フローリングのしつこい汚れを落とす/暮らしに生かすDIYメンテナンス(10)

揚げものや炒めもの、油を使った料理をする限り避けられないのがキッチンの油汚れ。床に飛び散る微細な油は、料理中に熱せられることで粘度を増し、ほこりやちりと混ざることで、フローリングをひどく汚してしまう。今年の汚れは、今年のうちに徹底的に落としてしまう掃除術。

 

Before。油汚れを放っておかれたフローリング

 

After。きちんとメンテナンスすればきれいさっぱり

 

汚れ落としは家庭用の中性洗剤でOK

掃除の手順として最初のポイントは、汚れたフローリングに掃除機をかけること。これでフローリングの上の油分で固定されていないほこりやごみを吸い取ってしまい、拭き掃除を簡単にするという狙いだ。掃除するスペースの全体に掃除機をかけて、目に見えるほこり、ごみ、毛髪などきれいに吸い取ってしまう。

掃除機をかけ終わったら、いよいよ本格的に汚れを洗浄する。使う洗剤は中性洗剤。室内各部の掃除には効き目がマイルドな中性洗剤が、トラブルなしで使いやすい。

バケツにぬるま湯を張ったら、その50分の1の分量を目安に中性洗剤を混ぜて使う。ぬるま湯にするのは、油分が溶かしやすいし、寒くなるこの時期に少しでも気持ちよく掃除したいからだ。

中性洗剤を混ぜたぬるま湯につけたウエスはよく絞って、フローリングの汚れを拭き取っていく。しつこく厚さのある汚れには、中性洗剤を直接かけて汚れを落とせばいい。こうして中性洗剤を直接使った部分は、洗浄後、よく水拭きして洗剤分を取り除いておく。

掃除に使うのはごく普通の中性洗剤。これを必要な濃さに調整して使う

 

キッチンのフローリングは、特に油で汚れやすいスペース

 

一般的な汚れならバケツ1杯のぬるま湯に中性洗剤を50分の1混ぜる

 

ひどい汚れでは、中性洗剤の原液を振りかけて、数分放置して汚れを浮かせるときれいに掃除できる

 

ワックスがけで一段上の仕上がりに

水拭きして洗剤成分を取り除いたら、フローリングを完全に乾燥させる。これで汚れ落としは完了だが、せっかくきれいになったフローリングはワックスをかけて新品同様に仕上げたい。また中性洗剤の原液を使った部分は古いワックスがはがれているので、必ずワックスがけして仕上げたい。

ワックスをかける前に水拭きして、洗剤分を拭き取り、フローリングを完全に乾かす

 

スーパーなどで買える一般的なフローリング用のワックスを使用

 

ワックスを塗る範囲全体を見渡して、ワックスがけのコースを決める。逃げ道がないと、ワックスが乾くまで閉じ込められることがあるからだ。

ワックスは原液のままワックス塗布用のモップや半分に折ったウエスにまんべんなくしみ込ませ、想定したコースを後ずさりしながら塗る。ワックスは線で塗り、円で塗ってはいけない。薄く塗るように気をつける、さあーっとフローリングの上を滑らせる感じ。手に力を入れたりごしごしこすってはいけない。

ワックスがけは引きながらかけるのが原則。ワックスが完全に硬化するまで乗れないので、うまく脱出できるようにコースを設定する

 

ウエスやシートを簡単に交換して使えるモップが便利

 

モップにセットしたウエスにワックスの原液をたっぷりしみ込ませて、先述のようなコースでワックスをかける

 

ワックスがけは一度に広い面を塗るのではなく、手の届く範囲を一区切りとして塗ると疲れないし失敗もない。塗り終わったらよく乾燥させる。乾燥する前に水をこぼしたり、水滴をこぼしたりすると、そこが白い跡になってしまうので乾燥までは気をつける。

できれば2度塗りするといい。厚い1度塗りより薄い2度塗りが効果的だ。

最後に、ワックスは乾くと固まるので、ワックスがついたウエスやモップは濡れている間に洗ってしまうこと。

ワックスが完全に乾き、硬化する前に水で濡らすと、その部分が白く濁ってしまうので、乾くまでは水気厳禁

 

ぴかぴかに仕上がったキッチンのフローリング

浴室のタイル壁・目地の掃除/暮らしに生かすDIYメンテナンス【9】

ふと気がつくと汚れているのが浴室の壁。とくに目地はモルタルなので、カビで黒い線状に汚れてしまう。今回は使いやすい用品を紹介しながら掃除の手順を解説する。

 

目・鼻・口・手をしっかりガードしてから作業する

掃除には液性がアルカリ性の浴室用カビ取り洗剤を使うので、作業前に防護メガネ、マスク、ポリ手袋などで目・鼻・口・手をしっかりガードしてから作業に取りかかる。作業中に衣服に洗剤がかかったら、すぐに洗濯して洗剤分を落とすこと。成分で衣服が激しく酸化してボロボロになってしまう。過去に、洗剤が大量にかかった衣服が原因で爆発事故が起こったという事例もあるので注意が必要だ。また成分の次亜塩素酸塩は塩酸を含むので、作業時は十分に風通しのよい状態にすることも大切。強力な成分の洗剤なので、「風呂に入るついでに裸で作業しよう」などと考えてはいけない。逆に、解説したとおりしっかりと準備さえしておけば、作業自体は比較的簡単だ。

100円ショップの道具が大活躍

作業の手順例としては、初めに浴室のタイル面を掃除してから目地の掃除に進む。目地部分を後回しにするのは、タイル面を掃除した時点で一緒に湿った目地部分をなるべく長い時間湿らせた状態にしておき、洗剤を少しでもなじみやすくするためだ。

タイル面に洗剤を吹きつけてウエスで拭き洗いしたら、すかさずシャワーなどで洗剤分をよく洗い流す。次に目地部分を狙って洗剤を吹きつける。吹きつけ部分が目線より上になる場合は、洗剤をスポンジなどに取って塗りつけ、洗剤が目に入らないように作業する。洗剤の説明にオープンタイムを置くように指示があればそれに従い、目地幅に合う先の細くなったブラシ、メラミンスポンジの角、汚れ磨き消しゴムの角部などを利用して目地部分を掃除する。こうした道具はすべて100円ショップで入手できる。

1回の洗浄でカビが完全に落ちない場合は、再び目地幅に沿って洗剤を拭きつけ、同じ作業を繰り返す。洗浄が終わったら、シャワーなどで洗剤分を完全に流し落とし、乾いたウエスなどでよく拭き、目地が乾くまで換気をよくしておく。さっぱりきれいになった浴室の清潔感は格別だ。

 

【タイルと目地の洗浄作業例】

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます

 

タイル壁の割れ・目地の補修の方法

タイルのひび割れは、ひび割れた部分にエポキシ系接着剤を小さなヘラで埋めれば修復できる。タイルが欠け落ちたときは、割れたタイルをエポキシ系接着剤で張りつければOKだ。目地の修復は、ボロボロになった目地をドライバーなどで削り取り、タイル用目地セメントを使って目地埋めする。また、目地埋めには防カビ剤が入ったシリコーン系コーキング剤や、チューブタイプの防水シールを使ってもいい。

コーキング剤の例。浴槽と壁のすき間埋めにも使うことができる。水回りに使うので防カビ剤入りのものを選ぶこと

混合水栓の水漏れを止める/暮らしに生かすDIYメンテナンス【7】

温度調節ハンドルの操作で、お湯と水を混合し、好きな温度で使うことができる混合水栓は、どこの家庭でも見られるもの。便利な機能だが、機械である限り経年の劣化は避けられない。今回は設置して20年以上経過している混合水栓の水漏れを止める。

 

Oリングをチェックして必要なら交換する

バスルームにある混合水栓の、温度調節ハンドルの根元から水漏れ。ひと晩で手桶一杯の水が漏れている。とりあえずDIYで対処できるか、この段階で心配であれば、バスルームの混合栓のメーカーに問い合わせて相談すればいいだろう。問い合わせる場合は製品番号を控えておくと、話がスムーズになる。

混合水栓の動き自体に問題はないので、今回のメンテナンスでは内部の温度調節機能部のOリングをチェックしてみる。金属製の水栓で水漏れの原因になるのが、Oリングやパッキンといったゴム製の部分。今回の混合栓は1997年までには製造が中止されているらしいので、少なくとも20年は経ったモデルだ。さすがに金属部分はしっかり作られているが、ゴム部分の経年劣化は避けられないだろう。

Oリングをチェックするために、温度調節機能部を取り出すには、このモデルではウォーターポンププライヤーを使う。ウォーターポンププライヤーがない場合は、温度調節機能部のスプラインをしっかりくわえることができる大きめのプライヤー、モンキーレンチなどで代用できる。温度調節機能部を取り出したらOリングを取り外し、点検して摩耗や傷、へたりがあれば同じサイズの新品Oリングと交換する。ホームセンターにはたくさんの規格Oリングが並んでいるが、古いOリングの場合、すでに規格外品となっている場合もあるので、そうした場合はメーカーに問い合わせれば間違いない。

 

作業の手順例

*一部SNSでは表示されません。本サイトでは閲覧いただけます