トングやレードルから絞り器まで、鍋料理を快適にする進化した“鍋”グッズ12選

寒さが増し、おでんや寄せ鍋など“鍋”がおいしい季節になりました。友人や親族を家に招いて楽しむ予定もあるでしょう。そんなときは、スマートにサーブしたり楽しく鍋を囲めるようにおもてなししたいもの。

 

そんなニーズを汲むように、保温性の高い鍋や使い勝手のいいトングなど、工夫を凝らした調理グッズの進化は止まりません。鍋料理を快適にしてくれる、便利で見た目も美しいキッチン用品を、生活雑貨に詳しいフリーライターの納富廉邦さんに紹介していただきました。

楽しみ方さまざま!
鍋料理のトレンドは?

「最近は鍋料理の種類が豊富になり、より自由度が増してきたことを実感します。SNSではさまざまな鍋料理が紹介され、和風、洋風、エスニック風、また創作に富んだオリジナルレシピなど多種多様な鍋料理を、みなさん楽しんでいますね。
ひと昔前のように『キムチ鍋』や『豆乳鍋』といった分かりやすいものではなく、自己流にアレンジした多彩な鍋料理が多く存在しています」(ライター・納富廉邦さん、以下同)

 

と、まずは鍋料理のトレンドを教えていただきました。

 

・薬味や調味料にこだわる
「大根おろしや柑橘類など、薬味を入れて楽しむ鍋料理や、こだわりの柚子胡椒や七味唐辛子などの調味料を効かせた鍋料理が多く見られるようになりました」

 

・市販の鍋の素が豊富になった
「手軽においしい鍋が楽しめる市販の鍋つゆのバリエーションが増えました。これによって圧倒的に鍋料理がしやすくなったのは言うまでもありません。定番のスープから変わり種の味まで、さまざまな味が揃っているので頻繁に鍋料理をしても飽きることなく食べることができます」

 

・アンテナショップでご当地鍋を楽しむ
「都心部では全国の食材が揃うアンテナショップが多く存在し、ご当地の絶品鍋料理を自宅でも楽しめるようになりました。また、その土地ならではの食材を活かした調味料も手に入るので、新しい発見があるのも魅力的です」

 

・具材は数種類とシンプルにする
「スープや薬味、スパイスが充実してきたこともあり、さまざまな種類の野菜をたくさん入れるスタイルから、お肉と野菜を2〜3種類に厳選したシンプルな鍋料理が主流になっています」

 

・鍋料理は家庭で楽しむ料理に
「新型コロナウイルスの流行で、複数人で鍋を囲むことは随分と減ってきました。さらに外食費の高騰もあり、今後、鍋料理は外食ではなく、家庭で楽しむ料理となっていくと思います」

 

進化するおでん…料理家おすすめのタネ10選と基本のだしからカレーチーズおでん、串おでんまでレシピ3種

 

鍋から箸まで!
鍋料理を快適にするキッチン用品12選

鍋料理のトレンドに合わせて、キッチン用品にも変化が見られるそう。

 

「使う前に米を入れて煮込む『目止め』をする必要のない土鍋など、手入れしやすい鍋が出てきています。また、おたまやトングなども使いやすい形状にデザインされていたりと、一見、マイナーチェンジに見えますが、実際に使ってみるとその効果を実感することが多くあります。
とくに私が実感しているのは、『鍋にはトングが便利』ということです。菜箸でも事足りますが、トングを使ってみると、その使い勝手の良さを手放すことはできません。最近のトングは先端が食材を掴みやすくなっており、力を入れなくても自在に挟むことができます。ぜひ一度試してもらいたいですね」

 

ここからは、納富さんが実際に使って効果を実感したキッチン用品を紹介していただきましょう。

1.遠赤外線で食材にしっかりと熱を伝える「鍋」

旭工業「Sumi Nabe」
6万6,000円(税込)

 

カーボングラファイトでできており、遠赤外線による調理が可能な鍋です。食材に均一に、かつ速やかに熱を伝えることにより、食材の旨みをぎゅっと凝縮します。鍋料理として「煮る」ほか、ステーキなどの「焼く」料理にも効果を発揮します。

 

「すべてが炭でできているので、土鍋よりもはるかに遠赤外線効果が高い名品です。この鍋で煮込めば高価なお肉でなくとも、なかがほろっとして柔らかく美味しい仕上がりになります。鍋以外の調理でも活躍するので、我が家では週に3回くらいは使用しています。半永久的に使えるので、我が家でも一生モノのアイテムとして重宝しています」

 

2.手にしっくりと馴染むトング

conte「おてがる薬味トング」
13cm 1,430円/15cm 1,650円(ともに税込)

 

薬味の入っているクチの細い瓶に使うことを想定して作られたこちらのトングは、先端が細くなっていて薬味を掴みやすいのが特徴です。力を入れなくても食材を挟むことができるので、まるで自分の手の代わりのように扱うことができます。

 

「私は13cmと15cmの両方のサイズを使っています。どちらのサイズもあった方が便利ですが、どちらか一つであれば、15cmのものをおすすめします。先端が細くなっているので、薬味のような細い瓶にも入れやすいトングです。鍋料理以外でも、サラダを取り分けるシーンなど、食卓に置いてあるだけで何かと活躍してくれます。サッと手に取れて、テーブルに置いてあっても邪魔にならない小ぶりのサイズ感は使い勝手が抜群です」

 

3.スープをすくいやすいレードル

ichibishi「すくいやすく注ぎやすいレードル」
2,090円(税込)

 

すくう部分がカーブを描く三角形になっているので、鍋底のカーブに添いやすく、食材のすくいやすさが抜群です。また、お椀にスープを入れたいときは、注ぎぐちが狭まっているため、液だれしにくい点もポイントです。左右対象なので、利き手を選びません。

 

「鍋のなかの具材をすくうためには先端は平たいことがとても大切なんですよね。持ち手の長さも通常のレードルより短く設計されていて、とても使いやすいです。円形のおたまが使いにくいと感じたことのある方にぜひ試してもらいたいです」

 

4.多様な働きをしてくれるスプーン

Three Snow「新越ワークス/クックスプーン」
1,210円(税込)

 

おたまとヘラのいいとこ取りのような万能スプーン。これ一つで、炒める、煮る、すくうができるので、洗い物を少なくすることができます。また、先端がナイロン樹脂になっているので、鍋の表面を傷つける心配が入りません。

 

「持ち手が23.5cmと通常のおたまより短く、カトラリーのスプーンと同じように手軽に扱うことができます。おでんの卵をすくいたいときにも、汁をよそわずに、卵だけをお椀に移すことができます。使ってみると、使い勝手の良さを心から実感できると思います」

 

5.グッドデザインなステンレスのレンゲ

ヨシタ手工業デザイン室「racco レンゲスプーン」
1,100円(税込)

 

レンゲスプーンの先端は普通のスプーンよりも広いですが、ボウル部が浅いため口を大きく開けることなく、食材をたっぷりのせて口に運ぶことができます。また、大皿料理の取り分け用に使用する、ポテトサラダを作るときに潰しながら和える、など工夫次第で使い方が広がります。

 

「従来のレンゲって本当に使いにくいと思いませんか。こちらのレンゲは、柄の長さや口に運ぶときの形状など本当によく考えられています。スープを飲むときにも、具材を食べるときにも、どちらでも使い勝手が良く便利です。水餃子などもとても食べやすいですよ」

 

6.箸置き要らずのシンプル箸

アッシュコンセプト「+d 木の浮き箸」
3,300円(税込)

 

箸の先端が浮き上がっているため、テーブルに接地することがなく衛生的です。もともとは樹脂素材でできた「+d ウキハシ」がありましたが、このデザインを踏襲しながら、天然素材を使用した商品にするために、形状を保つよう素材や技術など改良を重ね作られました。

 

「やはり木製の箸は雰囲気があって良いですね。浮き箸は箸置き要らずでさっとテーブルにおくことができるのが気に入っています。鍋料理の際にはさまざまなキッチン用品がテーブルに並ぶので、少しでもアイテムを絞りたいと思ったときにこちらの箸を選びました」

 

料理道具研究家が愛用する料理の厳選7つ道具と便利グッズ

 

7.おろす角度に技ありのおろし金

シゲル工業「おろし金17°(ジュウナナド)」
9,900円(税込)

 

メーカーが試行錯誤して導き出した、極力、力を加えずにおろすことができるおろし金です。その秘密は、おろす角度にあります。傾斜がついているので、少しの力でスムーズにおろせるのです。オールステンレス製で、衛生面でも安心。使用後におろし金に残った食材も水でさっと流して洗い落とすことができます。

 

「大根おろしが水っぽくなく、ふわふわでおいしく仕上がります。しかもマイルドな味になるので、大根おろしが辛くて苦手な方にも使っていただきたいですね。滑り止めもしっかりとしているのでラクにおろすことができます。みぞれ鍋のような、大根おろしをたっぷりと作りたいお鍋のときにもおすすめ。ギフトとしても大変よろこばれます」

 

8.刃当たりが心地よいカッティングボード

RUBBER Rubber「カッティングボード」
Sサイズ 5,720円/Mサイズ 6,820円(ともに税込)

 

木製のまな板のような心地のよい刃あたりと、プラスチック製まな板の優れた衛生面を両立したまな板です。業務用合成ゴムまな板を作り続けてきた実績のある老舗日本メーカーが、家庭になじむ色と大きさを考え作りました。

 

「鍋料理を楽しむときは、テーブルに小さなまな板があると便利です。大きめのお肉を小分けにしたり、もう少し野菜を食べたいときに少しだけ野菜を切ったりすることができるなど、さまざまなシチュエーションで役立ちます」

 

9.手にしっくりと収まるサイズのすり鉢

EAトCO「Sulu mortar and pestle」
3,850円(税込)

 

卵形のデザインが目を引くすり鉢です。シリコーン製のフタはすりおろすときには滑り止めマットに早変わり。しまうときはすり玉が転がらないようにフタをして一緒に保管することができます。コンパクトな大きさなので、すり鉢とすり棒のように場所をとりません。すり玉には国産檜を使用しています。

 

「その場ですりおろしたゴマはとても風味がいいですよね。こちらは見た目もとてもかわいらしく、鍋料理の食卓を華やかにしてくれます。卵のような楕円形がとても手になじみやすく、そして力を入れずにすりおろせるところもポイントです。ゴマを使いたい分だけ少量をすり下ろしたいのであれば、こちらがおすすめです」

 

10.細い瓶にも使えるスリムなサジ

EAトCO「サジ」
1,430円(税込)

 

細身のスプーンで瓶の調味料や、袋入りの粉物を取り出すときにも引っかかりが少なく、簡単に取り出すことができるサジです。持ち手が長いので、深さのあるグラスを混ぜるときにマドラーのようにして使うこともできます。さまざまな用途に細やかに対応する一品です。

 

「わが家では、柚子胡椒やマスタードを使いたいときに使っています。普通のスプーンで薬味をお椀に乗せるときに、スプーン側に薬味が残ってしまうことは少なくありません。このサジなら、薬味のほとんどをお椀にしっかりと移すことができます。鍋だけでなく、ジャムをパンに塗るときなどにも使っています」

 

消化に良く胃腸にやさしい「内臓疲労回復」レシピ3種で年末年始の食べ疲れた体をいたわる

 

11.柑橘類を絞るなら持っておきたい絞り器

家事問屋「レモン絞り」
1,320円(税込)

 

小鳥のようなフォルムに癒されるレモン絞りです。手を汚さずに柑橘類を絞ることができて便利。口ばしの部分が注ぎ口になっていて種が出にくい仕組みになっているのもポイントです。テーブルに置くとゆらゆらと揺れる姿もまたかわいらしいです。

 

「鍋にレモン、かぼす、すだちなど柑橘系を使うならこちらの商品がお勧めです。オールステンで食材がひっかかることなく絞れます。唐揚げやチューハイなどを作る時にも使えるので柑橘系を絞る習慣がある方にはぜひ持っていてもらいたいものです」

 

12.シャープでスタイリッシュな鰹ぶし削り器

貝印「Kai House SELECT 鰹ぶし削り器(カバー付)」
4,620円(税込)

 

大きくてしまうところにも悩む鰹ぶし削り器をスタイリッシュかつコンパクトに仕上げた逸品。サッと取り出していつでも使え、フタがあるため収納に困りません。削った鰹ぶしはカンナを取り外さなくても取り出すことができます。

 

「おだしからしっかりと取ろうと思う本格派の人、または、鰹ぶし削りはハードルが高いけれどやってみたいと思う人におすすめの品です。従来の鰹節削り器だと力の入れ具合が難しいですが、こちらはむしろ力を入れない方が上手に削ることができます。本格的な鰹ぶしの風味を手軽に味わうことができますよ」

 

使うツールを見直すだけで、今までの鍋料理がグンと快適になり、楽しくなるはずです。鍋をする機会も増えることでしょう。これからの季節に、温かなお鍋と便利なキッチン用品で鍋時間を楽しんでください。

「発酵鍋」は旨味と乳酸菌たっぷり!肌荒れや胃疲れにも優しいレシピ

 

Profile

フリーライター / 納富廉邦

主に文具、生活雑貨、装身具、バッグや革小物といったグッズのほか、日本茶、中国茶、紅茶、コーヒーを中心に飲み物全般と茶器や食器、伝統芸能全般などに関するレビューや評論、書評、音楽評論、美術評論などを書籍や雑誌、Webなどで執筆。著書として2023年後半に『二十一世紀の名品小物101』『逆光写真集』(ともにKindle ダイレクト・パブリッシング)、共著に『ローリング・ストーンズ完全版』『ボブ・ディラン完全版』(ともに河出書房新社)などがある。
X(Twitter)
Instagram

料理道具研究家が愛用する料理の厳選7つ道具と便利グッズ

料理には道具が欠かせません。良質で使い勝手がいい道具が、料理上手にしてくれます。今キッチンに、なんとなく “間に合わせ” で買ってしまったものや、壊れないから買い換えていないだけのものなどで溢れているなら、見直してみませんか? 料理道具研究家・荒井康成さんのキッチンにお邪魔して、料理道具を見せていただきました。

 

長く愛用したい7つの料理道具

はじめに紹介するのは、毎日自炊しなくても必要になる包丁やまな板のほか、 “これが揃っていれば料理に困らない” という視点で選んでいただいた7つ道具。

 

「いずれも高価なものを選ぶ必要はありません。長持ちするものやメンテナンスして使い続けられるものを選ぶと、買い換えなくてすむのでお財布にも優しいですし、廃棄など無駄にしなくていいメリットがあります。一方で、メンテナンスに時間がかかったり毎回やらなくてはならなくなってしまったりすれば、なかなか手が出ません。メンテナンスを気負わずにできて、ずっと使い続けられる、そんな道具を選ぶのがポイントです」(料理道具研究家・荒井康成さん、以下同)

 

1.木製の「まな板」

まな板には、さまざまな素材でできたものがあります。サクラやヒノキ、オリーブなどの木製をはじめ、樹脂製やゴム製のもの、さらに大きさやデザインもさまざまですが、荒井さんがもっともおすすめするまな板とは、やはり木製のものだそう。

 

木のまな板は、劣化しても削ればきれいになるのが最大のメリットです。本来は食材それぞれに適したまな板がありますが、家庭に何枚も置けないですし、 “この一枚” と決めるなら、サクラヒノキで作られたものがおすすめです。サクラは油なじみがいいので肉料理向き、ヒノキは湿気に強くて匂いを吸収してくれるので魚調理に向いています。どちらも安価とは言えませんが長く使えるものなので、よく食べる食材から選んでみてください。また、イチョウのまな板は木が柔らかく、包丁の刃を傷つけないので、野菜料理に向いていますオリーブは硬いので、パンやチーズなどを切るといいでしょう」

 

2.研ぎやすいステンレス製の「包丁」

包丁は、「三徳包丁」といって刃先が尖っていないタイプのものが一本あれば、なんでも切ることができます。安いものから高いものまでありますが、こちらもやはりメンテナンスして長く使えるかがポイント。安価なものは刃が薄く、研いでも切れ味が長持ちしません

 

「我が家で使っているのは、平野レミさんのブランド『remy』のもの。『クロの包丁』という名前で刃が黒いので、食材が見えやすくて切りやすいのが特徴です。フッ素コーティングしてあり、切れ味のよさが長続きします。手入れもしやすいので、メンテナンスにも時間がかかりません」

 

ちなみに、もう一本なにか包丁を買うなら、パン切り包丁がいいでしょう。

 

「こちらのパン切り包丁は、岐阜県にある志津刃物製作所のものです。ステンレス製で柄と刃が一体型なので洗いやすくて劣化も少なく、シフォンケーキのような柔らかいものもきれいに切れる形をしています。パン切り包丁には刃渡り21cmくらいのものが多いのですが、こちらは16cmとかなり小ぶり。でも、実はこのくらいのサイズの方が収納に困りませんし、パンをカットするのにも充分なんですよ」

 

3.上から数字が見える「計量カップ」

料理に欠かせない計量カップは、oxo(オクソー)のアングルドメジャーカップです。

 

身を屈めるなどして横から見なくても計量でき、ml表記とtbsp(大さじ)表記があります。使いやすいのはもちろん、計量間違いも少ないので、料理に慣れていない人にはとくにおすすめです。ミニ・小・中・大の4サイズ展開で、大は1000mlまで測ることができます」

 

4.肉も魚も香ばしく焼ける鋳鉄製の「グリルパン」

メイン料理がおいしく作れるSKEPPCHULT(スケップシュルト)のグリルパンは、鋳鉄製のもの。重さはありますが、中華鍋のように振ることがないので気になりません。

 

「スウェーデンの老舗メーカー、SKEPPCHULTは、ヨーロッパでも人気のあるアイアンブランドです。鋳鉄は熱伝導率と蓄熱性が高いので、魚や肉がカリッと香ばしく焼けます。魚焼きグリルは洗うのが面倒で使いたがらない方もいらっしゃいますが、これなら熱いうちにざっと水洗いしてタワシでこするだけで、メンテナンスは終わりです。秋刀魚を焼いてもステーキを焼いても、おいしく仕上がります」

 

5.ひとつは持っておきたい「卵焼き鍋」

卵焼きの鍋には関西風と関東風の2種類あり、正方形のタイプは関東風。甘い厚焼き卵を焼くのに適している形です。フライパンよりもコンパクトなので、ちょっとした朝食のおかずもこれひとつで焼くことができます

 

「テフロン加工のものもありますが、銅製のものの方が短時間で加熱できて時短になり、ふっくらと焼き上がります。また、卵が滑らないのでひっくり返しやすいんです。価格もそんなに高くないので、ひとつあると便利ですよ」

 

6.シリコン製の「キッチンツール」

こちらは、鍋で有名なSTAUB(ストウブ)のしゃもじとペストリーブラシ。持ち手はアカシアの木でできていて、先端はシリコン製です。

 

「食品がくっつきにくく、見た目にもテンションを上げてくれるキッチンツールです。シリコン部分が柔らかいので盛りつけやすいですよ。ペストリーブラシの方は、先ほどのグリルパンにオイルを塗るときに使ったり、食材にソースやオイルを塗るときに使います」

 

7.グラスを拭きやすい「キッチンタオル」

7つ目に紹介するのは、Birdy(バーディ)のキッチンタオル。超極細マイクロファイバーにポリエステルを配合した布で、吸水性と耐久性に優れています

 

「一度これを使ったら他のものは使えないというくらい、優秀なタオルです。バーテンダーやソムリエの意見を聞いて開発したもので、グラスに毛羽や水垢が付着させることなく、ぴかぴかに拭けます。乾きも速く、お皿を拭いているうちにタオルがびしょびしょになる……ということもありません。長方形の大きなサイズは1枚2000円を超えるので、タオルとしては割高ですが、長く使えるのでぜひ持っておいていただきたいです」

 

できれば持っておきたい便利グッズ3種

続いて見せていただいたのは、荒井さんが使っていて便利だと感じている3つの道具です。なくても事足りるけれどあれば便利、という道具は、料理の時間を楽しませてくれるはず。

 

1.食材を集めやすい木製の「スクレーパー」

デザイナーの小泉誠さんがプロデュースするブランド、ambai(アンバイ)のスクレーパーは、国産のサクラでできています。

 

「パンの生地をまとめるときに使うこともありますが、細かく切った食材を集めるときにとても便利です。適度な厚みがあるので持ちやすく、食材をこぼさず鍋やボウルに運べます。残念ながら売り切れていて在庫が残っていないのですが、スクレーパーはひとつ持っておくといいと思います」

 

2.フライ返しの代わりに使う「パレットナイフ」

こちらは、本来はケーキにクリームをナッペするときに使うパレットナイフ。製菓でよく使われるものですが、荒井さんはフライ返しの代わりにしているのだそう。

 

「たまたま餃子店に入ったときに、パレットナイフで餃子をひっくり返しているのを見て、すごく使いやすそうだなと思って真似したのがはじまりです。刃がしなるので食材の底に入れやすく、餃子のほかにも切り身の魚などにも使えます。刃が薄いのできれいに食材をはがせますよ」

 

3.チンしたごはんが “炊きたて” になる「陶製の器」

最後に紹介するのは、陶器。ごはん用に作られたものではありませんが、荒井さんは残りもののごはんを電子レンジで加熱するときに使っているそう。

 

「陶器は電子レンジに強いので、レンジOKのもので蓋つきのものならなんでもいいと思います。プラスチック容器やラップのままチンするよりも蒸気がしっかりこもり、ふっくらと加熱することができます。何より、見た目にもおいしそうですよね。このまま食卓に出して、おひつのように使うことができます」

 

週に一度は行いたい、使用頻度が高い「包丁」と「まな板」のメンテナンス方法

料理をする上でもっともよく使う包丁とまな板は、いい状態で使い続けるためにも、こまめなお手入れが必要です。といっても、研ぎ石で研ぐのはなかなか大変。

 

「砥石を使わなくても、シャープナーを何度か通せば充分切れ味が復活します。毎日料理する方は週末に研ぐ、くらいの感覚でよいでしょう。それでも切れ味が悪くなってきたら、研ぎ屋さんにメンテナンスしてもらいますが、こちらは一年に一度も行えば問題ありません」

 

まな板は、オリーブオイルをキッチンペーパーに染み込ませて、全体を拭いてお手入れします。サラダ油を使うと乾かず、べたついてしまうので、オリーブオイルで行いましょう。

 

「とくにサクラやヒノキなどの硬い木は、食材の油が入りやすいのでしっかりメンテナンスが必要。こちらも週に一度くらいのお手入れでいいでしょう。全体をオイルで拭いたら乾燥させておきます。普段のお手入れはこれで大丈夫ですが、黒ずんできたり汚れが気になってきたりしたら、サンドペーパーで軽くこすると、カビや汚れを削ることができます」

 

キッチンツールは見せる収納で乾燥させる

キッチンアイテムの中でも、木でできたまな板や鉄のフライパンなどは、湿気を嫌うものです。引き出しやシンク下に入れてしまうと湿気がこもるので、見せる収納がおすすめ。

 

「いつも乾燥させておくとカビも生えにくく、いい状態を長くキープすることができますよ」

 

「鉄のフライパンも湿度があると錆びてしまうので、なるべく出しておきましょう。もししまう場合も、洗ったあとに加熱してしっかり乾燥させてからしまいます」

 

「包丁はマグネットにくっつけて収納するパターンもありますが、刃が出ているとうっかり手を切ってしまいそうで不安なので、包丁立てを使っています。お好みですが、危なくない収納の仕方を選んでみてください」

 

いつもきちんとメンテナンスされている、手に合った道具があるだけで、料理は格段に上手になり、それが時短にもつながります。忙しい毎日だからこそ、良質な道具で手軽においしいごはんを。道具を少しずつ見直して、揃えてみてください。

 

プロフィール

料理道具研究家 / 荒井康成

洋菓子店店長、和陶器店主を経て、フランス陶器エミール・アンリ社の日本法人設立に携わる。以後、日本初の「料理道具コンサルタント」として独立し、各食情報誌でのコラム執筆やスタイリング撮影、映像制作、専門学校講師など多岐に渡り活動中。著書に『ずっと使いたい世界の料理道具』(産業編集センター)。


提供元:心地よい暮らしをサポートするウェブマガジン「@Living」

腰痛・肩こり・むくみに! 東急ハンズで見つけた「体にやさしい環境」が低予算で整うグッズ

長時間デスクワークが続くと、腰痛や肩こり、足のむくみなどのトラブルが起きやすくなり、やがて慢性化。自宅で仕事をする機会が増え、移動に体を使わないことで体力自体が落ちていると感じる人も多くなっています。とはいえ、仕事専用のデスクやワークチェアを買って環境を整えるには、それなりの投資が必要……。そこで今回は、体にやさしい環境を、低予算で整える方法を紹介します。

【関連記事】PC環境からストレス発散の方法まで「在宅ワーク」に集中できる環境の整え方

 

デスクワークでつらいのは座り続けること

デスクワークも長時間の作業になると、正しい姿勢を保てず、腰に負担がかかったり、足がむくみやすくなったりしがちです。

 

竹谷内カイロプラクティックセンターの竹谷内康修院長に解説いただいた「整形外科医が教える腰痛にならない部屋作り」でも、「肩こりや腰痛は環境と姿勢で変えられる」と教えていただきました。また、立っているときよりも座っているときの方が体に負担がかかりやすくなる、ということも。

 

そこで選択肢として挙げられるのは、

立ってデスクワークができるスタンディングデスク
正しい姿勢をとりやすいワークチェア

などでしょう。でも予算がない!部屋を大々的に片付ける暇がない! という人のために、まずは「椅子に置くだけで楽になる」アイテムを東急ハンズ新宿店へ探しに行きました。

 

■ 腰痛がつらい人には、椅子にプラスする“進化形座布団”

これは、椅子に置いて座るだけで正しい姿勢に導いてくれるサポートアイテム。椅子やソファなど環境を丸ごと変えるのは大変ですが、今持っている家具に置くだけでいいとあって、人気が高まっているそう。

 

「このタイプの商品だけでも1コーナーできるほど、ラインナップは豊富です。ある程度の重さがあり、体がすっぽり包まれるようなものや、部屋を移動するときに持ち運びできるもの、車やコワーキングスペースなどにも持っていけるような軽いものなど、さまざまです」(東急ハンズ新宿店3階『カラダしなやか用品店』店主・久慈文子さん、以下同)

 

1.座るだけで正しい姿勢に導いてくれる

バックジョイ「メディコアリリーフ ミッドナイト」
7200円+税

座るだけで良い姿勢へと導くクッション。背骨と骨盤が正しい位置になる姿勢を保てるので、長時間座るときにもおすすめです。お尻周りだけをサポートするサイズなので、体の位置が固定されすぎず、窮屈さがありません。「価格的にも手頃で、持ち運びも簡単なので、お求めやすいアイテムです。腰や背中の負担の軽減だけでなく、姿勢が悪いことに悩んでいたり、美しいボディラインにしたいと思っている方にもぴったりです」

 

2.ソファや床にも置きやすい座椅子タイプ

MTG「スタイルスタンダード ファブリックライトベージュ」
8910円+税

ナチュラルカラーでインテリアにも馴染みやすいと人気なのがこちら。腰回りまでをすっぽりと包み込み、体を預けながら美しい姿勢を保てます。「カイロプラクティックのメソッドを応用して作られており、骨盤が曲がったりブレたりせずに座る姿勢を保てます。このまま座椅子として使っている方や、ソファに置いて使っている方もいらっしゃいます。背骨を立てるように座れるので、猫背が気になっている方、スマホ首になってしまう方は、座るだけでまっすぐな背骨を意識できますよ」

 

3.持ち運びできるミニマムタイプ

ECGEL「ミニプニ PUN10」
4500円+税 

長時間座り続けることで体に負担がかかる、ということに着目して開発された、弾力のあるクッション。小さいながらも尾てい骨や坐骨の痛みに向き合い、体の疲れや痛みを軽減するよう考えられたアイテムです。「低反発でも高反発でもない独自の弾力性をもつクッションで、医療や介護の現場でも、車椅子のシートとしても活躍しています。グッドデザイン賞も受賞していて、デザイン性も優れていますよね。運転のときやオフィスに行くときにも持って行けて便利です」

 

4.お試し買いにもぴったりなロープライス

サンファミリー「持ち運べる低反発ゲルクッション 迷彩グレー」
1980円+税

ゲルと低反発ウレタンで二層になっているクッション。体重を一点に集中させず分散させるので、長時間座っていてもお尻が痛くなりにくい上、お手頃価格なのもうれしいところ。「用途はミニプニと同じですが、気軽にお求めいただける値段なので、試しに買ってみようという方も多いかと思います。また、在宅ワークだけでなく、出張やワークスペースを移動しなくてはならない方にもおすすめです。飛行機や新幹線などの中でも使いやすいですよ」

 

■ 冷えやむくみがつらい人にはウェアラブルグッズ

人目を気にしなくていいおうち時間に使うなら、体に装着するアイテムもおすすめ。続いて、足の血流が滞ったことによるむくみや冷え、体の痛みなどがある場合に選びたい「体に装着するアイテム」。

 

5.履くだけで足の血流改善に!

ドゥッシュドゥッスゥ「ショート丈磁気レッグウォーマー G1800」
5800円+税

バレエショップが開発したレッグウォーマーは、デスクワークでうっ血したりむくんだりしがちな足の血行を促進してくれます。履いたままパソコンに向かったり、散歩をしたりすることもでき、足のコリにもおすすめです。「机に向かいながら足元だけはなんだか寒い……ということってありますよね。私も使っているのですが、毎日の通勤に手放せなくなりました。ショートタイプの他にロングタイプもあります。腹巻きバージョンもあるので、腰痛やお腹が冷えやすい方はそちらも使ってみてくださいね」

写真右側の3点に磁石が入っていて、ふくらはぎに作用します。洗って何度も使えるのも経済的。

 

6.“スマホ首”から解放されたい!

メディエイド「スタイルケア ネックキーパー フリー」
2380円+税

スマートフォンやノートPCに長時間向き合っていると、首を突き出したような姿勢になりがち。「スマホ首」「ストレートネック」を引き起こしてしまいます。ネックキーパーをつけて首を正しい位置に置くことで、首から背中までの姿勢を正しく保ちます。「首や肩のコリがひどい方は、背骨や骨盤よりも首の位置を正しくすることが体を楽にするかもしれません。ネックキーパーは、つけることで高さ調整可能なキーパーにやさしく支えられ、首を前に出せないようになる、というもの。メッシュで軽く、つけながら仕事していても気になりません」

 

7.美しい姿勢がキレイを作る

メディエイド「スタイルケア 背中ストレッチ」
3180円+税

こちらはネックキーパーの背中版。胸を広げて背筋をまっすぐに保つことができるので、肩甲骨のあたりや肩を中心に楽な姿勢をサポートしてくれます。猫背になりやすい人にもおすすめしたいアイテムです。「こちらも薄いメッシュ素材なので、上から洋服を着ても響きません。つけているだけで姿勢が整うので、きれいな立ち姿になりますよ。トラブルを解決するだけでなく、姿勢の美しさを求めている方にも試していただきたいです」

 

■ 凝り固まった体には最終手段

すでにコリや疲れが体に溜まってしまって困っている方には、ハンディタイプのボディケアグッズがおすすめ。どちらもコンパクトで使いやすいので、デスクの横に備えておけます。

 

8.アタッチメントの付け替えでいろいろな部位に活躍

MYTREX「リバイブミニ」
1万2000円+税

ハンディタイプのボディケアガンは、女性の手にも握りやすいコンパクトな仕様。先端のアタッチメントをつけ替えることができるので、どんな場所にも使うことができます。スポーツ選手が筋肉をケアするときにもよく使われるものなのだそう。「ハンディなのにかなりのパワーがあり、深いストロークでしっかり体の芯までケアしてくれます。軽量なのでずっと持ちながら使用していても手が疲れないのもいいところです。肩や首だけでなく、5種類のアタッチメントで頬や足まで使えます」

さまざまな形状をした5種類のアタッチメントが付属します。

 

9.温熱と電気刺激で首をケア

NIPLUX「ネックリラックス」
8800円+税

首に装着すると、パッドから温熱と電気刺激が伝わるコードレスEMS温熱運動器。軽いので、つけたまま作業したり散歩に行ったりできます。EMS電気刺激や温度も好みに合わせて調節が可能です。「デスクワークで溜まった違和感を解消したいが時間がない、という忙しい方におすすめ。作業をしながらでも首につけるとじんわりと温まり、EMS電気刺激で首まわりをケアしてくれます。EMS電気刺激というとピリピリして痛いイメージを持っている方もいらっしゃいますが、強さを調整できるので安心です」

 

せっかく我が家にいるのだから、オフィスより快適に過ごせるよう、この機会に見直してみましょう。快適かどうか以前に、体が痛むようなら赤信号。今回紹介したような手軽なアイテムで、改善してみてください。

 

【プロフィール】

東急ハンズ新宿店3階「カラダしなやか用品店」店主 / 久慈文子

健康関連グッズをそろえるコーナー「カラダしなやか用品店」の“店主”として、健康に関するアイテムに詳しい。東急ハンズ新宿店には複数の店主が在籍し、それぞれの得意分野を活かして店づくりをしている。ほかに、ダイエット、旅グッズ、掃除グッズ、などに詳しい店主も。

 

【店舗情報】

東急ハンズ新宿店

所在地=東京都渋谷区千駄ヶ谷5-24-2 タイムズスクエアビル2~8F
電話番号=03-5361-3111
営業時間=10:00~21:00
定休日=不定休
https://shinjuku.tokyu-hands.co.jp/

東急ハンズ新宿店3階には、今回紹介したアイテムのほかにも、ライフスタイルや健康のことを考えたアイテムがたくさん。一部はネットショップでも販売しています。
https://hands.net/