ロシア人の生活を支えているのは「露店」!? 厳しい経済状況を生き残る術とは

ソ連の崩壊や経済制裁など、経済的に厳しい状況を何度も経験してきたロシア人。「一体どんな生活をしているの?」と思っている人もいるのではないでしょうか? 実はロシア人は、いつ降りかかるかわからない災難に対応するために、自給自足の生活が身に付いているのです。その一例としてロシアの露店文化を紹介しましょう。

↑お土産や日用品を販売しているバザール前の露店。コスパがよく何でもそろう(筆者撮影)

 

ロシアではショッピングモールや鉄道駅の前、目抜き通りなど、人通りが多い場所にビニールシートを敷いたり机を並べたりして、露店を営む人が多く見られます。自分の庭でとれた野菜や果物、乳製品、骨董品、衣類など、とにかく何でも売っているのが特徴。

 

黒パンを発酵させた旧ソ連圏伝統の飲み物である「クワス」は、ロシア人に広く親しまれている微炭酸で酸味のある健康飲料。その販売スタンドを営む人も多く、客は自分が好きな容量を購入できます。

↑クワスを販売するスタンド。300ml〜2Lの間で好きな容量を選ぶ(筆者撮影)

 

どこかで買い込んだ食料品を、道端に停めた自家用車の荷台に広げて売る光景を目にすることも。日本とのあまりの違いに衝撃を受けることもしばしばです。

 

露店を営む3つの理由

↑ロシアの田舎に行くとダーチャと見渡す限りの家庭菜園が広がる(筆者撮影)

 

ロシア人が露店を営む理由の1つは、家計のやりくりです。最新の調査結果を見てみると、2022年におけるロシア人の平均月収は6万5338ルーブル(約10万2000円※)でした。

※1ルーブル=約1.56円で換算(2023年7月26日現在)

 

ただし、モスクワやサンクトペテルブルク以外の地方都市では5〜7万円という月収も珍しくありません。年金は1万5000円〜2万円が平均的水準です。

 

しかも、生鮮食料品は日本より安いものの、その他の食料品は日本並みで、電化製品にいたっては日本よりもはるかに高くなっています。

 

このように厳しい経済状況が常態化しているロシアでは、年金生活者などが品物を露店で販売し生活費の足しにしているのです。

 

2つ目の理由は、ソ連時代から残るダーチャの存在。ロシア人は暮らす家とは別にダーチャと呼ばれる別宅を所有していることが多く、暖かい時期にはそこで家庭菜園を営みます。

 

野菜をピクルスにしたり、果物をジュースにしたりしますが、消費しきれない収穫物は露店で販売します。自給自足と露店ビジネスが盛んな背景には、ダーチャの家庭菜園があるのです。

 

3つ目の理由は、露店を規制する法律がないこと。ビニールシートやクルマなどを利用して気が向いた時に開くため、規制しきれないのが実情なのでしょう。

↑家庭菜園で収穫されたイチゴ。大部分をジュースやジャムにして残りは露店で売る(筆者撮影)

 

このように、経済的な理由とダーチャという文化を背景として、ロシアには露店文化が根づいています。スーパーではなかなか買うことができない新鮮な野菜や果物、日用品などがお手ごろ価格で販売されている露店は、おしゃべりをする社交場としても広く親しまれており、まさにロシア人の生活の一部なのです。

 

執筆/寝るカズキ

 

モスクワで躍進する「3つのルール」なるファストフードチェーンはロシア人の健康を救うのか?

近年、目まぐるしく成長しているロシア。そのビジネスの中心地、モスクワは「眠らない街」とも言われていますが、そこで働く人たちを支えるのは、残念ながら町中に溢れるファストフードなのです。しかし、そんななかでも、働き盛りの中年男性を救う「健康志向のファストフード」店がモスクワでいま大人気となっています。

 

3つのルール」を守るファストフード

モスクワで人気のヘルシーファストフード店「Три Правила(トゥリー プラーヴィラ)」。この言葉の意味は「3つのルール」です。

 

店名にもなっている3つのルールはお店の大事なポリシーでもあり、必ず店舗の壁に大きく掲げられています。

 

1:食品添加物、保存料を使わない。ナチュラルな食材のみを、あなたとお子さまに提供します

2:レストランの味を最安値で。ユニークでおいしいレシピを使ったプロの味。ウエイトレスやお皿、高価なインテリアを使用しない分、お客様に還元します

3:その日のものをその日のうちに。売れ残りの食材は1つたりとも次の日に持ち越すことはありません。店頭には毎朝、一番新鮮な手作りご飯が並びます。

 

創業者自身の経験から生まれたファストフード店

創業者であるアレクサンドル・ユーロフ氏は、40歳まで仕事一筋のビジネスマンでした。それまではまったく健康のことなど考える暇がなかったそうですが、40歳になった年に受けた健康診断で引っかかり問題にぶつかりました。

 

ユーロフ氏は、そこで初めて見た自身の異常なコレステロール値や血圧にかなりの衝撃を受けたと言います。医師からは、日々の食事に気をつけるよう注意され、そこで初めて健康的な食事について考えたそう。調べていくと、自身が日々気にせず食べていた物に、いかに多くの不健康な添加物が入っているかが分かってきました。

 

さらに彼は「自分のように日々の忙しさで健康的な食事と縁遠い生活を送っている人が大勢いるのではないか?」と考えました。そこで一念発起し、大都市モスクワにヘルシーで安全なファストフードを広めようと思い立ったのです。

 

おいしくて健康的、そして安全な料理をファストフードにして、大都市で頑張る忙しい人たちに届けようという活動は、こうして始まりました。

オリジナルのお弁当を作る楽しさ

この店の人気メニューは、お惣菜やメイン料理を組み合わせるスタイル。1つひとつがパック包装されており、自分で組み合わせた料理をレジに持ち込むと、レジの後ろにある電子レンジで温めてくれます。日本のコンビニ弁当みたいですが、より便利さを感じるのはすべてが別々になっているということ。例えば、レンジでは好きなものや食べたい分だけ温めることができます。

 

メニューのバリエーションも豊富で、週替わりの新メニューも見逃せません。ロシア料理に始まり、エスニック料理や肉に魚、パンやケーキ、デザートまで、とにかく驚くほどのラインナップで利用者を飽きさせません。平日ではスープとメイン料理、サラダを組み合わせた199ルーブル(約399円)のビジネスランチセットが人気。これだけの選択肢と品質で、この価格はモスクワでもかなりお得と言えるでしょう。

 

幅広い客層を見込んだ立地

モスクワにある全16店舗が、それぞれ駅や地下鉄から徒歩3分以内のショッピングモールのなかにあります。モール内で働く人々はもちろん、近隣のビジネスパーソンや駅とショッピングモールを利用する人や家族、子連れのママたちなど、幅広い層を取り込めるように計算されているんですね。特に平日はビジネスパーソンと子連れママたちで賑わいます。

「早くてお手軽」という既存のファストフードに「安全」と「健康」を加えた3つのルール。メニューの組み合わせも自由であることが、洗練されたモスクワっ子を魅了し、大都市モスクワの企業戦士までも引き付けています。このファストフードチェーンがロシア人の食生活をいかに変えるのか、注目です。

 

ぶっ飛び度はさすがロシア級ーーでも大切なことを教えてくれる「ヒーローたちのサバイバルレース」なる大会

毎年モスクワをはじめとした10都市で行われ、人気を博している「ヒーローたちのサバイバルレース」。ロシア国内で15万人以上の競技人口を誇り、現在もファンが増加中。「平日はサラリーマン、でも休日はサバイバルレーサー」という意識で余暇を充実させたい男女たちを魅了して止まない、このサバイバルレースに迫ります。

 

ロシア最大のスポーツイベント

現代人はとても多忙なため、日々の生活で感動することは難しくなっています。ヒーローたちのサバイバルレースは、そんな現代人の心を動かすように設計されたイベント。2013年の開始以降多くの人たちを魅了し、いまではロシアのサバイバルレースを代表する1つとなっています。

 

障害物だらけのコースは、プロジェクトチームが国防省と協力し、ロシア特殊部隊の訓練でも使用できるように設計されたというほど本格的。超過激なクロスカントリーと言えるでしょう。しかも、レース中は戦車や装甲兵員輸送車が3分に1度空砲を鳴らすとあり、戦場さながらの雰囲気。2015年のレースでは世界最大のホバークラフトが開会式に登場しました。

2016年には、モスクワやサンクトペテルブルクなど14の都市で70以上のイベントを開催し、15万人もの参加者を記録しました。開催地によって異なる「ユニークなスペシャル障害物」がリピーターを喜ばせる秘訣のひとつとなっています。

 

参加費は2000ルーブル(約4000円)。18歳以上で、レースに支障をきたすような持病がなければ誰でも参加可能。特別な準備が何も必要ないのもうれしいところ。

1チームは8~10人で構成。チーム内で最後にゴールした人のタイムを競います。夏と冬に1回ずつ開催されるこの大会で、参加者たちはエンジンがかかった戦車の下をくぐったり、泥の沼を泳いで渡ったり、数メートルの壁を登ったりしながらゴールを目指します。

誰もが楽しめる冒険

ヒーローたちのレースには、どんなレベルの人でも参加できます。参加者は普段、オフィスで働くビジネスマンからプロスポーツ選手まで様々。スポーツ経験がない人であっても、「諦めなければ絶対にゴールできる」とプロジェクトチームは話しています。各所に配置された「サポート隊員」が必要に応じて参加者をサポートし、いざとなればいつでも救助してくれるので安心です。

 

競技開催中には、参加者たちを応援する家族やパートナーたちのために「ファンゾーン」なるものが用意され、快適な空間のなかでエンターテイメントを満喫できます。

 

そこではコンサートやゲームなどが行われる一方、いろいろな子ども用競技が準備されたキッズのためのプレイゾーンもあります。さらに、レースのWebサイトにはこんなステキな言葉が。

 

「家族全員でヒーローのレースに来てください。配偶者が一緒に出場しないから行けない、なんて言わないで。ご家族はあなたの勝利(ゴール)を見届けることができます。これは家族みんなの勝利。会場には、ご家族全員分の感動が待っています」

 

プロジェクトチームの調査によると、参加者が家族や友人へレースについて伝える確率は100%。その口コミから興味を持った人がレースのWebサイトを見ると、自分も参加したくなるような仕掛けがあります。

 

サイトでは写真中心の構成で難しい説明もなし。あるのは写真と、インパクトのある短くわかりやすいフレーズ。「参加を迷っている? いまサイトを見ている別の人が、あなたの代わりにヒーローとなってしまいますよ」とか「人生を変える冒険はいま。自分を後悔させるな」など、少しドキっとするようなフレーズが盛りだくさん。フレーズを追って読み進むと、最後に簡単な参加フォームが出てきて、ついつい熱い気持ちのままフォームを書きたくなってしまうのです。

 

あなたの人生を変えるかも!?

国家的で超過激な戦闘訓練にも見えますが、それはこのレースの一面に過ぎません。ど派手な演出でも、主役は参加者一人ひとり。仲間や家族、スタッフに見守られながら、身体全体を目一杯使って運動することができます。ゴールした参加者たちから笑顔が見られるのは、レースを楽しんだ何よりの証拠。障害を乗り越え、自身の恐怖や苦手を克服するということは、退屈な日常を打破し、自分を変えるための挑戦とも言えるでしょう。

レースに参加した人たちの全員が周囲に100%知らせるという口コミ効果もあって、このレースはこれからも成長し続けると予想されます。心が凝り固まってしまいがちな毎日を過ごし、飽き飽きとしている方、そして仕事一辺倒の日本人にも、ぜひ一度体験してもらいたいイベントです。

「家に帰りたくない!」 ロシア最大のテクノロジー企業の「職場環境」が超うらやましい

社員が口を揃えていうのは、快適すぎて「家に帰りたくない」――。

アメリカの大手テクノロジー企業から聞こえてきそうな話ですが、なんとそんな職場がロシアにもあるんです。ロシアの検索エンジン・ポータルサイトの「ヤンデックス」(検索件数では世界第4位)は、ソビエト連邦時代をまったく感じさせない、先進的で快適すぎる職場環境で大きな注目を集めています。

IT業界の精鋭たちが働く、モスクワ中心地にある本社ビル。明るく近代的な社内には通常の会社ではあまり見ない、ハンモック、ソファー、巨大クッションなどがあちこちに配置されています。ヤンデックスでは、必ずしも机に座って仕事をしなくてよいのですね。室内に限らず、バルコニーや屋上など、社員は好きな場所で業務にあたることができます。

 

自由な勤務時間体制も話題になっています。12〜18時の間は、必ず全員が会社にいなければなりませんが、それ以外は出社も退社時間も自由。自分や家庭の都合、仕事の進捗状況などによって、勤務時間を決めることができるのも先進的です(ヤンデックスでは残業の問題もないようです)。

 

「こんなに手厚くて大丈夫?」と思ってしまうほどのサポート体制

ヤンデックスは、 ロシア版Amazonともいうべき「ヤンデックスマーケット」を運営していますが、それを社内で活用した「ヘルプ機能」がとても画期的。この機能には内線を使ってアクセスし、電話1本で業務に必要なもの(例:充電ケーブルやメモリーカード)が即日、もしくは翌日には手元へ届くのです。

 

これにより社員たちはいつでもヤンデックスマーケットから最短で必要なものを手に入れられます。「業務に必要なもの」という条件がありますが、いままで頼んで届かなかったものはないと社員たちが言うのですから、驚くほど便利なサポートですね。

 

社員への手厚いサポートにも注目が集まっています。出張の日はヤンデックス傘下である「ヤンデックスタクシー」が終日無料に。出張中のみ使える特別なアプリも提供され、これにより社員は領収書などの手間が省ける一方、会社としても後処理がラクになります。また、管理職の人にとっては、これで出張中の社員の動きも見えるようになるというメリットもあるそう。

 

従業員の食事に対するサポートにも抜かりはありません。食事カードには毎月一定額のお金が振り込まれ、社内レストランのほか、ヤンデックスと提携のモスクワ市内レストラン、カフェの15店舗で使うことができるのです。

また、10時半前に出勤した従業員には、その都度、食事カードに約500円が追加されるボーナス制度もあります。もちろん、それを朝食代に使ってもお昼や晩御飯に使っても自由。しかも、食事カードと連携したアプリでは残高と次月の振込までに、1日いくら使えるかが表示され、非常に便利だということです。

社長までも横並びのスケジュール

社員はいつでもオンラインで、全員のスケジュールを把握できます。ここまでは他の企業でもありがちですが、なんと社長までがそのスケジュールに登録されているというのは珍しいのではないでしょうか。トップの人々も含めた全社員の動きや進捗状況が即座にわかると、社員間のコミュニケーションに役立つのはもちろん、自分の役割も明確に見えるようになるので、とても有用だそうです。

 

社内はまるでミニチュアの街

充実した社内環境も話題を呼んでいます。社内にレストランはもちろん、郵便局や図書館、ジム、ATMを完備。社員たちは出勤するだけで、個人の用事さえも社内で済ませられるようになっています。本社屋上はオープンテラスになっており通常の作業場所として以外にも、社員の誕生日にはパーティー会場として使われることも多いそう。その際は他部署の人たちも招待できるので、いろいろな意見や情報を交換する場所になります。

 

クリエイティブなロシアの先駆者

ヤンデックスは、いまやロシア最大手のインターネット企業です。検索ポータルだけでなく、ナビゲーションシステム「ヤンデックスナビ」や、ロシア版PayPal「Yandex.Money」、ロシア版Amazon「ヤンデックスマーケット」、ヤンデックス・タクシーを展開し、ロシアとともに成長し続けています。

 

この急成長の背景には、社員のクリエイティブな仕事を全面的にバックアップする体制が整っていることがあり、それによって社員をベストパフォーマンスへと導いているように思えてなりません。

ロシアに興味がある人には絶対読んで欲しい「ロシア」の最新事情まとめ

サッカーW杯開催国ということ(そしてベスト8進出)で、世界から注目を浴びたロシア。地図を見れば世界最大の国ですが、日本人にとっては身近な国とは言い難いかもしれません。ソ連崩壊後の厳しい時代をくぐり抜け急速な経済成長を遂げているロシアは、実際にはどのような国なのでしょうか?

本稿では、これまでに取り上げた食や修理文化、最新の空港を通して、ロシアの伝統や国民性、その近代化についてご説明します。さらに、W杯がロシア人に与えた影響についてもレポート。ロシアに関する知識をアップデートしましょう!

 

【食】国民食と飲食店の変化

意外と素朴な味付けが好みのロシア人。昔からの国民食といえば、軍の野戦食(ミリメシ)から進化した缶詰食材「トゥションカ」です。圧力鍋で肉と玉ねぎをじっくり煮て塩胡椒で味付けした、とてもシンプルなものです。シンプルなだけにスープにそのまま入れる、マカロニや野菜と和えるなど、味付けが自由にできるのが魅力です。

 

過去の厳しい時代背景から、これまで「食事」といえば寒い冬の長期保存はもちろん、とにかく「食べられたら良い」というものでした。しかし今、ロシアの食卓事情は大きく変わろうとしています。

詳しく読む(これを知らずしてロシア料理は語れない! 軍の野戦食から国民食へ進化した最強時短缶詰「トゥションカ」とは?)

 

近年、モスクワで急速に知名度を上げているスーパー「フクースウィル」。”メガポリスに新鮮で安全な食材を”というポリシーで、取り扱うすべての商品が自社ブランド商品です。細かく表示された原材料表示、そしてロシア初の”レシートなしでの返金”というサービスが注目を集めています。昨今の近代化により、ソ連時代には考えられなかった「店のサービス」、世界基準での「食の安全」に国民の注目が集まっています。

詳しく読む(食べ終わった惣菜も返金OK!? ロシアで珍しく真っ当なスーパー「フクースウィル」が急拡大中)

 

その一方で、ビジネスの中心モスクワでは”ファストフード”需要が伸びています。街中のいたるところで見られる「クローシュカ・カルトーシュカ」。主食であるじゃがいもを使用し、”注文から提供まで約2分”という超ファストフードです。オーブンから取り出した特大サイズのジャガイモに17種類のトッピングを好みで組み合わせて、色々なバリエーションが楽しめます。

詳しく読む(「ロシア流おにぎり」って知ってる? この20年で爆発的に普及した「クローシュカ・カルトーシュカ」)

【国民性】ロシア人と日本人の共通点

実はロシア人には日本人との共通点がいくつかあります。1つ目はいわゆる「もったいない精神」です。ロシア人はソ連時代にモノ不足だったこともあり、モノをとても大事にし修理して使います。修理文化が浸透しているロシアでは、3畳ほどの広さで収まるくらいの修理屋さんが街じゅうにあります。服の袖やサイズ直し、時計の修理、靴の修理、合鍵作成などといったサービスを提供しています。

歴史的な背景で、不安定な状況を乗り越えてきた国民だからこそ、着実に育んできた「もったいない精神」なのかもしれません。

詳しく読む(【長く使うということ=ステータス】 ロシアの修理屋さんたちが教えてくれる大切なこと)

 

2つ目の共通点はサウナ好き。サウナと日本人が好きな風呂や温泉は別物ですが、ロシア人にとってサウナは、日本人にとってお風呂のようなものなのです。しかも、ロシアンサウナは隣り合う休憩スペースとサウナを行き来して、食事やお茶をつまみながら3~4時間過ごすのが一般的です。ロシア人は仲間達と語らい、お茶やお酒を酌み交わし、「裸の付き合い」を通して仲を深めていきます。銭湯の感覚に少し似ているような気がしますね。

詳しく読む(裸の付き合いは国境を越える! 「サウナ」から見るロシア人と日本人の共通点)

キックスケーター、空港、W杯スタジアムから見る「近代化」

近代化が進むロシアの街では、町中で必ずと言って良いほど見られるのが、「キックスクーター」で移動する人々。大人が使用するにふさわしいスマートな車体、そして自動車などの渋滞に縛られない、公共交通機関とスクーターの併用でエコなシティライフを送るモスクワっ子が増えています。

詳しく読む(自転車はロシアでもう古い? キックスケーターの進化系が「バターの上を滑っているようだ」と大人気)

 

一方、今年のワールドカップ前に「ロシア近代化の象徴」として全面的に改装されたのが、モスクワの「空港」。空港内は明るく綺麗でモダンな装いとなり、ソ連時代の面影をまったく感じさせません(写真はドモジェドヴォ空港)。
特に、便利さが際立ったと思われるのは、手荷物受取場(バゲージクレームエリア)の改善です。手荷物が搬出される場所と同じフロアに、カフェや免税店、鉄道のチケット売り場などが併設。他国では一般的な感もあるようですが、ソ連時代の空港ではあり得ない状況で、利用者が開放的な気分のまま時間を有効に使う後押しとなりました。国民にとっては、荷物を待つストレスから解放されたことは、それ以上の価値と開放感があるといっても過言ではないのです。

詳しく読む(「モスクワの空港」が飛躍的に進化!! 手荷物受取場にウキウキのロシア国民)

 

さらに同時進行で国が力を入れた、ワールドカップメインスタジアム「ルジニキ」。ロシアの技術を結集し、3年がかりで完成させた「世界最高峰のスタジアム」と言われています。ルジニキは「伝統と未来の融合」をテーマに、開場当時の古い外装をあえて残しつつ改装されました。また、ロシアの厳しい環境下でもベストな天然芝を保つため、35キロにも渡る排水装置や、極寒の冬に芝生を温める暖房装置を有しています。

 

屋根自体は巨大液晶スクリーンになっており、文字や映像を映し出すことが可能。座席は特別な設計を施しており、これこそ世界的にも珍しいと言われる、どの席からでもピッチ全体が100パーセントきれいに見渡せるようになっています。

詳しく読む(ロシアW杯のメインスタジアムがすんごい! 伝統とハイテクが融合した「ルジニキスタジアム」の5つの見所)

 

W杯が国民に与えた影響

歴史的に見ても、近隣国を侵略したり、されたりしてきた大国ロシア。近代化が進む反面、国民性はとてもオープンとは言い難いものでした。しかし、今回のワールドカップでかつてない数の外国人観光客が来たことにより、国民は外国人に慣れ、以前よりとても寛容になったと感じます。今回のワールドカップはロシアの外面だけでなく、内面にも大きな影響を与えました。これからが、本当の意味での近代化が進んでいくのかもしれません。今後のロシアからもさらに目が離せないでしょう。

ロシアは「カーナビの進化」も独自! とあるナビアプリが自由すぎる

日本では車内設置型のカーナビもよく見かけますが、ここロシアでは、車内に残すと盗まれる可能性が高いので、スマートフォンやタブレット内のカーナビアプリを使うのが一般的です。そんなロシアでとってもユニークな、大人気カーナビアプリが存在。遊び心溢れるサービスで、ロシア人の心をわし掴みしたカーナビアプリを紹介します。

 

戦車や戦闘機でドライブ

ユニークなアプリを提供しているのは、世界4位の検索件数を誇るロシアの大手検索エンジン・ポータルサイト「ヤンデックス」。そのヤンデックスが出している、「Яндекс.Навигатор(ヤンデックス・ナビゲーション)」というアプリが好評を博しているのです。

 

基本設定では、現在地を表すカーソルは矢印になっていますが、矢印をスポーツカーや戦車、戦闘機の表示に変更することが可能。自分のクルマが戦車となって、ナビ上を動く様子は運転しながらもワクワクしてしまいます。

 

有名人とドライブしているかのようなナビシステム

ヤンデックスナビはロシアで誰もが知る有名人の声をナビゲーターに起用し、まるでセレブと一緒にドライブしているかのように楽しくドライブをすることが可能。声の出演者は、日本でいう徳光さん的存在のワシリーをはじめ、ラッパーのバスタ(日本でいうZEEBRAさん)、ガーリク(くりぃむしちゅー上田さん)、ナギエフ(明石家さんまさん)、映画監督のフョードル(宮藤官九郎さん)、人気映画トランスフォーマーのコンボイの声、さらに、大手インターネット会社「ヤンデックス」の営業部長でキャリアウーマンの憧れアクサナです。

 

一人ひとりの話し方や誘導がとても特徴的で、どれを選んでもドライブが楽しくなること間違いなし! なかでも人気はコメディアンのガーリク。行き先を設定した途端「俺はいま飲んできちゃったから、お前が運転な!」と、なんだかガーリクを助手席に乗せたような気分にさせてくれます。曲がり角を間違えると「もー、ちゃんと見ろよなー」と愚痴をこぼされることも。コメディアンの彼らしく、ナビには至る所にユーモアが散りばめられています。

 

また、ロシア映画賞など複数の映画賞を受賞したフョードル監督では、行き先を設定すると、「さぁ、いまから俺が監督として導く! 一緒に新しいストーリーを創り出そう!」と言ってナビがスタート。フョードルは運転手を俳優に見立て、監督が指示するように目的地までナビしてくれます。

 

また「変わりネタ」として人気なのは、唯一女性として収録されているヤンデックスの敏腕営業部長アクサナです。ロシアメディアでも強気なキャラクターとして有名なのですが、ナビではそんな彼女にガンガン指示されます。「速度制限よ。私が言うのだから、必ず守りなさい」と、実際に彼女の部下になったような指示が。目的地に到着した暁には「あら、あなたでも到着できたじゃないの」と、お褒めの言葉をもらうことができます。

スターウォーズにオンラインゲーム! アップデートしたくなる仕掛け

本製品は2017年末にスターウォーズとのコラボレーションを発表。なんとヨーダかダース・ベイダーに道案内してもらえるのです。また、現在地を表す矢印もXウイングなどの宇宙船に変更が可能。

 

ひとつひとつの表現も期待通り、ユニークに仕上がっています。「ヨーダバージョン」では行き先を入れると「わしについてこい。若き者よ!」、オービスの前では「気をつけろ、帝国にスピードを見張られているぞ!」、道路工事については「シスたちが道を掘っているようだ」と言ってくれます。一方、ダース・ベイダーでは行き先を登録すると「ダース・ベイダーはお前を待っていたぞ」、「スーパースターデストロイヤーは軌道に乗った」という声が聞こえてきます。スターウォーズのファンにとってはたまらないでしょう。

最新のアップデートでは、戦車を扱った参加型オンラインゲーム「World of Tanks(ワールドオブタンクス)」とコラボレーション。現在地を表す矢印のカーソルの代わりにТ-34-85など、ゲーム上で人気の戦車5台が表示されます。道路工事に差しかかると「対戦車障害物を避けろ」オービスが近づくと「スナイパーに狙われているぞ! 気を付けろ!」など、ナビ上で「World of Tanks」の世界を楽しむことができます。

有名人やコメディアンの声を起用することだけでもユニークですが、それだけではなく、ひとつひとつの表現までもそのキャラクターや作品に合わせる徹底ぶりがユーザーを楽しませています。遊び心溢れるシステムアップデートもユーザーを飽きさせることはありません。オリジナリティ満載のアイデアで、ダウンロード数を着々と伸ばしています。

憧れの「マイ・ガレージ」を低価格で。モスクワっ子のDIY欲を満たしまくる「時間制ガレージ」が人気

約2人に1人がクルマを所有しているというモスクワ。クルマを所有するということは当然、車検や定期点検などが必要となってきますが、予約を取って順番待ちするディーラーより、自分で点検や簡単な部品交換をしたいという意見や、「自宅にガレージがないけれど自由にいじってみたい」という声が多くあります。そんなニーズから生まれたのが「時間制ガレージ」。現在、モスクワっ子の間で人気が高まっています。

 

人気の時間制ガレージとは?

ロシアの修理屋についての記事でも述べましたが、ロシアには、もともと物が少なかったソビエト連邦時代から「自分のものは自分で直す」という文化が根付いています。ソ連時代の名残で、自分でクルマをいじったり、いまだに自分で点検や修理をする人々が多いのですが、大都市モスクワではアパート住まいが一般的。クルマをいじる場所がないというのが問題です。

 

そんななかで時間制ガレージが需要を伸ばしています。電話やオンラインで予約をすれば、自分だけのガレージを24時間使用することが可能。価格は、店舗によってある程度の差はあるものの、1時間あたり400ルーブル(約800円)ほどです。広々としたガレージと専用の工具が使いたい放題ということで一躍大人気に。

 

時間制ガレージでは、クルマごとにガレージが独立している場合もあれば、1つの大きなスペースに何台か入れるようになっていることもあります。チェーン展開をしている店舗はまだないものの、一つひとつの店舗が工夫を凝らしたサービスを提供。

人気店の1つ「сбой гаражスボイガラーシュ」には、486個もの工具が揃っており、しかも、それらすべてはプロが使用するレベルのもの。自宅での修理にありがちな「修理を始めたはいいが、必要な工具がない」ということもありません。また高い専門的な工具を購入する費用も節約できます。ドライバーに始まり2トン以上を持ち上げられるクレーンまで、なんでも揃うガレージ内。USB充電ポートを増設するのに必要な端子類セットや電工ペンチ、検電テスター、よく使う端子やコネクターなど、細々したものもしっかり揃っています。クルマにバックカメラを装着することも可能。

 

使用者の口コミには、「自分のお粗末な工具より断然作業しやすかった。また、どこかの駐車場でいじるより快適に作業できた」と前向きなコメントが寄せられています。

 

ガレージの使い方は無限大?

また、修理に限らないユニークな使い方を提案している時間制ガレージもあります。例えば、4台同時に入れる大きなスペースを友だち同士で使って、お互いのクルマをいじるという「改造愛好家の遊び場」として利用することができます。

 

さらに、冬はマイナス40度にもなるモスクワでは、放っておくとクルマのバッテリーが凍ってしまうことも多々あります。そんな寒い日や夜中だけ、愛車をガレージに避難させるという「時間制パーキング」サービスもあります。

日本やアメリカにも広がるガレージサービス

日本にもレンタルピットというサービスがあります。クルマユーザーが、クルマの整備やカスタマイズ、ドレスアップに必要なプロの「作業場所」や「設備」、「工具」などを自動車工場からレンタルできるというもの。このサービスでは既存の工場内に場所を借りるということで「自分のガレージ感」がないものの、同じスペースに専門家がいるというのは心強いかもしれません。

 

また、アメリカでは「U DO IT(ユードゥーイット)」というサービスが広く知られています。こちらはロシアと同じくガレージになっているうえ、専門の修理工が常駐。ただし、常駐の修理工はあくまで手助けが必要な時の「ヘルプ」だそうです。

 

場所とお金を節約できる都会の愛車ライフ

ディーラーでの定期点検の相場は約2万ルーブル。時間制ガレージなら、2時間ほどかかるとしても800ルーブル(約1600円)と価格の差は歴然です。また、自分の家で修理するよりも、専門工具が揃っているうえに、終わった後の片付けや掃除の手間が省けるのもとても便利ですよね。

 

安くすませられて、時間の融通もきく時間制ガレージは、忙しいモスクワの人々のライフスタイルに合わせやすくなっていることも人気の理由の一つかもしれません。

【長く使うということ=ステータス】 ロシアの修理屋さんたちが教えてくれる大切なこと

日本には「もったいない」という言葉があります。ケニア出身の環境保護活動家である、故ワンガリ・マータイさんが「Mottainai」を唱えたことから、この言葉の意義を再認識された方も多いのではないでしょうか。

 

実はロシア国民も、ソビエト連邦時代にモノ不足だったこともあり、モノをとても大事にします。「修理して使う」という精神が国民全体に根付いており、そんな修理文化が浸透しているロシアでは修理屋さんを利用するのは当たり前。今回はその価格やサービスをロシア流のMottainai 精神と共に見ていきたいと思います。

 

町中にある小さな修理屋さん

ロシアには、色々な修理屋さんの小店舗が日本のコンビニと同じくらいの頻度で存在し、大きなショッピングモールにも必ずと言っていいほど入っています。修理屋という意味の「Дом Быта(ドーム ビータ)」 呼ばれる小さな修理屋さんでは、平均2人くらいの専門修理工がいて、服の裾やサイズ直し・時計・靴の修理や合鍵作成といった、日本の修理屋でも見られるサービスを提供しています。修理完了までの時間は大体2~5日。

 

価格も良心的で、靴底の張替えなら400ルーブルほど(日本円で約800円)。ズボンの裾直しなら約200ルーブル(日本円で約400円)。近年日本では、「新しいものを買ったほうが早い」という意見も多く聞かれますが、すべてではないにしても、長く大事に使っていくと味が出てくるものもあるように思えてなりません。

 

大人気のオンライン登録サービスと「1時間お父さん」

オンラインでフリーランスの修理工が探せるサイトもあります。「PROFI.RU(プロフィー・ドット・ル)」では、修理工たちが自分の顔写真や持っている資格、そのサイトで受け持った仕事の写真などをアップしており、利用者は自分が気に入った修理工と連絡を取り、仕事を依頼することができます。

 

こちらは家電や玄関ドアの修理など、サイズが大きいものにも対応しています。利用者は修理完了後に修理工のサービスを評価する仕組みになっているので、他の人もそれを参考に探すことが可能。大きな会社に頼むより安く、対応も早いのがフリーランスの修理工の魅力のようです。

 

また、「муж на час(1時間のお父さんサービス)」も人気です。日本でも、かつて家の修理はお父さんの仕事だった時代がありましたが、このサービスは、そんな「なんでも修理できるお父さん(修理工)」を呼べるものなのです。

 

このサービスは24時間対応で、会社に登録された100を超える修理のスペシャリストたちが電話1本で駆けつけてくれます。水道トラブルやテレビの設置、浄水器の交換や修理など、難易度が比較的低い修理だけど自分ではできず、早く対応してほしいという場合に便利なのだとか。「1時間のお父さんサービス」というネーミングもとても親しみやすく、ユニークですよね。

日本人も学ぶべきロシアのMottainai

「お父さんが生まれた年に買った家具だから大切にしている」「これはお父さんと同じ年だ」「おじいさんがソ連の闇市で買って来たものだ」とか、ロシアでは家族が集まった際、修理しながら長く使ってきたものの話題で会話に華が咲くことがあります。長く大切に使われてきたものは家族の長い歴史とともに歩んできたので、世代が異なっていても、共通の話題になりやすいと言えるでしょう。

 

そんな家具などの前で家族写真を撮ったり、昔を懐かしんだり、おばあちゃんが着ていた毛皮のコートを孫がリメイクして着たり、そんなことが日常的な風景のようになっています。ものを大切にする文化が根付いているうえに、長く使い続けることが評価される国でもあるロシア。このような価値観が修理文化を守り、受け継がれていく要因の一つでしょう。

 

ものを大切にする、大切にしたいという気持ちをしっかりサポートする環境がロシアにはあります。ソビエト崩壊やルーブルの暴落など、不安定な状況を乗り越えてきた国民だからこそ、着実に育むことができたMottainai精神なのでしょう。

 

少しずつ景気が良くなってきたいまも、古いものをリサイクルして使う事を「モード」として、かっこよいと感じられる美意識は非常に学ぶべきところが多いです。日本は「もったいない」という言葉を生みましたが、ロシアのMottainai精神は現代の日本人にも共感できるところがあるのではないでしょうか。

巨大メッシがモスクワに出現! ロシア人の注目を集める「ワールドカップキャンペーン」5選

ワールドカップ一色となっているロシア。テレビには朝から晩まで参加チームの動向や試合結果が映し出される一方、公共交通機関ではワールドカップの巨大広告があちこちで見られます。実際にロシアにおいて大手グローバル企業はワールドカップでどんな宣伝を行い、ロシア国民や世界中のサッカーファンにブランドや製品・サービスを伝えているのでしょうか? 本稿では5つの企業の取り組みをご紹介します。

 

1: アルファバンク

ロシア最大の民間銀行の「アルファバンク」は2018FIFAワールドカップロシアの公式銀行でもあります。同行は広告モデルにアルゼンチン代表のリオネル・メッシ選手(FCバルセロナ所属)を起用。アルファバンクを利用すると、ワールドカップのシンボルを含む5000種類の記念品と3000枚の観戦チケットが当たるプレゼントキャンペーンを展開しています。

 

また、同行は開幕の220日前にモスクワ中心地に壁画を公開したことでも話題になりました。5階建てにもなる建物の壁全体を使ってメッシ選手を描いたのです。短期間のうちに突如として現れたアートにロシア国民が仰天。この壁画はモスクワ中心地にいくつか描かれているので、探しているロシア国民もいます。

 

2:ヒュンダイ/キア

FIFAのパートナー企業の韓国自動車メーカーの「ヒュンダイ/キア」は、ロシアで著名なユリ・ダッド氏 ブランド大使として起用。彼は有名なブロガー兼ジャーナリストで、ロシアのスポーツサイト「Sports.ru」の編集長でもあります。彼のYouTubeチャンネルは 2018年6月現在、320万人の視聴者を抱え、3億回以上の再生回数も叩き出しています。

 

ワールドカップの期間中、ダッド氏の強力な情報発信力によってブランド力の向上を図り、ワールドカップ開催に合わせて、車体の屋根やトランク、足のマットにエンブレムが刻印された「ワールドカップ限定モデル」を約1万台販売。限定モデルやキャンペーン対象車を買うとチケットが当たるキャンペーンも展開中です。

 

また、モスクワの中心地にある販売店では、店舗のガラス窓にもワールドカップにまつわる仕掛けが施されているのです。この販売店は横8mにもなる大通りに面しているのですが、なんとワールドカップ期間中は店舗のガラス面が「インフォメーションボード」に変身。画面にはワールドカップのスケジュールや対戦表などが24時間映し出され、旅行客などを含めた道行く人々に情報を提供しているのです。

 

3:Visa

FIFAのパートナー企業の「Visa」はオンラインでコンテストを展開しています。Visaカードの利用者が「FIFAワールドカップVisa!」プログラムに登録すると、大会最終日に「選手とともにピッチに入れる」というキャンペーンを実施しています。2018年4月から7月までの期間中、1回の買い物などで500ルーブル(約1,000円)以上、さらに15回以上Visaカードで支払いをすれば応募権利が与えられます。当選者は5名という少ない枠ですが、熱狂的なサッカーファンにとって、たまらないこのプログラム。近年になって、ようやくクレジットカード決済が定着してきたロシアですが、このキャンペーンに釣られてさらに使用者が増えそうです。

4:ウブロ

スイスの高級腕時計ブランドの「ウブロ」は、ワールドカップ開幕の1000日前に、赤の広場にあるクレムリンの前でゴージャスなものを設置しました。それはワールドカップのカウントダウンモニュメント。真っ赤なこのモニュメントは赤の広場の建物や雰囲気に見事に合い、カウントダウン用電子時計のほか、巨大なウブロの時計もはめ込まれています。ワールドカップが始まり、このモニュメント前では記念写真を撮る人たちが長蛇の列をなしています。

 

ウブロは「ワールドカップ・スペシャルスマートウォッチ」も展開中。スマートウォッチでは、試合のスケジュールや開始時間のリマインド、登録チームの動向が随時ポップアップ表示されるようになっているうえ、アンドロイド対応のアプリも使用できます。注目チームの動向を常に追いかけることができるのはもちろん、グーグルマップも搭載しているので、開催地スタジアムまで迷うこともないでしょう。

 

5:コカコーラ・ロシア

FIFAのパートナー企業の「コカコーラ・ロシア」は、コカコーラ、ファンタ、スプライトなどの対象商品についたシールを集めることで、プレゼントが必ずもらえるキャンペーンを実施しています。シール60枚では、赤と黒のふかふか「特製サッカーボール」が、40枚では「自分の名前入り特製ユニフォーム」がもらえる仕組みです。その他にも色々なプレゼントが合計100万個以上準備されているそうです。それらすべてが必ずもらえるとあってか、多くの人が意欲的にシールを集めているようです。

各社とも、それぞれの個性を生かした魅力的かつ印象的なキャンペーンを実施しています。ワールドカップでどの企業がどれくらい儲かるのか? 試合内容や結果のみならず、各企業の動向にも注目してみると、ワールドカップがより一層楽しくなるかもしれません。

ビーサンが「秀逸で美しい」と大評判!! ロシアワールドカップ「現地人気グッズ」5選

コロンビアを2-1で下し、初戦を勝利で飾った日本代表。大方の予想を覆す結果に国中が喜びました。日本サッカー界の新たな歴史を作ったとも言われるだけに、ほしくなるのがワールドカップのアイテムです。現地ロシアでも公式グッズは大盛況。特にTシャツは種類が豊富で、499ルーブル(約1000円)~と比較的お手ごろな価格で販売されています。他にもいろいろなグッズがありますが、本稿ではロシアの大手スポーツ店で売られているグッズの人気を現地口コミ評価とともにご紹介します。

 

[アクセサリー編]

2018年FIFAワールドカップ ビーチサンダル

699ルーブル(約1400円)

 

夏目前のロシアでは、国旗と同じ3色を使ったビーチサンダルが帽子やカバンなどよりも好評のようです。青の底に赤い鼻緒、サンダル面には白でロシアの文字と彩りが鮮やか。サッカーボールがゴールに向かって飛んでいくような絵がダイナミックに描かれています。

 

[購入者の口コミ]

女性から男性サイズまで幅広く揃っているので、夫婦やカップルで揃えられてよいですね。サンダル面のデザインもなかなか秀逸で美しいです。

 

[Tシャツ編]

2018年FIFAワールドカップTシャツ(赤の広場モデル)

999ルーブル(約2000円)

 

ワールドカップグッズのなかで人気があるのはTシャツです。スタジアムへ応援に行くサポーターはもちろん、お土産としても好評。Tシャツは公式キャラクターがプリントしてあるものやロシア国旗、FIFAの優勝トロフィーなどがデザインされたものがあります。Tシャツのなかで一番人気は「赤の広場、玉ねぎ頭のワシリー寺院、インペリアル・イースター・エッグ、マトリョーシカ」などロシアで有名なものがふんだんに描かれたもの。外国人にはもちろん、ロシアらしさを前面に押し出した柄は愛国心が強いロシア人にも大人気です。

 

[購入者の口コミ]

サラサラとした生地で着心地がよく、真っ赤な色がスタジアムでも目立ちそう! 少し長めの丈もうれしい配慮です。

[ボール編]

2018年FIFAワールドカップ ミニサッカーボール

599ルーブル(約1200円)

 

ワールドカップイヤーの今年、子どもへの誕生日プレゼントの定番となりました。直径12センチということで、小さな子どもでも遊べて、価格の手ごろさとデザインの豊富さが人気の秘密。マスコットや国名が入ったデザインがあるなか、人気が高いものは、Tシャツ同様、赤の広場や玉ねぎ頭のワシリー寺院、インペリアル・イースター・エッグ、マトリョーシカといったロシアで有名なものが描かれたもの。特に一番人気なのは金色のボールで、外遊びで使うとかなり目立つでしょう。

 

[購入者の口コミ]

鮮やかな色がとてもよく、子どもがこれを使って喜んで遊んでいます。デザインが豊富なので友だちと被らなさそうだし、小ぶりなのでインテリアとして飾ってもよいかなと思います。

[応援グッズ編]

2018年FIFAワールドカップ スティックバルーン

69ルーブル(約140円)

 

優勝トロフィーと公式キャラクターが描かれたスティックバルーン。2本で1セットとなっており、付属のストローで膨らますだけで応援グッズができあがります。また、空気を入れた後でも空気を抜くことができるので再使用も可能。かさばらず簡単に持ち運べて便利です。

 

[購入者の口コミ]

とにかく安いし、試合後は持ち帰って子どものおもちゃにすることもできます。ワールドカップ気分を味わいながら2度楽しめる。コスパが優れていると思います。

 

[お土産編]

2018年FIFAワールドカップ公式キャラクターフィギュア

149ルーブル(約300円)

お土産として人気なのは、この14センチの小さい公式キャラクターフィギュア。プチプライスも魅力的ですよね。しかも、きちんと個包装されているので渡すときにもとても便利です。ヘディングしたりボールをくわえたりと、かわいい仕草が特徴で、ちょっとしたお土産として十分でしょう。デザインは全部で17種類あり、選ぶほうも見るほうも楽しませてくれます。

 

[購入者の口コミ]

お手ごろな価格のため、会社や友人に配る用にもってこいのグッズ。移民が多いロシアで、特定の国名が入っていない公式キャラクターのフィギュアはもっとも無難なお土産で便利です。

 

ワールドカップ人気グッズ5選はいかがでしたでしょうか? ここでは紹介できませんでしたが、他にも鮮やかな色使いとロシアらしさ全開のデザインが特徴のアイテムがいろいろあります。4年に1度の戦いに華を添える応援グッズ。日本で取り扱っているものもありますが、現地で試合を観戦される方はぜひチェックしてみてください。

ロシアW杯のメインスタジアムがすんごい! 伝統とハイテクが融合した「ルジニキスタジアム」の5つの見所

まもなく開幕するサッカーワールドカップのロシア大会。そのメインスタジアムとなっているモスクワの「ルジニキスタジアム」が3年がかりの改築を経て完成しました。開幕戦と準々決勝、準決勝、決勝の試合がここで行われます。今回はロシアの技術を結集した「世界最高峰のスタジアム」と呼び声も高いこのスタジアムの見所を5つご紹介します。

 

1:排水&暖房装置で芝を管理

このルジニキスタジアムは1956年開場当時から天然芝でしたが、ロシアの過酷な気象条件により、芝の生育環境が悪く一部は腐敗してしまっていました。

 

そのため2008年に行われた公式試合では、イングランドの選手が腐った芝で転倒するという事件もおきました。この事件をふまえ、新しい天然芝はピッチの下に35キロにも渡る排水装置を設置。これによって、仮にスコールなどが起きた場合でも天然芝部分の水を排水できるようになりました。

 

また、こだわりの天然芝を常に美しい緑で保てるように、いろいろな工夫が施されています。コートの横幅111メートルに合わせた巨大な照明装置が10機も完備され、天然芝の下には暖房装置を配置。モスクワは日照時間が少ないうえに冬はマイナス30度にもなるところですが、照明のおかげで芝は一年中青々とした状態を維持でき、暖房によって芝の表面温度を常に15度の適温に保つことができるようになったのです。

 

さらに驚きなのは、天然芝がずれることがないよう特別なナイロン糸で根っこ同士を縛ってあるということ。選手たちは最高のピッチコンディションでプレーできることでしょう。

 

2:屋根自体がスクリーン

スタジアムの屋根は楕円形になっており、天候に合わせて開閉することができます。これは天然芝の風通しにも重要な役割を果たしているのですが、実はよくある平凡な開閉式屋根ではありません。

 

なんと屋根自体が巨大スクリーンになっており、文字や映像を映し出すことができるのです。選手名や得点、ハイライトなどをオンタイムで表示することが可能。従来のスクリーンと比べて、かなり臨場感がありそうですね。

 

3:どの席からも最高の眺め

世界中のいろいろなスタジアムでも見られますが、シートの配置や建物の設計の都合で、せっかくお金を払って来たのに肝心のピッチが見えにくい席があります。実際、旧ルジニキスタジアムでも全体の10%ほどがこのような席でした。新スタジアムは特別な設計を施すことでそれらをなくし、どの席からでもピッチ全体がきれいに見渡せるようになったのです(ルジニキスタジアムの収容人数は8万1000人)。

4:伝統と近代が融合した外装

266億ルーブル(日本円で約532億円)という莫大な費用を使って改築されたルジニキスタジアム。実は、全面改装ならばもっと改装費用を安く抑えられたそうです。

 

しかし、あえて開場当時の外装を保存する作業を追加したため、大幅に費用が跳ね上がってしまいました。というのも、ロシア政府はスタジアムを「伝統と未来を融合」させた新しいスタジアムにしたいと強く願い、外装だけは保存することにしたからです。

 

そこで、歴史を感じさせる外装はそのまま残され、表面を覆う化粧板のみが新しいものに変えられました。その乳白色の真新しい化粧板は、日が沈んでから見ると白く輝きとても美しいものです。

 

外壁の上部には、かつて国を代表したオリンピック選手たちが描かれているように見えますが、実は塗料などで描かれているのではなく、モザイク画になっているのです。筆で書いたように流れる線も全てそう。モザイクタイルが一つひとつ細かく組まれ、精密に作られているので、まるで写真のようです。

 

5:VIPロッジの座席

このスタジアムには「VIPロッジ」の座席があります。映画館のシートを思わせるような真っ赤な革張りで、広めに作られているのが特徴の一つ。特別仕様のこの椅子は、カップホルダーと座席を温めるための暖房機能も付いており、ベンチで選手や監督たちが座る席と同じものだそうです。普通の座席からもVIPロッジは見えますが、羨ましくなっちゃうかもしれません。

 

伝統と最先端テクノロジーが融合した巨大なルジニキスタジアム。ワールドカップの際には試合だけではなく、開場当時の伝統的なたたずまいを残した外装や、ロシアの技術を総動員したハイテクな内部などにもぜひ注目してください。

「モスクワの空港」が飛躍的に進化!! 手荷物受取場にウキウキのロシア国民

近年、モスクワの空港が飛躍的に進化しています。この数年で、外国からの玄関口である空港が見直され、パスポートコントロールなどの窓口が増設されました。また、空港内はソビエト連邦時代の面影は全くなく、明るく綺麗でモダンな装い。なかでも特に便利に感じるのは、手荷物受取場(バゲージクレームエリア)の改善です。海外便の発着も多い2つの主要空港とともに、その画期的なサービスを紹介します。

 

ロシアの2大玄関口

↑シェレメチボ空港

 

最近までモスクワの空港といえば、ソビエト時代の面影を残したレトロなものでした。コンクリートがむき出しで、電球がところどころ切れて薄暗く、綺麗とは程遠い場所。しかも、パスポートコントロールでは窓口が少なく、長蛇の列。並んでから出るまで数時間かかるのが当たり前でした。

 

現在、ロシアの2大空港といえば「ドモジェドヴォ空港」と「シェレメチボ空港」。前者は施設の改築や増設が、ロシアでいち早く行われたところです。それによって、海外の航空会社が多数就航できるようになり、「ロシア最大級の空港」としての風格が高まりました。

 

後者は、東ヨーロッパで一番規模の大きい元国営航空会社アエロフロートの拠点となっている空港。サッカーW杯などの影響を受けて多額の投資が行われ、現在急ピッチで施設の改修やサービスの改善が進んでいます。

 

そんな2つの空港はインスタグラムを公開しており、それぞれの特徴が上手に発信されています。ドモジェドヴォ空港は、空港の昔といまを比較した写真や安全性に関する物事、日々働くスタッフの仕事ぶりなどを紹介しています。

↑ドモジェドヴォ空港

 

その一方、近代化著しいシェレメチボ空港のインスタグラムは、増設されたターミナルの新しいショップ情報や、空港を利用するフォロワーの様子をコメント入りでリポストしたり、「夜の空港探検」など、オリジナリティー溢れる企画を配信したりしています。

 

旧ソ連時代には、軍や政府が使用するイメージだった空港も、現在では国民に情報を開示することで、以前よりオープンなイメージに変化。特にシェレメチボ空港は国内線が多く、ロシア国民の利用率が高いこともあって、国民に根ざしたフレンドリーな空港というイメージが定着しつつあります。

シェレメチボ空港の改革が大好評

このように、とても近代的になった両空港ですが、最近シェレメチボ空港が改善した「あるもの」がロシア国民に高く評価されています。それは、前述の手荷物受取場の改善。手荷物が搬出されるベルトコンベアーと同じフロアにカフェや免税店、鉄道のチケット売り場などが併設されているのです。同じようなフロアは他国の空港でも見られますが、重要なのはロシアの空港のサービスがソビエト時代と様変わりしたということ。

 

先日見たときは、手荷物が見つかるまでの間に、小さな子ども連れの家族が免税店を行き来していて、子どもが退屈しないようにしていました。また、若い乗客は待っている間にカフェでコーヒーを飲んでいた一方、あるビジネスマンは、待ち時間にモスクワ中心部までの鉄道チケットを買っていました。

筆者自身も空港に着いた後にお土産を買い足したいときがあるので、コンベアーのフロアに免税店があることは助かります。先日は私が免税店で買い物をしている間に、主人がモスクワ中心部までの鉄道チケットを買っていたので、手荷物が出てきた後もスムーズに帰路につくことができました。

 

2つの主要空港は、ロシアでトップレベルのデザイナーチームによって設計された空港です。デザインを近未来的にすることで、ソビエト連邦時代の暗く古い面影を完全に消し去り、過去のものにしました。さらに、手荷物受取場に色々なサービスを集中させるという画期的な試みは、利用者が時間を有効に使う後押しとなり、荷物を待つストレスから解放することにも成功したのです。両空港はロシアの近代化の象徴かもしれません。

まるで運動会! ロシアの若者や企業に人気の「ペイントボール」とは?

いまロシアの若者たちの休日アクティビティとして、また誕生日会のイベントとして大人気を博しているのが「ペイントボール」。体験者に聞くと、原生林が生い茂るキャンプ場で、障害物に隠れ戦うこのスポーツは、ストレス発散に最適なのだそうです。

 

アメリカ発祥のこのスポーツは、世界中で1000万人以上もの人々がプレイしており、日本にもペイントボールの施設があります。肉体戦かつ頭脳戦で、五感を刺激する「ペイントボール」。今回は若者がハマるこのスポーツについて、著者が住むロシアという視点からご紹介したいと思います。

 

簡単な装備とルールながら本格的な遊び

元々は牧場主たちが牛を選別するためのマーキングとして、色付きボール(ペイントボール)を打っていたのが始まりで、そこから敵陣地の「フラッグ」を奪う遊びに派生したそうです。通常は、身体や装備に当たるとアウトになりフィールドから退場ですが、復活制度などもあります。

 

この「ペイントボール」ではよく迷彩服が貸し出されることが多く、戦闘気分を盛り上げるのはもちろん、隠れる際のカモフラージュや自分の服を汚さずにすむ利点もあります。また、ゴーグルやフェイスマスク、プロテクターなども必需品になっていて、安全のため、基本的に着用が義務付けられ貸し出されています。

 

最小人数で4人から始められますが、多いほど攻撃が複雑になるので楽しいでしょう。15分ほどのプレイもできますが、規模の大きさによっては、野外フィールドでは平均2~3時間、平均的な弾の消費量は200発となっています。

銃は圧縮ガスを利用した特別なもので、ペイント弾には野菜の色素などがベースの無毒性塗料が入っています。人気の遊び方は「フラッグ奪取」と「殲滅ゲーム」の2つ。前者はフィールドの中央か自分の陣地側で相手を攻撃しつつ、フラッグを取り合うゲームです。後者は残りが最後の1人になるまで戦い続けるもの。チーム数が多い場合はトーナメント制になります。

日本では「サバイバルゲーム」の方が一般的かもしれませんが、ペイントボールはサバイバルゲームの弾が「ペイント弾」に置き換えられたようなもの。サバイバルゲームでは弾が当たれば自己申告制なのに対して、ペイントボールはペイント弾が破裂して色がつくので、よりわかりやすくなっています。また、ペイントボールの弾は17ミリと大きいので、初めての人にも遊びやすくなっているのが特徴。

 

プレー前には、講師の安全講習を受けるのが必須となっていて、銃の扱い方やルールをみっちり教えてもらうことができます。プレイヤーはプレイが始まると、フィールド外でも「ゴーグル」と「フェイスマスク」を脱ぐことは禁止。どんな理由でも、プレイ中のフィールドでゴーグルを外すことは厳禁なのです。

ロシアにおいてはゴーグルや戦闘服・手袋・銃とペイント弾250個、そして安全講習が料金に入り、一人当たり800ルーブル(約1600円)です。ペイントボールクラブにおいては、500~2500人が一気に戦う大イベントが開催されることもあり、その人気と規模に驚かされます。

身体と頭を刺激する総合スポーツ

ロシアで人気を博している理由として、郊外に広大な土地や森がたくさんあることや、大学生の間に徴兵制で軍の訓練があることなどが考えられます。場所にも困らないうえ、軍隊の訓練によってサバイバル形式のゲームが比較的身近になり、馴染みやすいものとロシアの若者の目には映ったのではないかと思います。

 

このスポーツの面白さは、日本の「缶蹴り」や「鬼ごっこ」に似ているところがあり、相手の陣地に踏み込む、こっそり隠れるなど、幼い頃に感じた緊張感と高揚感があります。戦略を立てたり協力することも必要で、まさにチームプレー。さらに力技だけでは勝てず、頭も体もフルに使うということも、このスポーツの楽しさなのです。相手に命中した時の興奮、力を合わせ目標を達成した時の充実感は、何物にも代え難い「快感」に違いありません。

 

そして、チームプレーの大切さを学ぶためか、よく会社やスポーツチームの打ち上げや余興として使われることもあります。年齢などの垣根を超え、より良い関係を築くきっかけになるようで、運動会と似ていますよね。戦略を立て自分の役割をこなし、1つの目標に向かうところは、ビジネスなどにも通じるところがあります。

 

自然のなかで知力と体力を駆使し、仲間と協力し戦うこのペイントボールは、現代を生きる若者のストレス発散と運動不足解消はもちろん、仲間との良いコミュニケーションの場ともなるのではないでしょうか。

裸の付き合いは国境を越える! 「サウナ」から見るロシア人と日本人の共通点

日本人の風呂好きは世界でも周知の事実ですが、ロシア人の熱いサウナ愛についてはご存知でしょうか? ロシアのサウナは湿度が高く「蒸し風呂」とも呼ばれ、都市部ではアパートに「一人用サウナ」がついているほど。今回はこのロシア式サウナの特徴と、モスクワっ子が憧れるサウナの聖地「サンドゥニ」をご紹介します。日本人なら理解できるところも多いロシア人のサウナ文化を見ていきましょう。

 

日本人もびっくりロシア式サウナとは?

ロシア人にとってサウナは日本人のお風呂のようなもの。ロシア人は家に洗面所ほどの大きさの一人用サウナを設置してしまうくらい、サウナが大好きな国民なのです。

 

サウナの滞在時間も3~4時間ほどと非常に長め。その理由にはロシアの独特な入浴スタイルがあり、休憩室のようなスペースで、食事やお茶をつまみながら、休憩スペースとサウナを行き来するのです。

 

一般的には休憩スペースに大きなテーブルが置いてありますが、高級な所になると「プール」や「ジャグジー」、さらに「ダーツ」や「ビリヤード」まで設置しているところも。そこでロシア人は仲間たちと語らい、お茶やお酒を酌み交わし、ゲームをするのです。これは、いわゆる「裸の付き合い」で、日本人の銭湯の感覚にも似ていますね。

 

ロシアのサウナでは欠かせないものが「フェルトの帽子」「敷物」「白樺の葉」の3つです。熱い石のうえに水をかけて蒸気を充満させるロシア式は、湿度や温度がフィンランド式サウナより高く、温度は90~100度に設定されています。

 

高湿度のため体感温度はさらに暑く、フェルトの帽子なしでは熱気が直接頭に当たってクラクラしてしまうほど。小さい座布団のような敷物は自分が座る場所に敷くために使う一方、白樺の葉は血行促進用で、それを使って身体を叩くのがロシアの習慣。後述する高級サウナの「サンドゥニ」では、「叩き師」なる方たちが白樺で利用者の身体を万遍なく叩くそうですが、その加減がとても上手で、まるでマッサージのようだと評判。

 

日本同様、ロシア式サウナでもサウナ後に必ず水風呂に入ります。ロシアの場合はサウナの後にシャワーで冷水を浴びたり、冷たいプールに入ったり、または冬ならそのまま雪に飛び込むということもあります。

憧れの聖地「サンドゥニ」とは?

そして、モスクワっ子憧れの聖地「サンドゥニ」。1808年にサンドゥニ夫妻が「貴族たちの交流場」としてサウナを始め、200年以上にわたってナンバーワンの座を不動のものとしています。ランク別の3つの男性用サウナと2つの女性用サウナがあるほか、8つのジャグジーやプール付きの個室も完備。

 

いまでこそ民間に開放されましたが、それでもやっぱり「高級サウナ」、入場料だけで2800ルーブル(約5600円)します。タオルなどは200ルーブル(約400円)で借りられるので、手ぶらでも大丈夫。また、サンドゥニのロゴが入った「サウナ用の帽子」(300ルーブル〔約600円〕)が人気で、思い出に買って帰る人も多くいます。

ちなみに、サンドゥニは19世紀建造のロシア最高峰の建造物で、その優雅な内観は現在も多くの人たちを魅了し、癒し続けています。

 

サウナで深まる家族や友人との絆

ロシア式サウナは、汗を流すことにより得られるリラックス効果はもちろん、フィンランド式よりも湿度が高いので喉にも良く、風邪などにもよいと現地では言われています。また、休憩スペースを行き来するその独特なスタイルは、ただのサウナというよりも1つの完成された娯楽。家族や友人と楽しい時間を過ごすことができるでしょう。

 

一昔前は日本でも良く耳にした裸同士の付き合い。それがロシアでは現在も日常的に行われていることに少し驚きつつも、日本人としてはロシア人との共通点を感じずにはいられません。ロシアにお越しの際はぜひサウナに行ってみてください。

食べ終わった惣菜も返金OK!? ロシアで珍しく真っ当なスーパー「フクースウィル」が急拡大中

モスクワで近年急速に知名度をあげているスーパー「フクースウィル」。いまロシアでは日本同様、食品の安全や質に注目が集まっています。いままでのロシアでは高品質な製品は値段も高く、高所得者層のみのものという認識が一般的。しかし、このスーパーはすべての商品を自社ブランド商品にすることで価格を抑え、購入者層も広げました。さらに、ロシア初のサービスの提供で注目度は上昇中。9年間で566店舗にまで急成長したフクースウィルの躍進の秘密に迫ります。

 

クリーンな品質にこだわる

2009年、「メガポリスに新鮮で安全な食材を」というポリシーで始まったフクースウィル。公式ホームページの最上部には「品質を見極められるあなただけに。そして、ロシアでクリーンなビジネスが可能だと信じていただける方のためだけに」とあります。クリーンなビジネスとは何なのか? そこにはロシア市場の闇が隠れています。

 

日本ではあまり考えられないかもしれませんが、ロシアでは商品の内容物をカサ増ししたり、中身を変えたりと、販売側が顧客を裏切るような事件が起こっています。ソ連崩壊後、海外との交流が活発になり国民は食や製品の安全、品質の向上を求めてきました。そんななかで、フクースウィルはクリーンなビジネスを追求することで信頼を積み上げていき、2018年で566店舗にまで拡大。日本でのコンビニエンスストアを見かけるかのような頻度で店舗を目にするようになりました。

最初は乳製品のみ取り扱いしていたものが、いまでは加工品や冷凍品、スパイス、化粧品、日用品も販売。それらすべてが自社製品であり、それによってコスト削減もさることながら製品の品質安定にもつながっているようです。

フクースウィルの客層は、ほかのスーパーと少し異なります。通常のスーパーでは主婦のような女性客が主なのに対し、フクースウィルでは筆者が見る限りスーツを着たビジネスマンやビジネスウーマンが多い模様。著者も仕事をしていたときに、ここでよく買い物していましたが、それというのも、いくら仕事が忙しいからといっても、ご飯くらいはしっかり健康に良いものを食べたいと思っていたから。しかし、普通のスーパーでは惣菜に何が入っているのか、この国では誰も分からないのです。

しかし、フクースウィルは違います。例えば、サンドイッチはパンの原材料だけでなく、パンに使われているバターの詳細も記載されているのです。もちろん顧客側は毎回読むわけではありませんが、それによって安心感と信頼が向上。惣菜も味が良いうえ、こだわりの食材を使ってバランスも取れているので、健康を気遣う忙しいビジネスマンにも大人気です。

また、このスーパーではロシア初の試みを行っています。それはレシートなしでの返金。すべて自社製品なので、レシートがなくとも店側が商品を調べて返金してくれるのです。惣菜は全部食べた後でも、野菜などは調理した後でも、このスーパーは「お客様が気に入らなければ全額返金」してくれるのです。多分そのメリットは、商品改善に欠かせないプライスレスなお客様の声が受け取れるということ。商品改善のヒントになるなら、商品分のお金は返金することさえ厭わないということではないかと思います。

 

さらに、子どもや子育て世帯への配慮もこのスーパーの特徴。レジには「ベビーカーを押すお母さんは列の最前線へどうぞ!」という看板があり、私もベビーカーを引いていったときは幾度となく列の前へ通してもらいました。また、子ども用の甘さ控えめなお菓子や、モスクワでは珍しいアレルギー対応のお菓子の取り扱いもあり、子どもたちの食の安全に敏感なモスクワの親御さんたちが足しげく通っています。

 

海外志向の中流層にも大人気

フクースウィルは、いままでモスクワで見られなかった海外ルーツの商品を取り扱っておりいます。例えば、韓国海苔のような味付け海苔やおにぎり、抹茶アイスが購入できる一方、あまりロシアで馴染みがないものは、海外ルーツ商品としてポップで説明をつけており、説明を読むことも可能。近年増えつつある海外志向の中流層や流行に敏感なモスクワっ子たちの間でこのアプローチは大好評です。

 

顧客目線のサービスを提供することで大成功を収めたフクースウィル。顧客に最大限寄り添うその手法は、日本でも再認識すべきビジネスの原点を思い起こさせてくれるように思えてなりません。

 

ロシアで「そり」が進化中! シートベルトを搭載で、ただ「座るそり」からクルマのような「乗り物」へ

ロシアは1年の半分以上が雪です。そんな冬にかかせないものといえば「そり」。そり遊びはもちろん、冬の子どもたちの移動手段といえばこれしかありません。特に小さい子供たちは雪で足を取られなかなか前に進めないので、習い事だってなんだって移動はすべてそりを使います。そして最近、そのそりが進化して使いやすくなっているのです。本記事では、現在ロシアで人気急上昇中の最新2機種を紹介します。

 

あらゆる天候に対応する全天候型そり

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そもそも、そりはいつから使われるかご存知でしょうか? なんとなく「雪が降ればすぐに」というイメージかもしれません。しかし、そりは意外にも使用期間が限られているのです。ロシアでは1年の半分以上雪が降っているとはいえ、冬の初めと終わりは天候が安定せず、すぐ雪が溶けてしまうので、そりは使えません。そんな時期も含めて活躍するのが、「全天候型そり」です。

 

この全天候型そりのポイントは、座面の後方についているバーです。これを足で下げるだけで、収納されていた4つの車輪が出てきます。これにより、雪がないアスファルトなどの上はこの車輪で台車のようになるのです。雪がある面に差し掛かったら、後方のバーの隣にある取手を足で押すだけで車輪が収納されるので、1アクションで素早くトランスフォームでき、雪面を進むことができます。

 

この機能のおかげで、いままで完全に雪が積もっているときにしか使えなかったものが、雪が降り始める9月ごろから雪が残っている5月ごろまで、約3倍ほども使用できる期間が長くなりました。このそりの価格は約1800ルーブル(日本円で約3600円)。天候に左右されず、9か月間も使い続けられ、しかも使い勝手が良いと考えると、このそりはお得です。

 

ドライバー気分で乗れる「スノーカート」

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もう1つは雪上のゴーカート、「スノーカート」という商品です。移動にはもちろんのこと、子ども主体でアクティブにそりを楽しむために作られています。

 

ストライダー型のそりで、左右の車輪部分がスキー板のようになっています。前方にはハンドルと連動するもう1つの小さめのスキー板がついています。これによって、坂を滑る間など自分で操縦することが可能になります。自分で握るハンドルはさながらドライバー気分で、移動時はもちろん、特に下り坂でのそり遊びに本領を発揮します。ただ単に「座る」だけというのが従来のそりでしたが、これはまたがって「乗る」というものなのです。大人が引っ張るための紐もついており、平坦な道でもスイスイ進むことができます。

 

さらに、このスノーカートは従来のそりとはまったく異なった座面になっています。そりと言えば座面が硬く、決して座り心地が良いとは言えませんでしたが、こちらにはクッション性があり、座り心地も良くなっています。また座面に人気キャラクターのデザインが印刷され、車体自体のカラーバリエーションも多く、かわいい系からカッコイイ系まで見た目がとにかく魅力的です。こちらの価格は約2000ルーブル(日本円で約4000円)。冬の移動と遊び、両方に活躍してくれます。

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人気の理由はデザイン性だけではありません。安全性も大幅に向上しています。例えば、いままでなかったブレーキ機能が搭載されており、前方中央のツメを足で押せばブレーキに。左右のスキー板部分はが倒しないよう、きちんとバランスを取ってくれます。新開発のそりのなかには、背もたれにシートベルトがついているものもあり、小さい子どもが落ちないようになっているのです。通常のそり以上にアクティブな動きができるスノーカートだからこその安全性への気遣いが、お母さんの心を掴んでいます。

 

子どもが自分で操縦するタイプのそりはこれが初めて。まるで雪上を走るゴーカートのような気分が楽しめます。1歳半ごろから乗せることができ、体重は100キロまでいけるので大人も遊ぶことが可能。接地面であるボードがなめらかに滑っていくので、大人も思わず絶叫してしまうほどの楽しさです。あまり日本人には馴染みがありませんが、最近ではそりを導入するスキー場も出てきているようです。

 

最近では、モスクワ市内も従来型のソリを見ることは少なくなりました。操作性、利便性、デザイン性、そして安全性がすべてアップした新しいそりは、雪とともに暮らすロシア人家族にとって不可欠なアイテムとなりそうです。

「ロシア流おにぎり」って知ってる? この20年で爆発的に普及した「クローシュカ・カルトーシュカ」

モスクワをはじめロシアにはファストフードの屋台「クローシュカ・カルトーシュカ」があります。いまや忙しいモスクワっ子にとって欠かせないものとなっており、日本のコンビニエンスストアと同じくらいの頻度で見かけます。ランチにはもちろん、持ち帰って晩御飯の一品としても大活躍。

 

同店はオーブンでアツアツに焼いた特大サイズのじゃがいもに、好みの17種のトッピングを挟んでいくスタイルで、組み合わせも無限大。創業20年になるこのじゃがいも料理は、ロシアに行ったらぜひ味わってほしい味です。

20180220_kubo33↑もともとは屋台から始まったが、近年では固定の店舗も多い

できたてのホクホクしたじゃがいもに、好みのトッピングをのせていくこの食べ物は、日本でいえば「おにぎり」にあたり、トッピングを変えてカスタマイズできるのが特徴です。ファストフードでありながら、できたて熱々の味を提供し、長年人気を博しています。

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ベースとなる特大サイズのじゃがいもは、拳2つほどの大きさもあります。大きなじゃがいもにチーズをのせた一番シンプルなものは165ルーブル(日本円で約330円)。のせた瞬間からとろけるチーズを、じゃがいもにからめながら食べるのは絶品です。追加のトッピング1つ1つが日本でいう惣菜のようになっています。現地では、ほくほくのじゃがいものお供として別々で食べるのはもちろん、じゃがいもとトッピングを混ぜて1つの料理として楽しむ方もいます。

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男性に人気のたっぷり肉ミックスのトッピングには、スモークチキン、ベーコン、フライドオニオン、マッシュルームをマヨネーズで和えたものが入っています。ごろっと入ったお肉と、サクサクのフライドオニオンの食感がとてもよく、これだけでも惣菜としてしっかり完成されています。

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このような追加のトッピングはそれぞれが100ルーブル(日本円で約200円)ほどと、とてもお手ごろでついつい色々組み合わせてみたくなります。3つのトッピングをのせても(じゃかいもから溢れるほどになります)、465ルーブルとなり500ルーブル札(日本円で約1,000円)でお釣りがくるのはランチとしてもお得感があります。もちろん、特大サイズのじゃがいもはそれだけで食べごたえ十分。忙しいビジネスマンや、時間のない大学生がさっと屋台で買うのにぴったりのファストフードなのです。

 

筆者のお気に入りは「ツナわさび」です。近年の日本食ブームで新しくできたメニューなのですが、まさに日本人にも鉄板のトッピングと言えるでしょう。中身はツナ、チーズ、わさび、しょうが、赤玉ねぎ、醤油とマヨネーズの組み合わせ。わさびとしょうがの風味にピリッとした赤玉ねぎ、マヨネーズに醤油が加わることで、くどすぎず、さっぱりした味になっています。

 

店頭では常にオーブンで熱々の状態が保たれており、注文してから取り出すので、いつでもできたての味を提供することができます。注文するとオーブンから出し、真ん中を切って上にトッピングをのせて、できあがりです。注文から提供までほんの2分ほど。他のファストフードと比べても、提供の早さはこれ以上ないほどです。

 

クローシュカ・カルトーシュカは「手軽さ」「早さ」「量」の3拍子揃ったロシア自慢のファストフードです。ロシアっ子だけでなく、実は旅行者にもおすすめ。ガラスケース越しにアイスクリームのように並んだトッピングを指差しで伝えるだけなので、外国人にも難しくないシステムになっています。また、トッピングが選べるので、近年ロシアでも増加傾向にあるベジタリアンやハラールにも対応できています。

 

日本では普段の食事やお弁当として、お惣菜とご飯を組み合わせることが多いですが、たまにはご飯ではなく、ロシア風に「じゃがいも」と「いろいろなお惣菜」を組み合わせてみても面白いかもしれませんね。

【雪合戦革命】ロシアの雪遊びを変えた「スノーボールメーカー」の魅力

冬になれば一面銀世界のロシア。子どもの雪遊びのなかでも不動の人気はやはり雪合戦です。しかし、スノーボールを作っていると、遊びが始まる前に子どもの手はかじかんでしまって遊びどころではないこともしばしばあります。

 

また、2~3歳の子どもはまだ手が小さくてうまくスノーボールを自分で作れません。毎回、親にスノーボールを作ってほしいとせがみに来るのですが、親も極寒のなかで手袋をベタベタにしながら作りたくないのが本音。

 

ところが、ここロシアではそのような悩みを解決する道具が3年前に登場して、子どもたちから絶大な人気を誇っています。それは、ぎゅっとはさむだけでスノーボールが作れる「スノーボールメーカー」です。

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ロシアでは公園に行けば、いまやほとんどの子どもが持っているといっても過言ではないこのスノーボールメーカー。ロシアの冬の外遊びに欠かせない本製品はプラスチック製で、はさみのようになっており、先端はスノーボールを作るために球状になっています。

 

筆者のマイ・スノーボールメーカーの重さを測ってみたところ90グラムと、携帯電話よりも軽く、小さい子どもでも取っ手部分を握って自分で簡単に持ち歩くことが可能です。また、スノーボールの作り方も、雪を挟むだけというもので、子どもの弱い力でも簡単にスノーボールが作れ、手がかじかむのを防いでくれます。

 

このスノーボールメーカーで目を引くのは、売り場や公園で目立つ鮮やかなビタミンカラーです。ロシアでは冬の間、日照時間が極端に短く、一日中グレー色の空が広がるのですが、見ているだけで元気になるような色とりどりのビタミンカラーの本体はとても目立ちます。色は青、緑、ピンク、黄色、赤などがあり、最近では片方ずつ異なった色のカスタム商品もでているそうです。また、先端の部分の形も丸だけではなく、お花やミニオンなど様々な形が作れるシリーズも出てきています。

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スノーボール1個を作るのにかかる時間はなんと2秒。その間手が雪に触れることはまったくありません。短時間でたくさん作れるので、スノーボールを積み木にしたり、並べてボーリングしたりするなど、アイデア次第で新しい遊びが可能となりました。スノーボールを作るために開発された商品ですが、筆者の家では土遊びでも使っています。少し湿った土が必要ですが、挟むだけでとてもよい泥団子ができるので、子どもたちは一年中スノーボールメーカーを手放しません。

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さらに特筆すべきは、1個あたり100~200ルーブル(日本円で200~400円)というリーズナブルな価格です。筆者には子どもが2人いますが、1つずつ買ってあげてもいいかなと思えるほどです。その手ごろな価格ゆえ、ロシアの子ども1人につき1個は間違いなく買っているのではないかというほど普及し、外遊びの際このスノーボールメーカーを見ない日はないといってもいいほどです。

 

筆者の家では、玄関先にいつもこのスノーボールメーカーを置いて、いつでも持ち出せるようにしています。ふわふわのパウダースノーにスノーボールメーカーを差し込んで、雪をすくっていくのはさながらアイスクリーム屋さんのよう。雪合戦はもちろん、アイスクリーム屋さんなどのおままごとをしたり、積み木のように積んで、誰がどれだけ積めるかなどを競争したりしています。

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こちらは、友人が教えてくれた、スノーボールで囲ってキャンドルを灯したもの。これはロマンチックなアイデアで大人も楽しめそうです。シンプルだけれどもアイデア次第で広がりがあるこのスノーボールメーカーは子どもたちだけではなく大人も魅了しそうです。

 

雪国ならではの困りごとをシンプルに解決したスノーボールメーカーは、ちょっとした発想の転換で子どもの雪遊びシーンを大きく変えました。日本ではなじみがないスノーボールメーカーですが、北国やスキー場などで子どもたちの心をつかむための玩具として活躍してくれそうです。

ロシア語学科卒の上坂すみれが吹替を担当!『ロシア・トラベルガイド』旅chで2・4スタート

声優の上坂すみれが日本語吹き替えを担当する旅番組『ロシア・トラベルガイド』が、旅チャンネルで2月4日(日)からスタートする。

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この番組は、ロシア各地の旅の見どころ、歴史、文化を紹介したシリーズで、2015年にロシアで制作された全12話の旅番組。ロシア各地を旅しながら番組をナビゲートするロシア人女性エカテリーナ・フェドトワの日本語吹き替えを、大学でロシア語を専攻し、歴史や文化からサブカルチャーまで幅広い分野でロシアに精通している声優の上坂すみれが担当する。

 

2月4日放送の第1話「クラスノダール」では、ロシア南西部に位置し、2014年にソチ五輪が開催され、温暖な黒海に面していることから多くのリゾート地を擁するクラスノダール地方を紹介する。ソチでは五輪の会場として中心的な役割を果たし、白鳥の姿をデザインした聖火台などが見られるオリンピック・パーク、旧ソ連時代の1926年にスターリンが訪れたことから急速に発展していったマツェスタ温泉などを巡る。

 

ロシアを代表する港湾都市ノヴォロシースクでは、遺跡からの出土品やコーカサス戦争と第二次大戦で使われた兵器などが見られるヴォロシースク歴史博物館保護区、1943年にファシスト軍と戦った兵士たちのために作られた「死の谷」と呼ばれる施設を訪ねる。

 

クラスノダール地方のリゾートで昀も人気があるアナパの人気ビーチや、パルテノン神殿より50年は古いとされる古代ギリシャの遺跡ゴルギッピア、ロシアで最大級の古代ギリシア遺跡で現在も発掘が続くタマーニのファナゴリアを紹介するなど、各都市での交通手段、宿泊施設などの情報とともにクラスノダール地方の魅力を伝える。

 

第1話の収録を終えた上坂は「吹き替えのお話しがあった時は『そんな素晴らしい番組があるなんて!』と大喜びしました。番組では、私の全然知らないロシアの名所がたくさん出てきてさらにビックリ!!ローカルな史跡や名所が映像と音声で楽しめて、わくわくする収録でした」と感想を。また、第1話の見どころとして「温泉施設や美しいビーチ、ほかにも第二次大戦の史跡やギリシアの遺跡の発掘現場などもあり、ロシアの広大さにあらためて驚きました。日本にいるとなかなか知ることのできないクラスノダール地方のさまざまな観光名所が紹介されていて興味深かったです」と語った。

 

『ロシア・トラベルガイド』

2月4日(日)スタート

毎週(日)午前8・00~9・00(他、再放送あり)

2月4日(日)#1 クラスノダール

2月11日(日)#2 クリミア

2月18日(日)#3 レニングラード

2月25日(日)#4 ミンヴォードィ

吹替声優:上坂すみれ

旅チャンネル:www.tabichan.jp

©VGTRK

自転車はロシアでもう古い? キックスケーターの進化系が「バターの上を滑っているようだ」と大人気

世界一大きい国ロシア。当地では、距離の感覚が日本人とはまったく違います。ロシア人の感覚でいう「徒歩圏内」は日本人の感覚からすると徒歩圏内ではないことが多々。たとえば、以前に駅近と紹介されたアパートは実際には駅から徒歩25分の距離にあったことがあります。ロシア人との感覚の違いをひしひしと感じた出来事でした。

 

そんな徒歩圏内の感覚が広いロシアで、筆者が自転車の購入を検討する際に知ったのが大人用キックスクーター(またはキックスケーター)。最近、自転車を上回る勢いで普及しているというのです。子どもの遊び道具だったキックスクーターが進化して、大人にとっても便利な形で進化しているそう。

 

調べてみると、通勤・通学だけでなく、企業がレストランのデリバリーサービス、メッセンジャーサービスなどにキックスクーターを取り入れ始めているようです。今回はロシアでホットな大人用キックスクーター人気の秘訣に迫ります。

 

ちょっとそこまでスクーターで!

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子どもの乗り物だと思っていたキックスクーターですが、街中で大人が乗りこなしているのを最近よく見かけるようになりました。アルミニウム製の車体は、一部にプラスチックを使用している子ども用のスクーターとは明らかに異なり、大人が使用するのにふさわしいスマートな外観。直径20センチの頑丈な車輪は、道路の凹凸に左右されることなく、ひと蹴りでスイスイ運んでくれます。ロシアのクチコミサイトでは、その走行感覚は「まるでバターの上を滑っているようだ」とまで書かれていました。

 

重さは約5キロと女性でも扱いやすい軽量サイズ。大きなホイールは安定感があり、ハンドルの高さは3段階から4段階で調整できます。移動時にさっと肩からかけられるよう、ショルダーホルダーがついているのも扱いやすい理由の1つのようです。後輪を足で踏んでブレーキをかける足踏み式ブレーキが基本ですが、最近は自転車のような手動ブレーキが付いている機種も出てきています。

 

キックスクーターの細長い本体は、自転車のように場所を取らず、アパートの限られた収納場所でも収納可能です。また、地下鉄や電車などの公共交通機関での移動の際にも、軽いので階段などの昇降や持ち運びしやすくなっています。さらに、電動アシストがついたり、折りたたみ式が出たり、大人のスマートなシティライフに合わせて、どんどん改良されています。

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モスクワでも渋滞は悩みの種で、個人だけではなく企業もキックスクーターに注目しているそうです。実際、モスクワの街中ではデリバリーサービスの配達や書類を届けるメッセンジャーたちがスクーターを使用している様子を見かけます。公共交通機関+キックスクーターで渋滞知らずというのが大きなメリットとなっているようです。

 

子育て中のママたちにもキックスクーターは人気です。保育園の登園時、近距離でも子どもとの徒歩移動は大変なもの。筆者の子どもが通っている保育園にも、たくさんの子どもたちがキックスクーターで登園してきますが、子どもが全力でこぐキックスクーターの横をダッシュで追いかけているのが親です……(かくいう私も子どものキックスクーターの横をダッシュしている1人)。

 

ある日、母親と子どもが並んでキックスクーターで登園してくる様子を見たときは衝撃を受けました。普段は子どもを追うことに精一杯で周りをあまり気にしていませんでしたが、注意してみると親子でキックスケーター登園が多いことに驚かされました。確かに同じ速度で横並びになり走行できるというのは、子どもへの安全面でも良いのかもしれません。

 

気になるキックスクーターの価格は2,500ルーブル(日本円で5,000円)から。自転車の相場6,000ルーブル(日本円で12,000円)と比べると半額以下となっています。また、使われている部品が自転車よりも少ないため、あまり壊れることがなく長く使え、いざ修理となっても修理費がかさむことがありません。まさにコスト面でもスマートな乗り物といえるでしょう。

 

次世代の移動はキックスクーターで決まり!

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都会の主な移動手段であったタクシーは、コストがかかる割に渋滞などにつかまってしまい、なかなか到着時間の予測がつかないのが難点です。また、自転車はその大きさから収納場所に困ります。乗り換えの多い公共交通機関との相性が悪いのも難点。自動車や自転車とは異なり、コンパクトでスマートな大人のシティライフにふさわしい次世代の移動手段がキックスクーターなのです。

 

収納場所に困らないこと、移動の負担が軽くなること、女性でも扱いやすいこと、維持費がほとんどかからないこと、公共交通機関との相性が良いことなど、メリットが多いキックスターター。モスクワでの移動で最もネックであった渋滞を回避できることもあり、一般消費者と企業の両方から支持を得ています。モスクワに来たら、この乗り物に注目してみてください。

 

これを知らずしてロシア料理は語れない! 軍の野戦食から国民食へ進化した最強時短缶詰「トゥションカ」とは?

缶を開けてみると、びっしりと白い肉の脂が!

 

ロシアのスーパーには必ず置いてあり、ロシア人がよく使っている缶詰食材といえば「トゥションカ」。圧力鍋で肉をじっくり煮たものが入ったシンプルな缶詰です。牛肉、豚肉、羊肉と、さまざまな種類があり、塩胡椒と玉ねぎでじっくりと煮てあります。しっかり熱で滅菌処理がされているため、保存料や化学調味料は一切入っていません。また、じっくり煮込んで溶けた玉ねぎが入ったブイヨンと一緒に缶に詰められているので、旨味もたっぷり。

 

おすすめの使い方としては、スープにそのままいれたり、野菜炒めにいれたり、マカロニと和えたり。味つけが自由にできるのが魅力です。その濃いブイヨンのおかげで、コンソメなどを追加する必要はまったくありません。

 

そんなトゥションカ、実はもともとロシア軍の野戦食なのです。戦場でも栄養価が高く、調理時間短縮、長期保存できるトゥションカ。そのおいしさと便利さから、軍隊以外にも広まり今や国民の味となっています。

 

アレンジしやすく、時短料理で大活躍!

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なかに入っている肉は、玉ねぎや塩胡椒、臭み消しのローリエを加えられ、圧力鍋でじっくり煮込んであります。しっかり煮込んであるせいか、玉ねぎは溶けてしまっており、確認することはできません。脂が多いものの、ブイヨンがたっぷり濃厚でコンソメなどなしにスープに入れたり、マカロニに和えたりするだけで1品完成してしまう手軽さが魅力。味つけのアレンジをしやすいので、あと1品欲しいという時に便利です。

 

様々なメーカーが出していますが、同居しているロシア人のお義母さんが言うには、リアルな動物の絵が印象的な「エリンスキー」というメーカーがオススメです(下写真)。使用している肉の部位のせいなのか、肉質が良いそう。価格は約100~200ルーブル(日本円で200~400円)。お肉とブイヨンが詰まった338グラムの缶詰は持つとずっしりしています。未開封であれば、なんと3年もの長期保存が可能でアレンジも自由。調理済みのお肉がこの価格で手に入るのでお得感があります。

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ロシアのお母さんのレシピを受け継ぎ、筆者の家ではゆでたマカロニと和え、野菜と炒めながらケチャップやスパイスで味付けしたりスープに入れたりします。スープに入れる際も水で野菜を煮て、そのなかにトゥションカを投入して沸騰させるだけなので、とても簡単です。

 

下記の写真は実際に作った際のもの。ゆでたマカロニに牛肉のトゥションカ、冷凍の野菜ミックスを入れて炒め、塩胡椒で味を整えただけのわが家の究極時短料理です。マカロニを茹でる時間を省けば、10分ほど炒めるだけの調理時間ながら、牛肉のブイヨンの味がマカロニに染み込んで旨味たっぷりに仕上がります。大人も子どもも大好きな忙しい時の一品です。

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上記のように、時短料理には欠かせないトゥションカですが、わが家では持ち運びやすさから旅行にもよく持って行きます。ヨーロッパでは旅行の際、ホテルに滞在する以外の選択肢としてアパートメントホテル滞在があります。アパートメントホテルにはキッチンがついているのが標準で、朝・昼・晩とご飯を自分たちで作ることができるので、滞在費を抑えられたり、現地の生活を感じられたりするといったメリットがあります。このトゥションカさえあれば肉料理が1品できてしまうので、節約にもなりますし、現地で材料を購入するのに奔走する時間が省けるため、とても便利です。

 

また、小さい子どもやお年寄りがいる家庭でも重宝します。筆者も子どもが小さいときに肉を食べさせるのも一苦労でした。ひき肉だけではレパートリーが少ないと思って、細かく切ったり、圧力鍋でじっくり煮たりしましたが、時間と手間がやたらとかかりました。この缶詰なら、肉がほろほろと柔らかく、子どもでも簡単に食べられます。また、肉のバリエーションを変えたり、味つけを変えたりしながら、子どもたちにもさまざまな肉料理を手軽に食べさせてあげることができるようになりました。

 

時代を超えて愛される国民食

300グラム以上の肉がぎっしり入っているのに、手に取りやすい価格。3年という長期保存が可能で、実際の調理時間は驚くほど短くて済みます。旨味はしっかりあるものの、味つけ自体は薄味なのでレシピのアレンジがしやすいです。

 

もともと軍の野戦食として、保存性に優れ、調理時に余計な手間の要らないために重宝されたこの肉の缶詰め。その後はソ連の混乱を生き抜く重要な栄養源になり、いまや忙しいロシアっ子の栄養源にもなっています。時代を超えてロシア人を支えるトゥションカが国民食として根づいているのも納得です。