せめて絵はがきだけでも…。宇宙旅行が身近に感じられる無料プログラムとは?

果てしない宇宙に向けてポストカードを送る——。そんな壮大なプログラムに誰もが無料で参加できるのをご存知ですか? アマゾンの創業者が関わるプロジェクトを紹介しましょう。

↑宇宙がもっと身近な存在になる(画像提供/Greg Rakozy/Unsplash)

 

地球にはなぜ宇宙が必要なのか? 壮大で未知の世界が広がる宇宙に思いをはせて、ポストカードでメッセージを送るのが、「クラブ・フォー・ザ・フューチャー」と名付けられたプロジェクトです。

 

これは米国の宇宙開発企業・ブルーオリジンから生まれた非営利団体が運営するもの。同社が打ち上げる宇宙船にポストカードも乗せて宇宙へ運び、パラシュートで地球に戻ったら、「Flown to Space(宇宙へ飛行した)」のスタンプを押して送り主のもとに返送されます。

 

ブルーオリジンといえば、アマゾンの創業者、ジェフ・ベゾス氏が出資する宇宙開発企業。同社の宇宙船・ニューシェパードは既に29回の打ち上げを行い、ベゾス自身も宇宙旅行を経験しています。

 

このように、民間企業による宇宙開発が盛んになり、選び抜かれた宇宙飛行士でなくても宇宙に旅行することができるようになった現代。とは言え、地球上で暮らす私たちの大半にとっては、宇宙はまだまだ遠い存在です。そこでポストカードを通じて宇宙をもっと身近に感じる体験を提供し、特に子どもたちに科学や技術などの分野に興味をもってもらおうと、このプロジェクトが行われているのです。

 

このプロジェクトはすべて無料で、米国以外の国の人でも自由に参加可能。参加方法は、ポストカードをクラブ・フォー・ザ・フューチャーまで郵送するだけ。片面に返送先となる自分の住所を書いたら、もう片面には「地球にはなぜ宇宙が必要なのか?」それぞれの考えを書きます。個人情報だけは書かないように注意すれば、宇宙での暮らしや未来の生活のことなど、絵を描いたり、自分の意見を好きに書いたりしていいのです。

 

もっと手軽に参加するなら、クラブ・フォー・ザ・フューチャーのウェブサイトからオンラインで、デジタルポストカードを送ることも可能。PCやスマホの画面に好きな絵や文字を書いて、このプロジェクトに参加することもできます。

 

主に高校生までの子どもたちを対象としたプロジェクトですが、それ以外の人も参加可能。例えば、親子で一緒にポストカードを送ったり、友だち同士で参加したり……。誰でも宇宙をいま以上に身近に感じられる、またとない機会になりそうです。

 

【主な参考記事】

Need To Know. You can now send a postcard to SPACE – it’ll return to Earth via parachute. February 12 2025

Club For Future. Send Postcards to Space.

スペースXの「スターシップ」、7回目のテスト打ち上げへ! 空中キャッチ再び?

スペースXは、次世代ロケット「スターシップ」のテスト打ち上げに向けて準備を進めています。

↑変革の年を迎えたスターシップ(画像提供/スペースX)

 

スターシップはブースターの「スーパーヘビー」と組み合わせることで、全長約120メートルにもなる史上最大のロケットです。昨年11月には6回目のテスト打ち上げが実施され、ドナルド・トランプ次期米大統領も現場に駆けつけました。

 

米国時間1月13日に予定されている7回目のテスト打ち上げは、南テキサスのスペースXの施設で実施。今回打ち上げられるスターシップは、上段のフラップが小型化されたり、推進システムの再設計により推進剤の容量が25%増加したり、最新世代の耐熱タイルによるシールドが採用されたり、いろいろパワーアップしています。

 

今回のミッションでは、打ち上げられたブースターは大気圏に再突入した後に、発射台のアームで空中キャッチされる予定。このタワーにもレーダーセンサーが搭載されるなど、損傷を防ぐための保護が強化されています。

 

スターシップには、衛星インターネット計画「スターリンク」の模擬衛星が10機搭載される予定。この次世代のスターリンク衛星は従来より大きく、高速通信ができるようになるそう。

 

「今年はスターシップにとって変革の年になる」と言うスペースX。「システム全体の再使用性を高めることを目指している」と述べています。スターシップのさらなる進化に期待しましょう。

 

Source: SpaceX via Space.com

中国版スターリンク「国網」の打ち上げが開始! 約1万3000機の衛星を宇宙へ

中国版スターリンクとも呼べる衛星ネットワーク「国網(Guowang)」の衛星の打ち上げが、現地時間12月16日に開始されました。

↑国網の打ち上げが始まった(画像提供/Ourspace)

 

スペースXのスターリンクといえば、地球低軌道(LEO)に多数の衛星を打ち上げることで、高速化かつ低遅延なインターネット接続を提供しています。その中国版とされる国網も約1万3000機の衛星を打ち上げることで、衛星インターネットサービスの提供を計画しているのです。

 

今回の打ち上げは、中国の海南島にある文昌衛星発射場から「長征5号Bロケット」により実施されました。このミッションは打ち上げから2時間後に成功を発表。国営通信社の新華社も「低軌道衛星の最初のグループ」が軌道に投入されたと報じています。

 

国網の詳細は公開されていませんが、表向きは民間向けのサービスを提供するそう。国際電気通信連合(ITU)の規則によれば、中国は2032年までに1万3000機の衛星のうち半分を打ち上げる必要があると言います。

 

一方、中国は1万4000機からなる衛星インターネット計画「千帆(Qianfan)」の構築も進行中。今後はスペースXと同じように、中国からもロケットによる衛星の打ち上げが頻繁に実施されそうです。

 

Source: SpaceNews

NASAが水中探査機「SWIM」を開発中! どこで使うの?

NASA(米航空宇宙局)は水中探査機を開発しています。なぜNASAがそんなことをするのか不思議に思うかもしれませんが、これは宇宙に存在する地球外生命体を探すためです。

↑SWIMのプロトタイプ(画像提供/NASA Jet Propulsion Laboratory/YouTube)

 

生命には水が必要。そのため、はるか彼方の宇宙で生命を探すためには、水の中でも探索できるロボットが必要であるとNASAは考えているのです。

 

現在開発が進められているのが、水中探査機「SWIM」。「Sensing With Independent Micro-swimmers(独立型微小スイマー付き感知デバイス)」を略してネーミングされました。先日そのプロトタイプが制作され、カリフォルニア工科大学のプールで水中を泳ぎまわる様子を収めた動画が公開されたのです。

 

プロペラ2個とフラップ4枚を搭載したSWIMは、水中音響通信システムを通じて、自分の位置を把握しながら、各種のデータを地球まで送信するそう。約2時間、8.5万平方メートルの水域を探索できる分だけのバッテリーが備えられています。NASAでは、このSWIMを12台程度のグループにして使う予定です。

 

今回のプロトタイプは、約42cm、重さ2.3kgですが、最終的にはこの約3分の1、スマートフォンのサイズまで小型化するそう。

 

SWIMが使われる場所は、木星を周回している衛星「エウロパ」。この衛星には地殻の下に地下海が存在することがわかっており、生命体が存在する可能性が高いとみられています。

 

【主な参考記事】

The Sun. FIN-TO THE UNKNOWN Watch Nasa’s swimming ‘robo-fish’ built to hunt for alien life in hidden ocean on Jupiter’s moon in daring mission. November 24 2024

NASA. Mini NASA Robot Takes a SWIM. November 25 2024

NASAのドラゴンフライ、スペースXの「ファルコンヘビー」で土星の生命探査へ

原子力で稼動するNASAのドローン「ドラゴンフライ」が、スペースXの「ファルコンヘビー」ロケットに搭載されて土星衛星の「タイタン」に向かうことが判明しました。

↑ファルコンヘビーに乗ることになったドラゴンフライ(画像提供/NASA)

 

太陽系で2番目に大きな衛星のタイタンでは、炭化水素の海や湖があり、さらに生命の構成要素である炭素を含む有機化合物が多量に存在します。そのためタイタンの地表や地下には、生命が存在する可能性が指摘されているのです。

 

ドラゴンフライは8機の回転翼を備えた探査機で、タイタンを約2年半にわたって飛行し、その地表を詳細に観察します。当初は2027年の打ち上げが予定されていましたが、コストが大幅に増加したのとともに、ミッションの開始時期も延期されました。

 

ドラゴンフライは2028年7月にファルコンヘビーへと搭載され、6年後にタイタンへと到達する予定。なお、ファルコンヘビーは、現在運用されているロケットの中でNASAの「スペースローンチシステム」に次いで2番目に強力なものとなります。

 

ファルコンヘビーは今年10月にも、NASAの木星衛星「エウロパ」を探査する「エウロパ・クリッパー」を打ち上げています。エウロパ・クリッパーも衛星の海の中に、生命が存在する可能性が指摘されており、今後は太陽系の彼方からビッグなニュースが飛び込んでくるかもしれません。

 

Source: Space.com

スペースX、スターシップの試験飛行を実施! トランプ氏の前で空中キャッチは…

実業家のイーロン・マスク氏が率いるスペースXは、米国時間11月19日、巨大ロケット「スターシップ」の試験飛行を実施。現場にはドナルド・トランプ次期米大統領も駆けつけました。

↑トランプ次期米大統領が見つめるなか試験飛行したスターシップ(画像提供/SpaceX)

 

マスク氏といえば、最近の米大統領選挙でトランプ氏に多額の献金を行い、勝利に貢献したことでも有名。次期政権で「政府効率化省」への就任が決まるなど、両者の蜜月っぷりが話題となっています。

 

スターシップは、ブースターの「スーパーヘビー」と組み合わせることで、史上最大のロケットになります。今回の打ち上げでは、ロケットの予定軌道への投入やスターシップのエンジンの再点火、海上への軟着水に成功。なお、前回の試験飛行で行われた「発射台のアームでの空中キャッチ」は実施されませんでした。

 

トランプ氏は「単に地上から離れただけでなく、宇宙へと運ばれた史上最大の物体の打ち上げを見届ける。マスク氏とこの素晴らしいプロジェクトに関わる偉大な愛国者たちに、幸運を祈る!」とXに投稿。トランプ次期大統領とのタッグにより、マスク氏の宇宙開発はさらに加速することになりそうです。

 

Source: Space.com, SpaceNews

どうした? スペースX、ファルコン9の打ち上げを直前で中止

スペースXは11月3日(米国時間)、「ファルコン9」ロケットの打ち上げを直前で中止しました。

↑直前で発射中止となったファルコン9(画像提供/スペースX/X)

 

同ロケットの打ち上げは、米フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍施設で進められていました。同ロケットは「Starlink 6-77」ミッションとして、衛星インターネットサービス「スターリンク」の衛星を23基打ち上げる予定だったのです。

 

しかし、打ち上げのカウントダウンが2分36秒まで進んだ時点で、スペースXはファルコン9の打ち上げを中止。同社はヘリウムに関連したトラブルのため、同ロケットの打ち上げを止めたとライブ放送で示唆しています。


ファルコン9が予定通りに打ち上げられていたら、その第1段ブースターは大気圏へ再突入し、大西洋上で待機している無人船「Just Read the Directions」に着陸する予定でした。

 

スペースXは2024年に100機のファルコン9を発射しており、その大部分はスターリンクの打ち上げに使用されました。現時点で新しい打ち上げ時期は発表されていません。

 

Source: Space.com

宇宙のゴミ処理が変わる!「ゴミ圧縮マシン」が2026年に打ち上げへ

宇宙で人間が活動すれば、当然出てくるのがゴミ。そんな宇宙のゴミをぎゅっと圧縮してくれるマシンが、2026年に国際宇宙ステーション(ISS)に打ち上げられます。

↑宇宙のゴミをリサイクル(画像提供/シエラスペース)

 

現在、ISSで出たゴミは地球に帰還する宇宙船に積み込み、大気圏で燃え尽きることで処理します。しかし、月探査や火星探査など、より遠い場所での活動ではこの手法を用いることはできません。

 

宇宙開発企業のシエラスペース(Sierra Space)が開発したマシン(上の画像)は、宇宙での活動で出たゴミをタイルのような形状に圧縮することができます。ゴミからほぼすべての水分を抽出しリサイクルすることができ、汚染物質も除去してくれます。圧縮されたゴミは、宇宙船を放射線から防ぐ追加の遮蔽物として利用することも可能。

 

「長期の宇宙旅行では、あらゆる資材と機器を効率的に使用する必要があります」と、シエラスペースで最高経営責任者(CEO)を務めるTom Vice氏は述べています。「効率的で持続可能かつ革新的な廃棄物の処理は、有人宇宙探査の成功に不可欠です」

 

Sierra Spaceのゴミ圧縮マシンは、ISSのその他のリサイクル装置とともに活躍することになります。ISSには、98%の回収率で尿などの水を飲料水に変換する装置も搭載されており、さらにエコな宇宙活動が実現できそうです。

 

Source: Space.com

木星に生命は存在する? NASAの衛星探査機「エウロパ・クリッパー」が出発

米国時間10月14日、スペースXは米航空宇宙局(NASA)の木星衛星探査機「エウロパ・クリッパー(Europa Clipper)」の打ち上げを実施しました。

↑ファルコン・ヘビーに乗って打ち上げられるエウロパ・クリッパー(画像提供/スペースX)

 

その名が示すように、エウロパ・クリッパーは木星の第2衛星「エウロパ」の探査を予定しています。エウロパ・クリッパーは、この衛星が生命にとって居住可能な環境かどうかを調べることがミッション。エウロパは表面が氷に覆われた衛星ですが、その下には海が存在し、生命が存在する可能性が指摘されているのです。

 

エウロパ・クリッパーは、ケネディ宇宙センターからスペースXの「ファルコン・ヘビー(Falcon Heavy)」ロケットで打ち上げられました。ファルコン・ヘビーは、同社が運用する「ファルコン9」ロケットの第1段を3本束ねたような形をしており、現在運用されているロケットの中で最も強力な物でもあります。今回の打ち上げでは、ファルコン・ヘビーはエウロパ・クリッパーを予定軌道に投入。第1段の回収は実施されませんでした。

 

打ち上げられたエウロパ・クリッパーは、すでに太陽電池パネルの展開に成功。今後は2025年2月に火星、2026年12月に地球でのフライバイ(宇宙船の天体接近飛行)を実施し、加速して木星へ向かうことになります。はたして木星の衛星は生命が住める場所なのでしょうか? NASAの報告が楽しみです。

 

Source: Space.com

打ち上げテストは順調! スペースXの巨大ロケット「スターシップ」とは?

実業家のイーロン・マスク氏は、次世代ロケット「スターシップ(Starship)」の次回の打ち上げを4週間後に実施すると発表しました。

↑テストが順調に進む「Starship」(画像提供/スペースX)

 

スターシップはブースターの「スーパーヘビー(Super Heavy)」と組み合わせることで、人類を月に運んだ「サターンV(Saturn V)」ロケットより大きくなります。そのミッションは、人工衛星の打ち上げから月面探査、火星への移住での使用が想定されています。

 

スターシップはすでに4回のテスト打ち上げを実施。今年6月に行われた4回目の打ち上げでは、ロケットの上下段の分離と予定高度への到達、海上への着陸に成功しました。次回の打ち上げでは、Super Heavyを海上ではなく発射台へと着陸させ、さらにロケットを着陸脚ではなく「箸」のようなアームで捕まえる試みが実施されます。

 

スターシップは上下段の再使用が可能なロケットですが、発射台に着陸させることで、輸送効率や打ち上げ頻度がさらに向上する見込み。このロケットは米国による有人月面探査ミッション「Artemis III(アルテミス3号)」でも使用される予定です。

 

Source: Elon Musk / X via Space.com

インドの宇宙船、3回連続で着陸試験に成功!

かつて宇宙へと人類を運び、地球に帰還した米国の宇宙船「スペースシャトル」。そのスペースシャトルを小さくしたようなインドの宇宙船が、地上への着陸試験に成功しました。

↑3回連続で着陸試験に成功したインドの宇宙船(画像提供/インド宇宙研究機関)

 

2024年6月に実施されたテストでは、再使用が可能な宇宙船「Pushpak」による、自立着陸技術「Reusable Launch Vehicle(RLV)Landing Experiment(LEX)」が実証されました。全長6.5mの宇宙船はヘリコプターで上空4.5kmまで持ち上げられ、空中から放出。その後、Pushpakは自律的に滑走路に接近し、パラシュートを使って滑走路の中央に正確に着陸しました。

 

「内蔵システムが完璧に機能し、飛行機が3回連続で滑走路の中心線に着陸することができました」と、テストを実施したヴィクラム・サラバイ宇宙センター(VSSC)の担当者は述べています。「滑走路の中心線から500メートル離れていた飛行機は、最終的には11センチのところまで近づきました」

 

今回のテストは、インドにとって3回目のデモンストレーションとなりました。今後は、軌道再使用型宇宙船の「RLV-ORV」の開発に乗り出します。また、同国は10年以内にこのような宇宙船を運用することを目標としており、さまざまなミッションへの使用が期待されています。

 

翼を備えた宇宙船が、宇宙から地球に帰還する。スペースシャトル計画の終了後あまり目にしなくなった光景が徐々に復活するのかもしれません。

 

Source: ISRO / X via Space.com

計算ミス? スペースX宇宙船の一部が米の遊歩道に落下

スペースXの「Crew Dragon(クルー・ドラゴン)」宇宙船の一部が米国の遊歩道に落下したことを、米航空宇宙局(NASA)が認めました。

↑ノースカロライナ州のリゾート地で発見された宇宙ごみ(画像提供/Future/Brett Tingley/Space.com)

 

今回宇宙から落下してきたCrew Dragonの宇宙ゴミは、ノースカロライナ州のリゾート地の遊歩道沿いで発見されました。大きさはクルマのボンネットほどで、カーボンファイバーの繊維で覆われたこの物体は、Crew Dragonの最後尾にある「トランク」であることが判明しています。

 

Crew Dragonは国際宇宙ステーション(ISS)への宇宙飛行士の輸送を行っています。NASAによれば、この宇宙ごみは「Crew DragonがISSのミッションの後、大気圏への再突入時に落下した」とのこと。通常はCrew Dragonの胴体は再突入時に完全に燃え尽きると計算されていますが、今回の破片の落下はそれが正しくないことを示しています。

 

スペースXのCrew Dragonの宇宙ごみの落下は何度か発生しており、2022年8月にはオーストラリア、そして2024年5月にはカナダに破片が落下しました。NASAとスペースXは「発見された残骸を調査し、さらなる解決策を模索する」と声明を出しています。

 

Source: Justin Berger / X via Space.com

スペースXの「Falcon Heavy」、米国海洋大気庁の気象衛星を初めて宇宙へ

スペースX最強の運用ロケット「Falcon Heavy(ファルコン・ヘビー)」が、初めて米国海洋大気庁(NOAA)の気象衛星を積み、米国で6月25日(現地時間)に打ち上げられます。

↑ケネディ宇宙センターで打ち上げられるFalcon Heavy

 

同社が現役で運用しているロケットには、「Falcon 9」とその強化版の「Falcon Heavy」があります。Falcon HeavyはFalcon 9のロケット第一段を3本束ねたような形状となっており、静止軌道(GTO)に26.7トンのペイロードを投入することができます。

 

6月25日にFalcon Heavyが打ち上げるのは、NOAAの気象衛星「GOES-R」シリーズ。同衛星の過去3回の打ち上げはULA(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス)の「Atlas V(アトラスV)」ロケットで実施されたものの、今回の打ち上げではFalcon Heavyが契約を勝ち取りました。

 

Falcon HeavyはFalcon 9と同じく再使用可能なロケットで、今回の打ち上げでも複数のブースターがエンジン点火をしながら、地上へと降り立つ姿が見られるはず。SpaceXや米航空宇宙局(NASA)によるライブ配信を、楽しみにしたいものです。

 

Source: NOAA via Space.com

中国が「有人月宇宙船」の試験に成功! 激しくなる宇宙競争

1972年に「アポロ17号」が宇宙飛行士を月面に送り込んでから、人類はすでに50年以上、月の土を踏んでいません。そんななか、中国が月に宇宙飛行士を送り込むためにロケットのテストを本格化させています。

↑長征10号の第一段の静的燃焼試験の様子(画像提供/CASC)

 

6月14日、中国は「長征10号」ロケットの第一段の静的燃焼試験(スタティック・ファイア・テスト)を成功させました。

 

中国は2機の長征10号と宇宙船、着陸船を使用することで、2名の宇宙飛行士を月面に輸送する計画を発表しています。同計画では2030年までに宇宙飛行士を月面へと送り込む予定。中国は今後も長征10号のテストを継続します。

 

一方、米国は2026年9月に実施する「Artemis III(アルテミス3)」での有人月面探査を予定していますが、スペースXの着陸船や宇宙服の開発が遅れていることから、ミッションの実施時期は不透明となっています。

 

中国は月面着陸だけでなく、その先を見越した月面基地計画「国際月面研究ステーション(ILRS)」を立ち上げる予定。すでに複数の国が同計画への参加を表明しています。再び月に人類を送り込むのは中国になるのか、それとも米国なのか、今後も激しいデットヒートが繰り広げられそうです。

 

Source: qq.com via SpaceNews

NASAが「靴箱サイズの衛星」を2029年に打ち上げへ。重要な任務とは?

米航空宇宙局(NASA)は先週、「Landolt」と呼ばれる人工の星を宇宙へ打ち上げると発表しました。

↑「Landolt」のイメージ(画像提供/Eliad Peretz)

 

天体観測における星(恒星)の明るさは、大事な指標の一つ。この星の明るさを測定することで、私たちはその大きさや年齢など、さまざまな特性を知ることができます。また、宇宙の年齢や時間の経過による膨張を推測するのにも役立つのです。

 

2029年に打ち上げられるLandoltは靴箱サイズの衛星で、地上に向かって決められた明るさのレーザーを照射します。これを地上の望遠鏡で観測することで、大気にどれだけレーザーが吸収されたのかを測定。本物の60個の星の明るさと比較することで、実際の星の明るさを正確に知ることができるようになるのです。

 

「我々はどうやってここに来たのか、我々のような惑星は他にもあるのか、宇宙人は存在するのかなど、天文学には大きな疑問がたくさんある」と、この任務を率いる米フロリダ大学助教授のJamie Tayar氏は述べています。「これらは本当に難しい疑問であり、それらに答えるためには測定が非常に正確でなければなりません」

 

宇宙に打ち上げられるLandoltは、残念ながら肉眼で確認できるほど明るくありません。しかし、個人用の望遠鏡があれば、米国上空に衛星が浮かんでいるのが見える可能性があるそうです。

 

Source: University of Florida via Space.com

スペースXだけじゃない!「ボーイングの有人宇宙船」が初の打ち上げ目前

今日、宇宙飛行士が軌道上にある国際宇宙ステーション(ISS)に行く方法は、SpaceX(スペースX)の有人宇宙船かロシアのソユーズ宇宙船に乗ること。しかし、ようやくそこにBoeing(ボーイング)の「Starliner(スターライナー)」が加わろうとしています。

↑6月1日に打ち上げ予定の「Starliner」(画像提供/NASA)

 

米航空宇宙局(NASA)はスペースシャトルの退役後(2011年)、ソユーズと併用できる民間宇宙船を探していました。そして選ばれたのが、SpaceXの「Crew Dragon(クルー・ドラゴン)」とBoeingの「Starliner」。Crew Dragonはすでに何度も宇宙飛行士をISSへと輸送しています。

 

まもなく実施されるStarlinerの有人打ち上げ「Crew Flight Test(CFT)」では、二人の宇宙飛行士が搭乗し、ISSへと向かいます。もともとは5月中の打ち上げを予定していましたが、打ち上げロケット「Atlas V」に問題が発生したり、宇宙船からのヘリウム漏れの問題が発生したりと、ミッションは何度も延期。現在は6月1日の打ち上げが予定されています。

 

StarlinerのCFTが成功すれば、NASAと米国はISSに宇宙飛行士を送る方法が増え、ロシアへの依存度をさらに下げることが可能になります。当初の予定から7年も遅れた同宇宙船の初となる有人打ち上げが無事に成功することを祈りたいものです。

 

Source: Space.com

インドの次回「火星探査」で活躍が期待される、意外な乗り物とは?

火星を移動する手段としてはタイヤを備えた車両がありますが、もう一つ別の可能性として「ヘリコプター」も存在します。そして、インドは2回目の火星探査でヘリコプターの使用を計画しているようです。

↑火星にインドのヘリが舞う(画像提供/NASA/ISRO/Robert Lea)

 

火星で活躍したヘリコプターといえば、米航空宇宙局(NASA)の「Ingenuity(インジェニュイティ)」があります。こちらは本体に二重反転ローターを搭載したヘリコプターで、当初の予定を大幅に超える72回の飛行を実施し、今年1月にそのミッションを終了しました。

 

火星は重力が地球よりも小さい(約3分の1)だけでなく、大気密度が地球の約100分の1しかありません。このような環境では、航空機が飛行するための揚力を生み出すのがとても難しいのです。一方でヘリコプターのような航空機は、車両に比べて圧倒的に速く移動できるので、NASAもそれを期待してIngenuityの実証実験を行っていたのです。

 

今回のIndia Todayの報道によれば、2024年後半にも実施されるインドの第2回目の火星探査ミッション「Mars Orbiter Mission-2(MOM-2)」、別名「Mangalyaan-2(マンガルヤーン2号)」にて、探査車やヘリコプター、そして超音速パラシュートやスカイクレーンといった新技術を試す予定だと報じられています。

 

MOM-2が成功すれば、インドは米国と中国に続き、火星に宇宙船を着陸させた3か国目の国となります。インドは2019年に「Chandrayaan-2(チャンドラヤーン2号)」で月面着陸にチャレンジする(ミッションは失敗)など、宇宙開発における存在感をますます高めており、今後の躍進に期待したいものです。

 

Source: India Today via Space.com

NASAの宇宙飛行士が砂漠で訓練することは何?

米航空宇宙局(NASA)の宇宙飛行士がアリゾナ州の砂漠で、「月面歩行」の練習を実施しました。

↑砂漠で練習(画像提供/Josh Valcarcel/NASA)

 

米国は「Artemis(アルテミス)」計画として、米国人宇宙飛行士を月へ送り込むことを計画しています。無人飛行ミッション「Artemis I」は2022年11月に実施され、「Orion」宇宙船の月周辺の無人飛行に成功。2026年9月に実施される「Artemis III」では、実際に宇宙飛行士が月に降り立つ予定です。

 

アリゾナ州フラッグスタッフ近くで実施された訓練には、NASA宇宙飛行士のKate Rubins氏とAndre Douglas氏が参加。月に似た砂漠の上でレプリカの宇宙服を装着し、月面歩行を想定した歩行訓練を実施しました。この訓練は、NASAのジョンソン宇宙センターの飛行管制官からのサポートも受けています。

 

ジョンソン宇宙センターでディレクターを務めるBarbara Janoiko氏は、「砂漠でのフィールドテストは、Artemisミッションの月面着陸を成功させるために必要な全てのシステム、ハードウェア、テクノロジーをテストするうえで、重要な役割を果たします」と語っています。

 

今回の歩行訓練は、ジョンソン宇宙センターによるアリゾナ州での5回目のフィールドテストとなりますが、人類が初めて月に立った「アポロ計画」の訓練も、この砂漠で実施されました。本番が楽しみですね。

 

Source: NASA via Space.com

「どう見ても自然物ではない」カナダの農園に落ちていた驚くべき物とは?

SpaceX(スペースX)の宇宙船「Crew Dragon」の一部が落下してきた可能性がある、との情報がカナダから飛び込んできました。

↑空から宇宙船の一部が落ちてきた(画像提供/Adam Bent/CBC)

 

SpaceXは実業家のイーロン・マスク氏が設立した会社で、独自に開発した「Falcon 9」ロケットの打ち上げを手掛けています。さらに米航空宇宙局(NASA)との契約により、「Crew Dragon」宇宙船で宇宙飛行士を国際宇宙ステーション(ISS)へと送っているのです。

 

今回の宇宙からの落とし物は、カナダにあるBarry Sawchukさんの農園に4月下旬に落下してきたもの。種まきを行っていたSawchukさんいわく、「どう見ても自然物ではないから、空から落ちてきたことはすぐにわかったよ」とのこと。落下物の大きさは幅2メートル、重さは40キログラムもありました。

 

SpaceXはこの落下物が自社のCrew Dragonのものかどうかを確認していないものの、これは今年2月に地上に帰還した商業宇宙飛行ミッション「Axiom Mission 3(Ax-3)」のCrew Dragonのトランクのようです。Axiom Spaceが実施したAx-3では、4人の宇宙飛行士が約2週間、ISSに滞在しました。

 

このような宇宙ごみ(スペースデブリ)が怪我や損害を引き起こした場合、一般的には国連の宇宙条約に基づいて、補償される可能性があります。1978年にソ連の原子力衛星「Kosmos 954」が落下した際には、ソ連政府がカナダに300万カナダドル(約3億4000万円※)を支払いました。

※1カナダドル=約114.8円で換算(2024年5月21日現在)

 

Source: Saskatoon Star-Phoenix via Space.com

夢破れた者が語る「夢の怖さ」そして希望とは?——『宇宙飛行士選抜試験』

2021年3月17日、全国の小・中・高校生を対象に行われた第32回「大人になったらなりたいもの」アンケートの結果が発表された。今年は男子が小中高すべて、そして女子が中学と高校で“会社員“を1位に挙げている。

 

 

「好きだから」会社員になりたい

調査を行った第一生命保険は、会社員が人気になった要因に関して次のように分析している。「コロナ禍でリモートワークの導入が進み、自宅で仕事をする父親・母親の姿を目の当たりにして、会社員という職業を身近に感じた子どもが多かったのでは」

 

選んだ理由は、男女ともすべてのグループで「好きだから」が1位だった。家族が揃って自宅で過ごす時間が長くなるなか、これまでチャンスがなかった“オン”の状態にあるお父さん・お母さんのシャープな一面を垣間見る場面が増え、会社員という仕事に対する好感度が上がったのだろう。

 

かなり特殊な仕事

この原稿で紹介しようとしている一冊は、小中高生世代の2021年の時代精神に逆行するものかもしれない。かなり特殊な職業に就くための過程と、それに挑戦した後に訪れた大きな挫折感をつまびらかにしていく内容だからだ。

 

「かなり特殊な職業」という言い方から、どんな仕事をイメージするだろうか。プロスポーツ選手やアーティストを思い浮かべる人は多いだろう。医師や看護師など、医療関係の仕事も特殊という形容がふさわしいかもしれない。もちろん、YouTuberやダンサーも考えられる。ただここでは、もうちょっと振り切っていただきたい。

 

宇宙飛行士選抜試験』(内山 崇・著/SBクリエイティブ・刊)は、特殊さに関してなら異次元的な響きの宇宙飛行士という仕事に挑戦した男性のドキュメントだ。“はじめに”の冒頭部分に、次のような文章が綴られている。

 

このものがたりは、スペースシャトルにあこがれて宇宙エンジニアになったぼくが、小さいころからの夢「宇宙飛行士」になるために全身全霊を傾けて挑んだ10か月に及ぶ「宇宙飛行士選抜試験」への挑戦と、そして、その後の12年間の葛藤を描いたものである。

『宇宙飛行士選抜試験』より引用

 

サブタイトルに込められた深い感情

JAXA(宇宙航空研究開発機構)のウェブサイトに掲載されている資料によれば、これまで宇宙に行った人は566人(2020年8月14日現在)。そのうち日本人は12人。著者の内山氏は、その12人には入っていない。

 

夢を叶えて宇宙飛行士になった人たちに関する情報は、さまざまな形で世に出る。しかし、あと一歩で夢を叶えられなかった人が、自らの言葉で語る機会はきわめて少ないはずだ。人生のすべてを賭けるほどの大きな夢への挑戦に失敗した事実を改めて認め、挫折感と喪失感にさいなまれた12年間をさらけだす行いには、尋常ではない勇気が必要だ。その勇気の本質を知るためだけでも、本書は間違いなく一読に値する。「ファイナリストの消えない記憶」というサブタイトルには、読む側の想像以上にさまざまな感情が込められているに違いない。

 

夢の怖さ

何かを実現するためにすべてを捧げてきて、それが叶わないと知った瞬間、人は何を思うのだろうか。内山氏は、次のような言葉で綴っている。

 

後悔はなかった。結果に不満もなかった。ただ、目の前にまできていた夢が一瞬にしてなくなり、行き場のなくなったぼくの昂った熱をどうすることもできなかった。「あと少しで宇宙飛行士になれたかもしれない」という呪縛からなかなか逃れられなかった。夢の怖さを知った。自分でもその深さに気づけないほど心の傷は深かった。

 『宇宙飛行士選抜試験』より引用

 

“夢の怖さ”というひとことに、凄みを感じる。

 

哲学書としても読みたい

目次を見てみよう。

 

第0章 指先まで触れた夢

第1章 突然の報、10年ぶりの募集

第2章 ザ・宇宙飛行士選抜試験(前編)

第3章 宇宙飛行士の資質とは?

第4章 ザ・宇宙飛行士選抜試験(後編)

第5章 残酷な分岐点

第6章 2020年、宇宙への絆は消えない

終章  紡いでいく夢

 

一気に読み切ってしまった。何かに挑戦するワクワク感、予想もできないことに触れる疾走感に満ちた毎日、合格への期待感、そして最後の最後に訪れた絶望。すべてを乗り越えた内山氏が示してくれるのは、悔やみ、考え、苦しみ抜いた人間だけが辿り着くことができるピュアな感覚だ。

 

いまぼくは、心の底から晴れ晴れとした気持ちだ。ぼくは夢を諦めるんじゃない。夢の実現方法を変えるんだ!

『宇宙飛行士選抜試験』より引用

 

この文章だけ切り取って紹介すると、予定調和的なものとして映るだろうことはわかっている。でも、違うのだ。なぜ、どう違うのか。それは実際にこの本を読んで感じ取っていただくしか方法はない。

 

ジャンルはまったく違うのだが、1994年のハリウッド映画『ショーシャンクの空に』を見終わった時と同じ気分になった。哲学書という角度から見ても優れていると思う。普段の生活ではあまり気にしないかもしれないさまざまなことを気づかせてくれる一冊だ。ちなみに今年の秋、13年ぶりにJAXAで宇宙飛行士の募集が行われるみたいですよ。

 

 

【書籍紹介】

宇宙飛行士選抜試験

著者:内山 崇
発行:SBクリエイティブ

宇宙飛行士選抜試験。日本で唯一、宇宙飛行士として生きる夢に挑戦できる場所。日本が有人宇宙開発分野で世界に名乗りを上げた2008年、JAXAは10年振りとなる5回目の宇宙飛行士募集に踏み切った。応募総数は史上最多の963名。このものがたりは、スペースシャトルにあこがれて宇宙エンジニアになった著者が、「宇宙飛行士」になるために全身全霊を傾けて挑んだ10か月におよぶ選抜試験への挑戦と、その後の12年の葛藤を描いたものである。

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【28日未明は皆既月食】「ブラッドムーン」で地球が滅亡されても困るよ! いつか見たい「月の七変化」まとめ

7月28日未明、今年2度目の皆既月食が起こります。まるで血に染まったように、月が赤黒く輝く皆既月食は「ブラッドムーン」と呼ばれ、不思議なエネルギーに満ちています(一部ではブラッドムーンは地球滅亡のサインだと言われていますが)。

 

さらに「ブルームーン」、「ストロベリームーン」など、月は実にさまざまなな変化を見せ、それぞれに魅惑的な名前がつけられています。そこで、本稿では月が見せる七変化についてまとめてご紹介しましょう。

 

ブラッドムーン:月が赤く染まる「皆既月食」

クレジット:国立天文台

 

月が赤色に染まるのが、皆既月食。皆既月食とは、太陽と地球、月が一直線上に並び、月が地球の影のなかにすっぽりと隠れることを言います。

 

月が地球の影にかかり始める(部分食と言う)と、月の一部が欠けて見えるようになります。月が完全に地球の影に隠れると、月が真っ黒に見えるわけではなく、赤色に見えます。これが「ブラッドムーン(血の色の月)」と呼ばれる理由。太陽から照らされる光のうち、波長の短い青い光は空気の分子によって散乱されるのに対して、波長の長い赤い光は散乱されにくく、大気を通過することができるため、月が赤く見えてくるのです。

 

スーパームーン:月が地球に接近

クレジット:国立天文台

 

「スーパー」とつくと、何やらスゴイ月のように感じますが、「スーパームーン」とは天文学の正式な用語ではありません。そのためはっきりとした定義はないのですが、一般には地球に接近して大きく見える満月のことを言います。

 

月は地球のまわりを公転していますが、軌道が楕円形をしているため、地球と月の距離は一定ではありません。だから、同じ満月でも時によって大きさは異なるのです。地球に一番近い満月は、一番遠い満月に比べて、30%も明るく見えると言われています。

 

2018年、月が一番大きく見えるのは1月2日で、一番小さいのは7月28日です。

 

ブルームーン:月に2度満月が訪れる

クレジット:NASA

 

満月から次の満月まで、平均で約29.5日の間隔があります。だから満月になるのは、ひと月に1度のペース。でも、月に2度満月になるときもあり、その2度目の満月を「ブルームーン」と呼びます。ブルームーンは天文用語ではなく、珍しい出来事を表す慣用句として使われていることが多いようです。

スーパーブルーブラッドムーン:3つの現象が重なる!?

クレジット:NASA

 

月が地球に近くなる「スーパームーン」と、ひと月に2度満月になる「ブルームーン」、さらに皆既月食「ブラッドムーン」の3つが同時に起こるのが、「スーパーブルーブラッドムーン」。名前のインパクトにも負けない希少な出来事で、2018年1月31日にこの現象が35年ぶりに起きています。

 

ストロベリームーン:赤みがかった6月の満月

クレジット:NASA

 

名前のとおり、イチゴのように赤みがかった満月を「ストロベリームーン」と呼びます。北米大陸の先住民がこう呼んだのが始まりとのこと。

 

太陽は夏になると空の高い位置に昇り、冬になると低くなりますが、これと同じように月の高度も季節によって異なり、夏は低く、冬は高くなります。高度が低い月は、大気の影響で赤みがかかって見えるため、ちょうど6月頃の満月が特に赤く染まり、ストロベリームーンという現象が見られるのです。ちなみに、高度が低いと月が赤く見えるのは、水平線近くの朝日や夕日が赤く見えるのと同じ理由です。

 

7月28日の皆既月食は、午前4時30分頃から始まります。次の皆既月食は2021年。真っ黒な夜空に赤黒く光る様子は、天体ファンではなくても見てみる価値はあります。台風が心配ですが、天候によってはぜひ夜空を見上げて、月へのロマンを感じてはいかがでしょう?

テスラ青山で宇宙ドライビング気分を!( 2/12まで)

アメリカ時間の2月6日午後(日本時間7日未明)、米スペースX社のロケット「ファルコンヘビー」によって、テスラの最初となる市販EV、初代テスラ・ロードスターが火星に向かって旅立った。このテスラ・ロードスターは、打ち上げから6時間ほど飛行したのち、地球と火星の公転軌道を遷移する楕円軌道に向かい、半永久的に太陽を周回。スペース・ドライビングのBGMは、デビッド・ボウイの「 Life on Mars? 」。テスラ・ロードスターは宇宙空間でドライブされる史上初のクルマとなった。

 

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初代テスラ・ロードスターは、2008年に発売され(日本は2010年) 世界限定2500台を生産、2012年に販売を終了した。化石燃料依存の社会から、再生可能エネルギー主導の社会への移行を加速するために創業されたテスラは、このロードスターで、ガソリンをイチバン消費しているスポーツカーオーナーから電気自動車に対する認識を変えようとした。その後、同社はスポーツカー並みのパフォーマンスを実現したセダンの「モデルS」とSUVの「モデルX」、さらにアメリカでは「モデル3」を市場に送り出し、その役目を終えた初代ロードスターは火星へ。同社では2020年以降には新しいテスラ・ロードスターを販売開始の予定で現在予約を受付中である。

 

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なお、火星をドライブをするテスラ・ロードスターのドライバー気分を日本の地上の皆さんにも少し楽しんでいただくべく、2月12日(月祝)まで、テスラ青山 (東京都港区南青山2-23-8)に初代ロードスターを展示している。

 

テスラモーターズ ジャパン=0120-982-428/japan@tesla.com

 

 

「火星で最初のビールになる!」と意気込むバドワイザー。ビールの“宇宙味”は生まれるか?

アポロ13号の月面着陸――。当時はまだ生まれていなかった人でも、その写真や映像はどこかで見たことがあるはず。歴史的な瞬間を捉えた写真は、世界中の人々の記憶に刻まれるものです。そんな作品を生み出すのは並大抵のことではありませんが、別の方向から宇宙開発の歴史に名を刻もうとしている企業があります。バドワイザーで有名なアメリカ大手ビールメーカーのアンハイザー・ブッシュ社は、「火星に人類が到着した時にバドワイザーを飲んで祝ってもらう」という目標に向かって宇宙空間でのビール醸造法研究に投資しているのです。

 

長い間、人類は火星探査を行っています。NASAは2030年までに有人探査に向けて人間を火星に着陸させる計画を進行中。2030年といったら13年後。13年前の自分が「2017年なんてまだまだ先」と考えたことを想像していただくと、「うーん意外とスグだな」と驚いてしまいませんか。

 

この計画は今年3月に発表されていましたが、ビールの原材料である水やホップなどを火星で確保・管理することは難しいとされています。そこで、バドワイザーは12月4日にSpaceXの宇宙船で国際宇宙ステーションに大麦の種を送り込み、無重力・微重力環境において発芽するのか、どのような速度で成長するのかといった実験を行いました。バドワイザーの公式リリースによると、バドワイザーに使われる大麦は地球上であれば発芽してから2週間ほどで約15センチほどに成長するとのこと。しかし火星は太陽光が地球よりも少ないので、これが種の育成を難しくするかもしれません。

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また、国際宇宙ステーションで30日間保存された種が無重力空間からどういう影響を受けるのかについても観測されるとのこと。美味しいビールを醸造するためには大麦から始まるということですが、こちらの実験結果はビール製造だけでなく、宇宙空間での植物栽培についての基礎研究としても活用されます。

 

風邪のときに何を食べても味がしないのと同じ

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宇宙飛行士が火星でバドワイザーを飲む。確かにこの映像が実現すれば、バドワイザーとしてもかなりのマーケティング効果が期待できそうですよね。しかし気になるのは「宇宙でビールを飲んで美味しいのか?」という点。米ワシントン・ポスト紙(Amazonが数年前に買収)は「重力がないと体液が下にとどまらないので鼻腔も詰まりがちになる。そうするとビールも味がしないだろう。風邪(で鼻がつまっている)のときに何を食べても味がしないのと同じだ」と指摘しています。これはちょっと残念。それにしても体液が下にとどまらないとは、どういう感覚なのでしょうね。

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他にも大気圧が低いため、炭酸の泡もシュワシュワっと上がってはこないだろうとのこと。缶を開けたときの「プシュッ!」という音もないわけですね。そう言われるとビールじゃなくて別の種類のアルコール飲料の方が良さそうな気がしてきます。米テクノロジー雑誌のWiredも「蒸留酒の方が良い」と指摘しています。

 

それでも、この計画にはワクワクしてきます。近年ではAmazonやSpaceXといったアメリカの民間企業が競って宇宙船を開発中。「火星で最初のビールになる!」とバドワイザーが名乗りを上げたことからも同国の精神が伺えますよね。他のビールメーカーが続くのか、そしてビールはどう進化するのか、要注目です。