質感だけで「さすが」と絶賛された空清のブランドは? 家電のプロが教える「置きたくなる」オススメ空気清浄機

花粉除去に効果的な空気清浄機を、IT・家電ジャーナリストの安蔵靖志氏にガイドしてもらう本企画。第1回では空気清浄機選びのポイントと、ダイキンのモデルについて語ってもらい、第2回では、パナソニック、シャープのラインナップについて語っていただきました。今回は、お手入れのしやすさやデザイン性にこだわったモデルを見ていきましょう!

 

教えてくれるのはこの人!

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安蔵靖志(あんぞう・やすし)
IT・家電ジャーナリスト。家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)。AllAbout 家電ガイド。ビジネス・IT系出版社を経てフリーに。デジタル家電や生活家電に関連する記事を執筆するほか、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。KBCラジオ「キャイ~ンの家電ソムリエ」に出演中。その他ラジオ番組の家電製品リサーチや構成などにも携わっています。

 

お手入れの手間を減らしたいなら日立がオススメ

――人によってこだわりたいポイントも変わってくると思います。たとえば、空気清浄機はお手入れが面倒という人も多いですよね。

 

安蔵 そうですね。その点、お手入れをラクにしたいという人に注目してほしいのが、日立のEP-NVG110です。こちらは、運転時間の積算48時間ごとに1回、プレフィルターにたまるゴミを「自動おそうじユニット」で自動的に取り除いてくれます。

 

取ったゴミは、抗菌処理を施したダストボックスに溜まり、年に1回捨てるだけでOK。とにかくお手軽です。今後、Wi-Fiを搭載して室内の空気の「見える化」に対応すれば、もっと高く評価したい製品ですね。なお、前回紹介したシャープのKI-HP100とKI-HX75も、フィルターの自動掃除に対応しています。

 

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日立

自動おそうじ クリエア EP-NVG110

実売価格6万2370円

背面両サイドから広面積で一気に吸い込む「ワイドスピード集じん」で8畳の部屋をわずか6分でキレイにします。さらに空気を斜めに吹き出すことで花粉を素早く集める「快速花粉気流」という機能も装備。同社従来比で約2.5倍の速度で花粉を集めます。通常の空清自動運転と比べ、PM2.5をスピード清浄する「PM2.5センシング」も搭載。本体カラーはシャンパンゴールドとブラウン。

 

日立 自動おそうじ クリエア EP-NVG110のスペック

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デザイン重視ならカドーも注目

――デザイン重視という点では、安蔵さんオススメのモデルがあるとか。

 

安蔵 はい。以前にも話しましたが、空気清浄機は、デザインで納得できないものを買ってはダメ。それが常に目に入るわけですから、ずっと後悔することになります。その意味で、カドーの「AP-C200」には注目してほしいですね。直径242mmの継ぎ目のないスリムな円柱形で、デザイン性は抜群。設置場所を取らず、カラーもブラック、ホワイト、シルバーの3色からインテリアに合うものが選べます。空気の状態が青、黄色、オレンジの3段階で表示されるのもわかりやすいですね。

 

メーカーによると、活性炭の優れた吸着力と、可視光で反応する光触媒技術によって、フィルターに付着した汚れを分解し、1年間はお手入れもせずに使い続けられるとのこと。デザイン重視で手間がかからない製品を探しているなら、ぜひ選択肢に入れてほしいです。

 

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カドー
AP-C200
実売価格5万2920円

ボディ全面に吸引口を設置し、360°どこからでも空気を吸い込み、キレイな空気を真上に送り出して拡散します。空気新型光触媒「フォトクレアシステム」を採用し、フィルターをセルフクリーニングすることで、フィルターの長寿命化を実現。フィルターは0.09μm以下のPM2.5もキャッチします。ブラック、ホワイト、シルバーの3色を用意。

 

【AP-C200のスペック】

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ほかにはない質感で、所有する喜びを感じさせるのがブルーエア

――デザインでいえば、スウェーデンのメーカー、ブルーエアのデザインに引かれる人も多いですね。

 

安蔵 ブルーエアはシンプルなフォルムのなかに、北欧らしさを感じさせるデザインが秀逸。とにかく、ボディの質感が極めて良い。部屋に置いているだけで満足できる、所有する喜びを感じさせる……そこまで思わせてくれるものはブルーエア以外ないんじゃないでしょうか。

 

――フォルムだけでなく、質感も重要なんですね。

 

安蔵 他社からもデザインの優れた製品が出て来るようになりましたが、それでも質感がプラスチックのようなものも多くて。それに比べると、見ているだけで触りたくなる質感は「さすが」の一言です。

 

――ブルーエアはラインアップも豊富ですが、どれを選べばいいでしょうか?

 

安蔵 広めのリビングやスモールオフィスに設置するなら、「Blueair Classic 480i」がオススメ。シンプルで大風量、ボディはスチールで質感も最高です。Wi-Fi内蔵で、スマホと連携して空気の見える化に対応しており、スマホから遠隔操作で運転も可能です。

 

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ブルーエア
Blueair Classic 480i
実売価格9万5760円

空気清浄スピードの速さに定評がある「Blueair Classic」シリーズのミドルレンジモデルです。高性能フィルター技術と粒子イオン化技術を組み合わせた特許技術「HEPASilent テクノロジー」を搭載。目の粗さの異なる3枚の素材を重ねて折り畳んだ独自開発のフィルターを採用しており、汚れの捕集力が高く、目詰まりしにくいのが特徴です。Wi-Fi機能を搭載し、専用アプリで屋内や屋外の空気環境をモニタリングできます。

 

安蔵 コスパが高いのは、「Blue by Blueair Blue Pure 221 Particle」。実売3万円台ながら適用畳数が~47畳まで対応します。ちょっと縦長のキューブ形状で、本体の下半分の全周から空気を吸って上部から吐き出します。操作は本体側面の中央に付いた「Blue」のロゴの入った丸いボタンに触れるだけと超シンプルです。子どもでも操作できますね。

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ブルーエア
Blue by Blueair

Blue Pure 221 Particle
実売価格3万540円

33㎝四方の角型ボディに高い空気清浄力を搭載。多層構造の筒型フィルターで360°集じんし、清浄な空気を大風量で上方に放出します。Wi-Fi機能とセンサーは非搭載。

 

――ブルーエアにはほかにも、グッドデザイン賞などを受賞した「Blueair Sense+」や、約2万円の「Blue Pure 411 Particle + Carbon」といったラインナップもあります。これらはどうですか?

 

安蔵 Blueair Sense+はシンプルで飽きのこないボタンレスのデザインで、6色で展開しているため、インテリアに合わせて選べます。また、Wi-Fi搭載で、エアーモニターの「Blueair Aware」(別売・実売価格2万4250円)との連携も可能。インテリア性にこだわりつつ、空気の見える化を堪能したい人にオススメです。

 

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ブルーエア
Blueair Sense+
実売価格4万7830円

スチール製の本体に強化ガラスを組み合わせたミニマルデザインで各国のデザイン賞を受賞。特許技術「HEPASilent テクノロジー」を搭載するほか、天面に手を滑らせて操作するモーションセンサーを採用します。Wi-Fi機能も搭載。カラバリはポラールホワイト、ウォームグレー、リーフグリーン、ミッドナイトブルー、ルビーレッド、グラファイトブラックを用意します。

 

安蔵 一方、Blue Pure 411 Particle + Carbonはコンパクトな円柱状で、カバーフィルターを気分やシーズンで着せ替えられるのがユニーク。低価格ですし、一人暮らしのワンルームに初めて導入するようなケースにはピッタリですね。友達が遊びに来た時の話のタネにもなりそうですし、贈り物にも良さそうです。ただ、ブルーエアはデザイン、機能とも優秀ですが、いずれも加湿機能を備えていないのが惜しい。でも、これだけオシャレなら、加湿器を別途用意してもいいかな、と思っちゃいますね(笑)。

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ブルーエア
Blue Pure 411Particle + Carbon
実売価格1万9440円

小型ボディに独自の粒子イオン化技術とフィルター技術を装備。360°吸引で花粉から生活臭まで強力に除去します。カラフルなプレフィルターは着せ替え交換できるのが特徴。

 

【ブルーエアラインナップのスペック】

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二台目需要に応えるダイソンのPure Hot+Cool Link

――このほか、ややユニークな立ち位置になりそうなのが、扇風機、ファンヒーター、空気清浄機の1台3役のダイソンの「Dyson Pure Hot+Cool Link」かと思います。こちらは、どう評価しますか?

 

安蔵 1台3役で設置スペースが節約できるのはいい。ただ、空気清浄機として評価するのは、少し違うかな…という気もします。メイン機能は温風も出る扇風機ですから、「扇風機一台分のスペースで暖房も空気清浄も利用できる」と捉えるべきですね。空気清浄機としての能力は今回紹介した他社製品と比べると、決して高くありませんが、「Dyson Link アプリ」で室内や地域の空気の状況が見えるので、モニターとして利用するのもアリだと思います。モニターとして使うなら、温風機能はありませんが、よりコンパクトかつ安価な「Dyson Pure Cool Link テーブルファン」(実売価格4万3470円)を導入するのもアリですね。

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ダイソン
Dyson Pure Hot+Cool Link
実売価格6万3530円

空気を浄化しながら、温風と涼風を送り出すことができる、通年で使用しやすいファンヒーター。HEPAフィルターを搭載し、0.1μmレベルの微細な粒子を99.95%まで除去できます。

 

安蔵 あるいは、空気の汚れがちょっと気になるけれど、そこまで悩んでいないという場合や、すでに空気清浄機やヒーターを一台持っていて、気流制御などの性能にやや不満があるので、組み合わせて使いたいと場合にもオススメ。部屋がL字型といった複雑な間取りの場合は空調に死角ができるケースが見受けられるので、そういう家庭に向いていると思います。その意味では、ヒーターなしの「Dyson Pure Cool Link タワーファン」(実売価格5万6540円)は、高さがあって風量も出るので、こちらを選んだほうがいいでしょう。

 

【ダイソン 空気清浄機能付ファンヒーター Dyson Pure Hot+Cool Linkのスペック】

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「デザイン」と「空気の見える化」を重視して、後悔しない選択を!

――3回にわたって、各メーカーの主要モデルをひと通り見てきました。選び方について、もう一度「これだけは覚えておいてほしい」というところはどこでしょう。

 

安蔵 とにかく「邪魔にならないデザイン」が第一。室内に設置したときに邪魔に感じるデザインだと、時間が経つにつれて使わなくなってしまいます。一方、「空気が見える化」できるWi-Fi対応モデルは、効果が目に見えるので、使うモチベーションが続くのがメリット。この2つを重視しつつ、コストやお手入れの手間を加味して選びましょう。ぜひ、部屋にずっと置いて後悔しない製品を選んでください!

空気清浄機は「高いヤツ」以外もオススメ! 家電のプロがパナ、シャープの最新モデルをユーザー目線でガイドした

いよいよ本格的な花粉の季節が近づいてきました。ぜひ花粉除去に効果的な空気清浄機を導入して、せめて室内だけでも快適に過ごしたいですよね。前編ではIT・家電ジャーナリストの安蔵靖志氏に空気清浄機の選択の最重要ポイント「邪魔に感じないこと」を教えてもらいました。第2回となる今回は、より花粉対策に重点を置いた製品や、環境に合わせて選びたいユニークな製品などを紹介していきます!

 

教えてくれるのはこの人!

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安蔵靖志(あんぞう・やすし)
IT・家電ジャーナリスト。家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)。AllAbout 家電ガイド。ビジネス・IT系出版社を経てフリーに。デジタル家電や生活家電に関連する記事を執筆するほか、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。KBCラジオ「キャイ~ンの家電ソムリエ」に出演中。その他ラジオ番組の家電製品リサーチや構成などにも携わっています。

 

とにかく花粉を取るなら、吸引口が床に近いパナソニックのF-VXP90が優位

――これからの季節、やはり気になるのは花粉です。「とにかく花粉を取ること」にこだわった場合、気になる製品は何でしょうか。

 

安蔵 甲乙付けがたい部分ではありますが、花粉除去でいえば、パナソニックの加湿空気清浄機 F-VXP90が優位な印象を受けますね。本機は空気の吸引口(吸い込み口)が本体下部にあるため、花粉対策には有利に働きます。なぜなら、花粉は空気中の粒子ではかなり重たい部類。あまりふわふわ舞い続けず、床に落ちやすいため、吸引口が床に近ければ、それだけ花粉を吸い込みやすいというわけです。

 

さらに、F-VXP90は2方向に風を吹き出す「ダブルフローツインルーバー」を搭載。その名も「ダブルフロー 花粉撃退気流」を室内に作って、床上の花粉を効率よく吸引してくれます。床上の花粉を取るなら掃除機でもいいですが、毎日何度も掃除機を掛けられる人はいない。そう考えると、「ダブルフロー 花粉撃退気流」は、やはり魅力的な機能です。

 

――F-VXP90は適用畳数も~40畳とかなり広いです。

 

安蔵 8畳を浄化する目安時間は約7分、最大加湿量は1時間あたり870mlと、かなり優秀です。ただ、一般家庭には少々オーバースペック気味なので、価格と性能のバランスを見て、適用畳数~31畳の「F-VXP70」や~25畳の「F-PXP55」を選んでみても良いでしょう。

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パナソニック
加湿空気清浄機 F-VXP90
実売価格6万8610円

 

 

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パナソニック

加湿空気清浄機 F-VXP70
実売価格5万8270円

 

 

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パナソニック

加湿空気清浄機 F-VXP55
実売価格4万8483円

F-VXP90とF-VXP70は、「ナノイー」の10倍の量のOHラジカルを生成する微粒子イオン「ナノイーX」を搭載。花粉だけでなく、アレル物質やPM2.5などの有害物質、さらにはタバコ臭やペット臭といったニオイ対策にも効果があります。下部吸い込み口が大きく開口し、床上30cmを強力吸引するメガキャッチフォルムも採用。「ナノイー」搭載モデルのF-VXP55には、就寝前と起床前にしっかり運転して、就寝中は静音運転する「寝室モード」を装備しています。各モデルともスマホ連携には非対応。

 

【パナソニック機のスペック比較】

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シャープは環境や目的に合わせたバリエーションの豊富さが魅力

――パナソニックのナノイーが出てくると、シャープのプラズマクラスターはどうなんだろう……と感じてしまいますが、こちらはいかがですか?

 

安蔵 シャープはラインナップが豊富なのが魅力ですね。家庭環境や部屋の構造などに合った適切なソリューションが選べます。プラズマクラスター濃度が従来の倍になった「プラズマクラスターNEXT」を搭載する最上位の「KI-HP100」は、機能は最強クラスです。ただ、本体はやや大きいですし、適用畳数~46畳で価格は約12万円と、いささか大仰な製品ですね。今年はプラズマクラスターNEXTをもう少し下位のモデルにまで広げて小型化した製品の登場を期待したいです。

 

――となると、狙い目はそれ以下の機種ということになるでしょうか。

 

安蔵 はい。価格と性能のバランスから見ると、オススメは「KI-HX75」(適用畳数~約34畳)か「KI-HS50」(適用畳数~23畳・実売価格4万7400円)ですね。また、最初の10分間を最大風量で自動運転して、室内の空気を急速に浄化する「効果実感モード」に対応しており、帰宅直後の花粉除去にも有効です。前方向に集中的に高濃度プラズマクラスターを放出する「プラズマクラスターパワフルショット」も搭載しており、ソファやカーペットなど、ピンポイントでニオイまで取れるのは良いですね。

 

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シャープ
KI-HP100
実売価格11万9760円

 

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シャープ
KI-HX75
実売価格7万8710円

KI-HX75とKI-HS50は「プラズマクラスター25000」、KI-HP100はその2倍の濃度を放出する「プラズマクラスターNEXT」を搭載。「プラズマクラスターNEXT」は、「ストレスがたまりにくい」「集中を維持しやすい」環境を作ることを実証しました。各モデルとも、使い方を学習して成長するAIoTクラウドサービス「COCORO AIR」対応。KI-HP100とKI-HX75は、自動掃除パワーユニットに対応しています。

 

――シャープは、クラウドのAI(人工知能)と連携する機能、「COCORO AIR」(ココロエアー)を搭載するのもユニークですね。

 

安蔵 こちらはWi-Fi機能を標準搭載するKI-HP100およびKI-HX75とKI-HS50が対応しています。COCORO AIRで注目したいのは、「空気情報モニター」「おうちフィット」「消耗品モニター」という、使い勝手の良い機能が利用できる点です。

 

――こうして見ると、スマホ連携の面でシャープは充実していますね。

 

安蔵 今後、こうした情報の「見える化」は、必ず主流になってきます。国内メーカーとしては、この分野の先駆者となっている点は、大いに評価したいですね。

↑シャープの「COCORO Air」には、空気清浄機の搭載するセンサーとWi-Fi機能を利用して、スマートフォンで室内の空気環境を確認できる「空気情報モニター」などの機能を備えています↑室内の空気環境を確認できる「空気情報モニター」

 

特殊なニーズに応える「天井空清」「蚊取空清」も用意

――シャープは、1月にLEDシーリング一体型の「天井空清」を発売して話題となりました。

 

安蔵 こうしたユニークな製品を開発する点は、実にシャープらしいですね。ただ、こちらは加湿機能が付いておらず、対応畳数~14畳で、8畳の清浄目安時間が19分と空気清浄能力はそれほど高くない。2台めとして、あるいは床にモノを置きたくないといった、特殊なニーズに応えるものだと考えています。とはいえ、床の上に場所を取らず、置き場所を考えなくても良いのはメリット。電源が照明用のコンセントから取れるのは便利ですし、ロボット掃除機でこまめに掃除する人にはいいかもしれません。

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シャープ

天井空清 FP-AT3
実売価格9万7070円

業界初のLEDシーリングライト一体型空気清浄機。ペットや小さな子供のいたずらが気になる家庭でも安心して導入できます。部屋に温かさを演出するさくら色のLED照明も業界唯一です。

 

――シャープの変り種といえば、「蚊取空清」もありますね。

 

安蔵 蚊取空清 FU-GK50は、文字通り蚊が取れるのが最大の特徴。蚊の好む灯りと蚊取りシートで捕まえるので、赤ちゃんやペットがいるなど、殺虫剤を利用したくない環境でも安心して使えます。発売が2016年4月の製品なので、そろそろ次世代機の発表も期待したいところですね。

 

次回はお手入れのしやすさや、デザインにこだわった製品などを見ていきます!

 

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シャープ
蚊取空清 FU-GK50
実売価格2万8660円

黒いボディやUVライト、蚊が隠れたがる小窓で蚊やコバエを誘い、空気清浄機の吸引力と強力な蚊取りシートでキャッチ。空気の汚れと一緒にうっとおしい蚊やコバエを取り除けます。

 

【シャープ機のスペック比較】

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花粉に効く空気清浄機はどれだ? 家電のプロが「選択の最重要ポイント」と「穴がない」オススメモデルを発表!

いよいよ都内では花粉が飛び始めました。花粉飛散のピークは3月の見込み。さらに、春先は風に乗って大陸からのPM2.5が日本に届くため、そちらの対策も必要です。最悪の状況を避けるべく、ここは最新の空気清浄機を導入し、室内を花粉フリーかつ空気がウマイ楽園にしませんか? というわけでIT・家電ジャーナリストの安蔵靖志氏にお願いし、今回から3回にわたって、空気清浄機選びのポイントを伝授してもらおう、というのが本企画。第1回となる本稿では、空気清浄機選びで最も重要なポイントと、個人的にオススメするモデルを教えてもらいました!

 

教えてくれるのはこの人!

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安蔵靖志(あんぞう・やすし)

IT・家電ジャーナリスト。家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)。AllAbout 家電ガイド。ビジネス・IT系出版社を経てフリーに。デジタル家電や生活家電に関連する記事を執筆するほか、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。KBCラジオ「キャイ~ンの家電ソムリエ」に出演中。その他ラジオ番組の家電製品リサーチや構成などにも携わっています。

 

空気清浄機で最も重要なのは「邪魔に感じないこと」

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――今回から3回に分けて、花粉の季節の空気清浄機の選び方について、お話をうかがっていきます。早速ですが、空気清浄機を選ぶうえでもっとも、大事なことは何でしょうか?

 

安蔵 部屋に置いていて「邪魔に感じないこと」。これがいちばん重要なんです。空気清浄機を既に持っている方ならご賛同いただけると思うのですが、空気清浄機って邪魔じゃないですか。

 

――あわわ、最初から爆弾発言ですか……?

 

安蔵 いやいや。邪魔というのは必要ないという意味ではないですよ(笑)! むしろ、空気清浄機は絶対にあったほうがいい。ただ、空気清浄機というのは、楽しい体験や利便性を提供するツールではなく、イヤなもの、不快なものを防ぐためだけのもの。汚れた空気というネガティブなものをキレイに変換するツールなのに、部屋の目立つ場所に置いておかなくてはなりません。だからこそ、置いていて「邪魔に感じないこと」が重要なんです。

 

――あまり存在感がないほうがいい……ということでしょうか?

 

安蔵 もしくは、見るたびに触りたくなるくらいインテリア映えしているかですね。私はこの「邪魔に感じないこと」を、空気清浄機選びの最重要項目だと考えています。具体的には、デザインや質感、サイズといった点ですね。私自身、これを軽視して何度失敗したことか……。おかげで、家には使わなくなった空気清浄機がゴロゴロしていますよ。

 

――なるほど。機能ではないという点が意外ですね。ほかにはどんな基準がありますか?

 

安蔵 予算に余裕があれば、ぜひ加湿機能付きを選びたいところ。別途、加湿器を置く必要がないのは大きなメリットです。もうひとつ、スマホアプリなどで「空気の見える化」に対応する製品もオススメ。空気がキレイになっていることが視覚的に分かると、長期的な満足感につながります。

 

――なるほど。効果が実感できないと、だんだん使わなくなってしまいそうですが、空気がどれだけキレイになっているのかが分かると、使いたくなりますよね。

 

安蔵 はい。空気清浄機がアプリに対応していると、外出先から室内の温度や湿度がモニターできます。この数値をもとに、例えば、スマートスピーカーを利用して、外出先からエアコンのON/OFFができるようにしておけば、Wi-Fi対応のエアコンに買い換えなくても遠隔操作のメリットが享受できます。要は、空気清浄機をモニター代わりにするという用途ですね。特に家にペットがいる家庭など、この機能があると安心感が違うでしょう。あとは自分の住環境にあわせて、予算、サイズ、デザインのバランスを取って決めていけば、後悔しない製品選びができると思います。

 

「とにかく一台」と言われたらダイキンMCK70Uを挙げる

――では、まず安蔵さんのイチオシの空気清浄機から教えていただけますでしょうか?

 

安蔵 あれこれと細かい条件抜きで、「とにかく一台推薦してくれ」と言われたら、ダイキン工業の加湿ストリーマ空気清浄機「MCK70U」をすすめます。次点で、その下位モデル「MCK55U」ですね。こちらは縦長でフットプリント(接地面積)が狭く、部屋の隅に置けるので邪魔になりません。くどいですが、これは本当に重要です。

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ダイキン工業

加湿ストリーマ空気清浄機 MCK70U

実売価格4万8640円

従来機の2倍のストリーマユニットを搭載。有害ガスの分解速度や脱臭性能が従来機の2倍に高められているほか、微小な粒子のホコリを除去するTAFUフィルターを搭載しています。アクティブプラズマイオンを搭載し、イオン放出により、カビ菌やアレル物質などを分解できます。本体カラーはホワイトとビターブラウンを用意。

 

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ダイキン工業

加湿ストリーマ空気清浄機 MCK55U

実売価格4万4220円

スクエアフォルムのスリムタワー型で270×270mmと、さらに狭いスペースに設置できます。本体カラーはホワイト、ディープブラウン、フォレストグリーンの3色を用意しており、インテリアに合わせて選べます。

 

「ストリーマ」が花粉を分解するので、花粉対策にもぴったり

――機能の面ではいかがでしょうか?

 

安蔵 高速電子を放出する空気浄化技術、「ストリーマ」がウイルス、カビなどの有害物質のほか、花粉を分解できるので、花粉対策にはもってこいです。加湿機能も付いていますし、その加湿のための水をストリーマで除菌できるのは同社製品だけの強みですね。

 

――こちらは、さきほど挙げた「空気の見える化」には対応しているんでしょうか?

 

安蔵 スマホと連携するMCK70Uのみ、対応しています。室内のPM2.5、ホコリ、ニオイの3種類の汚れを6段階のレベルで見える化できるほか、運転のON/OFFやタイマー設定などの遠隔操作も可能です。なお、MCK55Uのさらに下位に「MCK40U」というモデルもありますが、こちらは適用床面積が19畳までと狭くてカラーもホワイトのみ。というわけで、4万円台とお買い得なMCK70Uか、スマホを使わないなら、省スペースなMCK55Uがバランスが取れていてオススメですね。

↑ダイキンのアプリ画面↑MCK70Uが対応するダイキンのアプリ画面。PM2.5やホコリ、ニオイのほか、温度や湿度も表示されます

 

↑MCK55Uは従来機より世知スペースが少ないのが魅力↑スリムタワー型のMCK55Uは、従来機より設置スペースが少ないのが魅力

 

――なるほど、MCK70Uは安蔵さんが重視する条件、「邪魔にならない」「加湿機能」「見える化」のすべてを備えていますね。

 

安蔵 はい。ほかにもこの3要素を備えた製品はあるのですが、もっともバランスが取れていて、空気清浄機として穴がない製品だと思います。

 

【MCK5570U、MCK55Uのスペック】

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※電気集じん……吸引した粒子を帯電させ、フィルターに吸着させる技術。目詰まりしにくく、集じん力が長く続くメリットがあります

 

次回は花粉対策に重点を置いた製品や、2台めとしての利用にオススメな製品を見ていきます!

家電のプロが「もっとも勢いがある」と感じたメーカーは? 2017年「注目の家電」と「業界の流れ」を振り返る!

2017年も各社からさまざまな家電製品が登場しました。なかでも、家電のプロの目から見て、いったいどんなアイテムが印象に残ったのでしょうか。前編では、IT・家電ジャーナリストの安蔵靖志氏に調理家電について語っていただきました。後編となる今回は、調理家電以外で注目したアイテムや、2017年の業界の流れについてお話を聞いていきましょう!

 

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安蔵靖志(あんぞう・やすし)

IT・家電ジャーナリスト。家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)。AllAbout 家電ガイド。ビジネス・IT系出版社を経てフリーに。デジタル家電や生活家電に関連する記事を執筆するほか、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。KBCラジオ「キャイ~ンの家電ソムリエ」に出演中。その他ラジオ番組の家電製品リサーチや構成などにも携わっています。

 

パワー、持続力ともに高い「コードレスキャニスター掃除機」がいよいよ出てきた

――2017年、調理家電以外で「これは!」と思ったものはありますか?

 

安蔵 いよいよ出てきたな! と思ったのは、シャープと東芝から相次いで登場したコードレスキャニスターのクリーナーです。実は以前にも発売されたことがあったのですが、当時はパワーとバッテリー容量がいまひとつなのに、価格も安くなかったので普及しませんでした。今回、シャープと東芝から出た製品は、パワー、バッテリーともしっかり確保されていて、実用性は十分です。

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シャープ

コードレスキャニスター掃除機

RACTIVE Air(ラクティブ エア) EC-AP700

実売価格6万9480円

紙パック式のコードレスキャニスター掃除機。本体質量1.8kg、標準質量2.9kgの軽量ボディが特徴です。着脱式のバッテリーを採用し、予備バッテリーを用意すれば連続して運転できます(自動モードで約30分×バッテリー2個=約60分)。バッテリーパックは本体と離れた場所で充電が可能。サイクロン式の「EC-AS700」もあります。

 

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東芝

コードレスキャニスター VC-NXS1

実売価格10万9190円

独自開発のモーターにより、強力な吸引力を実現。自走式のパワーヘッドで、スイスイお掃除できます。標準モードで最長約60分の運転が可能。裏表のない二面式の本体も特徴。また、大容量のダストカップを装備したダストステーションが付属しているので、本体のダストカップのゴミ捨てが不要です。

 

――今回は普及すると思われますか?

 

安蔵 訴求の仕方次第ですね。コードレスキャニスターで裾野を広げるためには、新しモノ好きのユーザーに訴求するだけでなく、高齢者を含めたマジョリティに訴えねばなりません。そのためには、今までのキャニスターと同じ使い勝手を実現して、高齢者でも迷わず使えるようにし、なおかつ充電は「充電台に置くだけ」というシンプルさが求められます。シャープも東芝もここはクリアしているので、あとは「いかに認知を広げるか」ということではないでしょうか。

 

ロボット掃除機ではパナソニックのRULOが他社と差別化できていた

――ロボット掃除機市場はいかがでしょうか。

 

安蔵 色々と出ましたが、どれか1台を選ぶならパナソニックの「RULO(ルーロ)」を推します。

 

――あ、センサーを増やした新モデルでしたよね。

 

安蔵 はい。特に上位モデルのMC-RS800は、人工知能も搭載して、マッピングしながら間取りを学習して効率よく掃除します。このマッピングが面白いんですよ。一度間取りをマッピングすれば、スマートフォンの専用アプリから「エリア指定モード」を利用して、掃除してほしくない場所を指定できるんです。例えばペットがいる家庭なら、エサの置き場所を指定すれば、そこを避けて掃除してくれます。ルンバの場合はバーチャルウォールという機材を設置する必要がありますし、その他のメーカーでは、磁気テープを貼る必要があることも。磁気テープだと、さすがにリビングの見栄えがね……。その点、RULOならリビングに余計なモノを置くことなく、除外エリアを指定できます。これは、大きな差別化ができているポイントですね。

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パナソニック

RULO MC-RS800

実売価格12万9220円

独自の三角形状を採用し、部屋の隅のゴミにも強いのが特徴です。新機種ではレーザー、超音波、赤外線の3種類の障害物検知センサーを搭載し、壁や障害物にぶつからないようにお掃除。スマートフォンからの操作にも対応します。

 

エアコンではアイリスオーヤマのWi-Fi搭載が衝撃的

――空調関連ではいかがでしょう。印象的な製品はありましたか?

 

安蔵 ユニークさという意味では、日立の凍結洗浄エアコンは印象的ですね。なかなか真似できないだと思います。しかし、なんといってもエアコンで衝撃的だったのは、新規参入したアイリスオーヤマがWi-Fiを標準搭載したこと。パナソニックやシャープも最上位のシリーズでは無線LANを内蔵していますが、アイリスオーヤマは8万~10万円台の低価格帯でWi-Fi搭載を実現し、業界を震撼させました。

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日立

ステンレス・クリーン 白くまくん

プレミアムXシリーズ
実売価格税込30万230円(※14畳タイプRAS-X40H2)

熱交換器の自動お掃除機能「凍結洗浄」は、熱交換器をいったん凍らせて霜を蓄え、一気に溶かすことで、従来取り除くのが難しかったホコリやカビを洗い流す新方式。エアコン内部をキレイにして清潔な空気を送り出します。[くらしカメラ AI]で部屋を検知し、人がいない時間を選んで自動で洗浄するのも特徴。

 

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アイリスオーヤマ

IRW-2817C(10畳用)

実売価格10万7780円

Wi-Fiと人感センサーを標準搭載し、屋外からのスマートフォンでの遠隔操作を実現したルームエアコンです。低価格とWi-Fi搭載で大きな注目を集めましたが、現在は販売終了。

 

安蔵 エアコンを遠隔操作しようという動きは2012年ごろからあったのですが、当時は法律の問題で電源ONができず、普及に弾みがつきませんでした。法改正を受けて、各社とも電源オンに対応するようになったのですが、これまでずっと「オプション(別売)対応」でした。そこにアイリスオーヤマが先陣を切ってWi-Fiを標準搭載し、パナソニックとシャープが続いた形です。パナソニックとシャープは最上位モデルのみですが、来年は下位モデルにまで広げて欲しいところですね。もちろん、他のメーカーも追随してくるでしょう。

 

――遠隔操作とは、それほど便利なものなんですか?

 

安蔵 もちろん。できたほうが誰にとっても便利です。家に帰る前に部屋を涼しくしておきたい、あるいは暖かくしておきたいとは誰しも思うでしょう。ましてやペットを飼っていると、春先の気温が落ち着かない時期などは「暑くて苦しんでいないかな……」などと心配してしまいます。この心配がなくなるだけでも、導入する価値がありますね。個人宅だけでなく、アパートやマンションなどの集合住宅に導入すれば、賃貸物件のアピールポイントの1つになるはずです。ペット可の賃貸物件とは、特に相性がいいのではないでしょうか。

 

もうひとつ、遠隔操作といえば、洗剤と柔軟剤を自動投入するパナソニックの洗濯機が良かった。こちらもスマホとの連携が可能なうえ、洗剤の量を自動で計量してくれるので、帰宅時間に合わせて洗濯が終了するよう、スマホで設定できるようになっています。

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パナソニック

ななめドラム洗濯乾燥機 NA-VX9800

実売価格35万3620円

液体合成洗剤や柔軟剤をあらかじめ入れておけるタンクを搭載し、洗濯の際は最適な量を計算してタンクから自動で投入。手間が省けて洗剤の入れすぎなどもなくなります。外出先からスマートフォンで洗濯の仕上がり時間などを設定可能。

 

2017年は「見える化」の機運が高まった

――空気清浄機の分野ではいかがでしょう。

 

安蔵 これは、家電業界全体にも言えるのですが、2017年は「見える化」の機運が高まってきた印象があります。そもそも、空気清浄機というものは、本当に効いているのかがわかりづらい。メーカーもその点に配慮して、例えば運転状況が屋外からスマホで確認できるようにし、スマホアプリで空気の状況を示すことで、空気清浄機の効果を見せる……といった形で「見える化」を進めてきた印象ですね。ダイキン、シャープ、ダイソン、ブルーエアなどがこれに対応していますが、例えばダイキンの加湿空気清浄機「MCK70U」は、PM2.5、ホコリ、ニオイの3種類の汚れを6段階のレベルで「見える化」しています。今後はパナソニックなども当然対応してくるでしょう。

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ダイキン

MCK70U

実売価格5万7070円

独自のストリーマ技術を強化し、有害ガスの分解スピードや脱臭性能が2倍になりました。0.3μmの微小な粒子を99.97%除去するTAFUフィルターを新たに搭載。ルームエアコンと同じアプリで、スマートフォンから室内の空気を見える化。遠隔操作も可能です。

↑ダイキンのアプリ画面↑ダイキンのアプリ画面

 

安蔵 「見える化」という意味では、「部屋干し3Dムーブアイ」を搭載した三菱電機の衣類乾燥除湿機「サラリ」が抜群に良かった。衣類乾燥除湿機では「一択」と言っていいと思います。

 

――「一択」ですか! どこがそんなにいいんでしょうか?

 

安蔵 「光ガイド」という機能がいい。これは、濡れた部分だけ検知して緑色の光で照らし、重点的に温風を当ててくれる機能です。これがあるだけで、「ちゃんと働いてくれているな」と、確認できるので、安心感がまるで違います。発想が面白いうえに理に適っている、という極めて良いプロダクトですね。また、フィリップスの電動ハブラシは、スマホと連携して正しく磨けているか、コーチングできるものが出ています。こちらも「見える化」のひとつと言えるでしょう。

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三菱電機

サラリ MJ-120MX

実売価格4万3090円

経済的なコンプレッサー方式を採用する衣類乾燥除湿機。約180cmのワイド送風で、洗濯物を一気に乾燥できます。温度、湿度、赤外線センサーを用いて乾き残りを見つけ、緑色の「光ガイド」を照射しながら集中乾燥します。

↑除湿をスタートしてから約5分ほど経過すると、濡れた箇所だけ検知して重点的に送風するのが特徴だ↑除湿をスタートしてから約5分ほど経過すると、濡れた箇所だけ検知して緑色の光で照らし、重点的に送風します

 

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フィリップス

sonicare(ソニッケアー) HX9964/55

実売価格3万8880円

4種類の高性能ブラシヘッドを備えた電動ハブラシ。スマートフォンの専用アプリで歯磨きをリアルタイムに追跡し、きちんと磨けているかどうかをセンサーでチェックします。

 

メーカーで「勢いがあるな」と感じたのはパナソニックとシャープ

――ちなみに、2017年、安蔵さんが「勢いがあるな」と感じたメーカーはどこですか?

 

安蔵 まずはパナソニックですね。先述の「ロティーサリーグリル&スモーク」「洗剤を自動投入する洗濯機」をはじめ、創業100周年で気合いの入った商品が数多く発表されました。私は毎週、家電を紹介するラジオ番組をやっているんですが、面白いモノを立て続けに出すものだから、紹介したいのがパナばかりになってしまって。こんなに続けて大丈夫か……と思ったこともあります。

↑前編でも紹介したパナソニックのパナソニック ロティサリーグリル&スモーク NB-RDX100(実売価格5万1230円)↑前編でも紹介したパナソニックのパナソニックの「ロティサリーグリル&スモーク NB-RDX100」(実売価格5万1230円)。かたまり肉を回転させて焼くことができるほか、オーブン、トースター、燻製器としても使用可能

 

もうひとつ際立っていたのが、実はシャープだと感じています。もともと、どん底の時期に「蚊取空清」や「ロボホン」などのチャレンジングな商品を出していましたが、これは凄いことですよ。2017年も、そのチャレンジ精神は健在。先述のコードレスキャニスター掃除機のほか、冷蔵庫の分野では大容量の500Lクラスで左右どちらでも開く「どっちもドア」を実現したモデルや、AIoT(※)に対応したモデルを開発しています。どっちもドア&AIoTモデルが出なかったのはちょっと残念でしたが、いずれ開発されるでしょう。また、効果は床置きの方がいい部分もあるとは思いますが、発想の面では天井に取り付けることで邪魔にならないLEDシーリングライト付きの空気清浄機、「天井空清」も面白いですね。さらに勢いのあったメーカーの次点を挙げるとすれば、低価格でWi-Fi搭載エアコンを出したアイリスオーヤマでしょう。

AIoT……AI(人工知能)とIoT(モノがインターネットを通じてクラウドやサーバーに接続され、情報をやりとりすること)を組み合わせたシャープの造語。単なるIoTではなく、ユーザーの好みを学習して提案するなどが可能となります

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シャープ

SJ-GX50D

実売価格30万5680円

クラウドサービス「COCORO KITCHEN」に対応したAIoT冷蔵庫。献立や食品保存方法などを教えてくれます。チルドルーム内を清潔に保つ高密閉構造の「プラズマクラスターうるおいチルド」を新採用。

 

――では最後に、2018年の家電がどのように進化していくか、予想をお願いします!

 

安蔵 意外性に欠けると思いますが、やはり期待したいのは家電のスマート化。いま、スマートスピーカーは一部のギークが楽しんでいるだけですが、できることが増えると魅力も増していきます。メーカーには、他社が対応したら自社も……というのではなく、「何が何でも対応してやろう」くらいの意気込みで対応してほしいです。極端な話をすれば、情報をやりとりするインターフェイスさえしっかり作っておけば、アプリの開発やアップデートはある程度「後追い」でもできるはず。そんなイメージで、開発スピードをどんどん上げていってほしいですね。

 

――魅力的な調理家電が数多く登場し、「遠隔操作」「見える化」などがキーワードとなった2017年。2018年も、「何だコレ!」と、我々の度肝を抜くような、斬新な家電に登場してほしいところ。みなさんもぜひ、新たなアイテムの登場に期待してみてください!

 

2017年の注目の調理家電を紹介した前編はコチラ

家電のプロが「圧倒的にいい」と激賞したアイテムは? 2017年「最もアツかった調理家電」を振り返る!

2017年も各社からさまざまな家電製品が登場しました。なかでも、家電のプロの目から見て、いったいどんなアイテムが印象に残ったのでしょうか。業界の流れや展望といった部分も含めて、IT・家電ジャーナリスト、安蔵靖志氏に存分に語っていただきました!

 

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安蔵靖志(あんぞう・やすし)

IT・家電ジャーナリスト。家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)。AllAbout 家電ガイド。ビジネス・IT系出版社を経てフリーに。デジタル家電や生活家電に関連する記事を執筆するほか、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。KBCラジオ「キャイ~ンの家電ソムリエ」に出演中。その他ラジオ番組の家電製品リサーチや構成などにも携わっています。

 

「バーミキュラ ライスポット」が「圧倒的にいい」と思った

――早速ですが、2017年に最も注目した家電は何でしょうか。特にご自身で愛用しているものなどあれば、使い勝手などいろいろうかがいたいのですが。

 

安蔵 1つ挙げるなら、愛知ドビーの「バーミキュラ ライスポット」です。発売は2016年の暮れで、年が明けて購入して以来、愛用していて。税込みで8万円台で販売していますが、「圧倒的にいい」と思っています。

 

――どのあたりが良かったのでしょうか?

 

安蔵 とにかく汎用性が高いんです。たとえば最近、鍋に水を張って食材を入れると、温度を低温にキープしてくれる1~2万円の低温調理機が出ていますよね。ライスポットは、その低温調理機能を備えていて、最上位モデルの炊飯器に負けない炊飯機能があって、さらに炒め調理も無水調理もできる。そう考えると、ものすごくお買い得なんです。

 

あとは、「おまかせ」ではなく、「道具」としてコントロールできる感覚が気に入っています。自動調理家電とは違い、食材も含めてレシピ通りじゃなくても作れるから、レシピがないと操作できない……なんてこともありません。圧力鍋と同じ感覚で使えるので、普段調理をする人ほど扱いやすいと思いますよ。

 

――なるほど。料理好きの安蔵さんならではのご意見ですね。逆に本機の課題は何ですか?

 

安蔵 お手入れが少し面倒なんです。フタの接合部にはホーロー加工がないので、そこは磨かないとすぐ錆びてしまうんですよ。あとは一般的な炊飯器のお釜に比べると、ご飯が鍋にくっつきやすい点ですね。

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愛知ドビー

バーミキュラ ライスポット(写真はソリッドシルバー)

実売価格8万6184円(バーミキュラ直販価格)

鋳物ホーロー鍋の人気ブランド、バーミキュラの提案する炊飯器。IHヒーターを搭載し、炊飯だけでなく無水調理や低温調理などにも使えます。2017年11月には新しいカラーバリエーションとしてシーソルトホワイトとトリュフグレーも登場しました。

 

「ロティサリーグリル&スモーク」は1台4役と考えると、この価格も納得

――今年は個性的なグリルが数多く登場しましたが、その点はいかがでしょうか。

 

安蔵 グリルといえば、パナソニックの「ロティサリーグリル&スモーク」が面白い。ロティサリー(鶏の丸焼き)のみの調理器だったら5万円は高いと感じるかもしれませんが、本機はグリル・燻製・オーブン・トースターの一台四役。特に燻製機能がいい。パナソニックは「けむらん亭」という、スモーク&ロースターも出していますが、こちらは庫内の高さがないので、普通の卵を燻製することができなかった。うずらの卵はできましたが、それでは……ね。

 

その点、ロティサリーグリル&スモークは、気になったものが何でも燻製にできてしまいます。うまい燻製ができるものだから、もう、酒が進んで進んで仕方がない(笑)。こうした点も含めると、この価格は決して悪くはないし、もう少し安くなったらむしろお買い得ですね。もし、「ちょっといいトースターが欲しい」と思ったときなどは、本機を選ぶのもオススメです。

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パナソニック

ロティサリーグリル&スモーク NB-RDX100

実売価格5万1230円

オーブンの中で塊肉をぐるぐる回転させながら近火と遠火でゆっくりジューシーに焼き上げられる、家庭で本格的な肉料理を楽しみたいなら注目の一品。煙やニオイ対策も施されています。

 

安蔵  グリルといえば、アラジンの「グラファイトグリラー」も面白そう。実は未だに実際に使ったことはないのですが、いま一番使ってみたい商品の一つです。

 

――煙を抑えて脂も落とすので、自宅でニオイを気にせず焼肉をしたい人にも良さそうですね。

 

安蔵 これなら、一人暮らしでもバーベキューができますし、面白いグリルが出てきたなと。カラーリングも親しみやすく、飽きが来ないデザインなのも好印象です。

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日本エー・アイ・シー

アラジン グラファイトグリラー CAG-G13A

実売価格税込3万4560円(ダイレクトショップ価格)

上部から遠赤グラファイトの輻射熱で加熱することで、本格炭火のような焼き上げが楽しめるグラファイトグリラー。煙の元になる脂を網の下に落とすので煙が出ません。また、脂が抜けるのでカロリーもカットできます。

 

デザインでいえば「BALMUDA The Range」が際立っている

――デザインの良い調理家電も増えましたね。

 

安蔵 特に、バルミューダの「BALMUDA The Range」がいい。電子レンジで4万円超は高いと感じるかもしれませんが、こちらはデザインだけで「買い」と言ってもいいでしょう。「デザインがもうひとつ」といったトースターやレンジが増えるなか、本機のデザインは際立っています。毎日使っていて気持ちがいいという、所有感を満たすアイテム。プレゼントにもいいですね。

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バルミューダ

BALMUDA The Range

実売価格4万6980円(ホワイト、ブラック)、5万8860円(ステンレス)

「レストラン」をイメージしたというコンパクトで美しい佇まいが魅力。本体のレバーを回すとギターの音色が鳴り、取っ手から手元に柔らかな灯りが落ちるのが特徴です。

 

「アイスデリ プラス」の「本物の味」に感動!

安蔵 少し変わったところでは、ハイアールの「Ice Deli Plus(アイスデリ プラス)」が良かったです。夏には随分お世話になりました(笑)。とにかく美味しいんですよ。本物のアイスクリームは味がまったく違う。久しぶりに本物に触れると、やっぱり感動しますよね。だから、もっと作り置きできるくらい大きいサイズが欲しくなります。一回ぶんの容量700mlでは、私一人でペロッと食べてしまうので(笑)。あと、レシピの砂糖の量を調整するなど、自分でアレンジできるのもいい。実際、砂糖は3分の2に減らして作っていました。

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ハイアール

Ice Deli Plus(アイスデリ プラス) JL-ICM720A

実売価格1万1080円

ペルチェ式の小型冷却装置を搭載し、材料を入れるだけで手軽にアイスクリームが作れるアイスクリームメーカー。アイスクリームのほか、シャーベット、フローズン、ジュレ、冷スープなども作れます。容量は700ml。

 

――さきほどのバーミキュラ ライスポットと同様、アイスデリ プラスも「道具」として使えるということですか。

 

安蔵 はい。道具は、自分のスタイルや作りたいものに合わせて、自分で調整して使える。これに対し、自動調理家電は簡単で便利ですが、材料も分量もレシピ通りでなくてはダメですし、レシピ自体がわかりづらかったらもうお手上げ。普段あまり調理をしない人には良くても、自分であれこれ工夫したい人には、必ずしも使い勝手が良くないんですね。

 

2017年に登場した調理家電を振り返ると、「道具として使うことを想定した製品」と、「全自動だけれどレシピ通りのみ」という製品と、二極化が進んだように感じます。自分の調理スキルや、スタイルに合わせて選ぶと良いですね。

 

――次回は調理家電以外の家電について振り返っていただきます。お楽しみに!