れんこんの食感と栄養価を引き出す“きんぴら”“黒酢炒め”“ピクルス”レシピ

蓮根(れんこん)は年間を通して食べられますが、旬は冬。寒さが深まると、より甘くもっちりとした味わいを楽しめます。また、昔から「咳やのどの痛みにはれんこん汁が効く」と言い伝えられるように、れんこんにはビタミンCがたっぷり含まれているため、風邪の予防やアンチエイジングにも効果があるとされるなど、おいしさだけでなく栄養面でも注目されてきました。

 

野菜ソムリエであり、中国山東省認定二級厨師の資格を持つ料理家の伊藤朗子さんに、れんこんの健康効果や保存方法などの基礎知識を教えていただきます。また大のれんこん好きという伊藤さんならではの、毎日の暮らしで手軽に作れるレシピ3種を紹介していただきました。

 

幅広さはトップクラス!
“食感”がれんこんの魅力

れんこんの魅力は、なんといってもその“食感の変化”だと伊藤さん。

 

「すりおろしてから加熱するともっちり、繊維に沿った切り方で焼いたり炒めたりさっと加熱するとシャキシャキ、長く煮ればホクホク……と調理方法によってさまざまに変化します。また、食物繊維がしっかりしているので、多少加熱時間が長めになってもシャキシャキ感が損なわれることはありません。その幅広い変化から、私もれんこんレシピを考えるのが大好きです。主宰する月に一度のレストランイベントでも、すりおろしたれんこんのもっちり感をつなぎとして活用した『れんこんとえびのシュウマイ』がとくに人気ですね」(料理家・伊藤朗子さん、以下同)

 

加熱してもビタミンCが壊れにくい!
れんこんに含まれる栄養価

喉の痛みを抑える効果や風邪予防など、冬の体調管理にぴったりのれんこんですが、どのような栄養が含まれているのでしょう?

 

「れんこんの代表的な栄養は、カリウム、ビタミンB1 、ビタミンC、食物繊維。なかでもビタミンCは一般的に熱に弱いとされていますが、れんこんに含まれるビタミンCはでんぷん質に守られているため、壊れにくい特徴があります。また、アクの成分であるタンニンには消炎作用があるほか、抗酸化作用もあるためアンチエイジングにも効果があるとも。薬膳でも同様に、胃腸や胃壁を守り、肺や喉を潤すと言われています」

れんこんはなぜ
おせち料理に入っている?

正月のおせち料理では、縁起物としても使われています。

 

「れんこんの穴は、まっすぐ伸び、向こう側が見えることから、『先が見通せる』として、昔から縁起の良い食材として扱われてきました。私は山口県の出身ですが、特産である岩国れんこんを小さいころから食べてきました。岩国れんこんは他の野菜に比べて高級品のため、日常使いというよりはやはりお正月などのハレの日に食べることが多かったですね。肉厚で粘りがあり、モチモチしていてとてもおいしいれんこんです。お祝いのときは穴を強調できるよう輪切りに、丸みを活かして花れんこんに細工します」

鮮度は泥付きのものが一番!
れんこんを長くおいしく食べるには

「現在は、カットされて販売されていることが多いので、スーパーで泥付きのものを見かけることはなかなかありませんが、泥付きの方が長持ちします。また今回使用するれんこんは築地で購入してきたもので泥付きではないですが、水を張った発砲スチロールに入って売られていました。れんこんは、水底の泥の中で育つので、水分が欠かせません。そのため、保存するときも水分を逃さないことを一番に考えると良いでしょう。切り口が空気に触れると黒くなるので、節付きの場合は節で切り、キッチンペーパーや新聞紙などにくるんで、ポリ袋に入れて保存しましょう。使いかけで切り口が大きく見えている場合には、ラップでぴっちりと空気から守ってあげることが大切です。れんこんは鮮度が大切なので、2〜3日の間に調理してください」

 

下処理の方法についても教えていただきました。

 

「れんこんの穴の中に泥が付いている場合には、ボールに水を張り、竹串でかきだすと良いでしょう。切り口が空気に触れると黒くなるので、お祝いの料理で白さを活かしたい場合にはお酢につけてください。ただ普段の調理には必要ないでしょう。切った後もれんこんには粘りやざらつきが残っていることがあるので、私は口当たりのことを考えて、一度水洗いしています」

 

ここからは、日常使いできるれんこんのレシピを教えていただきましょう。解説いただくのはれんこんの定番レシピ「れんこんのきんぴら」と、「豚ヒレ肉とれんこんの黒酢炒め」「れんこんの中華ピクルス」の3種です。

 

シャキシャキ感がアップ!「れんこんのきんぴら」

「繊維に沿った縦切りにすることで、シャキッと感に歯ごたえをプラスした、食べ応えのあるきんぴらです。小口切りの唐辛子は、炒めている途中で加えるので後からピリッとくるほどよい辛さです」

【材料(2〜3人分)】

・れんこん……200g
・みりん……大さじ1
・醤油……大さじ1
・赤唐辛子の小口切り……1/2本分
・ごま油……大さじ1/2
・すり白ごま……小さじ1/2

【作り方】

1.れんこんは繊維に沿って長さ4〜5cmの細切りにし、水にさらして水気をきる。

 

2.フライパンにごま油を熱し、れんこんの水気をきって加え、赤唐辛子を加える。

「水を切ったれんこんをボールから直接フライパンに入れてしまうと、どうしても残った水分も一緒に入ってしまい、その後の調味に影響してきます。手でつかんで水を切りながら入れると良いでしょう。唐辛子は小口切りにすることで、全体に辛さが回るようにしています。辛いのが好きな人は、冷たい油から唐辛子を入れると良いでしょう。ただし、唐辛子は焦げやすいので注意が必要です」

 

3.れんこんに透明感が出て火が通ったら、みりん、醤油で調味する。

「れんこんに火が通ってくると、回りが透明感ある白さになってきます。そのタイミングで調味料を入れましょう。みりんで甘さを絡めてから、醤油の順を守ると味が絡み、おいしく仕上がります」

 

3.照りが出てきたら器に盛り、白ごまをふる。

「水分がなくなってくると、ごま油とみりんの照りが出てきます。艶っぽくなったらできあがりの合図です。お好みですりごまを散らしてください」

乱切りにしてモッチリ感を楽しむ「豚ヒレ肉とれんこんの黒酢炒め」

「分厚く乱切りにすることで、モッチリ感を楽しめるレシピです。表面積が大きくなるので味の含みもよくなります。れんこんは繊維がしっかりしているので、多少長く炒めてもシャキシャキ感が失われることはありません。お肉も大きく食べ応えがしっかりありつつも、黒酢の酸味がさっぱりとなるクセになるおいしさです」

 

【材料 2〜3人分】

・れんこん……200g
・にんじん……1/3本
・豚ヒレ肉……150g
・塩、コショウ……各少々
・片栗粉……適量
・酒……大さじ2
・砂糖……大さじ2/3
・醤油……大さじ1
・黒酢……大さじ1
・サラダ油……大さじ1+小さじ1

【作り方】

1.れんこんは乱切り、にんじんは薄いいちょう切りにする。

「れんこんを縦に1/4に切ってから、回しながら切ると乱切りにしやすいです」

 

2.豚肉は1.5cmの厚さに切り、塩、コショウをふって片栗粉を薄くまぶす。

「豚肉はこま切れではなく、固まり肉を買い、厚めに切るとメイン感がでます。肉に片栗粉をまぶすことで表面にコーティングをし、ふっくらと焼き上げます。今回使用したのは脂身の少ないヒレ肉ですが、繊維に直角で切っているので、ホロっとしたやわらかさを味わえます」

 

3.フライパンに油を熱し、豚肉を焼き、全体をこんがり焼いていったん取り出す。

「肉にはしっかり火を通しましょう。中まで火が通っていないと、取り置いておく間に中から肉汁が出て、パサつきの原因となってしまいます」

 

4.同じフライパンに油を熱し、れんこん、にんじんを炒め、油が回ったら酒を振り、蓋をして3〜4分蒸らして火を通す。

「蓋に付き始めた水滴の粒が大きくなったら、火が通って来ているサインです。蓋がガラスだと水滴が確認しやすくおすすめです」

 

5.豚肉を戻し入れ、砂糖、醤油、黒酢で調味し、炒め合わせる。

「黒酢のコクが、砂糖と醤油のおいしさを引き立てます。また薬膳では、酸味が消化を助けるという考え方があります。繊維質が多く、消化しにくいれんこんにぴったりの組み合わせです」

酢の力でよりシャッキリ!「れんこんの中華ピクルス」

「ピクルス液というと、野菜を漬けるためにたっぷり作る必要があると思われがちですが、ポリ袋で密閉して全体に馴染ませるので、そこまで調味液を作る必要はありません。一番多く使うお酢でも、大さじ5杯です。冷蔵庫で4〜5日ほど保存できるので、れんこんが多く手に入った時の作りおきレシピとして持っておくと良いですね」

【材料(作りやすい分量)】

・れんこん……250g(5mm厚さのいちょう切り)
・酒、水……各大さじ1

〈A〉
・酢……大さじ5
・水……大さじ3
・砂糖……大さじ1と1/2
・塩……小さじ2/3
・花椒(粒)……大さじ1/2
・赤唐辛子……1/2本

【作り方】

1.れんこんは5mm厚のいちょう切りにする。

「繊維を断ち切るように繊維に対して直角に切ることで、火の通りを良くします。また、柔らかくなりすぎないように少し厚めに切ります」

 

2.フライパンにれんこん、酒、水を入れて火にかけ、煮立った音がしてきたら蓋をして弱火で3分、蓋をとって混ぜ、再び蓋をして2分ほど蒸す。火が通ったら、蓋を取り、混ぜながら水気をとばす。

「先ほどの黒酢炒めと同じように、蓋をして蒸し焼きにします。蒸し焼きにすることで全体に満遍なく火を通し、また一度にたくさんの量をつくることができます」

 

3.小鍋にAを合わせてひと煮立ちさせ、火からおろし、花椒、赤唐辛子を入れる。

「花椒が中華風のポイントです。しびれるような辛さとさわやかな香りが特徴です。れんこんは淡白なので、唐辛子や花椒などの香辛料、そしてさまざまな具材ともマッチしやすのがれんこんの魅力でもあります」

 

4.3の粗熱が取れたら2を加え、ときどき混ぜながら冷ます。ポリ袋に入れ、空気を抜いて袋の口を閉じ、30分ほどおいて味を馴染ませる。

「味は、冷めていく間に馴染んでいくので、粗熱が取れたら、ピクルス液に混ぜ合わせましょう」

 

さまざまな食材との相性が良く、料理に合わせて変幻自在なれんこん。魅力といえばやっぱり、切り方によって変わる特徴的な“歯ごたえ”でしょう。縦切り、輪切り、厚めに乱切り……などさまざまな切り方に挑戦して、おいしさの重要なキーワードとなる食感を楽しみながら、れんこんの新たな魅力を見つけてみてください。

 

Profile

料理家 / 伊藤朗子

食事の専門雑誌で編集を行う傍ら、食に興味をもち、中国山東省の伝統料理を学ぶ。「やさしい味の飽きない料理」をモットーに、レシピ提供、レストランイベントを行う。野菜ソムリエ、中国山東省認定二級厨師、料理教室「I’s kitchen(アイズ キッチン)」主宰。

「藤井定食」とは? “下ごしらえストック” でラクして1日の栄養バランスが整うレシピ

ベストセラー本『藤井弁当』で第7回レシピ本大賞[料理部門]準大賞を獲得した料理研究家・藤井恵さんによる近著『THE藤井定食』は、その名の通り “定食” がテーマ。栄養バランスが良く、下ごしらえストックを活用するため簡単で時短でき、彩りも美しく、さらにフードロス対策にも……。数々のメリットは、定食だからこそのもの。

 

藤井さんに、この「藤井定食」の極意とおすすめレシピを教えていただきました。

 

「藤井定食」とは?

料理研究家・藤井恵さんが考案した定食のこと。野菜を切ったりゆでたりしただけの、簡単な “下ごしらえストック” を活用して作るのがポイントです。ストックがあると、当日の調理に時間と手間いらず。たくさんの品数を用意しても、さほど負担になりません。

 

トレイやお盆に小皿をのせて、おかずをいくつも用意するのが藤井流。こんなに作るのは大変そう! と思ってしまいますが、よく見ると、切っただけのトマトや納豆も。並べながら、全体の栄養バランスを考えられるところもメリットです。

 

「手間をかけて何品も作るのではなく、ただ茹でたもの、パックから出しただけのものを並べてもいいんですよ。こんなふうに並べるだけでテンションが上がりますし、ちょっとずついろいろな味を食べることで、食事が楽しくなります」(料理研究家・藤井恵さん、以下同)

↑料理研究家で「藤井定食」考案者の藤井恵さん

 

藤井定食の立役者、「豆皿」や「トレイ」

食事は見た目も大事。豆皿に少しずつ盛って、定食のかたちにすることで、食べるときの気分も華やぎます。藤井定食に欠かせないのが、和の豆皿やトレイです。

 

・和食のお皿

和定食は、雑穀入りのごはんやお味噌汁、メインディッシュの他に、野菜や豆腐などを使った副菜を用意します。小さな副菜がいくつもあると賑やかで、ごはんも、そしてお酒もすすみます。

 

・洋食のお皿

洋定食は、小さなオーブン料理に野菜をたっぷりのせられる、フラットな食器をチョイス。

 

藤井恵『THE藤井定食』(ワン・パブリッシング)
レシピ本『THE藤井定食』には、藤井定食の極意と20の定食、さまざまな野菜の下ごしらえストックのレシピが紹介されています。

 

ここからはいよいよ野菜の下ごしらえストック、そして定食のレシピを教えていただきます。

 

藤井定食を支える「野菜の下ごしらえストック」レシピ

「藤井定食」の要となるのが、あらかじめ用意しておく、ストックです。いわゆる “作り置き” と違って、味つけはほとんどされていません。

 

「わざわざ休日に何時間もかけて用意するようなものではありません。ただ切っておく、ゆでておく、をするだけで充分。私は毎日夕飯の支度のときに、ストックを1〜2品作っておきます。ストックを作るためだけに料理するとなると、調理道具も出さなきゃならないし、洗い物もそのためだけにしなくてはならないですが、夕飯のついでなら気楽。そのくらいの手間加減ではじめてみると、習慣にできるようになりますよ」

 

ストックに向いている食材・調味料は?

ストックは、どんな食材でも作ることができます。生野菜も、サラダ用に葉物をちぎっておくだけでOK。ひとり分だと思うと、何種類もの葉物を買うのはためらってしまいますが、数日に分けて食べるなら、いろいろな葉野菜をミックスして作ることができますね。

 

「ストックする食材も調味料もどんなものでもいいのですが、基本的に味つけをしないでストックしておくほうが、使い回しがききます。だいたい3日を目安に食べ切ってください」

 

ストック食材の作り方

それでは5つのストック食材の作り方を教えていただきましょう。

 

・ストック焼ききのこミックス

【材料】
・しめじ…100g
・マッシュルーム…100g
・生椎茸…100g
・白ワイン…大さじ1
・塩…小さじ1/3

 

【作り方】
1.きのこは小房にわける。
2.フライパンにきのこを入れ、白ワインと塩をかけてフタをし、弱火で炒める。
3.フツフツとしてきたら、フタを取って炒めて水分を飛ばす。

 

・ストック蒸し長いも

【材料】
・長いも…300g
・塩…少々

 

【作り方】
1.耐熱皿に長いもを並べ、塩をふってラップをふんわりかけ、電子レンジで5分加熱する。

 

・ストック戻しわかめ

【材料】
・カットわかめ…10g

 

【作り方】
1.たっぷりの水にわかめを入れて5分浸し、洗って水気をしっかり絞る。

 

・ストック細切り蒸しにんじん

【材料】
・にんじん…2本(300g)
・オリーブオイル・塩…少々

 

【作り方】
1.にんじんは、スライサーで千切りにする。
2.耐熱皿ににんじんとオリーブオイル、塩を入れて、ラップをかけ電子レンジで2分半加熱する。

 

・ストック香味野菜サラダミックス

【材料】
・ルッコラ・香草・クレソン…あわせて150g
・かいわれ大根…1パック
・サニーレタス…200g

 

【作り方】
1. すべての野菜はたっぷりの水で洗い、パリッとしたら水気を切る。
2. 野菜を小さめの一口大にする。

 

・ストックほうれん草の塩昆布だし浸し

【材料】
・ほうれん草…300g
・昆布…5×5cm 1枚
・熱湯…300ml
・塩…小さじ1/3

 

【作り方】
1.保存容器にほうれん草以外を入れて、冷ます。
2.ほうれん草をゆでて水に取り、4〜5cmの長さに切って水気を絞る。
3.ほうれん草を1に浸す。

 

たっぷりの野菜やきのこの副菜でヘルシー。ストックを使った藤井 “和” 定食

和定食のメインにしたのは、低糖質でタンパク質豊富な鶏むね肉を使ったロースハム。余熱で火を通すのでしっとりジューシーで、作り置きにも向いています。

 

「ロースハムは食べ応えがあって、その割に重たくないので、おつまみにもおかずにもぴったりです。他に4つのお皿を用意しましたが、納豆やトマトを切っただけのサラダなど、手がかからないものもあります。それでもこんなふうに盛り付けられていると、楽しく食べられますよね」

 

定食の内容

(1) 和風鶏ロースハム
(2) にんじんとほうれん草のごま和え
……すりごま大さじ2、しょうゆ小さじ1/2、「ストックほうれん草の塩昆布だし浸し」の漬け汁大さじ1を混ぜ、「ストック細切り蒸しにんじん」50gと「ストックほうれん草の塩昆布だし浸し」150gに和える。
(3) きのこやっこ
……「ストック焼ききのこミックス」100gを豆腐150gの上にのせて、塩麹を小さじ1かける。
(4) 長いもとわかめの味噌汁
……「ストック蒸し長いも」100gとストックわかめ30gをだし汁300mlに入れて、味噌大さじ1を溶く。
(5) トマトサラダ
……切ったトマトにお好みでバルサミコ酢を少しかける。
(6) 納豆
……1パックの納豆に酢小さじ2としょうゆをかける。
(7) 雑穀米 100〜130g

 

「和風鶏ロースハム」のレシピ

【材料】
・鶏むね肉…1枚(300g)
・塩・砂糖…各少々
・酒…大さじ1
・サラダ油…小さじ1
・だし汁(または水)…300ml
・しょうゆ・みりん…各大さじ1と1/2
・しょうが(すりおろす)…小さじ1

 

【作り方】

1.鶏肉に塩と砂糖をすりこむ。

 

2.肉の厚いところは、叩いて厚みを均一にする。

 

3.酒をかけ、10分置く。

 

4.フライパンに油をひき、皮を下にして中火で焼く。

 

5.しっかり焼き色がついたらひっくり返し、1分焼く。

 

6.強火にしてしょうゆ、みりんを加える。

 

7.だし汁を加える。

 

8.煮立ったら、フタをして1分弱火で加熱する。ふたたび皮を下にして、火を止めて15分置く。

 

9.好みの大きさに切り分ける。

鶏むね肉はタンパク質が豊富で脂質が低いので、ヘルシーで胃に重くないものが食べたい日にもぴったり。食べ心地も軽く、お肉なのに胃もたれしないやさしい味つけです。

 

ワインにも合わせたい、ストックを使った藤井 “洋” 定食

洋定食は、温泉卵をのせたシーザーサラダと2種類の副菜、そしてメインにはストックの長いもと豚肉をトマト味のオーブン焼きです。

 

「トマトソース焼きをオーブンに入れている間に、ストックにんじんやきのこ、サラダを使って副菜を準備します。温泉卵は買ったものでいいですし、ドレッシングも市販のものでもかまいません」

 

定食の内容

(1) 豚肉と長いものトマトソース焼き
(2) 彩り野菜のシーザーサラダ
……「ストック香味野菜サラダミックス」100gに、「ストックほうれん草の塩昆布だし浸し」100g、「ストック戻しわかめ」30gを混ぜて、温泉卵とドレッシング、粉チーズ大さじ1をかける。
《ドレッシング》
マヨネーズ、牛乳各大さじ1、白ワインビネガー小さじ1、おろし玉ねぎ小さじ1、塩こしょう少々をよく混ぜる。
(3) クミン風味にんじん
……「ストック細切り蒸しにんじん」80gに、クミンシードと白ワインビネガーを適量和える。
(4) きのこのオイルがけ
……「ストック焼ききのこミックス」100gにオリーブオイルとバルサミコ酢を少々かける。
(5) 雑穀パン

 

豚肉と長いものトマトソース焼きのレシピ

【材料】
・豚ロース肉(薄切り)…200g
<A>
・塩…小さじ1/2
・こしょう…少々
・白ワイン…大さじ1

・小麦粉…大さじ1
・ストック長いも…150g
・にんにく(すりおろす)…小さじ1
・トマトピュレ…150g
・バター…20g
・塩…小さじ1/3
・こしょう…少々

 

【作り方】

1.ストック長いもは、食べやすい大きさに切る。

 

2.豚肉を食べやすい大きさに切ってほぐし、Aの塩とこしょうを両面にふる。

 

3.Aの白ワインをかける。

 

4.よく揉み込んだら、小麦粉を両面にふる。

 

5.フライパンを中火にかけてバターを溶かし、豚肉を炒める。

 

6.長いもとにんにく、トマトピュレを加えて、煮立てる。

 

7.耐熱容器に入れ、オーブントースターで焼き色がつくまで焼く。

オーブンに入れて、焼き色がついたトマトと長いもが香ばしい一品。片栗粉をまぶした豚肉は、つるりとした食感で柔らかくなります。

 

藤井恵さんの定食は、一見豪華で大変そうでいて、でも実際は手間いらず。「自分でもできそう!」という気持ちにさせてくれます。心身ともに満たされる定食を、作って食べて、ぜひ楽しんでください。

 

プロフィール

料理研究家 / 藤井恵

管理栄養士。女子栄養大学在学中からテレビの料理番組のアシスタントを務め、フードコーディネーターをへて料理研究家として独立。「きょうの料理」や「3分クッキング」などでも活躍してきた。野菜たっぷりで栄養満点、それでいて作りやすいレシピに定評があり、ベストセラー本『藤井弁当』(Gakken)で第7回レシピ本大賞[料理部門]準大賞を受賞。2023年4月に出版した『THE 藤井定食』(ワン・パブリッシング)も出版直後から版を重ねる人気。
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“下味冷凍”でおいしく時短&節約に! 冷凍で作り置きする「自家製ミールキット」と活用レシピ

まとめ買いした食材を長持ちさせるために欠かせないフリージング。“フードロス”を極力なくすための、食材のかしこい活かし方でもあります。冷凍前に小分けにしたり細かくカットしたりしておけば、欲しい分だけ解凍できるだけでなく、料理が手早くできるように。また最近は、あらかじめ味付けをしてから冷凍する「下味冷凍」にも注目が集まっており、冷凍機能を活用しての作り置きにはさらに幅が生まれています。

 

そこで、発売中のレシピブック『冷凍&冷蔵 かしこい保存と作りおき350品』(ワン・パブリッシング)の中から、食材をおいしく冷凍するための基本のルールと、下味冷凍や冷凍した食材を活用したレシピを紹介します。

 

[目次]
冷凍の基本ルール
自家製ミールキットの作り方
【肉のおかず】「鶏むね肉とかぼちゃのガーリックマヨ漬け」と活用レシピ
【魚のおかず】「生さけのレモンマリネ」と活用レシピ
【番外編 / 野菜】「常備野菜ミックス」と活用レシピ

 

「下味冷凍」ってなに?

「下味冷凍」とは、食材にあらかじめ調味料で下味をつけた上で冷凍する作り置きのこと。冷凍している間に食材に味がしみ込むので、時短調理でも時間をかけて煮込んだような味わいを引き出せるところが、通常のフリージングとは異なります。また、揚げる、焼く、蒸すなど、調理方法を変えたり、追加する食材を変えたりすれば、その日の気分に合わせたアレンジが楽しめるのもメリット。

 

食材の種類や鮮度にもよりますが、基本は冷凍室で約2週間保存がきくので、「毎月第1、第3日曜日は下味冷凍のおかずを仕込む日」と決めて、平日の買い物や食事作りの負担を減らせるといいですね。冷凍室に下味冷凍をストックしておくことで、忙しい日や疲れて帰ってきた日でも、気分に合わせた献立の食事作りがスムーズに進むようになるはずです。

 

冷凍保存の基本ルール

食材の鮮度とおいしさをキープしながら冷凍保存をするには、大事なポイントがあります。下味冷凍の前に、食材を冷凍する際のルールを整理しておきましょう。

 

1. 清潔な保存状態をキープする

密閉できる容器、またはジッパー付きの冷凍用保存袋を用意します。保存容器は使用前に消毒をし、冷凍用保存袋は再利用しないようにしてください。

 

2. 保存期間をメモする

冷凍すれば、いつまでも食べられるわけではありません。保存開始日の日付を記しておき、食材により前後しますが、冷凍した日から2週間以内に使い切るようにしましょう。

 

3. 密閉して酸化を防ぐ

保存容器に空気が入っていると、冷凍していても酸化が進みやすくなります。なるべく真空に近い状態で保存できるように、保存容器の中の空気を抜いてから袋の口を閉じます。

 

4. 急速冷凍をする

冷気を伝えやすい金属製のトレイに横に寝かせて置き、なるべく短時間で冷凍できるように、上から保冷剤をのせたり、急速冷凍機能を活用したりしてください。

 

それでは早速、肉や魚の下味冷凍を仕込んでみましょう。

 

肉と野菜と調味料だけ!
自家製ミールキットの作り方

↑基本的に、肉1種類、野菜1種類、調味料だけで作れます。野菜はあらかじめカットしておきます

 

肉と野菜を合わせ、調味料を加えた下味冷凍をすることで、自家製ミールキットになります。ジッパー付きの冷凍用保存袋の中で混ぜれば、ボウルは不要で、下ごしらえはわずか5分程度。このとき、手軽に仕込めて調理のアレンジがしやすくなるように、自家製ミールキットは、肉1種類に対し、野菜1種類の2つの食材で作ることがポイントです。

↑ジップロックなど冷凍用保存袋に、まず調味料を入れてよく混ぜ合わせたあと、肉を入れます

 

↑袋の上からもんで、肉と調味料をなじませます。ボウルを使わないので、洗い物も増えません

 

↑肉の上に野菜を乗せます。このとき肉と野菜を混ぜないで! 使うときに楽なのでまとめて冷凍しておきますが、混ぜると野菜から水分が出てしまいます

 

↑そして、上の冷凍の基本ルールを参考に冷凍します。この状態で約2週間、保存できます

 

それでは、冷凍ミールキットを使って料理を作ってみましょう。まずは肉のおかずから。

 

【肉のおかず】
ヘルシーな鶏むね肉がごちそうに

自家製ミールキット「鶏むね肉とかぼちゃのガーリックマヨ漬け」


マヨネーズベースの調味料が冷凍している間に染み込むので、淡白な味の鶏むね肉がジューシーに。一度冷凍したかぼちゃはほっくりとやわらかく、ペーストのようなまろやかさが引き立ちます。

 

【材料(2人分)】
鶏むね肉…1枚(250g)
かぼちゃ(種とわたを取って)…150g

<A>
マヨネーズ…大さじ2
しょうゆ…大さじ1/2
にんにくのすりおろし…小さじ1/2
塩…小さじ1/4

 

【作り方】
1.鶏肉は一口大のそぎ切りにする。かぼちゃは1cm厚さに切り、長さを3~4等分に切る。
2.冷凍用保存袋に[A]を入れ、袋の上からもんで混ぜ合わせ、鶏肉を加えてよくもみ込む。
3.鶏肉の上にかぼちゃを入れ、混ぜずに平らにならす。空気を抜いて口を閉じ、冷凍する。

 

【活用レシピ1】

カリッと焼いたマヨチキンとバターライスが食欲をそそる!
「鶏むね肉とかぼちゃのガーリックマヨライス」


追加で必要な食材は、バターとごはん、塩・こしょうのみ。半解凍したものをフライパンで炒めるだけなので、わずか15分でつくれます。忙しい日や、すぐに主食を用意したいときにぴったり。

 

【材料(2人分)】
下味冷凍「鶏むね肉とかぼちゃのガーリックマヨ漬け」…1袋
水…大さじ1
塩…少量
ごはん(温かいもの)…適量
バター…適量
粗挽き黒こしょう(お好みで)…少量

 

【作り方】
1. 下味冷凍「鶏むね肉とかぼちゃのガーリックマヨ漬け」を600Wの電子レンジで30秒加熱し、半解凍する。
2. フライパンに1の中身と水を入れてふたをし、中火にかける。温まったら弱火にし、ときどき混ぜながら7〜8分蒸し焼きにする。
3. 鶏むね肉がほぐれてきたら、ふたを取って4~5分炒め、塩で調味する。
4. ごはんにバターを加えて混ぜ、器に盛って3をのせる。お好みで、粗挽き黒こしょうを振る。

 

【活用レシピ2】

衣をつけて揚げればOK!
「鶏むね肉とかぼちゃのフリット」


下味冷凍で味のしみた鶏むね肉とかぼちゃにフリットの衣をつけ、かぼちゃから順に170℃の油で3~4分揚げるだけ。レモンを添えれば完成です。調理の前日、または当日の朝に、冷蔵庫に移動し、全解凍してから調理しましょう。

 

【活用レシピ3】

ホワイトソースいらずで簡単!
「鶏むね肉とかぼちゃのパン粉焼き」


全解凍したミールキットの鶏むね肉とかぼちゃを耐熱皿に交互に並べてオーブントースターで15分ほど焼き、具材に火が通ったら、パン粉や粉チーズ、オリーブオイルを加えて1~2分焼けば完成。下味冷凍後のかぼちゃはペーストのような味わいです。

 

次は、魚を下味冷凍したミールキットと、それを活用したレシピを紹介します。

臭みを抑え素材の持ち味を生かす、魚の下味冷凍

傷みやすく臭いの気になる魚介類は、買った当日中に内臓を抜き、塩をふって余分な水気を拭き取り、ラップに包んで保存することが、鮮度を守り、おいしく食べ切るコツです。さらに、下味をつけて冷凍すれば、身に味がほどよくしみて旨味が引き出されます。ここでは、さけの切り身を使った、下味冷凍の作り方と、解凍後の調理例をチェックしてみましょう。

 

【魚のおかず】
さけにしみたレモンの風味が上品な味わいに!

「生さけのレモンマリネ」


さけなどの魚や貝類は、傷みやすく臭いが気になります。レモンと酒に漬け込むことで、臭いを防ぎます。また、さわやかな旨味が加わり、新鮮なおいしさが引き出されます。

 

【材料(作りやすい分量)】
生さけ…2切れ
レモンの輪切り…2枚

<A>
レモン汁…大さじ1
酒…大さじ1
塩…小さじ1/4
こしょう…少量

 

【作り方】
1. 生さけは一口大のそぎ切りにする。
2. 冷凍用保存袋にAを入れ、袋の上からもんで混ぜる。1とレモンの輪切りを加え、同様にもんでからめる。
3. 冷凍用保存袋を平らにならして空気を抜き、口を閉じて冷凍する。

 

【活用レシピ1】

しょうゆとはちみつを加えて、和風アレンジ!
「さけのレモン照り焼き」


レモンと酒で臭みが取れ、酸味の加わった生さけに、しょうゆとはちみつを加えて焼き上げます。ごはんにも合い、お酒のおつまみにもなります。お弁当のおかずにもぴったり。

 

【材料(2人分)】
下味冷凍「生さけのレモンマリネ」…1袋

<A>
しょうゆ…小さじ2
はちみつ…大さじ1/2

グリーンカール(お好みの葉物野菜)…適量

 

【作り方】
1. 下味冷凍「生さけのレモンマリネ」を600Wの電子レンジで30秒加熱し、半解凍する。[A]は混ぜ合わせる。
2. フライパンに1の下味冷凍「生さけのレモンマリネ」を入れてふたをし、中火にかける。温まったら弱火にし、ときどき混ぜながら7〜8分加熱する。
3. 生さけが完全に解凍状態になり、身がばらけてきたらふたをとり、水分を飛ばすように両面を焼く。[A]を加えて全体にからめ、グリーンカールとともに器に盛る。

 

【活用レシピ2】

野菜とチーズを加えて、こんがりと焼くだけ!
「さけと野菜のチーズ焼き」


下味冷凍「生さけのレモンマリネ」を全解凍し、ズッキーニやトマトなどの野菜を加え、ピザ用チーズを散らしてオーブン焼きに。さっぱりとした味わいがワインに合います。

 

【活用レシピ3】

酸味のあるホワイトソースで上品な味わいに!
「さけとかぶのレモンクリーム煮」


火が通りやすいかぶと一緒に煮れば、15分ほどで完成します。体が温まり、あっさりした味わいなので、体調のすぐれない日のスタミナ補給にオススメです。

 

次のページでは番外編として、下味をつけずに生の野菜を数種類合わせて作る、カット野菜の冷凍作り置きとその活用レシピをご紹介します。

 

【番外編 / 野菜】
生の野菜を2~3種合わせて作る“カット野菜”の冷凍作り置き

野菜は生のまま冷凍すると、解凍後に水分が出てしまったり、根菜はブヨブヨになってしまったりするので冷凍には向かないといわれています。ところが、野菜の切り方や解凍後の状態を生かした調理をすれば、凍ったままや半解凍で使え、調理時間を短縮することができるのです。ここでは、加熱調理をせずに冷凍した玉ねぎ、にんじん、じゃがいもの野菜ミックスを使った冷凍食材の活用テクを紹介します。

 

火の通りが早く、用途がたくさんの「常備野菜ミックス」


玉ねぎ、にんじん、じゃがいもの定番常備野菜は、煮物、炒め物、シチューなどさまざまなメニューで活躍します。冷凍の野菜ミックスがあれば火が通りやすく味もしみ込みやすくなるので、大幅時短に貢献します。

 

【材料(2人分)】
玉ねぎ…1/2個
にんじん…1/2本
じゃがいも…2個

 

【作り方】
1. 玉ねぎはくし切り、にんじんは厚さ1cmの半月切りにする。
2. じゃがいもは3~4cm大の乱切りにして水にさらし、しっかりと水気を拭く。
3. 1と2を冷凍用保存袋に入れ、口を閉じて冷凍する。

 

【活用レシピ1】

手早くできて、しっかり味がしみこむ
「肉じゃが」


茹でたじゃがいもを凍らせるとスカスカになりますが、生のままならOK! 凍ったまま鍋に入れて、10分ほど煮込むだけで肉じゃがをつくれる手軽さは、やみつきになります。

 

【材料(2人分)】
「常備野菜ミックス」…1袋
牛こま切れ肉…120g
しょうが…1/2かけ
絹さや…3~4枚
サラダ油…小さじ2
だし…カップ1 と1/2

<A>
しょうゆ…大さじ2
みりん…大さじ2
砂糖…大さじ1

 

【作り方】
1. 牛こま切れ肉を食べやすい大きさに切る。しょうがは千切りにする。
2. 絹さやは筋を取り、塩少々(分量外)を加えた熱湯で色よく茹で、水にとって斜め半分に切る。
3. 鍋にサラダ油を熱し、1の牛こま切れ肉としょうがを炒める。肉の色が変わったら、「常備野菜ミックス」を凍ったまま加え、強火で炒めてだしを加える。
4. だしが沸騰したらアクを取り、[A]を加え、中火にする。落としぶたをし、10分ほど煮る。
5. 煮汁が1/3量になったら落としぶたを取り、上下を返してそのまま汁気がなくなるまで強火で煮汁をとばす。
6. 器に盛り、絹さやを散らす。

 

【活用レシピ2】

揚げ焼きにした具材と卵でボリューム満点!
「スペイン風オムレツ」


半解凍した「常備野菜ミックス」をざく切りにして多めの油で揚げ焼きし、塩・こしょうをした卵に混ぜて焼くだけ。ランチやお弁当に大活躍の食べ応えある一品です。

 

【活用レシピ3】

火の通りが早いから、パパッとつくれる!
「チキンカレー」


ひと口大の鶏もも肉を炒め、凍ったままの「常備野菜ミックス」を加えてつくるカレーです。カレールウの味が野菜にしみ込みやすいので、コトコト煮込む必要なし!

 

食材を、鮮度やおいしさをキープしながら長持ちさせられるだけでなく、おいしさを引き出し、調理時間の短縮までも可能にする冷凍術を活用しない手はありません。お買い得な新鮮食材との出合いを生かし、冷凍保存をフル活用しながらおいしくいただきましょう。

 

【書籍情報】

『冷凍&冷蔵 かしこい保存と作りおき350品』(ワン・パブリッシング)

調理の時短とおいしさキープができる食材別の冷凍や冷蔵方法から、下味冷凍の「ミールキット」まで、オールシーズン使える350品のレシピをピックアップ。食材別にレシピが並んでいるので、作りたいレシピがすぐに見つかります。

 


肉や魚、野菜類をおいしく冷凍する方法や解凍のコツ、鮮度を保つ正しい冷蔵や常温保存のノウハウをわかりやすく解説。カレー、鶏のから揚げ、ポテトサラダなどの定番おかずを冷凍し、新しいおかずにリメイクする活用術も必見です。鮮度を保ち、おいしく食材を保存するテクニックだけではなく、冷凍食材のアレンジやリメイク例が豊富なので、やりくり術が身につきます。

 

これぞ万能食材! 栄養満点でおいしくて作り置きして時短できるなんて!

毎日の食事の献立作りって、かなり面倒なのよね。栄養面を気にするのはもちろん大切だけど、食材をたくさん使うのはコスト的に難しいし……。あと、できるだけ時間をかけず手早く準備したい。そんなワガママを叶えてくれるいい食材はないかしら?

隣の通りに住んでいる北嶋さんは、管理栄養士の資格を持っているフードコーディネーターだったはず。きっといいアイデアを持っているはずだわ!

 

参ったなぁ……と、いつも困っている「参田家(まいたけ)」の面々。きょうはお母さんが、なにやら困っているようです。

参田家の人々とは……
maitake_family
ちょっと気弱なお父さん、元気でしっかり者のお母さん、もうすぐ小学生の娘、甘えん坊の赤ちゃん、家族を見守るオスの柴犬の4人と1匹家族。年中困ったことが発生しては、宅配便で届いた便利グッズや、ご近所の専門家からの回覧板に書かれたハウツー、知り合いの著名なお客さんに頼って解決策を伝授してもらい、日々を乗り切っている。
https://maita-ke.com/about/

 

栄養満点で時短にもなる食材が知りたい!

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お母さん「家族の健康のために野菜をたっぷり使った献立を考えたいけど、いつも葉物野菜ばかりでレパートリーがマンネリになりがちなんです。何かいい物ありません? 」

 


北嶋さん「山芋の一種でもある『自然薯(じねんじょ)』を使ってみてはどうでしょう? 自然薯は長芋より粘り気が強い食感が特徴で、栄養価が高い根菜です。カリウムやビタミンE、食物繊維などが豊富に含まれているんですよ」

 

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お母さん「そうなんですか! 自然薯は長芋と比べて、どんなところが優れているんですか?」

 


北嶋さん「まず、自然薯に含まれるカリウムは、高血圧を抑えたり、むくみを予防したりする働きがあります。余分な塩分や水分を排出し、調整をしてくれるのです。さらに、抗酸化ビタミンと呼ばれるビタミンEは、アンチエイジングのサポートをしてくれます。血流を良くするので、顔のくすみが薄れて顔色が良くなるなどの効果が期待できますね。冷え性の予防にも貢献してるなど、女性にとってはかなり頼もしい存在です。これらの栄養素は長芋にもありますが、自然薯にはより豊富に含まれているので、おすすめしたいです」

 

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お母さん「知らなかった! 私なんて季節問わず年中冷え性だから、すごく頼もしく感じます。食物繊維も豊富に含まれているみたいですが、やっぱり腸内環境を良くしてくれるんでしょうか?」

 


北嶋さん「食物繊維には、水に溶けやすい“水溶性”と、水に溶けにくい“不溶性”の2種類があるのをご存知ですか? 不溶性:水溶性=1:2くらいの割合がいいとされているのですが、自然薯はそのふたつの食物繊維が適度なバランスで含まれている野菜なんです! 同じ食物繊維を含む野菜でも、ゴボウなどは不溶性の割合が高いので、水分も一緒に十分とらなければいけません」

 

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お母さん「食物繊維のとり方によっては、逆にお通じが滞ってしまう可能性もあるってことですね……メモメモ。でも自然薯は、栄養価が高いけど、すり下ろすとき手がかゆくなったりして、下ごしらえが大変なイメージなんですよね」

 


北嶋さん「それなら、『自然薯とろろパック』を使うのはいかがでしょう? 自然薯のとろろが小分けになったセットです。前日の晩に解凍しておけば、次の日の朝そのままかけて、とろろご飯にできます。時間のない朝にぴったりですよ」

 

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お母さん「おいしそうですね! 朝ご飯ではふりかけや納豆をよく出していたけど、自然薯とろろは栄養価が高くてその代わりにぴったり。そのままでも十分ですが、何か料理に活用する方法はありません?」

 


北嶋さん「自然薯は粘り気が強いので、少量の牛乳でホワイトソースを作れます。小麦粉を使うよりもヘルシーなソースに仕上がりますよ。具材と合わせる前に、冷凍の自然薯とろろに牛乳を加えて電子レンジで温めれば、解凍する手間が省けて楽ちんです」

 

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お母さん「ホワイトソースは作り置きしておけば、クリームパスタにも使えて便利ですね。さらにグラタンにおすすめの食材はありますか?」

 


北嶋さん「新じゃがはいかがですか? 柔らかくてボリューム感が出ます。スライスすればさらに熱の通りが早く、オーブンの可熱時間も短縮できますよ。ホワイトソースに明太子を混ぜたり、ドリアにしたりしてもおいしいです。あと、お豆腐にホワイトソースをのせてオーブンで焼くだけのお手軽料理もおすすめです」

 

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お母さん「自然薯だからこそ、和の食材とも合うんですね。自然薯ホワイトソースは、いろいろな使い方ができそう。早速今日の晩ご飯に作ってみます!」

 

自然薯ホワイトソースで作る「新じゃがグラタン」の作り方

①新じゃがは半月切り、新玉ねぎは薄切り、アスパラは3〜4cmの長さに切り、ベーコンは1cmの短冊切りにする。

②冷凍の「自然薯とろろパック」2パックを耐熱ボールに入れて、牛乳を注ぐ。600wにセットしたレンジで2分間温める。

③フライパンにバターを熱し、ベーコン、玉ねぎ、じゃがいもを塩こしょうで炒める。蓋をして5分ほど蒸し焼きにして新じゃがに火が通ったら、アスパラを加えてサッと妙めてグラタン皿に入れる。

④ ③に②を加えてグラタン皿へよそう。上からピザ用チーズを散らして、オーブンで8分ほど焼き、パセリを散らしたら完成。

【材料(2人前)】
新じゃがいも…1個
新玉ねぎ…1/2個
アスパラ…4本
ベーコン…50g
バター…10g
自然薯とろろパック…2袋
牛乳…100cc
塩こしょう…少々
ピザ用チーズ…適量
パセリ…みじん切り適量

自然薯ホワイトソースをアレンジ!

北嶋さん直伝の自然薯ホワイトソースグラタンは、家族から大好評! 適度に粘り気のあるホワイトソースは後味がさっぱりしていて、クセになっちゃいそう。ホワイトソースは、シチューやポタージュなどスープとしても応用できるのがうれしいわね。今度はスープパスタにして食べてみようかしら!

 

【商品情報】

DIDYCO「自然薯とろろあじわいセット」5752円
内容物:自然薯とろろ(醤油味) 60g×4個/はかた白とろろ 60g×4個

 

教えてくれたのは……

フードコーディネーター/北嶋佳奈さん
大学卒業後、飲食店勤務やフードコーディネーターアシスタントを経験し、独立。「こころもからだもよろこぶごはん」をテーマに、美容・ダイエット・健康に関する料理本の出版、雑誌でのレシピ開発やコラム執筆、ラジオ・テレビ・イベントへの出演などで活動中。近著に『デパ地下みたいなごちそうサラダ ベストレシピ』(宝島社)、『電子レンジで作る基本のおかず』(オーバーラップ)など。

http://hale-aina.jp/

 

日々の「参った!」というお悩みを5分で解決!「参田家(まいたけ)のおうち手帖」

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