消防士が公然とダンスパーティー!? パリ祭からフランス人の「消防士観」を読み説く

サッカーW杯を20年ぶりに優勝を果たしたフランス。街は最近までサッカー一色でしたが、実は別のイベントも大盛り上がりしていました。毎年7月14日は、フランス革命記念日(通称パリ祭)で祝日です。その革命記念日前夜の恒例行事となっているのが、消防士主催のダンスパーティー「バル・デ・ポンピエ」。国内の各都市村、各地域の消防署が一般開放され、朝方まで音楽とダンスで盛り上がります。日本の消防署ではあまり考えられないようなことですよね。「このイベントはどのようにして始まったのか ? フランス人にとって消防士とは一体どういう存在なのか? 本稿では、これらの疑問を読み解いていきます。

 

「バル・デ・ポンピエ」とフランスの消防士

日本で「パリ祭」として知られるフランス革命記念日の当日は、朝からパリのシャンゼリゼ通りで軍事パレードが行われ、夜はフランス各都市で花火が上がります。この革命記念日の前夜祭として知られるイベントが、フランス各都市の消防署主催で行われるダンスパーティー「バル・デ・ポンピエ(Bal des Pompiers)」。

 

基本的に「バル・デ・ポンピエ」は入場料を定めておらず、心づけを寄付するという形をとっていますが、なかには、ドリンク券が付いた有料チケットを販売しているところもあります。DJ、コンサート、消防士によるステージ上の出し物、一緒に記念撮影ができるサービスなど、内容は盛りだくさん。夜も更けたころから明け方まで宴は続きます。お祭り気分が味わえる簡単な飲食の屋台も出ますが、屋台でサービスをするのも消防士たちです。

現在、フランスには24万6800人の消防士がいます。しかし、全員の雇用形態は同じではありません。消防士は大きく3つのカテゴリに分けられます。まず、「フランス陸軍に属するパリの消防士」「海軍に属する南仏マルセイユの消防士」という軍人として従事する人たち(消防士全体の5%)。次にフランス各都市にいる職業消防士(同16%)。そして他の職業に就きながら、必要時に出動する「ボランティア消防士」(同79%)の人たち。実はこの「ボランティア消防士」の割合が全体の8割近くを占めているのです(カッコ内の数字はフランスの消防庁調べ)。

 

ただし、ボランティアと言っても無報酬ではなく、役職によって違うものの時給7.66〜11.52ユーロ(約1000円から1500円)までの報酬を得ています(2017年6月時点)。しかも、ボランティア消防士として活躍するためには、いくつかの条件をクリアしなければなりません。

 

必要な条件に含まれるのは、16歳から60歳までの健康な男女であること、3年間に30日間の研修を受けなければならないこと、また一月平均6回は出動準備が整えられること。仕事は火災処理に限らず、人命救助なども行います。日本だと救急隊員や自衛隊が行うようなこともフランスでは消防隊員が請け負っているのです。

 

なぜ消防署でダンスパーティーが開催されるように?

バル・デ・ポンピエはサクレクール寺院で有名なパリ18区のモンマルトル地区で1937年に始まりました。7月14日の革命記念日に行われる軍事パレードには、軍に所属する消防隊員の行進も含まれています。当時、隊員たちがこのパレードを終えて消防署へ帰ってくる際に、少数のグループが「追っかけ」として署まで付いてくることがありました。これを見た消防隊員が、一般の人にも消防署を開放する日を設けるよう上司にかけ合ったことが「バル・デ・ポンピエ」の始まりとされています(フランス国防省のサイトより)。

 

歴史家の見解には、もう一説あります。革命記念日には町のいたるところでダンスパーティーが開催されますが、消防士はこの日のダンスパーティーに参加することが禁止されていました。これは、いざというときにいつでも出動できるよう体制を整えておくため。こうした規則のなかで、消防士たちはそれぞれのパートナーを署まで招待するようになり、徐々に自分たちでパーティーを主催する流れになったとも伝えられています。

消防士は子どもたちの憧れ、市民に頼りにされる存在

事故や災害が起これば即座に駆けつけ救助にあたる消防士は、子どもたちにとって正義の味方であり、憧れの的なのです。このことは、消防士全体の8割がボランティアであるという数字を見てもお分かりいただけるでしょう。小さいころからの夢を別の職業に就きながらボランティアという形で叶えている人たちがいるということなのです。

 

また、将来消防士になることを希望している中学・高校生を対象に水曜の午後や土曜日など、授業のない日を利用して行われる「若い消防士養成コース」もあり、優秀な消防士を若いうちから育成したいという国の意図も読み取れます。

フランスの一般市民にとって、消防士はとても身近な存在です。毎年、年末になると消防士は市民の自宅を訪問しカレンダー(上の写真)を売りに来ますが、このカレンダーには値段がなく、日頃の活動に感謝の気持ちを込めた心づけを渡すことになっています。心づけは5~10ユーロ(約650〜1300円)など、キリのいい金額を渡すのが一般的。

 

このように日本とは違うイメージを持つフランスの消防士ですが、バル・デ・ポンピエは消防士をより身近に感じられるお祭りであり、一般市民にとっては感謝を込めた意味合いも含まれているのかもしれません。

【ツール・ド・フランス】フランス人視聴者の半分はレースではなく、違うものも見ていた

フランスで夏の風物詩となっている自転車ロードレース「ツール・ド・フランス」。第105回目を迎える2018年は、7月7日から29日までの日程で行われました。フランス西部から出発して大西洋沿いを走り、アルプス、ピレネーの過酷な山岳ステージを経て、ゴールの「パリ・シャンゼリゼ」まで全3329kmを競い合うこの競技。フランス人にとっては夏の風物詩として欠かせないイベントですが、なぜこのレースは多くの人たちを引き付けるのでしょうか ? 今回は少し変わった視点から「ツール・ド・フランス」の魅力を紹介します。

 

世界35億人の視聴者が見守るツール・ド・フランス

今年はワールドカップの影響で、開催日が例年より一週間遅れで始まったツール・ド・フランス。全世界190か国に中継、または配信され、その視聴者総数は約35億人にものぼると言われています。

 

7月になると、街頭のカフェや空港の待合室など人の集まる場所では、連日ツール・ド・フランスの映像がごく自然に、そして当たり前のように流れています。フィガロ紙によると、 2017年大会の全21ステージの平均視聴率は38,4%、フランス国内のテレビ視聴者数はおよそ380万人。また、 ラジオ局フランス・ブルーは沿道で応援する観客数は 1200万人にものぼったと述べています。

 

また、ニュースを専門に扱う別のラジオ局「フランスアンフォ」が伝えた調査結果によると、国内で同競技を観戦するテレビ視聴者の2人に1人は年齢が60歳以上、また72%が50歳以上というデータもあります。その一方、高校生や大学生などの若い世代は、すでに夏の大型バカンスに入っているため、視聴者全体の7%に過ぎません。

そんな視聴者たちがレースを観戦する理由には微妙なニュアンスが含まれています。パリのスポーツ専門マーケティング会社「Sportlab(スポーラブ)」の調査では、ツール・ド・フランスをテレビ観戦する理由で一番多かったのは、「テレビに映るフランスの美しい景色を眺めること」でした。なかでも、過酷でドラマティックな「山岳ステージ」に最も惹かれているという結果が出ています。また、ある統計会社が2016年に公開したデータでは、50%の視聴者がツール・ド・フランスで「まるで絵葉書を眺めるかのように映し出される美しい景色と歴史的建造物を楽しんでいる」ことが判明しました。

 

選手たちが繰り広げる人間ドラマは、この競技鑑賞のメインであることには間違いありませんが、このレースを一層盛り上げるもう一つの主役は、なんといっても周囲のダイナミックな景色だったのです。後述しますが、空撮される地方色豊かな自然やのどかな田園風景、そして訪れたことがある場所などが画面に映し出されると、夏の暑さや疲れを忘れ、つい画面に見入ってしまうというフランス人が多いのでしょう。

 

独特な鑑賞スタイルとフランスでの自転車人気

ツール・ド・フランスの鑑賞スタイルには、日本の箱根駅伝と通ずるものがあります。どちらの競技も何時間も前から現地入りし、選手たちの登場を待ち、その瞬間を見届けます。ツール・ド・フランスの場合は、バカンスを兼ねてキャンピングカーで乗り付けたり、何日も前からテントを張ってキャンプを楽しんでいたりする人たちもいます。自転車とマラソン、いずれも多くの人にとって比較的身近なスポーツであり、鑑賞者が選手たちの心理に感情移入しやすい点も似ているかもしれません。

 

上述のように、ツール・ド・フランスの視聴者の大半が50代以上で若い世代の視聴者が少ないのですが、BMXやマウンテンバイクなどの自転車競技は、フランスの若者にも人気があります。Statistaによると、マウンテンバイクを含む自転車の販売台数は、この20年近く300万台前後を維持。2017年度の売り上げ総額は9億6000万ユーロ(約1248億円)にのぼります。街中の自転車専用道路も整備され、シェア自転車サービスも普及しており、フランスはサイクリストにとって優しい環境に生まれ変わりました。

自国の豊かな風土や美しさが「再認識」できるイベント

フランス人がツール・ド・フランスに魅力を感じている理由のひとつとして、景観の美しさを楽しむことを挙げましたが、フランスは景観へのこだわりやその管理体制に徹底した姿勢を貫いてます。フランスの国道をドライブしながら国境を越えると、フランス人の美観への意識が突出していることは明らか。整備された道路や緑の多さ、植え込みや花壇など、景観を維持するために本当に細かいところまで、よく手入れが行き届いているということに気付かされるのです。

 

毎回大会前には、ツール・ド・フランスの主催者もコースとなっている各市町村の道路整備に予算を割き、受け入れ態勢を整えています。1985年以来、フランス人は総合優勝から遠ざかったいますが、ひょっとしたらフランス人はレース結果ではないところに誇りを感じているのかもしれません。

ロシアは「カーナビの進化」も独自! とあるナビアプリが自由すぎる

日本では車内設置型のカーナビもよく見かけますが、ここロシアでは、車内に残すと盗まれる可能性が高いので、スマートフォンやタブレット内のカーナビアプリを使うのが一般的です。そんなロシアでとってもユニークな、大人気カーナビアプリが存在。遊び心溢れるサービスで、ロシア人の心をわし掴みしたカーナビアプリを紹介します。

 

戦車や戦闘機でドライブ

ユニークなアプリを提供しているのは、世界4位の検索件数を誇るロシアの大手検索エンジン・ポータルサイト「ヤンデックス」。そのヤンデックスが出している、「Яндекс.Навигатор(ヤンデックス・ナビゲーション)」というアプリが好評を博しているのです。

 

基本設定では、現在地を表すカーソルは矢印になっていますが、矢印をスポーツカーや戦車、戦闘機の表示に変更することが可能。自分のクルマが戦車となって、ナビ上を動く様子は運転しながらもワクワクしてしまいます。

 

有名人とドライブしているかのようなナビシステム

ヤンデックスナビはロシアで誰もが知る有名人の声をナビゲーターに起用し、まるでセレブと一緒にドライブしているかのように楽しくドライブをすることが可能。声の出演者は、日本でいう徳光さん的存在のワシリーをはじめ、ラッパーのバスタ(日本でいうZEEBRAさん)、ガーリク(くりぃむしちゅー上田さん)、ナギエフ(明石家さんまさん)、映画監督のフョードル(宮藤官九郎さん)、人気映画トランスフォーマーのコンボイの声、さらに、大手インターネット会社「ヤンデックス」の営業部長でキャリアウーマンの憧れアクサナです。

 

一人ひとりの話し方や誘導がとても特徴的で、どれを選んでもドライブが楽しくなること間違いなし! なかでも人気はコメディアンのガーリク。行き先を設定した途端「俺はいま飲んできちゃったから、お前が運転な!」と、なんだかガーリクを助手席に乗せたような気分にさせてくれます。曲がり角を間違えると「もー、ちゃんと見ろよなー」と愚痴をこぼされることも。コメディアンの彼らしく、ナビには至る所にユーモアが散りばめられています。

 

また、ロシア映画賞など複数の映画賞を受賞したフョードル監督では、行き先を設定すると、「さぁ、いまから俺が監督として導く! 一緒に新しいストーリーを創り出そう!」と言ってナビがスタート。フョードルは運転手を俳優に見立て、監督が指示するように目的地までナビしてくれます。

 

また「変わりネタ」として人気なのは、唯一女性として収録されているヤンデックスの敏腕営業部長アクサナです。ロシアメディアでも強気なキャラクターとして有名なのですが、ナビではそんな彼女にガンガン指示されます。「速度制限よ。私が言うのだから、必ず守りなさい」と、実際に彼女の部下になったような指示が。目的地に到着した暁には「あら、あなたでも到着できたじゃないの」と、お褒めの言葉をもらうことができます。

スターウォーズにオンラインゲーム! アップデートしたくなる仕掛け

本製品は2017年末にスターウォーズとのコラボレーションを発表。なんとヨーダかダース・ベイダーに道案内してもらえるのです。また、現在地を表す矢印もXウイングなどの宇宙船に変更が可能。

 

ひとつひとつの表現も期待通り、ユニークに仕上がっています。「ヨーダバージョン」では行き先を入れると「わしについてこい。若き者よ!」、オービスの前では「気をつけろ、帝国にスピードを見張られているぞ!」、道路工事については「シスたちが道を掘っているようだ」と言ってくれます。一方、ダース・ベイダーでは行き先を登録すると「ダース・ベイダーはお前を待っていたぞ」、「スーパースターデストロイヤーは軌道に乗った」という声が聞こえてきます。スターウォーズのファンにとってはたまらないでしょう。

最新のアップデートでは、戦車を扱った参加型オンラインゲーム「World of Tanks(ワールドオブタンクス)」とコラボレーション。現在地を表す矢印のカーソルの代わりにТ-34-85など、ゲーム上で人気の戦車5台が表示されます。道路工事に差しかかると「対戦車障害物を避けろ」オービスが近づくと「スナイパーに狙われているぞ! 気を付けろ!」など、ナビ上で「World of Tanks」の世界を楽しむことができます。

有名人やコメディアンの声を起用することだけでもユニークですが、それだけではなく、ひとつひとつの表現までもそのキャラクターや作品に合わせる徹底ぶりがユーザーを楽しませています。遊び心溢れるシステムアップデートもユーザーを飽きさせることはありません。オリジナリティ満載のアイデアで、ダウンロード数を着々と伸ばしています。

本場の「BBQ」はただ楽しむものじゃない! 日本のお父さんがアメリカから学ぶべきこと

夏突入! バーベキュー(以下BBQ)の季節となりました。BBQの本場といえばアメリカ。筆者は在米4年になりますが、アメリカに住んでみて初めて知ったことがいくつかあります。渡米してからこの国ではBBQが生活の一部になっていることが皮膚感覚でわかるようになりましたが、そのなかでは日本と共通している文化も発見しました。本稿では、そんなアメリカ流の楽しみ方とBBQで使える便利グッズを個人的なエピソードを交えながらご紹介します。

 

アメリカBBQの特徴

アメリカでは、シーズン関係なく年中BBQを楽しみます。日本ではBBQといえば「夏」というイメージですが、アメリカでは夏に限らず、週末に天気が良ければいたるところでBBQをやっている家庭を見かけます。特に1年のうち「メモリアルデー(5月の最終月曜日)」と「インデペンデンスデー(7月4日)」は、「BBQの日」といっても過言でないほど。どちらの祝日でも家族が集まってBBQをします。

 

一口にBBQといっても、ホットドッグやハンバーガーを焼いて楽しむ「お手軽BBQ」と、前日から塊り肉に下味をつけ、一日かけて焼く「本気BBQ」があります。どちらも日本のように薄切り肉を焼いてすぐ食べるというよりは、時間をかけて焼いて、切りわけたものを「サイドアイテム」とともにテーブルへ並べ、みんなでいっせいに食べるというのが一般的です。

 

アメリカでは、日本でいうところのホットプレートのような感覚で、一家に一台BBQグリルがあります。そして鉄板奉行ならぬ、グリル奉行は「お父さんの仕事」。BBQを仕切る人をアメリカでは「ピットマスター」と言いますが、グリルの設置や火の管理など、熱くて力仕事の多いグリル周りの作業は男の仕事なのです。この点は鍋や鉄板料理をするときの日本の家族と同じでしょう。一方、母親はというと、エアコンの効いたキッチンでコールスローやマカロニチーズなどのサイドアイテムを作ります。肉が焼けるのを待つ間は、ビールを飲みながらチップスやディップなどをつまみます。

 

公園やアパートのコンドミニアム、プールサイドなど、いたるところにBBQグリルとテーブルセットがあるアメリカ。私も同僚たちとプールサイドでBBQをよく行います。事前に要るものリストを作り、そのなかから一人一品ずつ持ち寄り、残ったら持ってきた人、もしくはほしい人が持って帰るというシンプルなスタイル。現地集合・現地解散で、気も遣う、みんなでワイワイ楽しめます。ただ、公共の場所ではアルコールは基本的に禁止。この点は日本と違う点ですね。

 

BBQで食べる料理

アメリカでも主役はやはりお肉! ですが、日本のように海鮮や野菜を焼くことはありません。お手軽バージョンでは、ハンバーガーパティやブルストと呼ばれる大きな生ソーセージを焼いてバンズに挟んで食べます。これらのお肉は下味がついて焼くだけの状態になったものが売られているので、特別な準備もいらず、すぐに食べられます。このお手軽BBQは週末に限らず、ピットマスター(お父さん)が早く帰宅する平日でも行われます。渡米当初は、「え、いまからBBQグリル? 」とさすがにびっくりしましたが、在米4年目になる現在では、パティやブルストを常に冷蔵庫にストックしておき、夫や義父が早めに帰宅した日には「今日は任せたよ」としばしば夕食をお願いしています。

 

本気バージョンでは、前日からお肉の仕込みを行います。お肉は赤身の塊り肉を使用。牛ならブリスケット・リブ。豚ならプルドポーク。鶏肉ならドラムスティック、チキンウィングスなどが定番メニュー。なかでもオススメは、低温でじっくり焼き上げるリブ。粉末シーズニングが売っているので、前日にそれを肉にすり込み、当日に1日かけて焼きます。口に入れるとほろほろと崩れていくような柔らかさで、BBQソースと絡めながらいただきます。

 

そのまま食べても、バンズに挟んでもジューシーでたまりません。BBQソースも家庭によってこだわりがあり、スーパーのBBQソース売り場には50種類を超えるBBQソースが並んでいます。

アメリカの定番サイドメニューは、コールスロー、ポテトサラダ(日本のものよりも甘みが強く、水分が多めでマッシュポテトに近い)、マカロニチーズ、コーンブレッド(トウモロコシ粉で作ったスポンジケーキのようなもの)、ベイクドビーンズ(ネイビービーンズを甘辛く煮たもの)、フライドオクラ(オクラにトウモロコシ粉の衣をつけて揚げたもの)などです。どれも簡単に作れるものばかりで、フライドオクラ以外は、作り置きもできるので主婦にはありがたい限りのメニューです。

流行しているBBQグッズ

一家に1台のBBQグリルは「ガス式」と炭で火をつける「チャコール式」がありますが、ガスは大きいうえに値段も高いので、チャコール式が一般的です。「WEBER」というブランドの丸いUFO形をしたもの(写真)が定番中の定番で、これはグリルとして焼くだけでなく、蓋を閉めてスモークにしたり、長時間じっくり焼くのにも使えるようになっています。サイズによりますが価格も50ドル~とお手ごろです。また、父の日のプレゼントとして、グリルで使えるBBQ専用のナイフやトング、掃除用のブラシなども人気。

アメリカでは、BBQはイベントというより、むしろ生活の一部です。アメリカ人はBBQで家族団らんの時間を過ごす一方、ご近所や職場の同僚と和やかな雰囲気のなかでコミュニケーションを取っています。そして、BBQは父親の腕の見せ所! 普段はダラダラしているお父さんにとっては、ここぞとばかりに大活躍できる特別な日でもあるのです。日本のお父さんもグリル奉行で家族に威厳を示してみてはいかがでしょうか?

 

350円リュックよりもコスパ高かもっ! 仏・デカトロンが作った「トレッキング用携帯食」の味をチェック!

デカトロン社製品のコスパのよさは、以前にも350円リュックでお伝えしましたが、今回ご紹介するのは「フリーズドライの携帯用インスタント食」。近年、フランスではフリーズドライ食品市場が成長を続けています。本製品はトレッキング用に開発されているので、携帯性や利便性が抜群なうえ、エネルギー補給もしっかりできるのが特徴。しかし、実際にはどんな味がするのでしょうか?

 

「メイド・イン・フランス」を謳うデカトロンのフリーズドライ食

夏のバカンスシーズン到来で、スポーツウェア・用品専門店のデカトロン店内も、レジャー用品を買い求める人々で賑わいを見せています。日本の甥や姪にプレゼントしようと、リュックサックを買いに足を運んだのですが、そのとき、ふと目に入ったのが同社のフリーズドライ食品でした。

 

デカトロンのエネルギー食品シリーズにはシリアルバーやスナックなど、ひと通りの携帯用食品が揃っています。フリーズドライ食品には、今回試食した「レンズ豆とハム(の煮込み)」のほか、「鶏肉とショートパスタのカレーソース」、「ショートパスタの挽き肉ソース」、「牛挽き肉入りじゃがいものピュレ」など、エネルギー補給に良さそうなメニューが揃っています。

 

レンズ豆とハムの煮込みを食べてみた

試食に選んだのは、インスタント食品として味の想像がつかなかった「レンズ豆とハム(の煮込み)」。5ユーロ(約650円)です。トレッキングなどの山への携帯食には炭水化物が欠かせないと以前に読んだことがあったのですが、レンズ豆(植物性タンパク質)とハム(動物性タンパク質)の組み合わせで、そのあたりをどうクリアしているのかが気になったという理由もあります。

 

上の写真は、お湯を入れて袋の中を捉えたものです。目盛り6(約280ml)まで湯を注ぎ、チャック式の袋口を閉じて5分間待ちます。お湯が入って食材が水分を含んだ途端、あの軽かった袋(130g)がずっしりと重くなりました(水分を含むと410g)。食べ応えが十分ありそうな重量です。

お湯を入れて5分経ち、袋を開けてみました。乾燥状態の時に白っぽいフレーク状のものがたくさん見えていたのですが、これはじゃがいものフレークでした。つまり、このメニューもじゃがいもを使っているので、炭水化物の補給はしっかりクリアできているわけです。

 

味付けはやや濃い目ですが、ピュレ状になったじゃがいもが程よい食感を残したレンズ豆やにんじんなど、ほかの野菜とよく馴染み、おいしくいただけました。山で歩いた後などに、これを食べたら最高だろうなと思わせる味です。

 

最近は、フランスでもカップ入りインスタント食品などを頻繁に見かけるようになりましたが、このレンズ豆とハムはフランス家庭料理の定番メニューでもあり、フリーズドライとして登場したのは新鮮でした。日ごろからこのメニューを食べ慣れているフランス人にとっては、このフリーズドライ食のレンズ豆にはまだ改善点があると感じている人もいるようですが、たいていの人はこの製品に合格点をつけています(デカトロン公式サイトレビューより)。

近年伸び続けているフランスのフリーズドライ市場

仏フィガロ紙によると、「サバイバリズム(生存主義)」が台頭している近年、防災用の食糧ストックを意識する動きが世界中で起きているとのこと。同様の動きが2012年あたりから始まっているフランスでは、フリーズドライ食品の需要が順調に伸びており、同市場は毎年200~300%にも成長していると同紙は伝えています。元々トレッキングなどのアウトドアスポーツの人気が高く、フリーズドライ食品も携帯食品として愛用されていますが、その一方で、近年販売されたフリーズドライ食のうち約40%は、保存用の非常食として購入されている一面もあるのです。

 

フランスにおいて、フリーズドライ食の平均販売価格は一食に付き、4,5~6,5ユーロ(約600~850円)と、インスタント食品として考えると決して安いとは言えません。しかし、同国のフリーズドライ食品販売サイト・リオフィリズの代表によれば、「フランスのフリーズドライ技術は、10〜25年間保存できる食品が製造可能」になり、数年分をまとめ買いする人もいるのだとか。確かに、今回のようなお湯が必要な製品とお湯が要らないシリアルバーなどをストックしておくと、いざというときに役立ってくれるかもしれません。

 

 

Skype、Googleハングアウト、チャットワークを超えるか? 1クリックでオンライン会議ができる「Zoom」

ビジネスに欠かせない会議。グローバル化やワークスタイルの多様化によって、スタッフやクライアントが同じ場所に集まれない状況が増えるなか、活躍しているのがオンライン会議です。現在、Skype、Googleハングアウト、チャットワークなど様々なWeb会議ツールがありますが、事前のセットアップやアカウント取得や承認といった作業も伴います。

 

しかし、アメリカ生まれの「Zoom」ではホスト(主催者)のアカウントだけあれば、参加者は送られてきた会議の「招待リンク」をクリックするだけ。使い勝手の良さや手軽さが受けて、北米を中心に世界各国で愛用者が急増しています。今回はZoomの5つの特徴を取り上げることで、それが他のWeb会議ツールよりも圧倒的にオススメな理由をご説明します。

 

1:「本当に」1クリック操作で簡単につながる!

Zoomは多数の参加者を想定したオンライン会議システムで、ゲスト側でアカウントを取得しなくても簡単に接続できるよう設計されています。初回はZoomのアプリをインストールして会議IDを入力、またはメール内の招待リンクをクリックするだけ。

 

2安定した通信で素早い動作

ZOOMは通信量が非常に少ないため、通信環境が安定しています。ちなみにパソコンを使用した場合の通常1時間あたりの通信データ量は、Skypeの場合2000MB前後(1分間約36MB、30分で約1GB、1時間で約2GB(2000MB)という換算)。それに比べZoomは200~300MBと1/10程度の通信データ量と少なく、ネット接続の通信環境やタイムラグなどの影響を受けにくくスムーズな会議を可能にしています。

 

3:多様なアクセス方法

スマホやタブレット向けの無料アプリも公開されており、PCと同様に招待された側はURLをクリックするとアプリが自動的に起動し、オンライン会議が開始されます。また、ネット接続の脆弱な地点にいる参加者には、各国の専用ダイアルイン番号が用意されているので電話から音声で会議への出席が可能です。

 

4:見逃せない超便利な機能が満載

Zoomは一度に50人まで招待可能。大人数の場合は「ブレイクアウトルーム」機能というものを利用すると、参加者を一時的に複数のサブグループに分割できます。その間、グループ別の個別ルームができ、ほかのグループの画像や音声は聞こえないようになっています。ホストは各グループへ出入り可能なので、進行状況も把握できます。

デスクトップ上からスライドや動画、ファイルなどを画面共有できることに加え、共同注釈やホワイトボード機能を利用すれば、スクリーン上でシェアされた画像やグラフなどを見ながら注釈を加えたり、ホワイトボードにフリーハンドで文字や絵を書きながら説明することも可能になります。

 

無料プランも有料プランもボタン一つで会議の録画が可能で、会議の議事録やウエビナー(ウェブ+セミナー)向けにも便利な機能です。無料版ではホストのローカルPCに録画が保存され、有料プランはボタン一つでクラウド上にも保存できるのです。

 

GoogleやOutlook、さらにYahoo!の各カレンダーともリンクしており、それぞれの参加者が利用するカレンダーに組み込まれるので、リマインダーとしての役割も果たしてくれます。

 

会議中に話したWebサイトのURLや数字を正確に文字で共有、会議中に特定の参加者とのチャット、そして、パソコン・スマホ・タブレット上のファイル・画像ファイル・音声ファイルも送受信可能なので、ネット上での共同作業も簡単にできます。

5:無料プランや、有料でも格安な利用料もうれしい

Zoomは基本的に無料プランで充実した機能が使え、無料版でも1対1の通話なら基本的に時間制限なしの通話が可能です。しかしグループ通話の場合、40分の時間制限があります。時間制限の心配なく、ウエビナーなど複数の人数を招待する場合には有料プランがおすすめ。しかも、月額1400円前後(14.99ドル)~というお手ごろ価格です。

 

良いこと尽くしのように見えるZoomですが、1点マイナーな弱点として会議開始前にテキストメッセージを送ることができません。遅刻の恐れや緊急時の連絡方法をあらかじめ決めておくとよいでしょう。また、現時点(2018年6月末)で日本語版は正式に存在していないため、日本語表記のない部分は英語と併用して利用することになります。

 

テレビ会議はもちろん、セミナーやウエビナーなど大人数に対応しやすく、多彩な機能を備えているうえ、操作や管理が簡単。多様な端末からのアクセスにも対応しており、しかも優れたコストパフォーマンスというのが大きな魅力のZoom。日本でもじわじわと人気が高まってきているこのツールを次回のWeb会議で使ってみてはいかがでしょうか?

「ごちゃごちゃ充電コード」をスッキリ解決! 中国発の先進的な充電ステーション

中国深センを拠点とする「Fenergy(明能)」という会社がクラウドファンディングで開発を進める「XPro」。iPhone Xなど、計5台のデバイスをスタイリッシュに充電できるチャージステーションとして注目されています。獲得資金はすでに目標金額を超えており、iPad、iPhone、Apple Watch、Android端末、モバイルバッテリーなど、様々なデバイスを一度に高速チャージできるのが特徴。ワイヤレスチャージもできる先進的なプロダクトです。

 

4台のUSBケーブルチャージ+1台のワイヤレスチャージを一度に行える

所有するデバイスが増えてくると、それを管理するのも大変です。充電の際、机の上がコード類でごった返してしまうのは日常風景かもしれません。

 

XProは1度に5台ものデバイスを同時に充電できるうえ、これから増えてくるであろうワイヤレス充電デバイスも使えます。クイックチャージQC3.0にも対応しており、それによって通常の4倍速で充電が完了するのも特徴。XProとデバイス本体が接する部分はシリコンで覆われているため、大切なデバイスを傷つけることはありません。ワイヤレス充電は10Wで、一般的な5Wのワイヤレス充電器より高速で充電が完了します。

注目すべきは、ワイヤレス充電器が本体から着脱可能であるという点。ワイヤレス充電器を本体から取り外して好きな場所でスマホ1台を充電することができるんですね。枕元に置くだけでワイヤレス充電できるため、薄暗い部屋で充電口を探す必要もありません。

シリコンでできているデバイススタンドは、iPadやスマホを縦置きで充電できるようになっており、机上の省スペース化に貢献します。USBポートには、モバイルバッテリーや卓上のミニ扇風機なども接続可能。

クラウドファンディングでの支持率がすでに100%超え


Fenergyが面白い商品を開発しようとしているのは、中国最大のBtoCで、アリババ傘下の”タオバオ”が行うクラウドファンディング(淘宝众筹)です。XProの獲得資金は目標金額の109%に到達。1000人近くの支持者がおり、21万元(350万円)を超える資金が集まっています。

 

個人的な用途で使うのはもちろん、オフィスの共用タブレットやスマホの充電ステーションとしても使用できます。カフェやバーなどで充電サービスを提供する際にもよいでしょう。

 

XProの開発に携わるFenergyは2009年にスタートした企業で、モバイルバッテリーや充電器を専門に製造するメーカーです。生産工場は国際標準の検査をクリアしているため、品質にも信頼が置けるかもしれません。

憧れの「マイ・ガレージ」を低価格で。モスクワっ子のDIY欲を満たしまくる「時間制ガレージ」が人気

約2人に1人がクルマを所有しているというモスクワ。クルマを所有するということは当然、車検や定期点検などが必要となってきますが、予約を取って順番待ちするディーラーより、自分で点検や簡単な部品交換をしたいという意見や、「自宅にガレージがないけれど自由にいじってみたい」という声が多くあります。そんなニーズから生まれたのが「時間制ガレージ」。現在、モスクワっ子の間で人気が高まっています。

 

人気の時間制ガレージとは?

ロシアの修理屋についての記事でも述べましたが、ロシアには、もともと物が少なかったソビエト連邦時代から「自分のものは自分で直す」という文化が根付いています。ソ連時代の名残で、自分でクルマをいじったり、いまだに自分で点検や修理をする人々が多いのですが、大都市モスクワではアパート住まいが一般的。クルマをいじる場所がないというのが問題です。

 

そんななかで時間制ガレージが需要を伸ばしています。電話やオンラインで予約をすれば、自分だけのガレージを24時間使用することが可能。価格は、店舗によってある程度の差はあるものの、1時間あたり400ルーブル(約800円)ほどです。広々としたガレージと専用の工具が使いたい放題ということで一躍大人気に。

 

時間制ガレージでは、クルマごとにガレージが独立している場合もあれば、1つの大きなスペースに何台か入れるようになっていることもあります。チェーン展開をしている店舗はまだないものの、一つひとつの店舗が工夫を凝らしたサービスを提供。

人気店の1つ「сбой гаражスボイガラーシュ」には、486個もの工具が揃っており、しかも、それらすべてはプロが使用するレベルのもの。自宅での修理にありがちな「修理を始めたはいいが、必要な工具がない」ということもありません。また高い専門的な工具を購入する費用も節約できます。ドライバーに始まり2トン以上を持ち上げられるクレーンまで、なんでも揃うガレージ内。USB充電ポートを増設するのに必要な端子類セットや電工ペンチ、検電テスター、よく使う端子やコネクターなど、細々したものもしっかり揃っています。クルマにバックカメラを装着することも可能。

 

使用者の口コミには、「自分のお粗末な工具より断然作業しやすかった。また、どこかの駐車場でいじるより快適に作業できた」と前向きなコメントが寄せられています。

 

ガレージの使い方は無限大?

また、修理に限らないユニークな使い方を提案している時間制ガレージもあります。例えば、4台同時に入れる大きなスペースを友だち同士で使って、お互いのクルマをいじるという「改造愛好家の遊び場」として利用することができます。

 

さらに、冬はマイナス40度にもなるモスクワでは、放っておくとクルマのバッテリーが凍ってしまうことも多々あります。そんな寒い日や夜中だけ、愛車をガレージに避難させるという「時間制パーキング」サービスもあります。

日本やアメリカにも広がるガレージサービス

日本にもレンタルピットというサービスがあります。クルマユーザーが、クルマの整備やカスタマイズ、ドレスアップに必要なプロの「作業場所」や「設備」、「工具」などを自動車工場からレンタルできるというもの。このサービスでは既存の工場内に場所を借りるということで「自分のガレージ感」がないものの、同じスペースに専門家がいるというのは心強いかもしれません。

 

また、アメリカでは「U DO IT(ユードゥーイット)」というサービスが広く知られています。こちらはロシアと同じくガレージになっているうえ、専門の修理工が常駐。ただし、常駐の修理工はあくまで手助けが必要な時の「ヘルプ」だそうです。

 

場所とお金を節約できる都会の愛車ライフ

ディーラーでの定期点検の相場は約2万ルーブル。時間制ガレージなら、2時間ほどかかるとしても800ルーブル(約1600円)と価格の差は歴然です。また、自分の家で修理するよりも、専門工具が揃っているうえに、終わった後の片付けや掃除の手間が省けるのもとても便利ですよね。

 

安くすませられて、時間の融通もきく時間制ガレージは、忙しいモスクワの人々のライフスタイルに合わせやすくなっていることも人気の理由の一つかもしれません。

故障した家電、自分で直してみませんか? 修理サイト「iFixit」が自己責任ではあるけど、使える

電子機器は、落下や水没、または部品の劣化など様々な理由で壊れます。そんなとき、私たちユーザーは販売元や修理専門プロへ修理費を払うか、新たに購入するしか選択肢はないのでしょうか? わかりやすい修理マニュアルがあれば、自分で修理できることもあるはず。今回は無料で修理方法を教えてくれる「iFixit(アイフィックスイット)」の活用法をご紹介します。

 

「誰でも書ける、作れる」無料のリペアガイド

カリフォルニア州、サンルイスオビスポを本拠地とする「iFixit(アイフィクスイット)」は、世界の電子機器ユーザーが修理・分解情報を無料で提供するコミュニティを運営し、修理に必要な専用パーツと修理キットを販売するベンチャー企業です。最新のデジタルガジェットも分析しており、写真や動画をふんだんに使って分解レポートを公開すると同時に、修理しやすさを10段階で評価していることでも話題となっています。

 

日本のサイトからひらめいた

創業は2003年。創始者のカイル・ウィーンズ氏とルーク・ソウルズ氏が工科大学の学生時代に、落下し故障させてしまった「iBook」の修理を試み、発売元のメーカーが修理マニュアルを提供していないことに気づいたことがきっかけでした。試行錯誤の末、修理に成功したウィーンズ氏は、同様の問題を抱える人々のために「分解・修理方法の共有」と「マニュアル化」を思いついたのです。

 

また、創業初期の分解画像・修理マニュアル公開については、日本で運営されている「KODAWARISAN」というサイトからひらめきを得たそう。ウィーンズ氏は「KODAWARISAN」の運営者とも交流を続けており、2010年には表敬訪問もしています。日本とのつながりがあったとは意外ですね。

購入したモノを自分で修理できるということは長く使えるだけではなく、製品や販売企業への愛着がより深まり、環境保護にも役立つという信念を元に運営され、現在(2018年6月末時点)12か国語に翻訳されるまでに成長しました。

 

iFixitのサイトでは、修理したい製品名やモデル機種を入力すると、これまで投稿された修理や分解のマニュアルが一覧表示されます。ユーザーによって作られたガイドのなかには、文字や写真、動画による説明はもちろんのこと、難易度や、手順、所要時間も書かれており、分解や修理に慣れていない人でも失敗しにくい工夫がなされています。修理に関する疑問があれば、アンサーフォーラムに相談することも可能。

 

修理工具・パーツも揃うストア

修理ガイドページには、必要な工具と部品が一緒に表示され、オンラインストアで注文ができます。工具や部品をどこに使うかも解説されているうえ、購入した工具はサイト上のマニュアル通りの色・形状なので、作業時の間違い防止にも役立っています。修理工具の多くが生涯保証の対象で、検査・整理整頓ツールも充実しており、世界中の一般ユーザーからプロの修理業者まで、多くの人たちから高い信頼を得ています。

コミュニティメンバーとして世界の仲間と”切磋琢磨”も可能!

アカウント登録を行うと、修理分解マニュアルを投稿できるようになります。修理ガイドの書き方や写真の撮り方についてもガイドラインがあるので、要領よく、読み手にとって分かりやすいマニュアルが作成可能。他のメンバーが作ったマニュアルを修正したり加筆したりすることもできるので、世界中のメンバーたちと切磋琢磨しながら、よりレベルの高い所を目指すというのもよいかもしれません。

 

しかし、気を付けておくこともあります。日本からの修理工具やパーツの注文は、現在カルフォルニア州からの国際便のため、現時点では、商品到着まで10日以上かかること、日本においてはユーザー自らが行う分解修理は「メーカー保証対象外」のため、完全に自己責任であることに注意してください。

 

近年、テクノロジーの進化でモノを自分で修理したり、町の修理屋に頼んだりすることが難しくなっています。使っているモノが故障などを起こしたら、製品メーカーに出すほかない現在の状況。それに対して、欧米では修理屋を中心に反対の声が上がっており、「修理する権利」を求める声が高まっています。そのような背景を考えると、iFixitが画期的な存在であることが分かりますよね。同サイトは世の中を変える1つのきっかけになるかもしれません。

いろいろ模倣しているけど中身はオリジナル!! マレーシア版「ヌードルミュージアム」でマイカップ麺を作ってみた

いつでもどこでも手軽に食べられるカップ麺。日本と同様、マレーシアでもお湯を注ぐだけで食べられるカップ麺は大人気です。コンビニやスーパーなどでよく見かけるのが、インスタントヌードルやスナック菓子を製造しているmamee(マミー)社の「chef(シェフ)」シリーズなのですが、そのマミー社が運営するマレーシア版ヌードルミュージアムがあるという情報をキャッチ。なんでも世界で一つのマイカップ麺が作れるとのこと(なんかどこかで聞いたことがあるような……)ですが、どんなところか早速行ってみました。

 

マラッカの住宅兼店舗をリノベーションしたヌードルミュージアム

クアラルンプールから南へ車で1時間半ほどにあるマラッカ。2008年世界遺産に登録され、国内外から多くのツーリストが訪れる観光地です。

 

ヌードルミュージアム(ミュージアムの詳細は文末を参照)の「Mamee Jonker House(マミー・ジョンカー・ハウス)」は人気観光スポットの旧市街のジョンカーストリートにあります。外観はマレーシアでよく見かける昔ながらの商店街兼住宅ですが、内部がリノベーションされていて、中に入ると思った以上に広くなっているのが印象的。

 

このミュージアムでの人気アトラクションは、スープと具材を組み合わせて作る「世界に一つだけ」のマイカップ麺です。ちなみにマミーのキャラクターといえば、「マミーモンスター」という青いモンスター。セサミストリートのクッキーモンスターの模倣ではないかと疑ってしまうほどです。「クッキー」ではなく、「ラーメンスナック」が大好きという設定。ラーメンスナックというのは、そのまま食べられる小さく刻まれたインスタント麺で、日本でいうベビースターラーメンのようなものです。

 

マイカップ麺を作れる工房へ

アトラクションがあるのは2階の工房「モンスターキッチン」です。まずは1階のショップで販売している、専用のカップ麺容器を購入します。最低販売個数が4個からとなっていて、1個あたり5.5RM(約150円)でした。工房は2か所にわかれており、マイカップ麺を作るところは「ヌードル・ドードル」という部屋です。

 

大人の利用者も意外と多めだなと思っていたところ、どうやら子どもたちの保護者たちでした。ここでやることは、マイカップ麺容器をデコること。そういうとたいそうな感じですが、単に容器のイラストに色を塗ったり、ふきだしに台詞を書き込んだりするだけ。筆者もテーブルにいるちびっこ達とカラーペンを交換したりしながら楽しく作業をしました。

ただし4つも容器があるため、一緒に参加していた家族も若干飽きてきて、最後の方は手抜きになっていました。

 

デコった容器は、部屋の一角にあるガラスで仕切られた加工スタッフがいるところへ持って行き、中身を入れてもらうために渡します。

マイカップ麺のカスタマイズ!

さて、ここからが「ヌードル・ドードル」の工程で醍醐味ともいえる「世界で一つだけのマイカップ麺」カスタマイズです。

 

スープ3種類から1つ、具材6種類の中から4つ選んでマイカップ麺に仕上げます。まずは最初に投入する粉末スープのフレーバーを聞かれます。「チキン」は定番でいいとして、他の2つが「ラクサ」「トムヤンクン」と東南アジア感あふれるラインナップ。容器は4つあるので全3種類選び、チキンだけ2つにしてもらいました。

次に具材ですが、コーン・キャベツ・グリーンピース・人参・赤唐辛子・ネギの6種類。このなかから4つ選ぶのですが、せっかくなので「赤唐辛子オンリー」などと大胆なオーダーもしてみました。最後にフタをして外装フィルムをしてもらって完成。

 

さて保存食として知られるカップ麺ですが、このマイカップ麺は消費期限が短く設定されているようで、3週間以内に食べてくださいとのことでした。それもあって帰宅後、早速食べてみることに。実はマレーシア生活でローカルのカップ麺を食べるのはほぼ初めてです。

 

チキンのほうはなんとなく味の予想がつくので、トムヤンクンを実食! 粉末スープを開けたとたん、咳込むほどの本格的なスパイスが香ってきます。お湯を入れて待つこと数分。ふたを開けると、手加減なしの真っ赤っかなトムヤンクンヌードルが完成していました。「インスタント食品だし」と若干なめていた筆者には衝撃的でした。

「マレーシアで世界に一つだけのマイカップ麺を作ると、本格的すぎるスープにインパクトを全部持っていかれる」というのが結論でした。もしマラッカを訪れる機会があったら、怖がらずにぜひ体験してみてください。

 

Mamee Jonker House(マミー・ジョンカー・ハウス)

住所:No 46 & 48, Jalan Hang Jebat (Jonker Street), 75200 Melaka.

URL:http://www.mameejonkerhouse.com/#

営業時間:10:00-17:00(月〜木)、10:00〜19:00(金〜日)

休み:火曜日(火曜日が祝日の場合は営業)

入館料:入館するだけなら無料。アトラクションごとに支払い

世紀末かつ近未来ーーこんなキーボードがかつて存在しただろうか?

パソコンやスマホなどにおける文字の入力方法が変わりつつあります。従来は物理キーボードを打って文字や数字を入力していましたが、近年では、特にスマホにおいて仮想キーボードが主流となりました。そのうえ現在では音声入力が発展中。そんななかアメリカでは、また一つ新しいタイプのタイピング製品が誕生しました。指を動かすだけで文字が入力できる「TAP」です。今回は、キーボードをウェアラブルに進化させたこの斬新かつ近未来的なデバイスをご紹介します。

 

壁やテーブル、身体中がキーボード!

本製品は5つの輪がつながっている、まるでメリケンサックのようなストラップ型のウェアラブル端末です。そのシステムは、Bluetoothでスマホやパソコンなどのデバイスと接続し、指をタップすると、内蔵センサーがその指の動きを感知。これによって、文字が入力される仕組みです。

 

タイピングのみならずマウス機能も備えており、コンピューターを”TAPのみ”で操ることも可能。サイズはSmallとLargeがあり、自分に合ったサイズが選べます。上下をひっくり返せば右手でも左手でも使えます。TAPの購入はTAPホームページ、またはアマゾンから購入可能。本体とケースのセットで価格は179ドルです。

 

プロモーション動画では実際のタップする様子が写っており、壁やテーブル、膝や頭でテキストを入力していて、ただただ驚くばかりです。

ケースはスタイリッシュなデザインで、場所を取らず持ち運びも簡単。さらに、このケース自体が370mAhの充電機能を携え、最大64時間分の充電を行うことが可能(マイクロUSB経由で充電)。TAPは1回2時間の充電で最大8時間使うことができるので、持ち運び用の入力デバイスとしては十分のバッテリー量ではないでしょうか。

 

独自のタイピング方法

さて気になる入力方法ですが、当然これまでの入力とはまったく異なり、5本指を使ったタップの組み合わせで行うものです。

 

基本となる母音(AEIOU)は親指から小指までそれぞれの指に割り当てられ、親指で1度タップすれば「A」、人差し指なら「E」となります。子音は指の組み合わせで作るようになっていて、例えば、人差し指と中指を2本同時にタップすると「T」に。このようなやり方で26文字のアルファベットを入力することができます。

 

さらに、このタイピングを習得するための無料専用アプリ「TapGenius™」と「TapAloud」を使うと、平均1~2時間でこのタイピング方法を習得することができるそうです(現在はアルファベットのみの対応)。

TAPの可能性

現在、AppleのSiriやGoogle Assistant、AmazonのAlexaといった音声入力が徐々に普及してきています。アメリカでは、ヘッドセットで通話している人や音声でテキスト入力をしている人をよく見かけますが、個人的には、人前でスマホに話しかけるのはちょっと気が引けてしまいます。しかしTAPであれば、話しかける必要もキーボードのタイプ音もせず、静かに入力することができます。

 

また、片手で手のタップさえできればよいので、場所も使う人も関係なく、視覚や身体にハンディキャップがある方も使うことができるではないだろうかと筆者は感じました。

 

軽くてスタイリッシュな見た目はまさに近未来的な印象。大きなキーボードを持ち運ぶ必要もなく、スマホの小さなスクリーンキーボードを使わずとも、さらには、ベッドで寝そべり目をつぶったままでもテキストを送れるのが最大の魅力。音声入力とは違い、周囲に内容を知られることもなく安心です。現在は話題になっている程度ですが、近い将来、TAPも町なかでよく見かけるようになるかもしれません。

一見、イロモノ製品と思いきや、違った。フランスのクラウドから生まれた「石畳のスピーカー」

フランスのクラウドファンディングプラットホーム 「KissKissBankBank」において32日間で159%を超える支持を得た、コンクリート・ファミリー社の「ル・パヴェ・パリジャン(Le Pavé Parisien)」。「パヴェ」には石畳に使われる”敷石”の意味がありますが、その名の通り、まるでパリの石畳から抜け出してきたかのようなキューブ状が特徴的なコンクリートでできたスピーカーです。このスピーカーが支持を得られた理由とは? その謎を解明していきます。

 

10cm角で1.3kg。小型ながらもハイスペックなスピーカー

ル・パヴェ・パリジャン(以下パヴェ・パリジャン)は、10cm角の大きさで、重量1.3kgの片手で持てるサイズのコンパクトスピーカー。小さいけど、その実力はなかなかのものです。

 

10cm角という大きさにもかかわらず、バランスの取れたパワフルで正確なサウンドを実現。これにはエンクロージャー(スピーカー周りの枠)として使われている、新世代の素材と呼ばれる「超高機能繊維コンクリート(以下UHPC)」に秘密があるようです。

 

UHPCは密で抵抗に強い素材で、オーディオスピーカーの素材には最適と言われています。エンクロージャーの材質が重ければ重いほど、また変形を最小限に抑えられることでインパルス応答に直接反映されるようになり、元の信号に近い音を返すことが可能になるのです。

音響以外の機能面も優れています。パヴェ・パリジャンは、スマートフォンとのペアリングが簡単にできるBluetoothや、エネルギー管理システム(EMS)を備えたリチウムイオンバッテリー(LiPo)を搭載。このバッテリーで6時間から8時間の再生ができるのです。

 

また、超高性能デジタルアンプ(20 WワットでRMS出力のD級アンプ)を搭載した同スピーカーは、スマホなどの充電器に搭載されているマイクロUSBの充電ケーブルを使用しています。このおかげで、世界中あらゆるところで充電可能。出入力用のミニジャックでステレオ機器と接続もできます。

 

スピーカーが劣化した場合は、エンクロージャーの枠から外して内側の部品を交換できます。修理サービスだけではなく拡張性もあり、外のコンクリート枠は残したまま、中のスピーカーをバージョンアップさせるなどのカスタマイズも可能となっています。

4兄弟によるスタートアップ企業「コンクリート・ファミリー」

パヴェ・パリジャンという製品名は、パリによくある石畳の敷石から着想を得たもの。日常的に目にするものにもっと注目してほしいとの思いから、パリ発のスタートアップ企業「コンクリート・ファミリー」創立者の4兄弟によって名付けられました。

 

「コンクリート・ファミリー」の「コンクリート」には、2つの意味があります。まずひとつは「素材」としてのコンクリート。もうひとつは、フランス人音響技師ピエール・シェフェールが提案した電子音楽のジャンルである「ミュージック・コンクレート(具体的な音楽)」へのオマージュでもあるのです。

 

ミュージック・コンクレートは、「音楽は音と時間の編成である」ことを考察した運動。通常の音楽が抽象的な構想を基に具体的な作品へと昇華することに対し、ミュージック・コンクレートは、日常的に聞いている音を抽象的な表現へと導くことを試みたもの。ミュージック・コンクレートの理念は、コンクリート・ファミリー社が持つ価値感のひとつでもあると言います。

ベルギーのモンスにある王立音楽アカデミーで電子音響学を研究しながら、コンクリートを使ったスピーカーに関する設計開発のアイデアを温めていたという創立者4兄弟の長兄であるピエール=アクセル。実の弟であり「コンクリート製カヌー」の研究をしていたエンジニアのスタニスラスとともに、実家の庭で製品開発を始めたのが同社創立のきっかけです。

 

最初の注文仕事はスイスの演劇カンパニーに依頼された、野外劇場に12個のオーディオスピーカーを設置するというもの。このスピーカーが機能的にも美観的にも屋外の劇場にマッチし、プロや専門家たちの厳しい要求へ見事に応えた形となりました。

 

クラウドファンディングを成功させた実績

クラウドファンディングでは、パヴェ・パリジャンの支援者先着100名に、希望販売価格350ユーロの40%オフ、つまり210ユーロで同製品を提供していました。260ユーロ以上の支援者には、ストリート・アーティストのペイントによるカスタマイズを頼むことができます。

 

支援は10ユーロから可能で、すべての支援者名は「コンクリート・ファミリー」社内の壁に名前が刻まれます。2018年4月に始まったクラウドファンディングでは先述した実績への評価も得られ、複数の企業から大口の寄付も集まり、約1か月間で目標金額の3万ユーロに達成。同年11月からの一般販売開始を目指しています。

 

音響学の世界において、コンクリートという素材は、ダイナミックなサウンドを正確に復元するのに適した材料として認識されています。1980年代には、重量が30kg以上もあるコンクリート製のスピーカーがすでに「LEEDH」というフランスのメーカーから開発されていました。同メーカーのファンでもあったコンクリート・ファミリー社の4兄弟は、コンクリートの特質を活かしながらもミニマルで軽量、高性能なスピーカーを仕立て上げたのです。

 

【オランダのうらやましいBBQ事情】バーベキューでワークライフバランスが向上する生き方

オランダは夏の日没時刻が22時頃と遅く、定時に仕事を上がってからでも、充分家族や友人と過ごす時間を取ることが可能。市販の下準備された食材と多彩なソースを使って楽しむ、オランダのカジュアルでシンプルなBBQはスペシャルディナーではなく、まさに日常の楽しみといった様相になっています。

 

オランダBBQの特徴

家族と過ごす週末の公園などはもちろんですが、オランダ人は、平日でも仕事が終わり帰宅した午後6時ごろから準備をして、家族や少人数の友人たちでBBQを楽しみます。お天気の良い日には、スーパーマーケットのなかで買い物かごを下げながら「今日ビール飲んでちょっとBBQしない?」と誘いの電話をしている姿をよく見かけます。

 

BBQを行うのは、庭、近所の公園、そしてベランダなど。ファミリー以外にも庭付物件は人気で、心地よいソファーとBBQセットは必須のファミリーアイテムといえるでしょう。BBQができる公園も多く、近くにごみ捨て場や炭専用のごみ箱も備え付けてあり、片付けも楽々。

 

狭いベランダにBBQセットを置いてベランダで肉を焼き、室内で食べているカップルも目につきます。「そこまでして炭火で焼きたいのだろうか?」という素朴な疑問を持ちつつも、それだけ日常食としてBBQが浸透している証拠なのかなとも思います。

BBQで食べる料理は?

5月になり気温が暖かくなると、どのスーパーでもBBQ用に串刺し処理された肉や魚のパッケージが並びます。ソーセージやスペアリブは定番ですが、チキン・白身魚・サーモンやニジマスのマリネなど、アルミケースごと焼いたり、そのまま食べたりと手軽で本格的な味が楽しめるものも多く、手をかけて準備はせず、手間なく気軽に食べられるような印象です。

また、日本などに比べ、焼いただけの食材をアレンジするためのソースがとても豊富です。たくさんの民族が集まるオランダは、フライドポテトでさえソースの種類が多い国ですが、BBQにもソースの多様性は反映されています。バーベキューソース、ケチャップ、マスタードはもちろんのこと、ヨーロッパらしくハーブを使ったソースから、レモンやトリュフ味のフレバーマヨネーズ、インドネシア風ピーナッツソース、タイ風のスイートチリソースまで、素材をアレンジできるソースも数多くあります。シンプルに塩コショウで焼いた食材も、このソースを使うと好みの味にアレンジできるため、みんなが自分の好きなおいしさを楽しむことが可能です。

流行しているBBQグッズ

↑HEMAのBBQグリル

 

アメリカやオーストラリアのように、大型のBBQ Grillを使うのではなく、木炭を使用する丸形のタイプが一般的です。オランダはツールもBBQも シンプルなものが好まれるようで、価格も安価なものから高価なものなどが揃っています。コンパクトで持ち運びが便利なものはアウトドアショップだけでなく、スーパーマーケットやHEMAというおしゃれ系雑貨店でも販売されており人気が高いようです。

さらに最近では「Kamado grill」と呼ばれる、日本のかまどからインスピレーションを得たと思われる陶器製のラグジュアリーなBBQグリルが注目を集めています(写真上)。ゆっくり時間をかけて加熱することで、食材から旨味を引き出すこのグリルは、燻製用のスモーカー、あるいはピザ用オーブンとしても使用できるマルチなアイテムです。

自分自身の余暇を楽しむことがとても上手なオランダ人は、市販の食材とソースを使って気の合う仲間と平日でも気軽にBBQを行います。そのシンプルでカジュアルなスタイルは、暮らしを楽しむオランダ人ならではのもの。これはワークライフバランスにも通じるものがあります。日常的にBBQを行うことで生活を充実させるというのも、よいのかもしれません。

看板にほぼ偽りなし! フランス人のハートを捉えた万能家電「オートクック」を使ってみた

フランスに住む筆者が10数年来使用してきた超旧式の炊飯器が壊れてしまい、代わりになるものが欲しいと思っていた矢先、店頭で見かけたのがボッシュの「オートクック」でした。日本でも話題になっている自動調理鍋のヨーロッパ版といったところでしょうか。本稿では実際にオートクックを使ってみた感想をレポートします。

ボッシュのオートクックには16の調理法があり、調理プログラムが計48種類搭載されています。消費電力数が900ワット、大きさは横幅が30.5cm、奥行き38.5cm、高さは30.5cmで容量は5Lとなっています。 キャンペーン期間中の購入で、価格は78ユーロ(約1万円)でした。

 

同製品を購入すると、もれなく100種類を超えるレシピが掲載された冊子が付いてきます。料理に合わせたプログラムの選び方と使い方が明記されているので、折に触れて読むことになりそう。タイマー調理機能では、12時間前からの予約が可能です。

ほかの自動調理鍋と同様、オートクックはプログラムに調理をお任せできます。ただし、日本製品のように、機械が材料を混ぜてくれるような便利機能は付いていません。そのため、煮込む前に下ごしらえなどの作業が必要なレシピは、機械の蓋を開けたまま自分で行う必要があります。

 

「3D加熱システム」で素材本来の味と食感を引き出す

この点において、オートクックという製品名に反して、全自動調理とは言い切れない同製品。しかし、搭載されている「3D加熱システム」を使うと、従来の調理法では得られなかった食感や味わいを楽しむことができます。 ちなみに3D加熱システムというのは一定の温度でゆっくりと均等に火を通していく方法。このプログラムによって食材の水分を逃さずに、素材を最大限に活かした調理をすることが可能になります。

 

例えば、同機種で七面鳥や鶏の胸肉を使ったカレー煮込みや炒り鶏(筑前煮)を作りましたが、肉がパサパサにならず、ふっくらとした仕上がりに。根菜を含む野菜も蒸し焼きされた状態でホクホクと食感がよく、素材本来の味がしっかり味わえました。

さらに、レシピ本に載っていた、コンデンスミルクとレモンで作る「スペイン風ケーキ」(上の写真)も試してみました。こちらも3D加熱システムによって立体的に火が通り、食感がフワフワで、まるでカステラのよう。フランスにはあまりないタイプの新感覚ケーキに焼き上がり、家族や友人たちにも好評でした。使用後の手入れも簡単で、内窯や内蓋は食洗機に入れて洗うこともできます。

日本人には驚きのフランス式「炊飯方法」

ところで、同製品を炊飯目的で購入するという考えはフランス人にはありません。フランス人にとって、米はパスタと同じく「鍋で炊く(というより茹でる)もの」だからです。塩を加えた大量の水で米を茹で、火が通ったらお湯を捨て、まるで蕎麦かうどんを茹でるかのように、茹で上がった米を水で洗いぬめりを取る人までいるくらいです。

 

かくいう筆者も渡仏後5~6年くらいまでは、鍋でご飯を炊いていた時期があり、そのころは炊飯器を持つ必要性を感じていませんでした。しかし炊飯器があると、ガス台や調理コンロをふさがずに済むメリットがあり、バカンス先にさえ炊飯器を持参するほど米食の多い我が家にとっては、なくてはならない存在になりました。

オートクックには「米とシリアル」兼用のプログラムがあるので、炊飯器としての機能もしっかり果たしてくれます。付属の米料理のプログラムには「リゾット」があり、パエリアなどの炊き込みご飯もこのプログラムで作るように表示されます。

 

よい買い物をしたと満足している点が多いオートクックですが、欠点を挙げるとすれば持ち運びには、少し大き過ぎる点です。いままでのように炊飯器が必要だからと、バカンス先へ持参するのはちょっと難しいかなと考えてしまいます。

 

一台で何役も兼ねた万能家電

フランス人は基本的に調理家電が好きな人たちで、一時期は「自家製ヨーグルト製造機」が流行ったこともありました。オートクックは一台でヨーグルトも料理できる万能家電。キッチンが何台もの家電に支配されることなく、なるべく台所を汚したくない性分の国民性にもマッチしているのです。

 

下ごしらえさえ済ませれば、ほったらかしで煮込み作業が完了できるので、煮込み系の多いフランス家庭料理にとってオートクックは非常に重宝します。煮込む間の時間を有効活用でき、火の安全に気を遣う必要もありません。また、煮込み時間も鍋に比べて通常のおよそ60%くらいまで短縮できるので、時短料理としても最適なアイテムです。

 

ケーキ作りや炊飯器、ヨーグルト製造機も兼ねた「電気式圧力鍋」ともいえるオートクック。次は話題の真空調理にも挑戦してみたいです。

 

インド発のキラキラフードが「Glitter food」がポスト・インスタ映えに名乗り

2017年、レインボーパステルカラーのカラフルな「ユニコーンフード」が流行り、アイスクリームやドーナツなどのスイーツやピザが色とりどりに変身しました。スターバックスからはユニコーン・フラペチーノがアメリカやカナダ、メキシコで期間限定商品として発売されていたことを覚えている方もいるかもしれません。

 

そして2018年、ユニコーンフードはさらなる進化を遂げ、「Glitter food(グリッターフード)」が現れました。グリッターとは「キラキラ光る」のことで、食用グリッターを使った「キラキラフード」が、カフェラテやケーキだけでなくビールなどにも使われるほど流行しているのです。本稿では、今年、ほかの何よりもSNSで話題になりそうなキラキラフードに迫ります。

 

インドから火がついたグリッターフード

キラキラフードは、インドのムンバイにあるカフェ「Coffee by Di Bella」が、カフェラテのラテアートにグリッターをのせ、キラキラ光り輝くカフェラテを提供したことが発祥とされています。それがSNSで瞬く間に人気となり、他国で真似する人が次々に出現。現在ではアメリカのレストランやカフェ、ベーカリーでキラキラ輝くグリッターフードが人気を集めています。

 

カフェラテアートをはじめとして、いろいろな食べ物がキラキラの「Glitter food」として登場しています。例えば、ニューヨークの「The bagel house」は、もともとカラフルなベーグルで人気を集めていましたが、最近ではトッピングとクリームにグリッターを入れた「レインボーベーグル」を$3.95で販売中。

マカロンやドーナツ、カップケーキといったスイーツがグリッターパウダーで大変身するのですが、スイーツの飾りとしてなら、あまり抵抗なく食べられるかもしれませんね。

キラキラになるのはスイーツだけではありません。サンフランシスコにある「DAGWOODS」というピザレストランでは、「Magical AF」というレインボーピザが味わえます。Instagramでセレブが紹介したことで一気に火がつきました。Mサイズで$20とアメリカではお高めのピザになりますが、人気のようです。

次は光り輝くビール。ノースカロライナ州にあるブルワリー「Durty Bull Brewing Company」には普通のビールよりも黄金色に輝くキラキラビールがあるのです(上の写真・右)。この会社のマネージャーを務めるMatt Pennisi氏は「私たちのビールは、放し飼いで天然芝を食べて育ったユニコーンから造ったビール」と話しているそう。ブルワリーならではのエッジが効いたビールですね。

最後に紹介するのは、ロンドンにある「The Fox Under The Hill」というパブ。クリスマスシーズン限定で、グレイビーソースをグリッター入りのものにアップグレードできるサービスを行っていました。黒く輝くソースをかけて食べるのは少し勇気がいりそうですが、クリスマスの特別な夜に特別な輝きをプラスしてくれるかもしれませんね。

 

食べても大丈夫。でも慎重に

ただ、キラキラの見た目で「本当に食べても大丈夫?」と思ってしまいますよね。「Lustre Dust」と呼ばれる食用のラメパウダーは、砂糖、マルトデキストリン、雲母系真珠光沢顔料などから作られているので、基本的には食べても問題ないそう。FDA(アメリカ食品医薬品局)のウェブサイトによると「ほとんど毒性がない」または「装飾目的のみ」と表示されています。しかし、成分リストの表示がない場合は、食品に直接使用しないよう飲食店に注意を呼びかけています。

 

スーパーの製菓コーナーには、手作り用のカラフルなグリッターが数多く並んでいます。アメリカでは、誕生日などのパーティーイベントには、まずテーマカラーを決めてから色を揃えることが多いので、ケーキもテーマカラーに合わせて作れるよう様々なカラーが揃っています。

 

キラキラフードは見た目のインパクトが抜群で、SNSで注目を集めることも確実でしょう。アメリカでは、2018年のトレンドフードとして「Glitter food」が食べられる飲食店が増えてきているので、アメリカを訪れる機会があれば、一度くらいは試してみてはいかがでしょうか?

 

旅行&アウトドアの最大の敵「整理整頓」を激ラクにするバッグがアメリカで誕生!

「ハイキング、サイクリングといったアウトドア活動はいろいろ楽しいけれど、荷物の整理整頓や移動中の出し入れが楽になれば、もっと快適なのに」と思ったことはありませんか? そんな方に使ってほしいのが万能型トラベルバッグの「Rolo」。軽量かつ高品質な作りで、シースルーポケット付きだから中身も一目瞭然です。出し入れも簡単なうえ、丸めてそのまま持ち運ぶこともできるので、スーツケースやバックパックにも楽に入ります。今回はアクティブ生活の強い味方になりそうなRoloのマルチな使い方と購入方法をご紹介します。

 

面倒な荷造りや荷物整理はRoloにお任せ

Roloはカルフォルニア州のバークレーで開発されました。創設者はベンとシェリルという2人。彼らがヨーロッパにバックパッカーとして滞在中、衣類の荷造りや荷ほどき、荷物の整理などのわずらわしさを解消しようと考え始めたことがRolo誕生のきっかけになりました。

 

帰国後、2013年にデザイナーやメーカーと協力してクラウドファンディングに挑戦。558人からの援助を受け、およそ1か月という短期間で目標額を超える資金調達に成功しました。立ち上げ後はその使いやすさが評判となり、Roloは世界中の旅行者やアウトドア愛好家の心をつかんでファンを増やし続けています。

 

サイズは、全体を広げると縦114.3cm、幅43.2cm。中身が空のまま巻き上げると幅43.2㎝、直径10㎝、重量は0.5㎏というスリムさですが、4日分くらいの荷物ならばRolo一つで収納可能だそうです。

内部は3層に分割されています。そのため、衣類や下着、靴下などを分類でき、メッシュ状になった各ポケットの内部に衣類などを詰め込み、巻き上げた後、ベルトのバックルを閉めれば荷造りが完了します。

 

メッシュ部分には軍隊向けのハイグレード素材を使用することで、丈夫さと通気性を兼備。Roloの外側は防水ナイロンになっています。従来のようにスーツケースのスペースを考える必要もなく、荷物を「Rolo」に詰め込めば、あっという間に収納完了。

上部に360度回転するハンガーが標準装備されているので、旅先のホテルでつり下げれば小さなスペースでの出し入れも簡単。部屋での小物整理用としても使えます。

ホテルの洗面所にかけたり、アウトドアなどでは木やテントに吊り下げたりしておけば、衣類や洗面用具などが簡単に出し入れできます。

丸めた状態でバックパックやバイクにくくり付けたり、スーツケースに入れたり、Roloは様々な使い方ができます。もちろん肩から下げることも可能。

スーツケースと併用すれば、荷物を入れるスペースを増やすこともできます。また、外付けにしてスーツケースのハンドルに引っ掛ければ移動もラク。コンパクトサイズなので機内持ち込みにも便利です。

巻いた状態なら、列車や空港での待ち時間にクッションや枕がわりにもなってくつろげるかもしれません。

気になる価格ですが、アメリカ本社の公式ウェブサイトでは49.99ドルとお手ごろ。もちろん日本からのオーダーも可能ですが、別途送料が発生するのでその点はご注意ください。

 

デザインと品質、価格で人気を博している「Rolo」。このオールラウンド型バッグを活用して、身軽で快適なアクティブ生活を満喫してみてはいかがでしょうか。

 

【長く使うということ=ステータス】 ロシアの修理屋さんたちが教えてくれる大切なこと

日本には「もったいない」という言葉があります。ケニア出身の環境保護活動家である、故ワンガリ・マータイさんが「Mottainai」を唱えたことから、この言葉の意義を再認識された方も多いのではないでしょうか。

 

実はロシア国民も、ソビエト連邦時代にモノ不足だったこともあり、モノをとても大事にします。「修理して使う」という精神が国民全体に根付いており、そんな修理文化が浸透しているロシアでは修理屋さんを利用するのは当たり前。今回はその価格やサービスをロシア流のMottainai 精神と共に見ていきたいと思います。

 

町中にある小さな修理屋さん

ロシアには、色々な修理屋さんの小店舗が日本のコンビニと同じくらいの頻度で存在し、大きなショッピングモールにも必ずと言っていいほど入っています。修理屋という意味の「Дом Быта(ドーム ビータ)」 呼ばれる小さな修理屋さんでは、平均2人くらいの専門修理工がいて、服の裾やサイズ直し・時計・靴の修理や合鍵作成といった、日本の修理屋でも見られるサービスを提供しています。修理完了までの時間は大体2~5日。

 

価格も良心的で、靴底の張替えなら400ルーブルほど(日本円で約800円)。ズボンの裾直しなら約200ルーブル(日本円で約400円)。近年日本では、「新しいものを買ったほうが早い」という意見も多く聞かれますが、すべてではないにしても、長く大事に使っていくと味が出てくるものもあるように思えてなりません。

 

大人気のオンライン登録サービスと「1時間お父さん」

オンラインでフリーランスの修理工が探せるサイトもあります。「PROFI.RU(プロフィー・ドット・ル)」では、修理工たちが自分の顔写真や持っている資格、そのサイトで受け持った仕事の写真などをアップしており、利用者は自分が気に入った修理工と連絡を取り、仕事を依頼することができます。

 

こちらは家電や玄関ドアの修理など、サイズが大きいものにも対応しています。利用者は修理完了後に修理工のサービスを評価する仕組みになっているので、他の人もそれを参考に探すことが可能。大きな会社に頼むより安く、対応も早いのがフリーランスの修理工の魅力のようです。

 

また、「муж на час(1時間のお父さんサービス)」も人気です。日本でも、かつて家の修理はお父さんの仕事だった時代がありましたが、このサービスは、そんな「なんでも修理できるお父さん(修理工)」を呼べるものなのです。

 

このサービスは24時間対応で、会社に登録された100を超える修理のスペシャリストたちが電話1本で駆けつけてくれます。水道トラブルやテレビの設置、浄水器の交換や修理など、難易度が比較的低い修理だけど自分ではできず、早く対応してほしいという場合に便利なのだとか。「1時間のお父さんサービス」というネーミングもとても親しみやすく、ユニークですよね。

日本人も学ぶべきロシアのMottainai

「お父さんが生まれた年に買った家具だから大切にしている」「これはお父さんと同じ年だ」「おじいさんがソ連の闇市で買って来たものだ」とか、ロシアでは家族が集まった際、修理しながら長く使ってきたものの話題で会話に華が咲くことがあります。長く大切に使われてきたものは家族の長い歴史とともに歩んできたので、世代が異なっていても、共通の話題になりやすいと言えるでしょう。

 

そんな家具などの前で家族写真を撮ったり、昔を懐かしんだり、おばあちゃんが着ていた毛皮のコートを孫がリメイクして着たり、そんなことが日常的な風景のようになっています。ものを大切にする文化が根付いているうえに、長く使い続けることが評価される国でもあるロシア。このような価値観が修理文化を守り、受け継がれていく要因の一つでしょう。

 

ものを大切にする、大切にしたいという気持ちをしっかりサポートする環境がロシアにはあります。ソビエト崩壊やルーブルの暴落など、不安定な状況を乗り越えてきた国民だからこそ、着実に育むことができたMottainai精神なのでしょう。

 

少しずつ景気が良くなってきたいまも、古いものをリサイクルして使う事を「モード」として、かっこよいと感じられる美意識は非常に学ぶべきところが多いです。日本は「もったいない」という言葉を生みましたが、ロシアのMottainai精神は現代の日本人にも共感できるところがあるのではないでしょうか。

控えめなカフェインで眠った身体を大きく活性化!! 「キックスタート」の開発背景に迫る

2018年4月10日、サントリーの自販機限定でマウンテンデューというアメリカのブランドが製造する「キックスタート」が日本限定版としてデビューを果たしました。働き盛りの日本人男性20代~40代に最適化され、カフェイン控えめで、ビタミンB群も充実したグレープ味の微炭酸です。本稿ではアメリカでのマウンテンデューの生い立ちまでさかのぼり、北米オリジナル版やレッドブルやモンスターと比較しつつ、キックスタートを掘り下げていきます。

 

朝からエナジードリンクを飲みたいアメリカ人のために

キックスタートは「始動」、「弾みをつける」、「活性化する」という意味を含み、頑張ろうとするときにピッタリなネーミングです。アメリカ生まれのエナジードリンクと聞くと、カフェインが多く危険なイメージを連想する人も少なくないようですが、本品は日本発売にあたり成分を調整し、1本350mlの中にカフェイン67mg、カロリー70kcalと控えめに開発されています(後述するように他社のエナジードリンクと比べても控えめ)。また、エナジードリンク独特の薬っぽさもなく、普通のジュース感覚で飲むことが可能。全国のサントリー自動販売機で購入できます。価格は170円から190円。

 

マウンテンデューの新たなラインアップとして登場したキックスタート。マウンテンデューの歴史は1940年代にアメリカのテネシー州ノックスビルから始まります。飲料 工場を経営していたバーニーとアリー・ハートマン兄弟がウイスキーに混ぜるためのレモン・ライム味ミキサーとして開発した飲み物だったのです。

 

その後1964年に、ペプシコが販売権を獲得して全米に販売網を拡大。日本では1981年に初登場し、98年に日本ペプシコーラが製造を始めた一方、マーケティングはサントリーの管轄になったという背景があります。だから、現在マウンテンデューのブランドであるキックスタートもサントリーから発売されているんですね。

 

ところで、米国でのキックスタートが開発されたいきさつは、実はエナジードリンクという位置づけではなかったことをご存知ですか? 米国ペプシ社が実施した消費者リサーチで、マウンテンデュー愛好者は朝に飲むコーヒー、紅茶、フルーツジュースなどにとって代わる、味がよくてフルーティ、かつ身体がシャキッとする飲み物を探しているという情報を得ました。その後さらなる調査によって、朝食時にソーダ系ドリンクを欲している人たちが意外にも多いという調査結果から同社はヒットの確信を深めます。

 

そして、ファーストフード・レストランの「タコベル」が2012年に独自に朝食メニューに導入していたオレンジジュースとマウンテンデューをミックスしたドリンクを元に開発を進め、2013年2月にキックスタートという商品名で米国市場に登場しました。

朝食時のコーヒーや紅茶、お茶の代わりに飲んでみたい

キックスタートは適切な量のカフェインをフルーツジュースに加えたもの。なので、身体を始動させるだけでなく、フルーツジュースに含まれるビタミンなどを摂取することで健康な一日を始めたいという消費者の願望も満たしているのです。このエナジードリンクは炭酸飲料でありますが、FDA(アメリカ食品医薬品局)の規定によると5%の果汁成分が含まれていれば、ジュースとみなすこともできるとのこと。

 

さて、気になるカフェインですが、日本市場で発売されているキックスタートを他の栄養ドリンクと比較してみましょう。リポビタンDは100mlあたり50mg、モンスターは100mlあたり40mg、缶のサイズによりカフェイン含有量が異なるレッドブルには100mlあたり32mg~43.2mgが含まれています。キックスタートはというと、100mlあたり19mgとかなり控えめ。

 

ただし、エナジードリンクに限らず、短時間でのカフェイン過剰摂取は健康を害することもあるので、自分のカラダと相談しながら十分に注意したほうが賢明です。

カフェイン控えめで微炭酸、そして癖のない味わいが特徴のキックスタートは、エナジードリンクなのに350mlというたっぷりサイズなこともあって、現在のところ売れ行きはよいようです。まずは、朝食時にコーヒーや紅茶の代わりにキックスタートで身体を起こすというアメリカ流を試してみてはいかがでしょうか?

中国でクルマを運転するなら必ず使え! 中国の交通事情を徹底的に網羅した「高徳地図」

中国の公道は国際ライセンスでは走れません。日本の道路とは異なり、クルマが多く取り締まりも厳しいため、難易度がかなり高いのです。特に、オービスの数は数え切れないほど。でも、そんな中国の道に特化したナビアプリ「高徳地図」を使えば、ドライブも一気に快適になります。このアプリは、もともと何の変哲もない地図アプリだったのですが、百度地図(中国版Googleマップのようなもの)と差別化を図るため、現在ではナビに特化しています。本稿では実際に使ってみた所感をレポートしたいと思います。

 

元祖を上回る地図アプリ

高徳地図は、元祖地図アプリであるバイドゥ地図より遅くできた後発組ではあるものの、ナビ機能強化を求めるユーザーのニーズへ的確に応え、ここ数年のバージョンアップで大きな進化を遂げてきました。中国では自動車の交通量が増えており、それに伴い交通規制も厳しくなっています。オービスの量も日本とは比較にならないほど多く、特に大都市内ではナビがないと走れません。

 

このような中国の現状に特化したアプリが「高徳地図」です。アプリダウンロードサイトでは評価も高く、バイドゥ地図を超えています。UI(ユーザーインターフェース)がシンプルかつ機能的で必要な機能がすべて揃っている、まさに完ぺきな地図アプリともいえるでしょう。

 

クルマだけでなくシェアバイクでも使える万能型アプリ

このアプリは、街歩きの際や交通手段の検索、レストラン、レジャースポットなどの周辺検索ができ、そのクオリティはGoogle Mapに迫ると言えます。2014年にアリババに買収された高徳地図は、アリペイを通してさまざまなサービスを利用することが可能。例えば、このアプリで滴滴タクシー(タクシー配車サービス)を呼んだり、レストランでの支払いを行ったりすることができます。

 

このアプリの本領が発揮されるのは、カーナビモードで使用するときです。GPS測位の誤差はほぼなく、交差点などでの車線案内も的確。また、オービスの種類や位置、速度超過などをこまめに教えてくれます(日本人にとってはうるさいくらい)。オービスによる交通違反の取り締まりが厳しい中国ではうれしい機能です。

 

また、中国ではナンバー制限があります。例えば、下1桁が1のナンバー車は月曜日に運転禁止など細かくルールが定められており、違反した場合は200元の罰金となりますが、高徳地図に自分のクルマのナンバーを登録しておけば、通行制限がかかっている道を避けてナビをしてくれるのです。

 

また、高徳地図にはAIのディープラーニング技術も応用されており、リアルタイムに変わる道路状況に応じて的確な情報を提供してくれるのも特徴の1つ。例えば、工事中の道路で車線が規制されている場合には、どの道を走ればいいかアナウンスしてくれます。

 

クルマの場合だけでなく、シェアバイクで移動する際にもシェアバイクアプリを開く必要はなく、高徳地図アプリのなかでシェアバイクの解錠を行えます。旅には必携のまさにオールマイティーアプリと言えるでしょう。

中国の街に徹底的にローカライズすることで支持獲得

複雑化する交通状況と、いくつもの交通手段がある中国都市部。徒歩、シェアバイク、自転車、路線バス、長距離バス、タクシー、滴滴タクシー、列車、高速鉄道、地下鉄、そしてマイカーなど、挙げればキリがありません。高徳地図はこれらすべての交通手段をカバーしており、誰にでも便利な地図アプリに設計されているのです。

 

高徳地図のナビ機能を使用する場合、アナウンスの声を有名人や歌手の声に変更することもできるので、ドライブ中のストレス軽減に一役買ってくれます。さらに標準語だけではなく、多くの方言をカバーしている点も評価したいポイントの一つ。

 

交通量やオービスが多い中国の道でも、高徳地図のような完璧なナビゲーターがいれば遠出も怖くありません。また、クルマに乗らずとも中国観光などにも十分使えます。中国に来たらまず高徳地図をダウンロードすることを頭の隅に入れておくとよいかもしれません。

 

アメリカで流行中の次世代アート! 時間を忘れて没頭する「Diamond Painting」

アメリカで新しい手法のペインティングアートとして流行中なのが「Diamond Painting(ダイヤモンドペインティング、以下DP)」。カラフルで細かなビーズを色ごとにシートへ張り付けて絵をさせる方法です。細かい作業なので、面倒に思える人もいるかもしれませんが、好きな人にはたまりません。無心に作業へ没頭することによって、雑念を取り払い、気持ちも落ち着いていく感じです。デザインも選べて、達成感もある! 次世代型の美術であるDPを新たな趣味として始めるのはいかがでしょうか?

大人の新しい趣味

DPは「クロスステッチ」と同じように、マス目状の図案をもとに絵を完成させます。クロスステッチは糸と針で絵を作りますが、DPは小さなラインストーンを粘着シートに貼り付けて制作。このラインストーンがキラキラ輝き、ダイヤモンドのようなのでDPと呼ばれています。

 

日本でもラインストーンで鏡や携帯電話などをデコレーションする、いわゆる「デコ」が知られていますが、DPはデコレーションするものではなく、ラインストーンで絵を作り上げていくものなのです。

 

ラインストーンの大きさはなんと3ミリ以下。手でつまむのはさすがに難しいので、付属にあるペンのようなものですくって、一つずつ貼り付けます。図案シートには、番号と色があらかじめ書かれているので、作業は番号に対応した色のラインストーンをひたすら貼り付けるだけ。

このDPには、すべてがセットになった「DPキット」があります。ペンのほか、デザインの書かれたシート、各色ラインストーン、トレイ、ラインストーンをつきやすくするためのジェルも含まれており、手元に届いたら、すぐ始めることが可能。アメリカでも、大人の塗り絵や脳トレパズルが人気なのですが、DPはこれらに変わる次世代ペイントとして人気を集めています。

忙しさに追われる日々のなか、一つの作業にひたすら没頭することは意外にないのかもしれません。確かにDPをしている時間は、目の前の色と番号だけに集中しているので、気づいたら1時間以上経っていたなんてこともしばしば。時間も雑念もどこかに置き忘れたように一つの作業にひたすら没頭することは、不思議なまでに気分をスッキリさせてくれました。

煩悩を取り払うほどの美しさ

絵を形作っているライトストーンは、近くからでも遠くから見ても、光の当たる角度によってとても美しく光るので、額に入れてインテリアとしても楽しめます。インターネットサイトやアマゾンでは、数百種類以上のDPが販売されている一方、気に入ったデザインがない場合には、好きな写真をDPの図案にしてくれるウェブサイトもあります。

 

絵が大きくなればなるほど、全景がますますハッキリしてくると同時に、達成感や喜びも倍増していきます。最初から難しいものに挑戦すると楽しくないかもしれないので、小さなものから始めて、どんどん大きな作品にチャレンジしていくのもよいかもしれません。

細かなラインストーンを並べていくことは、一見ストレスが溜まりそうな作業に見え、敷居が高く感じるかもしれません。しかし、実際やってみた感想としては、趣味の一つに入れたいと思うくらい楽しむことができました。さらに、できあがって綺麗に並んだラインストーンは圧巻で、がんばった自分へのプレゼントのようにさえ感じます。インテリアとしても使えるところがDPのよさでもあり、おしゃれなデザインもたくさんあるので、プレゼント用にして見るのも面白いかもしれません。

巨大メッシがモスクワに出現! ロシア人の注目を集める「ワールドカップキャンペーン」5選

ワールドカップ一色となっているロシア。テレビには朝から晩まで参加チームの動向や試合結果が映し出される一方、公共交通機関ではワールドカップの巨大広告があちこちで見られます。実際にロシアにおいて大手グローバル企業はワールドカップでどんな宣伝を行い、ロシア国民や世界中のサッカーファンにブランドや製品・サービスを伝えているのでしょうか? 本稿では5つの企業の取り組みをご紹介します。

 

1: アルファバンク

ロシア最大の民間銀行の「アルファバンク」は2018FIFAワールドカップロシアの公式銀行でもあります。同行は広告モデルにアルゼンチン代表のリオネル・メッシ選手(FCバルセロナ所属)を起用。アルファバンクを利用すると、ワールドカップのシンボルを含む5000種類の記念品と3000枚の観戦チケットが当たるプレゼントキャンペーンを展開しています。

 

また、同行は開幕の220日前にモスクワ中心地に壁画を公開したことでも話題になりました。5階建てにもなる建物の壁全体を使ってメッシ選手を描いたのです。短期間のうちに突如として現れたアートにロシア国民が仰天。この壁画はモスクワ中心地にいくつか描かれているので、探しているロシア国民もいます。

 

2:ヒュンダイ/キア

FIFAのパートナー企業の韓国自動車メーカーの「ヒュンダイ/キア」は、ロシアで著名なユリ・ダッド氏 ブランド大使として起用。彼は有名なブロガー兼ジャーナリストで、ロシアのスポーツサイト「Sports.ru」の編集長でもあります。彼のYouTubeチャンネルは 2018年6月現在、320万人の視聴者を抱え、3億回以上の再生回数も叩き出しています。

 

ワールドカップの期間中、ダッド氏の強力な情報発信力によってブランド力の向上を図り、ワールドカップ開催に合わせて、車体の屋根やトランク、足のマットにエンブレムが刻印された「ワールドカップ限定モデル」を約1万台販売。限定モデルやキャンペーン対象車を買うとチケットが当たるキャンペーンも展開中です。

 

また、モスクワの中心地にある販売店では、店舗のガラス窓にもワールドカップにまつわる仕掛けが施されているのです。この販売店は横8mにもなる大通りに面しているのですが、なんとワールドカップ期間中は店舗のガラス面が「インフォメーションボード」に変身。画面にはワールドカップのスケジュールや対戦表などが24時間映し出され、旅行客などを含めた道行く人々に情報を提供しているのです。

 

3:Visa

FIFAのパートナー企業の「Visa」はオンラインでコンテストを展開しています。Visaカードの利用者が「FIFAワールドカップVisa!」プログラムに登録すると、大会最終日に「選手とともにピッチに入れる」というキャンペーンを実施しています。2018年4月から7月までの期間中、1回の買い物などで500ルーブル(約1,000円)以上、さらに15回以上Visaカードで支払いをすれば応募権利が与えられます。当選者は5名という少ない枠ですが、熱狂的なサッカーファンにとって、たまらないこのプログラム。近年になって、ようやくクレジットカード決済が定着してきたロシアですが、このキャンペーンに釣られてさらに使用者が増えそうです。

4:ウブロ

スイスの高級腕時計ブランドの「ウブロ」は、ワールドカップ開幕の1000日前に、赤の広場にあるクレムリンの前でゴージャスなものを設置しました。それはワールドカップのカウントダウンモニュメント。真っ赤なこのモニュメントは赤の広場の建物や雰囲気に見事に合い、カウントダウン用電子時計のほか、巨大なウブロの時計もはめ込まれています。ワールドカップが始まり、このモニュメント前では記念写真を撮る人たちが長蛇の列をなしています。

 

ウブロは「ワールドカップ・スペシャルスマートウォッチ」も展開中。スマートウォッチでは、試合のスケジュールや開始時間のリマインド、登録チームの動向が随時ポップアップ表示されるようになっているうえ、アンドロイド対応のアプリも使用できます。注目チームの動向を常に追いかけることができるのはもちろん、グーグルマップも搭載しているので、開催地スタジアムまで迷うこともないでしょう。

 

5:コカコーラ・ロシア

FIFAのパートナー企業の「コカコーラ・ロシア」は、コカコーラ、ファンタ、スプライトなどの対象商品についたシールを集めることで、プレゼントが必ずもらえるキャンペーンを実施しています。シール60枚では、赤と黒のふかふか「特製サッカーボール」が、40枚では「自分の名前入り特製ユニフォーム」がもらえる仕組みです。その他にも色々なプレゼントが合計100万個以上準備されているそうです。それらすべてが必ずもらえるとあってか、多くの人が意欲的にシールを集めているようです。

各社とも、それぞれの個性を生かした魅力的かつ印象的なキャンペーンを実施しています。ワールドカップでどの企業がどれくらい儲かるのか? 試合内容や結果のみならず、各企業の動向にも注目してみると、ワールドカップがより一層楽しくなるかもしれません。

究極のエコ容器!! インドネシア発、パッケージも丸ごと食べられる「Edible Packaging」

テイクアウトフードやコーヒー、スープのパックなど、プラスチックパッケージに入って売られているものは数知れず。これらは、開けてしまえばすべてゴミとなってしまいます。でも、もしこのパッケージまで食べてしまうことができたらゴミも減らせるので、最高のエコになると思いませんか? そんなことをやってしまったのがインドネシアのEvowareが開発した「Edible Packaging (食べられるパッケージ)」。このパッケージはお湯に触れると溶けてなくなるのです。

 

「リサイクルではなく、ゴミを出さない」――。そんな不思議なパッケージがエコ革命を起こすかもしれません。

 

プラスチックのリサイクルの悲しい現状

筆者がアメリカで生活していて驚いたことの一つに、ゴミの分別に対しての低い意識です。日本人は比較的にリサイクル意識が強く、ゴミは分別して捨てるのが当たり前になっていますよね。対照的に、現在、私の住んでいる地域では、ビン、缶、ペットボトル、燃えるゴミ、燃えないゴミは分別せずに、みんな一つの袋に入れて捨ててしまいます。

 

アメリカでは昨年、約500億本のプラスチックボトルが消費されました。しかし、リサイクル率はたった23%で、年間で38億本の飲料水ペットボトル(10億ドル以上のプラスチック)が浪費されています。

 

プラスチック廃棄物の問題はアメリカに限らず、アフリカやアジアの発展途上国で最も多く、特にインドネシアは世界第2位のプラスチック排出国です。これらの70%は食品と飲料のパッケージゴミから出ているそう。そんなインドネシアで誕生したのがEvowareのEdible Packagingです。

 

海藻に着目したEvowareの深い洞察力

Evowareはインドネシアのスタートアップ企業で、プラスチック廃棄物を抑制するために食べられるパッケージを開発しました。プラスチック廃棄物によるインドの深刻な海洋汚染を深く憂慮し、このアイディアを生み出したそう。そして原材料に選んだのが「海藻」でした。インドネシアにいる海藻農家の生計を向上させつつ、海藻からプラスチックの問題を解決するという新しい試みを持った企業なのです。

 

同社のEdible Packagingは、プラスチック廃棄物増加の主な原因である食品包装用プラスチックに代わるものとして活用されています。例えば、砂糖やコーヒーの袋、インスタント食品の調味料袋、ハンバーガーの包装、ストロー、シャンプーなど。

 

本製品は無味無臭、かつお湯に溶けるので、食品の味を邪魔することはありません。日本の食品でイメージするとすれば、「オブラート」のようなものでしょうか。さらに色や形、ロゴをプリントしたり、味をつけたりすることも可能なので、コップなどにはあえてフルーツ味をつけて、硬めのグミのような食感にし、飲んだ後にコップまで食べられるように工夫をしています。これは普段の生活以外にも、BBQなどのアウトドアでも活躍しそうですよね。

上述した通り、本製品の原材料は海藻です。当然、食べても身体に害はなく、それどころか、海藻の食物繊維やミネラル、ビタミンなどを摂取することができます。

また、Evowareのパッケージは「ハラルフード(イスラム教の戒律によって食べることが許された食べ物)」なので、インドネシア人口の過半数を占めるイスラム教徒にとっては重要かつ魅力的でもあります。いつか宗教の垣根を超えて、世界的に利用される日も遠くないかもしれません。

 

本製品は環境に優しいだけではありません。インドネシアの海藻農家たちは、子どもたちがきちんと教育を受けられないほど貧困化していたそうですが、このパッケージが開発されたおかげで、新たな産業ができ、収入や雇用が生み出されました。そのような活動と社会的影響が評価され、Evowareは2010年の開発開始から現在に至るまで、世界中の様々な環境団体から25を超える賞を受賞しています。

エコやリサイクルに関して数あるスタートアップ企業のなかでも、Edible Packagingは斬新さという点で突出しているように見えます。地球や動物、ヒトにやさしい本製品は、まだ生産量やコスト面での問題がクリアされておらず未だ普及には至っていませんが、これらの問題が解決すれば、日本だけでなく世界中に普及する日も近いかもしれません。

バイクファンは一生に一度行って欲しい! オーストラリアのフィリップ島で繰り広げられるGPと同島の魅力

オーストラリアのビクトリア州にあるフィリップ島。メルボルンから、東へ車で2時間ほど行ったところにあり、本土とは大橋でつながっています。この島はコビトペンギンの生息地として知られると同時にモーターサイクルファンにとっては見逃せないグランプリ会場にもなっています。10月に開催が決まっている2018年のグランプリ。フィリップ島の魅力と併せて、グランプリの詳細をお伝えします。

 

コビトペンギンの生息地

(出典:Visit Victoria / Phillip Island Nature Park)

 

フィリップ島はコビトペンギンの生育地として、観光スポットの一つになっています。コビトペンギンは昼間餌を探して海に出かけるのですが、日が暮れると海から上がり海岸の砂丘に作られた巣に戻ります。群れをなして、よちよち歩く姿――「ペンギンパレード」――を見るために、たくさんの観光客がやって来るのです。

(出典:Visit Victoria / Underground viewing at the penguin parade, Phillip Island)

 

コビトペンギンが見られるのは日没後。冬場は寒いながらも日暮れが早いので、待ち時間も短いですが、夏は夜の10時近くにならないと日が暮れません。そのため、ペンギンも海から上がってこないので、見学の際は時間調整が必要。見学には一般席以外に、地下にあるコビトペンギンと同じ目線で見学できるガラス張りの特別エリアもあります。席のタイプにより、料金は$26.20~$67.50となっています。

 

モーターサイクルファンの聖地

(出典:Visit Victoria / Australian Motorcycle Grand Prix)

 

そんなフィリップ島のもう一つの魅力、それは島内に作られたモーターサイクルのサーキットで行われるレースです。ここでは国内外の大会やイベントが開かれるので、フィリップ島サーキットはモーターサイクルファンの聖地とも言われています。

 

1956年にオープンしたフィリップ島サーキットはバス海峡に面したエリアに位置しており、美しい海を背景に繰り広げられるレースは、フィリップ島ならではのエキサイティングなイベントになっています。

(出典:Visit Victoria / Australian Motorcycle Grand Prix)

 

モーターサイクルファンにとって見逃せないのが、毎年開かれるモーターサイクルのグランプリ。今年の開催日程は10/26~28日となっており、すでにチケット販売も始まっていてます(オンラインで購入可能)。チケットには1日券と3日券の2種類があり、価格は$60~$1695。日数と見学席タイプにより価格が異なります。

 

この大会ではバイクのサイズによって異なる3種類のレースが展開されます。そのなかでも、グランプリは1000cc4ストロークのマシンで競うメインのレースで、出場ライダーは24人。スペインから9人、イタリアから5人、その他イギリスやドイツなどから参加します。日本からは中上貴晶がホンダに乗って出場予定。

 

レースでは、まず練習が4回行われてから予選、そしてさらにウォームアップ後、本レースになります。グランプリの賞金は残念ながら公表されていません。ただ、グランプリより下位レベルのレース「Moto2」の賞金をみると3000ユーロ(約38万円)になっているので、グランプリの賞金はこれを超える額になっていることは確かでしょう。

その他の見どころ

コアラ保護センター

(出典:Visit Victoria / Koala Conservation Centre)

 

コアラ保護センターはフィリップ島の中央付近にあります。センター内には「ボードウォーク(木と木を結ぶ高架歩行帯)」が設置されているので、コアラの生息を高みから観察することができます。

 

エコボートツアー

(出典:Visit Victoria / Seal Rock – Phillip Island)

 

エコボートツアーはボートに乗って、フィリップ島に生息する野生のアザラシを見る90分のツアーです。

 

チャーチヒル島ヘリテッジファーム

(出典:Visit Victoria / Churchhill Island)

 

チャーチヒル島はフィリップ島と陸続きの島ですが、ここには歴史の長い農場があり、羊の毛刈り見学や馬車など、オーストラリアの農場体験を楽しむことができます。

 

このように、たくさんの見どころがあるフィリップ島。モーターサイクルファンのみならず、動物好きの人や家族連れなど、だれにでも楽しめるこの島は、一度は行ってみる価値があると思います。旅行計画のなかに、このフィリップ島も入れてみるのはいかがでしょうか。

ベルリンの壁と関係!? 旧東ベルリンの人気地区が「シリコンアレー」となったワケ

ベルリンの壁の崩壊以降、空洞化していたベルリン経済にミラクルを引き起こしたのが、実はスタートアップ企業たちでした。2017年のベルリンGDPは1366億ユーロと崩壊後の約3倍を記録し、ベルリンは「貧しい首都」のイメージを変えつつあります。そのスタートアップ企業の立地ですが、一体ベルリンのどこに位置しているのでしょうか? 本稿では「シリコンアレー」「ベルリンバレー」と呼ばれる、ベルリンのスタートアップ密集地を紹介し、ベルリンの壁との関係について考察してみます。

 

ベルリンの東側に集中するスタートアップ

ドイツ経済になくてはならない存在となったスタートアップ企業。約1800のスタートアップがベルリンで活動しているといわれます。ジョブプラットフォームを提供する「Honeypot」では、そのなかで成功している約10%を抽出して企業のロケーションを調査。その結果を見ると、多くはベルリンの東側に集中しています。

 

特に多いのが旧東ベルリンのプレンツラウアーベルク地区で、「Zalando」や「Wooga」など成功したスタートアップ企業もこの地域にあります。そのなかで最も集中しているのが、地下鉄駅「ローザ・ルクセンブルク・プラッツ(Rosa-Luxemburg-Platz)」の近くにある「トール通り(Tor Straße) 」沿い。ベルリンのシリコンバレー、通称「シリコンアレー」と呼ばれているのがこの通りです。

エコノミストのクリストファー・モラー氏は、トール通りが「シリコンアレー」になった理由として、クールなカフェやバー、映画館などが多く、ファウンダー(会社の創始者)がクリエィティブで都会的な雰囲気を好むためだと言います。また、周辺にファウンダーの居住地が多いことも理由に挙げています。

↑トール通りの位置。南に1.4キロ(or電車で6分)行くとベルリンの中心街になる。

 

ベルリン・コワーキングスペースの先駆けの1つとしてすっかり有名になった「ザンクト・オーバーホルツ(St.Oberholz)」もトール通り沿いに位置しています。

また、ベルリンの東側にあるものの、旧西ベルリンに属していたクロイツベルク地区にもスタートアップ企業が集まっています。この地域とプレンツラウアーベルク地区はかつて壁があった場所に近く、多くのカフェやレストラン、クラブがあるベルリン市民に人気のエリアです。

↑クロイツベルク地区の位置。北に約3.2キロ(or電車で約20分)行くとベルリンの中心街になる。

ベルリンの壁と関係があった? ベルリンの歴史的魅力

さて、そもそもなぜベルリンがスタートアップの聖地となったのでしょうか? まず、他国の大都市と比べて、当時はベルリンの家賃や生活費が安かったこと、カフェやレストラン、クラブ、映画館やコンサートホールなどの文化施設、そして魅力的なイベントが多いこと、英語が話せる人が多く、ドイツ語が必要ないことなどの理由が挙げられます。

 

しかし、ここでは、ベルリンの壁が与えた影響について考えてみたいと思います。ベルリンが辿ってきた特殊な歴史が起因する一種独特の自由な雰囲気は、スタートアップのロケーションにも影響を与えていると言えるでしょう。

壁の建設で、西ベルリンは四方を壁で取り囲まれた街――「東ドイツに浮かぶ孤島」――となりました。西ドイツの他都市に行くためには東ドイツを経由する必要があり、当時西ベルリンにあった企業は、地の利が悪いことから西ドイツの他の都市に移転。ベルリン経済は深刻な影響を受けました。

 

そこで政府は、西ベルリンを魅力的な都市にするために様々な特典を与えました。そのなかでも特に若者に魅力的だったのが、兵役の免除とカフェやクラブなどの閉店時間がないこと。壁で囲まれ孤立した西ベルリンは自由かつ一種変わった空間を提供していたようで、アナーキストや左翼のほか、海外からもデビッド・ボウイを始めとする多くのミュージシャンやアーティストたちが集まり、ナイトライフが盛んになっていました。

壁が崩壊すると、西ベルリンのバーやクラブはこぞって家賃の安い東ベルリンに移動。かつて壁があったエリアはしばらくアナーキーな無法地帯になりましたが、そこにある自由で前衛的な雰囲気からベルリン特有のテクノ文化やクラブが生まれました。

 

現在ファウンダーに人気のある場所はまさに、旧東ベルリンや元壁があった近くのカフェやクラブがあるエリア。いまはなき西ベルリンの文化や壁が崩壊した後のアナーキーな時代の名残を残す場所なのです。既存の企業に迎合せず、自分を信じ新しい生き方を作るスタートアップのファウンダーたちは、アナーキーな時代に「存在していた何か」に魅力を感じているのかもしれません。

履き潰すまで100%防水!! ナノテクノロジーを駆使した革新的なニットスニーカー「Vessi」

雨の日は靴下が濡れ、炎天下では汗で蒸れて匂いが気になるなど、足元の不快さを我慢するのは嫌ですよね。どんな天候でもアクティブで快適に過ごせる靴がほしくなります。そんなことを思っている方におススメしたいのが、100%防水と通気性を備えたスタイリッシュなデザインのスニーカーの「Vessi」。炎天下のときやランニングの際にも蒸れない通気性が特徴です。しかも、カナダのVessi社が開発するこの靴は世界初の特許取得済みの完全防水スニーカーなのです。本稿では、その構造や素材、価格、購入方法をご紹介しましょう。

 

雨の日も猛暑もサラッと快適

完全防水と通気性でいつもサラッとした履き心地。足の動きに合わせた伸縮性とフィット感。かつ、お手入れも簡単。そしてスタイリッシュなデザイン――。そんなVessiは発売前から、すでに世界の目利き達の間で大きな反響を呼んでいます。今回は、少し先取りしてVessiを履いて歩き回る感じを動画で見てみましょう。

 

常識を覆す革新的なスニーカーには、Vessi社が開発した「フラッシュニット」という新素材が採用されています。表面が網目状で、一見防水には見えませんが、実は3層構造になっているのが特徴。一番外側の1層目は伸縮自在の「ハイブリッド」層、2層目はナノフィルタリングという「防水透湿機能」を持つ層、そして3層目は優しいフィット感を与える「コンフォートライナー」層で成り立っています。

従来の防水コーティング加工や耐水性とは異なり、Vessiのフラッシュニット構造は足首まで完全防水。縫い目からの浸水もありません(下の動画を参照)。しかも、この防水機能は靴の寿命が切れるまで働きます。

防水透湿性能を可能にしているのは、「ナノウィッキング」という特殊構造層に秘密があります。この層はナノレベルの小さな気孔を多数含み、液体分子を通さず、気体のみが通り抜けられるので、汗や体温の熱を逃がすことで、足の蒸れや匂いを防いでくれるのです。靴底のクッションも軽量かつ衝撃吸収タイプで履き心地は抜群。従来のスニーカーや長靴と比較してみるとVessiのすごさは一目瞭然です。

カラーは「チャコールグレー」、「アークティックホワイト」、「ミッドナイトブラック」の3種類で、落ち着いたデザインは様々な服装にもフィットします。グローバル対応のサイズチャートには、日本向けのサイズ表示もありますが、オーダー前にご自宅で足形をとって、きちんとサイズを測定してみるといいでしょう。

 

さて、気になる価格と入手方法ですが、現在、公式サイトでは男性用と女性用が119ドル(定価は165ドル)で販売されています(2018年5月31日現在)。

多目的に使えて、お手入れもラク

全天候型の優れた性能だけでなく、オシャレなデザインは職場でも普段の生活でもフィット。旅行や出張に持っていけば、Vessi一足で移動や現地での活動をしっかりサポートしてくれます。汚れは洗剤やせっけんを使って落とせるだけでなく、急な場合は布で拭くだけでも大丈夫なので、お手入れも簡単。

 

本製品は現時点で店舗やアマゾンなどで販売しないようです。希少価値も出そうな「Vessi」を履くと、きっと周りから「一体どこで見つけたの?」と注目が集まりそうですね。まずは売り切れる前に公式サイトをぜひチェックしてみてください。

[禁断の快感]角栓を押し出す感覚を体感できる!!! 全米で沸騰中のおもちゃ「Pop it Pal」とは?

ストレス発散のために、みなさんは何をしていますか? 以前、何度もできるプチプチが流行りましたが、現在アメリカで話題の最新ストレス発散グッズは、「にゅ~」がキーワードの「Pop it Pal」です。毛穴から角栓を押し出す感覚を体感できるのが最大の特徴。今回はこの製品の魅力と開発の背景に迫ります。

 

癖になる「にゅ〜」体験でストレス発散

ニキビをつぶす、または角栓を押し出す感覚というのは、誰もが一度は経験したことがあるのではないでしょうか。肌にダメージを与えるし、衛生的に良くなさそうとわかってはいても、ニキビや黒ずんだ角栓を見ると押出させずにはいられません。

 

Pop it Palは、YouTubeへの投稿がきっかけで話題になったおもちゃです。「気持ち悪い」、「グロい」、「閲覧注意」、「スッキリ」などのコメントが見受けられますが、いろいろな動画が投稿されています。

 

ニキビのことを、英語では「Pimple(ピンポル)」と言います。このおもちゃは、飛び出すニキビ(Pop pimple)にかけてPop it Palという名前で売られ、ネーミングのキャッチーさもウケています。

この商品の最大の魅力は、その「リアルさ」。シリコンで作られた土台には弾力性があります。色はペールオレンジとダークブラウンの2色展開で、多民族国家アメリカならでは。質感も本物の肌のようで、毛穴から押し出す感覚が楽しめるよう作られています。

 

また、実際に詰まった毛穴の様子をリアルに再現するため、毛穴が涙型の形状になっています。出てくる角栓の正体は天然オイル。力の加減によって角栓が少し、もしくは爆発的に出るので、気持ち悪くなるほど本物に近いのですが、それがまた癖になるようです。

開発者は普通の共働き夫婦

本製品を開発したのは、おもちゃ屋や起業家ではなく、普通の共働き夫婦でした(夫はサムソンの管理職で、妻は看護婦)。もともと角栓動画のファンだったこの2人は、2016年に親戚のお見舞いから帰宅途中、車のなかで突然このアイデアを思いついたとのこと。

インターネットで色々な知識を得た2人は、ホームセンターやスーパーマーケットなどで購入した材料をもとに、キッチンで一からおもちゃ作りを始め、約2年の年月を費やして完成させました。その後、SNSや動画サイトでPop it Palが爆発的にヒット(上の動画を参照)。ワシントンポスト紙やテレビのニュースでもこのおもちゃは取り上げられました。

 

肌にやさしい、お財布にやさしい、人にやさしい

Pop it Palの価格は19.99ドル。肌シリコンと詰め替え用のキット、オイルがセットになっています。サイズは大きすぎることもなければ小さすぎることもなく、「にゅ〜」とする体験が繰り返し楽しめるうえ、この価格なら気軽に試すことが可能。シリコンの肌を「にゅ〜」とするので、自分のお肌を傷つける心配もなく、気が済むまで「あの感覚」を楽しむことができるのです。 売り上げの一部は、いじめ撲滅活動を行う非営利団体に寄付されます。本製品を開発したご夫婦の娘は6年前にいじめを受け、それを乗り越えてきました。このようなチャリティー活動は会社のイメージアップにもつながり、それがさらに本製品の人気を後押ししている格好です。

 

Pop it Palは見ていて決して気持ちのいいものではありませんが、「怖いもの見たさ」のような好奇心とリアルに再現された感触が、たくさんの人々を引き付けているように見えます。さらに、お手ごろな価格のため、少しエッジの効いたプレゼントとして幅広い世代に選ばれている模様。アメリカでは「スピナーを超えるのではないか?」とも言われていますが、日本で話題になる日もそう遠くはないかもしれませんね。

 

科学で恋愛は成就する? 賛否両論のオーストラリア婚活番組「一目で結婚」が示していること

オーストラリアのお茶の間をくぎ付けにしたリアリティ番組「一目で結婚」。科学的なマッチングに基づく婚活番組という触れ込みで、これまで4年間毎年放送されてきましたが、現在も続いているカップルはたったの1組だけ。そのせいか、これまでの視聴率はイマイチでした。が、現在のシリーズはなんと最高視聴率を記録。一体なぜでしょうか? そして、科学的なマッチングというのは可能なのでしょうか?

 

科学的なマッチングの仕組み

「Married at First Sight」は、「Love at first sight(一目ぼれ)」からもじってつけられた婚活のリアリティ番組。あえて訳せば「一目で結婚」という番組名になるかと思います。20代~50代の婚活者を募り、応募者の性格や好みなど様々なデータを分析。科学的に男女11組(計22人)をマッチングさせ、その様子を放送するというものです。

 

番組の冒頭部分は、なぜこの番組に応募したかという背景説明で始まり、その後、いきなり初対面で「結婚」することになります。とはいっても正式な結婚ではなく、ただ結婚式を挙げるだけ。それでも、式後に1週間のハネムーンへ出かけ、戻ってから7週間アパートで一緒に暮らし、実際に夫婦のような生活をするわけです。これでは結婚の本当の価値を伝えることにならないとの批判もあり、最初のシーズンが始まる前は1万5000人の署名を集めて番組の中止を要求する声があがったこともありました。

ここで気になるのが「科学的なマッチング」の方法。このマッチングは3人の専門家によって行われます。1人目は博士号を持つ「心理神経療法家」、2人目は心理学士号を持ち、20年の経験がある「恋愛コンサルタント」、そして3人目も同様に15年の経験がある「恋愛コンサルタント」です。つまり、それなりに高いレベルの専門家に依頼していることになります。

 

実際に使うデータはかなり詳細に分類されています。その一部をご紹介すると、背の高さ・体重・育った環境・応募への親の反応、情熱を持っているもの、自身のユニークなこと、いままで一番後悔していること、暇なときの過ごし方、変化と安定への好み、秘密や子どもの有無、現在の生活、これまでの恋愛経験、好みのタイプなどがあります。

 

ただし、上述の質問事項は本人が回答するわけですから、客観的に正確であるとは言えないかもしれません。参加者のなかには初対面でマッチされた相手を毛嫌いしていた人もいるのですから。

ハプニング多発で視聴率アップ!

さて、過去4シーズンにおける最終回の視聴率が平均23.75%だったのに対し、最新シリーズでは31%と高い視聴率となり、他のチャンネルを押さえて1位を独占しました。その一因は、出場者全員を集め週に1回開かれるディナーパーティー。参加者たちは普段アパートで2人暮らしをしますが、そのパーティーでは22人のグループのなかに置かれます。このような場の変化で生み出されるのが「集団のダイナミズム」で、自分や相手を集団に置くことによって、自分たちの関係をより現実的に評価させるように設計されているのです。

 

こうした場面では自分や相手を、他の参加者と比較するようになります。これまでのシリーズでは「ただの社交」で終わっていましたが、今回は、このパーティーを通し「カップルAの男性」と「カップルBの女性」の間に「浮気」が発生。そこから、番組が思わぬ方向へ進み、視聴率がアップしたと言うわけです。結局、この浮気は男性が「元のさや」に戻り、寄りを戻して終わりました。

ところが最終回、さらに視聴者を驚かせたことがありました。番組はリアリティーショーと言いつつ、撮影は最終回の6週間前に終了しており、最終回では、この6週間でそれぞれのカップルがどうなったかを報告。8週間の生活を経て「今後は付き合わない」と決めたカップルが数組あり、そのうち3組の片方は別の参加者と付き合うようになっていたのです。さらに、8週間の共同生活後「今後も付き合う」とロマンチックに語った3組のカップルでさえも結局、破局。運命の赤い糸はやはり科学では見つけられないということになるのでしょうか。

番組は賛否両論を呼んでいます。ある出場者は、番組の制作側が視聴率をあげるために番組の内容をあまりにもドラマ化しすぎたと批判。「科学的マッチング」への不信感も募っていますが、番組の専門家の一人ストラトフォード博士は「男女関係というものがいかに難しいか、そしていかに素晴らしいものであるかを学べるという点において、この番組は重要だ」と反論。一目で結婚は2019年にも放送が予定されていますが、今後も高い視聴率を維持できるかどうかは分かりません。

日用品が毎週2回、すべて入れ替え! オジーの心をわし掴むドイツのスーパー「アルディ」

オーストラリアでいま人気上昇中のドイツ資本スーパーマーケット「アルディ」。オーストラリアでの開業は2001年ですが、すでに大手の競合を追い抜きつつあります。そんなアルディがどのようにビジネスを成功させているのか、その経営手腕を探ってみました。

 

従来のスーパーとは違うビジネス形態

スーパーマーケット「アルディ」がオーストラリアで話題に上り始めた数年前、筆者は好奇心で足を運んでみたことがあります。ところが当時は、店内をざっと一周しただけで、買い物はゼロ。というのも、それまでのスーパーマーケットのイメージとはひどくかけ離れていて、素通りしてしまったからです。

 

「見たことも聞いたこともないようなブランド品」が並ぶ棚、箱から出されず棚に置かれた商品(箱は品物が取り出しやすいよう切り開いてある)、商品をレジまで運ぶ長いコンベヤー、そして店の中央に置かれた日用品の数々――。アルディでは店内のありとあらゆるものが、一般的なスーパーマーケットとは違っていました。それからしばらくはアルディへ行きませんでしたが、知人友人から高評判を聞いて、再度足を運ぶことに。2回目にして「何とユニークなスーパーマーケットなんだ!」と思いました。

では、そんなアルディにおいて経営の秘密はどこにあるのでしょうか。まずは何と言っても、価格が安いこと。アルディのオリジナルブランドであれば3割くらいは安くなっていますし、野菜や肉などの生鮮食品も、品物によっては半額に近い安値だったりします。もちろん競合店で売られているブランドも置いてあるのですが、例えば、有名ブランドのパンテーンシャンプーなどはおよそ半額ほど。

また、ここで注目したいのが、あまりメジャーではないメーカーの品。いつもの感覚であれば少々抵抗を感じたりするのですが、アルディは厳選なテストを行っていて「保証付き」のラベルを全商品に貼っています(上の写真)。不満があれば、期限付きではあるものの返却が可能。つまり、アルディ側でこれだけ安心対策を施しているおかげで、消費者は抵抗なく買えるというわけなのです。

そして値段が安い理由のひとつに、ブランドの独自化や流通の合理化だけではなく、店舗自体の「運営の合理化」が挙げられます。その1つが販売品の管理。競合店では商品を箱から一つひとつ出し陳列していますが、アルディでは箱から出さず棚に置いてあるので、陳列の工程が省けるうえ、箱数による在庫管理ができます。

さらに合理化をはかっているのが「レジ」。レジにある長いコンベヤーは、レジでの所要時間を減らし、スムーズに進むことができます。顧客は並んでいる間に、商品をコンベヤー上に乗せるようになっており、レジ担当者がトローリーから商品を出す時間が省けるのです。そのうえ、レジ通過後の袋詰めはパッキングエリアでセルフ。これも当然、時間の節約へつながります。ちなみに買ったものを入れる袋は有料なので、利用者は普段、買い物バッグを持参しています。

ただし、これだけでは他店でもよく見かけますが、アルディで一番大きく異なるのは、「毎週2回総入れ替え」となる日用品です。「毎週水曜日と土曜日に半分ずつ入れ替える」という言い方が正確かもしれません。毎回それぞれテーマを設けてあり、例えば、夏が近づくとキャンプ用品、新学期が始まるころであれば学用品といった具合です。

 

支持される「見える化」とフレンドリーな接客態度

アルディは、先に紹介した日用品における販売促進にはチラシを大いに活用しています。様々なところでコストカットしていますが、ことチラシに関しては、紙のチラシを大々的に取り入れ、顧客への視覚的訴求に力を入れています。チラシでは翌週分の販売品も紹介され、店へ行く人はこのチラシを見て、通常の買い物、そしてお買い得品を探すことを楽しみにしている人も多いのです。商品によっては早朝から行列になることもあるほど。

さらに顧客から支持を得ているのが「フレンドリーな接客態度」です。アルディでは社員が幸せでなければ顧客を喜ばせることはできないと考え、社員教育に力を入れています。日本では接客に関してすでに高いレベルに達していますが、オーストラリアではまだまだ。国が違えど、笑顔でフレンドリーに接してくれる店員がいるお店は気持ちがいいですね。

「モスクワの空港」が飛躍的に進化!! 手荷物受取場にウキウキのロシア国民

近年、モスクワの空港が飛躍的に進化しています。この数年で、外国からの玄関口である空港が見直され、パスポートコントロールなどの窓口が増設されました。また、空港内はソビエト連邦時代の面影は全くなく、明るく綺麗でモダンな装い。なかでも特に便利に感じるのは、手荷物受取場(バゲージクレームエリア)の改善です。海外便の発着も多い2つの主要空港とともに、その画期的なサービスを紹介します。

 

ロシアの2大玄関口

↑シェレメチボ空港

 

最近までモスクワの空港といえば、ソビエト時代の面影を残したレトロなものでした。コンクリートがむき出しで、電球がところどころ切れて薄暗く、綺麗とは程遠い場所。しかも、パスポートコントロールでは窓口が少なく、長蛇の列。並んでから出るまで数時間かかるのが当たり前でした。

 

現在、ロシアの2大空港といえば「ドモジェドヴォ空港」と「シェレメチボ空港」。前者は施設の改築や増設が、ロシアでいち早く行われたところです。それによって、海外の航空会社が多数就航できるようになり、「ロシア最大級の空港」としての風格が高まりました。

 

後者は、東ヨーロッパで一番規模の大きい元国営航空会社アエロフロートの拠点となっている空港。サッカーW杯などの影響を受けて多額の投資が行われ、現在急ピッチで施設の改修やサービスの改善が進んでいます。

 

そんな2つの空港はインスタグラムを公開しており、それぞれの特徴が上手に発信されています。ドモジェドヴォ空港は、空港の昔といまを比較した写真や安全性に関する物事、日々働くスタッフの仕事ぶりなどを紹介しています。

↑ドモジェドヴォ空港

 

その一方、近代化著しいシェレメチボ空港のインスタグラムは、増設されたターミナルの新しいショップ情報や、空港を利用するフォロワーの様子をコメント入りでリポストしたり、「夜の空港探検」など、オリジナリティー溢れる企画を配信したりしています。

 

旧ソ連時代には、軍や政府が使用するイメージだった空港も、現在では国民に情報を開示することで、以前よりオープンなイメージに変化。特にシェレメチボ空港は国内線が多く、ロシア国民の利用率が高いこともあって、国民に根ざしたフレンドリーな空港というイメージが定着しつつあります。

シェレメチボ空港の改革が大好評

このように、とても近代的になった両空港ですが、最近シェレメチボ空港が改善した「あるもの」がロシア国民に高く評価されています。それは、前述の手荷物受取場の改善。手荷物が搬出されるベルトコンベアーと同じフロアにカフェや免税店、鉄道のチケット売り場などが併設されているのです。同じようなフロアは他国の空港でも見られますが、重要なのはロシアの空港のサービスがソビエト時代と様変わりしたということ。

 

先日見たときは、手荷物が見つかるまでの間に、小さな子ども連れの家族が免税店を行き来していて、子どもが退屈しないようにしていました。また、若い乗客は待っている間にカフェでコーヒーを飲んでいた一方、あるビジネスマンは、待ち時間にモスクワ中心部までの鉄道チケットを買っていました。

筆者自身も空港に着いた後にお土産を買い足したいときがあるので、コンベアーのフロアに免税店があることは助かります。先日は私が免税店で買い物をしている間に、主人がモスクワ中心部までの鉄道チケットを買っていたので、手荷物が出てきた後もスムーズに帰路につくことができました。

 

2つの主要空港は、ロシアでトップレベルのデザイナーチームによって設計された空港です。デザインを近未来的にすることで、ソビエト連邦時代の暗く古い面影を完全に消し去り、過去のものにしました。さらに、手荷物受取場に色々なサービスを集中させるという画期的な試みは、利用者が時間を有効に使う後押しとなり、荷物を待つストレスから解放することにも成功したのです。両空港はロシアの近代化の象徴かもしれません。

【格安な国際輸送サービス】 北米から日本に荷物を送る場合はクロネコの「詰め放題パック」がお得!

海外旅行に行くと、現地でしか買えないお土産やレアなものなど、持って帰りたいものがつい多くなってしまいます。スーツケースやバッグに荷物をできるだけ多く詰め込んでも、すべて持って帰れない場合はどうすればよいでしょうか? アメリカとカナダの場合、それぞれの主要都市ではクロネコの「詰め放題パック」を利用することができます。S・M・Lの専用箱を使って最大25kgまでを50~100ドルという格安料金で送ることが可能。本稿では、このサービスを詳しく見てみます。

 

「早い・格安・便利・安心」の四拍子揃ったサービス

詰め放題パックは、クロネコヤマトかその代理店で取り扱われている「日本向け国際宅配サービス」に含まれており、「早い・格安・便利・安心」を満たしつつ、たくさんのものを送れるサービスです。

 

詰め放題パックは航空便なので所要日数は6~10日間。アメリカからの送料はSサイズだと50ドル、Mサイズが80ドル、Lサイズは100ドルで、いずれも25kgまでは一律料金が適用されます(ただし箱代はどのサイズも別途3ドル、送付物の合計価格により、関税などの手数料がかかることもあります)。

 

決済方法は3つから選べます。

(1)料金も関税もすべて発払い

(2)料金は発払い、関税は着払い

(3)料金も関税もすべて着払い

 

さらに発地(アメリカ・カナダ)ではクレジットカードでの支払いも可能で、フレキシブルな対応となっています。

 

国内と同様に、現地発送から輸送中のオンライン追跡、問い合わせも日本語対応。そして配達時間も選べます。このようなサービスがあると送る側としても安心できますね(よく送られているものは下記の画像を参照してください)。

では、実際の利用方法を見ていきましょう。

 

①クロネコヤマトオフィスまたは取扱代理店で「詰め放題専用箱」を購入(S・M・Lサイズ、1箱3ドルを現金払い)。基本的には家や滞在場所にて梱包し、送り状を記入しておくとよいです。送り状には日本語が併記されているので、英語が苦手でも大丈夫。

 

②「詰め放題パック」取り扱いの現地クロネコヤマトか代理店に、荷物と送り状を持って行きます。

 

③送り状に記載された品目と価格が確認され出荷手続きになります(受付時では、箱を開けて中身の確認はしないそうですが、税関などのチェックが入ると送り状と中身が照合される場合もあるので、正確に記入することが重要)。

 

④手続き完了後は、追跡などで確認しながら到着を待ちます。

手続きをスムーズに終わらせるためには、次の3点が重要です。

 

  • 依頼人と受取人の同一記名はできないので、受取人は家族や友人の名前などにすること。
  • 割れにくい容器に入った品物を選び、食料品は10kgまでという制限を守ること(それ以上は販売目的と思われる可能性がある)。
  • 送れる・送れないものを事前に確認することなどがあります。

 

出張者や旅行者の場合、旅の途中で不要になった身の回り品などは、「日本に帰国すること」を条件に、贈り物ではなく別送品として基本的に“免税”で送れるそうです。ただし、別送品は帰国後に税関手続きをして、ヤマトへ必要書類提出後、7〜10日にて自宅へ届けられるとのこと。この2つを使い分ければ、身軽で快適な旅も実現しそうですね。別送品の手続き詳細については「クロネコヤマト・アメリカ」の ウェブサイトをご覧ください。

日本でお馴染みのクロネコヤマトが北米でも利用できることは、日本人にとって心強いですよね。今後アメリカやカナダに出張や旅行で行かれる際は、クロネコヤマトや取扱代理店で「詰め放題パック」をぜひチェックしてみてください。

フランス都市部で飼育者増加中! でもなぜ「ニワトリ」なのか!?

わずかなスペースで飼えて、世話も比較的簡単――。昨年起きたEU内の輸入鶏卵の汚染騒ぎや、その過酷な飼育環境が度々クローズアップされ、自宅の庭やアパルトマンの共有スペースでニワトリ(雌鳥)の飼育を希望する人が増えています。事実、筆者も自宅で2羽ニワトリを飼っています。では、自宅でニワトリを飼育する利点は、どのようなものなのでしょうか? エコ面、政策面、安全面から紹介していきます。

 

「平飼い飼育」で鶏のストレス軽減

フランスに住む筆者は、近年この国で「平飼い飼育(平たい地面などで放し飼いにすること)」されているニワトリの卵や、オーガニック鶏卵を求める人が増加していることを庶民レベルで感じています。EUでは2012年以来、「バタリーケージ(動けない狭いケージ内で飼育されたニワトリ)」が禁止されていますが、規模が小さいところや繁殖農家などには適用されず、鶏卵の年間生産量がEUトップのフランスでは、「バタリーケージ卵」が生産数の半数以上を占めているのが現状です。

 

そのフランスでも、ついに2022年までに店頭に並ぶすべての鶏卵を「ケージフリー」の平飼いや放し飼いの卵にするとマクロン現大統領が発表したことを英タイムズ紙が伝えています。諸外国などの風潮や消費者ニーズを見れば、この流れはある意味当然のことなのかもしれません。

フランス国立卵プロモーション委員会によると、フランス国民の年間消費量は一人当たり平均220個。一人当たりの年間消費量が世界第3位の日本(329個)には及びませんが、世界全体の平均卵消費量は145個なので、多い部類であると言えます。具体的に見ると、84%の国民が少なくとも週に1回は食べると回答。「ほぼ毎日食べる」と回答した44%のうち6%は毎日食べる一方、38%が週に2~4回食べると回答しています。

平飼いや放し飼いのニワトリは、太陽の光を浴びながら地面をつつき、砂浴びをし、止まり木に上り休みます。産卵も、薄暗く静かな隠れた場所で行うのが本来の行動。鶏卵農家でこの環境を作るのは難しいことかもしれませんが、ニワトリ自身のストレスが軽減されることは筆者の経験から確かだと言えます。私は自宅で2羽飼っていますが、ニワトリたちが夕暮れどきにのんびり過ごす、のどかで牧歌的な雰囲気は、何とも穏やかな気持ちにしてくれます。

また、人間の食べ残しを餌にすることで、食品廃棄を減量できるというエコロジカルな面も注目すべき点。現地メディアの報道によれば、1羽につき、年間150~160kgの廃棄減量が期待できるそうです。こうした観点から購入に助成金を出す自治体まで登場し、この発表を受けて、ニワトリ飼育はますます注目を浴びる形となりました。

ほのぼのとした光景と教育的な利点

より安全な卵を求める消費者の動きは、2017年のオランダから輸入された「鶏卵汚染スキャンダル」が追い風にもなっています。食肉を始めとした相次ぐ食品スキャンダルに国民はウンザリ。また、昨今の健康ブームと相まり、「ベジタリアンメニュー」への関心も高まっていることから、良質なたんぱく源として高品質な卵を求める人も増えているのです。自宅におけるニワトリの飼育は必然的な流れであったのかもしれません。

 

また、ニワトリの飼育や卵の収穫などは子どもにも参加しやすく、食育や情操教育にもつながるでしょう。大人にとっても、ニワトリと日々接することは、都市に住みながら田園にいるかのような雰囲気が楽しめ、ほのぼのとリラックスした時間を過ごせるという利点もあると筆者は思います。

【フランス人の必須品】ドイツ版ドンキ「リドル」の「2600円電気グリル」レビュー

フランスで人気のドイツのスーパーマーケット「リドル」。そのオリジナルブランド「シルバークレスト」の電気グリル器は人気家電で、毎年マイナーチェンジをしながら、長期にわたって売れ続けています。先日発売されたモデルは、鉄板を交換するだけでクロックムッシュー(ハムやチーズを挟んだフランス定番のホットサンド)やワッフルが焼けるというもの。シンプルな操作で1台3役をこなす万能調理家電ですが、価格は19,99ユーロ(約2600円)と格安。今回は、実際に使用してみた感想をレポートします。

 

カフェメニューが自宅で簡単に作れる!

フランスのカフェの定番メニューでもあるクロックムッシューは、基本的にパンとチーズ、ハムがあれば簡単に作れるので、家庭でもよく食べられているホットサンドです(写真上)。フランス人が好きなこれらの食材を鉄板のうえに置き、挟むだけで調理が済むので、このグリル器は一般的なフランス人家庭に必ず一台はある、と言っても過言ではないほど人気なのです。

 

クロックムッシューはテイクアウトや学校給食にも出る一方、夜を軽めに済ませるときなどにサラダと一緒に食べる家庭も多いのです。フランス人は朝食で塩気のあるものをあまり摂りませんが、操作が手軽なので、晩ごはんだけでなく、朝食の際にも活躍しそうです。

その一方、ワッフルは、クレープのようにジャムやチョコスプレッドといった好みのトッピングをのせて楽しめるので、来客時やホームパーティーのおもてなしにもピッタリです。でき立てのワッフルをみんなで囲み、好きなトッピングをのせながら、ワイワイと盛り上がる。日本の手巻き寿司感覚のように、賑やかな食卓になることは間違いありません。

グリル機能も注目すべき点です。肉や魚、野菜を焼けば、こんがりと焼き目が付くうえ、余分な脂も落としてくれるので、ヘルシーで美味しい仕上がりに。グリル用鉄板のサイズは、フランスで人気の「イタリアンホットサンド」や、生ハム、モッツァレラチーズ、そしてトマトを挟んだ「パニーニ」作りにも適しており、工夫次第で幅広い用途に使えそうです。

この鉄板は付け外しも簡単。サイズもコンパクトなので、お手入れもラクにできます。台所が狭くても置き場所を選ばず、場所を取らないで済むところも、日常使いの家電としてはポイントが高いのではないでしょうか。

 

シンプルな操作性、コンパクトなデザイン、そしてリーズナブルな価格

このように、鉄板を取り替えるだけで1台3役をこなせるパフォーマンス性の高さや、食材を入れて挟むだけというシンプルな操作性、手入れしやすいコンパクトなサイズが、この電気グリル器の魅力です。

クロックムッシューやワッフルが焼ける調理機器には、15ユーロから100ユーロを超えるものまで幅広い種類があります。そのなかでもシルバークレストの製品は機能と価格のバランスと、手入れや置き場所を選ばないコンパクトさが抜群。多くの消費者から支持されているのも納得です。

まるで運動会! ロシアの若者や企業に人気の「ペイントボール」とは?

いまロシアの若者たちの休日アクティビティとして、また誕生日会のイベントとして大人気を博しているのが「ペイントボール」。体験者に聞くと、原生林が生い茂るキャンプ場で、障害物に隠れ戦うこのスポーツは、ストレス発散に最適なのだそうです。

 

アメリカ発祥のこのスポーツは、世界中で1000万人以上もの人々がプレイしており、日本にもペイントボールの施設があります。肉体戦かつ頭脳戦で、五感を刺激する「ペイントボール」。今回は若者がハマるこのスポーツについて、著者が住むロシアという視点からご紹介したいと思います。

 

簡単な装備とルールながら本格的な遊び

元々は牧場主たちが牛を選別するためのマーキングとして、色付きボール(ペイントボール)を打っていたのが始まりで、そこから敵陣地の「フラッグ」を奪う遊びに派生したそうです。通常は、身体や装備に当たるとアウトになりフィールドから退場ですが、復活制度などもあります。

 

この「ペイントボール」ではよく迷彩服が貸し出されることが多く、戦闘気分を盛り上げるのはもちろん、隠れる際のカモフラージュや自分の服を汚さずにすむ利点もあります。また、ゴーグルやフェイスマスク、プロテクターなども必需品になっていて、安全のため、基本的に着用が義務付けられ貸し出されています。

 

最小人数で4人から始められますが、多いほど攻撃が複雑になるので楽しいでしょう。15分ほどのプレイもできますが、規模の大きさによっては、野外フィールドでは平均2~3時間、平均的な弾の消費量は200発となっています。

銃は圧縮ガスを利用した特別なもので、ペイント弾には野菜の色素などがベースの無毒性塗料が入っています。人気の遊び方は「フラッグ奪取」と「殲滅ゲーム」の2つ。前者はフィールドの中央か自分の陣地側で相手を攻撃しつつ、フラッグを取り合うゲームです。後者は残りが最後の1人になるまで戦い続けるもの。チーム数が多い場合はトーナメント制になります。

日本では「サバイバルゲーム」の方が一般的かもしれませんが、ペイントボールはサバイバルゲームの弾が「ペイント弾」に置き換えられたようなもの。サバイバルゲームでは弾が当たれば自己申告制なのに対して、ペイントボールはペイント弾が破裂して色がつくので、よりわかりやすくなっています。また、ペイントボールの弾は17ミリと大きいので、初めての人にも遊びやすくなっているのが特徴。

 

プレー前には、講師の安全講習を受けるのが必須となっていて、銃の扱い方やルールをみっちり教えてもらうことができます。プレイヤーはプレイが始まると、フィールド外でも「ゴーグル」と「フェイスマスク」を脱ぐことは禁止。どんな理由でも、プレイ中のフィールドでゴーグルを外すことは厳禁なのです。

ロシアにおいてはゴーグルや戦闘服・手袋・銃とペイント弾250個、そして安全講習が料金に入り、一人当たり800ルーブル(約1600円)です。ペイントボールクラブにおいては、500~2500人が一気に戦う大イベントが開催されることもあり、その人気と規模に驚かされます。

身体と頭を刺激する総合スポーツ

ロシアで人気を博している理由として、郊外に広大な土地や森がたくさんあることや、大学生の間に徴兵制で軍の訓練があることなどが考えられます。場所にも困らないうえ、軍隊の訓練によってサバイバル形式のゲームが比較的身近になり、馴染みやすいものとロシアの若者の目には映ったのではないかと思います。

 

このスポーツの面白さは、日本の「缶蹴り」や「鬼ごっこ」に似ているところがあり、相手の陣地に踏み込む、こっそり隠れるなど、幼い頃に感じた緊張感と高揚感があります。戦略を立てたり協力することも必要で、まさにチームプレー。さらに力技だけでは勝てず、頭も体もフルに使うということも、このスポーツの楽しさなのです。相手に命中した時の興奮、力を合わせ目標を達成した時の充実感は、何物にも代え難い「快感」に違いありません。

 

そして、チームプレーの大切さを学ぶためか、よく会社やスポーツチームの打ち上げや余興として使われることもあります。年齢などの垣根を超え、より良い関係を築くきっかけになるようで、運動会と似ていますよね。戦略を立て自分の役割をこなし、1つの目標に向かうところは、ビジネスなどにも通じるところがあります。

 

自然のなかで知力と体力を駆使し、仲間と協力し戦うこのペイントボールは、現代を生きる若者のストレス発散と運動不足解消はもちろん、仲間との良いコミュニケーションの場ともなるのではないでしょうか。

ベビーブームのドイツで待機児童問題が深刻化! 「企業内ミニ保育所」は救済主となるか?

人口減少が続いていたドイツが最近、「ベビーブーム」に沸いています。難民や移民による多産国の母親の急増、政府の家族政策の成功、ドイツ経済の好調などが背景にありますが、喜ばしいニュースの一方で深刻化しているのが、託児所や幼稚園不足による「待機児童問題」。この問題を解決するため、中小企業向けに「企業内ミニ保育所」をお膳立てするスタートアップが登場しました。

 

「企業内ミニ保育所」サービスってどんなもの?

ドイツで深刻化する待機児童問題。ドイツ国内には約30万人の待機児童がいると言われていますが(2017年時点)、その数は州により格差があります。特に多いのが、ドイツ経済を牽引するノルトライン・ヴェストファーレン州で約7万8000人。同州はデュッセルドルフやケルン、ドルトムント、エッセンなどの工業都市を有しています。東西で比較すると、旧西ドイツの待機児童数が圧倒的に多く、30万人中約26万人(約86%)は旧西ドイツなのです。2013年には1歳以上の子どもは全員保育施設への入所権利が与えられるという法律ができたものの、受け入れ施設が圧倒的に足りず裁判も起きているという有様。

 

さて、まずはドイツの保育状況について少しご説明しましょう。ドイツでは、日本のように保育園と幼稚園に分かれておらず、その代わりにその2つを合わせた「Kita(Kindertagesstätteの略)」で保育が行われます。日本で言うこども園のような施設ですが、Kitaに入所できない場合には、保育者が自宅など家庭的な環境で子どもを預かる「ターゲスフレーゲ(Tagespflege)」という手段もあります。

Kitaでは専門教育を受けた者が保育を行うのに対し、ターゲスフレーゲでは「ターゲスムッター」とよばれる親代わりの人が保育に当たります。Kitaと比べると開設しやすいこともあり、ミニ保育所の数は増加中。州や両親の収入によりますが、費用の援助もあります。

 

そんななか、スタートアップ企業「Sira」は、ターゲスフレーゲのメリットである「少人数制のミニ保育」と、Kitaのメリットである「専門教育を受けた保育者による保育」を組み合わせた「ミニ保育所(Mini Kita)」というサービスを展開しています。企業に勤務する友人が、「保育所をみつけるのが難しい」と話しているのにヒントを得て創設。大企業は独自の保育所を保有する会社が多いものの、中小企業はほとんどなかったことから、後者に絞ったサービスを始めたそうです。

不動産探しから教育者の手配、役所への届け出、補助金の計算や申請まで、保育所開設にあたり必要な作業のすべてを引き受け。企業内に空きスペースがある場合はそれを利用、または企業近くにテナントを借ります。一般的には、100〜150平方メートルの空間が必要だされ、不動産が保育所としての条件を満たしていない場合は、建築家と話し合いリフォームをすることも。子どもの人数が少ない場合は、近所にある他の企業と共同でミニ保育所を開設することも検討します。

企業と保護者双方にメリットあり!

Siraは保育者を直接雇用し、保育所自体の運営も行います。8人から10人の子どもに対して保育者の数は2~3人。ターゲスフレーゲでは保育する子どもの数が最大5人までと法律で制限されていますが、数人が共同で保育する場合は、それに応じて子どもの人数を増やすことも可能。それでも保育者1人に対して子どもの数が少ないので信頼関係を作りやすく、親の満足度も高いのです。実際にターゲスフレーゲに預けていた筆者の友人も、「小さいうちはキーパーソンを持つことが大切。教育者の質も大切だけれど、それ以上に家族の一員として受け入れてもらい、我が子と同じように愛情をかけてもらえたので満足している」と話しています。

 

妊娠中からKitaに申し込んでも入所できるかどうかわからないと言われるなか、企業内に保育所があると安心して出産、仕事に復帰できます。送迎時間も少なくて済み、子どもが病気になった場合などもすぐに駆けつけられるため、安心して仕事ができるなど、両親にとって多くのメリットがあります。

 

企業にとってもメリットがあります。スタートアップの社長・ジーカチェック氏は、「ドイツでKitaを開設するには各州が定めた細かい条件をクリアしなければならず、平均で1.5年かかりますが、Mini Kitaは6~9か月くらい 」と話します。制約が緩やかなターゲスフレーゲの形態を取るため開設までの時間を短縮できるのです。

 

企業内保育所は、育児への理解がある企業としてイメージアップにつながりますし、このサービスを使うことで煩雑な作業を省略できるのも魅力。若くて優秀な従業員離れ防止にもなるのですが、はたして企業内ミニ保育所はドイツ待機児童問題の救済主となるのでしょうか? 今後の展開に注目です。

破格値で3年保証付きも! DIY大国のフランスでドイツ発の「リドル」が重宝される理由

フランスが言わずと知れたDIY(フランス語でブリコラージュ)大国であることをご存知でしょうか? 古い家やアパルトマンが多く、休日には自ら工具を操り、家の修繕に勤しむ男性の姿は珍しくありません。そんなこの国で人気のドイツ系ディスカウントスーパー「リドル」には「パークサイド」というオリジナルの工具ブランドがあり、ホームセンターで販売されている価格の3分の1程度で道具を揃えられます。DIY初心者はもちろん、上級者からも重宝されているリドルの工具。その秘密は安さだけではないようです。一体どのような理由が隠されているのでしょうか?

 

破格な値段で3年保証付き! 「パークサイド」と「パワーフィクス」

リドルの「パークサイド」ではDIY用の電動工具がひと通り揃います。電動ドリルやサンダー、グラインダー、タッカーなどを含むハンディタイプの道具から、大型のエアコンプレッサーや備品、卓上式の電動丸ノコまで、家の内外装に必要なあらゆる道具を網羅しているのが特徴。

日本と同様に、フランスでもプロに愛用される電動工具メーカーといえば、ドイツの「ボッシュ」と日本が誇る「マキタ」が挙げられますが、いずれも価格はパークサイド製品の2倍以上。プロ並みの使用頻度でもなく、プロ並みの使用頻度やパワーを必要としないなら、パークサイドの電動工具で十分と考える人も多いようです。

 

 

このように言うと、パークサイドは「DIY初心者の低価格ブランドで、性能は二の次なのだろう」という印象を持たれるかもしれません。しかし、実際にはそんなことはなく、DIY上級者からも注目されているブランドなのです。その理由は、やはりその価格の安さ。上級者の場合は、すでに機材をある程度持ってることが多く、パークサイド製品はその「予備」として購入するケースがあるようです。

さらに、DIY上級者がリドルへ行くほかの理由として、電動工具などに取り付ける消耗備品が破格で売られていることが挙げられます。

 

手動ドライバーやネジ各種、消耗備品などは「パワーフィクス」という別のオリジナルブランドで展開されていて、その種類も実に豊富。例えば、ベルトサンダー用のペーパーが6枚セットで1,99ユーロ(265円)、4,0×30mmのビスが600本入って2,99ユーロ(398円)など、他店の約3分の1の価格となっており、かなりお得です。

 

また、電動工具のパークサイド製品には安心の3年保証が付いています。安いだけでなく、品質もしっかり保証されているというわけですね。

あの有名なドイツの電動工具メーカーのセカンドブランド?

あれもこれも必要になってくる DIY道具を揃えるにあたり、ほかのホームセンターで購入したら倍の価格はするであろう工具や備品が、格安で買えることはパークサイドの最大の強みです。「安かろう、悪かろう」では困りますが、上述のように、パークサイドの製品は3年間の保証付き。電動工具も消耗品の一部として捉え、使い倒すヘビーユーザーにとっては惜しくない価格に設定されているのではないでしょうか。

 

また、パークサイドは、ドイツ発のメーカーであることも有利に働いているかもしれません。ドイツといえば、高品質なDIY工具として世界的に評価が高い「ボッシュ」を生み出した国。なので、パークサイドも大丈夫だろうという論理で信頼されやすいところも大きいようです。双方の公式発表はないものの、実は「パークサイドはボッシュのセカンドブランド」という説も一部の人々の間でささやかれているんです。

確かに色の配色や形など、ボッシュにソックリで見間違えるほど。これだけ酷似していてボッシュから訴えられないのは、不思議といえば不思議な話ですよね。パークサイドがDIYメーカーとして確立できている裏には、名高きボッシュの「ブランド力」が少なからずや影響を与えていることも確かでしょう。

世界最高の時速350キロ!! 中国での移動には「高速鉄道」を使うべき?

地図を見れば一目瞭然ですが、中国の広さは日本の比ではありません。実際に住んでみると身をもって分かります。例えば、中国では「寝台列車」は当たり前。列車泊をしながら旅をするのは日常茶飯事です。そんな中国ではいま、日本の新幹線にあたる「高速鉄道」が建設ラッシュ。広い中国を効率よく旅をするならこの「ガオティエ(高速鉄道の現地の呼び名)」がおすすめです。筆者が自信を持っておススメする理由を4つご説明しましょう。

 

1:国内2万5000キロを超える路線距離

中国の高速鉄道は路線距離が世界一。いまこの瞬間でさえ、レールの敷設作業が着々と進んでいますから、これから先はさらに距離が延びるはずです。地元メディアの報道によると、中国鉄道の総距離は12.7万キロで、そのうち高速鉄道が「2万5000キロ」を占めているとのこと。2017年だけでも約8000億元(日本円で約14兆円)という巨額の費用をかけて開発が行われていました 。

 

2:時速350キロの最高速度も世界一

以前は安全性の観点から速度制限が設けられていたものの、現在の一部区間では「最高時速350キロ」での走行が許可されています。ちなみに日本の新幹線の最高速度は、東北新幹線の宇都宮〜盛岡区間で時速320キロ。中国の高速鉄道より速い新幹線はこの世にありません。

 

3:乗り心地最高! 川崎重工業の鉄道車両を使用

中国の高速鉄道に利用されている車両は、実は日本の新幹線をベースに設計されているのです。使用されている「CRH2車両」は、中国が川崎重工業 車両カンパニーから購入したもので、乗り心地もなかなか。中国鉄道の種類には「G」もしくは「D」で始まる高速鉄道と、「T」や「Z」で始まるいわゆる鈍行列車があります。車内の防音効果やシートの座り心地など、高速鉄道と鈍行列車ではまさに雲泥の差。

 

4:高速鉄道専用の駅は新設備でサービスも充実

「G○○○」のようにアルファベットの「G」から始まる高速鉄道は専用の駅から発着します。高速鉄道に乗る人たちはスマートな人々が多く、何が入っているのかわからない巨大な荷物を背負って乗り込んでくる人もいなければ、プラットホームから車両につばを吐いたり、駅のプラットホームでたばこをスパスパ吸ったりするマナーの悪い人もいません。

 

また、駅内のサービスが充実していることも高速鉄道の魅力の1つ。広い駅構内には、おいしいレストランや気軽に入れるファストフード店、コンビニなどがいっぱいあります(駅内で食べ物を買い損ねても、車内でお弁当などのサービスを利用可能)。フリーWi-Fiが利用できるのも高速鉄道の駅ならでは。

速さだけじゃない! 比べ物にならない快適さ

単純に速さだけではなく、車両の「快適さ」も高速鉄道をおすすめする理由の一つです。ゆったりとしたシートの足元には電源プラグがあり、手持ちのデバイスを充電可能。シートの背もたれは鈍行列車と違ってリクライニングできるので、仮眠する際にも腰が楽です。広々としたシートで、気分はまるでファーストキャビン(さすが日本製車両!)。周りも静かなので、すやすや眠れます。

 

鈍行列車と比べて3倍ほどの価格とチケットが割高なため(北京-上海間で約500元) 、客層は中流階級以上が多く、マナーをわきまえた乗客が大半。怒鳴るような大声でおしゃべりする乗客もいないので、快適な乗車時間を過ごせるのです。また、おしゃべりしている人が少ないのは、鈍行列車のように座席が向かい合っておらず、相手の顔が見えないからかもしれません。

 

主要都市間は飛行機の便も多いものの、地方部になると高速鉄道のほうが飛行機よりも本数が多いのも事実です。例えば、武漢-上海間だと、飛行機は1日平均20本ほどですが、高速鉄道なら30本近くあります。天候などに左右されにくい、新しい交通手段のガオディエ。中国にお越しの際は高速鉄道をぜひお試しください。

 

 

【フランス流働き方改革】「水曜休み」「週4日制」がもたらす効能とは?

日本で、今年の「春分の日」は水曜日だったことから、「週5日連続労働はキツイ」、「週休3日にしてほしい」と感じる人が多かったという記事を読み、フランスにおける水曜日について改めて考えました。

 

フランスの幼稚園及び義務教育機関は水曜休み、または水曜午後休みにしており、それに伴って、どちらかの親(大抵は母親)が正社員でも週4日制で水曜休みにしている場合があります。水曜を休みにすることで得られるメリットとは何か? その真相について迫ります。

 

フランスの水曜日は他の平日とちょっと違う

フランスでは、水曜日に公立の幼稚園や小・中学校が半日授業、私立においては1日休校になるため、週4日または4日半制になっています。元々はキリスト教学校修士会(別名ラ・サール会)が木曜を休みに定め、代わりに土曜に授業を行っていたところを(現在は土曜日に授業を行う学校は少数)、1972年に当時の教育大臣が水曜にずらして公立の学校にも適用させたという歴史があります。

 

以降半世紀近くにわたり、学校の水曜休み、または水曜半日休みが定着しました。特に子どもが小さいうちは子どもの休みに合わせ、水曜出勤をしない週4日勤務の社員が一定数いるフランス。全社員が出勤しない水曜には、重要な会議が組み込まれることもなく、社内には若干の余裕が生まれて、個々の仕事に集中できます。

 

このちょっとした余裕がとても重要。ゴールに向けひたすら前進するだけではなく、一歩下がって自分の仕事内容や作業ペースを見直す。そして呼吸を整え、週の後半に向けて新たな気持ちで取り組む。著者は20年間フランスで暮らしてきましたが、このような制度を非常に良いと考えるフランス人をたくさん見てきました。

そして、フルタイム社員にとっての効果は、水曜は早めに帰宅しやすい空気感が生まれることではないでしょうか。水曜の午後に習い事を入れている子どもは多く、普段よりも早く仕事を終えた父親が送迎する姿も珍しくありません。毎週は無理でも、ときに父親が家庭の用事に参加することで、夫婦仲も円満になります。また、普段過ごす子どもの様子を父親が把握できる、家族にとっても大切な時間となります。

「水曜は半日休み」を反映してか、フランスでは映画の公開初日、夏と冬のバーゲンセールの初日なども水曜に設定されています。娯楽やショッピングを楽しむ時間を週末にまとめず、分散させることで消費者が足を運べる選択肢を増やせる、という業者側の狙いがひとつ。また、消費者側にとっても仕事から離れ、気兼ねなく買い物や映画館へ足を運ぶきっかけとなる。そのような社会的風潮がこの国にはすでに存在し、人々の意識にも浸透していると筆者は感じています。

水曜日に休んで生産力をアップ!

週の半ばにワンブレイク挟んだり、社内がフル回転になっていないことで気持ちにメリハリがつき、自分の仕事を見直す、作業ペースを整える、などの余裕が持てる点は大きいと言えるでしょう。そして切り替えができたところで後半に向け、気合を入れ直し、仕事に邁進できるのです。OECD(経済協力開発機構)の最新調査によれば、2015年のフランスの生産性はG7(主要7か国)おいて第2位の高さ(日本は最下位)。水曜日休みと生産性は相関関係があるのかもしれません。

↑G7の生産性ランキング(出典:OECD)

 

また、家族と過ごしたり、娯楽を楽しんだりする時間を週末に集中させず、わずかでも平日に設けることで、仕事からプライベートへの切り替えのタイミングや、バランスが取りやすくなるという考え方もあります。最初はリズムが狂うと感じるかもしれませんが、一度このサイクルに慣れてしまえば、週末は家族サービスで自分の時間が持てないうえにゆっくり休めず、週が明けても疲れが溜まったままで仕事に集中できないなどの悩みからも解放されるかもしれません。筆者は実体験からデメリットはほぼないと感じています。

もはやスーパーフード! 「枝豆」が世界中で愛されるようになったワケ

海外の大手スーパーの冷凍食品売場で「EDAMAME」というローマ字表記で売られ、定番商品になってきた枝豆。電子レンジと食塩さえあれば海外旅行や出張中でも、また、仕事仲間やホームパーティでもスナックとして楽しめます。栄養満点で低カロリー、素材そのままのおいしさが味わえる枝豆は、女性やベジタリアンを始め、様々な信仰やライフスタイルを持つ人々にもウケ、いまやグローバルで注目を集めています。その人気ぶりや枝豆をつかった健康への取り組みを見ていきましょう。

 

英語にもなった「枝豆」

枝豆とは未成熟大豆のことを指しますが、未成熟豆を食べる食文化は、実は近年までアジア諸国に限られていました。それが 21世紀に入って20年近くが経ち、世界各地の大手スーパーでお手ごろ価格で入手できるほど急速に普及しているのです。この人気ぶりには日本人としてちょっと誇りに思えるとともに、いつでもどこでも誰にも喜ばれるようになった背景も知りたくなってきますね。

 

枝豆がローマ字表記の「Edamame」として海外の出版物に初めて登場したのは1951年と言われています。そして、半世紀後の2003年にオックスフォード英語辞典に、2008年には米出版社メリアム・ウェブスター(本社マサチューセッツ州)の辞書に追加され、英単語にもなりました。

 

2013年12月、ユネスコ無形文化遺産になった和食、健康志向にともなう日本食ブームの影響も大きな後押しとなり、2014年のGoogle検索キーワードランキングの「和食部門」では、なんと第2位に輝いたとか。ちなみに1位はすし、3位以下にラーメン・刺し身・天ぷらなどでした。

 

以前はベジタリアンや健康食品に関心ある人や和食ファンを中心に人気がありましたが、需要をカバーできる生産量が確保できておらず、アジア食料品店、自然食料品店以外では手に入りにくいものでした。北米においては消費される枝豆のほとんどが中国産でしたが、カナダの農家が枝豆の人気と可能性に気づいて2010年に枝豆栽培を始め、いまでは自給品がほとんど。右肩上がりに生産量が増えた現在ではアメリカ合衆国へ輸出するまで成長しているようです(下グラフ) 。

↑カナダの大豆生産高の推移(出典:カナダ大豆協会)

 

食文化や味覚も違う海外でも、オーソドックスな塩ゆではもちろん人気ですが、ちょっとピリ辛風、ガーリック風味、クリスピーな歯ごたえのロースト風もスナックとして喜ばれているようです。

世代を超えた人気。「Kids Love Edamame!」

豆を食べる文化圏は世界に多数存在しますが、枝豆はさやから豆を押し出すというユニークな食べ方、食べ出すとやめられないおいしさ、柔らかくて食べやすいことが人気となっています。最近はアメリカにおけるいくつかの教育地区で、学校のスクールランチに枝豆を導入したり、生徒の味見テストも実施され出したりしています (上の動画を参照)。

 

海外では、主に枝豆は冷凍食品で売られているので長期保存もでき、解凍してそのまま食べられるのでシンプル。さらにお手ごろ価格で、いつでも気軽に食べられるコンビニ的な存在としてウケています。そのうえ、栄養豊富で食物繊維が多く、余計な添加物もなくて低カロリーで肥満や病気の心配も少ない。まるでスーパーフードのような印象が、一層の人気に拍車をかけているのです。

枝豆が、国境や世代を越え人気であることに納得するとともに、海外の大人や子どもたちまでが笑顔で枝豆をほおばる様子には、ほっこりした気持ちになりますね。

裸の付き合いは国境を越える! 「サウナ」から見るロシア人と日本人の共通点

日本人の風呂好きは世界でも周知の事実ですが、ロシア人の熱いサウナ愛についてはご存知でしょうか? ロシアのサウナは湿度が高く「蒸し風呂」とも呼ばれ、都市部ではアパートに「一人用サウナ」がついているほど。今回はこのロシア式サウナの特徴と、モスクワっ子が憧れるサウナの聖地「サンドゥニ」をご紹介します。日本人なら理解できるところも多いロシア人のサウナ文化を見ていきましょう。

 

日本人もびっくりロシア式サウナとは?

ロシア人にとってサウナは日本人のお風呂のようなもの。ロシア人は家に洗面所ほどの大きさの一人用サウナを設置してしまうくらい、サウナが大好きな国民なのです。

 

サウナの滞在時間も3~4時間ほどと非常に長め。その理由にはロシアの独特な入浴スタイルがあり、休憩室のようなスペースで、食事やお茶をつまみながら、休憩スペースとサウナを行き来するのです。

 

一般的には休憩スペースに大きなテーブルが置いてありますが、高級な所になると「プール」や「ジャグジー」、さらに「ダーツ」や「ビリヤード」まで設置しているところも。そこでロシア人は仲間たちと語らい、お茶やお酒を酌み交わし、ゲームをするのです。これは、いわゆる「裸の付き合い」で、日本人の銭湯の感覚にも似ていますね。

 

ロシアのサウナでは欠かせないものが「フェルトの帽子」「敷物」「白樺の葉」の3つです。熱い石のうえに水をかけて蒸気を充満させるロシア式は、湿度や温度がフィンランド式サウナより高く、温度は90~100度に設定されています。

 

高湿度のため体感温度はさらに暑く、フェルトの帽子なしでは熱気が直接頭に当たってクラクラしてしまうほど。小さい座布団のような敷物は自分が座る場所に敷くために使う一方、白樺の葉は血行促進用で、それを使って身体を叩くのがロシアの習慣。後述する高級サウナの「サンドゥニ」では、「叩き師」なる方たちが白樺で利用者の身体を万遍なく叩くそうですが、その加減がとても上手で、まるでマッサージのようだと評判。

 

日本同様、ロシア式サウナでもサウナ後に必ず水風呂に入ります。ロシアの場合はサウナの後にシャワーで冷水を浴びたり、冷たいプールに入ったり、または冬ならそのまま雪に飛び込むということもあります。

憧れの聖地「サンドゥニ」とは?

そして、モスクワっ子憧れの聖地「サンドゥニ」。1808年にサンドゥニ夫妻が「貴族たちの交流場」としてサウナを始め、200年以上にわたってナンバーワンの座を不動のものとしています。ランク別の3つの男性用サウナと2つの女性用サウナがあるほか、8つのジャグジーやプール付きの個室も完備。

 

いまでこそ民間に開放されましたが、それでもやっぱり「高級サウナ」、入場料だけで2800ルーブル(約5600円)します。タオルなどは200ルーブル(約400円)で借りられるので、手ぶらでも大丈夫。また、サンドゥニのロゴが入った「サウナ用の帽子」(300ルーブル〔約600円〕)が人気で、思い出に買って帰る人も多くいます。

ちなみに、サンドゥニは19世紀建造のロシア最高峰の建造物で、その優雅な内観は現在も多くの人たちを魅了し、癒し続けています。

 

サウナで深まる家族や友人との絆

ロシア式サウナは、汗を流すことにより得られるリラックス効果はもちろん、フィンランド式よりも湿度が高いので喉にも良く、風邪などにもよいと現地では言われています。また、休憩スペースを行き来するその独特なスタイルは、ただのサウナというよりも1つの完成された娯楽。家族や友人と楽しい時間を過ごすことができるでしょう。

 

一昔前は日本でも良く耳にした裸同士の付き合い。それがロシアでは現在も日常的に行われていることに少し驚きつつも、日本人としてはロシア人との共通点を感じずにはいられません。ロシアにお越しの際はぜひサウナに行ってみてください。

中国内陸部でコンビニが急発展! 日本人も満足するファミマ似の「Fun Beans」とは?

日本に追いつけ追い越せの中国。最近では、シェアバイクやQRコード決済、高速鉄道など、いつの間にか先を行っている感もあります。しかし、コンビニエンスストアに至ってはまだ黎明期で発展途上。そんななか、筆者が感心しているのが日本のファミリーマートのような「Fun Beans(乐豆家)」という中華コンビニ。日本のコンビニ至上主義という方もこれには満足するかもしれません。

 

気分はファミリーマート! Fun Beansでお買いモノ

2014年にスタートした、中国江西省のFun Beans(楽豆家)。ライトグリーンの看板で、ファミリーマートさながらの外観は日本人であれば、きっと親近感が湧くはずです。上海などの大都市には本物のファミリーマート(中国では「全家」と呼ぶ)もありますが、中国内陸部ではローカルのコンビニしかありません。しかし、価格はファミリーマートよりも安く、品揃えもなかなかのもの。

 

日本のコンビニと比較すると、まだまだ足りない部分が見えてくるのですが、中国の内陸部に住みながらコンビニを利用できるというのはかなり大きなメリット。コンビニと名乗るからには「24時間営業」が必須条件ということで、Fun Beansも頑張って24時間営業しています。

↑Fun Beansの公式サイトより

 

中国ではこれまでコンビニ業界が発展途上にあり、長い間、隙間的なビジネスでしたが、ここ数年で新しいコンビニが次々とオープン。これまで大都市のみだったコンビニも、国家が開発を進める地方都市で増えてきています。消費者の購買力や食品に対する要求が高くなってきていることも、地方内陸部でコンビニが増えている一因。特に20~30代の働く若い世代を中心に利用者が増加し、好評を得ているのです。当然ながら競争も起きつつあり、内陸部ではFun Beansのほかにも「Uhome」というコンビニが店舗数を年々拡大しています。

 

Fun Beansは町のいたるところにあり、特に、ビジネス街やショッピングモールの一画などに多く、どれも15平米ほどの小規模な店舗ばかりです。ホワイトカラーのビジネスパーソンや買い物客をターゲットにしているようで、朝やお昼前になると食料品を買い求める人たちで賑わいます。

 

商品は中国の低所得者からすると割高感があるようですが、一般的な企業のサラリーマンなら気軽に購入できる価格帯。肝心の品揃えについては店舗により多少差はあるものの、基本的には以下のようにカテゴリ分けされています。

・パン類

・お菓子類

・インスタント食品類

・アイスクリーム

・飲料

・酒類

・ヨーグルトなどの乳製品

・文具

・日用品

・電気製品

・インポート食品

 

これ以外にレジ付近には、日本のように肉まんや「関東煮」と呼ばれるおでん、フランクフルトなどが置かれています。店舗によっては簡単なテーブルとイスも置かれていて、軽食をとったり、友人とちょっとおしゃべりしたりする場所としても利用可能。

Fun Beansのおススメ商品

上の写真は、筆者がFun Beansでいつも購入する商品。左上は正真正銘、日本のチョコレート「ダース」です。中国で作られた日本の商品ではなく、実際に日本から仕入れている模様。くちどけや風味などは、まさに日本のチョコレート! 中国産チョコレートと比較すると値段は高いものの、中国で「日本のチョコレート」が食べられると考えれば安いものです。ほかにも「マカデミアチョコ」や「アーモンドチョコ」などもありました。

 

パン類は充実しているものの、惣菜パンが少なく、これからの進歩に期待したいところ。パイ生地のデニッシュやクロワッサンなどはなかなかのお味でした。特におすすめしたいのが、上の写真にある「ヨーグルト」。ストロベリーとブルーベリーの2種類があって果肉と、チョコレートでコーティングされたクリスピーがなかに入っています。付属されている太めのストローで果肉ごと食べるのですが、これがまた絶品。日本円で約170円ほどです。

 

上海・北京・深センなどの大都市だけではなく中国内陸の各都市でも、いまはコンビニが急速に発達しています。内陸部でも日本と同じようにコンビニで買い物ができるなら、中国出張のストレスも減りそうですね。

ハワイ島の火山噴火で不足! でも市販の「マスク」は役に立たない?

ハワイ島で続いているキラウエア火山の噴火。20か所以上の亀裂から流れ出した溶岩は住宅地も飲み込みながら、現地時間5月19日には島南東部の海岸線まで到達しました。溶岩流が海に流れんでいることも確認されています。そんななか、ハワイ島の住民たちの間で心配されているのが、有毒ガスによる健康被害です。

 

噴火前からある、ハワイ島の「ヴォグ」とは?

ハワイで大気汚染やガスについて話題にするときに、必ず登場するのが「VOG(ヴォグ)」。VOGとは、火山を意味する「Volcano(ヴォルケーノ)」と、「Fog(フォグ=霧)」、「Smog(スモッグ)」をミックスした言葉で、ハワイではよく使われています。

 

ハワイ島のキラウエア火山は活火山であり、今回の噴火が起こる前でも、火山からはガスや煙が噴出されているのです。そのため、ハワイ島周辺がガスなどに覆われて、空がすっきりしない日もあります。また、天気や風向き次第では、ハワイ島から飛行機で約1時間離れた場所にあるオアフ島も霞がかることも。そんなときは、「今日はヴォグがひどいね」なんて言ったりするんです。

 

これに加え、現在の噴火で住民の間でもヴォグや火山灰に対する不安が増加。さらに、高温の溶岩が海水に流れこみ始め、有毒ガスが発生する危険性が高まっているのです。

 

15分で売り切れる店も! ハワイでマスク不足

そんななか、簡単にヴォグから守る手段として、住民たちが飛びついたのがマスクでした。ハワイ島のある店では、開店15分で店にあるマスクがすべて売り切れてしまい、マスクが不足していることが1週間ほど前に報道されました。

 

日本では、風邪を引いた人も健康な人もマスクを着用する習慣があり、ドラッグストアやスーパーなどでは年間を通してマスクが販売されています。しかしハワイでは、「マスク=伝染病など重症な病気を持っている人」というイメージを持つ方が多いようで、街中でマスクを着用している人を見かけることはほとんどありません。もともとマスク需要が低かったことも手伝って、今回の噴火によりマスクの品切れ状態が加速しているようなのです。

マスクメーカーが1万8000個のマスクを寄付するも……

そこで、ハワイ州がマスクの主要メーカーである3Mにマスクの寄付を依頼。3Mは1万8000個のマスクを寄付したのです。救助職員やアメリカ赤十字のスタッフ、ボランティアの人々などを通して、ヴォグや火山灰の危険が心配される地域の住民へマスクが無償で配られました。

 

ただし、今回寄付されたN-95/8511というカップ型防護マスク(市販)は、火山灰の粒子は予防できるものの(N-95マスクの粒子捕集効率は95.0%以上)、二酸化硫黄などのガスから体を守ることはできないとのこと。おそらく、有毒ガスを防御するためには、専用の防毒マスクが必要となるものと考えられます。

 

そのため、マスクはあくまでも建物から建物の間を移動するときなどに使用して、家のなかでは窓を閉めておくことが大切だと、ハワイ州では住民に呼びかけています(なお、ハワイでは、「東京防災」のような防災用ハンドブックは見つかりませんでした)。

 

避難している住民や、溶岩が流れこむ恐れのある地域の方などは、さまざまな不安を抱えていることでしょう。いまだ鎮火する気配がみられませんが、早いうちに収束することを祈るばかりです。しかし、キラウエア火山は活火山であり、噴火が初めてのことではないうえ、火山の女神ペレが関係していると考えている住民も少なくありません。治安が悪化しているわけでもなく、東日本大震災や熊本地震の際に見られた日本人のように、火山が噴火しても自然を恨まないという姿勢はハワイ島の住民にもあると思われます。

 

ちなみに、ハワイ州観光局では、「噴火が続いているハワイ島プナ南部地域以外は、ハワイ島の人気観光地であるヒロ、コナ、コハラコーストもいつも通り営業している」と発表しています(5月22日現在)。

海外の赤ちゃんは何を飲んでいる? 世界のミルク事情

日本では、母乳以外で赤ちゃんの栄養といえば「粉ミルク」が一般的ですが、海外では「液体ミルク」もあり、ふたを開けて飲ませるだけの便利な商品が売られています。日本でも東日本大震災や熊本地震の際に液体ミルクが認知され始め、国内での販売を希望する声が大きくなりました。

 

液体ミルクからも分かるように、人工栄養の種類に関して日本と外国には違いがあります。海外のミルク事情はどうなっているのでしょうか? そこで本稿では、スウェーデン、ロシア、中国、アメリカ、ブラジルにおける人工栄養の現状を調査。粉や液体ミルクの使用率や販売されている製品を見ながら、各国の特徴や日本との相違点を探りたいと思います。

 

1:スウェーデン

スウェーデンでは母乳育児が奨励されており、Socialstyrelsen(同国の国家保健福祉委員会)によると、2015年では生後4か月までが74%、7か月までは63%の母親が母乳を与えています(ミルクとの混合栄養も含む)。従って、完全ミルクの割合は全体の30%前後と考えられます。

 

スウェーデンにおける主要ミルクメーカーは、「Nestle」や「Semper(スウェーデンの老舗メーカー)」、「HiPP(オーガニック原料のドイツメーカー)」で、この3社が粉ミルク市場を独占。種類は「粉」と「液体」があり、「月齢別」や「アレルギー対応」なども揃っています。

ただし、以前には粉ミルクに植物油脂由来による発がん性物が含有されているとの疑いが浮上。メーカーはすぐに高品質な原料に変えてこの問題を対処しました。そして、国とEUが粉ミルクに関して厳しい基準を設けるようになったそうです。

 

現在は、粉ミルクの品質向上(母乳と大差ない栄養)やライフスタイルの変化から、母乳育児は奨励されつつも減少傾向。母親たちが粉ミルクを積極的に、そして罪悪感なく使用できるようにすべきだと主張する団体もあるほどです。

 

2:ロシア

公的機関や大手メディアのデータは見つかりませんでしたが、Демоскоп Weeklyというメディアによると、ロシアの粉ミルク利用率は47%。共働きも多く、ベビーシッターを雇う文化が日本より進んでいるので、母親たちも早く社会復帰します。

 

ロシアの人工栄養は欧州メーカーの粉ミルクが主流で、Nestleの「NAN(ナン)」とオランダ製の「Nutrilon(ヌトリロン)」が代表的です。液体ミルクは入手可能なものの、現在は2つのメーカーの製品のみ販売されており、大手ベビー用品店かインターネットでしか取り扱われていません。

総じて、ミルクに関しては、まだまだ国内製ミルクの質が他国に追いついておらず、輸入に頼るところが大きいことが問題となっています。

 

ロシアでは冬が長く寒いので、お湯と粉ミルクの使用が一般的。持ち運ぶ間に冷たくなってしまう液体ミルクの需要はほとんどありません。

3:中国

中国産業信息網によると、同国都市部の粉ミルク利用率は8割以上となっています。女性の社会進出率が増えているうえ、産休が短めなので、中国はミルクの利用率が高いのです。

 

中国では2008年に起きた「メラミン混入粉ミルク事件」をきっかけに国産品の信頼が著しく下がり、現在でも依然として海外製品の人気が高くなっています。中国産業信息網によれば、市場シェアはドイツ製の「Aptamil」がトップで12%。その次は「Nutrilon」が6%を占めています。国内系でトップ10に入っているのは「貝因美」と「伊利」の2つ。

18年1月からは粉ミルクに関する規制を設け、登録証の取得がない企業は粉ミルクの生産、販売、輸入が禁止されました。これまで2000以上のブランドが販売されていましたが、この規制によって今年以降は500~600程度にまで減少すると予想されています。

中国では「羊の乳」から作られた粉ミルクが販売されています(写真上)。羊乳は新生児・乳児消化管アレルギーなどの原因とされる、牛乳由来ミルク(まれに母乳)に含まれるタンパク質(カゼインなど)の含有率が1~3%程度と極めて少ないため、アレルギーを起こす可能性が低いと言われており、アレルギー反応を示す赤ちゃんへの代用ミルクとして使用する人もいます。

 

4:アメリカ

ベビー用品メーカーのピジョンによると、アメリカにおける粉ミルクの利用率は47%。それに加えて液体ミルクの利用者もいます。しかし、合理主義のイメージが強いアメリカでも最近は母乳が推奨されつつあり、「母乳育児」の傾向が高まっているのです。

 

米国のミルクの種類は主に次の3つに分けられます。

1)お湯で溶かすタイプの一般的な粉ミルク

2)調乳の必要がない、ふたを開ければすぐに飲める液体ミルク

3)濃縮還元の水溶けミルク

 

粉と液体ミルクの代表的なメーカーは「Similac(シミラック)」と「Enfamil(エンファミル)」。1つのメーカーから「あらゆる種類のミルク」が販売され、「吐き戻ししやすい」、「お腹が弱い」、「ミルクアレルギーがある」など、赤ちゃんの状態や特性に応じてミルクが選べるようになっています。

液体ミルク(写真下)も、便利さと衛生面で支持されていますが、価格がややネック。新生児用の量で1本59mlのものが約1ドル、1歳前後の1本237mlのものが約2ドルとなっており、粉ミルクの倍のコストがかかります。

しかし、液体ミルクは割高な一方で、外出時に利用する方をよく見かけます。アメリカでは生後数週間の赤ちゃんでも親と一緒に外出することが普通に行われるため、開けて飲ませるだけという利便性が人々に気に入られています。

5:ブラジル

ブラジルでは「2歳まで母乳育児」が推奨されています。しかし、母親の産休が6か月しかないため、職場復帰を機に粉ミルクへ変更する場合が多いのが現状。公的機関や大手メディアのデータは見つかりませんでしたが、Lunetasというメディアによれば、ブラジルでは6か月まで完全母乳で育つ赤ちゃんの割合は38.6パーセントなので、粉ミルク利用率は約62%となります。

 

ブラジルも日本のように「液体ミルク」はなく、製造・販売されているのは粉ミルクのみ。Nestleの「NAN」と「NESTGENO(ネストジェーノ)」、Danoneの「Aptamil」と「Milnutri(ミルニュトーリ)」が高い市場シェアを占めており、この2社は「母乳と同じような栄養素を持つミルク」や「ラクトースフリー」、アレルギー用の「乳たんぱくフリー(大豆ベースのもの)」などの各種ミルクを販売しています。

さらに、各社は上記ミルクに加え、6か月くらいから食べられる「シリアル入り」や「フルーツ味の米粉やコンスターチ」ベースの「栄養補助食品」も販売しています(写真上)。しかし、これらは便利な反面、危険な側面も。粉ミルクと共に「与えすぎて」しまうと、赤ちゃんが糖分過多や太り過ぎたりすることがあるのです。

また、ブラジルでは昔から「入眠儀式」として温かいミルクを飲ませる習慣があり、乳児期から就学前、もしくはそれ以降でも「フォローアップミルク」を飲む子どもがいます(写真上)。1歳を過ぎて哺乳びんを卒業していく日本とは違って、4〜5歳になっても就寝前に哺乳びんで粉ミルクを飲むことは珍しくないのです。

 

日本:高まる液体ミルクへの期待

日本における粉ミルク使用率は月齢に比例して高くなります。厚生労働省によると、0か月の完全ミルクは約3.5%ですが、6か月では約40%になり、それに混合栄養(母乳と粉ミルクの両方を与えること)も合わせると、その割合は6割以上(6か月の時点)に増加。母乳育児が推奨されつつも、「完全母乳」で育てる人のほうが少ないということが伺えます。

 

粉ミルク市場でも、国内メーカー大手5社などから多種多様のミルクが販売されています。国産粉ミルクを初めて販売した「和光堂」、乳業メーカーの「森永」や「雪印」、そしてお菓子で有名な「明治」や「グリコ」が市場に参入。アレルギー用のミルクだけでもメーカーごとに種類があり、味や栄養素も違うので、ミルクの「比較サイト」や「好み」などから選んでいくのが賢明です。

そして冒頭でも述べたように、日本でも液体ミルク解禁の動きから、厚生労働省が国内製造へ向けた食品衛生法や製造に関する規格の法整備を行っています。早ければ今夏には省令が改正され、国内製造が可能となる模様。しかし、実際に消費者の手に渡るのは、商品開発や生産ラインの確保など含めると、早くても2年後ではと言われているようです。

 

以前より設備が整ってきたとはいえ、外出先などでの調乳は大変だったりします。液体ミルクなら調乳する手間もなく、常温保存も可能なので、災害備蓄はもちろん、母親の負担を減らす意味でも大いに役に立つでしょう。販売が実現されるまでは、液体ミルクへの期待は高まりそうです。

富士山より高い山に13の天文台! ハワイが天文研究の聖地のわけ

日本の天文研究において、重要な役割を担っているのが、単一鏡として世界一の大きさを誇る、口径8.2メートルの「すばる望遠鏡」。このすばる望遠鏡が設置されているのが、ハワイということはあまり知られていないかもしれません。

 

そんなすばる望遠鏡の観測用焦点「カセグレン焦点」に取り付けられる「メトロロジカメラ」が2018年4月、開発地の台湾からハワイに到着。動作試験が行われたのち、本格的な天文研究に利用されていくのですが、そもそもなぜ日本の天文研究がハワイで行われているのでしょうか?

 

天文研究の条件が揃う理想の場所

© 国立天文台

 

すばる望遠鏡が設置されているのは、ハワイ島マウナケア山の山頂です。マウナケアは標高4205メートルと、ハワイの最高峰。海のイメージが強いハワイですが、山頂には雪が積もるような、富士山よりも高い山がそびえ立っているのです。

 

太平洋の真んなかという場所で、これだけの高い標高があるうえ、晴天率がとても高く、空気が乾燥しており、風位が安定しているそう。そんな天体観測に最適な条件がすべて揃った場所が、このマウナケア山頂なのだとか。さらに人口が少なく豊かな自然があふれるハワイ島では、夜になると周囲は闇に包まれるように真っ暗になります。大都会のような“光汚染”がなく、その点でも天文研究に適しているのです。

 

そのため、マウナケア山頂には、日本のほか、アメリカ、カナダ、イギリスなど世界11か国、13の天文台が集まっており、まさに天文研究の聖地と呼べる場所なんです。このエリアはハワイ大学によって管理され、各国の研究機関に土地が貸し出されています。

 

ちなみに、すばる望遠鏡が設置された場所から、車で約2時間のマウナケアの山麓には、事務室、研究室、さらに観測装置を調整する実験室などがある国立天文台ハワイ観測所の本部も設置されています。

すばる望遠鏡を見学する際に気をつけたいこと

© 国立天文台

 

そんな最先端の天文研究が行われているすばる望遠鏡では、16歳以上の方なら一般見学もできます。ハワイ島の観光旅行では、マウナケアの山頂を訪れて星空や朝陽を眺めるツアーが人気ですが、これと一緒にすばる望遠鏡を見学できるものもあります。さらに、事前に予約をしておけば、個人で見学することも可能。観測所の職員の方がガイドをしながら、展望デッキからなかの様子を約45分かけて案内してくれるそうです。

 

ただし注意しておきたいのは、山頂までのアクセス方法。標高2775メートルの位置に「オニヅカ・ビジター・センター」というインフォメーションセンターがあり、一般車で向かえるのはここまで。それより先は舗装されていない急勾配の道をのぼっていくため、四輪駆動車でないと行くことができません。さらに高山病を予防するために、高地に体を順応させることが大切。すばる望遠鏡のウェブサイトでは、オニヅカ・ビジター・センターで1時間以上休憩をとることがすすめられています。また、周囲の天候や緊急作業などにより、見学が休止になる場合もあります。

© 国立天文台

 

ハワイで行われている、世界の天文研究。マウナケア山頂のすばる望遠鏡まで行くことは、なかなか簡単なことではありませんが、ハワイ旅行のひとつの選択肢として考えてみても面白いかもしれません。

 

アムステルダムで発見! こだわりぬかれた世界の「最新コーヒー事情」

毎年3月、オランダの首都アムステルダムでは「The Amsterdam Coffee Festival」というコーヒー業界のトレンドを発信するイベントが開かれます。バリスタの技を競う催しや、ロースターによる豆の実演販売、最新のコーヒー関連グッズの販売などが行われ、カフェ経営者やコーヒーにうるさい大人たちがヨーロッパ中から集結。オランダ在住の筆者も最新のコーヒー事情を知るために、このイベントを取材してきました。現在いち押しのコーヒー豆から最新ドリンクボトル、カプチーノ用の変わり種ミルク、アルコールとのマリアージュがうれしいエスプレッソを使ったカクテルまで一挙ご紹介します。

The Amsterdam Coffee Festivalはアムステルダム中央駅からバスで10分ほどの広大な公園にあるイベントの聖地 「westergasfabriek(ウェスターガスファブリック)」で開催されます。なぜオランダで開催されるかというと、議論の余地はありますが、この国は近年、世界有数のコーヒー消費大国だからです(2012年にEuromonitorが行った調査では一人当たりのコーヒー消費量が世界1位)。オランダには外出先や職場での一杯はもちろん、自宅での「おうちカフェ」にこだわる人もたくさんいます。ヨーロッパではドリップコーヒーよりも「エスプレッソ」のほうが伝統的に飲まれており、オランダでもNespressoやSenseoなどのエスプレッソマシーンが広く普及しています。

 

また、オランダのなかでも特にコーヒーを大切にしているのがアムステルダム。おいしいカフェを知っていることと、おいしいコーヒーを家で淹れられることは、この町の男性にとって最も重要なスキルの1つです。そのマナーは歴史的に説明することがある程度可能。17~18世紀の大航海時代、東インド会社、西インド会社を有するオランダは、砂糖、カカオ、コーヒーなどを求め世界中を船で巡りオランダ海洋帝国とその名を世界に馳せました。大航海時代から各地のコーヒーを味わい続けたためか、オランダ人は味に妥協しなくなり、お気に入りの一杯で一息つくというのが大人の嗜みとなったのです。そのようなわけで、アムステルダムはコーヒーのレベルが高いんですね。

 

それでは、今年のThe Amsterdam Coffee Festivalで著者が発見したことを6つ紹介させていただきます。

 

1: シングルオリジンはもはや常識に

今回のイベントで目立ったのが、単一産地の豆のみを使用するシングルオリジンのコーヒーのブース。現在のコーヒー業界の主流と言っても過言ではありません。コーヒーの最高峰と呼ばれるエチオピアのイルガチェフをはじめ、産地と生産年度にもこだわったコーヒー豆が試飲販売されていました。

 

2:マイタンブラーの発展

タンブラーにも面白いアイテムがありました。イギリスの「ecoffee cup」(写真上)の素材は、生育が早く、生物分解されるバンブー(竹)を原料としたプラスティック。使い捨て紙コップの消費を減らそうというエコなこのブランドは、コーヒーもおいしく飲めると評判です。

「stojo」(写真上)はシリコン製タンブラーで、飲み終わったらコンパクトにたたんでポケットにしまえるのが特徴。食器洗い機や電子レンジに対応しており、2017年にイギリスの「Excellence in Housewares awards」で入賞しています。

3:ドリップコーヒーが欧州で浸透中

エスプレッソ中心のヨーロッパにも変化の兆し――。今回のイベントには、シンプルかつ緻密なデザインで人気の高い日本の「ZERO JAPAN」も出展。ここやほかのメーカーで数多く展示されていたのは、フラスコのようなデザインが特徴のCHEMEXや、AeroPressのコーヒーメーカーといった質の高いホームドリップ用アイテム。これは、ドリップコーヒーがヨーロッパの家庭にもじわじわと浸透していることを示唆しているのかもしれません。

 

4:欧州で認められた日本の「Hario」

日本のガラスメーカー「Hario」の商品も販売されていました。特にV60シリーズはもはやコーヒー界の定番といった様相。あちこちのブースで使われており、実力の高さを感じました。

 

5:コーヒー好きが本当に楽しめる「TiaMaria」

日本でコーヒーリキュールと言えば「カルーア」が知られていますが、会場ではジャマイカ生まれの「TiaMaria(ティアマリア)」が注目を集めていました。こちらはスッキリしたブルーマウンテンとラムのリキュールで、エスプレッソとのマリアージュはキリッとした味わい。コーヒー好きが本当に楽しめる味です。TiaMariaを使ったカクテルの試飲や販売、カクテルのミキシングコンテストは大勢の人を集めていました。

 

6:カプチーノの新スタイルとして定着中の「ベジタリアンミルク」

イタリアのように、オランダでも朝のカフェでカプチーノをオーダーする男性はよく見かけられますが、カプチーノのミルクもカフェにより様々な種類があります。根強い人気を誇る「QUEENS of DAIRY」の濃厚なミルクは、酪農王国オランダならではのフレッシュさがウリ。その一方、ヘルシー志向に人気なのは、牛乳以外の「ベジタリアンミルク」を使ったカプチーノ(写真上)です。豆乳だけでなく、オーツ麦、ココナッツ、アーモンドなどもすでに一般的になっており、泡がしっかり立ち、コーヒーにも濃厚な風味が加わるため、もはや「新しいカプチーノのスタイル」として存在感を放っています。

以上が今回、筆者の注目を引いた物事でした。コーヒー好きの私もThe Amsterdam coffee festivalにはいつも参加していますが、毎回、新たな発見に遭遇して大興奮。世界のコーヒー業界のトレンドが分かるこの祭典からは、今後も目が離せません。

アメリカで初めて日焼け止めが禁止へ――。陸海空で見るハワイの環境対策

ハワイの州議会で、現在熱く議論されているのが、日焼け止めの販売と流通を禁止するという法案。ハワイ周辺の海にあるサンゴ礁を守るための運動のひとつとして注目されているんです。年間で940万人(2017年実績)も訪れる世界有数のリゾート地ハワイでは、積極的な環境対策を実施しなければ、あの美しい海や山を維持することは難しいのが現実なのかもしれません。

 

「海」から考えるハワイの環境対策

最近、ハワイのニュースで盛んに報道されているのが、ハワイ州議会で討論されている、日焼け止めの禁止法案について。美しいサンゴ礁があり、格好のシュノーケリングスポットとして知られるオアフ島ハナウマ湾で昨年行われた調査で「オキシベンゾン」という化学物質が検出されました。オキシベンゾンは日焼け止めに含まれる物質で、紫外線から肌を守る働きがあるのですが、これがサンゴ礁に有害であると考えられているのです。

 

非営利団体ハエレティクス環境研究所によると、オキシベンゾンのような化学物質は若いサンゴ礁に染みこみ、脱色を促進。するとサンゴ礁のなかに生息する藻類が死んでしまい、サンゴ礁は白化してしまうのだとか。そのため、オキシベンゾンとオクティノクセイトという物質を含む日焼け止めの使用と販売を禁止する法案が提出されたのです。

 

日焼け止めを販売するメーカーなどからは反対意見があるものの、この法案は先日議会を通過。あとはハワイ州知事が署名を行えば、アメリカでこのような日焼け止めを禁止する法案を成立する初めての州となり、法案の施行は2021年1月からとなります。

「陸」ではレジ袋が有料化

また、陸上における環境対策では、ハワイではスーパーのレジ袋の有料化が実施されています。これは2015年から施行されている法案で、スーパーでの全面的な有料化に踏み切ったのは、ハワイがアメリカで初めての州です。

 

ご存知のように、プラスチックのレジ袋は天然資源を枯渇させ、さらに使い終わったレジ袋は自然分解されないため、海や山のゴミとなり動物が誤飲するといった被害が出ています。そこで始まったのが、レジ袋の有料化。店によって異なりますが、レジ袋の値段は1枚あたり$0.1ほど。法案施行前まではスーパーにマイバックを持参するような人はほとんど見かけることがなかったのに、いまではマイバックを持ってくる人やあまった段ボールに商品を入れて持ち帰る人などが多く見られます。日本でも同じようにレジ袋を有料にするスーパーも一部ではありますが、どの店も有料という取り組みは、やはり人々の環境への意識へ大きな変化をもたらしていると感じます。

 

「空」では電気自動車で二酸化炭素を削減

↑ホノルルで販売されている電気自動車

 

最後にご紹介したいのが、大気汚染へのハワイの対策について。日本でも、環境にやさしい電気自動車への注目は高まっていますが、ハワイでもその動きは同じ。特に、アメリカ本土に比べてガソリン価格が高いハワイでは、維持費を安く抑えられる電気自動車の導入が進んでおり、ショッピングセンターの駐車場にはたいてい、充電ステーションが設けられ、充電中の車を頻繁に見かけます。

 

ハワイは2045年までに電力を100%再生可能なエネルギーに変えるという目標を掲げており、電気自動車の導入も積極的に後押ししているんです。

 

ハワイは小さな島であらゆる資源が限られています。そのため、「環境対策をすすんで行わなければいけない」という意識が特に高いのかもしれません。

 

毎月約1万5000円お得! ハワイから考える「リースで高級車に乗る」という選択肢

最近はカーシェアリングの利用が少しずつ増えてきていますが、日本で自家用車を持つ場合、「クルマを購入する」ということがまだ一般的でしょう。でも、筆者が住むハワイで広く利用されているのは、「リース」という選択肢。高級車もリースにすれば、購入する場合に比べて安い価格で利用できるのです。一体リースはどれくらいお得なのでしょうか? 本稿ではハワイにおけるリースのメリットとデメリットをご説明します。

 

購入派とリース派は半々

ハワイでクルマを所有しようと思い、クルマのディーラーに出向くと、「購入かリースか、どっちを考えている?」と聞かれます。日本のようにリース専門業者に出向く必要はなく、クルマを購入する場合もリースの場合も、車の各ディーラーを通して行えるのです。ハワイなら、トヨタ、日産、ホンダといった日本車のほか、BMW、ベンツといった海外ブランドのディーラーがありますが、そのほとんどでリースが可能。

 

筆者も最初は「クルマは購入するもの」という方法しかないものと思っていたので、リースという選択肢がそれほど一般的だなんて思いもしませんでした。ディーラーによって差はあるかと思いますが、筆者が話したディーラーの担当者によると、購入派とリース派は半々程度なんだとか。

 

では、リースのメリットとデメリットは何なのでしょうか?

 

リースのメリット

リースを選ぶ最大のメリットは、同じ頭金と同じ期間でローンを組んだ場合に比べて、リースのほうが月々の支払金額が安くなることにあります。ハワイでは一般的なリース期間は3年間。年間の予定走行距離などに応じて、毎月の支払金額がいくらになるかディーラーが算出してくれるのですが、同じ頭金でローンを組んで購入し3年ですべてを返済していく場合に比べて、毎月のリース代金のほうが安いのです。

 

筆者があるディーラーで見積もりをとったときのことを例に出すと、購入なら毎月のローン返済額が553ドルになるのに対し、まったく同じクルマを同じ頭金でリースした場合、毎月のリース料金は408ドルになると言われました。その差は約145ドル(約1万5000円)。そのため、購入を考えるのなら予算をオーバーしてしまう高級車でも、リースなら乗れる可能性が高くなるのです。

 

また、リースは頭金が比較的少なくてもOKという場合が多く、それもメリットのひとつ。例えば駐在員のように、現地の滞在期間が限られている方や、ひとつのクルマを長く乗り続けるよりもたくさんの種類のクルマに乗りたいという方にとってはリースのほうが最適なのです。

リースのデメリット

リースのデメリットは、リース期間の途中で解約ができないこと。仮に、3年のリース期間より早くクルマを戻すことになったとしたら、残りの期間の支払を求められるなどペナルティが発生します。また、リースする場合は、年間の走行距離を最初に設定しますが、リース期間終了後にその設定距離を超えてしまうと、同様にペナルティが発生する仕組みです。

ハワイもアメリカ本土と同じように完全なクルマ社会で、クルマは日常生活になくてはならないものです。クルマにこだわり、少しでもいいものに乗りたいと思う人にとって、リースという選択肢はとても価値があるものなのかもしれません。

食べ終わった惣菜も返金OK!? ロシアで珍しく真っ当なスーパー「フクースウィル」が急拡大中

モスクワで近年急速に知名度をあげているスーパー「フクースウィル」。いまロシアでは日本同様、食品の安全や質に注目が集まっています。いままでのロシアでは高品質な製品は値段も高く、高所得者層のみのものという認識が一般的。しかし、このスーパーはすべての商品を自社ブランド商品にすることで価格を抑え、購入者層も広げました。さらに、ロシア初のサービスの提供で注目度は上昇中。9年間で566店舗にまで急成長したフクースウィルの躍進の秘密に迫ります。

 

クリーンな品質にこだわる

2009年、「メガポリスに新鮮で安全な食材を」というポリシーで始まったフクースウィル。公式ホームページの最上部には「品質を見極められるあなただけに。そして、ロシアでクリーンなビジネスが可能だと信じていただける方のためだけに」とあります。クリーンなビジネスとは何なのか? そこにはロシア市場の闇が隠れています。

 

日本ではあまり考えられないかもしれませんが、ロシアでは商品の内容物をカサ増ししたり、中身を変えたりと、販売側が顧客を裏切るような事件が起こっています。ソ連崩壊後、海外との交流が活発になり国民は食や製品の安全、品質の向上を求めてきました。そんななかで、フクースウィルはクリーンなビジネスを追求することで信頼を積み上げていき、2018年で566店舗にまで拡大。日本でのコンビニエンスストアを見かけるかのような頻度で店舗を目にするようになりました。

最初は乳製品のみ取り扱いしていたものが、いまでは加工品や冷凍品、スパイス、化粧品、日用品も販売。それらすべてが自社製品であり、それによってコスト削減もさることながら製品の品質安定にもつながっているようです。

フクースウィルの客層は、ほかのスーパーと少し異なります。通常のスーパーでは主婦のような女性客が主なのに対し、フクースウィルでは筆者が見る限りスーツを着たビジネスマンやビジネスウーマンが多い模様。著者も仕事をしていたときに、ここでよく買い物していましたが、それというのも、いくら仕事が忙しいからといっても、ご飯くらいはしっかり健康に良いものを食べたいと思っていたから。しかし、普通のスーパーでは惣菜に何が入っているのか、この国では誰も分からないのです。

しかし、フクースウィルは違います。例えば、サンドイッチはパンの原材料だけでなく、パンに使われているバターの詳細も記載されているのです。もちろん顧客側は毎回読むわけではありませんが、それによって安心感と信頼が向上。惣菜も味が良いうえ、こだわりの食材を使ってバランスも取れているので、健康を気遣う忙しいビジネスマンにも大人気です。

また、このスーパーではロシア初の試みを行っています。それはレシートなしでの返金。すべて自社製品なので、レシートがなくとも店側が商品を調べて返金してくれるのです。惣菜は全部食べた後でも、野菜などは調理した後でも、このスーパーは「お客様が気に入らなければ全額返金」してくれるのです。多分そのメリットは、商品改善に欠かせないプライスレスなお客様の声が受け取れるということ。商品改善のヒントになるなら、商品分のお金は返金することさえ厭わないということではないかと思います。

 

さらに、子どもや子育て世帯への配慮もこのスーパーの特徴。レジには「ベビーカーを押すお母さんは列の最前線へどうぞ!」という看板があり、私もベビーカーを引いていったときは幾度となく列の前へ通してもらいました。また、子ども用の甘さ控えめなお菓子や、モスクワでは珍しいアレルギー対応のお菓子の取り扱いもあり、子どもたちの食の安全に敏感なモスクワの親御さんたちが足しげく通っています。

 

海外志向の中流層にも大人気

フクースウィルは、いままでモスクワで見られなかった海外ルーツの商品を取り扱っておりいます。例えば、韓国海苔のような味付け海苔やおにぎり、抹茶アイスが購入できる一方、あまりロシアで馴染みがないものは、海外ルーツ商品としてポップで説明をつけており、説明を読むことも可能。近年増えつつある海外志向の中流層や流行に敏感なモスクワっ子たちの間でこのアプローチは大好評です。

 

顧客目線のサービスを提供することで大成功を収めたフクースウィル。顧客に最大限寄り添うその手法は、日本でも再認識すべきビジネスの原点を思い起こさせてくれるように思えてなりません。

 

ひよこ豆の偉大なパワー! アメリカで大人気の中東料理「Hummus」の魅力

ヘルシー志向が高まるアメリカでは、ダイエット目的でスナック代わりに野菜スティックを食べる人が増えています。でも野菜だけポリポリかじるのは味気ないので、セロリにピーナッツバターをつけて食べるのが一般的ですが、カロリーを抑えたい人には抵抗感があります。そこで、そんな人たちの間でいま人気を集めているのが「Hummus(フムス)」。

 

日本でも話題になりつつあるHummusは、ひよこ豆のペーストで野菜にディップして食べるもの。進化を続けるこの食べ物は味とバラエティが豊富で、いまやスイーツにまでなっており、アンチエイジングにも効果があると言われています。どのような食べ物なのでしょうか?

 

Hummusとは?

Hummusというのはイスラエルやトルコ、エジプトなどの中東地域発祥で、前述の通り、豆からできたペースト状の料理のこと。ひよこ豆を煮て柔らかくしたものに、「タヒニ」というごまペーストやニンニク、オリーブオイル、レモン汁、スパイスなどを混ぜ合わせディップでいただきます。独特の酸味がありますが、一度食べると止まらなくなる味。ピタチップスと呼ばれるぶ厚目のチップスをディップして食べるのが本場の食べ方のようですが、野菜スティックで食べたり、サンドイッチを作る際のマヨネーズがわりに使ったりすると、よりヘルシーです。

 

豊富な味のバリエーション

Hummusには、いろいろな味が販売されています。基本の味に加えてガーリックやサルサ、ほうれん草味がある一方、アーティチョークやレッドペッパー(唐辛子)、オリーブにランチドレッシング、キャロットなど、ペースト状のものや具材がトッピングされているものもあります。

さらに、枝豆やブラックビーンズ、キドニービーンズなど、ひよこ豆以外の豆を使ったHummusもあります。そのなかで最近、特に話題になっているのが「スイーツHummus」。ブラウニー味、バニラ味、チョコミント味、スニッカードードル(シナモン)など甘いHummusが楽しめるのです。

 

Hummusに合う豊富な野菜スティック

ヘルシースナックとしての需要が高い野菜スティックは、スーパーでもたくさん売られています。すでにスティック状にカットされて売られているので、面倒な準備もいらず、ランチのお供に便利。セロリ、ニンジン、ミニトマトなどが人気ですが、アメリカらしいと感じるのは「下ゆでしていない生のブロッコリーとカリフラワー」。慣れるまではブロッコリーの「もさもさ感」が気になりましたが、カリフラワーは生で食べるほうが断然美味しいことが分かりました。生で刻んでサラダに入れればナッツのような食感に驚くはず。

美味しくて、ヘルシーで、栄養よし

Hummusの魅力はとにかく美味しくてヘルシーで、栄養価が高いこと。Hummusはヒヨコ豆からできているため、植物性で低カロリーでありながら栄養価が非常に高く、タンパク質や食物繊維、ビタミン、ミネラルがバランスよく含まれています。また、タヒニ(ゴマペースト)もビタミンEが豊富。さらに、この料理は良質な油である飽和脂肪酸を多く含んでおり、少量でも腹持ちが良いので、健康志向の高い人やダイエット、グルテンフリー食をしている人の間では大人気。もちろんベジタリアンやヴィーガンの間でも広まっています。

 

著者はもともとダイエット目的でHummusを食べ始めましたが、いまでは子どものおやつとしても買い置きしています。味のバリエーションも気分によって選べるので、飽きることなく続けることが可能。アメリカにお越しの際は、ハンバーガーの代わりにHummusを食べてみてはいかがでしょうか?

【12年連続顧客満足度全米No.1】「Publix」というスーパーマーケットを知っているか?

大量購入、大量消費のイメージが強いアメリカですが、この国の人々は買い物に対して意外にシビア。だからこそスゴイのが、フロリダ発のスーパーマーケット「Publix Super Market」です。このお店は全米顧客満足度指数(ACSI)で12年連続全米1位。Publixはなぜ多くのアメリカ人に選ばれているのか? その理由をご紹介します。

 

Publixとは?

Publixとは、1930年代にフロリダ州で創業されたスーパーマーケットチェーン。現在では、アラバマ州、フロリダ州、ジョージア州、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州、テネシー州の6州、アメリカ南部へ1172店舗展開しています(2018年4月1日現在)。Publixのスローガンは「Publix: Where Shopping Is a Pleasure(買い物が楽しい場所) 」。このスローガンのもと、Publixでは買い物をより楽に、より速く、そしてより快適にできるよう様々なサービスを提供し、全米No.1のASCIを12年連続で獲得しています。2016年こそTreture Jo’sに1位を明け渡してしまいましたが、17年の最新調査では再び1位に返り咲いています。

 

選ばれる理由①:快適さの追求

いつも行くスーパーと違うところに行ったとき、欲しい商品の場所がわからず、余計な時間を取られることってありますよね。しかし、Publixでは、ほぼすべての店舗がまったく同じレイアウトになっているので、たとえ違う店舗に行ったとしても、迷うことなく買い物することが可能。

 

また、多くの方はスーパーで最初に野菜コーナーに行くと思いますが、私たちは野菜の鮮度や値段で、そのスーパーの良し悪しを判断することもありますよね。Publixは、競合スーパーでは取り扱いが少ない「オーガニック野菜や食品」が新鮮で、豊富な種類を取り揃えていることが特徴。価格も良心的です。さらに、そのほかのプライベートブランド商品も質が高く、安心して買い物ができます。

 

選ばれる理由②:作りたてが最高においしいデリとサブ

Publixはデリとサブが有名です。デリでは、「チキンテンダー」と呼ばれるアメリカ南部名物のフライドチキンが大人気。少量ずつ揚げて、常にでき立てを提供しているのですが、最初は私も「たかだかスーパーマーケットのデリだろう」というぐらいにしか思っていませんでした。しかし実際にいただいてみると、チキンはジューシーで、衣もスパイスが絶妙に効いていてビックリ。一度食べてやみ付きになりました。

サブは、店内のベーカリーで焼かれたパンを使ってサンドイッチを作ってくれるコーナー。パンの種類、具材、ソースを選んでオーダーし、こちらもできたてで提供されます。ベーカリーでは、パン以外にもクッキーやパイ、マフィン、デコレーションケーキなどがあり、ここを素通りするのは至難の技かもしれません。

選ばれる理由③:BOGO

「BOGO」とは「Buy One, Get One(1つ買ったら、1つ無料)」の略で、つまり半額セールということ。Publixでは毎週「BOGOセール」の商品が変わります。食品や日用品などスーパーのありとあらゆるものが対象。安さが売りのWalmartよりも、質の良いものが安く手に入るBOGOセールはとても「お得」です。ネットやアプリで何がBOGOになっているかが見ることができるので、お目当ての「BOGOセール」のために買い物に行くと言っても過言ではありません。

 

選ばれる理由④:顧客サービス

商品の質もさることながら、Publixはサービスの質も高く評価されています。子どもには無料でクッキーをくれたり(おかげで子どもが静かになるので集中して買い物できます)、買い物したものをクルマまで運び、積むのを手伝ってくれたりと、子育てママやお年寄りに優しいサービスもいろいろあります。そのうえ、フレンドリーな接客で対応してくれるわけですから、リピーターが増えるのは当然かもしれません。

 

競合スーパーでは見られない、きめ細やかなサービスを徹底的に提供するPublix。お客様目線でおもてなしをすることが顧客満足度を高め、リピーター客の増加につながっているように思います。アメリカ南部で買い物をする機会があれば、ぜひPublixにも足を運んでみてください。

 

ハイテク起業家精神を酒で味わう! シリコンバレーで愛される日本酒「セコイヤ酒」とは?

空前のラーメンブームが続くアメリカ。ここサンフランシスコでもラーメンはシリコンバレーの食文化として一大ジャンルを確立しているといっても過言ではありません。以前、著者がTwitterやUber、AirBnBなどで働く友人たちに誘われて行った夕食会の場所もラーメン・ダイニングの人気店でした。しかし、このような席で必ず話題になるのはラーメンではなく、「SAKE(酒)」なのです。

 

地産地消へのこだわり

↑ティスティングできる生酒3種(左からNAMA、GENSHU、NIGORI)

 

酒は酒でも、サンフランシスコの人々に特に愛されているのが「セコイヤ酒(Sequoia Sake)」。これは初のサンフランシスコ産の日本酒なのです。この町では地産地消がクールで、本銘柄もうたうのも「Made Local, Drink Local」。従って、人気を集めるのも極めて自然な流れだといえます。

 

日本酒は主原料となる米と水選びが極めて重要です。地産地消を大切にするセコイヤ酒が使う米は、カリフォルニアの州都であるサクラメント産のカルローズ。その「食用米」はカリフォルニア州で生産量が最も多く、広く出回っているのですが、実は昔「酒米種」のDNAと間違ってかけあわされてしまったという歴史があります。しかし、この偶然が功を奏し、酒米種の味が改良。カルローズは「酒米」としても使えるようになりました。

 

とはいえ、創業当初は米農家や業者との交渉が非常に大変だったそう。「無名酒造のうえに注文ロット数が少なく、さらにお米の味やレベルもバラバラで、いい日本酒の特徴である『安定した味』を作り続けることが非常に困難だった」とセコイヤ酒を夫婦で作るジェイクさんとノリコさんは言います。

水はヨセミテ国立公園の麓からサンフランシスコへ流れてきているものをフィルタリングして使用。この水をカルローズに加え、セコイヤ酒はサンフランシスコ市内で丁寧に醸造されます。

夫婦二人三脚で道を開く

この酒造は夫婦経営です。ジェイクさんはシリコンバレーのテクノロジー企業に勤務。さぞかし投資家などを巻き込んだ大掛かりなビジネス展開計画をしていたのかと思いきや、奥様のノリコさんとの二人三脚で事業を立ち上げ、あえて家族経営を選んだそうです。その理由について尋ねると、「外野から口出しされずに、自分たちの理想とする日本酒づくりを徹底的かつ自由に追求したかったから」とジェイクさんは言います。

 

2年間の試行錯誤を経てついに販売となったとき、アメリカではちょうどラーメンブームがさらに勢いを増していたところでした。そこで積極的に人気ラーメン店や和食レストランに商品を置いてもらうように営業を展開。次第に口コミでアメリカ人のファンが増えていったそうです。

 

「日本ではラーメンにはビールが多いですが、こちらのアメリカ人やサンフランシスコに訪れる観光客が、話題のラーメン屋をくぐるときは『やっぱりSAKEだね』というモードになるのです。日本酒の販売量が減少気味の日本に比べ、世界では和食やラーメンブームの背景を受けて日本酒はアツいんです!」とノリコさんは語気強く語ってくれました。

 

地ビールやバーボン樽とのコラボでイノベーションを起こす!

信念を曲げずに日本酒を作り続けていくことで、アメリカの生酒ファンの心を掴み、ついにはサンフランシスコ界隈やシリコンバレーを代表する日本酒にまで成長していったセコイヤ酒。その成功によって、カリフォルニアの契約農家からお米を安定供給してもらえるようになり、長年課題だった「味のばらつき」も解消されました。

 

その一方、ご夫婦は面白いことにチャレンジし続けています。新鋭の地ビール・クラフトビール醸造所のベアボトルビールとコラボして、酒ビールの「HALF SAMURAI」の開発に協力。つい最近では、アメリカならではの「バーボンウィスキー樽で熟成した酒(Bourbon Barrel-aged sake)」も売り出し始めました。

 

ほしいものがなければ自分で作る。小さく始めつつも夢は大きく。こだわりは貫く。そして、近隣のコミュニティや異業種との交流を通じてイノベーションを生み出す――。セコイヤ酒を作るご夫婦が持つこのようなスピリットからは、アメリカのハイテク起業家が連想されます。セコイヤ酒も「シリコンバレー流のモノづくり」の1つなのかもしれません。

グローバルで広がる「自転車シェアリング」。ハワイとの相性は抜群!

「日本人が行きたい海外旅行先」の上位にいつもランクインしているハワイ。ニューヨークやロンドン、シンガポールなど、世界各国の有名観光地と同じように、ハワイにも自転車シェアリングのトレンドが訪れ、2017年6月より、ワイキキを中心にオアフ島ホノルルで自転車シェアリングサービスがスタート。利用者数も順調に増え、ハワイ観光の新しいスタイルとして定着しつつあります。

 

世界の観光地で進む自転車シェアリング

いま世界中の多くの観光地で導入されているのが、自転車シェアリングのサービスです。街中に設けられた“貸し出しスポット”で、自分が使いたいときに自転車を借り、使い終わったら戻すという仕組みで、“貸し出しスポット”ならばどこでも貸し出しと返却が可能な点が魅力です。

 

ニューヨークでは「シティバンク」がスポンサーとなった自転車シェアリングサービスが導入され、サンフランシスコでは配車サービスの「Uber」が自転車シェアリングの実験を開始。他にも、ロンドンやシンガポールなど世界各地で自転車シェアリングが行われ、観光客の足となっているんです。

 

ワイキキなどで観光客の利用が増加

ハワイで始まった自転車シェアリングサービスは「Biki(ビキ)」と呼ばれ、オアフ島ホノルルで2017年6月から開始となりました。ワイキキなどホノルルの市街地を中心に、貸し出しスポットは100か所。約1000台の自転車が用意され、30分間$3.50(30分超過ごとに$3.50加算)で利用することができます。

 

ハワイを旅行で訪れる多くの人が滞在するワイキキでは、貸し出しスポットが数多く設置されていて、ビキに乗っている観光客の姿をよく見かけます。

 

観光旅行中、街中に点在する観光スポットを順にまわっていくと、かなりの距離を歩き回ることになってとても疲れた、ということも少なくないでしょう。そんなときに効率的に観光地をめぐることができるのが、自転車シェアリング。特にハワイのようにビーチなど美しい景色を望める場所は、気軽にサイクリングを楽しめると人気が高いようです。

また、ハワイの自転車シェアリング開始目的には、交通渋滞緩和という側面もあります。日本にはあまり知られていないことですが、ハワイは交通渋滞がとてもひどい街。朝夕のラッシュアワーのほか、ガソリン価格や車のメンテナンス費用などをもとにした「運転するのに最悪な州」ランキングで、ハワイはアメリカ50州の中でワースト1位に選ばれたこともあるほど。そのため、交通渋滞緩和への期待もあり、始まった自転車シェアリングです。今では1日約2000人が利用し、そのうち約65%の利用者が地元住民だそうです。現在貸し出しスポットの増加が計画されており、車社会が当たり前だったハワイで、自転車を使うという選択肢が浸透してきています。

 

観光客にとっても、タクシーやレンタカーといった交通手段の他に、自転車シェアリングという選択肢が一つ増えたので便利です。ハワイを訪れた際は、気軽に自転車シェアリングを利用してみてはいかがでしょうか?

GW中のエンゼルスチケットが4ドル! アメリカ在住者が教える「チケットアプリ」がコチラ!

日本では、チケット購入・入場の確認強化や転売サイトのサービス停止など、チケット販売は厳しく管理・規制されています。その一方、アメリカでは「手に入らないチケットはない」と言われるほど様々な販売・転売サービスが存在。そこで、今回は簡単にイベントを検索できて、しかもチケットを安く購入できるアプリサービス「Gametime」をご紹介します。オンライン完結なのでチケットの受け取りも簡単。これまでアメリカでスポーツの試合やエンターテインメントを見ることを諦めていた方は必見です。

 

「Gametime」とは?

英語が分からなくても、簡単にチケットを検索・購入できるモバイル特化のチケットアプリ「Gametime」。アメリカへの旅行・出張が決まれば、まずこのアプリをダウンロードしましょう(アメリカのアプリストアからダウンロードがでない方は同社のウェブサイトで利用可能)。

アプリを開き、全米60都市のなかから滞在先のエリアを選択すると、スポーツ、音楽、舞台の3つに分類された、各都市で開催されるイベントがズラリと並びます。目ぼしいイベントをタップし「滞在中の日付」と「人数」を選択すると、購入できる座席の一覧が表示されます。

GameTimeのウリは表示の見やすさとバリエーションです。スタジアムの座席表から購入可能な座席が俯瞰的に見られることに加え、座席から見た光景がVRの様に表示され、スポーツ競技やコンサートのステージの臨場感を確認することができます。

アメリカのチケット事情は日本と異なり、二次流通やお客さん同士の売買も一般的に行われるため、驚くような価格でスポーツやエンタメを堪能できるときがあります。例えば、NBAのクリッパーズの試合は3ドル(手数料込みで8ドル/取り扱いない場合もあり)で買えたり、テレビ中継に映りそうな前から数列目の座席でも70~80ドルで購入できたりします。

また、大谷選手が入団したアナハイムに拠点を置くロサンゼルス・エンゼルスの試合は、日本のゴールデンウィーク期間中の試合も1枚4ドル(ただし2席セット販売のため8ドルで、手数料は別途10ドル)から観戦できたり、ロサンゼルス・エンゼルスのベンチに近い3塁側の席も73ドルから購入したりすることができます(2018年4月24日現在)。

 

そもそも米国ではチケットに定価という概念が存在しないため、このようなことが可能なのですが、チケットがいつも安くなるとは限りません。この逆も起こります。アメフトのスーパーボウルや各スポーツのオールスターゲームなどのチケットは高騰することが必至。数十万円の値段で取引されることもあります。

 

このように、チケット価格はものによって変動しますが、チケットの受け取りはいつでも簡単です。このアプリで取引されるほとんどのチケットは購入完了後、メールで電子チケットが送られてくる仕組み。つまり、会場でスマホの画面を見せるだけで入場できるため、郵送や会場などでの複雑なやり取りもなく、短期滞在や英語が苦手な方も安心して利用できるのです。

 

アメリカでの行き先が決まったら、このGametimeで情報を確認して、チケットと予定を確保することをオススメします。または先にイベントとチケットの情報を確認して、そこから旅のスケジュールを決定されてもよいかもしれませんね。いずれにしても、Gametimeはアメリカ旅行の必需品。このアプリであなたの旅をもっと楽しくしてみませんか?

 

辛くなければ美味しくない! ご飯が止まらなくなるインドネシアの激辛「ふりかけ」

インドネシアの人々は「甘辛い」ものが大好き。甘さの中にぴりりと辛さの走る味付けにめっぽう弱いのです。例えば、スナック菓子に「Pedas Manis」という味があります。Pedasは辛い、Manisは甘いという意味で、つまり「甘辛味」。

 

この「甘辛い」味付けがインドネシア料理に頻繁に登場し、甘い醤油やココナツミルクといった調味料にスパイスやとうがらしの辛みが追加されるのです。この辛みが強いものほど、インドネシア人は「美味しい!」と喜びます。「辛みがなければ、美味しさは感じない」というのは、インドネシア人の本音でもあるのです。

 

「一振りでぶっ飛ぶ美味しさ」の激辛ふりかけ

そんな辛いもの大好きなインドネシアの男女が一味足りないと感じた時に、自分で刺激を追加できるアイテムがあります。それが「Bon Cabe」(ボンチャベ)という調味フレーク。いわゆる日本のふりかけのようなものです。このふりかけには、オリジナル味、エビ味、小魚味の3つの味があります。

 

オリジナル味とは、インドネシアの食事には欠かせないサンバル(とうがらしのソース)味のこと。そのオリジナル味をベースにひと味加えたものが、エビ味、小魚味になります。それぞれに辛さのレベルが数字で表示されていて、エビ味は「レベル2」、小魚味は「レベル3」、そしてオリジナル味は辛さが3段階あり、「レベル10、15、30」とだんだん辛みが増します。

 

気になる辛さ具合ですが、「レベル2」のエビ味を甘党でも辛党でもない日本人男性に試食してもらったところ、一瞬エビ味はするものの、後から強い辛さが追いかけてきて口に残る感じだそうです。しかし、これをご飯にふりかけてみると、なかなかイケる。辛いけど、止められず、ご飯茶碗はあっと言う間に空っぽ。ということで、辛党の人ならば「新感覚の激辛ふりかけ」としてレベル2や3くらいはいけそうです。

 

しかし、オリジナル味となるとそうはいきません。Bon Cabeのパッケージに描かれた人を見ると、レベル10では顔に汗をかき、耳や頭から湯気を出していますが、15ではより激しくなり、30では火を噴きそうなすごい形相です。これを見ただけで、日本人なら買うことをためらうどころか、断念してしまうかもしれません。

人々に愛され続けてきた「サンバル」をふりかけに

実はインドネシアには、日本のような「ふりかけ」という概念はありません。しかし料理に調味料を追加し、より美味しくするという文化はあります。インドネシアには、ケチャップに似た辛いとうがらしソースの「サンバル」があり、人々は食べ物にこのサンバルを追加し、自分好みに仕上げて食べるのです。

 

サンバルはとうがらしやトマト、にんにくを使って作るシンプルなソースで、インドネシアの家庭では昔から手作りされてきました。各家庭や食堂などによって微妙に味が異なり、お袋の味的な要素もあるようです。

 

ただ、現在では既製品も受け入れられ、スーパーのソース売り場にはサンバルが大量に売られています。ナシゴレンといったインドネシア料理だけでなく、フライドチキンやポテト、サンドイッチにも必ずサンバルがついてくるほどインドネシア人には欠かせないソースなのです。

 

近年、インドネシアにもさまざまな加工食品が出回り、手軽に辛いものを手に入れることができるようになりました。この国にはインド同様に香辛料を生産する国として世界中を魅了してきた歴史もあり、暑い国で唐辛子や香辛料を利用する先人の知恵が生み出したサンバルなどの伝統的な料理は現在でも食卓に欠かせません。

 

その一方、Bon Cabeは人々に愛されてきたサンバルをふりかけのように粒状にすることで、いつものナシ(ご飯)やミー(麺)にふりかけるだけでなく、オムレツに混ぜたりチップスにまぶしたり、さらにホームメイドのサンバルに加えるなど、新しい食べ方を提案しています。

↑ナシゴレンと2種類のサンバル

 

また、サンバルは液状ですが、プラスチックケースに入った粒状のふりかけは、バックなどにも常備できて、いつでもどこでも手軽に辛さを追加できるのです。このふりかけで美味しさの刺激を求める人はますます増えそう。普段は穏やかなインドネシア男女ですが、食生活はかなりホットです。

アメリカの「クラフトビール」が超ホット! 現地のビール好きがオススメする銘柄5選

アメリカでは最近、クラフトビールの人気が急上昇していて、味も非常においしいものが多いです。現在この国には4000社を超えるクラフトビールの醸造所があり、小規模メーカーだからこそできる、こだわりのビールやユニークなビールが作られています。

日本におけるクラフトビールの売り上げは、ビール全体の売り上げで約5%と言われていますが、アメリカでは、なんと20%もクラフトビールが占めるほど人気。これはビールを醸造する技術の向上により、小さな醸造所でも効率よくビールを作れるようになったこと、「バー併設」の醸造所ででき立てのビールが気軽に楽しめるようになったこと、さらにはSNSで「美味しいクラフトビール」が多く拡散されたことがその理由とされています。いまや個性あふれるれるクラフトビールがたくさん味わえるようになりましたが、今回はパッケージもかわいらしくて、お土産にもオススメなクラフトビールを5本ご紹介します。

 

[No.1] BIG EASY IPA

こちらはレモンピールの香りが爽やかなビール。シトラスとパイン(松ぼっくり)のアロマが入っているせいか、飲んでいるとキャンプをしているような気分になります。アルコール度数は4.5%で飲みやすさは抜群。パッケージもかわいいので、女性へのお土産にオススメです。

 

[No.2] Golden Monkey

インパクトを求めている方に紹介したいのがこちら。ボトルにはフルーツフレーバーと書かれてあり、ここからは「爽やかさ」が連想されますが、実際には甘みやコク、苦味、すべてがかなり強めなビールです。アルコール度数もなんと9.5%。「見ざる(猿)・言わざる・聞かざる」のパッケージも個性的で、お酒に強くパンチが欲しい方にオススメのビールです。

 

[No.3] Dogfish head 60 minute IPA

シトラスのアロマが香るビールで、ほんのり紅茶のような味もします。「60 minute」というのは、ホップを60分沸騰状態にし、ホップの「コク」を最大限に引き出しているということだそう。アルコール度数は6%で炭酸も強めなので、仕事終わりやお風呂上がりにスカーっと飲む一杯としてオススメ。パッケージのサメとホップが印象的な、おしゃれなボトルです。

[No.4] Goose Island Fulton St. Blend Coffee Ale

コーヒーアロマが入ったビールですが、「コーヒー」というより「スモーキーな香り」がすると言ったほうがいいかもしれせん。コーヒーとビールの組み合わせによって苦味が強めなので、普通のビールでは物足りないと感じる方にはいいかもしれません。「ちょっと甘めのBBQリブ」と飲めばバランスは最高。アルコール度数は5.5%ですが、飲み応えがあります。

 

[No.5] 「not your father’s root beer」

「RootBeer」とはアルコールの入っていない炭酸ドリンクで、バニラと薬のようなツンとした香りが特徴です。このビールはRootBeerにアルコールを加えたもので、普通のビールより強い刺激を求める方にオススメ。アルコール度数は5.5%で、歯医者さんの匂いというか、湿布の匂いというか、とにかくクセが強いので、好き嫌いがはっきり別れる味だと思いますが、好きな人にはたまらないでしょう。日本ではまず味わえないビールです。

アメリカのビールは小さなビンで売られているので、サイズ感やかわいいパッケージがお土産にぴったりです。ただしアメリカでお酒を買うときは、必ず身分証明書で21歳以上であることを証明しなければいけません。たとえ90歳のおじいさんであっても確認されるので、ビールを買うときには必ず年齢確認できるものを持って行ってくださいね。

 

味もパッケージも個性あふれるクラフトビールは、中小企業だからできる小回りの良さが感じられます。アメリカでは「ビール好きの人」のことをビールの「ホップ」と麻薬中毒者を意味する「Hophead」をかけて「ホップヘッド(Hophead)」と呼びます(友人同士の冗談で使うセリフなので、発言はくれぐれも慎重に)。ホップの虜になってしまう人の言葉があるほど、クセになるアメリカのクラフトビール。アメリカへ旅行に訪れた際は、ぜひお気に入りを見つけてみたらいかがでしょうか。

 

 

フランスの若者がこぞって飲む大人気のお酒! 「キューバニスト・モヒート」とは?

いまも昔もフランスの若者が飲み会の席で飲むのは、実は意外にもワインよりビール。なかでもビアカクテルは根強い人気を誇ります。そのフランスのビアカクテル市場で長らく王者として君臨していたのが、テキーラ入りビアカクテル「デスペラード」。 しかし最近になって、この絶対的な王者との世代交代が始まったと噂されているのが、2017年春に登場した「キューバニスト・モヒート」です。キューバニスト・モヒートとは何なのか、なぜ人気となったのか−−。その秘密に迫ります。

 

インパクトが大きいパッケージ

↑「キューバニスト・モヒート」33cl×3本入り 4.59ユーロ

 

パーティーの席でコーラやペリエは盛り上がりません。そして、フランス人にとって普通のビールを飲むより、ずっとおしゃれで特別感を持つのがビアカクテルなのです。

 

そのビアカクテル市場で長らく独走状態だったテキーラ入りの「デスペラード」(蘭ハイネケン社)とウォッカの入った「スコール」(仏クローネンブルグ社)が、つい最近までよく飲まれているビアカクテルの2大ブランドでした。ここにベルギー資本のビール醸造会社「AB InBev社」が手掛ける「キューバニスト」ブランドが参戦したのが約5年前。キューバニスト・モヒートの発売をきっかけに、ブランド全体が王者デスペラードに迫る勢いで着実にシェアを伸ばしてきたのです。キューバニスト・モヒートを手掛けるAB InBev社によると、2016年にはフランスでの売り上げが47%上昇。

 

キューバニスト・モヒートの特徴の1つはアルコール度数。せっかくのパーティーに強いお酒で酔いつぶれてしまってはもったいない。そんなときにピッタリなのがこの「キューバニスト・モヒート」です。アルコール度数は5.9%。通常のモヒートが20%前後なので、その3分の1以下に抑えられています。だから、このお酒は手軽に、ほどよく酔いたいときにちょうどよいアルコール飲料なのですね。また、他のビアカクテル同様、瓶の中に直接ライムを入れて飲むと、よりカクテル気分も味わえます。

そして、なんと言っても「キューバニスト・モヒート」のインパクトあるパッケージが目を引きます。フランスでは近年ラテンアメリカ文化のブームが続いており、このラベルは南米伝統の祭り「死者の日」を彷彿とさせるもの。「mnBevフランス」のディレクターによれば、パッケージや瓶に描かれている「骸骨マスク」は、キューバの伝統的な祭りにインスパイアされたものだそうです。キューバニストのコンセプトに「祭り」という概念を取り入れたく、南米の祭りを象徴する「骸骨」をモチーフにしたとのこと。

AB InBev社は、フランスのビール好きに人気な「レフ(Leffe)」や、日本でも定評ある「ヒューガルデン(Hoegaarden)」を携える企業。ビールの香りを楽しみ、味わうのが好きなフランス人の嗜好や購買動向を知り尽くしている会社でもあります。

モヒート人気に着目し、パーティー好きな若者をターゲットにしたことが功を奏する

キューバニスト・モヒートが、ビアカクテル市場でシェアを伸ばすことができたのはなぜでしょうか? まず、米調査会社ニールセン社によると、同ブランドが設立された2013年時点において「モヒート」はフランス人がバーで注文するカクテルの1位でした。もともとモヒートの人気は高かったのですね。

でも、それだけでは不十分なので、キューバニスト・モヒートはフランスやイギリスの若い人々をターゲットにしたプロモーションを展開。これが功を奏したのです。キューバニストのプロモーションの場は、主にパーティー会場です。学生主催の大規模な「ソワレ」のオフィシャルスポンサーや、毎回テーマや場所など趣向を凝らし、DJを呼んで盛り上げる「ハウス・オブ・マスク」パーティーの主催なども手掛けています。パリでは若者に人気の米テレビドラマ「ストレンジャー・シングス」を模した内装による、シークレット・パーティーへインフルエンサーを招待するなど、若い世代へのブランド浸透に力を入れてきたことが、今日の結果に繋がったと見てよいでしょう。キューバニスト・モヒートは満を持しての登場だったのです。

コスパ最強! デザインも洗練されたオランダ発「HEMA」のマスト買い文房具

価格が手ごろで美と実用性を兼ね備えたオランダ発祥の「HEMA(ヘマ)」。フランス国内で次々と店舗を増やし人気を集める総合雑貨店です。プチプラながらも洗練された遊び心が感じられる「HEMA」の文房具から、今回デザイン性の優れた選りすぐりの2点をピックアップしてご紹介します。

 

マスト買い文房具のなかでも群を抜いて目を引く2点を徹底解剖!

シリコン製テープカッター黒/サイズ7.3 x 4.3 x 13 cm/5ユーロ(約665円)

オフィスの必需品テープカッターは、意外と体積が大きくデスク上でも目立つ存在。けれども、デザインともに満足のいく製品を探すのは、そう簡単なことではありません。しかし本製品は、シリコン製でおしゃれなうえに、どこかニュートラルで主張をし過ぎないスマートさを併せ持つ、ありそうでなかったデザインのテープカッター。そこにあるのが当たり前のような佇まいを醸し出せることもできるから不思議です。

 

これだけ優れたデザインでありながら、5ユーロというコスパを有しているのも嬉しい所。そこにはやはり「デ・ステイル(※)」を生んだオランダならではの、磨かれたデザイン感覚がベースにあるのかもしれません。

 

※「デ・ステイル」は幾何学模様の絵画で知られるモンドリアンが中心メンバーとなった芸術運動で、水平・垂直線や直角を使った表現様式を追求したもの(写真下)。

見た目のセンスだけではなく、実用性もしっかり兼ね備えているところがこのテープカッターをおススメする理由です。テープを取りかえる際に本体を外さなくてはいけないかと思いきや、真ん中のリングが力をかけなくても、そのままポンッと外れる仕様になっているので非常に簡単。テープが入っているときにリングごと取れてしまうということもなくストレスフリーで使えます。

シリコン製ステープラー黒/サイズ5.8 x 3 x 15.3 cm/5ユーロ(約665円)

次に紹介するのは、同じシリーズのステープラー。長さ15.3cmとやや大きめですが、上記のテープカッターと同じくシリコン製で、特別な重さを感じることはありません。さらには抜群の安定感を持ち、机の上に置いたまま片手で押して楽々と紙を綴じることもできます。

こちらのステープラーも上のテープカッター同様、水平線と直角の普遍性を活かしたフォルムで、客観性の強い飽きのこないデザインに仕上がっています。これこそ「デ・ステイル」でモンドリアンが目指した「装飾性を省いて単純性を追及」した究極の形であるのかもしれません。

もちろん実用性も忘れていません。テープカッターにも、そしてこちらのステープラーにも、底にスポンジ状の滑り止めが付いているのが見てお分かりいただけるでしょうか? この滑り止めのお陰でどちらも安定感が良く、机の上に置いたまま片手で作業することが可能です。

 

今回ご紹介した製品はいずれも黒色ですが、グレーや薄いピンク色もあり「黒は視覚的にちょっと重い」という方にはこちらの色をおススメします。

 

直線を活かしたプロダクトデザインと画期的な値段設定

今回取り上げた「HEMA」のテープカッターとステープラーは、同社製品のなかでも特に「デ・ステイル」の影響を感じる要素が色濃くなっています。「デ・ステイル」の様式を受け継ぐかのような直線や直角を活かしたプロダクトデザイン、また、さりげないユーモア性を感じるテイストが、フランスのそれらとは異なり人々の関心をより引き付けるのでしょう。さらに、文房具全般の価格が高いフランスにおいて、とりわけ値段設定が低いことも大きなポイントであると言えそうです。

 

【独占インタビュー】世界の有名人が訪ねるマレーシアのカリスマ占い師 「マスター・チン」

占いといえば台湾や香港、韓国などが有名です。これらの国や地域では占ってもらうのに数か月待ちは当たり前という話も耳にしますが、マレーシアの占い事情はご存知でしょうか? 実は首都クアラルンプールにも「よく当たる」と言われているカリスマ占い師がいるのです。

 

それがマスター・チンさんです。彼の占いの精度は? なぜ彼は占い師になったのか? そして、なぜ彼の占いは当たるのか? 様々な謎や疑問を解くため、実際に会いに行ってきました。

クアラルンプールでショッピングするなら「セントラルマーケット」です。このなかは市場のようになっていて、街なかより値段が安いだけでなく、店の数も多いので、見ているだけでも楽しい場所なのですが、ここは買い物だけではありません。名物占い師、そう「マスター・チン」がいることでも知られています。

実はマスター・チンの元へは、セレブや各界の有名人などが国内外から訪れてきています。例えば、ジョン・セカダ(アメリカのグラミー賞受賞シンガー)やヌア・ファズラ・シャリフディンさん(マレーシアの女優)、日本からは過去に女優の水野美紀さんも。その評判から、彼の占いは数か月待ちのときもあります。「過去・現在・未来」を読むと言われているマスター・チンとはどんな人なのか、私もずっと気になっていました。そこで、今回は特別にインタビューをお願いし、取材をさせていただきました。

――占い師になられたのはいつからですか?

マスター・チン(以下、チン):今から33年前かな。今86歳だから50代の時だね。実は占い師になる以前は普通にビジネスマンをしていたんだよ。

 

――占い師になったきっかけは?

チン:もともとは趣味で易学が好きだった。独学したり占いのコースを受講してみたりしているうちに、この世界に入っていったよ。

 

――どうしてセントラルマーケットで占い師として開業しようと思ったのでしょうか?

チン:周囲にいる人たちに「連れてこられた」というのが正しいかな。「あんたの占いはよく当たるから、占いを生業にすべきだよ」と言われてね。

 

――人の運命を変えたり、アドバイスをしたりする占い師についてどう考えていらっしゃいますか?

チン:実は、私の占いというのは生年月日が非常に重要で、生まれた時から運命は決まっているということを軸に人生を考えていく方法なんだ。

――運命はすでに生まれた時から決まっていると言われてしまうと、軽い絶望感があるのですが……

チン:そう。運命は決まっているから変えることはできないけど、物事は見方を変えるとまったく違う結果になることがある。それを読む(reading)のがワシの占いなんだ。だからこそ、世の中でプロフェッショナルと言われている人もワシのところに話を聞きに来るじゃないかなと思っている。

 

――最も得意な占いは何ですか?

チン:手相かな。手相は易学の基本のもので、その人の手相を見るとわかることも多いね。

 

――ご自身にとって占いとはなんですか?

チン:ライフワークかな。生まれ変わっても、また占いをやっていたいと思うよ。

マスター・チンは「手相」「指相」「顔相」、それに加えて「タロット」と「生年月日と名前の英語(ローマ字)」のコンビネーションで占いをします。

 

筆者は過去に占ってもらったことがあります。詳細は控えますが、そのときは当たっている部分と当たっていない部分があるという感想を抱きました。そこで今回は筆者の旦那を連れて行き、運勢を見てもらいました。

 

驚いたことに、ミスター・チンは旦那の肉親に関する過去の話をいきなり当ててきました。事前情報もまったく伝えていなかったので、かなりビックリしました。しかも、断定したような口調だったので、伝える方としてもかなり自信があったのだと推測します。

 

さらに「胃腸があまり強くない」といったことを指摘されましたが、確かに旦那はどちらかというとお腹を下しやすいタイプです。

 

彼の一言があなたの人生を変えるかも

現在や将来については漠然とした内容でした。現在に関しては当たっているとも当たってないともいえない感じで微妙でした。

 

その後は、特に占ってもらいたいことに「金運」と言ったために、お金の話ばかりになりました。「数ヶ月後に大金が入るかも」と言われた瞬間には、話を聞いている筆者も思わず反応してしまいました。どうなるかは分かりませんが、少し期待してしまうのが本音。結局、占いは20分ほどで終わりました。

 

セントラルマーケットに来たら、お土産探しやウインドーショッピングついでにマスター・チンに占ってもらってはいかがでしょうか? 人生を変える運命の一言に出会えるかもしれません。易料はRM100(約2763円)で、英語と中国語でお話しできます。

 

【激安】ドイツ版ドンキ「リドル」で買って満足できるおすすめ食品6選

ヨーロッパ諸国27か国で1万店舗を展開し、アメリカ東海岸にも上陸した庶民の強い味方「リドル」。ドイツ版のドンキとも言えるこのディスカウントスーパーは、とにかく何でも安いです。あまりに安いため「品質は本当に大丈夫?」という方にも自信を持っておすすめしたい、買って後悔しない商品を検証します。今回は食品編です。

 

コスパのオリジナルブランドに加え新鮮野菜に焼きたてパンも!

 

1: リドルオリジナルブランド「Belbake」 パン粉/400g/0.59ユーロ(約78円)

仔牛のシュニッツェル(カツレツ)やフィッシュ&チップスなど、ヨーロッパの揚げもの料理に欠かせないパン粉。日本のパン粉のように生のパンではなく、乾燥させたパンをおろしたもので、粒子がサラサラしているのが特徴です。

 

リドルオリジナルのBelbakeマークのパン粉は、割安感があるだけでなく(他社製品は1kg平均3.75ユーロのところ同製品は1kg1.50ユーロ)、その粒子の細かさもピカイチ。衣のカリカリ度合いがより高い揚げものに仕上がります。自家製ナゲットの衣付けにはもちろん、ハンバーグのつなぎにすると風味が増すので常備しておくと重宝します。

 

2: 鴨胸肉/350g/4.18ユーロ (約556円)

牛、鶏、豚と並んで、鴨肉もフランスでよく食べられる食材の1つ。ただ他の精肉に比べ、割り引きで売られる機会は少ないので、庶民にとってはやや「ご馳走感」の強い食材でもあります。

 

でもリドルなら同じ350gの鴨胸肉が通常7~8ユーロはするところが、わずか4.18ユーロとかなりお得。この価格で品質的にも遜色ない国産の鴨が食べられるのですから、他店で購入する理由が見当たりません。

 

3: 季節の野菜や果物、じゃがいも・玉ねぎなどの常備野菜

リドルは野菜も手ごろで、しかも新鮮。季節の野菜や果物類を毎朝仕入れているため、品揃えは日によって替わり、欲しい野菜や果物が必ずあるとは限りません。しかし、裏返せば店に並ぶのは新鮮なものや旬のものということ。もちろん、ドイツ料理に欠かせないじゃがいもや玉ねぎなどの常備野菜も低価格です。例えば、2.5kg入りのじゃがいもや玉ねぎ1kgは、他店より少なくとも1~2ユーロ安い。消費量の多い家庭にとってこの差は大きな節約につながります。

 

また、リドルはストックを置かずにコストを削減して、食品廃棄も防ぐという企業方針を持っていて、エコロジー先進国のドイツらしさを感じます。

4: オリジナルブランド「Golden Sun」乾燥クスクス/1kg/0.85ユーロ(約113円)

北アフリカの代表料理クスクスは、この地域の出身者だけでなく、フランス人の間でもポピュラーな食べ物です。本格的なクスクスの準備は非常に手間がかかりますが、このインスタントのクスクスは同分量のお湯に5分程度浸しておくだけ。肉料理のつけ合わせにピッタリです。こちらはなんと他店の3分の1程度で買うことができます。

 

5: オリジナルブランドの生ニョッキ/300g/0.89ユーロ(約118円)

続いて付け合せやパスタ代わりにあると重宝する生ニョッキ。こちらはフライパンで焼いて火を通すタイプで、外はカリッとして、中はモチッとした2つの食感が楽しめるので、子どもたちにも人気の高い食材です。同様に、同タイプの他社商品と比較して約半額の値段になります。

 

6: 焼きたてクロワッサンなどペーストリー/0.29~0.35ユーロ(約39~47円)

クロワッサンなどのペーストリー(惣菜パンや菓子パン)を個別に売るスーパーはないのですが(最小でも2個から)、リドルでは10種類近いペーストリーを1個ずつ自分で袋詰めすることが可能。普通のパン屋では1個から購入はできるものの、平均して3倍近くしてしまいます。

 

リドル店舗では隣接する工房でパンを作っており、さらに頻繁に補充されるので、焼きたてを買える確率も高く、これを目当てに訪れる人も多く見かけます。

 

とにかく安く、他のスーパーより3割お得!

リドルでの買い物の合計金額を他のスーパーでの支出と比べると3割得をしていることが分かりました。このスーパーは特に消費量が多いものや、常備品などの購入にはもってこい。さらに特筆すべきは、夕方になるとその日に売り切りたい野菜が「半額」になることです。これはフランスの他スーパーでは見られないことで、この時間帯にはご年配のマダムが連れ立って入店する姿も見られます。こういう光景が見られるのは、どこの国も一緒なのかもしれません。

 

 

シリコンバレー御用達! アメリカの医療に革命を起こしている「One Medical」

「インフルエンザかな?」と寒気がしても、10日先まで予約が取れないってどういうこと――?

 

「体調不良は自力で薬局行って直せ」と言われたらどうしますか? アメリカ生活で一番恐れていたのがこの医療事情。高熱でフラフラしているときに自ら対処法を考え、薬剤師さんと優雅に相談し、陳列棚にずらりと並ぶ同じ効用の薬からとっさに判断し最適な薬を見つける……なんてことはできません。

 

「医療もビジネス」の自由診療の国、アメリカ。医者単位に患者がつくシステムで、風邪をこじらせても簡単には医療サービスにはたどりつけません。予約は必須ですが、下手すると10日間先まで予約が取れないことも。近所にあるクリニックに飛び込みで診療してもらえるような自由度は極めて低いのです。そのお医者さんが旅行中だったりすれば待たされるのが普通。急患で電話しても「命に別状があれば911で救急車を呼んで。そうでなければ5日先ね」となるのも珍しくありません。

 

しかし最近、この不便なアメリカの医療サービスを改善するべく、デジタル医療のオンデマンドサービスが登場。「One Medical(ワンメディカル)」といい、医療コンシェルジュサービスとカテゴリされて、全米でトレンドになっています。年間利用料(2018年2月現在、149ドル)を支払うと、One Medicalのクリニックになら、どこでも行けるというものです。

 

山手線内ほど広いサンフランシスコ市内でもクリニックが30か所ありますが、One Medicalを使うとユーザー目線で空いている時間を選んで、オンデマンド診療が受けられます。訪問予約診療はもちろん、オンラインビデオ診療や、軽度のアレルギー症状対処ならメールでの診療サービスも受けられます。ちなみにシリコンバレー全域(サンノゼやクパチーノなど)にも多数あり、テクノロジー企業の従業員御用達ブランドとして定着しています。

おしゃれで合理的なオンデマンドサービス

One Medicalの最大の特徴は、クリニックがおしゃれなこと。デザイナー家具でモダンに彩られていてホテルのロビーのようです。「医療コンシェルジュ」と謳っているだけあって、アポの時間になると医者がわざわざ出迎えて「今日はどうしましたか?」と握手を求めてくるのです。

 

合理的な予約システムも人気の理由でしょう。病院検索はスマホのアプリを使って簡単にでき、今いる場所、クリニック単位、医者指定、どこでも誰でもいいから空いているところなど色々選べます。アレルギー関連や皮膚荒れなど、軽度のものであればビデオ診療も便利。訪問診療も30分単位できっちり区切られていて、必ずその時間で終わるのも嬉しい限りです。

 

また、夜中や休日もアプリのメール機能などを使い24時間対応してくれます。筆者も元日深夜にアレルギー症状をこじらせて、気管支炎になってしまい焦ってしまいました。しかし、このオンデマンド・メールサービスにより最適な薬の処方箋が2時間ほどで手に入り、翌日の夜にはすっかり心身ともに回復した経験があります。日本ではとうの昔から当たり前のことですが、アメリカで「風邪をこじらせても安心」な医療環境ができたというのは非常に画期的なことなのです。

登録店舗数は世界で8000店以上! ジムの「つまみ食い」ができる「ClassPass」とは?

一般的な月謝制スポーツジムに入会しても、なかなか行く時間がない。入会してもすぐに飽きてしまう。あるいはピラティスやホットヨガもちろん、格闘技系エクササイズや米国で大人気のスピニングもかじっておきたい――。そんな悩みや希望を持つ自分に合わせてジムが選べたらと思っている方はいませんか?

 

1つのスポーツジムやヨガスタジオに固定せず、好きなフィットネス・エクササイズを幅広く楽しみたいという思いは、著者が住むアメリカのニューヨークやサンフランシスコの人々の間でも見られます。特に「運動している自分が大好き」なアメリカ都市部の若者は、スタバより多いかもしれないヨガ教室やフィットネススタジオを自分の都合に合わせて使いこなしたいというニーズを強く持っています。そこにうまくヒットしたのが、ニューヨーク発のオンラインサービス「ClassPass(クラスパス)」です。

メンバーになれば、提携しているヨガスタジオやスポーツジム、フィットネスにボクシング、そして格闘技などのレッスンをどこでも使えるサービスです。アメリカの各都市のほか、イギリス、カナダ、オーストラリアでも展開中で、利用可能な店舗は世界で8000店舗以上あるとのこと。

 

月額15ドル、45ドル、60ドル、115ドルのメンバータイプがあり、それぞれ利用できる回数や、同じスタジオ利用の制限回数が決まっています。例えば、45ドルタイプは1か月間で異なるスタジオのレッスンが3つ受けられる仕組み。厳密には、回数ではなくポイント制(英語ではCreditと呼んでいます)になっていて、1クラス通常8ポイントが必要のところ、時間や人気度に応じて必要ポイントが少なくなっていたりします。

サービス開始当初はニューヨークのフィットネスが月額99ドルで無制限に利用可能というモデルだったようで、それで全米で一気に有名になったそうです。その後は無制限利用はできなくなり、利用限度も制限されて、費用的には一般的なレベルに戻っています。その流れを受けてか、初期の立ち上げ時の触込みに比べ、現在は「同じスタジオに通う回数が制限される」「使わないポイントの翌月繰越しはできない」「退会する際の引き止めが激しい」などの否定的な意見も見られます。ちなみに筆者も退会を心に決めたものの、あの手この手の引き止め策にまんまとはまってしまい、月15ドルで1回利用コースの最低ラインをずっと続けています。

 

とはいえ、スタジオ側にもかなりのメリットが見てとれます。まずはマーケティング的な意味合いです。星の数ほどあるスタジオから選択してもらうためには、実際に使ってもらうのが一番。単独にマーケティングするのは大変ですが、このクラスパスのプラットフォームに参加することで、新しいお客さん獲得の可能性が広がります。

 

次に、イールドマネジメント的なものです。ホテルや飛行機の販売と同じ考えですが、空き枠をいかに埋めて収益を最大化するかという点で、空いている時間や直前のレッスンをクラスパスで解放することで1人でも多くのお客様を呼び込むことができます。

 

好きなクラスだけつまみ食い

ニューヨークやサンフランシスコでは、ジムやスタジオは目的別に細分化されていることが多い「あれもこれもやりたい」という場合には不便です。ワークアウト方法も多種多様で、エクササイズの流行もすぐに変わるので、ジムを選ぶのも一苦労。その点、クラスパスは選択肢が多く、自分の気分で選べるので魅力的です。3月19日時点で著者が登録しているサンフランシスコ・ベイエリア(サンノゼなど含む)の選択可能なスタジオ数は499件ある一方、本社があるニューヨークではシティーエリア(ブルックリンなどを除く地域)だけでおよそ1000件もあります。ヨガにしても、インストラクターの個性やスタイルがとても重要視されるので、好きなクラスだけつまみ食いできるのは極めて都合が良いのです。

また、都市をまたがっての利用も可能なので、出張中や旅行中にも気軽に使えることも人気の理由の1つ。シリコンバレーも広いのですが、サンフランシスコ市内に住みながらサンノゼのオフィスに通う人も少なくありません。その場合、自宅周辺やオフィス近くのジムを利用できるという自由度はとても心強いですね。

 

 

庭のなかの小さな家――ロマンすら感じる住宅がハワイの住宅事情を救ってくれるかもしれない

ハワイでは年々不動産価格が高騰しており、新しいコンドミニアムが建設されている一方で、地元の一般市民が購入できるような価格帯の住宅が不足傾向にあります。そんなハワイの住宅問題を解決する改善策のひとつとして進められているのが、一軒家の庭先などにミニサイズの家を建て賃貸住宅として人に貸し出すことができる取り組みです。

 

高騰するハワイの不動産価格

オアフ島のホノルル中心部のカカアコと呼ばれるエリアでは大規模再開発が進んでおり、40階建て近くの高層新築コンドミニアムが次々と建設されています。しかしそれらの住宅は、どれも超高級で、最低でも1億円近くの値がつくものばかり。

 

不動産投資を行う人たちの間で、「ハワイの不動産は価格が落ちない」なんて言われているのは、実際にその通り。ホノルルの不動産中間価格を年ごとに見てみると、リーマンショック後の2009年ごろには一旦下がったものの、2010年からは急激なペースで上昇し続けているんです。この傾向は売買だけに限らず、賃貸においても同じ。ホノルルにおける賃貸料も少しずつ上がってきているのです。

 

さらに、ハワイへ移住してくる人が増えていることも背景にあります。2010年以降から、増加する人口に対して供給できる不動産数が十分ではなく、住宅不足の問題がますます加速してきているのです。

そんな住居不足を解消する対策のひとつとして期待されているのが、ホノルル市が近年始めた「ADU(Accessory Dwellling Unit」という制度。これは、簡単に言うと、一軒家の庭先のスペースを利用して、小規模の住宅を建てたり増築したりして、賃貸用として貸し出しても良いというシステムです。

自宅の敷地面積が3500平方フィート(約325平方メートル)以上で、400平方フィート(約37平方メートル)までのADUが、敷地が5000平方フィート(約465平方メートル)以上なら800平方フィート(約74平方メートル)までのADUが建設可能。1ベッドルームから2ベッドルーム(日本の1LDK~2LDK)程度の大きさの住宅を建てることができます。

ADUを建てる側にとっては、自宅で賃貸経営をすることが可能となり、副収入が見込めることになります。また借りる側にとっては、住居の選択肢が増えていくとプラスの影響が期待されています。

ADUを簡単に建築する方法として、建物の中身がすでにできあがっている箱型の“ADUキット”を購入して、自宅の庭に運び、建設するというやり方があります。ADUハンドブックに記載されている建設費用(人件費は除く)は、最も低いもので$5万5500。およそ600万円以下で賃貸住宅を建てることができるそうです。

ちなみに、現在のハワイの平均的な賃料は、ワイキキの場合1ベッドルーム(日本の1LDKに相当)で$1500~1700(約16万円~18万円)、2ベッドルームは$2,000(約21万円)ほど。ADUの賃料は各オーナーが設定することになり、エリアによって異なりますが、おそらく一般的な賃料相場にあわせて設定されるものと思われます。

 

小さな島でできたハワイは、日本と同じように土地が限られているため、住宅問題は切っても切り離せないことなのでしょう。日本でも不動産投資を行う人はいますが、同じようにハワイでも、自宅のあまったスペースを活用して、賃貸収入を得ようと考える人が今度多くなっていくのかもしれません。

肉じゃない肉? ハンバーガー大国で話題沸騰中の「IMPOSSIBLE BURGER」を食べてみた

アメリカの代表食といえばハンバーガーですが、いまこのハンバーガー大国に新しい波が押し寄せています。その名も「IMPOSSIBLE BURGER(インポッシブルバーガー)」。ヘルシー志向の人が多いカリフォルニアで静かなブームが到来しています。一体何が「IMPOSSIBLE(有り得ない)」なのか? 私たち日本人の舌に合うのか? そのアンビリーバブルな実体に迫ります。

 

インポッシブルバーガーって何?

インポッシブルバーガーは、牛や豚といった動物性のお肉を一切使わず、ヘルシーで環境に優しい100%植物由来の人工肉バーガーです。このバーガーを作ったのは「Impossible Foods」というシリコンバレーのベンチャー企業で、環境保護を目的として開発しました。この会社はビルゲイツが100億円超出資するほど注目されている企業で、CEOであるスタンフォード大学教授のパットブラウン氏は「すべての存在する肉を植物肉に変え、地球環境保護を実現しよう」というビジョンを掲げて全米で広く展開しています。著者が住むサンフランシスコ周辺のハンバーガー店ではそのほとんどで食べることが可能。

 

気になる具体的な原料は、小麦たんぱく質、じゃがいもたんぱく質、大豆たんぱく質、そして脂身にはココナッツオイルが使われています。最も重要なのは「ヘム」と呼ばれるマメ科の根っこにある血液に似ている鉄成分で、これが肉の風味や食感を生み出しています。すべて植物成分のため、通常のお肉を使ったパテよりもコレストロールが少なく健康に良いことが最近のヘルシー志向のアメリカで支持されています。

 

また、環境に優しい食材であることもポイントです。牛肉を使うと、飼育する過程で大量の水や肥料が必要になりますが、植物肉の場合、20分の1の土地、4分の1の水、そして温室効果ガスも8分の1で済みます。

 

インポッシブルバーガーを食べた人からは「見た目や味が通常のバーガーと変わらない」という声をよく聞きます。これが本当に美味しく、値段も普通のバーガーと変わらないのであれば、1度は食べてみたくなりますよね。

というわけで、今回訪れたのはサンフランシスコ・シリコンバレーエリアにある、私が一番好きな地元のハンバーガー店「Jack’s Prime Burgers and Shakes」。正面玄関には「The Impossible Burger Try it Now!」の看板。筆者はインポッシブルバーガーと通常のバーガーを食べ比べてみました。

 

店内の至る所に宣伝ポスターやポップがあり、今とても話題になっているのが分かります。このお店だけでなく、近所にある他の店でも目玉商品のような位置付けで販売されていました。

 

注文方法は、「ハンバーガーのパテをインポッシブルバーガーにしてください」と頼むだけ。値段は通常のハンバーガーより3ドル程高くなり、サイドのポテトも付いて15ドルです。

お肉の見た目はほぼ変わらず、何も知らずに出されたら植物肉だとは気付かなさそうです。しかし、よく見てみると、植物肉の方はなんとなくパサパサしてそうなのが見た目から分かります。切ってみると違いはより明らか。写真左の植物肉の方はミディアムレアで注文したにも関わらず、赤い部分がなく肉汁も出てきません。一方、写真右のお肉の方は、肉汁もあり赤い部分も見えて食欲がそそられます。

まず、植物肉から一口食べてみました。決して不味くはないけれど美味しくもありません。例えるならツナか豆腐ハンバーグで、やはり少しパサつきます。一方、通常のお肉は食べると肉汁がジュワーっと出てきて、お肉の香りや味がしっかり付いています。やっぱり、美味しいのは普通のお肉のほう。他店でも試してみましたが、やはり同じ感想です。

 

また注文したい?

ハンバーガー好きの著者にとってはNOです。ハンバーガーの醍醐味であるジュワッとした肉汁が口のなかで広がる感覚が私は大好き。その点、インポッシブルバーガーがいくらヘルシーであっても私は通常のお肉を選ぶでしょう。今回訪問したお店にどれくらいインポッシブルバーガーが売れているかと聞いたところ、ハンバーガーを注文するお客さんの15%程度とのこと。アメリカで流行する理由として考えられるのは、ビーガンやベジタリアンの方に宗教的な理由で受け入れられているのではないかと思います。

 

ヘルシー志向で、インパクトの強いものが好きな日本人にも最初はウケるかもしれませんが、人気が継続するかどうかは今後の味の開発次第でしょう。残念ながら私の舌には合いませんでしたが、これが好きな方も多いので、アメリカを訪れる際はぜひ一度試してみてはいかがでしょうか?

記念日を忘れて奥さんに怒られた男性必見! オランダの誕生日カレンダーが役に立ちそう

誕生日などの記念日を忘れて彼女や奥さんと険悪になった経験を持つ男性の方は多いはず。どうすれば忘れないでしょうか? 解決策はオランダにあります。この国では誕生日を書き込むためだけのバースデーカレンダー「verjaardagskalender(フェルイヤーダッハカレンダー)」が一般的に使われているのです。では、このカレンダーはどのように活用するのでしょうか? オランダの誕生日の祝い方も併せてリアルな日常から紐解きます。

 

トイレのインテリアにも! オランダの誕生日カレンダー

オランダの家庭に必ずある「verjaardagskalender」は曜日の表記がなく、カレンダーのメモ欄に家族や友人の誕生日や記念日などを記入します。何年も使用できるこのカレンダーは、目に付きやすいトイレの壁に貼られていることが一般的。朝トイレに座りながら「今月誕生日の友人へのプレゼントを考える」というのがオランダの日常風景です。チューリップや風車といったオランダの定番景色や、ミッフィーやゴッホなどのオランダアートを使った誕生日カレンダーは、旅行者のお土産としても人気があります。雑貨店や文房具店、本屋、お土産物店などで購入可能。

 

アムステルダムのゴッホ美術館では、フィンセント・ファン・ゴッホの誕生日カレンダーが販売されています。「自画像」、「ひまわり」といった著名な作品が毎月楽しめるデザインで、彼の作品が好きな人にはたまりません。さらに「フェルメール」やだまし絵の「エッシャー」などの誕生日カレンダーも各美術館併設のミュージアムショップで人気です。

さらに、オランダにある「viera Maison(リビエラメゾン)」というインテリアブランドの誕生日カレンダーも好評。白を基調としたシンプルで高級感のあるフレンチカントリースタイルが、インテリアにうるさいオランダ人の間で人気を集めています。主張し過ぎず、合わせやすいデザインがその主な理由です。

また、世界に1つだけの誕生日カレンダーを作るサービスもあり、特にファミリーに人気です。オランダの人気雑貨店「HEMA(ヘマ)」のサービスはとても簡単で、店頭の端末でお好みの写真をセレクトするだけ。思い出の風景や写真を組み合わせた作品を制作してみるのも良いかもしれません。

誕生日は盛大に! 主役主導の誕生日パーティー

オランダの誕生日の祝い方は日本と大きく異なります。誕生日を迎える本人が自ら誕生日だと公言するのが礼儀で、会社でも同僚などに配るケーキを大量に持参しなくてはなりません。会社にもよりますが、誕生日にはデスクが飾り付けされていることもあり、盛大に祝うのがオランダのスタイルです。

 

誕生日パーティーは当人が主催します。友人や家族を招き、食事やお酒、ケーキなどでもてなします。パーティーに呼ばれた際は2000円程度のプレゼントを持参するのがマナー。プレゼントは欲しいものをリクエストされることもあり、あげるものに悩んだら遠慮なく本人に聞いても失礼に当たりません。現金やギフトカードも頻繁にプレゼントとして使われており、何をあげるか悩む手間をなくし、誕生日を迎える当人も好きなものを購入できるので合理的です。

自分からアピールし、周囲の人に日々の感謝を伝えるオランダの誕生日。とは言え、カップルの場合、プレゼントの用意やレストランの予約など、事前にやっておかなければいけないことはたくさんあります。誕生日や記念日を忘れて喧嘩になったことのある方は、誕生日カレンダーを導入してみてはいかがでしょうか? トイレのたびにリマインドされるので、失敗が減ること間違いなしですよ!

【海外進出する日本食チェーン店】ニューヨークで成功した秘訣は?

ニューヨーカーが日本食と聞いて、最初に思い浮かべるのは寿司――。そう思った方は情報のアップデートが必要です。寿司が日本食の代表だったのはもう10年以上前の話。今日では他の日本食も人気です。例えばラーメン。昔からマンハッタンにあったオリジナルのラーメン店に加え、いまでは日本からラーメンチェーン店が多数進出しており、一風堂イーストビレッジ店が2008年にオープンしてから10年経つ今でも、ニューヨークのラーメンブームはいまだに衰えを見せません。

 

それに加えて、ここ数年、日本のチェーンレストランが立て続けにオープンしています。「和定食の大戸屋」「うどんのつるとんたん」、そして新しい所では「いきなりステーキ」もオープン。もはや日本食のイメージが覆ったように見えます。このブームの背景や成功の秘訣には何があるのでしょうか?

 

ラーメン一風堂

2008年のオープン当初から常に行列のできる店。「Shiromaru Hakata Classic」が15ドル(+税とチップ)と、日本の一風堂と比べると値段は張りますが「2時間待ちでやっと入れた」という人も多く、ピークの時間帯には行列を覚悟していく必要があります。日本人店員と日本語を話さない店員はどちらも大きな声で「いらっしゃいませ!」「ありがとうございました!」と迎えてくれ、つたない日本語で「3名様ご案内します!」と声を張り上げるアメリカ人店員の姿は微笑ましくもあります。口コミサイトでは「今まで食べたラーメンのなかで一番美味しい」と絶賛する声も多く、人気の絶えないラーメン店です。

 

ラーメン一蘭

写真提供:ラーメン一蘭

 

マンハッタン内を歩けば必ず見かけるというくらい、ニューヨーカーの間で定着したラーメン一蘭。ラーメン店飽和状態のニューヨークでブルックリンにオープンし、当初はどうなるかと思われましたが、日本店と同様の「味集中カウンター(Flavor Concentration Booths)」と呼ばれる仕切られた個人用ブースで1人になって味に集中して食べるというユニークなアプローチが話題を呼びました。味集中カウンターは日本よりやや広めに設けており、様々な体型の人が快適に過ごせるよう工夫されています。

 

また、食べ物のオーダーをカスタマイズするのが好きなアメリカ人にとって、麺の固さやトッピングを細かく指定できるところが好評な様子。ブルックリン店は店舗横に工場を併設しており、まさに「できたてラーメン」を味わえる、こだわりのラーメン店です。

 

大戸屋

日本では手軽でカジュアルな雰囲気の定食屋ですが、ニューヨークの大戸屋はハイエンドな店内。「しまほっけ定食25ドル(チップ込)」とお値段も張ります。日本食を恋しがる日本人客に加え、「寿司とラーメン以外の日本食だって知っているのだ」という食通のアメリカ人も多く来店しています。

 

つるとんたん

Danny Meyerの老舗レストラン「Union Square Cafe」が、家賃の高騰で別のロケーションに移り、「次は何が入るのか?」と話題にのぼっていたところ、オープンした店が日本のうどんチェーン店だったということで注目を集めました。店内で打った手打ち麺はコシがあり大変美味。「顔がすっぽりと入ってしまいそうな大きな器」は、インスタ映えする食べ物を撮ることに熱心な若者にも人気があります。

いきなりステーキ

写真提供:Ikinari Steak 5th Avenue

 

バーでは何時間もカウンター前に立ったままお酒を飲むのに、「立ち食い」には馴染みがないアメリカで、いきなりステーキは「椅子のないレストラン」ということで話題になりました。2017年2月にニューヨーク最初の店舗をオープンし、1年で既に5店舗に拡大しています。ただ、「ステーキの立ち食い」はあまりアメリカ人に好まれなかったようで、各店舗にそれぞれ立ち食い用テーブルの他に椅子の席も用意されています。

 

味だけではない「付加価値」――独自コンセプトと日本特有のサービス

ニューヨークで働く著者が見る限り、日本食チェーンブームの要因の1つとして、近年のラーメンブームで「日本食は寿司だけではない」という認識がアメリカ人に広がったことが考えられます。それに加え、多くの地元メディアが報じているように、「椅子のないステーキレストラン」や「仕切りがあり、一人ずつ会話せずに食べるラーメン屋」など、普通とは違う「ユニークなセッティング」も好奇心旺盛なニューヨーカーの興味をそそるように見えます。

 

また全店共通して、口コミサイトのレビューで「サービスの良さ」が多く言及されています。日本とアメリカのチェーン店において、サービスのレベルの違いが、日本チェーン店の人気に一役買っていると言えるでしょう。ウエイターは必ずしも日本人ではありませんが、トレーニングをしっかりと受けていることが分かる丁寧さや、知識の深さも共通して見られます。日本のおもてなしがアメリカでは大変驚かれ、好印象を残すのでしょう。

 

オランダが羨まっ! 春の訪れとともに彼らが嗜む絶品ビールとおつまみを紹介

代表的なオランダのビールといえばハイネケンやグロールシュ。これらは日本でもすっかりお馴染みですが、オランダのビールメーカーは、日本のビールでも見られるように季節ごとの限定ビールを発売しています。ウキウキと心躍る春は、ホップが香る爽やかなビールが最高。そこで今回は女子ウケ間違いなしの爽やかな香りを堪能できる、春限定販売のビールと春のおつまみをご紹介します。

 

季節にあわせた限定ビールを楽しむのが粋!

オランダは、ビール大国として知られるベルギーやドイツに隣接。オランダ国内の大手ビール会社や街のクラフトビール醸造所でも、たくさんのビールが製造されています。なかでも注目したいのは季節限定のビール。夏には味も色もライトで甘味の強い「ホワイトビール」、秋から冬にはアルコール度数が高くダークな色合いで香り高い「ボックビール」など、気候や季節の食べ物にあわせたビールが店頭を賑わせます。ラベルのデザイン性も高く、思わずジャケ買いしてしまうボトルが並びます。

 

春の限定ビールは「Lente bok(レンテボック。春のボックビール)」と呼ばれ、毎年3月21日から6月21日までの期間に限定販売されます。フルーティーでホップの香り豊かなフレッシュビールで、アルコール度数は6.5%程度。グラスに注いだときの明るい色合いが春の陽差しに映えるというのも特徴の1つです。

 

代表的なLente bok2銘柄を紹介しましょう。まず、オランダが誇る最大手のビールメーカーHeineken(ハイネケン)の傘下にあるビールブランドの1つ「Brand(ブランズ)」は1340年創業の老舗ブランド。深みのある良質なビールを安価で製造し続ける醸造所として知られています。焙煎したモルトとフレッシュでホップの香りは春の魔法のようなフルーティーな味わい。

 

「Grolsch(グロールシュ)」は、栓抜き不要のおしゃれなスイングトップ瓶が日本でも人気のビールメーカーです。開栓時にまるでシャンパンを抜くときのような音がするので、パーティー気分を盛り上げます。こちらのLentebokは、かんきつ系やカモミールの花、はちみつを連想させる柔らかな甘い味に仕上がっています。

陽気な乾杯の席には美味しいおつまみが欠かせません。オランダの定番おつまみは「ビターボーレン」という牛肉コロッケのような揚げ物にマスタードを付けたものと名産のチーズです。

春になると、オランダを含むヨーロッパのマーケットにはホワイトアスパラガスが登場します。それを柔らかく茹でて、焦がしバターと卵のクリーミーなソースをあわせた「オランデーズ」はフルーティーな春のビールにピッタリ! ビールもおつまみも旬なものを楽しむというのは、日本の食文化に通じるものがあるような気がしませんか?

 

日差しの少ない厳しい冬を越え、春の陽ざしの下で飲む喜び

オランダの冬は朝9時頃まで暗く(写真下)、日中もほとんど太陽が出ることがない厳しい季節です。日照時間不足から冬季うつ病になる人も多く、それを防止するためのサプリメント摂取も推奨されているくらい。特にクリスマスと新年が終わり、大きなイベントのない1~2月は気分が落ち込みやすく、会社でも町でも機嫌の悪い人が続出します。そこで、オランダの「リア充」は気分を晴らすために、友人とホームパーティーで音楽とお酒を楽しんで冬を乗り切ります。

そして冷たい風が吹こうとも、春が近くなり、少しでも太陽が出ていれば、オープンカフェで昼間から春のビールを飲むのがオランダの流儀。春限定ビールのケースを抱えて笑顔を浮かべる大人が続出する春はもうすぐです。

Uberと同じくらい改革的! アメリカ人の心を捉えた買い物代行アプリ「Instacart」

仕事で忙しいときや体調が悪くなったときに、誰かに買い物を頼みたくなることがありますよね。休日を家でゆっくり過ごしたいときは外に出掛けるのも億劫。でも、スーパーに行かないと今夜食べる物がないというジレンマに陥ることがあります。

 

そこで便利なのが、米サンフランシスコで急成長を遂げる話題の「Instacart (インスタカート)」です。

 

インスタカートは、アメリカで人気急上昇中のオンデマンド型買物代行サービスです。ユーザーはスマホ上で同サービスに登録されている小売店から好きなものを好きなときに注文。すると、あなたの好きな時間に品物が届きます。

 

驚くべきは配達時間の速さ。荷物は最短1~2時間という早さで手元に全部届くのです。時間の節約になるのは確実。

 

インスタカートは、生鮮食品の即時配達からはじまり、いまではホールフーズ(オーガニックで有名な高級スーパー)、コストコ、セーフウェイ(割と一般的なスーパーマーケット)、ペットショップ、酒屋チェーンのBevmo、ドラッグストアチェーンのCVS、おしゃれな料理器具を扱うSur La Tableなど計135もの小売店と提携しています。シリコンバレーの投資家たちの間でも何かと話題の企業です。

 

年間利用料149ドルのエクスプレスメンバーになると、1回35ドル以上の買物であれば、最短1時間以内の即時配達が無料になります。日時指定も1時間単位で設定可能。シリコンバレーではもう当たり前のクラウドソーシングを利用し、ショッパー(実際に店舗で買物代行する人)が買ったものを、別の配達人が届けてくれるというモデルです。店舗側にもインスタカート専用のレジ列や保管ロッカーがあったりします。

 

お目当ての商品がない場合には注文の変更や返金もできます。代行人が買物をはじめると合図がきて、電話やチャットでリアルタイムにコミュニケーションできるので安心。代行人はちゃんと顔がみえるので、まさにテクノロジー時代の御用聞き「三河屋さん」といったところでしょうか。さらに、定期的に利用しているとAIのおかげか、必需品の一覧やおすすめ商品、クーポン、代替品なども表示されます。

インスタカートは、アメリカ人にとってUber(オンデマンド配車サービス)と同じくらい革命的でした。日本では国土も狭いので郵便局も配達網も十分に発達し、十分なサービスを受けられます。しかし、アメリカはともかく大きて広いので「配達は遅い。遅れる。時間指定なんて夢のまた夢!」というのが現実(Amazonですら翌日配送が限界で、数日遅延もざらにあります)。アメリカ人もそれに慣れていたわけです。しかし、それがスマホやクラウドソーシング、シェアリングエコノミーで変わり、「今すぐ、ここにほしい」が実現されたわけです。ちなみに、インスタカートの創業者はAmazon出身とのこと。

 

また、アメリカは売っている商品も店舗も大き過ぎます。牛乳1本にしても4リットルという量(重いです)。売り場は一般的に東京ドームの半分くらいあり、レジでも延々と並びます。この不便な買い物を誰かが代わりにやってくれたら……というニーズに答えているのがインスタカートなのです。また、ほとんどのお店が店頭で買うのと同じ価格を設定していることも、このインスタカートの良い所といえるでしょう。

 

リピート率85%以上! 米国で話題のAIスタイリスト「Stitch Fix」を使ってみた

2017年11月、34歳の女性が社長を務めるスタートアップが、ニューヨーク市場で上場を果たし話題を集めました。その会社は、AIスタイリストによる商品提案型のサービスを提供する「Stitch Fix」です。売上1000億円、時価総額は2000億を超え、人々の「洋服を買う」という体験をまったく新しいものにしてくれています。本当に通常のネットショッピングよりも満足する購入体験ができるのか? 実際にそのサービスを利用して検証してみました。

 

Stitch Fixってどんなサービス?

Stitch Fixとは、通常のネットや実店舗でのショッピングとは異なり、自分で商品を選ぶのではなくAIとスタイリストが自分に合った商品を提案してくれるサービスです。同社の3500人のスタイリストと80人以上のデータサイエンティストのチームが、独自のアンケートとSNSの分析で顧客の好みに合ったアイテムを選んで届けてくれる仕組み。手順は以下の通りです。

 

①独自のアンケートに回答(サイズ・好み・ライフスタイル・予算など。10~15分程度を要する質問)

 

②到着日を選択すると、洋服や小物類が5点自宅に届く。この段階でスタイリング料20ドルが課金される(混雑状況にもよるが早い場合は3日〜5日程で到着)

 

③気に入ったものは購入、それ以外は無料で返品可。同封されている袋に入れて郵便局で送るだけ(すべて購入の場合は全品25%オフ)

 

④選んだ服と選ばなかった服の理由をアンケートに記入しフィードバックを送る(次回の購入につなげる)

 

では、実際に使ってみましょう。

実際に答えた質問は50問程度。「ゆったりとした服が好き」「これは嫌」といったデザインの好みなどを細かいところまで聞かれました。さらに、実際の服の絵を見せて4段階で好きか嫌いかを聞く質問もあり、好みを捉えてくれた気がしました。

 

アンケートに回答し、最速の発送日を選択しました。荷物は5日後に到着。箱もかわいく、自分用にカスタマイズされた福袋を開けるような非日常体験にワクワクしました。

届いた5点は紺のサンダル、チェックのシャツ、リゾート風のロングドレス、デニムジャケット、そしてストレートジーンズです。

 

気に入ったのはサンダルとジーンズ。私は足の形に合う靴をなかなか見つけられないのですが、このサンダルはぴったりで履き心地も抜群。デザインも気に入ったので値段を見る前から買うことを即決していました。ジーンズは、ウエスト、長さ、履き心地がすべてパーフェクト。欲しかった色でもあったのでこちらも購入しました。他の商品は日常使いできるイメージが湧かずに返却することにしましたが、サイズはぴったりでした。

 

最後はフィードバックアンケートに回答。また春になったときに注文をしたいと思ったので、今回選ばなかった理由や次はどんなものが欲しいかを丁寧に書きました。返品するアイテムも指定の袋に入れて、郵便局に行くだけなのでとても簡単でした。

今回試してみて、私はStitch Fixをまた利用したいと思いました。理由は3つあります。一つ目は、実際に商品が届くまで何が送られてくるかわからないワクワク感。2つ目の理由は、細かなアンケート回答とスタイリストの存在によって、送られてくる商品提案の質が高いからです。私の好みもある程度捉えていました。

 

3つ目の理由は、毎回フィードバックを送るため、次回の満足度はもっと上がるという期待感があるから。回数を重ねていく度に、AIとスタイリストが身体のサイズや自分の好みを学習してくれるので、次はより良い提案が来るだろうと思ってしまいます。

Stitch Fixには、他にも顧客を魅了する仕掛けがあります。届いた5点の洋服それぞれに合わせたコーディネート案を提案してくれるため、着用したイメージが湧きやすいです(上の写真の右側)。また、スタイリング料の20ドルは、どれか1着でも買えばその購入に充てられる仕組みなので、「最低1着は買わないと損」という気持ちにさせられます(上の写真の左側は価格表)。

 

テクノロジーとビジネスモデルで注目を集めるStitch Fixは、昨年の冬の時点で250万人のアクティブユーザーを獲得しています。さらに、リピート率は85%以上。ここからはユーザーの満足度が高いということが分かります。

 

「オンラインで洋服を買う」という手軽さだけでなく、品質も良く、服を選ぶ楽しさもあるStitch Fix。初回の利用は紹介やプロモーションコードを利用すると、20ドルのスタイリング料が無料になるので、アメリカに行く際はぜひ試されてみてはいかがでしょうか。

 

【10年保証で350円!】丈夫で超長持ちする「デカトロン」の小型リュックのスゴさ

2016年に日本に進出した、フランス生まれのスポーツブランド「デカトロン」。フランス全土に点在する各種スポーツ用品やウェアを揃える同社の大型ショップは、1976年の創立以来、そのリーズナブルな価格と品質の良さで、何世代にもわたりフランス人の生活に定着しているブランドです。今回はそのなかでも特におすすめしたい、日本でも購入可能な自社ブランド製小型リュック「Quechua(ケシュア)ハイキングバックパック Arpenaz 10L」の恐るべきコスパの高さについて、先代モデルより使用している経験を基に紹介します。

 

「ケシュア ハイキングバックパック Arpenaz 10L」のスゴさ


「ケシュア」シリーズはデカトロン自社製オリジナルウェアやバッグなど、小物を揃える同社の看板的存在です。スポーツ用に開発された素材や仕様で、街なかでも使用できるスマートさも併せ持ち、通勤や通学、週末の外出などの日常使いをしているケースが多いのも特徴。

 

筆者は「ケシュア ハイキングバックパックArpenaz 10L」を先代モデルも合わせ10年以上使い続けてきました。小ぶりサイズなので最初は子どもの幼稚園バッグとして購入したのですが、思った以上に容量が大きかったので自分用にもう1つ購入。一眼レフカメラや本などが入り、少々重くなってもリュックに負担がかかることもなく、安心して使うことができます。

先代モデル(写真右)と現モデル(写真左)を比べてみると、以前は奥行きのあるコロッとしたどこか愛らしい形態だったことに対し、現モデルは縦に伸びてスリムになっています。ただし容量は変わっておらず、より大人寄りのデザインになったというところでしょうか。実際、男性が使用している姿もよく見かけます。

容量は、スポーツタオル、スポーツ用のTシャツやショートパンツ、もしくはパーカーなど薄手の上着、水のボトル、財布と携帯電話がすべてリュックに収まる大きさです。写真は外ポケットに水のボトル(500ml)を入れていますが、外ポケットにもマチが付いていてかなり広くなっています。会社帰りなどのジム通いにも適したサイズと言えるでしょう。

税込350円(日本価格。ヨーロッパは一律2,99ユーロ)という驚きの値段でありながら、その丈夫さもユーザーからのお墨付きです。「持続性ある開発」をモットーにしているデカトロンの商品は安心の10年保証付き。万が一、リュックが壊れたり破れたりした場合には、交換や修繕をしてくれます。「デカトロン・フランス」サイト上の同製品レビューで、4つ星5つ星をつけた購入者数が918人に対し、1つまたは2つ星をつけた購入者が17人(2018年2月末現在)という結果から見ても、ユーザーがこのリュックにどれだけ満足しているかがお分かりいただけるでしょう。

 

さらに他モデルよりもカラーバリエーションが豊富(全7色)で、購入者に選ぶ楽しみを与えてくれるのが同製品の隠れたポイントでもあります。安いので用途別に数点揃えたり、家族で色違いを持ったりしてもよいかもしれません。「安かろう、悪かろう」という固定概念を根底から覆してくれる、優れもののリュックです。

 

スポーツ仕様の耐久性と日常使いに適したサイズ、スマートで街中でも違和感なし!

スポーツ仕様の耐久性を持ちながら、日常使いにも適したサイズとデザインを併せ持つのが、このリュックの強みでもあります。先代モデルよりも向上した点は、形状の変化による体へのフィット感とスタイリッシュ性がアップしたこと。底のマチが狭くなってスリムになった分縦に長くなり、なかのものが散乱しにくくなって取り出しやすくなっている点も挙げられます。

 

昭和か!? 残念過ぎるハワイの炊飯器事情

炊き上がりのわずかな米の硬さにも敏感にこだわり、どんどん進化しているのが日本の炊飯器。釜も銅、鉄、炭など素材の違いによる美味しさをとことん追求し、日本人の味覚もそれに伴ってレベルアップしているのでは? と思われるほど。しかし、もし日本人がハワイで炊飯器を購入しようとするなら、かなりガッカリしてしまうでしょう。ハワイの炊飯器事情とは、どんなものなのでしょうか?

 

20~30ドルの低価格&ひと昔前のデザインに仰天!

ハワイの家電量販店の炊飯器コーナーをのぞくと、まず価格に驚くはず。安いものなら、なんと20〜30ドルほどで販売されているのです。わずか数千円で炊飯器が買えるなんて、日本人の感覚からすると、かなりの驚き。

 

そんな数十ドルの値段がついた炊飯器は、鍋に電気コードがつながっただけのようなシンプルなデザインのものが主流です。日本製の炊飯器も販売されていますが、50ドル以下で買える日本製炊飯器は、見た目が超レトロ。昭和の食卓にありそうな、古いデザインが多いです。「Made in Japan」と大きく書かれているけれど、「いやいや、こんな古臭い炊飯器がいまどきあるわけないよ」と、日本人ならば間違いなくツッこむでしょう。

 

しかも、ついている機能は「COOK(炊飯)」と「WARM(保温)」の2つだけ。最低限の機能だけを備えた、究極にシンプルな炊飯器と言えるかもしれません。

 

日本ブランドはやっぱり高級品

そんなハワイで売られている炊飯器のなかでも、高額の部類に入るものが200〜300ドルあたりの日本製炊飯器。ここでは象印、タイガー、パナソニックといった日本でもおなじみのブランドが多い印象です。このくらいの価格帯になると、現代の炊飯器っぽいデザインで、タイマーがついたり玄米を炊けたり、色々な機能がついてきます。

 

ハワイには、日本食や日本製製品を多く取り扱う「ドンキホーテ」があり、そこでは日本製の炊飯器も多く販売されているのですが、高いものなら300~400ドルほどの値札がついて陳列されています。

日本人の米へのこだわりは世界でも特殊?

炊飯ボタンが1つしかない数十ドルの炊飯器で炊いたご飯なんて、舌のこえた日本人が食べたら、「美味しい」と感じられるかは正直疑問です。しかし、それで満足してお米を食べている人がハワイには少なからずいるということも事実。

 

ハワイのこんな炊飯器事情を知ると、米の銘柄による食味の違いを分かり、炊き上がり方も「ふっくら」がいいのか「もっちり」がいいのかなど、米の味にこだわり抜いている日本人の方こそ、少し異次元なのではないかと思わずにはいられません。

 

ちなみにハワイ在住の筆者は、日本で購入した炊飯器を現在愛用中です。

 

 

こんな場所になぜ!? マレーシアの熱帯密林にある「スタバ地獄寺店」……

クアラルンプールからクルマで1時間ほど、高原リゾートとして人気の「ゲンティン・ハイランド」。道中に見る熱帯の森林地帯から突然、カジノやホテルなどの娯楽施設が立ち並ぶ、巨大な街へと一気に拓ける風景は圧巻です。その手前にある中華風の仏教寺は絶景スポットとして有名。しかし、そのお寺は別名「地獄寺」と呼ばれており、さらに奇妙なことに境内にはなぜか誰でも知っているアレがあるのです。それは一体……?

 

一見するとごく普通の東南アジアの仏教寺だが……

地獄寺の正式名称は「清水岩廟」。もともとは山頂にあるカジノを中心とした「ゲンティン・ハイランド」を興した華僑の富豪リム・ゴートン氏が私財などを寄付し建立した寺です。ゴートン氏のビジネスが大成功を収めたことから、それにあやかろうといまでは世界中から参拝者が訪れる寺になっています。

 

なかに足を踏み入れると、八重の仏塔や大仏、仏殿などが、整備された敷地内に点在しており、ゆっくりと拝観できます。また、寺自体が断崖絶壁に建てられていることから、ここは熱帯雨林のジャングルを眺められる絶景スポットでもあるのですが、一体なぜ「地獄寺」と呼ばれているのでしょうか?

 

その理由は、「園世勤((Journey To Enlightenment)」というあるアトラクションにあります。中国古来の言い伝えをもとに作られたという「10大地獄の部屋(10 Chambers of Hell)」です。

これは「生きている間に悪いことをすると地獄でこんな目に遭うよ」という教えを、閻魔大王とその手下たちを中心にジオラマ化したもの。この「the 地獄ワールド」が散策順路に沿って繰り広げられるという、ちょっとカオスな世界観になっています。公式サイトを見ると「子どもたちも興味津々!」のようなことが書かれてあるのですが、実際は夜中にトイレに行けなくなりそうな世界が広がっています。

 

このような、ごまかし的な感じも含めて東南アジアらしさが感じられるのが地獄寺の魅力です。そして、敷地内にはいかにもひなびた感じの飲食店やお土産店があったりします。ゲンティン・ハイランドの手前にあるため、観光客はそれなりに入っているのですが、平日などは閑散としていることもあります。

 

そんなローカル感たっぷりの雰囲気のなか、ふと違和感を感じるものがあります。「えっ、あの緑の人魚のロゴは?」

実は、地獄寺になぜかあの「スターバックスコーヒー」がテナントとして入っているのです。普通にスーベニアマグカップなども置いてあるし、もちろんスタバカードだって使えます。

 

でもファストフードなどの店はほかに1つもありません。しかも、コーヒーではなくお線香の香りが漂ってくるのも、どことなくシュール。さらにここは高度1000mのジャングルのなかにある寺です。「なぜこんな所にスタバが!」という意外性がSNS映えするのか、スマホで写真を撮る人が多数いました。

 

この「地獄寺のスタバ」ですが、公式サイトを見てみるとどうやら「アトラクションの1つ」というくくりになっているようです。エンタメだけではなく、地味におしゃれを追求しているのでしょうか? さすが一代でリゾートタウンを築きあげた富豪が建てたお寺という感じですね。

 

ちなみに「地獄寺」にはロープウェイで行くことも可能。その場合は乗車券を提示すると、スタバのドリンクやフード類が10%オフになると書いてあります。この微妙なお得感がなんとも言えません。

 

さて、「地獄寺」には地獄以外もあって、後にはちゃんと天国(らしき)風景も用意されていて本気で安堵します。

 

鶴が飛び、きれいなお姉さんたちが舞って踊っていて、とてもわかりやすい天国感。ただし、こちらから散策を始めてしまうと「天国→地獄」となって、救いようのない、後味の悪い気持ちになるので注意してくださいね。

というわけで、地獄から戻った後のフラペチーノは至福の一杯。スタバからは地獄も見えないので、安心してください。スタバの場所は仏殿の前にあるエレベーターの真下。並びにある「マレーシア風おでん」店の匂いに混ざり、コーヒーの香りが漂ってくるのですぐ分かるはずです。

炊飯器にカゴ?? 炊飯と同時に野菜も蒸すタイの食文化に「簡単時短料理」のヒントあり

野菜不足が気になるけれど、とにかく忙しい毎日。なるべく手間暇かけずに、美味しいバランス食を摂りたいものです。タイは外食文化の国ですが、なぜかどの家にもあるのが炊飯器。面倒臭がりのタイ人にとって大変便利な家電製品なのです。簡単なのにやたらなんでも作れてしまうタイの炊飯器に時短・簡単調理のヒントを目撃しました。

まず、目につくのがプラスチックのなかのカゴ。これが炊飯器のなかに据え付けてあります。炊飯準備のできたお米の上にこのカゴを乗せ、好きな野菜を並べて炊飯開始。お米が炊きあがると同時に野菜もホクホクに蒸されているという仕組みです。特にジャガイモやカボチャは電子レンジやお鍋で茹でるよりも断然美味しいのでおススメ。

また、スープやカレーなど一見凝った料理も、調理から保温までほったらかしでできるのが素晴らしい点。お米の上に鶏肉を乗せ、カゴの上に彩りよく野菜を並べて炊飯すれば、美味しいカオマンガイと温野菜のできあがり。カレーは野菜がゆだってからルーを溶かし入れればいつでも熱々が食べられます。パッタイ(米粉麺の焼きそば)の材料も入れるだけ。(でも、タイ人が炊飯器を使って一番よく作っているのは多分インスタントラーメンです)

温め直しにも大活躍します。タイではサラパオという点心もよく食べますが、肉まんやおこわを蒸し直すのにもこのカゴは最適。炊飯釜に少し水をはってカゴに肉まんを乗せると、皮がふっくら生き生きとしてきて、なかまでしっかり熱の通った肉まんが食べられます。冷凍ご飯もこの方法で温め可能。おかずの入ったどんぶりを水の張った炊飯釜へ、冷凍のご飯はカゴへ入れると、何か別の用事をこなしているうちに勝手に食べごろになっています。

 

炊飯ボタンだけのシンプルな物であれば1000円もしません。お米の種類を選べたりケーキまで作ったりできる高機能炊飯器も5000円ほど。可愛いデザインも魅力的です。ご飯がおいしい国といえば日本だからか、高品質のイメージからなのか、日本語を模したと思われる商品名もちらほら見られます。「OTTO」は夫? 「KASHIWA」は、かしわ飯から来ているのでしょうか? 思わず笑ってしまいます。

タイの食事事情をボタン1つで解決

タイはお米大国で、米の輸出量は世界一ですが、その種類も豊富です。白くて細長くさらさらしたジャスミンライスや、古代米、玄米、もち米と、どれも日常的によく食べます。タイ北部では美味しい日本米も生産されており、和食も大人気で、ますます食の幅が広がってきています。これだけ多種のお米を悩まずに炊けることは、面倒臭がりのタイ人にとって非常に便利であることは確実。しかも、根本的にタイ人は美味しい炊きたてのご飯が大好きです(タイの主食はお米です)。

 

それに、タイはとにかく暑いです(平均気温は29℃で一年中蒸し暑い)。暑いなか、なるべくキッチンに立ちたくないというのは、自炊を習慣にしている日本人でも同じ。キッチンのない家庭も多いので、電気とボタン1つで調理できる炊飯器は重宝されます。

 

同じ炊飯器でも、国や地域によって仕様や使い方が異なるのは面白いですね。国や地域ごとに異なる炊飯器の進化に注目です。

いま家電業界でアツい「オランダのホットプレート」。地元の人たちはどう使っている?

最近、日本でもオランダのホットプレートがおしゃれ家電として話題となりつつあります。現地でも「グルメット(電気式ホットプレートでの鉄板焼き)」は大人気。クリスマスやイースターをはじめ、パーティーには欠かせない家電と言えるでしょう。今回はラクレット(溶けたチーズをいろいろな食材につけて食べるスイス料理)から串焼きまで、日本の食卓やホームパーティーでも活かせるオランダのメニューをご紹介します。

 

セルフで楽しむオランダの鉄板焼きグルメット

日本でも手に入る、おしゃれ過ぎるホットプレートとして評判を集めているのが「PRINCESS」のテーブルグリルピュア。竹とストーン調のセラミックでおしゃれな表情を出しつつ、セラミックが持つ遠赤外線・蓄熱効果などで食材をおいしく調理。油をカットするヘルシー調理も実現するこのホットプレートは、パーティーシーンだけでなく普段の食事でも大活躍すること間違いなしのアイテムです。

 

オランダのグルメットは好きなものを自分で焼くスタイル。パーティーシーズンの前にはスーパーの食品売り場や日用雑貨店などで、様々な種類のホットプレートが販売されます。

 

シンプルな1枚プレートのものはお手入れも簡単。パーティーでの「Teppanyaki grill」はもちろんのこと、オランダ伝統の薄型パンケーキ「パンネクック」を焼いたり、食卓でハンバーガーやホットドックを楽しんだりするときにも活躍します。お値段も25ユーロ(2018年3月現在3300円程度)くらいから展開しているので、気軽に購入できます。

オランダはゴーダチーズをはじめとする様々なチーズの生産地です。オランダ人のチーズ年間消費量は1人あたり18キロというデータもあり、日常の食卓にチーズは不可欠。「アルプスの少女ハイジ」にも出てくる、とろけるチーズを味わうラクレットもグリルと一緒に楽しみます。一人ひとりがチーズを炙れる、小さな取っ手付きフライパンがメインプレートの下にあり、誰にも邪魔されず好みの加減にグリル可能。ワインやビールもラクレットに合わせて用意すると、自宅にいながら贅沢な食事を楽しむことができます。

また、グルメットは野菜、肉、魚介類など様々な食材を焼いて楽しむことができます。スーパーではグルメット用に小さくカットされ、すでに下味のついた食材が数種類入ったセットが販売されています。串焼きやハンバーグ、ベーコンロール、ソーセージなどアレンジもいろいろ。クリスマスシーズンには鳩やトナカイ、ウサギといったいわゆる「ジビエ肉」を食べる習慣があり、これらもグルメットの定番です。パンケーキやトーストなどを一緒に焼いて食べることもあります。

ソースもお好みで楽しむのがオランダ流。マヨネーズやケチャップ、マスタードをはじめ、なんとインドネシア料理をルーツとするピーナッツソース(サテソース)をつけて食べることも。1つのプレートで様々な味を楽しむことができるグルメットは、まさに「人種のるつぼ」であるオランダという国の縮図のようです。


手間をかけずに楽しい食事をするのがオランダスタイル

食事をあまり重視せず、温かいものは1日に1度だけ食べて、後はサンドイッチという食生活がまだまだ一般的なオランダ。パーティーを開くときでも凝ったものを作ってもてなすより、手間をかけず、気軽に楽しむスタイルが一般的です。オランダ人はよく喋り、よく飲む人が多いので、パーティーでもみんながテーブルにつき、楽しくたくさんのワインボトルを空けることが重要です。

世界有数の農業国かつ貿易国であることから、良質で安い食材がたくさん手に入るのがオランダの良い所。無理をせずシンプルながらも、常に楽しい食卓で笑いが絶えません。

 

「自分で焼く」、「様々なソースを用意する」、「バケットとワインで楽しむ」という要素を取り入れるだけで、日本の鉄板焼きが「オランダ風オシャレグルメット」になるかもしれません。お手軽なので、ぜひお試しください!

 

 

「心の歯ブラシ」で心を整える! 1日5分で日々がポジティブになる「Five Minute Journal」のススメ

ストレスが溜まっていても日々のスケジュールに追われ、自分の気持ちのケアは後回しにしてしまっているという方は多いのではないでしょうか。そんな人にオススメなのが手帳型ノート&スマホアプリの「Five Minute Journal」です。

 

朝、ほんの数分間メモを取ることで、ポジティブな気持ちに焦点を当てて1日を過ごすことができ、1日の終わりにもう一度数分間メモを取ることにより、ポジティブな出来事に気持ちを向け、その気持ちを味わい、忘れがちな小さな幸せにも感謝することができます。

 

その名の通り、1日に5分もあれば書くことができるので、いままで日記が続いたことがない人でも「これなら続けられる」と思える日記なのです。

 

何冊も自己啓発の本を読み、理論を理解したつもりになっても、実際にその理論を実践する事に苦労する人は多いのではないでしょうか。理論を実践に結びつけるためのツールとして、UJ RamdasとAlex Ikonnによって開発されたのがこのジャーナルです。

 

2013年に最初に発売されたのは手で書き込むタイプのノートバージョンだったのですが、その後、2016年に携帯アプリバージョンが開発されました。携帯電話さえ手元にあればいつでも書き込むことができ、手軽に写真を加えることもできるアプリバージョンを筆者は利用しています。

1日の始まりにアプリを立ち上げると、毎日、日替わりでポジティブな引用文や「知らない人に微笑みかけてみよう」「自分にご褒美をあげよう。キャラメルラテ?ココア?」などといった「Daily Challange」がスクリーンに表示されます。これを見ると「さぁ、今日も頑張ろう!」という気持ちになります。

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そして、3つの項目を記入します(下記)。

 

1 – What are you grateful for?(あなたがありがたいと感じていることは?)

2 – What will I do to make today great? (今日を素晴らしい日にするためにできることは?)

3 – Daily Affirmation. I am… (どんな自分になりたいか?)

 

そして夜、寝る前に今日を振り返ります。1日の終わりに記入する項目は以下の通り。

 

1 – 3 Amazing things that happened today… (今日起こった素晴らしい出来事を3つ。)

2 – How could I have made today even better? (今日をより素晴らしい日にするためにするべきだったことは?)

 

1日5分で書ける手軽さに加え、このジャーナルの特別な所はポジティブなことに気持ちが向くようにデザインしてあること。朝晩わずか数分ずつ、このジャーナルを利用して自分の気持ちと向き合うことで、確かに自分の気持ちの前向きな変化を感じられます。

 

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1日の始まりの、最初の項目に私がよく記入するのは「家族」「健康」「友達」といった身近にある当たり前のようなこと。身近にあるからこそ、つい感謝の気持ちを忘れがちですが、そんな当たり前の日常がどれだけ「自分にとって価値のあることなのか」を自分自身に思い出させる効果があります。

 

そして、1日の終わりに記入する項目を見て「さて、どんないいことがあったけ?」と、本当に些細な事でもその日一日のポジティブな事を探して思いをめぐらせます。

 

また、悪いことばかりが起こったと思える日でも「今日起こった嫌だったこと」を書く項目がありません。そのため、「滑って転んで腰を痛めた」の代わりに「滑って転んだけれど、骨折などの大事に至らずに済んだ」と、ネガティブなこともポジティブなことに書き換えなくてはならず、実際にそう書いているうちに「あぁ、よかった」と本当に思えるようになるから不思議。最後に、「今日をより素晴らしい日にするためにするべきだったこと」を考え、今後の自分の意識の改善へとつなげます。

 

このジャーナルの発案者が、これは「心の歯ブラシ」であるとインタビューで述べていますが、まさにその通り。毎日、自分の一番近いところにある幸せや大切なものは、心を掃除してクリアにしていないと見えなくなってしまうものなのです。

 

「Five Minute Journal」を記入するほんの数分、自分のポジティブな気持ちを探すことにより、ハッピーなことが自分の身の回りにいかに多く溢れているかに気付き、そして自分を不機嫌にする事柄がいかに些細なことであるというように感じられるようになります。知らず知らずのうちに自分の意識がトレーニングされているのですね。

なぜマレーシアの屋台でテイクアウトを頼むと、ビニール袋に直入れなのか? 「あ~、納得!」の理由があった

日本人がロングステイしたい国・地域に関するアンケート調査で11年連続1位に選ばれているマレーシア。経済や観光で高い注目を集めているこの国は、実はB級グルメ天国。「ホーカー」と呼ばれる屋台では、南国の雰囲気を感じながら気取らずに食事をすることも多いのですが、ここでは持ち帰りも可能。日本でテイクアウトする場合は、折り詰めやプラスチック容器などに入れてくれるのが普通ですが、マレーシアではビニール袋が使われます。

 

日本人にとってはカルチャーショックかもしれませんが、なぜビニール袋が使われているのでしょうか。現地在住の筆者が実際にホーカーに行って説明いたします。

 

ローカル度が高いほど持ち帰りフードのビニール率がアップ!

マレーシアでは祭りでもないのに至る所で屋台を見かけます。例えば、幹線道路の沿ってちょっとしたスペースに店が連なっており、近所の人はもちろん、タクシーやトラックのドライバーまで気軽に立ち寄っては飲み食いしています。少し喉が渇いた、小腹が空いた、時間がないのでパッと食べたいときなどは、自販機やコンビニではなく屋台一択です。

 

実際に屋台でテイクアウトをしてみましょう。まずはドリンクから。天然の経口補水液とも呼ばれ、二日酔いにも効くと言われているココナッツジュースを頼んでみます。値段は1杯RM3(約84円)。

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小刀で勢いよくココナッツを割って、中のジュースをコップにあけ、果肉(パルプ)もスライス。手際よくこれらをカップに一度入れ、ビニール袋へ流し込みます。そして、ここでビニール袋の口をちょっと縛り、赤い紐をしっかりとひっかけ、ストローを挿します。

 

ビニール袋は思ったよりもずっしりしていて、破けたり穴があいたりしないか心配になります。家に帰って重さを測ってみたら680gもありました。

 

口は密閉されていません。揺らすと中身がでてきそうな危うい感じがして、長時間の持ち歩きや移動には向かないと思いきや、自転車のハンドルにひっかけたりしたり、クルマのハンドルやバックミラーにぶら下げたりしている人たちを目撃しました。おまけに、赤信号などで止まると器用に飲んでいるのです。

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よく見ると、このビニール袋ドリンクには微妙な角度がついていて、中身が出にくく飲みやすいようになっています。適当にビニール袋に入れているようで、実は機能性と安全性が考慮されているようです。

 

他にもテータリ(マレーシア風ミルクティー)、ジュース各種など屋台で頼む液体系はこの状態で渡されることが多いです。

 

次はマレーシアの定番B級屋台グルメ。本来なら南国独特の雰囲気を感じながら外で食べるのが醍醐味。地元の方たちは適当に食べたいものを屋台で注文して、適当に周囲にあるテーブルに座って食べています。なので、テイクアウトしたい場合は先にその旨を伝えないと皿に盛られてしまうのでご注意ください。

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今回オーダーしたのは、タイ式ご飯の店のチキンチャーハンRM5.5(約154円)。ローカルの屋台で食べるとだいたいこの値段です。

 

注文を受けるとすぐさま中華鍋で炒め始めます。すぐ後ろに置かれた皿の上に敷かれているのは、そう、縦横30cm四方の正方形のビニールです。ご飯に続いて具材が投入され、香ばしい匂いが漂ってくるまで約2~3分。できあがったチャーハンはそのままダイレクトにビニールの上へ乗せられて、すぐさま四隅をくくって巾着状にして出来上がり。

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熱々のチャーハンもやはりビニール袋に入れて渡されるのです。見た目は逆さまにした「てるてる坊主」。コンパクト過ぎてチャーハンを持っていることを忘れてしまいそう。熱でビニールが溶けることもなく、無事に持ち帰ることができました。

 

慣れると便利なビニール袋テイクアウト

このビニール袋テイクアウトは慣れてくると、いくつかメリットがあることが分かります。まず、ゴミ捨てが楽です。飲食が終わった後、かさばらないのでゴミ箱にさっと捨てられます。また、地元の方たちは自転車やバイクに乗って買いに来ることが多いため、この形状は持ち帰りに非常に便利です。

 

しかし、ビニール袋の最大のメリットは、自転車やバイクのハンドルにかけやすい点です。米国の情報調査専門シンクタンク「ピュー研究所」のデータによると、2014年のマレーシアの一般家庭におけるバイクの普及率は83%(日本は21%)。バイクや自転車は渋滞の影響を車ほど受けず、道路の舗装状態が多少悪くても走行できるので、たくさんの人たちが乗っています。移動中にサッと飲み食いしたいなら、ハンドル近くに食べ物(または飲み物)があるほうが便利ですので、多くの屋台にビニール袋が選ばれています。

 

屋台で食べ物や飲み物を頼んでビニール袋に入れてもらい、飲み食いしながらブラブラ歩くと、地元の文化に溶け込んでいる気がすること間違いありません。見た目や盛り付けを重視する日本では恐らく流行ることはないような気がしますが、マレーシアに来たらぜひビニール袋テイクアウトをお楽しみください。

 

え、予防接種やリサイクルショップも!? ファストフード店だけじゃないアメリカの「ドライブスルー」

アメリカでは、どこへ行くにもクルマはマスト。そんなクルマ社会で、ドライブスルーのサービスがレストラン以外にもさまざまな場所に広がっています。アメリカならではのユニークなドライブスルーを紹介します。

 

子どもがいる場合、ちょっとした用事を済ませるのも大仕事になりがち。ちょっと銀行や薬局に行くだけなのにまるで旅行に行くような大荷物と意気込みが必要です。しかもアメリカでは、少しの間でも子どもを1人にしておくことは親の責任問題に直結します。そのため、日本にいるとき以上に気を遣わなくてはいけませんが、アメリカではドライブスルーで利用できるサービスが進化しているので、意外に困らなかったりもします。

 

一番便利だと思うのは銀行のドライブスルーで、営業時間はもちろん、週末でもドライブスルーでATMを利用可能。ほとんどの支払いをクレジットカードやデビットカードで済ませるアメリカでは日本ほど現金を持ち歩きません。ただ、フェスティバルやファーマーズマーケットなどのローカルなお祭りでは現金のみという場合があるので、お出かけ前にドライブスルーで現金をおろしておきます。(日本の銀行でも数年前からドライブスルー窓口を設ける動きがありますが、普及には程遠い状態です)

 

次に便利なのは、薬局のドライブスルー。アメリカでは病院で治療を受けた場合、その処方箋は自宅近くのドラッグストアに自動的にデータが送られ、薬の準備ができたら個人に連絡が来る仕組み。ドライブスルーで自分の名前と生年月日を伝えれば、薬を受け取れることができます。

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驚きなのは、家族の薬を代わりに受け取れるということ。もちろん名前と生年月日は伝えますが、タッチパネルで本人と受け取り者との関係を選んでタッチするだけで済み、身分証明書の提示は不要です。インフルエンザのシーズンになると、ワクチンの予防接種をドライブスルーで受けられる所まであります。

 

リサイクルショップのドライブスルーもあります。これは「Goodwill」というアメリカの慈善事業を目的としたリサイクルショップで、品物はすべて寄付されたものでまかなわれています。そのため、価格もかなり安く、ハンディキャップを持つ人々を多く雇用しているのが特徴。このお店に寄付したいものがあれば、ドライブスルーで受け渡しができます。サイズアウトした子ども服やおもちゃをよく買い物ついでに寄付しに行きますが、小さなものでも、家電製品のような大きなものでも使えるものであればなんでも寄付することができます。

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スーパーもドライブスルーを取り入れています。「Walmart」では、オンラインで食料品を注文し、受け取り時間を指定すれば、生鮮食品をドライブスルーのように受け取れます。しかも実際にお店のなかで買い物する値段と同じで、手数料もかかりません。

 

受け取りはピックアップ専用駐車場についたら電話をするだけ。店員がカートで持ってきてくれて、クルマに乗せるのも手伝ってくれるうえ、初回は10ドルの割引サービスもあります。私はよく仕事の休憩中に注文し、帰りに受け取ります。子連れの買い物はストレスがかかりますし、余分なものを買わずに済むので、ちょっとは節約になるのではないかと思います。

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子どものお迎えもドライブスルーと言えるかもしれません。アメリカでの通学は安全のため、スクールバスか、親が車で送迎するかのどちらかです。私の息子はまだ小さいので、デイケアの室内までお迎えに行かなければなりませんが、キンダーガーデン(4歳〜)や小学校の送迎では、学校の入り口で子どもを先生に引き渡し。帰りは先生が子供たちを学校の入り口まで引率し、クルマで迎えにきている親に引き渡しをします。駐車場はまるで回転寿司。校門前に綺麗に車が並んで、ドライブスルーのように次々に子どもだけ降ろされて行きます。この間も親が車を降りることはありません。

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時短術や安全策としてのドライブスルー

ニューヨークなどの大都市を除けば、アメリカはどこへ行くにもクルマで出掛けます。Lazy(楽したい、怠け者)な人がたくさんいるように見える一方、仕事や子育てで忙しい共働き家庭も多いので、ドライブスルーはまさに需要と供給がマッチしています。ドライブスルーを通勤途中に利用して時間を節約しているビジネスパーソンもよく見かけます。

 

私の住むフロリダは一年中暖かいので、リタイヤ後の憧れの土地の1つ。そのため、年齢層がとにかく高いのですが、この点でもドライブスルーは(車を運転できる)高齢者に優しいサービスだと思います。さらにアメリカは日本のように治安が良くないので、真っ暗な夜でもクルマを降りずにお金をおろせるのは安全面でも理にかなっているといえます。アメリカの進化するドライブスルーから目が離せません。

 

 

 

「回転寿司」ならぬ「回転ピザ」が誕生! イタリアのピッツェリア業界に新旋風を巻き起こす「GIRO PIZZA」

イタリアといえば、やはりピッツァ! 本場のピッツァは使われている素材が新鮮で、注文を受けてから薪を使った窯で焼いてくれるのでシンプルでも味が生きています。そしてイタリアのピッツェリアでは老若男女構わず、直径30~40cmはあるピッツァをナイフとフォークを使いながら、自分が頼んだものを一人で丸ごとたいらげているのが普通で、1枚のピッツァをみんなでシェアするというのはあまり見たことがありません。しかし、イタリアでは最近ちょっとした変化が起きつつあるようです。

 

「GIRO PIZZA 」は直訳すると「回転ピッツァ」

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通常のように、客がメニューを見て注文するスタイルではなく、ウエイトレスが焼きたてのピッツァを片手に、そのピッツァ名を叫びながらテーブルを回って来ます。食べたい場合は、手を上げて1ピースから食べることができ、種類も豊富なので一度に色々な種類のピッツァを味わうことができます。しかも料金は一律10ユーロで食べ放題なので、お客様は色々なメニューに挑戦できます。

 

ラインナップは驚くほど豊富です。ベーシックなマルゲリータはもちろん、高級食材でもある水牛のモッツァレラチーズを使った贅沢なものもあれば、ペペロンチーノや辛いサラミがびっしり詰まった真っ赤な激辛ピッツァ、マシュマロやチョコレート、フルーツ、生クリームなどがのった甘いデザートピッツァもあります。

 

また、玉ねぎと蜂蜜、ジャムとアーティチョーク、フィノッキオ(フェンネルの根の部分)と生ハムとレモンといった、味の想像もつかないような取り合わせのピッツァや、子どもたちに人気の高い、ゆで玉子とフライドポテトとソーセージといった欲張りな組み合わせもあります。さらに、イタリアには各地方のご当地チーズというものがあり、チーズだけでも種類がたくさんあるので、5種類のチーズピッツァなど、とても味わい深くイタリアらしいものもあります。

 

こういう色々なメニューが予告もなく現れるので、レストラン全体がまるで大試食会のようです。「次は何が出てくるのかな」とワクワクしながら待つのも楽しいですし、「えっ!?」と思うメニューでも、食べてみると意外と美味しく病みつきになってしまうものもあるので、臆せず試してみる価値は十分あります。

 

しかも、食べ放題ということで食べ盛りの若者や働く人たちのランチとしても人気があります。その一方、レストランから醸し出される楽しい雰囲気がイベントを盛り上げるちょっとしたアクセントにもなるので、誕生日会や打ち上げ、年末年始のパーティーシーズンには持ってこいです。ピッツァだけでなく、パーティーを盛り上げてくれる花火風ロウソクがついたケーキも予約可能。

 

さらに、専用スタッフが常駐している大型遊具が備えられたキッズコーナーも併設してあり、ファミリーにはうれしい限りです。小さな子どもは食事の途中で飽きたり、ぐずり始めたりするので、親はゆっくり食事を楽しめないことが多いのですが、このキッズコーナーがあれば、大人たちも安心してゆっくりと食事を楽しむことができます。このようなサービスを提供することで家族連れやグループの来客数を増やし、着々と売り上げを伸ばしています。

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客をあっと言わせるようなバリエーション豊富なメニューや、生地を空中で伸ばすデモンストレーションなど、このレストランでは作り手が楽しみながら仕事をしている様子がよく分かります。お客様と働き手が賑やかな空間をともにし、それが売り上げになる。これこそレストラン活性化の1つの好事例と言えるでしょう。

 

このGIRO PIZZAでは平日のランチ以外は飲み物代が別料金になりますが、メニューは一律10ユーロで食べ放題です。普通のイタリアのピッツェリアでは、1枚の価格が平均6~10ユーロくらいであることを考えると、ここはかなりのお得感があります。それに、ピッツァの種類は常時20~30種類あり、新しいメニューも次々と増えているので、常に客の好奇心を引きつけてやみません。ハロウィーンやカーニバルのときは、客も店側も仮装をしたり、色々なサプライズを準備したりするなど、季節ごとに異なるエンターテイメント要素もあるので、「とにかく楽しい」「またみんなで行きたい」という気持ちにさせられます。

 

以前は、お客様がお店に滞在する平均時間は45分といったところでしたが、このGIRO PIZZAメニューにしてから、それが2時間30分に増え、ピッツァ以外の注文が入るようになったり、団体客が圧倒的に増えたりしたそうです。大人も子どもも大満足できるピッツェリアの登場で、イタリアの停滞気味のレストラン業界の風向きが変わり始めています。

「回転寿司」ならぬ「回転ピザ」が誕生! イタリアのピッツェリア業界に新旋風を巻き起こす「GIRO PIZZA」

イタリアといえば、やはりピッツァ! 本場のピッツァは使われている素材が新鮮で、注文を受けてから薪を使った窯で焼いてくれるのでシンプルでも味が生きています。そしてイタリアのピッツェリアでは老若男女構わず、直径30~40cmはあるピッツァをナイフとフォークを使いながら、自分が頼んだものを一人で丸ごとたいらげているのが普通で、1枚のピッツァをみんなでシェアするというのはあまり見たことがありません。しかし、イタリアでは最近ちょっとした変化が起きつつあるようです。

 

「GIRO PIZZA 」は直訳すると「回転ピッツァ」

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通常のように、客がメニューを見て注文するスタイルではなく、ウエイトレスが焼きたてのピッツァを片手に、そのピッツァ名を叫びながらテーブルを回って来ます。食べたい場合は、手を上げて1ピースから食べることができ、種類も豊富なので一度に色々な種類のピッツァを味わうことができます。しかも料金は一律10ユーロで食べ放題なので、お客様は色々なメニューに挑戦できます。

 

ラインナップは驚くほど豊富です。ベーシックなマルゲリータはもちろん、高級食材でもある水牛のモッツァレラチーズを使った贅沢なものもあれば、ペペロンチーノや辛いサラミがびっしり詰まった真っ赤な激辛ピッツァ、マシュマロやチョコレート、フルーツ、生クリームなどがのった甘いデザートピッツァもあります。

 

また、玉ねぎと蜂蜜、ジャムとアーティチョーク、フィノッキオ(フェンネルの根の部分)と生ハムとレモンといった、味の想像もつかないような取り合わせのピッツァや、子どもたちに人気の高い、ゆで玉子とフライドポテトとソーセージといった欲張りな組み合わせもあります。さらに、イタリアには各地方のご当地チーズというものがあり、チーズだけでも種類がたくさんあるので、5種類のチーズピッツァなど、とても味わい深くイタリアらしいものもあります。

 

こういう色々なメニューが予告もなく現れるので、レストラン全体がまるで大試食会のようです。「次は何が出てくるのかな」とワクワクしながら待つのも楽しいですし、「えっ!?」と思うメニューでも、食べてみると意外と美味しく病みつきになってしまうものもあるので、臆せず試してみる価値は十分あります。

 

しかも、食べ放題ということで食べ盛りの若者や働く人たちのランチとしても人気があります。その一方、レストランから醸し出される楽しい雰囲気がイベントを盛り上げるちょっとしたアクセントにもなるので、誕生日会や打ち上げ、年末年始のパーティーシーズンには持ってこいです。ピッツァだけでなく、パーティーを盛り上げてくれる花火風ロウソクがついたケーキも予約可能。

 

さらに、専用スタッフが常駐している大型遊具が備えられたキッズコーナーも併設してあり、ファミリーにはうれしい限りです。小さな子どもは食事の途中で飽きたり、ぐずり始めたりするので、親はゆっくり食事を楽しめないことが多いのですが、このキッズコーナーがあれば、大人たちも安心してゆっくりと食事を楽しむことができます。このようなサービスを提供することで家族連れやグループの来客数を増やし、着々と売り上げを伸ばしています。

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客をあっと言わせるようなバリエーション豊富なメニューや、生地を空中で伸ばすデモンストレーションなど、このレストランでは作り手が楽しみながら仕事をしている様子がよく分かります。お客様と働き手が賑やかな空間をともにし、それが売り上げになる。これこそレストラン活性化の1つの好事例と言えるでしょう。

 

このGIRO PIZZAでは平日のランチ以外は飲み物代が別料金になりますが、メニューは一律10ユーロで食べ放題です。普通のイタリアのピッツェリアでは、1枚の価格が平均6~10ユーロくらいであることを考えると、ここはかなりのお得感があります。それに、ピッツァの種類は常時20~30種類あり、新しいメニューも次々と増えているので、常に客の好奇心を引きつけてやみません。ハロウィーンやカーニバルのときは、客も店側も仮装をしたり、色々なサプライズを準備したりするなど、季節ごとに異なるエンターテイメント要素もあるので、「とにかく楽しい」「またみんなで行きたい」という気持ちにさせられます。

 

以前は、お客様がお店に滞在する平均時間は45分といったところでしたが、このGIRO PIZZAメニューにしてから、それが2時間30分に増え、ピッツァ以外の注文が入るようになったり、団体客が圧倒的に増えたりしたそうです。大人も子どもも大満足できるピッツェリアの登場で、イタリアの停滞気味のレストラン業界の風向きが変わり始めています。

ロシアで「そり」が進化中! シートベルトを搭載で、ただ「座るそり」からクルマのような「乗り物」へ

ロシアは1年の半分以上が雪です。そんな冬にかかせないものといえば「そり」。そり遊びはもちろん、冬の子どもたちの移動手段といえばこれしかありません。特に小さい子供たちは雪で足を取られなかなか前に進めないので、習い事だってなんだって移動はすべてそりを使います。そして最近、そのそりが進化して使いやすくなっているのです。本記事では、現在ロシアで人気急上昇中の最新2機種を紹介します。

 

あらゆる天候に対応する全天候型そり

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そもそも、そりはいつから使われるかご存知でしょうか? なんとなく「雪が降ればすぐに」というイメージかもしれません。しかし、そりは意外にも使用期間が限られているのです。ロシアでは1年の半分以上雪が降っているとはいえ、冬の初めと終わりは天候が安定せず、すぐ雪が溶けてしまうので、そりは使えません。そんな時期も含めて活躍するのが、「全天候型そり」です。

 

この全天候型そりのポイントは、座面の後方についているバーです。これを足で下げるだけで、収納されていた4つの車輪が出てきます。これにより、雪がないアスファルトなどの上はこの車輪で台車のようになるのです。雪がある面に差し掛かったら、後方のバーの隣にある取手を足で押すだけで車輪が収納されるので、1アクションで素早くトランスフォームでき、雪面を進むことができます。

 

この機能のおかげで、いままで完全に雪が積もっているときにしか使えなかったものが、雪が降り始める9月ごろから雪が残っている5月ごろまで、約3倍ほども使用できる期間が長くなりました。このそりの価格は約1800ルーブル(日本円で約3600円)。天候に左右されず、9か月間も使い続けられ、しかも使い勝手が良いと考えると、このそりはお得です。

 

ドライバー気分で乗れる「スノーカート」

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もう1つは雪上のゴーカート、「スノーカート」という商品です。移動にはもちろんのこと、子ども主体でアクティブにそりを楽しむために作られています。

 

ストライダー型のそりで、左右の車輪部分がスキー板のようになっています。前方にはハンドルと連動するもう1つの小さめのスキー板がついています。これによって、坂を滑る間など自分で操縦することが可能になります。自分で握るハンドルはさながらドライバー気分で、移動時はもちろん、特に下り坂でのそり遊びに本領を発揮します。ただ単に「座る」だけというのが従来のそりでしたが、これはまたがって「乗る」というものなのです。大人が引っ張るための紐もついており、平坦な道でもスイスイ進むことができます。

 

さらに、このスノーカートは従来のそりとはまったく異なった座面になっています。そりと言えば座面が硬く、決して座り心地が良いとは言えませんでしたが、こちらにはクッション性があり、座り心地も良くなっています。また座面に人気キャラクターのデザインが印刷され、車体自体のカラーバリエーションも多く、かわいい系からカッコイイ系まで見た目がとにかく魅力的です。こちらの価格は約2000ルーブル(日本円で約4000円)。冬の移動と遊び、両方に活躍してくれます。

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人気の理由はデザイン性だけではありません。安全性も大幅に向上しています。例えば、いままでなかったブレーキ機能が搭載されており、前方中央のツメを足で押せばブレーキに。左右のスキー板部分はが倒しないよう、きちんとバランスを取ってくれます。新開発のそりのなかには、背もたれにシートベルトがついているものもあり、小さい子どもが落ちないようになっているのです。通常のそり以上にアクティブな動きができるスノーカートだからこその安全性への気遣いが、お母さんの心を掴んでいます。

 

子どもが自分で操縦するタイプのそりはこれが初めて。まるで雪上を走るゴーカートのような気分が楽しめます。1歳半ごろから乗せることができ、体重は100キロまでいけるので大人も遊ぶことが可能。接地面であるボードがなめらかに滑っていくので、大人も思わず絶叫してしまうほどの楽しさです。あまり日本人には馴染みがありませんが、最近ではそりを導入するスキー場も出てきているようです。

 

最近では、モスクワ市内も従来型のソリを見ることは少なくなりました。操作性、利便性、デザイン性、そして安全性がすべてアップした新しいそりは、雪とともに暮らすロシア人家族にとって不可欠なアイテムとなりそうです。

午前注文、午後配達では遅い!! 中国で大人気のアプリ「盒马」の配達時間は驚異の最速30分

みなさんは毎日の食材の買い物はどうしていますか? 会社帰りのコンビニは便利だけれど、お弁当にビール、おつまみと買っていたらいつの間にか重い荷物に。しかも、ビニール袋を下げて帰宅しなければなりません。家庭がある方なら、週末にスーパーで買いだめするのがパターンになりがち。せっかくの休みには自分の好きなことをしたり、家族で遊んだりする時間をもっと取りたいと思いませんか?

 

今回ご紹介するのは、思い立ったらすぐに注文ができて、自分の希望する指定時間が細かく設定できる中国のアプリスーパー「盒马」(「カバ」と読む)。帰りの電車のなかでポチっとして、帰宅する頃に自宅で受け取ることだってできるのです。これぞまさに上海のスピード感です。

 

ネットスーパーは日本にも中国にもたくさんありますが、パソコンで注文しなければならないお店が多いですよね。一方、今回ご紹介する盒马は完全スマホ対応。専門のアプリをダウンロードすれば、商品の注文から支払いまですべて手のひら上で完結できてしまいます。中国のアプリなので中国語が必須なのですが、幸い日本人は漢字を理解できますし、商品の写真が見やすい上に注文もしやすく、日本人が好むメーカーの商品も取り扱っているので、上海在住の日本人の利用者も少なくありません。

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ただ「サクッと注文できてしまう手軽さ」なら、きっと他のネットスーパーでも可能なことだと思います。“盒马”はなぜ「絶対的人気」を誇っているのでしょうか?

 

その理由は「スピード」です。友人の最速記録では、注文から自宅に届けられるまでの時間がたったの30分だったそう。注文してちょっと一服していたらすぐに商品が届いたと言うのですから、これには驚かされました。配達エリアギリギリのところに住む私の経験では、注文から到着までおおよそ1時間くらいです。一度配送指定時間を過ぎてしまったことがありますが、指定時間が過ぎる10分前にきちんと電話をくれて、どれくらい遅れそうなのかを教えてくれたので、困ることはありませんでした。配達員の時間意識やお客さんに対する態度も比較的好感を持てました。

 

では、この会社はどのようなシステムでこんなスピーディーな配送を実現しているのでしょうか? とても気になったので実店舗に視察に行って来ました。

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上の写真は、お店の青果売り場と調味料売り場の様子です。どうでしょうか? 商品がとても見やすく、整然と陳列されていますね。これは来店客のためのみならず、従業員が作業をしやすくするために考慮したものなのです。店内数か所にこうした保冷バッグが掛かっている場所があるのですが、注文が入ると店内にいる従業員がスマホとスキャナーを手に、注文を受けた商品を保冷バッグに詰め込み、配送部門に届けるシステムになっています。店内から配送部門への移動は、天井に設置されたレールを通じた画期的なシステムになっており、店内を回っている時に商品たちが頭上を移動する姿を何度も見かけました。

 

店内だけでなく店外もスムーズな配送を考慮した設計になっています。配送部門に届けられた商品は、検品と同時に専用の発泡スチロールケースに移し替えられ、配達員の電動バイクに乗せられます。入居するビルと何度も交渉したのではと見受けられる、専用の出入りスロープが設けられていて、交差点で信号待ちをしている間だけでも、7台のバイクが商品を乗せてスロープから上がって来ていました。

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実店舗の視察では、これまでのスーパーでは見ることがなかった様々な工夫が店内外のあちらこちらで垣間見ることができました。そのような創意工夫と最新ネットワーク技術の組み合わせで、最速30分で届けられるシステムが実現しているのですね。盒马があれば前日に注文を忘れてしまっても大丈夫ですし、早く食事の支度に取りかかりたいときに、いつ商品が届くのか待ちぼうけになることもありません。

 

これから盒马は小売革命を起こしていくのでしょうか? 中国各地にどんどん広がりつつあるこのサービスから目が離せません。

「以大为美」の中国人がハマった! 豪華客船で行く中国人向け「福岡・長崎観光クルーズ」に潜入

流行語大賞にも選ばれた中国人旅行客の大量購入を意味する「爆買い」。最近は落ち着いた感があるものの、日本を訪問する中国人旅行客は年々増え続け、インバウンド消費を後支えしています。中国人の訪日経路も多様化し、最近では道中における「モノ」や「コト」が楽しめる豪華客船による訪日ツアーも人気を集めています。その人気はどこにあるのでしょうか?

 

「大きい、多い」好きの中国人の心をくすぐった巨大豪華客船クルーズ

中国語に「以大为美(大をもって美とする)」という言葉があるのですが、「大きい」、「多い」ことは中国人にとっては「美しい」、つまり良いことだとの認識があります。「美」という字は「羊」が「大」きいと書きますよね? 長い歴史の中で中国人の国民気質として知らずのうちに培われてきたのでしょう。

 

そんな中国人たちの心をくすぐったのが、巨大豪華客船クルーズです。豪華客船はまさに動く大きなホテル。船が大きいので揺れも少なく、ホテルステイにミニ観光旅行が付帯されているので、一挙「多」得で楽しめることが中国人の人気を集めています。

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豪華客船クルーズのなかでも人気が高いのは、1週間程度で行き来できる日本行き。中国では夫婦共働きが一般的で、日ごろ自分の親世代に子どもの面倒を見てもらっている人が多いのですが、1週間程度であれば一方的な負担がかかりにくく、気軽に出かけやすいのです。

 

また、インバウンド消費の底堅さからもご存知のとおり、品質が良いと評判の日本製品を日本の免税ショップで買い物できる点も人気を後押ししています。

 

今回は日ごろお世話になっている義両親に楽しい時間を過ごしてもらおうと、「喜悦号」福岡・長崎観光ツアーをプレゼントしました。

 

義両親が乗った「喜悦号」はドイツ製造の豪華客船で、2017年に入水したばかりです。ドイツ製だからなのか、精緻な内装がとても印象的だったようでお義母さんは何度も絶賛していました。上海に自宅がある私たちですが、中国の住宅やホテルは内装が比較的大雑把で細かなところの後処理があまり施されていないことが多いのです。「喜悦号」は船内のどこもかしこも丁寧に施工されていて、大変心地良かったとのことでした。

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上の写真はこの船の模型。最大で4930人が乗船できる大きな客船です。果てしなく長い廊下からも船の規模と大きさがお解りになるかと思います。

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船内の施設には遊園地、プール、ジム、エステ、映画館、カラオケ、各種ショーが楽しめるステージ、カジノなどがあり、老若男女すべての世代の乗客が楽しめるコンテンツがたくさん用意されています。

 

遊びも豊富なら、食事も多彩なラインナップ。中国人に一番人気なのは、やはり食べ放題のブッフェ。早く行かないと人気のメニューはすぐに品切れになってしまうのだとか。

 

ブッフェ以外にもフランス料理やステーキハウスといった高級レストランも備えられています。別料金にはなりますが、こちらならおかず争奪戦にならず、優雅に食事を楽しむことができます。

 

今回の船旅では、長崎と福岡の市内観光が付帯されています。これまで私の義両親は何度か日本を訪れているのですが、地形や建物に特徴のある長崎はこれまで彼らが見たことのある日本とは一風変わった雰囲気が味わえるので、ぜひとも観光してもらいたい場所でした。家に帰った両親に早速長崎の感想を聞いてみたところ、オランダ坂が特に印象に残ったとのこと。長崎新地中華街で食べた長崎ちゃんぽんの味も格別だったそうです。

 

上海と九州を往復する船上での非日常生活と長崎、福岡の市内観光が付いた5泊6日の旅。これで当時3000元(約5万2000円)です。上海から飛行機の往復運賃だけでも2000~3000元かかりますから、運賃も含め、食も遊びも存分に満喫できてこの価格なら、上海人たちに人気なのも納得ですね。利用者のなかには豪華客船クルーズにハマってしまった人たちもいるようで、数回目の船旅だった人もいたそうです。同じ船旅でも行き先を変えれば、また新しい楽しみや思い出を増やせるというのも観光クルーズの良い所ですね。

 

「保育園の連絡帳」はスマホの時代へ! 子どもの1日の活動を見える化する「Brightwheel」

毎日の保育園の連絡帳は共働き家庭ではちょっと重荷ですよね。細かなお願いごとも、朝のバタバタで先生に伝えるのを忘れてしまうこともよくあります。日本の保育園では連絡帳をスマホで管理する動きが広がっているということもあり、「このデジタル時代に手書きで記入しなきゃならないの?」とついつい思ってしまいます。

 

でも親が一番気になるのは、保育園で一日のほとんどを過ごしている子どもの様子。そこで、アメリカのデイケア(保育園)はあるテクノロジーを導入しています。

 

「Brightwheel」というアプリがあれば、先生とのやりとりをスマホのメッセージで送ったり、おやつやお弁当を食べた量、お昼寝の時間、トイレに行った回数まで、保育園での様子が全部分かるのです。

 

便利な機能を搭載した「Brightwheel」

本アプリには便利な機能がいくつかあります。まずは「デイリーアップデート」。入園から退園まで子どもが何をしていたのかがリアルタイムに分かります。例えば、朝のスナックや昼のランチはどのぐらい食べたか、オムツを替えた時間、お昼寝の時間などです。筆者の息子はちょうどオムツ外しの時期なので、オムツ替えとトイレに行ったときとの違いが見られるのが嬉しいところ。

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「写真が届く」機能もあり、日常の様子が写真でも送られてきます。イースターでエッグハントをしたときやサンクスギビング、クリスマスパーティー、粘土遊びなど、様々な写真を見ることが可能。以前通っていたデイケアでは、息子に「今日は何したの?」と聞いてもまだ上手く話せないこともあり、なかなかデイケアでの様子を知ることはできませんでしたが、スマホで写真を見せながら、「今日はこんなことをしたんだね。水遊びはどうだった?」と具体的に聞くことで、感想を教えてくれるようになりました。

 

「先生とのコミュニケーション」も役に立ちます。朝、連絡帳で伝え忘れてしまったことや気になることなど、ほんの些細なことでも先生とスマホで気軽に連絡が取れます。デイケアに通い始めの頃、いつも涙なしにはお別れできなかった息子ですが、10分後には先生から「もう泣き止んでお友達と楽しそうに過ごしているので安心してくださいね」と写真付きで送られてきたのでとても安心できました。「お昼寝中に咳が出ていた」「明日はプールの日だから用意を忘れずに」など細かな連絡がスマホでいつでも確認できるので便利です。

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「離れた親とシェア」も私のお気に入り。これを使えば、祖父母が日本にいながらアメリカに住む孫の様子が毎日分かるのです。息子がデイケアに通うようになってから私も仕事を始めたので、日本に住む両親には息子の写真や様子を毎日事細かに伝えるのはなかなかできなくなりました。

 

しかし、このアプリはログイン情報を共有すれば、離れて住む家族も見ることができます。両親からは「今日のパーティーは楽しそうだったね」「トイレトレーニング頑張っているね」など、アプリを見て連絡が来るようになりました。

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「デイケアの保育料もアプリで管理」という機能(オプション)もあります。クレジットカードを事前に登録すれば、保育料を自動的に支払うことができ、そのお知らせと明細がアプリを通して見ることができます。

 

アメリカでは、2月に「Tax back」といって日本でいう確定申告のようなものがあります。保育料はこのtax backでほぼ全額戻ってきますが、その申請には保育料を支払った明細が必要となります。アプリで送られてきた明細をこれに使うことができるので、デイケアも親も時間と手間の節約に役立っています。

 

ヘリコプターペアレントにとっては鬼に金棒

子どものデイケアでの様子を、保育士や子ども、家族、離れて住む両親といつでも「シェア」できることが「Brightwheel」の一番便利なところ。すべての情報をスマホで管理できるので、いつでもどこでも簡単に確認することができます。また、病気や災害などの緊急時の連絡も取りやすく、保育士と親の関係を深めるというメリットも付け加えておくべきでしょう。

 

その反面、「子どもを監視しているようで気持ち悪い」「手書きの連絡帳やお便りのほうが温かみがあって良い」などと思う方もいるでしょう。しかし、とにかく手間を省いて時間を節約したいと思う親や、子どもの教育に過剰なほど介入する「ヘリコプターペアレント」がたくさんいることを考えると、現代のアメリカでは「Brightwheel」のようなデジタルが選ばれるのかもしれません。

 

【雪合戦革命】ロシアの雪遊びを変えた「スノーボールメーカー」の魅力

冬になれば一面銀世界のロシア。子どもの雪遊びのなかでも不動の人気はやはり雪合戦です。しかし、スノーボールを作っていると、遊びが始まる前に子どもの手はかじかんでしまって遊びどころではないこともしばしばあります。

 

また、2~3歳の子どもはまだ手が小さくてうまくスノーボールを自分で作れません。毎回、親にスノーボールを作ってほしいとせがみに来るのですが、親も極寒のなかで手袋をベタベタにしながら作りたくないのが本音。

 

ところが、ここロシアではそのような悩みを解決する道具が3年前に登場して、子どもたちから絶大な人気を誇っています。それは、ぎゅっとはさむだけでスノーボールが作れる「スノーボールメーカー」です。

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ロシアでは公園に行けば、いまやほとんどの子どもが持っているといっても過言ではないこのスノーボールメーカー。ロシアの冬の外遊びに欠かせない本製品はプラスチック製で、はさみのようになっており、先端はスノーボールを作るために球状になっています。

 

筆者のマイ・スノーボールメーカーの重さを測ってみたところ90グラムと、携帯電話よりも軽く、小さい子どもでも取っ手部分を握って自分で簡単に持ち歩くことが可能です。また、スノーボールの作り方も、雪を挟むだけというもので、子どもの弱い力でも簡単にスノーボールが作れ、手がかじかむのを防いでくれます。

 

このスノーボールメーカーで目を引くのは、売り場や公園で目立つ鮮やかなビタミンカラーです。ロシアでは冬の間、日照時間が極端に短く、一日中グレー色の空が広がるのですが、見ているだけで元気になるような色とりどりのビタミンカラーの本体はとても目立ちます。色は青、緑、ピンク、黄色、赤などがあり、最近では片方ずつ異なった色のカスタム商品もでているそうです。また、先端の部分の形も丸だけではなく、お花やミニオンなど様々な形が作れるシリーズも出てきています。

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スノーボール1個を作るのにかかる時間はなんと2秒。その間手が雪に触れることはまったくありません。短時間でたくさん作れるので、スノーボールを積み木にしたり、並べてボーリングしたりするなど、アイデア次第で新しい遊びが可能となりました。スノーボールを作るために開発された商品ですが、筆者の家では土遊びでも使っています。少し湿った土が必要ですが、挟むだけでとてもよい泥団子ができるので、子どもたちは一年中スノーボールメーカーを手放しません。

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さらに特筆すべきは、1個あたり100~200ルーブル(日本円で200~400円)というリーズナブルな価格です。筆者には子どもが2人いますが、1つずつ買ってあげてもいいかなと思えるほどです。その手ごろな価格ゆえ、ロシアの子ども1人につき1個は間違いなく買っているのではないかというほど普及し、外遊びの際このスノーボールメーカーを見ない日はないといってもいいほどです。

 

筆者の家では、玄関先にいつもこのスノーボールメーカーを置いて、いつでも持ち出せるようにしています。ふわふわのパウダースノーにスノーボールメーカーを差し込んで、雪をすくっていくのはさながらアイスクリーム屋さんのよう。雪合戦はもちろん、アイスクリーム屋さんなどのおままごとをしたり、積み木のように積んで、誰がどれだけ積めるかなどを競争したりしています。

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こちらは、友人が教えてくれた、スノーボールで囲ってキャンドルを灯したもの。これはロマンチックなアイデアで大人も楽しめそうです。シンプルだけれどもアイデア次第で広がりがあるこのスノーボールメーカーは子どもたちだけではなく大人も魅了しそうです。

 

雪国ならではの困りごとをシンプルに解決したスノーボールメーカーは、ちょっとした発想の転換で子どもの雪遊びシーンを大きく変えました。日本ではなじみがないスノーボールメーカーですが、北国やスキー場などで子どもたちの心をつかむための玩具として活躍してくれそうです。

「スライム」がマレーシアで大流行中!! 女子中高生を夢中にさせるワケは?

原色や蛍光色などの派手な色合いと、なんとも言えない触感で知られる「スライム」。子ども時代にこの玩具で遊んだことがある人も多いかと思いますが、そのスライムがなぜかいま、世界中でブームになっているのをご存知でしょうか。筆者が住むマレーシアでも女子中高生を中心に子どもから大人まで大人気なのです。

 

なぜここまで盛り上がっているのでしょうか。その人気の秘密はソーシャルメディアにありました。

 

まるでスイーツ! 手作りスライムのクオリティがすごい

スライムブームのポイントは自分で”調合(カスタマイズ)”すること。色、質感、香りなどを自分好みに選んで、オリジナルの手作りスライムをソーシャルメディアにアップすることが爆発的に流行しているのです。Instagramを見てみると、「インスタ映え」する画像や動画がたくさんアップされています。

 

もう一つの人気の秘密は、自分だけの調合をすることで、世界に1つだけのオリジナル作品を生み出せること。これは「レシピ」と呼ばれることが多く、実際にその見た目の効果もあるせいか、料理やスイーツのような雰囲気も醸し出しています。

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スライムの作り方や材料は、以下の材料を混ぜるだけ。ちょっとした化学実験のようでもあり、身近なもので簡単に作れるようです。

 

・フラバー(Flubber):お店で売っているドロっとしたもの

・フラッフィー(Fluffy):ふわっとしたホイップクリーム状のもの

・ボラックス(Borax):定番の鉱物のホウ砂が使われているもの

 

(※スライムを作るときに化学物質を使うことで皮膚にやけどを負ったりする事例が一部報告されているので十分に注意してください。ケミカルフリーのレシピなどもあります)

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なかにラメやグリッターなどを入れたり、色を工夫したりすることによって、カラフルでキュートな自分だけのスライムを作ることができるのです。

 

最近では、人気が出たオリジナルのスライムを販売するビジネスまでも登場し、注目されています。これもソーシャルメディアでいかに目立つかが鍵となっています。

 

色鮮やかだったり、幻想的だったり、アップされた写真はまさに「インスタ映え」しています。#slimemalaysiaにもマレーシアの手作りスライマーの作品が既に2万5000点以上もアップされており、毎日増え続けています。

 

女子中高生のストレス解消アイテムとして定番化!?

女子中高生の間でスライムが人気となっている理由にはストレス解消が挙げられます。マレーシアはゆったりのんびりしている南国のイメージがありますが、やはり学生は勉強のプレッシャーを感じています。また、安全面を考えると子ども同士で遊びに行くということはありません。手作りスライムはそんな学生たちが家で1人でも楽しめるという点でも支持されているのです。

 

ソーシャルメディアにアップして「いいね」をもらえば、自己肯定感も高まるため、スライムにハマっていくということもあるかもしれません。自分だけのオリジナルスライムを作り、デコったり、デザインを考えたりすることが楽しいのはもちろん、材料を混ぜているときや完成したスライムを触っていると「癒される」のだそうです。手作りスライムがマレーシアだけではなく世界で人気を博しているのは、この辺りにもヒントがあるのかもしれませんね。

自宅のセキュリティーカメラの映像までもシェア!! 「Streety」がコミュニティーの安全対策を変える

アメリカではUberやLyftといった、自家用車を使ってタクシーのように人々を運搬するシステムが爆発的に普及しました。日本でもAirbnbなどの民泊システムは本格化しつつありますよね。このように一般ユーザー同士が提供できるモノやサービスをニーズとマッチングさせるシェアリングエコノミーは今後ますます拡大することが予想されます。

 

そんななか、近隣コミュニティー内でセキュリティーの映像をシェアすることができるようになる無料アプリ「Streety」が新しい発想で注目を集めています。

 

小型で安価なカメラとセキュリティーアプリのおかげで、自宅の玄関先や庭先を録画している一般家庭が増えてきました。今年のCESで発表されたStreetyを使うと、自分が設置したカメラの映像だけでなく、近所の家が設置したカメラの映像を簡単にリクエストできるのです。

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もちろん、自分のカメラの映像が勝手に他人によって見られるわけではありません。アプリを利用するためには、自分の住所を証明して登録する必要があります。それが承認されて初めて近所でStreetyを使っているユーザーのカメラが撮影した映像をリクエストできるようになるわけです。

 

本アプリは同じ地域に住んでいる人だけが使えて、共有する映像には毎回承認が必要となっています。下のビデオでは「うちの前の郵便ポストが倒れているんだけど、道路側の映像をチェックさせて」という具合に自宅周辺のユーザーにリクエストを送る様子が見られます。そうすると、何が起きて郵便ポストが倒れたのかが確認できるわけです。

デフォルトではユーザー同士は匿名表示になっており、持ち主の名前や住所といった個人情報は公開されません。アプリ上で「ハンドシェイク」と呼ばれる挨拶をお互いに交わせば、コミュニケーションを取ることができます。SNSで友達申請をするのと同じ仕組みですね。

 

そこから必要な時に「『公園で遊んでくる』と言っていた子どもがいまどこにいるか分からないんだけど、お宅のカメラから公園が見える映像を2時間分チェックさせてくれない?」とリクエストを送るわけです。見られても困らないものだけ他のユーザーに見せられるので安心ですね。

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子どもがいる家庭が多い地域で本アプリを使えば、協力して不審者等を見張ることができる一方、日中は家を空けている家庭が多い地域では、空き巣対策の強化にも繋がりそうです。「別の角度からの映像があれば空き巣犯の顔がわかったのに」「子どもに声をかけているこの不審者は、自分のカメラだけだとどこから現れたのかが分からない」といったこともなくなるかもしれません。

 

今年3月からダウンロードが開始されるStreetyは、最初は北米のみで利用可能とのこと。スマートホームメーカーのVivint Smart Homeによる開発ですが、同社のサービス利用者でなくても利用できるそうです。

 

同社は、本アプリによって公園で遊ぶ子どもたちのチェックや宅配便の窃盗、車による塀や郵便ポストなどの破損など、近隣コミュニティ全体でセキュリティを強化できると述べています。

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Streetyはコミュニティーの強化を目標としています。テクノロジーの発展で人と人との関係が薄れてしまうということがよく指摘されますが、このアプリはプライバシーを守りつつ、逆にコミュニティー内でのコラボレーションを助けてくれそうです。

 

セキュリティーカメラの映像を近隣住民でシェアするという斬新な発想がどこまで広がるのか。今後の展開を注視しましょう。

家探しのアテンドは人からロボットへ! 物件見学に新風を巻き起こす「ZENPLACE」のメリット&デメリット

買うにしても借りるにしても、自分が住みたいと思う物件を見つけるのは大変ですよね。いろいろな物件を見て回って、自分の条件を満たしているかどうか冷静に考えることが大事ということは分かっていても、忙しい日々のなかでは下見の予約を入れるだけでも一苦労です。特に東京やニューヨーク、サンフランシスコといった人口が密集している大都市では物件も不動産業者も多種多様で、いったいどこから始めればいいのか困ってしまう人も多いのではないでしょうか。

 

そんななか、アメリカではロボットを使って物件の下見を行っている不動産業界のスタートアップ「ZENPLACE」が注目を集めています。利用者が候補の物件を訪れると、人間ではなくスクリーンのついたロボットが迎えてくれるというシステム。スクリーンには不動産業者の担当者が映し出され、ビデオでつながっているので、質問があれば、いつでもコミュニケーションが取れるのですね。

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不動産業者からすると、本製品を使えば担当者が物件見学に同行しなくても済むので、アポイントメントもフレキシブルに受け付けることができます。

 

夫婦やカップルで下見をしたことがある人は予約を取るだけでも何回もやりとりを繰り返す、と言う苦い思いを経験したことがあるのではないでしょうか。ちょうど両方の時間の都合がつく時でも不動産側の都合がつかなかったり、不動産会社から提案された時間帯だと1人しか行けなかったり……考えるだけで頭が痛くなります。

 

ZENPLACEはすでにベイエリアで数百台のロボットを運用しているとのこと。これによって担当者たちのスケジュール管理が大幅に効率化されたそうです。CEOのメワワーラさんは海外メディアに対し、「物件購入や賃貸は、Uberでタクシーの予約をするのと同じくらい簡単になるべきだ」と語っています。地元メディアMercury NewsにZENPLACEが語ったところによると、このロボットの導入によって、担当者1人で1日に15〜20件の下見対応ができるようになったそうです。

上のビデオをご覧いただければ分かるように、物件検討のいろいろなプロセスが効率化されていることがわかります。訪問時には近辺の平均家賃や間取り、近所の公園の写真などをスクリーンで確認することができるとのこと。物件が気にいった場合、その場で申し込み手続きをしてしまうこともできます。

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不動産業者の担当者が現地に来るわけではないので、じっくりと時間をかけて見学したり、一度見た場所をもう一度見たりすることも気軽にできるようになります。アポイントメントの取りやすさや気軽さという点で、消費者にとってもありがたいサービスではないでしょうか。

 

もちろん担当者と実際に会って話さないと信頼できないという方もいるでしょう。そういう方にとって、このロボットの対応は不満かもしれません。ロボットはモーターで動いているようなので、2階建ての物件の場合はもしかしたら訪問者がロボットを持ち上げないといけないのではないかという疑問も浮かびます。

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自分が借りる側ではなく物件のオーナーとして貸す側になったと想像してみると、やはり不安は大きいかもしれません。入居者が本当に信頼できる人物かどうか、仲介業者にしっかり確かめてほしいと思う方は多いでしょう。このシステムを使うことで対面コミュニケーションが減ってしまうことには、そういったデメリットが存在しているかもしれません。

 

ZENPLACEはマシーンラーニングを使って、AIが建物や設備のメンテナンス、故障を予測するというサービスも管理者に提供しています。「この物件の食器洗い機は数か月以内に修理が必要になります」といった通知を受け取ることができるようです。トラブルが起きる前に設備修理などを行うことで、問題を未然に防ぐことができるわけですね。

 

さらには専用のアプリやAmazon Echo、Google Homeを使って、家賃の支払いや光熱費の管理、問題の報告をすることもできるそう。こういう観点でのスマートホームは新しいですね。

 

ロボットによる下見対応は、確かに物件見学のスケジューリングに関する問題を解決してくれそうです。ロボット大国日本にも導入できそうですが、はたしてサンフランシスコ以外の大都市にもこういったサービスは広がるのでしょうか。注目です。

洗濯機業界に旋風を巻き起こすか? 環境性能の高さに世界が期待するXerosの「ポリマービーズ式洗濯マシン」

昨今の洗濯機はテクノロジーの進化によって、どんどん高性能かつ省エネになり、さらに節水もできるようになってきています。しかしその原理上、どうしてもたくさんの水と熱、洗剤が必要。ホテルなどで大量の洗濯を行う場合、コストも環境負荷も非常に大きくなってしまいます。

 

そんな問題を解決するため、数年前からヒルトンやハイアットなど海外の有名ホテルを中心に少しずつ広まりつつある新しいタイプの業務用洗濯機があります。それは少量の水と洗剤、そして再利用可能な大量のポリマービーズを使って洗濯をするというもの。その代表的なメーカーがイギリスの「Xeros」で、ポリマービーズ式洗濯機の製造・販売・リース契約を展開しています。

 

同社による下記の紹介ビデオでは、「100万の手」というタイトルがつけられています。大量の細かいビーズが手で揉み洗うかのように汚れを取ってくれるという意味のようです。

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このビーズの働きは3段階に渡ります。ビーズはナイロン素材でできており、ドラム内を動き回ることで衣服についた汚れを浮かすことを助けてくれます。また、極性を持ったビーズの正の帯電と負の帯電が様々な種類の汚れを引きつけるとのこと。そして素材の性質上、水に濡れると低い温度でも多孔性(細かい穴の空いた性質)が高まるため、衣服から汚れをビーズの構造内に取り込むことができ、高温の水を必要としないそうです。

細かい大量のビーズで洗濯と聞くと、服やシーツの中にビーズがたくさん隠れて残ってしまうのではないかと不安になってしまいそうです。が、ビーズは専用の引き出しからドラムの中に投入され、また引き出しの中へ戻る設計になっているとのこと。同じビーズは数百回洗濯に再利用できるそうです。

 

洗顔料や歯磨き粉に含まれるマイクロビーズが自然界に流れ出て環境汚染を起こしているというニュースも最近よく聞くようになりました。Xerosのポリマービーズは毎回すべて回収されるので、そのような点でも安心ですね。

ホテルのマネージャーたちは、節水や省エネだけでなく「(従来の洗濯機よりも)洗濯されたリネンがフレッシュで、綺麗で香りが良く、しかもソフトだ」と絶賛しています。特に洗濯物の手触りが全然違うと顧客から感想が届いているようです。

 

世界最大級の家電見本市であるCESでは今年、Xerosが「一般家庭向けの商品にも取り組む」と発表されました。同社の業務用の洗濯機を小型化して販売するのではなく、ドラム部分を一般の洗濯機メーカーに導入してもらうように計画中とのことで、2年以内に一般家庭への提供が予定されています。もしかしたら日本の大手ブランドからポリマービーズ式の洗濯機が発売されたりするかもしれませんね。

 

Xerosのもうひとつの技術――25万のマイクロ繊維による環境汚染を防ぐ「XFiltra」

ポリマービーズは交換が必要ですので、一般家庭に普及するためには課題がいくつかあるでしょう。しかしXerosは今年のCESでもう1つ新しいテクノロジーを披露しています。それが「XFiltra」。これは洗濯機の排水に含まれる微小の合成繊維をキャッチする仕組みです。

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Xerosのプレスリリースによると、ヨガパンツやフリース、シャツといった私たちが日常着る衣服の60%は合成繊維を含んでいるそうです。見た目や手触りといった点で品質を向上させてくれる合成繊維ですが、その一方で環境への負荷が指摘されています。フリースのジャケットを1回洗うたびに25万のマイクロ繊維が取り除かれ、とても小さい物質のため、その繊維は浄水施設も通過し、川や湖、海へ流れてしまっているという研究結果が2016年に出ています。XFiltraはこの繊維を排水として流さないための技術となっているのです。

 

XerosはXFiltraの一般家庭向けの洗濯機への導入も計画しているとのこと。環境に優しい、このようなテクノロジーはどんどん普及してほしいものです。

 

 

親指の爪に付いているこれは何だ!? ロレアルが生み出した最新紫外線センサー「UV Sense」

頭脳に直接ケーブルをつないだり、皮膚に埋め込まれた半導体にアクセスをしたり、SF映画では人体とコンピューターが限りなく融合された姿が描かれてきました。そんな近未来のファンタジーにどんどん現実が近づいていると実感させられるプロダクトがロレアルによって発表されました。

 

それは親指の爪の上に乗るサイズの極薄の紫外線センサー「UV Sense」です。

 

画像を見ていただくとわかりますが、厚さはなんと2ミリ以下。直径9ミリのUVセンスは装着していることを忘れてしまいそうなウェアラブルになっています。バッテリーを持たないからこそ可能な脅威のサイズです。

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テクノロジーの小型化でウェアラブルはかなり小さなものになってきましたが、身に付けていることを忘れさせてくれるものはなかなかありませんよね。

 

ユーザーの皮膚が浴びている紫外線量データを3か月分保存できる性能を持っているとのこと。爪の上にマニキュアのように装着し、2週間連続して使用することができるそうです。

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紫外線のデータは近距離無線通信(NFC)によってユーザーのスマートフォンに常に送信されます。アプリを通して紫外線量をチェックすることはもちろん、紫外線から自分の皮膚を守るためのアドバイスや豆知識なども提供されます。

 

紫外線が人体に与えるダメージについては広く知られるようになりましたが、実際に自分の生活圏や旅行先でどれほど紫外線を浴びているかはあまり分かっていませんよね。UV Senseはスマホに取り付けるデバイスではないので、わざわざ太陽光にさらすといった手間も必要なし。気軽に使えるので、とりあえず装着してみるかという気になります。

 

よりカジュアルなMy UV Patch

一方、ロレアルは2年前に発表した紫外線センサー「My UV Patch」の新バージョンも発表しました。UV Senseよりもさらにカジュアルに使えるデザインになっています。

本製品は従来のハート型から幾何学模様になっており、日常の服装にもうまくブレンドしそうです。大人のユーザーにとってはありがたい改善ではないでしょうか。

 

My UV Patchは紫外線に反応して色を変えるため、気になった時にパッチを見るだけで紫外線の強さを確認できます。パッチを装着したまま寝たりシャワーを浴びたり水泳をしたりしても大丈夫。おまけに日焼け止めを上から塗ることも可能ですが、UV Senseと違って、数日間しかもちません。

 

専用のアプリを使ってパッチをスキャンすれば、皮膚のタイプやロケーション、紫外線量を読み取ってくれます。そのデータが特別なアルゴリズムによって分析され、日焼け止めをいつ塗るべきか、どのような日差し対策をするべきかといったアドバイスを教えてくれるそうです。

 

My UV Patchのユーザーが参加した研究によると、利用者の34%はMy UV Patchのおかげで日焼け止めをより頻繁に塗るようになった一方、37%は直射日光ではなく日陰の中に入るようになったと報告しています。こういったデータを知ると、本製品は良い習慣を身に付けるきっかけになりそうですね。

 

さらに、この研究によって消費者がより小さく、より長く装着できて、その上リアルタイムでデータをチェックできるウェアラブルを求めていることも分かったそうです。これを受けてUV Senseは開発されたわけですね。納得です。

 

自分の日常生活における紫外線量をチェックするためにはUV Senseを、スマートフォンをあまりチェックしたくない短期の旅行先ではMy UV Patchといった具合に使い分けることができそうです。

 

発売時期や価格はどちらも未発表ですが、2018年後半にはマーケットに送り出される予定とのこと。2019年の夏からはデータに基づいた賢い紫外線対策ができそうですね。

あの「BlackBerry」はいま? 来るコネクテッドカーの時代に向けセキュリティーソフト企業へ変身していた

巷は自動運転車やコネクテッドカーの話題で持ちきり。一方でインターネットにつながっているがゆえセキュリティーリスクが懸念されています。仮に自動車がハッキングされて暴走すれば命に関わる惨事となりかねません。自動車メーカーは自動運転車やコネクテッドカーがハッキングされることを防止するためのセキュリティーリスク対策に力を入れ始めています。

 

そのキープレイヤーとして意外な企業の活躍が見られます。それは「BlackBerry」です。

 

同社はスマホ黎明期に多くの人が使用していたBlackBerryの製造・販売メーカー。2011年以降、スマホ市場の競争激化によりシェアを失い、2016年9月、BlackBerryはスマホの製造から撤退することを発表していました(BlacKBerryブランドのOEM提供は現在も実施)。

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そのBlackBerryが現在どうなっているかと言うと、同社の強みを生かしながらソフトウェア・セキュリティー対策事業に力を注いでいます。今年1月17日に東京で開催された自動車業界の最新技術の展示会「オートモーティブワールド2018」に登壇。自動運転車やコネクテッドカー向けサイバーセキュリティーソフト「Jarvis(ジャービス)」を日本で初公開しました。

 

自動車業界で高まるセキュリティーリスクに対する懸念に応える形です。

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実際、2015年にセキュリティー対策エンジニアのチャーリー・ミラー(Charlie Miller)氏とクリス・ヴァラセク(Chris Valasek)氏が実験で走行中のジープ「チェロキー」をハッキングし遠隔操作することに成功しています。これは、「チェロキー」のスマートフォンとWi-Fi接続し、リモートでエンジンの始動、車両追跡ができる機能の脆弱性を狙ったもの。外部からWi-Fi接続し不正プログラムを車両に送り込むことでハッキングしたのです。

 

このハッキング事例は自動運転車やコネクテッドカーの脆弱性を示しています。

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BlackBerryのジャービスは自動運転車やコネクテッドカー時代にどのような役割を果たすのでしょうか。自動車メーカーの製造段階からハッカーが不正プログラムを車両に送り込むことを画策することすら考えられます。そこで、まずジャービスは自動車メーカーがソフトウェアを車両に組み込む前のソフトウェアに欠陥がないか診断。メーカーはジャービスをクラウドベースで使用できるそうです。

 

既にジャガー・ランドローバーをはじめ複数の自動車メーカーで使用テストを実施中。ジャガー・ランドローバーCEOのDr Ralf Speth氏によると、30日間かかっていたセキュリティー診断が7分まで短縮されたそうです。

 

もともとBlackBerryのスマホはビジネスパーソンの間で「ウイルス感染しない」と言われ、セキュリティーの高さに定評がありました。BlackBerryは長年培ってきた汎用性あるセキュリティー対策技術を、自動車のみならず輸送や医療などの人命に関わる領域に活かしていく予定です。

カーネルおじさんもバブルに乗った! ケンタッキーがビットコイン決済可のフライドチキンセットを販売

世の中はビットコインの話題で持ちきり。

 

企業サイドにもビットコインの影響が及び始めています。去年、ビックカメラ店舗でビットコイン決済が可能になったのが話題となりましたが、そのほかにも企業は自社の商品・サービス代の決済にビットコインを徐々に使用し始めている模様。そして、今年1月にはあのケンタッキーもビットコインでの決済を導入したというニュースが飛び込んできました。

 

ケンタッキーカナダが自社ECサイトでビットコインで購入できるセットの「ビットコインバケット(The Bitcoin Bucket)」を販売しました(現在売り切れ中)。

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「ビットコインバケット」には20カナダドル相当の10個のチキン、ワッフルフライ、ミディアムサイド、グレイビーソース、2つのディップが詰められているとのこと。ECサイトで購入すると、1月12~19日の間で好きな日にちと時間を選び、配達してもらえるというものでした。

 

ビットコインでの決済はケンタッキーが提携しているビットコインウォレット「Bitpay」を通して可能です。決済にはビットコインのリアルタイムのレートが反映されます。

 

しかし、ECサイトには「ビットコインの値段は変動するけれど、カーネルサンダーの秘伝のレシピはずっと一緒」という言葉も。

 

ケンタッキーカナダのTwitterアカウントではこんなツイートが。

 

「ケンタッキーカナダがビットコインバケットを発表します。私たちはビットコインが一体何なのか、どんな役割を果たすのか正確には把握できていません。でも、ビットコインはチキンの油がついた指をなめたくなるほど美味しいチキンを食べるのを邪魔したりしませんよ」と親近感の湧くツイートです。

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人々の反応はどうでしょうか。Twitter上では多くの人がこのビットコインバケットについてツイートしています。

 

「KFCにビットコインを渡さないとね。トレンドにうまく乗ったマーケティング施策だね」

 

その一方、「ジャンクフードがジャンクマネーに出会った」と少しネガティブな意見も出ています。

 

一番目のツイートの通り、今回の「ビットコインバケット」は決済としてのビットコインよりもビットコインを話題にしたマーケティング施策としての色が強そうです。いずれにしても、ビットコインはますます盛り上がっていきそうなことを予感させます。ケンタッキーカナダのような取り組みは今後もあちこちで見られるでしょう。

自転車はロシアでもう古い? キックスケーターの進化系が「バターの上を滑っているようだ」と大人気

世界一大きい国ロシア。当地では、距離の感覚が日本人とはまったく違います。ロシア人の感覚でいう「徒歩圏内」は日本人の感覚からすると徒歩圏内ではないことが多々。たとえば、以前に駅近と紹介されたアパートは実際には駅から徒歩25分の距離にあったことがあります。ロシア人との感覚の違いをひしひしと感じた出来事でした。

 

そんな徒歩圏内の感覚が広いロシアで、筆者が自転車の購入を検討する際に知ったのが大人用キックスクーター(またはキックスケーター)。最近、自転車を上回る勢いで普及しているというのです。子どもの遊び道具だったキックスクーターが進化して、大人にとっても便利な形で進化しているそう。

 

調べてみると、通勤・通学だけでなく、企業がレストランのデリバリーサービス、メッセンジャーサービスなどにキックスクーターを取り入れ始めているようです。今回はロシアでホットな大人用キックスクーター人気の秘訣に迫ります。

 

ちょっとそこまでスクーターで!

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子どもの乗り物だと思っていたキックスクーターですが、街中で大人が乗りこなしているのを最近よく見かけるようになりました。アルミニウム製の車体は、一部にプラスチックを使用している子ども用のスクーターとは明らかに異なり、大人が使用するのにふさわしいスマートな外観。直径20センチの頑丈な車輪は、道路の凹凸に左右されることなく、ひと蹴りでスイスイ運んでくれます。ロシアのクチコミサイトでは、その走行感覚は「まるでバターの上を滑っているようだ」とまで書かれていました。

 

重さは約5キロと女性でも扱いやすい軽量サイズ。大きなホイールは安定感があり、ハンドルの高さは3段階から4段階で調整できます。移動時にさっと肩からかけられるよう、ショルダーホルダーがついているのも扱いやすい理由の1つのようです。後輪を足で踏んでブレーキをかける足踏み式ブレーキが基本ですが、最近は自転車のような手動ブレーキが付いている機種も出てきています。

 

キックスクーターの細長い本体は、自転車のように場所を取らず、アパートの限られた収納場所でも収納可能です。また、地下鉄や電車などの公共交通機関での移動の際にも、軽いので階段などの昇降や持ち運びしやすくなっています。さらに、電動アシストがついたり、折りたたみ式が出たり、大人のスマートなシティライフに合わせて、どんどん改良されています。

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モスクワでも渋滞は悩みの種で、個人だけではなく企業もキックスクーターに注目しているそうです。実際、モスクワの街中ではデリバリーサービスの配達や書類を届けるメッセンジャーたちがスクーターを使用している様子を見かけます。公共交通機関+キックスクーターで渋滞知らずというのが大きなメリットとなっているようです。

 

子育て中のママたちにもキックスクーターは人気です。保育園の登園時、近距離でも子どもとの徒歩移動は大変なもの。筆者の子どもが通っている保育園にも、たくさんの子どもたちがキックスクーターで登園してきますが、子どもが全力でこぐキックスクーターの横をダッシュで追いかけているのが親です……(かくいう私も子どものキックスクーターの横をダッシュしている1人)。

 

ある日、母親と子どもが並んでキックスクーターで登園してくる様子を見たときは衝撃を受けました。普段は子どもを追うことに精一杯で周りをあまり気にしていませんでしたが、注意してみると親子でキックスケーター登園が多いことに驚かされました。確かに同じ速度で横並びになり走行できるというのは、子どもへの安全面でも良いのかもしれません。

 

気になるキックスクーターの価格は2,500ルーブル(日本円で5,000円)から。自転車の相場6,000ルーブル(日本円で12,000円)と比べると半額以下となっています。また、使われている部品が自転車よりも少ないため、あまり壊れることがなく長く使え、いざ修理となっても修理費がかさむことがありません。まさにコスト面でもスマートな乗り物といえるでしょう。

 

次世代の移動はキックスクーターで決まり!

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都会の主な移動手段であったタクシーは、コストがかかる割に渋滞などにつかまってしまい、なかなか到着時間の予測がつかないのが難点です。また、自転車はその大きさから収納場所に困ります。乗り換えの多い公共交通機関との相性が悪いのも難点。自動車や自転車とは異なり、コンパクトでスマートな大人のシティライフにふさわしい次世代の移動手段がキックスクーターなのです。

 

収納場所に困らないこと、移動の負担が軽くなること、女性でも扱いやすいこと、維持費がほとんどかからないこと、公共交通機関との相性が良いことなど、メリットが多いキックスターター。モスクワでの移動で最もネックであった渋滞を回避できることもあり、一般消費者と企業の両方から支持を得ています。モスクワに来たら、この乗り物に注目してみてください。

 

NY在住の共働き夫婦が実践!「Google Calendar & Keep」で仕事も家事も子育ても時短&時短

「とにかく時間がない!」

 

子どものいる共働き夫婦は、自分の仕事や食事の準備のほか、子どもの宿題の手伝いなどで日々追われ、ゆっくりと夫婦で座って話をすることもままならないもの。ニューヨークで暮らす私の家庭も共働きで、青息吐息で毎日を送っています。

 

共働き家庭では何よりもチームワークが大切ですが、チームワークを上げるために肝心なのはスケジュール管理です。ところが子どもの学校行事や習い事、お誕生日会やプレイデート(子ども同士の遊ぶ約束)のスケジュールは細かくて煩雑。さらに、日用品の買い出しなどもあり、夫婦間でのコミュニケーションなしには共働きは成り立ちません。

 

そこで役に立つのが「Google Calendar」と「Google Keep」。今回は私たちがこの2つをどのように使っているのかをご紹介します。

 

夫婦共有「Google Calendar」で子どものイベントを乗り切る

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夫は自分の仕事やプライベートの予定はほぼ完璧に把握していますが、子どもの学校行事や習い事、お誕生日会などの予定となるとすべて妻に任せっきり。これでは困ってしまいます。

 

そこで活躍するのが定番サービス「Google Calendar」。わが家では、私が子どもの友達からの誕生日会のお誘いなどのメールを読んで、予定を確認し、参加か不参加の返事をしています。子どもが2人いるので、パーティー会場へ子どもを連れて行くのは夫の役割で、もう1人の子どもと家に残るのは私です(そして平日用の食事の作り置きや洗濯、掃除をします)。

 

このような誕生日会のシーンでは、招待メールに記載されたパーティー会場の住所をカレンダーに入力しておけば、「住所はどこだったっけ?」と出発間際に確認しなくてもOK。カレンダーを開けて、入力してある住所をタップしてグーグルマップで開けば、会場へすぐに向かうことができます。

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また、アラートを「Time to leave」に設定しておけば、Googleがスマートフォンの位置情報から目的地までどれくらいかかるかを計算し、出発しなければいけない時間になると自然とアラームがなるように設定することもできます。

 

Google Calendarは複数作成してスケジュール管理を分かりやすく

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ピンクは私個人の予定、緑は仕事関係、オレンジは夫婦共有と、一度に複数のカレンダーを表示することが可能。そのため、例えば筆者の友人の誕生日や仕事のスケジュールなど、夫に関係のない予定は彼のカレンダーには表示されないように設定でき、不要なリマインダーを受け取ることもありません。

 

Google Keepで家事分担をスムーズに

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Google Calendarはすでに広く知られたサービスですでに活用されていることも多いでしょう。そこで、私たちが重宝しているもう1つのアプリ「Google Keep」を紹介します。Google Keepはメモアプリで、簡単にリストを作れるなど、使い勝手に優れているのが特徴です。

 

私は料理担当なので、買い足さなくてはいけない食料品を把握しているのですが、実際に買い物に行くのは帰宅時間が早い夫。そこで、料理をしながら「あ、パスタがもうすぐなくなる」と気がついたら、Google Keepにさっとメモします。仕事が早く終わった日を見計らって買い物に行く夫は、いちいち筆者に何を買ったらよいかを確認せずに、Google Keepの買い物リストを見ながらショッピングをすることができます。

 

 

思いついた時にいつでもGoogle Keepでメモ

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食料品のショッピングリストだけでなく、「観たい映画のリスト」や「家の中でリノベーションしたいところのリスト」など、夫婦でやりたいことは夫婦共有リストとしてメモしてあります。ペーパータオルが最後の1ロールとなればスマートフォンからGoogle Keepにメモ。ちょっとした会話の中に出てきた面白そうな映画のタイトルも、次に夫婦そろって一緒に映画鑑賞するなんて贅沢な時間を取れるのは何週間先の話か分かりませんが、忘れてしまわないようにメモ。そして夫婦で映画を観られそうという日には、2人共有の「映画リスト」から何を観るかを選びます。

 

仕事、家事、子育てとお互いの顔を見ながらゆっくりと話をする時間もままならないような多忙な共働き家族だからこそ、少し時間に余裕があるときは、仕事でやりがいを感じていることやストレスに感じていること、子どものことなど、気の向くままに会話をする時間を設けたいものです。Googleの多彩な機能さえあれば、家庭内の連絡は効率的に済ませることもできます。

 

共働き家庭で最も貴重なリソースは「時間」です。Googleのような無料で便利なツールをうまく活用して、夫婦や家族で楽しめる時間を増やし、ストレスの少ない共働きライフを送ってみてはいかがでしょうか。

    

ニューヨーカーは食料品をどこで買う? 複数の「ネットスーパー」を使いこなすNY流買い物術

仕事に遊びに毎日多忙なニューヨーカー。「スーパーマーケットに食料品の買い出しに行く時間がもったいない!」「重い食料品を持ち歩くのはイヤ!」と、なかなかワガママです。それでいてベジタリアンやビーガン、オーガニック派など、健康的な食生活を心掛けている人が多いのも事実。そんなニューヨーカーたちはどのようにして食料品の買い物を効率的に済ませているのでしょうか。

 

ここで欠かせないのはオンラインスーパーです。ニューヨーカーたちは複数のオンラインスーパーを組み合わせながら、賢く使いこなしているのです。

 

オンラインスーパーの大御所「FreshDirect」

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FreshDirectは1999年に設立されたオンラインスーパーの老舗です。スーパーでよく見かける有名ブランドの商品はもちろん、オーガニックやローカル食材も豊富に取りそろえています。

 

「Just FreshDirect」というストアブランドも展開しており、高品質でありながら大手ブランド商品に比べると低価格なため、筆者もよく購入します。1回あたりのデリバリー料金はニューヨーク市内で6ドル。私は週に1度は利用するため、年会費129ドルを支払って、1年間デリバリーが使い放題になるデリバリーパスを利用しています。

 

また、ニューヨーク州内であればアルコールもオーダー可能。重いワインボトルやビールを家まで配達してもらえるのは、クルマを持たないニューヨーカーにとっては大変便利です。

 

FreshDirectのライバルとされる 「Amazonフレッシュ」

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日本でも関東の一部のエリアでサービスが始まった「Amazonフレッシュ」。2007年にシアトルでテストとして始まったAmazon.comの生鮮食品配達サービスで、現在ではニューヨーク市内でも展開しています。

 

Amazonフレッシュを利用するためには、年間99ドルのプライム会員メンバーシップが必要で、それに加えAmazonフレッシュ会員料として月に14.99ドルを支払う必要があります。1回のオーダーが50ドル以下の場合には、さらに9.99ドルの配達料がかかります。少々割高に感じられる会員料と配送料ですが、買い物はすべてオンラインで済ませたいというオンラインショッピング派にとっては、慣れ親しんだAmazonのプラットフォームで食料品の買い物も済ませることができるので、大変人気のあるサービスです。

 

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また、AmazonがWholeFoods(ホールフーズ)を買収したことにより、WholeFoodsのストアブランド、「365 Everyday Value」が使えるようになったことも大きな魅力。マンハッタン内のWholeFoodsは、どこもレジでの待ち時間が長く足を運ぶのをためらいますが、オンラインで買えるならと、ナッツ類やクラッカー、シリアルなどの「オフィス用スナック」を直接オフィスへ配達して受け取る人も少なくありません。

 

AmazonのWholeFoods買収により、WholeFoodsの一部の商品が値下げされたことも事実です。また、店舗を持たないAmazonはWholeFoodsを利用して、Amazonエコー、Fire TV、Kindleなどの商品を実際に手にとって試すことができるように、Amazonポップアップストアを一部の地域のWholeFoods内に設置し始めました。ニューヨークの店舗では現在、Amazonエコーが店頭に並んでいるのを見かけるのみですが、自然派である店内で、その対極にあるようなデジタル商品は不思議な存在感を放っています。

 

質、便利さ、サービスはリアルなディスカウントスーパーよりも上

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FreshDirectはローカル食材を多く取り扱い、農場から消費者へ届けられるまでの時間を最短に抑えることに力を入れています。そのため、大手スーパーで買うよりも野菜や果物の日持ちがいいことも事実。また、需要が少ないせいか、ディスカウントスーパーではオーガニック食品が割高なことが多く、コープなどで買い物ができない限り、オーガニック派はオンラインスーパーを利用した方が安上がりになる場合も少なくありません。

 

そして、FreshDirectのもう1つの強みは携帯アプリ。よくデザインされたこのアプリはウェブブラウザで買い物をするよりも整理されていて使いやすいと感じるほどです。私も食料品の買い物はもっぱらFreshDirectの携帯アプリを使い、通勤時間中に済ませています。

 

もちろんカスタマーサービスも優れています。例えば配達された卵が割れていたり、何らかの不具合があったりした場合、メールまたは電話をすれば、すぐにストアクレジットの形で返金してくれます。配達は2時間の枠の中から選ぶのですが、10年以上使用していて予定の時間より遅れたことはほんの数回しかありません。何かの都合で遅れた場合でもカスタマーサービスからあらかじめ遅れる旨の電話があるか、ドライバーと連絡を取り、あとどれくらいで到着予定かを知らせてくれるなど、サービスが悪いことで知られるアメリカでは驚きのサービスの良さです。

 

オンラインショッピングはオーダーしてから届くまでに時間がかかるのでは、なんていう心配の必要もありません。Amazonフレッシュは朝6時までにオーダーすれば当日の夜10時までに配達、夜10時までのオーダーは翌朝6時までに配達可能です。

 

FreshDirectもサンクスギビングやクリスマス、スーパーボールといった大型イベントの日を除いては、大抵、翌日の配達指定ができます。それでも不十分という人には、FreshDirectの兄弟会社である「FoodKick」が便利。FoodKickのデリバリーエリアはまだ狭いものの(現段階ではマンハッタン、ブルックリン、クィーンズのみ)オーダーから最短で1時間以内に配達も可能。デリバリー料金は通常3.99ドルで、1時間以内にデリバリーして欲しい場合は5.99ドルと「それくらいなら払ってもいいかな」と思わせる値段に設定されているのも魅力です。

 

時間と労力を惜しまなければ、地元のスーパーを数件めぐりつつ、もっと安く食材を買いそろえることも可能でしょう。ただ、質、便利さ、カスタマーサービスのすべてを考慮して、「少し高くてもオンラインスーパーで」という結論に至るニューヨーカーが数多くいるのも事実です。

 

平日は仕事、週末は家の掃除に洗濯、それに少しでも子どもや家族との貴重な時間を過ごしたいと常に時間を作り出すことに苦労する私も、オンラインスーパーなしでの生活はもう考えられません。

 

これを知らずしてロシア料理は語れない! 軍の野戦食から国民食へ進化した最強時短缶詰「トゥションカ」とは?

缶を開けてみると、びっしりと白い肉の脂が!

 

ロシアのスーパーには必ず置いてあり、ロシア人がよく使っている缶詰食材といえば「トゥションカ」。圧力鍋で肉をじっくり煮たものが入ったシンプルな缶詰です。牛肉、豚肉、羊肉と、さまざまな種類があり、塩胡椒と玉ねぎでじっくりと煮てあります。しっかり熱で滅菌処理がされているため、保存料や化学調味料は一切入っていません。また、じっくり煮込んで溶けた玉ねぎが入ったブイヨンと一緒に缶に詰められているので、旨味もたっぷり。

 

おすすめの使い方としては、スープにそのままいれたり、野菜炒めにいれたり、マカロニと和えたり。味つけが自由にできるのが魅力です。その濃いブイヨンのおかげで、コンソメなどを追加する必要はまったくありません。

 

そんなトゥションカ、実はもともとロシア軍の野戦食なのです。戦場でも栄養価が高く、調理時間短縮、長期保存できるトゥションカ。そのおいしさと便利さから、軍隊以外にも広まり今や国民の味となっています。

 

アレンジしやすく、時短料理で大活躍!

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なかに入っている肉は、玉ねぎや塩胡椒、臭み消しのローリエを加えられ、圧力鍋でじっくり煮込んであります。しっかり煮込んであるせいか、玉ねぎは溶けてしまっており、確認することはできません。脂が多いものの、ブイヨンがたっぷり濃厚でコンソメなどなしにスープに入れたり、マカロニに和えたりするだけで1品完成してしまう手軽さが魅力。味つけのアレンジをしやすいので、あと1品欲しいという時に便利です。

 

様々なメーカーが出していますが、同居しているロシア人のお義母さんが言うには、リアルな動物の絵が印象的な「エリンスキー」というメーカーがオススメです(下写真)。使用している肉の部位のせいなのか、肉質が良いそう。価格は約100~200ルーブル(日本円で200~400円)。お肉とブイヨンが詰まった338グラムの缶詰は持つとずっしりしています。未開封であれば、なんと3年もの長期保存が可能でアレンジも自由。調理済みのお肉がこの価格で手に入るのでお得感があります。

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ロシアのお母さんのレシピを受け継ぎ、筆者の家ではゆでたマカロニと和え、野菜と炒めながらケチャップやスパイスで味付けしたりスープに入れたりします。スープに入れる際も水で野菜を煮て、そのなかにトゥションカを投入して沸騰させるだけなので、とても簡単です。

 

下記の写真は実際に作った際のもの。ゆでたマカロニに牛肉のトゥションカ、冷凍の野菜ミックスを入れて炒め、塩胡椒で味を整えただけのわが家の究極時短料理です。マカロニを茹でる時間を省けば、10分ほど炒めるだけの調理時間ながら、牛肉のブイヨンの味がマカロニに染み込んで旨味たっぷりに仕上がります。大人も子どもも大好きな忙しい時の一品です。

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上記のように、時短料理には欠かせないトゥションカですが、わが家では持ち運びやすさから旅行にもよく持って行きます。ヨーロッパでは旅行の際、ホテルに滞在する以外の選択肢としてアパートメントホテル滞在があります。アパートメントホテルにはキッチンがついているのが標準で、朝・昼・晩とご飯を自分たちで作ることができるので、滞在費を抑えられたり、現地の生活を感じられたりするといったメリットがあります。このトゥションカさえあれば肉料理が1品できてしまうので、節約にもなりますし、現地で材料を購入するのに奔走する時間が省けるため、とても便利です。

 

また、小さい子どもやお年寄りがいる家庭でも重宝します。筆者も子どもが小さいときに肉を食べさせるのも一苦労でした。ひき肉だけではレパートリーが少ないと思って、細かく切ったり、圧力鍋でじっくり煮たりしましたが、時間と手間がやたらとかかりました。この缶詰なら、肉がほろほろと柔らかく、子どもでも簡単に食べられます。また、肉のバリエーションを変えたり、味つけを変えたりしながら、子どもたちにもさまざまな肉料理を手軽に食べさせてあげることができるようになりました。

 

時代を超えて愛される国民食

300グラム以上の肉がぎっしり入っているのに、手に取りやすい価格。3年という長期保存が可能で、実際の調理時間は驚くほど短くて済みます。旨味はしっかりあるものの、味つけ自体は薄味なのでレシピのアレンジがしやすいです。

 

もともと軍の野戦食として、保存性に優れ、調理時に余計な手間の要らないために重宝されたこの肉の缶詰め。その後はソ連の混乱を生き抜く重要な栄養源になり、いまや忙しいロシアっ子の栄養源にもなっています。時代を超えてロシア人を支えるトゥションカが国民食として根づいているのも納得です。

宅配便問題で米国Amazonが次の一手! 配達員が宅配先に入れる「Amazon Key」が注目を集める背景

宅配便の問題は日本でも大きな議論を呼んでいますが、アメリカで宅配便問題と言うとその不便さが話題になります。筆者もアメリカ生活が長いのですが、驚いてしまうのは郵便制度のいい加減さで、特に配達物を玄関先に置いていってしまうのには頭を悩まされます。Amazonで買った物が不在時に玄関先に置かれて盗まれてしまうというのは多くのニューヨーカーが経験することです。

 

年末にはAmazonの配達物を次々に盗まれてしまった女性が、ペットの猫の糞をAmazonの段ボールに入れて何段にも玄関先に積み上げておいたところ全部持って行かれたというニュースが話題になっていました。「これは良いアイデア!」とTwitter上でもたくさんリツイートされていることから、実に多くの人が被害にあっていることが分かります。

 

「不在時訪問の知らせ」の紙を持って郵便局に行ってもそこになかったり、間違った住所に配達されたり、オンラインで番号トラッキングをしても郊外の集配施設に何週間も留まっていたりとトラブルを挙げるとキリがありません。しかし郵便で紛失してしまった商品に関しては、米Amazonは割と気軽に新しい商品を送ってくれることもあるので、同社はどんどん利用者を増やしています。

 

そんなAmazonが配達の問題を根本から解決しようと開始したのが「Amazon Key」です。屋内設置のセキュリティカメラ「Cloud Cam」と一度限りのコマンドで配達者が鍵を開けられるスマートロックを組み合わせることで配達物を家の中に置いて行ってくれるというこのサービスは、昨年11月からアメリカの一部の都市で始まりました。

日本の消費者からすると「自分がいない間に知らない人が家に入ってくるなんて絶対にイヤ」と不安に思う人も多いかもしれません。しかし、ここに来てAmazonがさらにこのサービスを進化させようとしているのではないかというニュースが話題になっております。それが昨年12月下旬に発表されたワイヤレス防犯カメラのスタートアップ「Blink」の買収です。

もともとBlinkはKickstarterのプロダクトとして始まったもの。100万ドルの開発資金を調達し、大成功を収めたスタートアップなのです。Blinkのセキュリティカメラの優れている点はバッテリー(2年間交換不要)で動くワイヤレスであるという点。セキュリティカメラを玄関口など屋外に設置するにはケーブルや電源など技術的な課題が多かったのですが、それをバッテリー稼働かつワイヤレスにすることで一気に気軽に設置できるようにしました。

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現状のAmazon Keyは屋内用のCloud Camというカメラを使ったものでしたが、Blinkを買収したことで屋外向けのセキュリティカメラを組み込んだサービスへと発展する可能性があります。配達する人の顔や荷物を持っていることなど、様々な情報を玄関の外のカメラで確認してから遠隔でドアの解錠を承認し、家のなかに入った後もちゃんとカメラで変なことをしていないか録画する。このように屋外と屋内の監視カメラを組み合わせることで安心感が高まるのは容易に想像できます。

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海外メディアも「ますますAmazonがマーケットの仕組みを変えていくだろう」と報じています。Amazonはアメリカの大手スーパーマーケット「ホールフーズ」も買収して話題になりましたが、リアルでの販売店舗を獲得し、さらには消費者の自宅の中にもアクセスを得て、Alexaというスマートアシスタントで人々のデバイスにも入り込む。Amazonのエコシステムは既成概念を壊し、プライバシーを脅かしつつ、便利さを盾にあらゆる領域に広がっています。

あなたが欲しい服をAIが作る!? 加速するファッションの「デジタル化」と「パーソナル化」

ECサイトを開くとポップアップが出現。「あなたが欲しい服はこちらでしょうか?」そこにはECサイトがまるで自分の好みを知っているかのようなどストライクなデザインの服が表示されています。しかも期間限定値引き中ときているので、オーダーボタンを押すしかありません。

 

これは将来想定されるシナリオですが、こんな世界が本当に実現しそうなのです。

 

ユーザー好みの服の特徴をデータ化し、画像を生成

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カリフォルニア大学、サンディエゴ大学、Adobeの研究チームはAIがユーザーの購買データを分析し、ユーザーの好みにマッチしたデザインの服の画像を生成するAIシステムを開発し、その報告レポート「Visually-Aware Fashion Recommendation and Design with Generative Image Models」を公表しています。

 

AIがECサイト上の購買データからユーザーの好みの服の特徴量(特徴をデータ化したもの)を抽出。特徴量に基づきユーザー好みのデザインの服の画像を瞬時に生成するという内容です。

 

同研究チームは2つのアルゴリズムを活用。1つ目は「CNN(畳み込みニューラルネットワーク)」です。これは従来のリコメンド機能に活用されているアルゴリズムで、Amazonの6つのカテゴリー(男女の靴、トップス、パンツ)における購買データを基にユーザーの好みのスタイルの特徴量を抽出します。

 

もう1つのアルゴリズム「GAN」は特徴量を基にユーザーの好みの服の画像を生成します。GANはAI研究の第一人者であるイアン・グッドフェロー(Ian Goodfellow)氏が2014年に発表したモデル。GANは正式には「Generative Adversarial Networks(敵対的生成ネットワーク)」と呼びます。

 

GANは「貨幣偽造犯」と「警察」の間でしばしば起きる、貨幣偽造と偽造貨幣識別のいたちごっこの競争原理をAIに応用したもの。ジェネレーター(生成者)とディスクリミネイター(識別者)の2つのネットワークを活用しており、前者は貨幣偽造犯のように画像を生成し、後者がその画像を警察のように本物に近いかどうか識別します。

 

さらに、ジェネレーターは識別されないような画像を生成ディスクリミネイターは再度、画像が本物かどうか識別しようとします。このように両者が競争することで、本物に近い画像が生成される方向へと向かうのです。

 

このシステムは消費者と小売業者にも影響を与えそうです。消費者にとってはテーラーメードの洋服がより簡単に手に入るかもしれません。小売業者はユーザー好みの「売れる」確率が高いデザインの服の画像を生成し、それを広告表示したりレコメンドしたりして、オーダーが入った分だけ生産する。売れ残りの服は発生しません。

 

もしかすると、将来のECサイトではそんなようなことが可能になるかもしれません。このAIシステムはまだ商業化には程遠い状態ですが、着実に前進している様子。AIが今後の小売業のあり方に大きく影響することが予測されます。

「インテリア・アプリ」の進化系が米国で登場! 約37億円もの投資を集めた超便利な「Modsy」とは?

「MODSY(モージー)」というサンフランシスコを拠点とするインテリアデザインのスタートアップは、最初の投資ラウンド(シリーズA)で1000万ドル(約11億3000万円)を集めました。これだけでもかなりの金額ですが、驚くのはまだ早いです。次のシリーズBでは、その倍以上の2300万ドル(約26億円)が集まったのです。現在、米国はこの話題で盛り上がっていますが、一体なぜこのスタートアップにそんなにお金が集まったのでしょうか?

 

同社のサービス内容は自宅の3Dモデルを制作し、家具の購入やレイアウトを手伝ってくれるというもの。「まぁ、アメリカは家が大きいからね」と興味が薄れてしまいそうですが、よく見てみると、住宅の狭い日本だからこそ「これは便利! やってみたい!」と思わせてくれる内容になっています。

 

「LIFULL HOME’s」と「RoomCo AR」を合体させてパワーアップ

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自宅の家具購入やレイアウトをサポートすると聞くと、以前にGetNavi webでも紹介した「LIFULL HOME’s」や「RoomCo AR」などを思い出す方もいるかもしれません。

 

「LIFULL HOME’s」は部屋の広さを測ってくれ、「RoomCo AR」はスクリーンを通して自分の部屋に家具がどう納まるかを確認でき、アプリ上でそのまま家具も購入できるARアプリでした。MODSYのサービスはこの2つの内容を組み合わせて、さらにレベルアップさせた内容になっているのです。

まず、デザインしたい部屋とその理由を選びます。新しい家に引っ越すからリビングルームのデザインをしないといけない、ただ模様替えをしたい、といった具合です。次にどんなスタイルが好きかを画像から選んで回答します。そして部屋の写真を何枚か送ります。

 

するとMODSYが部屋の3Dモデルを作成してくれます。それだけでなく、MODSYのデザイナーが部屋のスペースとユーザーの好みにあった家具を使って、部屋のデコレーションを3Dモデル上で提案。3Dモデルなので部屋のサイズやドアの位置なども正確です。

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もちろんMODSY上で使える家具はすべて実在するもの。気に入ったものはそのまま購入することができます。サイズや向きなども3D上でちゃんと確認できるというわけです。

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確かに店頭でどれだけカッコイイ家具を見つけても、いざ自宅にいれてみたら「ちょっと大きすぎた」「長すぎて入らない」「ドアにぶつかる」といったことって起きますよね。

 

3Dモデルには自分がすでに持っている家具を追加することも可能(1つ追加する毎に10ドルかかります)。家具の写真を数枚送ることでMODSYが3Dモデルを作ってくれるのです。

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複数の「捨てられない」家具がある状態で模様替えをすることはなかなか大変です。「このデスクって横向きにしたらこのスペースに納まるんじゃない?」と閃いて物をどかして動かしてみたものの収まらなかったり、収まったものの何となく落ち着かないレイアウトだったり。専門家がレイアウトを提案してくれるのは素人にとっては有り難いですよね。細かいレイアウトの調整をまず3Dモデルで何回も試行錯誤できるのもうれしい点です。

 

3Dモデル上で使える家具プロダクトも100以上の小売業者から集まっており、良いものがないという心配はなさそうです。

 

また、家具を買う目的がなくても、3Dモデルだけ欲しいという方はたくさんいそうです。気になるお値段は2つのプランが用意されています。

 

1つはベーシックプランで、1部屋につき69ドル(約7800円)となかなか手ごろな価格。3Dモデル、360度ビジュアル、カスタムデザインの提案が2回、デザインの変更には制限なし、そして家具購入には20ドルのクーポン付となっています。

 

もう1つのプランは「Modsy + Style Advisor」というもの。こちらは1部屋につき199ドル(約2万3000円)となっています。ベーシックプランのサービスに加えて、電話、チャット、ビデオを通じてマンツーマンでスタイルアドバイザーと相談でき、1人ひとりに合ったアドバイスやプロダクトのお勧めなどが聞けます(クーポンも20ドルではなく50ドル)。

 

家具を選んだり、模様替えをしたりするのは好きだけど、どうしても変な仕上がりになってしまうという私たち一般人の悩みに応えてくれる「Modsy」。新しいインテリアで心機一転するにはピッタリのサービスです。

「マトリックス」が現実になりつつある! ヒトの脳にインプラントを埋め込んで記憶力を向上させる実験がついに成功

映画「マトリックス」ではキアヌ・リーブス演じる主人公のネオの脳にカンフーの技術がアップロードされる様子が描かれていました。そんなのあり得ない話かと思っていましたが、そうでもなさそうです。実はすでにコンピューターと脳を接続する研究が盛んに行われており、とりわけ脳の記憶力を向上させる研究がヒートアップしています。

 

米国南カリフォルニア大学の神経工学の専門家であるセオドア・バーガー博士(写真下)率いる研究チームは脳へ埋め込むインプラント(※体内に埋め込む器具のこと)の研究、開発を行っています。

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これまでも研究チームはマウスやサルにインプラントを埋め込む実験を行い、記憶力を向上させる効果を確認してきましたが、今回は遂に人間の脳で実験が実施されました。

 

まず、20人の被験者の脳にインプラントを埋め込みました。1回目のセッションで被験者にイメージを見せた後、75秒後にイメージを覚えているかどうか記憶テストを実施。2回目のセッションではインプラントに電流を流し、上記と同様の記憶テストを行いました。

 

その結果、インプラントに電流を流した2回目のセッションの記憶テストにおいて被験者の記憶力が30%ほど向上していることが確認されました。

 

補足ですが、インプラントそのものは情報を記憶する記憶媒体ではありません。インプラントはどのような役割を果たしているのでしょうか。

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人間の記憶は、一時的に覚えているもののすぐに忘れてしまう短期記憶と、長期間しっかり覚えている長期記憶にわかれます。

 

脳の海馬は短期記憶から重要度の高い記憶だけを振るい分けて「長期記憶」として保存する役割を果たします。このとき海馬において特定のパターンの電流が発生していることが確認されており、その電流こそが短期記憶を長期記憶に変換するスイッチとなっているのです。

 

インプラントはその特定のパターンの電流を模倣した電流を脳に流すことで短期記憶を長期記憶に変換するよう促し記憶が定着するようにしているのです。

 

このインプラントが一般に普及するまでにはしばらく時間がかかるでしょう。まずはてんかん患者やアルツハイマー病患者などの記憶障害を持つ人への活用が想定されているようです。

 

しかしながら、テクノロジーが人間と一体化して人間の能力を強化する「人間拡張学」のポテンシャルを示すものと言えます。

 

有名起業家のイーロン・マスク氏も今年3月にNeuralink社を設立し、脳の情報をコンピューターにダウンロードしたり、コンピューターの情報を脳にアップロードできるようにすることを目指します。

 

コンピューターが人間の記憶力を大幅に向上させたり、スキルの習得を支援する時代に向けて着実に動き出しているのです。マトリックスのような世界がやってくるのもそう遠く先のことではないかもしれません。

 

「めんどくさすぎ!」Facebookが「顔認証」で偽アカ排除に乗り出すもユーザーは動揺

顔認証は空港のような一部の場所でしか使用されない――そんな時代は終焉を迎えつつあるのかもしれません。生活のいたるところで顔認証が求められる時代が来ています。そんなことを感じさせるニュースが飛び込んできました。

 

Facebookのスポークスマンは、同ソーシャルメディア上でスパム活動をするボットとリアルなユーザーとを区別するため、ユーザーに顔写真の提出を求める可能性があると発表しました。

 

フェイクニュースをばらまくボットを排除せよ!

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Facebook上で大量のボットが偽アカウントでユーザーに友達リクエストをしたり、広告を出したり、投稿したりとスパム活動が問題となっています。

 

また、ロシアの組織が偽アカウントを大量に作って人種や移民などのテーマで米国社会を分断するような政治的メッセージを大量に投稿したことがFacebook社の調査で発覚。この工作が昨年度の米国大統領選挙の結果にも影響したのではないかと言われています。

 

Facebookは単なるソーシャルメディアではなく情報をユーザーに伝えるニュースメディアとしての責任も問われるようになってきています。そのため虚偽の情報を大量に流通させるボットを排除する必要性が出てきているのです。

 

従来、ボットとリアルなユーザーとを区別するために歪んだ文字や数字の入力をユーザーに求める認証手段「CAPTCHA」が活用されてきました。しかしながら、これも最新のマルウェアによって突破されることがあるようです。

 

顔認証はボットとリアルなユーザーを区別するためのセキュリティ強化策として検討されているのです。Facebookはボットによる偽アカウントが好き勝手する状態を抑えたいのでしょう。

 

Facebookはこの顔認証をいつ実行するかは明かしていません。しかし、すでに一部のユーザーの間でFacebookにログインできなくなり、再開のために顔写真をアップロードするよう求められたという証言があります。

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ウェブサイトのReddit(上のイメージ)を見てみると「偽アカウントでもないのにアカウントを凍結されて顔写真をアップロードするように求められた」「めんどくさすぎ!」「Facebook最悪!」といった不満の声が多くのユーザーから挙がっています。偽アカウントとそうでない一般ユーザーのアカウントを見分けるのは容易ではなさそうです。

 

Facebookは企業理念として「Bring the world closer together(世界の絆を強める)」を掲げています。社会の分断を助長するかのようなスパム活動を含む工作に対しては徹底的な態度で臨むでしょう。

 

もはや人々の情報インフラとして欠かせなくなったFacebook。その影響力はかつてないほど強くなっています。社会的責任をどう果たしていくのか。今後も試行錯誤が続きそうです。

 

あなたの運命はデータ次第!? 世界で実用化が進むAIを使った自殺予防と予防医学

アメリカでは、大統領選挙におけるFacebookでのフェイクニュース拡散の影響について、いまだによく語られています。炎上を扇動するような内容のコメントやツイート、動画がロシアから大量に投稿されていたことが判明し、それを目にしたFacebookユーザーは1億2600万人いたというニュースが連日話題に。

 

もはやただのSNSの規模を越えて社会的な責任を大きく問われるようになったFacebookですが、フェイクニュース防止への取り組みに加えて、他にも色々なプラットフォーム改善を図って社会に貢献していることをアピールしています。その1つが「コメントをAIで分析してユーザーの自殺願望を事前に検知・通知する」という取り組み。小規模でのテストは以前から行っていたようですが、この機能を大規模に拡大することが11月末に発表されました。

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どうやったらFacebookのコメントから自殺願望が分かるのかと疑問に思ってしまいますが、分析するのは本人の投稿だけではなく、そこについた友人たちからのコメントも分析されるようです。「大丈夫?」「何か助けになれる?」といった心配のコメントを検知するわけですね。危険性をAIが検知するとFacebookの自殺予防の専門家チームに通知が行くようになっています。人間の専門家が「これは助けを差し伸べる必要がある」と判断すれば、ユーザーのもとに「『あなたには今、特にサポートが必要なのではないか』と思った人から私たちのもとに連絡が来ました。私たちはあなたを助けたいと思っています」とメッセージが届き、サポートが開始されるようです。

 

もちろん、自殺をめぐる背景は非常に複雑なもの。Facebookによるアルゴリズムも常に改良が加えられていて複雑なものになっており、対象が人の命とプライバシーに大きく関わることから詳細は公開されていません。

 

AIが病気を検知。命を救うことも

もちろん、すべての自殺をこれで検知できるわけではないでしょう。そもそもSNSがうつ病を促進しているのではないかという指摘もあります。しかし、AIを使ったこういった取り組みは医療分野でどんどんと実用化されています。

 

Googleは検索サービスを自殺予防に役立てようとしています。自殺に関連した特定の言葉を検索すると自殺防止ホットラインの番号が表示されるようになりました。Microsoftは同社の検索サービスBingを使って、「検索ワードのログから膵臓ガンにかかっているかどうかを高確率で当てられる」という研究を発表しています。さらにこれをMicrosoftによる音声アシスタント「Cortana」と組み合わせることで広範囲のユーザーの病気予防へと貢献できる、という展望を論文で語っているのです。

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マシーンラーニングやビッグデータに関するテクノロジーとコンピューターの処理速度が向上している今日では、検索ログやSNS上の言動といったデータからユーザー自身のことが驚くほど多く分かるようになってきているのです。

 

フィットネストラッカー「Fitbit」に記録されていた心拍数データが緊急救命の大事な手がかりとなって人命を救うという事態も起きています。自分自身に関するデータをどう活用しているかが命を救う時代なのですね。

 

ちょっと探せば、この分野では驚くほどたくさんのプロジェクトが進行されていることが分かります。日本でも日立と慶應大学がパートナーシップを結んでAIを使った病気の検知を研究しています。障がい者雇用・就労移行支援を行っている団体LITALICOはビッグデータ解析事業UBICの人工知能エンジンKIBITを活用して精神障がい者の自殺予防対策に取り組んでいます。

 

スマート聴診器「Eko」は心音と専門家による診断のデータベースをもとに、マシーンラーニングによる高精度な診断に取り組んでいます。このデバイスを使えば誰でも世界一の診断が受けられるようになるかもしれません。

 

データを隠すのは良くない!

そうするとFacebookやMicrosoft、GoogleやApple、Amazonといった大手プラットフォームやプラットフォームがデータを活用した医療分野に取り組む意義がよく見えてきますね。GoogleホームやAmazonエコーといった音声アシスタントが日本にも進出してきましたが、日常のデバイス操作やデータ管理を1つのプラットフォームで行うということには大きなメリットがあります。

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ウェアラブル・デバイスを通じて睡眠データや運動のデータも集められ、食べ物、薬などの購入データもあり、インターネットで何を検索しているかもデータとして蓄積される。ビッグデータのお陰で自分が「病院に行かないと」と考える前にデジタル・アシスタントが「○○の可能性があるので専門家に見てもらってください」と促してくれるという世界もすぐに実現されるかもしれません。

 

もちろん、こういったデータ利用はプライバシーの問題と大きくつながり得ます。前述のFacebookによる自殺予防テクノロジーに関しても、専門家からは「詳細を公開して透明にしてほしい」という声があがっています。AIの研究をリードする米国の大手テクノロジー企業がデータや知識をどれくらい公開するのか。注目が集まっています。

クリスマスはクリボッチでも恋人とのパーティーでもない!! 米スタバで盛んなのは心温まるチャリティーだ

クリスマスが近づくにつれて、色々なブランドやチェーン店がこの時期限定のキャンペーンを展開しています。例えば、スターバックス。日本でも米国でもよく目につくのは同社の限定カップです。

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今年は赤いカップに白いハートをあしらったデザインに合わせて、同じデザインのタンブラーやマグカップも販売されています。

スターバックスの日本版リリースでは星や花による「お祝い感」を強調して、「お世話になったあの方」や「自分自身へのプレゼント」としてマグカップやタンブラーが紹介されています。しかし、英語版のリリースを見ると、同じ赤いカップに白いハートの模様でもアプローチがちょっとだけ違っているのが分かります。これは日米のクリスマス観が表われていて面白い部分。

 

というのも日本では「恋人たちの聖夜」というロマンチックなイメージのクリスマスですが、米国ではクリスマスはどちらかと言うと家族や親しい友人と過ごす休日。困っている人や隣人を助けるというチャリティの精神もクリスマスの大事な要素となっています。

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英語版のリリースでは次のような調査結果が引用されております。「最近の調査によると、回答者の96%がこのホリデーシーズンには友人と家族とつながりたいと答えています。さらに2/3の人が仕事を休むこと、ギフトを受け取ること、旅行をすることよりも家族や友人と時間を過ごすことを楽しみにしている」と答えました。

 

 

米国では定番の「シークレット・サンタ」とは?

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筆者も米国生活が長いのですが、クリスマスは友人たちのパーティーに行って「シークレット・サンタ」になるゲームをすることが多いです。シークレット・サンタとは、予めパーティー参加者の中でランダムにプレゼントを渡す相手をくじなどで決め、当日プレゼントを交換するというもの。予算に上限を決めてお互いにどんなプレゼントを見つけてくるか、当日までワクワクできる楽しいイベントです。

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自分がプレゼントを渡す相手は分かっていても、誰が自分にプレゼントをくれるのかは当日まで分からないのが普通です。自分のプレゼント相手にバレないように相手の趣味や欲しいものを友人や家族経由で探ったり、プレゼントを選んだり、当日だけじゃなく当日までも楽しめるゲームです。

実はシーズン限定の白いハート付の赤いカップも、このホリデー・スピリットを反映したSNSキャンペーンとして生まれていたのです。米国では白いハート部分に「善い行いをしている家族や友人」の名前を書いてSNSでシェアしようというプロモーションが行われており、Twitterで「#GiveGood」と検索すると、「猫」といったほっこりする回答や、親友、恋人の名前を書いた写真がたくさん見つかります。

 

(「#GiveGood」キャンペーンは日本のスターバックスでも行われていますが、上記の白いハート部分に名前を書いてSNSでシェアすることは見られません。)

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そのなかには「昔教えていた生徒にばったり出会ってコーヒーを買ってくれた。私のインスピレーションは少なくとも4.37ドル以上だって言われた」「火事で全部を失くしてしまった友人にちょっとでもリラックスできる時間を持って欲しいからギフトカードを贈ります」といったささやかなクリスマスのチャリティー精神エピソードも書かれていて心が温まります。(米スターバックスは、エイズ撲滅の「ワールド・エイズ・デイ」への募金や貧困地域への食事の提供、退役・現役軍人への感謝のポストカードの作成など様々なチャリティ活動を行っています)

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皆さんなら、白いカップに誰の名前を書きますか?