災害時に「情報と電気」を確保できる? 今こそ見直したい通信環境と電源回り

いまの生活に欠かすことのできないネット通信と電気。災害発生時には通信困難になったり、停電することが予想される。だが非常時こそ正しい情報を入手したり、ポータブル電源で最低限の電気を確保することが必要だ。テクニカルライターの湯浅顕人さんが解説する。

 

 

自分の通信環境や電源回り、まずはそこから見直したい

「特定のキャリアにだけ不具合が発生しているということもあります。複数のキャリアと回線契約しておくことで、切り替えたら繋がることもあります」(湯浅さん)

 

いまはキャリアのサブブランドや格安SIMなど、低コストで2回線維持ができる。SIMを2枚挿せるスマホなら持ち運びの負担もない。通信回線が復旧しない場合は公衆無線LANの活用も必要だ。

 

「“Japan Wi-Fi auto-connect ”アプリを使えば近隣のWi-Fiに自動的に接続してくれます。危険な野良Wi-Fiに接続したりはしないので安心です」(湯浅さん)

 

非常時でも「確実に」、「正しい情報」を入手する

1 電池切れではつながらない! スマホのバッテリー対策を万全に

スマホも電気がなければただの板。とならないようにソーラー充電対応のモバイルバッテリーやポータブル電源はもちろん、手回し発電(充電)機のような人力で急場を凌ぐことができるアイテムを用意しておきたい。

 

「スマホのバッテリー切れは情報収集のうえで致命傷になりかねません。電源やUSB充電だけでなく、乾電池でも使えるタイプの充電器を用意しておくと安心でしょう」(湯浅さん)

↑必要ない機能やバックグラウンドで動作するアプリを停止。画面の明るさを抑えることもバッテリー消費抑制に効果的だ

 

2 電話はつながりにくくなること必至! 音声通話アプリで連絡する

特に災害発生時には通話が殺到したり携帯電話基地局がダメージを受けたりして電話が一時的に使えないこともある。そんなときは無線LAN経由で音声通話機能付きSNSアプリ使って連絡を取れるようにすることが重要だ。

 

「複数の携帯キャリアを契約しておいて切り替える、または音声通話アプリを利用するのが効果的。連絡を取り合いたい人とはアプリを共通化してグループを作成しておくとスムーズです」(湯浅さん)

↑「LINE」などの代表的な音声通話アプリ。あらかじめ家族や仲間、同僚などとグループを作成しておくと相互連絡や情報共有に便利に使える

 

3 災害発生時に解説される公衆無線LANを活用する

通信回線が使えないときは災害時に開設される公衆無線LAN(Wi-Fi)アクセスポイント(AP)を探そう。通信キャリアや自治体などが提供しているフリーWi-FiのAPを確認しておくことも非常時の備えとして有効だ。

 

「例えばJapan Wi-Fi auto-connectのようなアプリを使って公衆無線LAN経由で通信できるようにします。常日ごろからAPのステッカーをチェックしておけば、イザというときに役立ちます」(湯浅さん)

↑大規模災害や通信障害時に無料で提供される公衆無線LAN(Wi-Fi)APサービスの「00000JAPAN」。緊急連絡や情報収集時に心強い

 

4 情報の内容と発信元を確かめて、フェイク情報にだまされない 

混乱時だからこそ細心の注意を払いたいのが情報の取捨選択。故意ではなくても発信者側も非常事態で気が動転していて勘違いや誤情報を発信してしまう可能性もある。また情報を発信する場合も慎重になる必要がある。

 

「何といってもフェイク情報にだまされないことです。伝聞調の情報はどこの誰が発信元かがはっきりしないものが多いです。安易に広めたりしないように注意してください」(湯浅さん)

↑本人ならまだしも“知人の兄が関係者で”や“知り合いの知り合いが”などという話はフェイクニュースの可能性が高いので注意

ポータブル電源で「電気の欠損」を防ぐのはもう当たり前!

もちろん、それもこれも電気があればこそ。ポータブル電源のような備えはもちろんだが、とりあえず、すぐできそうな防御法も。

 

「電源タップは“雷サージ防止機能”のあるタイプを使うことです。これだけでもルーターが破壊される事態を防げます」(湯浅さん)

 

まずは自宅の通信や電気の環境を見直してみることも大切だ。

 

長寿命&コンパクトで日常的に使える

Jackery ポータブル電源 1000 New/13万9800円

↑Jackery ポータブル電源 1000 New

 

定格出力1500Wのパワーを業界でもトップクラスの軽量コンパクトボディに凝縮。最速60分でフル充電、冷蔵庫などの家電を接続したままにできるパススルー、UPS機能など日常にも緊急時にも使い勝手が良い。

 

<スペック>
電池容量  :1070Wh
出力    :USB Type-C×2、USB Type-A×1、AC100V×3、シガーソケット×1
AC定格出力:1500W AC瞬間最大出力・3000W サイズ/質量:約W327×H247×D224mm/約10.8kg

↑ソーラーパネルとセットになったモデルも用意される。“SolarSaga 100”2枚を使った100W入力では満充電まで約8時間で完了する

 

「85%で充電を止める節約モードがあるので、コンセントに繋ぎっぱなしにしておいても安心です。耐火性や耐衝撃性、ソーラー入力対応などもいざという時には頼もしい機能です」(湯浅さん)

 

大出力にも対応する、使い勝手の良いモデル

EcoFlow DELTA 3 Plus/14万9600円

↑EcoFlow DELTA 3 Plus

 

AC1500W入力で80%なら約40分、100%なら56分の高速充電に、独自のEcoFlow X-Boostテクノロジーで高出力電化製品の使用も可能。高耐久長寿命、静粛性、パススルー&UPS、出力先の多さなど、普段使いにも便利。

 

<スペック>
電池容量  :1024Wh
出力    :USB Type-C×2、USB Type-A×2、AC100V×6、シガーソケット×1
AC定格出力:1500W●AC瞬間最大出力:3000W サイズ/質量:約W200×H284×D398mm/約12.5kg

↑AC100V出力を6基備えるので同時に多くの家電製品に電源供給することができる。AC瞬間最大出力も高めに設定されているので安心度が高い

 

「独自技術でドライヤーのようなハイパワーを必要とする電気製品にも対応。専用の外部バッテリーで容量を増量することもできるので多少停電時間が長引いても安心です」(湯浅さん)

 

安定性に大容量出力!高い静粛性もポイント

DJI Power 1000/11万4400円

↑DJI Power 1000

 

バッテリーが切れるまで定格2000Wを出力する安定性に最大出力2600W、ピーク出力4400Wの大容量出力と動作音23dBの静音ファンを搭載したパワフル&優しいモデル。140WデュアルUSB-Cポート装備でタブレットやノートPCなどへ高速充電に対応する。

 

<スペック>
電池容量  :1024Wh
出力    :USB Type-C×2、USB Type-A×2、AC100V×2、シガーソケット×1
AC定格出力:2000W●AC瞬間最大出力:4400W サイズ/質量:約W448×H230×D225mm/約13kg

↑UPSモード搭載、最大800Wの太陽光発電電力入力に対応。同社のドローンへの高速充電が可能なSDCなど、ユニークなポートも装備

 

「ピーク出力4400Wのハイパワーに高い静粛性、140W対応のUSB Type-Cをふたつ装備しているのがポイントです。ソーラーパネル3枚接続に拡張できるのも停電時には心強いです」(湯浅さん)

 

停電復旧時の通電火災を防ぐ!

パナソニック 感震ブレーカー BQX702/希望小売価格2万4200円

↑パナソニック 感震ブレーカー BQX702

 

震度5強以上の揺れを感知後、3分以内に停電が発生した場合は停電復帰時に分電盤の主幹漏電ブレーカーを強制遮断することで通電火災を防ぐ。3分以内に停電しなかった場合でも3分後にブレーカーを遮断するので安心だ。

 

地震の後危険なのが、落下物で電源コードが損傷していたり、冬場であれば電気ストーブが転倒していたりなど、停電復旧の際に、それらが火元となって火災が発生する場合。対処法としてはいわゆる“ブレーカーを落とす”、アンペアブレーカーをオフにするわけだが、災害時には自力ではできない状況に陥るかもしれない。感震ブレーカーは、そんな通電火災のリスクに備える最適解だ。

 

テクニカルライター:湯浅顕人さん

PCやガジェット、AVに精通しているライター。インドアモノに強いが、キャンプやマリンスポーツも愛するアウトドア派でもある。

 

※「GetNavi」2024月11号に掲載された記事を再編集したものです

「防災セット」から始める、待ったなしの災害対策! 防災士おすすめアイテム

元日に発生した能登半島地震を始めとして、台風、豪雨、洪水など、次々と災害が発生した2024年。いつ起こるかわからないからこそ、普段からの備えがもう待ったなしで必要な状況だ。

 

命と暮らしを守るために知っておきたい知識と備えておきたいアイテムを、防災収納インストラクターで防災共育管理士、防災士の松永りえさんが紹介する。

 

防災の備えに対する意識はまだまだ低い

↑有効回答数500人(女性343人/男性157人) 株式会社AlbaLink調べ

何をどれだけやれば十分と感じられるのかは人によって様々なので一概には言えないが“備えていない”と回答している人が4割もいるというのはちょっと問題かも。転ばぬ先の杖、備えはできるだけしたいものだ。

 

地震や台風、大雨も!日本は災害の危機だらけ

南海トラフ地震や首都直下型地震の発生危険度が増している。ただ、いつ起こるかわからないからこそ、普段からの備えが必要不可欠だ。最近は地球温暖化の影響によって、台風や豪雨による洪水での浸水被害も毎年起こるようになってきているのが実状である。

 

「50年に一度とも言われる大雨による被害が毎年発生している状況ですし、特に夏季はゲリラ豪雨もほぼ毎日どこかで起こっている状態。これからの日本では、私たちが自然災害に対してうまく対策して暮らしていくしかない時代と言えます」(松永さん)

 

今後、災害は増えることはあっても減ることはない現在、災害とともに生きていく覚悟が必要だ。

 

「いつ起こるかがわからないのが災害の怖さ。早めに知識を備え、モノを準備して安心を手に入れるのがベストです!」(松永さん)

 

<2024年に日本を襲った災害>

1月:能登半島地震
1月1日、16時10分に発生したM7.6(最大震度7)の内陸地殻内地震。地震発生日が元日だったこともあり、帰省や観光客など、普段はそこにいない人も多く、一時は避難所が十分に機能できない、混乱した状況に陥った。

7月・8月:日本各地で記録的豪雨
中国・東北地方はもちろん、全国的にゲリラ雷雨が増加。太平洋沿岸から日本海側にかけての広範囲の線状降水帯の発生、動きの遅い台風10号による九州〜関東の大雨など、日本各地が記録的な大雨の脅威に晒された。

8月:宮崎県日向灘でM6.1の地震発生
8月8日、日向灘で発生したM6.1(宮崎県日南市で最大震度6弱を記録)の地震。南海トラフ巨大地震との関連から、その運用以来初めての“南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)”が発表され注意喚起が促された。

備えるモノがわからなければ、防災セットから始めてみる

災害時は、命を守るのが最優先。自宅内の安全対策をして避難するための備えを。地震の際は家の中で被災することが多いので、棚は倒れないか、家電は移動しないか、落ちて割れるものはないかなど、室内をチェックして安全対策するところからスタートしよう。

 

「もし自宅が危険な状態にある場合は『防災リュック』を背負って避難します。備えるモノがわからなければ、避難時に必要なモノが揃っているセットも数多くあるので、まずはここから始めるのも良い方法。定期的に中身をチェックすることが大切です。どのルートで避難するかもシミュレーションしておいてください」(松永さん)

 

アイリスオーヤマ 防災リュック NBS1-40 1人用 40点
実売価格:1万4500円前後

↑アイリスオーヤマ 防災リュック NBS1-40 1人用 40点

 

雨天でも安心のターポリン生地+止水ファスナー採用大容量リュックの中に防災マニュアルから保存食(一日二食3日分)まで計40点をパッキング。厳選された防災アイテムが満遍なく揃っている。質量約6.2㎏。

 

LA・PITA 防災セット SHELTERプレミアム 2人用
実売価格:2万900円

↑LA・PITA 防災セット SHELTERプレミアム 2人用

 

大きさを感じさせないスッキリしたフォルムの大容量リュックに、必要十分な防災アイテムを詰め込んだコストパフォーマンスに優れたセット。アイテム毎に収納できるポーチが付属するので、リュックの中をスマートに整理できる。セット質量約8.5㎏。

 

<防災セットを備える際のポイント>

自分が必要なモノが揃っているかチェック
過去の経験を踏まえたうえで吟味厳選されたアイテムがパッキングされているが、必ず中身はチェックしよう。不足やお気に入りがあるのならカスタマイズも必要となる。

避難場所まで背負って行ける重さかシミュレーションする
一般的に男性なら15㎏、女性なら10㎏までがスムーズに背負って歩けるとされる限界。災害時は身軽さも大きな武器、詰め込めば良いわけではない。バランスには気を付けたい。

避難時に取り出しやすい場所に保管しておく
玄関近くなど、持ち出しやすい場所に置いておくのが基本。ただ災害時は玄関から出られるとは限らないので、別に避難用出口を決めておいて、そこに保管しておくのも良い。

幸いにも家は無事!「在宅避難」で気をつけること

安全が確保できるのであれば自宅で在宅避難したい、という人が増えている。2023年に積水ハウスが行った「防災に関する調査」によれば、在宅避難を希望する人の割合は84.8%にものぼる。

 

「様々な人が集まる避難所と違って、プライバシーが確保できますし、住み慣れた安心感があります。自宅の備えもそのまま使えます。在宅避難者が増えれば、避難所など本当に支援が必要な人に支援物資が届きやすくなる効果もあります」(松永さん)

 

自宅で過ごせるとしても、電気や水道、ガスといったライフラインの寸断は避けられない場合も。そのために多めの備蓄をしておくことが必須となる。

 

「飲用水や食料などは最低でも1週間以上ぶんを確保しておくことが必要。そのためには普段食べているものを多めに備えながら、食べる→買い足すを繰り返す『ローリングストック』が有効です。常に備蓄を切らさないようにすることが重要になります」(松永さん)

 

在宅避難で気を付けたいポイント

1 在宅避難ができるよう、普段から家具や家電などの安全対策を行う

在宅避難を考えるならば、まずは家屋の安全性を確かめることが基本。そのうえで自宅内の被害を最小限に抑えるよう、家具の転倒や割れ物の飛散、家電製品の移動を防ぐなど、普段から対策をしておくことが必要だ。

 

2 ライフライン(電気・ガス・水道)の代替品・備蓄は最低1週間ぶん確保

 

復旧にどれだけ時間が掛かるのかは地域や状況によって大きく差が出るので、最低一週間ぶんを目安に考えたい。ポータブル電源やソーラーパネル、カセットコンロ、水のペットボトルなど、収納スペースも確保しておきたい。

 

3 マンション高層階の人は、より多くの備蓄が必要

 

いわゆるタワマンでなくとも高層階に住んでいるならば、エレベーターが使えなくなることを想定する必要がある。物流が復旧するまでは自力で高層階まで物資を運ばなければならなくなるかもしれない。そんな事態に備えて備蓄には余裕を。

 

ポイントはまだある!
自宅周辺のリスクを知って家では安全なスペースを作る

まずは自宅周辺のハザードマップで、リスクを知ることが必要。

 

「川の氾濫での浸水や津波のリスクがある場合は避難しなければなりません。知らないと正しい対策はできません」(松永さん)

 

そのうえで、家の中の備え(片付けや安全対策、備蓄)を進めることが重要になる。

 

「特に寝ている場所に倒れたり、落ちてくるモノがあると命に関わるのでいますぐ見直して欲しいです。1995年に発生した阪神淡路大震災では、死因のほとんどが家屋の倒壊や家具の転倒による圧迫死、さらに死亡推定時刻が当日の午前6時までになっており(地震発生は午前5時46分)、ほぼ即死だったと言えます。このような事態を避けるためには、家の中に何も倒れない・落ちてこないような『安全スペース』を作っておくことが必要です」(松永さん)

 

松永さんが挙げるポイント

1 自宅や職場周辺のハザードマップは必ずチェック!
国土交通省や、各自治体が公開しているハザードマップで、自宅周辺で危険とされている地域はどこなのかを必ず確認しておきたい。またマップには避難場所も記載されているので、把握しておくことが必要だ。

2 ベッドまわりは要注意!
寝室を見渡してみて、倒れてきたら潰されそうなモノ、落ちてきたら怪我をしそうなモノは対策しておく必要がある。就寝中はどんな人でも必ず無防備になる。だからこそリスクはできる限り排除しておきたい。

3 家の中に「安全スペース」を作っておく
倒れたり落ちてきたりするものがない、窓から離れられる、地震が発生したら、ひとまずやり過ごせる、安全なスペースを家の中に持っておこう。防災備蓄品もその場所にあれば本格的な避難にも迅速に対応できる。

 

防災収納 インストラクター:松永りえさん

防災共育管理士、防災士。思考・モノ・防災の3つを整理して、暮らしの土台をつくる整理収納コンサルタントを務めている。

 

※「GetNavi」2024月11号に掲載された記事を再編集したものです

冬場の被災への備え、足りてる? フェリシモから、15の防寒・衛生アイテムまとめた防災グッズが登場

フェリシモは、「みんなのBOSAIプロジェクトもしもしも」より新作を発表し、12月17日よりウェブ販売を行っています。能登半島地震での経験と声を生かして生まれた、「防寒」と「衛生」アイテムを圧縮バッグに詰めて、さっと持ち出せる「ふだんから意識する 7つのあたため習慣の会」です。

↑全アイテムをひとまとめに収納・保管できる圧縮バッグ(写真左上と右上)。寒さ対策にもなる軍手(写真左下)。災害時の必須アイテムの簡易トイレ(写真右下)

 

記事のポイント

防寒アイテムを揃えていても、避難時に持ち出せなければ備えの意味がなくなってしまいます。衛生用品と防寒具を効率的に持ち出せるよう、全アイテムを圧縮して1つのバッグにまとめ、玄関に置けるようにしたアイデア商品です。「3つの首(首、手首・足首)」を中心に効率よく体を温められるアイテムをそろえつつ、内側から体を温めるためのアイテムもラインナップしています。

 

全15の防寒・衛生アイテムが、圧縮バッグによってコンパクトにひとまとめされています。真ん中のファスナーを閉めるとスリムに圧縮され、撥水加工で雨の日でも安心です。セット内容の一部をご紹介します。

 

非常用トイレ(3回分):非常用袋&抗菌凝固剤。バケツや洋式トイレに袋をかけ、使用後は凝固剤でゲル状に。においもれを抑える、消臭機能付きです。

ヘッドライト付きニットキャップ:頭部全体をあたためる、締めつけ感のない耳ボア付きキャップ。額のLEDライトは停電時や夜間の移動に便利。予備の電池を用意しておくと安心です。

 

↑頭部全体をあたためる、耳ボア付きキャップ

 

ドライシャンプーミトン(3回分):洗い流しやふき取りがいらない、ミトン型のドライシャンプー。入浴ができない時でも、髪や頭皮を清潔に保てます。

↑水分を含んだ厚手シート(外側)と、さらりとした薄手シート(内側)の二重構造で、手がベタつかないのもポイント

 

ポケット付きあったかベストマフラー:寒さを感じた時、さっと羽織れる中わた入りのマフラー。軽量でもあたたかく、寒さで冷えやすい首や肩甲骨まわりを効率的にあたためてくれます。

↑首~肩甲骨に当たる部分にカイロが入るポケット付き。太い血管が通る肩甲骨まわりをあたためると効果的(写真左)。大きくて開けやすいフラップ付きポケット。ウェットタオルや簡易トイレを入れてポーチ代わりにできます(写真右)

 

アームウォーマー:指先フリーでムレにくく、着けたまま家事やスマホ操作もできます。手首をすっぽり包み、袖口から入り込む冷気をカットします。

ブランケット:ストールのように、肩からかけたり腰に巻いたり、手軽に体をあたためられます。ふんわりとした起毛素材で、車内やデスクでも使いやすいサイズ。

↑親指を出して使えるサムホールも付いており、指先フリーのアームウォーマー

 

↑ふんわりとした起毛素材のブランケット(写真左)。60×30㎝で大判の厚手のウェットタオル(写真右)

 

シューズカバー:雨や雪、泥の侵入から足を守る生活防水のシューズカバー。急な雨でも靴の上からさっと装着でき、使わないときは畳んでバッグに入れられるサイズです。

↑ゴムひもで、すそからの浸水をブロックでき、スナップベルトでしっかり足にフィット。足のサイズは3サイズから選べます

 

マルチウォームバッグと発熱剤セット:少量の水と発熱剤だけで、湯沸かしや食材のあたためができるマルチパックです。発熱に使う水は雨水や川の水でもOKで、貴重な水を無駄にしません。

↑簡易的な給水袋として最大1.8Lの水が入れられる。安全に使うための箱付き

 

湯たんぽ&湯たんぽカバー:使い勝手の良い、小さめサイズ。カバーはポーチとしても使えます。湯たんぽに70度くらいの湯を注ぎ、カバーに入れたら、おなか→太もも→腰→おしりと移動させてあたためていくと、下半身全体がぬくもります。

腹巻き:伸縮性のある薄手素材で、服の上に重ね着してもモタつきにくい腹巻きです。汗などの水分を吸収し、熱として放出する吸湿発熱素材のため、ムレにくく、おなかをしっかりとあたためます。カイロが入るポケット付き。前後に回しておなかと背中を交互にあたためられます。

↑湯たんぽ&湯たんぽカバー(写真上)。伸縮性のある薄手素材で、やさしい手ざわりの腹巻き(写真下)

 

フェリシモ
みんなのBOSAI ふだんから意識する 7つのあたため習慣の会
月々:2900円 (+10%  3187円 ) ⇒ 発売記念価格 7か月ずっと月々2280円( +10%  2505円 )

いつどこで起こるかわからない災害に備える! いざというときに役立つ“乾電池式”モバイルバッテリー「電池でGO!!」

最近、体に感じる地震の頻度が、増えたような……?

 

大きな地震は津波の不安だけでなく、停電の発生も恐ろしいですよね。また、地震による停電のほか、台風や突発的雷雨による停電も、近年では増えている印象です。災害はいつ起こるのかわかりません。そこで……

 

非常用持ち出し袋の中にひとつ入れておきたいのが、オウルテックの「電池交換でくり返し使える! 乾電池式 モバイルバッテリー 電池でGO!!(OWL-DB8U1-WH)」です。

 

某“鉄道シミュレーションゲーム”のような名前にツッコミを入れたくなりますが、同製品は、単3形アルカリ乾電池があれば繰り返し使うことができる、乾電池式の充電器です。

 

いざというときのためにローリングストックしている人も多いであろう乾電池を8本、もしくは4本使用することで、一般的なモバイルバッテリーのように利用できます。USB Type-Aを1ポート搭載しています。

 

「既存品で乾電池4本タイプがありますが、スマートフォンのバッテリーの大容量化に伴い、乾電池4本では充電容量が追い付かなくなってきました。そこで、昨今のスマートフォンバッテリーの容量に合わせ、乾電池を8本まで使えるようにしました」(オウルテック担当者)

 

8本使用するとスマートフォンを約1.4回充電できますが、緊急事態で電池を8本も用意できない! というときでも、4本あれば充電ができます。4本使用の場合は、約0.7回スマートフォンを充電可能。少ない本数でも使えるのが嬉しいポイントですね。

 

電池を含まない本体重量は約88gと、一般的なモバイルバッテリーに比べて非常に軽く、非常用持ち出し袋の中に入れっぱなしでも問題ない重さといえるでしょう。旅先でのアクシデントやトラブルに備え、旅行用のバッグに入れておくのもアリ。本体にはON/OFFスイッチも付いているので、使わないときはOFFにして電池の消費を抑えることができます。

 

税込価格は1980円で、乾電池や充電用のUSBケーブルは別売りです。「モバイルバッテリーは劣化や自然放電が気になる……」という人にも断然オススメ。「備え有れば患い無し」というわけで、ひとつ持っていると、ありとあらゆる非常事態に役に立つアイテムといえます!

大型台風は早めに避難! でも避難しない場合、家ですべき準備と行動とは?

毎年夏から秋にかけて、台風が発生します。とくにこれからの時期は、強い勢力を保ったまま日本列島に接近したり上陸したり、油断できません。とくに近年は台風の勢力が増しており、甚大な被害をもたらすようになってきています。

 

近隣の河川の氾濫や土砂災害などのリスクがあるときは、早めに自宅を離れる必要がありますが、避難せずに自宅で過ごす場合、備えがあれば安心して過ごすことができます。在宅での台風対策としておさえておくべきことを、防災士の小西玲奈さんに教えていただきました。

 

秋になると、なぜ、台風の接近が増えるのか?

※資料=ウェザーニュース

 

そもそもなぜ、“秋は台風シーズン”となるのでしょうか?

「台風は、夏から秋にかけて多く発生しますが、夏は図のように日本の上空を太平洋高気圧が覆っているので、台風が入り込みにくくなっています。しかし秋になり、太平洋高気圧の勢力が弱まると、偏西風に乗って日本本土に台風が接近し、上陸しやすくなるのです」(防災士・小西玲奈さん)

 

大型台風は今後も増える可能性が高い!

では、ここ数年、台風の被害が増加しているのはなぜでしょうか? 記憶に新しいところでは、全国100カ所の観測地点で最大瞬間風速の観測史上最大値を更新した、平成30年(2018年)の台風第21号、千葉県や神奈川県で大規模な停電が発生した令和元年(2019年)の台風第15号“房総半島台風”がありました。そして同年の台風第19号“東日本台風”では、記録的な豪雨で東京の多摩川が増水し、武蔵小杉駅周辺の浸水や東京世田谷区、大田区の浸水など、甚大な被害が出ました。

 

「日本近海の海水温が上昇しているので、台風が勢力を弱めることなく日本に接近し、被害が大きくなる傾向が見られます。台風は今後ますます大型化する可能性があり、注意と対策が必要です」(小西さん)

 

台風が発生したら避難のタイミングを逃さないこと

※資料=ウェザーニュース

 

今は、日本全国どの地域に住んでいても、避難のタイミングや避難場所を把握しておくことはとても大切だと、小西さんは強調します。2018年の「平成30年7月豪雨」時に、気象庁や自治体からさまざまな災害に関する情報が発信されました。しかし、自治体からの注意喚起が住民には「伝わらない」「理解されない」といった状況が発生しました。多くの住民が避難のタイミングを逃してしまった結果、200人を超える死者・行方不明者が出るという大惨事に。

 

その教訓から、 2019年3月に内閣府の「避難勧告に関するガイドライン」が改訂され、国や都道府県が出す「防災気象情報」を5段階に分けた表に沿って発表されるようになりました。

 

「『警戒レベル』を参考にすることで、災害時にどう行動するべきかや、避難のタイミングがわかりやすくなりました。避難するタイミングは、家族構成や自宅がある地域の災害リスクによって変わりますが、警戒レベル5は、すでに災害が発生している状況なので、警戒レベル4までの段階で必ず避難を完了させてください。高齢者や乳幼児のいるご家庭では、警戒レベル3の段階で避難を開始するようにしましょう。警戒レベルに沿った、注意報や警報の内容、段階に合わせた取るべき行動の詳細は、国土交通省気象庁のホームページで確認できます」(小西さん)

国土交通省 気象庁HP「防災気象情報と警戒レベルとの対応について」
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/alertlevel.html

 

続いて、台風に負けない部屋づくり、事前に行いたい準備などのノウハウを具体的に教えていただきます。

 

大型台風に備えておくべきこと・もの

続いて、台風に負けない部屋づくりのノウハウを、具体的に見ていきます。「台風への対策は、普段から備えておくことと、台風の発生後に準備することの2段階があります。『今週末、もし大型台風が来たら……』とシミュレーションしながら、ひとつずつチェックしていきましょう!」(小西さん)

 

対策1. 窓ガラスの補強

大型台風が発生したときにマンションの被害で多いのが、窓ガラスの破損。これは、強風そのものの影響というよりも、強風によって飛ばされたものが窓にぶつかることで起こります。

 

「対策としては、シャッターや雨戸を閉めるのが一番です。シャッターや雨戸がない場合は、リフォームで取り付けたり、窓ガラスを防犯ガラスに変えたりすることをおすすめします。それらの対応が難しい場合は、『飛散防止フィルム』や『防犯フィルム』を用意し窓ガラスに貼りましょう。こうすることで、万が一、窓ガラスが割れてしまっても、ガラスの飛散を最小限に抑えられます。

 

シャッターや雨戸がなく、防犯ガラスや防犯フィルムなどの窓ガラス破損対策が間に合わない状態で台風が接近した場合は、応急処置として段ボールを使った窓ガラスの飛散対策を行ってください。窓ガラス全体を覆うように屋内側から段ボールを敷き詰め、後で剥がしやすいような布製のガムテープか養生テープで貼り付けます。また、強風注意報が出たら、建て付けの悪い網戸は、家の中へ入れておきましょう」(小西さん)

 

窓ガラスの飛散には、次のようなグッズを活用しましょう。

 

・窓ガラスが粉砕するのを防ぐ「飛散防止フィルム」

アサヒペン「UVカット防災超強飛散防止シート(BH-1) クリア透明 46cm×2m」
2178円(税込)

窓ガラスが割れるとガラスの破片が飛び散ります。台風の強い風が吹き付ける中で窓ガラスが割れるようなことがあれば、破片が部屋の中で舞い散る可能性があり、とても危険。こちらのポリエステル製の透明シートを窓ガラスに貼ることで、飛散物が当たって窓ガラスが割れた場合に、ガラス破片の飛び散りを防げます。食器棚などの家具のガラスに貼ることで、地震対策としても有効です。

 

・窓ガラスの強度も上げる「防犯フィルム」

ノムラテック「保険付・透明ガラス専用防犯フイルム 360ミクロン A3 2枚入」
3002円(税込)
※実売価格につき販売店舗により異なります。

防犯フィルムとは、窓ガラスを割って鍵を開け、部屋に侵入しようとする犯罪者への対策目的のアイテム。窓ガラスをハンマーで叩いても簡単に割れない強度が保てるので、台風時の飛散物による窓ガラスの破損防止にも効果的です。こちらは自分で貼れるタイプで、手頃な金額が魅力です。専門の施工業者に依頼するオーダータイプもあります。

 

対策2. ベランダや庭の片付け

台風が接近、または上陸する前日までにベランダや庭にある植木鉢や物干し竿、ゴミ箱、パラボラアンテナなどを家の中にしまいます。

 

「これらが台風に飛ばされると、自宅だけではなく、近所の窓ガラスを割ったり、避難途中の人にケガをさせてしまったりする危険があるので、早めに対応してください。また、排水口にゴミや落ち葉砂などが詰まっていると浸水のリスクが高まるので、詰まりがあれば台風が居住区に接近する前日までに掃除をしておきましょう」(小西さん)

 

対策3. 車・バイク・自転車の避難

大型台風の発生時には、車やバイク、自転車の駐車状況のチェックも欠かせません。

 

「屋外や冠水の危険がある場所に駐車している車は、できるだけ“高台にある屋内”に避難させましょう。車を移動した後、公共交通機関や徒歩での帰宅が必要になるので、台風が接近し上陸する半日前までに対処しておきます。車を避難させるタイミングで人も避難するという選択肢もあります。
バイクや自転車は、台風が接近する半日前までに、できるだけ地下ではない屋内へ避難させましょう。そのような対応が難しい場合は、バイクや自転車を横に倒しておく、もしくはロープなどで柱に固定してください」(小西さん)

 

台風では、暴風や浸水による被害のほか、停電などライフラインが寸断されることも想定しなければなりません。それにはどう備えればいいでしょうか?

 

対策4. ライフライン寸断への備え

台風で飛ばされた物が電線を損傷したり、大雨による土砂崩れで電柱が倒れたりすると、停電が起こります。送電線の破損がひどい場合は、数週間の停電になる可能性も……。

 

「大型台風の上陸が予想された段階で、ペットボトルに8割ほどの水を入れて凍らせ、停電中の冷蔵庫内の保冷キープに備えましょう。溶けた水は飲料になります。乾電池の予備やライト、ろうそく、カセットコンロやガスボンベのストックを確認し、手に取りやすい場所に常備しておきます。リスクを分散するために、2階や玄関などに複数の場所に備えておくことも大切です」(小西さん)

大型台風が近づき3〜4時間後に居住区を通過することが予想される場合は、入浴や食事を済ませてください。停電が起きたりライフラインが止まったりする場合に備えて、簡易に食べられる物を用意します。災害に特化した非常食でなくても、おにぎりやパンなどでもいいですよ。これにより、保存食に手をつけずに数日分の食事を確保できます」(小西さん)

 

対策5. 食糧の備蓄

長期化する停電や高範囲に渡る被害が出ると、救援物資が届くまでに日数がかかります。日頃から日持ちのする食材ストックを確保しておくことが大切です。

 

「水道、電気、ガスといったライフラインが使えなくなった場合に備えて、食糧と水を最低でも3日分、できれば1週間分ストックしておきましょう。免震構造などの対策が充分に施されているタワーマンションや築浅マンションの場合、倒壊や全壊のような被害は少ないので、避難せずに自宅で過ごせる可能性が高くなります。とはいえ、エレベーターが使えないことで物資不足が起こりやすくなるので、非常食や水などのストックは多めに備えておいた方がいいでしょう」(小西さん)

 

対策6. 生活必需品の備蓄

停電になると、電気やガスだけではなく、トイレやお風呂も使えなくなってしまうことがあるので、非常時に使うアイテムは手に取りやすい場所に保管しましょう。

 

・ランタン……停電した際のリビング、キッチン、トイレなどの照明に。3個以上はあると便利。
・非常用トイレ……下水道が使えなくなったときのトイレとして。
・マスク……数十枚入った使い捨てタイプの箱入りのものが好ましい。
・アルコール消毒スプレー、ハンドジェル……普段用のストックを兼ねて3~5本を常時しておくと安心。
・カセットコンロとガスボンベ……ガスボンベ1本で約1時間の加熱調理が可能。
・ラジオ……スイッチを入れたらすぐにラジオが聞けるようにチューニングを済ませておく。
・ポリタンクとキャリーカート……ポリタンクに断水時の水を入れ、キャリーカートを使って運ぶことを想定。マンションのエレベーターが使えない場合を想定し、階段移動に使える大きめのリュックも備えておきたい。
・口腔ケア用のウエットティッシュ……水道が使えなくなった際に歯ブラシ代わりとして使用。口の中に入れられ、アルコール不使用なので、体や食器拭きなど、多用途で使える。「災害時は水や口腔ケア用品不足で、口腔ケアが疎かになりがちです。その結果、口の中にバイ菌が繁殖し、感染症や肺炎を引き起こす可能性もあります。必ず、多めにストックしておきましょう」
・ラップ……断水時にお皿に敷いて使う。応急手当や体に巻いて防寒具としても使える。
・カイロ……雨に濡れたり、避難所生活をしたりすると体が冷えやすいので必要。

 

「災害用伝言ダイヤル171」を活用しよう

災害時は、通信障害が起きることもあります。普段、スマホで簡単に連絡が取れる生活に慣れているので、急にネット環境が途絶えてしまうと、パニックになりかねません。

 

「一番連絡がとりやすいのは『災害用伝言ダイヤル171』です。平時は利用できませんが、毎月1日や防災週間などに体験利用ができるので、試してみるといいでしょう。ほかにも、『避難などで家を離れるときは、ここにメモをおいておくね』などと、アナログでできる連絡手段を共有しておくこともおすすめです」(小西さん)

 

『災害用伝言ダイヤル171』体験可能日
・毎月1日、15日 0:00~24:00
・お正月三が日(1月1日 0:00~1月3日 24:00)
・防災週間(8月30日 9:00~9月5日 17:00)
・防災とボランティア週間(1月15日 9:00~1月21日 17:00)

 

【伝言を録音する場合(暗証番号なし)】
1.「171」に電話をかける
2.「1」を押す
3. 被災地の方の「市外局番からの電話番号」または「携帯電話番号」を押す
4.「1」を押す(ダイヤル式電話の場合はそのまま待つ)
5. 伝言を録音する
6.「9」を押す(ダイヤル式電話の場合はそのまま待つ)

 

【伝言を再生する場合(暗証番号なし)】
1.「171」に電話をかける
2.「2」を押す
3. 被災地の方の「市外局番からの電話番号」または「携帯電話番号」を押す
4.「1」を押す(ダイヤル式電話の場合はそのまま待つ)
5. 伝言を聞く(次のメッセージを聞く場合には「3」を押す)

災害用伝言ダイヤルの使い方
https://www.ntt-east.co.jp/saigai/voice171/index.html

 

ほかにも、普段から備えておくこととして、避難場所や避難経路を確認しておく、家屋や車などが被害に遭ったときの補償はどうなっているか「火災保険」「車両保険」「傷害保険」などの条件や補償の範囲、最高補償額をチェックしておくことも大切だと小西さん。

 

「日頃から大型台風に備えた準備や対策をしておくことで、台風が近づいてきたときに、自分がどう行動するべきか、冷静に判断できるようになります。情報キャッチ力も上がっていくので、ご近所のみなさんをサポートできたり心強い協力体制が育まれたりします。まずは、できることから始めていきましょう」

 

【プロフィール】

防災士 / 小西玲奈

ひょうご防災リーダー ・ 応急手当普及員。危機管理室と協働で小学生の親子向け減災教室や乳幼児を子育て中のママ向けの減災セミナーを開催しているほか、これまでに2700人以上を対象に90回以上の講演活動やワークショップを行う。一児の母。

 

【ムー妖怪図鑑】災いあるところに妖怪あり!?

ホラー小説家にして屈指の妖怪研究家・黒史郎が、記録には残されながらも人々から“忘れ去られた妖怪”を発掘する、それが「妖怪補遺々々」(隔週水曜日更新)! 連載第18回は、あらゆる災害時に語られる怪しきものを補遺々々しました。

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災と妖怪の親和性

地震、津波、台風、噴火、火事、旱魃――人類はさまざまな災いに見舞われ、そのたびに多くの大切なものを失っていきました。空、海、大地といった自然の起こす災禍を前にし、無力な人間は成す術もありません。

 

そうした自然災害の起こるメカニズムは今でこそ解明されつつありますが、昔は超常的な存在により引き起こされるものだと信じられておりました。

 

自然の起こす災いに限りません。人の不注意などで引き起こされる災い、いわゆる人災も未知なる存在の仕業とされることもあります。

 

今回はこうした、あらゆる災いの陰で暗躍する怪しきものに触れてみたいと思います。

 

震災・水災・火災の陰に……

地震は地下にいる大きな鯰(なまず)が引き起こす、そんないい伝えがありました。

 

江戸時代には大地震後、大きな鯰の化け物や擬人化された鯰などが描かれた「鯰絵」が流行しました。この鯰ですが、地震を起こせるほどの大きさなのだとすると、間違いなく日本一大きく、日本一厄介な化け物ということになります。ですが、そこに「待った」をかける俗信がありました。

 

【地中の金魚】

大阪府三島郡豊川村宿久庄には、地震を起こすのは大きな鯰ではなく、地中に住む大きな金魚のせいだという俗信があります。地震とは、この金魚が動くために引き起こされるものであり、大阪のあたりは金魚の尾の部分なのでとくによく揺れるのだといいます。金魚の頭があるあたりは東京だそうです。関東から近畿ぐらいまでのサイズの金魚が暴れたら、それは日本にとって大変なことです。鯰と比べると見た目の迫力はありませんが、金魚としては間違いなく最強でしょう。

 

ここ数年、私たちがとくに恐ろしさを思い知ったのは水による災いです。水は俄かに性格を変え、圧倒的な量と勢いですべてをなぎ倒し、押し流し、さらっていきます。この災いを察知して逃れる術は決して多くありません。そんな絶望的な自然の猛威の陰にも妖(あやかし)の存在はありました。

 

【笛吹田(ふえふきだ)】

群馬県勢多郡には「笛吹田」と呼ばれる田がありました。このあたりでは夜な夜な怪しい者が現れ、笛を吹きながら歩いたといわれています。この田にさしかかると笛の音は止み、怪しいものは消えたそうで、こういうことが7日間続いた後、赤城山で大洪水が起こったといいます。洪水の被害は大きいものでしたが、どういうわけかこの田のあるところで水は止まったそうです。笛を吹く者の出現は、災いの兆しなのでしょうか、それとも救いだったのでしょうか……。

 

【白髭の翁】

福島県南会津郡檜枝岐村には、とても迷惑な爺さんの話が伝わっています。この地域は明治のころに大洪水があり、たくさんの橋が押し流されてしまいました。村の中央にある橋だけは高さもあって造りも丈夫だったので、洪水で流されずにしばらく残っていましたが……川上から巨大なボコテイ(暴風などで倒れた大木)に乗った白髭の老人がやってきて、ボコテイから下りると手にした鉄の斧で橋を打ち壊して去ってしまったといいます。この爺さんの正体や目的はわかりません。

 

大水の次は大火に現れた怪しいものです。

 

【火を呼ぶ児】

岐阜県揖斐郡徳山村の櫨原(はぜはら)という地は、7度の大火に見舞われています。その火災は、この地で村人によって殺された新田義貞の祟りによるものだったという伝説があり、新田義貞がこの地に落ち伸びたとき、彼を匿ってあげた1軒の家だけは7度の火災からの被害を免れたといわれています。この火事のときに、謎めいた児(ちご)が村に現れたと伝えられています。この児が川下から悲しげな声でホウイホウイと呼ぶと火が出て、村が全焼してしまったのだそうです。この児は何者なのでしょうか。

 

戦前、戦中にあらわれたもの

震災、水災、火災も怖いですが、私たちが今もっとも恐れるべきは戦災でしょう。人によって引き起こされる最大の災いです。

 

最後は戦争にまつわる変わった妖怪的事例をふたつご紹介いたします。

 

【北山神社の神様火】

鹿児島県河辺郡知覧町では戦時中、北山神社から火玉が尾を引いて飛んでいくのを何人もの人が見たといいます。神社から「ピラピラピラー」と火玉が上がると「北山どんがまた戦争に行くところだ」といい、また何日かして「ピラピラピラー」と光る火玉を見ると、「今、戻ってきたところだ」といったそうです。また、大火が起きたときには、この神社の神様が火の玉になって火を消しに向かったといいます。人々が困っているときに加勢にいくなんて、ありがたい存在です。

 

【日の丸山羊】

沖縄県具志川市(現在のうるま市)上江洲では、日の丸模様のある山羊が見つかっています。

 

戦前のころです。あるお婆さんの飼っている家畜の中に、背中に日の丸の型がついた山羊が見つかりました。これが見つかったころ、田場という場所の井戸(チンガー)や下水から、水が溢れるということがあり、それからすぐに戦争が起こったといいます。この山羊の日の丸は凶兆だったのでしょうか。

 

また戦時中にも、腹に日の丸模様のある山羊を飼っている家があると話題になりました。そのころは敵兵の目を「山羊の目」といっていたことから、山羊の身体に国旗の印があるのは戦争に勝つ徴(しるし)だといわれ、新聞社も取材に来たといいます。こちらでは、良い兆しとして扱われています。

 

このように昔の人々は、良いことや悪いことの兆しである徴(しるし)を、身近なものから見つけていたのです。

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文・絵=黒史郎

 

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