「CP+2021」総括レポート後編:オンライン時代に奮起するカメラ周辺機器メーカーのトレンド

2021年2月25日から28日にかけて“カメラと写真映像のワールドプレミアショー”「CP+2021」が、コロナ禍の影響から初のオンラインで開催されました。オンラインではカメラやレンズの実機に触れることができないなど、大きな制約がある中での開催となり、メーカーがどのような工夫をしてくるかにも注目が集まったイベントです。本稿では、4日間に渡ったオンラインイベントの様子を前後半、2回に分けてレポート。後半となる今回は、交換レンズメーカーを含む、主だった周辺機器メーカーについて取り上げます。

 

カメラの周辺機器というと、交換レンズや三脚、フィルター、ストラップやカメラバッグ、照明機器といった撮影時に必要なものもありますが、デジタル化以降はパソコンや画像処理ソフト、プリンターなど、撮影後に必要な機器や用品の重要度が増しています。今回のCP+2021は、オンライン開催との親和性が高いこともあってか、パソコンなどの周辺機器メーカーによる出展が大きな割合を占めていました。

 

今回の出展社のなかでも動画配信などに力を入れていたメーカーに絞って、それぞれをチェックしていきます。

 

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【周辺機器メーカー1】ケンコー・トキナー

ケンコー・トキナーは、フィルターやフィールドスコープなどを扱う「ケンコー」、三脚などを扱う「スリック」、交換レンズなどを扱う「トキナー」といった自社ブランドのほか、関連会社によるものも含め、無数の商材を扱っています。なかでも最近は、「レンズベビー」や「SAMYANG」など、交換レンズ系商品の注目度が上昇。今回の新製品ではフィルターやフィールドスコープなども登場していますが、トキナーから昨年末に発売された、2本のFUJIFILM Xマウント用レンズなどの交換レンズが最も注目を集めていたように思います。オンラインセミナーは4日間で19本と多数実施され、多くの人気写真家らが登場。周辺機器メーカーのなかでも、ユーザーが最も目を見張った出展社の1つでしょう。

↑ケンコー・トキナーの特設ページ。ケンコー・トキナーのほか、グループ会社のスリック、ケンコープロフェショナルイメージングの製品も含め、数多くの写真関連製品が紹介されていた

 

↑オンラインセミナーは、合計16名の講師による全19コマを実施。会期中の午後、ほぼ2時間おきに実施される豪華なものだった。画像は、小河俊哉さん、萩原和幸さん、桃井一至さんによる「トキナーレンズを語る」より

 

↑FUJIFILM Xマウント用単焦点交換レンズ「トキナー atx-m 33mm F1.4X」(実売価格/5万3800円)。F1.4の明るい標準レンズで、美しいボケ描写が魅力だ。このほか、FUJIFILM Xマウント用広角レンズ「atx-m 23mm F1.4 X」(実売価格/6万500円)もラインナップされている

 

【周辺機器メーカー2】サイトロンジャパン

サイトロンジャパンは、米国サイトロン社の双眼・単眼鏡などの光学機器を扱っているメーカーです。最近は、中国LAOWA(ラオワ)社の低廉でユニークな交換レンズを扱っていて、カメラファンの注目を集めています。CP+2021では、試作品を含むLAOWAの製品紹介のほか、サイトロンの双眼鏡、スカイウォッチャーやシャープスターの天体望遠鏡などを紹介。天文関連を含めて計16コマのセミナーも実施しました。

↑サイトロンジャパンの主力商品は、特設ページを見てもわかる通り双眼鏡や天体望遠鏡、ライフルスコープといった光学製品。LAOWAの交換レンズの扱いを始め、ここ数年はCP+の常連となっている

 

↑セミナーは、写真家によるLAOWA製品紹介や活用法のほか、アマチュア天文家による、天体望遠鏡の使いこなし紹介などユニークな切り口で展開された。画像は、齋藤千歳さんの「実写チャートでみるLAOWA広角レンズの特徴を紹介」より

 

【周辺機器メーカー3】シグマ

個性的かつ高性能な交換レンズを数多く登場させ、人気を集めているシグマは、ミラーレスカメラ用の小型単焦点交換レンズ「Iシリーズ」や、同社製で世界最小のフルサイズミラーレスカメラ「SIGMA fp」などを紹介。動画コンテンツでは、会期直前にシグマ代表取締役社長・山木和人さんによる新製品プレゼンテーションが行われたほか、写真家による新製品セミナーやレンズ開発者によるトークなどを実施していたのも印象に残っています。ライブ配信でのコンテンツが多く、マニアックなものから気軽に楽しめるものまで幅広いコンテンツが揃えられていました。

↑シグマの特設ページは、シンプルでスマートな構成のページだが、動画コンテンツなどは、レンズ好きに刺さるものも用意。一方で商品企画担当者のトークなどは、レンズにこだわりを持ったシグマファンから、購入を検討中のユーザーまで楽しめる内容になっていた。

 

↑いわゆるシグマファン向けのコンテンツも少なくなかったが、「28-70mm F2.8 DG DN|Contemporary」などの新製品を写真家が実際に使って、その魅力や使いこなしを語る「プロダクトセミナー」は、比較的エントリーユーザーに理解しやすい内容だった。作例写真も多く、製品の魅力がダイレクトに伝わってくる。画像は、鹿野貴司さんの「プロダクトセミナー 新製品SIGMA 28-70mm F2.8 DG DN|Contemporary編」より

 

↑フルサイズミラーレスカメラ対応で小型・軽量な大口径標準ズーム「28-70mm F2.8 DG DN|Contemporary」(実売価格/9万9000円)。画面全体に高解像で歪みや収差、ゴーストなども少ない高性能レンズだ。最短撮影距離が19cm(広角端)と短く、被写体を大きく撮れるのも魅力。ソニーEマウント用、ライカLマウント用がラインナップされている

 

【周辺機器メーカー4】タムロン

タムロンは、1本で幅広い焦点距離に対応できる高倍率ズームレンズや、低廉で高性能な交換レンズのラインナップに定評のあるレンズメーカーです。CP+2021では、1月14日に発売された新製品「17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD(Model B070)」と昨年6月発売の「28-200mm F2.8-5.6 Di III RXD(A071SF)」を中心に、同社のソニーEマウントミラーレスカメラ用レンズを紹介。2月27日と28日には、写真家の別所隆弘さん、澤村洋兵さんによるセミナーも実施されました。

↑あえてソニーEマウントのミラーレスカメラ用レンズである、「Di III」シリーズ9本に焦点を当てたタムロンの特設サイト。なかでも、最新の17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD(Model B070)は注目を集めていたようだ

 

↑セミナーは2名の写真家による新製品のインプレッションであったが、単純なスペック紹介ではなく、レンズの特徴を上手くとらえた作例が用意され、各レンズの魅力はもちろん、適した撮影シーンも伝わる内容になっていた。画像は、別所隆弘さんによる28-200mm F2.8-5.6 Di III RXD(A071SF)のインプレッションより

 

↑APS-Cサイズ用に設計することで、小型ながらF2.8の大口径で高画質を成功させた「17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD(Model B070)」。最短撮影距離が広角側で0.19m、望遠側で0.39mと近接撮影に強い設計になっているのも魅力だ。実売価格/9万3500円

 

【周辺機器メーカー5】エプソン

プリンターやスキャナーのメーカーとしておなじみのエプソンでは、「PHOTOS at Home」をテーマに自宅での写真の楽しみ方を提案。スペシャルプログラムとして4本の動画を公開したほか、同社製品を紹介するだけでなく使用目的に合わせたプリンターやスキャナー選びができるように工夫されていました。

↑エプソンの特設ページ。作品プリントに最適な画質で、A3ノビやA2ノビの大きさでプリントできる「プロセレクション」シリーズだけでなく、インクをタンクに補充して使うことで、プリントのコスト低減を実現した、「エコタンク」搭載モデルなども紹介

 

↑セミナーは、鉄道写真家・中井精也さんの「伝えるためのプリントテクニック」、塙真一さんの「フィルムで楽しむデジタル暗室術!」、上田晃司さんの「プリントでもっと広がる写真の世界を体験しよう!」、『IMA』エディトリアルディレクター太田睦子さんらによる「インテリアに写真を取り入れる楽しさとコツ」の4本を配信。プリントのテクニックや楽しみ方が、わかりやすく解説されていた。画像は中井精也さんのセミナーより

 

【周辺機器メーカー6】raytrek(サードウェーブ)

サードウェーブは、BTOによるパソコン販売の大手メーカー&販売店。CP+2021では、同社のクリエイター向けBTOパソコンのシリーズである「raytrek」ブランドで出展していました。写真作品や映像作品の制作におけるraytrekのメリットについての紹介のほか、同社と写真投稿SNS「東京カメラ部」とのコラボフォトコンテストの受賞者発表を本ページで行うなど、写真関連にも力を入れている様子が伝わってくる内容でした。

↑raytrekの特設ページでは、写真家の井上浩輝さん、別所隆弘さん特別監修モデルのパソコンを紹介。2月28日には、この2名の写真家と東京カメラ部メンバーらによるライブ配信も実施された

 

↑ライブ配信では、同社製PCの魅力を紹介するだけでなく、画像処理ソフトや動画編集ソフトを使っての実演も実施。作家ならではのテクニックの解説も行われ、すぐに役立つ内容の配信であった

 

【周辺機器メーカー7】ATOMOS

ATOMOSは、ミラーレスカメラのHDMI端子などに接続して使う、外部接続の動画レコーダーを製造しているメーカーです。同社製品を使うことで動画のRAW記録などが行え、撮影後に調整しやすく高品位な映像が制作できます。映像作家には定番のレコーダーということもあってか、動画配信に力が入ったコンテンツが用意されていました。多くのカメラユーザーにはあまり馴染みのないメーカーかもしれませんが、今回のコンテンツを見て、動画撮影やレコーダーに興味を持った方も少なくないのではないかと思います。

↑ATOMOSの製品は、画像にあるような小型モニター付きのレコーダーで、記録映像の確認も行える。撮影後はパソコンなどにデータを取り込んで編集するのが基本となる。今回のコンテンツは配信が中心で、写真家や映像作家によるトークや、各カメラメーカーのエンジニア対談などが組まれ、合計10本が配信された

 

↑配信の内容は動画撮影のテクニック、レコーダーやカメラの機能などについてのトークが多く、動画撮影や編集に興味のある人には、非常に有益なコンテンツだったのではないかと思う

 

まとめ

レポートの後半はカメラ周辺機器メーカーのうち、動画配信などに力を入れていたメーカーを中心に取り上げました。特徴的な傾向としては、ミラーレスカメラ用のレンズが増えたことで、レンズ設計の自由度が高まり最短撮影距離が短く、被写体に近寄って撮れる製品の増加が挙げられます。同じくミラーレスカメラの普及によって、動画関連の製品、あるいは出展社が増えたのも大きなトレンドと言えるでしょう。

 

CP+2021は、レポート全体で今回取り上げたメーカー以外を合わせると、全部で20社/ブランドによるイベントとなりました。従来のリアルイベントに比べると参加企業は少なかったものの、参加者は5万人以上であったという速報(2021年3月4日時点)が発表されており、各社の工夫によってオンラインであってもユーザーが十分楽しめるイベントになったのだと実感しています。とはいえ、やはり新製品のカメラやレンズに触れないのは寂しく、来年こそはリアルイベントを期待したいところ。もし可能であれば、今年の経験を生かして、リアルとオンラインの両立ができれば、参加者はより楽しめるものになるのではないかと思います。

 

なお、動画配信などのコンテンツの多くは、2021年3月31日までアーカイブとしてオンラインで見ることが可能です。興味のあるコンテンツがありましたら、ぜひチェックしてみてください。

 

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2020年のカメラ業界を総括:今年を彩った15の注目モデルがすべてわかります。

2020年は、外出の自粛で撮影機会が減ったり、CP+をはじめとするカメラ・写真関連イベントが中止・延期されたりといったこともあり、カメラ・写真業界には非常に厳しい1年になってしまった。とはいえ、各メーカーの企業努力もあって、フルサイズミラーレスカメラを中心に新製品の登場が続いている。本稿では、2020年に登場した国内メーカー製カメラの傾向や特徴、さらにはメーカー自体の動向などについて振り返りつつ、2021年のカメラ市場がどういった方向に進むのかについて考察してみようと思う。

 

フルサイズミラーレスカメラ編:ラインナップ拡充で各社の特徴が鮮明に

まず、近年注目されることの多いフルサイズミラーレスカメラをチェックしてみよう。

 

ソニーが先行しつつ、2018年にニコンとキヤノン、2019年にはパナソニックやシグマなどが市場参入した製品カテゴリであるが、2020年はニコンから3機種、ソニー、キヤノンから2機種、パナソニックから1機種の計8機種が登場。本体価格20万円以下のモデルも増え、ハイエンドからエントリーまで、より多くの機種から選べる状況になった。なかでも、エントリー~ミドルクラスとなる、ニコン「Z 5」、ソニー「α7C」、パナソニック「LUMIX S5」の3機種は特に注目度が高く、各社の特徴が出ている印象だ。

 

まず、ニコン「Z 5」は、同社のフルサイズのエントリークラスといえるモデルで、ボディの実売価格を20万円以下に抑えつつ、上位機種であるZ 6同等といえる、有効2432万画素のセンサーや約369万ドットのEVF(電子ビューファインダー)などを装備。連写速度はZ 6の最高約12コマ/に対して、最高約4.5コマ/秒となっているものの、入手性が高く比較的安価なSDカードのダブルスロット(Z 6はXQD/CFexpressのシングルスロット)となっており、超高速連写が必要なければ、かなりお買い得なモデルだ。

↑ニコン「Z 5」。2020年8月28日発売で、ボディの実売価格は18万2600円

 

このほか、ニコンはZ 6/Z 7の後継機となる2モデルを発売。11月6日に「Z 6II」、12月11日に「Z 7II」が登場した。こちらは、画素数こそ従来モデル同等だが、連写速度がZ 6IIが最高約14コマ/秒、Z 7IIが最高約10コマ/秒と高速化され、メモリーカードスロットにXQD/CFexpressとSDカードのデュアルスロットが採用されるなど、大幅なブラッシュアップが図られている。

↑ニコン「Z 6II」。2020年11月6日発売で、ボディの実売価格は26万8400円

 

↑ニコン「Z 7II」。2020年12月11日発売で、ボディの実売価格は39万8200円

 

次にソニー「α7C」は、従来のAPS-Cサイズ機同等のスクエアで小型なボディにフルサイズセンサーを搭載したモデル。光学式ボディ内手ブレ補正機構採用のフルサイズセンサー搭載デジタル一眼カメラとしては世界最小・最軽量(2020年9月時点)というだけあって、質量が約509g(バッテリー、メモリーカード含む)と軽量だ。これは、例えば同社のフルサイズ機であるα7 IIIと比べると約141g軽く、APS-Cサイズ機であるα6600と比べても約6gの増加に留まっている。それでいて画素数は有効約2420万画素、連写は最高約10コマ/秒など、α7 IIIと同等のスペックを誇る。EVFの倍率が約0.59倍とやや低めな点はボディサイズとのトレードオフになっているものの、高画質なフルサイズ機で軽快に撮りたいユーザーには、今のところベストな1台だろう。

↑ソニー「α7C」。2020年10月23日発売で、ボディの実売価格は22万9900円

 

ソニーはこのほかに、新開発の裏面照射型有効約1210万画素フルサイズCMOSセンサーの採用などにより、常用ISO102400の高感度や4K120pの動画撮影を可能にした「α7S III」も登場し、さらなるラインナップの拡充が図られた。

↑ソニー「α7S III」。2020年10月9日発売で、ボディの実売価格は44万9900円

 

パナソニック「LUMIX S5」は、堅牢性が高く防塵・防滴性能にも優れたボディを採用しながら、小型軽量化を図ったミドルクラス機。画素数は有効約2420万画素で最高約7コマ/秒の連写性能を持ち、常用感度も最高ISO51200と高めだ。ボディは、約714g(バッテリー、メモリーカード含む)と同社のLUMIX S1(約1017g・バッテリー、メモリーカード含む)に比べて300g以上軽量でサイズも一回り小型だ。そのぶん、S1にあったボディ上面の撮影情報表示液晶などは省かれいるが、程良く小型化された印象で操作性にも優れ、エントリーユーザーからハイアマチュアまで満足できるミドルクラスらしい1台だ。

↑パナソニック「LUMIX S5」。2020年9月25日発売で、ボディの実売価格は27万5000円

 

このほか、2018年から19年にかけて2機種のエントリー~ミドルクラス機を登場させたキヤノンは、2020年に2機種のハイクラス機を投入した。そのうちの1台は、画素数が有効約2010万画素で約20コマ/秒(電子シャッター使用時。メカシャッター使用時は約12コマ/秒)の高速連写が可能な「EOS R6」。本機は高感度性能にも優れ、常用ISO102400を実現している。この高速連写と超高感度を駆使すれば、プロスポーツなどの動きが極めて速い被写体であっても、ブレなく一瞬を狙うことができるはずだ。また、ボディ内とレンズ内の手ブレ補正機能を協調制御することで、世界最高となる、シャッター速度にして8段分の効果を持つ手ブレ補正機能を搭載。低速シャッター時の手持ち撮影が容易になっているのも魅力だ。

↑キヤノン「EOS R6」。2020年8月27日発売で、ボディの実売価格は33万5500円

 

そして、もう1台の「EOS R5」は、画素数が有効約4500万画素の超高画素モデルでありながら、常用ISO51200の超高感度撮影が可能。しかも、EOS R6同様に約20コマ/秒の高速連写(電子シャッター使用時。メカシャッター使用時は約12コマ/秒)やシャッター速度にして約8段分の手ブレ補正に対応しているので、高精細な風景撮影から動きの速いスポーツ撮影まで幅広く対応できる1台になっている。しかも、本機は8K/30pの動画撮影に対応しているので、ミラーレスカメラで超高精細な8K動画撮影も楽しみたいというユーザーには、現状唯一の選択肢といえる。

↑キヤノン「EOS R5」。2020年7月10日発売で、ボディの実売価格は50万6000円

 

すでにラインナップが揃っているソニー以外の各社は、ラインナップの拡充を急いでいる状況だが、そうしたなかでもメーカーによって方向性が少しずつ違ってきている。そのため、特にミドルクラスのモデルを選ぶ際は、必要な機能や性能が何なのかを見極める必要がありそうだ。

 

フルサイズ以外のミラーレスカメラ編:10万円以下のエントリーモデルに注目

フルサイズ以外のミラーレスカメラに関しては、2020年に7機種ほどが登場しているが、このうち注目したいのが、ボディ価格が10万円を切り、レンズキットでも10万円前後で購入できるエントリーモデルにあたる機種。メーカーごとに方向性が違っているのが興味深い。

 

オリンパス「OM-D E-M10 Mark IV」は、ボディ内5軸手ブレ補正を搭載。しかも、電子式シャッターを活用することで1/16000秒~60秒(メカシャッター使用時は1/4000秒~60秒)のシャッター速度が使用でき、連写も最高約15コマ/秒で撮影可能など、エントリーモデルとしては、基本スペックが高めなのが魅力だ。ただし、センサーが4/3型ということもあり、常用感度はISO6400まで。ボディはしっかりとしたグリップが採用され、安定して構えられるほか、前後2つのダイヤルが装備されていて、設定変更などの操作も素早く快適に行える、使いやすさを重視したモデルといえる。

↑オリンパス「OM-D E-M10 Mark IV」。2020年9月18日発売で、ボディの実売価格は8万9120円

 

キヤノン「EOS Kiss M2」は、387g(ブラック・バッテリー、メモリーカード含む)の小型・軽量ボディに「デュアルピクセルCMOS AF」(像面位相差AF)対応のAPS-Cサイズ有効約2410万画素CMOSセンサーを搭載。従来モデルよりも瞳AFの検出性能が向上し、静止画だけでなく動画撮影時にも機能するようになっている。タッチ操作対応のバリアングル液晶モニター、最高約10コマ/秒(ワンショットAF時。サーボAF時は約7.4コマ/秒)の連写性能など、基本性能もエントリーモデルとしては必要十分以上。それでいて価格はレンズキットで10万円前後という、ハイコスパモデルだ。

↑キヤノン「 EOS Kiss M2」。2020年11月27日発売で、ボディの実売価格は8万4700円

 

パナソニック「LUMIX G100」は、価格帯だけを見ると、エントリークラスの4/3型センサー採用機だが、実際はVlog(ビデオブログ)動画撮影に特化したモデルとなっている。小型・軽量で5軸ハイブリッド手ブレ補正やバリアングルモニターなどを備え、音声記録にもこだわっているなど、高画質・高音質な動画撮影が行える。写真(静止画)撮影に関しては、シャッターが電子式のみとなっている、ボディ内手ブレ補正が電子式のため写真撮影時にはレンズ内手ブレ補正のみが機能する、といった制約はあるが、有効約2030万画素のセンサー採用で、画質的には他機種と遜色のない写真撮影が可能だ。

↑パナソニック「LUMIX G100」。2020年8月20日発売で、実売価格は標準ズームレンズキットで11万1100円(記事執筆時点でボディ単体の販売はない)

 

APS-Cサイズやマイクロフォーサーズのエントリークラス機は、小型なだけでなく機能も重視したモデルが増えている。その一方でミラーレスカメラで高画質な動画を撮りたいといったニーズも高まっており、動画撮影機能も単に4K動画が撮れるといった性能面だけでなく、いかに簡単にきれいに高音質で撮れるかに注力したモデルも登場してきた。なかでもパナソニックのLUMIX G100は、Vlog撮影に特化した製品で、比較的低価格なミラーレスカメラの新たな方向性の1つを示した製品といえるだろう。

 

一眼レフ編:新製品は減少傾向も注目機が登場

一眼レフカメラは、ミラーレスカメラの普及などにより、一時期よりも新製品の数が減少気味。だが、2020年は東京オリンピック/パラリンピックが予定されていたこともあり、キヤノン「EOS-1D X Mark III」、ニコン「D6」の2台のプロ機が登場。このほか、キヤノンからエントリー機の「EOS Kiss X10i」、ニコンからフルサイズ機の「D780」、リコーから「PENTAX K-1 MarkII Silver Edition」がリリースされた。ここでは、一般ユーザーの注目度が高いと思われる、EOS Kiss X10i、D780の2機種をチェックしてみよう。

 

キヤノン「EOS Kiss X10i」は、同社のエントリークラス一眼レフとしては、AFや連写性能などを強化した高性能モデルだ。光学ファインダー使用時に45点のAF測距点を駆使したきめ細かいピント合わせが行え、顔認識機能にも対応。また、背面モニターを使ったライブビュー撮影時には、画面の約88%×約100%という広範囲で正確かつ高速なAFが行え、瞳AFも可能だ。連写は最高約7コマ/秒(ファインダー撮影時)とエントリークラスとしては高速で、連続撮影可能枚数もRAW+JPEGラージ/ファインでも約35枚(最高連写で連続5秒間程度)撮れるので、運動会やペットの撮影など、動きのあるシーンでも一瞬を逃さず撮影できる。

↑キヤノン「EOS Kiss X10i」。2020年6月25日発売で、ボディの実売価格は11万5500円

 

ニコン「D780」は、同社としては2014年9月発売のD750以来、5年4か月ぶりに登場したミドルクラスのフルサイズ一眼レフだ。画素数は有効2450万画素で光学式ファインダー使用時は180KピクセルのRGBセンサー&51点のAF測距点を生かしたシーン認識や被写体の追尾が可能。ライブビュー撮影時は、同社の一眼レフとしては初となる像面位相差AFが搭載され、273点の測距点で素早いAFが行える。常用感度も最高でISO51200となり、常用感度ISO12800までだったD750から4倍(2段分)の高感度化が図られているのも魅力だ。

↑ニコン「D780」。2020年1月24日発売で、ボディの実売価格は27万5000円

 

一眼レフカメラは、交換レンズが豊富にありユーザーも多いことから、ミラーレスカメラが普及してきた現在でも買い替えなどの需要が少なからずある。加えて、エントリーユーザーも含め、被写体がクリアに見える光学式ファインダーを好む人も少なくない。新製品の数としては多くはないが、さらなる高性能化、高機能化も進んでおり、その魅力は衰えてはいない。

 

コンパクトデジカメ編:機能特化型モデルに活路か

コンパクトデジタルカメラ(コンデジ)は、ここ数年、高価格帯の高級コンデジが中心となっていたが、2020年に発売された高級コンデジは富士フイルムの「FUJIFILM X100V」のみであり、国内メーカー製のコンデジ全体を見ても数機種にとどまっている。そうしたなかで特徴的だったのが、ソニー「VLOGCAM ZV-1」とキヤノン「PowerShot ZOOM」の2機種であった。

 

ソニー「VLOGCAM ZV-1」は、製品名にもなっているようにVlog(ビデオブログ)で使用するのに最適化されたカメラだ。基本性能は、有効約2010万画素1型センサー採用で、レンズは24~70mm相当F1.8-2.8。常用ISO感度が125-12800とコンデジとしては高感度に強く、同社の高級コンデジであるRX100シリーズにも負けない、高い性能を持つ。RX100シリーズとの大きな違いとして、本機はEVFを持たない点が挙げられるが、その一方で自撮りが行いやすいバリアングルモニターを採用(RX100シリーズはチルト式を採用)。Vlogに適した設定や機能呼び出しボタンを配置するなど、操作性もVlog撮影に最適化されている。集音効率の高いマイクも内蔵しており、内蔵マイク用のウインドスクリーンが付属しているので強い風が吹いている状況でもクリアな音声が収録できる。ミニ三脚としても機能するシューティンググリップが付属するキット(実売価格11万3900円)も用意されている。

↑ソニー「VLOGCAM ZV-1」。2020年6月19日発売で、実売価格は9万9900円

 

キヤノン「PowerShot ZOOM」は、同社がクラウドファウンディングサイトで購入者を募り、予定数の1000台を即日で達成したという製品。そのコンセプトは“撮れる望遠鏡”だ。100mm相当/400mm相当と、デジタルズーム使用で800mm相当の焦点距離が選べる、単眼鏡の形態をしたデジカメで、望遠鏡のように対象を見ながら写真を撮ることができる。カメラとしての基本性能は撮像素子が有効約1210万画素1/3型CMOSセンサー(総画素数約2110万画素1/2.3型センサーの中央部分を使用)でレンズは100mm相当がF5.6、400mm相当がF6.3の固定絞りとなっていて、約236万ドットと高精細なEVFを備えているので、EVFを覗くことで望遠鏡としても機能する。AFが搭載されているのはもちろん、光学式手ブレ補正や約10コマ/秒の高速連写機能が搭載され、質量が約145g(メモリーカード含む)と軽量なので、スポーツ観戦や野鳥観察などに気軽に持ち出せて、撮影も楽しめる。双眼鏡やフィールドスコープ、高倍率ズームデジカメなど、多くの機材を持ち出すことなく、より気軽に望遠撮影が楽しめるという点で価値ある1台だ。

↑キヤノン「PowerShot ZOOM」。クラウドファンディングを経て2020年12月10日に一般販売を開始。実売価格は3万5750円

 

コンデジは、以前に比べると新製品の数や種類が減ってきたようにも感じるが、動画や望遠撮影に特化するなど、スマホやレンズ交換式カメラでは対応しきれないジャンルに注目し、魅力を高めている製品が増えている。キヤノンのようにクラウドファウンディングを活用して市場調査や資金調達を行うといった方法は、これまで捉えきれていなかったニッチな市場を活性化でき、ユーザーにとってもメリットの多い手法として今後も期待できそうだ。

 

2020年の総括と今後の展望:メーカー・ユーザー双方に厳しい1年だったが、新たな需要も

2020年は例年と異なり、春以降、新型コロナウイルス感染症の影響が拡大。CP+2020など、数多くの写真・カメラ関連のイベントが延期や中止になった。加えて、非常事態宣言が発令されたことで外出することも難しい状況が続き、多くの人がカメラを買ったり、写真を撮ったりする機会を失った。こうしたことは、カメラのユーザーサイドから見ても残念なことではあるが、当然ながらメーカーサイドにも深刻な影響があったと思われ、実際、ほとんどのメーカーのカメラ部門は赤字となってしまった。なかでも、売り上げや営業益に占めるカメラ部門のウエイトが大きいニコンは、500億円程度の最終損益になるのではないかといわれている。

 

このほか、必ずしも新型コロナウイルス感染症の影響とはいえないが、オリンパスはカメラ部門を日本産業パートナーズに譲渡し、新会社を設立。パナソニックは、2021年にこれまでの社内カンパニー制から持ち株会社制に移行し、カメラ関連は「スマートライフネットワーク事業」の事業会社に継承されるという。ソニーも2021年4月から持ち株会社制に移行し、カメラ関連事業は、同月に設立のソニーエレクトロニクス株式会社の運営下に入る。こうした事業再編自体は、企業にとってメリットも多いが、まさに再編のタイミングで事業が赤字化したり、収益が大幅に悪化したりしてしまうのは、緊急事態下とはいえダメージが大きいはずだ。

 

ただ、新型コロナの影響でユーザーが自宅にいる時間が増えたことで、自宅や身近な場所で動画や写真を撮るのに向いたパナソニックLUMIX G100やソニーVLOGCAM ZV-1などが注目を集め、Vlogを始める人も増えている。また、オンラインでのミーティングや飲み会などを行う機会が増えた結果、高性能なカメラのきれいな映像をオンラインで活用したい、持っているカメラをWebカメラとして使いたいといった要望が増え、ミラーレスカメラをUSBなどでパソコンに接続してオンラインで使用できるようにするソフトウェアが各社から無償提供された。厳しい状況下であっても、迅速に対応してくれたメーカーの姿勢は、多くのユーザーの支持を集めたに違いない。

 

前述の通り、新型コロナウイルス感染症はメーカーの経営状態に深刻な影響を与えているので、メーカーによっては2021年から数年程度は、新製品の登場頻度が多少鈍る可能性も否定できない。ただ、カメラ本体はミラーレスカメラも含めて、ある程度成熟した製品だ。ファームウェアのメジャーバージョンアップを行うなどしながら製品のライフサイクルをできるだけ伸ばし、その一方でアクセサリーや交換レンズに注力するなど、規模が小さめでも利益を出せる、ユーザーにとっては多少高くても長く安心して使える製品が増えてくれたらと思う。

コスパで選ぶならコレ!! プロがオススメする「格安カメラ&レンズ」まとめ

価格が安い、安すぎてちょっと心配になってしまうくらいの格安アイテムを、プロ・専門家が徹底的にチェック! 独自機能やおすすめポイントなど、良いところも悪いところも含めて惜しみなくレビューをお伝えしていきます。今回のテーマはミラーレスカメラや一眼レフカメラ、交換レンズ、ストロボ、三脚といった格安カメラ用品です。

 

まだまだ発展途上のスマホカメラとは異なり、最近の一眼カメラはもはや安定期にあります。一世代前の旧製品でも、十分に納得できる画質と性能なのです。そんなおトクな格安モデルのなかから特にオススメの機種を紹介します。

 

【○×判定した人】

カメラマン・永山昌克さん

写真スタジオを経てフリーに。写真や動画撮影のほか、カメラ誌やWEB媒体での執筆も多数。

 

一世代前のモデルでも画質や操作性に不都合はない

エントリークラスのカメラは各社1〜2年ごとに新製品が登場しますが、モデルチェンジ後しばらくの間は旧製品も併売されます。この、いわゆる型落ち品が格安で、コストパフォーマンスが非常に高いです。

 

最近のモデルチェンジは、画質や操作性が大きく変わるわけではなく、新機能の追加がメインであることが多いです。その新機能が自分にとって重要でなければ、あえてひとつ前の製品を選ぶのも十分アリなのです。余った予算で交換レンズを1本追加したほうが、写真撮影の楽しみはいっそう広がります。

 

交換レンズに関しても、高価な新モデルだけが優れているわけではありません。発売が古い安価なレンズでも、描写性能に優れた製品はたくさんあります。ここで取り上げるのは、そんな掘り出し物の数々です。

 

【カメラ編】

その1

タッチ操作や4K動画に対応した薄型軽量モデル

パナソニック

LUMIX GF9

実売価格6万9800円(ダブルレンズキット)

【ミラーレス(EVF非搭載)】【1600万画素】【秒約5.8コマ連写】【常用最高ISO25600】【約269g

薄型軽量ボディの入門機ながら、4Kフォトによる30コマ/秒の高速連写など、便利で実用的な機能が満載。液晶は自分撮りがしやすいチルト可動式で、タッチ操作にも対応。ボディに巻き付けられた合皮素材は、低価格を感じさせない高品位な雰囲気を生み出しています。

SPEC●レンズマウント:マイクロフォーサーズ ●モニター:3.0型約104万ドット、チルト式(上方向のみ)、タッチ対応 ●EVF:非搭載 ●サイズ:約W106.5×H64.6×D33.3㎜

 

【check】

画質:〇

中級機に匹敵する描写力

ローパスレスの16M Live MOSセンサーを搭載し、中級機に匹敵する描写力。フォトスタイル機能によって細かく色をカスタマイズできる点も◎。

 

操作性:○

初心者でも安心して使いこなせる

操作部はシンプルにまとまっていて使いやすいです。薄型のキットレンズ装着時のボディバランスは良好で、切れ味の鋭いシャッター音も好印象。

 

機能:○

「4Kプリ連写」が動体撮影に好適

独自の「4Kプリ連写」では、シャッターボタンを押した前後の60コマを自動的に記録できます。撮るのが難しい動物や野鳥、子どもなどの撮影に好適。

 

 

その2

ワンランク上の撮影も楽しめる高機能モデル

パナソニック

LUMIX GX7 Mark 

実売価格6万9800円(標準ズームレンズキット)

ミドルクラスの高機能ミラーレス。高さを抑えた横長ボディに、視認性に優れた電子ビューファインダーと、アングルの自由度を高めるチルト可動液晶を搭載。撮影モードはオートからマニュアルまで完備。

【ミラーレス(EVF搭載)】【1600万画素】【秒約8コマ連写】【常用最高ISO25600】【約426g】

SPEC●レンズマウント:マイクロフォーサーズ ●モニター:3.0型約104万ドット、チルト式、タッチ対応 ●EVF:約276万ドット ●サイズ:約W122×H70.6×D43.9㎜

 

【check】

画質:〇

ハイアマも満足できる解像感

撮像素子は特に高画素ではありませんが、ローパスフィルターレス仕様であり、解像感は優秀なレベル。キットレンズの写りも悪くありません。

 

操作性:×

2ダイヤルは便利だがチルト液晶が惜しい

電子ダイヤルはグリップの前後に2つあって多機能をスムーズに設定可能。ただし、チルト液晶は自分撮りや縦位置撮影に非対応なのがイマイチ。

 

機能:〇

一段上の機能が薄型ボディに凝縮

強力なボディ内手ブレ補正や4Kフォトによる高速連写、本格モノクロモードなど、一段上の機能が満載。各ボタンの機能を柔軟にカスタムできるのも便利です。

 

 

その3

シンプルな操作性が魅力の小型軽量機

ニコン

D5300

実売価格6万4900円(AF-P 18-55 VRキット)

小型軽量ボディとシンプル操作が魅力の一眼レフ。使用頻度の高い項目にダイレクトアクセスが可能なiボタンを搭載。凝った効果を素早く適用できるスペシャルエフェクトなどのビギナー向け機能も充実しています。

【一眼レフ】【2416万画素】【秒約5コマ連写】【常用最高ISO12800】【約530g】

SPEC●レンズマウント:ニコンFマウント ●モニター:3.2型約104万ドット、バリアングル式、タッチ対応 ●OVF:約95%、約0.82倍 ●サイズ:約W125×H98×D76㎜

 

【check】

画質:〇

高精細な2416万画素

低価格の旧モデルながら、最新の中級機に匹敵する2416万画素の高精細を実現。遠景の細かい部分までシャープに描写できます。

 

操作性:×

ライブビュー時のAFの遅さが残念

一眼レフとしては小型軽量なボディであり、携帯性とホールド性を両立。しかし、ライブビュー使用時のAFの遅さとタイムラグが残念です。

 

機能:〇

39点位相差検出AFが使えるのが良い

AFには、最大39点の測距点を自動/手動で選べる位相差AFを採用。ペットや子どもといった動体にも、ストレスなく軽快に合焦します。

 

【交換レンズ編】

その1

高倍率ズームレンズ】低価格と高倍率、小型軽量を兼ね備える

タムロン

18-200mm F/3.5-6.3 Di Ⅱ VC (Model B018)

実売価格2万5650

高倍率ズームのパイオニアであるタムロンが、2015年に発売したAPS-C一眼レフ用レンズ。より倍率の高い製品と比べても、持ち運びに優れた小型軽量である点がうれしい。低価格ながら、適度な剛性感も備えています。

【キヤノンEFマウント用】【ニコン用】【ソニーAマウント用】

SPEC●35㎜判換算焦点距離:28〜310㎜ ●最短撮影距離:35㎜時0.77m、180㎜時0.49m ●フィルター径:62㎜ ●長さ:キヤノン用96.6㎜、ニコン用94.1㎜ ●質量:約400g

↑幅広い焦点距離をカバー。そのため、自由に動けない場所でも狙いに応じた厳密なフレーミングが可能です

 

【ここが〇】

手ブレ補正の効きが良好

ズームすると前玉部分が長くせり出しますが、鏡胴にガタつきはなく、安っぽさは感じません。手ブレ補正の効果も十分にあります。

 

【ここが×】

AFスピードが遅めでもたつく

AFの作動音はあまりうるさくありませんが、AFスピードは遅め。マウント部がプラスチック製である点も不満。

 

その2

【マクロレンズ】銘玉といわれる「タムキュー」の2008年モデル

タムロン

SP AF90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 (Model272E)

実売価格2万9140円

タムロンの90㎜マクロといえば、高画質と美しいボケに定評があり、1979年発売の初代モデル以来、モデルチェンジを繰り返しながら多くのユーザーに親しまれています。これは2008年発売モデル。AFはうるさいが画質は一級品です。

【キヤノンEFマウント用】【キヤノン用】【ニコン用(AFモーター内蔵:272EN Ⅱ)】【ソニーAマウント用】【ペンタックス用】

SPEC●35㎜判換算焦点距離:90㎜ ●最短撮影距離:0.29m ●フィルター径:55㎜ ●長さ:97㎜ ●質量:約400g

↑PC上で等倍表示すると、花粉の粒がはっきりわかるくらいシャープに解像。リアルで立体感のある描写が得られました

 

【ここが〇】

切れ味の鋭い描写力が魅力

フルサイズ対応ながら四隅まで高解像を実現。一方で、絞り開放値ではピントを合わせた前後に美しいボケが生じます。

 

【ここが×】

AF駆動音が少々大きめ

超音波モーター非搭載なのでAF駆動音は少々大きめ。AFからMFに切り替える際、ピント位置が動きやすい点も×。

 

 

その3

【望遠ズームレンズ】1万円台前半で超望遠域を味わう

タムロン

AF70-300㎜ F/4-5.6 Di LD MACRO 1:2 (Model A17)

実売価格1万2240円

フルサイズに対応した小型軽量の望遠ズーム。通常の最短撮影距離は1.5mですが、マクロモードを選ぶと0.95mまでの接写もできます。手ブレ補正は非搭載。ゴースト対策として前玉にはマルチコートが施されています。

【キヤノンEFマウント用】【ニコン用(AFモーター内蔵:A17N Ⅱ)】【ソニーAマウント用】【ペンタックス用】

SPEC●35㎜判換算焦点距離:70〜300㎜ ●最短撮影距離:通常1.5m、マクロモード時0.95m(180-300㎜域) ●フィルター径:62㎜ ●長さ:116.5㎜ ●質量:約458g

↑描写性能は色収差がやや目立ち、最上とはいえませんが、十分に実用的。小動物をアップで撮れるのは便利です

 

【ここが〇】

軽量で携帯性に優れている

フルサイズ対応ながら、質量458gという軽さが最大のメリット。300㎜側でF5.6というスペックやマクロ機能も◎。

 

【ここが×】

手ブレ補正が非搭載

300㎜の超望遠撮影ができるが手持ちではブレやすいので、手ブレ補正非搭載は残念。AFが遅めといった弱点もあります。

 

 

その4

【単焦点レンズ】単焦点レンズの入門用に打って付け

シグマ

30mm F2.8 DN

実売価格1万6360

わずか140gの軽さを実現したミラーレス用単焦点レンズ。両面非球面レンズの採用で諸収差を補正したほか、スーパーマルチレイヤーコートによってフレアやゴーストの発生も低減しました。AFは駆動音の静かなリニアAFモーター式です。

【マイクロフォーサーズ用】【ソニーEマウント用】

SPEC●35㎜判換算焦点距離:マイクロフォーサーズ60㎜、APS-C45㎜ ●最短撮影距離:0.3m ●フィルター径:46㎜ ●長さ:40.5㎜ ●質量:約140

↑スムーズなボケは単焦点ならでは。この写真では、絞り値F2.8に設定し、被写体に近寄ることで背景をぼかします

 

【ここが〇】

小型軽量で画質も優秀

キット付属の標準ズームに比べて小型軽量で、携帯性が高いです。画質もキットレンズより上で、美しいボケが得られます。

 

【ここが×】

外装に指紋がつきやすく目立つ

開放値F2.8は、キットレンズよりは明るいものの、F1.8クラスよりは暗く、中途半端な印象。外装も指紋がつきやすいです。

 

【撮影アイテム編】

その1

薄型軽量のクリップオンストロボ

GODOX

TT350デジタルカメラフラッシュ

実売価格1万4310

各社のTTLオート撮影に対応したクリップオンストロボ。単3形乾電池2本で駆動し、200gと軽量です。マルチ発光や高速シンクロ撮影に対応するほか、発光部を上下左右に動かすことで天井や壁を使ったバウンス撮影も行えます。

【ストロボ】【キヤノン用】【ニコン用】【ソニー用】【富士フイルム用】

SPEC●ガイドナンバー:36(105㎜、ISO100) ●フラッシュ範囲:24〜105㎜(14㎜ワイドパネル付) ●電源:単3形乾電池2本 ●サイズ/質量:W62×H140×D38㎜/200g

↑背面には、各種機能の設定状態がひと目でわかる液晶パネルを装備。その下のホイールを回して発光量を調整します

 

【ここが〇】

各社のTTL発光に対応

4つのメーカー用の製品が用意され、押すだけのフルオート撮影で使用できます。高速シンクロなどの機能も充実。

 

【ここが×】

チャージに時間がかかる

単3形乾電池2本で駆動するのは携帯性では有利ですが、4本使用の他社製品に比べてチャージに時間がかかります。光量もやや弱め。

 

 

その2

憧れのカーボン三脚がわずか1万円で購入可能

アマゾンベーシック

トラベル三脚 130cm  5小型

実売価格9980

軽量で剛性感の高いカーボン素材を採用したトラベル用三脚。脚を伸ばし、中央のエレベーター部分を動かすことで、高さは30.5〜135.5cmの範囲で調整可。ボールヘッドの自由雲台やクイックプレート、キャリングケースも付属します。

SPEC●耐荷重:3.6㎏ ●全高:135.5㎝(EVあり) ●最低高:30.5㎝ ●縮長:31㎝ ●質量:1.11㎏

 

↑持ち運ぶ際は、脚の部分を反転させることで小さくまとめることが可能。出っ張りが少ないナット式ロックも便利

 

【ここが〇】

カメラバッグに収納可能

縮長が31㎝と短いので、通常のカメラバッグに入れて持ち運ぶことも可能です。また、ローアングル撮影にも対応します。

 

【ここが×】

一眼レフ用には安定感が不足

全長135.5cmはやや物足りず、脚も5段でセッティングに時間がかかります。ミラーレス用で大きな一眼レフには不向き。

 

 

 

カメラ開発者はかく語りき――「カメラグランプリ2018」受賞カメラの誕生秘話

第35回を迎えた「カメラグランプリ2018」(カメラ記者クラブ主催)の贈呈式が、2018年6月1日に都内で開催された。ノミネート56機種のカメラと、72本のレンズのなかから、大賞を「ソニー α9」、レンズ賞を「オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO」、WEB投票によるあなたが選ぶベストカメラ賞とカメラ記者クラブ賞を「ニコン D850」、同じくカメラ記者クラブ賞を「パナソニック LUMIX G9 PRO」が受賞。もちろんその一つひとつに誕生ストーリーがあるわけで、贈呈式では各社開発者の皆さんがそれぞれの開発秘話を語ってくれた。

 

カメラグランプリ2018 大賞

「ソニー α9」

ブラックアウトフリーが受け入れられるか心配だった

「開発は3年以上前から始まっていた」とソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ株式会社 デジタルイメージング本部第1ビジネスユニット シニアゼネラルマネジャーの田中健二さんは言う。ミラーレスにポテンシャルを感じ、動体に対する弱点、撮影枚数の少なさなど、いくつもの課題をクリアしてきた。その一つの形がα9だ。

 

また、「高速で大きなデータを処理するため、世界初のイメージセンサーが必須だった」と同本部商品設計第1部門設計1部3課統括課長の町谷康文さんは話す。センサーの開発と、カメラに組み込んでからのパフォーマンスの検証に多くの時間を費やした。常に被写体を見ながら撮影できるブラックアウトフリー技術は「新しい体験なので、開発側としてはユーザーに受け入れられるかが心配だった」と明かす。

↑ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ株式会社・田中健二さん(右)と、カメラグランプリ2018実行委員長・猪狩友則さん(アサヒカメラ編集部)

 

カメラグランプリ2018 レンズ賞

「オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO」

ボケにくい構造は小ボケの範囲が広いことにつながる

今年もオリンパスがレンズ賞をさらい、史上初の3年連続受賞となった。

 

マイクロフォーサーズは焦点距離が短く、構造的にボケ味は出しにくい。「なぜ不利な中で戦わなければならないのか。当初、開発陣の中にはそんな声があった」とオリンパス株式会社 光学システム開発本部光学システム開発3部1グループ グループリーダーの宮田正人さんは明かす。研究部門からボケには大きなボケと、小ボケの二つがあり、小ボケの領域は光学的な設計で作り出せると指摘があった。「ボケにくい構造は、小ボケの範囲が広いことにつながり、開発の目的が見えた」と言う。

↑オリンパス株式会社・宮田正人さん

 

カメラグランプリ2018 あなたが選ぶベストカメラ賞・カメラ記者クラブ賞

「ニコン D850」

シャッター音に最後までこだわった

あなたが選ぶベストカメラ賞とカメラ記者クラブ賞をダブル受賞したD850。WEB投票によるあなたが選ぶベストカメラ賞では、投票初日から1位をキープしていた。

 

高画素化、高速化が特徴のD850だが、開発陣が最後までこだわったのはシャッター音だそうだ。「製造の直前まで部品の修正を続けた」と株式会社ニコン 開発統括部 総括部長の池上博敬さんは話す。電子シャッターによるサイレント撮影を新機能に加えつつ、音やシャッターの感触を重視した。「そこも撮影者の楽しみの一つであり、使う人の琴線に触れる製品開発をこれからもしていきたい」と言う。

↑株式会社ニコン・池上博敬さん

 

カメラグランプリ2018 カメラ記者クラブ賞

「パナソニック LUMIX G9 PRO」

歴史のあるカメラメーカーに近づきたいとチャンレンジしてきた

パナソニックは今年創業100周年を迎えたが、カメラ事業は18年目。「歴史のあるカメラメーカーに近づきたいとチャンレンジしてきた」とパナソニック株式会社 アプライアンス社イメージングネットワーク事業部 事業部長の山根洋介さんは話す。

 

「10年前にミラーレスを手がけ、一発で終わったコミュニケーションカメラCM10、動画機能を尖らせたGHシリーズと、亜流、ニッチなところを攻めてきた」と放ち、笑いを誘った。対して「LUMIX G9 PRO」は徹底的に画質、絵づくりを追求した。そのアイデンティティを表現したのが肩部のダイヤルに入れられたレッドラインだ。「今回受賞されたメーカーさんに比べ非常に控えめで小さいものだが、熱い想いは負けず劣りません」。

↑パナソニック株式会社・山根洋介事さん(右)と、カメラ記者クラブ代表幹事・福田祐一郎(CAPA編集部)

 

文:市井康延

写真:カメラ記者クラブ、市井康延

 

 

【2018夏版】ボーナス出 た ら買いたい「高付加価値一眼」ベスト5をプロが選出

本記事では、2018年の夏ボーナスに本命の一眼カメラをプロが実際に試してテスト。こだわった写真が撮れる各社の意欲作5製品+αを紹介、各項目を5点満点で採点しました。

 

【チェックした人】

カメラマン・永山昌克さん

写真スタジオ勤務を経てフリーに。写真や動画撮影のほか、カメラ誌やWEB媒体での執筆も多数。

 

【その1】

小型軽量ボディとハイスペックを両立したフルサイズミラーレス

ソニー

α7

実売価格24万4330円(ボディ)、26万9870円(ズームレンズキット)

人気α7シリーズの最新作。昨年発売のプロ向け高画素機α7R Ⅲから、防塵防滴ボディや高速連写を受け継ぎながら、画素数を2420万画素に抑えることで、一般ユーザーに手の届く価格を実現。全部入りともいえる中身の濃さを誇ります。

SPEC【画素数:2420万画素】【連写:秒約10コマ】【常用最高感度:ISO51200】【質量:約650g】●レンズマウント:Eマウント●モニター:3.0型約92万ドット、チルト、タッチ対応●EVF:約236万ドット●サイズ:W126.9×H95.6×D73.7㎜

新開発の裏面照射センサーを搭載し、常用最高感度ISO51200と低感度時の広ダイナミックレンジを実現。

 

上位機α7R Ⅲに勝る693点のAF測距点に対応。画面端の被写体にもスムーズにピントを合わせられます。

 

ほぼ無音で撮影できるサイレント撮影機能をα7R Ⅲなどから継承。最高約10コマ/秒の連写も上位機に匹敵します。

【作例】

フルサイズセンサーはボケ表現や高感度の強さに加え、発色が豊かで階調に深みがあるという利点があります。観覧車の鮮やかな色と金属感もリアルに再現できました。

 

【永山カメラマンのジャッジ!】

画質:☆×4

機能:☆×5

操作性:☆×4

交換レンズの豊富さ:☆×3

幅広い撮影シーンや被写体でオールマイティに活躍する性能

画質と機能、操作性と、いずれもハイレベル。動体から風景、人物、静物まで幅広いジャンルで役立つでしょう。交換レンズは急速に増えているものの、高価で大型のものが中心なので注意(永山さん)

 

【その2】

プロも愛用する高画素&高速フルサイズ

ニコン

D850

実売価格39万9600円(ボディ)

2014年に発売された「D810」の後継機。新センサーの採用によって高画質化を図ったほか、連写やAF、ファインダー、液晶モニター、動画機能などあらゆる部分が進化。AFは最上位機のD5と同じく153点測距に対応します。

SPEC【画素数:4575万画素】【連写:秒約7コマ】【常用最高感度:ISO25600】【質量:約1005g】●レンズマウント:ニコンFマウント●モニター:3.2型約236万ドット、チルト、タッチ対応●OVF:100%、0.75倍●サイズ:W146×H124×D78.5㎜

ファインダーには、同社製品では最大となる倍率0.75倍のペンタプリズムを採用。大きな表示で被写体をくっきりと見ることができます。

 

高感度に有利な裏面照射型の4575万画素センサーを搭載。大判印刷にも適した高精細な写りが得られます。

 

ボディは、悪条件での撮影に強い防塵防滴対応のマグネシウム合金製。グリップは深く、ホールド感も良好です。

 

【永山カメラマンのジャッジ!】

画質:☆×5

機能:☆×5

操作性:☆×4

交換レンズの豊富さ:☆×5

多彩なレンズを生かして本格撮影が楽しめる

画質にこだわりつつ、レスポンス面でも妥協したくない人にオススメ。ボディは大柄で重いため、気軽なスナップには不向きですが、大口径レンズとの相性はよく、本格スポーツ撮影やスタジオ撮影には好適です(永山さん)

【その3】

Kissシリーズが25周年を迎えてミラーレス化!

キヤノン

EOS Kiss M

実売価格8万10円(15-45キット)、10万890円(ダブルズームキット)

ファミリーカメラの定番「EOS Kiss」シリーズ初のミラーレス一眼。従来のKissに比べて一回り以上小さなボディに、デュアルピクセルCMOS AFなどの最新技術を凝縮。充実したビギナー向けガイド機能も搭載します。

SPEC【画素数:2410万画素】【連写:秒約7.4コマ】【常用最高感度:ISO25600】【質量:約387g】●レンズマウント:EF-Mマウント●モニター:3.0型約104万ドット、バリアングル、タッチ対応●EVF:約236万ドット●サイズ:W116.3×H88.1×D58.7㎜

 

高速AF技術デュアルピクセルCOMS AFに対応。ピント合わせは快適です。

 

上下左右に回転するバリアングル液晶によって、自分撮りなども楽しめます。EVFも搭載します。

 

【永山カメラマンのジャッジ!】

画質:☆×4

機能:☆×3

操作性:☆×4

交換レンズの豊富さ:☆×3

中級一眼レフ並の画質とAF

高画素APS-Cセンサーが生み出す画質は、中級一眼レフに匹敵するレベル。AFなどレスポンス面も快適です。交換レンズは、他社に比べるとまだ少なめ(永山さん)

 

【その4】

所有欲を満たすスタイリッシュなデザインも魅力

オリンパス

OM-D E-M10 Mark

実売価格8万6650円(ダブルズームキット)

フィルムの一眼レフを思わせるデザインを採用した、エントリー層向けのミラーレス一眼。E-M10シリーズの3代目であり、新たに4K動画に対応したほか、アートフィルターなどの撮影機能がいっそう向上しています。

SPEC【画素数:1605万画素】【連写:秒約4.8コマ】【常用最高感度:ISO25600】【質量:約410g】●レンズマウント:マイクロフォーサーズ●モニター:3.0型約104万ドット、チルト、タッチ対応●EVF:約236万ドット●サイズ:W121.5×H83.6×D49.5㎜

 

入門機ながら強力な5軸手ブレ補正を内蔵。薄暗いシーンでも手持ちで安心して撮れます。

 

新搭載したAPモード。星空を光跡として表現するモードなど、一段上の撮影が楽しめます。

 

【永山カメラマンのジャッジ!】

画質:☆×3

機能:☆×4

操作性:☆×3

交換レンズの豊富さ:☆×4

充実した撮影機能とレンズが◎

画質はクリアで見栄えがいいですが、最新モデルにしては画素数は控えめ。撮影モードはオートからマニュアルまで充実。交換レンズも数多く揃っています(永山さん)

 

【その5】

AF追従で20コマ/秒を誇る高速連写番長

パナソニック

LUMIX G9 Pro

実売価格21万4920円(ボディ)、29万5920円(標準ズームキット)

動画に強い同社のミラーレス一眼のなかでも、特に静止画を重視したハイエンド機。世界最速をうたうAFと超高速連写によって、動体の決定的瞬間も確実に捉えられます。ボディはやや大きめのマグネシウム合金製。

SPEC【画素数:2033万画素】【連写:秒約20コマ】【常用最高感度:ISO25600】【質量:約658g】●レンズマウント:マイクロフォーサーズ●モニター:3.0型約104万ドット、バリアングル、タッチ対応●EVF:約368万ドット●サイズ:W136.9×H97.3×D91.6㎜

 

AF固定60コマ/秒の超高速連写に加えて、連写を長時間続けられる4K&6Kフォト機能も搭載。用途に応じて選べます。

 

天面にはミラーレス一眼では希少なサブ液晶を搭載。各種の設定状態をひと目で把握できます。

 

【永山カメラマンのジャッジ!】

画質:☆×4

機能:☆×5

操作性:☆×4

交換レンズの豊富さ:☆×4

やや高めの価格に見合った高性能

シリーズ最大画素数とローパスレス設計によって、精細な描写を実現。機能は盛りだくさんで、交換レンズも豊富。あらゆる被写体に対応できる実力です。

 

アクションカメラ、コンパクトデジカメ、ビデオカメラも狙い目!

非一眼カメラの分野でも高付加価値モデルが続々と登場中。レンズ交換ができない代わりに機動力に優れ、動画や静止画をより自由に楽しめる3台をチェックしました。

 

【アクションカメラ】

定番アクションカメラの画質や手ブレ補正が進化

GoPro

GoPro HERO6

実売価格4万4820

【映像解像度:4K】【写真解像度:12MP】【防水:10m】【質量:約117g】

人気のHEROシリーズ最新作。手のひらサイズの小型ボディに新プロセッサーを搭載し、4K/60Pや高精細なスローモーション撮影に対応。手ブレ補正も強化され、使い勝手は上々です。

SPEC●モニター:2.0型●記録メディア:microSD●インターフェイス:USB-C、マイクロHDMI●サイズ:W62.3×H44.9×D33㎜

 

【コンパクトデジカメ】

コンパクトなボディにAPS-Cセンサーを搭載

キヤノン

PowerShot G1X Mark Ⅲ

実売価格12万1860

【画素数:2420万画素】【連写:秒約7コマ】【常用最高感度:ISO25600】【質量:約399g】

小型ボディにAPS-Cサイズの大型センサーと光学3倍ズームを搭載。一眼レフEOSから継承した明快な操作性や、安定感のある画質、自由度の高いバリアングル液晶なども魅力です。

SPEC●センサーサイズ:APS-C●レンズ:24〜72㎜(35㎜フィルム換算)●モニター:3.0型約104万ドット、バリアングル、タッチ対応●EVF:約236万ドット●サイズ:W115×H77.9×D51.4㎜

 

【ビデオカメラ】

カメラ内で編集ができる「あとから補正」が進化

 

パナソニック

HC-VX985M

実売価格5万4400円

【映像解像度:4K】【光学ズーム:20倍】【デジタルズーム:250倍】【質量:約395g】

光学20倍ズーム搭載のビデオカメラ。4K動画を編集する「あとから補正」が進化し、特定の被写体を追尾したり、アップにしたりできます。小型ボディやスマホとの連携機能も魅力です。

SPEC●センサーサイズ:1/2.3型●レンズ:30.8〜626㎜(35㎜フィルム換算)●モニター:3.0型46万ドット、タッチ対応●サイズ:W65×H73×D141㎜

【保存版】今さら聞けないカメラ用語の基本&ミラーレス一眼時代の写真の撮り方

デジカメや一眼を買ったら一度は聞くことになるカメラ用語たちを集めてみました。撮影モード/露出補正/AFなどなど。さらに、よい写真でもっとも重要な要素のひとつ、構図についてもまとめてみます。本記事では、現在カメラ市場で勢いのあるミラーレス一眼を機材として使いながら、ボーナスや行楽シーズンを前に一眼を購入する人/購入したけど使い方がわからない人に向けてわかりやすく解説していきます。

 

今さら聞けないカメラ用語①「撮影モード」

P,S,A,Mを使いこなしワンランク上の撮影表現に挑戦しよう

ミラーレス一眼は、フルオートで気軽に撮影できるだけでなく、狙いに応じて絞りやシャッター速度を細かく設定して撮ることも可能です。人に差をつけたワンランク上の写真を目指すなら、基本となる以下の4つの撮影モードを理解することから始めましょう。

【その1】P―「プログラムオート」

速写性を重視したスナップ用途などに便利で【絞りは自動】【シャッター速度は自動】

絞り値とシャッター速度の両方をカメラが自動的に決めてくれるモード。気軽なスナップショットや、タイミング重視で撮影したいときに役立ちます。

目に止まった光景をメモ感覚で気軽に撮りたいときはプログラムオートが◎

 

【その2】S/Tv―「シャッター速度優先オート」

子どもや電車など動きのある被写体を撮るときに使用し【絞りは自動】【シャッター速度は任意】

シャッター速度を設定すると、それに対応した絞り値が自動的に決まるモード。動きのある被写体を止めたり、ぶらしたりしたいときに役立ちます。

↑動く被写体を高速シャッターで写し止めたり、低速シャッターでぶらしたりできます

 

【その3】A/Av―「絞り優先オート」

背景をぼかしたいときに便利なモードで【絞りは任意】【シャッター速度は自動】

絞り値を撮影者が設定すると、それに対応したシャッター速度が自動的に決まるモード。前後をぼかした表現や、深いピントを得たいときに役立ちます。

↑絞り値を小さくすると被写体の前後がぼけます。逆に大きくするとくっきり写せます

 

④M―「マニュアル露出」

撮影者の意図を反映しやすい上級者向きのモード【絞りは任意】【シャッター速度は任意】

シャッター速度と絞り値の両方を撮影者が設定するモード。ボケの範囲や被写体の動感、明るさなどをすべて自分でコントロールしたいときに役立ちます。

↑カメラを三脚にセットして夜景を撮る場合など、じっくりと撮影したいときに便利です

 

今さら聞けないカメラ用語②「露出補正」

ダイヤル操作で容易に明暗をコントロール

P、A、Sの撮影モードでは、写真の明るさ(露出)をカメラが自動的に決めてくれます。その明るさを撮影者の狙いに応じて明るくしたり暗くしたりするというのが露出補正の役割です。軽やかな表現を狙うときは+側に、重厚な表現を狙うときは−側に補正するとよいでしょう。

【+1のとき】

 

【±0のとき】

【−1のとき】

 

 

今さら聞けないカメラ用語③「ピント合わせ」

ミラーレスならではの高機能化したAFを確実に使いこなそう

ミラーレス一眼が一眼レフカメラに勝るメリットのひとつは、AF機能が充実していること。AF測距点は画面の広範囲をカバーし、顔認識や瞳AFなどの付加機能も豊富です。そんな高機能を宝の持ち腐れにしないように、正しい使い方をマスターしましょう。AFモードはAFの動作特性を決める機能であり、AF-SやAF-Cなどが選べます。AFエリアモードは、どの測距点を使ってAFを作動させるかを決める機能。被写体や自分の使い方に応じて設定しましょう。

 

AFの種類①「AFモード」

被写体の動きに応じて選択

AF-Sはシャッター半押しでAFが一回だけ作動し、静物撮影用に適します。AF-Cは半押し中ずっとAFが作動し続けます。動体用に最適。

 

AFの種類②AFエリアモード

被写体や撮影スタイルに応じて選択

AFロックを利用してピントを合わせる場合は、1点を狙うAFエリアモードが便利。AFロックを使わない場合は、多点がベターです。

 

AFの種類③「タッチ&ドラッグAF」

モニター上をなぞってAF測距点を切り替える

ファインダー撮影時に背面モニター上をなぞって測距点を選べる機能。タッチ&ドラッグAFやタッチパッドAFなど、名称は機種によって異なります。

 

AFの種類④「タッチAF」

指先の直感操作でピントを合わせる

タッチパネル搭載のミラーレス一眼の多くは、タッチAF機能に対応。指先の操作で測距点を素早く選べます。合焦と同時に撮影することも可能。

 

AFの種類⑤「顔/瞳認識AF」

ポートレートの撮影用に好適

人物の顔を認識してピントを合わせるだけでなく、目にピントを合わせる瞳AF対応のカメラが急増中。右目か左目かを選べるものもあります。

 

今さら聞けないカメラ用語④「構図」

既存のパターンに当てはめる感覚で構図と被写体を探そう

人が見て美しいと感じる写真にはいくつかの構図のパターンがある。そんな写真を撮るには、前もってパターンを頭に入れておき、パターンに当てはめるような感覚で構図を決めたり、被写体を探したりするといいでしょう。特に使われることが多い4大構図を紹介します。

 

撮影に役立つ4大構図パターン①「三分割構図」

当てはめやすく活用度の高い構図パターン

水平方向と垂直方向のそれぞれに画面を三分割するラインを引き、そのラインが交わる点や線、面にポイントになる被写体を配置する構図。汎用性が高く、多くの被写体やシーンに役立ちます。

 

↑最も基本的な構図のパターン。画面に安定感とバランス、調和を与え、写真の見栄えを高めることができます

 

 

撮影に役立つ4大構図パターン②「日の丸構図」

被写体が弱いと平凡な写真になるが強い被写体には最適

メインの被写体を画面の真ん中に置いた構図。被写体に対する興味や関心がストレートに表現された構図であり、素直な写真になりやすいです。使う際は、被写体を大きく捉えるのがコツ。

 

↑この構図の注意点は、被写体が平凡だと単調な印象になること。インパクトの強い被写体には効果的です

 

 

撮影に役立つ4大構図パターン③「対角線構図」

道や並ぶものなどを当てはめると迫力や奥行きを表現できる

ポイントになる被写体を画面の対角線付近に配置した構図。対角線に沿って動きや迫力、スピード感を表現できるほか、視線の誘導効果もあります。また奥行きの表現にも役立ちます。

 

↑斜めのラインを生かします。静止している被写体でも、対角線を意識した構図にすると画面に動感が出ます

 

撮影に役立つ4大構図パターン④「曲線構図」

対角線構図よりやわらかい印象で道や川などに使う

画面内にS字やC字型を作り出すことで、優美さや穏やかさを感じさせる構図。見る人の視線を誘導し、奥行きや躍動感を強調する効果があります。道や川を撮る際によく使われます。

 

↑直線的な構図は硬くて緊張感があるのに対し、曲線構図ではやわらかくて開放的なイメージを演出できます

 

 

今さら聞けないカメラ用語⑤「グリッド線表示」「水準器表示」

ライブビューに重ねて表示して構図の目安にする

多くのミラーレス一眼が、画面上に格子線を表示するグリッド機能や、カメラの傾きを知らせる水準器表示に対応します。これらを利用することで、傾きのない安定した構図で撮りやすくなります。

 

↑グリッド線表示。カメラによっては数種類の格子パターンが用意されています

 

 

↑水準器表示。不自然な傾きを防止¥できます。建物や風景などを撮る際に欠かせない機能です

 

 

今さら聞けないカメラ用語⑥「レンズ交換」

カメラ操作だけじゃない!一眼カメラの醍醐味はレンズ交換にあり

広角や望遠など、多様な交換レンズを上手に使いこなすには、それぞれのレンズの特性を知ることが大切です。単に写る範囲が広いか狭いかの違いだけでなく、レンズによって被写体の遠近感やボケの表現にも大きな変化が見られる点に注目しましょう。

 

【レンズの特徴①】広角レンズは遠近感の強調や深いピントに有利

広角レンズとは、焦点距離が短く、画角(写る範囲を角度で表現したもの)が広いレンズのこと。目前の光景の広い範囲を一画面で捉えられるほか、遠近感を強調したり、背景までくっきりと写したりしやすい。スナップや風景の撮影用にも便利です。

↑28㎜相当のレンズを使い、F5.6で撮影。背景のボケが弱いのがわかります

 

↑左と同じレンズで撮影。欄干が長く伸び、遠近感が強調されています

 

 

【レンズの特徴②】望遠レンズは遠近感の圧縮やボケの表現に有利

望遠レンズとは、焦点距離が長く、画角(写る範囲を角度で表現したもの)が狭いレンズのこと。遠くの被写体をアップで引きつけて撮影できるほか、遠近感を圧縮したり、背景をぼかしたりしやすいです。ポートレートやスポーツ撮影用としても役立ちます。

↑160㎜相当のレンズを使い、F5.6で撮影。広角に比べて大きくぼけました

 

↑左と同じレンズで撮影。欄干や背景が圧縮されたように写っています

 

 

写真が変わる7つの「プロ視点」を伝授!! 都会のオアシス「新宿御苑」でちょっと遅めの桜撮影旅

桜(ソメイヨシノ)の開花の便りが届くと、それまで寒々しかった風景が一気に“春模様”に変わり、気持ちも高揚してくる。そして、開花、三分咲き、五分咲き、満開……と開花が進むにつれて、カメラマンの写欲も高まってくるのだ。ソメイヨシノが散ると、今度は、八重咲きのサトザクラが見ごろを迎える。そんな華やかな春の姿を求めて、都会のオアシス「新宿御苑」を訪れてみた。今回はこの桜撮影を例に、写真表現の幅を広げるコツをお伝えしたい。

 

【今回の旅の相棒】

キヤノン
EOS 6D MarkⅡと交換レンズ3本(EF16-35mm F4L IS USM/EF24-70mm F4L IS USM/EF100-400mm F4.5-5.6L IS Ⅱ USM)

今回の撮影機材には、小型軽量で機動性に優れるフルサイズ一眼レフ「キヤノン EOS 6D MarkⅡ」を選択。そしてレンズには、広角、標準、望遠(超望遠域もカバー)という、3本の高性能な“L仕様”ズームレンズを用意した。

 

【撮影スポット】

新宿御苑(東京都・新宿区)

明治39年、皇室の庭園として造られた「新宿御苑」。第二次世界大戦後は国民公園として一般に公開され、多くの人に親しまれている。約58ヘクタールの広大な敷地には、イギリス風景式庭園、フランス式整形庭園、日本庭園などが巧みに組み合わせられている。そして、春の花見の名所としても有名で、ソメイヨシノの開花時期には大勢の来園者でにぎわう。また、ソメイヨシノが散ったあとも、4月下旬くらいまで、多くのサトザクラの花を楽しむことができる。

※酒類持込禁止、遊具類使用禁止

■新宿御苑ホームページ
https://www.env.go.jp/garden/shinjukugyoen/

 

【その①相反する要素を組み合わせる】

数々の桜と高層ビル群の取り合わせの「妙」を楽しむ

新宿御苑内の桜を“風景の一部”として見た場合、木立ちの向こうに見える高層ビルとの組み合わせが、1つの狙いどころになるだろう。桜の木を含めた樹林と、高層ビル群……。この相反する要素を組み合わせることによって、この場所の“都会のオアシス”ぶりが、表現できるのである。

キヤノン EOS 6D MarkⅡ EF100-400mm F4.5-5.6L IS Ⅱ USM(135mmで撮影) 絞り優先オート F11 1/40秒 -0.3補正 WB:太陽光 ISO100 三脚

 

ただし、写真の主役はあくまでも桜なので(多くの場合は)、まずは絵になる桜の木や枝を見つけること。そして、その主役が映える構図を心がけながら、印象的なビルを画面内に取り入れるようにする。

 

次の作例では、満開を過ぎたソメイヨシノと周囲の新緑を絡めて、広角ズームの超広角域でダイナミックに写し込んだ。そして、樹林の向こうに見える独特な形状のドコモタワー(通称)も取り入れ、都会らしさを演出している。

キヤノン EOS 6D MarkⅡ EF16-35mm F4L IS USM(16mmで撮影) 絞り優先オート F8 1/125秒 +0.3補正 WB:太陽光 ISO100

 

【その②ドラマチックな瞬間を切り取る】

望遠ズーム+三脚で花びらが舞う“一瞬の絶景”を狙う

新宿御苑を訪れた4月上旬、ほかの桜スポット(都内)と同様、苑内のソメイヨシノは、かなり花弁が散っているようだった。しかし、まだ花が多く残っている木もあって、それらは風が吹くたびに花吹雪を散らしていた。そんなドラマチックな瞬間を、望遠ズームを使って切り取りたいと考えた。

 

だが、1枚の写真のなかに“ドラマチックな桜吹雪”を捉えるのは結構難しい。「いまだ!」と思ってシャッターを切っても、僅かにタイミングがずれて、思ったよりも桜吹雪が目立たない……という結果も多くなる。だから、可能ならばカメラを三脚に固定して構図を一定に保ち、桜吹雪が舞う瞬間を辛抱強く待つようにしたい。

キヤノン EOS 6D MarkⅡ EF100-400mm F4.5-5.6L IS Ⅱ USM(188mmで撮影) シャッター優先オート F5 1/2000秒 -0.3補正 WB:太陽光 ISO200 三脚

 

↑桜吹雪が舞った瞬間にとっさにシャッターを切ろうとすると、カットごとの構図の乱れも顕著になり、ピンボケやカメラブレの危険性も高まってくる。だから、こういった“瞬間待ちの撮影”では、三脚の使用をオススメしたい

 

【その③視点を変えてみる】

ポジションとアングルの変化で花の存在感を高める

新宿御苑内のサトザクラなどを観察していると、手が届く位置に咲く花が多いことに気づかされる。だから、焦点距離の長い望遠や超望遠レンズを使わず、標準系のレンズで近づいて大きく写すことができるのだ。

 

こういった“手が届く被写体”は、撮影ポジションやアングルを変えることで、写真の写り方が大きく変わってくる。それを意識しながら視点を変え、被写体と周囲(主に背景)がバランス良く見えるポイントを見つけて撮影したい。例えば、背後に絵になる建造物や木立ちなどがあったり、上空に爽やかな青空が広がっていたら、下から見上げるようなアングルで、それらの背景要素を積極的に取り入れよう。

↑大温室近くの芝生広場の端で、淡黄色の花のサトザクラを見つけた

 

↑淡黄色のサトザクラの名前は、ウコン(鬱金)。こういった品種名のプレートをチェックして、被写体に対する知識も深めたい

 

ウコンの背後には、背丈の高いユリノキがある。その木の高さと鮮やかな新緑も印象的である。ということで、近くのウコンの花(枝)を広角ズームで見上げて、背後のユリノキの高さも表現した。

キヤノン EOS 6D MarkⅡ EF16-35mm F4L IS USM(35mmで撮影) 絞り優先オート F5.6 1/200秒 WB:太陽光 ISO100

 

【その④思い切って寄って撮る】

手が届く位置ならマクロの視点で花の表情を捉える

手が届く位置(距離)の桜の花なら、当然“一輪だけ”を大きく写すことも可能である。そんな撮影に最適なレンズと言えば、やはりマクロレンズになる。今回の撮影では、広角、標準、望遠の、3本の高性能ズームレンズを持参しているが、ここではそのなかの標準ズーム「EF24-70mm F4L IS USM」に注目。「最短撮影距離0.2m・最大撮影倍率0.7倍」という、マクロレンズ並のスペックを備えているのである。ということで、この標準ズームのマクロ機能を利用して、淡紅色のサトザクラの花を大きく捉えることにした。

↑淡紅色の花が高密度に集まり、木全体もボリュームが感じられる「長州緋桜」という名のサトザクラ。その木の下では、多くの来園者が“花見の宴”を楽しんでいた。この桜の花も、手が届く高さ(低さ)まで咲いている

 

↑マクロ切り換えレバー(ズームリングロックレバー)をMACROの方向にスライドさせ、ズームリングをテレ端の先の“黄色線ゾーン”まで回す。これで「最大撮影倍率0.7倍」のマクロ撮影が可能になる

 

こちらが実際の作例。すでに満開は過ぎた「長州緋桜」だったが、花弁の整った花もまだ多く残っていた。そのなかから、花弁が逆光に映える花を見つけて、周囲の葉やがくを絡めてアップで捉えた。

キヤノン EOS 6D MarkⅡ EF24-70mm F4L IS USM(70mmで撮影) 絞り優先オート F5.6 1/100秒 WB:太陽光 ISO100

 

こちらは、別の個体を順光で捉えたもの。花の様子(形状や質感)はよくわかるが、逆光時のような透明感は出ない。このように、同じ寄りの撮影であっても、選んだ個体や構図によって印象は異なってくる。

【その⑤低速シャッターで躍動感を出す】

風に揺れる桜をあえてぶらして動感を表現

今回の撮影には三脚も持参しているので、望遠ズームを使用する際に、構図を一定に保ったり、カメラブレを防ぐことができる。そして、三脚を使用すれば、手持ち撮影では困難な“低速シャッター撮影”も可能になる。この手法で撮影すれば、風に揺れる桜の枝を大きくぶれさせて、動感のある写真に仕上げることが可能になるのだ。

 

しかし、明るい日中の撮影で低速シャッター(1/4秒以下とか)に設定すると、露出オーバーで明る過ぎる写真になってしまう。また、レンズを絞り込み過ぎると、解像感が低下する回折現象によってアマい印象の仕上がりになる。EOS 6D MarkⅡには、この現象を補正する「回折補正」という機能が搭載されているが、それでも最良の画質を得るなら極端な絞り込み(最も絞った状態)は避けたいところ。

 

そういう場合には、色や階調に影響を与えずに光量を減らせる「NDフィルター」が便利。これをレンズ前面に装着すれば、明るい日中でも低速シャッターで適正な明るさに写せるようになるのだ。

↑まず、NDフィルターを使用する前に、ISO感度を最低値まで下げておこう。キヤノン EOS 6D MarkⅡの場合、メニュー操作で「ISO感度の範囲」の下限値を「L(50)」に設定する事で、ISO100より1段低い「ISO50」が使えるようになる

 

↑今回持参したNDフィルターは、光量が4絞り分ほど減らせる「ND16」というタイプ。つまり、そのままでは1/60秒までしかシャッター速度を下げられないケースなら、これを使うことで1/4秒まで下げられるようになる

 

実際の作例がこちら。解像感の高い描写を得るため、設定絞りはF16くらいに止め(使用レンズの場合)、ND16フィルターを装着して、1/2以下のシャッター速度を得た。このくらいの速度なら、風による枝も大きくぶらせて、迫力のある仕上がりになる。

キヤノン EOS 6D MarkⅡ EF100-400mm F4.5-5.6L IS Ⅱ USM(148mmで撮影) 絞り優先オート F16 0.4秒 WB:太陽光 ISO50 三脚

 

こちらはNDフィルターなしで、ほかは同条件で撮影したもの。得られたシャッター速度は1/40秒。細部をよく見れば、風によってぶれている部分もある。だが、その範囲やブレ具合は中途半端で、イメージするブレ効果とは程遠い。

 

【その⑥可動式モニターを活用する】

可動式モニターの活用で斬新なアングルを!

「撮影ポジションやアングルを変えることで、写真の写り方が大きく変わってくる」と、前のほうで述べた。しかし、その被写体が自分の目線より高かったり極端に低かったりすると、液晶モニターを見ながらのライブビュー撮影でも、構図やピントの確認が難しくなる。そんな極端なポジションやアングルでは、液晶モニターを見やすい角度に調節できる、可動式モニターを搭載するカメラが有利である。

↑液晶モニターが上下に可動する「チルト式モニター」を搭載する一眼レフも増えてきた。だが、EOS 6D MarkⅡには上下左右に可動する「バリアングル式モニター」が搭載されている。だから、カメラを縦位置に構えた状態でも、画面の確認が快適に行えるのだ

 

こちらが、上の状況で撮影した実際の作例。これを可動式モニターなしで撮ろうと思うと大変だ。

キヤノン EOS 6D MarkⅡ EF16-35mm F4L IS USM(24mmで撮影) 絞り優先オート F11 1/30秒 -1.3補正 WB:太陽光 ISO100

 

【その⑦アスペクト比を変更してみる】

「16:9」のアスペクト比で空間の広がりを表現

写真のアスペクト比(長辺と短辺の比率)は、メーカーやカメラのタイプによって異なるが、現在のデジタルカメラでは「3:2」と「4:3」の2種類に大別される。キヤノンの一眼レフEOSには「3:2」が採用されているが、今回使用したEOS 6D MarkⅡは、3:2、4:3、16:9、1:1、と、4種類のアスペクト比が選択できる。

↑カメラの設定画面から、アスペクト比の変更が可能

 

これを利用し、被写体の形状やスケール感に応じて、通常の3:2とは異なるアスペクト比を選択するのもおもしろい。それによって、通常のアスペクト比とは異なる空間表現(広がりや集約)を得ることができる。

 

例えば、「16:9」のアスペクト比は、現在のハイビジョンテレビやビデオカメラのフォーマットとして馴染みがある。通常のスチルカメラよりも横長の画面なので、広い場所や連なる被写体を雄大に見せることができる。

キヤノン EOS 6D MarkⅡ EF100-400mm F4.5-5.6L IS Ⅱ USM(400mmで撮影) 絞り優先オート F5.6 1/400秒 -0.3補正 WB:オート ISO200 三脚

 

桜のように特定の被写体を撮影しに出かけると、ともすれば似たような写真になってしまいがち。今回紹介したようなことを頭に置きつつ、写真表現の幅を広げてみよう。そうすれば撮影旅がもっと楽しくなるはずだ。

 

一眼レフの王道・ニコン「 D850」再評価レビュー! 「高画質」と「高速連写」どっちも欲しい贅沢派にぜひ

昨秋発売のニコンのフルサイズ高画素機「D850」は画素数が従来モデルのD810の3635万画素から4575万画素にアップ。連写性能も大幅に増え、AFシステムや画像処理エンジンはフラッグシップ機のD5同等となっている。

 

D810まで採用されていた内蔵フラッシュは廃止されたが、ペンタ部を中心にシャープで精悍なデザインとなり、可動式背面モニターが採用されたことで従来機以上の機動力を獲得。ここでは、こうした数多くの改良により人気となっている同機種を従来モデルと比較しながら、その特徴について紹介する。

↑高画素モデルながら連写に強く、ボディ単体で約7コマ/秒を実現。さらに、ボディ底面に取り付けるマルチパワーバッテリーパックMB-D18を併用すると約9コマ/秒で撮影できる。参考価格/ 39万9600円(ボディ)
↑高画素モデルながら連写に強く、ボディ単体で約7コマ/秒を実現。さらに、ボディ底面に取り付けるマルチパワーバッテリーパック「MB-D18」を併用すると約9コマ/秒で撮影できる。実売価格/ 39万9600円(ボディ)

 

【基本スペック】

画素数を上げながらも連写性能が格段に向上

有効画素数4575万画素で、最高約7コマ/秒(MB-D18使用時は9コマ/秒)の高速連写という“画質と高速性能の高次元バランス”が、D850の魅力の神髄。画素数での優位性はより高まり、連写性能はフラッグシップ機D5に近づいた。可動式モニター採用で機動性はD750並み。高級機ではあるが、多くのユーザーにとって非常に魅力的なフルサイズ機になるだろう。

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画素数を増やしながらも常用ISO感度上限値は1段アップ。4K動画撮影にも対応した。質量はわずかに増したが、機能や仕様からすれば納得いく数値だ。ISO感度ボタンの位置などは変更されたが、基本的なボタンレイアウトは前機種を踏襲。モニターのタッチ操作に対応し、操作性も向上している。

↑正面
↑正面

 

↑背面
↑背面

 

↑上面
↑上面

 

↑可動式(チルト式)の液晶モニターを搭載しているが、D810ボディ(左)と比べても特に厚みは感じない。内蔵フラッシュを廃止したことで、前方へのせり出しも抑えられている
↑可動式(チルト式)の液晶モニターを搭載しているが、D810ボディ(左)と比べても特に厚みは感じない。内蔵フラッシュを廃止したことで、前方へのせり出しも抑えられている

 

↑背面モニターはタッチ操作対応。直感的にAF 測距点を選択可能で、タッチシャッターを切ることもできる
↑背面モニターはタッチ操作対応。直感的にAF 測距点を選択可能で、タッチシャッターを切ることもできる

 

↑高速で信頼性の高いXQDカードと、UHS-Ⅱ規格対応のSDカードのダブルスロット仕様。高速連写後の書き込みも速い
↑高速で信頼性の高いXQDカードと、UHS-Ⅱ規格対応のSDカードのダブルスロット仕様。高速連写後の書き込みも速い

【特徴①画質】

ニコンデジタル一眼レフ初の「裏面照射型CMOSセンサー」採用

有効4575万画素の撮像素子は、ニコンデジタル一眼レフ初の裏面照射型CMOSセンサーとなっている。このタイプは、フォトダイオード上に配線層が重ならないため、入射光を素子に効率的に導ける。これにより、優れた高感度性能や感度全域で広いダイナミックレンジが得られる。さらに、高い解像感が得られる光学ローパスレス仕様な点も画質向上に寄与している。

↑開放F2.8の高性能な大口径望遠ズームを使用し、ユニークな構造のビルを撮影。極めて解像感が高く、立体感のある描写が得られた。雲などの階調も豊かで、高画素でもダイナミックレンジが広いことを感じさせる写りだ。120ミリ相当 絞り優先オート(F8 1/250秒) WB:晴天 ISO64
↑開放F2.8の高性能な大口径望遠ズームを使用し、ユニークな構造のビルを撮影。極めて解像感が高く、立体感のある描写が得られた。雲などの階調も豊かで、高画素でもダイナミックレンジが広いことを感じさせる写りだ/120mm相当 絞り優先オート(F8 1/250秒) WB:晴天 ISO64

 

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↑裏面照射型センサーに加え、画像処理エンジンにD5と同じ「EXPEED5」を採用。高画素センサーから得られる情報を高速・高精度に処理。優れた描写と同時に、約9コマ/秒の高速連写や、4K UHD動画も実現された
↑裏面照射型センサー(上の写真)に加え、画像処理エンジンにD5と同じ「EXPEED5」を採用(下の写真)。高画素センサーから得られる情報を高速・高精度に処理。優れた描写と同時に、約9コマ/秒の高速連写や、4K UHD動画も実現された

 

【特徴②高速連写】

約9コマ/秒の高速連写に対応

「最高約9コマ/秒」の連写が可能なので、従来のD800シリーズ機とは異なる本格的な連写が堪能できる。また、ニコンデジタル一眼レフ初の「シャッターカウンターバランサー」を搭載。これにより、画質に悪影響を及ぼす露光中の機構ブレも徹底的に低減された。

↑ボディ単体の約7コマ/秒連写で捉えた、走るフラミンゴの一瞬。14ビットロスレス圧縮RAWで約51コマの連続撮影が可能なのも魅力だ。200mm相当 マニュアル露出(F3.5 1/3200秒) WB:自然光オート ISO400
↑ボディ単体の約7コマ/秒連写で捉えた、走るフラミンゴの一瞬。14ビットロスレス圧縮RAWで約51コマの連続撮影が可能なのも魅力だ/200mm相当 マニュアル露出(F3.5 1/3200秒) WB:自然光オート ISO400

 

【特徴③高感度】

高画素機だが、高感度でも高画質

サイズが同じセンサーで高画素化が進むと、高感度性能の悪化が懸念される。だが、裏面照射型CMOSセンサーと画像処理エンジン「EXPEED5」との連携で、D850は常用感度ISO25600を実現。3635万画素のD810と比較しても、その高感度画質の向上が確認できるほど画質がアップしている。

↑ISO12800の高感度で夜景を手持ち撮影。それでも1/25秒の低速シャッターとなったが、カメラブレもぜず、感度を考慮すれば十分に高画質に撮影できた。46ミリ相当 絞り優先オート(F4 1/25秒) -0.7補正 WB:オート ISO12800
↑ISO12800の高感度で夜景を手持ち撮影。それでも1/25秒の低速シャッターとなったが、カメラブレもぜず、感度を考慮すれば十分に高画質に撮影できた。46mm相当 絞り優先オート(F4 1/25秒) -0.7補正 WB:オート ISO12800

 

フルサイズー眼レフ「PENTAX K-1 Mark II」の発売日が4/20に決定

フルサイズデジタルー眼レフカメラ「PENTAX K-1 Mark II」の発売日が2018年4月20日(金)に決定した。

PENTAX K-1 Mark II 28-105WRキット

 

「PENTAX K-1 Mark II」は、新開発のアクセラレーターユニットにより高画質と超高感度性能を両立させ、最高ISO 819200 の超高感度撮影が可能。高精細画質が得られる超解像技術「リアル・レゾリューション・システムII」は手ぶれ補正モードを搭載しており、手持ち撮影にも対応する。

 

価格はオープンで、直販価格はボディキットが253,800円、標準ズームレンズ「HD PENTAX-D FA 28-105mmF3.5-5.6ED DC WR」が付属する28-105WRキットが310,500円(いずれも税込)。発表時は、2018年4月下旬発売予定とされていた。

 

製品の詳細はこちら。

 

また、従来機種「PENTAX K-1」の機能を「PENTAX K-1 Mark II」相当にアップグレードできる期間限定「PENTAX K-1 アップグレードサービス」の詳細も公開された。

 

「PENTAX 体感&トークライブ」5都市で開催

発売前の「PENTAX K-1 Mark II」をいち早く体験できる「PENTAX 体感&トークライブ Why PENTAX?」が、2018年3月24日(土)名古屋を皮切りに、4月1日(日)東京、4月7日(土)福岡、4月14日(土)大阪、4月21日(土)札幌の全国5都市で開催される。

 

詳細はこちら。