これはコスパが高い! カッターから指先をプロテクトする安全定規「ユビテクト」の仕組みと実力

カッターナイフは学校の図工などの授業でも活用されるほど身近な刃物。一方で「ちょっと怖いな」と感じている人は少なくないだろう。筆者も趣味で紙工作を楽しんでいるので、つい先日ダンボールをカットしている最中に、定規からはみ出した人差し指の先を、軽くケガしてしまったばかり。幸い縫うほどの深い傷ではなかったが、2週間程度は細かい作業に不自由した。

 

いくら注意をしていても、人間のやることに「絶対安全」はない。とはいえ、ケガをしないように作られた道具を導入することは、やって損はないはずだ。

 

もう痛い思いはしない!?  指先ガード付き定規

さて、カッターナイフで指を切ってしまうケースでは、先述の筆者のように定規を使った直線カット時であることが少なくないと思う。定規に刃を当てて沿わせてしまえば、あとは切り終わるまでカッターを動かすのみ。その動線上に定規を押さえている指が飛び出していれば、うっかり切ってしまうこともあるよね、という話だ。

サンスター文具
指先ガード定規 YUBITECT(ユビテクト)
各380円(税別)
定番カラー2色/初回限定カラー3色

 

ということは逆に、定規から指が飛び出しさえしなければ、ケガのリスクは大幅に減らせるはず! そんな理屈によって作られているのが、サンスター文具の定規「ユビテクト」だ。一見、ごく普通のプラスチック定規だが、実はちょっと面白いギミックが付いているのでさっそく紹介しよう。

 

「ユビテクト」では、カット作業をするときに、まず本体中央のへこみに指先を入れて軽く持ち上げる。すると、パキッという音とともに、上写真のように半透明の板(以下、ガードプレート)が立ち上がる。このガードプレートが、刃の動線上へと指が飛び出さないように仕切りとして機能するのだ。

↑カット作業時は、まず中央にある半透明の板(写真の白い部分)を持ち上げる

 

↑持ち上げると、指先を守るガードプレートが出現する

 

定規を押さえる指先を、ガードプレートが刃から守ってくれるので、うっかり切ってケガをしてしまう心配がなくなる。さらに精神的にも「ここまで高いガードがあれば刃が届かないだろう」という安心感につながる。この仕組みのおかげで、日頃カッターナイフに苦手意識を持っている人でも、恐怖心を感じずに切ることができるのではないだろうか。

↑刃先と指が完全に仕切られているので、とにかく安心感がある

 

カット時に安全なだけじゃない。定規としても優秀!

「ユビテクト」は長さ17cmで、B5ノートであるセミB5サイズの紙面の横断線を引くのにジャストな長さとなっている。一般的な15cm定規では、グラフや図表を書くのにやや物足りない、ということもあるので、この長さはカット時以外でも使い勝手が良いはずだ。

↑セミB5紙面の端から端までフォローできる、ちょうどいいサイズ感

 

同商品を裏返すと、縞模様のようにマット加工のプレートが入っているのが見える。このマット加工プレートにはすべり止め効果があり、上から指で紙に押しつけることで、定規を安定させることができる。指の力を抜くとスルスルと動かせるので、同じ紙面上を何度も切り込んでいくような作業でもやりやすい仕組みだ。

↑縞状に白く見えている部分がマット加工された部分

 

↑押さえると固定→力を抜くとスルッと動く。適度なすべり止め効果で、平行線を引く時などにも使いやすい

 

唯一の課題は?

このように安全性が高くカットもしやすい定規なのだが、ただひとつ、カット時に使用する面(目盛が入っていない側)にステンレスなどの金属ガードが入っていないのは、少々残念である。使用する際には、アクリルに直接切り込んで削ってしまわないように、注意したほうが良さそうだ。

 

それでも、指先ガードがついたカット定規のほとんどが数千円台であるなか、500円以下という手軽な価格の商品は他にないので、コスパの面ではかなり優秀といえるだろう。ぜひ、似た価格帯で30cmバージョンなどのロングタイプも出して欲しいところである。

 

巻き戻しがスローで怖くない金属製巻き尺「スローコンベックスメジャー」の“だけじゃない”実力とは?

日常生活であまり役立つシーンは多くないが、一つは持っておきたいのがコンベックスメジャーである。あまり耳馴染みのない人もいるかもしれないが、「コンベックス」とは金属製の巻き尺のこと。家具のサイズや部屋の間取りを測るのに使う、金属テープが勢いよくシュルシュル……ガチン! と戻ってきて怖いやつ、といえば思い当たるだろうか。

 

ただし、この  “金属テープが戻る時の勢いが怖い”  問題は看過できないところ。これがあるからコンベックスを使いたくない、という人もいるかもしれない。しかし計測なしでは、せっかく買った家具が部屋に入らず無駄になる可能性もあるわけで。なんとも困ったことである。

 

ゆっくり戻るから子どもでも安心なコンベックス

それではどうすれば良いのか? その解決方法は単純で、 “シュルシュル……ガチン!” とならないコンベックスがあれば、話は済む。それが、ミドリの「スローコンベックスメジャー」である。コンベックスとしてはかなり小ぶりサイズ(H44×W44×D23mm)で重さも約67gと、子どもでも扱いやすいサイズだ。実際に、2022年のキッズデザイン賞も受賞している。

ミドリ
スローコンベックスメジャー(2m)
1380円(税別)

 

↑5mタイプのコンベックス(約330g)と比較すると、とてもコンパクト

 

巻き取る動力となる板バネの力をダンパーで減衰することで、製品名通り、金属テープがスローに戻ってくる仕組みになっている。このおかげで、金属テープで指をケガしてしまうんじゃないか……という恐怖をほぼ感じないで済みそうだ。

 

試しに金属テープを引き出して手を放してみると、巻き戻り始めは普通にスルスルと戻っていくが、途中からじわっと速度が落ちていき、最後はゆーっくり、スルッとケース本体へと収まった。結果、ノーシュルシュル、ノーガチン。これが最初から最後までゆっくり巻き戻るのであれば「なかなか巻き戻らないなー」とイライラするかもしれないが、初速があるので、そういった “待たされ感” も少ない。これはとても良くできた仕組みだと思う。

 

 

また、一般的なコンベックスにはテープ送り口の下にテープロック機構がある。ロック解除するときに、挟まれやすい位置に指が置かれてしまうため、これもガチン! と指を挟まれそうに感じる原因の一つだ。一方、「スローコンベックスメジャー」はケース側面をグッと指で押さえることで、リールの回転をダイレクトに押さえる構造になっている。ロックするためには側面を常に押さえている必要はあるが、安全性はこちらの方が確実である。

↑側面を指で押さえて直接リールの回転を止める、ある意味シンプルなロック機構

 

↑ロックがない方の側面には磁石が内蔵されているので、スチール面に貼って保管することも可能だ

 

テープに備えられた使いやすい工夫

巻き戻る速度のほかに本品が持ち合わせた機能を見てみよう。テープの目盛を見ると、10cmごとに白・黒・白と交互に塗り分けられているのが分かるだろう。これは数値をパッと見ただけで把握しやすくする工夫なのである。

↑10cmごとに白・黒・白…となっているので、直感的に長さを掴みやすい

 

また、テープ裏面は数字表記がタテになっているのもポイント。これは先端のツメを床や天井に押し当てて高さを測るときに、読み取りやすくてありがたい。コンベックス自体も軽いので、持ち上げて天井からの高さを測るのもラクだ。

↑裏面のタテ表記も読み取りやすい工夫だ

 

“シュルシュル……ガチン!” とならず怖くない、というだけでも充分ありがたいのに、コンベックスとしても便利な工夫が盛り盛り。個人的には2mというのが物足りない(間取りの計測には長さ不足)のだけど、収納・携帯しやすいコンパクトさとトレードオフだと思えば仕方ないだろう。

 

例えば、引っ越しに向けて内見いろいろ回るぞー! という人は、ぜひこれを買っておくと良さそうだ。今後しばらくは便利に使えると思う。

 

書類を集中して読み込める! リーディングトラッカー機能つき定規「モジサシ」のハイコスパぶり

文章を読もうとして手が滑るならぬ “目が滑る” ということがある。文字の連なりを意味のある文章として捉えることができず、結果として何も頭に入ってこない状態だ。そもそもの文章が分かりづらいというケースもあるが、ADHD(注意欠如・多動症)やディスクレシア(発達性読み書き障がい)、もしくは単に疲れや睡眠不足による集中力の欠如が原因、ということも多いだろう。

 

そんな目のすべりにかなり効くのが、「リーディングトラッカー」と呼ばれる読書補助具である。これを使うことで、目が滑って文意が追えないような状態も、スッと解消されるという。

 

集中して本が読めないときは、定規が効果的

「リーディングトラッカー」は、文章が見える範囲を限定することで、脳の処理を軽くするための道具だ。そう聞くと、なにか難しい装置に思えるかもしれないが、なんのことはない。文字が一度にたくさん目に飛び込んでくると脳が処理しきれずフリーズする、というのが目の滑りを生む大きな要因なので、ならば今読んでいる行だけ見えるようにして、あとは隠しちゃえばいいんじゃない? という話なのである。

クツワ
モジサシ
16cm:200円/18cm:250円(いずれも税別)

 

↑「線を引くための定規目盛」と「端がゼロスタートの物差し目盛」が上下で使い分けできる

 

このリーディングトラッカー機能を搭載したプラスチック定規「モジサシ」が、クツワから発売された。ラインナップは16cmと18cmの2タイプ。

 

どちらも定規本体の中央に透明(もしくはクリアカラー)の帯がある。これを本や書類の上に乗せると、透明帯の下の1行だけがはっきり見えて、その前後の行は隠された状態になる、というわけだ。

↑集中力に欠けた状態だと、文字の流れを追えなくなりがち

 

↑「モジサシ」を当てるとこの通り、読みたい行だけが浮き出してくる。16cmタイプは文庫本や新書にちょうどいいサイズだ

 

これは実際に試してもらいたいのだが、いま追うべき十数文字だけしか “視界に入らない” ので、文章に対して集中することを強要されない……とでも言おうか。とにかく脳への負担のかからなさっぷりがすごくて、昼過ぎのぼんやりした時間帯でも書類チェックが苦にならないほど。

 

1行読んだら次の行、と文章の流れに従って「モジサシ」を進めていけば、目が滑って意味が追えなかった文章もスルスルと読めるようになるのである。

 

まずはローコストでリーディングトラッカーを試す方法

「そんな程度のことで本当に効果ある?」と疑う向きもあるだろう。しかし、これと似たようなことを日常的に行っているはずだ。

 

例えば、本を読みながら要点に蛍光マーカーでラインを引いたことがあるだろう。あれは再読時の目印でもあるが、文章の一部だけをハイライトすることで意味を読み取りやすくし、理解を助ける効果もあるのだ。

 

↑透明.verは見え方がナチュラルなのに対して、カラー.verは視線を引きつける力が強い

 

「モジサシ」の透明帯カラーには黄色や水色などのバリエーションがあるが、これもつまりは蛍光マーカーの色と同じで、注意を集めるためのもの。眼が疲れないという点では無色の透明帯の方がラクだが、特に集中力に欠けるなーという局面では、色つきの方が効果的なように思う。あくまでも好みで選んでほしいが、より効果を強く体感したいのであれば、色つきがオススメだ。

↑表組みをチェックするなら、18cmタイプが長くて使いやすい

 

リーディングトラッカー自体はすでにいくつものメーカーから発売されているが、ほとんどが1000円前後と、気軽に試すにはちょっと高いかな、というところ。対して「モジサシ」は16cmタイプで200円+税とかなりお手頃なのがありがたい。これなら「ひとまず効果あるのか体感してみたい」くらいの好奇心で導入しても問題ないと思うので、ぜひ一度試してみて欲しい。

 

【文具ソムリエール・菅未里の自腹買い文房具】「マルチ定規」と出会って2年…早く使わなかったことを後悔した理由

イベントやメディアへの出演、新作文房具のプロモーションなどに引っ張りだこの文具ソムリエール・菅未里さん。文房具の新作からロングセラーまでを知り尽くした菅さんが、自腹を切ってまで手に入れた愛用の文房具とは?

 

早く使わなかったことを後悔したマルチな多機能定規

2001年に発売されてから20年以上のロングセラー製品であるミドリの「マルチ定規」。私も毎日使っています。

 

愛用者が多いこの「マルチ定規」ですが、ユーザーの中には「マルチ」の由来にもなった多くの機能を知らない人もいるのではないでしょうか? ただの折りたたみ定規ではない「マルチ定規」の魅力を見ていきましょう。

↑写真のペールグリーンはミドリブランド70周年を記念して発売された限定バージョン。通常カラーは透明、ピンク、青、不透明の黒が販売されている

 

ミドリ(デザインフィル)
マルチ定規
16cm:286円(税込)
30cm:330円(税込)
50cm:968円(税込)
アルミ 30cm:1430円(税込)

 

マルチ定規のメイン機能は「定規を折りたたんで半分のサイズで持ち運べる」という折りたたみ機能です。写真の30cmタイプのほか、16cmタイプと50cmタイプの3サイズがラインナップしています。

↑持ち運びはコンパクトでもA5サイズのノートに一度で線を引くことができる

 

多くの方がこの折りたたみ機能をきっかけにマルチ定規を手に取るでしょう。私もそうでした。

 

しかし、折りたたみタイプの定規は様々なメーカーから発売されているので、私はこのマルチ定規を購入する前に安価な折りたたみ定規をいくつか買い、その度に失敗を繰り返していました。

 

繋ぎ目でガタつきがなく、キレイに引ける!

↑継ぎ目のがたつきが少なく線をスムーズに引ける

 

折りたたみ定規のもっとも気になるポイントは、継ぎ目の部分のがたつきがないかどうかですよね。

 

いくつか他社製の折りたたみタイプ定規を購入したものの、その度に継ぎ目の部分のガタつきが原因できれいに線を引くことができず、いらだちを覚えていました。そこで330円のマルチ定規を購入したところ、なんともスムーズに線を引けるではありませんか! 数百円をケチらずに最初からこの定規を買っていればよかった! と後悔しました。

 

長さを測るだけじゃない、機能いろいろのマルチぶり!

さらに定規をよく見てみると、10mmごとに穴が開いています。ノートや手帳などを等間隔に分割したい時に目印をつけられるのです。

↑10mm間隔で開けられている穴

 

また定規の目盛りは、外側の30cmだけでなく内側にもあり、奥行きや高さを測る際に使用できます。商品サンプルや小箱の高さなど意外に使うこの目盛りが便利なんです。

↑左側面だけでなく右側面にも目盛りが。この端部から目盛が刻まれた「グランドポイント」によって、定規の端からサイズを測ることができる

 

長さだけかと思いきや、実は角度も測れます。折りたたんだ定規は結合部で15度ずつ角度を測れるようになっているのです。

↑開く際にカチカチと手応えがあり使いやすい

 

折りたたみ定規はパーツが外れてしまうといったトラブルが多い商品ですが、「マルチ定規」は2021年から使い続けて壊れる気配もありません。結合部はしっかり金具でとめられているので安心ですよ。

 

その名の通り「マルチな1本」!

こんなに機能がついて330円(税込)とは、お得ですよね。普段から30cm定規を持ち歩きたいという人は、これ1本あると何かと便利で活躍する「マルチ定規」。折りたたみ定規でこれまで残念な思いをしてきたなら、こちらを使ってみてください。

 

ちなみにカッターを使う人には、同社のアルミタイプのマルチ定規もおすすめです。