昭和レトロな両開き窓/みんな手作り!こだわりのDIY二重窓コレクション【5】

開き方、デザイン、機能性などそれぞれが工夫を凝らした、バラエティあふれる自作二重窓を紹介!

 

細かな木工技が光る和風テイストの引き違い窓

窓サイズは幅1650×高さ955mm(右側)、幅1200mm(左側)。バランスと開口部の広さを考慮して、計5枚の引き戸タイプにした。木材はレッドシダーを使用

 

面材にはすりガラスを使用。中央だけ、古い建具から解体したダイヤガラスを入れ、レトロな雰囲気を演出している

 

上レールの溝に収まるように、窓フレームの横桟はL字に切り欠いた。また、フレームは組んだあとに埋め木でビスを隠しているのがわかる

 

まず、柱の壁紙と石こうボードをはがして板材を張り、トリマーで溝彫りしたレールを上下に固定して枠を製作した。出窓スペースにはタイルを張ってデコレーション(ご主人が担当)

 

窓フレームの下部には、木製引き戸用の戸車を埋め込んでいるので、スムーズに開閉できる

 

フレームの内側の角は面取りがされており、接合部分もその角度に合わせて切り欠き、すっきり収めている。クオリティが高い!

 

【DATA】
藤原真紀さん、健二郎さん/DIY歴5年/東京都
材料費…3万4000円
製作日数…約半年

藤原真紀さんコメント

5年ほど前にこの築30年以上の戸建てに越してきたのですが、冬になるとリビングがとにかく寒い! また、犬を飼っているので、近隣への騒音対策にもなればいいなと思い製作しました。

デザインは、リビングと和室を区切るために購入したガラスつきの引き戸を参考にしています。購入した建具店でその引き戸を見てから、建具の魅力に取りつかれてしまい、家中のほとんどの窓を二重窓にしちゃいました。もう作るところがなくなってしまったので、友人の家にも押しつけがましく作りに行くことが何度かありました(笑)。

窓枠がけっこう歪んでいたので、上下のレールを設置するときに平行になるようにするのに苦労はしましたが、無事作れてよかったです。以前より体感温度は高く感じますし、窓の結露もかなり減らすことができました。

 

まだまだあります!藤原邸の二重窓コレクション

リビング内の小窓に設置した片上げ下げ窓。開口部は2段階に調整できる

 

寝室の小窓に設置した上開き窓。既存の窓枠には蝶番で取りつけた可動式の支えがあり、二重窓を開けっぱなしにできる

 

キッチンの対面にも出窓があったため、引き違い窓を設置し、食器棚として活用している

 

トイレに設置した上開き窓。中央部分には鏡をはめ込んだ

*この記事のデータや内容は2019年12月時のものです。

収納ベンチつき二重窓/みんな手作り!こだわりのDIY二重窓コレクション【4】

開き方、デザイン、機能性などそれぞれが工夫を凝らした、バラエティあふれる自作二重窓を紹介!

 

子どもの遊び部屋を快適にする収納ベンチつき二重窓

窓サイズは幅1640×高さ1765mm(写真右)。下部は収納ベンチを置いてアクセスできないようにふさぎ、上部に二重窓を設置した。また、同室内にはカウンターテーブルつきの二重窓もある(写真左)

 

収納スペースたっぷりのベンチ。1×4材で製作した。背面の窓枠には固定していないので移動も可能

 

二重窓は4枚建て開き窓タイプ。ゴツくならないように窓枠は12mm角の角材を使用。そのため中央の蝶番は上下にずらして固定している

 

自然木風の取っ手。100円ショップで購入したものをフレームにビス留めして固定

 

窓フレームは2×2材を使用。中空ポリカをはめ込むための溝は、彫刻刀で地道に彫った。「この作業に一番時間がかかり、腱鞘炎になるほど大変でした(笑)」と中村さん

 

【DATA】
中村恵子さん/41歳/DIY歴3年/大阪府
材料費…約1万4000円
製作日数…3日

中村恵子さんコメント

築30年以上の戸建てということもあり、冬はすき間風があって結露やカビがひどく、カーテンにカビが繁殖するたびに洗濯するのが大変でした。どうにかしたいなぁと思っていた矢先、子どもが窓をあけて外へ出ていく行為が目立ってきたので、いっそのことふさいでしまおう!と思ったのが製作のきっかけです。

設置後はカーテンなしでも冷気を感じにくくなりましたね。前述の悩みは解消され、冬場のエアコンの設定温度も3~4℃下がり、大満足です。ベンチはオムツやおもちゃの収納、子どものお絵描きデスクとして活躍しています。

*この記事のデータや内容は2019年12月時のものです。

ホテルライクな折りたたみ窓/みんな手作り!こだわりのDIY二重窓コレクション【3】

開き方、デザイン、機能性などそれぞれが工夫を凝らした、バラエティあふれる自作二重窓を紹介!

 

格子窓を効果的に取り入れたホテルライクな折りたたみ窓

窓サイズは幅1600×高さ900mm。設置場所は寝室の小窓で、二重窓のおかげで夏冬の寝苦しさから解放されたそう

 

小窓は上開きに。100円ショップで調達した写真フレームを活用している

 

二重窓を全開にした様子。開口部が大きくとれる折りたたみ式にした

 

窓枠の上にはマグネットキャッチを設置。フレームを組む際に使ったL字金具が受け板の役割を果たしている

 

窓の下端に設置した棚の受け金具は、既存の窓枠に干渉しないように角を曲げて固定。板金業のご主人が加工した

 

二重窓の裏側。フレームはL字金具を使い組んだ

 

【DATA】
内堀裕梨さん/DIY歴約3年/神奈川県
材料費…約8000円
製作日数…約2日

内堀裕梨さんコメント

夏は強烈な西日、冬はヒンヤリとした冷気がカーテンをしてもすき間から入ってくるのを、どうにか解消したくて二重窓を設置しました。

テイストは欧米のホテルの雰囲気をイメージしています。機能性を考えて、空気入れ替え用の小窓、小物を置くための棚をつけたのがポイントです! 面材には中空ポリカを使っていますが、小窓部分には100円ショップのガラスシートを張って、デザインにアクセントをつけました。また、蝶番、取っ手、留め金具も100円ショップのものを使っています。近ごろの100円ショップってDIY用の資材も豊富ですごいって思いました(笑)。

二重窓を設置してからは寒さを感じることもなくなり、夏は小窓を開ければ適度に風が入ってくるので、とても過ごしやすくなりましたよ。

昭和レトロな両開き窓/みんな手作り!こだわりのDIY二重窓コレクション【2】

開き方、デザイン、機能性などそれぞれが工夫を凝らした、バラエティあふれる自作二重窓を紹介!

 

古民家に合うようデザインした昭和レトロな両開き窓

窓サイズは幅1570×高さ1525mm。網戸の横桟も隠せて満足のいく仕上がりになった

 

既存の窓の茶色いアルミサッシが、イマイチ気に入らなくて隠したかったそう

 

フレームはネットでいろいろ検索して、デザインを決めた。タッカーを使いステープルで組んでいった

 

中空ポリカは裏側からビス留めし、上下に金具を取りつけて挟むように押さえている

 

既存の窓枠にフレームが収まるか、サイズをチェックしている様子。古い長屋で窓枠が歪んでいたため、調整するのに苦労したそう

 

【DATA】
吉井 勇さん、真由美さん/56歳・52歳/DIY歴約20年/大阪府
材料費…約1万8000円
製作日数…1日

吉井真由美さんコメント

自宅兼絵画教室のアトリエである長屋をセルフリノベする中で、部屋のイメージにアルミサッシが合っていないように思ったのが製作のきっかけです。私がデザインとアイデアを出し、作業は夫にしてもらいました。

当初はフェイク窓のつもりでフレームを組み、ガラスの代わりにアクリル板を入れたかったのですが、大きなサイズが近くのホームセンターにはなく……。そこで中空ポリカの存在を知り、縦に模様が入ったレトロなガラスに見えなくもないと思い、採用してみました。

この二重窓を設置してから過ごす冬は今年が初めてなので、室温がどう変わるのか期待しています! 古い家で冬はけっこう寒いので……。この部屋で三線教室も行なっているのですが、音漏れは少しマシになったような気がします。

*この記事のデータや内容は2019年12月時のものです。

カフェ風インテリアにマッチした開き窓/みんな手作り!こだわりのDIY二重窓コレクション【1】

開き方、デザイン、機能性などそれぞれが工夫を凝らした、バラエティあふれる自作二重窓を紹介!

 

カフェ風インテリアに合うネイティブな4枚建て開き窓

窓サイズは幅1920×高さ1850mm。二重窓の大枠は幅60mmのアカマツ材を壁に直接ビス留めしている

 

既存の窓のサッシを隠すために、中央には取っ手を取りつけている。マスキングテープを使ってヘリンボーン模様に塗装

 

窓フレームの製作。19×28mmのSPF材を使い、6mm角材を木工用接着剤と隠しクギで留めた。中空ポリカを角材で挟んで固定する方法をとったことで、たわまなくなったそう

 

開閉のためのスペースが広く取れなかったので4枚建てタイプを採用。結果、1枚の重さも軽くなって開けやすくなった。窓はフラッシュ蝶番で固定しているので、取り外しも可能

 

【DATA】
製作者…tarezo33さん/52歳/DIY歴9年/大阪府
材料費…1万5000円
製作日数…1週間

tarezo33さんコメント

以前は、中空ポリカにプラスチックの枠をつけて、ガラス戸レールを敷居代わりにしていましたが、たわんで開閉しにくく見た目もダサかったので今の形に作り変えました。

設置してからは、室温が2℃程度アップ。ぴったりサイズで作ったので、すき間風が吹いてこない、窓の結露が減った、ホットカーペットをつけなくてもストーブだけで過ごせるようになったと、いいことずくめです!

予算を抑えるためにフレームはSPF材を使っていますが、経年変化での反りが心配なので、いずれはグレードの良い木材で作り変えたいと思っています。

*この記事のデータや内容は2019年12月時のものです。

すぐにできる!断熱障子の作り方/断熱DIYアイデア&テクニック

手軽にチャレンジできて、効果も実感しやすい、建具断熱DIYを実践リポート。手工具だけで設置できるから超簡単。さっそく自宅に取り入れてみよう!

 

3層の空気層を持つ断熱障子を作る

 

After。中空ポリカが中に入っているとは、見た目にはわからない仕上がりに。プラスチック系障子紙は傷にも強いので、ペットを飼っているお宅にもおすすめだ

 

窓からの放射を遮る障子にはもともとある程度の断熱効果があるが、障子紙部分の空気層を増やせば、より断熱性を高めることができる。構造は下記図を参考にしてほしい。

ポイントは障子の桟・框(以下、枠)内に、収まるように資材を用意すること。組子から枠の奥行を測り、はめ込む中空ポリカと角材の厚みを決めよう。今回施工した障子は、13mmの余裕があったので、4mm厚の中空ポリカ+9mm角材を使った。また、最後に張る障子紙は、丈夫で両面テープで張れる、通気性がないため断熱性能が高い、プラスチック系のものを使うのがおすすめだ。

 

放射温度は約2℃アップ!(11月撮影)

障子設置前の窓の放射温度は13.2℃

 

断熱施工前の障子の放射温度は19℃

 

断熱施工後の障子の放射温度は21.1℃

 

[用意した資材]
9㎜角ヒノキ材(長さ1800mm)15本
中空ポリカ-ボネート(厚さ4×幅900×長さ1800mm)2枚
プラスチック系障子紙(幅940×長さ2150mm)2ロール

[その他の材料]
両面テープ(障子紙に付属)、細クギ、クリアテープ

[主な使用道具]
メジャー、サシガネ、ノコギリ、カッター、マジックペン、カナヅチ、サンドペーパー、カンナなど

材料費…約1万2000円

 

作業手順

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

橋本岬樹 Misaki Hashimoto

建築会社「サガセール」の工事部リーダー。東京都内を中心に住宅や店舗のリフォーム業を請け負う。http://sagasale.net/

*掲載データは2019年12月時のものです。

すぐにできる!二重窓の作り方/断熱DIYアイデア&テクニック

手軽にチャレンジできて、効果も実感しやすい、建具断熱DIYを実践リポート。手工具だけで設置できるから超簡単。さっそく自宅に取り入れてみよう!

 

内窓キットで二重窓を作る

Before。今回の取りつけ場所はダイニングキッチンにある出窓。窓枠の奥行は約105mmあり、内窓を取りつけるには十分なサイズ

 

After。既存の窓枠の色に合わせて、ブラウンをチョイスした。窓ガラスはすりガラスタイプだったので、中空ポリカでも景観的には問題なし

 

「エコな簡易内窓キット」(アクリサンデー)という製品で既存の窓の内側に、二重窓を作る。樹脂製のフレームに中空ポリカをはめ込んだ簡単な作りではあるが、断熱性アップの効果は高い。資材のカットは大型刃タイプのカッターが1本あればOK。3時間程度で作業を終えられるので、この冬の断熱対策としてチャレンジするにはぴったりだ。

作業時は事前に窓枠の幅、高さ、奥行を測り、サイズが内窓キットと対応しているか確認しておこう。もし、幅や奥行が広くてキットの対応外だったり、窓が小さくて端材がもったいないなどという場合は、左記のセット内容と同様のパーツを、ホームセンターで別々に購入すればいい。面材に使う資材は、セット内容と同じ中空ポリカが、性能・コスト・加工性が良いのでおすすめ。

 

放射温度は約3℃アップ!(11月撮影)

設置前の窓の放射温度は16.5℃

 

設置後の二重窓の放射温度は19.2℃

 

[用意した資材]
エコな簡易内窓キット Mサイズ 1セット
[セット内容]
中空ポリカーボネート(ハモニカーボ・厚さ3×幅900×長さ900mm)2枚
上レール(幅21×長さ1800mm)1本
下レール(幅21×長さ1800mm)1本
横カバー(幅21×長さ900mm)2本
フレーム取っ手つき・縦用(幅6.5×長さ900mm)4本
フレーム・横用(幅6.5×長さ900mm)4本

[その他の材料]
両面テープ、タッピングネジ(どちらもキット付属品)

[主な使用道具]
メジャー、サシガネ、ノコギリ(プラスチック用)、カッター、マジックペン、プラスドライバー(ドライバードリルでも可)、ウエスなど

材料費…約7000円

 

作業手順

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

橋本岬樹 Misaki Hashimoto

建築会社「サガセール」の工事部リーダー。東京都内を中心に住宅や店舗のリフォーム業を請け負う。http://sagasale.net/

*掲載データは2019年12月時のものです。

断熱DIYのポイントはこの4カ所!/断熱DIYアイデア&テクニック

断熱とは、室内外の「熱」の移動を「断つ」こと。外は寒くても家の中は暖かく、外が暑くても家の中は涼しい。そんな春の陽気のように年中快適なマイホームをDIYで手に入れよう。今回は、DIYのポイントを建築のプロに伝授していただきました。

 

location1 窓ガラス → 二重窓で空気層を作るかガラスにシートを張る

・二重窓を作る

外気の影響を受けやすい窓の断熱は、内窓を取りつけてもともとある窓との間に空気層を作るのがもっとも効果的。木材を枠にガラスをはめ込んで一から自作してもいいが、アルミレールと中空ポリカがセットになった簡易内窓キットを使うのもおすすめ。

 

内窓キットの「エコな簡易内窓」(アクリサンデー)。フレームの色はホワイトとブラウンの2色で、サイズも豊富にある

 

窓枠の形状が特殊だったり、内窓キットのサイズが合わないときは一から自作にチャレンジしよう

 

・シートを張る

窓に直接シート状の透明フィルムを張るパターン。もっとも手軽に窓の断熱ができるが、デコボコした意匠性の高いものや、ワイヤー入りのガラスには使えないこともあるので注意しておこう。

 

窓に張るだけで二重ガラスの構造が作れる透明フィルム。断熱に加え、紫外線をカットしてくれる効果も。シールタイプと水に濡らして張るタイプがある

 

プチプチ(気泡緩衝材)のような構造をしたシートもある。細かい空気層があるため、断熱性が高い。張りつけ後は外の景色が見えなくなるので、すりガラスなどに最適

 

location2 壁 → 断熱材を入れて放射熱をコントロールする

・充てん断熱工法

柱や梁の間に断熱材を詰めていく工法。建物を建てたあとからでも施工がしやすい。ただ、スジカイが入った壁や配線が通った部分などはすき間ができやすく、しっかり詰め込まないと断熱効果が得られないだけでなく内部結露
の原因にもなるので注意が必要だ。資材はグラスウールやロックウールといった繊維系断熱材、吹きつけによる発泡ウレタンフォームなどがよく使われる。

 

・外張り断熱工法

柱や梁の外側から断熱材で覆っていく工法。配線などの障害物の影響を受けないのですき間ができにくい、結露しにくいというメリットがある。その反面、充てん工法よりもコストがかかる。資材は発泡スチロール(EPS)、スタイロフォーム、ネオマファームといった発泡プラスチック系断熱材がよく使われる。

 

DIYで使われる主な断熱資材

・グラスウール

溶かしたガラスを細く綿状に加工した繊維系断熱材。繊維系断熱材のなかでも比較的価格が安く、断熱性も高い。袋詰めされたタイプならそのままの状態で詰め込むことができ、軽いため施工しやすいのも特長

 

・スタイロフォーム

一般名称は押出法ポリスチレンフォームと呼ばれる、発泡プラスチック系断熱材。熱伝導率が非常に小さく、断熱性が高い。ホームセンターでも入手しやすく、発泡スチロールの一種なので加工もしやすいのがうれしい

 

・防風 防湿透水シート

壁用の防水紙。壁内の湿気を屋外に出し、結露を防ぐ効果があるので、湿気に弱い繊維系断熱材と併用して使いたい。また、風の流入を防ぐ効果もあるので断熱性もアップする

 

断熱DIYお役立ちアイテム

 

location3 建具のすき間 → すき間テープを使って外気の侵入を防ぐ

・窓のサッシに張る
ポイントは窓枠の横や、引き違い窓の中央部分(縦桟が重なる場所)。このわずかなすき間から冷気が入ってくるのを防ぎたい。テープの素材はポリウレタンフォームタイプ、モヘアタイプなどが主流。内窓を設置するスペースがないというときに有効な方法だ。

弾力性に富んだ毛足がついたモヘアタイプのシールを、引き違い窓の中央に張った例。不均等なすき間もバランスよくふさいでくれる

 

・ドアの下部に張る
冷気の侵入経路としてよくあるのが、ドアと床のすき間。家によっては、かなりのすき間があいているのでチェックしておきたい。テープの素材は弾力性のあるゴム、ドア下端にはめ込むモール材などが主流。

ゴム(アクリル系エラストマー)を両面テープでドアの下端に張った例。弾力性があるので床にこすれても傷がつかない

 

location4 天井・床 → 断熱材を入れて熱の上昇気流をなくそう

足もとから冷たい空気を入れない&暖かい空気を天井から逃がさない
暖かい空気は上昇する性質がある。床と天井の断熱性が低いと、足もとはいつまで経っても寒く、暖かい空気は天
井から抜けてなかなか室内に留まってくれない。熱の上昇気流を抑えることで、部屋全体を快適な温度に保ちやすくなる。

屋根の野地板の裏側、垂木の間にグラスウールを詰め込んで天井断熱を施した例。梁がある構造の建物なら、天井裏に断熱材を敷き詰めるだけでも効果がある

 

古い家屋の場合、畳下の床下地が古くなって、すき間ができてしまっていることがあるのでェックしておきたい。ここに防水透湿シート、アルミシート(または薄いスタイロフォームなど)を敷けば、冷気の侵入が防げる

 

河野 直 Nao Kouno

設計事務所「つみき設計施工社」代表。施主参加型の家づくりを提案し、定期的に道具の使い方ワークショップを開催。DIYマインドを持った建築家。http://tsumiki.main.jp/

 

*掲載データは2019年12月時のものです。

イラスト◎丸山孝広

プロに聞く断熱の仕組みとコツ/断熱DIYアイデア&テクニック

断熱とは、室内外の「熱」の移動を「断つ」こと。外は寒くても家の中は暖かく、外が暑くても家の中は涼しい。そんな春の陽気のように年中快適なマイホームをDIYで手に入れよう。今回は、快適な部屋づくりへの第一歩となる断熱の基本を解説。

 

POINT1 断熱を高めるメリットはこんなにある!

・夏は涼しくて冬は暖かいからいつでも快適

断熱性が高い家だと、夏は外からの熱を遮断、冬は室内の暖かい空気が外に逃げなくなる。家の隅々まで均一な温度に保てるため、天井が熱を持ってロフトがすごく暑い……、部屋の足もとが寒い……、部屋間で温度差がある……といったことをなくすことができる。「頭熱足寒」から「頭寒足熱」の快適な空間作りを目指そう。

 

・暖房器具の稼働時間を減らせてエコ

断熱がしっかりとした家では、エアコンやストーブといった冷暖房の効きがよくなり、日によっては使わなくても快適に過ごせる場合も。電気代や燃料を使う量を減らせるため、体にもお財布にも優しいエコな暮らしへとつながる。

 

・室内に冷えた場所を作らず表面結露を防ぐ

冬は窓が曇ったり水滴がつく「表面結露」が発生することがあるが、断熱が不十分だと壁の表面にも結露が現れることがある。とくに冷えやすいコーナー部分、家具の裏側などは要注意。結露はカビやダニの発生源となり、ぜんそくやアレルギーを引き起こす要因になるので、建物全体の断熱性を高めて家の中に冷えた部分を作らないようにしたい。

 

・冬場に多いヒートショックの対策になる

気温の変化によって血圧が上下し、心臓や血管の疾患が起こるヒートショックと呼ばれる現象。暖かいリビング→寒い廊下や脱衣所、浴室→熱いお湯のはった浴槽に入ることで起こるケースがもっとも多いが、トイレでの発生例もあるので、お風呂以外でも温度変化のある場所には注意したい。断熱がしっかりされていると家全体の温度差が少なくなるため、ヒートショックが起きる心配をなくすこともできる。

 

POINT2 熱の伝わり方は3通り

熱は高温側から低温側に向かって移動するが、そのルートには種類がある。物質によって運ばれる「伝導」、温度差によって生じた液体や気体によって運ばれる「対流」、電磁波によって運ばれる「放射(輻射)」の3パターン。断熱でとくに意識しておきたいのは対流と放射で、すき間をなくして風の流れをなくすこと、窓や壁の表面温度を上げることが大事になる。

 

・触れることで感じる温度「伝導」

物質の中の熱が高い部分から冷たい部分に徐々に移動する現象で、肌に直接触れることで感じとれる。とくに熱伝
導率の高い金属は、そのまま触れてもヒンヤリとしているが、熱せられたトタン屋根などを触ると熱く感じるのはこのため。熱の伝わり方が遅いほど「断熱性が高い」資材となる。

 

・熱が空気や液体によって運ばれる「対流」

熱を蓄えた空気や液体が移動することで他の物質に伝えること。暖かい空気や水は熱による膨張で比重が軽くなり、上昇する性質がある。「暖房をつけても室内の上だけ暖かくて足もとが寒い」「お風呂を追い炊きしたら上だけ熱くて底のほうは冷たかった」と感じるのはこの現象のため。

 

・熱エネルギーが体に直に届く「放射(輻射)」

離れた物質から電磁波によって感じる熱さ。日陰だと寒いが、日なたにいると暖かく感じるのは、一帯の気温が変化しているのではなく太陽の熱エネルギーが放射によって直に体に届いているから。ストーブや焚き火などに手をかざすと暖かく感じるのもこのため。

 

POINT4 大事なのは室温よりも体感温度

熱の移動ルートで忘れがちなのが「放射(輻射)」で、これが体感温度に密に関わってくる。体感温度は左の計算式で求めることが可能。たとえば下のイラストのように、同じ室温でも窓や壁の表面温度が低い、つまり断熱性が低い状態だと体感温度は下がるというわけだ。

右が断熱性が低い家、左が断熱性が高い家

 

放射温度を測ってみよう!

放射温度を測るには、赤外線式のサーモメーターが便利。安いものならネットで2000円程度から購入できる

 

POINT4 動かない空気層を作ることが断熱

熱は、固体>液体>気体の順に伝わっていきやすいという性質がある。多くの断熱材は内部に小さく区切られた気泡、つまり動かない空気の層を持っており、熱の対流を防ぐことで断熱性能を高めることができる。断熱材とは建物の洋服ともいえるので、以下のようにイメージしておくとわかりやすい。

河野 直 Nao Kouno

設計事務所「つみき設計施工社」代表。施主参加型の家づくりを提案し、定期的に道具の使い方ワークショップを開催。DIYマインドを持った建築家。http://tsumiki.main.jp/

 

*掲載データは2019年12月時のものです。

イラスト◎ヒラノマキコ