「タナハシ~!」黄色い歓声の響く後楽園ホール。最近のプロレス会場は、「プ女子」(女性のプロレスファン)と呼ばれる新たなファン層に牽引されるように、活気に満ちあふれています。そして、そのファンの多くがカメラやスマホを手に試合を撮影しています。しかし、プロレスに代表されるような、動きが速く照明が限られた室内でのスポーツ撮影はブレやピンボケが発生しやすく、上手く撮るのが非常に難しい被写体。そこで重要になるのが、高感度やAF性能に優れたカメラと、被写体に最適化したカメラ設定です。
GetNavi webでは、そうしたプロレス撮影向きのカメラや設定を知って、かっこいいプロレス写真を撮ってもらいたい! ということで、スポーツ写真家の山田高央さんを講師にプ女子読者を招待しての撮影会を実施。山田さんオススメの富士フイルム製ミラーレス一眼「FUJIFILM X-H1」と山田式プロレス用スペシャル設定を駆使して、存分に撮影を楽しんでいただきました。
さらに後日、撮影会当日の試合に出場し、今回の参加者がともにファンだという新日本プロレスの棚橋弘至選手に3人の作品をプリントして見ていただき、山田さんとともにプロレスやプロレス写真の魅力、面白さなどについて語ってもらいました。本稿では撮影会~インタビューまで、その一部始終をお届けします!

【今回紹介する製品はコチラ!】
富士フイルム
FUJIFILM X-H1
実売価格25万8660円(ボディ)
仕上がりの良さで定評のある「フィルムシミュレーション」や高感度性能に加え、シリーズ初のボディ内5軸手ブレ補正、フリッカー低減撮影機能などを備えるハイパフォーマンスモデル。防塵・防滴・耐低温構造を持つ高剛性・高耐久ボディも魅力です。撮影会では、このボディに小型で高性能な望遠ズームレンズ「フジノンレンズ XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS」(実売価格8万460円)を組み合わせて使用しました。現在、期間内(~2018年9月30日)に購入した場合に3万円がキャッシュバックされるキャンペーンも実施中。
■製品の詳細情報はコチラ↓
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ロープにピントが合って選手がピンボケ――“プロレス撮影あるある”解決法とは?
撮影会当日、まずはカメラの使い方や撮影時の設定、撮り方のコツなどを山田高央さんが作品を交えながらレクチャー。その後、後楽園ホールに移動し、FUJIFILM X-H1(以下、X-H1)を使って実際の試合の写真を撮る、というプログラムです。
【講師】
山田高央さん。1968年東京都出身。日本写真芸術専門学校卒。出版社写真部を経て2005年からフリーとして活動開始。週刊誌・月刊誌などではスポーツ・ポートレートなどジャンルを超えて多方面で作品を発表している。日本スポーツプレス協会会員・国際スポーツプレス協会会員。
【参加者】
小山さん。海外遠征も厭わないプロレス好きで、普段はコンデジを使用。選手がピンチのときの表情が好きだが、ぶれてしまうことが多く、なかなか上手く撮れないと悩み中。
石塚さん。棚橋選手が好きでプロレスを見るようになり、写真も撮るようになったという。高倍率ズーム機のオート機能で撮影を楽しむも、ブレやピンボケ、露出アンダーなどで苦しんでいる。
野口さん。気合を入れてミラーレス一眼を購入するも、ロープにピントが合ってしまい、ピンボケになることが多いそう。
山田さんによると、プロレスを客席から撮る場合には、
①ロープが邪魔でピントが合わない
②シャッター速度が遅くなってぶれる
③照明の加減によって露出が変化しやすい
という3つが問題になってくるといいます。
①については、AF測距点の位置をいかに素早く、最適な位置に合わせられるかがポイント。ピントは必ずしも顔に合わせるのではなく、顔とほぼ同じ距離にあり、かつ比較的動きの緩やかな胸の位置などで合わせると、合わせやすいとのこと。②については、被写体を止めて写すにはシャッター速度を目安として1/1000秒以上にする必要があり、そのためにはISO感度を上げて撮らないと露出アンダー(暗く写る)になるため、高感度時の性能がキモになります。③については、写真の明るさを一定に保つ必要があり、自動露出ではなく、マニュアル露出の使用がオススメとのこと。
これらの条件を考えると、AF測距点の操作がしやすく、高感度でも画質が破綻しない、しかも連写に強いというX-H1はプロレス撮影にぴったりだと、山田さんは語ります。蛍光灯などの照明のちらつき(フリッカー現象)による露出や色のばらつきを低減する「フリッカー低減機能」が搭載されている点も、室内スポーツ撮影における確実性を高めてくれるでしょう。




そのほか、ホワイトバランス(WB)などもオートでは多少のタイムラグが出る可能性があるので、固定するほうがチャンスに強くなるそうです。それらを踏まえた、プロレス撮影用のオススメ設定が以下の表のようになります。
【山田式プロレス用“スペシャル設定”(後楽園ホール版)】

実際の撮影での狙いとしては、選手がコーナーポストに登っているシーンなどは写真撮影に邪魔なロープがなく、確実に押さえたいシーン。さらに、試合中でも選手がにらみ合っているシーンや組み技が決まったシーンなどは、比較的動きが緩やかなので狙いどころです。そのほか、動きが速いシーンは狙いにくいですが、その場合は動きを予想しながら、最適なピントの位置を考えつつ構図を決めるのがポイントです。


「単なる記録じゃない楽しさがあった」クリアな描写に大満足!
講義のあとは、いよいよ後楽園ホールに移動です。イベント当日もホールは満員。周りを見渡すとカメラを持った方も大勢いて、気持ちが盛り上がってきます。ということで、参加者の皆さんに試合前の意気込みを聞いてみました。
「仕事では一眼も使ってはいるのですが、X-H1はファインダーがキレイで期待しています。かわいい表情をアップで狙えたらと思います」(小山さん)
「躍動感のあるシーンを狙ってみたいですね。本格的なカメラで(グリップがしっかりしているので)持ちやすいです。あと、いい写真が撮れたら自分で大きなパネルに仕上げたいと思います。」(石塚さん)
「あわてずに撮りたいシーンをじっくり撮れたらと思います。ロープに邪魔されずにピントが合わせられるかどうか、挑戦してみます」(野口さん)


試合前半は少し緊張気味でしたが、後半はカメラにもかなり慣れてきたようです。当日、棚橋選手はセミファイナルの出場で、ちょうどいいタイミングでの撮影となりました。熱戦が終わり、3人とも数百枚の写真を撮って満足した様子。撮影後の感想を聞いてみると、
「いつもよりもキレイに撮れていてうれしかったです。アップで撮れて、新たな萌えポイントも見つかるなど、単なる記録じゃない楽しさがありました」(小山さん)
「ファインダーをのぞいただけでもキレイで、撮っていてテンションが上がりました。瞬間瞬間がぶれずに髪の毛までキッチリ撮れていてすごかったです」(石塚さん)
「思った以上にAFが合っていました。クリアに撮れて、満足度は100点でした」(野口さん)
みなさん、いままでの失敗を克服しつつ、撮影を楽しんでいただけたようです。試合はもちろん、最新一眼で撮るプロレス写真の仕上がりに、心底満足されていた表情が印象的でした。
こちらが参加者のみなさんが実際に撮影した写真。ベストな1枚を山田カメラマンのコメントとともにどうぞ!



「写真1枚で多くのことが伝わる」棚橋選手ロングインタビュー
後日、参加者のみなさんの写真を見てもらうため、山田さんとともに棚橋選手を取材させていただきました。写真を見た瞬間「この写真いいなあ~」と一言。今回使用したX-H1にも触っていただきましたが、「持ちやすくて操作しやすい」と大変お気に入りのご様子でした。
――早速ですが、普段ファンの方が撮られた写真を目にされる機会はありますか?
棚橋弘至選手(以下、棚橋):最近、リングサイドで写真を撮ってくださる方が増えて、すごくうれしいんです。そこで、ポーズを少し長くとるようにしていますし、シャッターチャンスには合図もしています。ビッグマッチだと、そうしたシーンが特に増えますね。写真をツイッターなどのSNSにアップされている方もいるので、けっこう写真を目にする機会は多いです。
――では、今回の参加者の方の写真をご覧になられての感想はいかがでしょうか?
棚橋:この写真、いいなあ~。やっぱり、被写体もいいのかな(笑)。プロレスの試合って動画で見ることが多いと思うのですが、実は印象的なシーンというか、いわゆる“名シーン”と呼ばれるものは、写真のほうが記憶や記録に残るので、1枚の写真に残したいという気持ちがあります。そんななかで、いまはたくさんのファンのみなさんが写真を撮ってくださるというのは、本当にありがたい。その写真をSNSなどで見た方がプロレスを好きになってくれる可能性もありますし。
SNSや口コミを通じて、ファンの方が新しいファンを増やしてくれているのですが、そのときに1枚の写真があるかどうかで印象が変わると思うんです。例えば、同じ「面白かった」というツイートでも、そこに1枚の写真がつくだけで面白さが伝わりやすい。まさに「百聞は一見に如かず」です。文字が少なくても写真1枚で多くのことが伝わりますよね。

――今回の撮影で使用したX-H1はBluetoothによるワイヤレス通信に対応していて、手軽にスマホに転送できるのでSNSへの投稿も簡単なんです。ところで、ご自身でも写真を活用される機会はありますか?
棚橋:巡業で各地を周っていますが、そうしたときに、自分がどこにいって、何を食べて、何を見たのか……それらを撮った1枚の写真を添えてブログなどにアップするようにしています。そうすることで、ファンの方にも追体験してもらえると思うので。
――写真はご自分で撮っていらっしゃるのですか?
棚橋:基本的に写真はすべて自分で撮っています。例えば、セルフタイマーを使ってモデル風に歩いているシーンを撮ってみたりとか。ときにはタイミングが合わなくて、失敗したりもするんですけどね(笑)。試行錯誤しています。

――選手の立場から見たプロレス写真の面白さについて教えてください。
棚橋:リング上には喜怒哀楽が満ちていて、試合前の集中している顔だったり、相手に対して気迫で押している顔だったり、ときにはやられて苦しみもがいている顔だったり、様々なシーンがあると思いますが、そうした様々な表情を見られるのも写真の良い点だと思います。自分で見て気づかされることも多いですね。(参加者の写真を見ながら)……少し、ダイエットしなきゃいけないかな? G1(※)に向けて頑張らないと……。今日は歩いて帰りますね(笑)。
※毎年恒例の“真夏の最強戦士決定戦”「戦国炎舞 -KIZNA- Presents G1 CLIMAX 28」のこと。インタビューは本大会の開幕前に行いました

――読者の方の写真に続いて、プロの写真家である山田さんがX-H1で撮られた写真もご覧ください。
山田高央カメラマン(以下、山田):撮る側からすると、コーナーポストに上がったときやキメのシーンで少しタメを作っていただけると、私だけでなく、一般の方も撮りやすいと思うのですが、棚橋選手はそうした点も気を遣っていただいているんですね。撮影するファンにとっては本当にうれしいはず。一般の方もそうしたシーンが1枚でも撮れると、満足度が高いのではないかと思います。




棚橋:さすがプロですね。画角にキチッと収まっていて、1枚1枚の表情がすべて違っている。選手の側では、写真を見るとどんな気持ちで試合をしていたかを思い出すことができるのですが、ファンの方が見ても、その時々の表情などから、シーンや感情を想像していただけると思います。そういう点でも写真は良いですよね。
――今回は山田さん含めて、このX-H1で撮影していただきました。棚橋選手も、よろしかったら少しカメラを触ってみてください。
棚橋:おっ、連写が速いですね。しかもAFも速い。撮りたいところに瞬時にピントが合う。以心伝心って感じですね。一眼カメラって少しハードルが高い印象もあったんですが、これは意外と軽くて撮りやすいです。操作も簡単だし、使っていくとカスタマイズできる部分も多いと思うので、初心者でもハイアマチュアでもプロでも撮影が楽しめそう。プロレスの試合を撮るなら、このカメラって感じですね。写りも、表情だけでなく髪の毛の1本1本まで見事に解像してますし。

山田:私は普段の仕事ではリングの下から撮っているので意識していなかったのですが、今回のように客席から撮ると、やはり選手の前にロープが入るので、難しいケースもあるんですよね。その点、このカメラはフォーカスレバーでピントの位置を自在に変えられるなど、本当に撮りやすいんですよ。
棚橋:よく、ロープにピントが合っていて選手がピンボケになっている写真、ありますよね。
山田:そうなんです。今回参加された方からも、ロープにピントが合ってしまうという声が多くて。でも、このカメラは選手にピントが合いやすくて、一般の方でも使いやすいカメラだと思います。
棚橋:使いやすさとか、ピントの合わせやすさとか、これはもうプロ泣かせじゃないですか? 色もインパクトがあって、少し“盛れる”感じ。リングは照明が入るので背景が黒くなりますが、先ほど見せていただいた作品だと黒のトーンというか、黒い色のバリエーションもしっかり出ています。いまの時代、写真が盛れるというのは、SNSなどで使う場合などには重要ですよね。

山田:プロレスのリング上は照明もきれいなので、そうした黒い色のトーンなどがきれいに写ると、選手もよりかっこよく撮れると思います。色も濃くそれでいてトーンもしっかり出るので、棚橋選手がおっしゃるとおり、写真が盛れるカメラですね。カッコいい写真が撮りたくて、今日は棚橋選手が出るから見に行こう! という方もいるのではないかと思います。そんな方に使ってもらいたい1台です。
棚橋:そうだと僕もうれしいですね。これだけ情報やエンタテインメントが数多くあるなかで、名前と顔を覚えてもらえるというのは本当に重要だと思います。会場でも、顔と名前が一致している選手は、応援しやすいと思いますし、そのぶん、声援も増えます。写真ももっと撮ってもらいたい。ただ、入場のときは拍手もしてもらいたいので悩ましい……。2回拍手して1回撮るって感じでお願いできるといいですね(笑)
――試合も写真も楽しんでほしいということですね。
棚橋:そうですね。もっともっと楽しんでほしいですね。試合を楽しんで、帰って写真を見て楽しんで、さらにプリントして楽しんでと1粒で3度楽しめる。そんな楽しみ方をしてもらえればと思います。

――それでは最後になりますが、今回の参加者の方と読者のみなさんにメッセージをお願いします。
棚橋:みなさんにたくさん写真を撮って頂いているおかげもあり、いま、プロレスはさらなる発展が感じられるものになっています。もっといい写真を撮っていただけるように、我々ももっといい被写体であるために……僕もダイエット頑張ります(笑)。7月14日の大田区総合体育館から8月12日の日本武道館まで、G1 CLIMAX 28という全国的なシリーズも行われます。ここは1つ優勝して、優勝旗を振り回すといった感じで、絵になるシーンを目指しますので期待してください。最後に、GetNavi webとCAPA CAMERA WEBをご覧のみなさん、愛してま~す!
今回は3人の読者の方にFUJIFILM X-H1を使ってプロレス撮影を楽しんでいただきましたが、参加者の方はもちろん、指導していただいた山田さん、さらには被写体となっていただいた棚橋選手も含めて、みなさん納得の写りを得ることができました。
高感度に強く、フィルムシミュレーションにより色鮮やかでトーンも美しい。そんな富士フイルムのカメラの特徴に、快適なAFやクリアなEVF、高速連写など、ハイパフォーマンス機ならではの魅力がプラスされたFUJIFILM X-H1。このカメラなら、撮るのが難しい室内スポーツも楽しく撮れる――そんな魅力を存分に実感できるイベントになりました。読者のみなさんも、プロレスをはじめ、室内スポーツを撮るならFUJIFILM X-H1で存分に撮影を楽しんでみてはいかがでしょうか?
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取材・執筆/河野弘道 モノ・状況撮影/我妻慶一