の分解を招くので、お薦めしない)。

 

困ったことに、グリセリン21はよく走るシューズだ。自然にスピードに乗ってしまい、何も考えないと1㎞を5分30秒ほどで走ってしまう。スピードが上がり過ぎると距離を稼げない(=脂肪がたくさん燃えない)ので、ペースを抑える必要があるほどである。

 

特筆すべきは、インソールの良さ。インソールは、足裏とシューズの間にある中敷きのこと。ミッドソールのDNA LOFT v3のモチっとした跳ねるクッション感を、さらにインソールが引き出してくれている。試しに別のシューズのインソールと入れ替えて走ってみたが、その差は歴然。足指がしっかり地面を掴んで蹴れている感覚。もちろん足指が疲れるような嫌な感覚ではなく、しっかり走れている好感触なのだ。

 

【スカッと走(1㎞を4.5~5分で走るペース)】

何も考えないで走ると、グリセリン21はスカッと走る速度帯で巡航する。地面を力強く踏めば、その分だけ跳ねてくれる。しかも、下り番長。靴裏の前足部の踏み面は広いので、下りでスピードを上げても危なげなく、安定した走りで下れる

 

アップダウンのある丘陵地帯にお住いの方には、グリセリン21をお薦めする。上り坂でも、DNA LOFT v3のモチっとした跳ねるクッション感が、重力に抗うココロまで支えてくれるはずだ。坂道が好きになるシューズ、それがグリセリン21だ。

 

ランニングの楽しみ方にはいろいろあるが、颯爽とゴールを駆け抜ける“スカッと走”の爽快感は欠かせまい。日本ではゆっくり長く距離を走るLSD(ロング・スロー・ディスタンスの略)が人気だが、ニューヨークやロンドンなど海外の街で走っていると、“スカッと走”派のランナーをよく見かける。

 

彼ら彼女らに走力があるのかと言うと、そうでもない体型だったりするのだが、気持ちよいペースでガシガシと走って、リフレッシュしている。そんなスカッと走にも、もちろんグリセリン21はピッタリな一足だ。

 

ガチなランナーに人気の昨今のカーボン入り厚底シューズは、それに見合った走力とトレーニングを積まないと、想像以上の筋へのダメージを招くリスクは否定できない。筆者は、誰もがカーボン厚底を履くことには、正直、賛成はしないが、走力を高めるための“地脚を作る”トレーニングにグリセリン21を履くことには大賛成だ。

 

無理に流行に合わせず、そのままグリセリン21をレースでも使い、安全に確実に、フルマラソン4時間切りを狙えるシューズだと言える。空気も冷え、タイムも距離も狙える、絶好のランニングシーズン、この一足ならモチベーションも上がるはず!

 

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撮影/中田 悟

 

 

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2023「ブルックス」冬の陣③「グリセリン21」の巻(前編)

 

アメリカ・シアトルを本拠に、全米のランニング専門店でナンバー1の売り上げを誇る「ブルックス(BROOKS)」。日本での知名度は高くはないが、100年以上の歴史を持つ老舗ランニングシューズブランドなのである。

 

ブルックスは2001年、現在もCEOであるジム・ウェーバーが、それまでの野球やアメリカンフットボールのスパイクまで手掛ける総合スポーツシューズブランド路線から、ランニングシューズブランドに特化することを宣言。以降、「RUN HAPPY」をキーワードに、トップアスリートから、ウィークエンドジョガーまで、幅広い層の“走る喜び”をサポートし続けている。

↑ 2024年1月下旬発売予定、「GLYCERIN 21(グリセリン)」2万2000円(税込)。カラー:4色展開(メンズ)、4色展開(ウイメンズ)。サイズ:25~29㎝(メンズ)、22~26㎝(ウイメンズ)。重量:280g(27㎝片足)。ミッドソールドロップ10㎜

 

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代表的なクッションモデル「グリセリン」!

本国アメリカのみならず、欧州やオーストラリアでも人気のブルックス。ブルックスは、東アジアへの強化を打ち出し、急速に地歩を固めつつある。日本では「瞬足」で知られるアキレスがブルックスの総販売代理店となり、2019年から日本での展開をスタート。ということで、今回も東京・新宿のアキレス本社にお邪魔しているのである。

 

「ブルックスの代表的なロングセラーモデルと言えば『グリセリン(GLYCERIN)』です。グリセリンは、ブルックスのクッションタイプのシューズの中でも汎用性が高く、実業団で走るトップアスリートから、タイム更新に挑戦する市民ランナーなどから高い評価をいただいています」

 

と語るのは、アキレスの栗岩克明さん。ご自身もマラソン大会を走る栗岩さんによると、月間300㎞も走る実業団レベルの選手たちは、高強度のトレーニング走(ポイント練習など)の後にグリセリンを履くことが多いのだとか。スロージョグなどで脚のリカバリーを促す際に、積極的にグリセリンに履き替えて走るという。

↑お話を伺った、アキレスでブルックスを担当する栗岩克明さん。中高大と陸上長距離で競技を続け、現在もマラソン大会に出場するエリート市民ランナーである

 

2024年1月下旬に発売開始、最新グリセリン21

「グリセリンは、衝撃の吸収性に優れていると同時に、弾力性、反発性も高いので、気持ちよく走れるシューズです。フルマラソン42.195kmを4時間切って走る、いわゆる“サブ4”を目指すレベルのランナーには、まさにピッタリな一足だと思います」(栗岩さん)

 

筆者もその昔、ラスベガスで行われた夜のフルマラソン大会で、グリセリンを履いて走ったことを思い出した。大陸の内陸部の夜はよく冷えたが、グリセリンのおかげで、足取りも軽やかに、ネオン溢れるゴールを、まさにこのタイムで駆け抜けた。

 

そのグリセリンの最新作が、2024年1月下旬発売予定の「グリセリン21」(20代目のグリセリン20は2022年7月に登場したので、1年半ぶりのニューモデルとなる)。今回、GetNavi webは、日本で初めて21代目となる最新グリセリンの詳細をレポート、しかも試し履きする機会を得たのである!

↑トレンドの厚底でも快適な走りとなるよう、つま先からかかとにかけて揺りかごのようなラウンドを持たせたロッカー構造を採用。前作より2㎜厚となるミッドソールの弾力性と反発性も加わり、転がるように進む!

 

グリセリン21は、オールマイティなランニングシューズ!

「グリセリン21は、オールマイティな一足です。ミッドソールには、ブルックス独自のクッショニング機構である『DNA LOFT v3』を搭載しています。DNA LOFT v3は、EVAにラバーを加え、窒素ガスで発泡させており、衝撃吸収性だけでなく、弾力性と反発性にも優れています。着地衝撃の大きさに応じて反発性が変化するDNAシリーズの中でも、安定性を持ちながらも、よく跳ねるのが特徴です」(栗岩さん)

 

靴裏(アウトソール)は、かかと側も前足部も踏み面が広く、ミッドソールのバネがあっても、グリセリン21の走行安定性の高さを物語っている。さらに、アウトソールに貼られた新開発の「ロードタックラバー」は、軽量かつ弾力性と耐摩耗性に富み、地面を確実にグリップするという。

↑ブルーとオレンジの新しくなった「ロードタックラバー」。ブルーの部材の丸穴から、ミッドソールのDNA LOFT v3のクッション性を直接、指で実感できる!

 

↑ブルックスの本拠地、シアトル。アウトソールには「DESIGNED IN SEATTLE」と刻まれている

 

ランニングそのものを楽しめる1足

かかとから爪先にかけての揺りかごのようなラウンド(ロッカー構造)も、しっかり取られている。さらに、かかととつま先の高低差も10㎜と、最近のシューズのなかでは前傾気味。見た目からして“おぬし、けっこう走れるシューズだな”なのである。

 

「甲を包むアッパーには、新たなエンジニアード・ワープニットを用いているので足馴染みも抜群です。私も毎日のように走るのですが、時間が取れる休日のロング走はグリセリンを履いて走っています。月2回ほどの高強度のポイント練習にはブルックスのスピードタイプを履きますが、翌日のリカバリー走は、グリセリンです」(栗岩さん)

 

グリセリン21は、ガチなレース用ではなく、走ることそのものを楽しめる一足と言えよう。だからこそ、仕事で走る実業団の選手から、走る楽しさにハマったランナー、さらに短い距離でも気持ちよく走り抜けたい負けず嫌いランナーに刺さっているのだろう。

↑ブルックスのクッションタイプのランニングシューズは、かかとのホールド感を高めた造りが特長。ぶ厚く盛られたミッドソールが外に張り出し、安定性を高めている

 

履く人に合わせ、3つのタイプを用意!

なお、グリセリンをはじめブルックスのランニングシューズには、スタンダードなタイプに加え、いくつかのバリエーションを同時に販売している。グリセリン21は、スタンダードも含め全部で3タイプ。フォーム的に着地がブレるランナーには、ガイドレールというサポート部材でミッドソールを補強したモデル「グリセリン GTS(ゴートゥサポートの略) 21」。さらに、足馴染みの良いステルスニットをアッパーに用いた「グリセリン ステルスフィット 21」も同時に展開するという。

 

「同じくグリセリン21なのですが、ブルックスは“ランナーファースト”を追求しているため、履く人に合った、最適なシューズを選んで欲しいと願ってバリエーションを展開します。ぜひショップに足を運び、実際に足を入れて履き比べてみてください」(栗岩さん)

↑グリセリン21は、男女とも4色展開。普段履きもできる配色も用意され、シックなランニングウェアとのコーデも楽しめる

 

いよいよ次回、日本初のグリセリン21試走

最新鋭グリセリン21で走りたい気持ちも、最高潮! 次回は、“今週末、走ってみよっかな~”な気分に合わせ、4つの目的のペース別にグリセリン21を走り比べる。まずは、“足入れ&ウォーキング”、次に“運動不足解消ラン”、さらに脂肪燃焼のための“痩せラン”、最後は颯爽と走り抜ける“スカッと走”である。

 

栗岩さん曰く「ブルックス史上、最高の出来栄えです」というグリセリン21。いよいよ、GetNavi webによる、日本で最初のレポート。どんなパフォーマンスを引き出せるか、乞うご期待なのである!

 

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撮影/中田 悟

 

 

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スーパーノヴァが進化した! デイリーランニングシューズ「アディダス スーパーノヴァ ライズ」

アディダス ジャパンは、1997年にスタートしたランニングシリーズ「SUPERNOVA(スーパーノヴァ)」を大幅刷新し、走ることを楽しむための「心地よさ」を提供するデイリーランニングシューズを新たに発表しました。今回、第1弾となる「adidas SUPERNOVA RISE(アディダス スーパーノヴァ ライズ)」は、2023年12月8日より発売中です。

 

次世代デイリーランニングシューズ

アディダスは、長年に渡るパフォーマンスシューズの開発経験とそこから得た知見に基づき、様々なランニングシューズに搭載してきた先進的テクノロジーを、デイリーランニングシューズにも組み込む方法を探求しました。その成果として誕生したのが、ミッドソールに採用した新素材「DREAMSTRIKE+(ドリームストライクプラス)」です。本素材は、アディダスが誇る高機能ランニングシリーズ「ADIZERO(アディゼロ)」に使用されているミッドソール素材「LIGHTSTRIKE PRO(ライトストライク プロ)」をヒントに開発され、さらにアップデートされた製法によって生み出されました。

↑「アディダス スーパーノヴァ ライズ」1万5400円(税込)。27.0cmの場合、片足277g

 

アディダス スーパーノヴァ ライズでは、そのドリームストライクプラスをミッドソール全体に配することで、今までにない「ぶっちぎり」の履き心地を実現。またランニング中の足の動きから着想を得た「サポートロッドシステム」と、快適なフィットを提供する「コンフォート ヒール フィット」のテクノロジーが組み合わさり、毎日走りたくなる心地よさと安定性、日々のランニングに求める高いクッション性を実現しました。

↑新フォーム素材DREAMSTRIKE+が、毎日走りたくなる快適さとクッション性を提供

 

↑ランニング中の足の動きから着想し、アウトソールに組み込まれた革新的なサポートシステムが、サポート性とスムーズな体重移動の絶妙なバランスを実現

 

↑履き心地とサポート性を高めるクッショニングフォームと、柔らかいテキスタイルの組み合わせからなるコンフォート ヒール フィットが、足首を包み込む履き口とヒールとの一体感をもたらす

 

 

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全てのアスリートのため。「ナイキ アルファフライ 3」は自分の限界を破るランニングシューズ!

全ランナーのための革新的なプロダクト開発の新しい一歩となる、「ナイキ アルファフライ 3」が登場します。ナイキ アルファフライ 3は、マラソンランナーに期待以上のスピードを提供します。ナイキ エア ズームを活用し、歴代のアルファフライの中でも最軽量かつ、エリートマラソンランナーによるテストを最も多く行なったこのプロダクトは、さまざまなペースで走る全てのアスリートが自分の限界を破るためのシューズです。

 

エリートランナーと一般ランナーの両方のニーズに応える

ナイキ アルファフライ 3は、アスリートとのテストを積み重ねたナイキ独自の開発プロセスを感じさせる 「プロトタイプ」カラーで登場します。全体は白く、前足部には2つのエア ズーム ユニットを強調するアクセントカラーを使い、ミッドソールの外側側面には着用テストへの貢献に敬意を表して記された参加アスリートの番号(20820-4)や、アトムニットの開発に試行錯誤を繰り返したバージョン数“V62”も刻まれています。

↑「ナイキ アルファフライ 3」3万9655円(税込)

 

↑新しいアトムニット 3.0 を使用したアッパーは軽量で通気性に優れたデザインで、より足を快適に包み、通気性と中足部のサポート性を向上させています

 

↑前足部に2つ搭載したナイキ エア ズーム ユニットが、路面からの衝撃を和らげてエネルギーを戻し、次の一歩を促します

 

↑新しい軽量のファスト ショット アウトソールが、最適なトラクションとグリップを提供します

 

ナイキ アルファフライ 3 「プロトタイプ」カラーは、2024年1月4日にNIKE.COM、NIKEアプリ、一部のNIKE販売店にて発売予定です。その他のカラーも今後順次発売予定です。

 

 

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流行のフワフワ系にはない安定感、“ブルックス流”厚底!/大田原 透の「ランニングシューズ戦線異状なし」

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2023「ブルックス」冬の陣②「ゴーストマックス」の巻(後編)

 

北米で知らぬランナーはいないビッグブランド、「ブルックス(BROOKS)」。日本での知名度こそ高くはないが、100年以上続く超~老舗である。そのブルックスを代表するクッショニングモデルと言えば、「ゴースト(GHOST)」である。

 

今回、日本でブルックスを展開するアキレスの担当者からGetNavi web読者に薦められたのは、そのゴーストのさらなるエントリーモデル「ゴーストマックス(GHOST MAX)」。厚底タイプのランニングシューズである。

 

ゴーストマックスが単なる厚底シューズではないのは、ブルックスが並々ならぬ注力を注いできたミッドソールの機構「DNA LOFT v2」の存在にある。着地の衝撃に応じて反発性が変化する初期のDNAを、ブルックスは何と2010年に発表。以降、現在までブルックスはDNAの進化を後押ししてきた。

↑ 「ゴーストマックス」1万9800円(税込)。カラー:4色展開(メンズ)、4色展開(ウイメンズ)。サイズ:25~29㎝(メンズ)、23~26㎝(ウイメンズ)。重量:285g(27㎝片足)。ミッドソールドロップ6㎜

 

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いよいよ、ブルックス「ゴーストマックス」を試走!

てな話が、前回まで。後編では、ゴースト マックスを実際に、履いて、走って、レビューする。まずは、シューズに足を入れた感覚、そしてウォーキングのインプレ。次は、「運動不足解消」の目的で走る、1㎞を約7分(=キロ7分)の、の~んびりペース。

 

さらに、脂肪を燃焼させる「痩せラン」に適した、1kmを約6分(=キロ6分)のゆっくりペースで走る。最後は、距離ではなく、走る爽快感重視の、1㎞約4分30秒~5分で走る(キロ4.5~5分)「スカッと走」。どれも、“たまには、走ってみよっかな~”の目安になるペースだろう。

 

【まず、履いてみた!(走る前の足入れ感&ウォーキング)】

厚底ながら、ゴーストマックスの重量は300g(27cm:片足285g)を切る。最近のランニングシューズは、ブルックスも含め、驚くほど軽い。それでいて、ゴーストマックスに足を入れて立ってみると、それなりの硬さがあって沈み込み過ぎず、しっかり支えてくれている。

 

見た目は、今流行りの厚底フワフワ系に見えるが、ゴーストマックスはさに非ず。しっかり大地を踏んでいる安定感がある。少し歩いてみただけで、歩きやすさを感じるはず。まずはウォーキングから運動を始めようという方にもピッタリ!

 

その理由は、まさにミッドソールのブルックス独自のEVA素材「DNA LOFT v2」だ。EVAにラバーを加え、エアで発泡させたクッション材は、衝撃吸収性に優れ、しかも適度な反発性を持っている。DNA LOFT v2が、抜群の安定性をゴーストマックスに与えてくれているのである。

 

【運動不足解消ジョグ(1㎞を7分で走るペース)】

続いては、いよいよジョグペース。スピードはほんの僅かな違いしかないが、ジョギングはウォーキングよりも約2倍と運動強度が上がる。運動不足を効率的に解消するなら、歩くよりも、ランは俄然効果があるのだ。

 

で、ジョグでのゴーストマックス。低速で走っても、ブレない安定した走りだ。オートマ車のように、スピードに応じてギアが自動で変化する感覚。昨今、各社のミッドソール開発競争が激化し、低速はフワッ、高速になるほど高反発の素材が幅を利かせるようになったが、さすがはゴーストを冠にしているだけあって、ゴーストマックスは加減速でも安定した走りである。

 

それにしてもマックスのDNA LOFT v2ながら、ゴーストマックスは低重心。ミッドソールに厚みがある分、ブレるリスクもあるが、まっすぐ安定。その理由は、かかとから爪先にかけての揺りかごのようなラウンド「グライドロールロッカー」のなせる業だろう。

 

ロッカー構造を採ることで、着地から蹴り出しまで、転がるように前に進む。ゴーストマックスのマイルドなロッカーが、自然にカラダを前に進めてくれるのだ。足の甲を包み込むエンジニアドメッシュのアッパーのホールド感も、ストレスなく快適である。

 

ちとペースアップ。とは言っても、一緒に走る人と会話ができる程度の速度。それが脂肪燃焼効率の良い“痩せラン”、1㎞を6分で走るペース。走った分だけ燃えてくれるので、ジャンクなモノを食べても罪悪感は抑えられる。久しぶりの本格的な忘年会シーズンを迎えるにあたり、“痩せラン”なのである。

 

【痩せラン(1㎞を6分で走るペース)】

ちとペースアップすると、ゴーストマックスのクッションも、ちとアップ。スピードアップに対して、正確に比例してクッションを効かしてくれる。仕事に……家事に……雑念に……と、走りに集中しなくても、ノンプロブレムなゴーストマックス(ちなみに何も考えずに走ってみたら、1㎞を6分15秒で走るペースだった)。

 

ゴーストマックスの安定性の高さを確認したところで、試しに、上体を少し前傾させてみよう。すると、すーっとスピードが上がる。グライドロールロッカーが効いている証拠だ。姿勢の制御だけで、面白いほどスピードに乗ってくるのだ。

 

ゴーストマックスなら、100㎞を走るウルトラマラソンもイケそう。10時間以上走り続けるウルトラマラソンでは、どんな天気でも、どんな気温でも、激坂があっても、何があっても、一定のパフォーマンスを保ってくれるシューズが欲しくなる。初めてのウルトラマラソンなら、ゴーストマックスは間違いない選択。あっ、初フルマラソンでもOKなのは、改めて書くまでもございませぬ(笑)。

 

【スカッと走(1㎞を4.5~5分で走るペース)】

姿勢の制御だけで、1㎞を4.5分で走るペースは簡単に作れる。ゴーストマックス侮りがたしである。走る目的が、運動不足解消や脂肪燃焼ではなく、ゴールに向かって走り切る精神衛生にあるなら、ゴーストマックスでのペースアップは正義である。

 

とは言え、ゴーストマックスのロッカーはマイルド。DNA LOFT v2も安定性重視のフォーム材なので、坂道をガシガシ登るパワフルさは、さすがにゴーストマックスは持ち合わせていない。

 

ただし、下りは別モノ! 日が暮れて暗い急坂をガンガン下るが、ソールの踏み面も広く、DNA LOFT v2の適度に硬いクッションで全く不安がない。下り坂が苦手、という人こそゴーストマックスを試していただきたい。

 

ということで、次回からは、2024年1月に発売が決まったブルックスの名モデルの21代目「グリセリン21」に移る。最新のグリセリン21の進化を、GetNavi webにて、どこよりも早くお届けしたい!

 

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撮影/中田 悟

 

 

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ギョーカイ“猛者”が走って、試して、書き尽くす! ランニングシューズ戦線異状なし

2023「ブルックス」冬の陣②「ゴーストマックス」の巻(前編)

 

北米のランニング専門店で圧倒的なシェアを誇る「ブルックス(BROOKS)」。日本での知名度こそ高くないが、70年代のジョギングブームを経て、2000年代の選択と集中により、アメリカのランナーでブルックスの名を知らぬ者はいないブランドに成長している。

 

そのブルックスを代表するモデルと言えば、「ゴースト(GHOST)」。2023年にシリーズ15代目が登場し、安定した走りが得られるクッション性の高いモデルとして、ゴーストは体格の大柄なアメリカのランナーたちからも高い評価を得ている。

 

今回GetNavi web読者にブルックスが薦めてくれたのは、「ゴーストマックス(GHOST MAX)」という「ゴースト」のエントリーモデル。日本では2023年10月末から展開の、ピカピカの最新モデルだ。詳細な紹介は後述するが、ゴーストマックス最大の特徴は、昨今の厚底ブームにも象徴される、ぶ厚いミッドソールである。

↑「ゴーストマックス」1万9800円(税込)。カラー:4色展開(メンズ)、4色展開(ウイメンズ)。サイズ:25~29㎝(メンズ)、23~26㎝(ウイメンズ)。重量:285g(27㎝片足)。ミッドソールドロップ6㎜

 

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EVAの可能性を、世界で最初に見出したブルックス

「70年代に互いに競い合うことで開発レベルを上げたアメリカのランニングシューズメーカーたちは、各社で自分たちのストロングポイントが違いました。そうしたなかでブルックスは、ケガの防止に効果的なクッションの役目を持つ、ミッドソールに着目してきました」

 

と前回に引き続き語るのは、ブルックスの日本総販売代理店であるアキレスの栗岩克明さんである。自身も市民ランナーとしてフルマラソンなどを走りながら、ブルックスの日本での展開の采配を行っているギョーカイ“猛者”のひとりである。

 

「ブルックスが、ミッドソールの素材として注目したのは、当時の最先端素材のEVAです。EVAは、軽量で耐久性に富み、加工しやすい上に安全性も高く、何より柔軟性と弾力性に富んでいます。まさに、ランニングシューズのクッション材として、EVAはうってつけの素材でした」(栗岩さん)

↑ブルックスの日本総販売代理店であるアキレスの栗岩克明さん(右)。2019年からアキレスがブルックスを扱うにあたり、日本での展開の采配を行っている。左は、2019年以前にもブルックスを履いてきた筆者(左)

 

着地衝撃の大きさに応じて反発性が変化する

ゴーストマックスに搭載されたミッドソールも、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合樹脂)である。ブルックスが世界で最初にEVAをランニングシューズに採用するのは1977年。その後もEVAの研究開発を行い、2010年にはブルックス独自のクッショニングテクノロジーの「DNA」を発表している。

 

現在も進化し続けるブルックスのDNAは、着地衝撃の大きさに応じて反発性が変化するミッドソール機構で、素材の配合や発泡時のガスの成分などを変えながらさまざまなシーンでランナーの走りをサポートしている。

 

「ゴーストマックスに使われているDNAは、EVAにラバーを加え、エアで発泡させた『DNA  LOFT v2』を使用しています。衝撃吸収性に優れ、耐久性にも富んでいるため、へたり難く長持ちします」(栗岩さん)

↑足と靴底(アウトソール)の中間の部材がミッドソール(全部黒いので分かりにくいが、光沢のある部材)。ブルックス史上最も柔らかいクッション素材DNA LOFTの進化版となるDNA LOFT v2がたっぷり

 

歩いても良し、走っても良し!

ミッドソールにこだわり抜くブルックスが、ブランドの顔とも言えるゴーストの名前を冠にした厚底モデル。となると、ゴーストマックスは、単に厚底ブームだから……というモデルではないことが分かる。ゴーストマックスこそ、世の厚底ブームに対し、ミッドソールにこだわり抜いたブルックスの並々ならぬ意気込みを込めた一足なのだ。

 

「アメリカ本国では、よりエントリー層向けにプロモーションを行っています。そのためウォーク&ラン、フィットネスウォーカー、コミューターパス(通勤用)などと表現されており、ゴーストマックスを実際に履くと、歩いても良し、走っても良しと感じていただけます」(栗岩さん)

 

栗岩さん曰く、ゴースト マックスのラグ(靴裏の凸凹のパターン)は、ウォーキングシューズに近いフラットなパターンだそう。加えて、屈曲性にも富んでいるため、ランニングにも十分に対応できるのだとか。

↑上から見ると、ソールが張り出し、安定性に優れた幅広い踏み面であることが分かる。足の甲を包み込むアッパーには、エンジニアドメッシュを採用している

 

ただの厚底ではない“ゴーストらしさ”

「ゴーストマックスが目指したのは、オリジナルであるゴーストの安定感です。かかとの食いつきの良いホールド感は、まさにゴーストそのものです。着地から中足部、そして蹴り出しまでの重心移動がスムーズなのも、ゴーストの特徴です。走りやすいという評価も、ゴースト同様にいただいています」(栗岩さん)

 

しかしゴーストマックスは、ただの厚底ゴーストには収まらない。最大の違いは、「グライドロールロッカー」と言われるソールの構造だ。ゴーストマックスは、かかとから爪先にかけて、揺りかごのようなラウンドがあり、着地から蹴り出しまで、ぶ厚いミッドソールで転がるように足を前に出せる。

 

しかも、靴がそうさせる……という極端なロッカーではなく、あくまでマイルド。さらに、かかととつま先の高低差を示すドロップは6㎜と、これまたマイルド(ちなみに、ゴースト15のドロップは12㎜)。設計の方向性や、ミッドソールの素材こそ共有しているが、目指す着地点が“ゴーストらしさ”だからこそ、そのアプローチは敢えて変えているのだ。

↑ 靴裏(アウトソール)はフラット。横に切られた溝があることで屈曲するため、着地から蹴り出しまでスムーズになる。ロッカーもあまり感じさせない、マイルドな味付けだ

 

「ゴーストマックスは、LSDに最適です」

「ゴーストマックスは、足にも身体にも負担が少ないため、長時間ゆっくり距離をかせぐLSD(ロング・スロー・ディスタンスの頭文字の略称)に最適です。ジョギング目的や、初めてのフルマラソン挑戦、もちろんウォーキングや普段履きにもお使いいただけます」(栗岩さん)

↑ 栗岩さんの背景に並ぶのは、ブルックスのクッション系のシューズたち。レースでも履けるモデルでも、普段履きでも使いやすいモノトーン系のカラバリが用意されている

 

ということで、次回は、いよいよゴーストマックスを実際に履いて、走って試してみることに。ゴースト以上にゴーストらしい、ゴーストマックス。その実力のほどを、存分にレポートしたい。

 

撮影/中田 悟

 

 

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駅伝やハーフマラソンといったレースで最速へのパフォーマンスを発揮する、アディダス「ADIZERO TAKUMI SEN 10」!

アディダス ジャパンは、アディダスとして初めて“駅伝”をその名に冠したランニングコレクション「ADIZERO EKIDEN COLLECTION(アディゼロ エキデン コレクション)」を発表。その一部として、5キロから15キロ、駅伝やハーフマラソンといったショートディスタンスのロードレースで最速へのパフォーマンスを発揮する、高反発推進テクノロジー搭載軽量レーシングシューズ 「ADIZERO TAKUMI SEN(アディゼロ タクミ セン)」の最新アップデートモデル「ADIZERO TAKUMI SEN 10(アディゼ ロ タクミ セン テン)」を新たにラインナップ。ADIZERO TAKUMI SEN 10を含むADIZERO EKIDEN COLLECTIONは、2023年12月1日より順次発売します。

↑「ADIZERO TAKUMI SEN 10」2万2000円(税込)

 

坂道でも強い蹴り出しと優れた推進力を発揮!

今回大幅刷新されたADIZERO TAKUMI SEN 10は、短い距離でもスピードを発揮しやすいよう、スタックハイト(厚み)を低めに設定したミニマライズ構造を採用しながら、新たにフルレングスの5本骨状バー「ENERGYRODS 2.0」を採用。クッション性、反発性、弾力性、軽量性など全てをハイレベルで実現した高機能性フォーム 「LIGHTSTRIKE PRO」とのコンビネーション構造により、一体感のあるスムーズな足運びとアディゼロならではのフィット性、そして爆発的な推進力を実現しました。

↑リサイクルメッシュ素材を使用し、重ね縫いや縫い目の数を減らしながらも、必要な部分にはスティッチで補強を施すことで安定性を向上

 

↑2層構造のLIGHTSTRIKE PROがもたらす優れたクッション性と推進力。そして履き心地は軽い

 

↑あらゆる天候、コンディション下でも優れたグリップ力を発揮する Continentalラバーを前足部に搭載、スリップによるエネルギーロスを軽減

 

 

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駅伝やハーフマラソンといったレースで最速へのパフォーマンスを発揮する、アディダス「ADIZERO TAKUMI SEN 10」!

アディダス ジャパンは、アディダスとして初めて“駅伝”をその名に冠したランニングコレクション「ADIZERO EKIDEN COLLECTION(アディゼロ エキデン コレクション)」を発表。その一部として、5キロから15キロ、駅伝やハーフマラソンといったショートディスタンスのロードレースで最速へのパフォーマンスを発揮する、高反発推進テクノロジー搭載軽量レーシングシューズ 「ADIZERO TAKUMI SEN(アディゼロ タクミ セン)」の最新アップデートモデル「ADIZERO TAKUMI SEN 10(アディゼ ロ タクミ セン テン)」を新たにラインナップ。ADIZERO TAKUMI SEN 10を含むADIZERO EKIDEN COLLECTIONは、2023年12月1日より順次発売します。

↑「ADIZERO TAKUMI SEN 10」2万2000円(税込)

 

坂道でも強い蹴り出しと優れた推進力を発揮!

今回大幅刷新されたADIZERO TAKUMI SEN 10は、短い距離でもスピードを発揮しやすいよう、スタックハイト(厚み)を低めに設定したミニマライズ構造を採用しながら、新たにフルレングスの5本骨状バー「ENERGYRODS 2.0」を採用。クッション性、反発性、弾力性、軽量性など全てをハイレベルで実現した高機能性フォーム 「LIGHTSTRIKE PRO」とのコンビネーション構造により、一体感のあるスムーズな足運びとアディゼロならではのフィット性、そして爆発的な推進力を実現しました。

↑リサイクルメッシュ素材を使用し、重ね縫いや縫い目の数を減らしながらも、必要な部分にはスティッチで補強を施すことで安定性を向上

 

↑2層構造のLIGHTSTRIKE PROがもたらす優れたクッション性と推進力。そして履き心地は軽い

 

↑あらゆる天候、コンディション下でも優れたグリップ力を発揮する Continentalラバーを前足部に搭載、スリップによるエネルギーロスを軽減

 

 

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駅伝からインスピレーションを受けた、ナイキ「EKIDEN PACK」コレクション

ナイキは、2023-2024年の駅伝シーズンに向け、シューズとアパレルからなる「EKIDEN PACK」コレクションを、2023年12月1日よりナイキのメンバー先行で発売します。今回のコレクションは、レース当日に着用するレーシングフットウェアや、日々のトレーニングで活躍するフットウェア、およびアパレルで構成されています。

 

シューズのラインナップは5種類!

陸上部のコーチとアスリートによって創設されナイキは、ランニングに深いルーツを持っています。今日でも、ランニングはナイキの根源であり、駅伝シーズンは、アスリートがパフォーマンスの限界を超え、ランニングが世界を前進させる力を持っていることを示してくれる、日本で最も刺激的なスポーツシーズンのひとつです。創業当時から変わらず、ナイキは、常にアスリート(※)の声に耳を傾け、ランナーのパフォーマンス向上を目指してプロダクト開発をしていますが、日本の駅伝ランナーも例外ではありません。

※:IF YOU HAVE A BODY, YOU ARE AN ATHLETE(身体さえあれば誰もがアスリートである)共同設立者ビル・バウワーマン

 

今回のEKIDEN PACKには、秋の駅伝シーズンから新年に向け、多くのランナーが駆け抜けるレースに向けたデザインが施されています。ナイキのレーシングシューズの速さを象徴するようなピンクとボルトカラーを使ったデザインで、それぞれのプロダクトには駅伝からインスピレーションを得た様々なグラフィックが施されています。

 

EKIDEN PACKのフットウェアは、レース本番用から日々のトレーニング用まで活躍してくれる幅広いモデルたち。レース本番シューズとして、これまでのランニングの常識を大きく変え、様々な記録を打ち立ててきた「ナイキ アルファフライ 2」と「ナイキ ヴェイパーフライ 3」には、ピンクとボルトの左足と右足で異なるカラーが採用されています。速さと耐久性に優れ、トレーニングなどで着用する「ナイキ ズーム フライ 5」、様々なレベルのランナーに対応し、日々の練習にも適した「ナイキ ペガサス 40」、そして、柔らかいフォームとズーム エア ユニットを搭載し、反発性にも優れ、トレーニングやレースに最適な「ナイキ ライバル フライ 3」など、幅広いランナーのニーズに寄り添ったシューズが含まれています。

↑「ナイキ アルファフライ 2」4万150円(税込)

 

↑「ナイキ ヴェイパーフライ 3」3万6850円(税込)

 

↑「ナイキ ズーム フライ 5」2万900円(税込)

 

↑「ナイキ ペガサス 40」1万7600円(税込)

 

↑「ナイキ ライバル フライ 3」9900円(税込)

 

アパレルに関しては、パッカブルジャケットとTシャツが展開されます。これらのアパレルもシューズと同じグラフィックが使われ、駅伝のたすきをイメージしたラインやリフレクターを使ったデザインが施されています。

 

EKIDEN PACKコレクションは、12月1日からナイキメンバー先行で、NIKE アプリ、NIKE.COM、NIKE直営店で発売し、その後12月8日からその他の販売店などで順次発売予定です。

 

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アメリカの巨人「ブルックス」が狙う、日本のランニング市場/大田原 透の「ランニングシューズ戦線異状なし」

ギョーカイ“猛者”が走って、試して、書き尽くす! ランニングシューズ戦線異状なし

2023「ブルックス」冬の陣①

 

アメリカを代表するランニングシューズと言えば、「ブルックス(BROOKS)」。創業者は、ジョン・ブルックス・ゴールデンバーグ。1914年、アメリカ北東部のフィラデルフィアで誕生する(現在の拠点は、西海岸のシアトル)。日本での知名度は高いとは言えないが、ブルックスは100年以上続く、超~老舗ブランドなのである!

 

そのブルックスは、プールや海水浴用のシューズやバレエ用のシューズブランドとして歩み始める。後に、野球やアメリカンフットボール用のスパイクも開発、全米のトップ選手の足元を支えるブランドへと成長していく。

 

ブルックスの知名度が不動になるのは、1960年代を起源に70年代に空前のブームとなる北米のジョギング文化の隆盛だ。1974年にブルックスが発表した「ヴィラノバ」(後に「ヴァンガード」に改名)は、アッパーに軽量で柔軟性に富むナイロンを採用。何より、足を保護する機能を重視したことで、多くのランナーから高い評価を得たのである。

 

ブルックスの日本総販売代理店は、「瞬足」のアキレス!

「現在でも知られているアメリカの多くのシューズ会社にも、ブルックスのヴィラノバのような“ヒット作”と呼ばれるシューズがありました。70年代は互いに切磋琢磨しあってシューズメーカーとして成長した時代でした」

 

と語るのは、「瞬足」で知られるシューズメーカー「アキレス」の栗岩克明さん。栗岩さんは、過去にも北米のランニングシューズブランドの日本展開を手掛けた“猛者”のひとり。ブルックスが2019年、アキレスと日本における総販売代理店の契約を締結するにあたり、栗岩さんが日本展開の陣頭指揮を執ることになったのだ。

↑今回お話を伺った、ブルックスの日本総販売代理店アキレスの担当者、栗岩克明さん。中高大と陸上長距離の競技を続け、今でもフルマラソンを中心に走り続ける市民ランナー。北米のランニングシューズブランドに精通する、ギョーカイ“猛者”のひとりである

 

今回のブルックス取材は、東京・新宿のアキレス本社のショールームからお届けしている。北米で圧倒的な知名度を誇り、数々の名作を生み出してきたブルックス。まずはどんなメーカーなのか、その歩みを改めて栗岩さんに聞いてみた。

↑オリンピックの中距離選手であるマーティ・リコーリからのフィードバックにより誕生したヴィラノバ。ヴィラノバは他の競合ブランドと肩を並べるきっかけとなったランニングシューズ

 

世界で初めて、ランニングシューズにEVAを採用する

「ブルックスは1975年、世界で初めてランニングシューズ『ヴァンテージ』にEVAを採用します。EVAは軽量で衝撃吸収性に優れており、さまざまな機能を持たせる加工のしやすさから、今や世界のスポーツシューズメーカーにとって不可欠な素材です。ブルックスは、最初にEVAに注目し、そして現在もその進化を後押しし続けています」(栗岩さん)

 

ブルックスのテクノロジーの中心にあるのは、進化し続ける最新EVAによるクッショニングテクノロジーの「DNA」。DNAは、着地衝撃の大きさに応じて反発性が変化するミッドソール機構で、早くも2010年に発表している。以降、ブルックスはDNAの進化の歩みを止めず、「DNA AMP(アンプ)」、「DNA LOFT(ロフト)」にアップデートし続けて現在に至る。

 

「ブルックスは、2001年にそれまでの総合スポーツシューズブランドから“選択と集中”を行い、ランニングカテゴリーに特化する道を歩み始めました。現在のCEOであるジム・ウェーバーは、ランニングシューズが、スポーツ用品として最も成功の可能性が高いと考えていたからです」(栗岩さん)

↑アキレスと言えば、日本の子どもとその親たちの絶大な支持を集める「瞬足」を思い浮かべる方も多いはず。アキレスは、実はシューズメーカーであると同時にシューズの素材メーカーでもある。遠くない将来、アキレスの素材がブルックスのシューズ作りに活用され、瞬足とのコラボシューズが生まれるかもしれない

 

ブルックスが掲げる「RUN HAPPY」は、“ゆるラン”ではない!

ブルックスは、北米各都市のランニング専門店を中心に、信頼と実績作りを着々と積み重ね、現在はトップシェアを誇る。そのアメリカでは知らぬ人がいないビッグブランド、ブルックスが掲げるメッセージが、「RUN HAPPY(ラン ハッピー)」だ。

 

「日本では、“ゆるラン”と解釈する人もいますが、走る全ての人に喜びを感じて欲しいというメッセージです。ガチなランナーにとっては、勝利やタイム更新がハッピーですし、初めてのフルマラソン完走もハッピー。週末にゆっくり走ることが喜びである人にもラン ハッピー。とても良いメッセージだと思います(笑)」(栗岩さん)

 

ちなみにブルックスブランドのマーク、一般的にシェブロンラインと呼ばれる逆V字は「道」をシンボリックに模ったのだという。本来は、足を包み込むアッパーを補強するためのパーツでもあったマークには、より速く、より遠くへ、より健康的に、人生を旅する道をサポートする、というブランドメッセージが込められているのだ。

↑ブルックスのシェブロンマーク。シェブロンは逆V字の山の形という意味で、ヨーロッパの制服などの袖にあしらわれていることが多いが、ブルックスは道なのだ

 

日本をはじめ、東アジアで注目のスピードカテゴリー

「ブルックスが徹底するのは“ランナーファースト”です。膨大なランナーの走行データを集め、身体の構造を力学的に分析するバイオメカニクス(生体力学)に基づいたシューズ開発を行っています。こうして開発されるシューズは、スピード、クッション、トレイルの3つの領域で様々なモデルをご用意しています。ブルックスには、陸上トラック競技用のスパイクもありますよ」(栗岩さん)

 

ブルックスは、本国アメリカを中心に、ヨーロッパ圏、オーストラリア、そしてアジア圏で広く展開している。急成長を遂げた北米やヨーロッパでのトレイルカテゴリーも、日本での展開が始まり、販路拡大が課題とのこと。

 

「ブルックスを日本で扱うアキレスの強みは、流通です。既存の百貨店や街のシューズ店はもちろん、郊外のモールに入っているスポーツ量販、セレクトショップへの強化も進んでいます。日本はほかのアジアの国からも、駅伝や市民マラソンなど、陸上のレベルが高いことで一目置かれています」(栗岩さん)

 

シアトルのブルックス本社も、東アジアでの展開を重視、来年発売されるスピードカテゴリーの目玉商品の展開も含めて、日本、中国、韓国、台湾の担当者が集まる会合を初めて開かれるのだとか。アジアでのブルックスの拡大は、実は、まだ始まったばかりなのだ。

 

GetNavi web読者におすすめの2足が決定!

「ブルックスのスピードカテゴリーには、いわゆる厚底カーボンのハイエンドモデルももちろんあります。注目は『ハイペリオンエリート』です。新年のビッグレースで話題になるかもしれないと言われるほど、トップ選手たちの評価が高いモデルです」(栗岩さん)

↑トップアスリート向けに開発された、いわゆる“厚底カーボン”と呼ばれるハイペリオンエリート3。高い走力と、履きこなすためのトレーニングを積んだ選手こそ、そのパフォーマンスを発揮できる(ちなみに価格は2万9700円!)

 

話が脱線したが、ブルックスの圧倒的なボリュームゾーンは、何と言ってもクッションのカテゴリーである。もちろん、今回GetNavi web読者にすすめてくれたのも、ガチの厚底カーボンではなく、クッションカテゴリーの2足である。

 

1足目は、北米で熱烈な支持者を集める「ゴースト」シリーズの最新鋭モデル「ゴーストマックス」。そして2足目は、RUN HAPPYに溢れる名モデルの21代目、2024年1月発売予定の最新「グリセリン21」である。詳しくは、次回以降にシューズ紹介と筆者が実際に履いて走ったインプレッションもお届けする。もちろん、乞うご期待なのである!

 

撮影/中田 悟

 

 

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縁起物!? アディダス初の「EKIDEN」をテーマとしたコレクションは赤く染まっている!

アディダス ジャパンから、初めて“駅伝”をその名に冠したランニングコレクション「ADIZERO EKIDEN COLLECTION(アディゼロ エキデン コレクション)」が登場。11月10日には、その発表会が東京都内で開催され、新製品と戦略の説明、そしてゲストに國學院大學陸上競技部の前田康弘監督、平林清澄選手(3年)、上原琉翔選手(2年)を迎えてのトークセッションが行なわれました。

 

メジャーマラソン優勝者の着用率は50%! 国内でも大きな存在感

2008年、ハイレ・ゲブラセラシェ選手が男子マラソン世界記録(2時間3分59秒)を更新したのを皮切りに、「アディゼロ」は、数々の偉業を支えてきました。21年は7つ、22年は2つの世界記録更新に貢献し、23年9月ベルリンマラソン2023では、ティギスト・アセファ選手が最新ランニングシューズ「ADIZERO ADIOS PRO EVO 1(アディゼロ アディオス プロ エヴォ 1)」で女子世界記録を大幅更新(2時間11分53秒)しています。

↑アディダス史上最軽量の「ADIZERO ADIOS PRO EVO 1」8万2500円(税込)。片足重量138g(27cm)

 

また、22年を通じて開催されたメジャーマラソンにおいては、優勝者の「ADIZERO ADIOS PRO 3(アディゼロ アディオス プロ 3)」着用率が50%を突破。このようなグローバルレースでの成功を踏まえて近年、日本でもシリアスランナーへのアプローチを強化してきた同社ですが、今後に向けては、はたしてどのようなビジョンを思い描いているのでしょうか。

↑今後の戦略について説明する同社アディダス マーケティング事業本部 ブランドアクティベーション シニアディレクターの山本 健氏

 

学生長距離界では、12年に青山学院大学とパートナーシップを結び、22年に國學院大學との取り組みを開始したアディダス ジャパン。24年1月は、予選会を勝ち上がった大東文化大学、東京農業大学もスリーストライプスを纏って大会を走ります。

 

同社調べによると、箱根駅伝出場チームのアディゼロ着用率は、今年初めの時点で全体2位の20%。ただ、同社の山本氏は、「これに決して満足していない」と語り、「まず着用率50%を中期的なベンチマークとし、我々は引き続きこのランニングカテゴリーを強化してまいります」と力を込めました。

 

「グローバルイノベーション、大学との強力なパートナーシップ、日本に特化した商品やコミュニケーション。3つのアクションを通じて、我々は50%のシェアというところに向けて邁進してまいります。まずは来年1月の100回目となる箱根駅伝、ぜひ我々の3本線を纏っている選手の活躍を期待して見ていただければと思います」(山本氏)

↑箱根駅伝における足元の状況を示すグラフ(左から2021年、2022年、2023年)近年は着実にアディダスがシェアを奪回しています

 

朝日に照らされた「赤富士」 がデザインコンセプト

「日本が世界に誇るスポーツ文化、駅伝に新たな彩りを」。そう力強く宣言したのは、同社アディダス マーケティング事業本部 スポーツマーケティング シニアマネージャーの山口智久氏です。今や世界に知られるロードレースとなった日本の駅伝。記念すべき第100回箱根駅伝が約1か月半後に迫るなか、アディダス ジャパンは新たな取り組みを通じて、ランナーやチームのサポートに力を注いでいきます。

 

「駅伝ランナーの日常から本番までパフォーマンスを支え、そして駅伝自体の魅力を高め、より多くの人々を魅了させることで、来年、日本のスポーツ界全体が盛り上がることへつながってくれると強く信じています」(山口氏)

↑同社の山口氏が新商品を紹介

 

アディダスを代表するレーシングシリーズ、アディゼロ。今回のアディゼロ エキデン コレクションは、可能性と希望に満ちた大胆なスカーレットレッドと、輝かしい伝統と栄光を表すゴールドの彩り。この配色は、富士山が朝日に照らされて赤く染まる「赤富士」がデザインコンセプトになっています。

 

今回のコレクションは、赤富士を纏ったフットウェア全7モデルをラインナップ。そしてアパレルは、100のドットで赤富士が表現されたアニバーサリーアイコンをデザインした、全12モデルのアパレルアイテムが登場します。速さと軽量生にこだわり抜いたシャツやショーツ、ジャケット、パンツなど。どれも12月1日より順次発売される予定で、発表会当日はフットウェア5モデルが展示されていました。

↑長距離区間で最速に挑むためのレーシングシューズ「ADIZERO ADIOS PRO 3」。2万6400円(税込)

 

↑距離走を中心としたトレーニングで着用する「ADIZERO BOSTON 12(アディゼロ ボストン 12)」。1万8700円(税込)

 

↑毎日のジョグで着用するシューズ「ADIZERO SL(アディゼロ エスエル)」。1万4300円(税込)

 

↑駅伝を目指す部活生に向けたエントリーモデル「ADIZERO DURAMO SPEED(アディゼロ デュラモ スピード)」。9350円(税込)

 

↑未知の速さを体験したいランナーに向けたコンセプトシューズ「ADIZERO PRIME X 2 STRUNG(アディゼロ プライム エックス ツー ストラング)」。3万9600円(税込)

 

アディゼロがサポートする國學院大學陸上競技部。箱根に向けて“気合い十分”

現在、駅伝界で強い存在感を放っている大学の一つが、今年1月の箱根駅伝で4位に入った國學院大學です。11月5日の第55回全日本大学駅伝では、3位という結果に終わり、前回大会の2位に続く2大会連続の表彰台入り。しかし、この成績を前田康弘監督は、十分だと考えておらず、まだまだ上を見据えています。

 

「チーム目標に表彰台というのを掲げて臨んだ大会でしたので、それは達成できたんですけど、心のどこかで悔しさを感じた部分もあります。これで終わりではなく、次の箱根駅伝でもう一回チャレンジできる機会がありますので、もっと上を目指して頑張っていきたいという気持ちになっています」(前田監督)

↑國學院大學陸上競技部の前田監督が登壇。目前に迫った箱根駅伝への抱負を語る

 

もちろん並々ならぬ意欲を示しているのは、監督だけではありません。1年時よりチームの主力として三大駅伝すべてに出走してきた3年の平林清澄選手は、「区間賞を一つ取れて自信になりました」と収穫を明かし、「チーム目標としての3位は取れたので、これからまだ箱根に向けて上がっていけるのではないか」と強気な表情を見せています。

 

また、「前半の大事な区間(3区)を任されたということでとても緊張していた」と話す2年の上原琉翔選手は、「自分の走りができて、区間も目標にしていた3番以内が取れたので、いい全日本大学デビュー戦になったかなと思います」と内容を振り返っており、約1か月半後の大舞台へ向けても充実した状態にあるようです。

↑左から國學院大學陸上競技部2年の上原選手、3年の平林選手

 

平林選手、上原選手が語るシューズへの“こだわり”

実際に駅伝ランナーたちは、どのような基準でシューズを選んでいるのでしょうか。今回のトークショーでは、チームの主軸として活躍する2人がそれぞれ“こだわり”を教えてくれました。

 

まず、「ADIZERO TAKUMI SEN 9」を愛用している平林選手は、シューズ選びの重要な点として、「自分が求めているちょうどいい厚さ」を挙げています。「自分の足の感覚を大事にしているので、地面を使う感覚であったりだとか、走る時に反発に頼りすぎず、自分の足の力を使って走れる部分があってお気に入り」と自身との相性を分析しました。

 

一方、ADIZERO ADIOS PRO 3を着用する上原選手は、「厚底のシューズが好き」とのことですが、トレーニングではADIZERO SLをメインに使用しているようで、「レースでは柔らかさ、反発を求めており、トレーニングでは強化という部分で硬さ重視」と使い分けのポイントを説明。これには、平林選手も次のように同調しています。

 

「僕もトレーニングシューズに関して言えば、やっぱり安定性を大事にしていて、僕は足首が柔らかいので、グラついてしまうことがあります。だから安定性を意識してシューズを選んでいるし、軽さと足の感覚を大事にした走りをしています」(平林選手)

↑アディゼロ エキデン コレクションのフットウェアを挟み、写真撮影に応じる登壇者たち

 

はたして記念すべき第100回箱根駅伝大会は、どのようなレースとなるのでしょうか。その力を疑う余地なく証明してきたアディゼロ、そして日本の頂点を目指す駅伝ランナーたちの熱い走りから目が離せません。

 

 

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ニューバランスと渋谷区が「走る」で街おこし?「Run City Shibuya」の中身

国内では数少ない女性だけのマラソン大会として、2011年からこれまで約5000人の女性ランナーが参加している「渋谷・表参道Women’s Run」。このほど、同大会に協賛するニューバランス ジャパン(以下ニューバランス)と渋谷区による「S-SAP(シブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー)協定」の締結式が行われました。そこで掲げられた新たなテーマが「Run City Shibuya」です。

 

ランニング×都市を通じて目指す「Run City Shibuya」

2023年11月9日、渋谷ヒカリエのイベント会場でニューバランスと渋谷区が、地域の社会的課題を解決していく公民連携制度「S-SAP協定」の締結式を行いました。そこでニューバランスが掲げたのが、「Run City Shibuya」という考えで、渋谷区との連携を強化することで、ランニング×都市を通じた、ランニングコースやコミュニティの場の創出など、多様な人がスポーツを楽しめる環境やカルチャーを作っていくことを目指します。

↑ランニングを中心に渋谷区と協働してきたニューバランスは、今後は他分野も含めて地域課題の解決に継続的に取り組む

 

S-SAPは渋谷区内に拠点を置く企業や大学などと渋谷区が協働し、地域の社会的課題を解決していく取り組みです。2016年4月からこれまで、みずほ銀行やキユーピー、ビームス、DeNAなどの民間企業27社、青山学院大学などの8大学と協定を結び、ニューバランスが36番目のパートナーとなりました。締結の内容は以下の6項目になります。

1.スポーツ及び健康増進に関する支援

2.文化振興及び観光に関する支援

3.次世代育成に関する支援

4.災害対策に関する支援

5.環境保全に関する支援

6.前各号に掲げるもののほか、相互に連携協力することが必要と認められる支援

 

メジャーシティマラソンでも街おこしを展開

発表会では最初にニューバランス ジャパン代表取締役社長・久保田真一氏が登壇し、同社のバックグラウンドが語られました。

 

「1906年の開業当初からランニングというカテゴリーがバックグラウンドにあり、2016年より『ニューヨークシティマラソン』のスポンサーをしています。これはマラソンのみならず、地元のニューヨークロードランナーズと提携し、ランニングを通じて街を盛り上げたり、子どもたちの支援をしたり、そういった活動を広く展開しています。同じくメジャーシティマラソンの一つでもある『ロンドンマラソン』も2017年より展開しています」(久保田氏)

↑「渋谷に暮らす人、そして働く人、ここにいる人みんなが健康的な日常をしっかり送れるように貢献したい」と意気込みを語った久保田氏

 

昨年、同社はボストンのグローバル本社の向かいに室内トラックを備える最新鋭のスポーツ施設を開設しました。トラック競技だけでなく、床を変えることでバスケット、サッカー、テニス、バレーなどのスポーツを行うことができ、地元のコミュニティにも開放。施設内のコンサートホール、レストラン、ビアホールなども地元住民らに開放することで町おこしにつなげています。

↑ニューヨークシティマラソンやロンドンマラソン、ニューバランス本社のスポーツ施設の写真

 

「日本では、特にこの渋谷区において我々が取り組んできたのが『渋谷・表参道Women’s Run』で、普段は走ったり、大手を振って道路の真ん中を通れない街中を駆け抜ける素晴らしいイベントになっております。もちろんランニングだけではなく、地元の協力店の方と協議してクーポンを配布するなど、レースの後に街も楽しんでもらうような活動もしています」(久保田氏)

↑渋谷・表参道Women’s Runや北渋RunRunフェスタを企画

 

この発表会の3日後には、今年で2回目となる「北渋RunRunフェスタ」も開催されました。国内初の1マイルロードレースとして「北渋エリア(初台・本町・笹塚地区)」の公道を舞台に行われたイベントには、昨年同様にニューバランス所属の田中希実選手も参加。田中選手は女子1000m・5000mの日本記録を持っている世界レベルのトップランナーです。

 

イベントでは、田中選手は子どもたちとも「北渋ひよこレース」で触れ合い、1マイルレース「NOZOMIRAI MILE(ノゾミライマイル)」では集団最後尾からスタートしたものの僅差の逆転で優勝しトップランナーの走りを見せるなど、盛況のうちに幕を閉じました。

 

「僕自身もランナーの端くれ」区長が語る締結への期待

続いて渋谷区長の長谷部 健氏がスーツ姿に足元はニューバランスのランニングシューズという姿で登壇しました。

 

「渋谷はこういったイベントを行う場所でもありますが、僕自身もランナーの端くれ。走ることで健康増進に当然つながりますが、走ることでコミュニティが生まれることも多々見てきたので、ぜひ背中を押していただけるとありがたい」と、ニューバランスとのS-SAP協定締結への期待を長谷部区長は語りました。

↑「最近ハロウィンとかで苦い顔ばかりの会見が多かった」とジョークも交えながら締結の喜びを語る長谷部区長

 

渋谷区では20年をかけて区内の学校、122校の学校施設を建て直す事業にも触れました。未来の学校をビジョンに、地域に校庭や体育館、プールや音楽室など、解放できる施設はすべて開放する前提で設計。実際、渋谷区では新たな土地(更地)にスポーツセンターなどの施設を建てることは不可能なので、スポーツや文化に触れる場所が学校ごとにできるという構想です。

 

「今ある資源をフル活用して、公共空間を共有することでさらにスポーツ・文化の振興を図っていきます。まさにニューバランスは本当に力になると勝手に期待しているところですし、スポーツ以外でもファッションとの親和性も高い。これからも膝を突き合わせていろんなアイデアを実現させていきたい」(長谷部氏)

↑壇上で協定書への調印をする両名。すでにランニングイベントで気の知れた仲、発表会は終始和やかな雰囲気で行われた

 

恒例のランニングイベントだけでなく、これからはどのような取り組みで渋谷を盛り上げてくれるのでしょうか。「Run your way.」をテーマに「一生懸命走らなくても楽しんでもらえば。そして生活が豊かになってもらえれば、我々にそこを応援させてください」とメッセージを送るニューバランスと、「ちがいをちからに変える街。」をスローガンに掲げる渋谷区。両者のタッグからは目が離せません。

 

 

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On史上最も厚いミッドソールを搭載した新モデル「クラウドエクリプス」。汎用性も高し!

スイスのスポーツブランド「On(オン)」は、最大限のクッション性と滑らかなライド感を実現し、ブランド史上最も厚いミッドソールを搭載した新作モデル「Cloudeclipse(クラウドエクリプス)」を、2023年11月2日からOnオフィシャルオンラインショップ、On Tokyoおよび全国の取扱店にて発売します。

 

クッション性、履き心地ともに良き良き!

最高のクッション性、最高の履き心地で、ブランド史上もっとも厚いミッドソールを搭載したクラウドエクリプスは、二層構造の「CloudTec Phase」が着地の際、流れるように崩れることで衝撃を吸収。その結果、かかとからつま先までスムーズなローリングモーションを可能にし、滑らかなライド感と快適な履き心地を提供します。また汎用性が高く、デイリーのトレーニングから、長距離のランニング、リカバリーまで様々なシーンに対応します。

↑「クラウドエクリプス」2万680円(税込)

 

本作のアッパーは、カラーリングにドープ染色法を採用。この工程によって、従来の染色に比べ90%の水を節約することを可能にしています。同時に、100%再生ポリエステルの糸を使用していて、通気性に優れたエンジニアメッシュアッパーが足を包みます。

 

ミッドソールには「Helionスーパーフォーム」を使用。Helionスーパーフォームを使用した極厚のミッドソールが強い衝撃から足を守ります。また、中足部に配置されたしなやかな「Speedboard」が安定性をサポート。長時間のラ ンニングでも、関節への負荷を和らげ、脚をフレッシュに保つことができます。

 

 

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全世界で間もなく累計200万足超え!ニューバランスのロングセラーモデル「1080」が、もっと楽に、もっと快適に進化!

ニューバランスジャパンは、全世界で人気のロングセラーモデル、Fresh Foam Xファミリーの最新モデル「Fresh Foam X 1080 v13(フレッシュフォームエックス テンエイティ)」を発表しました。Fresh Foamはクッション性をコンセプトに2014年に初代が誕生。以降も進化を続け、本作はよりソフトなライド感と軽量感を実現。

↑ニューバランス「Fresh Foam X 1080 v13」。ニューバランス公式オンラインストアおよびニューバランスオフィシャルストア、その他一部のニューバランス取扱店舗にて発売中。価格は1万8700円(税込)です

 

ランニングカテゴリーのフットウェアを構成する2つのプラットフォーム

ニューバランスのランニングカテゴリーでは、フットウェアに限ると大きく2つのテクノロジープラットフォームがあります。一つ目がFresh Foamシリーズで、最高のクッション性を提供するためのテクノロジーにより長く快適に走るための設計がされています。それは限定されたシーンではなく、ボーダーレスに展開しているEvery dayランニングというくくりの中のテクノロジーです。

 

二つ目が「Fuel Cell(フューエルセル)」シリーズという最高のエナジーリターンを提供するテクノロジーで、より速く走るために設計されています。シーンはピンポイントで、レースデーシューズというのがFuel Cellのメインのストーリーです。

 

「そもそもFresh Foamは、コンシューマーの方にどんなベネフィット(利益)を提供するのか。社内デザイナー、デベロッパーを含めたところで360度コンフォートがキーワードになっています」と、ニューバランスジャパン 商品企画フットウェアプロダクト部マネージャーの武田信夫氏が解説します。

↑幅広いランナー層はもとより、ライフスタイルシーンにも落とし込んでいくFresh Form X 1080 v13の魅力を語る武田氏

 

360度コンフォートのベネフィットを提供するためには大きく二つの要素があります。まず一つ目がソールのテクノロジーで、砂浜のような抜群のクッション性、アッパーは第2の皮膚のような抜群の足馴染み、この二つのソールとアッパーの要素が相まって初めて360度コンフォートの実現に繋がるといった考えのもと設計されています。

 

「特にソールのテクノロジーがユニークで、砂浜のような抜群のクッション性というのは、Fresh Foamが始まった10年前からのキーワードです。そのため、一部のモデルでは、世界中の各地の有名なビーチリゾートからヒントを得たモデル名が落とし込まれています」(武田氏)

↑フィリピンのボラカイ島やギリシャのザキントス島、スペインのエル・ヒエロ島など

 

Fresh Foam設計の生命線が「Data to design」です。360度コンフォートの履き心地を実現するために様々なランナーの走行時のデータを収集し、解析してデザインに落とし込むData to designという開発プロセスが採用されています。それは、足底圧分布測定フォースプレートなどを用いて、どこにテンションがかかっているのか、どこの伸びが大きくなっているのかといったデータを数多く収集。そのデータをベースに解析ソフトが半自動的にデザインを起こします。

 

「今までのフットウェアのデザイナーは自分の感性でペンを走らせて絵を書くことが基本でしたが、このFresh Foamに関しては、AIで解析してコンピュータが自動的にデザインを起こしていく。プラス我々の方では実走も行い、体感も含めながら最新のデザインを起こしていきます。100%コンピュータ任せではなく、ハイブリッドの形を採用しています」(武田氏)

↑1080 13代目となる「Fresh Foam X 1080 v13」。カラーラインナップはメンズ用で全6色

 

そのデータを収集するための基地、ベースとなっているのが、アメリカ・ボストンの本社のすぐ隣に昨年新設された「Sports Research Lab」です。

 

「以前からスポーツリサーチラボは存在していましたが、これまではmade in USAの『990』などを作るローレンスという地域にある工場の地下1階の小さなスペースでした。今回はラボの右側に『The Track』という室内競技場に併設する形で新たに新設されました。

 

もちろん最新の機材を用いていますが、一番のポイントはトラックがすぐ横に併設されているので、開発したモノをその場でテストしながらデータが取れる。より開発のスピード感も上がっています。もちろんランニングカテゴリーのフットウェア以外にもアパレル。そしてフットボール、バスケットボール、ベースボールなど、ありとあらゆる競技のデータがここで取れるようになっていますので、今後のニューバランスのスポーツカテゴリーはかなりレベルアップしてくると思います。期待してください」(武田氏)

↑新設されたラボ。メディアツアーの様子はYouTubeで多数公開されている

 

世界で200万足を超えるロングセラーモデル

2011年に誕生した1080は毎年進化を遂げ、2014年のv6からはクッション性をコンセプトとし、Data to Designの考えに基づき単一素材でありながら、その形状によってクッション性と安定性を両立することで機能性とスムーズな走りを実現したミッドソール、Fresh Foamを採用しました。

↑ミッドソールの凹凸デザインがFresh Foamの特徴

 

2020年からFresh Foamは「Fresh Foam X」という、さらにクッション性、反発性を増したミッドソールへと進化しました。より楽しく、より快適に走れるクッション性と2層構造による安定性を兼ね備えたモデルとして、トップアスリートのコンディション作りやリカバリー、日々のランニングからウォーキングまで、あらゆるレベルのランナーの様々な目的の足元を支えています。

↑1080は2011年のv1から今回のv13まで、同社を代表する定番モデルとして最も息の長いロングセラー商品となっている

 

↑発表会当日はアーカイブモデルも展示されていた

 

「おそらく今年、全世界でのセールスが200万足に届くか届かないか。来年には200万足超えると予想されます。他社さんのモデルを含めても世界で200万足を超えるのは、マーケットにとってなくてはならないモデルになりますので、いよいよ1080もそのレベル感まで来たなと感じています」(武田氏)

 

1080のコアなターゲットコンシューマーはマラソンのエントリー層で、完走を目指す層から週に1、2回健康維持のために走るフィットネスランナー層がメインのボリューム層になっていますが、それ以外にもアスリートのジョグといったリカバリー用としても愛用されています。そして、新しい取り組みとしてFresh Foamテクノロジーをパフォーマンスだけではなく、ライフスタイルのシーンにも落とし込んでいこうということでいろんなパートナーとのコラボレーションのプロダクトも進められているとのこと。

 

「ライフスタイルシーンでも1080やFresh Foamのシューズもありだよねという感じになってきています。来年以降は1080を中心に様々なコラボ企画もありますので期待してください」(武田氏)

 

より長く走ることにフォーカスし、よりソフトなライド感と軽量化を実現

身体に負担をかけずにクッショニングを存分に味わえるモデルという元々の1080のコンセプトは変わりなく、今回のv13に関してはより長く走ることにフォーカスを当ててアップデートが施されています。そこには注目すべき3つのポイントがありました。ニューバランスジャパン ランニングシューズ企画・間宮葵氏が解説します。

↑前作の1080 v12よりも「長く走る」にフォーカスしたv13の進化のポイント

 

「一つ目が軽さになります。v12と比較して約30グラム軽くなっています。二つ目は、ゆったりとした優しいフィット感。これによってv12と比較してより幅広く、デイリーユースからウォーキング、ジョギング、そしてフルマラソンと大会に出てみたいという方にも適したフィット感になっています。三つ目はアウトソールデザインの改良です。よりロングライドを意識したような形状にアップデートを施しています」(間宮氏)

↑「街ランで使用したい方には、豊富なカラーリングを用意しています」と語る間宮氏

 

【その1】軽量化

1080の最大の特徴が、凸凹構造のミッドソールです。凹んでいるところは上から荷重を掛けると潰れやすいのでクッショニング効果が得られ、出っ張っているところは潰れにくいので安定感が出るという凹凸構造を組み合わせたワンプレートにすることで劇的な軽量化に繋がっています。

 

前作のv12モデルでは、前への推進力や足抜けといったスピード感もある程度考慮した設計になっていましたが、v13に関しましてはロングライドを意識して、反発性と軽さに特徴のあるコンパウンドを使用しています。

 

「衝撃吸収性がアップしたのはもちろん、特に前足部に関して反発性が感じられるようなコンパウンドになっています。それによってクッション反発が良く、厚みを増しているのにも関わらず軽量化も実現したコンパウンドになっています。形状に関しましては、前足部のトゥー・スプリングを低く、レングスを長く設計しておりますので、より日常使いからロングジョブまで幅広いシーンに対応できるような一足になっているのが特徴です」(間宮氏)

↑安定感やクッション性を持たせるために凸凹形状で機能を発揮するミッドソール

 

【その2】ラスト形状の見直し

1080は、幅の狭いものから広いものまで、踵からつま先の大きさ以外でもサイズが選べるので、カスタムオーダーとまではいえませんが、セミオーダーに近い感じでアジャストが可能です。

 

「長時間履いていてもタイトすぎない設計になっていますので、よりストレスフリーな履き心地を体験できるのが特徴です。そういった足へのフィット感ですとか、ロングライドを意識した形状にアップデートしまして、より幅広い用途やランナーの方に履いていただけるシューズになっています」(間宮氏)

↑タイト過ぎない快適なフィット感を実現したアッパー。ワイズ(足幅)はメンズがDから4E まで展開

 

【その3】アウトソールデザインの改良

Data to Disignコンセプトの元、デザインを一新。走行時の軌跡データを元に、より接地から足抜けまでの重心移動をサポートする形状にアップデート。カヌーのようなソール形状と相まってスムーズなライド感を実現しています。

 

「v12では横に少し屈曲性を意識しまして、切り込みのあるデザインを採用していましたが、v13では踵設置、そこから足抜け、重心移動の軌跡というのを重視しまして、より縦方向へのライド感というのを意識した形状にアップデートしました」(間宮氏)

↑特徴的なカヌーのような形状に改良したことで、縦方向へのスムーズなライド感を実現

 

トップアスリートのコンディション作りやリカバリー、日々のランニングやウォーキングまで、あらゆるレベルのランナーの様々な目的の足元を支えるFresh Foam X 1080 v13。世界で長く愛されるFresh Foam Xの安定感はもちろん、ファッションアイテムとして人気のニューバランスだけにライフスタイルに合わせやすいカラーリングも展開しています。来年以降はライフスタイルシーンに合わせたコラボ企画も予定されているので、そちらも注目です。

 

 

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上りも下りも快適!!「ウエーブライダー27」は大人のクルージングモデル/大田原 透の「ランニングシューズ戦線異状なし」

ギョーカイ“猛者”が走って、試して、書き尽くす!ランニングシューズ戦線異状なし

2023「ミズノ」秋の陣②「ウエーブライダー27」の巻(後編)

 

日本が誇る総合スポーツカンパニー、ミズノ。このミズノを代表するランニングシューズと言えば「ウエーブライダー」である。軟らかで、かつ高反発なミッドソール「ミズノエナジー」が着地衝撃を吸収して推進力に換え、硬質なプレートである「ミズノウエーブ」が走行を安定性させる。ランニング初心者から、42.195㎞のフルマラソン挑戦まで、幅広い走力に応える、まさにミズノのマスターピースである。

 

27代目となる最新ウエーブライダーの注目は、前モデル(26)で行われた“機能”の見直しを踏まえた、“履き心地”のアップデートにある。しかも、競合メーカーもビックリのお値段据え置き1万4850円という戦略的な値付けも話題となっている。

 

今回は、いよいよウエーブライダー27を実際に履いて、その実力を体感するレポートに移る。いつものように、ランニング初心者も含めた4つの目的別“ランナーあるある”のランレポをお届けしたい。

↑ミズノ「ウエーブライダー27(WAVE RIDER)」1万4850円(税込)。サイズ展開:メンズ24.5~29.0、30.0㎝、ウィメンズ22.5~26.0㎝。カラー展開:メンズ、ウィメンズ計10色。ソール厚:前足部25mm /かかと38.5mm。ドロップ(踵と前足部の高低差):13.5 ㎜。重量:280g(27㎝片足)

 

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いよいよ、ウエーブライダー27を試走!

まずは、シューズに足を入れた感覚およびウォーキングのインプレから。次は「運動不足解消」が目的で走る1㎞を約7分(=キロ7分)の、の~んびり走。続いて、脂肪を燃焼させる「痩せラン」に適した、1kmを約6分(=キロ6分)の、めらめらペース。最後は、距離ではなく、走り切る爽快感を重視した、1㎞約4分30秒~5分(キロ4.5~5分)の「スカッと走」である。

 

【まず、履いてみた!(走る前の足入れ感&ウォーキング)】

ミズノがウエーブライダー27のプロモーションで最もチカラを入れるのが、試履き体験。マラソン大会の会場や、その大会が行われる地域のスポーツ量販店にミズノの社員が赴き、シューズの履き方からレベルにあった選び方まで、訪れた人々とのコミュニケーションを通じたプロモーションを計画している。

 

ランニングシューズの正しい履き方は、改めて書くまでもなく、シューレース(靴ひも)を十分に緩めて、かかとに合わせて足を入れ、つま先を軽く上げて馴染ませるところから始まる。ウエーブライダー27のシューレースを丁寧に、きつ過ぎも、ゆる過ぎもせずに締める。すくっと立ちあがり、ミッドソール「ミズノエナジー」のクッションの快適さを感じたら、出来上がりである。

 

なるほど、ウエーブライダー27のかかとのホールド感は、さすがミズノが自信を持って語るだけの快適さ。足首回りを含め、アッパーも優しくフィットしている。一度シューズを脱いで、雑に履いてみると、どーにも違和感が生じる雲泥の差。シューズはちゃんと履こう! と改めて思い知らされる。

 

試しに26に履き替えると、27は同じアウトソールとミッドソールとは思えない“履き心地”だ。“さては、中敷きを換えたか……”と思い、インソール(中敷き)を引き出して、26と27を比べてみたが、色が違うだけで厚みや質感は変化なし。ケチな疑いを持った自分を恥じるほどだ(疑って、スミマセン……)。

 

【運動不足解消ジョグ(1㎞を7分で走るペース)】

ウエーブライダー27を履き、軽く前傾姿勢。つま先に重心を移すと、自然にカラダが前へ前へと走り出そうとなる。その理由は、ドロップが12㎜あるから。ドロップは、つま先とかかとの高低差を差すギョーカイ用語。かかと側が12mm高い構造のため、ほどよいドロップによって生まれる前傾姿勢で、カラダが前へ進むのだ。

 

ウエーブライダー27のドロップに導かれるまま、ゆっくり走り出す。ミッドソールの「ミズノエナジー」が着地の衝撃を快適に吸収してくれる。1㎞を7分かけて走る「運動不足解消ラン」のペース。いい感じに全身の筋肉をリラックスさせ、どこにも無理がないペースだ。一緒に走っている人とお喋りしても息も切れない。お散歩替わりのランである。

 

最初はウォーキングから。慣れてきても一気にペースを上げず、心肺機能も、内臓を支える筋膜も、骨や関節や筋肉たちも、ランを自然に受け止められるように慣らしてゆく。これからランニングシーズン初めにもってこいのペースだし、レースをガシガシ走る上級者が大会の翌日などに体調を整えるリカバリー走のペースにも合う。“履き心地”をアップデートしたウエーブライダー27、良い感じだ

 

【痩せラン(1㎞を6分で走るペース)】

脚の向くまま、気の向くまま走ったら自然にペースが上がり、1㎞を6分10秒。あくまで筆者の走力での話だが、シューズ設計で想定されたドンピシャのペースでもある。なるほど初心者からマラソン挑戦者まで、ウエーブライダー27の対応レンジの厚さに納得

 

お散歩(走)から、もうちょいペースを上げてもカラダが順応してくると、30分や1時間でもヘッチャラになってくる。そうなれば、体脂肪は腹回りから消え、ランニングのエネルギーへと供出される。という「痩せラン」でも、ウエーブライダー27は快適に走りを支えてくれる。

 

着地衝撃を優しく吸収してくれるミッドソールの「ミズノエナジー」に加え、中足部に内蔵されたプレート「ミズノウエーブ」が走行安定性を確保。内側への過度な倒れ込み(オーバープロネーション)を防止し、かかとの着地衝撃を、前足部の蹴り出しの反発へとアシストしてくれるのだ。と、構造として説明すると難しそうだが、要は、不安なく走れるってコト。

 

試しに、左足にウエーブライダー26、右足に27を履いてみる。(怖いので)歩くだけのつもりが、いつの間にやら「痩せラン」ペースに。機能面を共有しているので似ているけど、やはり違う。クールなお姉さん(兄ちゃん)と、愛嬌のある妹(弟)……(お好きな設定で、妄想ください)。

※インプレ用の走行テストのため、真似して走ることは推奨しません。

 

【スカッと走(1㎞を4.5~5分で走るペース)】

走る目的は、自分に勝つため! 時間がない日の2㎞走の最後の50mだけでも、風を切ってゴール(自宅前)に駆け込みたい。そんな「スカッと走」に、ウエーブライダー27は応えてくれるだろうか?

 

せっかくなので、石畳のあるいつもの坂道へ。上り坂でペースを上げても、ウエーブライダー27はクロスオーバーSUVのようにしっかり加速に追従してくれる。さすが、軽量にして衝撃吸収性と反発性に富む「ミズノエナジー」である。

 

下り坂でも、ビックリの安定性。かかとから足首回りの抜群のフィッティングで、石畳の着地も怖さを感じない。加速によって、地面からの足裏への情報が増えているにも関わらず、安定した走りが得られる(26でも試したが、軍配は27である!)。

 

下り切って、フラットな道に入り、再度の加速。と、ここでの打てば響くような反応性は、残念ながらウエーブライダー27は持ち合わせていない。シューズの設計的にも、ウエーブライダーに採用されている「ミズノウエーブ」の構造的にも当然の反応である。

 

ウエーブライダー27は、打てば響く取り扱い要注意のレーシングタイプではなく、上りも下りも快適にこなす長距離でのクルーズ感を楽しむモデル(もちろんミズノはガチなレーシングタイプのラインナップも豊富だ)。

 

ということで、ウエーブライダー27での「スカッと走」は、上りゴール(もしくは下りゴール)がお薦め。誰かと競り合うのではなく、クルーズ感の延長、余裕で迎える大人のゴールこそ似つかわしい。

 

撮影/中田 悟

 

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On「Cloudflow」が軽量化など大幅アップデートし、第4世代モデルに!

スイスのスポーツブランド「On(オン)」は、「すべてのランナーにスピードを」をコンセプトに掲げ、2017年に初代モデルが登場以降、あらゆるランナーから人気を得てきた軽量のパフォーマンスシューズの大幅アップデートモデル第4世代「Cloudflow 4(クラウドフロー 4)」を、2023年10月5日からOnオフィシャルオンラインショップ、On Tokyoおよび全国の取扱店にて発売します。

 

ランナーを前へ前へと押し出す!

歴代の「Cloudflow」の中で最も軽量で、高いエネルギーリターンをもたらす、次世代レベルのクッショニングがランナーを前へ前へと押し出します。また、最新素材で作られたSpeedboardと融合し、より一層スピードを感じることが可能に。

↑「Cloudflow 4」1万8480円(税込)

 

クラウドフロー 4のアッパーはOnのレーシングモデル「Cloudboom Echo」と同素材のハイテクウーブンアッパーが採用されています。この素材は通気性に優れており、100%リサイクルポリエステルを使用しています。さらには、新しくなったヒール構造が履き口を快適にし、ホールド力も向上しました。

 

そして今回のアップデートでは、ミッドソールを一新しました。密度の異なる二層のCloudTecがクッション性を強化し、そのミッドソールに挟まれたスプーン形状のSpeedboardが、滑らかなローリングと反発性を高め、ペースアップを助けます。またソールのラバーパッドは、濡れた路面でも高いトラクションを発揮。

 

メンズは全5色展開(アルペン限定色含む)。

 

本商品の発売にあわせ、東京都墨田区太平にある下町銭湯黄金湯ではクラウドフロー 4の無料トライアルも実施。ランニングとともに、黄金湯のお風呂とサウナを楽しむことができます。

◾On Cloudflow 4 レンタルシューズイベント in 黄金湯

◆期間
10月6日-10月15日
※貸出可能時間:平日・日曜・祝日 11:00-22:00、土曜日 15:00-22:00

◆貸出サイズ
男性-25cm~28.5cm、29cm
女性-23cm~25cm

 

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やはり「ミズノの至宝」は違った! 価格据え置きの英断は自信があるから。/大田原 透の「ランニングシューズ戦線異状なし」

ギョーカイ“猛者”が走って、試して、書き尽くす!「ランニングシューズ戦線異状なし」

2023「ミズノ」秋の陣①「ウエーブライダー27」の巻(前編)

 

“やる気” の全てを溶かし続けてきたモーレツな暑さも、やっと落ち着いてきた。暑さを言い訳に、全てを先送りした結果の腹部周囲は、さすがにヤバっ……。なのに、食欲だけは自分史上、空前の好景気! そんな今、多くの人々が自戒のために始めるのが、シューズを履いて外に出ること。そう、ランニングシーズンの到来である。

 

“世界的巣ごもり”を理由に、走る回数も、距離も控えていた方々も、今シーズンの体脂肪率は待ったナシ。さらに、中止が相次いでいたマラソン大会も、続々と募集を再開し、走らない理由は、どーやら、どーこにも見当たらなくなってきた。

 

と、さまざまな理由で走り始める人々を応援する本連載。今回は、日本が誇る総合スポーツカンパニーのミズノの東京フラッグシップストア「MIZUNO TOKYO」にお邪魔している。普段のトレーニングから、初レース完走などエントリー層のランナーを支え続けているミズノの至宝「ウエーブライダー」が、今年もアップデートされたのである。

↑今回お話を伺ったのは、ミズノのマーケティングチーム斉藤太一マネージャー(左)と加藤利行ディレクター(右)。そして聞き手(中央)は、10年以上ライダーを履き続けている筆者

 

値上げラッシュのご時勢なのに、価格据え置き!

何もかもが値上げのご時勢、並みいる競合も値上げラッシュのなか、価格据え置き1万4850円(税込)という驚異的な大盤振る舞いで、ミズノの「ウエーブライダー27」はギョーカイの話題をさらっている。で、その背景にあるランニングシーンの変化を含め、今回ミズノに話を聞きに伺った。

↑ミズノ「ウエーブライダー27(WAVE RIDER)」1万4850円(税込)。サイズ展開:メンズ24.5~29.0、30.0㎝、ウィメンズ22.5~26.0㎝。カラー展開:メンズ、ウィメンズ計10色。ソール厚:前足部25mm /かかと38.5mm。ドロップ(踵と前足部の高低差):13.5 ㎜。重量:280g(27㎝片足)

 

「コロナ禍前は、人気のマラソン大会には、応募抽選でなかなか出場できない状況でした。現在、マラソン大会の状況がコロナ禍前まで戻らないと思っている人が大半だと思います。たしかに最近では、集客に困っている大会は数多くあります。ただ、ランナーの数が多かったコロナ禍前でも、大会の数そのものが多過ぎて、大会の人気によって集客に大きな差が出ていました」

 

と語るのは、ミズノでランニングを含めた陸上競技などを統括するマーケチームの斉藤太一マネージャーだ。なるほどSNSの発達とともに、大会出場の申し込みサイトも人気の大会を重視するようになっていた。コロナ禍前に徐々に進んでいた変化が、一気に加速したと斉藤さんが捉えている現象は、多くのギョーカイ関係者も感じていたことだ。

 

「もちろん、単に3年の間が空いたので、新たに大会に出ようとエントリーする人が一時的に減っただけで、イベントの有無に左右されることなく、個人個人の目的意識を持って走る人口は、むしろ増えたという見方もあります」(斉藤さん)

↑斉藤さんは、スパイクを利用する陸上競技から、厚底シューズが席巻するランニング、さらにはフィットネス領域まで幅広く統括する

 

“これから走り始める人に”まさにジャストなタイミング

一方、この春に17年間在籍したサッカーのマーケチームから、ランニング部門に異動したミズノのランニング部門のディレクター加藤利行さんは、ギョーカイの慣習に囚われない客観的な目線で、日本のランニング市場を分析し、ミズノの可能性に明るい展望を抱いている。

 

「期待したいのは、コロナ禍を機に走り始めた人たちです。イベントそのものがない中でも走っているので、そもそも競技志向ではないのですが、最近“ハーフマラソンを走ってみようかなぁ”と話すのを聞くようになってきました。今、そのような方々にウエーブライダー27をお届けできるのは、すごくタイミングが良いと思っています」(加藤さん)

 

ウエーブライダー27は、前年にフルモデルチェンジされた26の新機能の数々を発展的に継承するモデルだ。26で刷新されたミッドソールの「ミズノエナジー」は、それまで(25)よりも2㎜厚くなったにもかかわらず、より軽く、より軟らかになり、着地衝撃の吸収は20%、反発性は30%向上。これは当然、27でも継承している。

 

さらにウエーブライダーの屋台骨とも言える「ミズノウエーブ」の形状も、このタイミングでモデルチェンジ。樹脂系のPEVA系の形状を進化させた。

↑グレーと白の「ミズノエナジー」のミッドソールが、かかとなどでの着地の衝撃を吸収し、前足部での快適な蹴り出しをサポート。ミッドソールの合間の波状のプレート「ミズノウエーブ」(ブルーとライトグリーンのグラデ部材)は、着地から蹴り出しに駆けた内側への過度な倒れ込みを防止し、安定した走りを実現する

 

“機能”の見直しではなく、“履き心地”のアップデートなのだ!

忘れてならないのは、ミッドソールの「ミズノエナジー」フォームだ。軽く、反発性に優れ、しかも軟らか。と、フルモデルチェンジによるウエーブライダー26の諸々の機能や構造は、27にも継承している。となると27は、26と何が違うのだろう?

↑今回見直されたかかとのヒールカウンター(ミズノランニングの象徴ランバードが羽ばたく、中央の薄いグレーの部材)。よりコンパクトに、踵骨(しょうこつ)を包み込む

 

「ウエーブライダー27のアップデートは、26で行ったような機能の見直しではなく、“履き心地”の見直しです。そのため、かかとを包み込むコンパクトなヒールカウンターに変更しました。フィッティングが増し、かつ軽量化しています。新たに採用されたアッパーのメッシュは、かかとから足首回りまで吸い付くような感覚に仕上がりました」(斉藤さん)

 

ミズノがウエーブライダー27で見直した“履き心地”は、3点。先述の、①小型でかかと包み込むヒールカウンター、②よりフィットするメッシュアッパー。これに加え、③足の甲を包み込む一体構造のガセットタングに変更している。

↑アッパーと一体になったガセットタング。かかとのヒールカウンターとともに、かかとから足首まで包み込むウエーブライダー27の核心部

 

実際に履いて走ったレポートは、次回にたっぷり紹介するが、ミズノは、これから本格的に走り始める人たちが増えるであろうタイミングに、フラグシップシューズの最新機能を、“履き心地”を重視したアップデートで熟成させ、しかもお手頃価格のウエーブライダー27として発表したのだ。

↑ウエーブライダー26から継続となった、アウトソール(靴底)。中心の溝の奥のブルーとライトグリーンのグラデのプレートが「ミズノウエーブ」。今回27の“履き心地”のアップデートに次は、全面的な機能性の見直しが予定されているはず……とギョーカイ関係者のもっぱらの噂だ

 

ウエーブライダー27の価格戦略の深淵を探る

「価格を上げる話は、もちろん大きな議題でした。しかし、今回は機能重視のモデルチェンジではなく、“履き心地”重視のモデルチェンジです。正直、ここまで変わるのか、と驚くと同時に、その良さを私たちは確信しています。ともかく履いていただくことが大切なタイミングなので、あえて価格維持に踏み切りました」(加藤さん)

 

ミズノの決断の裏には、現在のランニングシューズ業界の、苛烈な開発ラッシュによる消耗戦の実情がある。新技術を搭載したモデルチェンジが恐ろしい勢いで進み、従来のランニンシューズブランド以外からも、欧州勢など新ブランドが市場を席捲し続けている。数値化しやすい機能だけでなく、履く人の心まで設計されたシューズが求められている時代なのだ。

 

日本のモノ作りのミズノが、フラッグシップモデルのアップデートで日本のランナーに出したひとつの提案が、“履き心地”重視のモデルチェンジを“価格維持で行う”こと。ミズノの真摯なモノ作りへの自信を踏まえた選択なのだ。

↑サッカースパイクを背に、17年間全国を駆け回って試履きを続けてきたという加藤さん。お気に入りのウエーブライダー27のカラーを手に熱く語る!

 

推測の域を出ないので恐縮だが、この価格戦略にはもっと深い意味があると筆者は考えている。それは、日本のスポーツ用品市場では話題になっていないが、中国ブランドを始めとする日本以外のアジアのプレーヤーたちのシューズの存在だ。ミズノの価格戦略は、これからのプレーヤーたちの価格戦略への、ひとつの布石だと筆者は見ている。

 

ミズノお二人には答えをはぐらかされてしまったが、ユーロでの価格を見る限り、中国勢の価格の割安感は侮れない。欧米の多くのスポーツブランドは、中国を生産の拠点にしていた時期が長く、その技術力の高さに大きな遜色などない。欧米ブランドだけを見て高価格に振り過ぎると、かつての日本の家電の二の舞になることも、あながち夢物語ではないと思えてならないのだ。

↑筆者の暴走する妄想に、真摯に応えていただく斉藤さんと加藤さん。撮影場所にお借りした東京・神保町の「MIZUNO TOKYO」3階のランニングシューズ売り場には、最新ウエーブライダー27の全カラー10色が並ぶ!

 

ウエーブライダーである限り、ミズノウエーブは存続する

最後にどーしても避けられないのは、ウエーブライダーの命とも言える「ミズノウエーブ」の今後だ。安定性を担保するシューズの“骨”でもある硬いプレートの存在は、ウエーブライダーの安定性の源泉であり、多くのウエーブライダーファンの安心感の要でもある。昨今、競合他社が相次いで安定感を得るためのプレートの採用を行っておらず、ウエーブライダーの去就には注目せざるを得ないのだ。

 

「ウエーブライダー27の試履き会を行った際、一番評価が高かったのは安定性です。ウエーブプレートの存在があるからこその、グラつかずに走れる安定性の高さに、皆さん改めて気付いていただけたと感じています。ウエーブライダーのDNAであるミズノウエーブは、ウエーブライダーである限り、なくなることはありません」(斉藤さん)

 

と、ミズノランニングを支えるマーケのお二人の、熱~いウエーブライダー27話は尽きない。宴もたけなわではあるが、いよいよ最新ウエーブライダー27の“履き心地”のアップデート具合についてのレポートに移りたい。もちろん、次回のお楽しみだ!

 

撮影/中田 悟

 

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ソナーポケットとタッグを組んだニューバランス「Fresh Foam X 1080 v12」

ニューバランスジャパンは、ミュージシャンでありながら、ランナーとしても高いレベルの記録を持ち、デザイナーとしてアートワークのコラボレーションなど、活躍するソナーポケットのeyeron氏とタッグを組んだ第二弾オリジナルデザインシューズ「Fresh Foam X 1080 v12」、オリジナルデザインソックス「グラフィック ランニングミッドソックス」を発売。9月15日より、ニューバランス公式オンラインストア、一部のニューバランスオフィシャルストア、その他一部の取り扱い店舗にて発売中。

 

「走ることで何かを共有し、繋がってほしい」

Fresh Foam X 1080 v12は、プレミアムなクッショニングを提供するFresh Foam Xミッドソール、着地から蹴り出しまでスムーズに支えるアウトソール、通気性とフィット性に優れたHYPOKNITアッパーが、長時間のランニングからデイリーユースまで快適にサポートしてくれるランニングシューズです。

 

今回のコラボに関して、ソナーポケットのeyeronさんは「走る時、人は皆それぞれの目的と向き合い方を持っている。だから、同じようで、同じではない。それでも走ることで何かを共有し、繋がってほしいという想いを込めて、個性を様々な色と小さな円で表し、それらが集まり繋がっていくデザインにしました。さらにシューズとソックスが繋がることで完成する、というストーリーを描きました。このデザイン全体で走る楽しみを表現しています」とのこと。

↑「Fresh Foam X 1080 v12」1万9800円(税込)

 

↑「グラフィック ランニングミッドソックス」1650円(税込)

 

 

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「ASICS RUN TOKYO MARUNOUCHI」がリニューアル! 他とは一線を画すポイントとは?

オフィスワーカーや観光客にも人気のランニングスポットである皇居の周りは、荷物を置いたり、着替えをしたりと、仕事前や仕事終わりに利用できるランニングステーションが多く点在します。そのなか、JR東京駅から徒歩3分、皇居まで徒歩8~10分と抜群のロケーションに位置する「ASICS RUN TOKYO MARUNOUCHI(アシックスラン東京丸の内)」が8月25日にリニューアルオープンを飾りました。

↑東京駅が見える三菱ビルの好立地、地下1階へと続くエントランス

 

オールインワンな施設

アシックスラン東京丸の内は、皇居にも気軽に走りに行くことができる好立地にあります。店舗面積は約500平方メートルと充分で、足の形や走り方の分析・診断、アシックスのシューズやウェアの購入はもちろん、レース登録やレース後のケアといったランニングに関わる一連の流れ(ランニングエコシステム)をすべて完結できることを目指し、このほどリニューアルを行いました。

↑「アシックスの創業哲学『健全な身体に健全な精神があれかし』の思いや活動を体現」として位置づけしたと語る同社DTC統括部長の落知勇(おちいさむ)氏

 

↑多くのランニングのリアルイベントが復活するなか、急成長してきたデジタル施策を融合する

 

2020年に始まった新型コロナウイルスにより、ランニングイベントが急激に減少しましたが、2023年は多くのイベントが復活し、コロナ前以上の盛り上がりを見せています。一方で、世界はデジタル関連への積極的な投資やECの購買拡大が顕著に表れています。そのなか、アシックスはデジタル施策を積極的に進め、復活したリアルイベントと融合することで、ランナーに対してどのような価値が提供できるかを検討してきました。

↑ファンランナーからシリアスランナーまでそれぞれの嗜好に合ったシューズを提供するアシックスならではの圧巻のラインナップ

 

↑最新のランニングウェアが揃う店内。そこがランニングステーションであることを忘れる、中性的で柔らかな空間となっている

 

アシックスが目指す「ランニングエコシステム」とは何なのか!

今回のリニューアルでアシックスが提案するのが「ランニングエコシステム」の構築です。従来ランニングイベントに参加する場合は、レースに登録して、自身でトレーニングを積み、ウェアやシューズも自身で買い揃えてレース当日を迎えていました。

 

「アシックスが掲げるランニングエコシステムとは、ランニングイベントへの登録から、大会当日そして大会後のケアまでをサポートする循環型のシステムです。アプリを通じたトレーニング記録。レースに向けた段階的なトレーニングを促すランニングプログラム。直営店やECサイトでご自身が、ご自身に合ったシューズを見つけてその商品を購入いただくこともできます。

 

我々は単に新しい商品を買っていただくことを目指すのではなく、日々のランニング体験を通じ心と体がポジティブになっていく、そう実感していただくことが最も大切だと考えています」(落知氏)

 

シリアスランナーのパフォーマンスアップはもちろん、ファンランナーにとっては走ること自体が楽しくなる――そうしたランニングライフの実現がアシックスラン東京丸の内の目指すところ。同ストアは、まさにそのランニングエコシステムを体現する店舗です。

↑レースの登録から始まり、シューズやランニングウェアの購入、日々のトレーニングなど、煩雑な手続きをワンストップで行える循環型システム

 

「ファンランナー、特に女性の方に一歩踏み出すきっかけ作りの場になってほしい。ランニングの悩みや課題に寄り添い、健康的で豊かなライフスタイルの実現に貢献することを目指しています。これからランニングを始める方、あるいは観光で東京を訪れた旅行者の方にもぜひ手ぶらでお越しいただければ、最新のシューズやウェアを試しながら、コーチからのアドバイスも受けられます。

 

そして何より世界有数のランニングスポットである皇居周りの町並みや文化を堪能しながら走る。そういった走る喜び、そして心も体も満たされる、そんなランニングステーションでありたいと思っております」(落知氏)

 

従来のランニングステーションの機能はもちろん、初回は無料の会員登録を行い、施設は1回880円(税込 以下同)で使用可能(回数券10枚7700円)。ただ単にステーション機能だけではなくレンタルシューズ(1点220円)とレンタルウェア(1点220円)もあり、手ぶらで来店しても皇居ランを満喫することができる店舗になっています。

↑男性用ロッカーは66扉(女性用55扉)、シャワールームは男女とも6機。アメニティもシャンプーやボディソープ、ドライヤーや美顔器も利用できる

 

シューズに関しては、通常のランニングのショップでは、足入れして軽くその場で足踏みしたり、軽く歩いたり少し走る程度でしか試せません。しかしアシックスラン東京丸の内では、ステーションを利用する際にレンタルして、営業時間内であれば、基本的には時間の制限なしで、10キロでも20キロでも実走することができます。感覚や感触を試して、さらにその後はシャワーあびてから商品を購入することも可能なのです。

↑先日発売されたアシックス「ゲルカヤノ 30」も、もちろん試し履きできる

 

特に、市民ランナーには憧れの厚底カーボン「メタスピード」シリーズはストライド型、ピッチ型の2種類があることで迷う方が多いそう。レーシングシューズは他のシューズに比べて高価なので選ぶのが大変ですが、レンタル(特別料金550円)して、履いた感触でよかったものを購入することもできます。

↑ステーション内には200足以上のレンタルシューズが用意されており、店舗外で試して自身に合ったシューズを選ぶことができる

 

↑レンタルウェアは最新の秋冬商品も取り揃えており、2点セット330円、4点セット660円などお得なプランも用意されている

 

デジタル診断でランニングをサポート!

またアシックスラン東京丸の内には、それぞれのランナーに合ったシューズ選びをサポートする計測機器も充実しています。計測コーナーには足形の3D計測器「ASICS FOOT ID」があり、数分で計測が可能。足の長さ、幅はもちろん、3Dなので足の厚みや土踏まずの高さ、かかとの骨の角度などが測れます。着地したときに起きうる動作の傾向も見ることができ、計測の結果によって自身に合ったシューズを選ぶことが可能となっています。

↑速く走るだけでなく安全に走るためにも、足形に合ったランニングシューズ選びをサポート

 

AI(人工知能)画像解析技術を用いたプロネーションタイプ判定サービス「ASICS RUNNING ANALYZER」では、ランニングマシントレッドミルで30秒ほど走り、iPadで後ろから着地の様子を撮影することで、着地したときの足首の動きや踵の動き、着地のくせが分析できます。そのデータからも最適なシューズ選びが行えます。これらの計測サービスは無料で予約も不要です。

↑アシックスが蓄積したランニングフォームに関するデータや知見をもとに、ランニング時の足の運びを分析し、数値を割り出して評価する

 

今回のリニューアルで新たに加わったのが、専門機器を使用してランニングの総合的な能力が測定できる「ASICS RUNNING LAB」です。ランニングフォームの測定から全身持久力測定まで、トップアスリートを対象に行われていた「ランニング能力測定」を受けることができます。こちらは有料で予約も必要。ランニングフォーム測定(1回5090円)、全身持久力測定(初回1万3200円、2回目以降8150円)となっています。

↑前後、横、頭上の4つのカメラで動画を撮影し、ランナーの特徴を科学的にとらえ、ランニング能力向上のための方針を提案してくれる

 

さらにアシックスラン東京丸の内では、アシックスランニングクラブコーチによるランニングイベントも連日開催しています。例えば、平日開催のウォーク&ラン、女性限定の街ラン、サブ5向けのランニングなどは参加費無料(施設利用料のみ)。土日開催のストレッチ・3ステップドリルなど基礎講座、観光&スイーツラン、サブ5ランナー向け総合ランニングイベントなどは1650円〜2200円+施設利用料で参加できます。

 

さまざまなランナーに合わせたランニングライフを提供するアシックスラン東京丸の内だから、あなたにもピッタリのサービスが見つかるはず。一度訪ねてみてはいかがでしょうか。

 

■住所:〒100-0005

東京都千代田区丸の内2-5-2 三菱ビル地下1階

■電話番号:03-6259-1601

■ランステーション

平日:12:00-21:00(最終入店20:00)

土日祝:9:00-17:00(最終入店16:00)

■ストア

平日:12:00-21:00

土日祝:9:00-17:00

 

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アディダスの新次元コンセプトシューズ「アディゼロ プライム X 2 ストラング」

アディダス ジャパンは、1秒でも速いベストタイムを目指すランナーの記録更新を支えるアディゼロシリーズの最新作、「ADIZERO PRIME X 2 STRUNG(アディゼロ プライム エックス ツー ストラング)」を 2023年9月1日より先行発売、9月15日より一般発売を開始します。

 

アディダス規格外のコンセプトモデル

“靴底の厚さ(スタックハイト)は40mmまで、カーボンプレートは1枚までとする”という世界陸連の規定に縛られずに設計された本シューズは、アディダス独自のテクノロジーを搭載し、スタックハイト50mm、カーボンプレート2枚を誇る規格外のコンセプトモデルです。再構築されたミッドソールには、アディダスのランニングシューズでは最多となる3層構造のLIGHTSTRIKE PROを採用しています。

↑「アディゼロ プライム エックス ツー ストラング」3万9600円(税込)

 

↑アッパーはアディダス独自のテキスタイル技術「STRUNG」を採用。ミッドフットとヒールの要所には補強レイヤーを精巧な技術で施し、同時に前足部の拡張ゾーンには局所的に柔軟性をアップ

 

↑Continental コンパウンド(複合ゴム)を採用したアウトソールが、厳しいコンディションの路面でも優れたグリッ プ力を発揮

 

↑LIGHTSTRIKE PROのコア層を、2枚のカーボンプレートで挟み込むプラットフォーム構造により、ランニング中にずっと高い反発力を発揮

 

レース規定に縛られない速さを目指すアディゼロ プライム エックス ツー ストラングは、「速くなるための、すべて。」を実現するためのアディゼロの取り組みと技術を集約した革新的なシューズであり、今後もアディダスは、新鋭のイノベーションを搭載したレースモデルを引き続き発表していくとのこと。

 

 

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HOKA「アウェークン エナジー」コレクションは、鮮やかなカラーで走りがきっと楽しくなる!

HOKA(ホカ)の人気ロードランニングシューズや、アパレルのエネルギーを鮮やかなカラーで呼び覚ます「AWAKEN ENERGY(アウェークン エナジー)」コレクションが8月25日から登場。

 

鮮やかなカラーのシューズとアパレル

HOKAは、2023年8月14日より、「その想いに、伴走する。」キャンペーンを展開しています。このキャンペーンは、グローバルタグラインとして掲げている『FLY HUMAN FLY』に基づく、“すべての人の可能性を賞賛し、飛躍することを応援する”というブランドアクションの一環です。

 

アウェークン エナジーコレクションは、HOKAのアイコンモデルの「CLIFTON 9」や「BONDI 8」から人気ランニングシューズからアパレルまでをラインナップした、あらゆるランナーが走りを楽しめるアイテムです。「その想いに、伴走する。」、体にやさしく、最後まで楽しい走りをささえるフットウェアは以下たち。

↑「アラヒ 6」1万9800円(税込)

 

↑「クリフトン 9」2万900円(税込)

 

↑「ボンダイ 8」2万5300円(税込)

 

↑「リンコン 3」1万7600円(税込)

 

↑「マッハ X」3万800円(税込)

 

↑「マッハ 5」1万9800円(税込)

 

続いて、アウェークン エナジーのアパレルはコチラ。

↑「スカイフロー ジャケット」2万350円(税込)

 

↑「グライド ショート スリーブ」8800円(税込)

 

↑「7インチ ショーツ」8690円(税込)

 

アウェークン エナジーコレクションは、HOKA公式サイトおよび一部取扱店舗で販売中。

 

 

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ミズノランニングの看板モデル「ウエーブライダー27」が登場! こだわりはアッパー構造にあり

1906年の創業以来“より良いスポーツ品とスポーツの振興を通じて社会に貢献する”という経営理念を掲げるドメスティックスポーツブランド「ミズノ」。そんな同ブランドからランニングシーンを長年支えてきた定番モデルの「WAVE RIDER(ウエーブライダー)」の最新作が登場。クッション性と前に進む反発力を高次元で兼ね備えた、快適な走行性で魅了する人気シリーズがどのように進化したのか、紹介していきます。

 

27代目となる「ウエーブライダー27」!

ウエーブライダーはミズノのデイリートレーナーモデルとして、1997年に登場。当時からミズノランニングが大切にしている滑らかな走り心地である「スムーズネス」を体現するために、「ミズノウエーブ」というプレートを搭載しています。

 

今でこそ当たり前となりましたが、この仕様の先駆け的な存在となり、誰もが認めるところのクッション性、反発性、安定性のバランスのいいシューズとして世界中のランナーを支える名作として定着しました。

↑商品説明はシューズ企画担当の川西さんが登壇。「ウエーブライダー」シリーズの歴史から、最新作のテクノロジーや機能性を紹介してくれました

 

そして、本作で27代目となるウエーブライダー。2021年に「ウエーブライダー25」、2022年に「ウエーブライダー26」とコンスタントにリリースされてきましたが、25年という長い年月の間でさまざまな進化を遂げてきました。昨今、物価の高騰により、さまざまなモノの値上がりが行われていますが、ミズノは初心者でも気軽にランニングを楽しんでほしいという思いのもと、プライスは前作と同じ据え置き価格となっています。

↑新作発表会では歴代のモデルをスライド形式で紹介。デザインがどのように変化していったのかをチェックできる贅沢な瞬間

 

続いて、ここからは「WAVE RIDER(ウエーブライダー)27」ではどこがアップデートされたのかを深掘りしていきます。

↑「ウエーブライダー27」1万4850円(税込)。カラーラインナップはメンズ用6色展開、ウィメンズ用4色展開。重さは約280g(片足27cmの場合)

 

最大のアップデートポイントはアッパー構造!

最新作でこだわったのがアッパーのスムーズネス。細部までこだわり微調整を行ったことで、さらなる進化を遂げました。

↑アッパーにはメッシュ素材をセレクト。優れた通気性により蒸れることなく、柔らかなフィット感でランニング時でも不快感を与えません

 

↑海の波を乗りこなすような流線形のデザインが施されたPUプリントはメッシュアッパーの補強としての役割も兼任。また、ベロ端部両側にストレッチ性の高い素材を付けて固定し、中足部のフィット感を高めるガセットタングを採用。段差の少ないステッチにより、ストレスも感じさせません

 

↑アッパーに改良に合わせて、ヒールカウンターも変更。従来よりも短くしたことで、柔らかくなったアッパーの良さを最大限に引き出し、フィット感も高めています。また、ヒールカウンターが小さくなったことで前作よりも5gの軽量化にも成功しています

 

↑実際使用されている踵のパーツ、ヒールカウンター

 

ソールは前作と同様、ミズノエナジーとミズノウエーブ!

アッパーの仕様変更が行われたウエーブライダー27ですが、ソールはウエーブライダー26と同じテクノロジーである「ミズノエナジー」と「ミズノウエーブ」を搭載。ミズノが誇る技術力で安定感を生み出しています。

↑まず「ミズノエナジー」をソール全面に搭載することで素材の搭載堆積を17%UP。これにより、シリーズ史上最高の柔軟性と反発性が生み出され、よりスムーズな走り心地でランナーをサポートしてくれます

 

↑続いて「ミズノウエーブ」はウエーブライダー26と同様、中足部のシャンクエリアを補強する3D形状のハニカムパターンを採用。そして、外側も巻き上げることで安定性も向上。体の横ブレが起きにくいのでスムーズな体重移動を促してくれます

 

2つのテクノロジーに合わせてアウトソールは屈曲溝と耐久性の高いラバーを採用。こちらも過度な屈曲を抑え、スムーズな体重移動をサポート。また、前足部と踵内側には、微発泡ラバーを採用し、柔らかさと軽量性を追求しているのもポイントです。

↑アウトソールのデザインもウエーブライダー26と同様

 

機能性以外で注目したいのは、ミズノのサステナビリティ活動。ウエーブライダー27においてもアッパーや裏地、インソールには90%以上のリサイクル素材を使用。シューズの要となっているウエーブプレートも植物由来のPebax Rnew(R)を使うなど、地球環境にも配慮しているんです。

 

そんなミズノが自信を持って世に送り出すウエーブライダー27。前作のテクノロジーを生かしつつ、アッパーへのこだわりでさらなる快適な走りを提供してくれる意欲作と言えるでしょう。気になる発売日は8月25日。ブランドファンのみならず、ランニングを楽しんでいる人、これから始めたいと思っている人はぜひ手に取って、そのクオリティを体感してみてください。きっと27代目という貫禄が感じられるはずです。

 

撮影/編集部

 

 

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世界市場を睥睨するサロモン、渾身のロードランシューズを履いた!/大田原 透の「ランニングシューズ戦線異状なし」

ギョーカイ“猛者”が走って、試して、書き尽くす! 「ランニングシューズ戦線異状なし」

2023「サロモン」夏の陣③「エアロ グライド」の巻(後編)

 

スキーをルーツに、今やウインタースポーツのみならず、世界のトレランシーンをリードするサロモン(Salomon)。過酷なアウトドアでのあらゆる路面状況(サーフェイス)への対応を、世界中で開催されるトレランのレースを通じて研究し、高い技術として昇華し続けてきた。

 

今や敵なし山の王サロモンが睥睨するのは、ロードランニングの平原。新興ブランドもひしめき、開発競争が激化する、まさにレッドオーシャンである。このレッドオーシャンにサロモンが放つ矢のひとつが、オンロード用の「エアロ グライド」だ。

↑「エアロ グライド(AERO GLIDE)」1万8700円(税込)。サイズ展開:メンズ25.0~28.5㎝、ウィメンズ22.0~25.0㎝。カラー展開:メンズ4色、ウィメンズ4色。ソール厚:前足部27mm /かかと37mm。ドロップ(踵と前足部の高低差):10㎜。重量:254g(27㎝片足)

 

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いよいよ、エアロ グライドを試走!

ということで、今回は高尾のトレイルから、八王子郊外の住宅街のロードに移動し、エアロ グライドのインプレをお届けする。試走の内容は、いつもの連載に戻り、4シーンでのインプレとなる。

 

まずは、シューズに足を入れた感覚およびウォーキングのインプレ。次は「運動不足解消」が目的で走る、1㎞を約7分(=キロ7分)の、の~んびりペース。続いて、脂肪を燃焼させる「痩せラン」に適した、1kmを約6分(=キロ6分)のゆっくりペース。

 

最後は、距離ではなく、走る爽快感重視の、1㎞約4分30秒~5分で走る(キロ4.5~5分)「スカッと走」。暑さをモノともせず新たに走り始めたい初心者にも、涼しい避暑地でランニングしたいお久し振りさんにも、“おっ、そのペースだね”と思っていただける目的(およびペースの目安)のはず。

 

【まず、履いてみた!(走る前の足入れ感&ウォーキング)】

シューズに足を入れ、シューレース(靴ひも)を丁寧に結ぶ。すくっと立つと、シューレースに連動するセンシフィットテクノロジーが、さらに足とシューズを馴染ませてくれる。エアロ グライドの分厚いミッドソールは、優しく体重を受け止める。

 

ほぉ~。ショップの店頭での足入れ感にチカラを入れる、昨今のオンロードランニング市場のトレンド的にも、エアロ グライドは競合他社に引けを取らない。とても、最近オンロード市場に参入した後発ブランドとは思えない出来栄えである。

 

歩くと、サロモンのミッドソール「エナジーフォーム」が着地をふんわりと受け止める。これもお見事! 厚底でのふんわり感という、売れ筋のトレンドをしっかり押さえている。サロモン=トップアスリートのためのガチなトレランシューズブランド、という筆者の凝り固まったイメージは、エアロ グライドを履いて歩くと、ふんわり霧散した。

 

【運動不足解消ジョグ(1㎞を7分で走るペース)】

履いた瞬間と歩くことで感じた“ふんわり感”は、走り始めると、ほど良い反発性に変わる。これまた“今どき”のランニングシューズに共通する、ミッドソールのストロングポイントだ。日本の市場でもまさにトレンドなだけに、単なる研究だけでなく、日本のコンシューマーの気持ちにも寄り添ったシューズ開発を行っていることが分かる。

 

それもそのはずサロモンは、オリジンであるスキー用品を1962年から日本で発売を開始している。その後、世界市場で最もサロモンのスキーブーツのフィッティングの良さを理解したのが、何を隠そう日本人なのだ。

 

逆を言えば、日本人の足を誰よりも知るサロモンのシューズのフィッティングに、不安がある理由は、少なくとも往年のスキーブームを知る世代にはない(実は筆者も、その昔、クロスカントリースキー用のブーツで世話になっていたなぁ……)。

 

で、1㎞を7分で走る運動不足解消のためのジョギングペース。エアロ グライドは、全くゴキゲン。感覚的には、走る際のピッチ(足幅)を短めにすると、さらにリズムよく跳ねる。(意地悪だが)大きくバウンドすると、ミッドソールがけっこう沈む。試しに、もうチョイスピードを上げてみよう。

 

【痩せラン(1㎞を6分で走るペース)】

走力が上がり、スピードをチョイ上げると、脂肪燃焼にもってこいの「痩せラン」ペース。長く走り続けられたら、そのペースがさほど速くなくても、脂肪はどんどん燃えてくれる。エアロ グライドは、スピードアップにきれいに追従、ミッドソールは衝撃を素早く反発性に変えてくれている。つまり、脂肪燃焼にはエアロ グライドなのである。

 

サロモンが山で培ったテクノロジーの数々を、オンロードに展開したエアロ グライド。そのひとつが、ミッドソールの「エナジーフォーム」である。エナジーフォームは、衝撃吸収性に富み、速度や段差などによる衝撃の大きさに合わせて反発する特性を持つ。EVAにオレフィンを配合した、サロモンがトレイルランで培ったテクノロジーである。

 

さらにサロモンは、硬いアスファルトに対して、一定の角度から、規則正しく、長時間にわたって走るというロードランの特性のために、エアロ グライドのアウトソールも開発している。高い耐摩耗性を持ち、薄く、軽量な「コンタグリップ」である。

 

これらのテクノロジーは、バラバラに開発されてきたわけではない。すべては、“ライト&ファスト”というサロモンの商品開発のDNAを継承するために、研究開発され、新たな製品として世に出されてきたものだ。

 

サロモンのDNAである“ライト&ファスト”は、クロカンスキーやトレランという“競技”の底流に共有する考え方だ。シューズが軽いために速く動ければ、時間をより有効に使うことができる。さらに天候やルートなどの情報を活用することで、持って行くべきギアも絞り込むことができる。これらは、アスリートも、入門者も、本質的な違いはない。

 

エアロ グライドは、現在のロードランの世界のトレンドに対する、サロモンによるひとつの答えだ。“ライト&ファスト”というサロモンのDNAを、エアロ グライドはどのように引き継いでいるのだろう? さらに、ペースを上げてみよう!

 

【スカッと走(1㎞を4.5~5分で走るペース)】

ここで一旦、前回紹介した、エアロ グライドの開発コンセプトを振り返ってみよう。サロモンMDの山村 拓さんに聞いたところでは、エアロ グライドは、北米の大柄な体格のライナーを対象に、運動不足解消のために歩いたり走ったり、脂肪を燃やして痩せることを目的に走る人たちを視野に入れて開発されたという。

 

その意味でも、エアロ グライドは、ここまでのペースでのランに、まさにピッタリな一足と言える。しかし問題は、「スカッと走」だ。距離は長く走らないが、目指したゴールを駆け抜ける爽快さ、疾走感を味わうのもランニングの醍醐味なのである。

 

“ライト&ファスト”のDNAに基づいて開発されたエアロ グライドのミッドソール素材のエナジーフォームは、スピードを上げるほどに反発性を強めてくれる。アウトソールの踏み面も広いので、下り坂でガシガシスピードを上げても安定した走りだ。しかし、下りから平地に戻り、そこで加速しようとしても、エアログライドはスピードに乗るような造りになっていない。

 

もし、「スカッと走」をエアログライドで味わうとしたら、思い切ってミッドソールの厚みを削るか、ミッドソールにTPUのプレートを内蔵するかだろう(実は、サロモンのロードランシューズのラインナップには、まさにこうしたモデルが用意されている)。

 

一足ですべてを満たすシューズを求めるのは、高すぎる要求であることは百も承知している。しかし、このタイプのシューズでも、“ライト&ファスト”のDNAを味わいたいと思い描いてしまうのも、往年のサロモンファンなのだ(オイラだ!)。

 

しかし、ロードランの世界を狙うサロモンの本気のモノ作りは、ホンモノだ。近い将来、今までの常識を根底から覆すプロダクツを、サロモンは山の上から一気にロードランの平原に押し出して来るだろう。その光景に出会えることが、今から楽しみである!

 

【おまけ】エアロ グライドで山道を走ってみた

本来なら蛇足なのだが、せっかくなのでエアロ グライドを山で履くことに。前々回に紹介した超長距離用のトレランシューズ「ウルトラ グライド 2」も伴い、山道と舗装路で履き比べるため、おあつらえ向きの沢沿いのコースにやって来た。

 

オンロード用のインプレは、走る目的に応じた速度で行う。しかし山では、アップダウンや崖、沢の渡渉(としょう)など、一定のペースでは走れない。ましてや、ダイエット目的で食料や水を持たずに山を走ることは、その行為自体が“遭難”である。

 

エアロ グライドの肉厚なミッドソールは、上りでの強力なアシストとなる。着地衝撃を推進力に換える“跳ねる”感覚でグイグイと進める。周囲に誰も人はいないが、上り番長になった気分。トレランシューズにない軽快さも魅力だ。

 

広く整備された林道をガシガシ下るのも、さすがはサロモン。アウトソールの踏み面も広く、厚底のエナジーフォームのおかげで、多少の凸凹など気に留める必要もなく進む。エアロ グライドは、オンロードモデルながら、自転車のロードバイクのような鋭利な繊細さではなく、グラベルバイクやMTBの野武士のような豪快な乗り味で進む

 

しかし課題は、路面状況(サーフェイス)が悪いシーンでのシューズのパフォーマンスだ。上っている最中から、爪先を保護する補強材(トゥキャップ)がないので、爪先が岩に直接当たる。濡れた岩場では、ちょっと弾みで滑る。ザレ(砂礫)の急斜面は、自身が滑落しないよう、恐る恐る進むしかない。

 

沢を横切る渡渉に至っては、岩についたコケなどの表面で足を取られて、ノロノロと進むしかない。アウトドアのあらゆる悪路で機動力を得るには、エアロ グライドのアウトソールは(当たり前だが)不向きである。

 

サロモンのトレランシューズを履いた後、同じコースの2周目にエアロ グライドを試しているが、その差は歴然。まぁ、当たり前な結果と相成った。教訓、今まで山の初心者に「履き慣れた靴なら、ランニングシューズでも大丈夫」と(コースに応じて)語ったことが何度かあったが、これからは「山へはトレランシューズ(またはハイキングシューズ)で行こう!」と改める。おススメは、もちろんサロモンの「ウルトラ グライド 2」である!

 

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撮影/中田 悟

 

 

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トレラン界に君臨する山の王サロモンが作った、ロードラン用シューズ/大田原 透の「ランニングシューズ戦線異状なし」

ギョーカイ“猛者”が走って、試して、書き尽くす!「ランニングシューズ戦線異状なし」

2023「サロモン」夏の陣③「エアロ グライド」の巻(前編)

 

フランス・アヌシーで産声を上げたサロモン(Salomon)。スキーから始まるアウトドアブランドである。冬はクロカンスキー、夏はトレランという北欧のライフスタイルを取り入れ、今や世界のトレラン文化を牽引する存在として、日本のみならず世界のトレイルランナーの圧倒的な支持を得ている。

 

そのサロモンが得意とする、スキーやスノーボードなどのウインタースポーツ、そしてトレランやハイキングなどのマウンテンスポーツに共通する哲学は“ライト&ファスト”。より短時間に、距離を稼ぎ、ミニマルな装備で、身体のパフォーマンスをできる限り維持することが、商品開発の根本にある。

 

サロモンの“ライト&ファスト”を体現したトレランシューズの紹介と実際に走ったインプレが、前回まで。今回からは、いよいよトレランを極めることで、全てのサーフェイス(路面状況)に精通したサロモンが、“どこでも走る”ランニングブランドとなるべく開発した、オンロード向けのランニングシューズへのフォーカスとなる。

↑「エアロ グライド(AERO GLIDE)」1万8700円(税込)。サイズ展開:メンズ25.0~28.5㎝、ウィメンズ22.0~25.0㎝。カラー展開:メンズ4色、ウィメンズ4色。ソール厚:前足部27mm /かかと37mm。ドロップ(踵と前足部の高低差):10㎜。重量:254g(27㎝片足)

 

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サロモンが提案する、世界的トレンドへのひとつの答え

「2023年にサロモンが強化するのが、“エブリデイ ラン”。サロモンが提供する一連のロードランニングシューズでも、初のクッショニングのモデルです。北米を含め、体重のある方々も買い求めやすいタイプのシューズがリニューアルしました」

 

と語るのは、サロモンのイケメンMD山村 拓さん。山村さんが、GetNavi web読者を含めたランニング初心者にすすめてくれたのは、「エアロ グライド」というモデル。厚底をトレンドも踏まえ、真上から見ると接地面のソールが広くせり出したフォルムが印象的である。

 

エアロ グライドは、見た瞬間に、安定性に秀でると直感的に伝わるシューズだ。3Dメッシュのアッパーには、軽量化にも寄与するリサイクル素材が使用されており、この見た目ながら254g(27㎝片足)と、オンロードで先行する競合他社の商品と比べても遜色はない。

↑今回お話を伺った、サロモンの山村 拓さん。日本での展開商品の選定やプロモーションをマーケチームと連携して行う。トレランはもちろん、アウトドアスポーツとサッカーを愛するイケメンMD

 

全くの初心者から、ガチレースでのリカバリー目的まで

「(大柄の方が多い)北米市場も意識しているので、日常使いはもちろん、運動不足解消ための日々のウォーキングや、体脂肪を燃やすためのジョギングなどのシーンを想定しています。膝が気になっていたり、シューズのクッション性に不安がある方など、ご自身が抱える“問題解決”になる1足になれば……、と願っています」(山村さん)

 

山村さんによると、エアログライドは、サロモン社内のレース好きのガチなトレイルランナーたちが、100マイル(=160㎞)などの過酷なレースの翌日、リカバリー用に履くことが多いという。アスリートは、酷使した脚の筋肉に対して、スローペースで“走って!”血行を促すことで、筋肉痛を軽減させると共にパフォーマンスをリカバリー(回復)させるのである。

 

しかも、泥や砂まみれのトレランシューズは、きれいに洗っても、翌朝に快適に履くのには難があるのだ。なるほど、ゆっくり走っても安定性に優れる“もう一足”としてエアロ グライドが人気なのが頷ける。

↑エアロ グライドは、“エブリデイ ラン”を標榜するサロモン2023年の強化シューズ。サロモンが展開するロードシューズ群で、初のクッショニングモデルとしてローンチされた。3Dメッシュにはリサイクル素材を採用し、比較可能な前モデルから21g(27㎝片足)の軽量化に成功している

 

過酷な山で磨かれた高い技術を、ロードシューズに展開

エアロ グライドは、爪先とかかとが揺りかごのようにラウンドする「ロッカー構造」を採用している。そのため、かかとでの着地から、爪先での蹴り出しにかけて、滑らか(グライド)に足が運ばれる。あまりに極端なロッカー構造は、ともするとスネの筋肉に過度な負担をかけることがある。しかしながら、エアロ グライドのロッカーは穏やか。安全な設計と言える。

 

「エアロ グライドに使われる厚底のミッドソールは、サロモンが独自に開発した『エナジーフォーム』という素材です。エナジーフォームは、衝撃吸収性富んだEVAに、反発性を高めるオレフィンを配合しています。着地衝撃を推進力に換え、ガシガシと山を駆け巡るために開発された素材を、オンロード用にも使用しています」(山村さん)

 

エナジーフォームは、前回まで紹介してきたトレランシューズ「ウルトラ グライド 2」にも使用されており、同素材をオンロード用のエアロ グライドへ搭載することは、トレラン好きにとって、大いに興味を惹かれるところなのだ(詳しくは、次回のインプレにて!)。

↑白いミッドソールは、高い衝撃吸収を持つEVAに、高反発なオレフィンを配合した「エナジーフォーム」。今どきの厚底のかかと部は、何と37㎜! アッパーには、シューレースと一体になって足首全体を包み込む、センシフィットテクノロジーが採用されている(サロモンのロゴがプリントされたライトグリーンの部分)

 

「あらゆるサーフェイスを知る」サロモンだからこそのアウトソール

硬いアスファルトなどの舗装路を、同じようなペースと足運びで走るオンロードでのラン。数万人もの参加者とともに、トップアスリートが賞金を懸けて競い合うことで、使用されるシューズの技術は飛躍的に進化してきた。

 

サロモンが得意としてきたのは、土や岩などの路面状況(サーフェイス)はもとより、気温差も湿度の差も激しいオフロードでのランである。近年は人気も急上昇し、出場資格をポイント制にして、出場選手のレベルと安全確保を行う人気レースも増えている。

 

サロモンは、世界中のトレランレースを走る選手たちのサポートを通じて、あらゆるサーフェイスを研究し、さまざまな環境に対応できる技術を磨いてきた。そして今、その高い技術を武器に、オンロードのランニングの世界への足掛かりを着実に固めている。

 

「こうした、サロモンのサーフェイスへの対応力が、アウトソールの開発でも活かされています。それが『コンタグリップ』と呼ばれるラバーです。コンタグリップは、サロモンが開発するアウトソールの総称で、使用させるサーフェイスに応じてラバーの性質を調整しています」(山村さん)

 

エアロ グライドに使用されているのは、硬い路面での耐摩耗性が高く、しかも軽量なコンタグリップ。アウトドアのゴツゴツしたアウトソールとは対照的に、シンプルな分、高い技術力が求められているという。

↑サロモンが独自に開発をしたロード用のアウトソール「コンタグリップ」を搭載(グレーの部材)。アスファルトなど硬い路面で、一定方向からの着地が重なるため、耐摩耗性の高くなる混合比のラバーが採用されている。ちなみに、赤いポッチは、コンタグリップのマークである

 

山の王サロモンが睥睨(へいげい)する、ロードランニングの平原

トレラン界に君臨する山の王サロモンは、その高い技術を武器に、ロードランニングの平原への拡大計画を着実に推し進めている。ヨーロッパには新興のランニングブランドも乱立し、これまでシェア争いに勤しんでいた巨大ブランドたちも、生き残りをかけた開発競争に突入せざるを得なくなっている。

 

東京の郊外、古民家を再利用して作られたサロモンのショップは、日本のアウトドアシーンの巨大な玄関=高尾に位置する、まさに最前線。呑気にも、カフェでアイスコーヒーを飲んでいる筆者なのだが、ランニングシューズ戦線は、今、とんでもない歴史的なシーンを迎えているのだ。

 

次回は、山の王サロモンがロードランニング界に放つエアロ グライドのインプレである。と、独り緊張が高まってきたところで、本連載『ロードシューズ戦線異状なし』、サロモン夏の陣「エアロ グライド」は、大団円の後編に続くのであった。

↑山村さんにお話を伺ったのは、サロモンブランドのコンセプトショップ、東京・八王子市の「TAKAO MOUNTAIN HOUSE」。京王線高尾山口駅からスグのアクセスの良さもあり、コアなファンの忘れ物需要だけでなく、今までサロモンブランドに触れてこなかったレジャー客層も立ち寄るようになったとか

 

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2023年夏のトレラン入門者向け、サロモンおすすめのトレランシューズ!/大田原 透の「ランニングシューズ戦線異状なし」

 

撮影/中田 悟

 

 

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30周年30代目で最大のアプデ。アシックス「ゲルカヤノ 30」の鍵は「4Dガイダンスシステム」

1993年の登場以来、数あるランニングシューズの中でも最も歴史の長いロングセラーモデルとして、日本はもちろん、世界のランナーから愛され続けているアシックスの「GEL-KAYANO(ゲルカヤノ)」。これまでにない大幅な進化を遂げたシリーズ30代目の「GEL-KAYANO 30(ゲルカヤノ 30)」の開発の経緯が、発売直前の「GEL-KAYANO 30 Launch Forum in Japan」イベントで熱く語られました。

 

アシックス「ゲルカヤノ 30」がいよいよ発売開始!

↑「GEL-KAYANO 30」1万9800円(税込)。7月27日からアシックスオンラインストアで先行発売し、 8月10日からアシックス直営店各店、全国のスポーツ用品店などで順次発売予定

 

1993年に登場した「ゲルカヤノ トレーナー」を起点に、毎年、様々な進化を続けている「ゲルカヤノ」シリーズは初心者ランナーからベテランランナーまで幅広い層に愛され、その進化もつねに注目されてきました。

↑イベント会場で展示されていた「ゲルカヤノ トレーナー」

 

そして今回のシリーズ30年の節目を迎えたゲルカヤノ 30は、シリーズ最大級のアップデートが行われました。その開発の過程を、パフォーマンスランニングフットウエア統括部開発部の中村浩基氏、同デザイン部の三宅大希氏、スポーツ工学研究所プロダクト機能研究部の高増翔氏が、それぞれの部門での苦労と、「ゲルカヤノ」への熱い思いを語ってくれました。

 

ゲルカヤノ30の進化は「4Dガイダンスシステム」にあり

↑ゲルカヤノ 30の開発について語った、左から開発部の中村氏、スポーツ工学研究所の高増氏、そしてデザイン部の三宅氏

 

「大幅なアップデートを果たしたのは『ゲルカヤノ』が30周年を迎えるからでしょうか? もちろんそれもありました。しかし今回の本質は、改めてランナーのことを考え、ランニング時にずっと寄り添い続けられるシューズ。その機能こそが、シューズとしてランナーをサポートすることだと再定義したため。『ゲルカヤノ 30』は、それを体現することを目指したシューズです」(中村氏)

 

ゲルカヤノシリーズは、アシックスを代表する長距離ランニング用の高性能モデルとして、長時間走行してもスムーズな足運びができるようサポート力を高め、足元のぐらつきを抑えるなど、安定性を高めることで多くのランナーをフルマラソン完走に導いてきました。

 

その歴史の中で、様々な機能改善と知見の蓄積がなされ、これまでは安定性を継承しながら新しい素材や機能を取り入れられてきました。しかし今回は、基軸の安定性とは相反する快適性の両立が開発のコンセプトとなりました。

 

「安定性を追求する場合、硬い素材で足の倒れを防ぐ、足を固めるアプローチが主流でした。今回の『ゲルカヤノ 30』では、長時間走行におけるランニングフォームの変化に着目し、安定性と快適性の両立を目指しました。その結果として、新たに開発した『4Dガイダンスシステム』の搭載につながっていきます」(中村氏)

 

「4Dガイダンスシステム」とは、走行距離とともに変化するランナーの動きを研究し開発した複合的な機能構造で、①広がりを持たせたミッドソール、②アーチ部の高反発のフォーム材、③かかと部の適切な傾斜角度、④接地面積を広げたアウトソール。この4つの特徴を組み合わせることで、走行時の変化に適応した安定性と優れた快適性を実現しました。

↑これまでのシリーズにはなかった広がりを持たせたかかと部のミッドソール形状

 

↑ミッドソールは全体を前作より約4mm厚くし、環境に配慮したクッションフォーム材を採用

 

この「4Dガイダンスシステム」の開発に欠かせなかったのが、同社のスポーツ工学研究所内で実施された走行テストでした。

 

「今回は硬いゲルをどこにも使っていません。それを実現したのが、長距離を分析してランニングフォームの変化を分析して一つひとつ形状を変えたこと。社外の方にも10km走っていただいたところ『走る前よりも走った後の方が快適性を感じる』と、コメントをいただきました。コンセプトを説明していない方にそう言われて、すごく自信につながった」(高増氏)

↑これまでは外側からも見えていたゲルを、外側から見えないよう内蔵。前作に搭載したタイプより約65%やわらかく、約10%の軽量化も実現

 

デザインも同様に、これまでの「ゲルカヤノ」と比べると、柔らかそうな印象を受けます。

 

「『カヤノシリーズ』は歴史がありゆえに『カヤノ』らしさをキープしたい声と、機能を大幅にチェンジするのでデザインを変えようという意見があり、1回目のサンプルはどっちなのみたいなデザインになってしまった。私たちとしては『カヤノ』は先進的でベストな素材、ベストなデザインで作っていきたい。機能の大幅なアップに合わせてデザインも大幅にチェンジしていくよう1回ゼロに戻してブラッシュアップしました」(三宅氏)

 

開発部の中村氏は先々代「ゲルカヤノ 28」から開発を担当。なので、30周年を迎える「ゲルカヤノ」は2ndサンプルまで作り、機能性だけでなくデザインにもこだわりました。

↑デザインに3回修正を加え、完成した今回のゲルカヤノ 30

 

「ゲルカヤノ」シリーズはサステナビリティに関する透明性のある取り組みを行っており、今回のゲルカヤノ 30では温室効果ガス排出量を業界平均より14%軽減しました。製品ライフサイクルにおける(材料調達4.7、製造4.7、輸送0.4、使用0.03、廃棄0.8)10.7kgの温室効果ガス排出量を示すカーボンフィットプリントをアシックスのシューズでは初めて表示することで環境負荷に対する透明性を高めています。

↑ゲルカヤノ 30は製品ライフサイクルで排出される温室効果ガス排出量を、アシックスとして初めて表示。シューズボックスにも記載

 

野口みずきさんもゲルカヤノ30の安定性に感動!

↑アテネオリンピック金メダリストの野口みずきさん

 

今回は特別ゲストに、女子マラソン日本記録・アジア記録保持者で、アテネオリンピック金メダリストの野口みずきさんも登壇。7年前に現役を引退後も、毎日10kmほど走っていたそうですが、ゲルカヤノ 30を履いてからは最低でも13kmから15kmは走っているとのこと。

 

「安定感がすごいですね。クッション性もすごくいいので、長時間走っても疲れない。7年前に現役を引退した理由が、長年苦しんでいた足の抜け感なんです。抜け感が出てくると、回内(プロネーション)をしてしまいトレーニングを中断、質の高い練習ができなかった。

 

なので、机の引き出しを開けてこのシューズを持ってタイムスリップして、7年前の自分に『これいいよ。ゲルカヤノ 30!』って。これを履いていたら現役をもうちょっと長く走れていたかもしれない」と笑いも誘ってくれた野口さん。

 

実はトップアスリートでもクセがあり、「ぬけぬけ病」で苦しんでいる選手も結構いるそうで、野口さんは「そういう選手がジョグの時に矯正用として履くのもありかな」と提案します。

 

「この安定感、それからクッション性は、やはり手に取って外に出て、走って感じてほしい。履いたら、私たちが言っていたことがすごく分かると思う。楽しいランニングライフをこの『ゲルカヤノ 30』とともに楽しんでいただきたい」とメッセージも送ります。

 

発売から30年。まさにランニングシューズのトップを走り続けている「ゲルカヤノ」シリーズは、その時代に応じた最新の材料、最新のアシックステクノロジーを持って進化を続けていたアシックスのフラッグシップモデル。シリーズ史上最大級の進化を遂げたゲルカヤノ 30の進化の歴史の新たな1ページを、ぜひ、あなたの目で、手で、そして履いてその進化を実感してください。

 

撮影/編集部

 

 

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山を森を谷を駆け巡られる、サロモンのトレランシューズ「ウルトラ グライド 2」/大田原 透の「ランニングシューズ戦線異状なし」

ギョーカイ“猛者”が走って、試して、書き尽くす! 「ランニングシューズ戦線異状なし」

2023「サロモン」夏の陣②「ウルトラ グライド 2」の巻(後編)

 

スキー用品の開発に始まり、今やトレラン界を牽引するブランド「サロモン」。夏も冬も、縦横無尽に山を駆け巡るギア作りに定評がある。前回は、そのサロモンがGetNavi web読者におすすめしてくれた、入門者用のトレランシューズ「ウルトラ グライド 2」について、サロモンのMD山村 拓さんに話を伺った。

 

ウルトラ グライド 2は、100マイル(160㎞)のレースでも威力を発揮するモデル。短距離をビューンと進むモデルというより、ゆっくりでも着実にゴールを狙うのに向いている。ということは、つまり“そんなに走らないけど……”な初心者にとっても、扱いやすい一足なのだ。

 

ウルトラ グライド 2は、爪先と踵が反った、ほど良いロッカー構造(シューズのソールが前後で揺りかごのようなアールを描いている)。ロッカーがあることで、転がるように脚の回転をアシストしてくれる。さらに、衝撃吸収性に富んだミッドソールの「エナジーフォーム」と、アウトソール(靴裏)のグリップ性の高いラバー「コンタグリップ」の相乗効果で、ウルトラ グライド 2の走破性は驚くほど高いという。

↑「ウルトラ グライド 2(ULTRA GLIDE 2)」1万9800円(税込)。サイズ展開:メンズ25.0~28.5㎝、ウィメンズ22.0~25.0㎝。カラー展開:メンズ4色、ウィメンズ4色。ソール厚:前足部26mm /かかと32mm。ドロップ(踵と前足部の高低差):6㎜。重量:260g(27㎝片足)

 

【関連記事】
2023年夏のトレラン入門者向け、サロモンおすすめのトレランシューズ!/大田原 透の「ランニングシューズ戦線異状なし」

 

いよいよ、ウルトラ グライド 2を試走!

というのが、前回まで。で、いよいよ山でのウルトラ グライド 2の試走である。なお、通常この連載では、目的に応じて、4つの速度帯に分けて走ってみてのインプレを行ってきた。

 

まずは、足入れとウォークのインプレ。そして、運動不足解消の目的での1㎞を7分(=キロ7分)で走るの~んびりラン。さらに、脂肪燃焼が目的ための「痩せラン」に適した、1kmを約6分(=キロ6分)のゆっくりペース。最後は、距離ではなく、走る爽快感重視の、1㎞約4分30秒~5分で走る(=キロ4.5~5分)「スカッと走」だ。

 

だが、今回の舞台はロードではなく、急なアップダウンもあるトレイル。一定の速度での移動ができないため、評価の物差しは、サーフェイス(路面状況)に変えざるを得ない。上り、下り、岩や泥、沢を走って横切る渡渉など、さまざまなサーフェイスでのウルトラ グライド 2のインプレとなる。

 

まず、履いてみた!(走る前の足入れ感&ウォーキング)

とは言え、最初の足入れやウォークは、トレイルでも行う最初の儀式。靴は履かなきゃ走れない、のである。なお、多くのサロモンのトレランシューズには、ワイヤーを引くことでシューレースの圧を均等にする「クイックレース」が採用されている。

 

このクイックレースは、フィッティングを高めるサロモンのセンシフィットテクノロジーとも連動している。また、左右非対称なシュータン(甲に当たる部分)や足首に当たるパット部分は、過酷な長距離走でも足をしっかり安全に、そして快適に包んでくれるフカフカさ。

 

ということで、シューレースとなるワイヤーを引くだけで、センスフィットテクノロジーが効き、足はヨーロッパ高級車のシートに座ったかのようにシューズに快適に包まれるのである。

 

ウルトラ グライド 2のロッカー(揺りかごのような構造)は、さほど大きくないので、スネに過度な負担を与えて痛める心配はなさそうだ。それでも、アスファルトの平地のウォークでは、ウルトラ グライド 2はガシガシ進む

 

ガシガシなので、アウトドア用シューズに施される靴裏のラグ(すべり止めの凸部材)が、ロードノイズを上げる。誰もいない林道であれば気にする必要はないが、深夜の街中だとチト気になるやも。

 

山での上り、下り。きついところは歩きつつ、インプレを開始

山を走るトレラン。山なので、上っているか、下っているかが基本。激上りはきつくて走れないし、急な下りは危なくて走れない。レアな存在でもある平地は、ご馳走的な存在だ。ウルトラ グライド 2は、不整地でもガシガシと路面を噛んで進む。どこまでも行ける!

 

トレラン用シューズなので、もちろんトレランに使いたいが、歩きでも、走りでも、ウルトラ グライド 2はガシガシ進める。ということは、休憩も短く機動性を高めたファストハイク、未舗装の林道を走破するグラベル的な使い方との相性も良い

 

階段の上りは、想像以上に体力を奪う。段差が大きいほど筋肉への負荷は高まり、呼吸も乱れがちになる。そんな時こそ、ステップを小まめに刻み、特定の筋肉や心肺機能への負担をなるべく軽くしながら進みたい。

 

一段一段の着地衝撃に素早く反発し、推進力に換えてくれるエナジーフォームのミッドソールは、カラダを前へ運んでくれる。コンタグリップのアウトソールも、路面を良くグリップしてくれる。体重をもう2~3㎏軽くしておけば、足運びはさらに軽快になる(はず)!

 

緩い下り、ところどころ木の根が出ているトレイルでも、ウルトラ グライド 2は安定した走りだ。着地の衝撃は、エナジーフォームによってほど良く吸収されるため、突き上げはほとんど感じない。エナジーフォームはクイックに反応するので、沈み込み過ぎることなく、ステップを軽快に刻むことができる。

 

なお、たとえ超~快適な下りでも、前方の視認性が低ければ、スピードを上げ過ぎてはならない。理由は、前から上ってくるハイカーなどとの衝突を避けるためだ。トレイルでの原則は、上り優先。ゆっくりトレイルを楽しむハイカーを驚かせたり邪魔をしないことは、トレランのマナーでもある。

 

木の根、濡れた岩、泥など、異なる路面を走ってみた!

木の根だらけの走りにくいサーフェイス。雨やコケなどでスリップすることがあり、植生(※1)も痛む。特に、濡れた木の根だらけの下り道では、スピードを極力落とし、歩きたい。「サロモンは、あらゆるサーフェイスを知る」とは、MDの山村さんの言葉だが、なるほどウルトラ グライド 2のコンタグリップは、ここでも良く効いている

※1:地球上の陸地において、ある場所に生育している植物の集団。

 

渓谷沿いの濡れた岩のサーフェイス。撮影のために何度も繰り返したが、コンタグリップはいずれでも良好だった。さらに、“ガレ”や“ザレ”の下りでも試してみたが、コンタグリップはここでも良く効いていた。

 

ちなみに“ガレ”は、山肌からの崩落などによる岩ばかりのサーフェイス。“ザレ”は、さらに小さな砂礫のサーフェイスを差す。ザレ場では自身の滑落、ガレ場では下を歩く人への落石を招かぬように注意したい。見通しが悪いところや、グラグラと不安定な「浮石(うきいし)」が多い場所では、立ち止まって周囲の状況を観察し、安全を確認してから進もう。

 

降雨のトレイルや、雪や霜が融けたトレイルは、路面がドロドロぐちゃぐちゃ。スリッピーなので、シューズのみならず、転べば衣服も泥だらけになる。土の組成や、保湿の程度によって泥のサーフェイスの状態はさまざまなため、1回のランでの評価は差し控えたいが、シューズの悪い印象は感じなかった。

 

ウルトラ グライド 2での、上りで感じたバネのような推進力。ガシガシの下りでは、バネが効き過ぎて、かえって不安定になるかとも危惧したが、さにあらず。ミッドソールのエナジーフォームは、速くて強い衝撃にはクイックに反応し、遅くて弱い衝撃にはスローに反応してくれている。なので、速い下りでも安定する。世界中のトレランレースで鍛え抜かれたミッドソールの技術は、さすがサロモンと唸らざるを得ない。

 

最後は「渡渉(としょう)」。読んで字の如くだが、台風などで橋が流失したり、エリアによって橋がないトレイルは数多ある。流れに脚をすくわれないよう、浅瀬を探して渡りたい。岩についたコケなど、表面の状態によりスリップしやすいため、慎重に渡りたい。ちなみに、(別日におこなった)試走では5箇所の渡渉ポイントがあったが、コンタグリップはいずれも良く効いてくれた。

 

【おまけ】ウルトラ グライド 2を舗装路でも試走してみた

ということで、インプレは終了! と書いても良いのだが、次回から紹介するサロモンのオンロード用ランニングシューズ「エアログライド」(写真、左)も伴って、ウルトラ グライド 2での2度目のインプレ、オンロードでの試走も行った。

↑GetNavi web読者にサロモンがお薦めする2足。右は、今回試走した「ウルトラ グライド 2」の別カラー。左は、次回から紹介するオフロードタイプの「エアロ グライド」いずれも長距離を走る設計のため、シルエットは酷似。何が同じで、何が異なるか、興味津々なのである

 

あまり細かな点は割愛するが、ウルトラ グライド 2をロードで走った印象も◎。ガシガシ行ける感覚は、街でも十分に楽しめる。下町や都心、段差や階段や障害物がある“都会のジャングル”でウルトラ グライドは威力を発揮する。

 

ウォークに始まり、1㎞を7分で走る「運動不足解消」目的でも、1㎞を6分で走る「痩せラン」目的にも、全く遜色はない。さらにペースを上げ、1㎞4分半から5分程度の「スカッと走」になると、四駆のクルマのような馬力感でぐいぐい進む。このペースで上りや下りに突っ込めば、ウルトラ グライド2の面白さを漏れなく堪能できるはずだ。

 

注意しなくてはならないのは、硬いアスファルトでは、アウトソールの摩耗が激しい点だ。トレランシューズは、コースの一部が舗装路だったりするが、同じリズムと角度で硬いアスファルトを走り続けることを想定してはいない。ウルトラ グライド 2は、安価なシューズではないので、TPOを踏まえた履き方がクレバーだと筆者は考える。

 

ロードを走って改めて気付いたのは、トレイルでは超ゴキゲンだった、足首回り。ロードを走ると、足首回りが緩く、走行の安定感にわずかに不安が残るのだ。不整地を走るトレランでは、着地の角度はまちまちとなる。そのため、ヒールカップ(かかと)が低めに設計されているのだが、この柔軟な設計がオンロードを走ると違う印象になった。

 

ということで、次回からは、サロモンのオンロードランニングシューズ「エアロ グライド」のインプレがスタートする。

 

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撮影/中田 悟

 

 

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2023「サロモン」夏の陣②「ウルトラ グライド 2」の巻(後編)

 

スキー用品の開発に始まり、今やトレラン界を牽引するブランド「サロモン」。夏も冬も、縦横無尽に山を駆け巡るギア作りに定評がある。前回は、そのサロモンがGetNavi web読者におすすめしてくれた、入門者用のトレランシューズ「ウルトラ グライド 2」について、サロモンのMD山村 拓さんに話を伺った。

 

ウルトラ グライド 2は、100マイル(160㎞)のレースでも威力を発揮するモデル。短距離をビューンと進むモデルというより、ゆっくりでも着実にゴールを狙うのに向いている。ということは、つまり“そんなに走らないけど……”な初心者にとっても、扱いやすい一足なのだ。

 

ウルトラ グライド 2は、爪先と踵が反った、ほど良いロッカー構造(シューズのソールが前後で揺りかごのようなアールを描いている)。ロッカーがあることで、転がるように脚の回転をアシストしてくれる。さらに、衝撃吸収性に富んだミッドソールの「エナジーフォーム」と、アウトソール(靴裏)のグリップ性の高いラバー「コンタグリップ」の相乗効果で、ウルトラ グライド 2の走破性は驚くほど高いという。

↑「ウルトラ グライド 2(ULTRA GLIDE 2)」1万9800円(税込)。サイズ展開:メンズ25.0~28.5㎝、ウィメンズ22.0~25.0㎝。カラー展開:メンズ4色、ウィメンズ4色。ソール厚:前足部26mm /かかと32mm。ドロップ(踵と前足部の高低差):6㎜。重量:260g(27㎝片足)

 

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いよいよ、ウルトラ グライド 2を試走!

というのが、前回まで。で、いよいよ山でのウルトラ グライド 2の試走である。なお、通常この連載では、目的に応じて、4つの速度帯に分けて走ってみてのインプレを行ってきた。

 

まずは、足入れとウォークのインプレ。そして、運動不足解消の目的での1㎞を7分(=キロ7分)で走るの~んびりラン。さらに、脂肪燃焼が目的ための「痩せラン」に適した、1kmを約6分(=キロ6分)のゆっくりペース。最後は、距離ではなく、走る爽快感重視の、1㎞約4分30秒~5分で走る(=キロ4.5~5分)「スカッと走」だ。

 

だが、今回の舞台はロードではなく、急なアップダウンもあるトレイル。一定の速度での移動ができないため、評価の物差しは、サーフェイス(路面状況)に変えざるを得ない。上り、下り、岩や泥、沢を走って横切る渡渉など、さまざまなサーフェイスでのウルトラ グライド 2のインプレとなる。

 

まず、履いてみた!(走る前の足入れ感&ウォーキング)

とは言え、最初の足入れやウォークは、トレイルでも行う最初の儀式。靴は履かなきゃ走れない、のである。なお、多くのサロモンのトレランシューズには、ワイヤーを引くことでシューレースの圧を均等にする「クイックレース」が採用されている。

 

このクイックレースは、フィッティングを高めるサロモンのセンシフィットテクノロジーとも連動している。また、左右非対称なシュータン(甲に当たる部分)や足首に当たるパット部分は、過酷な長距離走でも足をしっかり安全に、そして快適に包んでくれるフカフカさ。

 

ということで、シューレースとなるワイヤーを引くだけで、センスフィットテクノロジーが効き、足はヨーロッパ高級車のシートに座ったかのようにシューズに快適に包まれるのである。

 

ウルトラ グライド 2のロッカー(揺りかごのような構造)は、さほど大きくないので、スネに過度な負担を与えて痛める心配はなさそうだ。それでも、アスファルトの平地のウォークでは、ウルトラ グライド 2はガシガシ進む

 

ガシガシなので、アウトドア用シューズに施される靴裏のラグ(すべり止めの凸部材)が、ロードノイズを上げる。誰もいない林道であれば気にする必要はないが、深夜の街中だとチト気になるやも。

 

山での上り、下り。きついところは歩きつつ、インプレを開始

山を走るトレラン。山なので、上っているか、下っているかが基本。激上りはきつくて走れないし、急な下りは危なくて走れない。レアな存在でもある平地は、ご馳走的な存在だ。ウルトラ グライド 2は、不整地でもガシガシと路面を噛んで進む。どこまでも行ける!

 

トレラン用シューズなので、もちろんトレランに使いたいが、歩きでも、走りでも、ウルトラ グライド 2はガシガシ進める。ということは、休憩も短く機動性を高めたファストハイク、未舗装の林道を走破するグラベル的な使い方との相性も良い

 

階段の上りは、想像以上に体力を奪う。段差が大きいほど筋肉への負荷は高まり、呼吸も乱れがちになる。そんな時こそ、ステップを小まめに刻み、特定の筋肉や心肺機能への負担をなるべく軽くしながら進みたい。

 

一段一段の着地衝撃に素早く反発し、推進力に換えてくれるエナジーフォームのミッドソールは、カラダを前へ運んでくれる。コンタグリップのアウトソールも、路面を良くグリップしてくれる。体重をもう2~3㎏軽くしておけば、足運びはさらに軽快になる(はず)!

 

緩い下り、ところどころ木の根が出ているトレイルでも、ウルトラ グライド 2は安定した走りだ。着地の衝撃は、エナジーフォームによってほど良く吸収されるため、突き上げはほとんど感じない。エナジーフォームはクイックに反応するので、沈み込み過ぎることなく、ステップを軽快に刻むことができる。

 

なお、たとえ超~快適な下りでも、前方の視認性が低ければ、スピードを上げ過ぎてはならない。理由は、前から上ってくるハイカーなどとの衝突を避けるためだ。トレイルでの原則は、上り優先。ゆっくりトレイルを楽しむハイカーを驚かせたり邪魔をしないことは、トレランのマナーでもある。

 

木の根、濡れた岩、泥など、異なる路面を走ってみた!

木の根だらけの走りにくいサーフェイス。雨やコケなどでスリップすることがあり、植生(※1)も痛む。特に、濡れた木の根だらけの下り道では、スピードを極力落とし、歩きたい。「サロモンは、あらゆるサーフェイスを知る」とは、MDの山村さんの言葉だが、なるほどウルトラ グライド 2のコンタグリップは、ここでも良く効いている

※1:地球上の陸地において、ある場所に生育している植物の集団。

 

渓谷沿いの濡れた岩のサーフェイス。撮影のために何度も繰り返したが、コンタグリップはいずれでも良好だった。さらに、“ガレ”や“ザレ”の下りでも試してみたが、コンタグリップはここでも良く効いていた。

 

ちなみに“ガレ”は、山肌からの崩落などによる岩ばかりのサーフェイス。“ザレ”は、さらに小さな砂礫のサーフェイスを差す。ザレ場では自身の滑落、ガレ場では下を歩く人への落石を招かぬように注意したい。見通しが悪いところや、グラグラと不安定な「浮石(うきいし)」が多い場所では、立ち止まって周囲の状況を観察し、安全を確認してから進もう。

 

降雨のトレイルや、雪や霜が融けたトレイルは、路面がドロドロぐちゃぐちゃ。スリッピーなので、シューズのみならず、転べば衣服も泥だらけになる。土の組成や、保湿の程度によって泥のサーフェイスの状態はさまざまなため、1回のランでの評価は差し控えたいが、シューズの悪い印象は感じなかった。

 

ウルトラ グライド 2での、上りで感じたバネのような推進力。ガシガシの下りでは、バネが効き過ぎて、かえって不安定になるかとも危惧したが、さにあらず。ミッドソールのエナジーフォームは、速くて強い衝撃にはクイックに反応し、遅くて弱い衝撃にはスローに反応してくれている。なので、速い下りでも安定する。世界中のトレランレースで鍛え抜かれたミッドソールの技術は、さすがサロモンと唸らざるを得ない。

 

最後は「渡渉(としょう)」。読んで字の如くだが、台風などで橋が流失したり、エリアによって橋がないトレイルは数多ある。流れに脚をすくわれないよう、浅瀬を探して渡りたい。岩についたコケなど、表面の状態によりスリップしやすいため、慎重に渡りたい。ちなみに、(別日におこなった)試走では5箇所の渡渉ポイントがあったが、コンタグリップはいずれも良く効いてくれた。

 

【おまけ】ウルトラ グライド 2を舗装路でも試走してみた

ということで、インプレは終了! と書いても良いのだが、次回から紹介するサロモンのオンロード用ランニングシューズ「エアログライド」(写真、左)も伴って、ウルトラ グライド 2での2度目のインプレ、オンロードでの試走も行った。

↑GetNavi web読者にサロモンがお薦めする2足。右は、今回試走した「ウルトラ グライド 2」の別カラー。左は、次回から紹介するオフロードタイプの「エアロ グライド」いずれも長距離を走る設計のため、シルエットは酷似。何が同じで、何が異なるか、興味津々なのである

 

あまり細かな点は割愛するが、ウルトラ グライド 2をロードで走った印象も◎。ガシガシ行ける感覚は、街でも十分に楽しめる。下町や都心、段差や階段や障害物がある“都会のジャングル”でウルトラ グライドは威力を発揮する。

 

ウォークに始まり、1㎞を7分で走る「運動不足解消」目的でも、1㎞を6分で走る「痩せラン」目的にも、全く遜色はない。さらにペースを上げ、1㎞4分半から5分程度の「スカッと走」になると、四駆のクルマのような馬力感でぐいぐい進む。このペースで上りや下りに突っ込めば、ウルトラ グライド2の面白さを漏れなく堪能できるはずだ。

 

注意しなくてはならないのは、硬いアスファルトでは、アウトソールの摩耗が激しい点だ。トレランシューズは、コースの一部が舗装路だったりするが、同じリズムと角度で硬いアスファルトを走り続けることを想定してはいない。ウルトラ グライド 2は、安価なシューズではないので、TPOを踏まえた履き方がクレバーだと筆者は考える。

 

ロードを走って改めて気付いたのは、トレイルでは超ゴキゲンだった、足首回り。ロードを走ると、足首回りが緩く、走行の安定感にわずかに不安が残るのだ。不整地を走るトレランでは、着地の角度はまちまちとなる。そのため、ヒールカップ(かかと)が低めに設計されているのだが、この柔軟な設計がオンロードを走ると違う印象になった。

 

ということで、次回からは、サロモンのオンロードランニングシューズ「エアロ グライド」のインプレがスタートする。

 

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撮影/中田 悟

 

 

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2023「サロモン」夏の陣②「ウルトラ グライド 2」の巻(前編)

 

ランニングのシーズンは、10月から3月。夏の弛緩した空気が引き締まる秋から、心地よく走る季節が始まり、空気が冷えてタイムも上がってくると、レースも本格化する。ということで暑い夏は、ランナーと言えども、プールで泳いだり、風を切って自転車に乗ったり、涼しい高原でワチャワチャしていたい季節なのである。

 

ということで、本ランニングシューズのインプレ連載も、今回はリゾート気分で高原を駆け抜けるトレランシューズにフォーカス。そのトレランのトップブランドと言えば、フランスが生んだサロモン(Salomon)である。

 

サロモンは、1992年にトレランやMTB、カヤックなどを組み合わせたアウトドアの複合競技であるアドベンチャーレースのための専用シューズを開発。以降サロモンは、徹底した“ライト&ファスト”な製品づくりを通じて、トレランカルチャーを牽引し続けてきた。

↑「ウルトラ グライド 2(ULTRA GLIDE 2)」1万9800円(税込)。サイズ展開:メンズ25.0~28.5㎝、ウィメンズ22.0~25.0㎝。カラー展開:メンズ4色、ウィメンズ4色。ソール厚:前足部26mm /かかと32mm。ドロップ(踵と前足部の高低差):6㎜。重量:260g(27㎝片足)

 

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それは“滑るように”、“ウルトラ長く走れる”トレランシューズ⁉

「サロモンのシューズ作りには“ライト&ファスト”が徹底されています。軽量であれば速い移動が可能ですし、履く人のパフォーマンスの低下も軽減できます。時間を短縮できれば、行動中の食料や水なども必然的に減らせるので、ザックなどもコンパクトにできます。ゴールに早く着いて観光することも、さらに先まで進むことも可能になります」

 

と語るのは、前回もご登場いただいた、サロモンのイケメンMD(マーチャンダイザー)山村 拓さん。ロケ地も同じく、八王子・高尾山の麓にある、サロモンのマウンテンスポーツカテゴリーのコンセプトショップ「TAKAO MOUNTAIN HOUSE」からお届けする。

↑今回お話を伺った、サロモンの山村 拓さん(右)。日本での展開商品の選定やプロモーションをマーケチームと連携して行う。トレランはもちろん、アウトドアスポーツとサッカーを愛するイケメンMD。左は、渋面エディターの筆者

 

山村さんが、GetNavi web読者のために、ビギナーにもお薦めのトレランシューズとして紹介してくれたのが「ウルトラ グライド 2」。ウルトラ グライド 2の“ウルトラ”は、100㎞や160㎞(100マイル)のウルトラ長いレースにも対応するタイプという意味。シューズを横から見ると、ソールの形状が揺りかごのようなロッカー構造になっていて、滑る(Glide)ように進むことから、“グライド”という命名となっている(2は、その二代目!)。

↑GetNavi web読者にすすめてくれたサロモンシューズ2足。左は、今回紹介するトレラン用の「ウルトラ グライド 2」。右はロードラン用の「エアロ グライド」。いずれも同じ、軽量にして衝撃吸収性と反発性に富んだミッドソール「エナジーフォーム」を搭載している

 

ゴツい印象のトレランシューズながら、重量わずか260g!

「ウルトラ グライド 2にも、サロモンの“ライト&ファスト”は結実されています。ミッドソールには、衝撃吸収性に富んだEVA素材に、反発性の高いオレフェンを配合した『エナジーフォーム』という軽量素材を使用しています」(山村さん)

 

ゴツいイメージのトレランシューズだが、重要はわずか260g(27㎝片足)。エナジーフォームは、軽量ながら着地衝撃へのレスポンスが高く、トレランシューズに求められる、前後だけでない左右などの動きや、絶えず変わる歩幅にもクイックに反応するという。

↑ウルトラ グライド 2は、靴底が揺りかごのようなアールを描くロッカー構造。このロッカー構造で得られる“滑るような”乗り味が名称となっている。ミッドソールの「エナジーフォーム」(白い部材)は、衝撃吸収性に優れたEVAをベースに、オレフェンの配合比率で反発性をコントロールしている

 

また、アウトソール(靴裏)には、粘着性が高く、ラグ(凸部)を付けた「コンタグリップ」と呼ばれるサロモン独自のラバーを搭載している。ウルトラ グライド 2のコンタグリップには、乾いた岩や泥、木の根、濡れた岩などにも対応するオールテレインタイプを採用しているという。

 

「コンタグリップとミッドソールとのシナジーで、衝撃を吸収しながら推進力に換え、確実に路面をグリップするので、走破性が格段に良くなっています。日本やヨーロッパなどの、急峻で複雑な地形に刻まれたトレイルで求められる、細かいステップや足さばきにも、ウルトラ グライド 2は十分に対応できます」(山村さん)

↑前足部のラグ(凸部)たちは、傾斜に噛んで滑らないようにデザインされている。赤のコンタグリップマークの真下のラグは、他のラグに比べて僅かに高く、硬度も持たせており、下りの際のスリップを防ぐ配置になっているという。一体成型で実現させる製法は、企業秘密だとか

 

「長距離のトレイルでも軽快に走れるシューズですので、ウルトラ グライド 2は、コアな方だけでなく、トレラン初心者の方にもおすすめできる一足です。足を入れた履き心地の良さである、フィット性に富んだアッパーも“ライト&ファスト”には欠かせません」(山村さん)

 

足首回りのフィット性は、足の甲に当たる部材であるシュータン、そしてかかとを包み込むヒールカップが大きく左右する。下の写真のように、ウルトラ グライド2の足首回りはリッチそのもの。シューズに足を入れただけでも、ふんわり、すっぽりと包み込んでくれる。

↑ウルトラ グライドを含めたサロモンのトレランシューズのアッパーの最大の特徴は、非対称のシュータン(甲に当たる部材)。枝や岩に当たりやすく、砂や泥が入りやすい外側が広く、ねじれからも保護してくれる(内側は、ふっかふか!)。足首回りのクッションも、ふっかふか!

 

アッパーに搭載されシューレース(靴ひも)の機構は、ザ・サロモンとも言うべき逸品。ワイヤ―を引いてストッパーで止めるため、締め上げが均一化できる(サロモンでは「クイックレース」と呼んでいる)。

 

さらに、サロモンが誇る「センシフィットテクノロジー」が、シューレースの締め上げに連動して、手のひらで足を包み込むようにアッパーと足をフィットさせる。トレラン初心者のたおやかな足にも、100マイル先のゴールを目指すトレラン猛者の足にも、等しく優しく接してくれるのだ。

↑サロモンのトレランシューズのシューレース(靴ひも)は、ワイヤーを引いてストッパー(黒い部材)で止める「クイックレース」が採用されている。止めたワイヤーとストッパーは、左の靴のようにシュータン上部のポケットに格納できる。オレンジの部材は、センシフィットテクノロジーに連動しており、ワイヤーを引くことで、足全体を手で包み込むようにホールドされる

 

次回は、いよいよ「ウルトラグライド2」を実走!

初心者から、ウルトラロングな100マイルのトレランレースまで対応するというウルトラグライド 2。ということで後編では、ウルトラグライド 2を実際に、履いて、歩いて、上って、下って、走って、ジャバジャバしたりする。

 

普段の本連載とは、ちょっと違う評価法を採るのは、トレランシューズを目的や走力に応じた速度で評価するのが適切ではないから。なので、路面状況に応じたシューズの反応を中心にレビューを行う予定だ。本連載初のトレランシューズのレビュー、ウルトラ グライド 2の威力や如何に!

↑今回のロケ地は、サロモンブランドのコンセプトショップ、東京・八王子の「TAKAO MOUNTAIN HOUSE」。京王線高尾山口駅から、高尾山ケーブルカー清滝駅に向かう小径沿い、年間300万人の観光客が通るというフィールドに直結したショップだ。次回は、高尾山の山中よりお届けしよう!

 

撮影/中田 悟

 

 

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トレランブームを牽引する「サロモン」に聞いたモノ作りの使命/大田原 透の「ランニングシューズ戦線異状なし」

ギョーカイ“猛者”が走って、試して、書き尽くす! 「ランニングシューズ戦線異状なし」

2023「サロモン」夏の陣①

 

夏本番は、ランのオフシーズン! あまりの暑さに、パフォーマンスも発揮できず、大量の発汗は生命の危険さえ伴う。ところが、高~い山の上は、別世界! 深い森のトレイルは盛夏の日差しをも遮り、稜線を吹く風は汗を優しくぬぐってくれる。日の出の時刻も早く、トレランにもってこいの季節のひとつなのだ。

 

で、ここは東京を代表するアウトドアフィールド、高尾山。京王線高尾線の終点・高尾山口から、ケーブルカーの起点となる滝本へつながる道沿いにある、古民家を利用したサロモンのショップである。今回は、世界のトレイルランニングシーンを牽引する「サロモン(Salomon)」の店舗からお届けしている。

 

今回のテーマは、トレランとラン、シューズは何が違うのか? サロモンおすすめの2足について根掘り葉掘りお話を伺い、履き比べてみようという特別編である。お話を伺うのは、サロモンのイケメンMD、山村 拓さんである。

↑2022年10月にオープンした、東京・八王子の「TAKAO MOUNTAIN HOUSE」にて。サロモンブランドのコンセプトショップ、カフェ、コミュニケーションスペースを併設した、まさに山の家! 京王高尾線高尾山口駅から、高尾山ケーブルカー清滝駅に向かう小径沿いある

 

スキーで始まったサロモンが、トレランシューズを作る必然とは?

「サロモンは1947年、フランス東部のアヌシーで、スキーのエッジを作る研磨工場から始まります。スキーのバインディングやブーツ、クロスカントリースキーなどのイクイップメントを手掛けるブランドとして成長しました。スキーに関しては、ヘルメット、ゴーグル、アパレル、グローブ、ストックまで、頭からスキー板の先まで揃う“ヘッド トゥー ティップ”のブランドと自負しています」(山村さん)

 

日本では1962年からスキー用品の輸入が始まったサロモン。スキーやスノーボードなどのウインタースポーツだけでなく、今ではトレランやハイキングなどマウンテンスポーツのブランドとしても抜群の知名度を誇る。

↑今回お話を伺った、サロモンの山村 拓さん(右)。日本での展開商品の選定やプロモーションをマーケチームと連携して行う。トレランはもちろん、アウトドアスポーツとサッカーを愛するイケメンMD。左は、実は山登り好き、イカメシイ面の筆者である

 

今回、高尾山の正面玄関に構えるコンセプトショップ「TAKAO MOUNTAIN HOUSE」に伺ったのは、まさにサロモンのマウンテンスポーツ領域の話を聞くため。山村さんによると、サロモンがトレイルランニングのシューズを本格的に世に送り出したのは、2005年の「XA PRO 3D」だという。

 

「北欧では、クロスカントリースキーの人気が高く、その人たちの多くが夏場はトレランを楽しんでいます。その意味でも、スキーから始まったサロモンが、トレランシューズを出すのは自然な流れでした」(山村さん)

↑サロモンのトレイルランニングシューズの定番となった「XA PRO 3D」。トレランやMTB、カヤックなどを組み合わせた複合型のアウトドア競技「アドベンチャーレース」のために2005年に開発された(現在は8代目が発売されている)

 

全てのサロモン製品に宿る“ライト&ファスト”

「サロモンのモノ作りの使命は、“ライト&ファスト”にあります。より短時間に、距離を稼ぎ、ミニマルな装備で、身体のパフォーマンスをできる限り維持することが、商品開発の根本にあります。これは、ウインタースポーツ、マウンテンスポーツに共通する考え方です」(山村さん)

 

“ライト&ファスト”の思想の下で開発されるスキーギアやトレランシューズ、ザックなどのイクイップメントは、用途に応じて機能を特化し、軽量化されたモノばかり。堅牢なテントを背負っての山岳縦走など、“ヘビー&スロー”なイクイップメントとは、対極のモノ作りをしている。

 

「サロモンが得意とする主戦場は、厳冬期ではない3000m級の山々まで。日本の市場で受け入れられているのも、まさに日本の山々の標高と、様々に変化するテクニカルなトレイルがあるからと言えます。こうしたフィールドで、高いパフォーマンスを維持するために必要なのは“軽さ”です」(山村さん)

 

軽いために速く動ければ、時間をより有効に使うことができる。さらに天候やルートなどの情報を活用することで、持って行くべきギアも絞り込むことができる。これらは、アスリートも、入門者も、本質的な違いはない。“安心、安全”を至上にして、不必要なギアまで背負って、体力も時間も浪費することは、サロモンが提唱する“ライト&ファスト”とは相容れない。

 

ところで、ハイキングとトレラン、シューズの違いは、何?

「トレランとランニングで、シューズの何が違うのか? というお話ですが、まずは、ハイキングとトレランのシューズの違いから説明すると理解しやすくなります。ハイキングシューズは、下り道での捻挫や転倒などのケガに備えて、足を保護する必要があります。そのため、歩行を安定させるTPUなどの硬いシャーシを中足部に入れたり、アッパーにレザーを使ったり、爪先にトゥキャップなどの部材を使用するのが一般的です」(山村さん)

↑ハイキングシューズとトレランシューズ最大の違いは、ソールの軟らかさ。素早く長く移動するトレランシューズには、グリップ性が高いソールが搭載されている。一方のハイキングシューズは、硬くて弾力性のあるTPUのシャーシが中足部に搭載されており(写真シューズの黒いパーツ)、長時間の移動でも歩行が安定する

 

サロモンのハイキングシューズに使われるシャーシは、酷寒の厳しい環境下で培われたウインタースポーツのギアの開発力が応用されているという。クロカンスキーの超軽量なブーツの内側への倒れ込みを防ぐシャーシが、ハイキングシューズに活かされているのだ。

 

一方のトレランシューズは、移動速度を上げるために、硬くて重いシャーシを抜き、その分グリップ性の高いラバーのアウトソールを履かせ、アッパーをよりフィットさせるのが一般的だという。岩や泥、濡れた根っ子など、あらゆる路面状況でも高いグリップ力があるアウトソールのラバーは、サロモンがスノーボードブーツの開発で培った技術を応用しているのだそうだ。

 

「次は、トレランとランです。両者の最大の違いは、シューズのアウトソール(靴裏)の作りです。トレランは、岩や土など、さまざまな路面状況に対応するため、グリップ性に富んだラバーとラグ(凸凹)が必要になります。一方、ロードのランでは、常に一定方向への着地衝撃が繰り返されるため、高い耐摩耗性のアウトソールが必要になります」(山村さん)

↑トレランシューズとランニングシューズの違いについて。左は、高いグリップ性を持つアウトソール(赤い部材)を搭載するトレランシューズ。一方、右のランニングシューズのアウトソール(グレーの部材)は、薄く軽量ながら高い耐摩耗性を持っている

 

なるほど、ハイキング、トレラン、ロードランニングの各領域のシューズを手掛けるサロモンだからこその経験に裏打ちされた知見と言えよう。現在のサロモンは、ウインタースポーツだけではなく、トレランシューズの開発に巨額の投資を集中させていると山村さんは語る。

 

「今は、サロモンブランドのDNAは、トレランシューズの開発から得ています。それは、“トレランは全ての要素を持っている”からです。様々な路面状況だけでなく、高度によって気温や湿度も激しく変わりますし、山での長時間の移動では雨や風など天候もめまぐるしく変化します。それらに対応できる製品ラインナップが必要だと考えています」(山村さん)

 

サロモンが、日本市場に注目し続けるワケ

「日本人の体型や足の形状には、サロモンは以前から注目してきました。スキーブーツの出荷数量が世界一の国のマーケットという面もありますが、日本で売れる商品は、世界でウケるからです。北米では100㎏を超える体重の人たちも走りますが、北米のトップアスリートの体重は驚くほど軽量です。その中間に、ちょうど日本人がいるのです」(山村さん)

 

サロモンが日本でのスキーブーツの販売で学んだのは、甲高ばんびろな足型や、小柄な体型や骨格にも対応する製品を開発することだった。日本で売れる商品は、世界市場でもサロモンに成功をもたらしてきたからだ。

 

トレランシューズの開発でも、変化に富む日本の山々のテクニカルな環境に加え、市民マラソン大国としてのポテンシャルも、日本というマーケットへのサロモンの注目を高めることになったという。

↑今回、GetNavi web読者にサロモンが勧めてくれた、トレイルモデル(右=「ウルトラ グライド 2」)とロードモデル(左=「エアロ グライド」)。いずれのモデルも、高い衝撃吸収性と反発性を持つ「エナジーフォーム」をミッドソールに搭載している。次回以降、両者の詳細なレポートと実走によるインプレを紹介する

 

ロードランニングを含めた、総合ランニングブランドへの道

「競合ブランドの製品が、日本でどのように展開し、どんな評価を得ているかのレポートは、本国での製品開発に活かされています。サロモンは、あらゆる環境に対応する製品を開発してきました。さらにサロモンは、日本の市場を通じて、グローバルのマーケットで必要な問題解決の方法も学習してきたのです」(山村さん)

 

そのサロモンは、今後どの方向へ向かってゆくのだろう? ウインタースポーツに始まり、今やトレランでは破竹のサロモンである。このシンプルな質問を、山村さんに最後にぶつけてみた。

 

「トレランには、ランニングの全てのシチュエーションがあります。しかもサロモンは、トレイルのさまざまなシチュエーションを知っています。そのためサロモンは、“どこで走るのか?”という問いに対して、さまざまな答えを用意してきました。だからこそ、これからのサロモンは“どこでも走れる”ランニングブランドでありたいと考えています。なかなか難しいことは、百も承知のことですが……(笑)」(山村さん)

 

ということで次回からは、いよいよサロモンの最新トレイルランニングシューズ「ウルトラグライド 2」の詳細と試走に移る! 本連載でトレランシューズを扱うのは、実は初めて。乞うご期待なのである。

 

撮影/中田 悟

 

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世界3位のカジュアルシューズブランド「スケッチャーズ」がノリに乗っている理由

世界第3位、全米第2位の売上を誇るアメリカのカジュアルシューズブランド「スケッチャーズ(SKECHERS)」。1992年の創業以来、着々と売上を伸ばし2022年に過去最高売上を達成。ノリに乗っているスケッチャーズの2023Fall&Winter Exhibitionに行ってきました!

 

履き心地に徹底的にこだわった「ハンズフリー スリップ・インズ」

まず驚いたのはショールームにあるシューズの数。未発表のものなどもあるため写真は撮れなかったのですが、コンセプトごとに7つほどの部屋に分かれており、それぞれ部屋の壁にびっしりとシューズが並んでいました。スケッチャーズはスポーツブランドではなくライフスタイルブランドであり、何よりも「コンフォート(履き心地)」を追求しているブランドとのこと。最近、最も力をいれているのが、手を使わず、立ったままでもスッと履ける「スケッチャーズ ハンズフリー スリップ・インズ」シリーズです。

 

↑せっかくなので私もハンズフリー スリップ・インズを体験!

 

たしかに立ったままするりと、あっという間に履けてとても楽! 独自技術のヒールピーローで、手を使わずに足を入れてもかかとが潰れず、かかとをしっかりとホールドしてくれます。さらにインソールに使われている“スケッチャーズ メモリーフォーム”という素材がふかふかと柔らかく足裏にフィットして、履き心地がとても気持ち良いです。リカバリーシューズとしても良さそう。

↑履いたのは靴紐のないタイプですが、靴紐のあるスニーカータイプのハンズフリー スリップ・インズもあり、同じように手を使わず履けます

 

多様なラインナップのランニングシューズ

スケッチャーズはライフスタイルブランドであるということですが、ランニングシューズからゴルフシューズ、トレッキングシューズまで、ラインナップしています。走るタレント中村としては、やっぱりランニングシューズは要チェック! ということで見せていただきました。

 

シンプルで普段履きしやすそうなランニングシューズが並ぶ中で、一際目立つスケッチャーズらしいデザインのこちらは、「スケッチャーズ ゴー ラン スピード ビースト」(メンズのみ)。カーボンプレート入りランニングシューズです!

↑「スケッチャーズ ゴー ラン スピード ビースト」

 

カーボンプレート「H-Plate」が体重移動の効率性を向上。ミッドソールは、球状の気泡を固めて作るという「HYPER BURST」を採用。高反発とクッション性と軽量を兼ねそなえています。アウトソールは、タイヤメーカーとして定評のあるGoodyear社と共同開発しており、グリップ力と耐久性に優れます。と、技術的にも語ることは多そうです。

↑Goodyear(R) Performance(グッドイヤー パフォーマンス)アウトソールがトラクション性、安定性、耐久性を強化してくれます

 

続いて、ウィメンズモデルの「スケッチャーズ ゴー ラン レイザー エクセス2」。カーボン製のモノメッシュ素材をアッパーに使用したレースアップシューズ。ランニングシューズを主役にコーディネートを組みたくなる派手さがいいですね!

↑「スケッチャーズ ゴー ラン レイザー エクセス2」

 

イベントではスケッチャーズファンであるタレントのLiLiCoさんと、モデルの滝川ロランさんのトークショーもありました。小さなお子さんがいらっしゃるロランさんは、靴を履くのに時間がかからないスケッチャーズ ハンズフリー スリップ・インズシリーズがお気に入りだそう。LiLiCoさんが履いている「スケッチャーズ ウノ – ナイトシェイズ」は、明るいカラーの衣装にもピッタリでよくお似合いですね。

↑滝川ロランさんとLiLiCoさん

 

↑スヌープ・ドッグなど、アーティスト着用のスニーカーもたくさんあります

 

小さなお子さんからお年寄りまで、全ての人が選べるラインナップの多さ、履き心地の良さ、それでいて手に取りやすい価格で、人気の理由がよくわかりました。ランニングシューズももちろんですが、ハンズフリースリップ・インズは私も欲しくなってしまったので、お店に履きに入ってみたいと思います!

 

 

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“やっと出会えた”逸品ランシュー、アディダス「アディゼロ SL」/大田原 透の「ランニングシューズ戦線異状なし」

ギョーカイ“猛者”が走って、試して、書き尽くす! 「ランニングシューズ戦線異状なし」

2023「adidas」新緑の陣③「アディゼロ SL」の巻(後編)

 

日本で開発が始まり、2005年に登場するや、瞬く間にグローバルブランドとなったアディゼロ。トップアスリートから、記録に挑む市民ランナーまで、幅広いラインナップを取り揃えるアディダスの人気シリーズである。

 

そのアディゼロシリーズに、唯一欠けていたピースと言われる“デイリートレーナー”が、今回紹介する「アディゼロ SL」。厚底カーボンでゴリゴリに走るエリートから、“普段のトレーニングでもレースでも履ける一足”を探すビギナー層まで、幅広く使えるシューズとして評価が上がっているという。

↑「アディゼロ SL(ADIZERO SL)」1万4300円(税込)。サイズ展開:メンズ24.0~30.0㎝、ウィメンズ22.0~26.0㎝。カラー展開:メンズ12色、ウィメンズ10色。ドロップ(踵と前足部の高低差)8.5㎜

 

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いよいよ、アディゼロ SLを試走!

ということで、アディゼロ SLを実際に履いてみることに。まずは、シューズに足を入れた感覚およびウォーキングのインプレ。そして、「運動不足解消」が目的で走る、1㎞を約7分(=キロ7分)の、の~んびりペース。続いて、脂肪を燃焼させる「痩せラン」に適した、1kmを約6分(=キロ6分)のゆっくりペース。

 

最後は、距離ではなく、走る爽快感重視の、1㎞約4分30秒~5分で走る(キロ4.5~5分)「スカッと走」。いずれも、“たまには、走ってみようかな~”と思った際に、あなたの志向にジャストフィットする、目安のペースをいろいろ用意した。

 

【まず、履いてみた!(走る前の足入れ感&ウォーキング)】

人気ブランドであるアディダスの最新シューズだけに、足入れの期待は大。さっそく「アディゼロ SL」に足を入れる。ガチのレースシューズのような、細めの平ひもをキッチリ結んで立つと、ミッドソールのフォーム材「ライトストライク EVA」が体重を受け止め、やんわりと沈み込む

 

多くのショップでは、実際のオンロードでの試走はままならない。そこでシューズメーカー各社は、足入れに並々ならぬ力を注いでいる。さすがはアディダス。“これで走って大丈夫なのか?”と心配になるくらい快適な履き心地。

 

踵に重心を掛け、ゆっくり歩く。ほ~、EVAとは思えぬ軟らかさ。今度は、前足部に重心を移動させる。さらにソフト。「ライトストライク プロ」が受け止めてくれる。ということで、気持ちよく一歩を踏み出せば、次の一歩、また次の一歩と快適なウォーキングがいつの間にかスタートしているはずだ。

 

【運動不足解消ジョグ(1㎞を7分で走るペース)】

1㎞を7分かけて、ゆっくりジョグ。運動不足解消にはウォーキングが手軽だが、負荷がチト軽すぎる。足腰の筋肉への刺激と、お腹周りを内と外からスッキリ引き締めるなら、断然ジョギングをチョイスしたい。何より、ウォークの約半分の時間で、同等の効果を得られる。ランニングは“タイパ”なアクティビティなのだ。“たまには走るか”のペースでこの状態。

 

で、アディゼロ SL。歩いた時には快適なクッション感を感じたが、ひとたび走り始めると、フワフワなクッション性よりも、安定性や反発性を感じるようになる。それにしても、アディゼロ SLは、よく進む。アディゼロ SLのロッカー形状(爪先からかかとにかけて揺りかごのように反った形状)は比較的に浅いにもかかわらず、よく進むのだ。

 

理由は、やはり前足部に内蔵されている「ライトストライク プロ」だろう。ライトストライク プロは、軽量にして高反発、しかもクッション性も高い最新のフォーム材。アディゼロのトップモデルである、カーボンプレート入りの厚底シューズにも使われている。ライトストライク プロの反発性こそが、キロ7分という低速ながら、まるでバネのようにカラダを前に進ませているとしか考えられない。

 

【痩せラン(1㎞を6分で走るペース)】

少しスピードUP。“体重計の値が減るのが、思いのほか嬉しくて、またまた走ってしまう”。そんなペースが、約6分で1㎞進む「痩せラン」。走った後に体重を測って一喜一憂するのは、実はその大半が水分量だったりするが、サウナと異なり、ランは汗だけでなく、確実に体脂肪をエネルギーにして減らしてくれる。継続こそ、チカラなり。燃やしたい放題の皮下脂肪の下に眠る6パックを掘り起こすには、腹筋を鍛えるよりも、断然ランニングの方が効率は良い。

 

ウォークからランに変わったとたんに変化したアディゼロ SLのミッドソールだが、キロ7分から6分のスピードアップでは、(良い意味で)変化しない。キロ7分と同じく快適に、カラダが軽くなったかのように前へと進めてくれる。

 

【スカッと走(1㎞を4.5~5分で走るペース)】

ランニングは余分な体脂肪を燃やし、心肺への酸素供給システムをメンテし、筋肉や関節を刺激して強靭な構造に換える。“運動は最良のクスリ”と言われるゆえんだ。しかもランニングは、メンタルにも効く

 

次の一歩が踏み出す行為自体が、ポジティブなマインドに切り替える。しかもペースを上げて追い込めば、それまで抱えていた諸所の課題も、いったんオフ。汗とともに毛穴にたまった老廃物を洗い流し、肺一杯に新鮮な空気を取り込めば、脳のリセットも完了だ。

 

そんなペースが、キロ4分半~5分ほどの「スカッと走」。短時間のガチランでリフレッシュするのも、ランの楽しみ方のひとつ。そこで、アディゼロ SL。ペースを上げたが、驚くことにシューズのパフォーマンスに変化はない。

 

少々の加速では、この安定感は揺るぎない。なるほど、エリートランナーと呼ばれる実業団レベルの選手が、練習用に履く理由がここにある。となると、このままランを止めるの、ももったいない。せっかくなので、激坂の下りに1㎞4分以下のペースで突っ込んでみる。

 

高速で脚が回り、前足部に体重を載せて駆け降りるが、厚底ゆえにグラつくかとも思ったが、全くの安定した走り。踏み面がそこまで広くないのに、不安感もない。やはり、前足部に内蔵されているライトストライク プロのクッション性が効いている。

 

もう少し厚みを減らしても、十分にパフォーマンスが得られるとも思ったが、厚底+カーボンプレート入りのレースシューズとの併用も想定して開発されたとか。敢えてこの厚みにしたという話は、なるほど納得である。

 

正直、ここまで敷居が低いアディゼロの登場には驚かざるを得ない。今までのアディゼロには、“走りの優等生” のためのシューズという印象があった。しかしSLの登場によって、筆者のアディゼロへの印象は大きく変化した。

 

ゆっくり走っても、速く走っても、アディゼロ SLは、それぞれのスピードに追従してくれる。クセが無く、シンプルな造りも好感が持てる。“明日も履こう”、そんな風に素直に思えるシューズだ。アディゼロ SL、今後のモデルチェンジを経ても、必ずチェックしたい逸品に出会えた。

 

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撮影/中田 悟

 

 

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世界的なスポーツカンパニーであるアディダスが、日本のランナーのために、日本で開発をスタートさせたシューズ。それが「アディゼロ」シリーズである。初代アディゼロ開発に至る時代背景は、1990年代後半から2000年代前半。当時の欧米でのランニングシューズ開発の常識である、クッション性や安全性とは全く異なるアプローチで、アディゼロは開発される。

 

欧米市場のターゲット層は、大柄で体重も重めの人々。そのためシューズの開発はクッション性や安全性が重視されていた。一方、小柄で軽量な日本のランナーは、フィッティングの良さや軽量性を重視。開発の方向性としては、両者は全く相容れなかった。

 

アジアのマラソン大国である日本において、アディダス ジャパンは、日本のランナーたちのニーズに応えるべく、“ゼロからの挑戦”としてアディゼロ開発に着手。2005年、アディゼロが日本で発売されるに至る。

↑「アディゼロ SL(ADIZERO SL)」1万4300円(税込)。サイズ展開:メンズ24.0~30.0㎝、ウィメンズ22.0~26.0㎝。カラー展開:メンズ12色、ウィメンズ10色。ドロップ(踵と前足部の高低差)8.5㎜

 

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2005年、アディゼロ初号機が登場!

↑今回お話を伺った、アディダス ジャパンの山口智久さん(マーケティング事業本部)。東京・六本木一丁目のオフィスビルの同社会議室にて

 

「アディゼロは、その驚異的な軽さで、当時の欧米主導のシューズ開発に一石を投じることになります。さらに、マラソン大国日本のトップアスリートたちの記録も伴ったため、世界的な市民マラソンブームを追い風に、瞬く間に世界ブランドへと成長を遂げました」

 

と、当時を振り返るのは、アディダス ジャパンでランニングカテゴリーの商品開発を手掛ける山口智久さん。学生時代からインターンとしてアディダスの商品開発に携わってきた、いわば“アディダス猛者”である。

↑2005年に発売された「アディゼロ LT」。トレーニングモデルということで、筆者も当時履いたが、ソール全体が硬く、一般のランナーには、だいぶ敷居が高い仕上がりだったことを記憶している(もちろん、現在発売はされていない)。the adidas Archive/studio waldeck

 

↑こちらは、レーシングモデルである「アディゼロ RC」(現在、発売はされていない)。筆者はアディゼロの取材のため、ドイツのアディダス本社を訪れている。アディダスジャパンの全面的な協力のもと、社員でも入ることが制限されているラボにて、ベルリンマラソンを走る日本人開発者にインタビューを行った。the adidas Archive/studio waldeck

 

アディゼロに欠けていた、最後のピース=SL

「アディダスにおけるアディゼロの位置づけは、記録を生む、速く走るためのシューズです。2021年の秋冬モデルで、アディゼロはリニューアルされ、今のランニング市場に見合ったコレクションに一新しました」(山口さん)

 

新たなアディゼロシリーズは、厚底+カーボンプレート入りの「アディオス」を頂点に、「ボストン」や「ジャパン」といったモデルも大幅に進化して加わることになる。しかしそれでも、新しいアディゼロシリーズには、欠けているピースがあったという。

 

「アディゼロに欠けていたのは、ベストオブ“デイリートレ―ナー”と言えるシューズの存在です。レース用として厚底カーボンを履くようなトップの選手にとっても、普段のトレーニングで使える、オーソドックスなモデルがなかったのです。その穴を埋めたのが、2022年12月に登場した『アディゼロ SL』なのです」(山口さん)

↑ベーシックなサンドイッチメッシュのアッパー。大小さまざまな大きさのドット状の通気孔が設けられている。片足240g(27.0cm)という軽さ

 

コロナ禍の前後から、ランナーの層はさらに厚くなり、さまざまなタイプのランナーも出てきている。山口さんによると、近頃は、距離は踏んでいない(練習量は少ない)けれど、レースは真剣に走りたいというランナーも増えているとのこと。

 

「練習量が不足していても、アディゼロ SLであれば高いパフォーマンスが望めます(笑)。初心者にとって、日常のランもレースも一足で兼用できるシューズのニーズはなくなりませんし、エリートにとっても、距離を踏む際に使いやすいシューズは必要不可欠です」(山口さん)

 

アディゼロの開発拠点は、現在、ドイツのヘッドクオーターに置かれている。山口さんとドイツの開発チームは緊密な連絡を取り合いながら、日本国内でも選手たちとプロトタイプのテストを行い、共同で開発に当たっている。もちろん、アディゼロ SLも例外ではない。

 

「開発の現場でも語られたアディゼロ SLの特徴は、“Nothing special is special.”。当たり前のシューズが大事だという点です。アディゼロ SLは、ランナーにとってなくてはならない、いわば主食。日本であれば“しろめし”的なシューズなのです」(山口さん)

 

アディ・ダスラーのモノ作りの理念

ということで、ここからは、アディゼロ SLの設計や構造の話に移る。アディゼロ SLの特徴のひとつが、前足部に内蔵されているフォーム材「ライトストライク プロ」。外からは見えず、まさに内蔵されている部材なのだが、ライトストライク プロは、ハイエンドな厚底カーボンシューズにも使われる最新素材だ。

 

超軽量にして、高いクッション性を誇り、しかも抜群の反発性能を持つライトストライク プロ。これを前足部に内蔵することで、ロッカー構造(爪先から踵にかけての揺りかごのような形状)をキツくしなくても、推進力を得ることが可能だという(ロッカーがキツイと、脛の筋肉への負担が増すため、故障のリスクが高まる)。

↑前足部のEVA素材の中には、超軽量で反発性の高い「ライトストライク プロ」が内蔵されている

 

なるほど、シューズの裏から指で押すと、ライトストライク プロが入っている部分は周囲に比べて軟らかい。ちなみにライトストライク プロは、「ライトストライク EVA」というEVA素材で囲われている。ライトストライク プロは、EVA素材とは異なるため、ハイテクな厚底カーボンシューズで多用されている、エラストマー系のフォーム材だと考えるのが自然だろう。

 

「昔のEVAは重い上に加水分解しやすいなど、デメリットもありました。アディダスが採用する現代のEVAは、そうしたデメリットをほぼクリアできている上に、しかも扱いやすいという特徴があります。アスリートの声を聴き、アスリートの満足するシューズを作り、厳しい品質基準をクリアしたシューズを届けるというアディ・ダスラーの理念は、今でも保たれています」(山口さん)

 

アディゼロ SLのアウトソールは、アディダスの他のランニングシューズで採用されているコンチネンタル社のラバーではない。より軽量で、かつコンチネンタルラバーに近いパフォーマンスを持つライトウェイトな「ハイグリップ ラバー」を開発したという。

↑左側がトゥ、右側が踵。上の切り込みの部分を押すと、ライトストライク プロの軟らかさが分かる。また、黒とライトグリーンの部材が、ハイグリップ ラバーである

 

各社のシューズ開発競争は、激化を辿っている

「ここ数年、ランニングシューズは、劇的に進化しています。私が今のポジションに就いた3年前と今では、全く様変わりしました。短い開発タームで市場に新商品を投入するメーカーもありますが、品質にこだわるアディダスは、きちんと開発に時間を掛けます。その分、未来を見据え、開発の立ち上げを早めるようになってきました」(山口さん)

 

ということで、次回はいよいよアディゼロ SLを実走する。レビューのシーンは、全部で4つ。足入れ感と歩いた際のインプレに始まり、運動不足解消のゆっくりペース、脂肪を燃やすための長時間ペース、最後はスカッと爽快に駆け抜けるペースである。それぞれで、アディゼロ SLはどんなパフォーマンスを発揮するか。次回、乞うご期待である。

↑山口さん(右)が手に持つライトグリーンのモデルは、6月1日から発売となったニューカラー。メンズのカラバリは11色となった

 

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撮影/中田 悟

 

 

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陸上競技の元選手だったアディ・ダスラーが、1948年にドイツ・ヘルツォ―ゲンアウラッハで興したスポーツカンパニー、アディダス。そのアディダスには、トップ選手など記録を追い求めるランナーたちが履く「アディゼロ」シリーズを筆頭に、高いクッション性で、快適な走りを求める「ソーラー」や「スーパーノヴァ」といったシリーズなど、豊富なラインナップを揃えている。

 

そんなアディダスのランニングシューズの中で、よりエネルギッシュに、気分を高めて走りたい人たちに支持されているのが「ウルトラブースト」シリーズ。大量の気泡が埋め込まれた発泡ポリウレタン樹脂であるブーストフォームによって得られる、独特の“沈んで跳ねる”感覚が最大の特徴である。

 

そのブーストフォームが今シーズン、最軽量のライト ブーストに進化。初めて搭載された「ウルトラブースト ライト」となって登場した。というところまでが、前回までの話。今回は、実際に走って試してみることになる。

↑「ウルトラブースト ライト(ULTRABOOST LIGHT)」2万5300円(税込)。サイズ展開:ユニセックス22.5~30㎝。カラー展開:ユニセックス8色。ドロップ(踵と前足部の高低差)は10㎜

 

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いよいよ、ウルトラブースト ライトを試走!

ということで、まずはシューズに足を入れた感覚およびウォーキングのインプレ。そして、「運動不足解消」が目的で走る、1㎞を約7分(=キロ7分)の、の~んびりペース。続いて、脂肪を燃焼させる「痩せラン」に適した、1kmを約6分(=キロ6分)のゆっくりペース。

 

最後は、距離ではなく、走る爽快感重視の、1㎞約4分30秒~5分で走る(キロ4.5~5分)「スカッと走」だ。いずれも、“たまには、走ってみようかな”と思った際に目安になるペースである。

 

【まず、履いてみた!(走る前の足入れ感&ウォーキング)】

「ウルトラブースト ライト」は、ニットのブーティ構造。ブーティは履くのに少し手間がかかるが、履いてしまえば足に良く馴染む。しかもウルトラブースト ライトのニットは「プライムニット」と呼ばれ、なるほど快適に足を包み込んでくれている。ヒールカップも深い上にパッドまで付けられており、エアラインで例えるなら、ビジネスクラス的な快適さで、足とシューズが一体化している。

 

立ち上がって、脚を上げる。か、軽い! 27㎝片足で293gというが、もっと軽く感じる。足を包み込むブーティ構造のためかもしれないが、ブ厚い「ライト ブースト」フォームの見た目のイメージを覆す、想像以上の軽さだ

 

歩き出しても、もちろん足取りは軽い。“楽に歩ける”なんて表現は陳腐だが、“楽”だから仕方ない。仕事柄、さまざまなスポーツブランドにお邪魔する機会が多いので、普段履きには特定のブランドのシューズを履くことは絶対にないのだが、展示会周りなど2万歩に迫る歩数の日に履きたい誘惑に駆られる一足だ。

 

【運動不足解消ジョグ(1㎞を7分で走るペース)】

ランニングとジョギングの違いは、走るペースの差。早足と同程度(1㎞を7分で走る程度)のペースを、ジョギングと呼ぶ。それ以上のペースが、ラン。運動不足の解消には、息が切れず、しかしながら全身の血流が増えて筋肉の過緊張やコリがやわらぐ、ジョギングが最適とされる理由だ。

 

早足と同程度の速さなので、頑張る必要はナシ。気分転換に、音楽を聴きながら、好きな方向へ散歩の延長で走り出せば、街の新たな発見や、自分のカラダへの意外な気付きが待っている。

 

ウルトラブースト ライトでのジョギングは、もちろん快適。ロッカー構造(ヒールから爪先に向けて揺りかごのような形状)があるので、もう少し転がる乗り味がするかと想像していたが、いたってニュートラル。無理に進ませるようなことはない

 

強いて書けば、アウトソールの「コンチネンタルラバー」のノイズ音だろう。普通に屋外を走っている分には気にならないが、トンネルや体育館内の走路を走ると、少しノイズが気になる。まぁ、それだけグリップしている証拠でもあるのだが……。

 

【痩せラン(1㎞を6分で走るペース)】

疲れない=たくさん走れる。それが、ジョギングペースの魅力。たくさん走れば、当然、脂肪もたくさん燃える。ジョグに慣れてくれば、もちろん走力も上がる。少しくらいペースを上げてもヘッチャラだし、5㎞、10㎞と言われてもビビらなくなる。

 

そんなあなたは、すでに1㎞を6分程度のペースで走っているはず。距離が増えれば体型も締まるし、体型が締まれば、さらに距離も伸ばせる。この好循環が軌道に乗れば、健康診断の数値も劇的に改善し、食事の自由も取り戻せる。まさに、良いコトずくしが、痩せランペースなのだ。

 

向き合う相手は、あくまで己の内臓脂肪や皮下脂肪、異所性脂肪なので、ペースを無理くり上げて、故障のリスクを高めるべきではない。そんな賢者のランにも、ウルトラブースト ライトは十二分に対応する。

 

近所に丘があれば、ラッキーでさえある。ペースを上げずとも負荷が高まるし、永遠に続く坂道はないので、下り坂で筋肉や関節への適度な刺激を与えることができる。何よりブーストフォームのクッション性と反発性は、坂道に入るとめきめきと頭角を現す。ちょっとやそっとの坂道なら、ウルトラブースト ライトは屁の河童なのだ。

 

特筆すべきは、上り。グングン登れる。これだけ分厚く、かつ軽量なライト ブーストフォームがあるにも関わらず、走行が安定しているのは、ソールユニットに樹脂プレートを配したL.E.P. (リニア エナジー プッシュ)の貢献が大きい。

↑写真はウルトラブースト ライトのアウトソール。爪先(右)から、左右に分かれて踵へと伸びる朱赤のバーが、L.E.P.である

 

L.E.P.は、前足部から分かれて中足部に至る樹脂製のバーによって得られる機構。L.E.Pは、中足部に入れることで安定を高めるプレートシャンク)の替わりに安定性を高める部材だが、同時に板バネとしての機能も持つ。フラットな路面では感じにくいが、上りでは劇的にL.E.P.の効果を感じるはずだ。

 

【スカッと走(1㎞を4.5~5分で走るペース)】

ということで、さらにペースアップ。距離は短くとも、ペースを上げて追い込めば、気分はスカッとなる。すでに坂道でウルトラブースト ライトの実力は証明済みだが、ペースを上げてもライト ブーストライト+L.E.P.は働いてくれる

 

最軽量のブーストフォームとして生まれたライト ブーストも、従来のブーストフォーム同様のバネ感が健在(計測値では4%アップ)。それ以上に感じるのは、ファーストインプレッションでの“軽さ”だ。もちろんレーシングシューズの軽さとは比較にならないが、ギアとしてのシューズの軽さ以上の、走りの軽快感がウルトラブースト ライトにはある

 

先ほど、L.E.P.には、板バネ的な働きと、シャンクの安定性を兼ね備える機構と書いた。そのため、平地でスピードを上げるほど、L.E.P.は板バネとしての働くと想像していたが、実際に走ってみると、L.E.P.は安定性の方により貢献していた。

 

理由のひとつは、ウルトラブースト ライトの踵側に配されている樹脂のフレームの存在だろう。高速走行での着地衝撃は、踵のプレートに守られたライト ブーストよって、無理のない範囲で吸収された上でL.E.P.に伝わるため、走りの安定感が増すと考えるのが自然だ。

↑踵を左右から支えるように配された朱赤の樹脂フレーム。中足部まで伸びており、分厚いライト ブーストにもかかわらず、安定した着地に寄与すると考えられる

 

ウルトラブースト ライトの“やんちゃさ”は、高速走行というよりも、アップダウンなどの緩急あるランニングで発揮される。いわば、勝利のための駆けっこ専用モデルではなく、楽しく走れる鬼ごっこ対応モデル、といったシューズなのだ。

 

ということで、次回からは、日本のランナーのために、日本で開発されたグローバルブランド「アディゼロ」シリーズの最新デイリートレナー「アディゼロ SL」についてレポートしよう!

 

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撮影/中田 悟、我妻慶一

 

 

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2023「adidas」新緑の陣②「ウルトラブースト ライト」の巻(前編)

 

ドイツ・ヘルツォーゲンアウラッハで生まれた総合スポーツカンパニー、アディダス。そのアディダスには、陸上競技選手だった創業者アディ・ダスラーのモノ作りのDNAが脈々と受け継がれている。

 

前回、そのアディダスのモノ作りの歴史に刻まれた、日本のランナーのための、ジャパンメイドの「アディゼロ」シリーズの物語を中心に、アディダスが提案するランニングの未来に思いを馳せた。今回は、アディダス ランニングのもう一つの柱である「ウルトラブースト」シリーズから、最新にして最軽量という「ウルトラブースト ライト」へと話は移る。

↑「ウルトラブースト ライト(ULTRABOOST LIGHT)」2万5300円(税込)。サイズ展開:ユニセックス22.5~30㎝。カラー展開:ユニセックス8色。ドロップ(踵と前足部の高低差)は10㎜

 

「『ウルトラブースト』シリーズの特徴は、ミッドソールのブーストフォームの高いパフォーマンスによって、走るモチベーションが上がり、エネルギッシュに走れる点にあります。新登場となった『ウルトラブースト ライト』は、クッション性をより強く、反発性にも優れた、最軽量の『ライト ブースト』フォームを初めて搭載したシューズです」

 

と語るのは、アディダスジャパンのランニングカテゴリーの商品企画・山口智久さん。山口さんは、学生時代からインターンとしてアディダスジャパンで働いてきたという叩き上げ。まさに、“アディダス猛者”な存在である。

↑今回お話を伺った、アディダス ジャパンの山口智久さん(マーケティング事業本部)。東京・六本木一丁目のオフィスビルの同社会議室にて

 

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最大の課題は“機能を損なわず、軽量化する”こと

「27㎝片足で、293g。300gを切ることに成功しました。しかし、ブーストシリーズに求められる反発性とクッション性を損なうことなく軽量化することは、技術的に難しい挑戦でした」(山口さん)

 

確かに、ミッドソールの厚みを削れば軽量化はできる。しかし、軽量化のためにブーストシリーズ本来の機能を損なっては本末転倒なのだ。ライト ブーストの元となるブーストフォームの開発の目的は、それまで主流であったEVA素材に替わる新素材にあった。ブーストは、EVAよりもクッション性と反発性に優れ、かつ温度や路面コンディションなどの変化への耐久性に秀でたフォームを目指してきたのだ。

↑ブーストフォームを搭載し、2013年に発売された「エナジーブースト」。ブーストフォームをふんだんに使った、当時としては相当に“厚底”なシューズだった。the adidas Archive/studio waldeck

 

このブーストフォームを最初に搭載したモデルが、「エナジーブースト」。発売当初の2013年2月、筆者も仕事として履く機会を得ている。アップダウンのある10㎞のレースでも使用し、下りで着地衝撃を吸収しまくり、上りでの力強い推進力に驚かされた記憶がある。

 

エナジーブーストは、デザイン的な斬新さもあって、街履きから火が付き、爆発的なヒットを記録する。当時は、ミッドソールの素材名を商品名にするという発想もまだ珍しかった。ウルトラブーストは、陸上競技にDNAを持つアディダスの、イノベーションへの強い意気込みを感じるシリーズなのだ。

↑ウルトラブースト ライトの踵部。近づいてライト ブーストのフォームを観察すると、無数のつぶつぶの集合体であることが分かる

 

「ブーストフォームは、ドイツを拠点とする世界的化学メーカーであるBASF社とアディダスが協同で開発した、新たな時代のランニングシューズに適した素材です。足のダメージを軽減するクッション性と、力強く進みたいという反発性は、本来、相反する機能。しかしブーストは、相反する機能を高いレベルで両立し、どんなコンディションでもベストなパフォーマンスを感じてもらえる素材なのです」(山口さん)

 

ブーストフォームは、化学的には、気泡熱可塑性ポリウレタンと言われる。ポリウレタン樹脂を発泡させることで、微細な空気の気泡が超高密度で生じるため、超弾性、耐摩耗性に富むフォームになる。ライト ブーストは、従来のブーストの原料を変えず、発泡を調整することで、さらなる軽量化に成功。

 

「従来のブーストフォームから30%も軽くなりました。そのため、踵のブーストフォームは30㎜、爪先でも20㎜ありますが、重量は300gを切っています」(山口さん)

↑気持ちも和むカウンターも、アディダスジャパンのエントランスの一隅。神楽坂にあった旧オフィス(1998~2012年)も明るく開放的だったが、六本木一丁目の現オフィスは、オフィスビルの最上階を含む3フロアと広々

 

シャンクにして、板バネの役割を持つL.E.P.

これだけの厚みを持ちながら、ウルトラブースト ライトの走りは安定しているという。安定性に寄与するのは、「L.E.P.=リニア エナジー プッシュ」という機構だ。L.E.P.は、爪先から左右に分かれて中足部へ至る、アウトソールに埋め込まれた逆U字状の樹脂製のバーによって得られる。

 

「L.E.P.は、着地から蹴り出しにかけてのシューズのねじれを低減するシャンクの役割とともに、推進力に換える板バネ的な役割も担っています。さらに、高性能なクルマのタイヤで知られるコンチネンタル社と共同開発したラバーを採用しているので、どんな天候でも高いグリップ力を保ち、安定した走りを実現しています」(山口さん)

↑写真はウルトラブースト ライトのアウトソール。爪先(左)から、左右に分かれて踵へと伸びる朱赤のバーが、L.E.P.である

 

ライト ブーストによる軽量性にL.E.P.と組み合わせることで、沈んで跳ねる反発性は、安定したエネルギッシュさへと昇華するという。毎朝のジョギングや、週末のゆったりした気分での散歩ならぬ“散走”にピッタリなモデルが、ウルトラブースト ライトなのだ。

 

「エネルギーを感じ、フレッシュさも加味したデザインも、ウルトラブースト ライトの特徴です。もちろん、街履きにも馴染むオールブラックやオールホワイトのカラーもご用意しています」(山口さん)

↑靴裏の黒いラバーには、ヨーロッパを代表するタイヤメーカーであるコンチネンタルのロゴが

 

次回は、いよいよウルトラブースト ライトで実走!

初代のエナジーブーストも含め、ウルトラブーストのシリーズは、速度を追い求めるレーシングモデルの風貌とは一線を画している。人間に例えれば、賢いけど、クールなエリートではなく、フレンドリーでやんちゃな奴。走りそのものも、それを裏打ちしていそうだ。

 

ということで後編では、ウルトラブースト ライトを実際に、履いて、歩いて、3段階のスピード(運動不足解消/痩せラン/スカッと走)で走ってレビューをしたい。30%もの軽量化に成功したという、ライト ブーストフォームの実力やいかに⁉

 

撮影/中田 悟

 

 

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アディダス「ADIZEROシリーズ」に新たなシューズが登場。より幅広い “速さ”へのニーズに応えることが可能に!

アディダス ジャパンは、1秒でも速いベストタイムを目指して走るランナー向けのシューズ「ADIZERO(アディゼロ)シリーズ」から、新たに「ADIZERO BOSTON 12(アディゼロ ボストン 12)」と 「ADIZERO JAPAN 8(アディゼロ ジャパン 8)」を発売。さらに「ADIZERO DURAMO SPEED(アディゼロ デュラモ スピード)」が新たにシリーズに加わり、より幅広い “速さ”へのニーズに応えることが可能となりました。

 

新たに登場したADIZEROシリーズ3モデル

ADIZERO BOSTON 12は、ADIZEROシリーズにおけるイノベーションの可能性を広げ続けるというアディダスの決意の証として開発されました。今回、ペレス・ジェプチルチル選手、アベル・キプチュンバ選手、アンジェラ・タヌイ選手など、世界第一線で活躍するトップアスリートの協力を得て、19回ものテストセッションを実施。

 

そこで得た独自の知見を開発プロセス全体で活用し、圧倒的な速さを目指すランナーのニーズに応えるシューズを目指したとのこと。その結果生まれたADIZERO BOSTON 12は、高機能パフォーマンステクノロジーを搭載し、スピードを追求するトレーニングランにもレース本番にも対応するオールラウンドな設計となっています。

↑「ADIZERO BOSTON 12」1万8700円(税込)。トレーニングからレース当日まで、速さを求めるランナーをサポート

 

同じくアディゼロシリーズの1モデルであるADIZERO JAPAN 8は、主にスピードトレーニングに対応する、ハイパフォーマンスシューズへと進化しました。反発力のある薄型ミッドソールを融合した軽量な設計により、レース本番でもスピードワークアウトでも、素足感覚と軽快なフットワークで自分の走りを引き出します。

↑「ADIZERO JAPAN 8」1万6500円(税込)。スピードトレーニング対応薄型軽量レースシューズ

 

また、今回シリーズに加わったADIZERO DURAMO SPEEDは、優れた安定性と軽量性を両立させたベーシックトレーニングシューズとして、様々なスポーツ部活動やフィジカルトレーニングでの使用に適しています。

↑「ADIZERO DURAMO SPEED」9350円(税込)。様々な運動部活動やフィジカルトレーニングで使用可能なベーシックトレーニングシューズ

 

 

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アシックスを代表するランシュー「GEL-KAYANO 30」が登場。気になる進化はどんな感じ!?

アシックスを代表する高機能ランニングシューズ「GEL-KAYANO」シリーズから、 走り始めから終わりまでの疲労によるランニングフォームの変化に注目し、安定性と快適性を両立させた最新モデル「GEL-KAYANO 30(ゲルカヤノ 30)」が登場。

 

長時間の走行によるランニングフォームの変化に適応

ランナーは、走行距離が長くなり疲労が蓄積すると、走り始めよりもフォームが前傾姿勢になります。また、足裏を地面に対しフラットに着地させる傾向が強くなります。そのため、着地からミッドスタンス(重心が足の前側へ移行するタイミング)にかけてプロネーション(回内)する傾向が強くなり、怪我のリスクも高くなっていきます。

 

そこでGEL-KAYANO 30は、足を固定して動きを制限するのではなく、長時間の走行によるランニングフォームの変化に適応した「4D GUIDANCE SYSTEM(フォーディガイダンスシステム)」を新たに採用し、安定性と快適性を両立させています。

↑「GEL-KAYANO 30」1万9800円(税込)。アッパー(甲被)は足当たりの良いニット素材を採用し、部位によって密度を変えることで、 必要箇所を補強しつつ、通気性にも優れた仕様に

 

↑4D GUIDANCE SYSTEMは、走行距離とともに変化するランナーの動きを研究し開発した複合的な機能構造。かかと部外側に適切な傾斜をつけ、ヒールコンタクト(かかとからの接地)をよりスムーズにします

 

また、ミッドソール(甲被と靴底の間の中間クッション材)を内側のかかと部から中部にかけて広がりをもたせた立体形状にすることで、走行時の過度な倒れ込みを抑制し、アーチ部に横に張り出すようにやわらかなフォームパーツを配置することで、疲労時に必要となる中部の安定性に加え、快適な履き心地が得られるようにしています。さらに、靴底の接地面積を広げることで、安定した足運びをサポート。

 

ミッドソールは、全体を前作より約4mm厚くしながら、環境に配慮したクッションフォーム材「FF BLAST PLUS ECO(エフエフブラストプラスエコ)」を採用し、軽量でやわらかなクッション性を実現しています。クッションフォーム材の約24%に植物由来の素材を使用。また、かかと部に足にかかる負担を軽減する衝撃緩衝機能「PureGEL(ピュアゲル)」テクノロジーを内蔵しています。前作に搭載していたタイプと比較し、PureGELは約65%やわらかく、約10%の軽量化を実現しています。

↑靴底は、後部にアシックス従来ラバーと比較し約3倍の耐摩耗性をもつ素材を使用し、前部にも軽量で耐摩耗性に優れた素材を配しています

 

製品ライフサイクル(材料調達・製造・輸送・使用・廃棄)で排出される温室効果ガス排出量(カーボンフットプリント)を、アシックスとして初めて表示しています。

 

GEL-KAYANO 30は7月27日からアシックスオンラインストアで先行発売し、 8月10日からアシックス直営店各店、全国のスポーツ用品店などで順次発売予定です。

 

 

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アディダス「アディゼロ」は、日本で生まれた世界ブランドである/大田原 透の「ランニングシューズ戦線異状なし」

ギョーカイ“猛者”が走って、試して、書き尽くす!「ランニングシューズ戦線異状なし」

2023「adidas」新緑の陣①

 

アディダスのランニングシューズ最上位機種と言えば、「アディゼロ」シリーズ。最新鋭の厚底カーボン「アディゼロ アディオス PRO 3.0」を筆頭に、さまざまなタイプのシューズで、ランナーの走りをサポートしてくれている。実はアディゼロ、日本で開発されたグローバルコレクションであることを、どれくらいの人が覚えているだろうか?

 

「アディダスは、1949年ドイツで創業しました。創業者のアディ・ダスラーはもともと陸上競技出身で、アスリートの声を聴き、スポーツパフォーマンスを高めるギアとしてのシューズ開発からスタートします」

 

と語るのは、アディダス ジャパンの山口智久さん。山口さんは、長年アディダスのシューズ開発に携わってきた、まさに“アディダス猛者”。筆者もフットサルで山口さんとも何度か対戦してきたが、実は初のインタビュー。場所は、東京・六本木一丁目のアディダス ジャパンである。

↑東京・六本木一丁目にある高層オフィスビルの44階。アディダス ジャパンのエントランスにて、今回お話を伺った山口智久さん(左)との筆者(右)の2ショット

 

「アディダスのランニングシューズで有名なのは、1972年に登場の『SL72』。ナイロンのアッパーを初めて採用した、軽量モデルの代表作です。これ以降も、クッション機能やマイクロチップを搭載したモデルなど、ランニング界に様々なイノベーションを起こすシューズを作ってきました」(山口さん)

↑写真は往年の最先端モデル「SL72」。こうしたアーカイブスのシューズたちは、アディダス オリジナルス(※)のコレクションに加えられることがある。the adidas Archive/studio waldeck

 

世界と全く異なっていた、日本のランニング文化

「1990年代後半から2000年にかけて、マラソン大国日本のトレンドは、世界のトレンドとは全く異なっていました。世界のランニング界の常識に反して、日本のランナーの多くは、フィッティングが良く、軽量なシューズを求めていました。そのため、アディダス ジャパンは、日本人ランナーをもっと速くするための『アディゼロ』の開発に着手したのです」(山口さん)

 

こうして2005年、アディダス ジャパンが“ゼロからの挑戦”として開発した「アディゼロ」が誕生する。欧米のランニングシューズ業界が、ランナーの体重が比較的に重いためクッション性を重視し、軽量性よりも耐久性に重きを置いてきただけに、ジャパンメイドのアディゼロが衝撃をもたらすのだ。

 

「フィッティングにこだわり、軽量なアディゼロは、狙い通り日本のランナーに受け入れてもらえました。さらに記録も伴うようになって、世界でも注目されます。日本発信のアディゼロが、“驚異的な軽さのランニングシューズ”としてワールドワイドに拡がっていきました」(山口さん)

↑学生時代からインターンとしてアディダスのシューズ開発に携わってきたという山口さんは、まさに“アディダス猛者”。2020年より、ランニングカテゴリー全ての商品企画を担当している

 

世界的なブームを追い風に、快進撃が続く

アディゼロの快進撃は、陸上競技をDNAに持つアディダスのシューズ開発に一石を投じる。一時期、野球やサッカー、バスケットボール、ゴルフのラインにも“驚異的な軽さ”の代名詞として、アディゼロと名付けられたシューズが続々と登場する。

 

「アディゼロの成長期は、世界的にも市民マラソンへの参加が拡がっていったタイミングでもあります。ランニングは、一部の競技者のためのものではなく、誰もが気軽に始められるアクティビティとして市民権を得ました。当時のアディゼロの使命は、北米やヨーロッパ各地、そして日本で数多く開催されるマラソン大会に挑戦したいという人たちに寄り添うことにありました」(山口さん)

↑山口さんが手にするのが、従来よりも30%軽量化に成功した「ライト ブースト」フォームを搭載した「ウルトラブースト ライト」だ

 

圧倒的な物量での、ランニングシューズ布陣

グローバルブランドであるアディダスは、日本が生んだアディゼロを通して、より拡大しつつあったランニングカルチャーを再発見したと言えよう。あの当時のアディダス ジャパンのスタッフたちの、アディゼロへの誇りと期待の熱量の高さは、フィットネスライフスタイル雑誌の編集現場にいた筆者にも、ハンパなく伝わってきていた。

 

「誕生から18年経った今でも、アディゼロの開発にはジャパンが大きく関わっています。ドイツのヘッドクォーターとジャパンとの協業で開発は進められています。シーズンごとの重要なミーティングには、我々も必ず参加させてもらっています」(山口さん)

 

もちろんアディダスには、アディゼロ以外にも優れたランニングシューズのラインナップがある。よりエネルギッシュに、気分を高めて走りたい人たちに支持されている「ウルトラブースト」シリーズ。高いクッション性で、快適な走りを求める「ソーラー」や「スーパーノヴァ」といったシリーズなど、巨大なグローバルスポーツカンパニーであるアディダスならではの圧倒的な物量の布陣である。

 

GetNavi web読者への、おすすめシューズ2足!

「今回、GetNavi webの読者の皆さんにおすすめしたいシューズは、2足あります。ひとつは先ほどから話題に上っているアディゼロシリーズの最新作のひとつ『アディゼロ SL』。もうひとつは、ウルトラブーストのシリーズから『ウルトラブースト ライト』です」(山口さん)

 

シューズの詳細な紹介は次回に譲るが、「アディゼロ SL」は、従来のアディゼロには無いタイプのシューズだ。実業団や大学駅伝部などのエリートランナーと呼ばれる人たちから、初のフルマラソンに挑む人たち、5㎞や10㎞などのイベント性の高いレースで自己ベスト更新を狙うような幅広い層に対応した汎用モデルだという。

↑注目の「アディゼロ SL」。“アディゼロシリーズは、レベルが高い”という印象を抱き続けてきたので、実走が楽しみ一足だ

 

「ランニングする人たちのパイも増え、レベルの幅も拡がっています。最近は、週1回の練習でも、フルマラソンに挑戦する人もいます。アディゼロは、トップから裾野まで、自分のタイムが気になるなど、何かに挑戦する全ての方たちをサポートするブランドになりました。アディゼロ SLは、ベストオブ“デイリートレーナー”を目指した一足です」(山口さん)

 

最軽量ブーストを新たに開発!

そして、もう一足の「ウルトラブースト ライト」は、アディダスが誇る、超弾性とも評される反発性を持ち、耐摩耗性にも優れたブーストフォームを30%も軽量化した最新モデルだ。ブースト素材の第二世代として開発された「ライト ブースト」を搭載した初のモデルである。第一世代の最初に登場した「エナジー ブースト」を履いた筆者にとっても、期待の一足であることは間違いない。

↑ウルトラブースト ライトの全容。ハンパではない厚みのライト ブーストフォームを踵に配しているのが分かる(ミッドソールの白色の部材)

 

次回以降では、ウルトラブースト ライト、そしてアディゼロ SLの2足について、開発コンセプトやテクノロジーに関して、引き続き山口さんにインタビューを行ってゆく。さらに、実際のフィールドでも、目的に合わせた3つのペースで、実際に走ったインプレッションも記事にする予定だ。運動不足解消、痩せるためのラン、気分をスカッとさせたい時など、私たちが走る理由は、さまざまなのだ。

 

新たな時代のランニング文化「TOKYO CITY RUN」

「コロナ禍を経て、ランニングをする人はさらに増えました。フルマラソンなどの大会の敷居は高いですが、距離が短くても、多くの方にとって、自分の走力に見合った楽しみができるイベントのニーズは高いと考えています。アディダスでも、3月末にトップ選手によるガチなレースと、同じコースを一般の方が思い思いのペースで走るイベント『ADIDAS TOKYO CITY RUN 2023』を東京・神宮外苑で開催しました」(山口さん)

↑3月26日に東京・神宮外苑で開催された「ADIDAS TOKYO CITY RUN 2023」

 

トップ選手たちにとっては、駅伝シーズンが終わり、スパイクを履いてのトラック競技が始まるタイミング。この時期に、ロードシューズでのハイレベルのレース(しかも陸連公認の記録会)となったことで、選手たちの評判も上々だったとか。

 

「一般の方々にとって、トップ選手たちと同じ公認コースで走るのは大きな魅力です。こうした新しい試みは、数こそ多くはできませんが、今後も取り組みたいと考えています。唯一残念だったのは、当日が雨だった点です(苦笑)」(山口さん)

↑生憎の雨ではあったが、午前中に10㎞のエキシビション、5㎞男女の招待枠のレースが行われ、午後は一般枠の5㎞で競われる熱い一日となったという

 

“すべてはアスリートのために”という、創業者アディ・ダスラーの理念が受け継がれるアディダスのモノづくりのこだわり。世界で最もたくさんの人たちが参加するアクティビティであるランニングカルチャーに、アディダスはどんな未来を提案してゆくのだろうか。次回以降に、乞うご期待なのだ!

 

※)アディダス オリジナルス:2001年にスタートしたアディダスの新レーベルのこと。通常レーベルのアディダスとは違い、世界のストリートシーンを彩る斬新でお洒落なスニーカーが多い。

 

撮影/中田 悟

 

 

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アンダーアーマーのシューズに特化した「UNDER ARMOUR FOOTWEAR PARK」が原宿にオープン!!

アンダーアーマーが国内でブランド初となるシューズに特化したポップアップストア「UNDER ARMOUR FOOTWEAR PARK」をオープンしたので、潜入取材してきました!

 

日本では、アンダーアーマー史上初のシューズ専門店

原宿駅の目の前にあるWITH HARAJUKUメインエントランス向かって左側の1・2階が「UNDER ARMOUR FOOTWEAR PARK」となっています。

 

アスリートだけでなく、「より健康的に」「より自分を良くしたい」「運動を通じて豊かになりたい」そんな人たち全員をサポートしたいという想いのもとつくられた「UNDER ARMOUR FOOTWEAR PARK」。全ての活動のベースとなる“シューズ”にフォーカスしたショップです。

 

コンセプトは公園。誰もが公園のように気軽に立ち寄れるように、グリーンのシューズウォールや多数のチェア、ウォーターサーバーが配置されています。ランナーが水分補給のために立ち寄るのもOKとのこと。

 

オンでもオフでも使えるバーサタイルシューズ

入口のグリーンウォールに展示されているのは、アンダーアーマー初のバーサタイルシューズ「UAフロー スリップスピード」(1万6500円・税込)。バーサタイルとは多用途、多目的という意味。トレーニング、リカバリーの2WAYでオンにもオフにも使えるまさにバーサタイルな1足です。

 

かかと部分を上げて履くとトレーニングモードに、かかと部分を下げてスリッポンのように履くとリカバリーモードに早変わり。BOAタイプなのでフィット感の調整がしやすく、リカバリーモードでもとても歩きやすいです。長距離移動やマラソン後にちょうど良さそうですね。

 

弾力性のあるクッションと軽量なソールが心地よい接地感を実現。また、洗濯機での洗濯が可能です。いつでも清潔に保ち長く使えます。

 

リカバリーモードメインで履いてしまいそうなほど履き心地が楽で気に入ってしまいました!

 

私が履かせていただいた目の冴えるようなLime Surgeというカラーのほかに、いろいろなスタイリングにも合わせやすいBlackもあります。(写真にはありませんが白地にかかと部分がピンクのPink Shockというカラーもあります。)

 

エリートランナー向けカーボンプレート搭載レーシングシューズ

ランナー注目のシューズは、カーボンプレート搭載の超軽量本格レーシングシューズ「UAフロー ベロシティ エリート」。昨年のニューヨークシティマラソンで、シャロン・ロケディ選手が優勝した時に履いていたのがこの「UAフロー ベロシティ エリート」(2万6400円・税込)です。

 

異なる特性を持つ2層のクッションフォームと、フルレングスのカーボンプレートを挟んだ「FLOW MIDSOLEシステム」が優れた反発性と推進力を実現。フォアフット、ミッドフット、ヒールストライクなど、着地が異なるあらゆる双方に対応可能とのこと。

 

東京マラソン2023で、UAフロー ベロシティ エリートを履いて自己ベストを更新する人が多数いたとのことです。エリートランナー向けシューズなので、速さを追及したいランナーは要チェックです。

 

私は眺めるだけ……ですが(笑)、デザインが格好良いですよね。もちろんUNDER ARMOUR FOOTWEAR PARKには、エリートランナー向けシューズ以外もあるのでご安心を!

 

ランニング以外にも様々な種類シューズやアパレルも豊富に展示

2階へと足を運ぶと……。主にランニング、バスケットボール、トレーニング、ライフスタイルのシューズと、アパレルも販売しています。

 

アンダーアーマーといえばバスケットボールのステフィン・カリー選手! カリー選手のシグネチャーシューズ「カーリーフロー10」(2万900円・税込)をはじめとするバスケットボールシューズも並んでいました。

 

UAリワードメンバーになって新しい体験を!

4月6日にリニューアルされたアンダーアーマーの公式アプリ「UAリワード」のUAリワードメンバーになると、全国の直営店、公式サイトでのお買い物でポイントが貯まるほか、メンバー限定イベントの参加応募などができます。

 

単なるショッピングアプリではなく、トップアスリートがトレーニングの知識や方法を教えてくれる動画、記事などのコンテンツが豊富なので、スポーツをもっと楽しむため、パフォーマンスを高めるため、より良い自分になるためにダウンロードして損はないでしょう!

 

「UNDER ARMOUR FOOTWEAR PARK」は2023年9月10までの期間限定店舗です。代々木公園も近いので、ランニングがてら水分補給と新しいシューズチェックに行ってみてはいかがでしょうか?

 

【店舗概要】

店舗名:UNDER ARMOUR FOOTWEAR PARK

住所:WITH HARAJUKU 1階・2階(東京都渋谷区神宮前1-14-30)

営業時間:11:00-20:00

定休日:不定休

 

 

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アディダス「ウルトラブースト ライト」を履いて、編集部員が「ええやん!」と感じた5つのポイントを解説

幅広いランナーのニーズに対応するアディダスのプレミアムランニングシューズ「ウルトラブースト(ULTRABOOST)シリーズ」。その最新モデル「ウルトラブースト ライト(ULTRABOOST LIGHT)」が、現在発売中です。今回は、ランニングビギナーズの編集部員・野田が試し履きして感じた、5つのポイントを紹介します。

 

長年の改良を重ね生まれた最新モデル

2015年にデビューしたアディダスの「ウルトラブースト」は、ミッドソールに採用された「BOOSTフォーム」による抜群のクッション性から生まれるフワフワした独自の走行感と、「アディダス プライムニット」による足をやさしく包み込むような快適なフィット感を組み合わせることで、ランニングシーンのみならず、ライフスタイルシーンでも人気を博しました。

 

今回履いてみたウルトラブースト ライトは、BOOSTテクノロジーの導入から10年を経て、長年の改良を重ね生まれた最新モデルです。ウルトラブーストは23代目まで登場していますが、“ウルトラブースト ライト”は、その軽量版になります。

↑アディダス「ウルトラブースト ライト」2万5300円(税込)

 

【Point1】フィット感が良くて「ええやん!」

最初の驚きは足を入れたときのフィット感。ウルトラブーストシリーズはフィット感の良さが有名。大袈裟ではなく、プライムニットアッパーが足を包み込むようなフィット感があります。

 

【Point2】グリップが強くて「ええやん!」

アウトソールを見てみるとウルトラブーストシリーズらしく、高機能な天然ゴム製「ContinentalTM ラバー」を採用しています。これは、ドイツのタイヤメーカーコンチネンタル製のラバーとなり、あらゆる路面でグリップ性能が著しく向上。グリップが強くなると、地面との接触が良くなり、推進力を生み出すので、より速いタイムで走ることができます。

 

【Point3】軽くて「ええやん!」

ウルトラブースト ライトは、従来の “BOOST素材” に比べて 30%軽量化した革新的な新素材「Light BOOST」を採用することで、シリーズ最軽量を実現しています【片足299g(メンズ27.0cm)】。早速走ってみると、軽い軽い。“BOOST カプセル” が強力なエナジーリターンを生み出しているからか、足運びもスムーズです。

 

【Point4】安定感があって「ええやん!」

最近の反発力が高いタイプのランニングと比べるとソールは硬めです。ただ、ホールド感はしっかりあるので、走っている時にかかと部分がブレないので足に余計なストレスをかけません。私は、足をかなりひねりやすいタイプなのですが、そんな心配も少なく気持ちよく走れます。

 

以前のモデルはソールの凹凸の溝が汚れてしまうという問題がありましたが、今回のモデルからBOOSTフォーム表面の凹凸がなくなり、見た目の劣化が起こりにくいのも、ウルトラブースト ライトのおすすめポイントになります。

 

【Point5】普段履きもええやん!

↑メンズは8カラー、ウィメンズは4カラーラインナップしています

 

安定感が高いとお伝えしましたが、歩行時の安定性も優れていて快適に歩けます。普段履きとしても足元が映えるので、旅の相棒としても使えて、旅先で朝ランをするなんて使い方もOK。新シーズンを迎えたので、これを機にランニングシューズを新調するのもアリだと思います。

 

撮影/我妻慶一

 

 

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アラフォー男のランニングをサポート! プロが教える「お手軽フード」4選

一足のランニングシューズさえあればすぐに走れるが、せっかくなら最適なギアを選びたい。ランニング・フィジカルコーチの大角さんがシューズやウエア、ウオッチ、フードでターゲット・目的別にオススメのアイテムをピックアップしてくれた。今回は、自分にピッタリなフードを探そう!

※こちらは「GetNavi」 2023年02・03合併特大号に掲載された記事を再編集したものです

 

私が教えます

ランニング・フィジカルコーチ

大角重人さん

ランニングイベントの運営などを行う会社イチキロを設立。大学時代は箱根駅伝を走り、現在ランニング・フィジカルコーチとして指導する。

 

フード選びの極意

1:ダイエットなど目的に合わせて摂取すること!

走る前や途中にはアミノ酸、走ったあとにはタンパク質、また長い距離を走ったら炭水化物を摂取することが大事。ダイエットや脚つり防止など目的に合わせて補食しましょう。

 

2:補食のタイミングでパッと食べられる手軽なモノが最適

パンツやアウターに入れて走れるよう小さくて簡単に食べられるフードがオススメ。走ったあとにしっかりプロテインを飲みたい人は、コンビニなどで購入するのもアリです。

 

【その1】身体の電解質バランスを考慮した塩ジェル

メダリスト

塩ジェル

162円(1袋)

33 kcal

【脚つり防止】

ミネラルの摂取に特化した本格的な塩分補給用ジェル。身体へ素早く吸収できるよう経口補水液と同様の塩分と糖分のバランスに仕上げた。1袋で食塩相当量が0.77gなので、水分と併せて摂ることが必須だ。食べやすいサイダー味。

 

【その2】最後まで途切れず全力のパフォーマンスが期待できるアミノ酸5000mg配合ゼリー

味の素

アミノバイタル(R)パーフェクトエネルギー(R) ゼリードリンク

199円

180 kcal

【パフォーマンス持続が期待】

糖質と持続性エネルギー源アミノ酸が5000mg入ったゼリードリンク。マラソンやサッカーなど長時間のスポーツにおいて、最後まで途切れず全力のパフォーマンスが期待できる。すっきりとしたグレープフルーツ味でスポーツ中も飲みやすい。

 

【その3】身体をメンテナンスする新世代アミノ酸を採用

サウルスジャパン

アミノサウルス

3456円(1箱)

19.8 kcal

【コンディション調整】

累計販売数20万個を突破したサウルスシリーズの人気商品。数十種類の中から厳選したアミノ酸を含有量や組み合わせにこだわって作った、OCAA(アルギニン、シトルリン、オルニチン)を1000mg配合する。身体のコンディションを整えてくれる。

 

【その4】第4の栄養素「MCT」のエネルギーで運動をサポート

日清オイリオグループ

MCT CHARGEゼリーPRO

1944円(1箱)

57 kcal

【ボディメイク】

アスリートの第4の栄養素と言われる「MCT(中鎖脂肪酸油)」を配合したゼリー。MCTはココナッツや牛乳に含まれる成分で、一般的な油に比べてすぐにエネルギー分解される。体脂肪を運動で燃やして、理想のボディを目指す人をサポート。

2023春「ランニング」を始める人に贈る「最低限の3つの動き」と「長く走る6つのコツ」

新しい年度が始まり、花粉のピークが過ぎて、走りやすい季節だ。この春こそランニングを始めようと一念発起する読者貴兄に、本稿では「ランニングフォーム」の基本を解説。「毎年この手の記事見てはいるんだよな(で、いつの間にか挫折するんだよな)」という方も、気分も新たに「正しいランニングフォーム」で走り出してみてほしい。

※こちらは「GetNavi」 2023年02・03合併特大号に掲載された記事を再編集したものです

 

 

“走る”の基礎知識を学ぶ!

プロが教える正しいランニングへはじめの一歩。

いままでフォームを気にせずに走ってきた人がほとんどだろう。しかし「適当走り」は想像以上に身体を痛めやすい。初心者でもすぐに実践できる正しいフォームに加えて、走るうえで必要な知識をランニング・フィジカルコーチの大角重人さんに聞いた。

 

私が教えます

ランニング・フィジカルコーチ

大角重人さん

ランニングイベントの運営などを行う会社イチキロを設立。大学時代は箱根駅伝を走り、現在ランニング・フィジカルコーチとして指導する。

 

ちょっとずつでも良いのでコツコツ続けることが大事

昨今、走る人口の増加や、多彩なギアの展開、新しいランニングステーションが続々登場するなどランニングが注目を浴びています。走ることで体力の向上やストレス発散、スタイルアップといったメリットをもたらしてくれますが、それは1回や2回のランニングだけでは得られません。ちょっとずつでも良いのでコツコツ続けることが大事。1か月〜半年〜1年と続けば、走ることがライフスタイルに定着し、そのご利益を授かっていることでしょう。

 

だからこそ続けるために重要なのは、身体を痛めにくい正しいフォームです。いくつかポイントはありますが、前提としてランニングの正しい姿勢は“意識して”作るのではなく“自然と”作られるもの。そのためには筋肉を動かす意識やスムーズに動かすための柔軟性が必要です。筋トレや、やみくもに長く走ることよりも、走る前のウォーミングアップを入念に行い、身体を整えるほうが大切です。

 

以下の写真で紹介している「腕回し」「股関節をストレッチ」「その場でウォーキング」の3つは最低限行いましょう。ストレッチなんてまどろっこしく感じますが、短時間でケガをしにくい身体に。例えば、30分のランニングでウォーミングアップとクールダウンをそれぞれ5分ずつ取り入れれば、40分走るよりも確実に効果を高められます。最初に「肩関節」。腕を大きく回すと肩甲骨や胸まわりの筋肉をほぐすことができ、リラックスした状態で走れて腕をしっかり振りやすくなります。

 

次いで「股関節」。脚をスムーズに動かせるよう筋肉を伸ばします。最後は、仕上げとして「肩関節と股関節を一緒に動かす」。ヒザを高く上げ、腕を大きく振り、脚を“下ろす”意識で行います。このように重点的に肩関節と股関節の準備をするだけで動きがスムーズになり、正しいフォームを手助けしてくれますよ。

 

【まず最低限やるべき3つの動き】

腕を回す

↑肘を伸ばして大きく腕を回す。前回し、後ろ回しや左右逆回しを

 

股関節をストレッチ

↑前屈、もも伸ばし、もも上げの姿勢で股関節を丁寧にほぐす

 

その場でウォーキング

↑行進のように脚を高く上げ、腕振りをつけて軽く前進

 

ムリなく続けられるペースと呼吸法を身に付ける

最初は、速さや距離をあまり意識しないこと。“30分続けて動けるようになる”を目標に「5分歩く+5分走る」というのを3セット行うことから始めて、少しずつ走る時間の割合を増やしていくのがオススメです。負荷としては走りながら会話ができる程度のスピード、また心拍計の機能を搭載したスマートウオッチを持っている場合は120〜130bpm程度を意識しましょう。

 

もう少し走りたいなというところでやめておくのが、続けられる秘訣です。呼吸法というよりもビギナーは“吐く意識を持つ”と、自然と息を吸うことに繋がりますし、簡単にできるものも利点です。腕を振るタイミングと合わせるとリズム良くできますよ(下写真)。

 

↑腕のスイングとタイミングを合わせて息を吐く

 

これを週2回できるのがベスト。週半ばと週末で間を空けて走ると、筋肉の回復と成長が効果的です。続けていれば確実に走れる距離や時間、スピードなどが向上していくのが目に見えてわかるのがランニングの良いところ。大人になって得られる達成感はなかなかないので、ストレッチや正しいフォームを取り入れてぜひ走ってみてください!

 

フオーム作りのための6つのポイント

ラクに長〜く走るコツ

【ポイント1】真っ直ぐ立てているか体幹の安定性を確認

「胸を突き出した反り腰や、首が前に突き出てしまうなど真っ直ぐに立てない人が多いです。耳から肩、大転子(太ももの横あたりの出ている骨)、ヒザの横、くるぶしの前側までが一直線なのが正しい姿勢。これが正しいフォームの基礎となるのでチェックを!」

【○な例】

【×な例】

 

【ポイント2】腕振りは頑張らずスムーズなスイングを

「腕振りはもちろん大事ですが、ムリに腕を振り上げたり後ろに引いたりするのはNG。腰の横に付けた小太鼓を軽く叩くようなイメージで腕を振り下ろすと、肘が後ろまで行って自然と正しいフォームになります。ストレッチで肩や胸まわりの筋肉を動きやすくしましょう」

 

【ポイント3】太ももやふくらはぎではなく股関節を意識して動かす

「速く走ろうとして太ももを持ち上げたり、ふくらはぎの力で進もうとしたりすると、脚の筋肉の負担になってケガや炎症の原因になりかねません。その代わりに使うべきは“股関節(お尻)”。意識して走るだけで随分変わります。股関節がスムーズに動くようしっかり準備すること!」

 

【ポイント4】“半歩前にある空き缶を踏む”をイメージして足裏全体で着地

「箱根駅伝やプロのランナーを見るとつま先で走っていますが、ビギナーがこの走り方をすると確実にふくらはぎを痛めます。基本的には、“半歩前にある空き缶を踏む”感覚で、身体の真下で着地するようにしてください。脚ではなくお尻の筋肉で身体を支えられて、負担を軽減できます」

 

【ポイント5】真っ直ぐな姿勢のまま少し前に倒すこと

「半歩前にある空き缶を踏むイメージを維持しつつ、【ポイント1】で作った真っ直ぐな姿勢のまま少しだけ身体を前に傾けてください。自然に前へ進むようになり、そのまま身体の下に脚を落とすことができムリなく走れます。これが最も長く走れる姿勢!」

 

【ポイント6】腕も肩も力を抜いてリラックスして走る

「力を入れると筋肉がこわばり、身体の動きが悪くなります。特に肘から先、ヒザから先はできる限りリラックス。歯を食いしばっていないか、肩に力が入っていないか、手を強く握っていないかチェックしましょう。走る前に手足をブラブラ振っておくのも効果的」

【○な例】

【×な例】

 

 

文/吉野ユリ子 撮影/島本一男(BAARL)、中田 悟

ランニングに特化したスマートウオッチ、プロが選んだ3品は?

一足のランニングシューズさえあればすぐに走れるが、せっかくなら最適なギアを選びたい。ランニング・フィジカルコーチの大角さんがシューズやウエア、ウオッチ、フードでターゲット・目的別にオススメのアイテムをピックアップしてくれた。今回は、自分にピッタリなウオッチを探そう!

※こちらは「GetNavi」 2023年02・03合併特大号に掲載された記事を再編集したものです

 

私が教えます

ランニング・フィジカルコーチ

大角重人さん

ランニングイベントの運営などを行う会社イチキロを設立。大学時代は箱根駅伝を走り、現在ランニング・フィジカルコーチとして指導する。

 

ウオッチ選びの極意

1:使用目的に沿って必要な機能を吟味して選ぼう!

運動負荷をコントロールするために、速さと距離が測れる機能があれば最低限OK。機能が多すぎると直感的に操作しにくく、また高価格になるので自分に必要な機能を検討しよう。

 

2:ランニング中に邪魔にならないかサイズを確認!

ネットショッピングで購入すると失敗しがちなのがサイズ。多機能や電池持ちが良いタイプは比較的ゴツくて大きい傾向にあります。走行時に邪魔だとストレスになるので要注意。

 

【その1】多彩なトレーニング機能であらゆるランナーをサポート

SPEC●ディスプレイタイプ:MIP●画面解像度:260×260ピクセル●最大稼働時間:スマートウオッチモードで約14日間●内蔵メモリ:4GB●音楽保存最大可能数:500曲●サイズ(リストバンド除く)/質量:約W45.6×H45.6×D12.9mm/約49g

ガーミン

Forerunner 255 Music

5万2800円

健康志向のランナーから本格アスリートまでに対応するGPSランニングウオッチ。トレーニングプランをサポートするHRVステータスや多数のスポーツアプリなどを内蔵する。音楽配信サービスと同期し、再生しながら走れる。

 

 

↑GARMIN COACH機能を搭載。目標に応じてコーチからの専門的なアドバイスと、無料のトレーニングメニューを提供してくれる

 

【その2】身体にかかる負荷を計る実用的なランニングウオッチ

SPEC●ディスプレイタイプ: MIP●画面解像度:240×240ピクセル●CPUスピード:192MHz●メモリー:5MB●ストレージ:32MB●最大稼働時間:省電力モードで約100時間●サイズ(リストバンド除く)/質量:約W45×H45×D11.5mm/約40g

ポラール

Polar Pacer

2万9700円

ランナーに必要な基本性能や最大100時間のパワフルバッテリー、軽量設計など実用性に特化。Precision Prime(TM) 光学式心拍計測テクノロジーを搭載し、走行中の身体にかかる負荷もチェックできる。ミニマルなデザインだ。

 

 

↑人間工学に基づいた使いやすいグリップボタンを採用。ボタンを押すだけで簡単にアプリ機能をスタートできる。誤操作の心配もない

 

【その3】高精度な性能と軽さでランニングに専念できる1本

SPEC●ディスプレイタイプ:常時点灯型メモリーLCD●携帯電話接続:Bluetooth●防水性能:5ATM●充電時間:2時間未満●最大稼働時間:UltraMax GPSモードで約60時間●サイズ(リストバンド除く)/質量(ナイロンバンドの場合):約W42×H42×D11.7mm/約29g

カロス

PACE 2

2万9480円

まるで着けていないような軽さを実現。激しい運動時のストレスが軽減され、レースや試合に集中できる。従来品に比べてCPU処理速度が1.5倍、メモリ容量が4倍にアップし、多彩な機能を使いこなせるハイパフォーマンスに進化した。

 

↑トラックランモードでは、トラックのラップ数を正確に計測。距離の誤差は約数mで、ラップ数はストップウオッチとほぼ変わらない

GWはランニングで心身をリフレッシュ! 爽快に走れる都内のビュースポットを紹介

GWはどこもかしこも賑わっていて、どこにも出かけにくい…。そう思っているあなたにおすすめなのがランニング。 観光気分で景色を楽しめるスポットで走れば、心も身体もリフレッシュされるはず。ここでは都内のオススメコースを紹介する。

※こちらは「GetNavi」 2023年02・03合併特大号に掲載された記事を再編集したものです

 

【その1】季節ごとの表情を楽しめる自然に包まれたコース

↑緑に包まれたクロカンコース

 

代々木公園

四季折々の自然を堪能しながら走れる3kmのクロカンコース(赤い線)と、中央広場を囲む1.15km(青い線)のロードコースが特徴。ラン専用のコースではないため歩行者に配慮を。クロカンコースは真夏でも涼しく走れる。

住所:東京都渋谷区代々木神園町2-1

 

【その2】見晴らしの良い道で潮風を浴びながら優雅に走れる!

↑海に面した開放的なシーサイドコース

 

豊洲ぐるり公園

青い空と海、そして豊かな緑を楽しめる公園の周囲をめぐる4.8km(赤い線)のコース。コース全体が海に面していて潮風を感じながら走れる。ラン専用コースではないため歩行者に配慮することと、周回コースではないので注意。

住所:東京都江東区豊洲5-1

 

【その3】お手軽コースで張り詰めた心をリフレッシュ!

↑都会のど真ん中を走るコース

 

新宿中央公園

ビジネスパーソンで溢れかえる都心にある900m(青い線)と1.1km(赤い線)の周回コース。出張時や仕事帰りなどに息抜きとして活用できる。900mは階段や坂道がありアップダウンが激しいので、平坦な道が物足りない人にオススメ。

住所:東京都新宿区西新宿2-11

 

【その4】有名スポーツ施設のそばを走り抜けてアスリート気分に!

↑スポーツの聖地を見ながら走るコース

 

明治神宮外苑

国立競技場や明治神宮野球場、東京体育館などを取り巻く1.325km(赤い線)の周回コース。周辺のスポーツ施設を訪れたアスリートに混ざって気分良く走れる。近隣にはランニングステーションや銭湯など便利な施設が多い。

住所:東京都新宿区霞ヶ丘町1-1

アンダーアーマー「UAフロー ベロシティ ウインド2」は好きなタイプ/大田原 透の「ランニングシューズ戦線異状なし」

ギョーカイ“猛者”が走って、試して、書き尽くす! 「ランニングシューズ戦線異状なし」

2023「アンダーアーマー」春の陣⑤「UAフロー ベロシティ ウインド2」の巻(後編)

 

スポーツブランド各社自慢のランニングシューズを、担当者に取材して、実際に履いて走ってレポートする本連載。ここ4回に亘ってお届けしたのは、アメリカ・ボルチモアに本拠を構えるUAこと、アンダーアーマーである。

 

“ジョギングもするし、レースにも出たことある”という方々のために、UAのシューズ担当である松原恵治さんがすすめてくれたのが「UAフロー ベロシティ ウインド2(以下、ウインド2)」。前編では、シンプルなルックスからは想像できない、アッパーとソールのテクノロジーについて話をたっぷり伺った。この後編では、ウインド2を、実際に履いて、走ったインプレをレポートしよう!

↑今回紹介するのは「UAフロー ベロシティ ウインド2(FLOW VELOCITI WIND2)」1万8700円(税込)。サイズ展開:メンズ25.0~30.0㎝、ウィメンズ22.5~26.0㎝。 カラー展開:メンズ3色、ウィメンズ2色

 

【関連記事】

超シンプルなルックスに宿る、アンダーアーマーの本気度/大田原 透の「ランニングシューズ戦線異状なし」

 

いよいよ、「UAフロー ベロシティ ウインド2」を試走!

UAのシューズ統括の松原さんは「ウインド2は、初心者や中級者でも、“スピードを出したい”という方向けのシューズです。もちろん、厚底カーボンを履かれるような上級者のトレーニング用にも最適です」と話していたが、その実力はどれほどのものだろう。

 

まずは、シューズに足を入れた感覚およびウォーキングのインプレ。そして、「運動不足解消」が目的で走る、1㎞を約7分(=キロ7分)の、の~んびりペース。続いて、脂肪を燃焼させる「痩せラン」に適した、1kmを約6分(=キロ6分)のゆっくりペース。

 

最後は、距離ではなく、走る爽快感重視の、1㎞約4分30秒~5分で走る(キロ4.5~5分)「スカッと走」。いずれも、“たまには、走ってみようかな~”と思った際に、あなたの志向にジャストフィットする、目安のペースをいろいろ用意した。

 

【まず、履いてみた!(走る前の足入れ感&ウォーキング)】

ブーティーのシューズのようなアッパーを持つ、ウインド2。シューレース(靴ひも)をよ~く緩めてから足入れしないと、履きにくい(一度履いてしまえば、しっかりフィット)。なぜなら、足の甲に当たる“舌”の形状の部材(タン)が、袋状にシューズにガセット(接合)されている。ウインド2はフィット感を重視した構造で、軽快な走りを期待できそうだ。

 

足馴染みの良いアッパーは、メッシュ地に細いテープが格子状に組まれ、糸で刺繍のごとく縫い留められている。アパレルを知り尽くすUAならではの、伸び止めのステッチによる軽量にして堅牢な素材「ワープ」である。立ってみると、ワープの軽快な快適性をさらに実感できる。

 

歩いてみると、わずかにふわっとソールが沈む。すぐにでも走り出したくなる感覚は、ソールの「フロー」素材によるもの。フローは、一見するとシンプルだが、とんでもないハイテク素材。

 

些末な点を上げると、シューレース(靴ひも)が少々短い……。トレーニングで履く分には全く問題がないが、レース時、解けることを恐れる筆者は、蝶結びを2重に結ぶ。甲高だんびろ(ばんびろ、ともいう)の昭和の足には、2重にするにはひもがわずかに足りないのだ……(もちろん、平成以降の細長のシュッとした足型の方は、問題なし!)。

 

【運動不足解消ジョグ(1㎞を7分で走るペース)】

超~シンプルな構造なのに、超~ハイテクなウインド2。歩いた時に感じたわずかなふわっと感は、運動不足解消のの~んびりペースでも堪能できる。フローフォームの適度なクッション性、路面をグリップしている感覚は◎。思わずスピードを上げたくなるほどだ。

 

しかしながら、運動不足解消の特効薬は、日々コツコツの積み重ねである。自分に余力を持たせて、“今日は、この辺で勘弁してやる”と、次につなげることが大切だ。疲れ過ぎない、の~んびりペースを守り、走る距離を少しずつ伸ばそう。足の筋肉が走ることに不慣れなうちは、無理は禁物。脚力がない段階だと、ウィンド2を持て余す可能性がある。

 

ウインド2は、脚力を含めたランニングのパフォーマンスが高い人ほど、その性能を引き出すことができるシューズと言える。推進力を生むプレートも搭載されておらず、ソールの形状がゆりかご状のロッカー構造が著しいタイプのシューズでもない。構造的にシンプルな分、ある程度の走る脚力があった方が、ウインド2をより楽しめる

 

もちろん、ハイレベルな脚力など、求めてはいない。少しずつシューズと息を合わせ、走る時間や距離を増やすことで、筋肉、心肺機能、内臓と筋膜、血液を含めた体液など、カラダが“運動に耐え得る”状態に導かれたら、ウインド2は十分に期待に応えてくれるはずだ。

 

【痩せラン(1㎞を6分で走るペース)】

痩せるために走るには、定期的に脂肪を燃やす必要がある。そのため、見た目のカラダの印象と、体重の数値が反映されるまでは、忍耐強く走らなければ結果は伴わない。物思いにふけりながらの継続も良いが、軽快なシューズで走ることそのものが楽しくなれば、課題を作らなくても、気軽にロードへ繰り出せる。そんな方にこそ、ウインド2はおすすめだ。

 

ウインド2は、走ること自体が楽しくなるシューズなのだ。ソールのフローフォームは、着地衝撃の度合いに合ったレスポンスを返してくれる。運動不足解消のキロ7分のペースで感じたクッション感は、少しスピードを上げただけで反発性に置き換わっている。

 

走る前に懸念していたのは、靴裏にラバーがないことへの抵抗感だ。耐摩耗性とグリップのためのゴム(ラバー)への信頼感は、絶大だからだ。しかしウインド2のソール面には何も貼られていない……。凹凸はあるが、細かなパターンだけ、大丈夫なのか……。

 

という心配は、実際に走ると払拭される。フロー素材だけなのに、ソールのグリップは侮れない。今回の撮影とは別の日、里山のダートも走ってみたが、MTBのタイヤのようによくグリップする(ちなみに、ロードバイクのレース用タイヤの接地面は、指1本の先ほどしかない)。フローは、路面を片手の指5本で鷲掴みなほどの感覚なのだ。

 

【スカッと走(1㎞を4.5~5分で走るペース)】

走る楽しみに出会う前、42.195㎞は拷問レベルの距離だと思っていた。ましてや、“ハワイまでも走っていけそう”などというランナーズハイも、ただの幻想だと吐き捨ててきた。でも、実際に体験して、ゴールを潜った瞬間、新たな人生の幕が上がるのを、爽快な涙と共に感じられるとしたら、“走らないままで人生を終わる”のは、もったいないとさえ感じるようになる。

 

というランニングの“沼”に出会った人は、42.195㎞という拷問レベルの距離ですら、颯爽と駆け抜けたいと思うようになる。目の前のランナーと時には競り合いつつ、一人ずつ抜き去り、時には励まし合い、ランナーズハイを感じたくなる。日常を忘れ、走りに集中し、誰も褒めてくれなくても、ただゴールに向かって、今持てるチカラを振り絞りたくなるのだ。

 

自分の今持てるチカラを振り絞るシューズを選びたくなったら、ウインド2はその選択肢の一つに加えても十分に良いシューズだ。表彰台を目指したり、タイムで自分を鼓舞したければ、カーボンソール入りのハイエンドシューズを履きこなす努力をスタートすれば良い(その道は、フォーム矯正やさらなる筋力向上、加えて故障のリスクも伴うが……)。

 

ウインド2を履き、里山の急な下り坂で、ブレーキを掛けずに駆けてみる。加速に伴い、クッション性よりも反発性がどんどん増してくる。板バネとは異なる、自然に跳ねる感覚。このシューズで鬼ごっこをしたら、というワクワク感さえ感じる。

 

加速しても、ラバーレスなのに、路面を噛む感じが増している。跳ねるが、暴れるワケでも、ブレるワケでもない。澄ました顔して、けっこうヤンチャ。ウインド2、好きなタイプかも。

 

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2023「アンダーアーマー」春の陣④「UAフロー ベロシティ ウインド2」の巻(前編)

 

アメリカ・ボルチモアで誕生したアンダーアーマー(以下、UA)。ご存じのようにUAは、コンプレッションウェアという新たなジャンルを“開拓”し、アメリカンフットボールを皮切りに、野球やサッカーなどの競技スポーツに次々と大きな影響力を及ぼし、瞬く間に世界ブランドに成長した。

 

しかし、こと陸上長距離の競技では、UAの存在感は、他競技に比べて、必ずしも強大とは言えなかった。もちろん、そんなポジションに甘んじないのも、UAたるところ。この春UAは、ガチの厚底カーボンシューズ「UAフロー ベロシティ エリート」を発表して話題になったばかりだ。

 

今回は、“ジョギングもするし、レースにも出たことある”という方々のための一足について、話を聞くことに。お答えいただくのは、UAのシューズを担当する松原恵治さんである。

↑今回お話を伺った、アンダーアーマーのシューズを担当する松原恵治さん(ドーム マーチャンダイジング フットウェア プロフェッショナル)

 

「前回ご紹介した『UAホバー マキナ3』はクッション性重視のモデルでした。今回ご紹介する『UAフロー べロシティ ウインド2(以下、ウインド2)』は、初心者や中級者でも、“スピードを出したい”という方向けのシューズです。もちろん、厚底カーボンを履かれるような上級者のトレーニング用にも最適です」(松原さん)

↑2022年3月から登場している「UAフロー ベロシティ ウインド2(FLOW VELOCITI WIND2)」1万8700円(税込)。サイズ展開:メンズ25.0~30.0㎝、ウィメンズ22.5~26.0㎝。 カラー展開:メンズ3色、ウィメンズ2色

 

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超シンプルなルックスに隠された、UAの最新技術

ウインド2は、カーボンプレートやソールに複数の素材を組み込んでいない分、自分自身の脚力を活かせるシューズだと松原さんは語る。たしかに、アッパーも、ソールも、ゴテゴテした部材は一切ない。重量は220gと超~軽く、シンプルそのもの。踵のUAロゴ以外、正直、派手なところが全くない。

 

シューズ内での踵と爪先の高低差であるオフセット(ドロップとも言う)は8㎜。転がるように足が前に出るロッカー構造(揺りかごのようなソール形状)もきつくない。ソール厚も25㎜とマキナ3よりも8㎜ほど薄い(トラックで使用できるシューズの厚みは、2024年11月以降は再び規制が厳しくなり20㎜になるが、現在は25㎜)。

 

スペックだけ並べると、派手さはさらになくなるのだが、実は、ウインド2のアッパーとソールには、UAの最新技術が惜しげもなく投じられているという。

↑エンジニアードメッシュのアッパー、靴裏にはラバーも貼られていないスマートな横顔に、ひと際UAのロゴが目立つ

 

軽量かつ堅牢なアッパー=ワープ

「アッパーには、ワープという素材を用いています。ワープには、伸び止めのステッチの技法が使われています。モノメッシュの織ものに対して、テープを渡してステッチで止めるため、いわば刺繍を施しています。昔の、カンガルー皮の野球やサッカースパイクで用いられていた伸び止めの手法の延長です」(松原さん)

 

機能性を持たせた刺繍なので、薄く、軽量でありながら、しっかり足を包むため、ブレが生じにくいと言う。踵やシューレースのはと目のかがりにも、タタミ縫いと呼ばれる刺繍の技法も用いられおり、日本の畳のように目の詰まったかがりで強度を高めている。

↑俯瞰して見ても、シンプルそのもの。なお、右足の中足部のミッドソールには、チップが埋め込まれ、GPSウォッチがなくても、距離やスピード、歩幅などを計測できるUA独自のアプリ「MAP MY RUN」と連動できる

 

「UAはアパレルを作ってきましたから、こうしたユニークな発想のプロダクツが生まれます。足の甲が当たるタンも、シューズとほぼ一体になった特徴的なガセットタンを採用しているので、ワープとの相乗効果で、よりフィット感が得られます」(松原さん)

 

タンと言うより、スリットがあるブーティー構造と言った方が分かりやすい。などと、アッパーのテクノロジーに目を奪われがちだが、もっと凄いのはモノコックのソールだ。

↑黒のメッシュに、黒のテープを張り巡らせ、黒の糸でステッチしているので分かりにくいが、軽量で堅牢なアッパーであるワープ。ソールは一見2層に見えるが、1層のみだ

 

アウトソールを必要としないフローフォーム

従来のランニングシューズは、ミッドソールに、ゲルや気体やEVAといった衝撃吸収材&高反発な発泡素材、安定した走りを生むためのシャンクなどをてんこ盛りに搭載してきた。さらに靴裏には、耐摩耗性の高いラバーを貼るなど、複数の異素材を組み合わせて、はじめて高機能な一足のシューズとして成立させることができたのだ。

 

ところが、ウインド2には、一枚のソールだけで、靴裏のラバーも存在しない。アウトソールとミッドソール一体の「フロー」という素材が単体のみ。見た目、発泡成形のサンダルのようだが、果たして大丈夫なのだろうか?

↑フローのソール面。どれだけ路面をグリップするか、次回、検証しながら走る

 

「フローは、スナッピーで良く弾けます。クッション性も、反発性も高く、グリップがある上に、耐摩耗性もあるので、アウトソールのラバーを必要としません。使用状況にもよりますが、600~700㎞くらいまでは全く問題ないと考えています」(松原さん)

 

研究段階において、フローは反発性に優れた素材として生まれたという。しかしフローには、高いグリップ性も併せ持つことが判明。であれば、アウトソールの機能を持たせられると、さらにブラッシュアップされたという。

 

従来のランニングシューズ作りを一新する可能性を秘めたフローは、単一素材にも関わらず、極めて高い機能性を有するのだとか。先ほど“サンダルのよう”と書いたが、謝罪せねばなるまい。フローは、とんでもないハイスペック素材なのだ。

↑新装となった「UNDER ARMOUR BRAND HOUSE 新宿」にて(右が筆者)

 

ラインナップを急速拡充、UAランニングの本気度

ウインド2に搭載された、アッパーのワープ素材、ソールのフローフォームは、UAの最上位レース仕様のカーボンシューズにも使用されている。ちなみにウインド2も、マキナ3と同様にスマートシューズの機能性がある。UAは、着実にランニングシューズのバリエーションを増やし、走る人たちのレベル、そしてニーズに応え得るラインナップを急ピッチで充実させている。

 

「こうした流れは、もちろんブランドにとってはプラスです。これからは、専門店や量販店に並ぶUAのシューズの顔触れも、変わってきます。“ランファスト”のためのエリート向けから、よりトレーニングにフォーカスしたウインド2、そして“ランロンガ―”を標榜するマキナ3などのクッション系で、真正面からランナーに向き合います」(松原さん)

 

各社の研究開発のスピードが驚くほど上がり、ますます激しさを増すランニングシューズ戦線。UAランニングの本気度は、やっぱりタフで、ガチだ……。次回は、やわなランナーを代表して、筆者が実際に履いて、走って、(負けじと、テンション高めで)確かめたい。

 

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2023「アンダーアーマー」春の陣③「UAホバー マキナ3」の巻(後編)

 

アンダーアーマーが誇る、最新鋭のインテリ“アメ車”。それが、今回試走する「UAホバー マキナ3(以下、マキナ3)」である。ご存じの通りアンダーアーマー(以下、UA)は、アメリカ・ボルチモアにヘッドクオータを持つ、グローバルスポーツカンパニーだ。

 

そのUAが誇る、クッション系の最高峰モデルが、今回のマキナ3。軽量、かつ反発性とクッション性に優れる、“機能てんこ盛り”で開発されたシューズである。機能てんこ盛りの秘密は、ミッドソールの「ホバー」と呼ばれるフォーム材。ホバーは、従来から多くのメーカーが使用してきたEVAとも、昨今の厚底カーボンシューズでも用いられるPEBA系とも違う、UA独自のオレフィン系のエラストマーなのだそう。

↑今回紹介するのは、写真手前の「UAホバー マキナ3(HOVR MACHINA3)」1万7600円(税込)。サイズ展開:メンズ25.0~30.0㎝、ウィメンズ22.5~26.0㎝。カラー展開:メンズ3色、ウィメンズ2色

 

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いよいよ、「UAホバー マキナ3」を試走!

と言うお話が、前編まで。後編では、マキナ3を実際に、履いて、走って、レビューする。まずは、シューズに足を入れた感覚およびウォーキングのインプレ。そして、「運動不足解消」が目的で走る、1㎞を約7分(=キロ7分)の、の~んびりペース。

 

続いて、脂肪を燃焼させる「痩せラン」に適した、1kmを約6分(=キロ6分)のゆっくりペース。最後は、距離ではなく、走る爽快感重視の、1㎞約4分30秒~5分で走る(キロ4.5~5分)「スカッと走」だ。いずれも、“たまには、走ってみようかな~”と思った際に目安になるペースである。

 

【まず、履いてみた!(走る前の足入れ感&ウォーキング)】

足入れをして、立ってみると、マキナ3の“安定感”の良さを実感。踵に巻き付くようなライトグリーンのウレタン樹脂(TPUのヒールラップ)は、押せばしなる程よい硬さで、しっかり足を守ってくれている。ヒールのカップ自体も深いので、踵を優しく包み込む。

 

歩けば、ホバーフォームがしっかり着地を受け止める。これまた程よい軟らかさ&硬さで、長時間のウォーキングや立ち仕事でも、疲れさせない感じだ。歩いても、ヒールはしっかりホールドされている。タン(甲に当たる“舌”のような形状の部材)は、ちょっと硬め。あくまで好き嫌いの範囲だが、筆者的にはもう少しソフトな方が好み。しっかりホールドされるのがお好きであれば、マキナ3の全体のバランス的には、むしろこちらが正解だろう。

 

肉厚のシューレース(靴ひも)は、チト長い。10年ほど前は、長いシューレースを付けているもシューズも多かったが、今は適切な長さがデフォルトとなっている。切って短くするほどでもないが、一回蝶結びにした後、レース時のように、もう1度結びたくなる。

 

【運動不足解消ジョグ(1㎞を7分で走るペース)】

歩きの次は、走り。運動不足の解消が目的なので、本来スピードは不問。でも、の~んびり走ると、だいたい1㎞を約7分程度のペースで走ることになる。歩きと同様、マキナ3は足をしっかりホールドしてくれて、厚底なのに低重心、安定した走りが得られる

 

たまに、「走っている時、何を考えているの?」と聞かれることがある。この問いを発する人は1000%普段走っていない人だが、2つのタイプがいると筆者は考えている。ひとつは、走っている際に、あれこれモノを考えるタイプ。発想の転換を含め、何かアイデアを得たかったり、ポジティブにモノを考えたい時に走る、という人たちだ。

 

もうひとつのタイプは、走ること自体を楽しむ人たち。走っている最中は、走ることしか考えず、走りに没入し日常と切り離した時間を楽しんでいる。レースにハマるのは、こういうマインドが高い人たちだ(ちなみに筆者は、その日の気分で、両方を楽しんでいる。イコール中途半端なので、仕事も、タイムも、そこそこで満足する平凡な人間である)。

 

マキナ3は、前者のように、何かを考えたり、発想の転換にランニングを選ぶ人には最適な1足だ。走ることに没入せずとも、自然にカラダが前に進む。シューズの性能について意識をする必要もなく、自然に脚が運ばれてゆく。その理由は、ミッドソールのフォーム材ホバーだ。着地時は、踵に配された軟めのホバーフォームが衝撃を吸収。蹴り出しの時には、前足部の硬めのホバーフォームが連携して、衝撃を推進力に換えてくれる。今流行りのフワフワではないが、しっかりしたクッション感ときっちりした反発感だ。

 

【痩せラン(1㎞を6分で走るペース)】

あれこれ走りながらモノを考える人にとって、脳の活性化と、体脂肪の代謝活性のW効果は、大きな魅力だ。甘味でストレスを発散せずとも、ランニングシューズを履いて、一歩前に進むだけで、雑事のストレスと共に、体型のストレスまで霧散させられる。しかも息が切れない程度の負荷で、長時間続けるほど、効率よく脂肪は燃焼し、思考力もアップする。

 

ということにメリットを感じる方にこそ、マキナ3である。この撮影とは別の日に、近所の里山でもマキナ3を試したが、公園内のアップダウンのある不安定な砂利の小径でも、安定した走りが得られる。前回お話を聞いた、UAのシューズ担当の松原恵治さんは「マキナは機械という意味。オートマ車のように自動的に進む」と表現していたが、まさにその通り。

 

速度を換えても、自動で変速されるように、マキナ3の乗り味は変わらない。試しに、手元のGPSウォッチを見ずに、マキナ3で自然に出せるペースで走ったところ、1㎞6分弱。“どこまで走る?”と聞かれたら、“どこまででも!”と答えられる。

 

【スカッと走(1㎞を4.5~5分で走るペース)】

気分転換に走る人にとって、走り出しは“運動不足解消ペース(キロ7分)”、リズムが上がってくると“痩せラン(キロ6分)”になるパターンも多い。レースのためのトレーニングではないのだから、その日の気分で好きに走るのは◎。

 

という方にとって、坂道のテッペンやゴールに向けて、(心の中で叫びながら)ペースを爆上げる“スカッと走(キロ4.5~5分)”もまた楽しからずや。そこで、マキナ3。ペースをキロ4前半に上げても変わらない安定感。正直、今どき、これほど変わらないシューズも珍しい。まさに、マシーンである。けっこうな斜度の下り坂でもカッ飛ばしたが、変わらぬマキナ3の安定感。シューズによっては、速度帯によって履き心地が変化するタイプもあるが、マキナ3は戦車のように進む(乗ったことないけど)。

 

マキナ3は、レースで誰かと競ったり、タイムを向上させるために追い込むシューズではない。走ることで得られる、カラダとココロのケアにフィットする一足と言える。もちろん、その延長線上にある、人生一度は挑戦したい42.195㎞のゴールまで、あなたの脚を守りながら、一緒に走ってくれるシューズでもある。

 

次回からは、マキナ3がオートマ車なら、UAにとってのマニュアル車だともいう「UAフロー ベロシティ ウインド2」のインプレに移る。どんなポテンシャルを秘めているか、期待したい!

 

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撮影/中田 悟

 

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アンダーアーマーが誇る、最新鋭のインテリ“アメ車”登場!/大田原 透の「ランニングシューズ戦線異状なし」

ギョーカイ“猛者”が走って、試して、書き尽くす! 「ランニングシューズ戦線異状なし」

2023「アンダーアーマー」春の陣②「UAホバー マキナ3」の巻(前編)

 

アメリカ・ボルチモアに本拠を置くアンダーアーマー(以下、UA)。コンプレッションウェアというジャンルを新たに“開拓”し、創業30年を経ずして誰もが知るブランドとして怒涛の進撃を続けている。そのUAは、かねてよりアメリカンフットボールや野球、サッカーなどの競技用のスパイクをはじめ、汎用性の高いトレーニングシューズも開発している。

 

この春にUAが発表した、ハイエンド向けの厚底カーボンシューズは、ギョーカイに大きなインパクトを与えた。陸上競技の大本丸のひとつである、マラソンをはじめとする長距離の領域に、UAは本気のシューズを投入したのだ。

 

前回は、最新鋭のエリート向け厚底カーボンソールシューズによる、UAの世界戦略について取材を試みたが、今回からは、私たちに身近なランニングシューズの話へ移る。語っていただくのは、日本のアンダーアーマーでシューズ担当の松原恵治さんだ。

↑今回お話を伺った、アンダーアーマーのシューズを担当する松原恵治さん(ドーム マーチャンダイジング フットウェア プロフェッショナル)。新装となった「UNDER ARMOUR BRAND HOUSE 新宿」内のイベントスペースにて

 

「私たちUAが、今回『GetNavi web』読者の皆さんにお勧めするランニングシューズは2足あります。ひとつは、クッショニング系の最高峰モデルである『UAホバー マキナ3』。もう一足が、スピード系の『UAフロー ベロシティ ウインド2』というモデルです」(松原さん)

 

ご存じのように本連載では、各社の最新の話題とともに、私たち一般人にお薦めのエントリー向けと、普段のジョギングからレースにも使えるモデルの2足を推薦してもらっている。商品担当者に詳しい機能を聞いた上で、筆者が実際に2足を履いて走り、目的に応じて性能をチェックするのだ。

 

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UAクッション系の最高峰モデル

ということで、まずはクッション系の最高峰モデルUAホバー マキナ3(以下、マキナ3)について。そもそもマキナは、UAのフラッグシップとして、軽量で反発性もクッション性もある、“機能てんこ盛り”シューズとして開発された。

↑2022年5月から登場している「UAホバー マキナ3(HOVR MACHINA 3)」1万7600円(税込)。サイズ展開:メンズ25.0~30.0㎝、ウィメンズ22.5~26.0㎝。カラー展開:メンズ3色、ウィメンズ2色

 

「マキナは機械を意味します。足を、機械的に、楽に運んでくれる、クルマで例えると、オートマ車のように快適なシューズです。対するウィンドは、ドライブする感覚を楽しむ、まさにマニュアル車のようなシューズです。

 

マキナ3も、もちろんクッション性の高さが最大の特徴です。前モデルから大きく変えたのは、ミッドソールのホバー素材を2層にした点です。踵から着地した際、着地の衝撃を軟らかめに配合されたホバーフォームが受け止め、前足へ荷重されると、硬めに配合されたホバーフォームがスムーズに足を前に押し出します」(松原さん)

↑分厚い顔だが、オフセット(シューズ内での踵と爪先の高低差、ドロップとも言う)は8㎜と控え目

 

硬軟2層のミッドソールが、着地衝撃を推進力に換える

そもそもシューズ形状も、踵から爪先にかけてのロッカー構造(揺りかごのような形状)になっている。こうしたロッカー構造をサポートするように、マキナ3は硬度の異なる2層のホバーフォームが後押しするのだという(デュアルデンシティUA HOVR クッショニングシステム)。

 

「踵から中足部にかけてのグリーンのホバーには、クモの巣状にウェブを被しています。ホバーフォームは軟らかいため、チカラを横方向に逃さない工夫です。ホバーフォームは、とりわけ衝撃吸収性が高く、ウェブを壁にして力を止めないと、沈み込み続ける特性があります」(松原さん)

↑踵寄りのミッドソールのイエローのホバーには、クモの巣状のウェブが配されている。前足部のブラックのホバーは、踵よりも硬くなるように材料の混合比を変えている

 

なるほど、サスペンションのような構造なのだ。松原さんによると、踵のホバー部材は、一度発泡させたフォームにウェブをかけて、キュッと圧縮させて成型するのだとか。ホバーは、従来から多くのメーカーが使用してきたEVAとも、昨今の厚底カーボンシューズでも用いられるPEVA系とも違う、UA独自のオレフィン系のエラストマーなのだという。

 

「さらに踵には、ウレタン樹脂(TPU)のヒールラップを付け、安定性を高めています。また、ヒールのカップ自体も深いため、欧州車のシートのように踵を優しく包み込みます。踵側のアウトソール(靴裏)には耐摩耗性の高いラバーを貼り、前足部には反応性の高い発泡ラバーを貼っています。スムーズで快適な走行感を感じていただけるはずです」(松原さん)

↑踵のイエローのアウトソールには、耐摩耗性に優れたラバーが使用されている。一方、前足部のピンクのアウトソールは、蹴り出しのエネルギーロスを低減する発泡ラバーだ

 

アッパーは、今や各社がこぞって採用するエンジニアードメッシュを使用(UAではワープニットと呼ぶ)。文字通りニット(編みもの)なので、通気性を持たせる部分は粗く編み。サポートが必要な強度を持たせる部分は編目を密に変えられる特徴がある。軽量化と通気性を兼ね備えられるのだ。

 

「もうひとつ、右足の中足部にはチップが内蔵されています。UAのスマートシューズ機能であるスマホの『MAP MY RUN』アプリと通信させることで、GPSウォッチがなくても、距離やスピード、ストライド(歩幅)などが計測できます」(松原さん)

↑右足の中足部、5㎜厚のソックライナー(インナー)の下のホバーフォームには「MAP MY RUN」対応のチップを内蔵

 

走った距離や速度の記録は、“レース出場なんて×”な方でも、モチベーション向上に役立つ。たくさん運動した時の自分へのご褒美や、昨日の自分に打ち勝った満足感は、続けるための大切な糧。もちろん、月間の走行距離を自分で定め、計画的に走って走力向上を目指すランナーたちにとっては、言わずもがなである。

↑松原さんとは、10年ほど前、当時、東京・中野にあったUAランナーズハウスでのイベントでご一緒して以来の再会! 懐かしさに浸る髭ボブの筆者(左)

 

クッション性が高いマキナ3は、UAの故郷であるアメリカ的な、至れり尽くせりのゴージャスな一足だ。実際、こうしたクッション性の高いシューズは、当然、カラダが大きく(体重も重い)方々のニーズが高い。カラダが重いと感じている方のジョギングや、ダイエットのために走り始める際には、チョイスの候補にしたい一足と言える。

 

ということで後編では、マキナ3を実際に、履いて、歩いて、3段階のスピード(運動不足解消/痩せラン/スカッと走)で走ってレビューをしたい。UAが誇る、最新鋭のインテリ“アメ車”=マキナ3の実力やいかに!

 

撮影/中田 悟

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると拡大表示されます)】

「アンダーアーマー事変」勃発! シューズ担当MD、世界戦略を語る/大田原 透の「ランニングシューズ戦線異状なし」

ギョーカイ“猛者”が走って、試して、書き尽くす! 「ランニングシューズ戦線異状なし」

2023「UNDER ARMOUR」春の陣①

 

この春、東京・有明で行われたアンダーアーマー(以下、UA)の新作シューズ発表会は、ギョーカイに強烈なインパクトを与えた。「UAフロー ベロシティ エリート(FLOW VELOCITI ELITE)」の発表は、陸上長距離界にUAが正式に殴り込みをかけた、まさに進撃の号砲だった。

 

ご存じのようにUAは、コンプレッションウェア市場を“開拓”したことで、爆発的な成長を続けてきた。そのUAが展開するランニングシューズは、自らが得意とするトレーニング領域の延長線で展開してきた、と筆者は今まで捉えてきた。野球もサッカーも、アメリカンフットボールも、基礎トレーニングとしてはランニングが欠かせないからだ。

 

しかし、今回のUAフロー ベロシティ エリートは、トレーニングではなく、レースに勝つ“陸上競技領域”のシューズの発表だった。UAランニングは、苛烈を極めるレッドオーシャンとも言えるマラソンなど長距離の競技領域に、その矛先を向けたのだ。

↑今回お話を伺った、アンダーアーマーのシューズを担当する松原恵治さん(ドーム マーチャンダイジング フットウェア プロフェッショナル)。新装となった「UNDER ARMOUR BRAND HOUSE 新宿」内のイベントスペースにて

 

競技領域でも“勝てる”シューズとは?

「いよいよ待望のシューズがデビューします。UAは、今までもランニング領域でシューズを展開していましたが、この新しいコンペティションモデルを皮切りに、日本も、そしてグローバルも、ガチで勝負していきます!」と熱く語るのは、日本でのUAのシューズ商品担当の松原恵治さんである。

↑「UAフロー ベロシティ エリート」。ゴリゴリのレーシングシューズなので、この連載には不向きなハイレベルながら、癖がなく比較的に扱い易いシューズだ。ただし、お値段は2万6400円(税込)と、チト扱いにくい……

 

「UAフロー ベロシティ エリートは、早くもマラソンワールドメジャーズのレースでも結果を残しています。UAは、競技領域でも勝てるシューズを頂点に、幅広いラインアップで、ランナーに向けた最適なシューズを今後も提供していきます」(松原さん)

 

松原さんの鼻息も荒いUAフロー ベロシティ エリートを、実は、筆者も実際に試している。フルレングスのカーボンファイバープレートを搭載し、アウトソール(靴底)のラバーもない超軽量のコンペモデルのため、残念ながら私たち週末アスリートを対象としたこの連載で詳細を紹介することには無理がある。まさに、エリート向けシューズなのだ。

↑ご覧のように、このシューズのアウトソールにはラバーが貼られていない。それでも耐久性が保たれているのは「FLOW(フロー)」という耐摩耗性の高いUA独自素材のため。素材の詳細は後日、本連載「UAフロー ベロシティ ウインド2」の回にて!

 

UAランニング、進化の歩み

UA最新の厚底カーボンシューズは、走るトレーニングをある程度は積んでおかないと、宝の持ち腐れになること請け合いのハイエンドモデルだ。しかしながら、走行時の足の着地場所を問わずに反発性の高いソールとカーボンプレートが加速してくれる、比較的に汎用性の高い一足だった。この春に登場している各社のハイエンド向けカーボンシューズのトレンドの、まさにど真ん中とも言える味付けには、正直、驚かされた。全く良い出来栄えなのだ!

 

「UAは、アパレルからビジネスを開始し、多くのアスリートを支えるパフォーマンスプロダクトを提供してきました。最初は、各競技の競技用スパイク、続いてトレーニングシューズ、そしてランニングシューズをデビューさせています」(松原さん)

 

松原さんと一緒にUAのランニングシューズの進化の歴史を振り返ってみると、2011年に発表された「UAマイクロGスプリット」が、何といってもインパクト大だという。

 

「UAが得意とするアパレルの技術をシューズのアッパーに使い、ミッドソールに『マイクロG』というハイブリッドEVAを使用しました。反発性+衝撃吸収性という異素材の組み合わせが一般的ですが、シンプルにマイクロGというクッション性の高い素材で勝負したモデルです」(松原さん)

↑2011年に発売した「マイクロG」シリーズ。左上が、最上位モデルの「UAマイクロG スプリット」

 

UAがランニングシューズに参戦することも話題になり、薄くてもクッション性が高く、当時としては斬新なデザインだったと筆者も記憶している。UA マイクロGスプリットの次に大きな話題となったのは、2013年発表の「スピードフォーム」だろう。筆者も、発表会が行われたロンドンに赴き、世界選手権で2回優勝したトライアスリートの選手クリス・マコーマック(愛称マッカ)にシューズの印象を取材している。

 

「スピードフォームは、従来の靴作りの概念を覆し、アパレルを得意とするUAならではの画期的なアプローチで、スポーツブラを作っていた企業に、何とシューズの製造ラインを加え、その技術を活かしました」と松原さんも語るように、踵を優しく包み込む装用の心地よさは、白眉だった!

↑2013年に発表されたが、発売は2014年に延期になったスピードフォーム搭載モデル「UAスピードフォーム アポロ」と「UAスピードフォームXC」

 

その次のインパクトは「UAホバー インフィニット」だろう。現在も使われているミッドソールの高反発かつクッション性の高い「HOVR(ホバー)」素材が初めて使用されたモデルだ。

 

「UAホバー インフィニットは、シューズに内蔵されたチップとスマホのアプリを連携する『MAP MY RUN』のシステムも内蔵し、GPSウォッチがなくとも距離やスピード、ストライドなどの情報が得られるスマートシューズとしても話題になりました」(松原さん)

↑2019年に登場した「UAホバー インフィニット」。ミッドソールに「ホバー」素材を用いたモデル。次回は「UAホバー マキナ3」の試走インプレをお届けする予定だ

 

UAにおける、日本の重要性

ランニングシューズ戦線が激烈となる少し前(厚底のカーボンプレート内蔵シューズが世界を席巻する前)まで、UAでは、本国アメリカ、欧州、そしてアジアでは日本が製品開発の拠点として機能していた。UAのみならず、スポーツブランド各社にとって日本は、ランニングシューズや関連商品のトレンドにおいて、世界的に重要なポジションにいたのだ。

 

「たしかに当時は、日本市場のランニングの環境やランナーのニーズに応じて、日本独自の開発をグローバルと展開していました。しかし今は、グローバルスタンダードが世界をリードし、頂点に君臨するように変化しています。なので、“日本向けじゃないから勝てない、合わない”というのは、もはや過去の話なのです」(松原さん)

 

厚底のカーボンプレート内蔵シューズの拡がりにより、現在、公認のレースでは、ソールの厚さ制限のルールが定められている。松原さんによると、こうしたルール変更もあって、UAを含めた各社の開発サイクルは加速されているという。シューズに限らず、トレーニング方法を含め情報を得る手段も大きく変化している。今や、プロトタイプであっても製品化してレースに出す時代なのだ。

 

そして、今。UAはUAフロー ベロシティ エリートを引っ提げ、世界の陸上長距離界に殴り込みをかけている。UAだけでなく、各社がこぞってエリート向けの厚底カーボンシューズを発表する理由は、まさに“時代が求める焦燥感”なのだと言えよう。

 

「現在のUAのフォーメーションは、アメリカのヘッドクォーターがリードする形で、工場と連携して製品開発を担っています。日本からは、市場やアスリートのニーズを吸い上げ、ヘッドクォーターと他社情報などを共有しながら、プロダクツのレベルアップを目指して連携しあっています」(松原さん)

 

次回、UAのランニングシューズを試走インプレ!

UAの今後のシューズ開発の方向は、最新鋭のエリート向けシューズの投入により、また変化してゆくはずだ。というところで、我々が試すことが可能な2つのモデルについて、いよいよ次回からインプレを開始する。

 

まずは、運動不足解消にジョギングを始める方から、フルマラソンで4時間を切るタイムで完走を目指す方に、松原さんおススメの「UAホバー マキナ3(HOVR MACHINA3)」。そして、UAの厚底カーボンシューズにも搭載されているミッドソール素材「フロー」を使った「UAフロー ベロシティ ウインド2(FLOW VELOCITI WIND2)」。

↑手前が、次回紹介するUAホバー マキナ3。奥が、その次に掲載予定のUAフロー ベロシティ ウインド2

 

最後に……。松原さんが筆者に語ったひと言が、心に残った。「アパレルから始まったスポーツブランドが、シューズで大成功した例を私は知りません。アンダーアーマーは、その最初のブランドになるのです」。UAの挑戦の心意気、乞うご期待である!

 

撮影/中田 悟

 

 

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On「クラウドモンスター」試走インプレ!フルマラソンでも違和感なく走れる一品/大田原 透の「ランニングシューズ戦線異状なし」

ギョーカイ“猛者”が走って、試して、書き尽くす! ランニングシューズ戦線異状なし

2023「On」春の陣⑤「クラウドモンスター」の巻(後編)

 

On(オン)独自のミッドソール機能「クラウドテック」をメガ盛りにした「クラウドモンスター(Cloudmonster)」。本連載の前編では、オン・ジャパンの前原靖子さんに、「クラウドモンスター」のテクノロジーやターゲット、記録的なセールスとなった漆黒モデルの話などを、根掘り葉掘り伺った。

↑On史上最厚のクラウドテックを搭載する「クラウドモンスター」1万8480円(税込)。メンズ、ウィメンズともに5色展開(写真は2023年SSの新色、メンズUndyed-White /Creek)。サイズ展開、メンズ25~32㎝、ウィメンズ22~28㎝

 

後編では、実際に、履いて、走って、そのインプレをお届けする。なお、この連載では、全てのランニングシューズを、次の4つのシーンを想定してインプレを行っている。まずは、シューズに足を入れた感覚およびウォーキングのインプレ。そして、「運動不足解消」が目的で走る、1㎞を約7分(=キロ7分)の、の~んびりペース。

 

続いて、脂肪を燃焼させる「痩せラン」に適した、1kmを約6分(=キロ6分)のゆっくりペース。最後は、距離ではなく、走る爽快感重視の、1㎞約4分30秒~5分で走る(キロ4.5~5分)「スカッとラン」だ。いずれも、“たまには、走ってみようかな~”と思った際に目安になるペースだ。

 

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クラウドモンスターの試走インプレ、スタート!

【まず、履いてみた!(走る前の足入れ感&ウォーキング)】

“雲の上の走り”とOn自らが表現するように、クラウドモンスターに足を入れて立ち上がると、“ふわっ”である。ここ数年、各社のランニングシューズ開発が“心地よい足入れ感”にフォーカスする理由のひとつは、まさにOnのクラウドテックの“穴”の存在だろう。各社がOnの“ふわっ”をベンチマークする理由は、履けばなるほど納得できる。

 

“ふわっ”のもうひとつの理由が、クラウドモンスターのミッドソール素材。Onが「ヘリオン」と呼ぶ独自フォームだ。ヘリオンは、2019年からOnのパフォーマンスランニング分野で使用されるようになった新素材である。Onは独自素材としか公表していないが、取材で得た情報から考えられるのは、欧米のシューズメーカーがレーシングモデルなどに採用しているエラストマー系素材だろう。

 

エラストマー系素材の特徴は、軽量でクッション性が高く、耐久性や温度変化にも強い点だ。クラウドモンスターのミッドソールも、軽く、クッション性に富む。ヘリオンの原料の混合比は、採用されるシューズごとに異なるらしいが、クラウドモンスターのそれは、筆者好みの“少し硬め”。もちろん、クッション性を損なわない程度の微妙な味付けだ。

 

スタスタと歩ける快適さ。なるほど、タウンユースに履きたい気持がよく分かる。クラウドテックの穴も効いている。ランニングだけでなくシューズのカラーのトレンドは、ここ数年、黒や白といったモノトーン系が大勢を占めており、漆黒のクラウドモンスターが売れない理由などない

 

【運動不足解消ジョグ(1㎞を7分で走るペース)】

マラソン大会でのタイム更新を、人生中盤の生きがいにする人も、走り始めの動機の多くは、運動不足の解消や腹回りのぜい肉対策だ。歩くよりも短時間、初期投資はシューズだけ、しかも得られるエビデンス(=運動不足解消)を外さないのが、ランニング。そんな風に合理的に物事を捉える大人が、いつしかランニングという沼にハマる(筆者もその一人)。

 

そこで、クラウドモンスターである。15~30分程度の軽いジョギングなら、極論を言えばシューズを選ばずしても走ることは可能だ。しかし、ランニングというアクティビティの最大の課題は、“継続”という一言に尽きる。走ることそのものが“快”という境地に至るには、しばらく走り続ける必要がある。

 

シューズやウェアを楽しむ理由は、まさに継続のため。人気のシューズを試して、最新化学の恩恵を体感できるなら、クラウドモンスターというチョイスは、賢い選択のひとつだ。ほどよいクッションがありながら、ロッカー構造が勝手にカラダを前に運んでくれる。ミッドソールのクラウドテックのクッション性と反発性は、低速での走行でも活きている。

 

モンスターだけに見た目はイカツイが、ドロップ(踵から爪先にかけてのシューズ内の高低差)は6㎜とマイルド。このドロップであれば、ロッカーによって脛の筋肉を傷めるリスクも抑えることができよう。足の筋肉が“走る”ことを受け入れてない、まだ走り始めの頃は、クラウドモンスターのようなバランスの良いシューズを選びたい。

 

【痩せラン(1㎞を6分で走るペース)】

“たまには走ってみよう”から、週末の朝や夕方の嗜みとして継続化するなら、さらに大きなモチベーションが必要になる。そこで、走って痩せる=痩せラン。体型という見た目、血液検査の結果、消費カロリー増による食べたいものの選択肢の増大と、俄然モチベーションを、かつ長期で高めることが可能だ。

 

しかもランニングは、脂肪が良く燃える自転車やスイムといった有酸素運動の中でも、時短で、効果を得やすいアクティビティだ。さらに、追い込まない程度のペースで、長時間行うほどに、そのメリットを高められる。必要なのは、長く快適に走れるランニングシューズのみ。だからこそ、長く履きたい一足を厳選したい。

 

クラウドモンスターの着地時のクッション性と反発性は、痩せランのペース(1㎞を6分)になると、性質が変化する。先述の1㎞を7分のペースで走る「運動不足解消ジョグ」よりも、反応性が高まる。“板バネ”であるスピードボードの反発性が出てくるためだ。低速なのに、ここまで性質が変わるのは、ちょっとした驚きである。

 

試しに別日、起伏に富んだコースを走ってみたが、坂道の上りではぐんぐん進む。ソールの幅が広く、踏み面が広いので、下りでも安定する。クルマで例えると、高級SUVに乗っている感じだ。(意地悪だが)砂利道に突入してみたが、クラウドテックの穴に小石が入ることもなかった。

 

【スカッと走(1㎞を4.5~5分で走るペース)】

これまた撮影とは別の日、ハーフマラソン(21㎞強)にクラウドモンスターを実戦投入。名だたる大学の陸上競技の選手たちも走る、東京・立川の自衛隊基地の滑走路がスタートの市民マラソン大会で試してみた。1㎞を5分ほどで走ったが、クラウドモンスターは安定感も良く、難なくレースでもパフォーマンスを発揮してくれる。フルマラソン投入でも、もちろん違和感なく走れるシューズであると改めて実感した。

 

多くのランナーがレースに出る最大の理由は、優勝を目指すのではなく、モチベーションの維持である。自分ひとりで21㎞走ったら、そもそも鈍足ペースか、途中で道草を喰いたくなる。ましてや最後にペースを上げて、スカッとゴールを切るなんて、レースでなければ奮い立たない。

 

クラウドモンスターで感じたのは、脚が守られている感覚だ。レースの中盤から後半に差し掛かっても、脚はまだ残っている。それでいてスピードを上げても追従してくれる。ロッカー構造も、そこまで大きくないので、無理やり走らされる感じもしない。分厚い見た目よりながら、いたってフツーに真面目なシューズなのだ(もちろん良い意味でだ!)。

 

そこで感じたのは、前回紹介した「クラウドサーファー」でOnが実戦投入を決めた新たなミッドソールシステム=クラウドテック フェーズの存在である。クラウドテックフェーズの乗り味とクッション性は、コンセプト的にもクラウドモンスターとの相性抜群。安定性に優れ、汎用性が高いクラウドモンスターに搭載されれば、超低速から、さらなる高速まで、マルチでイケる化け物に進化できる。

 

走りながらの予感だが、クラウドテック フェーズは、早ければ来年2024年SSシーズンのクラウドモンスターに搭載されているような気がしてならないのだ。Onの前原さんからは何のコメントを得られていない、あくまで筆者の勝手な推測なのだが……。

 

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撮影/中田 悟

 

 

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「クラウドモンスター」破竹の理由は、Onの愚直さにあり⁉/大田原 透の「ランニングシューズ戦線異状なし」

ギョーカイ“猛者”が走って、試して、書き尽くす! ランニングシューズ戦線異状なし

2023「On」春の陣④「クラウドモンスター」の巻(前編)

 

2022年3月に発売されるや、破竹の勢いで高セールスを記録したランニングシューズがある。一時は店頭から商品が消え、入手困難になったというOn(オン)の「クラウドモンスター(Cloudmonster)」だ。弾力の高いゴムチューブから着想を得た、On独自のミッドソール機能「クラウドテック」をメガ盛りにした圧倒的な存在感。まさにモンスター級のシューズである。

↑On史上最厚のクラウドテックを搭載する「クラウドモンスター」1万8480円(税込)。メンズ、ウィメンズともに5色展開(写真は2023年SSの新色、メンズIron Hay)。サイズ展開、メンズ25~32㎝、ウィメンズ22~28cm

 

「クラウドモンスターのおかげで、ランニングブランドとしてのOnのブランド認知は格段に上がりました。口コミやSNSで高い評価をいただいた結果、“Onを知ってはいたけれど、履いたことがない”、“タウンユースにしているけれど、走ったことがない”などのお客さまから、クラウドモンスターを指名買いしていただけるようになりました」

 

と語るのは、オン・ジャパンでPRリーダーの前原靖子さん。クラウドモンスター大人気の秘密を探るべく、前回「クラウドサーファー」の実走レビューの撮影でもお邪魔した東京・原宿のフラッグシップストア「On Tokyo」に、前原さんを訪ねた。

↑オン・ジャパンPRリーダー前原靖子さん。アジア初となるフラッグシップストア、東京・原宿の「On Tokyo」のエントランスにて

 

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誰もが刮目した、漆黒のモンスター

「2022年3月の発売以来、クラウドモンスターのモデル変更は行っていません。その代わり、カラーはシーズンごとに新色を増やして、この春、男女とも2色が加わりました。今年の秋冬も、具体的にはお話しできませんが、新色を追加する予定です」(前原さん)

 

新色の登場と言えば、2022年夏の黒のモンスターの登場を抜きには語れまい。漆黒のモンスターが、On大躍進のひとつの原動力となったと言っても過言ではないからだ。ランニングブランドとしてのOnの認知度を大幅に上げたことはもちろん、タウンユースの需要まで急増させたことは、街を歩いて人々の足元を見れば、すぐに実感できるはず。

↑2022年夏に発売され、怒涛の売れ行きを記録した漆黒のクラウドモンスター(現在も発売中)。ちなみに、2023年メンズの新色はIron Hay(TOP画像) とUndyed-White Creek(筆者のインプレにて装用)。ウィメンズはUndyed-White CreekとNimbus Hayだ

 

「発売当初、クラウドモンスターは42.195kmのフルマラソンなどに対応する位置づけではありませんでした。Onのミッドソールのテクノロジーであるクラウドテックを最も厚く配したモデルとして、“雲の上の走り”をマックスで体感しながら、長く走れるシューズであると謳っていました」(前原さん)

 

もちろん、クラウドモンスターは、快適なだけの厚底シューズではない。爪先から踵にかけてのロッカー構造(揺りかごのようなカーブ)は、走行時に着地から蹴り出しへと、転がるようなライドをもたらしている。さらに、靴底には着地衝撃を推進力に換える“板バネ”となるPP樹脂(ポリプロピレン)の「スピードボード」も搭載。高機能のランニングシューズとして備えるべき構造に、先述した着地衝撃をクッションする極厚のミッドソール「クラウドテック」を載せている。

↑クラウドモンスターは、クッション性の要となる「クラウドテック」(穴の開いたオフホワイトのミッドソール部材)をマックスで搭載したモデルだ

 

“あくまでランニングシューズであって、スニーカーではない”

「ロッカー形状とスピードボードのバランスが良く、“スピードを出しやすい”という評価がSNSにたくさん上がりました。そうした皆さまの声が集まって、トレーニングだけではなく、42.195㎞のマラソン大会でも結果が出せる、レースでも使えるシューズという定評が得られました」(前原さん)

 

発売後数か月で、Onのエースとなったクラウドモンスター。ランナーからの支持も高まったが、街でもよく見かけるようになった。いわゆるスニーカーショップの棚にも置かれるが、パフォーマンスの高さを、タウンユースのコンシューマはどこまで理解しているだろう?

↑爪先から踵にかけてのロッカー構造(揺りかごのようなカーブ)によって、走行時には転がるようなライド感が得られる

 

「発売当初から、クラウドモンスターはランニングシューズであって、いわゆるスニーカーではないというメッセージを発信し続けています。ルックス的にスニーカーとして街で履いてくれるお客さまもいますし、街のスニーカーショップでも売られていますが、前提は“パフォーマンスを出せるシューズ”です。快適に走れるクラウドモンスターの機能があるからこそ、街でも選んでいただけていると考えています」(前原さん)

 

日本では、ランニングシーンと街履きのシーンを分ける傾向があるが、Onが生まれたスイスをはじめとする欧米では、ランニングシューズは当たり前にタウンユースとして履かれている。フルマラソンを完走できるほどの機能性がありながら、カジュアルであるなら、ランでもオフでも、あらゆる生活シーンで汎用化されるのは当然だろう。

↑アウトソールの摩耗しやすい部位には、ラバーパッドが貼られている。ラバーパッドには微細な横方向のスリットがあり、地面をグリップし、滑りにくい仕様になっている

 

ファッショナブルであり、かつ高機能というOnの独自性

「Onは、ランニングシューズ開発から始まったブランドです。しかし、ランナーを含めた多くの方たちが、タウンユースでもOnのシューズを履くようになりました。そうした気づきを経て、タウンユース企画のシューズも開発されるようになりました」(前原さん)

 

今でこそタウンユースのラインも持つOnだが、(機能を伴わずとも)ルックスで勝負するスニーカー市場にあっても、Onは変わらず、高機能のランニングシューズを愚直なまでに投入し続けている。こうした堅実なスタンスが幸いし、ファッショナブルであり、高機能でもあるという、誰もが認める独自なブランドに進化したと言えよう。

↑「On Tokyo」の前で前原さんと髭ボブの筆者(右)

 

さらに書き加えたいのは、OnFriendsである。“On好き!”の全国に広がるOnFriendsというコミュニティの存在だ。詳細は、本連載のOn共同代表・駒田博紀さんのインタビュー回で記したが、10年掛けて駒田さんとOnFriendsが築いた自前のコミュニティは、リアルとバーチャルでOnの世界観を共有し、自律した無数の縦横無尽のコミュニティによって、“走る楽しさ”を交歓しあっている。

 

次回はクラウドモンスターの実走インプレをお届けする!

 

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撮影/我妻慶一

 

 

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Onの最新テクノロジー搭載「クラウドサーファー」レヴュー!/大田原 透の「ランニングシューズ戦線異状なし」

ギョーカイ“猛者”大田原 透が、走って、試して、書き尽くす! ランニングシューズ戦線異状なし

2023「On」春の陣③ On「クラウドサーファー」の巻(後編)

 

2023年、Onが最も注力するシューズが、3月23日に正式に発売を開始した「クラウドサーファー(Cloudsurfer)」だ。“雲の上の走り”というOnの特徴を継承しつつ、クラウドサーファーには全く新しいテクノロジーが搭載された。興味が尽きない一足である。

↑3月23日に正式に発売された「クラウドサーファー」(東京マラソンEXPO2023にて、限定先行発売)1万8480 円(税込)。Creek White、All Black、White Frost の3カラー展開。サイズ展開は、メンズ25~32cm、ウィメンズ22~28cm

 

本連載の前編では、オン・ジャパンの前原靖子さんに、最新のミッドソールテクノロジーの「クラウドテック フェーズ」の話を中心に、クラウドサーファーのターゲットや環境対応など質問攻めにした。

 

後編では、ペンをシューズに換えて、クラウドサーファーを実際に、履いて、走って、レビューする。クラウドサーファーのインプレも、次の4つのシーンを想定して行う。まずは、シューズに足を入れた感覚およびウォーキングのインプレ。そして、「運動不足解消」が目的で走る、1㎞を約7分(=キロ7分)の、の~んびりペース。

 

続いて、脂肪を燃焼させる「痩せラン」に適した、1kmを約6分(=キロ6分)のゆっくりペース。最後は、距離ではなく、走る爽快感重視の、1㎞約4分30秒~5分で走る(キロ4.5~5分)「スカッとラン」だ。いずれも、“たまには、走ってみようかな~♪”と思った際に目安になるペースである。

 

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いよいよ、クラウドサーファーを試走!

【まず、履いてみた!(走る前の足入れ感&ウォーキング)】

“雲の上の走り”を標榜するOnだけに、足入れ感への期待は大。しかも、従来のクラウドテックを進化させたクラウドテック フェーズである。見た目の厚みからは、ピンと来ない軽さ。アッパーのタン(甲に当たる部分)もふかふかで、足入れ感は◎だ。

 

すっくと立ちあがると、ミッドソールの穴が潰れて、カラダが沈むのか分かる。(乗ったことはないが)なるほど雲。歩き出すと、一歩一歩沈む。これで走って大丈夫なのか……、と思うほどの優しさ。なぜなら、着地時に大きく沈み込むと、エネルギーロスとなり、推進力が得られないからだ。

 

試しに3㎞ほど歩いてみるが、鼻歌混じりのゴキゲンな人のような不思議な歩み。エネルギーロスは感じないが、スタスタ速くではなく、気分よくテンポを落としたくなる感覚だ。安っぽい作りの軟らかすぎるソールのシューズだと、最初は快適でも、後から、踵骨の下部(足底筋膜と接する、踵着地のポイント)が痛くなったりする。もちろん、クラウドサーファーにその心配は無用そうだ。なるほど、面白い!

 

【運動不足解消ジョグ(1㎞を7分で走るペース)】

歩きの次は、走り。最初は、運動不足の解消が目的なので、ゆっくり。その理由は、速く走ったら、ケガのリスクも高まるし、疲れちゃうから。信号待ちのレストタイムも含め、少なくとも15~20分は走りたい。“もっと走れるけどね”で切り上げれば、三日坊主とも卒業できるはずだ。

 

で、クラウドサーファー。歩いただけで、ミッドソールの穴が潰れるので、走ったらどーなる? ところだが、ピョコピョコ走りにはならない。不思議、きれいな反発力を生んでいる。爪先から踵にかけてのロッカー構造(揺りかごのようなカーブ)で、自然とカラダが前に進んでいる。

 

この撮影とは異なる日(まさにOnが日本上陸10周年を記念し、全国各地を走るイベントに参加して)、運動不足解消ジョグのペースで7㎞ほど走ったが、全くもって快適。ちなみにこのイベント、東京から福岡までの約1700㎞間、OnFriendsというコミュニティを走って結ぶという(正式名称は、Meet OnFriends Tour2003)。

 

【痩せラン(1㎞を6分で走るペース)】

定期的に走れば、脂肪は燃える。カラダの神様は、お腹周りも、お腹の中も、顎の下も、えこ贔屓せずに減らしてくれる。食事の“量”も、そして“質”も変えたくなければ、走れば良い。痩せランで減らせるエネルギーの目安は、自分の体重(㎏)×距離(㎞)。70㎏の人が10㎞走れば、約700キロカロリーを消費できる。軽めのランチ1食分がチャラという計算だ。昼抜きが辛いか、10㎞ランが辛いか、半分抜いて半分走るかは自由自在。痩せるためには、多少の犠牲は必要だ。食べてしまった過去は、変えられない。

 

で、クラウドサーファーである。“走る楽しさ”をMAX体感できるのは、やはり痩せランペースだろう。歩きと、走りで、着地感が変わる面白さ。カラダは少々重いが、シューズはとても軽い。気持ちは後ろ向きでも、ロッカー構造でカラダは前へ進む。クラウドサーファーなら、気が付けば2、3㎞はあっという間に過ぎているはずだ。

 

ランニングシューズは、玄関の靴箱には収納せず、常時、出陣の機会を与えよう。ステップの刻みと呼吸のリズムが調和して、どこまでも走れる気分になったら、体重計も楽しみになる。いつでも、玄関にあるクラウドサーファーが一緒に走ってくれる。

 

【スカッと走(1㎞を4.5~5分で走るペース)】

快調に走れるようになると、のろのろと前を走るランナーを抜かしたくなる時がある。ちょっとした坂を、無言で叫びながら駆け上がりたくなる時がある。走る楽しみは、何かと競う楽しみでもある。子どもの頃の、ただただ無心に駆け回っていた自分を取り戻そう。

 

残念ながらクラウドサーファーは、何かと競うには、優しすぎるシューズだ。ペースを上げるほどに、衝撃吸収性に富んだミッドソールのクッションが効いてくる。板バネであるスピードボードがないから、当たり前と言えば当たり前だ。

 

この撮影から1週間後のハーフマラソンは、残念ながらクラウドサーファーとは別のシューズで行うことに決めた。新たな起用は、“日常履きからレースまで万能”と噂の人気選手On「クラウドモンスター」である。次回は、クラウドモンスターの実走インプレをお届けしよう!

 

撮影/中田 悟

 

 

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「On」故知新、最新テクノロジーのプロジェクトが始動!/大田原 透の「ランニングシューズ戦線異状なし」

ギョーカイ“猛者”大田原 透が、走って、試して、書き尽くす! ランニングシューズ戦線異状なし

2023「On」春の陣② On「クラウドサーファー」の巻(前編)

 

「2023年、Onが最も注力するシューズが、3月23日に販売を開始した『クラウドサーファー(Cloudsurfer)』です。“雲の上の走り”というOnの特徴を引き継ぎつつ、今までのOnになかったテクノロジーを採用した、全く新しいシューズです」

↑「クラウドサーファー」(※東京マラソンEXPO2023にて、日本先行限定323足発売された)、1万8480 円(税込)。Creek I White、All I Black、White I Frost の3カラー展開。サイズ展開は、メンズ25~32cm、ウィメンズ22~28cm

 

と、語るのは、オン・ジャパンの前原靖子さん。前原さんは、オン・ジャパン開設時のメンバーであり、同社共同代表の駒田博紀さんの懐刀のひとり。そんな前原さんに、最新鋭クラウドサーファーの魅力を、東京・原宿のフラッグシップストア「On Tokyo」で語ってもらった。

↑オン・ジャパンPRリーダー前原靖子さん。アウトドアをこよなく愛する、まさにOnを体現するアクティビストである!

 

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生まれ変わったクラウドサーファー

「クラウドサーファーは、10年前にOnが最初に開発したシューズの名前でもあります。新発売のシューズは、Onにとって記念すべきクラウドサーファーの名前を継いだモデル。Onのシューズの未来型として期待しています」(前原さん)

※以下、ややこしいので、10年前のクラウドサーファーを便宜上「アーリーサーファー」と呼ぶ。

 

アーリーサーファーは、Onのシューズの顔とも言える、穴の開いたミッドソール=「クラウドテック」を初めて搭載した画期的なシューズだ。筆者も10年前、東京マラソンEXPOの出店ブースで初めてOnのシューズを見た際、ゴムホースを潰して貼ったかのようなルックスと、衝撃吸収の機能性をアウトソールに持たせたような構造の斬新さに、目を見張った記憶がある。

↑Onの顔とも言える、ソールにチューブが埋め込まれたアーリーサーファーのクラウドテック(世界特許)。この機能が、ミッドソールなのか、あるいはアウトソールなのかは、議論が分かれるところだ。現在Onはクラウドテックをミッドソールの機能と解説しているが、筆者は“衝撃吸収機能を有した独創的なアウトソール”と考えている

 

Onの最新テクノロジー「クラウドテック フェーズ」とは?

「Onが(アーリー)サーファーに籠めたのは、クラウドテックというテクノロジーを通じて、従来にない“ランニングの楽しさ”を伝え、ランニング界に新たなセンセーションを巻き起こすというメッセージでした。(新しい)クラウドサーファーには、今までOnの全てのシューズに搭載してきた『クラウドテック』とは異なる『クラウドテック フェーズ』という新たなテクノロジーを使っています。従来の『クラウドテック』の改良版とは全く違う、最新のコンピュータ解析によって生まれた、どなたが履いても快適な心地よさを実現しています」(前原さん)

 

最新のミッドソールテクノロジーであるクラウドテック フェーズは、着地の瞬間、ミッドソールに開いた空間がドミノ倒しのように潰れて衝撃を吸収する。その素材は、Onのパフォーマンスランニング分野で、2019年から積極的に使用している「ヘリオン」と呼ぶ独自フォーム材である。

↑新生クラウドサーファーのミッドソール「クラウドテック フェーズ」。足入れして歩いてみると、“雲の上の”という形容がまさにピッタリな、ふんわりとした履き心地が得られる!

 

ヘリオンは、軽量でクッション性が高く、耐久性や温度変化にも強い素材だという。Onは独自素材としか公表していないが、前原さんは、“EVAではない”とも語っている。総合するとヘリオンは、欧米系のシューズメーカーがレーシングモデルを中心に採用しているエラストマー系素材と考えられる。

 

「新しいクラウドサーファーは、ふわっとした足入れ感が“誰にでも体感できて、分かりやすい”と、各国のバイヤーさんからも高い評価をいただいています。もちろん発売後のランナーの皆さんの評価によって変わる可能性がありますが、Onとしては、レーシング向けではなく、トレーニングや長い距離をゆっくり走るランニングシーンで履いていただくことを想定しています」(前原さん)

↑アウトソールの白い部材が、クラウドテック フェーズ。爪先と踵には、路面を捉えて摩耗しにくいラバーパッドを採用。筆者のような典型的な踵着地のランニングフォームだと、中足部のクラウドテック(特に外側)が早々に削られそうで、チト不安……

 

Onの原点=“走る楽しさ”へのあくなき追及

厚底でありながら、重量は26.5㎝で片足245g! 何と、250gを切っている。軽量化の秘策のひとつは、もちろんクラウドテック フェーズの採用だ。しかし最も寄与したのは、Onのパフォーマンスランニングモデルに共通して搭載される「スピードボード」を廃した点。「スピードボード」は文字通り、足裏全面に敷かれた硬質のプレート。着地衝撃を推進力に換える“板バネ”の役割を担っている。

 

「クラウドテック フェーズのロッカー形状(揺りかごのようなカーブ)は、スピードボードがなくても、流れるような自然な脚運びを生み出します。そのため、クラウドサーファーにはスピードボードを採用していません。スピードを求めるというより、(アーリー)サーファーが提供した“走る楽しさ”を重視したモデルです。最新のテクノロジーでクラウドテックの原点に立ち返った、Onにとっての今年最大の挑戦なのです」(前原さん)

↑踵部が巻き上がったクラウドテックフェーズ。アッパーの下には、Onの故郷であるスイス国旗があしらわれている。ちなみに、Onのロゴの「O」の頭に突起がある理由は、“スイッチOn!”を表す意匠なのだとか

 

「ドープダイ」の採用で、使用する水を95%カット!

前原さんによると、クラウドテック フェーズが、今後のOnの全モデルに標準搭載されるという計画は、今のところはないという。全ては、実際にランナーが履いて走って、その結果によって決まるのだとか。新生クラウドサーファーは、Onにとって(そして、私たちにとっても)実走できる実験機=コンセプトカーのような役割なのだ。

 

「スピードボードを採用しないことで、軽量化とともに、環境にも配慮できました。その点で言えば、クラウドサーファーのアッパーも、環境への配慮がなされています。アッパーを製造する際に使う水を、従来に比べて95%削減することが可能な『ドープダイ』という技術を採用しました。ドープダイは、化繊の糸を染めるのではなく、糸を作る時点で染料を加えています。水資源だけでなく、CO2の削減にも貢献できています」(前原さん)

 

ドープダイは「原液着色糸(原着糸)」とも呼ばれ、文字通り原料のペレットと顔料を混ぜて糸を作る技術だ。そのため、一般的な染色に必要な、精錬、染色、染色後の洗いの工程がそもそも発生しない。大幅に水を減らせる上、電気も使わず、しかも廃水も減らせるメリットがある。環境意識の高いスイスで生まれた、Onならではの取り組みのひとつと言えよう(ただしドープダイは、従来の工法に比べて、生産ロットが大きくなる。大規模な生産でも十分に勝算があるという、Onのクラウドサーファーへの期待と自信の顕れと言えよう)。

↑新生クラウドサーファーにぴったりな軽量シェルを手にする前原さん。シューズイメージの強いOnだが、アパレルが多数並んでいる。ランニングを核にしたライフスタイル全般を網羅する商品構成で、オンでもオフでも着られるコレクションを展開中だ

 

クラウドサーファーの知見を広げたところで、次回はクラウドサーファーの実走インプレをお届けしよう!

 

撮影/我妻慶一

 

 

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どの色も魅力的! 歴史的勝利をカラーデザインで表現したアディゼロ アディオス プロ 3「アディゼロ 限定パック」

アディダス ジャパンは、「アディゼロ(ADIZERO) 」シリーズ最新モデル「アディゼロ アディオス プロ 3(ADIZERO ADIOS PRO 3)」から、ニューカラーコレクション『アディゼロ 限定パック』を、2023年3月27日に発売します。

 

5色の限定カラーウェイで登場!

1秒でも速いベストタイムを目指して走るランナーに向けたレーシングシューズ「アディゼロ」シリーズ。最速の走りで勝利をつかむために作り出され、数々の世界記録更新を支えてきた最新モデル「アディゼロ アディオス プロ 3」が、アディダス アスリートによる伝説的な勝利にインスピレーションを得た5色の限定カラーウェイで登場。

 

本コレクションは、2020 年のキビウォット・カンディ選手によるハーフマラソン世界記録更新と2017年のメアリー・ケイタニー選手によるフルマラソン世界記録更新はもちろんのこと、ペレス・ジェプチルチル選手の2020年世界大会制覇や2011年にジョフリー・ムタイ選手が非公式ながらも世界最速フルマラソン記録を残したレースなど、カラーデザインで表現しています。

 

また、グレテ・ワイツ選手が女性として初めてフルマラソン2時間30分を切った1979年のレースからインスピレーションを得たモデルには、オフホワイトとスカーレットレッドの配色をベースに「To Run is To Live(走ることは、生きること)」というフレーズのデザインが施されています。

↑アディゼロが支えてきた歴史的勝利をカラーデザインで表現

 

アディゼロ アディオス プロ 3は、ゴールまで、自分のペースをキープしたいランナーに。スピードを重視し、マラソンやハーフマラソンで記 録を追い求めるランナーのための、高反発推進テクノロジー搭載モデルです。価格は、各2万6400円(税込)。

↑カラー:ソーラーイエロー/コアブラック/ナイトメタリック(キビウォット・カンディ選手2020年着用カラーからインスピレ ーションを受けたモデル)

 

↑カラー:シグナルピンク/フットウェアホワイト/シグナルシアン(ペレス・ジェプチルチル選手2020年着用カラーからインスピレ ーションを受けたモデル)

 

↑カラー:グリーン/コアブラック/ナイトメタリック(ジョフリー・ムタイ選手2011年着用カラーからインスピレーションを受けたモデル)

 

↑カラー:パルスミント/ゼロメタリック/チームロイヤルブルー(メアリー・ケイタニー選手2017年着用カラーからインスピレー ションを受けたモデル)

 

↑カラー:オフホワイト/ベタースカーレット/シャドーネイビー(グレテ・ワイツ選手1979年着用カラーからインスピレーションを受けたモデル)

 

 

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On(オン)躍進のカギは、自前のコミュニティにあり! 共同代表が語る/大田原 透の「ランニングシューズ戦線異状なし」

ギョーカイ“猛者”大田原 透が、走って、試して、書き尽くす! ランニングシューズ戦線異状なし

2023「On」春の陣① オン・ジャパン駒田博紀共同代表に聞く、顧客の雲=「OnFriends」

 

2013年に日本に上陸した、「On(オン)」。この10年での躍進は著しく、ランニングのイベントはもちろん、街でも目にすることが圧倒的に増えている。今回、On躍進の秘密を、Onの顔とも言えるオン・ジャパン共同代表の駒田博紀さんに伺うべく、東京・原宿にあるアジア初のフラッグシップストア「On Tokyo」にお邪魔した。

↑オン・ジャパン共同代表の駒田博紀さん。自称「ゆるランナー」にして、トライアスリート、琉球空手の準師範、セミプロライター。以前、駒田さんが勤めていた商社がOnの日本総代理店になったことをきっかけに、セールスとマーケティングの担当に就任。その後、Onと商社との契約終了を契機に、日本法人の立ち上げに携わり、2022年4月よりオン・ジャパン共同代表に就任

 

ランニングを楽しくする!

「2010年にスイスで創業した当初から、Onが掲げているキーワードは“ランニングを楽しくする”です。Onは創業時から“走り始めることの素晴らしさ”や“走り続ける喜び”を、メッセージとして発信し続けていました。」(駒田さん)

 

On創業当時のランニング業界は、“走り切る”や“フィニッシュラインを○時間以内で”など、競技性を重視したメッセージをコミュニケーションの核に据えていた。こうした風潮に対してOnは、半ば意識的に、半ば無意識的に“ランニングを楽しくする”マーケット戦略に取り組んだという。

↑東京・原宿のフラッグシップストア「On Tokyo」のエントランスにて。“ギョーカイ猛者”は、商社時代の駒田さんも、もちろん知ってます!

 

「Onのマーケ戦略が他社と異なる理由は、スイスの創業者3人のパーソナリティによるところが大きいと思います。創業者のひとりはプロのトライアスリートですが、他の2人は、どちらかというとランニングが好きではありませんでした。」(駒田さん)

 

2人のうちのひとりはスノーボード選手。彼にとってのランニングは、体重を管理したり、足腰を鍛えるために“仕方なく走る”もの。もうひとりはビジネスパーソンで、走ることは、リフレッシュしたり、発想を豊かにしたりするために生活に必要なツールだったという。

 

「つまり2人は、トライアスリートのように“走る(ことで得られる勝利の)ために走る”人たちではなく、ランニングは、何か他の楽しみのための手段や言い訳だったのです。こうした“ランニング以外のことのために走る”人たちは、ランニング以外にも楽しみがないと長続きしないのです。」(駒田さん)

 

Onが着目した、ランというスポーツの新たな側面

「僕もトライアスロンをしますが、走った後のビールが旨いや、走っているのだから高カロリーな食事も大丈夫、一緒に走る仲間と食べるごはんが美味しいなど、そういった楽しみが必要です。スイスの創業者たちも、当時からそう考えていました。」(駒田さん)

 

確かに、自己ベストなどタイムを縮める“走るために走る”人は、ピラミッドの頂点のひと握りでしかない。筆者を含めた大多数の人たちは、沿道の仲間の声援に対してハイタッチで応えるとか、終わった後に競った相手を互いに讃え合うことを楽しんでいるのだ。

 

「ランニングは不思議なスポーツで、ひとりでも走れるのですが、チームスポーツの要素を加えると、もっと楽しくなります。」(駒田さん)

 

走る楽しさを前面にしたメッセージを発信し、しかもビジネスの形にするのは容易ではない。今でこそ様々なコミュニティが存在するが、10年以上前の、地域や会社のランニングクラブは、いわば“大人の部活”的な存在で、練習会をメインに互いを高めあうイメージがまだまだ強かった。

 

「ちょうど10年前、僕がOnを広める活動を日本で始めた時も、商社マンとして、短期的に結果を出すことを求められていました。当時は、楽しさを共有するためのイベント開催は、ちょっと考えにくい状況でした。こうした状況が変化した理由のひとつは、Onのグローバルが、独自のイベントフォーマットを築いたことだと思います。」(駒田さん)

↑上段の左側にあるのが「クラウドモンスター」、その奥のライトグリーンのシューズが最新の「クラウドサーファー」だ。次回から2回にわたって、この2足を実走レビューする!

 

“走る楽しさ”を分かち合う、Onの独自イベント

分かりやすい例として駒田さんが紹介してくれたのは、「スクワッドレース」という、チーム対抗イベント。5人ひと組などでチームを作って、参加者全員が一斉にスタートし、チームがゴールした平均タイムを競うという。他のレースにはないユニークさは、早くゴールしたら、コースに戻って仲間の背中を押したり、励ましても良い点。こうした“仲間とのランニングの楽しさ”を分かち合うイベントの開催をOnはグローバルで進めたという。

↑Squadには“仲間”という意味がある。Onが提案する、仲間が助け合ってゴールする、チームスポーツとしてのランニングの楽しみ方のひとつだ。(C)Koestler

 

「日本でも、『OnFriends』というSNSを通じたコミュニティが始まりました。Onのグローバルでも、他の国の例を見ないユニークな試みだと高く評価されています。#OnFriendsと検索すると、6万1000件くらいの蓄積があります。僕が使い始めたOnFriendsを、多くのOnユーザーが使ってくれるようになりました。」(駒田さん)

 

OnFriendsは、単なる顧客層の塊ではなく“ひとりひとり顔を思い出せる人たち”だと駒田さんは語る。OnFriendsを通じて、オンラインでも、オフラインでも、人々が繋がりあってきたことを、駒田さんは10年かけて、つぶさに見てきたのだ。

 

「オン・ジャパンが始まって10年の今、コミュニティのイベントが行われています。『Meet OnFriends Tour 2023』という名称で、網の目のようにつながりが濃いOnのコミュニティを、全国で走って結びます。東京から横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、福岡まで1700㎞、今まさに走っています。」(駒田さん)

↑3月5日に始まったツアーは、福岡を目指し西走中! “一緒に走りたい”と思った方なら、誰でも大歓迎だとか。OnFriendsで検索してみよう

 

福岡を目指し、西走! Meet OnFriends Tour

Meet OnFriends Tour 2023は、東京~福岡を5つのブロックに分け、6月18日のゴールに向けて、断続的に2週間の単位で各ブロックを走るという、壮大なイベントだ。駒田さんも、オン・ジャパンの社員も走れば、「OnFriends」、そして「OnFriends」に誘われた人も走るという。

 

「コミュニティの網が濃いところは人が集まるでしょうし、薄いところでは独りで走ることになると思います。Meet OnFriends Tourは、独りでは絶対にできないし、オン・ジャパンの社員だけでも無理。“頼むから一緒に走って欲しい”とSNSで発信し続けています。無事に成功するか、何とかなるか……。うーん、分からない……。この記事を読んだ方は、ぜひ参加してください。」(駒田さん)

 

OnFriendsは、バーチャルであり、リアルでもある、まさに雲をつかむような人たちだ。駒田さんの言葉を借りれば、“クラウド(雲)だけに、水の粒が各地に散らばっていて、それに熱量が加わると、一気にふわっと雲のように拡がる”のだとか。こうした水の粒の役割を果たす、起点になるような人物が全国に何人かいて、OnFriendsは各地で三々五々、クラウド的に活動をしているという。

 

深くて濃い、最強のコミュニティ

「大阪であったマラソン大会では、“Onを履いて走る人を励ます、私設エイドを作ります!”と、ある起点役が呼びかけてくれました。僕ではなく、彼ら彼女らが自分で企画し、実行してしまうんです。OnFriendsのコミュニティでは、僕が企画するまでもなく、大会の私設エイドだけでなく、さまざまなイベントを企画し、合宿まで“起こって”います。」(駒田さん)

 

OnFriendsは、“楽しいから”という理由で自発的に動いてくれる、理想のコミュニティだという。OnFriendsのイベントは、Onの製品を身につけなくても参加OK。OnFriendsのグループラインの中には、駒田さんの参加を認めないグループラインすらあるという。その理由は“雰囲気が、公式っぽくなるから”だとか。

 

多くのブランドは、製品の販促や、顧客情報の収集を目的に、そのブランドの製品を身に着けることを条件にして、イベントやコミュニティを運営している。しかしOnFriendsは、そうした発想とは異なる、ある種の“哲学”に貫かれて運営されている。

 

「冒険心に溢れていて、失敗しても次は成功すると信じ、そうした挑戦を仲間とも楽しめる。山や海に行ったら、その環境を大事にしようと自然に行動している。そんな人っていますよね。僕は、そういう人がOnのシューズを履いていなくても、勝手にOnFriendsだと決めてしまいます(笑)。」(駒田さん)

 

こうした濃い結びつきのコミュニティは、上がらないコンバージョン率のために規模を拡大し続けるしかない“薄い結びつき”のマーケティングと対照的な存在と言える。

 

秘訣は、“何人の人と、深く交流したか”

「1回の参加人数は少なくても、一緒に走って、レースを楽しんだ人たちは、何年経ってもOnのイベントのことを憶えています。ブランドとしての効果は計り知れませんし、ビジネスとして数字も物語っています。でも、こうした結びつきを追いかけられるテクノロジーは、まだないんですよね……。」(駒田さん)

 

Onが日本上陸して10年。自らも楽しみながら、バーチャルとリアルを縦横無尽に織り込みつつ、Onの顧客と直接触れ合うことを地道に続けてきた駒田さんだからこそ、OnFriendsという稀有なコミュニティが存在している。

 

「僕は、ラッキーでした。常に数字を負うような、いち担当者レベルでは、こうした取り組みはできません。しかも、上陸当時ひとりだったOnの事業を、10年経った今、成功として振り返ることができるのです。その秘訣を強いて言えば、“何人の人と深く交流したのか”なのでしょうけれど、何をもって“深い”のかも表現できませんよね。でも、日本のOnのコミュニティが“深くて濃い”ことは事実なのです。」(駒田さん)

↑駒田さんに誘われ、筆者もMeet OnFriends Tour初日の一部を走ってきた。高校生から壮年のおっさん(私だ!)まで、OnFriendsと一緒に約7㎞。Onファンのお店の大歓迎に、駒田さんも大感動。OnFriendsは、顧客だけでなく販売店も巻き込む重層的で熱いコミュニティなのだ

 

テクノロジーの進化も、“ランを楽しむために”!

「私たちのテクノロジーであるソール形状『クラウドテック』の進化も、“どうしたら、もっと走ることを楽しんでもらえるか”の追求の連続です。着地した瞬間のふわっとした感触、その直後のボン! とカラダを押し出してくれる感じ。“雲の上の走り”と私たちが呼ぶOnのシューズの良さを、さらにアップデートし続けることがOnの進化なのです。」(駒田さん)

 

新型コロナ禍を経て、日本のランニングシーンは大きな変動期を迎えている。競技性の高い市民マラソンが消滅したり、参加料金の高騰なども重なり定員割れする大会も少なくない。駒田さんは、日本のランニングシーンの変化をどのように見ているのだろうか。最後に、質問してみた。

 

「確信できるのは、コロナ禍による3年間の分断を経て、人のつながりと、祭りが求められていることです。今、必要なのは“愛と平和と、ハイテンション”です。Meet OnFriends Tour は、まさにそのためのイベントです。Onはランニングを通じて、ハッピーな人生を送る人を増やしたいと思っています。」(駒田さん)

 

いよいよ次回から、新発売となった「クラウドサーファー(Cloudsufer)」と最大の厚底を誇るOnの代表モデル「クラウドモンスター(Cloudmonster)」のインプレを紹介する。Onの実力や、如何に⁉

 

撮影/我妻慶一

 

 

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「走りたい」という気持ちさえあれば、誰もが自由に楽しめる! アディダスが「ランニング」をテーマにしたブランドキャンペーンをスタート

アディダス ジャパンは、グローバルブランドキャンペーン「Impossible Is Nothing」(「不可能」なんて、ありえない。)の一環として、ランニングをテーマとした新ブランドキャンペーン「「走りたい」だけ、あればいい。~Running needs nothing, but you~」を開始します。

 

同キャンペーンでは、ランニングというスポーツの根本に立ち返り、走ることの楽しさと自由さに、改めてフォーカスを当てています。

 

キャンペーンに合わせて公開となったブランドフィルムには、様々なバックグラウンドを持つ世界各地のランナーたちが、それぞれ異なる理由と目的を持って、自分なりのペースでランニングに向き合う姿が描かれています。

 

ハーフマラソン日本記録保持者の新谷仁美選手や、ケニアのペレス・ジェプチルチル選手など陸上選手のほか、エジプト出身のサッカープレーヤー、モハメド・サラー選手や、アメリカのダウン症アイアンマンアスリートのクリス・ニキック選手、チェコの義足ランナーやイギリスの80代シニアランナーなど、多種多様なランナーが登場します。出演者たちのパーソナルストーリーを通して、ランニングは「走りたい」という気持ちさえあれば、誰もが自分らしく、自由に楽しめるスポーツであることを、ブランドフィルムを通して伝えています。

 

3月26日には、同キャンペーンを体現するランニングイベント「ADIDAS TOKYO CITY RUN 2023」を、東京・明治神宮外苑前で開催。現在、スポーツエントリー公式ウェブサイト(一般)と、同イベント公式ウェブサイト(adiClub会員限定)にて、エントリーを受け付けています。

 

同社が日本国内で手掛けるレースとしては約4年ぶりとなり、様々なレベルのランナーが楽しめるように時間を設定した一般の部5キロレースのほか、前出の新谷選手や、イェゴン・ヴィンセント選手(東京国際大学駅伝部)、青山学院大学・國學院大學 陸上競技部所属選手などの招待選手による5キロ(男子・女子)/10キロ(男子)レースの開催も予定しています。

元祖・厚底シューズブランド「HOKA(ホカ)」、最新「クリフトン 9」試走会レポート

東京・神田錦町「10 OVER 9」。多くの皇居ランナーが利用する、ロッカーとシャワーを提供するランニングステーションである。ここで行われたのが、元祖・厚底シューズで知られる「HOKA(ホカ)」の主力製品の最新版「クリフトン 9」の試走会だ。

 

最初は物珍しさもあった厚底シューズだが、今や、ランニングシューズの主流。スポーツショップの店頭には、カーボンプレート入りのガチなアスリート向けモデルから、ビギナーでも履ける軟らかいのに反発性のあるモデルまで、各社さまざまなコンセプトの厚底シューズが並んでいて、選ぶのにひと苦労するほどだ。

 

そんな厚底シューズの百花繚乱のなか話題を集めているのが、本家とも言えるHOKA。スイス国境に近いフランスの街アヌシーで生まれ、アルプスの山里を走るランナーたちによって育てられた、ロードランからトレラン、ハイキングまで網羅する世界的なスポーツシューズブランドである。

 

【関連記事】
「HOKA(ホカ)」のMDに聞いた快進撃の理由!/「大田原 透のランニングシューズ戦線異状なし」

 

「クリフトン 9」の感想は、 まるで“パンの試食会”のよう⁉

本日、ランニングステーションの一室に集まった人たちの関心も、もちろんHOKAの厚底シューズである。お目当ては、発売されたばかりの最新鋭クリフトン 9。“マシュマロのように軟らかい履き心地”、“転がるように走れる”と早くも話題のクリフトン 9を、実際に履いて、走れるのだ。

↑HOKA「CLIFTON(クリフトン)9」メンズ10色展開、ウメンズ11色展開(2023年2月より新色を順次展開)。2万900円(税込)

 

集まったのは、月間150㎞走るトレーナーから、初フルマラソン挑戦を目指す女性、通勤の普段履きで愛用している方、話題のHOKAを一度履いてみたい!という方まで、ホントにさまざま。話題のブランドだけに、数多のランニングシューズの試走会とは異なる、異業種交流会のような雰囲気に包まれている。

 

“カワイイ、テンション上がる!”

“ふわっふわぁ!”

“めちゃ軽い!”

 

箱からクリフトン 9を取り出し、シューズを履くみなさんの独り言も、数多の試走会では聞こえない声ばかり。言葉だけ聞いていると、シューズの感想というより、まるで“パンの試食会”(笑)。と、テンションも上がったところで、いざオンロードへ! ケガを予防すべく、軽い準備運動で筋温も上げ、クリフトン 9の試走会がスタートだ。

↑ストレッチなど軽い準備運動は大切。すでにココでもクリフトン 9の軽さとクッション性も体感

 

アルプスの山里仕込みのHOKAを、東京の坂で体感!

試走会スタッフが選んだコースは、皇居・北の丸周辺の坂道を組み込んだ約4㎞。アルプスの山里仕込みのHOKAの厚底のパフォーマンスを体感するには、フラットな路面だけでなく、上りや下りがあるのが◎。上りでも転がるように楽に進み、下りでは厚底のクッション性能を存分に味わえる。“上りは嫌い”と話していた男性まで、シューズの性能を試すべくペースアップするほど。

 

筆者も参加者と一緒に走りながら、コメントを貰うことにした。「強く踏み込むと、跳ねてくれますね。わざといろいろなステップを踏んでいますが(笑)、横ブレはありません。フルマラソンが初めてという人から中級者まで、後半も走りをアシストしてくれそうですよね」(30代、男性)。

 

「軽い! この履き心地、初めてです!」(40代男性)。「前の型のクリフトンを履いていましたが、こんなに反発って貰えてましたっけ?」(30代女性)。「守られている感じがします!」(30代女性)。「HOKAのファンで、黒のシューズを、普段履きでもめちゃ愛用しています。今日はクリフトン 9で走れて、気持ち良いです」(30代女性)。と、笑顔で走る参加者からは、好感触コメントが続出なのである。

↑北の丸周辺の坂で、クリフトン 9ご自慢のミッドソールの性能を体感!

 

ポップアップストア「HOKA Marunouchi」で、ひと休み

「HOKAで一番人気のモデルがクリフトンです。今回のクリフトン 9は、8からのフルモデルチェンジとなりました。みなさん履いてみてどうですか?」と語るのは、HOKA のポップアップストア「HOKA Marunouchi」でランニングのアドバイスをしながらHOKA RUN CLUBの運営をサポートしているコミュニティリードの伊藤優衣さん。

↑クリフトン 9試走会の“ツボ”を解説してくれる、HOKAの伊藤優衣さん(左端)。なお、公式ランニングクラブHOKA RUN CLUBでは、HOKAの最新ランニングシューズの試し履きや、HOKAアンバサダーと一緒に走るイベントを実施している。詳しくはコチラをチェック!

 

「クリフトン 9のアッパーは、軟らかいエンジニアードメッシュという素材になりました。従来の圧着パーツも大幅に見直し、軽量化しています。クッション性の要の厚底のミッドソールも、全く新しいフォームになりました。反発性もあるので、スピードを出しても沈み込みがありません」(伊藤さん)

 

クリフトン 9のミッドソールは、前作に比べて3㎜厚くなりクッション性がアップ。しかも、重量はメンズの27㎝(片足248g)で2g、ウイメンズの24㎝(片足205g)では何と10g軽くなっているという。

↑HOKAのポップアップストア、東京・丸の内の「HOKA Marunouchi」にて記念撮影!

 

クリフトン 9は、走りだけでなく、カラバリもハンパじゃない!

「アウトソールも、デュラブレーションラバーという新素材にしたことで、耐久性もアップしました。アウトソールの踏み面もわずかに広くしたので、クッション性がアップすることで生じる着地時のブレを軽減して、安定感を持たせています。かなり走りやすくなっていますよ」(伊藤さん)

 

クリフトン 9の“転がるような”推進力は、踵から爪先にかけての揺りかごのようなロッカー形状によって生まれる。最新機種は、このロッカー形状をよりシャープにしたので、前に転がるように、自然とスピードに乗れるのだという。

 

「レースの後半でもシューズが自然と助けてくれますし、反発性もあるので、速く走りたい方もスピードが出せます。今日は女性が多いのでご案内しますが、ウイメンズは11色展開を予定しています(メンズも10色展開!)。2月、3月、4月と順々に新色を出していくので、好きな色をお選びいただけます。男性も女性も新しいクリフトン 9をぜひ、体感してください」(伊藤さん)

 

ということで、今回クリフトン9を体感したイベント参加者のコメントを最後に紹介しよう!

 

ランニングシューズが可愛いと、走るテンションが上がります!

清水由梨さん(31歳) 主婦

モデルの三原勇希さんのインスタを見ていて、「GOガール」という女性のランニングサークルに入って走り始めた清水さん。「走ることがきっかけで、今の旦那にも出会いました(笑)」。平日の夕方に2~3㎞、週末は5㎞ほど走っている。

 

「初めて買ったランニングシューズがHOKAです。「クリフトン 6」だったと思いますが、足幅も私に合っていて、オシャレだと思ってその時は選びましたね。ずっと愛用していましたが、そろそろ買い換えのタイミングでした(笑)。

 

クリフトン 9、軽いですね。カラーリングも、すごく気に入りました。ランニングシューズが可愛いと、それだけでテンションが上がって、走ろうという気分になります。このピンクは取り入れやすいので、春に向けて、明るいウェアと合わせてみたいです。今後は、フルマラソンに挑戦してみたい! ホノルルとか那覇とか、暖かい所とか、いつも行けないところで走ってみたいです」(清水さん)

 

走ってみて、“これはイケる!”と、ビックリしました

小泉照幸さん(43歳) 会社員

バスケットボールのクラブチームに入っているから、持久力を付けるためにランニングしている小泉さん。走るのは1か月に1、2回の週末。インターバル走を組み入れて、5~10㎞、多摩川の河川敷を走っているという。「バスケはストップ&ゴーだから、大会に向けての脚を作るため、追い込むときは1分ダッシュ、1分ジョグを繰り返し走っています」。

 

「HOKAは、タウンシューズとして履いている人が多いので、気になっていました。クリフトン 9はあまりに軽かったので、少し不安があったのですが、実際に走ってみたら“これはイケる!”と、ビックリしました。安定性があって、気持ちよく足を前に運べました。インターバル走でも踏み込みやすいし、ストップする時の感覚にも違和感がありません。

 

コロナ禍前はマラソン大会にも出ていたので、そろそろトレーニングを再開しようと思っています。クリフトン 9で距離を走った時にどう感じるのか、今から楽しみです。会社の同僚と台湾のマラソン大会に2回出場したので、また参加したいですね。このシューズなら、走れる気がします(笑)」(小泉さん)

 

初めてのHOKAは、フワフワで、走りやすかったです!

加藤万理さん(30歳) 会社員

ランニングサークル「GOガール」のメンバーである加藤さん。普段は週1、2回、5~10㎞ほど走っている。走り始めたのは高校生の時で、部活に入っていなかったから体型を保つために始めた。最初に出たホノルルのマラソン大会で、完走の達成感にはまったという。それからは、1年に1、2回はフルマラソンを走るほどに。自己ベストは4時間10分。「今は、サブ4(フルマラソン4時間以内)を目指し、ラン➝仕事➝寝る、しかしていません(笑)」。

 

「HOKAのシューズは、初めてです! フワフワで、走りやすかったですね。新しいシューズを履くと、慣れるのに時間がかかるのですが、クリフトン 9は違和感がなくて、普段から履いているフィット感で。脚が自然と前に出て、上り坂では跳ねるような感覚で走れました。下りでも、膝に負担がなくて、少しスピードを上げた方が良い感でしたね。自己ベストを更新したら、ニューヨークを走りたいです!」(加藤さん)

 

適度なクッションと反発が貰えて、良い感じで走れました!

長濱隼さん(31歳) トレーナー

普段は、パーソナルトレーニングの指導や、部活動のコンディショニングコーチ、マラソン大会での準備運動の指導などをしている長濱さん。ランニング経験は、ここ5、6年。「スパルタンレース」という障害物をクリアしながら走るレースに出たのがきっかけで、走力を上げたくて走り始めた。月間の走行距離は150㎞くらい、一番走っていたときは300㎞ほど。「週に2、3回、平日は朝の5時から近所を走り、週末はトレイルを20~30㎞走っています」。

 

「実は、HOKAのシューズを初めて履いたんです。履いてすぐ、“ふわっとしているけど、大丈夫かな?” と思ったのですが、横ブレも抑えられていて、適度なクッションと反発が貰えて、良い感じで走れました。フィッティングも凄く良かったです。観光しつつマラソンを走るシティマラソンや、ゆっくり長く走るLSD(ロング・スロー・ディスタンス走)などで、気持ちよく走れるシューズだと思います」(長濱さん)

 

撮影/中田 悟

 

 

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アディダス「ウルトラブースト ライト」は従来シリーズにない軽さと心地よさを併せ持った新ランシュー!

アディダス ジャパンは、幅広いランナーのニーズに対応するプレミアムランニングシューズ「ウルトラブースト(ULTRABOOST)シリーズ」の最新モデル、「ウルトラブースト ライト(ULTRABOOST LIGHT)」を発売。2023年2月23日よりアディダス オンラインショップ、アディダス アプリにて先行発売、3月3日よりアディダス直営店、アディダス オンラインショップ、アディダス アプリ、各アディダス取扱店にて一般販売を順次開始します。

 

ウルトラブーストシリーズ最軽量を実現!

ウルトラブースト ライトは、BOOSTテクノロジーの導入から10年を経て、長年の改良を重ね生まれた最新モデル。従来のBOOST素材に比べて30% 軽量化した革新的な新素材「Light BOOST」を採用することで、シリーズ最軽量を実現しています。さらに本作では、従来の「ウルトラブースト」に比べてカーボンフットプリント(温室効果ガス)を10%削減し、環境への配慮を反映した1足になっています。

↑「ウルトラブースト ライト」2万5300円(税込)。片足299g(メンズ27.0cm)

 

↑シューズのソールに搭載された LEP(Linear Energy Point)を再構築。新たに採用された「Light BOOST」と連動し、反発力をさらに引き出すよう設計されています

 

↑ 高機能な天然ゴム製「ContinentalTM ラバー」を採用し、どんな悪天候でも自信をもって走ることができる、優れたグリップ力を提供

 

今回、BOOSTテクノロジー導入10周年を記念して「ウルトラブースト ライト」スペシャルエディションを限定カラーで同時発売。10周年記念エディションは、 BOOSTテクノロジーを初めて搭載したモデル「エナジーブースト」のオリジナルデザインを踏襲。ブラックを基調とし、ブラックとイエローのディテールを施しています。

↑「ウルトラブースト ライト」スペシャルエディション

 

 

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世界初! サブ4を目指すランナー向けシューズ「S4」誕生のきっかけはアシックス社長の不満から!?

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、中止や延期となっていたマラソン大会がようやく通常通りに開催されるようになってきました。自身の記録更新を目指すランナーにとっては、また目標を持ってランを楽しむことができます。そんなランナーたちの最初の壁であり、誰もが目指すのがフルマラソンを4時間以内で完走する“サブ4(S4)”です。

 

アシックスは今回、サブ4達成を目指すランナーに向けて『アシックス「S4(エスフォー)」ローンチイベント』を開催。シューズの販売だけでなく、トレーニングメニューやレースまで提供する、世界初のパッケージでサブ4達成を全力支援します。

↑「S4」は、2月16日よりアシックスオンラインストアで先行発売し、23日からアシックス直営店(一部店舗を除く)、全国のスポーツ用品店などで順次発売されます。価格は2万2000円(税込)

 

54歳で“サブ4”を達成した廣田社長が抱いた不満

アシックス代表取締役社長CEO兼COOの廣田康人氏もサブ4を目指したランナーの一人。50歳でランニングをはじめ、54歳で参加した「東京マラソン」でサブ4を達成し、現在も精力的に大会に参加していますが、シューズには不満を持っていました。

 

「世の中にはいろいろシューズはありますが、サブ4向けのシューズがないことは私にとって大いに不満がありました」(廣瀬氏)

 

そんな社長が自身の不満を解消すべく開発陣を呼び集め、サブ4専用シューズの作成を依頼。そうして完成したのが今回発表された「S4」なのです。

↑「サブ4を達成した時の喜びは今でもよく覚えている」という廣瀬氏

 

「この『S4』は、トップアスリート向けの『メタスピード』などで培った技術をふんだんに盛り込んだうえで、サブ4向けに安定性を高め、クッション性も取り込んでいます。サブ4ランナーにとって、大きな壁となる30キロ地点でも足が残っている。そんな構造としております。そして今回は、シューズをローンチするだけでなく、サブ4を達成するためのトレーニングコンテンツ、そしてサブ4を実現するレースも用意しました」(廣瀬氏)

↑シューズボックス内のQRコードからサブ4を達成するためのトレーニングメニューにアクセスでき、リアル、オンラインでメニューが体験できます。さらに、5月14日・大阪(淀川河川敷コース)、5月21日・東京(国立競技場)で、サブ4達成への挑戦をテーマとした特別フルマラソン「チャレンジ4」を開催します

 

レースでの記録向上を目指したい日本のランナーに向けて

昨年の東京マラソンでは、完走者1万8000名のうちサブ4達成者は30%程度と高い壁となっていますが、同社では日本のランナーはレーシング志向が強く、レースでの記録向上を目指すランナーが多いと分析し、まずは日本限定で発売。その結果を見て海外での展開も検討するようです。

 

この「S4」は、「Sub4(サブ4)」の「S」はもちろん、「Speed(スピード)」「Stability(安定性)」「Safety(安全性)」の4つの「S」の要素を備えています。続いて、パフォーマンスランニング フットウエア統括部 開発部の谷垣雄飛氏が商品の特徴を紹介しました。

↑「サブ4を目指すランナーに、私たちの最適解を届けたい」と語る谷垣氏

 

「S4」最大の特徴が、ミッドソール内の前部から後部にかけて搭載されているカーボンプレート。V字形状のプレートが、つま先に向かって下がるよう傾斜をつけて配置することで、着地から蹴り出し時の足の動きを安定させ、効果的に体を前方向へ推進させるようになっています。

 

「フォーム材は、『メタスピード』に搭載しているアシックス史上最軽量、高反発素材の「FF BLAST TURBO(エフエフブラストターボ)」をミッドソールの上層部に搭載し、下層部には軽量なクッションフォーム材「ブライトフォーム」を採用し、安定性も兼ね備えた最適な反発性を提供します。

↑着地と同時に変形、圧縮し、素早く元の形状に戻ることで、跳ね返るような感覚が得られる

 

また、安定性確保のためにアウトソールの接地面を広げることで、反発力を持ちながらもサブ4達成を目指すランナーに適したライド感になるよう工夫しました。さらに、耐久性の向上にもつなげています」(谷垣氏)

↑さまざまな路面コンディションでもグリップ力を発揮する「ASICSGRIP(アシックスグリップ)」

 

アッパーは、上位モデルのメタスピードのデザインを踏襲し、同シリーズや「エッジプラス」と同じ軽量かつ通気性に優れた「モーションラップアッパー」を採用。フィット性も高めています。

↑シューレースについてもメタスピードシリーズ同様、凹凸のあるシューレースを採用することで、走行時に発生する緩みも抑えます

 

「アシックスはこれまで、サブ4を目指すみなさまに『エボライド』『マジックスピード』『GT2000』など様々な商品を紹介してきましたが、それぞれのモデルと比較して、抜群の推進性が大きな特徴となっています。サブ4という壁は、最適なシューズとトレーニングメソッドで打破できるというメッセージを伝えたい。実際、開発中に協力してくれたランナーでも、10年間かなわなかったサブ4を『S4』を履いて達成しています。この『S4』との出会いが、みなさまにとって後押しになれれば光栄です」(谷垣氏)

 

サブ4達成に欠かせないのは継続性

続いて、先日の香川丸亀国際ハーフマラソンでシーズンベストの62分51秒を記録した、市民ランナーから圧倒的な支持と人気を集めるプロランナー・川内優輝選手が駆けつけました。ちなみに丸亀国際には廣田社長も参加し、「S4」を履いて1時間53分7秒で完走。

 

川内選手(中央)とともに、サブ4ランナーの代表として廣田社長(左)、アシックスランニングクラブ コーチでもあるママランナー・池田美穂さん(右)も参加し、トークショーが行われました。

↑それぞれの目線で「S4」の印象やサブ4について、和やかに行われたトークショー

 

まず「S4」を履いてみた印象について、それぞれ語ってくれました。

 

「デザインはアシックスのスピードモデルと似ていますが、履き心地は違う。スピードモデルは筋力が必要だったり、ある程度トレーニングをしないと履きこなせない。S4は安定しているので、サブ4を狙うランナーにはすごく履きやすい。踵から着地すると推進力が得られるので、踵着地のランナーにはすごく合うシューズだと思います」(川内選手)

 

「前方への足運びが良くて『このシューズは違うな』と思いました。丸亀国際で履き、自分では(1キロ当たり)5分30秒ぐらいと思っていたところ5分10秒でいけたので、かなりいいシューズだと実感しました。しかし、最初から突っ込みやすい私のような性格は、気をつけないといけないシューズだと思います」(廣瀬氏)

 

「履いてすぐにライド感(スムーズな重心移動)が分かり、アッパーのフィット感の高さもしっくりくるシューズです」(池田さん)

↑サイズ展開は22.5〜29.0cm(0.5cm刻み)。カラーはハザードグリーン×ホワイト1色のみ

 

そして、サブ4を達成するために必要なことについて、それぞれが語ってくれました。

 

「継続して練習することが大事。足が痛くなったら無理しない。故障して長期間練習ができないと難しくなってきます。日常生活のなかで少しでも走る時間を見つけて、15分でも10分でもいいので必ず走るという習慣をつけることが大事」(川内選手)

 

「まずは怪我をしないためにランニングフォームの見直し、ストレッチをして欲しい。そして、練習。またペース感覚を養ってほしい。今、何分ペースで走っているのか分かるのもひとつですが、自分の体は何分ペースだとどれぐらいまで持つのか、体力の残量を見極める力も必要。ハーフマラソンや30kmマラソンに参加することで、足の感覚と呼吸の感覚の判断力は付いていくと思います。勢いだけではなかなか42キロは行けません。自分の体力がどれくらいだったら最後まで歩かず、走りきれるかのペース配分を養えれば、フルマラソン4時間切れると思います」(池田さん)

 

「サブ4をなんとしても達成したいという気持ちを強く持つこと。市民ランナーの中でサブ4を達成しているしていないかは、勲章があるかないかぐらいのもの。勲章が欲しいという気持ちは大切だと思います」(廣田氏)

 

最後には、それぞれがサブ4を目指すランナーへの応援メッセージを披露しました。

↑「練習が必要とばかり言いましたが、私たちも一緒に頑張る。応援している人がいっぱいいることを思い出してほしい」(池田さん)

 

↑「自信を持って出したサブ4ランナー向けのシューズです。みなさんにサブ4を達成していただきたい」(廣田氏)

 

↑「防府読売マラソンはサブ4を達成することで出られる大会。サブ4を達成するということはステータスになる。一緒に走りましょう」(川内選手)

 

近年は、厚底シューズ中心に各メーカーがトップランナー向けの革新的なシューズを発表していますが、一般のランナーにとっては憧れるものの、どうしても履く人が選ばれます。しかし今回発表された「S4」は、見た目はトップモデルながら多くのランナーが安心して履けるシューズ。

 

サブ4を目指すランナーだけでなく、新型コロナなどの影響でブランクがあるサブ4達成者など、力強くランをサポートしてくれる「S4」とともに、パッケージも見逃せません。

 

撮影/我妻慶一、編集部、オフィシャル

 

 

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HOKA(ホカ)の“元味”! クリフトン 9/「大田原 透のランニングシューズ戦線異状なし」

ギョーカイ“猛者”大田原 透が、走って、試して、書き尽くす! ランニグシューズ戦線異状なし

2023「HOKA」冬の陣② クリフトン 9の巻

 

ランニングシューズブランド自慢の逸品を、走って、試して、書き尽くす本企画。今回は、フレンチアルプスの麓アヌシーで開発された、元祖“厚底”ブランドHOKAのロードランニング代表モデル「CLIFTON(クリフトン) 9」である。

↑2023年2月15日に登場した「クリフトン 9」。メンズ10色展開、ウィメンズ10色展開(2023年2月より新色を順次展開)、2万900円(税込)

 

「“HOKAを履いてみたい”とおっしゃるお客様に、自信を持って私たちがお勧めするシューズが『クリフトン』です。機能的にもHOKAのラインナップの中心に位置して、一番ニュートラル。クリフトンは、言わばHOKAの“元味”です」。

 

と語るのは、日本におけるHOKAの販売戦略を担当する大庭貴士さん。大庭さんによると、クリフトンは開発当初、トレイルで培ったHOKAの機能をロードで活かすモデルのひとつだったという。

↑今回お話を伺った、デッカーズジャパンHOKA担当MD(マーチャンダイザー)大庭貴士さん

 

 

クリフトンを軸に、さまざまなモデルを開発される

「バランスが良いモノを作ったら、結果的に“元味”になった、というのが実情です。モデルが増えてゆくに従い、クリフトンを軸にして、さまざまなモデルが開発されるようになりました。クッション性があって、楽にトレーニングできるロードモデルという課題が先にあってクリフトンが出来たので、最初からHOKAを代表するシューズを作ろうとしたのではありません」(大庭さん)

 

クリフトンのターゲットは、最初にHOKAを履く人、ランニングを始めようとされる人、クッション性のあるトレーニングモデルを探している人、そしてフルマラソン42.195㎞を4~5時間かけて楽に完走したい人だという。

↑2層構造のアッパーは、素材が重なる部分を肉抜きし、圧着パーツも削減して、軽量化と耐久性を確保している

 

さらに厚底を3㎜増量、でも軽量に!

「最新のクリフトン 9では、ミッドソールを前モデルから3㎜厚くしましたが、重量は少し軽くなりました。素材のEVAのブレンド比率を調整することで、着地時のクッション性は高いまま、蹴り出しが強くなりました。HOKAのメタロッカージオメトリー(爪先と踵がゆりかご状にラウンドさせたロッカー構造)だけでなく、ミッドソールの素材そのものの機能も高めました。履き心地では沈み込み、蹴り出すと良く足が回ります」(大庭さん)

↑前モデルより3㎜厚くなったミッドソールながら、軽量になった。27cmのシューズであれば2g軽くなっている

 

圧倒的なボリュームのミッドソールに対し、クリフトンのアウトソールは張り付くように配されている。クリフトン 9では、アウトソールのラバーの位置を変更することで、中足部への負担を軽減。中足部のミッドソールも削られにくくなったという。

↑右は「クリフトン 8」。左が新作のクリフトン 9。足運びをスムースにすべく、中足部のアウトソールを改良している

 

ランナーが、走る快適さを求めて開発

「地味な部分ですが、足の甲にあたるガセットタンは、内側だけシューズのアッパーに固定されています。そもそもガセットタンは、タンを安定させるためのモノなのですが、内外両方をアッパーに連動させると、足入れが窮屈になってしまいます。タンは、歩いたり走ったりすることで、カラダの内側から外側に向けて引っ張られますから、内側を固定するだけで、タンがズレる気持ち悪さが防げます。開発者がランナーですから、何が快適なのかを、良く知っています」(大庭さん)

↑内側だけシューズに固定されたガセットタン。ローテクながら、ランナーに嬉しい設計だ

 

ヨーロッパ車と同じ発想のホールド感

クリフトンを含めたHOKAのシューズの特徴は、踵から中足部にかけてのアクティブフットフレームという部材で、しっかりと足が納まるようにしている点だ。昨今、ヒールカウンターが薄くなっているモデルが多く登場しているが、HOKAはホールド感を重要視している。

 

「シューズのクッションを活かすためにも、そして指先がしっかり使えるためにも、踵から中足部のホールド感は重要です。長時間の運転でも疲れさせない、しっかりしたシートを採用するヨーロッパ車と同じ発想です(笑)」(大庭さん)

↑踵から中足部にかけて、足をしっかりホールドするアクティブフットフレームという構造体が入っている。上から触っても、その存在がハッキリ分かる

 

 

いよいよ、クリフトン 9を試走!

いよいよ、クリフトン 9の試走スタート! まずは、シューズに足を入れた感覚およびウォーキングのインプレ。そして、初心者も含め、多くの方々がランニングシューズを履く、3つの理由に合ったペースで、実際にフィールドを走ってみた。

 

3つのペースは、以下の通り。「運動不足解消」が目的であれば、1㎞を約7分で走る(=キロ7分)の~んびりペース。続いて、脂肪を燃焼させる「痩せラン」に適した、1kmを約6分(=キロ6分)のゆっくりペース。最後は、距離ではなく、走る爽快感重視の、1㎞約4分30秒~5分で走る(キロ4.5~5分)「スカッとラン」。クリフトン 9の実力、とくとご覧あれ!

 

【まず、履いてみた!(走る前の足入れ感&ウォーキング)】

内側だけ固定されたガセットタンは、なるほど履きやすい。立ち上がっても、外見からつい想像してしまう奇異な感じは全くしない。厚底ながら、フラットな安定感。ドロップ(踵から爪先にかけての傾斜)が5㎜なので、当然と言えば当然。それにしてもクリフトン  9、よく沈む。

 

歩くとさらに、HOKA自ら“マシュマロ”と表現するクッション性を、まさに堪能できる。厚切りのステーキで例えれば“レア”。HOKAの“元味”をレアでいただく……と書くと、何の原稿だか分からなくなるが、このクッション性だけでも履く価値がある。加えて、HOKAのミッドソールの命ともいえる洗練されたロッカー構造「メタロッカージオメトリー」で、サクサクと歩ける。こんなフカフカさで走ったら、足が疲れるのでは? と、少々不安になるくらいだ。

 

【運動不足解消ジョグ(1kmを7分で走るペース)】

運動不足の解消のペースは、の~んびりが基本。1回走っただけでは、運動不足は解消しない。長続きさせるには、気楽に、散歩の延長の“散走”くらいがちょうどよい。休日の午前中、行先を決めず、ペースを落とし、時折止まってもOKで走ってみよう。という、の~んびりペースでのクリフトン9のクッショニングは絶好調だ。

 

厚切りステーキに例えると“ミディアムレア”。レアで感じたクッション性はそのまま、低速で走っても安定感まで失われてはいない。歩いている時に感じた不安感は、少し薄れてきた。しかも、見た目以上に軽い。厚底=重い、と勝手に思ってしまうが重量は248g(27㎝の場合)しかない

 

【痩せラン(1kmを6分で走るペース)】

散歩ならぬ“散走”だけでも、継続さえすれば、お腹周りはシュッとしてくる。継続できたあなたは、週に1回の“散走”を、週に2、3回にバージョンアップさせるチャンス到来である。ベルト穴の2段飛ばしシェイプも、夢ではないのだ。

 

1キロを7分で走る“散走”ペースから、さらに脂肪燃焼効率の高い1キロ6分に変えると、クリフトン 9の走り味が変化する。ミッドソールのクッション性に加え、バネが効いてくる。同じシューズなのに、乗り味が変わる不思議さだ。ミディアムレアの生感から、火が通ることでタンパク質が熱変性するのと同じく、クリフトン 9のミッドソールに硬さが出てくる。

 

ちなみに、筆者が、な~んにも考えずにクリフトン 9を履いて気持ちよく走ったペースは、1キロ6分10秒ほど。なるほど開発時のターゲット的にも合致している。筆者が最初にHOKAを履いた、クリフトン 2でウルトラマラソンを走ったペースもほぼ同じ。個人的な好みとしては、クリフトン 2の少し硬めのミッドソールの方だが、昨今の軟らかブームに竿を指すわけにもいくまい。

 

【スカッと走(1kmを4.5〜5分で走るペース)】

続いては、フィジカルではなく、メンタルのケアのためのラン。速く駆け抜け、気分を切り替え、喉の渇きをグビグビとさせたい方向け「スカッと走」である。フラットな路面を速く駆け抜けようとすると、クリフトン 9のミッドソールのバネは、ちと重い。設計が違うのだから、当然と言えば当然だ。

 

だが、坂道を走ると話は変わる。心臓バクバクで坂を上り、一気に駆け降りると、クリフトン 9のミッドソールは、まさに“ウエルダン”になる。坂道での走行で、クリフトン 9のミッドソールのクッション性と反発性がいかんなく発揮され、転がるように足が回る

 

撮影とは異なる日に、近所の石畳の激坂でも試してみたが、クリフトン 9の広い踏み面は不安定な石畳をしっかり掴み、ミッドソールのクッション性もあって、不安なく駆け降りることができた。多くのウルトラマラソンのコースには、必ずやっと走り切れる程度の、斜度の長~い坂が待ち構えている。クリフトンを選ぶ人が多い理由は、まさにアップダウンの強さにあると改めて気付かされる。

 

フレンチアルプスのトレイルランニングで培われたHOKAの衝撃吸収と安定性は、やはり坂で発揮されるのだ。う~む、また100㎞走りたい気分になってきたぞ!

 

 

撮影/中田 悟

 

 

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「HOKA(ホカ)」のMDに聞いた快進撃の理由!/「大田原 透のランニングシューズ戦線異状なし」

ギョーカイ“猛者”大田原 透が、走って、試して、書き尽くす! ランニグシューズ戦線異状なし

2023「HOKA」冬の陣① MDに聞く、日本戦略の巻

 

ランニングシューズの厚底化の勢いは、とどまることを知らない。実業団や大学のトップ選手など、いわゆるエリートランナー向けの厚底+カーボンプレートのレーシングモデル。その彼ら彼女らがトレーニングで使用する、カーボンプレート無しの厚底モデル(プレートがない分、脚への負担が軽くなる)。そして、こうした風潮を試してみたい我々一般ランナー向けの厚底モデル。さまざまな厚底ランニングシューズが、スポーツショップの棚を埋め尽くし、自分に合った一足にたどり着くのは、なかなか大変な時代となっている。

↑今回取材にお邪魔したのは、HOKAのポップアップストア「HOKA Marunouchi」(東京・千代田区)。シューズは、HOKAの代名詞ともいえるモデル「CLIFTON(クリフトン)」の9代目である

 

そんな現在の厚底ブームの源流を辿ると、2009年にフランスで生まれた「HOKA(ホカ)」に行きつく。HOKAはトレイルランから始まり、現在ではロードランニング、トレイルでもロードでも使えるオールテレイン、ハイキング用など幅広いラインナップを揃え、破竹の勢いでそのファンを増やしている。

↑HOKA設立期、ロゴもないプロトタイプ(後の「MAFATE⦅マファテ⦆」に繋がるモデル)。ミッドソールを取り囲むように黒のメッシュを張り付け、ミッドソールへかかる着地衝撃を反発性に活かす工夫が施されている。硬質のメッシュと中のクッション材が、いわばサスペンションの役割を担っている

 

見た目から判断できない、HOKAのフツーの快適さ

筆者がHOKAを代表するロードモデル「CLIFTON(クリフトン)」の2代目を初めて履いたのは、かれこれ7年ほど前。最初は、あまりに厚底なので……と遠目に見ていたのだが、足を入れると、あらビックリ。何の違和感もなく、むしろフツーに快適。

 

何だかんだと履きこむうちに、アップダウンが激しい100㎞のウルトラマラソンでも、何度も筆者のへっぽこ走りを支えてくれる一足になっていた。と、前置きが長くなったが、今日は、HOKA快進撃の理由を、日本での販売戦略を担当するMDの大庭貴士さんに取材すべく、東京・丸の内のポップアップストアにお邪魔したのであった。

↑今回お話を伺った、デッカーズジャパンでHOKAのMD(マーチャンダイジング)を担当する大庭貴士さん(左)

 

フランス生まれ、アルプス育ちの厚底シューズ

「HOKAは、スイス国境に近いフランスのアヌシーという街で生まれました。アヌシーは、フレンチアルプスに近く、HOKAはトレイルランニングのシューズからスタートしました。覚えておいていただきたいのは、私たちは単に、厚底を流行らせたかったわけではないということです。下りの衝撃吸収にミッドソールを厚くすることが有利なので、その機能を表現するために、結果的に厚底に行きついたのです」(大庭さん)

 

HOKAの日本戦略も、最初のターゲットはトレイルランナーだった。急拡大するトレイルのレースでのHOKAの使用率もうなぎのぼり、今のオンロードでのレースでHOKAが当たり前になっている以上に、HOKAはその分厚い顔でトレイルランナーたちの耳目を惹いたのだ。

 

山からオンロード、そしてファッションへ

「それまでも厚底のシューズは世にありましたが、HOKAは厚底にクッション性とスピード性という機能を求めました。ミッドソールのクッション性を活かして推進力に換えるために、揺りかごのように爪先と踵を滑らかに削り落とした『メタロッカージオメトリー』も特徴です。きれいにロッカーに乗り込めるように、ドロップ(踵から爪先にかけての傾斜)を小さくしてフラットに履けるようにしています」(大庭さん)

 

たしかにそれまでも、ヨーロッパやアメリカ発信で、敢えて厚底にすることで足の機能を高めることを狙ったシューズは存在していた。しかしHOKAは、こうした発想とは異なり、厚底に快適な走りを求めたことで、トレイルランニングブームを追い風に、ヨーロッパから北米、そして日本へ、オフロードからオンロードへ駆け出していったのだ。

 

「ボリューム感のあるシューズなので、ファッション感度の高い人たちも手にしてくれました。セレクトショップでの取り組みも始まり、そこから一般の方々にも認知が拡がったのだと思います」(大庭さん)

↑2017年より日本で本格展開を開始したHOKA。最もクッション性の高い定番シリーズが「ボンダイ」、そしてボンダイと並び人気なのがクリフトンである。左は「クリフトン 8」、右は「ボンダイ 8」

 

実は、「UGG(アグ)」や「Teva(テバ)」の家族!

新しいスポーツとしてトレランが広く認知されるこの時期、日本でのHOKAの展開は現在のデッカーズジャパンが執り行うことになる。デッカーズジャパンは、機能的かつファッション的にも支持されるブーツブランド「UGG(アグ)」やサンダルブランド「Teva(テバ)」も展開している世界的なフットウェアカンパニーだ。機能(パフォーマンス)軸でも、ファッション軸でも、きちんと商品の魅力を伝えることは同社の得意領域だ。

 

しかもデッカーズジャパンの伊藤輝希GMは、スポーツブランドの出身である。当時筆者も、伊藤GMからHOKAを扱う熱い意気込みを何度も聞かせてもらっていた。現在、HOKAの直営店では、3Dスキャンで足のサイズや形を計測しおすすめのシューズを提案するサービスや、最新のランニングシューズを試走できるトレッドミルを完備している。上記の全ての歯車がキチンと嚙み合って、現在の日本でのHOKAの人気に繋がっている。

 

厚底の正体は、EVA系素材

ずっと気になっていたのは、厚底の中身。大庭さんに聞きたかったのは、厚底の素材は何か? 見た目も手触りもEVAなのだが、HOKA自らミッドソールをマシュマロに例えるほど軟らかい。

 

「EVAをベースにブレンドして、強度や反発を変えています。EVA系は使い勝手が良いので、温度に左右されやすいウレタン系の素材はあまり使っていません。いわゆるエラストマー系素材も、今のところ使用していませんね」(大庭さん)

 

HOKAの故郷のフレンチアルプスでは、昼夜だけでなく標高によっても気温が1日の中で大きく変わる。EVAにブレンドしている素材などの技術的な部分は非開示となっているが、厳しいトレイルの環境でも十二分に耐えられる素材配合だと大庭さんは語る。

 

HOKAのロッカー構造には、2つの種類がある

「HOKAのロードモデルは、勾配が大きく変わらない路面で、足運びのローテが良くなるメタロッカージオメトリーを採っています。踵から爪先にかけて足裏全体が転がるような長いロッカー(HOKAでは「アーリーステージ メタロッカー」と呼ぶ)です。一方のトレイルモデルやハイクモデルは、不安定な路面でも安定させた上で、楽にロッカーを使えるように、中足部から爪先にかけてのロッカー構造(同じく「レイトステージ メタロッカー」)になっています。

 

HOKAでも、速さにこだわるランナーに向けて、マニュアルのスポーツカーのような、シューズの企画も行っています。しかしほとんどのモデルは、一般の方がスポーツとして走ったり歩いたりすることを楽しめるように、スピードも出るけれど、安定感もあるシューズとして受け入れられるように開発しています」(大庭さん)

 

ということで、次回はいよいよHOKAのランニングシューズの試走レビュー! 試すのは、HOKAのオンロードシューズの代名詞「CLIFTON(クリフトン) 9」(2月15日発売)である。

 

撮影/中田 悟

 

 

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機能とデザインの両面に特化! ニューバランスのランニングアパレルコレクション「Impact」2023年新作発売

ニューバランスジャパンは、ランニングアパレルコレクション「Impact」2023年の新作を発売します。

 

ランニングショーツはストレージにフォーカスし、多機能で便利なポケットを多彩に搭載。スマートな収納力で必要な物を便利に携帯できる「MULTIFUNCTIONAL POCKET(マルチファンクショナルポケット)」を配置。Zipつきバックポケットでスマートフォンや鍵、ICカードなどの小物を収納可能で、パンツの腰部分にあるルーフポケットは、脱いだジャケットをかけておけるので、手に持ったり腰に巻いたりするストレスを軽減できます。

 

軽量メッシュ素材が特徴のショートスリーブTシャツは、高い吸湿速乾性と、通気性が良く衣服内の快適に保つ冷却効果がある「NB ICE X(エヌビー アイスエックス)」を搭載。速乾性と軽量性で汗をかいても快適な素材に加え、細かいメッシュが透けを押さえつつ、走った後もドライな状態をキープします。

 

ショートスリーブTシャツとショーツは、Tシャツワンポイントロゴと両サイドのパイピングテープに反射材「360°リフレクター(Reflectivity)」を搭載。同社史上最高の反射力で、前後左右どの向きからも高い反射力を発揮し、夕方や暗い夜でも、ランニングやウォーキングを安心して楽しむことができるとしています。

 

ラインナップの詳細や価格は、同社公式サイトをご覧ください。

プーマ「ディヴィエイト ニトロ 2」、“軟いけれど跳ねる”大胆不敵な野心作!/「大田原透のランニングシューズ戦線異状なし」

ギョーカイ“猛者”大田原 透が、走って、試して、書き尽くす! ランニグシューズ戦線異状なし

2023「プーマ」冬の陣②ディヴィエイト ニトロ 2の

 

ランニングシューズブランド自慢の逸品を、走って、試して、書き尽くす本企画。今回は、北米のランニングカルチャーの拠点ボストンで開発された、プーマのランニングにおける世界戦略シューズ「DEVIATE NITRO 2(ディヴィエイト ニトロ 2)」である。

↑「ディヴィエイト ニトロ 2」 1万9800円(税込)。カーボンプレートを搭載し、“誰でも履けるみんなの厚底”を掲げる、プーマランニングのスタンダードモデルのひとつ。写真の2023SSカラーは、2月上旬発売

 

「プーマがお薦めするシューズは『ディヴィエイト ニトロ 2』。“誰でも履けるみんなの厚底”というコンセプトのシューズです」

 

と語るのは、プーマのランニングの商品企画担当・安藤悠哉さん。見るからに“速そう”な雰囲気の安藤さん。それもそのはず、青山学院大学駅伝部の元主将という“ホンモノ”のランナーだ。前回の萩尾社長も含め、ランニングに対するプーマの意気込みが伝わってくる布陣なのである。

↑安藤悠哉さん/プーマ ジャパン株式会社マーチャンダイザー。箱根の10区を走り青山学院大学3連覇・大学駅伝3冠のゴールテープを切った、陸上競技部の元主将

 

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ビギナーでも履ける、カーボン入りシューズを開発

ディヴィエイト ニトロ 2は、見た目は流行の厚底シューズ。しかも、トップランナーが使うようなカーボンのプレートが入っている。この連載企画は、あくまで、普通の人が快適に走れるシューズが対象。ちょっと不安である……。

 

「カーボンプレート入りのシューズは、トップランナー向けと思われがちです。しかし、ディヴィエイト ニトロ 2は、トップランナーのトレーニング用として、ビギナーの方にも、普段から履いてもらえるシューズとして開発されました」(安藤さん)

↑シューズ中央の凹み奥にチラリと見えるのが、カーボンの「パワープレート」。中足部だけでなく、足裏全面に入っている。また、アウトソールには「プーマ グリップ LT」と呼ばれる、グリップ力が強く、かつ削りにくく耐久性に優れる素材が使用されている

 

カーボンプレートの特徴は、カーボンの硬さによる反発性だ。そのため、ひとつ間違うと怪我のリスクを高める可能性が付きまとう。それが、走る筋肉を鍛え上げたランナーのシューズを対象に、カーボンが採用されている理由でもある。ディヴィエイト ニトロ 2が、カーボンプレートを搭載しつつ、ランニングのビギナーにも履けるシューズになっている秘密は、ミッドソールにあると安藤さんは語る。

 

ミッドソールは、驚くほど軟らかい!

「ディヴィエイト ニトロ 2のミッドソールには、高い反発性とクッション性を持つ、2種類のフォーム材を採用しています。ひとつは、かかとから前足部にかけての『ニトロ フォーム』。もうひとつは、前足部を中心に入れている、さらに軽量で高反発な『ニトロ エリート フォーム』です。ニトロ エリート フォームには、『陸上競技のスパイクにも使用されている高反発な特殊素材』も注入されています」(安藤さん)

 

実際に触れてみると、前足部の「ニトロ エリート フォーム」は驚くほど軟らかい。プーマは、独自のフォーム材の素材は企業秘密ということだが、一般的なクッション材であるEVA素材にはない驚異的な軽さと軟らかさがある。

↑ミッドソールのホワイト部分が、ニトロ フォーム。グリーンがニトロ エリート フォームだ。プーマは、早くからミッドソールの現在の流れのひとつである、エラストマー系素材に注目し、製品化してきた。エラストマー系素材は、軽量で高反発、温度や湿度などの環境に左右されにくく、劣化もしにくい(しかしコストが高い!)。プーマのニトロ フォームとニトロ エリート フォームは、エラストマー系素材と考えるのが自然だろう

 

“誰でも履けるみんなの厚底”

「2層構造により、かかとから前足部にかけてのニトロフォームで着地の安定性を保ち、前足部のニトロ エリート フォームによって軟らかさと高反発性を実現しています。この構造によって、ディヴィエイト ニトロ 2は、カーボンプレートを搭載しながら、ビギナーでも走れるシューズになりました」(安藤さん)

 

ディヴィエイト ニトロ 2は、前足部からかかとにかけて曲率(いわゆるロッカー構造)が比較的にフラットだ。ロッカーが大きい、ゆりかごの形状だと、転がるように進む。確かにスピードが出るのだが、これまた怪我のリスクを高める可能性がある。

 

「いわゆる“シューズに走らされる”ことがない設計です。前足部にあるロッカーも、フォーム自体が軟らかく沈み込むため、見た目ほど大きくありません。自分の感覚でしっかりと地面を踏んで、でもプレートの推進力を感じてもらえるので、 “誰でも履けるみんなの厚底”なのです」(安藤さん)

↑初代「ディヴィエイト ニトロ」から大きく変わったのは、かかと部分。軽量化を求めて、レーシングに近い肉薄タイプを、肉厚タイプに変更。しっかりとホールドさせたという

 

「カーボン入りシューズの敷居を下げる」

そもそも、ディヴィエイト ニトロ 2にカーボンプレートを入れた意図は、何なのだろう? 軟らかなミッドソールのフォーム材とカーボンプレートは相反する組み合わせなので、大いに気になる。

 

「シンプルに“速さを味わっていただきたい”という理由です。初代の「ディヴィエイト ニトロ」は、2021年SS(春夏)に登場しました。まさに、各社のプレートシューズが一斉にローンチされたタイミングです。プーマは、カーボンプレート入りのシューズの敷居を下げる、というコンセプトを2代目のディヴィエイト ニトロ 2にも継承しています。このシューズで使用されているカーボンプレートは、フルサイズながら、ハードになり過ぎないナチュラルな成型を施しています」(安藤さん)

 

前回ご登場いただいた萩尾社長の話でも、「ディヴィエイト ニトロ 2は、着地のファーストインパクトは軟らかだけれど、カーボンが弾いてくれるので良く進む」と評価していた。これは、試さずにはおれないぞ!

 

プーマのグローバル75周年を祝ったデザインのディヴィエイト ニトロ 2ブラックカラーモデルには、アニバーサリーのインソールが入り、2023年4月より展開予定。75周年モデルは、ディヴィエイト ニトロ 2の他にも、レーシングモデル、サッカー、ランニングアパレルでも予定している。

 

いよいよ、ディヴィエイト ニトロ 2を試走!

開発の話をたっぷり聞いたところで、ディヴィエイト ニトロ 2の試走スタート! まずは、シューズに足を入れた感覚およびウォーキングのインプレを行った。そして、初心者も含め、多くの方々がランニングシューズを履く、3つの理由に合ったペースで実際にフィールドを走ってみた。

 

最初は、「運動不足解消」が目的、1㎞を約7分で走る(=キロ7分)の~んびりペース。続いて、脂肪を燃焼させる「痩せラン」に適した、1kmを約6分で走る(=キロ6分)ゆっくりペース。最後は、距離ではなく、走る爽快感重視の、1㎞約430秒~5分で走る(キロ4.55分)「スカッとラン」。ディヴィエイト ニトロ 2、どこまで走れるのか、とくとご覧あれ!

 

【まず、履いてみた!(走る前の足入れ感&ウォーキング)】

足入れは、軟っ♡ 今までに履いたどのシューズでも得たことのない感覚。私の足は、昔気質の登山靴などの硬~い靴に慣れてきたので、最新技術を投入したミッドソールによる足入れの軟らかさには、正直、舌を巻かざるを得ない。軟いけれど跳ねる、という矛盾する機能を持つ野心的なシューズだけに、なるほど驚くほど軟らかだ。

 

ウォーキングでも、シューズの感覚を確かめる。トゥ(つま先)の反り返りはキツくなく、安定している。厚底シューズの多くが、かかととつま先とが弧を描くロッカー構造を採用している。理由は、ミッドソールのクッション性が高すぎると、推進力が得られないため、ロッカー構造で転がるように進むからだ。しかし、ディヴィエイト ニトロ 2には、カーボンソールが採用されている。推進力をロッカー構造に頼る必要がない、ということだろう。

 

【運動不足解消ジョグ(1㎞を7分で走るペース)】

運動不足の解消のペースは、ゆ~っくりが基本。景色を楽しんだり、気になるガーデニングショップに寄り道したりなど、運動習慣を楽しく身に付けたい。ディヴィエイト ニトロ 2は、着地の軟らかさに反して、バネがある。実際に走っても、着地時のフォームの沈み込みと連動して、カーボンプレートの反発性が発揮されているように感じる。転がらない安心感、しっかり地面をつかむ安定感があるのだ。シューズの重量は片足262g(27㎝)と若干重めだが、気になるほどではない。

 

【痩せラン(1㎞を6分で走るペース)】

走る運動習慣が付けば、カラダをシュッと絞るべく、週2回以上のランニングを心掛けたい。ディヴィエイト ニトロ 2のミッドソールには、クッション性の高さと反発性を併せ持つ軽量のニトロ エリート フォームが搭載されている。ニトロ エリート フォームは、低速では軟らかく、高速では反発性を発揮する。少しスピードを上げると、ミッドソールのパフォーマンスを体感できる。軟らかさはあるが、沈む感じはなくなる。カーボンプレートと共に、カラダが前に進むのだ。

 

距離を踏むと、普段のランニングではない筋肉の使い方を感じる。理由は、やはりカーボンプレートの存在だろう。データを取った訳ではないが、蹴り出しの位置が、他のシューズよりも手前(中足部)にある印象だ。土踏まずのアーチや母指球から強いバネで押し出される感じ。なお、私はファンラン志向の昭和のヒールストライカー(かかと着地)なので、カーボンのバネをより強く感じたのかもしれない(前足部=フォアフットで着地する方は、異なる感覚を得るはず)。

 

今回のインプレでは違和感はなかったが、毎日10㎞以上走る頻度の高いトレーニングを積むのであれば、今どきのカーボンソールを履きこなすべく、フォアフットでの着地にフォーム矯正をするか、時間をかけてシューズを慣らした方が賢明だろう。マイルドな乗り味ではあるが、カーボンはカーボン。速さと硬さという諸刃を持つという特性を、忘れてはならない。

 

【スカッと走(1㎞を4.5~5分で走るペース)】

荒川(東京)の河川敷で行われた記録会でも、ディヴィエイト ニトロ 2を履いてみた。10㎞を4分40秒のペースで走る。ひゅ~、脚が残っている感覚♡。もっとペースを上げたくなるほどだ。なるほどカーボンソールは、しっかり走りをアシストしてくれている。一歩のストライドが大きく感じるし、10㎞走り終えても、まだ脚が残っている感覚だ。まだまだ速く走れそう。

 

しかしながら、このスピード感に、私の心肺機能や筋や腱が追いつくかは、全く別の問題。カーボンのバネに私の足が慣れていないため、アーチと足首回りに今までにない刺激を感じた。ハーフマラソン(21㎞強)で試すのは、もう少し普段のトレーニングでディヴィエイト ニトロ 2を履きこんでからだ。それにしても、ディヴィエイト ニトロ 2のカーボンプレートの速さの魅力は捨てがたい

 

撮影/中田 悟

 

 

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働き世代こそ「ウォーキング」すべき理由と最新ウォーキングシューズ

近年、若年層の間でも「ウォーキング」を楽しむ人が増えています。以前は、膝に負担がかかるとランニングを躊躇する中高年に、無理せずできるフィットネスとして支持され、20〜30代にはランニングの方が人気だったのですが、コロナ禍以降、状況が変わりつつあります。スポーツシューズメーカーからも、若者向けのウォーキングシューズがリリースされたり、通勤時に履くシューズに体を整える機能をもたせたりといった取り組みが続々。

 

「90歳になってもハイヒールの履ける人生を」というスローガンを掲げ、6万人以上にウォーキング指導をおこなう日本DFWALK協会代表の山口マユウさんに、ウォーキングの効果から最新のウォーキングシューズまで教えていただきました。

 

20代の2人に1人はウォーキングが習慣化! 若い世代の人気が高まる理由とは?

↑ニューバランスジャパンが、2022年7月29日〜7月31日に全国の男女25歳〜49歳600人を対象に行った調査

 

「ウォーキング」とは、健康増進や生活習慣病予防のためなど運動を狙って歩くことに加え、趣味としての散歩、意識しての徒歩移動の選択などを指します。ニューバランスジャパンの調査によると、20代の2人に1人が「月に一回以上習慣的にウォーキングを行っている」と回答。ウォーキングが若者に浸透してきていることを山口さんも実感しているそう。

 

「4〜5年前頃から、ウォーキング指導を受けにいらっしゃる方の年齢層が若くなっています。スニーカー女子を意味する “スニ女” という言葉も生まれました。健康寿命を上げるために、政府や大手企業がスニーカー通勤を推奨し始めたことも影響しているでしょう。

 

以前は根強かった『足をきれいに見せるならパンプス』という概念が、『足や健康のためにはスニーカーが一番』と浸透してきたのがうれしいですね。私のスクールでも、『90歳になってもヒールを履くために、移動はスニーカーでしましょう』とお伝えしています」(日本DFWALK協会代表・山口マユウさん、以下同)

 

「また、ウォーキングシューズのデザインがかわいくなったことも大きな要因だと感じます。20年前は、ランニングやゴルフウェアは全身カラフルで可愛いのに、ウォーキングファッションは野暮ったく、ウォーキングシューズの色は黒、茶色、ベージュ、レンガ色くらいしかありませんでした。以前スポーツショップにしか置いていなかったスニーカーが、今では女性のファッション売り場にもあり、カラフルなスニーカーを購入できるようになりましたね。こうした背景が、若者にウォーキングをするよう後押ししているようです」

 

【関連記事】1回7分以上・1日8000歩まで! パンプスでもできる「通勤ウォーキング」の実践法

 

【痩せる・引き締まる・きれいになる】+【体の基礎が整う】
女性にうれしいウォーキングの効果

山口さんによると、ウォーキングの効果は【痩せる・引き締まる・きれいになる】の3点に加え、【体の基礎が整う】ことが挙げられるそう。ウォーキングは、筋トレやハードなスポーツに比べ、効果を実感しにくいと思う人もいるのでは? そんな思い込みを覆す驚くべき効果を教えていただきました。

 

1.痩せる

「アメリカの研究では、1日30分以上歩くと基礎代謝が上がり、食生活は変えなくても太らないという結果が出ています。30分で歩ける距離はだいたい2kmです。1日30分以上歩いた上で食生活も見直したり工夫をすれば、必ず痩せるということになります。また、女性の歩くスピードは平均時速3kmですが、おしゃべりが好きな女性におすすめなのは、お友達と一緒に時速5kmで歩いてみること。強度が上がるので痩せやすくなります。時速5kmまでだったらおしゃべりを楽しみながら歩けるんですよ。それ以上の速さになると本気のスポーツ系のウォーキングになるので、おしゃべりは難しいですね」

 

2.引き締まる

「ウォーキングには、ただ痩せるだけでなく、体を引き締めて理想の体型を手に入れることができるメリットがあります。引き締めるためのウォーキングの3つのポイントと効果は以下の通りです」

 

■ 引き締めるためのウォーキングのポイント

POINT1 後ろの足の足指で地面を蹴って進む

↑「片方の足を前に出してかかと着地をする直前のタイミングで、後ろの足をぐっと踏み込んで地面を蹴る力で前に進むようにします。歩幅も広がり、運動量も上がります」

 

POINT2 腕を真後ろに引く

↑「腕を真後ろにしっかり引き込んで歩くと歩幅を広げる助けになります。また、上半身のトレーニングにもつながります」

 

POINT3 一本線上に足を出す

■ 正しい歩き方によって得られる引き締め効果

【ヒップアップ】
「後ろの足指で地面を蹴ることでヒップアップ効果が期待できます。お尻からグッと足を前に持っていくことで、お尻の筋肉に力が入ります。前の足の体重が足の甲に乗るところまでいっても、後ろの足をギリギリまで地面か離さないようにする。そうすると、一歩ごとにお尻の筋肉がポコッポコっと動き、ヒップアップにつながります。お尻が上がることで足の長さも出ます。逆に力を抜くとお尻の幅が出てしまい、同じ服を着ていても太く見えてしまうので注意が必要です」

 

【美脚】
「ウォーキングには、美脚効果もあります。ヒップが上がることで足が長く見えるということもありますが、後ろの足指で地面を蹴って歩幅が広がると下半身の運動量が増えるので、蹴り込んでいる後ろの足のヒップライン、太ももライン、ふくらはぎ、足裏まで足全体が使われて引き締まります。また、足を一直線上に出すことで、体の軸が内側に戻り、内ももを鍛えることができます」

 

【ウエストのサイズダウン】
「クラシックバレエやソーシャルダンスの動きは重心がほとんど上の方にあります。ウォーキングも同様に、姿勢を正して上へ持ち上げられるベクトルと、足指で下へ蹴り込むベクトルとで引っ張り合うので、ウエストまわりがすっきりします。どこも意識せずになんとなく歩くと、外側にベクトルが働いてももとふくらはぎの外側が発達して足が太くなり、内側がやせ細ったりぜい肉がついて体型が崩れたりしてしまうことがあります。一本線上に足を出すことを意識することで、内ももとお尻に力が入り、骨盤を支えている内転筋、骨盤と連動している下腹も使えるため、下腹もぺったんこになる効果が期待できます」

 

【二の腕痩せ】
「一歩ごとに腕を真後ろにぐっと引き込んで歩くことで、二の腕の運動になり、引き締まります」

 

3. きれいになる

「実は、ウォーキングは一瞬で痩せ見えを叶えます! 普段私たちは、頭から全身の重さを全部、膝や足裏で受けてしまいがちです。上半身は腹筋と背筋で支え、胸襟を開いて下腹に力を入れてお尻を閉めて歩くことで、2kgくらいは痩せて見えるのです。例えば、服を買いにショピングモールに行けば、試着のためにフィッティングルームに入りますよね。新しい服を着て鏡を見るときって、自然とシャキッとした姿勢になる。きれいに見せるためにはこうした姿勢をしたほうがいいと私たちはわかっているので、その姿勢を日常的におこなえばいいだけです。そして、正しい歩き方でウォーキングを継続して体が引き締まってくると、周りからの声も変わります。『最近痩せたね』『スタイルが良くなったね』と言われると、結果が出ていることを実感し、気持ちもワクワクして、心にも体にも好循環が生まれてきます。女性ってあれもこれも欲しい『欲張りちゃん』だから、それを全部叶えてくれるのがウォーキングかもしれないですね。通勤は一人で黙々と歩く、ショッピングは友達と一緒に姿勢を正して『モデル・タレント気分で歩こう』と決めるなど、わざわざウォーキングをしに出かけなくても、日常の中できれいになることができます」

 

4. 体の基礎が整う

「痩せる・引き締まる・きれいになるの他に、歩いて基礎代謝が上がり血行が良くなることによって、全体的に健康な体に整っていきます。主に期待できる効果をご紹介します」

 

【肩こり解消】
「腕をまっすぐ後ろに引いて歩くことで、二の腕の筋トレ効果があるだけでなく、肩甲骨まわりのコリが解消します。凝り固まっている人は腕を後ろに引くたびに『ゴリッゴリッ』と音がしますが、だんだん『コリッコリッ』という音に変わって軽やかになり、最終的には音が鳴らなくなります。そうすると、肩まわりが楽になってきます」

 

【思考力アップ】
「腕を後ろに引いて歩く効果として、大胸筋を開くために脳への酸素供給がアップすることも挙げられます。脳に酸素が行き渡ることによって集中力が高まり、サクッと仕事を終わらせて遊びに行けるようになると思いますよ」

 

【体温や血圧が正常値になる】
「ウォーキングスクールのお客様の声から、体温や血圧が正常値になったという声もよく聞きます。歩くことで基礎代謝が上がるので、低体温だった方の体温が上がったり、高血圧・低血圧の改善が期待できます」

 

【冷え性の解消】
「下半身の中で一番大きな筋肉である太ももまわりをしっかり動かして基礎代謝が上がると、冷え性の解消につながります。足で地面を踏みしめて歩くと、第二の心臓と呼ばれるふくらはぎのポンプ運動も起こるため、血流が良くなることも冷え性を改善する要因ですね」

 

正しい歩き方に導く! 「ウォーキングシューズ」を履いた方がいい理由

1. 衝撃を吸収してくれるかかとのクッション性
「ウォーキングシューズはかかとにクッション性があり、歩行時の衝撃を吸収してくれる効果があります。それにより、長時間歩いても疲れづらく、膝や腰への負担も軽減されます」

 

2. 正しい歩き方に導いてくれる構造
「ウォーキングシューズはローリング歩行がしやすいよう、靴底に様々な工夫がされています。ローリング歩行とは、かかとから着地して、足の外側、内側、最後に親指に抜けていく、正しい歩き方のことです。最後に指で蹴り上げられるように靴底の指先が上がっていたりと、自然と望ましい歩き方に導いてくれます」

 

3. 足裏のアーチが整うインソール
「足裏にはアーチが5つあります。その中でも有名な横のアーチ1つと縦のアーチ2つが整うようにウォーキングシューズのインソールは作られている場合が多く、足裏が整うと足首もぶれづらくなります。私たちは体の全面積の2%しかない足裏で体全体を支え、たくさんの骨や筋肉などでバランスをとっているので、その足元をしっかり整えることで安定して歩くことができるのです」

 

■ ランニングシューズでの代用は可能?

「ウォーキングシューズをランニングシューズで代用することは可能だと思います。本来ランニングはつま先着地で、ウォーキングはかかと着地が主流なのですが、実は日本人に限ってはプロのランナーでもかかと着地の人が多いと言われています。日本で販売されているランニングシューズはかかと着地用に作られているため、ランニングシューズで代用できるとシューズ専門店の方もおっしゃっています。昔はランニングシューズの方が軽いと言われていましたが、最近ではウォーキングシューズも軽くなってきています。ただし、ランニング用、ウォーキング用と分けておいた方が目的がはっきりわかりやすいという点で、使い分けるのはいいですね」

 

自分の足に合うものが基本! ウォーキングシューズの選び方

歩きやすいよう工夫された様々な種類のウォーキングシューズが各メーカーから発売されていますが、洋服と同様に、試着をして自分の足に合うものを選ぶことが一番です。山口さんによると、自分の足に合ったシューズを履いて正しい歩き方が定着したら、どんな新作シューズでも履きこなすことができるそう。そのために、ウォーキング初心者は何を基準にしてウォーキングシューズを選べば良いか、3つのポイントをお聞きしました。

 

1. 足先が1cm〜1.5cm大きいサイズ

「ぴったりサイズのものではなく、足先が1cm〜1.5cm余裕のあるものを選びましょう。足の指が踊っているのがポイントです。足先に余裕がある靴を履くことで、指でしっかりと地面を力強く蹴ることができます」

 

2. かかとホールドが自分のかかとに合っている

「ウォーキングシューズのかかとホールドが自分のかかとの太さに合ったものを選ぶことが大切です。かかとをフィットさせることで、足首がぶれることを防ぎ、歩行が安定し足に負担がかかりづらくなります」

 

3. 靴紐で調整ができる

「足が靴の中で前後にずれると、足の指を圧迫して足の変形の原因になったり、かかとが動いて靴ずれができたりしてしまいます。靴紐で締め具合を加減することで、靴を足のサイズに微調整することができ、ウォーキングシューズと自分の足が一体化するので、足が靴の中で動いてしまうことを防ぎます。また、靴紐をきちんと結んで歩くことで靴が脱げる心配がなくなり、歩きやすさも大幅にアップします。気に入ったスニーカーの足幅が合わなくても、紐で調整できるのはうれしいですね」

 

進化が止まらない! 最新ウォーキングシューズ4選

1.柔らかさと高反発性を兼ね備えた新ソールを搭載

ミズノ「ME-03」8690円(税込)

 

柔らかさによってためた接地時のエネルギーを、ロスを少なく反発させるミズノ独自の高反ソール素材「MIZUNO ENERZY」が搭載されたウォーキングシューズ。ミズノが総合スポーツ用品メーカーとして培ってきた「反発性」に関する知見を集結させた技術を使い、従来のミッドソール搭載モデルと比較すると、柔らかさが約17%、反発性が約15%向上しています(※)。メッシュ素材で軽く、通気性が良い一足です。※設計などにより、効果や感じ方は異なります。反発性は鉛直方向に圧縮したときの比率になります。

 

「かかとは低反発で着地の衝撃を吸収してくれるため、足に負担がかかりづらいですね。ボディはメッシュ素材で通気性が良いので、長く歩いても熱がこもりづらいのもうれしいポイントです」

 

2.軽やかで弾むような履き心地

アシックス「GEL-RIDEWALK LIGHT」9900円(税込)

 

アシックスがランニングシューズで培った「GUIDESOLE」テクノロジーをウォーキングシューズに採用し、カーブ形状のソールがコロンと転がるような動きを生み出すことで、歩行時の足首部の負担を軽減した一足。ランニング用の「GUIDESOLE(ガイドソール)」のままでは転がりすぎて逆にエネルギーロスを発生してしまうため、つま先部分にフラットな領域「FLAT ZONE(フラットゾーン)」を設けることで転がりすぎを制御し、ウォーキングに特化したエナジーセービングをおこなえるよう工夫がされています。アッパー素材は環境に配慮した再生ポリエステル材を使用。

 

「ランニングシューズの構造を取り入れていて歩きやすさ抜群な上、足を入れる部分にも工夫がされているのでゆったりと履けます。本格的にウオーキングを楽しんでぐんぐん歩きたい方におすすめです」

 

3.スタイリッシュなデザインに充実の機能

ニューバランス「UA900」9900円(税込)

 

「いつでもどこでも “自分らしくスタイリッシュに快適に” 過ごせるウォーキングシューズ」として、どんなスタイルにも合わせやすいデザインに充実の機能を兼ね備えた「UA900」。外側にカーブしたヒールシェイプが脱ぎ履きを簡単にし、柔らかくフィットするインソールで疲れづらく快適に長時間の歩行をサポートしてくれます。爪先をしっかりガードしてくれる「NO SEW TIP」と、摩擦しやすいかかと部分の補強により、耐久性もアップ。柔らかく弾むような履き心地を実現したウォーキングシューズです。

 

「軽くてソフトなので、軽やかに歩きたい方におすすめです。見た目もスタイリッシュなので洋服にも合わせやすく、タウンウォークに最適な1足でしょう」

 

4.空気が循環するインソールで疲れ知らず

リーボック「デイリーフィット DMX ウォーク AP」8800円(税込)

 

インソールは、つま先、中足部、かかと部分に分かれた3つのエアポッドの中を空気が循環することで、足裏を刺激すると同時に土踏まずのアーチを自然な形でサポートしてくれる「DMX トリプルマックス ムービングエアー」を採用。柔らかなニット素材と伸縮性に優れた前足部分の構造により、快適な履き心地を実現しています。また、かかと部分を倒して後ろのストラップを足に引っ掛ければ、2WAYで楽しむこともできます。

 

「脱ぎ履きがしやすく、スタイリッシュなウォーキングシューズですね。空気が移動するDMXクッショニングを搭載しているので、通勤通学やショッピングも快適に歩けるでしょう」

 

【関連記事】“ナイキ一択”からどう変わった? 2022年「ランニングシューズ」最新事情と、普段使いしたい最新モデル

 

プロフィール

 ウォーキングスペシャリスト / 山口マユウ

一般社団法人「日本DF WALK協会」代表。証券会社勤務を経て、結婚。出産後、専業主婦から『VERY』『Como』『VOCE』『Domani』などの人気雑誌で読者モデルとして活躍し、プロのモデルに。モデルとしての活動をきっかけにウォーキングに興味を持ち、研究を重ね、ウォーキングスクールを始める。著書に『やせる3拍子ウォーク』(ダイヤモンド社)がある。
日本DF WALK協会 HP

 


提供元:心地よい暮らしをサポートするウェブマガジン「@Living」

プーマ ジャパン社長が目指す「グラスルーツ開拓」の先にあるものは?/「大田原透のランニングシューズ戦線異状なし」

ギョーカイ“猛者”大田原 透が、走って、試して、書き尽くす! ランニグシューズ戦線異状なし

2023「プーマ」冬の陣①プーマ ジャパン社長インタビューの巻

 

私たちが走る理由は、さまざま。体脂肪燃焼、なまったカラダの運動不足解消、仕事のストレスを走って吹き飛ばす、などなど……。そんな我々の走る足にぴったりのシューズを求め、ブランド各社の門を叩いて回り、開発コンセプトを聞き、走ってインプレッションするのが本企画。

 

で、今回訪ねたのは、東京・大崎のプーマ ジャパン。出迎えてくれたのは、プーマ ジャパン代表取締役社長の萩尾孝平さん。ご覧の通りのバリバリのランナー体型の萩尾さんは、やり手のビジネスパーソンでもあり、世界でその名が知られる製品開発のレジェンドでもある。

↑萩尾孝平さん/プーマ ジャパン株式会社代表取締役社長。グローバルでの長年のランニングシューズ製造開発の経験を持つ、スポーツ用品業界でその名を知らぬ人なしのレジェンド。2012年にGlobal Head of Running/Training Footwearとして、プーマグループへ移籍。ボストンのプーマ本社を拠点に、ランニング/トレーニングカテゴリーにおけるシューズビジネスを統括した。2018年にプーマ ジャパンの取締役営業本部長に就任後は、ホールセールマーチャンダイジング本部長も引継ぎ、プロダクトから営業まで日本でのビジネスを統括。2021年10月より代表取締役社長となる

 

プーマが、現在注力しているのは“速く走る”レーシングモデルだという。今回の「ランニングシューズ戦線異状なし」は、プーマの世界戦略におけるランニングシューズの位置づけについて。ジャパンの社長が語る、なかなか聞けない話をお届けしよう!

 

萩尾社長が語る、ランニングシューズ世界戦略

「スポーツメーカーとしてのプーマのルーツは、パフォーマンススポーツにあります。にもかかわらず、プーマのラニングシューズに対して、印象が薄い方がいることも事実です」(萩尾さん)

 

今年、設立75周年を迎えるグローバルスポーツブランド、プーマ。フットボールを思い浮かべる方も多いが、引退したウサイン・ボルトを持ち出すまでもなく、陸上競技はプーマのオリジンでもある。

 

「フットボール、ランニング、ゴルフなどのパフォーマンス分野は、ご存じのようにプロダクト開発、マーケティング、選手など、さまざまな投資が必要です。ここのところプーマの急成長で、新規投資のベースが4、5年前から整ってきました。ランニングシューズの開発も休まず続けていましたが、やっと、良い商品としての実が結んできました。

 

ランニングシューズ強化の優先順位が“速く走る”モデルである理由は、プーマが、スポーツメーカーとしてのクリエイティブを打ち出し、オーセンティックなメーカーという信頼性を勝ち得るためです。これを語る際に忘れてならない視点は、昨今の厚底+カーボンソールのムーブメントです。それまで選手は、契約によって履くシューズが決まりましたが、厚底+カーボンソールで一変しました。本当に良い製品を作って、しっかりと選手に向き合わないと、トップ選手が履かなくなりました」(萩尾さん)

 

プーマは2021年2月に、新素材「NITRO FOAM(ニトロ フォーム)」をミッドソールに搭載した新作ランニングシューズ4モデルを発売した。その中でも「DEVIATE NITRO(ディヴィエイト ニトロ)」は、「ビギナーランナーからトップ選手まで」をターゲットにしたモデルとなっている。

↑センセーショナルに登場した、プーマのランニングシューズ「ディヴィエイト ニトロ」

 

プーマのランへの“本気度”は、サッカーと互角!

私たちも、“トップ選手が履いているシューズ=良い製品だよね”と漠然としたイメージは確かにある。しかし、ピナクル(頂点)を取っていき、そこからシャワー的にマスに広げるというのは、古典的な手法とも言えそうだが……。

 

「ランニングは、フットボールとともに、プーマの世界戦略の最重要カテゴリーです。トップ選手に選ばれたことを一つのエビデンスとして、一般の人たちにもプーマのシューズを選ばれる流れを作りたいと考えています。製品の善し悪しでユーザーが物を選ぶ時代だからこそ、こうしたやり方が必要なのです」(萩尾さん)

 

プーマの北米本社があるボストンには、ランニングとトレーニングの企画開発拠点が置かれている。かつては萩尾さんも、ボストンでシューズの企画開発のトップとして、プーマのランニングシューズ作りに携わってきた。

 

「ボストンの企画開発拠点は、私がいた4年前に比べ、2倍の規模に拡張しています。バイオメカニズム(運動力学)のチームは、ボストンだけでなくドイツにも置かれ、外部のエンジニアとも連携して技術開発やテストに携わっています。ドイツとアメリカの大学から科学的なフィードバックを得る体制も整えていますし、シンプルなシューズなら、ボストンオフィス内のラボでも行えます。

 

私もボストンに行った際は、古巣の企画開発チームに顔を出して話をします。ボストンのチームも、日本のレポートを重要視しています。日本の“本気度”が評価されていますし、『EKIDEN』はグローバルでも話題に上がる共通ワードですから」(萩尾さん)

 

プーマのテクノロジーとスピリットは、今再びランニングへと注がれ、2021年より本格的に長距離ランニングへの商品展開、サポートへとつながっている。日本では、2021年4月より立教大学体育会陸上競技部 長距離ブロック 男子長距離パートとのパートナーシップ契約を締結し、ユニフォームやトレーニング、レース時のウェア、シューズなどのサポートを開始する。

↑1月23日より発売する日本限定、特別デザインのランニングシューズシリーズ「FASTER PACK(ファスター パック)」。「DEVIATE NITRO ELITE 2 EKIDEN(ディヴィエイト ニトロ エリート 2 エキデン)」、「FAST-R NITRO ELITE EKIDEN(ファストアール ニトロ エリート エキデン)」の2モデルをラインアップしています

 

クールなブランドが採る、ホットな“グラスルーツ”開拓

「プーマ ジャパンも、ランニングの強化、本気度をスピードアップしています。例えば、プーマのトレーニング用のスウェットと、ファストファッションのスウェットが同じような値段だったら、プーマが選ばれる理由は、どこにあるでしょう? それは、やはりプーマの“後についているブランドイメージ”ですよね。アスリートが着こなしているかっこいいイメージは、お客さま自身にも投影されます。これだけ物の選択肢が増えた時代だからこそ、値段以外の付加価値、つまりスポーツシーンでの満足感が与えられることが重要なのです。

 

だからこそ、グラスルーツ(草の根的な取り組み)も大切です。単に“良いものを作りました、選手が着ました”だけでは、お客さまはプーマの製品を手に取ってくれません。プーマのランニングの知名度は、まだ足りていません。私たちは、プーマのプロダクトを知ってくれていて、プーマというブランドの良さを理解してくれるお取引先の皆さんと、もっと密な取り組みをしたいという話をしています」(萩尾さん)

 

プーマ=“お店で出逢える”ブランドを目指す

ランニングシューズの企画開発のレジェンドである萩尾さんは、4年前にボストンから日本へ拠点を移した。その理由は、日本におけるプーマブランドの成長。そして3年後、グローバル企業であるプーマは、販売の責任者であった萩尾さんを日本支社の社長に据える。プーマの“本気度”は、半端なものではない。

 

「今は、本当に“ちゃんと一緒に取り組みをしていきましょう”という意識を感じられるお取引先を中心にお取り扱いいただいています。取り扱いを拡げても、お店に来るお客さまが手に取ってくれなければ、最終的にはマークダウン(値引き)です。選手が履いて信頼性を高めようとしている一方で、店頭で何%オフっていうのは、やはり正しくありません。

 

お店のスタッフも、プーマのシューズを履いてくれていて、お客さまに“良かったです”というコミュニケーションができる環境を整えています。昨年やったことは、試し履きイベントです。週末、プーマのスタッフを、さまざまなスポーツショップへ派遣して、お客さまひとりひとりとのコミュニケーションを、丁寧にやっています」(萩尾さん)

 

確かに、ネット通販の拡大などを受けて、店舗でのイベントは減少している。しかも新型コロナの流行は、こうした流れを一気に加速した。ひと昔前は、萩尾さんの指摘するように、毎週末、新製品の販促イベントで小売店の店頭は賑わっていたのだ。“お店で出逢う”楽しみを、無くすには余りに惜しい体験だ。

 

「今年はさらに拡大して、店頭でプーマの製品を試すだけでないイベントを、主要都市を中心にしようと思っています。それは、シューズを実際に履いて、プーマのメンバーと、普段できない練習を体験するイベントです。製品の良さを体験してもらって、“こんな走り方すると、この機能ってすごく出せるんですよ”ということをしたいのです。お客さまが製品の良さを感じてもらえるアクティビティを、グラスルーツでやっていきたいのです」(萩尾さん)

↑「体験イベントでは、エリートランナー向けのカーボン入りシューズも試してもらえるように考えています。このレーシングモデル(ファストアール ニトロ エリート)は、実は、かかとで着地した方が、カーボンの良さが増しました。カーボンのシューズは、フォアフット(前足部)着地が一般的ですが、私たちも走りながら気づきました。そんなやり取りを皆さんとしたいのです」(萩尾さん)

 

ビジネスミーティングは、走りながら(例えじゃなく、マジで!)

「お取引先とのミーティングも、走りながらすることが少なからずあります。先日も、九州のある専門店さんが東京に来られた際、スケジュールがないので、朝7時に皇居で待ち合わせて、1時間ほど走りながらミーティングしました(笑)」(萩尾さん)

 

萩尾さんは、社長にしてランナー。例え話ではなく、実際にビジネスミーティングを走りながら行う。かく申す筆者も、以前、ニューヨークで行われたプーマの記者発表の朝、一緒に走りながら開発秘話を聞き出した。萩尾さんは、ビジネスでもタフだが、マインドとフィジカルはさらにタフなのだ。

↑今回のインタビューは、オンロード&オフィスにて! 萩尾さんは、月間350㎞走るというガチランナーなのだ

 

「しかし今、個人的に大切にしているのは、走り続けるカラダの維持です。フルマラソンなどを頑張ってしまうと、怪我して走れなくなります……。実際私自身がそうなりかけていたので、毎朝、自分のカラダと相談しながら走っています。走るのは朝なので、ペースは5分半ぐらいからスタートして、上げても4分40ぐらいまでですね。月間の走行距離は、300~350㎞ほどでしょうか。まぁ、日課ですから。マラソン大会に行きましょうって、お取引先の方からも、いつもけしかけられています(笑)。

 

カーボンが入っているシューズは、ストライドの伸びが、やはり全然違います。一般の人たちにも、カーボンによって、もっと気持ちよく走れる感覚を得てもらいたいと思っています。今回、実際に試してもらうシューズは、“軟らかい着地だけど、進む”のが最大の特徴です。トゥスプリントの傾斜も緩やかなので、一般の人たちが踵着地で走るゆっくりのペースでも違和感がありません。軟らかくもあり、弾いてくれる感覚もあるすごいシューズだと思います。“誰でも履けるみんなの厚底”モデル、楽しんでください」(萩尾さん)

↑次回は、最新「ディヴィエイト ニトロ 2」を手に持つプーマのランニング商品企画担当、安藤悠哉さん(写真左)の話を掲載する予定だ。安藤さんは、なんと、箱根の10区を走り青山学院大学3連覇・大学駅伝3冠のゴールテープを切った、陸上競技部の元主将なのである

 

走るテンションもマックスになったところで、萩尾さんイチオシのシューズ「DEVIATE NITRO 2(ディヴィエイト ニトロ 2)」の紹介、そして実際に走ったインプレは、次回にお預けだ!

 

撮影/中田 悟

 

 

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驚きのデザイン!ミズノ「WAVE REBBELION PRO」がフォアフット走行で記録を狙えるワケ

新年の風物詩、箱根駅伝が今年も行われ駒澤大学が2年ぶり8回目の総合優勝。様々な感動のドラマがありましたが、トップアスリートだけでなく、市民ランナーの関心を集めているのが厚底のランニングシューズです。各メーカーが趣向を凝らしたシューズを開発している中、個性的なシューズを生み出しているミズノが、斬新な厚底シューズを発表しました。

 

長距離ランナー向けシューズ「WAVE REBBELION」シリーズが登場!

長距離ランナーのシューズは軽量で薄底という常識が覆され、現在の主流となっているのが厚底シューズです。そこでミズノは昨年8月、厚底に推進力を持たせ、踵がない斬新なデザインの「WAVE DUEL PRO(ウエーブデュエルプロ)」を発売しました。

 

ウエーブデュエルプロがコンセプトシューズだったのに対し、2023年新たに、ウエーブデュエルプロで生まれた新機能をさらに進化させた「WAVE REBBELION(ウエーブリベリオン)」シリーズ、3モデルを発表。3モデルとも1月20日に発売します。

↑ウエーブリベリオンシリーズは、サブ2.5のエリートランナー向け「PRO(プロ)」(写真中央)、サブ3向け「FLASH(フラッシュ)」(右)、サブ3.5を目指す「SONIC(ソニック)」(左)の3種類を展開

 

「近年、ランニングシューズ、特にスピードシューズの領域がかなり大きく変化しています。ミズノも独自のアプローチでランナーのパフォーマンスをサポートする商品を発売します。ときには個性的すぎるという言葉もいただきますが、いままで世の中になかった感覚、感触、パフォーマンスを持ったウエーブリベリオンが、スピードを求めるランナーの選択肢になってくれると非常にうれしいです」(グローバルフットウエアプロダクト本部、企画・開発・デザイン部部長、竹下豪氏)

 

「WAVE REBELLION PRO」はスムーズ、スピード、アシスト!

スピードランナー向けランニングシューズ・ウエーブリベリオンプロは、「いかに効率良くスタートからゴールまで足を運ぶか」に着目。ゼロベースから考え直したときに、「軽い」「フィットがいい」そして「前へ進む推進力の高さ」の3つの要素が前提となりました。

 

しかし「それだけでは世の中にあるシューズと変わらない。これ以上にパフォーマンスを向上させるものはないか。その結果が『SMOOTH SPEED ASSIST(スムーズスピードアシスト)』機能でした」(パフォーマンスランニング企画課課長・青井俊輔氏)

↑「合言葉は『ゼロベース』。今までやったことがなかったこと、これまで常識と思っていたことをすべて疑う」ことから始めたと話す青井氏

 

見た目で分かるように、あらかじめフォアフットストライドの角度に設定された前足部、大きく拡張されたミッド部、そしてカットアウトさせた踵形状。この独特な形状が「スムーズスピードアシスト」を構成します。

↑「ウエーブリベリオンプロ」2万4200円(税込)。ウエーブリベリオンシリーズの中で一番デザインが特徴的!

 

着目したのは前足部から中足部で着地するフォアフット走法。その走法は、踵から着地し前足部に抜けていくヒールストライク走法に比べ、より速く走ることができます。ウエーブリベリオンプロに搭載したスムーズスピードアシストは、スムーズにフォアフット走法をサポートします。

 

「前足部はフォアフットで自然に着地しやすい角度に設定。この機能によって、しっかりと中足部を支えることでふくらはぎ周辺の筋肉の負担を減らし、地面からの反発を効率良く伝えていきます」(パフォーマンスランニング企画課・吉村憲彦氏)

↑「フォアフットでもしっかり安定感をサポートするために十分な接地面積を設けています」と吉村氏

 

↑左が従来モデル、右がウエーブリベリオンプロ。足首の支点と地面と接地する作用点の距離が短いほど、少ない力でスピードを発揮することができます

 

↑ミッドソールは2重構造。トップミッドソールに「ミズノエナジーライトプラス」、ボトムミッドソールには「ミズノエナジーライト」を搭載しています。踵はフォアフット走法で接地した際に、踵の落ち込みを抑える独自のエッジ形状

 

「どこからその発想はきたのか」をよく聞かれるそうですが、元になっているのは陸上の短距離用スパイクでした。

 

「短距離用スパイクは、ごく限られた距離で人類をもっとも速く走らせるために生まれたギア。必要なものだけが詰め込まれた純粋な道具です。このエッセンスを持ったシューズが5キロ、10キロ、そしてフルマラソンの距離を走りきることができたら。そんなストーリーから開発が始まりました」(青井氏)

↑すでに海外では結果が現れています。昨年9月に行なわれたアムステルダムマラソンでのハーフマラソンではトップ10選手中、6選手が「ウエーブリベリオンプロ」を着用して好タイムを記録しました

 

↑カーボン繊維で強化されたプレートを全面に搭載することで、クッション性と安定性を両立させます

 

↑前足部の中央に穴を設けることで、柔らかい材料を採用したミッドソールの柔らかさが蹴り出し時にも感じられます

 

サブ3、サブ3.5ランナー向けの「WAVE REBBELION」シリーズ

記録の向上を目指すすべてのランナーのために、ターゲットタイム別モデル2種もラインナップ。25年以上も進化を続けているプレート「MIZUNO WAVE(ミズノウエーブ)」を採用し、それぞれの走りを効率良くアシスト。この2モデルには、足幅の広いランナーに対応するワイドタイプも展開しています。

↑「ウエーブリベリオンフラッシュ」 1万7600円(税込)。ほど良い硬さのウエーブプレートが走行に必要なクッション性と安定性・反発性を高めます

 

↑軽量でグリップ性が高く、しっかりと地面を捉え、パワーロスを抑える「G3」アウトソールを採用

 

↑「ウエーブリベリオンソニック」 1万3750円(税込)。着地時の安定性とクッション性を高めるウエーブプレートを全面に搭載し、スムーズな加速をサポート

 

↑前足部と踵部のアウトソールの耐久性を高める「X10」ラバーを採用することでより長く使用できます

 

↑自身最後の箱根路に臨んだ創価大学4年の嶋津雄大さん(写真中央)も登壇。卒業後はGMOインターネットグループの選手としてウエーブリベリオンプロでフルマラソンに挑戦する

 

目がとまる独特の形状、カラーリングも爽やかなウエーブリベリオンプロを筆者が実際に履いてみると、自然と前傾姿勢になり推進力の高さが体感できます。また、見た目以上に軽く、クッション性の高さにも驚き。「人を最速で走らせるために、いかにスムーズなスピードランニングを考えるか」というプロジェクトを今後も続けるミズノが、現在の最新技術を凝縮させたランニングシューズ。

 

その異次元の感触を一度実感してみてはいかがでしょうか。

 

撮影/編集部

 

 

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