「実は過酷な状況で睡眠も」寝苦しさの解消前に、寝室環境チェックのススメ

毎晩寝苦しい、暑くて寝た気がしない、睡眠の質をよくしたい! そんな「睡眠」に関わるお悩みを抱えている人が増えていますよね。2018年から寝具メーカー西川が発行する『睡眠白書』によると、ビジネスパーソンの56%が睡眠の質に不満足だと回答しています。

 

でも、どうやったら質をよくできるのか、そもそも睡眠時はどこが不満なのか。ちゃんと把握できている人は少ないのではないでしょうか?

 

そこで今回、西川が展開する、睡眠を科学的に解明しながら快眠のアドバイスをしてくれるサービス「ねむりの相談所」を体験してきました。寝ている間の環境を見える化するのはもちろん、おすすめの寝具や睡眠の相談もできるので、睡眠のお悩みを抱えている人にはぴったりなサービスでしたよ!

「ねむりの相談所」

睡眠科学や快眠環境などの専門講習を受けた眠りのプロ「スリープマスター」がユーザーの眠りを計測し、可視化。一人ひとりにフィットした上質な睡眠環境を提案してくれます。ネットで予約したうえで、店頭でヒアリングし、1〜2週間、専用機器で計測。その後、再度来店し、取得したデータを元にスリープマスターがアドバイス&サポートツールを紹介します。

 

そもそも、快適な夏の寝室環境とは?

みなさんは、夏場でもふとんをかけて寝ていますか?

 

実は私、夏場はお腹にタオルをかけるくらいで、ほぼふとんをかけずに寝ていました。それが“当たり前”と思っていたのですが、夏場でも「ふとんをかけて寝る」のが正解なのだとか。

 

ねむりの相談所には、眠りのプロフェッショナルであるスリープマスターが所属しています。今回は、日本橋西川(コレド日本橋内)のスリープマスター大塚 新さんにお話を伺いました。

↑日本橋西川のねむりの相談所で、スリープマスターとして在籍している大塚 新さん

 

「夏場でもふとんをかけて寝るようにしましょう。その際、寝室の温度は25〜6度、湿度は55%程度が最適な空間です。さらに、敷ふとんと掛けふとんの間の温度は33度±1度、湿度が50%±5%にするのがベストな寝床内環境とされています。

 

冬場はふとんを変えたり、枚数を増やしたりすることで調整しやすくなるのですが、夏場は環境調整が難しい時期。快適な環境を整えることで睡眠の質をあげることができますよ」(スリープマスター大塚 新さん、以下同)

↑快適な寝室環境をまとめた図。冬は室温22度、夏は25度で湿度は50%程度が理想的だそうです

 

つまり、ふとんをかけた状態で寝心地のよい環境をつくることが大切! もし「夏は暑いし、ふとんはかけていないよ〜」という人は、快適な室温を保ちつつ、ふとんをかける習慣から身につけていきましょう。

 

「自分では問題ないと思っていても、実はとても過酷な状況で寝ていたという人も少なくありません。寝ている間の状態って、なかなか計測できないですから。そこでねむりの相談所では、寝ている間の寝室の温度・湿度・照度・音圧を計測できるセンサーをお貸しして、測定したデータを基にアドバイスをする『寝室チェックシステム』を提供しています。また、コイン型の活動量計の睡眠環境解析サービスも合わせて活用いただくことで、さらに詳しい睡眠のアドバイスをお伝えすることができますよ」

↑画像はねむりの相談所のサイトから。寝室チェックシステムの流れ。一度来店して、センサーを受け取り、自宅で測定します。測定後、再度来店してスリープマスターから寝室環境や眠り、寝具についてのアドバイスを受けます

 

ねむりの相談所は相談料が無料。ただし、寝室の環境を計測できるセンサーと、活動量計は1台あたり1100円のレンタル料がかかります。ねむりの相談所は、全国各地の百貨店などにあります。対象店舗はこちら

 

ということで! 寝室チェックシステムを使って、我が家の寝室環境をチェックしてみました!

 

ジャングルで寝ているのと一緒!? 寝室環境が眠りの質に大きく影響

↑寝室チェックシステムに利用するセンサーは、枕元に置いても気が付かないほどのサイズで、超コンパクト!

 

寝室チェックシステムのセンサーは、1週間ほど枕元に置いておくだけで、室内の温度・湿度・照度・音圧の4つを計測してくれます。特に数値を表示する液晶などはないため「こんな小さいのに大丈夫!?」と不安になりますが(笑)、しっかり計測してくれていますのでご安心を!

 

置く場所は、枕元がおすすめ。小さいので、ふとんの中に入ってしまわないように気をつけましょう。日中も枕元に置いたままでOKなので、充電したり移動させたりする手間もなく、本当に手軽でしたよ。

 

ちなみに、計測期間中の我が家の寝室環境をお伝えしておきましょう。

 

・エアコンはつけない

・暑い日は扇風機をつけっぱなし

・ふとんはかけない(お腹にタオルをかけておく程度)

・東側に窓。カーテンは遮光じゃないため朝は強い日差しを感じる

 

そのため、朝起きると汗もべっとりで、何度か暑くて目覚めてしまうことも……。今夜は暑くなりそうだなーという夜は、首にタオルを巻いたり、枕にタオルを敷いたりしながら対策していました。「夏だし、こんなもんでしょ!」と思いながら、毎晩寝苦しい夜を過ごす日々でした(笑)。

 

我が家で1週間計測した後、店舗へお邪魔し、再びねむりの相談所で、スリープマスターと共にデータをチェックします。

↑ディスプレイに映し出された、とある日の寝室の温度は31度、湿度は71%。熱帯夜とはこのことです

 

上記のように寝室チェックシステムによって計測されたデータが見える化されるのですが、なんと我が家の寝室の平均温度31度&湿度68%!! 湿度が70%を超えている日もあり、ジャングルで寝ているような状態だったのです。こうして可視化されると怖くなります……。

 

「つるたさんの寝室は、理想の25〜6度と比べると5度以上高い状況です。湿度も最大71%になっている日もあるので、寝苦しい環境だったのではないでしょうか? 音圧は扇風機の音を拾っていたり、外の音を拾っていたりする可能性があるため、理想の環境よりちょっと高い程度ですね。照度は、寝ている間は問題ありませんが、朝から昼にかけて高くなっていました」

↑計測データを見ながらスリープマスターが寝室環境を分析。そのあと、いきなり寝具をおすすめされるのではなく、具体的な改善案をもらえるのがポイントです

 

寝苦しかったけれど、眠れている自信があったので、私としては結構ショックな結果でした。現状はよ〜くわかったので、ここからどのように睡眠の質をあげていくか、大塚さんに聞きました。

 

「今は扇風機だけとのことですが、まずは部屋を冷やすためにエアコンをつけて寝るのがおすすめです。設定温度は25〜27度くらいにしていただき、風向は上向き、扇風機とセットで付けて部屋の空気を循環させるとより快適な環境になるでしょう。

 

湿度は、除湿機を活用すると寝苦しさを軽減できると思います。私たちは寝ている間にコップ1杯分の汗をかいていますが、夏場はさらに汗をかいている可能性も。寝具を選ぶなら、通気性に優れたものがポイントになります。音については気になる人は耳栓なども効果的。照度は、気になるようでしたらアイマスクがおすすめです」

 

おすすめの寝具を使えば、睡眠の質もアップ!

大塚さんに、夏の眠りを快適にしてくれるおすすめの寝具もご紹介いただきました!

↑まず紹介してもらったのは麻製の掛けふとん

 

「汗や湿気を発散しやすく、発散性と通気性に優れた麻肌掛けふとんがおすすめです。触り心地もよく、夏場ふとんを掛けていないという方でも快適におやすみいただけます。また、麻パットシーツと合わせて使うことで、さらに通気性アップに期待できますよ。掛けふとんは意識している人も多いのですが、敷きパッドやシーツを季節に合わせた寝具に変えることで、睡眠の質の向上にもつながります」

↑日本橋西川の店頭にあった麻パッドシーツ

 

ご紹介いただいた麻肌掛けふとんの『季ノ布』は、すべて職人による手織りで作られた逸品。夏場の睡眠に悩む方におすすめですよ!

 

ねむりの相談所で相談して以降、寝室ではエアコンをつけて、しっかりふとんもかけて寝るようにしたのですが、朝の目覚めが格段によくなりました! 自分に合った寝室環境って本当にあるんだな、と実感した次第です。

 

睡眠状況を確認したい、新しい寝具を検討している、夏の寝苦しさを解消したい人は、ぜひお気軽にスリープマスターがいるねむりの相談所へ行ってみてくださいね。

 

<取材協力>

日本橋西川

 

【フォトギャラリー】(画像をタップすると閲覧できます)

 

店舗撮影/中田 悟

夏の快適睡眠を決定づける「パジャマ選び」、たった2つの条件とは?

夏場であればTシャツとショーツ、冬であればとりあえずモコモコで暖かな服装など、寝る時の衣類にはあまりこだわってない人も多いかもしれません。ただ、ここにちょっとした気遣いを加えることで寝苦しさから解放されたり、寝冷えを防げたり。実は睡眠時に何を着用するか? はとても重要なんです。ということで、今回はパジャマにフィーチャー。睡眠のプロによるアドバイスに基づいて、編集部オススメのウェアを紹介していきます。

 

<識者紹介>

睡眠健康指導士:加賀照虎(かがひどら)さん

自身のYoutubeチャンネル「寝具マニア加賀照虎」をはじめ、WEBメディア「快眠タイムズ」にて上級睡眠健康指導士ならではの睡眠学に基づいた快眠情報を発信。マットレスや枕、ベッドなどの寝具のレビューも行っているので、ぜひ参考に。

 

夏場、冷房をつけて寝るのはNG? いえ、大事なのは「体温」調整

まずは本題に入る前に、睡眠についての考え方を少し。トレンドや昔の認識から変わった点などはあるのでしょうか? 睡眠のプロである加賀さんにお話しを聞いてみました。

 

「最近では“体温”がトレンドになっています。さまざまな研究によって、体の仕組み上、就寝時から体温が下がり始めて、明け方付近に1度強ぐらい低くなることがわかりました。この体温低下の邪魔をしないことが入眠をスムーズにするために大切。そういった流れもあり、寝具全般で体温低下を促す通気性も注目されています。

 

反対に目覚めをよくする場合は、体温を上げていく必要があります。これは寝具などではなく、ヒーターなどで部屋を暖めたりすると、体温が上がっていくのを後押しすることができ、起床をラクにすることができます」(加賀さん)

 

パジャマ選びのポイントは、寝返りしやすく、ムレない

そして、睡眠時に着用するパジャマも「寝具と同様に大事になる」と語る加賀さん。パジャマ選びには、通気性と素材感がポイントになると加賀さんは続けます。

 

「寒いと思い、厚手のフリースなどを着て寝ると結果的に汗をかいてしまう。そうなると夜中に目が覚めてしまいますし、汗によって寝冷えする場合もあります。寒いからといって過度に暖かくしてしまうのは良くない。

 

その場合、コットンのタオル地のような素材であれば適温をキープできます。逆にポリエステルなどの化繊になると吸水性がありませんので、体温を下げるために発散する熱を逃がせないので熱がこもってしまう。ですので、素材選びは重要です。特に夏はより汗をかきやすいので、吸水速乾性や通気性にこだわってほしい。

 

ここ最近は熱帯夜も増えたことで、夜間熱中症がニュースにもなっています。昔はエアコンをつけながらの睡眠はNGという説もあったのですが、部屋が暑すぎる状態ですと体温が下がりづらいので、エアコンや扇風機などをうまく使うことは大事ですね。一晩中付けっ放しにするならエアコンの設定を27〜28度にするのがオススメです。

 

また、深部体温を下げる時に全身から熱を出していますが、手足の先から一番熱を発散していると言われているので、足元から風を当てると熱の発散を促すことができます」(加賀さん)

 

さて、世の中には様々なパジャマがありますが、素材選びの点で具体的にはどのようなタイプがオススメなのでしょうか。

 

「ストレスを感じさせない着心地や肌触りがまずは大事です。あとは寝返りを打ちやすいように、ストレッチ性のあるものはいいですね。 高級パジャマに使われるシルクは、体温調整もしやすく、肌触りもダントツ。やはり、コットンやレーヨンのいい素材と比べても肌馴染みがいい。その裏付けもあって、昔から愛用されています」 (加賀さん)

 

では、デザインでパジャマ選びの際の注意点はあるのでしょうか。

 

「まずフード付きウェアは、枕の妨げになるのでないほうがいいです。トップスでいうとパジャマタイプやカットソータイプとありますが、ボタンがあるなしなどの好みで選んで問題ないです。ただ、寝冷えを考えると、長袖・長ズボンのほうがオススメですね」(加賀さん)

 

編集部おすすめ!睡眠の「質」を高めるパジャマ4選

加賀さんに睡眠のトレンドからパジャマの選び方までをアドバイスもらったところで、ここからはGetNavi web編集部がオススメしたいパジャマをピックアップ。本格的な夏にも対応する機能的なアイテムを選んだので、ぜひ参考に。

 

【その1】着る美容液とも言われるシルクを贅沢に使用

Foo Tokyo

シルクパジャマ

5万9180円(税込)

シルクの中でも世界最高峰と位置づけられる6A/5Aランクのものを100%使用した、Foo Tokyoの「シルクパジャマ」。その圧倒的な素材感により、敏感肌やアトピー肌の人でも着られるほど肌に優しく、吸い付くような着心地を提供。シルクならではの上品な面持ちは気分を高めてくれます。また繊細な生地ゆえに股部分が裂けやすい点を独自の縫製でカバーし、柔らかさはそのままに長く愛用できる耐久性も備わっています。

 

【その2】パジャマでの1日を想定したディテールワーク

NOWHAW

“day” pajama

2万8600円(税込)

パジャマメーカー、ノウハウの一日中パジャマでいられたらという思いを込めた「day」シリーズ。ブレザージャケットタイプのパジャマで、新書判サイズの本が入る大きめのポケットや裏地をつけ捲りやすくなった袖口や裾口など、利便性に特化したデザインを採用。また、素材にはサラリとした肌触りに通気性も優れたマイクロダブルガーゼを使用しているので、暑い季節でも快適に過ごすことができます。

 

【その3】パイルならではの吸水性

TENERITA

ストレッチパイル半袖メンズパジャマ

2万8600円(税込)

高品質なタオルで人気を集めるTENERITAのパジャマにはストレッチパイルを使用。繊維の長いスーピマコットンの糸を甘撚りで仕上げることでやわらかくしなやかな風合いを出しつつ、パイルならではの優れた吸水性はそのままに伸縮性もプラス。そのこだわりでムレにくく、寝返りしやすい快適な着心地を提供してくれます。また、半袖とショートパンツのデザインもその軽やかな素材感にマッチします。

 

【その4】経年変化でよりいっそう柔らかく

IZUMM

ストレッチ2重ガーゼ ベーシックノビーゼ”UNO”メンズ 長袖パジャマ

1万5950円(税込)

パジャマ屋のIZUMMからピックアップしたのは生地と生地の間に空気の層が生まれるガーゼを使用した1品。その仕組みで通気性に優れているほか、吸水性も併せ持っているので汗をかいても吸収しムレにくいのが特徴。洗濯を重ねるごとに生地に空気が含まれ、さらにふんわりとした生地感になっていきます。また、伸縮糸を綿糸で巻いたCSY糸を使用して織り上げているのでストレッチ性も申し分なし。

 

↑GetNavi webでは夏の快眠特集を実施中。特集記事をまとめていますので、こちらの画像をタップしてぜひご覧になってみてください