ランボルギーニ、EVスーパーカーをチラ見せ……18日にお披露目へ

Lamborghini(ランボルギーニ)は8月18日に公開予定の完全EVスーパーカーのシルエットを、X(旧Twitter)に投稿しています。

↑ Lamborghiniより

 

スーパーカーで名高いランボルギーニですが、同ブランドは今年3月にプラグインハイブリッド(PHV)モデルの「Revuelto(レヴエルト)」を発表。また、2024年にはスポーツカー「ウラカン」も電動化(PHV)される予定です。

 

 

今回ランボルギーニが公開したシルエット画像では、フロントガラスから長く傾斜したルーフへと流れる、流線型のシルエットがわかります。現時点ではこれ以上の詳細は判明していませんが、同車両はスーパーSUV「ウルス」に続く、ランボルギーニにとって第4のモデルとなることが決まっています。

 

ランボルギーニ初の完全EVスーパーカーは、8月18日のモントレー・カー・ウィークにてコンセプトカーが公開される予定です。ただしこれはあくまでもコンセプトカーで、実際の車両は2030年までに販売される予定となっています。ランボルギーニの完全EVスーパーカーがどのような姿でデビューするのか、実に気になるところです。

 

Source: Lamborghini / X via Engadget

吉田由美曰く「ランボルギーニ史上、最も楽しいランボルギーニ」ウラカン ステラート試乗記

2022年12月にドーハで発表された 、全地形対応スーパースポーツカーを謳う「ランボルギーニ ウラカン ステラート」。その国際試乗会がカリフォルニアで行われました。オフロードを走れるランボルギーニってどんなもんじゃ〜い? 試乗会に参加した吉田由美さんの試乗記をお届けします。

↑カーライフエッセイスト 吉田由美さん

 

今回は、米国カリフォルニア州パームスプリングスまではるばる、ウラカン ステラートの試乗に行ってきました!

 

そもそもウラカンは、フラッグシップモデルのアヴェンタドールと比べるとやや小ぶりなサイズ。これまでEVO、STO、テクニカなど様々なモデルが登場してきましたが、V10エンジンの最終モデルとして世に送り出したのは、未舗装路も走れるスーパーカーです。

↑V10エンジンは排気量5204cc、最大出力610PS/8000 rpm、最大トルク560 Nm/6500 rpm

 

スーパーカーというと、車高が低く、オンロードをオラオラ走るイメージだから…なんとなくミスマッチ。だけどこれが、乗った人全員が笑顔になるという、楽しい仕上がり。そう、最初に結論から述べてしまうと、試乗の感想は「ズバリ!楽しい♪」。

 

ウラカンシリーズの集大成として「どこでも走れるスーパーカーを作りたかったんだな」と。何がどう楽しかったかはこのあとお伝えしていきましょう。

 

【記事では紹介しきれなかったディテール関連のギャラリー(本記事で使用した写真のギャラリーは記事下部にもあります)】

 

試乗の舞台は、パームスプリングスから100㎞以上離れた砂漠の真ん中にあるサーキット「チャックワラバレー・レースウェイ」。サーキット自体は1周3.75㎞ほどの舗装路のコースですが、ウラカン ステラートの試乗のために半分を通常の舗装路、あとの半分は土の上を走る特別なコースを設定。なんと!同じサーキットのコース内で両方楽しめるという贅沢!

 

ウラカンの名はほかのランボルギーニのモデル同様に闘牛の名前を、ステラートはイタリア語でダートやオフロードという意味だそう。つまり、ダートを走るために生まれたクルマなのです。

 

ウラカン ステラ―トはベースのウラカンEVOと比べて最高地上高が44mm高くなり、ボディサイズは全長5mm長く、全幅を23mm広く、全高は83mm高くなりました。同時に、フロントとリアのトレッドも広くなっています。全体的にひとまわり大きくなっている印象ですが、ほかのウラカンとプロポーション上の違いはあまり感じられません。

↑スタイリングはこんな感じ。確かにいつものウラカンなら地面ひたひたですが、右のリアタイヤも見えるぐらいに最低地上高があります

 

むしろ、ボンネット先端に装備された長方形のラリー用のライトや、前後のアンダープロテクション、黒のオーバーフェンダー、きれいな風をエンジンに取り込むためのにリアフードにつけられたエアインテーク。このあたりはウラカンとは違う、オフロードの雰囲気を漂わせています。

↑ラリーライトに寄ってみました。どことなく闘牛のツノを思わせるよう。存在感たっぷりに配置されています

 

↑オーバーフェンダーもかなり分厚め。ここだけ見るとSUVのように見えますが、これはスーパーカー

 

↑リアのエアインテークは巨大。ながら一体感あるデザインでまとまっています

 

今回パワーアップされたのは、キャリパーやブレーキ系統。カーボンセラミックの大型ディスクブレーキが控えています。そして足元を守るのはブリヂストンのランフラットタイヤ「Dueler AT002」(デュラー AT002)。

 

SUV専用のブランドですが、今回、ランボルギーニとのコラボで開発されたステラ―ト専用タイヤ。乾燥路面はもちろん、ダートも泥の路面でも、浅い雪の路面もどんとこい!ブロックが大きくかなりマッスル。ちなみにサイズはフロントが235/40 R19、リアが285/40 R19。

 

ほかにウラカン ステラートならではといえば、シート。Verde Sterratoと名付けられたアルカンターラ素材が特徴的です。シートやインテリアのレザーとアルカンターラは60色から、エクステリアは350色からカスタマイズも可能。

 

内外装の注目ポイントを説明してきましたが、何より今回の目玉はドライブモードの「ストラーダ」「スポーツ」のほかに「ラリー」モードが設定されたこと。ラリーと銘打つこのドライブモード、どんなものなのか気になります。

 

気分は完全にラリードライバー

さて、お待ちかねの試乗です。砂漠のサーキット試乗はヘルメット着用。ただでさえ暑いのに…。しかし車内はエアコン完備。でも暑くて熱い。そして助手席にチーフインストラクターを乗せて、いよいよコースイン。

 

まずは「スポーツ」モードでオンロードを疾走。思ったよりタイヤのゴツゴツ感は感じられません。そしてコース途中からオフロードコースへ。ここでインストラクターから「ラリー」モードにするよう指示が出されます。

 

ラリーモードに設定し、コーナー手前でブレーキをかけて曲がると自然にリアが流れてドリフト状態になります。これがまるでスローモーション(というのは大げさですが)のように感じられるほど。ただし、車両を安心してコントロールできるので、気分はすっかりラリードライバーかはたまたドリフトドライバー。ラリーモードにすると、グリップが弱くなり、前後の駆動も配分も変わるようです。

 

華麗にドリフトが決まった半分は、電子制御のLDVI(ランボルギーニ・ディナミカ・ヴェイコロ・インテグラータ)のお陰かもしれません。そして、タイヤがしっかり路面を掴んでくれるし。

 

インストラクターは横から「GO!GO!」と私を煽り、コースに慣れてくると私も徐々にスピードアップ。それにしても自分でクルマを操ってる感、とにかく最高です!個人的には「ランボルギーニ史上、最も楽しいランボルギーニ」と言っても差し支えないでしょう。

 

乾いた土の上を走った後は砂煙が立ち、疾走感抜群。(私には見えてないけど)ああ、なんでこの写真がないの!?(笑)

↑【編集部補足】提供されたプレス用画像に吉田由美さんのイメージするような画像ありました

 

サーキットでの試乗後は、公道試乗。西部劇に登場しそうな荒野をひた走る…。と思ったら、実はカーナビの設定間違いで、違う目的地を設定するというアクシデントが。途中でスタッフに間違いを知らせてもらったのですが、おかげで設定コースより多くの距離をステラートで走ることに体験ができました。

 

50㎞ぐらいの一本道の直線道路は、いくら走っても同じような景色で圧倒。思いも寄らぬ試乗機会となりましたが、乗り心地は意外にも悪くなかったのが印象的です。

 

世界中からプレスを呼んだ今回の試乗会のうち、日本人チームは最後から2番目のタームだったのですが、私たちが乗るときには1本数十万円もするウラカン ステラートのホイールはほぼ全車が傷だらけ。しかもどこもかしこも。それだけみなさん、走らせて楽しい、操って興奮する一台だったといえるでしょう。ちなみに、傷がつくのはランボルギーニも了承済み。実に太っ腹です。

↑ホイールのあちこち、ゴリゴリです

 

さてウラカン ステラート、日本でのお値段は3116万5367円(税抜)。世界限定1499台で、すでにほぼ完売だそうですが、万が一ということもあるようなので、気になる方はディーラーへご相談くださいとのこと。

 

なお、この試乗会でお会いしたシンガポール在住のランボルギーニ広報女史とのディナーによると、シンガポールではウラカン ステラート、1億円だそうです(笑)。

 

【フォトギャラリー(画像をタップすると閲覧できます)】

【超保存版】清水草一が「最新スーパーカー&パフォーマンスカー」28台をひらすら解説。フェラーリ、ランボから国産勢まで

 

 

【解説する人】

モータージャーナリスト

清水草一さん

「サーキットの狼」作者の池沢早人師先生から直接薫陶を受けた唯一の自動車評論家。これまで11台のフェラーリを乗り継いでいます。GetNaviの連載「クルマの神は細部に宿る」をまとめた「清水草一の超偏愛クルマ語り」も先日発売。

 

【ブランド01:フェラーリ】

レース参戦のために存続する世界でただひとつのメーカー

創始者のエンツォ・フェラーリはレーシングチームを経営し、生涯をレース活動に捧げました。その資金稼ぎのために、レーシングカーを乗りやすく改良して販売したのが、同社の市販車部門の始まり。1988年のエンツォが亡くなって以降もF1参戦は継続し、世界中のクルマ好きの憧れとなっています。

 

【モデル01】フェラーリの長い歴史のなかで最もパワフルなV型12気筒エンジン

フェラーリ 

812スーパーファスト

3910万円

名の「812」は「800馬力の12気筒」を表し、FRのロードカーとしてはフェラーリ史上最強と称されるほどのハイパフォーマンスを誇ります。電子制御デバイスが多数盛り込まれ、超弩級の能力を危なげなく体感させてくれます。

SPEC●全長×全幅×全高: 4657×1971×1276㎜●パワーユニット: 6.5ℓV型12気筒エンジン●最高出力: 800PS(588kW)/8500rpm●最大トルク: 73.2㎏-m(718Nm)/7000rpm●トランスミッション: 7速AT●駆動方式: FR

 

【ココがスーパー】

F1をイメージさせるスポーティなインテリア

非日常性を感じさせるF1のようなコックピット。カラーも自由に選択できる。F1システムと呼ばれる独自のトランスミッション形式は、パドルシフト式セミATの先駆的存在です。

 

最新技術が盛り込まれた大柄ながら美しいボディ

ボディは先代のF12ベルリネッタとほぼ同サイズで、前後ともに20インチの大径ホイールが装着されます。ボディ下部にはディフューザーを採用し、高速走行時の空気の流れを調節。

 

最高馬力のエンジンは印象的な赤塗装が特徴

V型12気筒エンジンのヘッド部には赤い結晶塗装が施されています。6.5ℓの大排気量で、フェラーリの自然吸気式エンジンを積む市販車では史上最高となる800馬力を発揮します。

 

旗艦モデルのエンジンは12気筒でなくてはならない

フェラーリは、誰もが認める自動車の頂点、太陽神的存在。その立脚点は、F1グランプリにおける輝かしい戦績にあります。日本でフェラーリといえば市販のスーパーカーですが、海外では第一にレーシングチーム。その栄光を市販車に投影しているという文脈が、他社とは決定的に異なります。

 

すなわち、フェラーリにおけるスーパーカーの出発点は、レーシングカーをちょっと乗りやすくして一般販売したところ。そのため、同社が何よりも重視しているのは、常にエンジン。フェラーリのフラッグシップモデルは、最もパワフルで、最もエレガントな12気筒エンジンを積んでいなければなりません。現在のフラッグシップである812スーパーファストは、その12気筒エンジンをフロントに搭載し、後輪を駆動するFR方式。一般的にスーパーカーと言えば、エンジンをキャビン後方に置くミッドシップがイメージされます。しかし、フェラーリは元々FRからスタートしており、812スーパーファストは原点に回帰したモデルといえます。

 

フェラーリの名声はあまりにも高く、もはや性能は二の次と見る向きもあります。しかし、フェラーリの魂は常にエンジンであり、続いて重視されるのが美しさ。そのプライオリティは不変なのです。

 

【清水草一の目】

ほかでは味わえない官能的なV12エンジン

スーパーカーとしては車高が高く、FRなのでパワーを路面に伝えきれない面がありますが、V12の官能フィールは唯一無二。地上最高のブランド力を満喫できます!

 

【モデル02】ツーリングにも最適なハードトップオープン

ポルトフィーノ

2530万円

車体に収納できるリトラクタブルハードトップを備えたオープンモデルで、優雅な佇まいと優れた多用途性や快適性が特徴。スーパーカーの快楽を満喫できるうえに、日常使いでのストレスが皆無というのは大きな魅力です。

SPEC●全長×全幅×全高:4586×1938×1318㎜●パワーユニット:3.9ℓV型8気筒ターボエンジン●最高出力/最大トルク:600PS(441kW)/77.5㎏-m(760Nm)

 

【モデル03】コンパクトなボディにターボエンジンを搭載

488GTB/488スパイダー

3070万円〜3450万円

458イタリアの後継モデルとして登場し、2015年に日本へ導入されました。V8エンジンの排気量はそれまでの4.5ℓから3.9ℓへとダウンサイズされていますが、ターボの採用によって出力、トルクともに大幅な向上が図られています。

SPEC【488GTB】●全長×全幅×全高:4568×1952×1213㎜●パワーユニット:3.9ℓV型8気筒ターボエンジン●最高出力/最大トルク:670PS(492kW)/77.5㎏-m(760Nm)

 

【ブランド02:ランボルギーニ】

トラクターなどの製造や販売を手がけていたイタリアの富豪、フェルッチオ・ランボルギーニが、スーパーカー好きが高じて1963年に設立。ミウラやカウンタックなどの名車を生み出しました。99年にアウディ傘下となり、より高品質を追求する現代的メーカーとなっています。

 

伝統のポップアップドアを受け継ぐのは旗艦モデルのみ

巨大なエンジンをキャビン後方に置くミッドシップレイアウト、上方に跳ね上がるように開くポップアップドア……ランボルギーニならではのスタイルは、世界中の人々を虜にし続けています。

 

ポップアップドアは、スーパーカー史上最高のアイドル、カウンタック以来、ランボルギーニの伝統。ただし、それが採用されるのは、フラッグシップモデルのみで、現在はアヴェンタドールに受け継がれています。ドアを開けただけで周囲の空気を一変させてしまう“魔力”は凄まじいです。

 

かつては、クルマのとしての品質に問題があるとも言われていましたが、アウディ傘下となってからは劇的に改善。販売台数でも、フェラーリを猛追しています。

 

 

【モデル04】伝統の跳ね上げドアを受け継いだ“猛牛”

ランボルギーニ

アヴェンタドール

4490万4433円~4996万9107円

カウンタック、ディアブロ、ムルシエラゴと続く往年のモデルに通じる風格と性能を持つランボルギーニの旗艦であり、ブランドアイコン的一台。クーペボディのほか、オープントップ仕様のロードスターもラインナップされています。

SPEC【Sクーペ】●全長×全幅×全高: 4797×2030×1136㎜●パワーユニット: 6.5ℓV型12気筒エンジン●最高出力: 740PS(544kW)/8400rpm●最大トルク: 70.4㎏-m(690Nm)/5500rpm●トランスミッション: 7速AT●駆動方式: 4WD

 

【ココがスーパー!】

オープンモデルもポップアップドア

カーボン製の脱着式ハードトップを備えたSロードスターも発売間近。ドアは当然跳ね上げ式です。

 

最新機能も備えた伝統のV型12気筒

「S」モデルで最高出力が40馬力向上したV型12気筒エンジン。シリンダー休止機構も採用しています。

 

赤いフタを開ける「いかにも」な演出

センターコンソールにフタ付きのエンジンスタートボタンを配置。いかにもスーパーカーらしいです。

 

【清水草一の目】

周囲の注目を集める跳ね上げ式のドア

スーパーカーの象徴的一台。高い性能もさることながら、伝統の跳ね上げドアの威嚇力は無敵で、どこへ行っても子どもたちが集まる!

 

【モデル05】v10エンジンの最新モデル

ウラカン

2535840円〜38462614

クーペやスパイダー、後輪駆動仕様、ハイスペックなペルフォルマンテなど、バリエーションが多彩。いずれのモデルも圧巻の走りを楽しめます。

SPEC【クーペ】●全長×全幅×全高:4459×1924×1165㎜●パワーユニット:5.2ℓV型10気筒エンジン●最高出力/最大トルク:610PS(449kW)/57. 1㎏- m(560Nm)

 

 

【ブランド03:マセラティ】

「三叉の銛」で知られる高級スポーツカーブランド

トライデント(三叉の銛)のエンブレムで知られる、イタリアのラグジュアリースポーツブランド。一時期の経営難から、イタリア最大のメーカーであるフィアットの傘下となり、現在はエンジンなどをフェラーリと共有しています。4ドアGTのクアトロポルテも有名。

 

【モデル06】速さと同時に快適を味わえるGTスポーツ

マセラティ

グラントゥーリズモ

1890万円〜2216万円

タイトなドレスを纏った女性の曲線美を思わせる、エレガントで気品に溢れたフォルムが目を引くクーペモデル。スポーツ性に特化しすぎず、日常的な場面での扱いやすさや利便性、さらに快適性にも配慮したイタリアンGTです。

SPEC【スポーツ】●全長×全幅×全高: 4910×1915×1380㎜●パワーユニット: 4.7ℓV型8気筒エンジン●最高出力: 460PS(338kW)/7000rpm●最大トルク: 53.0㎏-m(520Nm)/4750rpm●トランスミッション: 6速AT●駆動方式: FR

 

【ココがスーパー!】

ハイブランドの哲学を味わえる内装

内装はアダルトかつ優美な印象。最新のインフォテインメントシステムを搭載するのも特徴です。

 

フェラーリと共同で開発したV8エンジン

昨年の改良以降、エンジンはフェラーリと共同開発したノンターボ式の4.7ℓV8のみとなっています。

 

センター2本出しでスポーティな印象

名匠・ピニンファリーナがベースデザインを手がけました。マフラーはセンター2本出しでスポーティ。

 

フェラーリ製エンジンを美しいクーペボディに搭載

戦前からの長い伝統を誇るマセラティは、これまで何度も厳しい経営危機に直面。その結果、フェラーリ製エンジンを搭載することになり、いまやそれが最大のウリです。

 

グラントゥーリズモのエンジンは、フェラーリF430用のV8を、ややジェントルにチューンしたもの。それをエレガンスの極致ともいえる美しいクーペボディに積むことで、圧倒的に優美な仕上がりになっています。ボディが重いため速さはそれほどでもありませんが、フェラーリさながらの“陶酔サウンド”を奏でつつ疾走します。

 

トランクを備えた4人乗りのため、フェラーリよりはるかに実用性が高いのもポイント。普段乗りに使えるスーパーカーとして、世界中の富裕層から支持されています。

 

【清水草一の目】

官能的エンジンのフィールは最高

フェラーリ製V8エンジン搭載のスーパースポーツクーペ。エンジンのフィール&サウンドをたっぷり堪能できる、超官能マシンです!

 

【モデル07】上品な佇まいでも走りは◎

グランカブリオ

2000万円〜2175万円

躍動感と優雅さを兼ね備えた4人乗りコンバーチブル。上品な佇まいが特徴ですが、自然吸気式の大排気量エンジンならではの、気持ち良い走りを実現します。

SPEC●全長×全幅×全高:4920×1915×1380㎜●パワーユニット:4.7ℓV型8気筒エンジン●最高出力/最大トルク:460PS(338kW)/53.0㎏-m(520Nm)

 

【ブランド04:アストンマーティン】

ボンドカー”で知られる英国のスポーツカーブランド

英国発祥のスポーツカーブランド。高性能であることはもちろん、高い質感を持つクルマ作りが伝統です。巷でよく知られたアストンマーティンのイメージといえば、映画「007」シリーズでのジェームズ・ボンドの愛車、いわゆる“ボンドカー”として活躍する姿です。

 

【モデル08】エンジンのフィーリングはジェントルにして大迫力

アストンマーティン

ヴァンキッシュ S

3457万9982円〜3691万1983

DBSの後継として2012年に登場したアストンマーティンの旗艦モデル。アルミとカーボンで構成されたスペースフレームに、フルカーボンのボディを組み合わせました。パワーユニットは588馬力を発揮するV12エンジンを搭載しています。

SPEC【クーペ】●全長×全幅×全高: 4730×1910×1295㎜●パワーユニット: 5.9ℓV型12気筒エンジン●最高出力: 588PS(433kW)/7000rpm●最大トルク: 64.2㎏-m(630Nm)/5500rpm●トランスミッション: 8速AT●駆動方式: FR

 

【ココがスーパー!】

圧倒的な存在感を放つエアロパーツ

走りを究極にまで高めたモデルでありながら、モダンなエアロを装着したスタイリングも高レベルです。

 

軽量なカーボンはスポーティな印象

ドアミラーのほか、外装パーツの様々な箇所に軽量なカーボンを使用。スポーティな印象を与えます。

 

室内はレザーを惜しまずに使用

室内空間は至るところにレザー素材を使用。キルティングレザーが用いられたシートも質感が高いです。

 

まるで英国紳士のように優雅な佇まいがシブすぎる

アストンマーティンといえば“ボンドカー”であり、英国を代表するスポーツカーメーカー。長い低迷時代を乗り越えて、現在は経営も絶好調。手作りの工芸品のようなクルマ作りに定評があります。

 

フラッグシップモデルであるヴァンキッシュは、同社オリジナルの5.9ℓV12エンジンをフロントに搭載。そのフィーリングは、ジェントルでいて獰猛です。

 

しかしながら、人々が目を奪われるのはその速さだけでなく、英国紳士然とした優雅なクーペボディの佇まい。このクルマが似合うのはジェームズ・ボンドをおいてほかにいないのでは——? そう思えるほどのシブすぎるカッコ良さが、アストンマーティンの本質ともいえます。

 

【清水草一の目】

クルマから高貴なオーラがにじみ出る

自然吸気式V12エンジンによる加速力は、いまや飛び抜けたものではありません。しかし、クルマ全体からにじみ出る気品はあまりにも高貴!

 

 

【モデル09】ラグジュアリーなスポーツGT

DB11/DB11ヴォランテ

2278万1177円〜2524万3177

5.2ℓV12ツインターボに、昨年4.0 ℓV8エンジン車が追加。クーペ(上)、オープントップのヴォランテ(下)ともに美しいプロポーションを誇ります。

SPEC【V8】●全長×全幅×全高:4750×1950×1290㎜●パワーユニット:4.0ℓV型8気筒ツインターボエンジン●最高出力/最大トルク:510PS(375kW)/68.8㎏-m(675Nm)

 

【モデル10】獰猛なデザインに刷新

ヴァンテージ

価格未定(2018年発売予定)

AMG製のV8ツインターボをはじめ、最先端技術が数多く搭載されたライトモデルの新型。“獰猛さ”を謳う大胆で斬新なニューデザインも特徴です。

SPEC●全長×全幅×全高:4465×1942×1273㎜●パワーユニット:4.0ℓV型8気筒ツインターボエンジン●最高出力/最大トルク:510PS(375kW)/69.9㎏-m(685Nm)

 

 

【ブランド05:マクラーレン】

メーカーの歴史は浅いが印象的なモデルを輩出

F1チーム「マクラーレン」の市販車部門として2009年に設立。ライバルと比べるとメーカーとしての歴史は浅いですが、印象的なスーパーカーを生み出してきました。なかでも、F1デザイナーが設計したマクラーレンF1は、センターシートを採用した、伝説に残るモデルでした。

 

【モデル11】扱いきれないほどの想像を絶する速さ

マクラーレン

720S

3338万3000円

世界最先端といわれるサスペンションシステムを採用。ワインディングやサーキットなど、高度なドライビングスキルが必要とされるシーンでも、驚異的な操作性を発揮する。限界領域でのコントロール性は群を抜いています。

●SPEC●全長×全幅×全高: 4543×1930×1196㎜●パワーユニット: 4.0ℓV型8気筒ツインターボエンジン●最高出力: 720PS(537kW)/7500rpm●最大トルク: 78.5㎏-m(770Nm)/5500rpm●トランスミッション: 7速AT●駆動方式: MR

 

加速性や操縦性を追求した硬派なクルマ作りを貫く

F1の名門チームがスーパーカー製造に乗り出したという経緯は、かつてのフェラーリを彷彿とさせます。しかも、マクラーレンのクルマ作りの哲学はレーシングカーそのもの。つまりゴージャス感よりも、加速性や操縦性など、絶対的な速さを何よりも重視する“超硬派”メーカーです。世界的トレンドであるSUV市場にも参入しないことを宣言しています。

 

エンジンは全モデルでほぼ同一のV8ターボをベースとし、チューンナップの違いでパワーが異なります。720Sはその名の通り720馬力を誇り、超軽量のカーボン製ボディと相まって想像を絶する速さを見せつけます。速すぎて、公道ではどうにも扱いきれません。さすがはレーシングカーです。

 

 

【清水草一の目】

ついに完成した芸術的フォルム

速さを追うあまり芸術性に欠けていたマクラーレンだが、720Sでついに完成形に。MRスーパーカーとして、究極の美しいフォルムを得た!

 

【ココがスーパー!】

スポーツカーらしい跳ね上げ式ドア

スーパースポーツMP4-12Cから受け継いだ、跳ね上げ式のドア。低目の車高は上げることもできます。

 

スピードに応じて姿を変えるウイング

停車時は格納されているリアウイング。走行速度が上がるにつれて立ち上がる設計となっています。

 

未来的な雰囲気の異形ヘッドライト

エアインテーク(空気取入口)と一体でデザインされたフロントライト。車高の低さが強調される。

 

【モデル12】エントリーでも走りは一流

540C

2242万円

エントリーモデルという位置付けながら、0〜100㎞/h加速が3.5秒、最高速は320㎞/h。上級モデルと比べても遜色のないパフォーマンスを誇ります。

SPEC●全長×全幅×全高:4530×2095×1202㎜●パワーユニット:3.8リッターV型8気筒ツインターボエンジン●最高出力/最大トルク:540PS(397kW)/55.1㎏-m(540Nm)

 

【モデル13】GTは快適さも重視した設計

570GT

2752万7000円

同社のスポーツシリーズ。GTはSよりソフトに味付けされたサスペンションや横開き式テールゲートなどを備えるのが特徴。快適性を重視しています。

SPEC【GT】●全長×全幅×全高:4530×2095×1201㎜●パワーユニット:3.8ℓV型8気筒ツインターボエンジン●最高出力/最大トルク:570PS(419kW)/600Nm(61.2㎏m)

 

 

【モデル14】基幹車もハイパフォーマンス

570S

2617万5000円〜2898万8000円

2016年、ベーシックライン「スポーツシリーズ」のなかで先陣を切ってデビュー。昨年にオープンモデルの570 Sスパイダーが追加されました。

SPEC【クーペ】●全長×全幅×全高:4530×2095×1202㎜●パワーユニット:3.8ℓV型8気筒ツインターボエンジン●最高出力/最大トルク:570PS(61.2kW)/61.2kg-m(600Nm)

 

【ブランド06:ロータス】

ロータスは英国人のコーリン・チャップマンが設立したレーシングチームで、後にF1の名門にまで成長。ヨーロッパは、マンガ「サーキットの狼」で主人公の愛車として知られています。市販車の開発も行っており、エランなどのライトウェイトモデルで人気を博しました。

 

【モデル15】汎用エンジンにチューンを施したスペシャルモデル

ロータス

エヴォーラ

1258万2000円〜1519万5600

ストイックに走りを極めたモデル。乗員の後方にエンジンを積むMR駆動方式を採用しながら後席シートが設置され、普段使いにも適した懐の深さを持ちます。フラッグシップとはいえ小型で扱いやすく、日本の交通環境でも持て余しません。

SPEC【400】●全長×全幅×全高: 4390×1850×1240㎜●パワーユニット: 3.5ℓV型6気筒スーパーチャージャーエンジン●最高出力: 406PS(298kW)/7000rpm●最大トルク: 41.8㎏-m(410Nm)/3000〜7000rpm●トランスミッション: 6速MT/6速AT●駆動方式: MR

 

【ココがスーパー!】

ロータス史上最もパワフル

エヴォーラは多彩なラインナップも特徴。昨年限定販売されたGT430(写真)は最もパワフルです。

 

V型6気筒エンジンはエスティマと共通!

ベースは何とトヨタ製V6エンジン。独自のチューニングを施すことでスポーティに仕立てています。

 

簡素なインテリアに高級感も漂う

必要なもの以外を省いたインテリアがロータス車の特徴。エヴォーラでは高級感が演出されています。

 

トヨタ製V6エンジンがレース的なフィーリングに

小さなエンジンを小型・超軽量のボディに乗せて、大パワーのスーパーカーを食う。ロータスは、そんな独自のスタンスを持つメーカーです。スーパーカーブームを象徴する一台であるヨーロッパはその典型。同社の哲学は、現行のエリーゼやエキシージに生きています。

 

フラッグシップモデルのエヴォーラは、それらよりもやや大きなボディを持ちます。エンジンは、なんとトヨタ製の3.5ℓV6を採用しています。ただし、そのエンジンフィールはトヨタ製とは到底思えないほどスポーティで、さすがはロータスチューンと唸らされる。同社としては大きめのボディのため、快適性も高いです。乗ればヒラリヒラリと、フィギュアスケーターのように路上を舞ってくれます。

 

【清水草一の目】

妥協を感じないコーナリング性能
ロータス車としてはやや大きく重いですが、公道走行ではこのあたりがベスト。同社の命であるコーナリング性能には妥協が感じられない!

 

【モデル16】爽快な走りの軽量モデル

エキシージ

880万円〜1366万2000

エントリー車のエリーゼをベースとした軽量スポーツモデル。クルマと一体になって走れる爽快感は、スーパーカーのなかでもすば抜けて高いです。

SPEC【スポーツ380】●全長×全幅×全高:4080×1800×1130㎜●パワーユニット:3.5ℓV型6気筒スーパーチャージャーエンジン●最高出力/最大トルク:380PS(280kW)/41.8㎏-m(410Nm)

 

【ブランド07:シボレー】

パワフルなスーパーカーが世界を魅了し続ける

シボレーは、アメリカ「BIG3」のひとつゼネラルモーターズの主要ブランドのひとつ。同ブランドのスーパーカーといえば、1954年にデビューしたコルベットです。パワフルな大排気量エンジンやマッチョなスタイリングで、北米だけでなく世界を魅了し続けています。

 

【モデル17】マッチョなアメ車の象徴が現代的でスタイリッシュに

シボレー

コルベット

1120万2500円〜1545万4800円

初代登場から約65年の歴史を持つ、アメリカンスーパーカーの代名詞モデル。多気筒、大排気量というアメ車の定石に則った作りが魅力です。欧州系スーパースポーツとも互角に渡り合える個性とパフォーマンスを持ち合わせています。

SPEC【グランスポーツ クーペ】●全長×全幅×全高: 4515×1970×1230㎜●パワーユニット: 6.2ℓV型8気筒エンジン●最高出力: 466PS(343kW)/6000rpm●最大トルク: 64.2㎏-m(630Nm)/4600rpm●トランスミッション: 7速MT/8速AT●駆動方式: FR

 

【ココがスーパー!】

大迫力の排気音が気持ちを高ぶらせる

4本のマフラーがリアバンパー下部中央に並びます。その排気音も大迫力で、気分を高めてくれます。

 

大ボンネット内のフロントエンジン

フロントの長大なボンネット内に収められた6.2ℓV8エンジン。次期型はミッドシップという噂も。

 

オープン仕様のコンバーチブル

オープン仕様のコンバーチブルも人気が高い。アメリカの西海岸を走る姿をイメージできます。

 

ワイドな車体に強力エンジンを搭載

グランスポーツが昨年に追加されました。さらにワイド化された車体に強力なエンジンを搭載しています。

 

アメ車らしいパワフルさと緻密なテクノロジーが融合

コルベットは、アメリカ唯一のスーパーカー。アメ車というと、大排気量のパワーだけで押す直線番長というイメージが一般的ですが、コルベットは違います。なかでも、Z06やZR1といったスペシャルモデルは、600馬力を超える大パワーを、レーシングテクノロジーを生かして見事に路面に伝えます。その緻密な設計には、「これがアメ車か?」と感嘆させられます。

 

ただし、いたずらにハイテクを追ってはいません。コルベットのエンジンは、古めかしいOHV(オーバーヘッドバルブ)方式を採用。バイクでいうハーレー・ダビッドソンのような、独特のアメリカンなフィーリングをしっかり感じられます。伝統を守ることもまた、スーパーカーの命なのです。

 

【清水草一の目】

十分な性能だがもっとマッチョに!

性能は文句なくアメ車の味わいも十分ですが、スタイルに「フェラーリコンプレックス」が色濃い。個人的にはさらなるマッチョ感を望む!

 

 

【ブランド08:ポルシェ】

超有名ブランドにしてスポーツカーの象徴でもある

フォルクスワーゲンの開発者だったフェルディナント・ポルシェ博士とその息子が創業した超有名ブランド・ポルシェは、マニア垂涎のスポーツカーメーカーだ。すでに50年以上販売され続けているフラッグシップモデル911の歴史は、スポーツカーの歴史です。

【モデル18】スポーツカーのベンチマーク的存在

ポルシェ

911

1244万円〜3656万円

長きにわたってRRの駆動方式を中心に採用している、スポーツカーのベンチマーク的存在。走行性能の高さはもちろん、カレラシリーズをはじめとするターボ系やGT3といった、多彩なバリエーションを揃えていることも人気の要因です。

SPEC【カレラ4 GTS】

●全長×全幅×全高: 4528×1852×1291㎜●パワーユニット: 3.0ℓ水平対向6気筒ターボエンジン●最高出力: 450PS(331kW)/6500rpm●最大トルク: 56.1㎏-m(550Nm)/2150〜5000rpm●トランスミッション: 7速AT●駆動方式: 4WD

 

【ココがスーパー!】

簡素ながらもスポーティな内装

内装はシンプルかつスポーティ。MT車もラインナップしますが、現在では販売のほとんどがATです。

 

伝統のRR駆動を継続して採用

911では、ボディ後方に水平対向エンジンを搭載し、後輪で駆動するRRが継続して採用されてきました。

 

レーシングカーと同等のエンジン

今年のジュネーブショーでデビューしたGT3 RS。歴代最高性能のノンターボエンジンを搭載します。

 

 

【清水草一の目】

スタンダードほど快適性が高い

グレード構成が幅広く、性能も大差がありますが、スタンダードクラスほど快適性が高いのが特徴。トップエンドはまるでレーシングカーです。

 

操縦性や快適性も備えた無敵のスポーツカー

ポルシェは以前より、4人乗りで前部にトランクを備える、“最低限の実用性”を持つスポーツカーとして支持されてきました。そのため、「ポルシェはスーパーカーではない」と見る向きもあります。ですが、少なくともトップエンドモデルでは、あらゆる性能が「スーパー」。GT3やターボSがそれです。

 

かつては「バババババ」と回る空冷エンジンがポルシェの代名詞でしたが、効率化のため水冷になってすでに20余年。快適性も大幅に向上し、“楽チンにブッ飛ばせる”無敵マシンとなっています。RRレイアウト車では、お尻が重すぎて操縦性がシビアだったのも昔の話。課題をすべて解決した現代のポルシェは、何ひとつ犠牲にしないオールマイティなスーパーカーです。

 

【モデル19】時代の声に応えるミッドシップコンパクト

718ケイマン

673万〜999万円

車名に「718」が追加されたコンパクトスポーツは、エンジンをダウンサイズするなど大幅改良。燃費性能もなおざりにせず、時代に合わせた進化を遂げています。

SPEC【GTS】●全長×全幅×全高:4393×1801×1286㎜●パワーユニット:2.5ℓ水平対向4気筒ターボエンジン●最高出力/最大トルク:365PS(269kW)/43.8㎏-m(430Nm)

 

【モデル20】開放感きわまるミッドシップオープンスポーツ

718ボクスター

712万〜1038万円

水平対向エンジンをミッドシップ搭載するオープンスポーツ。1996年に登場し、現行型で3代目となります。クーペ仕様のケイマンは、同車の2代目から派生しました。

SPEC【GTS】●全長×全幅×全高:4379×1801×1272㎜●パワーユニット:2.5ℓ水平対向4気筒ターボエンジン●最高出力/最大トルク:365PS(269kW)/42.8㎏-m(420Nm)

 

【ブランド09:メルセデス・ベンツ】

【モデル21】レーシング魂を感じられるスーパースポーツクーペ

メルセデス・ベンツ

AMG GT

1709万円〜2325万円

同社のスポーツブランドであるAMGのレーシングスピリットとテクノロジーが投入されたスーパークーペ。往年のレーシングカー300SLを彷彿させる「AMGパナメリカーナグリル」を採用した外観が、独特のキャラクターを構築します。

SPEC【R】●全長×全幅×全高: 4550×1995×1285㎜●パワーユニット: 4.0ℓV型8気筒ツインターボエンジン●最高出力: 585PS(430kW)/6250rpm●最大トルク: 71.4㎏-m(700Nm)/1900〜5500rpm●トランスミッション: 7速AT●駆動方式: FR

 

【ココがスーパー!】

強大なパワーを誇る4.0ℓエンジン

4.0ℓV型8気筒ツインターボエンジンに、7速のAMGスピードシフトDCTを組み合わせました。強力なパワーを後輪に伝えます。

 

軽量トップで高い静粛性を実現

オープンのロードスターは、マグネシウム、スチール、アルミを組み合わせたソフトトップを採用。軽量ながら静粛性も高いです。

 

存在感を主張するスタイリング

ワイドなボディ幅に超ロングノーズを備えた迫力のスタイリング。同ブランドの最高峰モデルであることをアピールしています。

 

ブランドの名に恥じない高級感

室内は適度にタイトで、同社らしく様々な高級素材が採用されているのが特徴。上質感にあふれた雰囲気が演出されています。

 

 

メルセデスらしからぬ危険な香りがプンプン漂う

AMGのコンセプトは、「ベンツの快適さはそのままに、戦車のごとく力強く、ミサイルのごとく速く移動するマシン」だ。しかし、AMG GTは少し異なります。何しろ、同車は専用設計のスーパーカー。FRレイアウトのため、あり余るパワーを路面に伝えきれず、簡単にホイールスピンをかます。雨の日に乗ろうものなら、メルセデスらしからぬ危険な香りがプンプンと漂うことでしょう。

 

しかし、さすがはメルセデス、実用性のことは忘れていませんでした。同車にはまもなく4ドアクーペが追加されます。そちらは4WDのみで、ハイブリッド車も用意されます。ハイパワー版は最高315㎞/hで、もちろんAMGらしく力強い走りも楽しめるはずです。

 

【清水草一の目】

伝統から脱却したキモカッコ良さ

目を引くのは、深海生物的なぬめっとしたフォルム。スーパーカーの伝統的なカッコよさとは一線を画した、キモカッコ良さがあるぞ!

 

 

【ブランド10:BMW】

「スーパーPHEV」で世界に衝撃を与えた

BMWは、M1やZ8など歴史に残るスーパーカーを発売してきました。同社ではZ8(2003年に販売終了)以来となるスーパーカーのi8は、なんとプラグインハイブリッド仕様。スーパーカーのイメージとは相反する高い環境性能を備えた同車の登場は、世界に衝撃を与えました。

 

【モデル22】BMWが歩む道を示す近未来スーパークーペ

 

BMW

i8

2093万円〜2231万円

エコカーとして注目されているプラグインハイブリッドカーを、スポーティなクーペスタイルで実現した次世代スーパーカー。コンパクトカーに匹敵する燃費性能と、他のスーパーカーに劣らない走行パフォーマンスを両立します。

SPEC【クーペ】●全長×全幅×全高: 4690×1940×1300㎜●パワーユニット: 1.5ℓ直列3気筒ターボエンジン+モーター●エンジン最高出力: 231PS(170kW)/5800rpm●エンジン最大トルク: 32.6㎏-m(320Nm)/3700rpm●トランスミッション: 6速AT●駆動方式: 4WD

 

【ココがスーパー!】

約15秒で開閉するオープン車が追加

最新の改良ではオープンモデルが追加されたのが目玉。スイッチを押せば約15秒で開閉できます。

 

上方へと開くバタフライドア

低くワイドなスタイリングはいかにもスーパーカー。上方開きのバタフライドアがそれを強調します。

 

出力がアップした電動パワートレイン

デビュー5年目にして改良されたパワートレインは出力が大幅に向上。バッテリー容量も拡大されました。

 

近未来デザインのインパネ回り

大画面を備えたインパネ回りは近未来的。「スポーツ」モードでモーターの機能が最大に発揮されます。

 

どんなスーパーカーより未来的なルックスと構造

走りの性能という点だけ見れば、i8をスーパーカーと呼ぶことに抵抗を感じる人もいるでしょう。しかし、そのルックスや構造は、どんなスーパーカーよりも未来的です。

 

アルミとカーボンの組み合わせによる超軽量ボディに積まれるのは、たった1.5ℓの3気筒エンジン+電気モーターのハイブリッドシステム。システム最高出力は374馬力と、600馬力が当たり前のスーパーカー界においては見劣りする。とはいえ、プラグインゆえにモーターのみで50㎞ほど走行することも可能で、新世代のサステナブルなスーパーカーとしてその地位を確立しつつあります。最新のマイナーチェンジでオープンモデルも登場。スーパーカーとしての価値をさらに高めています。

 

 

【清水草一の目】

スーパーカーの新境地を開いた

絶対的な速さを捨て、未来のデザインと抜群の環境性能で存在感を示しています。従来モデルにはないスーパーカーの新境地を開いた意欲作です!

 

【ブランド11:アウディ】

レース技術を満載するR8が初のスーパーカーとして成功

アウディはこれまでに数多くのスポーツモデルを手がけてきましたが、スーパーカーとして開発されたのは、2006年に登場したクーペ型のR8が初めて。レースで磨かれたテクノロジーを満載する同車の販売は成功し、16年には2代目へとモデルチェンジを果たしました。

 

【モデル23】インテリジェンス溢れるプレミアムスポーツ

アウディ

R8

2456万円〜2906万円

同車史上最高性能を誇るV10ユニットをミッドシップ搭載し、最高出力540PS/最大トルク540Nmを発揮。圧倒的なポテンシャルを持ちながらも日常的な場面で気難しさは皆無で、扱いやすいスーパーカーに仕上げられています。

SPEC【スパイダー】●全長×全幅×全高: 4425×1940×1240㎜●パワーユニット: 5.2ℓV型10気筒エンジン●最高出力: 540PS(397kW)/7800rpm●最大トルク: 55.1㎏-m(540Nm)/6500rpm●トランスミッション: 7速AT●駆動方式: 4WD

 

【ココがスーパー!】

日常的に使いやすいスマートな加速性能

デュアルクラッチトランスミッションの7速Sトロニックを搭載。加速はスマートでスムーズです。

 

コックピット風のスポーティな運転席

戦闘機のコックピットを思わせるスポーティな運転席。正面に大型ディスプレイも備えるのも特徴です。

 

最先端技術を用いて設計されたボディ

ボディ素材にはアルミやカーボンを採用。下面は空力性能に配慮してフラットな設計になっています。

 

クールで高級感のあるスタイリング

プレミアムブランドらしい上質感に満ちたデザイン。プラスグレード(左)のスポイラーは固定式です。

 

理知的でジェントル、それでいて官能的

アウディは1999年からランボルギーニの親会社となったことで、スーパーカー作りのノウハウを吸い上げてきました。そして、アウディならではのスーパーカーとして誕生したのがR8です。

 

現行型の2代目R8は、V10エンジンなどをランボルギーニ ウラカンと共有しますが、乗り味はまったく異なります。ひたすら獰猛なウラカンに比べると、R8は理知的でジェントル、それでいて官能的。アウディらしい、安心できるスーパーカーに仕上がっています。駆動方式はもちろん、アウディ伝統のクワトロ(フルタイム4WD)です。

 

ルックスでは、他のアウディ車と同様に、シングルフレームグリルを備えるのが特徴。“一族”であることをアピールしています。

 

 

【清水草一の目】

効率を求めずに官能性を追求

いたずらに効率性を追うことなく、あえて自然吸気式のV10エンジンを温存したのがポイント。官能性を追求しているのが素晴らしい!

 

 

【ブランド12:レクサス】

真の実力が垣間見れるトヨタの高級ブランド

レクサスはトヨタの高級ラインという位置づけ。2010年に500台限定のスーパーカーLFAを発売するなど、ブランドのスペシャルなイメージを構築してきました。昨年には、カタログモデルの大型クーペとしてLCが登場。LFA以来のレクサススーパーカー復活となりました。

 

【モデル24】ラグジュアリーなルックスに意欲的なメカニズムを搭載

レクサス

LC

1300万円〜1525万円

これ見よがしに主張するスーパーカーとは一線を画し、プレミアムブランドにふさわしい快適性を備えた、懐の深さを信条とするラグジュアリークーペ。大パワーを生かした攻めの走りというよりは、優雅にクルージングする姿が似合います。

SPEC【LC500 Sパッケージ】●全長×全幅×全高: 4770×1920×1345㎜●パワーユニット: 5.0ℓV型8気筒エンジン●最高出力: 477PS(351kW)/7100rpm●最大トルク: 55.1㎏-m(540Nm)/4800rpm●トランスミッション: 10速AT●駆動方式: FR

 

【ココがスーパー!】

2種類の最新パワートレインを用意

パワートレインは、加速感に趣のある5.0ℓV8エンジンと、環境性能に配慮したハイブリッドを設定。

 

スポーツ走行をサポートする機能

後輪自動操舵システムやギア比可変ステアリングなどの機能を搭載。最新テクノロジーを駆使します。

 

触感まで追求したプレミアムな内装

内装の素材や形状は、触れるところのフィット感まで計算し尽くされています。高級車らしさが光ります。

 

高出力エンジンの快音はまさにスーパーカーのそれ

一見するとラグジュアリークーペのLCだが、なにしろ5ℓのV8自然吸気エンジンを積んでいるのですから、スーパーカーと呼んでさしつかえはないでしょう。

 

実際に走ってみると、ボディは約2tあるため加速はそれほどでもありませんが、その快音はまさにスーパーカー。V6エンジン+電気モーターのハイブリッドモデルをラインナップしているところに、トヨタらしい気遣いが感じられます。

 

【清水草一の目】

実用性を含めて高い完成度を誇る

性格的には高級クーペですが、その完成度は驚くほど高く、メルセデス・ベンツ SLなどに対抗できます。スタイリッシュで快適性もピカイチ!

 

 

【モデル25】従順な操作感で安心・安全

RC F

982万4000円〜1059万4000

LCよりひとクラス小さいクーペ車のRCに設定されたハイパフォーマンスモデル。操作感は従順で、安全かつ安心して大パワーを堪能できます。

SPEC●全長×全幅×全高:4705×1850×1390㎜●パワーユニット:5.0ℓV型8気筒エンジン●最高出力/最大トルク:477PS(351kW)/54.0㎏-m(530Nm)

 

【ブランド13:ホンダ】

日本を代表するスーパーモデルが2016年に復活!

ミッドシップレイアウトやアルミモノコックボディなど、先進のスタイルとメカニズムで1990年に登場した初代NSXは、日本初のスーパーカー。一時生産中止となっていましたが、2016年に復活し、世界中のファンを歓喜させました。

 

【モデル26】高性能でモダンな現代的ハイパースポーツ

ホンダ

NSX

2370万円

パワーユニットは、V6ツインターボエンジンと3基のモーターによって構成される「SPORT HYBRID SH-AWD」を搭載。モーターとエンジンの協調によるパワフルな加速を実現しつつ、優れた環境性も発揮します。

SPEC●全長×全幅×全高:4490×1940×1215㎜●パワーユニット:3.5ℓV型6気筒ツインターボエンジン+モーター●エンジン最高出力:507PS(373kW)/6500〜7500rpm●最大トルク:56.1㎏-m(550Nm)/2000〜6000rpm●トランスミッション:9速AT●駆動方式:4WD

 

【ココがスーパー!】

4WDで洗練された走行フィーリング

モーターを用いた4WDが極めてスムーズな加速を実現。コーナリング中の挙動変化も抑えられます。

 

ターボが加えられた現代的なエンジン

3.5ℓV6エンジンにはターボが加えられました。独立制御される3基のモーターもスポーツ性能を高めます。

 

10年を経て登場した2代目は圧倒的な走りが健在!

日本初のスーパーカー・NSXの2代目は、初代が生産中止になってから10年を経てようやく登場しました。システム最高出力は581馬力を誇り、十分過ぎるほどに速いです。

 

しかもフロントのモーターのトルクを変化させることで、恐ろしいほど鋭く曲がります。スーパーカー日本代表の名に恥じない、卓越した走りを実現しています。

 

 

【清水草一の目】

最高クラスの走りを電子制御で実現

世界最高レベルの加速とコーナリングは、すべて緻密な電子制御の賜物です。一方で、スタイリングが凡庸で、何の特色もないのは残念。

 

 

【ブランド14:日産】

毎年のように改良されて性能がブラッシュアップ

2007年にデビューした日産初のスーパーカー・GT-Rは、同社がグローバル展開を視野に入れて開発した現代的なスーパースポーツ。ほぼ毎年のように改良モデルが登場し、走りを中心に性能がブラッシュアップされています。

 

【モデル27】走りが研ぎ澄まされた世界基準のジャパンスポーツ

日産 GT-R

1023万840円〜1870万200

スカイラインGT-Rの発展後継車で、圧倒的なパフォーマンスを誇る国産屈指のスーパースポーツカー。基本性能の高さはもちろんのこと、ハイテク装備による車両制御が実現する、異次元の操縦安定性は特筆ものです。

SPEC【NISMO】●全長×全幅×全高:4690×1895×1370㎜●パワーユニット:3.8ℓV型6気筒ツインターボエンジン●最高出力:600PS(441kW)/6800rpm●最大トルク:66.5㎏-m(652Nm)/3600〜5600rpm●トランスミッション:6速AT●駆動方式:4WD

 

ハイコスパな一台に世界中のファンが熱狂

初代GT-Rの登場から10年以上が経っているが、たゆまぬ進化により、いまでは実質的な世界最速車として認められています。その圧倒的な走行性能を考えれば、価格はかなりリーズナブルです。

 

海外に熱狂的なファンが多くいるのも同車の特徴。陸上100メートル世界記録保持者のウサイン・ボルトもそのひとりです。

 

【ココがスーパー!】

必要な情報を取捨選択して表示

インパネ中央にディスプレイを搭載。運転に必要な各種情報を任意で選んでデジタル表示できます。

 

ファンの郷愁を誘うテールランプ形状

丸目4灯式のテールランプは、唯一残されたスカイラインらしさ。ノスタルジーを感じさせます。

 

【清水草一の目】

チューニングで超パワーアップ

スペックを見るとそれほどでもありませんが、実際の速さは世界一。チューニングで1000馬力にすることもできるなど、ある意味で別格の存在です!

 

 

【連載をまとめたムックが好評発売中】

タイトル:清水草一の超偏愛クルマ語り

価格:926円+税

 

 

ランボルギーニとサーヴェロがトライアスロンバイクでコラボ

ランボルギーニと自転車の名門、サーヴェロ・サイクルズがコラボ。トライアスロンバイクの「サーヴェロP5Xランボルギーニ・エディション」が誕生した。

 

 

 

この限定版「P5X」には、ランボルギーニの「チェントロ・スティーレ」(デザインセンター)によるアートワークが施されている。フレームとフォーク部のアイコニックな黄色のトップコーティングとY字模様は、ランボルギーニファンには馴染み深いもので、シートポストの数字は希少な25台限定モデルの通し番号を示している。

 

 

両社の共通した研究・開発に対する並々ならぬ情熱、新しい製品を作るたびにレベルを引き上げることに対する揺るぎない姿勢が「サーヴェロP5Xランボルギーニ・エディション」に見て取ることができる。そして、この比類なきトライアスロンバイクは大胆なアートワーク、フラッシュサーフェスなボディ、前例を見ないミクロレベルの調節機能、180時間超の風洞テストによって鍛えられた空気力学パフォーマンスの集大成となっている。

 

 

ランボルギーニのチーフマーケティングオフィサーであるカティア・バッシは、「ランボルギーニ・アカデミアのドライバーたちは、すでにサーヴェロでトレーニングを行なっていますので、私たちはこのバイクがいかに特別で、いかに速いものかが分かっています」と語った。

 

 

さらに、サーヴェロ・サイクルズのロバート・デ・ヨング社長は、「一流のパフォーマンス、卓越したデザイン、イノベーションを扱ったこのコラボレーションは、両ブランドにとって必然的なものでした」とコメント。また、「この限定マシンが、ワールドクラスの製品とパフォーマンスに情熱を燃やす、両ブランドを結び付けました。レースでは、当社の製品を使用するトライアスリートが先頭を切ることでしょう。しかも彼らは群衆の中で、より一段と脚光を浴びと信じています」 と付け加えている。

 

 

 

【SIHH2018速報】ジュネーブの異端とイタリアの暴れ牛の超刺激的なコラボレーションウオッチが登場

2018年の国際高級時計展(SIHH)におけるロジェ・デュブイのハイライトは、ランボルギーニとのコラボレーションウオッチでした。特別に開発されたデュオトールや新開発のストラップ変更システムなど、まさに強力タッグの象徴ともいうべき一本に仕上がっています。

 

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エクスカリバー アヴェンタドール S

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ロジェ・デュブイとランボルギーニの開発担当者が作り出した世界限定88本のスーパーカーならぬスーパーウオッチ。モデル名の通り、ランボルギーニが誇るスーパーカー「アヴェンタドール S」に着想を得て作られており、ディスク表示式のパワーリザーブインジケーターを備えたプレートは、まさしく伝統のV12エンジンそのものとなっています。

 

さらにその先には、新機構「デュオトール」を搭載しています。このディファレンシャルギアをリンクさせたダブルスプリングバランスは、2×4Hzという振動数によって重力がメカニズムに与える影響を抑えながら高精度を実現。その精度を強調するためジャンピングセコンド機構が採用されています。しかもジュネーブ・シール取得。さすが2つのスーパーブランドのコラボレーションといえるでしょう。

 

ケース素材も、ランボルギーニが車体に採用しているC-SMCカーボンをするこだわりよう。極め付きはストラップの換装システムは、バックルまで取り外すことが簡単にできます。

 

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この仕様を目指したロジェ・デュブイ曰く、「ピットイン時のタイヤ交換よりも早いストラップ交換を」。ストラップの交換システムは様々なブランドが採用しているところですが、ロジェ・デュブイの最新作は一歩先を行く仕様となっていました。

 

 

ランボルギーニ初のSUV「ウルス」見参!

以前からウワサされていた通り、ランボルギーニのスーパーSUV、「ウルス」が発表となりました。

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ルックスは見ての通り、いかにもランボルギーニ然としたもの。アヴェンタドールやウラカンとも共通といえる意匠があちこちに見つけられるのがオモシロイです。4枚のドアはLM002以来、テールゲートはランボ初、広々としたゴージャスなキャビンは5人乗り。ここまで実用的と思しきモデルはランボルギーニ史上初といっていいでしょう。

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フロントに搭載されるエンジンは、何とランボ初のターボ付きとなる4リットルV8ツインターボ。自然吸気のV12でもV10でもないのは、悪路をも念頭に置いた低回転域でのトルク対策なのだとか。650㎰/6800rpmに850Nm/2250〜4500rpmというスペックを持つこのエンジンは、アウディRS 6アバントのそれをランボ用にチューンナップしたものと見ていいでしょう。8速ATとの組み合わせで、0→100km/h加速は3.6秒、0→200km/h加速は12.8秒、最高速度は305km/h。

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SUVじゃなくていいじゃんという気もしないでもないけど、並みのクルマじゃない「イチバン!」が好きな人には堪らない強烈な魅力であるのは間違いないでしょうね。 駆動はいうまでもなく悪路にもアジャストできる4WDで、アクティブトルクベクタリングとリヤホイールステアリング付き。 道を選ばず最速な、何ともすごいランボルギーニの誕生です。

 

※車両本体価格=25,740,000円(税別)

ランボルギーニのEVスポーツコンセプトが進化?

ランボルギーニは1月31日から2月4日まで開催中の「フェスティバル・オートモービル・インターナショナル・イン・パリ」にて、次世代EVスーパースポーツコンセプトの「テルツォ・ミッレニオ」を披露した。

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テルツォ・ニッレニオは、昨年11月に発表されたEVコンセプトで、アメリカのMIT(マサチューセッツ工科大学)との提携によって研究開発されたモデル。車名の由来は「第3の千年紀」を表す伊語で、西暦2001年から3000年までの1000年間を示す。未来のスーパースポーツ像を示唆するものだ。

 

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このプロジェクトは、「蓄電システム」、「革新素材」、「推進装置」、「先見的なデザイン」、「エモーション」という5のエレメントにおいて、次世代のドリームマシンを創造するためのランボルギーニの取り組みだ。

 

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スタイリングは同社のチェントロ・スティーレ(スタイルセンター)でデザインされ、軽量なカーボンファイバーをボディシェルに採用。このボディシェルはカーボンファイバーによる構造全体を監視する技術とともに、亀裂や損傷を自動的に検出し、修復用化学物質を用いて自己修復する技術が研究・開発中だ。

 

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パワートレインは4輪それぞれに電気モーターを搭載する。蓄電システムにはスーパーキャパシタが用いられている。

 

このモデルの市販化には、まだ多くのブレイクスルーが必要となるが、実現したあかつきには、これまでのスーパースポーツカーでは得られなかった刺激が味わえるのだろう。

 

 

 

ランボルギーニ「ウルス」の発表を記念したコラボコレクションが発売

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20171218_hayashi_LV_02ランボルギーニ初となるスーパーSUV、「ランボルギーニ・ウルス」の発表を記念して、コレツィオーネ・アウトモビリ・ランボルギーニと「Enzo Bonafè(エンツォボナフェ)」「Hettabretz(ヘッタブレッツ)」「Tecknomonster(テクノモンスター)」の3ブランドがコラボレーションした特別限定品を発売。

 

20171218_hayashi_LV_03ハンドメイドで仕上げるラグジュアリーシューズブランドのエンツォボナフェからは、抜群の履き心地を誇る モカシンシューズ2種類をそれぞれ3カラーバリエーションで展開。

 

レザーのアウターが有名なボローニャのファッションブランドであるヘッタブレッツからは、ウルスにインスピレーションを得たエレガントなスエードジャケットを30着限定で用意。レザーのアウターが有名なボローニャのファッションブランドであるヘッタブレッツからは、ウルスにインスピレーションを得たエレガントなスエードジャケットを30着限定で用意。

 

そして、カーボンファイバー製キャリーバッグメーカーであるテクノモンスターからは、ウルスのラゲッジルーム専用に作られた、4つのスーツケースからなるトラベルセット2種を発売。そして、カーボンファイバー製キャリーバッグメーカーであるテクノモンスターからは、ウルスのラゲッジルーム専用に作られた、4つのスーツケースからなるトラベルセット2種を発売。

 

 

これらのコレクションはランボルギーニのサンタアガタ・ボロネーゼ本社にある専用のコレツィオーネ・アド・ペルソナムショールームに展示され、エクスクルーシブなテーラーメイド品質でカスタマイズ可能とのこと。3ブランドの 各担当者が「Riva 1920」の家具で仕立てられた専用スペースで対応する。なお、来店に際しては事前連絡による予約が必要とのこと(collezione@lamborghini.com)。ランボルギーニ本社を訪れた際には、ぜひとも立ち寄ってみたいものだ。

 

 

【中年スーパーカー図鑑】事故で大破した幻のスーパーカー。“認定レプリカ”もわずか9台という希少性で伝説となった

前回で紹介したランボルギーニ・ミウラは、その車両レイアウトからモータースポーツ参戦が期待されたモデルだったが、フェルッチオ・ランボルギーニはこれを頑なに拒み、結果的にミウラがレースシーンに登場することはなかった。しかし、開発現場ではFIAが定めた競技規定付則J項に則ったミウラ・ベースの実験車両「J」が製作されていた――。今回は幻のランボルギーニ製スーパーカーと称される、Jこと「イオタ」の話題で一席。

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【Vol.7 ランボルギーニ・イオタ】

ミウラのベアシャシーであるTP400が1965年開催のトリノ・ショーで公開されたとき、自動車マスコミはこう予想した。ランボルギーニがついにレースに参戦する――。V12エンジンを横置きでミッドシップ配置し、ギアボックスとデフはその後方に設定し、このパワーユニットを鋼板を溶接したファブリケート構造のシャシーフレームに載せるという、一見すると運動性能に優れるプロトタイプスポーツに発展すると思われた構成だったのだ。設計を担当したダラーラのスタッフも、さらに煮詰めていけばGTクラスで覇権を握れるという自信があった。しかし、TP400をベースとするランボルギーニのプロジェクト、すなわち「ミウラ」の市販化に際し、ランボルギーニを主宰するフェルッチオはレース参戦を拒否。結果的にミウラがモータースポーツの舞台に立つことはなかった。

 

■ミウラをベースにした実験車両の製造

イオタはミウラのレーシングバージョンとして生まれたが、レース参戦に至ることなく顧客に売却。その後、事故により大破するという数奇な運命をたどるイオタはミウラのレーシングバージョンとして生まれたが、レース参戦に至ることなく顧客に売却。その後、事故により大破するという数奇な運命をたどる

 

一方、ミウラのシャシーに可能性を見出し、より速くて完成度の高いスーパースポーツを創出しようとする人物がいた。ランボルギーニの開発およびテストに参画していたニュージーランド生まれの技術者、ボブ・ウォレスである。ウォレスはミウラ改良のための先行開発の名目のもと、1969年末よりFIA(国際自動車連盟)が定めた競技規定付則J項に則った実験車両を製作。ペットネームを「J」と名づける。後にJは、ギリシャ文字のιにちなんでIOTA=イオタ(少量、稀少の意)と呼ばれるようになった。ちなみに、この実験車両の製作に対してフェルッチオは、会社としてのレース不参戦を前提に、「ウォレスがやりたいなら、好きにやらせてやれ」と黙認していたそうだ。

 

実験車両のJは、1970年にひとつの完成形に達する。シャシーはミウラと同様の鋼板溶接構造を踏襲したうえで、ツインチューブの断面拡大や箱断面バルクヘッドおよびリアサブフレームの強化などを実施。懸架機構には丸断面鋼管製の前後ダブルウィッシュボーンサスペンションを組み込み、とくにリアサスは大幅に設計変更してスタビリティ性能を高める。ルーフには生産型ミウラと同様のスチールパネルを採用するが、マウント位置は低められた。基本スタイルもミウラに準じたが、装飾類は一切省かれ、代わってエアインテークおよびアウトレットを各所に配置。前後カウルやドアはアルミ材で仕立て、ヘッドランプはプレクシグラスでカバーする固定式に切り替わった。マウントポストにダイレクトに搭載した3929cc・V型12気筒DOHCエンジンは、圧縮比の引き上げ(11.5:1)やカムプロフィールの変更などにより最高出力が440hp/8500rpmへとアップ。オイル潤滑はエンジンとトランスミッションを別系統としたドライサンプ式に刷新する。車両重量は当時のミウラP400S比で150kgあまり軽い約900kgに仕上がっていた。

 

■ランボルギーニ認定のイオタは9台?

市場の声に応え、ランボルギーニはイオタのレプリカを製作する。写真はミウラSV改Jを意味するミウラP400SVJ市場の声に応え、ランボルギーニはイオタのレプリカを製作する。写真はミウラSV改Jを意味するミウラP400SVJ

 

改良の域を超えた、まさにミウラのレーシングバージョンのキャラクターを有したJは、完成後にテスト走行を繰り返し、そのポテンシャルを確かめていく。しかし、レース参戦に至ることはなく、1972年にはミウラに連なるシャシーナンバー4683をつけて所有を熱望する顧客に売却された。後にこのモデルは事故により大破。これを回収したランボルギーニは、どうにか使用可能なエンジンなどをミウラに移植し、さらに改造を施すなどして再利用している。

 

一方でJの評判を聞きつけた熱心なファンが、ランボルギーニにミウラのJ化を要望する。これに応えたランボルギーニは、特別仕様のミウラ、いわゆる“レプリカ”版のJを少数製造することにした。

イオタのレプリカはSVJとSVRの2種類。写真はSVJ。70年代のスーパーカーブーム当時、日本に存在したイオタは76年に輸入されたSVRと77年に輸入されたSVJの2台だったイオタのレプリカはSVJとSVRの2種類。写真はSVJ。70年代のスーパーカーブーム当時、日本に存在したイオタは76年に輸入されたSVRと77年に輸入されたSVJの2台だった

 

現状で明確に認定されているランボルギーニ製作のJ=イオタのレプリカは、9台といわれている(今後の研究および発掘で増える可能性あり)。レプリカの1号車はシャシーナンバー4860。ドイツでランボルギーニのディーラーを営むヘルベルト・ハーネが注文した1台で、呼称にはミウラSV改Jを意味するSVJの名を冠した。また、シャシーナンバー3781はミウラP400をファクトリーに入れてJに仕立て直したもので、このモデルのみSVRを名乗った。

 

ちなみに、スーパーカー・ブームの当時、ショーの舞台や自動車雑誌の誌面などを飾って少年たちの心をときめかせたイオタは、前述のシャシーナンバー3781のSVR(1976年に日本に輸入)、そしてトミタ・オートが1977年に日本に輸入した同4892のSVJだった。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

発表直前! ランボルギーニ・ウルスの最新動画が公開

12月4日にイタリアのサンタアガタ・ボロネーゼ本社での発表が予告されているランボルギーニの新型車「ウルス」。正式発表に向けて、同社からティザー動画が公開された。

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ランボルギーニが「SSUV(スーパースポーツユーティリティヴィークル)」と紹介するウルスには、アヴェンタドールやウラカンと同様に、走行モード「ANIMA(アニマ)」が採用される。

 

公開されたティザー動画では、このANIMAの切り替えスイッチが、ウラカンなどに装備されるステアリングホイールではなく、センターパネルに備わるレバーとなっていることが確認できる。

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さらにANIMAのモードには、「ストラーダ」「スポーツ」「コルサ」に加えて、「サビア(サンド=砂)」「テッラ(土)」「ネーヴェ(雪)」の3モードが加えられており、SSUVとしての悪路走破性の高さもうかがわせる。

 

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公開されたティザー動画は、砂漠やラフロード、雪上での走行シーン、そしてサーキットトラックにいたるまで、あらゆる路面で高いパフォーマンスを発揮するであろうことがアピールされたもの。
ティザー動画に登場するウルスのエクステリアには偽装が施されているものの、なだらかなルーフラインを描くクーペフォルムであることが確認できる。
果たしてウルスはどんなデザインで登場するのか、そしてどんなスペックを掲げることになるのか。12月4日の発表が待ち遠しい。

 

 

 

 

チャリティに出品されるローマ法王のウラカン、その詳細は?

ランボルギーニは11月15日、1台限定の特別仕様のウラカンRWDを披露した。この車両はオークションにかけられ、その収益をフランシスコ法王に寄贈するためである。

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法王に寄贈されたウラカンRWDは、バチカンへのオマージュを題材に、ミラノのリップタイド社のアイディアを得て企画。ランボルギーニのカスタマイズ部門であるアドペルソナムが手がけ、バチカン市国の旗の色に敬意を表して、「Bianco Monocerus」(ホワイト系)をベースに、ウラカンのシルエットに沿って「Giallo Tiberino」(ゴールド系)ストライプがあしらわれている。

 

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贈呈セレモニーでは、フランシスコ法王とアウトモビリ・ランボルギーニのステファノ・ ドメニカリCEOの出席の下、バチカン市国で開催された。

 

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なお、オークションによる収益は法王から以下の慈善事業に贈られる。

 

・法王が関係する財団「Aid to the Church in Need」の後援の下で進められているニネベ平原の再建。このプロジェクトは、キリスト教徒がイラクのニネベ平原に戻れるよう、住宅や公的施設、教会の再建を目的としている。

 

・人身売買等の被害を受けた女性を支援する「ヨハネ23世コミュニティ」によるPope Francis Houseプロジェクト。2018年に、コミュニティ創設者オレステ・ベンツィ神父の10周忌と同コミュニティ創設50周年を迎えるにあたっての寄付となる。

 

・おもにアフリカで、支援を必要とする女性と子供たちに重点を置いて何年も活動を続けてきたイタリアの団体、マルコ・ランツェッタ博士率いる「GICAM」と「Friends for Central Africa」。

 

 

 

【中年スーパーカー図鑑】市場から一刻も早い販売を期待された、流麗なV12ミッドシップモデル

1960年代前半のスーパースポーツは、フロントにエンジンを置き、長いドライブシャフトを介してリアを駆動する、いわゆるFRレイアウトが定番だった。そこに、ミッドシップ方式でエンジンを積んでリアを駆動する、MRレイアウトの新世代スーパーカーが1966年に登場する――。今回はランボルギーニの第3弾ロードカーで、著名な闘牛飼育家に由来する車名を冠した「ミウラ(MIURA)」の話題で一席。

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【Vol.6 ランボルギーニ・ミウラ】

1965年に開催されたトリノ・ショーにおいて、新興のスポーツカーメーカーであるアウトモービリ・フェルッチオ・ランボルギーニS.p.A.は、「TP400」と称するシャシーとエンジンの試作モデルを公開する。その姿を見て、来場者は驚いた。エンジンがミッドシップ方式で搭載されていたのだ。当時のスーパースポーツはフロントエンジン・リアドライブのFRレイアウトが定番。そこに、大きなV12エンジンを横置きでミッドシップ配置し、ギアボックスとデフはその後方に設定し、このパワーユニットを鋼板を溶接したファブリケート構造のシャシーフレームに載せていたのである。ダラーラが次世代ランボルギーニ車のために開発していたベアシャシーを、フェルッチオが話題集めのために急遽出品したものだったが、その注目度は満点。カジノに遊びにきていたお金持ちのスポーツカー好きなどが、大挙してこのシャシー&エンジンの素性を尋ねた。一方、V12ミッドシップ車=プロトタイプスポーツと捉えた自動車マスコミからは、「ついにランボルギーニがレース参戦か」と評された。

 

■革新的なミッドシップV12スポーツカーの登場

前後端を支点とする跳ね上げ式のカウルはミウラの特徴のひとつ。ミッドシップに横置きでV12ユニットを積む前後端を支点とする跳ね上げ式のカウルはミウラの特徴のひとつ。ミッドシップに横置きでV12ユニットを積む

 

TP400のベアシャシーとエンジンはその後改良が施され、組み合わせる鋼板製ボディにも応力を持たせるセミモノコック構造を創出。そして、1966年開催のジュネーブ・ショーにおいて「ミウラ」の車名でワールドプレミアを果たす。スペインの有名な闘牛飼育家に由来するMIURAの車名を冠したベルリネッタ(クーペ)ボディの新型スーパースポーツは、当初、量産車として想定していなかった。フェルッチオとしては会社のイメージアップと販売促進につながればいいと考え、生産しても30台程度で済ます予定だったのである。しかし、市場の反応は予想以上に良く、受注も増える。

 

同時に、一刻も早い販売を顧客から要請された。ちなみに、プロトタイプのミウラを見て一部の自動車マスコミからは落胆の声があがる。GTのキャラクターに特化した内外装の演出が、TP400時でのレース参戦の予想に反していたからだ。そもそもフェルッチオとしては、レースカーに仕立てるつもりは端からなかったのだが……。

 

ミウラの顧客ニーズを鑑みたフェルッチオは、大まかなセッティングを決めた段階で生産に移し、1967年より「ミウラP400」として販売する。車名のPはPosteriore=後方でエンジンの搭載位置、400はエンジン排気量を意味していた。

厚めのパッドで覆ったインパネに独立タイプの速度計&回転計と6連補助メーターを装備厚めのパッドで覆ったインパネに独立タイプの速度計&回転計と6連補助メーターを装備

 

ミウラP400の車両デザインはカロッツェリア・ベルトーネのチーフデザイナーであるマルチェロ・ガンディーニが、またボディの製作はベルトーネの工場が担当する。エクステリアはエレガントな造形とエアロダイナミクスを両立させた流麗なフォルムで構成。前後端を支点とする跳ね上げ式のカウルや点灯時に前方に持ち上がるポップアップ式ヘッドライト、ルーバー付きのリアウィンドウなども人目を惹いた。ボディサイズは全長4360×全幅1760×全高1055mm、ホイールベース2500mmに設定する。内装のアレンジにも工夫が凝らされ、厚めのパッドで覆ったインパネに独立タイプの速度計&回転計と6連補助メーター、バケットタイプの2座シートなどを配してスポーティかつ華やかに演出。GTカーとしての積載性の向上を狙って、リアセクションにはトランクルームを設置した。

 

ミッドシップに横置き搭載するエンジンは60度V型の3929cc・12気筒DOHCユニットで、燃料供給装置にはウェーバー製トリプルチョークキャブレター×4を組み合わせる。圧縮比は9.8:1に設定し、350hp/7000rpmの最高出力と37.5kg/5100rpmの最大トルクを発生した。トランスミッションはフルシンクロの5速MTで、パワートレインをコンパクトに収める目的で潤滑系をエンジンと共用化する。懸架機構には前後ダブルウィッシュボーン式を採用。操舵機構にはラック&ピニオン式を組み込んだ。公表された車両重量は980kgで、前後重量配分は44:56。最高速度はクラストップの300km/hを謳っていた。

 

■P400S、P400SVへと進化

1968年12月には発展版の「P400S」が登場。最高出力370hp/7700rpm、最大トルク39.0kg/5500rpm1968年12月には発展版の「P400S」が登場。最高出力370hp/7700rpm、最大トルク39.0kg/5500rpm

 

早々にユーザーの手元に届けられたミウラ。しかし、その完成度は決して高くなかった。エンジンパワーや最高速度はカタログ数値よりもずっと低く、高速安定性もいまひとつ。コーナリング時には唐突な挙動変化を起こすこともあった。また、遮熱および遮音対策も不足していたため、コクピットのドライバーは熱さやノイズに耐えなければならなかった。

 

エレガントなスタイリングに反して、荒々しさが目立つパフォーマンス――。この評判は、生産を重ねるごとに改良されていく。実施された項目は、シャシー鋼板の肉厚アップ、サスペンションのアライメント変更、取付剛性の強化など多岐に渡った。そして、1968年12月には発展版の「P400S」の販売をスタート。Sはイタリア語の“Spinto”の略で、直訳では“劇的な盛り上がりのあること”、ミウラでは“(従来よりも)レベルが上がる”を意味していた。エンジンはインテークポートの拡大や圧縮比のアップ(10.5)などによって最高出力を370hp/7700rpm、最大トルクを39.0kg/5500rpmへとアップ。足回りのセッティングも変更し、安定性をより向上させる。また、外装ではウィンドフレームおよびヘッドライトリムのクローム化などを、内装ではインパネの形状変更や空調システムの改良などを実施した。

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1971年のジュネーブ・ショーで発表された「P400SV」。“Sprint Veloce”の略称だ。メカニズムの刷新とともにヘッドライト周囲の“睫毛”を廃止1971年のジュネーブ・ショーで発表された「P400SV」。“Sprint Veloce”の略称だ。メカニズムの刷新とともにヘッドライト周囲の“睫毛”を廃止

 

1971年開催のジュネーブ・ショーでは、いっそうの完成度を高めた「P400SV」が発表される。“Sprint Veloce”の略称をつけた進化版のミウラは、サスペンションアームの一部変更や60扁平タイヤの装着、リアの9Jホイール化およびフェンダーのワイド化などによってスタビリティ性能を向上。搭載エンジンは吸気バルブの拡大やカムシャフトの変更、圧縮比の引き上げ(10.7)などによって最高出力が385hp/7850rpm、最大トルクが40.7kg/5750rpmにまでアップする。外観上では、ヘッドライト周囲のグリル(通称“睫毛”)の廃止やフロントグリル形状の刷新、リアコンビネーションランプへの後退灯の組み込みなどを行った。

 

ほかにも、試作スパイダーモデルの「ILZRO」やその発展型の「Zn75」などが造られたミウラ・シリーズは、最終的に1973年10月に生産を終了する。生み出された台数は、750台ほどだった。

 

【著者プロフィール】

大貫直次郎

 

1966年型。自動車専門誌や一般誌などの編集記者を経て、クルマ関連を中心としたフリーランスのエディトリアル・ライターに。愛車はポルシェ911カレラ(930)やスバル・サンバー(TT2)のほか、レストア待ちの不動バイク数台。趣味はジャンク屋巡り。著書に光文社刊『クルマでわかる! 日本の現代史』など。クルマの歴史に関しては、アシェット・コレクションズ・ジャパン刊『国産名車コレクション』『日産名車コレクション』『NISSANスカイライン2000GT-R KPGC10』などで執筆。

ランボルギーニがMITとのコラボでドリームカーを製作?

11月7日、ランボルギーニはMIT(マサチューセッツ工科大学)の化学物質学科と機械工学科のふたつの研究所とのパートナーシップによって、ランボルギーニの将来像を示すエレクトリック・ハイパーカーのコンセプト「Lamborghini of the Terzo Millennio」を発表した。

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このEVハイパーカーコンセプトの技術的な注目点のひとつに、エネルギー貯蔵システムとしてスーパーキャパシタを用いることが挙げられる。スーパーキャパシタは、電気二重層キャパシタの総称。有機電解液とアルミや炭素を原料とした簡単な構造となっており、一般的な電池のように重金属を用いないため環境負荷が少ないだけでなく、充放電時のエネルギーロスも少なく、電池では不可能な瞬時の充放電が可能。寿命はとても長く、一般的な電池の100倍程度になるといわれている。

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これをエネルギー源に、4つのホイールそれぞれに電気モーターを組み込んだ4輪駆動を採用。4輪それぞれを個別にトルク制御する。

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技術的なチャレンジはそれだけでなはい。ランボルギーニがこれまでも積極的に取り組んできたカーボンファイバー技術を、このコンプトで発展させる狙いもある。新たな取り組みとして「自己回復」の概念に基づき、治癒化学物質を利用することでボディが自ら監視・修復する機能を盛り込んだ。これによりカーボンファイバーに生じる亀裂・損傷の危険を減少させられるので、カーボンファイバーの使用パートをさらに増やすことができる。つまりさらなるボディの軽量化が可能になるというわけだ。

 

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ボディのスタイリングは、これまで培ってきた空気力学を応用したまったく新しいアーキテクチャーで、鍛造コンポジット技術をベースにしたモノコックシャシーと組み合わせたもの。デザイン面での特徴として、前後のライトのY字型モチーフが挙げられる。