Smariで「メルカリ商品の自宅発送」が可能に! 留守でもオートロックを開錠する方法とは?

三菱商事が展開する、EC・レンタル商品の発送・返却・返品サービスのSmari。このサービスを使えば、コンビニ・駅に設置されたボックスのほか、自宅の宅配ボックスからでも荷物の発送ができます。一般的な宅配ボックスが荷物の受け取りにだけ対応しているのに対し、そのボックスを発送にも使えるというのが、Smariの特徴です。

 

Smariを使えるレンタルサービスやフリマアプリは徐々に増えています。そしてこの9月から、大手フリマアプリのメルカリでもSmariを使って、匿名配送サービスである「らくらくメルカリ便」などを利用できるようになりました。本記事では、このSmariの魅力についてお知らせします。

 

宅配ボックスから荷物を発送できるのが大きい

コンビニや運送業者の営業所に行かずとも、家に設置した宅配ボックスからモノを発送できるのが、Smariの大きな魅力です。2023年にリリースしたSmariは、対応サービスを増やしており、Yahoo!オークション、メルカリなどのフリマアプリでの商品発送のほか、ファッションレンタルサービスのairCloset(エアークローゼット)などで借りた商品の返却時にも使えます。

 

Smariのシステムのキモになるのが、対応宅配ボックスに貼られたQRコードです。たとえば、らくらくメルカリ便をSmariで発送する場合は、ユーザーは宅配ボックスに荷物を入れてから、メルカリのアプリで発送方法にSmariを指定。アプリから宅配ボックスのQRコードを読み込むと、画面に暗証番号が表示されるので、その番号でボックスをロックします。すると、宅配ボックスの位置と暗証番号が運送業者に通知され、配送スタッフが荷物をピックアップできるという仕組みです。

↑Smari対応宅配ボックスに貼り付けられたQRコード

 

↑メルカリのアプリでQRコードを読み込むと、暗証番号が表示されます

 

2023年にスタートしたSmariは、もともとコンビニのローソンや駅に設置されたボックスのみに限られたサービスでしたが、首都圏の住宅にも対応範囲を拡大。そして、2024年9月以降は、メルカリへの対応と同時に、全国の住宅からの発送が可能になります。

 

マンションのオートロックは、インターホンとの連携で突破!

上記は戸建てのケースですが、マンションの場合はオートロックというハードルがあります。このロックを解除しなければ配送スタッフがマンションに入れないので、荷物をピックアップできません。

 

通常、マンションを訪れた人は、共用玄関のロビーインターホンから各住戸を呼び出し、その住人がロックを解除するという流れになります。しかし、住人が不在のときでも宅配ボックスにアクセスできるようにしなければ、Smariのサービスは成立しません。

 

そこで、Smariを運営する三菱商事は、マンション向けインターホン大手のパナソニックと協力。アプリとインターホンのAPI連携により、宅配ボックス用の暗証番号をロビーインターホンに入力することで、オートロックを解除できる仕組みを開発しました。

↑ロビーインターホンに表示された、暗証番号入力画面。パナソニックのマンション向けインターホン「Clouge(クラウジュ)」「Clouge SQUARE(クラウジュスクエア)」が、Smariに対応します(写真はクラウジュ)

 

Smari対応宅配ボックスには2つのサイズを用意

戸建て住宅向けのSmari対応宅配ボックスも、パナソニックが販売しています。それが、宅配コミュニケーションボックス「e-COMBO LIGHT」で、みかん箱サイズのミドルタイプと、12Lのウォーターサーバーを2つ収納できるラージタイプの2サイズを用意。素材には、ヘルメットにも使われる、丈夫な樹脂を使用しています。カラーリングは7種類で、ブラック2種、シルバーのほか、木目調のものもラインナップします。

↑Smari対応宅配ボックス・e-COMBO LIGHT。写真のカラーはステンシルバー

 

鍵は電子式で、単三電池6本で動作。据え置きのほか、2つ重ねての設置や、壁への埋め込みなどの置き方に対応します。

 

いつでも荷物を受け取りできる…という点で便利な宅配ボックスでしたが、Smariによってついに発送まで可能になりました。通常の宅配便の発送にはいまのところは対応していないものの、一部のオークションやフリマアプリを頻繁に利用するという方にとっては、便利なサービスになることは間違いありません。

コンパクトで後付け工事不要の宅配ボックス! LIXIL「ATMO」がMakuakeに登場

LIXILは、再配達をなくす置き配バッグ「OKIPPA(オキッパ)」を提供するYper協力のもと、簡単に後付け可能でドアに馴染むコンパクトな宅配ボックス「ATMO(アトモ)」を開発。2月16日に「Makuake」でプロジェクトを開始しました。

 

ATMOは、家の玄関ドアに、工事不要で簡単に後付けできるコンパクトな宅配ボックス。配達員の方にわかるピクトグラムを採用した、ドアに馴染むさりげないデザインとなっています。マグネットや両面テープで手軽に設置できるので、一軒家でも集合住宅でも、宅配ボックスの後付けが可能。同製品を取り付けることで、例えば、入浴中だったり、家事や在宅ワークで手が離せないときでも、必要な荷物をしっかり受け取ることができます。非対面での受け取りで対面ストレスもなく、ちょっとした買い物なども気にせず外出できます。

 

中に収納する置き配バッグは、YperとコラボレーションしOKIPPAを採用。OKIPPAアプリを使った出荷や着荷状況の確認ができたり、万が一の盗難にも備える盗難補償サービスが利用できるなど、OKIPPAの品質やノウハウが適用されています。

 

バッグは2Lのペットボトルが18本も入る大きさで、雨から荷物を守る撥水加工も施されています。

「宅ボ」にそんな使い方があったのか!「公共用宅配ボックス」担当が語る「未来予想図」にワクワクが止まらない

ご存じの通り、現在の日本ではネット通販の普及で宅配便の取扱個数が急増し、同時に再配達もこの20年間で3倍以上に増加。その負担はドライバーに降りかかり、食事休憩の時間すら取れず、夜間まで長時間労働を余儀なくされる、結果的に退職者が続出し、残された者の負担が増える……といった宅配業界のブラック化が進んでいます。

 

宅配業界のブラック化で宅配ボックスに注目が集まる

16年の12月には、ストレスをためた配達スタッフが台車を放り投げ、荷物を地面に叩きつける……そんな衝撃的な動画もアップされ、話題になりました。もちろん、あってはならないことですが、配達スタッフの労働環境を思うとその気持ちもわからなくはない……多くの人が、複雑な思いでこのニュースを受け止めたことでしょう。さて、そんな現状を改善するため、注目を浴びているのが、「宅配ボックス」。その名の通り、届け先が留守の際に宅配物を入れておけるボックスです。

↑パナソニックのアパート用宅配ボックス「COMBO-Maison(コンボ-メゾン)」↑パナソニックのアパート用宅配ボックス「COMBO-Maison(コンボ-メゾン)」

 

。住人が不在の際、荷物を入れてレバー操作でロックできます(右)。印鑑を内蔵し、捺印も可能↑住人が不在の際、荷物を入れてレバー操作でロックできます。印鑑を内蔵し、捺印も可能

 

パナソニック エコソリューションズ社で宅配ボックスの開発を担当する田中 宏さんによると、「市場の盛り上がりを非常に強く感じています」とのこと。

 

「今年の冬から春にかけて、テレビや雑誌で『クライシスだ』と物流の問題が取り上げられ、社会問題化してからオーダーの規模が一気に変わりました。特に、戸建て用の宅配ボックスは劇的に変わりましたね。2~3年前からしたら、約10倍です」(田中さん)

↑↑パナソニックでは、一昨年は前年の2倍、昨年は前年の5倍の販売を記録

 

このようにニーズが高まっている宅配ボックスを学生のまち・京都に実際に設置して、その効果を確かめようというのが産・官・学が連携する「京(みやこ)の再配達を減らそうプロジェクト」です。前編ではアパート向けの実証実験をレポートしましたが、今回は大学に設置した公共用宅配ボックスの実証実験について見ていきましょう。

↑京都産業大学のキャンパス。↑豊かな自然に囲まれた京都産業大学のキャンパス

 

京都産業大学の図書館に公共用宅配ボックスを設置

実験の舞台となったのは京都市北区に位置する京都産業大学。1965年、熊本県出身の天文・物理学者の荒木俊馬により創設された私立の一拠点総合大学です。本校は、私立大学では国内最大となる口径1.3mの「荒木望遠鏡」を所有し、人体に危険な病原体を取り扱えるバイオセーフティーレベル3(レベル4が最高)の研究施設を持つなど、充実した施設を備えています。

 

そんな京都産業大学の中央図書館付近に設置されたのが、パナソニック製の公共用宅配ボックス。こちらは17年11月から翌年1月末まで置かれる予定で、その利用動向が調査の対象となります。

↑中央図書館↑公共用宅配ボックスが設置された中央図書館

 

20171121-s3 (15)↑図書館の脇に設置された公共用宅配ボックス。高さは1830~1850mmの間で調整可能。奥行きは約650mm、幅は1列約500mm×4列で、サイドのパネルを含めると約2050mmです。価格の目安は2列で150万円。これに加え、維持費として月額料金がかかります

 

配達スタッフ、学生モニターは宅配ボックスの設置を歓迎

こちらの公共用宅配ボックスには、Sサイズ×9、Mサイズ×7、Lサイズ×3の、合計19個のボックスが内蔵されており、同大学の職員、学生の約50名が利用可能。使い方としては、ユーザーが直接このボックスを送り先に指定するか、再配達の荷物の送り先をここに指定する方法があります。これなら、大きめのボックスもあるので、前編で紹介したアパート用の宅配ボックスの「大きな荷物が入らない」という不安は少なくなりますね。操作も、タッチパネルの指示に沿っていくだけなので、カンタンです。

↑「職員モード」で問い合わせ番号をバーコードで読み取るか、手動で入力し、パスワードを入力。ボックスは荷物のサイズに合わせて選べます ↑配達員は、「職員モード」でログイン。問い合わせ番号をバーコードで読み取るか(写真)、手動で入力し、パスワードを入力。ボックスは荷物のサイズに合わせて選べます

 

↑ボックスを選ぶと自動で扉がオープン。各ボックスの底面には荷物のセンサーがあり、このセンサーが検知するように荷物を置きます。扉を閉めてログアウトすると、プリンターが配達済みの記録を印刷・発行↑ボックスを選ぶと自動で扉がオープン。各ボックスの底面には荷物のセンサーがあり、このセンサーをふさぐように荷物を置きます。扉を閉めてログアウトすると、プリンターが配達済みの記録を印刷・発行

 

↑ユーザーは問い合わせ番号とパスワードを入力して、荷物を受け取ります↑ユーザーは問い合わせ番号とパスワードを入力して、荷物を受け取ります

 

インタビューに応じた日本郵政の配達スタッフは、「学生マンションに住む方で朝から夕方に居る人は少なく、19時以降に行かないと戻ってこられない方が多い。このボックスの設置で、夜間の再配達も減ると思いますので、どんどん使っていただきたいです」と歓迎。操作についても、「マンションに付いている宅配ボックスでも、(これと同様の)タッチパネル式のものもあるので、配達員がとまどうことはないと思います」とのこと。

 

また、同大学の学生の利用予定者に話を聞くと、「荷物は大学に来ていて受け取れないことが多いので、ここなら受け取れる方は多いと思います」「サークルや部活で大きいものや大量のモノを頼むときに便利。自宅に届いたものを学校に持ってくるのは大変なので」と、そのメリットを語ってくれました。

 

自販機から公共用宅配ボックスへの置き換えが進む可能性も

さて、ここでみなさんに注目してほしいのが、この公共用宅配ボックスの可能性について。もしも普及が進み、多くのユーザーが利用するステーションが各地にできたとしたら、配達スタッフの再配達リスクが激減するとは思いませんか? ユーザーにしてみたら、荷物の再配達の手続きが不要、かつ荷物を待つあの落ち着かない時間も不要になるわけで、メリットは大きいはず。こうした将来性を含め、パナソニック エコソリューションズ社で宅配ボックスを担当する田中 宏さんに再び話を聞いてみました。

↑パナソニック エコソリューションズ社ハウジングシステム事業部の新規事業開発室 新事業企画開発部の田中 宏さん↑パナソニック エコソリューションズ社、ハウジングシステム事業部の新規事業開発室 新事業企画開発部の田中 宏さん

 

田中さんによると、公共用宅配ボックスの現在の納入実績は大手家電量販店など。店舗で購入した商品を客があとで取りに来る、といったコインロッカーのような使い方をされているとのこと。まだその特性を活かしきれていない印象ですが、今後、さらに普及が進むことで、使い方も広がっていくようです。

 

「公共用宅配ボックスは自動販売機と同じようなサイズにしているので、自販機オーナーが宅配ボックスへ置き換えやすくなっています。自販機2台を並べるより、そのうちの1台を宅配ボックスに替えたほうが、利便性や土地の収益源が上がる可能性もあるでしょう。こうして街中の至るところに宅配ボックスが設置されれば、たとえば出張の際は、事前に仕事に使うものを送っておいたり、帰省のときに荷物を送っておいたりと、便利に使うことができます。大型のスーツケースなど、より大きな荷物も収納できるよう作ることもできるので、インバウンドの方が駅から荷物をホテルに送るといった使い方も可能。ビジネス利用の面でも、いろいろな広がりが期待できます」(田中さん)

 

ニーズが高まったいま、冷蔵・冷凍品用のボックス開発も視野に

前編でも挙がった宅配ボックスの大きな課題、「冷蔵・冷凍品が受け取れない」という点についてはいかがでしょう? これについては、同社の宣伝・広報部の奥瀬史郎さんが解説してくれました。

 

「冷凍・冷蔵機能を持つ宅配ボックスの開発は、以前から技術的には可能でした。パナソニックは冷蔵庫も作っていますし、過去には電気式の宅配ボックスもあったわけですから、開発しようと思えばできました。ただ、いままでは認知度がなかったので、『作っても誰が使うんだ』という問題がありました。しかし、認知度が上がり始めたいま、一定のニーズも期待できますし、食品会社やデリバリー会社と共用した使い方も考えられます。宅配ボックスは、まだまだいろいろな用途、設置場所が想定できます。これからどんどん広がっていきますよ」(奥瀬さん)

↑↑宅配ボックスは、エコソリューションズ社の外廻りシステムビジネスユニットが担当。雨どいなどで培った防水の技術などを活かして宅配ボックスを開発しています

 

カメラの画像処理を利用すれば、宅配ボックスからの発送も可能

さらに、前出の田中さんによると、驚くべきことに、宅配ボックスは受け取りだけではなく、発送に利用することも可能だそうです。

 

「我々の技術には、荷物の大きさをカメラの画像処理で計測する技術がありますので、これを活用し、大きさ・重さを計ってレジを通さず発送できるようにしていきたいです。最近はフリマアプリなどが増えてきたこともあり、個人発の荷物が増えていて、コンビニさんの負担になっています。そういった労力を減らすためにも、発送という点に力を入れていければと考えています」(田中さん)

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つまり近い将来、宅配ボックスの普及・開発が進めば、荷物の発送・受け取りから生鮮食品の買い物に至るまで、公共の宅配ボックスでできてしまうかもしれないわけです。少し具体的に想像してみましょう。たとえば、地方の海辺の町に旅行に行くとき。家の隣にある宅配ボックスから着替えを旅先の宅配ボックスに送り、ついでにネットで購入した浮き輪の送り先もそこに指定。手ぶらで旅行を楽しんだあとは、旅先の冷蔵用宅配ボックスから、地元の鮮魚を実家の両親に発送……なんてことが可能になるわけです。想像するだけで、なんだかワクワクしますね。結果、宅配物の流通量は増えるかもしれませんが、再配達が激減してオンライン管理も容易になるはず。計画的で効率の良い集配が可能になり、宅配ドライバーの負担も減るのではないでしょうか。

 

とはいえ、宅配ボックスの普及にはハードルがあるのも事実。「技術面というよりは、各所の協力体制が問題です。自治体や場所を貸す人、物流業者さんをはじめ、いろいろなところが手を組まないと難しい。その点が大きな課題です」と田中さんは語ります。そして、今回レポートした実証実験「京の再配達を減らそうプロジェクト」は、自治体とメーカー、大学と物流業者が手を組んで実現したもの。まさに「各所の協力体制」という課題をクリアした画期的な取り組みであり、貴重なモデルケースとなることは間違いありません。果たして、本プロジェクトがワクワクするような未来への大きなステップとなるのか、みなさんも、その結果に注目してみてください。

↑左から京都産業大学学長・大城光正氏、パナソニック ハウジングシステム事業部 外廻りシステムビジネスユニット ビジネスユニット長・高松郁夫氏、京都市長・門川大作氏↑今回のプロジェクトで連携する3者の会見。左から京都産業大学学長・大城光正氏、パナソニック ハウジングシステム事業部 外廻りシステムビジネスユニット ビジネスユニット長・高松郁夫氏、京都市長・門川大作氏

 

「宅配ボックス」で業界のブラック化を食い止めろ! “ネット通販ネイティブ”を狙った壮大なテストが京都で始動

みなさんご存じの通り、宅配便の再配達問題が社会問題化しています。国土交通省によると、ネット通販の一般化で近年の宅配便の取扱個数が急伸。直近5年では取扱個数が約5億個増加し、2016年度の取り扱いは約40.2億個に到達しました。

 

宅配業界のブラック化で脚光を浴びる宅配ボックス

うち、再配達となるのが約2割で、この手間を労働力を換算すると、年間約9万人のドライバーの労働力に相当します。その労働力が新たに補充されるわけではないので、負荷はおのずとドライバーに降りかかり、宅配業界のブラック化に歯止めがからないのが現状。また、再配達のトラックから排出されるCO2の量は、年間でおよそ42万トンと膨大で、環境への悪影響も心配されているところ。そんななか、にわかに脚光を浴びているのが宅配ボックスです。

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宅配ボックスとは読んで字のごとく、届け先が留守の際に宅配物を入れておくボックス(設備)です。再配達が不要となるため、受け取り人は荷物を待つ必要がなく、宅配ドライバーの負担も減るという両者にうれしいアイテム。ここ1年で急激に販売を伸ばしており、パナソニックでの販売実績は前年比で5倍、2年前と比べると実に10倍にまで伸びているそうです。

 

京都を舞台に「宅配ボックスがあったならどうなる?」という実験を実施

そんな時代の流れを受け、今回、この宅配ボックスを使った大掛かりなプロジェクトがスタートしました。それが、「京(みやこ)の再配達を減らそうプロジェクト」です。本プロジェクトは、簡単にいえば「もしも、宅配ボックスが学生のアパートと大学にあったならどうなる?」という実証実験。京都市が主催し、パナソニックと京都産業大学および宅配事業者(ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便)が協力して実施します。

↑左から京都産業大学学長・大城光正氏、パナソニック ハウジングシステム事業部 外廻りシステムビジネスユニット ビジネスユニット長・高松郁夫氏、京都市長・門川大作氏↑共同で実証実験を行う3者の会見。左から京都産業大学学長・大城光正氏、パナソニック ハウジングシステム事業部 外廻りシステムビジネスユニット ビジネスユニット長・高松郁夫氏、京都市長・門川大作氏

 

具体的には、パナソニック製のアパート用宅配ボックス「COMBO-Maison(コンボ-メゾン)」合計39台を京都市内5か所のアパート(合計106世帯)に設置。併せて京都産業大学キャンパス内にも公共用の宅配ボックスを設置して、約3か月にわたって利用実態や再配達抑制効果などを調査します。平成29年度の調査によると、人口に対する学生数(大学・短期大学の合計)の比率は、京都市が10.0%と政令指定都市の中で最も高いことがわかっています。さらに、京都市には39もの大学・短期大学があり、人口の1割に相当する約15万人の学生が学ぶことから「大学のまち」「学生のまち」と言われています。

20171121-s3-(16)↑アパートに設置される宅配ボックス「COMBO-Maison」を操作するパナソニックの高松氏

 

この、日本一学生が集中する「大学のまち・学生のまち」京都において、ネット通販のネイティブ世代に対し、日中に留守にしていても宅配便が受け取れる方法を提供しようというのが、今回の産学公連携による試みです。

 

なお、昨年11月から4か月にわたって、福井県あわら市では、103世帯をモニターとした同様の実証実験が行われ、再配達率が49%から4か月平均で8%に減少するという目覚しい成果を挙げました。今回、これを大都市の京都に舞台を移すということで、その結果には否応なく注目が集まるところです。

 

わかりやすい操作のアパート向けアイテム「COMBO-Maison」

さて、まずはアパート向けの実証実験に目を向けてみましょう。アパートに設置されるのは、パナソニック製のアパート用宅配ボックス「COMBO-Maison(コンボ-メゾン)」。こちらは複数の入居者が共用で使える、アパート対応の屋外用宅配ボックスです。1台で複数の入居者に対応し、入居者ごとに暗証番号を設定できるので、個別に荷物を取り出すことができます。また、電気を使わないので取り付け時の配線工事が要らず、電気代などランニングコストもかかりません。

↑宅配ボックスが設置されたアパート↑宅配ボックスが設置されたアパート

 

今回、実験に使われるのはコンパクトタイプ(W390×H450×D150㎜/耐荷重5kg)とハーフタイプ(W390×H590×D225㎜/耐荷重10kg)の2タイプ。薄型デザインで狭いエントランスでも設置可能。かつ雨水が内部に漏れにくい構造なので、屋根のない場所でも設置できます。

↑1階に設置された↑1階には「COMBO-Maisonハーフタイプ(6錠)」(参考価格10万5500円・税別)が設置されていました

 

使い方はカンタン。配達者は、扉の内側にあるレバーを該当の部屋番号に合わせてセットするだけで施錠できます。荷物の受け取り状態と宛先の部屋番号が色でわかりやすく表示されるので、荷物の有無も一目瞭然。また、印鑑を内蔵できるため、配達者は伝票差込口に伝票を入れ、「なつ印」ボタンを押すだけで押印できます。

↑レバーを起こし、上下にスライド。配達する部屋番号にレバーを合わせて扉を閉めればOK↑荷物を入れて、扉の内側の赤いレバーを上下にスライド。配達する部屋番号にレバーを合わせて扉を閉めればOK

 

↑↑表示が緑色の「受け取りできます」から赤色の「使用中」になり、荷物が届けられた部屋番号には赤いマークが付きます。写真は303号室に荷物が届いた状態

 

↑暗証番号を入れれば開錠できます↑ユーザーが暗証番号を入れれば開錠できます。キーレスのため鍵の管理は不要。さらに、暗証番号の設定変更が可能なため、入居者が変わるごとに行っていたカギの交換も不要です

 

宅配業者にとってはありがたい存在で操作に迷うこともない

さて、宅配業者にとって宅配ボックスとはどんな存在なのか。初めて宅配ボックスを目にした際は、「こんなん出たんや」と驚いたと語る佐川急便の毛利廣忠(もうり・ひろただ)さんに話を聞くことができました。

20171121-s3 (13)↑佐川急便営業課の係長、毛利廣忠さん

 

「一人暮らしの再配達の比率は、体感だと30%くらいです。宅配ボックスがあることで、1回で配達が終われるというのはメリット。何日間かご不在が続いて、なかなか配達が終わらない荷物もありますので。学生さんは日中はおられないことが多く、再配達の連絡もなかなか入ってこないこともあります。そういう場合、ボックスがあればありがたいですね。新たにできたマンションは宅配ボックスが付いているイメージですが、このエリアは元々、宅配ボックスがあまり設置されていないエリアですので」(毛利さん)

 

上記インタビューでは、宅配ボックスがあれば「うれしい」「とても便利だ」といったわかりやすい言葉はもらえませんでした。再配達も仕事の一部。だから、表立って「宅配ボックス歓迎」とは言えないが、やっぱりあればありがたい……。インタビューの行間からは、そんな感情が垣間見られました。

 

さて、気になるのは宅配スタッフが宅配ボックスを正しく使えるのか? という点。会社では宅配ボックスを正しく操作するための講習などはないのでしょうか?

 

「特にありません。実際に現場で仕事をしているときに、先輩が後輩に宅配ボックスの使い方を教えます。使いづらいといった印象はなく、たいていは宅配ボックスに操作方法が貼ってあるので、それに沿っていけば大丈夫。機能しているのかどうかわからない、よほど古いタイプだと使用を避けますが、それ以外の場合で使い方に困ることはありません」(毛利さん)

 

話を聞く限りでは、宅配スタッフが基本的に操作に困ることはなく、「使ってもらえない」という心配は少ないことがわかります。

↑捺印↑伝票への捺印が可能なので、人を介さずに荷物の引き渡しが可能です

 

次に、ユーザーとなる学生にとって宅配ボックスとはどんな存在なのでしょうか。モニターとなった京都産業大学、経営学部2回生の女子学生に聞いてみました。

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「『再配達は申し訳ない』という気持ちはあります。特に服や本など、賞味期限がないものは『どこかに置いておいてくればいいのに』と思うことも。服の購入やフリマアプリで宅配便はよく使いますが、昼間は学校、夜はバイトや部活に行くので、『絶対この時間は家にいる』という時間帯はありません。気づいたときは、不在票が3枚くらい入っているときがあって……。だから、宅配ボックスができて良かったなと思います。ただ、いままで受け取った荷物では入るものが多いですが、生鮮食品は入れられないし、ボックスに入らない場合もあります。(緩衝材などで)荷物が大きくなっている場合もあるので」

 

彼女の言葉からは、再配達への後ろめたさは感じながらも、宅配便を使わずにはいられないというジレンマが見て取れます。また、大きめの荷物が入らない、生鮮食品を入れておけないなど、宅配ボックス自体にもまだまだ課題はあるようです。

 

さて、次回はもうひとつの実証実験の舞台、京都産業大学をレポート。現地では、大学に設置されたボックスの詳細とともに、パナソニックの担当者に対して将来の展望に関するインタビューを実施。インタビューでは、街の至ることころに宅配ボックスが立ち、いつでも荷物のやり取りができて、旅先では身ひとつで行動できる…そんな、ワクワクするような未来が見えてきました。ご期待ください。

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【プロジェクト概要】

●プロジェクト名称:「京(みやこ)の再配達を減らそうプロジェクト」●実施期間:平成29(2017)年11月8日(水)~平成30(2018)年1月末(予定)●実施場所:京都市内のアパート(5箇所)及び京都産業大学内●主催:京都市●協力:パナソニック、京都産業大学、ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便

<モニター製品>

アパート:パナソニック製 アパート用宅配ボックス「COMBO-Maison(コンボーメゾン)」…ハーフタイプ CTNR4630R(L) 10万5500円(税別) ステンシルバー色 共有6錠タイプ、ハーフタイプ CTNR4830R(L) 11万1500円(税別) ステンシルバー色 共有8錠タイプ

京都産業大学…パナソニック製 公共用宅配ボックス (実証実験用)

<モニター対象>

アパート:設置協力アパート(5か所、106世帯)居住の学生・単身者、京都産業大学:京都産業大学の学生、職員