“住みたい街”ランキング急上昇の「大宮」は本当に住みやすいのか? 移住者がその知られざる素顔を語る

毎年恒例の「住みたい街ランキング」(SUUMO)で2020年、第4位に輝いた埼玉県・大宮。これまで“都心から離れている”、“治安が良くない”などのマイナスイメージが定着していたにも関わらず、東京都内の街を抑えてランキング入りしたのには、どのような理由があるのでしょうか? 静岡県出身でありながら、さいたま市大宮区へ移住し20年以上になるライターの中山記男さんに話を伺いました。

 

なぜ移住者は「大宮」に引きつけられたのか?

さいたま市による“さいたま市民意識調査”によれば、“さいたま市を住みよいと感じる・住み続けたいと思う”人の割合は8割に上るなど、ここ10年間で上昇傾向にあるそう。一方で、大宮に魅力を感じ、埼玉県外から移り住む人も増加しています。

 

「僕の場合、きっかけは大学が大宮にあったことでした。在学中の4年間で大宮が気に入り、その後進学・就職と進んだのですが、今だに大宮に住んでいます」(大宮在住ライター / 中山記男さん、以下同)

 

1997年から現在まで、20年以上にわたり大宮に住んでいる中山さん。その間に就職や結婚を経験され、現在は一児の父でもあります。“親子”という目線で見ても、大宮はとくに魅力的な街だと感じるそう。

 

「大きな公園がたくさんあり、子どもを遊ばせられる場所が多いんです。遊具のゾーンとグラウンドが確保できるような中規模な公園は、各地区にだいたい2〜3か所ありますし、大宮公園をはじめとした1日中遊べるレベルの広い公園もいくつかあり、子どもから大人まで自由に使えて便利です。我が家の場合、子どもはボールや自転車遊びを目的に、大人はピクニックやウォーキングをしに利用しています」

 

大宮市から「さいたま市」へ生まれ変わった

大宮市が浦和市、与野市と合併し「さいたま市」として生まれ変わったのは2001年のこと。2005年には岩槻市も新たに加わり、日本で9番目に人口の多い“100万都市”となりました。

 

また、2000年には旧大宮市・浦和市・与野市をまたぐ中央区に“さいたま新都心”が誕生。「さいたまスーパーアリーナ」や大型ショッピングモール「コクーンシティ」がオープンするなど、かつてない賑わいを見せるようになりました。

 

「この20年で大きく変わったことと言えば、さいたま新都心の開発が進み、だいぶ街らしくなったことでしょう。市内のほかの地区は良くも悪くも古くからある街並みが中心なので、さいたま新都心はそういった地区との対比もあり注目されています。2015年に『コクーン2』『コクーン3』が開業するなど、コクーンシティはどんどん充実してきていて、今では家族で訪れることも多いです」

 

「日本有数の治安の悪い街」評は本当か?

埼玉県内最大の繁華街であることから、長らく“治安の悪い街”というイメージが定着していた大宮。昨今の風営法・消防の改正によりネオン街の安全性は高まりつつあるものの、移住を考える人にとっては今だに懸念事項となっているそう。実際に住んでいる中山さんは、どのように感じているのでしょうか?

 

「僕も大宮に引っ越してくるときには、『悪い意味で日本有数の治安だよ!』と脅かされていたのですが、ここ20年で駅前が整備されたからか、危ない思いをしたことは一度もありませんよ。ただ、自転車が盗まれやすい実感はあります。バス通勤・通学の人が多く、終バスが行ってしまった後に困っている人が多いからなのかもしれませんね……」

 

大宮を出ることなく暮らしが成立する至れり尽くせりぶり!

都心まで急行で30分弱を要するにも関わらず、東京都内の人気地域を抑えてランキング入りを果たした大宮。その理由について、中山さんは鉄道の利便性の高さを挙げます。

 

「今はリモートワークに切り替わっているものの、もともと僕も都内まで通勤しており、始発駅の特性を生かして、毎日座って最寄り駅まで移動できていました。寝坊や電車遅延、急な用事など、困った時は新幹線でひとっ飛びできるのも良いところです」

 

一方で、都心まで出なくてもショッピングやレジャーを楽しめることも大きな利点です。大宮駅構内には「ecute」があり、「LUMINE 1」「LUMINE 2」に直結しているだけでなく、周辺には「大宮アルシェ」や「SOGO」「DOM」などの大型ファッションビルも立ち並びます。

 

「駅前にひととおりのショップがあり、大宮から出ずに生活が成立するのは魅力ですよね。それでいて都内よりも家賃は安く、都内までの移動に30分かかることさえ気にしなければ、充実した住宅選びができると思います。ちなみに我が家は中層レベルのマンションですが、大宮より先に背の高い建物がないため、夏場は隣県の花火まで見えますよ」

 

ひと足早く“最新の便利”を体感できる!

駅を起点とした街づくりが、大きな魅力となっている大宮。通勤の行き帰りでの買い物もしやすく、時間を有効に使いたい共働き家庭にとっては特に助かる、と中山さんは話します。

 

さらに、JR各線、東武野田線、埼玉新都市交通伊奈線に加え、東北・上越新幹線の停車駅でもあり、埼玉県においてのポータルの役割を担う駅だけあり、最新のテクノロジーをいち早く体験できる場所でもあるそう。

 

「大宮駅は、さまざまな実証実験の場として選ばれることも多く、『SUICA』が1枚あればエキナカを含め、ほとんどの買い物をこなせてしまいます。そのため、大宮の住民であれば、もう10年以上前から電子マネーの便利さを体験していました。そういった先進的テクノロジーの導入が早いことも、隠れた魅力だと思います。これからよりテクノロジーを生かした生活が進んでいくことを考えれば、それらをひと足早く生活に取り入れることのできるこの街は、日本でも唯一無二の存在になっていくのかもしれません」

 

大宮区のおすすめスポットは?

大宮には、都心顔負けのグルメや親子で楽しめるレジャースポットも数多く存在しますが、今回は中山さんもよく利用するというおすすめスポットを4か所、ご紹介いただきました。

 

1.子どもは大喜び間違いなしの「鉄道博物館」

「“鉄道の街”として栄えているところも、大宮のアピールしたいポイントです。大宮は鉄道好きな子どもにはたまらない場所で、我が家も“てっぱく”(鉄道博物館の愛称)の年間パスポートを持っています。大宮駅からてっぱくへの道沿いにはSLをはじめとした鉄道のモニュメントが多数あり、歩くだけでも楽しいつくりになっていておすすめです」

https://www.railway-museum.jp/

 

2.本格イタリアンをリーズナブルに楽しめる「トラットリア ティンブロ」

「海外と国内の星付きレストランで修業した奥さんと、国内有名店の総料理長をつとめていた旦那さんが大宮に帰ってきて開いたというお店です。お二人の経歴からもわかるように、国内外トップクラスの技術で洗練されたワンランク上の料理が出てくるのに、価格は埼玉の住宅街に合わせたリーズナブルなもの、という奇跡的なお店です」

詳細は次のページへ

 

3.関東を代表する人気パティスリー「アングランパ」

「こちらは都内の有名店『オーボンビュータン』で修行したパティシエが開いたお店で、今や埼玉県だけではなく、関東地方を代表するようなお店になりました。洗練された本格的なフランス洋菓子を楽しめることが特徴なのですが、中でもガトーショコラは傑出した完成度で、チョコレート系ケーキに目覚めるきっかけになりました」

https://www.facebook.com/UN.GRAND.PAS/

 

4.豊富なウイスキーを取り揃えるバー「ハングオーバー」

「既に20年ほど通っているのですが、僕がウイスキーに傾倒するようになったきっかけのお店の1つです。勇気を出して重厚なドアを開けた先の、壁一面のシングルモルトウイスキーは圧巻そのもの。オーセンティックな雰囲気はこの地区では結構貴重で、お酒の品揃えや値段、雰囲気も含めてイチオシのバーです」

http://hang-o-bar.com/

 

今回は、中山さんにご紹介していただいた「トラットリア ティンブロ」を実際に訪れました。次のページでは、県外にも多くのファンを持つ本格イタリアンの魅力に迫ります。

 

【プロフィール】

ライター・ブロガー / 中山記男

1978年静岡県三島市生まれ。1997年から大宮(現さいたま市)へ移り住み、2000年よりブログサイト「エアロプレイン」をスタート。飲食店のオンライン化をサポートする「株式会社トレタ」に勤務する傍ら、さいたま市をはじめとしたグルメ・観光スポットなどのリポートや、ガジェット紹介などの記事を幅広く執筆している。
https://airoplane.net/

おいしい料理とスイーツで、愛する地元へ恩返し

大宮駅西口からバスに乗って4分。埼玉県道214号新方須賀さいたま線沿いにひっそりと佇む「トラットリアティンブロ」は、新方須賀さいたま線(にいがたすかさいたません)の完成と同じく、2017年にオープンしました。

オーナーの神木久尋さんは「サバティーニ青山」出身で、後に「リストランテ マツオ」系列で総料理長も務めたイタリアンのベテラン。パティシエ兼シェフである奥様の早希さんは、フランスの三つ星レストランで修行し、帰国後広尾の高級レストラン「ア・ニュ」でパティシエを務めた経歴の持ち主です。

 

おふたりとも、出身は埼玉県。ここ大宮は早希さんの地元なのだそうで、「近隣の方々に愛されるお店をつくることで、地域に恩返しがしたい」という思いがあったのだといいます。

 

リーズナブルなのにボリューム満点なランチメニュー

水曜日から土曜日は、ランチタイムも営業中。ランチメニューには「ランチコース」「パスタランチ」「有機野菜のサラダランチ」があり、今回は「パスタランチ」と「有機野菜のサラダランチ」をいただきました。


パスタランチには、前菜の盛り合わせと自家製フォカッチャ、ドルチェがついてなんと1200円とリーズナブル。有機野菜のみずみずしいサラダに、マスタード入りのポテトサラダやリエットなどを盛り合わせた前菜は、これだけでも満足感が得られるほど贅沢な一皿です。

 


週替わりのパスタは、主にオイル・トマト・クリームの3種類から選べます。今回は、「モッツァレラチーズとナスのトマトソース」を注文。

 

柔らかく煮込まれたナスと、コクのあるトマトソース、そしてフレッシュなモッツァレラチーズは黄金の組み合わせ! プラス180円でパスタを大盛りにできるほか、「ソースまで全部食べきりたい!」という方は、フォカッチャを追加で注文するのもいいかもしれません。

 


「有機野菜のサラダランチ」は、“サラダランチ”という名前から想像できないほどの大ボリュームで1100円と、こちらもリーズナブル。外はサクサク、中はトロトロのライスコロッケや、濃厚なとうもろこしのエスプーマ、プロシュートやテリーヌなどが豪華に盛り付けられたプレートは、見た目にも華やか。ヘルシー志向の方だけでなく、アラカルトをたくさん楽しみたいという人にもおすすめです。

 


デザートのエアリーティラミスは、コーヒーのほどよい苦味が染み込んだスポンジと、ふわふわとした食感のクリームが相性抜群で、お腹がいっぱいでもぺろりと食べられます。

 

この街だから提供できる、アットホームな雰囲気と確かなおいしさ

近隣の人々に愛される店を目指して、オープンしてから3年。今では口コミやSNSを通じて人気が広がり、県外から訪れる人も少なくないそうで、「『この店おすすめだよ』と広めてくださる方だったり、お店を支えてくださる常連の方々の信頼を裏切らないお店にしたいと、常に思っています」と神木さんは話します。

神木さんは、「ひっそりとした場所で、こだわりを持ちながらお店を続けるのには、この場所しかないと感じています」とも。アットホームで居心地のいい雰囲気を楽しめるのも、ワンランク上の洗練されたメニューをリーズナブルに味わえるのも、大宮という立地ならでは。ここでしか体験できない魅力があるからこそ、大宮は人々を引き付けるのかもしれません。

 

【店舗情報】

trattoria timbro(トラットリア ティンブロ)

所在地=埼玉県さいたま市大宮区上小町603-1 新横溝ビル1F
電話番号=048-783-5387
営業時間=
【ランチ】水〜土曜日 11:30〜14:30(14:00 L.O.)
【ディナー】火~日曜日 18:00〜22:00(21:00 L.O.)
定休日=月曜日・隔週火曜日 ※祝日の場合は翌日
http://trattoriatimbro.jp/

 

世界中から客が来る店「JULIA」に聞く、白ワインと食事が生む「ペアリング」の妙味

ここ数年、食のトレンドとしてよく耳にするようになったのが、「ペアリング」というキーワード。レストランで、料理のメニューとワインを客自身が選ぶのではなく、あらかじめシェフやソムリエがその相性を見極めた食事とワインが、1組ずつ提供されるスタイルのこと。5皿ならワインが5杯、8皿なら8杯、それぞれおすすめの組み合わせを楽しむというものです。

 

「マリアージュ」という言葉は聞き慣れていますが、これはフランス語で「結婚」という意味。それゆえ「マリアージュを探る」というと、なんだか少しかしこまった印象になります。“運命の出会い”のような、“その相手以外考えられない”というような。実際、マリアージュとペアリングのニュアンスの違いを、前者は合わさることで第三の新たな味わいを生み出すような組み合わせのこと、後者は単に相性という気軽な意味だ、という専門家もいるのです。

 

 

グラスに注がれる白ワイン。涼やかで、夏にもよく似合う

そういった、運命的に出会った一生の伴侶と新たな家庭を築くようなOnly oneの愛がマリアージュだとすれば、ペアリングはOne of themを楽しむ自由恋愛でしょうか。この相手もあの相手も、どちらも素敵。さらにワインに限定する必要もなく、ビールでも日本酒でも、シードルでも! 家庭で楽しむなら、やはり堅苦しいことは抜きに、後者のようなスタイルを楽しみたいものですね。

 

そこで、恵比寿にある今話題のペアリングレストランJULIAを訪ね、オーナーソムリエの本橋健一郎さんとシェフのnaoさんに、代表的な白ワインと、それぞれにおすすめのペアリング料理を提案してもらいました。

 

まず知っておきたい! 3大白ワイン用ブドウ品種

夏にキリリと冷やして飲みたい白ワイン。原料であるブドウ品種、産地、造り手によって異なる味わいになりますが、今回は分かりやすく“品種”で分類し、ペアリングのポイントを聞きました。

 

白ワイン用のブドウ品種といえば、「シャルドネ」「ソーヴィニヨン・ブラン」「リースリング」の3種が一般的。シャルドネは、フランス・ブルゴーニュ地方産が有名ですが、世界中のあらゆる国と地域で栽培されており、それぞれに特徴的な味わいが表現されるなかでも、共通のイメージはコクとまろやかさ。また、ソーヴィニヨン・ブランはフランス産のほか、ニュージーランドの代表品種としても知られ、共通したイメージはスッキリ感とはつらつさ。そしてリースリングは、ドイツなど冷涼産地に多く、フルーティーで飲みやすい甘口寄りのものから厳格で骨太な、ミネラルと酸を表現した辛口まで揃います。

↑左:「トレフェッセン エステート ナパ・ヴァレー ドライ・リースリング 2016」(アメリカ)、中:「ティンポット・ハット・マールボロ・ソーヴニヨン・ブラン 2017」(ニュージーランド)、右:「カーブドッチワイナリー・セパージュシリーズ・シャルドネ 2016」(日本)

 

早速、ホテルやレストランなどでソムリエとしての経歴20年以上という本橋オーナーに、自身が感じるこの3品種の特徴を聞きました。

 

「ソーヴィニヨン・ブランのイメージは昼、そしてシャルドネは夜のイメージでしょうか。ソーヴィニヨン・ブランは晴れた昼間の公園の芝生がよく似合う。屋外で飲みたいと思ったらシャルドネよりソーヴィニヨン・ブラン。これからの季節はBBQなどにもぴったりですね。シャルドネは、こっくりしっかり味付けしたお料理に。クリーム系やバター系など。赤ワインが苦手な方は、お肉料理にも合わせられる厚みのある白、シャルドネがおすすめですね」(本橋さん)

↑JULIAのオーナーソムリエ・本橋健一郎さん。個人的にはリースリングを好んでよく選ぶという

 

では、辛口から甘口まであるリースリングは、どう使い分けたらいいでしょう?

 

「リースリングは、僕にとっては一番使い勝手が良いブドウですね。自宅で良く作る餃子とか、中華系のお料理に合わせます。オイスターソースを使った野菜炒めや、麻婆豆腐にも。主にアジアンフードですね。生春巻きやパクチーにもいいです。日常の食卓には辛口のものが便利ですし、辛口だったらイメージはソーヴィニヨン・ブランに近いニュアンス。ラー油や豆板醤などで辛味をより強くした料理には、ちょっと甘口寄りのものを選んだら良いと思いますよ」(本橋さん)

 

JULIAでは、合計9皿ものペアリングコースが楽しめます。そのどれもがハッ!とするような驚きと楽しさに溢れていますが、それを演出する本橋オーナーの軽快なトークも欠かせない魅力。そんな本橋さん、さすがの表現でこの3品種を特徴付けてくれました。

 

「合わせるお料理をラーメンに例えると……、ソーヴィニヨン・ブランは塩ラーメン、シャルドネは味噌ラーメン、リースリングは坦々麺、ですかね!(笑)」(本橋さん)

 

実際に作ってみよう! JULIA考案のペアリング料理

JULIAの人気を支えるのは、女性シェフならではの感性を生かしたnaoさんの料理。そんな凄腕シェフの料理なんてマネできない……と思いきや、彼女自身も料理はすべて独学なのだとか! というわけで、家庭でも簡単に作れる2皿を、シャルドネとソーヴィニヨン・ブランそれぞれの特徴に合わせて作っていただきました。

 

まずソーヴィニヨン・ブランに合わせたのは、「アボカドと生ハムのオープンサンド」。本橋さんが「昼間の公園の芝生がよく似合う」と教えてくれたように、naoさんもソーヴィニヨン・ブランのイメージはサンドイッチだそう。

↑アボカドとレモン果汁がアクセントとなることで、生ハム(肉類)にもソーヴィニヨン・ブランが合う

 

作り方はいたってシンプル。アボカドを潰して、レモン果汁と少しの塩を混ぜるだけのピューレをパンに塗り、サラダには市販のミックスリーフを使います。でもここからが、やはりプロのひと手間。ミックスリーフにはミントとディルをプラスし、さらに生ハムをのせて出来上がったら、全体にササっとレモンの皮をすりおろす。このミント、ディル、レモンがソーヴィニヨン・ブランとの距離をぐっと縮めるそう。これぞペアリングの極意!

↑最後にすりおろすレモンの皮は、色合い的にも美しく鮮やかなアクセントに

 

「ソーヴィニヨン・ブランと合わせるのは、やはり青い野菜ですね。これからの季節だったら枝豆にビールじゃなくて、ソーヴィニヨン・ブランでもいいかも。あとキュウリも使いやすいです。水切りしたヨーグルトと細かく切ったキュウリを合わせるだけで、何でもソーヴィニヨン・ブランに合う万能ソースになります。焼いたサーモンでも、粗挽きハンバーグでも。重ためのお料理でも、ぐっとソーヴィニヨン・ブラン寄りの味わいになりますよ」(naoさん)

 

続いて、シャルドネに合わせた料理は「サーモンチャウダー」です。

↑今回合わせたのは、日本・新潟のシャルドネ。チャウダーの旨味によく馴染む優しさがある

 

サーモンを皮目からちょっと多めの油で揚げ焼き、その後低温のオーブンでゆっくりと中まで火を入れると、身がホロホロと柔らかく焼けるのだそう。チャウダーソースは、玉ねぎとジャガイモを炒めてアサリ(手間をかけず水煮缶でOK)を投入。旨味のある汁もそのまま使い、あとは少しの生クリームとバター、塩で味を整えるだけ。ゆでたスナップエンドウの上に盛りつければ、完成です。

↑スナップエンドウを一番下に忍ばせることで、食感のコントラストを楽しめるという趣向

 

サーモンのパリッとした皮の焼き目がシャルドネの樽感に、そして生クリームとバターの乳製品のコクがシャルドネ本来の個性にベストマッチ。「青い野菜はソーヴィニヨン・ブラン」ではあるものの、豆類はシャルドネがおすすめとのこと。

 

「シャルドネと合わせるポイントは乳っぽさ。和風のポン酢にも生クリームを加えると、シャルドネとの距離がぐっと縮まります。通称“ポンクリ”と呼んで、JULIAの通常のペアリングコースでも提供していました(笑)」(naoさん)

↑女性らしいセンス溢れる食器選びや細やかな盛り付けも、シェフnaoさんならではの魅力

 

日常への目線もありながら、プロの技でファンを魅了するnaoさんの料理。そして、そこに合わせる本橋さんのワインペアリング。座ったら最後まで素敵な時間を約束してくれる“JULIA劇場”には、ぜひ足を運びたいですね。

日本ワイン、土着品種、オレンジワイン、そしてシードル。今注目のカテゴリーとのペアリングは?

昨今話題の日本ワインを、ペアリングにも積極的に採用しているJULIAの本橋さん。続いて、日本ワインの代表的なブドウ品種「甲州」に合う料理のニュアンスを聞いてみました。

↑「葡蔵人(Book Road)甲州無濾過 2017」(日本)

 

「僕の中では、甲州はソーヴィニヨン・ブラン寄りの位置づけです。でも甲州の方がちょっとした苦味があって、酸味が強い料理に合いやすいかな。レモンやライムを使った一皿とか、山菜にもいいですね。あとポイントは旨味。貝類やキノコ類の旨味系の料理に、甲州を合わせることが多いです」(本橋さん)

 

さらに、シャルドネのようによく知られた国際品種ではなく、その地域特有の土着ブドウ品種も今、注目の的。例えばギリシャ・サントリーニ島の白ブドウ品種「アシリティコ」に合わせるなら?

 

「飲んだことのない品種に合わせる料理を考えるとき、ポイントはそのブドウの育った環境をイメージすることですね。ギリシャだったら青い海、青い空、真っ白い建物……などなど。そうしたらやっぱり魚介類? レモンをたっぷり絞って? そんな風景を想像ながら料理を作ると、楽しいですね」(本橋さん)

↑「ドメーヌ・シガラス・サントリーニ・アシルティコ 2017」(ギリシャ)

 

一方、ブドウ品種ではなく「オレンジワイン」という製法にこだわった話題のワインは、どう合わせたらいいでしょう? 白ワインのようでいて白ワインとは違う複雑な味わいに、合わせる料理を迷ってしまう人も多いので、ズバリ、オレンジワインに合わせたら楽しそうな家庭料理を一品、教えていただきました。

 

「オレンジワインは、白ワインと赤ワインのニュアンスを両方もつ万能選手です。JULIAのペアリングでも、よく採用しますよ。家庭料理で一品だったら……、すき焼きですね! 肉の旨味、お醤油の甘み、卵のコクに合いそうです」(本橋さん)

↑「ポデーレ・プラダローロ・ヴェイ・ビアンコ・アンティコ 2015」(イタリア)

 

最後に、毎月変わるJULIAのペアリングコースの中で常に変わらないスペシャルメニュー「スライダー」には必ず、りんごのお酒「シードル」を合わせるというので、その魅力も語っていただきました。

↑「ラ・シードルリー・デュ・ゴルフ・プティ・キュヴェ NV」(フランス)

 

「『スライダー』は、小さなハンバーガーです。スモークしてほぐしたポークと、パインジュースやトマト、醤油などからつくった特製BBQソース、さらに食感と酸味の演出のためにリンゴがサンドしてあります。それを手づかみでかぶりつく! そしてよく冷えたシードルを喉に流し込む! 最高ですよ」(本橋さん)

↑JULIAの前身「本橋ワイン食堂」時代から続く、人気のメニュー

 

「シードルは甘いお酒というイメージがありますが、辛口のシードルは料理にも合わせやすく、低アルコールなのも良いところ。夏、キンキンに冷やしてグビグビ気軽に飲んで欲しいですね」(本橋さん)

 

“軽めから重めへ”なんて気にしない!抑揚を楽しむ白ワイン選び

今夏、JULIAでもペアリングワイン7種のうち6種が白ワインだそう。でもその提供する順番は、決して“軽めから重めへ”という教科書どおりではありません。「わざと抑揚を出して、ジェットコースターのようにペアリングを楽しむと良いと思います」(本橋さん)

 

冒頭のペアリングの定義でも触れたとおり、家庭ではこの相手もその相手もどちらも素敵、とあれこれ自由に楽しむことがポイント。気軽な家庭料理とさまざまな個性の白ワインを、自分なりの感性で選びたいものです。

素敵な時間をおまかせ。“JULIA劇場”へようこそ

最後に。東京・恵比寿にある、今話題のペアリングレストランJULIAでは、メニューやワインは完全におまかせ……公私ともにパートナーであるオーナーソムリエの本橋さんと、シェフのnaoさんが創り出す、至福の時間とは?

 

食事の時間を僕たちに委ねてほしい

「例えば映画や演劇を観に行って、そのストーリーを自分の好きな内容に変えることはできないですよね? レストランは本来、お客様が食べたい料理や飲みたいワインを決めることができますが、そういうレストランはたくさんある。JULIAに来ていただいたら、ストーリーは決まっています。その時間を僕たちに任せて欲しいのです」(本橋さん)

 

レストランやホテルでの20年以上のソムリエ経験を経て、現在のパートナー、シェフのnaoさんと茨城県つくば市で「本橋ワイン食堂」をオープン。5年間地元で愛されたワイン食堂は昨年、東京進出のチャンスをつかみました。

 

「恵比寿出店を機にnaoと入籍したこともあり『JULIA』に改名したんです。“ジュリア”は僕の母のニックネームでした。近所の人に料理を振る舞うほど料理好きな母で、将来は父と小料理屋をすることが夢でした。父が早くに他界したのでその夢は叶いませんでしたが、僕たちがその夢を引き継ぐことになりました」(本橋さん)

 

 

naoさんは、先述の通り、料理はすべて独学だそう! 調理師専門学校に通ったこともなければ、有名店での修行経験もありません。ふたりが好きなニューヨークへ何度も一緒に足を運び、ありとあらゆるレストランで食事をしながら研究を重ね、感性を磨きました。だからJULIAの料理は独創的でありながら、どことなくプロの緻密さよりも母の手料理にも似た温かさがあるのです。

 

 

また注目すべきは、JULIAへ海外からも足を運ぶ客の多いこと。さまざまな経験を積んだシェフ、誰々の元で修行をしたシェフ……私たち日本人がつい、レストラン選びの指標にしてしまいがちなそんな情報は、海外からの客にはまるで関係なく、naoさんの料理自体に感銘を受けて、度々足を運ぶと言います。

 

実は海外のウェブサイトが選ぶ「注目すべきアジアの女性シェフ10人」に選出されていることからも、日本より海外で知られていることがわかります。いつも笑顔で謙虚なnaoさん、本人が思っているよりもずっと、今後ますます注目されるべきシェフであることは間違いなさそうです。

 

JULIAのおまかせペアリングコースは、毎月変わります。デザートまで8?9皿の料理と本橋オーナーがそれぞれに合わせて選んだワイン、時にはシードルが1杯ずつ組み合わせられて楽しむことも。また面白いのが、このコースはなんと前半の4皿まで、フォークとナイフを使わず、すべて手で食べるスタイルだということ! フォーク・ナイフとワイングラス、それらを交互に持ち換えながら食事を進めるというのは、意外と気を遣う作法であり、手づかみで食材を口に運びながらもう一方の空いた手でワイングラスを口に運ぶというのは、いたって自然な動き。一度体験するとクセになります。食事をするという行為が、会話を遮ることがまるでなくなるのです。

 

「お客様がお家に帰って、お風呂に入りながら『あれ? 今日何食べたっけ? でもすっごく楽しかったなあ』って思ってくださったら、僕たちの勝ちですね(笑)」(本橋さん)

 

 

客には選ばせない“ジュリア劇場”は、けれど決して押し付けがましいレストランではなく、目に見えない時間と空間、記憶や知識を超えた、本能に響く満足度を提供しています。

 

「さっき、映画や演劇のストーリーは変えられないって言いましたけど、誰かのお家に招かれて食卓を囲む時も、内容って変えられないですよね。ここでは、お客様を僕たちの家に遊びに来てくれた大切な友人のように、誠心誠意おもてなしします」(本橋さん)

 

店内には大きなテーブルがひとつ。両側に6席ずつの計12席のみ。知らない客同士が、同じテーブルを囲んで食事をします。劇場でもあり、まるで友人の家に招かれたようでもあるJULIAへ、大切な人とぜひ訪れてみて。

 

【レストラン情報】


JULIA

所在地:東京都渋谷区恵比寿南1-18-9 タイムゾーンヒルトップビル1Fハーベスト内
Tel:03-6412-7490(完全予約制)
営業時間:18:00~22:00
定休日:火曜
https://juliaebisu.wixsite.com/julia

 

取材・文=山田マミ 撮影=泉山 美代子

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「どんどんやってほしい」レストランの“完全キャッシュレス化”に賛同の声

ロイヤルホールディングスは11月6日、完全キャッシュレスのレストラン「GATHERING TABLE PANTRY 馬喰町店」をオープンした。現金での精算ができないお店という斬新な試みに賛同の声が上がっている。

出典画像:「GATHERING TABLE PANTRY」公式サイトより出典画像:「GATHERING TABLE PANTRY」公式サイトより

 

タブレットで注文する次世代レストラン

同店の支払いには楽天の決済サービス「楽天ペイ」を活用。クレジットカードや「楽天Edy」などの主要電子マネーで支払うことができる。レストランのテーブルにはタブレットPCが置いてあり、利用者はこれを使って注文するという仕組みだ。

 

完全キャッシュレスにすることで業務を効率化し、店長業務の負担軽減など飲食店の課題を解消することが今回の狙い。現金に比べ支払いが高速化するだけでなく、決済情報が楽天ペイ上で連携されるので、清算業務などの作業を軽減することにも繋がるという。

 

飲食店に限らず様々なサービスでキャッシュレス化が進む昨今。ロイヤルホールディングスの試みにも、ネット上では「いいと思う、どんどんやってほしい」「現金勢の支払いの遅さは異常。混雑してるランチのピーク時とかは本当にイライラする」「もうそろそろ“財布”とかいう前時代的なものは淘汰されそう」「全店舗でやってくれれば良いのに」といった声が相次いだ。

 

現金での支払いは時代遅れ?

最近定期的に話題になる、現金派VS電子マネー・クレカ派の論争。今年10月に放送された「ワイドナショー」(フジテレビ系)では、社会学者の古市憲寿が現金での支払いを批判して話題に。古市は「現金って気持ち悪いじゃないですか。だって誰が使ってるか分からない」と言い、現金自体への嫌悪感を吐露。さらに「コンビニで今時現金使うのってちょっと頭悪い人」と発言した。

 

挑発的な意見だったが、視聴者からは「頭悪いとまではいかないけど非効率だよね」「バスで現金使う人も意味がわからない」「現金払いオンリーの人って惰性で使ってるだけなのでは?」「小銭を探してもたもたした挙句1万円出す人とか見てると怒りで震える」といった賛同の声が。

 

一方で「まだまだ現金でしか払えない店とか多いから財布を手放せない」といった理由で、現金派が多いのも事実。「ソフトバンク・ペイメント・サービス」が10月に発表したアンケートでは、半数以上の人が普段から支払いに“現金”を使っているという結果になった。

 

ロイヤルホールディングスのキャッシュレスレストランは、現金派も多い日本でどのように受け入れられていくのか。電子マネーの普及状況とともに見守っていきたい。

伝統の島唄が楽しめる郷土料理店!? 知る人ぞ知る「奄美の名店」5選

奄美と聞いて思いつくのは、豊かな自然……ですが、実は奄美の食文化も、自然と負けず劣らず豊かでバラエティに富んでいるんです。ここでは、島唄が楽しめる家庭料理のお店からオムレツが名物の隠れ家的レストランまで、5つのお店を取りあげました。

 

【①奄美郷土家庭料理 かずみ】

伝統の島唄を聞きながら郷土料理を楽しめる

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みんなで唄い踊り、島の文化にどっぷり浸かれる異空間

奄美大島イチの繁華街、名瀬にある「郷土料理かずみ」は、奄美に古くから伝わる島唄を聞ける貴重なお店。おかみさんの西和美さんも有名な唄者(うたしゃ)で、CDをリリースし、武道館にも立ったほどの腕前です。

 

お店は17時にオープンしますが、島唄が始まるのは、ある程度料理を出し終わった19時過ぎから。島唄は、男女の言葉の掛け合いに節をつけていくのが基本的なスタイルで、三味線を弾く男性の唄者に応えるように、和美さんが調理の手を止めて張りのある唄声を聞かせてくれます。

 

ここでは、島唄をじっくり聞くのではなく、一緒になって唄い、踊るのが特徴。店内に響く唄に合わせて手拍子するのはもちろん、太鼓も合わせた島唄「六調」が始まると、全員が立ち上がって唄い、踊り始めます。和美さんも「島唄はあらたまって唄うものではありません。唄が下手でも唄うし、三味線が弾けなくても弾く。誰でも楽しめる。それが島に息づく島唄なんです」と笑顔で語ります。

 

島唄には都会の疲れを癒し、元気を与えてくれる不思議な魅力が詰まっているんです。

20171021_BLnak1_2↑料理はおまかせコース3000円からで、ボリュームも満点。素材は100パーセント奄美で採れたもの

 

20171021_BLnak1_3↑おかみさんの西和美さんは有名な唄者(うたしゃ)。お店は40年の歴史があり、リピーターも多いです

 

【お店情報】

奄美郷土家庭料理 かずみ

奄美市名瀬末広町15-16

TEL:0997-52-5414

営業:17:00~23:00 不定休

※要予約

※島唄を希望の方は、予約時にお伝えください

 

 

【②架空食堂「Kurau」】

ジューシーなソーセージが自慢の奄美創作料理

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奄美産を独自に表現する、知る人ぞ知る名店

奄美大島の繁華街、名瀬にある創作料理「架空食堂kurau(くらう)」。ヨーロッパの家庭料理をテーマに、奄美の食材を使ったオリジナリティーあふれるメニューがそろいます。特に人気のあるのが、奄美でもほとんど市場に出回っていない「あかりんとん」という地元産の豚肉を使った自家製ソーセージ。あぶらに甘みがあるとてもジューシーなソーセージで、来店する方の8割が注文するほどの名物。そのほかにも、あかりんとんの加工肉をベースにした創作料理が並びます。

 

また奄美のフルーツを組み合わせた料理や、魚介を使った料理など旬を生かしたメニューにも人気があります。奄美の地ビール「あまみガーデン」とともに食べる地元の食材は絶品。

 

店主の安田さんは奄美育ち。その後福岡に渡り、さまざまなレストランで修業。そのときに働いたビストロでの経験を生かして、いまから約6年前に奄美でお店を出しました。地元の人たちに愛され、いまでは姉妹店「Au pas camarade(お・ぱっきゃまらど)」もオープン。同じ名瀬にあるブラジル創作料理店で、豚肉料理スペアリブが好評だといいます。

 

知る人ぞ知る名店として、地元の人たちにも知れ渡っている両店。郷土料理とは一風変わった、奄美ならではの料理を楽しみたい方におすすめです。

20171021_BLnak1_5↑お店一番人気の自家製ソーセージ(手前 700円)と、あかりんとんのリエット(奥 450円)

 

20171021_BLnak1_6↑席数はカウンター8席、テーブル12席。お店は基本的に2人で切り盛り

 

【お店情報】

架空食堂「Kurau

奄美市名瀬金久町16-6

TEL:070-5817-0493

営業:18:00~夜更け 不定休

 

 

【③ラフォンテ】

奄美の気候にベストマッチ。農園直営の本格ジェラート店

20171021_BLnak1_7↑(写真左)パッションフルーツ、タンカン、真塩のジェラート、(写真右)黒糖、マンゴー、島ざらめキャラメルのジェラート。トリプル(3種類)で税込520円

 

島ならではの素材で作るジェラードは絶品

奄美空港から名瀬方面に向かう県道82号線沿いにあるジェラード店「ラフォンテ」。直営のいずみ農園で育ったフルーツで作られるジェラートは、どれも素材の味を十分に生かしたフレッシュな味わいです。マンゴー、パッションフルーツ、タンカンなどの南国フルーツはもちろん、チョコレート、イチゴ、ミルクなどの定番、さらには黒糖、真塩、島ざらめなどここでしか味わえないジェラードがそろいます。

 

お店一押しの島ざらめキャラメルは、奄美産のさとうきびを使って作られ、ざらめのコクがジェラードにマッチし、深みのある味わい。また、南国ならではのパッションフルーツのジェラートは、収穫が追いつかないほどの人気ぶりです。

 

お店のオーナー、泉さんは奄美出身の女性。夫とともにUターンで島に戻り、夫が農園を始めたことから、その素材を生かしたジェラード店を立ち上げました。

 

「私も主人も何度かイタリアを訪れたのですが、そのときに食べたジェラートのおいしさが記憶に残っていました」と始めたきっかけを話してくれた泉さん。

 

2011年にスタートしたお店ですが、いまでは観光客や若い女性、ファミリー層に人気があり、客足が途切れることがありません。目の前に広がる広大な農園と山々を眺めながら食べるジェラートは格別。1年中暖かい奄美の気候にもピッタリです。

20171021_BLnak1_10↑県道82号線沿いに立つ、白がまぶしいかわいらしい建物。奄美の澄んだ青空に映えます

 

20171021_BLnak1_9↑「カラフルなジェラートがあくまで主役」と、内装はベージュとホワイトのシンプルな色調

 

20171021_BLnak1_11↑代表の泉さん。2017年で6周年を迎え、島で人気のジェラート店になりました

 

【お店情報】

ラフォンテ

大島郡龍郷町赤尾木1325-3

TEL:0997-62-3935

営業:11:00~17:00(平日)、11:00~18:00(土日祝日) 火曜日定休

http://lafonte.amamin.jp/

 

 

【④元祖 鶏飯みなとや】

奄美の食文化に出会える名店

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スープがなくなったら閉店

奄美の郷土料理といえば、「鶏飯」。白いご飯に、ほぐした鶏肉、錦糸卵、シイタケ、漬け物、ネギ、のり、干したみかんの皮などを乗せ、鶏ガラスープをかけて食べます。味は具だくさんのお茶漬けのような感じで、シンプルな具材にコクのあるスープがしっかりとマッチしています。大人なら2~3杯はいけるでしょう。

 

「元祖 鶏飯みなとや」は、店名にもある通り、ここが鶏飯発祥の地。もともとはいまから400年前に薩摩藩の役人方をもてなすために作られた料理で、当時は炊き込みご飯でした。それを昭和21年に、この店の創業者である岩城キ子(きね)が現代風にアレンジ。鶏スープをかけた現在の鶏飯を作り上げました。

 

みなとやは、島では有名なお店で、客足は途絶えません。人気の秘密は、素材の新鮮さにあります。お客さんに提供するのは、その日の朝から作った新鮮なスープのみ。朝4時ころから仕込みをし、鶏をまるごと3~4時間かけてじっくりと煮込みます。アクと余分な脂を取りながら、とろ火で煮るのがおいしさの秘けつだとか。このスープがなくなったら、その日の営業は終了となるなど、質の落ちるものは出さないというポリシーがあります。

 

いまでは奄美の一般家庭でも広く食べられている鶏飯。島の食文化を知る上でも、訪れておきたい名店です。

20171021_BLnak1_13↑自分で具材を乗せ、スープをかけます。ご飯は軽め、具材はたっぷりがおいしいです

 

20171021_BLnak1_15↑店の前には鶏の石像が。みなとやの創業者が鶏飯を編み出しました

 

20171021_BLnak1_14↑「心を込めて作るとおいしくなる」とおかみさんの池山さん

 

【お店の情報】

元祖 鶏飯みなとや

奄美市笠利町外金久81

TEL:0997-63-0023

営業:11:00~14:30ラストオーダー(売切次第終了) 不定休

http://minatoya.amamin.jp/

 

 

【⑤陶工房カフェ夢紅】

時間を忘れて癒やされる隠れ家レストラン

20171021_BLnak1_16↑手前が名物のカルボナーラオムレツ(1200円)。ペペロンチーノ(右、800円)、アンチョビ(上、1100円)も人気

 

島の雰囲気にどっぷり浸かれる愛ある空間

奄美空港から名瀬に向かう途中にある隠れ家的レストラン「陶工房カフェ夢紅」。地元の人から熱烈に愛される知る人ぞ知る名店です。料理はイタリアン。ペペロンチーノ、アンチョビの定番のほか、カルボナーラオムレツというイタリアのまかない料理も提供しています。

 

お店の売りは、何といってもその立地。お店は木造1軒屋を改造したカフェで、ウッディーな店内は南国の雰囲気が漂います。そしてテラスの目の前には、美しいビーチとキラキラと輝く太平洋が広がっています。ビーチに降りて行けば、そのまま海辺で波と戯れることができます。亜熱帯気候の奄美のそよ風を受けながら飲むトロピカルジュースは格別。都会の喧騒を忘れ、エネルギーを充電するためにはもってこいの場所。

 

お店を経営するのは、陶芸家の中嶋夢元さんと奥さん。夢元さんは、山口県山陽町とここ奄美大島に陶芸の窯を持ち、その工房でロクロを回す。独特の世界観を持つ器には定評があり、定期的に東京などで個展を開いています。レストランでもその器を使って料理が盛られ、訪れた人たちを魅了しています。

 

「心地いい場所を作りたかった」という奥さん。のんびりゆったりと時間を過ごしたい人にとっておすすめのスポットです。

20171021_BLnak1_17↑グァバ(左)、パッションフルーツ(手前)、バナナ(奥)のジュース。ドリンクは600~700円

 

20171021_BLnak1_18↑デイゴの木の向こう側には美しいビーチが。「この景色が素晴らしい」とマスター

 

↑仲のいい夫婦がレストランを切り盛り。料理はもっぱら奥さんが担当↑仲のいい夫婦がレストランを切り盛り。料理はもっぱら奥さんが担当

 

【お店情報】

陶工房カフェ夢紅

奄美市笠利町与湾神ノ子字殿地

TEL:0997-63-2341

営業:昼頃~夕方 火・水定休

http://yumekurenai.com/