【モビリティショーレポート】ホンダの日本向け新世代EV「ゼロシリーズ」やBYDの軽EVなど、期待の新モデルをチェック!

2年に一度開催される国内最大の自動車ショー「ジャパンモビリティショー(JMS)2025」が東京ビッグサイトで開催されました。

今回は日本の自動車メーカーすべてが出展したのはもちろん、前回から出展していた中国・BYDに加え、新たに韓国からヒョンデとキアが出展。ドイツのメルセデスベンツやBMW/MINIが再び出展したこともあり、久しぶりにモーターショーらしい賑わいの中での開催となりました。

その後編として、東ホールに出展したメーカーを中心に注目の出展をピックアップしていきます。

前編はこちら。

【ホンダ】日本向け次世代EV「Honda 0 α」や、ハイパフォーマンスEV「Super-ONE」を初披露

ホンダが世界初公開したのは2つ。ひとつは次世代EV「Honda 0 α(ホンダ ゼロ アルファ)」のプロトタイプ。もうひとつは小型EV「Super-ONE(スーパーワン)」のプロトタイプです。どちらも今後販売を予定しています。

↑Honda 0シリーズのエントリーモデルとして2027年、日本市場に投入されるHonda 0 α。
リア回りをHonda 0シリーズ共通のデザインとしながらも、SUVらしい力強さを表現しているのもポイント。

このうちHonda 0 αは、2025年1月にCES 2025で発表した「Honda 0 SALOON」「Honda 0 SUV」に続く新たに加わったもので、Honda 0シリーズの世界観への入口となるゲートウェイモデルとしています。

Honda 0シリーズが掲げる開発アプローチは、「Thin, Light, and Wise.(薄い、軽い、賢い)」であり、このαにもその思想が受け継がれています。これにより、“EVは厚くて重い”といった従来の常識を覆した新たな価値を、日本の道路事情に合わせたサイズで提供するのがHonda 0 αなのです。

発売は日本やインドを主な市場とし、日本では2027年中に0シリーズのトップバッターとして投入される予定とのことでした。

もうひとつの注目であるSuper-ONEは、すでに発売されている軽EVの「N-ONE e:」をベースに前後をワイドフェンダー化し、軽自動車枠を超えたことで、出力の大幅向上を可能にしたモデルです。

↑登録車としたことで、持てる能力をフルに引き出すことを可能とした小型EV・Super-ONEのプロトタイプ。

スペックは明らかにされていませんが、聞くところによれば体感的には80psほどパワーアップされているとのこと。しかも、走りのパフォーマンスを高める「BOOSTモード」を用意し、モードを選択した瞬間から仮想有段ギアと連携するアクティブサウンドが加わって、いかにも内燃機関車的な雰囲気を演出してくれます。

発売は2026年中で、可能な限り身近な価格(350万円ぐらいか)を設定したいとのことでした。

↑インテリアはベース車であるN-ONE e:を踏襲しながらも、ブラックを基調とした。
↑リアフォグライトが見えるが、日本仕様には搭載されない見込み。

【スズキ】航続距離は270km! 生活に寄り添った軽EVを2026年中に発売

スズキが展示したのは、2026年に発売を予定する軽乗用BEV「Vision e-Sky(ビジョンイースカイ)」のコンセプトモデルです。航続距離をこのクラスとしては長めの270kmと設定。これはリアドアをヒンジ式とすることで、軽量化を図ったこともその要因になっているのかもしれません。

↑2026年内に発売を予定するスズキ初の軽乗用BEV・Vision e-Sky。航続距離は長めの270kmを想定。

スペックには明らかにされていませんが、eビターラがBYD社製リン酸鉄リチウムイオンバッテリーを採用したことから、Vision e-SkyもBYD製バッテリーを使うことが推測されます。

Vision e-Skyの外観はシンプルですっきりとしたEVらしいプロポーションが特徴で、ヘッドライトやテールライトはコの字型の3本ラインにして、浮島をイメージしたCピラーとの組み合わせによって親しみやすさを演出。インテリアは明るく開放感を感じさせるもので、サステナブル素材を積極的に採用しているのも見逃せません。

↑ボディは全体に丸みがあり、テールランプをコの字型にするなど、親しみやすさを表現した。
↑Vision e-Skyのインテリア。明るく開放感を感じさせるもので、サステナブル素材の採用もポイント。

スズキはマイクロモビリティ関連も出展していました。ひとつは原付一種相当の折りたたみ式電動小型モビリティ「e-PO(イーポ)」で、電動アシスト自転車を手掛けるパナソニックサイクルテックと共同開発。

↑原付一種相当の「e-PO」。パナソニックの電動アシスト自転車の筐体やバッテリーを流用することでコストを抑えた。

電池やフレームなどを電動自転車から流用することでコスト削減を図り、自転車+αぐらいの価格帯で2026年にも発売を予定しているとのことでした。折りたためば軽自動車にも載せられ、ラストワンマイルモビリティとしても注目です。

電動キックボードと同じ「特定小型原動機付自転車」に分類される1人乗りの電動パーソナルモビリティが「SUZU-RIDE(スズライド)」です。16歳以上であれば運転免許が不要で、ヘルメットの着用も努力義務。車輪が4つ備わることから転倒しにくく、安定した走行が可能となるため、免許を返納した高齢者にも最適なモビリティになるのではないかと思います。

↑16歳以上なら免許なしで運転できる特定小型原付の「SUZU-RIDE」。4輪車なので転倒リスクも低く、免許返納世代にもマッチする。

【マツダ】2台のコンセプトカーと、独自の「CO2回収技術」で循環型社会の実現を目指す

多くのメーカーが電動化へシフトする展示が増える中で、マツダはあえて内燃機関エンジンによる未来への可能性を追求した展示に注目が集まりました。その中心にあったのは「MAZDA VISION X-COUPE(マツダ・ビジョン・クロスクーペ)」と、「MAZDA VISION X-COMPACT(マツダ ビジョン クロスコンパクト)」の2つのコンセプトモデルです。

まずMAZDA VISION X-COUPEは2ローターターボエンジンとモーター、電池を組み合わせたPHEVとして提案されました。トータルの最高出力は510ps。EVでの航続距離は160kmで、エンジンと併用することで800kmにまで長くなります。

ロータリーエンジンを駆動用に使うのは、2012年6月に生産を終了した「RX-8」以来、13年ぶりのことです。

↑MAZDA VISION X-COUPEは2ローター式のロータリーターボエンジンとモーター、電池を組み合わせたPHEV。

そのデザインはきわめて斬新さにあふれています。ボディは中央部が最も絞り込まれており、これが全体のボリューム感を一層強調する結果となっています。

↑コックピットは丸型の3眼メーターとなり、助手席まで伸びるワイドディスプレイを組み合わせる。

注目は同社独自の二酸化炭素(CO2)の回収技術「Mazda Mobile Carbon Capture(マツダ モバイル カーボン キャプチャー)」を搭載していること。これにより、走れば走るほど大気中のCO2の削減が可能になるということです。

↑同社独自の二酸化炭素(CO2)の回収技術「Mazda Mobile Carbon Capture」。走るほどに大気中のCO2の削減を目指す。

もうひとつのMAZDA VISION X-COMPACTは、人の感覚をデジタル化した「人体・感性モデル」と共感型AIの融合により、人とクルマの絆をさらに深めることを目指したモデル。具体的な例としてマツダは「クルマと気取らない会話ができ、行き先を提案してくれる、親友のような存在として自分の世界を広げてくれる」クルマとしています。

かなり個性的で、マツダのカーデザインの素晴らしさを実感させてくれるモデルといえます。

↑MAZDA VISION X-COMPACT。愛着のあるコンパクトらしさを掛け合わせた新時代のコンパクトカーを目指したという。
↑リフレクション(映り込み)までも意識して美しさを極めたリアビュー。

【スバル】BEVもある! スバルが2台のSTIコンセプトモデルを世界初公開

スバルで注目だったのは、世界初公開された2台のSTIコンセプトモデルです。ひとつはパワーユニットをBEVとした「Performance-E STI concept」で、もうひとつは従来の水平対向ターボエンジンやシンメトリカルAWDの技術をアレンジし、クルマを操る楽しさを提案する「Performance-B STI concept」です。

Performance-E STIは、従来のスバルグローバルプラットフォームを超える軽量で高効率なボディに、独自の冷却システムを採用した三元系のバッテリーを搭載したBEVとなっています。

↑Performance-E STI concept。次世代のパフォーマンスシーンの未来を表現したBEVベースのコンセプトモデル。

BEVならではの特徴を生かした新設計のサスペンションを採用したほか、エネルギーの流れと伝達時間、振動周波数を設計対象とした「Dynamic Stiffness Concept」(新車体動剛性コンセプト)による、新時代を担うスポーツBEVを目指したとのことです。

Performance-B STI conceptは、従来の技術をベースとしたことで価格を抑え、ユーザーが使用目的やライフスタイルに合わせて自由にカスタマイズできることを念頭に置いて開発されています。つまり、若いユーザーが気軽に走りを楽しめることを目指しているクルマなのです。

↑Performance-B STI conceptは、クルマを操る楽しさを提案する。水平対向ターボエンジンやシンメトリカルAWDの技術をアレンジした。

【メルセデスベンツ】没入型デジタル体験を楽しめる贅を尽くしたミニバンを披露

メルセデスベンツで注目度ナンバーワンだったのは、次世代ミニバンコンセプトとして出展された「Vision V」です。

ポイントは、これまでにない贅沢な移動空間としての“プライベートラウンジ”にしたこと。そのために用意されたのが、広々とした空間と最高級の快適さの実現と、かつてない没入型デジタル体験を車内で楽しめるシステムの搭載です。

↑Vision V。次世代ミニバンコンセプトとして出展。かつてない贅沢な移動空間としての“プライベートラウンジ”を実現した。

その核となるのは、床下から出現する65インチのシネマスクリーン。4K映像とともに42個のスピーカーによるサラウンドサウンドシステムが組み合わされ、映画館さながらの音響空間が車内に実現されるのです。また、調光式ガラスパーティションによって「プライベートラウンジ」と運転席エリアを必要に応じて区切る使い方が可能となっています。

↑床下から出現する4K対応65インチのシネマスクリーンは、42個のスピーカーによるサラウンドサウンドシステムが組み合わされる。

内装材にはクリスタルホワイトのナッパレザーや白絹、木目の素材感を活かすオープンポアのバールウッドなどを使用し、サイドウォールにはハンドバッグやスマートフォンなどを収納できるスペースも用意。

ラインナップは、実用的な家族向け車両から、VIP向けシャトル、さらには広大な空間を持つ高級リムジンまで幅広い展開が予定されています。

【BYD】本気を見せた! スーパーハイトワゴンの軽EVとPHEVの2モデル販売へ

BYDがジャパンモビリティショーに出展したのは、2023年に続き2回目。その後、BYDの知名度は着実に浸透しており、日本に参入した2022年7月以来の累計販売台数は7000台を超えるまでになっています。

そんな中で同社が新たに投入するのが世界初公開の軽EVの「RACCO(ラッコ)」と、スーパーハイブリッドと呼ばれる日本初公開のPHEV「SEALION 6(シーライオン 6)」です。

RACCOは日本の自動車市場の4割を占める「軽自動車」として、日本専用で開発が進められているBEVで、2026年夏の発売が予定されています。

ボディタイプを日本で最も売れているスーパーハイトワゴンとし、両側スライドドアの採用により使い勝手を高めているのが特徴。バッテリーには安全性を重視したリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを搭載し、容量の違う2種類をラインナップに用意することも明らかにされました。

↑2026年夏に日本市場へ投入予定の軽EV「RACCO」。スライドドア付スーパーハイトとすることで“日本で売れる軽自動車”を狙う。
↑RACCOにはBYD製リン酸鉄リチウムイオン電池を用いた「ブレードバッテリー」が採用される。

BYDによれば、「RACCOの商品化が決定したのは2024年秋で、そこからBYDらしいスピード感で開発体制を組んで100台を超える試作車を使い、衝突試験はもちろん、走行試験などあらゆる試験を繰り返している」と話します。

見逃せないのは、開発の中心となった人物が日産で軽BEV「サクラ」や「デイズ」などに携わった経験者であること。つまり、日本の軽自動車市場を知り尽くした人物がこのRACCOを開発しているのです。

↑RACCOの後輪を見ると、軽自動車としては異例のディスクブレーキが組み込まれていた。

SEALION 6は、これまでBEVだけで展開してきた同社が日本市場に初めて投入するPHEVとなります。

↑SEALION 6は同社が日本市場に初めて投入するPHEVで、電気自動車で走ることを主にした機構を採用する。

ハイブリッドシステムには、DM-i(デュアルモードインテリジェント)を搭載しますが、日本ではわかりやすさを狙い“スーパーハイブリッド”の呼び方に変更。BYDによれば「普段は積極的に電気自動車として走行し、いざというときにエンジンがかかる」PHEVにしていると説明しました。SEALION 6は12月1日に発売が開始される予定です。

↑BYDの高級ブランド「仰望(ヤンワン)」が展開する「U9」。今年8月、ドイツ・ニュルブルクリンク北コースでEV世界最速記録である496.22km/hを樹立した。

【ヒョンデ】かつてない性能と快適性を実現。第2世代FCEV「NEXO」日本初公開!

ヒョンデが出展のメインとしたのは、日本初公開となる新型「NEXO(ネッソ)」です。今年4月の『ソウルモビリティショー 2025』で世界初公開されたもので、これと合わせて過去27年間にわたってヒョンデが歩んできた水素技術開発の歴史を紹介しました。

新型NEXOは2018年に登場した初代に続く第2世代モデルで、これまでにない性能と快適性を実現したのがポイントとなります。

↑第2世代となる新型FCEV(水素燃料電池車)「NEXO」を日本初公開。満充填で航続距離は800kmを超える。

パワートレーンは、新しいモーターシステムと高効率インバーターを搭載したことで、効率と耐久性を向上させ、5分の充填で700km以上の航続距離を実現。そこから発揮されるパフォーマンスは、0-100km/h加速タイムが従来の9.2秒から7.8秒へと短縮され、優れた加速性能とスムーズな追い越し性能を実現しています。なお、満充填時の航続距離はWLTP基準で最大826kmを達成。

インテリアはドライバー中心にディスプレイが湾曲し、アイランド型センターコンソールによって直感的なコントロールを実現。ふんだんに使用されたソフトで贅沢なパッドによって、家の中にいるような暖かさと快適さをもたらすのもポイントとなるでしょう。また、巨大なカーゴスペースも確保され、SUVらしい使い方ができるのも魅力です。

↑ドライバー中心の湾曲したディスプレイを採用したインフォテイメントシステムを搭載。直感的なインターフェースを特徴とする。
↑水素タンク容量も増加させながら、リアの居住性やラゲッジスペースも拡大して快適性が大幅に向上している。

【シャープ】駐車中の活用にチャンスあり! シャープが「LDK+」でEV参入へ

家電メーカーであるシャープが日本国内のBEV市場に、2027年にも参入することを発表しました。そのBEVのコンセプトは「LDK+」。

↑LDK+は走行中だけでなく“止まっている時間”にもフォーカスしたBEV。車内を「リビングルームの拡張空間」として活用する。

これまで自動車は基本的に移動手段として使われてきましたが、実はその稼働率は5%程度しかないと言われています。つまり、95%は駐車中であって、この駐車中のBEVを“もうひとつの部屋”として活用することで新たな価値を見出そうと開発されたのがLDK+なのです。

とはいえ、家電メーカーであるシャープがなぜBEVを手掛けるのでしょうか。

実はシャープは現在、台湾の鴻海精密工業(ホンハイ)のグループ会社となっており、そのホンハイはグループ会社にBEVを手掛けるフォックスコンを持っています。そこが開発した「Model A」という自社BEVと、シャープの家電技術を融合すれば新たなBEVが提供できるのではないか? そうした発想の下で開発されたのがLDK+なのです。なお、BEVとしてはフォックスコンが、車内の機能はシャープが担当しているとのこと。

それだけに試作車の車内には、シャープらしいさまざまな機能が盛り込まれています。前席は回転式シートとすることで車内をリビング化させ、その車内にはプラズマクラスター搭載のエアコンやテーブル一体型プロジェクターとロール式スクリーンなどを装備。車載電源を使い、駐車中の車内をくつろぎ空間やビジネススペースとして活用しようというわけです。

↑LDK+の車内。運転席を回転させることでリビング的な空間を創出。デスクと兼用のプロジェクターを組み合わせれば、カーシアタールームとしても使える。

同クラスのガソリン車並みの価格を実現したいとのことでしたから、身近なEVの登場が期待できますね。

↑LDK+はファミリー向けミニバン並みの価格での販売を目指すとしている。

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【モビリティショーレポート】新ブランド「センチュリー」や日産「エルグランド」登場など、注目出展が目白押し!

2年に一度開催される国内最大の自動車ショー「ジャパンモビリティショー(JMS)2025」(開催期間:10月30日~11月9日)が東京ビッグサイトで開催中です。

日本の自動車メーカーすべてが出展したほか、前回に引き続き中国・BYDが出展。さらに、メルセデスベンツやBMW/MINIが出展を復活させ、韓国・ヒョンデ/キアが初出展するなど、多くの新型車が披露されました。今回はそのなかから、南館と西館に出展したトヨタグループと日産、三菱から注目の出展をピックアップします。

↑連日、大勢の人がジャパンモビリティショー2025のために東京ビッグサイトへ押し寄せた。

【トヨタ】あらたに独立ブランドとして「センチュリー」が誕生

トヨタグループは南館1-2ホールをすべて使って、新ブランド「センチュリー」に加え、「トヨタ」「レクサス」「ダイハツ」の4ブランドを出展しました。入口から最も遠い南館という立地にもかかわらず、連日多くの入場者数を集めたのは「さすが!」というほかありません。

↑新たに立ち上げた「センチュリー」ブランドでは「クーペ」を世界初公開した。

そのなかで、入場制限や整列入場の措置がとられるほどの人気を集めたのが「センチュリー」です。センチュリーといえばフォーマルな4ドアセダンというイメージが強いのですが、ここに登場したのは、なんと全長5mのクロスオーバー型クーペ。

クーペとはいえ、センチュリーの伝統は継承されています。手彫りの鳳凰をフロントグリルの中心に据え、室内は西陣織や輪島の漆塗り、山形・天童木工の本木目をあしらうなど、まさに日本の誇りを体現するにふさわしい造りとなっていたのです。まさに“ネクスト・センチュリー”に込められた思いがこの一台に凝縮されていたといっていいでしょう。

↑3人乗車のデザインとすることで、後席は左右独立で、航空機のファーストクラスをイメージ。
↑後ろがガラスではなく覆われたままとなっているが、これが市販されるときもそのままなのかは不明。

【トヨタ】近未来のVIPカーを想定した次世代レクサスは6輪車で登場

“奇想天外”。そんな表現がぴったりなスタイルで登場したのがレクサス「LSコンセプト」です。これまでLSといえば4ドアセダンでしたが、最近はミニバンがVIPカーとして利用されることも増えました。そこで、次世代のLSはセダンからミニバンへと変貌を遂げることを目指すというわけです。

↑レクサス「LSコンセプト」。「誰の真似もせず、自信にあふれること」をコンセプトに開発された。

最大の特徴は後ろ4輪を小径タイヤとした6輪車としていること。その目的は車体後方の空間を最大限に広げることにあり、これにより、セカンドシートを回転させることでゆったりとした対座レイアウトを可能としたのです。

さらに、後輪を小径化したことでタイヤハウスの張り出しがなくなっているのもポイント。セカンドシートを倒したり、わざわざセンターまで行くことなく、そのままドア入口からサードシートへ乗り込めるのです。

インテリアは「和」の意匠にこだわった、上品さと華やかさが共存するデザイン。ラグジュアリーカーとしての品格をさらに極めたといっていいでしょう。

↑大径タイヤの前輪と小径タイヤを4つ組み合わせたのは、車室内の広さを最大限にするため。
↑ドアを開けてサードシートへそのまま乗り込めるのも、後輪を小径としてことで実現できた。

【トヨタ】誕生60周年を迎える次世代「カローラ」はまるでスポーツカー?

次世代のトヨタ「カローラ」のコンセプトカーにも注目が集まりました。カローラは2026年に誕生60周年を迎えますが、それに合わせて大胆な変身を目指したのがこのコンセプトカーなのです。

↑誰もが「これがカローラ?」と思ったに違いない次世代「カローラ」のコンセプトモデル。人物はトヨタの佐藤恒治社長。

そのデザインは、短いノーズと低く幅広なデザインを組み合わせ、まるでスポーツカーそのもの。これまでのカローラとは思えないほどの大胆さが伝わってきます。すべてのカローラがこのデザインになるとは思えませんが、次世代カローラには大変革が期待できそうです。

また、近日中に発売が予定されている新型「RAV4」の展示もありました。

↑カローラとしては異例なまでのワイド&ローのデザインながら、十分な車内の広さを確保しているのがわかる。
↑間もなく登場が予定されている新型「RAV4」も出展。写真はGR仕様。

【ダイハツ】軽規格「コペン」はFR方式を採用。愛らしい「ミゼットX」も人気

ダイハツの展示で注目度ナンバーワンだったのが、次世代「コペン」です。2年前の「JMS 2023」では1.3Lの登録車規格で参考出品されましたが、そのときに「コペンは軽自動車でなきゃ」との声が多かったことを踏まえ、再び軽規格に戻されたようです。

↑販売が終了する現行「コペン」の後継車と推定される「K-OPEN」。駆動方式はFRが採用されている。

しかも驚きは駆動方式で、なんとエンジンを前に搭載して後輪駆動する「FR方式」を採用しています。FR方式はスポーツカーの定番とも言える駆動方式。パワーが小さい軽自動車では車重が増えるため採用されてきませんでしたが、どこまでその能力を発揮できるかが楽しみです。

↑「K-OPEN」の車内。ルーフはこれまでは収納式ハードトップだったが、それが採用されるかは不明。
↑写真は「K-OPEN」のランニングモデル。エンジンをスラントさせて収納することで徹底した低重心化を図っている。

そのほか、BEV(電気自動車)となった「ミゼットX」にも注目が集まっていました。ミゼットといえば1957年に登場したオート三輪トラック、さらに1996年には4輪軽自動車「ミゼットⅡ」で知られますが、それを現代風にBEVとして再登場させたのがこのクルマです。

初代のコンセプトを踏襲し、“原付以上軽自動車未満”で小口配送の利便性を最重要視した造りとなっています。運転席を中央に備え、リア左右には子供用ジュニアシートを2脚装着した、“ママチャリ”的なシート配列も気になるポイントといえるでしょう。

↑愛らしいデザインの「ミゼットX」。小口配送に対応した“原付以上軽自動車未満”のBEVとした。
↑運転席は車体中央にレイアウトされ、その左右後方にチャイルドシートを備えた“ママチャリ”的な使い方を想定。

【日産】待望の高級ミニバン「エルグランド」、大型SUV「パトロール」発売へ

西館1-2では「日産」「三菱」に加え、ドイツ「BMW」「MINI」が出展。そのほか、IT企業である「SCSK」がSDVを主力としたEVを披露しました。

日産で一番の注目は、なんといっても同社最上位ミニバン「エルグランド」のプロトタイプの登場でしょう。現行エルグランドは2010年に登場していますから、実に15年の時を経て次世代エルグランドが披露されたことになります。

↑2026年夏までに発売される「エルグランド」。日本の伝統木工技術である「組子」をモチーフとしたフロントグリルが印象的。

デザインは“威風堂々”がテーマ。日本の伝統木工技術である「組子」をモチーフとしたフロントグリルが特徴で、そこに2段重ねのヘッドランプを組み合わせるなど、伝統を重んじつつ先進性をアピールしています。サイドパネルでは、大きな面構成とリアの緻密なディティールのコントラストが堂々とした高級感を否応なく伝えてきます。

最大の特徴は、第3世代のe-POWERにe-4ORCEおよびインテリジェントダイナミックサスペンションを世界で初めて組み合わせたこと。これにより後席での快適性はもちろんのこと、運転する楽しさを実感させてくれることが期待されます。

インテリアは、プライベートジェットをイメージした室内空間を再現し、国内モデル初となる14.3インチ大画面統合型インターフェースディスプレイを採用。セカンドシートには格納式アームレストを装備するなど、プレミアムミニバンにふさわしい上質な空間を実現しています。発売は2026年夏頃。ミニバンの王者であるトヨタ「アルファード」との対峙が楽しみです。

↑張りのあるサイドパネルが高級感をアピール。トヨタ「アルファード」との対峙が楽しみだ。
↑ダッシュボードには国内モデル初となる14.3インチ大画面統合型インターフェースディスプレイを採用。
↑広い室内空港間が確保され、大型シートによるゆったりとした乗り心地が期待できそうだ。

日産のもうひとつの大きな話題は、北米や中東地域向けに発表されていた大型SUV「パトロール」が2027年度前半に日本へ導入されることです。パワフルなV6ツインターボエンジンを搭載し、最新のインフォテイメントシステムとプレミアムなインテリアの組み合わせが特徴。ボディサイズは全長5350×全幅2030×全高1955mmという巨大さで、日本の道路では間違いなくその存在感を発揮することでしょう。

↑2027年度前半に日本へ導入される大型SUV「パトロール」。パワーユニットはV6ツインターボエンジンを搭載。

そのほか、中国市場で展開するBEVセダン「N7」や、ルノー5をベースとしたBEV「マイクラ」も出展されましたが、この2台は日本で導入する予定はないとのことでした。

↑中国で大人気となっているBEVセダン日産「N7」。
↑ルノー・5の兄弟車として登場した日産 「マイクラ」。以前のマーチのイメージはまったく感じられない。

【三菱】AI技術や最新PHEVによる次世代SUV「ELEVANCE Concept」を披露

続いては三菱自動車です。メインステージで世界で初めて披露されたのは、電動クロスオーバーSUVのコンセプトカー「MITSUBISHI ELEVANCE Concept(ミツビシ エレバンス コンセプト)」。

↑三菱の電動クロスオーバーSUVのコンセプトカー「MITSUBISHI ELEVANCE Concept」。

最大のポイントとしているのが、AI(人工知能)を活用した「AI Co-Driver」の搭載です。ドライバーのライフスタイルや価値観をパーソナライズ化し、それに基づいた行き先をAIが提案するというもので、それによってドライバーの行動範囲や体験機会を広げるきっかけにつながることを想定しています。

シートレイアウトは3列6人乗りを採用。牽引するトレーラーにはキッチンやシャワーブースを備え、PHEVシステムからの給電を受けることで、グランピングのように車中泊を楽しむことも想定しているそうです。

パワートレーンには、高効率ガソリンエンジンと大容量の駆動用バッテリーを搭載したPHEVシステムを採用。ガソリンエンジンはカーボンニュートラル燃料に対応し、これによって日常のほとんどは電気自動車として静かでクリーンな走行を可能にし、遠出する際はハイブリッド走行によってバッテリー残量を気にせず快適な移動ができるというわけです。

駆動方式には、クアッドモーター4WD式の独自の四輪制御技術「S-AWC(Super-All Wheel Control)」を採用。フロントにはインホイールモーターを、リアには高い駆動力を誇るデュアルモーターAYC(Active Yaw Control)を組み合わせ、悪路での高い走破性と安定した車体制御を実現しているということでした。

↑シートレイアウトは3列6人乗りを想定したPHEVとなっている。
↑ 「ELEVANCE Concept」が最大のポイントとしているのが、AI(人工知能)を活用した「AI Co-Driver」の搭載だ。

【BMW】1960年代のノイエ・クラッセをモチーフとした「iX3」をアジア初披露

ドイツのBMWは、次世代BMWの象徴とも言える「ノイエ・クラッセ」シリーズの第一弾「iX3」をアジア地区で初公開しました。

iX3は、9月にドイツ・ミュンヘンで開催されたIAAモビリティ2025で世界初公開されたばかり。そのSUVが早くも日本で披露されたのです。フロント中央の縦型キドニーグリルは1960年代のノイエ・クラッセをモチーフにしたもので、4輪を強調するボクシーなシルエットとともに力強さと近未来的なスタイリングが新世代のBMWとしての存在をアピールしています。

↑「ノイエ・クラッセ」シリーズの第一弾BMW「iX3」。2026年夏に日本で発売される予定。

インテリアには、デジタル機能と物理的エレメントをバランスよくレイアウトした「BMWパノラミックiDrive」を新採用。

パワートレーンはノイエ・クラッセのために新開発された第6世代「BMW eドライブ・テクノロジー」で、円筒形バッテリーセルを用いた108kWhの高電圧バッテリーと、前後アクセルに配置された2基の電動モーターにより、最高出力470ps/最大トルク645Nmを発揮します。なお、0→100km/h加速は4.9秒、航続距離は最長800kmと発表されました。日本での発売は2026年夏を予定しています。

↑パワートレーンは前後アクセルに配置された2基の電動モーターを採用する第6世代「BMW eドライブ・テクノロジー」を採用。

【SCSK】ソフトウェア企業がEV開発に参入

大手IT企業のSCSKが出展したのは、ソフトウェア起点で開発されたEVです。自動車業界がSDVへと大きくシフトする中で、IT企業であるSCSKが自社のSDV開発力を示すために生み出されました。

同社はこの開発にあたり、従来の垂直統合開発とは一線を画す海外パートナーとの水平分業によるエコシステムを構築したとのこと。これにより、通常は企画から製品化まで数年かかるところを、約9か月間で終えることができたそうです。

出展車両にはSCSKが海外サプライヤーと共同開発した8K画質の44.6インチ「ピラーtoピラーディスプレイ」を採用したインフォテイメントシステムを搭載。ユーザーの好みに応じたコックピット空間、パーソナライズ化されたAIエージェントサービスの提供を可能としました。

もちろんOTAによるアップデートにも対応し、今後は駆動系を含むさまざまな機能に向けた開発にトライしていくということでした。

↑IT企業が海外パートナーとの水平分業によるエコシステムを構築したことで、9か月でBEVを完成させた。
↑SCSKが開発したBEVには、8K画質の44.6インチ「ピラーtoピラーディスプレイ」を採用したインフォテイメントシステムを搭載。

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刃は鈍角だが着眼点は鋭角だ!「キッター」の安全性と切れ味は日本文具大賞受賞も納得

【きだてたく文房具レビュー】子どもが「刃を折る」リテラシーを身につけられる安全なカッター

文房具業界における夏の話題と言えば、「日本文具大賞」だろう。2018年の機能部門グランプリは、オルファのキッズ用カッターナイフ「キッター」が受賞した。

 

日本最大の文房具アワードということで、テレビや雑誌などのメディアでも取り上げられる機会が多く、すでにあの不思議な「卵に棒が刺さってる」的なビジュアルを見た方もおられるだろう。

↑「ISOT(国際文具紙製品展)」のオルファブース。“キッズ用”を前面に押し出した、幼稚園ふうの展示になっていた

 

謳い文句には「小さな子どもでも思いのままに切ることを楽しめる安心設計のカッターナイフ」とあるが、果たしてどれほどのものなのか? 本当に小さい子どもに持たせて安心なのか? その辺りをチェックしてみたい。

↑オルファ「キッター」1296円

 

この「キッター」、日本文具大賞エントリー時点では、まさにあの卵に刺さったビジュアルのみが公開されており、どういう仕組みで安心設計なのかは見てもピンと来る要素がなかった。

 

で、ようやく手にした実物はこんな感じ。

↑卵形のベースとキッター本体。エッジのない優しいフォルムが特徴的だ

 

あの土台の“卵”はカッター部の収納ベース兼刃折り器となっており、キッター本体は細身ながら、雰囲気は従来のカッターナイフと見た目はさほど変わらない。カチカチとスライダーを押し出していくと、初めて「安全設計」と言われる最初の要素が見えてきた。

 

金属の刃の代わりに、黄色いプラスチックの薄い板が出てくるのだ。

↑スライダーで刃を出したところ。まず先端の黄色いプラカバーを折り取らないと、切れないようになっている

 

この黄色い板がキッター専用の刃なのだが、もちろん、このまま切れるわけではない。使う際は、まずこの板の先端を卵ベースの下側にある口に挿し込んで、ポキッと折ることから始めなければいけない仕組みなのだ。

 

そもそも大人でも、カッターナイフの刃を折る、という意識がなく、刃をセットしたらいつまでもそのまま切り続けるユーザーも多い。カッターナイフメーカーのオルファとしては、「刃は折るものですよ」という教育を、子どものファーストカッターとなるキッターから徹底して仕込もう、ということなのだろう。

↑卵型ベースに刃の先端を挿し込んで、山折り・谷折りと上下に動かすと先端が折り取れる。折れた部分はそのままベースの中に入る

 

良くできているな、と感じたのは、刃折り器にキッターを挿し込んだ時のこの角度。刃折り器に対して水平ではなく、ちょっとした角度がついているのだ。

 

子どものボディサイズと腕の力だと、水平のものを折り曲げようとするのは意外とやりにくい。最初からある程度の角度が付いていることで、力をかける場所=折り曲げ角の頂点を意識でき、スムーズに刃を折る動作ができるわけだ。

↑刃の露出は、ほんの数ミリといったところ

 

刃先端のカバーをポキッと折ると、ようやく金属の刃がこのようにちょっとだけ露出する。本当に、ほんのちょっと。実際に大人の使うカッターも、紙に当てて切っているのはこれぐらいの部分なので、これで充分に切ることができるのだ。

 

ほとんどがプラに包まれて金属刃の露出はわずかなので、子どもが刃を触って怪我をする、という危険は少ない。とはいえ、もちろん刃に直接触れれば、指などを切ってしまう可能性はゼロではないので、そこはやはり子どもだけで使わせず、親や監督者がきちんと見てやっていて欲しい。プラでコートされている分、深くズバッと切れ込む心配はなくて、怪我をしたとしてもせいぜい薄皮が切れて、ちょっと血が出るぐらいだろうけども。

↑オートロック機能がないので、先端を突き立てると、そのまま刃は本体にズルズルと収納される。これも安全性を考慮した仕様だ

 

刃の安全要素でついでに言うと、刃の折れ口が斜めではなくフラットになっているので、まず突き刺すということができない。さらに、従来のカッターと違ってオートロック機構(スライダーで操作しない限り、刃が後退しない機構)が搭載されていないので、無理に力を込めて突き刺そうとすると、刃がずるずると本体内に戻ってしまうのだ。

 

小さい子どもにカッターナイフを持たせると、逆手に握って先端を床面や壁、下手すると自分の体に押し当てることがたまにある(本当にあるのだ)ので、オートロックなしはかなり安心できる。

↑わずかな刃でも、シャープに切れる。このあたりはさすがオルファ製で、子ども用とはいえ間違いない

 

肝心の切れ味であるが、さすがオルファという感じでまったく不安なし。コピー用紙や画用紙などは、スイスイと自由に切ることができる。これで刃自体の切れ味が落としてあると、逆に切る時に力をかけすぎて怪我につながることもあるだろうから、子ども用とはいえ(だからこそ)切れ味は大事な要素なのだ。

 

で、先ほど「プラでコートされている分、深く切れ込む心配はない」と書いたが、このキッターで切れる厚みはせいぜい画用紙2~3枚重ねた程度。ダンボールだと、例えばAmazonの梱包用箱の薄いものでも、下まで切り込むことはできない。逆に切れないことを利用して、ダンボール工作で折り曲げる際の切り込み用カッターとして使っても、面白いかもしれない。

↑キッター専用替刃は2本セットで518円。刃を4回折ったら交換となる

 

さて、使っているうちに切れ味が落ちてきたな、と感じたら、子どもに「刃を新しくしようか」と言ってあげよう。

 

切るために刃を出している状態から、スライダーを1クリック分だけ前進させると、ちょうど刃の折り線が出てくるようになる。従来のカッターだと、折るのに刃をどれだけ出せばいいのか感覚的につかみづらいということもあるが、その点キッターは直感的に分かりやすい。

 

あとは最初と同じように卵ベースに挿し込んでポキッ、でOK。そこからまた1クリック分だけ前進させれば、切れるようになる。

↑刃の交換に関しては、子どもがやりやすいという工夫は特にない。わずかでも露出した刃に触れることになるので、ここは大人の仕事となる

 

ちなみに、使い終わった刃を交換する手順は、従来のカッターとほぼいっしょ。本体後端のキャップを抜き、スライダーを外して刃を交換する。新品状態の刃はほぼ金属刃が見えないので危険は少ないが、古い刃の処理なども必要になるし、なにより子どもに簡単にできることでもないので、ここは見ている親がするべき作業だろう。

 

特殊な刃や非オートロックなど、確かに安全性の高いキッターだが、使ってみて感じたのは、どちらかというと“リテラシー教育性の高さ”だ。

 

随所に刃を折る習慣付けがしやすく作られているし、刃のわずかな露出も「切る時はここを使って切るんだよ」と分かりやすい。子どもの頃からこういうものを使っていれば、怪我をする心配も少なくカッターを安全に使うリテラシーが身につくのだろう。

 

今の子ども、羨ましいことである。

さて、最後にもうひとつカッターナイフを使う時に忘れてならないものがある。カッターマットだ。

↑オルファ「ふたつ折りカッターマットA3」2581円

 

子どもに自由に切らせていると、だいたい思いもよらないところまで切り進めてしまうので、床や机を保護するためにはできるだけ大判のもの……少なくともA3サイズのマットを使って欲しい。これは、カッターの刃を保護して切れ味を長持ちさせる効果もある。

↑中央から折り畳むと、コンパクトなA4サイズに変形。これなら勉強机の引き出しにも入るので、収納場所を考えずに済むのはありがたい

 

ただ、A3サイズまでなると使いやすいが、今度は収納場所に困ることもあるだろう。しかし、二ツ折カッターマットであれば、使わない時は半分のA4サイズにパタンと畳んでおけるのだ。これくらいなら、どこでも適当に収納しておけるのではないか。

↑折り線が波打っているので、普通に切っている限り、まず刃が入り込むことはない

 

面白いのは、この二つ折りにする折れ目が波打っているところだ。これにより、カッターナイフで切っているうちに刃が折れ目に入り込んでしまうことが防げるのである。

 

良くできた製品なので、こちらは子どもだけでなく大人も使ってみて欲しい。

 

【著者プロフィール】

きだてたく

最新機能系から駄雑貨系おもちゃ文具まで、なんでも使い倒してレビューする文房具ライター。現在は文房具関連会社の企画広報として企業のオリジナルノベルティ提案なども行っており、筆箱の中は試作用のカッターやはさみ、テープのりなどでギチギチ。著書に『日本懐かし文房具大全』(辰巳出版)、『愛しき駄文具』(飛鳥新社)など。近著にブング・ジャムのメンバーとして参画した『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議』(スモール出版)がある。

尻尾つきのシヤチハタに、高級車の製造技術を活用したペンも!「文具展ISOT」をおさらいしよう

先日、東京ビッグサイトで「第29回 国際文具・紙製品展」が開催されました。通称は「ISOT(イソット)」。年に一度の“文房具の大商談会”とあって、日本のメーカーだけでなく世界各国から出展があり、また世界中の小売店担当者やバイヤーが集まります。

 

そこで、文房具の魅力を紹介する「毎日、文房具。」編集長として、またISOTを盛り上げるべく昨年から登場した「ISOT 文具PR委員」の一員として、文房具の最新情報を収集してきました。会場で歩いた歩数はなんと、2日間で3万歩オーバー。文字通り足を使って集めた情報の中から、個人的に気になった文房具を厳選して紹介します。

 

まずはアイデア抜群の新製品を3つご紹介しましょう。

 

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ゼブラの新商品「マッキーワーク」は、細字のキャップに特殊な形をした突起がついています。

 

これが先端の突起。

 

なんとここで、ダンボールのガムテープをビーーーッと破ることができるのです。

刃物が付いているわけではないので、安全。カッターが持ち込めない場所での作業にもおすすめです。

 

ゼブラ「マッキーワーク」についてはコチラも → 乾かない&段ボールが開く!? アスクルの新作マーカーにグッとクル

 

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数々の特許を持つ、東大阪市の発明家である横田氏のアイデアを、エイジ化成が具現化して完成したのが「横田文具」シリーズ。

 

ローラーを回すことで、付箋を1枚ずつかんたんにめくれる「簡単にめくれる付箋ケース」や、

 

紙に折り目をつけることなく、一枚でもピシっと立てることができる「クタっとならないペーパースタンド 」など、

この手があったか! というアイデアと、スタイリッシュなデザインが見事に両立している製品でした。私もデスクにいくつか置きたいと思います。

 

エイジ化成「横田文具」についてはコチラも →まさに発明! 好きが高じて文具マニアがメーカーに作らせた文具が凄すぎ!

 

高校生が考えた「レシート日記」

レシートを貼って、その日に買ったものやお出かけの記録を残すための日記「レシート日記」です。ありそうでなかった新しいライフログツールだと感じました。

 

表紙のデザインもレシートっぽくなっていて可愛いですね。

 

続いては、デザインに優れた文房具の中から、特に“カワイイ”文房具を3つご紹介します。35歳のおじさんが言うのもなんですが、カワイイは正義です、えぇ。

 

SNSに写真をアップするときに使える「吹き出しノート」

これはスガイワールドの「吹き出しノート」

 

これを使えば、あたかもその人、もしくはペットやモノが話をしているかのような写真が撮れます。

SNSに写真をアップするときにぴったりですね。これもありそうでなかった製品。

 

スガイワールド「吹き出しノート」についてはコチラも → 機能追求型と遊び追求型。多様化する最新ノートの振り幅が凄い!

 

いつもよくみる輪ゴムがミニサイズ缶に「オーバンド缶 30g」

ミニサイズになるだけで、なぜこんなにカワイイのでしょうか。よく見る輪ゴム「オーバンド」のミニサイズ缶です。

 

丈夫なブリキ缶に入っているので、どこにでも持ち運びができて便利です。またハローキティデザインや迷彩柄などもありました。

 

猫好きにはたまらない「ネーム9 着せ替えパーツ おめかしっぽ」

ビジネスシーンでも家庭でも、なくてはならないとても便利なシヤチハタのネーム印「ネーム9」の 猫着せ替えパーツ「おめかしっぽ」

とってもキュートな猫柄+しっぽにチェンジできます。猫好きにはたまらない製品です。

 

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折る刃式カッターナイフを発明したオルファが、まったく新しい“切る体験”を提案。

 

「キッター」はご覧のとおり、刃が特殊なプラスチックで圧着して保護されており、切れる部分が最小限しか出ていません。先も尖っておらず平らになっていて、これなら子どもも安心。

 

下のスタンドには刃を折る機構があり、安全に刃を折ることもできます。初めてのカッターに最適な一本と言えるでしょう。

 

100年ぶりの進化で、かるーく開くダブルクリップ「エアかる」

もうひとつ、機能部門で気になった製品を挙げておきましょう。“てこの原理”を応用し、開く力を最大約50%も削減したダブルクリップ、「エアかる」(写真右)です。

 

ダブルクリップとは、もともとテコの原理を使って開け閉めをすることができるのですが、本体部分に小さな突起をつくり「支点」の位置をずらすことで、軽い力で開けることができるように。

 

さらにレバーの長さを変更することで、“てこの原理”をさらに利用し軽い力でクリップを開くことができるのです。

右がエアかる。レバーが長く、指に負担がかからない形状です。これが、実際に触ってみると驚きの軽さ。これからのダブルクリップのスタンダードになってくれたら、うれしいなと思います。

 

プラス「エアかる」についてはコチラも → ダブルクリップが唯一の弱点を克服! 発明から100年で初の革新とは?

 

【デザイン部門】グランプリは簡単にページを入れ替えできるノート「FLEXNOTE – UPWARD NOTEBOOK」

手で引き抜く・指で押しはめる、という簡単な動作で一枚ずつページの入れ替えができる、国内初のディスクバインド方式のノート「FLEXNOTE-UPWARD NOTEBOOK」です。

 

ルーズリーフやシステム手帳とは、またひと味違うページの入れ替え機構。私も仕事用ノートとして使ってみたいです。今後、手帳用のシートや対応するパンチのようなものがもし出てくれば、さらにカスタマイズの幅が広がりそう! 期待大です。

 

国内外の高級車に搭載される自社技術を筆記具に!?「Laurett’s MLK万年毛筆」

こちらは、丸安精機製作所の「Lairett’s MLK 万年毛筆」。“超美麗切削加工”という、世界レベルの切削加工により作られたボディはとても美しく、また触り心地も気持ちいいです。ずっと触っていたくなるような触感!

 

筆の部分も、「開明墨汁」とのコラボで筆運びの良い書き味を実現しています。

 

さて、ISOTには海外メーカーの出展も年々増えてきています。最後に、海外文具の注目作も紹介しておきましょう。

 

台湾初、高品質でカスタマイズ自由な「KEEP A NOTEBOOK 寫筆記」

台湾のCHING CHING STATIONERY(青青文具)の「KEEP A NOTEBOOK 寫筆記」は、A5スリム、もしくはコンパクトなハンディサイズのノートです。

 

紙は高品質で、万年筆とも相性がいいんです。リフィルの種類の豊富さが特徴で、一般的な横罫や方眼はもちろん、左ページが横罫で右ページが方眼のタイプや、旅の記録に適したものなど、さまざまなリフィルがあります。

「DIY MULTI POCKET NOTEBOOK COVER」を使えば、使いたいリフィルをセットして持ち歩くことも。私も台湾現地の文房具店で見たことはあるのですが、ぜひ日本でも取り扱って欲しいです。

 

いかがでしたか? 新製品の中にはこれから発売を予定しているものもありますから、発売が待ち遠しいですね!

 

【筆者プロフィール】

毎日、文房具。

2014年9月に創刊した文房具の魅力を紹介するウェブマガジン。文房具が大好きなライターたちが、良いと感じた文房具を厳選して紹介するほか、最近では文房具売り場のプロデュースやメーカーとのコラボ企画の運営など、活躍の幅を広げている。

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いかがでしたか? 新製品の中にはこれから発売を予定しているものもありますから、発売が待ち遠しいですね!

 

【筆者プロフィール】

毎日、文房具。

2014年9月に創刊した文房具の魅力を紹介するウェブマガジン。文房具が大好きなライターたちが、良いと感じた文房具を厳選して紹介するほか、最近では文房具売り場のプロデュースやメーカーとのコラボ企画の運営など、活躍の幅を広げている。