使い方に合わせて取りはずしできる間仕切りを作ってみた/祝・成長!子ども部屋に間仕切りを(3)

「大きくなった子どもに自分の部屋を与えたい」。そんなお父さんたち必見の空間改造術を公開!

 

File03 使い方に合わせて取りはずしできる間仕切り

右側がお兄さん、左側が弟さんの部屋。計7枚の引き戸を製作した

 

 

中学2年生と小学3年生の息子たちのために、2階にある12畳のスペースを間仕切りして6畳×2部屋に個室化。間仕切りは完全な壁にするのではなく、梁にレールを張り、引き戸を取りつけて仕切る方法をとった。引き戸は上吊式を採用。そのため簡単に取りはずしができ、床面はフラットな状態のままなので、個室と開放的な空間を使い分けることができる。家の雰囲気に合うようシンプルに仕上げたデザインは子どもたちも気にいってくれたようで、大満足のリノベーションとなったようだ。

 

引き戸の下端部分。L字形のガイドは床にビス留め。引き戸の溝加工は丸ノコで行なった

 

弟さんの部屋からの眺め。入口引き戸を開け閉めした様子。引き戸は24mm厚のシナランバーコア合板を使い、自然系塗料のクリアオイルを塗装

 

使ったのは上吊式引き戸金具。パイン材(幅70×厚さ10mm)で戸当たりや下地を作り、専用レールを装着した

 

Before

手前側を個室化。中央の柱と梁を敷居として引き戸を取りつけた

 

<Renovation Data>
製作者…Aさん(43歳・生活支援員)
リノベ開始時のDIY歴…12年
家族構成…夫婦、子ども2人
物件形態…戸建て
築年数…7年
施工期間…14日
材料費…14万円

*掲載データは2018年2月時のものです。

幼い兄妹のためにゆるやかに空間を分ける間仕切りを作ってみた/祝・成長!子ども部屋に間仕切りを(2)

「大きくなった子どもに自分の部屋を与えたい」。そんなお父さんたち必見の空間改造術を公開!

 

File02 幼い兄妹のためにゆるやかに空間を分ける間仕切り

上部を吹き抜けにした間仕切り。壁の高さは、Bさん自身が「背伸びをしないと覗けない程度」を目安に決めた。オーク材をさまざまな長さにカットして乱尺張りで仕上げている

 

 

ライフスタイルの変化に応じて間取りを変えられる、間仕切りの少ない家を建てたBさん。2年前、長男が小学生になるのを機に、2階の10畳ほどのスペースに間仕切り壁を立て、部屋を作った。といっても、まだ幼い子どもたちのスペースを完全に仕切りはしない。1面は開放したままで、間仕切り壁の上部は吹き抜けにしてある。間仕切り壁の反対側はもうすぐ、3歳違いの妹さんの部屋になる予定。つながりを感じられる間仕切り壁は、仲のよい兄妹にほどよい安心感と自立感をもたらすだろう。

またBさんは、間仕切り壁により長男の部屋に窓からの光が届きにくくなったと、既存の壁を切り抜いて固定窓を設置。親心によるキメ細かいフォローが効いている。

 

長男の部屋。完全に仕切られてはいないが、すっきり片づいた様子に、自分のスペースとしての愛着を感じる。ベッドの横に増設した固定窓がある

 

間仕切り壁の反対側は、もうすぐ妹さんの部屋になる予定

 

Beforeその1

10畳ほどある2階の1室。以前は多目的に使っていたスペース

 

2×4材でフレームを組む。下辺の材を切り欠いて柱を差し込み、さらにビスで固定。部屋の床にもしっかり固定している

 

フレームの完成。端の柱を梁まで伸ばし、金具を介して固定

 

壁の高さを少し上げることにして、フレームに合板を張っていく。また、笠木として2×6材を取りつけた

 

合板の継ぎ目とビス頭をパテで埋めて平らに仕上げる

 

2.2mm厚のオーク材を両面テープと速乾接着剤で張っていく。最初、水性の木工用接着剤を使ったが、板が反ってしまったため、水性ではない速乾接着剤に変更した

 

Beforeその2

間仕切り壁によって暗くなった部屋に、明かり取りのための固定窓を増設する。まずはマスキングテープを張って窓の位置を確定する。裏側は階段で、壁に窓がついているので、その光を取り込む

 

壁は業者に抜いてもらった(奥さんの希望による。Bさんいわく「当時はまだ自分のDIY経験が浅くて信頼がなかった。今ならまかせてもらえるはず…」)。その後、開口部の四辺のすき間にスギ板をはめ、メッシュテープを張ってパテを塗ってから漆喰塗り。さらにアクリル板を固定する枠を取りつけた

 

枠にぴたりとあてたアクリル板を挟むように、手前側にも枠を取りつけて固定する

 

<Renovation Data>
製作者…Bさん(35歳・医療系専門職)
リノベ開始時のDIY歴…3年
家族構成…夫婦、子ども2人
物件形態…戸建て
築年数…3年
施工期間…約1カ月
材料費…約6万円

*掲載データは2018年2月時のものです。

吊りベッドに大型クローゼット!姉妹の要望に応えた間仕切りを作ってみた/祝・成長!子ども部屋に間仕切りを(1)

「大きくなった子どもに自分の部屋を与えたい」。そんなお父さんたち必見の空間改造術を公開!

 

File01 吊りベッドに大型クローゼット!姉妹の要望に応えた間仕切り

RoomAは長女(19歳)の部屋。仕切り壁の前にベッドとデスクを組み合わせたスタイル

 

RoomAはベッド下を利用してデスク付きの学習スペースに。頭上のベッド裏にはLEDライトとスピーカーを仕込んだ。壁には漆喰「うま~くヌレール」を塗装

 

ベッドはロフトわきを走る梁に吊り下げるようにして固定。強度を出すためにシンプソン金具を使用

 

ベッド横の壁に作った小さなニッチ。目覚まし時計を置くスペースにぴったり

 

自宅新築の際、子ども部屋を分割できるよう、最初から壁に補強下地を入れていたというNさん。それから13年、次女が高校生になるタイミングで間仕切りプロジェクトがスタート。

仕切り壁自体の製作は簡単。小屋の壁のように2×4材で壁パネルを作り、部屋の真ん中に固定すればいい。Nさんが面白いのはその壁を利用して、それぞれの部屋の設えまで作ったところ。デスクやニッチに加え、長女の部屋には上部から吊り下げるベッド、次女の部屋にはクローゼットと仕切った空間をうまく活用している。

また音響用スピーカーや色の変わるLEDライトなど、年ごろの女の子が喜びそうなアクセサリーをうまく組み込んでいるのはお見事。こりゃ娘さんたちも喜んじゃいますよね。

 

 

RoomBは次女(17歳)の部屋。仕切り壁を利用し、幅1800、高さ2000mmという大容量のクローゼットを据えつけた

 

RoomBは仕切り壁の前に大きなクローゼットを製作。集成材などで内側の棚を組み、既製品の折れ戸を取りつけることで仕上げている

 

クローゼット側面と学習机をつなぐコーナーには、合板を使いアールをつけることで空間に柔らかさをプラス

 

仕切り壁とロフト床面の間を利用し、頭上にLEDライトとスピーカーを仕込んだ1×4材を固定。ライトはリモコンで色を変更可能。気分に合わせて部屋の雰囲気を変えられる

 

デスクわきのニッチにスマホ置き場を製作。ニッチにはケーブルを引き込んであり、頭上のスピーカーに接続でき、いつでも好きな音楽をかけることができる

 

Before

2×4材で仕切り壁のフレームを作り、壁に固定。RoomAの梁にはベッドを吊り下げるための角材も固定

 

壁パネルに石膏ボードを固定する。こちらはRoomB。デスク天板やクローゼットの棚板など、壁上から固定したいものに合わせて、パネルの内側に横桟を入れておくのがポイント

 

RoomB。仕切り壁ができたら、その上からクローゼットや棚、ニッチを作っていくというわけ

 

<Renovation Data>
製作者…Nさん(46歳・機械メーカー営業)
リノベ開始時のDIY歴…13年
家族構成…夫婦、子ども2人
物件形態…戸建て
築年数…13年
施工期間…約3カ月
材料費…約12万円

写真◎谷瀬 弘、製作者提供

*掲載データは2018年2月時のものです。

ビールのお供に燻製を自作!サーモスタットで温度調整可能なスモーカーボックスを作ってみた

食材を入れて1時間後、扉を開けるとモクモクとあがる煙の向こうに、しっかりと燻されていい色になった食材が!

 

美味しい燻製作りのポイントは、食材をよ~く乾燥させること。食材によっては下調理を済ませておき、風通しのよい日陰の場所で水分をしっかり飛ばす

 

下味をつけてよく乾燥させた食材。これが1時間後には…ゴクリ

 

今回のメニューはホタテ、砂肝、チーズ、カマボコを温燻で、手羽先とチョリソーを熱燻で調理。燻されて黄色くなった姿がまぶしいぜ!

 

ログハウスのウッドデッキからもくもくと鼻腔をくすぐる香ばしい煙が昇る。中で燻されるはホタテに砂肝、手羽先にチョリソー。あぁ、1時間後が待ち遠しいぃぃぃ。

酒好きがみなだらしない顔になっちゃう魅惑のスモーカーボックスを作ったのは、定年退職後、熱海の丘にログハウスをセルフビルドし、週末田舎暮らしを楽しんでいるMさん。元々機械設計に携わっていたMさんの作ったスモーカーは、すっきりとしたデザインの中に便利な機能がつまったDIY作品だ。

 

サーモスタットを電熱器につなぎ、温度コントロールを実現したスモーカーボックス。サイズは幅330×奥行330×高さ900mm

 

このスモーカー最大の特長は本体側面に取り付けたサーモスタット。熱源にはシンプルな電熱器(600W)を使い、この温度をサーモスタットでコントロール。コントロール範囲は20℃~120℃。これを60℃にして1時間も待てば温燻、100℃にして30分待てば熱燻…と幅広い燻製料理が楽しめるというわけ。

材料には、F☆☆☆☆(エフ・フォースター)というホルムアルデヒド放散量がきわめて少ない安全な構造用合板を使用。作品のサイズは幅330×奥行330×高さ900mmで、3×6板1枚で作れるように設計した。天板はメンテナンスがしやすいように取り外しが可能。ボックス内にはさまざまな高さに棚ダボを取り付けてあるので、食材を載せる網の位置を自由に変えることができる。さらには燻す食材の量や種類によって、スモーカー内部の容積を変えて熱効率を高めるなど…あぁ、もう全部解説するには文字数が足りないっ!

 

12mm厚の構造用合板と1×2材で作られたスモーカーボックス。扉の裏側に本体の開口部とサイズをあわせた板を張りつけ、気密性を高めている

 

 

サーモスタット本体。これを電熱器につなげてボックス内の温度調整を行なうというわけだ。右に見えるのは温度計とサーモスタットのセンサー

 

何か不具合が起きたときにすぐにメンテナンスできるよう、天板は取り外せる仕組みになっている

 

最上段の桟には食材を吊るす9mm径の鉄筋を4本設置

 

ボックスの下段部分はさまざまな位置に棚ダボが取り付けてあるので、好みの高さに網の場所を変えることができる

 

底板には電熱器(600W)をセット。前後に引き出せるスライド式

 

食材が少ないときや熱燻を行なうときは、ボックス中段にベニヤ板と鉄板をセット。これによりボックス内の容積が小さくなり、熱効率がよくなり調理の時間短縮や熱燻が可能になるというわけだ

 

Mさんいわく、これから冷燻もできるように改造していきたいとのこと。どうやらこのスモーカーボックス、まだまだ進化していきそうです。

おっ、さっき入れた食材が燻せたみたい。それじゃ失礼しまして…カンパーイ!!

 

<スモーカーボックスの作り方を大公開!>

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

スモークチップとスモークウッド

今回の燻製作りではスモークウッドとスモークチップの2種類の燻煙材を使用。

スモークウッドは細かく砕いた木片を固まりにして棒状に成形したもので、直接火をつければ線香のように煙を出し続ける熱源のいらない燻煙材。細かな木片が圧縮された棒状のもの。直接火をつければ煙が出てくるのでビギナーにもオススメだ。

いっぽうスモークチップは広葉樹などを細かく砕いた小さな木片で、バットやパンに広げ、直接燻して煙を出す必要があるため熱源が必要だ。取材時は温度をがんがん上げて一気に燻す熱燻にはスモークチップ、50~60℃でゆっくり燻す温燻にはスモークウッドと燻煙材を使い分けている。

 

写真◎田里弐裸衣

縁側から出入り可能なミニ囲炉裏小屋は、まさにプライベート居酒屋!

小型の囲炉裏は昔使っていたものを再利用。テーブルは2×材を張り合わせて製作。また、味のある自在鉤は友人からもらったもの。壁にはLEDライトを仕込み、間接照明に。写真右のはめ殺しの窓はポリカーボネイトで自作

 

<DATA>
Nさん(57歳、遊漁船船長)
DIY歴…20年
製作期間…約1週間
製作費用…約10万円

 

 

縁側に面した庭に一坪の囲炉裏小屋を作っちゃったNさん。縁側のガラス戸を開ければ、そこは居酒屋!ということで仲間とワイワイ盛り上がっている。

1坪とはいえ、囲炉裏小屋の設備はなかなか本格的。テーブル囲炉裏の周囲に毛布を取り付け、ベンチの下部は収納スペースに。壁面にはLEDライトで間接照明をセット。電気も通っているのでテレビや電化製品を使用することも可能。もちろん換気対策として、換気扇の取り付けもばっちり。

小屋自体は躯体に2×材を使用し、床、壁下地には合板をチョイス。屋根は母屋の軒を利用して垂木を取り付けた片流れ屋根とした。

このあまりに気軽に出入りできる環境…気がついたら常にお酒を片手に囲炉裏小屋にこもってしまいそう。

 

縁側から直接出入りできるので、部屋がひとつ増えたよう。自在鉤は屋根の垂木にハンガーのようなコの字の金具を固定し、吊り下げている

 

囲炉裏ベンチの下は収納スペースに。座板には廃材のマットレスを使用

 

庭から見た囲炉裏小屋の外観。サイズは幅1800×奥行1800×高さ2500mm。外壁には市販のサイディング材を使用

 

小屋の躯体は2×材。床はコンパネ2枚を重ね張り。屋根は母屋の軒を利用して垂木を固定。波板で仕上げた

 

イラスト◎丸山孝広

*掲載データは2012年12月時のものです。

アイデア満載のDIY室外機カバーを拝見!(6)/アイアン風&イングリッシュガーデンに合う室外機カバー

初心者向けのDIY定番作品と侮るなかれ!DIYだから実現できた個性あふれる室外機カバーたちを紹介。こんな室外機カバーならウチにも欲しい…!

 

Case11 パネルと漆喰塗りでスタイリッシュに仕上げた!

一見、アイアン製にも見えるパネルがアクセントになっている

 

<DATA>
Jさん(44歳・主婦)
DIY歴…1年ほど
製作日数…3日
製作費用…5000円

 

なんでも手作りするのが好きな主婦DIYerが、ベランダDIYの一環として手掛けた室外機カバー。

前面右側に取り付けた、木製のデザインパネルを使うところから構想を練り、サブロク合板を無駄なく切り出して枠を製作。枠はベランダの雰囲気に合わせて漆喰塗りで仕上げた。吹き出し口は、室外機からの風が外側に流れるようにルーバーの向きを調整している。

パネルの穴の大きさがちょうどよく、通気性を損なわず目隠しすることにも成功したいい例だ。

 

前面のルーバーだけは、パネルに合わせて黒のつや消し塗料で塗装

 

ベランダの様子。床は石畳調のポリエチレン製シートで、もともと敷いてあった防水シートを隠している

 

シートが届かない床は、砂利とレンガを敷いてペイビング

 

Case12 庭の景観に合わせて計4種類ものカバーを作った“室外機カバーマニア”に直撃!

森の中をイメージした中司邸の庭。パーゴラの下にはバーベキュー台がある

 

Nさん(37歳・会社員)
DIY歴…約4年
製作日数…1日
製作費用…4000円(1個)

 

庭先のパーゴラ製作の際に、外からの景観を大事にするために室外機カバーを作ることにしたNさんは「すべて同じだと面白みがない!」と感じ、それぞれ形の異なる4パターンのカバーを作りあげた!

形状は室外機上の空間をうまく活用するために、ガーデニングの植木鉢などを置けるスペースを完備。色は当初、アジアンテイストな庭にしようとオーク色にしていたが、緑に囲まれたイングリッシュガーデン風の明るい雰囲気になるように白に塗り替えた。「室外機カバーも庭の雰囲気を決める大事な要素のひとつ」だと考えており、いつでも作り替えることができるように、極力簡単な構造にすることを心がけたそうだ。

今後は、ピザ窯、和室の前にミニ庭園、サイクルガレージ、メインツリーの周りにベンチなど、作りたいものはいろいろとあるが、仕事が多忙でなかなか取り掛かれないのが最近の悩みなんだとか。

 

1作目となるシンプルな構造のカバー。白に塗り替える前の状態

 

室外機の2倍ほど横に伸びたカバー。レンガの上に置いてあるだけなので移動もラク

 

高さがあるカバー。ガーデニング用品などを置いているそう

 

天板に石材を使用したカバー。前面はルーバーになっている

*掲載データは2014年8月時のものです。

ピザ窯&囲炉裏のある”火遊び”三角小屋で思う存分、火と戯れる!

ピザ窯×囲炉裏という最強の組み合わせを実現。原始的ともいえる大ぶりの自然石を並べて作ったダイナミックな囲炉裏に心躍る

 

<DATA>
Tさん(57歳、施設職員)
DIY歴…12年
製作期間…約2カ月
製作費用…約20万円

 

 

部屋の中の囲炉裏なんかじゃなく、もっと火を思う存分遊ぶスペースが作りたい!」とTさんが作ったのは、弥生住居や合掌造りをイメージし、外壁を竹で覆った超個性的な三角屋根の小屋。床はすべて土間で、石積みの囲炉裏とお手製のピザ窯を備えた〝火遊び小屋〟だ。

 

竹で覆われた個性的な小屋の外観。三角の形がどこかかわいらしい

 

囲炉裏は土間の上に直接500~700mm径の自然石をランダムに並べ、粘土で固定。炉内は100mmほど掘り込み、灰を入れている。囲炉裏自体のサイズは1400mm径と大きいので、ダイナミックな火を焚いて、鉄板ででっかい肉を焼くのが、家族にも友人にも大好評だとか。

 

囲炉裏に鉄板をセットしたバーベキューバージョン。この鉄板の上で焼くステーキがパーティーの目玉

 

囲炉裏を使用しないときは、お手製のテーブルを置いたテーブルバージョンに

 

屋根の構造材に吊るされた自在鉤と火棚。煤竹と黒竹を使用し、使用感を演出

 

自在鉤と火棚は竹を使って自作。火棚には煤竹と黒竹を使い、煙に燻された雰囲気を演出している。鉤と火棚は小屋の垂木にワイヤーをかけて吊るし、固定した。

「小屋を設置したのは家の裏手の畑なので、季節の野菜を使ったピザを焼きたてで食べるのが楽しみ」とTさん。小屋内で火を焚くので近隣への煙の心配や天気の心配もいらない。大火で料理が楽しめ、火を囲み“ほんわり”とした温かさを感じる空間を大満喫している。

 

自然石を積み上げた土台にレンガを積んで作ったピザ窯は、スクエア型の二層式。煙突は屋外まで伸びている

 

外から見たピザ窯煙突。雨が室内に漏れないよう、煙突と屋根との干渉部分はステンレスの板で塞いでいる

 

写真◎清水良太郎/イラスト◎丸山孝広

*掲載データは2012年12月時のものです。

もっと便利に!もっと楽しく!軽トラの荷台活用DIYアイデア集/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(12)

今さらながらの感もあるが、軽トラはやっぱりエライ! よく働くし、コストも安い。軽トラを使わずに何が田舎暮らしなのさ! と興奮ぎみにしゃべる人もいれば、軽トラがなかったら里山では生きていけない! と断言する人も実際にいる。で、もっとすごくて楽しいのは、その軽トラをさらに便利にしようといろいろなDIY的アイデアを凝らすことだ。

 

荷台の収納力をアップしたアイデア軽トラ。オーナーはチェンソーカービングの世界チャンピオン、栗田さん

 

ポイントは荷台の活用

軽トラがエライ理由はいくつかあるが、たとえばこんなことだ。

◎4WDなら田んぼの畔道(あぜみち)だってフツーに走れる。

◎荷台に猟犬を入れたケージを積み、森深く分け入り、猪を撃ちに行く。

◎小回り力がすごい! 最小回転半径が3.6mだって!ちなみに筆者の愛車、スバルの場合は5.5mだ。

◎軽トラにはダンプだってある。以前、ガーデン木工の連載をしていたアポロ佐藤が、運んできた砂を下ろすとき、感動した。中古で35万で買ったらしい。土木系DIY派にはおすすめ。

◎荷台の寸法を知ってるか?内寸で長さ1940mm、幅1410mm。これはサブロク合板を置いてみて、合板の両側に両手が楽に差し込めて荷捌きに都合のいい寸法だ。これをすごいと思わなかったら、君はDIYerじゃない!フルフラットにしたワゴンやSUVの室内にフルサイズの合板を載せるときって、けっこう大変なんだよね。

 

とまあ、挙げればきりがないが、今回はとくに、里山で活躍しているいくつかの軽トラSpl.バージョンを紹介したい。

ポイントは荷台だ。まず、ライトな例から。プラスチック製の結束バンドで、太い塩ビ管を軽トラの鳥居(キャビンのリヤ外側の骨組み)に固定し、ホウキや測量用の標尺など、長尺物の収納にしている建設業者の軽トラ。塩ビ管と結束バンド。これだけで荷台の整理力がめっちゃ違ってくる好例。これはぜひ真似をしたい。

 

千葉県いすみ市のホームセンターの駐車場に停めてあった軽トラの荷台には、太い塩ビ管を結束バンドで鳥居の柱にくくりつけ、中にホウキや計測用の標尺を入れてあった。ぜひ、マネしよう

 

もうひとつ。コンパネで自作のアオリを立てて、積載力を高める方法はよく見るが、これはアングルと木材の骨組みにブリキの波板を打ち留めて左右のアオリにした軽トラ。ブリキを斜めカットしてあるのがなぜかおしゃれ。もちろん、荷台のリヤ側に長尺物を載せるためのフレームもついていた。ちなみにオーナーは建築塗装業。

 

千葉県いすみ市の国道沿いで見た軽トラは、斜めにカットしたブリキを張って高いアオリを装備していた。建築塗装が本職というオーナーの自作だ。長尺物を積むためのフレームはアングル

 

また、もうひとつのポイントは塗装。これはわかりやすい。実用的な工夫じゃなくて、イメージアップあるいはイメージチェンジが狙い。ドゥーパ!本誌のスタッフも元は白かった軽トラの車体を緑に塗っちゃって、けっこう満足してるらしい。写真は千葉県いすみ市で見つけた真っ赤な軽トラ。ボロボロの車体を隠すために自分でスプレー塗装したとか。ラフな塗り方がなんかかっこいい。

 

真っ赤に塗装した軽トラ。とにかく目立つ

 

ハードな例では、荷台にクレーンを取り付けちゃった例。オーナーは釣り好きで、川でFRPのボートを積み下ろしするときに重宝しているとか。このクレーンは荷台の床に支柱をボルトで固定、アームの昇降は油圧式、アームの長さを調整しながら、ハンドウインチで重量物を巻き上げる方式。オーナー曰く最大荷重は500kg。8年前、約1万5000円で購入し、自分で取り付けた。本誌で調べた限りでは、この商品は現在売っていないが、これとかなり似ている「トライパワートラッククレーン」という商品が売られている。ちなみに「トライパワートラッククレーン」は、最大荷重450kg、価格は税込で2万5000円くらい。

 

キャビンの後ろの左側にクレーンを取り付け、重量物の積み下ろしに使用

 

アームは手押しで昇降する油圧式。アーム自体も360度回転できる

 

使用しないときはこの状態。支柱からアーム(赤い部分)をはずすことも可能

 

支柱は荷台の床にボルト締め。補強の鉄材(赤い部分)も入れた

 

荷台の下からも補強の鉄材(赤い部分)を入れた

 

ちょっと流れが違うが、その迫力に負けてつい紹介したくなるのが焼き芋屋の軽トラ。まず荷台に薄い鉄板を張った厚めの板を敷き、その上に断熱ボードと薄い石を敷く。その上にストック用の芋を収納し、さらにその上に自作の鉄板ストーブを載せ、薪をくべ、芋を焼きながら、路地から路地を回る。ちなみにこのストーブ、作ってから25年間、トラブルなしとか。ついでに買っちゃった焼き芋、おいしかったです。

 

鉄板を加工して作った大型のストーブを荷台に載せた軽トラ

 

荷台の右側のアオリを下ろすとしっかり断熱しているのがわかる。薄い鉄板を張った厚めの板を敷き、その上に断熱材を敷き、さらに薄い石を敷く。ここがまだ焼いていない芋の貯蔵スペース

 

これが正統派軽トラDIY仕様

最後に、ドゥーパ!的な実例をひとつ。

これは、去年の107号でも簡単に紹介したことがある軽トラDIY仕様なのだが、あれから進化を重ね、現在はこのような状態になっている。オーナーはドゥーパ!本誌でおなじみのチェンソーカーバー、栗田宏武師匠(千葉県市原市)。チェンソーワークの現場まで資材と道工具を運び、作業し、戻ってくるための軽トラだ。荷台の前にセットしたピックアップ用の大型コンテナに細かい道具を収め、2分割に取り外しできる合板(トノカバー)の下にはチェンソーや燃料、大型工具類、合板の上には長尺物や資材などをロープで固定して運ぶ。

構造はシンプルだ。2×材で脚を立てて、合板を載せるフレームを組む。その上に左右の合板(トノカバー)を載せるだけ。簡単に分解でき、簡単に組み立てられる。これだけで収納力もアップするし、場合によっては合板のトノカバーを作業台代わりにできそうだ。

 

荷台の奥にコンテナボックスを設置。このコンテナボックスは、アメリカ製のもので、ピックアップ(小型トラック)の荷台用のもの

 

2×材で組んだ骨組みをこのようにセット

 

骨組みの左側に合板をセット。合板の出し入れがしやすいように持ち手がついている

 

骨組みの右側に合板をセット。合板がトノカバーの代わりになった。これで完成!

 

合板の上に資材や道具を積み、さらに合板の下にも荷物が積み込める。走るときはロープで荷物を固定する

 

その状態で、アオリは下げられるので、合板下の収納物の出し入れは楽

取材・文◎脇野修平

*掲載データは2015年12月時のものです。

 

『庭遊びの達人が教える野外DIY実践術』好評発売中!

ドゥーパ!創刊編集長、脇野修平が20年間のDIY雑誌のロケ体験、取材体験、施工体験を綴った書籍『庭遊びの達人が教える 野外DIY実践術』が好評発売中。約40点の面白作品の施工レシピや思い出コラムなど、本誌読者には見逃せない内容だ。カラー176ページ、学研プラス刊。本体2000円+税

アイデア満載のDIY室外機カバーを拝見!(5)/水車小屋風&パーゴラつきキッチンの室外機カバー

初心者向けのDIY定番作品と侮るなかれ!DIYだから実現できた個性あふれる室外機カバーたちを紹介。こんな室外機カバーならウチにも欲しい…!

 

Case09 田園風景に似合う水車小屋が室外機カバーとして現代に蘇る!?

カバーには所々、適度にすき間があけられている

 

<DATA>
Iさん(63歳・病院職員)
DIY歴…約10年
製作日数…約5日
製作費用…約1800円

 

勤務先の病院に室外機を設置することになったが、築山庭園の雰囲気に合わず、庭のイメージ回復のために水車小屋で覆うことに。吹き出し口はルーバーで、カバーは地面と接していないので見た目以上に通気性がよく、三角屋根は木材の上に茅を敷いて茅葺き屋根風にした。作製後は小屋に対して水車が小さく感じたので、小屋と水車のバランスを再検討中。屋根部分も完全な茅葺き屋根にできないか研究しているそうだ。

 

室外機がある庭の雰囲気によく似合っている

 

真横から。水車も回転できる本格的な作り

 

Case10 もはや室外機カバーの概念を超えたパーゴラ&ガーデンキッチン

正面。パーゴラ側面も完全には覆っていないので風通しもいい

 

<DATA>
Mさん夫妻(夫57歳・会社員、妻56歳・主婦)
DIY歴…約10年
製作日数…約6日
製作費用…約10万円

 

自宅の広々とした庭でガーデニングを楽しむMさんが、室外機の目隠し&作業台が欲しいと、ご主人にリクエスト。植物の植え替えなどで便利に使えるようにガーデンキッチン風にしようと、リサイクルショップをはしごして見つけたステンレスシンク(3000円の激安品!)を室外機の横に組み込み、幅広なカバーを作りあげた。その後、屋根をつけたほうが母屋とのバランスがとれると思い、パーゴラをつけて今のような形に。

ガーデンライトなどのお気に入りのアイテムを飾り、パーゴラには蔓植物を這わせることで、室外機の前が、庭にいる時間をますます楽しめる空間に大変身!

 

ラティスの奥に室外機が隠れており、その左横にシンクを設置。天板が広いので、使い勝手はかなりよさそう

 

シンク下には収納スペース。室外機前面も濡れた雑巾などをかけられる鉄棒がついている

 

側面にはデザインの異なるフェンスが。屋根材はオンデュビラタイルを使用。屋根が見えるように急こう配にした

*掲載データは2014年8月時のものです。

アイデア満載のDIY室外機カバーを拝見!(4)/飾り棚付き&漆喰塗りの室外機カバー

初心者向けのDIY定番作品と侮るなかれ!DIYだから実現できた個性あふれる室外機カバーたちを紹介。こんな室外機カバーならウチにも欲しい…!

 

Case07 デッドスペースを限界まで活用した飾り棚付きのおしゃれなカバー

パーゴラには屋根としてポリカーボネイトを張った

 

<DATA>
Mさんの夫(53歳・団体職員)
DIY歴…約10年
製作日数…3日
製作費用…約1万2000円

 

小さな庭を有効活用したく、室外機の上に飾り棚が欲しいというMさんの要望に応えて、DIY好きの旦那さんが手掛けた作品のひとつ。あいたスペースをできるだけ活用できるようにと、母屋壁にある配電盤の高さまで立てた。柱や棚受けはホゾ継ぎで組まれ、資材は針葉樹のなかでは堅い部類に入る赤褐色の米マツを使用したので耐久性も◎。以前、デッキ上に建てたパーゴラ付きの庭カフェ空間にもマッチした、ナチュラルな雰囲気の飾り棚の完成にMさんも大満足!

 

飾り棚にはお気に入りの雑貨が並ぶ

 

柱を立てた様子

 

高さに変化を加えた3つの棚ができあがった

 

棚受けも背板にホゾ組みで取り付けた

 

case08 漆喰塗りで室外機の高級感がアップ!さらに表面温度が約30℃もダウン!

使用した漆喰は、ドゥーパ!本誌でもおなじみの「うま~くヌレール」

 

<DATA>
Nさん(40歳・ライター)
DIY歴…20年
製作日数…約3時間
製作費用…1800円

 

熱性などに優れた漆喰を、なんと室外機に直接塗り付け、省エネにつなげた例。Nさんの実測によると、夏の太陽熱を浴び続け、手で触るとヤケドしてしまうほど熱かった室外機の表面が、約30℃も下がったそう(後述写真参照)。エアコンの使用電力も25%以上削減できているというから驚きだ。その可愛らしい見た目からご近所さんも興味津々で、無機質な室外機が今では愛着が湧くほど、お気に入りの存在に!

 

飾りに使ったガラスや貝殻は、接着剤を使って固定

 

気温27.2℃の屋外に設置された室外機の表面温度は55.4℃

 

施工後は表面温度が25℃までに下がった!

*掲載データは2014年8月時のものです。

薪ストーブを利用したカンタン野外囲炉裏・田舎の庭で気兼ねなく火と遊ぶ!

陽の落ちた庭で、酒を片手に揺れる火をじっと見つめる。至福のひととき

 

<DATA>
Iさん(61歳・菜園家)
DIY歴…4年
製作期間…約2週間(ピザ窯)/約5日(焼却炉)/約1日(ストーブ)
製作費用…約5万9000円(ピザ窯)/約1万9000円(焼却炉)/約7000円(ストーブ)

 

 

出版社を早期退職し、週のうち5日ほど秩父に通い田舎暮らしを送るIさん。会社員時代からDIYと自給自足への憧れがあったIさんは、敷地内には約300平米の畑を開墾し、50種類の野菜を栽培中。庭で自由に火を楽しめる田舎ならではの環境を満喫している。

まず注目したいのは、あえて庭にセットした薪ストーブ。使用したのは価格約4000円と安価な時計型のタイプで、この両脇に鉄筋3本を針金で束ねた三又を設置。ここに物干し竿を固定して、お手製の自在鉤を吊るせば、ハイ、野外囲炉裏のできあがり。ダッチオーブンを吊るせば調理もできる上、設置場所を自由に移動できるのでなんとも便利な火遊び場になるのだ!

 

薪ストーブ
時計型薪ストーブを庭に出して焚き火を楽しむ。切り出した丸太の椅子が炎を囲む

 

 

自在鉤は麻縄と桜の木の板で自作したもの。ドゥーパ!の連載記事を参考にしたそう

 

物干し竿を支える三又は、鉄筋3本を針金で束ねた簡単なもの

 

薪ストーブの熾き火で焼いた焼き芋はほくほく♪ 自分の畑で採れた野菜を頂く幸せ

 

庭の後方には手作りの焼却炉もDIY。端材はもちろん、作物の残渣を燃やすために製作したそう。コンクリートブロックを積み上げて、表面をモルタルで化粧した姿はどこか和風の雰囲気が漂う。今後はここで籾殻燻炭を作って、畑の土壌改良に使う予定と大活躍の様子だ。さらには、みんなが盛り上がるピザ窯も製作済み。

というわけで、Iさんの庭では、今日も夕闇にオレンジ色の火が静かに揺らめいている。「秋から冬の初めは暖房にもなるし、なにより火を見ながら飲む酒がうまい。至福のひとときってやつです」。炎に照らされたIさんは、目尻の下がったなんとも幸せそうな表情を見せた。

 

ピザ窯
ピザ窯はスクエア型の二層式。本体の焼き床から下は赤レンガ、焼き床から上は耐火レンガを使用

 

もともとはバーベキュー炉だったものをピザ窯に改良した。写真はバーベキュー炉だった頃の様子

 

ピザ窯の載る基礎部分はしっかりとレンガでペイビング

 

遠赤外線でこんがりと焼き上がるピザの味は格別

 

焼却炉
庭に溶け込む焼却炉を製作。コンクリートブロックにモルタルを塗り、上から白く塗装。サイズは幅820×奥行850×高さ1010mm。*焼却炉の使用規則は各自治体により異なります

 

 

焼却炉天板はアサヒキャスターを使って自作した。コーナーに1×4材をあて、民芸調のデザインに

 

灰かき口も設置。中の焼き床は耐火レンガとグレーチングで構成されている。*イラスト参照

 

基礎はしっかりとモルタルで固め、強度を出すため四隅には鉄筋をセット。ここにコンクリートブロックを積んでいった

 

写真◎佐藤弘樹/イラスト◎丸山孝広

*掲載データは2012年12月時のものです。

自然素材で作られたスーパーオーブン・森とかまどが一体化した森の中のシステムキッチン

不思議なフォルムのアースオーブンは窯とかまどの一体型。材料のほとんどは自然素材で、資源を無駄にしないアイデアが詰まっている

 

<DATA>
Uさん(62歳、宿泊業)
DIY歴…30年
製作期間…約1年
製作費用…約11万円

 

 

窯本体は粘土で基本の形を作り、その上から藁を混ぜた粘土を塗り重ねた二層で形成。丸みを帯びた有機的なデザインは、生命力を感じさせる

 

横から見たアースオーブン。粘土で作るためレンガなどに比べ、デザインの自由度が高い。家を背負って歩くスローなライフスタイルの象徴=かたつむりをイメージし、粘土を張りつけていった

 

まるで縄文時代の土器を思わせる、丸みを帯びた不思議なフォルムの窯。これは安曇野でパーマカルチャー塾を主宰するUさんとその仲間たちが作った、その名もアースオーブン(土窯)。ほぼ地元の自然素材を利用して作ったこの窯は、見た目のインパクトだけでなく、森のシステムキッチンともいえる多彩な機能を持った驚きの作品だ。

粘土で作られたメイン窯ではピザはもちろん、パンやダッチオーブンを使った調理が可能。窯右側は2口のかまどになっており、羽釜を載せれば炊き立てご飯や蒸し料理を楽しめる。さらに煙突の上にペール缶で作った燻製器を設置すれば、調理の際に出た煙で燻製までできちゃうのだ。しかし驚くなかれ。これだけで終わらないのがUさんたちのすごいところ!

煙突内部には銅のコイルを設置し、窯背面に設置したペール缶の雨水タンクとホースで連結。これにより、コイルに蓄えられたオーブン使用時の余熱がホースを伝って雨水タンクを温め、お湯を作る温水器が完成。

さらに窯の煙突横からは雨ドイを利用した長い煙突を回し、冷えた煙から木酢液を抽出。草屋根からろ過されて集まった雨水は、窯の側面に作った流しから利用可能…とまったく無駄がない。

「人が集い、資源が回り、火も回る。色んなものが循環していくから、みんなで“ぐるぐるぐりる”と名づけました」(Uさん)

人と自然が調和して、輪になって踊るように素敵なハーモニーを生み出す。そんな大地の窯が完成した。

 

窯の背面は鍋や窯などを設置する棚。屋根を支える丸太の柱は、チェンソーを使って切り出して、自ら皮むきしたものを使用。各パーツは軸組み工法で組み立てた

 

棚に収納された使い込まれた調理器具。下のバケツは薪や炭の火消しツボとして利用

 

草屋根は合板の上にルーフィングを張り、モルタルと自然石で枠を積み、仕上げに土を入れた。屋根に植えてあるのはハーブやカモミール、苺など

 

窯の煙突横から雨ドイで別の煙突を引き、煙を冷やして木酢液を取る仕組み

 

オーブン脇には雨水を溜める樽を設置。雨水は草屋根を通って、ろ過されたものがストックされる

 

ここまで見せちゃう!これがアースオーブンの製作過程だ!

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

写真◎田里弐裸衣

*掲載データは2012年12月時のものです。

アイデア満載のDIY室外機カバーを拝見!(3)/竹垣風&三角形の室外機カバー

初心者向けのDIY定番作品と侮るなかれ!DIYだから実現できた個性あふれる室外機カバーたちを紹介。こんな室外機カバーならウチにも欲しい…!

 

Case05 小さな竹垣風カバーは見た目もよくて強度もバツグン!

製作から年月が経ったので、青々しさはなくなったがいい味が出ている

 

<DATA>
Yさん(54歳・会社員)
DIY歴…10年
製作日数…1週間
製作費用…約3200円

 

既製品のカバーが華奢で、デザイン的にも気に入ったものがないため、山から切り出した竹を使って自作した例がこちら。作り方はまず、塗装済みの1×4材で枠を製作。前面と側面は、清水垣風にするため縦に細い竹を結束バンドで固定してから、太めの竹を横にしてシュロ縄で固定。天板は井戸蓋風に竹を組み、枠内にはめ込めんでいる。市販のカバーに比べて頑丈で見た目もよく仕上がったことに満足したYさんは、今では全3台の室外機にこのカバーをつけているそうだ。

 

製作途中の様子。枠はクギとL字金具、前面と側面の竹は結束バンドで留めた

 

Case06 角に設置された室外機の目隠しは三角形にすることで解決!

カバーを上から見た様子。三角形になっているのがわかる

 

<DATA>
Yさん(34歳・会社員)
DIY歴…約2年
製作日数…約2週間
製作費用…約2万5000円

 

自宅のお庭改造の一環として、飾り棚付きの背の高いカバーを作ることを決意。しかし、室外機が母屋の角にピッタリと設置されているために、壁とのすき間がほとんどなく、柱を立てたりすき間に板を挟んだりすることができない…。そこで知恵をしぼって導きだした答えが、柱は3点だけ立て、三角形にするというものだった。ルーバーは既成品を使い、さらにパーゴラ風の屋根をプラス。こうして何とか、念願だった植物をディスプレイできるカバーを手にすることができた。

 

製作途中。既製品のルーバーは上向きに設置。どこかで耳にした「室外機の温風で近くの植物を傷めずに済む」という話を参考にしたそうだ

 

下地の塗装。天板、飾り棚は茶色、それ以外にはブルーグリーンを使用

 

乾燥後、白色の塗料で上塗りし、ヤスリがけ&少量のオイルでエイジング加工を施してアンティーク風に

*掲載データは2014年8月時のものです。

薪ストーブ&ピザ窯ライフの必須アイテム・薪棚を作ろう/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(10)

薪ストーブ、ロケットストーブ、ピザ窯、囲炉裏など、火のある暮らしを楽しむために、薪は欠かせない。オンシーズンが来る前に、できるだけたくさんの薪を準備し、安心して次の寒い冬を迎えたい。そんなアナタに捧げる、正しい薪棚の作り方。

 

正しい薪棚とは?

冬場に備えて用意した薪をどう保管するか。家の裏の軒下に適当に置いておいて、湿って腐っちゃったり、虫に食われたり、カビが生えたり、椎茸が生えてきちゃった(!)なんて話を聞くと、やっぱりちゃんとした薪棚が欲しくなる。どうせ作るなら間違いのない薪棚を作りたい。そこで、薪棚作りの名人から聞いた正しい薪棚の条件を挙げてみた。

 

 

・日陰でも日向でもいいが、風通しのよい場所に作る。軒下や建物に沿って設置するときは家側と薪棚の間に必ずすき間を作ること。

・風通しのよい構造にする。棚板を空き空きにする。側板や背板は全面張りにしない。

・屋根は必要。適当な傾斜をつけて、軒の長さは十分に。

・薪の長さは35~40cmが基本。棚の奥行サイズもこれに合わせたい。

・細い薪、太い薪、未乾燥の薪、乾燥した薪、樹種など、薪の分類に沿って区分けできるようにすると便利。

・薪を、奥と手前の2列に並べるときは、手前と裏側の両側から薪を取り出せるようにすると便利。

・なるべく材を無駄にしないようなサイズとする。たとえば、2×材を使うなら、市販されている6ftとか3ftの材をノーカットで使えるようなサイズとする。

・敷地の端に作る場合、隣地に屋根の軒がかからないように注意をする。

 

以上が、薪棚作りのポイントだ。

 

薪が収納されていないときの薪棚。構造がよくわかる。最初に下の枠板を組み、続いて枠の内側に柱(2×4材)を立てて、基礎石を置き、これをベースに組み立てていく

 

斜め後ろから見る。薪は2列に並び、後ろからも取り出せる

 

薪棚ミニウォッチング

軒下の三和土の端に薪を積んでいる例。薪が家壁にぴったりくっつかないようにしたい

 

隣家との境目に作った薪棚。枕木を基礎に、2×4材を棚板&側板、垂木として活用。見にくいが、屋根は透明のポリカを使っている

 

伐採した丸太を柱にした2段&2列の薪棚。方杖を入れて強度を増している。屋根材は塩ビの波板で、軒の出が十分。下地の垂木もたくさん入っている。羽子板付きの基礎石を使用

 

これだって、薪棚。石の上に柱を立て、下に板を引いて薪を積み、とにかく雨をしのぐために屋根を作った、なぜか雰囲気はある

 

高床デッキの下を薪収納にしているケース。通気さえ確保できれば、見た目にも面白い

 

2×材で組んだ薪棚。薪を3列にして収納。高さを抑え、トタンの波板を屋根材にしている

取材・文◎脇野修平

*掲載データは2015年10月時のものです。

 

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アイデア満載のDIY室外機カバーを拝見!(2)/2段重ね&太陽光発電付き室外機カバー

初心者向けのDIY定番作品と侮るなかれ!DIYだから実現できた個性あふれる室外機カバーたちを紹介。こんな室外機カバーならウチにも欲しい…!

 

Case03 2段重ねの室外機を隠すナチュラルテイストのカバー

カバーの中心には棚をつけた。屋根は奥から手前に100mmほどの傾斜がついている

 

<DATA>
Kさん(木工作家)
DIY歴…13年
製作日数…2日
製作費用…約4000円

 

庭作りをしていて2年ほど前から製作者の頭を悩ましていたのが、自身の高さほどにもなる2段に重なった室外機。その存在感を弱めるため、植物などで隠していたが、限界がきたためについにカバー作りに着手。普段はハンドメイドでさまざまなアイテムを作っているため、組み立て自体は問題なかったが、ここまで大きいものはあまり製作しないため、図面作りとペンキ塗りが大変だったそうだ。

 

製作前の庭の様子。室外機がそびえ立っている

 

Case04 植物スタンドに太陽光発電もつけたよくばり室外機カバー!

カバーはカントリー調にすることでナチュラル感を演出。日向きなどもしっかりと計算されている

 

<DATA>
Oさん(40代・プログラマー)
DIY歴…4年
製作日数…約3カ月
製作費用…約2万8000円

 

当初は、室外機の見た目の改善&エアコンの効率化アップが狙いだったが、よくばりなOさんは、プランタースタンドにソーラー発電システムといった機能を追加。製作は主に夜間に行ない、ソーラーシステムの構築やカバー構造の構想に1年、設計1カ月、組み立てに2カ月をかけた力作だ。組み立てではなるべくビスが見えないように打ち込んでおり、吹き出し口にはワイヤーネットを使用。なお、貯めた電力は、庭の外灯の点灯用として利用しているようだ。

 

チャージコントローラやバッテリーはカバーの中に収納

 

使用した太陽光パネル(単結晶・30W)

 

庭に設置している外灯。夜になると自動で点灯する

*掲載データは2014年8月時のものです。

野外DIYのお助けツール、一輪車(通称:ネコ)はエライ!/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(9)

たった1個しかないタイヤだからこそできるパフォーマンス。それが通称ネコとも呼ばれる作業用一輪車の魅力だ。重い資材満タンで、足場の悪い作業場をさっそうと駆け回る。地味だけど、ハードな里山DIYにはなくてはならないアイテムなのだ。

 

タイヤが1本だから機動力アップ!

タイヤが1個しかないからできること。まず細い1本道の走行ができる。たとえばビル施工の高所作業で、細い足場を資材を積んで移動するなんてことは2輪車や3輪車じゃ絶対できない。障害物があるところでも、車体を左右に倒しながら避けて移動できるのも一輪車の得意技だ。もっとすごいのは、タイヤの接地点を支点にして、その場でUターンができる。だからビルの工事現場はもちろん、農地の細いあぜ道でも大活躍するのだ。

 

細い1本道も安心して通過できる

 

車体を傾けて、障害物を避けながら走行できる

 

構造は恐ろしく簡単だ。フレームの前の下に車輪が1個、フレームの後ろの上の両側にハンドルがあり、両手にハンドルを持って押して走行する。荷台はフレームの上にあり、ハンドルの下に固定式のスタンドがある。荷台は、深型と浅型がある。タイヤはゴムチューブ式のものが一般的だが、近年では発泡ゴムを充填したノーパンクタイヤも多く出回っている。フレームの材質はスチール(鉄パイプ)が多いようだが、アルミニウム管を使った上級機種もある。というわけで、スペックによって多少価格帯は広がるが、スチール製なら1台5000~1万円程度、アルミ製なら1台1万円~2万5000円程度が目安。ブレーキ付きのものやエンジン付きのものもあるが、これはやや特殊で高価。一般DIYなら普通の一輪車で十分だ。なお、交換用タイヤは、チューブ入りが1本800円程度が目安、ノーパンクタイヤが1本1300円程度が目安で、タイヤ交換も簡単だ。

 

 

ちょっとアイデアな使い方、教えます

荷台で汚れた左官道具を洗う

 

ハンドルを下にして立てると絶妙なチェアに早変わり。作業の合間の休憩タイムにぜひ! けっこう気持ちいいです

 

荷台がトロフネ!? モルタルを練るのにちょうどいい

 

一輪車に囲炉裏の天板を載せ、「動く野外囲炉裏」を作ったことがあったが評判はイマイチ。中に砂を入れている

 

正しい持ち方、ダメな持ち方

ハンドルを持つ両手は肘を伸ばし、なるべくハンドルを低い位置でつかんで押して歩くというのがセオリー。肘を曲げると腕の筋肉の動きが不安定でバランスを崩しやすいという。確かに腕がフリー状態でふらつくと安定した走行ができない。これは一度やってみるとわかる。

 

なぜネコって呼ばれるの?

いろいろな説があるようだ。インターネットなどで検索してみると、ネコが通るような狭い場所を身軽に動き回れるからという説と逆さに伏せて収納するときの格好がネコの背中みたいだからとする説が有力。なかには、移動するとき、ゴロゴロと猫なで声のような音を出すからという説やネコの両後ろ足を持って歩かせる姿に似ているからという説もあるがホントですかね?

逆さに伏せると、ネコが前足を伸ばし、背中を曲げているように…見えるのかな?

 

サビだらけの一輪車を復活させました!

大切に使いたいと思っても、つい雨ざらしにしてサビつかせてしまいがちなのが作業用一輪車。編集部の一輪車も例外ではなかった! そこでこのぼろぼろ一輪車をサンディングし、2色の鉄部用塗装スプレーでオールペイントしてみました。

 

~用意するもの~
レンチ(24mm)、ミニバール、サンディングディスク装着のディスクグラインダー、潤滑スプレー(KURE5-56)、鉄部用塗装スプレー(グレイ&レッド)、金属用プライマー

左から潤滑スプレー、ディスクグラインダー、 コンビネーションレンチ(24mm)、ミニバール

 

用意した鉄部用スプレー塗料と金属用プライマー

 

*一部SNSでは表示されません。本サイトではご覧いただけます。

 

取材・文◎脇野修平

*掲載データは2015年8月時のものです。

 

『庭遊びの達人が教える野外DIY実践術』好評発売中!

ドゥーパ!創刊編集長、脇野修平が20年間のDIY雑誌のロケ体験、取材体験、施工体験を綴った書籍『庭遊びの達人が教える 野外DIY実践術』が好評発売中。約40点の面白作品の施工レシピや思い出コラムなど、本誌読者には見逃せない内容だ。カラー176ページ、学研プラス刊。本体2000円+税

アイデア満載の室外機カバーを拝見!(1)/収納スペースばっちり&スタンド付き室外機カバー

初心者向けのDIY定番作品と侮るなかれ!DIYだから実現できた個性あふれる室外機カバーたちを紹介。こんな室外機カバーならウチにも欲しい…!

 

Case01 吹き出し口を丸く切り抜き収納スペースも完備の3階建てカバー

片流れ屋根の物置のようにも見える室外機カバー。表面には防腐剤を塗っている

 

<DATA>
Iさん(62歳・会社経営)
DIY歴…16年
製作日数…1日
製作費用…約2000円

 

キャンプやツーリングが趣味で、日頃からDIYでバイクをカスタマイズしているIさんが製作した室外機カバー。高さは室外機本体の2倍ほどあり、上部2段は収納スペースになっている。資材は主に知り合いの大工さんからもらった端材を使用。吹き出し口を塞がないよう、カバー前面は吹き出し口に合わせながらジグソーで丸く切り抜いたので、まさにこの室外機のための専用カバーのような素敵なデザインに仕上がった。

 

屋根を開くと収納スペースが出現。庭の手入れ用具などを納めている

 

カバーの屋根は余っていたフロア材を使った

 

前面の取っ手を引くと現れる2階部分の収納スペース。掃除用品などをしまっている

 

配管にあたる部分を切り欠き、カバーを母屋の壁と密着させている

 

Case02 できるだけ幅を小さくした植物ディスプレイ用のツイン式カバー

左の室外機背面には母屋の窓があるため、右のカバーよりも背板が低くなっている

 

<DATA>
Tさん(ブリーダー)
DIY歴…不明
製作日数…3日
製作費用…約1万円

 

Tさんの自宅にある室外機は2台横に並んでおり、市販のカバーをそのまま置いてしまうと脇の通路が狭くなってしまうので、角材と1×4材でぴったりサイズのカバーを製作。背板は高くし、観葉植物などを置ける棚をつけた。なお、背板はカバーとガッチリ固定すると重くなって取りはずしが大変なので、L字金具で1カ所だけ固定している。

 

できるだけカバーの幅が小さくなるように側板は丸くカットし、室外機の出っ張りと出幅を合わせた

 

*掲載データは2014年8月時のものです。

壁をぶち抜いてキッチンとリビングをつなげたらとっても快適だった!/DIYで壁リノベーション!

ほんのちょっと手を加えるだけで部屋の印象ががらりと変わる「壁」。壁紙を変えて一新させるもよし、思い切って間取りを変えてもいい。実行に移せば1、2、3で、思い描いた部屋になっているかも!

 

File9「取り壊す」編 M邸のDIY壁リノベーション

壁を抜いて開放的な空間になったキッチン&リビング。アーチも印象的だ。天井は白い水性塗料で塗り、壁は漆喰で仕上げた

 

古民家好きのMさん。住まいは当然古民家だ。しかし、現在住む古民家は以前から退去することが決まっており、3年ほど前に引っ越し先を探し、出合ったのが目下リノベーション中のこの家。

築63年の古民家で、「4年後(探した当時)に住む家」と目標を掲げ、MさんがほぼひとりでDIYしている。

60年以上前に建てられただけに、間取りも古い。キッチンとリビングが壁で仕切られていて、部屋が狭く感じるし、また暗かった。開放的な空間にするため、思い切って壁をぶち抜くことにした。

壁はハンマーやバールを使って破壊。柱に接合されていた胴縁はノコギリで切り、壁上部にあった鴨居と欄間も撤去した。その後、鴨居と欄間があった部分にアーチを製作。アーチ形に切った合板を、回り縁と柱に取り付け、それに漆喰を塗って仕上げた。和風の部屋が見事洋風建築風の空間に変身!

 

アーチの型枠と柱、床と柱の境目はモールディングで隠した

 

<DATA>
Mさん(40歳)/DIY歴…12年
製作期間…3年(実働3カ月)
製作費用…約30万円(ほかの部屋も含む)
住宅形態…戸建て(築63年)

 

製作ダイジェスト

使用した主な道具…ハンマー、バール、ノコギリ、インパクトドライバー、丸ノコ、ジグソー、サンダー、充電式タッカー、クギ打ち機、カッター、ボードヤスリ、メジャー、コテ、コテ板

 

<壁を壊す>

 

<アーチ作り&壁面の仕上げ>

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

*掲載データは2015年10月時のものです。

毎朝、美味しい卵をいただこう!ニワトリ小屋の作り方/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(8)

早朝、ニワトリ小屋で産みたての卵を見つけたときの充実感!奇跡のような、まっ白な楕円の球体を手に取ってみると、ほのかにあたたかくて、まだ生命が宿っているのがわかる。そんな感性も田舎暮らしで培われるのだ。今回は正しいニワトリ小屋を作る話。

 

いい加減に作るとあとで後悔する。それがニワトリ小屋だ。では、どんな作りにすればいいのか? それを知るために、実際にニワトリ小屋を自作している里山の先輩たちに話を聞いてみた。

 

case1 Sさんのニワトリ小屋

まず、30年前から、千葉県いすみ市で「自給自足」の農業を目指してきたS夫妻。米や野菜を作るかたわら、20年前からはニワトリ小屋を自作し、その後、失敗と進化を重ね、「何棟作ったか忘れた」くらい、たくさんのニワトリ小屋を作ってきた。

 

ひさしが張り出し、雨水が吹き込むのを防ぐ。網は細めのチキンワイヤーネット。板を16cmほど地中に埋めて、イタチの侵入に備えている

 

 

産卵箱

 

case2 Aさんのニワトリ小屋

続いて、10年前、都内から千葉県大多喜町に移住し、里山暮らしをしながらクラフト製作を行なっているAさん夫妻。Aさん夫妻は、3年前、隣の家から若いニワトリのヒナをもらったことがきっかけになってニワトリを飼い始めた。

 

奥行き2800mm、幅2000mmの小屋に現在オス1羽、メス3羽。十分な広さだ

 

 

奥の部屋と手前の運動場の2室構成(A邸)。奥の部屋の床はコンクリート敷きの上にモミ殻を敷いている

 

case3 Nさんのニワトリ小屋

そしてもうひとりが、やはり千葉県市原市の里山で、ニワトリを飼っているNさん(80歳)だ。元宮大工で、小屋作りはお手のもの。

 

チキンワイヤーネットの下半分はホームセンターで見つけたプラスチックの網が張られ、二重になっている。基礎はみかげ石を布基礎のように並べている

 

 

産卵箱(N邸)。中にワラが敷かれている

 

中は2部屋に分かれており、連絡口で行き来できる。ケンカをしたりイジメがあるときは連絡口を塞ぐ

 

時々外へ出して運動させるが、タカやトンビに狙われるので注意しなければならないとか

 

必要な設備は…?

彼らの話を総合したアドバイスをまとめてみると…。

まず止まり木。夜はここで寝る。高さは1.8mくらいあってもいい。ニワトリはけっこう高く飛ぶらしい。次にエサ箱と給水器。太いモウソウダケの半割なんかを容器にしてもいい。給水器は空き瓶を利用した自作がおすすめ。また産卵箱も必要。これはメスが卵を産む場所。外からの視界を遮る壁を作り、下にモミ殻などを敷く。

 

夜ニワトリがゆっくり休める止まり木は必要な設備。高い所に設置しても大丈夫

 

産卵箱の例。合板で作り、モミ殻を敷いている

 

・部屋を分ける?
世代の違うニワトリを同じ場所で飼ってはダメ。ケンカをして傷ついたり、イジメで死んだりする。世代に合わせて、2、3室あると便利。

・広さは…?
高さは人が中に入って掃除などの作業をしやすくするために2mはほしい。床面積は広ければ広いほどいいだろうが、できれば5羽あたりで1.8×1.8mはほしい。

 

室内は2mほどの高さがほしい。人が立った状態で世話ができる

 

網の下半分を縦格子の竹を張って強化している例

 

・網フェンスは…?
菱形の網は野犬などに壊されやすいから駄目。チキンワイヤーネット(亀甲形の目の細かい網)を張り、ヘビ(アオダイショウやシマヘビ)の侵入に備えたい。2.5cm径の網目を抜けてヘビが入ってくることもある。また、網フェンスの下半分は竹を縦格子状に張って強化したり、二重にして、野犬やハクビシンに備える。ネットはできればステンレスかコーティングされたものがいい。ビニール膜のものは弱い。

・基礎は…?
イタチ除けのために、周囲の地べたを掘って、板やブロックを15cm以上埋め込む。生コンを打ち、ブロックを深めに埋めて布基礎にすれば完璧。

 

チキンワイヤーネットと呼ばれる網を使う。なるべく目の細かいもの

 

 

・すき間は塞ぐ
野ネズミやヘビ対策のため、すき間を見つけたらすみやかに塞ぐ。

・湿気はダメ、暑さもダメ
風通しをよくし、湿気を防ぐ。グチャグチャは禁物。雨除けのひさしはほしい。清潔を保つために小屋の中はこまめに掃除をする。夏の日陰を作るために、小屋のそばに落葉樹を植える。

・運動場はほしいが
ヒナや若いニワトリをタカやカラスが狙うので、囲いだけでなく、天井に防鳥ネットをかける。野鳥との接触も避けられ、鳥インフルエンザ対策にもなる。

 

水が入った空き瓶を逆さにして容器に入れるだけで、適当な給水器ができる

 

エサ箱の例。雨ドイを利用している

 

 

取材・文◎脇野修平

*掲載データは2015年6月時のものです。

 

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ドゥーパ!創刊編集長、脇野修平が20年間のDIY雑誌のロケ体験、取材体験、施工体験を綴った書籍『庭遊びの達人が教える 野外DIY実践術』が好評発売中。約40点の面白作品の施工レシピや思い出コラムなど、本誌読者には見逃せない内容だ。カラー176ページ、学研プラス刊。本体2000円+税

書斎コーナーの仕切り壁&現状回復OKなテレビ固定用の壁の作り方/DIYで壁リノベーション!

ほんのちょっと手を加えるだけで部屋の印象ががらりと変わる「壁」。壁紙を変えて一新させるもよし、思い切って間取りを変えてもいい。実行に移せば1、2、3で、思い描いた部屋になっているかも!

 

File9「作る」編 K邸のDIY壁リノベーション

キャットウォークを兼ねた書斎コーナーの仕切り壁。手前右の壁に固定されたオレンジの板は猫の踏み板。カーペットでくつろぐ愛猫も書斎の壁を愛用している

 

10年ほど前、ほぼひとりで自宅マンションの大規模なDIYリノベーションを行なったKさん。その一環で製作したのがこの書斎コーナー。コの字形に立てた壁はキャットウォークも兼ねており、壁上は猫が不自由なく歩けるすき間を確保している。壁が天井まで密着しておらず、開放感ある見た目だが、中に入るとほぼ個室。存分に集中力を発揮できるとか。

 

リフォーム前の様子。この壁と敷居、畳を撤去した

 

壁の骨組みができたところ。写真右の壁が本棚になっており、壁が安定して立つ。この後、壁下地材を張り、珪藻土を塗って仕上げた

 

File10「作る」編 S邸のDIY壁リノベーション

ウッドタイルがかっこいい壁。テレビのほかに収納も柱に取り付け、スッキリとした印象

 

DIYのきっかけは「賃貸でもテレビを壁にかけたい」だった。設置できる壁がないなら作ればいいと、2×4材で柱を作ることができるパーツ(ディアウォール)を活用して壁を作ることに。

作業は柱の設置から開始。ディアウォールで柱を4本立て、テレビと収納を仮組みし、取り付け位置を決める。位置が決まったら壁材を張る。壁材は木片で作ったウッドタイルを張りつけた合板。壁材を張り終えたら、テレビ&収納を取り付ける。

思い描いたとおりに壁にテレビを固定でき、さらに部屋のアクセントになるウッドタイル張りのモダンな壁まで誕生した!

 

 

Sさんの製作ダイジェスト

01 まず柱を4本立てる。テレビと収納を仮設置して墨つけする。このとき配線なども整理しておく

 

02 柱に壁材(ウッドタイルを張った合板)を張り付ける。壁材はディアウォールを隠せるように張った(前述図参照)

*掲載データは2015年10月時のものです。

壁にニッチを作って飾り棚や収納棚を設置してみた/DIYで壁リノベーション!

ほんのちょっと手を加えるだけで部屋の印象ががらりと変わる「壁」。壁紙を変えて一新させるもよし、思い切って間取りを変えてもいい。実行に移せば1、2、3で、思い描いた部屋になっているかも!

 

File8「切り抜く」編 H邸のDIY壁リノベーション

キッチンの仕切り壁に作ったニッチ。奥行が45mmしかないため、飾り棚として活用している

 

写真右側にあるのがキッチンのニッチ。仕切り壁は引き戸の戸袋も兼ねている。冷蔵庫横のすき間収納もHさんのDIY

 

結婚を機に築28年の実家を譲り受けたHさん。家が古いからこそ好きなようにDIYリノベーションできると、以前から憧れていたニッチを作ることに。

ニッチは壁の一部分をくぼませて作る飾り棚のこと。2本の間柱を探し出し、その間に作る。ただし、スジカイの入った壁(耐力壁)に作るのは避けたほうが無難。耐力壁の位置は自宅の図面で確認してみよう。

Hさんが作ったニッチはトイレの壁面とキッチンの仕切り壁。間柱の位置を見つけて、開口部を墨つけし、ドリルドライバーで壁に穴をあける。そこを起点に石膏ボード用のカッターで開口していく。開口したサイズに合わせて側板、底板、上板を用意し、それらを取り付けたらほぼ完成。Hさんは見栄えよくするため、漆喰を塗って仕上げた。

 

<DATA>
Hさん(32歳)/DIY歴…4年
製作期間…2日
製作費用…1500円程度
住宅形態…戸建て(築28年)

 

製作ダイジェスト

使用した主な道具…サシガネ、下地探し、ドライバードリル、石膏ボード用カッター、木工用接着剤、カッター(ここでは漆喰の下地に使った壁紙に使用した)、中塗りコテ

 

<間柱を探して壁を切り抜く>

 

<開口部に板を張り、化粧する>

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

*掲載データは2015年10月時のものです。

 

「廃油ストーブ」って知ってる?エコなストーブの構造・秘密を大公開!

ストーブとひと口に言っても、シンプルなものからマニアックなものまでさまざま。そんな多種多様なストーブの中から、燃料は廃油でOK!という、エコな廃油ストーブを見事に自作することに成功したAさんの事例を紹介。

 

鉄管を燃焼筒にした廃油ストーブ。その小ぶりな姿とは裏腹に、強烈な輻射熱を放出する

 

廃油ストーブは、天ぷら油・エンジンオイル・ギアオイル等、本来使った後、廃棄処分される油を燃料に、表面温度が500℃以上まで上がるハイパワーのストーブだ。廃油を手に入れることのできる環境であれば、燃料代はタダ! 気になるその構造だが、燃焼室内に燃料を送る供給管と送風管がついていることがポイント。廃油は灯油よりも燃焼しづらいため、空気を送り込むことによって、燃焼を持続させる。

今回紹介しているAさんの場合は、この燃料供給管に中古のダイヤフラム式薬注ポンプを使用。シロッコファンと組み合わせることによって、見事、自作の廃油ストーブを完成させた。

 

<Aさんの廃油ストーブ構造図>

 

このストーブは温度が急激に上がるのと、廃油で周囲が汚れる可能性があるため、土間やコンクリートの作業場で使用するのがベスト。なお家の廃油天ぷら油などはペットボトルに燃料として保管。「燃料は1日に約10L使うので、1年間ためた天ぷら油もあっという間に無くなりますがそのまま固めて捨てるより有効活用できていると思います」とのこと。

 

燃料を供給するポンプと空気を送風するエアーパイプがついているのが大きな特徴

 

製作には溶接のテクニックが必要となり、ハードルも高いが、このユニークな構造のストーブ、火遊び好きのあなたも挑戦してみてはいかが?

 

<廃油ストーブの各パーツ>

燃焼筒
燃焼筒にはサイズ300Aの鉄管を使用。厚さは7mm、直径は318.5mm

 

燃焼筒の底には9mm厚の鉄板を使用。厚みがあるので、一度温まると冷めにくい

 

エアーパイプ
エアーパイプは鉄板とステンレスで自作。青くきれいな炎を実現させるため、穴の数と位置、大きさ等のバランスにこだわり、何度も作っては燃焼テストを繰り返した

 

ポンプ
燃料供給にはダイヤフラム式薬注ポンプを使用。中古品を1万5000円で購入。ダイヤルで出力を0~100%に調整可能で、1分間に7~75mlの範囲で正確な燃料の供給ができる

 

<ストーブ点火の手順>

1◎100㏄程度の灯油と少量のガソリン等、揮発性の高い燃料を投入。そこに着火した固形燃料を入れてプレヒートし、燃焼筒の中の温度を上げる。このとき少々煙が上がる。

2◎廃油のポンプを起動して燃料を注入開始。同時にシロッコファンのスイッチを入れ送風も開始。燃えて高温になった廃油はガス化、供給された空気で二次燃焼を起こす。

点火後、ストーブの中はエアーパイプから出る空気で渦巻き状の上昇気流ができる。この時点では、まだ内部の温度が低く、燃料供給も少ない状態

 

ストーブ内部の燃焼が安定した状態。ガス化した廃油は供給された空気で二次燃焼を起こし、青い炎として噴き出す。この状態になると煙も臭いも出ない。Aさんはこの青い炎で燃やすことにこだわった

 

燃焼時は外側も真っ赤になるほど温度が上がる。冬の寒い工場もしっかり暖める高性能のストーブだ

*掲載データは2015年10月時のものです。

サトヤマの田畑を守れ!イノシシ撃退の手作り新兵器を発見!?/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(6)

里山で、日夜繰り広げられている熾烈な闘い。それが獣害対策だ。なかでも対イノシシ戦がすごい! トタンやワイヤーメッシュを立て、電流を流した柵を張り巡らせる。しかし、それでもイノシシはやってくる。そこで立ち上がったのが、手作りの新兵器をひっさげたアイデアマンだった。カモン、イノシシ!ワシが相手じゃあ!

 

 

ひと工夫必要な防止柵

街の人にはピンと来ないかもしれないが、里山の獣害は深刻だ。とくにここ数年、西から東に向かって広がっているというイノシシの被害は甚大で、ドゥーパ!のガーデンスタジオのある千葉県の場合を見ても、農作物の被害額が約1億7000万円(2013年度、千葉県の農村環境整備課調べ)にものぼっている。千葉県の場合は、サルやシカ、ハクビシン、アライグマなどと比べて、イノシシの被害が飛び抜けて多いのだ。

原因はいろいろあるが、人口減少に伴う、里山の耕作放棄地が増えて、イノシシの生息圏が、餌が豊富にある里山に広がったことが大きいらしい。それに、狩猟人口(免許保持者)の激減が輪をかけた。

とにかく、イノシシをなんとかせにゃならん!というわけで、防止柵で田畑を囲ったり、ワナ(箱ワナやくくりワナ)をかけたり、イノシシの嫌がる臭いをばらまいたり(忌避剤散布)、涙ぐましい対抗策をとってきた。柵については、トタン板、ワイヤーメッシュ、ネット、有刺鉄線、電気柵など、さまざまなバリエーションがあるが、柵の周りの草むらを刈り取って視界をよくしたり、柵を高くしたり、柵の足元をジャンプしにくくしたりと、いろいろな工夫をする必要があるという。また、一番効果があるといわれる電気柵は、最近では太陽光パネルを利用したものがポピュラーになってきている。実際「電気柵をセットしてから被害がなくなった」という農業従事者の声も多く聞いた。

 

 

ワイヤーに触れると雷管が爆発……!

しかし「電気柵じゃあダメ!」と声をあげた人がいる。

Nさん(71歳、農園主)。13年前、それまで営んでいた自動車修理業を息子にまかせ、実家のあった今の土地に戻って、稲作を始めた。そこでイノシシ被害の洗礼を受ける。

「電気柵は万全じゃない。柵のそばにある下草や竹の子が伸びて電線に触れて漏電したり、イノシシが触れても効果がないことも多い」(Nさん)

電気柵とは、軽い電気ショックでイノシシを脅かして侵入を防ぐもので、100Vあるいは12Vバッテリーを電源とするパワーユニット(電気牧柵器)と接続した電線にイノシシが触れるとイノシシの体に電流が流れてイノシシを威嚇&撃退する仕掛け。ただし、電線に下草などが触れると漏電して効果が薄くなったり、電線にイノシシの毛深い部位が触れても効果がなかったり(鼻先に触れないとショックを与えにくい)、飛び上がった状態では(イノシシの足が地面に触れていない状態)通電しなかったりして、100%の撃退は難しいという。

 

太陽光発電による電気牧柵器を設置した電気柵。プラス端子を柵に、マイナス端子をアースして電流を流す。柵の周囲はイノシシが嫌がるように視界を広くするのが理想的

 

電線に笹や竹などが触れて漏電している状態。これはよく見かける

 

「これを作ってからイノシシが来なくなった」とNさん(市原市の自宅そばの畑で)

 

で、どうするのか。長年の自動車修理で得たメカの知識と溶接技術などを持っているNさんが、試行錯誤の末、行き着いたのが、鉄パイプや鉄板、スプリング、それに競技用の雷管(スポーツの競技会で使うスタート用の雷管)を使った「イノシシ撃退用爆発装置」だ(後述参照)。

細いワイヤーと連結させ、ワイヤーが引っ張られると撃鉄のストッパーが外れ、雷管が爆発する。ワイヤーを田畑の周囲に張り巡らし、ポイントにこの爆発装置をセットしておく。イノシシが中に入ろうとワイヤーに触れて動くと爆発する仕掛けだ。深閑とした田畑のなかで響き渡るものすごい音。爆発音は、運動会の徒競走を思い起こせばわかるはずだ。それに爆発後の火薬の臭いも獣は嫌がる。

 

雷管をセットし、畑にスタンバイしている状態。イノシシの侵入により、ワイヤーが引っ張られるとトリガー①が動き、続いてトリガー②のストッパー機能が外れ、筒のなかのスプリングが伸びて、撃鉄が雷管に当たる。スプリング①が伸びた状態でスタンバイしているので、ワイヤーのちょっとした動きでもトリガーが反応する

 

 

Nさんによれば、イノシシだけでなく、ハクビシンやカラスにも効くという。夕暮れ時、セットした装置が爆発するのを何度も聞いた。確かに、電気柵と比べて、シンプルで安価、効果もある。当然ほかの人にも使ってもらいたいから、商品化を考える。

Nさんは、昨年9月「鳥獣威嚇撃退装置」の実用新案を出願し、同11月に登録を終えている。溶接や金属加工の技術を持っている人なら手作りも可能だろうが、めんどうならNさんが準備中の「鳥獣威嚇撃退装置」の発売を待てばいい。商品名は「イノハイター」と命名するそうだが、どうせなら「シシオドシ」ならぬ「イノシシオドシ」にしてほしかった…(ダメかな)。

 

これが雷管(上)。「競技用紙雷管」として市販されている。これを木ネジの頭に当て、ビニールで包んで輪ゴムで固定する(下)。これをセットする

取材・文◎脇野修平/イラスト◎丸山孝広/取材協力◎いすみ環境と文化の里
参考文献◎「イノシシから田畑を守る」(江口祐輔著 農文協刊)

*掲載データは2014年4月時のものです。

 

『庭遊びの達人が教える野外DIY実践術』好評発売中!

ドゥーパ!創刊編集長、脇野修平が20年間のDIY雑誌のロケ体験、取材体験、施工体験を綴った書籍『庭遊びの達人が教える 野外DIY実践術』が好評発売中。約40点の面白作品の施工レシピや思い出コラムなど、本誌読者には見逃せない内容だ。カラー176ページ、学研プラス刊。本体2000円+税

家族が心地よく住めるように壁を作って間取りを変えてみた/DIYで壁リノベーション!

ほんのちょっと手を加えるだけで部屋の印象ががらりと変わる「壁」。壁紙を変えて一新させるもよし、思い切って間取りを変えてもいい。実行に移せば1、2、3で、思い描いた部屋になっているかも!

 

File7「作る」編 T邸のDIY壁リノベーション

明かり取りのガラスがはめ込まれた壁。ガラスは引き戸に使われていたものを使った。下部には猫の抜け穴が作られている

 

右下の開口部は愛猫のための窓

 

Tさん一家は、夫婦とお子さんふたりの4人家族。平成20年に賃貸住宅を引き払い、中古の家を購入した。

「予算的に難しいというのもあったけど、新築は意見がまとまらずあきらめた」と奥さんは笑う。古い家だから躊躇なく好きなように変えていけるのはよかったそう。

DIYリノベーションは家族総出で行なった。その過程で壁を作ったり、壊したりして間取りを変えている。特に多かったのが壁作り。お子さんの部屋、台所の壁、トイレの壁など。

作り方は、柱を立て、胴縁を固定して壁の骨組みを作る。そこに石膏ボードや合板を張って壁本体を作るというもの。Tさんは、仕上げに珪藻土を塗った。

こうして壁を作って変えた今の間取りはTさん家族にとって、最適なものになっている。

 

前述の新設した壁は写真右端の部分。以前の間取りでは正面の開口されている部分に壁があった。キッチンが薄暗かったため壁を壊した。右の壁を作ったところにはガラス戸があった

 

子供部屋。ここの壁も新たに作った。以前は壁の部分が引き戸だった

 

<DATA>
Tさん夫婦/DIY歴…8年
製作期間…2日(この壁のみ)
製作費用…1万円以下(この壁のみ)
住宅形態…戸建て(築38年)

 

製作ダイジェスト

使用した主な道具…インパクトドライバー、丸ノコ、ノコギリ、メジャー、サシガネなど

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

*掲載データは2015年10月時のものです。

墨を入れた漆喰でコンクリートっぽい壁を作ってみた/DIYで壁リノベーション!

ほんのちょっと手を加えるだけで部屋の印象ががらりと変わる「壁」。壁紙を変えて一新させるもよし、思い切って間取りを変えてもいい。実行に移せば1、2、3で、思い描いた部屋になっているかも!

 

File6「塗る」編 S邸のDIY壁リノベーション

コンクリート風に仕上がった壁。アイアンのハンギングバーやフックとの相性もバッチリ!

 

吊り戸棚の戸に黒板壁紙(ジョイフル本田で購入)を張っている。冷蔵庫を隠す壁もSさんのDIY。漆喰を塗って仕上げた

 

<DATA>
Sさん(34歳)/DIY歴…6年
製作期間…半年(実働3カ月※壁塗り以外も含む)
製作費用…約4万円
住宅形態…戸建て(築7年)

 

 

Sさんの家は建売住宅で、「いろんなところが好みじゃなかった」と言う。好きな空間に変えるため、入居当初から洗面所、寝室などをセルフリノベーションしてきた。

このキッチンリノベは、娘さんのために始めたそう。「お手伝いしたいと言ってるのに作業台が狭くて、なんとかしたいなと思いました」とSさん。

レストランの厨房をモチーフにDIYスタート。まず大きな食器棚を撤去し、シンク上に取り付けられていた吊り戸棚を移設。その真下に作業台兼棚を作った。吊り戸棚と作業台の間の壁はコンクリートっぽくしたい!と、漆喰(うま~くヌレール)に墨汁を混ぜたものを塗っている。

さらに冷蔵庫を業務用風にしたいと銀色に塗装。厨房感満載のキッチンに仕上がっている。

 

製作ダイジェスト

使用した主な道具…コテ、コテ板、ウエスなど *吊り戸棚や棚作りに使用した道具は省略

 

<棚の移設と棚作り>

 

<漆喰を塗る>

 

壁塗りの基本テクニック

平面仕上げは自由に塗ることができ、DIYに最適。作業は、大胆なコテ使いで広範囲に塗り広げることを意識しながら行なうといい。なお、高い場所から塗り始めるのが壁塗りの基本。また、右利きの場合は、左から右へ作業を進めるとやりやすい。

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

*掲載データは2015年10月時のものです。

使用レンガは1400個!ダイナミックな手作りペチカ/手作りストーブ大全

古民家カフェの中央に据えられたペチカ。このどっしりとした存在感は壁暖房のペチカならでは

 

ストーブを熱源にしたダイナミックなペチカを作ったのは、古民家を改装したカフェを経営するKさん。仕事が終わった後、コツコツとレンガを積み上げること1年半。今ではわざわざ見学に訪れる人もいるという、味のあるペチカを完成させた。
ペチカとはロシアで多く見られる暖房システム。壁の内部に排煙道を作り、ストーブから発生した熱を蓄熱させ、輻射熱で部屋を暖める、いわば壁暖房システムだ。

 

ペチカを温める熱源には薪ストーブを使用

ペチカの製作は古民家の床板を剥がすところからスタート。根太や骨組みに干渉しないスペースをペチカの設置位置に決め、コンクリートで基礎打ち。これがしっかり固まったら、あとはレンガをひたすら積み上げていくだけ。これが気が遠くなるような作業だったようで、「よく終わらせたと思います」と思わず笑うKさん。時間と手間を惜しまないDIYだからこそ、完成した作品だ。

 

 

<DATA>
Kさん(37歳)/自営業/DIY歴…8年
製作費用…約20万円(ほぼレンガ代)
製作期間…約1年半
熱源…薪ストーブ
メンテナンスの頻度…年に1度、シーズン前に煙道、煙突内部を掃除する

 

料理用の鉄板をカットして作ったというダンパー。手前が煙道用、奥が煙突用

 

ペチカ本体には側面と上部、計4点の点検口を設置。フタには縞鋼板を利用

 

メンテナンスの際は、角材の先端に板材を取り付けた自作道具でススをかき出す

 

ペチカの背面。使用したレンガはすべてホームセンターで購入。1個50円のセールになった際、まとめて買うことを繰り返したそう

 

垂直に伸びる煙突。上部にはメンテナンス用の点検口がついている

 

実は煙突、2階まで延びてます

天井へ高く延びるペチカの煙突。実はこの先にあるのは屋根ではなく、古民家の2階。当然、煙突は天井をぶち抜き、2階を通過。そこから屋根まで垂直に抜けている。煙突を横に逃がさず、高さ約5.5mまでレンガを積み上げた木村さん。その愚直な施工スタイルにはただただ驚くばかり…。

屋根から突き出たステンレスの煙突が、ペチカの煙道の最終地点

 

2階に突き出た煙突の姿

 

写真◎田里弐裸衣

*掲載データは2015年10月時のものです。

壁紙を張って和室を洋室に変える/DIYで壁リノベーション!

ほんのちょっと手を加えるだけで部屋の印象ががらりと変わる「壁」。壁紙を変えて一新させるもよし、思い切って間取りを変えてもいい。実行に移せば1、2、3で、思い描いた部屋になっているかも!

 

File5「張る」編 nao&hiro邸のDIY壁リノベーション

夫婦の寝室。襖にはシャビーな雰囲気の板壁の壁紙を張っている。鴨居や敷居の塗装もDIY

 

<DATA>
naoさん&hiroさんご夫婦/DIY歴…ほぼ初めて
製作期間…実働2カ月
製作費用…約13万円
住宅形態…マンション(築22年)

 

廊下に面した引き戸(上面図参照)に、飾り棚を兼ねた戸袋をDIYした

 

飾り棚を兼ねた戸袋に使用した材はサネ加工された壁材。棚板を固定し、雑誌や小物を飾っている

 

 

naoさんとhiroさんは、ご夫婦と大学生になる息子さんの3人暮らし。住まいは3LDKのマンション。年頃の息子さんにプライベートな空間をと、夫婦が寝室として使っていた洋室を譲ることにした。

ふたりの新しい寝室になるのが和室。それをDIYで洋室に改造しようと思い立つ。テーマはブルックリンスタイル。とはいえ、壁全体にブリックタイルを張るのは難儀。そこで、資材にはレンガ柄の壁紙を選んだ。

壁紙張りは、1枚目を張ったら、それを基準に2枚目を張っていく。ただ、レンガ柄は縦横に目地がある。これを可能な限りキレイな水平&垂直に仕上げたかったという。そのため、何度も慎重にチェックしながら作業を行なった。その甲斐あって、壁紙はパーフェクトな仕上がりになっている!

 

製作ダイジェスト

使用した主な道具…撫でバケ、地ベラ、ジョイントローラー、ハサミ、スポンジ、カッターなど

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

*掲載データは2015年10月時のものです。

超簡単にレンガ調の壁に変身させた壁面2選/DIYで壁リノベーション!

もっと簡単にブリックタイルを張ったり、意外な材料でブリックタイルを作る方法がある!そんなふたつのブリックタイルアイデアを紹介したい。

 

File3「張る」編 M邸のDIY壁リノベーション

愛猫による爪とぎキズをあっという間に補修

愛猫なっちゃんと補修された壁

 

猫の爪とぎスポットに陥りやすい壁の角。Mさんの壁は新築購入からわずか1年でターゲットになってしまった。インターネットで補修資材を探し、猫雑誌にも紹介されていた両面テープで簡単に張れるブリックタイルを発見。これは最適!と購入。5カ所ほどあったキズがわずか1時間で補修された。壁のアクセントにもなり、Mさんも大満足!

 

Before。キズをつけられてしまった壁。このようなキズが5カ所あったそう

 

After。レンガ敷きの敷きパターンのひとつであるハーフバスケット風に張られている

 

File4「張る」編 A邸のDIY壁リノベーション

100円ショップのカラーボードでレンガ風の壁ができる!

壁張り専用タイプの両面テープで壁に張った

 

カラーボードは板状の発泡スチロールのこと。この材で作られたレンガ風の壁をインターネットで発見し、「数百円でできるならやるしかない!」とDIY。カラーボードに下書きし、下書きに沿ってハンダゴテで溶かすだけ。ただし、作業中は臭いが出るので屋外作業がおすすめだそう。

 

<製作ダイジェスト>

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

*掲載データは2015年10月時のものです。

古民家レストランに作られた床下も暖まるロケットストーブ/手作りストーブ大全

一見ストーブには見えない、アーティスティックな雰囲気のストーブ。炉壁のみならず、建物の壁もレンガ造りで、熱をしっかりガードする

 

ロケットストーブの先には漆喰で仕上げられた、長さ6mのヒートベンチを製作

 

山梨県の山あいの村で古民家レストラン「キッチンオハナ」を経営するIさん。以前、薪と炭だけで料理を作るというレストランで働いていた経験から、ロケットストーブの熱効率の良さに着目。自分のお店にヒートベンチタイプのストーブを自作し、店舗の暖房として使用中だ。

ストーブ本体はワークショップを開催し、日本中から集まった延べ20人で作られたそうで、その参加人数から関心の高さがうかがえる。鳥のさえずりが聞こえてくるようなかわいらしいストーブカバーは、鍛鉄作家にオーダーしたもので、古民家レストランの雰囲気に合うデザイン性にもこだわった。

ストーブの排熱を利用したヒートベンチは粘土、漆喰など、自然素材を塗り重ねて、プロの左官職人と作り上げたもの。古いかまど作りの左官技術を応用したという、その柔らかくも光沢のある座面と背もたれは、ロケットストーブの造形の自由さを感じさせる仕上がりとなっている。

 

<DATA>
Iさん(31歳)/自営業/DIY歴…2年
製作費用…約60万円(ストーブ本体は2万円)
製作期間…約1年半
焚き口…U字溝(サイズ180mm)
燃焼室…U字溝(サイズ180mm)
燃焼筒…U字溝(サイズ180mm)
メンテナンスの頻度…煙突掃除が不要なほどススがたまらない

 

燃焼室と燃焼筒はサイズ180mmのU字溝を組み合わせて製作。100Lのドラム缶との間にパーライトと粘土を水でこねたものを詰めて断熱する

 

断熱した燃焼筒の上部は、耐火モルタルですり鉢状に仕上げる。ここで気体が膨張し、急激に冷やされ、ダウンドラフトする仕組み

 

ストーブの外装は、秩父の鍛鉄作家・西田光男さんによるデザイン。森を感じさせる切り株風

 

トーブ点火時は焚き口に細く割いた薪を詰め、新聞紙で着火

 

ストーブの炎が安定してきたら、太い薪を投入。写真のように、ナタでささくれを作っておくと燃えやすい

 

Iさんのロケットストーブの最大の特長は、ヒートベンチ下のダクト配管だ。メインとなるベンチ下のダクトのほかに、床下に細い径のダクトをバイパスのように2本延ばすことで、床暖房の役割も果たしている。レストランに長時間滞在するお客さんのことを想定した、Iさんらしいアイデアだ。

ストーブおよびヒートベンチの設置場所は土間。床下にはスコリアという富士山から採れる断熱性のある溶岩石を敷き詰め、その上にコンクリートを打設。これに加え、表面を蓄熱性のある鉄平石で仕上げた床は、ストーブからの熱をしっかり保持して逃がさず、かつ火災が起きにくい防火構造にもなっている。

 

ベンガラで赤く色付けされた漆喰仕上げのヒートベンチ。ストーブに点火後、ベンチは35℃前後まで温まる

二次暖房のダクトの配管はバイパス式。写真の黒い砂がスコリア

 

スコリアの上には厚さ200mmのコンクリートを打設。この上に鉄平石を敷き、床の仕上げとした

 

何度もトライ&エラーを繰り返し、今も理想のストーブ作りを続けるIさんは、取材の最後にこう語った。

「薪ストーブを買って設置するのは楽だし、暖房だけなら灯油ストーブのほうが簡単。でも便利ではないものの中に、暮らしを豊かにする楽しみがあるように思うのです」

 

ヒートベンチを通過し、垂直に立ち上がる煙突。周囲を板材で覆っている理由は後述参照

 

垂直の煙突にはダンパーとメンテナンスのための点検口を設置

 

壁から室外に出た煙突の様子

 

垂直の煙突下部はレンガで囲われている。ここからヒートベンチ下のダクトのメンテナンスが可能

 

結露防止のオリジナル二重煙突

ロケットストーブは燃焼の際、燃やしたエネルギーを煙道の中で放出しながら進んでいく。結果、煙道が長ければ長いほど、最終的に排出される煙の温度が下がる。この煙の温度が下がりすぎると、煙突内部で結露が起こり、木酢液が垂れてくる。Iさんの場合、煙の温度が下がる煙道の最終コーナーをグラスウールでしっかりと断熱。木酢液の発生を防いでいる。

木材カバーの内部。煙突の周囲にグラスウールを巻きつけ、温度低下を防いでいる

 

写真◎田里弐裸衣、製作者提供

*掲載データは2015年10月時のものです。

ブリックタイルを張ってレンガ調の壁を表現/DIYで壁リノベーション!

ほんのちょっと手を加えるだけで部屋の印象ががらりと変わる「壁」。壁紙を変えて一新させるもよし、思い切って間取りを変えてもいい。実行に移せば1、2、3で、思い描いた部屋になっているかも!

 

File2「張る」編 F邸のDIY壁リノベーション

ブリックタイル上の壁は漆喰を塗った。リビングの空間に合うようにドアを白く塗装した

 

<DATA>
Fさん(41歳)/DIY歴…3年
製作期間…3週間
製作費用…約1万5000円
住宅形態…マンション(築12年)

 

目地は浅目地で仕上げた。アンティークレンガ風のブリックタイルによく似合う

 

Fさんの自宅は築12年のマンション。購入当時は、新築だったのでDIYしようとも思わなかったという。しかし、10年経ち、もう手を加えてもいいなとDIYを決意。

ブログや雑誌などでブリックタイルを張った壁の作例を見て、リビングの腰壁の材に採用することに。通販サイトなどで資材を物色し、アンティークレンガ風の白いブリックタイルをチョイス。

作業はシンプル。タイル用の接着剤をタイルに塗り、壁面に張るだけ。完全に接着されたところで、目地を埋めていけばOK。目地袋を使って目地を入れ、表面が少し乾いたら指で押し込んでならしていったそう。

 

製作ダイジェスト

使用した主な道具…金切りノコギリ、目地袋、ゴム手袋、ヘラなど

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

*掲載データは2015年10月時のものです。

間伐材で山の階段を作る/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(2)

房総の里山で週末DIYライフを実践している本誌スタッフの「したこと」「見たこと」「知ったこと」。里山新住民に捧げる連載2回目は、頼れる助っ人がどどっと押し寄せてきてやってくれちゃった「間伐材で階段作り」だ。マジ、オジサンパワー、ス、スゲー!

参加者全員で、できあがった山の階段を歩いてみました

 

頼れるボランティアグループ「市川里山整備隊」がやってきた!

編集部のDIY実践のベースとなっている房総いすみ市の森に、千葉県市川市のボランティアグループ「いちかわ里山整備隊」の面々がやってきた。同グループは、市川市の市民大学の受講生OBが集まり、受講後も地元の里山の維持活動を続けている総勢30名ほどの団体で、この日はこのうち9名の方たちが集まってくれた。リタイヤ世代が中心で、決して若くはないが、ファイト満々。チェンソーやカケヤ、枝切りバサミ、ヘルメットなどを持参し、この日は「間伐した材を使って、山道に階段を作る」と駆けつけてくれたのだ。

いすみの森は急斜面に雑木が密植し、昼なお暗く、その上、粘土質の土壌で、登り下りが大変。したがって間伐は緊急の課題なのだが、なかなか進まない。こうした助っ人部隊の登場は願ったりかなったりなのだ。

密植された木を間伐し、森を育てる。木を切ることが環境共生につながることも覚えておきたい

 

森で汗を流すことが本当に楽しそうな里山整備隊の面々。メンバーのほとんどはリタイヤ世代。現役時代は里山とは無縁なモーレツサラリーマンが多かったとか…

 

間伐の仕方

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山道の作り方

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急斜面に作った階段状の山道。これは、2本の杭によりかかる材を2本にして、土留め効果を高めている

 

間伐材の代わりに余っていた石材を土留めにして山道を作ってみた。これも悪くない

協力◎いちかわ里山整備隊/取材・文◎脇野修平

*掲載データは2013年12月時のものです。

 

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ドゥーパ!創刊編集長、脇野修平が20年間のDIY雑誌のロケ体験、取材体験、施工体験を綴った書籍『庭遊びの達人が教える 野外DIY実践術』が好評発売中。約40点の面白作品の施工レシピや思い出コラムなど、本誌読者には見逃せない内容だ。カラー176ページ、学研プラス刊。本体2000円+税

 

ロケットストーブ+薪ストーブ!3段構造の暖房システムで冬もぽっかぽか♪

H邸のストーブ全体像

 

Hさんの作った暖房システムはなんと3段構造! 土間に取り付けたロケットストーブから、室内に作ったレンガのヒートベンチを通過し、煙道末端に取り付けられた薪ストーブへ続く…というユニークなもの。その使い方だが、まず右側の薪ストーブで火を焚いて、煙突への上昇気流を起こし、ついでロケットストーブに点火し、ヒートベンチを温める…という手順で始動。ここではその詳しい構造を紹介していきたい。まずは、見た目はどこか懐かしいロケットで、その実、ピザも焼けてしまう(?)というユニークなロケットストーブをご覧あれ!

 

<DATA>
Hさん(62歳)/自営業/DIY歴…50年
製作費用…約30万円
製作期間…約3カ月
焚き口…鉄製の円筒
燃焼室…地中に埋設したトンネル
燃焼筒…U字溝
メンテナンスの頻度…年に一度、煙突を外して掃除する

 

1、ロケットストーブ

名前のとおり、今にも発射しそうなデザインのロケットストーブ。製作者であるHさんのおちゃめな一面が伺える

<H邸のロケットストーブ構造図>

土間に設置されたロケットストーブ。周囲を取り囲むレンガの壁も自分で積んだとのこと。全部で使用したレンガは1000個以上!

 

ストーブ着火時の様子。炎を眺めるのが好きなHさんは、燃焼室の一部に耐熱ガラスを使用。炎が引き込まれているのがよくわかる

 

鉄板で作った焼き室の上にアサヒキャスターを塗り付け、保温&ロケット型デザインを実現

 

ロケットストーブの上部につけられたピザ用の焼き室は、鉄板とカットした中華鍋を溶接して自作

 

2、ヒートベンチ

土間のロケットストーブと室内の薪ストーブをつなぐヒートベンチ。内部には3本のスパイラルダクトが配置されており、ダンパーを使って温度管理を行なう

 

<ヒートベンチの構造と熱の流れ>
ヒートベンチ全体を温めたいときは、熱がS字にダクトを回るようにダンパーAとCを閉める(上段イラスト参照)。ダンパーAとCをあけると、ダクト分岐部分で熱が一気に広がるので、分岐部分が一番温まり、先に進むにつれて温度が下がっていく(下段イラスト参照)。ベンチに寝転がって、足元部分だけ温めたい場合などにぴったり。ダンパーBは各ダクトの熱の流れの微調整に使う。

製作中の1枚。自宅フローリングの上にレンガを敷き詰め、ベンチの枠を作る

 

レンガで作った枠内にスパイラルダクトを3本配管する。ダクトの周囲とレンガの間にモルタルを詰めて、しっかり固定&断熱

 

仕上げにダクト上部にもレンガを敷き詰め、ヒートベンチの完成。この先に薪ストーブが続く

 

ダクトに取り付けたダンパーB。ダンパーのレバーを回すと、各ダクトのフタがあく仕組み

 

3、薪ストーブ

ロケットストーブから始まった煙道の最終コーナーに位置するのが薪ストーブ。石油ストーブ用耐熱ガラスから揺らめく美しい炎を眺めることができる

 

<H邸の薪ストーブ構造図>
Hさんがヒートベンチの先に薪ストーブを製作したのには大きな理由がある。というのも煙道が長いロケットストーブの場合、煙突末端の近くに焚き口を設け、ロケットストーブの点火前に上昇気流を作る必要があるからだ。最初にここで火を焚いて、煙突内部を温めると、排気方向への気流が生まれ、ストーブ全体の燃焼効率が上がるというわけだ。

 

ところで煙突ってどうなってるの?

H邸の煙突は、薪ストーブからほぼ垂直に上がり、いったん壁を抜け、屋外で屋根上までまっすぐ延びている。その高さは約8m。ヒートベンチのついた煙道の長いロケットストーブ単体であれば、ここまでの長さは必要ないが、薪ストーブ単体での使用も考慮し、この形に。なお、最低でも年に1回は煙突を取り外し、内部をきれいに掃除するそう。

壁からまっすぐ立ち上がる煙突はφ200mmのスパイラルダクトを塗装したものを使用

 

煙突から流れる雨や煙が冷やされて出る木酢液は、煙突底部に取り付けたドレンで回収。家庭菜園にまいて、園芸に使用する

 

写真◎清水良太郎、製作者提供

*掲載データは2015年10月時のものです。

味気ない壁を木装して山小屋風に変身/DIYで壁リノベーション!

ほんのちょっと手を加えるだけで部屋の印象ががらりと変わる「壁」。壁紙を変えて一新させるもよし、思い切って間取りを変えてもいい。実行に移せば1、2、3で、思い描いた部屋になっているかも!

 

File1「張る」編 H邸のDIY壁リノベーション

板材を横張りし、下見張り風に仕上げた。板材の樹種はスギ。赤みが強かったため白い色の塗料で拭き塗りした

 

<DATA>
Hさん(43歳)/DIY歴…4年
製作期間…1週間
製作費用…約1万8000円
住宅形態…戸建て(築7年)

 

キッチンを囲う壁を木装した。写真左の棚もHさんのDIY

 

壁紙から板壁へDIYリノベーションしたHさんは建築設計士。「本当は自分で自宅を設計したかったんです」とHさん。しかし、予算的に厳しかったため、建売住宅を購入することになった。

建売住宅は収納が少なかったりするそうで、収納は入居後すぐにDIY。ひと段落ついたところで、味気なかった白い壁紙を木装することにした。

 

キッチン入口部分。ニッチにブリキ波板を張った。ジャンクな雰囲気にしたかったのだとか

 

資材は安価で売られていた仕掛かり品と呼ばれる節穴などの処理がされていない厚さ5mmの板材。壁材に最適で見た目のジャンクな雰囲気にもひかれたそう。

作業は、まず壁紙&幅木の剥がしからスタート。その後はひたすら板材張り。接着剤を塗った板材を壁に張り、仮クギで打つ。接着剤が乾いたら仮クギを外すだけ。この簡単DIYで、あっという間に山小屋のような壁に変身させられるのだ!

 

棚受けを逆さに固定し、棚板を吊り下げるように取り付けた。飾り棚の板材は足場板

 

製作ダイジェスト

使用した主な道具…ペンチ、カナヅチ、バール、カッター、波板切りバサミなど

<壁に板材を張る>

<ニッチにブリキ波板を張る>

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*掲載データは2015年10月時のものです。

 

森のツルでかごを作る/新、田舎暮らし派、注目!サトヤマ通信(1)

房総の里山で、トライ&エラーを繰り返してきたドゥーパ!スタッフのD型行動は、留まることを知らない。森あり山あり仲間あり。「作る」を合い言葉に、今日もいけいけ、楽しいDIY! 里山新住民、必読の新連載、いよいよ発進!

 

ツルかご作りは、11~3月がベストシーズン

初冬の某週末。この日は房総・いすみ市の「ドゥーパ!ベース」に読者&編集スタッフが集まって、楽しいツルかごつくりのワークショップ。講師の大東悠子さんによれば、「山でツルを採るなら、ツルが休眠状態に入って虫がつきにくい11月から翌年の3月までがいい」とかで、いきなり山でツル採集に突入。木にからみつくツルをなるべく長く切り取る作業は、けっこうワイルドだけど、30分ほどで大量のツルをゲット!いい汗かきました。

急斜面でのツル採り。脚立、高枝切りバサミ、剪定バサミは必需品。ツルはなるべく長い状態で採集したい。太さもいろいろあると使いやすい

 

採集したツル。ビナンカズラ、フジ、クズ、アケビなど。ツルの種類は葉っぱで見分ける。採集したツルは、できればまだ柔らかいその日のうちにかご作りに使ったほうがいい。乾燥して硬くなってしまったら水につけて少し柔らかくしてから使う

 

<ツルかごの作り方>

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講師◎大東悠子(大人の野遊び塾主宰)/取材・文◎脇野修平

*掲載データは2013年10月時のものです。

 

『庭遊びの達人が教える野外DIY実践術』好評発売中!

ドゥーパ!創刊編集長、脇野修平が20年間のDIY雑誌のロケ体験、取材体験、施工体験を綴った書籍『庭遊びの達人が教える 野外DIY実践術』が好評発売中。約40点の面白作品の施工レシピや思い出コラムなど、本誌読者には見逃せない内容だ。カラー176ページ、学研プラス刊。本体2000円+税

長~く延びた煙突でしっかり部屋を暖める!市販品だけで製作可能なロケットストーブ

薪ストーブで暖を取ることが小さいころからの夢だったけれど、既製品はとてもじゃないけど手が出せない…そんなときにネットでロケットストーブの存在を知ったTさん。これなら工夫次第で安く、かつ燃費のいい暖房を作ることができそうと製作にトライ!

 

「ホームセンターで買える部材で、誰にでも作ることができるストーブ」をテーマに製作されたTさんのロケットストーブ

 

とはいえ、Tさんはストーブに関しては素人。まずは屋外でロケットストーブ本体のみを試作し、何度も点火実験を実施。燃焼の具合や煙突の温度、各パーツの耐久性を調べ、その都度改良。都合5回の改良を経て、現在の形に落ち着いた。

そんなTさんのロケットストーブの特長は室内に長く延ばされた煙突。シングル煙突に黒い耐火塗料を塗ることにより、燃焼筒で生まれた熱を余すところなく、室内に取り込むことに成功している(後述の温度分布図参照)。

 

Tさんのロケットストーブは、U字溝が本体なのでかなりコンパクト。サイズは幅850mm×奥行900mm

 

また「誰でも簡単に安く製作できる」をコンセプトにしたTさんのストーブは、部材をすべてホームセンターで調達可能。U字溝やステンレス煙突をはじめ、耐火セメント、パーライトなど、弊誌読者ならおなじみの材料で、低燃費の実用的なストーブを作ることができるのが魅力だ。

 

<T邸のストーブ構造図>*単位はmm

<DATA>
Tさん(31歳)/自営業/DIY歴…4年
製作費用…約6万円
製作期間…約2年
焚き口…Y字の送風ダクト
燃焼筒…耐火モルタルとパーライトを詰めたU字溝
メンテナンスの頻度…2カ月に一度、煙突を分解して掃除する

 

室内に6mほど引き延ばされた煙突。黒い耐熱塗料を塗っているのは、排熱の効率を上げるため。この煙突から出る輻射熱で室内を暖める

 

煙突から壁までの距離は200mm。壁には30mmほどの空気層を取り、ガルバ波板を張り付けて、遮熱板としている

 

焚き口にはY字の送風ダクトを使用(写真はストーブの試験中に自作したもの)

 

U字溝に焚き口のダクトを固定している様子。この後、周囲に耐火セメントとパーライトを混ぜたものを充填した(写真は試験中で、現在、真ん中の垂直に立つ煙突は使われていない)。斜めになっているのが、焚き口部分

 

焚き口と掃除口兼送風口の様子。耐火モルタルを塗りつけて固定している

 

【ストーブ燃焼中の表面温度分布図】

ロケットストーブ本体
薪ストーブの本体は300℃まで温度が上がるが、Tさんの場合、ストーブ本体温度は120~130℃ほど。そのため、薪ストーブほどは壁との距離もあけず、がっちりした炉壁も取り付けていない。暖房のメインは煙突からの輻射熱となる。

 

室内の煙突
室内に延ばした煙突から排熱され、室内を暖める。温度分布を見ると、いかに薪の熱を利用できているかがわかる。またエアコンの送風を併用すると、より効率よく熱を足元まで届けることが可能だ。

 

ロケットストーブの高火力で燃やされた灰はサラッサラで、通常の薪ストーブに比べ、出る灰の量も少ない。灰の掃除にはオタマを使用

 

気になるのは、自作のストーブを設置した際の事故や火災だが、Tさんの場合、ストーブ本体および、煙突の温度を入念にチェック。それに合わせて、炉床や炉壁を自作している。また消耗したストーブのパーツをチェックし、自分で交換するのはもちろんのこと、2カ月に一度は、煙突をオーバーホールしてメンテナンスすることも忘れない。自身でストーブ導入の基準を作り、常にチェックしているそうだ。

テストと運用を繰り返し、2年。今では冬に石油ストーブやエアコンを使うことはほとんどなし。ストーブの燃料は海岸から拾ってきた薪なので、暖房費が大幅にダウンしたとのこと。最初はロケットストーブ導入に反対していた奥さんも、冬になると「早くつけて」とせがむようになったとか。

「今ではエアコンをつけると、違和感を覚えるんです。ストーブは部屋が暖まる過程がきちんと見える。薪を拾って、着火して、部屋がじわじわと暖まってくる。“生活してる”って感じるんですよね」(Tさん)

 

ストーブの周囲にミニ薪棚を作り、薪をよ~く乾燥させておくのが、ストーブの良好運転の秘訣

 

通常のストーブ使用中は、周囲にメッシュパネルを設置。子供のやけどや事故防止のためのストーブガードとしている

 

流木を割って薪にした状態。真冬の1日の薪の使用量はコンテナ2/3杯(約4~5㎏)ほど

 

海沿いに暮らすTさんの薪は、海岸に流れ着いた流木を利用。拾ってきた流木はよく乾燥させる

 

室外から見た煙突の壁出し部分。煙の熱は室内でほとんど放出されており、ここを通る際は30~40℃ほど

 

単管パイプを支柱に、高さ5mまで延ばした屋外の煙突。本来、ロケットストーブの燃焼のためには、ここまでの高さは必要ないが、近所への煙の流れを考慮して、高く延ばしたそう

 

煙突の壁出し口に外気導入口を取り付ける

ストーブは室内の空気を吸い込み、室外に排出するため、室内は負圧状態(室内側の気圧が外気より下がった状態)になりがち。室内に十分な給気ができない状態になると、最悪、煙突から煙の逆流が起こることも。そのため、Tさんのストーブでは、壁出し口にあえて径の大きい煙突を取り付け、外気導入口を作ることで、室内の負圧を解消している。

 

<煙突の壁出し構造図>

メガネ石カバーにはφ150mmの煙突が通るように、ディスクグラインダーで切れ目を入れ、穴を広げられるよう加工しておく

 

室内側から見た煙突の壁出し部分の様子

写真◎清水良太郎、製作者提供

*掲載データは2015年10月時のものです。

アウトドア派DIYerを夢中にさせた屋外の暖房器具“手作り焚き火台”の世界

きっかけは趣味の竹細工で大量に出る端材をエネルギーに変換するため。手始めに小さなロケットストーブを作り、その後は薪ストーブ、焚き火台……、気づけば数々のアウトドア用の燃焼アイテムを自作していた。

「私は根っからの焚き火人間ではないんですけど、キャンプ仲間がみんな好きで」と話す西川さんが気の合う仲間と集い、火を楽しむために作った作品の一部を、前回に続いて紹介していこう!

 

【フォトギャラリー】

 

ステンレス板を編んで作るトライポッド焚き火台

1辺は約300mm。3本の脚にチェーンでつなぐ

 

0.1mm厚のステンレス板を5mm幅に割き、「三角網代編み」で製作した唯一無二の焚き火台。デザインは西川さんの竹細工の先生の作品をアレンジ。竹と比べるとステンレスは滑りやすかったのでガムテープで固定しながら編み、最後は銅線を巻き付けて縁を仕上げた。西川さんの竹細工の編み技が存分に発揮された作品だ。

 

鍋調理を可能にしたタイプ。ゴトクには10インチのダッチオーブン用の中敷きを使用

 

製作中の1枚。底部中央の出っ張りは、灰がたまるのを防止し、空気循環をよくするため

 

金網+輪弧編みで作るウッドキャンドル用焚き火台

着火後から数分でこの火力。下部にワイヤーを通した脚3点で支えられ、ねじれながら安定する

 

100円ショップで購入したケーキ箱を加工し、着火剤入れ&灰受けとして底に取り付けた

 

夜だとさらに迫力が増す!

 

「輪弧編み(りんこあみ)」中の写真。0.1mm厚のステンレス板を幅7×長さ910mmにカットして編んだ

 

キッチンアイテムで作る縦型のモバイル焚き火台

脚は70mmのボルト。高さは約260mm。短い薪に向いている

 

IKEAで販売されているキッチンアイテムをドッキングさせた小型の焚き火台。本体にはカトラリー用の水切り、灰受けには蒸し器、底抜け防止用にステンレス製のおたま(こちらは100円ショップ)を装着している。接合はリベットとボルトのみのシンプルな構造。火力は申し分なく、使い勝手は上々なようだ。

 

自作のファイヤーブラスターが活躍!(後述参照)

おしゃれなファイヤーブラスターも安く作れちゃいました!

ピンポイントで空気を送るのに便利なファイヤーブラスター(火吹き棒)も手作り。竹筒での製作経験はあったが、伸縮可能なものが欲しかったため噴霧器のパイプに着目。先端ノズルを交換し、持ち手には黒竹を装着した。製作費はなんと約2000円!

西川さんお手製のファイヤーブラスター。480~850mmに伸縮可能

 

焚き口が地面に近くても、椅子に座ったまま空気が送れる。先端の曲がり具合が絶妙なんだとか

 

【製作者Profile】
西川大助さん。埼玉県所沢市で塗装業を営む。43歳、ストーブDIY歴は2年。趣味はツーリングキャンプに竹細工。いつも設計図は書かずに、その場の思いつき、現物合わせでもの作りを楽しんでいる。
西川さんのブログ

 

*掲載データは2015年10月時のものです。

写真◎門馬央典、製作者提供

アウトドア派DIYerを夢中にさせた大人の火遊びアイテム“手作りストーブ”の世界

きっかけは趣味の竹細工で大量に出る端材をエネルギーに変換するため。手始めに小さなロケットストーブを作り、その後は薪ストーブ、焚き火台……、気づけば数々のアウトドア用の燃焼アイテムを自作していた。

「私は根っからの焚き火人間ではないんですけど、キャンプ仲間がみんな好きで」と話す西川さんが気の合う仲間と集い、火を楽しむために作った作品の一部を紹介しよう。

 

【フォトギャラリー】

 

ガソリン缶で作る薪ストーブ

もともとガソリン缶は持ち運びしやすい構造なので、野外の暖房にはピッタリだ

 

自作ティピー(後述参照)の中で使うことを目的として作られた薪ストーブ。本体には10Lサイズのガソリン携行缶(通称:ジェリカン)を使っており、溶接は行なわず、ビスやボルトのみで組み立てられているのが特長だ。焚き口と吸気口の穴はディスクグラインダーでカット。扉の蝶番は、板金屋の手伝いで培った経験を生かし、ステンレス板で自作した。また、燃焼室の上部と後部に鉄板を入れ、蓄熱効果を高めたのもポイント。

 

時計型薪ストーブ用の耐熱ガラス付き扉(ホンマ製作所)を流用

 

焚き口周辺は耐熱ガラステープを巻き付けて銅線で固定。すき間が埋まり、気密性がアップ

 

脚は1本のL字の金具を曲げて製作。取り外しできるので、中に収納して持ち運ぶことが可能

 

燃焼室内部(上)。底に薪が落ちないよう、また薪を立てて入れられるように金具(下)を設置している

 

排気口は缶の注ぎ口をそのまま利用。自作したジョイントパーツを本体に固定し、煙突を延ばしている

 

煙突トップは2重構造。すき間ができるように亜鉛メッキ板を巻き、ティピーが高温にさらされないようにしている

 

鉄角パイプで作るロケットストーブ

鉄角パイプは耐熱スプレー塗料で化粧。焚き口は10×10~20cmの可動式

 

長さ1m、厚さ3mm、10×10cmの鉄角パイプが本体。薪ストーブと同様溶接はしておらず、鉄角パイプに切り込みを入れてL字に折り曲げ、ビス留めだけで組み立てた。ヒートライザーとなる部分には蓄熱効果を期待し、鉄角パイプの内側と外側に煙突パーツを取り付け、三重構造に。ゴトクのすぐ下まで火が上がることもあるそうで、コンパクトサイズながら料理もバッチリな実用的なロケットストーブに仕上がった。

 

鉄角パイプの先端を外側に折り曲げ、ゴトクを装着。ちょっとした鍋料理ならすぐ作れちゃう!

 

薪はこのように投入。焚き口の底に中敷きを入れたことで、うまく燃焼するようになったそう

 

製作中の様子。鉄角パイプをこのように折り曲げてL字にした

 

ステンレス水筒で作るミニロケットストーブ

燃料は、普段は焚きつけ用として使う竹ひごがメイン

 

西川さんの燃焼器具製作における処女作がこちら。市販のネイチャーストーブからヒントを得て、二重構造のステンレス製水筒をベースにした、小型鍋専用ロケットストーブを作った。トップと底に穴をあけ、側面に焚き口を作り、ゴトクと脚を取り付ければもう完成。コーヒー1杯分のお湯なら難なく沸かすことができるようだ。

 

ゴトクと脚は番線で製作

 

ポンチで穴をあけ、二次燃焼を促す

 

竹細工の端材があれば一発で着火できる!

西川さんが趣味にしている竹細工では、材料として使えるようにするまでの加工で大量の端材が出る。これを燃料に使えないかと思ったのが西川さんのストーブ作りのきっかけなのだが、実際に焚きつけとして使ってみると効果バツグン! 「まず失敗することはありませんね」と、太鼓判を押していた。

竹の端材。太さが違う2種類を焚きつけとして使う

 

薪は大・中・小、3種類を用意することが多い

 

焚きつけと一緒に細い薪を入れて着火。火はすぐに安定する

 

【製作者Profile】
西川大助さん。埼玉県所沢市で塗装業を営む。43歳、ストーブDIY歴は2年。趣味はツーリングキャンプに竹細工。いつも設計図は書かずに、その場の思いつき、現物合わせでもの作りを楽しんでいる。
西川さんのブログ

 

*掲載データは2015年10月時のものです。

写真◎門馬央典、製作者提供

昭和レトロな両開き窓/みんな手作り!こだわりのDIY二重窓コレクション【5】

開き方、デザイン、機能性などそれぞれが工夫を凝らした、バラエティあふれる自作二重窓を紹介!

 

細かな木工技が光る和風テイストの引き違い窓

窓サイズは幅1650×高さ955mm(右側)、幅1200mm(左側)。バランスと開口部の広さを考慮して、計5枚の引き戸タイプにした。木材はレッドシダーを使用

 

面材にはすりガラスを使用。中央だけ、古い建具から解体したダイヤガラスを入れ、レトロな雰囲気を演出している

 

上レールの溝に収まるように、窓フレームの横桟はL字に切り欠いた。また、フレームは組んだあとに埋め木でビスを隠しているのがわかる

 

まず、柱の壁紙と石こうボードをはがして板材を張り、トリマーで溝彫りしたレールを上下に固定して枠を製作した。出窓スペースにはタイルを張ってデコレーション(ご主人が担当)

 

窓フレームの下部には、木製引き戸用の戸車を埋め込んでいるので、スムーズに開閉できる

 

フレームの内側の角は面取りがされており、接合部分もその角度に合わせて切り欠き、すっきり収めている。クオリティが高い!

 

【DATA】
藤原真紀さん、健二郎さん/DIY歴5年/東京都
材料費…3万4000円
製作日数…約半年

藤原真紀さんコメント

5年ほど前にこの築30年以上の戸建てに越してきたのですが、冬になるとリビングがとにかく寒い! また、犬を飼っているので、近隣への騒音対策にもなればいいなと思い製作しました。

デザインは、リビングと和室を区切るために購入したガラスつきの引き戸を参考にしています。購入した建具店でその引き戸を見てから、建具の魅力に取りつかれてしまい、家中のほとんどの窓を二重窓にしちゃいました。もう作るところがなくなってしまったので、友人の家にも押しつけがましく作りに行くことが何度かありました(笑)。

窓枠がけっこう歪んでいたので、上下のレールを設置するときに平行になるようにするのに苦労はしましたが、無事作れてよかったです。以前より体感温度は高く感じますし、窓の結露もかなり減らすことができました。

 

まだまだあります!藤原邸の二重窓コレクション

リビング内の小窓に設置した片上げ下げ窓。開口部は2段階に調整できる

 

寝室の小窓に設置した上開き窓。既存の窓枠には蝶番で取りつけた可動式の支えがあり、二重窓を開けっぱなしにできる

 

キッチンの対面にも出窓があったため、引き違い窓を設置し、食器棚として活用している

 

トイレに設置した上開き窓。中央部分には鏡をはめ込んだ

*この記事のデータや内容は2019年12月時のものです。

収納ベンチつき二重窓/みんな手作り!こだわりのDIY二重窓コレクション【4】

開き方、デザイン、機能性などそれぞれが工夫を凝らした、バラエティあふれる自作二重窓を紹介!

 

子どもの遊び部屋を快適にする収納ベンチつき二重窓

窓サイズは幅1640×高さ1765mm(写真右)。下部は収納ベンチを置いてアクセスできないようにふさぎ、上部に二重窓を設置した。また、同室内にはカウンターテーブルつきの二重窓もある(写真左)

 

収納スペースたっぷりのベンチ。1×4材で製作した。背面の窓枠には固定していないので移動も可能

 

二重窓は4枚建て開き窓タイプ。ゴツくならないように窓枠は12mm角の角材を使用。そのため中央の蝶番は上下にずらして固定している

 

自然木風の取っ手。100円ショップで購入したものをフレームにビス留めして固定

 

窓フレームは2×2材を使用。中空ポリカをはめ込むための溝は、彫刻刀で地道に彫った。「この作業に一番時間がかかり、腱鞘炎になるほど大変でした(笑)」と中村さん

 

【DATA】
中村恵子さん/41歳/DIY歴3年/大阪府
材料費…約1万4000円
製作日数…3日

中村恵子さんコメント

築30年以上の戸建てということもあり、冬はすき間風があって結露やカビがひどく、カーテンにカビが繁殖するたびに洗濯するのが大変でした。どうにかしたいなぁと思っていた矢先、子どもが窓をあけて外へ出ていく行為が目立ってきたので、いっそのことふさいでしまおう!と思ったのが製作のきっかけです。

設置後はカーテンなしでも冷気を感じにくくなりましたね。前述の悩みは解消され、冬場のエアコンの設定温度も3~4℃下がり、大満足です。ベンチはオムツやおもちゃの収納、子どものお絵描きデスクとして活躍しています。

*この記事のデータや内容は2019年12月時のものです。

ホテルライクな折りたたみ窓/みんな手作り!こだわりのDIY二重窓コレクション【3】

開き方、デザイン、機能性などそれぞれが工夫を凝らした、バラエティあふれる自作二重窓を紹介!

 

格子窓を効果的に取り入れたホテルライクな折りたたみ窓

窓サイズは幅1600×高さ900mm。設置場所は寝室の小窓で、二重窓のおかげで夏冬の寝苦しさから解放されたそう

 

小窓は上開きに。100円ショップで調達した写真フレームを活用している

 

二重窓を全開にした様子。開口部が大きくとれる折りたたみ式にした

 

窓枠の上にはマグネットキャッチを設置。フレームを組む際に使ったL字金具が受け板の役割を果たしている

 

窓の下端に設置した棚の受け金具は、既存の窓枠に干渉しないように角を曲げて固定。板金業のご主人が加工した

 

二重窓の裏側。フレームはL字金具を使い組んだ

 

【DATA】
内堀裕梨さん/DIY歴約3年/神奈川県
材料費…約8000円
製作日数…約2日

内堀裕梨さんコメント

夏は強烈な西日、冬はヒンヤリとした冷気がカーテンをしてもすき間から入ってくるのを、どうにか解消したくて二重窓を設置しました。

テイストは欧米のホテルの雰囲気をイメージしています。機能性を考えて、空気入れ替え用の小窓、小物を置くための棚をつけたのがポイントです! 面材には中空ポリカを使っていますが、小窓部分には100円ショップのガラスシートを張って、デザインにアクセントをつけました。また、蝶番、取っ手、留め金具も100円ショップのものを使っています。近ごろの100円ショップってDIY用の資材も豊富ですごいって思いました(笑)。

二重窓を設置してからは寒さを感じることもなくなり、夏は小窓を開ければ適度に風が入ってくるので、とても過ごしやすくなりましたよ。

昭和レトロな両開き窓/みんな手作り!こだわりのDIY二重窓コレクション【2】

開き方、デザイン、機能性などそれぞれが工夫を凝らした、バラエティあふれる自作二重窓を紹介!

 

古民家に合うようデザインした昭和レトロな両開き窓

窓サイズは幅1570×高さ1525mm。網戸の横桟も隠せて満足のいく仕上がりになった

 

既存の窓の茶色いアルミサッシが、イマイチ気に入らなくて隠したかったそう

 

フレームはネットでいろいろ検索して、デザインを決めた。タッカーを使いステープルで組んでいった

 

中空ポリカは裏側からビス留めし、上下に金具を取りつけて挟むように押さえている

 

既存の窓枠にフレームが収まるか、サイズをチェックしている様子。古い長屋で窓枠が歪んでいたため、調整するのに苦労したそう

 

【DATA】
吉井 勇さん、真由美さん/56歳・52歳/DIY歴約20年/大阪府
材料費…約1万8000円
製作日数…1日

吉井真由美さんコメント

自宅兼絵画教室のアトリエである長屋をセルフリノベする中で、部屋のイメージにアルミサッシが合っていないように思ったのが製作のきっかけです。私がデザインとアイデアを出し、作業は夫にしてもらいました。

当初はフェイク窓のつもりでフレームを組み、ガラスの代わりにアクリル板を入れたかったのですが、大きなサイズが近くのホームセンターにはなく……。そこで中空ポリカの存在を知り、縦に模様が入ったレトロなガラスに見えなくもないと思い、採用してみました。

この二重窓を設置してから過ごす冬は今年が初めてなので、室温がどう変わるのか期待しています! 古い家で冬はけっこう寒いので……。この部屋で三線教室も行なっているのですが、音漏れは少しマシになったような気がします。

*この記事のデータや内容は2019年12月時のものです。

カフェ風インテリアにマッチした開き窓/みんな手作り!こだわりのDIY二重窓コレクション【1】

開き方、デザイン、機能性などそれぞれが工夫を凝らした、バラエティあふれる自作二重窓を紹介!

 

カフェ風インテリアに合うネイティブな4枚建て開き窓

窓サイズは幅1920×高さ1850mm。二重窓の大枠は幅60mmのアカマツ材を壁に直接ビス留めしている

 

既存の窓のサッシを隠すために、中央には取っ手を取りつけている。マスキングテープを使ってヘリンボーン模様に塗装

 

窓フレームの製作。19×28mmのSPF材を使い、6mm角材を木工用接着剤と隠しクギで留めた。中空ポリカを角材で挟んで固定する方法をとったことで、たわまなくなったそう

 

開閉のためのスペースが広く取れなかったので4枚建てタイプを採用。結果、1枚の重さも軽くなって開けやすくなった。窓はフラッシュ蝶番で固定しているので、取り外しも可能

 

【DATA】
製作者…tarezo33さん/52歳/DIY歴9年/大阪府
材料費…1万5000円
製作日数…1週間

tarezo33さんコメント

以前は、中空ポリカにプラスチックの枠をつけて、ガラス戸レールを敷居代わりにしていましたが、たわんで開閉しにくく見た目もダサかったので今の形に作り変えました。

設置してからは、室温が2℃程度アップ。ぴったりサイズで作ったので、すき間風が吹いてこない、窓の結露が減った、ホットカーペットをつけなくてもストーブだけで過ごせるようになったと、いいことずくめです!

予算を抑えるためにフレームはSPF材を使っていますが、経年変化での反りが心配なので、いずれはグレードの良い木材で作り変えたいと思っています。

*この記事のデータや内容は2019年12月時のものです。

広々デッキの上に2棟のサウナをDIY!/手作りサウナ小屋実例集

『Sauna Builder ~DIYでサウナを作る本~』(発行:株式会社キャンプ/代表取締役社長:豊田大作)が大好評発売中! そこで今回は発売を記念して、そのサウナムック本にも掲載されている全国の手作りサウナ実例集から、ひとつをピックアップし、その一部を特別に公開しちゃいます。

 

広々したデッキに2棟のサウナ、森に佇むととのいステーション

 

鋼材のフレームと耐久性の高いイタウバを使ったウッドデッキに、2棟のサウナをビルド。外気浴と森林浴が同時に楽しめる手作りチルスポット

 

熱に強いヒノキ羽目板で化粧されたサ室内。サウナのために作った専用ストーブでロウリュを楽しむ。写真はサウナ1号棟

 

BUILDER’S DATA
高橋憲三さん(59歳)/長野県茅野市/薪ストーブ製造業/DIY歴 40年

SAUNA SPEC(1号機)
材料費…約15万円(廃材利用)
製作期間…約半年
サイズ…幅1900×奥行1955×高さ2300㎜
工法…パネル工法
熱源…自作サウナストーブ
使用時温度…100℃
最高温度…120℃
収容人数…最大3人
水風呂…樽を利用した水風呂

 

[高橋さんのサウナ上面図]*単位はmm

 

八ヶ岳の麓の森で、薪ストーブを製作するケンズメタルワークこと高橋憲三さん。19歳の頃からサウナに通い詰めているという筋金入りのサウナ好きでもある高橋さんだが、コロナ禍でホームにしていた温浴施設が休業。いつの間にか日常からサウナは忘れられていった。

ところが2020年の夏、突如小型薪ストーブの注文が増え始めた。寒くないこの時期になぜだろうと不思議に思い、お客さんに聞いてみると「自宅に作るサウナに使う」と言う。その瞬間、目の前が開けた。そうか、自分でサウナを作ればいいのか! ストーブの製作はもちろんのこと、仕事柄、小屋を10棟以上建ててきた高橋さんにとって、サウナビルドに熱中するのは必然だったといえよう。

1棟目のサウナは、とにかく断熱性の高い小屋を作ってストーブを入れてみよう、と自身の勘と経験を頼りに急ピッチで製作したところ、見事成功。この経験から手作りサウナに可能性を感じた高橋さんは、サウナ小屋の構造を一から学習し、工務店を営む友人とDIYサウナキットを開発。給排気システムや壁に空気層を取り入れた本格的なサウナ小屋を作り上げた。

かくして外気浴と森林浴が同時に行なえる、なんとも贅沢なサウナステーションが誕生した。サウナ2棟というキャパシティに加え、デッキの上にはフェンスと屋根のついたセミクローズなスペースもあり、温浴後にそのまま宴会も楽しめる。ここはまさに森の天国なのだ。

 

Key Point 1 薪ストーブ、炉壁・炉床

ロウリュに対応したオリジナルサウナストーブ

高橋さん自身が設計、製作したオリジナルのサウナストーブ。天板が落とし込みボックス形状になっており、大量のサウナストーンを効率的に温める。こちらは初期の試作型

 

天板に格納されたサウナストーンは20kg。ロウリュを繰り返しても石が冷えにくい構造。煙突は120mm径で壁貫通部分のみ二重煙突を使用

 

ストーブ真上の天井には2.3mm厚の鉄板を固定し、遮熱板に。なお炉床は30mm厚の大理石。ビリヤード台の天板を加工して使用

 

炉壁は積み上げた赤レンガ。壁から20mmのクリアランス(空気層)を取り、アングルとフラットバーで自作したストッパーで上から留めている

 

Key Point 2 面白アイデア

壁の一部を開口し、動画視聴スペースに

施設サウナのテレビのあるサ室をイメージし、壁の一部を開口して引き違い窓を取りつけ、モニターやタブレットを置くスペースを製作。サウナに入りながら動画が楽しめる

 

タブレット設置スペースには外側のボックスからもアクセス可能

 

Key Point 3 サウナベンチ

サウナベンチの上にスツールをオン!

幅700mmのサウナベンチは蝶番で壁に固定してあり、掃除のときは跳ね上げることが可能。またベンチの上に載せたスツールに座ることで、より熱いサウナを楽しむことができる

 

Key Point 4 外壁

150年前の蔵の解体材でサウナの熱を外からしっかりガード

サウナ小屋の外壁には、厚さ50~60mmの蔵の解体材をキシラデコールで塗装したものを使用。2×4材の壁フレームに直接透湿防水シートを巻き込み、その上から張り込んだ

 

[壁の構造図]

 

 

 

Key Point 5 水風呂

ウイスキー樽、酒樽にドラム缶、用途別の3種類の水風呂

ウイスキー樽の上部をカットしたのがメインの水風呂(右)で、左側のドラム缶が温浴人数が多いときに使うサブ。やや小ぶりの酒樽は汗流し用のかぶり水。いずれも小屋裏手のウォータータンクから給水する

 

Key Point 6 サウナキット

DIYでサウナビルドが楽しめる、小屋キットを開発中!

デッキ右側に設置されているのは、八ヶ岳むらはま工房と共同開発している2畳サイズのサウナ小屋キット。外壁は焼きスギとオイル仕上げの2パターンで仕上げている

 

床パネルには床板が、壁パネルにはあらかじめ断熱材が充てんされており、誰でも簡単にサウナ小屋を建てることが可能。実際の温浴の様子は下記動画をチェック。製品詳細や発売時期などの問い合わせはケンズメタルワークまで

動画はコチラ!

写真◎福島章公/イラスト◎丸山孝広

 

日本唯一のDIY専門誌が総力を挙げて作った唯一無二の手作りサウナムック
『Sauna Builder ~DIYでサウナを作る本~』発売中!

近年人気が高まり、ますますその勢いを増しているサウナ。「ととのう」や「ロウリュ」などサウナ用語が一般に認知されるほど世間に浸透してきたサウナですが、そのネクストフェーズはずばりDIYで作るホームサウナ! 本書ではさまざまな手作りサウナの実例から具体的な製作方法の紹介をはじめ、テントサウナのカスタムや、サウナハットやヴィヒタやといったサウナツールの製作方法も紹介。DIYサウナで自分だけの特別なととのい時間を手に入れよう!

今回紹介したサウナ以外にも、さまざまな手作りサウナを実例として掲載!

狭小な立地をいかしたソロサウナ、秘密基地に作る大型ログサウナ、はたまたどこでも行けちゃうサウナトラック……。サイズやデザイン、構造はもちろん、温浴方法からとっておきのサ飯まで、その楽しみ方は千差万別。そんなDIYだからこそ実現した、個性あふれるサウナを徹底取材。気になる材料費、製作期間から、断熱の方法や熱源となるストーブ、さらには水風呂、外気浴の工夫など、サウナ作りで気になるポイントをあますことなく紹介します。

著者:ドゥーパ!編集部
発行:ワン・パブリッシング

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集じんシステムを自作しよう・実践編/超実践的DIY道具ラボ【8】

木工で使う切断工具には切り屑、粉じんの飛散はつきもの。どんな工房でも掃除は欠かせない。しかし、今回紹介する集じん機を導入すれば、切り屑、粉じんを自動的に集めることができ、周辺をきれいに保って、作業空間をクリーンにすることができる。

 

工房中の複数ある工具を集じんする集じんシステム

工房に置かれた電動工具すべてに集じんホースを張り回して、中大型の集じん機やサイクロン集じん機で集じんするというシステムの設置は、工房派にとっては夢のシステムだ。専門の洋書でよく見ることができるが、国内でも工房に集じんシステムを導入している例を見ることができる。

そのような集じんシステムを作るには、工具ごとに枝分かれする集じんホースの長さと太さ、それに適応するパワーを持った集じん機やサイクロン集じん機の選択が重要になる。前ページのように、工具単体と集じん機単体の組み合わせなら、小型の家庭用電気掃除機で問題はないが、たとえば工房にあるすべての工具とサイクロン集じん機をひとつにまとめるシステムの場合は、各工具からサイクロン集じん機までのパイプやホースの長さと直径に対して適したサイクロン集じん機を選ばなければ、切り屑を吸引する力が足らずに吸い切れないことになってしまう。自分の工房に集じんシステムを作る場合は、ホースやパイプの長さが全部合わせて何mになるか、集じん機から一番離れた工具まで何mあるか、屈曲部が何カ所あるかを事前に確認しておき、購入予定のサイクロン集じん機のメーカーや販売店に問い合わせて、工房に合った機種を選定するようにしたい。

また各工具に接続するホースやパイプが主パイプに接続する部分には、空気の流れを遮断するシャッターを設置し、そのとき使う工具以外のシャッターを締めきって、空気の流れを切り換え、無駄な吸い込みを遮断して、使う工具1台だけから集じんするようにしなければ、効率のいい集じんはできない。

集じんシステムを構成するホース、パイプ、金具類はホームセンターの資材売り場を探せば合うものを見つけることができるが、専門ショップやウェブショップでも集じんシステム用にそろえられたパーツを購入することができる。

 

集じんシステム例1

壁に面してセットされた糸ノコとベルトディスクサンダーから集じんするシステム例。ベルトディスクサンダーには手製の集じんポートを介して、ベルト用、ディスク用それぞれの集じんパイプがセットされている。上部の集じんパイプの途中にはシャッターがつき、空気の流れをコントロールする

 

集じんシステム例2

プロの工房に設置されたシステムのパイプが集じん機に集まる部分。壁に設置されたパイプが工房のいくつかの据え置き型工具から引かれる集じんパイプ。右側手前の集じんホースは切り屑の多いテーブルソーから伸びて、一度ダストバケツに吸引され、ここで切り屑と空気の流れを分離し、切り屑の落ちた空気が集じん機に吸引される。集じん機に入るのはごく少量の粉じんだけになるので、メンテナンスの手間を大きく省くことができる

 

集じんシステム例3

写真左窓際に置かれたルーターテーブルと奥のテーブルソーの2台を集じんするシステム例。ルーターテーブルには途中分岐した集じんホースが取りつけられ、テーブルソーから取り出した集じんホースと2本束ねられ、テーブルソー下のダストコレクターにつながる。ダストコレクターにはシャッターのついた集じんポートが2口あるので、そこに2本の集じんホースをつなぐことができる。ダストコレクター上にある吸引パイプを集じん機に接続すればすっきり集じんできる

 

集じんシステム例4

広い工房に設置された大規模なサイクロン集じんシステム。写真では3系統に分岐した天井の集じんパイプが写真奥で集合し、手作りの大型サイクロン集じん機に集じんされるシステム。分岐した集じんホースは各据え置きの工具に接続され、空気の流れはパイプ各部に設置されるシャッターの開閉によってコントロールされる。据え置きの工具だけでなく、作業台の上で使う工具に集じんホースを接続できる取りつけポートや、工房の掃除に使える集じんホースも分岐されている

 

メイン写真の一番奥右側に設置されたオリジナルのサイクロン集じん機。すべての粉じんはここに集まる

 

シャッターの一例。これはシャッターを閉めた状態

 

シャッターを引き出して開いた状態。指で引いているアルミ板がシャッター板

 

天井に設置された集じんホース取りつけポートから集じんホースを伸ばしてくれば作業台で使う工具の集じんができる

 

木工旋盤はこのように切削ポイントの近くに集じん用フレキシブルホースをセットして集じんできる

 

掃除機ヘッドを取りつけ、集じんシステムを工房の掃除に使えるようになっている

 

クリーンな空気の工房を実現するエアフィルターシステム

JETエアフィルターシステムAFS-500

集じん機のフィルターでは取りきれない、微細な粉じんを取り除き工房内にきれいな空気を循環させるエアフィルターシステムを導入するのもおすすめだ。据え置きでも吊り下げでも使用できる。粉じんを取り除くフィルターの能力は外側5ミクロン、内側1ミクロン。風量3段階切り替え、タイマー3段階切り替え。リモコンつき。

しっかり支えて固定すれば吊り下げてセットできる

*掲載データは2016年8月時のものです。

 

太陽があればどこでも料理ができる、ソーラークッカーでお気楽エコ暮らし!D型ゾーン探訪【1】

日の光を熱源として利用する調理器具・ソーラークッカー愛好者の集い「第2回ソーラークッカー全国大会・山梨太陽熱エネルギーフェスティバル」が、日照に恵まれた土地として知られる山梨県甲府市で2016年の夏開催。全国大会と冠してはいるものの、実際はソーラークッカーや太陽熱温水器の展示・実演、工作体験がメイン。太陽エネルギーの素晴らしさが気軽に体感できるイベントだ。今回はそこで展示されていた個性豊かなソーラークッカーたちを、一部ではあるが紹介していきたい。

三脚にゴトクがついたパラボラ型ソーラークッカー「かるぴか」(右)。アルミフレームで重量は3.1kgと軽いのが魅力。火力が2.5倍の「おやぴか」(左)もある(工房あまね)

 

かるぴかでお湯を沸かしている様子。晴天時の火力はガスコンロの弱火に相当する

 

「かるぴか」のパネル内部には照準器を搭載。ボルトの影が消えていればしっかり太陽の方向に向いていることになる

 

ダンボールの内側にアルミホイルを貼ったダンボール製のパネル型ソーラークッカー。計13枚のパネルを組み立てて作る(山梨英和中学校・高等学校 自然科学同好会)

 

自然科学同好会が一緒に展示していた、折りたためるパラボラ型ソーラークッカー「サニークッカー」という製品。反射クロスを傘のように開いたり閉じたりでき、太陽と角度を合わせたらスライドファスナーで固定して使う(サニークッカードットコム)

 

2種類の自然循環式太陽熱温水器。左は真空ガラス管で、右が水路が並んだ受熱板に透明板を重ねたタイプ。中に水を入れて太陽熱で温め、上部に取り付けた貯湯槽にお湯を貯める。タンクは通常200~300Lほどある(ぐるっ都地球温暖化対策地域協議会/チリウヒーター)

 

貯湯槽内。冷たい水と比べて温かいお湯は比重が軽いので、矢印のように自然と循環される。片方が長いのは煙突効果でより効率的に循環できるようにするため

 

最も身近な自然エネルギーの利用は楽しく、料理も不思議とうまい

会場となった山梨県甲府市は四方が山に囲まれた甲府盆地という土地柄、年間降水量が少ない場所として有名で、日照時間も長く夏場は猛暑日になることが多い。だったらその暑さを逆手に取り、さんさんと降り注ぐ膨大な太陽エネルギーで調理ができるソーラークッカーの展示や、使い方を紹介しようというのが本大会のコンセプトだ。

太陽エネルギーのエコ的な活用法は主に太陽光発電と太陽熱利用のふたつがある。太陽光は電気を生み出して電気機器の使用に、太陽熱は物体に吸収された光を熱源にして調理や給湯、暖房などで活躍する。また、このふたつは「変換効率」と呼ばれる数値に違いがある。太陽のエネルギーを電気・熱エネルギーとして使えるように変える割合が10%程度の太陽光に対して、太陽熱は40~60%と高い数値を誇っているようだ。太陽光と比べて、太陽熱のほうがエネルギーを無駄なく有効活用できることを、参加者たちが声をそろえて話していたのが印象的だった。

各ソーラークッカーは、甲府市リサイクルプラザの屋内外で展示。参加者は興味深そうに出展者の話に耳を傾けている

 

現に、イベント当日は残念ながら雲が多く、太陽が顔を出している時間はほとんどなかったが、温水器内のお湯は60℃を軽く超え、ソーラークッカーでいえば光が集中する部分(鍋を置く位置)に手をかざすと、長い時間とどめることができないぐらいに熱く、ソーラークッカーの能力の高さを実感。条件が整っていれば炒め物や煮物はもちろん、さらにオーブン料理や米まで炊くことができるという。構造もコンパクトに収納できることを前提としているので、料理レパートリーの豊富さも相まって、ソーラークッカーは持ち運び可能なガーデンキッチンと言っていいのかもしれない。

出展者のひとりは、「今日は天気がいいから1品だけ外で作ろう」とベランダでソーラークッカーを広げたり、ある人は「花見のときなど火が使えない公園内でお惣菜を温めています」「日々のご飯とお湯ぐらいはこれで賄うようにしています」と話す。もちろん雨が降っていれば使えないがそこは別段気にしない。朝起きて空模様を見て天気が良ければ、太陽の恵みを頂こうか考える。決して、その日すべての献立を賄うなど無茶な使い方はせず、ときには失敗なんかもしちゃったり。皆、太陽熱だけで調理すること自体を楽しみながら、太陽と寄り添うように生きているかのようだった。

パネル型であればDIYで作るのにもハードルは高くないし、先に述べたスタンスで使ってもいいことを知った今、環境への貢献はほんの少しかもしれないが、これなら自分でも気楽にエコな暮らしというのを始めることができそう。そんなことを帰りの車中で思わせてくれるイベントだった。

 

足利工業大学・中條研究室が設計したパネル型ソーラークッカー「エデュクッカー003」。折りたたみ式でクリップを使って簡単に組み立てられる。ダンボール製で、内側には蒸着シート、表面は透明のポリプロピレンシート仕上げ(エコエナジースタイル 販売:昭和理化学器械)

 

こちらはパラボラ型。素材の大部分はダンボールなので片手で軽く持ち上げられる(エコエナジースタイル 販売:昭和理化学器械)

 

プラスチックダンボール製のパネル型ソーラークッカー。取り付けられたスナップボタンで組み立てるのでエデュクッカー003よりもさらに簡単(エコエナジースタイル 販売:昭和理化学器械)

 

ダンボール製のボックスの上蓋を立てて展開するタイプ。収納時は中に調理器具などを入れて運ぶことができる(エコエナジースタイル 販売:昭和理化学器械)
フランス製のパラボラ型ソーラークッカー「Cook Up200」。木製フレームに三角状のアルミシートを差し込んで組み立てる構造。デザインもおしゃれで、解体するとキャリーバッグ内に収まるサイズになるのが魅力(出展者私物)

 

CookUp200の裏側はこんな感じ

 

アメリカ製のボックス型ソーラークッカー「Solar ven」。素材は自動車のフロントガラスに張る日よけシートに似ている。熱を外に逃がさないように、前面には透明のシートが付随している(出展者私物)

 

アメリカ製の携帯型太陽熱温水器「Solar Kettle」。アルミパネルを広げてスタンドで斜めに置き、ガラス真空管内で約500mlのお湯を沸かせる(出展者私物)

 

アメリカ製の真空ガラス管のソーラークッカー「GoSun Sport」。取っ手つきのスライド皿がついており、中に入れることで蒸し焼き料理などが楽しめる(出展者私物)

 

晴れていればサンマが20分ぐらいで焼ける

 

このソーラークッカーはなんと太陽の動きに合わせて、左右の向き、上下の角度が自動で変わる。土台はOSB合板、廃品のパラボラに反射板を張りつけて製作。動力はソーラーパネルから取っていて、その横に調理したいものを置くスペースがある(あつぎ環境市民の会・ひまわりソーラークッカー研究会)

 

パラボラを取り外した状態。奥の黒いボックスが心臓部。底面に取りつけたターンテーブルで左右に動く

 

自作のギアが左右のフレームを転がることで上下に動く

 

真空ガラス管の太陽熱温水器。太陽の向きに合わせて左右に動かすことができ、かまぼこ型のパネルで効率よく熱を集める(あつぎ環境市民の会・ひまわりソーラークッカー研究会)

 

プラモデルに使われるギアを使用。動力は乾電池

 

こちらは縦型バージョン(あつぎ環境市民の会・ひまわりソーラークッカー研究会)

 

小型温水器「ぬくみちゃん」。背面に反射板、底面に黒色の集熱板、耐候性に優れたアクリル板で周囲をカバー。快晴の朝、2L程度の水を入れた黒いやかんをセットすると、午後には50~80℃のお湯ができるそう(ぬくみねっと)

 

真空ガラス管が手に入ったので、本大会のために急きょ製作したという太陽熱温水器。内側にレンジシートを張ったカマボコ型の木製パネルで熱を集め、上部の貯湯槽にお湯を貯めている(ぬくみねっと)

 

曇りだった当日は50~60℃のお湯が作れ、トウモロコシを茹でていた

 

太陽熱乾燥装置「おひさまドライヤー」。中に食材を入れて天日干しすれば、ドライフルーツ、健康茶、おせんべいなどが自宅で作れる(筑西市商工会エコの木プロジェクト部会)

 

本体はキリ材。背面はオーブン用の黒いシート、食材を置く面はテフロン性のメッシュシートを敷いている。前面の透明の板はガラスだと割れやすく、UVA(紫外線A波)の通過率を考えると、アクリル板がベストだそう

 

側面と上部には風通しをよくするための穴があいている。また、取っ手もついているので持ち運びに便利。なお、重量は小型が5.5kg、中型が10.1kg

 

日本ソーラークッキング協会がこの日持参していた製品は、アメリカ製のボックス型ソーラークッカー「サンオーブン」。ガラスを通して太陽光を取り込み、箱の内部に熱を閉じ込めて調理する。反射板を折りたためばトランク状になるので持ち運びもラク(アメリカ製)

 

ラスクなどが作れるフードドライヤー(左)と、ボックス型の「西川式ソーラークッカー」(中央・右)。発泡スチロール、透明フィルム、レンジカバー、ダンボールなど身近にあるもので作れるというのがポイント(日本ソーラークッキング協会)

 

真空ガラス管によるソーラークッキングが手軽に楽しめる「エコ作」。湯沸かしや魚のホイル包み焼きが約60分、焼き芋や焼き鳥は約45分で作れる。太陽熱はいろんなことに利用できる上、真空ガラス管は冬の寒さにも強いのが魅力だとか(寺田鉄工所)

 

ソーラークッカーの工作教室も大盛況!

 

環境教育教材用ソーラークッカーキット「ひまわり」

環境教育教材用ソーラークッカーキット「ひまわり」。ハサミ、セロテープ、クリップを用意し、台紙の裏面に書かれているとおりに切り抜いたり折り曲げたりすれば完成。使わないときは折りたたんでコンパクトにできる(住環境工房)

 

「鳥居式山梨モデルF型」

材料は牛乳パック3個、ポテトチップスの袋約7枚(またはアルミホイル)、ダンボール、割りばし、ペットボトル、黒く塗った空き缶など。普段なら捨ててしまうようなものでも、立派なパネル型ソーラークッカーが作れる(日本ソーラークッキング協会/サンライト)

 

「いつでもガスレンジシートクッカー」

市販のレンジシートの中央を丸く切り抜き、半分に切ったら2枚をクリップで器状に固定するだけの超簡単構造(甲府市地球温暖化対策地域協議会)

写真◎佐藤弘樹

*この記事のデータや内容は2016年8月時のものです。

ハイエースをまるでホテルのように超快適な車内に!DIYバンコンファイル

軽バン、ミニバン、ワゴン、ハイエース、軽トラなどなど……アナタの愛車も”旅仕様のクルマ”に早変わり!「コレだ!」と思うアイデアを盗み、自由気ままな車中泊旅に出かけよう!

 

随所に“折りたたみ式”を取り入れた作りで一級品のバンコンを実現

リアからの車内。ソファでくつろぎながら景色を楽しむことができる作りになっている。装備も充実しているので、車内に一日中いても快適に過ごせそうだ

 

【ベースカーDATA】
車種=トヨタ・ハイエース/グレード=スーパーGL 4WD/走行距離=13万9000㎞/ボディのカラーリング=ホワイトパールクリスタルシャイン/搭載家電・装備=シンク、カセットコンロ、換気ファン、テレビ、温冷蔵庫、電子レンジ、カセットガスストーブ、Wi-Fiスポット、走行充電器、LED照明(自作)

 

ソファベッド。単色だと味気ないと感じ、ツートンカラーにしたのがポイント。もちろん座面下は収納スペースとして活用

 

ソファの座面と脚は折りたためるので、大きな荷物を運ぶ際に荷室を広くしたいときに便利

 

01 ソファからベッドへの展開手順。背もたれ裏に収納していたアルミ角パイプを、ギャレーの穴に差し込み、ソファ脚に3本引っかける

 

02 背もたれを取り外し、フレームにはめ込む

 

03 ピッタリ収まり、ベッドの完成。取り外し式のテーブルを設置すれば、お座敷としても使える

 

収納スペースたっぷりのギャレー。サイズは幅1510×奥行380mm。フレームは角材で組み、天板は15mm厚の合板にメラミン化粧板を張った

 

ギャレーの天板は開くことができ、中には食料や温冷蔵庫を収納している

 

取り外し可能な拡張テーブルの裏面。左右の脚は折りたためるので収納時も場所を取らない

 

シンク内部。給排水は10Lタンクにポンプを装着して行なっている。また、蛇口はシャワー式で、ホースを引き出すことで外でも使える

 

ギャレーのフロント側には調理器具などを収納。最下段の扉は縦開きの屏風式にすることで、車内と車外の両方からアクセスしやすい設計になっている

 

ギャレー上には天井収納ボックスが。もともとあった穴を利用して棚受けを取りつけ吊っている。扉はスライド蝶番で下開きに設計

 

シェードの役割も兼ねているサイドウインドウのパネルは折りたたみ式。合板に銀マットとクッションフロアを張りつけて製作した

 

【オーナーDATA】

舛重栄治さん(50歳)、兵庫県在住、DIY歴10年

製作期間/3年(現在も進化中)

製作費用/約25万円

ベッドサイズ/幅1100×奥行1950×高さ400mm(ベッド寝床から天井の高さ890mm)

ベッド寝床の素材/合板(12mm厚)2枚+ウレタンチップスポンジ(40mm厚)+ビニールレザー

車中泊をするようになったきっかけ/昔からアウトドアが好きで、バイクでキャンプツーリングをしていました。彼女がチワワを飼うようになって車で旅をするようになり、宿泊が多くなると急なお出かけの際、ペット可の宿は埋まっていることが多いんです。それでキャンピングカーを購入しようと思い、どうせなら普段使いにも便利なハイエースで車中泊カスタムをすることにしました。

車内のカスタムテーマ/エンジニアで前からもの作りは好きだったので、ビルダーに負けないような作りを目指しました。また、木材の表面には木目調のシートを貼って見栄えをよくする白と茶色を基調に、デザインに統一感を出すようにしました。

寝るときのスタイル/山用の高性能な寝袋を使っています。

夏・冬の対策方法/夏は換気ファンと自作網戸があるので、とくには対策していません。冬は就寝中以外はカセットガスストーブを使っているので、念のため窓に一酸化炭素チェッカーを設置しています。

車内での自炊事情/カセットコンロ、電子レンジ、エンゲルの温冷蔵庫などを常備していますが、車中泊では軽食を作る程度で、ご当地のものを食べることが多いです。

思い出の旅ルート/青森方面へ向かった車中泊旅でしょうか。宮城→岩手→青森→秋田→新潟というルートを1週間近くかけて巡りました。

車中泊カスタムのアドバイス/キャンプ雑誌や、キャンピングカーショーで展示されている車の内装が、構造を考えるうえでとても参考になりました。ちなみに、天井裏は制振シートのレアルシルトと、発泡樹脂のスタイロフォームで防音&断熱しています。これで豪雨の日でも寝やすくなったのでおすすめです。

*この記事のデータや内容は2019年6月時のものです。

パーゴラからカーポートに大改造!手作りカーポート実例集【6】

ガレージの手作りはなかなかハードルが高い…と思っているそこのアナタ!まずは、ガレージよりも手軽なカーポートを作ってみるのはどうだろう。夏場の強烈な日差しを遮り、雨や雪から愛車を守ってくれる、こだわりの手作りカーポートを紹介!

 

木製の背高フェンスを活用したカーポート

フェンスの幅いっぱいに屋根を延ばしカーポートに改造

 

こちらが改造前のパーゴラつきの休憩スペース

 

製作者Profile&カーポートDATA
山ノ内秀機さん(46歳)/DIY歴…20年/製作期間…10日/製作費用…2万5000円/サイズ…幅5100×奥行2100×高さ2500mm

 

以前、洗濯干し場の目隠しとして1×4材でフェンスを製作した山ノ内さん。その後、庭先で休憩できるようにとベンチとパーゴラを取り付けたが、家族からの要望で物置も兼ねたカーポートに作り変えた。作り変える際、フェンスの幅(5mほど)すべてを屋根つきにするため中央にも柱を立て、2本の4×4材をつなげて桁の長さを確保した。当初は、せっかく製作したパーゴラを壊すことにためらいがあったが、以前より実用的になったと好評なようだ。

 

息子さんのバイクや農機具類の置き場として活用中!

 

角の柱の接合部分。ボルトと併用し、L字金具で桁を下から支えるように固定

 

中央の柱の接合部分。ひとつの柱にボルトを2本使い、桁を延長

 

*この記事のデータや内容は2016年2月時のものです。

既存カーポートの増設にチャレンジ!手作りカーポート実例集【5】

ガレージの手作りはなかなかハードルが高い…と思っているそこのアナタ!まずは、ガレージよりも手軽なカーポートを作ってみるのはどうだろう。夏場の強烈な日差しを遮り、雨や雪から愛車を守ってくれる、こだわりの手作りカーポートを紹介!

 

既存カーポートの空いている箇所に単管パイプで増設!

手前右側がDIYで増設した部分

 

製作者Profile&カーポートDATA
由埜さん(27歳)/DIY歴…7年/製作期間…12日/製作費用…7万5000円/サイズ…幅3000×奥行5000×高さ2500mm

 

家族で使う4台止められる駐車スペースには3台分のカーポートが建てられていたが、由埜さんが主に駐車するのはちょうど屋根がない部分。駐車中の夜露や、冬場の車の雪かきの手間を省きたいという思いから、単管パイプによるカーポートの増設にチャレンジした。柱は片側にしか立てていないが、積雪時など屋根に大きな負荷がかかっても耐えられるよう、屋根の端が既存のカーポートの上に載っかるような構造にしている。垂木はスギの角材を使用。単管パイプと木材は黒く塗装したので、高級感が出ているのもポイント!

 

既存のカーポートの端に載っかるように、ポリカ波板の屋根をかけた

 

既存カーポートとの屋根のすき間を埋めるために、キリの板で水切りを製作

 

こちらは背面部分の水切り。既存カーポートの形状に合わせて曲線に切っている

 

柱は各種金具とボルトを使い、ブロック塀と地面に固定している

 

上部は垂木クランプを使い、ブロック塀に引っかけるような形で固定

 

中央ふたつはレベルバンドで固定

 

基礎部分はベース金具とアンカーボルトで固定

 

*この記事のデータや内容は2016年2月時のものです。

暑いぞ、おい!DIYで自宅の庭にプールを作ろう!~実例編~

全身の肌をじりじりと焼き尽くすような、強い日差しが降り注ぐ季節がやってきました。そんな猛暑を乗り切るには水浴びするのが一番。今年の夏は自宅の庭で、DIYでプール開きをしてみませんか?夏休み中の子どもたちも喜ぶこと間違いなし!

夏にだけ出現する孫のための大型木製プール

プール横には、はしごと飛び込み台(滑り止めシートつき)を併設

 

製作者profile
T・Kさん(70歳)/高知県/DIY歴40年

 

毎年夏に遊びに来る孫のために庭に設置しているという、T・Kさんお手製のプールは長さ5000×幅2500×深さ1000mmと超ビッグサイズ。これだけ大きいと、水の量と木枠にかかる水圧も相当なものになるため、木枠の周囲に骨組みを追加し、さらに木枠と地面を金具+ボルトで固定。強力な水圧にも耐えられるように設計した。なお、シートはビニールハウス用のビニールシートとブルーシートの2重構造になっている。

水は井戸水を使用しており、遊んでいるとき以外は水中ポンプで水を撹拌。排水は水中ポンプで半日かけて汲み出している

 

自宅屋根にワイヤーを張り、滑車を使った手作りロープスライダーもある

 

木枠の外側に骨組みを追加。さらにL字金具とボルトを使って木枠と地面(コンクリート)を固定している

 

これなら手軽に作れる!子ども用の六角形プール

普段は膝ぐらいの高さまで水を張って遊んでいる

 

製作者profile
NPO法人プレーパークせたがや(東京都世田谷区)
「自分の責任で自由に遊ぶ」をモットーとした子供向けの冒険遊び場“プレーパーク”を運営。
https://playpark.jp/

 

解体現場からもらってきた端材で作った六角形のプールは、2×材で組んだ骨組みに、半分に割いたコンパネを内側に張って製作。1辺につき2本の杭(2×材)を打ち込み、水を多く入れる際はさらに木枠の外周にロープをぐるりと巻きつけて補強するそうだ。

ブルーシートをかけていない状態。1辺1800㎜の六角形。小石などを踏んでも痛くないように床面にはゴザを敷いている
排水は木枠と地面の間のすき間から水を一気に出し、園内に掘った溝をつたって排出される

 

子どもたちに大人気!ウォータースライダーつきプール

斜面はコンパネ、エコパネル、アルミレジャーマット、フロアシートの4重構造

 

製作者profile
NPO法人プレーパークせたがや(東京都世田谷区)
「自分の責任で自由に遊ぶ」をモットーとした子供向けの冒険遊び場“プレーパーク”を運営。
https://playpark.jp/

 

プレーパーク(右下カコミ参照)内の数ある遊具の中でもとくに人気だったのが、この高さ2.5mのウォータースライダー(現在は解体)。使用資材は主に廃材の柱材や2×材で、たくさんの子供たちが一斉に乗って遊ぶため、耐久性と安全面にこだわった。傾斜は36度、斜面の幅を広げ(2700mm)、プールの床にはゆるやかな傾斜をつけたりと、試遊するたびに何回か改良を加えていき、この形に落ち着いたそう。

【ウォータースライダー側面図】*単位はmm。スジカイなどは省略

 

製作中の様子。斜面の横の階段は、根太を多めに入れて補強している。幅は700mm

 

プールつきのウッドデッキで庭がリゾート空間に大変身!

排水用の水中ポンプを噴水代わりにして遊ぶ阿部さん親子。給水は水道につないだホースで行ない、2時間弱で溜まる(水圧の弱い地下水を使用)

 

製作者profile
阿部勝利さん(47歳)/福井県/DIY歴8年

 

2010年7月に製作を思い立った阿部さんが、何がなんでもその夏のうちに1回は遊びたいという思いから急ピッチで作業を進め、トータル8日間で作りあげたのがこのプール付きウッドデッキ。手順は、掘った地面の底にコンクリートを敷き、ブロックを並べたら全体にモルタルを塗り付け。その後はモルタルに水色の水性ペンキを塗り、プールの縁に木枠をつけて、周囲にデッキを作りつけた。なお、地面の穴は約2.5m四方で深さは約60cm。なんと3日間かけてスコップを使って掘ったというから驚きだ!

 

【構造イメージ図】

プールの内寸は約1500×1500mm。深さ約450mm

 

排水は地下に浸透させるタイプだ

 

すべて排水させるのに4日ほどかかるので、水中ポンプで強制的に排水し、庭の芝生の水まきに使っている

 

普段はデッキの床と同じ構造のパーツでプールにフタを閉めている

 

プールに入るときは、キャスターをつけた板をフタの下に入れ、持ち上げながらずらしてプールの横に設置すれば高さがぴったり合う

 

*この記事のデータや内容は2016年8月時のものです。

単管パイプの超幅広カーポート!手作りカーポート実例集【4】

ガレージの手作りはなかなかハードルが高い…と思っているそこのアナタ!まずは、ガレージよりも手軽なカーポートを作ってみるのはどうだろう。夏場の強烈な日差しを遮り、雨や雪から愛車を守ってくれる、こだわりの手作りカーポートを紹介!

 

トラスに組んで強度をアップ!雨水利用つきの単管パイプカーポート

超幅広な自転車置場&カーポート。見た目を考えて全体を黒色に塗装している

 

製作者Profile&カーポートDATA
安藤さん(51歳)/DIY歴…15年/製作期間…約30日/製作費用…約20万円/サイズ…幅8500×奥行5500・2700×高さ2500mm

 

自宅の駐車スペースが斜面ということで、市販のカーポートを立てることができなかったため、単管パイプで自作することにした安藤さん。特徴的なのはインターネットを参考に組んだという桁。柱をつなぐ横方向の2本のパイプ同士を、短いパイプを斜めに組み(トラス構造)強度を上げている。完成後には雨どいを取り付け、雨水利用も実施。これだけの屋根面積があると、一度雨が降ればかなりの量が取水でき、集めた水は洗車の仕上げや家庭菜園の水やりに役立っているそうだ。

桁のトラス部分。短いパイプを縦と斜め交互に細かく組んでいる

 

垂木には木材を使用。垂木クランプで固定

 

ポリカ波板の屋根。道路側に傾斜しているので、雪止め金具を取りつけている

 

基礎はコンクリート枡を2段重ねした型枠にセメントを流し込んで作った

 

雨水タンク。水が溜まりすぎると底から排水されるというオーバーフロー設計

広々デッキつきで使い勝手は抜群!手作りカーポート実例集【3】

ガレージの手作りはなかなかハードルが高い…と思っているそこのアナタ!まずは、ガレージよりも手軽なカーポートを作ってみるのはどうだろう。夏場の強烈な日差しを遮り、雨や雪から愛車を守ってくれる、こだわりの手作りカーポートを紹介!

 

DIYの作業スペースも兼ねたルーフデッキつきカーポート

製作者の堀江さんはもともと美術教師を務めていたこともあって、フェンスのデザインもおしゃれだ

 

カーポートの上は約15平米の広々としたガーデンリビング!

 

製作者Profile&カーポートDATA
堀江和憲さん(64歳)/DIY歴…20年/製作期間…約60日/製作費用…約45万円/サイズ…幅3500~4900×奥行3800×高さ3250mm

 

アルミカーポートの屋根が強風で飛ばされたのをきっかけに、より丈夫なカーポートを作ることを決意した堀江さん。あれこれと試行錯誤をし、どうせならと工具棚や作業台を設置。さらに屋根の上がウッドデッキになったマルチなカーポートを作り上げた。以前のアルミカーポートの柱はそのまま使い、90mm角のスギ材を固定。柱の数も片側3本から両脇9本に。カーポート奥の柱は母屋の壁とも固定し、柱と根太の接続にはボルトを使うなど、耐久性にトコトンこだわっている。

カーポート内。車1台を止めるにはゆとりがある広さ

 

ひとりDIYだったので、屋根は一度組んでからロープを使って引き上げた

 

車を移動させればDIYの作業場としても活躍する

 

工具収納箱の背面の壁材にはポリカ波板を使用

ヒノキの間伐材でログ風に!手作りカーポート実例集【2】

ガレージの手作りはなかなかハードルが高い…と思っているそこのアナタ!まずは、ガレージよりも手軽なカーポートを作ってみるのはどうだろう。夏場の強烈な日差しを遮り、雨や雪から愛車を守ってくれる、こだわりの手作りカーポートを紹介!

 

間伐材をふんだんに使ったログハウス風カーポート

屋根材(オンデュリン・長さ2m)を基準に設計。カーポートの幅が軽トラの車幅ギリギリになってしまったので、柱を少しだけ削っている

 

製作者Profile&カーポートDATA
金子 昇さん(52歳)/DIY歴…24年/製作期間…3カ月/製作費用…2万6000円/サイズ…幅2000×奥行5200×高さ2300mm

 

知り合いの製材所から不用品としてもらったヒノキの間伐材で作られたカーポート。庭の外観を壊さないようにと、道路から見える2面だけ壁をつけてログハウス風に演出している。残りの2面は、作業道具が取り出しやすいようにあえてつけていないそうだ。柱の基礎は、半分に切った廃材のオイル缶(高さ170㎜)を埋め、缶の中にセメントを流し込んで自作した。ほかにも解体した家屋のガラスで窓を作ったり、壁材には丸太を製材した際に出る端材を使うなど、なるべくお金をかけずに作ることにこだわった。

 

カーポート内。壁下の基礎はコンクリートブロックで、骨組みは2×4材で製作した

 

間伐材はチェンソーで加工して羽子板ボルトで固定している

 

車体をすべて収めると車のドアが開かなくなってしまうため、柱の手前で停めるようにして、奥を農機具置き場にした

木製にこだわったDIYカーポートは暖かみのある仕上がりに!/手作りカーポート実例集【1】

ガレージの手作りはなかなかハードルが高い…と思っているそこのアナタ!まずは、ガレージよりも手軽なカーポートを作ってみるのはどうだろう。夏場の強烈な日差しを遮り、雨や雪から愛車を守ってくれる、こだわりの手作り車庫を紹介!

 

ハードウッド&レンガ基礎のおしゃれカーポート

ブロック塀には漆喰を塗っている。温もりが感じられる仕上がり

 

製作者Profile&カーポートDATA
Kさん(34歳)/DIY歴…2年/製作期間…2週間/製作費用…約20万円/サイズ…幅3500×奥行4500×高さ3000mm

 

<記事内ギャラリー>

 

温かみがあって、年月を経ることでいい風合いが出るようにと、木製にこだわって製作されたカーポート。駐車スペースのサイズをもとに正確な図面を書き、必要な資材はインターネットで購入。構造材のほとんどはハードウッドで、強度を上げるためにボルトで接合している。基礎もレンガで作るなど、見栄えにもこだわった。さらにカーポート奥には階段も製作。これで、雨に濡れずに直接車までアクセスできるようになり、奥さんからは雨が降るたびに「カーポート作ってよかったね」と言われるなど、使用感・出来栄えともに大満足!

 

車を出した状態。屋根材には波板を使い、雨どいも取りつけている

 

玄関側の柱にはミニフェンスを設置。ネットを取りつけたので、ガーデニングも楽しめるようになっている

 

玄関とカーポートをつなぐ階段。庭の雰囲気と合わせ、レンガとコンクリートブロックで製作した

 

柱はL字金具とアンカーボルトでブロック塀に固定

 

基礎石代わりにレンガを使用。さらに基礎パッキンをかませて柱を立てている

 

*この記事のデータや内容は2016年2月時のものです。

セルフビルドの家にベンチつきストーブをIN!DIYerの自作薪スト&ロケスト集【1】

床を撤去して地面に設置
地元の大谷石をフル活用した自給暮らしを支えるベンチつきストーブ

セルフビルドした家の雰囲気に合ったヒートベンチつきストーブ。なお、煙突は2階の寝室まで延ばしており、焚き口と煙突の最上部の高低差は約4.5m。横引きの長さはベンチ部分、2階部分ともに約4mずつある

Profile
七田紹匡さん(54歳)/栃木県在住/材料費…約4万円/製作期間…約3年

 

セルフビルドした家で自給自足の生活を送る「エコヴィレッジみより」の七田紹匡さんは、10年ほど前に農業体験で訪れていたWWOOFer(*欄外参照)が持ってきた本『ロケットストーブ』で初めてロケストの存在を知る。その性能とアイデアに魅せられ、直感的に「これは作るしかない」と思い、本誌の121号でも紹介した石窯暖炉と並行してロケットマスヒーター作りに着手した。

ストーブとヒートベンチはかなりの重さになると予想したので、床の大引きの一部を撤去して直接地面の上に設置することに。土台には解体現場からもらい受けた大谷石、ヒートベンチの煙道の一部には同じく廃材の土管を使用。さらに蓄熱層に使ったベントナイト(粘土の一種)の量をなるべく減らせるよう、庭から採取した砂と石を骨材にして混ぜ、製作コストを抑えた。

「部屋の中もストーブの装置の一部。同じ構造のストーブでも、住んでいる環境、家の構造によってパフォーマンスは変わるので、まずは作ってみて使ってみないとわからない。失敗してもやり直せばいいんです」(七田さん)。

現に、七田さんのストーブも完成から2年が経つが、これまでに煙突の引き方を2回変えており、現在の煙道レイアウトに落ち着いた。満足のいく形になるまで、改造を繰り返してブラッシュアップできるのもDIYロケストの魅力といえる。

*WWOOFer(ウーファー)とは、金銭のやり取りを行なわずに農業体験や人と人との交流をする「WWOOF(ウーフ)」において、ホスト側のお手伝いをする人々のことを指す言葉。

 

天井の梁から網を吊り下げ、ストーブからの輻射熱を利用して食材を乾燥。写真は切り干し大根を作っているところ

 

ストーブ天板は250℃程度まで上昇する。煮込み料理なども可能

 

焚き口は深さがあるので、焚き始めは火バサミで薪の位置を調整する

 

本体は耐火レンガを角筒状に組んだヒートライザーにドラム缶をかぶせた

ストーブ設置部分の下地にはコンクリートを打ち(約100mm厚)、耐火モルタルで接着しながら耐火レンガを積んでヒートライザー&バーントンネルを製作。そして、ヒートライザーの周りをガルバリウム鋼板で筒状に覆い、パーライトとベントナイトを混ぜた断熱材を充填。大谷石とコンクリートで形成した土台にドラム缶を載せ、耐火モルタルですき間を埋めてヒートライザーを囲った。

ストーブ本体。中央の焚き口はカットしたペール缶にラス網を巻き、耐火キャスタブルでコーティング。鉄板は知り合いの鉄工所にドーナツ状にカットしてもらった

 

焚き口の横にコンクリート枡を設置。焚き口からの伝導熱で低温調理が行なえる。夜、食材を入れておくと翌日の昼食のいいおかずになるとのこと

 

ヒートライザーに断熱材をコーティングしたところ。ガルバリウム鋼板は鉄製のボルトで固定した(七田さん撮影)

 

ヒートライザーの周りに大谷石を積み、ベニヤ板の型枠にコンクリートを流し込んで土台を製作。この上にドラム缶を載せてヒートライザーを囲った(七田さん撮影)

 

ヒートライザーの製作。接着用の耐火モルタルは薄く塗り、目地が重ならないように積んだ(七田さん撮影)

 

ヒートベンチの先から延ばした煙突で2階の寝室も同時に暖める

煙突を天井まで延ばす際に、「どうせなら2階も暖房できるのでは?」と思いついた七田さん。2階に延ばした煙突を横引きし、むき出しのままで簡易的なベンチを製作した。

排熱が2階に到達するころには表面温度は30℃台まで下がっているが、最低気温が-15℃を下回るような日でも、小さな石油ストーブを併用するだけで部屋が暖められるようになった

 

煙突の屋外部分には断熱材を巻きつけて凍結を防止。木酢液は煙突のつなぎ目から下にチューブを延ばしてポリタンクにためている

 

大谷石で構成したヒートベンチの煙道は途中から2本に分岐

ヒートベンチは解体材の大谷石を組んで製作。L字形に折れ曲がっており、折れ曲がった先で煙道は2本に分かれる。その煙道には土管を使い、ベントナイト+砂+石を混ぜたものを蓄熱層とし、表面を漆喰で仕上げた。なお、最初の完成以来、煙道は使い心地を確かめながら2度変更している。1度目の変更時は煙の引きがよすぎて熱がもったいなかったので、完成当初のように煙道を分岐することにして排煙の滞留時間を長くしたとのこと。

L字形のヒートベンチ。木製の背もたれがあり、座り心地は上々

 

完成当初の煙道。2階とは別に、居間から続くサンルームにも煙道を延ばしていた(七田さん撮影)

 

1度目の煙道経路変更。以前は火入れすると、サンルームの縦の煙突が冷えすぎたせいか煙がまったく引き込まれず逆流することがあった。そこで、サンルームの暖房は諦め、しっかり機能していた2階の煙突のほうに折り返して1本化することに(七田さん撮影)

 

ヒートベンチの製作の様子。ストーブに近いほうのベンチには点検口を設けている(七田さん撮影)

 

蓄熱材を充填したところ。なるべく多く石を詰めて、ベントナイトはそのつなぎとして使う程度の量に留めている(七田さん撮影)

写真◎佐藤弘樹

近未来的デザインのメタリックなアーチガレージ!キットで作るワークスペース【1】

サイズやオプションが自由自在、デザインも豊富なキットガレージ。大きなプラモデル感覚でガレージ作りを楽しむのも選択肢のひとつ。

 

KIT / Model-P(GARAGE ONE)
メタリックなアーチガレージでオンリーワンの隠れ家を手に入れろ

まるで宇宙船の中のような質感と形状のユニークなガレージ。壁が鋼板なのでどこにでもマグネットを接着できる

 

Profile
大石 豊さん(43歳)、神奈川県在住、DIY歴25年

Garage Spec
材料費…15万円(キット代、組立工賃除く)
製作期間…約1年

他の人とは違うオンリーワンのガレージが欲しい、そんなあなたにアメリカンスチールスパン社のキットガレージを紹介したい。ガルバリウムのメタリックな外壁、アーチを描く形状。大石豊さんもこのモダンなデザインのガレージにひかれたひとりだ。母屋わきという施工現場の形状に合わせ、ハーフアーチの特注モデルをオーダーした。

このガレージの特長は自立型で内部に柱が不要。その高さをいかした空間づくりを楽しめることだ。大石さんの場合、頭上にふたつの大きさのデッキを固定し、ガレージ内部を3層構造に。1階はバイクカスタムの作業スペース、ハシゴを上がったロフトは読書やPC作業を行なうミニ書斎、最上段の大型シェルフはキャンプ道具など雑貨の収納スペースとして利用。見事、縦に空間を使い分けている。

「ガレージ本体は業者に建ててもらったんですが、2時間くらいで組み立て完了。そのスピードに驚きました。使用して約2年、雨漏りもなくノートラブルです」

母屋に自室がない大石さんは、平日夜、休日のほとんどの時間をここで過ごすという。バイクメンテやカスタムはもちろん、書類作業もロフトで片付けるのだとか。

「これがない生活は考えられない」まるで友人に宝物を見せる少年のように、うれしそうな表情を浮かべる大石さん。その充実したガレージライフが垣間見えた。

 

アメリカンスチールスパン社、Model-Pを半割にしたような特注ガレージ。寒川町の工務店に組み立てのみオーダー

 

1階は愛車HONDAモンキーZ 50Jのカスタム作業用フロア。かれこれ10年カスタムを続け、完全に別物のバイクに。右に見えるのが母屋の壁と勝手口。アクセスも抜群

 

ロフトに上がった様子。写真左が最上段のシェルフ。小さなちゃぶ台にノートPC、狭いながらも(狭いからこそ)居心地のいい男の書斎

 

ロフトに上がるハシゴは真ん中で折りたたむことが可能。1階で集中して作業する際は、ハシゴを上げて空間を広く使う

 

ロフトのフレームは平鋼を溶接した自作の棚受けと単管パイプで支えている

 

ガレージのアーチと母屋の壁の接続部分。母屋壁に大きなアングルを固定し、そこにアーチ部材を載せて固定。すき間にコーキングを打設して仕上げている

 

暑い季節は床置きタイプの冷風機を使用。それでも暑い場合は母屋の勝手口を開けて、エアコンの冷気を取り入れるのだとか(笑)

 

Kit Garage Info
近未来的なデザインのガルバリウムガレージ

豊富なラインナップのアメリカンスチールスパン社のガレージの中から大石さんがチョイスしたのはModel-P。これをベースにカスタムした特別モデルだ。メタリックでユニークなデザインはもちろん、内部に柱不要の構造、サビに強いガルバリウム鋼板の外壁も大きな特長。サイズは13タイプ、写真のガレージはP16-12(幅5140×奥行4635×高さ3610㎜)で価格は158万円(税込)。ほかのサイズや価格など詳細は下記まで。

株式会社ガレージワン
http://garageone-inc.com/
TEL:0120・009・788

 

写真◎佐藤弘樹

自宅を大胆リノベ!火をこよなく愛するDIYerの薪ストーブ導入ドキュメント

壁をぶち抜いて部屋を増築!憧れの薪ストーブライフを実現

使用薪ストーブはノザキ産業の2300型。本体サイズは幅513×奥行413×高さ698mm

2005年に都内にに家を建て、花壇やガーデンシンクなどコツコツと庭作りを進めてきた小山内繁さん(44歳)。北海道の実家では薪ストーブを使っていたこともあり、庭や自作のサンルームにて古い薪ストーブによる火遊びを楽しんでいたが、灰や排煙で自宅が汚れ始め、また、小さな子どもには直火は危ないということもあり奥さんから薪ストーブ禁止令を出されてしまう。

大好きな薪ストーブを思う存分使うことができず、くすぶった思いが続いていたある日、知人から「薪ストーブを買い替えて、余ったノザキ製の薪ストーブがあるんだけど欲しい?」という話が小山内さんのもとに舞い込む。この好機を逃すまいと、薪ストーブの室内設置のDIYを決意した小山内さんが取ったのは、出窓がある居間の壁をぶち抜いて薪ストーブを置くための部屋を増築するという方法。その案に奥さんは賛成するはずもなかったが、小山内さんは水面下で計画を進め、なんと、奥さんが出かけている間に壁に穴をあけて後戻りできない状態にして、無理やり納得(諦め?)させた。スタートこそかなり思い切ったことをしたが、施工は勢いで進めることなく、安全性には十分配慮。薪ストーブを自力で設置した先人たちの知恵を借り、約1年かけて薪ストーブの設置スペースを完成させた。

ホームセンターやネット通販のセール品を活用したことで、材料費は約4万円まで抑えることができ、大満足の出来。「点火してから私が火を楽しめるのは最初の15分だけで、暖かいから格好の洗濯物干しのスペースになってしまうんです(笑)」と、製作前は渋っていた奥さんにとっても有効な空間になってなにより。いやぁ、めでたしめでたし!

 

薪ストーブ小屋外観。外壁は下見張り仕上げ。完成したのは昨年の春前なので、本格的に使用する時期になったら煙突を自宅の屋根上まで延ばすそうだ

 

ストーブの両側面には赤レンガを積んで蓄熱させている。炉内は正方形に近く、最大で約40cmの薪を入れられる

 

天板に鍋を置いて、焼きリンゴや煮込み料理などの薪ストーブクッキングも楽しんでいる

 

 

 

煙突の屋根出し

室内から伸びた木枠にはガルバリウム鋼板の屋根を取りつけた。すき間は防水テープとコーキング剤で埋めてある

 

内側にケイカル板を張った木枠を屋根に取りつけ、その中に煙突を通している

 

ミニ薪棚

壁に設置したミニ薪棚。屋外からも開けられるようにしたので薪の補充がしやすくなっている

 

内外から断熱した炉壁

炉壁内側はGLボンドで石膏ボード、壁タイルを張り、白モルタルで目地埋めして仕上げた

 

小屋の基礎も兼ねた炉壁。鉄筋を入れながらコンクリートブロックを積み上げ、外側はスタイロフォームで断熱した

 

自宅壁の開口

写真内点線が、もともと出窓つきの壁があった部分

 

出窓下の壁を完全に開口する前の様子。開口時に出た断熱材は壁のすき間に詰めて再利用した

 

1段下がった炉台

水洗いしやすくするために、タイル敷きの炉台はあえて自宅の床から下げた位置に設置している

 

ガラスブロックの壁

採光性をよくするために、ストーブ背面の壁はガラスブロックを積み上げて製作。強度を出すために目地にはワイヤーメッシュを入れてある

 

出窓の再利用

自宅壁の開口時にはずした出窓は、増築部の側面に設置した

写真◎冨田寿一郎、製作者提供

シンプルながら機能は充実!DIY軽キャンパーファイル【7】

アナタの愛車も”旅仕様のクルマ”に早変わり!「コレだ!」と思うアイデアを盗み、自由気ままな旅に出かけよう!

写真◎竹内美治

 

シンプルながら機能は充実!車中泊を知り尽くした男の軽キャンパー

リアからの様子。右側にキッチン、左側にバーカウンターを設えている。ベッドは普段から展開しており、ふたり乗りに構造変更を行なった

【ベースカーDATA】
車種=スズキ・エブリイ/グレード=PC/走行距離= 13万km/ボディのカラーリング=オリジナル(全体はタカラ塗料の世田谷ベースカラー、バンパーはマットブラックをエアブラシで塗装)/搭載家電・装備=ソーラーパネル、シンク、FFヒーター、カセットコンロ、換気ファン、ノートパソコン、クーラーボックス

 

フロントからの車内。奥にはミニバーカウンターを設えた。バーカウンターの下スペースにはFFヒーターを設置

 

収納もたっぷりなキッチンスペース。アイアン塗装やカッティングシートを張ってブルックリンスタイルに演出した

 

シンク構造。ベッド下に収納したポリタンクからホースで給水している。排水管はもともとの穴を利用して車外へ出し、バケツにためてから流している

 

両サイドの上部には扉つきの収納スペースが。その下のパイプは濡れたタオルなどを乾かすのに便利だとか

 

白い布製の自作カーテンの縁には磁石が仕込んであり、しっかり固定できるようになっている

 

ベッドのフレームには角材や2×材を使用。スタイロフォームを敷き詰め、その上に車中泊グッズを収納している

 

ベッドフレームをはずし、サイドの棚を残した状態。棚は直接ビス留めして固定した

 

【オーナーDATA】

ATさん(47歳)、福岡県在住、DIY歴3年

製作期間/1年

製作費用/約15万円

ベッドサイズ/幅1000×奥行1900×高さ約100mm(ベッド寝床から天井の高さ約1000mm)

ベッド寝床の素材/ファルカタ集成材(12mm厚)+ウレタンフォーム(50mm厚)+合皮生地

車中泊をするようになったきっかけ/ITの仕事を辞めたあとに、テントを背負って歩いて九州1周にチャレンジしました。その道中で軽トラキャンパーを発見して、帰宅後に作ってみたいと思ったのがきっかけですね。まずは車のことを知ろうと思って整備士の仕事を始め、中古で買った傷だらけのエブリイをカスタムしました。

車内のカスタムテーマ/手探りの精神でとりあえず作ってみて、旅をして使ってみての繰り返しです。旅をしながらビルダーさんにインタビューして、面白そうなことや良さそうな部分を取り入れています。

寝るときのスタイル/夏はゴザを敷きタオルケット。冬は布団を持ち込んで、極寒のときは寝袋も使っています。

夏・冬の対策方法/夏は換気ファンを回しながら、リアの自作網戸を下ろしてリアゲートを少し開きながら固定して寝ています。また、1万円台という安さに魅かれてFFヒーターを設置しましたが、起動時に最高5kwは電力を食うしパワーも高すぎてあまりおすすめはしません(笑)。でも「寒くてもこれがあるから大丈夫」という安心感は得られました。

車内での自炊事情/自炊するときはパスタを茹でたり、米を炊いたりすることが多いです。長旅が多いのでサラダを買って野菜をとるようにしています。

思い出の旅ルート/日本海沿いに北海道まで進むルート。日本って大きいなぁと思いました。日本2周ぐらい旅しましたが、九州って改めていいところだなと思いましたね。日帰り温泉施設が多くて安い!(笑)

車中泊カスタムのアドバイス/車内全体にはGAINAという断熱塗料を塗りました。正直、断熱効果は真夏以外はそこまで体感できていないのですが、防音や結露防止につながったのが大きかった。激しい雨の日は天井の雨音が鳴り響いて寝られない。また、冬場朝起きたときに断熱していない鉄部分は水滴がすごい。極寒地ともなると、その結露が凍っていたりもするので、断熱って大事だなと思いました。

イレクターパイプをフル活用!DIY軽キャンパーファイル【6】

アナタの愛車も”旅仕様のクルマ”に早変わり!「コレだ!」と思うアイデアを盗み、自由気ままな旅に出かけよう!

 

イレクターパイプをフル活用した車内は狭さを感じさせず快適

サイドから見た車内。中央にはイレクターパイプを支柱にしたダイニングテーブルがある

【ベースカーDATA】
車種=ダイハツ・アトレー/グレード=カスタムターボRS“リミテッドSAⅢ”/走行距離=10万9000km/ボディのカラーリング=ブラックマイカメタリック、ボンネット:オレンジ(ラバースプレー)/搭載家電・装備=ソーラーパネル、テレビ、換気ファン、扇風機、電気毛布、デジタル温度計

 

ベッド展開時はテーブルをバラし、床板パーツをはめ込む。フロントシートを傾けてできたすき間にも床板パーツを入れることで、奥行1900mmの広さを確保することができた

 

ベッドのフレーム。脚底にはネジを回すと高さが微調整できるパーツを取りつけている

サイドのフレームにはメッシュパネルを固定し、ハンギング収納。また、11.6インチのテレビは好きな位置・角度に調整できるようになっている

 

ポータブル電源「suaoki PS5B」を搭載。フレームにバンドを巻きつけて固定している

 

【オーナーDATA】

田島輝久さん(54歳)、群馬県在住、DIY歴20年

製作期間/1カ月

製作費用/約13万円

ベッドサイズ/幅1200×奥行1900×高さ250mm(ベッド寝床から天井の高さ890mm)

ベッド寝床の素材/コンパネ(9mm厚)+ウレタンフォーム(60mm厚)+合皮生地

車中泊をするようになったきっかけ/「ニッポン城めぐり」という位置情報アプリにハマり、全国の城跡を巡るのが趣味になりました。遠い場所だと宿泊しなければならないので、節約するために車中泊仕様にカスタムしました(取材時は1745/3000城を制覇!)。

車内のカスタムテーマ/軽ワンボックスという狭い空間をいかすため、大人ふたりがくつろげて楽に就寝できることを優先した作りに。軽キャンパーの雑誌などを参考に構造を決め、ベースはすべてイレクターパイプで作り、バラせば元の状態に戻せるようにしています。

寝るときのスタイル/コールマンの3シーズンシュラフを1年中使っています。

夏・冬の対策方法/夏はスライドドアに取りつけた網戸と、パソコン用ファン3連で自作した換気ファンを回して換気。ファンはスピードコントローラーで無段階調整ができます。冬は電気毛布を使えば快適です。

思い出の旅ルート/四国での城跡巡りが思い出深いです。風景がなんとなくいいなぁと思い、走行中もとても楽しかったです。テレビを設置したことで、地方の番組を楽しめるようにしたのもよかったですね。

車中泊カスタムのアドバイス/大容量のポータブル電源を使っていますが、車中泊するなら導入をおすすめしたいですね。100Vコンセント、シガーライターソケット、USB出力など多用途に使えて非常に便利です。

釣り仕様の車中泊カスタム!DIY軽キャンパーファイル【5】

アナタの愛車も”旅仕様のクルマ”に早変わり!「コレだ!」と思うアイデアを盗み、自由気ままな旅に出かけよう!

 

アウトドアギアをたっぷり収納できる釣り仕様の車中泊カスタム

リアから見た車内。ベッドに使った赤色の生地が、chiharuさんの好きなブランドCHUMSのカラーとマッチしている

【ベースカーDATA】
車種=スズキ・エブリイ/グレード=JOINターボ/走行距離=7000km/ボディのカラーリング=ムーンライトバイオレットパールメタリック/搭載家電・装備=ソーラーパネル、扇風機、USBランタン、ノートパソコン、タブレット

両サイドの天井部のシェルフ。棚板はもともとあった穴を利用して大サイズのL字金具でビス留め。丸棒を柱に立て、自転車用のゴム紐で落下を防止

 

リア側のテーブルは滑り止めシートを張った棚板に載せているだけなので、折りたたみの脚を展開すれば好きな位置にすぐ移動できる

 

ベッド下引き出しの化粧板はカウンターテーブルとしても使える

 

両サイドの下段の棚&テーブルの受けは、棚受け金具でもともとあった穴に固定

 

木製のロッドホルダー。もともとあった穴を利用し、ボルトで天井に固定。中央側の棚板はコードストッパーで吊っているので高さの調整もできる

 

【オーナーDATA】

chiharuさん、東京都在住、DIY歴5年

製作期間/2カ月

製作費用/約3万円

ベッドサイズ/幅1200×奥行1800×高さ350mm(ベッド寝床から天井の高さ1000mm)

ベッド寝床の素材/ユニット畳+グランドパット(クッションフェルト)+3層構造のレジャーシート(表面:裏起毛、中:クッション、裏面:防水加工)

車中泊をするようになったきっかけ/出かけるときに気軽に休憩できる場所が欲しかったのと、身軽に出かけたかったからですかね。まだ、車中泊を始めたばかりなので、これからたくさん思い出を作っていきたいです。

車内のカスタムテーマ/大好きなCHUMSギアとともに空間を作りあげることと、車体に穴などをあけることなく作ることを意識しました。リアの車内のテーブルは取り外しができ、さらに脚をつけたので外でも使えます。

寝るときのスタイル/ベッドに敷きパッドを敷いて、チャムスのシュラフとコールマンのインナー毛布を使っています。

夏・冬の対策方法/まだ、猛暑を体験していないのですが、リアに自作網戸を取りつけ、USB扇風機を回して過ごしています。冬は湯たんぽを使いながら防寒着を着込んでいます。

車内での自炊事情/まだ、コーヒーを淹れるくらいですが、これからいろいろと調理もしてみたいです。

車中泊カスタムのアドバイス/ベッドには荷物をなるべく置かないようにすると居心地も快適に! そのため、収納スペースは多く作るといいと思います。

2匹の愛猫と快適に過ごせる!DIY軽キャンパーファイル【4】

アナタの愛車も”旅仕様のクルマ”に早変わり!「コレだ!」と思うアイデアを盗み、自由気ままな旅に出かけよう!

 

2匹の愛猫と快適に過ごせる広々ベッドの軽キャンパー

リアから見た車内。テーブルは1×材で組んだ脚に集成材の天板を載せて製作。さらに両サイドに棚を設置した

【ベースカーDATA】
車種=スズキ・エブリイ/グレード=JOINターボ/走行距離=3万1516km/ボディのカラーリング=ブルーイッシュブラックパール3/搭載家電・装備=扇風機、換気ファン、地デジアンテナ

荷台部分のベッドのフレームにはピッタリサイズの本棚を利用。幅600×奥行170×高さ890mmサイズのものを2セット寝かして設置した

 

純正アクセサリーのバー、ロッドホルダー、メッシュパネルなどを使って製作した天井収納

 

リア側のカーテンレールは長いL字金具を使って固定

 

サイド上部のミニシェルフ。アシストグリップの接合部にL字金具を挟み固定している。側板を曲線切りして、ぴったり収めたのもポイント

 

運転席にあるのは猫用のお立ち台。ハンドルがあたる部分は切り抜いて、水平になるようにしている

 

【オーナーDATA】

高田日出男さん(59歳)、北海道在住、DIY歴11カ月

製作期間/1カ月半

製作費用/約3万5000円

ベッドサイズ/幅1200×奥行2500(助手席部分込み)×高さ210mm(ベッド寝床から天井の高さ960mm)

ベッド寝床の素材/コンパネ(12mm厚)+ウレタンフォーム(30mm厚)+高弾性ウレタンスポンジ10mm+合皮生地

車中泊をするようになったきっかけ/2匹いるうちの1匹は事故にあった拾い猫なのですが、背骨が折れていて下半身付随でオムツ猫になってしまいました。旅行に行きたくても置いて行けないので、愛車で車中泊できるようにDIYしました。

車内のカスタムテーマ/ベッドは市販の軽自動車用ベッドキットを参考に製作。助手席を倒した高さにベッドの高さも合わせました。猫のためのバリアフリーです。

寝るときのスタイル/パジャマに着替えてシュラフと毛布を使っています。

夏・冬の対策方法/北海道なので夏は網戸と扇風機で十分です。基本的に出かけるのは4~10月なので、冬は車中泊をしていません。

思い出の旅ルート/北海道最北端の宗谷岬に行ったとき。記念碑の向かいの高台においしいホタテラーメン屋があって、食べ終わって店を出たら、同じエブリイバンで旅行中の子どもと猫連れの若夫婦に遭遇。話を聞くと車中泊で沖縄から来たとのことでビックリ!

車中泊カスタムのアドバイス/ランタンの持ち込み、目隠しの方法、平らなベッド作りが大事になるでしょうか。ベッドのクッション材は板材より各サイズ5㎜ずつ大きくすると、端の中央部分が膨らんで、車内にキチッと収められるような感じがします。

ナチュラルテイストの軽キャンパー!DIY軽キャンパーファイル【3】

アナタの愛車も”旅仕様のクルマ”に早変わり!「コレだ!」と思うアイデアを盗み、自由気ままな旅に出かけよう!

 

木装+鉄素材+エイジング塗装ナチュラルテイストの軽キャンパー

リアから見た車内。天井と壁には断熱材を詰め、全体をスギの羽目板で木装

【ベースカーDATA】
車種=スズキ・エブリイ/グレード=JOINターボ/走行距離=4万2000km/ボディのカラーリング=オリジナル(タカラ塗料のサンドカーキをハケとローラー、バンパーはチッピングブラックをスプレー缶塗装)/搭載家電・装備=ソーラーパネル、換気ファン、ノートパソコン、クーラーボックス

使用済みのスケートボードをリサイクルして作った吊り棚。ボルト、蝶ナットを支柱に使い、ねじ込T足という金具で天井に固定

 

天井には流木を使用したスノーボードラックを設置

 

右サイドの棚。コーヒーアイテム、バッテリー、ペーパーを収納

 

ベッド下引き出し。しまう道具の大きさに合わせて、仕切りのサイズを決めた

【オーナーDATA】

Tenカラーズさん(37歳)、愛知県在住、DIY歴10年

製作期間/1年

製作費用/約3万円

ベッドサイズ/幅1770×奥行1200×高さ120mm(ベッド寝床から天井の高さ1050mm)

ベッド寝床の素材/構造材に1×6材や1×2材、天板にパイン集成材(18mm厚)

車中泊をするようになったきっかけ/スノーボードと釣りが趣味なので、良い条件を求めて車中泊するようになりました。

車内のカスタムテーマ/パタゴニアの「worn wear プロジェクト」に登場する、木装したトラックに感動して同じようにデザイン。木と鉄の組み合わせた雰囲気がお気に入りです。また、フォスター・ハンティントンの書籍『VANLIFE』にも影響を受けました。

寝るときのスタイル/木材の寝床に登山用のクローズドセルマットを敷き、その上にインフレーターマットを敷きます。寝袋は季節に合わせて変えます。真夏はブランケットをかけて寝ます。

夏・冬の対策方法/夏は扇風機、網戸、簡易的な換気扇を使用。基本的には標高の高い場所に泊まっています。とくに長野県が多いですね。寝袋はスペックの高いものを使い、着るもので調整しているので、冬もとくに不便はありません。

車内での自炊事情/基本はお湯を沸かすだけ。コーヒーだけはこだわって淹れています。食事は旅先のおいしいものをリサーチして食べています。

思い出の旅ルート/夏の北海道。数年前に妻と一緒に10日間かけて1周したことが思い出です。

車中泊カスタムのアドバイス/キャンプ場以外の場所では、すべての動作が車内で完結できるようにしています。自分は積載するアイテムに合わせて、収納を考えて製作しました。おかげで、無駄なものはなく、片づいた状態が維持しやすいので、撤収・移動が素早くできます。トランポとして使う予定がある方は、寝床にマットなどを張りつけずに「敷く」というのも快適度を上げるポイントかと。

車とDIY大好きオヤジが作る収納たっぷり軽キャンパー!DIY軽キャンパーファイル【2】

アナタの愛車も”旅仕様のクルマ”に早変わり!「コレだ!」と思うアイデアを盗み、自由気ままな旅に出かけよう!

 

車とDIY大好きオヤジが作る収納たっぷり軽キャンパー

フロントから見た車内。リア側の棚は取り外し可能。さらに突っ張り棒を使い、2段にしている

【ベースカーDATA】
車種=ダイハツ・アトレーワゴン/グレード=カスタムターボR/走行距離=3万8000km/ボディのカラーリング=プラムブラウンクリスタルマイカ/搭載家電・装備=ソーラーパネル、カセットコンロ、換気ファン、冷蔵庫、カーボンヒーター、送風機、テレビ、スピーカー

リサイクルショップで入手した本棚をリメイクした収納スペース。小分け用の箱はゴム紐で動かないように固定。テーブルは折りたたみ式

 

イレクターパイプでフレームを組んだベッド下には1×材で製作した引き出しを設置

 

スピーカーを仕込んだ扉を開くと、掛け布団と枕を収納したスペースがお目見え

 

大川さんが最初に作ったオーバーヘッドシェルフ。化粧合板をサンバイザーと天井の間に固定し、縁にL型ウレタンスポンジを貼りつけた

 

天井にもイレクターパイプをビスで取りつけ、送風機やティッシュの固定に使用

【オーナーDATA】

大川博士さん(53歳)、東京都在住、DIY歴20年

製作期間/約4年

製作費用/約10万円

ベッドサイズ/幅1220×奥行1780×高さ1000mm(ベッド寝床から天井の高さ960mm)

ベッド寝床の素材/コンパネ(12mm厚)+ウレタンフォーム(30mm厚)+合皮生地

車中泊をするようになったきっかけ/年齢も年齢なので外装はいじらず、でも車内は充実したものにしようと思い、キャンピングカーが好きだったこともあって車中泊仕様にしてみました。

車内のカスタムテーマ/いろいろと荷物を積んだままでもくつろげるように、収納はたくさん作るようにしました。

寝るときのスタイル/寝袋の窮屈した感じが苦手なので、マットレスと布団を持ち込んでいます。

夏・冬の対策方法/夏は冷風機+寒気ファンを使用。リアには網戸も取りつけたので、リアゲートを少し開いて固定すれば快適に過ごせます。いつか冷風機も自作してみたいですね。冬はカーボンヒーターで車内を暖めています。

思い出の旅ルート/車いじりが好きすぎて、ちゃんとした車中泊は実はまだ近場で数回しかしたことがないんです(笑)。でも仮眠はよくするのですが、今のところ居心地は上々ですよ。

車中泊カスタムのアドバイス/ベッドはガタつかないように、ぴったりサイズで作ることが一番大事ですかね。ぐらついていると走行中に音が鳴るのが気になりますし、寝心地にも非常に関わってきます。

車内収納・車中泊アイデアが盛りだくさん!DIY軽キャンパーファイル【1】

アナタの愛車も”旅仕様のクルマ”に早変わり!「コレだ!」と思うアイデアを盗み、自由気ままな旅に出かけよう!

写真◎製作者提供

 

木目調のシェードと天井収納で新型ジムニーをより使いやすく

フロントからの車内。シェードは黒のプラダンボールに、木目調のシートをすき間をあけながら張りつけた。中に仕込んだネオジム磁石で窓に固定

【ベースカーDATA】
車種=スズキ・ジムニー/グレード=JB64/走行距離=4000km/ボディのカラーリング=シフォンアイボリーメタリック/搭載家電・装備=モバイルソーラーパネル、ポータブル電源、電気毛布、ノートパソコン、クーラーボックス

 

イレクターパイプとネットで作った天井収納。カラビナでいろいろなアイテムを吊るせる

ベッドモードにするときはフロントシートを倒し、イレクターパイプと合板で組んだ寝台を置いてフラットに。この上にマットを敷いて就寝している

 

助手席に作ったミニテーブル&ドリンクホルダー。L字金具でダッシュボードに固定

 

道具入れのボックス。リア側のフレームにアイボルトを取りつけ、ロープをヘッドレストまで延ばして動かないように固定している

 

【オーナーDATA】

halichi64さん(42歳)、三重県在住、DIY歴5年

製作期間/約2週間

製作費用/約1万5000円

ベッドサイズ/片側の幅500mm×奥行1700×ベッド寝床から天井の高さ800mm

ベッド寝床の素材/コンパネ合板(21mm厚)+サーマレストマット

車中泊をするようになったきっかけ/もともと車中泊には興味があったが、当時乗っていた車がダイハツ・コペン(オープン2シーター)で車中泊ができなかった。そして新型ジムニーの購入を機にやりたかった車中泊を始めました。まだあまり車中泊できていないのですが、今後は野営などもしてみたいです。

車内のカスタムテーマ/シンプルな作りにして展開・撤収を簡単にできるように考えた。また、天井収納もいろいろなものを吊り下げられるような構造にしています。

寝るときのスタイル/モンベルの寝袋(ダウンハガー800#1)を使っています。

夏・冬の対策方法/冬はポータブル電源で電気毛布を使っています。最近、マキタの充電式ファンを導入したのでこれから活躍してくれそうです。

車内での自炊事情/車内での料理はあまりしないですが、コーヒーが好きなのでお湯を沸かして豆を挽いて飲んでいます。

車中泊カスタムのアドバイス/サーマレスト1枚じゃクッション性が足りないかもと感じているので、エアマットの購入を考えています。

「木工派DIYer」に捧げる省スペース工房収納アイデア集【2】

「十分な作業場所が確保できない……でも木工を思う存分楽しみたい!」。そんな理想と現実の狭間で悩んでいる木工LOVERに向けて、目からウロコの空間活用術をどどーんと紹介!

 

ロフトつきの趣味小屋に取り入れたハシゴの設置方法&工具収納アイデア

小屋の背面にある勝手口から見た工房内。パイン材を使ったカウンターテーブルが渡邊さんの主な作業場所

 

工房小屋外観。壁は漆喰仕上げ。サイズは幅3185×奥行3640mmで、約11.6平米ある

 

profile

渡邊和行さん(47歳)
岐阜県在住/DIY歴7年/施工費用40万円

当初は材料置き場として製作をスタートさせた小屋だったが、仕上がりにこだわっているうちに、物置にはもったいないと感じ、急遽工房仕様に路線変更。そのため内装は発展途上ではあるものの、マネしたい省スペースアイデアがすでにいくつもあったので紹介したい。

 

idea1 ひと工夫加えた収納ボックスは機能的で工具の出し入れがしやすい

渡邊さん曰く「スライド丸ノコの台が完成しておらず、いまいちレイアウトを決めきれていない」とのこと。そのため、まだあまり収納は作っていないのだが、そんななかでも、背板がスノコ状になった扉つきの収納箱と、デッドスペースを活用するために作ったハシゴ下の収納棚に着目。どちらもちょっと変わった構造になっていて面白い。

ハシゴ下にある収納ボックス。前と横2方向から引き出す形にしたので、引き出しの奥行が短くなり物が取り出しやすくなっている

 

扉つきの工具収納。棚板はスノコ状の背板に引っかけているだけなので、自由に配置を変えられる

 

idea2 作業スペースをより確保するためロフトへ上がるハシゴは収納が可能

「工房に遊び心を取り入れたかった」と話す渡邊さんは、小屋の高い しやすい天井をいかしてロフトを製作。常にハシゴがかけてあると邪魔になるため、ロフトの床の一部を開閉式にして、折りたためるタイプのハシゴを設置した。なお、ハシゴはロフト専用の既製品を使用。10年ほど前に知人から譲り受けたものを取ってあったそう。

ロフトの床を開けると折りたたまれたハシゴが降下。また、その下の収納ボックスは、ハシゴを展開してもギリギリ邪魔にならないサイズになっている

「木工派DIYer」に捧げる省スペース工房収納アイデア集【1】

「十分な作業場所が確保できない……でも木工を思う存分楽しみたい!」。そんな理想と現実の狭間で悩んでいる木工LOVERに向けて、目からウロコの空間活用術をどどーんと紹介!

 

約3畳の空間をフル活用!作業台にはなんと大型工具を計6機も搭載!

左側に並ぶ3つの作業台はそれぞれが独立しているので、自由に動かせる

 

作業効率の良さを重視して、工具類はすぐ手に取れる作業台近くに集約した

 

profile

谷口雄一さん(43歳)
広島県在住/DIY歴22年/施工費用約73万円

 

雨の日でも作業ができる場所が欲しくなり、活用できていなかった裏庭に製作したデッキつきの工房小屋。昨年の「第21回ドゥーパ!DIY大賞」のドゥーパ!賞を見事受賞したが、本誌132号での登場時は建物作りを終えたばかりの状態だった。

 

「夢の工房が完成し、子どもたちの学習机を作るために作業環境を整えていたら1年経っていました……(笑)」と話すオーナーの谷口雄一さん。それもそのはず。延床面積約5・6㎡の小屋に、木工作業台3つ、壁面を余すことなく使った工具収納棚、安全ネットつきのロフト収納、集じんシステム、照明、折りたたみテーブル……などなど、これだけの機能を詰め込んだのだから驚きだ。

 

小屋製作の構想から約3年。まずは家族から急かされているという学習机作りのために工房にこもって、バリバリ木工に勤しんでいきたいと谷口さんは意気込んでいる。

外観はオスモカラーを塗り分けてカリフォルニアスタイルにデザイン。また、デッキは平らな場所から敷地境界線まで飛び出すように作ったので、一部が高床式になっている

 

ウエスタンレッドシダー材で製作したデッキには、ハンモックやブランコを設置したことで、子どもたちも楽しめるスペースに

 

 

idea1 使いやすさを追求した充実の収納スペース

工房内の内寸は幅約1700×奥行2340㎜。この限られたスペースをなるべく活用すべく、壁パネルの間柱の間や、片流れの屋根裏部分も余すことなく収納として利用。谷口さん曰く「狭さが逆に利点になるように、欲張って詰め込んでみました」とのことで、必要なものがすぐ手に届くという、作業効率を重視した収納作りを心がけた。

作業台上に作りつけた工具用の壁掛け収納は扉でもある

 

扉を開くとビット類が収納されている

 

ロフト収納棚には端材などを保管。カーテンのように開け閉めできる安全ネットを設置したので、棚板いっぱいに物を置いても落ちてくる心配はなし

 

idea2 使用頻度の低いテーブルは折りたたみ式で省スペース化

作業台の対面にはテーブルを設置。ここは図面を置いたり、外を眺めながらひと息つける場所として活用している。普通に天板を取りつけると作業スペースが奪われてしまうため、折りたたみ式にすることで解決した。なお、天板受けは内壁と同じ材のOSBで製作。あまり目立たない部分ではあるが、デザイン面でもしっかりこだわっている。

テーブルの受け材は壁パネルのフレームに蝶番で固定。天板裏と受け材にはマグネットを仕込んでいるので位置決めも楽ちん

 

idea3 大型電動工具をコンパクトに収めた多機能な作業台3種

すべて幅600㎜に設計された作業台は、サイズをコンパクトに抑えつつ、便利な機能が多数搭載されている。とくにこだわったのは「小さな工房でも活躍できる」という点。テーブルソーやスライド丸ノコを載せた作業台は広げることが可能。ベルトディスクサンダー&手押しカンナ台の回転式天板は、海外の木工家がYouTubeにアップしている作例を参考に製作したそうだ。

<スライド丸ノコ&ボール盤台>

台のスライドをアシストするレールには、コの字型のアルミチャンネルを使用

 

台部分はどちらも前後にスライド可能。未使用時はコンパクトに収納できる

 

<テーブルソー&ルーターテーブル>

フェンスは着脱式。延長用の天板を装着すれば、大きな木材でも作業可能

 

延長用の天板は、トグルクランプで本体に装着した穴あきタイプのL字アングルに、蝶ネジで固定する

 

<ベルトディスクサンダー&手押しカンナ台>

天板を回転式にすることで、場所を取るふたつの卓上電動工具の省スペース化に成功!

 

天板は、ハンドルを回してロックをはずし、19㎜径のパイプを軸に回転する仕組み