山下美月インタビュー「年齢関係なく仲良くなれるのがオンラインゲームの魅力」映画「山田くんとLv999の恋をする」

コミックのシリーズ売上は累計600万部突破、名だたる漫画賞で大賞を受賞し、2023年にはアニメ化もされた「山田くんとLv999の恋をする」の実写映画版が公開中。“最強ギャップ男子”の山田(作間龍斗)との難攻不落な恋に挑む女子大生・茜を演じるのは、乃木坂46卒業後も俳優としてドラマや映画で活躍を続けている山下美月さん。撮影を振り返り、共に主演する作間さんはじめ個性的なキャストたち、安川有果監督とのエピソードを話してもらった。

 

こちらは「GetNavi」2025年5月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

山下美月●やました・みづき…1999年7月26日生まれ。東京都出身。乃木坂46の3期生として活動後、2024年5月卒業。近年の出演作に、連続テレビ小説『舞いあがれ!』、ドラマ『スタンドUPスタート』『弁護士ソドム』『さらば、佳き日』『下剋上球児』『Eye Love You』『降り積もれ孤独な死よ』『御曹司に恋はムズすぎる』、映画『六人の嘘つきな大学生』など。「CanCam」専属モデルとしても活躍中。Instagram

【山下美月さん撮り下ろ写真】

 

あえて自分との共通点を挙げるとしたら、お姉さんっぽさ?

──大人気漫画の実写映画化になります。

 

山下 幅広い世代から支持されている原作ですので、どう見せたら不自然じゃないかというところを考えました。原作のある作品を実写に落とし込むことは大変な作業ではあるのですが、漫画やアニメのシーンが現実世界だとこうなるということを納得していただけるように、ナチュラル且つポップに演じることを心掛けていました。

 

──原作はもともとご存知でしたか?

 

山下 以前から作品のことは知っていて、出演のお話を頂いてから本格的に読み始めたのですが、一日で全巻読み切ってしまいました……!

 

──特にどんなところに魅力を?

 

山下 ラブコメと聞くと、学生時代に友達と一緒に見に行ったりとか、多くの人が一度は見ているイメージがあります。その中で、この作品はちょっと今っぽい新しさがあるというか。ラブコメならではのドタバタ感はありつつも、登場人物に悪人がいなくて優しい世界観で物語が描かれているし、オンラインゲームを通じて知り合った人と現実世界でも出会って、そこから絆が生まれていく展開が新鮮でした。私自身はあまりオンラインゲームをやったことがなかったので、こういう世界があるのだなって。今の時代はマッチングアプリなども流行していて、出会い方の多様性も広がってきています。こういう形で自分とぴったりの人を見つけることができたら、すてきなことだと思いました。

 

──映画の中にも、音楽や演出面でゲームっぽい要素が散りばめられていますね。

 

山下 ゲームのシーンは合成用のリーンで撮影していたこともあって、現場では完成形を見られませんでした。なので、実際に映画を見て“うわ~、すごい!”って。劇中に出てくるゲームの中の声をアニメ版の声優の方々が担当されていることにも感動しました。ゲームの映像制作も大変だったと思うのですが、すごく完成度の高いものに仕上がっていて。スタッフさんの力はすごいなとあらためて思いました。

 

──今回演じた茜というキャラクターについては、どのように捉えていますか?

 

山下 根っから明るい性格で、誰ともすぐに仲良くなれるし、コミュ力が高くてうらやましいです。私自身はちょっと人見知りなところがあるし、茜ほど太陽のような明るさは持っていないので……(笑)。あえて自分との共通点を挙げるとしたら、お姉さんっぽさですかね……? 茜は中学生の瑠奈ちゃん(月島琉衣)をかわいがるのですが、そうやって年下の子の面倒を見たくなるところは共感します。山田(作間龍斗)に対しても普段はタジタジだけど、ときどきお姉さんらしい一面を出しますし。後輩を目の前にすると、話を聞きたくなったりご飯に連れて行きたくなったりするところは自分と似ているなと思いました。

 

──確かに周りに年下のキャラクターがいる分、茜にはしっかり者の面も垣間見えますね。

 

山下 男子高校生と女子大学生の恋が描かれることって、ラブコメ作品としてはなかなか珍しいですよね。茜もその年齢差の部分で悩んだりもするのですが、周りには鴨田さん(鈴木もぐら)のように年上の方もいて。そうやって年齢関係なく仲良くなれるのがオンラインゲームの魅力でもあり、ゲームを題材にした作品の中にそれを落とし込んでいるところも面白いと思いました。

 

茜のおかげで撮影期間中の私は、いつも以上に元気でいられました(笑)

 

──映画からは、ギルド(ゲームプレーヤーたちが集まったグループ)の和気あいあいとした雰囲気も伝わってきました。実際の撮影現場も明るかったですか?

 

山下 明るい現場でしたが、私以外にも人見知りの方が意外と多くて(笑)。序盤はお互いに絶妙な距離感を保ちつつ、役柄のようにワイワイしていたというよりは、皆さん敬語で話す感じでした。ですので最初は“大丈夫かな?”と焦りもありましたが、撮影を重ねるにつれて気軽に話せるようになっていって。ゲームのコラボカフェに行くシーンなどは最後の方に撮影したのですが、そのときはすごく仲良くなっていました。劇中のギルドの関係性のようになって本当によかったです。

 

──特に文化祭のシーンが楽しそうでした。

 

山下 楽しかったです。エキストラの方がたくさん参加してくださって、しかも皆さん現役高校生の方ばかりで“高校生ってこんなにパワーがあるんだ!”と感じました。自分が高校生だったときは全く自覚していなかったのですが、こんなにもキラキラしていて、夢を持っていて、肌もピチピチで、スカートも短いんだ……みたいな(笑)。私にもこんな時代があったのかなと振り返りながら撮影していました。でも茜はそうやって高校生に混じっているときも、瑠奈ちゃんと一緒にいるときも、同じ目線で楽しく話ができるキャラクターですよね。おかげで撮影期間中の私は、いつも以上に元気でいられました(笑)。

 

──相手役の作間さんの印象についても聞かせてください。

 

山下 実際に声の感じや醸し出す雰囲気に山田っぽさを感じて、私も演じやすく、引っ張っていただきました。でもご本人の性格的には、本番以外ではいつも冗談をおっしゃっているイメージがあって、面白い方という印象でした。

 

──山田っぽさというのは具体的にどんなところですか?

 

山下 山田はミステリアスなキャラクターですが、わざわざ自分から自分を隠しているわけではないと思います。ただ単に自分の気持ちを言わないだけなのですけど、作間さんご自身にもそういった部分を感じました。現役のアイドルでもあるし私もアイドルをしていたから分かりますが、アイドルって俳優業とは違って、自己開示をしながらどれだけ自分の人間性を好きになってもらうかというところが本質だと思います。その点、作間さんはそこまで自分を見せびらかすことなく、自分をすごい人間だと人に思わせようとしない方という印象で、今まで私がご一緒した中ではあまり出会ったことのない方だと思いました。そういうところもすごく山田の役にハマっていました。

 

──山田のような男子を山下さん自身はどう思いますか?

 

山下 漫画を読んだときは、正直こんなキャラクターが現実にいたら大変だろうなと思いました(笑)。ちょっと色気もあって、でも好きになっちゃいけないというようなオーラも出ていて。ラブコメでよくあるのは、周りにキャーキャー騒がれる人気者の男の子にヒロインも好きになるという展開だと思うのですが。山田に関しては“この人に惚れちゃいけない”という思わせるところがあって、そこが面白いなと思いました。

 

──安川監督とも今回初めてご一緒されたと思いますが、どうでしたか?

 

山下 撮影前から役についていろいろお話しさせていただいたのですが、細かいニュアンスを伝えてくださる方でした。ご本人はちょっと天然チックで愛されキャラのようなところもあるのですが(笑)。どのシーンもこだわりを持って撮影されていましたし、そこに登場人物の心理描写を丁寧に重ねるということをずっと続けていらっしゃって。山田に後光がさしたり、風が吹いたりする演出もすごくて……あの演出は茜にも欲しかったです(笑)。

見た目はコンパクトなのに高性能で、お気に入りです

 

──GetNaviにちなみ、モノについてお聞かせください。そんな茜の部屋のセットで気になるモノはありましたか?

 

山下 いろいろな家具や小物があって、一人暮らしの大学生の女の子が真似したくなるような部屋だなと思いました。実は茜には群馬県出身という設定があって、よく見ると、ぐんまちゃんのキャラクターグッズがあって。夜になるとネオンの照明がキラキラするのもかわいかったです。美術スタッフさんのこだわりが詰まったセットだと思いました。

 

──山下さん自身の部屋のこだわりはありますか?

 

山下 私は部屋に物をあまり置かないし、色みも白とグレーみたいな感じなので茜とは真逆です(笑)。こだわりで言うと、昨年ベッドをちょっと広めのサイズのものに買い換えました……寝返りをうっても絶対に落ちないぐらいの(笑)。枕元にダウンライトがついていて、そこにキャンドルなどの癒やしグッズを置いています。あとベッドが大きくなった分、テレビが置けなくなってしまって、代わりにプロジェクターを買いました。夜は壁に映画などを流しながら寝ています。プロジェクターって何となく映像が見にくいイメージがあったのですが、とても見やすくてびっくりしました。見た目はコンパクトなのに高性能で、お気に入りです。

 

 

山田くんとLv999の恋をする

3月28日(金)より全国公開中

 

【映画「山田くんとLv999の恋をする」からシーン写真】

(STAFF&CAST)
監督:安川有果
原作:ましろ「山田くんとLv999の恋をする」(コミスマ「GANMA!」連載)
脚本:川原杏奈
主題歌:マカロニえんぴつ「NOW LOADING」(TOY’S FACTORY)

出演:作間龍斗、山下美月、NOA、月島琉衣、鈴木もぐら(空気階段)、甲田まひる、茅島みずき、前田旺志郎ほか

(STORY)
彼氏に振られて気落ちしていた大学生・茜(山下美月)は、超塩対応の高校生プロゲーマー・山田(作間龍斗)とオンラインゲーム上で出会う。無愛想で冷たい人間という印象の山田だが、ふとしたときに無自覚な優しさを垣間見せ、そのギャップに茜は少しずつ惹かれるように。恋愛に興味ゼロなのにも関わらずとにかくモテまくる山田を相手に、茜は難攻不落とも思える“史上最高レベルの恋”に挑んでいく。

公式サイト: http://yamada999-movie.com/

(C)ましろ/COMISMA INC. (C)2025『山田くんとLv999の恋をする』製作委員会

 

 

撮影/中村 功 取材・文/橋本吾郎 ヘアメイク/George スタイリスト/YAMAMOTO TAKASHI(style³)

久保史緒里「隠したい想いも、本音も、すべてをさらけ出している。とても人間らしい映画だなと感じました」映画『誰よりもつよく抱きしめて』

至極のラブストーリーとして話題を呼んだ新堂冬樹の小説『誰よりもつよく抱きしめて』がついに映画化。『ミッドナイトスワン』の大ヒットも記憶に新しい内田英治監督のもと、三山凌輝さんとともにW主演を果たした久保史緒里さんは、「自分にとって新しい挑戦だった」と撮影を振り返る。さまざまな感情を表現し、新境地へと挑んだ久保さんに月菜役としての思い、そして映画に込められたテーマをたっぷりとうかがった。

 

※こちらは「GetNavi」2025年2・3月合併号に掲載された記事を再編集したものです。

 

久保史緒里●くぼ・しおり…2001年7月14日生まれ、宮城県出身。乃木坂46のメンバー。ラジオ『乃木坂46のオールナイトニッポン』メインパーソナリティを務めるほか、俳優としても活躍。近年の主な出演作に、大河ドラマ『どうする家康』、連続ドラマW『落日』、『未来の私にブッかまされる!?』、映画『リバー、流れないでよ』、『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』などがある。Instagram

【久保史緒里さん撮り下ろし写真】

 

周りに頼らず、一人でずっと考えてしまうところは月菜と似てるかも

──映画『誰よりもつよく抱きしめて』はタイトルからも深い愛が感じられる、静かで、しかしながら根底に熱い想いが流れているラブストーリーです。最初に脚本を読んだときの印象はいかがでしたか?

 

久保 今おっしゃってくださったように、自分が演じた月菜の目線で読んだときは本当に胸が苦しくなりました。月菜には長く同棲している恋人がいるのですが、彼は強迫性障害による潔癖症を患っていて、そのことで恋人同士なのに直接手を握ることさえできない。心の底から想い合っているからこそ、2人の間にある距離感に切なさを感じてしまって。脚本を読みながらこれまで経験したことがないような感情が押し寄せてきて、辛さを感じながらも、物語に惹き込まれました。

 

──共感するところはありましたか?

 

久保 すごくありました。月菜もよしくん(良城)も、どこか感情に蓋をしてしまっているところがあるんです。私も他人に自分の気持ちを伝えるのが苦手なので、そこは少し似ているなと思いました。特に印象的だったのが、月菜が海を眺めているシーンで。じっと海を見ながら、彼女の頭の中にはさまざまな思いが去来しているよう思えたんです。私もよく一人で考え込んでしまう性格なので、月菜も私と同じ側の人間かも……と親近感が湧きました(笑)。

 

──もしや久保さんは、目の前に大きな壁があっても一人でなんとかしようとしちゃうタイプですか?

 

久保 まさに! 解決するまでその壁とずーっと向き合いますね(笑)。私はほんとに諦めが悪くて(苦笑)。周りに心配をかけたくないので誰かに相談することもあまりしませんし、ただひたすら一人で頑張ります。すごくアナログ的で、効率も悪いんだろうなって自分でもわかっているんですけどね(苦笑)。

 

──今作は、恋人役の水島良城を演じた三山凌輝さんとW主演になります。公式のコメントで三山さんは久保さんの印象について、「役者目線で言うと、何にも染まっていない白いレースカーテンのような人」「余分な要素が生まれないお芝居をされる方」とおっしゃっていました。

 

久保 なんて素敵なお言葉を! 私にはもったいないコメントでうれしい限りです。三山さんとは今回初めて共演させていただき、すべてのものを優しく包み込むような方だなと感じました。月菜に対してもとても寛容的で。お芝居で見せる柔軟さや温かさに、私もいつも演技の面で引っ張っていただきました。

 

──撮影現場で役について話すこともあったのですか?

 

久保 具体的な話し合いや相談をするようなことはあまりなかったです。どちらかというと、冗談を言い合ったり、「頑張りましょう!」といった声掛けをお互いよくして、そうやって恋人同士役の距離感や雰囲気を作っていきました。また、今作では三角関係になるジェホン役のファン・チャンソンさんとも共演するシーンが多かったのですが、チャンソンさんは撮影の合間などに、「あぁ、心が痛い……」とか、「本当に悲しいです……」といった作品に対する感情をよく吐露されていて。その言葉からジェホンさんが今どういった心情なのかが伝わってきたので、私も気持ちを作りやすかったです。

 

──また、今作で監督を務めた内田英治さんとは、映画『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』、連続ドラマW『落日』に続いて3作目になりますね。

 

久保 はい。内田監督の作品は個人的にも大好きなので、声をかけていただけて本当にうれしかったです。ただ、今回演じた月菜役は過去の2作品と雰囲気も性格もまるで違うんです。ですから、安心感のある現場というよりも、むしろ“新しい一面を見せなければ”という緊張のほうが大きかったですね。

 

──成長した姿も見せていかなければいけないから大変ですね(笑)。

 

久保 ほんとに!(笑) 内田監督の作品で主演に抜擢される日が来るとは思ってもいませんでしたので、それもプレッシャーで。でも、きっと私に期待をしてくださっての起用だと思いますので、絶対にその期待に応えようという気持ちで臨みました。

 

──内田監督ならではの演出のこだわりはどんなところに感じますか?

 

久保 いつもすごく丁寧に役や脚本の説明をしてくださいます。初めてお会いしたときからよく言われていたのが、「スクリーンではちょっとした嘘もバレてしまうから」という言葉で。そのため、今作でもシーンごとに月菜がどんな感情を抱いているのかをしっかりと把握するため、最初の脚本の読み合わせのときから監督と私がそれぞれ思い描く月菜像のすり合わせを何度もやらせていただきました。

 

──月菜は感情の揺れ幅が大きいだけに、そうした事前の作業はとても重要になってきそうです。

 

久保 はい。ただ、月菜にとって大きな転機となるシーンだけは、あえて事前に読み合わせをしなかったんです。監督いわく、「そこは現場で生まれるものを見たいから」と。ですから、本番直前まではすごく緊張していたのですが、そこに至るまでのシーンで監督がしっかりと月菜の感情を掘り起こしてくださったので、気負うことなく、自然体で撮影に臨むことができましたね。

 

感情の波が激しくて涙も出ないというのは初めての経験でした

──完成した作品をご覧になっていかがでしたか?

 

久保 すごく繊細な映画だなと思ったのが最初の感想です。また、試写を見た後に内田監督とお話をして、“なるほど”と思ったのが、この映画に出てくる登場人物たちは全員が全員、決していい人たちではないということなんです。それぞれに相手のことを思いやりながら、自分の気持ちにも正直であろうとしている。だから、ときには自分勝手のように見える部分もある。そうした、人間っぽいリアルな部分がしっかりと描かれているなと感じました。

 

──それぞれの言動が理解できるだけに、すべての登場人物たちに感情移入してしまって、映画を見ながらこちらの感情もぐちゃぐちゃになりました。

 

久保 わかります。“あ〜、そのひと言を言わなきゃいいのに”というセリフもたくさんあって、胸が苦しくなりますよね。でも、そこも人間らしいなと思うんです。自分の中に溜め込んでしまっていた感情をつい口に出してしまい、そんなつもりはないのに相手を傷つけてしまう。そうした咄嗟の心の変化が見事に表現されているなって。それに、人って他人とうまく関係性を築いていくために、ときには自分の気持ちを押し殺すことが必要な場合がありますよね。けど、この映画ではそこも隠さずに描いている。自分の本音を隠してしまいがちな今の時代において珍しい作品だなと感じますし、きっと多くの方がいろんな登場人物たちの言葉にハッとさせられたり、心を揺さぶられたりするのではないかと思います。

 

──確かに月菜も良城もどこか本音を隠し、相手を傷つけないようにしているところがありますよね。でも、月菜に思いを寄せるジェホンは優しい言葉も厳しい言葉も真っすぐ月菜に投げかけてくる。しかも、どれも正論ばかりだから、少しずつ月菜を追い詰めているようにも感じました。

 

久保 そうなんです。ジェホンさんの言葉はどれも正しいんです。だから逃げ場がないし(苦笑)、いっそのこと彼の想いに応えることが月菜にとっても最善なのかなと思えてくる。けど、正論では計り知れないのが人間の愛だと私は思うんです。やはり、よしくんは月菜にとってかけがえのない人ですし、強迫性障害と闘っている彼を放っておけないという思いもある。ですから、よしくんとジェホンさんに挟まれている月菜のことを考えると、本当に胸が苦しくなりました。私としては、“どっちの選択を取ってもきっと間違いじゃないんだよ”と思いながら演じていましたし、最後の最後に彼女が選んだ道も月菜らしいなと思いましたね。

 

──また、良城が祖父(酒向 芳)と病気のことで口論になった後に月菜に対して「一生守るから」と感情的に言葉を投げかけ、それを聞いて月菜が涙を流します。あの涙はどういったものだったのか教えていただけますか?

 

久保 月菜はよしくんと長年一緒にいるからこそ、彼の病気が簡単に治るものではないとわかっているんです。ただ、彼を支えているつもりの自分の存在が、逆に彼にストレスを与えてしまっているかもしれないという負い目をだんだんと感じ始めていくんですよね。つまり、自分が恋人の負担になっているかもという思いをお互いが感じ出していて、それでもやっぱり一緒にいたいからその現実から目を逸らしていたのに、よしくんの「一生守るから」という言葉によって月菜の中で張り詰めていたものが一気に崩れ出していったんです。その結果、撮影の本番でも、例えようのないさまざまな感情が私の中に押し寄せてきましたし、気づいたら自然と涙がこぼれていました。

 

──なるほど。それもあって、良城が別れ話を切り出したとき、月菜の中に哀しみや罪悪感だけじゃなく、もしかしたら、どこかほっとした気持ちも生まれたのかなという気がしました。

 

久保 確かにほっとした気持ちもあったと思います。あの場面の撮影も本当に心が苦しかったです。寂しさや哀しさを感じながらも、別れるという選択肢がもしかしたらよしくんにとっていいのかもとすら思えてしまって。ですから、脚本だけを読んでいたときは切なくて涙が出たのですが、いざ撮影に臨むと、さまざまな感情が溢れてきて涙が出なかったんです。“人って、こういう気持ちになることがあるんだ”と不思議な体験でした。

 

──何が本当の幸せなのかは当事者たちにしかわからないし、当事者すらわからないこともあるというのが、この作品のテーマの一つでもあるのかなと感じました。

 

久保 はい。それに、物語の中では場面ごとに登場人物たちのさまざまな感情が繊細に描かれていますからね。彼らが抱えるたくさんの気持ちの波を一つひとつ感じていただけたらなと思います。

 

旅先ではいつも少し積極的な性格に

──今作はロケの多くが鎌倉だったようですね。

 

久保 はい。ロケの間中、鎌倉でいろんな景色を楽しめて、すごく幸せでした。海沿いの撮影が多かったこともあり、常に波の音が耳に優しく響いていて。それに電車の音や街のざわつきなど、いろんな音に毎日癒やされてましたね。

 

──GetNaviの本誌でもいろんな街を旅するのが好きだとお話しされていました。

 

久保 そうなんです。昨年は初めてプライベートで長崎に行きました。現地で友人と合流したので、行くまでの飛行機の搭乗手続きなども初めて一人で経験して。もう飛行機の乗り方はバッチリなので(笑)、今年はいろんなところに旅行に行きたいなと思っています。最終的な目標はお仕事抜きで全国の都道府県を制覇することなので、その達成に向けて着々と進めていけたらなと。

 

──いいですね。ちなみに今はどれくらい制覇されているんですか?

 

久保 まだ九州だけなんです。なので、ゴールはまだまだ遠いですね(笑)。

 

──最後に訪れる場所ではかなりの達成感が味わえそうですね。すでにゴール地は決めているんですか?

 

久保 それは考えたことがなかったです。でも、ぜいたくにお休みをたくさんとって東北一周とかいいかもしれませんね。出身が宮城なので、あえて最後に凱旋を選んでみるのも面白いかも(笑)。東北の各県も訪れたことはあるんですが、“いつでもすぐに行けるから”という理由で、意外と隅々まで満喫したことがないなと最近気付いて。なので、東北のいろんな県を楽しんで、最後は宮城の温泉巡りなんていうのもいいかなって思ってます。

 

──ちなみに、旅先で必ずすることはありますか?

 

久保 旅行はいつも地元の友人と行くんですが、彼女が運転免許を持っているので、レンタカーを借りてドライブをします。ずっと彼女に運転を任せっきりなので、私もそろそろ免許を取らなきゃなって思っているんですけどね(笑)。

 

──クルマを運転できると、旅先での行動範囲がぐっと広がりますよね。

 

久保 そうなんです。でも、それでいうと、旅先ではバスにも必ず乗って遠くまで行きます。そこに住んでいる人たちしか行かないような街の景色を見るのが大好きで。路線バスだとその土地のおじいちゃんやおばあちゃんが話しかけてきてくれたりするので、それもすごく楽しいんです。普段は人見知りが激しいのに、旅行に行くとちょっと勇気が出て、知らない人と積極的に話せたりする。それも旅の醍醐味のひとつだなって思いますね。

 

 

誰よりもつよく抱きしめて

2月7日(金)より全国公開

【映画「誰よりもつよく抱きしめて」よりシーン写真】

(STAFF&CAST)
監督:内⽥英治
原作:新堂冬樹「誰よりもつよく抱きしめて」 (光⽂社⽂庫)
脚本:イ・ナウォン
主題歌:「誰よりも」BE:FIRST(B-ME)

出演:三⼭凌輝、久保史緒⾥(乃⽊坂 46)、ファン・チャンソン(2PM)、穂志もえか、永⽥ 凜、北村有起哉、酒向 芳ほか

(STORY)
学生時代から付き合いはじめ、現在同棲中の水島良城(三山凌輝)と桐本月菜(久保史緒里)。互いのことを深く思い合っている2人だが、良城は強迫性障害を患い、月菜にも触れることができない日常が続いていた。やがて月菜の勧めもあり、治療を決意した良城は、同じ症状を抱える村山千春(穂志もえか)に出会い、思いを共有できる千春との距離を縮めていく。また同じ頃、恋に不感症な男性・ジェホン(ファン・チャンソン)との不思議な出会いを果たした月菜は、優しく疲れた心を解きほぐしていくジェホンに心が揺れ動いてしまう……。

公式HP:https://dareyorimo-movie.com/

(C)2025「誰よりもつよく抱きしめて」HIAN/アークエンタテインメント

 

撮影/干川 修 取材・文/倉田モトキ ヘアメイク/高橋雅奈 スタイリスト/鬼束香奈子

菅井友香のウマ愛が炸裂「イクイノックスの子どもたちに期待しています!」

2024年は2本の地上波連続ドラマでW主演を務める一方で、『開運!なんでも鑑定団』の新MCに就任するなど、着実に活動の場を広げている菅井友香さん。1月31日公開の映画『怪獣ヤロウ!』で劇映画初出演を果たした彼女に、転機となった2024年を振り返ってもらいながら、プライベートでの思い出や、今ハマっていることなどをお聞きしました。

 

※こちらは「GetNavi」2025年2・3月合併号に掲載された記事を再編集したものです。

 

菅井友香●すがい・ゆうか…1995年11月29日生まれ。東京都出身。欅坂46および 櫻坂46の元メンバー。初代欅坂46のキャプテンを務めた。幼少期より馬術を習う。2022年11月にグループから卒業。舞台やミュージカル、ドラマなど活躍の幅を広げ、現在、「菅井友香の#今日も推しとがんばりき」(文化放送)パーソナリティーや、「競馬BEAT」(カンテレ)のMCを務めるほか、「東京GOOD!TREASURE MAP」(テレビ東京)にレギュラー出演中。2024年4月にはテレビ東京「開運!なんでも鑑定団」の新MCに就任した。W主演ドラマに「チェイサーゲームW パワハラ上司は私の元カノ」(テレビ東京)、「ビジネス婚-好きになったら離婚します-」(MBS)。公式HPInstagramX

【菅井友香さん撮り下ろし写真】

 

初老ジャパンの大岩義明さんやトラウデン直美さんと乗馬

──2024年は『チェイサーゲームW パワハラ上司は私の元カノ』(テレビ東京)、『ビジネス婚-好きになったら離婚します-』(MBS)と立て続けにドラマのW主演を務める一方で、テレビ番組のMCを新たに担当するなど、転機の年となったのではないでしょうか。

 

菅井 新しい挑戦をたくさんさせていただいて、あっという間に駆け抜けた一年でした。オファーをいただけるのは私に期待してくださったり、これまでの活動に注目してくださったりしているからだと思います。どのお仕事も、ちゃんと皆さんの期待に応えていかなきゃいけないなという気持ちで取り組みました。お芝居の実力もまだまだなので、もっと自分の中で追求していきたいですね。また舞台にも出たいですし、今まで経験したことのない役柄や作品にも挑戦していきたいです。

 

──菅井さんは中学1年生で本格的に馬場馬術を始め、高校時代は大会で目覚ましい結果を残しています。久しぶりに乗馬クラブに行く機会に恵まれたとお聞きしました。

 

菅井 パリオリンピックに出場された初老ジャパンの大岩義明さんとお話する機会をいただき、それが縁で一緒に乗馬をすることになったんです。私の馬仲間と、同じ乗馬クラブに通っていたトラウデン直美さんも同行して、結構な勢いで山を走り抜けるという楽しい一日でした。10年近く乗馬を指導していただく機会がなかったので、腕は落ちていたんですが、一番乗りやすい馬をあてがってもらえたので、すぐに感覚を思い出せました。翌日の筋肉痛はすごかったですけどね(笑)。

 

──また乗馬を始めたい気持ちもありますか?

 

菅井 あります! 乗馬のために車の免許も取ったので、またみんなで乗馬クラブに行って、レッスンを受けたいなと考えています。

 

──菅井さんは『競馬BEAT』(カンテレ)のMCも務めていますが、注目している競走馬を教えてください。

 

菅井 実際に活躍するのは数年後になると思いますが、2023年に引退したイクイノックスの子どもたちです。競走馬としての役目を終えて、種牡馬入りをしたときに取材をさせていただいたんですが、どんな強い子が育つのか、今から楽しみです。

 

──今ハマっていることや、収集しているものなどがあったら教えていただけますか。

 

菅井 モバイルバッテリー、充電コード、ワイヤレスイヤホン、スマホケースなどの電化製品を水色で揃えることにハマっています。一つ買うと同じメーカーの同じ色で揃えたくなるんですよね。そもそも水色はさっぱりしていて、かわい過ぎずに、しっくりくるので大好きな色です。あとは先ほどのお話しに繋がるんですが、馬グッズ収集もしています。

 

──具体的にどんなグッズを集めているんですか。

 

菅井 『競馬BEAT』に出演するとき、よく馬がデザインされたブローチを身に付けています。全て私物なのですが、今は7個ぐらい持っていて、もっと増やしていきたいです。他にも馬関連のグッズはたくさん集めているんですが、今のお気に入りは「アイドルホース リバティアイランド 秋華賞2023・三冠ver.」です。一昨年、リバティアイランドが牝馬三冠を達成した記念で発売されたぬいぐるみで、北海道のノーザンホースパークに行ったときに買ったんですが、ちゃんと特徴も捉えられていてかわいいんです。最近だと世田谷の馬事公苑に行ったときに出店があって、そこでプレゼント包装などに使えるカラフルな馬のリボンを買いました。

 

 

怪獣ヤロウ!

岐阜先行公開中、1月31日(金)より全国公開

【映画「怪獣ヤロウ!」よりシーン写真】

(STAFF&CAST)
監督・脚本:八木順一朗

出演:ぐんぴぃ
菅井友香 手塚とおる 三戸なつめ
平山浩行 田中要次 麿赤兒 清水ミチコ

(STORY)
岐阜県関市。市役所の観光課に務める山田一郎(ぐんぴぃ)はある日、市長(清水ミチコ)から“ご当地映画”の製作を命じられる。しかしどこにでもある“凡庸なご当地映画”に疑念を持った山田は、かねてからの夢だった〈怪獣映画〉の製作を思いつく。「いつも失敗ばかりでダメな自分を変えるため、パッとしない故郷を変えるため、怪獣で、全部をぶっ壊す!」。しかしその想いは、市政を巻き込んだ大事件へと発展していく。果たして山田は、夢だった〈怪獣映画〉を完成させることができるのか!?

公式HP:https://www.kaijuyaro.com/

公式Instagram:https://www.instagram.com/kaiju_yaro/

公式X:https://x.com/kaiju_yaro

(C)チーム「怪獣ヤロウ」

 

撮影/千川 修 取材・文/猪口貴裕 ヘアメイク/相場清志(eif) スタイリスト/山本杏那

 

『怪獣ヤロウ!』で劇映画初出演を務めた菅井友香が大学時代の失敗やグループ時代の思い出を回顧

2024年は2本の地上波連続ドラマでW主演を務める一方で、『開運!なんでも鑑定団』の新MCに就任するなど、着実に活動の場を広げている菅井友香さん。1月31日公開の映画『怪獣ヤロウ!』で劇映画初出演を果たした菅井さんに撮影エピソードや、春とヒコーキのぐんぴぃさん、清水ミチコさんと一癖も二癖もある共演者の印象、欅坂46の初代キャプテンを務めたときの思い出などを中心にお話を伺いました。

 

※こちらは「GetNavi」2025年2・3月合併号に掲載された記事を再編集したものです。

 

菅井友香●すがい・ゆうか…1995年11月29日生まれ。東京都出身。欅坂46および 櫻坂46の元メンバー。初代欅坂46のキャプテンを務めた。幼少期より馬術を習う。2022年11月にグループから卒業。舞台やミュージカル、ドラマなど活躍の幅を広げ、現在、「菅井友香の#今日も推しとがんばりき」(文化放送)パーソナリティーや、「競馬BEAT」(カンテレ)のMCを務めるほか、「東京GOOD!TREASURE MAP」(テレビ東京)にレギュラー出演中。2024年4月にはテレビ東京「開運!なんでも鑑定団」の新MCに就任した。W主演ドラマに「チェイサーゲームW パワハラ上司は私の元カノ」(テレビ東京)、「ビジネス婚-好きになったら離婚します-」(MBS)。公式HPInstagramx

【菅井友香さん撮り下ろし写真】

 

春とヒコーキのぐんぴぃさんは真面目で聡明な方

──『怪獣ヤロウ!』は菅井さんにとって劇映画初出演となります。オファーがあったときのお気持ちはいかがでしたか。

 

菅井 企画書と脚本を読んで、岐阜県関市を舞台にしたご当地映画であり、怪獣映画でもあるというユニークな作品で斬新さとエネルギーを感じましたし、「ぜひチャレンジさせていただきたい!」と思いました。

 

──関市のワンマン市長に従う秘書課職員・吉田という役どころです。

 

菅井 吉田は市長に従って生きることが自分の正義だと信念を貫いている女性ですが、ぐんぴぃさん演じる関市役所観光課職員・山田の奮闘を見て、自分のやりたかったことに気付いていきます。山田に出会う前と後で徐々に変化をつけたいなと思って、吉田の心境を考えながら演じました。私と吉田では全くタイプが違うので大変でしたが、うれしいチャレンジでした。

 

──前半と後半では、吉田のキャラクターも変化します。

 

菅井 市役所では硬い女性ですが、山田の影響ではっちゃけていくんですよね。初めて着るような奇抜な衣装もあったんですが、すごく楽しくて。監督からも「もっとやっていこう!」と言われて、どんどん殻を破っていくような感覚がありました。

 

──ぐんぴぃさんの印象はいかがでしたか。

 

菅井 衣装合わせのときに初めてお会いしたんですが、欅坂46が好きと仰っていてうれしかったです。真面目で聡明な方で、八木(順一朗)監督との息もぴったりでした。みんなでご飯を食べに行ったときに、たくさん食べる姿が素敵で、見ているだけで幸せな気持ちになりました。

 

──食べる姿が素敵というと?

 

菅井 食べっぷりの良さもそうですが、ちょっと白米が残ってしまったときに、みんなの分を食べてくださったのが素敵でした(笑)。

 

──市長役の清水ミチコさんも良い味を出していましたよね。

 

菅井 お会いする前は直属の部下役だったのでドキドキしていたんですが、私の中では市長そのままに愛のある厳しいお方というイメージで。本番中は上司として、厳しく吉田に指示を出してくださるので本気でハラハラしましたし、だからこそ緊張感のあるシーンになったと思います。

 

──撮影以外で清水さんとの交流はありましたか。

 

菅井 ご一緒する時間は少なかったのですが、初めてごあいさつさせていただいたときに、優しく「よろしくね」と言ってくださったのが印象的でした。あと、ぐんぴぃさんが清水さんにごあいさつしたときに、それまでみんなでご飯を食べていて、ご飯粒を飛ばしちゃったんです。そしたら清水さんが市長のような口調で、「初対面でご飯粒を飛ばすなんて失礼ね」と言って、現場が笑いに包まれました。清水さんのユーモアで現場を盛り上げてくださるところが素敵でかっこよかったです。

 

役を突き詰めることができ、やりがいを感じた大切な時間だった撮影期間

──八木監督は普段、春とヒコーキも所属しているタイタンの社員として働いているんですよね。

 

菅井 怪獣映画愛に溢れていて、お話ししていると情熱やこだわりが伝わってきました。ご自身で脚本も書かれているので、主人公の山田と重なるところが多くて、アクティブで生き生きとしている方ですし、役者一人ひとりに寄り添ってくださるので話しやすかったです。あと普段ぐんぴぃさんとはマネージャーとして接しているのに、撮影のときは監督と役者という関係性が出来上がっていて、良い雰囲気が流れていました。お二人に引っ張っていただいた場面は多かったですね。

 

──現場の空気感が良かったんですね。

 

菅井 八木監督をはじめ、スタッフさん、キャストさんとじっくり話して、役を突き詰めることができましたし、やりがいを感じて、私の中で大切な時間になりました。この撮影を通して本格的なセットや着ぐるみに触れる機会もあって、身が引き締まる思いもありつつ、ワクワクと感動がありました。

 

──菅井さんは撮影現場でも積極的に質問されていたそうですね。

 

菅井 八木監督が吉田のしゃべり方や声のトーンにこだわりをお持ちで、普段の私よりも低いトーンで、てきぱきしゃべる女性というアドバイスをいただいたんです。どういう心境かも説明してくださって、そのイメージに近づけるために、撮影前にいろいろお聞きしました。

 

──関市というロケーションがお芝居に影響した部分はあったのでしょうか。

 

菅井 今回の撮影で初めて関市に行かせていただいたんですが、2週間ぐらい滞在して、町の魅力にたくさん触れることができて、帰るのが寂しくなっちゃうぐらい大好きになりました。地元の方もたくさん出演されているのですが、ご当地ならではの温かさが伝わってきて、それがお芝居にも反映されていると思います。

 

──映画の公開を控えて、どんなお気持ちでしょうか。

 

菅井 劇映画初出演であり、新しい第一歩を踏んだ思い入れの深い作品になりました。まだまだ映画の現場は分からない部分も多いんですが、初めての体験として、これ以上ないぐらいありがたい環境でした。

 

母から学んだチャレンジし続けることの大切さ

──吉田は仕事で大きなミスを犯して、それが物語に大きな影響を与えていきます。

 

菅井 いつも吉田は頑張っている分、突然のトラブルに弱い部分があるんですよね。自分自身、過去に大きな失敗をしたことがあるので、その記憶が蘇るシーンでした。

 

──どんな失敗だったのでしょうか。

 

菅井 大学の卒業論文のデータを提出直前に消しちゃったことがあって……。そのときは人生が終わった気分でした。家族とは4年間で大学卒業するという約束をして芸能活動をしていたので、もう無理だと決めつけて家のソファーで大泣きしていたんです。そしたら母が「どうして泣いているの?」と聞いてくれて、「もう間に合わない」と言ったら、「諦めたら駄目!」とパソコンの画面に向き合って、エンターなどのキーを押し始めたんです。そしたら急に画面が変わって、ちょっとずつデータが戻ってきて。結果的に全部データは回復して、無事に卒業することができました。

 

──奇跡じゃないですか!

 

菅井 そうなんですよ! そのときに諦めなければ奇跡は起こるんだと母から教えてもらって。すぐに嘆かないで、チャレンジし続けることを大事にしたいなと思いました。そんな経験があったので、吉田を演じることに運命を感じました。

 

──吉田は市長と観光課の板挟みになりますが、そういう経験はありますか?

 

菅井 グループ時代、キャプテンを務めていたときは吉田のような難しさを感じる時もありました。行き詰まったときは、自分に何ができるんだろうと思い悩みました。メンバーとスタッフさん、どちらの気持ちも分かるからこそ、どう言葉で伝えたらいいのか判断が難しくて。いろんな立場の方の気持ちを知ることができた貴重な時間でした。

 

──そういう壁にぶつかったときは、どう乗り越えていたのでしょうか。

 

菅井 最初は誰にも言えなかったんですが、スタッフさんから「ちょっとずつでいいから、理解してもらえる子を一人でも二人でも増やしていくといいよ」とアドバイスをいただいて。そこから溜め込まずに、自分の弱みを見せていくことにしたんです。そうすると気持ちも軽くなるし、月日を重ねていくうちに理解してくれるメンバーも増えていきました。

 

──最後に改めて『怪獣ヤロウ!』の見どころをお聞かせください。

 

菅井 笑えるところもありますし、ウルっとするところもあって、盛りだくさんな内容ですが、どんな気持ちのときでもスーッと入ってきて、楽しい気持ちになれる映画です。悲しいことがあったとき、一歩踏み出したいとき、環境を変えたいときなどに観ると、勇気や力を届けられる作品になっているはずです!

 

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怪獣ヤロウ!

岐阜先行公開中、1月31日(金)より全国公開

【映画「怪獣ヤロウ!」よりシーン写真】

(STAFF&CAST)
監督・脚本:八木順一朗

出演:ぐんぴぃ
菅井友香 手塚とおる 三戸なつめ
平山浩行 田中要次 麿赤兒 清水ミチコ

(STORY)
岐阜県関市。市役所の観光課に務める山田一郎(ぐんぴぃ)はある日、市長(清水ミチコ)から“ご当地映画”の製作を命じられる。しかしどこにでもある“凡庸なご当地映画”に疑念を持った山田は、かねてからの夢だった〈怪獣映画〉の製作を思いつく。「いつも失敗ばかりでダメな自分を変えるため、パッとしない故郷を変えるため、怪獣で、全部をぶっ壊す!」。しかしその想いは、市政を巻き込んだ大事件へと発展していく。果たして山田は、夢だった〈怪獣映画〉を完成させることができるのか!?

公式HP:https://www.kaijuyaro.com/

公式Instagram:https://www.instagram.com/kaiju_yaro/

公式X:https://x.com/kaiju_yaro

(C)チーム「怪獣ヤロウ」

 

撮影/千川 修 取材・文/猪口貴裕 ヘアメイク/相場清志(eif) スタイリスト/山本杏那

GACKT&二階堂ふみ主演の映画「翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~」本編ノーカットで地上波初放送 “壮大な茶番劇”第II章

土曜プレミアム 映画「翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~」(フジテレビ系)が、2月8日(土)午後9時~11時30分に本編ノーカットで地上波初放送されることが決定した。

映画「翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~」©2023映画「翔んで埼玉」製作委員会

 

魔夜峰央原作の人気漫画「このマンガがすごい!comics 翔んで埼玉」を、GACKT、二階堂ふみを主演に迎えて実写した映画「翔んで埼玉」。埼玉県を徹底的にディスるという衝撃的な内容とは裏腹に埼玉県民の心に深く郷土愛を刻んだ本作は、史上空前の「埼玉ブーム」という社会現象も巻き起こし、興行収入37.6億円超えの大ヒットを記録した。また、「第43回日本アカデミー賞」ではGACKTの主演男優賞、二階堂の主演女優賞を含む最多12部門で優秀賞を受賞するなど、国内外の数多くの映画賞にも輝いた。

 

そして2023年、続編となる映画「翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~」が公開。前作より続投のGACKT、二階堂らに加え、杏、片岡愛之助ら新たなキャスト陣も集結し、埼玉のみならず日本中を巻き込んで“無駄にド派手”なスケールで日本最高峰の茶番劇を繰り広げる。スケールもパワーも格段にアップした本作は、興行収入は23.8億円、観客動員数は173万人を突破し、再び日本中を席巻した。

 

映画「翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~」あらすじ

埼玉県内の田舎道を、1台のワゴン車が与野在住の家族を乗せて、熊谷に向かって走っている。カーラジオからは、埼玉のご当地ソング「人生たまたま…さいたまで」に続き、DJが語る、埼玉にまつわる都市伝説・第II章が流れ始める。

その昔、東京からさげすまれていた埼玉県人が、壮大な茶番劇の末に通行手形を撤廃し、関東に平和が訪れた。埼玉解放戦線を率いる麻実麗(GACKT)と壇ノ浦百美(二階堂ふみ)は、さらなる平和を求めて活動(=日本埼玉化計画)を推し進めていたが、埼玉県人は横のつながりが薄いという問題が浮上する。
麗は埼玉県人の心を1つにするために、越谷に海を作る無謀な計画を打ち立てる。美しい白砂を持ち帰るために、百美を残し、和歌山県の白浜を目指して解放戦線のメンバーとともに大海原に出るも、船が嵐に巻き込まれて難破し、麗は独り和歌山の海岸に漂着する。そこで麗は、滋賀解放戦線の桔梗魁(杏)と運命的な出会いを果たす。

当時の関西は、大阪府知事の嘉祥寺晃(片岡愛之助)、その妻の神戸市長(藤原紀香)、京都市長(川﨑麻世)らの支配下にあり、滋賀県人、和歌山県人、奈良県人らが非人道的な扱いを受けていた。白浜も大阪人のためのリゾート地になっており、通行手形のない者は入ることができず、そこには和歌山解放戦線のリーダーである姫君がとらわれていた。
桔梗は姫君を、麗は嘉祥寺にとらわれた仲間たちを救い出そうとするが、麗もまた嘉祥寺の手中に落ちてしまう。嘉祥寺が恐ろしい計画を企てていることを知った麗と桔梗、そして百美たちは、暴走する嘉祥寺を阻止することはできるのか。

そして、この事態は日本全国をも巻き込む誰も予想だにしなかった史上空前の東西対決へと発展していく。鍵を握るのは“琵琶湖”。埼玉の、日本の命運やいかに。

 

プロデューサー・若松央樹(フジテレビ ドラマ・映画制作部)コメント

あの壮大な茶番劇!と言われた『翔んで埼玉』。
それが“まさかの第二章!”そして“まさかの地上波初放送!”
前作では、埼玉の皆様には“もっとディスっても大丈夫!”という声や、他県の皆様には“埼玉がうらやましい”“自分たちの地元もいじって欲しい!”“翔んで〇〇もやってほしい!”など、ありがたい反響をたくさんいただきました。
今回の舞台は埼玉を飛び出し、関西へ。前作以上にスケールアップし、日本全土を巻き込む、天下分け目の東西対決へと発展します!我々なりの愛あるディスりで、埼玉に加えて、今回は関西の魅力も全国に届けてゆきたいと思っています。
前作と並び、放送して良いものかという迷いもありますが…どうか何卒寛大な心で受け止めていただければと思っております。ぜひお楽しみください。

 

【番組情報】

土曜プレミアム 映画「翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~」

フジテレビ系
2025年2月8日(土)午後9時~11時30分

<出演者>
GACKT、二階堂ふみ
杏、加藤諒、堀田真由、くっきー!(野性爆弾)、高橋メアリージュン、和久井映見、アキラ100%、朝日奈央、天童よしみ、山村紅葉、モモコ(ハイヒール)、川﨑麻世、藤原紀香、片岡愛之助 ほか

<スタッフ>
原作:魔夜峰央「このマンガがすごい!comics 翔んで埼玉」(宝島社)
監督:武内英樹
脚本:徳永友一
音楽:Face 2 fAKE
主題歌:はなわ「ニュー咲きほこれ埼玉」(ビクターエンタテインメント)

©2023映画「翔んで埼玉」製作委員会

松山ケンイチ&染谷将太「福田監督の現場は自分の新たな一面を知り、気づかされることが、毎日のようにある」映画『聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメンVS悪魔軍団~』

“神の子イエス”と“仏の悟りを開いたブッダ”が東京・立川にあるアパートで二人暮らしをしながら下界でバカンスを満喫する日常を描いた、ギャグ漫画「聖☆おにいさん」を福田雄一監督が実写映画化。イエス役を演じた松山ケンイチさんとブッダ役を演じた染谷将太さんが、豪華ゲストとの共演エピソードやほかの現場ではありえない撮影について語ってくれました。

 

【松山ケンイチさん&染谷将太さん写真一覧】

 

想定外の演技だけでなく、必ず何かが起こる現場

──『聖☆おにいさん』初の長編映画化の話を聞いたときの率直な感想は?

 

松山 基本的に、アパートの部屋の中で起こる話なので、2人で長編映画って尺が持つのだろうかと不安になりました。それで10分程度の短いエピソードをいくつか撮る感じなのかなと思ったのですが、「屋外に出ます」「いっぱい神様が出ます」って言われてビックリしました。その神様を演じるのが、本当にすごいキャストで、現場にただただ、笑わせに来るんですよ。何の意味もなく(笑)。ある意味、僕らが一番の観客になっていました。

 

染谷 なぜか分からないですけど、他の現場にいる方から「ひょっとしたら、映画化するかも?」って噂を聞いていました。そのときは「えっ、そうなんですか?」という感じだったんですか、正式に聞いたときは、やっぱりドキドキワクワクでしたね。しかも、中村光先生が映画化のための原作を書いてくださって、台本を読んだら、「これぞ長編映画の話だ!」と実感が湧いてきました。ただ、ゲストキャラの相関図みたいなものを見せてもらったときは、さすがに「嘘でしょ?」と(笑)。

 

松山 僕らは正式にオファーをもらってから、1か月もたたないうちに撮影が始まったんですけれど、他のキャストさんの方はもっと近々に、この映画に出ることを知らされたと思うんですよ。このすごいキャストをよくねじ込めたと思うし、どうやって出演OKをもらったのか、個人的に知りたいです。

松山ケンイチ●まつやま・けんいち…1985年3月5日生まれ、青森県出身。主な出演作に、NHK大河ドラマ「平清盛」「どうする家康」、ドラマ「100万回言えばよかった」、NHK朝の連続テレビ小説「虎に翼」、映画「BLUE/ブルー」「ノイズ」「大河への道」「川っぺりムコリッタ」「ロストケア」など。 XInstagram

 

──イエスとブッダの絶妙な掛け合いを生み出すため、意識されていることは?

 

染谷 これまでは、できるだけ自然体にやってきたんですけれど、今回初めて、いろいろな神様を演じる役者さんと掛け合いをしたとき、これまで我々が築いてきたものが一度崩壊したといいますか、見失いました。台本にないことが次々起こるアドリブ合戦で、それに対して「いや、自分たちはこれまで通りにいこう!」って、話し合ったことを覚えています。

 

松山 想定外の演技だけでなく、必ず何かが起こる現場だったので、僕たちだけじゃなく、その場にいたスタッフ・キャスト全員が衝撃を受けていたと思うんです。(佐藤)二朗さんのシーンでは面白すぎて、カメラが若干揺れていたし、スタッフさんが吹いちゃっている音も現場でよく聞こえるんです。みんなが笑いを耐えられなくなっているメイキングとか残っていたら、見たくなりますね。

 

──そんな佐藤二朗さん演じる、戦いの仙人とシーンはいかがでしたか?

 

染谷 これといった段取りもリハーサルもなく、本当にぶっつけ本番で撮り始めたんです。それが福田(雄一)監督なりの、二朗さんシーンの撮影スタイルらしいんです。

 

松山 笑うことをギリギリまで耐えているのって、『ワンピース』でルフィとキッドとローがチキンレースやっていたときの心境に似ていたかもしれません。僕らはずっと被弾していましたけど(笑)。カメラが回っているなか、何を言われるか分からないし、どの部分を使われるのかも分からない恐怖があるなんて、他の現場ではありえないことですよ!

 

染谷 そうしたら、完成版では、ほぼほぼ全部使われていたという(笑)。これもありえないことです。

 

まさか、この年齢になって、ヒーローになるとは!

──佐藤さん以外にもすごいゲストの方々が名を連ねています。

 

松山 僕らと直接共演している方は、皆さんつめ痕どころじゃない、何かをしっかり残されて帰られています。神木(隆之介)くんは「初めての福田組で緊張します」って言っていたのに、めちゃくちゃ爆発していました。

 

染谷 神木くんと(仲野)太賀くんは、めちゃくちゃバチバチなライバル関係という設定を決めてから、阿吽の呼吸でやっていましたね。でも、初日の岩田(剛典)さんと白石(麻衣)さんから、相当すごかったです。

 

松山 ムロ(ツヨシ)さん、山田(孝之)さん、(藤原)竜也さんたちとは、直接の絡みはなかったのですが、完成した作品を観たら、皆さんヤバいんですよ! 正直、このメンツが集められるのなら、もっとシリアスな『SHOGUN 将軍』並の作品が作れたと思うんですよ。でも、ただ笑わせるだけ(笑)。

 

染谷 ムロさんから直接聞いたんですけど、台本も何も渡されないまま、朝早く現場に行ったら、めちゃくちゃ長いカンペが置いてあって、福田さんから「それを読んでくれ」って言われたらしいんですよ。完成したシーンでは、その長いカンペがすごく生かされているので、お客さんにはそこもチェックしてほしいです。

染谷将太●そめたに・しょうた…1992年9月3日生まれ、東京都出身。主な出演作に映画「ヒミズ」、「みんな!エスパーだよ!」シリーズ、「バクマン。」「違国日記」「はたらく細胞」、NHK連続テレビ小説「なつぞら」、NHK大河ドラマ「麒麟がくる」、ドラマ「ブラッシュアップライフ」、Netflixオリジナル「サンクチュアリ -聖域-」「地面師たち」などに出演。

 

──イエスとブッダは戦隊ヒーロー“ホーリーメン”に変身し、戦隊モノではおなじみの採石場で怪人と戦います。

 

松山 小さい頃からよく見ていましたし、『仮面ライダーBLACK RX』はおもちゃも買いましたし、やっぱ憧れの対象ですよね。でも、実際ホーリーメンをやってみて、やっぱり見ている側の方がいいなと思いました(笑)。しかも、あのベルトって何か意味ありましたっけ? ボタンを押して、何か出るとかありませんでした。

 

染谷 でも、お互い一生懸命頑張りましたよ! 子供の頃、日曜日の朝、眠いけれど、番組を見たいから、頑張って起きた記憶はあるので、衣装合わせで、ホーリーメンの衣装を着たときは、ちょっとうれしかったです。まさか、この年齢になって、ヒーローになるとは(笑)。しかも、あの採石場で、リアルな怪人と戦うなんて、少年心をくすぐられました。修業シーンのアクションなど、一連の流れも楽しかったです。

 

──今回の映画を通じて、福田監督の演出はいかがでしたか?

 

松山 僕は福田さんとお話することは、あまりありませんでしたが、福田さんは、いつも笑っていました。福田さんの現場って、何が起こるか分からない怖さがありつつ、新しいものが生まれる瞬間があるんですよ。「この俳優さんは、こんな演技をする」というイメージがすべて壊れる。それで、新しい引き出しみたいなものが出てくるので、そういう空間を作るのがうまいんです。どの作品にも学びや反省はあるのですが、福田さんの現場は自分の新たな一面を知り、気づかされることが、毎日のようにあるんです。

 

染谷 ここまで豪華なキャストが集まって、皆さんが台本以上のものに膨らませて、「福田さんを笑わせたい」というベクトルに向かっていく。そんなことをさせてしまう福田さんの人間力のすごさを感じました。それから「この人に、この役をやらせたら、絶対に面白い」っていうセンスもすごい。完成した作品を観たら、確かに面白いですし、ゲストの皆さんの今まで見たことない芝居に注目してもらいたいです。

 

──今後、続編が作られることになったら、イエスとブッダとしてやってみたいことは?

 

松山 タイムスリップしたりしたら、面白そうじゃない?

 

染谷 今回も漫才やったり、ヒーローになったり、2人でいろいろやっていますが、バンドはまだ組んでないですね。もし神々のバンドを組むなら、ブッダは木魚というか、ドラムになるのかなぁ(笑)。

 

あの姿で街中を歩いても、誰も反応しないぐらいなじんでいる

──俳優としてのキャリアのなかで、本作もしくはイエスとブッダというキャラはどのような位置づけになりますか?

 

松山 特異点ですね。監督もキャストもスタッフもそうだと思うんですが、皆さん若干壊れていると思うんです。まともじゃない人たちが真剣に作っているのが、お客さんにただただ笑ってもらうための映画。だから、子どもからお年寄りまで、家族全員で観ていただき、「あぁ、笑った」と、劇場を後にできる作品になったと思います。

 

染谷 自分が演じてきた役で、子供から大人まで、みんなが楽しめるキャラはありませんでした。ブッダを演じていると、とても楽しいし、幸せな気分になれる現場なので、宝物のような大事な場所のようにも思えます。不思議なことに、あの姿で商店街やいろんな街中で撮影したり、撮影の合間に歩いていても、誰も反応せず、自然に通り過ぎていくんです。松山さんも普通に中野で買い物していましたし、これは皆さんになじんでいるキャラなのかなと勝手に思っています。

 

──お二人が現場に必ず持っていくものがあれば、教えてください。

 

染谷 タイではポピュラーな鼻をスースーさせるスティック状の「ヤードム」です。ちょっと疲れてきたときや眠くなってきたときに、あれを使うとスッキリして、集中力が出ますね。

 

松山 現場にはカフェラテを入れたマイボトルを持参しています。現場中の癒しのひとつでもあるので、欠かせないです。

 

 

聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメンVS悪魔軍団~

12月20日(金)より全国公開

 

【映画「聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメンVS悪魔軍団~」よりシーン写真】

 

(STAFF&CAST)
監督・脚本:福田雄一
原作:中村光「聖おにいさん」(講談社「モーニング・ツー」連載)
主題歌:「ビターバカンス」Mrs. GREEN APPLE(ユニバーサル ミュージック/EMI Records)
配給:東宝

出演:松山ケンイチ、染谷将太、賀来賢人、岩田剛典、勝地涼、白石麻衣、仲野太賀、神木隆之介、山本美月、桜井日奈子、川口春奈、中田青渚、吉柳咲良、田中美久、森日菜美、安斉星来、山田孝之、ムロツヨシ、佐藤二朗、窪田正孝、藤原竜也

(STORY)
世紀末を無事に乗り越えたイエス(松山)とブッダ(染谷)は、日本の四季折々を感じながら、福引を楽しんだり、お笑いコンビ「パンチとロン毛」を結成したりと、ゆるい日常を過ごしていた。そんなある日、2人のもとに招かれざる客が現れ、衝撃の事実を伝える。やがてそれは、神と仏と天使と悪魔が入り乱れる予測不能な戦いへと展開していく。

公式:https://saint023movie.jp/

(C)中村光/講談社 (C)2024映画「聖☆おにいさん」製作委員会

 

取材・文/くれい響

渡邉美穂&齊藤なぎさ「“主演だから頑張らなきゃ!”というより、“みんなでいいものを作りたい”という気持ちで臨ませてもらいました」 映画『あたしの!』公開中

「日向坂46」「=LOVE」とともにアイドルとして活躍後、俳優の道に進んだ渡邉美穂さんと齊藤なぎささん。幸田もも子原作の人気コミックを実写映画化した『あたしの!』(11月8日(金)公開)で俳優初共演を果たした2人が、初対面時の衝撃エピソードや撮影エピソードについて、ガールズトークさながら語ってくれました。

 

※こちらは「GetNavi」2024年12月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

【渡邉美穂さん&齊藤なぎささん撮り下ろし写真】

 

美穂ちゃんは人として、素敵だし、めっちゃ好き!!

──今回、俳優として初共演となりますが、アイドル時代をはじめ、お二人はお互いにどのような印象を持っていましたか?

 

齊藤 私、日向坂46さんの中で、美穂ちゃんが推しメンだったんですよ! アイドルとしての信念というか、強いプロ意識を持っているところに惹かれていたんです。それは今回、共演してもすごく感じました。美穂ちゃん、とにかく頼りがいがあるんです。

 

渡邉 うれしいこと言ってくれるなぁ。私は風の噂で「=LOVEに、私推しの子がいる」と聞いていて、「こんなかわいい子が私を推しメンなわけがない!」と(笑)。それで忘れもしない2018年の秋。メンバーと夢の国に遊びに行ったら、いきなり「渡邉美穂さんですよね? 齊藤なぎさです!」って話しかけてくれて、一緒に写真も撮ったんです。衝撃的な初対面だったけれど、そのときの写真、まだもらってない(笑)。

 

──そんな自分を推していた齊藤さんとの共演はいかがでしたか?

 

渡邉 勝手に「女子バスケ部出身で体育会系の私が、こんなかわいいお嬢様な子と関わることはない!」と、共演とかはないだろうと思っていたのでうれしかったです。今回は幼なじみの大親友役だったので、監督さんから「撮影入る前に、仲良くなっておいて」と言われていたこともあって、私からご飯に誘ったんです。すっごくかわいいのに、サバサバした性格で、一緒にいた時間がとても心地良かったんです。だから、すぐに意気投合しちゃいました。

 

齊藤 私たち、どこか似ている部分もあるし、美穂ちゃんの「あんた大丈夫なの?」とか、たまに出るおばちゃんみたいな感じもギャップがあって面白い。とにかく人として、素敵だし、めっちゃ好き!!

 

カメラが回ってないあいだも、ずっとペチャクチャ

──ちなみに、渡邉さんは初の映画出演にして主演。斎藤さんは初のヒロインのライバル役になります。

 

渡邉 まだ実感がないんですが、今回は同世代のキャストの方が多かったり、これまでMVやCMを撮られてきた(横堀光範)監督にとっても初めての映画ということもあって、「何かを背負わなきゃ! 頑張らなきゃ!」というより、「みんなで一緒にいいものを作れたらいいな」という気持ちで臨ませてもらいました。みんな仲良く、現場を盛り上げていけたし、スタッフさんもいい方ばっかりだったので、楽しかった思い出しかありません。でも、公開されてから、映画に出た実感が湧いてくるような気がします。

 

齊藤 ファンの方から「ヒロインのライバル役をやってほしい」という声が多かったので、今回はめちゃくちゃうれしかったです。今まで演じてきた役は、どちらかというと感情を出す役ばかりだったんですが、今回は初めて感情を内に秘めていて、他人の顔色をうかがってしまう役なんです。

 

──横浜・八景島シーパラダイスや山梨ロケなど、撮影中の印象的だったエピソードを教えてください。

 

渡邉 八景島での撮影の合間に、原作の幸田もも子先生と、みんなでジェットコースターに乗ったんですよ。みんなキャーキャー言いながら乗ったので、楽しかったです。

 

齊藤 あと、お互い赤と水色の浴衣、着たよね。ホントかわいかった! 水族館にも行くことができたし、クレープもおいしかった。ガツガツしていたら「もう撮影なんで!」と、スタッフさんに怒られました(笑)。

 

渡邉 カメラが回ってない間も、ずっとペチャクチャ話していて、本当に楽しかったです。山梨ロケでは、休憩中にはババ抜きをやったり、帰るまでの時間があったときは、投げたペットボトルを立たせる「ボトルフリップを連続4回できるか?」を延々やっていたり。でも、オフの時間とは違い、なぎさちゃんが演じる充希は、難しい役どころだったと思うんです。ちょっとした表情ひとつで受け取られ方が変わってしまうから……。繊細なお芝居するのって、大変だったんじゃない?

 

齊藤 (渡邉が演じる)あこ子と対照的な性格の役柄に見せなきゃいけないし、泣く演技が私あまり得意じゃないから、そこが大変でした。でも、美穂ちゃんとのお寿司屋さんのシーンでは、全部のセリフが胸に響いてきて、自然に涙が出てきました。というか、涙が止まらなくなっちゃった。だから、ちょっと自信があるシーンになりました(笑)。

渡邉美穂●わたなべ・みほ…2000年2月24日生まれ。埼玉県出身。日向坂46の元メンバーで卒業後はドラマ、バラエティなど幅広く活躍。「シネマアディクト」「シネマクラッシュ」(BSテレ東)でシネマナビゲーターを務める。連続テレビ小説「虎に翼」などに出演。今後出演作に、「ラブライブ!スクールアイドルミュージカルthe DRAMA」(11月21日スタート、MBSほか)、映画『青春ゲシュタルト崩壊』(25年)がある。 Instagram/ 公式HP

 

なぎさちゃんは100%受け止めて返してくれると信用していた

──お互いの感情がストレートにぶつかり合うシーンですが、渡邉さんはいかがでしたか?

 

渡邉 私はいい意味で、あのシーンで手加減したくなかったんです。私が負の感情をお芝居で、なぎさちゃんにぶつけても、100%受け止めて返してくれると信用していたので、思い切り演じさせてもらいました。だからこそ、みんなの成長が分かるラストシーンと同じくらい思い入れのあるシーンになりました。

 

齊藤 アドリブ部分もいっぱいあったけれど、私がどんな無茶振りをしても、美穂ちゃんは絶対に、あこ子として返してくれたんです。だから、私的にはすごく安心感がありました。でも、ときどき“なぎさと美穂”の会話になってしまうときがあって……。そのときはやっぱりNGになりました(笑)。

 

──映画の内容にちなんで、お互い「ここだけは負けない!」ところを教えてください。

 

齊藤 美穂ちゃんには、何やってもかなわないですよ。でも、強いて言えば……妹っぽさ! 私、実際に末っ子で、すぐ転ぶし、モノを落としたりするから、お姉ちゃんぽい人が好きなんです。美穂ちゃんはかわいらしさもありつつ、しっかりしているから全力で甘えられます。

 

渡邉 日本国民の妹だ(笑)。私が唯一なぎさちゃんに負けないと言えるのは、自転車を漕ぐ速さ! この映画の中でも自転車に乗るシーンがあるんですが、高校で自転車通学していた私に対して、なぎさちゃんは「乗れない~!」と言っていたぐらいなので、そりゃ追いつけるわけないなと! そこにも注目して見てほしいです。

齊藤なぎさ●さいとう・なぎさ…2003年7月6日生まれ。神奈川県出身。=LOVEの元メンバー。ドラマ「明日、私は誰かのカノジョ」(22年)のゆあてゃ役で話題になった以降、映画『交換ウソ日記』(23年)、『恋を知らない僕たちは』(24年)などに出演。今後の出演作にドラマ「私たちが恋する理由」、実写版「【推しの子】」(24年)などがある。 InstagramX

 

とにかく柔軟な人間でありたい

──今後も出演作が続きますが、将来は、どのような女優を目指していきたいですか?

 

齊藤 私の夢は、少女マンガ原作の作品に出ることだったんです。だから、いまその夢がどんどん叶っていて、本当に信じられないのですが、これからもいただいたお仕事を全力で頑張って、将来的にはどんな役でもこなせるような女優さんになりたいなって思います。例えば、目だけが笑っていないサイコパスな殺人鬼とかいいですね。

 

渡邉 今回コミカルなお芝居が楽しかったので、またやってみたいですが、とにかく柔軟な人間でありたいですね。現場では求められることがいっぱいありますし、撮影中もいろんな意見が生まれてくると思うんです。だからこそ、独りよがりのお芝居をするんじゃなくて、共演者さんとの温度感を大切にしながら、それをお芝居に生かせるようになりたい。それで役として、ちゃんと相手と会話できる力を付けたいです。

 

──最後に「個人的に、どうしても集めてしまうモノ」があったら教えてください。

 

齊藤 化粧品が好きすぎるんですが、その中でもリップですね。特にウルつや系。前は10本ぐらいまとめ買いしたんですが、最近はお気に入りのものに絞ってます。でも、新製品で、いい評判を聞いたら……やっぱり気になりますね。

 

渡邉 私は香水かなぁ。あまり買ってるつもりがなくても、気付いたら何十個もあって驚いたんですよ。時と場合で使い分けるのも楽しいですし、好きが高じて、自分のオリジナルブランド「No.25」でも洋梨の香りをベースにした香水を出したぐらいなんですよ。再販を希望する方は、お問い合わせフォームからお願いします(笑)。

 

 

あたしの!

11月8日(金)より全国公開中

【映画「あたしの!」からシーン写真一覧】

(STAFF&CAST)
監督:横堀光範
原作:幸田もも子
脚本:おかざきさとこ
出演:渡邉美穂、木村柾哉、齊藤なぎさ、小田惟真、笠井悠聖、藤田ニコル、山中柔太朗

(STORY)
幼いころから親友のあこ子と充希。真っすぐで素直すぎる生活のあこ子は、学校イチの超人気者・直己に一目ぼれし、ド直球なアプローチを開始する。充希は「かっこいいと思うけど、恋愛って感じじゃない」と好きではないと断言するものの、あこ子は充希の怪しい動きを察知する。

公式:https://gaga.ne.jp/atashino/

(C)幸田もも子/集英社・映画「あたしの!」製作委員会

 

撮影/映美 取材・文/くれい響 ヘアメイク/岩根あやの(渡邉)、角果歩(齊藤) スタイリスト/袴田知世枝(渡邉)、佐藤奈津美(齊藤)衣装協力/ペルナ、ジユウ バイ ラベルエチュード、ヴァカンシー、アヤミジュエリー

藤間爽子「何かを感じ取って他人に優しくなれる。人のつながりってそういうことが全部循環しているのかな」映画「アイミタガイ」

見逃してしまいそうな微かな触れ合いが、思いもよらない幸せを呼ぶ……。人のつながりを描いた黒木華さん主演の映画「アイミタガイ」が11月1日(金)より全国公開。主人公・梓の親友を演じた藤間爽子さんが、カメラマンとしての役作りや映画の黒木さんとの共演について語ってくれた。

 

藤間爽子●ふじま・さわこ…1994年8月3日生まれ。東京都出身。三代目 藤間紫として日本舞踊紫派藤間流の家元を務める。女優としても活躍しており、ドラマ「マイファミリー」、「silent」などに出演。10月スタートのドラマ「つづ井さん」(読売テレビ)にて主演を務める。公式HPInstagram

【藤間爽子さん撮り下ろし写真】

 

叶海は演じ甲斐がありそうだな、楽しみだなと思いました

──黒木華さん演じる梓の親友・叶海役で出演が決まったときの率直な心境からお聞かせください。

 

藤間 主演の黒木華さんとの共演は2回目で、お話をいただいたときにまたご一緒できることをすごくうれしく思いました。1回目は後輩役でしたが、役者として大先輩である黒木さんの親友を演じられることもうれしかったです。

 

──映画を拝見して、心が温かくなるような優しいお話だなと思いました。

 

藤間 脚本の前に原作を読んで、背中を押してくれるような優しい本だなと思いました。人と人とのつながりや思いやりといった、人間の良い部分がいろいろ描かれていてすごく温かい気持ちになる。叶海は最初の方で亡くなり、梓が立ち止まってしまい、再び動き出すきっかけになる役でもあるので、演じ甲斐がありそうだな、楽しみだなと思いました。

 

──叶海ははつらつとしていて、さらに施設の子供たちに贈りものをするようなとても優しい女性だなと思いました。藤間さんは叶海をどんな女性だと思いましたか?

 

藤間 中学時代にいじめられていた梓を助ける場面もあり、正義感が強く、行動力がある女性だなと思いました。その頃から好きだったカメラを自分の仕事にして、海外に行くことを夢見ている。外に意識が向いた強い女性でもあるけど、カメラで撮るのは日常のなんてことない場面だったり、人の温かい光景だったりして。そういう優しい部分も兼ね備えた女性なんだろうなって印象がありました。

 

カメラが欲しい熱が再燃して買いました(笑)

──街で見かけた人を楽しそうに撮る叶海が印象的でした。カメラマン役ということでしたが、どんな役作りをされましたか?

 

藤間 役作りというか、事前にできることといえば、これかなと思ってカメラマンの友人にカメラについていろいろ聞きました。基本的なカメラの持ち方を教えてもらいました。ケータイでパシャッと撮ったことしかなかったから、「(ファインダーを)右目で見るの? 左目で見るの?」みたいな感じで(笑)。カメラの持ち方から「普段は首にかけてるよ」とか、「一般的なカメラマンってこんな感じ」みたいな写真を友人が撮って送ってくれました。

 

──カメラマンの友達に基本から教えてもらえるのは心強いですね。

 

藤間 ありがたいです(笑)。現場でもスチールを撮ってくださるプロのカメラマンの方に、付きっ切りで教えてもらいました。「これ合ってます?」って聞いたりして。実際に持ってみると、「カメラってこんなに重いんだ!」って思いました。

(C)2024「アイミタガイ」製作委員会

 

──現場でカメラを持っているうちに、撮るのは楽しいなって思ったりしませんでした?

 

藤間 この撮影がきっかけで、カメラがすごく欲しくなりました。しかも先日撮影していた作品の現場でもカメラを持っている方が多くて。そこでまたカメラが欲しい熱が再燃して買いました(笑)。旅行先の景色や食べたものを撮ろうと思っています。

 

嘘がないのは華さんの人柄だったり、いつも自然体でいるからこそ

──黒木さんと一緒のシーンは気心の知れた親友同士の雰囲気でした。

 

藤間 華さんは気さくでとても話しやすいんです。この現場でもカメラが回っているとき以外は、ずっとおしゃべりしていました。映画のことだけじゃなくて、たわいもないことをずっと話して。本当に撮影が始まるギリギリまでおしゃべりしていたので、カフェで二人で話すシーンは、その延長で撮った感じでした。華さんは役者として大先輩ですが、緊張感や威圧感みたいなものが一切感じられないので、それが本当にありがたかったです。

(C)2024「アイミタガイ」製作委員会

 

──一緒にお芝居をして、黒木さんの素敵だなと思うところは?

 

藤間 いつも自然体。おそらく「こうしよう」と頭で考えるのではなく、そのときの相手から出るものを受けて、言葉を発していらっしゃると思うんです。だから何回か芝居することになったとしても、全く同じようなことはしない。そういうことがリアリティーにつながるんだなって思いました。華さんの芝居には嘘がなくて、「ここにいること」に無理がない感じがして。設定が現代でも、時代劇でもファンタジーでも、そこに嘘がないのは華さんの人柄だったり、いつも自然体でいるからこそなのかなって思います。

(C)2024「アイミタガイ」製作委員会

 

──中学時代の叶海と梓とのエピソードも素敵でした。

 

藤間 完成した作品を観たら、キラキラし過ぎて、私の中学時代とは思えないぐらいかっこいいと思いました。叶海の中学時代を演じた白鳥玉季さんがきれいで、スラっとして「同じ人物に見える? 大丈夫?」って心配でした(笑)。

 

──完成した作品を観て、好きだなと思ったエピソードを教えてください。

 

藤間 草笛光子さん演じる小倉こみちさんのエピソードです。こみちさんはピアノを弾くことにトラウマがあり、その理由を明かして最終的にピアノを弾くんです。草笛さんのお芝居がとても素敵で、ピアノを弾くシーンは感動しました。

 

人と人とがつながっていくことで、いま私たちはここにいる

──タイトルの「アイミタガイ」は、誰かを思ってしたことが巡り巡って見知らぬ誰かを救うという言葉だそうですが、とても素敵な言葉ですね。これが「アイミタガイ」かなと思う経験をされたことはありますか?

 

藤間 私もこの作品を通して初めて知って、こんな素敵な言葉が日本にあるんだって思いました。巡り巡って……、「人と人とがつながっていくことで、いま私たちはここにいる」という考え方だと思うんですね。そう思うと、私が今この仕事をしているのもそうなのかなって。この映画にめぐり合えたのも、そういうことがつながって、今返ってきているのかもしれない。例えば、この作品を観た方が、何かを感じ取ってくださって、他の人に優しくなれるかもしれない。人のつながりってそういうことが全部循環しているのかなって思います。

 

──ではここからはGetNavi webにちなんで、「モノ」や「コト」に関するお話をお聞かせください。最近ハマっているものはありますか?

 

藤間 ハマっているというか、おすすめしたいのは大谷翔平さんも使っているマットレスです(笑)。今年30歳になりまして、母に「何か欲しいものある?」と聞かれまして、誕生日プレゼントにマットレスを買ってもらいました。10年使えるらしいので、40歳まで使えるなと。

 

──やはり寝心地が違います?

 

藤間 その前に1年ほど使っていたマットレスが自分の体に合わな過ぎて、睡眠の質が悪かったんです。大谷さんが使っているものよりワンランク下ですが、疲れの取れ方が違う! 人間は一生の3分の1を寝ていると言いますからね。睡眠は大切にしたいですよね(笑)。

 

──なるほど! 疲れが取れるならちょっと高めでも欲しくなりますね。では趣味を教えてください。

 

藤間 旅行、舞台鑑賞、映画鑑賞。非日常を楽しむことが趣味かなと思います。私は家であまりダラダラしないですね。お出かけするのも好きです。

 

つながっている感じがするんです。本当にありがたいことだと思います

──2024年はどこか旅行されましたか?

 

藤間 年始に友達とイギリスとフランスに行きました。演劇旅というか、1日1本舞台を観ました。

 

──芸術や舞台演劇の本場って感じですね。

 

藤間 すごく楽しかったです。ミュージカルをやっている友達と一緒にミュージカルを観て、美術館に行って。国全体が芸術を大切にしている感じを受けました。

 

──これから行ってみたい場所はありますか?

 

藤間 頑張って行こうと思わないと行けない場所に行きたいです。近場は休みがあったらパッと行ってしまうので。目的はないけど、30歳のうちに親友とアフリカかフィンランドに行こうって約束をしています。30歳って節目じゃないですか。よく旅行する親友で、昨年はその友達とセブ島に行きました。

 

──旅行のお話を聞くと、藤間さんにも梓にとっての叶海みたいな親友と呼べる存在がいそうですね。

 

藤間 いますね。友達がいっぱいいるわけじゃないけど、親友と呼べる友人はいます。小学校が一緒で、小学校時代はそんなに仲良くなかったけど、中学から仲良くなりました。小学校からの親友は二人いて、大学時代に仲良くなった子もいます。

 

──3人も親友と呼べる人がいるなんて素敵なことだと思います。

 

藤間 今日も親友の1人と会います(笑)。そんなに頻繁に会っていなくても、何かあったときには気に留めてくれるから、つながっている感じがするんですよね。そういう人がいてくれるのは本当にありがたいことだと思います。

 

 

アイミタガイ

2024年11月1日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開

【映画「アイミタガイ」からシーン写真】

(STAFF&CAST)
原作:中條てい「アイミタガイ」(幻冬舎文庫)
監督:草野翔吾
脚本:市井昌秀、佐々部清、草野翔吾
音楽:富貴晴美
配給:ショウゲート

出演:黒木華、中村蒼、藤間爽子、安藤玉恵、近藤華、白鳥玉季、吉岡睦雄 / 松本利夫(EXILE) 、升毅 / 西田尚美、田口トモロヲ、風吹ジュン/草笛光子

(STORY)
名古屋で働く梓(黒木華)と、大阪を拠点に活動するカメラマンの叶海(藤間爽子)。今は離れて暮らす二人は中学時代からの親友同士だ。帰省した叶海と会った梓はつい愚痴をこぼすが、叶海はネガティブになりがちな梓をいつも応援してくれる。ところがその直後、海外の撮影に旅立った叶海は、現地の事故で命を落としてしまう。

突然の事故で娘の叶海を失った朋子(西田尚美)と優作(田口トモロヲ)は、四十九日を終えても遺品のスマホを解約できずにいたが、そこには叶海の死後に届いた新しいメッセージの存在を知らせる通知が溜まっていた。すべての差出人は梓。叶海の不在を受けとめきれない梓は、これまで叶海と交わしてきたトーク画面に日々メッセージを送り続けていた。

 

(C)2024「アイミタガイ」製作委員会

 

撮影/映美 取材・文/佐久間裕子 ヘアメイク/坂本志穂(グラスロフト) スタイリスト/李 靖華

西田敏行さん追悼『釣りバカ日誌』第1作がBSテレ東で放送

BSテレ東は、10月17日に逝去された西田敏行さんを追悼し、11月3日(日)午後6時55分から『釣りバカ日誌〈4Kデジタルリマスター版〉』を放送。また、11月8日(金)午後5時56分からの『プレイバック日本歌手協会歌謡祭』では、西田さん追悼特集企画を送る。

「釣りバカ日誌」©1988松竹株式会社

 

『釣りバカ日誌』は、作・やまさき十三、画・北見けんいちの同名人気釣り漫画を映画化した人気シリーズ。1988年の第1作から2009年の『釣りバカ日誌20ファイナル』まで、全22作が公開された。

 

釣りと妻・みち子さん(石田えり)をこよなく愛し、人生には無欲。誰からも愛される男、万年ヒラ社員のハマちゃんこと浜崎伝助(西田敏行)。ひょんなことから共通の趣味“釣り”を通じてスーさん(三國連太郎)と知り合うが、その正体が自分が勤める会社の社長・鈴木一之助とは知らず……

 

1988年12月に「男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日」との同時上映で公開され大ヒットしたシリーズ第1作を4Kデジタルリマスター版で放送する。

 

『プレイバック日本歌手協会歌謡祭』では、西田さんが東日本大震災後の歌謡祭に特別出演した際の姿と歌唱映像を交えてその年の歌謡祭をプレイバックする。

©1988松竹株式会社

1978年発売の人気お菓子「たべっ子どうぶつ」アニメ映画化決定 公開は25年5月1日 監督は竹清仁、脚本は池田テツヒロ

1978年の発売より長らく愛され続ける国民的お菓子「たべっ子どうぶつ」(ギンビス)が初映像化され、アニメ映画「たべっ子どうぶつ THE MOVIE」として2025年5月1日(木)から新宿バルト9ほか全国の劇場で公開されることが決定した。

「たべっ子どうぶつ THE MOVIE」©ギンビス ©劇場版「たべっ子どうぶつ」製作委員会

 

「たべっ子どうぶつ」は、さまざまな動物をかたどったビスケットにその動物の名前が英語で記され、「おいしく、楽しく、食べて学ぶ」をテーマに、日本はもとより世界20か国以上で販売されているギンビス社のロングセラー商品。パッケージにあしらわれたどうぶつたちのキャラクターはグッズ化され、近年若者を中心に爆発的人気を誇っており、映像化を望む声も世界中から上がっていた。

 

そんな中、満を持して映画「たべっ子どうぶつ THE MOVIE」として初映像化、アニメ映画化が決定。“世界ライオンの日”でもある本日8月10日(土)に情報解禁された。

 

監督は、長編アニメーション映画「放課後ミッドナイターズ」の竹清仁、脚本は『吉祥寺ルーザーズ』「劇場版パタリロ!」「行け!男子高校演劇部」ほか、俳優としても活躍する池田テツヒロ、アニメーション制作は、「ルパン三世 THE FIRST」「ソニック・ザ・ムービー」「キャプテンハーロック」など、圧倒的な表現力で世界標準の映像世界を生み続けるマーザ・アニメーションプラネットが手がける。

 

企画・プロデュースの須藤孝太郎(TBSテレビ)は「SNS上でのコミュニケーションが増え、リアルなコミュニケーションが希薄になった現代。人との関わりを考えたときに、“おかし”の存在があったことを思い出しました。人々の心を豊かにするものは“笑顔”です。そしてそれを共有できる“仲間”です。こんな時代だからこそ、“たべっ子どうぶつ”という、世界中で永く愛されるおかしであり、普遍的で世代を超えて愛されてきたキャラクターたちが、“笑顔・仲間”、そして成長を大事にした相互理解の物語を伝えたい」と語っている。

 

映画化決定と合わせて解禁されたビジュアルは2種類。超ティザービジュアルは、たべっ子どうぶつたちの中で不動の人気を誇るらいおんくんが、小さなこどもをもふもふのからだでハグしているかわいらしい後ろ姿。「やっと、会える。」というコピーにもあるように、たべっ子どうぶつファン待望の映画化。たべっ子どうぶつのキャラクターたちが、スクリーンの中でどのように動き、どんな声で、どんな物語を繰り広げるのか。

 

さらに「焼きたてホクホク映画ロゴ特別動画」と題して、たべっ子どうぶつさながらに焼き上げた映画ロゴのビスケットで映画化決定を動画で発表。おいしそうなビスケットと共にらいおんくんが縦横無尽に駆け抜けるという、史上初となるたべっ子どうぶつがアニメーションで動く様子を見ることができる。

 

作品情報

映画「たべっ子どうぶつ THE MOVIE」

2025年5月1日(木)全国公開

 

配給:TBS・クロックワークス

アニメーション制作:マーザ・アニメーションプラネット

企画・プロデュース:須藤孝太郎(TBSテレビ)

脚本:池田テツヒロ

監督:竹清仁(モンブラン・ピクチャーズ)

 

©ギンビス ©劇場版「たべっ子どうぶつ」製作委員会

『金ロー』「映画 聲の形」8・16放送 京都アニメーション制作の心に刺さる感動作

8月16日(金)の『金曜ロードショー』(日本テレビ系 午後9時~11時19分)で、京都アニメーション制作の大ヒット作「映画 聲の形」が放送される。

「映画 聲の形」©大今良時・講談社/映画聲の形製作委員会

 

本作は、「週刊少年マガジン」に連載され、『このマンガがすごい!2015』オトコ編第1位、『手塚治虫文化賞』新生賞を受賞するなど、数々の賞に輝いた大今良時の漫画「聲の形」を京都アニメーションが映画化。

 

物語は主人公の少年が、転入してきた聴覚障害者である少女に好奇心を持ち、あるきっかけから自分自身がクラスから孤立してしまうものの、5年の時を経て、少女との再会をきっかけに過去の過ちへの償いを試み、少女をはじめ当時のクラスメイトとも向き合い、理解し認め合っていく様子が描かれる。

 

「東京アニメアワードフェスティバル2017」のアニメ オブ ザ イヤーでグランプリを受賞(劇場映画部門)したほか、「日本アカデミー賞」優秀アニメーション作品賞、「日本映画批評家大賞」でアニメーション部門作品賞を受賞するなど、数多くの賞を獲得。日本のみならず世界30か国以上で上映され、京都アニメーションならではの美しい映像と、繊細な描写で、高い評価を受けている。

 

ストーリー

ガキ大将だった小学6年生の石田将也は、転校生の少女・西宮硝子へ無邪気な好奇心を持つ。

 

「いい奴ぶってんじゃねーよ」

 

自分の想いを伝えられないふたりはすれ違い、分かり合えないまま、ある日硝子は転校してしまう。

 

やがて5年の時を経て、別々の場所で高校生へと成長したふたり。

 

あの日以来、伝えたい想いを内に抱えていた将也は硝子の元を訪れる。

 

「俺と西宮、友達になれるかな?」

 

再会したふたりは、今まで距離を置いていた同級生たちに会いに行く。

 

止まっていた時間が少しずつ動きだし、ふたりの世界は変わっていったように見えたが…。

 

番組情報

『金曜ロードショー』

「映画 聲の形」

日本テレビ系

2024年8月16日(金)午後9時~11時19分(放送枠25分拡大)

 

<スタッフ>

原作:大今良時『聲の形』(講談社コミックス刊)

監督:山田尚子

脚本:吉田玲子

キャラクターデザイン:西屋太志

美術監督:篠原睦雄

色彩設計:石田奈央美

設定:秋竹斉一

撮影監督:髙尾一也

音響監督:鶴岡陽太

音楽:牛尾憲輔

主題歌:aiko「恋をしたのは」(ポニーキャニオン)

 

<声の出演>

石田将也:入野自由

西宮硝子:早見沙織

西宮結絃:悠木碧

永束友宏:小野賢章

植野直花:金子有希

佐原みよこ:石川由依

川井みき:潘めぐみ

真柴智:豊永利行

石田将也(小学生):松岡茉優

 

©大今良時・講談社/映画聲の形製作委員会

横田真悠「相手を想い続けることって実は結構な体力がいる」京本大我主演『言えない秘密』は「視聴者の人生にも関わる映画」

運命的な出会いを果たした音大生・湊人(京本大我さん)と雪乃(古川琴音さん)の淡く切ないラブストーリー映画『言えない秘密』が6月28日(金)より公開。湊人と同じ音大に通う幼なじみで、長い間湊人を想うひかり役を演じたのは横田真悠さん。切ない想いを抱え続ける演技の難しさから、撮影中のエピソードまで聞いた。

よこた・まゆう…1999年6月30日生まれ。東京都出身。ティーン雑誌『Seventeen2014』のグランプリを受賞し、モデルデビュー。現在は『non-no』の専属モデルを務める。2019年に『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ系)で連続ドラマに初出演。7月から始まるドラマ『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)に出演するほか、バラエティ番組『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)では出川ガールズとして活躍している。Instagram / X

 

【横田真悠さん撮り下ろし写真】

 

“嫌な子”かと思いきや「ひかりは良い子過ぎた」

 

──まずは脚本を読んだときの感想からお聞かせください。

 

横田 これまであまりピアノの音に触れてこなかったので、湊人と雪乃の連弾を聴くのが素直に楽しみでしたね。「映像はどうなるんだろう」と想像できない部分も多く、早く現場に立って、監督と話しながら撮影したいと思いました。

 

──ひかりをどんな女の子だと思って演じましたか?

 

横田 等身大の「大学生の女の子」だなと思いました。子どもの頃から知っている幼なじみの湊人と、同じ大学に通ってずっと近くにいる。それって現実ではあまりないことですよね。だから湊人に対してお節介になる部分があり、恋愛の好きと、それ以上に家族のように大切な存在として好きという気持ちが混ざっているんじゃないかなと。それをうまく表現できたらいいなと思いました。

 

──湊人に対して恋愛の好きも入っていると思うと、切ないですよね。

 

横田 はい。ひかりは湊人に素っ気なくされることもありますが、めげないんです。ただのお節介だけではそこまで頑張れないよな、やっぱり湊人が本当に好きなのかもしれないなと思って演じました。

 

──嫌な子に見える可能性もある役だと思うので、微妙なあんばいのお芝居が必要とされたのではないでしょうか?

 

横田 完成した作品を見て、ひかりはちょっと良い子過ぎたかなと思いました(笑)。湊人と雪乃のお話なので、視聴者に「ひかりちゃんがあれだけ良くしてくれるのに、湊人はなんで素っ気なくするの?」と思われてしまうのも良くないなって。その微妙なあんばいが、本当に難しかったです。

 

──京本さん、古川さんと共演した感想も教えてください。

 

横田 お二人ともこの作品のイメージにぴったりで、本物の湊人と雪乃ちゃんに会えた感覚がありました。京本さんは無邪気な方で、その場にナチュラルにいてくださったので、初対面でも現場で緊張し過ぎることがなかったです。古川さんも優しく話しかけてくださり、お二人のおかげで、私も素でいられる環境でした。

 

──現場で印象に残っていることはありますか?

 

横田 休憩中もピアノの音が常に聞こえてきましたね。撮影していないときもお二人がピアノの練習をしていらっしゃったので、耳に心地良い現場だったと思います。

 

──実際に湊人と雪乃の連弾を聞いていかがでした?

 

横田 すごく素敵でした! 雪乃ちゃんが湊人にピアノを弾く楽しさを伝えているようで、すごく心地良かったです。それに雪乃ちゃんだからこそ、湊人は楽しく弾けるんだろうなというのも伝わってきました。

 

「想い続けたい対象に出会えるって、あまりないこと」

 

──俳優とモデルを両立していらっしゃいますが、それぞれどんなところに楽しさを感じますか?

 

横田 服が好きなので、モデルのお仕事は服をキレイに見せるのがすごく楽しいです。シーズン先取りで撮影するのでかわいい服をちょっと早く着られるのも勉強になります。お芝居のお仕事は、表現するという点は同じでも、モデルとはまったく違います。毎回違う人の人生を体験するので、自分やみんなが納得するものを見つけていくのが難しく、ずっと模索しています。でも、それが楽しいです。

 

──作品が完成するたびに、自分を顧みて反省するのでしょうか?

 

横田 はい。お仕事を終えるたびに、もっとよくできたんじゃないかと思います。それは永遠に考えることなんだろうなと。でも撮影から作品が完成するまでに時間が空くじゃないですか。だから「あのときの自分ができた最大限のものはこれだから」と受け止めて、そんなに落ち込まないようにもしています。

 

──モデルの活動が演技に生きていると感じる瞬間はありますか?

 

横田 どうなんだろう……早着替えぐらいかも(笑)。逆にお芝居をやったことで、モデルとしての表現の幅が広がったとは感じます。物語性のある企画だと、自分としては活かせている気がしますね。

 

──では改めて今作の見どころを教えてください。

 

横田 湊人の葛藤、雪乃ちゃんの苦しみ、一瞬も見逃さないで欲しいです。相手を想い続けることって実は結構な体力がいることで、そこまでして会いたい、想い続けたいと思う対象に出会えるって、あまりないことだと思うんです。誰かを大切に思う気持ちを、ぜひ受け取って欲しいです。観てくださった方の人生にも関わる映画になるんじゃないかと思います。

 

映画『言えない秘密』

2024年6月28日(金)公開

 

【映画『言えない秘密』よりシーン写真】

 

(STAFF&CAST)
出演:京本大我、古川琴音、横田真悠、三浦獠太、坂口涼太郎、皆川猿時、西田尚美、尾美としのり
監督:河合勇人
脚本:松田沙也
音楽:富貴晴美
©2024「言えない秘密」製作委員会

 

(STORY)
留学先での経験からトラウマを抱え、音楽大学に復学しながらもピアノと距離をおこうとしていた湊人(京本大我)は、取り壊しが決まった旧講義棟から聴こえてきたピアノの音色に引き寄せられるように雪乃(古川琴音)と出会う。ミステリアスな雰囲気を持つ彼女に湊人は惹かれ、次第に2人は心を通わせていく。授業をさぼって海を見に行き、連弾し、クリスマスを共に過ごし……お互いにかけがえのない時間を過ごしていたはずだったが、湊人の前から雪乃は姿を消してしまう──。

横田真悠、イッテQ!海外ロケで「絶対に持って行くと決めているモノ」京本大我主演『言えない秘密』インタビュー

音大生・湊人(京本大我さん)と雪乃(古川琴音さん)の、淡く切ないラブストーリー映画『言えない秘密』が6月28日(金)より公開。湊人に想いを寄せるひかり役を演じた横田真悠さんには、切ない想いを抱え続ける演技の難しさから、撮影中のエピソードまでインタビューした。続けてGetNavi web恒例の今ハマっているモノ・コトについて聞く。

よこた・まゆう…1999年6月30日生まれ。東京都出身。ティーン雑誌『Seventeen2014』のグランプリを受賞し、モデルデビュー。現在は『non-no』の専属モデルを務める。2019年に『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ系)で連続ドラマに初出演。7月から始まるドラマ『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)に出演するほか、バラエティ番組『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)では出川ガールズとして活躍している。Instagram / X

 

アクションを熱望「女の子が強い作品が大好き」

 

──GetNavi webということで、今ハマっているモノ・コトはありますか?

 

横田 今さらですが映画『ワイルド・スピード』にハマっています。あと2作で見終わります。昨日の夜観ようと思いましたが早く寝なければならなかったので、今日観ます(笑)。

 

──まさに今ハマっているのですね。ワイ・スピを観ようと思ったきっかけは?

 

横田 シリーズがとても多いので観ていなかったのですが、劇中で使われている曲は聴いていましたし、車が好きなのでシンプルに観てみたいと思っていました。「感動するお話なんだ!」と知りました(笑)。

 

──特にどんなところに面白さを感じましたか?

 

横田 ケンカのシーンは刺激的ですねそしてカーアクションをやってみたい! とにかくアクションに挑戦してみたいんです。だからこそ、女の子が強い作品が大好きなんです。最近は、強い女の子の隊長が登場するアニメ『怪獣8号』を観ています。ワイ・スピも女性がみんな強いので最高です。

 

海外ロケでも「日常で使っているモノを使いたい」

 

──『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)で海外ロケに行くことも多いと思いますが、海外に行くときに必ず持っていくモノはありますか?

 

横田 マッサージガンかな。山に登ることもあるので、脚に当てて使っています。あとはブランケットも持って行きますね。旅行用ではなく普段使っているお気に入りのブランケットです。本当は枕も持っていきたい! できるだけ日常で使っているモノを使いたいですね。荷物になるので、枕を持って行ったことはないですが(笑)。

 

──海外に行くとなると、使い慣れたモノを持って行きたい気持ちはありますよね。

 

横田 はい。まだ実際に持って行ったことはないですが、これから持って行くと決めているモノもあります。飛行機の中で鑑賞できる映画は付属のヘッドホンを使わないと音が聴けないですよね。でもそのアイテムを使うと、Bluetoothで繋いで自分のワイヤレスイヤホンで聴くことができるんです。

 

──それは便利そう! 映画は良い音で楽しみたいですよね。

 

横田 普段から現場にもイヤホンは必ず持って行きます。ノイズキャンセリングができるイヤホンが良いです。

 

──音にこだわりたい派のようですね。

 

横田 はい、ちゃんとした音で聴きたいですね。だからヘッドホンも持っています。

 

──どんな音楽を聴くことが多いですか?

 

横田 オールジャンル聴きますが、最近はR&B系が好きです。にしなさんというシンガーソングライターの方が、メジャーデビューする前に発表していた曲がリリースされたので、聴き始めました。聴きたい曲は気分で決めていますが、テンション上げたいときは「これを聴く」と決めている曲もあります。

 

──音楽の情報は、どのようにゲットしているのでしょう?

 

横田 流れている曲をシャザム(マイクからメロディを入力して曲名を調べるアプリ)することもあるし、好きなアーティストさんがSNSにあげた“今聴いている曲”を聴くこともあります。あとはサブスクで自分の好きなアーティストと似た系統のアーティストをおすすめしてくれるじゃないですか。それを聴くこともありますね。

 

──音楽は、横田さんの日常には欠かせないものみたいですね。

 

横田 そうですね。特にお仕事の移動中は、ずっと聴いていたいです。

 

映画『言えない秘密』

2024年6月28日(金)公開

 

【映画『言えない秘密』よりシーン写真】

 

(STAFF&CAST)
出演:京本大我、古川琴音、横田真悠、三浦獠太、坂口涼太郎、皆川猿時、西田尚美、尾美としのり
監督:河合勇人
脚本:松田沙也
音楽:富貴晴美
©2024「言えない秘密」製作委員会

 

(STORY)
留学先での経験からトラウマを抱え、音楽大学に復学しながらもピアノと距離をおこうとしていた湊人(京本大我)は、取り壊しが決まった旧講義棟から聴こえてきたピアノの音色に引き寄せられるように雪乃(古川琴音)と出会う。ミステリアスな雰囲気を持つ彼女に湊人は惹かれ、次第に2人は心を通わせていく。授業をさぼって海を見に行き、連弾し、クリスマスを共に過ごし……お互いにかけがえのない時間を過ごしていたはずだったが、湊人の前から雪乃は姿を消してしまう──。

吉田鋼太郎&MEGUMI、映画「おいハンサム!!」夫婦対談!「我ながらいい作品」(吉田)「実は緻密に作り込まれているんです」(MEGUMI)

家族の幸せを願う“ハンサム”な父、恋や仕事に悩み人生に迷う三姉妹、そしてマイペースな母。伊藤家5人が織り成す“恋”と“家族”と“ゴハン”の物語が、2度のテレビシリーズを経て映画に! いよいよ6月21日(金)より公開される映画「おいハンサム!!」で主人公・源太郎を演じる吉田鋼太郎さんと、源太郎の妻・千鶴を演じるMEGUMIさんにインタビュー。2人の息の合った“夫婦対談”をお届けします!

 

◆2022年1月期にシーズン1がスタートし、今年4月期にはシーズン2(フジテレビ系)も放送されました。これまで周りからどんな反響がありましたか?

吉田:普段ドラマをあまり見ない妻が『おいハンサム!!』は好きなようで、ケラケラ笑いながら見ていました。題材と言いますか、ドラマにちりばめられている要素に身近なことが多いんでしょうね。だから共感できたり、思い当たることがあったり。逆に突拍子もないことが起きたりするのもすごく楽しいみたいです。

MEGUMI:私は周りの友人や通っているサロンの人、同い年かちょっと上くらいの女性からもこの作品が好きだという声をよく頂きます。私自身、人生において忘れたくないような、ハッとさせられるせりふもあって。そういう気付きをスケールの大きい話ではなく、日常生活の話からもらえるというのが好きなポイントなんです。忙しい現代人のみんなもそこに共感したり、こういうの忘れてたなと思い出したりしてくれているのかもしれません。

 

◆多くの支持があったからこそ実現した映画化ですが、最初に聞いた時は率直にどう思いましたか?

吉田:映画化するの!? 大丈夫!?って(笑)。

MEGUMI:全く同感でした(笑)。大きな話でもなければ、いろんなことが起こるストーリーでもないので、映画化して大丈夫かな…と。で、いざ台本をもらったら、見たことないくらいぶ厚くて。ちょっとした辞典ぐらいあったんです(笑)。

吉田:ハハハ! 厚かった! この作品はいつも台本どおりにはならないので、それをもらった時点でどうこうってことはなかったんですけど。ただ、映画とあっていろんなエピソードが詰め込まれていて、本当に2時間で収まるのかなと思いましたね(笑)。

MEGUMI:でも、私たちは監督のやり方にはもう慣れていますので。最初の台本はあくまで“地図”でしかなく、ここからまたいろいろ変わるんだろうなと身構えていました。

(c)2024映画「おいハンサム!!」製作委員会

 

◆源太郎と千鶴という役柄やその夫婦関係については、どう捉えていますか?

吉田:この作品はタイトルどおり、源太郎が毎回“ハンサム”に娘たちに訓示を垂れて、世の中の方向性や彼女たちがどうしていくべきかみたいなことを指し示して終わります。でも、シーズン2と映画を経て思ったのは、実は一番ハンサムなのは千鶴なんじゃないかと。隠れハンサムというか、影のハンサムみたいな。口数こそ少ないですけど、その何げないひと言が完全に的を射ていて。お父さんがたくさんしゃべるよりも、お母さんのひと言の方が戦闘力がある、というような図式になっているんですよね。

MEGUMI:社会に対しての思いとか、そういうところでも共鳴し合っていてすてきな夫婦関係ですよね。お父さんは娘たちに伝える役目を担うアイコニックな存在で、千鶴は現場監督としてその場にいるような構図も素晴らしいんです。本当にこんな夫婦いるのかなと思うくらい理想的な形です。

吉田:源太郎は千鶴のことをものすごく愛していますし。

MEGUMI:お互いにですよね。千鶴だって源太郎さんのことがすごく好きですし。だって長年一緒にいるのに、まだ嫉妬しますから。源太郎に占い師やアテンドした外国の方…と女性の影を見つけると、いちいちムカついていて(笑)。そこがかわいいなとも思います。

吉田:結婚して何年もたつのに、まだリアルタイムで恋愛しているんだよね。

 

◆お二人自身、この作品でずっと共演してきてお互いに“ハンサム”だなと感じた瞬間は?

吉田:MEGUMIさんは普段からハンサムです。皆さんご存知のように男前ですから。それに、劇中ではあまり多くはしゃべりませんが、せりふで説明できない中で千鶴のあの空気を出せるのがすごい。しゃべったとしても「そうね」のひと言。でも、その「そうね」のひと言に説得力があって、肯定も否定も、怒りも思いやりも、優しさも入っている。それを表現できるMEGUMIさんは、やっぱりハンサムです。

MEGUMI:うれしいです、ありがとうございます。鋼太郎さんは前日の夜中や当日でも変わる長尺のせりふもありますし、ドラマの最後にある演説パート…映画では100人ぐらいの前でしゃべらないといけなくて、俳優にとっては過酷なシチュエーションなんですけど、毎回バッチリ決めてくるんです。その底力と引き出しの多さが本当にすごいなと。しかも「やるぜ!」感がなく、スッとやってらっしゃるところもハンサムです。

(c)2024映画「おいハンサム!!」製作委員会

 

◆映画では京都ロケもご一緒されたそうですね。

吉田:京都ならではの場所でロケをさせてもらいました。源太郎と千鶴が夫婦で泊まった旅館も、何百年も前からの歴史があって。あと、源太郎の親戚を演じる六角(精児)さんと松下(由樹)さんと久しぶりにご一緒できたのがうれしかったです。

MEGUMI:お2人が営むお店もすてきでしたよね。

吉田:あの和菓子屋さんも老舗なんだよね。

MEGUMI:古い駅でも撮影しましたよね。映画なのでテレビドラマとは違うカメラで撮っていて、趣がありました。ただ、あれは私たちがクランクインしてすぐでしたっけ。監督がまたこだわりを発揮して、夫婦でバスに乗っているシーンを何十カットも撮り直して(笑)。

吉田:ああ、そうだそうだ!

MEGUMI:確かに出来上がったものを見たら、いろんな間やタイミングが完璧だったんですけど。あまりのテイク数だったので、正直、私は京都の町を見ながらこれいつまでやるの? みたいな(笑)。それがインだったのもあって、強烈に覚えています。

 

◆撮影外で京都を満喫するような時間は…。

吉田:ないです。全然ないです。

MEGUMI:私は撮影が終わるのが比較的早かったので、トレッキングをしたり…。

吉田:え、そうだったんだ!?

MEGUMI:はい。あとは山に登ったり、電車に乗ったり、酵素浴に行ったりと、すごく充実させていただきました。こんなご褒美みたいなロケはなかなかないなと思いながら(笑)。

吉田:京都に行けたのは、映画ならではだったよね。海外には行かなかったけど、海外の方も出演してるし。

MEGUMI:たくさんの方が出ているところも映画ならではですよね。スケール感がちょっとだけ広がって…

吉田:ちょっとだけなんだよね(笑)。

MEGUMI:でも、それがまたよくて。普通はもっと大きく広がるのに、ちょっとだけしか広がっていないのが「おいハンサム!!」らしいです(笑)。

 

◆三姉妹の長女・由香役の木南晴夏さん、次女・里香役の佐久間由衣さん、三女・美香役の武田玲奈さんとの撮影はどんな雰囲気でしたか?

吉田:シーズン1の時から変わらず、MEGUMIさんを筆頭に現場ではみんなしゃべらないんです。それぞれ1人で静かに台本とにらめっこしていたりして、寡黙に淡々としていて、キャーキャーもしない(笑)。撮影中はもはや、その役にしか見えなくなっています。

MEGUMI:それくらい、みんな役にハマっていますよね。消え物(食事)のシーンが多いので、カットがかかるとそのまま一緒にごはんを食べたりするんですけど、それも本当の家族みたいに淡々としていて、食べ終わればそれぞれの場所に帰っていく。トーンが大変似ている人たちが集まっているんです(笑)。決して仲が悪いわけではなくて。むしろめちゃめちゃ仲はいいんですけど、つるまないんですよね(笑)。シーズン1以来久々に会った時も、スッと「おいハンサム!!」の世界に入っていきましたし。

吉田:この現場を離れたらそれぞれにぎやかにおしゃべりもするんでしょうけど。この現場に集まると一気に家族になるんです(笑)。

MEGUMI:ずっと一緒にいるから、ドーンとした家族になっているんでしょうね。たまに盛り上がって、またスーッと下がっていく(笑)。私はそれが心地よかったです。

 

◆三姉妹のそれぞれの恋模様も気になるところですが、そこはどうご覧になられていますか?

吉田:みんな危険なゾーンに入って、後戻りできないんじゃないかというところまで行っていて。親としてはもうなんとも言えないですよね。

MEGUMI:言うような年ごろでもないですしね。美香は一応特定の相手がいて愛されてもいるようなので、まだ大丈夫そうですけど。由香と里香がちょっとね…(笑)。

吉田:2人はね…。でも、本当に悪い男と付き合って、立ち直れないくらい傷ついて、もう人生どうしていいか分からない、というところまではまだ行っていないんですよ。もうちょっとでそうなりそうなところにはいるんですけど(笑)。

MEGUMI:それを分かっていながら言えないんですよね。大きい子を持つ親の気持ちってこういうものなんだろうなと分かりました。

 

◆三姉妹がギリギリのところで踏みとどまれている理由は何だと思いますか?

MEGUMI:それはやっぱり、お父さんの存在じゃないでしょうか。

吉田:きっとね。パパが折に触れて、ちゃんと説教していますから。それが頭や心のどこかにきっとあるんじゃないかな。

MEGUMI:みんな生活する力があるのも安心材料ではありますよね。そこまで変なことにはならないんじゃないかっていう。

吉田:「こんな娘に育てた覚えはない」なんてよく言いますけど、きっと我が家の娘たちは3人ともそういうふうには育っていない。ちゃんと育っているんです。だから、どこかでは信頼しているんだと思います。

 

◆ “ハンサム”の血筋がしっかり受け継がれているんでしょうね。

吉田:ああ、そうかもしれない。

MEGUMI:きっとそうですね。娘たちの軸にはしっかり“ハンサム”があるんだと思います。

 

◆食事のシーンも見どころの1つですよね。

MEGUMI:私たち夫婦が京都から帰ってきたら、娘がサンドイッチを作って待っていてくれるというシーンがあるんです。でも、そのサンドイッチが監督のイメージとちょっと違ったみたいで。1時間ぐらい待ちましたかね?

吉田:待ったね。

MEGUMI:そんな“サンドイッチ待ち”があったり、あとはそれぞれ食べている具材の種類が違ったり、卵の状態が違ったりとか。とにかく監督のご飯へのこだわりがすごいことになっていたので、末端までチェックしていただきたいです(笑)。

吉田:僕はカレーを食べるシーンで、“食べるところ”じゃなくて“よそうところ”を何度も…よそい方、かける分量、かける場所が違うって、10テイクぐらいやらされたんですよ!(笑)

MEGUMI:ハハハ! 急に来るんですよね、そういうのが(笑)。

吉田:よそうのは難しくないからすぐできるだろうと高をくくっていた僕もうかつでした。その時に娘たちが「カレー! カレー!」と言って食べるんです。見ていてすごくおいしそうでしたし、やっぱりああやってむさぼり食うものだよなとあらためて思いました。

 

◆先ほどからお話をお聞きしていると、監督の“こだわり”に応えるのはかなり大変だったんですね。

吉田:でも、みんなそれができてしまう。だからお互いに褒めたたえずにはいられないんです。本来であれば1週間くらい前からでないと覚えられないようなとんでもない長ぜりふも、求められればすぐ覚えるわけですから。すごい奇跡が目の前で起きているなっていう。

MEGUMI:一番大変なのは、お父さんですから。それでもいつも完璧なので、本当に感動します。褒め合うというか、支え合って何とかやってきましたよね。

吉田:劇中で、千鶴の一番好きな人が源太郎ではなかったという驚がくの事実が判明するんです。じゃあ誰なんだというものすごくいいシーンも、直前で変わったもんね。

MEGUMI:全部変わりました。

吉田:MEGUMIさんが長ぜりふを10~15分ぐらいで覚えて、ほぼほぼNGなしでやってのけたんです。あれは素晴らしかったです。お母さんの一番の見せ場ですよ? それを撮影当日に変えるなんて、まずありえないですよ(笑)。

MEGUMI:ありえないです、本当に(笑)。

吉田:僕らはもうそれに慣れているので、現場ではありえないとか言いませんけど。でもそれを当たり前のようにやってのけるって、本当にすごいことなんですよ。

MEGUMI:ありがとうございます。でも、お父さんはそれが毎回ですから。そうじゃなかったことが一度もないんです(笑)。

吉田:最後は必ず僕が説教をして締めないといけない。そこは必ず変わります(笑)。

MEGUMI:映画でも、最後のそのシーンが変わりましたよね。

吉田:そうだね、スケールが変わりました(笑)。

 

◆映画を通してあらためて感じた本作の魅力、そして源太郎が愛される魅力はどんなところにあると思いますか?

MEGUMI:源太郎さんは会社の人からの信頼もあって、英語もフランス語もできる知的な一面も持ちながら、娘のこととなると腹巻きとステテコでアイアンを持って出かけてしまう。外の顔とお家の顔があまりにも違うのですが、そこが両立されているところが魅力だと思います。そのハートフルさ、キュートさみたいなところが本当にすてきです。

吉田:人間的で、自分にも人にもうそをつかない。隠し事がなく、正直な人。なかなか難しいじゃないですか、そういう人になるのは。ある意味、スーパーマンですよね。この作品はそんな源太郎や家族の“何げない日常の物語”という触れ込みですけど、何げなくないような気がします。娘たちの言動にはいちいち考えさせられるし、そんな娘に対するパパからの言葉も深い。ちりばめられているエピソードも人間らしいですよね。

MEGUMI:なかなかない独特なドラマですよね。映画になっても大きい心の振り幅はないんですけど、クスッと笑えて。そういうものが蓄積されて気がついたら最後泣いてる、みたいな。それを組み立てる監督の脚本がまた秀逸で。源太郎さんが娘たちに対して、そして世の中に対して言っていることは監督の叫び。監督が今の世の中に伝えたい言葉でもあるんです。

吉田:この作品を見た後は、生きているということが悪くない、まんざらじゃないなと思えてくる。いろんな苦しみや悩みがあったとしても、それはきっとみんなも同じだし、いつか解決できるかもしれない。1人でくよくよ悩んでいてもしょうがない。家族も友達も同僚も、いろんな人がいるじゃん、と気付かせてくれて元気が出るんです。そんな風に不思議な高揚感が生まれて、ちょっと体が軽くなったように感じる作品は、実はそんなにたくさんはないんじゃないかなと。我ながらいい作品だと思いますね。

MEGUMI:その一方で、“くだらないな、このシーン”みたいなところもあって。“やってます”みたいに大げさにせずに深いところに響く作品って、なかなか作れないと思うんです。私たちも監督からよく「淡々と言う」ことをディレクションされていましたよね。

吉田:だからせりふ変更も、ちょっと確信犯的なところがあると思うんだよね。

MEGUMI:完成されすぎるのが嫌なんでしょうね。

吉田:そうそう、絶対そう(笑)。山口監督はいい意味でうまい芝居とか求めていないから。

MEGUMI:そうかもしれませんね。だって鋼太郎さんも私も、本当は結構アドリブを入れたいタイプじゃないですか(笑)。でも、この作品では封印していますから。ちょっとでもやったら「いらないです」と言われてしまうので。

吉田:封印、封印。もうやろうともしないもんね。

MEGUMI:実はそれくらい緻密に作り込まれているというのが、この作品のまた深いところだと思います。

 

PROFILE

吉田鋼太郎
●よしだ・こうたろう…1959年1月14日生まれ。東京都出身。出演作に『おっさんずラブ』シリーズの他、最近では「劇場版 君と世界が終わる日に FINAL」などがある。7/13(土)よりスタートするドラマ『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』(日本テレビ系)にも出演する。

MEGUMI
●めぐみ…1981年9月25日生まれ。岡山県出身。最近の出演作に、ドラマ『東京タワー』『あなたがしてくれなくても』、映画「愛にイナズマ」などがある。『上田と女が吠える夜』(日本テレビ系)などバラエティでも活躍。著書「キレイはこれでつくれます」「心に効く美容」が発売中。

 

作品情報

映画「おいハンサム!!」
2024年6月21日(金)全国公開

原作:伊藤理佐
脚本&監督:山口雅俊
出演:吉田鋼太郎、木南晴夏、佐久間由衣、武田玲奈、MEGUMI、宮世琉弥、野村周平、内藤秀一郎、須藤蓮、浅川梨奈、光宗薫、藤原竜也(友情出演)、六角精児、松下由樹、藤田朋子、ふせえり、中尾明慶、野波麻帆、太田莉菜、浜野謙太 ほか

(c)2024映画「おいハンサム!!」製作委員会

●text/山下紗貴

出口亜梨沙「怖い映画はなかなか観られないけれど、気になる人には、ちょうどいい怖さです」映画『THIS MAN』

“世界各地で人々の夢に現れた謎の男”として2006年頃から世界的に話題を集めたインターネットミーム「This Man」。それに日本独自の解釈と社会風刺を加えて映画化したパニックスリラー『THIS MAN』が6月7日(金)より公開。本作でヒロイン・華を演じる出口亜梨沙さんが初の母親役に挑んだ思いを語ってくれました。

 

出口亜梨沙●でぐち・ありさ…1992年9月18日生まれ。大阪府出身。テレビ情報番組でのリポーターとして活動を開始し、2017年よりグラビアアイドルとしても活動を開始。それに合わせて、女優としてもドラマ、映画、舞台で活動。近年の主な出演作として映画『スーパー戦闘 純烈ジャー』(2021)、『甘い夏』(2022)、『シモキタブレイザー』(2024)、ドラマ「だから殺せなかった」(2022/WOWOW)、「キス×kiss×キス~メルティングナイト~」(2022/テレビ東京)、「ブラックポストマン」(2022/テレビ東京)など。Instagram

【出口亜梨沙さん撮り下ろし写真】

 

撮影に入るまでは、実感が湧かなかった初主演

──今回、出演オファーが来たときの感想は?

 

出口 「ついに、怖いホラー系の作品か来たか!」と思いました(笑)。私、本当にホラー映画を観るのが苦手なんです。友だちと遊園地に行っても、お化け屋敷は我慢して渋々入れるのですが、ジェットコースターはガチでけんかしてしまうぐらい怖いものが苦手なんです。ホラー映画も苦手で、一緒に観ようと誘われても断ってきたので、そんな私が出演なんて! という気持ちでした。

 

──初主演映画ということに関しては?

 

出口 台本を読んだときに、ある程度のことは分かっていたのですが、撮影に入るまでは、あまり実感が湧かなかったこともあり、「主演だから頑張ろう!」というプレッシャーもありませんでした。それで撮影が進んでいくうちに、出演シーンが多い、出番が多かったことで、改めて主演ということに気付かされた感じです。

 

──夫役としてW主演を務めた木ノ本嶺浩さんと二人三脚で乗り切った感じですか?

 

出口 撮影入る前に、木ノ本さんと天野監督と3人で、すごく話し合いをしたので、三人四脚でしたね(笑)。台本読みの時間のときに、そこで3人で擦り合わせていく作業をしました。私たちから「このセリフ、おかしくないですか?」「ここのシーン、こうしたら見え方変わりませんか?」と意見を言って、天野監督も「ここは変更しましょう」「いや、ここは変えたくないです」という感じで、私たちの意見が採用されるものと、採用されないものがハッキリしていました。

 

──今回演じられた華は、一児の母という設定でもあります。

 

出口 私はまだ結婚していませんし、子どももいないので、いろいろ分からないことだらけだったのですが、クランクイン前、昨年3月に妹に子どもが生まれたんです。それで実家に帰って、初めて抱っこしたときに、生まれたときから知る妹が出産したことに感動して、涙が込み上げてきちゃって! だから、自分に子供が生まれたら、もっと思いが強まるはず……という気持ちで、華を演じました。

 

幸せなシーンが幸せであるほど、不幸に見舞われるシーンが際立つ

──娘役の子役さんとはどういうコミュニケーションをされましたか?

 

出口 最初は「お母さん大好き!」みたいな感じで、現場でも私にはあんまり心を開いてくれなかったんですが、空き時間に木ノ本さんと3人で話す時間を作って、話しかけていくうちに、現場に持ってきたおもちゃを見せてくれたり、私がトイレに行こうとしたら「どこ行くの? 一緒に行く!」みたいな感じで付いてきてくれたんです。最終的に仲良くなれて、ホッとしました。

 

──華のキャラクターをどのように捉え、演じようと思いましたか?

 

出口 最初の印象は、ふわふわした少女の部分が抜けきれず、そこまでハッキリ自分を持っていないイメージでした。ですが、いろいろな出来事が重なっていき、自分の家族も巻き込まれていくことで、自己犠牲もいとわない強い女性に変わっていく。そういった軸を大切にして演じようと思いました。天野監督から言われたのは、「幸せなシーンが幸せであればあるほど、後に不幸に見舞われるシーンが際立つ」ということ。だから、シリアスなシーンやしんどいシーンの芝居よりも、家族3人がそろった幸せなシーンの芝居について深く考えました。

 

──撮影時のエピソードですが、やはり気になるのが二度の呪術によるお祓いシーンです。

 

出口 楽しい現場で、「あの男」役の大山(大)さんが実は撮影現場のムードメイカーだったんです。また最初のお祓いでは、私の顔に般若心経を耳なし芳一のように写経しているんですが、書道の達人でもあるメイクさんに実際書いてもらいました。2時間ぐらいかかっているんですが、自分のiPhoneでタイムラプスも撮っているんですよ。しかも、アイライナーで書かれているので、なかなか落ちませんでした(笑)。2度目のお祓いはクランクアップの撮影だったので、さらに気持ちが引き締まり、「OK」が出た後はいろんな意味で清々しい気持ちになりました。

 

──夫を演じた木ノ本さん、妹を演じた鈴木美羽さんとの共演はいかがでしたか?

 

出口 木ノ本さんはひたすら優しくて、支えになってくれるし、細かな気遣いもされる方なので「実際も、こういう旦那さんなんだろうな」と思いましたね。鈴木さんはとても人懐っこくて、一緒の撮影のときや空き時間に、すごい一生懸命しゃべってくれるんです。「こんなかわいいのに、中身もかわいいのか!」と驚きました(笑)。映画の中でも鈴木さんがずっとしゃべっているので、お姉ちゃんの優しさじゃないけれど、「そっかそっか」みたいな感じで接しているシーンになりました。実際の私は……妹がしっかりしているので、あまりお姉ちゃんぽくないですね(笑)。

 

他人軸で生きてきたヒロインが自分軸になる瞬間に注目!

──完成した作品を観たときの感想は?

 

出口 鮮やかな花の色や、画がとてもきれいで、「こんな美しい映像になるんだ」と驚きました。怖さに関しては、内容を知りすぎたぶん、分からなくなっちゃったんです。だから、友だちに「映画観に行きたいけど、怖いよね?」と聞かれても困惑していたんですが、今日の取材でインタビュアーの方に「怖かったです」と言われて、「良かったぁ」と思っています。でも、怖い映画はなかなか観られないけれど、気になるという人には、ちょうどいい怖さだと思いますね。

 

──出口さんの個人的な見どころは?

 

出口 ただのホラーやスリラーじゃない。ただの怖い映画じゃないというか、しっかり人間ドラマが描かれているので、そこに注目しつつ、「自分はこの人に当てはまるかも?」と思って観ることにより、日常をちょっと変えるきっかけ、自分が納得する生き方を考えるきっかけになればいいなと思います。他人軸で生きてきた華が、自分軸になる瞬間も観てほしいです。

 

──現場によく持って行くモノやアイテムについて教えてください、

 

出口 「今日、こういう仕事ありました」とSNS用の写真を撮るときのために、自撮り棒は必ず持ち歩いています。「写真撮ってください」と言えないとき、Bluetoothに繋げば、リモコンで撮れるんですが、実はそこまで使っていないかもしれません。でも、『THIS MAN』のロケ先では、みんなで集合写真撮りしました。

 

──ちなみに、出口さんはハマっているものは?

 

出口 何かを集めるといったコレクター癖が本当になくて、その代わり、断捨離がめちゃくちゃ好きなんですよ! すぐに捨てちゃうので、家の中もそんなに物が多くないです。上京する少し前に、「わたしのウチには、なんにもない。」というエッセイを読んで「捨てるかどうか一回悩んだ服は、その後も着ることはない」と気づいたんです。それ以来4か月に1度、季節が変わるタイミングで服を断捨離しているんですが、そのとき一緒に、ほかの物も断捨離しちゃうんです。やっぱり、何か手放さないと運気も入ってこないと思うんですよ。いつかバラエティ番組とかで、他人の家の断捨離をお手伝いするような企画をやってみたいですね!

 

 

THIS MAN

6月7日(金)より公開

 

(STAFF&CAST)
監督・脚本:天野友二朗

出演:出口亜梨沙、木ノ本嶺浩、鈴木美羽、小原徳子、茜屋日海夏、校條拳太朗、大山大、般若、アキラ100%、中山功太、津田寛治、渡辺哲

(ストーリー)
とある田舎町で連続変死事件が発生。被害者は全員、眉のつながった奇妙な風貌の男を夢の中で見ていたという。夢に出てくる男は「あの男」と呼ばれ、人々を恐怖に陥れていた。「あの男」の被害が拡大していくなか、夫の義男(木ノ本嶺浩)や娘の愛と幸せに暮らしていた女性・華(出口亜梨沙)の身にも危険が迫る。やがて華は、究極の選択を突きつけられる。

 

公式サイト:https://thisman-movie.com/

 

撮影/河野優太 取材・文/くれい響 ヘアメイク/池田眞美子

山村隆太「当時のモヤモヤしていた自分の経験が、プロの役者さんには出せない、自分の持ち味を出せるかもしれないと思った」映画『風の奏の君へ』

お茶の名産地として知られる岡山県・美作(みまさか)地域を舞台に、この地を訪れた女性ピアニストと、茶葉屋を営む兄弟をめぐる物語を描く『風の奏の君へ』が、6月7日(金)より公開。本作で兄・淳也を演じた山村隆太さんが、自身の役柄からflumpoolとしての音楽活動とは異なる、俳優としての表現の仕方、俳優業の難しさなどまで伺いました。

 

山村隆太●やまむらりゅうた…1985年1月21日生まれ。大阪府出身。2007年にロックバンド・flumpoolを結成。「君に届け」「証」などのヒット曲を発表し、NHK紅白歌合戦に3回出場。国内アリーナ公演や海外単独公演を行うなど、精力的に活動している。2017年にはフジテレビ系の月9ドラマ『突然ですが、明日結婚します』で俳優デビューを果たした。Instagram

【山村隆太さん撮り下ろし写真】

 

お芝居はやればやるほど、奥深いもの

──今回、初となる映画出演のオファーがきたときの感想を教えてください。

 

山村 台本を読ませていただくと、かなりの大役ですし、感情が高ぶって涙するシーンもあったので、「自分にできるかな?」という迷いはありました。でも、監督やスタッフさんとの顔合わせで、「淳也という役を演じるというよりも、ご自身が発声障害になって活動休止されたときの挫折感や、そのとき音楽を諦めそうになった気持ちを表現してほしい」というリクエストがあったんです。それで、当時のモヤモヤしていた自分の経験を生かせるなら、プロの役者さんには出せない、自分の持ち味を出せるかもしれないと思い、「ぜひやらせてほしい」という気持ちに変わりました。

 

──ドラマ『突然ですが、明日結婚します』で俳優デビューされている山村さんですが、今回の淳也を演じるお芝居に関しては、どのように捉えていましたか?

 

山村 お芝居はやればやるほど、奥深いもの。しかも、周りの皆さんがすごすぎて、その世界に自分が足を踏み入れることは失礼だと思っていました。そんななかで、今回は淳也と似ていると思うところ、共通点が多かったところに助けられました。家族や愛する人に対して、素直になれない。それはとてもクールに見えるし、完璧を装っているように見えるけど、実は自分を守るための強さなんです。それについて共感し、理解できたことで、役作りをする必要はないと思ったほどでした。僕、幼稚園の頃から、他人に感情を見せなくて、母親にものすごく心配されていたんです。

 

──そのほか、岡山にある家業の茶葉屋さんを継いだという淳也の役作りは?

 

山村 まずは東京にいるとき、狭山のお茶農家の方を訪問させていただき、丸一日かけて作る工程を教えていただきました。茶葉がとても霜に弱いことなどを知りましたね。方言に関しては、僕はそもそも関西弁なので、親しみやすさという面では岡山弁に通じるものを感じていました。だから、そこに細かいイントネーションを変える程度だったと思います。

 

時が止まっているように感じる美作での撮影

──お茶の名産地として知られる、岡山県美作市でのロケの思い出は?

 

山村 東京で暮らしていると、いろんなものに流されすぎて、時間が経っていることすら分からなくなると思うんです。でも、美作は時が止まっているようでちゃんと雨動いていて、穏やかに吹いている風とか、温泉が流れる音とか、そのコントラストの大きさを感じるんです。クランクインの二日前に現場入りしたときは、どこか違和感があったのですが、それがだんだん身体に染み込んでいって、心地良いものになりました。僕、もともとピオーネを取り寄せるぐらいブドウが好きなんですが、4月下旬からの撮影時期は時期じゃなかったみたいなんです(笑)。

 

──元カノ・里香を演じた松下奈緒さん、彼女に恋心を抱く弟・渓哉を演じた杉野遥亮さんとの共演はいかがでしたか?

 

山村 現場ではとにかく、お二人に引っ張ってもらいました。松下さんは、やはりピアニストというイメージが強かったのですが、実際会ってみると、ものすごく気さくで、常に何か誰かを笑顔にしようとされているんです。同じ関西人ということで親近感も持ったのですが、そういう親近感こそが淳也が里香に惹かれていった理由だと捉えました。杉野くんは役に対してものすごくストイックで、その熱量を見習いたいと思える存在でしたね。仲違いしている兄弟役だったからなのか、楽屋でもほとんど話してないんです。あれは役作りか、それとも僕のことが嫌いだったのか……。今度、本人に確認しようと思っています(笑)。

 

──終盤の淳也の感情があふれるシーンについては?

 

山村 自分が泣けるほど、感情が高まらないとできないことですし、本当に淳也の気持ちの理解とともに、過去と向き合い、それを許す作業をすることなので、かなり大変でした。スタッフの皆さんに雰囲気を作っていただいて、渓哉が気持ちを押し殺しながらぶつかってくれることに助けられたこともあり、あまりテイクを重ねずに、監督からのOKを出してもらえました。

 

「息づく」と「生きることに気付く」の意を持つ主題歌

──主題歌として、エンドロールに流れるflumpool「いきづく feat. Nao Matsushita」はどのように作られたのでしょうか?

 

山村 先に出演が決まり、その後で「主題歌もお願いします」ということだったのですが、美作にいるときから、少しずつ歌詞を考えていました。自然の中で、わずかな生命と向き合う里香という主人公が誰かを思い、誰かのために生きようとするなかで、生命の大切さであったり、人を愛する人ことの素晴らしさであったり、いろいろなものに気づいていく。だから、「息づく」と「生きることに気付く」の2つの意味を持つ「いきづく」というタイトルにしました。

 

──最後に、GetNaviwebにちなんでモノについてお話ください。現場にいつも持っていったり、今ハマっているモノなどはありますか?

 

山村 気付かない姿勢の悪さや身体の力みに敏感になっているので、マッサージガンを常に持ち歩いています。長時間座っているときによく使っています。今3個持っていて、ツアー用のトランクに1個、自宅用に1個とか、欲しいときに常にあるように、いろんな場所に置いています。あと、この作品きっかけで、お茶にもハマりました。色や味の違いも分かりますし、利き茶もかなりできると思います。うま味のある狭山茶にも衝撃を受けましたが、やはり美作茶は甘味があっておいしいですね。

 

 

風の奏の君へ

6月7日(金)より公開

(STAFF&CAST)
監督・脚本:大谷健太郎
原案:あさのあつこ
出演:松下奈緒、杉野遥亮、山村隆太(flumpool)、西山潤、泉川実穂、たける(東京ホテイソン)、池上季実子

(STORY)
美作で無気力な日々を過ごす浪人生の渓哉(杉野遥亮)と、家業の茶葉屋「まなか屋」を継いで町を盛り上げようと尽力する兄・淳也(山村隆太)。ある日、コンサートツアーで町にやって来たピアニストの里香(松下奈緒)が演奏中に倒れ、療養を兼ねてしばらく滞在することに。かつて大学時代に東京で里香と交際していた淳也は、彼女に対して冷たい態度をとるが、渓哉は里香にほのかな恋心を募らせていく。実は里香には、どうしてもこの地へ来なければならない理由があった。

(C)2024「風の奏の君へ」製作委員会

公式サイト:https://kazenokanade-movie.jp/

 

撮影/中村功 取材・文/くれい響 ヘアメイク/菊地倫徳 スタイリスト/本庄克之(BE NATURAL)

「お客さんは上手にまとめたものが見たいわけではないと思う」映画『好きでも嫌いなあまのじゃく』柴山智隆監督に聞く作品の見どころと監督として大切なこと

スタジオコロリドの長編アニメーション第4弾となる映画『好きでも嫌いなあまのじゃく』が、2024年5月24日(金)よりNetflix世界独占配信&日本劇場公開される。本作は“嫌われたくない”高校生の男の子・八ツ瀬柊(やつせひいらぎ)と、“嫌われてもいい”鬼の少女・ツムギが織りなす青春ファンタジー。ある日、柊が人間の世界に“母親を探しに来た”という鬼の少女・ツムギと出会うところから、物語は始まる。

『好きでも嫌いなあまのじゃく』場面カット ©コロリド・ツインエンジン

 

本作の監督を務めたのは『泣きたい私は猫をかぶる』で長編監督デビューを飾った柴山智隆。柴山は、「今の生きづらさを感じている人たちの背中をちょっと押してあげられたら」と、作品に込めた思いを語ってくれた。

 

◆アニメーターとしても数々の作品で活躍してきた柴山監督。そもそも、アニメ業界で働こうと思ったきっかけを教えてください。

理由はいたってシンプルで、子供の頃から絵を描くのが好きだったからでして。そこから、好きを仕事にできるならと思い東京造形大学に入学しアニメーションについて学ぶなかで、さらに興味を持つようになりました。ただ、自主制作のアニメじゃ食っていけないよなと思い、商業アニメを制作する会社に就職しようと思うようになったんです。

 

◆そうして、スタジオジブリの門を叩いた。

当時はアニメに詳しくなくて、「スタジオジブリ」しか知らなかったんです(笑)。採用いただけて本当によかったです。最初は作画担当ではなかったのですが、絵を描くのが好きだったので、しばらくしてからアニメーターに転向しました。

 

◆いつかは監督をやりたいという気持ちもあった?

それはなかったですね。僕は本作の主人公である柊と同じように、自己肯定感がめちゃくちゃ低いタイプなんです。「自分なんかができるわけない」と思っていたので、監督をやろう、やりたいと考えたことすらありませんでした。ただ、絵を描くことが楽しくなくなっていた時期に「演出をやりませんか」というお話をいただけて。実は、演出をやってみて楽しくなかったら業界をやめようと思っていたんです。結果的に演出の仕事に面白さを見出すことができて、続けているうちに表現したいことも生まれてきて。それで、ご縁もあって監督を務めることになったという経緯です。

 

◆小さい頃から好きだった絵を描くのが億劫になってしまった理由は何だったのでしょうか?

子供のときは、絵を描いて褒められるのがうれしかったんですよね。その体験があったから、25歳というアニメーターとしてスタートするには遅い時期でも転向しようと思ったんです。一流のアニメーターになりたいという思いで必死に頑張りましたし、勉強もたくさんしました。ありがたいことに周りの方からも認めていただき、アニメーターとしてはいろいろなお仕事をやらせていただける立場になりました。ただ、そのときに「あれ、何だか楽しくないな」と思っちゃって。今思えば、当時はオリジナル作品をやれていなかったからかもしれません。アニメーションは人の絵を描く仕事が多く、それが自分の表現したいこと、求めていたクリエイティブなこととは違ったのかもしれないです。

 

◆もしかしたら、演出や監督という仕事のほうが自身のやりたいことと合っていたのかも。

潜在的にはそうだったんでしょうね。自分では気づいていませんでしたが、実際にやってみて、ようやく気づきました。

 

◆そうやって監督としてもアニメに関わるようになった柴山さん。本作と同じくスタジオコロリドさん制作の『泣きたい私は猫をかぶる』(以下、『泣き猫』)では共同監督という形で長編映画デビューを果たしました。

『泣き猫』のときは佐藤順一さんという偉大な監督さんと一緒にやらせていただいたんです。佐藤さんは本当にお客さんに寄り添い続けている監督で、僕もいろいろと学ばせていただきました。今回一人でやるにあたって、オリジナル作品をゼロイチで作る難しさを痛感しています。

 

◆難しさを感じるなかで、どういった点にこだわって作品を制作されましたか?

いっぱいありますね(笑)。

 

◆そうですよね(笑)。では、まずシナリオ面でこだわったことを教えてください。

柊とツムギのロードムービーとして、ふたりの感情の流れをあまりご都合で作らないように意識しました。今回は「隠す」がテーマになるので、あえてセリフで気持ちを直接的に伝えないようにしています。絵と雰囲気で感じてもらえればと思って制作しました。

 

◆続いて、映像面でのこだわりについて教えてください。

柊とツムギの時間・シチュエーションに合った表情を繊細に切り取ることにこだわりました。あとはリアリティ。隠(なばり)の郷という鬼の住む場所が出てきたり、夏に雪が降ったりとファンタジーな面もありますが、日々の風景から地続きになっていると感じられる「リアリティのある嘘のつき方」を意識して制作しました。

 

◆音楽面では、管楽器などが多めに使われているように感じました。

そうですね。窪田ミナさんにとても贅沢に音をつけていただきました。ただ、とくに前半では派手に見えるアクションシーンでも、音楽はあまり劇的にはしていません。絵と同じ意味を重ねるのではなく、情感をフォローしていただいてることは多いと思います。

 

◆なるほど。

本作では、窪田さんにシーンの意味を汲み取ってもらいながら音楽を制作いただきました。例えば隠(なばり)の郷の音楽。日本的な要素もありつつも、ちょっと多国籍のエキゾチックな感じにしたいと窪田さんに話したところ、絶妙な音楽を作ってくださって。厳しくも魅力的な鬼の世界を見事に表現してくださいました。

 

◆キャストの起用についてはいかがでしょうか?

柊役の小野賢章さんとは『泣き猫』のときにもご一緒させていただき、信頼感がありました。賢章さんの声・お芝居からは、誠実さのなかに、ちょっと奥底に何かを思っているような奥深さを感じて。柊は自分の気持ちを隠しちゃっているけど、自分でもそれに気づいていない人物なんです。そこからツムギと出会って、「自分はこんなことを感じていたんだ」と気づいていく。その成長していく過程も含めて、まさに賢章さんに表現していただけるのではないかと思い、お願いしました。

 

◆ツムギについてはいかがでしょうか?

ツムギ役の富田美憂さんは、唯一無二のとてもすてきな主役声だと思います。大胆で強い性格のお芝居をしても、その中にはちゃんと繊細さが感じられるんです。お二人の人柄だと思うんですけど、優しさが芝居の奥にあるんですよね。だから、柊とツムギのロードムービーをあたたかく見ていられるというか。説得力を与えてもらったなと思っています。

 

◆監督が本作を見た方に伝えたいこと、伝わればいいなと思っていることを教えてください。

本作の企画会議で、「最近はインターネットでいろいろな情報を集めながら、学校や家庭では大きくぶつかることもなく、無難にやり過ごしている人って多いんじゃないのかな」という話をしていたんです。そういう生活を送っていると、自然と自分の気持ちを隠すようになってしまい、そのことに自分でも気づかなくなってしまうのかもと思って。本作は、そういう方々に「自分の気持ちを伝えても大丈夫だよ」ということを伝えたくて作りました。気持ちを伝えることで変わることもあるし、見えてくるものもあるんじゃないかって。映画をエンタメとして楽しく見てもらいたいですが、作品を通じて、ちょっと元気になってもらえたらなとも思っています。

 

◆個人的にはツムギの「できない理由ばかり探している」という言葉がとても刺さりました。

僕も常々自分で気を付けているところではあって。すぐに見つけちゃうんですよね、できない理由を。そこに逃げないようにしないといけないとは思っているんです。ただ、説教くさい感じにはしたくなくて、サラッとセリフの中に入れました。伝わっていてよかったです。

 

◆些細なシーンでグッとくるセリフが散りばめられているのも、本作の魅力だと個人的には感じています。

そう言っていただけるとうれしいですね。

 

◆スタジオコロリドさんとタッグを組んで制作した本作。監督が思うスタジオコロリドさんの魅力や特徴を教えてください。

若いスタッフが多くて、デジタル化も業界のなかでかなり進んでいるほうだと思います。柔軟に最新技術を取り入れる会社というのが強みなんじゃないかな。コロナ禍でも、リモートにすぐ移行して対応していました。あとは働いている人が横並びで、みんなが意見を出しやすいところも特徴だと思います。今回も本当にスタッフのみんなに意見をもらい、助けてもらいながら作り上げました。一人じゃ絶対に作れなかったですね。

 

◆では、本作を通じて、改めて監督を務めるうえで大切だと感じたことを教えてください。

先ほどの話にも繋がりますが、僕から出てきたものだけで作品を作っても、あまり面白くならないんじゃないかなと思っています。だから、スタッフのみんなの意見を聞くのは本当に大事だと思いますね。あとは、自己満足にならないように気をつけつつ、作品に尖った部分を残すこと。お客さんって、決して上手にまとめたものが見たいわけではないと思うんです。だから、自己満足にならない程度の尖りみたいなものは残しつつ、エンタメとしてちゃんと昇華させるというバランスが、監督を務めるうえで気をつけているところですね。

 

◆上手にまとまっていることと、伝えたいことを伝えるというのはまた違う話というか。

そうなんです。

 

◆最後に、監督が思う本作の見どころを教えてください。

柊とツムギが山形を舞台に、いろいろな場所でいろいろな人と出会って成長していきます。いま生きづらさを感じている方々の背中をちょっとでも押せたら、ちょっとでも元気になってもらえたらという思いで制作しました。劇場作品ならではの見応えのある映像表現も多いと思います。ぜひ最初は映画館で観ていただいて、その後はNetflixで何度も楽しんでいただけたらうれしいです。

 

●text/M.TOKU

 

作品情報

映画『好きでも嫌いなあまのじゃく』

2024年5月24日(金)よりNetflixにて世界独占配信&日本劇場公開

 

【スタッフ】

監督:柴山智隆

脚本:柿原優子/柴山智隆

キャラクターデザイン:横田匡史

キャラクターデザイン補佐:近岡 直

色彩設計:田中美穂

美術監督:稲葉邦彦

CGディレクター:さいとうつかさ

撮影監督:町田 啓

編集:木南涼太

音楽:窪田ミナ

音響監督:木村絵理子

配給:ツインエンジン・ギグリーボックス

企画・製作:ツインエンジン

制作:スタジオコロリド

 

【キャスト】

八ツ瀬柊:小野賢章

ツムギ:富田美憂

ほか

 

【ストーリー】

高校1年生の柊(ひいらぎ)は、“みんなに嫌われたくない”という想いから、気づけば“頼まれごとを断れない”性格に。毎日“誰かのために”を一生懸命にやってみるも上手くはいかず、親友と呼べる友だちがいない。

 

季節外れの雪が降った夏の日、柊はツムギに出会う。また頼まれごとを頑張ってみたものの、何かが上手く行かず「なんだかな」と思いながら家に帰る途中、泊まるあてがないというツムギを助けるが…その夜、事件が起きる——。

 

とあることで、お父さんと口論になりそうになるも、 “本当の気持ち”を隠してしまった柊。「なんだかな…」という気持ちを抱えながら、部屋で居眠りをしてしまうが…寒さで目を覚ますと、部屋が凍りついていて⁉

 

さらには、お面をつけた謎の化け物が襲い掛かってきて—…

 

異変に気付き、助けに来たツムギとふたりで部屋を飛び出す。

 

一息ついた先でふとツムギの方を見ると…彼女の頭には“ツノ”が⁉

 

ツムギは自分が鬼で、物心つく前に別れたお母さんを探しにきたという。そして、柊から出ている“雪”のようなものは、本当の気持ちを隠す人間から出る“小鬼”で、小鬼が多く出る人間はいずれ鬼になるのだと…。

 

柊はツムギの「お母さん探しを手伝ってほしい」という願いを断り切れず、一緒に旅に出ることにするのだが—…。

 

時を同じくして、ツムギの故郷・鬼が暮らす“隠の郷(なばりのさと)”でも事件が起きていて──。

 

©コロリド・ツインエンジン

賀来賢人、岩田剛典、白石麻衣、勝地涼、佐藤二朗らが映画「聖☆おにいさん」出演決定!ビジュアル&メイキングも到着【コメントあり】

松山ケンイチ×染谷将太がW主演を務める「聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメンVS悪魔軍団~」(12月20日(金)公開)に、賀来賢人、岩田剛典、白石麻衣、勝地涼、佐藤二朗らが出演。コメントが到着した。

「聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメンVS悪魔軍団~」Team天界グループビジュアル(c)中村光/講談社 (c)2024映画「聖☆おにいさん」製作委員会

 

“神の子イエス”と“仏の悟りを開いたブッダ”が、東京・立川の風呂なし6畳一間アパートで2人暮らしをしながら下界でバカンスを満喫している日常を描くという、大胆で斬新な描写で累計発行部数1700万部を超える異色のギャグ漫画「聖☆おにいさん」(著:中村光/講談社「モーニング・ツー」連載中/既刊21巻)。

 

イエスとブッダという組み合わせ。そんな2人のスタイルはTシャツとデニム。題材もさることながらあまりにもユニークで唯一無二の描き方はまさに日本ならではの革命的ギャグ漫画と称され、性別・年齢・地域を超えて愛され続けている。

 

そんな“ギャグ漫画日本代表”とも呼べる「聖☆おにいさん」が、初の実写映画化。監督は「銀魂」シリーズ、「今日から俺は!!劇場版」「新解釈・三國志」を手掛けて来た、コメディ映画の奇才・福田雄一。

 

ゆるい日常を描くショートストーリーとは異なる、劇場映画化のために原作者の中村光が描いた原作エピソードであり、「聖☆おにいさん」史上初となる壮大な長編シリーズ「スクリーンへの長い途(みち)」の完全実写化に挑む。

 

主人公イエス役には、「ノイズ」(2022)、「ロストケア」(2023)などで主演を務め、コメディからシリアスな作品まで幅広いジャンル・役柄を巧みに演じ切る松山ケンイチ。長髪・ひげ・いばらの冠がトレードマークで、下界でのバカンスを奔放に楽しむ“神の子・イエス”をコミカルに演じる。

 

もう一人の主人公であるブッダ役には、「ヒミズ」(2012)で第68回ヴェネツィア国際映画祭のマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)を受賞し、以後も「寄生獣」シリーズ(2014、2015)など、数多くの話題作に出演し続ける染谷将太。

 

定評のある演技力で、螺髪(らほつ)、白毫(びゃくごう)、長い耳たぶがトレードマークの、主婦並みにお金を気にする“目覚めた人・ブッダ”を魅力たっぷりに演じる。

 

このたび、イエスとブッダを取り巻く“Team天界”のメンバーが解禁。宇宙の原理が人の姿になった存在である梵天には、2007年の映画「神童」で俳優デビュー、以後、映画、ドラマそして舞台とマルチに多くの作品に出演、どんな役どころでも存在感を放つ演技で魅了し続ける賀来賢人。

 

ドラマ『今日から俺は!!』(2018)や映画「新解釈・三國志」(2020)など多数の福田監督作品に出演していることもあり、長髪で太眉のがっしりとした体形、スーツ姿といういで立ちで、押しが強くプロデューサー気質を持ち合わせた梵天の役どころに安定感のある演技を見せる。

 

天使の軍団を率いる天使長のミカエルには、「三代目 J SOUL BROTHERS」のパフォーマーであり、「クローズEXPLODE」(2014)で映画デビューして以後、俳優としても活躍の場を広げている岩田剛典。劇場映画としては「新解釈・三國志」以来の福田監督作品への出演となり、ウエーブのかかった金色長髪、見目麗しい大天使ミカエルをコメディセンスたっぷりかつ美しく演じる。

 

音楽や芸術をつかさどる女神・弁才天には、今年1月クールのドラマ『恋する警護24時』でのヒロイン役での記憶も新しい白石麻衣。映画「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」(2020)のヒロイン役では、迫真の演技を見せた。女優としてはもちろん、モデル、バラエティMC、そしてブランドディレクターを務めるなど、活躍の幅を大きく広げている白石が福田作品に初参加する。

 

雷をつかさどる軍神の帝釈天には、映画「亡国のイージス」(2005)で第29回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞し、その後も良作に出演を続けている勝地涼が扮する。

 

福田監督作品への出演は、「銀魂2 掟は破るためにこそある」(2018)、ドラマ『志村けんとドリフの大爆笑物語』(2021)以来。本作では切れ長の目の面長に超高級ブランドのスーツというスマートな見た目ながらも、時に荒っぽい口ぶりになる帝釈天のギャップを勝地ならではの色に染め上げる。

 

また、福田作品には欠かせない佐藤二朗が、本作にも登場。役名は“戦いの仙人”。映画オリジナルキャラクターで、イエスとブッダが修行を積む際に登場する謎の仙人役に挑む。福田監督とは数多くタッグを組んできている佐藤の今作の出演シーンは、福田監督作品の歴史に残るシーンとなる予感も。

 

併せて、Team天界5人の集合キャラクタービジュアルと、それぞれの1ショットビジュアルも解禁。戦いの仙人をセンターに布陣を組むTeam天界の5人の姿は、その名の通り神々しく、持ち合わせていると運気の上がりそうなビジュアルだ。

 

1ショットビジュアルも、それぞれのキャラクターの特徴が的確に捉えられている。突き抜けるほどの目力を見せる梵天、アイドルのように甘く爽やかに空を指さすミカエル、胸に抱いたこぶしから雷をも操る強さを感じる帝釈天、そして完璧なビジュアルからロックな雰囲気があふれ出ている弁才天。

 

そして、手のひらから光を放つ戦いの仙人のビジュアルにはどこか既視感があるものの、佐藤二朗が演じる役柄故に、本作でどんな活躍を見せるのかと期待も高まる。

 

さらに、Team天界5人のメイキング映像も到着。冒頭、梵天、ミカエル、帝釈天の3人がイエスとブッダに何かお願い事をしている様子。これまでにも福田作品で強烈なインパクトを残してきた賀来賢人、岩田剛典、勝地涼の3人だからこそ、強く濃く、それでいてゆるさを感じられるキャラクターを作り上げていることがとてもよく分かるメイキングだ。

 

また大きな声でダメ出し、演技指導をする白石の振り切った演技は、福田組初参加とは思えないほどコミカルなものに仕上がっている。佐藤に至っては、せりふのようなアドリブなのか、アドリブのようなせりふなのか、どこまでがアドリブでどこまでがせりふなのか…本作でも間違いなく楽しませてくれることがとても伝わってくる。

 

賀来、岩田、白石、勝地、佐藤らのコメントは下記に掲載。

 

Team天界特別メイキング映像

 

コメント

賀来賢人(梵天役)

「聖☆おにいさん」、映画化!

梵天役をやらせていただきました、賀来賢人です。

原作から役のイメージを膨らませた結果、目力に意識を持っていき丁寧に表現を追求しました。

今回の手応え的に、何らかの賞は取ると思います! 泣きそうです。

スタッフキャストの皆さま、本当にありがとうございます。カンヌ、ヴェネチア、ベルリン、ありがとう!

 

岩田剛典(ミカエル役)

「聖☆おにいさん」」を福田監督で初の実写映画化と聞いて、とても挑戦的で楽しみな企画だと思いました。

登場人物は歴史上のいろんな神話に出てくる、一度は耳にしたことのある神様ばかりです。
僕は天使長ミカエルを演じました。天使長ということで、天使らしく飛ぶシーンを想定して高いところからつるされる覚悟をしていましたが、ふたを開けてみたら出演シーンのほとんどが畳の上でした。

福田組エンタテインメントがさく裂していますので、ぜひぜひ劇場でお楽しみください。

 

白石麻衣(弁才天役)

このたびは映画「聖☆おにいさん」に参加できることを大変うれしく思います。台本を読ませていただいた際に、本作のユーモアと神様の融合にクスッとしたのが強く印象に残っています。

私が演じる「弁才天」という役は、音楽や芸術をつかさどるキャラクターであり、その魅力を存分に表現できるよう努力致しました。

皆さまに笑顔を届けられる作品となっておりますので、ぜひ楽しみに待っていてください!

 

勝地涼(帝釈天役)

「聖☆おにいさん」の連載当時から、漫画を読んでいたので、今回の映画化を聞いた時は、作品のいちファンとして、とてもうれしかったです。

原作の世界観を面白おかしく映像化できるのは、福田雄一さんしかいないと思います。

松山君と染谷君のお2人が醸し出す空気感は、イエスとブッタそのもので、その中に自分が参加できることは、楽しみしかありませんでした。

撮影現場は、福田組常連の賀来君と岩田君を含む5人のシーンでしたが、第一声をどう発するのか、おのおののせめぎ合いもあり、ヒリヒリした感じが心地よかったです。毎度のことですが、「福田さんは笑ってくれているのか?」と常に探りながら(笑)。

原作ファンの方も、初めて見る方も、ゲラゲラと笑いながら楽しめる作品に仕上がっていると思いますので、期待していてください。

 

佐藤二朗(戦いの仙人役)

なぜなのだ。なぜ記憶がないのだ。なぜ福田雄一作品に限り、記憶がないのだ。出た記憶がないのだ。おそらく福田作品は「どうかしてしまわないと」できないからだと思うのだが、原作は以前よりもちろん存じ上げているし、松ケンも将太も大好きな俳優で、今回の映画化に大いに期待を寄せるものだが、え何?…「戦いの仙人」役?…ふふ。俺のイメージキャストはあの俳優さんだな。うん。断然あの俳優さん。ふふ。楽しみだな。…あ俺か。俺がやってるのか。これはもう、劇場にてこの目で確認するしかあるまい。

 

ストーリー

広い宇宙の数あるひとつ、さんぜんと輝く命の星、地球。世紀末を無事乗り越えた神の子イエスと仏の悟りを開いたブッダは、日本の四季折々を感じながらで福引きを楽しんだり、お笑いコンビ「パンチとロン毛」を結成したり。ゆるーい日常を過ごす2人の元にある日、招かれざる客が訪れ、衝撃の事実が伝えられる。やがてそれは、世界の命運を左右する<神×仏×天使×悪魔>が入り乱れる予測不可能な”聖戦”へとつながっていく―。諸行無常の現世に、最後の審判が下される時、いま、地球の平和は再びイエスとブッダに託された!

 

作品情報

「聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメンVS悪魔軍団~」
2024年12月20日(金)公開

出演:松山ケンイチ、染谷将太、賀来賢人、岩田剛典、白石麻衣、勝地涼、佐藤二朗

原作:中村光「聖おにいさん」(講談社「モーニング・ツー」連載)
脚本・監督:福田雄一

プロデューサー:北島直明、松橋真三、鈴木大造、山田孝之
製作:映画『聖☆おにいさん』製作委員会
制作プロダクション:クレデウス
配給:東宝

公式サイト:http://saint023movie.jp/
公式X:https://twitter.com/saint023movie
公式Instagram:https://www.instagram.com/saint023movie

(c)中村光/講談社 (c)2024映画「聖☆おにいさん」製作委員会

渡邉美穂がBSテレ東シネマナビゲーターに就任!作品の魅力をミニドラマで伝える「新しい試みでとてもワクワクしています」『シネマクラッシュ』

渡邉美穂がBSテレ東のシネマナビゲーターに就任。5月27日(月)放送の『シネマクラッシュ』(毎週月曜 午後7時~)より、作品解説コーナーがミニドラマ形式となり、主演の渡邉が作品の魅力を新たな視点で伝える。渡邉と五十嵐智之プロデューサーからコメントが到着した。

『シネマクラッシュ』渡邉美穂 (c)BSテレ東

 

BS民放最古参の映画番組『シネマクラッシュ』のオープニングコーナーがリニューアル。レギュラー映画番組史上初(?)となる、ミニドラマ形式の作品解説「オープニングアクト」がスタートする。出演は、日向坂46元メンバーで、女優、タレントとして活躍し、最近はオリジナルブランドを立ち上げるなど、各方面でマルチな才能を見せている渡邉美穂。

 

映画情報番組『シネマアディクト』でナビゲーターを務め、多くの監督や俳優にインタビューして映画の魅力を伝えてきた彼女がミニドラマ形式の解説コーナー「オープニングアクト」の中で、もう1人の「渡邉美穂」を演じ、その日放送される作品の魅力を伝える。

 

構成・脚本はドラマ『牙狼<GARO> ハガネを継ぐ者』、映画「静かなるドン」(2023年版)の吉﨑崇二。初回となる5月27日の作品は、映画「運び屋」(BSテレ東オリジナル吹き替え版)。決めぜりふは「一緒に見よっ!」。一体どんな内容になるのか注目だ。渡邉と五十嵐プロデューサーのコメントは下記に掲載。

「運び屋」(c) Warner Bros. Entertainment Inc.

 

渡邉美穂(もう1人の「渡邉美穂」役)コメント

『シネマクラッシュ』のシネマナビゲーターに就任しました、渡邉美穂です。「オープニングアクト」という形で映画の前に、ちょっとしたショートドラマ風の解説をご覧になるというのは、多分皆さんも初めての経験だと思います。私も新しい試みでとてもワクワクしています。皆さんの「これから映画を見るぞ!」という期待がさらに膨らむような、そんな気持ちをお届けできるよう、頑張ります。よろしくお願いします!

 

プロデューサー・五十嵐智之(テレビ東京 映画部)コメント

『シネマクラッシュ』の解説コーナーのシネマナビゲーターが米田匡男さんから渡邉美穂さんにバトンタッチすることになりました。

これを機に、最近ではレギュラーの映画番組では珍しくなってしまった、「放送前の作品解説」の精神を生かしつつ、映画好きであり、女優として活躍される渡邉さんを主演に、ミニドラマ形式の解説コーナー「オープニングアクト」としてリニューアルします! 彼女が扮するのは、もう1人の「渡邉美穂」。テーマは「イマーシブ」。彼女があなたの家族の一員となって、映画の魅力と見どころを、より身近な雰囲気でお伝えします。ぜひ、映画とともに、渡邉さんとリビングでの会話をお楽しみください!

 

番組情報

『シネマクラッシュ』「運び屋」(BSテレ東オリジナル吹き替え版)
BSテレ東(BS7ch/BSテレ東4K(4K⑦ch)全国無料放送
2024年5月27日(月)午後7時~8時54分

出演:クリント・イーストウッド(アール・ストーン):【声】伊武雅刀
ブラッドリー・クーパー(ベイツ捜査官):【声】田村真
ローレンス・フィッシュバーン(主任捜査官):【声】玄田哲章
ダイアン・ウィースト(メアリー):【声】大西多摩恵
アリソン・イーストウッド(アイリス):【声】三石琴乃
アンディ・ガルシア(ラトン):【声】安原義人

監督:クリント・イーストウッド
脚本:ニック・シェンク
制作年・国:2019年アメリカ

公式HP:https://www.bs-tvtokyo.co.jp/cinema/

(c)BSテレ東
(c) Warner Bros. Entertainment Inc.

市原隼人「今回も完全に自分のキャパを超えながら、甘利田を演じさせてもらいました」『おいしい給食 Road to イカメシ』

1980年代を舞台に、給食マニアの中学教師と生徒が静かな“闘い”を描くコメディドラマ『おいしい給食』の劇場版第3弾が、5月24日(金)より公開。主人公・甘利田を演じ、新境地を開拓した市原隼人さんが、老若男女が楽しめる極上の給食スペクタクルコメディを生み出すための熱い思いを語ってくれました。

 

市原隼人●いちはら・はやと…1987年2月6日生まれ。神奈川県出身。2001年、『リリイ・シュシュのすべて』で初主演し、『偶然にも最悪な少年』(2004)で日本アカデミー賞新人賞を受賞。近年の主な映画出演作に、『ヤクザと家族 The Family』(2021)、『太陽は動かない』(2021)、『劇場版 おいしい給食』シリーズ(2020、2022)などがある。Instagram

 

【市原隼人さん撮り下ろし写真】

 

これまでの中でも群を抜いてハードな撮影

──今回はドラマシリーズのseason3の完結編となる劇場版・第3弾が公開されます。反響はいかがですか?

 

市原 タクシーに乗れば運転士さんに、駐車場に停めれば、係の方に、お店に入ればお店の方に、行く先々で、「おいしい給食見てます!」とお声がけいただき、役者仲間や別作品のスタッフさんからも、現場で「おいしい給食見てる」と言っていただきます。毎回毎回「もうやりきった、これで終わりだ」という気持ちで全力を尽くし、奮闘しながらやっているのですが、こんなにいろんな方に作品を認知していただけるようになって、本当にうれしい限りです。一つひとつやってきて、気がついたら奇跡の「season3」を創らせていただくことになり、これもひとえに、熱望してくださった作品ファンの皆さまのお気持ちの賜物。もう夢のようです!

 

──season3が決まったときの率直な感想は?

 

市原 正直なところ、「またも甘利田という大役を務められるのか?」という思いでいっぱいでした。これまで、役者として様々な役をやらせていただきましたが、甘利田を演じるということは、精神的にも体力的にも群を抜いてハードなんです。例えば、基本の前準備としては、甘利田は、たくさん動かなくてはいけないですし、給食のシーンも長回しで何度も食べるので、撮影に入る前に体重を10キロほど落とし、身体作りから始めるんです。なので今回の脚本もいただいても、すぐには読めなかったです。他の役が入っていない時にしっかり向き合いたかったので。

 

──そこから甘利田先生独特のトリッキーな動きに繋がるんですね。

 

市原 season1のときから、いろんな可能性を試し、脚本にたくさん肉付けさせていただける現場なので、給食前に高揚して踊っている姿とか、すべて自分のアドリブで動いています。それも先に録ったナレーションと合わせなければならないので、給食のシーンは、事前にすべてを構築してから現場に入ります。そんなことを毎日考えていると、全く眠れないんです。役者冥利に尽きることなのですが、撮影中はずっとハードですね。今回も給食を食べながら、意識が飛んでしまったりとか、完全に自分のキャパを超えながら演じさせていただきました。

 

こんな世の中で信じられる作品を作りたかった

──作り手として、season1からの大きな変化はありますか?

 

市原 season1のときから作品のコンセプトは変わっていません。原作のないオリジナル作品の中、お子様が見ても目を背けさせないよう、人生のキャリアを積まれたご年配の方が見てもしっかりと楽しめるよう、王道のエンターテインメントの象徴として、「キング・オブ・ポップ」を創りたいという思いでやっています。ジャンルにとらわれない唯一無二の世界観の中、社会派でもあり、人生の糧となるようなセリフや強いメッセージ性に関しては、シリーズを追うごとに増えていると思います。現場の制作陣、キャストが一丸となって、いろんなものを生み出そうとしている、なかなか珍しい現場だと思っています。

 

──舞台は北海道・函館ですが、函館ロケの思い出を教えてください。

 

市原 今回初めて、北海道の函館という具体的な地名が出てきて、舞台が冬に舞台になりました。台本の冒頭に「私は極端に寒がりだった」というモノローグが書かれているのを見て、「これは面白くなるに決まっている!」と思いましたね。実際に極寒で大変でしたが(笑)、確実にパワーアップしていました。いろいろな名産品で知られる北海道で撮影させていただきつつ、例えば、教室の中にはストーブがあり、その横にライバルの生徒が座っていることで、新たなドラマが始まります。とてつもなくパンチの効いた、すごく面白い第3弾が出来上がったと思います。

 

──甘利田先生を長く演じ続けることでの意識の変化は?

 

市原 声を枯らしながらもなお、何度も何度も叫び続けるのは、生徒に対するエールであるのと同時に、視聴者や観客の皆さまへのエールのようになってきています。ただ甘利田をどう進化させようかと思った末、行き着いた答えは変わらずに在り続けることだったんです。「甘利田はシンプルだが、世の中はシンプルではない」というセリフがあるんですが、全くそのとおりで、現代は何が正解か分からない時代だと思うんです。国が違えば、法律もルールも違うし、同じ理念を持った会社でも上司が違えば、やり方もルールも全く変わってしまう。そんな中で、この世の中で信じられる作品を創りたかったんです。僕はこの作品に救われていますし、いろんな方の支えになることができたらうれしいなと思いながら創っています。

 

お客様を含め、全員が主役の「劇場版」

──印象に残っている撮影エピソードを教えてください。

 

市原 生徒たちの笑顔は、みんな素敵でした。とても緩急がある現場で、シリアスなシーンでは息もできないほどの緊張感なのですが、カットがかかれば、みんな笑顔で、ずっと給食を食べていたり(笑)。ペンギンみたいに、ワーッとモニター前に群がってきて、すごく楽しそうにチェックしている姿も愛おしかったです。そんな彼らの思春期の貴重な2か月を共にさせてもらうので、こちらとしても素敵な作品にしなきゃいけないと奮い立っていましたね。クランクアップでは、みんな泣いていましたし、僕も同じ思いで涙を流しながら、「一緒に戦ってくれてありがとう」と声をかけました。

 

──今回の大きな見どころとなる、学芸会でのシーンについては?

 

市原 甘利田がお手本を見せるシーンでは、綾部監督に「ちょっと時間ください」とお願いして、できるすべてをやり尽くしました。あそこは特に笑わせたいのではなく、笑われたかったんです。「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見れば喜劇である」というチャップリンの言葉のように、給食や生徒に振り回されつつ、人生を謳歌している甘利田の背中を見ていただきたいです。

 

──市原さんから見て、「ドラマ版」と「劇場版」の大きな違いは?

 

市原 「劇場版」には、30分の「ドラマ版」では見せ切れない人間臭さを含む群像劇がたっぷり詰まっています。そして、お客様を含めて全員が主役だということを感じていただきたいです。今まで描かれてこなかった比留川先生(大原優乃)との『おいしい給食』ならではのラブシーンにも期待していただきたいです。

 

甘利田はもっと窮地に!?

──今回タイトルにもなったイカメシのほか、さまざまな給食メニューが登場します。

 

市原 今回も例のごとく、給食中にイリュージョンのシーンがあり、気付いたら教室から知らない場所に飛ばされたりするので、それがどういう形になっているか? 果たして、「甘利田はイカメシを食べられるのか?」という点も楽しんでいただきたいです。また、子供の頃は何も考えずに食べていた給食ですが、そんな給食を紐解いていくと、国が見えてきたり、情勢が見えてきたりとか、その地域の特色が見えてくると思うんです。大人にとって、ノスタルジックな思いだけでなく、そういう現状も改めて考えていただけるかもしれません。

 

──今や市原さんにとってハマり役となった甘利田先生に、今後どうなってほしいですか?

 

市原 日本は豊かな食文化に溢れているので、いろんな地域に行って、その名産品に振り回されてもらいたいですね。そして、もっともっと窮地に追い込まれてほしいです(笑)。

 

──GetNavi webにちなみまして、現場にいつも持っていくモノやアイテムがあれば教えてください。

 

市原 身体ひとつでできるものが芝居だと思っていますから、そういうものは特にないんです。強いて言えば、カメラぐらい。「おいしい給食」の現場でも、生徒たちを被写体にかなりの枚数を撮りました。キャノンのEOS 5Dにオールドレンズつけたものや、R5やR6を使ったりしています。あとは、生産が終わってしましたシリーズなのですが、35mmフルサイズが撮れるソニーのRX1RM2です

 

──あと、市原さんの趣味といえば、バイク。愛車であるカワサキZ1(900Super4)の調子はいかがですか?

 

市原 50年前のバイクで、シンプルな構造だから、乗っていて楽しいです。今はエンジンを全部ばらして、作り直しています。砂型から作って、そこに鋳造して、三次元測定器でアライメント取って。今まで排気量1015ccだったのですが、永遠のテーマであるカスタムに一度ピリオドを打ちたいと思いまして、ツインプラグ化し1200ccにして自分で組み立てようと思っています。その愛機とともに、トム・ソーヤやチェ・ゲバラのような気分で、行先を決めずアメリカ横断したいと思っていて、それをドキュメンタリーとして企画している最中です。

 

 

<作品紹介>

おいしい給食 Road to イカメシ

5月24日(金)より公開

【映画「おいしい給食 Road to イカメシ」よりシーン写真】

(STAFF&CAST)
監督:綾部真弥
脚本:永森裕二
プロデューサー:岩淵 規

出演:市原隼人、大原優乃、田澤泰粋、栄信、石黒 賢、いとうまい子、六平直政、高畑淳子、小堺一機

(STORY)
1989年、冬。函館の忍川中学に転勤した甘利田幸男(市原隼人)は、新たな食のライバルでもある生徒・粒来ケン(田澤泰粋)と、毎日ひそかに給食バトルを繰り広げる。そんな彼に新米教師の比留川愛(大原優乃)が憧れを抱くなか、忍川町では町長選挙を前に忍川中学が給食完食のモデル校に選定され、政治利用されようとしていた。

公式HP  https://oishi-kyushoku3-movie.com/

(C)2024「おいしい給食」製作委員会

 

<書誌情報>

【公式ファンブック】おいしい給食 うまそげBOOK

5月21日発売 価格1500円+税 ワン・パブリッシング行 Amazon購入リンク

 

最新劇場作「おいしい給食 Road to イカメシ」最速見どころレポート!

5月24日より全国公開される最新劇場作「おいしい給食 Road to イカメシ」の舞台は函館、北の地に降り立った中学教師の甘利田(市原隼人)は、念願の『イカメシ』を味わうことができるのか、そして独自の給食道をいく生徒、粒來ケンとの給食バトルは!? ほかにも給食の完食を公約に掲げる等々力町長(石黒 賢)の登場、密かに想いを寄せる甘利田先生と比留川先生(大原優乃)の恋の行く末など、本書では劇場作品の公開に先駆けて見どころレポートを掲載します。劇場に向かう準備としてもファン必読です。

完全保存版! テレビシリーズや劇場作品の全話紹介プレバック大特集!

給食を愛する甘利田先生が歩んだこれまでの「給食道」に迫る大特集は必見! これまでのテレビシリーズや劇場作品の全話ガイドに加えて、振り返り視聴する際にも役立つ人物相関図や生徒の座席表なども記載。また全作品で登場した給食メニューの一覧や貴重な撮影オフショットも楽しめます。また巻頭では、主演の市原隼人さんのロングインタビューが読めるほか、最新作のヒロイン比留川先生役の大原優乃さんとのスペシャル対談で撮影舞台裏話も余すことなく掲載しています。

付録でも誌面でも楽しめる心に響く名言集!

クスっと笑えるものから心に深く突き刺さる言葉も「おいしい給食」の魅力のひとつです。本書では、劇場最新作品で登場する名言で彩られた特製シールが付録として付きます。誌面では、これまでの作品から厳選された名言の数々をそのシーンとともに楽しめます。本書発売を記念してスペシャルなプレゼントが当たる「発売記念キャンペーン」を5月31日(金)まで開催中!

発売記念キャンペーンページ:https://kids.gakken.co.jp/feature/campaign/oishiikyusyoku/

撮影/金井尭子 取材・文/くれい響 ヘアメイク/大森裕行(VANITÉS) スタイリング/小野和美

市原隼人「好きなものを好きと胸を張れる甘利田はすてきだと思います」主演映画「おいしい給食 Road to イカメシ」への思いを語る

主演映画「おいしい給食 Road to イカメシ」が、5月24日(金)に公開を控える市原隼人さん。劇場版3作目の舞台となる北海道・函館での撮影を振り返るとともに、作品や演じる甘利田への思いを語ってもらった。

市原隼人

 

中学教師・甘利田が日々の給食を味わい尽くす「おいしい給食」。連ドラから好評を博し、劇場版は今作で3作目となる。

「僕自身、昔から食べることが好きだったんです。料理も好きですし、おいしいものを作るにはおいしいものを知らなきゃいけないと思い、食べ歩きもよくしています。このような作品に出会えたのも運命なのかもしれないなと。思い入れが強い分、今回もしっかり覚悟を持って臨ませていただきました」

 

給食に関する事だと我を忘れて没頭する甘利田。その姿に、人として憧れている部分もあると話す。

「今の時代、どこか我慢して自分を殺してしまっている気もするんです。でも甘利田はどんなに滑稽な姿を見せても、好きなものを好きと胸を張っていて、そのためなら目上の存在に対しても意見できる。こういう人でありたいと思わせてくれる人物です」

 

最大の見どころは給食のシーン。夢中になった甘利田はコミカルに跳ね回り、期待を裏切らぬその味に派手なガッツポーズで応える。

「給食のシーンは、とにかく甘利田の世界に埋没しています。撮影方法上、事前に動きを構築しておかないといけないので、まずはどういう“喜びの舞”にしようか考えて。今回の映画だったら、ソーラン節みたいな、北海道らしい動きを入れてみよう、とか。いやもう、本気で動き回ってます。あまりにも没頭しすぎて、意識が飛んだ瞬間もありました(笑)。スタッフキャスト全員で、この給食をどう撮ろうか、一丸となって取り組んでいます。いい画が撮れると、歓喜の声が上がって。よい仲間と面白い仕事していると充実感があります」

 

今作の舞台は冬の北海道・函館。撮影は極寒だったが、この地でしか撮れない映像だったと振り返る。

「今までは関東近郊で、真夏の摂氏40度以上の中で撮っていましたが、今回は真逆の世界。風も強く、口が思うように動きませんでした(笑)。函館は、刺身や海鮮、地域の野菜とどれもおいしく、出会う人たちもすてきな、日本の宝のような場所でした。今度はゆっくり、プライベートで訪れたいです」

 

函館での甘利田の目的の1つが、給食のイカメシを味わうこと。その一方で、町長選に給食を利用しようとする等々力(石黒賢)との対決も見どころに。

「今までにない大人同士の掛け合いが繰り広げられ、今作に欠かせない人物になっています。ただ、等々力さんも悪人ではなく、彼なりの正義がある。どんな人でも表裏一体なんだなと思わせてくれるし、見終わった後は気持ちよく余韻に浸っていただける思います。食とは、というテーマが核にはありますが、とにかく笑える、面白い作品になっているのは間違いないので、まずは心の底から楽しんでいただきたいです」

 

PROFILE

市原隼人

●いちはら・はやと…1987年2月6日生まれ。神奈川県出身。A型。近作に『正直不動産2』、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』、台湾ドラマ『商魂 TRADE WAR』、舞台『中村仲蔵 歌舞伎王国下剋上異聞』など。写真家としても活動中。

 

●photo/田中和子(CAPS)text/小山智久 hair&make/大森裕行(ヴァニテ)styling/小野和美

 

作品情報

「おいしい給食 Road to イカメシ」

5月24日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開

 

監督:綾部真弥

企画・脚本:永森裕二

出演:市原隼人、大原優乃、田澤泰粋、栄信、石黒賢、いとうまい子、六平直政、高畑淳子、小堺一機ほか

 

【STORY】

給食をいかに味わうか──。中学教師の甘利田(市原)は同好の士である生徒の粒来(田澤)と日々闘いを繰り広げていた。そんな中、町長の等々力(石黒)は給食を政治利用しようと画策。一方、甘利田が待ち望んでいた“アレ”が給食に出る日が近づき…。

 

書誌情報

「【公式ファンブック】おいしい給食 うまそげBOOK」

2024年5月21日(火)発売(ワン・パブリッシング刊)

Amazon購入リンク

 

5月24日(金)より全国公開される劇場版第3弾「おいしい給食 Road to イカメシ」を記念した「おいしい給食」初のファンブック。最新作の見どころからこれまでのドラマシリーズや過去劇場作品の名シーンの振り返りまでファン必読の1冊。巻頭インタビューでは、給食愛あふれる甘利田先生から「おいしい給食」に対する熱い想いをお届け。名言を集めた特製シールと特製インスタ映えシートの2大付録付き。
本書発売を記念してスペシャルなプレゼントが当たる「発売記念キャンペーン」を5月31日(金)まで開催中!

 

発売記念キャンペーンページ:https://kids.gakken.co.jp/feature/campaign/oishiikyusyoku/

蒔田彩珠「由茉には共感というより、尊敬の気持ちの方が強いです」映画『ハピネス』

嶽本野ばら氏の同名小説を映画化したラブストーリー『ハピネス』が5月17日(金)より公開。本作で、余命1週間と告げられた高校2年生のヒロイン・由茉を演じる蒔田彩珠さんが本作の魅力や役づくり、劇中で印象的なロリータファッションへの挑戦などについて語ってくれました。

 

蒔田彩珠●まきた・あじゅ…2002年8月7日生まれ。神奈川県出身。是枝裕和監督が手掛けたドラマ「ゴーイング マイ ホーム」(2012)に出演。その後も映画『海よりもまだ深く』(2016)、『三度目の殺人』(2017)、『万引き家族』(2018)、Netflixシリーズ「舞妓さんちのまかないさん」(2023)と是枝作品の常連として存在感を放つ。初主演映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(2018)で、第33回高崎映画祭 最優秀新人女優賞、第43回報知映画賞 新人賞を受賞。2020年の『朝が来る』では、第44回日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ、数々の賞を受賞。近年の出演作は、Netflix映画『クレイジークルーズ』(2023)やNetflixシリーズ「忍びの家 House of Ninjas」(2024)など。Instagram

 

【蒔田彩珠さん撮り下ろし写真】

ロリータファッションをすることで由茉の気持ちが理解できました

──最初に、原作や脚本を読まれたときの感想を教えてください。

 

蒔田 恋愛映画自体がほぼ初めてでしたし、由茉は自分がこれまでやってこなかった役柄だなと思いました。言葉遣いや言葉の選び方がとても女の子らしく、かわいらしい役柄なので、それを自分が演じているところがあまり想像できなかったんです。そのため、不安な部分もあったのですが、雪夫役が窪塚(愛流)さんだということを聞いて、安心というか、楽しみになりました。脚本を読みながら、窪塚さんが演じる雪夫がすごく想像ができたので。

 

──南沙良さんとW主演された『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』以来の主演映画になりました。

 

蒔田 今回も窪塚さんとのW主演なので、そこまで不安はなく、窪塚さんと一緒に頑張れたらいいなって思っていました。そこで脚本を読んだとき、由茉には雪夫にはない強さや優しさがあって、幸夫には由茉にはない包容力を強く感じたんです。だから、役を演じるうえでも、そんなお互いに長けている部分で支え合う、寄り添い合うことを意識しようと思いました。

 

──由茉はロリータファッションに憧れているという設定です。

 

蒔田 その設定も、私の中ではかなり挑戦的でしたが、最初に衣装を着て撮影したときは、「見た目から役に入り込むことができた」という気持ちになりました。今回初めて着たのですが、由茉が一番好きなもの、キラキラ輝いて見えるものなので、ロリータファッションに身を包むことで由茉が幸せな気持ちになるのが、とても理解できました。

 

頻繁にコミュニケーションを取らなくても、役同士で通じ合える

──原作では「彼女」表記だった役柄が、今回の映画化に伴い、「由茉」という名前が付きました。演じるうえでの心境の変化はありましたか?

 

蒔田 「由茉」という名は、原作者の嶽本野ばら先生が付けてくださったのですが、役名は付いても、雪夫とお互い名前で呼び合うことはないんです。だから、それによって、お芝居が大きく変わるとかはなかったです。ただ、雪夫が「由茉!」と叫ぶシーンがあるのですが、そこだけ一瞬、無音になるんです。完成した映画を見たとき、そこの演出に鳥肌が立ちました。

 

──そのほか、役作りにおいて意識されたことは?

 

蒔田 雪夫に向ける表情と家族に向ける表情は、微妙に差をつけて演じました。家族の前の方が、ちょっと強め、逆に雪夫の前では甘えているというか、少しわがままを言える関係性を出そうと思いました。そういう意味では、雪夫は由茉を包み込んでくれる相手なのかなと思います。もし、私が病気になったときは、由茉のように強く優しくいられないと思ったので、由茉には共感というより、尊敬の気持ちの方が強いです。

 

──雪夫役の窪塚さんとの関係性は、どのようにして作られたのですか?

 

蒔田 窪塚さんはとても真面目な方で、近くで見ていても、ずっと雪夫という役に集中されていたと思います。そうやって、真っすぐ役に向き合いつつ、由茉に対しても、真っすぐ愛情を向けてくださっていたので、頻繁にコミュニケーションを取らなくても、何となく役同士で通じ合える気がしました。長いシーンや難しいシーンに関しても、篠原哲雄監督と3人で、「どのようにしたらいいか?」ということを話し合いながら作っていきました。

 

大阪ロケでは、たこ焼き三昧

──篠原監督の印象に残っている演出は?

 

蒔田 自分の病気を説明するシーンや発作が起きた後のシーンでは、どうしても沈んだ空気になってしまいがちなので、「なるべく雪夫が明るくいられるよう、由茉が明るく振る舞ってほしい」ということは、篠原監督から何度も言われました。なので、逆に由茉が雪夫を元気づける感じになれたかなと思います。

 

──大阪ロケでの印象的なエピソードを教えてください。

 

蒔田 道頓堀でのシーンではロリータファッションで撮影していたので、本当に多くの方から注目されていました。そのため、ちょっと緊張していたのですが、窪塚さんも背が高いので、さらに目立つんですよ(笑)。あと、たこ焼きを食べるシーンを撮って、ほかのシーンを撮り終えた後、みんなで閉店ギリギリの別のたこ焼き屋さんに行って、ホテルに持ち帰ったぐらい、たこ焼き三昧でした(笑)。

 

──もし、蒔田さんが由茉のように、あと7日間しか生きられないと分かったら、どんなことをしたいですか?

 

蒔田 私も由茉と同じで、好きな人と好きなところに行って、好きなものをたくさん食べると思いますね。お寿司が好きなので、お寿司のおいしいところに行きたいです。好きな人といえば、やっぱり家族や友だちは外せないので、みんな引き連れて行って、みんなと思い出を共有したいです。

 

ぜんぜんケンカしないペットたち

──Netflixシリーズ「忍びの家 House of Ninjas」も話題の蒔田さんですが、周囲の反応はいかがでしたか?

 

蒔田 いろんな方から連絡があって、もうすごいです! 皆さんから「そんなに動けるんだ!」って言われました(笑)。撮影に入る4か月前ぐらいから、皆さんとアクション練習していたのですが、自分のアクションがどんなふうに映っているのか不安もありましたけれど、結果よかったですね。

 

──蒔田さんのこだわり、他人に負けないと思えることを教えてください。

 

蒔田 今、実家で犬と猫とフェレットを飼っているんですが、動物へのこだわりもありますし、性格がよくて、優しいいい子しか飼っていないので、ペットを選ぶ能力はすごいんじゃないかと思いますね。ウチは代々、犬派の家庭だったのですが、私の決断で初めて猫を飼ったんです。その後にフェレットが入っても全然けんかをしない。本当にいい子たちで、みんな仲よく過ごしています。

 

──現場に必ず持っていくモノやアイテムについて教えてください。

 

蒔田 セリフを覚えるとき、撮影日の前々々日ぐらいに、当日撮るシーンのセリフを必ずメモ帳に書き出すのですが、そのメモ帳は必ず持っていきます。それで台本がなくても、すぐにセリフが出てくるようにするんです。あと、緑茶を飲むと落ち着くので、お水より緑茶を飲むことが多いです。コンビニで売っているものなら、利き緑茶もできますね(笑)。

 

──ちなみに、最近ハマっていることは?

 

蒔田 冬から春にかけては、ペットを膝に置いて、編み物ばかりしていました。コロナ禍で何もすることがなかったときに、手芸が得意な母に教えてもらったことで、一気にハマったんです。とても集中してやっているので、イヤーマフなら5時間ぐらいで編めますし、たまにドラマの現場にも毛糸と編み棒を持っていって、控室でずっと編んでいます。

 

 

(C)嶽本野ばら/小学館/「ハピネス」製作委員会

ハピネス

5月17日(金)より全国公開

【映画「ハピネス」よりシーン写真】

(STAFF&CAST)
監督/篠原哲雄
原作/嶽本野ばら「ハピネス」(小学館文庫刊)
脚本/川﨑いづみ
出演/窪塚愛流、蒔田彩珠、橋本愛、山崎まさよし、吉田羊

(STORY)
高校の美術室で出会い、恋に落ちた雪夫(窪塚愛流)と由茉(蒔田彩珠)。幸せな日々を過ごしていたある日、雪夫は由茉から突然、彼女の余命があと1週間しかないことを告げられる。心臓に病気を抱える由茉は、すでに自分の運命を受け止めており、残された人生を精いっぱい生きようと決めていた。憧れていたファッションに挑戦し、大好きなカレーを食べに行き、そして何よりも残り少ない日々を雪夫と一緒に過ごしたいと話す由茉に、雪夫は動揺しながらも寄り添うことを決意する。

公式HP:https://happiness-movie.jp/

 

(C)嶽本野ばら/小学館/「ハピネス」製作委員会

 

撮影/映美 取材・文/くれい響 ヘアメイク/山口恵理子 スタイリスト/小蔵昌子

櫻坂46 藤吉夏鈴主演「新米記者トロッ子」予告編&ポスタービジュアル公開 主題歌はクレナズム「リベリオン」【コメントあり】

藤吉夏鈴(櫻坂46)が映画初主演を務める「新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!」(8月9日(金)公開)より、予告編とポスタービジュアルが公開。また、主題歌「リベリオン」を担当するクレナズムからコメントが到着した。

「新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!」ポスタービジュアル©2024「新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!」製作委員会

 

本作は、高校の新聞部を舞台に、部員たちが社会のはしっこから大人たちの闇に迫る“正義”や“善悪”を考えさせる痛快な社会派エンターテインメント。

 

原案は、宮川彰太郎が日本大学藝術学部・映画学科に在籍中に授業の課題で制作した1つの企画書。母校の不祥事を目の当たりにし、子どもが大人に対抗するヒヤヒヤ感や何かを成し遂げようとする熱量を詰め込んだその企画書がプロデューサーたちの心を動かし製作された。

 

主人公の私立櫻葉学園高校新聞部・新米記者“トロッ子”こと所結衣役には、櫻坂46の藤吉夏鈴が大抜てき。『あざとくて何が悪いの?』内の「あざと連ドラ」(22/テレビ朝日)第5弾、第6弾、『アオハライド Season2』(24/WOWOW)、NHK夜ドラ『作りたい女と食べたい女』シーズン2(24/NHK)などに出演し、女優としても注目を集めている藤吉が、映画初出演にして初主演を果たす。

 

共演には、「ベイビーわるきゅーれ」シリーズ(21・23/阪元裕吾監督)の髙石あかり、主演作が立て続けに公開され、勢いに乗っている久間田琳加、映画・ドラマで活躍している中井友望、綱啓永など新世代を担う新星が集結。髙嶋政宏らベテラン陣も脇を固め、物語を盛り上げる。

 

メガホンをとったのは長編デビュー作「ももいろそらを」(12)で高い評価を受け、「殺さない彼と死なない彼女」(19)、「恋は光」(22)など特に若者の心情と情景を繊細かつ大胆に描くことに定評のある小林啓一。脚本は「辻占恋慕」(22)や「さよならエリュマントス」(23)などが話題の大野大輔が務める。

 

このたび、本作の主題歌がクレナズムの「リベリオン」に決定した。爽快なポップサウンドとエモーショナルな歌詞で、学園の闇に立ち向かい走り続ける生徒たちの背中を押すような疾走感あふれる前向きな楽曲となっている。クレナズムは劇中の音楽も担当。作品の世界観に彩りを与える。

 

主題歌「リベリオン」もお披露目されている予告映像は、「新聞部はこちらでしょうか?」と主人公・所結衣(藤吉夏鈴)が学園のスクープを狙う新聞部を訪ねるシーンから始まる。

 

新聞部部長の杉原かさね(髙石あかり)から勢いよく「合格!」と言い放たれ戸惑う結衣だったが、次々とシャッターを切り、記事を書き、教師たちの不祥事に切り込むかさねに圧倒されながら新米記者“トロッ子”として奮闘する。

 

そんな中、“忍び寄る学園の闇”の文字と共に意味深な表情を浮かべる西園寺茉莉(久間田琳加)と松山秋(綱啓永)。「まさか私たちのスクープをもみ消すために…?」新聞部を快く思わない学園の理事長・沼原栄作(髙嶋政宏)から「私と手を組むか? この学園から君が去るか?」と圧力をかけられ不穏な空気が流れ始めるが…。

 

最後には「リベリオン」の爽快な曲をバックに、自分の頬をパンとたたき気合いを注入するかさねに続いて、すがすがしい表情を見せる生徒たち。「覚悟はいい? トロッ子ちゃん」学園の闇と生徒たちの戦いがここに始まる。ヘルメット姿で水をかけ、新聞をばらまくなど学園の戦いに挑む生徒たちの様子が切り取られる。

 

キリっとにらみつける表情から、「私は真実のために戦い続ける!」と堂々とスピーチする姿、全速力で駆け抜ける結衣にグッとくる疾走感あふれる予告映像が完成した。

 

併せて、ポスタービジュアルも公開。「飽くなき探求心が、世界を変える。」という強い決意ともとれる前向きなキャッチコピーとともに、澄んだ青空の下、主人公・所結衣が右手を高く上げ、新聞を空高くばらまく様子が映し出されている。

 

その下には、それぞれ意味深な表情を浮かべる杉原かさね、西園寺茉莉、恩田春菜(中井友望)、松山秋、沼原栄作の表情も切り取られている。堂々と立つ結衣の周りには、空高くひらひらと風に舞う新聞紙、そしてドローンも映っており、生徒たちが学園の闇に挑もうとしている様子がうかがえる爽快なポスタービジュアルが完成した。クレナズムのコメントは下記に掲載。

 

クレナズム コメント

「新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!」の主題歌と劇中音楽をやらせていただきました。

 

主題歌は、大人への反抗心やどうしようもない感情、子どもでも大人でもない10代の葛藤を描いた楽曲です。劇中音楽では疾走感のある曲、寂しさの詰まった曲、憂鬱さのある曲、クレナズムらしい幅広い表現で制作しました。

 

ぜひ映画館で本編と一緒にクレナズムの音楽もお楽しみください。

 

「新米記者トロッコ 私がやらねば誰がやる!」予告編

作品情報

「新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!」

2024年8月9日(金)テアトル新宿・グランドシネマサンシャイン 池袋ほかにて公開

 

出演:藤吉夏鈴(櫻坂46)

髙石あかり 久間田琳加 中井友望 綱啓永

外原寧々 ゆうたろう 八木響生 筧美和子

石倉三郎/髙嶋政宏

 

監督:小林啓一

脚本:大野大輔

原案:宮川彰太郎

音楽・主題歌:クレナズム「リベリオン」(MMM RECORDS/RED)

 

制作プロダクション:レオーネ

製作幹事:東映ビデオ

配給・宣伝:東映ビデオ

 

公式HP:torokko-movie.jp

公式X:https://twitter.com/torokko_movie

公式Instagram:https://www.instagram.com/torokko_movie/

 

©2024「新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!」製作委員会

鈴木亮平主演『シティーハンター』が配信開始!Netflixプロデューサーが語る、原作へのリスペクト

単行本の累計発行部数は5,000万部を突破。1980〜90年代にはテレビアニメも一世を風靡した人気コミックスの「シティーハンター」がNetflixの実写映画として令和の時代に蘇ります。俳優の鈴木亮平さん演じる主人公の冴羽 獠が、現代の新宿で大暴れ。安藤政信さんが演じる相棒・槇村秀幸と息の合ったコンビ、ヒロイン・槇村 香役の森田望智さんと繰り広げるスリリングなガンアクションなどが見どころです。4月25日(木)から始まる世界独占配信に向けて、エグゼクティブプロデューサーである髙橋信一氏にNetflixが送る最新の『シティーハンター』に懸ける思いをインタビューしました。

 

髙橋信一●たかはし・しんいち…Netflixコンテンツ部門 ディレクター(実写)。2020年入社。Netflixの東京オフィスを拠点に、日本発の実写作品での制作及び編成を担当。2022 Asian Academy Creative AwardsにてBest Feature Filmを受賞した 『浅草キッド』や『桜のような僕の恋人』『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』『シティーハンター』などのNetflix映画、「新聞記者」「ヒヤマケンタロウの妊娠」「御手洗家、炎上する」「地面師たち」「極悪女王」、Netflix初の日米韓チーム共同プロデュースを行った「ONE  PIECE」などのドラマシリーズ、「未来日記」「LIGHTHOUSE」「トークサバイバー」シリーズなどのバラエティ作品のプロデュースを担当。

 

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原作ファンも魅了する「新しい『シティーハンター』」が誕生した

──まずは映画『シティーハンター』が完成した手応えを聞かせてください。

 

髙橋 鈴木亮平さんと『ひとよ』という映画でご一緒させていただいた時に、亮平さんから「いつかシティーハンターの冴羽 獠を演じてみたい」というお話を聞いていました。当時すぐには実現しなかったようなのですが、私がNetflixに入社してから数か月が経ったタイミングで、制作会社の方から企画のご提案をいただきました。

実写化はとても難易度の高い内容でした。実際に私がNetflixに入社して以来、ほぼ開発・製作に3年間という最も長い時間をかけて作った映画です。だからこそ、とても充実した手応えがあります。監督やスタッフ全員で作り上げた作品なので、本当に感慨深い思いです。

 

──プレビューを拝見しました。私もずばり「シティーハンター」世代ですが、大満足です。めちゃくちゃ面白かった! キャストの皆さんがはまり役だし、まったく違和感のない「新しい『シティーハンター』」でした。

髙橋 ありがとうございます。まさにシティーハンター世代の方々に、「シティーハンターらしさもありながら“新しい”」と感じていただきたかったので、本当にとてもうれしいです。原作者の北条 司さんとも何度も脚本について打ち合わせをする機会をいただきました。北条さんには「実写は実写だから、シティーハンターを自由に映像化してください」と温かく背中を押していただきました。「でもまあ、そうは言ってもシティーハンターらしさを無視するわけにはいかないので……」とおそれ多く思いながら、いろいろと模索しました。シティーハンターというコンテンツに新しく出会う方々を意識しつつ、原作やテレビアニメからのファンの方々にも納得してもらえるシティーハンターの魅力を最大化し、バランスをどこで取るべきか、制作チーム一同で慎重にディスカッションを重ねてきました。

 

鈴木亮平&森田望智、魅力的なキャストが選ばれた背景

──人気の原作を映像化するうえで、困難もあったのでしょうか。

 

髙橋 そうですね。原作のシティーハンターには、今から見ればある種エキセントリックとも言える80年代独特の世界観や価値観が含まれています。でも現代の価値観を基準にして、シティーハンターの面白みを削り取ってしまうと、私たちが今シティーハンターを映像化する意味が失われてしまいます。作品の「らしさ」を活かしながら、現代に製作すべき『シティーハンター』をイチから構築しました。当社の試写室に北条さんを迎えて、完成した作品をご覧いただいた時に「とにかく面白かった」とお墨付きをもらえたことがとてもうれしかったです。

 

──鈴木亮平さんの冴羽 獠はもちろんですが、槇村 香を演じた森田望智さんをはじめ、キャストの皆さんがとても魅力的です。

 

髙橋 森田さんのキャスティングに関しては、まさに私とほかのプロデューサー陣から監督に進言しました。Netflixの作品では「全裸監督」にも出演されている森田さんは、なかなか類を見ない憑依型の役者さんだと感じています。私もオフとオンで、森田さんの印象が「別人では?」と思うほどに違います。槇村 香という役にも、ファンの皆さんが期待するキャラクターが憑依したように演じてほしいという期待を込めてオファーしました。

森田さんはトレードマークの長い髪を切って、初めてのショートカットで役作りに挑んでくださいました。制作が始まった直後は、鈴木亮平さんとの掛け合いなど役作りに試行錯誤されている様子でしたが、最終的な到達点はまさしく「香そのもの」というか、ファンの皆様にも本当に深いところに刺さる槇村 香になっていると思います。感謝しています。

 

──原作の漫画やアニメの槇村 香が「実写で描かれたらまさしくこうなる!」というイメージの通りでした。そして物語を彩る悪役(?)の俳優陣もすごく冴えていましたね。皆さんがとても素敵です。

 

髙橋 ありがとうございます。キャストの皆さんと一緒に作品のイメージを共有しながら、衣装も含めて丁寧にキャラクターを作り込んだ甲斐があります。

 

映画の撮影には新宿歌舞伎町の全面協力が得られた

──物語の舞台である新宿歌舞伎町の街並みがとてもリアルで生々しかったと思います。シティーハンターを見た後に新宿を歩いてみたら、今にも向こうから冴羽 獠が歩いてくるような気分になりました。

 

髙橋 ここまでのリアリティが出せた理由は、新宿区の皆様から多大な協力をいただいたからです。新宿歌舞伎町は一般の方々の往来がとても多い東洋一の繁華街です。そのため、基本的には映画撮影の許可がとても下りにくい場所です。

ところが今回は「シティーハンターであれば」と、原作を愛する商店街の皆様に熱意を持って迎えていただきました。制作チームが「新宿で撮りたいんだ」と意を決して、新宿行政関係者の方々など関係各位に向けて丁寧に説明と交渉を進めてくれたおかげでもあります。ある種の特別な許可をいただいて、セットではなく「ホンモノの歌舞伎町」での撮影が実現しました。北条 司さんの「シティーハンター」だからこそ成し得たことだと思っています。

 

──物語の中で、特に髙橋さんがこだわりを込めたシーンを教えてください。

 

髙橋 シティーハンターのファンの皆様は、恋人以上・恋人未満というか、ある種特別な「獠と香の関係性」に愛着を持たれていると思います。でも今回のシティーハンターは、2人の関係性が構築される前日譚です。獠が相棒である兄の槇村秀幸を失って、香と新しく関係を築いていく「喪失と再生」の物語を、ファンの皆様に納得してもらえるようにどう結実させるか。ここに私は一番こだわりました。あとはセリフ回しも、獠と槇村兄妹による”あうんの呼吸”が成立するよう、監督やキャスト・スタッフの方々が練り上げてくれました。

獠のキャラクターを強く表すようなシーンのいくつかは撮影にもこだわっています。例えば冒頭のアクションシーンや、マットで階段を滑り降りて、窓ガラスを突き破って飛んでいくシーンとか。「これぞシティーハンターの世界観だ」と、胸を張ってお見せしたい場面は意識して作り込んでいます。映像の尺としては15〜20秒くらいの短いシーンなのに、撮影は丸2日かけていたりもします。このシーンがなければ制作がすごく楽になるのですが……(笑)。でも、こういうシーンがあってこそのシティーハンターだと思っています。

あとは亮平さんの努力の賜物でもあるのですが、冴羽 獠は「凄腕のスイーパー」なので、銃さばきに慣れていないと不自然です。亮平さんには本当に多大な時間を割いてもらい、ガンアクションをモノにしていただきました。ここまでのガンアクションのある作品は、日本においてなかなかできないチャレンジだったので、亮平さんと一緒にこれを実現できたことがとてもうれしいです。

エンディングテーマはもちろん「Get Wild」

──エンディングテーマにTM NETWORKの「Get Wild Continual」が流れた瞬間の感激もひとしおでした。やっぱこの曲だよね! という安心感みたいなものでしょうか。多くのファンの期待に応える選曲だと思います。

 

髙橋 シティーハンターを今実写の映画にするにあたって、「Get Wildを使わない」という選択肢は僕自身がイメージできなかったです。日本だけでなく世界に向けて配信される作品とはいえ、多くのファンに愛されてきたコンテンツの価値をしっかりと後世に残したいと思ったポイントの1つでしたね。

 

──しかも、今回はTM NETWORKが新規に演奏・録音した楽曲ですよね。

 

髙橋 そうなんです。TM NETWORKの皆様はこれまでに何度かGet Wildをアレンジしたり、新たに録音もされたりしていますが、小室哲哉さんには、今回のシティーハンターが映像も現代の新宿歌舞伎町を舞台にして作ることをお伝えして「令和版」の新しいGet Wildをお願いし、やりとりをされてもらいました。僕たちがGet Wildという曲に抱いているイメージも大切にしようということで、イントロに関してはできる限りオリジナルに忠実な演奏にしていただきました。ラストシーンの後も、物語の余韻に浸ってもらえるエンディングになったと思います。

 

Netflixの「クリエイター・ファースト」精神に込められた真意

──作品とは少し離れますが、Netflixのプロデューサーとはどんなお仕事なのでしょうか。髙橋さんのキャリアの中で、Netflixでの働き方はどのように違いますか。

 

髙橋 私が所属するNetflixのコンテンツチームではストーリーテリングに重点をおいた作品づくりに注力しています。コンテンツチームと並行してプロジェクトに関わる、制作進行、ポストプロダクション、VFX(視覚映像技術)、広報宣伝のチームなど、社内専任のプロフェッショナルがいます。それぞれが良い形で分業制をとりながら協力関係の中で作品をつくるところは、Netflixが他の現場と大きく違うと言えるかもしれません。

私はNetflixに入社する前は映画会社でプロデューサーの仕事に就いていました。当時、映画やドラマなど年間に4本前後の制作が限界でした。もっと作品をつくりたいという思いもありながら、物理的・時間的な限界に突き当たることがありました。Netflixには新しいことに挑戦しながら、もっとつくりたい、見たことのない物語をつくりたい、という創作意欲を満たしてくれる環境があります。今年は既に発表済みの作品として、「地面師たち」「極悪女王」「トークサバイバー!シーズン3」などが控えていますし、来年以降も多くの作品を準備しています。

 

──以前、Netflixには才能のあるクリエイターの意欲的な作品を視聴者に届け続ける「クリエイター・ファースト」な環境とスピリットがあると聞いたことがあります。

 

髙橋 自分の経験として言えば、視聴者の期待に目を向けながら、誰も見たことがない新しいものをつくることに挑戦するクリエイターをリスペクトする土壌がNetflixにはあります。Netflixの強みは、クリエイターが意図する映像表現を、全世界的な制作ノウハウや技術でサポートすることで、クリエイターが作品づくりに集中できる環境を最大限整備していることころです。こうすることで作品の魅力を最大化でき、結果として視聴者の皆さんにも喜んでいただけるクオリティの高い作品が日本の視聴者はもちろん、世界にも届いていくと思っています。

髙橋プロデューサーが愛用するガジェットとは

──ではGetNavi webにちなんで、髙橋さんがお仕事で活用されているガジェットがあれば教えてください。

 

髙橋 ソニーのワイヤレスイヤホン「WF-1000XM5」を愛用しています。移動中に映像をチェックしたり、ラジオを聴くためなど1日中装着しています。デスクワークや資料を読む時には、音楽をかけずにノイズキャンセリングをオンにして耳栓のように使うこともあります。

仕事環境にはデルの40インチ曲面大型ワイドモニター「U4021QW」を置いています。さまざま資料を1画面に表示して作業をすることも多いので、本機を2台使いにしてデュアルモニターで作業をこなしています。正確にいうとノートパソコンの画面も使っているのでトリプルモニター環境ですね(笑)。

デスクワークが長く続くので、どうしても肩が凝ります。日々の体のメンテナンスにはパナソニックの「コリコランワイド」が欠かせません。使い勝手がとても手軽で本当に助かっています。また仕事というより趣味として、フジフイルムのミラーレスデジタルカメラ「X-S20」を愛用しています。本機の「フィルムシミュレーションモード」が好きすぎて手放せませんね。

 

──さまざまな作品を手掛けている髙橋さんですが、情報をインプットされるために毎日の生活の中で大事にされているルーティンはありますか。

 

髙橋 そうですね、僕自身はGetNaviさんも含めて雑誌はかなり多く読んでいる方だと思います。雑誌は自分の興味のある分野に限らず、女性誌なども定期的に目を通しています。自分がつくりたい作品を、お客様にどう楽しんでもらえるか、いつも楽しみながら考えていたいと思っています。そのためには情報のインプットを絶やさないようにして、今の時代の空気感や人々の暮らし、流行などにアンテナを張っているつもりです。

これからどうなる、獠と香の関係? 続編にも期待

──では最後に、これからNetflix映画『シティーハンター』をご覧になる方々に、髙橋さんからのメッセージをお願いします。

 

髙橋 もしも現代に冴羽 獠がいたらこうなるのでは? という世界観を、原作の魅力に基づきながら、鈴木亮平さんをはじめキャストの皆様、監督とスタッフ全員が一丸になってできた作品だと自負しています。

ある時、僕が原作者の北条さんとお話ししていたら、北条さんが「実写で香の“100トンハンマー”を再現するのは絶対に無理だよね」とおっしゃっていました。まあ、そうなんですけどねと思いながら、僕たちが100トンハンマーに後々なるであろう「ルーツ」を本作で登場させました(笑)。言ってみれば「エピソードゼロ」的なエッセンスを、実写化は難しいと考えられていたエピソードも含めて、本作のいろんなところに散りばめたつもりです。

もう1つ例を挙げると、香が初めて獠の事務所を訪れて、地下の射撃場まで行くシーンがあります。最初、僕たち制作陣はここで香の足がどうして射撃場に向くのか、シーンの整合性を取れずにいました。苦悶していたところ、北条さんから「香なら射撃場だって分からないまま、いろいろなものを探しに行って偶然射撃場を発見してしまう……という流れがあり得るんじゃない?」というアドバイスをいただいて、本作の場面になりました。北条さんとのコラボレーションによって生まれたシーンにもぜひ注目してほしいです。

 

──気が早すぎるかもしれませんが続編も期待しています!

 

髙橋 ありがとうございます。獠と香の関係性がこれからどのように変化していくのか、ファンの方々にも楽しみにしていただけるのであれば、僕自身もぜひ続きを見てみたいですね。

 

 

Netflix映画『シティーハンター』

4月25日(木) Netflixにて世界独占配信

 

(STAFF&CAST)
原作:北条 司「シティーハンター」
監督:佐藤祐市
エグゼクティブプロデューサー:髙橋信一(Netflix)
プロデューサー:三瓶慶介、押田興将
脚本:三嶋龍朗
エンディングテーマ:「Get Wild Continual」TM NETWORK(Sony Music Labels Inc.)
原作協力:コアミックス

出演:鈴木亮平 森田望智 安藤政信
華村あすか 水崎綾女 片山萌美 阿見201
杉本哲太 迫田孝也 / 木村文乃 橋爪功

Netflix作品ページ:www.netflix.com/シティーハンター

 

撮影/中田 悟

AFA日本人初ユース・アンバサダー・宮沢氷魚、独占インタビュー「アジア各国の皆さんに、直接自分の口で、自分の思いを伝えたい」

アジア全域版アカデミー賞ともいえる「第17回アジア・フィルム・アワード(以下、AFA)」。3月10日に行われた授賞式を前に、日本人として初めてユース・アンバサダーに就任された宮沢氷魚さんに、香港で独占取材。鈴木亮平さんと切実なラブストーリーを演じた『エゴイスト』が現地でも高い評価を得た彼に、香港の街並みや香港映画の魅力について語ってもらいました。

 

宮沢氷魚●みやざわ・ひお…1994年4月24日生まれ。アメリカ、カリフォルニア州出身。「コウノドリ」(2017)で俳優デビュー。初主演映画『his』(2020)では、数々の映画新人賞を受賞。映画『騙し絵の牙』(2021)では日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。映画『エゴイスト』(2023)では、アジア・フィルム・アワード最優秀助演男優賞、毎日映画コンクール助演男優賞、日刊スポーツ映画大賞石原裕次郎賞を受賞した。主な出演作は、NHK連続テレビ小説「ちむどんどん」(2022)、『はざまに生きる、春』(2023)、『レジェンド&バタフライ』(2023)、「さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~」(2024)など。2025年放送予定NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」への出演も決定している。Instagram

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昨年の「AFA」で一気に自分の中の世界が広がったことを実感

──昨年の「AFA」では、『エゴイスト』で最優秀助演男優賞を受賞。そして、今年ユース・アンバサダーを務められます。

 

宮沢 素直にうれしいですね。昨年、受賞したときのスピーチやインタビューで「また香港に戻ってきたい」と言っていたので……。でも、翌年にユース・アンバサダーとして、すぐ参加できるとは思ってもいなかったので、今回オファーをいただいたときは「信じられない」というか、「本当に?」と、ちょっと疑ってしまうぐらい驚きました。

 

──「また香港に戻ってきたい」と思われた理由は?

 

宮沢 僕はこれまで、日本でのプロデュース作や監督さんとの作品、日本で撮影された作品と、ドメスティックな環境で映画と関わってきました。そんななか昨年、初めて「AFA」という海外の映画祭に参加し、特にアジアの監督さんとお話をする機会をいただいたことで、皆さんの映画に対する考え方や作り方、価値観の作り方の違いを知り、今まで知らなかった映画の魅力に気づけたんです。短い時間ではありましたが、その経験によって自分が豊かになれましたし、「またアジアの映画人の方々と映画のお話ができたら」という思いが募りました。

 

──ともにユーザー・アンバサダーを務められる台湾・タイ・香港の俳優たちの交流はいかがですか?

 

宮沢 まだお会いできていないのですが、なかでも『1秒先の彼女』に出演されていた台湾のリウ・グァンティンさんは、作品のなかで独特な存在感を持たれていたので、お会いするのが楽しみです。皆さん、僕と同世代なので、国は違っても、ともに成長していけたらいいなと思います。日本だけで活動していると、どうしても遠い存在に感じてしまうのですが、昨年いろんな方と出会い、SNS上でも皆さんと繋がることできて、一気に自分の中の世界が広がったことを実感したんです。だから、今年もそれを実践したいです。

 

──さて、「愛是自私」のタイトルで香港公開された『エゴイスト』ですが、日本と異なる反応はありましたか?

 

宮沢 もちろん、「面白かった」って言ってくれる方が多いですが、その中でも「あのシーンの、あのセリフは、どのような気持ちで言ったの?」と、もっと深いところで映画をご覧になっている印象が強いです。それによって、感情的なところでの話ができたり、撮影当時の状況など、テクニカルの部分の話など、質の高い会話ができたような気がします。香港の方って、映画が身近な存在だから、「作品がどのように作られたのか?」という、舞台裏やバックグラウンドまで興味を持ってくれる気がしました。

 

 

僕たちの人生において、大事な作品をともに作った仲間

──2023年の2月の日本公開から1年経過しましたが、改めて『エゴイスト』はどのような作品になりましたか?

 

宮沢 映画が公開されて、皆さんに見ていただいて、終わるものではなく、「10年、20年、30年と、長きにわたって愛される、何かしらの考えるきっかけを与える作品になってほしい」と思いながら、僕たちは作品を作っていたのですが、それを実感できる1年間でした。公開から1年経っても、皆さん『エゴイスト』の話をしてくださいますし、今回も「AFA」で(鈴木)亮平さんが(「Excellence in Asian Cinema Award」を)受賞されたり、舞台挨拶付での特別上映もされますが、この先も『エゴイスト』という作品が皆さんの中で生き続けていく気がします。

 

──鈴木亮平さんとの絆は、さらに強くなっている感じでしょうか?

 

宮沢 今年1月に亮平さんとお会いした毎日映画コンクールではありがたいことに、僕が助演男優賞を受賞し、亮平さんが主演男優賞を受賞したんです。今回の舞台挨拶は、亮平さんと松永大司監督と3人で登壇するのですが、僕たち3人の関係っていうのは、頻繁に会ったり、飲んだり、遊ぶような仲ではないんです。もっと深い絆というか、会わなくても、自然と相手のことが気になるし、誰かが活躍しているのを知ると、自分のことのようにうれしく思える存在。仲良しこよしの関係ではなくて、僕たちの人生において、大事な作品をともに作った仲間っていう意識の方が強いですね。

 

──さて、宮沢さんにおける香港映画の印象を教えてください。

 

宮沢 あまり多くの作品は観れていないのですが、そのなかでもピーター・チャン監督の『ラヴソング』、そしてサーシャ・チョク監督の『離れていても』(東京国際映画祭にて上映)という作品が好きです。たくさんアクションがあって、刺激がある作品ではなくて、普通に日常生活をしている中で、親子や恋人同士の長き関係性をじっくり描いている。みんなが共感できる温度の作品で、ホッコリしたり、悲しくなったりっていう、すごく感情に寄り添ってくれる。もちろん言語も文化も違うんですが、自然とその作品の中に入り込める魅力が香港映画にあると思います。

 

新しいものと古いものが共存していて、まるでタイムスリップしたかのような感覚

──昨年の授賞式以来、トニー・レオンさんとも交流されていますが、トニーさんの作品で好きな作品は?

 

宮沢 トニーさんとは、10月の東京国際映画祭でもお話をする機会がありましたが、昨年の「AFA」でトニーさんが主演男優賞を受賞された『風再起時』(香港映画祭2023 Making Wavesにて上映)は、とても印象的でした。ウォン・カーウァイ監督の映画など、トニーさんの若いときに出演された映画も観ていますが、ずっと第一線で活躍されている“すごみ”を改めて感じましたから。授賞式でも感じたのですが、とても謙虚な方なんですよ。怖い役を演じられても、優しい役を演じられても、どこかでトニーさんの優しい人柄が映画からにじみ出てきますし、それが長年みんなから愛される理由だと分かりました。

 

──短い滞在期間の中、グルメなど香港での楽しみがありましたら、教えてください。

 

宮沢 前回は自由な時間はなかったのですが、今回は5日間の滞在です。関連イベントなどで活動する時間も多いなか、昨日も空き時間を見つけて飲茶や屋台に行きました。ビールと一緒に食べる殻つき海老のピり辛い炒めみたいなものがおいしかったですし、できるだけ街を散歩したり、観光的なこともしたいですね。最先端な建物やショッピングモールのすぐ隣に、数十年前に建てられたマンションやお店があったり、新しいものと古いものが共存していて、まるでタイムスリップしたかのような感覚が、自分の中では刺激的です。そういう新しいものも、古いものも大事にしているところに魅力を感じますね。

 

──昨年の受賞スピーチなど、すべて英語でされていますが、今後の海外での活動予定は?

 

宮沢 「いつか海外作品に」という思いはずっとありますが、授賞式の会場にいらっしゃるアジア各国の皆さんに、直接自分の口で、自分の思いを伝えたい思いがあるからこそ、英語でスピーチをしています。今年もいろいろな国の監督さんや俳優さんが香港に集まっているので、多くの場でコミュニケーションを取れればと思います。そして、もしチャンスがあれば、ぜひ作品に呼んでいただきたいという思いは強くあります。

 

(C)Asian Film Awards Academy

 

取材・文/くれい響

【フォトレポート】Excellence in Asian Cinema Awardは鈴木亮平とイ・ヨンエ! 第17回アジア・フィルム・アワード授賞式レポート

東京国際映画祭(TIFF)が香港国際映画祭、釜山国際映画祭とともに共催するアジア全域版アカデミー賞ともいえる「第17回アジア・フィルム・アワード(AFA)」の授賞式が、3月10日(日)、香港戯曲センター(Grand Theatre)にて開催された。アジア各国を代表するスターたちが一堂に会した授賞式の模様をレポートします。

 

 

【登壇者一覧】

 

授賞式典前の豪華なレッドカーペットには、トニー・レオン&カリーナ・ラウ夫妻をはじめ、特別功労賞を受賞したチャン・イーモウ監督、華麗なる復活を遂げたファン・ビンビンなど、アジアを代表するスターたちが次々に登場。ドラマ「2gether」で一躍ブレイクし、今回AFA Rising Star Awardを受賞したウィン(メータウィン・オーパッイアムカジョーン)など、日本同様にタイ人俳優の人気も高まるなか、来年放送予定の新ドラマ「医女チャングム」が期待されるイ・ヨンエや、少女時代のメンバーで女優としても活躍するクォン・ユリといった韓国俳優の人気は、もはや鉄板。会場の外で待つファンたちが、彼女たちの声を揃えて名前を呼ぶ瞬間が何度もあった。

トニー・レオン&カリーナ・ラウ夫妻(C)Asian Film Awards Academy

 

特別功労賞を受賞したチャン・イーモウ監督(C)Asian Film Awards Academy

 

奇跡の復活を遂げたファン・ビンビン(C)Asian Film Awards Academy

 

日本での「『宮廷女官チャングムの誓い」ブームから20年を迎えるイ・ヨンエ(C)Asian Film Awards Academy

 

音響効果賞のプレゼンターを務めた少女時代のクォン・ユリ(C)Asian Film Awards Academy

 

そして、日本人で初めて審査委員長に就任した黒沢清監督のほか、日本からも多くの映画人が来場。昨年の最優秀助演男優賞受賞に続き、Youth Ambassadorに選ばれた宮沢氷魚さんは、ともに美術賞のプレゼンターを務める玄理さんと登場。『首』で助演男優賞にノミネートされていた中村獅童さんは、同じタキシード姿に身を包んだ6歳の陽喜くん、3歳の夏幹くんと手を繋いで登場し、場内を和やかな雰囲気に包んだ。

最優秀作品賞と音楽賞を受賞した『悪は存在しない』チームと審査委員長の黒沢清監督(C)Asian Film Awards Academy

 

宮沢氷魚さん&玄理さん(C)Asian Film Awards Academy

 

2人の息子と来場した中村獅童さん(C)Asian Film Awards Academy

 

このほか『Last Shadow at First Light(英題)』(東京フィルメックスにて上映)で、新人俳優賞にノミネートされた白田迪巴耶さん、最多6部門ノミネートとなった濱口竜介監督作『悪は存在しない』の石橋英子さんら、監督賞・脚本賞・美術賞にノミネートされた『怪物』の是枝裕和監督、坂元裕二さんらも姿を見せた。

新人賞候補に挙がった期待の新鋭・白田迪巴耶さん(C)Asian Film Awards Academy

 

最優秀監督賞を受賞した是枝裕和監督と『怪物』チーム(C)Asian Film Awards Academy

 

そんななか、海外の取材陣の中でいちばん注目を浴びていたのは、イ・ヨンエとともにアジア映画界・アジア文化における映画人の業績と貢献を称えるExcellence in Asian Cinema Awardを受賞した鈴木亮平さん。タイのマスコミから、来月Netflixにて公開される新作『シティーハンター』について、かなり細かく取材されるなか、流暢な英語で答える光景はとても頼もしくみえた。

鈴木亮平さん(C)Asian Film Awards Academy

 

その後、「Together We Tell Story」をテーマに、アジア24の国と地域から計35作品がノミネートされた今年の授賞式が開催。YOASOBIの「アイドル」のアレンジ版も披露された二胡演奏から始まり、最優秀作品賞を受賞した『悪は存在しない』のほか、『怪物』や『PERFECT DAYS』、『ゴジラ-1.0』といった作品が大健闘。翌日に開催された本場ハリウッドのアカデミー賞に負けず劣らずの好成績を残したと言っても過言ではないだろう。

授賞式の司会を務めたミス香港出身・グレース・チャン(右)(C)Asian Film Awards Academy

 

≪レッドカーペットを彩ったスターたち≫

美容家としても知られるユニース・チャン(C)Asian Film Awards Academy

 

Kayan9896としても活躍するアーティスト、ジニー・ン(C)Asian Film Awards Academy

 

グラビア出身のダダ・チャン(C)Asian Film Awards Academy

 

VaundyのMVにも出演したアンジェラ・ユン(C)Asian Film Awards Academy

 

若干12歳で台湾アカデミー主演女優賞を受賞したオーブリー・リン(C)Asian Film Awards Academy

 

3児の母親には見えないイザベラ・リョン(C)Asian Film Awards Academy

 

菊地凛子らを抑え、主演女優賞を受賞したジャン・チンチン(中央)(C)Asian Film Awards Academy

 

アイドルユニットTwinsも再活動したシャーリーン・チョイ(C)Asian Film Awards Academy

 

中国の時代劇ドラマでおなじみのチャオ・イーリン(C)Asian Film Awards Academy

 

第17回アジア・フィルム・アワード 受賞結果一覧

最優秀作品賞:『悪は存在しない』(濱口竜介監督)(日本)
最優秀監督賞:是枝裕和 『怪物』(日本)
最優秀新人監督賞:ニック・チェク 『年少日記』(香港)
最優秀主演男優賞:役所広司 『PERFECT DAYS』 (日本)
最優秀主演女優賞:ジャン・チンチン 『西湖畔に生きる』(中国)
最優秀助演男優賞:パク・フン 『12.12: The Day(英題)』(韓国)
最優秀助演女優賞:レイチェル・リョン 『白日の下』(香港)
最優秀新人俳優賞:Tergel Bold-Erdene 『City of Wind』(フランス、モンゴル、ポルトガル、オランダ、カタール、ドイツ)
最優秀脚本賞:ペマ・ツェテン 『雪豹』(中国)
最優秀編集賞:キム・サンボム 『12.12: The Day(英題)』(韓国)
最優秀撮影賞:マティアス・デルボー 『雪豹』(中国)
最優秀音楽賞:石橋英子 『悪は存在しない』(日本)
最優秀衣装デザイン賞:マン・リムチョン 『The Goldfinger』(香港、中国)
最優秀美術賞:Eric LAM 『The Goldfinger』(香港、中国)
最優秀視覚効果賞:山崎貴、渋谷紀世子、高橋正紀、野島達司 『ゴジラ-1.0』(日本)
最優秀音響賞:井上奈津子 『ゴジラ-1.0』(日本)
Excellence in Asian Cinema Award:鈴木亮平、イ・ヨンエ
特別功労賞(Lifetime Achievement Award):チャン・イーモウ監督
AFA Next Generation Award:チャオ・リーイン
AFA Rising Star Award:メータウィン・オーパッイアムカジョーン
2023 Highest-Grossing Asian Film Award:『満江紅(マンジャンホン)』(監督:チャン・イーモウ、中国)

 

取材・文/くれい響

池村碧彩「とにかくうれしすぎて、ピョンピョン、ピョンピョンってしちゃいました!」映画『FLY!/フライ!』

「ミニオンズ」のイルミネーションが送る新作アニメ『FLY!/フライ!』が3月15日(金)より公開中。渡り鳥なのに移動したことがないカモ一家がある日、旅に出ることを決意。旅の途中に起こるハプニングや出会いを描いていく冒険アドベンチャー。カモ一家のキュートなおてんば娘・グウェンを、7歳の池村碧彩さんが担当。収録時のお話やお友達との日常などをいろいろと語ってくれた。

 

池村碧彩●いけむら・あおい…2016年5月生まれ。2019年よりキッズモデルとしてテレビCM、カタログモデル、web広告などに数多く出演。2021年、NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」ではヒロイン百音の幼少期を演じて注目されている。ミュージカル「SPY×FAMILY」のアーニャ役、NHK大河ドラマ「どうする家康」の亀姫役も話題を呼んだ。InstagramX

【池村碧彩さん撮り下ろし写真】

 

グウェンはすべてがかわいい

──完成した『FLY!/フライ!』を観てどんなことを感じましたか。

 

池村 トラブルが起きても、仲間、家族、み~んなで乗り越えるところが素敵だなと思いました。それからキャラクターと声優の人の声がぴったりで、それも魅力的だなって思いました。

 

──グウェンをやることになったときはどんな気持ちになりましたか。

 

池村 とにかくうれしすぎて、(軽く体を弾ませながら)ピョンピョン、ピョンピョンってしちゃいました! 何日経ってもあのうれしい気持ちは忘れません。

 

──グウェンのかわいいと思ったところや好きだなって思ったところを教えてください。

 

池村 グウェンはすべてがかわいいです。一つ好きなシーンがあって、落ち込んでいるお兄ちゃんの前に急にグウェンがやってきて、なぐさめてあげるのが本当にかわいくて! なぐさめ方がかわい過ぎて、「こんな役できるの!?」って思いました。

 

──公式サイトのコメントでグウェンに似ているとおっしゃっていました。どんなところが似ているのでしょうか。

 

池村 グウェンはお兄ちゃんを力づける強さもある子なので、お兄ちゃんに「こうしたら?」って強く言えるところも似ているし、家族が大好きなところも似ていると思います。

 

本番では自然にグウェンができました

──グウェンの声をやるために練習しましたか。

 

池村 監督さんが「あまり練習しないで」とおっしゃっていたから、あまり練習はしませんでした。でも本番では自然にグウェンができました。グウェンが“Pleaーーーーーーーーーーーs!!”って、長く伸ばすセリフがあって。最初に映像を観たときに「え、こんなに長いの!?」って思ったので、そこは練習しました。

 

──グウェンみたいにおねだりすることってありますか。

 

池村 私は欲しいモノがあってもまず使うことを考えるようにします。「これ本当に使うのかな?」って思うのでおねだりはあんまり……。でもガチャをやることもあるので、そっちの方が無駄かなって思ったりもします。

 

──今“Pleaーーーーーーーーーーーs!!”って長く伸ばすほどお願いしたいものはあります?

 

池村 自由帳を10冊ぐらい買って欲しいです。あとお絵描きパレット。前からデジタルで絵を描いてみたいなって思っているので。

 

──絵を描くのが好きなんですね。どんな絵を描きますか。

 

池村 いろいろ描きますけど、キャラクターみたいな人間と鳥さんを描くことが好きです。グウェンとミニオンズの絵も描きました。

 

──「ミュージカル SPY×FAMILY」ではアーニャ役で初めての舞台に挑戦しました。今回は初めての声優となりますが、どっちが緊張しましたか。

 

池村 それは舞台です。東京、兵庫、福岡で公演したんですけど、東京の初日から兵庫の半分が終わるぐらいまで、ずっとおなかが痛くなっていました(笑)。キメラ長官というぬいぐるみをギュッてするようにしていました。でも声優さんは本当に楽しくて。前の日はすごく緊張したけど、マイクの前に立ったら緊張がボーンッてなくなりました。

 

声の高さや低さで表さないといけないから、そこが難しいところだなって

──お兄ちゃんのダックスとお話するときと、ダンおじさんとお話するとき、それぞれ違うお芝居をしている感じがしました。

 

池村 ダンおじさんはグウェンに優しくしてくれるから、ちょびっとかわいい感じ。お兄ちゃんは「やるぞー!」って元気に声をかけたりするのでそこは強い感じ。お父さん、お母さんには普通に接してるかなって、そういうことを考えながら演じました。

 

──声優さんをやって難しかったことはありましたか。

 

池村 私はいつも体全体で表現をしているけど、声優さんは「今はこういう気持ちだな」っていうのを声の高さや低さで表さないといけないから、そこが難しいところだなって思いました。

 

──体全体を使った表現の方がやりやすい?

 

池村 ただ体を使うと疲れちゃうけど……、でもどっちも同じぐらい楽しいです。

 

両手でほっぺをギュッとつぶしながら言ったセリフは自分でも「いいな」って

──では声優さんのお仕事で一番楽しかったことは?

 

池村 グウェンというキャラクターができたこともうれしかったし、グウェンの声をして、初めてだったので「声優さんってこんな感じで表現するんだ」ってハッ!! としました。また一ついろんな勉強ができたかなって思って楽しかったです。

 

──自分でもうまくできたなって思ったセリフはありましたか。

 

池村 両手でほっぺをギュッとつぶしながら言ったセリフがあって、そこは自分で初めて聞いたときに「あ、いいな」って思いました。

 

──収録するときに両手でほっぺをギュッとしたんですか。

 

池村 はい。監督さんが「こうやってみたら?」ってアドバイスをしてくれて、実際にやってみたらすごくよくできました。

 

スネ夫の声で話してくれたので、めっちゃうれしかった

──お父さんのマックを演じている堺雅人さん、お母さんのパムを演じている麻生久美子さんはどんな方ですか。

 

池村 すごく優しくしてくれます。私といっぱいおしゃべりしてくれて、会見で私が緊張していると「頑張ろうね」と言ってくれたし、会見が始まる前も終わったときもタッチしてくれてうれしかったです。

 

──お兄ちゃん役の黒川想矢さんは?

 

池村 お兄ちゃんはめっっちゃ優しくて、トークでは難易度が高いお話をするので、追いつけないんです(笑)。でも「さすがお兄ちゃん!」と思いました。

 

──キャストの皆さんとはどんなお話をしましたか。

 

池村 お父さん、お母さんとは好きな食べ物のお話をしたり、お兄ちゃんとは「イエーイ!!」ってやったりしました。デルロイさん(関智一)さんは、「ドラえもん」のスネ夫をやっているのを私も知っていたんです。だから「スネ夫くんですか?」って聞いたら、スネ夫の声で話してくれたので、めっちゃうれしかったです。

 

──普段の碧彩さんがわかるお話も聞かせてください。お友達とはどんな遊びをすることが多いですか。

 

池村 縄跳びをすることが多いです。前跳び勝負、後ろ跳び勝負をしたりしています。

 

──いろんな跳び方ができるんですね。

 

池村 えーと、前跳び、後ろ跳び、駆け足跳び、ケンケン跳び、あとはあや跳び、交差跳び、後ろ駆け足跳びができます。

 

お猿ポーズをしてこんな顔をします

──すごいたくさん! 碧彩さんが一番得意なのは?

 

池村 うーん……、一番うまいのは後ろ跳び。自分の最高記録ができました。(回数を)言ってもいいですか? 87回!

 

──すごい! 縄跳び勝負ではよく勝つ方?

 

池村 よく……負ける方です(笑)。途中でミスっちゃうんです。

 

──何か集めているものはありますか?

 

池村 絵を描くことが好きなので、消しやすい消しゴムを集めています。

 

──お気に入りの消しゴムはありますか。

 

池村 黒い消しゴムがあって、それはよく消えます。目に光を入れるんですけど、もっとリアルっぽくするために消しゴムを使っています。

 

──消しゴムのテクニックも使って絵を描いてるんですね。では、特技が変顔だそうですが、どんなときに変顔をするんですか。

 

池村 めっちゃ盛り上がってるときとか。家族みんなで〇〇をしているときに変顔をします。

 

──得意な変顔は?

 

池村 (肘を曲げて上げた両手を頭につけながら)こうやってお猿ポーズをしてこんな顔をします。あとは顔だけでもやります。

 

──お友達の前でも変顔するんですか。

 

池村 にらめっこするときにします! たまに声だけで笑わせています。

 

──どんな声で笑わせるんですか。

 

池村 言っちゃダメなことを言います(笑)。

 

──それは気になる(笑)。ここでは言えませんか。

 

池村 はい。言ったらやば〜いってなります(笑)。にらめっこだからみんな笑っちゃうんです。

 

かわいいと思うものは「か」で始まって「そ」で終わる動物

──にらめっこは強い?

 

池村 強いほうだと思います。最初は変顔をして、それでも笑わなかったら「ふわぁ〜」ってヘンな声を出したりするので、勝てない子は1人ぐらいかな。

 

──笑うまで頑張ると。ところで、アーニャ、グウェンとかわいいキャラクターが続いていますが、碧彩さんがかわいいと思うものはなんですか。

 

池村 2つあって、どっちも動物で1つはモルモット、もう1つは〇〇〇〇(まるまるまるまる)です。ではまずモルモットから紹介しましょう。

 

──はい、よろしくお願いします。

 

池村 おばあちゃんとよく動物園に行くんですけど、モルモットを抱っこするとめちゃふわふわで、目がクリクリしていてかわいいなって思いました。そして〇〇〇〇は、「か」で始まって「そ」で終わる動物なんですけど、なにかわかる?

 

──なんだろう……(笑)。

 

池村 かわうそ〜(笑)。かわうそは何時間も寝ていて、チュンチュンって動くところがかわいくて、目も本当にクリクリしてるんです。かわうそも絵に描いてみたいんですけど、描くのがめちゃ難しいんです。

 

──動物も好きなんですね。飼いたい動物は?

 

池村 本当に飼いたいのはわんちゃんです。柴犬かトイプードルかチワワ。あとスクランブルエッグみたいな名前の……、まあとにかくいろいろ飼いたいです(笑)。(撮影中に画像を見てフレンチブルドッグと判明)

 

デザイナーさんパティシエさんもできて、大食い女子でもある女優さんに(笑)

──意外な犬種が出てきた(笑)。じゃあ将来の夢はなんですか。

 

池村 2つあって、占いでも「どっちも良いですね」って言われました。一つ目は、私は料理を作ることが好きなので、パティシエさんになってみたいと思いました。あとは絵を描くことが好きで3歳ぐらいのときに決めたんですけど、(服の)デザイナーさんにもなりたいなって。

 

──女優さんは?

 

池村 やめません! デザイナーさんパティシエさんもできて、大食い女子でもある女優さんになります(笑)。

 

──多才な女優さんですね。ぜひ頑張ってください。

 

池村 はい、頑張ります♪

 

 

 

FLY!/フライ!

2024年3月15日(金)より全国公開中

 

【映画「FLY!/フライ!」よりシーン写真】

(STAFF&CAST)
製作:クリス・メレダンドリ
監督:バンジャマン・レネール
脚本:マイク・ホワイト
配給:東宝東和

日本語吹替版キャスト:堺雅人(マック役)
麻生久美子(パム役)
ヒコロヒー(チャンプ役)
黒川想矢(ダックス役)
池村碧彩(グウェン役)
羽佐間道夫(ダンおじさん役)
野沢雅子(エリン役)
関智一(デルロイ役)
鈴村健一(グーグー役)ほか

 

(C)2023 UNIVERSAL STUDIOS. ALL Rights Reserved.

 

撮影/映美 取材・文/佐久間裕子

櫻坂46藤吉夏鈴、スクープを狙う新聞部記者役で映画初主演!髙石あかり、久間田琳加、中井友望らが共演「新米記者トロッコ」【コメントあり】

藤吉夏鈴(櫻坂46)が映画初主演を務める「新米記者トロッコ 私がやらねば誰がやる!」が、8月9日(金)公開。コメントとキャラクター写真が到着した。

「新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!」©2024「新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!」製作委員会

 

本作は、高校の新聞部を舞台に、誰しもが人生で経験するであろう“学校”という社会の縮図の中の“はしっこ”で奮闘する新米記者少女の視点を中心に、社会で生きる私たちに“善悪”や“正義”とは何かを問いかける、痛快な“社会派”青春エンターテインメント。

 

原案は、日本大学藝術学部・映画学科に在籍中の宮川彰太郎が授業の課題で制作した1つの企画書。彼が高校3年生の時に着想したのは、当時悪質タックル問題が世間をにぎわせていた頃。母校の不祥事を目の当たりにし、子どもが大人に対抗するヒヤヒヤ感や何かを成し遂げようとする熱量を詰め込んだその企画書がプロデューサーたちの心を動かし、気鋭のキャスト・スタッフを迎えて製作された。

 

主人公の私立櫻葉学園高校新聞部・新米記者“トロッ子”こと所結衣役には、櫻坂46の藤吉夏鈴が大抜てき。昨年リリースしたシングル「Start over!」で表題曲のセンターを務め、『あざとくて何が悪いの?』内の「あざと連ドラ」(22/テレビ朝日)第5弾、第6弾、『アオハライド Season2』(24/WOWOW)、NHK夜ドラ『作りたい女と食べたい女』シーズン2(24/NHK)などに出演し、女優としても注目を集めている藤吉が、映画初出演にして初主演を果たす。

 

トロッ子を振り回す破天荒な新聞部部長・かさね役には「ベイビーわるきゅーれ」シリーズ(21・23/阪元裕吾監督)で注目を集め、第15回TAMA映画賞新進女優賞を受賞。ドラマ・映画に引っ張りだこの髙石あかり。

 

さらに、学園の花形・文芸部部長の西園寺茉莉役には「おとななじみ」(23/髙橋洋人監督)、「夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく」(23/酒井麻衣監督)など、立て続けに主演作が公開され、勢いに乗っている久間田琳加。

 

新聞部の副部長・恩田春菜には「ミスiD2019」でグランプリを獲得し、映画「少女は卒業しない」(23/中川駿監督)への出演や「サーチライト-遊星散歩-」(23/平波亘監督)で主演を務め、ドラマ『ケの日のケケケ』(24/NHK)など、活躍の幅を広げている俳優・中井友望。次世代を担う新星が集結し、青春の葛藤と躍動をみずみずしく演じている。

 

メガホンをとったのは長編デビュー作「ももいろそらを」(12)で高い評価を受け、「殺さない彼と死なない彼女」(19)、「恋は光」(22)など特に若者の心情と情景を繊細かつ大胆に描くことに定評のある小林啓一。脚本は「辻占恋慕」(22)や「さよならエリュマントス」(23)などが話題の大野大輔が務める。

 

なお今回の発表と併せて新聞の号外風チラシが作成され、数量限定にて配布中(号外の配布先など詳細は公式Xを参照)。藤吉、高石、久間田、中井、小林監督のコメントは下記に掲載。

 

コメント

藤吉夏鈴(所結衣役)

お話をいただいた時、本当にありがたく同時にワクワクした気持ちでした。

 

初めましての方々と出会い、一つのものを作っていけるんだと思うと、うれしく好奇心にあふれていました。

 

初主演を務めさせていただけたことうれしく思っています。不安な気持ちもありましたが、寄り添ってご指導いただき、乗り越えることができました。皆さまに感謝の気持ちです。

 

真実に目を向け、真っすぐに突き進む姿は頼もしく特有の輝きがあり、この気持ちを何歳になっても忘れてはいけないんだと、教えてくれました。

 

所結衣ちゃんに感謝の気持ちです。

 

愛される作品となりますように、祈っています。

 

髙石あかり(杉原かさね役)

出演が決まり小林啓一監督とキャストの皆さんのお名前を聞いた際は、すてきな作品になる予感にとてもワクワクしました。

 

私が演じさせていただいた杉原かさねという役は、赤い炎のような女の子です。

 

主人公を引っ張り振り回していく、情熱的で猪突猛進型、何にもとらわれず探究心のためならなんだってやるような女の子。

 

真っすぐすぎるゆえ敵も多いですが、そんなところもいとおしいと思えるキャラクターです。

 

大胆に、喜怒哀楽100%で挑みました。

 

登場人物全員が魅力的で、1人ひとりを応援したくなる作品です。

 

ぜひ劇場でご覧ください!

 

久間田琳加(西園寺茉莉役)

出演が決まったときは、同世代の皆さんとご一緒できる、学校が舞台の作品に出られるということで、クランクインが楽しみになりました。

 

私が演じた西園寺茉莉は、高飛車でボスのような女の子です。文芸部の部長として、いつも小説のコンクールで最優秀賞を受賞しています。でもそれには秘密があり、その秘密を巡って、物語の最後には大どんでん返しが…。

 

「誰かにちゃんと認められたい」という気持ちがさまざまな形で描かれている作品です。そんな気持ちに共感して見ていただけるとうれしいです。

 

中井友望(恩田春菜役)

脚本を初めて読んだ時、ただただ単純に「おもしろ!」と思ったのを覚えています。

 

文字で物語を追っているだけで、何かが動き出しそうなワクワク感を感じ、そこに自分も参加できることがすごくうれしかったです。

 

私は、髙石さん演じるかさねと同じ新聞部員の春菜を演じさせていただきました。

 

自由奔放にわが道を進むかさねの横での春菜の立ち回りにも注目していただけたらなと思います。

 

小林監督の隅々までこだわる面白い演出に、改めて映画作りとはこんなに楽しいんだと気付かせていただきました。

 

ぜひ、公開を楽しみにしていてください!

 

小林啓一監督

大野大輔さんの脚本を読ませていただいた時から、ワクワク感が止まりませんでした。考えもなしに「やらせてください!」と言ったものの、よくよく考えると、力ある脚本の功罪で「結構、難しいぞ」とかなり後悔しました。しかし、役者の皆さまとスタッフのおかげで、想像以上に練りに練った作品が出来上がりました。

 

特に主演の藤吉夏鈴さんは、リアルとフィクションの間、はかなさと強さを併せ持つ、今までにないヒロインを作り上げてくれました。また髙石あかりさん、久間田琳加さん、中井友望さんも非常にフレッシュで、映画の輪郭を太く濃くしてくれています。彼女たちのエネルギーが世の中を明るくしてくれると思います。ここ最近、つらくて目を背けたくなることばかりですが、この映画で何か貢献できればうれしいです。

 

あらすじ

文学オタクな高校一年生、所結衣(藤吉夏鈴)は憧れの作家“緑町このは”が在籍しているという名門・櫻葉学園高校に入学し、文芸部の入部テストを受けるが、入部テスト中に新聞部の偵察ドローンが頭にぶつかり、入部の機会を逃してしまう。

 

しかも肝心の“このは”が正体不明の存在だと知った結衣は、文芸部部長の西園寺茉莉(久間田琳加)から入部の条件として“このは”の正体を突き止めてほしいと頼まれ、情報を持っているという新聞部に潜入することに。

 

新聞部の部長・杉原かさね(髙石あかり)と副部長の恩田春菜(中井友望)らに振り回されながらも、新米記者“トロッ子”として活動するうちに新聞と記者の魅力に引かれていく結衣。

 

しかし、“緑町このは”という存在に隠された学園の大きな闇が次第に見えてきて―――。

 

文学(フィクション)か、新聞(スクープ)か。

 

真実が明らかになる時、結衣が選ぶ道とは…。

 

作品情報

「新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!」

2024年8月9日(金)テアトル新宿・グランドシネマサンシャイン 池袋ほかにて公開

 

キャスト:藤吉夏鈴(櫻坂46)、髙石あかり、久間田琳加、中井友望

監督:小林啓一

脚本:大野大輔

原案:宮川彰太郎

企画:直井卓俊

エグゼクティブプロデューサー:佐藤現

プロデューサー:久保和明 浅木大 松嶋翔

製作幹事:東映ビデオ

制作プロダクション:レオーネ

配給:東映ビデオ、SPOTTED PRODUCTIONS

 

公式HP:torokko-movie.jp

公式X:https://twitter.com/torokko_movie

公式Instagram:https://www.instagram.com/torokko_movie/

 

©2024「新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!」製作委員会

田中美久が「FLY!/フライ!」SPアンバサダーに就任!「HKT48を卒業した今の私にも重なるストーリー」

元HKT48の田中美久が映画「FLY!/フライ!」(3月15日(金)全国公開)のスペシャルアンバサダーに就任。コメントが到着した。

「FLY!/フライ!」スペシャルアンバサダーに就任した田中美久(c)2023 UNIVERSAL STUDIOS. ALL Rights Reserved.

 

大ヒット作「ミニオンズ」「怪盗グルー」「SING/シング」「ペット」シリーズを生み出し、全世界の興行収入13億ドル(約2000億円)越え、日本でも140億円突破の特大ヒットとなった「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」を手掛けたイルミネーション。

 

「FLY!/フライ!」は、破竹の快進撃を続け、今最も世界に注目されているアニメーション・スタジオが送る、「SING/シング」以来7年ぶりの完全オリジナルストーリー。住み慣れた小さな池から飛び出すカモ一家に、旅の途中で待ち受けるすてきな出会いと奇想天外なトラブルの数々と初めての大冒険が描かれる。

 

今回のスペシャルアンバサダー・プロジェクトでは、映画「FLY!/フライ!」の公開を記念して、映画はもちろん、公式グッズや、カモ一家のおてんばでキュートな妹・グウェンが、大人から子供まで誰もが超元気になれるテーマパーク、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに登場するグリーティングイベントなどの情報を発信。

 

ユニバーサル・ピクチャーズのイルミネーション作品ならではの、映画とグッズとテーマパークによるコラボレーション企画となる。

 

「FLY!/フライ!」は渡り鳥なのに旅したことがないカモ一家が初めての大冒険に出る物語だが、今回スペシャルアンバサダーに抜てきされた田中は、約10年間在籍したアイドルグループHKT48を卒業し、個人として活動していく新たな一歩を踏み出したばかり。新しいチャレンジに向かう前向きなストーリーに共感し、今回の起用となった。映画のアンバサダーを務めるのは初めてとなる。

 

田中は今後も、「FLY!/フライ!」に関すさまざまな体験を予定。その様子は映画公式SNSや田中自身の公式SNSアカウントなどで発信されていく。コメントは下記に掲載。

 

スペシャルアンバサダー・田中美久コメント

「FLY!/フライ!」(c)2023 UNIVERSAL STUDIOS. ALL Rights Reserved.

このたび「ミニオンズ」や「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」のイルミネーション最新作「FLY!/フライ!」のスペシャルアンバサダーに就任しました!

偶然なのですが、実は、個人的にミニオンの歩き方をマネして、いろんな現場で広める活動をしていたので(笑)。お話をいただいた時は、同じイルミネーション作品ということで、とてもうれしかったです!

一足先に映画を見させていただいたのですが、渡り鳥なのに渡らないカモ一家が一歩踏み出し、初めての大冒険に出るストーリーがHKT48というアイドルグループを卒業した今の私にも重なり、「これから何事にもおびえずに前に出ていこう!」と思わせてくれる作品でした。面白いシーンも、感動できるシーンもあり、勇気がもらえる作品です。

これから私のSNSでも「FLY!/フライ!」の魅力をたくさん発信していくのでぜひ見てください!

 

作品情報

「FLY!/フライ!」
2024年3月15日(金)より、全国公開

脚本:マイク・ホワイト
監督:バンジャマン・レネール
製作:クリス・メレダンドリ

日本語吹替版キャスト:堺雅人(マック役)、麻生久美子(パム役)、ヒコロヒー(チャンプ役)、黒川想矢(ダックス役)、池村碧彩(グウェン役)、羽佐間道夫(ダンおじさん役)、野沢雅子(エリン役)、関智一(デルロイ役)、鈴村健一(グーグー役)

配給:東宝東和

公式サイト:https://fly-movie.jp
イルミネーション日本公式X:https://twitter.com/JP_Illumination

(c)2023 UNIVERSAL STUDIOS. ALL Rights Reserved.

水瀬いのり「苦境を乗り越え、なんとか生き抜こうとする恐竜たちの姿に強く心を動かされました」映画「恐竜超伝説2 劇場版ダーウィンが来た!」

NHKで放送中の人気自然番組『ダーウィンが来た!』の劇場版第5弾が3月8日(金)より公開。今回スポットを当てたのは、いまだ多くの謎に包まれた恐竜たち。太古の大陸・ゴンドワナを舞台に、新たな説を交えて彼らの生態に迫っている。そこで、過去2作に続き、今回もナレーションを務めた水瀬いのりさんにご登場いただき、見どころを直撃。知られざる世界を一足早く体験した彼女に、作品や恐竜への思いをうかがった。

 

水瀬いのり●みなせ・いのり…12月2日生まれ。東京都出身。NHK『ダーウィンが来た!』放送内の次回予告アニメ『マヌ~ルのゆうべ』にてツノゼミのツノミン役を担当。主な出演作に「心が叫びたがってるんだ。」(成瀬順役)、「Re:ゼロから始める異世界生活」(レム役)、「五等分の花嫁」(中野五月役)など。9月15日(日)より兵庫県を皮切りにライブツアーも開催。公式HPXInstagramLINEYouTube

 

【水瀬いのりさん撮り下ろし写真】

 

時代を超えて少しずつ解明されていく恐竜たちの研究内容にロマンを感じました

──『劇場版ダーウィンが来た!』シリーズで水瀬さんがナレーションを担当するのはこれで3作目になります。今回は“恐竜”がテーマになっていますが、完成した作品をご覧になってどのような印象を持ちましたか?

 

水瀬 《命》を軸に、恐竜たちの生態に関するさまざまな説を描いた作品でしたので、驚きと新鮮さでいっぱいでした。そもそも私の中で恐竜というと、動物園や水族館で出会える動物ではないので、どこかしら空想の世界にいる生き物のようなイメージがあったんです。博物館などに展示されている骨を見て、“本当にこんなにも大きな生き物がいたんだ!?”と実感することはあっても、実際に恐竜たちが大自然の中で暮らしている様子までは、なかなか想像ができなくて。でも、今作にはいろんな恐竜たちが登場し、彼らがどんな生活をして、自然と共存していったかが描かれているんです。ひと言で恐竜といっても、肉食系か植物食系かによって行動の仕方が異なりますし、そうしたところからも、改めて恐竜たちも私たち人間と同じようにいろんな生き方があったんだなと知ることでき、本当に勉強になることばかりでした。

 

──爬虫類っぽい色合いの恐竜たちだけでなく、それぞれ皮膚の色や柄にも個性や特徴があって驚きました。

 

水瀬 そうなんです。意外とカラフルできれいなんですよね。今作には2022年に報告されたばかりの新しい話が盛り込まれていたりと、最新の研究結果も反映されていて、そこも見どころの一つになっています。恐竜に関する研究や調査は日々、世界中で行われていて、過去に発掘したものと新たに発見された情報がジグソーパズルのようにはまり、今まで分からなかったことが明らかになっていく。そこがすごく面白いですよね。それに、自分たちが見つけた調査内容が今はまだ謎だらけでも、未来の研究者たちにとっての解明の糸口になるかもしれなくて。そうした、“過去”と“現在”と“未来”の全てが一つに繋がっているというところにもロマンを感じました。

 

──ナレーションの作業はいかがでしたか?

 

水瀬 やはり《命》がテーマになっていますので、ドラマチックな部分もあり、原稿を読みながらいろんな興味が湧いてきましたね。特に印象的だったのが戦いのシーンでした。私にとって恐竜同士の争いというと、縄張り争いであったり、食料にするために相手を倒すというイメージが強かったんです。でも、この作品では彼らにも家族があり、守るべきものがあるからこそ戦っているといった姿も描かれている。それに、彼らの中には“なんとしてでも生き延びるんだ”という本能的な強い思いがあり、そのことが彼らの生態をも進化させたり、知恵を使った戦い方を見いだしていったんだということがよく分かりました。そうした、凶暴さだけではない恐竜の一面も、ぜひ映画を通して感じ取っていただければなと思います。

 

──確かに、凶暴さで知られるティラノサウルスでさえもしっかりと子育てをしていたかもしれないという説は意外性がありました。

 

水瀬 ティラノサウルスって怖い印象しかなかったのに、彼らにも母性や父性があるんだと思うと親近感が湧きますし、かわいいなって思っちゃいますよね(笑)。それに、子どもを守る方法が恐竜の種類によってさまざまであるところも非常に興味深かったです。中には、敵に食べられないように歯が欠けるほど硬い殻で覆った卵を生む恐竜もいて。しかも、それほどまでに硬い卵をどうやって孵化させるんだろうと思っていたら、火口近くの地熱を利用して温めていくんです。誰かに教えられたわけでもないのにそうした工夫を身に着けていく姿を見ていると、生き物が持っている普遍的な本能って本当にすごいなと改めて感じましたね。

 

リアルな映像を観ていたら、この世界に行ってみたくなりました

──また、今作ではそんな恐竜たちが生存していた場所である超巨大大陸・ゴンドワナが舞台となっています。かつて存在していたこの大陸のことはご存知でしたか?

 

水瀬 私は初めて知りました。昔、南米やアフリカの大陸が一つに繋がっていたという話は聞いたことがあったのですが、その大陸を「ゴンドワナ」と言うんですよね。この映画では35m級の大きさがある植物食恐竜のプエルタサウルスに焦点を当て、彼らがゴンドワナ大陸でどう暮らしていたかも描いているのですが、その行動には感情移入するところがたくさんありました。衝突の冬の寒さにも負けず、食べ物を探してなんとか生き抜こうとする姿に心を打たれましたし、そうやって恐竜やいろんな生き物たちが命を繋いできてくれたから、今の私たちがあるんだなって。それを思うと、途方もない昔の話なのに恐竜たちのことを身近に感じられましたし、なんだか不思議な気持ちにもなりましたね。

 

──巨大隕石が地球に衝突したことで氷河期のような時代、衝突の冬に突入し、その結果、恐竜たちが絶滅したものだと思っていましたが、実はそうした環境下でも一部の恐竜は生き延びていたかもしれないという説は見ていて勇気をもらいました。

 

水瀬 この映画の監修をされている小林(快次)先生や植田(和貴)監督から聞いたお話では、もしかすると衝突の冬の期間がそれほど長くはなかったかもしれないという説があるんです。だから、生き抜くことができた恐竜たちがいたのかもしれない、と。でも、そうであれば、“恐竜たちが絶滅した原因は一体何だったんだろう?”という新たな謎が生まれますよね。

 

──確かに!

 

水瀬 その答えは私には分からないのですが、けどこうやって、一つの有力な仮説が生まれるたびに新しい解明に繋がったり、逆に別の謎が生まれたりするのが、本当に面白いなと思いました。

 

──未解決のことが多いだけに、小さなお子さんたちが映画を観ると、豊かな想像力で大人とはまた違った感想を持ちそうですよね。

 

水瀬 そう思います。この映画をきっかけに、もっと恐竜やこの時代のことを知りたいと思う子もたくさん出てくるでしょうし。それに、そうやって何かに興味を持つことって、探究心を養うことにも繋がっていくし、それがやがて趣味であったり、やりたい仕事に向かって動き出すための原動力にもなるんじゃないかなって思うんです。もちろん、お子さんに限らず、大人の方でも好奇心をくすぐられる作品だと思います。実際に私も映画を観た後で、恐竜図鑑を買いたくなりましたから(笑)。その意味でも、ぜひ多くの方に観ていただきたいですね。

 

──特に恐竜たちの迫力ある映像は映画館で体感してもらいたいです。

 

水瀬 本当に! 大きなスクリーンだと目の前に等身大に近い恐竜が現れて、本当に実在するようにも見えるでしょうし、没入感も半端ないと思います! きっと劇場版でやる意味もそこにあるんだろうなと感じました。それに、この映画で描かれている恐竜自体は精密なCGですが、本物の景色を背景に合成しているので、どのシーンもすごくリアルなんですよね。現実にある世界なんじゃないかと錯覚して、私もちょっとだけあの中に入ってみたいなって思いました。怖いから、行くにしてもほんのちょっとだけでいいんですけど(苦笑)。

 

──(笑)。もし行けたら何をしてみたいですか?

 

水瀬 植物食恐竜は大人しそうなので、彼らの首や背中に乗ってみたいですね。そんなに簡単に懐いてくれるとは思いませんが(笑)。近づこうとして、尻尾で追い払われて終わりでしょうし(笑)。でも、映画の中では恐竜たちも目を合わせてコミュニケーションを取っていたかもしれないと描かれていたので、もしかしたら相手を思いやる感情があったのかもしれなくて。そう考えたら、恐竜たちと仲良くなれる可能性もあるのかなって、そんなことも夢見てしまいますね。

 

日々、アロマオイルの効果を実感しています

──最後に、水瀬さんが最近ハマっているモノを教えていただけますか?

 

水瀬 少し前からアロマオイルにハマっています。いろんな種類が入ったキットを購入し、香りだけでアロマの名前を当てるということを夜な夜なしています(笑)。また、その日に一番ピンときた香りをディフューザーに入れて眠るのも楽しみの一つになっていますね。

 

──日によって好みの香りが変わるんですか?

 

水瀬 そうなんです。昨日はすごく好きな香りだったのに、今日嗅いでみたらあまり気持ちに刺さらなかったり。きっと自分の体調や自律神経が左右しているのだと思うのですが、そうした感じ方の違いがあるのも面白いです。また、種類によってはバスソルトに香りづけをしてお風呂で使えるモノであったり、殺菌作用や免疫力向上の効果をもたらすオイルもあるので、今はいろいろと試している最中です。

 

──実際に効果は感じられますか?

 

水瀬 びっくりするぐらい違いますね。寝付きもよくなりましたし、疲労回復具合もこれまでとの違いを感じます。きっと好きな香りに包まれていると自然と呼吸も深くなるので、そのことでぐっすりと眠れているというのもあるんでしょうね。

 

──なるほど。では、いろいろと試しながら、アロマオイルごとに自分にとってどんな効果があるのかを調べてみるのも面白そうですね。

 

水瀬 確かに! そうやって統計を取っていくことで、“私の緊張緩和オイル”みたいなのが作れるかもしれませんし(笑)。「明日は緊張と仲良くなるぞ!」みたいな日の前夜は気持ちが上がる香りを調合してみたり。組み合わせによって本当にいろんな香りが作れますよね。

 

 

恐竜超伝説2 劇場版ダーウィンが来た!

2024年3月8日(金)全国ロードショー

 

【映画「恐竜超伝説2 劇場版ダーウィンが来た!」よりシーン写真】

(STAFF&CAST)
監督:植田和貴
監修:小林快次
エンディングテーマ:MISIA
制作:NHKエンタープライズ
映像提供:NHK

ナレーター:水瀬いのり
ヒゲじい:龍田直樹

(STORY)
今から6600万年前、太古の大陸「ゴンドワナ」には、40mにも達する超巨大植物食恐竜・プエルタサウルスや10m級の肉食恐竜・マイプなどが生存し、生きるために死闘を繰り広げていた。ところが、巨大隕石の衝突によって彼らの生活環境は一変。火災や寒冷化が地球上のいたるところで起き、生き物たちは絶滅の危機に瀕する。しかし、そんな環境下でもたくましく生き抜こうとする恐竜たちがいた……。

(C)「恐竜超伝説2 劇場版ダーウィンが来た!」製作・配給 ユナイテッド・シネマ

 

撮影/干川 修 取材・文/倉田モトキ

ピエール瀧「当たり前がなくなってしまうこと、当たり前を積み重ねていける幸せを感じられる映画にしたかった」映画『水平線』

俳優・小林且弥さんの初長編監督作『水平線』が3月1日(金)より公開。福島県のとある港町で、散骨業を営む主人公・井口真吾を演じるのは、小林監督と『凶悪』で共演したピエール瀧さん。監督との絶大な信頼関係や独自の役作りについてのほか、役柄と同じ一人娘を持つ父親の顔ものぞかせてくれました。

 

ピエール瀧●ぴえーる・たき…1967年4月8日生まれ、静岡県出身。1989年に石野卓球らと電気グルーヴを結成。95年頃から俳優としてのキャリアをスタート。『凶悪』(2013年/白石和彌監督)で、日本アカデミー賞優秀助演男優賞など、数々の賞を受賞。主な出演作品には『怒り』(2016年/李相日監督)、『アウトレイジ 最終章』(2017年/北野武監督)、Netflixドラマ「サンクチュアリ-聖域-」(2023年)など多数。2月15日よりNetflixドラマ『忍びの家 Houseof Ninjas』が配信スタート。XInstagramYouTube

 

【ピエール瀧さん撮り下ろし写真】

 

 監督からは「瀧さんのままでフレームの中にいてください」と言われ……

──『凶悪』で共演者だった小林且弥監督から直接オファーされたときに、「これは断ったらいけないやつだな」と思われたそうですね。

 

瀧 ある日突然、携帯が鳴ったら、小林くんからの久しぶりの着信だったんです。そしたら「今度、初めて長編映画を監督することになったので、主演お願いできないですか?」とお願いされて……。どんな内容かも言われてないですが、彼は『凶悪』で僕の舎弟役をやっていて、ストーリー上では僕に撃ち殺されるんで、そのときの負い目もあって……(笑)。ホントのことを言えば、今まで役者で頑張ってきた彼が人生初の長編映画デビュー作を撮ることになって、直接連絡までしてくれたなら、そういう気持ちには出来るだけ応えるべきだと思いました。それですぐに脚本を送ってもらいました。

 

──監督から送られてきた脚本を読んだときの感想は?

 

瀧 脚本は僕を当て書きに書いてくれたようですが、そんな真吾さんは福島の港町で暮らしていて、特別なヒーローでもないですし、周りの人に大きな影響を与えるような人でもない。逆にさまざまな出来事に巻き込まれていく市井の人を演じてほしいという、監督の意図を感じました。後々になって、監督が「瀧さんに断られたら第二候補がいなかった」と言っていましたけど、そのときはどうするつもりだったんでしょうね?(笑)

 

──瀧さんが演じられた井口真吾には実在のモデルになった方がいらしたとのことですが、役作りはどのようにされましたか?

 

瀧 監督から出演依頼があってからクランクインまであまり時間がなかったんです。なので、仮に役作りのために福島に出向いて現地の方のお話を聞いたところで、それは付け焼き刃にすぎないんじゃないかと思ったんです。あとは「そんな程度の認識の僕がこの役を演じる資格があるのか?」というのは悩みどころではあったので、それを正直に監督に伝えたところ、「そういうことは一切考えず、瀧さんのままでフレームの中にいてください」と言ってくれました。監督は福島で暮らす皆さんからいろんな話を聞いて、状況についてもかなりリサーチしていたので、そこは頼らせてもらいました。

 

僕の苦いような、寂しいような、悲しいような表情が面白いのでは?

──監督から「瀧さんのままでフレームの中にいてください」と言われることでのプレッシャーは?

 

瀧 どうだろう? ただ、娘の奈生(栗林藍希)や事件の被害者遺族など、いろんな人に追い詰められて、困っているときの真吾さんって、だいたい黙っているんですよね。何の言葉も発することもできない。その黙っているときの、僕の苦いような、寂しいような、悲しいような表情が、小林監督にとって面白くもあり、なにか特殊な感覚のものとして映っているんじゃないかと思います。僕自身、寡黙な役が好きって言ったら変ですけど、以前NHKのドラマ「64(ロクヨン)」で、三上さんという警察の広報官役をやったときも、困りに困って、ずっと黙っているキャラクターだったんです。だから、その部分を喜んでくれる層は意外といるのかもしれませんね(笑)。

 

──いつも現場に入る前に心がけていることは?

 

瀧 どの作品でもそうですけれど、作品の中での自分の役割のピークみたいなものを決めて、そこから逆算して演じるようにしています。どんどん積み上げて足していくやり方をしてしまうと、そのピークが来たときに、自分のテンションなり、お芝居の能力が足りてないと台無しになっちゃうんじゃないかと思っているので……。

 

──撮影初日が印象的なスナックのカラオケで、サザンオールスターズの 「勝手にシンドバット」を熱唱するシーンだったそうですね。

 

瀧 この映画って、見終わった後に「これはこうでした」と明確に定義できるような話じゃないんですよね。それは真吾さんを演じた僕もそうで、「なぜ最後にあんな行動を取ったんだろう?」って、どこかで思っているし、 テーマであるSNSやマスコミの在り方についてなど、何が正解かは分からないんです。でも、そういう類の映画であればあるほど、市井の日々の営みみたいなものを丁寧に細かく積み上げていかなければいけないわけで……。真吾さんは確かに不幸な境遇ではあっても、日々下を向いて暮らしているわけでもなく、気心の知れた友だちと一緒にちょっとハメを外すことだってある。それをうまく表現したシーンだと思うし、自分の声量も含めて、本編中一番圧が強いシーンだと思っているので(笑)、初日だったのは良かったのかもしれません。

 

真吾さんが自分の分身のように娘を見ていたところとかよく分かります(笑)

──主演映画だったことで、撮影を振り返っていかがですか?

 

 “座長として”みたいな考えって、僕には全然ないんですよ。みんなで作品を作っていくチームの中で、ちょっと比重が大きいポジションっていうぐらい(笑)。「俺について来い」という気持ちもないですし、監督もそういうものは期待してなかったと思うんです。ただ、撮影期間が12日しかなかったんです。そういう意味では、ほぼテストなし、1テイクで決めるしかない中、「怒涛の撮影をどう乗り切るか?」という緊張感はありましたし、スタッフ一丸となってのチームワークみたいなものが出来上がった作品に出ているかと思います。「ずっと天気であってくれ」と思いつつ、雨が降ったことによってどこか切ない感じになって良かったなと思うシーンもありますし、なんとなく運も味方してくれた現場でしたね。

 

──瀧さん自身も、真吾と同じ娘さんを持つ父親ですが、奈生との関係性や距離感をどのように捉えましたか?

 

瀧 奈生とは状況も環境も違いますが、ウチの娘ももう高校3年ですから、 小学校低学年のときとは関係性が変わりますよね。幸いなことに、ウチは今でも娘とは仲良くしていますが、真吾さんがとんでもない色の原付をプレゼントするとか、自分の分身のように娘を見ていたところとかはよく分かります(笑)。あと、時間がない中で監督とは脚本にはない、まだお母さんがいた頃、震災前に親子3人で楽しく暮らしていた時間を、あざとくない感じで入れようという話をしました。例えば、奈生の部屋に入るシーンは、紙袋を被って「ワーッ!」と言いながら入るようにしてみたらというアイデアを出したり。子供の頃に親子でじゃれ合っていたことって、今思うと幸せでいい時間だったと思うけど、そのときって気づかないんですよね。そんな実際の娘との関係性にもリンクする、当たり前のことがなくなってしまうこと、逆に当たり前のことを積み重ねていける幸せも感じられるような映像にしたかったんです。

 

リトルカブでの一人旅にどハマり

──最近、ハマっているモノを教えてください。

 

瀧 昨年、中学の友だちから譲ってもらったリトルカブですね。お正月に地元の静岡に帰ったときに、「乗ってない原付あったら誰かくれない?」と話したら、1か月後にちゃんと整備してくれたんです。それで東京から持っていったナンバープレートを付けて、一般道で東京まで帰ってきたら、めっちゃ楽しくて(笑)。しかも、静岡から東京までガソリンがたった3リッターだったという燃費のお化けだったことに気付きました。通販サイトで買ったシートやキャリアを使って乗り心地をカスタマイズしたら、そういうとこも楽しくなっちゃって。

 

──ということは、ツーリングも頻繁にされているんですか?

 

瀧 この間は東京から横須賀まで走って、そこで東京湾フェリーで千葉の金谷港まで行った後、無目的に外房に向けて海沿いを走りましたね。それで鴨川まで行ったら、日が暮れちゃったので、観光案内所で海沿いのペンションの素泊まりを紹介してもらって、次の日は朝から房総半島の真ん中を突っ切って、木更津のホテル三日月まで。そこで、うちの草野球チームのメンバーと合流して宴会をやりました。今ではどこまでも行けちゃいそうだなと思っていて、フェリーで四国とか北九州まで行って、ぐるっと走る夢とが膨らんでいます。あと、軽トラならリトルカブを載せられるし、アクアラインも渡れるので、今は軽トラにも注目しています(笑)。

 

──実際に番組として、放送や配信したら面白そうですよね。

 

瀧 それは分かるんですけれど、番組としてやると、例えば金谷港に着いたときに、海鮮丼とか食べなきゃいけないでしょ?  泊まるところも、何となくいい感じの宿を選ばなきゃいけないじゃない? こっちは完全に自由に縛りなしで行きたいから、もうバーミヤンでいいし、小汚い民宿でいいんですよ。

 

 

水平線

3月1日(金)より、テアトル新宿、UPLINK吉祥寺ほか全国順次公開

 

(STAFF&CAST)
監督/小林且弥
脚本/齋藤孝

出演/ピエール瀧、栗林藍希、足立智充、内田 慈、押田 岳、円井わん、高橋良輔、清水 優、遊屋慎太郎、大方斐紗子、大堀こういち、渡辺 哲

(STORY)
震災で妻を亡くした井口真吾(ピエール瀧)は、個人で散骨業を営みながら、水産加工場で働く娘・奈生(栗林藍希)と2人で暮らしている。高齢者や生活困窮者を相手に、散骨を請け負う彼の元に、かつて世間を震撼させた通り魔殺人事件の犯人の遺骨が持ち込まれる。苦しい選択を迫られた真吾は、ある決断を下すことに。

公式HP https://studio-nayura.com/suiheisen/

(C)2023 STUDIO NAYURA

 

撮影/映美  取材・文/くれい響  ヘアメイク/重見幸江(gem)

森高愛「自分が大切にしているものを守りたいと思う気持ちは似ている」映画『ただ、あなたを理解したい』

20代前半の若者たちが現実に、将来に、友情に、恋に悩む姿を描く青春群像劇。自らも俳優として活躍する碓井将大監督による劇場映画初監督作『ただ、あなたを理解したい』が2月23日(金・祝)より公開中。舞台はある地方都市。高校時代、秘密基地に集まっていた幼なじみたちが、上京した仲間の帰郷をきっかけに4年ぶりに再会する。その仲間たちの1人、ななみを演じた森高 愛さんに撮影時のエピソードや役との向き合い方について聞いた。

 

森高 愛●もりたか・あい…1998年1月14日生まれ。埼玉県出身。2009年、『ニコ☆プチ』でモデルデビューし、『ラブベリー』、『ピチレモン』の専属モデルとして活躍。2014年スーパー戦隊シリーズ『烈車戦隊トッキュウジャー』にトッキュウ5号/カグラ役で出演。映画『俺物語!!』、『兄に愛されすぎて困ってます』、ドラマ『アンナチュラル』、『ジャンヌの裁き』などに出演。TikTokでも注目を集めている。公式HPXInstagramYouTubeTikTok

 

【森高 愛さん撮り下ろし写真】

 

仲間たちとのやりとりを大事にして演じました

──ななみという役について、どんな女性だと捉えて演じられたのでしょうか。

 

森高 すごく周りが見える子なんだろうなと思いました。周りが見えて、自分が今一番大切にしているものが明確にあるから、それが壊れそうになると必死に守るんだろうなって。

 

──碓井将大監督とは役柄や演技について、どんなお話をされましたか。

 

森高 一番仲の良い由衣香(伊藤千由李)との掛け合いなど、仲間たちとのやりとりを大事にしていこうって話しました。それからななみはある問題を抱えていて、そこにどれぐらい真摯に向き合うか。多分ななみは真摯に向き合えていないからこそ、今のななみがあるという難しいバランスで演じないといけなくて。監督が「森高だったらどうする?」とか、いろいろ聞いてくださって、話し合いながら進めていきました。役柄については、ななみは地元にずっといて、いろんなことをやりきって飽きているんじゃないかと。ぶっきらぼうさもある子だから、ななみ役を演じるにあたり、髪の内側だけ金髪ぽく染めようということになりました。

 

──碓井監督はご自身も俳優でもあり、今作は劇場映画初監督作となりますが印象的だった演出はありましたか。

 

森高 監督が「こういう感じで」とさりげなく自らやってくださるのがうますぎて、現場で見ていて「おお!」ってなりました(笑)。「もうちょっとこのくらいの間でやってほしい」って具体的に伝えてくださるんですが、セリフを言ってグッとつかむ方法がお上手なんです。監督も俳優さんなので、そういう部分でも勉強させてもらいました。そして出演者にすごく寄り添ってくださいました。例えば消化しきれない部分があったときに、どうして消化できないのかを話し合って、「じゃあここで立ってみたらやりやすくなるんじゃない?」みたいに技術的な部分を提案してくれますし、俳優としての気持ちも分かるからメンタル部分でもケアしてくださってすごく助けられました。

 

1つひとつのことで、「その人」は形成されていく

──他にはどんな役作りを?

 

森高 インする前に監督が、ななみたちが住んでいる街の地図を渡してくれて、「ここが秘密基地で、ここが祐也(鈴木昂秀)の家で、ここを登っていくと桜が見える場所があって。こっちは海で」って、お話に登場する場所を地図で教えてくれました。その地図を見てからインしたので、「私の知っている街だ」って感覚がありましたね。波の音を聞いて育ったとか、この裏通りを行くとすごく近道なんだよなとか、そういうのは実際に住んでいないと分からないじゃないですか。でも地図を見ていたおかげで、多分、この裏通りをななみは使うけど、由衣香は使わないよねとか、そういう細かい1つひとつのことで、「その人」は形成されていくんだなって今回感じました。

 

──ななみを演じて難しいと思ったことはありましたか。

 

森高 康二(比嘉秀海)との距離感がすごく難しかったです。恋人でも友達でもない、どっちつかずの微妙な関係で。だから撮影中は比嘉くんといろいろ話すようにしました。2人でいても話さなくても大丈夫な空間みたいなものを作るのが一番大事な気がしたので、ずっと他愛もない話をしていました。撮影がお休みの日は、朝2人で散歩しながらちょっと話してから現場に行ったり。

 

──森高さんご自身とななみは似ている部分や共通する部分はありますか。

 

森高 ななみほど口は悪くないですけど(笑)、自分が大切にしているものを守りたいと思う気持ちは似ていると思います。ななみは自分が守りたいものの範囲がすごく狭いんですが、私もそうなんです。例えば自分の家族だったり。

 

自分が大切にしていたものの中に入ってきた異物という危機感

──ななみは子供時代に発見した秘密基地で一緒に遊んだ幼なじみたちをすごく大切にしていますよね。だから幼なじみの1人で、東京に行った祐也が連れてきた葵(新谷ゆづみ)に対してキツイことを言ったり。

 

森高 葵に対してななみの中には、自分が大切にしていたものの中に入ってきた異物という危機感がすごくあるんでしょうね。でも、その気持ちは私にも分かるんです。私は友達とその彼氏と一緒にご飯に行こうって誘われると、めちゃくちゃ身構えます。面倒くさいムーブになって、「どこで出会ったんですか」「どこが好きなんですか」とかいろいろ聞いちゃいます(笑)。もちろん自分の大切な人が好きになった人なので大丈夫だろうとは思いつつ、その方の人となりが気になるんですよね。

 

──二日酔いのシーンを含めて、ななみが裕也と康二と飲み明かすシーンが印象的でした。3人の関係性や高校時代の面影が垣間見られるような気がします。

 

森高 あのシーンは監督からもよかったと言っていただいたシーンでもあり、うれしいです。特に何を話しているわけでないのですが……。実は前の日、みんなで実際に二日酔いになったほうがいいのでは? と監督含めて話が出たのでお酒を飲みました。が、緊張からか全く酔わず二日酔いどころか目もバッキバキで撮影に臨みました(笑)。

 

──のどかな風景がいろいろ出てきますが、撮影中はロケ先に滞在されていたのですか。

 

森高 2週間くらい滞在していました。みんなでご飯を食べて、一緒にお風呂に入って、合宿みたいな感じでした。先に撮影が終わっても、ちょっと残って現場に顔を出して、その後、伊藤千由李ちゃんと2人で自転車を借りてサイクリングしたりしました。

 

3日以上の滞在なら筋膜リリースローラーを持っていきます

──ところで、長期滞在のロケに必ず持っていくものってありますか。

 

森高 そこは40分くらい歩かないとコンビニもなかったので、いろんなものを持っていきましたけど、いつも持っていくのは筋膜リリース棒と筋膜リリースローラーですね。1泊なら棒だけ、3日以上の滞在ならローラーを持っていきます。

 

──2つとなると結構荷物の場所を取りそうですね(笑)。

 

森高 その2つを入れるので、「なんでそんなに大きなキャリーケースなの?」って言われました(笑)。みんな手荷物扱いぐらいの大きさのキャリーだったんですけど。

──その棒と筋膜リリースローラーは1日が終わったら絶対に使う?

 

森高 そうですね。現場にいるとヘンな体勢で座ったりすることがあるので、気がついたらいろんなところがバキバキになっていたり……帰ったらすぐコロコロします。宿泊した旅館が和室だったので、ヨガマットも持って行ったから思う存分コロコロしましたよ。

 

──もう習慣になっているんですね。

 

森高 そうですね。ピラティスをやっているので、始まる前にほぐすためにホームローラーというポールみたいなものを使って筋膜リリースするんです。撮影中は2週間行けなかったから、せめてそれでやらないとっていう感じでした。

 

LE SSERAFIMはウンチェちゃん。もうかわいい!

──ピラティスはどんな頻度で通っているんですか。

 

森高 週2回くらいは行きます。LE SSERAFIMちゃんがやっている動画を見て、「なにこれ、すごい! やりたい」って思って始めました。いろんなスタジオで体験してみたんですけど、家の近くじゃないと続かないと思い、歩いて20分くらいのところで見つけました。いつも20分歩いて行って、1時間やって20分歩いて帰ってます。

 

──では今、ハマっているものや夢中になっているものを教えてください。

 

森高 それこそK-POPが大好きで、何かあればライブに行ってます。

 

──ちなみに好きなグループは?

 

森高 LE SSERAFIMちゃんが一番好きです。あともうすぐデビューする「PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS』で選ばれたME:Iちゃんも気になっています。

 

──推しは決まっているんですか。

 

森高 LE SSERAFIMはウンチェちゃん。もうかわいい! 日本語を話すウンチェちゃんが大好きで。九州で売られている九州だし醤油のポテチを食べて、「なんでこんなにおいしいの!?」って言っている動画を1時間ぐらい延々と見たりしています。本当にそこだけリピートして見ていて、自分でもビックリしました(笑)。見れば見るほどかわいくなってくるんです。

 

──それだけ熱く語れるLE SSERAFIMの魅力とは?

 

森高 仲が良いグループがすごく好きなんですよね。だからわちゃわちゃしていてほしい。アイドルを見て癒されています。でもパフォーマンスをすると、みんなセクシーでパワフルで、そのギャップにもやられちゃいますね。

 

──ファンクラブにも入っていたり?

 

森高 もちろん。ME:Iにも入りましたし、母がSEVENTEENが好きなので、セブチのFCにも入ってるんです。いろんなファンクラブに入っているので、ファンクラブ代がサブスク化しています(笑)。なので、うちはずっと韓国語が流れています。母も私も韓国ドラマも好きだから、帰宅した父が「まーた韓国ドラマか」ってあきれています(笑)。

 

 

 

 

(C)BOKURANOFILM

ただ、あなたを理解したい

2月23日(金・祝)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開中

【映画「ただ、あなたを理解したい」よりシーン写真】

(STAFF&CAST)
監督:碓井将大
脚本:鈴木裕那、渋谷未来
主題歌:MA55IVE THE RAMPAGE『ガーベラ』(rhythm zone)

出演:鈴木昂秀、野村康太、新谷ゆづみ、森高 愛、比嘉秀海、伊藤千由李、山本愛香、吉田晴登、城 夢叶、高橋ひとみ ほか

(STORY)
幼なじみの祐也と春樹、由衣香は、高校生になっても子どもの頃に見つけた秘密基地で他愛のない時間を過ごしていた。卒業後、祐也は役者になることを夢見て上京。一方、残った仲間たちは、時が止まったままのような秘密基地で現実逃避のような日々を送っていく。そんなある日、4年ぶりに祐也が恋人を連れて帰省する。思わぬ再会に、再び彼らの時間が動き出していく……。

公式サイト:https://tadaanata-movie.com/

(C)BOKURANOFILM

 

撮影/中村功 取材・文/佐久間裕子

俳優・大島優子が今ハマっているコト。逆に“オススメしない”モノとは⁉ 映画『マダム・ウェブ』インタビュー

マーベル初の本格ミステリー・サスペンス映画『マダム・ウェブ』が、2月23日(金)に日本公開。突如として未来予知能力に目覚める主人公キャシー・ウェブ(後のマダム・ウェブ)の吹き替え版を、第1子を出産したばかりの大島優子さんが務めた。マーベル作品の大ファンだという大島さんには、女子のチーム経験の話から出産の話までたっぷりとインタビュー。続けてGetNavi web恒例の今ハマっているモノ・コトについて聞いた。

大島優子●おおしま・ゆうこ…1988年10月17日生まれ。栃木県出身。2006年にアイドルグループ・AKB48に第2期生として加入。“神7”と呼ばれグループを牽引した。2014年6月のAKB48卒業後は俳優として活躍しており、NHK連続テレビ小説『あさが来た』(2015)をはじめ、NHK大河ドラマ『青天を衝け』(2021)、日本テレビ系ドラマ『ネメシス』(2021)、映画『とんび』(2022)などに出演。私生活では2021年7月に俳優の林遣都と結婚し、2023年1月に第1子出産を発表した。XInstagram

 

「自宅をより居心地よくすることが好き」

 

──大島さんは、最近何かハマっていることはありますか?

 

大島 これといったモノはないのですが、自宅をより居心地よくすることが好きで。収納の仕方をいつでも考えていて改良を重ねています。どれだけスペースにシンデレラフィットするかにこだわったりとか!(笑)。そのために、自分でDIYもするんですよ。

 

──おお! それはすごい。最近は何を作られましたか?

 

大島 最近だと、鍋敷きを作りました。外壁用のタイルをサンプルでもらったんですよね。それが海外製の可愛らしいタイルで、何かにできないかなと。厚さも十分にあったので、フェルト生地を接着して鍋敷きに作り直しました。

 

──アイデアマンですね。以前から、手作りするのは好きだったんですか?

 

大島 そうですね。祖母が編み物や手作業が好きだったので、その姿をずっと見ていたこともあります。

 

──使って良かった道具やアイテムは何かありますか?

 

大島 先日、子どもの本棚を組み立てたんです。バラバラで素材がきたのでそれを組み立てて完成させて、仕上げに角が危ないので、安全クッションを取り付けました。粘着性のテープ状になっていて、真ん中が折れるタイプのコーナークッションを購入しましたが……アレ全然ダメですね!

 

──ああ、ダメなタイプでしたか……!

 

大島 すみません、おすすめしない方でした(笑)。かなり強力な粘着性のモノにしましたが、ペロッと剥がれちゃって使えなかった。最初から直角に形成されているタイプを、長さを測ってフィットさせた方が物持ちは良さそうだなと気づきました。

 

──しっかりDIYする方の意見ですね。勉強になります。

 

大島 DIYする時って、ついつい便利さや手軽さで考えがちですが、私は最終的には「物持ちの良さ」「耐久性」の部分で、素材やキットを選ぶようにしています。

 

──お子様のためを思ってというのが、DIYのきっかけになっているんですか?

 

大島 いえ、自分の引き出しの取っ手を木工から真鍮のものに変えるなど、細かいことは以前からやっていました。子どもが産まれてから、また取っ手を木に戻しましたけどね(笑)。

 

──これから作ってみたいモノはありますか?

 

大島 できることなら、なんでも全部作ってみたいくらい……!特に、これからは子ども用の棚とかおままごと用のキッチンとか作ってあげたいですね。時間があればやりたいなという気持ちですが。

 

──素敵ですね。ぜひ完成された際は見せていただければと思います!

 

 

映画『マダム・ウェブ』

2024年2月23日(金)全国公開

 

(STAFF&CAST)
原題:MADAME WEB
監督:S・J・クラークソン
出演:ダコタ・ジョンソン、シドニー・スウィーニー、イザベラ・メルセド、セレステ・オコナー、タハール・ラヒム、エマ・ロバーツ、アダム・スコット
公式サイト:https://www.madame-web.jp
© & ™ 2024 MARVEL

 

(STORY)
救急救命士として働くキャシー・ウェブ(後のマダム・ウェブ)は、一人でも多くの命を救うため日々奮闘していた。ある時、救命活動中に生死を彷徨う大事故に巻き込まれてしまう。それ以来、キャシーはデジャブのような奇妙な体験を重ねるのだった。自分に何が起きているのか戸惑うキャシーだったが、偶然にも出会った 3人の少女たちが、黒いマスクの男に殺される悪夢のようなビジョンを見てしまう。それが未来に起きる出来事だと確信したキャシーは、少女たちを助けることを決意。未来が見えるという不思議な力を使い何度も危機を回避するが、謎の男はどこまでも追ってくる……。男の目的は一体? なぜ執拗に少女たちを追うのか? やがて明らかになる、少女たちの<使命>とキャシーの能力の秘密。少女たちを守る先に、彼女が救うことになる<未来>の正体とは──

 

撮影/金井尭子 取材・文/kitsune スタイリスト/有本祐輔(7回の裏) ヘアメイク/松野仁美

大島優子「自分に厳しく、人にも厳しくしていた経験と重なる」マーベル映画『マダム・ウェブ』で実写吹き替え初挑戦

『スパイダーマン』シリーズのソニー・ピクチャーズが贈るマーベル初の本格ミステリー・サスペンス映画『マダム・ウェブ』が、2月23日(金)に日本公開。今作の主人公は突如として未来予知能力に目覚めるキャシー・ウェブ(後のマダム・ウェブ)で、ダコタ・ジョンソンが演じている。

大島優子●おおしま・ゆうこ…1988年10月17日生まれ。栃木県出身。2006年にアイドルグループ・AKB48に第2期生として加入。“神7”と呼ばれグループを牽引した。2014年6月のAKB48卒業後は俳優として活躍しており、NHK連続テレビ小説『あさが来た』(2015)をはじめ、NHK大河ドラマ『青天を衝け』(2021)、日本テレビ系ドラマ『ネメシス』(2021)、映画『とんび』(2022)などに出演。私生活では2021年7月に俳優の林遣都と結婚し、2023年1月に第1子出産を発表した。XInstagram

 

そんなキャシー(マダム・ウェブ)役の日本語吹き替えを、俳優の大島優子さんが務めることが決定。第1子出産後初となる作品であり、実写映画の吹き替えは初挑戦だという大島さんにインタビューした。

 

【大島優子さん撮り下ろし写真】

 

マーベル作品の大ファン!「先に観ていいんですか」

 

──本作『マダム・ウェブ』で、大島さんは主人公キャシー・ウェブ(マダム・ウェブ)の吹き替えを演じられました。オファーが来たときは、どのような気持ちでしたか?

 

大島 うれしかったですね! もともとマーベル作品の実写映画やドラマはほとんど見ている大ファンなので、その世界の中に入れることに興奮しました。試写で作品を観るときから「ええ⁉ 本当に先に見ていいんですか……」って気持ち(笑)。幸せでしたし、胸が高鳴りました。

 

──好きな世界観に入り込めるのはうれしいですよね。

 

大島 ただ、その分プレッシャーもありました。映画だけでなく、コミックスからのファンの方も多いので。マダム・ウェブというキャラクターはコミックスから登場していますが、実写化にあたって、どういう人物になるのかは明かされていなかった。その期待も大きいだろうと思っていました。

 

──初めて作品をご覧になった際の印象はいかがでしたか?

 

大島 序盤から展開が早くて驚きました。キャシーが能力を開花させてビジョンが見え始めたシーンでは、過去なのか未来なのか、それすらまだ分からず謎に包まれていて、先が読めない演出に引き込まれました。時間軸に揺さぶられるような、あの感じ……興奮しましたね。ハラハラドキドキさせられ、あっという間に見終わった印象でした。

 

──キャシーのキャラクターとご自身では、似ている部分や共感できる部分はありましたか?

 

大島 彼女は初め、人に心を開かないタイプでした。しかも、彼女が出会ったジュリア、アーニャ、マティという3人の少女たちに対しても責任を感じていなかった。しかし、そこから徐々に自分が守っていかなきゃいけないんだという気持ちが芽生えて、最終的には彼女の母性が爆発する。周囲のいろいろなことを少しずつ感じ取って、吸収して、咀嚼することで自分を積み上げていく部分は、私と似ているなと感じました。

 

アフレコは「あと1か月やりたかった」

 

──大島さんは、過去にアニメ―ション作品の吹き替えを担当されていましたが、実写映画は初ということで、どのような点に気を配られましたか?

 

大島 キャシーの感情を表現できるように、自分もお芝居をしているかのような感覚で演じることを意識しました。他の登場人物がキャシーに対してそれぞれどういう相手なのか、距離感や周りの状況、音などでも、声のトーンが変わってくるだろうと考えました。

 

──お芝居の経験を生かしながらアフレコに臨んだわけですね。

 

大島 はい。ただキャシー役のダコタ・ジョンソンさんに馴染むようにも意識しました。アフレコは数日間でしたが、1日目は感覚がわからず、しっくりこなかったんです。でも2日目には「ハマった、これだね」と演出の方に言っていただけて、自分でも腑に落ちました。

 

──限られたスケジュールで完成まで持っていったわけですね。

 

大島 他の出演者の方のセリフが埋まっていくと、また全然違う感じになりました。そうなると自分のテンションも変わりますよね。最終日に向けて、どんどん世界観を仕上げていきました。最後は名残惜しかったです。あと1カ月ぐらいやりたかった(笑)!

 

──本作は、アクションシーンも多い作品でした。通常の吹き替えと違う点や発見はありましたか?

 

大島 アクションシーンは ただただ楽しくやらせていただきました。感情面はあまり考えないで、やられたら「やられた!」っていう感覚で。唸りは、ダコタさん本人と同じような声を真似しました。ダコタさんは『フィフティ・シェイズ』シリーズなど息遣いが多い俳優さんなんですよ。その時の感情によって息遣いが違うので、とても勉強になりました。

 

──なるほど。呼吸や息の吐き方にも気を付けて演技されていたわけですね。

 

大島 呼吸って自然なことだから、普段は注目しないじゃないですか。でも、やっぱり緊張している時、疲れている時、反対にリラックスしている時の呼吸は全く違う。そこを表すのがすごく上手な方だったので、いろんなパターンの息遣いをやらせていただいて楽しかったです。

 

チーム活動への共感「穴埋めされてどんどん成長していく」

 

──この物語はキャシーと、ジュリア、アーニャ、マティという3人の少女たちの成長も見どころの一つですよね。

 

大島 キャシーと女の子たちは、みんな寂しそうで何かを求めていた。それは愛情だけではなかったと思うんです。何かを求めて日々生きて、自然とみんなが集まって、でも実は運命の糸で結ばれていた……。キャシー自身、何か自分に足りてないものがあることをわかっていて、みんながチームになることで、それが穴埋めされてどんどん成長していく。その過程にも注目してほしいです。

 

──大島さんご自身も、チームとして活躍されていたご経験があると思いますが、何か重なる点はありましたか?

 

大島 彼女たちがいるのは、生きるか死ぬかの世界じゃないですか。キャシーもそのつもりで、女の子たちに厳しく教えることは教え、伝えることは伝えています。そして自分にも厳しくしていると思うんです。私もグループ時代に自分に厳しく、人にも厳しくしていたので、重なりますね(笑)。

 

──後輩の方も多くいらっしゃる中でチームを率いられていたからこそ、通じる部分があるというか。

 

大島 照らし合わせてみると通じる部分があるなと思いました。厳しくしながらも、女の子たちのおかげで、彼女自身も変化して成長しているんですよね。

 

──女の子たちがだんだん仲良くなっていく描写は、微笑ましいですよね。

 

大島 そうですね。3人それぞれ違った個性の持ち主で、同じ学校でも絶対に友達にならないジャンルだと思うんですけど(笑)。女の子って同じことを体験するとすごく仲良くなる。「あの時こうだったよね」と、経験をシェアすると絆が強くなると思います。

 

「子どもが健康に生まれてくれるなら、できることすべてやる」

 

──作中では「母と子」という親子の関係性も大きなテーマになっていますよね。キャシーと実の母親、そしてキャシーと少女たち。

 

大島 最初は、特に責任を感じていなかったキャシーも、だんだんと女の子たちと過ごすに連れて「守りたい」という母性が生まれていく。戸惑いながらも、それを受け入れていくんですよね。

 

──実際に、お母さんになられた大島さんから見て、共感する部分はありましたか?

 

大島 やっぱり子どもが生まれる時は、何がなんでも健康で生まれてほしいし、できることがあれば全てやると思うんですよね。自分もそうすると思うので、キャシーのお母さんの気持ちはすごく共感できました。

 

──子どもを守りたいという気持ちですね。

 

大島 逆に母親の記憶がないキャシーの立場になると、お母さんが自分のことを愛していたかなんてわからないじゃないですか。母親にどう思われていたか分からずに30年近く生きてきて、母親の愛情を知った瞬間っていうのは、キャシーの気持ちにも母親の気持ちにも感情移入しましたね。胸が熱くなりました。

 

マーベル作品の魅力は「自分もスーパーパワーを与えられた感覚になれること」

 

──今回「マダム・ウェブ」という新たなマーベルヒーローが誕生したわけですが、改めてマーベル作品の魅力とは?

 

大島 やはり一番は、見た人が強くなった気持ちになれること。見終わった後、なぜか自分もスーパーパワーを与えられた感覚になりますね。そこが私の好きな部分で、いつも自分を奮い立たせてもらえるな、と感じています。でも本作はマーベル初の本格ミステリー・サスペンスということで、アクションで自分が強くなる気分というよりは、頭脳的に賢くなって教養がついたような気持ちになれる。フィジカルだけじゃないのが、今までとはまた違った魅力かなと思います。自分にも何か才能が眠っているんじゃなかいかって思わせてくれるというか。

 

──大島さんが、キャシーのような“未来が見える”才能に目覚めたらどうします?

 

大島 いやー、もし未来が見えたとしても、上手く使いこなす自信がないですね。未来が見えても、それをどう使うかの判断ができるかどうか。自分がヒーローとして与えられた使命があるんだったら、できるかもしれませんが。

 

──大島さんの中で、理想のヒーロー像というものは何かありますか?

 

大島 私はアイアンマンがすごく好きで。人間として欠落してる部分はあるけれど、能力が高い。でもどこか愛情に飢えていて、ちょっと寂しがりやなところが、すごく心に刺さるんですよね。

 

──マダム・ウェブも少し共通している点があるような。

 

大島 そうですね。マダム・ウェブもどこか人間として欠けてる部分があり、人を遮断している部分がある。あまり人に心を開かないタイプだと思うんで、彼女もそれを自分で理解しながら過ごしている。それでも、未来予知っていう能力が与えられてからの彼女の変化ぶりっていうのは素晴らしくて。その成長ぶりが素敵だなと思いましたね。人間、そしてヒーローとして形成されていく感じ、魅力的なヒーローだと思います。

 

──最後に、公開を楽しみにされているファンの方にメッセージをお願いします。

 

大島 今回、マーベル初の本格ミステリー・サスペンスということで展開が読めないなか、登場人物一人ひとりのセリフで謎が解き明かされていきます。字幕はもちろん、字幕で追いつかない場合はぜひ吹き替えで見ていただき、一謎を解きながら観ていただければと思います。

 

映画『マダム・ウェブ』

2024年2月23日(金)全国公開

 

(STAFF&CAST)
原題:MADAME WEB
監督:S・J・クラークソン
出演:ダコタ・ジョンソン、シドニー・スウィーニー、イザベラ・メルセド、セレステ・オコナー、タハール・ラヒム、エマ・ロバーツ、アダム・スコット
公式サイト:https://www.madame-web.jp
© & ™ 2024 MARVEL

 

(STORY)
救急救命士として働くキャシー・ウェブ(後のマダム・ウェブ)は、一人でも多くの命を救うため日々奮闘していた。ある時、救命活動中に生死を彷徨う大事故に巻き込まれてしまう。それ以来、キャシーはデジャブのような奇妙な体験を重ねるのだった。自分に何が起きているのか戸惑うキャシーだったが、偶然にも出会った 3人の少女たちが、黒いマスクの男に殺される悪夢のようなビジョンを見てしまう。それが未来に起きる出来事だと確信したキャシーは、少女たちを助けることを決意。未来が見えるという不思議な力を使い何度も危機を回避するが、謎の男はどこまでも追ってくる……。男の目的は一体? なぜ執拗に少女たちを追うのか? やがて明らかになる、少女たちの<使命>とキャシーの能力の秘密。少女たちを守る先に、彼女が救うことになる<未来>の正体とは──

THE RAMPAGE鈴木昂秀「いつも空回りしているこの役を一番うまく演じられるのは自分だと思いました(笑)」映画「ただ、あなたを理解したい」

THE RAMPAGE、MA55IVE THE RAMPAGEで活躍する鈴木昂秀さんが初主演を務めた映画『ただ、あなたを理解したい』が2月23日(金・祝)より公開。豊かな景色が広がる地方都市を舞台に、20代前半の若者たちが自身の人生や恋、そして仲間たちへの想いに悩む青春群像劇。等身大の演技で本作に挑んだ鈴木さんに、「本当の親友同士のようだった」と語る共演者たちとの制作秘話や、作品に込められたメッセージについてたっぷりとお話をうかがった。

 

鈴木昂秀●すずき・たかひで…1998年10月3日生まれ、神奈川県出身。THE RAMPAGEのパフォーマー。2014年に開催した「GLOBAL JAPAN CHALLENGE」を経て、正式メンバーとなる。 2017年、1st SINGLE「Lightning」でメジャーデビュー。 2016年からは俳優としても活動し、「HiGH&LOW」シリーズにも出演。現在グループ派生ユニット「MA55IVE THE RAMPAGE」としても活動。公式HPInstagram

 

【鈴木昂秀さん撮り下ろし写真】

 

身近にいる人を理解したいと願う彼らの想いに涙がこぼれました

──ちょうど昨日、初号試写をご覧になられたそうですね。(※取材時)

 

鈴木 はい。自分の演技を見るのがめちゃくちゃ恥ずかしかったです(苦笑)。でも、作品自体は本当に素晴らしくて。自分で言うのも恥ずかしいのですが……結構、泣いちゃいました(笑)。

 

──それはどういった涙だったのでしょう?

 

鈴木 いろいろと考えさせられた故の涙でした。というのも、今作は青春群像劇なのですが、キラキラしているだけではないんです。高校時代にただただ楽しい時間を過ごしてきた仲間たちとの関係性があり、その4年後、高校卒業と同時に消え去るように東京に出ていった主人公の祐也が恋人を連れて再び姿を現す。再会したかつての仲間たちの中には、年齢を重ねたことで大人の考えを持つようになった者もいれば、当時の思い出から抜け出せない人もいて。そのことで互いの関係性にも変化を感じ、だからこそ、それぞれが相手のことを“理解”したいと思い始めるんですね。僕自身、試写を見ながら、もっと自分の近くにいる人たちのことをちゃんと考え、理解したいし、理解しなきゃダメだなと思うようになって。その瞬間、自然と涙が流れてきたんです。

 

──なるほど。今作で鈴木さんはその祐也を演じられました。どんな男性だと感じましたか?

 

鈴木 正直、僕そのまんまだなと思いました(笑)。台本を読みながら、“あ〜、こういうこと、俺も一年ぐらい前に言っていたなぁ”と思ったり、“ダメダメ! そういう行動を取っちゃうから、話がややこしくなるんだよ!”ってツッコんだり。本当に共感することばかりで、この役を一番うまく演じられるのは自分だという自負もありました(笑)。

 

──そうだったんですね(笑)。とはいえ、劇中では仲間たちから「ただ暑苦しいだけのバカ」と言われていましたが……。

 

鈴木 言われていましたね。でも、祐也は本当になんの取り柄もない男だから、しょうがないです(笑)。それに、これって裏を返せば、褒め言葉でもあると思うんです。空気が読めず、空回りしてしまうこともありますが、それだけ彼は自分の感情に素直で、みんなのことを思ってつい突っ走ってしまうところがあるということですから。

 

──確かに彼の言動は純粋で、それ故に恥ずかしくなるようなことも口にしますが、ときにそのストレートな言葉が心に刺さってきます。

 

鈴木 それはきっと、彼には打算がないからだと思います。飾らず、思ったことをそのまま言う。そのことで、仲間たちからは「そんなの言われなくても分かってるよ」と思われるんですが、でも実は、本当に大切なことってそうしたシンプルな言葉の中にあったりするんですよね。ですから、きっと見終わった後も、“あの言葉って、つい聞き流してしまったけど、もしかしてこういう想いがあったのかも……”といろんな考察をして楽しんでいただけると思います。

 

──また、すごく印象的だったのが、劇中で何度も登場する祐也の「おまえらラッキーだぞ!」という口癖でした。この言葉にはどのような感情を込めていたのでしょう?

 

鈴木 これはすごく解釈が難しかったです。純粋に“楽しい!”という感情をみんなと共有したくて発しているのかもしれないですし、祐也の性格的に友人たちの前で粋がったり、強がっているだけなのかもしれない。“おまえらは気づいてないだろうけど、今、こんなに楽しい状況なんだぜ!”って。でもこれは、あえて明確化せず、できるだけいろんな感情として伝わるように演じましたので、映画を見ていただく皆さんが自由に感じ取っていただければなと思います。

 

相手を理解することが幸せに繋がらないことも……

──今作は鈴木さんにとって初主演映画となります。座長としてのプレッシャーはありましたか?

 

鈴木 最初はやっぱり、ものすごく緊張しました(笑)。でも、共演者のみんなとは年齢が近かったこともあって、現場では常に和気あいあいとした雰囲気だったのでよかったです。愛知県でロケをしていたのですが、一週間ぐらいずっと一緒にいて。撮影がない日でも現場に遊びに来るぐらい、スタッフさんを含め、みんなの気持ちが一つになっていましたね。ですから、僕が主演としてみんなを引っ張るということもなかったです。

 

──そうした関係性は出会った瞬間から作れたのでしょうか?

 

鈴木 ……いや、最初の顔合わせの時はやっぱりみんなカチカチでした(笑)。でも、その日の夜であったり、撮影に入る前日に男性俳優陣を食事に誘ったりして、関係性を築いていったんです。思えば、座長っぽいことをしたのって、それぐらいかもしれません(笑)。

 

──でも、そうした仲の良さが画面からも伝わってきました。

 

鈴木 そう感じてもらえたのならすごくうれしいです。この作品の魅力の一つに、仲間たちとの距離感のリアルさがあると思うんです。例えば、日常でも、数年ぶりに友人と再会して、顔を見た瞬間に学生時代と同じノリに戻ることってありますよね。僕も今年のお正月に帰省した際、親友たちを家に呼んで一緒にお酒を飲んだんですが、何の気遣いもなく、好きなことを言い合える仲ってすごくいいなって改めて思って。この映画では、そうした気兼ねない仲間たちとの関係性がしっかり描かれていますし、それと同時に、祐也が恋人を連れて帰ってきたことで生まれるちょっとした気まずさなども繊細に表現されている。だからこそ、誰が見ても感情移入しやすいんだと思います。

 

──なるほど。その意味では、もしかすると映画を見る世代によっては、祐也たちの関係性の見え方も違うかもしれませんね。

 

鈴木 そうだと思います。10代の子たちの目には、大人たちのいつまでも変わらぬ友情にうらやましさを感じるでしょうし、逆に僕と同世代や少し上の人たちにとっては、10代の頃の楽しかった思い出が甦ってきて、ちょっとセンチメンタルな気持ちになるかもしれません。

 

──まさにセンチメンタルになった一人です(笑)。

 

鈴木 (笑)。それに、この映画は見るたびに発見があるんですよね。僕も、初めて見た時は祐也の目線で物語を追っていたので、切なさが一番に湧いて出てきたのですが、次にフラットな気持ちで見たら仲間がいることの素晴らしさを強く感じて、ほっこりできたんです。

 

──登場人物の誰に視点を置くかでも、見る側の感情が変化しそうですよね。

 

鈴木 はい。それぞれの役が置かれている環境や立場も違いますからね。祐也は高校を卒業すると同時に役者になることを夢見て、思い切って上京した身ですが、一方で、親友である春樹(野村康太)の妹・梓(山本愛香)は将来が見えないことに不安を感じ、自分が何をしたいのかも分からないまま、ただ“この街を飛び出したい”と悩んでいる。その対比の描かれ方も興味深いですし、親目線だと梓のことを心配する母親(高橋ひとみ)の気持ちもすごく分かる。それぞれに抱えているものが異なるので、視点を変えるたびに、“自分や相手にとっての幸せとは何か”“でも、その答えはきっと一つじゃないんだ”ということを考えさせられるんです。

 

──まさしく、映画のタイトルである“あなたを理解したい”というテーマが至るところに詰まっていますね。

 

鈴木 ただ難しいのが、本当に相手の気持ちを全て知ることが幸せに繋がるのかということなんですよね。理解してしまったがために、“自分の居場所はここじゃないのかも”と、逆に不安に襲われることもある。それに、今まではちょうどいい距離感で付き合えていたのに、相手を深く知ってしまったことで、その絶妙な距離が崩れてしまう場合だってあるわけで。もちろん、何が正解なのかは誰も分からないですし、答えは見てくださる人の数だけあると思います。そうしたメッセージ性は碓井将大監督がこだわっていた部分でしたので、ぜひ劇場で作品に込められた想いを感じ取っていただければと思います。

 

直談判して主題歌を。MA55IVEにとっては新たな挑戦の一曲

──今作の主題歌にはMA55IVE THE RAMPAGEによる「ガーベラ」が使われています。鈴木さん自身も作詞・作曲に携わったそうですが、この経緯を教えていただけますか?

 

鈴木 最初に映画の台本をいただいた時、主題歌の欄だけ空白になっていたんですね。それで、撮影中に監督とプロデューサーに「主題歌をMA55IVEに作らせていただくことは可能ですか?」と直談判したんです。そうしたらすぐに事務所と連絡を取ってくれて、OKも出たので、僕が主導で曲を作らせていただくことになりました。

 

──それは、鈴木さんの中で最初から曲のイメージがあったということでしょうか?

 

鈴木 はい。映画を撮っていくなかで、どんどんとドラムやベース、ギターの音が頭の中で鳴り響いていって。いざ、主題歌の制作が決まってからは、その断片を一つにまとめていったんです。完成のイメージは最初から固まっていたので、実質4〜5日ほどでメロディと歌詞の細かいところまで形にしていくことができましたね。

 

──「ガーベラ」というタイトルも鈴木さんの案だったのでしょうか?

 

鈴木 レコーディングを終えた後にMA55IVEのメンバーと一緒に決めていきました。最初は、映画のシーンで印象的だった夕暮れの街並みから連想して「オレンジ」というアイデアもあったんです。でも、そこからさらに絞り出し、同じオレンジ色の花である「ガーベラ」に決めました。花言葉もまさにこの映画にピッタリだなと思って。

 

──ガーベラの花言葉には<希望>や<常に前進する>といった意味がありますね。

 

鈴木 映画をご覧いただくと分かるのですが、ラストシーンは祐也がこれからの未来に思いを馳せるような内容になっているんですよね。僕はそこに彼の希望を感じたんです。また、祐也に限らず、今作は青春映画ということで登場人物たちが走っているイメージが僕の頭の中にあって。ですから楽曲自体も疾走感のあるものにしたのですが、そこも<常に前進する>という花言葉に合っているなと思ったんです。

 

──曲調自体は、これまでのMA55IVEになかった珍しい世界観になっていますね。

 

鈴木 はい。MA55IVEといえばガッツリとしたヒップホップが代名詞のようになっていましたが、今回は誰もが聴きやすい爽やかな曲になっています。新たなアプローチに挑戦したので、どんな反応をいただけるのかもすごく楽しみですね!

 

大好きなアニメ作品を語るなら、半日以上はください(笑)

──さて、GetNavi webではインタビューにご登場される皆さんにハマっているモノや趣味をご紹介いただいているのですが、最近ではどんなものがありますか?

 

鈴木 最近どころか、ずっと大好きなのがマンガとアニメです。なかでも、もともと大好きだった『俺だけレベルアップな件』というマンガが、今年の1月からアニメ化されていて。もう、まじでヤバいです!!(笑) うれしさのあまり、放送前にマンガを読み返してしまいました(笑)。

 

──どういった点にそれほどの魅力を?

 

鈴木 ダンジョンやハンターなどが登場するファンタジー世界の物語ではあるんですが、バトル展開がリアルで生々しいんです。もちろんそれだけじゃなく、主人公の水篠旬がハンターのなかで最低ランクに位置するという設定も面白くて。こうしたダンジョンものって、突然出現したモンスターを前に勇者が現れて敵を倒していくのが王道ですが、この作品では主人公が簡単にやられてしまうんですね。ただ、瀕死の重傷を負った主人公が、とある「システム」の力を手に入れたことで、ミッションをクリアするごとにスキルがパワーアップしていく。その過程も最高で。世界中で観られているほど話題の作品ですし、きっと一度見たら多くの方がハマると思います!

 

──作品への熱量がものすごく伝わってきました(笑)。ちなみに、人生で何度も見返しているようなアニメ作品はありますか?

 

鈴木 間違いなく『ソードアート・オンライン』ですね。僕の人生において一番好きなアニメです。THE RAMPAGEでコスプレイベントをした時、主人公のキリトに扮したぐらい大好きです(笑)。この作品は3周……いや、4周は繰り返し見ていますね。グッズも揃えていて、作中に登場する原寸大の剣も買っちゃいました。1万5000円ぐらいしたんですけど(苦笑)。

 

──筋金入りですね(笑)。何をきっかけにこの作品を知ったのでしょう?

 

鈴木 まだ寮に住んでいた時、少し気持ちが落ちていたことがあって。ファンタジー要素のあるアニメを見て元気を出そうと思い、たまたま見たのがこの作品との出会いでした。主人公は決して無敵の強さがあるわけじゃなく、敵にやられて、しゃべることさえできなくなるほど鬱になったりする。そうした人間味のあるところも素敵ですし、それでも最後には戦いに挑む強さを取り戻していく姿に感銘を受けたんです。もちろん、ほかにも素敵な要素はたくさんあって…………。あ〜、ダメですね。こんな短時間で好きなアニメは語り尽くせないです。せめて半日以上は語る時間をください(笑)。

 

 

 

(C)BOKURANOFILM

ただ、あなたを理解したい

2024年2月23日(金・祝)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開

 

(STAFF&CAST)
監督:碓井将大
脚本:鈴木裕那、渋谷未来
主題歌:MA55IVE THE RAMPAGE『ガーベラ』(rhythm zone)

出演:鈴木昂秀、野村康太、新谷ゆづみ、森高 愛、比嘉秀海、伊藤千由李、山本愛香、吉田晴登、城 夢叶、高橋ひとみ ほか

(STORY)
幼なじみの祐也と春樹、由衣香は、高校生になっても子どもの頃に見つけた秘密基地で他愛のない時間を過ごしていた。卒業後、祐也は役者になることを夢見て上京。一方、残った仲間たちは、時が止まったままのような秘密基地で現実逃避のような日々を送っていく。そんなある日、4年ぶりに祐也が恋人を連れて帰省する。思わぬ再会に、再び彼らの時間が動き出していく……。

 

【映画「ただ、あなたを理解したい」よりシーン写真】

公式サイト:https://tadaanata-movie.com/

(C)BOKURANOFILM

 

撮影/映美 取材・文/倉田モトキ ヘアメイク/佐藤由佳(KIND) スタイリスト/高橋正典

北原里英「他の共演者としゃべらないために役者一人にロケ車一台が用意」出演者も先が読めない、謎解きはアドリブで!? 『劇場版 マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿 鬼灯村伝説 呪いの血』

推理小説の登場人物となり、参加者が話し合いながら事件の解決を目指す体験型ゲームの新ジャンル「マーダーミステリー」。このゲームシステムをベースに、ストーリーテラーを劇団ひとりさんが務めるドラマ「マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿」は好評を博し、舞台化もされた。2月16日(金)から公開されるシリーズ最新作、『劇場版 マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿 鬼灯村伝説 呪いの血』も、各シーンのセリフはほぼアドリブで行われ、演技者としての実力が試される新感覚ミステリームービーとなっている。過去にも「マーダーミステリー」を取り入れた舞台に出演している北原里英さんに、緊迫感に満ちた撮影時のエピソードを中心に、今ハマっていることやモノなどを語ってもらった。

 

北原里英●きたはら・りえ…1991年6月24日生まれ。愛知県出身。2007 年、AKB48 第二回研究生(5期生)オーディションに合格して、2008 年から AKB48メンバーとして活躍。2015年、NGT48に移籍し、キャプテンを務める。2018年にNGT48を卒業。卒業後、ドラマや映画に多数出演し活躍している。女優ほか2023年には小説家としてデビューを果たす。近年の代表作として、映画『女子大小路の名探偵』(2023年)、『神さま待って!お花が咲くから』(2023年)など。公式HPInstagramXYouTube

 

【北原里英さん撮り下ろし写真】

 

撮影が始まって、実際に接して得た情報で推理をしていくしかない

──「マーダーミステリー」というゲームシステムを取り入れた『劇場版 マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿 鬼灯村伝説 呪いの血』ですが、事前に与えられるのはキャラクター設定と行動指示のみ、各シーンのセリフはほぼ即興劇(アドリブ)という、俳優さんにとって、演技力はもちろん、推理力やアドリブ力も求められる内容です。

 

北原 ドラマ版の「マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿」には出演していないのですが、もともと私はマーダーミステリーにご縁があって。マーダーミステリーの要素を取り入れた舞台やテレビのバラエティには出演したことがあったんです。だから初めての方よりは、ルールを分かった上で参加できました。

 

──マーダーミステリーは人狼ゲームと通じるところもありますが、こういうゲームは得意なほうですか?

 

北原 あまり人狼ゲームは得意じゃないです。というのもゲームとはいえ、なるべく嘘はつきたくないから。偽善者に聞こえるかもですが(笑)。

 

──今回の映画は、事前にどんな情報をもらえたんですか。

 

北原 舞台となる鬼灯村(ほおずきむら)と自分が演じる人物の設定書、その事件が起きるまでの動き、その日の自分の簡単な行動は、それぞれもらっているんですが、それを発展させて自分でセリフを作らなきゃいけないので、誰にも頼ることができないんです。他のキャラクターに関しては、例えば「〇〇に好意を寄せている」ぐらいは分かるんですけど、ほぼ情報がなくて。撮影が始まって、実際に接して得た情報で推理をしていくしかないんです。

 

──休憩中、共演者とはどう過ごしていたんですか?

 

北原 本当に厳重で、セッティングチェンジなどで空き時間が生まれるじゃないですか。そういうときも、他の人と話したりしては駄目なので、一人一台ロケ車が用意してあって、車の中で待機するんです。それぞれ車に戻ると、役者一人に、一人ずつ担当のスタッフさんが付いていて。例えば1回目の話し合いをするシーンが終わった後、そのスタッフさんから、「あなたはこれを見つけました」と新たな証拠を渡されるんです。それを次の話し合いのときに、どの順番で出すかが今後の展開で重要になってきますし、自分が犯人と疑われたときに、みんなの目を逸らさせるために出すこともあります。「ちょっと、この証拠は弱いな」と思ったら早めに行きたいし、そこは自由なんです。

 

──それはすごい! もちろん事前に俳優さん同士で話し合うのも駄目?

 

北原 駄目です。メイクルームでメイクしているときも、他の方と時間が重なったらあいさつするじゃないですか。あいさつした後に世間話を始めたら、スタッフさんが飛んできて「しゃべらないでください!」と止められるぐらい徹底していました。

 

「アドリブが苦手」と仰っていた高橋克典さんの独白シーンは圧巻だった

──撮影期間はどのぐらいだったんですか。

 

北原 俳優陣は2日です。1日目は丸々アドリブパートで、死体発見からエンディングまで。2日目は回想シーンなど前後の芝居パートだったので、その日は決まったセリフのみ。たった2日間なのに、1日目で脱出ゲームをやったくらいの絆が生まれたので、2日目は連帯感がありました。

 

──かなり1日目は張り詰めた空気だったんじゃないですか。

 

北原 緊張感はすごくありました。アドリブに対する緊張感もありますし、これが映画になるというところで、1つの作品として完成させなきゃいけないという緊張感もおのおのあったと思います。スタッフさんは、俳優陣の初見のリアクションを大切にして撮ってくださったのですが、演じている側は素とお芝居の中間という感覚でした。

 

──アドリブパートは、どの俳優さんが話し出すか分からないから、カメラの台数も相当ありますよね。

 

北原 そうですね。でも、完成した作品を見たら、それを感じさせないので、さすがプロの方々だなと思いました。一日中撮影をしていたので、もっとたくさんのことを話し合ったりもしたんですが、余計なシーンは削って、ミステリー色強めにきれいにまとまっているなと感じました。

 

──例えば、どういう要素がカットされていましたか。

 

北原 ドラマ版から出演している劇団ひとりさんはアドリブのプロじゃないですか。八嶋智人さんも面白い方なので、お二人のアドリブは、笑いが堪えられないくらい面白い瞬間が多々ありました。一度カメラが回ったらストップしないので、スタッフさんも流れに任せるしかないんです。そういうシーンは本編でも多少は残っていますが、全体的にシリアスになっていますね。関西人の役者さんが多かったので、現場ではお笑い色が強めでした。

 

──劇団ひとりさんは笑わせる気満々でしたよね。

 

北原 満々でした(笑)。初めて映画を見た方は気付かないかもしれないんですが、みんな笑いを堪えたり、顔を背けたりしていて。繰り返し見ていただくと、そういうところにも気付いていただけるんじゃないかと。

 

──中盤で脱落するキャラもいますが、それも途中で知らされたんですか?

 

北原 そうです。ご本人も直前まで知らなかったみたいです。

 

──アドリブ面で特に印象に残っている共演者はどなたですか。

 

北原 高橋克典さんの独白シーンは、「本当はセリフが用意されてない?」と疑うぐらい迫真の演技でした。しかもご本人は「アドリブが苦手」と仰っていたのに、アドリブでこんなに感情を入れることができるんだと驚かされました。

 

目の前で劇団ひとりさんのアドリブ劇が見られてうれしかった

──1日目の手応えはいかがでしたか?

 

北原 全然攻めることができないし、うまくかわされることもあって、演じながら下手だなと思いました。どこまで言うのかがマーダーミステリーって難しくて、あまりに自白しなさ過ぎても話が進みません。大体こういう作品って、一番怪しくない人が犯人じゃないですか(笑)。だから怪しいポイントが多い人は、先に言っちゃったほうが良かったりもするんです。

 

──事前の役作りも難しいですよね。

 

北原 でも、しっかり役を作っていかないと、何か言われたときにパッと返せないから、いろんなパターンを考えていきました。何か言われたときの否定の仕方一つとっても、「そんなに強く出たら変だよな」とか、いろんなことを考えちゃうんです。私が演じた七尾優子(ななお・ゆうこ) は最近移住してきた元看護師なので、村人からしたら部外者なんです。村人のことを知らない中で、誰にどうやって疑惑の目を向けていくかも悩みました。

 

──優子が不利になるような証拠写真も出てきますが、もちろん本番の前に撮影しているわけですよね。

 

北原 そうです。衣装合わせのときに撮影しているので、どこかで絶対に出てくるんだろうなと思っていたんですが、どこで出てくるかは分からない。でもマーダーミステリー作品をいくつもやってきたので、自分の設定書を見ながら、写真を出されたときに、どういう言い訳をしようか考えていました。

 

──衣装合わせも推理の上では重要だったと。

 

北原 そうなんですよ。もっと言えば、打ち合わせが一番の肝だったんじゃないかと思っていて。光岡麦監督との話し合いで、何点かメモしていたことを「こう書いてありますけど、私じゃないですよね?」みたいな感じで質問したら、「鋭いですね」と仰っていました。

 

──打ち合わせから光岡監督との駆け引きがあったんですね。

 

北原 逆に撮影が始まってからは、光岡監督と演技プランなどを話し合う時間は少なかったですね。2日目のお芝居パートも、「とにかく全員怪しく演じてください」みたいな感じだったので、綿密に話し合ってというよりは、好きにやらせてもらいました。

 

──完成した作品を見てどんな印象を受けましたか。

 

北原 しっかりとしたミステリーに仕上がっていたので、ミステリーファンの方にも満足していただける内容になったと思いますし、劇団ひとりさんのアドリブが好きな方にもオススメです。

 

──劇団ひとりさんのお芝居は『ゴッドタン』を彷彿とさせますよね。

 

北原 そうなんです! 私は「キス我慢選手権」が大好きで、『ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE』は劇場まで見に行ったくらいなので、目の前で劇団ひとりさんのアドリブ劇が見られてうれしかったです。

 

夫婦で愛用しているスマホスタンド「Majextand M」

──映画でオススメのミステリー作品を教えていただけますか。

 

北原 私は『名探偵コナン』が好きで、新作映画は毎回、映画館で見ます。中でも好きな作品は2作目の『名探偵コナン 14番目の標的』(1998年)で、各キャラクターの名前に入っている数字を基に事件が起きるんです。目暮十三だったら13、白鳥任三郎だったら3と、この映画のために作者の青山剛昌先生は名前を付けたんじゃないかというぐらい見事でした。今年4月公開の新作『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』は、私の推しである服部平次がキーパーソンになるので、今から楽しみです。

 

──アニメ全般がお好きなんですか?

 

北原 それが他のアニメは、ほぼ見ないんです。それ以外だと『エヴァ(新世紀エヴァンゲリオン)』ぐらい。だから本物の『名探偵コナン』ファンなんです!

 

──今ハマっていることは何ですか。

 

北原 数年前からなんですが、スパイスカレー作りにハマっています。完全にオリジナルなんですが、適当にスパイスを配合して作ります。家族以外に振る舞うのも好きなので、クリスマス会や正月などで集まるときは、スパイスカレーを作って持って行きます。

 

──スパイスは専門店で買うんですか。

 

北原 そういうときもありますが、今はスーパーや百均でもスパイスが売っていて、手軽に買えるんですよ。しかもスパイスカレーって難しいと思われがちなんですけど、実はめちゃくちゃ簡単で。煮込まなくていいので時間も掛からないですし、市販のルーで作るよりも簡単かもしれない。私はキーマカレーが一番得意なんですけど、挽肉を炒めるだけだし、お肉が固くなる心配もないので、すごく楽です。

 

──最後に今オススメのモノを紹介してもらえますか。

 

北原 「Majextand M」というスマホ用のスタンドです。お手持ちのiPhoneにシートを貼って磁石で固定させるんですけど、スタンドの高さと角度を調節できますし、縦にも横にもできるし、タブレットにも使えます。例えば新幹線で動画を見るときって何かにスマホを立てて見ると思いますが、不安定でぐらつくじゃないですか。それが全くないですからね。TikTokなどで動画を撮るときや、インスタライブをやるときも、めちゃくちゃ便利ですし、集合写真を撮るときも重宝します。お正月に家族親戚一同で集まったときも大活躍なんですよ。オンラインミーティングにも最適ですし、畳んでコンパクトになるので持ち運びも簡単。あと人間工学に基づいているので、ストレートネックにもなりにくいんです。

 

──通販番組みたいにスラスラと説明できるんですね(笑)。

 

北原 そろそろ販売元の会社からオファーをもらってもいいんじゃないかというぐらい周りに売りまくっていますから(笑)。今作の衣装合わせでも、監督さんや衣装さんたち3人が買いました。私からオススメしたわけではなく、普通に使っていたら、「何ですかそれ?」って、みんな興味を持つんですよね。共演者だと、木村了さんと八嶋智人さんにも売り込みました(笑)。

 

──店頭で見つけたんですか?

 

北原 いえ、夫(笠原秀幸)がドラマの現場に行ったら、メイク中にスマホを「Majextand M」に立てていた俳優さんがいたらしくて、わざわざスタンドを持ち歩いているんだと思っていたら、メイク後に畳んでいるのを見て、まさかのスマホにくっついているスタンドなんだと。それで夫婦で購入したんですが、我々夫婦で100個は売っています(笑)。色も4色展開で、私が使っているのはシルバーですが、女の子だったらローズゴールドがかわいいと思います。

 

──本当に会社と繋がってないんでしょうか?(笑)

 

北原 繋がっていません! でも、これだけ夫婦で売っているので、そろそろ何がしかの契約をいただけたらうれしいですよね(笑)。

↑北原さんがオススメする「Majextand M」。かわいくデコレーションも

 

 

劇場版 マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿 鬼灯村伝説 呪いの血

2024年2月16日(金)より、新宿バルト9ほか全国ロードショー

 

(STAFF&CAST)
監督:光岡 麦
企画:安井一成  エグゼクティブプロデューサー:後藤利一 松井 伸  チーフプロデューサー:梅村 安 嶋田 豪 プロデューサー:西前俊典 市川貴裕 龍川拓美
シナリオ構成:渡邊 仁 企画アドバイザー:眞形隆之
配給:アイエス・フィールド 配給協力:ショウゲート

出演:劇団ひとり、剛力彩芽
木村了、犬飼貴史、文音、北原里英、松村沙友理、堀田眞三
八嶋智人、高橋克典

(STORY)
舞台は『一夜のうちに3人の生贄の血を滴らせると死者が蘇生する』という不気味な伝承が残る鬼灯村(ほおずきむら)。その伝承をもとに「三つ首祭り」という奇妙な鬼祭が行われていた夜、村の長を務める一乗寺家当主の遺体が発見される。 しかし、その日、村へと続く一本道で土砂崩れが発生、 警察が到着するまでにはかなりの時間を要する。当時、屋敷にいたのは8人。それぞれ人には言えない秘密を抱えており、全員が殺害の動機をもっていた。事件の真相に迫るべく、登場人物を演じるキャストによるアドリブ推理が予測不能な結末へと導かれていく―!

公式HP https://madarame-misuo.com/
公式X https://twitter.com/MadarameMisuo

(C) 2024劇場版「マーダー★ミステリー 斑目瑞男の事件簿」フィルムパートナーズ

 

撮影/武田敏将 取材・文/猪口貴裕 ヘアメイク/住本由香 スタイリスト/山田梨乃

中村静香インタビュー「着物でタップダンスって、すごくかっこいい」映画『レディ加賀』

石川県・加賀温泉を盛り上げるために結成された旅館の女将たちによるプロモーションチーム「レディー・カガ」から着想を得た、女将たちの奮闘を描いた『レディ加賀』(2月9日(金)より全国公開)。小芝風花さん演じる主人公・由香と共に、女将修業に挑む元No.1キャバ嬢・麻衣を演じた中村静香さんが、見せ場となるタップダンスの苦労話など、体育会系の部活合宿ばりの撮影を振り返ってくれました。

 

中村静香●なかむら・しずか…1988年9月9日生まれ。京都府出身。2003年、「第9回全日本国民的美少女コンテスト」出場。その後、「法医学教室の事件ファイル」「緊急取調室」シリーズなど、さまざまなドラマに出演。女優としてのキャリアを重ねる一方、「カイモノラボ」(TBS)や「ゴッドタン」(テレビ東京)などの情報・バラエティ番組でも活躍している。X(旧Twitter)Instagram

 

【中村静香さん撮り下ろし写真】

 

麻衣の生真面目さやひたむきなところに強く共感

──出演オファーが来たときの感想は?

 

中村 まず、台本を頂く前に、劇中にタップダンスのシーンがある映画だと聞いたんです。これまでやりたいと思ってもやる機会がなかったこともあって、「これはいい経験になる!」と、とても楽しみでした。それで、クランクイン数か月前から仕事の合間に、タップダンスの監修をしていただいたHideboHさんの教室に通うところから始まりました。

 

──その後、台本を読んで、中村さん演じる麻衣が女将修業に挑む元No.1キャバ嬢というキャラクターだということが分かったときは?

 

中村 本当に基礎からタップを始めて、劇中でどれぐらいのレベルを求められるのか、分からなかったので、着物姿でタップをすると分かったときは、さすがに不安になりました。麻衣は年齢的な理由もあって、第二の人生を歩むために女将修業に挑もうとしている子で、メッシュを入れたり、メイクが濃かったり、見た目の派手さはありますが、タップの練習には必ず顔を出すんですよね。そういう麻衣の生真面目さやひたむきなところに強く共感できました。

 

──クライマックスに描かれるダンスイベントでは、デッキブラシと和傘を使用した2パターンのダンスを披露されます。その練習はいかがでしたか?

 

中村 デッキブラシは意外と重さがあるので、振り回したときに、体が持っていかれないよう気を付けなきゃいけなかったです。でも、練習しているうちに、ちょっとずつ体力がついてきたのか、だんだん振り回されなくなりました。和傘でのダンスを練習するときは、風圧のことを考えて、ビニール傘に穴を空けたものを使っていました。それでも踊るときのテンポや傘を振り回すスピードがあまりに速いので、どんどん壊れてしまうんです。ほんまに難しくて、めちゃめちゃ苦戦しました。

 

撮休の日は、昼から日本酒飲み比べ3点セット

──主人公・由香を演じた小芝風花さんや、「女将ゼミナール」講師を演じた佐藤藍子さんとの共演はいかがでしたか?

 

中村 佐藤さんには以前からお世話になっていたので、今回久々にご一緒することができてうれしかったですね。以前と変わらず、とても気さくで優しい方で、大好きなんです。小芝さんとは初めての現場だったのですが、明るくて、チャキチャキしていて、活発なイメージどおりでしたね。彼女はプロのタップダンサーを目指していた役で、ソロパートもあったこともあり、とても大変だったと思いますが、キャスト全員壁がない子ばかりで、同じ宿に滞在しつつ、みんなで一致団結して、自主練をしたりしていました。だから、まるで体育会系の部活合宿みたいな空気感でした(笑)。

 

──グルメなど、加賀温泉郷ロケでの印象的な思い出は?

 

中村 長時間、タップシューズで踊っていると、肩や脚が痛くなってくるんですよ。だから、温泉に入ることで、それを癒して、また翌日の撮影に励むという日々でした。あと、ちょっと散策すると、無料の足湯スポットもあって、それにも癒されました。グルメに関しては、新鮮な海産物が有名で、特に身が分厚い、のどぐろのお寿司がおいしかったです。あとは、甘えびよりも甘味があるガスエビの石焼き。とてもカリカリして、香ばしくておいしかったです。

 

──となると、中村さんがお好きなお酒もかなり進まれましたか?

 

中村 もちろん、かなりいただきました(笑)。やはり日本酒がおいしいと言われていたので、海鮮を食べるときはもちろんですが、撮休の日にみんなが甘味処でデザート食べている横で、私は昼間から日本酒の飲み比べ3点セットと塩昆布をいただいていました(笑)。ちなみに、私が行ったお寿司屋さんの女将さんが、たまたま映画のモデルになった女将さんチーム「レディー・カガ」メンバーの方で、いろんなお話も聞かせていただきました。

 

──約200人のエキストラを集めたダンスイベントのシーンはいかがでした?

 

中村 みんなそれぞれが着物を着て、小道具を持って、うまく踊れるようになっても、本番では全員でタイミングを合わせなきゃいけないことが大変でした。和傘を回すスピードや肩にかけたり、突き出したりするときの角度やタイミングなどをそろえることがとても大切なので、それに注意しながらも足元は常にタップしているというのは、かなり集中力が必要でした。現場ではHideboHさんが実際にモニターを見ながら、細かく的確に指示を出してくださったので、とてもありがたかったです。

 

女将とはこれまた違う、平安時代の所作

──そんな努力の結晶で、完成した作品を見たときの感想は?

 

中村 とてもかっこよく見えるように、丁寧に撮ってくださったのもありがたかったのですが、出来上がったものを客観的に見たとき、「着物でタップダンスを踊ることって、すごくかっこいい」と、素直に思いました。大きく揺れ動く振り付けなので、見た目の迫力だけでなく、日本の美が強調された素敵な作品になったと思います。あと、キャバ嬢から女将と、場所やスタイルが変わっても、「おもてなしをする心構えは変わらないし、それは誰にも負けない」という麻衣のセリフは好きです。いろんなトラブルに巻き込まれながらも、みんなが一丸となって、前に進んでいく姿を見てもらえれば、自然と元気になってもらえるような気がします。

 

──和装繋がりだと、NHK大河ドラマ「光る君へ」では藤原頼忠の娘・藤原遵子を演じられています。

 

中村 同じ和装でも全然違うというか、着こむ枚数からして違うので(笑)。本当にずっしり重くて、カツラも重い中で姿勢をキープしながら平安時代の所作をするのは大変苦戦しました。戦のない時代の朝廷のお話なので、優雅でゆったりしているのですが、できるだけ着物から手足を出さないように。「レディ加賀」の女将さんの所作との大きな違いは歩き方です。平安時代は、どちらかというと摺り足ですから。

 

──中村さんが日頃、手放せないモノやアイテムについて教えてください。

 

中村 数年前に、メイクさんからプレゼントしていただいたオールステンレスの「三徳包丁」です。日本発の商品で、切れ味が落ちないとは聞いていたんですが、海外でも賞を獲っているぐらい本当に落ちないんですよ! しかも、洗いやすいし、デザインもシンプル。それで、ちょっとしたおつまみを作って、ビールやハイボールで晩酌しています。SNSのおつまみ動画でも活躍しているアイテムですが、最近作ってみておいしかったのは、ささみの大葉ロールでした。

 

 

 

レディ加賀

2月2日(金)より石川県先行公開中

2月9日(金)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー

 

【映画「レディ加賀」よりシーン写真】

 

(STAFF&CAST)
監督・脚本:雑賀俊朗
脚本:渡辺典子
出演:小芝風花、松田るか、青木瞭、中村静香、八木アリサ、奈月セナ、小野木里奈、水島麻里奈、佐藤藍子、篠井英介、森崎ウィン、檀れい

(STORY)
加賀温泉にある老舗旅館「ひぐち」の一人娘・樋口由香(小芝風花)。幼い頃、タップダンスに魅了された由香は、タップダンサーを目指して上京したものの夢破れ、実家に戻って女将修行を開始。あまりの不器用さから大苦戦するなか、加賀温泉を盛り上げるためのプロジェクトが発足。幼なじみのあゆみ(松田るか)や元No.1キャバ嬢の麻衣(中村静香)ら、新米女将を集め、由香はタップダンスのイベントを計画しようとする。

公式HP https://ladykaga-movie.com/

(C)映画「レディ加賀」製作委員会

 

撮影/映美 取材・文/くれい響 ヘアメイク/石岡悠希 スタイリスト/竹上奈実

木竜麻生「登場人物たちの次の展開を期待してしまう。彼らが運命に翻弄されていく姿を、スクリーンの中で見たいと思った」映画「熱のあとに」

2019年に起きた新宿ホスト殺人未遂事件から着想を得て描かれる、一人の女性の一途で狂信的な激情を描いた映画「熱のあとに」(2月2日(金)より公開中)。衝撃的な事件から6年後、橋本愛さん演じる主人公・沙苗の目の前に現れる謎の隣人女性・足立を演じる木竜麻生さんが、これまでとは異なる役柄や刺激的な現場エピソードについて振り返ってくれました。

 

木竜麻生●きりゅう・まい…1994年7月1日生まれ。新潟県出身。2014年に『まほろ駅前狂騒曲』で映画デビューし、2018年には瀬々敬久監督の『菊とギロチン』で300人の中から花菊役に選ばれ、映画初主演を果たす。また、同年の『鈴木家の嘘』でもヒロインを務め、この2作の演技が高く評価され、数々の映画賞を受賞する。近年は主演作『わたし達はおとな』(2022年)のほか、『ぜんぶ、ボクのせい』(2022年)、『ヘルドッグス』(2022年)、『Winny』(2023年)、『福田村事件』(2023年)などの話題作に出演している。Instagram

 

【木竜麻生さん撮り下ろし写真】

 

 

「なぜ彼女らしいのか?」ということも演じていく上でのポイントに

──最初に脚本を読んだときの感想は?

 

木竜 映画の中で、しっかり母親役を演じるのは初めてでしたし、かなり謎めいた人物で、物語を動かしていく、かき回していくことに関しても初めての経験だったので、山本英監督から「木竜さん、足立役でどうでしょう?」と脚本を渡されたときは、純粋にうれしかったです。「今までとは違う私を見てもらえる作品になりそう」という思いや、自分の力量を試せそうな好奇心もあったので、わりと早い段階で「ぜひお願いします」と言わせてもらいました。あと、「自分がこの映画をお客さんとして見たい」という思いも強かったんです。

 

──「お客さんとして見たい」と思われた大きなポイントは?

 

木竜 自分が共感できるかどうかということとは別に、それぞれの登場人物が話している言葉がどこか固かったり、詩的だったり、普段人が話すときとは違う言葉選びをする瞬間があるんです。そこに関しては、とても興味深かったですし、とにかく登場人物たちの次の展開を期待してしまう。彼らが運命に翻弄されていく姿を、スクリーンの中で見たいと、純粋に思えたんです。

 

──ちなみに、足立という人物をどのように捉えましたか?

 

木竜 その後、何度か台本読みをする時間を取っていただいたときに、脚本のイ・ナウォンさんから、それぞれの登場人物にまつわるサブテキストになるものをいただいたんです。私は「足立から息子に宛てた手紙」という内容のものだったんですが、自分を彼女に近づけていくときの拠り所にさせてもらいました。傍から見ると、かなり息子に冷たい母親に見えるかもしれませんが、その手紙の中に「あなたが間違えて、この手紙に落書きしちゃったり、ビリビリに破いてゴミ箱に捨てちゃっても私は構わない」といったような記述があったんです。それはとても彼女らしい息子との距離感だなと思ったんですが、「なぜ彼女らしいのか?」ということも演じていく上でのポイントにしました。

 

──そのほか、一筋縄ではいかない彼女を演じる上で軸になったものは?

 

木竜 悲しさや寂しさ、やるせなさなど、足立なりに抱えているものがいろいろあると思うんですよ。それを表に出さずに、明るさやフレンドリーさ、飄々した部分を保っていて、しっかり地に足をつけて立っている、彼女なりの愛情がある人なんだろうと捉えました。沙苗に近づいていく彼女の正体が明らかになる中盤までは、彼女の持つ軽さみたいなものが損なあwれないように演じていたと思います。

 

監督に直談判した思い入れあるシーン

──かなりシリアスな「愛について」の物語が描かれますが、現場の雰囲気は?

 

木竜 2週間半から3週間程度のギュッとした長野ロケだったのですが、みんなでペンションを借りて、そこで同じ時間と空間と環境を共有しながらの撮影でした。だから、撮影の合間も、スタッフさんも含め、みんなでご飯を食べたり、仲良くなりすぎなぐらい仲が良かったです(笑)。逆に、それだけ風通しのいいコミュニケーションが取れていたからこそ、思い切ったお芝居ができたのかもしれません。緊張感を保たなければいけないシーンが多くありましたが、とても楽しくて濃厚な時間だったと思います。

 

──沙苗役の橋本愛さん、彼女の夫・健太役との仲野太賀さんとの共演はいかがでしたか?

 

木竜 お二人とも度量が広い俳優さんなのは分かっていたので、私はお二人の胸を借りるつもりでやってみようと思っていましたし、現場にいてくださるだけで終始助けてもらっていました。お互いに集中したいときは、何も言わなくても距離を置ける感じでしたし、あるシーンでカットがかかった直後に、愛ちゃんに「不完全燃焼だったかも?」と私が言ったら、「いや、監督のOKを信じよう」と言ってもらえるような関係性になっていました。お休みの日は3人でボウリングにも行ったんですが、ゲームの登録名を役名と同じ、沙苗・健太・(足立)よしこにしていました(笑)。みんなで一緒に、山本監督が作りたいものを作っていこう、という楽しさや空間を感じることができました。

 

──劇中、足立が沙苗と教会で対峙するシーンは、とても印象的です。

 

木竜 教会のシーンも、愛ちゃんを信頼していたので、どんと行けました(笑)。格子越しに、お互いの手の平を合わせるシーンは台本にはあったのですが、山本監督の意見で一度なくなったんです。でも、段取りが終わって、撮影のセッティング中に、愛ちゃんと控室に戻ったときに、「本当は交わりたくないのに、繋がってしまった2人を表現するには、手の平を合わせた方がいい」という話になったんです。それで監督に直談判して、復活してもらいました。だから、思い入れのあるシーンになりました。

 

作品を作りだし、足を運んで見てもらうというのはうれしいと同時に最低限の責任がある

──テイクを重ねるなど、一番大変だったシーンは?

 

木竜 一番大変だったのは、終盤に3人がペンションで集うシーンでした。なるべくカットを割りたくない山本監督の思いもあって、個々のショットを撮るときも、シーンの最初からカメラを回していたので、「今日撮り終わらないかも?」と思うほど時間もかかりました。毎回毎回、気持ちを最初に戻してからお芝居していくことは、かなり集中力が必要な作業でしたし、身体的なものも大変でしたが、それを乗り越えることができたのは、やはり同じ方向を向いていた俳優部とスタッフさんのチームワークがあったからだと思います。

 

──「Winny」「福田村事件」など、社会派作品に出演されている印象も強いですが、そのあたりは意識されているのでしょうか?

 

木竜 私の中で、「これ!」と決めているわけではないんですが、マネジメントもやっていただいている事務所の社長と、できるだけ作品について話したり、脚本を読んだときの感想を共有するようにしています。あと、台本を読んでワクワクするとか、「熱のあとに」のように「この映画を見てみたい!」と思うとか、自分の心が動くことも大切にしています。やはり俳優部として作品に参加する以上、作品を作りだす、それに足を運んで見てもらうというのはうれしいと同時に最低限の責任があるとも思うので。

 

──木竜さんが憧れる俳優、または理想の俳優像を教えてください。

 

木竜 具体的に憧れている方はいないのですが、私は映画を見ていて、生活や暮らしが見える描写が心地良くて、すごく好きなんです。例えば、誰かがご飯を食べるとか、洗濯物を干すとか、朝起きて出かけるとか、そこまで深い意味を持たない何気ない日常のルーティンのシーン。セリフはなくても、周りを見渡したら、この人いそうだなって俳優さんは、皆さんすごいなって思います。最近、アキ・カウリスマキ監督の「枯れ葉」やヴィム・ヴェンダース監督の「PERFECT DAYS」を見たときに、改めてそう感じました。

 

──木竜さんが熱くなるモノ、こだわりのモノなどがありましたら教えてください。

 

木竜 基本的に香るものが好きです。いろんな人に会ったり、人がたくさんいる空間に行った後など、ちょっと疲れていたり、力を抜きたいと感じたときは、必ず家でお香や香木を焚いてリフレッシュしています。最近はアウトドア好きな父と兄に勧められた、天然香木のパロサントが気に入っていて、ネットやショップで購入しています。普通のお香に比べて火はつきにくいのですが、煙の量が多いのが特徴なんです。気が付けば、朝起きて、窓開けて、換気した後に焚いているぐらい今のルーティンになっているかもしれません(笑)。ちなみに、「熱のあとに」でのロケ先ではさすがに焚くことができなかったので、ホワイトセージ(シソ科のハーブ)のスプレータイプのものを寝室や私服にかけていましたね。

 

 

熱のあとに

2月2日(金)より公開中

【映画「熱のあとに」よりシーン写真】

(STAFF&CAST)
監督:山本英
脚本:イ・ナウォン
出演:橋本愛、仲野太賀、木竜麻生、坂井真紀、木野花、鳴海唯、水上恒司

(STORY)
自分の愛を貫くため、ホストの隼人(水上恒司)を刺し殺そうとして逮捕された沙苗(橋本愛)。事件から6年後、彼女は自分の過去を受け入れてくれる健太(仲野太賀)と見合い結婚し、平穏な日常を過ごしていた。しかしある日、謎めいた隣人女性・足立(木竜麻生)が沙苗の前に現れたことから、運命の歯車が狂い始める。

公式HP:https://after-the-fever.com/

(C)2024 Nekojarashi/BittersEnd/Hitsukisha

 

撮影/映美 取材・文/くれい響 ヘアメイク/主代美樹 スタイリスト/カワサキタカフミ

石田卓也「3人それぞれ、このシーンに対する秘めた思いは強く、本番前は絶妙な緊張感と距離感を保っていました」映画『罪と悪』

罪の真実と正義の在り方を問う衝撃のノワール・ミステリー『罪と悪』が、2月2日(金)より公開。長編デビュー作となる齊藤勇起監督のオリジナル脚本作品で、心に傷を持つ朔を演じる石田卓也さん。朔ら幼なじみ3人が再会を果たすことで、ある事件によって止まっていたそれぞれの時間が動き始めていきます。幼なじみ役の高良健吾さん、大東駿介さんといった同世代俳優と火花を散らした撮影エピソードのほか、現在、俳優業とともに農業もされている石田さんが農業を始めたことによる自身に変化についても語ってくれました。

 

石田卓也●いしだ・たくや…1987年2月10日生まれ。愛知県出身。2005年、ドラマ「青春の門・筑豊編」でデビューし、同年公開された『蝉しぐれ』でキネマ旬報新人賞を受賞。主な出演作に『キトキト』(2007年)、『グミ・チョコレート・パイン』(2007年)、『リアル鬼ごっこ』(2008年)、劇場アニメ『時をかける少女』(2008年)など。Instagram

 

【石田卓也さん撮り下ろし写真】

 

10代半ばから一緒に頑張ってきた同世代俳優との再会

──普段は農業もされている石田さんが、本作への出演を決めた理由は?

 

石田 脚本を読ませてもらったときに、直感で「こんな作品を待っていた!」と思ったんです。偶然にも朔も農家をやっていますし、彼の内面的なところも理解できるというか、自分と重なるものが少なからずあったので、これは絶対にやりたいなと。今回、脚本も書かれた齊藤勇起監督は僕が出演した『モンゴル野球青春記』(2013年)で助監督をされていたご縁もあって、朔役に僕を指名してくれたそうですが、お話しを頂いた時は純粋にうれしかったですね。

 

──30代になられて、同世代の俳優である高良健吾さん、大東駿介さんと一緒に男臭いドラマに出演できるということも魅力的ですよね。

 

石田 男臭さに加えて、本作品はコミカル要素も一切ありません。そして2人とは10代半ばぐらいから、ずっと一緒に頑張ってきた同世代の俳優です。健ちゃん(高良)は同じ作品に出演したことがあるし、大東くんも『リアル鬼ごっこ』(2008年)で一緒でしたけど、やはり10代後半ぐらいの記憶で止まっているんですよね。そこから数年経って、またこのタイミングで一緒に作品を作れることに、この作品に出てくる3人のような、巡り合わせというか運命を感じました。

 

──久しぶりに再会するという設定は、劇中の3人の関係性にリンクしますね。

 

石田 そうなんです! ただ、幼なじみの設定だったんですよね。幼なじみの空気感って、現場入って「久しぶり!」という感じではなかなか出せないから、撮影に入る前に、本読みやコミュニケーションを取る場を設けていただきました。それによって、現場では3人それぞれが絶妙な空気感を保っていたと思います。齊藤監督がある程度の方向性を提示して、あとは僕たちに任せてくれたこともありがたかったです。初監督作で、自分のオリジナル脚本で、そこまで僕たちを信じて、任せてくれるっていうのは、なかなかできないことだと思うんですよね。本当に感謝しています。いろいろな監督の助監督をされて、経験を積んでこられた齊藤監督だからこその懐の深さを感じました。

 

役作りで大切にしたのは、歪んだ自己愛からくる正当性

──そんな中で、石田さんが朔を演じる上で心がけたことは?

 

石田 周りの人間から「おまえ、それ違うだろ?」って言われようとも、揺るがない正当性ですね。朔は非常に繊細な心を持った人間で、自分を守るための行き過ぎた自己愛が朔という人間を作り上げたんだなと感じたので、芯の部分は非常に大切にしました。それ以外のことは意識しなくても、相手が出してくる芝居に対して、自然と出てくる気持ちを表現していった感じです。本当に相手のセリフのニュアンスが変わるだけで、受け取るものって変わってくるから面白いですし、それがこの仕事をしていて楽しいところだと思います。3人がそこにいれば自然とシーンが出来上がるんです。

 

──3人が対峙するクライマックスの撮影エピソードは?

 

石田 齊藤監督の穏やかな人柄もあって、実は現場の空気感もそこまでピリピリしていなかったですし、撮影時間もそんなにかからなかったんですよ。ただ、3人それぞれこのシーンに対する秘めた思いは強く、本番前は絶妙な緊張感と距離感を保っていました。緊張し過ぎているわけでも、緩み過ぎているわけでもない。そんな空気感がたまらなく好きでした。それもあって、僕たちが本読みでやっていたものを遥かに超えて、3人の魂が語り合うシーンになったと思います。

 

自然に寄り添いつつ、やれることをやっていく農業の面白さ

──話はさかのぼりますが、農業を始められた理由は?

 

石田 もともと健康に興味があって、「自分の体内に取り入れるものが、どのように作られているのか?」ということを知りたくて、農業を始めたんです。国内の自然栽培農学校に通いながらオーガニック農家で働き、その後、海外のオーガニックファームを巡って農業修行をしていました。農業は自然が相手なので、なかなか自分が思うようにいかないんですよね。人間が自然に対して何か強制するのではなく、自然に寄り添いつつ、僕達は自然に対して少しお手伝いをさせてもらう。そんな考え方、生き方に魅力を感じました。

 

──農業をやられていることで、俳優活動に還元していると思われることは?

 

石田 心に余裕というか、ゆとりみたいなものが出てきました。現場にいる時も、自分の中ではゆっくりと時間が流れているように感じます。若い時はどうしても、一生懸命が故に”我”が前面に出てしまって、俯瞰で見ることができていなかったと思います。今は、自分の中でどうこうしようというよりは、自分はどういう立ち位置にいた方がいいのか、ということを客観的に見られるようになりました。あとは、純粋に俳優業は心身の健康が一番大切だと思うんです。そういったところからも、自然の中で汗を流して心身のバランスを整えてくれる農業を始めて良かったと思います。

 

──Instagramでは高良さんとアウトドアされている写真もアップされていますが、個人的にハマっているものは?

 

石田 最近は機会がある時に陶芸をしています。初めて陶芸をしたのは15歳の時でしたが、とても楽しかった記憶があります。もともと土を触ることが好きなのかもしれません。土を触っていると気持ちがいいですし、時間を忘れて没頭できます。今はまだ始めたばかりで作品にもなりませんが、作っている時間を楽しんでいます。陶芸作家さんの作品を見たり収集したりするのも好きで、益子の陶器市にも何度も行きました。作家さんの個性を出した作品が多くて1つひとつを見ているだけで楽しめます。今日は特に気に入っている飛騨高山の陶芸家・中西忠博の作品を持ってきました。この唯一無二の色合いと、風土を感じさせるこの素朴さを見ているだけで、感性が刺激されます。いつの日か自分でも納得のいく作品が作れたら最高に幸せです。

↑飛騨高山の陶芸家・中西忠博さんによる作品

 

 

 

罪と悪

2月2日(金)より公開

(STAFF&CAST)
監督・脚本:齊藤勇起
出演:高良健吾、大東駿介、石田卓也、村上淳
市川知宏、勝矢、奥野壮、坂元愛登、田代輝、柴崎楓雅、石澤柊斗、深澤幸也、
/佐藤浩市(特別出演)、椎名桔平

(STORY)
ある日、14歳の正樹の遺体が橋の下で発見。彼の同級生だった春、晃、双子の朔と直哉のうち、1人が犯人と思われる老人を殺し、殺害現場となった家に火を放つ。それから22年後、刑事になった晃(大東駿介)が父の死をきっかけに帰郷。久々に会った朔(石田卓也)は引きこもりになった直哉の面倒をみながら実家の農業を継ぎ、春(高良健吾)は地元の不良たちを集めた闇の仕事も請け負う建設会社を経営していた。やがて、かつての事件と同じように、橋の下で少年の遺体が発見される。

公式HP https://tsumitoaku-movie.com/

(C)2023「罪と悪」製作委員会

 

撮影/中田智章 取材・文/くれい響 ヘアメイク/KEIKO スタイリスト/櫻井賢之

西川貴教「『SEEDシリーズ』最新作の主題歌としてだけでなく、日本のアニメそのものの捉え方に変化を与えられる楽曲に」映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』主題歌「FREEDOM」

ガンダムシリーズの中でも屈指の人気を誇り、プロジェクト発表から約20年の歳月を経て、念願の公開となった映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』。その主題歌「FREEDOM」を歌うのは、アーティスト、声優としてテレビアニメの「SEEDシリーズ」を支え、盛り上げてきた西川貴教さん。小室哲哉さんとの初コラボなど大きな話題を呼んだこの楽曲で西川さんが目指したもの、そして自身にとっての「ガンダム」への思いをたっぷりとうかがった。

 

西川貴教●にしかわ・たかのり…1970年9月19日生まれ、滋賀県出身。ソロプロジェクトのT.M.Revolutionとして音楽活動を展開するほか、西川貴教名義でも活躍。ドラマや映画、舞台など俳優としても多くの作品に出演し、声優として『機動戦士ガンダムSEED』、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に参加した。X(旧Twitter)Instagram

 

【西川貴教さん撮り下ろし写真】

テーマにしたのは時代を超越した人や運命の“繋がり”

──ついに『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』が公開されました。西川さんにとってはテレビアニメの「SEEDシリーズ」で主題歌や挿入歌を担当されていただけでなく、2002年の『SEED』ではミゲル・アイマン役として、2005年の『SEED DESTINY』ではハイネ・ヴェステンフルス役として出演もされていましたので、今回の約20年越しの公開には感慨深いものがあるのではないかと思います。

 

西川 本当におっしゃるとおりです。劇場版の製作自体はテレビアニメが終わってすぐくらいに発表されましたが、そこからおよそ20年。その間、ずーっと“プロジェクトは着々と進行中”だとか、“今は止まっているらしい”といった、まことしやかな噂だけが流れていましたからね(笑)。正直、映画の公開日が決まってからも、僕は最後の最後まで訝しがっていました(笑)。だからこそ、完成作品を拝見したときは込み上げてくるものがありましたね。

 

──今作には主題歌「FREEDOM」での参加になりましたが、楽曲自体はどのような流れで作っていかれたのでしょう?

 

西川 今回はすごく悩みました。この劇場版『FREEDOM』にはどういった楽曲がふさわしいのかと考えていく中で、単純にシリーズ完結編の主題歌ということだけでなく、日本におけるアニメーションそのものの捉え方を考えてもらえるような曲にしたいなという思いがあったんです。というのも、今やアニメーションやゲーム、コミックは日本の文化を象徴するものとして世界中に広がりを見せていますが、僕がまだ小さかった頃……それこそファーストガンダムが作られていた時代のアニメは、まだまだ子どものためのものという印象が強かったんです。

 

──確かに、『機動戦士ガンダム』も作品の中身を見れば大人が楽しめる内容やクオリティでしたが、世間的には“ロボットアニメ”という大きなジャンルで括られてしまっていたように思います。

 

西川 そうなんです。でも、そのファーストガンダムなどを見て日本のアニメのすごさや素晴らしさを知った我々がこうして大人になり、今度はアニメに携わる側や作る側になった。つまり、アニメ黎明期の昭和に生まれた僕らがいて、日本のアニメーションが進化を遂げた平成という時代に作られた『ガンダムSEED』があり、今こうして令和の時代に新たな劇場版作品が生み出されたわけですから、今回の主題歌では、そうした時代性を超えた楽曲を届ける責任があるんじゃないかと思ったんです。そのためには、音楽でさまざまな時代と文化を築いてきた小室(哲哉)さんの力が必要だと思い、今回は初コラボという形でプロデュースをお願いしました。

 

──小室さんといえば、ガンダムファンとしてはやはりTM NETWORKの「BEYOND THE TIME(メビウスの宇宙を越えて)」(映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』主題歌)が思い出されます。

 

西川 もちろん、僕も同じです。今回の楽曲にどんなメッセージ性を込めていけばいいのかと悩んだ際、その答えを見つけるきっかけになったのも、実は「BEYOND THE TIME」でした。というのも、2019年のガンダム40周年のとき、LUNA SEAが『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星』のオープニングテーマとして「BEYOND THE TIME」をカバーしていたんですね。それを聴きながら、いろんな思いが僕の頭の中を去来していったんです。彼らとは年齢もほぼ同じですし、二十歳ぐらいの頃から同期として切磋琢磨してきた仲でもある。そんな仲間たちが、時を越えて僕と同じように「ガンダム」の主題歌を歌っている……。その繋がりに運命的なものも感じたんです。それに、なんといっても「ガンダム」という作品自体にも長きに渡る時代性があり、人と人との出会いや別れなどがテーマとして描かれていますからね。『SEED』を締めくくる主題歌として、この“時代を超越した繋がり”というメッセージはまさしくぴったりだなと思ったんです。

 

──歌詞を拝見しても、そのテーマを強く感じることができます。

 

西川 歌詞に関しては、劇場版の製作が発表されたときの第一弾キービジュアルを見て、すぐにイメージが浮かびました。そこにはキラ・ヤマトとラクス・クラインだけが登場していて。「ガンダム」といえばモビルスーツ同士のバトルやアクションが象徴的ですが、そうではなく、あえて“人間同士の繋がり”を見せることを選んだと福田(己津央)監督がおっしゃっていたので、そうした監督の思いも歌詞にも踏襲しています。

 

イラッとするシンの言動が、僕を20年前に引き戻してくれました(笑)

──サウンドの作りも、ぜひ映画館で体感してほしいと思える、壮大かつ深淵さのある楽曲になっているなと感じました。

 

西川 もちろん、歌だけの単体で聴いていただいても楽しめる楽曲になっていますが、僕もこの「FREEDOM」は映像と1つに重なることで生まれるケミストリーがたくさんあるなと思いました。たしか、初めて少しだけお披露目したのが、昨年11月に文京シビックホールで行われたイベントで。そのときに僕が主題歌を歌うということと、小室さんがプロデュースを手掛けてくださるということ、さらには楽曲を使った最新ティザーが公開になったんですよね。ファンの皆さんにとってはいきなり情報量が多すぎて、少し混乱されたと思うんですが(笑)、同時に大いなる期待を寄せてくださっている声も耳にしましたし、その期待に応えるだけの楽曲になっているなと自負しています。

 

──実際に劇場で「FREEDOM」が流れるシーンをご覧になって、どのような印象を持ちましたか?

 

西川 少しおこがましい言葉になってしまうかもしれませんが、まさしく僕がイメージし、目指していたものになっているなという感動がありました。楽曲をお渡ししてからも、監督が劇場公開するまでの間に、映像面で細かい調整をしてくださったそうなんです。例えば曲が流れ出す際、僕のボーカルにお客さんが集中しやすいようにと、その直前のシーンまであったSEを全部抜いてくださったり。本当にこの曲を大切にしてくださっているんだなとうれしく思いましたね。

 

──なるほど。では、映画自体の感想もお聞きしたいのですが、西川さんの目に『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』はどのように映りましたか?

 

西川 一瞬でテレビアニメの頃の感覚に引き戻させてくれる力を感じました。そう思えたのは、福田監督が描こうとしている世界観の強さはもちろん、キャストの皆さんが当時と変わらぬフレッシュな表現をされていたことも大きかったように思います。キラやアスラン・ザラを演じられた保志総一朗さんや石田 彰さんがテレビアニメのときと同じように主人公然とした表現をされている一方で、鈴村健一さん演じるシン・アスカにも昔と変わらないイライラさせられる感じがあって(苦笑)。鈴村さんといえば、いまや多くの若手声優が憧れる存在ですし、事務所の社長業をこなす傍ら、10年以上に渡って「AD-LIVE(アドリブ)」という舞台のプロデュースもされている。人として非常に成熟された方なのに、当時と同じように、しっかりと見る人をイライラさせるお芝居を表現されているんです(笑)。だからこそ、20年という時間の流れを感じることなく、スッと「SEED」の世界に入っていけたのだと感じました。

 

──たしかに。また、物語も今の時代とどこかリンクし、考えさせられるところがたくさんありました。

 

西川 そこも「SEED」や「ガンダム」のすごさの1つですよね。SFでありながら、常に現実と地続きであるといいますか。恐らく、今作のストーリーや構想自体は随分前に作られていたのだと思います。テレビアニメの脚本を書かれていた両澤(千晶)さんがご存命だった頃からあったテーマだったはずで。にも関わらず、今の時代にすごくフィットしている。世界では絶えず紛争が起きていて、どこを正面にして物事を考えていけばいいのかが分からない。今作を見たとき、まさにそんな“今”の時代を予見したかのような内容になっていて驚きました。

 

── “正義”そのものの定義を考えさせられるという意味では、テレビシリーズのとき以上に、より登場人物たちの善悪を分けづらい物語になっているように感じました。

 

西川 そうなんですよね。テレビシリーズの頃と比べ、SNSが発達したことで個人個人が自分の正義を主張できるようになり、“正しさ”の意味がさらに複雑化していきました。そんな混沌とした時代だからこそ、1人ひとりがどの道を選ぶのかが大事になってきていて。でも、その根底にはやはり“人が人を想う気持ち”や人間愛がないといけない。この「SEEDシリーズ」は、まさしくそのテーマがしっかりと描かれた作品だなとあらためて感じましたね。

 

ボディスプレーは、シーンに合わせて気持ちにスイッチを入れてくれる最高のアイテム

──最後に、このGetNavi webではご登場いただく皆さんに、お仕事をする上でのマストアイテムやプライベートで愛用しているお気に入りアイテムなどをお聞きしているのですが、西川さんは何かありますか?

 

西川 今日もカバンに入れてきたのですが、 TOM FORDのボディスプレーです。TOM FORDはシーンに合わせた香りの重ね付けを推奨しているんですよね。たしかに香りって時間とともに薄くなったり、変化していくものなので、そこに新たに別の香りを付けて足していくという使い方はしたことがなかったなと思って。それで、いくつか種類を購入し、場所や時間など状況に合わせた香りを作って楽しんでいるんです。

 

──何種類ぐらいお持ちなんですか?

 

西川 普段使い分けているのは4〜5種類くらい。それ以外にもストックがあります。今日たまたま持っていた「LOST CHERRY」もそうですが、ネーミングからも分かるように、これまでにちょっとなかったような発想の香りが多いんです。

 

──興味をそそられるネーミングですね。それに、香りは気持ちにも変化をもたらすので、シチュエーションごとに香りを使い分けるというのも面白いです。

 

西川 そうなんですよね。僕にとって香りは日常生活におけるスイッチみたいになっているところがあるんです。女性にはアクセサリーや、洋服やバッグなどにつけるちょっとした小物など、その日の気分によって楽しめるアイテムがたくさんありますが、男性だと腕時計やメガネぐらいだと思うんです。そうした中、TOM FORDのこのボディスプレーはすごくいいアイテムだなと思って。その時々によって、手軽に香りで日常にアクセントをもたらしてくれるので、いつも便利に使わせてもらってますね。

 

 

 

<INFORMATION>

西川貴教 with t.komuro「FREEDOM」(『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』主題歌)

2024年1月24日(水)リリース

※完全生産限定盤(CD+ガンプラ):6,000円(税込)
・オリジナルガンプラ(HG 1/144 フリーダムガンダム [ポラライズドクリア])
・『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』絵柄アナザージャケット(4種)

※通常盤:1,300円(税込)
・カップリング「Believer」収録

購入はこちら
https://erj.lnk.to/FREEDOM

 

『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』

2024年1月26日(金)全国上映中

(STAFF&CAST)
企画・制作:サンライズ
原作:矢立肇、富野由悠季
監督:福田己津央
脚本:両澤千晶、後藤リウ、福田己津央
キャラクターデザイン:平井久司
メカニカルデザイン:大河原邦男、山根公利、宮武一貴、阿久津潤一、新谷学、禅芝、射尾卓弥、大河広行
メカニカルアニメーションディレクター:重田 智
音楽:佐橋俊彦
製作:バンダイナムコフィルムワークス
配給:バンダイナムコフィルムワークス、松竹

キャスト:
キラ・ヤマト……保志総一朗
ラクス・クライン……田中理恵
アスラン・ザラ……石田彰
カガリ・ユラ・アスハ……森なな子
シン・アスカ……鈴村健一
ルナマリア・ホーク……坂本真綾
メイリン・ホーク……折笠富美子
マリュー・ラミアス……三石琴乃
ほか

『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』
公式サイト https://www.gundam-seed.net/freedom
X  https://twitter.com/SEED_HDRP
TikTok https://www.tiktok.com/@seed_freedom_official
※2024年3月31日(日)23:59まで期間限定

 

撮影/干川 修 取材・文/倉田モトキ ヘアメイク/浅沼薫(Deep-End)

吉田美月喜「自分の人生を捧げて、文化を守る選択肢を取ることは、なかなかできない」映画「カムイのうた」

アイヌ民族が口頭伝承してきた叙事詩ユーカラ(※1)を、「アイヌ神謡集」として日本語訳した実在の人物・知里幸惠をモデルに描いた映画「カムイのうた」(1月26日より拡大公開中)。理不尽な差別やいじめに遭いながらも、強くたくましく生きた主人公・テルを演じた吉田美月喜さんに、アイヌ文化をリスペクトした徹底した役作りについて伺いました。

※「ユーカラ」の「ラ」は正式には小さな「ラ」の表記となります。

 

吉田美月喜●よしだ・みつき…2003年3月10日生まれ。東京都出身。主な出演作にドラマ「シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。」「ドラゴン桜」、映画「鬼ガール!!」「たぶん」「メイヘムガールズ」、Netflixドラマ「今際の国のアリス」など。2023年には映画「あつい胸さわぎ」、舞台「モグラが三千あつまって」で主演を務めた。Instagram

 

【吉田美月喜さん撮り下ろし写真】

 

自然と共存するアイヌの生き方が素敵で、共感できる部分しかなかった

──本作で演じられたテル役は、オーディションで選ばれたそうですね。

 

吉田 最初に動画を送らせていただいて、その後、対面オーディションを経て、実際の衣装を着て、メイクや髪形をしたカメラテストという初めての経験をさせていただきました。海外の作品では多いようなのですが、とても新鮮な気持ちで演じることができました。以前から「着物とか似合いそう」と言われることもあって、時代モノにとても興味があったんです。だから、合格してうれしかったのですが、その一方で不安なところもありました。

 

──どういうところが不安だったのでしょうか?

 

吉田 オーディションの段階から、菅原浩志監督が「責任を持って、北海道の方やアイヌの方が納得してもらえる作品を届けなきゃいけない」と強く言われていたんです。もちろん、私もそういう気持ちだったのですが、いざテル役に決まってみると、「でも、どうしたらいいの?」という気持ちになってしまったんです。

 

──そこから役作りに入ったと思いますが、かなりいろいろなことを学ばれたのでしょうか。

 

吉田 正直、それまではアイヌの文化や歴史のことを知らなかったので、まずは伝統あるアイヌ文化の洋服や道具、生活を学びました。その後、製作発表会見で北海道に伺ったときに、モデルとなった知里幸惠さんの銀のしずく記念館にお邪魔させていただき、より理解を深めていきました。そうやって、知るところから始めて、いろいろ調べていきました。また、着物や袴の所作は毎日動画で撮って練習しましたし、方言やユーカラ(謡)は録音されたボイスメモをひたすら一人で覚えました。あと、竹製楽器であるムックリは新大久保にあるアイヌ料理のお店に通いながら勉強しました。自然と共存するアイヌの生き方がすごく素敵で、共感できる部分しかなかったので、最初に感じた不安みたいなものは、だんだんとなくなっていきました。

 

私たちの思いがお客さんにしっかり伝わった

──夏と冬に敢行した北海道でのロケはいかがでしたか?

 

吉田 実際に着物を着て、歴史ある場所で撮らせてもらうことで、自然とテルという人物になっていきましたし、そういった環境や空気感によって、さらに気が引き締まったので、とても助けられました。夏の撮影では役柄における精神的な辛さ、寒波とかさなった冬の撮影では肉体的な辛さと、なかなか大変ではありましたが、アイヌ文化の魅力って、ユーカラもムックリも、感情で表現する自由度の高さだと思うんです。だから、そういうアドリブをする場合も自分の中でいろんな歌い方や音のレパートリーを用意しなければいけませんでした。私の中では歌のようなものと捉えていたユーカラも、実際は童話や物語を語るものだということを先生に教えていただき、さらに納得できるものになるまで練習しました。そういったことが、一番大変だったかもしれません。

 

──実際に19歳で亡くなった知里幸惠さんをモデルにしたテルという役柄を、撮影当時19歳だった吉田さんが演じてみていかがでしたか?

 

吉田 同じ年齢の役柄を演じられることはとても光栄ですし、いい経験になったと思います。ただ、改めて、知里さんやテルのように自分の人生を捧げて、文化を守る選択肢を取ることは、なかなかできないことだと思いました。あと、これはほかの時代モノを観ても思うのですが、当時の方の精神年齢の高さに驚かされました。今は便利なものがいろいろありますが、そういうものがない昔には、いろいろ耐えなきゃならないことがあったと思うんです。そういう強い意志みたいなものが、精神年齢を高くしていたのかなとも考えながら演じました。

 

──昨年11月からは北海道にて先行上映中ですが、そのときの反応や反響は?

 

吉田 上映後の舞台あいさつに登壇したのですが、アイヌの血を引いていらっしゃる方も多くいらっしゃいました。その方たちが目頭を押さえられている姿を観たときに、この作品に参加できて、本当によかったと思いました。あと、舞台あいさつも楽しんでくださるというよりは、とても真剣に聞いてくださっているように見えて、「私たちの思いがしっかり伝わった」と、安心しました。撮影中も、ロケ地の東川町の方たちと触れ合いができたのもいい思い出です。

 

俳優は作品全体の行く末を考えながら、自分の立場を考えなければいけない

──「あつい胸さわぎ」以来の主演作となる本作は、吉田さん自身にとって、どのような作品になりましたか?

 

吉田 日本の歴史を伝える史実に基づいた物語に参加できたことは、俳優としてとてもいい経験になりました。あと、兼田教授役の加藤雅也さんとご一緒したときに、加藤さんが作品全体のことを考えて菅原監督に話をされていたんですが、テルに関することも出してくださったんです。私はテルのことを考えるだけで、いっぱいいっぱいだったのに……。そのとき、「俳優は作品全体の行く末を考えながら、自分の立場を考えなければいけない」ということに、改めて気付かされました。

 

──最後に、2024年にやりたいことや挑戦したいことを教えてください。

 

吉田 これまで、お肉や中華などが好きだったんですが、周りの健康趣向の友だちの影響からか、今年はいろんなヘルシー料理を食べてみたいです。自分の身体に合ったものを食べると、それが体調にも影響しそうなので、いろいろ試したいです。そういえば、アイヌ料理も鹿肉やお魚、お野菜が多いので、かなりヘルシーですよ(笑)。

 

 

カムイのうた

北海道先行上映中。1月26日(金)より全国順次拡大公開中

 

(STAFF&CAST)
監督・脚本:菅原浩志
出演:吉田美月喜、望月歩、島田歌穂、清水美砂、加藤雅也

(STORY)
1917年、成績優秀な北里テル(吉田美月喜)は、アイヌ民族の出身者として初めて職業学校に入学するものの、理不尽な差別といじめを受ける。ある日、アイヌ語研究の第一人者である兼田教授(加藤雅也)が、アイヌの叙事詩ユーカラを聞くため、テルの伯母イヌイェマツ(島田歌穂)を訪ねてやって来る。彼の勧めでユーカラの翻訳を始めたテルの努力が実り、東京で活動することになった彼女を、アイヌの青年の一三四(望月歩)らが見送ることに。

公式HP: https://kamuinouta.jp/

(C)シネボイス

 

撮影/干川 修 取材・文/くれい響 ヘアメイク/田中陽子 スタイリスト/岡本純子

莉子「こんなにセリフ量のある作品を経験したことで、怖いモノなしになりました」映画「違う惑星の変な恋人」

4人の男女による厄介なシーソーゲームを描いたラブコメディ「違う惑星の変な恋人」が1月26日(金)より公開中。期待の新鋭・木村聡志監督による笑いと共感必至な恋愛群像劇で、年上男性にひと目ぼれする主人公・むっちゃんを演じた莉子さん。モデルとして同性からの絶大な人気を得ている彼女が、初主演映画で得た経験を振り返ってくれました。

 

莉子●りこ…2002年12月4日生まれ。神奈川県出身。モデルとして活躍するなか、2018年にドラマ出演を果たし、女優デビュー。その後、「小説の神様 君としか描けない物語」(2020年)、「君が落とした青空」(2022年)、「牛首村」(2022年)、「女子高生に殺されたい」(2022年)、「なのに、千輝くんが甘すぎる。」(2023年)などの映画にも出演。現在は出演ドラマ「アオハライド」(WOWOW)、「SHUT UP」(テレビ東京系)が放送中。X(旧Twitter)Instagram

 

【莉子さん撮り下ろし写真】

 

パンティーが話題のシーンだけで、台本6ページ分も(笑)

──とても独特な雰囲気を持った脚本を読んだときの率直な感想は?

 

莉子 私の役名がむっちゃんで、ほかのキャラの名前もグリコ、ベンジー、モーというあだ名で脚本が書かれているんです。しかも、それぞれのセリフの分量が多くて、モーとのパンティーが話題のシーンだけで、台本6ページ分もあったり(笑)、どこで誰がしゃべっているのかを一致させるのだけで大変でした。だから、脚本を読んだだけだと、どんな映画になるのか分からなかったです。だからこそ、早く映像化した作品を見たいっていう、ワクワクした気持ちになりました。

 

──会話劇ならではの膨大なセリフ量なうえ、初主演映画ということに関しては?

 

莉子 セリフに関しては、正直ヤバいなと思いました(笑)。撮影時期が別の作品と重なることが分かっていて、そちらもかなりのセリフ量だったので、「それやりながら、この映画やれる?」と、どこか挑戦する感じでした。初主演映画ということに関しては、すごくうれしかったです。私、かなり気負っちゃう方ですが、この作品にはそこまで気負わないでいい雰囲気を感じたんです。個性的な4人の群像劇でもあるので、みんなそれぞれ同じ分量を背負っていることも大きいと思いますし、私一人が「頑張ります!」というより、皆さんと一緒に作り上げていけたらいいなっていう気持ちになっていました。

 

──脚本も書かれた木村聡志監督の印象は?

 

莉子 木村監督は、実際にお会いしてもよく分からない人でした(笑)。「むっちゃんは莉子さんと近いですか?」とは聞かれましたが、むっちゃんのキャラについて教えてくださるわけでもないんです。人見知りの性格なのか、具体的な説明や細かく演出されるというよりは、フィーリング重視なスタイルの監督さんだったので、とてもやりやすかったです。あとは、ほかの共演者さんと一緒に現場でやってみることによって、木村監督らしい会話劇の感覚をつかむ感じでした。

 

──美容師である、むっちゃんの役作りに関しては?

 

莉子 この映画の登場人物って全員、いそうでいない感じだと思うんです。そんななか、どこかちょっとフィクションな感じを出さなきゃいけないんですけれど、皆さんに面白いキャラだと思っていただきたいっていう意識に持っていきすぎてもいけない。むっちゃんは余計なひと言を言っちゃったり、空気が読めなかったりするんですが、決してそこを狙いすぎない。その塩梅が難しかったです。でも、木村監督が書く脚本って、日常で使う言葉が多くて、自然な流れになるので、そこに助けてもらった部分はかなり多いと思います。

 

レッドカーペットを歩くことって、こんな感じ?

──むっちゃんの同僚・グリコ役の筧美和子さん、憧れの対象となるベンジー役の中島歩さん、グリコの元彼・モー役の綱啓永さんとの絶妙な掛け合いについては、かなりリハーサルを重ねられたのでは?

 

莉子 リハーサルは、ほぼほぼありませんでした(笑)。同世代の綱くんは共通の友達がいる程度で、中島さんも筧さんも初めましての状態だったんです。現場では軽くテストした後に、「次、本番いきましょう」という流れで、その間もこれといった演出も特に何もなく。会話劇だから、リズムが大切だと思うんですが、それを自分で考えながら演じることは大変でしたが、現場のいい雰囲気に助けられて、セリフもすらすらと出てきました。撮影後にも綱くんと「こんなにセリフ量のある作品を経験したことで、私たち怖いモノなしになったよね!」と話したぐらい、強いマインドを持てるようになりました。

 

──ちなみに、どのシチュエーションでの撮影が印象的でしたか?

 

莉子 美容室のシーンはどれも印象的でした。例えば、モーが自動ドアに何回も挟まるシーンでは、何度も笑いをこらえましたし(笑)。あと、宇宙服を着たシーンは普通のスタジオで撮ったんですが、本格的に作られていたので、ヘルメットがかなり重くて大変でした。役とはいえ、そんな経験もなかなかできないので、木村監督が言われるがままジャンプしたりして、楽しんでいました。

 

──個人的には、お好きなシーンは?

 

莉子 むっちゃんも電話をかけてくる、筧さんのグリコと中島さんのベンジーが家に一緒にいるシーン。この映画の一番長いシーンで、13分ぐらいあると思うんですが、中島さんと筧さんが作り出す空気感がいいので、ずっと見ていられるんですよ。会話劇でそこまで大きな動きもないと、見ている側も限界があると思うんですが、最初に完成したこのシーンを見たとき、「ちょっとすごいな……」と思ったぐらい好きです。

 

──そして、本作がワールド・プレミア上映された第36回東京国際映画祭では初めてレッドカーペットを歩かれましたが、いかがでしたか?

 

莉子 二十歳にして、こんな体験はなかなかできないので、「とにかく楽しもう」と思っていたのですが、「レッドカーペットを歩くことって、こんな感じ?」って、ずっとフワフワしていて、アッという間に終わっちゃいました(笑)。実は綱くんがめっちゃ緊張していて、歩く前にストレッチとかしていたんですよ。それに突っ込んでいたりしたら、「はい。どうぞ!」みたいな流れで歩いていたので、ずっと笑っていました。

 

ちょっとずつ確実にコマを進められるようになりたい

──本作は初の主演映画になりましたが、モデル活動から初めて、女優としての転機になった作品や出来事を教えてください。

 

莉子 私、お芝居をすることが楽しいと思えるまで、だいぶ時間がかかったタイプだと思うんです。最初の頃は、モデルの延長線上と思っていたのか、セリフを覚えて、カメラの前で演じるってことがとても恥ずかしかったんです。そんなとき、「小説の神様」という映画に、佐藤大樹さんの妹役で出していただくことになったんです。その顔合わせのときに、プロフェッショナルな皆さんを目の当たりにして、「私は何もお芝居ができないし、考え方も甘すぎる」と実感したんです。とても悔しかったですし、そんな気持ちで作品に出演していたことも恥ずかしくなり、本格的にワークショップに通うようになり、お芝居の基礎を学んだんです。

 

──放送中のWOWOWドラマ「アオハライド」でも、これまでの莉子さんのイメージとは異なる槙田悠里役を演じられていますよね。

 

莉子 ここ数年楽しくお芝居をやらせていただいている中で、どこか欲が出てきたというか、悪役じゃないけれど、もっといろんな役をやりたいと思っていたんです。そんなときに、悠里役のお話をいただいたのですが、「私でいいんですか?」と正直ビックリしました。今までやったことのない役なので、「この役に挑戦したら、より成長できるんじゃないか?」と思ったんですが、演じていてとても楽しかったですし、いろいろな方から「よかったよ」と言っていただけて、うれしかったです。

 

──また、現在放送中のドラマ「SHUT UP」では仁村紗和さん、片山友希さん、渡邉美穂さんという個性的な女優さんと共演されています。

 

莉子 いろいろこだわりを持ったチームで作っているので、映像が非常にきれいですし、貧困などメッセージ性が強い作品なので、とても丁寧に作っています。普段はあまり巡り合わないジャンルで活動している女子4人なので、最初は「どんな感じになるんだろう?」と思ったんですが、素の部分も似ているからか、皆さんとすぐに仲良くなれて、現場は女子校みたいに和気藹々としているんです。だから、演じながら、シリアスな作品とのギャップも楽しんでいます。

 

──今後、どのような女優を目指していきたいですか?

 

莉子 特にこうなりたいはないですけれど、現状維持というものが難しいこの世界で、ちょっとずつ確実にコマを進められるようになりたいです。役としては、今までにない役、最初は難しいなとは思っても、楽しく演じられる役にもっと出会えたらいいな、とは思っています。そのためには、もっと頑張らなきゃいけないし、モデルからのファンの方が、私が出ているという理由で、いろんなジャンルの作品に興味を持ってくれたらうれしいです。時々、「莉子ちゃん、お芝居始めちゃったから……」と言うファンの子もいるんですが、私はお芝居だけをしたいわけではなく、モデルもしたいし、何でもやりたいので、そこも含めて応援してもらえたらうれしいですね。

 

フィルムカメラの現像するまでのワクワク感が好き

──いつも現場に持っていくモノやアイテムを教えてください。

 

莉子 3年ぐらい前に父親からプレゼントしてもらったフィルムカメラ「NATURA」です。もともと現像するまでのワクワク感が好きで、最初は「写ルンです」とかを使っていたんですけれど、フィルムカメラって、いろいろ画質とかにこだわると中古なのに、高値がついていて、プレゼントでもらったときは嬉しかったですね。常にカバンに入れていて、撮らないときがあっても現場には持っていきますし、大体ひと現場で24枚撮り終える感じ。今は「SHUT UP」のオフショットを撮っています。

 

違う惑星の変な恋人

1月26日(金)より、新宿武蔵野館・UPLINK吉祥寺ほか、全国順次公開中

(STAFF&CAST)
監督・脚本:木村聡志
出演:莉子、筧 美和子、中島 歩、綱 啓永、みらん、村田 凪、金野美穂、坂ノ上 茜

(STORY)
何でも話し合う仲となった美容室で働くむっちゃん(莉子)とグリコ(筧 美和子)の元に、グリコに未練のある元恋人モー(綱 啓永)に現れる。グリコはシンガー・ソングライターのナカヤマシューコ(みらん)のライブで旧知のベンジー(中島 歩)と再会し、同行していたむっちゃんはベンジーにひと目ぼれ。むっちゃんはグリコとモーの協力を得てベンジーと恋仲になるべく奮闘するが、ベンジーはナカヤマシューコと関係を持つ一方、久々に会ったグリコにひかれていた。

公式HP https://www.chigawaku.com/

(C)「違う惑星の変な恋人」製作委員会

 

撮影/映美 取材・文/くれい響 ヘアメイク/長坂 賢 スタイリスト/高橋美咲 衣装協力/PS Paul Smith

俳優・野村周平が今ハマっているコト「全員俺のこと好きになっちゃう。誰も勝てないよ」映画『サイレントラブ』公開インタビュー

声を捨てた青年・蒼と、目が不自由になった音大生・美夏の“世界でいちばん静かなラブストーリー”『サイレントラブ』が1月26日(金)に公開。美夏が通う音楽大学の非常勤講師で、名門家庭出身のピアニスト・北村悠真を演じた野村周平さんには、役作りから役を引きずらないワケ、同級生である山田涼介さんとのエピソードまで語ってもらった。続けて、GetNavi web恒例の今ハマっているモノについて聞く。

 

「モテるためじゃなく、人間磨きの努力をしている」

 

──野村さんといえばバイクや車好きで知られていますが、ズバリ今ハマっているものはありますか。

 

野村 バイクと車は相変わらず好きだし、少し前から釣りにハマっています。革靴も大事にしていてちゃんと磨いたり、昔のではなく今のLEVI’Sを買ったりもしています。多く持っているわけでも、高いモノを買っているわけでもないですが、服や靴は大事にしますね。やっぱりモノは大事にしなきゃね。

 

──幅広くモノを大事にされているのですね。今、特にハマっているコトは釣りでしょうか?

 

野村 いちばんは釣りかな! コロナ禍をきっかけに始めました。基本船釣りなので、海に出られると気持ちいい。そして魚との勝負! 生死の戦いをしているんですよ。こっちもリスペクトを込めて、釣ったあとにいただきます。食べられる魚、食べられる量しか釣らないです。

 

──どのような魚と戦っているのでしょう?

 

野村 マグロですよ! マグロからアジやタコまで、大きい魚から小さい魚まで。やっぱりおいしいですもん。そして自分でさばくのが大事! 包丁も数本持っています。

 

──包丁まで揃えられたのですね。今はどのような包丁を使われているのでしょう?

 

野村 出刃包丁、刺身包丁です。まだ3本くらいしかなく、四角い中華包丁もほしいですね。そうだ、これから「包丁いっぱいほしい!」って言おう。プレゼントしていただくなら、服のように選んでいただくのが難しいモノより、消耗品の包丁やまな板、調理器具や圧力鍋がほしいです(笑)。

 

──調理器具や圧力鍋ということは、魚をさばくだけではなく、料理もされるのですね。

 

野村 この前は友達が鯛を釣ってきてくれたので、アクアパッツァを作りました。鯛を塩漬けして、水を抜いて、深めのフライパンに、オリーブオイルとにんにくと、トマトとあさりを入れて。美味すぎてびっくりした!

 

──本格的ですね!

 

野村 “本格的”じゃないんです、これが“普通”なの。本格的とか最高級とか言った時点で、本当にそうなっちゃうじゃないですか。違う違う、これが普通なんだって。

 

──なるほど。こうした料理をすることは、野村さんにとって普通だと。

 

野村 でも料理できるようになっちゃったら俺、モテまくりだな……(笑)。「車やバイクに詳しくて、アメ車やハーレーに乗っていて、やんちゃなのに小説も読んで映画も観て、えぇっ⁉ その上料理もできるの⁉ かっこいいいい!」って、そりゃ全員俺のこと好きになっちゃいます。日本男児、誰も勝てないよ俺に! モテるためじゃなく、人間磨きの努力をしているので。

 

──(笑)料理を始めたのは、モテるためではないんですね。

 

野村 モテるためではない! ただ魚釣りを始めたから、料理が始まったんです。魚を釣って毎回居酒屋に持って行くのは面倒くさいし、居酒屋も迷惑でしょう。じゃあどうやってその釣った魚をおいしく食べようかなと考えると、自分で三枚おろしをしようってなって、それには包丁が必要だな、調味料にもこだわったほうがいいなってなりますよね。

 

──筋道を立てて考えた結果、たどり着いたと。

 

野村 はい。筋はしっかりと通すタイプなので。筋が通っていないことは大嫌いです。俺は義理、人情、筋ですから。

 

──漢らしいですね!

 

野村 でもキュートで生きています。「いえーい(ピース)」ってすぐにできます。

 

──『クロちゃんずラブ〜やっぱり、愛だしん〜』のクロちゃん役が話題になったように、演じられる役も幅広くて驚かされます。

 

野村 よく言われますけど、役者なら全員やればできますよ。俺でもできるんですから。この世界は、俺よりも才能あふれている人ばかりなので。それからよく「次はどんな役がやりたいですか?」って聞かれますけど、やりたい役なんてなくて、何でもやるんです。その質問は禁止にしたほうがいい、俳優はみんな思っているんじゃないですかね(笑)。

 

映画『サイレントラブ』

1月26日(金)全国公開

 

(STAFF&CAST)
出演:山田涼介 浜辺美波 野村周平/吉村界人 SWAY 中島歩 円井わん 辰巳琢郎/古田新太
原案・脚本・監督:内田英治
共同脚本:まなべゆきこ
音楽:久石譲
主題歌:「ナハトムジーク」Mrs. GREEN APPLE
公式サイト:https://gaga.ne.jp/silentlove/

 

(STORY)
声を捨て、毎日をただ生きているだけの蒼。ある日、不慮の事故で目が不自由になり絶望の中でもがく音大生・美夏と出会う。何があってもピアニストになるという夢を諦めない美夏に心を奪われた蒼は、彼女をすべてから護ろうとする。だが、美夏に想いを伝える方法は、そっと触れる人差し指とガムランボールの音色だけ。蒼の不器用すぎる優しさが、ようやく美夏の傷ついた心に届き始めた時、運命がふたりを飲み込んでいく──。

 

撮影/映美 ヘアメイク/矢口憲一(駿河台矢口) スタイリスト/清水奈緒美

野村周平、同級生・山田涼介と共演で「高校時代はあんなんだったな」“サイレントラブ”個性的な役でも「俺のほうがキャラ強い」

山田涼介さん演じる声を捨てた青年・蒼と、浜辺美波さん演じる目が不自由になった音大生・美夏の“世界でいちばん静かなラブストーリー”『サイレントラブ』が1月26日(金)に公開した。映画『ミッドナイトスワン』を手掛けた内田英治監督のオリジナルストーリーである。

野村周平●のむら・しゅうへい…1993年11月14日生まれ、兵庫県出身。2010年に俳優デビュー。2012年にNHK連続テレビ小説『梅ちゃん先生』で注目を集める。2023年は映画『隣人X -疑惑の彼女-』、ドラマ『夫を社会的に抹殺する5つの方法』(テレビ東京系)などに出演。Paraviで配信された『クロちゃんずラブ〜やっぱり、愛だしん〜』では、お笑い芸人のクロちゃん役がそっくりだと話題になった。2024年1月から放送中のテレビドラマ『婚活1000本ノック』(フジテレビ系)にも出演中。Instagram

 

静かな同作では、美夏が通う音楽大学の非常勤講師・北村悠真が奏でるピアノの音が響き渡る。名門家庭出身のピアニストでありながら乱れた生活を送る北村は、ひょんなことから蒼と美夏の人生に深く関わることに。「ただのろくでなし野郎ですよ」と語ったのは、北村を演じた野村周平さん。北村の役作りから役を引きずらないワケ、山田涼介さんとのエピソードまで明かした。

 

【野村周平さんの撮り下ろし写真】

 

役を引きずらないのは「俺を超えてくれるキャラがいない」

 

──静かなラブストーリーということで、映画を観た率直な感想を聞かせてください。

 

野村 主人公の蒼は声を発さない、美夏は目が不自由であるということで難しい恋描写だなと思いましたが、それらが2人の恋の妨げになっている訳ではなくて、むしろ「障害は関係ない」というのを分からせてくれる素敵な映画になったのではないでしょうか。「何が幸せなのか」を考えさせられます。

 

──野村さんが演じた北村は同作におけるキーマンかと思いますが、どのような人物なのでしょう?

 

野村 お金持ちで音楽の才能もありますが、上には上がいるという葛藤に振り回されている男です。全部持っているけど、心が裕福じゃない。お金がなくても心が裕福な人と、どっちが幸せなんだろうね。

 

──そんな北村を演じるうえで、役作りはどのように行いましたか?

 

野村 この作品の直前にヤンキー役を演じていたので、とりあえずヤンキー感を抜くことを意識しました。監督からは「棒読みでいいよ」と指示されたんです。ヤンキー役の名残が残ったまま感情がバリバリに出ていたので、感情を殺すために、監督はそう言ってくれたんだと思います。だから映画を観ながら「俺、棒読みだな」と思いましたが「俺を責めないでくれ!」って感じです(笑)。

 

──ピアニストとしての役作りは、何を意識されたのでしょう?

 

野村 北村は世界が誇る坂本龍一さんのようなピアニストではなく、ただ表面上の上手さを求めて葛藤するピアニストだと思うんです。“真のピアニスト”ではない。まだ自分を出しきれていない、さまざまなことに気づけていない子で、未熟なピアニストと捉えて演じました。

 

──葛藤という言葉通り、かなりフラストレーションがたまるシーンが続いたかと思います。役に引っ張られることはありましたか?

 

野村 役には全く引っ張られません。撮影場の空気を読みつつ、ずっと変わらずこの感じです。役より俺のほうがキャラ強いので(笑)! 残念ながら俺を超えてくれるキャラがいないので、もし俺を超えるキャラが現れたら、引きずる可能性もありますね。

 

世界一かっこいい楽器「人間だったら弾けるようになりたい」

 

──ピアノを演奏するシーンは、どのように撮影されたのでしょう?

 

野村 さすがにWキャスト(演奏シーンは別の人が演じる)とさせていただきました。めちゃめちゃ練習して弾けるようになったのですが……クラシックのハードコアを完璧に弾くのは、やっぱり無理よ! 1年練習して弾けなかったら文句言われても仕方ないかもしれないけど、数ヶ月では厳しい! 音楽に合わせて身体も手も動かせましたけど、手の寄りは無理。アル・パチーノでも無理よ。

 

──映像を見ると「野村さん、ピアノ弾けたっけ?」と思うくらい自然でした。

 

野村 ピアノの曲は好きでよく聴いていて、前から弾きたいと思っていたので練習を頑張れました。楽譜は一生読めないと思いますが、教えてもらって反復練習したり、ピアノを借りて家でも復習したり、耳コピして弾いたりしていましたね。坂本龍一さんの『戦場のメリークリスマス』は弾けましたし、今作で音楽を担当されている久石譲さんの『Summer』も練習しました。好きこそものの上手なれですね、楽しかったです。

 

──今作以前に、何かピアノにまつわる思い出があったのでしょうか?

 

野村 ピアノは、やっぱり人間だったら弾けるようになりたい楽器の1つじゃないですか。世界一かっこいい楽器だなって思っています。借りていたピアノは返さざるを得ませんでしたが、今後も続けたいと思っていますし、またピアニスト役に挑戦してみたいです。

 

山田涼介さんは「外見からにじみ出る不運な少年感がありました」

 

──山田さんが演じた蒼というキャラクターについて聞かせてください。

 

野村 蒼は、美夏のためにあるお願いを北村にしてくるんですが「すんげぇ金払ってくれるじゃん!」って(笑)。1回数万ですよ、なんでこんなに金払いいいんだろうなと。まぁ本当に美夏が好きなんだろうなと思いました。こんなに真っ直ぐなラブがこの世に存在しているのだろうかと思いながら、蒼のことを見ていました。

 

──浜辺さんが演じた美夏のキャラクターについてはいかがでしょう?

 

野村 ピアノが大好きな、真っ直ぐな女の子で、浜辺さんにピッタリの役だと感じました。ちょうどいい塩梅でお芝居されていて「もう浜辺さんなんじゃない?」と見ていましたね。あまりにきれいなフィクションなので「そんなことないだろ!」って思うところも多々ありましたが、浜辺さんがあの役を演じていたことで、より観入る作品になっていると思います。あ、美夏は少し暗い子ですが、浜辺さん本人はお喋りで明るい子ですよ。そりゃ好感度あるわって感じました(笑)。

 

──山田さん、浜辺さんとの印象的なエピソードを聞かせてください。

 

野村 山ちゃんは高校の同級生で、前からお互いを知っていたのが良かったですね。たまに「高校時代はあんなんだったな」と話してました。浜辺ちゃんは結構お喋りしていたのですが、内容を覚えていないということは、どうでもいい話をしていたんでしょうね(笑)。

 

映画『サイレントラブ』

1月26日(金)全国公開

 

(STAFF&CAST)
出演:山田涼介 浜辺美波 野村周平/吉村界人 SWAY 中島歩 円井わん 辰巳琢郎/古田新太
原案・脚本・監督:内田英治
共同脚本:まなべゆきこ
音楽:久石譲
主題歌:「ナハトムジーク」Mrs. GREEN APPLE
公式サイト:https://gaga.ne.jp/silentlove/

 

(STORY)
声を捨て、毎日をただ生きているだけの蒼。ある日、不慮の事故で目が不自由になり絶望の中でもがく音大生・美夏と出会う。何があってもピアニストになるという夢を諦めない美夏に心を奪われた蒼は、彼女をすべてから護ろうとする。だが、美夏に想いを伝える方法は、そっと触れる人差し指とガムランボールの音色だけ。蒼の不器用すぎる優しさが、ようやく美夏の傷ついた心に届き始めた時、運命がふたりを飲み込んでいく──。

 

撮影/映美 ヘアメイク/矢口憲一(駿河台矢口) スタイリスト/清水奈緒美

俳優・大谷亮平が続けている2つのコト「やめる理由がない」映画『ゴールデンカムイ』撮影中も「できる場所を探していた」

明治末期の北海道を舞台に、アイヌ埋蔵金争奪戦の行方を描いた映画『ゴールデンカムイ』が1月19日(金)より公開。原作とアニメファンの中で、大人気のキャラクターである谷垣源次郎役を演じる大谷亮平さんに、谷垣の魅力から役作り、続編への期待まで語っていただいた続けてGetNavi web恒例の今ハマっているモノ・コトについて聞 

大谷亮平●おおたに・りょうへい…1980年10月1日生まれ。大阪府出身。2003年に韓国でCM出演したのをきっかけに、拠点を韓国に移す。韓国映画『神弓-KAMIYUMI-』(2011)、『バトル・オーシャン 海上決戦』(2014)などに出演。ドラマ『朝鮮ガンマン』では韓国ドラマアワード2014グローバル俳優賞を受賞。2016年に日本でもデビューし、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)で注目を集める。主演ミュージカル『ボディガード』が2月18日(日)より上演予定。XInstagram

 

凄まじい継続力と熱量「ピアノを買ってきました」

 

──GetNavi webということで、大谷さんが今ハマっているモノはありますか? 集めているモノや現場に必ず持っていくモノなど。 

 

大谷 それが、物欲が全くないんですよね……。何かあったかな…… 本当に、ないですね……。モノではないですが、バレーボールはずっと続けています。 

 

──10歳から始められて現在も続けられているとか。バレーボールの魅力について教えてください。 

 

大谷 これといった理由はなく、ただ好きなんです。今43歳なので、若い子ばかりの大会に出るのはしんどくなってしまいましたが(笑)。40歳以上のシニア枠の大会だと、みんなどこか痛めていたり、怪我をしていたりします。それでも鞭打って頑張っているみんなの姿が、自分にとって励みになるんです。腰をひねって、ジャンプして、足をつりながら頑張っている姿、なんかいいですよね。

 

──いいですね。「バレーを続けてきてよかった」と思えるエピソードはありますか? 

 

大谷 バレーボーラーは自分のジャンプ力を測る時に、「バスケットゴールのリングにどこまで届くか」ということをやります。僕も中学で挑戦し始めました。最初にリングに触れられた時の感動は今でも忘れられません。そんな思いを抱えながら、去年の夏に久しぶりにやってみたら、なんとリングを掴みかけたんです! 高校のピーク時にも近い高さで、その時「バレーを続けてきてよかった!」と涙が出そうになりました。  

 

──やはり今後もバレーは続けていきたいですか? 

 

大谷 生活の一部なので、もうやめられないというか、やめる理由がないです。身体が動かなくなるのも嫌ですが、仕事で試合に出られない時も辛いですね(笑)。怪我さえしなければ、身体だけでなくコンディション作りなど、俳優業に生かせるスポーツだと思っているので、怪我に注意しつつ今後も地道に続けていきたいですね。

 

──ピアノが趣味だとも伺いました。  

 

大谷 そうだ! ピアノを忘れていました(笑)。小学生の時に少しだけ「バイエル」(ピアノの教則本)を弾いていましたが、コロナ禍で突然「この曲を弾いてみたい!」という衝動に駆られてピアノを買ってきました。エンニオ・モリコーネが作曲した『Love Affair』(映画『めぐり逢い』テーマ曲)という曲です。僕は楽譜が読めないので、耳コピして、忘れないように毎日練習していました。今でも2週間に一度ぐらいは弾くようにしていて、実は『ゴールデンカムイ』のロケでも「ピアノが弾けるところはないかな?」と、できる場所を探しました(笑)。  

 

 

──耳コピはすごいですね。なぜ『Love Affair』だったのですか? 

 

大谷 以前パリでCMを撮った時のメイキング映像をいただき、そのBGMが『Love Affair』でした。あまりにきれいなメロディーだったので「いつか弾いてみたい」と思っていましたが、挑戦しては断念してを繰り返していたんです。そのBGMには、浅田真央さんがソチオリンピックで使われたラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」もありました。とても難しいんですよ! これも耳コピして、自己満レベルでちょっとだけ弾けるので、この2曲は死守したいです(笑)。 

 

映画『ゴールデンカムイ』 

1月19日(金)全国公開 

 

(STAFF&CAST)
原作: 野田サトル『ゴールデンカムイ』(集英社ヤングジャンプ コミックス刊)
監督:久保茂昭
原作:野田サトル
脚本:黒岩勉
音楽: やまだ豊
主題歌: ACIDMAN「輝けるもの」(ユニバーサル ミュージック)
アイヌ語・文化監修: 中川裕 秋辺デボ
出演:山﨑賢人、山田杏奈、眞栄田郷敦、工藤阿須加、柳俊太郎、泉澤祐希、矢本悠馬、大谷亮平、勝矢、高畑充希、木場勝己、大方斐紗子、秋辺デボ、マキタスポーツ、玉木宏、舘ひろし
(C)野田サトル/集英社 (C)2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会
公式サイト:https://kamuy-movie.com/

 

(STORY)
日露戦争での鬼神のごとき戦いぶりから「不死身の杉元」の異名を持つ杉元佐一(山﨑賢人)。ある日、彼はアイヌ民族から強奪された莫大な金塊の存在を知る。金塊を奪った「のっぺら坊」と呼ばれる男は、捕まる直前に金塊を隠し、その在処を暗号にした刺青を24人の囚人の身体に彫って彼らを脱獄させた。金塊を見つけ出すべく動き始めた杉元は、野生のヒグマに襲われたところをアイヌの少女アシㇼパ(山田杏奈)に救われる。彼女は金塊を奪った男に父を殺されており、その仇を討つため杉元と行動をともにするが、大日本帝国陸軍「第七師団」を率いる鶴見篤四郎中尉(玉木宏)と、戊辰戦争で戦死したとされていた新選組副長・土方歳三(舘ひろし)も、それぞれ金塊の行方を追っていた。

 

撮影/映美 取材・文/くれい響 ヘアメイク/MIZUHO(vitamins) スタイリスト/カワサキタカフミ

俳優・古川琴音が今ハマっているコト「頭の中がすっきり」映画『みなに幸あれ』は「不可解な怖さが連続して脳内がカオスに」

“幸せは他者の犠牲の上で成り立っている”をテーマに、ヒロインの身に不可解な出来事が次々と襲いかかるホラー映画『みなに幸あれ』が1月19(金)に公開。“社会派ホラー”とも呼ばれる新たなジャンルで、主人公を演じる古川琴音さんには、撮影中のエピソードからテーマに対する思いまで語っていただいた。続けてGetNavi web恒例の、今ハマっているモノについて聞く。

 

ホラーは好物「意味がよくわからないモノに恐怖を感じる」

 

──今作にちなんで、古川さん自身、ホラー作品はお好きなのでしょうか?

 

古川 好きでよく観ます! 『パラノーマル・アクティビティ』はじめ、最近では『呪詛』と『コンジアム』を観ました。私は意味がよくわからないモノに恐怖を感じるんです。怨念が生まれる要因が明確であったり、誰かを恨む理屈がしっかりしていたりする物語よりも「なぜこれが、ここにあるの?」「どうしてこの人は、こんな変な動きをしているの?」といった不可解な物事を、怖いもの見たさで楽しんでいます。

 

──ということは、映画『みなに幸あれ』は大好物だったのでは?

 

古川 はい(笑)。しかもこの作品は、ちょっと笑っちゃうんです。まさか自分がホラー映画を観て笑うとは思わなかったので、すごく新鮮でした。コミカルな描写で純粋に笑ってしまうところもありましたが、あまりにも不可解な怖さが連続していたので、脳内がカオスになっていたんです。脳で処理しきれないことが続くと、人は笑ってしまうんだなと驚きました。

 

独自のリフレッシュ法「断片的なイメージを一つの形に」

 

──映画『みなに幸あれ』の撮影は、主に福岡県で行われたとのことでした。長期ロケに必ず持っていくモノはありますか?

 

古川 バスソルトはよく持っていきますね。普段から使っているので、自分の家にいるような気持ちになれて、リラックスできるんです。それから空気や匂いがこもっている時があるので、ミストを持参することもあります。あとは長期ロケに限らず、湯たんぽを入れられる猫のぬいぐるみを現場に持って行きます。以前、別の作品の現場でお誕生日プレゼントとしていただいて、寒い時期はマストアイテムになっています。

 

──湯たんぽ入りのぬいぐるみだとすごく温かそうですね。ほかに常に持ち歩くモノなどあれば教えてください。

 

古川 Beatsのワイヤレスイヤホンは常に持ち歩いています。首にかけられるタイプですね。録音したセリフを聞きながら現場に向かうこともありますし、空き時間の気分転換用としても愛用しています。散歩をしている時に耳から外れても大丈夫なので、すごく重宝しています。

 

──では最後に、ズバリ今ハマっているモノ・コトはありますか?

 

古川 最近イラストを描き始めました! ふとした時に、自分の中にいろんな断片的なイメージが湧いてくるので、それを画として一つの形にしていくと頭の中がすっきりするんです。まだ下手ですし、女の子の画ばかりですが。

 

 

──ということは、そのときどきの古川さんの心象が画に現れているのかもしれませんね。

 

古川 はい、分析すると面白いかもしれません。今は紙に描いたものを写真に撮ってInstagramにあげていますが、今後はペンタブに挑戦してみたいです。デジタルで描けばきれいな色合いのままアップできますし、色も無限に出せるので。

 

映画『みなに幸あれ』

2024年1月19日(金)全国公開

 

【映画『みなに幸あれ』よりシーン写真】

 

(STAFF&CAST)
出演:古川琴音 松⼤航也 犬山良子 西田優史 吉村志保 橋本和雄 野瀬恵子 有福正志
原案・監督:下津優太
総合プロデュース:清水崇
脚本:角田ルミ
主題歌:Base Ball Bear『Endless Etude(BEST WISHES TO ALL ver.)』
音楽:香田悠真
配給:KADOKAWA
公式サイト:https://movies.kadokawa.co.jp/minasachi/
©2023「みなに幸あれ」製作委員会

 

(STORY)
看護学生の“孫”が数年ぶりに訪れた祖父母の住む家。両親が遅れて到着するまでの間、3人で久々の再会を楽しみながら過ごすも、ときおり祖父母が見せる不可解な言動に違和感を覚えはじめる。やがて、家の中に“何か”がいる気配に襲われた孫がそのことを2人に話すと、それまでの常識を覆されるような、思いもよらないことを告げられる……。

 

撮影/金井尭子 取材・文/倉田モトキ ヘアメイク/伏屋陽子(ESPER) スタイリスト/藤井牧子

衣装協力/

sacai
黒ドレス 9万9000円
ブーツ 16万5000円
お問い合わせ sacai.jp

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アクセサリー

大谷亮平「こんな奴に襲われたら、さすがの谷垣でも」実写映画『ゴールデンカムイ』裏話明かす「本気で怖くなりました」

明治末期の北海道を舞台に、アイヌ埋蔵金争奪戦の行方を描いた野田サトル氏の大ヒット漫画を実写化した映画『ゴールデンカムイ』が、1月19日(金)に公開。主人公・杉元佐一(山﨑賢人さん)たちを追い詰める大日本帝国陸軍「第七師団」所属の一等卒・谷垣源次郎を演じる大谷亮平さんが、原作ファンの中でも人気が高い自身のキャラの魅力を、自ら分析してくれた。 

大谷亮平●おおたに・りょうへい…1980年10月1日生まれ。大阪府出身。2003年に韓国でCM出演したのをきっかけに、拠点を韓国に移す。韓国映画『神弓-KAMIYUMI-』(2011)、『バトル・オーシャン 海上決戦』(2014)などに出演。ドラマ『朝鮮ガンマン』では韓国ドラマアワード2014グローバル俳優賞を受賞。2016年に日本でもデビューし、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)で注目を集める。主演ミュージカル『ボディガード』が2月18日(日)より上演予定。XInstagram

 

【大谷亮平さん撮り下ろし写真】

 

人間味をいちばん感じさせる谷垣に惹かれた 

 

──バトルアクション映画である『ゴールデンカムイ』ですが、大谷さんは韓国で『神弓-KAMIYUMI-』といったアクション大作に出演されていましたね。 

 

大谷 はい。国は違いますが雪山が舞台という共通点があり、『ゴールデンカムイ』を撮影する際は『神弓-KAMIYUMI-』を思い出しました(笑)。『ゴールデンカムイ』にも激しいアクションがあるので「また過酷な撮影になるな」と覚悟しましたね。でも実は、日本に拠点を移してからハードなアクション映画に出たことがなかったので、出演できてうれしかったです。 

 

──原作とアニメファンから大人気である谷垣源次郎役をオファーされた時の、率直な感想を聞かせてください。 

 

大谷 『ゴールデンカムイ』の存在は知っていましたが、拝見したことがなかったので、オファーをいただいてまずはアニメ版から観始めました。自分が演じることは関係なく、谷垣がいちばん好きなキャラクターになりましたね。 

 

──谷垣のどういうところに魅力を感じ、お好きになったのでしょうか? 

 

大谷 とんでもなくハードでバイオレンスなキャラが集まっている中で、人間味をいちばん感じさせるところに惹かれました。見ていてホッとするというか、情に溢れる本当にいい男です。原作ファンの方々から人気があるキャラであることを実感しました。 

 

続編への期待「谷垣の魅力を個性に変えていきたい」

 

──見事な大胸筋が特徴的な谷垣だけに、身体づくりなど役作りはどのように行われたのでしょう? 

 

大谷 今も現役でバレーボールをやっていることもあり、日々さまざまなトレーニングは積んでいます。今回、さすがに原作通りの大胸筋は難しいですが(笑)。リアルな感じを出すために、さらにウェイト(トレーニング)はしましたし、食べ物にも気をつけました。あとは元マタギという設定なので、雪山を自由自在に走ったり歩いたりできるような下半身づくりですね。ただ40歳を過ぎて無理すると怪我をしてしまうことも分かっているので、かなり注意しました。 

 

──原作ありきの作品ということで、久保茂昭監督からは何か指示があったのでしょうか? 

 

大谷 クランクイン前に久保監督とコミュニケーションを取る時間がありましたが、「原作やアニメを意識してほしい」というような指示はありませんでした。「実写化としてのリアリティを生かしてほしい」という想いの方が強く感じられましたね。僕からは「谷垣はほかのキャラと違って、優しい部分もありますよね」といった意見を出しました。実際に自然を生かしたロケーションの中で演じさせてもらえたので、現場で生まれる感情を大切に、リアルに汲み取って演じることができたと思います。 

 

──谷垣の人柄が出ているシーンといえば、追いかけたアシㇼパを説得するシーンが挙げられます。 

 

大谷 谷垣が杉元とアシㇼパを追うシーンは、谷垣に悪意があるわけでも、恨みがあるわけでもないんですよね。谷垣はただ自分の生き方を模索しつつ、第七師団として与えられた任務を遂行しているだけなので、彼らを傷つけようとは思っていない。原作を知らない人がこのシーンを観た時でも「谷垣は、ほかのキャラクターとはちょっと違う」と思ってもらえる気がします。 

 

──白銀のエゾオオカミ(レタㇻ)に襲撃されるシーンで、印象的な撮影エピソードはありますか? 

 

大谷 完成したシーンはCG合成されているのですが、現場では美術さんが作ってくださったダミーのレタㇻを相手にお芝居をしました。めちゃくちゃリアルかつ原寸大の大きさで、本気で怖くなりました(笑)。「こんな奴に襲われたら、さすがの谷垣でも……!」という気持ちで演じたので、かなり自然に生まれたリアクションだったと思います。谷垣の人生が大きく変わる重要なシーンでもあるので、注目していただきたいですね。 

 

──やはり続編を期待せずにはいられません。大谷さん自身の、続編にかける意気込みを聞かせてください。 

 

大谷 原作では今後、より殺伐としていきます。その中で谷垣は人情や温かみといったものをより担っていくキャラクターだと思うんです。今回の映画では出番が多くないかもしれませんが、もし再び彼を演じられるなら、誠実さや真面目さを持ったごく普通の男である谷垣の魅力を個性に変え、大事に、しっかり演じていきたいですね。 

 

映画『ゴールデンカムイ』 

1月19日(金)全国公開 

 

(STAFF&CAST)
原作: 野田サトル『ゴールデンカムイ』(集英社ヤングジャンプ コミックス刊)

監督:久保茂昭
原作:野田サトル
脚本:黒岩勉
音楽: やまだ豊
主題歌: ACIDMAN「輝けるもの」(ユニバーサル ミュージック)
アイヌ語・文化監修: 中川裕 秋辺デボ
出演:山﨑賢人、山田杏奈、眞栄田郷敦、工藤阿須加、柳俊太郎、泉澤祐希、矢本悠馬、大谷亮平、勝矢、高畑充希、木場勝己、大方斐紗子、秋辺デボ、マキタスポーツ、玉木宏、舘ひろし
(C)野田サトル/集英社 (C)2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会
公式サイト:https://kamuy-movie.com/ 

 

(STORY)
日露戦争での鬼神のごとき戦いぶりから「不死身の杉元」の異名を持つ杉元佐一(山﨑賢人)。ある日、彼はアイヌ民族から強奪された莫大な金塊の存在を知る。金塊を奪った「のっぺら坊」と呼ばれる男は、捕まる直前に金塊を隠し、その在処を暗号にした刺青を24人の囚人の身体に彫って彼らを脱獄させた。金塊を見つけ出すべく動き始めた杉元は、野生のヒグマに襲われたところをアイヌの少女アシリパ(山田杏奈)に救われる。彼女は金塊を奪った男に父を殺されており、その仇を討つため杉元と行動をともにするが、大日本帝国陸軍「第七師団」を率いる鶴見篤四郎中尉(玉木宏)と、戊辰戦争で戦死したとされていた新選組副長・土方歳三(舘ひろし)も、それぞれ金塊の行方を追っていた。 

 

撮影/映美 取材・文/くれい響 ヘアメイク/MIZUHO(vitamins) スタイリスト/カワサキタカフミ

「否定もできない」古川琴音“自分が幸せだと感じる物事の裏で、誰かが負の部分を背負っている”映画『みなに幸あれ』

作品ごとにさまざまな表情をのぞかせ、視聴者の心に残る演技で存在感を魅せる俳優・古川琴音さん。彼女が新たに挑んだのが、自身にとって初となるホラー映画『みなに幸あれ』。“幸せは他者の犠牲の上で成り立っている”というテーマを軸に、ヒロインの身に次々と襲いかかる常識外れの出来事。ホラージャンルだけでは括れないこの作品に、果たしてどう向き合っていったのか。

古川琴音●ふるかわ・ことね…1996年10月25日生まれ、神奈川県出身。2018年に主演短編映画『春』が9つの映画祭でグランプリを受賞し、一躍注目を集める。代表作に映画『十二人の死にたい子どもたち』(2019)、『偶然と想像』(2021)、NHK連続テレビ小説『エール』(2020)、NHK大河ドラマ『どうする家康』(2023)、Netflix『幽☆遊☆白書』など。映画『雨降って、ジ・エンド。』『言えない秘密』の公開が控えている。Instagram

 

【古川琴音さん撮り下ろし写真】

 

突き詰めたリアル「“何がある”のか知らされていませんでした」

 

──映画『みなに幸あれ』は物語に不可解なことが多く、謎が次々と押し寄せてくるという展開でした。最初に台本を読んだ時の印象はいかがでしたか?

 

古川 私もわからないところがたくさんあり、それが作品全体に不気味さを生み出しているんだなと感じました。後味の悪さといいますか、「ちょっと嫌なことを知ってしまったなぁ」という気分になりましたね。また完全なフィクションではあるものの、どこか現実世界とつながっているようなリアルさも伝わってきて。そこに面白さを感じました。

 

──そうした物語の不可解な点は、どのように解釈していったのでしょう?

 

古川 当たり前のようにいる生贄の存在や、祖母たちの身に起きる不思議な現象など、不可解なことは下津優太監督に直接お聞きしました。でも監督からいただいたのは「曖昧なままでいい」というアドバイスでした。とにかくいろんなことに巻き込まれていくので、目の前で起きていることを理解しなくてもいいと。むしろ、まっさらな状態でお芝居をして「その時に感じたことを素直に出してほしい」と言われたんです。

 

──それは思い切った演出ですね。

 

古川 初めての経験で、いろんな発見がありましたね。あえて細かい役作りをしなくても大丈夫な環境を、監督が作ってくださったというのもありますが、自分から想像もしていなかった表現がたくさん出てきたんです。監督は今作が初めての長編作品ということで、いろんな実験をされていたのかなという印象がありました。

 

──実験とは、具体的にはどのようなものでしょう?

 

古川 生贄として近所の人を家に誘い込むシーンがありますが、その生贄役を、本当に「近所に住んでいる一般の方」にお願いしていました。しかも監督は、役の設定を教えずに撮影しようとされていたんです(笑)。また私が天井に吊るされた布を勢いよく剥がす場面も、布の向こう側に“何がある”のかは知らされていませんでした。本番で初めてそこにあるモノを見て、素で叫んでしまって(笑)。こうしたリアルな反応とフィクションを、いかに融合して映画を作っていくかという挑戦が随所に見られ、本当に刺激的な現場でした。

 

──ほかに、これまでの現場との違いを感じた部分はありましたか?

 

古川 いちばん違いを感じたのが体力の消耗具合。目の前で起こる非日常的なことに終始驚いていくので、泣いて、叫んで、逃げて、怒っての連続なんですね。どれもが体力を使う感情で、撮影後は毎日ヘトヘトになっていました(笑)。

 

──大変でしたね。消耗した体力は、どうやって回復されたのでしょう?

 

古川 結局、最後まで回復できなかったです(笑)。でも今作は福岡県で撮影をしていて、地元の方がいつも精の付くお料理を用意してくださったので持ちこたえました。それに撮影の順番が台本の流れに沿っていたこともあり、疲労感がいい具合にお芝居にも反映されたんです。ですから、毎日思う存分に体力を使っていましたね。

 

作品テーマに嫌悪「言語化してほしくなかった」

 

──共演者にはお芝居未経験の方が多かったそうですね。

 

古川 はい。印象に残っているのが祖母役の方。監督が「自由にセリフを付け足していいよ」と話されたので、祖母と私の掛け合いのシーンは、本当に祖母が久々に家に遊びに来た孫と話しているような、自然な会話や空気感が生まれたように思います。

 

──叔母役も一般の方とは思えないほどの迫力がありました。

 

古川 今作にはホラー映画らしい衝撃的なシーンがたくさん散りばめられていますが、なかでも私がいちばんを選ぶなら、叔母との場面です。叔母役の方は撮影前に「覚えたセリフを話すだけで精一杯」とおっしゃっていたのに、本番では、まるで悪魔に取り憑かれたかのような表情になって、呪文のように意味のわからないことをずっと話されていたんです。その方が話すと妙な説得力や真実味があって、お芝居なのに本気で恐怖を覚えるぐらい怖かったです。

 

──今作はホラーであると同時に、“幸せは他者の犠牲の上で成り立っている”という社会的なテーマも盛り込まれていますね。

 

古川 このテーマを目にした時「嫌なことを言うなぁ……」と思いました。でも否定もできないですよね。自分が幸せだと感じる物事の裏で、誰かがその陰や負の部分を背負っているかもしれない。もちろん認めたくないし、そんな世界になってほしくないという願いもみんな持っている。だからこそ、はっきりと言語化してほしくなかったなと感じたんです。

 

──言葉にされると、否が応でも目の前に突きつけられますからね。

 

古川 そうなんです。この物語でも、主人公はこの言葉に抗っていますし、同じように「これは間違っている」と唱える幼なじみもいる。でも、そんな彼らのほうが周囲からは奇異な目で見られてしまう。そんな場面含めて “人間の幸福とは何か”を考えるきっかけが散りばめられているからこそ、すごく見応えのある作品になっていると思います。

 

──古川さん自身は、自分の常識から外れた物事に直面した時、どのような行動をとると思いますか?

 

古川 「絶対に間違っている」という確信があることに対しては抗うと思います。……いや、とりあえずその世界の中に混じってみるかも(笑)。まずは受け入れてみて、そのあとでじっくり考えて行動を起こすかもしれません。

 

──ホラー映画ファンや、逆に少し苦手に感じている方に向けてのメッセージをお願いします。

 

古川 社会派ホラーというこれまでにない作品になっていますので、ホラー好きの方々にも、あまり得意ではない方々にも、ちょっと冒険するような気持ちでご覧いただけたらなと思います。きっとこれまで経験したことのない感覚を味わえます。人って、大人になればなるほど初めての感情を経験する機会が少なくなると思うので。もしかしたら、新しい自分を発見できるかもしれません。

 

映画『みなに幸あれ』

2024年1月19日(金)全国公開

 

【映画『みなに幸あれ』よりシーン写真】

 

(STAFF&CAST)
出演:古川琴音 松⼤航也 犬山良子 西田優史 吉村志保 橋本和雄 野瀬恵子 有福正志
原案・監督:下津優太
総合プロデュース:清水崇
脚本:角田ルミ
主題歌:Base Ball Bear『Endless Etude(BEST WISHES TO ALL ver.)』
音楽:香田悠真
配給:KADOKAWA
公式サイト:https://movies.kadokawa.co.jp/minasachi/
©2023「みなに幸あれ」製作委員会

 

(STORY)
看護学生の“孫”が数年ぶりに訪れた祖父母の住む家。両親が遅れて到着するまでの間、3人で久々の再会を楽しみながら過ごすも、ときおり祖父母が見せる不可解な言動に違和感を覚えはじめる。やがて、家の中に“何か”がいる気配に襲われた孫がそのことを2人に話すと、それまでの常識を覆されるような、思いもよらないことを告げられる……。

 

撮影/金井尭子 取材・文/倉田モトキ ヘアメイク/伏屋陽子(ESPER) スタイリスト/藤井牧子

衣装協力/

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黒ドレス 9万9000円
ブーツ 16万5000円
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新春振り袖インタビュー! 森山みつき「2024年は、さらに全国を“どアホウ”にしたい!」映画「野球どアホウ未亡人」

クセがすごすぎるギャグや読めなすぎる展開が話題となり、昨年8月の公開からリピートを重ねる「どアホウ」が増殖中の「キャスト8人の野球映画」こと、『野球どアホウ未亡人』。異常な盛り上がりの応援上映が行われ、再上映が行われたかと思えば、4か月近くロングラン上映する映画館が現れるなど、謎すぎる作品で主演を務めた森山みつきさんが、再び登場! 前回(https://getnavi.jp/entertainment/901967/)のインタビューから4か月余り。前回のユニフォーム姿から一転、可憐な振り袖姿で、「どアホウ」現象を振り返りつつ、2024年の意気込みについて語ってくれました。

 

森山みつき●もりやま・みつき…11月3日生まれ。大阪府出身。森永乳業アロエヨーグルトのCMなどで活躍後、21年に「共振」で映画デビュー。22年に「REVOLUTION+1」に出演するほか、主演を務めた「死後写真」ではイタリアの映画祭「Sipontum Arthouse International Film Festival」にて最優秀女優賞を受賞している。X(旧Twitter)Instagram

 

【森山みつきさん撮り下ろし写真】

 

地方の劇場のお祭り・歓迎ムードがすごかった!

──都内(池袋シネマ・ロサ)での上映が終了し、9月から愛知(刈谷日劇)と大阪(シアターセブン)など、地方での上映が始まりました。初日舞台あいさつなどで訪れて、いかがでしたか?

 

森山 ロサさんのときは、私たちの方から「観に来てください!」とお客さんにお願いして、口コミで広まっていきましたが、愛知も大阪も、事前に地元のラジオ番組で取り上げてくださったこともあり、「待ってました!」な感じのお祭り・歓迎ムードがすごかったです! 刈谷(日劇)さんは劇場の入口を装飾した「どアホウゲート」を作ってくださって我々よりも“どアホウ”を追求してくださっていて感動を覚えましたし、私の地元・大阪にある(シアター)セブンさんは、20歳のときに人生で初めて行ったミニシアターだったんです。

 

──森山さん初のミニシアター体験は、何の作品だったんですか?

 

森山 大好きな満島ひかりさんが主演した「海辺の生と死」でした。まさか自分の主演映画で、ここに戻ってくるとは思いませんでしたし、ドキドキしながら映画館に入った思い出もよみがえりました。さらに映画「死後写真」と合わせて主演映画2作同時公開、通称「もりや祭り」でも盛り上げてくださって、全く毛色の違う両作をハシゴして違いを楽しんでくださる方が多くてうれしかったです。11月には長野(千石劇場)でも上映されたんですが、歴史を感じさせるレトロな映画館での上映も、どこか感慨深かったです。大阪ではチラシ配りをするために、ユニフォーム姿で甲子園球場にも行き、海外の方と国際交流もできました。あと、地方に行くと、ファンの方がお菓子や袋麺など、地元の名産をプレゼントしてくださるので、東京に戻るときはスーツケースがパンパンになるんですよ(笑)。

 

──さらに10月には、東京・新宿ロフトプラスワンにて、映画を観ながらツッコミを入れる応援上映「野球どアホウ未亡人+1」が開催されました。

 

森山 「どうしていいか、分からない空気感の中、皆さん探り探りになるのかな?」と思っていたんですが、全く心配無用でした! 映画が始まる前から「みんな、声出していくぞー!」という部活ノリがすごくて、こっちが圧倒されましたし、お客さんのツッコミに逆に笑っちゃう感じでした。映画を観ているお客さんの顔を横から見られたのですが、皆さん本当にいい顔されていたし、私が演じた夏子が必殺技を決めたときに、場内が大歓声と拍手で包まれたりして、本物のスポーツ観戦のようで楽しかったです。

 

──3月には、大阪ロフトプラスワンWESTにて、第二回応援上映「野球どアホウ未亡人-1.0」が開催されます。

 

森山 今度もライブハウスが会場ですし、やはりお酒を飲みながらの応援上映は楽しいと思うんですよ。あえて、野次を飛ばしに行くというか、ストレス発散するために行くぐらいの感覚で、遊びにきてもらえたらうれしいですね。

 

お客さんの感想によって、映画の輪郭がハッキリしていった

──そして、11月には「第33回映画祭TAMA CINEMA FORUM」に参加されました。

 

森山 21年のカナザワ映画祭、22年の福岡インディペンデント映画祭以来の映画祭への参加だったんですが、ステージ上にお花が置かれていたり、初めて映画を観るお客さんもかなりいたり、いつものホームというか、緩い雰囲気とは違ったので(笑)、「ちゃんとしなきゃ」「しっかりしゃべらなきゃ」という身が引き締まる気持ちになりました。

 

──そして、12月の「MOOSIC LAB 2024」や池袋・新文芸坐での上映、年末年始のシアターセブンでの再上映や神戸・元町映画館の上映に続き、ついに1月13日(土)から池袋シネマ・ロサでの再上映が始まります。それを祝し、劇場の外看板を「野球どアホウ未亡人」が飾り、場内では振袖姿の森山さんの巨大タペストリーが迎えます。

 

森山 外看板のインパクトはすごいですよね……! 池袋の街中に突如としてあのビジュアルが現れるわけですから……実際に普段映画を見なさそうな方からも反応があって、これを機にミニシアターに初めて足を運ぶ方がいてくれたらなぁなんて夢見たりしています(笑)。着物も何枚か持っているほど和装は好きで、無条件にテンションが上がるので、事あるごとに着たくなるんですよ。今日、着付けていただいた(スタイリストの)CHAM TEDUKAさんの着物モデルも、一度させてもらったこともあるんです。

 

──このような広がりから、森山さん自身の「野球どアホウ未亡人」に対する捉え方は変わりましたか?

 

森山 作品を観てくださる人が増えていく中で思ったのが、お客さんの感想によって、映画の輪郭がどんどんハッキリしていったことです。作品を作っているときって、自分たちが面白いと思っていても、確かじゃないというか、どこかモヤモヤしている感じだったんですよ。でも、お客さんが「こういうところが面白い!」「こういう楽しみ方ができる!」といったことをどんどん発見してくださることで、「実はこういう映画だった」と教えてもらっているような気がします。それこそ、「私は野球だ」というワードも名言に思えてくるんですよね(笑)。

 

──今後、どのような展開に期待したいですか?

 

森山 まだまだ知られていないなか、すでに上映した場所でさらにどれだけ広げられるか? というフェーズにも入ってくると思うので、逆にめちゃくちゃ酷評されても面白いかなとも思うんですよ。今までいい意見がほとんどだった中で、そういう意見が出てきたら、こんな見方もあったのか! とよりこの映画のことが分かるような気がします。そんな状況が起こるぐらい、普段こういった映画に触れない方々にまで広い範囲に届けたいです。そして、北海道から沖縄まで、できるだけ多くの映画館に舞台あいさつに行って、全国どアホウ化計画を進行したいです!(笑)

 

乗馬ライセンスを活かせる役を演じたい!

──また、森山さんの趣味についてもお聞きします。劇中で披露した歌唱力の評価も高いですが、もともと音楽をやられていたんですか?

 

森山 私はずっと掲げている夢に「音楽映画とアクション映画に出たい」というものがあって、もともと音楽映画が好きだったんです。小学生の頃は「ハイスクール・ミュージカル」や「オペラ座の怪人」をよく観ていて、その後は「さよならくちびる」「味園ユニバース」「サヨナラまでの30分」といった作品が好きでした。でも、私自身は特に、楽器をやっていたとか歌のレッスンを受けていたわけではないんです。

 

──そんななか昨年10月に、Instagramに「野球どアホウ未亡人のテーマ」をギターで弾き語りしている動画が突然アップされました。

 

森山 「野球どアホウ未亡人」に出演した22年に、実はスリーピースガールズバンドの映画の出演が決まっていたんです。最終的に撮影前に企画が流れてしまったんですが、その役作りでギターレッスンを受けて、そのときはASIAN KUNG-FU GENERATIONの「ソラニン」とか、きのこ帝国やHump Backの楽曲をカバーしていました。映画の話が流れた後もギターの練習はしていて、スタジオに入ったときに「持ち歌あるじゃん!」と、「野球どアホウ未亡人のテーマ」をカバーしたんです。あれはそのときの動画をアップしたんです。

 

──そんなわけで、2月11日のシネマート新宿での上映で「森山さんの弾き語りライブ」が行われることも決定しました。最後に2024年の抱負を教えてください。

 

森山 昔から馬好きで、念願の乗馬ライセンスを昨年取ることができたので、それを活かせるような役柄を演じたいです。そういう意味では商業映画にも出演したいですし、地方に住んでいる家族や友だちが気軽に見られるドラマやCMに出る機会もさらに増やせたらうれしいですね。

 

 

野球どアホウ未亡人

1月13日(土)~26日(金)東京・池袋シネマ・ロサにて、カムバック上映
2月4日(日)長野・松本シネマセレクトにて上映

2月11日(日)「MOOSIC LAB 2024」東京・シネマート新宿にて上映(森山さんのミニライブあり)
3月2日(土)「野球どアホウ未亡人-1.0」」(応援上映+トーク)大阪ロフトプラスワンウエストにて上映

【映画「野球どアホウ未亡人」よりシーン写真】

(STAFF&CAST)
監督:小野峻志
脚本:堀 雄斗
プロデューサー:堀 雄斗
出演:森山みつき、井筒しま、秋斗、工藤潤矢、田中 陸、関 英雄、柳 涼、藤田健彦

(STORY)
夫の賢一(秋斗)を支える貞淑な妻・夏子(森山みつき)。ある日、草野球に出かけた賢一が突然亡くなり、絶望のなかで暮らす夏子だったが、賢一が所属していた草野球チーム・多摩川メッツの監督・重野(藤田健彦)から野球の才能を見いだされる。賢一の残した借金を返済するため、野球を始めることになった彼女は、重野からの激しい特訓を重ねるうちに、野球の快楽性にとりつかれる。さらに、義妹の春代(井筒しま)やプロ野球スカウトマンの古田(工藤潤矢)ら一癖も二癖もある人物に囲まれ、夏子は歩みを進めていく。

公式Twitter:https://twitter.com/ONOKANTOKU

 

撮影/河野優太 取材・文/くれい響 スタイリスト/GHAM TEDUKA

芳根京子「常に前の年を超えたいです。2024年も年末に心残りがないよう “今年もやりきったぞ!”って思える一年にしたい」映画「カラオケ行こ!」1・12公開

変声期に悩む合唱部の男子中学生・聡実と歌がうまくなりたいヤクザ・狂児の交流をコミカルに描いた、和山やま氏の人気コミックを綾野剛さん主演で映画化した「カラオケ行こ!」が1月12日(金)より公開。映画オリジナルキャラクターである合唱部の副顧問・森本ももを演じる芳根京子さんが、大きな転機となった初主演ドラマの思い出を振り返りながら、自身初となる教師役について語ってくれました。

 

芳根京子●よしね・きょうこ…1997年2月28日生まれ。東京都出身。2016年NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」でヒロインを演じた。以降、映画「累 -かさね-」(2018年)、「Arc アーク」(2021年)、ドラマ「それってパクリじゃないですか?」「オールドルーキー」など多くの作品に出演。2018年には、「累 -かさね-」「散り椿」で第42回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した。現在、デビュー10周年記念写真集「京」(ワニブックス)が発売中。Instagram

 

【芳根京子さん撮り下ろし写真はこちら】

 

「表参道高校合唱部!」は、私にとってもファンの方にとっても大切な作品

──人気コミックの映画化で、芳根さん演じる森本ももは、映画オリジナルキャラクターになります。オファーを受けた時はいかがでしたか?

 

芳根 「原作にないオリジナルのキャラクターです」と言われたら普段ならどこか不安というか、「原作のファンの方にどう思われるかな?」とか思ってしまう気がするんです。でも、山下敦弘監督と脚本家の野木亜紀子さんが組まれる作品に出演するのは、ドラマ「コタキ兄弟と四苦八苦」に続いて、今回が2作目になります。なので「お二人が私に任せてくださった役が楽しみ!」と純粋にうれしい気持ちでいっぱいでしたし、台本も楽しく読ませていただきました。

 

──森本ももは、中学校の合唱部副顧問という設定です。芳根さんが合唱部員を演じ、初主演された連ドラ「表参道高校合唱部!」(以下、オモコー)から8年後に、このような役柄を演じるには感慨深いです。

 

芳根 「ついに、先生役を演じるときが来たか!」とうれしかったですし、合唱部の話と言えば、やっぱり自分の役者としてのキャリアの中で「オモコー」という大きな作品があるので、そういったご縁を感じられたこともうれしかったです。あの頃の出来事は、今でも強く心に刻み込まれていて、鮮明に覚えているんですよ。

 

──そんな「オモコー」出演当時の思い出を教えてください。

 

芳根 「オモコー」はいろんな意味で、自分にとって転機となった作品です。16歳で女優デビューして2年ほどで連ドラの主演をやらせてもらう重みやプレッシャーみたいなものもありましたし、とにかく経験値爆上がりの現場でした。昨年デビュー10周年を迎えて、その10年を振り返っても、やっぱり「オモコー」っていうドラマは外せないですね。9月に、初めてのファンイベントをやったときも、「『オモコー』からずっと好きです!」というファンの方が本当に多くて……! だから、私を応援してくださる方にとっても、大切な作品だったと思います。

 

こんなにもうれしいご縁が重なるんだ!

──志尊 淳さんや高杉真宙さんなど、一緒に合唱部員を演じた俳優さんの現在の活動は、やはり気になりますか?

 

芳根 例えば、ネットの情報解禁のニュースで皆さんのお名前を見かけると、やっぱり見ちゃいますし、「うれしい!」とか「私ももっと頑張らなきゃ!」と思います。もちろん「またご一緒したい!」とも強く思うので、今でも「オモコー」のメンバーは仲間であり、ライバルであり、本当にかけがえないない存在だと私は勝手に意識しています(笑)。ときどき、ほかの現場でもお会いすることもあるんですが、どこか同窓会のようで、「どんなふうにしゃべったらいいんだっけ?」って、ちょっと照れ臭くなりますね。

 

──ちなみに、「オモコー」で主題歌「好きだ。」を担当していたLittle Glee Monsterは、「カラオケ行こ!」では主題歌として、X JAPANの「紅」をカバーしています。

 

芳根 この作品に参加させてもらうことが決まったときもうれしかったですけれど、「山下監督と野木さんの映画、うれしい!」「『オールドルーキー』でご一緒させていただいた綾野さんが主演、うれしい!」「合唱部の設定、うれしい!」ときて、「主題歌リトグリちゃん、うれしい!」ですからね。「こんなにもうれしいご縁が重なるんだ!」と思いました。リトグリちゃんとは試写会で一緒に作品に見たんですが、「また皆さんとご一緒させていただいてうれしかったです」とごあいさつさせていただきました。

 

──劇中、ももはピアノを弾き、関西弁もしゃべりますが、役作りはいかがでしたか?

 

芳根 どの角度からもカメラで撮られていいよう、ピアノはたくさん練習しました(笑)。幼稚園から高校生ぐらいまでは、レッスンに通っていたんですが、この仕事を始めてからは、ほとんど弾いてなかったんです。それで、今回演奏する楽譜をいただいたら、“昔やっていました”程度の人間には弾けるような曲ではなかったので、1日6~7時間の練習を2か月間ぐらい続けました。関西弁も確かに大変でしたけれど、あの頃は「私は音大に通っているのかも?」と錯覚するような生活を送っていましたね(笑)。

 

「今年もやりきったぞ!」って思える一年にしたい

──もものちょっと抜けた天然キャラクターについては?

 

芳根 山下監督からは「芳根ちゃん、そのまんまでやって!」と言われたんですよ。なので、あんまり考えずに、ももが発するセリフに無理ない程度に、能天気なキャラを演じさせてもらいました。いいのか悪いのかは別として、もも自身はそんなに責任感が強いキャラではないですし、生徒の皆さんと同じ目線に立てる人でいたいなと思いました。私は実際に合唱部員だったことはないですが、「オモコー」での経験を思い出しながら、ももの気持ちを作っていきました。

 

──ちなみに、8年前の「オモコー」の合唱部と今回の合唱部の雰囲気の違いは?

 

芳根 「オモコー」のメンバーは、最年少だった私が高校卒業したぐらいだったんです。堀井新太さんは5歳ぐらい上でしたし。今回の合唱部の皆さんは聡実役の齋藤 潤くんをはじめ、現役の中高生だったので、とにかく若くて、エネルギッシュで、キラキラしていました。先読みみたいなことはなく、純粋に真っすぐ突き進んでいる姿がまぶしく感じました。「私はちゃんと年齢を重ねているし、そりゃ、先生になるわ」と改めて思いましたね(笑)。

 

──完成した映画をご覧になったときの感想は?

 

芳根 私は綾野さんたちとの絡みがなかったので、「自分の教え子が、こんなことになっていたなんて!」というか、ももが知らない大人たちの世界がいっぱい描かれていて、純粋に楽しませてもらいました。綾野さんがカラオケで「紅」を歌うシーンなど何度も笑わせてもらいつつ、この作品に参加させてもらえたぜいたくさを感じさせてもらいました。

 

──最後に、2024年の抱負を教えてください。

 

芳根 毎年のように思っていることですが、常に前の年を超えたいです。それは別に作品の数や量ではなく、目の前の作品に精いっぱい向き合い、年末に心残りがないよう「今年もやりきったぞ!」って思える一年にしたいですね。

 

カラオケ行こ!

1月12日(金)より公開

(STAFF&CAST)
監督:山下敦弘
原作:和山やま
脚本:野木亜紀子
出演:綾野 剛、齋藤 潤、芳根京子、橋本じゅん、やべきょうすけ、吉永秀平、チャンス大城、RED RICE、八木美樹、後 聖人、井澤 徹、岡部ひろき、米村亮太朗、坂井真紀、宮崎吐夢、ヒコロヒー、加藤雅也、北村一輝

(STORY)
合唱部部長の岡聡実(齋藤)はヤクザの成田狂児(綾野)に突然カラオケに誘われ、歌のレッスンを頼まれる。組のカラオケ大会で最下位になった者に待ち受ける“恐怖”を回避するため、何が何でも上達しなければならないというのだ。狂児の勝負曲はX JAPANの「紅」。聡実は、狂児に嫌々ながらも歌唱指導を行うのだが、いつしかふたりの関係には変化が……。聡実の運命や如何に? そして狂児は最下位を免れることができるのか?

公式HP:https://movies.kadokawa.co.jp/karaokeiko/

(C)2024『カラオケ行こ!』製作委員会 (C)和山やま/KADOKAWA

 

撮影/映美 取材・文/くれい響

12年ぶりにタクミくんシリーズが新キャストで映像化!森下紫温&加藤大悟「タクミとギイの世界をさらに作り上げていきたい」Blu-ray&DVD発売中

累計500万部を超える人気ボーイズラブ小説を、新たなキャストで映画化した『タクミくんシリーズ 長い長い物語の始まりの朝。』(Blu-ray/DVD発売中)。劇中、人間接触嫌悪症の託生(タクミ)と誰よりもひと際目立つ存在の義一(ギイ)を演じた森下紫温さんと加藤大悟さんが、お互いの初対面の印象からプライベートに迫ったエピソードまで語ってくれました!

 

【森下紫温さん&加藤大悟さん撮り下ろし写真】

 

紫温こそ、自分が求めているタクミそのもの

──お2人はオーディションで抜擢されたとのことですが、そのときのお互いの印象を教えてください。

 

加藤 僕が先にギイ役に決まって、タクミ役を決めるオーディションにも立ち会わせてもらったんですが、紫温と台本読みしたときに、なんか間がしっくりしたというか、相性も良かったし、「彼こそ、自分が求めているタクミそのものだな」と勝手に思えたんです。それは周りの方々の意見も同じだったようで、紫温に決まって良かったです。

 

森下 最終オーディションで、初めて大悟くんにお会いしたんですが、緊張感に包まれて、ちょっと重い空気の中、大悟くんのテンションがやけに高かったんですよ(笑)。一瞬で、明るい空気に変えてくれて、本当にギイみたいで。だから、一緒に台本読みしたときも、ギイのイメージがしやすかったし、声のトーンや話し方も僕がイメージしていたギイと近くて、とてもやりやすかったです。

森下紫温●もりした・しおん…2002年10月25日生まれ。静岡県出身。『タクミくんシリーズ 長い長い物語の始まりの朝。』のW主演に抜擢。ミュージカル「テニスの王子様」4thシーズン 青学vs六角や、舞台「ナナシ-第七特別死因処理課-」などに出演。 X(旧Twitter)Instagram

 

──12年ぶりに復活した、人気シリーズのキャラを演じることについては?

 

森下 これは大悟くんが言っていたことですが、「とても歴史の長い作品で、多くのファンの方がいて、十数年前に実写化されているけれど、それを参考にしすぎたり、物まねをしたりするんじゃなくて、森下紫温にしか出せないタクミくんと加藤大悟にしか出せないギイにしたい」って……。その言葉を聞いたとき、なるほどと思ったんです。自分の個性を消してしまってはダメだから、自分にしか出せないタクミくんを考えながら演じなきゃなと。具体的には、台本を読んだときに自分が感じた声色や言い方、表情や動きを大切にして演じました。

 

加藤 せっかく新しいタクミとギイに選んでいただいたので、過去の作品にリスペクトを持った上での反骨心というか、やっぱり負けたくないじゃないですか! 一役者として、自分たちの作品が、「タクミくんシリーズ」で一番良かったって思われたいですし。だから、紫温にそういうことを言ったんですが、常にそういう気持ちを持っていないと、役者をやっている意味がないと思うんですよ。

 

シリーズを経ていくことで、一緒に成長していきたい

──お2人とも映画初出演だったことに対するプレッシャーは?

 

森下 僕に関しては、映画どころか、初めての映像の仕事で、本当に経験値ゼロだったんです。なので撮影が近づくにつれて、緊張や不安でいっぱいでした。撮影前日も全然眠れなかったですし、現場では常に手探り状態でした。共演者の方の芝居を見て、それに対する監督の演出を聞きながら、「自分はこうしてみよう!」と試して、トライアンドエラーを繰り返すような感じでした。

 

加藤 僕はずっと舞台をやらしていただいて、ちょっとした映像には出演させていただいたこともあるんですが、映画は全くの初めて。映像の芝居は舞台と違いますし、生ものな舞台と違って、ラストシーンを初日に撮影したり、気持ちの作り方も違うので、やっぱり戸惑いもプレッシャーもありましたし、実際難しかったですね。

加藤大悟●かとう・だいご…2000年9月19日生まれ。愛知県出身。主な出演作は、「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-」、舞台「魔法使いの約束」、ミュージカル「刀剣乱舞」、舞台「漆黒天 -始の語り-」など。X(旧Twitter)Instagram

 

──2023年5月に劇場公開されたときのファンの方からの感想や反響はいかがでした?

 

加藤 それでこそ、いろんな意見がありましたが、僕の中の最高にうれしい感想があって、それは勝ち負けじゃなくて、「前と違って、今もいいよね」というものなんです。「この2人が今、作り上げる『タクミくんシリーズ』も素晴らしかった」っていう意見は本当にありがたかったですし、どこかでやってやった感もありました。

 

森下 ファンの方の反応やコメントはいろいろ見ましたし、親とか身近な人からもありがたい意見も聞きましたが、自己評価としては「もっとうまく表現できたんじゃないか?」「もっとこうしたら、タクミくんの良さが出たんじゃないか?」といった反省点もあるんです。でも、ちょうど1年前に撮影していたこの作品は、そのときの自分の気持ちや心境も映し出していると思うし、シリーズを通した成長物語でもあるので、タクミくんの成長と自分の成長がリンクしているとも捉えています。だから、シリーズを経ていくことで、僕も一緒に成長していきたいです。

 

先輩からの「飯行くか!」の言葉はうれしいし、ありがたい

──それだけに、続編に対する思いや意気込みは、かなり強いですね。

 

加藤 もし、今後そういったシリーズ化のお話があるなら、すごくやりたいです。僕としても、初の主演映画なので、紫温と一緒に、さらにタクミとギイの世界を作り上げていきたいという気持ちは強いです。

 

森下 それは僕も同じ気持ちです。僕にとっても、初出演・初主演をやらせていただいた作品ですが、役者としての初めの一歩でもあるし、シリーズとしての始まりの物語なので、大悟くんを始め、キャストの方と、またご一緒したいと願っています。

 

──仲が良い雰囲気が伝わりますが、プライベートでも食事とか行かれるんですか?

 

加藤 はい、行きます。僕が役者として、新たな人生の一歩を踏み出したとき、いろんな先輩にすごく面倒を見てもらったんです。自分が行き詰まっているときの、先輩からの「飯行くか!」という誘いの言葉って、すごくうれしくて、ありがたいんですよ。そういう先輩のかっこいい背中を見て育ってきたので、僕もいい先輩になれたらいいなっていう思いもあって、ちょいちょい紫温を誘っています。

 

森下 カラオケにも一緒に行きましたよね? 実は撮影前の段階から「今度、ウチで一緒に台本読みしようよ」と誘ってくださったし、僕自身「今度、ご飯連れてってくださいよ」とはなかなか言えないキャラなので、大悟くんからいろいろアクションを起こしてくれて、とても助かっています。だからこそ、ギイのイメージも作りやすかったのかもしれません(笑)。

──今、お気に入りのモノやアイテムについて教えてください。

 

加藤 コアマンさんから出ているシーバス(スズキ)釣り用のルアー「VJ28バイブレーションジグヘッド」ですね。シーバス・アングラー(釣り人)なら絶対に持っておきたい最強のワームルアーなので人気があり、地元の名古屋では全然売ってなかったんですが、ふらっと入った東京のお店で見つけて即買いしたんです! 1か月ぐらい前に買って、2回ほど使いましたが、まるで本物の魚のような動きをするんですよ。……でも、まだ釣れていません(笑)。ルアーは実家にあるものを含めると40個ぐらいありますが、今一番のお気に入り。今まで釣り上げたシーバスの最長は58㎝ですが、これで80㎝ぐらいのものを狙いたいです。

↑加藤さん愛用のルアー

 

森下 リップ、アイシャドー、アイライナー、コンシーラーなど、軽いメイク用具は欠かせないですね。BTSなど韓国アイドルが好きで、プライベートでもよくメイクしますし、この間出演した作品でも自分でメイクしました。ブランドにはあまりこだわりがないんですが、自分の肌のパーソナルカラーがイエベ(イエローベース)秋なので、それに合ったメイク用具を探すのが楽しいです。服選びもイエベ秋を基準にしていますね。ただ、「タクミくんシリーズ」の祠堂学院高等学校の制服はパキッとした水色なので、イエベ秋とあまり相性が良くないんですよ(泣)。

↑森下さんの必需品・化粧ポーチ

 

加藤 ちなみに、僕のパーソナルカラーは、制服の水色がいちばん映えるブルベ(ブルーベース)夏です(笑)。

 

 

タクミくんシリーズ 長い長い物語の始まりの朝。

Blu-ray/DVD発売中

Blu-ray 初回生産限定版 6,800円(税込)
DVD初回生産限定版 5,800円(税込)

◆初回生産限定版特典(BD・DVD共通)
特典映像 メイキング、舞台挨拶 約80分
(特典映像はDVDディスクの収録になります)
特典音源:オーディオコメンタリー
特典CD:サウンドトラック、主題歌「0%(movie ver.)」
三方背ケース

(STAFF&CAST)
監督:横井健司
原作:ごとうしのぶ
原作イラスト:おおや和美
脚本:金杉弘子
出演:森下紫温、加藤大悟、中山咲月、高橋璃央、野口友輔、植村颯太、永島龍之介、坪倉康晴、木津つばさ

公式HP:https://takumi-kun.jp/

(C)2023 ごとうしのぶ/KADOKAWA・「タクミくんシリーズ」製作委員会

 

撮影/映美 取材・文/くれい響 ヘアメイク/伊東真美 スタイリスト/扇野涼子(森下)、MASAYA(加藤)

名作の世界に飛び込もう!北村匠海ら豪華俳優陣とエグゼクティブ・プロデューサーが語るNetflixの実写版「幽☆遊☆白書」のこだわりとは?

Netflixが企画・制作するオリジナルコンテンツ「Netflixシリーズ」のラインナップに、週刊少年ジャンプの大ヒット漫画を世界で初めて実写映像化した「幽☆遊☆白書」が加わります。12月14日から世界同時配信が始まりました。

 

配信開始よりもひと足早く、12月13日には都内のイベント会場に5,000人を超えるファンを集めて「第1話」の決戦前夜祭・最速上映会が開催されました。主人公の浦飯幽助を演じる北村匠海さんをはじめ、主要キャストが一堂に集まり、大いに盛り上がったイベントレポートとともに、本作のエグゼクティブ・プロデューサーを務め、「サンクチュアリ」など数々の話題作を手掛けるNetflix コンテンツ部門 バイス・プレジデントの坂本和隆さんに、世界中で多くのファンに愛される伝説の漫画を実写化できた理由などを伺ったインタビューをお届けします。

↑Netflixが独占配信するオリジナルコンテンツ「幽☆遊☆白書」の最速上映会が開催され、総勢12名のキャストが集合

【最速上映会写真一覧】

 

「幽☆遊☆白書」は1990年から集英社の週刊少年ジャンプで4年間にわたり連載された、漫画家の冨樫義博さんによる代表作の1つです。これまでアニメーションにより映像化された作品はありましたが、今回は初めて最先端のデジタル映像技術を駆使した“幽白”のファンタジーアドベンチャーが実写化されます。人気のキャラクターである蔵馬を志尊淳さん、飛影は本郷奏多さん、そして桑原和真は上杉柊平さんが演じます。

 

メインキャストがプレミア上映会に勢揃い!

13日に開催されたプレミアム上映会「決戦前夜祭」には4名のメインキャストのほか、豪華役者陣と監督の月川翔さんが勢揃いしました。

↑主人公の浦飯幽助を演じる北村匠海さん。イベントで幽助の必殺技である「霊丸(レイガン)」のポーズで

 

↑「君の膵臓を食べたい」などを手掛けた月川翔さんが監督を務める

 

ステージではMCを担当したジョン・カビラさんが、一人ひとりのキャストに制作時のエピソードを振り返ってもらいながら「幽☆遊☆白書」の見どころを深掘りしました。

 

Netflixは5年間という長い時間をかけて実写版の「幽☆遊☆白書」を完成させました。北村さんや志尊さんをはじめキャストの全員が口を揃えながら「5年間、みんなで魂を削りながら作ってきた作品が遂に公開できる日を迎えられることが本当に感無量」と、熱っぽく語っていました。

 

劇中に登場するキャラクター、コエンマを演じる町田啓太さんからは「ほぼ完成していたのに、全部撮り直したシーンがある」という驚きのエピソードも飛び出しました。町田さんは、良い作品をつくるためにこだわり抜くNetflixの制作姿勢に多くを学んだとしながら、次のようにコメントを続けました。

↑Netflixのこだわりを感じるエピソードを語った、コエンマを演じる町田啓太さん

 

「撮り直すことになったシーンの現場に足を運んでみたら、前よりも3倍ぐらいセットが豪華になっていて、Netflixのこだわりに圧倒されました。そして原作者の富樫さんも撮影現場にお越し下さいました。富樫さんの目の前でキャラクターを演じられる機会は滅多にないので、とても緊張しました。でも、とても贅沢でかけがえのない時間をいただいたように思います。実際のシーンはとてもコミカルな場面です。ぜひ楽しみに映像を見てほしいですね」(町田さん)

 

衣装やケータリングも一流!Netflixの制作現場はこだわりが盛りだくさん

ハリウッドを代表する映画監督、クエンティン・タランティーノ監督もリスペクトしている女優の梶芽衣子さんも、浦飯幽助の師範・幻海の役を演じています。梶さんもまた、Netflixの名作を残すことにかける情熱が強く印象に残ったと語りました。

↑浦飯幽助の師範・幻海の役を演じる梶芽衣子さん

 

「私は役者として58年目のキャリアを迎えましたが、今回の『幽☆遊☆白書』ほどリッチな現場は今までなかったと思います。衣装もぜんぶオートクチュールなんですよ。役者に合わせて採寸をしてから、衣装が仕上がるまでに約1か月かかったことだけでも驚きました。制作現場ではいつも最先端の映像技術が活躍していました。監督、カメラマン、スタッフの皆さんがとても大変な思いをして生み出した作品です。日本がここまでクオリティーの高い作品を作れることを、世界に向けてアピールできる自信作が完成しました」(梶さん)

 

5年間にもおよぶ、ロングマラソンのようなハードな制作期間を無事に乗り越えられた理由のひとつとして、北村さんは「Netflixが現場に用意してくれるご飯(ケータリング)がとてもおいしかったこと!」について触れると、ステージに上がったキャスト一堂が大いに盛り上がりました。

↑敵役の鴉を演じる清水尋也さん

 

浦飯幽助と敵対するキャラクターの「鴉(カラス)」を演じる清水尋也さんは、劇中ではいつもマスクを着けていました。「演技中にマスクが顔からズレないようにぴったり固定していました。だから他のキャストのみんなと違って、休憩中に“つまみ食い”ができないので、おいしい食事が食べられる時間をみんなよりも何倍も楽しみにしていました」と振り返った清水さんの“苦労話”が語られると、会場が大きな笑いに包まれました。

 

月川監督も世界で初めて実写化された「幽☆遊☆白書」に込めた思いを振り返りました。

 

「作品をご覧いただく方々が、『幽☆遊☆白書』のストーリに没頭できるよう、映像の細部も含めて徹底的なこだわりを積み重ねてきました。それだけのことをやらせてもらえる時間をもらえたことが大きかったと思います。期待を寄せていただいたぶん、作品のクオリティを高めるために“やれることは全てやった”と言い切れます」(月川監督)

↑作品の世界同時配信に先駆け、北村さんが「世界一周霊丸」を天に向かって打ち込みました

 

実写だからこそ「幽☆遊☆白書」の世界に違和感なく飛び込める

決戦前夜祭のイベント会場で、Netflixの坂本和隆さんに「幽☆遊☆白書」の手応えを聞くことができました。

 

「私自身が小学生の頃から『幽☆遊☆白書』がとても好きで、原作を読み続けてきました。身近に感じている作品を、Netflixがこのような形で預かり、実写化することを応援していただけたことを光栄に思います。原作者の冨樫義博先生、集英社様にも深く感謝を申し上げたいです。脚本開発には約2年、撮影は約10ヶ月、撮影後にVFXを加える編集工程で約2年をそれぞれにかけているので、合計約5年の制作期間を費やしてきました。その間にはコロナ禍も重なったため、撮影においては様々なチャレンジもありましたが、チーム一丸になってここまで走りきることができました。皆に感謝しています」

↑本作のエグゼクティブ・プロデューサーを務め、Netflixコンテンツ部門バイス・プレジデントの坂本和隆さん

 

坂本さんは、今回世界で初めて実写化された「幽☆遊☆白書」を原作のファンの方々にはもちろんのこと、原作を知らない若い世代の方たちにもぜひ観てほしいと呼びかけています。

 

「Netflixを通して初めて『幽☆遊☆白書』に出会って、作品を好きになってもらうことが私たちの大きな目標でもあります。世界同時配信というNetflixのプラットフォームが持つ特徴を活かして、世界中に一人でも多くの方たちに名作との出会いを届けたいと思っています」

 

Netflix版「幽☆遊☆白書」の“見どころ”を坂本さんに聞きました。

 

「原作の誕生から約30年が経ったいま、デジタルの映像制作技術が成熟したことが実写化を実現できた大きな理由のひとつです。とりわけNetflixはクリエイターの方々が描くビジョンを最大化するためのノウハウとツール、サポート体制を持っています。今回もクリエイターの皆様にはアクションの演出やVFXの工程など、制作をサポートする充実した環境を提供できたのではなかと自負しています。VFXは『幽☆遊☆白書』の世界観を表現するために欠かせないツールです。でも、先ほどキャストの綾野剛さんもステージでコメントしていましたが、その根底を支えているはやはり“人の力”です。基本の部分はVFXだけでつくりきることができません。ディティールへのこだわりもまた、人の力が根底にあったうえで活きてきます」

 

イベントではキャストの町田啓太さんが「ほとんど完成していたシーンを作り直した」という秘話を明かしました。

 

「スタッフの方々にはご迷惑をおかけしてしまう所もあったのですが、でもやはりここはこだわるべきと考えた部分を1から作り直してもらいました。舞台のセットを設計からやり直しました。美術スタッフの方々とも互いに妥協をすることなく高め合えました。その甲斐もあって、観ていただく方々が違和感を覚えることなく『幽☆遊☆白書』の世界に飛び込んでもらえる作品になったと確信しています」

 

Netflixが全力を投じた「幽☆遊☆白書」は12月14日から配信中です。ぜひお見逃しなく!

 

↑蔵馬役の志尊淳さん

 

↑飛影役の本郷奏多さん

 

↑桑原和真役の上杉柊平さん

 

↑ヒロインの雪村螢子を演じた白石聖さん

 

↑ぼたん役の古川琴音さん

 

↑雪菜役の見上愛さん

 

↑戸愚呂兄を演じた滝藤賢一さん

 

↑戸愚呂弟役の綾野剛さん

 

 

Netflixシリーズ「幽☆遊☆白書」

Netflixにて独占配信中

【Netflixシリーズ「幽☆遊☆白書」シーン写真】

(CAST&STAFF)
出演:北村匠海 志尊淳 本郷奏多 上杉柊平
白石 聖    古川琴音 見上愛         清水尋也
町田啓太 梶芽衣子    滝藤賢一
稲垣吾郎 綾野 剛

原作:冨樫義博「幽☆遊☆白書」(ジャンプ・コミックス刊)
監督:月川翔
脚本:三嶋龍朗
VFXスーパーバイザー:坂口亮(Scanline VFX)
エグゼクティブ・プロデューサー:坂本和隆(Netflix)
プロデューサー:森井輝
制作協力:THE SEVEN
制作プロダクション:ROBOT
企画・製作:Netflix

(C)Yoshihiro Togashi 1990年-1994年

水上恒司、若者は「国のためにというより、家族や大事な人のために」映画『あの花』で福原遥とW主演

「初めて愛した人は、特攻隊員でした──」小説投稿サイトで公開され、2016年に文庫として刊行された汐見夏衛氏による『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』。SNSを中心に「とにかく泣ける」と話題になり、シリーズ累計発行部数は85万部を記録。現代の女子高生・加納百合と、特攻隊員・佐久間彰の時を超えた切ない恋物語が描かれている。

水上恒司●みずかみ・こうし…1999年5月12日生まれ。福岡県出身。2018年にドラマ『中学聖日記』(TBS系)で俳優デビュー。2019年に『博多弁の女の子はかわいいと思いませんか?』(FBS福岡)でドラマ初主演を、2020年に『弥生、三月-君を愛した30年-』で映画デビューを果たす。2021年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』への出演をきっかけに、現在放送中の連続テレビ小説『ブギウギ』にも出演中。XInstagram

 

この世代を問わず泣ける小説が、ついに12月8日(金)に実写映画で公開。百合役・福原遥さんとW主演を務める彰役は、戦争作品に縁があるという水上恒司さんだ。戦争に対する強い思いがあるからこそ、演じるうえで生じた葛藤、福原さんとともにした覚悟、そして映画に興味を持つ若者たちへのメッセージなど赤裸々に語った。

 

【水上恒司さん撮り下ろし写真】

 

映画『あの花』における水上恒司の葛藤

 

──テーマが「戦争」ということで、オファーを受けた当初はどんなお気持ちでしたか?

 

水上:高校3年生で野球部を引退した後、演劇部の顧問にスカウトされて1番最初に演じたのが、舞台『髪を梳かす八月』での特攻隊員役でした。また長崎の高校に行ったこと、親族が広島にいることも合わせて、僕は戦争というものに触れられる機会が多かった学生時代を送ってきました。だからこそ、戦争に対する思いが強い故に、映画『あの花』を引き受けるうえでは葛藤を抱えました。

 

──葛藤、といいますと?

 

水上:今回は、百合と彰のラブストーリーです。決して戦争を蔑ろにはしていませんし、時代背景もしっかりと描かれてはいますが、残酷な部分はあえて描かれていない。じゃあ僕の戦争に対するこの思いは? と、彰を演じる上では不要となってしまう自分の思いに、どう折り合いをつけるか悩みました。だから僕の思いは、このような取材などで少なからず発言していきたいと思いました。

 

──彰の演技には不要だと判断した、水上さんの思いについてぜひ聞かせてください。

 

水上:まず前提として伝えたいのが、あの時代を僕は……想像しがたいですよね。戦争の資料や、特攻する前に終戦になって生き残った方々のインタビューを拝見していくと「とんでもない時代だったんだな」って……。簡単に言葉にできないというか、語れないというか、僕はそれを見て知ることしかできないので。それから日本に生まれて良かったと思うことはたくさんありますが、あの時代に生きていた方々のように「国のために何かしなければ」という感覚が、僕には想像できないわけですよ。

 

現代の多くの若者がそうじゃないかなと思います。国のためにというより、家族や大事な人のためにという、もっと細分化している気がします。だから僕は「国のために命を懸けて突っ込んでいく彰」を想像することが難しかった。そして、やっぱり彰は、本当はもっと生きたかったのではと思ってしまったんです。夢もあって、大事な人が目の前にいて。生きたい気持ちを置いといて「それより僕は国のために、やらないといけないことがあるんだ」というのが、あまりに健気であり、悲劇であり……。

 

──戦争の残酷さとして “彰の本音をどこまで表現するか”というところで、一つ葛藤があったのですね。

 

水上:はい。ただ彰が言いたかったことは、百合が言ってくれている。男性が優位にあった時代に、女の子が堂々と「戦争に意味があるの⁉」と言う姿に、彰は衝撃を受けたでしょう。彰が本当は世の中に叫びたいことを、百合がずっと叫んでくれていたから、彰は百合に惹かれたんでしょうし、救われたんだろうと思いました。

 

──彰が見せなかった思いは、百合が表現してくれたと。

 

水上:それから戦争の残酷さは僕が表現しなくても、ラブストーリーとしての作品が表現してくれると思いましたし、完成した作品を見てそう思いました。彰は特攻隊員として潔い部分しか見せませんが、演じていて「あっ、僕はこの子ともっと生きていきたい」と彰が思ったであろう瞬間に出会ったんですね。思わず心で泣いて、そんな自分を責めたくなるような瞬間に。それは百合の天真爛漫な真っ直ぐさを目の当たりにしたからなんです。「おかしいものはおかしい」という百合の感覚は現代ならではで、百合が抗えば抗うほど、戦争の残酷さが表れてきました。

 

──百合と彰のラブストーリー自体が、水上さんが表現したかった思いも表しているのですね。

 

水上:ただやっぱり、彰から百合に対しての思いは隠していますよね。一緒にいたかった、添い遂げたかった、もっと苦難を一緒に乗り越えたかった……。説明しすぎてもチープになってしまうので、見ている人に伝わったらいいなと思って演じました。彰の思いを、想像してくれたらうれしいです。

 

「『何もしない』のと、『あえてしない選択をする』のは全く違う」

 

──脚本を読んだ際、彰の魅力をどこに感じましたか?

 

水上:「赦し」ですかね。ちょうどここ数年、赦しって能力がないとできないし、心に余裕がないとできないことだと感じていました。あるシーンで仲間の特攻隊員が、当時としては受け入れがたい行動をとるのですが、彰はその行動を責めなかった。赦した彰は魅力的ですし、彰の役作りをしやすくなった部分でもあります。

 

──水上さんは学生時代、仲間と一緒に野球に打ち込まれていましたよね。彰と重なる部分もあったのではないでしょうか。

 

水上:重なる部分より、自分にはないからこそ目指すべき部分を多く感じました。僕は人のために、あんなに言葉をかけられるほどできた人間ではない。自分の思いはさて置き、今目の前にいる子を元気づけようと思ったり、逃げようとする仲間を肯定しようと思ったり。「俺だって苦しいんだよ」とか、「俺はお前と行きたいよ」とか絶対あるはずなのに、「僕は行かないといけないんだ」と笑うのは、能力がないとできないと思いました。

 

──そんな彰の役作りに関して、成田監督からは「彰だけ別世界にいるように」と言われたとか。

 

水上:たしか“人間味のない彰”という役作りを、僕が成田さんに提案したんです。彰は達観しすぎていて、人間味がなかった。すると撮影の途中で成田さんが、わざわざそう伝えに来てくださったんです。うれしかったですね。それで極めて無駄なアウトプットをしないことを目指しました。派手な言動をすればするほどキャラは立つので、人によっては「彰は何もしていない」ように見えることも想定していますが、「何もしない」のと、「あえてしない選択をする」のは全く違うと思っています。

 

──水上さんが考えに考えた結果の、彰という役なのですね。

 

水上:作品を作るうえで、彰のことを最も考えたのは僕だと思っています。それから「彰は普通の人とは違う」とは分かっていたものの、その「普通」が難しいとも悩みました。普通って、人によっても時代によっても違いますよね。よく「普通の女子高生がタイムスリップしちゃった!」なんてありますけど、その普通が難しい! 先に普通と設定されているのが、役者としてしんどいところです。

 

「『戦争を知ってほしい』という僕の願いです」

 

──全体を通して、しんどい役だったことが伝わってきます。精神的に苦しくなってしまう瞬間がありそうですが。

 

水上:それはないですね。僕は人殺しの役もやったことがありますが、役にそれほど引っ張られないです。自分自身とくっつけてしまうと、これから先も芝居できないと思うんです。それよりも、やっぱり自分の戦争に対する思いを表現できないことが苦しかった。「これで伝わるかな、間違って伝わらないかな」という苦しみがありましたね。あ、誰のせいでもないですよ、ただ僕が勝手に苦しんでいるだけです(笑)。

 

──そのように苦しくなった際、誰かに話はしたのでしょうか。

 

水上:はい。作品に携わっている方々は、みんな僕の思いを知っています。「僕が思いを伝えたうえで、作品であえて表現しない」のは、「伝えていなくて表現しない」のとは全く違うことなので。僕の思いを聞こうという姿勢を貫いてくださったスタッフの方々には、感謝しかないです。

 

──2021年のドラマ『ウチの娘は、彼氏が出来ない‼』(日本テレビ系)以来2度目の共演となる福原さんとは、どのようにコミュニケーションをとったのでしょう。

 

水上:矢面に立つのはW主演の僕ら2人であり、戦争というテーマを扱っている責任と覚悟もあり、「これじゃ伝わらないよね」「こうしたほうが、作品が言いたいこと、百合が言いたいこと、彰が言いたいことが伝わるよね」と、ずっと会話していました。同じ立ち位置だったからこそ、同じ熱量でお話することができた同志だと僕は思っています。

 

福原さんが自分の役と同じように、僕の役のことも考えてくださったからこそ、僕もそれに応えたかった。今回、すごく良い関係性のまま撮影を終えることができたと思います。前回の共演では、福原さんは1つ年上で、芸歴もはるか先輩なので「今日、何食べました?」「はぁ、そうですか!」くらいの会話を敬語でしていました(笑)。

 

──百合と彰のシーンでは、映画のメインビジュアルでもある、百合の花が一面に咲いた丘でのシーンが印象的でした。当時の撮影の思い出はありますか。

 

水上:役者の永遠の呪いみたいなものですが、あのシーンでは福原さんと、この作品における演技を振り返っていました。もちろんその時のベストを尽くしているつもりでも、見てみたら「違ったな」ということは多くあります。それでも作品は世に出ていってしまう。あのシーンでお互いが本音を吐露し合えたことで、あらためて心してかからないといけないと思いました。

 

──お二人の並々ならぬ覚悟が伝わってきます。さて2023年、海外では新たに戦争が起きてしまいました。若者が戦争映画に興味を持つことも増えるかと思いますが、あらためてメッセージをお願いします。

 

水上:映画『あの花』は、「戦争を知る」入り口を広げています。今の子たちは、僕の学生時代とも全く違う青春を謳歌されていると思いますが、この作品が、今起きている情勢も含めて学んでいくきっかけの1つになればいいと思います。「戦争を知ってほしい」という、僕の願いです。「これを見て、こう思ってください」というのはないです。ただ知るきっかけになってくれれば、それだけで僕は、今この時にこの作品を公開する意義になると思っています。

 

──ちなみに、水上さん自身が戦争を知ったきっかけは何だったのでしょう?

 

水上:何だったんでしょうね。僕は小学2年生の時には、広島の原爆ドームの絵を描いて学校に提出していました。戦争について、人から教えられた経験はないんですよ。当たり前のように平和学習をしてきました。その中で、もし自分が戦争を経験した当事者だったら、憎しみや怒りがあふれ出してしまって、戦争のことを伝えられないだろうと思いました。こうして平和に生きている人間だからこそ、当事者たちの代わりに伝えていかなければと思っています。

 

──ありがとうございました。最後にGetNavi webということで、水上さんが今ハマっているモノについて聞かせてください。

 

水上:パナソニックの「LAMDASH PALM IN(ラムダッシュ パームイン)」です。これ(手のひら)くらいのひげ剃りなんです。通常のひげ剃りは、これ(両手を広げる)くらいじゃないですか。それがとても小さくなって、でもパワーは大きいのと変わらず、充電も2週間もつんです。これは革命です、パナソニックさん!

 

──映画『あの花』の現場でも使われていたのですか?

 

水上:もちろんです。小さいので剃りやすいんですよ。男にはちょうど良い剃り具合っていうのがね、あるんですよ。大変使いやすく、すごく良いです!

 

映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』

12月8日(金)全国公開

 

映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』よりシーン写真

 

(STAFF&CAST)
主演:福原遥、水上恒司
出演:伊藤健太郎、嶋﨑斗亜、上川周作、小野塚勇人、出口夏希、坪倉由幸、津田寛治、天寿光希、中嶋朋子/松坂慶子
主題歌:福山雅治「想望」(アミューズ/Polydor Records)
原作:汐見夏衛 『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(スターツ出版文庫)
監督:成田洋一
脚本:山浦雅大 成田洋一
製作:「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」製作委員会
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/ano-hana-movie/

 

(STORY)
初めて愛した人は、特攻隊員でした──。親や学校、すべてにイライラして不満ばかりの女子高生・百合(福原遥)。ある日母親と喧嘩をして家出をし、近所の防空壕跡に逃げ込むが、朝目が覚めるとそこは1945年、戦時中の日本だった。偶然通りかかった彰(水上恒司)に助けられ、彼の誠実さや優しさにどんどん惹かれていく百合。だが彰は特攻隊員で、程なく命がけで戦地に飛ぶ運命だった―― 。

 

撮影/映美 ヘアメイク/Kohey(HAKU) スタイリスト/川崎剛史

俳優・林遣都が今ハマっているモノ「何周もして、やっとたどり着きました」映画『隣人X -疑惑の彼女-』公開インタビュー

人間そっくりの姿をした「惑星難民X」と、Xに翻弄される人々が描かれた異色のミステリーロマンス映画『隣人X -疑惑の彼女-』が12月1日(金)に公開。主人公・笹役を演じる林遣都さんには、本作に込めた想いから15年ぶりにタッグを組んだ熊澤監督とのエピソード、初共演となる上野樹里さんの印象まで語っていただいた。続けて、GetNavi web恒例の今ハマっているモノについて聞く。

 

「何だコレは!」林さんが衝撃を受けた“ご飯のお供”

 

──本作の撮影を通して興味を持ったモノ・コトなどはありましたか?

 

 僕、心霊スポットやお化け屋敷が全然怖くないタイプなんですよね。惑星難民Xということで、心霊スポットとかに少し興味を持ち、ふと考えることがありました。一般的に、あまり良くないことかもしれないですが(笑)。

 

──実際にXのような存在がいると言われたら、林さんは信じるのでしょうか?

 

 「そんなモノいるわけないだろう」とは思っていないですが、特に影響されないと思います。Xが危害を加えてこないなら、最初から危ないと判断することはありません。

 

──先ほどのお話であがっていた、人を見かけで判断しない良子(上野樹里さん)に通じるモノを感じました。最近ハマっているモノはありますか?

 

 最近は「今日は何食べようかな」と考えることが一番の楽しみで、常にご飯のお供を探しては試しています。その中で一番ハマっているのが「やみつき薬味 山わさび納豆」(タカノフーズ株式会社)ですね。スーパーに売っているパックされた納豆で、辛子の代わりに山葵がついているんですよ! 毎日のように食べています(笑)。

 

──美味しそうですね。辛いモノが好きなのですか?

 

 そういうわけではなく、スーパーで商品の新規開拓をするのが好きなんです。美味しそうな商品を常に求めています。いつも通る納豆コーナーでわさび納豆を見つけて、試しに買って食べてみたら「何だコレは!」と衝撃を受けました。そこからドハマりですね。

 

──いろいろ試された中で、行き着いたのですね!

 

 そうですね。何周もして、やっと辿りつきました。とにかくご飯に合います。わさび納豆を海苔で巻いてご飯を食べると、お寿司屋さんの納豆巻のようになってさらに美味しいです。ぜひ皆さんにも、試していただきたいです。

 

──このあと買いに行きます! ありがとうございました。

 

【林遣都さん撮り下ろし写真】

 

映画『隣人X -疑惑の彼女-』

12月1日(金)新宿ピカデリー他全国ロードショー

 

【映画『隣人X -疑惑の彼女-』よりシーン写真】

 

(STAFF&CAST)
出演:上野樹里 林 遣都 黃姵嘉 野村周平 川瀬陽太/嶋田久作/原日出子  バカリズム 酒向 芳
監督・脚本・編集:熊澤尚人
原作:パリュスあや子「隣人X」(講談社文庫) 音楽:成田 旬
主題歌:chilldspot「キラーワード」(PONY CANYON / RECA Records)
配給:ハピネットファントム・スタジオ
制作プロダクション:AMGエンタテインメント
制作協力:アミューズメントメディア総合学院
©2023 映画「隣人X 疑惑の彼女」製作委員会 ©パリュスあや子/講談社
公式サイト:https://happinet-phantom.com/rinjinX/

 

(STORY)
ある日、日本は故郷を追われた惑星難民Xの受け入れを発表した。人間の姿をそっくりコピーして日常に紛れ込んだXがどこで暮らしているのか、誰も知らない。Xは誰なのか? 彼らの目的は何なのか? 人々は言葉にならない不安や恐怖を抱き、隣にいるかもしれないXを見つけ出そうと躍起になっている。

週刊誌記者の笹は、スクープのため正体を隠してX疑惑のある良子へ近づく。ふたりは少しずつ距離を縮めていき、やがて笹の中に本当の恋心が芽生える。しかし、良子がXかもしれないという疑いを払拭できずにいた。良子への想いと本音を打ち明けられない罪悪感、記者としての矜持に引き裂かれる笹が最後に見つけた真実とは。嘘と謎だらけのふたりの関係は予想外の展開へ…!

 

撮影/映美 取材・文/kitsune ヘアメイク/竹井 温 (&’s management) スタイリスト/菊池陽之介

若葉竜也「 “横にいる人のことを本当に分かっているのか?”ということを喚起したかった」映画「市子」12・8公開

観客からの支持を得て再演もされた舞台「川辺市子のために」を、杉咲 花さんを主演に迎えて映画化した「市子」が12月8日(金)より公開。プロポーズを受けた翌日に、突然失踪した市子の行方を捜す恋人・長谷川を演じた若葉竜也さんが独自の役作りについてはもちろん、シブすぎる趣味についても熱く語ってくれました。

 

若葉竜也●わかば・りゅうや…1989年6月10日生まれ。東京都出身。2016年、第8回 TAMA映画賞・最優秀新進男優賞を受賞。作品によって違った表情を見せる幅広い演技力で数多くの作品に出演。若きバイプレーヤーとして評価を高める。映画「葛城事件」(16年/赤堀雅秋監督)での鬼気迫る芝居で注目を集め、「愛がなんだ」(19年)や「街の上で」(21年)など今泉力哉監督作品で欠かせない存在に。主演映画「ペナルティループ」(24年3月公開予定)が待機中。Instagram

 

【若葉竜也さん撮り下ろし写真】

 

 

「誰が気づくんだ?」というこだわり

──3年間一緒に暮らしながら、過去を知らなかった市子を捜索する長谷川という役柄を演じるにあたり、どのような役作りをされましたか?

 

若葉 映画を観ているお客さんと一緒に市子を捜していく役柄なので、常に鮮度というか、とびきり新鮮なリアクションを意識しました。だから、普段の映画の準備の仕方とは、ちょっと違うものになったと思います。「台本を読み込む」という役者なら当然のことを捨てるということをやり、嘘にならないようにすることを考えました。戸田(彬弘)監督からは、そこまで細かい指示はありませんでしたが、市子の過去に立ち入らない優しさもありつつ、見たくないものに蓋をしてきた長谷川のズルさや軽薄さみたいなことは意識しました。

 

──戸田監督が作・演出されていた原作となる舞台「川辺市子のために」はご覧になられましたか?

 

若葉 戸田監督から「見てほしい」と言われていないこともあり、見ていません。長谷川は、もともと大阪出身の設定で、台本のセリフも関西弁で書いてあったんです。でも、(市子の母親役の)中村ゆりさんも、(刑事役の)宇野祥平さんも関西の人だし、(市子役の)杉咲 花さんは、僕と同じ東京出身ですが、朝ドラ「おちょやん」で1年間、関西弁に触れていた人なので、そんな人たちの中で、えせ関西弁をしゃべる僕が出てきたら、関西の方が冷めてしまうと思ったんです。それで早い段階で、戸田監督に「長谷川を東京出身に変更できますか?」という提案をさせてもらいました。

 

──若葉さんの役作りの1つとして、髭と髪の長さがあると思いますが、今回に関しては?

 

若葉 戸田監督から「髭はない方がいいですね」って言われたので、こうなりました(笑)。ただ、市子がいなくなった後の長谷川は、毛穴をちゃんと映すという判断から青髭状態で撮っているし、回想シーンはファンデーションで髭を消しています。僕の中では、市子と長谷川の過ごした幸せに見える時間っていうのは、イ・チャンドン監督の「オアシス」で障害のあるヒロインが急に健常者に戻る幻想的なシーンに近いかなと思っています。あと、現実を目の当たりにすることで、長谷川は呼吸を始めたと僕は捉えたので、汗も作りものじゃなく、全部本物の汗なんです。そう考えると、「誰が気づくんだ?」というところまで、細かくこだわっていますね(笑)。

 

台本に書かれていない感情が、いろいろ詰め込まれた

──市子役の杉咲花さんとはNHK連続テレビ小説「おちょやん」などで共演されていますが、本作での共演はいかがでしたか?

 

若葉 僕が同年代の女優さんだったら、本当に消えてほしいと思っちゃうぐらい、ちょっと次元が違う俳優さんですね。誤解を恐れず言うんだったら、技術的に杉咲さんより達者な方はたくさんいると思うんですよ。でも、技術じゃ到底たどり着けないところに杉咲さんはフワッとジャンプしてタッチしてくるんです。「おちょやん」のときよりも、いろんなものを削ぎ落して、どんどんシンプルになっているし、芸歴とかそういうことでは出せないような表現をしてくるので、「市子」を観たとき、「この後、どこに行くんだろう?」と思いました。いちファンとして、30代になったときのお芝居も楽しみですね。

 

──宇野祥平さんとの共演シーンでは、無言で感情表現されている印象が強いです。

 

若葉 この映画は台本に書かれていない感情が、いろいろ詰め込まれた作品だと思います。宇野さんが演じられた刑事の人物像も、もともとは普通の刑事だったんですが、長谷川と一緒に行動するにあたって、虐げられた一人ぼっちの男にした方がいいんじゃないか? というアイデアが出てきたり、原付で走り去るシーンが生まれたり、毎日いろんな変化が起きるような現場でした。だから、台本を超えられたような気がします。

 

──役者同士の熱量がハンパじゃない作品だけに、ほかの共演者の方とのエピソードもお願いします。

 

若葉 僕が直接共演したのは、杉咲さんと森永(悠希)くん、宇野さん、中村ゆりさんですが、宇野さんと中村ゆりさんに関しては、僕らみたいな役者が監督と話して、こういう感じにしたいと思ったものを見て、それをズバーンと受け止めてくれるんですよね。そういう人間力というか、安心感に甘えさせてもらった部分はありますね。森永くんに関しては、僕と全く質感の違う役者さんですね。市子に「もう私に関わらないでくれ」と言われるシーンで、よくこんな真剣な表情で「なんでやねん」と言える芝居できるなと思いましたし、森永くんの台本の読み方が気になりました。

 

邪念みたいなものを排除したい思い

──振り返ってみて、どのような体験をした現場だったと思いますか?

 

若葉 初めての経験じゃないですが、作品を試写で観たときに、あまり見たことのない顔をしていたんです。例えば、プロポーズのシーン。なんなら「おちょやん」で一回プロポーズが失敗しているから、それぐらいのトーンでやろうと思っていたんですけど(笑)、思いのほか、自分の心がザラザラとよく分からない方向に行ったんですよね。あとは、森永くんとの対峙や中村さんとのシーンなど、それを切り取ってくれた戸田監督や撮影監督の春木康輔にすごく感謝しています。自分の想像の範疇では収まり切れない奇跡に出会えると、すごく嬉しいんです。

 

──この作品が、観客にどのように伝わってほしいと思われますか?

 

若葉 公式コメントにも出したんですが、僕は自分が安心したいから、人をカテゴライズしていくってことに対して、すごく気持ち悪さみたいなものを感じているんです。例えば、通り魔のニュースが流れて、犯人が捕まって、犯人はこんな家庭環境だったから、こんなことになった。だから、自分とは違う人種なんだという考え。だから、この作品を対岸の火事のようにしたくなかったし、横にいる人のことを本当に分かっているのか、ということを喚起したかったんです。

 

──今や日本映画界には欠かせない存在となった若葉さんですが、この数年間での状況の変化をどのように捉えていますか?

 

若葉 さかのぼると「葛城事件」あたりから、明確に変わっていったと思うんですが、ご一緒したかった監督からのお声がけが増えたんです。そして、ありがたいことに自分が好きだと思える脚本を手渡されていることも増えました。それで、実際に成功しているかどうかわからないですけど、より邪念みたいなものを排除したい思いは強まりましたね。例えば、役者として良い評価を得たいっていう欲望は、映画にとっては邪魔になることがあると思うんですよ。僕はもともとそういうタイプではないですが、よりなくしていきたいと思う、今日この頃です(笑)。

 

こんな趣味だから、全く女性と話が合わない

──今後こういう役をやりたいなど、希望や展望があれば教えてください。

 

若葉 特にないんですよね。まだ情報解禁になってない作品も含めて、苦しめられて、追い込まれて疲弊していく役が多いんですよ。だから、沖縄ロケでハッピーな映画をやりたいですね(笑)。なんだかんだ神経を使う間抜けなバカ役は多いですが、底抜けに明るいバカ役はないんですよ。でも、そういう役が来たら……うーん。いや、やっぱやらないかも(笑)。

 

──気分転換にやられている趣味などがあれば教えてください。

 

若葉 スケボーとか、デッドストックのスニーカーとか、あとはクルマというか、旧車。男臭い趣味ばかりですが、かなり地味に塊根植物とか盆栽とか、植物の世話するのも好きなんですよ。もともとグリーンが好きだったんですが、ここ1年ぐらいで塊根のかっこよさにめちゃくちゃハマってしまって……。パッと見はショウガなんですが(笑)、今では10種類ぐらいあって、少しずつ成長していくのが楽しみです。昨日、仕事で一緒だった池松壮亮さんに、お気に入りのオペルクリカリア・パキプスの写真を見せたら、「ただの木じゃないですか!」と一蹴されました。盆栽は6つぐらいあるんですが、すごく高価だし、手もかかるんですよ。

 

──なかなか、シブい趣味ですね。

 

若葉 あとは、金魚ですね。国産の金魚だけ扱っているお店で購入しているんですが、自然発生的に生まれたような柄とは思えないかっこよさというか、その個性がアートに落とし込まれる意味もわかるぐらいきれいなんですよね。「死ぬのは寂しいから、道ずれにする」という理由から、本当は名前を付けちゃいけないんですが、ペット愛に目覚めてしまったようで、あまりにかわいすぎて、飼っている2匹に名前付けちゃっているんです。こんな趣味だから、全く女性と話が合わないんですよ(笑)。

 

──現場に必ず持っていくモノやグッズがあれば、教えてください。

 

若葉 キャメル色のレザーの台本カバーです。新しい作品が始まるときに、そのカバーに台本を入れ替えるんですが、その瞬間から「これから始まるぞ」って気分になるんです。それまでお金がなくて、紙のカバーみたいなものを付けていたんですが、「葛城事件」の直後に、仲のいい先輩が「もっといいモノに替えろ」と、プレゼントしてくれたんです。だから、「南瓜とマヨネーズ」(2017年)あたりから、ずっといろんな死闘を繰り広げる現場のお供をしてくれている感じです。かなり擦れたり、血糊とか付いていたりしますが、マブダチのような存在です。あと、タバコとお茶の3点セットですね。

 

 

 

市子

12月8日(金)より、テアトル新宿、TOHOシネマズ・シャンテほか全国公開

(STAFF&CAST)
監督:戸田彬弘
原作:戯曲「川辺市子のために」(戸田彬弘)
脚本:上村奈帆、戸田彬弘
音楽:茂野雅道
出演:杉咲 花、若葉竜也、森永悠季、倉 悠貴、中田青渚、石川瑠華、大浦千佳、渡辺大知、宇野祥平、中村ゆり

(STORY)
3年間一緒に暮らしてきた恋人・長谷川義則(若葉竜也)からプロポーズを受け、その翌日にこつ然と姿を消した川辺市子(杉咲花)。途方に暮れる長谷川の前に、市子を捜しているという刑事・後藤(宇野祥平)が現れ、彼女について信じがたい話を告げる。市子の行方を追う長谷川は、昔の友人・吉田(中田青渚)や高校時代の同級生・北(森永悠希)など彼女と関わりのあった人々から話を聞くうち、市子が違う名前を名乗っていたことを知る。

公式HP:https://happinet-phantom.com/ichiko-movie/

(C)2023 映画「市子」製作委員会

 

撮影/映美 取材・文/くれい響 ヘアメイク/寺沢ルミ スタイリスト/Toshio Takeda(MILD)

「人が人を傷つけない社会になってほしい」林遣都、15年ぶりタッグの熊澤監督と映画『隣人X -疑惑の彼女-』に込めた想い

人間そっくりの姿をした「惑星難民X」を受け入れた日本と、Xに翻弄される人々を描いた異色のミステリーロマンス映画『隣人X -疑惑の彼女-』が12月1日(金)に公開された。林遣都さんはXの正体を追う週刊誌記者を演じている。“SFミステリー”の設定がありつつも真摯なラブロマンスであり、現在の日本社会に通じるメッセージも込められた本作に、林さんが乗せた特別な想いとは?

林遣都●はやし・けんと…1990年12月6日生まれ、滋賀県出身。2007年、映画『バッテリー』で俳優デビュー。同作で第31回日本アカデミー賞ほか多くの新人賞を受賞し注目を集める。近年はNHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜」(2019)、NHK連続テレビ小説『スカーレット』(2019)、TBS日曜劇場『VIVANT』(2023)と話題作に出演。ドラマ『おっさんずラブ-リターンズ-』(テレビ朝日系)が2024年1月に放送開始を、映画『身代わり忠臣蔵』が2024年2月9日に公開を控えている。

 

【林遣都さん撮り下ろし写真】

 

 

「未だに悲しいニュースが絶えない世界で生きるのは大変 」

 

──人間の姿をした惑星難民Xが、日本社会に紛れ込んでいるという設定から始まる物語ですが、脚本を読んでどのように感じられましたか?

 

 タイトルを聞いた時「熊澤(尚人)監督が、SF要素のある作品を撮るんだ」と思いました。しかし実際に脚本を読んでみると、近年の自分たちの生活を振り返らせてくれるような内容や、現代社会において目を向けなければいけない問題が多く描かれていたんです。すごくやりがいのある作品だと思いました。

 

──たしかに近年のコロナ禍での生活や社会的偏見、差別など実社会にも通じるテーマが存在していると感じました。作品を作るうえで、大事にしたことはありますか?

 

 脚本を読んだ時に、監督が世の中に伝えたい想いが込められていると強く感じました。監督と常に確認し合っていたわけではないですが、自分も周りも、監督と同じ想いを込めて作品づくりに臨んでいました。

 

──それは、どういった想いでしょうか?

 

 簡単な話ではないですが、「人が人を傷つけない社会になってほしい」という想いです。コロナ禍の混乱だけではなく、未だに悲しいニュースが絶えない世界で生きるのはすごく大変で、やむを得ず人を傷つけてしまう場合が誰にでもあると思います。それでも一人ひとりが心がけを変えて、自分ばかりでなく誰かの幸せを願って生きていれば、そんなに悪いことは起こらないんじゃないかなって。僕自身、日頃から人を無意識に傷つけないよう心がけていることもあり、そんな想いが伝わればいいなと思っています。

 

──素敵です。林さんが演じた笹役には、どのように向き合ったのでしょう?

 

 僕が演じた主人公の笹は、週刊誌記者として、Xの疑惑がある女性・良子(上野樹里さん)を追いつつ、だんだんと彼女に惹かれていく役柄です。そして記者としての仕事で悩んでいるうちに、良子さんのことを傷つけてしまいます。ただ笹が良子さんを傷つけてしまった理由も、僕は理解できるんです。行動の裏には誰しも理由や事情があると思っているので、笹のように「人を傷つける行動をとってしまった人」の気持ちも知りたいと思いながら演じました。でも最終的には、やはり「人を傷つけることはなくなって欲しい」というのが自分の思うところですね。

 

林さんが大事にしている「10代の時に熊澤監督からいただいた言葉」

 

──熊澤監督とは2008年の映画『ダイブ!!』以来のタッグとなりますが、15年ぶりに撮影に臨んでいかがでしたか?

 

 監督とは16、17歳の時にご一緒させていただき、「これからどんな大人になっていくのか」という時期の自分を見ていただきました。若い時にお世話になり、すごく信頼している方とお話すると、あらためて今の自分と向き合うことができます。もし監督が、今の僕を見てガッカリしたら「僕は何か間違えているのかな」という判断基準にもなりますし、初心に戻れます。

 

──これまでにも監督と交流はあったのでしょうか?

 

 はい。数年前に監督が映画の試写会にいらして、感想をくださったことがありました。「お芝居が面白かった」ではなくて、「俳優をやる上での覚悟を感じることができた」と、僕の作品への取り組み方を見てくださったのが、とてもうれしくありがたかったです。10代の時に監督からいただいた言葉は、今もお芝居をするうえで大事にしています。

 

──どのような言葉か、聞いてもいいですか?

 

 「自分自身を磨き続けること」ですね。「高め続けていかないと、人を演じるなんてできないよね」とお話いただきました。僕自身、俳優はいろんな経験をして、いろんなことを知るのが大前提だと思っています。今回の撮影で「今も意識しています」と監督にお伝えすると、「それをすごく感じたし、今後も大切にしていってほしい」と仰っていただきました。これからも大事にしていきたいです。

 

上野樹里さんと初共演「プロ意識にすごく惹かれました」

──初共演となる良子役の上野樹里さんには、どのような印象をお持ちになりましたか?

 

 樹里さんに初めてお会いしたのは本読みとリハーサルの時で、その夜は監督とプロデューサーさんと樹里さんとで食事をする予定でした。でも納得いくまでやり続けた結果、時間が足りず中止になったんです。その樹里さんの作品や役に対する姿勢、妥協せず作り込んでいく瞬間が僕はものすごく好きなので、本当に充実した時間でした。

 

──上野さんは、とことん追求するタイプなのですね。

 

 そうですね。作品と役に対する責任感をお持ちで、そのプロ意識にすごく惹かれました。作品への心がけや取り組む感覚が同じだと感じ、1日で「この人となら演じる中で良い関係性が築ける」と思いました。その気持ちは撮影が終わるまで変わりませんでしたね。

 

──劇中では良子と笹が、お互いに少しずつ心を通わせていきます。良子のキャラクターは笹から見て、どう映っていたのでしょうか?

 

 良子さんは、笹にとっても世の中においても必要な人間だと思います。人を見かけで判断せず、本質を見つめることができる。そして弱みや痛みを知っているからこそ、他人のそれらに気づくこともできる。笹は知らないうちに良子さんに救われていて、そんな彼女を傷つけてしまったからこそ、新たに気づけたことがあるのかなと思いました。

 

映画『隣人X -疑惑の彼女-』

12月1日(金)新宿ピカデリー他全国ロードショー

 

【映画『隣人X -疑惑の彼女-』よりシーン写真】

 

(STAFF&CAST)
出演:上野樹里 林 遣都 黃姵嘉 野村周平 川瀬陽太/嶋田久作/原日出子  バカリズム 酒向 芳
監督・脚本・編集:熊澤尚人
原作:パリュスあや子「隣人X」(講談社文庫) 音楽:成田 旬
主題歌:chilldspot「キラーワード」(PONY CANYON / RECA Records)
配給:ハピネットファントム・スタジオ
制作プロダクション:AMGエンタテインメント
制作協力:アミューズメントメディア総合学院
©2023 映画「隣人X 疑惑の彼女」製作委員会 ©パリュスあや子/講談社
公式サイト:https://happinet-phantom.com/rinjinX/

 

(STORY)
ある日、日本は故郷を追われた惑星難民Xの受け入れを発表した。人間の姿をそっくりコピーして日常に紛れ込んだXがどこで暮らしているのか、誰も知らない。Xは誰なのか? 彼らの目的は何なのか? 人々は言葉にならない不安や恐怖を抱き、隣にいるかもしれないXを見つけ出そうと躍起になっている。

週刊誌記者の笹は、スクープのため正体を隠してX疑惑のある良子へ近づく。ふたりは少しずつ距離を縮めていき、やがて笹の中に本当の恋心が芽生える。しかし、良子がXかもしれないという疑いを払拭できずにいた。良子への想いと本音を打ち明けられない罪悪感、記者としての矜持に引き裂かれる笹が最後に見つけた真実とは。嘘と謎だらけのふたりの関係は予想外の展開へ…!

 

撮影/映美 取材・文/kitsune ヘアメイク/竹井 温 (&’s management) スタイリスト/菊池陽之介

唐田えりか&芋生悠「実際の私たちも映画の中の2人の関係性にすごく近いです」映画「朝がくるとむなしくなる」

人生に諦めを感じていた女性が、同級生との再会を機に自分らしさを取り戻していく再生の物語「朝がくるとむなしくなる」(12月1日(金)より公開)で、中学の同級生である希と加奈子を演じた唐田えりかさんと芋生 悠さん。お互いを“芋ちゃん”“唐ちゃん”と呼び合うほどプライベートでも仲良しのお二人が、映画初共演の思い出を振り返ってくれました。

 

【唐田えりかさん&芋生 悠さん撮り下ろし写真】

 

私たちなら脚本以上のものが生まれるかもしれない

──プライベートでも友だちのお二人ですが、何きっかけで知り合われたのですか?

 

唐田 芋ちゃんは私が芸能の仕事を始めて、初めて出来た友だちなんです。18歳ぐらいのとき、カメラマン志望の地元の高校の同級生が「この間、こんな子を撮った」って言って、芋ちゃんの写真を見せてくれたんです。そのときは芋ちゃんのことを知らなかったんですけど、「めっちゃかわいい子!」と思って、Instagramをフォローしたら、芋ちゃんからメッセージが来て、それ以来の繋がりです。

 

芋生 唐ちゃんからInstagramをフォローされて、「ありがとうございます」から、わりとすぐに会おうって流れになりました(笑)。それで、唐ちゃんはカメラが趣味なので、遊びに行きつつ、写真をいっぱい撮ってもらいました。今年お互い26歳になるんですが、やっと共演できましたね。

唐田えりか●からた・えりか…1997年9月19日生まれ、千葉県出身。2015年にドラマ「恋仲」でデビュー。ドラマ「こえ恋」「トドメの接吻」「凪のお暇」のほか、韓国Netflixドラマ「アスダル年代記」に出演。映画では、主演作「の方へ、流れる」(22年/竹馬靖具監督)、ヒロイン役「死体の人」(23年/草苅勲監督)など。待機作に、2024年Netflixシリーズ「極悪女王」がある。Instagram

 

──石橋夕帆監督は唐田さんを当て書きして、脚本を書かれたようですが、事前の打ち合わせでは、唐田さんは監督とどんなお話をされたのでしょうか?

 

唐田 パーソナルな部分をお話しました。とはいえ、かなり深い話をしたというわけではなく、「普段どんな生活していますか?」とか「どんなものが好きですか?」といった監督からの質問に対して、友だちに話すような感じでした。その後、出来上がった脚本を読ませていただいたのですが、全部が全部ではないにしろ、希の普段のテンションや言葉の使い方、あとはインドアなところなど、自分にかなり近いものを感じました。

 

──いっぽう、芋生さんは女子高生役を演じた石橋監督の前作「左様なら」に続く出演になりますが、今回は社会人役ですね。

 

芋生 まず、また夕帆さんと一緒に映画ができるということが嬉しかったです。そして、それが唐ちゃんとの初めての共演作で、社会の壁にぶつかっている加奈子という役を演じられることが意義のあることだと思いましたし、「もしかしたら、私たちなら脚本以上のものが生まれるかもしれない」という期待感もありました。

 

加奈子にとって希は大切な存在、唐ちゃんも私にとって大切な存在

──劇中、希と加奈子は好きだったマンガ「FAIRY TAIL」などの話題で盛り上がりますが、実際にお二人が盛り上がる話題は?

 

芋生 お互いK-POPが好きなんです。それで2人で新大久保に韓国料理を食べに行くことも多いです。最初に会ったのは吉祥寺? いや、「スクランブル交差点すごいね!」って言っていたから、渋谷だったと思います(笑)。

 

唐田 週3ぐらいで会っていたときもあって、一緒にご飯モリモリ食べてましたね。あと、銭湯もよく行ってましたし、お互いのお家に遊びに行って、お泊りもしてました。私の方が酔っぱらうと、芋ちゃんよりテンション高めになることもそうですが(笑)、実際の私たちも、映画の中の希と加奈子の関係性にすごく近いです。

芋生 悠●いもう・はるか…1997年12月18日生まれ。熊本県出身。2015年にデビューし、主演映画「ソワレ」(20年/外山文治監督)で注目され、映画やドラマ・舞台・CM と幅広く活躍。「37セカンズ」(20年/HIKARI監督)「ひらいて」(21年/首藤凛監督)「左様なら」(19年/石橋夕帆監督)などに出演。 Instagram

 

──ボウリング場や居酒屋などのシーンでの長回し撮影やアドリブがとても印象的です。

 

芋生 もともと加奈子は親の影響からボウリングがうまい設定で、希に投げ方を教えるんですが、私があまりにも下手すぎて……。だから、ずっと練習していました(笑)。夕帆さんは、その場の感情を大事にしてくださる方なので、「ここは自由にお願いします」というところは、いろいろアドリブを入れていくんですが、もともとの台本がすごく面白いから、そこから会話が膨らんでいくことが多いです。

 

唐田 居酒屋のカウンターでお酒を飲んでいるシーンだったり、その帰り道のシーンの方が、ボウリング場よりもアドリブが多いかもしれないですね。芋ちゃんがバンドマンの話をしたり、私がマイケル・ジャクソンの真似をしたりするあたりは、完全にアドリブです。

 

──終盤、加奈子が発する「大丈夫」というセリフがキーワードとなりますが、そのシーンの撮影エピソードを教えてください。

 

芋生 加奈子にとって希は大切な存在だし、実際の唐ちゃんも私にとって大切な存在だし、その思いがあまりに高まりすぎて、どうしても泣いちゃうんですよ。しかも、部屋の中のシーンでは、唐ちゃんが本当に真っすぐ思いを伝えてくれるので、できるだけ泣かないよう、ちゃんとコントロールしなきゃなって堪えましたし、実際に何テイクもやらせてもらいました。

 

唐田 もともと、あのシーンは脚本の段階で涙を流すとかは一切なく、わりとサラッと終わる感じだったのですが、段取りのときに私も感極まってしまって……。それで石橋監督やスタッフさんが「このシーン、こういう感じに変更しましょうか?」という話し合いをしてくださったと思うんです。それで石橋監督から「このシーンをいちばん感情が高まるシーンにして、ラストに繋げましょう」とディレクションがありました。とてもありがたかったですね。

 

大切な宝物みたいな作品になりました

──芋生さんから見て、2度目の参加となった「石橋組」の特徴とは?

 

芋生 夕帆さんは、そこにいる人たちの空気感を作るのがすごくうまい監督さんなので、現場に行ったら、自然とリズミカルな会話も生まれますし、どこか魔法にかかった不思議な感じがします。その空間にいるのは役者同士なのに、そんな感じが一切なくて、役として会話が始まるんです。

 

──仲良しなお二人の初共演作ですが、それぞれのキャリアにおいて、どのような作品になったと言えますか?

 

唐田 芋ちゃんと初めて共演できて、石橋監督とも初めてご一緒できて、とても貴重な時間でしたし、大切な宝物みたいな作品になったと思います。

 

芋生 夕帆さんと一緒にやらせてもらえる作品は、まるで走馬灯のように、自分の思い出の一部になるんですが、今回も思い出の一つになりました。唐ちゃんと過ごした時間が映像として残っていることは自分にとって特別なものだし、私も一生の宝物になったと思います。

 

──それではモノやコトについて教えてください。いつも現場に持っていくモノやアイテムはありますか。

 

芋生 私は待ち時間が長くなりそうな現場には必ず、ストレッチマットとスーパーポールを持っていきます。そして、身体が硬くならないように、できるだけほぐします。スーパーボールは、ふくらはぎや脚をぐりぐりすると、むくみも取れるし、なかなか効くんですよ。

 

唐田 私もむくみやすいので、電気バリブラシと電動かっさを持ち歩くようにしています。電気バリブラシを全身にやってから、電動かっさを使うと、血流がさらによくなるんですよ。現場はむくむことが多いので、寒さ対策よりむくみ対策ですね(笑)。

 

 

朝がくるとむなしくなる

12月1日(金)より渋谷シネクイントほか、全国順次公開

 

(STAFF&CAST)
監督・脚本:石橋夕帆
出演:唐田えりか、芋生 悠、石橋和磨、安倍 乙、中山雄斗、石本径代、森田ガンツ、太志、佐々木 伶、小野塚渉悟、宮崎太一、矢柴俊博

(STORY)
会社を辞め、コンビニでアルバイトとして働く24歳の希(唐田えりか)。バイト先でもなかなかなじめず、実家の親にも退社したことをいまだ伝えられないまま、今日もむなしい思いで朝を迎える。そんなある日、中学時代のクラスメイトだった加奈子(芋生悠)がバイト先にやってくる。最初はぎこちなく振る舞う希だったが、何度か顔を合わせるうちに、加奈子と距離を縮め、彼女の日常を少しずつ動かし始める。

公式HP:https://www.asamuna.com/

(C)Ippo

 

撮影/中田智章 取材・文/くれい響 ヘアメイク/尾曲いずみ スタイリスト/小宮山芽以 衣装協力/Eimee Low、AS KNOW AS PINKY、CHIGNON、CAMPER

“年間200本の映画を見る”声優・稗田寧々が映画の面白さを伝える『稗田寧々のまもなく上映開始です』、ニコニコチャンネルで12・1配信スタート

声優・稗田寧々の冠番組『稗田寧々のまもなく上映開始です』が、ニコニコチャンネルにて12月1日(金)午後8時より配信スタート。

稗田寧々 撮影:小川遼

 

本番組は、毎月1回ニコニコチャンネルにて生配信、さらにTV LIFEのYouTubeチャンネルでも番組の一部が配信。初回配信は映画の日である12月1日(金)午後8時スタート予定で、番組で行う企画の発表や、年間200本の映画を見る稗田が映画の面白さを語る。

 

稗田は、『ガンダムビルドダイバーズ』ヤシロ・モモカ役、『魔王学院の不適合者 ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~』ミサ・イリオローグ役、 『がんばれ同期ちゃん』同期ちゃん役、『魔都精兵のスレイブ』東八千穂役などを担当。さらに声優アーティストユニット「DIALOGUE+」としても活動中。

 

現在、番組や稗田へのメッセージ、「オススメの映画」に関するメールを募集中。また、番組を応援してくれる会員も募集。会員になると、生放送が全編視聴できるほか、オフショットや限定動画をニコニコチャンネルで見られたり、稗田のサイン入りチェキのプレゼント、映画の先行試写会チケットや映画グッズをもらえたりといった特典が受けられる。会員費用は月額770円(税込)。

 

プロジェクトチーム担当者・中筋啓コメント

プロジェクト第1弾「黒嵜菜々子のわたしを野球につれてって!」に続く第2弾は、声優・稗田寧々さんが映画の魅力を伝える番組。本企画のパーソナリティ候補を探しているとき、さまざまな業界の方から稗田さんの名前が挙がりました。年間200本の映画を見る彼女の熱量は、きっと映画の魅力をさらに広めてくれると信じています。

本企画では過去の名作や最新映画など、さまざまな作品にフィーチャーする予定です。視聴者のオススメ映画も番組宛のメールなどで集め、それを取り上げるような試みも予定しています。

 

配信情報

『稗田寧々のまもなく上映開始です』
ニコニコチャンネル、YouTube(一部公開)

配信形態:月1回生配信(不定期)

※番組全編を視聴するには、番組会員になる必要があります。
会員費用:770円(税込)

番組ページ:https://ch.nicovideo.jp/nene-movie
番組公式X:@hieda_movie

稗田寧々公式X:https://twitter.com/nene_hieda
稗田寧々公式Instagram:https://www.instagram.com/nenenenehieeeee

野元空がアイドルのセカンドキャリアを描いた「ファンファーレ」で映画初主演。「自分の人生に近かったのでリアルに演じることができた」

2011年、中学生時代にダンス&ボーカルグループのメンバーとしてキャリアをスタートさせて、現在は俳優として舞台を中心に活動する野元 空。自身にとって映画初主演となる公開中の映画「ファンファーレ」で演じるのは元アイドルグループのメンバーだった駆け出しのスタイリスト。自身の境遇に似ていて共感することが多かったという本作の撮影エピソードや、俳優の道を選ぶまでの道のりを語ってもらった。

 

野元 空●のもと・そら…1997年11月9日生まれ。鹿児島県出身。2011年にデビュー。現在はダンスや歌の経験を活かして、俳優として舞台をメインに場広く活動中。主な舞台出演作に、「アサルトリリィ・御台場女学校編」(2021年)、「比翼の人」(2022年)、「TOKYO TOKYO COL-CUL COMEDY」(2022年)など。映画出演作に「30S」(2023年)など。公式HPX(旧Twitter)InstagramTikTok

 

【野元空さん撮り下ろし写真】

 

アイドルのセカンドキャリアを描いたストーリーに共感した

──これまで映画の出演経験はありましたか?

 

野元 「ファンファーレ」が2作目です。同じく今年公開の映画「30S」が1作目で、短いスパンで撮影がありました。

 

──映画出演2作目にして初主演はすごいですね。

 

野元 オーディションで選んでいただいたんですが、(水上)京香ちゃんとW主演という形で出させていただいて、私にとって大切な作品になりました。

 

──オーディション前に大体のストーリーは知らされていたんですか?

 

野元 事前に台本をいただいていました。それを読んだ時点で絶対に出たいと思って、「このチャンスに懸けよう!」という思いでオーディションに臨みました。

 

──物語は、野元さん演じるスタイリストの玲、水上さん演じる振付師の万理花、そして喜多乃愛さん演じる、かつて二人が所属していたアイドルグループ「ファンファーレ」の現役メンバー・由奈を中心に進んでいきます。

 

野元 長いこと一緒のグループで活動してきた二人がアイドルを辞めてからのお話なので、自分の人生と被るところが多くて。だから余計にやりたいと思ったんです。

 

──オーディションの時点で、それぞれの役は決まっていたんですか?

 

野元 この3人の誰かでということでオーディションを受けました。まず私の経歴から言って、由奈ではないだろうから、万理花か玲だろうなと。この2人だと、私の性格に近いのは玲なんですよね。私も小さい頃からダンスをやり続けているので、そこは万理花に共通するところもありましたけど。

 

──オーディションの手ごたえはいかがでしたか。

 

野元 気合を入れて臨んだので、力み過ぎたなという部分もあって、自分の中で思い描いていたほどうまくできなかった気がして100%落ちたと思いました。オーディションが終わったその足で近くの喫茶店に入って、めちゃくちゃ落ち込みながらコーヒーを飲みました(笑)。だから玲に決まったと聞いて、めっちゃうれしかったです。

 

──性格は玲に近いと仰っていましたが、落ち着いたテンション感も共通しているんですか。

 

野元 ほとんど一緒です。3人が集まって、「初めてファンファーレのメンバーが揃ったときのシーンを再現してみよう」というシーンがありますが、そのときに自己紹介する感じとかも一緒でした。だから私としては本当に演じやすかったですし、玲で良かったです。

 

──役作りについて、監督から具体的な指示はあったのでしょうか。

 

野元 女の子の人生を覗き見しているような作品にしたいというお話があって、「あまり演じようとせず、飾らず、ありのままで」みたいなことを仰っていました。そもそも玲は私に近い性格というのもあって、フラットに演じようと思いました。

 

──玲と現役ファンファーレメンバーとの、ちょっとぎこちないやりとりがリアルでした。

 

野元 玲は後輩との付き合い方が分からなくて、慕ってくれるのはうれしいけど、すごく面倒見が良いかというとそうじゃない。私自身、そういうところがあるのでリアルなのかもしれません。

 

──玲は上司や取引先の人とコミュニケーションがうまく取れずに悩みますが、そこも共感しましたか?

 

野元 私自身は誰かと折り合いが悪いみたいな経験はないんですけど、人付き合いが得意なわけではないので共感しました。世渡り上手な人って、すごくうらやましいです。玲と「そんなふうにうまく生きられたらいいのにね」って話しながらお酒を飲みたいです(笑)。

 

──水上さんと喜多さんも、演じた役に近いところはあるんですか?

 

野元 近いですね。それを踏まえて、監督もキャスティングしたと思います。京香ちゃんも乃愛ちゃんも今回が初めましてだったんですが、本当に10年来の仲だったんじゃないかというぐらい、一緒にいて居心地が良くて。準備期間1週間、撮影期間1週間、トータル2週間ぐらいしか一緒にいなかったのに、すごく仲良くなりました。映画の取材で半年ぶりに会ったときも、「久しぶり」って挨拶もなく、いきなり「聞いてよ。昨日こんなことがあってさ」って、ずっと一緒にいたような空気感でいられるんです。

 

──まさに映画の関係性と一緒ですね。

 

野元 2人ともサバサバしていて、肩の力を抜いて接することができるので、縁と言いますか、会うべくして会った気がします。まだ2人のことを知らなかったときは、どうやって長いこと一緒にいるという空気感を出そうかとか、どうやって関係性を築いていこうかとか考えたんですけど、余計な心配でした。そういう雰囲気って出そうと思って出せるものではないですから。

 

──顔合わせして、すぐに打ち解けられたんですか?

 

野元 最初に監督が、3人だけで話す時間を作ってくださったんです。お菓子と飲み物が置かれた部屋に入れられて、「1時間後にまた来るから話しておいて」と(笑)。そのおかげで、すぐに仲良くなって、自主的に3人でご飯に行きましたし、撮影が始まる前も3人で過ごして、普通に友達になったというか。映画での関係性を作るために仲良くなろうとしたわけじゃなくて、普通に仲良くなっちゃったみたいな。

 

一人で歌って踊る勇気はなかったし、過去にいたグループ以外での活動も考えられなかった

──「ファンファーレ」は元アイドルのセカンドキャリアが描かれています。野元さん自身も同じ芸能とはいえ、歌とダンスをメインにした活動から、俳優へとシフトチェンジしました。

 

野元 私の場合、前にいたグループの活動が終わることもあって、致し方ない状況ではあったんですが、前の環境から抜け出して、役者をやろうと決めたのは間違いなく自分の選択でした。私自身、なかなか思い描いていたような活動ができない時期もあったからこそ、玲の気持ちが分かるし、それを考えると苦しくなりました。

 

──前の事務所を退所されて、しばらくはフリーランスで活動されていたんですよね。

 

野元 一年半ほどフリーランスでやっていたんですが、いかにそれまでの環境が恵まれていたのかを痛感しました。自由な活動はできたんですけど、自分で責任を負わなきゃいけないじゃないですか。自分で選んだ道なので、そこを楽しむことはできたんですが、細かい話ですけど、請求書やスケジュール管理、ギャラ交渉も自分でしなきゃいけない。それまでマネージャーさんたちがやってくれていた事務的なことを、自分でやらなきゃいけない状況になったときに、事務所のありがたみを感じました。守ってくれる人がいないから、自分の身は自分で守るしかないですしね。

 

──ギャラの未払いや契約内容と違うみたいなトラブルに見舞われる可能性もありますからね。

 

野元 その点で言うと、私は本当に人の縁に恵まれていて。これまでの人生を振り返ったときに、周りの人にたくさん助けていただいているんですよね。だから何かあったとき、たくさん周りに相談したので、精神的に助けられた部分も大きかったですし、一人で不安になることもなくて。なんだかんだ楽しくやれていました。

 

──そもそもお芝居に興味を持ったきっかけは?

 

野元 メンバーや先輩が出ている舞台を観劇しているうちに、すごく面白いし、いつか自分もお芝居をしてみたいなと思ったんです。そしたら19歳のときに初舞台に出ることになって、やってみたら演じるのも楽しかったんです。

 

──それまで演技レッスンは受けていたんですか?

 

野元 受けてはいたんですけど、遊び半分みたいなところもあって。本格的な稽古が初舞台でした。それでお芝居の楽しさを知ったんですが、やっぱり事務所の演技レッスンは自分に合わないなと感じて。もっとお芝居を勉強したいなと思って、20歳のときに友達に紹介してもらって、自分でお金を払って外部の演技レッスンに通い始めました。

 

──すごい情熱ですね。

 

野元 そこで知り合った演技トレーナーの方には、今もお世話になっていて。たまたま今所属している事務所の演技レッスンも担当していらっしゃるんですが、ずっとその方に教わり続けていて、もう5、6年経ちます。

 

──相性的なものが大きいのでしょうか。

 

野元 そうですね。何でも話せて、親戚のおじさんみたいなところもあるんですけど(笑)。お芝居のことで分からないことがあったときに質問すると、ちゃんと答えが返ってくるんです。当たり前のことに聞こえるかもしれないですけど、意外と難しいことだし、そこも相性かもしれません。お芝居の課題は尽きないので、今後も末永くお世話になると思います。本当は卒業したいんですけどね(笑)。

 

──どのタイミングで、お芝居をメインに活動しようと考えたんですか。

 

野元 最初はそこまで深く考えていませんでした。ただただお芝居が好きだったので、演技レッスンが楽しい、もっと上手になりたい、いずれは映像作品もやってみたい、という感じでした。だからこそグループの活動が終わるときに、役者になるという選択肢ができたのかもしれません。

 

──グループでの経験を活かした選択肢はなかったんですか?

 

野元 もちろん歌って踊ることは大好きなので、そのまま続ける選択肢もあったんですけど、一人で歌って踊る勇気はなかったですし、そのグループ以外での活動も考えられませんでした。それで一人になったときに、何をしたいのかを考えて、やっぱりお芝居だなと。役者をやるんだったら、事務所を辞めようと思ってフリーランスになったんです。

 

──ダンス経験がお芝居に活きている部分はありますか。

 

野元 直接的に関わっているわけではないんですが、間の取り方なんかは感覚的に活かされているのかなと思います。特に2.5次元の舞台では、リズムの取り方などが役立っています。逆に変な癖がついているところもあるみたいで、ある現場で振り向くシーンがあったときに、「振り向き方がダンサーっぽいのでやめて」と言われたことがあります(笑)。

 

今は自分のやりたいことを、自由にさせてくれる環境

──2022年からASOBISYSTEMに所属していますが、前にいた事務所との違いはありますか?

 

野元 以前はグループだったというのもありますが、前の事務所は待っていたらお仕事が来て、来たお仕事をやるという感じでした。今はお芝居のお仕事に関してはオーディションがあったら、自分で頑張って取りにいかないといけないし、それ以外でも自主性が必要です。SNSに強い事務所なので、どれだけ自分の個性で目立っていくかみたいなところが大事なんですよね。

 

──フリーランスを経験したことで、事務所という後ろ盾があることで安心感も大きいのではないでしょうか。

 

野元 そうですね。事務的なこともやってくれますし、事務所という看板に守ってもらえるのはありがたいです。演技レッスンにも通わせてもらっていますし、私はファッションが大好きなので、そういう系統のお仕事もさせてもらっていて。自分のやりたいことを、自由にさせてくれるところは大きいですね。

 

──「ファンファーレ」に出演して、映画ならではのやりがいって感じましたか。

 

野元 監督が役のことを大事にしてくれていて、好きな食べ物は何とか、どういう彼氏がいそうとか、実際のストーリーには関係ないところまで一人ひとりの設定を細かく作るんです。しかもめっちゃリアルで、「玲に彼氏がいたら同棲をしてどうこう」と2人で話し合いながら紙に書いていくという時間があって、それによって役を膨らませることができました。見た目も、玲を演じるためにインナーカラーを入れたんですけど、個人的にスタイリストさんってインナーカラーが入っているイメージがあるんですよ。玲はスタイリストさんについているアシスタントさんなので、とにかく忙しい。だから髪の毛の色も綺麗に染まっているんじゃなくて、インナーカラーを新たに入れる暇もなく抜けっぱなしになって、ちょっと汚いみたいな。

 

──細かいですね~。

 

野元 そういう役を演じると美容師さんにお伝えして、「根元から入れるんじゃなくて、なんならプリンぐらいからスタートしてください」とリクエストしました。そういう細かいところまで監督と話し合って作ったのが玲というキャラクターですし、キャストさんとスタッフさん全員で一緒に作ったと実感できる現場でした。すごくいい経験でしたし、より映画が好きになれました。

 

──最後に改めて「ファンファーレ」の見どころをお聞かせください。

 

野元 アイドルのお話ですけど、誰にでも自分と同じだなと思えるところがある作品だなという思いがあって。理想と現実のギャップがある中、それでも自分の選んだ道で生きていかないといけないから、必死にもがいて、ちょっと報われたり、全く報われなかったり、いっぱいいっぱいになって泣いちゃったりして。万理花も玲も大きな壁にぶつかるわけじゃなくて、ちっちゃなしんどさが積み重なっていくんですけど、そういう状況に置かれている人って多いと思うんです。だから、こういう苦しさってあるよなって共感してもらえると思いますし、そこに救いもあって、また明日も生きていこうという希望が持てる映画です。

 

 

ファンファーレ

全国公開中!

【映画「ファンファーレ」よりシーン写真】

(STAFF&CAST)
監督・脚本・編集:吉野竜平
出演:水上京香、野元空
喜多乃愛 / 橋口果林、松崎未夢、白井美海、外原寧々
松浦慎一郎、土居志央梨、中島歩

(STORY)
同じアイドルグループ「ファンファーレ」にいた万理花(水上京香)と玲(野元空)。2人はグループ卒業後、振付師とスタイリストの道へ進んでいた。そんなある日、かつての仲間だった現ファンファーレメンバーの由奈(喜多乃愛)から、卒業ライブのために振付と衣装を担当して欲しいと声がかかる。自分の夢や現実と向き合っている日々のなかで突然やって来たチャンス。しかし追いつかない技術や、決して良好ではなかった過去の関係により衝突が発生する……。それでも自分と向き合って前に進もうとする彼女たちの姿を、準備期間からライブ当日までを追いかけた物語。

 

公式サイト:https://funfaremovie.com/

公式X(旧Twitter):https://twitter.com/FunFAREmovie

(C)「ファンファーレ」製作委員会

 

撮影/武田敏将 取材・文/猪口貴裕

AKB48・小栗有以&山内瑞葵&倉野尾成美&山﨑空「またAKB48のみんなと一つの作品を作れてうれしい」映画「ガールズドライブ」

悩みを抱えた女子高生4人が東京までのドライブを通して成長していく青春ロードムービー「ガールズドライブ」が11月10日(金)に公開。本作に出演しているAKB48の小栗有以さん、山内瑞葵さん、倉野尾成美さん、山﨑空さんが、撮影エピソードとともに作品の見どころを語ってくれました。

(左から)AKB48・倉野尾成美、小栗有以、山内瑞葵、山﨑空

 

◆「この4人で映画を」と最初に聞いたときはどう思いましたか?

小栗:『マジムリ学園』のときにAKB48でドラマを作っていただいたことがすごくうれしくて。またみんなと、しかも今度は映画ということで、さらにうれしかったです。

 

倉野尾:この4人という組み合わせは今まであまりなかったし、空やズッキー(山内)とお芝居するのも久しぶりだったので、どう交わるのかなと思いました。

 

山内:私自身、映像系のお芝居をするのは『マジムリ学園』以来だったんです。気合が入りながらも、久しぶりの映像でのお芝居ということもあって緊張もしていて。でもメンバーが一緒なので心強かったし、合間にいろいろなお話ができて楽しかったです。

 

山﨑:私もほとんど演技をしたことがなかったので、すごく緊張していました。でも先輩方がいろいろ話しかけてくれて。私はいつもお菓子を入れたポーチを持っているんですけど、なるさん(倉野尾)がそれに気づいて、おすすめのお菓子を教えてくれました。

 

倉野尾:空はいつもお菓子を食べているんですよ(笑)。しかも毎日違うお菓子を食べているから「今日は何を食べてるの?」って。

 

小栗:何を教わったの?

 

山﨑:「男梅」です。あれから毎日持ち歩いています。

 

倉野尾:(笑)。おいしいよね。

 

小栗:この映画にもお菓子が出てくるシーンがあって。(山﨑は)普通にお菓子が好きなので、いつも通りずっと手が止まらず食べていたんです。その様子がかわいくて、スタッフさんが追加で持って来てくださったりしました。

 

山﨑:食事だったらダメかなと思ったけど、お菓子ならいいかなって(笑)。

 

◆劇中では、マシュマロを焼いて食べるシーンもありました。

山内:焼くのが意外と難しいんです。火に近づけてもうまく焼き目が付かないし、逆に焼き過ぎちゃったりもして。

 

倉野尾:焦がしすぎずに、焦げ目がほんのり付いて。ちょっと中までトロッとする焼き方が理想なんですけど、なかなか…。

 

小栗:でもスタッフさんの中に、焼くのが上手な方がいらっしゃって。その方が焼くともう、ほんの数秒で完璧な焼きマシュマロになるんです。本当に一発百中で。

 

◆1回で100個焼いてくれたんですか?

小栗:間違えた!百発百中です(笑)。

 

倉野尾:(笑)。1回で100個焼けたら、とんでもない人になっちゃう。

 

山内:でも本当、焼いたら全然違って。すごいなと思いました。

 

山﨑:マシュマロって、焼くとこんなにおいしいんだって。発見でした!

 

◆撮影の合間は皆さんでどんなことを話していましたか?

倉野尾:その日のお弁当の予想とかをしていました。「昨日はお肉だったから、今日は…」とか。唐揚げとハンバーグが多かったです。

 

小栗:そんなに多かったっけ?

 

山内:多かったです。「毎日のようにハンバーグ食べてるね」って話してて。

 

小栗:…思い出した!私、親知らずを抜いた直後だったから、あまり食べられなくて。だから記憶にないんだ。

 

山内:ゆいゆいちゃん(小栗)はひたすら、もずくを食べていました(笑)。

 

小栗:もずくだったら、あまりかまずに食べられるから。自分で買って、現場に持って行っていました(笑)。

 

◆食べ物にまつわる思い出が結構多いんですね。

倉野尾:そうですね(笑)。あと横浜での撮影のとき、ゆいとズッキーの2人は中華街に行ったりして。

 

山内:せっかく横浜に来たからって、ゆいゆいちゃんが誘ってくれて。私たち2人だけ空き時間だったので、抜け出したんです(笑)。

 

倉野尾:本当に2人きりで行ったんだもんね?

 

山内:はい、役衣装の制服で行きました。

 

小栗:中華街だったら制服を着ている人もいそうだし、紛れるかなって。何とか小籠包にたどり着いて、みんなの分を買って帰って。

 

倉野尾:2人がうらやましかったけど、おいしい小籠包を食べられてうれしかったです。

 

◆小春(小栗)、由佳(山内)、玲奈(倉野尾)、歩美(山﨑)とそれぞれ個性の違う女子高生を演じたわけですが、誰が一番役と重なりますか?

倉野尾:役と似ているのは、ゆいだと思います。

 

小栗:そうですね。4人の中では小春が一番普通の女の子ですし、自分と似ているところが多かったので気持ちも入れやすくて。逆に違うのは誰だろう…?

 

倉野尾:あとは、みんな違うかも。ズッキーが一番違うかな?

 

山内:違いますね。由佳は「キモい」「ウザい」みたいなことを常に言っていて(笑)。なので、言い慣れていない感じが出ないように練習しました。

 

倉野尾:空も違うよね?歩美は静かな子だから(笑)。

 

山﨑:そうですね。歩美は感情を表に出さず、全然笑わないので。

 

山内:むしろ撮影中は笑ったらダメだったもんね。

 

山﨑:そうなんですよ、普段はニコニコしているのに。感情が出ないようにすると、せりふが棒読みになっちゃうので気を付けていました。

 

倉野尾:抑揚を出さないと棒読みになっちゃうから難しいよね。私も普段とは全然違うキャピキャピなキャラクターで(笑)。でも、その明るさに助けられた部分もあったかも。朝から晩までずっと撮影だったけど、あのキャラクターだったから乗り越えられたと思います。

 

◆では、もしこの4人でドライブや旅行をするなら、どこに行きたいですか?

小栗:景色がブワーッと広がっているところがいいな。オープンカーで夕暮れの海沿いを走ってみたいです。宮古島の橋とか。

 

倉野尾:だいぶ遠い…(笑)。

 

小栗:だから、そこまでは飛行機とかで移動して、橋の部分だけドライブする(笑)。

 

倉野尾:私は栃木かな。東京出発と考えたら現実的だし。紅葉を見て、ギョーザを食べて。神社もたくさんあるから巡ったりするのも楽しそう。

 

山内:私は富士サファリパークに行きたいです。小さいころに一度行ったことがあるんですけど、ちょうど眠たいタイミングだったからか園内をドライブした記憶が全くなくて。動物と触れ合いながら、みんなでドライブしたら楽しいだろうなって思います。

 

山﨑:私は江の島の水族館!イルカとクラゲが大好きなので、それを見に行きたいです。あと、丸焼きたこせんべいを食べてみたいです。

 

◆運転は誰がしましょう?

倉野尾:免許は誰も持ってないんです。欲しいんですけど。

 

山内:私も欲しいです。でも運転が似合いそうなのは、なるさん。

 

倉野尾:確かに。任せてって言っちゃいそう。でも私的にはズッキーが運転する車に乗りたいかな。何か一番安全運転しそうだから。

 

山内:安全には行きたいです。

 

倉野尾:ゆいは道を間違えそう(笑)。

 

小栗:携帯がナビしてくれるから大丈夫。間違えたら携帯のせいってことで(笑)。

 

◆劇中では山﨑さんが運転するというのも意外でした。

山﨑:やってみて思ったのが、運転のときにハンドルって思ったほど動かさないんだということ。最初は分からなくて、ブンブン動かしちゃっていました(笑)。あと持ち方もあるみたいで、それも教わって。もし運転できたら楽しそうだなと思いました。

 

◆映画の中で、特に見てほしいシーンは?

山﨑:一番好きなのはプールのシーンです。もともとプールは大好きだし、皆さんと一緒に遊べて楽しかったです。

 

倉野尾:泳ぎ、うまいんだよね。バタフライが得意らしくて。

 

山﨑:はい。2歳から水泳やってました。

 

山内:しかも服を着たままプールに入るということで、悪いことをしているみたいでドキドキしました。撮影的にも一発勝負なところがあるし、ちゃんといい感じで入れるかなって。入った後はもう“みんなで青春してる!”って感じがして楽しかったです。

 

倉野尾:私は、クライマックスのシーンが印象に残っています。エキストラさんもたくさん来てくださって。

 

小栗:あの日も暑かったよね。

 

倉野尾:そう。結構集中力が必要なシーンだったので大変でした。

 

山内:クライマックスの前にみんなで話し合うシーンがあって、そこもすごくいいシーンなんです。4人が感情を爆発させるんですけど、撮影していてもすごく心を動かされて。そこもぜひ注目していただきたいです。

 

小栗:主題歌も普段のAKB48とは違う、いい意味でギャップのある楽曲になっているので、作品と一緒に楽しんでいただけたらうれしいです。私たちもすごく気に入っています!

 

PROFILE

●おぐり・ゆい…2001年12月26日生まれ。東京都出身。AB型。

●やまうち・みずき…2001年9月20日生まれ。東京都出身。O型。

●くらのお・なるみ…2000年11月8日生まれ。熊本県出身。A型。

●やまざき・そら…2004年5月13日生まれ。東京都出身。B型。

 

作品情報

映画「ガールズドライブ」

2023年11月10日(金)公開

 

出演:小栗有以(AKB48)、山内瑞葵(AKB48)、倉野尾成美(AKB48)、山﨑空(AKB48)
水野勝、大川航、久保姫菜乃(AKB48)、近藤雄介、若林拓也
/鈴木Q太郎(ハイキングウォーキング)/西丸優子、吉田ウーロン太/小手伸也

 

主題歌:「全力反抗期」AKB48(ガールズドライブ)©2023 by DH Co., Ltd.

監督:宮岡太郎

脚本:井上テテ

音楽:岡出莉菜

製作:メディアミックス・ジャパン TCエンタテインメント DH キグー TBSグロウディア テレビ神奈川

制作:MMJ

配給/宣伝:キグー

 

©2023 映画「ガールズドライブ」製作委員会

 

●photo/中田智章 text/小山智久

伊礼姫奈「キラキラしたタイトルから想像したものと、いい意味でギャップがある作品」映画「シンデレラガール」

「子宮に沈める」「飢えたライオン」など、社会の歪みを真正面から描いてきた緒方貴臣監督が、義足のファッションモデルに訪れる心境の変化を描いた映画「シンデレラガール」が11月18日(土)より公開。主演を務める伊礼姫奈さんが、「推しが武道館いってくれたら死ぬ」のアイドル役とは全く異なる力強いヒロイン・音羽の魅力について語ってくれました。

 

伊礼姫奈●いれい・ひめな…2006年2月7日生まれ。群馬県出身。4歳から女優活動をスタートし、これまでに数多くの作品に出演。主な出演作にNHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」、WOWOWオリジナルドラマ「向こうの果て」、「TOKYO MER~走る緊急救命室~」などがある。 映画「マイブロークン・マリコ」や連続ドラマから映画化もされた「推しが武道館にいってくれたら死ぬ」にレギュラー出演するなど、今後も出演作が多数控える。現在、DMM TVにてドラマ「EVOL (イーヴォー)」が配信中。Instagram

【伊礼姫奈さん撮り下ろし写真】

新たなシンデレラストーリーって、どんなものだろう?

──今回の音羽役はオーディションで選ばれたそうですが、最初に「義足のファッションモデル」の話と聞いたときの印象は?

 

伊礼 身近に義足の方がいないこともあり、どこか馴染みのない印象でした。オーディションのときも、いくつかのシーンの台本をいただいただけだったのですが、緒方監督から事前に、音羽の性格やどのような思いでこの作品を作りたいという説明があり、それを聞いたときに「私もこの作品に携わることができたらいいな」と思いました。だから、オーディションで選んでいただいたときは、純粋に嬉しかったです。

 

──ちなみに、緒方監督からの事前の説明とは、どういうものだったのでしょうか?

 

伊礼 もちろん、周りの人たちの支えがあって、成長していく部分はありますが、音羽自身がすごく確立したものを持っていて、自分の意思で前に進んでいく、自立していく姿を丁寧に描きたいというお話でした。それで、「今までのシンデレラ像ではなく、新たなシンデレラストーリーを作りたい」って仰ったんですが、それを聞いて、「新たなシンデレラストーリーって、どんなものだろう?」と、とても惹かれました。

 

──その後、脚本をすべて読んだときの感想は?

 

伊礼 緒方監督の作品らしく、日常生活を切り取っていて、そのシーンが長く続くわけでもなく、スパンって切れて、また新たな生活のシーンが切り取られていくので、どこかドキュメンタリーみたいな雰囲気が伝わってきました。なので、脚本を読みながら、「どういうふうに撮影するのかな?」っていうワクワク感がありましたし、ネガティブなことを言わないところに、音羽らしい強さが出ていると思いました。

 

「天井から吊られていることを意識する」ランウェイの歩き方

──音羽の役作りについてですが、伊礼さん自身はどのように考え、緒方監督からはどのようなアドバイスをされましたか?

 

伊礼 まずは実際に義足を付けられている方に直接お会いして、日常生活ではどういうふうに歩いているとか、いろいろお話を伺いました。また、義足の付け外しの瞬間も見せていただき、それを基に音羽が送る日常や心情に生かしました。あと、セリフだけでなく、細かい表情からもどこか自信があるような感じを意識しました。緒方監督とはリハーサル前も、リハーサル後も、撮影に入るまで、細かく話し合いました。一番は「このシーンでは音羽をこういう女の子に見せたい」「このときの音羽の表情を大事に撮りたい」といったことで、ほかにもそのシーンの意味やセリフの意味も照らし合わせたりしていきました。

 

──モデルとして、ランウェイの歩き方については?

 

伊礼 今までコレクションなどに出たことがなかったので、たくさん練習しました。実際にモデルをやられている方と一緒に歩くシーンだったので、そのモデルの方にいろいろ教えていただいて、撮影までずっと歩く練習をしていました。「天井から吊られていることを意識する」とか、ちょっと変えるだけでも、すごくかっこよく見えたりするので、いろいろ研究しました。緒方監督と話し合い、義足であることは意識しつつ、お芝居では表現しないことを心がけました。結構ちゃんとできていたかなと思います。

──撮影中の印象的なエピソードを教えてください。

 

伊礼 緒方監督は、できるだけカット数を少なめにしたい監督さんなので、ワンカットの撮影が多かったです。例えば、お母さんとのシーンは、生活の一部を覗いているような演出で、演じていても新鮮な気持ちで楽しかったし、出来上がったものを観たときも「すごいな」と思いました。あと、セリフと信号のタイミングを狙っていたクルマの中のシーンやクラスメイトとの関係性や距離感など、その場で生まれるものが多くて、ちょっとした緊張感があったのも楽しめました。

 

自ら発信することの大切さや楽しさ

──完成した作品を観たときの率直な感想は?

 

伊礼 撮っているときは、ほかの作品と変わらない雰囲気だったのですが、完成した映画を観たときに伝わってくる緊張感はなんかすごくて、一観客として独特な世界観に引き込まれました。ランウェイでのシーンは、かっこいいだけでなく、ライティングとかで、いろんな含みのあるシーンになっていたと思います。やっぱり、あの現場で生まれた空気感は印象的でしたし、キラキラしたタイトルから想像したものと、いい意味でギャップのある作品になったと思います。

 

──今回の現場で、学んだことや勉強になったことは?

 

伊礼 見せ方とか作り方みたいなものを肌で感じることができました。今までは作品に参加するみたいな感覚程度だったのですが、今回は2度目の主演作というのもありますし、この力強い物語で、音羽を演じるからという部分も大きかったと思います。緒方監督も、私の意見を求めてくださる方だったので、できるだけ自分から発信することの大切さや楽しさにも気付くことができました。

──伊礼さんといえば、映画化もされたドラマ「推しが武道館いってくれたら死ぬ」のアイドル・舞菜役というハマり役も印象的ですが、実際の伊礼さんはどんな性格の方ですか?

 

伊礼 友達からは、よく「ハッキリした性格だね」とは言われます。好きなものは好きだし、苦手なものは苦手。その人にとって、自分が必要だなって思ったときは、その場にいますし、自分が必要ないとか、大丈夫だなって思ったときは、ちょっと距離を置くようにしているし。このお仕事をしていると、「大人っぽい」とも言われることが多いです。このお仕事を小さい頃からやっていると、いろんなことを学びますし、吸収した素敵なものが積み重なったことで、「大人っぽい」にたどり着いたのかなと思いますね。でも、子供っぽいときも絶対あるし、むしろ高校生らしく楽しんじゃうこともありますよ(笑)。

 

いろんな方から必要とされる女優さんになりたい

──「どんな女優さんになりたい」など、将来の希望や展望を教えてください。

 

伊礼 憧れの女優さんが清原果耶さんとキム・テリさんなのは、以前から変わっていません。あと、必要とされる女優さんになりたいです。視聴者・観客の方に、「あの人の芝居見たいね」って言われるのもですし、撮影現場で「あの人がいたら、安心感あるよね」だったり、ファンの方から「応援したい」って思っていただけたり、いろんな方から必要とされる存在になれたらなと思っています。

 

──いつも現場に持って行くモノやグッズを教えてください。

 

伊礼 高校2年生のときに、お母さんがプレゼントしてくれた台本カバーです。今までは、かなり以前に買った透明なものを使っていたんですが、お母さんが「推し武道」のお仕事が決まる直前ぐらいのタイミングでプレゼントしてくれたんです。「革り小物Aster*isk」さんというところで、皮の色を選ぶところから、お母さんが全部選んでくれたんですが、私の名前も入っているので、世界に一つの宝物です。現場に持っていくバッグも、ここでオーダーメイドで作ってもらったもので、持ち手の部分を台本カバーと同じ色にしました。

 

──ちなみに、カメラが趣味だそうですね?

 

伊礼 写真は私が生きていくうえで、常に近くにある存在なので、フィルムカメラでも、一眼のカメラでも撮ります。最初は興味から初めたんですが、その場の空気感とかも写るので、現場にはよく持っていきますね。現像して出来上がってくるのが楽しみですが、3台ぐらいをメイン使って、あと2台のフィルムカメラはあまり使いこなせてないかもしれません。メーカーはニコンが好きですが、今後余裕があるときに、大人の趣味的なもので楽しめたらなと思っています。

 

 

 

シンデレラガール

11月18日(土)より、新宿K’s Cinemaほか全国順次公開

【映画「シンデレラガール」よりシーン写真】

(STAFF&CAST)
監督・脚本:緒方貴臣
脚本:脇坂豊
出演:伊礼姫奈
辻千恵 泉マリン 太田将熙 輝有子 佐月絵美 三原羽衣 田口音羽 筒井真理子

(STORY)
12歳の時に病気で片脚を切断し、入退院を繰り返していた音羽(伊礼)。中学の卒業式に参加できなかった彼女だったが、病院の屋上で同級生が開いたサプライズの卒業を映した動画がSNSで話題になり、モデルのオファーが舞い込む。“義足の女子高生モデル”として注目されるも、その後の仕事は義足を隠したものばかり。「義足を障がいの象徴でなく、個性として捉えてほしい」という声に心を動かされた音羽は、もっと義足を前面に押し出していこうと決心する。

公式HP https://cinderella-girl.paranoidkitchen.com/

(C)2023映画「シンデレラガール」製作委員会

 

撮影/干川 修 取材・文/くれい響 ヘアメイク/塩田勝樹 スタイリスト/世良 啓 衣装協力/HUNDRED COLOR

乃木坂46与田祐希がヤンキー役に挑戦!不良たちにひるまず強烈ビンタさく裂!!映画「OUT」本編映像公開

11月17日(金)公開の映画「OUT」より、ヒロインを務める乃木坂46与田祐希の本編映像が解禁された。

「OUT」©2023『OUT』製作委員会

 

本作は、累計発行部数650万部を突破するヤンキー漫画「OUT」(秋田書店「ヤングチャンピオン・コミックス」刊)を実写映画化。監督・脚本は「ドロップ」の品川ヒロシ。原作は、品川の中学からの友人・井口達也の青年時代を詰め込んだ実録物語となっている。

 

“狛江の狂犬”と恐れられた伝説の超不良・井口達也が、少年院から出所。地元から遠く離れた叔父叔母の元、焼肉店・三塁で働きながら生活を始める。保護観察中の達也は、次にけんかをすれば一発アウトだ。

 

そんな彼の前に現れたのは、暴走族「斬人(キリヒト)」副総長の安倍要。この出会いが達也の壮絶な更生生活の始まりだった。暴走族の抗争、新しい仲間・家族との出会い、守るべきものができた達也の進む道は──。

 

主人公・井口達也役には倉悠貴、暴走族「斬人」総長の丹沢敦司役には醍醐虎汰朗、副総長の安倍要役に⽔上恒司。特攻隊長の長嶋圭吾役にJO1與那城奨、親衛隊長・目黒修也役にJO1⼤平祥⽣、期待のルーキー・沢村良役にJO1⾦城碧海。そして、ヒロイン・皆川千紘役には乃木坂46与田祐希と、豪華新鋭キャストが集結した。

 

このたび、乃木坂46与田祐希の本編映像が解禁。演じる皆川千紘は、丹沢敦司(醍醐虎汰朗)が7代目総長を務める暴走族「斬人」の5代目総長・皆川状介の妹で、千葉のあらゆる暴走族がたまり場として利用するボウリング場・アイビーボウルでバイトをしている。

 

かつて、アイビーボウル周辺では西千葉近郊の4大暴走族「愚狼」「斬人」「阿修羅」「SID」が入り乱れる大抗争「狂命戦争」が勃発し、数人の死者を出す大惨事に。千紘の兄・状介もその抗争で命を落としていた。

 

この凄惨な事件をきっかけに4大勢力はアイビーボウルでの“もめ事禁止”という不戦協定を結んだのだが、千紘はあえてつらい過去の詰まったアイビーボウルでバイトを始め、もめそうな連中を見つけては止めに入る“抑止力”としての役割を担っている。暴力にも脅しにも屈さず、確固たる信念をもって不良たちを守ろうとするけなげな姿は一目置かれ、誰も彼女に頭が上がらない。

 

解禁となったのは、まさにその様子を収めた、千紘の一喝シーン。アイビーボウルに連れられてきた達也と「斬人」のメンバーは初めて出会い、血気盛んであるがゆえに一触即発の危機に陥る。まさにけんかが始まろうとした瞬間、「はーい。そこまで!」と、一瞬で場を収める千紘の声が響き渡る。

 

全員が千紘に頭を下げてあいさつをし、「斬人」総長の丹沢も駆け寄ってご機嫌伺いを。冷酷な一面も持ち合わせ、圧倒的強さを誇る丹沢も千紘にはタジタジで、総長たる威厳をみじんも感じない。しかし達也はそんな様子を意に介さず、割り込んできた千紘に突っかかっていく。

 

「男のけんかに口出しすんな」とすごまれても千紘の強気な態度と迫力は逆に増していくばかり。「なめられたまま生きていくのは無理」とむちゃなけんかに挑もうとしていた達也に対し、強烈なビンタをお見舞いする。

 

優しさと悲しさを怒りという形で表現しつつ、札付きの不良たちに囲まれてもひるまずぶつかっていく千紘役を体現した与田祐希。

 

品川監督も最初は「どちらかというと天然でポワッとしているから、ヤンキーの役なんかできるのかな? って心配していたんです」と告白するが、「でも、ホン(台本)読みのときの千紘に成り切った彼女を見て、全然大丈夫だと思いましたね」と圧巻の演技にほれ込んだそう。

 

残された者のつらさを知る千紘から、容赦のない素直な怒りをぶつけられた達也たち。彼らは千紘のおかげで、大切なものとは何か、次第に気付かされていく。

 

「OUT」本編映像

作品情報

「OUT」

2023年11月17日(金)全国劇場公開

 

倉悠貴 醍醐虎汰朗 与田祐希(乃木坂46) ⽔上恒司

與那城奨(JO1) ⼤平祥⽣(JO1) ⾦城碧海(JO1)

小柳心 久遠親 山崎竜太郎 宮澤佑 長田拓郎 仲野温

じろう(シソンヌ) 大悟(千鳥) 庄司智春(品川庄司)/渡辺満里奈 杉本哲太

 

原作:井口達也/みずたまこと『OUT』(秋田書店「ヤングチャンピオン・コミックス」刊)

監督・脚本:品川ヒロシ

音楽:武史(山嵐/The Ravens)

主題歌:JO1「HIDEOUT」(LAPONE Entertainment)

 

製作:映画『OUT』製作委員会

製作幹事:吉本興業

制作プロダクション:ザフール

配給:KADOKAWA

 

公式HP:https://movies.kadokawa.co.jp/out-movie

Twitter:https://twitter.com/out_moviejp

Instagram:https://www.instagram.com/out_moviejp

TikTok:https://www.tiktok.com/@out_moviejp

 

©2023『OUT』製作委員会

深川麻衣&大木亜希子「自分で自分のことを勝手に決めつけることが、一番もったいない」映画『人生に詰んだ元アイドルは、 赤の他人のおっさんと住む選択をした』

元SDN48メンバーの作家・大木亜希子さんが自身の体験に基づいて執筆した私小説を映画化した『人生に詰んだ元アイドルは、 赤の他人のおっさんと住む選択をした』が、11月3日(金・祝)から公開。劇中、主人公・安希子を演じた元乃木坂46の深川麻衣さんと大木さんが、セカンドキャリアを歩む元アイドルの苦悩について語ってくれました。

 

【深川麻衣さん&大木亜希子さん撮り下ろし写真】

いい意味で、タイトルに裏切られました

──今回の映画化で、自身の役を深川さんが演じると聞いたときの大木さんの感想は?  いっぽうで初めて原作を読んだ深川さんの感想は?

 

大木 深川さんが出演してくださるという話を聞いたときは、嬉しさのあまり腰が抜けるほど驚きました(笑)。深川さんは私と同じく元アイドルという境遇で、ひそかにシンパシーを感じていました。映画『愛がなんだ』でお芝居を拝見したとき、難しい役柄を繊細に演じられていてすごいなと思いましたし、女優さんとして活躍されている姿を見て励まされていたので、深川さんに安希子役を演じてもらえるなんて、この上ない幸せでした。また、井浦さん演じられるササポンとかけ合わせることで、「どんな化学反応が起きるんだろう?」という期待に胸を膨らませていたのを覚えています。

 

深川 ありがとうございます。原作はすぐに読み終わるぐらい面白過ぎたんですが、いい意味で、タイトルに裏切られたという印象もあったんです。どちらかというと、もっとコメディー寄りで、アイドルだったときの話も描かれると思っていたから。でも、セカンドキャリアで壁にぶつかったり、直面する悩みというのが、ものすごく生々しく描かれていて、そのギャップにグッときました。そんな安希子を自分が演じられるんだということが本当に嬉しくて、撮影に入るのがとても楽しみでした。

深川麻衣●ふかがわ・まい…1991年3月29日生まれ。静岡県出身。2011年から乃木坂46の1期生として活動をスタートし、2016年にグループを卒業。主な出演作に、映画『愛がなんだ』、連続テレビ小説「まんぷく」、大河ドラマ「青天を衝け」、「日本ボロ宿紀行」「特捜9」シリーズ、「彼女たちの犯罪」などがある。Instagram

 

──共同生活をすることになるササポン役を井浦新さんが演じることについては?

 

大木 普段の井浦さんのイメージは幅広い役柄を演じられるかっこいい俳優さんだったので、一体どんな「普通のおじさん」になってくださるのかと思っていたんです。でも、当時のササポンそのままイメージをつかんでくださって、とても感激しました。

 

撮影現場は原作の世界観そのもの

──アイドル時代に「聖母」と呼ばれる癒やしキャラだった深川さんが、逆に中年男性に癒やされる役を演じることについては?

 

深川 これまで演じた役と似ている、似ていないというより、安希子の感情の機微にすごく共感できたこともあり、そのときの安希子の気持ちをどう表現したら伝わるかということを結構考えました。あとは、新さんと実際に向かい合ってみて、生まれるものを大切にしましたし、穐山茉由監督もその空気感を大事に切り取ってくださいました。本当に、みんなで一緒に擦り合わせながら作っていきました。

 

──元アイドルである深川さんが脚本を読んで、共感したセリフやシーンは?

 

深川 安希子は、元アイドルという経歴が今の仕事にプラスになる話のネタだと思っていて。でも取引先の会社の方にはそれがイマイチ伝わっていないシーンは印象的でした。私自身もアイドルグループに属していた経験も含めて今の自分がいると思っているからこそ、独り立ちして認めてもらえるようにより頑張らなきゃいけないという気持ちだったので。だから、安希子の焦りみたいなものは、すごく理解できました。あと、「もう若くないんですよ」と言う安希子に対して、「自分のことを必要以上に年寄りだと思わないほうがいいよ」というササポンの言葉には、ハッとさせられました。自分で自分のことを勝手に決めつけることが、一番もったいないし、実際自分が30歳になるときに、ドラマの現場で先輩の中村梅雀さんに「まだ何でもできるじゃん」って言われたことを思い出しました。

 

大木 私自身、完成した映画を見るまでは「深川さんという元アイドルの俳優さんが演じてくれることで、セカンドキャリアや人生の迷いをリアルに感じる作品になるだろう」と思っていたんです。でも、実際に試写を観たら、元アイドルという境遇に関係なく、一人の悩める女性として共感できる作品になっていると感じました。

大木亜希子●おおき・あきこ…1989年生まれ、千葉県出身。2005年、ドラマ『野ブタ。をプロデュース』で女優デビュー。2010年、SDN48のメンバーとして活動開始。解散後はWEBメディアで、営業担当及び社員記者として3年間働く。現在は作家として独立。著作に『アイドル、やめました。AKB48のセカンドキャリア』(宝島社)、『シナプス』(講談社)。最新の連載小説は『マイ・ディア・キッチン』(別冊文藝春秋/料理監修 今井真実先生)。 X(旧Twitter) / Instagram

 

──大木さんも見学された現場の雰囲気はいかがでしたか?

 

大木 私が見学したのは、友達と朝まで飲み明かして、二日酔いになった安希子がササポンと庭いじりをするシーンだったんですが、原作の世界観そのものでした。初めて深川さんとお会いする日で、すごく嬉しかったんですけど、原作者とはいえ、この空間に土足で踏み込むようなことはしてはいけないと思えるほど、世界観が出来上がっていたので、できるだけ邪魔しないよう、昼食に出してもらったお弁当だけ食べてすぐに帰りました(笑)。

 

深川 ほっとできる安心感のある現場でした。辛いシーンはありつつ、すごく温かい作品ですし、穐山監督も寄り添ってくれるし、新さんもすごく穏やかで何でも受け止めてくださる方ですし、安心感がある現場でしたね。お友だち役の松浦りょうちゃんと柳ゆり菜ちゃんも、すぐに距離が近くなれたし、役の延長線上にみんながいるような現場でした。

 

批判的な言葉を気にしていると、いつまでもブレイクスルーできない

──そんなお二人が壁にぶつかった際、乗り越えたエピソードも教えてください。

 

大木 2019年に書籍化のきっかけとなった記事をWEBメディアで配信したとき、SNSを中心に大きな反響がありました。Twitter(現・X)のトレンドランキングで上位になったときに、やっぱり温かいコメントだけではありませんでした。「こんな生活、おとぎ話に決まってる」とか「元アイドルのライターが何か言っているwww」みたいな辛辣なコメントに最初は傷ついたんですけど、そういう言葉を気にしていると、いつまでもブレイクスルーできないってことに気づいたんです。それを客観的に受け入れることで、少しずつ前に進むことができました。

 

深川 20代の頃は仕事が全てで、仕事の評価=自分の存在価値みたいに思っていたんですよ。でも、それってすごく疲れちゃうことだし、壁にぶつかって、仕事がうまくいかなくなったときに、自分から見る存在価値が揺らいじゃうんです。だけど、30代に突入して、周りの先輩が「30代は肩の力が抜けて楽しいし、ようこそ!」みたいな感じで迎えてくださったんです。それで、まず真ん中に自分を置いて、大事な仕事、友達や趣味があってっていう考え方に変えたら、ちょっと楽になりましたね。

──年齢の離れた部下との接し方に悩む読者にアドバイスがあれば教えてください。

 

大木 私がササポンと住んでいたときに、何が一番心地良かったというと、彼が無理に距離を詰めてこなかったことなんです。ちょっとゴリゴリくるような熱血おじさまに、無理矢理ポジティブにさせられたら、元気になるどころか、さらに落ち込んでいたと思います。でも「あなたはそこにいるだけでいい」「回復するまでは、無理のない範囲で働けばいい」と、「期待を求めない」「見返りを求めない」「リアクションを求めない」という3つのことをしていただいたおかげで、自分が回復への道をたどることができました。もし、若い部下の方との接し方が悩んでいる方がいたら、「私はそういうことが嬉しかった」と伝えたいです。

 

深川 「ポジティブにさせたい」「元気を出してほしい」という気持ちはありがたいかもしれないけど、そこに無理矢理持ってくんじゃなくて、その人をまず受け入れてあげることが大事だと思います。自分も同じ立場だったら、それが嬉しいし、否定しがちなときに、「それでいいんだよ」と認めてくれたら、気持ちが楽になる気がしますね。そのうち、時間が解決してくれることもあると思いますし。

 

──ちなみに、「詰んだ」ときに、気分転換となるストレス解消法を教えてください。

 

大木 大好きな屋久島の檜を使った、純正のオーガニック・アロマオイルをアロマストーンに垂らして嗅ぎますね。それだけで思考がクリアになってリセットされます。あとは、双子の姉の奈津子が勧めてくれる美容家電を使います。

 

深川 凝り固まっているなぁという時は、電動のヘアブラシで頭をほぐしたりします。緊張している時期とか考え事をしている時は頭も意外と凝っているので、頭や身体をほぐすと自然と心もリラックスしてくる気がします。

 

 

人生に詰んだ元アイドルは、 赤の他人のおっさんと住む選択をした

11月3日(金)公開

 

(STAFF&CAST)
監督:穐山茉由
原作:大木亜希子
脚本:坪田文
出演:深川麻衣 松浦りょう 柳ゆり菜 猪塚健太 三宅亮輔 森高愛 河井青葉 柳憂怜 井浦新

(STORY)
元アイドルの安希子(深川)は、幸せで充実した人生を歩んでいると自分に言い聞かせながら日々の仕事に励んでいた。ある日、メンタルを病み、会社を辞めることになった彼女は仕事もなく、男もなく、手残り残高10万円という厳しい現実に直面。そんなとき、友人から一軒家でひとり暮らしをする56歳のサラリーマン・ササポン(井浦)との同居生活を提案される。

公式HP:https://tsundoru-movie.jp/

(C)2023映画「人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした」製作委員会

 

撮影/中村 功 取材・文/くれい響

武田玲奈「この作品をきっかけに、大人の女性の役が増えてほしい!」映画『唄う六人の女』

竹野内豊さんと山田孝之さんがダブル主演を務め、美しく奇妙な6人の女によって、森の奥深くに監禁された2人の男の運命を描いたサスペンス・スリラー『唄う六人の女』が、10月27日(金)より公開する。個性的な女性キャラが登場するなか、優しい雰囲気を放つ“包み込む女”と、都会に生きる“かすみ”という対照的な二役を演じた武田玲奈さん。いくつかの“初めて”が重なった役柄の思いについて語ってくれました。

 

武田玲奈●たけだ・れな…1997年7月27日生まれ、福島県出身。2014年Popteenレギュラーモデルとして芸能活動スタート。映画『暗殺教室』(15年)にて女優デビュー。2023年福島県いわき市の観光や食の魅力を発信する「いわきツーリズム推進特命部長」任命。主な出演作に、ドラマ「おいハンサム!!」(22年)、「あなたがしてくれなくても」(23年)、映画『真・鮫島事件』(20年)などがある。現在、MCを務めるeスポーツ番組「eGG」(日本テレビ)が放送中。X(旧Twitter)Instagram

【武田玲奈さん撮り下ろし写真】

 

このタイトルなのに、私、歌わなくていいんだ(笑)

──最初に脚本を読んだときの感想を教えてください。

 

武田 私自身、自然がとても好きなので、自然が大きなテーマになっている作品に参加できることは楽しみでした。そして、そこで描かれるエコやサステナブル、SDGsといったメッセージ性にも胸打たれました。実際に、ゴミの分別や自然に優しい素材を使うことを考えたり、調べたりしていたので……。あと、「このタイトルなのに、私、歌わなくていいんだ」と思いました(笑)。

 

──「オー!マイキー」などで知られるアーティスティックな作風で知られる石橋義正監督の最新作としての印象はいかがでしたか?

 

武田 初めて石橋監督とご一緒するということで、以前の作品を観させていただいたんですが、独特な世界観のなか、かなりCGを使ってらっしゃるので、台本を読みながら「このシーンでは、どのようなCGが足されるんだろう?」と考えていました。あと、今回はコメディ要素がないので、「これまでの石橋さんの作品とは違った雰囲気の作品になるんだろう」と思いました。

──今回、武田さんは竹野内豊さん演じる萱島の彼女・かすみと、森の中で萱島が出会う六人目の女“包み込む女”の二役を演じられています。

 

武田 まずは“包み込む女”ですが、台本を読んだだけでも、現場に入ってもなかなか分かりにくい、かなり難しい役柄だったと思います。目にカラコンを入れたり、奇抜なデザインの着物を着たり、最終的に森の中に生息する妖精のような感覚で臨みました。一方のかすみは、都会でバリバリに働くかっこいい女性。全く違う役どころなので、二つの役を演じ分けることに関しては、そこまで難しくなかったと思います。

 

恋人役の竹野内さんは、すごく気さくで、親しみやすい方

──また、かすみは萱島との子どもを欲しており、“包み込む女”は自らの子どもを守っているように、母性の強さに関しては共通しています。

 

武田 かすみに関しては、気が強い性格でもあるので、だいぶ年齢の離れた萱島を守りたい、助けたいという思いから、自分の意見をしっかり言ったり、ときには叱咤したりすることもあります。“包み込む女”は、反対に無表情で無口で、石橋監督からは「ただ、そこに存在している。佇んでいることを意識してください」というアドバイスをいただきました。ただ、子役の子どもたちと触れ合っているときの芝居が難しかったです。普通なら笑顔で接すればいいのですが、“包み込む女”は歯を出して笑顔にはなれない。あと、子どもを抱っこすることもあまり慣れていなかったので、そこも大変でした。

 

──人里離れた森林での撮影はいかがでしたか?

 

武田 森林のシーンは、京都の原生林の中だったり、奈良の山奥だったり、数か所で撮影しました。電波も繋がらない原生林の中に入っていくときは、かなり慎重に行動していました。みんなヘルメットをかぶって、ガイドさんに案内されながら、指定された道以外を歩いてはいけないといった、植物を守るためのいろいろなルールに従って移動していました。

 

──竹野内さんのほか、共演者の方とのエピソードを教えてください。

 

武田 竹野内さんも山田(孝之)さんも、今回が初共演だったんです。竹野内さんはどこか寡黙そうなイメージがあって、「年齢差のある恋人役が演じられるかな?」と思っていたんですが、全然そんなことなくて(笑)。すごく気さくで、親しみやすい方だったので、全く抵抗なく役に入り込めました。山田さんは結構キツいというか、怖い役どころだったので、ちょっと怯えていたんですが(笑)、山田さんも優しく紳士的な方でした。あと、竹中(直人)さんとのシーンは、ちょっと緊張感がほぐれる雰囲気だったので、竹中さんが作られた空気に乗っからせていただく感じで、楽しくやらせてもらいました。

 

「自然を大切にしたい」と思ってくれる人が増えてほしい

──完成した作品をご覧になったときの感想は?

 

武田 どこか奇妙な雰囲気ではあるんですが、すごく美しいビジュアルの作品になったと思いました。6人の女たち、それぞれの違う個性、違う美しさがあるので、皆さんハマっているなと思いながら観ていました。あと、私が現場では見ていなかった、すごいアクションや、グロい感じのシーンもありながら、最初に脚本を読んだときよりも、強いメッセージ性を感じました。

 

──本作は武田さんとしても、いろんな意味で、挑戦作だったと思います。

 

武田 初めての二役というのもありますし、全くセリフがない役どころも初めてでした。そういった意味での挑戦もありましたし、子どもを持つ母親という役も、今までほとんどなかったので、「この作品をきっかけに、大人の女性の役どころが増えてほしい」って思いました(笑)。また、この作品をたくさんの方に観てもらうことによって、「自然を大切にしたい」と思ってくれる人が増えてほしいです。

──いつも現場に持っていくモノやグッズについて教えてください。

 

武田 「SHIRO」のハンドクリームとか、いい香りがする消毒用のハンドジェル。あとは「nahrin」のロールオンタイプのハーブオイル。それから、「THERA」の塗香(パウダー状のお香)で、シナモンと混ざった匂いのものを手に塗りこんだりしています。現場や寝る前とかに、匂いを嗅ぐことでリフレッシュするようにしています。個人的には甘めというより、スーッとする匂いの方が好きですね。

↑武田さんが愛用するハンドクリームなど。撮影の合間には匂いでリフレッシュを図るとのこと

 

 

(C)2023「唄う六人の女」製作委員会

唄う六人の女

10月27日(金)より全国公開

 

(STAFF&CAST)
監督・脚本:石橋義正
脚本:大谷洋介
出演:竹野内豊 山田孝之 水川あさみ アオイヤマダ 服部樹咲 萩原みのり 桃果 武田玲奈 大西信満 植木祥平 下京慶子 鈴木聖奈 津田寛治 白川和子 竹中直人

(STORY)
父の訃報を受けて帰郷した萱島(竹野内)と、萱島の父が所有していた土地を譲り受ける予定の宇和島(山田)は、車で山道を走る途中で事故に遭い気を失ってしまう。目を覚ますと、2人は“刺す女”(水川)、“包み込む女”(武田)ら、謎めいた6人の女たちによって、森の奥深くの屋敷に監禁されていた。

 

【映画「唄う六人の女」よりシーン写真】

公式HP https://www.six-singing-women.jp/

(C)2023「唄う六人の女」製作委員会

 

撮影/映美 取材・文/くれい響 ヘアメイク/円谷歩美 スタイリスト/小川未久
衣装協力/ビューティフルピープル、リュニック エ モア、STEFANO POLETTI、リューク、プリュイ

増田有華、現場での歌唱シーン一発撮りに「負けてたまるかと思った」映画「Love song」公開記念舞台挨拶

映画「Love song」の公開記念舞台挨拶が、10月21日に池袋シネマ・ロサにて行われ、増田有華、木口健太、青木一馬、平山大、牧野裕夢ら若手キャスト5名が登壇。オフィシャルレポートが到着した。

 

本作は、横浜を舞台にしたハードボイルドかつエモーショナルな恋愛映画。ほぼ観客で埋め尽くされた会場から大きな拍手に迎えられ登壇した増田は、「勝ち気で気が強く見られがちな感じは私の10代の時と全く同じだな、人の制止を振りはらって出ていくみたいなことは私もよくあったので」と主人公・花の役作りについてはさほど苦労しなかったと振り返った。

 

撮影前に本読みがあり、監督い何か言われるかなと思いきや「いいじゃないですか!」と言われ、無理なく演じられたという。

 

劇中の歌唱シーンについては、「事前にレコーディングしてから現場に向かうと思っていたら、撮影の現場で『はい、歌ってください』と言われて。エコーもない、素の状態で歌ってくださいという状況だった。あまりに斬新だったがここで負けてたまるかと思って、そのまま歌わせてもらった」と、ほぼ一発撮りであったことを明かした。

映画「Love song」増田有華(c)2023「ラブソング」製作委員会

 

花の相手役・誠を演じた木口は、「普段演じる役と結構違うハード系な役で、時代的には松田優作さんの時代の映画とか元々好きな映画のジャンルだったので、その辺の映画をもう一回見返して温度感みたいなものを取り入れられたらと思ってやっていたのですごい楽しかった」と感想を。

 

増田は本作の出演が決まる前に木口の出演映画「おんなのこきらい」(2014)を偶然見ていて、すてきな俳優だと思い、ネットで名前を検索。その後、相手役が木口だと知り驚き、すぐに「『おんなのこきらい』見ました」と本人に伝えたと話す。

 

木口の方も増田が出演する『全裸監督2』を見ていて「すごくいい女優さんだな」という印象が。相手役が増田だと知りうれしかったと語り、互いの作品を見ていたからこそ共通の話題で会話できたことで現場もスムーズにいったと振り返るなど、2人の仲の良さをうかがわせた。

映画「Love song」木口健太(c)2023「ラブソング」製作委員会

 

また増田は、本作で共演した本田博太郎や藤吉久美子とのエピソードも披露。本田とは待ち時間に3時間、2人で話す時間があり、その際に「長年やっているけれど役者っていうのは人が出るよ。どんなに偽っていても人柄が出る。すてきな女性でいてくださいね」と励まされたという。

 

一方、藤吉からは「主役はいいの、座っていなさい」と言われ、気を使わせない雰囲気を作ってもらったり、歌のシーンでは率先して拍手してくれたりと、ベテラン俳優2人と貴重な時間を持ったことを明かした。

 

最後に増田は「皆さんにこんなふうに集まっていただけるとも思わず、最後列まで席が埋まっていてすごく幸せな気持ちです。見終わった皆さんに感想を1人づつ尋問していきたいくらい。SNSで#Lovesongと付けてつぶやいてくれたら、イイねを押しまくりたい」と語り、舞台挨拶を締めくくった。

 

映画「Love song」は10月26日(木)まで池袋シネマ・ロサにて上映。10月28日(土)からは大阪シアターセブンでの上映が決まっている。

 

作品情報

「Love song」
2023年10月20日(金)より東京・池袋シネマ・ロサほか全国順次公開

出演:増田有華、木口健太、山口大地
/藤吉久美子、本田博太郎
青木一馬、平山大、牧野裕夢、広瀬彰勇、大川夏凪汰、佐藤真澄、角謙二郎

監督:児玉宜久
脚本:村川康敏 宍戸英紀

(c)2023「ラブソング」製作委員会

増田有華インタビュー「走りだしたら止まらないところは10代の自分に通じるものがあるかも(笑)」映画「Love song」

『全裸監督 シーズン2』(Netflix)での体当たりな演技が話題となり、現在は性に悩める女性の本音を赤裸々に描いたラブコメディ『●●ちゃん』(ABCテレビ)が放送中の増田有華さん。そんな彼女の主演映画「Love song」が10月20日(金)に公開を迎える。

 

シンガーを夢見る主人公・花(増田)が殺された幼なじみ・猛(青木一馬)の復讐を誓う中、もう1人の幼なじみ・誠(木口健太)と再会。やがて2人は、離れていた時間を取り戻すように愛を奏で始め…というのが本作のストーリー。

 

「昔の自身と重なる部分が大きかった」という花を、増田さんはどのように演じたのか。AKB48時代のエピソードや20代半ばから芽生えた芝居への思い、30代を迎えての変化なども織り交ぜながら、たっぷり語ってくれた。

 

◆最初に台本を読んだとき、どんな印象を持ちましたか?

拳銃に薬物、ナイフも出てくるので、衝撃的なお話だと思いました。ただ根本にあるのは、ひたむきに人を愛するという純粋な気持ちで。花は不器用で口下手な分、思いを歌に乗せて伝える子なので、そういった意味でもやりがいのある作品だと思いました。

 

◆演じる花に共感できるところは?

たくさんありました。思い立ったら即行動、走り出したら止まらないところとか。短気なところも一緒ですね。私はもう大人になったので、ちょっと抑えられるようになりましたけど(笑)。それこそ17、8歳のころの自分は、花みたいな感じで。AKB48のメンバーからは、「有華ちゃんは1人で『バイオハザード』してるの?」なんて言われていました(笑)。

 

◆当時のAKB48は、“仲間だけどライバル”みたいな感じが強かったですからね。

そうなんです。総選挙があって、順位付けされていたりもしましたし。誰かに負けたくないというか、傷つくのが怖いんです。なので、人が寄ってこないように殺気立って見せたりもしてしまって。花にもそういう部分があるので、共感できるところはありました。

 

◆役作りの面で撮影前に準備したことは?

花の経歴をノートに書きました。どこに生まれて、どういうふうに育てられたのかを想像して…。考えていること、感じていることは相通じる部分があったので、花の経歴は書きやすかったです。あとは撮影期間が短いということで、本読みの段階からセリフを全て頭の中に入れるようにして。寝ていてもセリフが出てくるような状態にしてから撮影に臨みました。

 

◆実際、撮影はいかがでしたか?

短期間で一気に撮影したので、ハリケーンの中に入っていた感じでした(笑)。もう本当に、撮影して、帰って、寝て、また現場に行って…の繰り返しで。でも合間にそれなりに皆さんと話す時間はあったので、本田博太郎さんとソファで雑談したり。藤吉久美子さんも気さくに「主演は気を使っちゃダメよ!」と言ってくださって。キャリアのある方々が、そうやって自然体な感じでいてくださったのは私にとって大きかったです。

 

◆相手役の木口健太さんとはどんな話を?

2人のシーンが多かったので仲良くなりましたし、どういうお芝居にしていくか話し合ったことが作品に投影できたと思います。クランクアップのときには、わざわざお花を買ってきてくださったんです。そんなことをしてもらったことがなかったので、すごくうれしくて。大きな桃の木で、どうやって持って帰ろうかなとも思ったんですけど(笑)。

映画「Love song」

 

◆その木口さんとはベッドシーンもありますが、どのように臨みましたか?

木口さんはベッドシーンが初めてで緊張されていたので、「大丈夫。やりたいようにやって」って言いました(笑)。こういうのって、むしろ男性の方が気を使うと思うんです。私自身は恥ずかしい気持ちは全然なく、求められるうちが華というか。自分のベッドシーンがあることで少しでも多くの方に興味を持ってもらって、作品を見てもらえたらうれしいです。

 

◆体の準備は大変ではなかったですか?

筋トレは一応しました。あまり腹筋バキバキなのも色気がないので、体のラインがきれいに出るように、適度に…という感じですけど。あとは食事に気をつけてサラダやフルーツを摂取するようにしたのと、あとは手元のケアですね。スマホを触るとか、手元は意外と映る機会が多いので大事なんです。私は特に指先が荒れやすいので、毎晩ワセリンを塗りたくって、絹の手袋で保湿してみたいなことをやってました。

 

◆普段から体のケアには気を使っていますか?

仕事のときだけですね。撮影のために3、4キロ絞るけど、終わるとすぐ5キロ戻っちゃうという、最悪なルーティーンを繰り返しています(笑)。なので体のためには、定期的に肌を露出させる機会があった方がいいんです。じゃないと私、どんどんだらしない体になっちゃいそうな気がするので(笑)。

 

◆増田さんは、勝ち気でサバサバしているイメージを持たれがちだと思います。でも“本当の私はこうなんです!”と言っておきたいことはありますか?

意外と根暗です(笑)。あと一人っ子というのもあって、甘えん坊だったりもします。逆に世話焼きな一面もあって、友達から熱が出たという連絡が来たら、スーパーで必要なものを買って持って行ったり。要は、尽くすのが好きなんです。

 

◆それは意中の男性に対しても?

そうですね。「奴隷みたいな男を飼ってるんでしょ?」とか言われるんですけど(笑)、全然そんなことはなくて。尽くすことが好きですし、人からありがとうって言われることも好きで。そこは意外とギャップがあるのかもしれません。

 

◆ということは、今作に出てくる猛と誠だったら、タイプなのは…?

断然、猛ですね。ヤクザの覚せい剤をだまし取って殺されちゃうってダメダメな人なんですけど(笑)、何か面倒を見てあげたくなる。あと甘えてきてくれるから、自分も甘えやすかったりするんですね。私、目の前の人と鏡みたいな関係になりがちなんです。だから強くて自信満々な人にワーッと言われたら、こっちも言い返しちゃう(笑)。

映画「Love song」

 

◆歌唱シーンも見せ場の一つですが、撮影はどうでしたか?

事前にレコーディングして後で乗せる感じなのかなと思っていたら、現場で「はい、歌ってください」という感じで(笑)。どんなふうになるか心配だったんですけど、出来上がってみたらむしろこの現場感がよかったです。もちろん、レコーディングしたものを乗せた方が音も歌声もきれいになるんですけど、現場で撮った方が生っぽさが出るんですよね。

 

◆増田さんの歌唱力への信頼から、監督はそういう撮り方にしたのかもしれませんね。

確かに歌うことに慣れてはいますが、あれだけ長く撮影の中で歌うのは初めてだったので緊張しました。あと、実は昔から「あの子、歌うまいよね」と言われることへのプレッシャーもあるんです。歌がなかったら私は需要がないのかな、みたいな。25、6歳ぐらいまではそんな感じだったんですけど、最近はお芝居が好きになったことでああいう場面でも力を抜いて歌えるようになったというか。何かあらためて歌を好きになれた気がします。

 

◆増田さんは、それこそAKB48時代から歌への思いみたいなことはよく口にされていましたが、それは今も変わっていませんか?

昔みたいに「歌で一花咲かせたい!」みたいな感情はなくなったと思います。歌が嫌いになったわけではなく、他にもワクワクできるものができたというか。お芝居でもワクワクできるようになりましたし。もちろん「曲を出しませんか」みたいなお話を頂けたら、張り切ってやりますよ! ベッドシーンと同じで、求められてるうちが華ですから(笑)。

 

◆では映画のタイトルにちなんで、増田さんの思い出のラブソングを教えてください。

MISIAさんの「キスして抱きしめて」。宇多田ヒカルさんの「First Love」も好きですね。あのころの、こびずに気持ちを伝える感じがすごくいいなと思っていて。カラオケに行ったら必ず歌いますし、ノッたときは2、3曲リピートします。何回歌うんだよ、みたいな(笑)。

 

◆もう一つAKB48時代の話をさせてください。当時はそこまで演技に対して熱い思いはなかったように思うんですが、何かきっかけがあったんですか?

その点は、私自身もびっくりしていて。昔は自分にお芝居なんてできるとは思わなかったし、歌でやっていくんだろうなと思っていましたから。ただ、ありがたいことにお芝居のお仕事を頂いていざやってみると、正解のない面白さがあることに気づいたんです。歌は、音やリズムに合わせるみたいな基準がありますけど、お芝居はそういうのがないんですよね。例えば「ありがとう」という言葉一つを言うのにも、何百通りとあって。その中でまた私にしかできないお芝居を探すという楽しさに魅力を感じました。

 

◆お芝居のために何か日々行っていることはありますか?

図書館に行くようになりました。作品には何かしらのバックボーンがあって、それを理解するにはいろいろなことを知らなければいけないなと思って。新聞の政治欄を読んでみたり、歴史の本を手に取ってみたり。理解できないことばかりだったりしますけど、知らないものを知ろうとする姿勢が大事かなと思います。だからわざと、自分が知識のない分野の本を読んでみたりします。

 

◆最近読んだ印象的だった本は?

「花粉症は治せる!」(笑)。あと腸活関係の本は1冊読んだら興味が湧いて、いろいろ読みました。あまりにも感動しちゃったので、すぐフラクトオリゴ糖を注文して。砂糖の代わりに使ったり、ヨーグルトに混ぜたり。キノコ鍋やバナナを食べる機会も増えました。キノコ鍋はオススメですよ。めちゃくちゃ“快腸”になります!

 

◆30代になって、増田さんの中で何か変化したことはありますか?

昔から雑に暮らしていたんですけど、そろそろちゃんとしなきゃと思って。自炊をする回数も増えました。キムチも自分で漬けていたりします。最初は何となくの雰囲気で、ナンプラーで漬けていたんです。でも「アミの塩辛」を使ったら味が締まるようになって、これはいいなと。リンゴと玉ねぎを入れることにもこだわっています。これも最初、適当に全部入れればいいやと思って玉ねぎを一玉入れたら、めちゃくちゃ変な味になったんですけど(笑)。

 

◆今の増田さんの中には、マメさと雑さが同居しているんですね(笑)。

そうなんです、端々にバイオハザード時代が残っていて…(笑)。でも雑にやって失敗しちゃうのもいいかなと思えるようになって、そこも変わったところだと思います。昔は一つのやり方にこだわって、失敗は許されない感じでしたけど。最近は、失敗も一つの糧になる…みたいな。自分も許して他人も許して、嫌なことやつらいことは忘れて、楽しいことだけを覚えているようにしようと。そういう意識になりました。

 

◆5年後や10年後は、どんなことができるようになっていたいですか?

もっといろいろなことを経験して、苦手な人ともしゃべれるようになっていたらいいなって。私、誰とでも話せるように見えて、相手がしゃべってくれないとダメなんです。人見知りな人を前にすると、自分も人見知りになっちゃう(笑)。そうではなく、ちゃんと相手の良さを引き出せるように、いろいろな話題を身に付けたいです。取りあえず年々自分のことは好きになれているし、もっともっと好きになっていけたらいいなと思っています。

 

◆最後に、今後やってみたい役があったら教えてください。

映画「万引き家族」を見たとき、すごく衝撃を受けました。皆さんメイクもほとんどせず、樹木希林さんは入れ歯まではずして演じられていて。垣間見える日常をそのままスクリーンに落とし込んでいる感じが素晴らしくて、いつか自分もああいうリアルな家族の1人を演じられるようになりたいです。そのためにはまずすっぴんで画面に映れるように肌活が大事ですし、お肌のためにも腸活が大事になってきますね(笑)。

 

PROFILE

●ますだ・ゆか…1991年8月3日生まれ。大阪府出身。B型。AKB48の2期生として約7年間活動後、2013年グループを卒業。最近の出演作にドラマ『先生のおとりよせ』『全裸監督 シーズン2』など。現在、『●●ちゃん』(ABCテレビ)に出演中。

 

作品情報

「Love song」
2023年10月20日(金)より東京・池袋シネマ・ロサほか全国順次公開

出演:増田有華、木口健太、山口大地
/藤吉久美子、本田博太郎
青木一馬、平山大、牧野裕夢、広瀬彰勇、大川夏凪汰、佐藤真澄、角謙二郎

監督:児玉宜久
脚本:村川康敏、宍戸英紀
企画:利倉亮、郷龍二
プロデューサー:江尻健司、北内健
音楽:Les.R-Yuka
配給:マグネタイズ
映倫:R-15

公式サイト:https://www.legendpictures.co.jp/movie/love-song/

(c)2023「ラブソング」製作委員会

●text/小山智久

『金ロー』「余命10年」主演の小松菜奈×坂口健太郎、藤井道人監督からコメント到着「私たちは確かにそこに存在し生きていました」

10月20日(金)の『金曜ロードショー』(日本テレビ系 午後9時~)は、「余命10年」を地上波初放送。W主演を務める小松菜奈と坂口健太郎、藤井道人監督からコメントが到着した。

 

切なすぎる小説としてSNSなどで反響が広がり続け、ベストセラーを記録している小説を、小松菜奈と坂口健太郎のW主演で映画化した「余命10年」。昨年3月に公開されると瞬く間に話題になり、興行収入は30億円を超える大ヒットを記録した。

 

四季の移り変わりと共に、茉莉と和人が過ごした時間を丁寧に描いた本作。二十歳で難病を発症し、余命10年となった茉莉役に小松菜奈。茉莉と恋に落ち、その運命を大きく変える和人を演じたのは坂口健太郎。小説の文庫化・映像化を待たずして亡くなった著者の想いを引き継ぎ、2人の「10年」の物語を全身全霊で演じている。

 

小松菜奈 コメント

小松菜奈 (c)Stardust Promotion, Inc.

私の中でずっと色褪せずに人生と共に残っていく大切な作品「余命10年」を金曜ロードショーで放映していただけることを心よりうれしく思います! 一年という時間をかけてたくさんの思いを抱きながら向き合い続けた時間。作られた世界かもしれないけど、私たちは確かにそこに存在し生きていました。 私は茉莉を通していろんなことを教えてもらい、自分の人生をどう生きたいか見つめ直すことができました。 そして、残された者の気持ちに丁寧に優しく寄り添い、美しき四季と共鳴し合ってる世界観も楽しんでいただきたいです。 時間は無限ではない、あなたにとっての「幸せ」とは何か考えてもらえる時間になったらいいなと思います。 1人でも多くの人の心に届きますように。よろしくお願いします。

 

坂口健太郎 コメント

坂口健太郎 撮影/今城純

「余命10年」がこのたび、金曜ロードショーで放送されること、本当にうれしく思います。この作品は、余命を背負った女性が、最後まで生き抜く作品です。和人として、時に道を踏み外しかけながらも、茉莉を見つめ続け、思い続けた一年でした。1人でも多くの方々に彼女の生きざまを見届けていただき、2人の瞬間が心に残り続けてくれるとうれしいです。

 

藤井道人監督 コメント

「余命10年」が幼い頃から観ていた金曜ロードショーで放送されること、心からうれしく思っています。仲間たちとコロナ禍で四季を追い続けた、とても思い出深い映画です。小松さん、坂口君はじめ、原作の小坂流加さんのご家族の皆さま、最高のキャスト、スタッフで丁寧に作り上げた作品です。皆さまにとっても、心に残る映画になることを祈っています。

 

番組情報

『金曜ロードショー』
「余命10年」
日本テレビ系
2023年10月20日(金)午後9時~11時14分

(c)2022映画「余命10年」製作委員会

 

初主演作公開! 中井友望「圧倒的に、自分に自信がついた作品になりました」映画『サーチライト-遊星散歩-』

ヒロインの一人を演じた映画『少女は卒業しない』をはじめ、透明感ある存在感と類まれな表現力でネクストブレイクとして期待される中井友望さんが、単独初主演を務めた映画『サーチライト-遊星散歩-』が10月14日(土)より公開する。「ミスiD 2019」グランプリ出身の彼女が、自身が当て書きされたという脚本との運命的な出会いや今後の展望について語ってくれました。

 

中井友望●なかい・とも…2000年1月6日生まれ、大阪府出身。18年に開催された「ミスiD 2019」でグランプリ受賞。20年、ドラマ「やめるときも、すこやかなるときも」(日本テレビ系)で俳優デビューし、21年には映画『かそけきサンカヨウ』(今泉力哉監督)、『シノノメ色の週末』(穐山茉由監督)、『ずっと独身でいるつもり?』(ふくだももこ監督)に出演。23年にはヒロインの一人を演じた『少女は卒業しない』(中川駿監督)のほか、『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』(阪元裕吾監督)、『炎上する君』(ふくだももこ監督)などに出演。現在、ドラマ「君には届かない。」(TBS系)に出演中。X(旧Twitter)Instagram

【中井友望さん撮り下ろし写真】

 

私と果歩は、人との関わり方が似ている

──今回、初となる単独主演映画が決まったときの率直な感想は?

 

中井 女優になりたいと思い始めたときから、主演映画というのは夢の一つだったので、素直にうれしかったです。いろいろあって、最初にお話をいただいたときから、2年後に撮影が始まったときも嬉しかったですし、完成から1年半ぐらい経って、ようやく劇場公開される今も嬉しいです。

 

──最初に、脚本を読まれたときの感想は?

 

中井 脚本を私に当て書きで改稿してくださった小野周子さんには、それまでお会いしたことも、お話ししたこともありませんでしたが、私のイメージというか、自分とこんなに近い果歩という役で、初主演をやらせてもらえることって、そうあることでもないので、どこか運命的なものを感じました。だからか、役作りをするようなこともなく、とにかく演じやすかったです。

 

──具体的に中井さんと果歩の共通点を教えてください。

 

中井 私と果歩は、人との関わり方が似ていると思います。同級生の輝之(山脇辰哉)がいろいろ心配してくれて、親切に接してくれるのに、なぜか壁を作っちゃう感じとか。あと、私も果歩も友達がいないわけでも、孤立しているわけではないんだけど、ふとしたときに「なんか1人だな……」って思ってしまうところとか、絶妙なラインも似ていますね。あと料理が得意なところも! 私も高校生のときに、自分でお弁当を作っていました。

 

これまで知らなかった感情を知ることもできました

──ちなみに、脚本の小野さんや平波亘監督からのアドバイスはありましたか?

 

中井 お二人といろいろ話し合ったとか、どういう作品にしたいって言われることはありませんでした。ただ、私の中では、「貧困」という大きいテーマを扱っているけれど、そこをあまり考えすぎなくてもいいかなと思っていました。それよりも、果歩は「ただ一生懸命生きたい」「普通に幸せになりたい」という気持ちだけで生きていることを大切に演じました。

 

──真冬での河原での撮影など、現場での印象的なエピソードを教えてください。

 

中井 ほかのキャストの皆さんは、「ものすごく寒かった」と言っていたんですが、私はあんまり寒かった記憶はなくて……(笑)。演技に集中していたということにしましょう! 決して順撮りではなかったので、しんどいシーンでは私の気持ちが追いつかないことがありました。「そこに標準を合わせて、頑張るのって難しいな」って改めて思いました。たとえば、ラブホテルでの山中崇さんとのシーンは、山中さんが本当に怖かったけれど、すごいなと思いましたし、自分もそれに引っ張られて、テイクを重ねるごとに良くなっていくのが分かりました。あと、花火のシーンは、初めて果歩が輝之と笑い合えるシーンなので、撮っているときも楽しかったです。

 

──ちなみに、主演としての心構えみたいなものは?

 

中井 決していいことは言えないんですが、「主演として、しっかりしなきゃ!」みたいなプレッシャーみたいなものは全くなかったんです。そういう意味でも、本当に自由にやらせてもらいましたし、主人公で主演だけど、すべての登場人物、いろんな方に、助けてもらったし、引っ張り出してもらったなと思いました。そんななか、「このセリフを言うと涙が出るんだ」とか、これまで自分が知らなかった感情を知ることもできました。

 

いちばん暗くて、いちばん明るい女優さんになりたいです(笑)

──女優デビューから3年余り。このたび劇場公開される『サーチライト-遊星散歩-』は、中井さんのキャリアにおいて、どんな作品になりましたか?

 

中井 圧倒的に自分に自信がついた作品になりました。女優としてお芝居を楽しめるようになったし、人間としても成長できたと思いますから。この映画の後に、『少女は卒業しない』の撮影に入ったんですけれど、気持ちが全然違いました。そして、『炎上する君』『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』と作品を重ねていくうちに、ちょっとずつ余裕も出てきました。ホント、ちょっとずつですが(笑)。

 

──『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』で演じられた死体処理業者・宮内では、これまでと違う陽キャな役どころでした。中井さんが俳優としての今後の展望や目標を教えてください。

 

中井 例えば、宮内のように感情を爆発させるような役を演じるのも楽しかったですが、あの役は私が普段から持っている要素がゼロというわけでもないんです。あのときも何も考えず、自分の中から出てきましたら。これからも「自分と違う」「自分と似ている」だけでなく、いろんな役を演じていくと思いますが、どんな役を演じるにしても、中井友望としての要素は必ず入れていきたいなと思います。そして、その場、その場で臨機応変に対応できる、いちばん暗くて、いちばん明るい女優さんになりたいです(笑)。

 

──中井さんが現場に必ず持っていくモノやグッズを教えてください。

 

中井 小説です。昔は活字が苦手だったんですが、3年前に「夜だけがともだち」という舞台をやったときに、作・演出のふくだももこ監督に、西加奈子さんの小説を勧めてもらったのがきっかけです。コロナ禍で、好きな監督の好きな作家さんを知ろうと思い、いろいろ読み始めたら、すごく面白かったんです。ほかにも、『少女は卒業しない』の朝井リョウさんの小説も好きになりました。今では読みたいときに、いろんな小説を読んでいますが、西さんの作品は自分を肯定してくれる作品が多いので、お守代わりに現場に持っていきます。なので、西さんの原作をふくだ監督が映画化した『炎上する君』に出演できたときは、めちゃくちゃ嬉しかったです!

──宮﨑あおいさんが05年に出された写真集「20TH ANNIVERSARY 光」も、中井さんにとって大切な一冊なんですね?

 

中井 宮﨑さんは小さい頃から好きで、とにかくかわいいじゃないですか! それでどうしても、この写真集が欲しくて! 当時18歳ぐらいで、あんまりお金がなかったんですけど、頑張って買いました。ずっと部屋に飾って、いつも元気をもらっています!

 

 

サーチライト-遊星散歩-

10月14日(土)より新宿K’s cinemaほか、全国順次公開

【映画「サーチライト-遊星散歩-」よりシーン写真】

(STAFF&CAST)
監督:平波亘
脚本・企画:小野周子
出演:中井友望 山脇辰哉 田口 洸 都丸紗也華 西本まりん 詩野 安楽 涼 水間ロン 大沢真一郎 橋野純平 安藤 聖 山中 崇

(STORY)
父を亡くし、病気の母を抱えて経済的に追い詰められている女子高生の果歩(中井)。大家族を養うため、アルバイトに明け暮れる同級生の輝之(山脇)は、そんな果歩のつらい状況を知り、気にかけるようになる。だが、先の見えない人生に夢も希望も持てない果歩は、女子高生であることを利用して「JK散歩」の世界へと足を踏み入れていく。

公式:https://searchlight-movie.com/

 

(C)2023「サーチライト 遊星散歩」製作委員会

 

撮影/金井尭子 取材・文/くれい響 ヘアメイク/横山雷志郎(Yolken) スタイリスト/粟野多美子 衣装協力/VL BY VEE、IN-PROCESS Tokyo、TALPA、TAKE-UP

「保証がなくても、とりあえず行動しちゃう」島崎遥香、“ゆとり世代”語るも「結局は人」映画『ゆとりですがなにか インターナショナル』

宮藤官九郎氏のオリジナル脚本で、2016年に連続ドラマとして放送された『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)。岡田将生さん、松坂桃李さん、柳楽優弥さん演じる「ゆとり第一世代」のアラサーたちが、社会問題や恋愛に葛藤する姿が描かれ話題に。2017年にはスペシャルドラマも放送され、2023年に待望の映画化となった。

 

島崎遥香さんが演じるのは、岡田さん演じる坂間正和の妹・坂間ゆとり。その名のとおり平成生まれの”真性ゆとり”であり、兄の生き方を「古い」と批判しては合理的に生きてきた。当映画では就職や恋愛を経た、ゆとりのその後が明らかになる。島崎さんには、役との共通点や新世代に対して思うこと、さらに役者意識からGetNavi webおなじみの“今ハマっていること” まで聞いた。

 

【島崎遥香さん撮り下ろし写真】

 

坂間家、集結!「『サザエさん』みたいだなって」

 

──連続ドラマ『ゆとりですがなにか』が映画化すると知り、最初に思ったことを聞かせてください。

 

島崎 2017年のスペシャルドラマを撮影したあと、“絶対にまた続きがある!”と信じていたので、うれしかったですね。

 

──続編があると言われていたのでしょうか?

 

島崎 それは全く言われていなかったです。“続編をやってほしい”という願望が強くありました。

 

──楽しい現場だったのですね。久しぶりに集結した坂間家の雰囲気はいかがでしたか?

 

島崎 何にも変わっていなかったです。どういう感じになるのだろうと私も不安でしたが、現場に行った瞬間に、昔と変わらない空気感を感じました。やっぱり、すごく居心地が良かったです。

 

──具体的に、現場での坂間家はどのような空気感なのでしょう?

 

島崎 なんていうんだろう……坂間家は『サザエさん』みたいだなって思っていて。ほんわかした感じです。家族みたいな感覚で、自然体でいられるんです。本当に、たわいもない会話をしますよ。

 

──例えばどんな会話をされたのか、うかがっても?

 

島崎 たわいもなさすぎて覚えていないです(笑)。それから、ほんわかした中で監督が「よーい、スタート」と言ってカメラがまわったときも、“戻ってきたなぁ”という感覚になりましたね。懐かしさが蘇りました。

 

島崎遥香は「ゆとりちゃんのようなタイプの人間」

 

──島崎さんは『ゆとりですがなにか』のタイトルを体現する “坂間ゆとり”役ですが、一貫して意識していることはありますか?

 

島崎 “ちょっとドライに見える”ことかな。年配の方が見たら”冷めて見える”というか、何を考えているかわらかないというか、媚を売りすぎないというか……。ゆとり世代って付き合いが悪いとよく言われますし、そんなふうに見られるイメージがあるので。そこだけはブレないようにしようかなと。

 

──映画ではゆとりのその後が描かれていましたが、台本を見た時、どう思ったのでしょう?

 

島崎 ゆとりちゃんのその後について、ここまでの予想はしていませんでしたが、「まぁ、どうせこうなるよな」って思いました(笑)。ただ自分がゆとりちゃんのようなタイプの人間なので、ゆとりちゃんの生き方は、特に不思議に感じることもなく、自然と受け入れていましたね。

 

──ゆとりと島崎さん自身に、重なる部分があると?

 

島崎 はい。目立ちたがり屋というよりは、ちょっと内気っぽいところが似ています。あとは思ったことを行動に移す速さ、後先考えずに行動する感じが似ているかもしれないです。

 

──行動派なのですね。具体的なエピソードをうかがっても?

 

島崎 例えばですが、ゆとり世代から「会社辞めた!」ってよく聞きますけど、私も辞めようと思ったら、何も決まっていなくてもすぐ辞めますね。多くの人は、計画を練ってから行動するじゃないですか。私は保証がなくても、とりあえず行動しちゃう。意外と行動派なんです。

 

──ちなみにドラマの視聴者からは、ゆとりと、元彼である“まりぶ”のその後について気になるという声もあがっていました。

 

島崎 気になりますよね! 私も気になっていました。一応2人だけのシーンはありましたが……少しでした(笑)。ギュッと詰め込んだのだと思います。正直「どういうことなんだろう!?」と思う部分もありますが……時間が限られている映画なので、しょうがないですねぇ。

 

──視聴者の想像にお任せします、ですかね。島崎さん自身もゆとり世代にあたりますが、実際に「ゆとりですがなにか」と思った体験はありますか。

 

島崎 当事者だと、“ゆとり”だと感じること自体、あまりないかもしれないです。「あなた、ゆとりだよね」なんて、そんな直接言ってくる人もいないですし(笑)。ニュースで“ゆとり教育”を耳にしていたくらいかな。土日はお休みでしたし、ゆとり教育を受けていたんだなっていう実感はあります。

 

──では平成生まれの真性ゆとりや、Z世代に対して違いを感じたことは?

 

島崎 年が離れている弟がいて、まさに新世代ですね。受験方法が変わったり、英語を小学生からやるようになったり。あと今はダンスも授業に含まれているんですよね。それらはなかったなぁって。ただ、そういう実際に変わったことはあっても、「この世代だから、こうだよね」ってことはないと思うんです。結局は人。何でもそうですけど、人によりますね。

 

──この作品でも、同じ世代でさまざまな人が登場しますしね。

 

「自分の感覚を入れないと演じるのが難しいんです」

 

──ドラマ放送から映画化までの7年間に、さまざまな作品に出演された島崎さん。役を演じるうえで、意識が変わったことはありますか?

 

島崎 ないです。たぶん今後も変わらないです。頑固なので。私、どの役でも「自我」を入れたいんですよ。その「自我」の部分はずっと変わらないと思います。

 

──「自我」を入れたい、と。演じるうえでの、こだわりなのですね。

 

島崎 そうじゃないと、できない。自分に照らし合わせて、自分の感覚を入れないと演じるのが難しいんです。感情がうまく乗らないというか……。だから、どの役でも「島崎遥香っぽいな」って、見る人に感じてもらえると思っています。これまでの作品でも、ファンの人だったら分かるんじゃないかな。

 

──自分と真逆のタイプの役でも?

 

島崎 はい。どこかしら共通する部分を見つけるようにします。そうしないと、私らしくない。自分らしさを大切にしています。

 

──強い意思を感じました。最後にGetNavi webということで、現場でも思わず楽しんでしまうような、今ハマっているモノやコトを教えてください。

 

島崎 全部かき氷になっちゃう! どこでも言っていますが、かき氷が好きで、お店に食べに行きます。撮影現場でも、休憩時間があれば近くのお店を調べて、行けたら行きます。1年中食べているので、普通の人よりかは食べていると思います(笑)。

 

──1年中ということは、冬も食べられるのですか?

 

島崎 食べます。冬は、寒いです。だからダウンを着て行きます(笑)。あったかいお茶が入ったマイボトルを持参して。

 

──また強い意思を感じました。ぜひ、かき氷の良さを教えてください。

 

島崎 味変がしやすいことです。氷って、味がついていないじゃないですか。お食事系にもできるし、スイーツにもなるし、無限の可能性がある! お店では2、3杯食べるので、おなかいっぱいにもなります。白米みたいなものですね。身体が冷えても食べ続けますよ、途中からは試練だと思って食べていますけど(笑)。

 

映画『ゆとりですがなにか インターナショナル』

10月13日(金)全国公開

 

【映画『ゆとりですがなにか インターナショナル』よりシーン写真】

 

(STAFF&CAST)
監督:水田伸生
脚本:宮藤官九郎
プロデューサー:藤村直人、仲野尚之(日テレ アックスオン)
出演:岡田将生、松坂桃李、柳楽優弥、安藤サクラ、仲野太賀、吉岡里帆、島崎遥香 / 木南晴夏、上白石萌歌、吉原光夫 / 中田喜子、吉田鋼太郎
主題歌:「ノンフィクションの僕らよ」感覚ピエロ(JIJI.Inc)
配給:東宝
公式サイト:https://yutori-movie.jp/

 

(STORY)
<野心がない><競争心がない><協調性がない>【ゆとり世代】 。かつて勝手にそう名付けられた男たちも30代半ばを迎え、それぞれの人生の岐路に立たされていた……。夫婦仲はイマイチ、家業の酒屋も契約打ち切り寸前の正和(岡田)、いまだに女性経験ゼロの小学校教師・山路(松坂)、事業に失敗し、中国から帰ってきたフリーター・まりぶ(柳楽)。≪Z 世代≫≪働き方改革≫≪テレワーク≫≪多様性≫≪グローバル化≫……彼らの前に、想像を超える新時代の波が押し寄せる!  時代は変わった。俺たちは……どうだ!?

 

© 2023「ゆとりですがなにか」製作委員会

 

撮影/中田智章 ヘアメイク/信沢Hitoshi スタイリング/黒瀬結以

北香那「今までとは違う、新たな私を見てほしい!」映画『春画先生』

江戸文化の裏の華で、“笑い絵”ともいわれた「春画」の世界。その奥深さを真面目に説く変わり者の春画研究者と、しっかり者の弟子が繰り広げる春画愛を描いた『春画先生』が、10月13日(金)より公開。まさにオトナのためのコメディドラマで、内野聖陽さん演じる芳賀先生の相棒となる弓子を演じる北香那さんが、これまでのイメージを覆す“挑戦”について語ってくれました。

 

北 香那●きた・かな…1997年8 月23 日生まれ、東京都出身。17年、ドラマ「バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~」(テレビ東京系)でジャスミン役に抜擢され、注目を集める。18 年、アニメ映画『ペンギン・ハイウェイ』では声優初挑戦ながら主演を務める。主な出演作にドラマ「アバランチ」(21年)、「恋せぬふたり」(22年)、「拾われた男」(22年)、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の 13 人」(22年)、「ガンニバル」(22年)、「インフォーマ」(23年)、NHK大河ドラマ「どうする家康」(23年)、主演ドラマ「東京の雪男」 (23年)、「口説き文句は決めている」(23年)、映画『バイプレイヤーズ もしも 100 人の名脇役が映画を作ったら』(21年)、『なんのちゃんの第二次世界大戦』(21年)などがある。Instagram

【北香那さん撮り下ろし写真】

 

改めて春画に触れて分かった、それだけでない面白さ

──「何としても、弓子を演じたい」という気持ちで、オーディションを受けられたそうですが、その理由は?

 

 塩田(明彦)監督が書かれた脚本を読んだとき、とても面白くて、何事にも一生懸命で、1つひとつの言動に嘘がない弓子にとても魅力を感じたんです。それにプラスして、ちょっと自分とシンパシーを感じる部分もあったことも大きいです。気が強い部分もそうですが(笑)、私も1つのことに夢中になると、それを追い続けてしまうんです。例えば、お芝居をしていると楽しくて、「もっともっと、何かないかな?」とか。それで「弓子を演じたい、塩田監督の演出を受けてみたい」と強く思い、自分を奮い立たせながらオーディションに行きました。

 

──『月光の囁き』などで知られる塩田監督作ならではの“歪んだ愛情表現”については?

 

 確かにいろいろな形の愛情表現があるなと感じましたが、弓子だけでなく、登場人物全員が一直線に幸せに向かっているところに惹かれました。例えば、内野聖陽さんが演じた芳賀先生に対する弓子のちょっと歪んだ愛情だったり、柄本佑さんが演じた辻村の歪んだ思いやりだったり、それらがちょっとズレていて、滑稽で面白いというのが、この作品の魅力だと思うんです。最初に台本を読んだときも、「この人たち、一体何なんだ?」と何か惹かれるようなものがあって夢中になってしまいました。

 

──ちなみに、北さんは春画の存在について知っていましたか?

 

 中学生の頃、クラスの男の子たちが「江戸時代のエッチな本があるらしい……」という話をしていたのをある時、聞いてしまったんです。それで家のパソコンで検索して、初めて春画の存在を知ったのですが、「こんなところをお母さんに見られたら、どうしよう!」と思うぐらい恥ずかしかったです(笑)。でも、今回役作りでいただいた資料を読んだり、自分なりに春画の歴史を勉強して、改めて春画に触れてみると、表現として豊かで面白いんですよ。それを想像する面白さや絵の繊細さなど、見れば見るほど、奥深いというか、最初は春画を何も知らなかった弓子が、どんどんのめり込む理由も分かりましたし、そこは『春画先生』と重なっている気もしました。

 

安達祐実さんの迫力に飲み込まれそうになりました

──『罪の余白』以来、8年ぶりとなった内野聖陽さんとの共演はいかがでしたか?

 

 前回は1シーンだけの共演でしたが、今回はガッツリお芝居させていただき、内野さんの芝居への集中力に引っ張られました。内野さんのお芝居は、リハーサルや本番でテイクを重ねても、一切ブレないし、その空気感によって現場が締まるんです。私もそれに感動しつつ、「このままじゃいけない!」と身が引き締まる気持ちになり、さらに弓子と向き合うきっかけをいただきました。

 

──実際に演じることで、弓子が芳賀先生に惹かれていく理由は分かりましたか?

 

 芳賀先生は、一見気難しそうに見えるけれど、「めちゃくちゃ少年じゃん!」みたいなところがあるんですよ。そういう愛らしさ、かわいらしさというところに、ある種のギャップを覚えました。実際、すごくモテているのも理解できました。撮影中、芳賀先生のことを好きになりすぎた弓子が芳賀先生から久しぶりに連絡が来て、ダッシュして家に向かうシーンがあるのですが、実際にすごい距離を走ったんです。電車が来るタイミングを狙って、何度も全速力で走って、汗だくになって。翌日は全身筋肉痛になったことを思い出しました(笑)。

 

──キスシーンもある安達祐実さんとの共演はいかがでしたか?

 

 安達さんと対峙すると、迫力というか勢いがすごくて、まるで爆風や竜巻を受けるような感覚でした。何度もそれにのみ込まれそうになりましたが、そこを何とか踏ん張って、抵抗していく姿が映像として残っているように思えます。あのシーンに関しては、役作り云々というよりは、ほぼ自然体です(笑)。その後に、内野さんを叩くシーンになるのですが、リハーサルを繰り返した後、内野さんが「遠慮なく叩いてくれ!」とおっしゃったので、そこは遠慮なくさせていただいて(笑)。それが弓子と芳賀先生に火をつけている感じも出ていて、情熱的なシーンになったと思います。

 

──完成した作品を観たときの感想は?

 

 撮影中は「自分がどう映っているか?」とか、チェックするようなことはなかったのですが、撮影が女性を美しく撮ってくださる芦澤明子さん(『レジェンド&バタフライ』など)だったので、完成をとても楽しみにしていたんです。実際に、ものすごくきれいに撮ってくださって、弓子の魅力を倍増させていただいたので、とても感動しました。自分が弓子を演じたことを抜きにしても、クライマックスまでの伏線がいろんなところに張られているし、面白いはたくさんセリフはあるし、オトナのためのコメディとして、おススメできる作品になったと思います。

 

新たな第一歩を踏み出すきっかけ

──ドラマ『バイプレイヤーズ』でのジャスミンの印象が強かった北さんですが、本作は自身のキャリアにおいて、どのような作品になったと思いますか?

 

 役柄的に、いろんなことに挑戦した以外にも、顔の表情で表現したり、ハッキリと発声したり、これまでのお芝居から180度変えるような挑戦もしました。そういう挑戦がいっぱいあったので、新たな第一歩を踏み出すきっかけとなる作品になったと思います。本当に自分の中で、すごく大切で、大好きな作品になりました。だから、いろんな人に見てほしい気持ちはありますし、ずっと私を応援してくれている両親にも「今までとは違う、新たな私を見てほしい!」という気持ちです。お父さんは、ちょっとビックリしちゃうかもしれないけど(笑)。

 

──今回の現場を通じて、強く感じたことは?

 

 これまで映画の現場をあまり経験してなかったこともあって、『春画先生』の現場を通して、「映画を作ることは、こんなに一体感があって、簡単に妥協しないもの」ということを知り、ものすごく気持ちよかったんです。塩田監督がすぐにOKを出さずに、テイクを繰り返すことでの安心感というか、粘ってくれたことで、濃厚な毎日を過ごすことができて、とても感謝しています。そういう意味では、これからたくさんの映画の現場を知りたいなと強く感じました。

 

──北さんが現場に必ず持っていくモノやアイテムについて教えてください。

 

 『春画先生』のときは、鎌倉の鶴岡八幡宮の厄除けのお守をずっと下着に付けていました(笑)。「たくさんの思いが詰まった作品の撮影が、何かのアクシデントで中断することなく、無事終わりますように」という気持ちが強かったので。あと、スピリチュアルな石とかも好きで、現場にはできるだけスギライトを身に着けていきます。ちなみに、個人的なパワースポットは芸能の神様がいる新宿の花園神社です。

 

 

春画先生

10月13日(金)より東京・新宿ピカデリーほか全国公開

【映画「春画先生」よりシーン写真】

(STAFF&CAST)
監督・原作・脚本:塩田明彦
出演:内野聖陽 北 香那 柄本 佑 白川和子 安達祐実

(STORY)
肉筆や木版画で人間の性的な交わりを描いた「春画」の研究者である「春画先生」こと、芳賀一郎(内野)は、世捨て人のように研究に没頭する日々を過ごしていた。そんな芳賀から春画鑑賞を学ぶ春野弓子(北)は、春画の奥深い魅力にのめり込んでいくと同時に、芳賀に恋心を抱く。やがて、芳賀が執筆する「春画大全」の完成を急ぐ編集者・辻村(柄本)や、芳賀の亡き妻の姉・一葉(安達)の登場により、大きな波乱が巻き起こる。

 

公式サイト:https://happinet-phantom.com/shunga-movie/#modal

 

(C)2023「春画先生」製作委員会

 

撮影/映美 取材・文/くれい響 ヘアメイク/南野景子 スタイリスト/鵜嶌帆香
衣裳協力/AOIWAKA、MARTE、Jouete、seven twelve thirty

『水曜どうでしょう』テーマ曲を歌う、樋口了一が俳優デビュー「この映画で、パーキンソン病への理解が広まれば」

「1/6の夢旅人2002」や「手紙~親愛なる子供たちへ〜」で知られるシンガーソングライターの樋口了一さんが『いまダンスをするのは誰だ?』(10/7(土)公開)で俳優初挑戦。自身と同じパーキンソン病を患う主人公の再生の物語を描いた本作。思いがけない出演オファーの心境や初めての撮影現場の様子、そしてこの映画を通して届けたい思いなどをたっぷりと伺った。

 

樋口了一●ひぐち・りょういち…1964年2月2日生まれ。熊本県出身。シンガーソングライター。2003年、『水曜どうでしょう』のテーマソング「1/6の夢旅人2002」をCDリリースし、大きな注目を集める。08年にリリースしたシングル『手紙~親愛なる子供たちへ〜』はラジオでのOAをきっかけに「介護の歌」「泣ける歌」といった反響を受け、翌09年には第51回日本レコード大賞優秀作品賞を受賞した。12年より活動拠点を地元の熊本に移し、熊本地震や九州の水害の復興のための支援ソング『小さき花の歌』を発表。この曲には大泉洋らも参加し、話題となった。現在は全国に歌を届ける「ポストマンライブ」をライフワークにしつつ、シンガーソングライターの村上ゆきとのユニット「エンドレスライス」としても活動を行っている。

【樋口了一さん撮り下ろし写真】

 

同じパーキンソン病でも症状は人によって様々なんです

──今作への最初のオファーは、キャストとしてではなく主題歌の依頼だったとお聞きしました。

 

樋口 はい。古新舜監督から「パーキンソン病を題材にした映画があるので、その主題歌を作ってください」というお話をいただいたのが最初でした。監督がわざわざ僕が住む熊本まで来てくださり、4〜5時間ほどお話をして、「ぜひやらせてください!」と二つ返事でお受けしたんです。なのに、それが次にご連絡をいただいた時は出演のオファーに変わっていて(笑)。正直、あの数時間の会話で、僕の一体何をそんなに気に入ったんだろうという疑問もあったのですが、大事な主演を芝居未経験の僕に委ねるという潔さが面白いなと思い、主演の依頼もお受けしたんです。あとで、「どうして僕に?」と監督に訊ねたところ、はっきりとした答えがなかったものですから、きっと直感だったんでしょうね。

 

──演技初挑戦にして主演という大役ですが、こちらも二つ返事だったのでしょうか?

 

樋口 いえ、基本的に逃げ腰タイプなので、最初はどうやって断ろうかと考えていましたね。僕はすべてのことにおいて大体そういう逃げ腰な感じからスタートするんですよ(笑)。ただ、今回はもったいない気がしたんです。というのも、僕自身、パーキンソン病を患ってから16年が経ちますし、残りの人生をどれくらい生きられるか分からない。そう考えた時、“映画で主役を演じてくれ”とお願いされる機会なんてまずないわけですし、そんなせっかくのチャンスを前に、“やったことがない”という理由だけで断るのがあまりにも惜しいなと思ったんです。それに、もし失敗に終わったとしても、僕が責任を取る必要もないんじゃないかという思いもありました(笑)。

 

──確かに、作品は監督の責任だとよく聞きます(笑)。

 

樋口 ですよね(笑)。まあ、それは冗談ですが、僕は素人だけに、ひたすら一生懸命やればいいだけですので、そうした気軽さもあり、出演する方向に気持ちが変わっていったんです。

──初めてのことに挑む怖さよりも、好奇心のほうが勝ったんですね。

 

樋口 はい。いつでも逃げられるような心持ちでいながらも、見たことのない景色を見てみたいという厄介な性格なもんですから(笑)。

 

──ただ、主題歌を作るのと主演として作品に参加するのとでは、シナリオの読み解き方も変わってきそうです。

 

樋口 それはすごくありましたね。深い内容の作品ですし。そもそも、“これだけの分量のセリフを覚えられるのか?”という問題もありました。それに、覚えたとしても、演じながらセリフを言わなければいけないということをすっかり忘れていまして(苦笑)。クランクインが夫婦の食卓での会話のシーンだったのですが、コップのビールを飲み干して、セリフを言う時になって改めて気づきました。もうがく然としましたよ。“こんなこと、同時にできるわけがない”って(笑)。

 

──しかも、主人公の功一は劇中でダンスを習い始めますから、さらに初挑戦が続きます。

 

樋口 ダンスに関しては、いい意味で開き直っていました。やはり、数か月のレッスンで到達できるレベルというのは限られていますから。それに、この映画で功一が見せるダンスは決して上手なものではなく、どちらかというとみっともなさがあるんです。ただ、みっともなさの中にも、“かっこいいみっともなさ”と“かっこ悪いみっともなさ”があり、功一の真剣さや本気具合をいかに伝えていくかが大事だと思ったんです。ですから、たとえ滑稽に見えても、なりふりの構わなさのようなものを届けていきたいという思いを強く意識してダンスレッスンに励んでいました。

 

──そのほかで苦労されたことはありますか?

 

樋口 パーキンソン病の症状の違いですね。《ピル・ローリング》と呼ばれる手の中で紙を丸めるような動きがあるのですが、僕にはその症状がないんですね。ですから、主人公が持つ症状の一つひとつを僕も勉強しながら演技をしていきました。

 

公表することへのハードルが少しでも下がる社会になっていけばいい

──私もパーキンソン病という病名や、その症状を漠然と知ってはいても、細かなところまでは何も分かっていなかったと、この映画を見て痛感しました。

 

樋口 きっと多くの方がそうだと思います。だからこそ、この映画を作る意味や意義があったんだと思います。僕自身、学ぶことがたくさんありましたから。例えば映画の中で会議中に体が勝手に動き、「私は踊っているんだ」と話すシーンがありますが、これは《ジスキネジア》という症状なんですね。ハリウッドスターのマイケル・J・フォックスさんによく見られる動きだと説明すればピンとくるかもしれません。私にはこの症状もなく、スタッフさんやエキストラさんのなかに罹患されている方がいらっしゃり、ご自宅で撮影したものを見せていただいたりしました。それを見ると、本当にダンスを踊っているように体が動き回っているんです。私が想像していた以上の動きでしたので、そうした罹患されている方々のお話や体験をうかがいながら、役を作り上げていったところもあります。

 

──その一方で、薬で症状を抑えられるということも、恥ずかしながらこの映画で初めて知りました。

 

樋口 そうなんです。最近は効果的ないろんな薬が生み出されていて、服用の仕方によって、長きにわたって体を自由に動かせる状態を維持できるようになっています。映画の中でもダンスやランニングをしたり、クルマも運転していますから。ただ、波があるんですよね。薬を飲み続けると、どうしても効果を得られる血中濃度のポイントがだんだん狭まっていって、次第に体が勝手に動くようになったり、反対に動かなくなったりするんです。ですから、この映画の現場でも自分に薬が効いている時間の中で調整しながらの撮影になりました。

 

──劇中では、病名も含め、そうした症状のことや薬のことなどを周囲にどのように伝えていくかが罹患後のハードルの一つだと描かれていました。

 

樋口 僕も2009年に確定診断を受け、2012年に公表しましたので、3年ほど病気のことを伏せていました。でも、それが普通だと感じていたんですよね。僕もスタッフも、周りに“言わない”という選択が当たり前だと思っていたんです。

 

──それを公表しようと思われたのはなぜなのでしょう?

 

樋口 ある方に、音楽の仕事をして世間にも名や顔を知られている僕が病気になったのは、何かしらの役割があるのでは? と言われたことがきっかけでした。その言葉を聞いて、なるほどと思ったんです。もちろん、僕のようにフリーで仕事をしている人間と会社勤めをされていらっしゃる方では環境が違いますし、公表するにも大変さや覚悟の決め方が異なると思います。もしかすると、組織の中で働かれている方は、周囲からの良かれと思っての気遣いに別の心苦しさや孤立した思いを感じることがあるかもしれませんし。でも、だからこそ、この映画を通じてパーキンソン病のことをたくさん理解していただき、公表することへのハードルが少しでも下がる社会になっていけばいいなという願いも込めているんです。

 

“悪あがき”がこれからの僕の人生のテーマ

──樋口さんはこれまで30年間にわたって音楽活動をされていますが、歌以外の演技やダンスで表現することの面白さや魅力をどんなところに感じられましたか?

 

樋口 演技でいえば、喜怒哀楽の感情をよりストレートに出せるところが楽しいなと思いました。特に功一は物語の序盤でいろんなことに対して怒っている役柄でしたからね。僕自身は日常で怒ることがほとんどないのですが、彼は些細なひと言にいきなり火が着いたように怒り出す。ですから、どうすればそうした感情を持てるんだろうと最初は悩みました。でも、演じていて気づいたんです。功一はパーキンソン病だと告知され、自暴自棄になっていた状態だったので、何をされ、何を言われても、感情が爆発してしまうような臨界点にいたんだろうな、と。むしろ無意識に自分が怒鳴れるきっかけを探していたようなところもあるのかなと感じて。それからはどんどん感情を表に出すことに違和感を持たなくなりましたね。

 

──では、完成した作品を見て印象的だったシーンはありますか?

 

樋口 やはりラストシーンです。“踊れない”とふさぎ込む娘に対して、「諦めたら終わりだぞ」と告げる場面。しかも、娘にそんなことを言いながら自分が踊りだすのがいいですよね(笑)。あの姿にはすごく共感しました。だって、本来なら踊ることをやめた娘に対し、舞台袖から引っ張り出してでも説得しようとする感情が湧くと思うんです。にもかかわらず、セリフにはないものの、“俺が踊るから、お前は見てろ!”というぐらいの勢いがあって。言ってることとやってることが破綻している(笑)。でも、その矛盾した感じが人間らしくて素敵だなと思ったんです。

 

──確かに、理屈で考えるとおかしな行動ですが、感情で考えるとすごく腑に落ちるシーンでした。

 

樋口 そうなんです。しかも、功一のダンスがいまいちイケてないのもいいですよね(笑)。彼の中ではすごく盛り上がっているんでしょうけど(笑)。それに、もしかすると功一は娘のために踊ったのではなく、自分自身の生き様を見せつつ、ただ純粋に踊ることを楽しんでいただけなのかもしれない。彼は病気を患い、手足が思うように動かないけど、それを含めて“俺の姿を見てくれ!”と伝えているようでもあって。いろんな感情の受け取り方ができるシーンだと思います。

 

──先ほど、樋口さんがご自身の病気を公表したことを“何かしらの役割”とお話されていましたが、パーキンソン病を患いながらも音楽制作やライブ活動を続けていらっしゃる樋口さんの姿自体も、同じ病気を抱える方々の支えや勇気になっているのではないかと思います。

 

樋口 そうだと嬉しいですね。僕は罹患して16年になるんです。最初に病気のことが分かった時は、さすがに16年後は歌も歌えなくなっているかなと思ったこともありました。実際に一時期、声がうまく出なくなったこともあったんです。でも、それが不思議と持ち直してきて。今は楽器を弾きながら歌うことは難しいにしても、ちゃんと声も出ますし、ライブも精力的に続けられています。この映画でも、当初の依頼としてあった主題歌(『いまダンスをするのは誰だ?』)を歌わせていただいていますしね。

──しかも、すごくテンポの早い曲です。

 

樋口 音楽を30年間やってきたなかで、一番早いかもしれません(笑)。古新監督が書かれた歌詞に触発されたというのもありますし、やせ我慢をして無理している人間の姿を歌で表現したかったんです。イメージとしては80年代のダンス映画の『フラッシュダンス』のような、とにかく前向きな空気感を出したくって。また、僕はもともと生楽器を使ってもう少しアナログっぽい雰囲気の曲にしていたのですが、そこに河野 圭くんが打ち込みのアレンジを入れてくれたことで、新しさと古さがいい具合に混じった楽曲になりました。

 

──樋口さんはシンガーソングライターとして活動されてきましたが、ご自身以外の方の歌詞にメロディを乗せることに難しさなどは感じますか?

 

樋口 今はもう慣れてきましたね。2008年にシングル曲の『手紙〜親愛なる子供たちへ〜』を作って以来、いただいた歌詞に曲をつけることが増えてきましたから。もちろん、自分がメロディを乗せたいと感じた歌詞に限るのですが、その人が綴った言葉に込めた思いを感じながら、さらにその奥にある意味などを掘り起こしていく。そうした作業がどんどんと楽しくなってきているんです。

 

──なるほど。では、今後アーティストとして挑戦していきたいことがありましたら教えてください。

 

樋口 そうですね……決して病気を患っているからというわけではなく、残された時間を逆算して考えると、これからの人生のなかで何ができるだろうかと考えながら行動するようになってきているんです。その意味では、この年齢で映画の主人公を演じてくれと言われたときの驚きやワクワク感などを音楽のほうにもフィードバックさせたいなと思っていて。それ以外にも、身体が動くうちはいろんなことを詰め込んでいこうと思っています。いうなれば、“悪あがき”っていのがこれからの人生のテーマですね(笑)。

 

──これからのご活躍も楽しみにしています。最後に、樋口さんが今はまっているものを教えていただけますか?

 

樋口 小説です。読む方ではなく、書く方。コロナ禍で音楽活動が制限されたことを機に、新たな表現の場として昨年の7月頃から書き始めていて、3月3日や4月4日といった毎月のゾロ目の日にウェブで新作を発売したり、ライブ会場で販売したりしているんです。物語の内容も、大人の童話のようなものから不条理なお話まで本当にバラバラで。ラストを決めずに書き始めていくので、途中から思いもよらない方向に進んだりして、僕自身も“これ、どうなるんだ!?”と楽しみながら書いてます。

──歌の歌詞を書かれている方が生み出す小説というのはすごく興味深いです。

 

樋口 僕が普段から書いている歌詞も、実はちょっと物語っぽいんですよね。どこか語り部っぽいところがあったりして。ですから、そうした部分では繋がっているのかもしれません。それに、下の娘が小さかった頃に寝る前の読み聞かせをよくしていたのですが、いつも最後まで読んでもそこで終わらず、さらに先の物語を即興で適当に作っていたんです(笑)。すると、娘からも「今日はちょっとだけ怖くて、でも最後は安心して眠れるお話がいい」といったリクエストがきたりして(笑)。それが結果的にこの小説のようなクリエイトに繋がっていったのかもしれないです。今は、締切に追われてようやく書き始めるという感じですが(苦笑)、一度手をつけると一気に書き終えることが多いので、これからもジャンルを決めず、いろんなお話を紡いでいきたいですね。

 

 

 

(C)いまダンフィルムパートナーズ

いまダンスをするのは誰だ?

10月7日(土)より新宿K’s cinemaほか全国順次公開

 

【映画「いまダンスをするのは誰だ?」よりシーン写真】

(STAFF&CAST)
監督・脚本・原作:古新 舜
企画・原案:松野幹孝
エグゼクティブプロデューサー:古新 舜
音楽:樋口了一、村上ゆき
主題歌:樋口了一『いまダンスをするのは誰だ?』(テイチクエンタテインメント)

出演:樋口了一、小島のぞみ、山本華菜乃、塩谷 瞬、IZAM、杉本 彩ほか

(STORY)
家庭を顧みず、仕事一筋で生きてきた功一(樋口)。妻や娘ともすれ違いが続く日々を送ってきた彼は、ある日、若年性パーキンソン病だと診断される。なかなか受け入れられず自暴自棄になり、やがて妻からも離縁を迫られ、職場でも仲間が離れていき、それまで以上に孤独を抱えてしまうのだった。そうした中、パーキンソン病のコミュニティ「PD SMILE」で新たな仲間と出会った彼は人との触れ合いの大切さを痛感し、新たな生き方を求めて前を向いて力強く歩き出していく。

公式サイト:https://imadance.com./

(C)いまダンフィルムパートナーズ

 

撮影/中村 功 取材・文/倉田モトキ

三浦翔平「今だけではなく未来のため、自分だけではなく誰かのため、お金だけではなく愛のため」映画『親のお金は誰のもの 法定相続人』

2000年に発足した「成年後見制度」の問題とともに、時価6億円の値打ちがある伝説の真珠をめぐる家族の騒動を描いた映画『親のお金は誰のもの 法定相続人』が10月6日(金)より公開。『天外者』の田中光敏監督と再びタッグを組み、成年後見人である弁護士・城島龍之介を演じた三浦翔平さんが伊勢志摩での撮影エピソードを語ってくれました。また、自身のYouTubeでも話題の趣味であるバイクの話では、家族愛にちなんだ映画同様、子供への思いなどもお話いただきました。

 

三浦翔平●みうら・しょうへい……1988年6月3日生まれ。東京生まれ。08年、ドラマ「ごくせん 第3シーズン」で俳優デビュー。以降、多くの人気作品に出演。10年に、『THE LAST MESSAGE 海猿』で第34回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。近年の出演作に『天外者』(20年)、『嘘喰い』(22年)などがあり、24年にはNHK大河ドラマ「光る君へ」に出演予定。X(旧Twitter)Instagram

【三浦翔平さん撮り下ろし写真】

龍之介の視点から見ると、お金よりも家族愛がテ―マ

──『天外者』に続く田中光敏監督の新作に出演された経緯は?

 

三浦 かなり前に田中(光敏)監督の方から、「お金の話を絡めた弁護士の役をやってもらいたい」という話をいただきました。そのときは主人公が50代ぐらいの物語だったようですが、スケジュールや制作の問題などで、企画が頓挫してしまったんです。今回はご縁がなかったと思っていたら、数か月後に田中監督から「新たに主人公に翔平くんを当て書きにした物語を作りたいです」と連絡があり、改めて出演オファーを受けました。

 

──同じく『天外者』の小松江里子さんによる脚本を読まれたときの感想を教えてください。

 

三浦 小松先生が書かれた脚本には、田中監督が伝えたい要素がいろいろ入っている印象を受けました。お金と家族が軸となる話ですが、僕が演じる龍之介の視点から見ると、「お金というよりも家族愛がテーマなのかな?」と思いました。そこに至るまでの彼の過去が描かれていますし、そこに持っていけるように田中監督とも話し合いました。

 

──財産管理の弁護人・成年後見人である龍之介を演じるうえでの役作りは?

 

三浦 弁護士役は初めてではなかったのですが、クランクイン前に、実際の弁護士の先生とお会いする機会をいただき、成年後見人制度のことや今の弁護士業界の話を伺うことができました。法の抜け道を使った決してきれいではない、ほとんど世に出せない話だったこともあり、今まで演じてきた弁護士よりも、さらに踏み込んだ取材ができたと思います。成年後見人のリアルな部分については、直接的ではないにしろ、物語を通じて伝えられていると思います。

 

比嘉さんと対峙するシーンでは、感情を動かしてもらいました

──龍之介を演じるにあたり、田中監督と小松さんからのアドバイスは?

 

三浦 最初のプロットの段階では、「龍之介の心に抱えた闇を前面に出した方がいいのでは?」とか「完全に悪人キャラに振り切った方がいいかも?」という話も出ていました。でも、最終的に小松先生が、観た人によって捉え方が変わる微妙なニュアンスで演じるキャラクターにしてくださいました。最終的には「龍之介もかわいそうな人間だった」ということを分かっていただけると嬉しいです。

 

──そんな龍之介を演じるうえで、いちばん難しかった点は?

 

三浦 毎回どの役も難しいですが、今回の龍之介でいえば、フラメンコ(踊り)のリズムであるサパテアードの音に合わせて演じるシーンが難しかったです。セリフを言えないなか、動きと顔の表情だけで表現するのは簡単なことではない。それが真珠のシーンとリンクする、とても斬新なシーンになったと思います。これは技術的な難しさですが、気持ち的な難しさに関しては、龍之介が心にフタをしたまま生きていること。そこから、憎み続けてきた母親と向き合う瞬間ですね。何となくの逆算をしつつ、事務所で母からの手紙を渡されたときや比嘉(愛未)さんを前に感情を爆発させた直後のタイミングで、龍之介の心が動いているかと思います。

 

──W主演である比嘉さんとの撮影エピソードを教えてください。

 

三浦 序盤は比嘉さんとご一緒するシーンがそこまでなかったのですが、終盤にいくにつれて対峙するシーンでは、すごく感情を動かしてもらいました。目のお芝居が印象的で、今回は芯のある強い女性の役だったこともあり、感情を表に出さない龍之介にとって、彼女の言葉のひとつひとつがズシズシ刺さってきました。田中監督がこだわっていた英虞湾の景色とともに、いいシーンになったと思います。そのほか、比嘉さんとの思い出といえば、その後にダンスシーンが控えていたので、2人でダンスの練習をしていたことですかね(笑)。

 

本当に大切なものは目に見えない

──そのほか、三浦友和さんや小手伸也さんとの共演はいかがでしたか?

 

三浦 友和さんのお芝居は、純粋に引き込まれました。言葉数が少ないなかで、役になりきられていて。それがあまりにすごすぎて、「のまれないようにしなきゃ」と思いました。でも、普段はとてもフランクで素敵な方で、休憩中は昔の映画の話や乗られているキャンピングカーの話をしてくださいました。小手さんは初めましてだったのですが、「何を投げても返してくださる役者さんだ」と勝手に思っていたので、安心しきっていました。実際、田中監督の演出が付かないときは、小手さんが自由にやられて、そこに乗っかればシーンとして成立したように思えます(笑)。あと、小手さんは日本神話にとても詳しい方で、ロケ地にまつわるお話をされていたんですが、映画まるまる一本観た気持ちになりました。

 

──そんなロケ地である伊勢志摩で思い出に残っていることは?

 

三浦 伊勢神宮には、観光で行かせてもらいました。あまり時間がなかったのですが、牡蠣だったり、伊勢海老だったり、事前にプロデューサーさんが調べてくれたおいしい店はひと通り行きました。ただ、東京でも仕事があったので、撮影中も行ったり来たりで、他のキャストさんとコミュニケーションを取る時間がなかったです。

 

──作品の見どころやメッセージをお願いします。

 

三浦 お金と家族が主なテーマですが、いろんな条件が揃わなければいけない真珠作りの大変さなども描かれています。田中監督が一番伝えたいことは、台本にもある「本当に大切なものは目に見えない」だと思うし、『天外者』に続いて、「今だけではなく未来のため、自分だけではなく誰かのため、お金だけではなく愛のため」というメッセージも含まれています。映画を観る方それぞれの視点から、違った観方ができる作品になっているかと思います。

 

思い出とともに子供に乗り継いでほしいハーレー

──GetNavi webということで、モノやコトについてお話いただきたいです。現場に必ず持っていくモノやグッズはありますか?

 

三浦 基本的に荷物を持たない主義なので、作品に入っているときは台本、シャープペン、赤ペンぐらい。あと、ロケ弁だけではビタミン不足になりがちなので、水に溶かして飲む、粉末のクエン酸はできるだけ持っていくようにしています。

 

──YouTubeでもよく登場されていますバイクへのこだわりについても教えてください。

 

三浦 誰もが自分の生まれ年や誕生日の数字に縁を感じると思うんですが、自分が死んでも、モノは一生残っていくので、その年代のモノを集めたくなるんですよ。ただ、自分の生まれ年のいいバイクがなかったこともあり、その年代のパーツを取り入れて、自分でカスタムしました(笑)。あと、子どもが生まれるタイミングで、「ハーレーダビッドソン ソフテイル FXLRS」を買いましたが、これは子どもに思い出とともに乗り継いでほしい気持ちからですね。今はもう一台、ショベルヘッドエンジンのハーレーも持っています。昔の良さは昔のバイクで味わえるし、今の良さは今のバイクで味わえる。ありがいことに作品が続いているので、ほとんど乗れていませんが、プラモデルのように眺めるだけで楽しいんです。

 

 

親のお金は誰のもの 法定相続人

10月6日(金)より公開

 

(STAFF&CAST)
監督:田中光敏
脚本:小松江里子
出演:比嘉愛未 三浦翔平 浅利陽介 小手伸也 山崎静代 松岡依都美 田中要次 デヴィ夫人 内海崇 DRAGONGATE 石野真子 三浦友和

(STORY)
三重県伊勢志摩で真珠の養殖を営む大亀家の母・満代(石野)が亡くなった。満代の娘たちは、財産管理の弁護士で成年後見人である城島龍之介(三浦翔平)から、遺産相続や、父・仙太郎(三浦友和)の手による時価6億円の真珠が自由にならないことを告げられ、巨額な財産をめぐって大騒動が巻き起こる。そんな中、三女の遥海(比嘉)は、母を死に追いやったのは真珠の養殖を手伝わせた父が原因であると恨みを募らせていた。

公式サイト:https://oyanookane-movie.com/

(C)2022「法定相続人」製作委員会

 

撮影/干川 修 取材・文/くれい響 ヘアメイク/石川ユウキ スタイリスト/根岸 豪

「イカゲーム」主演イ・ジョンジェの初監督作「ハント」が公開中!「緊迫感のあるスピーディーなアクションシーンを追い求めた」

「イカゲーム」で世界中を夢中にさせたイ・ジョンジェ。一躍国際的スターとなり、ハリウッドをはじめ活躍の場を世界に広げている。そんな彼が今度は監督に初挑戦した。大統領暗殺計画を巡る壮絶なスパイアクションとなる映画『ハント』は、彼が4年間温めてきたシナリオを基に監督し、盟友チョン・ウソンとダブル主演を果たした。初監督作とは思えないスリリングな演出がカンヌ映画祭をはじめ、各国映画祭で称賛されている。初監督作に対する思いのほか、チョン・ウソン、ファン・ジョンミン、キム・ナムギル、チュ・ジフンら韓国を代表するそうそうたる俳優たちの撮影裏話などを聞いた。

 

イ・ジョンジェ●1972年12月15日生まれ。韓国・ソウル出身。『若い男』(94)で韓国で最も権威のある映画賞・青龍映画賞を含む4つの映画賞で新人賞を受賞。『太陽はない』(98)では史上最年少で青龍映画賞主演男優賞を受賞した。以降、『イルマーレ』(00)、『ラスト・プレゼント』(01)などでキャリアを積み、『10人の泥棒たち』(12)、『新しい世界』(13)、『神と共に』シリーズ(17~18)などヒット作が続くなか、。2021年に主演を務めたNetflixオリジナルシリーズ「イカゲーム」が世界中で大ヒットを記録。続編「イカゲーム シーズン2」の2024年の配信も予定されている。

【イ・ジョンジェさん写真一覧】

 

アクションの中に心理や状況をしっかり盛り込んでいく

──監督するにあたり、同事務所のチョン・ウソンからアドバイスなどありましたか。

 

イ・ジョンジェ ウソンさんは、あるインタビューで「僕は現場では出来る限り言葉を控えるようにしている」と話されていました。そのインタビューを読んで改めて撮影を振り返って考えると、彼は助言をしたり、または“こういうことをしたい”というような話はほとんどしていなかったと思います。むしろ、僕が何を望んでいるのか絶えず耳を傾けて聞いてくれました。逆に僕の方からキム・ジョンド(チョン・ウソン)はこう演じてほしいと話していましたね。

 

──本作では、シーンや演じる役によって異なるアクションを作り上げたと伺いました。具体的にどのアクションシーンでどのような違いを意識しましたか?

 

イ・ジョンジェ アクションシーンは本作の中でかなり重要な部分を占めていると考えました。それは見どころという意味ではなく、アクションの中に俳優や役柄の心理、緊迫した状況をしっかり盛り込んでいくことが大切だと考えていたんです。アクションシーンごとに、例えばジョンドが置かれている緊迫した状況、追われている状況を表現したり、別のアクションシーンではパク・ピョンホ(イ・ジョンジェ)が脅威にさらされたり、憐憫の感情を引き起こすような演出をしながら撮影していきました。これらがうまく撮影できればアクションシーンが単に見どころとなるだけではなく、それ以上に感情の詰まったシーンになると考えたからです。なので、銃弾が飛び交ったり爆弾が爆発するのではなく、感情が爆発するようなアクションシーンを撮りたいと思いました。

 

──アクションと心理戦のバランスがとても素晴らしいと思います。脚本を書く際に工夫したことはありますか? 過去のスパイアクション映画とは違うポイントを作るようにした、と伺いましたが、それはどのようなものでしょうか。

 

イ・ジョンジェ スパイ活動のテンポがどちらかというとゆったりしていて、さまざまな秘密が重なり合っていき、一体この人物は何を隠しているのか、どのように考えていくのかを知っていくような、非常に複雑なタイプのスパイ映画が多いと思いますが、その場合、最後にこの映画は何を伝えたかったのだろうと思ってしまう時がたまにありますよね。私がこのスパイ映画を撮るとなった時に、そのように引きのばすと、果たして多くの観客の皆さんに受け止めてもらえるのかなと疑問に思って、もっとスピードを全力で上げて撮ろうと決めました。

スピードの早い展開がピョンホやジョンドの心理を表し、また心拍数を上げていくような、緊張感を最大限に出せる要素になると思ったんです。この映画は最初のシーンから最後のシーンまで全力疾走するようなスピード感でストーリーが展開していきます。その合間でアクションシーンが入ってくることにより、ピョンホやジョンドのことを追い詰める効果があったのではないかと思います。個人的にスパイ活動を描きながらも、緊迫感のあるスピーディーなアクションシーンを追い求めるという戦略を立てて、この映画を撮っていきました。

(C)2022 MEGABOXJOONGANGPLUS M, ARTIST STUDIO & SANAI PICTURES ALL RIGHTS RESERVED.

 

釜山に日本の80年代のような街並みを再現

──日本での銃撃シーンは韓国でロケを組んで撮影したと伺いました。苦労した部分や、日本を意識し韓国とは違うようにした部分などありますか?

 

イ・ジョンジェ とある方に、日本でカーチェイスや、都心の道路で銃撃シーンを撮るためには解決しなければならないことが多いし、許可を取るのも非常に難しいと言われてとても悩みました。悩んでいるさなかにコロナ禍となって……。結果的に日本へ行くことができなくなってしまったんです。そこで釜山でセットをうまく作れば80年代の日本の街並みを表現できるのではないかと思い、ロケハンをして、交差点を3~4箇所ほど車両規制をした上で撮影しました。

看板や道路標識、信号機なども作り込みました。また、日本の80年代に実際に走っていたタクシーなどさまざまな種類の車を韓国に空輸して、カーチェイスと銃撃戦を撮ったんです。その後、ポストプロダクションの作業でCGの力も借りて表現しました。実際の日本の80年代のような街並みを作り上げようとして撮ったんですが、果たして日本の観客の皆さんがどんなふうにそのシーンをご覧になるのかとても気になるところです(笑)。

(C)2022 MEGABOXJOONGANGPLUS M, ARTIST STUDIO & SANAI PICTURES ALL RIGHTS RESERVED.

 

──ファン・ジョンミンやキム・ナムギル、チュ・ジフンら名だたる俳優が友情出演しています。

 

イ・ジョンジェ 今、名前を挙げていただいた俳優の皆さんは、私とウソンさんが『太陽はない』(98)以来、久しぶりに共演することになって、私たちも一緒に何かやらせてくださいと先に連絡をくださったんです。この作品は私たちの会社のArtistスタジオと、SANAI PICTURESという映画会社が共同製作をしていますが、私とウソンさんとSANAI PICTURESの代表は友情出演してくださっている俳優の皆さんと普段から本当に親しく過ごしているんです。なので、どんな小さな役でもいいからやらせてくださいと、皆さん言ってくださったんですが、むしろ私はとても心配になりました。こんなに大勢の有名な俳優の方々がいきなりどっと出てくると、映画が散漫なものになり、もしかしたらストーリーの集中を妨げるのではと。そんななか、ある日アイディアがパッと浮かんだんです。それは皆さんを1つの作戦のシーンの中に全て盛り込むというものでした。みんな銃に撃たれて死んでしまうシーンでしたが……(笑)。そうするといきなり一斉に出てきて、10分もたたないうちにみんな死んでしまう、その後は出てこないという状況になったんです。それを東京シーンのところに全て配置しました。

 

撮影終わりには近くのプルコギ屋さんで焼酎を

──撮影はいかがでしたか? スケジュール調整も大変なメンバーだと思います。

 

イ・ジョンジェ 東京シーンが終わるとその後すぐにファン・ジョンミンさん、イ・ソンミンさんも出てくるんですが、これらは10分~15分の間に起こることです。有名な俳優の方々が、一気にいきなりわぁっと登場して、いきなりわぁっと退場していく、そんなシーンになったんですが、それによって私は自信を持つことができました。このやり方であれば観客の皆さんに楽しんでいただけると同時にその後は再びストーリーに集中できると思って、そのような作り方にしたんです。 また、実は当時彼らは自分たちの主演映画を撮っている時期でスケジュールを合わせるのがとても大変でした。しかし、彼らが映画会社に「イ・ジョンジェとチョン・ウソンが久しぶりに共演するので少しでも手伝いたい」とお願いしてくれて時間を割いてもらえました。彼らとは3週間撮影したのですが朝4時半から準備をし、17時まで撮影をしていました。撮影が終わると近くのプルコギ屋さんでみんなで焼酎を飲みながら楽しい時間を過ごしたことを今でも覚えています。

 

──日本のファンへのメッセージをお願いします。

 

イ・ジョンジェ 以前日本には旅行でも仕事でも頻繁に来ていましたが、ここ数年はコロナ禍によって頻繁に日本に来ることができませんでした。ですが、今回『ハント』のプロモーションで日本に来ることができて、とても楽しいですし、本当に嬉しい気持ちでいっぱいです。特に日本のファンの皆さんに直接お会いすることができて、顔なじみの方もいらっしゃるので、再会できて本当に嬉しく思いますし、とても胸が熱くなりました。また、新しく私のことを応援してくれるファンの方にもお会いすることができて、とても力をもらっているような気がして、本当に皆さんに感謝しています。これからもステキな作品を頑張って撮って、皆さんに頻繁にごあいさつできる機会を、これからもたくさん作っていきたいと思っています。皆さんもどうかお元気で、そしていつも幸せでいてください。これからも応援をお願いします。ありがとうございます。

 

 

(C)2022 MEGABOXJOONGANGPLUS M, ARTIST STUDIO & SANAI PICTURES ALL RIGHTS RESERVED.

HUNT

東京・新宿バルト9ほか全国公開中

【映画「HUNT」よりシーン写真】

脚本・監督:イ・ジョンジェ
出演:イ・ジョンジェ、チョン・ウソン、チョン・ヘジン、ホ・ソンテ、コ・ユンジョン、キム・ジョンス、チョン・マンシク

公式HP https://klockworx.com/huntmoviejp

(C)2022 MEGABOXJOONGANGPLUS M, ARTIST STUDIO & SANAI PICTURES ALL RIGHTS RESERVED.

 

町田啓太インタビュー「疑問を持ち、意見を交換する大切さをあらためて気づかせてくれた」映画『ミステリと言う勿れ』

田村由美さんの人気漫画を、菅田将暉さん主演で実写化した連続ドラマ『ミステリと言う勿れ』。原作で人気のエピソード、通称「広島編」をもとに、名家・狩集家をめぐる遺産相続事件の顛末を描いた当映画で、インテリな見た目の臨床検査技師である狩集理紀之助(かりあつまり・りきのすけ)を演じた町田啓太さん。

町田啓太●まちだ・けいた…1990年7月4日生まれ。群馬県出身。2020年のドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(テレビ東京系)は、第106回ザテレビジョンドラマアカデミー賞助演男優賞などを受賞し、2022年に映画化。ほか近年の出演作にドラマ『SUPER RICH』(フジテレビ系・2021)、『ダメな男じゃダメですか?』(テレビ東京系・2022)、『テッパチ!』(フジテレビ系・2022)など。10月8日より連続ドラマW『フィクサー Season3』の放送・配信がスタート。Instagram

 

もともと原作漫画が大好きだったという町田さんは、実写ドラマ化の話を聞いた際から出演を熱望し、劇場版にて念願の初出演を果たす。原作ファンの目線から見た「ミステリ」の現場について語った。

 

【町田啓太さん撮り下ろし写真】

 

原作好きとして「自分なりに理紀之助を構築できたら」

 

──もともと、原作コミックのファンだったそうですね。

 

町田 ファンと言うとおこがましいですが、とにかく原作が好きだったんです。作品全体から醸し出される温もりとともに、主人公の久能整が発する何気ない言葉が、ミステリを解きつつ、事件に関わっている人の心も解いているように感じていました。ドラマ化されると聞いて僕も参加できたらいいなぁと思っていたのですが、なかなかお声がかからなくて……(笑)。

 

──となると、今回通称「広島編」が原作となる映画への参加は、かなりうれしかったのでは?

 

町田 はい。お声がけしていただいただけでもうれしかったのですが、プロデューサーの草ヶ谷(大輔)さんも松山(博昭)監督も以前、ドラマ『人は見た目が100パーセント』でご一緒させていただいたので、またご一緒できることが、よりうれしかったですね。

 

──狩集理紀之助役をオファーされたときの率直な感想を聞かせてください。

 

町田 最初に聞いて「理紀之助なんだ!」と思いました。原作を読んだときから好きなキャラクターだったので、とてもうれしかったです。ドラマで菅田将暉くんが演じていた整も思慮深くて好きでしたし、そんな菅田くんと共演できることも楽しみでした。

 

──好きなキャラクターを演じるうえで、どのような思いだったのでしょう。

 

町田 できるかぎり原作ファンの方に楽しんでもらえるよう、自分なりに理紀之助を構築できたらという思いでいました。ただ今回は映画なので、いろんなエピソードで構成された広島編の全部は描ききれず、原作好きとしては、理紀之助の魅力をすべて出せないもどかしさのようなものを、少し感じてしまいましたね。

 

──理紀之助の特徴でもある、メガネと広島弁については?

 

町田 メガネは衣装合わせのとき、かなりの本数の中から原作のイメージに近いものを選びました。広島弁は映画『こいのわ 婚活クルージング』で一度挑戦していたのですが、理紀之助の内向的で周りを気にする繊細な性格に合わせて、コテコテではなく、少し標準語に近いものでいこうとなりました。萩原利久くんが演じた新音とのバランスもあったと思います。

 

「現場の空気感の変化が、映画の内容とシンクロしていた」

 

──個性的な狩集家の遺産相続候補者が集い、物語が進む現場の雰囲気は?

 

町田 最初は「菅田くんを中心にした『ミステリ』の現場は、どういう雰囲気なのか?」と、探り探りでした。それに僕の最初の撮影シーンは、狩集家が一堂に介する前で遺言書が読まれるシーンで、厳かな雰囲気だったんです。でも撮影の合間の時間は、菅田くんがいろんなパスをくれたので、会話が弾み、気づいたらずっと話していた感じでした。その空気感の変化が映画の内容とシンクロしていたので、それも観ながら楽しめると思います。

 

──鈴木保奈美さん、松坂慶子さんといった先輩方との共演はいかがでしたか?

 

町田 皆さんと共演したことがあり、緊張よりうれしくて心強い気持ちの方が大きかったです。松坂さんとはドラマ『スミカスミレ 45歳若返った女』で恋に落ちる役を、保奈美さんは、当映画の撮影と同時期にWOWOWのドラマ『フィクサー』でも共演中だったんです。本当に皆さん温かくて、優しくて、素敵な方ですが、作品によって醸し出す雰囲気がガラッと違うので、圧倒されますね。

 

──撮影は広島を中心に行われたということですが、印象に残った現地でのエピソードはありましたか?

 

町田 せっかく広島にいたのですが名物を食べられず。最後に良いものを食べようと、一人でしゃぶしゃぶを食べていたんです。すると、たまたま保奈美さんに見つかって、「よく食べるね」と一言声をかけられて……(笑)。なんだか恥ずかしかったです。

 

「いろんなことに疑問を持ち、意見を交換する大切さ」

 

──撮影中、特に大変だったことを聞かせてください。

 

町田 狩集家が集まるシーンは、登場人物が多いんです。だから同じシーンを何度も撮りましたし、それぞれのキャラのリアクションを捉える分、長時間の撮影になるので集中力を保つのが大変でした。また登場人物それぞれの思惑が入り組んでいることもあり、松山監督含め、皆さんとディスカッションする時間もありました。とにかく考えることが多かったです。

 

──そのような今回の現場で、刺激になったことや学んだことは?

 

町田 魅力的な皆さんと共演できたことは、すごく刺激的でした。そして、いろんなことに疑問を持ち、意見を交換する大切さをあらためて気づかせてくれた現場でした。

 

──原作者の田村さんも、ロケに来てくださったとか。

 

町田 はい、お会いできてとてもうれしかったです。田村さんと意見交換ができたことも、大変有り難かったですね。そして僕を見るなり、「あ、理紀之助だ!」と言ってくださったことも心強かったです。

 

──最後にGetNavi webということで、現場に常に持って行くなど町田さんが今ハマっているモノについて教えてください。

 

町田 ファッション関係の仕事で今年6月にイタリアに行きましたが、そこで初めて本場のエスプレッソを飲んで、その美味しさにハマりました。現場でもよく飲んでいます。

 

──ということはコーヒーマシンなど買われたり?

 

町田 実はスタイリストさんとヘアメイクさんから、誕生日プレゼントにデロンギのエスプレッソマシンをプレゼントしていただきました! そして事務所の先輩であるEXILE TETSUYAさんからも、AMAZING COFFEEのキューリグ スターターセットをプレゼントしていただきました。今ではコーヒー三昧です(笑)。

 

映画『ミステリと言う勿れ』

9月15日(金)より全国公開

 

【映画『ミステリと言う勿れ』よりシーン写真】

 

(STAFF&CAST)
監督:松山博昭
原作:田村由美
脚本:相沢友子
出演:菅田将暉、松下洸平、町田啓太、原菜乃華、萩原利久、鈴木保奈美、滝藤賢一、でんでん、野間口徹、松坂慶子、松嶋菜々子、伊藤沙莉、尾上松也、筒井道隆、永山瑛太、角野卓造、段田安則、柴咲コウ
公式サイト:https://not-mystery-movie.jp/

 

(STORY)
天然パーマでおしゃべりな大学生・久能整(菅田)は、広島で開催される美術展を訪れ、そこで犬堂我路(永山)の知人だという女子高生・狩集汐路(原)と出会い、あるバイトを持ちかけられる。それは、狩集家の莫大な遺産相続に関するものだった。当主の孫にあたる汐路、ゆら(柴咲)、紀之助(町田)、新音(萩原)、4人の相続候補者は、遺言書に記されたお題に従って謎を解いていくなか、衝撃の真実にたどり着く。

 

(C)田村由美/小学館 (C)2023 フジテレビジョン 小学館 TopCoat 東宝 FNS27社

 

撮影/映美 取材・文/くれい響 ヘアメイク/KOHEY スタイリング/石川英治(TABLE ROCK.STUDIO)

“野球×未亡人”にリピーター続出! 主演・森山みつき独占インタビュー「体を縛り、心を開放する夏子の気持ちは、分からなくもなかったです(笑)」映画『野球どアホウ未亡人』

インディーズ映画ながら今年6月に予告編が解禁されるや否や、その破壊力あるタイトルとともに、映画サイトの「動画再生ランキング1位」に。さらに、都内での2週限定公開では、「キャストが8人の野球映画」とリピーターが続出した『野球どアホウ未亡人』。往年のスポ根マンガ×日活ロマンポルノの昭和感漂う独特な世界観で、“野球に目覚める未亡人”水原夏子をコミカルかつ情熱的に演じた森山みつきさん。あまりのキュートさゆえ、観る者を「どアホウ」にさせる日本映画界注目間違いなしのニューヒロインに、緊急独占インタビューを敢行しました!

 

森山みつき●もりやま・みつき…11月3日生まれ。大阪府出身。森永乳業アロエヨーグルトのCMなどで活躍後、21年に『共振』(樋口慧一監督)で映画デビュー。22年に『REVOLUTION+1』(足立正生監督)に出演するほか、主演を務めた『死後写真』(溝井辰明監督)ではイタリアの映画祭「Sipontum Arthouse International Film Festival」にて主演女優賞を受賞している。X(Twitter)Instagram

 

【森山みつきさん撮り下ろし写真】

学生時代、「幸薄そう」「なにか抱えてそう」と言われがちでした

──2週間の都内上映が終わりましたが、お友達をはじめ周囲の反応はいかがでしたか?

 

森山 上映していくうちに、変な勢いみたいなものを肌で感じていたんですが、最終日の満席は、さすがにビックリしましたね! その一方で、「こんな映画なのに……」という申し訳ない気持ちもあります。観に来てくれた知り合いの反応も、刺さった人と刺さらなかった人では、だいぶ感想が分かれますね。刺さらなかった人は「面白かったよ。頑張ってね~」程度で終わるんですが、刺さった人は細かいシーンやギャグをあれこれ指摘してくれるので、「まぁ、そういう映画だよな」と思っています(笑)。

↑東京・池袋シネマ・ロサで上映された際には特設コーナーも

 

──森山さんのこれまでの経歴を教えてください。

 

森山 中学生のときに『愛のむきだし』を観て、満島ひかりさんに憧れて、満島さんの『川の底からこんにちは』を観て、さらに衝撃を受けました。大学では演劇サークルに入っていて、客演で小劇場に出ていました。俳優ってセリフを与えてもらえるというか、自分の言葉じゃない言葉を発せられるような環境が自分に合っていて、居心地がいいんです。それで、映画に出たい気持ちが強くなり、18年に大阪から上京しました。それで何作か映画に出演させてもらったんですが、映画館で上映される機会がなくて……。そんなとき、『野球どアホウ未亡人』のオーディションを知りました。

↑映画「野球どアホウ未亡人」より

 

──かなり強烈なタイトルですが、オーディションを受けられたポイントは?

 

森山 小野(峻志)監督のお名前はもちろん知っていましたが、募集要項に、劇場公開されることと一緒に、“主人公の夏子がいろいろな顔を見せる”と書かれていたんです。私は自分の多面性を自覚していたので、それを何かしら活用できるのではないかと思ったことも大きいです。学生時代、「幸薄そう」とか「なにか抱えてそう」と言われがちでしたし……(笑)。ちなみに、中学はソフトボール部でしたが、募集要項には「野球経験問わず」と書いてあって、オーディションでも特に野球に関しては何もしていません。でも、撮影前にはしっかり野球指導の日があって、そこで変化球を投げる夏子のボールの持ち方や投球フォームを決めました。

 

台本を何度読んでも分からないんです(笑)

──ちなみに、オーディションの様子はいかがでしたか?

 

森山 あくまでも私の感覚ですけれど、会場に入った私を見た小野監督とプロデューサーの堀(雄斗)さんの顔を見たとき、「この人たちは私を使いたいのかもしれない……」と察しました。「でも、こんな作品だからどうしよう?」とも思いましたよ。オーディションではクライマックスの対決シーンをしたのですが、いきなり「森山さん、関西出身だから、関西弁でいけますか?」と変更になったんです。私、埼玉にいた期間が長くて、えせ関西弁になっていたので、母と友達2人の力を借りて、できるだけリアルを追求しました。ただ、あのシーンだけ、夏子が関西弁になるのかは、今も分かりません(笑)。

 

──そんな夏子役に抜擢されますが、未亡人が野球を始める怒涛の展開や「私は野球だ」といった謎セリフばかりで、不安ではなかったですか?

 

森山 台本を読んでも、完全に置いてきぼりでしたから不安でした。何度読んでも分からないんです(笑)。オーディションに合格して、カフェで小野監督と堀さんと一度打ち合わせをしたときも正直悩んでいました。でも、そのとき、お二人が1シーンずつ、丁寧に説明されている姿が、すっごく楽しそうだったんですよ。爆笑しながらキャッキャッしているのを見ているうちに、「もう全部お任せします。私を好きに使ってください」と、心に決めました。

──ちなみに、夏子の役作りとして、小野監督から勧められたマンガや映画は?

 

森山 小野監督から「こういう雰囲気で!」と事前に渡されたのは、野球マンガの「逆境ナイン」だけ。「野球狂の詩」の水原勇気に関しては、作品を観た方がSNSでつぶやかれていたので、映画版を先週初めて観ました。ただ、撮影前に「感情チャート表」というものをいただいたんです。そこには「それぞれのキャラクターがどんなことを考えているのか?」「それを観たお客さんがどう思うか?」「その演出の意図とは?」といったことが、シーンごとに書かれていたので、それを基にしてやるしかなかったです。考えてしまったら終わりですし(笑)。あと、小野監督が撮りたい画が定まっているのは分かっていたので、私はそれを体現すればいいかと委ねました。

 

英語で歌うミュージカルシーンは自分で振り付けしました

──劇中、夏子は未亡人なのに喪服は着ず、魔球養成ギプス(重野ギプス)を付け、鬼監督・重野の猛特訓を受けることになります。

 

森山 個人的に和装は好きなので、喪服は着たかったですね。あのギプスは、ただの針金をぐるぐるにして作ったものなので、一度ボールを投げると針金がびよーんと伸び切ってしまうんです。それでカットがかかるたび、元に戻さないといけないですし、パーツもよく取れてしまうし、針金が皮膚にめり込んでくるし、とにかく大変でした。特訓といえば、高校は陸上部だったのですが、11人いた同期が1年間で2人になるほど、女性の顧問がめちゃくちゃ厳しかったんです。残ったうちの1人が私ですが、どこか顧問に怒られるのが嬉しい気持ちになっていたこともあり、重野ギプスによって、体を縛り、心を開放する夏子の気持ちは、分からなくもなかったです(笑)。

↑映画「野球どアホウ未亡人」より

 

──夏子がすぐに押し入れに飛び込んでしまうシーンも印象的です。

 

森山 夏子はイヤなことがあると、すぐに飛び込んでしまうんですが、一度だけ足で戸を締めるんですよ。あれは私が勝手に現場で生み出したものが採用されました。夏子が被る野球帽も、最初は浅めだったのに、野球に没頭するにつれて深めに被るということを勝手にやって、小野監督に採用されました。

↑映画「野球どアホウ未亡人」より

 

──英語詞の挿入歌を歌って踊る『鴛鴦歌合戦』オマージュなミュージカルシーンに加え、エンドロールに流れるシンボル・テーマ曲も歌われています。

 

森山 台本には「決闘に向かって歩く夏子」しか書いてなかったのですが、後になって小野監督が「このシーンで歌ってもらっていいですか?」と言われて、「いいですよ」と承諾したら、歌詞が英語でした(笑)。しかも、「ミュージカルにしたいので、その日までに歌詞を覚えてきてください」と。それで、当日現場に行ったら、傘だけ渡されて、「森山さんにお任せします」と言われたので、自分で振り付けしました。シンボル・テーマ曲を歌うことは、撮影後にお願いされましたが、最初は1コーラスしかなかったのに、いつの間に2コーラス目も出来て、気づけば歌っていました。

 

水原夏子と出会えて良かったです

──そういう小野監督の謎の策略もあり、『時をかける少女』の原田知世さんも思い起こさせる森山さんのアイドル映画としても仕上がっています。ご自身の感想は?

 

森山 自分の芝居を観るのはなかなかキツいのですが、初見のときは「これで大丈夫なのか?」という気持ちでした。それが「小野監督の言ったとおりやったので、これでいいに違いない」になり、公開されて劇場で観るうちに、「これはめちゃくちゃ面白い……かもしれない」と思うようになりました。私も「どアホウ」側に洗脳されているような気がします。私自身は大衆受けする顔だとは思っていないですし、皆さん「水原夏子」というキャラクターのファンになってくださっているので、その空気感は今後も大切にしていきたいです。

↑映画「野球どアホウ未亡人」より

 

──名古屋・大阪での公開が始まり、さらに東京での凱旋公開と、今後「どアホウ」現象は全国に広まっていくと思われます。

 

森山 今、こんな生きづらい世の中なので、こんな謎のパワーが秘められた映画を観ることで、頭を真っ白にして、少しでも「どアホウ」になってもらえたらと思います。すでに、ご覧になられたお客さんは、どんどん「どアホウ」になっていますから(笑)。

──女優としての今後の希望や展望を教えてください。

 

森山 ここまで振り幅の大きい役をやらせていただいて、とても楽しかったですし、それをいろんな方に観ていただけることは、森山みつきのいろんな可能性を見ていただけることでもあるので、水原夏子と出会えて良かったです。ただ、今回は1つの役にすぎないので、これを深めていくことが、今後の私の課題のような気がしています。そして、より闇深い人間を演じられたらいいですね(笑)。

 

──いつも現場に持っていくグッズやアイテムを教えてください。

 

森山 がま口です。もともと和柄が大好きで、和の伝統文化コースを専攻していた大学の卒業論文も、麻の葉模様について書いているんです。その影響もあって、財布や化粧ポーチも、全部がま口。それを大きなバッグに入れて持ち歩いているんですが、そのバッグもがま口だったりもします。

↑森山さんのがま口の一部。がま口専門店にもたびたび訪れるという

 

 

野球どアホウ未亡人

9月22日(金)より、愛知県・刈谷日劇にて、9月30日(土)より大阪シアターセブンにて公開。今秋より池袋シネマ・ロサにて、凱旋上映も決定!

【映画「野球どアホウ未亡人」よりシーン写真】

(STAFF&CAST)
監督:小野峻志
脚本:堀雄斗
プロデューサー:堀雄斗
出演:森山みつき 井筒しま 秋斗 工藤潤矢 田中 陸 関 英雄 柳涼 藤田健彦

(STORY)
夫の賢一(秋斗)が亡くなり、草野球チーム「多摩川メッツ」の監督である重野(藤田健彦)に野球の才能を見いだされた夏子(森山みつき)。賢一の残した借金を返済するため、草野球の投手を務めることになった彼女は、重野からの激しい特訓を重ねるうちに、野球の快楽性にとりつかれる。さらに、義妹の春代(井筒しま)やプロ野球スカウトマンの古田(工藤潤矢)ら一癖も二癖もある人物に囲まれ、夏子は歩みを進めていく。

公式Twitter:https://twitter.com/ONOKANTOKU

 

撮影/金井尭子 取材・文/くれい響

=LOVE「Today is your Trigger」武道館公演に密着した初のライブフィルムが公開 本予告&ビジュアル解禁

=LOVE(イコールラブ)初のライブフィルム映画「=LOVE Today is your Trigger THE MOVIE」が、9月22日(金)公開。本予告&本ビジュアルが解禁された。

©2023, YOYOGI ANIMATION ACADEMY INC. & CJ 4DPLEX All Rights Reserved.

 

2017年4月29日、指原莉乃のプロデュースにより結成されたアイドルグループ=LOVE。昨年末には『FNS歌謡祭』に出演し、その歌唱力やパフォーマンス、王道アイドルらしいかわいさでTwitterトレンド1位を獲得。また女性アイドルグループとしては異例の同世代の女性からも人気を誇り注目を集めた。

 

そんな=LOVEが今年1月から3月にかけて開催した全国ツアー「Today is your Trigger」追加公演の日本武道館公演でのライブパフォーマンスを映画化。オーディションから現在に至る6年間を振り返り、それぞれが語るメンバーへの秘めた想いが、ライブ映像、バックステージやリハーサル、スタジオでの撮り下ろしインタビューから、惜しみなくあふれ出す。

 

そして、大切なファンへの熱いメッセージが…。何台ものカメラで捉えた彼女たちの一生懸命で愛があふれるステージでのパフォーマンスがたっぷりと詰め込まれ、何度でも見たくなるファン必見の1本に。終始ライブ会場の真ん中にいるような臨場感を映画館で楽しむことができる。

 

このたび解禁された本予告映像に映し出されるのは、約束の場所“日本武道館”にファンの温かい声援に包まれながら立つ、多幸感にあふれた=LOVEのメンバーの姿。さらに、レッスンシーンやリハーサルなど日本武道館への軌跡からメンバーの素顔を捉えた貴重な裏側まで、今まで明かされることのなかった彼女たちの貴重な姿が惜しげもなく詰め込まれている。

 

印象的なのは、諸橋沙夏が涙ながらに「その方の人生が華やかになってくれたらいいなっていつも思ってる」と語る様子。日本武道館の興奮と共に、メンバーの熱い想いまで、今まで=LOVEと共に歩んできたファンも、初めて=LOVEを知る人も、一瞬で彼女たちを好きになってしまうはずだ。

 

併せて解禁された本ビジュアルでは、ファンが放つ無数の光で包み込まれた会場に、メンバーが一列に立つ圧巻の光景が収められる。マイクを握るメンバーの表情からは、それぞれが並々ならぬ想いを抱えその地に立っていることがうかがえる。そんなメンバーに応えるように、待ちわびた観客の歓声が今にも聞こえてくるような、熱気の伝わるビジュアルとなっている。

 

さらに、場面写真も一挙解禁。=LOVEらしいかわいらしいポージング姿を始め、ふとした瞬間のクールな表情まで、パフォーマンス中の臨場感あふれるメンバーたちが収められている。

 

上映形態は4種類。通常の2D上映に加え、正面スクリーンと2つの側面スクリーンの計3面で構成され圧倒的な臨場感を提供するScreenX、ライブパフォーマンスと音楽に合わせてシートが動くモーション効果を搭載した4DX、そしてScreenXと4DXの機能をすべて搭載した4DX SCREENでの公開も。

 

現在、ムビチケ前売券が発売中。特典としてオリジナルA5クリアファイルが配布される(全10種ランダム)。

 

「=LOVE Today is your Trigger THE MOVIE」告知映像

作品情報

「=LOVE Today is your Trigger THE MOVIE」

2023年9月22日(金)公開

 

キャスト:=LOVE

監督:オ・ユンドン / キム・ハミン

製作:CJ 4DPLEX

配給:エイベックス・フィルムレーベルズ

協力:株式会社ソニー・ミュージックレーベルズ

 

公式サイト:equal-love-movie.jp

公式 Twitter:@Equal_LOVE_MV

 

©2023, YOYOGI ANIMATION ACADEMY INC. & CJ 4DPLEX All Rights Reserved.

猪塚健太「『今日俺』メンバーも集まった笑い声が絶えない現場でした」映画『禁じられた遊び』

『リング』『スマホを落としただけなのに』シリーズの中田秀夫監督が橋本環奈さんと重岡大毅さん(ジャニーズWEST)を主演に迎え、同名ホラー小説を映画化した『禁じられた遊び』(9月8日(金)公開)。劇中、怨霊モンスター“美雪”に立ち向かう霊能者・大門の助手・黒崎をクールに演じる猪塚健太さんが、独特なキャラ作りについてや大門役のシソンヌ長谷川さんとの“笑える”エピソードを語ってくれました。

 

猪塚健太●いづか・けんた…1986年10月8日生まれ。愛知県出身。主な出演作に、映画『娼年』(18年)、『今日から俺は!!劇場版』(20年)、『劇場版ポルノグラファー~プレイバック~』(21年)、『極主夫道 ザ・シネマ』(22年)、『バイオレンスアクション』(22年)、『劇場版 TOKYO MER~走る緊急救命室~』(23年)などがある。X(Twitter)Instagram

【猪塚健太さん撮り下ろし写真】

“見せ場”もしっかりいただき、とても気合が入っていました

──念願の中田組に初参加された猪塚さんですが、幼い頃の恐怖体験の思い出は?

 

猪塚 小学生の頃、自分ではやらなかったですが、周りではこっくりさんが流行っていました。あと、世代的に『学校の怪談』が流行っていて、それを観たことで、「夜の学校に忍び込んで、音楽室の肖像画を見に行こうぜ!」みたいなことを言ったりしていました(笑)。

 

──今回演じられた黒崎の役作りについて教えてください。

 

猪塚 黒崎は霊媒師・大門先生の弟子という、キッチリした役割があるキャラクターですし、怨霊と対峙する“見せ場”もしっかりいただき、とても気合が入っていました。感情を表に出さないキャラということで、衣装は黒に統一することになり、髪の色に関しては、諸事情で途中から金髪になったのですが、結果的に金髪の方がよかったと思いました。

──猪塚さん自身が考えられた黒崎のキャラは?

 

猪塚 原作の黒崎に比べると、やはり僕と風貌が違うので、映画ならではの黒崎にしたいと思いました。なので、黒崎自身もしっかり霊能力を持っていて、自分より能力を持っている大門先生をリスペクトしていることを大切に演じようと思いました。

 

日本刀に日本酒を吹きかけるシーンは一発で決めました!

──また、黒崎が武器の日本刀を手にした際のさまざまなポーズは、どのように考えられたのでしょうか?

 

猪塚 中田監督やプロデューサーさんと一緒に、日本刀を使ったときに、一番かっこよく見えるポージングを考えました。そして、撮影の直前で決まったものをやりました。黒崎が日本刀に日本酒を吹きかけるシーンに関しては、しっかり台本のト書きに書いてあったので、自宅で何度も練習して、一発で決めました! 僕も満足していますし、中田監督も大喜びしてくださり、とてもよかったです。

 

──師匠である大門を演じられたシソンヌ・長谷川 忍さんの印象は?

 

猪塚 長谷川さんとは『今日から俺は!!』の先生役で共演して以来でしたが、久々に衣装合わせでお会いしたときに、「“臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前”と、2人で九字の呪文を唱えるシーンで、俺は自分のペースでやるから、猪塚くん頼むから、それに合わせてよ!」というリクエストがあり(笑)。弟子役なので、どんなペースでも合わせる覚悟でしたが、これも本番一発で成功しました。ト書きには「大門はいかにもうさん臭そうな」と書いてあったのですが、私服にハイブランドのTシャツを着たり、そのまんま体現してくださって、さすがでしたね(笑)。

──そのほか、中田組での撮影エピソードを教えてください。

 

猪塚 比呂子役の橋本環奈さんは、驚き顔や怖がり顔ばかりで大変だったと思いますが、カットがかかれば、いつものように大笑いされていて……。環奈さんも『今日俺』メンバーでしたし、常に笑い声が絶えない現場でした。「ホラー映画って、自分に合っているかも?」と思うぐらい楽しかったです。

 

驚くような結末が用意されています

──完成した作品の観たときの感想や見どころを教えてください。

 

猪塚 包丁をブンブン振り回す堀田真由さんの取りつかれ具合がすごかったです。あと、新納慎也さんの気持ち悪さもよかったですね。僕、ホラー映画が得意ではなく、今まで劇場で観たことがなかったんです。でも、この映画は「怖い!」よりも「面白い!」が勝っていて、僕みたいにホラーが苦手な人でも楽しめると思いました。

 

──ちなみに、本作ではどんな新しい猪塚さんが観られると思いますか?

 

猪塚 最近、頻繁に悪い役をやらせてもらっているというか、「娼年」以来、そういう役を自分からやりたいと言い続けているんです。それは、クセが強いキャラの芝居を勉強していくことで、僕が役者として求められる幅が広がっていくと思ったからなんです。「TOKYO MER~走る緊急救命室~」の目黒みたいな役もいただいているんですが、今回は原点回帰じゃないですが、ヒーロー要素もある役をやらせていただいたと思っています。驚くような結末が用意されていますし(笑)、新鮮な気持ちで観てもらえるんじゃないかと思います。

 

──現場によく持っていくモノやアイテムについて教えてください。

 

猪塚 仙台の皮工房「J’s LEATHER」の台本ケースです。去年の誕生日にマネージャーさんたちからいただいたもので、それまでは台本ケースを使っていなかったんです。皮製なので、使えば使うほど、いい味が出てくるんですが、マネージャーさんも「この中に入る、いい仕事がたくさんできるよう頑張っていこう」という熱い思いも込められているんです。なので、これを使っていることで、気合が入ります!

↑愛用の台本ケースを手に。もちろん「禁じられた遊び」の撮影現場でも使用

 

 

禁じられた遊び

9月8日(金)より全国公開

【映画「禁じられた遊び」よりシーン写真】

(STAFF&CAST)
監督:中田秀夫
原作:清水カルマ
脚本:杉原憲明
出演:橋本環奈 重岡大毅(ジャニーズWEST)
堀田真由 倉 悠貴 正垣湊都 猪塚健太 新納慎也・MEGUMI 清水ミチコ
長谷川 忍(シソンヌ) ファーストサマーウイカ

(STORY)
愛する妻・美雪(ウイカ)と息子・春翔(正垣)と共に幸せな生活を送っていた直人(重岡)。だが、突然の悲劇が一家を襲い、美雪は帰らぬ人に……。直人の元同僚の映像ディレクターの比呂子(橋本)は、直人の家で庭の盛り土に向かって、呪文を繰り返し唱え続ける春翔の姿を発見。その呪文は春翔の他愛ない質問に、直人が冗談で教えたものだったが、子どもの純粋な願いは恐ろしい怪異を呼び覚まし、比呂子と直人に襲いかかる。

(C)2023映画「禁じられた遊び」製作委員会

 

撮影/映美 取材・文/くれい響

ファーストサマーウイカ「『売れてやる!』と必死だったときの嫉妬心と眼力を役作りに生かしました(笑)」映画『禁じられた遊び』

『リング』『スマホを落としただけなのに』シリーズの中田秀夫監督による『禁じられた遊び』(9月8日(金)公開)で、不慮の事故死から怨霊として蘇る“最凶モンスター”美雪を演じるファーストサマーウイカさん。毒舌キャラでブレイクしたバラエティ番組はもちろん、来年の大河ドラマ「光る君へ」など、女優としても大躍進の彼女が挑んだ渾身の役作りについて聞きました。

 

ファーストサマーウイカ…1990年6月4日生まれ。大阪府出身。2013年に、BiSメンバーとしてメジャーデビュー。翌年解散後、19年までBILLIE IDLE(R)のリーダーとしてライブを中心に活動した。現在ではバラエティやドラマ、ラジオなど多岐にわたり活躍している。最近の主な出演作は日本テレビ「ファーストペンギン!」(2022)、NHK「超人間要塞ヒロシ戦記」(2023)、テレビ朝日「unknown」(2023)、映画『私はいったい、何と闘っているのか』(2021/監督:李闘士男)など。ドラマ「シッコウ!!~犬と執行官と私~」(テレビ朝日系)に出演中。2024年大河ドラマ「光る君へ」では清少納言役での出演が控える。X(Twitter)Instagram

【ファーストサマーウイカさん撮り下ろし写真】

 

美雪の気持ちがすごく理解できるんですよ(笑)

──“最凶怨霊モンスター”と呼ばれる美雪役として、出演オファーがあったときの感想は?

 

ウイカ 美雪は『リング』でいうところの貞子のポジションですし、『リング』と同じ中田秀夫監督の新作ということもあり、「本当に私でいいのかな?」という気持ちが頭をよぎりました。しかも、こういう役って、ミステリアスな雰囲気の方が演じることが多いと思うんですが、私はバラエティ番組の印象が強いですし、やけに長いカタカナ名ですし! なので「本当に私でいいんですか?」と確認しました(笑)。

 

──そんな美雪のキャラ作りについては?

 

ウイカ 美雪は生きているときから、いろんなものを抱えていたという悲しいバックグラウンドを汲み取りつつ、地面からよみがえり、這って走って人を襲うパワフルな怨霊なので、私自身は生命力を感じられる気持ちで演じようと思いました。さらに、分かりやすく言えば、年始に売られる福袋を目指して、開店したばかりのデパートを全力疾走する感覚。「どう走ろう?」とか考えずに、本能のまま、狙った獲物を追いかけました(笑)。

──また、美雪の原動力には、重岡大毅さんが演じる夫・直人に思いを寄せた、橋本環奈さん演じる比呂子に対する“嫉妬”が挙げられます。

 

ウイカ 「あの人、あの作品に出られていいなぁ」「あの子、かわいいなぁ」というように、私にとっての原動力というか、嫉妬もガソリンなので、美雪の気持ちがすごく理解できるんですよ(笑)。息子の呪文というきっかけをもらって生き返って、理性や抑圧されたものがない分、彼女の一番の本能が色濃く出たんだと思います。

 

──中田監督の演出はいかがでしたか?

 

ウイカ 事細かくというよりは、イメージの共有みたいなことをしていました。例えば、ビジュアル撮影のときに、「歯を出さない方がいい」とか「ゾンビっぽくならない方がいい」とか話し合ったのですが、監督のこだわりを一番感じたのはネイルの色でした。美雪は指先が印象的に撮られるシーンが多いので、中田監督に「ネイル、どうしますか?」と聞いたら、「黄色のラメで!」と言われたんです。三十路越えた控えめキレイめタイプのファッションの母親が一番選ばない色だと思うんですが、その違和感がよかったらしいんです。私は最後まで、それを理解できませんでしたが、完成した作品を観たら、爬虫類のような気持ち悪い配色になっていて、ゾッとしつつも、納得しました。

 

シンプルに、フィジカルがしんどかった特殊メイク

──怨霊になった美雪の声については?

 

ウイカ 現場でもアフレコでも、いろんなパターンをたくさん録りました。かわいい声を出すより、デスボイスみたいに今にも吐きそうな声を出す方が得意なので、「もうちょっと高く」「もうちょっと低く」みたいに、中田監督の要望に応えさせてもらいました。美雪は三形態以上あるんですが、まるでスタジオで歌録りしているようでした(笑)。

 

──そして、なによりも苦労されたと思われる特殊メイクについては?

 

ウイカ 4人のスタッフさんと一緒に4時間ぐらいかかる特殊メイクでしたが、現場に入った後、エアスプレーで全身真っ白に塗るんですが、汗をかいたら崩れてしまうし、擦れないよう、行動も最小限に留めていました。そして、お風呂に入って落とすのですが、これが1時間半ぐらい。完成した状態で待機して、撮影が1時間で終わるときもあったので、都度ON/OFFできないと言いますか、ONの時間ばかりでした。いい経験をさせてもらいましたが、シンプルに、フィジカルがしんどかったです(笑)。

──重岡さんや橋本さんらとの現場でのエピソードは?

 

ウイカ ホラー映画の現場って、どこかシリアスでピリピリしているのかなという勝手なイメージを持っていたんですが、まるでコメディを撮っているような明るくて、笑いが絶えない現場でした。そもそも中田監督がいつもニコニコしていて、癒し系な方なので(笑)。それに加えて、重岡さんや橋本さんはほぼ一発OKみたいな集中力というかスイッチのON/OFFがすごかったです。森のシーンではキャンプに来たかのように楽しかったのですが、蚊に刺されないようにするのが大変でしたね。

 

──生前から“第六感”も持っていた美雪のように、ウイカさん自身「直感が鋭いかも?」と思われたことは?

 

ウイカ 例えば、スタイリストさんとテレビ番組の衣装を決めるとき、「これは隣の出演者の方と被るかも?」と思って確認してもらうと、本当に被っていたりするんです。あと、大きなお仕事とオーディションが重なって、あえてオーディションを受けたら、落ちてしまったんです。そしたら、今までにないぐらい大きなお仕事が入ってきたりとか、ある分岐点に立たされたときの選択肢から、何かしらの匂いを感じ取れるかもしれません。これを自由自在に操れたら、ホントいいんですが……(笑)。

 

必要とされているものと、自分がやりたいことをかけ合わせる

──2013年にアイドルグループ、BiSのメンバーに新加入してから10年ほど経ちましたが、女優を中心に活躍している現状をどのように捉えていますか?

 

ウイカ 10年前に、BiSの新メンバーとして入ったとき、そのときグループにはいないキャラと私のキャラをかけ合わせれば、新規のファンを得られるんじゃないかと思っていたんです。その後も常に、その場において必要とされているものと、自分がやりたいことをかけ合わせることを考えながら、ここまできた気がします。今回の美雪に関しても、私をオファーしてくださったということは、私が持っている要素を出すのが正解だと思ったので、例えば「なんとか売れてやる!」と必死だったときの眼力を生かしました(笑)。

──主演映画『炎上する君』(公開中)のおさげキャラ・浜中のように、さまざまな役に挑んでいることに関しては?

 

ウイカ 作品ごとの監督やプロジェクトの皆さんに、パブリックイメージから、遠のいた私を見いだしてもらうと言いますか、新しい引き出しを開けてもらっている気がしますし、自分もそれに応えたい気持ちが強いです。「パブリックイメージが素の自分か?」と言われたら、そうとは言い難いんですが(笑)、とにかく楽しいですし、やりがいでもあります。

 

──撮影現場に必ず持っていくモノ・アイテムを教えてください。

 

ウイカ プロのネイリストさんが使っている大きいメイクバッグです。私、メイクに毎回2時間かかるんですが、メイクさんにやってもらうと、その都度、顔が変わってしまうんです(笑)。ファッション誌などでテーマが決まっているときはメイクさんにお任せなのですが、舞台出身だったこともあって、バラエティ番組など、自分として出るときは自分でメイクしています。あまりの重さで、肩が壊れないようにキャリーに入れています。実は今回の美雪のいろんなパターンのアイメイクも、自分でやっているんです!

 

 

 

禁じられた遊び

9月8日(金)より全国公開

【映画「禁じられた遊び」よりシーン写真】

(STAFF&CAST)
監督:中田秀夫
原作:清水カルマ
脚本:杉原憲明
出演:橋本環奈 重岡大毅(ジャニーズWEST)
堀田真由 倉 悠貴 正垣湊都 猪塚健太 新納慎也・MEGUMI 清水ミチコ
長谷川 忍(シソンヌ) ファーストサマーウイカ

(STORY)
愛する妻・美雪(ウイカ)と息子・春翔(正垣)と共に幸せな生活を送っていた直人(重岡)。だが、突然の悲劇が一家を襲い、美雪は帰らぬ人に……。直人の元同僚の映像ディレクターの比呂子(橋本)は、直人の家で庭の盛り土に向かって、呪文を繰り返し唱え続ける春翔の姿を発見。その呪文は春翔の他愛ない質問に、直人が冗談で教えたものだったが、子どもの純粋な願いは恐ろしい怪異を呼び覚まし、比呂子と直人に襲いかかる。

(C)2023映画「禁じられた遊び」製作委員会

 

撮影/映美 取材・文/くれい響 ヘアメイク/近藤伊代 スタイリスト/山本絵里子 衣装協力/KLOSET

稲葉友が大いなるお笑い愛を語る「落語やお笑いのラジオは生活の一部」

数々のドラマ、映画、舞台に出演する一方で、ラジオのナビゲーターを務めるなど、幅広く活躍、現在公開中の映画『#ミトヤマネ』では、主人公の玉城ティナさん演じるカリスマ・インフルエンサー・ミトを支えるマネージャーを演じる稲葉 友さん。多趣味で知られる稲葉さんに、生活の一部となっているお笑いラジオと落語についてや、『#ミトヤマネ』の撮影エピソードなどを伺いました。

 

稲葉 友●いなば・ゆう…1993年1月12日生まれ、神奈川県出身。2010年、ドラマ『クローン ベイビー』(TBS)にて俳優デビュー後、数々のドラマ、映画、舞台に出演。主な映画出演作に、『春待つ僕ら』(18)、『この道』(19)、『シライサン』(20)、『ずっと独身でいるつもり?』(21)、 『恋い焦れ歌え』(22)、『よっす、おまたせ、じゃあまたね。』(23)など。毎週火曜22:00~放送のドラマ10『しずかちゃんとパパ』(NHK)に出演中の他、毎週水曜24:30~放送の『みなと商事コインランドリー2』(テレビ東京)に出演中。毎週金曜11:30~生放送中のJ-WAVE『ALL GOOD FRIDAY』にてナビゲーターを務める。公式HPX(Twitter)Instagram

【稲葉 友さん撮り下ろし写真】

落語と音楽は通じるものがある

──稲葉さんは落語をよく聴くそうですが、いつ頃から聴き始めたんですか。

 

稲葉 聴き始めたのは20歳そこそこです。きっかけは役者の先輩で、演劇界の人たちが集まって落語をやるみたいな企画があって、それを何回か観に行って、落語って面白いなと思ったんです。そこからYouTubeやサブスクなどで落語を聴き漁るようになって、新宿末廣亭などの寄席にも行くようになりました。その流れで、神田伯山先生がYouTubeチャンネルに長尺の講談を上げていらっしゃるので、講談も聴くようになりました。

 

──好きな噺家はどなたでしょうか。

 

稲葉 僕は現役でバリバリやられている噺家に惹かれるのですが、特に柳家三三師匠と柳家喬太郎師匠が大好きです。正統派の三三師匠と、新作も古典も組み合わせて今っぽい笑いをやる喬太郎師匠と、それぞれ芸風が違っていて、落語を聴いたことがない方は、まずお二人を聴いてほしいですね。

 

──おすすめの演目は何でしょうか。

 

稲葉 三三師匠だと「壺算」(つぼざん)、喬太郎師匠だと「転失気」(てんしき)ですね。お話で好きなのは「井戸の茶碗」。あとは「寿限無」(じゅげむ)や「金明竹」(きんめいちく)などの前座噺は、噺家さんによってオチも尺も変わるので、それを聴き比べるのも楽しいです。

──稲葉さんは音楽もお好きですが、落語のリズムは音楽に通じるものがありますよね。

 

稲葉 そうですね。落語は実際に演じている姿を見ながら聴いたほうが面白いんですけど、耳だけで聴いても楽しいんですよね。それは音楽と通じるところがあります。個人的に小説を耳で聴こうとは思わないんですが、落語だと物語を耳から取り入れる楽しさがあるんですよね。

 

──どういうシチュエーションで落語を聴くことが多いですか。

 

稲葉 いろいろあるんですが、掃除や料理などをしながら落語を聴くと、楽しく家事ができるので、音楽の使い方に近いかもしれません。あと移動中、寝たいときに聴くことも多いです。初めて聴く話だと面白くなって目が覚めてしまうんですけど、聴きまくっている話だと心地よくて誘眠効果があるんです。

 

同世代の芸人が活躍しているのが楽しくてしょうがない

──稲葉さんはお笑い鑑賞も好きなんですよね。

 

稲葉 めちゃめちゃ好きです。最近はなかなか行けなくなりましたが、10代後半から20代前半は、よく劇場にも足を運んでいました。もちろんお笑い芸人の方のラジオも聴きますし、YouTubeでネタ動画を見漁っています。M-1グランプリの予選が始まると、「この季節か」と思いますし、1回戦から見ています。お笑いは同業他社だけど、フラットに楽しめる数少ないコンテンツというか。映画、ドラマ、舞台を見るのも好きなんですけど、どうしても「自分だったらどうするんだろう」みたいな感じで、俳優として見てしまうところがあるんですよね。その点、お笑いはただただ楽しめますから。

 

──劇場まで見に行くのは相当なお笑い好きですね。

 

稲葉 きっかけとしては、地元の友人がコンビでお笑いの養成所に入ったんですよ。もう解散したパンプアップというコンビなんですけど、すでに僕もお仕事を始めていたので、彼らの出るライブを見に行った流れで、頻繁に行くようになりました。パンプアップの同期がオズワルド、コットン、空気階段など、ちょうど賞レースで結果を出している世代なんです。当時見ていた芸人さんが活躍されているので楽しくてしょうがないですね。

 

──芸人さんのラジオだと、どういう番組を聴いているんですか。

 

稲葉 あんまり聴く番組の数が増えると消化できないので、「このラジオは一旦卒業だな」とか自分の中で入れ替え戦をするんですけど、外せないのは『マヂカルラブリーのオールナイトニッポン0(ZERO)』と『ハライチのターン』です。ポッドキャストやネットラジオアプリもよく聴いていて、最近だとマユリカ、ぱーてぃーちゃん、春とヒコーキが好きです。面白い人たちの面白い話を、無料で聴けるなんてことがあっていいのだろうかと思いながら聴いています(笑)。

──ご自身もラジオをやっているから、芸人さんのラジオを聴き始めたところもありますか。

 

稲葉 まさに僕は自分がラジオを始めてから、ラジオを聴くようになったんです。こんなに面白いことをラジオでしていたんだという衝撃があって、芸人さんの日本語の選び方や言葉のスピード感は勉強になります。

 

──芸人さんのYouTubeはどうですか。

 

稲葉 けっこう見ますね。気にかけて見ているのは、ぱーてぃーちゃん、霜降り明星、ママタルト、春とヒコーキ、あたりですね。ぐんぴぃ(春とヒコーキ)さんの「バキ童チャンネル」なんて最高です。

 

──お忙しい中、よく見る時間がありますね。

 

稲葉 落語と一緒で集中して見るとかじゃなくて、ご飯作るぞとか、移動するタイミングで見たり聴いたりするころが多いですね。

 

──生活の一部なんですね。よく料理はされるんですか?

 

稲葉 コロナ禍で外食や人とご飯を食べる機会が激減したことによって、外に出ること自体が僕の中でイベントになっちゃったので、ベースが自炊になりました。自炊だと、好きな料理を好きな量、好きな品数だけ食べられるのもありますし、外食の感動も増すんですよね。

 

──感動が増すというと?

 

稲葉 自分が作ったことのない料理や、初めての味に出会ったときって嬉しいじゃないですか。それって自炊との相乗効果だと思うんです。あと外食で出会った料理を忠実に再現するのは難しいですけど、何となくこうしているのかなとか、こういう組み合わせはありなんだとか、新しい発見も多いんですよね。

 

──料理がお好きなんですね。

 

稲葉 野菜を刻むとか、日持ちしそうな食材を小分けにして仕舞うとか、一連の作業が好きなんです。その間にラジオや落語も聴けますし、ストレス解消にもなるんですよね。

 

SNSの存在が当たり前になった今の日本が詰め込まれている映画『#ミトヤマネ』

──現在公開中の映画『#ミトヤマネ』で、主人公の玉城ティナさん演じるカリスマ・インフルエンサー・ミトを支えるマネージャーの田辺キヨシを演じています。初めて脚本を読んだときの印象はいかがでしたか。

 

稲葉 今の日本のSNSが過渡期なのか全盛期なのかは分からないですが、SNSの存在が当たり前になった今の日本が詰め込まれているなと感じました。物語も登場人物たちの価値観も多面的で、年月が経って見たときに、2023年の映画だなと感じられるような作品だなと思いました。

 

──インフルエンサーにはどんなイメージを抱いていますか。

 

稲葉 僕自身はインフルエンサーから何がしかの情報を得ることはあまりないんですけど、職業として確立されていて、生計を立てる手段でもあるし、そこから有名になって芸能界デビューするルートの一つでもあるのかなと。

──田辺を演じる上で、どんなことを意識しましたか。

 

稲葉 僕がお仕事を通して見てきたマネージャーさんは、わりと控えめというか、あまり目立たない格好をして、タレントがいるときは、ちょっと下がっているみたいな方が多い印象でした。ところが、田辺は自分の着たい服を着て、自分のしたい髪型やメイクをして、ネイルもしてと、自己主張の激しいタイプ。そういう格好ができちゃう人だから、こういう性格で、こういう話し方やテンション感になるだろうなとイメージしていきました。きっとマネージメントをしているのはミトだけじゃないから、誰に対してもフラットに接して、それでいて仕事はきっちりやるというギャップもあって演じやすかったです。

 

──宮崎大祐監督の演出はいかがでしたか。

 

稲葉 下読みをしたタイミングで、「この役は、どういう人間ですかね?」みたいな話をして、「こういう話し方はどうですか」というご相談はあったんですが、現場ではヒップホップの話ばかりしていました(笑)。フラットにそういうお話ができるということは、ちょっとした疑問があったときにもコミュニケーションが取りやすいんですよね。

 

──独創的な映像や構成が印象的でした。

 

稲葉 初めて完成した作品を見たときに、脚本を読んだだけでは想像しえなかったものが見事に映像化されていて、宮崎監督の頭の中がぎっしり詰め込まれているなと。音楽や映像の使い方はもちろん、カット割りなども独特なんですけど、撮影しているときに違和感はなくて。自分が出演しているというのもありますが、こういう切り取り方をするんだ、こういう組み合わせで、こういう繋ぎ方をするんだと面白い映画体験でした。僕は自分が出ている作品は落ち着いて見られないほうなんですけど、この映画はさまざまな要素が詰め込まれていて普通に楽しめました。

──玉城さんの印象はいかがでしたか。

 

稲葉 カリスマっぽいイメージがあったので、ミトにぴったりだなと思っていたんですけど、実際の玉城さんは気さくで、とっつきやすい方なんですよね。たくさん言葉を知っているから、どういう話を振っても、会話が弾むのも面白かったです。

 

──ミトの妹・ミホを演じた湯川ひなさんの印象は?

 

稲葉 ひなちゃんは過去に舞台でご一緒する機会があったんですが、ちょうどコロナ禍で公演中止になってしまったんです。1週間だけ稽古はしたので、お互いのお芝居は見たんですけど、あまりお話する間もなくて。今回、お久しぶりということで、挨拶に行こうとしたら、「私のこと覚えているかな……?」という表情をしていたんです(笑)。人と慣れるまでに時間がかかるタイプなのかなと思っていたんですが、撮影に入ると、よどみなく話すようになって。ところが本作の試写で久しぶりに会ったら、また距離があるなと感じて、親戚の子みたいな感じがあります(笑)。お芝居面では、すごく吸引力があって、筋道を通して演じる足腰のしっかりした方で。ひなちゃん本人のかわいらしい人間性と俳優としての強さのギャップが素敵でした。

 

──最後に映画の見どころをお聞かせください。

 

稲葉 一筋縄ではいかない作品ではあるんですけど、映画好きの方でも、長い映画を見慣れていない方でも、見やすい作品だと思いますし、実際のテンポ以上に圧倒的な疾走感と緩急を感じられます。人それぞれ、どこにポイントを置くかで見え方も違ってくる作品で、映画の体験として本当に楽しいので、ぜひ映画館で映像と音楽を浴びていただきたいです。

 

 

(C)2023 映画「#ミトヤマネ」製作委員会

#ミトヤマネ

絶賛公開中

(STAFF&CAST)
脚本・監督:宮崎大祐
配給:エレファントハウス

出演:玉城ティナ
湯川ひな 稲葉 友
片岡礼子 安達祐実 筒井真理子

(STORY)
主人公の「ミトヤマネ」(玉城)は絶大な人気を誇るカリスマ・インフルエンサーで、日々さまざまなSNS投稿をして生活を送っている。そんな姉を陰で支えているのは妹のミホ(湯川)だ。そんなある日、ミトが所属しているインフルエンサー事務所のマネージャー(稲葉)から、「ディープ・フェイク」アプリとのコラボ案件を持ちかけられる。アプリは大人気となり、世界中の至る所にミトの顔が拡散された。一方、ミトの顔を悪用する者も次々と現れる。そんな状況すら自分の人気につながると喜ぶミトであったが……。

公式サイト:https://mitoyamane.jp/
公式Instagram:https://www.instagram.com/mitoyamane/
公式Twitter:https://twitter.com/mitoyamane

(C)2023 映画「#ミトヤマネ」製作委員会

 

 

撮影/武田敏将 取材・文/猪口貴裕 ヘアメイク/速水昭仁(CHUUNi) スタイリング/添田和宏 衣装協力/メアグラーティア、ヨハン シルバーマン、ティグル ブロカンテ、フラグスタフ、リプロダクション オブ ファウンド、スキャット

岡崎紗絵「大きなチャレンジで悩みつつ撮ったことで、いろいろな新しい発見ができた作品になりました」映画『緑のざわめき』9・1公開

福岡・佐賀を舞台に3人の異母姉妹が織りなす物語を松井玲奈さん主演で描いたヒューマンドラマ『緑のざわめき』が9月1日(金)より公開する。本作で、響子の異母妹・菜穂子を演じている岡崎紗絵さん。ドラマ「ナイト・ドクター」、日曜劇場「オールドルーキー」などで見せた姐御的キャラのイメージはなく、三姉妹を中心とした入り組んだ人間関係に、揺れ動く感情を抱え込む役どころだ。「かなりの挑戦作になる」と感じた本作への意気込みや役づくりなど、難役を演じることへの思いを聞いた。

 

岡崎紗絵●おかざき・さえ…1995年11月2日生まれ。愛知県出身。2015年より俳優として実績を重ね、ドラマ「教場Ⅱ」「ナイト・ドクター」、日曜劇場「オールドルーキー」など話題作に出演。ドラマ「花嫁未満エスケープ」では主演を務めたほか、映画では、今泉力哉監督の恋愛群像劇『mellow』(20)でヒロイン役を好演した。近年の出演作にドラマ「ケイジとケンジ、時々ハンジ」「転職の魔王様」、映画『名も無い日』(21)、『シノノメ色の週末』(21)がある。Instagram

【岡崎紗絵さん撮り下ろし写真】

 

菜穂子を演じるには「理解しきれないんじゃないか?」と悩みました

──今回、出演依頼を受けての感想は?

 

岡崎 夏都(愛未)監督をはじめ、プロデューサーさんも今回は初めましてのチームの作品だったので、菜穂子役のお話をいただいたときは嬉しかったです。プロデューサーさんは、私が出ていた「ナイト・ドクター」を見てくださっていたとおっしゃっていました。

 

──脚本を読んだときの第一印象は?

 

岡崎 私は今まで、どちらかというと陽で分かりやすい、感情が読みやすい役が多かったこともあり、「菜穂子という陰なキャラクターを演じ切るには、自分の考えだけでは足りないんじゃないか? 理解しきれないんじゃないか?」と悩みました。そして、脚本も書かれた夏都監督に直接質問することによって、いろいろなものが見えてくるような気がしました。

 

──実際、夏都監督とは、どのような話し合いをしたのでしょうか?

 

岡崎 脚本には書かれていない菜穂子の出生というか、バックグラウンドだったり、三姉妹を中心とした登場人物の入り組んだ関係性だったり……。それらを夏都監督の口から直接聞くことによって見えてくるものがありましたし、現場に入るまでに疑問や不安が解消されていくと同時に、私にとって「かなりの挑戦作になる」と思うようになりました。

 

──端的に言えば、松井玲奈さん演じる異母姉・響子のストーカーとなる菜穂子の役作りは?

 

岡崎 菜穂子はお姉ちゃんをストーキングしている一面もありながら、しっかり仕事しているし、友だちと一緒に遊びに行ったりするので、ずっと内にこもっているわけでもないんです。そのバランスがとても難しくて、「人間関係をうまくやろうとしている繊細な人」「つかみどころのない、一貫性がない人」というところで演じました。それを表すように、日によって菜穂子が着ている服のコーデも違っているんです。

 

──女優としても活動している夏都監督の演出はいかがでしたか?

 

岡崎 現場では「これは菜穂子が取る行動なのか?」「友だちとはどれぐらいの温度感で話しているのか?」ということが分からなくなったこともあったんです。でも、夏都監督はニュアンスで伝えるのではなく、「それは違う」「それはこうした方がいい」と、明確にハッキリ言ってくださり、とてもありがたかったです。

 

撮影の合間には嬉野温泉にも行くことができて楽しかった

──菜穂子が突然、響子の家を訪れ、お互い対峙するシーンについては?

 

岡崎 とにかく純粋に憧れの存在として、響子を思い続け、響子になりたいという気持ちで臨んだのですが、松井さんご自身も、神秘性がある方なので、そこにズレはなかったです。そのため、とてもやりやすかったのですが、いきなり家に上がり込むという、自分の気持ち先行の普通じゃない行動を取るので、撮影前に松井さんといろいろお話しましたし、いろいろな意見の下、時間をかけて撮りました。菜穂子のすべてを理解して、肯定するのはなかなか難しかったですが、そこはできるだけ彼女に寄り添えるよう心がけました。

 

──佐賀でのロケにおける撮影エピソードを教えてください。

 

岡崎 佐賀には初めて行ったのですが、とても自然が豊かな場所が多かったです。撮影の合間には嬉野温泉にも行くことができて楽しかったです。あと、福岡ですが、響子の好きな場所として、劇中にも出てくる海中鳥居が神秘的で、とても印象的なシーンになりました。

 

──『シノノメ色の週末』と同様、女性監督が3人のヒロインの物語を描いた作品ですが、作品を観た後の印象は全く異なります。

 

岡崎 あのときは、しっかり者の役柄でしたから(笑)。今回は三姉妹それぞれの人生がありつつ、「本当はこうなってほしかった」という思いや心の機微が描かれた、とても繊細な作品になったと思います。ハッキリと答えが出ているような作品ではないですが、3人それぞれの心の動きを感じ取ってもらえたら嬉しいです。

 

これからもどんどん気持ちが熱くなってくる作品に携わっていきたい

──岡崎さんが本作に出演されたことで学んだこと、勉強になったことは?

 

岡崎 現場でもたくさん支えていただき、座長の松井さんにも引っ張っていただき、お互いが影響し合うことを強く感じました。相手の演者さんの行動やセリフ回しひとつで、こちらのお芝居が変わってくることは、とても面白くもあり、勉強になりました。もちろん、大きなチャレンジで、悩みつつ撮ったことで勉強になったこともありました。私の感情が揺れていたからこそ、出てくるものもこれまでと違ったと思いますから。そういう意味では、いろんな新しい発見ができた作品でした。

 

──二期にわたって放送された初主演ドラマ「花嫁未満エスケープ」などでも活躍されている岡崎さんですが、ヒロインを演じられた20年公開の『mellow』(20年)は大きな転機作だったかと思われます。

 

岡崎 初めてヒロイン役をいただいたことも大きかったと思いますが、「私も作品にかかわっている・携わっている」という強い気持ちというか、私の動きひとつ、気持ちひとつで、いろんなものが変わっていくことを最初に知ることができた作品です。座長の田中圭さんの胸を借りる気持ちで飛び込んだんですが、田中さんもそれを受け入れ、支えてくださったのもありがたかったです。また、今泉(力哉)監督とも密にお話できたことで、迷いなくやれたのも大きかったですし、現場に流れる時間が映画のままで優しかったんです。『緑のざわめき』もそうですが、これからもスタッフ・キャストが一丸となった現場で、どんどん気持ちが熱くなってくる作品に携わっていきたいです。

 

──撮影に必ず持っていくモノやグッズを教えてください。

 

岡崎「SIXPAD」のマッサージガン(パワーガン)です。メイクさんが持っているものを貸していただいたのがきっかけなんですが、今ではこれなしではいられない状態になっています(笑)。撮影でヒールを履くことが多いので、足が疲れやすいんです。ふくらはぎとかに当てると、むくみがすごく取れますし、美容というよりは筋膜を剥がして、リンパの流れを良くするような感じですね。

↑岡崎さん愛用のマッサージガン。足のむくみ対策に欠かせないとのこと

 

 

 

緑のざわめき

9月1日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開

【映画「緑のざわめき」よりシーン写真】

(STAFF&CAST)
監督・脚本:夏都愛未
出演:松井玲奈、岡崎紗絵、倉島颯良、草川直弥(ONE N’ ONLY)、川添野愛、松林うらら、林裕太、カトウシンスケ、黒沢あすか

(STORY)
東京で暮らす28歳の女優・小山田響子(松井)は多忙な日々に疲れて仕事を辞め、生まれ故郷である九州の佐賀県嬉野市に近い福岡県に移住する。いっぽう、響子の異母妹である24歳の本橋菜穂子(岡崎)は、地元に帰ってきた響子をストーキングするように。ある日、偶然を装って響子に接触した菜穂子は彼女の手帳から盗んだ情報を通し、もう1人の異母妹で佐賀の集落に暮らす18歳の小暮杏奈(倉島)と電話でつながる。

公式サイト:midorinozawameki.com

(C)Saga Saga Film Partners

 

撮影/関根和弘 取材・文/くれい響 ヘアメイク/サイオチアキ(Lila) スタイリスト/稲葉有理奈(KIND)

久間田琳加「主人公の青磁が気になる存在に」JO1白岩瑠姫とW主演『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』

小学6年生でファッション雑誌『ニコラ』(新潮社)の専属モデルオーディショングランプリを受賞し、『Seventeen』(集英社)を経て、現在『non-no』(集英社)の専属モデルを務める久間田琳加さん。“りんくま”の愛称で、同世代から圧倒的な人気を誇る22歳だ。2023年にはHiHi Jetsの井上瑞稀さんとW主演を務めた映画『おとななじみ』で、コミカルな演技が話題となった。

久間田琳加●くまだ・りんか…2001年2月23日生まれ。東京都出身。2015年にドラマ『女子の事件は大抵、トイレで起こるのだ。』(GYAO!)で俳優デビュー。これまで『ヌヌ子の聖★戦〜HARAJUKU STORY』『マリーミー!』『青春シンデレラ』『ブラザー・トラップ』などで主演を務める。主な出演作は『ながたんと青と-いちかの料理帖-』『君に届け』、主演作『おとななじみ』など。現在放送中の『こっち向いてよ向井くん』(日本テレビ系)第2話に出演すると、“可愛すぎる”と注目を集めた。XInstagram

 

一転、9月1日(金)に公開する、汐見夏衛氏の同名恋愛小説を実写映画化した『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』では、常に本心を覆い隠し周囲の空気を読む優等生役を演じる久間田さん。役作りから、W主演を務めるJO1白岩瑠姫さんとの現場エピソード、念願だった酒井麻衣監督への思いまでたっぷりと語った。

 

【久間田琳加さん撮り下ろし写真】

 

 

「絵が上手い青磁に強い憧れもありました」

 

──原作の小説を初めて読んだ時、どのような感想を抱かれましたか?

 

久間田 キュンとするポイントもあり甘酸っぱい気持ちになりつつ、やはり青磁が気になる存在になりました。青磁は自由奔放な性格で、人を引っ張っていくところがとても魅力的なキャラクターです。好き嫌いの感情を抜きにして、目で追ってしまう人だと思います。しかも私は絵を描くことがスーパー下手なので、絵がうまい青磁に強い憧れもありました。一方で、マスクを手放せない丹羽茜役を演じることが不安でした。

 

──『おとななじみ』に続く主演映画となる本作ですが、今回演じられた茜は、マスクで本心を隠している優等生の女の子でした。

 

久間田 『おとななじみ』はラブコメだったので、「どうやって笑いのポイントを作れるか」という脳になっていましたが、今回はマスクで顔半分が見えないことによる大変さといいますか……鏡の前で「どのような表情に見えるのか」を練習しました。ただ、実は茜はどこか自分に近いような気がして、気持ちは投影しやすかったです。

 

──茜のどの部分に共感したのでしょう?

 

久間田 私も茜と同じで、思ったことをすぐ、しかも直接言えるようなタイプではないですね。だから「茜でありつつ、半分は自分のままでいられたらいいな」と思っていました。

 

──反対に、久間田さんが茜と似ていないと思われる点は?

 

久間田 私に比べて茜は、きょうだいの面倒見がいい。私は兄が一人いるだけなので、末っ子タイプなんですよ。だから親戚で集まったときなどに小さい子がいると、びっくりしちゃうんです。

 

──茜には妹がいますが、その点どのように役作りをしたのでしょう?

 

久間田 それが子役さんの方から距離を縮めてくださったこともあり(笑)。現場で心配はなかったです。

 

JO1白岩さんは「青磁と同じ、自由奔放な方だと思いました(笑)」

 

──ドラマ『美しい彼』(MBS)など、映像美が特徴的な酒井監督にはどのような印象を抱かれましたか?

 

久間田 実は、酒井監督が演出されたドラマ『明日、私は誰かのカノジョ』(MBS)を原作ファンとして見たときに、キャラクター1人ひとりに愛を感じられたんです。それで「いつか酒井監督が撮られる作品に出てみたい」と思っていました。酒井監督がどんな方なのか知りたくて、ずっとSNSもチェックさせていただいていました(笑)。

 

──酒井監督の作品への出演は、念願だったのですね。

 

久間田 はい。実際にお会いして話したら、青磁と茜に対する思いが人一倍強い方で安心しました。『明日カノ』を見て、私が感じたことに間違いはなかったと。自分の思いを伝えるのが下手な茜は伏し目がちになることが多いので、酒井監督には目線の演技も指導していただきました。

 

──青磁役を演じた、白岩さんの印象はいかがでしょう?

 

久間田 白岩さんとは撮影前のリハーサルで何度かお会いしたのですが、お互いに台本を読み込むことでいっぱいいっぱいになってしまって、全然お話しする時間がなかったんです。クランクインして数日経って、「アオハライド」(集英社)など好きな少女マンガの話題などで、少しずつ話せるようになりました。

 

──久間田さんも白岩さんも、少女マンガがお好きなのですね。

 

久間田 そうなんです。あと白岩さんはお弁当を食べずに、お菓子ばかり食べていて。白岩さんご本人は「違う」と言っていましたが、私は青磁と同じ自由奔放な方だなと思いました(笑)。クラスメイトと一緒の現場でも、常に真ん中にいるムードメーカーでしたし、本番と休憩中のギャップがなく、ずっと青磁のままでいるようで。白岩さん自身を真っすぐ“青磁”として見ることができて、とても助けられました。

 

──舞台が高校ということで、青磁をはじめとするクラスメイトとの関わりも多かったかと思います。印象に残った撮影エピソードはありましたか?

 

久間田 撮影は真冬で、とても寒かったのですが、日没後や日の出前にマジックアワーを狙ったカットがあり、その数分を狙ってチーム一丸となって頑張ったことは、良い思い出になりました。それから学校の屋上で、青磁とペンキをかけ合うシーン。とてもダイナミックですし、演じている私たちも現場で楽しんでいました。モニターチェックのときから、ものすごくきれいで「これをスクリーンで観たらどうなるんだろう」とワクワクしていました。

 

──青春の一風景ですね。実際に完成した作品を観たときの感想も聞かせてください。

 

久間田 想像どおりきれいなシーンばかりで、朝方に茜が帰宅した後、携帯をいじっているときに窓の外の色が変わっていくシーンも印象的でした。このシーンは初日に撮影したのですが、私は携帯を見ているので、どんな状況になっているのか分からなかったんです。

 

──久間田さん自身も、見るまで分からなかったと。

 

久間田 はい。酒井監督の世界観やこだわりを感じ、念願だった酒井監督と一緒に仕事ができたことを、より強く実感できたシーンでした。あとは白岩さんが絵画を練習されているところを見ていなかったので、青磁が絵を描くシーンは、その上手さにビックリしましたし、スクリーンで観ることで、より素敵なシーンになっていました。

 

22歳、今後は「親近感を持たれる俳優さんになりたい」

 

──映画やドラマの出演作が続く久間田さん。この変化を、自身はどのように捉えられているのでしょう?

 

久間田 私は俳優業を始めたのが遅かったこともあり、日々“学べ学べ”の精神で、今もずっと走り続けています。いろんな現場を体験させていただいて、とても楽しいですし、やりがいを感じています。

 

──現在は制服を着た、学生役が多いですよね。

 

久間田 はい。以前、先輩方から「この仕事をしていると、高校を卒業してからの方が制服を着るよ!」と言われていたのですが、本当にそうなっています。学生時代は「今すぐにでも制服を脱ぎたい」と思うくらい大人になりたかったのですが、今となっては制服を尊い存在に感じています(笑)。

 

──ファッション誌で制服を着る機会も少なくなったとか。

 

久間田 ファッション誌のモデルでは、実際に学校を卒業してしまうと、制服のページをもらえなくなってしまうんです。だからこそ制服を着られるのは、俳優業ならではだと思っています。今22歳なので、あと3年は制服を着られたらいいなぁ……でも2年ぐらいで、学生役のお話が来なくなったらどうしよう(笑)。

 

──(笑)。学生役も作品によってさまざまで、役柄の幅も広がっているかと思いますが、今後挑戦してみたい役はありますか?

 

久間田 今後はたくさん共感してもらえる役を演じ、親近感を持たれる俳優さんになりたいです。見る方に元気を与えられたらいいですね! また今回は酒井監督とご一緒させていただき、思えば願いは叶うんだと思ったので、そんな思いも持ち続けていきたいです。

 

──最後にGetNavi webということで、いつも現場に持っていくような、お気に入りのアイテムについて教えてください。

 

久間田 今の私に欠かせないのはカフェラテとチョコレート! 特にコンビニのコーヒーマシンで作るアイスラテが大好きです。もともとコーヒーは好きですが、同映画の撮影中に、カフェラテとチョコレートの組み合わせが最強だと気づいてしまいました。かなり集中力が高まりますよ!

 

映画『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』

9月1日(金)より全国ロードショー

 

【映画『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』よりシーン写真】

 

(STAFF&CAST)
出演:白岩瑠姫(JO1)、久間田琳加
箭内夢菜、吉田ウーロン太、今井隆文/上杉柊平、鶴田真由
監督:酒井麻衣
原作:汐見夏衛「夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく」(スターツ出版 刊)
脚本:イ・ナウォン、酒井麻衣
音楽:横山克、濱田菜月 主題歌:JO1「Gradation」(LAPONE Entertainment)
製作:『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』製作委員会
制作プロダクション:C&Iエンタテインメント、アスミック・エース
配給:アスミック・エース

 

(STORY)
周囲の空気ばかり読んでしまう優等生の茜(久間田)と、自由奔放で絵を描くことを愛する銀髪のクラスメイト・青磁(白岩)。茜は何もかもが自分とは正反対の青磁のことを苦手に思っていたが、青磁が描く絵とまっすぐな性格に惹かれ、2人は少しずつ距離を縮めていく。やがて、そんな2人の過去が重なり合い、これまで誰にも言えなかった思いが溢れ出す。

 

©2023『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』製作委員会

 

撮影/中田智章 取材・文/くれい響 ヘアメイク/Mien(Lila) スタイリスト/Toriyama悦代(One8tokyo)

謎解きをする橋本環奈&新木優子、ダンスに誘う岩田剛典などの場面写真解禁 福田雄一監督作「赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。」

橋本環奈主演×福田雄一監督によるNetflix映画「赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。」(9月14日(木)配信スタート)より、場面写真10点が一挙解禁された。

 

原作は、童話の世界で起きる事件を、旅の途中の赤ずきんが探偵役としてスッキリ解決していく『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』(青柳碧人/双葉社)。「童話×本格ミステリ」という切り口が新しい! 面白い! と老若男女から支持を得ている、シリーズ累計33万部超えの大ヒット小説だ。

 

そんな話題作を、『今日から俺は‼︎』シリーズで知られるコメディの大ヒットメーカー・福田雄一監督が映画化。おとぎ話の世界観を壮大なスケールで実現した、見たこともない、夢と冒険に満ちたファンタジー&ミステリー&コメディとなっている。

 

赤いずきんを被った少女・赤ずきん(橋本環奈)は、旅の途中、灰だらけの少女・シンデレラ(新木優子)と出会う。魔法使いにすてきなドレス姿に変えてもらい、舞踏会へ向かった2人だったが、カボチャの馬車で男をひき殺してしまう。

 

バレるまいとさっさと死体を隠し、2人はお城の舞踏会へ。シンデレラと王子様(岩田剛典)が恋に落ちたのもつかの間、死体が見つかり舞踏会は中断。絶体絶命の2人の前にクセだらけの人たちが次々と現れ、その中に真犯人の影が…。持ち前の洞察力と図々しさで事件に立ち向かう、赤ずきん。果たして、「美しさこそがすべて」の国で起こった悲劇の真相とは。

Netflix映画「赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。」

 

主人公となる、知的で辛口な名探偵・赤ずきん役を務めるのは橋本環奈。美しく影のあるシンデレラ役には新木優子。国中の女性の憧れのクールな王子様役には岩田剛典と、福田組常連の橋本・岩田、そして初参加となる新木がNetflix×福田の初タッグ作品を彩る。

 

このたび、誰もが知るグリム童話の世界を摩訶不思議に、そして圧倒的クオリティで描き出した本作の場面写真10点が一挙解禁。

 

赤ずきんやシンデレラ、王子様の場面写真はもちろん、ムロツヨシ、佐藤二朗といった福田組常連メンバーと共に、桐谷美玲、夏菜、若月佑美、山本美月、キムラ緑子、真矢ミキといった人気俳優が豪華絢爛な衣装を身にまとい、おとぎ話の世界に降り立った姿を捉えた場面写真となっている。

Netflix映画「赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。」

 

シンデレラの義姉・アンヌを演じた夏菜、同じく義姉・マルゴーを演じた若月佑美、そして継母・イザベラを演じた真矢ミキは、壮大なドレスを見事に着こなしている。そして赤ずきんとシンデレラを美しいドレス姿に変身させる魔法使い・テクラを演じた桐谷美玲は、髪も衣装も真っ白で際立つ美しさを披露。

 

さらに、福田組おなじみのムロツヨシは、魔法で人間の姿に変えられたねずみのポールに扮しており、鼻呼吸が不可能な姿に!? 謎の美女を演じた山本美月は、どこかはかなげな雰囲気を身にまとうカーレン役、そしてキムラ緑子扮するバ―バラが、物語をかき乱すもう1人の魔法使いとして存在感を放っている。

 

さらに、威風堂々とした姿で正面を見据える王様・佐藤二朗の姿や、謎解きに首をかしげるシンデレラと赤ずきんの2ショット、予期せず殺人事件に巻き込まれていくシンデレラを優雅にダンスに誘う王子様の姿など、橋本環奈・新木優子・岩田剛典の新カットも到着。ますます本編への期待が高まる。

 

作品情報

Netflix映画「赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。」
9月14日(木)よりNetflixにて世界独占配信

出演:橋本環奈
新木優子 岩田剛典 夏菜 若月佑美 /桐谷美玲
ムロツヨシ
加治将樹 長谷川朝晴 犬飼貴丈
山本美月 キムラ緑子 真矢ミキ
佐藤二朗

原作:青柳碧人「赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。」(双葉社刊)
主題歌:SEKAI NO OWARI「タイムマシン」(ユニバーサル ミュージック)
監督:福田雄一
エグゼクティブ・プロデューサー:佐藤善宏(Netflix)
企画統括:佐々木基
プロデューサー:松橋真三(クレデウス)鈴木大造(クレデウス)
制作プロダクション:クレデウス
制作著作:テレビ朝日
企画・製作 Netflix

Netflix作品ページ:https://www.netflix.com/赤ずきん、旅の途中で死体と出会う

AKB48小栗有以が女性起業家役で映画単独初主演「皆さんの背中を押せたらうれしい」映画「夢叶えるプロジェクト」

AKB48・小栗有以が、映画「夢叶えるプロジェクト」で映画単独初主演を務めることが決定した。

AKB48・小栗有以

 

“夢叶えるプロジェクト”は、飲食・観光・WEB・ファッションなど部門別にグランプリを決め、「夢にチャレンジする」人たちをバックアップしていく、夢を持つ全ての人を応援する日本最大級エンタメビジネスコンテスト。

 

2023年3月27日には帝国ホテルにて“夢叶えるプロジェクト授賞式”を開催。特別審査員を務めるゆうこすやはじめしゃちょーをはじめ、アパホテル社長の元谷芙美子などが出席。配信や動画・書類などの予選を経て最終審査、全10部門から1名ずつグランプリが決定した。

 

そんな“夢叶えるプロジェクト”が映画化。夢を持ち前に進んでいく一人の若い女性起業家の姿を描く映画「夢叶えるプロジェクト」で、主演の小栗が21歳にして漫画会社の社長を務める主人公・清水加奈を演じる。トラブルや別れを乗り越えながら自身の夢へと突き進んでいく加奈のほか、劇中では多数の若手起業家が出演。それぞれが日々奮闘しながら頑張る姿が描かれる。

 

本作には、日本のみならず海外からも各方面で活躍する豪華キャストが出演予定。撮影はこれから行われ、2023年12月実施のふるさと映画祭にてプレミア上映を予定している。小栗のコメントは以下掲載。

 

小栗有以 コメント

単独での映画初主演が決まって、とてもうれしいです! 今回、私が担当させていただく役柄は、夢を持って前に進んでいく女性実業家です。私もAKB48として活動している中で楽しいこともあれば上手くいかないこともあります。そんな自分の経験も重ね合わせながら生かしながら、この作品を作れたらなと思っています。夢に向かってチャレンジしているさまざまな世代の方に見ていただき、皆さんの背中を押せたらうれしいです。

 

作品情報

映画「夢叶えるプロジェクト」
2023年12月実施のふるさと映画祭にてプレミア上映

出演:小栗有以(AKB48)
製作:夢叶えるプロジェクト
エグゼクティブプロデューサー:白井浩一
企画・プロデュース:大橋孝史
プロデューサー:馬場基晴、金子誠二郎
アソシエイトプロデューサー:松岡佳那
助監督:馬清怡
制作:近藤優輝
キャスティングプロデューサー:白石唯久美
編集:寺島明智
脚本:村川康敏
制作プロダクション:モバコン株式会社
協力:庵SPA、SOLA SPA、エンタメレストランSAKURA
宣伝協力:ふるさと映画祭実行委員会、オーディションTV、AkibaTV、株式会社Joker
製作協力:株式会社ホステック、株式会社クレドインターナショナル、ミスミスタースパサウナ実行委員会
監督:大橋孝史

(c)2023 映画「夢叶えるプロジェクト」製作委員会

「岸くんが返してくるセリフは一級品!」“Gメン”竜星涼インタビュー。待望の二枚目キャラでアドリブ炸裂!?

『ナンバMG5』で知られる小沢としお氏の同名コミックを映画化した『Gメン』が、8月25日(金)に公開。問題児だらけのクラスに転入した男子高校生・門松勝太を、岸優太さんが熱演するなか、勝太の恋愛の先生・瀬名拓美を演じるのが竜星涼さんだ。

竜星涼●りゅうせい・りょう…1993年3月24日生まれ、東京都出身。2010年にドラマ『素直になれなくて』(フジテレビ)で俳優デビュー。最近の出演作に映画『弱虫ペダル』(2020)、ドラマ『家、ついて行ってイイですか?』(2021・テレビ東京)、『スタンドUPスタート』(2023・フジテレビ)など。現在送中のドラマ日曜劇場『VIVANT』(TBS)にも出演中。XInstagram

 

犬飼貴丈さんとのW主演映画『ぐらんぶる』の北原伊織役(2020)や、NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』(2022)の“ニーニー”こと比嘉賢秀役など、近年三枚目キャラの印象が強い竜星さん。しかし今回は “武華のプリンス”の異名を持つ、二枚目キャラを熱演。キャストみんなが監督を笑わせにかかるという、少し変わった瑠東組の現場について、たっぷりと語った。

 

【竜星涼さん撮り下ろし写真】

 

「岸くんを困らせてほしい」瑠東監督からの無茶ぶり

 

──今年3月で30歳になった竜星さん。20代最後の映画が高校生役ということで、まずはオファーを受けた際の感想を聞かせてください。

 

竜星 この年齢で皆さんに制服姿を見せるということは、なかなか勇気がいることでして……(苦笑)。でも周りを見渡せば、僕よりも年上の先輩方が制服を着ていらっしゃるので、とても励まされました。「あ、俺もいけるわ!」と(笑)。

 

──先輩にあたる田中圭さんや高良健吾さんも制服姿でしたね。竜星さんが演じる瀬名のキャラクターについては、どう思われましたか?

 

竜星 最近は三枚目の役どころが多かったこともあり、二枚目という本来の自分の姿を忘れかけていたのですが(笑)、瑠東東一郎監督が「イケメンの竜星涼が見たい!」と言ってくださったんです。フタを開けたら「これは二枚目なのか? イケメンなのか……?」と思うことがあったりなかったりのキャラクターでしたが(笑)。しっかりカツラを被って二枚目になりました!

 

──瑠東監督といえば、竜星さんが教師役を演じられたドラマ『オトナ高校』(2017・テレビ朝日)や、主演を務められた『スタンドUPスタート』(2023・フジテレビ)などの作品がありますが、現場はどのような雰囲気なのでしょう?

 

竜星 瑠東組は、チームワークの良さやグルーヴ感が特徴的だと思います。キャストみんなが監督を笑わせようとするんです。

 

──モニター前で、瑠東監督が一番笑っているとか。

 

竜星 そうなんです。今回はドラマ『ごめんね青春!』(2014・TBS)からの仲である矢本悠馬がいたこともあり、特に男子校ノリでした。さらに主演の岸(優太)くんが、誰もが想像しないようなことを言ってくる天然キャラなので、現場の笑いが耐えなかったです。瑠東監督から僕への指示は「岸くんをできるだけ困らせてほしい」というものでした。

 

──「岸くんを困らせてほしい」とは、具体的にどういうことでしょうか?

 

竜星 岸くんが演じた勝太は、問題児だらけの1年G組に編入してきたり、僕が演じる瀬名に出会ったり、予想外の状況に困惑する役柄でした。そこで岸くんとの共演シーンでは、僕がアドリブをどんどん出して、彼自身を困らせて、勝太とシンクロするように仕掛けたんです。

 

──なんと。実際に“予想外の状況”を竜星さんが作り出していたのですね。

 

竜星 岸くんがテンパりながら返してくるセリフは一級品でした! あの言葉選びは努力しても出せるものではない、天性の才能だと思いましたね。役者陣から羨ましいと声があがるほどでした。

 

──ちなみに、竜星さんが演じられた瀬名も天然キャラですよね?

 

竜星 はい、だから僕は延々とボケ続けたんです(笑)。それに対して岸くんはツッコまなきゃいけないのですが、段取り・テスト・本番と、僕は全部違うボケをして困らせていました。ちょっと特殊な現場ですよね。信頼し合える、チームワークのいい瑠東組だからこそできることだと思います。

 

個性強めなキャラたちと「とにかく面白いものを」

 

──先ほど“年上の先輩方”も話題に挙がりましたが、八神紅一役の田中圭さんの印象は?

 

竜星 田中さんはドラマ『おっさんずラブ』(2016ほか・テレビ朝日)で瑠東組だったこともあり、役柄の中でのびのびと楽しんで演じられているように見えました。僕自身も貴重な学園モノでしたが、先輩である田中さん含め、年齢問わずみんなでわちゃわちゃできて、単純にうれしかったです。

 

──田中さんはじめ強烈なキャラクターが多く登場しますが、竜星さんのお気に入りは誰でしょう?

 

竜星 りんたろー。さんが演じられた薙竜二ですね。実は最初の台本読みの時、りんたろー。さんが仕事で来られなくて、瑠東監督から「代役を竜星にやってほしい」と頼まれたんです。そこで本気で役作りをして、僕の中で120点の薙を演じました。その場にいた矢本悠馬から「竜星涼史上、一番面白い芝居だった!」と言われましたし、僕も思わず瑠東監督に「僕、二役やれますよ!」と言っちゃいました(笑)。

 

──それはりんたろー。さんもプレッシャーですね。完成した作品を観たときは、どのような感想を抱かれましたか?

 

竜星 この映画は男子高校生の日常だったり恋愛だったり、いろんな要素が入っていますし、「どっちが上、どっちが下」のようなケンカを描いていないので、幅広い層の方に楽しんでもらえる青春映画になったと思います。ただラスト近くで、NGだと思っていたテイクが、がっつり使われているのを見た時は驚きました(笑)。長回しが多く、僕らもカットがどのように使われて、どのように編集されるか知らなかったので。

 

──それはまさかでしたね。竜星さんが特にお好きなシーンはどこでしょう?

 

竜星 高良健吾さん演じる伊達薫が、校舎の屋上から飛ぶシーンですね。ひょっとしてロボットか? と思っちゃいました(笑)。「とにかく面白いものを生み出そう」と、みんなが切磋琢磨している現場で、それを生むための長回しも当たり前で、さらにこんなファンタジーなシーンもあり……たまりませんよね!

 

自分に近いのは“三枚目”。「二枚目は、どこか辛くもありますね」

 

──本作にも通じる竜星さんの三枚目キャラといえば『ちむどんどん』の“ニーニー”が知られていますが、2019年の映画『トイ・ストーリー4』の日本語吹き替えで演じた“フォーキー”も転機になっているのでは?

 

竜星 フォーキーは初めての吹き替えのお仕事でしたが、いまだに僕が声を務めていたことに気づいていない人も多いです。その点、それまでの自分のイメージとかけ離れた役を演じ切ることができたと思っています。

 

──三枚目キャラを演じる苦労は多いのでしょうか?

 

竜星 それが、そうでもなくて。『男はつらいよ』シリーズの“寅さん”のように、僕は三枚目キャラの方が人間として好きですし、自分にも近いです。だから理解しやすいですし、よりのびのびと演じられるのかもしれません。

 

──ということは、二枚目キャラより三枚目キャラのほうが演じやすいと?

 

竜星 そうですね。完璧な二枚目キャラは、演じるうえで想像しなきゃならない部分も大きいので、楽しくもありつつ、どこか辛くもありますね。

 

──三枚目キャラにみられる“人を楽しませたい“という気持ちが、竜星さんからはひしひしと伝わってきます。最後にGetNavi webということで、現場に必ず持って行くモノを教えてください。

 

竜星 お守代わりに、必ずフリスクを持って行きます。仕事や撮影が始まる前、口に入れてスッキリすることで、気持ちがオンになるんです。一度に3粒と決めていますが、回数がハンパないので、絶対に食べ過ぎだと思っています(笑)。

 

映画『Gメン』

8月25日(金)より全国公開

 

【映画『Gメン』よりシーン写真】

 

(STAFF&CAST)
監督:瑠東東一郎
脚本:加藤正人、丸尾丸一郎
原作:小沢としお『Gメン』(秋田書店「少年チャンピオン・コミックス」刊)
出演:岸優太、竜星涼、恒松祐里、矢本悠馬、森本慎太郎、りんたろー。/吉岡里帆、高良健吾・尾上松也、田中圭
主題歌:「ランラン」ザ・クロマニヨンズ(HAPPYSONG RECORDS/Sony Music Labels Inc.)
公式サイト:https://g-men-movie.com/

 

(STORY)
“彼女できる率 120%”はカタいという名門・私立武華男子高校に転校してきた、高校1年生の勝太(岸優太)。しかし勝太のクラスは、校舎が隔離された問題児集団1年G組だった。学年トップクラスA組のエリートで校内イチのイケメン・瀬名(竜星涼)との出会い、レディース集団のレイナ(恒松祐里)とのロマンス(?)、いろいろな意味で勝太に迫る2年の伊達(高良健吾)、何かと訳知り顔で見守る3年の八神(田中圭)――“モテたい”だけが目的だった勝太だが、空回りしながらも仲間たちと楽しい日々を過ごしていく。しかしそんな勝太たちに、伝説のグループ=G メンが死闘の末に潰したはずの凶悪組織=天王会の魔の手が忍び寄っていた――。

 

(C)2023「Gメン」製作委員会 (C)小沢としお(秋田書店)2015

 

撮影/関根和弘 取材・文/くれい響 ヘアメイク:TAKAI スタイリスト:山本隆司(style3)

藤竜也&麻生久美子「木綿豆腐の上に生もやしと……ずっとウチの定番になっています(笑)」映画『高野豆腐店の春』

広島県尾道市で、昔ながらの豆腐店を営む職人気質の父と頑固な娘の心温まる愛情物語を描いた『高野豆腐店の春』が、8月18日(金)より公開。劇中、父・辰雄を演じた藤竜也さんと娘・春を演じた麻生久美子さんに、心温まる撮影エピソードのほか、おススメの豆腐料理などについても紹介していただきました。

 

(写真左)藤 竜也●ふじ・たつや…1941 年8月27日生まれ。中国・北京で生まれ、神奈川県横浜市で育ち、以来、横浜に在住。日本大学芸術学部在学中にスカウトされて、日活に入社。『望郷の海』(62)でスクリーンデビューを果たす。近年は『コンプリシティ/優しい共犯』(監督・近浦啓/20)、『それいけ!ゲートボールさくら組』(監督・野田孝則/23)などに出演。三原光尋監督作品『村の写真集』(2005)では第8 回上海国際映画祭・最優秀主演男優賞受賞。その後、『しあわせのかおり』(08)に出演し、最新作『高野豆腐店の春』(23)では三原監督とは3 本目のタッグを組み、円熟味のある演技で豆腐屋の店主を演じた。公式HP (写真右)麻生久美子●あそう・くみこ…1978年6月17日生まれ。今村昌平監督作品『カンゾー先生』(98)でヒロインに抜擢され一躍注目を集める。同作で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞など多数受賞。以降も映画『回路』(監督・黒沢清/2001)、『夕凪の街 桜の国』(監督・佐々部清/07)、『ハーフェズペルシャの詩』(監督・アボルファズル・ジャリリ/08)、『モテキ』(監督・大根仁/11)、ドラマ「時効警察」シリーズ(テレビ朝日/06~)、「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」(NHK/21~22)など、多数の映画やドラマなどに出演。本作では父親思いの頑固で一途な娘役を演じた。公式HPX(Twitter)mg公式

【藤竜也さん&麻生久美子さん撮り下ろし写真】

 

26年ぶりとはいえ、とにかく藤さんとお芝居できることに緊張していました(麻生)

──今回、お二人は藤さんが探偵役を演じられた『猫の息子』以来、26年ぶりの共演だったそうですね。

 

麻生 あのときは藤さんと直接の共演シーンはなくて、正直「女子高生役で、ヴァイオリン弾いたな……」という思い出ぐらいしかないんですよ。私自身、映画出演もほぼ初めてみたいなものでしたし。

 

 そうだったんですね。本当にきれいな女優さんになられて。名前の響きも美しいですし。麻生さんにはそんな印象がありました。

 

麻生 嬉しいです(笑)。26年ぶりとはいえ、初共演の気が引き締まる思いというか、とにかく藤さんとお芝居できることに緊張していました。

 

(C)2023「高野豆腐店の春」製作委員会

 

──今回演じられた辰雄と春の父娘は、一緒にお酒を飲んで帰るなど、とても仲良しですが、そんな関係性については、どのように思われましたか?

 

 実際の私は息子だけで、娘がいないので、娘を持つ父親の気持ちがどうも分からなかったんですよ。でも、麻生さんが心のこもった演技をしてくださったことで、見事にそれに引っ張られまして……。春の縁談の話が持ち上がる展開あたりから、気持ちがあたふたオロオロしていました。麻生さんの顔を見ると、涙が出ちゃいそうになるから、なるべく見ないようにしていましたし(笑)。

 

麻生 お互い信頼し合っているいい父娘関係だなと思いました。私も父親とはずっと暮らしていなかったので、「もし、今ぐらいの年齢でお父さんがいたら、こんな関係性なのかな?」と想像していました。とても理想的ですし、藤さんのアドリブも相まって大好きなシーンになりました。

 

 あ、あれね! 最初は「どんぐりころころ」を歌う予定だったんですが、なんとなく「ずいずいずっころばし」に変えたら、そっちの方が合っているような気がしたんですよ。幸せになるために、肩を寄せ合って生きる辰雄と春だけでなく、それを温かく見守る地域の仲間たちとの関係だったり、三原(光尋)監督が作られた設定も素晴らしかったですね。

 

私はいつも演じる役の履歴書というかプロフィールみたいなもの考えるんです(藤)

──今回の役づくりについて教えてください

 

 私はいつも演じる役の履歴書というかプロフィールみたいなものを考えるんですが、今回は特に辰雄が尾道で豆腐店を始めるまでのいきさつを考えました。でも、芝居はナマモノですから、麻生さんとカメラ前に立つことで、自然と辰雄になっていけるんですよ。台本には書かれていない亡くなった妻や親友のことまで、情感がどんどん溢れてきました。

 

麻生 私は必要以上に話さなくてもいい親子関係に見えるため、辰雄さんを演じる藤さんと一緒にいる時間を大切にしたいと思っていました。そのほかに、事前に何か特別な準備はしませんでした。

 

(C)2023「高野豆腐店の春」製作委員会

 

──ロケ地である尾道の景色も印象的ですが、藤さんはロケハンから同行されたそうですね。

 

 辰雄が暮らす場所、辰雄がいつも歩いている路地、辰雄が使っている郵便局や銀行などをしっかり見ておきたかったんです。そうやって、街を見ることが役作りに繋がりますし、本来なら1か月ぐらい実際に住んで、撮影隊を迎えたい気持ちでした(笑)。

 

麻生 私は初めて尾道に行ったのですが、すごくきれいな所で、大好きになりました。初めてなのに、どこか懐かしさもありましたし、地元の方もとても優しく温かく迎えてくださいましたし、春が住んでいることもしっくりしました。

 

 現場では僕が自転車のシーンで膝をぶつけてしまって、走れなくなって、麻生さんが病院まで走るシーンが急きょ追加されたんですよ。それがすごいいいシーンになりましてね。三原監督と一緒に、「あれはけがの功名だね」と言っていました(笑)。

 

この撮影をきっかけに、朝に温かい豆乳を飲むことにハマっています(麻生)

──舞台となる豆腐店での豆腐作りについてはいかがでしたか?

 

 豆腐作りはとても新鮮でした。今はほとんど機械での作業で、的確なタイミングでスイッチを入れたり、切ったりするぐらい。その中で大変だったのが、大きい水槽に入った出来上がった豆腐を切る作業。真冬の撮影だったものですから身を切るような冷たさで、「これ、やらせるの!?」というほどで(笑)。そしたら、実際の豆腐店の親父さんが「大丈夫ですよ! そのうち、熱く感じてきますから」と言われて(笑)。

 

麻生 今まで生きてきて、水がこんな冷たいと思ったことはなかったほどですが、不思議なことに冷たすぎて、だんだん手が熱く感じてくるんですよ。

 

──毎朝、豆乳を飲まれているシーンもありますね。

 

麻生 お豆腐屋さんに聞いたら、「子供の頃から豆乳を飲まされることで日課になった」と言われていました。私もこの撮影をきっかけに、豆乳のおいしさに気づき始めて、朝に温かい豆乳を飲むことにハマっています。豆腐について、ちょっとだけ詳しくなりましたが、辰雄さんの朝のあいさつも印象的でしたね。

 

「おう!」という、ちょっとハードボイルドみたいな感じで。辰雄の情が厚い部分とは違った職人としての一面が出ているようなシーンになったと思いました。

 

──また、本作に出演されたことで豆腐へのこだわりみたいなものは生まれましたか?

 

麻生 木綿と絹の違いとか、にがりだけで作ったお豆腐のおいしさとか考え方が変わりました。でも、三原監督は本当にご自身で作られているんですよ!

 

 僕はウィンドサーフィンしにハワイのマウイ島によく行っていた頃、健康志向の子のまねをした食べ方がありまして。それは木綿豆腐の上に、洗った生もやしを置いて、ゴマ油と醤油をかけるだけ。ずっとウチの定番になっていますよ(笑)。

 

麻生 その食べ方、撮影中に藤さんに教えていただき、ウチでもやってみました! すごくおいしかったです。あと、冷奴なら、シンプルにお塩で食べるのもいいですね。

 

生きることはそれ以上に素敵なんだということを教えてくれる(藤)

──本作のテーマや見どころについて教えてください。

 

『村の写真集』『しあわせのかおり』に続いて、今回3作目となる三原監督との映画に通じるものは、みんな何かしらの問題を抱えて生きているということだと思うんですよ。すべてを投げ出したいぐらい辛いかもしれないけれど、生きることはそれ以上に素敵なんだということを教えてくれる。今回も、そういうメッセージが込められた素敵な作品になったと思います。

 

麻生 私は出来上がった作品を観て、「人は一人では生きられない」ということを痛感しました。どんなかたちであれ、周りに支えてくれる人はいると思いますし、人が人を思いやる気持ちがたくさん描かれた作品になったと思います。

 

──藤さんといえば、NHK朝の連続テレビ小説「おかえりモネ」で、ときどき英語が飛び出す龍己じいちゃんが大きな話題になりました。

 

 僕自身はピンときていませんが、「ファンタスティック」とか「ハニー」が評判になっているという話は現場で聞きました。公園を歩いたりしていると、小さい子から「モネちゃんのおじいちゃんだ!」と言われることもありましたね。

 

──麻生さんはオダギリジョーさんと共演された日本マクドナルドのCMの反応も大きかったのでは?

 

麻生 いろんな方から、すごい反響があります(笑)。「時効警察」でおなじみのオダギリさんとの共演を喜んでくださる方が多いんですが、じつはCMでの共演は初めてなんです。もちろん現場は楽しかったですけれど、私にとってはご褒美みたいな感じでしたね。

 

クルマは僕にとって大きな存在で、「ありがとう」と言いたい感じです(笑)(藤)

──現場に必ず持っていくモノやアイテムを教えてください。

 

 僕は60年、ずっと横浜に住んでいるので、現場までは必ずクルマに乗っていくようにしているんです。免許取ってから、20台目ぐらいでしょうかね。今はイタリアのアバルトに乗っていて、長距離のときのステーションワゴンと乗り分けています。一人っきりになれる特別な空間ですし、いい気分転換になります。乗っているときは音楽やラジオはほとんどかけないですね。それだけ、クルマは僕にとって大きな存在で、「ありがとう」と言いたい感じです(笑)。

 

麻生 私は喉にいいスロートティーを入れたポットですね。特に甘くもなく、ノンカフェインのもので、声が枯れてきたときや風邪のひき始めのときに飲むと、すぐに良くなるんです。あとはアロマ・マッサージオイル。ちょっと眠くなったり、疲れたり、気分転換したいときに付けると、スーッとして、気持ちいいんです。

 

──また、現在ハマられているものがあれば教えてください。

 

 20年ぐらいやっていた陶芸をやめて、もう十年ぐらいになりますが、その後は趣味っぽい趣味がないですね。あえて言うなら、飯づくりですね。和食でも洋食でも中華でも、なんでも作ります。我が家のシェフですから。困ったときには、YouTubeを見て参考にします(笑)。昔だったら、レシピ書を引っ張り出してきたけれど、かなり楽な時代になりましたよ。

 

麻生 私は本当に趣味がない人なんですが、今は子育てぐらいでしょうか。2人とも小学生なので、放送中の出演ドラマを一緒に見たりすることもありますが、習い事の送迎が多いですね(笑)。YouTubeの楽しみ方を藤さんに教えてもらいたいです。

 

 YouTubeって、玉石混交だから、自分の興味あるものに関しては参考になるので、うまく使ったらいいし、使いこなせばなかなか便利なものだと思いますよ。

 

 

(C)2023「高野豆腐店の春」製作委員会

高野豆腐店の春

8月18日(金)よりロードショー

【映画「高野豆腐店の春」よりシーン写真】

(STAFF&CAST)
監督・脚本:三原光尋
出演:藤竜也、麻生久美子、中村久美
徳井優、山田雅人、日向丈、竹内都子、菅原大吉 / 桂やまと、黒河内りく、小林且弥、赤間麻里子、宮坂ひろし

(STORY)
尾道の風情ある下町。その一角に店を構える高野豆腐店。父の辰雄(藤)と娘の春(麻生)は、毎日、陽が昇る前に工場に入り、こだわりの大豆からおいしい豆腐を二人三脚で作っている。ある日、もともと患っている心臓の具合が良くないことを医師に告げられた辰雄は、出戻りの一人娘・春のことを心配して、昔ながらの仲間たち──理髪店の繁(徳井)、定食屋さんの一歩(菅原)、タクシー運転手の健介(山田)、英語講師の寛太(日向)に協力してもらい、春の再婚相手を探すため、本人には内緒でお見合い作戦を企てる。辰雄たちが選んだイタリアンシェフ(小林)と食事をすることになり、作戦は成功したようにみえたが、実は、春には交際している人がすでにいた。納得のいかない辰雄は春と口論になり、春は家を出ていってしまう。そんななか、とある偶然が重なり言葉をかわすようになった、スーパーの清掃員として働くふみえ(中村)が、高野豆腐店を訪ねてくる。豆腐を作る日々のなか訪れた、父と娘それぞれにとっての新しい出会いの先にあるものは──。

 

(C)2023「高野豆腐店の春」製作委員会

 

撮影/映美 取材・文/くれい響 ヘアメイク/ナライユミ(麻生) スタイリスト/井阪 恵(ダイナミック)(麻生)

瑚々&咲田ゆな&斉藤里奈ら「ミスマガジン2022」がチアリーダーズに!「とてもエッジの効いた物語で、撮影がとても楽しみでした」映画「さよならエリュマントス」公開

8月11日 (金・祝)から公開される映画『さよならエリュマントス』で、解散寸前のやさぐれチアリーダーズ「エリュマントス」を演じた「ミスマガジン2022」から、瑚々さん、咲田ゆなさん、斉藤里奈さんが登場! 自分の名前と同じキャラを演じる役作りや撮影での思い出はもちろん先日、東京ドームで行ったチアパフォーマンスのエピソードについても語ってくれました。

 

【瑚々さん&咲田ゆなさん&斉藤里奈さん撮り下ろし写真】

青春のキラキラした感じを想像したんですけれど、「これは全く違うぞ!」と(笑)(瑚々)

──先代「ミスマガ2021」が新米の殺し屋を演じた『グリーンバレット』に続く、本作で皆さんが演じられたのは、チアリーダー役。とはいえ、解散寸前という設定に驚かれたのでは?

 

瑚々 最初は青春のキラキラした感じを想像したんですけれど、台本を読んだときに「これは全く違うぞ!」ということに気づきました(笑)。でも、コメディ要素だったり、シュールだったり、リアルな描写も盛り込まれていて、きっと面白い映画になるだろうという予感がしました。

 

咲田 私も女の子らしく、かわいらしくチアダンスを踊るキャピっとした映画を想像していました。でも、もらった台本を読んだら、みんなでケンカしてたり、怖い男の人が出てきたり、「これがチアの映画なの?」と思うぐらいビックリしました。そして、それを仲良しなミスマガ2022の6人でやること自体、全く想像がつきませんでした。

 

斉藤 漠然と、6人が力を合わせて、上を目指していく話だと思っていたんですが、それどころか、みんなが個人的な事情を抱えた解散寸前のチームの話だったので、かなりの想定外ではありました。でも、とてもエッジの効いた物語で、撮影がとても楽しみでした。

 

瑚々●ここ…2004年8月7日生まれ。埼玉県出身。2015年にイトーカンパニーグループ“ネクストヒロインオーディション”にてグランプリを受賞。『レミングスの夏』(17)にて劇場用映画初出演。「ミスマガジン2022」では咲田ゆなとグランプリを同時受賞。2023年は本作のほか『ホワイト ライ』『散歩屋ケンちゃん』など続々出演作が公開された。X(Twitter)Instagram

【瑚々さん撮り下ろし写真】

 

──皆さんの名前がそのまま役名になっていますが、今回演じられたキャラクターと似ているところ・似ていないところを教えてください。

 

瑚々 大野(大輔)監督が6人全員と面接をしたうえで書かれた脚本だったので、みんなどこかしら、似ているところはあると思います。私は旅館でお母さんに電話するシーンでの対応だったり、みんなに今後のことを相談しつつ、自分なりに結果を出してしまっているあたりは、かなり自分の素に近い部分が出ていると思いました。似てないところは、ココほどハッキリ、サバサバした性格じゃないということでしょうか?(笑)

 

咲田 私はノー天気な感じとか、突拍子もないことをしたりするところは似ているんじゃないかと……家族にも言われました(笑)。でも、私はユナほど、ポジティブ思考ではないので、心のどこかで、ユナに対して、憧れのようなものを持っていました。

 

斉藤 私は6人の中で年齢が一番上なので、リナはリーダーの設定になったのですが、普段の私はそこまでみんなを引っ張っている感じではないですね。ただ、常に冷静で、一歩引いて周りを見ている感じはリナと似ていると思います。似ていない部分は、思っていることをそこまでストレートに出さないところ。リナはマネージャーさんにかなりガツガツ言っていますし、手まで出しちゃいますからね(笑)。そういうところを含めて、かっこいいなと思って、役を演じていました。

 

みんなとレッスンをした後に、スタジオを借りて自主練をしました(咲田)

──それを踏まえての役作りやチアダンス練習について教えてください。

 

瑚々 大野監督がキャラ作りしなくても、個性が出るようなキャラ設定にしてくださったと感じていたので、私は特に役作りはしませんでした。ただ、ダンスの完成度を高めることに関しては、かなり意識しました。

 

咲田 私は初めての演技だったので、かなりいろいろ考えました。森七菜さんの映画やドラマを観て、元気で活発なイメージを参考にしつつ、自分なりにユナっぽい感じにしました。見え方についても、姿見で確認しながら練習しました。また、ダンスに関しても初めてで、とにかくターンが苦手だったんです。なので、みんなとレッスンをした後に、スタジオを借りて自主練をしました。

 

斉藤 私はセリフ1つひとつを発するときに、それまでの私たち6人の思い出を思い浮かべるよう心がけました。そういう意味では、最初のダンス練習だったり、その日の撮影が終わって旅館でおしゃべりしているときだったり、6人での時間を使って、お芝居したと思います。私もダンスは得意ではないですし、もともと身体も硬いので、めちゃめちゃくじけそうになりました。みんなに支えてもらって、なんとか頑張りました!

 

咲田ゆな●さきた・ゆな…2003年5月28日生まれ。東京都出身。「ミスマガジン2022」にてプロダクション未所属の一般応募者ながら瑚々とグランプリを同時受賞する快挙を成し遂げたシンデレラガール。本作が劇場用映画のデビュー作となる。X(Twitter)Instagram

【咲田ゆなさん撮り下ろし写真】

 

──10日間かけて山梨ロケを行った撮影エピソードや思い出を教えてください。

 

瑚々 6人が一つの部屋に寝泊まりしながら、撮影していたこともあって、楽しいこともありつつ、大変なこともありました。定番のサクセスストーリーではないので、どういう仕上がりになるか分からない撮影の中、泣きながら電話したり、足をぶつけたりするシーンでは大野監督が思い描いているヴィジョンに自分が沿えなくて、テイクを重ねてしまいました。でも、それは苦だったというよりは、とても勉強になりました。そして、幼いころはあまり遅くまで撮影に参加できなかったのですが、18歳になったことで、夜遅くまで撮影できたことが印象的でした。とても新鮮でしたし、自分が大人になったことを実感した瞬間でもありました。

 

咲田 私は、とにかくダンスが大変だったことが忘れられません。ダンスも演技と同じで、見え方について、ずっと考えていましたから。あと、ユナが趣味のVlogを撮っているシーンがあるんですが、今後声優を目指している私にとって、とても大切にしたい好きなシーンになったと思います。

 

斉藤 私は2人と比べると、マネージャー役の中島(歩)さんとのシーンが多かったのですが、キャリアも経験値も全然違うので、自分のお芝居で精いっぱいでありながら、中島さんを見て学ぶ機会が多かったです。中島さんは私のエネルギーが出やすいような状況にしてくださいましたし、一緒にどう作り上げるか? と話してくださったので、とても感謝しています。「もううんざりなの!」と叫ぶシーンでは、私もテイクを重ねてしまったんですが、大野監督が「もう一回」としか言ってくれなかったんです。「何が足りてないのか?」を探りながら、いろいろ調整して、お芝居することは、難しくもありましたが、楽しくもありました。

 

東京ドームでプレーしたい野球少年の夢を背負ったような気持ちで(斉藤)

──7月24日に東京ドームで行われた「都市対抗野球大会」では、チアダンスを生披露されました。斉藤さんは始球式も務められましたが、当日のエピソードを教えてください。

 

瑚々 6人でチアを頑張ったので、映画の中だけでなく、どこかで披露できないかなと考えていたところでのお話だったのですが、「まさか東京ドームになるとは!」という感じで、びっくりしました。選手や観客の皆さんが温かい気持ちだったり、頑張ろうと思ってもらえるパフォーマンスを目指しつつ、とても感慨深く、光栄な気持ちが入り混じっていました。二度とないような貴重な経験をさせてもらいました。

 

咲田 高校生まで野球をやっていたお父さんの憧れの舞台だった東京ドームに、娘として立たせてもらって、パフォーマンスできたこと! 昔お父さんと一緒にキャッチボールをした思い出もよみがえってきましたし、とても感慨深かったです。もちろん緊張もしましたが、ワクワクやドキドキの方が勝っていました!

 

斉藤 私はあんまり緊張しないタイプなんですが、エリュマントス代表として始球式に参加するので、さすがに大暴投するのはマズいなと思い、お父さんとたくさん練習して、ちゃんと投げられるよう頑張りました。そして、東京ドームでプレーしたい野球少年の夢を背負ったような気持ちで投げさせてもらいました。

 

斉藤里奈●さいとう・りな…2001年1月1日生まれ。埼玉県出身。「FRESH CAMPUS CONTEST 2019」で準グランプリに輝く。ドラマ「私の正しいお兄ちゃん」(21)にて女優デビュー。「ミスマガジン2022」にて“ミス週刊少年マガジン賞”に選出。短編映画「言えぬまま」が第17回札幌国際短編映画祭入選。その他の出演作に『トモダチゲームR4』(22)、「ショジョ恋」(23)、「対ありでした。~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~」(23)などがある。X(Twitter)Instagram

【斉藤里奈さん撮り下ろし写真】

 

──現場によく持っていくなど、今お気に入りのグッズやアイテムを教えてください。

 

瑚々 ホテルなどでよく刺されることが多いので、オーガニックのいい匂いがするダニ除けスプレー。あと、枕を変えると寝られないタイプなので、枕カバーに使う大きめのバスタオル。でも、山梨ロケに持っていたら、なくても寝られるようなりました(笑)。それから、今年後厄なので、厄除け用のお守とファンの方からいただいた芸能の神様がいることで知られる花園神社のお守も手放せません。

↑瑚々さんが愛用するオーガニックスプレーとお守

 

咲田 3歳のとき、ハロウィンパーティで友だちのお母さんからもらった、おばけちゃんのぬいぐるみ。今でも基本ずっと一緒にいて、9月に発売される写真集にも一緒に映っているんです。あと、がんばれ馬券。1頭の馬の単勝と複勝をセットで買うと、「がんばれ!」という文字が入るんですが、これは競馬法執行100周年記念の日(2023年6月4日)に発券したもので、お守代わりに持っています。

↑咲田さんが大切にしている、ソダシのがんばれ馬券と子供のころから一緒にいる縫いぐるみ

 

斉藤 「アロマパルス」というオーガニックのアロマを使った香水です。その中でもリラクゼーション効果があるもので、気分を切り替えたいときに塗っています。あと、私もホテルや旅館で、ぐっすり眠れるタイプではないので、寝る前に、こめかみや首筋に塗っていますね。

↑斉藤さんが愛用品はオーガニックのアロマを使った香水「アロマパルス」

 

 

さよならエリュマントス

8月11日(金・祝)よりシネマート新宿・ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開

【映画「さよならエリュマントス」よりシーン写真】

(STAFF&CAST)
監督・脚本:大野大輔
音楽:渡辺雄司(太田原愚豚舎)
主題歌:「さよならエリュマントス」MOSHIMO
ユニフォームデザイン:ペトス[PETHOS]

出演:瑚々、咲田ゆな、麻倉瑞季、斉藤里奈、三野宮 鈴、藤本沙羅、
豊田ルナ、平井亜門、田中爽一郎、大高洋子、瀬尾タクヤ、
米本学仁、川瀬陽太 / 中島 歩

(STORY)
もともとは甲府の社会人野球チーム“エリュマントス”のチアリーダーだったココ(瑚々)、ユナ(咲田ゆな)、ミズキ(麻倉瑞季)、リナ(斉藤里奈)、スズ(三野宮鈴)、サラ(藤本沙羅)はマネージャーの宍倉(中島歩)に連れられて地方の催事場などでのイベントに出演させられているメンバーたちと宍倉はけんかが絶えず、溝が深まるばかりだ。とある日、またイベント参加のため山梨の温泉街にたどり着いたエリュマントスチームだったが、宍倉の不用意な発言から無用なトラブルに巻き込まれてしまい――。

 

撮影/関根和弘 取材・文/くれい響

柳俊太郎「ゾンビがいる世界なんだけど、そこで生きているアキラやケンチョの行動って傍から見たら面白い」Netflix映画『ゾン100〜』

Netflix映画『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと~』が8月3日(木)より配信スタート。 “もし世界が変わったら、どう生きる?”という普遍的なテーマを、ゾンビ×パンデミック×ブラック企業社員(社畜)という斬新な設定で描いた同名漫画が原作。本作で、ゾンビが存在する世界でたくましく生き残っていく主人公・アキラ(赤楚衛二)とともに、パンデミックの世界を生き抜こうとする親友を柳俊太郎さんが演じています。クールな役柄が多かった柳さんが今作では明るい三枚目的なキャラクターに挑戦。新しい魅力を見せてくれています。

 

柳俊太郎●やなぎ・しゅんたろう…1991年宮城県生まれ。2009年に第24回メンズノンノモデルオーディションでグランプリを受賞。パリコレクションやミラノコレクションなどに出演。2012年に俳優デビュー。世界190か国に配信されたNetfliix「今際の国のアリス」をはじめ、映画やドラマで話題作に続々出演。2022年は10本以上のドラマ、映画に出演。直近ではフジテレビ連続ドラマ「スタンドUPスタート」に出演した。今後は7月期テレビ朝日連続ドラマ「ハレーションラブ」に出演することが決定している。Instagram

※柳俊太郎さんの「柳」は木へんに夘が正式表記になります。

【柳俊太郎さん撮り下ろし写真】

 

撮影中はみんなで旅をしているような気分だったので、すごく濃い3か月でした

──主人公・アキラの親友ケンチョを演じていらっしゃいます。ケンチョ役のオファーを受けたときの心境はいかがでしたか。

 

 自分が今まであまりやったことがない三枚目という感じのキャラクターだったので、楽しみでありながら大丈夫かなというプレッシャーがありました。しかもNetflixオリジナルの壮大なスケールの作品で、とても重要な役なのでしっかりやらなければと思いました。

 

──ゾンビだらけになった世界を「もう会社にいかなくていいんだ!」という逆転の発想でサバイバルしていく様子が面白かったです。

 

 ゾンビがいる世界なんだけど、そこで生きているアキラやケンチョの行動って傍から見たら面白いんですよね。でもゾンビがいる世界で本人たちは必死に生きているところにリアリティーがあると思いました。海外のゾンビ映画と違って、「ゾン100」には武器が出てこないんです。身近なもので対処していくんですね。石田(雄介)監督はすごく熱い方で、現場では熱さ全開で演技指導してくださいましたし、僕自身も「自分の日常にゾンビがいたら」と考えて、アイデアを出したりしました。

 

──ケンチョは一見チャラい会社員ですが、実は友情に厚いキャラクターです。ケンチョを演じる上で意識したことを教えてください。

 

 普段の僕とは結構かけ離れているというか、ケンチョは根っから明るい性格なので、現場ではいろんなスタッフさんと触れ合おうと思いました。いつも以上に話しかけたり、常にテンション高めでいられるように明るく振る舞っていましたね。

──演じていて難しいことはありました?

 

 あまり演じた経験のないキャラクターだったので、正解が分からないというか、芝居をして「今、しっくりきた」と思うことが少なかったですね。正解かどうかの判断は監督がすることなので、間違っているわけではないんですが、自分の中ではどれが正解なのかなって探って、悩みながら演じていました。

 

──では逆にケンチョを演じて楽しかったことは?

 

 いろんな人と仲良くなれた気がします。勇気を持ってコミュニケーションを取らないと人との距離って近づかないじゃないですか。この作品では役柄を通していろんな人と近づくことができたなと。いろんな所でロケをして、撮影中はみんなで旅をしているような気分だったので、すごく濃い3か月でしたし、クランクアップのときはうるっとしましたね。

 

普段の赤楚くんも明るい人で、本当にこの作品のまんま

──いろんな場所で撮影して印象的だったシーンはどこですか。

 

 規模が大きいのでどこも印象的でした。まず新宿の街並みは横浜に作ったセットなんです。クランクインで、新宿の店がそのまま作られていたので「すげえ!」と思いました。僕は出ていないシーンなんですけど、名古屋で4車線くらいある道路を封鎖して撮影したというので、「こんなデカい道、封鎖できるんだ!?」って驚きました。それからアキラとケンチョ、シズカ(白石麻衣)の3人で温泉に入るシーン、キャンプファイヤーのシーンは青春って感じで印象に残ってます。湖でサップヨガをしたり、3人でいろいろなことをして。監督もみんなで旅しているようなテンションでいこうと言ってくださったので、ただただ楽しかったです。湖でやったサップヨガは気持ちよかったですよ(笑)。

 

──赤楚衛二さん、白石麻衣さんと共演した印象を教えてください。

 

 赤楚くんと共演するのは今回が3回目です。といっても、ここまでずっと一緒にいたことはないし、以前共演した作品は敵対する役だったので、お互い空気感は全然違っていました。でも普段の彼が明るい人だということは知っていて、本当にこの作品のまんまなんですよ。ずっとニコニコしていて好青年で。赤楚くんもこの現場が楽しかったらしく、「本当に楽しいっす。まじ終わりたくない」って言っていました(笑)。今回は親友役なので、すごく親密に話して関係性を作っていきました。白石さんはきれいで静かな印象でした。もともとトップアイドルなので、すごくカリスマ性があるじゃないですか。僕もみんなもそういうふうに見ていたので、麻衣ちゃんとも呼べないし、最初は距離感があって(笑)。でも話しかけるとノリがいいんです。エンジンがかかり始めるとフランクで明るい方で。そこにいくまでに探る感じはありましたけど、いい意味でギャップがあって、愛される人だなって思いました。

 

──赤楚さんや白石さんとはどんなお話をされましたか?

 

 プロデューサーの森井(輝)さんと監督、赤楚くんと話しているときに、みんな「白石さん」って呼んでいることが分かったんです。なので白石さんとの距離を縮めようと、誰が最初に麻衣ちゃんって下の名前で呼ぶかを決めようということになりました(笑)。どうやって決めたのか覚えてないんですが、さすがにオレと赤楚くんが最初にいくのは違うなってことになり、「そしたら森井さんじゃない?」ってことで、翌日いきなり森井さんが「おはよう、麻衣ちゃん」って話しかけました。でも白石さんは「え。急にどうしたのかな?」って思ったらしく。それに続いて監督も「麻衣ちゃん、おはよ」みたいな。オレらも「おはよう、麻衣ちゃん」って言うものだから、「どうしたの、みんな!?」って思っていたらしいです(笑)。

 

現場でもゾンビの扮装をした人に遭遇すると「うわっ!」ってなりました

──後半になるにつれてアクションも多くなります。終盤に登場する巨大なサメゾンビと格闘するシーンは大変だったのでは?

 

 大変でしたね。恐怖感を想像した上でアクションしたり、芝居をしないといけないから。サメゾンビがどんな画になるか完成まで分からないので、実際にお芝居するときは、迫力が出るように実物大の模型や顔だけの造型を用意してくださいました。それによってサメゾンビがどういうものかを、みんなで共有できたのはすごく助かりましたね。ただ完成した作品を見たら、まさかあんなに気持ち悪いとは思いませんでした(笑)。ゾンビもそうですけど、そのリアルな気味悪さもこの作品の魅力だなって思いました。

 

──撮影とはいえ気味が悪いゾンビに追いかけられているときの心境ってどんな感じなのか気になります。

 

 ケンチョはビビリな役柄なので、ひたすらビビッっていました。ゾンビを本気で怖いと思わないと、ケンチョの芝居はできないと思ったので。でも本当に気持ち悪いんですよ。現場でもメイクして目にコンタクトを入れたゾンビの扮装をした人に遭遇すると「うわっ!」ってなりました。群馬の古いアパートで撮影したとき、夜遅い時間にトイレに行ったらゾンビの方とすれ違って「おわっ!」って。「すみません」って謝られたので、「こちらこそすみません」って言ってしまいました(笑)。

 

やっぱりヒーローになりたいな。誰か助ける方がかっこいい

──もしゾンビが存在する世界になったら、栁さんはどんな行動をすると思います?

 

 僕、それを結構考えるんですよね。夢に出てきたりもしますし。リアルに考えると生存を諦めることもあり得るし、好きな人と一緒に逃げることもあり得るなっていろんなパターンを考えるけど……。でもやっぱりヒーローになりたいな。誰か助ける方がかっこいいし、男としてはそう生きたいじゃないですか(笑)。ケンチョってそういうタイプだと思うんです。でもビビリだからいけないみたいな。そういうところはオレと似てるかもしれないです。

 

──ここからは「モノ」や「コト」についてのお話をお聞かせください。趣味やハマっていることはあります?

 

 スポーツが好きで、最近は水泳をやっているんですけど、ユニフォームとかが好きなんですよね。見た目から入っちゃうので(笑)。最近はプールに行くためのゴーグル、キャップをつい買っちゃいました。あと料理もすごく好きなので、フライパン、包丁、おしゃれなタイマーを買ったり。もちろんお皿もいろいろあります。最近は花が好きなので花瓶も集めてます。

──お花をご自分で生けたりするんですか。

 

 本当は自分で生けたいんですけどまだ……。だからフラワーアレンジメントをやってみたいです。今はお花屋さんに行って、「こういう花瓶に合うのを作ってください」ってお願いしています。

 

──お花がある生活って素敵ですね。花と花瓶どちらが先でした?

 

 花瓶です。良い花瓶をゲットして、「せっかくなら飾ってみよう」ってなりました。もともとクランクアップのときに頂いたお花を部屋にかっこよく飾れたらいいなと思っていたんです。以前は何の変哲もない花瓶に飾っていましたが、だったらもっと素敵な花瓶に生けたいなって思ったのがきっかけです。

 

じいさんの気質は受け継いでいるのかもしれないです

──お気に入りの花瓶は?

 

 周りが緑で中が黒の花瓶です。ビンテージの作品で60年代のものだったかな。ゴツゴツしていて、面白いアーティストの作品で花を飾ってもかわいいんです。それはすごく大切にしています。

 

──趣味として新しく始めたいなと思っていることはありますか。

 

 フラワーアレンジメントと、油絵もやりたいです。あとTシャツや服も作ってみたいですね。

 

──モノを作ることがお好きなんでしょうね。

 

 どうなんだろう。子供の頃、男子ってプラモデルにハマったりするじゃないですか。そういうのはなかったんですよね。カードゲームやミニ四駆にも全然ハマらなかったし。でも祖父と秘密基地を作るのは好きでした。じいさんはプラモデルとか超好きで。それこそ、零戦の整備士で亡くなるまでいろんなものを作っていたんですよ。自分で作った小屋があって、そこに入ると飛行機のプラモデルがあって。モノを作る道具もいろいろ持っていて、そういうじいさんの気質は受け継いでいるのかもしれないです。

 

 

Netfliix映画『ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~』

8月3日(木)よりNetflixにて世界独占配信開始

(STAFF&CAST)
原作:麻生羽呂・高田康太郎「ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~」(小学館「サンデーGXコミックス」刊)
監督:石田雄介
脚本:三嶋龍朗
出演:赤楚衛二、白石麻衣、柳俊太郎、市川由衣、川崎麻世、早見あかり、筧美和子、中田クルミ、ドロンズ石本、中村無何有、谷口翔太、佐戸井けん太、北村一輝

※川崎麻世の「崎」は立つ崎が正式表記になります。

Netfliix映画『ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~』作品ページ:https://www.netflix.com/jp/title/81464329

 

撮影/金井尭子 取材・文/佐久間裕子 ヘアメイク/速水昭仁(CHUUNi) スタイリスト/伊藤省吾(sitor)

青磁(白岩瑠姫)と出会い、恋に落ちる茜(久間田琳加)を捉えた新場面写真が解禁「夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく」

白岩瑠姫(JO1)と久間田琳加がW主演を務める映画「夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく」(9月1日(金)全国ロードショー)より、恋に落ちる茜(久間田)を捉えた場面写真4点が解禁された。

「夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく」© 2023「夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく」製作委員会

 

原作は小説サイト「野いちご」で連載され、第1回野いちご大賞を受賞した、汐見夏衛による同名作。丁寧に描かれた登場人物の心情と、表現豊かな風景描写で圧倒的共感と感動を呼び、「10代女子が選ぶ文芸小説No.1」にも選ばれた(出展:日販W+)珠玉のラブストーリーが、このたび満を持して映画化。

 

本作のW主演には、これまでに発売した7作のシングル全てが主要音楽チャートで1位を獲得、昨年末には『第73回NHK紅白歌合戦』への初出場を果たし、アジア最大級の音楽授賞式「2022 MAMA AWARDS」では“Favorite Asian Artist”を日本人アーティストで唯一受賞するなど、国内外から熱い注目を集めるグローバルボーイズグループ・JO1のメンバー・白岩瑠姫。

 

そして『マリーミー!』(2020/ABC)、『青春シンデレラ』(2022/ABC)、『ブラザー・トラップ』(2023/TBS)、「おとななじみ」(2023)など、映画・ドラマの主演作が相次ぎ、女優として華々しい活躍を見せるだけでなく、non-no専属モデルを務めるなど、ファッションアイコンとしても同性から圧倒的な支持を集める久間田琳加。

 

監督を務めるのは『明日、私は誰かのカノジョ』(2022/MBS)や、第59回ギャラクシー賞 マイベストTV賞グランプリ受賞作『美しい彼』(2021・2023/MBS)と、その映画版「劇場版 美しい彼~eternal~」(2023)など、話題作を続々と手がける酒井麻衣。

 

次世代の日本映画界を担う若き才能と、今をときめく最旬のキャストが贈る、この秋必見の純度100%のエモーショナルで色鮮やかなラブストーリーが誕生する。

 

今回解禁された4枚の新場面写真は、久間田演じる学校ではマスクが手放せず、本心を隠して生きる優等生の茜が、自分とは正反対の性格のクラスメイト・青磁(白岩瑠姫)との出会いによって徐々に心のドアを開き、恋に落ちていくさまを切り取ったもの。

 

周りから見た自分の印象についてのアンケート結果を美術の授業中に緊張した様子で発表をしている姿や、バスの窓に浮かび上がったハートマークをうっとりと見つめるさま、学校の屋上にある青磁のアトリエを訪れ、マスクを外した茜が屋上で青磁と見つめ合う姿など、いずれも茜の感情やキャラクターがしかと伝わる魅力的なカットだ。

 

7月クールの新ドラマ『こっち向いてよ向井くん』(2023/NTV)でも第2話のヒロインを演じるなど、話題作での主演やヒロイン役が相次ぎ、作品ごとに卓越した表現力と持ち前のチャーミングなルックスで見る者を魅了している久間田。

 

どこか引っ込み思案な茜を演じるにあたっては、現役の高校生に普段のマスク事情やその心情についてヒアリングを行うなど、撮影前段階から熱心な役作りに臨んだという。

 

さらに「マスクを学校では手放せない」というキャラクターを表現する上で、より「目線」や「声色」を生かして茜の感情を表すことに徹底的にこだわったことも特筆すべき点。自身初となるマスクを着けての演技に挑戦した本作だが、今回解禁された写真からも、青磁との出会いによって次第に色づいていく茜の感情がその目や醸し出すオーラだけでも手に取るように伝わってくるはずだ。

 

先日行われた内覧試写では、言いたいこと、さらけ出したいことがたくさんあるのに、気持ちをのみ込んだままただ一人痛みを抱えて生きる茜の姿に、「思わず胸が締めつけられ、涙が止まらなかった」「茜の気持ちがすごくよく分かる」といった、シンパシーに満ちた感想が世代を超えて続出。

 

「言いたいことを言えず、本音を隠して生きてしまう――」久間田が見事に演じ切った「茜」という存在は若い世代だけではなく、今を生きる等身大の日本人のいち側面を見事にあぶり出しているとも言える。

 

作品情報

「夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく」

2023年9月1日(金) 全国ロードショー

 

出演:白岩瑠姫(JO1)、久間田琳加

箭内夢菜、吉田ウーロン太、今井隆文/上杉柊平、鶴田真由

原作:汐見夏衛「夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく」(スターツ出版 刊)

監督:酒井麻衣

脚本:イ・ナウォン、酒井麻衣

音楽:横山克、濱田菜月

主題歌:JO1「Gradation」(LAPONE Entertainment)

製作:「夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく」製作委員会

制作プロダクション:C&Iエンタテインメント、アスミック・エース

配給:アスミック・エース

 

公式サイト: https://yorukimi.asmik-ace.co.jp/

公式Twitter:https://twitter.com/yorukimi_movie

公式Instagram:https://www.instagram.com/yorukimi_movie/

公式TikTok:https://www.tiktok.com/@yorukimi_movie

 

© 2023「夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく」製作委員会

映画「王様戦隊キングオージャー」ファイナル予告映像が解禁!初代国王VS新国王の戦いの行方は…

7月28日(金)公開の映画「王様戦隊キングオージャー アドベンチャー・ヘブン」のファイナル予告映像が公開された。

(c)2023 映画「ギーツ・キングオージャー」製作委員会 (c)テレビ朝日・東映 AG・東映

 

“自称王様”だったギラ(酒井大成)と、国を背負う王様たちがチキューを守るために集結し戦う『王様戦隊キングオージャー』(テレビ朝日系)。地帝国「バグナラク」から人類を守るために戦隊を組むこととなった個性豊かな5人の王たちに、新たに「狭間の王」を名乗るジェラミー(池田匡志)が加わった。

 

まもなく、ギラは「シュゴッダム」の真の王座継承という人生最大の局面を迎えるが、 7月28日(金)公開の映画では、テレビシリーズに先立ち、ギラの国王就任の儀・戴冠式の様子が描かれる。

 

そんなギラの国王就任の儀・戴冠式が行われる中に現れるのは、死の国「ハーカバーカ」への案内人・デボニカ。彼女によると、シュゴッダム国王が新たに即位するときは“ご先祖様”に会いに行かなければならないといい、ギラたちのハーカバーカでの大冒険が突如として始まることに。

 

そこで彼らを待ち受けていたのは、ハーカバーカを統治するシュゴッダム初代国王・ライニオール(中村獅童)。かつてチキューを救った“初代国王“と“新国王”による王座を懸けた戦いが始まる。

 

今回到着したのは、ライニオールとギラの決戦シーンから始まる、迫力満点のファイナル予告映像。威勢よく声を上げるギラの「王鎧武装」とは対照的に、つぶやくように「王骸武装」を発するライニオール。続けて映し出されるのは、冒険の舞台である、死の国「ハーカバーカ」の異世界感あふれる幻想的な空間だ。

 

「優しさは人を救えない」と意味深な発言をし、周囲を吹き飛ばすライニオールの姿からは、彼の計り知れない強さが垣間見える。そして、ゲスト発表の際に大きな話題となった、雛形あきこ演じる前トウフ女王殿・イロキと現王殿・カグラギが話しこむカットや、佐倉綾音演じる死の国の案内人・デボニカが、ギラを説得しているようなシーンも映し出され、ギラとデボニカの関係性も気になるところ。

 

さらに、「小さな幸せこそ守る、そんな王様に俺様はなる!」というギラの決意に合わせて、大迫力のアクションシーンを見せる王様たち。ラストには、キングクワガタオージャーを中心に、トンボオージャー、カマキリオージャー、パピヨンオージャー、ハチオージャー、スパイダークモノスが大集合する。

 

果たして、若き王様たちはハーカバーカから無事に元の世界へ帰ることができるのか。この夏一番の大冒険の行方は劇場で要チェックだ。

 

ファイナル予告映像

作品情報

映画「王様戦隊キングオージャー アドベンチャー・ヘブン」

2023年7月28日(金)公開

 

出演:酒井大成、渡辺碧斗、村上愛花、平川結月、佳久創、池田匡志

佐倉綾音/雛形あきこ/中村獅童

 

原作:八手三郎 脚本:高野水登

音楽:坂部 剛 アクション監督:渡辺 淳

監督:上堀内佳寿也

 

公式ホームページ:http://geats-ohger-23movie.com/

アンジェラ・ユン「コロナ禍の香港のリアリティに溢れたドラマチックな映画」『星くずの片隅で』

コロナ禍の香港を舞台に、都会の片隅で懸命に生きる人々の日常を描いた『星くずの片隅で』が7月14日(金)より公開します。ヒロイン・キャンディを演じるアンジェラ・ユンさんは、本作で香港の数々の映画賞で最優秀主演女優賞にノミネートされました。日本でもVaundyの「Tokimeki」のMVにも出演するなど、“香港で今、最も注目されている女優”であるアンジェラさんが、『星くずの片隅で』に懸けた思いを伺いました。

 

アンジェラ・ユン…1993年10月25日生まれ。香港のモデル、俳優。香港浸会大学を卒業し、学士号を取得。2015年にモデルデビューし、一流ブランドの広告塔やアンバサダーに選ばれ、一躍トップモデルに駆け上がる。ファッション・シーンから注目を集めるだけではなく、銀杏BOYZのシングルのジャケット、Vaundyの「Tokimeki」のMVに起用され話題となる。クリストファー・ドイルが監督、脚本、撮影監督した映画「宵闇真珠」(18)ではオダギリジョーと共演した。本作にて2023年香港アカデミー賞(金像奨)最優秀主演女優賞にノミネートされた。Instagram

【アンジェラ・ユンさん撮り下ろし写真】

毎日のように起こるトラブルや問題を、どのようにして乗り越えていくか

──『星くずの片隅で』の出演経緯を教えてください。

 

アンジェラ この映画の企画を最初に聞いたとき、私はこれまでの香港映画とちょっと違うことに興味を持ちました。キャンディという女性は、このコロナ禍で、何とか生き抜こうとしているシングルマザーで、複雑な環境の中、日々いろいろと葛藤している。今まで演じたことのない役柄だったので、ぜひ出演したいと思い、オーディションを受けました。

 

──本作の脚本を読んだときの感想は?

 

アンジェラ 3度にわたるオーディションでキャンディ役に選ばれた後に、脚本を読んだのですが、企画を聞いたときに、私が思っていた悲劇のヒロインとはちょっと違う印象を持ちました。彼女が大変な環境にいるのは間違いないのですが、ちょっと客観的に、別の角度から見ると、「毎日のように起こるトラブルや問題を、どのようにして乗り越えていくか」ということを一生懸命考えているたくましい女性に見えたのです。

 

本当の母娘というより姉妹に見えるように心がけました

──そんなヒロイン・キャンディの役作りについて教えてください。

 

アンジェラ 私は未婚で、シングルマザーでもありませんが、身近にいるシングルマザーの方から話を聞いたり、観察して、キャンディのキャラクターを作っていきました。脚本を読み込んで、一番大変そうだと思ったのは、娘のジューとの関係性です。キャンディは、ちょっと変わった教育方針で子育てしているように見えるかもしれませんが、ジューをとても大切にしているんです。

 

──ちなみに、ジューを演じる子役・トン・オンナーさんは本作が映画初出演だったそうですね。

 

アンジェラ とにかく彼女との距離を縮めるため、撮影現場を離れても、まるで友だちのように一緒に遊んだり、会話をしたりして、本当の母娘というより姉妹に見えるように心がけました。あと、キャンディは日本のアニメを意識したコスプレ好きという設定なので、ときどき日本語を話す設定になっているんです。私はプライベートでもよく来日して、下北沢に行くので、それに関しては全く問題ありませんでした(笑)。

 

神様のような存在の是枝裕和監督とお会いして嬉しかったです!

──コロナ禍の日常を描く作品を、コロナ禍に撮影されるうえで苦労された点は?

 

アンジェラ 企画段階ではコロナ禍の設定ではありませんでしたが、2次オーディションの頃にコロナ禍になり、脚本にコロナ禍における日常が取り入れられました。例えば、香港らしいにぎやかさが消え、誰もいない路地や街並みに変更になりました。それから、子供たちが学校に行けなくなり、公園のような公共の場所も立ち入り禁止になりました。撮影はとても大変でしたが、コロナ禍という設定を取り入れたことで、リアリティに溢れたドラマチックな映画になりました。

 

──本作でのアンジェラさんの演技は高く評価され、昨年度の台湾アカデミー賞(金馬奨)と香港アカデミー賞(金像奨)において、最優秀主演女優にノミネートされました。

 

アンジェラ これまで自分の演技を評価されることがなかったので、信じられないことでしたし、本当にすごく嬉しかったです! 金馬奨の授賞式では、どこかソワソワしていたのですが、ずっと憧れだった是枝裕和監督にお会いして、ご挨拶することもできました。神様のような存在の監督と同じ場所にいることが、とても不思議な感覚でした。反対に、金像奨の授賞式は知り合いばかりだったこともあり、どこか実家に帰ってきたようなホッとした気分でした。

──いつも現場に持っていくモノ・アイテムを教えてください。

 

アンジェラ 今、現場に必ず持っていくような私物は特にないです。実はキャンディのキャラを分析や解釈するためのノートを常に持ち歩いていましたが、それをなくしてしまって落ち込んでいるんです。なので、今後はスマホに書き込むことに決めました(笑)。

 

 

星くずの片隅で

7月14日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、ポレポレ東中野ほか全国ロードショー

 

(STAFF&CAST)
監督:ラム・サム
脚本:フィアン・チョン
出演:ルイス・チョン、アンジェラ・ユン
パトラ・アウ、トン・オンナー

(STORY)
2020年、コロナ禍で静まり返った香港。「ピーターパンクリーニング」の経営者ザク(ルイス・チョン)は、車の修理代や品薄の洗剤に頭を悩ませながら、消毒作業に追われる日々を送っている。リウマチを患う母(パトラ・アウ)は、憎まれ口をたたきながらも、たまに看病にくるルイスのことを心配している。

ある日、ザクの元にド派手な服装の若いシングルマザーのキャンディ(アンジェラ・ユン)が職を求めてやってくる。まともな仕事をしたことがなさそうなキャンディだったが、娘ジュー(トン・オンナー)のために慣れない清掃の仕事を頑張り始める。しかしキャンディがジューのために子供用のマスクを客の家から盗んでしまい、ザクは大事な顧客を失ってしまう……。

(C)mm2 Studios Hong Kong

 

撮影/映美 取材・文/くれい響

中村守里「思いっきり叫ぶし、見られ方とか気にせず、顔ぐしゃぐしゃになってやるぞ! 」映画『ヒッチハイク』

“最恐”都市伝説を映画化した『ヒッチハイク』(7月7日(金)公開)で、山奥で道に迷ったことで不気味な一家に遭遇してしまうヒロイン・涼子を演じる中村守里さん。女優として注目を浴びた映画『アルプススタンドのはしの方』から3年、2023年は大河ドラマ「どうする家康」に出演したほか、出演映画も続々公開予定です。今回、観るのも苦手だと語るホラー映画に意を決して挑戦した中村さんに、撮影エピソードなどを振り返ってもらいました。また、役作りを機にハマっているアイテムも紹介してくれました。

 

中村守里●なかむら・しゅり…2003年6月14日生まれ。東京都出身。ミスセブンティーン2018ファイナリスト。2018年からラストアイドル1期生として活躍(2020年卒業)。主な出演作に映画「アルプススタンドのはしの方」「世界の終わりから」、大河ドラマ「どうする家康」、ドラマ「美しい彼」シリーズなど。今後の出演作に映画「カタオモイ」(8月4日(金)公開)、映画「まなみ100%」(9月29日(金)公開)がある。TwitterInstagram

【中村守里さん撮り下ろし写真】

ただ、私自身かなりの怖がりで、ホラー映画が苦手なんです

──今回の涼子役は、オーディションで選ばれたそうですね?

 

中村 私がオーディションを受けた段階では、涼子役になるのか、友だちの茜役になるのか分からず、どちらのお芝居もしました。オーディションでは「松嶋菜々子さんが好き」という話もしましたし、最後に思いっきり叫んだりもしました。ただ、私自身かなりの怖がりで、ホラー映画が苦手なんです。都市伝説や怪談が好きな友だちはいますが、私から観たいとか聞きたいと思ったことは一度もなかったんです……。

 

──そんななか、清水涼子としての役作りはどのようにされましたか?

 

中村「思いっきり叫ぶし、見られ方とか気にせず、顔ぐしゃぐしゃになってやるぞ!」という気持ちでした(笑)。涼子のキャラクターは控えめで慎重派な子なので、そこからのギャップを見せたいと思っていましたから。あとは、どこかで物音が聞こえたときなどの視線の向け方を意識しました。

 

──『ひとりかくれんぼ』『コープスパーティー』など、多くのホラー映画を手掛けている山田雅史監督から、おすすめのホラー映画は紹介されましたか?

 

中村 松嶋さんが出られている作品ということで、台本読みのときに、山田監督から『リング』を勧められました。でも、なかなか観ることができなくて、やっと観始めたらホントに怖くて……、なんとか最後まで観ることができました。今まで観たことがなかったので、よく分からなかったのですが、「『ヒッチハイク』もこんな雰囲気の作品になるんだろうな」というイメージがわいたので、観てよかったです。

 

車内が奇妙な空間になっていて、本当に気持ち悪かったです(笑)

──時代錯誤なカウボーイ姿のジョージ役を演じる川崎麻世さんら、涼子たちを襲う不気味な一家との共演はいかがでしたか?

 

中村 川崎さんは、現場での佇まいや歩き方から神妙な雰囲気というか不思議なオーラが漂っていて、その時点で怖かったです。ジョセフィーヌ役の速水(今日子)さんには、控室にいらっしゃるときに「おはようございます!」とごあいさつしたんですが、よく見たらメイクで真っ白な顔をされていて、「おぉ……」となってしまいました(笑)。でも、一番怖かったのは大男役の保田(泰志)さんで、圧倒されてしまいました。双子のアカちゃんとアオちゃんは、最初は区別がつかなかったんですが、現場でアカは赤色のダウンコート、アオは青色のダウンコートを着て、無邪気な感じがかわいらしかったです。実際の皆さんは優しい方で、現場は和気あいあいとしていました。

 

──そんなジョージ一家が熱唱するスイス童謡「おおブレネリ」を、キャンピングカーで聴かされるシーンはいかがでしたか?

 

中村 皆さん歌がお上手なこともあって、車内が奇妙な空間になっていて、本当に気持ち悪かったです(笑)。12月に群馬の山奥で撮っていたので、ただでさえ寒いんですよ。さらにゾゾーッとして、そのときに私の中に生まれた感情がそのままカメラに映っていると思いますね。

 

アフレコのとき、あらためて監督のホラー愛を感じました

──完成した作品を観たときの感想、そしてお好きなシーンは?

 

中村 完成した作品を観たときは、内容を全部知っているのに、怖くて、怖くて……。自分が出ているのに、自分じゃない人に見えてきちゃったんです(笑)。大倉(空人)さんが演じている健が銃を持って反撃するシーンは、健が成長した一歩を表していてかっこよかったです。涼子的には「この子は敵なの? 味方なの?」というところがあって、演じていて苦労しましたが、そのお芝居の変化にも注目してほしいです。

 

──本作に出演したことで、中村さん自身が学んだことなどがあれば教えてください。

 

中村 ホラー映画は観るのと出るのでは、全く違うものだと思いました。相変わらず、私一人では観れませんが、撮影は怖くないというか、撮影中もむしろワイワイして楽しかったのでまた出演してみたいです。あと、撮影後にアフレコをしたんですが、そのときに山田監督が映像を観ながら、ずっとニコニコされていたんです。ひょっとして現場より笑顔だったかもしれませんが、そのときに監督のホラー愛を感じました。

 

自分にしかできない表現で、いろんな人物を演じてみたい

──今後、8月にはいまおかしんじ監督の『カタオモイ』、9月には青木柚さんとW主演を務めた川北ゆめき監督の『まなみ100%』と、出演映画が連続公開されます。

 

中村『カタオモイ』は片岡鶴太郎さんの娘役で、レストランの厨房に立つとかアルバイトしているような気分を体験できました。いまおか監督のどこかつかめない演出も楽しかったですが、私もよくつかめないと言われるので、同じ人種なのでしょうか(笑)。そのいまおか監督が脚本を書かれた『まなみ100%』では、まなみちゃんの10年間を演じたのですが、順撮りではなかったので、その日によって、大人になったり、高校生になったりして大変でした。たまに高校生に戻りきれないときがあって、川北監督から「ちょっと大人っぽいんじゃない?」と指摘されることもありました。あと、主人公の“ボク”にとって、まなみちゃんはマドンナ的存在なので、「魅力的な人に見えなきゃいけない」と思いつつ、ずっと「魅力的ってなんだろう?」と考えていましたし、監督の期待に応えなきゃというプレッシャーもありました。

 

──女優として注目された『アルプススタンドのはしの方』から3年、先日二十歳を迎えられましたが、今後の希望や展望を教えてください。

 

中村 いろんな現場で、「『アルプススタンド』観たよ!」「「美しい彼」観たよ!」と言っていただけることは嬉しいです。今後も、多くの方にそう言っていただける作品に出られるよう頑張っていきたいです。あと、「この人が出ていたら、気になるし、観てみたい」と言われるような人になりたいです。今は安藤サクラさんに憧れていますが、自分にしかできない表現で、いろんな人物を演じてみたいです。

 

今ハマっているモノは「お薦めされた中古のフィルムカメラ」

──よく現場に持っていかれるモノやアイテムについて教えてください。

 

中村 小さいときから本を読むのが好きなので、バッグの中にはいつも1、2冊は文庫本を入れています。今は村上春樹さんを好きになったきっかけの一冊「国境の南、太陽の西」を読み返したり、映画版を観たことで原作を読み始めた「スイートリトルライズ」を入れていたり。あと三島(由紀夫)さんの作品は、一度断念したこともあるんですが、改めて「複雑な彼」に挑戦したら、とても読みやすくて面白かったです。漫画はあまり読んだことがなかったんですが、友だちに勧められた「シバトラ」を読んだらハマりました(笑)。落ち着いた雰囲気が好きなので、図書館にもよく行きますし、電子書籍だと目が疲れちゃうので、文庫本でよく読んでます。

 

↑村上春樹著「国境の南、太陽の西」をはじめお気に入りの作品は何度も読み返すという。右は小学生時代から愛用しているペンケース

 

──長年使っていて、手放せないモノやアイテムは?

 

中村 私、物持ちいい方だと思うんですが、そのなかでも小3の頃から使っているペンケースです。それまで使っていた缶でできたものが壊れてしまって、ロフトで買い直したんですが、大人っぽいものを考えて小3が選ぶにしては、なかなか地味なデザインで(笑)。中にはボールペンとシャープペンと消しゴムぐらいしか入れていません。

 

↑リラックスできると愛用の香水と撮影をきっかけに購入したカメラ

 

──今ハマっているモノやアイテムについても教えてください。

 

中村 放送中のドラマ「カメラ、はじめてもいいですか?」(BS松竹東急)の役作りで始めたカメラです。とにかく手に馴染ませるために、デジカメを使っていたんですが、撮影が終わった後に、お借りしていたカメラ屋さんに行って、いろいろ相談した後に、お薦めの中古のフィルムカメラを購入しました。レトロチックでデザインもかわいい「オリンパス PEN EE-2」です。あと、「二十歳になる前に、ちょっと大人になりたいなぁ」という思いから買い始めた香水。今アトマイザーに入れ替えたものは「ゲラン」のもので、ローズ系なんですが、くどくなくて、スッと抜けるような匂いで、落ち着くんですよね。

 

 

ヒッチハイク

7月7日(金)より全国ロードショー

【映画「ヒッチハイク」よりシーン写真】

(STAFF&CAST)
監督:山田雅史
脚本:宮本武史
出演:大倉空人、中村守里、平野宏周、高鶴桃羽、速水今日子、結城さと花、結城こと乃、保田泰志、細田善彦、川崎真世

(STORY)
大学生の涼子(中村)と茜(高鶴)は、ハイキングの帰りに山道で迷ってしまう。やっとバス停に辿り着いたものの、バスが来る気配は全くなかった。さらに、涼子は足を怪我しており、茜の彼氏も飲み会で迎えに来られないらしい。2人は、意を決してヒッチハイクをすることに。こんな山奥で無謀にも思えたが、運良く一台のキャンピングカーが停まる。運転席から降りて来たのは、時代錯誤のカウボーイの格好をしたジョージと名乗る男(川崎)。ジョージは快く2人を受け入れ、車内へと誘う。そこには、ジョージの家族も同乗していたが、どこか異様な雰囲気が漂っていた―。いっぽう、過保護な親にウンザリしている健(大倉)は、悪友の和也(平野)を誘い同じ山でヒッチハイクの旅をしていた。

※川崎麻世の「崎」は立つ崎が正式表記

(C)2023「ヒッチハイク」パートナーズ

 

撮影/映美 取材・文/くれい響

桜田ひより「待っているときのドキドキワクワクは交換日記でしか味わえない」『交換ウソ日記』

櫻いいよ氏の大ヒット小説を映画化した青春ラブストーリー「交換ウソ日記」が、7月7日(金)より全国公開します。ふとしたことから、学校イチの人気者・瀬戸山(高橋文哉)との秘密の交換日記を始めることになった高校2年生の希美を演じる桜田ひよりさんに、初となる“恋愛映画ヒロイン”の思いを語ってもらいました。

 

桜田ひより●さくらだ・ひより…2002年12月19日生まれ、千葉県出身。子役からキャリアを重ね、ドラマ「明日、ママがいない」(14)で演技力の高さが話題となり、注目を集める。主な出演作にドラマ「ワイルド・ヒーローズ」「卒業タイムリミット」「彼女、お借りします」「生き残った6人によると」「silent」、映画『祈りの幕が下りる時』、『男はつらいよ お帰り 寅さん』、映画『おそ松さん』など。アニメ映画『雄獅少年/ライオン少年』では声優を務める。公式HPInstagram

 

 

【桜田ひよりさん撮り下ろし写真】

「私も参加させていただける年齢になったんだ」という嬉しさ

──最初に本作の出演オファーがきたときの率直な感想は?

 

桜田 恋愛映画のヒロインが初めてのうえ、とても爽やかな胸キュン映画なので、「私でいいのかな?」と思ってしまいました。でも、今活躍されている俳優さん、女優さんが一度は通る道だと思うので、「私もそこに参加させていただける年齢になったんだ」という嬉しさがありました。また、新たに自分を発見できることや同世代の役者さんとご一緒できるワクワクもありましたし、恋愛だけでなく、友情の部分も描かれているので、いろんな方に刺さる作品にしたいと思いました。

 

──今回演じられた恋に奥手な希美の印象は?

 

桜田 人の話を聞くのが好きなところは、希美ちゃんと似ていると思います。私、ホワホワしてそうとか、おとなしそうといった女の子っぽいイメージを持たれがちなんですが、意外とそんなことなく(笑)、女の子と一緒に歩くときは必ず車道側を歩くんですよ。演じているときは、希美ちゃんに寄り添っているので、理解したい気持ちの方が強いですが、客観的に見ると、ちょっともどかしくなって、応援したくなっちゃいますね。

 

──そんな希美を演じるうえで、特に気を付けた点はありますか?

 

桜田 例えば、目の前に瀬戸山(高橋文哉)くんがいるときの表情と、交換日記を家で書いている表情の違い。希美ちゃんは意識してないかもしれないけれど、観ている人には「こんなにも違う!」と思ってもらえるよう緊張と笑顔の差を出しました。ほかにも、「観ている人に、いかに胸キュンしてもらえるか?」ということにこだわって演じようと、スタッフさんといろいろ話し合ったので、角度とか画角は注目ポイントかと思います。

 

学園モノならではのどこか淡い雰囲気も体験することができて楽しかった

──また、希美は音楽好きの放送部員という設定でもあります。

 

桜田 希美ちゃんは、マキシマム ザ ホルモンさんが好きな放送部員なので、部屋の中でノリノリで、ヘッドバンギングしているシーンも見てほしいですね。私は、学生時代、お仕事があったので部活に入ってなかったんですが、放送部かバスケットボール部に入りたかったんです。放送部だとお弁当を放送室で食べられる特別扱いに憧れていたので(笑)、放送室のシーンを撮っているときは高まりました。

 

──そのほか、学生時代にできなくて、本作でできたことは?

 

桜田 球技大会などに参加できても、仕事があるのでケガしないようにとか、日に焼けないようにとか、気を付けていたんです。今回はそんなことを気にせず、思いっきりやることができて、とても楽しかったです。

 

──共演者との撮影エピソードについて教えてください。

 

桜田 とにかく和気あいあいとしていました。(茅島)みずきちゃんと(齊藤)なぎさちゃんの女子3人のシーンが多かったので、いろんな話をして距離が縮まりました。3人で流行っていた干し芋が常に控え室に置いてあったり、お弁当の時間が待ち遠しすぎて、どんな弁当か予想するのも楽しかったです。高橋さんと曽田(陵介)さんが合流してからも、学園モノならではのどこか淡い雰囲気も体験することができて楽しかったです。

 

高橋さんは“人との距離感を絶妙に測れる方”

──そんな5人が揃っての遊園地ロケでの思い出は?

 

桜田 富士急ハイランドに行ったのは初めてだったのですが、何もかもが新鮮で、迫力満点な乗り物ばかりで、すごく楽しかったです。大勢で遊園地に行く機会はなかなかないと思うので、映像を通り越して、素で楽しんでいました。ここだけの話、男の子よりも女の子の方が絶叫マシンは得意でしたね(笑)。

 

──瀬戸山役の高橋さんの印象を教えてください。

 

桜田 人見知りの私と違って、誰とでも積極的に会話ができ、相手に気を遣うことができる印象を受けました。そして、人との距離感を絶妙に測れる方で、自分が思っていることも言えるし、相手のことも聞き出せるところもすごいと思いました。希美ちゃんが瀬戸山くんにバスケを教えてもらうシーンがあるんですが、そこでも丁寧に教えてもらいました。

 

──元カレの矢野先輩を演じた板垣瑞生さんとは共演作が多いですよね?

 

桜田 板垣さんとは『ホットギミック ガールミーツボーイ』『映像研には手を出すな!』『鬼ガール!!』など、今回の共演者のなかで一番共演した数が多いです。でも、元カレの役は珍しくて、「お互い胸キュンもので共演するようになったんだね」と、成長したなぁみたいなお話をしていました。

 

交換日記は1つひとつの言葉の大切さも生まれる

──桜田さん自身、交換日記の思い出はありますか?

 

桜田 小学生のとき、3~4人くらいの女の子とやった記憶があります。一緒にノートを買いに行って、「こういう順番で!」とか決めたんですが、2回ぐらい回って、どこかで消息を絶ちました(笑)。人数が多ければ多いほど、そんな感じになるような気がします。SNSが普及している今、交換日記を通して会話するなんてことはなかなかないですし、1つひとつの言葉の大切さも生まれますし、なにより待っているときのドキドキワクワクは交換日記でしか味わえないので、この映画を機会に流行すると嬉しいですね。

 

──二十歳を迎え、恋愛映画でヒロイン役という初めての経験をしたことで、桜田さんの今後の展望を教えてください。

 

桜田 今回恋愛映画のヒロインという、初めての経験をしたことで、いろんな発見があったんです。その発見を大切にして、今後のお仕事に繋げられたらいいなと思います。また、どこかでファンの方を裏切りたい気持ちもあるので、女の子っぽい役ばかりだけでなく、例えば英勉監督から「また、(『おそ松さん』の)チビ太やってほしい!」と言われたら、もちろんやりたいです!

 

──現場に必ず持っていくモノや、ハマっているアイテムについて教えてください。

 

桜田 いつも持っていくものは、コンタクトの替えです。1dayのソフトコンタクトを使ってるんですが、役柄上、泣くことが多いんです。それでコンタクトがズレたり、ハズれることもあるので、そのためにも替えが必要なんです。ハマっているものは、プレゼントでいただいたコンパクトプロジェクターです。アニメ「魔法使いの嫁SEASON2」などの動画を天井に映して、それを見ながら眠りにつくのが気持ちいいんです。機能性も高いですし、画質もいいので、めちゃくちゃおススメです。

 

 

 

交換ウソ日記

7月7日(金)より全国公開

 

(CAST& STAFF)
出演:高橋文哉 桜田ひより 茅島みずき 曽田陵介 齊藤なぎさ/板垣瑞生
原作:櫻いいよ「交換ウソ日記」(スターツ出版)
主題歌:「ただ好きと言えたら」KERENMI&あたらよ(A.S.A.B)
監督:竹村謙太郎
脚本:吉川菜美
音楽:遠藤浩二
製作:(C)2023「交換ウソ日記」製作委員会

(STORY)
高校2年生の希美(桜田)は、ある日移動教室の机の中に、ただひと言、「好きだ!」と書かれた手紙を見つける。送り主は、学校イチのモテ男子・瀬戸山(高橋)。イタズラかなと戸惑いつつも、返事を靴箱に入れたところから、2人のヒミツの交換日記が始まる。ところが、実はその手紙や交換日記は希美ではなく、親友宛てのものだったことが判明。勘違いから始まった交換日記だったが、本当のことが言い出せないまま、ついやりとりを続けてしまい……。

 

撮影/干川 修 取材・文/くれい響 ヘアメイク/菅井彩佳(NICOLASHKA) スタイリスト/福田春美

山下敦弘監督「岡田将生くんも清原果耶さんも本質とは逆の要素を演じていて、その“ねじれ”も含めてすごく面白くなった」映画「1秒先の彼」

ワンテンポ早い彼女とワンテンポ遅い彼が織り成す時間差ラブストーリー「1秒先の彼女」。2020年に台湾で生まれた名作を、山下敦弘監督がリメイク。台湾版とは男女のキャラクターを変更し、岡田将生さんと清原果耶さんがワンテンポ早い彼とワンテンポ遅い彼女を演じている「1秒先の彼」が7月7日(金)より公開される。本作の脚本を担当した宮藤官九郎さんとの初タッグのこと、映画「天然コケッコー」以来16年ぶりとなる岡田さんとのエピソードなどを山下監督が語ってくれた。

 

山下敦弘●やました・のぶひろ…1976年8月29日生まれ、愛知県出身。1999年大阪芸術大学芸術学部の卒業制作として撮った『どんてん生活』が高評価を受ける。代表作は、映画『リンダリンダリンダ』、『天然コケッコー』、『もらとりあむタマ子』など。『カラオケ行こ!』が2024年1月に公開予定。Twitter

【山下敦弘監督の撮り下ろし写真】

宮藤さんもオリジナルを好きになってくれて、すぐに企画に合流することに

──台湾映画「1秒先の彼女」の主人公のヤン・シャオチーを演じるリー・ペイユーさんのファンになり、監督がリメイクに名乗りを上げられたそうですね。

 

山下 リー・ペイユーのファンになったということをもう少し細かくお話すると、オリジナルの「1秒先の彼女」は、時間が行ったり来たりしながら、細かい伏線もいろいろあるので、リメイクするとなると結構ややこしくて大変だなと思ったんです。僕はあまり複雑な映画を撮ってこなかったので。でも何回か映画を観ていくうちに、いろんな皮を剥いていくと郵便局員の女の子とバスの運転手、この2人のキャラクターの魅力に自分は惹かれたんだなって思いました。彼女のファンになったと言うのはそういう意味で(笑)、そこで自分がリメイクするとしたら、キャラクターの魅力に乗っかり、そこをブレずに描くことができれば、大丈夫だろうと思えるようになりました。

 

──脚本を宮藤官九郎さんに依頼した経緯を教えてください。

 

山下 プロデューサーと話している中で宮藤さんの名前が上がりました。10年ぐらい前に一度、宮藤さんと一緒にある企画をやりかけたことがあったんですね。それを思い出しつつ、オリジナルが入り組んだ話だったので、自分が今まで一緒にやってきた脚本家の方に書いてもらう感じでもないのかなと思っていたときに、宮藤さんの名前が出て「あ、なるほど」と。でも宮藤さんがこういう内容をどう感じるかわからなかったので、とりあえずオリジナルを見ていただいて、気に入ってもらえたらということになりました。そしたら宮藤さんもオリジナルをすごく好きになってくれて、それからすぐに企画に合流することになりました。

 

──オリジナルと男女の設定を反転させたのはどうしてですか。

 

山下 まずキャストがなかなか決まらなかったんですね。台湾版の2人を日本版に置き換えたときに誰がいいんだろうって考えると、なかなか良い組み合わせが見つからず、そんななかで一度反転して考えてみたらどうですかね、ということになりました。そこで岡田将生くんの名前が上がり、宮藤さんが「岡田くんなら(反転して)書けるかも」ということで、まず前半を書いてくださいました。この映画は二部構成のようになっていると思うのですが、前半は宮藤さんがすごく早く書き上げてくださった印象があります。ただ後半はどうしようかってなりましたね。

 

(C)2023『1秒先の彼』製作委員会

宮藤さんが書くとちゃんとリズムに乗って、面白く聞こえてくるんです

──後半はオリジナルから変わった部分が多い気がします。

 

山下 視点が変わりますからね。前半を宮藤さんが岡田くんに当て書きしながら書き進めていくうちに、女性キャラクターのイメージとして清原果耶さんが浮かびました。そうなると荒川良々さん演じる人物が増えたり、いろいろ変わっていきました。後半はみんなで考えていった感じがあったかもしれないです。

 

(C)2023『1秒先の彼』製作委員会

──宮藤さんとは監督と脚本家としては今回が初めてだそうですが、宮藤さんの脚本で映画を撮ってみていかがでしたか。

 

山下 言い方が難しいんですが、この物語は説明しなきゃいけないセリフが多いんです。いわゆる手続きを踏まないといけないセリフなんだけど、宮藤さんが書くとちゃんとリズムに乗って、面白く聞こえてくるんです。説明ゼリフだけにならないところがすごいと思ったんですが、結局は宮藤さんの脚本って、現場で俳優さんたちが非常に楽しそうにやるんですよ。オレよりも意図がわかっているというか(笑)。例えば、ハジメ(岡田)には妹がいて、片山友希さんとしみけんさん演じるギャルとギャル男の妹カップルが登場するんですが、彼女らと岡田くんのシーンは8割が説明のセリフなんだけど、みんな楽しそうなんです。逆に清原さん演じるレイカの感情が渦巻いている居酒屋のシーンは、すごく難しいというか、こちらが試されている感じがしました。

 

京都ファンタジーというか、京都って少し不思議なことを受け入れてくれる

──日本版を作るにあたり、舞台を京都にしたのはどうしてですか。

 

山下 このファンタジーのような世界観がなじむかなと。京都ファンタジーというか、京都って少し不思議なことを受け入れてくれるような土地柄なんですね。

 

──わかります。しかもSFなのに大したことは起きないぐらいの。

 

山下 そうそう。いわゆるゴリゴリのSFというより、都合の良いSFファンタジーが成立する街だなと思いました。あとは台湾版のロケーションが素晴らしかったので、ああいういい場所ないかなって話したときに、「京都の日本海側のエリアもありますよね、天橋立とか」って候補が出てきて。オレも見たことがなかったので、「じゃあ見に行きましょう」ってことで、宮藤さんとプロデューサーとオレで見て回ったら、面白かったんです。それがきっかけですね。

 

(C)2023『1秒先の彼』製作委員会

──拝見しながら、そういえば天橋立って行ったことないなって思いました。

 

山下 そうなんですよ。京都って修学旅行で行く人が多いけど、日本海側ってあまり行かないじゃないですか。行ってみると、天橋立って普通に人の生活の場になってるんです。道として利用している人もいれば、ジョギングしている人もいる。普通に公道なので当たり前なのですが、すごく独特で面白かったです。日常的のもので、あまり観光地なものじゃないというか(笑)。昔は本当に郵便局もあったらしいですよ。

 

(C)2023『1秒先の彼』製作委員会

岡田くんのあの感じを創ったのは宮藤さんな気がするんですよね

──岡田さん演じるハジメは、見た目は最高なのに口が悪い残念感が漂うイケメンです。でもこういう役を演じる岡田さんは最高だなと思いました。

 

山下 僕も宮藤さん脚本のドラマ「ゆとりですがなにか」を観たときに、これは岡田くんのハマり役だなと思って(笑)。そう思うと、岡田くんのあの感じを創ったのは宮藤さんな気がするんですよね。二枚目半というか。

 

(C)2023『1秒先の彼』製作委員会

──清原さんがレイカ役になった決め手はなんでしょうか。

 

山下 清原さんとご一緒するのは今回が初めてで、結局全てが直感的な部分が働いた気がします。岡田くんが最初に決まり、「じゃあ相手は誰だろう」となったときに清原さんの名前が上がって、「あ、面白そうだな」と思いました。魅力的だし実力もありますからね。ただ岡田くんとは年齢差もあり、レイカを清原さんでいくにはいろいろ設定を変えないといけないし、2人が全然違うタイプなので大変でした。

 

──全然違うタイプというのは?

 

山下 僕が最初にイメージしていたワンテンポ早いハジメとワンテンポ遅いレイカというイメージとは反転しているんです。多分、岡田将生という人間がワンテンポ早いわけではなくて(笑)。どちらかというと、ワンテンポ遅い派なんですよね。そして、実は清原さんもワンテンポ遅い人ではなくて、ワンテンポ早いと思うんです。2人とも本質とは逆の要素を演じていると思うんですよ。本来持っているものが逆なので、最終的にその“ねじれ”も含めてすごく面白くなったなと思います。

 

(C)2023『1秒先の彼』製作委員会

言い方が難しいけど、岡田君のよさってガワを生かし切れていないところだと思う

──プレスのコメントで宮藤さんが岡田さんにはヒロイン感があるとおっしゃっていますが、そういう意味でもハジメとレイカの役割は反転していますね。

 

山下 ヒロイン感は僕も撮り終わってから思いました(笑)。逆に清原さんが王子様っぽいんですよね。清原さんはおっとりした女の子を演じていますが、でもすごく芯が強くて存在感があるから。だけど周りから一歩ズレているという不思議なキャラになりました。岡田くんはせっかちで、ワンテンポ早いんだけどまろやかなんです。すごく柔らかいというか。せっかちって見ていてイライラするし、嫌味なキャラになりがちなんだけど、岡田くんがやると角が取れるんですよ。それは岡田くんが持っている本質的な部分がまろやかで、ワンテンポ遅い感じがあるから。そこも含めてすごく独特なキャラになったなと思っています。これが男女逆だったら、多分もっとせっかちになったと思うので、それによってこの映画は面白いねじれが生じましたね。

 

──岡田さんとは「天然コケッコー」以来16年ぶりにご一緒されたとのことですが、監督から見た岡田さんの印象ってどんな感じでしょうか。

 

山下 優しくてかわいらしい感じですかね。何だろうな……うまい言葉が見つからないけど、本当にいいヤツなんですよね。

 

──久々に一緒にお仕事をされていかがでした?

 

山下 最初はちょっと照れくさかったです。「天然コケッコー」当時は、僕も若かったので、昔の自分を知っている、知られているというのは照れくさいですよ。だからお互い昔のことはあまり掘り下げない(笑)。……今、ふと思い出したんですけど、「1秒先の彼」のなかで僕はあれが好きなんですよ。ラジオDJの笑福亭笑瓶さんと岡田くんがしゃべるシーンがあって、「僕、つまらん男ですもん」って言うんです。これだけいい顔を持っていて、すごく優しいのに「僕、つまんない男ですから」ってことを自覚している。そこにキュンとくるんです。言い方が難しいんだけど、彼のよさってガワを生かし切れていないところだと思うんです。めちゃくちゃキレイだし、あのビジュアルは才能なんだけど、それを意識してないというか、使い方が分かっていない。だからすごくいいヤツだなって思うんですよね。

 

(C)2023『1秒先の彼』製作委員会

──あまり外見を気に留めていない感じはするかもしれないです。

 

山下 そうそう。「天然コケッコー」のときからスカした感じが1ミリもない。普段は「すみません、すみません」って感じで、それがすごくかわいかったんだけど、当時から変わっていないんです。それが「岡田だな」って感じがしました。だからラジオで笑瓶さんに相談するのも説得力があるんですよね。桜子(福室莉音)というギターの弾き語りをしている女の子に惚れて、笑瓶さんに「今日が一番幸せです」って言うんだけど、本当にそうなんだろうなって思う(笑)。岡田くんがやると嫌味じゃないんですよ。他のイケメンがやったら「モテないキャラを演じているんでしょ?」って思うかもしれないけど、岡田くんが言うと本当にそう見えるんですね。

 

現場では隠れていたい。帽子、メガネ、ヒゲとできるだけ隠したいってことなのかも

──では最後に、GetNavi webということで、モノに関するお話をお聞きしたいのですが、監督が撮影に必ず持っていかれるモノを教えてください。

 

山下 オレらしいもの……帽子ですかね。撮影で合宿するとなると、帽子を何種類も持っていきます。それが一番こだわっているものかも。

 

──今日もニット帽を被っていらっしゃいますが、ニット帽に限らず被っていらっしゃるということですか。

 

山下 限らずですね。そろそろ夏なのでニット帽はもう限界です(笑)。1か月くらい掛かる撮影だと、ハット、キャップ、ニット帽と3つ、4つ持っていきますね。

 

──気分で替えていらっしゃるのでしょうか。

 

山下 気分で替えます。クセなんですよね。床屋さんに何十年も行ってなくて、家でバリカンで刈るんですけど、要は髪のセットが苦手で自分ではやらないから、帽子を被るのがクセになっています。

 

──髪をセットしないからすぐに出られるように帽子をかぶると。

 

山下 そうですね。なんかこう、僕は現場で隠れたいんですよ。芝居を見るときも顔をこう台本で隠しています。逆に一番目立つっていう話もあるんですけど(笑)、できれば隠れたい。どういう心理状態なのかわからないんですが、帽子、メガネ、ヒゲと全部できるだけ隠したいってことなのかもしれないなって最近思います。

 

 

1秒先の彼

7月7日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

 

(STAFF&CAST)
監督:山下敦弘
脚本:宮藤官九郎
原作:「1秒先の彼女」(チェン・ユーシュン監督)
主題歌:幾田りら「P.S.」

出演:岡田将生、清原果耶
荒川良々、福室莉音、片山友希
加藤雅也、羽野晶紀、しみけん
笑福亭笑瓶、松本妃代、伊勢志摩
柊木陽太、加藤柚凪ほか

(STORY)
ハジメ(岡田)は京都の生まれ。いつも人よりワンテンポ早く、50m走ではフライング。記念写真を撮るといつもシャッターチャンスを逃してしまい、小学校、中学校、高校の卒業アルバムの写真はことごとく目を閉じている。現在、ハジメは長屋で妹の舞(片山)とその彼氏のミツル(しみけん)と3人で暮らしている。

ハジメの職場は京都市内にある中賀茂郵便局。彼は高校を卒業して12年間、郵便の配達員だった。ついたあだ名が、『ワイルド・スピード』。度重なる信号無視とスピード違反で免許停止を食らい、それからは窓口業務だ。ハジメと同じ窓口に座るのは新人局員のエミリ(松本)と小沢(伊勢)。いつも2人に「見た目は100点なのに中身が残念」と言われ、ふてくされる日々。

レイカ(清原)も京都の生まれ。日本海に面した漁師町の伊根町で育った。いつも人よりワンテンポ遅く、50m走では笛が鳴ってもなかなか走りださない。現在、彼女は大学7回生の25歳。アルバイトをいくつも掛け持ちし、学費を払いながらの貧乏生活だ。写真部の部室に住み込み、1人ぼっちで夜食をとりながら、ラジオを聴いている。

ある日、急停車したバスに追突した高校生を看護するハジメの姿をみて、既視感をおぼえたレイカ。郵便局でハジメの窓口にいき、胸の名札『皇』の文字を見つめる。

街中で路上ミュージシャン・桜子(福室)の歌声に惹かれて恋に落ちるハジメ。早速、花火大会デートの約束をするも、目覚めるとなぜか翌日に。“大切な1日”が消えてしまった…!? 秘密を握るのは、毎日郵便局にやってくるレイカらしい。ハジメは街中の写真店で、目を見開いている見覚えのない自分の写真を偶然見つけるが……。

【映画「1秒先の彼」よりシーン写真】

(C)2023『1秒先の彼』製作委員会

 

撮影/関根和弘 取材・文/佐久間裕子

中村獅童が“死の国”の王に!声優・佐倉綾音ら映画「王様戦隊キングオージャー」ゲストが解禁

7月28日(金)公開の映画「王様戦隊キングオージャー アドベンチャー・ヘブン」に、ゲストキャストとして中村獅童、佐倉綾音、雛形あきこの出演が決定。3名よりコメントが到着した。

映画「王様戦隊キングオージャー アドベンチャー・ヘブン」(c)2023 映画「ギーツ・キングオージャー」製作委員会 (c)テレビ朝日・東映 AG・東映

 

“自称王様”だったギラと、国を背負う王様たちがチキューを守るために集結し戦う『王様戦隊キングオージャー』(テレビ朝日系)。地帝国「バグナラク」から人類を守るために戦隊を組むこととなった個性豊かな5人の王たちに、新たに「狭間の王」を名乗るジェラミー(池田匡志)が加わった。

 

まもなく、ギラ(酒井大成)は「シュゴッダム」の真の王座継承という人生最大の局面を迎えるが、 7月28日(金)公開の映画では、テレビシリーズに先立ち、ギラの国王就任の儀・戴冠式の様子が描かれる。

 

そんなギラの国王就任の儀・戴冠式が行われる中に現れるのは、死の国「ハーカバーカ」への案内人・デボニカ。彼女によると、シュゴッダム国王が新たに即位するときは“ご先祖様”に会いに行かなければならないといい、ギラたちのハーカバーカでの大冒険が突如として始まることに。

 

そこで彼らを待ち受けていたのは、ハーカバーカを統治するシュゴッダム初代国王・ライニオール。かつてチキューを救った“初代国王“と“新国王”による王座をかけた戦いが始まる。

 

このたび出演が発表された中村獅童が演じるのは、死の国の王であり、シュゴッダム初代国王・ライニオール。中村は子供が毎週『王様戦隊キングオージャー』を見ているとのことで、オファーが来た時はとても驚いたそう。ライニオールについては、「シュゴッダムの初代国王という威厳のある存在で、ビジュアルは歌舞伎に通ずるものがあると感じ、細かいところまでこだわりました」と明かした。

 

そして、人気声優・佐倉彩音が演じるのはハーカバーカの案内人・デボニカ。実写作品への出演で慣れないこともあったという佐倉は、「私も幼少期に恐れていた死の世界、死の国への案内人として、慣れない撮影現場で佇み、戦い、涙しました。デボニカと王様の関わりをぜひお楽しみください」と見どころを語っている。

 

いっぽう、雛形あきこが演じるのは「トウフ」の王殿・カグラギ(佳久創)の前に立ちはだかる、前トウフ女王殿・イロキ。演本作への出演について「スーパー戦隊というと、幼いころから当たり前にそばにあった存在。ちょっとクセが強いけどイロキを少しでも愛していただけたらうれしいです」とアピールを寄せた。3名のコメント全文は、下記に掲載。

 

中村獅童 コメント

子供が毎週楽しみに見ているので、お話をいただいたときは驚きました。

 

僕が子供のときは『秘密戦隊ゴレンジャー』を見ていました。当時ハマっていたシリーズに出演するのは感慨深いです。ライニオールはシュゴッダムの初代国王という威厳のある存在で、ビジュアルは歌舞伎に通ずるものがあると感じ、細かいところまでこだわりました。

 

ご家族で楽しめる作品ですので、皆さんに喜んでいただけたらうれしいです。僕は子供に出ていることは内緒にして、一緒に見に行こうかと思います。

 

佐倉綾音 コメント

声優として活動してきて、特撮作品の劇場版ゲスト俳優としてお声掛け頂くことなど想像しておりませんでした。さまざまな思いが巡りましたが、さまざまな思いで引き受けさせていただく運びとなりました。思えば幼少期は男子に混ざって特撮作品が大好きでしたので、当時の私に伝えてもきっと信じない人生になってきたな、と感じます。

 

私も幼少期に恐れていた死の世界、死の国への案内人として、慣れない撮影現場で佇み、戦い、涙しました。デボニカと王様の関わりをぜひお楽しみください。

 

雛形あきこ コメント

スーパー戦隊というと、幼いころから当たり前にそばにあった存在。その中でも女性のヒーローにはとても憧れました。強い女性がカッコいいと初めて思ったあのころから、大人になった今。ヒールのかっこよさも味わわせていただいています。カッコいいヒールがあり、すてきなヒーローがあるのだと信じて今回演じさせていただきました。作品への愛があふれる現場で生きさせていただいて幸せでした。ちょっとクセが強いけど、イロキを少しでも愛していただけたらうれしいです。

 

作品情報

映画「王様戦隊キングオージャー アドベンチャー・ヘブン」

2023年7月28日(金)公開

 

出演:酒井大成、渡辺碧斗、村上愛花、平川結月、佳久創、池田匡志

佐倉綾音/雛形あきこ/中村獅童

 

原作:八手三郎 脚本:高野水登

音楽:坂部 剛 アクション監督:渡辺 淳

監督:上堀内佳寿也

 

公式ホームページ:http://geats-ohger-23movie.com/

『金ロー』「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」本日6・30放送!村井國夫からコメント到着

6月30日(金)の『金曜ロードショー』(日本テレビ系 午後9時~11時24分 ※30分枠拡大)は、「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」を本編ノーカットで放送。主人公インディ役のハリソン・フォードの日本語吹替を行った村井國夫よりコメントが到着した。

『金曜ロードショー』「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」TM & (c) 2008, (2023) Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved. Used Under Authorization

 

シリーズ最新作「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」が本日6月30日に公開を迎えるのを記念し、『金曜ロードショー』では5月から6月にかけて「インディジョーンズ」前4作品を放送。今回放送される「クリスタル・スカルの王国」は、2008年に公開された第4作となる。

 

米ソ冷戦下の1957年を舞台に、南米アマゾンの山奥に眠る神秘的なパワーがあると言われている秘宝“クリスタル・スカル”を巡り、インディとソ連の精鋭部隊が争奪戦を繰り広げる。また、最新作「運命のダイヤル」につながる重要なエピソードも。

 

インディの相棒役マットに「トランスフォーマー」のシャイア・ラブーフ、KGBのエージェントにしてソ連軍の大佐イリーナには「ブルージャスミン」でアカデミー賞主演女優賞を獲得したケイト・ブランシェット。

 

なお、今回は「運命のダイヤル」でもインディ役のハリソン・フォードの日本語吹替を行った村井國夫が『金曜ロードショー』のため特別に新録音を行った“オリジナル新吹替版”での初放送となる。村井のコメントは下記に掲載。

『金曜ロードショー』「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」TM & (c) 2008, (2023) Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved. Used Under Authorization

 

村井國夫 コメント

◆今回のインディ役の吹き替えで、感じたことは?

今まで「インディ・ジョーンズ」の吹き替えを「最後の聖戦」(第3作)までやっていて、「クリスタル・スカルの王国」(第4作)をやれていなかったことが心残りだったので、とても喜んで情熱を持ってやりました!

久々のインディ役の吹き替えで、大変だったけど、それ以上に楽しかった! 自分がインディになったような気持ちになれました。吹き替えは、芝居・言葉・リズムを合わせなくてはいけないので、今の吹き替えの俳優さんの素晴らしさを改めて感じました。こんな大変なことをよくやるなと! 昔の吹き替えは芝居が古くさかったりしたけど(笑)。

 

◆村井さんから見た「インディ・ジョーンズ」フランチャイズの魅力は?

「インディ・ジョーンズ」フランチャイズの魅力は、自分が小さい頃から見ていたようなワクワク胸躍る冒険物語で、男の子たちが持ちたがる夢を体現してくれるところ。

若々しく、冒険心をいつまでも持っているインディには畏敬の念を感じるし、飛行機に乗って落ちたりする面白さ、人間味などは、実際のハリソン・フォードと共通しているのでは? 真面目な所とふざけた所の二面性、強そうだけどヘビが苦手という二面性も面白い!

あとはインディの皮肉屋の一面も好き! 大学時代の友人で考古学者のオックスリーのことを「すごい奴だった…話してるだけで人を眠らせる」とくさしたり、相棒の若者から「あんた年の割にケンカ強いね。80歳くらい?」(実際は60代)と言われた時の受け答えだったり。

 

◆視聴者の皆さまに一言

とにかく楽しい映画となっているので、ぜひ見ていただけたら幸せです! そして保存版にしていただけたらと思います!

 

番組情報

『金曜ロードショー』
「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」本編ノーカット
日本テレビ系
2023年6月30日(金)午後9時~11時24分 ※30分枠拡大

TM & (c) 2008, (2023) Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved. Used Under Authorization

伊藤沙莉「私が目指していた幅広い役を演じられる女優さんに近づいているようで光栄」『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』

『ミッドナイトスワン』の内田英治監督と『さがす』の片山慎三監督が共同監督を務める『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』が6月30日(金)より公開します。主人公・マリコを演じるのは、来春のNHK連続テレビ小説「虎に翼」でヒロインを務めるなど、ドラマ・映画と出演作が続く、伊藤沙莉さん。新宿・歌舞伎町を舞台に、行方不明になった地球生命体を探すバーテンダー兼探偵というブッ飛んだキャラを演じる伊藤さんに、撮影エピソードや女優としての醍醐味など伺いました。

 

伊藤沙莉●いとう・さいり…1994年5月4日生まれ。千葉県出身。2003年、ドラマデビュー。NHK連続テレビ小説「ひよっこ」(17)で注目を集める。20年、ドラマ「全裸監督」「これは経費で落ちません!」、テレビアニメ「映像研には手を出すな!」(声の出演)などの活躍を評価され、第57回ギャラクシー賞テレビ部門個人賞を受賞。21年は『ステップ』『劇場』『ホテルローヤル』『タイトル、拒絶』などにより、第63回ブルーリボン賞助演女優賞、第45回エランドール賞新人賞を受賞。22年は『ボクたちはみんな大人になれなかった』『ちょっと思い出しただけ』で第45回山路ふみ子女優賞、今年はNHK特集ドラマ「ももさんと7人のパパゲーノ」における演技で第77回文化庁芸術祭 テレビ・ドラマ部門放送個人賞を受賞。6月5日(月)より舞台「COCOON PRODUCTION 2023『パラサイト』」に出演。24年はNHK連続テレビ小説「虎に翼」の主演を務める。TwitterInstagram

 

【伊藤沙莉さん撮り下ろし写真】

 

魅力的な2つの職業を同時にできたことでお得感があって嬉しかった

──5月に公開された『宇宙人のあいつ』に続き、奇しくも“宇宙人”がキーワードになっています。

 

伊藤 企画の立ち上げでいえば、『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』(以下、『マリコ』)の方がずっと前なんです。かれこれ5年ぐらい前から動いていたんですが、その頃は宇宙人の話になるとは聞いてなかったんですよ。その後、いろいろあって……撮影は『マリコ』が先だったんです。

 

──『宇宙人のあいつ』の飯塚健監督も、『マリコ』の内田英治監督も、以前から伊藤さんを起用してきた恩師ともいえる監督なのも興味深いですよね。

 

伊藤 飯塚さんと内田さんは友人同士でもあるんですけど、さすがに「なんで、ここに来て宇宙人被りしているんだ!?」と思いました(笑)。劇場公開のタイミングまで一緒になったことには、本当にビックリです!(笑)

 

──今回演じられた新宿にある小さなバーのバーテンダーで、探偵であるマリコというキャラクターについてはどう思われましたか?

 

伊藤 私にとって魅力的な2つの職業を同時にできたことで、お得感があって嬉しかったです。もともとスナックやバーの雰囲気が好きで、『ブルーアワーにぶっ飛ばす』や『すずめの戸締まり』ではスナックのママやチーママをやらせてもらっているんですよ。それに『探偵はBARにいる』のような探偵ものも好きで、志村(けん)さんの助手役をやらせていただいたドラマ(「志村けんin探偵佐平60歳」)も楽しかったんです。マリコには助手がいない設定ですが、あえて一人でやっている感じもかっこよかったです。

 

どこか演劇をやっているような楽しさも

──まさに内田監督による当て書き&ハマり役といえますが、演出に関しては、伊藤さん長編初主演映画『獣道』のときとの違いは?

 

伊藤 内田さんは『獣道』のときとは……全くの別人でした(笑)。優しく寄り添ってくれるような感じで、とにかく丸くなった感じ(笑)。私もこれといった役作りもしませんでした。コロナ禍とはいえ、歌舞伎町で撮影できましたし、舞台となるバー「カールモール」も実在している店内で撮影できました。とてもぜいたくな現場で楽しかったです。

 

──伊藤さんも出演された「全裸監督」では助監督を務めていた片山慎三監督が、本作では共同監督で参加しています。

 

伊藤 監督としての片山さんとご一緒したい気持ちが強かったので、「なんてぜいたくでありがたい機会なんだ!」と思いましたね。片山さんは『さがす』や『岬の兄妹』のようなハードな作風の作品を撮る方とは思えないぐらい優しい方で、こっちが恐縮するぐらい腰が低くて驚きました。それにいろいろとキャラの濃い人たちと交わりながら群像劇を作っていく、どこか演劇をやっているような楽しさもありました。

 

──とはいえ、ほとんどのキャストが初共演だったということで、以前からおっしゃっていた人見知りは出ませんでしたか?

 

伊藤 スナックやバー独特の話しかけたくなるような雰囲気もありましたし、マリコは基本バーカウンターの中にいるので、その設定に助けられたような気がするんです。本当のママのように、入れ替わり立ち代わりやって来るお客さんをもてなして、捌いていくような気分でした(笑)。内田さんの映画らしい自由度の高いシーンもありますし。

 

休憩中の竹野内さんの真摯な姿に感動しつつ、不思議な空気感に笑いを堪えていました

──自称忍者・MASAYA役の竹野内豊さんとの撮影現場でのエピソードは?

 

伊藤 竹野内さんは、とても不思議な魅力をお持ちの方。休憩時間にふと気づいたら、真剣に忍術指導の先生と会話をされている竹野内さんがいらっしゃったんです。「ここができないんですよ」と真剣に質問されていて、まるで本当に忍者修業をしているお弟子さんのようで……。そのあまりに真摯な姿に感動しつつ、不思議な空気感に笑いを堪えていました。

 

──内田監督・片山監督が各3話を演出。全6話で構成されていますが、お気に入りのエピソードを教えてください。

 

伊藤 どのエピソードも面白かったのですが、そのなかでも北村有起哉さんが演じた落ちぶれたヤクザと行方不明の娘さんとのエピソード(「鏡の向こう」)が一番好きですね。どうしようもできない、救いようもない感じに泣きました。北村さんの娘役を舞台版の「幕が上がる」と「転校生」で一緒だった藤松祥子さんがやっていて、好きな女優さんなんです。今回は久しぶりの共演で、残念ながら一緒のシーンがなかったんですが、そういう特別な思いもあって好きですね。

 

「今日は宇宙人と一緒だ」とか、よく分からない愛着がわいてきました(笑)

──他にお気に入りのキャラはありましたか? また宇宙人との共演はいかがでしたか?

 

伊藤(「姉妹の秘密」に登場する)殺し屋姉妹というか、妹さんの彼氏を含む、三角関係が好きですね(笑)。3人の、宇宙人よりもファンタジーな設定が意味不明すぎて面白かったです。あと、宇野祥平さんがバスケットケースの中に入れた宇宙人を運んでいるんですが、実際には箱の中に何も入っていないんですよ。でも、撮影が進むにつれて、「今日は宇宙人と一緒だ」とか、よく分からない愛着がわいてきました(笑)。

 

──7月から放送のドラマ「シッコウ!!~犬と私と執行官~」に続き、日本初の女性弁護士を演じる24年放送のNHK連続テレビ小説「虎に翼」に主演。宇宙人に続いて、今度は法を司るリーガル系の役が続きます。

 

伊藤 前々から同じクールのドラマで、同じ題材やテーマが扱われることが不思議だなぁと思っていたんですよ。いろんな方のアンテナの張るタイミングだったり、前から温めていた企画がたまたま重なっただけだと思うんですが、今の私はまさにその渦中にいる感じです(笑)。ファンタジーから、リアルと、ふり幅はすごすぎますが、それでこそ私が目指していた幅広い役を演じられる女優さんに近づいているようで光栄ですね。

 

 

探偵マリコの生涯で一番悲惨な日

6月30日(金)より全国ロードショー

【映画「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」よりシーン写真】

 

(STAFF&CAST)
監督:内田英治、片山慎三
脚本:山田能龍、内田英治、片山慎三
主題歌:Da-iCE「ハイボールブギ」(avex trax)

出演:伊藤沙莉
北村有起哉、宇野祥平、久保史緒里(乃木坂46)、松浦祐也
高野洸、中原果南、島田桃依、伊島空、黒石高大、
真宮葉月、阿部顕嵐、鈴木聖奈、石田佳央、
竹野内豊

(STORY)
新宿歌舞伎町にある小さなバー「カールモール」のカウンターに立つ、27歳の女・マリコ(伊藤)。さまざまなワケあり常連客を相手にする一方、「新宿探偵社」の探偵としての顔も持つ彼女のもとに、ある日FBIを名乗る3人組から「アメリカへの移送中に連れ去られた地球外生命体を捜してほしい」という、謎の依頼が舞い込む(「歌舞伎町にいる」)。ほか、全6エピソードから完成するコラボレーション・スタイル。

(C)2023「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」製作委員会

 

撮影/映美 取材・文/くれい響 ヘアメイク/岡澤愛子 スタイリング/吉田あかね

乃木坂46・久保史緒里&上田誠「上田さんの現場はムチャぶりだらけですが、ワクワクしかないです」映画『リバー、流れないでよ』

結成25周年を迎えた劇団ヨーロッパ企画による新作オリジナル映画『リバー、流れないでよ』が6月23日(金)より全国で公開。脚本家・上田 誠さんが得意とするタイムリープを軸に、“2分間”のループ地獄に翻弄される人々を描いた本作。物語のカギを握る人物を上田作品に縁のある久保史緒里さんが演じるなど、公開前から多くの注目を集めている。そこで互いに厚い信頼を寄せるお2人に、これまでの出会いから新作の制作秘話などをたっぷりと語ってもらった。

 

【久保史緒里さん、上田誠さん撮り下ろし写真】

初めて出会ったときの久保さんは心がゼロオープンでした

──お2人の最初の出会いは2021年の舞台『夜は短し歩けよ乙女』になるのでしょうか?

 

上田 そうです。僕が作・演出をし、久保さんにはヒロインの乙女役を演じていただきました。

 

久保 その後に、同じ年に放送されたドラマ(『サマータイムマシン・ハズ・ゴーン』)にも呼んでいただいて。ですから、私にとって上田さんの脚本作品に参加するのは、今回の映画で3回目になります。

 

──当時はどのような印象を?

 

上田 きっと緊張されていたんでしょうね。最初は全く心を開いてくれなかったです(笑)。

 

久保 ははははは!

 

上田 もう、ゼロオープン(笑)。でも、初めてご一緒する舞台ってそういうものなんですよね。僕もヨーロッパ企画という劇団を運営しているので、久保さんの気持ちがよく分かるんです。普段乃木坂46ではグループで活動していて、そこから1人で一歩外に出て仕事をするとなると、どうしても気が張っちゃいますから。

 

久保 それに、コロナ禍での感染対策として、稽古中はあまり雑談みたいなこともできなくて。それで打ち解けるのに時間がかかってしまったというのもあります。

 

上田 でもそうした中、久保さんの役者としての力量には驚かされっぱなしでした。『夜は短し歩けよ乙女』って結構内容がぶっ飛んでいて、セリフも多かったし、歌まであったんです。とにかくやることが多い舞台だったんですが、久保さんは毎日のように課題を一つずつクリアしていき、稽古のたびに、“あ、ここがすごくよくなってる!”という発見がありました。

 

 

久保 そんなに褒めていただいて恐縮です。私、あの稽古ですごく覚えていることがあって。劇中で空を飛ぶシーンがあったじゃないですか。

 

上田 ありましたね。

 

久保 それで、私がたまたま稽古期間中に別のお仕事でスカイダイビングをする機会があり、上田さんに後で、「私、乙女が空を飛んでいるときの気持ちがよく分かりました!」って報告したんです。そしたらものすごく笑ってくださって。「え〜、変わってんね〜!」って言われたんですよ(笑)。

 

上田 ははははは! 確かに言ったかも(笑)。

 

久保 そこからでしたね。私の心が一気に開いたのは。

 

上田 えっ、あそこだったの?(笑)

 

久保 もちろん、それまでのいろんな会話やコミュニケーションの積み重ねがあったうえでのことですけどね。

 

上田 そうかあ〜。いや、実はね、スカイダイビングの話を聞いたとき、僕、感動していたんですよ。

 

久保 そうだったんですか?

 

上田 うん。舞台の稽古って集中力が必要だし、かなり疲れますよね。にもかかわらず、そんな大変な合間にスカイダイビングの仕事を入れるってなかなかできないことで。ぶっちゃけ、僕が久保さんの立場だったら、空を飛びながら「ふざけんな!」ってキレてると思うんです(笑)。なのに久保さんは不機嫌になるどころか、“役の気持ちになれた!”という感覚をつかんできて。そりゃもう、演出家としては大感動ですよ。“この人は、一切の時間と仕事を無駄にしていなんだな”って思いました。

 

久保 いえ、とんでもないです。『夜は短し〜』の稽古は本当に楽しかったんです。上田さんはいつも笑顔で、毎日同じシーンをやっても、毎日同じところで笑ってくださいましたし(笑)。そのことでこちらもお芝居がどんどん楽しくなれて。それもあって、私の緊張がちょっとずつほぐれていったというのもありましたね。

 

久保史緒里●くぼ・しおり…2001年7月14日生まれ。宮城県出身。2016年に乃木坂46の3期生としてデビュー。俳優としても活躍するほか、ファッション誌「Seventeen」専属モデル、「乃木坂46のオールナイトニッポン」のメインパーソナリティーなど多方面で活躍中。主な出演作に、映画『左様なら今晩は』、ドラマ「クロシンリ 彼女が教える禁断の心理術」、舞台「桜文」など。現在、NHK大河ドラマ「どうする家康」に出演中。待機先に映画『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』、劇団☆新感線 いのうえ歌舞伎「天號星」がある。公式ブログInstagram

 

お声掛けいただいたときは、「ぜひ!」と即答でした

──お2人はその後、先ほど久保さんのコメントにもあったようにドラマ『サマータイムマシン・ハズ・ゴーン』で再会されました。

 

上田 あのドラマは《時間》をコンセプトにした短編集で、どれもトリッキーな物語だったんです。それこそタイムマシンが出てくるものや、別の時間軸で生きているもう一人の自分が出てくるものがあったり。その中でも久保さんにヒロインをお願いした『乙女、凛と。』という作品は最もテクニカルなもので、約1分後の未来の自分と電話で会話をするという内容のお話でした。

 

久保 しかも長回しの撮影だったうえに、最後の最後で未来の自分と歌でハモるという展開があったんです。

 

上田 過酷ですよね。せっかく京都の先斗町での撮影だったのに、全然楽しくなかったと思います(笑)。

 

──“自分とハモる”という発想がユニークですね。

 

上田 これは久保さんが主演だったから思いついたアイデアでした。というのも、ヨーロッパ企画の劇団員には音楽ができる人があまりいなくて。それもあって、僕自身は以前から音楽モノの作品をすごく作りたかったんですけど、20年以上叶わずにいたんですね。それが、『夜は短し〜』で音楽劇のようなことができて、気持ちの上でも充実していて。その流れでもう一度、久保さんと一緒に音楽を使った短編映像を作りたいなと思ったんです。その結果、とんでもないムチャぶりだらけの現場になってしまいましたけど(苦笑)。

 

久保 現場ではずっと緊張していました。頭から終わりまで10分ぐらいの物語をすべて長回しで撮っていたので、最後のハモリでミスをしたら、それまでの撮影が全部無駄になってしまうと思って。

 

 

上田 しかも、メロディがあるようでないようなアカペラでしたしね。

 

久保 リズムがちょっとでもズレたら撮り直しになるので、カメラの後ろで上田さんが指揮をしてくれていましたよね(笑)。

 

上田 そうそう。あと、音程も取らないといけないから、あのとき僕はハーモニカをポケットに忍ばせていたんですよ。

 

久保 そうでした!

 

上田 そしたら、久保さんがおずおずと……ものすっごくおずおずと、「……あの、私、いちおう、絶対音感があるんで……たぶん、大丈夫だと思います」と言ってくださって。あの節は本当に助かりました(笑)。

 

久保 いえいえ。

 

上田 でも、正直どうですか? 僕との仕事はムチャぶりばかりで困ってませんか?

 

久保 全然です! すごく楽しいです。ほかでは絶対に経験できないことが多いですし。“大変だ!”とか、“う〜ん、これは困ったぞ”と思ったことも一度もなくて。むしろワクワクしかないです。もちろん緊張はあります。『乙女、凛と。』のときも間違えられないぞって思っていたのに、最初にNGを出してしまったのが私でしたし。

 

上田 序盤の歌のところでね。

 

久保 はい。撮影が始まってそうそうに歌もセリフも全部飛んでしまって。でも、あのとき、共演者の永野(宗典)さんが落ち込んでる私を見て、「主演が最初に間違えてくれたほうが、僕らはありがたいんだよ」とおっしゃってくれたんですよね。

 

──優しい!

 

久保 そうなんです。ヨーロッパ企画の皆さんは本当にお優しいんです。だから、どんな挑戦でも前向きに楽しく挑めるんです。

 

──でも、その永野さんはいきなり本番でアドリブを入れてきたと聞きました。

 

久保 あ〜……はい(苦笑)。

 

上田 彼は変態ですからね(笑)。長回しだからカメラワークも決まっているのに、それでもアドリブを入れてくるような男ですから。でも、久保さんが僕たちの現場を楽しいと言ってくれてホッとしています。僕は演劇でも映画でも、いろんなことに挑戦していますが、それはまだ誰も見たことのない実験的な風景や映像を作りたいという野心があるからなんです。でも、それをやろうとすると、どうしてもムチャなチャレンジも必要になってくる。そんなとき、劇団員であれば忌憚なく頼めるんですね。逆に言えば、身内の人間にしか頼めない(笑)。そうした中で、久保さんはいつも僕の想像以上のものを生み出してくださるので、厚かましくもお願いすることが多くて。今では、それぐらい僕の作品には欠かせない方だと思っています。

 

久保 そう言っていただけて嬉しいです!

 

上田 今回の映画にしても、相当難しい役だったと思うんです。何者なのかよく分からないのに、キーパーソンとしての存在感を出しつつ、それでいて、目立ちすぎないように物語に溶け込む必要がありましたから。でも、それを頼めるのは久保さんしかいないと思って。

 

久保 ありがたいです。私も今回の役でお声掛けいただいたときは、「ぜひ!」と即答でした。

 

上田 誠●うえだ・まこと…1979年11月4日生まれ。京都府出身。劇団「ヨーロッパ企画」代表、全ての本公演の脚本・演出を担当。2017年に舞台「来てけつかるべき新世界」で岸田國士戯曲賞受賞。近年の主な作品に、映画『ドロステのはてで僕ら』(原案・脚本)、『前田建設ファンタジー営業部』(脚本)、アニメ映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(日本語吹き替え版脚本)、『四畳半タイムマシンブルース』(原案・脚本)、ドラマ「魔法のリノベ」(脚本)、舞台「たぶんこれ銀河鉄道の夜」(脚本・演出・作曲)などがある。Twitter

 

試写を観て、「あ、本当に完成するんだ!」って感動しました

──今回の映画の台本を最初に読まれたときはどのような印象でしたか?

 

久保 “なんて新しくて面白い試みの作品なんだろう!”と思いました。でも同時に、“これ、どうやって撮るんだろう……?”という疑問が生まれて。撮影しているときのイメージも完成形も、全く想像がつかなかったんです。

 

上田 京都の貴船にある旅館とその周囲だけが突然、延々と2分間のタイムリープを繰り返すという内容ですからね。撮影現場もほかの映像作品とはちょっと雰囲気が違いましたよね。

 

久保 しかも、それぞれの2分間の物語を毎回長回しで撮っていたので、監督(山口淳太)も常にストップウォッチを片手に時間とも戦っていて。「あ〜、10秒オーバーした!」とか、「今度はちょっと短い!」って(笑)。その様子を近くで目の当たりにしていたので、実際に完成試写を見たときは涙が出ました。

 

上田 それはどういう涙?

 

久保 いろんな感情があふれてきたんですが、“あ、本当に完成するんだ!”という驚きもありましたね(笑)。

 

上田 ははははは! でも、そうだよね。当然、物語は台本通りに展開するんだけど、現場ではいろんな2分間のお話を撮っているから、どこがどうつながっていくのかが立体的にイメージできないだろうし。

 

久保 そうなんです! だからこそ、完成したものを見たときの感動がすごくて。なかなか味わえない体験でした。

 

上田 実際の現場もやっぱり大変さはありました?

 

久保 長回しで皆さんがお芝居をされている途中で私がカットインしたりフェードアウトしていくので、“絶対に失敗できないぞ”という緊張感がありました。それに、スタッフさんやキャスト皆さんの熱量もものすごくて。2分きっかりで終わるように何度もリハーサルを重ねたり、相談しあったりして、緻密に作りあげていったんです。そうした繊細な作業をしている場に自分もいられたことが幸せでした。

 

 

 

──上田さんの代表作に映画化もされた『サマータイムマシン・ブルース』(2005年)があり、タイムリープものもこれまでに何度か作られていますが、今作の『リバー、流れないでよ』の構想はいつ頃からあったものなのでしょう?

 

上田 今回は京都の貴船にある「ふじや」という旅館をメインとし、その近くにある建物や貴船神社など、いろんな場所がロケ地提供してくださったんです。そうした、全面協力をしていただけるというお話をいただいてから考えた企画でしたね。

 

久保 本当に素晴らしいロケ地でしたよね。

 

上田 旅館の中の構造も面白かったです。地下がちょっとした迷宮みたいな作りになっていたり。それに、いい意味での箱庭感もあって。“この楽しい場所をどうやって遊び尽くそう?”という感じで構想を練っていきました。

 

──なるほど。また、繰り返されるタイムリープの時間が2分というのもものすごく絶妙だなと感じました。

 

上田 ありがとうございます。これもちゃんと理由がありまして。一部の場所だけがタイムリープしているので、2分以上だと意外と遠くまで行けて、そのままリープ地獄から抜け出せちゃうんですよ(笑)。

 

久保 確かに! それに、登場人物たちが何度も行き来する旅館の本館とはなれも、ギリギリ2分でドラマを展開させながら移動もできる距離感ですもんね。

 

上田 そこもちゃんと事前に調べました。実際に現地に行って、旅館の中を走り回ったり、神社まで走ってみて、“あ、ちょうど1分ぐらいか。それなら残りの1分でどんな展開が生み出せるだろう”って考えたり。

 

久保 すごい! そこまでしっかり計算されていたんですね。

 

──何度も別の形で繰り返される2分間の出来事をすべて長回しで撮るというのも上田さんのアイデアだったんですか?

 

上田 監督の山口と話して決めました。劇団制作で映画を作るときは、なるべく舞台的な映像にしたいなという思いがあるんです。僕らは京都の劇団なので、今回のように地元のロケ地を生かしたものにしたり。長回しの手法もその1つで、普段、演劇活動をしている僕らのアドバンテージでもあるので、よく使うようにしていますね。ただ、僕や劇団員にとってはそこにやりがいを見いだしていますけど、ゲストの久保さんにしてみれば知ったこっちゃない話ですからね(笑)。毎回こうした冒険に巻き込んでしまって、申し訳ないなと思っています。

 

久保 大丈夫です。そんなこと全然思ってませんから(笑)。

 

いつか久保さんには、誰もやったことのない一人芝居を

──久保さんにとって上田さんの脚本作品に参加するのはこれで3度目になりましたが、改めて上田さんが書くセリフの面白さはどんなところだと思いますか?

 

久保 今回の映画で特に感じたことですが、物語を大きく動かす劇的なセリフが散りばめられているわけではないんです。どれもが日常的なさり気ない言葉ばかりで。でも、それが別の誰かの心に刺さっていったり、突き動かしたりする。それがすごく心地いいんです。また、リアルさがあるのに、どれも面白くって。つい吹き出しちゃうセリフもあれば、“さっきの言葉って、こういうことだったのか!”と伏線にもなっていることがあるので、いろんな角度から楽しめる。だから、一度見始めると最後まで見入っちゃうんだと思います。

 

──確かに今回のようなSF要素のある作品でも、説明セリフっぽく聞こえないところに上田さんの言葉のセンスを感じます。

 

上田 そこは意識しているところでもあるんです。おっしゃるようにSFだとどうしても誰かが状況を説明する必要があるんですけど、そこはあまり重要視していないというか。なんなら別に聞き逃してもらってもいいかなって思ってて(笑)。

 

久保 そうなんですか!? でも、言われてみれば、SF部分の説明が理解でなくも物語の流れが分かるようになっていますよね。

 

上田 ええ。雰囲気だけ伝わればいいと思ってますから。だから、もっと言えば説明セリフを言うキャラクターは、ちょっと軽めに扱われていたりすることもあります(笑)。

 

久保 (笑)。そういえば、今回の私の役に関しては最後のほうにちょっとだけ説明セリフがある程度でした。

 

上田 それも意図的でした。というのも、舞台の『夜は短し〜』での乙女はすごく重要な役割を担っていて、物語やセリフをしっかりと観客に届けなくてはいけなかったので、大変な重責を背負わせてしまったなと思っていたんです。でも、それを見事に体現してくださったので、そのおわびというわけではないのですが、今回の映画に関してはもう少し気軽に挑める、重力が軽めのセリフにしました。……といいつつ、かなり大事なキーパーソンの役でしたけどね(笑)。

 

久保 はい。そこは見てのお楽しみということで(笑)。

 

──久保さんが演じる役がどういう存在なのか、ぜひ映画館で確認してもらいたいですね。また、上田さんが紡ぐ物語の魅力に、登場人物がみんな優しく、観終わった後に幸せな気持ちになるというのがあると思います。

 

上田 僕はそういうのが大好きなんです。自分が脚本を書く上でいつも大事にしているのが面白さと懐かしさで。観終わった後に、その2つが心に残ってくれたら嬉しいなと思っているんですね。特に《懐かしさ》って宇宙の根源ぐらい素敵な感情だと思うので、初めて観た作品なのに“なぜか懐かしい”と感じてもらいたい。そのためにも登場人物たちが殺伐とし合うことなく、互いの優しさを渡し合って円環を閉じていきたいと考えていますし、その意味で今回もすごくいい作品になったのではないかなと自負しています。

 

 

──では上田さんが、今後久保さんに演じてもらいたい役などはありますか?

 

上田 ………ちょっと変わった役とか?(笑)

 

久保 やります!

 

上田 早いですね(笑)。

 

──(笑)。なぜ、少し変わった役を?

 

上田 久保さんとはこれまで一緒にお仕事をして、すべてにおいて素晴らしいクオリティのお芝居を魅せてくれているんです。僕としては“最高の役者に出会えた!”という喜びもあるので、せっかくなら今度は誰もやったことのない役に挑戦してもらいたいなと思っていて。……たとえば、一人芝居とか興味あります?

 

久保 やってみたいです! ぜひ、ぜひ!

 

上田 本当に!? じゃあ、そのときはお願いします。

 

久保 上田さんが書かれるものであれば、もう無条件でご一緒します。上田さんが書く一人芝居にもすごく興味がありますし。原型が何もない状態でも断りません(笑)。

 

上田 そんなこと言って大丈夫? だって、人間の役じゃないかもしれませんよ?

 

久保 問題ないです! むしろやりたいです(笑)。

 

──ものすごい信頼感ですね(笑)。では最後に、GetNaviwebということで、お2人が仕事の現場に持っていく必需品をご紹介いただけますか?

 

上田 僕はペンケースとスケッチブックですね。台本のセリフはいつもスケッチブックに手書きで書いているんです。最後にはパソコンで清書をするんですけどね。なので、アナログの文具品はマストです。

 

久保 手書きにこだわるのはどうしてなんですか?

 

上田 パソコンだと手軽に文字が書けるから文章が長くなってしまうんです。最近の小説が長いのもそういう理由だと思っていて。でも、手書きだと途中で疲れちゃう(笑)。すると、短いセリフの掛け合いになるからいいんですよね。

 

久保 へ〜、面白いですね! 私はどんな現場でも干し芋を持っていきます。すっごく緊張するタイプなので、食事が喉を通らなくなることが多くて。ご飯も食べずに現場に行くこともあり、すると集中力が低下してしまうので、干し芋を持っていって食べるようにしています。

 

上田 ご飯は喉を通らなくても、干し芋は大丈夫なの?(笑)

 

久保 ちょっとの量でもお腹が膨れるので(笑)。それに、もはやちょっとしたお守みたいにもなっているんです。“ご飯が食べられなくても、干し芋があるから大丈夫だ!って(笑)。

 

上田 なるほど〜。ちなみに僕の現場はどうですか? ちゃんと食事は食べられてます?

 

久保 これがですね……どんどん喉を通ってしまうんですよ(笑)。

 

上田 よかった〜。

 

久保 今回の映画でも撮影の合間に、みんなでおいしいみかんを囲みながら食べてましたよね。本当に楽しい時間でした。

 

 

 

リバー、流れないでよ

6月23日(金)より全国ロードショー

(STAFF&CAST)
原案・脚本:上田 誠
監督・編集:山口淳太
主題歌:くるり「Smile」(Victor Entertainment / SPEEDSTAR RECORDS)
出演:藤谷理子、永野宗典、角田貴志、酒井善史、諏訪 雅、石田剛太、中川晴樹、土佐和成、鳥越裕貴、早織、久保史緒里(乃木坂46/友情出演)、本上まなみ、近藤芳正

(STORY)
京都の奥座敷・貴船。そこに凛として佇む老舗料理旅館「ふじや」でミコト(藤谷)は仲居として働いていた。別館の裏には清流の貴船川が流れ、そのほとりで川をしばし見つめた後、仕事へと戻るミコト。……が、そこで妙な異変を感じる。目に映る景色や行動、それに番頭(永野)との会話に既視感を覚えたのだ。デジャブかと思いきや、その後も幾度となく繰り返される同じ風景。やがて、この旅館の周囲一帯が2分間の時間をループしていることに気づく。時間が経つと再び最初の位置に戻ってしまうものの、記憶だけは引き継がれていく……。混乱を極めた状況のなか、はたしてミコトたちはこのループ地獄から抜け出すことができるのか?

(C)ヨーロッパ企画 / トリウッド 2023

 

撮影/干川 修 取材・文/倉田モトキ ヘアメイク/宇藤梨沙 スタイリング/伊藤舞子 衣装協力/ánuans、ピッピシック、ココシュニック、エナソルーナ

森七菜&奥平大兼「この映画を通じて、七尾市の素晴らしさが届くといいな」映画『君は放課後インソムニア』

現在、アニメ版が放送されているオジロマコトの同名コミックを実写映画化した『君は放課後インソムニア』が、6月23日(金)より全国公開。劇中、不眠症に悩まされる高校生の伊咲と丸太(がんた)を演じる、森七菜さんと奥平大兼さんに、本作の魅力や石川県七尾市での撮影の思い出などを振り返ってもらいました。

 

【森 七菜さん、奥平大兼さん撮り下ろし写真】

一人の人間として七尾市に存在するよう、生きようということを意識(奥平)

──もともと、森さんが原作のファンだったという「君は放課後インソムニア」の魅力を教えてください。

 

 私は原作の嘘がないというか、ありえないことがないところに惹かれたんです。一歩踏み出せば叶いそうな夢が描かれていることも素敵でした。あと、今の仕事を始めていたこともあって、充実した学生時代を送ることができなかったので、その思いを丸太と伊咲に叶えてもらっている気分で読んでいました。

 

奥平 言葉に表すのが難しいのですが、舞台になった石川県七尾市から醸し出される空気感が素晴らしいと思いました。いい意味で、ゆったり時間が流れているところや、さまざまなキャラクターの会話がリアルなところにも惹かれました。

 

──そこを踏まえて、伊咲と丸太を自身でどう演じようと思いましたか?

 

 ファン目線は完全に捨てないとうまく演じられないと思っていました。全部主観に持っていって、丸太からの目線とかはできるだけ気にしないように演じました。

 

奥平 ゆったりした時間の感覚を大切にして演じたいと思いました。あと、原作のキャラクターはできあがっているので、できるだけ素直に演じつつ、一人の人間として七尾市に存在するよう、生きようということを意識しました。

 

森 七菜●もり・なな…2001年8月31日生まれ。大分県出身。映画『心が叫びたがってるんだ』(17)で映画初出演。2019年に公開された新海誠監督作『天気の子』、岩井俊二監督『ラストレター』(20)と立て続けに大作に抜擢され注目を浴びる。その他の出演作に、NHK 連続テレビ小説「エール」(20)、ドラマ「この恋あたためますか」(20/TBS)、映画『ライアー×ライアー』(21)、『銀河鉄道の父』(23)など。是枝裕和監督が演出・脚本を担当したNetflix シリーズ「舞妓さんちのまかないさん」が絶賛配信中。公式HPTwitter(音楽スタッフ)Instagram(スタッフ)YouTube(スタッフ)

 

素のまんまで会話していて、どこかお芝居している手応えがなかった(笑)(森)

──2年ぶりの2度目の共演となる、お2人の現場での印象は?

 

奥平 森さんは一緒にお芝居をしていて楽しい役者さんです。いい意味で、素直で、何してくるのか分からないんです。だから、それを目の当たりにする楽しみがありますね。実際アドリブも多かったんですが、それが伊咲の言葉として聞こえてくるのが、面白かったです。

 

 奥平さんはすごく自然体の方なので、私も素のまんまで会話していて、どこかお芝居している手応えがなかったんです(笑)。でも、それがこの映画にとって大事なことだったような気がしますし、私もたくさん助けられました。

 

──2人の掛け合いシーンについて、池田千尋監督の演出は?

 

 私と奥平さんがとりあえずやってみないと分からないタイプなので、まずは池田監督の前でやらせてもらって、そこから監督の要望に合わせていく感じでした。

 

奥平 そういう意味では、僕らを信用してくれているのが嬉しかったですし、僕らも池田監督を信頼してお芝居できたと思います。

 

 私のアドリブがすべらないよう、奥平さんがしっかりフォローしてくれるので、私は奥平さんのことも信頼していました。すごいいいチームワークだったと思います。

 

奥平大兼●おくだいら・だいけん…2003年9月20日生まれ。東京都出身。映画『MOTHER マザー』(20)で俳優デビュー。第44回日本アカデミー賞新人俳優賞、第94 回キネマ旬報ベスト・テン新人男優賞、第63回ブルーリボン賞新人賞、第30回日本映画批評家大賞新人男優賞を受賞し、一躍脚光を浴びる。その他の出演作に、映画『マイスモールランド』(22)、『ヴィレッジ』(23)、ドラマ『早朝始発の殺風景』(22/WOWOW)など。公開・配信待機作に、ディズニープラス独占配信ドラマ『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』などがある。公式HPInstagram

 

出身地・大分と似ているので、どこか懐かしくて、ホッコリしました(森)

──約1か月に及ぶ七尾市での撮影の思い出は?

 

奥平 七尾市の皆さんの温かさを感じました。七尾高校の天文台とか真脇遺跡とか、実際に原作に出てくる場所を撮影のために貸してくださり感謝しかないです。それは原作が七尾市に愛されているからこそだと思いました。朝の3時ぐらいから撮った海岸のシーンは大変でしたが、とても綺麗なシーンになりました。ただ、天候があまり良くなかったので、それはそれで大変でした(笑)。でも、そこでキャストのみんなとたくさんコミュニケーションが取れたのでよかったです。

 

 街並みの風景が私の出身地・大分と似ているので、どこか懐かしくて、ホッコリしました。お休みのときに、みんなで高校の近くまでジェラートを買いに行って食べたのも、いい思い出です。あと、自然が豊かなところにも身を委ねられました。私が大変だったのは暑さですね。天文台がサウナみたいになってしまって、汗ダラダラになりながら、顔を真っ赤して撮影していました(笑)。まだ七尾市に行ったことのない人にも、この映画を通じて、七尾市の素晴らしさが届くといいなと思います。あと、七尾高校には今、天文部がないようなので、復活してほしいです。

 

丸太として演じ切ってみて、今では伊咲推しです(笑)(奥平)

──完成した作品をご覧になって、原作を読んだときから好きなキャラは変わりましたか?

 

 奥平さんは白丸先輩でしょ? 撮影に入った頃から、ずっと「白丸先輩、かわいいよね!」と言っていたし(笑)。

 

奥平 そうやって、イジってくるんだから(笑)。確かに原作読んだときに、「白丸先輩は人間としてかわいらしい人だなぁ」と思いましたけど、丸太として演じ切ってみて、伊咲の温かさみたいなところに惹かれました。そういう意味では、今では伊咲推しです(笑)。

 

 私は原作を読んでいたときは、(丸太の幼なじみの)受川くんが好きだったんですよ。丸太ほど登場するキャラではないけれど、その立ち位置がかっこよく見えたんです。でも、伊咲を演じたことによって、不器用さも含めて、丸太の愛おしさがどんどん見えてきました。なので、具体的にいうと、伊咲と丸太のかけがえのないコンビ感が好きです。

 

──GetNavi webということでモノについてもお話ください。撮影現場に必ず持っていくモノやアイテムはありますか?

 

奥平 JBLのヘッドホンとイヤホンですね。音楽が好きなので、ちょっとでも時間があれば、1曲でも聴いていたいんです。移動中はヘッドホンとか、ヘアメイクしているときは、髪の毛が崩れないようにイヤホンとか、使い分けしています。家にあるスピーカーなど、音楽の周辺機器はすべてJBLで揃えています。ジャンル的にはUSのヒップホップが好きですね。

 

 歯ブラシとカメラです。カメラはペンタックスのMXで、買ってすぐのタイミングで、『君は放課後インソムニア』の現場にも持って行って、みんなのことをパシャパシャ撮っていました。奥平さんも現場にカメラ持ってきていたのに、風景ばかりで、ぜんぜん私たちのこと撮ってくれなかったんですよ! 私が撮った写真はSNSに発表したいと思います。

 

 

君は放課後インソムニア

6月23日(金)より全国公開

【映画「君は放課後インソムニア」よりシーン写真】

(STAFF&CAST)
監督:池田千尋
原作:オジロマコト「君は放課後インソムニア」(小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載中)
脚本:高橋泉、池田千尋
出演:森 七菜、奥平大兼
桜井ユキ、萩原みのり、上村海成、安斉星来、永瀬莉子、川﨑帆々花
斉藤陽一郎、田畑智子、工藤 遥、でんでん、MEGUMI、萩原聖人

(STORY)
石川県七尾市に住む高校一年生・丸太(奥平)は、不眠症のことを父親の陸(萩原聖人)に相談することもできず、孤独な日々を送っていた。そんなある日、丸太は学校で使われていない天文台の中で、偶然にも同じ悩みを持つクラスメートの伊咲(森)と出会い、その秘密を共有することになる。天文台は、不眠症に悩む二人にとっての心の平穏を保てる大切な場所となっていたが、ひょんなことから勝手に天文台を使っていたことがバレてしまう。だが天文台を諦めきれない二人は、その天文台を正式に使用するために、天文部顧問の倉敷先生(桜井)、天文部OGの白丸先輩(萩原みのり)、そしてクラスメートたちの協力のもと、休部となっている天文部の復活を決意するが……。

 

(C)オジロマコト・小学館/映画「君ソム」製作委員会

 

撮影/中村 功 取材・文/くれい響 ヘアメイク/宮本 愛(yosine.)(森)、速水昭仁(CHUUNi)(奥平) スタイリスト/山口香穂(森)、伊藤省吾(sitor)

『金ロー』スタジオジブリ最新作公開記念!「風の谷のナウシカ」「コクリコ坂から」「もののけ姫」3週連続放送

宮﨑駿監督作品「君たちはどう生きるか」が7月14日(金)に公開されることを記念して、『金曜ロードショー』(日本テレビ系 午後9時~)では3週連続でスタジオジブリ作品を放送。7月7日(金)は「風の谷のナウシカ」、7月14日(金)は「コクリコ坂から」、7月21日(金)は「もののけ姫」を送る。

『金曜ロードショー』「コクリコ坂から」(c) 2011 高橋千鶴・佐山哲郎・Studio Ghibli・NDHDMT

 

3週連続放送第1夜は、宮﨑駿監督の原点ともいえる作品、1984年公開の「風の谷のナウシカ」。人間にとって毒となる“瘴気”を出す森「腐海」。腐海を巡る大国との争いに巻き込まれながらも、巨大な生物・王蟲たちと心を開こうとする、優しく、強いヒロイン。日本のアニメーションを代表する作品となっている。

 

第2夜は、宮崎吾朗監督作品。少女漫画が原作の青春物語「コクリコ坂から」。横浜のとある高校に通う、16才の少女・海は、歴史ある文化部部室の建物を守ろうとする少年・俊と出会う。ともに活動をするうちに惹かれあう二人に衝撃の運命が…。

 

企画・脚本は宮﨑駿、できた脚本を宮崎吾朗監督が絵コンテに仕上げていく、という形で制作は進められた。舞台になった時代のヒット曲「上を向いて歩こう」が挿入歌として使われており、戦後復興の中、貧しいけれど希望に満ち、みんなが上を向いていた時代が描かれている。

 

第3夜は、宮﨑駿監督渾身の超大作「もののけ姫」。1997年の公開当時、日本映画の興行収入記録を塗り替え、日本だけではなく世界が驚がく、絶賛した圧倒的な大傑作。村を救うも右腕に呪いを受け、村を追われた少年アシタカ。自分の運命を受け入れながら、“もののけ姫”サンとの出会いを通して、森と人が争わずに済む方法を模索し続ける。

 

また、1997年から2009年まで金曜ロードショーを飾った、撮影技師のキャラクター「フライデーおじさん」のオープニングが復活。「もののけ姫」制作中の1997年。忙しい中、宮﨑駿監督が描いてくれたのがカメラを回す撮影技師のおじさんの絵。これを映像化したのが、「耳をすませば」の監督を務めた近藤喜文。さらに久石譲が「Cinema Nostalgia」という曲をつけ、誕生した。実は「フライデーおじさん」という名前が付いたのは、2021年とごく最近。名付け親は宮﨑駿監督。そんな「フライデーおじさん」が映画を届ける。

 

1985年に始まった『金曜ロードショー』。翌86年には「風の谷のナウシカ」を『金曜ロードショー』として初放送し、これまで200回以上にわたってスタジオジブリ作品を放映してきた。そしてこの夏、『金曜ロードショー』とスタジオジブリがともに歩んだ軌跡をたどる企画展が開催される。

 

放送された時代ごとの記憶と記録を通じてジブリ作品の魅力に迫るほか、昭和から平成、令和へ、その時代ごとの世相を掘り起こすことで、作品の持つ時代性と普遍性を浮かび上がらせる。また、「風の谷のナウシカ」に登場する“腐海”を表現した空間にも入り込むことができたりと、ジブリ作品の世界観を楽しむことができる。東京展は、6月29日(木)から開催。チケットも好評発売中。

 

イベント情報

「金曜ロードショーとジブリ展」

 

■東京展

公式サイト:https://kinro-ghibli.com/(チケット発売中)※日時指定

日程:2023年6月29日(木)~9月24日(日)

会場:天王洲・寺田倉庫 B&C HALL/E HALL

 

主催:日本テレビ/ローソンチケット/ディスクガレージ/第一通信社/ TOKYO FM

特別協賛:au(KDDI 株式会社)

特別協力:スタジオジブリ

協賛:寺田倉庫/図書印刷

 

■富山展※チケットなど、詳細は後日発表

日程:2023年10月7日(土)~2024年1月28日(日)

会場:富山県美術館

 

主催:富山県、金曜ロードショーとジブリ展富山展実行委員会

(富山県美術館、北日本放送、北日本新聞社)

 

番組情報

『金曜ロードショー』

「風の谷のナウシカ」

日本テレビ系

2023年7月7日(金)午後9時~11時24分

 

「コクリコ坂から」

日本テレビ系

2023年7月14日(金)午後9時~10時54分

※サッカー中継のため最大15分、放送開始時間が繰り下がる可能性あり

 

「もののけ姫」

日本テレビ系

2023年7月21日(金)午後9時~11時44分

 

(c) 1984 Studio Ghibli・H

(c) 2011 高橋千鶴・佐山哲郎・Studio Ghibli・NDHDMT

(c) 1997 Studio Ghibli・ND

當真あみ「広瀬すずさんが目の前でずっと私のお芝居に付き合ってくださって、とても感謝しています」映画『水は海に向って流れる』

6月9日(金)より公開される広瀬すずさん主演映画『水は海に向かって流れる』に出演する當真あみさん。役どころは、広瀬さん演じる榊と同じシェアハウスで暮らす同級生の直達(大西利空)に思いを寄せ、榊に対抗心を燃やす高校生の楓役だ。昨今、主人公の声の吹替を担当したアニメ『かがみの孤城』をはじめ、大河ドラマ「どうする家康」(NHK総合ほか)など出演作が相次ぐ業界注目の彼女に、初めての長編実写映画出演となる『水は海に向かって流れる』の思い出を振り返ってもらった。

 

當真あみ●とうま・あみ…2006年11月2日生まれ。沖縄県出身。2020年10月にスカウトされ、2021年7月にCMデビュー。「カルピスウォーター」の14代目CMキャラクターに起用される。主な出演作にドラマ「妻、小学生になる。」「オールドルーキー」「GetReady!」『パパとなっちゃんのお弁当』、アニメ映画「かがみの孤城」(声の出演)など。今後の出演作に映画「忌怪島/きかいじま」(6月16日(金)公開)がある。Instagram

【當真あみさん撮り下ろし写真】

楓を演じるときは、普段の自分とは違うことを意識して、スイッチを入れるように

──今回演じられた楓は、前田哲監督との面接で決まったそうですが、監督とはどのようなお話をされたのですか?

 

當真 おととしの夏、まだ中学3年生だった時に、東京で初めて前田監督とお会いするということで、すごく緊張していました。そのときは、かしこまった話というよりは学校の話など、雑談をしていたのを覚えています。あと、前田監督からは「芯が強そうに見える」と言われたんですが、そこが楓ちゃんと似ていたというのは、後になって知りました。

 

──初めての長編実写映画出演が決まったときの感想は? また、本作が初めての本格的な演技だとのことですが、いかがでしたか?

 

當真 すごく嬉しかったです。それと同じくらい「自分は本当にお芝居ができるんだろうか?」という不安な気持ちがありました。だから、原作マンガをしっかり読みました。あと、撮影が始まる前に、前田監督が大西(利空)くんと一緒に読み合わせしたり、役について考えたり、リハーサルしたりする場を与えてくれたので、そこでも一生懸命頑張りました。

 

──當真さんは、楓がどのような女の子だと思いましたか?

 

當真 私の中では、楓ちゃんは素直で強い女の子だなと思いました。それで自分の気持ちに真っすぐなので、榊さん(広瀬すず)や直達くん(大西利空)にちゃんと伝えられるし、すぐに行動に移せる。どちらかと言えば、私はアニメ『かがみの孤城』で演じたこころちゃんに近くて、ちょっと内気な性格なので、うらやましいです。演じるときも、普段の自分とは違うことを意識して、スイッチを入れるようにしました。

 

よく見ていた俳優さんたちが目の前にいるということで、ずっと緊張していました

──楓は陸上部部員という設定で、當真さんはドラマ「オールドルーキー」ではフェンシング選手を演じられました。運動は得意ですか?

 

當真 運動はすごく得意なわけではないですが、苦手な方でもないです。楓ちゃんは陸上部の設定なので、フォームや走り方を習って練習しました。ただ、本番では走るのに集中しすぎてしまって……。ちゃんとできていたかどうか、完成した映画を観るまで不安でした。

 

──撮影現場の印象はいかがでしたか?

 

當真 初めて本格的な演技ということ以外にも、よくTVや映画で見ていた俳優さんたちが目の前にいるということで、ずっと緊張していました。そのため、休憩時間は皆さんのお話を聞いていることが多かったです。雑談や日常の会話をされていて、とても和やかな雰囲気でした。私は大西くんと同じシーンが多いですし、同い年なので、お互いの学校の話など、リラックスして、一番多く話したと思います。

 

──広瀬さんや高良健吾さんらが集うシェアハウスでのエピソードを教えてください。

 

當真 映画の中で榊さんが作ってくれる手料理を、私は食べられなかったんです。あとで「おいしかった」というお話を聞いたので、私も近くで見たかったし、ポテトサラダとか食べたかったです(笑)。あと、自分の出番がない長めの空き時間には、シェアハウスの二階で、映画に出てくる猫のムーちゃんと一緒に、ねこじゃらしで遊んでいました。普段ペットを飼っていないので、とても楽しかったです。

 

素直に気持ちをぶつけるシーンは難しかった

──大変だったシーンを教えてください。

 

當真 素直に気持ちをぶつけるシーンは難しかったです。「とにかく、やりきらなきゃ!」とう気持ちもありましたし、特に榊さんとのシーンは何回も何回もテイクを重ねました。榊さんと楓ちゃんの設定上、私の方から広瀬さんにぶつかりにいかないといけないので、緊張と怖さ、もどかしさでいっぱいでした。でも、前田監督も広瀬さんも、目の前でずっと私のお芝居に付き合ってくださって、とても感謝しています。

 

──改めて、當真さんにとって、どのような現場だったと思いますか?

 

當真 スタッフさんもキャストさんも気軽に声をかけてくださったり、場を和ませてくれたり、温かくて和気あいあいとした現場だったと思います。そのおかげで、撮影後半にいくにつれて、リラックスして演技できました。私は楓ちゃんと性格が逆なので、今までやったことのない経験ができましたし、普段の生活の中でも「しっかりしないと!」と意識してみたり、いろいろと勉強なりました。

 

その役を通してでしか経験できないこと、その役をやるからこそできることに気づけて楽しい

──本作後に撮影された『忌怪島/きかいじま』も間もなく公開されます。

 

當真 『水は海に向かって流れる』の後に、ドラマの現場も経験して『忌怪島』の現場に入ったので、少しは緊張が解けているような気がしました。ホラー映画なので、ほかの作品と雰囲気がぜんぜん違いますし、私の中では「叫ぶ」イメージがあったので、ほかのホラー作品を観て、女優さんの叫ぶ表情とかタイミングを研究しました。

 

──現在、亀姫役で大河ドラマ「どうする家康」に出演されるなど、多忙な日々を送られていると思います。周囲の反応・反響はいかがですか?

 

當真 毎日が大変とか忙しいというよりは、自分にはない要素を持った役を演じるときの難しさに気づかされています。でも、その役を通してでしか経験できないこと、その役をやるからこそできることに気づけて楽しいです。家族や友だちから頻繁に連絡が来ることで、「みんな見てくれているんだなぁ」って実感しています。あとは、たまにSNSで自分のアカウントに来るメッセージとか読むことで、「嬉しいなぁ」と思っています。

 

──今後の目標や展望について教えてください。

 

當真 今、活躍されている俳優さんの多くが経験されている学園ドラマに出演したいです。あとは、高校を卒業してからになると思いますが、将来的に例えば『ハケンアニメ』のような、いろんなお仕事をしている役に憧れがあります。

 

──現場に必ず持っていくモノやアイテムを教えてください。

 

當真 あまり意識していないのですが、大きいバッグとは別に、お仕事のときは台本とお水だけを入れるためのトートバックを持っていきます。今使っているのは、『忌怪島』の撮影で奄美大島に行ったとき、お休みの日に自分で泥染めをして作ったものです。あと、お仕事以外でもなんですが、モバイルバッテリーはないと安心できないみたいで、ときどき大きなカバンの方に2つ入っていることもあるんです(笑)。

 

 

(C)2023 映画「水は海に向かって流れる」製作委員会(C)田島列島/講談社

水は海に向かって流れる

6月9日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー

【映画「水は海に向って流れる」よりシーン写真】

(STAFF&CAST)
監督:前田 哲
原作:田島列島「水は海に向かって流れる」(講談社「少年マガジン KCDX」刊)
脚本:大島里美
主題歌:スピッツ「ときめきPart1」(Polydor Records)
出演:広瀬すず
大西利空、高良健吾、戸塚純貴、當真あみ/勝村政信
北村有起哉、坂井真紀、生瀬勝久

(STORY)
通学のため、叔父・茂道(高良)の家に居候することになった高校生の直達(大西)。だが、どしゃぶりの雨の中、最寄りの駅に迎えにきたのは見知らぬ大人の女性、榊 (広瀬)だった。案内されたのはまさかのシェアハウス。いつも不機嫌そうにしているが、気まぐれにおいしいご飯を振る舞う26 歳の OL ・榊をはじめ、脱サラしたマンガ家の茂道(通称:ニゲミチ先生)、女装の占い師・泉谷(戸塚)、海外を放浪する大学教授・成瀬(生瀬)と、いずれも曲者揃い、さらには、拾った猫ミスタームーンライト(愛称:ムー)をきっかけにシェアハウスを訪れるようになった直達の同級生で泉谷の妹・楓(當真)も混ざり、想定外の共同生活が始まっていく。そして、日々を淡々と過ごす榊に淡い想いを抱き始める直達だったが、「恋愛はしない」と宣言する彼女との間には、過去に思いも寄らぬ因縁が……。榊が恋愛を止めてしまった《本当の理由》とは……?

(C)2023 映画「水は海に向かって流れる」製作委員会(C)田島列島/講談社

 

撮影/映美 取材・文/くれい響