写真家が教える「iPhone16/16Pro」で失敗しない撮影術とは?進化した超広角カメラと望遠カメラを活用した5つの撮影シーン

2024年9月に発売されたiPhoneの新モデル「iPhone 16」。@Livingでは今回も、年々進化するiPhoneのカメラ機能を使った撮影術を解説します。今回はフォトグラファーのコムロミホさんに、撮りおろしの作例写真を用いながら、撮影のポイントを解説していただきました。

 

 

写真家が教える「iPhone15/iPhone15Pro」の撮影術…13枚の作例で解説するポートレートモードの使いこなし

 

撮りたい瞬間を逃さない!
iPhone 16のカメラ性能が大幅に進化

新作発表のたびに驚くべき進化を遂げるiPhoneのカメラ機能。とくに今回は、すべてのモデルでカメラの性能が大幅に向上しています。

 

48メガピクセル(4,800万画素)のメインカメラ(Fusionカメラ)のほか、超広角カメラはiPhone 16/16 Plusが12メガピクセル(1,200万画素)に、iPhone 16 Pro/Pro Maxはメインカメラと同等の48メガピクセルに進化。またProモデルの望遠カメラは、iPhone 16 Pro/Pro Max両機種で光学5倍ズームが可能になりました。

 

「実際にiPhone 16シリーズで撮影してみて、『iPhoneのカメラってここまで進化しているんだ!』と非常に驚きました。これを使ってぜひ作品を撮ってみたいと思いましたね」(フォトグラファー・コムロミホさん、以下同)

 

コムロさんがとくに注目したのが「カメラコントロールボタン」です。本体右側面に搭載されたボタンをワンプッシュするだけでカメラが瞬時に起動し、最短2プッシュで写真撮影ができます(動画はカメラ起動後に長押しで撮影開始)。

 

カメラコントロールボタンは、タッチ操作にも対応。撮影画面でボタンを軽く2回押すと、露出、被写界深度、ズームなどの設定が表示されます。左右にスワイプすることで細かい調整ができるので、実質、指一本で操作が完結します。

 

「すぐにカメラを起動できるのはすごく便利だと思います。撮りたいと思った瞬間に、タイムラグなしで撮影できるのがいいですね」

 

撮影の前に押さえておきたい3つのポイント

まずはカメラの設定や構図などの基本を教えていただきます。

 

1.高解像度で撮影するには事前の設定が必要

初期設定では48メガピクセルの高解像度の撮影が無効になっているため、撮影前に設定を変更する必要があります。

 

【設定方法】
設定アプリ→「カメラ」→「フォーマット」→「解像度コントロール」(Proモデルは「Pro RAWと解像度コントロール」)をON

 

2.「三分割構図」「放射線構図」を意識する

「被写体を配置する位置で、写真の印象は大きく変わります。被写体をどのように際立たせたいかを考え、構図を意識しながら撮影することで、写真の魅力はぐっと増します。ここでは基本の『三分割構図』と、広角で奥行きを表現できる『放射線構図』をご紹介します。少しずつ、構図のバリエーションを増やしていきましょう」

 

【三分割構図】
画面を縦横に三分割し、縦横の線が交わる「交点」やそのライン上に被写体を配置する構図です。これにより、空間のバランスを取ることができます。

 

「わかりやすいよう、三分割構図を使った作例にガイドラインを入れています。被写体と背景の比率が1:2になるように、分割したラインの上に被写体を配置すると、背景を活かした写真を撮ることができます」

 

【放射線構図】
奥行きを出したいときにおすすめの構図です。ある一点(収束点)から線が放射状に伸びたように見える構図で、広角レンズを使った撮影と相性がいいのが特徴。道の奥行きや建物の高さを表現したいときに活用してみましょう。

 

「手すりや地面上の線が放射状になるように配置することで、道の奥行きを強調できます。広角になるほど奥行き感が出やすくなるので、画角を調整しながら撮影してみましょう」

 

3.「水平」を意識する

「風景撮影では特に、水平を取ることを意識しましょう。iPhoneのカメラには、画面上で水平を確認できる『水平器』機能があり、これを有効にすると撮影画面中央に水平器が表示されます」

 

水平が取れると、「水平器」機能で表示された線が一直線になり、白から黄色に変わります。そのタイミングでシャッターを切りましょう。

 

【設定方法】
設定アプリ→「カメラ」→構図の「水平」をON

 

iPhone 16のカメラで撮りたい
5つの撮影シーンとポイント

基本的な構図と設定を押さえたら、早速撮影に挑戦してみましょう。今回の作例撮影では、iPhone 16 Proを使用します。

 

1.「超広角カメラ」で迫力のある写真を撮る

「超広角カメラは、視覚的な効果をうまく活かすと印象的な写真を撮ることができます。構図を工夫し、被写体との距離や角度を調整すれば、広がりや奥行きを強調したダイナミックな撮影が可能です」

 

超広角カメラへの切り替えは、撮影画面に表示される「.5」をタップするだけ。ワンタッチでスムーズに切り替えることができます。

 

 

2.「マクロモード」で被写体のディテールにフォーカス

超広角カメラの画質向上により、被写体に接近して撮影するマクロモードも、より高画質で撮影できるようになりました。細部まで鮮明に捉えることができるので、迫力のあるクローズアップ撮影が可能です。

 

マクロ撮影ができる距離まで被写体に近づくと、画面左下に花のアイコンが表示され、自動的にマクロモードに移行します。

 

花を撮影する際は、マクロモードを活用して花びらや花芯の質感、色のグラデーションなど細部に焦点を当てると、より印象的な写真に仕上がります。

 

「ぐっと寄ることで水滴の質感まで捉えることができ、マクロモードでしか撮れない写真に仕上がりました」

 

花壇やお花畑で撮影するときは、アングルも意識してみましょう。下の写真はスマホを傾け少し斜め上から撮影したもの。アングルを変えることで、背景の写り込む範囲を変えることができます。

 

「写真の主役となる花を決めたら、真上からではなく斜めからアプローチするといいでしょう。角度をつけて撮影するとほかの花も写り込むので、奥行きが生まれ立体感のある写真に仕上がります」

 

3.被写体を際立たせる「望遠カメラ」の活用法

「望遠カメラは、遠くの被写体を大きく写し出したいときに活躍します。運動会や遊園地など、人ごみの中にいる人物を撮影するときにも便利です」

 

近づくと逃げてしまいそうな鳥も、望遠カメラなら離れた場所から大きく切り取ることができます。背景を引き寄せて撮影できるため、背景のタワーも大きく写り、迫力のある写真になりました。

 

「望遠カメラは、背景を整理したいときにも有効です。被写体が写る範囲を整理することによって、余計なものの写り込みが減り、被写体をより際立たせることができます」

 

左は標準域、右は光学5倍の望遠カメラで同じ場所から撮影。雑然とした背景から被写体だけを際立たせることができます。

 

4.「ポートレートモード」の効果的な使い方

背景をぼかすことで人物などの被写体を際立たせることができる「ポートレートモード」。カメラアプリを起動し、撮影モードを左右にスワイプすることでポートレートモードに切り替えられます。

 

画面の右側にある「撮影モード」をスワイプして「ポートレート」を選択すれば設定は完了。F値は、左上の「f」マークから設定します。

 

ポートレートモードで重要になるのが、「F値(絞り値)」の設定です。カメラレンズの絞り具合を示す数値で、背景のボケ具合をコントロールできます。

 

「F値を小さくすると、被写界深度(ピントが合って見える範囲)が浅くなり背景がボケやすくなるため、ポートレート撮影など被写体を際立たせたいときにおすすめです。反対にF値を大きくすると、被写界深度が深くなり、ピントが合う範囲が広がるので、風景撮影などに適しています。
例えば、観光地などで人物と背景を一緒に撮る場合、F値を小さくするとせっかくの景色がぼけてしまいます。そうならないためには、F値を大きくすること。そうすれば、人物と背景の両方にピントが合った写真を撮ることができますよ」

 

F値は、撮影画面上部の「f」マークを押すと調整できます。iPhone 16の場合は、f1.4からf16まで設定できます。

 

「2枚ともf1.4で撮影。左の写真は手前の花にピントを合わせて背景をぼかしました。右の写真は奥にピントを合わせて『前ボケ』を作り、奥行を強調しています。構図やF値は同じでも、ピントの位置を変えるだけで、写真の雰囲気はガラリと変わります」

 

せっかくなので、ポートレートを撮影するときのコツも教えていただきました。

 

「撮影した自分の写真を見て、『写真写りが悪い……』と感じたことのある人は多いでしょう。もしかしたらそれは、広角のデフォルメ効果が原因かもしれません。というのも、広角レンズで顔に近づくと、デフォルメ効果により遠近がつくため、顔の形が歪んで写ってしまうからです。
そうならないためにも、人物の写真を撮るときは望遠カメラで撮影してみてください。物理的に近づくのではなく、少し離れた位置から望遠カメラで近づけば、顔の歪みがなくなり自然な写りになりますよ」

 

5.進化した「フォトグラフスタイル」でより自由な表現が可能に

撮影中に写真のトーンやカラーをリアルタイムで調整できる「フォトグラフスタイル」機能は、iPhone 16シリーズでさらにアップデートされ、より直感的で細かな調整が可能になりました。

 

「コントロールパッドを指でドラッグするだけで、トーンやカラー、明るさを自在に調整できます。撮影画面右上からコントロールパッドを開くと、撮影中の画面にも自動で反映されます。直感的な操作で簡単に絵作りができるのも、この機能のすごいところですね」

 

画面下部に表示されているのが「コントロールパッド」。撮影中はもちろん、編集画面からも調整できます。

 

新しい「フォトグラフスタイル」では、フィルターのバリエーションも大幅に増えました。なかでも注目なのが「スキントーン」。被写体となる人物の肌を自動で認識し、好みの色相に調整することができます。

 

左上はフィルターなしの写真。人物の肌色や周辺の環境に合わせて、自然な肌のトーンに補正してくれます。

 

シーンや被写体の雰囲気に応じてさまざまな撮影を楽しめるフィルター機能は、コムロさんご自身も普段の撮影で積極的に活用しているそう。

 

「『スターブラック』というフィルターを使って撮影しました。主役となる被写体(この写真の場合は中央の人物)を囲むようにして撮影する『トンネル構図』で、被写体を印象的に見せることができます」

 

「同じ構図の写真でも、フィルターの使い方次第で多彩な表情を楽しむことができます。自分のそのときの感情や表現したい世界観を演出できるのも、フィルターを使った撮影の醍醐味です」

 

「4K120fps」の映像美!
プロ級の画質で動画撮影が可能に

最後に紹介するのが、動画撮影機能です。iPhone 16シリーズは、動画の撮影機能も大きく進化しており、Proモデルは最大4K120fpsに対応しています。fpsとは、動画1秒あたりのフレーム数のこと。この数字が大きいほど、滑らかで高精細な映像となり、とくにスローモーション映像で威力を発揮します。

 

撮影した動画は、「写真」アプリの編集機能のなかにある、時計マークのような「再生速度」アイコンから再生速度を調整できます。

 

「街で人が行き交う様子や、鳥が飛んでいく様子など、日常の何気ない風景もスローモーションでドラマチックに表現することができます。ただし、120fpsはデータ容量がかなり大きくなってしまうため、普段の動画撮影で使うにはオーバースペック。普段は30fpsに設定しておき、スローモーション撮影を行いたいときに120fpsを選ぶとよいでしょう」

 

動画撮影で活躍するおすすめの機能が、もうひとつあります。それは、iPhone 16シリーズから登場した「風切り音の低減」。動画撮影中のノイズを自動で調整してくれるので、風が強い環境でもクリアな音で記録することができます。iPhone 16シリーズを購入したら、事前にこの設定を有効にしておくといいでしょう。

 

【設定方法】
設定アプリ→「カメラ」→「サウンド収録」→「風切り音の低減」をON

 

何気ない日常のワンシーンを楽しんで

最後に、コムロさんにiPhoneカメラならではの楽しみ方についてうかがいました。

 

「iPhoneのカメラの最大の魅力は、いつでもどこでも持ち運べること。つねに携帯しているので、本格的なカメラを持っていなくても、気軽に直感的に撮影できますよね。街を歩いているときや旅行に行ったときに、『これいいな』と感じた瞬間を写真に収めておくと、たとえそれが日常の何気ないシーンだったとしても、後から見返したときに特別な思い出になるのではないでしょうか。
iPhone 16シリーズでは撮影の幅が広がり、より多彩な楽しみ方ができるようになったと思います。ぜひ新しいiPhone 16シリーズで、たくさん写真を撮ってみてくださいね」

 

 

Profile


フォトグラファー / コムロミホ

文化服装学院でファッションを学び、ファッションの道へ。 撮影現場でカメラに触れるうちにフォトグラファーを志すことを決意。アシスタントを経て、現在は広告や雑誌で活躍。街スナップをライフワークにしながら旅を続けている。YouTubeチャンネル「写真家夫婦上田家」「カメラのコムロ」でカメラや写真の情報を配信中。
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予約不要で日帰り可!GWに行きたい写真映えするお出かけスポット9選

2024年のゴールデンウィークは、4月27日(土)から4月29日(月)の3連休と、5月3日(金)から5月6日(月)の4連休。連休の間にある3日間の平日も休めば最長10連休も可能ですが、仕事が忙しく丸一日を費やせる日は限られるという人も多いでしょう。混雑が予想されるなか、いまから長期間の旅行を計画するのは至難。

 

そこで今回は、思い立ったらすぐ行かれる、予約不要で、首都圏からなら日帰り可能な関東近郊のレジャースポットをリストアップ。短時間の滞在でもしっかり思い出を残せる、撮影にぴったりな施設やイベントとともに紹介します。

 

子ども連れでも友人とでも、ひとりでも思い思いに楽しめるスポットを、9ヶ所ピックアップ。

 

1.東京都「国営昭和記念公園」

春のフラワーフェスティバル開催中。開花リレーを楽しみにリピートしたくなる

チューリップやカモミールなど、春の花たちが公園のいたる所で咲き乱れます。なかでも、可憐なブルーの小花が美しいネモフィラの展示に注目。段々畑のような形状になっている「花の丘」に咲く約180万本のネモフィラは、下から見上げると空の青と相まってとても鮮やか。奥行きもあるので、人物を入れた写真なら、まるでネモフィラに包まれているかのように撮れます。一年の中でも4月下旬から5月中旬頃までの貴重な景色です。

 

Point! 物語性のある写真が撮れるフォトスポット多数

撮影=Ken Narahashi

 

開花に合わせ、園内各所には多彩なフォトスポットが設置されています。イチ押しは、ネモフィラが咲く「花の丘」にある青白のドア。この扉は、一体どこにつながっているのでしょう。春風を感じながら、雰囲気のある写真づくりにチャレンジしてみては?

 

Point! シャボン玉のフォトジェニックタイムも!

開園40周年を記念し、ネモフィラが咲く「花の丘」では4月27日(土)と4月29日(日)の2日間限定で「ネモフィラ×シャボン玉のフォトジェニックタイム」が行われます。自分たちでシャボン玉を吹いて撮影しようとすると、シャッターチャンスになかなか恵まれないもの。この機会を利用すれば、ネモフィラを背景にシャボン玉が舞うロマンティックな雰囲気を収められるはずです。

 

【Spot Data】
施設名=国営昭和記念公園
住所=東京都立川市緑町3173
電話=042-528-1751
入場料=大人(高校生以上)450円、小人(中学生以下)無料、シルバー(65歳以上)210円
アクセス=
ネモフィラが咲く砂川ゲートは武蔵砂川駅より徒歩約20分。砂川ゲートから徒歩約5分。
営業時間(有料区)=9:30~17:00(4~9月の土日祝は~18:00まで)
公式HP「国営昭和記念公園公式ホームページ」

 

写真家が教える「iPhone15/iPhone15Pro」の撮影術…13枚の作例で解説するポートレートモードの使いこなし

 

 

2.「あしかがフラワーパーク」(栃木県)

『ふじのはな物語』は、350本以上の藤の花と5000本以上のツツジを鑑賞できるイベント。毎年4月中旬から5月下旬に開催されています。

 

藤が主役のイベント開催中。夜にライトアップされた幽麗な姿は必見

見どころは何と言っても、園のシンボルである樹齢160年を超える大藤(「野田九尺藤」 のだきゅうしゃくふじ)です。四方八方に伸びた棚の面積は1000平方メートルで、なんとテニスコート約5面分、畳み約600畳分という圧巻のスケール。花房は最長1.5〜1.8mほどもありで、しだれるようにして咲く姿が優雅です。見ごろを迎える4月下旬から5月上旬には、夕方以降にライトアップが施され、昼とは一味違った幽麗な姿を垣間見られます。夜には、水鏡となった池が藤を映し出す幻想的な絵も撮影可能。夜景撮影はハードルが高いように思われがちですが、携帯のカメラ機能を駆使すれば、納得のいく写真が撮れるでしょう。ぜひチャレンジを。

 

Point! 迫力のある八重の大藤棚と白藤のトンネル


しだれるように咲く野田九尺藤がある一方、ぶどうの房のようにころころとした花をつける「八重の大藤棚」も見逃せません。現存する藤品種の中で、唯一の八重咲き。世界的にも貴重な種として県の天然記念物にも指定されています。ほか、長さ80mにもおよぶ「白藤のトンネル」は、可憐な白色がどこまでも続く世界。ファインダーからはみ出るほどの迫力のある写真を撮れます。

 

Point! 赤やピンク、白など色鮮やかなツツジも楽しめる


時を同じくして見ごろを迎えるのがツツジ。同園では5000株のツツジが藤棚のそばで咲き誇ります。低木であることを生かし、背景に藤を入れると奥行きのある写真が撮れるでしょう。

 

【Spot Data】
施設名=あしかがフラワーパーク
住所=栃木県足利市迫間町607
電話=0284-91-4939
入場料=大人(中学生以上)1,000円 ~ 2,200円、子ども(4歳以上小学生以下)500円 ~ 1100円
【ふじのはな物語】開催期間:4月13日(土)~5月15日(水)
アクセス=
ライトアップ期間=4月18日(木)~5月15日(水)
営業時間 =4月25日(木)~5月6日(月)7:00~21:00
公式HP

 

3.「四万湖・奥四万湖」(群馬県)

四万ブルーと称されるラムネ色の湖面に癒される

どちらもダム湖ながら、なんともいえない神秘的な青色は”四万ブルー”の愛称がつくほどに人気。季節や天候、時間帯によって、ラムネ色のような風合いになったり、モネの絵画『睡蓮』のような青緑色になったりと、その瞬間だけしか見られない楽しみがあります。 強いブルーをお望みなら、雪解け水の流れ込む4月から5月が一番。写真を撮るなら、湖の周りを車で一周でき、せせらぎ公園や見晴台がある奥四万湖がおすすめです。

 

Point! カヌー、カヤックでもっと近くから四万ブルーを楽しむ

写真提供=ぐりーんぴーす

 

鉄道会社のCMで女優の吉永小百合さんがカヌーを楽しんだ奥四万湖と、車で約23分の距離にある四万湖では、カヌー・カヤックツアーが開催されています。穏やかな春の木漏れ日を感じながら、パドルをくぐらす体験は貴重。写真撮影にもうってつけです。ほか、SUPやパックラフトツアーを開催しているショップもあります。アクティビティは要予約。一年のなかでも人気な時期なので早めの予約を。

 

Point! 四万温泉でほっとひと休み

四万湖と奥四万湖の間にある四万温泉は、平安時代から愛される胃腸の名湯。日帰り温泉もあるので、撮影後に立ち寄ってみては。『千と千尋の神隠し』のモデルの一つとされる四万温泉積善館は、フォトスポットとしても有名です。

 

【Spot Data】
施設名=四万湖、奥四万湖
住所=群馬県吾妻郡中之条町大字四万
電話=0279-75-8814(中之条町観光協会)
入場料=無料
アクセス=
<車>関越自動車道「渋川伊香保IC」から約50分(四万湖)、約60分(奥四万湖)
<公共機関>
・JR吾妻線「中之条駅」から関越交通四万温泉行きバスで約30~40分。「四万湖」下車(四万湖)。終点「四万温泉」下車、徒歩40分。(奥四万湖)
・東京八重洲通り~四万温泉への高速バス「四万温泉号(関越交通)」で約4時間、終点「四万温泉」下車 ※1日1~2便
公式HP=四万湖奥四万湖

 

4.「相模湖リゾート プレジャーフォレスト」(神奈川県)

↑山麓エリアの地球交響楽フォトロケーション。映画は2024年3月1日から5月上旬まで公開

 

光と音に包まれる体験型イルミネーション

600万球を使った大規模なイルミネーションイベントで知られる「相模湖イルミリオン」に、『映画ドラえもん のび太の地球交響楽(ちきゅうシンフォニー)』のスペシャルイルミネーションエリアが登場。園内の傾斜を生かしたイルミネーションは、都心では味わえない圧倒的なスケールです。映画のワンシーンをイメージしたフォトロケーションが点在しており、シャッターチャンスは多岐にわたります。

 

・Point! アトラクション感満載のリフトに乗って空中散歩


イベント入り口にあたる山麓エリアを楽しんだら、「虹のリフト」に乗って山頂エリアへ。眼下に広がるのは五線譜に見立てた全長約250mものイルミネーション。移り変わる景色は、動画撮影にも向いています。

 

・Point! 山頂エリアにはアイコニックなフォトスポットがたくさん

山頂エリア。ドラえもんが楽しく演奏する様子を表現した「おもちゃの楽団ドーム」(上写真)。ドラえもんの顔を半球体型のバルーンで表現した「ドラえもんフェイスドーム」(下写真)

 

山頂エリア。ドラえもんが楽しく演奏する様子を表現した「おもちゃの楽団ドーム」(左側)。ドラえもんの顔を半球体型のバルーンで表現した「ドラえもんフェイスドーム」(右側)
山頂エリアには、思わず駆け寄って撮影したくなるフォトスポットがなんと10箇所も存在しており、撮れ高抜群!

 

【Spot Data】
・施設名=相模湖リソート プレジャーフォレスト
・住所=神奈川県相模原市緑区若柳1634番地
・TEL=0570-037-353
・入場料=大人(中学生以上)2,000~4,500円、子ども(3歳以上小学生以下)・シニア(60歳以上)1,300円~3,700円
・『映画ドラえもん のび太の地球交響楽(ちきゅうシンフォニー) イルミネーション』開催期間=2024年5月12日(日)まで
・アクセス=
<車>中央道-東京方面から約50分(相模湖東出口から約8分)
<公共交通機関>JR中央線相模湖駅からバスで約8分
・営業時間=4月20日(土)~5月6日(月) 7:00~21:00
公式HP

 

ⒸFujiko-Pro, Shogakukan, TV-Asahi, Shin-ei, and ADK 2024

 

iPhone15Pro・ProMaxで夜景撮影に成功するには?望遠レンズの活用や構図の決め方など夜景写真家が解説

 

5.「掛川花鳥園」(静岡県)

コガネメキシコインコ。

 

約100種600羽の鳥たちとのふれあいが楽しめる全天候型テーマパーク

全国でもめずらしい、放し飼いにされた鳥たちと直接ふれあえるテーマパーク。ガラスハウスの中に展示されている鳥たちなら、雨の日でも快適に写真撮影が可能です。手に乗せたエサをパクパクとついばむ鳥たちの姿はとっても可愛い! ガラスハウスには、色鮮やかなインコやオオハシ、不動の様子が特徴的なハシビロコウなど数十種類が展示されていて、ここだけでも撮影に1日かかりそう。
※鳥たちは撫でられたり追いかけられたりするのは苦手。適切な距離を保ってふれあいを楽しみましょう。

 

Point! ペンギンやフクロウと一緒に記念撮影ができる!


屋外エリアには、ダチョウの仲間のエミューや、猛禽類に代表されるフクロウやタカ、コンドルなど大型の鳥が多数展示されています。ふれあいイベントでは、ペンギンを膝の上に乗せたり、フクロウやミミズクを手に乗せたりした状態で記念撮影。全国でもめずらしいフォトイベントです。
※「ペンギンと記念撮影」は10名限定の人気イベント。開園と同時に入園チケット売り場にて整理券が配布されます。

 

Point! 参加無料! 迫力満点のバードショー

ヘビクイワシ。

 

鳥たちの特技を生かしたバードショーでは、ヘビをキックで倒すヘビクイワシの足技や、野性味あふれるハリスホークのフライトショーを観賞できます。屋内バードショーはお客様参加型なので、お子さまと鳥たちの臨場感ある撮影にチャレンジするのも楽しそう。

 

【Spot Data】
施設名=掛川花鳥園 住所:静岡県掛川市南西郷1517
電話=0537-62-6363
入場料=大人(中学生以上)1,800円、小学生 900円、幼児 無料 詳細はこちら(https://k-hana-tori.com/information/)
有料イベント=
ペンギンと記念写真撮影:700円/人
乗せてみよう:300円/人 詳細はこちら(https://k-hana-tori.com/fureai/)
アクセス=
<車>東京から約160分、名古屋から約90分(東名高速道路 掛川ICより約5分)
<公共交通機関>JR掛川駅北口2番乗り場より、市街地循環線(南回り)乗車で約10分。掛川花鳥園前下車。
参加無料イベント=ハリスホークのフライトショー 10:30、屋内バードショー 13:00、15:00
営業時間 =9:00~16:30(最終入園16:00)
営業スケジュール=
4/27(土)9:00~16:30
4/28(日)・4/29(月)8:30~16:30
4/30(火)~5/2(木)9:00~16:30
5/3(金)~5/5(日)8:00~16:30
5/6 (月)8:30~16:30
5/7(火)9:00~16:30
※4月25日(木)は休園日
※GW中は営業時間が変則的になるため、来園の際は事前に公式HPを要確認。
公式HP

 

6.「日向山」(山梨県)

日向山にある「天空のビーチ」。写真提供=北杜市

 

向かうは白亜の砂浜! アイコニックな「天空のビーチ」へ日帰りハイキング

晴れた日に「何しようかな」「自然の中にでも行こうかな」と思い立ったときにおすすめなのがハイキングです。関東に山は数あれど、山梨県北杜市にある日向山は、山頂西側に広がる白砂の稜線が絶景! 花崗岩が風化した真っ白な砂浜は「天空のビーチ」と呼ばれていて、アイコニックなフォトスポットとして人気です。見晴らしも良好で、八ヶ岳連峰や甲斐駒ヶ岳が一望できる大パノラマが広がります。都心から車で片道約3時間、標高1600m台と家族連れでも無理なく楽しめる条件が揃う山です。

 

Point! マイナスイオンでリフレッシュ!

尾白川渓谷。写真提供=北杜市

 

ハイキングの前後には、エメラルドグリーンの川が流れる尾白川渓谷の散策はいかがでしょう。

 

尾白川は、日本名水百選にも選定されており、透明度の高い清らかな水が魅力です。見どころは、マイナスイオンたっぷりの滝つぼを有する「千ヶ淵」や小規模ながら整った流身が美しい「神蛇滝」、滝つぼ間近まで行ける「不動滝」など盛りだくさん!暖かい日なら、水遊びを楽しんでも。

 

Point! いつも飲んでいるあの天然水、どうやって作られる?


南アルプスの自然に触れたなら「サントリー天然水 南アルプス白州工場」で、「サントリー天然水」が育まれる過程を学ぶツアーに参加するもよし。サントリー天然水 南アルプス白州工場では、プロジェクションマッピングにより、南アルプスの自然の素晴らしさを視覚的に理解したり、包装ラインの見学をしたり。見学後は、製品の試飲が可能です。

 

【Spot Data】
施設名=日向山
住所=山梨県北杜市白州町白須1891(尾白川渓谷駐車場)
電話=0551-42-1351(北杜市産業観光課)
アクセス=
<車>東京、名古屋から約3時間(中央道長坂ICより県道606号、614号を経て約13km)
<公共交通機関>JR中央本線長坂駅よりタクシーで約20分
公式HP

 

7.「長井海の手公園 ソレイユの丘」(神奈川県)

長井地区の小高い丘は、海風が吹き抜ける開放感抜群の遊び場!

相模湾からの心地よい海風を感じながら、体を動かすならここ。東京ドーム6個分にもなる園内では、農業体験や手作りクラフト、水遊び、デイキャンプなど、選ぶのが迷ってしまうほどの体験プログラムが用意されています。なかでも目を引くのは、2023年4月にリニューアルされた高さ15mの大型アスレチック。ハーネスを付けて挑戦するアトラクションは、スリル好きな家族メンバーにぴったり。
※アスレチックの参加は身長120cm以上から(年齢制限なし)

 

Point! 展望台から撮る南フランスさながらの写真

大型アスレチック屋上の展望台からは、相模湾と伊豆半島を見渡せる大パノラマを楽しめます。手前には、南フランスのプロヴァンス地方をイメージした石畳の道やレンガ造りの建物が点在しており、まるで海外に来たかのような写真が撮影できます。

 

Point! 食育や環境教育、SDGsの学びに!

体験農園「シテコベ サステナブルファーム」にある畑では、こだわりの農法で育てたおいしい野菜の収穫や採れたて野菜の試食を楽しめます。4月から5月に採れる野菜は、こまつな、ラディッシュ、ルッコラ、 春キャベツ、ほうれん草、かぶなど。

 

【Spot Data】
施設名=長井海の手公園 ソレイユの丘
住所=神奈川県横須賀市長井4丁目地内
電話=046-857-2500
入場料=無料
有料施設・体験=
アスレチック:大人(18歳以上)3,500円/1時間、子ども2,800円/1時間(※)
ジップライン:1,400円/1回
農業体験(新鮮野菜の収穫体験):2,000円/1セット
※現在キャンペーン中につき、最大50%オフ
アクセス=
<車>東京から約80分(横浜横須賀道路本線 衣笠ICより約18分)
<公共交通機関>京浜急行電鉄久里浜線「三崎口」駅より京急バス「ソレイユの丘」行きにて約20分。または「荒崎」行きにて「漆山」で下車し、徒歩10分〜15分。
※徒歩の場合は、京浜急行「三崎口」駅より約4キロで、約45分かかります。
営業時間 =9:00~18:00
公式HP

 

8.「埼玉県こども動物自然公園」(埼玉県)

東園にいるクオッカ。下から見上げると笑っているような表情。

 

オーストラリアやドイツに行かなくてもクオッカに会える!

子どもたちに人気なコアラや、カンガルー、ペンギン、レッサーパンダなど160種類以上が飼育されている動物園。ウォークスルーや背の低い柵を使う展示の仕方で、グッといきものと近づけるのが魅力です。ペンギンやカンガルーは柵がない状態で観察できるというから驚き。そんな園内で、忘れずに会いたいのが”世界一しあわせな動物”として、SNSやテレビで一躍有名となったクオッカ。オーストラリア以外の動物園ではドイツと同園だけでしか見られないので大変貴重です。
※クオッカの公開時間は日によって異なるため事前に要確認。

 

Point! 広々としたエリアで自由に過ごす姿に驚き

北園のペンギンヒルズ。

 

世界最大級のフンボルトペンギンの展示。波の立つ大きなプールのほかにも、木が生い茂る陸エリアが用意されているのがユニークです。これは、フンボルトペンギンの故郷、チリのチロエ島を再現した展示だから。丘の上を元気に駆けまわるめずらしいペンギンの姿を激写できます。

 

Point! まるで”きなこもち”とSNSで人気のグンディにも注目


クオッカやフンボルトペンギンに負けず劣らず貴重な種なのが、アフリカ北部の岩場などに暮らすネズミの仲間「グンディ」です。日本で見ることができるのは同園と神戸どうぶつ王国の2園のみ。きなこもちのように見える寝姿や、お手玉を寄せ集めたようにフニャッと折り重なってくつろぐ姿がSNSで人気です。昼行性なので、寝姿が撮れたらラッキー。

 

【Spot Data】
施設名=埼玉県こども動物自然公園
住所=埼玉県東松山市岩殿554
電話=0493-35-1234
入場料=大人(高校生以上)700円、小人(小学生以上)200円
アクセス=
<車>東京から約60分(関越自動車道「鶴ヶ島」ICより約27分)
<公共交通機関>東武鉄道東上本線「高坂」駅から徒歩30分。東武鉄道東上本線「高坂」駅発
鳩山ニュータウン行きバスに乗車し、「こども動物自然公園」停留所下車すぐ。
営業時間=9:30~17:00(最終入場は16:00まで)
公式HP

 

9.「ブッシュ&レイク in はぎビレッジ」(茨城県)

喧騒から離れ、非日常を満喫できるキャンプ場

キャンプに行こうと思っても、近年高まるアウトドア熱に推され、キャンプ場の予約が取れないなんてことも少なくありません。そんなときは、日本では珍しいブッシュクラフト専用のキャンプ場が穴場。ブッシュクラフトとは、木の枝を使って焚き火台をつくったり、川釣りで食料を調達したりと、身の回りにある自然を活用する自然回帰なアウトドアスタイル。とはいえ、既製品を持ちこんでもOK。ガスコンロで湯を沸かしてカップ麺をつくってみたり、ガスバーナーでコンビニおにぎりをあぶって焼きおにぎりにしてみたり、プチ探検気分で立ち寄ってみては。

 

Point! 首都圏より遅いサクラの開花を楽しめる

優しい白色のオオシマザクラ。

 

まだお花見できていない人に朗報。キャンプ場の中央、さくら広場に立ち並ぶオオシマザクラは4月中旬から見ごろを迎えます。5月からは、場内に分布するヤマザクラの開花がスタート。都心のお花見スポットは混雑ぎみですが、ここならゆっくり過ごせるはずです。

 

Point! 開放感たっぷりの湖でカナディアンカヌー体験


キャンプ場へは車で入場するのが一般的ですが、カナディアンカヌーに乗ってアプローチするというユニークな選択肢も用意されています。カヌーは積載量も多く安定した作りなので、家族メンバーと人数分の持ち物を積んでもへっちゃら。隣接する こやま湖から出艇して、キャンプ場まで約900m、15分ほどの水上散歩が楽しめます。東京ドーム5.4個分の広大な湖での開放感溢れるカヌートリップ。写真を撮らずにはいられません。手ぶらで参加できるように専門装備はレンタルあり。

 

【Spot Data】
施設名=ブッシュ&レイク in はぎビレッジ
住所=茨城県高萩市秋山2989-14
電話=0293-24-2331
入場料=
宿泊利用 基本料金 2,000円~/人
日帰り利用 基本料金1,000円~/人
カナディアンカヌーレンタル料:2,000円~/日
営業時間=
宿泊 チェックイン 13時~、チェックアウト 翌10時まで
日帰り チェックイン 11時~、チェックアウト 16時まで
※毎週月曜日・火曜日は定休日
アクセス=
<車>東京から約90分(常磐自動車道「髙萩」ICより約36分)
<公共交通機関>JR東日本常磐線「高萩」駅よりタクシーで約33分
公式HP

 

 

忙しい日々が続くと、たとえ貴重な大型連休の前であっても旅程が直前になってしまいがち。それでも、思い立った日に遊びに行けるお出かけスポットはたくさんあります。ぜひ、家族や友だちとの楽しいひと時を写真に収めてみてください。

 

GWはネモフィラ畑や足湯場へ! 全国のおすすめ癒しスポット 8選

 

iPhone15Pro・ProMaxで夜景撮影に成功するには?望遠レンズの活用や構図の決め方など夜景写真家が解説

新シリーズが発売されるとともに、カメラ機能にも注目が集まるiPhone。2023年9月に発売された「iPhone 15」シリーズのカメラ機能や撮影方法を「進化したポートレートモードをどう使いこなす? 写真家が教える「iPhone15」シリーズ撮影術」で紹介しましたが、今回は少しレベルを上げて、iPhone 15シリーズを使った夜景撮影術を解説します。

 

夜景撮影に有効なカメラ機能から、専門家が重視している夜景撮影のポイントまで、夜景写真家の中村勇太さんに教えていただきました。

 

 

iPhone 15シリーズのカメラ機能をおさらい

 

年々進化しているiPhoneのカメラ機能。撮影する前に、iPhone 15シリーズのカメラ機能をおさらいしておきましょう。

 

iPhone 15シリーズの最大の特徴は、望遠カメラが優れていること。「iPhone 15 Pro」は光学3倍の望遠カメラ、「iPhone 15 Pro Max」には光学5倍の望遠カメラが搭載されています。これにより、遠くから被写体を撮影した場合でも高画質な写真が撮れるようになりました。

 

「iPhone 14シリーズのProとPro Maxでは、カメラ機能に差はありませんでした。ですが、iPhone 15シリーズの場合は違いがあるので、よりカメラ機能にこだわりたい方はPro Maxを選ぶなど、選択できるようになったのがいいですね」と評価する中村さん。

 

「Pro Maxに搭載されている光学5倍の望遠カメラには、一眼レフでいうところの120mmレンズが使われています。ほかには、13mmの超広角カメラ、24mmの広角カメラ、以上3つのカメラが搭載されています。2倍望遠(48mm)も加えて、『超広角』『広角』『2倍望遠』『5倍望遠』の4段階をワンタップで切り替えられる点も魅力です。ちなみに、48mmのカメラはついていませんが、最大4800万画素の高解像度カメラを高度なデジタル技術で2倍望遠にしています。これにより、2倍望遠にしても画質が荒れることなく、高い解像度で撮影することができます」(夜景写真家・中村勇太さん、以下同)

 

iPhone15 Pro Maxでは、「5×」をタップすると、簡単に光学5倍の望遠カメラに切り替えられます。

 

ほかにも、被写体を認識すると自動で「ポートレートモード」に切り替えてくれるのもiPhone 15シリーズならでは。背景のボケ感も幅広く設定ができ、まるで一眼レフで撮影したような写真になります。

 

写真家が教える「iPhone15/iPhone15Pro」の撮影術…13枚の作例で解説するポートレートモードの使いこなし

 

撮影前に設定を確認しよう!

撮影する前に、カメラ機能をデフォルトから自分好みに設定しておくのも大事なポイントです。iPhone 15シリーズで設定しておくと便利な機能を教えていただきました。

 

1.「アクションボタン」をカスタマイズする

「iPhone 15シリーズのProとPro Maxでは、側面のアクションボタンを好きなアプリに設定できるようになりました。従来のiPhoneシリーズですと、着信音のON・OFFを切り替えていたボタンです。ここを『カメラ』に設定しておくことで、画面OFFの状態や別のアプリを開いているときでも、すぐにカメラに切り替えられます。頻繁に撮影される方はカメラに設定しておくといいでしょう」

 

アクションボタンはカメラのほかにも、集中モードやボイスメモ、翻訳、ショートカットなどに設定することができます。

 

【設定方法】
設定アプリ→「アクションボタン」→「カメラ」を選択。

 

2.4800万画素&「Apple ProRAW」での撮影には、事前の設定を

「もう一つ、iPhone 15 ProおよびPro Maxを使い、最高解像度である4800万画素の写真を撮る際は、あらかじめ設定が必要です。何も設定しない状態だと、1200万画素で撮影されます。ですが、Apple独自の『Apple ProRAW』という形式で保存することで、4800万画素の写真を撮ることができるのです
iPhoneには自動で写真を調整し、HEICやJPEG形式に圧縮して保存する機能が備わっています。これにより、容量の軽い写真データを保存しておくことができますが、調整・圧縮が行われることで写真の品質は落ちてしまいます。ProRAWに設定しておくことで、調整や圧縮を行う前の状態で写真が保存されます。その分、容量は重くなりますが、高品質のまま保存できるのです。
ただし、ProRAW形式のまま保存し続けるとiPhoneの容量がいっぱいになってしまうので、必要に応じて切り替えるといいでしょう」

 

「ProRAWに設定すると、撮影画面の右上に表示が出ます。タップするとON・OFFの切り替えができるので便利です」

 

【設定方法】
最大4800万画素・ProRAW形式の場合……
設定アプリ→カメラ→フォーマット→「ProRAWと解像度コントロール」をON→「プロデフォルト」を「ProRAW(最大)」に設定。

※「プロデフォルト」を「ProRAW 12MP」にすると、最大画素数を1200万画素に抑えて撮影できます。

 

iPhoneでもっときれいに撮影するには? 写真のプロが解説するiPhone 14シリーズの撮影術とマクロや望遠、Apple Pro RAWの使い方

 

3.ガイドを設定し、構図を決めやすくする

「あとは基本的なところで、『グリット」と『水平』といったガイド機能もONにしておきましょう。構図を決めるのにガイドがあった方が便利です」

【設定方法】
設定アプリ→「カメラ」→「グリット」と「水平」をONにする。

 

プロが撮影するような
きれいな夜景写真を撮影する秘訣は?

設定が完了したら、夜景撮影に挑戦してみましょう。「夜景は目で見るととても美しいのに、撮影するとなんだかイマイチ……」と感じていた人でも、プロのようにきれいに撮るコツはあるのでしょうか?

 

1.画角に光を集めること

「夜景撮影で大切なのは、なるべく構図の中に明るい被写体を集めることです。iPhone 15シリーズのカメラが高性能といっても、明かりが少ない場所では画質の荒い写真になってしまいます。なぜかというと、明るさが十分でない場所では、iPhoneはISO感度を自動で上げるからです。ISO感度が上がれば明るく撮影できますが、その反面、粗さが出てしまいます。ですから、なるべくISO感度を上げないように明かりを集めた構図で撮影するのがポイントです」

構図の中に明るい場所を多くすることで、高画質のまま夜景を撮影できます。

 

・「ナイトモード」も知っておこう

かなり暗い場所では、iPhoneが自動的に判断してナイトモードが使われます。ナイトモードによって、暗所でも明るく撮影することができます。

 

iPhone 14の夜景撮影術…AE/AFロックやポートレートモードの使いこなし方

 

2.メリハリをつけた構図にする

「構図の中に明かりを多く入れるメリットは、ほかにもあります。例えば、何もない夜空を構図に多く入れるよりも、きらびやかなビルの明かりや、明かりが反射した水面を入れてみてください。美しい一枚に仕上がるはずです」

 

空や水面など、暗くて何もない部分が多いとぼやけた印象に。

 

ビル明かりや水面に映った光など、要素が多く入ることで印象的な夜景写真に仕上がります。「川沿いであれば橋を入れてみるのもおすすめです。奥行きが出て動きのある写真になりますよ」

 

3.望遠カメラを活かして構図を決める

「構図を決める際に活躍するのが、光学3倍または5倍の『望遠カメラ』です。イルミネーションを撮る際、イルミネーション全体を撮った方がいいか、それとも景色の一部分を切り取った方がいいかなど、構図を練る際にカメラを切り替えて画角を決めていくといいと思います。
一昔前のスマートフォンには複数のカメラが付いていなかったため、デジタルズームで拡大していました。ですが、デジタルズームで拡大すると粗さが目立ってしまうため、きれいに撮るためにズームしない方がよかったんです。その点、iPhone 15のProやPro Maxは、光学の望遠カメラが搭載されているので、粗さが出る心配がなくなりました。積極的に使いたい機能ですね」

 

24mmの広角カメラで撮影。きらびやかな街の雰囲気が分かる一枚。

 

同じ場所で光学5倍の望遠カメラを使って撮影。イルミネーションの並木道がフォーカスされ、上の画像と印象の異なる写真になりました。

 

4.ピントを合わせることを忘れずに!

「画面をタップするとピントを合わせることができます。この時、タップした部分を基準に露出設定も行われています。夜景やイルミネーションを撮影する際に、光がぼやけてうまく撮れないという方は、タップしてピントを合わせる習慣をつけてみてください。あとは、両手でしっかりと持ち、ブレないようにすることも大切です」

 

ピントを合わせたいところをタップすると、露出量を調整するマークも一緒に出てきます。

 

5.こんな写真も面白い! 光の反射を活かした夜景写真を撮るには

「光を反射するものを使えば、少し変わった写真が撮影できます。例えば、人工大理石のようなつるつるした素材のベンチや床、水たまりなどがあればカメラを近づけてみてください。反射部分が広く映り込み、光がたくさん入ったきれいな写真が撮れますよ」

 

よくある構図の写真も、手前にあるベンチにカメラを近づけてみると……。

 

ベンチに光が反射して、美しい一枚が撮れました。

 

夜景撮影のプロが撮りたくなる
おすすめの夜景とは?

夜景撮影を専門に活動されている中村さんは、国内外のさまざまな夜景スポットを撮影してこられました。夜景を熟知されている中村さんが、思わず撮影したくなる夜景とは?

 

「その時、その瞬間にしか見ることのできない夜景を撮影するのが好きですね。最近よく撮影しているのは、富士山の夜景です。夜景といっても、暗くなりきらない夕暮れ時の景色を撮影しています。東京や神奈川でも天候がよければ、ビルの隙間から見える富士山が撮影できるんです。冬は空気が澄んでいるので、富士山もよく見えるんですよ。
ほかの季節では、夏は花火が上がる夜空を撮影したり、梅雨の時期は雨が降っている様子も入れながら撮影しています。日中には撮れないような幻想的な写真を一瞬一瞬切り取っていくのが、夜景撮影のおもしろさだと思います」

 

とくに素敵に撮れたという夜景写真は、冬に訪れた北海道札幌市の藻岩山で撮影した一枚。「札幌市街に積もった一面の雪に札幌市内の街の明かりが反射して、とても幻想的な写真が撮れました」

 

 

プロの機材はなくとも、iPhone 15 ProやPro Maxの力を借りれば、プロ顔負け(?)の雰囲気ある夜景が撮れるはず。ぜひチャレンジしてみてください。

 

 

Profile

夜景写真家 / 中村勇太

夜景情報サイト「夜景FAN」の運営や夜景コンテンツの提供、各種メディアでの夜景企画監修など、「夜景×撮影」を軸に活動する夜景撮影の専門家。2016年には夜景オフィス株式会社を設立。台湾での夜景取材も行っており、2022年には台湾情報サイト「もっと台湾」をリリース。撮影だけでなく、自社メディアの開発・運営のノウハウを活かし、Webサイト制作や運用のサポートなども手掛けている。
「夜景FAN」

 

写真家が教える「iPhone15/iPhone15Pro」の撮影術…13枚の作例で解説するポートレートモードの使いこなし

2023年9月に発売された「iPhone 15」シリーズ。ラインナップはiPhone 15/iPhone 15 Plus/iPhone 15 Pro/iPhone 15 Pro Maxの4種類で、今回もさまざまな機能が進化しています。注目のカメラ機能も高性能になり、よりクオリティの高い写真が撮れるようになりました。

 

毎年、進化するカメラ機能を使いこなし撮影する方法を解説してきた@Living。今回も、iPhone 15シリーズのカメラの進化したポイントや上手に写真を撮るための方法を、作例を交えながら紹介していきます。解説と作例の制作は、写真家のこばやしかをるさんにお願いしました。

写真のプロに聞いた、iPhoneカメラの魅力

新しいiPhoneが発売されるたびに話題になるカメラ機能の進化。写真のプロであるこばやしさんに、iPhoneカメラのすごさをあらためて教えていただきました。また、実際に15Proで撮影してみて感じたことについても伺いました。

 

「iPhoneカメラのすごさは、撮った絵がすでに完成されているところです。画質の良さはもちろんなのですが、画像処理の能力が高いので、後からソフトで色味などを調整しなくても、満足度の高い写真を撮ることができます。iPhone 15 Proで撮影してみて、よりいっそう、そのすごさを実感しました。iPhoneカメラの登場によって、一眼レフを持っていなくても、日常の中で気軽にクオリティの高い写真が撮れるようになったことは、本当に革新的なことだとあらためて感じました」(写真家・こばやしかをるさん、以下同)

 

万人が好むような絵を描き出してくれるところもiPhoneカメラの良さです。また、iPhone 14シリーズではProシリーズのみだった4800万画素での撮影も、15シリーズからはすべての機種で対応できるようになりました。

 

こちらはナイトモードで撮影した写真。暗い場所でも自動で明るさを調整し、目で見る以上にきれいな絵を描き出してくれます。

 

iPhoneでもっときれいに撮影するには? 写真のプロが解説するiPhone 14シリーズの撮影術とマクロや望遠、Apple Pro RAWの使い方

 

押さえておきたい、
iPhoneカメラで撮影するときのポイント

高性能のiPhoneカメラですが、使いこなすために知っておきたいiPhoneならではの特徴もあります。撮影する前に押さえておきたいポイントや活用すると便利な機能について教えていただきました。

 

1.レンズの特性を知っておく

「iPhoneのカメラは、1倍で撮影してもかなり画角が広くなるのが特徴の一つです。例えば15 Proでは、1倍のレンズが24ミリなのですが、これは一眼レフでいうとかなり広角のレンズ。そのため、1倍で撮影したときに歪んで見えたり、画角が広すぎると感じたりしたときは、2倍で撮影するのがおすすめです。
iPhone 15シリーズからは、Proシリーズ以外でも『2倍』のズームオプションが追加されたので、タップするだけで簡単に切り替えることができます。ちなみに、15 Proは2倍と3倍のズームオプション、Pro Maxには2倍と5倍のズームオプションが搭載されています」

 

15 Pro のカメラ画面。タップするだけで倍率を簡単に切り替えることができます。

 

それぞれの数字を長押しすると、何ミリのレンズで撮影しているのかを確かめることができます。

 

「また15Proシリーズでは、メインカメラのレンズを24ミリ、28ミリ、35ミリから選ぶことも可能です。一眼レフでレンズを付け替えるような感覚を、iPhoneカメラではタップするだけで行うことができます」

 

 

【設定方法】
設定アプリ→「カメラ」→「メインカメラ」から、レンズを追加したりデフォルトのレンズを選択したりできます。

 

2.とにかく水平・垂直を意識!

「これはiPhoneカメラでの撮影に限りませんが、写真はとにかく水平・垂直を意識することが大切。特に画面の中心にある被写体や、地面や水平線が斜めになっていると、とても違和感のある写真になってしまうので注意しましょう。iPhone15シリーズのカメラには、水平・垂直での撮影がしやすくなるための2つのガイド機能があるのでぜひ活用してみてください」

 

 

「一つ目の機能が、格子状のガイド線を表示させる『グリッド』。常に表示させておくことで、水平・垂直が取りやすくなり、構図も決めやすくなります。そして二つ目がiOS17から追加された『水平』を表示する機能です。画面の真ん中に表示される線が一直線になるよう調整し、カメラが水平の状態で撮影するようにしましょう」

 

【設定方法】
設定アプリ→「カメラ」→「グリッド」と「水平」をON

 

進化した「ポートレート」機能を使いこなす!

iPhone15シリーズのカメラの中で、これまでと比べて特に進化しているのがなんといってもポートレート機能です。撮影後もさまざまな編集ができるなど、とても万能に使えるため、こばやしさんも「最初からすべてポートレートで撮影しておいても良いのでは?」とおっしゃるほど! ポートレート機能で進化したポイントや使いこなすための方法を教えていただきました。

 

1.通常のカメラでもポートレート撮影が可能に

「iPhone15シリーズの通常のカメラでは、被写体を認識すると自動でポートレートモードに切り替えることができます。これにより、わざわざ『ポートレートモード』に切り替えなくても、より気軽で簡単にポートレート写真を撮ることが可能になりました」

 

通常の「写真」モードで人物などの被写体を認識すると、画面の左下に「f」マークが出てくるように。タップすると背景が自然にぼかされ、簡単にポートレート写真を撮影することができます。

 

「ポートレートで撮影後は、『編集』からF値の調整が可能です。一眼レフカメラなどのレンズの絞り値と同様で、数値が小さいほど背景がぼけやすくなります」

 

2.ポートレートモードのオン・オフを後から切り替えできる

「iPhone15シリーズでは、ポートレートモードで撮影した後にポートレートのオン・オフも選べるようになりました。とりあえずポートレートモードで撮影しておけば、『やっぱり普通の写真にしたい』と思ったときでも、オフにするだけで切り替えられるのでとても便利です」

 

左がポートレートモードで撮影した写真で、右がオフにした写真。ポートレートモードで撮影した写真はカメラロールの左上にポートレートのオン・オフを切り替えるタブが表示されます。

 

3.ピントを合わせたい被写体を自由に変更できる!

「ポートレート機能の進化の中でも、特に驚いたのが、ピントを合わせる被写体を後から変えられる機能。『こんなことができて良いのか!』と、すごすぎて恐ろしくなりました(笑)」

 

「例えば左は、手前のケーキにピントを合わせてポートレートモードで撮影した写真。右も同じ写真ですが、後から編集して、後ろにぼやけて映っていたサンドイッチにピントを合わせました。手前のケーキは自然にぼかされています」

 

 

「ピントの切り替えはとても簡単。『編集』から左上の『f』マークを選び、ピントを合わせたい被写体をタップするだけでOKです。さらにF値を調整して、ぼかし具合を変えることもできます」

 

ただし、これは確かにすごい機能ですが、だからといって“なんでもぼかせば良い”というわけでもない、とこばやしさん。

 

「今回の写真の場合なら、サンドイッチとケーキのうち、主役として見せたいものにピントを合わせるのが良いと思います。あるいはどちらも見せたい場合は、ポートレートをオフにするのもアリです。『何をどのくらい見せたいか』を考えながら、上手に活用しましょう」

 

こちらがポートレートをオフにした写真。「サンドイッチもケーキもかわいらしくて写真映えするので、ぼかさずにどちらも見せるのも良いと思います」とこばやしさん。

 

4.撮影できる被写体の幅が広がる、望遠のポートレート

「ポートレートの望遠機能も、さまざまな場面で活用できて便利です。中でも私が使いやすいと感じたのが、15Proに搭載されている3倍のズームオプション。近づくことが難しい被写体も上手に撮れますし、背景にきれいな玉ボケをつくることができます」

 

「こちらは3倍のポートレートモードで撮影した散歩中の犬の写真。近づいて撮ったかと思うほど鮮明に撮影することができました。ポートレートモードはこのように、ペットの写真や柵などの中にいて近づけない動物などを撮るときにも重宝します」

 

「こちらも同じく、3倍のポートレートモードで撮影した花の写真です。望遠のポートレートで撮るときは、背景に奥行きのある場所で撮るのがおすすめ。後ろにきれいな玉ボケができるので、雰囲気のある写真を撮影することができます」

 

いつもの写真をワンランクアップさせるための撮影術

ここからは、iPhoneで撮る写真をワンランクアップさせるためのコツをご紹介。ちょっとしたコツで、いつもの写真もより素敵に仕上がります。

 

・「光」を上手に活用する

写真を撮る上でとても重要なのが「光」。同じ構図でも、光の入り方などによって写真の印象は大きく異なります。正解があるわけではなく、光を上手に操れるようになることが大切です。

「左側は光が差し込まない場所で撮影し、右側は被写体の斜めから光が入る場所で撮影しました。同じ構図でも雰囲気の異なる写真になることがわかりますが、どちらの写真が良いというわけではありません。光の角度や向きによって写真の雰囲気が異なるとを知っておくことで、写真が撮りやすくなったり、自分のイメージに近い写真を撮ることができるはずです。

 

また食べ物の写真を撮るときには、食べ物の『顔』を意識することもポイント。この写真では、ケーキの上の部分やサンドイッチの中身がうまく見える角度から撮ると良いと思います。そのほか、平らなものは俯瞰で撮影するなど、その食べ物がおいしそうに見える角度を探してみてください」

 

もう一つのポイントとして、「明るさ(露出)」の調整についても教えていただきました。

 

「被写体をタップすると太陽マークが表示され、それを上下に動かすと明るさを調整できます。また、画面上部の下矢印をタップして、プラスマイナスのマークを選ぶと、数値で調整することも可能です。後者のやり方で設定した数値は、次にカメラを開くまでロックされます(iPhone11以降対応)」

 

「明るさは、肉眼で見えるのと同じくらいになるよう調整するのが基本です。左の写真のように明るくし過ぎると、白くなりすぎたり見せなくても良い部分まで見えたりするので注意。逆に露出を下げ過ぎると暗くなってしまいますが、右の写真くらいの暗さなら水面の影が濃く見えて素敵だと思います。明るいところと暗いところの差などもチェックしながら、好みで調整してみてください」

 

・トリミングでバランスを整える

不要なものが映ってしまったときはもちろん、写真全体のバランスを整えたいときにも便利なのがトリミング機能です。

「トリミングをするときは、まず画角を決めるのがおすすめ。例えば、インスタグラムに投稿したいときは、スクエアや縦向きの4:5で行うのが良いと思います。上の写真では、右端に映ってしまったオレンジのネット部分をカットし、噴水が真ん中にくるよう位置を調整しました。さらに、上下の葉っぱと水面のバランスを見ながら整えれば、よりクオリティの高い写真に仕上がります」

 

・「主役」を決めてから撮る

きれいな風景を撮ってもなんだかぼんやりした写真になってしまう……。そんなときには見せたいもの=「主役」をはっきり決めてから撮影してみましょう。

こちらはNG。

 

“主役”が明確なOKカット。

 

「例えば、花の写真を撮るときにやってしまいがちなのが、上の作例のように全体を撮ってしまうこと。どこを見せたいのかが分からず、写真の中にスカスカな部分もあって、ぼんやりした印象になってしまいます。

 

一方で下の写真のように、主役の花を決めて撮ると花の美しさがより伝わります。また、主役の選び方も大切。花の場合は、花びらがしっかりと上を向いているものや、色が鮮やかなもの、傷んでいないものを選ぶようにすると、映える写真が撮れると思います。常に『何を見せたいか』を意識しながら撮影してみてください」

 

iPhone 14の夜景撮影術…AE/AFロックやポートレートモードの使いこなし方

 

日常で「素敵な写真」を撮るには?

最後にこばやしさんから、iPhoneカメラを使って、日常の中で素敵な写真を残すためのアドバイスをいただきました。

 

「私が素敵だなと思うのは、温度、空気、音などを感じられる写真です。それは例えば、友達といるときや、ご飯を食べるときなど、その場を『楽しい』と感じながら撮った写真によく表れます。

 

また、良い写真を撮るためには素直さも大切です。技巧にこだわりすぎるよりも、丁寧に撮ることを意識したり、被写体に対して『好き』というまっすぐな気持ちをもったりすると、自然と写真も良いものになると思います。iPhoneのカメラは、気軽にいつでも撮影ができて、日常の写真を残しやすいところが大きな魅力です。季節の移り変わりや美しい光など、日常の小さなところに目を向けながら、自分が『いいな』と素直に思える瞬間をぜひたくさん撮ってみてください」

 

Profile

写真家・クリエイター / こばやしかをる

写真塾やワークショップを通して、写真は楽しい! をカタチにする写真企画のブランド「Photo Plus+」主宰。スマホカメラから一眼レフまで幅広く指導している。クリエイターとして、デザイン制作・企画、プロデュース、ディレクションを行いながら、写真・カメラ雑誌、WEB等にも執筆・寄稿するなど、ライターとしても活動中。
HP

iPhone 14の夜景撮影術…AE/AFロックやポートレートモードの使いこなし方

2022年9月に発売されたiPhoneの新モデル「iPhone 14」。気になるカメラの性能と撮影術については、「iPhoneでもっときれいに撮影するには? 写真のプロが解説するiPhone 14シリーズの撮影術とマクロや望遠、Apple Pro RAWの使い方」でも取り上げましたが、今回はさらに踏み込んで、きれいに夜景を撮影する方法について紹介します。

 

【関連記事】 iPhoneでもっときれいに撮影するには? 写真のプロが解説するiPhone 14シリーズの撮影術とマクロや望遠、Apple Pro RAWの使い方

 

iPhone 14のカメラ性能をおさらい

夜景撮影術を知る前に、iPhone 14のカメラ性能についておさらいしておきましょう。メインカメラの画素数はiPhone 13シリーズと同等の1200万画素ですが、F値(絞りの大きさによるカメラに取り込まれる光量を数値化したもの)がF1.6からF1.5に向上して、より明るく鮮やかに撮影することが可能になりました。また、独自機能「ポートレートモード」も進化し、従来の被写体の背景ボカシに加えて、iOS 16では被写体の前ボケ撮影も可能になったのです。

 

新たに搭載された機能は、「Photonic Engine(フォトニックエンジン)」。カメラ機能を高画質にする「Deep Fusion(ディープフュージョン)」を画像処理の早い段階で適用することで、暗い場面でもより美しい画像が得られるという技術で、最大2倍の性能向上が見込めるとか。さらに、強力な手ぶれ補正機能「アクションモード」により、動きながらの撮影でもジンバル(3軸電動で手ぶれを防止するデバイス)を用いているかのような、スムーズな映像も撮影できるようになりました。

 

iPhone 14のカメラを使って夜景を撮影してみよう

早速、夜景撮影のコツを共有していきましょう。夜景を撮影すると、上手くピントが合わなかったり、うす暗く写ってしまったり……とがっかりしたこともあるのでは? iPhone 14のカメラの性能を活用すれば、それも克服できるはず。夜景撮影のコツとして、以下のポイントをおさえておきましょう。

 

1.「ナイトモード」でより鮮明な画像を撮影する

iPhone 11シリーズから実装されている「ナイトモード」とは、暗闇でもきれいに写真が撮影できるモードのこと。iPhone本体が自動的に暗闇を判断しモードを切り替えるので、ユーザーがとくに設定をする必要はありません。

 

ちなみにiPhone 14では、前述のPhotonic Engineが搭載されたことにより、従来のシリーズよりも切り替わるタイミングが遅くなったように感じられると思いますが、これは通常モードであってもより暗所での撮影が可能になったため。

 

つまりカメラ任せでもじゅうぶんきれいな夜景は撮れるわけですが、もっと自分好みの鮮明さで撮影したい! と思うなら、手動でナイトモードに設定し、任意でシャッタースピード(カメラのシャッターを開けている時間=露光時間)を選ぶことも可能。基本的に、露光時間が長いほうが、被写体を明るく鮮明に写しとれます。

 

↑ナイトモード時は、画面左上に黄色いアイコンが表示されます。数字は露光時間で、場所の暗さに応じて変化。下部のメーターを左右させることで任意でシャッタースピードを選ぶこともできます。

 

【「ナイトモード」のマニュアル設定】
(1) カメラアプリを開いた状態で、画面左上の「ナイトモード」アイコンをタップ。
(2) アイコンがグレーから黄色になったことを確認。
(3) 黄色になったアイコンを再びタップ。露出時間を調整して完了。

 

ただし、シャッタースピードが遅くなり露光時間が長くなるほど、写真はブレやすくなります。任意で選べるとはいえ、iPhoneは周囲の明るさに応じた適正な範囲内で、露光時間の最大値を調整してくれるので、失敗はしにくいといえるでしょう。

 

2.「AE/AFロック」でピントと明るさを自分好みに

続いて、明るさやピントも、自分好みに調整してみましょう。その際に活用したいのが、「AE/AFロック」機能です。

 

AEとは、Automatic Exposureの略で露出(明るさ)を自動調整する機能。またAFはAuto Forcusの略で、自動でピントを合わせてくれる機能のこと。つまりこれらをロックし自動調整を行わないことで、いつもと違った写真が撮れるわけです。

 

まずはiPhone 14で、フルオートでイルミネーションを撮影してみましょう。iPhone 14では明るいイルミネーションが白飛びすることも、暗い周囲が黒つぶれすることもなく、美しい夜景写真が撮れます。

 

↑オートで撮影。

 

ではちょっと人とは違った写真を撮るには? ここで「AE/AFロック」機能を使い、自動調整を無効にしてみます。

 

↑「AE/AFロック」を使った写真。

 

「AE/AFロック」によってピントと明るさをマニュアルモードにしてから、明るさだけを変えてみます。例えばあえて全体的に暗くし、イルミネーションだけが浮かび上がらせる、なんてことも。

 

【AE/AFロックの操作方法】
(1) 撮影画面の中で、露出とピントを合わせたいところを長押しする。
(2) 「AE・AFロック」の文字が表示されたらロック完了。

 

↑AE/AFロックを設定した画面。

 

明るさは、タップした場所の明度が基準となって調整されますが、タップした部分を示す黄色い枠の横にある太陽マークを上下にスライドさせることで、好みの明るさに調整し固定することが可能です。

 

↑太陽マークを上にスライドすれば明るく、下にスライドすれば暗く調整できます。

 

3.「前ボケ・後ろボケ」でメインの被写体を際立たせる

焦点を絞って周囲をボカすことで被写体を際立たせると、ぐっとセンス良く写ります。iPhone 14と同時に発表された最新OS、iOS 16の「ポートレートモード」では、前方にピントを合わせ後ろをボカすだけでなく、逆の前ボケ撮影も可能になりました。前後を自在にボカせるようになったことで、必要な被写体だけがより際立つ一枚をさまざまに撮影できるようになったというわけです。

 

イルミネーションなどの夜景をポートレートモードで撮影すると、光が丸くボヤけている “玉ボケ” 効果を狙うことができます。まずは、後ろボケから見てみましょう。

 

前方の被写体が際立ち、背景のイルミネーションがきれいに玉ボケしています。

↑前方にピント。

 

後方にピント。

 

ポートレートモードでは、主要な被写体にだけフォーカスがあたっているおかげで、前後にモノがあってもすっきりまとまった印象の画像を撮影することができます。ちなみにこの際にも効果的なのが、さきほどの「AE/AFロック」。ロックしてしまえば、カメラを動かし好きなアングルを探していても、ピントが外れてしまうことがありません。

 

【応用編】水面のリフレクションを狙う

最後に、iPhone 14の機能や性能に頼らないおまけの撮影術。ほかにも新鮮な夜景写真を撮ってみたいという場合は、「リフレクション」を狙ってみてはいかがでしょうか?

 

雨上がりで濡れた地面には、イルミネーションなどの光が映り込んでいます。この映り込みがあると、より幻想的な画像を撮影可能。雨上がり以外にも、池や湖など水面であればリフレクション写真を撮ることができます。

 

同じ場所でもがらりと雰囲気が変わる夜景。コツをしっかり押さえることで、スマホでは難しいと思われている夜景もきれいに撮影することができるはずです。お出かけの帰り道や夜の散歩の時には、綺麗な「夜景」をぜひ撮影してみてはいかがでしょうか。

 

 


提供元:心地よい暮らしをサポートするウェブマガジン「@Living」

iPhoneでもっときれいに撮影するには? 写真のプロが解説するiPhone 14シリーズの撮影術とマクロや望遠、Apple Pro RAWの使い方

2022年9月にiPhoneの新モデル「iPhone 14」が発売されました。ラインナップは、iPhone 14、iPhone 14 Plus、iPhone 14 Pro、iPhone 14 Pro Maxの4モデル。さまざまな機能が追加されたりアップデートされたりしたなかで、気になるカメラの性能もさらにアップしました。

 

そこで、iPhone 14シリーズのカメラがこれまでと比べてどのように進化したのか、またどのような写真を撮ることができるのか、フォトグラファーの山崎理佳さんに教えていただきました。さらに山崎さんが考える、日常の暮らしのなかで素敵な写真を撮る方法についてもうかがいました。

 

iPhone 14シリーズのカメラは、どこが進化した?

iPhoneの新機種が発表されるたびに話題になるカメラ機能。今回発売されたiPhone 14シリーズのカメラはどのような特徴をもつのか、プロの視点から教えていただきました。

 

1.暗所の写真がより美しく表現できるようになった

「今回発売されたiPhone14シリーズのカメラで進化したところの一つは、暗い場所での撮影です。メインカメラのセンサーが進化し、より多くの光を取り込めるようになったことで、暗い場所でもノイズ(画像の荒れ)が少ないきれいな写真が撮れるようになりました」(フォトグラファー・山崎理佳さん、以下同)

↑「左側はiPhone 11 Pro、右側は14 Proのナイトモードで自宅のベランダから撮影した夜空。14 Proのほうが全体的に明るく写り、ノイズも少ないのがわかります。手持ちでもオリオン座をはっきりと写すことができました」

 

2.「Apple Pro RAW」の性能がアップし、4800万画素の撮影も可能に

さらに山崎さんが驚いたというのが、Proシリーズに搭載されている「Apple Pro RAW」の機能。iOS 14.3以降を搭載したiPhone 12 Pro以降のProシリーズで使えるApple Pro RAWですが、iPhone 14 Proではさらにパワーアップしました。

 

「『Apple Pro RAW』は、日頃から写真を編集する人にとって、かなり便利な機能です。そもそもスマートフォンで普通に撮った写真は、iPhoneによってすでに明るさや色が調整された状態です。後から編集することもできますが、例えるなら、完成した料理の上からさらにソースをかけているような感じ。これでは、もともとの素材の味がわかりにくくなってしまいます。

それに対して、明るさや色が調整されていない生のデータがRAWデータ。Proシリーズに搭載されているApple Pro RAWで撮影した写真は、『Photoshop』や『Lightroom』などのアプリ上で、自分の好きなように明るさや色を編集することができます。こちらは、素材から自由に料理をつくることができる、というイメージです。編集しても画像の劣化が少なく、よりきれいな画像に仕上げることができます。

さらに、iPhone 14 Proから、Apple Pro RAWの写真を 1200万画素だけでなく4800万画素でも撮影できるようになったのはうれしいですね。スマホで撮影したとは思えない解像度の高い画像で、一眼レフカメラのRAWデータと同じような感覚で編集することができます」

↑Apple Pro RAW で撮影した写真の元データ。
↑PhotoshopやLightroomなどの編集ソフトを使って、色味を華やかにしたりモノクロにしたり、画像を劣化させずに自分の好きなように編集できます。

 

【対応機種】
iPhone 14 Pro、iPhone 14 Pro Max

 

【設定方法】
設定アプリ→「カメラ」→「フォーマット」→「Apple Pro RAW」をON
「Pro RAW 解像度」→「12 MP」「48 MP」のどちらかを選択できます。
※メインカメラで1倍の撮影時のみ、4800万画素で保存できます。
※ポートレートモードではApple Pro RAWは使用できません。

 

3.4K動画も撮影可能に!

さらにiPhone 14 Pro、iPhone 14 Pro Maxでは、ムービーの機能も進化。シネマティックモードが4Kで撮影できるようになったり、手ぶれが補正されたなめらかな映像が撮れるアクションモードが追加されたりと、より本格的なクオリティの動画が撮れるようになりました。

 

【関連記事】iPhone8以降iPhone14まで対応の「iOS16」で見逃しがちな便利機能

 

これだけはおさえておきたい!
iPhoneで撮影するときの3つのポイント

最新のiPhone 14を使って撮影する前に、まずはiPhoneカメラの基本的な撮影方法をチェック。「これだけはおさえておきたい!」という3つのポイントを、山崎さんに教えていただきました。

 

1.「グリッド線」を表示させて、水平垂直と4つの交点を意識する

「iPhoneカメラでぜひ使ってほしいのが、『グリッド線』と呼ばれる格子状のガイド線を表示させる機能です。床やテーブル、柱などの本来水平垂直なものが曲がっていると、不安定な印象に。グリッド機能を使うことで水平垂直を簡単に取ることができます。また、線が交わる4つの交点の対角線上に被写体を置くと写真の構図が決めやすく、複数の被写体の配置で悩んだときに便利です」

↑4つの交点の対角線上に被写体を置くと、自然とバランスが取れます。「同じような構図でケーキとコーヒーの配置などにも使えますよ」

 

【設定方法】
設定アプリ→「カメラ」→「グリッド」をON

 

2.見せたいものやシーンによって「光」を使い分ける

写真を撮るときには「光」の使い方も大きなポイント。下の2枚の写真を比べると、光が入る位置によって写真の印象が全く異なることがわかります。

「左側は、被写体の斜め後ろから光が入る『斜逆光』で撮影したもの。陰影ができるので、被写体を立体的に見せることができます。ポートレートを撮るときにもおすすめの光です。

一方で右側は、被写体に対して光が正面から入る『順光』で撮影したもの。被写体に直接光が当たることで、色や形をはっきりと写すことができます。商品の撮影など、色味を正確に伝えたいときは順光がおすすめです」

↑薄い葉っぱは光を通すので、逆光で撮ると葉脈が浮き出てきます。

 

「こちらの葉っぱの写真は、被写体の背後から光が入る『逆光』で撮影したもの。ガラスなどの透けるものを撮るときや、被写体をシルエットで撮りたいときに逆光で撮ると、雰囲気のあるおしゃれな写真になります。iPhoneカメラには、ちょうどいい明るさに自動で調整してくれるHDR(ハイダイナミックレンジ)機能があるので、逆光での撮影は一眼レフよりも得意かもしれません。被写体やシーンによって、光を使い分けてみてください!」

 

3.撮影する場所によって、明るさを調整する

3つ目のポイントは、写真の明るさを調整すること。明るさを調整しないと、下の2枚の写真のように、背景によって被写体が明るくなりすぎたり、逆に暗くなりすぎたりすることがあります。

「上の写真は、同じ多肉植物を黒い背景と白い背景で撮影したもの。特別な設定はしていませんが、黒い背景は多肉植物が明るく、白い背景は暗く写っています。明るさが変わってしまうのは、カメラが『暗い場所だ』と認識すると写真全体を明るく、逆に『明るい場所だ』と認識すると写真全体を暗く調整してしまうためです」

 

↑被写体を長めにタップして太陽マークを表示させ、上下に動かして明るさを調整します。

 

「黒っぽい背景や暗い場所では暗く、白っぽい背景や明るい場所では明るくしていきます。肉眼で見えるのと同じくらいの明るさになるよう調整していくのがポイントです」

「上の2枚は、左は暗く、右は明るく調整して撮影したもの。何もせずに撮った写真と比べると、多肉植物の明るさも色も自然になり、きれいに写すことができました」

 

【関連記事】 マクロ撮影、フォトグラフスタイル…プロが新機能を解説!「iPhone 13」シリーズ撮影術

 

iPhoneで撮影する際に知っておきたい基本的機能を押さえたところで、次のページではiPhone 14シリーズでの撮影のコツを、撮り下ろしの作例とともに解説していただきましょう。

iPhone 14 Proを使って撮影してみよう!

おさえておきたい3つのポイントをチェックした後は、いよいよiPhone 14 Proを使って撮影術をレクチャーしていただきます。iPhone 14シリーズで使える機能の紹介に加え、それぞれの機能に適した撮影シーンや撮影方法についても解説していただきました。

 

遠くのものを撮るとき以外も大活躍!
望遠カメラ

遠くのものを切り取るときはもちろん、ものの形を歪みなく切り取るときにも便利な望遠機能。山崎さんがもっともよく使う機能だそうです。13Proでは0.5倍、1倍、3倍と3つの数字しか表示されなかったズームの数値が、14Proと14Pro Maxでは0.5倍、1倍、2倍、3倍と4つ画面表示されるようになりました。

 

【対応機種】
iPhone 14 Pro、iPhone 14 Pro Max

 

【撮影方法】

↑通常のカメラで画面下に表示される「2」または「3」をタップ。

 

【こんなときにおすすめ!】
・遠くにある建物や景色を撮影したいとき
・カフェやレストランで料理を撮影したいとき

 

「望遠機能が活躍するシーンの一つが、カフェやレストランで料理を撮るときです。望遠にせず1倍で撮影する人が多いと思いますが、近くにあるものをそのままの大きさで写そうとすると、角度がついて食器などが歪んで見えてしまうことも。そういうときは、被写体と少し距離を置き、望遠で撮ると上手く撮ることができます」

↑上は1倍で撮影、下は2倍で撮影したもの。

 

「上の2枚の写真を比べると、写真の中の被写体の大きさはほぼ変わりませんが、2倍で撮ったほうがポットやカップなどの歪みが少なく、きれいに見えますよね。ただ、望遠にしすぎると画質が粗くなるので注意。iPhone 14 Proは、2倍くらいなら1倍とあまり変わらないくらいきれいに撮影できます」

 

肉眼で見えないところまで鮮明に映し出す
マクロモード

マクロモードは、被写体に寄って、細部を鮮明に見せたいときにおすすめの機能。14Pro、14Pro Maxのマクロモードは、被写体との距離が2センチくらいであっても、ぼやけることなくピントを合わせることができます。

 

【対象機種】
iPhone 14 Pro、iPhone 14 Pro Max

 

【撮影方法】
通常のカメラで被写体に近づくと自動的にマクロモードに切り替わります。
※設定アプリから「カメラ」→「マクロ撮影コントロール」をオンにすると、マクロモードへ切り替わったときに画面左下にチューリップマークが表示されるように。手動でオン/オフを切り替えることも可能になります。

 

【こんなときにおすすめ!】
・植物や昆虫を撮影したいとき
・アクセサリーなどの小物を撮影したいとき

「被写体にかなり寄って撮れるので、上の写真のように、花びらについた水滴もはっきりと写すことができます。花の中心や葉脈など植物の一部分だけを撮ったり、アクセサリーや小物を撮影したりするときなどにもぴったり。ハンドメイド作品などを販売している人は、商品撮影にも良いと思います。肉眼では見えないところまで写すことができるので、アイデア次第で面白い写真が撮れそうです!」

 

“ぼかし”を使いこなす!
ポートレートモード

ポートレートモードは、背景がごちゃごちゃしている場面で威力を発揮します。また、iPhone 14シリーズ(iOS16)からは、背景だけでなく前景もぼかせるようになり、より幅広い使い方ができるようになりました。

 

【対応機種】
iPhone 14、iPhone 14 Plus、iPhone 14 Pro、iPhone 14 Pro Max

 

【こんなときにおすすめ!】
・人混みなど背景がごちゃごちゃした場所で撮りたいとき
・雰囲気のある前ぼけの写真が撮りたいとき

 

「ポートレートモードは自動的に背景をぼかしてくれますが、ぼかしはあとから調整することも可能です。そのため、人物や料理などを撮るときに『背景がうるさいな』と感じたら、とりあえずポートレートモードで撮影しておくといいと思います」

↑撮影した画像を開き、編集→左上の「f」をタップすれば、ぼかしの調整が可能。F値が0に近いほどぼかしは強くなります。

 

背景をあまり目立たせたくないときは、F2~2.8くらいがおすすめ。F値を0に近づけすぎると被写体が浮いたように見えたりして不自然になってしまいます。また、背景との境界線がわかりにくいガラスや植物の茎などは、ぼかしが強すぎると消えたように見えることもあるので注意!」

↑左がF2.8、右がF16で撮影したもの。

 

「上の2枚はF2.8とF16で、ぼかし具合を変えた写真。好みもありますが、今回はピンクの花を目立たせたいので、F2.8くらいがベストかなと思います。撮影した場所が素敵で背景も見せたいときは、ぼかしを控えめにするといいですよ!」

 

続いて、前景をぼかした写真も撮影してみました。

↑手前にぼかしたいものを置いて被写体をタップすると、自動で前景をぼかしてくれます。

 

前景をぼかすと写真に奥行きが出て華やかさもプラスされます。ただ、前景のぼかしは撮影後に調整することができないので注意。また、黒っぽいものや光を通さないものを手前に置くとただ黒い影になってしまうので、グリーンや透ける素材のものを入れるのがおすすめです」

 

空間を広く見せられる!
超広角カメラ

大きな被写体を画面におさめたり、狭い空間を広く見せたりするときに便利なのが超広角カメラです。iPhone14シリーズではカメラのセンサーがより大きくなり、取り込む光の量が増加。これにより、広い範囲もより明るく撮ることができるようになりました。

 

【対応機種】
iPhone 14、iPhone 14 Plus、iPhone 14 Pro、iPhone 14 Pro Max

 

【撮影方法】
通常のカメラで、画面下の「0.5」をタップして撮影

 

【こんなときにおすすめ!】
・建物など大きなものを画面におさめたいとき
・室内など狭い空間を広く見せたいとき
・空や草原などを壮大な雰囲気に見せたいとき

 

「超広角カメラは、後ろに下がって撮影できないときにも重宝します。ただ、1倍で撮るよりも被写体が小さくなってしまうので、風景を撮るときには手前に木々や花などを入れて奥行きを出したり、被写体に近づいたりして撮るようにしましょう」

↑左が1倍で撮影、右が超広角(0.5倍)で撮影したもの。

 

「上の2枚の写真は、木の根元から上に向かって同じ位置で撮影したもの。超広角カメラで撮影すると、幹全体を写すことができて、木々が覆いかぶさるような迫力を感じられる写真に! 竹林などを撮っても素敵だと思います」

 

より明るく撮れるようになった!
ナイトモード

暗い場所での撮影で活躍するナイトモード。iPhone14のナイトモードは露出が最大で2倍速くなり、より明るくシャープな写真が撮れるようになりました。

 

【対応機種】
iPhone 14、iPhone 14 Plus、iPhone 14 Pro、iPhone 14 Pro Max

 

【撮影方法】
暗い場所でカメラを起動すると、自動的にナイトモードに切り替わります。

 

【こんなときにおすすめ!】
・月や星を撮りたいとき
・街中の夜景を撮りたいとき

「上の写真はナイトモードで撮影した月です。手持ちでの撮影で、地球照まではっきり写すことができました。月を撮るときは、日没前後や少し光のある街中で撮るのがおすすめ。周囲が暗く、月だけが明るい状態で撮ると、月が白飛びしてしまうためです。月の撮影には少しコツがいりますが、街中の夜景は特別な調整をしなくても肉眼で見たままの景色を撮ることができますよ」

 

最後に、次のページでは番外編として、iPhoneの編集機能「トリミング」を使いこなす方法を教えていただきます。

【番外編】
iPhoneの編集機能「トリミング」を使いこなす!

いい感じに撮れたと思った写真も、よく見ると微妙に傾いていたり、端に余計なものが写っていたりしたことはありませんか? そんなときに便利なのが、iPhoneのカメラアプリにあるトリミング機能です。上手にトリミングするコツを山崎さんにうかがいました。

「トリミング機能を使えば、写真全体の傾きを調整したり端をカットしたりすることができます。例えば上の写真は、下部に頭や柵、影になった蕾が映り込んでしまっています。このように端に目立つものがあるとどうしても目がいってしまうので、トリミング機能を使ってカットしましょう」

 

↑撮影した写真を選び、「編集」をタップ。下部右側にある四角いマークをタップし、画像の四隅を動かすことでトリミングができます。

 

「トリミングをするときは『見せたいものを明確にすること』を意識。端にある余計なものをカットするだけで、見せたいものに自然と目がいくようになります。写真全体の余白がバランスよく埋まっているかどうかもチェックしてください」

 

「こちらがトリミング後の写真。余計なものがカットされ、中央のオレンジの花がより目立つようになりました。

 

そのほか、水平垂直に立っているものが若干傾いていたりすると、写真を見たときに違和感があるので、よっぽどの意図がない限りはグリッドに合わせたほうがいいと思います。先に説明したグリッド線を表示して、ぜひ試してみてください!」

 

自分らしい素敵な写真を撮るためには?

より高性能になったiPhoneのカメラを使えば、日常のさまざまなシーンで写真を撮るのがさらに楽しくなるはずです。最後に山崎さんから、日常の中で自分らしい素敵な写真を撮るためのアドバイスをいただきました。

 

「自分らしい写真を撮るためには、写真に限らず、映画、雑誌、本、ポスターなど、さまざまなものを見て、自分がどんなときに『あっ、いいな~』と思うのかを客観的に考えてみるといいと思いますよ。それがわかったら、それに出会える場所に出向けばいい。私が素敵だなと思うシーンは、被写体を印象的に見せる透明感のある光や、儚い光。太陽が低い位置にある朝や夕方の光は、世の中をすごくきれいに見せてくれるんですよね。ぜひ、ちょっと早起きしたり帰り道に一駅手前で降りて歩いたりして、いい光を探してみてください!

 

スマートフォンカメラの良さは、いつでも気軽に写真が撮れるところ。日常の中で素敵だなと思ったシーンをパシャパシャ撮っていくことで、だんだん洗練された写真が撮れるようになっていくと思います。自分が『いいな』と思った瞬間を逃さず、どんどん撮ってくださいね」

 

【プロフィール】

編集者・フォトグラファー / 山崎理佳

写真関連本の編集者・フォトグラファー。写真のアトリエ「ReCamera」にて、ワークショップや写真撮影を行う。編集者の視点で写真を撮り、また毎日をより彩りあるものをするために、撮り方をわかりやすく伝えるのがライフワーク。著書に『まるごとわかる! 撮り方ブック』(日東書院本社刊)のシリーズ本3冊。
Instagram「risakan_yuharu」

 

覚えておいて損はナシ! 天候別サクラのきれいな撮り方

もうすぐ2月も終わりです。3月に入れば、いよいよ待ち焦がれた春がやってきます。ニッポンの春といえば“桜”ですよね! 今年はどこにお花見に行こうかな? と、今から楽しみにしている人も多いことでしょう。

37243434 - spring cherry blossoms, pink flowers.

 

桜をきれいに撮るコツは?

桜の花を見ていると写真を撮りたくなりますよね。

 

インスタ映えする写真を撮るべく、今から一眼レフを買って腕を磨いておこうという人には、「CAPA 2018年3月号」(CAPA編集部・編/学研プラス・刊)がおすすめです。これからの時期にぴったりな、桜を美しく撮るテクニックが満載です。

 

桜を撮るとき、いちばん気を付けたいのが天候です。天気によって桜の色合いは大きく変わるので、一筋縄ではいきません。けれども、本書では、天候別に桜の撮り方がレクチャーされているので、すぐに実践できます。さっそく見てみましょう!

 

天候によって撮り方を変える

まずはお花見にもベストな、快晴の日です。桜の花に接近してもいいですが、むしろ積極的に青空を入れて、ダイナミックに撮影してみましょう。一眼レフの場合、PLフィルターというフィルターを使えば、空の青さを際立たせることができます。

 

うっすらと雲が出て、空が霞んでいるときはどうでしょうか。肉眼では空が印象深く見えるのですが、写真にするとメリハリのない画面になってしまいます。そこで、空をなるべく省いて撮影するのがコツです。なるべく、主役である桜を引き立たせて撮るのがよいでしょう。

 

ただし、特徴的な雲が出ているときは、むしろ桜と組み合わせて撮ってみましょう! 臨機応変に対応するのもまた、写真の楽しみです。

 

曇り空でもシャッターチャンスが!

完全に空が曇っているときは、桜のピンクが鮮やかな写真は残念ながら期待できません。けれども、曇り空で陰影がつかないぶん、桜の隅々までくっきりと写した写真を撮るには最適なのです。

 

さて、一眼レフには、天候によって様々な撮影モード(ホワイトバランス)が搭載されています。こんなときは「曇り」の設定を選ぶのが正しいように思いますが、「太陽光」を選ぶのがポイントです。「太陽光」なら花びらの白さが際立ち、清楚な印象の写真に仕上げることができます。

 

ところが、「曇り」を選ぶと画面が赤味がかってしまい、ピークが過ぎた桜のようになってしまうので要注意です。モニターでしっかりチェックしながら、最高の一枚を撮影したいですね。

 

 

雨も味方につけて、最高の一枚を撮ろう

雨の日は、桜を撮るには向いていないと思うかもしれません。けれども、雨だからこそ、オリジナリティあふれる写真が撮れるのです!

 

例えば、桜の花びらについた水滴をアップで狙った一枚は、どうでしょう。桜からどこかやさしさが感じられる、ステキな一枚が撮れるかもしれません。また、雨に濡れて黒くなった枝や幹を生かした写真も面白いかもしれません。

 

ちなみに、本書ではインスタ映えする桜の名所も紹介されています。新潟県弥彦山のヤヒコザクラ、国宝の天守が有名な彦根城など、「いいね!」がもらえるスポットが満載です。本書を片手に、ぜひ出かけてみてはいかがでしょうか。

 

 

【著書紹介】

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CAPA 2018年3月号

著者:CAPA編集部
出版社:学研プラス

デジタル一眼カメラや交換レンズ、周辺機材の最新情報が満載。豊富な作例とわかりやすいハード記事で、多くの一眼カメラファンの支持を集める。撮影テクニック記事やプロ写真家の作品紹介、充実したフォトコンテスト記事も人気。

kindlleストアで詳しく見る
楽天Koboで詳しく見る
Bookbeyondで詳しく見る

“撮り鉄”が大井川鐵道で起こした2つのトラブルから、嫌われない「撮影マナー」を考える

鉄道写真の愛好家たちは通称“撮り鉄”と呼ばれている。この言葉自体には本来、マイナスの意味合いはないはずなのだが、ここ数年、さまざまなトラブルが各地で報告されたこともあり、どうも世間から好ましくない存在だという風潮が強まっているようにも見える。実は、筆者も鉄道写真を撮るのが大好きな“撮り鉄”の1人であり、撮影していると、近くを通る人たちから冷たい視線を感じることがある。

 

“撮り鉄”という言葉に、付きまとうマイナスのイメージ。こうしたイメージのままで良いのだろうか? SL列車の運転で知られる、静岡県を走る大井川鐵道で2017年に実際に起こった2つのトラブルを例に、“撮り鉄”のマナーを考えてみた。

 

「場所取り」で同好の人たちや鉄道会社を憤慨させた例

2017年10月15日、大井川鐵道本線は、元西武鉄道のE31形電気機関車が復活、特別列車を牽引するということで、賑わいをみせていた。

20180209_y-koba7 (5)↑元西武鉄道のE31形34号機が2017年10月に復活。この電気機関車が特別な客車列車を牽くとあって鉄道ファンの注目を集めた

 

トラブルが起きたのは、島田市川根町の抜里(ぬくり)踏切。抜里駅に近く、編成写真がきれいに撮影できるスポットとしてよく知られている。

20180209_y-koba7 (6)↑抜里踏切で撮ったSLかわね路号。編成写真が良く撮れるポイントとして知られている

 

この日、多くの鉄道ファンが、少しでも良い写真を撮影しようと、場所を確保すべく早めに訪れていた。そんな道沿いにちょっと異質な“場所取り道具”が置かれていた。だいぶ前から置かれたものらしい。

20180209_y-koba7 (2)↑トラブルがあった抜里踏切。踏切の手前のやや広がっているあたりが撮影の好適地とされる。道幅はクルマ1台が通れるぐらいしかない

 

20180209_y-koba7 (3)↑問題となった“場所取り”。折り畳み式の踏み台と小さめの三脚、さらに黄色いテープを張って場所を確保していた(写真提供:大井川鐵道)

 

20180209_y-koba7 (4)↑踏み台には「場所取りをしています」との張り紙が。無断移動・無断撤去は厳禁ですという言葉とともに、「ルール(順番)を守りましょう」とある(写真提供:大井川鐵道)

 

道の端に置いてあるとはいっても、1番上の写真を見ていただくとわかるように、道は細い。踏切の前後で道をやや広げてあるものの、この場に立ってみると、クルマが通行するたびに道端にいても気をつかう。また運転している側も、立っている人や置いてあるものを引っかけないか、気をつかう。

 

ましてや置きっぱなし。場所取りのためとはいえ、通行の妨げになる。さらに踏み台にあった「場所取りをしています」の張り紙には、「最悪の場合は、ポアされることがありますのでご注意ください」と刺激的な言葉があった。

 

この場所取りのやり方に憤慨した同好の人たちが、大井川鐵道の職員に写真を送付した。その写真が上の2枚だ。この場所の取り方を問題視した大井川鐵道では、列車が走った2日後の10月17日に公式ツイッターで先の鉄道ファンから提供された写真と原稿を掲載した。

 

「抜里駅の踏切近くの路上を不法に占拠する事案がありました。(中略)違法性も高く、ファンの方同士及び沿線住民の方とのトラブルにつながるものと判断し、警察に通報済みです」。

 

この話題はネットのニュースにも取り上げられ、瞬く間に拡散された。

 

「98%の“撮り鉄”は良識ある人たちだと思っています」

想定外と思えるほど、反響を呼んだこのツイッター投稿。多くの人たちから声が寄せられたが、大井川鐵道の問題提起を支持する声が圧倒的に多かった。

 

大井川鐵道広報の山本豊福さんは次のように話す。

 

「ここまで大きな反響があるとは思ってみませんでした。私たちは撮り鉄の方を敵視する気持ちは全くありません。写真を撮られる98%の方は良識ある方だと思います。ごく一部の人が、こうした問題のある行動をする。そうした行為が撮り鉄の方々の全体のイメージを損ねることに結びついているのではないでしょうか。」

 

地元経済のために少しでも良かれと特別列車や、きかんしゃトーマス号などを走らせてきたことが、逆に地元の人たちに迷惑をかけているのはないか。大井川鐵道はそうした思いをいだき、鉄道ファンの一人一人に考えてもらおうと問題提起をしたのだった。

 

問題提起が予期せぬほどの大きな反響を呼んだが、 「私たちは単純にマナーを守ろうよ、ということを言いたいだけなのです」と山本さんは言う。

 

地元に住む人たちや、電車に乗る人に迷惑をかけずに、鉄道撮影を楽しむ。マナーを守ってごく一般的な方法で撮影を行い、また注意を払っていれば、問題は生まれないように思える。

20180209_y-koba7 (7)↑抜里踏切では三脚を立てるときも道の端ぎりぎり構え、また通行するクルマにも注意を払いながらの撮影が肝心になるだろう

 

20180209_y-koba7 (8)↑抜里踏切を越えた大井川河畔には大きな駐車スペースもあり、撮影時に利用できる。すぐ隣にはゲートボール場もある

 

写真撮影のために鉄道敷地内に入れば罪に問われる

大井川鐵道の沿線では、2017年6月17日のきかんしゃトーマス号の運転開始日に3人が無断で敷地内に入り、罪に問われている。この問題、どのような状況だったのか、振り返っておこう。

20180209_y-koba7 (11)_2↑2018年は6月から、きかんしゃトーマス号も運転の予定だ。地元・島田市と川根本町では、警察署も含め少しでも盛り上げたいと万全のサポート体制をとっている

 

罪に問われたのは東京都西東京市の男性会社員(62歳)と、川根本町の無職男性(89歳)、島田市の自営業男性(55歳)の3人である。この3人は大井川鐵道本線の福用駅と田野口駅近くの鉄道敷地内に侵入したところを、巡回中の島田警察署の署員に発見された。

20180209_y-koba7 (9)↑線路内への立ち入りが確認された田野口第3踏切。この踏切から線路内を歩き撮影地に向かったとされる

 

20180209_y-koba7 (10)↑大井川鐵道本線が走る地元の島田警察署。きかんしゃトーマス号などの人気列車が走る時は、署員が沿線の巡回を行っている

 

線路内に入る行為は鉄道営業法37条の罪に問われる。

 

第37条 停車場其ノ他 鉄道敷地内二妄二立ち入リタル者ハ 10円以下ノ科料二処ス

 

明治33(1900)年という古い法律のため、文言は難しく、罰金が低額(現状、10円ということはない)だが、要するに「鉄道敷地内にむやみに入ったら罰金ですよ」ということだ。

 

島田署の署員に鉄道敷地内に入っているところをが発見された先の3人は、その後にどのようなことが待ち受けていたのだろう。

 

まず、当日は、鉄道敷地内でカメラを構えていた人は、すぐにその場所から排除された。住所名前などを聞かれ、後日、島田警察署まで出頭させられた。3人のうち2人は沿線の住民だったが、東京都内に住む人は後日に島田警察署を訪れることになったという。その後、3人は10月20日に静岡地検へ書類送致された。

 

島田警察署の水野俊行地域課長と若林貴彦生活安全課長は次のように話す。

 

「3人の方々、皆さん、素直に鉄道敷地内に入ったことは認めています。やはり鉄道敷地内に入って撮影するというのは危険です。電車を止めてしまうということもありますので。善意のファンたちも楽しみに大井川鐵道に来られますので、足を引っ張り、迷惑をかけないようにしていただきたいですね。」

「地域の方も盛り上げていますので、万が一、けが人などが出るなどの問題が起こって、今後列車を運転しないということになったら、取り返しがつかないことになります。観光面などへの悪影響をもたらしてしまう。撮り鉄の方にはぜひともルールを守って楽しんでもらえればと思います。」

 

ちなみに、鉄道敷地内に入る行為への罪は軽微だが、もしそこで電車を止めてしまったら列車往来危険罪に問われ、逮捕という可能性もある。列車に巻き込まれたら最悪の結果につながる。鉄道敷地内に入ることは、それだけ危険性があることを胆に命じておきたい。

 

嫌われない撮り鉄になるために、やっておきたいこと

筆者は普段からいろいろな撮影スポットを訪れ、ほかの撮り鉄の人たちと交流することもある。その経験を踏まえ、自分が全国を撮影で回る上で大切にしていることをいくつかお伝えしたい。

 

■誰にでも「おはようございます」「こんにちは」の声かけ

まずは撮影地で先に構える人がいたら挨拶を心がけている。するとコミュニケーションが格段に取りやすくなる。

 

付近を散歩する人が近づいたら、やはり挨拶する。都会では無視されることも多いが、地元の人への声かけは、嫌われないための一歩のように思う。地元の人たちから撮影に向いた場所など有効な情報を得られることもある。

20180209_y-koba7 (12)↑通行する人に迷惑になる場所では三脚立てなどの行為は慎みたい。写真は高崎線のある撮影地。川の土手のため、一般の人に迷惑にならず、そのため撮り鉄の聖地になっている

 

■自分が持ち込んだゴミは持ち帰る

せっかく訪れた有名な撮影地がゴミだらけで、げっそりすることがある。もちろん撮り鉄だけでなく、一般の人が捨てる例もあるかと思う。だが、明らかにここは撮り鉄しか行かないだろう、という場所でこうした例が見られることがある。

20180209_y-koba7 (13)↑山梨県内の有名撮影地の例。同撮影スポットは線路がより低い位置にあり、気になっていても、降りてゴミを収集することができない。何年にもわたってこの状態が続く

 

逆に、撮り鉄のなかに素晴らしい行動を行う人がいたことについても伝えておきたい。

 

信州上田の有名撮影地で。彼は自分が持ち込んだゴミはもちろん、すでに落ちていたゴミや吸い殻も持参の袋に入れ始めたのである。持ち帰って適切な場所で捨てると言うのだった。海外でのサッカーの試合で日本人はスタンドのゴミを拾って持ち帰るということで称賛された例がある。撮り鉄のなかには、こうしたマナーを大事にする人もいるのだ。

 

■駐車場所には細心の注意を払う

自身にもあった失敗例は駐車場所だ。それによって地元の人に迷惑をかけ、自分もイヤな思いをした経験がある。

 

ということもあり、最近は都市部では駅からなるべく歩いて目的地へ出向き、地方ならば、時間にゆとりを持って、その場所へ行き、駐車場や、確実に迷惑がかからず不法とならない所に駐車する。駅から歩くことは健康にも良いし、何より停めたクルマに気を使わずに済むので、撮影をより楽しむこともできる。

 

マナーの問題というのは、言われた側は、ついうっとうしいな、と感じたりするもの。筆者も、面と向かって言われれば、“カチン”となってしまうときもある。感情のコントロールはなかなか聖人のようにはいかないものだ。とはいえ、どんなときも冷静になって、自らの行動を振り返ってみる必要がある思う。一人一人のそうした心掛けが、撮り鉄へのマイナスイメージ払拭につながるのではないだろうか。