手ブレ補正搭載のフラッグシップミラーレス「FUJIFILM X-H1」発表! 体験会場から写真でレポート

2018年2月15日、富士フイルムは、Xシリーズで初めてボディ内手ブレ補正機能を搭載したミラーレスカメラ新製品「FUJIFILM X-H1」の発売を発表。それに合わせて同日、都内のホテルにて、プレス向けに新製品発表会と最新機種体験会が開催された。ここでは、最新機種体験会(製品説明とタッチ&トライ)の様子をお伝えしたい。

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2018年3月1日発売予定の「FUJIFILM X-H1」(装着レンズは、標準単焦点レンズのXF35mmF1.4 R)。従来の “T” や “E” とは異なる、新ライン “H” の製品。高剛性・高耐久ボディ、究極の高画質、快適な操作性などを実現した、最高パフォーマンスを誇るモデルである。手にした際の剛性感も高い。X-H1ボディの市場想定価格は24万円前後(税別)。

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会場入口の横には、スケッチ風に描かれた「X-H1」と「XF16-55mmF2.8 R LM WR」の巨大なパネルが設置されていた。インパクト大!

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ボディ上面(右手側)には、中判フォーマットモデル「GFX 50S」を彷彿とさせる、サブ液晶モニターを装備している。表示情報は背面の液晶モニターでも確認できるが、カメラを構えた(ファインダーは覗いていない)状態で、重要な撮影情報がココで常時確認できるのはウレシイ。

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X-H1専用の縦位置パワーブースターグリップ「VPB-XH1」。ボディと同様、防塵・防滴・耐低温−10℃対応。バッテリーを2個装着できる。

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そして、カメラボディと合わせた3個のバッテリーにより、最大900枚(ノーマルモード)の撮影が可能になる。また、ブーストモードでは複数個のバッテリーが同時に働くことで、連写速度が「8コマ/秒」から「11コマ/秒」に向上する(メカニカルシャッター設定時)。メカニカルシャッターは音と衝撃が小さく、非常に快適だ。

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メモリーカード(SDカード)のスロット数は2つで、UHS-I/UHS-II 対応になっている。

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マグネシウム合金製ボディは、従来機*より厚みを25%アップ。マウント部の取り付け構造も見直され、高精度かつ衝撃や捻りなどの変形に強いボディを実現。防塵・防滴・耐低温(−10℃)仕様になっている。

* 「X-T2」「X-Pro2」など。

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また、大型ヒートシンクの搭載によって、動画撮影時の “熱問題” にも対応。

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2018年6月発売予定の、2本の高性能シネマレンズも新登場。2本とも約1kgの軽量設計で、動画撮影に最適なフォーカスとズームの機構などを搭載。これは望遠ズーム「MKX 50-135mm T2.9」で価格は59万9500円。もう1本は標準ズーム「MKX 18-55mm T2.9」で、価格は54万9500円(いずれもメーカー希望小売価格/税別)。

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会場内には、フルHD/120pのハイスピード動画撮影の体験コーナーも設けられていた。

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Xシリーズ初のボディ内手ブレ補正機構を搭載。3軸加速度センサー・3軸ジャイロセンサー・専用デュアルプロセッサーが連動し、毎秒約1万回の高速演算と補正動作で、高速かつ高精度な手ブレ補正を実現。補正は5軸(ピッチ/ヨーの角度ブレ、X/Yのシフトブレ、回転)対応で、すべての手ブレ補正機能非搭載の純正レンズ装着時に、シャッター速度5段以上(XF35mmF1.4 R装着時は5.5段)の手ブレ防止効果を実現している。

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メニュー(撮影設定)内の、手ブレ補正機能に関する設定項目。

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透明ケース内に展示されていた、X-H1の分解モデル(縦位置パワーブースターグリップ「VPB-XH1」と一緒に)。

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全体のパーツ構成や、手前に展示される「X-Processor Pro」「ボディ内手ブレ補正ユニット」「リーフスプリング式スイッチ」。いろいろと興味深い。

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背面の液晶モニター(LCD)は、3.0インチ・約104万ドット。上90°・下45°・右60°と3方向に可動するチルト式で、ハイアングル/ローアングル/縦位置ローアングルでのフレーミングが容易。そして、静電式タッチパネルを採用するので、フォーカスポイントの選択などが直感的におこなえる。

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多彩な色調が得られる「フィルムシミュレーション」。そのモード内に、映画用フィルムの色や階調を再現した「ETERNA(エテルナ)」モードが新搭載された(静止画撮影と動画撮影、どちらにも最適)。「Velvia(ベルビア)は加算の色再現、ETERNA(エテルナ)は減算の色再現」という、製品説明でのフレーズが印象的だった。

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Xシリーズで初めて「フリッカー低減撮影機能」を搭載。この機能により、蛍光灯や水銀灯など “ちらつき” がある光源下での連写撮影でも、安定した露出や色再現を得ることができる。これは、インドアスポーツ撮影をする人にとって朗報!

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X-H1(VPB-XH1装着)の上面。既出のサブ液晶モニターと、大きく張り出したグリップが特徴的。電源レバー横に配置されるFn1ボタン(露出補正)ボタンの形状が、ボディのエッジと一体化しているのがユニーク。

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超望遠ズームレンズ「XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR」を装着した状態。手にフィットするボディの大型グリップの存在と、縦位置パワーブースターグリップ「VPB-XH1」の装着によって、大柄で重いレンズを使用した際にも、優れたホールド感が得られ、重量バランスも保たれる。

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プロフォト、コメット、ニッシンデジタル。この各フラッシュメーカーが、Xシステムに対応。TTL撮影、ハイスピードシンクロ撮影、電波式ワイヤレス機能、といった高度なフラッシュ撮影が可能になる。ここでは、X-H1ボディにニッシンデジタルの「コマンダー Air1」を装着。

 

写真・文/吉森信哉

高速AFや4K連写で瞬間を逃さないミラーレスカメラ「富士フイルム X-A5」

有効2424万画素のAPS-CサイズCMOSセンサーを搭載したミラーレス一眼カメラ。レンズ交換式Xシリーズのエントリーモデルで、2016年に発売された「X-A3」の後継機。Bluetoothに対応し、スマートフォンとの連携がより便利になった。Xシリーズ初の4K連写機能も搭載している。

ボディのみ:2018年2月22日発売、レンズキット:2018年2月15日発売。オープン価格(直販価格:ボディ 税込 64,260円)

 

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FUJIFILM X-A5 レンズキット。カラーバリエーションはブラウン(上)、シルバー(左)、ピンク(右)の3色。小型軽量ボディで、キットレンズ装着時はXシリーズ最軽量の496g*。

 

* 2018年1月時点。「フジノンレンズ XC15-45mm F3.5-5.6 OIS PZ」装着時。メモリーカード、同梱電池を含む。

 

■描写性能

新開発センサーと、従来機より処理速度が1.5倍に向上した画像処理エンジンを採用。オート撮影時のシーン認識精度と色再現、特に「肌色再現」がさらに進化した。ISO感度は常用ISO 200〜12800に拡大され、拡張でISO 100/25600/51200も設定できる。

 

全11種類の「フィルムシミュレーション」と、新たな「霞除去」「HDR(ハイダイナミックレンジ)アート」を含む全17種類の「アドバンストフィルター」を搭載。フィルムで撮影した写真のような色再現や色調、高度なアート表現を手軽に楽しめる。

 

■像面位相差AFに対応して高速化

像面位相差AFに対応。フォーカス合焦スピードを従来機の2倍に高速化した「インテリジェントハイブリッドAF」により、より素早く確実なピント合わせが可能になった。

 

■快適に自分撮りが楽しめる

180°回転する3.0型・約104万ドットの背面液晶モニターを搭載。液晶を回転させると背面のコマンドダイヤルがズーム・シャッター機能に自動で切り替わり、さらに「瞳AF」も自動でONになって自分撮りが簡単にできる。

 

「美肌モード」は3段階の美肌処理が選択可能。

 

■Bluetoothでスマホとカンタン接続

Bluetoothの新搭載により、スマートフォンやタブレットへの画像転送がさらにシンプル操作になった。無料アプリ「FUJIFILM Camera Remote」を介して、事前にペアリング登録した端末に撮影した画像や動画を簡単・即時に自動転送することが可能。

 

■4K解像度で静止画/動画撮影

4K動画撮影機能に加え、Xシリーズ初となる撮影機能も搭載。「マルチフォーカス」機能は、4K解像度で合焦部を変えながら連続撮影した画像を自動合成することで、広範囲にピントの合った写真に仕上げる。特に小物のマクロ撮影などで効果を発揮。「4K連写」機能は、1秒間に15枚の高速連写により決定的な瞬間を高画質でとらえることができる。

 

動画機能では、最高4倍速のフレームレートでHD動画を撮影し、素早く動く被写体のスローモーション再生時でも、滑らかな動画を実現する「HDハイスピード動画」機能も搭載されている。

 

■その他の機能

361gの小型軽量ボディは、アルミ素材と革調シートを採用したレトロデザイン。背面液晶モニターで「フィルムシミュレーション」などの仕上がりを確認しながらタッチ操作ができる新インターフェースを採用。露出補正ダイヤルによる調整範囲は従来の上下3EVから5EVに拡張された。省電力設計により撮影枚数が従来機より約10%増加し、一度の充電でクラス最高の約450枚まで撮影可能。撮影シーンに合わせてフラッシュの発光量を自動で調整する「スーパーi フラッシュ」を内蔵している。

 

■FUJIFILM X-A5/XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ レンズキット

2018年2月15日発売

 

オープン価格(直販価格:税込 80,460円)

 

「フジノンレンズ XC15-45mm F3.5-5.6 OIS PZ」が付属するレンズキットもシルバー、ブラウン、ピンクの3色を用意。キットレンズのカラーは、いずれもシルバーとなる。

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■アクセサリー

ボトムレザーケース「BLC-XA5」(税別 9,500円)も同時発売予定。

 

■主な仕様

●カラー シルバー、ブラウン、ピンク ●有効画素数 2424万画素 ●撮像素子 23.5mm×15.6mm(APS-Cサイズ)正方画素CMOSセンサー ●マウント FUJIFILM Xマウント ●ISO感度 ISO 200~12800(拡張 ISO 100/25600/51200) ●シャッター速度 [メカシャッター]30~1/4000秒 [電子シャッター]30〜1/32000秒 ●画像モニター 3.0型 約104万ドット タッチパネル付きチルト式TFTカラー液晶モニター ●記録媒体 SD/SDHC/SDXCメモリーカード(UHS-I対応) ●サイズ(幅×高さ×奥行き) 116.9×67.7×40.4mm(奥行き最薄部 31.6mm) ●質量 約311g(本体のみ)/約361g(バッテリー、メモリーカードを含む) ●付属品 充電式バッテリーNP-W126S(リチウムイオンタイプ)、ACパワーアダプター AC-5VG、プラグアダプター、専用USBケーブル、ショルダーストラップ、ボディーキャップ ほか

Bluetoothでスマホと連携できる防水コンデジ「富士フイルム FinePix XP130」

有効1640万画素の裏面照射型CMOSセンサー、35mm判換算で28〜140mm相当の光学5倍ズームレンズを搭載した防水コンパクトデジタルカメラ。2017年2月に発売された「FinePix XP120」の後継機種で、新たにBluetoothに対応し、スマートフォンやタブレット端末との連携がカンタンに行えるようになった。2018年2月15日発売。
オープン価格(直販価格:税込 29,700円)

20180126_suzuki4カラーバリエーションはホワイト、イエロー、スカイブルーの3色。

 

■タフネス性能

水深20mまでの防水性能、高さ1.75mからの落下に耐える耐衝撃性能、−10℃までの耐寒性能、砂やほこりの侵入を防ぐ防塵性能を備えている。グローブ装着時もスムーズに操作できるボタンの配置や大きさ、片手でもしっかりホールドできる形状や滑りにくいグリップ、電池のフタが意図せず開くことを防ぐダブルロック機構など、アウトドアシーンでの使いやすさを追求。3.0型・約92万ドットの液晶モニターには、強い日差しの下や水中でも見やすい反射防止加工が施されている。

 

■スマホやプリンターと連携

Bluetoothに対応し、スマートフォンやタブレットとの連携が可能。無料アプリ「FUJIFILM Camera Remote」を使用することで、ペアリング登録した端末への画像自動転送やリモート操作ができる。スマートフォン用プリンター「スマホ de チェキ」にはカメラから画像を直接転送できるので、外出先などでもプリントも楽しめる。日時や位置情報を端末と同期させ、時差のある旅先での撮影時刻や場所の記録も可能。

 

■シネマグラフモード

撮影した画像の一部分だけが動く「シネマグラフ」撮影が可能。最大5秒間の動画を撮影し、画面内の動かしたい部分を指定するだけで、選択部分だけが動く画像を作成できる。

 

■レスポンス

10コマ/秒で最大10枚までの高速連写、60コマ/秒*で最大70枚までの超高速連写が可能。背面の切替ボタンで瞬時に連写モードへの切り替えができる。

 

* 16:9、Sサイズに限る。

 

■その他の機能

瞳を自動検出してピントを合わせる「瞳AF」、画面上で簡単に水平を合わせられる「電子水準器」などが新たに搭載された。11種類のフィルター効果が楽しめる「アドバンストフィルター」、360°のパノラマ撮影ができる「ぐるっとパノラマ360」、インターバル撮影で撮った素材を自動的に動画に合成する「タイムラプス動画」、フルHD動画撮影機能などを搭載。動画中も7種類のアドバンストフィルターが使用できる。光学式手ブレ補正機構内蔵。

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ホワイト

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イエロー

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スカイブルー

 

■主な仕様

●カラー ホワイト、イエロー、スカイブルー ●有効画素数 1640万画素 ●撮像素子 1/2.3型 裏面照射型CMOSセンサー ●レンズ [焦点距離]5.0~25.0mm(35mm判換算 28~140mm相当) [レンズ構成]11群13枚(非球面8面4枚) [開放F値]F3.9(W)~F4.9(T) ●ISO感度 ISO 100~6400 ●シャッター速度 4~1/2000秒 ●画像モニター 3.0型 約92万ドット TFTカラー液晶モニター ●記録媒体 SD/SDHC/SDXCメモリーカード ●サイズ(幅×高さ×奥行き) 109.6×71.0×27.8mm(突起部を除く) ●質量 約190.6g(本体のみ)/約207.4g(バッテリー、メモリーカードを含む) ●付属品 充電式バッテリー NP-45S(リチウムイオンタイプ)、ACパワーアダプター AC-5VF、プラグアダプター、ストラップ、専用USBケーブル ほか

見慣れた景色が輝く「作品」に! 軽量・高画質なミラーレスカメラ「FUJIFILM X-E3」で街スナップ@代官山

スマートフォンのカメラの高画質化が著しい昨今、街スナップのような日常シーンなら「スマホカメラで十分!」と考える人は多いでしょう。一眼カメラは、動きの激しいスポーツや乗り物などを撮る人向けの特別な装備であって、普段使いするようなものではない、といったイメージがあるのかもしれません。今秋、そんなイメージを覆す画期的なミラーレスカメラ「FUJIFILM X-E3」が登場しました。本稿では、日常シーンをキラキラと輝く「作品」へと昇華させる同機の魅力を、写真家・コムロミホさんに解説してもらいます。

【今回紹介するアイテム】

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FUJIFILM
X-E3
オープン価格(直販価格:ボディ 税込 12万3660円)

ファインダー付きのXシリーズでは最小・最軽量となるボディに、フラッグシップモデルと同じ有効2430万画素APS-CサイズCMOSセンサーと画像処理エンジンを搭載したミラーレスカメラ。携帯性と高画質を両立させ、さらに動画は4K/30pの記録にも対応する。カラーはブラックとシルバーの2種類。11月には開放F2の単焦点レンズ「XF23mmF2 R WR」とのキットも発売された(価格はオープンで、直販価格は税込 15万660円)。

●撮像素子:有効約2430万画素APS-CサイズX-Trans CMOSⅢセンサー ●画像処理エンジン:X-Processor Pro ●常用ISO感度:ISO200~12800 ●AFシステム:91点(最大325点) ●連写性能:約8コマ/秒(電子シャッター時:約14コマ/秒) ●ファインダー:約236万ドット有機EL(倍率0.62倍) ●液晶モニター:3.0型約104万ドット(タッチパネル) ●大きさ・質量:幅121.3×高さ73.9×奥行き42.7mm・約337g(バッテリー、記録メディア含む)

 

■詳しい製品情報はコチラ
http://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/x/fujifilm_x_e3/

 

【著者Profile】

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コムロミホ

アシスタントを経て、人物を中心として広告や雑誌等で撮影をする一方、ライフワークでは海外、国内と街スナップを撮り歩いている。またカメラに関する執筆やカメラ教室の講師としても活躍する。

 

ハイスペックながら撮り疲れしない携行性&操作性

富士フイルムのミラーレスカメラ「Xシリーズ」には、エントリーモデルからハイエンドモデルまで5つのラインナップがあり、今回紹介するX-E3はその中級モデルに位置する。軽量コンパクトながらもハイスペックな本格派。今回はこのX-E3を持って、代官山へスナップに出かけることにした。作例とともにカメラの魅力と撮影テクニックをご紹介したい。

 

まずは、外観や操作性について。カメラを持ち運ぶときは常に首からカメラを下げているため、デザインもカメラを選ぶうえで大事なポイントだ。X-E3は革張りのような質感で高級感があり、カメラらしいクラシカルなデザインを採用。カメラの上部には金属を使用し、重厚感のある見た目だが、質量は約287g(本体のみ)と軽量で携帯性に優れる。今回の撮影では被写体を探しながら1日中代官山を歩いたが、疲れることもなくスナップを楽しむことができた。この身軽さと手軽さがミラーレスカメラのメリットの1つだろう。

20171204_y-koba2 (11)↑「持つ喜び」を感じられるクラシカルな外観ながら、ボディは小型・軽量でスナップ撮影にぴったり。 新キットレンズ「XF23mmF2 R WR」との相性も抜群だ

 

スナップは日常の出来事や出会った光景を一瞬のうちに切り取る撮影方法で、いろいろなところに目を向けて、とにかく迷わずにシャッターを切ることが大切。そのため、カメラには速写性が求められる。その点、X-E3はタッチパネルの背面モニターを搭載しているため、ピント合わせや機能の呼び出しもスマホのような感覚で直感的な操作が可能。さらにスティックタイプのフォーカスレバーを新搭載。上下左右斜めの8方向に可動し、フォーカスエリアの移動もスムーズに行える。そして、EVF(電子ビューファインダー)が搭載されているため、ファインダーを覗きながら被写体を捉えることができ、撮影に集中できるのがうれしい。

20171204_y-koba2 (6)↑背面はボタン数を必要最低限に絞ったシンプルなデザイン。十字キーも省略されているが、タッチパネルと新搭載のフォーカスレバーと呼ばれるスティックで快適に操作できる

 

一眼カメラならではの高精細画質やボケで日常風景を印象的に表現

X-E3は同社の上位機種である「X-T2」、「X-Pro2」と同じ2430万画素のX-Trans CMOSⅢセンサーを搭載し、最新の画像処理エンジンを採用。風景や建物などディテールのある被写体を撮影すると、細部までしっかりと再現してくれているのがわかる。スマホなどで気軽に撮るのもいいが、思い出のワンシーンや旅先での風景などの一瞬一瞬は一眼カメラの高画質で残したいものだ。

20171204_y-koba2 (15)↑建物に書かれた文字やレンガのディテールを細部まで再現しており、画像中央から周辺まで高い解像感を実現している。センサーだけでなく、フジノンレンズの描写力の高さも実感することができた

 

そして、スマホとの大きな違いはボケを生かした撮影を行えること。より大きなボケを作りたいときは単焦点レンズというF値が小さいレンズを使用する。単焦点レンズはズームができないが、大きなボケを作りやすく、暗いところでも手ブレしにくいというメリットがある。

 

X-E3のキットレンズは単焦点レンズの「XF23mmF2 R WR」とズームレンズの「XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS」のどちらかを選択できる。両者とも描写力の高いレンズなので、どちらを選んでも後悔のない1本といえるが、ボケを生かした写真やスナップには単焦点レンズのXF23mmF2 R WRをおすすめしたい。

20171204_y-koba2 (2)↑今回、新たにX-E3のレンズキットとして登場した単焦点レンズ「XF23mmF2 R WR」。●希望小売価格:6万2000円(税別) ●レンズ構成:6群10枚 ●最短撮影距離:22cm ●最大撮影倍率:0.13倍 ●絞り羽根:9枚(円形絞り) ●フィルター径:43mm ●大きさ・質量:外径60×全長51.9mm・約180g

 

23mmは35mm判換算で35mm相当となる広角で、被写体と背景の両方を際立てやすく、街スナップとして面白みのある画角だ。大きなボケを作りたいときはF2に設定し、できるだけ被写体に近づくことがポイント。そうすることで、被写体が際立ち、主題が伝わりやすい写真になる。またXF23mmF2 R WRは小型軽量でX-E3との相性も良く、軽快にスナップを楽しむことができた。

20171204_y-koba2 (3)↑単焦点レンズのXF23mmF2 R WRを使い、開放F値に設定して撮影。店先にさまざまな雑貨がディスプレイされており、背景がごちゃごちゃしていたが、大きなボケを作ることでアンティークの人形だけが際立つ1枚に仕上がった

 

Xシリーズが誇る「色」へのこだわりとフィルムシミュレーション機能

長年フィルムを作ってきた富士フイルムの色に対するこだわりが、本機の絵作りにも直結している。鮮やかな色も淡い色もグラデーション豊かに再現し、クリアで抜けのいい色表現を実現。印象に近い色表現で、被写体の美しさが素直に伝わりやすい写真になる。特に人物の肌の色の再現性は高く、透明感のある美しい肌の色に仕上げてくれる。

20171204_y-koba2 (13)↑スタンダードのPROVIAで撮影。鮮やかなピンクから淡いトーンまでをグラデーション豊かに表現し、グリーンや紫、青も見た目に近い印象に仕上がっている

 

そして、さまざまな色表現を楽しめるフィルムシミュレーションという機能があり、実際にあるフィルムの特徴を生かした絵作りとなっている。例えば「Velvia」は色鮮やかでシャープネスが高く精密な描写を得意とするフィルムだが、フィルムシミュレーションのVelviaでも同じような効果を得られる。フィルムシミュレーションは全部で15種類の効果があり、被写体やシーンに合わせて選択すれば作品性の高い1枚に仕上げることが可能だ。次の作例は、15種類のフィルムシミュレーションで同じシーンを撮影したもの(クリックすると拡大可能)。

PROVIA/スタンダード Velvia/ビビッド ASTIA/ソフト ACROS ACROS(+Yeフィルター) ACROS(+Rフィルター) ACROS(+Gフィルター) クラシッククローム PRO Neg.Hi PRO Neg.Std モノクロ モノクロ(+Yeフィルター) モノクロ(+Rフィルター) モノクロ(+Gフィルター) セピア

今回、代官山のスナップで個人的に最も気に入って使ったのは「ACROS」という粒状感のある、豊かな階調再現にこだわったモノクロモード。まさにフィルムのACROSらしくシャドーの締まりに粘りがあり、独特な立体感を演出してくれる。代官山といえばオシャレな街の代名詞だが、裏路地は古い住宅街が建ち並び、意外と静かでもの寂しげな雰囲気がある。次の作例では、ACROSモードの粒状感あるモノクロが代官山のおしゃれな雰囲気にも裏路地にもマッチし、フィルムライクな仕上がりが年代を感じさせる1枚に仕上げることができた。

20171204_y-koba2 (8)↑フィルムシミュレーション「ACROS」でピザ屋に入る女性の後ろ姿を切り取った。店内だけを撮影するのではなく、ドアもフレーミングすることで奥行感のある写真に仕上がった。ドアと室内では明暗差があるが、粘りのあるシャドーのおかげで店内の床や自転車の質感も残っている

 

スマホでは難しい、動きモノの撮影や暗所撮影でも大活躍

動く被写体を撮影するときはピント合わせの速さが重要になるが、X-E3はAF(オートフォーカス)性能も向上。広いAFエリアをカバーするフォーカスモード「ゾーン」や「ワイド/トラッキング」を使えば、動く被写体にも高速かつ正確にピントを合わせることができる。そして、AF追従時は被写体の動きや速さに合わせて5つのAF設定を選ぶことができ、複雑に動く被写体でもしっかりとピントを合わせ続けてくれる。次の作例のような動きの速い小型犬はピント合わせが難しいが、激しい動きに強いSET 5を選択することで、きっちり犬にピントが合い、かわいらしい表情を切り取ることができた。

20171204_y-koba2 (12)↑AF-C(シャッターボタンを半押ししている間、動く被写体にピントを合わせ続ける機能)に設定し、連写で撮影。動きの速い被写体だったが、正確で素早いAFのおかげでしっかりとピントを合わせることができた。また、動きの速い被写体を撮影するときは被写体がぶれないように、できる限りシャッタースピードを速く設定しよう

 

冬になると街を賑やかにするイルミネーション。思わず写真を撮りたくなる被写体の1つだろう。しかし、スマホで暗いところを撮ると、写真にザラザラとしたノイズが現れてしまい、見た目の美しさが伝わりにくくなってしまう。そういうシーンもぜひ本機での撮影をおすすめしたい。

 

暗いシーンで撮影するときは手ブレしないようにISO感度の数値を大きくする必要があるが、高感度にするとノイズが発生しやすくなる。しかし、X-E3は高感度性能が高く、高感度のISO3200で撮影しても目立つノイズはなく、高精細に表現。そのため、夜の街や雰囲気のある暗いカフェやバーなどでの撮影でも安心して手持ち撮影を楽しむことができる。そして、イルミネーションであれば電飾のように小さな光源を大きくぼかすことで、丸ボケという丸い光の玉を作ることができる。単焦点レンズを使って開放F値に設定し、オーナメントなどに近づいて撮影すると、キラキラと輝く丸ボケになる。

20171204_y-koba2 (16)↑手ブレしないようにISO感度をISO3200にして撮影。こうした高感度で撮影しても目立つノイズもなく、オーナメントのディテールもしっかりと表現できていることがわかる。また背景を大きくぼかしたことで、イルミネーションが丸ボケとなり、幻想的な写真に仕上がった

 

豊富で高品質なフジノンレンズで撮影の楽しみが広がる

Xシリーズの交換レンズにはさまざまなラインナップがあり、小型ながらも性能の高いレンズが多い。レンズを交換すれば表現の幅も広がり、さらに撮影が楽しくなるだろう。

 

今回はキットレンズに加え、11月末に発売されたばかりの「XF80mmF2.8 R LM OIS WR Macro」を使用してみた。こちらは等倍撮影可能な中望遠マクロレンズで、防塵・防滴・耐低温構造を採用。レンズ質量が約750gとX-E3に装着するにはやや重めの印象だが、非球面レンズなどの特殊レンズを贅沢に使用したレンズ設計で描写力が高い。等倍付近まで被写体に近づいてもピント面の解像感が高く、ボケも滑らかだ。

20171204_y-koba2 (1)↑2017年11月にに発売された中望遠マクロレンズ「XF80mmF2.8 R LM OIS WR Macro」。●希望小売価格:16万8500円(税別) ●レンズ構成:12群16枚 ●最短撮影距離:25cm ●最大撮影倍率:1倍 ●絞り羽根:9枚(円形絞り) ●フィルター径:62mm ●大きさ・質量:外径80×全長130mm・約750g

 

中望遠マクロレンズは被写体に接近しなくても小さな被写体を画面いっぱいに捉えることができるため、近づくと逃げてしまうような昆虫などの撮影にも向く。またマクロ撮影だけでなく、F2.8のボケを生かしたポートレート撮影やスナップにも活躍する万能レンズである。

20171204_y-koba2 (9)↑カフェで注文したおしゃれなドリンクをXF80mmF2.8 R LM OIS WR Macroで撮影。上に乗っていたフルーツを画面いっぱいに捉えることで、フルーツのみずみずしさや質感が伝わる写真になった。ここまで大きく被写体を写すことができるのが、マクロレンズの面白さだ

 

【まとめ】軽量・コンパクトで毎日持ち歩きたくなるカメラ

今回、午前中から夜まで1日中歩きながら被写体を探したが、軽量・コンパクトであるおかげで疲れずにスナップを楽しむことができた。街スナップは歩けば歩くだけシャッターチャンスに出会えるため、カメラが小さいということは大事なポイント。X-E3は毎日首からぶら下げて持ち歩きたくなるようなデザインで、さまざまなシャッターチャンスに恵まれそうだ。

 

そして、フィルムシミュレーションを使用すれば、そのシャッターチャンスをより印象的でアーティスティックな1枚に仕上げることができる。カメラのなかでイメージを作りこめるため、被写体にカメラを向けるのが楽しくなる。さらにBluetoothを使用すればパソコンを使わなくてもスマホに直接転送できるため、撮ったその場でSNSなどにシェアすることも可能だ。

 

「スマホで十分派」の人も、本機を手にすればその考えが変わるはず。毎日の記録をぜひX-E3とともにたくさん残してもらいたい。

 

■詳しい製品情報はコチラ
http://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/x/fujifilm_x_e3/

 

※本記事は12月20日発売の「CAPA1月号」との連動企画です。CAPA1月号には、ここでは掲載しきれなかった作例が盛りだくさん!詳しくはコチラをチェックしてみてください(遷移先の情報は12月20日に更新されます)

小型軽量ミラーレスに開放F2のコンパクトな広角レンズが付属する「富士フイルム X-E3 単焦点レンズキット」

ミラーレス一眼カメラ「富士フイルム X-E3」に、単焦点の広角レンズ「XF23mmF2 R WR」が付属する新レンズキット「X-E3/XF23mmF2 R WR キット」が追加される。2017年11月30日(木)発売予定。価格はオープン価格で、フジフイルムモール直販価格は税込150,660円。

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カラーバリエーションはブラック、シルバーの2色。

 

「X-E3」は、ファインダー付きのXシリーズで最小・最軽量のミラーレス一眼カメラ。フラッグシップモデルと同じ有効2430万画素のローパスフィルターレスAPS-CサイズCMOSセンサー、画像処理エンジンを搭載し、携帯性と高画質を両立させている。製品の詳細はこちら

 

「XF23mmF2 R WR」は、開放F値2.0のコンパクトな広角レンズ。35mm判換算で35mm相当をカバーする。製品の詳細はこちら。

 

カメラボディ、レンズとも小型軽量のため、日常的に持ち歩いて気軽にスナップ撮影が楽しめる。

 

■アクセサリー

X-E3用の撮影アクセサリーとして、ブラウンカラーのボトムレザーケース「BLC-XE3 BW」(税別 11,500円)も同時発売。発売中のブラックと合わせて2色展開となる。

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FUJIFILM X-E3/XF23mmF2 R WR キット + ボトムレザーケース BLC-XE3 BW。ボトムレザーケースには、同じ革素材のショルダーストラップ、ラッピングクロスが付属する。

 

■キャンペーン

X-E3の発売日と同時にスタートした「X-E3発売記念キャンペーン」は、単焦点レンズキットの発売に伴いキャンペーン対象購入期間が2018年1月8日(月)まで、応募締切が2018年1月29日(月)に延長された。

 

詳細はこちら。