寺岡呼人×横山剣が語る「クルマと音楽」――横浜の産業道路を走ると思い出す「SUMMERBREEZE」

 

ドライブ中、ふと昔なじみの道を通ることがあります。そんなとき、当時聴いていた曲が無意識に頭の中で再生されることってないですか? バイトへ行くときやドライブデートのときにヘビーローテしていた曲が、「そういえばここで聴いていたなぁ」と思い出とともに蘇ること、ありますよね。

 

シンガーソングライター兼音楽プロデューサーの寺岡呼人さんがナビゲートする「クルマと音楽」、今回はクレイジーケンバンドを率いる横山剣さんをお迎えしました。誰しもが各々に抱いている特別な思い出の曲――横山剣さんの場合は「SUMMERBREEZE」、それもアイズレー・ブラザーズがカバーしたバージョンとのことです。いまでもクルマで横浜の産業道路を走ると思い出すそうですが、いったいどんな思い出があったのでしょう。

 

【横山剣】

クレイジーケンバンドのリーダー、そしてダブルジョイレコーズの代表取締役も務める。中学時代からバンド活動に勤しみ、1981年にクールスのローディーからメンバーへと抜擢。1983年に脱退してからは数多くのバンドを経て、1997年にクレイジーケンバンドを結成。また数多のアーティストに楽曲を提供している、作曲家・プロデューサーとしての姿もみせる。

クレイジーケンバンド オフィシャルサイト:http://www.crazykenband.com/

 

「GOING TO A GO-GO」 

クレイジーケンバンド

2018年8月1日発売

クレイジーケンバンドのデビュー20周年を記念した約3年ぶりのニューアルバムがリリース決定! アルバムのテーマは「支離滅裂」。「だって作曲中毒の僕が3年もオリジナル・アルバム出すの我慢してたんだから!」と横山剣さんが語るように、ソウル、ファンク、ジャ ズ、ボッサ、レゲエ、ガレーヂ、和モノ、亜モノ、モンド、あらゆる音楽が爆発しています!

 

【寺岡呼人】

シンガーソングライター兼音楽プロデューサー。1988年、JUN SKY WALKER(S)に加入。1993年にソロデビューし、1997年にはゆずのプロデュースを手がけるようになる。ライブイベントGoldenCircleを主催し、FMCOCOLOの番組「CIRCLEOFMUSIC」で、さまざまな音楽とアーティストをナビゲートしている。筋金入りのオーディオマニアであり、カーマニアでもある。

寺岡呼人オフィシャルサイト:http://www.yohito.com/

 

家からスタジオまで、クルマで移動し始めた瞬間からトップギア!

寺岡 今日のテーマはクルマと音楽なんですけど、まずは音楽のお話から聞かせてください。僕は1988年にデビューして、今年30周年になったんですが、剣さんは1981年でしたっけ。

 

横山 そうです20歳の時です。

 

寺岡 僕も20歳でした、一緒なんですね! クレイジーケンバンドは昨年で20周年を迎えられたそうですが、実際のプロミュージシャン活動としては。

 

横山 37年なりますね。

 

寺岡 先日の渋谷クラブクアトロで行われた「PUNCH!PUNCH!PUNCH!」を見てから、クレイジーケンバンドのファーストアルバム「PUNCH!PUNCH!PUNCH!」を改めて聴いたら、僕がいうのもあれなんですけどその進化っぷりがすごいなぁと思いまして。現在は、どのように曲を作られているのか不思議なんです。

 

横山 まずはデモテープ作りですね。自宅には録音設備がないので、スタジオで全部作業しています。スタジオまで、クルマで移動している間にアイデアが出てきたりするものでして。

 

寺岡 その前までは真っ白なんですか?

 

横山 真っ白です。頭のなかに、おぼろげなメロディがあったりはするんですけど。

 

クルマに乗り、スタジオに移動する時間からトップギアに入れるという横山さん。その間に脳内で煮詰めた最新のフレーズを持って、スタジオという現場に乗り込むのですね。

 

寺岡 クレイジーケンバンドのサイクルとしては、夏のツアーがあって、その前にレコーディングがあると思うのですが、その間の製作期間って、僕の想像だとかなり短いのではないかと。

 

横山 2月くらいからスタジオに入ってますね。とはいっても、ずっとスタジオに入れるわけではないんですが。

 

寺岡 曲そのものは、どのような作り方をしていますか?

 

横山 歌メロよりも先にベースラインから思いついてしまうことも多いですね。ベースラインから考えてそれにコードをつけていきます。それをメンバーに聴いてもらって直したりとか。

 

寺岡 じゃあ最初は剣さんお一人で!

 

横山 はい。鍵盤でなんですけど、それでベースを弾いています。で、僕が好きなタイプのベーシストの感じで「弾いてくれる?」とシンヤくん(クレイジーケンバンドのベーシスト洞口信也さん)に頼んだりして。ドラムはドラムループの音源を使ったりするんですが、何もないときは自分で叩いていますね。最後までは叩けないので、それでループを作ったりしています。

 

寺岡 そうやってイメージを固めていくのですね。

 

 

「みんなのうた」の「山鳩ワルツ」は構想50年!

寺岡 もっと不思議なのは歌詞なんですよね。何でこのトラックでこの歌詞なんだろうと思うことがあって(笑)。剣さんの頭の中はどうなっているのかと不思議で不思議で仕方がないんです。いま、かっこいいトラックって高校生でも作れるかもしれないけど、プロというか、音楽で個性を出すって最終的には歌詞かなと思うんです。「山鳩ワルツ」とかすごいじゃないですか。なんで山鳩が出てくるんだろうと。

 

横山 あれはですね、構想50年以上の曲なんですよ。

 

寺岡 本当ですか! 歌詞の通り、本当に親戚のおじさんとの思い出からですか!

 

横山 本当です。山鳩の鳴き声って、「クークー、ポーポー、」と三拍子で鳴っているという思い込みがずっとありまして。これは何だろうなと気になりながらツチャッチャチャー、ツチャッチャチャーとTAKE5っぽいリズムが思い浮かんだりして。「山鳩ワルツ」はNHKの「みんなのうた」が決まったときになにか良い題材がないかと考えて、そうだ山鳩だ! と。それまでタイトルと「クークー、ポーポー、」だけはずっとあったんだけど、そこから先に進んだことはなかった。今回初めてそこから進んだんですよね。だから構想50年以上です(笑)

 

情緒たっぷりの歌詞にジャジーなワルツが魅力の「山鳩ワルツ」に、そんなバックグラウンドがあっただなんて、びっくりですね。

 

横山 あと、踏切が開くのを待っているときに退屈だったから、「カーンカーンカーンカーン」の音に合わせてリズムを作ったりして、いつか曲にしようとか。電車の「ガタンゴトン」から曲にしてやろうとか。

 

寺岡 じゃあ「そうるとれいん」も、そういう鉄道のイメージがあったんですね。

 

横山 今回の「GOING TO A GO-GO」もそうです。生活音や擬音か何かから生まれたメロディやリズムが入っています。

 

クレイジーケンバンド20周年を象徴する「MIDNIGHT BLACK CADILLAC」

寺岡 「GOING TO A GO-GO」といえば過去アルバムで一度はボツになったという「MIDNIGHT BLACK CADILLAC」が入っていましたよね。あれも当時のデモテープみたいのがストックしてあったんですか。それとも頭の中にあったのでしょうか。

 

横山 あれは、当時「PUNCH!PUNCH!PUNCH!」のアルバムのためにレコーディングをしていたんですよ。だからドラム、ベースギター、ボーカルは、20年以上前の当時のまんまの音です。

 

寺岡 あ、だから声がお若い! なるほど!

 

横山 デッドストックです。そのサウンドにいまの音をトッピングして、20年かかって完成した曲なんですよ。

 

寺岡 じゃあ当時のマルチトラックのマスターがあって、それをコンバートしたんですね。でも、もう機器がないですよね。

 

当時、ヨンパチこと48トラックの録音ができるPCM-3348でレコーディングをしていた横山さん。このマルチレコーダーは現在メンテナンスサービスが終了しており、実働状態のものが少なくなってきているそうです。

 

横山 ダメ元でやってみたんだけどちゃんと再生できて、「よしっ!」って感じでしたね。クレイジーケンバンドにはその当時サックス一本しかなかったんです。でも「MIDNIGHT BLACK CADILLAC」はホーンセクションがないとダメだよなと思ってて。いやあ、あの時出さなくてよかった、いまこの編成でこそやってよかったですね。

 

寺岡 全部やり直そうとは思わなかった?

 

横山 やっぱり20周年を記念するアルバムなので、それを象徴するようなものってないのかなと考えたんですよ。ゼロから作るよりもその当時のデッドストックから仕上げるというのも一つの手だなと。

 

寺岡 あと今回は全体の音が柔らかくも研ぎ澄まされてる感じがしました。すごく音が良くて抜けていて、「ここに来てこういう音を出すんですか!」と落ち込むぐらいでした。

 

横山 結構好みの音ですね。ちょっとやりすぎちゃったかなという気もするけど。マスタリングはBernieGrundman Mastering Tokyoの前田さんにお願いしています。デジタルすぎると角が立って音が痛いと思ったから、アナログの機材でマスタリングするところじゃないとダメだと考えまして。

 

寺岡 そうなんです。アナログで録ったみたいな音ですよね。ある意味、剣さんがやってこられたことの集大成的なすごく良い音で本当によかったです。ところで、クレイジーケンバンドのライブって何度見てもまったく飽きないというのが不思議なんですよね。例えば同じオチがありますけど、あれもどっかで待っている感じがあるし。

 

横山 チャックベリーのダックウォークとかJBのマントショーとか。わかっているのに待っているところがありますよね。

 

寺岡 そういうときにクレイジーケンバンドのような大編成だからこそいい意味での「ドリフ感」があるというか、何回か見ると年齢を問わず病みつきになっちゃう要素がありますよね。

 

 

小学生時代は一人で東京モーターショー見学に行っていたほどのカーマニア

寺岡 クレイジーケンバンドにはクルマの曲も多いし、ファンの人たちにとってクルマと剣さんって切っても切れない関係だと思うんですけど、そもそもクルマに興味を持ったきっかけは何だったんですか?

 

横山 5歳のとき、幼稚園の同級生のお父さんがベレット1600GTに乗っていたんです。その子の家に遊びに行くとお父さんとクルマ話をするわけですよ。「これツインキャブですか」とか言うとエンジンかけてくれたり、「かっこいい!」と言うとその友だちをほっておいてクルマに乗せてくれたりして。同様に、友だちのお父さんが乗っている日野コンテッサとかプリンススカイライン54Bとか、そういったクルマに興味を持っていましたね。

そして6歳のとき、父親に「より特化したものを見せてやる」と言われて、三船敏郎さんが出てる「グラン・プリ」という映画を観に連れて行ってもらったんですよ。これはF1をテーマにした作品なんですけど、ここからモータースポーツに入りましたね。

 

「路面電車」「ベレット1600GT-CKB仕様」「アメ車と夜と本牧と」などなど、クルマがモチーフとなった曲が多いクレイジーケンバンド。横山さんご自身もクルマが好きだとは聞いていましたが、まさか5歳のときからハマっていたとは!

 

寺岡 日本だと18歳からしかクルマの免許は取れないじゃないですか。5歳からの18歳までの13年間はどうだったんでしょう。

 

横山 晴海の見本市会場でやっていた東京モーターショーに行っていました。友だちにもカーマニアはいたけど、一緒に行くと集中できないので一人で行ってました。

 

寺岡 小学生で! 会場には当時の新車が並んでいたんですか?

 

横山 あとコンセプトカーですね。東京モーターショーにコンセプトカーが出ると、翌年にその市販版が発売されるという時代でした。確か1970年のモーターショーでセリカとカリーナがデビューしたんですが、もうほんとにセンセーショナルでしたね。

 

気がつかずに買ってしまったアメ車は7500cc!

寺岡 ご自分で一番最初に乗ったクルマは?

 

横山 18歳のときに買ったサニー1200GXです。ただそれはレース用なので公道は走れなかったんですよ。あとオールズモビルのカトラスも買いました。これ7500ccでした。

 

寺岡 ななせんごひゃくしーしー!

 

横山 35万円くらいで売っていて、「これは俺、買える!」と思って買ったんですが、まさかそんなに排気量があるとは知らなくて、車検証を見て「え!? 7500cc!?」と。知らないで買っちゃったんですよ。そして1年経つと13万円弱の自動車税が(笑)

 

寺岡 だから人気がなく安かったのか…。ではその2台から始まってたくさん乗り換えてきたんですよね。

 

そうして教えていただいたクルマ遍歴のすごいこと、すごいこと。スカイライン2000GT、アルファロメオ1750GT、ベレットGTは3種類乗り継いだし、オールズモビルのカトラスも多数乗り換えてきています。

 

横山 急に気分が変わってアコードのエアロデッキとか、ワーゲンのタイプ3をフラット4に改造してもらってすごく速くしたり。

 

寺岡 目黒通り沿いのワーゲン専門店ですよね。

 

横山 そうです。「これちょっと速くしてほしいんですけど」って(笑)

 

寺岡 じゃあクルマの乗り換えは、10年とか3年毎といった周期的ではなかったと。

 

横山 もう次から次へでしたね。

 

寺岡 「MIDNIGHT BLACK CADILLAC」には、曲名にキャデラックの名前が使われていますけど、キャデラックも乗っていたんですか。

 

横山 最初に乗ったのはフリートウッドブロアムです。ローライダーにしようと思って買ったんですけど、フルノーマル状態で見たらこれはカスタムしたらもったいなと思いましたね。その次はコンコース。その次はCTS。いわゆる現代車ですね。今月にATS-Vという小さめのクルマが来ます。

 

 

ヨコハマの女子ウケがよかった曲はアイズレー・ブラザーズの「SUMMERBREEZE」

寺岡 クレイジーケンバンドの「中古車」という曲の、「カーステレオのなかに得体の知れないカセットテープが入っていた」っていう歌詞が面白いですよね。

 

日本の自動車メーカーの名前を羅列していますが、曲調はエスニックな雰囲気が濃厚の「中古車」。前のオーナーが残していったテープを聴いたら、得体が知れないけど懐かしくも美しいビートが流れる…という歌詞なのです。

 

横山 当時の横浜の港は、パキスタン人の車業者が多かったんですよ。その人たちはパキスタンの音楽が入ったカセットテープを聴いていたのですが、あるときその業者が扱う中古車を試乗したら、パキスタンの音楽が流れ出したんです。カセットテープを抜き忘れてていたと。で、「なんだこの曲は!」と、業者の方にカセットテープを譲ってもらいまして。

 

寺岡 ではあの歌も実話なんですね。クルマで聴く音楽って、最初はカセットテープだったと思うんですけど、こだわりの選曲をした思い出ってありますか。

 

横山 ありましたね。特にデートのときは気合い入れましたね。でもカセットテープはCDと違って、そのタイミングでその曲が来てくれるか、わからないじゃないですか。だから夕暮れ時にムーディな曲をかけたいと思って、気づかれないように巻き戻したりするんだけど、女の子はお喋りに夢中で、そのシチュエーションになっても曲に気づいてくれなかったりとか(笑)。いまでもデートコースだった場所を通ると、頭の中で鳴るんですよね、昔聞いた曲が。

 

寺岡 ありますあります!

 

横山 当時は毎年夏になると本牧市民プールにラジカセのでかいのを持って行ってたんです。そのときかけていた曲のなかでも、特に女の子が反応する曲があったんですよ。それがアイズレー・ブラザーズの「SUMMERBREEZE」。これかけてると結構釣れるといいますか(笑)

 

寺岡 じゃあ「タオル」の歌詞はまさに!

 

横山 その思い出を曲にしました。いまだに産業道路をクルマで走っていて、本牧市民プールの看板をみると、「サマーブリーズ~」と鳴るんですよ。

 

寺岡 そういう音楽との出会い方っていうのもいいですよね。音楽との接し方が変わってきている現在ですが、色々な音楽の聴き方をしてほしいなと思いますね。

 

ちょい聴きだったらオンラインサービス。本気で欲しくなったらパッケージ

寺岡 ところでクルマの中ではどのように音楽を慣らしていますか?

 

横山 いまのクルマにはCDプレーヤーがないので、iPodからBluetoothで飛ばして聴いています。でもCDの方が音がいいので、次に来るキャデラックにはCDプレーヤーをつけましたね。

 

寺岡 お、iPodですか。

 

横山 電話がガラケーなんで、音楽はiPodに任せてます。

 

寺岡 ご自宅で聴くときはどうでしょう。

 

横山 自宅はCDとアナログと、パソコンに保存した曲を聴くことが多いのですが…ボリューム上げるとうるさいと言われてしまう(笑)

 

寺岡 よくわかります(笑)。ところで、いわゆる音楽配信サービスについてはどう捉えていますか?

 

横山 娘はそれで聴いてます。僕はやり方が分からないので娘に教えてもらって。ちょい聴きしたいものにはいいですよね。その曲が気に入れば、CDやアナログのパッケージが欲しくなってきます。

 

寺岡 ほどよく利用しているわけですね!

 

横山 そういうことになります(笑)

 

↑実は音楽ストリーミングサービス大好きという寺岡さんは、愛車に装着したパイオニア・サイバーナビの「ミュージッククルーズチャンネル」をよく聴いています。音質もハイクオリティなサイバーナビだから、作成中の音源チェックを車内で行うこともしばしば

 

撮影/横山勝彦

 

寺岡呼人×ABEDONが語る「クルマと音楽」――バッハとトランス・ミュージックがロングドライブには最高!

 

彼女とのドライブなら、ムーディなトラックを。家族とのドライブなら子どもたちが喜ぶ音楽を。ドライブにマッチする曲は、シチュエーションによって変わります。では一人で長距離を淡々と走るシーンであればどうでしょうか? それも通勤のような、定期的に同じコースを走る場合だと。

 

シンガーソングライター兼音楽プロデューサーの寺岡呼人さんがナビゲートする「クルマと音楽」、今回はユニコーンのキーボーディストとしてだけではなく、音楽業界でマルチに活躍するABEDON(阿部義晴)さんをお迎えしました。プライベートでも親交の深いお二人の対談中、その答えの1つとなりそうなキーワードが出てきましたが、それがびっくり、なんとトランス・ミュージックだというじゃないですか。いったいどのような理由でロングドライブとトランス・ミュージックがマッチするのでしょうか。

 

【ABEDON

1966年7月30日生まれ。山形県出身。A型しし座ペガサス〜遊び心満載の自由人! 2014年に阿部義晴からABEDONに改名し、2009年より再始動した「ユニコーン」と「ABEDON」としてのソロ活動を並行して活動中。作詞・作曲、演奏はもちろんのこと、MIXやマスタリングの幅広い領域まで対応。ユニコーンの「D3P.UC」(2017年リリース)では映像総監督としての新たな分野へも進出した。

1998年に自身のレーベル“abedon the company”を設立し、「氣志團」「グループ魂」「私立恵比寿中学」などさまざまなアーティストへのプロデュース並びに楽曲提供、CMソングやドラマ主題歌、映画音楽を手がける。

ABEDON オフィシャルサイト:https://www.abedon.jp/

 

【寺岡呼人】

シンガーソングライター兼音楽プロデューサー。1988年、JUN SKY WALKER(S)に加入。1993年にソロデビューし、1997年にはゆずのプロデュースを手がけるようになる。ライブイベント Golden Circleを主催し、FM COCOLOの番組「CIRCLE OF MUSIC」で、さまざまな音楽とアーティストをナビゲートしている。筋金入りのオーディオマニアであり、カーマニアでもある。

寺岡呼人オフィシャルサイト:http://www.yohito.com/

 

いろいろなクルマを乗り継いできたABEDONさん

寺岡 ABEDONくんが自分で一番最初に買ったクルマは何だったの?

 

ABEDON クルマを運転できるようになってからは機材の関係でほとんどハイエースに乗ってたかな。自分で買ってというのは…ホンダのプレリュードだね。

 

寺岡 それは中古だったの?

 

ABEDON うん中古。知り合いからほぼタダで譲ってもらったみたいな。でも楽器が載らないので、知り合いのカメラマンからスカイラインのバンを譲ってもらってさ。その後はフィアット500。でもあまりに非力なのでアバルトに乗り換えた。そこからは異常なほどに乗り継いでいったね。

 

 

一時期、寺岡さんはABEDONさんの影響を受けてメルセデス・ベンツのSクラスに乗っていたとのこと。ABEDONさん、スペシャリティカーにライトバン、可愛らしいコンパクトカーにゴツい1台まで、本当にいろんなクルマに乗っていたんですね!

 

 

寺岡 例えば、新車でボルボの240を買ったんだけど、これは結局18万km ぐらい乗ったよ。

 

ABEDON 結構持つねぇ。

 

寺岡 そう考えるとクルマも好きだけど、どっちかっていうと運転するのが好きだったのかも。ABEDONくんはどうだった?

 

ABEDON 若いときはクルマに乗るのも、クルマそのものにも興味を持ってたな。スピード感があるし、サウンドもあるし。バンドをやって入ってきたお金はこういうところで使っていこう、みたいのがあったし。

 

シンプルな4つ打ちだからロングドライブに合うトランス・ミュージック

寺岡 車内での音楽環境はどうだった?

 

ABEDON カーオーディオはMから始まる青く光るレシーバーを入れてたよ。

 

寺岡 マッキントッシュね!  音は良かったの?

 

ABEDON というかカッコ良かった(笑)

 

寺岡 確かにあれは当時一番カッコ良かったな。車内で聴く音楽にこだわりはあった?

 

ABEDON クルマってさ、録音した音をチェックする場所という意識が自分の中にあったのね。スタジオとは違ってどう聴こえるんだろうというのを、クルマの中で確認する感じ。

 

寺岡 あるある。ミックスダウンのバランスを確認するのはクルマの中だよね。

 

ABEDON わざわざスタジオから駐車場まで降りていったりしてね。

 

寺岡 クルマの中で確認してから戻って、もうちょっとベース上げてくださいと言ったりとか。僕らの場合、音楽は家よりもクルマの中で聴く時間の方が長かったからついついやってたね。

 

ABEDON フェラーリに乗り始めるまではずっとやってたね。それまでは音楽がかかってないと嫌だったし。でもああいったスポーツカーだとすぐに調子が悪くなるから、運転中はいつもエンジンの音を聞いてなきゃいけないんだよね。

 

寺岡 それで一巡して、今はまた聴くようになったんだっけ。

 

ABEDON そう。移動時間が長くなっちゃって、さすがにスポーツカーだと疲れるから楽ちんなラグジュアリーなクルマにしたわけだ。そうすると、またね。移動時間のあいだに何を聴くかとなっちゃって。 最近のクルマは最初からわりと上等な音だからカーオーディオはそのままで。あとは何をかけるかってところで悩んでた。そしてたどり着いたのが、トランスなんだよね。

 

寺岡 へえええ!

 

ABEDON 四つ打ちでシンプルな小節を繰り返してるジャンルじゃない。だから長距離でも、長時間聴き続けていても持つのよ。これはいいわと、もうノリノリ。

 

いつも同じコースを長時間走るとなると、時には集中力が途切れがち。でもメロディラインが象徴的ではなく、ループ的なリズム・パターンを持つトランス・ミュージックだからこそ、ドライブ中のBGMにぴったり、と。運転に集中したまま走れるということですか!

 

 

SDカードにクルマの中で聴きたい曲をコピーしておくテクニック

寺岡 いま、クルマの中ではどんな音楽ソースを使っているの?

 

ABEDON それがSDカードなんだよね。

 

寺岡 えー、そうなの! 自分はスマートフォンからBluetoothで飛ばして聴いているんだけど、そうかSDカードか。

 

ABEDON スマートフォンだと電話かかってきたり色々ややこしいことが起きるから、クルマ専用ということにしたSDカードにクルマで聴きたい音楽を入れているんだよね。

 

寺岡 自分のクルマのカーオーディオにもSDカードスロットはあるけど、使ったことはなかったな。そういう風に使うんだね。

 

SDカードをカセットテープやCD-Rなどのように使っている、ということなのですね。これはカーオーディオ環境のライフハックといえるワザかもしれません。

 

ABEDON あれね、結構いいよ。そして曲なんだけど、実は、いまはバッハしか聴かなくなっちゃった(笑)

 

寺岡 トランスからバッハって(笑)。なんでバッハなの?

 

ABEDON 余計な情報がないというか。キース・ジャレットが好きなんだけど、彼が演奏しているバッハのインヴェンションにはすべての基礎が詰まっていてね。それをずーっと聴いてる。ハイブリッドのクルマにしたからというのもあるかな。 ハイブリッドって静かなんだよね。だから車内でクラシックも聴けちゃう。

寺岡 フェラーリだとバッハは聴けないよね。

 

ABEDON 全然聴けないね(笑)

 

寺岡 バンドを始める前はクラシックをやってたの?

 

ABEDON やってた。

 

寺岡 じゃあ先祖返りってわけじゃないけど、原点に戻ってきたのかな。

 

ABEDON そうなのかな。さらにいうと、普段聴く音楽はレゲエしかないんだよ。ポップスなりロックなりを聴くと、仕事モードになっちゃう。資料でもらったCDとかも、考えながら聴いちゃうし。

 

寺岡 そういう耳で聴いちゃうのってあるよね。

 

ABEDON クラシックだとそれがないんだよね。 仕事と関係ないから頭が切り替わって純粋に音楽を楽しめるし。レゲエも自分でやりたいとは思わないジャンルだから(笑)

 

寺岡 なるほど、BGMで聴けちゃうってことか。

 

またベッドルームではブライアン・イーノの曲を聴くことが多いそうです。曰く、「音楽を聴きたいわけじゃないけど音がないと嫌」というときに、彼のゆったりとしたアンビエント・ミュージックがマッチするということなのでしょう。

 

寺岡 家で聴くときのオーディオ機器はどんなのを使っているの?

 

ABEDON BOSE M3っていう小さいスピーカーのプロトタイプにPCをつなげているね。なぜかというとうちのスタジオにも同じスピーカーがあってさ。

 

寺岡 ABEDON君のお家に2、3度お邪魔したことがあって。そのときはスタジオができる前だったから、地下に小さいスタジオを作ってたよね。今もそこで作業はしているのかな。

 

ABEDON いや、完全にスタジオの方に移行してる。地下はもう使ってないね。

 

寺岡 じゃあアイデアが浮かんできたときとかは、スタジオに通うんだ。絶対そっちの方がいいよね。前に誰かのインタビューで読んだんだけど、家にスタジオがあるとパジャマのままでやっちゃうと。生活と地続きだから仕事モードになかなか切り替わらない。だから10mでも20mでもいいから自宅からは離れたほうがいいと書いてて。

 

ABEDON 家だと風呂にも入っちゃうし(笑)

 

 

マスタリングも自分でやるしかない!

寺岡 最近マスタリングエンジニアをやってると聞いたんだけど、そのきっかけはなんだったの?

 

ABEDON 自分のソロアルバムのマスタリングを、ニューヨークのテッド・ジェンセン(STERLING SOUND)にお願いすることになったのね。そのとき、インターネット経由で戻ってきた音の感じがあまりにも衝撃的で。音を録ったのは自分のスタジオだけど洋楽に聴こえてね。これはなんかアプローチが違うんだなと思ったの。日本のマスタリング事情を話してしまうと、エンジニアが高年齢化していて普遍的な音になることが多く、なかなかクリエイティブな感じにならないところがあるし。

 

俺はこれだけ長く作曲も作詞もやっているし、アレンジもレコーディングもやってるし、やることがなくなってきてるわけ。もう残すところはマスタリングしかない! となってね。

 

寺岡 普通はそうはならないよね(笑)

 

マスタリングとはCDや配信用の音楽ファイルを作る際の、最終的な音質・音量のバランスをとる作業のことです。様々なトーンの曲が入っているアルバムでも、優れたマスタリングを行うと一貫性のある作品に仕上がります。この分野においてテッド・ジェンセンは巨匠といわれる存在で、日本のアーティストのアルバムも数多く手がけています。

 

寺岡 実際はどんな環境でやっているの? 特別なシステムみたいのを使ってるの?

 

ABEDON ニューヨークに行ったときにテッドが色々教えてくれたの。で、彼が使ってるのと同じシステムを買っちゃった。

 

寺岡 マジで!

 

ABEDON ジミー・ペイジに憧れたらレスポールを持ちましょうというのと同じで、同じ機材、同じルーティンにしてしまえば、 違いは自分の実力しかないじゃない。そこから研究が始まるわけ。

 

寺岡 ハードは全部そろえたの? STERLING SOUNDのスピーカーはB&Wだったよね。

 

ABEDON 基本的なものだけかな。だって高っっっかいんだもん! ひとつひとつが! スピーカーだけでもすごく探したよ。 新品だとエイジングされていないのですぐには使えないから中古で探すしかなくてね。でも、見つけてもみんな小さな音でしか鳴らしてないのよ。ガンガン鳴らしてるスピーカーじゃないとスピーカーの音がふっくらしないから。反応が硬いんだよね。だから結局、輸入会社のデモ機みたいなものをつけてもらったのよ。

 

寺岡 自分もSTERLING SOUNDに行ったときに、B&Wってこんなにいい音がするんだと思ったよ。でも日本のオーディオショップで聞いたB&Wはもっとカチカチの音でさ。なんであんな音なんだろうと。これは手を出しちゃいけないなと思っていたんだけど、ABEDONくんは手を出しちゃった派なんだ(笑)

 

ABEDON ユニコーンのベスト、全部のリマスターをそこでやったんだけどすごい勉強になったよ。

 

寺岡 当時出たものと比べてどんな感じだった?

 

ABEDON 直に聴くと、いいところもあるし未熟なところもあるし。

 

寺岡 恥ずかしいところもあるし。そういうの1枚1枚聴きながらマスタリングをすると(笑)。なかなかシビレる作業だね。

 

ABEDON 1枚目2枚目はサウンド的にも楽器的にも未熟だったから音が痛いんだよね。それで1枚やったら耳をやられちゃうから、作業後は1日海で過ごしてさ。海の音は低音から高音までフラットだから、そこで耳を癒して、また次の日にやるとか。

 

寺岡 マスタリングしたものはメンバーに聴かせるわけだよね。

 

ABEDON 全然聴きやしないよ(笑)。でも、ああみえて、民生君はちゃんと聴いてるんだけどね。

 

寺岡 やっぱり。はい任せるみたいな(笑)。しかしベストアルバムをメンバーがマスタリングするというのは、 ABEDONくんだけだと思うだよね。

 

ABEDON ニューヨークのマスタリングエンジニアのアーティスティックなところを見ていると、アプローチがすごく音楽的でそこがすごくいいなと思って。でも俺らは自分たちが鳴らしたのはどんな音だったか、目指した音はどんなんだったかとか、ライブでいいと思ったときの感触をどうやって出すかとか研究していけるから、そこは分があると思ってる。そこを俺は、握らなきゃいけないなと思ったのよ。

 

 

音楽ストリーミングは時代の流れ。問題は知的財産の守り方

寺岡 音楽ストリーミングってあるじゃない。自分は結構利用してる派なんだけど、ABEDONくんはどう?

 

ABEDON ちょっと迷ったけどね。最初は業界全体の流れがNGみたいな雰囲気もあったでしょ。だからハイレゾに行きますみたいな感じだったけど、俺アナログは興味あるけど、ハイレゾには興味がなくて。

 

寺岡 えー、そうなんだ。

 

ABEDON 俺らの子どものころって家にでっかいステレオコンポがあったじゃない。でもいまそういう環境がある家は少ない。聴きたい曲はその場で手に入れたいしヘッドホンで聴くし。だからわざわざハイレゾに行くことには興味がなかったんだよね。ストリーミングに関してはまだ問題はあるだろうけど、この流れは止めることができないし、行くしかないんじゃないかなと。

 

寺岡 昔はクルマに乗ってレンタルCDショップまで行ってCDを借りて、何日か後に返しに行くというのが普通だったけど、今は、なぜわざわざ借りに行かなければいけないんだろうという価値観になってきたよね。

 

ABEDON 人間の順応性はすごいよね(笑)。音楽を発信する媒体が変わってきてるというだけの話で、そこに目くじらを立てる必要はないと思ってる。ただミュージシャンはお金がないと音楽活動ができないので、知的財産をどうやって守るかっていうところが大事だよね。

 

気軽に好きな曲を聴けるし、今まで知らなかった曲もレコメンドしてくれる音楽ストリーミングは便利。という共通の見解を持っているお二人。同時に、好きな曲はパッケージで買いたい、物質として欲しいという声もありました。

 

50代からの展望

寺岡 我々も、もう50歳を超えたわけだけど、この先の10年、野望というか展望というか目標はある?

 

ABEDON 俺ね、10年ごとに節を区切っているのね。20代のときはバンドをやっていて散々色々なものを見てきた。いいこともいろんなこともあったけど、30代は業界に貢献しようと思っていたの。だからプロデュースをやって、氣志團を見つけてヒットさせることに10年を費やしたの。40代は自分の周りのためにも動こうと思ったの。それで、一番すごいのは再結成じゃないかと。自分の周りにいるスタッフ、バンドメンバー、みんながハッピーになると思って、それでもう一回バンドをやり始めたの。

 

さあそれで50代に入りました。40代の目標は、ほぼやり終えた。次は下の子たちを育てなきゃいけないと思ってて。今の音楽ビジネスはミニマムなものが多く、大規模な現場を体験できる機会がないんだよね。

 

寺岡 ミュージシャンだけじゃなくて音楽業界全体の、これからの人たちを育てる…。わかった専門学校の校長だ!

 

ABEDON ああ! そういえば俺ら両親がさ。

 

寺岡 教師だから(笑)

 

ABEDON その血はあるはず! それを呼人くんとかもやってくれたら(笑)。呼人くんは人を引き寄せて引っ張っていく魅力というか力があると思ってるんだけど。

 

寺岡 自分ではまったくそうは思ってないんだけど、結果そういう役回りをやることが多いかも。

 

ABEDON 向いてると思うんだよね。俺は気まぐれだからさ。

 

寺岡 じゃあ俺、理事長で。ABEDONくんが副理事長で(笑)

 

↑愛車ではパイオニア・サイバーナビの「ミュージッククルーズチャンネル」をよく聴いており、音楽ストリーミングサービスも積極的に活用しているという寺岡さん。サイバーナビが対応しているメディア・接続機器はCD、Bluetooth、SDカードなど14種類も。最新モデルはハイエンドホームオーディオ級のパーツや素材がふんだんに使われており、車の中でもハイクオリティな音楽再生が可能で、オーディオに一家言ある寺岡さんも大満足とのこと

 

[ABEDON 公演情報]

ABEDONのソリスト公演「リストなきソリスト」が開催決定! キーボード、ボーカルはもちろん、ギターやベースもマルチにこなすABEDONが、ソリストとしてどのような舞台を繰り広げるのか、ミュージシャンシップと遊び心に満ちあふれたステージにご期待ください。

ABEDONソリスト公演「リストなきソリスト」

2018年7月19日(木) 宮城 仙台retroBackPage

2018年7月25日(水) 東京 Billboard Live TOKYO

2018年7月30日(月) 大阪 Billboard Live OSAKA

✳7/30(月)大阪公演は、ABEDONの誕生日当日、バースデーライブです!

 

ABEDONソリスト追加公演「リストなきソリスト」

2018年7月24日(火) 東京 Billboard Live TOKYO

2018年7月31日(火) 愛知 名古屋ブルーノート

 

詳細はABEDON オフィシャルサイト:https://www.abedon.jp/をご覧ください。

 

小澤征爾と村上春樹が「音楽」について語り合った対談本が「あさイチ」で紹介! 一時品切れ状態に

世間で注目を集めている商品が一目でわかるAmazon「人気度ランキング」。さまざまなカテゴリの注目商品がわかる同ランキングだが、商品数の多さゆえに動向を追いかけられていない人も少なくないだろう。そこで本稿では、そんなAmazon「人気度ランキング」の中から注目の1カテゴリを厳選。今回は「本」のランキング(集計日:1月12日、夕方)を紹介していこう。

 

 

「あさイチ」で特集された日本を代表する指揮者の対談本

●1位『そして、俺は今日も万全をkiss』(俺・著/双葉社・刊/1080円)

●2位『G 香里奈 (写真集)』(香里奈・著/富取正明・写真/ギャンビット・刊/3240円)

●3位『「感謝! 」言うてたら、ホンマに儲かりまっせ!』(横山信治・著/実業之日本社・刊/1620円)

●4位『小澤征爾さんと、音楽について話をする』(小澤征爾、村上春樹・著/新潮社・刊/1728円)

出典画像:Amazonより出典画像:Amazonより

 

指揮者として数々の栄誉ある賞を受賞してきた小澤征爾と、小説家・村上春樹による対談を収録した1冊がランクイン。同書には2人が時を忘れて自由に語り合った、1年に及ぶ日々が収録されているという。

 

1月12日に放送された「あさイチ」に小澤が出演し、同書のエピソードを紹介したのが人気急上昇の要因だろう。小澤は「あんなに音楽を好きな人は滅多にいないよ」と村上の音楽愛を絶賛し、対談の様子を振り返ってみせる。

 

「一度音楽の話をしたら止まらなくなる」と自身を表現する小澤は、その後も音楽の話題で熱くトーク。恩師との思い出や、音楽家を育てる難しさ、自分の音楽人生を支えてくれる家族への思いを切々と語った。

 

番組を観た視聴者がこぞって購入したためか、同書は1月12日時点でAmazonでは品切れ状態に。購入者からは「音楽とは何か知ることができた」「小澤さんの率直さ、村上さんの思慮深さに心を揺り動かされる!」「普段はあまりクラシックを聴かないけど、この本を読んでCD買った!」という感想が寄せられている。

 

●5位『信長を生んだ男』(霧島兵庫・著/新潮社・刊/1728円)

●6位『小澤征爾さんと、音楽について話をする (新潮文庫)』(小澤征爾、村上春樹・著/新潮社・刊/767円)

●7位『HELLO PANDA (英語)』(小澤千一朗・著/トランスワールドジャパン・刊/1944円)

 

 

映画公開も決定した性犯罪被害者の手記が登場!

●8位『私は絶対許さない 15歳で集団レイプされた少女が風俗嬢になり、さらに看護師になった理由』(雪村葉子・著/ブックマン社・刊/1512円)

出典画像:Amazonより出典画像:Amazonより

 

15歳で集団強姦の被害に遭った女性が、風俗嬢、看護師、SM嬢として生きる壮絶な半生を綴った自叙伝。1月12日に映画化に関する情報が続々と解禁されたこともあり、大反響を呼んでいる。

 

監督に和田秀樹を迎えた映画のキャストには平塚千瑛、西川可奈子、三上寛、佐野史郎といった実力派俳優がズラリ。主演を務める西川は自身のTwitterで、「多くの方々に観ていただきたい」というコメントと共に映画のポスターをアップした。顔に生々しい傷を浮かべた少女の隣には「15歳の元日私は死んだ」という衝撃的なキャッチコピーが。

 

ネット上では「実話と思うとかなり重い内容」「あらすじ見ただけで相当ヘビーだ…」「目を背けてはいけない問題だと思います。絶対観ます!」という声が相次ぎ、原作である同書への注目も高まっているようだ。

 

●9位『南国太平記 上 (角川文庫)』(直木三十五・著/KADOKAWA・刊/1296円)

●10位『14歳ホステスから年商10億のIT社長へ』(久田真紀子・著/PHP研究所・刊/1404円)

 

テレビで紹介された本が急上昇を見せた今回のランキング。次回は一体どんな本が注目されるのだろうか。