野外工房として大活躍のデッキ&パーゴラ付き物置をご覧あれ!/ガーデン収納DIY大作戦!(1)

物置は手作りに限る。

理由その1、あいているスペースに合わせて作れる。
理由その2、収納したい物に合わせて作れる。
理由その3、好みのデザインで作れる。

すなわち物置は、自分の都合に合わせて作ったものと、そうでないものの、満足度の差がとりわけ大きいというわけ。

では、どうすれば自分仕様の物置が作れるか?

そのヒントも答えも、これから紹介する数々の手作り物置の中に、わんさと見つけられるはず。

 

<記事内ギャラリー *画像をタップするとご覧いただけます>

 

File01 デッキ&パーゴラつき物置はアイデア満載の野外工房!

物置の扉をあけ、作業台と収納棚をセットすれば、庭が即席の工房に変身! 少ないスペースでもここまでできる!

 

小屋の躯体、デッキ&パーゴラには2×材を使用。床と壁には3×6(サブロク)板の合板を使用し、材を切らないで済むように設計した

 

小屋側面の様子。塗り壁部分は合板にラス網を張り、骨材が混ざった軽量モルタルを2回塗りし、水性塗料を塗って仕上げている

 

<物置DATA>
製作者…Sさん(51歳)
DIY歴…15年
製作期間…約5カ月
製作費用…約5万円
作品サイズ…幅1820×奥行1950×高さ2400mm(デッキ含む)

 

黄色い塗り壁仕上げの物置の前を作業スペースに、木工作業に没頭するのは、普段は飲食店の店主として腕を振るうSさん。週に一度の休みを利用し、コツコツと物置作りを続けること5カ月、ついに理想の物置を完成させた。

製作の際、心掛けたのは「材を無駄なく使う」こと。床と壁はそれぞれ3×6(サブロク)板の合板1枚、背面の壁は3×6板の合板2枚…と使用する材料に合わせて物置のサイズが決定。材をカットする回数が減り、2×材も1820mmのものをそのまま使えるなど合理的。

物置を使う際はすぐに作業ができるようにと物置と同サイズのデッキを併設。物置内部には自作のキャスター付き収納台と卓上丸ノコ&集じん機を据え置いた作業台を収納。収納台に入れるツールボックスの規格をすべて同じものにそろえることで、使用頻度や目的によって、箱ごと入れ替えができるように工夫されている。物置の扉をあけて、デッキ上に収納棚、作業台をセットすれば、庭が即席の野外工房に変身しちゃうのだ!

物置のサイズといい、簡単ですぐに真似できる実用的なアイデアといい、Sさん、お見事です!

 

右扉内側は吊り下げ収納スペース。ドア枠に直接ビスを打ち、引っかけて工具を収納。ワイヤーネットを取り付ければフックもかけられるので便利

 

左扉内側。ドア枠にドリルで穴をあけ、ドライバーやカナヅチを収納。下部には端材の合板で棚を取り付け、自分で調色した塗料などを収納している

 

ツールボックスには中身がわかるようマーキングしておくのが基本。箱の中に何が入っているか一発でわかるので、作業が手間取らずに済む

 

キャスターのついた移動式収納台。収納するツールボックスの規格を合わせておけば、使用目的によって箱ごと入れ替えができるのでおすすめ!

 

こちらは合板で作った収納台

 

ツールボックスの中もきっちり仕分けて整理整頓。コンビニのアイスコーヒーのカップが役立っているとか

 

収納台の側面には2×材のサイズ表をペタッと。これが意外と便利なんです

 

屋根材にはオンデュリンをチョイス。南欧風の塗り壁と相性ばっちり

 

 

写真◎田里弐裸衣

*掲載データは2013年10月時のものです。

5㎡未満の床面積にDIY歴20年の履歴がギュッと詰まったセルフビルド工房/みんなのガレージ&工房(9)

以前は広々とした工房で木工を楽しんできたSさん。転居先の限られた敷地にセルフビルドした工房は5㎡足らずだが、DIY歴20年の間にそろった工具などを上手に詰め込み、最大限に快適な作業環境を作り上げた。

 

<記事内ギャラリー>

 

空きスペースいっぱいに建てたガルバリウム張りの工房。屋根もガルバリウム波板だ

 

5㎡足らずの室内ながら、たくさんの工具を収め、作業スペースも確保している。作業台の下は愛犬の居場所

 

<DATA>
施主…Sさん(72歳)
DIY歴…20年
製作費用…約20万円
実働製作期間…約2カ月
面積…約4.9㎡

 

 

工具の配置や収納を工夫して使いやすい狭小工房に

ガルバリウム波板で壁を仕上げた、かわいらしい小屋がSさんの工房。ケヤキの板で自作した看板には“グラン・チャイルド(=孫)舎”の文字。これまでお孫さんのために数々の作品を作ってきたSさんの木工歴をよく表している看板だ。

実は、以前はもっと広々とした工房で木工に没頭していたSさん。転居先にはスペースの余裕がなく、同様の作業環境を作ることはできなかったが、それでもできるだけ快適に木工を楽しみたいと、間口2730×奥行1820mmの工房小屋をセルフビルドしたのだ。

新工房には、以前から使ってきた工具などを可能な限り持ち込んだ。テーブルソー、トリマースタンド、ボール盤、角ノミ機、糸ノコ、卓上丸ノコ…DIY歴20年だけあって、大型工具もそろっている。ただ、大型の電動カンナ類はさすがに収まりきらず、別の場所に保管しているそうだ。

真ん中に鎮座する作業台も、以前の工房から引き続き使っているものだが、元はもっと大きかったのを、この工房に収まるサイズにぶった切ったのだとか。

窓を開ければ長材も扱えるように、テーブルソーを窓際に配置しているのは、狭小工房にとても有効な工夫。小物類は中身がわかるようにラベルを張った収納箱にしまい、その箱を棚にビッチリ詰め込むことで収納量を増やしていることにも注目したい。

そんな風に空間の使い方にこだわるSさんだが、作業台の下には愛犬の居場所をしっかりと確保しているのが面白い。以前より狭くなったとはいえ、愛犬と寄り添いつつ木工に没頭できるこの工房も、どうやらすっかりお気に入りの様子だ。

 

テーブルソーは窓際に。窓を開ければ長材も取り回せる

 

小物類はクリアケースなどに詰め込み、ラベルを張って棚に並べている

 

ランダムサンダー、ブロワーなど、この工房ではあまり使わない工具は、工具名を書いたカバーをして上の棚へ。カバーはSさんが工業用ミシンで自作した

 

天井には断熱材の発泡スチロールが見える。なお、この小屋はホゾ組みと金物を併用し、軸組み工法で作った

 

使える壁面はすべて収納に活用。隅にトリマースタンドのカバーが見える

 

夏場の室内はかなり暑くなるので扇風機は欠かせない。壁際には自作の扇風機専用ホルダーが

 

ドアのわきには、愛犬用の出入口を製作

写真◎佐藤弘樹

*掲載データは2013年12月時のものです。

「木工派DIYer」に捧げる省スペース工房収納アイデア集【2】

「十分な作業場所が確保できない……でも木工を思う存分楽しみたい!」。そんな理想と現実の狭間で悩んでいる木工LOVERに向けて、目からウロコの空間活用術をどどーんと紹介!

 

ロフトつきの趣味小屋に取り入れたハシゴの設置方法&工具収納アイデア

小屋の背面にある勝手口から見た工房内。パイン材を使ったカウンターテーブルが渡邊さんの主な作業場所

 

工房小屋外観。壁は漆喰仕上げ。サイズは幅3185×奥行3640mmで、約11.6平米ある

 

profile

渡邊和行さん(47歳)
岐阜県在住/DIY歴7年/施工費用40万円

当初は材料置き場として製作をスタートさせた小屋だったが、仕上がりにこだわっているうちに、物置にはもったいないと感じ、急遽工房仕様に路線変更。そのため内装は発展途上ではあるものの、マネしたい省スペースアイデアがすでにいくつもあったので紹介したい。

 

idea1 ひと工夫加えた収納ボックスは機能的で工具の出し入れがしやすい

渡邊さん曰く「スライド丸ノコの台が完成しておらず、いまいちレイアウトを決めきれていない」とのこと。そのため、まだあまり収納は作っていないのだが、そんななかでも、背板がスノコ状になった扉つきの収納箱と、デッドスペースを活用するために作ったハシゴ下の収納棚に着目。どちらもちょっと変わった構造になっていて面白い。

ハシゴ下にある収納ボックス。前と横2方向から引き出す形にしたので、引き出しの奥行が短くなり物が取り出しやすくなっている

 

扉つきの工具収納。棚板はスノコ状の背板に引っかけているだけなので、自由に配置を変えられる

 

idea2 作業スペースをより確保するためロフトへ上がるハシゴは収納が可能

「工房に遊び心を取り入れたかった」と話す渡邊さんは、小屋の高い しやすい天井をいかしてロフトを製作。常にハシゴがかけてあると邪魔になるため、ロフトの床の一部を開閉式にして、折りたためるタイプのハシゴを設置した。なお、ハシゴはロフト専用の既製品を使用。10年ほど前に知人から譲り受けたものを取ってあったそう。

ロフトの床を開けると折りたたまれたハシゴが降下。また、その下の収納ボックスは、ハシゴを展開してもギリギリ邪魔にならないサイズになっている

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約3畳の空間をフル活用!作業台にはなんと大型工具を計6機も搭載!

左側に並ぶ3つの作業台はそれぞれが独立しているので、自由に動かせる

 

作業効率の良さを重視して、工具類はすぐ手に取れる作業台近くに集約した

 

profile

谷口雄一さん(43歳)
広島県在住/DIY歴22年/施工費用約73万円

 

雨の日でも作業ができる場所が欲しくなり、活用できていなかった裏庭に製作したデッキつきの工房小屋。昨年の「第21回ドゥーパ!DIY大賞」のドゥーパ!賞を見事受賞したが、本誌132号での登場時は建物作りを終えたばかりの状態だった。

 

「夢の工房が完成し、子どもたちの学習机を作るために作業環境を整えていたら1年経っていました……(笑)」と話すオーナーの谷口雄一さん。それもそのはず。延床面積約5・6㎡の小屋に、木工作業台3つ、壁面を余すことなく使った工具収納棚、安全ネットつきのロフト収納、集じんシステム、照明、折りたたみテーブル……などなど、これだけの機能を詰め込んだのだから驚きだ。

 

小屋製作の構想から約3年。まずは家族から急かされているという学習机作りのために工房にこもって、バリバリ木工に勤しんでいきたいと谷口さんは意気込んでいる。

外観はオスモカラーを塗り分けてカリフォルニアスタイルにデザイン。また、デッキは平らな場所から敷地境界線まで飛び出すように作ったので、一部が高床式になっている

 

ウエスタンレッドシダー材で製作したデッキには、ハンモックやブランコを設置したことで、子どもたちも楽しめるスペースに

 

 

idea1 使いやすさを追求した充実の収納スペース

工房内の内寸は幅約1700×奥行2340㎜。この限られたスペースをなるべく活用すべく、壁パネルの間柱の間や、片流れの屋根裏部分も余すことなく収納として利用。谷口さん曰く「狭さが逆に利点になるように、欲張って詰め込んでみました」とのことで、必要なものがすぐ手に届くという、作業効率を重視した収納作りを心がけた。

作業台上に作りつけた工具用の壁掛け収納は扉でもある

 

扉を開くとビット類が収納されている

 

ロフト収納棚には端材などを保管。カーテンのように開け閉めできる安全ネットを設置したので、棚板いっぱいに物を置いても落ちてくる心配はなし

 

idea2 使用頻度の低いテーブルは折りたたみ式で省スペース化

作業台の対面にはテーブルを設置。ここは図面を置いたり、外を眺めながらひと息つける場所として活用している。普通に天板を取りつけると作業スペースが奪われてしまうため、折りたたみ式にすることで解決した。なお、天板受けは内壁と同じ材のOSBで製作。あまり目立たない部分ではあるが、デザイン面でもしっかりこだわっている。

テーブルの受け材は壁パネルのフレームに蝶番で固定。天板裏と受け材にはマグネットを仕込んでいるので位置決めも楽ちん

 

idea3 大型電動工具をコンパクトに収めた多機能な作業台3種

すべて幅600㎜に設計された作業台は、サイズをコンパクトに抑えつつ、便利な機能が多数搭載されている。とくにこだわったのは「小さな工房でも活躍できる」という点。テーブルソーやスライド丸ノコを載せた作業台は広げることが可能。ベルトディスクサンダー&手押しカンナ台の回転式天板は、海外の木工家がYouTubeにアップしている作例を参考に製作したそうだ。

<スライド丸ノコ&ボール盤台>

台のスライドをアシストするレールには、コの字型のアルミチャンネルを使用

 

台部分はどちらも前後にスライド可能。未使用時はコンパクトに収納できる

 

<テーブルソー&ルーターテーブル>

フェンスは着脱式。延長用の天板を装着すれば、大きな木材でも作業可能

 

延長用の天板は、トグルクランプで本体に装着した穴あきタイプのL字アングルに、蝶ネジで固定する

 

<ベルトディスクサンダー&手押しカンナ台>

天板を回転式にすることで、場所を取るふたつの卓上電動工具の省スペース化に成功!

 

天板は、ハンドルを回してロックをはずし、19㎜径のパイプを軸に回転する仕組み