DIY全般で活躍する接着剤・後編/ドゥーパ!資材館【7】

木工作品づくりをはじめ、DIYの全般に活躍する接着剤。今回はホームセンターで入手できる製品を中心に、木工用、多用途、瞬間の各接着剤を紹介する。

 

瞬間系

瞬間接着剤は主成分のシアノアクリレートが空気中の水分に反応し、瞬間的に硬化して接着する。

 

スコッチ 強力瞬間接着剤

さらさらした液状の瞬間接着剤。金属、木、紙、陶磁器、合成ゴム、硬質プラスチック、皮革と多用途に対応。写真はハードケース入り2gチューブ

 

スコッチ 強力瞬間接着剤ジェル

たれないので、壁など垂直面での接着に使うことができるジェル状。金属、木、紙、陶磁器、合成ゴム、硬質プラスチック、皮革の接着に使用できる。写真はハードケース入り3gチューブ

 

スコッチ 強力瞬間接着剤耐衝撃

接着後ぶつかっても取れにくく、耐衝撃、耐振動が必要な部分の接着に適している。金属、木、紙、陶磁器、合成ゴム、硬質プラスチック、皮革等接着できる。写真はハードケース入り2gチューブ

 

ゴリラ スーパーグルー ジェル

プラスチック・木材・金属など素材の接着に幅広く使える強力瞬間接着剤。耐衝撃&耐振動に強く、最速10秒で接着。内部硬化を防ぐ特殊キャップを採用している。内容量3g

 

アロンアルフアEXTRA 即効多用途

シリーズ最速接着スピードの瞬間接着剤。木や陶磁器、プラスチック、金属、合成ゴム等も接着できる多用途タイプ。写真は2gパッケージ

 

アロンアルフアEXTRA スティック

キャップについている細いスティックを使って、細かい部分に少量を塗布できる、模型やクラフトに使いやすいタイプ。プラスチック、金属、合成ゴム、木、陶磁器等が接着できる。写真は2gボトル

 

アロンアルフア カラーチェンジ

塗るときは紫色で、接着後は透明になる、接着するポイントが見やすい瞬間接着剤。プラスチック、金属、合成ゴム、木、陶磁器等の接着が可能。写真は2gパッケージ

 

アロンアルフアEXTRA ゼリー状

ゼリー状でたれず、しみ込まず、超高速なので垂直面などでも確実に接着できる。プラスチック、金属、合成ゴム、皮革、木、陶磁器等の接着が可能。写真は4g容器

 

接着部分はクランプで仮固定しよう

接着剤が実用強度まで硬化するまでは、クランプで押さえて仮固定しておくとしっかり固定できる。クランプで固定するときは、両方のアゴが均等に材をはさむようにして締めつける。接着部分に長さのある場合は複数個のクランプを使い、もれなく圧力がかかるように工夫する。クランプにはベルトクランプと呼ばれる額縁などの角4カ所を一度に仮固定できるクランプがあり、額縁、ミラーフレーム、窓枠などの組み立てに重宝する。

・F型クランプの場合

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

・ベルトクランプの場合

 

瞬間接着剤を長持ちさせる保管法

便利な瞬間接着剤は通常の使用では、ほんの少ししか使わないもの。そして次に使おうとすると、固まってしまって使えなくなっているというのも、瞬間接着剤にありがちなこと。せっかく便利な瞬間接着剤、保管法を工夫していつでも使えるようにしたい。

瞬間接着剤の主成分シアノアクリレートは空気中の水分に反応して硬化するので、パッケージには保管法として「直射日光を避け、湿気の少ない場所に保管する」と書かれている。そこで、使ったあとは冷蔵庫で保管する人が多いらしいが、そこにもう一工夫。瞬間接着剤と明記したタッパーに乾燥材(シリカゲル等)を入れ、そこに瞬間接着剤を入れて保管するという方法。これで性能をそこなわず長期保管できるはず。使う前には取り出し常温に戻す。冷凍庫には入れないこと。

乾燥剤を入れたタッパーに入れて冷蔵庫で保管

 

アクリル板のDIYには専用の接着剤を使う

アクリサンデー接着剤
溶剤接着タイプなので、仕上がりが透明で美しい。アクリル樹脂のほかに、ポリカーボネート樹脂、スチロール樹脂に使用可能。本体、注入器、針がセットになっている。容量30ml。

DIY全般で活躍する接着剤・前編/ドゥーパ!資材館【6】

木工作品づくりをはじめ、DIYの全般に活躍する接着剤。今回はホームセンターで入手できる製品を中心に、木工用、多用途、瞬間の各接着剤を紹介する。

 

天然接着剤から高性能な合成接着剤へと進化を続ける接着剤

人類は原始時代から接着剤を利用してきた。はじめの接着剤は自然由来のもので、世界各地、また日本の縄文時代の遺跡からも、矢尻と矢柄の接着に自然のアスファルトを利用したものが発掘されている。日本ではアスファルトは新潟、秋田の日本海沿岸で、自然に地面にしみだしてくる地域があり、古代では重要な特産品として、大和朝廷への献上物となっていた。

こうした天然の接着剤では、国内では天然うるしも古くから使われ、うるしで修理された土器が出土している。日本にウシ、ウマが移入されるにつれニカワの利用が、米の大規模な栽培が広まるにつれデンプン糊が広まっていったと考えられる。接着剤の原料となる動物や米の伝播とともに、接着剤の種類も増えていったのだ。牛乳や海苔からも天然接着剤は作られていた。明治時代にかけてこれらは接着剤の主流として日本文化を支えていく。近代になり天然ゴムやシェラックといった自然由来の接着剤が海外から導入され、昭和のはじめまでには、日本でも合成接着剤が登場。尿素樹脂、メラミン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂などを原料とした接着剤が生まれ、現在に至るまで進歩は留まることがない。現在の接着剤は木工や家庭での使用から、建築、自動車、航空機、造船、ロケット産業まであらゆるもの作りのシーンでなくてはならないものとなっている。

 

木工系

具作りなどの木工をする人にはなじみ深い接着剤。多用途化した製品もある。

 

タイトボンド・オリジナル

50年以上アメリカの木工家に支持され続けるタイトボンド。オリジナルは室内木工用の水性接着剤。乾くと木材自体より強度が出る製法で開発。写真は118mlのボトル

 

タイトボンドⅡ・プレミアム

高い耐水性を持たせ、インテリアはもちろん、屋外に置いて使うエクステリアの家具作りにも使用できる木工用水性接着剤。写真は118mlのボトル

 

タイトボンドⅢ・アルティメット

タイトボンドのシリーズで「究極」を冠された木工用水性接着剤。より強力な接着力と耐水性でインテリア、エクステリア双方の木工に使うことができる。写真は118mlのボトル

 

ボンド 木工用

木工用接着剤の代名詞にもなっている接着剤。酢酸ビニル樹脂を主成分とする水性の接着剤。木、布、紙の接着に使用できる。ボトルの色は黄色。写真は180gのボトル

 

ボンド 木工用速乾

ボンド木工用と並んで人気のある速乾タイプ。酢酸ビニル樹脂の配合が増えている。用途は木工用と同じ。ボトルの色は白。写真は180gのボトル

 

ボンド 木工用多用途

木、革、布、紙同士、または片方が塩ビ、金属に接着できる。使用範囲を広げた水性の速乾性木工接着剤の、多用途タイプ。ボトルの色は薄緑。写真は180gのボトル

 

ボンド 木工用プレミアム

水性の速乾木工用接着剤。細口のノズルを採用しているので、速乾の性質を利用して細かいクラフト作品の製作にも使いやすい。写真は30mlのチューブ

 

ゴリラ ウッドグルー

木材・布・紙の接着に使える木工用強力接着剤。開け閉めがしやすく、詰まりも防いでくれるワンタッチノズルを採用。硬化後は自然な木材色に。写真は118mlボトル

 

多用途系

木、布、紙といった基本的な素材に加えて、金属、陶器、セラミック、タイルなど広範囲に接着できる高性能接着剤。

 

ボンド ウルトラ多用途S・U

ウルトラの名どおり金属、ガラス、コンクリート、石、タイル、陶磁器、発泡スチロール、木、硬質プラスチック、軟質塩ビ、合成ゴム、革、布、フェルト等の接着が可能な速硬化、強力、耐水性のある屋内外で使える接着剤。写真は120mlのチューブ。専用のヘラとノズルが付属する

 

スコッチ 超強力接着剤 プレミアムゴールド スーパー多用途2

金属、プラスチック、軟質塩ビ、合成ゴム、木、革、陶磁器、タイル、シリコーンゴム等の接着が可能な多用途接着剤。写真は20gのチューブ.。薄くて塗りやすいヘラが付属

 

スコッチ 強力接着剤[多用途]

水回りの補修にも使える耐水性多用途。金属、陶器、セラミック、ガラス、タイル、硬質プラスチック、皮革、木、布等の接着が可能。両面に塗るタイプの接着剤。写真は30mlのチューブ

 

ボンド G17

皮革の接着後のねじり、曲げ、引っ張りに強く、レザークラフトの分野では絶大な支持を得るボンドG17。皮革以外に、合成ゴム、金属、硬質プラスチック、木等の接着が可能。両面に塗るタイプの接着剤。写真は50mlチューブ。塗布用のヘラが付属する

 

ボンド Gクリヤー

G17 は接着剤が黄色がかっているが、Gクリヤーは透明なので、より使いやすい。皮革、合成ゴム、布、硬質プラスチック等の接着ができる。写真は50mlチューブ。接着面の両面に塗るのでヘラが付属する

 

ゴリラグルー クリア

紙、布以外のあらゆる素材に使える強力多用途接着剤。接着面は異なる素材でも使え、硬化後はクリアな仕上がりに。耐寒・耐熱(-29~82℃)。内容量51ml

 

接着剤は薄く均等に塗ろう

接着剤によって使い方が違うので、それぞれどんな方法で使うか、説明をよく読んでおく。そのため、接着剤のパッケージや台紙は捨てないでとっておいたほうがいい。接着する材の面はきれいな平面にしておくこと。でこぼこだったりざらついていると、うまく接着できない。荒材の場合は、カンナを掛けるか、サンディングして、きれいな平面を作ってから接着する。接着剤はできるだけ薄く均等に塗るのが原則。接着面には単に接着剤を置くのではなく、指先やハケでならしたり、ヘラが付属しているタイプでは、そのヘラを使って接着剤を薄く均等にならして塗る。

接着剤は容器から適量を取り出したら接着する前に、均等に薄くならす

 

接着剤を塗った材同士は、クランプで均等な力を掛けると、しっかり接着できる

 

水性の接着剤はハケを利用してもきれいにならすことができる

 

ヘラが付属しているタイプの接着剤では、付属のヘラを利用して薄くならす

 

接着する面は互いにきれいな平面に加工しておくこと

 

密着させてはみ出した水性のエマルジョンタイプの接着剤は濡れたウエス等で拭き取ることができる。はみ出した部分に接着剤が残ると塗装が載らないので必要なら研磨する

たった10秒! せっかちな大人も待てない子どももニンマリの工作上手な秒速接着剤

【きだてたく文房具レビュー】リタッチの隙は与えてくれる、間のいい速乾グルー

夏休みの自由工作だったり、「ニンテンドーラボ」の組み立てにトライしたりで、子どもにはとにかく、何かを作る機会が多い。しかし、子どもの工作は失敗がつきものである。

 

自分が子どもだった頃を思い返してみれば、想定通りに作れずベソをかいたり、完成したつもりがちょっと動かしただけでバラバラに分解して半狂乱になったり、ということ、あっただろう。で、なんで失敗したかというと話は簡単で、子どもは「接着剤がくっつく時間が待てない」のだ。

 

段ボール同士を木工用ボンドで貼り合わせて、ほんの10秒もしないうちに「くっついたかな?」と引っ張ってしまい、もちろんペロッと剥がれる。そして一度接着剤を剥がした部分は、基本的に再接着が難しい。そういうことが積み重なって、結局は全体がバラバラになるのだ。つらい。

 

しかし、今はいい時代になった。子どもが工作で失敗しなくなる接着剤、なんてものが発売されているのである。2018年7月に発売されたばかりの3M「スコッチ 速く接着する工作のり」が、それだ。

↑3M「スコッチ 速く接着する工作のり」オープン価格(実売486円)

 

最大のポイントは、名前の通り、接着時間の速さである。例えば、段ボール同士の接着にお馴染みの木工用接着剤を使った場合、だいたい実用強度に達するまで1~2時間。速乾タイプのものでも30分以下ということはない。

 

ところが、「速く接着する工作のり」であれば、貼り合わせて強度が出るまで、なんと約10秒。とにかく10秒さえ待てれば、「……くっついたかな?」と引っ張ってみても大丈夫。ちゃんとくっついているのだ。

↑接着面にポタポタと垂らして……

 

この10秒というのがなかなか絶妙で、貼る場所がちょっとズレた! という場合でも、素早く動かせば位置修正が可能なぐらいのタイミングなのだ。それが瞬間接着剤だと、こうはいかない。(なにより、瞬間接着剤は紙・布系に使うと一気に発熱する危険性があるのでNG)

 

↑貼り合わせたら指で10秒押さえて、接着完了。これはめちゃくちゃ速い

 

秘密は、接着剤自体の浸透性の高さにある。

 

比較的さらさらの接着剤が紙の繊維にスッと染み込むため、乾燥が速い。つまり接着時間も速くなる、という仕組みだ。そのため「10秒で接着」という最大効果が得られるのは、紙・段ボールといった、液体が染み込む素材同士の接着に限られる。

↑3M公式による図説。水分が紙に速く染み込むことで、接着時間が短縮される

 

↑写真左が「速く接着する工作のり」、右が一般的な接着剤。スライムとバブルスライムぐらい違う

 

ならば液体が浸透しにくい素材だとうまく接着できないか、というとさにあらず。ペットボトルに段ボールを接着するなど、片方が浸透する素材であれば、1分ほどでがっちり強度が出る。

 

実は、ペットボトルというのは意外と接着しにくい(専用接着剤があるぐらい)ものなのだが、500mlのボトルに液体を満たした状態でも吊り下げられるぐらいの強度は、簡単に出るのがすごい。

↑簡単ペットボトルロボは、接着時間合計2分ほどで完成。このまま肩から持ち上げても平気なぐらい、がっちりくっついている

 

乾燥後は、一般的な接着剤と同様に透明化するので、工作の見た目には支障が出ない。また10秒接着であれば、工作が失敗する確率は大幅に下がるはずだ。

 

紙・段ボールを使った工作には、現時点で最強といえる接着剤である。

 

【著者プロフィール】

きだてたく

最新機能系から駄雑貨系おもちゃ文具まで、なんでも使い倒してレビューする文房具ライター。現在は文房具関連会社の企画広報として企業のオリジナルノベルティ提案なども行っており、筆箱の中は試作用のカッターやはさみ、テープのりなどでギチギチ。著書に『日本懐かし文房具大全』(辰巳出版)、『愛しき駄文具』(飛鳥新社)など。近著にブング・ジャムのメンバーとして参画した『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議』(スモール出版)がある。