「UFOとローマ法王、そして自然栽培」の著者の「タイトルだけ」じゃない凄すぎるビジネススキル

2017年も残りわずか。この時期になると、1年を振り返る系のランキングが数多く発表される。この原稿では『第10回タイトルだけ大賞』で、山田真哉(公認会計士で『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』の著者)賞を受賞した『UFOとローマ法王、そして自然栽培』(高野誠鮮・著/学研プラス・刊)を紹介したい。

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UFOで町おこし

何の関連性も感じられないワードが並ぶタイトルに、逆にそそられる。サブタイトルには「空飛ぶ円盤で日本を変えた男」という文章が添えられている。著者の高野さんは、本職が住職さんで、複数の大学で客員教授をかけ持っている人物だ。こういう人が書いた本は、どんな内容なのか。

 

まえがきに、次のような文章が記されている。

 

歴史を振り返れば、地球が平らだと信じられていた時代もあれば、地球を中心にして太陽などの惑星が周囲を回っていると信じられていた時代もあります。こうした認識のパラダイムシフトが、もう一度来ているような気がしています。そのひとつが「UFO問題」であり、他方が、外部資材を何も投入しなくても農作物をつくれるという「自然栽培」です。

『UFOとローマ法王、そして自然栽培』より引用

 

UFOに関しては、高野さんが手がけた最初の大仕事であるUFO宇宙博物館コスモアイル羽咋の立ち上げと深く係り合っている。すべての始まりは、地元羽咋の土着伝説“そうはちぼん”の話だった。そうはちぼんというのは、日蓮宗で使われる仏具のことで、鍋のフタや麦わら帽子のような形をしている。この伝説にひらめきを得た高野さんは、「UFOで町おこし」に本格的に取り組んでいくことになる。

 

具体的には、ゴルバチョフ書記長からレーガン大統領、サッチャー英国首相(!!)に直接手紙を送り、自分たちの活動に対する感想と激励を求めた。同時に、地元商店街に働きかけてUFOうどんやUFOケーキ、UFOまんじゅうなど、新定番名物を作ってメディア戦略を行った。

 

さらに「宇宙とUFO国際シンポジウム」というイベントを成功させ、UFOの町、羽咋の拠点となる施設が必要となった。そこでUFOによる町おこしの企画書を書いて旧自治省主催のリーディングプロジェクトに応募したところ、国から52億円以上の予算が下りることになった。本物のアポロ月面着陸船やボイジャー惑星探査船、そして国内最大級のUFO資料アーカイブを備えたコスモアイル羽咋は、こうして誕生した。

 

 

ローマ法王に地元産の米を献上

高野さんはまた、石川県羽咋市の地元で作られている神子原(みこはら)米をブランド米としてプロモートする方法を考えていた。そもそも美味しい米として知られていた神子原米の魅力を最も効率的に伝えるため、高野さんは宮内庁やアメリカ大使館、そしてローマ法王庁に働きかける。宮内庁とアメリカ大使館に対する働きかけは不調に終わったが、ローマ法王庁には神子原米が献上品として認められた。この過程にも、高野さんならではのひらめきが介在したようだ。

 

このときも、あれこれ思いをめぐらしているうちに、ひらめきを得ました。神子原を英訳すると「the highlands where the son of God dwells」になります。「神の子が住まう高原」です。神の子といえばイエス・キリスト。神子原は、「キリストが住まう高原」と訳せるのです。

『UFOとローマ法王、そして自然栽培』より引用

 

どうやら高野さんは、追い詰められた時にひらめきが降りてくるタイプの人らしい。しかしこの種のひらめきは、きちんとした準備を常に忘れない姿勢が大前提となる。

 

 

可能性の無視こそ最大の過ち

高野さんのひらめきを養うのは、徹底した現場主義だ。そしてその現場主義の裏側には、揺るぎない信念がある。それは、可能性を決して無視しないことだ。

 

可能性の無視は、最大の悪策です。やる前から「できない理由」を捜すのはやめましょう。おかしなもので、せっかくアイディアが浮かんでも、「合理的ではない」「どうせ無理」などと頭の中で批評すると、それらを実際にやってみたかのような錯覚に陥ります。やってもいないのに、やったつもりになって諦めてしまうんです。

『UFOとローマ法王、そして自然栽培』より引用

 

こうした現場主義は、自然栽培にも活かされている。高野さんのソウルメイトと呼ぶべき存在である木村秋則さん――映画にもなった“奇跡のリンゴ”で有名な農業家であり、UFOコンタクティーとしても知られている――と出会ったのもこの分野だ。

 

お二人は今、日本発の自然栽培技術を“ジャポニック”と名付け、2020年の東京オリンピックを世界デビューの場として位置付けている。こうして、一見バラバラに感じられる要素がひとつにまとまるのだ。

 

UFO問題から自然栽培まで、一見、結び付かないような事柄がきれいに繋がっていたことを本書で明らかにしてみたいと思います。何事も偶然では起こらない、何ものかの「意図」に導かれるように、世の中が成り立っていると実感しています。

『UFOとローマ法王、そして自然栽培』より引用

 

高野さんが実際にこなしてきた仕事、形にした仕事を通じて語られる方法論には説得力がある。この本のスピリットは、いかなる種類の職業人の心にも響くはずだ。面白いのは決してタイトルだけではありません。

 

【著書紹介】

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UFOとローマ法王、そして自然栽培 空飛ぶ円盤で日本を変えた男

著者:高野誠鮮
出版社:学研プラス

国の予算で日本で唯一の本格的なUFO宇宙博物館を造り、自然栽培による米をローマ法王に食べさせ、ついには過疎に苦しむ限界集落を復活させたスーパー公務員が今、日本再生に向けて、まったく新しい宇宙的、かつ実践哲学の視点から未来ヴィジョンを提言する。

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チャリティに出品されるローマ法王のウラカン、その詳細は?

ランボルギーニは11月15日、1台限定の特別仕様のウラカンRWDを披露した。この車両はオークションにかけられ、その収益をフランシスコ法王に寄贈するためである。

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法王に寄贈されたウラカンRWDは、バチカンへのオマージュを題材に、ミラノのリップタイド社のアイディアを得て企画。ランボルギーニのカスタマイズ部門であるアドペルソナムが手がけ、バチカン市国の旗の色に敬意を表して、「Bianco Monocerus」(ホワイト系)をベースに、ウラカンのシルエットに沿って「Giallo Tiberino」(ゴールド系)ストライプがあしらわれている。

 

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贈呈セレモニーでは、フランシスコ法王とアウトモビリ・ランボルギーニのステファノ・ ドメニカリCEOの出席の下、バチカン市国で開催された。

 

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なお、オークションによる収益は法王から以下の慈善事業に贈られる。

 

・法王が関係する財団「Aid to the Church in Need」の後援の下で進められているニネベ平原の再建。このプロジェクトは、キリスト教徒がイラクのニネベ平原に戻れるよう、住宅や公的施設、教会の再建を目的としている。

 

・人身売買等の被害を受けた女性を支援する「ヨハネ23世コミュニティ」によるPope Francis Houseプロジェクト。2018年に、コミュニティ創設者オレステ・ベンツィ神父の10周忌と同コミュニティ創設50周年を迎えるにあたっての寄付となる。

 

・おもにアフリカで、支援を必要とする女性と子供たちに重点を置いて何年も活動を続けてきたイタリアの団体、マルコ・ランツェッタ博士率いる「GICAM」と「Friends for Central Africa」。