収納しながら魅せる「ニッチ収納」を賃貸住宅でも! 取り入れるコツとおすすめアイテム

「ここにちょっとした棚があったら……」「殺風景な壁にアクセントがほしい ……」など、住み始めてから生まれる、収納や壁への要望を叶える方法として、昨今、注目を集めているのが「ニッチ収納」です。本来、ニッチ収納は新築やリノベ物件の設計段階で取り入れるものですが、賃貸住宅住まいで「収納を増やしたい!」という人も多いはず。

 

そこで今回は、建物自体には手を加えずにできる「ニッチ“風”収納」をご紹介します。教えてくださったのは、顧客の潜在的な悩みを解消する内装デザインとインテリアコーディネートの提案力に定評のある、インテリアコーディネーターの祐紀子(ゆきこ)さんです。

 

収納力を上げながら魅せる!
ニッチ収納とは?

はじめに、ニッチ収納とはどういった収納なのか、その特徴やメリットをみていきましょう。

 

「ニッチ収納とは、壁の厚みを利用してつくる収納スペースや飾り棚のことです。壁の内部には水道管や配線が通っていますが、デッドスペースになっていることも多く、そうした空間を有効活用しようという発想から生まれた収納方法です。
とくに部屋を仕切っている壁は、構造上、くぼませて収納スペースを作ることが可能な場合が多くあります」(インテリアコーディネーター・祐紀子さん、以下同)

↑写真のように壁を四角くくり抜いたものから、上部がアーチ状になったもの、棚板を渡したものなど、形はさまざま。「施主様の好みが反映される箇所でもあります」とのこと

 

「空間を有効活用することができ、モノを置くスペースが増えて暮らしやすさが向上する、部屋のインテリア性が高まるという2つのメリットを得られます。私がインテリアを担当しているお客様のなかにも、“ニッチ収納”を希望される方がここ数年、増えているんですよ」

 

賃貸でも今すぐ実践できる!
ニッチ“風”収納実例集

「ニッチ収納」の魅力がわかったところで、賃貸住宅でも取り入れられる「ニッチ“風”収納」を、実例を交えながらご紹介します。

 

[実例1]デザイン性のあるウォールシェルフで自分らしさを演出

「上の画像は、キッチンからダイニングに続く殺風景な壁に、簡単に取り付けられるウォールシェルフを設置した例です。そこにお気に入りの植物や小物を飾れば、空間がぐっと華やかになり、自分らしい部屋づくりが楽しめます」

 

ディスプレイに初めて挑戦する場合、「センスに自信がないし……」と悩んでしまう人もいるかもしれません。小物をおしゃれに飾るには、何かコツがあるのでしょうか。

 

「まず、棚選びにもこだわりましょう。おすすめは、今回の段違いのデザインの棚のように、遊び心のあるデザインの棚を選ぶことです。
アイテムを並べるときは、所狭しと並べるのではなく、空間に余裕を持たせること。頭で考えるよりも、実際に手を動かしてさまざまな配置を試したほうが、しっくりとくる構図が見つかりますよ」

 

[ディスプレイのワンポイントアドバイス]
・見せたくないものは、飾れるボックスに入れて収納する
・小さい雑貨類は、同じ種類のものを選んだり、高さや色味を揃えると統一感が生まれる
・植物を取り入れ、葉を上から垂らすなどして動きを加える

 

[実例での使用アイテム]

イケア「LINDÅSEN/リンドーセン ディスプレイシェルフ
3999円

 

棚の側面がデザインとしても効いたアート風シェルフ
「段違いの棚を取り入れた、遊び心のあるデザイン。単体はもちろん、2つ用意して、高さを少しずらして並べたり、それぞれのシェルフに同じ小物を配置しストーリー性を持たせたりしてもいいでしょう。奥行きが13 cmとコンパクトで動線を邪魔せず、それでいて小物を置くのに十分なスペースを確保できます。写真のように、キッチンに置いて調味料を置くのもおすすめです」

[その他のおすすめアイテム]

アイワ金属「WIRE SHELF Short ホワイト
オープン価格

 

ワイヤー素材による抜け感と豊富なサイズ展開が魅力
「石膏ボードの壁にも簡単に取り付けられるウォール収納。奥行きは15㎝、ミニ、ショート、ロングの3種類あり、設置場所に合わせて最適なサイズを選べます。工具不要で手軽に取り付けられるので、ウォール収納初心者にもぴったり。お気に入りの小物を並べたり、タオルや洗剤を置いたりと、気軽に使いたいものを収納してみましょう」

 

FLYMEe「WALLIE WALL DRAWER
4万4000円~4万7300円

※価格はカラーによって異なる

 

脱生活感! 木と金属を組み合わせたシックな掛け小物置き
「先ほど、見せたくないものを小物入れに隠して飾る方法をご紹介しましたが、こちらは小物入れが一体化したニッチ風収納です。曲げ加工された木材とブラックメタルの組み合わせが美しく、お部屋をエレガントに演出してくれます」

 

[実例2]ミラーと小物置きを一体化させ、玄関周りを使いやすく

「お客様から特によくいただくご要望が、カギ置き場のコーディネートです。カギは、小さいため、どこに置いたかわからなくなりやすく、それでいてすぐに取り出せないと困るアイテム。そんなカギの収納におすすめなのが、小物を置けるウォールミラーです。
カギを置けるだけでなく、出かける前に身だしなみをチェックできるのもメリット。リップクリームなど、外出時に必要なアイテムをまとめて置くのもよいでしょう」

 

[実例での使用アイテム]

クラッシュゲート「ジャッカル ミラー 550
3万800円

 

インダストリアルな雰囲気がクールなシェルフ付きミラー
「小物置きが付いた、壁掛けタイプのミラーです。棚の奥行き(鏡部分も含む)が14.5cmあり、ハンドクリームやミニ観葉植物などちょっとした小物を置けます。玄関はもちろん、寝室に設置してドレッサー代わりに使うのもおすすめです。スチールバーを曲げた無骨なフレームと古材が小慣れた雰囲気を演出してくれますよ」

 

壁がなければ間仕切りを
DIYしてニッチ収納に

祐紀子さんは、「思いきって間仕切りをDIYして、そこに収納を作るのも一つの方法」だと言います。

 

「市販のアジャスターを使えば、本棚を組み立てる感覚で簡単に間仕切りを設置できます。もちろん、壁や床を傷つけないので、退去時に原状回復も可能。次の写真のように有孔ボードを活用すれば、吊るしたり掛けたりと収納方法も広がり、用途に合わせたお部屋づくりを楽しめます

↑写真はラブリコの「2×4アジャスター」で、柱を3本立て、有孔ボードで仕切りを作成

 

アジャスターのなかでも祐紀子さんのおすすめは、平安伸銅工業の「ラブリコ」シリーズだそうです。

 

「ラブリコは、部屋に間仕切りを作りたいときはもちろん、ちょっとしたくぼみに大きめの棚を設置したいときなどにも便利なシリーズです。1×4、2×4、2×6と棚柱に使う木材に合わせて3サイズから選べます」

ラブリコ「2×4アジャスター
オープン価格
色展開:オフホワイト、ブロンズ、 ヴィンテージ グリーン、マットブラック、モーヴピンク

 

ラブリコ「1×4 アジャスター
オープン価格
色展開:オフホワイト、ブロンズ、 ヴィンテージ グリーン

 

「アジャスターに加えて、柱や棚受けを別途用意する必要はありますが、ゆるみ防止のバネが内蔵されているので、天井と床にしっかりと固定でき、衝撃にも強く安心して使用できます。アジャスターの色も豊富ですし、木材の色とあわせて好みの色を選べば、より自分らしく空間を演出できますよ」

壁のくぼみや壁の空いたスペースにお気に入りの小物を飾ったり、キッチン周りの壁にスパイスを置いたりすることで、「生活がより快適になり、家がさらに好きになる」と語る祐紀子さん。この機会に、「収納があると便利だな」と思っていた場所を、ニッチ収納に変えてみてはいかがでしょうか。

 

Profile

内装デザイナー・インテリアコーディネーター / 祐紀子

リノベ会社やデベロッパー、ハウスメーカーにて10年以上の経験を積む。戸建て、マンション、新築、モデルルーム、レンタルスペース、オフィス空間など、多岐に渡るプロジェクトで内装デザイナー・インテリアコーディネーターとして活躍。空間プランニングから予算に応じた家具の提案から設置などトータルコーディネートを提供。施主自身が気づかない困りごとや要望にも気づく、希望を超えた提案が評判。
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マンネリ化した“塩系”インテリアを甦らせる方法をインテリアのプロが提案

2015年頃にブームとなった、最低限の所持品だけで暮らす「ミニマリズム」。それ以降、全体的にシンプルなトーンのインテリアが人気スタイルの筆頭になりました。一方で、なかには「マンネリ化してしまった」「もう少し遊び心を加えたい」と感じている人もいるでしょう。

 

シンプルな部屋に上手にアクセントを加えて“自分らしさ”を演出するコツを、インテリアスタイリストの遠藤慎也さんに教えていただきました。

 

“ミニマリズム”や“シンプルテイスト”はどうなった?
最新のインテリアトレンド

 

無駄を削ぎ落とし徹底的にシンプルスタイルにこだわる“ミニマリズム”。インテリアスタイルとしてもすでに定番の一つとして認知されていますが、現在でもトレンドなのでしょうか?

 

「ミニマルなインテリアは、“北欧モダン”や、和風と北欧風が融合したテイストの“ジャパンディ”といった、人気のあるスタイルのベースになっています。とはいえ最近の傾向を見ていると、単純にシンプルな要素ばかりをインテリアに取り入れているわけではなさそうです。

 

具体的には、シンプルな部屋にペールトーンのオレンジやイエローといった暖色系のカラーを使ったり、鉄や木などの素材をミックスしたアイテムを取り入れることが多いようです。デンマーク発の『HAY(ヘイ)』や『AUDO COPENHAGEN(オドー・コペンハーゲン)』といった北欧ブランドのアイテムがイメージに近いのではないでしょうか」(インテリアスタイリスト・遠藤慎也さん、以下同)

 

インテリアのトレンドは一概に語れませんが、色味や素材でアクセントとなるようなアイテムを取り入れるのが最新トレンドといえそうです。

 

インテリアのマンネリは“立体感”で解消できる

もし、シンプルなトーンの部屋に物足りなさを感じるなら、いったいなにが要因になっているのでしょうか?

 

「その原因は、『立体感がなく、メリハリに欠ける』といったところにありそうです。例えば、壁やベッドなど部屋の多くの面積を占めている部分が単色で統一されていたり、家具類の高さが低かったりすると、陰影が付かず、全体的にのっぺりとした印象になりがちです」

 

とはいえ、大物の家具を買い替えたり買い足したりするのは、それなりに出費がかさむためハードルが高いもの。そこで今回は、アクセントとなる小物をインテリアに加えることで印象を変える方法を教えていただきました。まずはアクセントとして取り入れやすいアイテムと、取り入れるときのコツを解説。

 

取り入れやすいアイテム 3

1. “面”となるファブリック

「カーテンやベッドカバー、ラグなど、ファブリック系のテイストを変えると、部屋の印象はがらっと変わる」と遠藤さん。

 

「とくにカーテンやベッド、ラグは、大きな“面”で見える部分なので、そこに柄や色があるものを取り入れたり、素材感を変えてみましょう。手に取りやすい価格帯の商品も多いので、もし失敗したり違和感を感じても簡単に取り替えられるしチャレンジしやすいのではないでしょうか」

 

2.クッションなど小物類

「照明やクッション、壁掛け用のインテリアアートなどを、アクセントとして取り入れてもいいでしょう。とくにクッションはおすすめです。自分の好きな色や柄のカバーを選んで、ソファやベッドに置くだけで、空間に彩りを与えてくれます」

 

3.観葉植物

「グリーン自体がアクセントカラーになるので、観葉植物もいいですね。変わった素材や柄を用いた鉢カバーがいろいろあるので、自分の好きなテイストのものを選べば、アクセントとしてより取り入れやすいと思います」

 

取り入れるときのコツ 2

1.部屋に立体感を出すアイテムを選ぶ

「部屋にメリハリをつけるために、背の高いフロアライトを設置する、壁掛け用のインテリアアートを壁に飾るといった方法で立体感を出すのがおすすめです。こうしたアイテムを設置することで部屋に陰影をつけ、厚みや立体感を出してみるといいでしょう」

 

2.同系のテイストやカラーのアイテムを数点取り入れる

「シンプルな部屋に、アクセントとなるアイテムを1つだけ置くと、浮いてしまう可能性があります。とはいえ逆にたくさん置いてしまうとアクセントの効果が得られません。同じようなテイストや色合いのものを2〜3点一緒に置くといいでしょう。効果的ですし、部屋にも違和感なく馴染みます」

 

インテリアスタイル別にアドバイス
“遊び心”を取り入れたコーディネート

ミニマルなインテリアでもベースカラーはいくつかあり、似合うアイテムも異なります。続いて、部屋のトーンごとにアクセントとなるアイテムの取り入れ方と、具体的なおすすめアイテムを教えていただきました。

 

■ 白基調の部屋には

「白ベースですっきりとした部屋なら、壁に好きな柄や色のアートを飾ると、部屋の印象が際立つでしょう。ベッドも白で統一しているなら、色や素材が異なるベッドカバーに交換したり、ベッドスロー(掛け布団の上に掛ける細長い形状のファブリックのこと)を掛けてあげたりすれば、違和感なくアクセントを加えられるはずです」

 

・壁にアートフレームを飾る
・ベッドカバーにアクセントカラーを取り入れる
・ベッドカバーに異素材を取り入れる
・アクセントとなるベッドスローを掛ける

 

「もしスペースに余裕があるなら、壁際に背が高めのフロアライトを設置してもいいでしょう。照明がともれば部屋にほどよい陰影を作ってくれます。メインの照明以外に、間接照明は1つ置くことをおすすめします」

 

・背が高いフロアライトを置く

インターフォルム「Oskuフロアライト」
3万4870円(税込・電球は含まない)

 

支柱はアイアン、シェードは布地と、異素材を組み合わせたモダンなフロアライト。ユニークなデザインのシェードから放たれる温かい光が、部屋に柔らかい陰影を作り、空間に奥行きを生み出します。

 

■ グレー基調の部屋には

 

「色はグレーに統一したままで、柄をプラスしてみましょう。もっとも取り入れやすいのは、クッションやアートです。グレーベースのもので、気に入った絵柄のものを置いたり飾ったりすれば、同じグレーの中にあってもアクセントとして際立ちそうです」

 

・グレーを基調とした柄ものをプラス

イケア
「SVARTHÖ/スヴァールトー クッションカバー」1999円
「KUSTFLY/クストフリー クッションカバー」1299円
「GULDFLY/グルドフリィ クッションカバー」1999円(すべて税込)

 

それぞれ柄の異なるグレーベースのクッションカバー。いくつかセットで揃えれば、遊び心のある柄でも気軽に挑戦できて、違和感なくアクセントを加えられそう。

 

■ ベージュ、ブラウン基調の部屋には

 

「ベージュやブラウンなどを基調としたナチュラルテイストな部屋なら、観葉植物のグリーンが差し色となって、よいアクセントになってくれるでしょう。また、天井の高さに余裕がある部屋なら、照明をペンダントライトにしたり、天井から吊るして飾るモビールをアクセントとして取り入れてもいいですね。空間に厚みが出て、物足りなさを解消できると思います」

 

・観葉植物を差し色に使う
・照明をペンダントライトにする
・モビールを吊るす

 

Tempo「satellite」
1万1000円(税込)

 

惑星の輪のような、遊び心のあるデザインの木製モビール。風をとらえ、部屋のなかでゆらゆらと揺れる姿は、さりげないアクセントとして目を引きそうです。

 

 

アイテムの選び方一つで、シンプルな部屋を引き立ててくれそうです。まずは手軽な小物から取り入れて、インテリアに変化を加えてみましょう。

 

 

Profile

インテリアスタイリスト / 遠藤慎也

株式会社BOOTSYORK代表。雑誌、カタログ、広告、ウェブメディア、CMなどの撮影現場でのインテリアスタイリングのほか、住宅展示場や商業施設のウィンドウディスプレイ、VMD・レストランの内装などのインテリアコーディネートも手掛ける。趣味のひとつでもあるキャンプからのインスピレーションを元に作り上げる、実体験に基づいたアウトドアシーンも提案。
BOOTSYORK.style

ブラインドのメリット・デメリットは?賃貸物件でも設置できるブラインドと、測定からの設置手順

部屋で大きな面積を占める窓周りは、インテリア次第で全体の印象がガラリと変わります。窓を覆うものといえばカーテンが一般的ですが、スタイリッシュな空間に憧れて、ブラインドを検討する人も多いのではないでしょうか。とはいえ、ブラインドは幅サイズが決まっていたり、賃貸物件では取り付けが難しいものも多かったりするのがネック。

 

窓装飾プランナーとして活躍する小松装飾代表の百瀬純子さんに、ブラインドのメリット・デメリットなど基本的な知識と、賃貸物件でも取り付けられるアイテム選び、さらに掃除方法について教えていただきました。

 

部屋がシャープな印象に。
ブラインドのメリット・デメリットとトレンド

憧れのブラインドというと、木製のウッドブラインドが思い浮かびますが……?

 

「木製ブラインドは、住まいによく使われていますね。最近はこの木製ブラインドにも、定番の茶系や白以外に、流行りの色が豊富に取り揃えられるようになりました。例えば、カラフルなダスティブルーやあえてアンティーク調の風合いを演出した、くすみ色などがあります。また、スラット(ブラインドの羽根)を束ねるテープの色も豊富になりました。アクセントとしてスラットとは異なる色のテープをあえて選んだり、ラグの色と合わせたりと、カラーコーディネートを楽しむことも広まりつつあります」(窓装飾プランナー・小松装飾代表 百瀬純子さん、以下同)

 

ブラインドには次のようなメリットとデメリットがあります。

 

【メリット】洗練された空間づくりから換気のしやすさまで

1.空間をスタイリッシュに演出する

「ブラインドは直線で構成されたデザインのため、お部屋をすっきりと洗練された印象にしてくれます。また、カラーバリエーションが豊富なので、どんな部屋にも合う色を見つけることができるでしょう。リモートワークが普及した昨今では、ブラインドをビデオ会議の背景にアクセントとして取り入れるのもおすすめですよ」

 

2.日差しや視線をコントロールできる

「スラットの角度を動かすことで、光を調整することができるのは大きなメリットです。とくに西日の入る部屋ではこのメリットを実感することができるのではないでしょうか。水平にスラットのある『ベネシャンブラインド』は上から入る光を、垂直のスラットのある『バーチカルブラインド』は横から入る光をコントロールすることができます。
また、外からの視線を遮る効果も。ベネシャンブラインドであれば、隣家や外部からの視線を、角度をつけることで遮ることができます。日光を取り入れながらもプライバシーを守ることができるのは、ブラインドならではの良さですね」

 

3.下ろしたままでも換気できる

「スラットを窓に対して垂直に調整することにより、ブラインドを下ろした状態でも外からの外気を取り込むことができます」

 

4.キッチンやバスルームなど水まわりにも使える

「布製のカーテンはカビが生えやすいため、湿度の高い場所では不向きです。そこで、各メーカーでは耐水性・耐湿性にとみ、防錆処理をしたパーツを使用したブラインドを揃えています。バスルームはとくに湿度が高くなる場所で、部品によっては錆びてしまう可能性もあるので、そのようなアイテムを選ぶようにしましょう」

 

【デメリット】ホコリの溜まりやすさや大きな音がネックに…

1.床まである掃き出し窓の場合は出入りがしにくい

「サイズの大きなブラインドは重みもあるため、上げ下げがたいへんで煩わしく感じることも。そのため、床まである窓にはあまり適していません。ベランダや庭に出る回数が多い窓には、この点に注意してブラインドの採用を検討いただくといいでしょう」

 

2.スラットにホコリが溜まりやすい

「ベネシャンブラインドは水平にスラットが並んでいるため、こまめに手入れをしないと、ホコリが溜まりやすくなります。アルミ製のブラインドの場合はスラットが鋭利なこともあり、掃除のときにケガをしないように注意が必要です」

 

3.遮光性・断熱性に欠ける

「スラット同士の間に隙間があったり、スラットにはコードを通す穴が開いているため、完全に光を遮ることや外からの冷気を断熱することはできません。寝室など、しっかりと暗くしたい空間での使用は検討が必要です」

 

4.窓枠にあたることで大きな音が出やすい

「風の強い日にブラインドを下げたまま窓を開けておくと、風でブラインドが揺れ、窓枠にあたると大きな音が出ます。多少の風であれば、スラットを床に対し水平にすることで解決しますが、強風の日にはブラインドを完全に上げきるか、窓を閉めるようにしてください」

 

5.木製ブラインドやバーチカルブラインドは壁や窓枠に穴を開ける必要性がある

「木製ブラインドやバーチカルブラインドは重いので、ビスを使ってブラケット(取付金具)で固定するのが一般的です。賃貸住宅の場合は、壁に穴を開けられないケースが多く、導入は難しいでしょう。アルミブラインドであれば、オプションパーツを使うことによりカーテンレールにブラインドを取り付けることが可能です」

 

日常的に行えば意外と簡単!
ブラインドのお手入れ方法

「ホコリの溜まりやすいブラインドは、定期的にお掃除することをおすすめします」と百瀬さん。続いて、ブラインドのお手入れ方法についても教えていただきました。

 

日常的な掃除方法

「毎日の掃除では、はたきやハンディモップを使いさっさと払うようにしましょう。この作業をするだけでもホコリを溜め込まずに済みます。日頃こまめに行っているだけでも手入れがグンと楽になります」

 

念入りな掃除方法

「1年に1-2回ほどは、スラット一枚一枚をていねいに拭き取りましょう。100円ショップでも柄の付いたブラインド用の掃除道具などが売られていますが、私は手で触れて細かなところまで拭くことができる軍手やマイクロファイバー素材の手袋をおすすめしています。幅の広いスラットの場合は、上向き、下向きに完全にスラットを閉め一面にした状態で、雑巾で拭き取るだけでもじゅうぶんきれいになります」

 

賃貸でも取り付ける方法と
サイズオーダーの基礎知識

写真提供=株式会社ニチベイ

 

ここでは賃貸物件でも取り付けられる方法と、窓の大きさにあった寸法の測り方を紹介します。

 

「賃貸物件に取り付けるのであれば、カーテンレールに取り付ける方法がおすすめです。この方法であれば、壁に穴を開けることなくブラインドを取り入れることができます。注意して欲しいのが、アイテムは軽いアルミブラインドを選ぶこと。木製ブラインドやバーチカルブラインドは重みがあるので、カーテンレールへの取り付けは基本的にはできません。最近ではアルミブラインドにもさまざまな色や質感が揃っているので、インテリアにもなじみます」

 

カーテンレールへの取り付け方法

写真提供=株式会社ニチベイ

 

「カーテンレールに取り付ける際には、まずカーテンレールから両脇にあるキャップを外し、ランナーをすべて取り出します。そして、カーテンレールに上の画像のような取り付けナットを入れ、取り付けナットの下よりブラケットを押し当ててネジで固定。あとは、ブラケットにブラインドを付け、カチッと音がしたら取り付け完了です。
賃貸物件の場合、ランナーは退去時に戻さないといけませんので、忘れずに保管しておいてくださいね」

 

写真提供=株式会社ニチベイ

 

カーテンレールに取り付ける場合の採寸のポイント

続いて、ブラインドを取り付ける際の採寸のポイントを教えていただきました。

 

写真提供=株式会社ニチベイ

1.幅を測る

「窓枠外側の幅サイズを測ります。隙間や光の漏れが気になるようであれば窓枠の寸法よりも左右3cm〜5cm程度大きくすることをおすすめします」

 

2.高さを測る

「カーテンレールのブラケットから窓枠下端の高さサイズを測ります。隙間や光の漏れが気になるようであれば、窓枠の寸法よりも3cm〜5cm程度大きくすることをおすすめします。床まである掃き出し窓の場合、床にブラインドがあたることを考え、マイナス1cm程度短くすることをおすすめします」

 

「お部屋により、窓の近くや窓のある場所に干渉する家具や家電がある場合など、採寸に困ったときは、販売元にご相談してみてください。プロの視点から必要なサイズを提案してもらえますよ」

 

窓装飾プランナーが紹介する
賃貸でも使えるブラインド 6選

最後に、賃貸物件でも取り付け可能なブラインドを百瀬さんにおすすめしていただきました。

 

■ カーテンレールに取り付けるタイプ

1.インテリアに馴染む木目調のアルミブラインド

ニチベイ「セレーノグランツ25・35」
参考価格3万1,300円(税・梱包輸送費別)※幅1800mm×高さ1800mm、スラット35mmの場合

「木目調のプリントでアルミブラインドでありながら温かみのある印象です。従来のアルミブラインドはスラット幅25mmが主流でしたが、こちらのシリーズではスラット幅を25mm、35mmと幅広いタイプを選べます。木製ブラインドの幅が広いものが多いため、35mm幅を選べばより木製ブラインドに雰囲気を近づけることができ、ぐっとおしゃれな印象になるでしょう」

 

2.窓枠にあたる音を気にせずにブラインドを下げられる

タチカワブラインド「パーフェクトシルキー」
参考価格3万3,800円〜(税抜)※幅1800mm×高さ1800mm、ベーシックカラーの場合

「一般的なブラインドを下げるときに窓枠にあたるとガシャンと大きな音が出てしまうのですが、こちらは減速降下機能が搭載されているので音を気にせず下げることができます。また、スラットにコードを通す穴がないので、光の漏れを防ぎ、寝室での使用にも適しています。万が一、スラットが折れてしまった場合も、コードを外すことなく手軽に交換できます」

 

3.光媒体コーティングと防汚・抗菌、消臭機能で清潔に使える

TOSO「一般窓用ワンポールタイプ ベネアル25・15(光触媒遮熱シリーズ)」
参考価格2万9,400円〜(税込)※幅1800mm×高さ1800mmの場合

「ブラインドを操作する紐がループ状ではなく、1本の棒状になっているので、握りやすく操作性の良さが特徴。さらに、光触媒コーティングにより、室内の照明の明かりで臭いや汚れを酸化分解します。また、抗菌・消臭効果がある優れもの。遮熱機能付きなので、省エネで電気代節約にも貢献してくれます」

 

■ テンションタイプ

4.ビスいらずで場所を選ばず取り付けられる突っ張りタイプ


ニチベイ「セレーノオアシス25 テンションタイプ」
参考価格2万9,900円(税・梱包輸送費別)※幅1800mm×高さ1800mmの場合」

「窓枠の内側にブラケットを貼り付け突っ張る力で固定ができるので、浴室のタイルやカーテンレールのない小窓などに適しています。また、耐水性に優れているため、浴室、洗面所、キッチンなどの水まわりにも気兼ねなく使えます。色展開は200色以上と豊富にそろっているので、お好みのカラーを見つけることができるでしょう」

 

5.水まわりのほか、結露対策にもおすすめ


タチカワブラインド「シルキーアクア ノンビス RDS」
参考価格3万1,700円〜(税抜)※幅1800mm×高さ1800mm、ベーシックカラーの場合

「耐水加工が施されているので、サッとシャワーで流したり、水拭きするだけで掃除が完了します。また、スラットを挟むコードが上と下にあり二重になっていることで、水分によるスラットのくっつきを防いでくれます。結露が多くてお困りの窓には布製のカーテンではなく、防水性に富んだブラインドを検討するといいでしょう」

 

6.お好みの本数を気軽に取り付けられる


ブンカ「ツッパルーバ」
参考価格3,000円〜(税抜 / 1本)

「工具はいっさい不要で簡単に取り付けることができます。1本単位で購入することができるので、必要な本数をカスタマイズできるのもポイントです。スラットが単独で取り付けられているため、上下のスラット同士が連動していないので、窓の上半分で太陽光を遮り、下半分で部屋の下からの視線を遮るなど、目的に合わせて使い分けることができます」

 

洗練されたインテリアにしたい人はもちろんのこと、汚れ防止機能や耐水性能など、部屋の悩みに合わせて窓装飾を整えたい人にもブラインドはおすすめです。賃貸物件でも使えるブラインドのバリエーションが広がり、軽量で機能性にも富んだブラインドも豊富に。すっきりとした快適なお部屋にするために、まずは居室の窓装飾を変えて気分一新してみてはいかがでしょうか。

 

Profile

インテリアコーディネーター・窓装飾プランナー / 百瀬純子

インテリアコーディネーター、窓装飾プランナー、福祉住環境コーディネーター2級、住宅収納スペシャリスト。長野県松本市で先代の父から営む小松装飾を引継ぐ。創業56年、地元のお客様を中心に、全国からカーテン縫製や特殊加工のご依頼を受けている。インテリアコーディネーター・窓装飾プランナーなどの資格を活かし、カーテンに限らない窓装飾の提案から施工までを手掛ける。プライベートでは三姉妹を育て、現在は介護の真っ最中。「楽しく、豊かに、丁寧に」をコンセプトに主婦、子育て、介護の経験を活かしてライフスタイルに合ったご提案を心掛けている。
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ブラインドのメリット・デメリットは?賃貸物件でも設置できるブラインドと、測定からの設置手順

部屋で大きな面積を占める窓周りは、インテリア次第で全体の印象がガラリと変わります。窓を覆うものといえばカーテンが一般的ですが、スタイリッシュな空間に憧れて、ブラインドを検討する人も多いのではないでしょうか。とはいえ、ブラインドは幅サイズが決まっていたり、賃貸物件では取り付けが難しいものも多かったりするのがネック。

 

窓装飾プランナーとして活躍する小松装飾代表の百瀬純子さんに、ブラインドのメリット・デメリットなど基本的な知識と、賃貸物件でも取り付けられるアイテム選び、さらに掃除方法について教えていただきました。

 

部屋がシャープな印象に。
ブラインドのメリット・デメリットとトレンド

憧れのブラインドというと、木製のウッドブラインドが思い浮かびますが……?

 

「木製ブラインドは、住まいによく使われていますね。最近はこの木製ブラインドにも、定番の茶系や白以外に、流行りの色が豊富に取り揃えられるようになりました。例えば、カラフルなダスティブルーやあえてアンティーク調の風合いを演出した、くすみ色などがあります。また、スラット(ブラインドの羽根)を束ねるテープの色も豊富になりました。アクセントとしてスラットとは異なる色のテープをあえて選んだり、ラグの色と合わせたりと、カラーコーディネートを楽しむことも広まりつつあります」(窓装飾プランナー・小松装飾代表 百瀬純子さん、以下同)

 

ブラインドには次のようなメリットとデメリットがあります。

 

【メリット】洗練された空間づくりから換気のしやすさまで

1.空間をスタイリッシュに演出する

「ブラインドは直線で構成されたデザインのため、お部屋をすっきりと洗練された印象にしてくれます。また、カラーバリエーションが豊富なので、どんな部屋にも合う色を見つけることができるでしょう。リモートワークが普及した昨今では、ブラインドをビデオ会議の背景にアクセントとして取り入れるのもおすすめですよ」

 

2.日差しや視線をコントロールできる

「スラットの角度を動かすことで、光を調整することができるのは大きなメリットです。とくに西日の入る部屋ではこのメリットを実感することができるのではないでしょうか。水平にスラットのある『ベネシャンブラインド』は上から入る光を、垂直のスラットのある『バーチカルブラインド』は横から入る光をコントロールすることができます。
また、外からの視線を遮る効果も。ベネシャンブラインドであれば、隣家や外部からの視線を、角度をつけることで遮ることができます。日光を取り入れながらもプライバシーを守ることができるのは、ブラインドならではの良さですね」

 

3.下ろしたままでも換気できる

「スラットを窓に対して垂直に調整することにより、ブラインドを下ろした状態でも外からの外気を取り込むことができます」

 

4.キッチンやバスルームなど水まわりにも使える

「布製のカーテンはカビが生えやすいため、湿度の高い場所では不向きです。そこで、各メーカーでは耐水性・耐湿性にとみ、防錆処理をしたパーツを使用したブラインドを揃えています。バスルームはとくに湿度が高くなる場所で、部品によっては錆びてしまう可能性もあるので、そのようなアイテムを選ぶようにしましょう」

 

【デメリット】ホコリの溜まりやすさや大きな音がネックに…

1.床まである掃き出し窓の場合は出入りがしにくい

「サイズの大きなブラインドは重みもあるため、上げ下げがたいへんで煩わしく感じることも。そのため、床まである窓にはあまり適していません。ベランダや庭に出る回数が多い窓には、この点に注意してブラインドの採用を検討いただくといいでしょう」

 

2.スラットにホコリが溜まりやすい

「ベネシャンブラインドは水平にスラットが並んでいるため、こまめに手入れをしないと、ホコリが溜まりやすくなります。アルミ製のブラインドの場合はスラットが鋭利なこともあり、掃除のときにケガをしないように注意が必要です」

 

3.遮光性・断熱性に欠ける

「スラット同士の間に隙間があったり、スラットにはコードを通す穴が開いているため、完全に光を遮ることや外からの冷気を断熱することはできません。寝室など、しっかりと暗くしたい空間での使用は検討が必要です」

 

4.窓枠にあたることで大きな音が出やすい

「風の強い日にブラインドを下げたまま窓を開けておくと、風でブラインドが揺れ、窓枠にあたると大きな音が出ます。多少の風であれば、スラットを床に対し水平にすることで解決しますが、強風の日にはブラインドを完全に上げきるか、窓を閉めるようにしてください」

 

5.木製ブラインドやバーチカルブラインドは壁や窓枠に穴を開ける必要性がある

「木製ブラインドやバーチカルブラインドは重いので、ビスを使ってブラケット(取付金具)で固定するのが一般的です。賃貸住宅の場合は、壁に穴を開けられないケースが多く、導入は難しいでしょう。アルミブラインドであれば、オプションパーツを使うことによりカーテンレールにブラインドを取り付けることが可能です」

 

日常的に行えば意外と簡単!
ブラインドのお手入れ方法

「ホコリの溜まりやすいブラインドは、定期的にお掃除することをおすすめします」と百瀬さん。続いて、ブラインドのお手入れ方法についても教えていただきました。

 

日常的な掃除方法

「毎日の掃除では、はたきやハンディモップを使いさっさと払うようにしましょう。この作業をするだけでもホコリを溜め込まずに済みます。日頃こまめに行っているだけでも手入れがグンと楽になります」

 

念入りな掃除方法

「1年に1-2回ほどは、スラット一枚一枚をていねいに拭き取りましょう。100円ショップでも柄の付いたブラインド用の掃除道具などが売られていますが、私は手で触れて細かなところまで拭くことができる軍手やマイクロファイバー素材の手袋をおすすめしています。幅の広いスラットの場合は、上向き、下向きに完全にスラットを閉め一面にした状態で、雑巾で拭き取るだけでもじゅうぶんきれいになります」

 

賃貸でも取り付ける方法と
サイズオーダーの基礎知識

写真提供=株式会社ニチベイ

 

ここでは賃貸物件でも取り付けられる方法と、窓の大きさにあった寸法の測り方を紹介します。

 

「賃貸物件に取り付けるのであれば、カーテンレールに取り付ける方法がおすすめです。この方法であれば、壁に穴を開けることなくブラインドを取り入れることができます。注意して欲しいのが、アイテムは軽いアルミブラインドを選ぶこと。木製ブラインドやバーチカルブラインドは重みがあるので、カーテンレールへの取り付けは基本的にはできません。最近ではアルミブラインドにもさまざまな色や質感が揃っているので、インテリアにもなじみます」

 

カーテンレールへの取り付け方法

写真提供=株式会社ニチベイ

 

「カーテンレールに取り付ける際には、まずカーテンレールから両脇にあるキャップを外し、ランナーをすべて取り出します。そして、カーテンレールに上の画像のような取り付けナットを入れ、取り付けナットの下よりブラケットを押し当ててネジで固定。あとは、ブラケットにブラインドを付け、カチッと音がしたら取り付け完了です。
賃貸物件の場合、ランナーは退去時に戻さないといけませんので、忘れずに保管しておいてくださいね」

 

写真提供=株式会社ニチベイ

 

カーテンレールに取り付ける場合の採寸のポイント

続いて、ブラインドを取り付ける際の採寸のポイントを教えていただきました。

 

写真提供=株式会社ニチベイ

1.幅を測る

「窓枠外側の幅サイズを測ります。隙間や光の漏れが気になるようであれば窓枠の寸法よりも左右3cm〜5cm程度大きくすることをおすすめします」

 

2.高さを測る

「カーテンレールのブラケットから窓枠下端の高さサイズを測ります。隙間や光の漏れが気になるようであれば、窓枠の寸法よりも3cm〜5cm程度大きくすることをおすすめします。床まである掃き出し窓の場合、床にブラインドがあたることを考え、マイナス1cm程度短くすることをおすすめします」

 

「お部屋により、窓の近くや窓のある場所に干渉する家具や家電がある場合など、採寸に困ったときは、販売元にご相談してみてください。プロの視点から必要なサイズを提案してもらえますよ」

 

窓装飾プランナーが紹介する
賃貸でも使えるブラインド 6選

最後に、賃貸物件でも取り付け可能なブラインドを百瀬さんにおすすめしていただきました。

 

■ カーテンレールに取り付けるタイプ

1.インテリアに馴染む木目調のアルミブラインド

ニチベイ「セレーノグランツ25・35」
参考価格3万1,300円(税・梱包輸送費別)※幅1800mm×高さ1800mm、スラット35mmの場合

「木目調のプリントでアルミブラインドでありながら温かみのある印象です。従来のアルミブラインドはスラット幅25mmが主流でしたが、こちらのシリーズではスラット幅を25mm、35mmと幅広いタイプを選べます。木製ブラインドの幅が広いものが多いため、35mm幅を選べばより木製ブラインドに雰囲気を近づけることができ、ぐっとおしゃれな印象になるでしょう」

 

2.窓枠にあたる音を気にせずにブラインドを下げられる

タチカワブラインド「パーフェクトシルキー」
参考価格3万3,800円〜(税抜)※幅1800mm×高さ1800mm、ベーシックカラーの場合

「一般的なブラインドを下げるときに窓枠にあたるとガシャンと大きな音が出てしまうのですが、こちらは減速降下機能が搭載されているので音を気にせず下げることができます。また、スラットにコードを通す穴がないので、光の漏れを防ぎ、寝室での使用にも適しています。万が一、スラットが折れてしまった場合も、コードを外すことなく手軽に交換できます」

 

3.光媒体コーティングと防汚・抗菌、消臭機能で清潔に使える

TOSO「一般窓用ワンポールタイプ ベネアル25・15(光触媒遮熱シリーズ)」
参考価格2万9,400円〜(税込)※幅1800mm×高さ1800mmの場合

「ブラインドを操作する紐がループ状ではなく、1本の棒状になっているので、握りやすく操作性の良さが特徴。さらに、光触媒コーティングにより、室内の照明の明かりで臭いや汚れを酸化分解します。また、抗菌・消臭効果がある優れもの。遮熱機能付きなので、省エネで電気代節約にも貢献してくれます」

 

■ テンションタイプ

4.ビスいらずで場所を選ばず取り付けられる突っ張りタイプ


ニチベイ「セレーノオアシス25 テンションタイプ」
参考価格2万9,900円(税・梱包輸送費別)※幅1800mm×高さ1800mmの場合」

「窓枠の内側にブラケットを貼り付け突っ張る力で固定ができるので、浴室のタイルやカーテンレールのない小窓などに適しています。また、耐水性に優れているため、浴室、洗面所、キッチンなどの水まわりにも気兼ねなく使えます。色展開は200色以上と豊富にそろっているので、お好みのカラーを見つけることができるでしょう」

 

5.水まわりのほか、結露対策にもおすすめ


タチカワブラインド「シルキーアクア ノンビス RDS」
参考価格3万1,700円〜(税抜)※幅1800mm×高さ1800mm、ベーシックカラーの場合

「耐水加工が施されているので、サッとシャワーで流したり、水拭きするだけで掃除が完了します。また、スラットを挟むコードが上と下にあり二重になっていることで、水分によるスラットのくっつきを防いでくれます。結露が多くてお困りの窓には布製のカーテンではなく、防水性に富んだブラインドを検討するといいでしょう」

 

6.お好みの本数を気軽に取り付けられる


ブンカ「ツッパルーバ」
参考価格3,000円〜(税抜 / 1本)

「工具はいっさい不要で簡単に取り付けることができます。1本単位で購入することができるので、必要な本数をカスタマイズできるのもポイントです。スラットが単独で取り付けられているため、上下のスラット同士が連動していないので、窓の上半分で太陽光を遮り、下半分で部屋の下からの視線を遮るなど、目的に合わせて使い分けることができます」

 

洗練されたインテリアにしたい人はもちろんのこと、汚れ防止機能や耐水性能など、部屋の悩みに合わせて窓装飾を整えたい人にもブラインドはおすすめです。賃貸物件でも使えるブラインドのバリエーションが広がり、軽量で機能性にも富んだブラインドも豊富に。すっきりとした快適なお部屋にするために、まずは居室の窓装飾を変えて気分一新してみてはいかがでしょうか。

 

Profile

インテリアコーディネーター・窓装飾プランナー / 百瀬純子

インテリアコーディネーター、窓装飾プランナー、福祉住環境コーディネーター2級、住宅収納スペシャリスト。長野県松本市で先代の父から営む小松装飾を引継ぐ。創業56年、地元のお客様を中心に、全国からカーテン縫製や特殊加工のご依頼を受けている。インテリアコーディネーター・窓装飾プランナーなどの資格を活かし、カーテンに限らない窓装飾の提案から施工までを手掛ける。プライベートでは三姉妹を育て、現在は介護の真っ最中。「楽しく、豊かに、丁寧に」をコンセプトに主婦、子育て、介護の経験を活かしてライフスタイルに合ったご提案を心掛けている。
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フロアシートでフローリングを模様替え! 賃貸住宅でも現状復帰できる “床の張り替え” アイデア

インテリアにこだわる人の間で、 “床の張り替え” がトレンドになっています。といっても、フローリングを剥がしてリフォームするような大がかりな工事ではなく、フロアシートなどを使って床を傷つけず、原状回復も容易で初心者でも挑戦しやすい、床の “DIY”。

 

フローリングに飽きてしまった、部屋の面積の多くを占める床から雰囲気を一変させたい。そんなニーズに応える床の模様替え方法を、一級建築士の小野寺郷さんに教えていただきました。

 

床の張り替えには具体的にどんな方法がある?

現状復帰ができるよう床にダメージを与えず張り替える方法には、「貼る」「敷く」「置く」の3タイプがあります。

 

「柔らかい素材のフロアクッションを両面テープで貼る方法、木製やコルクのカーペットを畳やじゅうたんに敷く方法、パーツが分かれている耐久性の高いフロアタイルを置く方法です」(一級建築士・小野寺郷さん、以下同)

 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

■「貼る」

「貼るタイプの一般的なフロア素材として、塩化ビニル製のクッションフロアがあります。フロアシートやフロアマット、CFシートとも呼ばれています。このクッションフロアはデザインのバリエーションが豊富で、手頃な価格で購入できます。さらに、水を弾く性質があり、水に濡れてもさっと拭き取れて、傷んだりシミになったりしづらい特徴があります。クッションフロアの中には空気層が含まれていて、断熱効果も期待できます。厚み1.8mmの住宅用が一般的ですが、はさみで簡単にカットできるので、施工は比較的容易です」

 

■「敷く」

↑写真提供=アジア工房

 

「敷くタイプの一般的なフロア素材として、ウッドカーペットがあります。畳やじゅうたんの部屋に簡単に敷くことができ、洋室風の雰囲気を手軽に演出できます。専門業者による工事と比較しても、はるかに費用を抑えられるのが魅力です。また、ウッドカーペットの裏面にはコットン布や不織布が貼られていて、床や畳を傷つける心配がありません。重い家具を置いても凹まない丈夫な素材です。敷くだけなので、元の状態に戻すことも簡単です」

 

■「置く」

↑写真提供=アジア工房

 

「置くタイプで多いのが、塩化ビニル製のフロアタイルです。これらのタイルはパーツが分かれていて、パズルのように組み合わせて施工できます。裏面が吸着式のものを選べば、本当に置くだけです。また、木目調や石目調など、デザインのバリエーションも豊富で、凹凸のあるリアルな質感を楽しめます。これらのタイルは耐久性も高く、メンテナンスも容易です。さらに引っ越しの際は簡単に外すことができ、再利用が可能です」

 

床材別にチェックする、貼り替えできるもの、できないもの

賃貸の床の素材には、おもに「クッションフロア」「合板フローリング」「カーペット」「畳」の4種類があります。どの素材でも貼り替えは可能なのでしょうか?

 

「だいたい可能ですが、一部、向かないもの、できないものがあります。例えば、フロアタイルの場合、裏面が滑り止め加工されているものは平滑な床でないと吸着しないため、カーペットの上で使用することはできません。畳敷きの部屋では、下地処理としてベニヤ板を敷くなどの対策が必要です。また、床暖房機能のある部屋では一部の素材が適さないこともあります。同じ種類の素材でも製品によって異なる場合があるので、購入前に必ず確認しましょう」

貼り替える前に知っておきたい注意点とは?

床の貼り替えにはメリットも多いですが、注意点やデメリットもあります。

 

「どの賃貸物件でも貼り替えができるとは限りません。たとえ原状回復できるとしても、一切のリフォームを禁止している場合もあるため、必ず賃貸契約書を確認しましょう。分からない場合、大家さんや管理会社に確認をとると安心です」

 

他にも、こんな注意点があるそう。

 

【施工時】

「賃貸物件は原状回復が原則のため、現在のフローリングを傷つけないことが重要です。たとえば強力な両面テープで貼ってしまうと、糊が残って原状回復が難しくなるため、養生テープの上から貼ったり、貼って剥がせるテープを使用しましょう。カッターで傷つけないようにすることも大切です。もちろん釘やビスで留めるのはNGです」

 

【カビの発生】

「耐水性が高く、水回りにも適したクッションフロアですが、通気性が良くないため、床とクッションフロアの間に湿気がこもり、カビが発生するリスクがあります。元の床をきれいに掃除してから貼り替える、湿気の少ない日に施工する、水回りに敷く時は、防カビ加工付きのものを選ぶなど対策しましょう。
ウッドカーペットを畳の上に敷く場合もカビが生えるリスクがあります。定期的に換気をする、設置する前に防カビスプレーを散布する、もしくは防カビシートを敷くようにしましょう。フロアタイルには継ぎ目があり、その継ぎ目の隙間が大きいと水が入り込んでしまう可能性があります。隙間を出さず丁寧に貼ることでリスクを抑えることができます」

 

【処分方法】

「ウッドカーペットは一枚あたりのサイズが大きいため、処分に手間がかかります。たとえば6畳タイプは、長さが約2.5m、重さは約30kgになることも。粗大ゴミでも回収料金がかかりますし、切断し、自治体が指定する方法で処分するにしても手間がかかります。処分方法もあらかじめ想定した上での購入をおすすめします」

 

購入するなら? 床材の選び方が知りたい

↑写真提供=アジア工房

 

クッションフロア、ウッドカーペット、フロアタイルのメリットやデメリットについて紹介しましたが、どんな基準で選んだら良いでしょうか?

 

「原状回復のしやすさはもちろん、施工のしやすさ、機能、用途、好きなインテリアのスタイル等で考えると良いと思います。施工のしやすさは、一般的にクッションフロアが初心者向けだと言われています。また、クッションフロアの場合、幅182cmが一般的ですが、女性でも取り扱いやすい、90cmのものが販売されているのでおすすめです。
床材によって、水に強い、掃除がしやすい、メンテナンスが容易、土足OKといった特徴もあるので用途に応じて優先順位をつけましょう。厚みもポイントです。ドアの開閉や敷居などに干渉しない薄さかどうかも確認してください」

 

床の雰囲気は、部屋の雰囲気に大きく関わるといいます。

 

「まずは目指すお部屋の雰囲気を考えてみましょう。ナチュラル系であれば、木目調。アンティーク系を目指すなら、同じ木目調でもヘリンボーンがいいかもしれません。モダン系であれば、コンクリート調も合うでしょう。ほとんどのショップでサンプルの取り寄せが可能なので、試してみることをおすすめします。
購入前にお部屋の寸法を測ることも大切です。そこから購入する量を計算しましょう。分からない場合、お店に直接聞いてみても良いと思います。失敗してもいいように、少し余分に購入しておくと安心です」

 

初心者でも大丈夫! 床の張り替え方法

ここからは、実際に床を貼り替えていきます。

まずは、道具の準備から。左上から時計回りに、地ベラ、両面テープ、養生テープ、撫でハケ、はさみ、カッター、メジャーです。

 

あらかじめ採寸を済ませ、クッションフロアを購入しておきます。ロール状で届くので、施工前に巻き皺を伸ばしておきましょう。寒い時期は伸びるのに時間がかかるので余裕を持って準備します。

 

【基本的な手順】

1.床を掃除する

まずは掃除から。汚れが残っていると接着不良やカビ発生の原因となります。念入りに行いましょう。

 

2.養生テープを貼る

養生テープを四隅に貼ります。面積の広い場所やしっかり貼りたい場合は、40〜50cm程度の間隔で格子状に貼ると良いでしょう。フロアクッションを複数枚使う場合、継ぎ目部分にも貼ります。養生テープを貼らずに施工すると、両面テープをはがす際、床に跡が残る可能性があるので注意してください。

 

3.両面テープを貼る

養生テープの上に両面テープを貼っていきます。両面テープは養生テープからはみ出さないサイズを選ぶのがおすすめです。今回はサイズが同じだったため、養生テープを二列に貼りました。

 

4.クッションフロアを敷く

フロアクッションを敷き込みます。片方は部屋の端にぴったりと合わせます。逆側の壁際は5〜10cm残し、余った分ははさみでカットします。

 

5.クッションフロアを貼る

両面テープの剥離紙をはがして、クッションフロアを貼っていきます。空気が入らないように、撫でハケで空気を抜きながら少しずつゆっくり貼るのがポイントです。

 

6.余分な部分をカットする

次に壁にそって地ヘラでぐっと抑えながら型をつけ、余ったクッションフロアをカットしていきます。CFカッターという、フロアクッション専用のカッターを使うと、よりきれいに隙間なく仕上げられます。

 

【ポイント】

2枚のクッションフロアを貼り合わせる場合、とくに難しいのは継ぎ目の部分です。

↑2枚のフロアクッションが重なるところに養生テープと両面テープを貼ります

 

↑2枚のシートの真ん中にテープがくるように合わせます

 

↑両面テープの剥離紙をはがし、1枚目、2枚目と貼っていきます

 

↑慌てずゆっくり貼りましょう

 

↑撫でハケをあてながらしっかり接着します。継ぎ目部分をローラーで圧着させるとさらに効果的です。継ぎ目部分にはクッションフロア用の継ぎ目処理剤(シームシーラー)を注入すると、継ぎ目のはがれや水の染み込みを防ぐことができます

 

7.完成

 

「凹凸が多いお部屋は、たとえ狭くても手間がかかります。初めて挑戦する場合は、できれば凹凸が少ない四角い部屋から取り掛かると良いと思います。引越しのタイミングであれば、家具を置く前に施工するのが理想的です。
慣れないとカッターで切るのは難しいかもしれませんが、カッターが必要なところは部屋の端っこです。家具を置く可能性も高いと思います。多少のガタつきは家具を置いて隠せますので気軽にチャレンジしてみてください」

 

ナチュラル系から北欧系まで、おすすめの床材

クッションフロア、ウッドカーペット、フロアタイルの中から、編集部が選んだおすすめの床材を紹介します。

サンゲツ ヘリンボーン HM11023
5740円 / m  3150円 / m2(税抜)
白太入りのオークを使用した、ナチュラルな色合いとクラシカルで上品な雰囲気のヘリンボーン柄のクッションフロアは、北欧インテリアとも相性が良く、床や壁材で特に人気のデザインです。クッションフロアは他の床材に比べて程よいクッション性があるので足腰の負担を和らげてくれます。
・サイズ:182cm
・厚み:1.8mm
・素材:ポリ塩化ビニル(表)不織布貼(裏)
・機能:耐次亜塩素酸、抗菌、さらっと仕上げ

 

サンゲツ フレンチアンティークタイル HM11142
5740円 / m  3150円 / m2(税抜)

あえて色ムラやぼかしを入れることで、ヨーロッパにあるアパートの一室のような、アンティークの風合いを演出したタイル柄のクッションフロアです。柄物は一気に空間の印象を変えてくれます。好みの柄でかわいくイメチェンしたいという方におすすめです。
・サイズ:182cm
・厚み:1.8mm
・素材:ポリ塩化ビニル(表)不織布貼(裏)
・機能:耐次亜塩素酸、抗菌、さらっと仕上げ

 

アジア工房 敷くだけウッドカーペット 板幅ワイド[GA-70シリーズ]
2万2800円(税込) / 団地間6畳用

畳やじゅうたんのお部屋が敷くだけで大変身! 見た目も手触りも本物のフローリングのようなウッドカーペットです。接着剤などの特別な道具は不要で誰でも簡単に施工できます。カラーはアイボリー、ライトナチュラル、オーク、ウォームブラウンの4色。好きなテイストに合わせて選ぶことができます。サイズも3畳から8畳まで揃っています。
・サイズ:縦幅:約243cm / 横幅:約343cm / 厚み:約0.5cm / 板幅:約7cm
・重さ:約22kg(梱包あり)
・素材:プリント化粧板(表)合板(中)不織布(裏)

 

アジア工房 SOLUM
3万4980円(税込) / 約6畳

置くだけで簡単!賃貸OKのフロアタイル「SOLUM ソルム」。まるで本物の石材のようなリアルな質感と、細やかな凹凸加工で、高級感のあるお部屋を作ってくれます。撥水加工で水や食べ物をこぼしてもサッと拭くだけできれいに。2畳タイプも選べます。
・サイズ:1枚あたり 約W609×D304×H4mm ※多少サイズは前後します
・素材:PVC(グラスファイバー入り)
・入数:1ケースあたり54枚(約6畳分)
・備考:撥水加工、土足OK

 

toolbox 無垢床タイル ヒノキ
9075円 / m2(税込)
木の本来の香りと温もりが感じられる、国産無垢のヒノキ材で作られた床材。50cm角のパネル状にカットされており、釘やボンドを使うことなく、敷くだけで設置が可能です。退去の際は床を外すだけ。次の入居先でも再利用でき、無垢材ならではの経年変化も楽しめます。
・サイズ:W500×H500×T13.5mm
・素材:ヒノキ節あり(間伐材)
・仕上げ:無塗装
・入数:1ケースあたり2 m2 (8枚入り)
・備考:床暖房不可

床を貼り替えるだけで、部屋の印象も気分もきっと変わるはず。自分に合った方法と、ときめく床材を見つけて、DIYライフにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

 

プロフィール

一級建築士 / 小野寺郷

株式会社天然住宅所属。「森を守って健康長持ち」をコンセプトに、建築設計を行っている。手掛ける建築は戸建て住宅の新築をはじめ、マンションや施設のリノベーション、ホールやギャラリーなど、多岐にわたる。
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提供元:心地よい暮らしをサポートするウェブマガジン「@Living」

部屋を広く、片付けやすく! 家具レイアウトのルールとNGを一級建築士が解説

引っ越しをしたり気分転換に模様替えをしたりと、部屋の変化が多くなる新生活の時期。しかし、どうすれば快適な部屋にできるのか、悩む方も多いのではないでしょうか。そのお悩みを解決するポイントの一つが、家具のレイアウトです。一級建築士のしかまのりこさんに、レイアウトの考え方や、部屋を広く見せたり片付けやすくしたりするためのレイアウトのコツを教えていただきました。

 

部屋のレイアウトは、『空間分け』『動線』『収納』を考える

「部屋に家具を置くときに『なんとなく』で置いてしまっている人は意外と多い」としかまさん。部屋が散らかりやすかったり、居心地が悪かったりするのは、そのせいかもしれません。では、片付けや掃除がしやすい快適な部屋にするためにはどうすれば良いのでしょうか。レイアウトを考えるときの3つのポイントと、具体的な手順を教えてもらいました。

 

「部屋全体のレイアウトを考えるときのポイントは、『空間分け』『動線』『収納』の3つです。そもそも部屋が散らかってしまう大きな要因は、くつろぐためのリビングや食事をするためのダイニングなどの空間が分かれておらず、ごっちゃになっているから。これにより、物もそれぞれの空間に入り混じってしまい、果てしなく散らかってしまいます」(一級建築士・しかまのりこさん、以下同)

↑くつろぐ場所、食事をする場所など、部屋の機能がきちんと分かれていないと、物もそれぞれの空間に散らばってしまいます。(画像提供=COLLINO一級建築士事務所)

 

「そのため、部屋の機能を分けて、動きやすさを考えながら家具を配置し、空間ごとに収納場所をつくることが大切です。具体的なステップをご紹介していきましょう」

 

STEP1 部屋の機能を洗い出す

「まずはお部屋をどのように使いたいのかを考えます。例えばリビングダイニングであれば、食事をする、テレビを見てくつろぐ、洗濯物を干す・収納する、仕事や家事作業をする……など、自宅の間取りや生活スタイルに合わせて考え、洗い出していきます」

 

STEP2 機能ごとに空間を分ける

↑図の「キッズゾーン」スペースは、「テレワーク」などのスペースとして考えてもいいでしょう。(画像提供=COLLINO一級建築士事務所)

 

「続いては、機能ごとに部屋をざっくり空間分けしていきます。クローゼットの位置やテレビの設置位置など、あらかじめ決まっているところから考えていくと良いと思います。分け方は、ご飯を食べたりテレビを見たりする『リビングダイニングゾーン』、洗濯物を干したり収納したりする『洗濯衣類ゾーン』など、ざっくりでOK!」

 

STEP3 動きやすい動線を考えて家具を配置する

↑(画像提供=COLLINO一級建築士事務所)

 

「次に、動線(=人が通るための空間)を考えながら、家具を配置していきます。基本的には、扉から扉、扉からベランダ、家具と家具の間、機能ごとに分けた空間と空間の間などに、動線を確保しておくと良いと思います。動線をふさがないか確認しながら、家具を移動・配置してみてください」

 

STEP4 各空間に専用収納をつくる

↑(画像提供=COLLINO一級建築士事務所)

 

「最後に、機能ごとに分けたそれぞれの空間に、専用の収納をつくります。例えば、リビングダイニングゾーンには、キッチンカウンターの下にすきま収納をつくったり、洗濯衣類ゾーンはクローゼットのほかにチェストを置いたりして、それぞれの空間にあるものを収納する場所を考えましょう。デッドスペースを活用したり、空間同士の間仕切りも兼ねた収納家具を使ったりすれば、より機能的な収納場所をつくることができます。レイアウトは、このような4STEPで考えていきましょう」

↑Before(画像提供=COLLINO一級建築士事務所)

 

↑After……手順に沿ってレイアウトを変えた部屋。家具の数が増えても狭く見えず、片付けやすいすっきりとした空間に。(画像提供=COLLINO一級建築士事務所)

 

【関連記事】今ある物だけで部屋は垢抜ける! センスに頼らず“理論”で整えるインテリア

 

家具レイアウトのNG例

続いては、ついやってしまいがちな家具レイアウトのNG例をご紹介。それぞれの解決策についても教えてもらいました。

 

NG例1 部屋のサイズに合っていない家具を置いている

お店で見て良いと思った家具をいざ自分の部屋に置いてみると大きすぎた……。そんな経験はありませんか? しかまさん曰く、「部屋が狭く感じる一番の要因は、部屋のサイズに対して家具が大きすぎたり、家具を置きすぎたりしているから」だそうです。

 

「そもそも部屋の中には、目に見えない『動線』があり、動線を差し引いた空間が『部屋の本当の広さ』になります」

↑(画像提供=COLLINO一級建築士事務所)

 

「例えば、リビングダイニングがあわせて11畳の部屋があるとします。このとき、『11畳のスペースに置く』想定でテーブルを選び、配置してしまうと、レイアウトはできても、動線が狭く、動きにくい空間になってしまいます」

↑(画像提供=COLLINO一級建築士事務所)

 

「この部屋の場合、動線を差し引いた『本当の部屋の広さ』(=家具が置けるスペース)は、実質7.5畳程度。そのためテーブルも、動線を考えた一回り小さなものを配置することで、グッと動きやすい空間にすることができます。

 

とはいえ、部屋の本当の広さを把握したり、実際に家具を置いたときのイメージをしたりするのは、日頃から『空間』を意識している建築士などではない限りなかなか難しいもの。そこでおすすめなのが、新聞紙や模造紙を置きたい家具と同じ大きさに切り取って床に敷いてみることです。床に敷いた状態で部屋を歩いてみると、『ここに置くと、動線が確保できないな』というのもイメージしやすくなるはずです。

 

そしてもう一つ、もともとの部屋が狭い場合は、置く家具を最小限にすることもポイントです。例えば、狭いリビングダイニングには、ソファとリビングテーブル、ダイニングテーブルとダイニングチェアの4点を置くのではなく、ダイニングソファとリビングテーブルの2点にまとめてみる。このように物理的に家具の数を減らすだけで、部屋がすっきりして見えます。そのほか、収納機能が付いたテーブルやベッドなどを置いて、収納家具の数を減らすことも方法の一つです」

↑(画像提供=COLLINO一級建築士事務所)

 

NG例2 においがするものを風上に置いている

「部屋の中の空気の流れを意識していない人はとても多い」としかまさん。目には見えませんが、空気の流れはレイアウトを考えるときにとても大切なことの一つだそうです。部屋中がなんとなく臭い……と感じている方は、レイアウトを見直してみるといいかもしれません。

 

「空気の流れの風上(給気口がある場所)に、ゴミ箱やペット用品などを置いてしまうと、部屋中ににおいが広がってしまいます。そのため、悪臭がするものを風上の近くに置くのは避けましょう。逆にアロマなどは風上の近くに置くと、部屋に良い香りが広がりやすくなります。そもそも部屋の空気がどのように流れているのかわからないという場合は、お香などをたいてみて、煙の流れを確認してみると良いと思います。ぜひ、空気の流れを考えたレイアウトを心掛けてみてください」

 

部屋を広く見せるレイアウトのコツ

次にご紹介するのは、部屋を広く見せるためのレイアウトのテクニックです。今回は、すぐに実践できる2つのコツを教えてもらいました。

 

大きな家具は壁際に寄せる

「まず一つは、ソファやダイニングテーブルなどの大きな家具を部屋の中心に置かないこと。四方から視線が集まる中心に置いてしまうと、視線の抜け感がなくなり、部屋全体が狭く見えてしまいます。そのため、背が高かったり幅が広かったりするような、物理的に大きな家具は、壁際に寄せて配置するのがおすすめ。できれば、部屋の中心には何も置かないのがベストです」

 

■ 部屋が狭く見える家具配置

↑部屋の中央にソファを置くと視線の抜け感がないため、狭く見えてしまいます。(画像提供=COLLINO一級建築士事務所)

 

■ 部屋を広く見せる家具配置

↑ソファを壁際に寄せたことで部屋の中央に視線を遮るものがなくなり、部屋が広く感じられるように。(画像提供=COLLINO一級建築士事務所)

 

部屋の対角にフォーカルポイントをつくる

「二つ目は、部屋に入ったときにまず視線がいきやすい部屋の対角に、150センチ程度の『フォーカルポイント』をつくること。フォーカルポイントとは、『人の視線を集中させる場所』のことで、部屋の隅につくると、部屋に奥行きが出て広く見せることができます。フォーカルポイントとしておすすめのインテリアは、観葉植物、額装した絵画やファブリック、鏡、フロアスタンドなどです」

↑フォーカルポイントを置く前(左)と置いた後(右)。(画像提供=COLLINO一級建築士事務所)

 

「また、アクセントクロスを使用する場合は、ブルーなどの『後退色』を使うと奥行きが出てより広さを感じさせることができます。逆に黄色などの『進出色』を使うと、圧迫感が出てしまうので、注意しましょう」

↑後退色(左)と進出色(右)のアクセントクロスを使用した例。後退色はほかに紺・紫などの寒色系の色、進出色は赤・オレンジ・黄緑などの暖色系の色がこれにあたります。(画像提供=COLLINO一級建築士事務所)

 

レイアウトを少し変えるだけで、部屋の印象をガラッと変えるには?

しかまさんが次にレクチャーしてくれたのは、家具レイアウトを少し変えるだけで部屋の印象を激変させる方法。「気分転換に模様替えしたい」「もっと快適な部屋にならないかな?」と考えている方は、ぜひ実践してみてください。

 

1.テレビとソファの位置を変える

「一番おすすめなのは、テレビとソファの位置を変えること。テレビはアンテナの場所が決まっているので大きく変えることは難しいですが、テレビの向きを少し変えることでソファの位置も自然と変わり、ちょっとした模様替えにはとても良いと思います。レイアウトを変えるだけで部屋の印象がかなり変わりますし、より部屋が広く感じられることもありますよ」

 

・Before

 

↑(画像提供:COLLINO一級建築士事務所)

 

・After

 

↑テレビの向きを変えたことで、ソファの位置も移動。ダイニングテーブル横の動線が広くなったことで、より動きやすい部屋に。(画像提供:COLLINO一級建築士事務所)

 

2.ダイニングテーブルやソファを壁に寄せる

ダイニングテーブルやソファを壁に寄せるのも、部屋のイメージが劇的に変わるのでおすすめです。特にダイニングテーブルは、部屋の中心に置いている家が意外と多いのですが、壁に寄せて動線の数を減らすことで、動きやすく、掃除がしやすい空間にできると思います」

 

・Before

↑(画像提供=COLLINO一級建築士事務所)

 

・After

↑ダイニングテーブルを中心に置くと四方に動線ができますが、全ての動線を頻繁に使うことはあまりないはず。壁に寄せると動線が減る代わりに広くなるので、動きやすい空間になります。(画像提供=COLLINO一級建築士事務所)

 

「また、ダイニングの照明をペンダントライトにしている場合、ダイニングテーブルを壁に寄せるとペンダントライトの位置がずれてしまうことがあると思います。その場合は市販の『ペンダントサポーター』で位置のずれを解消したり、シーリングライトに付け替えて部屋全体に明かりが届くようにしたりすると良いと思います。レイアウトを変えたいけれど照明の位置が決まっているから動かせない……とあきらめる必要はありません」

 

・Before

↑(画像提供=COLLINO一級建築士事務所)

 

・After

↑右図のようにペンダントサポーターを使用することで、照明の位置のずれを解消できます。(画像提供=COLLINO一級建築士事務所)

 

3.家事動線を考慮して家具を動かす

「そのほか家事動線が短くなるように家具を移動させてみるのも良いと思います。例えば、ダイニングテーブルの位置や向きを変えるだけで、収納家具までの動線が短くなり、片付けなどの作業が楽になることも。頻繁に使っている収納家具があれば、そこまでの動線で邪魔になっているものはないか、見直してみると良いかもしれません」

 

新生活を機に家具レイアウトを見直し、快適な部屋に!

最後に、しかまさんが考える「居心地の良い部屋」と、部屋づくりで大切なことをお聞きしました。

 

「私が考える『居心地の良い部屋』の条件は3つ。動きやすいこと(機能的)片付けやすいこと(実用的)イライラしないこと(健康的)です。今回ご紹介した家具レイアウトの方法を実践することで、これらの条件がそろった『居心地の良い部屋』にグッと近づけることができると思います。

 

また、私が部屋づくりで大切だと思うことは、『とりあえず』で家具を買わないこと。とりあえず安いから買ったけど結局すぐに壊れた、使わなくなった……となるのはもったいないですよね。処分するときにもお金がかかりますし、地球環境にもよくありません。家具を買うときには、自分の部屋に置いたときのことをよく考え、多少値が張っても気に入ったもの、ライフスタイルが変わっても使い続けられるようなものを選ぶことを重視してほしいと思います。さらに、目に見えない『動線』や『空気の流れ』は、意外と気にしていない人も多いと思うので、これらを意識した部屋づくりも心掛けてほしいです。

 

私は、住まいは『生き物』で、住む人が愛着を持って暮らしていれば、居心地の良い空間を提供してくれると考えています。ぜひ、新生活を機に家具レイアウトを見直し、快適な部屋づくりを実践してみてください」

 

プロフィール

一級建築士・模様替えアドバイザー / しかまのりこ

COLLINO一級建築士事務所代表。「地球にやさしい 家族にやさしい」をコンセプトに、狭い・片づかない・不快などの住まいの問題を「家具配置・模様替え」によって解決する模様替えのスペシャリスト。近著に『狭い部屋でも快適に暮らすための家具配置のルール』(彩図社刊)がある。

 


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キリム、ギャッベ、トライバルとは? ハンドメイドラグを取り入れた部屋作り

部屋の印象を一変させるアイテムのひとつが、ラグ。世界的に有名なラグといえば連想される「ペルシャ絨毯」は、価格も天井知らずですが、ほかにも「ギャッベ」や「トライバルラグ」など、ラグのなかにもたくさんの種類が存在し、色合いや価格、込められたストーリー性まで実はさまざまです。

 

新生活シーズンを前に、世界のラグに関する基礎知識やインテリアへの取り入れ方について、知っておきましょう。中目黒にあるラグ専門店「Layout(レイアウト)」のブランドマネージャー平井香さんと、店長の小松智美さんにお話を伺いました。

 

違いはどこにある? ハンドメイドラグの種類と特徴

雑誌やテレビで紹介されたり、百貨店でイベントが開催されたりと、近年目にすることが増えた「ギャッベ」や「キリム」といった名前。しかし、それぞれの特徴については詳しく知らない、という人も多いのではないでしょうか。

↑常時500枚以上のラグを取り扱う、中目黒にあるLayoutのショールーム。サイズも、リビングに敷く大きなサイズからチェアマットサイズまで、幅広く取り揃えています。

 

「高級品として知名度の高い『ペルシャ絨毯』を含め、これらのラグに共通しているのは『ハンドメイド』ということ。すべて職人の手で一つひとつ丁寧に織られている、一点もののラグなんです。トルコやアフガニスタン、モロッコ、北アフリカなどさまざまな国が手織りの絨毯を作っていますが、『Layout』では主にイランで買い付けたハンドメイドラグを販売しています」

 

それでは実際に、代表的なハンドメイドラグのそれぞれの特徴を見ていきましょう。

 

1.ハンドメイドラグの最高峰「ペルシャ絨毯」

「ペルシャ絨毯は、イラン国内で作られた手織の絨毯のことを指します。ですので、広義的にはイランで作られた『ギャッベ』や『トライバルラグ』なども、ペルシャ絨毯の一種であると言っても間違いではありません。ただ、一般的には繊細な模様が特徴の高級感のある絨毯を、ペルシャ絨毯と呼ぶことが多いです。

 

素材は、シルクとウールの2種類です。シルクは美しい光沢感となめらかな触り心地が魅力。額装したり、タペストリーとして飾ったりする方も多いですね。一方ウールは、美しさはもちろん丈夫で実用性もあるので、インテリアに取り入れやすいと思います。価格は、製作に手間と時間がかかるため、他の絨毯よりも少し上がりますが、職人の技術やウールの品質、産地などで価格が変動するため、何千万円もするシルクの高級品もあればカジュアルなものもたくさんあります。たとえばリビングサイズですと、当店では40万円くらいのものからご用意しています。

 

ペルシャ絨毯は、イランの長い歴史のなかで磨かれた染織技術と繊細なデザインが何よりの魅力。どんなお部屋でも洗練されたエレガントな空間に演出してくれると思います」

 

2. 生活の道具から生まれた個性豊かなラグ「トライバルラグ」

「トライバルラグは『部族のラグ』という意味で、遊牧民が自分たちの飼っている羊や山羊の毛を紡ぎ、家の中で使う生活のための道具として受け継がれてきたものです。床に敷くのはもちろん、荷物を入れる袋として使ったり、出入口にのれんのように掛けて使ったり……。しなやかで薄手のものが多いですが、生活のなかで長く使うことを前提としているので、機能性と耐久性に優れているラグなんですよ」

 

↑イラン南部のシーラーズという街に暮らすカシュガイ族が織った絨毯。色とりどりの花々と、イランで幸せを運ぶ象徴とされている鳥のモチーフが織り込まれています。

 

部族や地域ごとにデザインのバリエーションがあるのもトライバルラグの魅力のひとつです。デザインには、その土地の気候やともに暮らす動物、身近な草花など、生活に関わるものすべてが影響しているのだそう。部族のなかでもファミリーごとに雰囲気が大きく変わりますし、多種多様なデザインがありますので、ファッションのように個性的なスタイリングを楽しめると思います。価格はリビングサイズで、だいたい10万円台くらいから。ペルシャ絨毯に比べると手に取りやすいので、『いいものを長く使いたい』という人にぴったりだと思います」

 

↑イラン東部、アフガニスタン、パキスタン周辺のエリアに昔から暮らすバルーチ族の絨毯は、ネイビーと深い赤のシックで落ち着いた色使いが得意。

 

3. 厚みと素朴なデザインが魅力の「ギャッベ」

「ギャッベは、トライバルラグと同じく遊牧民の暮らしの道具として使われてきたラグのこと。イラン南部に暮らすカシュガイ族という部族が飼っている羊の毛で織りあげる、伝統的なハンドメイドラグです。ギャッベの一番の特徴は、毛足が長く厚みがあるところ。テントで暮らす遊牧民の人たちが、テント内に敷いて、床代わりのように使っていた絨毯がルーツです。手触りはフカフカとしていて、座ったり寝そべったりすると、とても気持ちいいんですよ。床でくつろぐことが多い人にオススメしたいラグですね」

 

↑リサ・ラーソンのような動物柄が可愛らしいギャッベ。Layoutでは、チェアマットサイズ(40×40cm)であれば9,900円から購入可能。

 

「デザインや色合いは素朴で可愛らしいものが多く、小さめのギャッベを部屋に飾ってアートとして楽しむ方も多くいらっしゃいます。さらに、ギャッベやトライバルラグに描かれた柄には、一つひとつ願いが込められているというのも特徴です。たとえば、 “生命の樹” と呼ばれる木が描かれたデザインは『健康』、山羊や羊は『財産』、鹿は『家庭円満』の象徴とされています。他にもさまざまなモチーフがあるので、ラグに思いを乗せて家族や友人にプレゼントしてみるのもいいかもしれませんね」

 

4. 毛足のない平織りの織物「キリム」

↑写真の絨毯をよく見ると、フカフカとした部分と毛足のない部分があるのがわかります。この毛足のない部分のことを一般的に「キリム」と呼びます。

 

「キリムとは、遊牧民の伝統的な “平織り” の織物のことをいいます。わかりやすく言い表すのであれば、『毛足のないフラットな敷物』でしょうか。キリムはイランよりもトルコのものが有名で、トライバルラグやギャッベと同じく、その土地や部族ごとに受け継がれてきたデザインがあるようです。Layoutでは残念ながらキリムの取り扱いがございませんが、薄手で軽く持ち運びやすく、床に敷くことはもちろん、ファブリックとしてソファに掛けて使うなど、いろいろな楽しみ方ができると思います」

 

初めてのハンドメイドラグ選ぶ際のポイントは?

それぞれのハンドメイドラグの特徴と楽しみ方を知り、お部屋に取り入れてみたい。そう思っても、何を基準に選べばよいか悩んでしまいますよね。店長の小松さんに、初めてハンドメイドラグを選ぶ方へのワンポイントアドバイスをいただきました。

↑チェアマットサイズ(30×30cm~40×40cm)のトライバルラグ。ひとつとして同じものがなく選ぶ楽しみも。

 

「サイズや色、予算などはもちろん選ぶ際の大切な要素だと思います。ですが、それ以上にたくさんのラグを見ていただくことが一番だと思っています。ハンドメイドラグは一点もので、全てのラグで表情が違うんです。だからこそ、たくさんのラグを見ることで、本当に自分が好きだと思えるひとつに出会えるはずです。過去に『赤以外の色がいい』とご来店されたお客様がいらっしゃったのですが、最終的にチョイスしたものが赤いラグだった! なんてことも。その人との相性や、訴えかけてくるようなメッセージを感じる……そんな時が本当にあるのだと思います。

 

そして、自分のお部屋に置いてある様子をイメージできるかどうかは大事ですね。お部屋のカーテンや床との色に合ったラグなどご提案することも可能ですので、初めて絨毯を取り入れようと思った時は、ぜひお部屋の敷きたい場所のお写真をお持ちいただけるとうれしいです」

↑玄関マットサイズ(60×40cm) のギャッベ。13,200円からと手に取りやすい価格帯で初めてハンドメイドラグを取り入れる人におすすめ。

 

「初めてラグをお迎えする人におすすめしたいのが、玄関マットサイズのハンドメイドラグ。玄関マットはもちろん、ベットサイドや洗面台に敷いたり、床に敷いて座布団のように使ったり、いろいろな場所で取り入れやすいサイズだと思います」

 

夏はひんやり、冬はポカポカ! オールシーズン使えるラグのお手入れ方法

「ご紹介してきたハンドメイドラグのもうひとつの魅力は、オールシーズン快適に使えるところ。ウールのラグは、表面温度を20度前後に保ってくれるので、冬は極端に冷えすぎず、夏は極端に暑くならないんです。秋冬の寒い日にぴったりというイメージがあるかもしれませんが、夏の暑い日、家に帰って玄関に敷いたラグの上に足をのせると、ひんやりさらっとしていて本当に気持ちいいんですよ!」

 

オールシーズン使えてしまうからこそ、日々のお手入れは大切。お気に入りラグを長く使うためにも、おうちでできるお手入れ方法を教えていただきました。

 

■ 掃除機をかける際のポイント

「ウールのラグを撫でると、毛の流れがあるのがわかると思います。掃除機をかける際は、なるべくその毛の流れに沿ってかけてあげてください。そうすると毛足が寝て、その上にゴミなどが乗っているような状態になるので、汚れを取り除きやすくなります。ちなみに、厚みがあるギャッベだと掃除を諦めてしまうこともありますが、ロボット掃除機も問題なく使用できます。掃除機をかける際は、四隅についたぼんぼんや、フリンジの巻き込みに注意してくださいね」

 

■ 飲み物をこぼしてしまった時の対処法

「飲み物などの液体をこぼしてしまった場合は、ティッシュなどで水気を吸い取るだけでOK。ウールは油分が豊富な素材なので、こぼした直後であれば液体を浮かしてくれるんです。もしこぼしてから時間が経ってしまった場合は、シャンプーを100倍くらいに薄めて泡立て、泡を汚れの上にぽんと置いてください。洗顔と同じように、汚れを泡で浮かせて落とすというイメージですね。中性洗剤などは毛がゴワゴワしてしまうので要注意です。

 

それでも汚れが落ちない! という場合はクリーニングに出すことをおすすめします。当店でもクリーニングはもちろん、糸のほつれを直すメンテナンスなども行っています。職人の手作業で作られたものだからこそ、また職人の手で直すことも可能なんです。そうして何十年も手入れしながら育てていくことができるのが、ハンドメイドラグの面白さでもあると思います」

 

部屋のタイプ別で見る、おすすめハンドメイドラグ 3選

Layoutでは、部屋のイメージに合わせてラグの提案もしているといいます。今回は特別に、部屋のタイプ別でおすすめのハンドメイドラグを3つご紹介いただきました。ぜひ参考にしてみてください。

 

1.和室には、落ち着きのあるほっこりしたラグを

↑ギャッベ 193×146cm

 

「和室の畳の上には、ギャッベの落ち着いた色合いのものをおすすめしたいです。和室は、井草の匂いでほっこりできるリラックス空間なので、モダンな柄もいいですが、落ち着きのあるほっこりとしたデザインがぴったりだと思います。こちらのラグは、イトスギという木と真ん中のフレームには空のような青色が添えられています。自然の景色を窓から眺めているようなデザイン。インテリアに取り入れやすいと思います」

 

2.ウッド系の北欧インテリアには、モダンでシンプルなものを

↑ギャッベ 250×169cm

 

「北欧インテリアがお好きな方は、ホワイトウッドを使った家具を取り入れている方が多いかもしれません。そうすると、ラグも木の色を邪魔しないような柄とやさしい色合いのものが合うと思います。こちらは、ギャッベなのですが、草木や動物などの柄もないシンプルでモダンなデザイン。それでいて、一列ずつ幅や柄の入れ方が若干違っていて、個性もあります。お部屋を可愛らしい雰囲気に演出してくれるラグだと思います」

 

3.白黒モダンテイストのお部屋には、シックな色味のラグを

↑トライバルラグ 193×146cm

 

「白黒系で統一したモダンなお部屋の方は、一番お部屋へのこだわりがあるかもしれません。ですが、そこで同じ白や黒のラグではなく、あえてトーンは抑えめでブラウン系のシックなトライバルラグを選んでみてはいかがでしょうか。トライバルラグは赤のイメージを持たれる方も多いのですが、ネイビーやブラウンなどの抑え目な色も多いです。ネイビーも、白黒系インテリアに合うと思います。

 

こちらは、バルーチという部族のラグ。白色のステッチが入っていて、そこが白い家具にとっても合わせやすいと思います。さらに、よく見ると木の柄が隠れているのですが、そんな風に時間がたっても新しい発見があるのもトライバルラグの面白さですね。シックなかっこいいインテリアが好きという方は、このくらい落ち着いた色味のラグを選んでみてください」

 

作り手の温かい思いがこめられたハンドメイドラグの魅力

一枚一枚が職人の手で丁寧に作られているからこそ、深い味わいを感じるハンドメイドラグ。最後に改めて、「ハンドメイドラグの魅力」をお二人に聞いてみました。

 

「自分のお気に入りを見つけて、共に人生を歩んでいけるところがハンドメイドラグの面白さだと思います。ですので、自分に寄り添ってくれるパートナーを探すように、ラグも選んでほしいです。人生には紆余曲折ありますし、たまにはラグの上に何かをこぼしちゃった、傷つけてしまった、なんてこともあると思いますが、それも全部ラグに積み重なっていく思い出。インテリアアイテムのひとつではあるのですが、時間の経過とともに一緒に育ってくれる存在として楽しんでいただけたら嬉しいですね」(平井さん)

 

「手作りだからこそ温かみを感じるハンドメイドラグ。だからこそ、お部屋に敷いたときにも、お部屋全体を温かい雰囲気に演出してくれると思います。さらに、職人さんたちがなぜこのデザインにしたのか、なぜこの柄を織ったのか……そういうことを想像するのもすごく楽しいと思います。唯一無二の一枚をインテリアに取り入れて、作り手の思いに気持を馳せることができるのも、ハンドメイドラグならではですよね。ぜひ、自分だけの一枚を見つけてラグの魅力を感じてほしいです」(小松さん)

 

ショップデータ

Layout(レイアウト)

所在地=東京都目黒区青葉台2-20-14 青和ビル1F
TEL=03-5773-5721
営業時間=11:00~19:30
水曜定休
https://shop.layout.casa/

 


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今ある家具・小物だけであか抜ける! センスがなくてもOKな“理論”で整えるインテリア

模様替えや片付けをするたびに、家具の配置や小物の置き方に困っていませんか? 素敵なインテリアの写真はあふれていますが、実際にそれを参考にしようとすると、高価な家具が必要になったり、写真は元々広い部屋やリノベーション済みの部屋だったり、そもそも海外の部屋だったり。イマイチ自分のセンスにも自信がないし、やっぱり今の自分の部屋と家具だけではオシャレにならないのか……と諦めかけている人も多いのではないでしょうか。

 

今回は、『今あるもので「あか抜けた」部屋になる。』の著者であり、GetNaviがプロデュースするライフスタイルウェブマガジン「@Living」では、「北向き部屋のインテリア術」を教えていただいたこともある、インテリアコーディネーターの荒井詩万さんにコンタクト。センスが足りなくても新しいアイテムを購入しなくても、あか抜けた部屋にするためのルールを聞きました。

【関連記事】暗い・寒い・じめじめ…を解決!北向きの部屋が快適になるインテリア術
https://at-living.press/living/16771/

 

ルールに従って整えていくだけで部屋はスッキリする!

雑誌やウェブサイトなどでインテリアの実例を見ていると、「どうしてこんなに上手にまとめられるのだろう?」と、疑問に感じることがないでしょうか? 手頃な価格で揃えられた家具ばかりなのに、ドラマに出てくるようなスタイリングになっている部屋や、狭いのに上手にスペースを活用して家具を配置している実例もよく見かけますよね。

 

素敵なインテリアに整えるために必要なのは、センスではなく理論である、というのが荒井さんの教えです。

 

「去年、『今あるもので「あか抜けた」部屋になる。』という本を作りはじめたときに、ふと、本当にルールに従って整えさえすれば“あか抜けた部屋”になるんだろうか? と編集者と疑問に感じた瞬間があったんですね。そこで、本作りを進めるにあたって編集部の方々のお部屋を、本当にそこにあるものだけであか抜けさせられるかをやってみよう! ということでお部屋改造をしました。当時4名の方のお部屋に伺ったのですが、新しい家具も小物も買わず、配置換えをするだけでインテリアを整えることに成功し、これならどなたにでもできる! と実感しました」(インテリアコーディネーター・荒井詩万さん、以下同)

 

今あるものだけであか抜ける5つのインテリア理論

実際にその当時、荒井さんが整えたお部屋の実例も交えながら、5つのルールを解説していただきましょう。

 

1. 入口の対角に何を置くかですべてが決まる!

入口の対角は、一番の見せ場。ここにもっとも見せたいお気に入りのものやグリーンなどを置くことで、入ってきたときにスッキリとした美しさを感じられます。

 

【Before】

こちらは20代女性のひとり暮らしの部屋。カメラのある方が玄関になり、ルールにある“入口の対角”にはベッドのヘッドレストが来ています。左側には自宅で仕事ができるよう、机が置かれていました。

 

「インテリアのテイストは同系色でまとめられている上、物も多くないので、ごちゃごちゃしているわけではないのですが、なんだかベッドの存在感が大きすぎて気になりますよね。窓も潰してしまっているのではみ出た印象がありますし、黒い色がとても目立ちます。ベッドはホテルのように頭側を壁側にする方が落ち着くので、レイアウトを変更しました」

 

【After】

こちらが、同じ部屋で同じ家具を使ってレイアウトチェンジをした写真。Beforeと同じ広さなのに、ゆとりを感じられるようになりました。

 

「ベッドはかなりの大物なので、間取りによってはどうにも動かせないこともありますが、このお部屋は左側にもゆとりがあったので、枕を左側に向けて置き直しました。そしてもともと左側に置いてあったデスクを右に配置し、ちょうど入口の対角にある壁には、ポストカードをマスキングテープで貼ったものと時計でスタイリングしています。お気に入りとおっしゃっていたラグも、部屋に入ってすぐに見える位置にとデスクの下に敷きました。下に照明を置いたことで雰囲気も出て、広く感じさせることができるようになりました

 

2. 一箇所だけに目線を集めて見せ場をつくる

情報が多くなってしまうと、入ってきたときにどこに視線をやればいいのかわからなくなってしまいます。見せなくていいものはきちんとしまい、アートなどで目線を定めましょう。

 

【Before】

こちらは夫婦と小さなお子さんのお宅。入ってすぐ目に飛び込んでくるのは、やはり入口の対角にある収納家具。中にたくさんのものが詰まっていて、雑多な印象を与えます。

 

「収納家具と並んでテレビも置いてありますよね。テレビも配線の問題でここにしか置けないということもありますが、この場所に置いてしまうのはもったいないです。テレビって消えていると真っ黒で無機質なものにしかなりませんし、隣に飾ってある額がまったく目に入ってきません。ソファは置き場に困ってこの位置になったそうですが、テレビから遠くてまったく座っていないとのことでした」

 

【After】

こちらがレイアウトチェンジした部屋です。最初に目に入ってきていた収納家具は、この位置からは死角になる左側に持ってきています。

 

いちばんいい場所にギターとアート、ソファを置いて、ここを見せ場にしています。ソファは少し汚れているところがあったので、お手持ちのブランケットをかけて、新しいものを買わなくてもすっきり見せることができました。お子さまが描かれた絵にも視線が行き、ちょうど絵とクッションの色が合っているのも整って見えるポイントです。この位置なら自然にソファにも座れますよね」

 

3. 背の低い家具を奥にすると錯覚で広く見える

背の高い家具を奥にしてしまうと、それだけが大きく見えてしまい、部屋を狭く圧迫した感じの印象にしてしまいます。遠近法を使って、奥に向かって広がりを持たせましょう。

 

【Before】

こちらは男性のひとり暮らしの部屋。入口の対角には、やはりテレビがありました。

 

「この位置にテレビを置く方はとても多いので、ここは意識して注意しましょう。また、ソファが背を向けていると、『どうぞ』というウェルカムな印象が消えてしまい、座りづらさを感じます。さらに背の高い本棚が左奥にあり、ここで視線が止まってしまうので圧迫感が出てしまい、部屋を狭く感じさせていますよね。部屋があか抜けるルールでは、背の高い家具を手前に、背の低い家具を奥に配置すると、目線が邪魔されずに部屋の奥まで見通せるので、広く感じます。美術でいう“遠近法”と同じように、手前にあるものを大きく、奥に進むにしたがって小さく描くことで、奥行き感を表現していきます」

 

【After】

そしてこちらがアフター写真。

 

「まずルール1に沿って、いちばん好きなものとおっしゃっていたウッドベースを対角に置きました。ルール2に従って照明やギターも並べ、ここに視線が集まるよう見せ場にしています。そしてルール3に則って、圧迫感のあった本棚は手前に移動し、背の低いテレビ台を奥にずらしています。ソファがこちら側を向いたことで、入ってきてすぐに座れるようになりましたし、印象もよくなりますよね」

 

4. 三角形の法則なら1分でディスプレイが完成する

チェストの上やベッドのヘッドレスト、窓辺などに集めてきた雑貨や好きな小物を置くときは、三角を意識してレイアウトするとごちゃごちゃ感が出ません。

小物を置くときは、好きなものをどんどん並べてボリュームが肥大化してしまったり、同じ高さのものばかりで奥のものが見えなかったり、きれいにしたくて飾ったはずなのに乱雑な印象になってしまうこともありますよね。

 

背の高いもの、中くらいのもの、低いものという3つのアイテムを選び、三角形を意識して置いてみましょう。たとえば背の高い花瓶、キャンドルや写真立て、小物など高低差を出すことで、動きが出ます。幅のあるチェストの上などでもこのバランスを崩さず、三角形の塊をいくつか作ることでリズムが生まれてまとまります」

 

5. ちぐはぐに感じたら色か素材でグループ分け

どうにもまとまらないときは色か素材を意識して、同種のものを同じ場所に置くようにスタイリングしてみましょう。


小物の取り合わせに困ったときは、色と素材を意識してまとめていきます。1枚目の写真は木製をベースに集めたそうです。

 

「2枚目(左)は、ガラス製で淡いピンク色を意識してまとめたもの、3枚目(右)は、ブルーのタイルに合わせて青と貝殻、海をイメージした小物で合わせました。色と素材が合っているだけで統一感が出るので、インテリアがごちゃごちゃしたように見えず、すっきりとします」

 

次のページでは、インテリアの中で利かせる小物について、いくつか教えていただきましょう。持っているものをできるだけ上手に取り入れながらも、視線を定めるためのアイテムや、印象をぐっと変えることのできるものがあると、さらに整えやすくなります。

フリッツ・ハンセンにバルミューダ…一人暮らしの始まりに選ぶべき長く愛せる上質アイテム

部屋の印象を決める、使える小物を知る

さて、次はインテリアの中で利かせる小物について、いくつか教えていただきましょう。持っているものをできるだけ上手に取り入れながらも、視線を定めるためのアイテムや、印象をぐっと変えることのできるものがあると、さらに整えやすくなります。

 

1. フェイクグリーンを取り入れる

こちらのお部屋は荒井さんがコーディネートした部屋。入口の対角がすっきりしすぎていて寂しげだったので、写真の左奥、入口の対角にくる部分に、ハンギングとポットタイプのフェイクグリーンを取り入れたそうです。

 

「グリーンは、そこにあるだけでハッとするほど目をひくものです。どんなに整えられたお部屋でも、グリーンやお花などの植物がないと殺風景な印象になってしまいますよね。土を置きたくない方や育てるのが難しい方などでも、フェイクのグリーンなら取り入れることができます。ただし、100円ショップで売っているようなフェイクのものは、葉の雰囲気や艶感などがどうしても価格と相応になってしまうので、せっかく購入するなら少々高くても品質の良いものを選んでみてください。ずっと使えますし、お風呂場やトイレなど光の入らない場所にも置くことができて便利ですよ」

 

2. 壁紙のサンプルやかわいい包装紙を額装する


色を合わせてかわいらしく整えられた部屋でも、どうしても存在感を放ってしまうのがテレビ。こちらはテレビの存在感を消し、視線が上にいくようにあえてテレビの上にアートを飾ったそうです。

 

「こちらのお宅ではグリーンをあまり好まれなかったので、他のもので見せ場を作ることにしました。2枚の絵は新しく買ったものですが、その周囲にあるものはサンプルでもらった壁紙や包装紙を額に入れたものなんです。また、ファッションが好きな方だったので、まだ履いていない靴もスタイリングしています。こんなふうに好きなものを飾ると、テンションも上がりますし、その方のお人柄を感じられていいですよね

 

3. 間接照明にして壁をアートにする

左側にある観葉植物の鉢に、クリップで止めることのできるスポットライトをつけています。このスポットライトを1灯プラスするだけで、壁に木の影が出てドラマテックな空間になります

 

「賃貸住宅だと、照明は通常“シーリングライト”といって天井に一灯のものがついていることが多いですよね。明るさはそれだけでも充分ですが、一か所からの光で全体を照らすので、のっぺりとした陰影のない部屋に。クリップタイプのスポットライトは安価なものも多く、どこにでもつけられるので、天井照明を変えたり新しい照明器具を買ったりするより手間なく印象を変えられます。つけるときは、壁に光を当てるとやわらかな光になり、リラックスできる部屋になりますよ

 

↑シーリングライトだけのお部屋。ダイニングテーブルから遠いので、料理に光が当たらず、おいしく見えないという側面も

 

こちらはシーリングライトを吊り下げタイプのペンダントタイプの照明に変えた写真。壁紙もチェンジしているものの、オレンジ色の光でさらに雰囲気のある空間を作り出しています。
↑こちらはシーリングライトを吊り下げタイプのペンダントタイプの照明に変えた写真。壁紙もチェンジしているものの、オレンジ色の光でさらに雰囲気のある空間を作り出しています

 

ルールが頭に入ったら、まずは入口の対角にどんなものを置いたらいいか考えてみましょう。そこにあなたの好きなものを置き、いちばんの見せ場を作ってみてください。それができたら、あとはそこに合わせて家具の配置を考えて行きましょう。きっと何も買い足さなくても、お気に入りのお部屋になるはずです。

 

 

【プロフィール】

インテリアコーディネーター / 荒井詩万

「CHIC INTERIOR PLANNING」代表。戸建住宅・マンションのインテリアコーディネート、リフォームなどを数多く手掛ける。住まう人に寄り添う心地よい空間づくりが人気。大学やインテリアスクールの講師としても活躍。NHK「あさイチ」、日本テレビ「スッキリ!」などテレビ出演も多数。近著に『今あるもので「あか抜けた」部屋になる』(サンクチュアリ出版)がある。
https://chic-interior.net/


荒井詩万『今あるもので「あか抜けた」部屋になる』(サンクチュアリ出版)

無印良品をチョイ足ししてインテリアを春夏仕様に変える11の方法

5月に入り、日差しに暑さを感じる日が多くなってきました。本格的な夏の到来に向けて、衣替えをするように、部屋のイメージチェンジもしたいところです。

 

でも、大物の家具を買い替えたり、移動したり、模様替えをするとなるとなかなか大変なもの。そこまでしなくても、毛足の長いラグやブランケットを片づけたり、リネン類を薄手のものに変えたりするだけで、部屋の印象はガラッと変わり、季節感が出ます。

 

このように、今あるインテリアをより快適にしたいと思ったとき、まず足を運ぶのが無印良品ではないでしょうか。そこで、大規模な改造をすることではなく、居心地のよい空間を整えるためのコツを、無印良品の川尻淳子さんに聞きました。

 

手軽に部屋の印象を変えたい!

グリーンを増やしてみよう

最も簡単にお部屋の印象を変えるには、グリーンを置くことです。グリーンが増えると部屋が明るく、活動的なイメージに変わります。小さな鉢植えやハーブをトイレやキッチンの窓辺に置いたり、ベランダや窓辺で背の高い観葉植物を育ててみるのもよいでしょう。外出が多く、水やりの心配がある場合は、葉に水分を蓄えておける多肉植物や、日当たりが十分でなくても育つ種類の観葉植物、明るい色合いのドライフラワーなどもおすすめです。壁に吊るしておくだけで華やかな印象を与えます。

 

1.フレームに入ったフレッシュな植物で壁を飾る

フレッシュなグリーンを壁に飾るタイプの観葉植物は、お部屋の間取りや広さを気にせずにグリーンを取り入れられる素敵なアイテムです。さみしくなりがちな壁に鮮やかな緑色が映えて、爽快感や癒しを感じることができます。

壁にかけられる観葉植物
1890円~3890円

「スポンジ状の新素材パフカルで育てた観葉植物を、樹脂フレームに入れました。軽量のため釘やネジなどで壁にかけることができます。植え込みに土を使用していないため、室内での管理に適しています。給水口が前面にあるため、上下左右に並べて飾ることができます」(無印良品・川尻さん)

 

2.室内で育てられる水草を取り入れる

グリーンを置きたいときに最も悩むのが日当たりですが、水草なら直射日光がない場所でも大丈夫。キッチンの窓辺やバスルームなど、インテリア小物を置きにくい場所も彩ることができ、お部屋が明るく感じられます。

水中の植物とガラスベースセット ロタラミックス
3990円(ネット限定商品)

「手軽に水草を育てられる、ガラスベースと水草のセットです。直射日光のあたらない明るい室内で楽しめます。水上で生産しているため、お届け時は葉が丸く緑色ですが、水中で育てていただくと細長く赤みを帯びた葉が出てきます。ロタラ種、数種類のミックスです」(無印良品・川尻さん)

 

部屋をすっきりさせたい!

収納ボックスを効果的に使おう

アクセサリーや手紙、文庫本などの細々したものから、季節外れなストールや厚手の靴下、洗剤や洗濯用のネット、タッパーやお鍋の蓋など、さまざまな場所で小物が出しっぱなしになっていませんか? 今一度収納についても見直してみましょう。

「収納スペースが少ないお部屋では、蓋つきの収納ボックスや、物を立てて置けるタイプの収納ボックスを使うことで、すっきりとしまうことができます。特にキッチンまわりでは物がしまわれているだけで、清潔感があり、気持ちよいお部屋に感じるものです」(無印良品・川尻さん)

 

3.衣類には蓋つきのボックスが便利

「生地の内面をコーティングした、コンパクトにたためる布製ボックスです。軽くて形状もたためるので、タオルやスカーフなどの布ものから、小さめのバッグ、整理しにくい小物などをまとめて収納するのに便利です。スタッキングシェルフの引出しとしてもちょうどよいサイズで、特にスカーフなどの繊細な布は引っかからず傷つける心配がありません」(無印良品・川尻さん)

ポリエステル綿麻混ソフトボックス フタ式L
¥1990

※上下の写真はサイズ違い

 

4.細々したものは立てて収納できるボックスを使う

「本来はファイル用の収納ボックスですが、シンク下などでお鍋やお皿を立てて整理したり、細かいものが多いキッチン用品や洗剤などをまとめたり、整然と収納したいときに便利です」(無印良品・川尻さん)

ポリプロピレンファイルボックス・スタンダードタイプ・ワイド・A4用ホワイトグレー
900円

 

では、夏に迎えるにふさわしい爽快感を加えるなら? 無難なカラーにまとまりがちな部屋に、アクセントをつけるなら? 引き続き、そのコツとおすすめのアイテムを紹介します。

夏らしく爽快感をアップしたい!

ファブリック小物やリネン類を夏らしく薄手のものに新調してみる

冬に使っていた暖かな毛糸やフリース素材のラグやベッドカバー、タオルなどを片づけ、素肌に気持ちのいいさらりとしたタイプのものに変えてみましょう。

「麻やインド綿などは春夏の肌にはよく合います。いつも洗濯したての気持ちよいものを用意しておきたいですね」(無印良品・川尻さん)

 

5.さらさらの触り心地のマットを使う

綿麻バスマットM ライトブルー
2990円

「シャリ感のある麻と綿を使い、しっかりした踏み心地のバスマットを作りました。商品に使われているリネンは、吸湿速乾性や抗菌性があり、夏や湿気が気になる季節におススメです」(無印良品・川尻さん)

 

6.ルームサンダルは心地よいものを選ぶ

インド綿ルームサンダル・鼻緒・M 生成×ネイビーメランジ
690円

「インドの職人が組み紐を縫い合わせて、ひとつひとつ手作業で作り上げました。お風呂上りなどの素足に気持ち良いルームサンダルです」(無印良品・川尻さん)

 

7.綿素材のラグにチェンジする

インド綿手織ラグ 生成
8900円

「インドの職人がひとつひとつ丁寧に作った手織りのラグ。綿素材がもっているやさしい風合いが、年間を通じて使いやすいラグです。ラグはリビングルームに敷くだけで雰囲気がぐっと変化しますから、気分転換にもなります」(無印良品・川尻さん)

 

8.ごわごわしてしまったタオル類を新調する

「繊維の長い綿糸を使い、織組織を工夫して、洗濯を繰り返してもしなやかさの長続きするタオルに仕上げました。タオル類は総取り替えとなるとなかなか大変ですが、新しいタオルがきちんと収納されているバスルームは疲れた気分も一新してくれます」(無印良品・川尻さん)

オーガニックコットン混しなやかハンドタオル・中厚手/オフ白
450円

 

 

インテリアにアクセントをつけたい!

9.ボードに好きな雑貨を並べる

 

壁に付けられる家具シリーズ ウォールナット88cmタイプ
5490円

「壁に傷がつきにくくて組み合わせて使え、石膏ボードの壁なら簡単に取りつけることができます。棚だけでなく、フック・ミラーなどもそろえられます。トイレや玄関など、さびしくなりがちなところへ取りつけるのもよいでしょう。旅先で集めた雑貨や友だちから届いたかわいいポストカードなど、好きなものを並べてみてください」(無印良品・川尻さん)

 

10.天然素材の薄地カーテンで部屋の中を明るくする

綿ボイルプリーツカーテン/オフ白2990円〜3990円

「綿100%をつかった薄地のボイルカーテンは、外からの視線は遮りつつも、風や日差しを柔らかく届けてくれます。お部屋の中でも目線が行きやすく、雰囲気を決める重要なツールのひとつになるので、模様替えをしたような気分にさせてくれます」(無印良品・川尻さん)

 

11.クッションカバーを明るい色味のものにチェンジ

オーガニックコットンクッションカバー/中チェック・ブルー
1290円

「インドの伝統的なチェック柄をモチーフにしたクッションカバー。春夏らしいカラーで部屋のアクセントカラーに最適です。カバーをいくつか持っておき、気分に合わせてチェンジすることでインテリアのイメージが変わります」(無印良品・川尻さん)

 

部屋を丸ごとチェンジするとなると腰が重たくなるので、「今日はリビングのクローゼット」「明日はキッチンの食器棚」などと、細かく場所を区切って収納やインテリアを見直し、少しずつ変えていくのがおすすめです。

 

窓を開けるのが気持ちよい季節ですから、お天気のいい日を選んで取り組んでみてはいかがでしょうか。

※価格はすべて税込表示です

 

【ショップ情報】

無印良品ネットストア

https://www.muji.net/store/

無印良品店舗情報 https://www.muji.net/store/

 

取材・文=吉川愛歩 構成=Neem Tree 画像提供=無印良品

 

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