床に物を直置きすると“貧乏”に!? 一級建築士が風水視点で斬る「運気を下げる住まい」の特徴

「まじめに仕事しているのに、成果が出ない」「最近、嫌なことばかりが続いている」など、仕事やプライベートでトラブルが重なっている、また気分が晴れない、イライラするなどの精神的不調には、住環境が関係しているかもしれません。

「環境が人に及ぼす影響は計り知れない」と語るのは、設計に風水や家相を取り入れている一級建築士の八納啓創さん。運気が下がる住まいとはどういう状況か、またその運気を上げるにはどうすべきかを教えていただきました。

 

うまくいかない理由は住まいにあり!
“貧乏神に好かれる”住まいの5条件

資料=G proportion アーキテクツ調べ(インターネット調査2021年10月5〜6日実地、有効回答数860人)

 

八納啓創さんは、21.6万人のチャンネル登録者数を持つYouTube「幸運住まいチャンネル」を運営し、年商数百億の経営者やベストセラー作家、医師やトップセールスマンなど、数々の成功者から、自宅やオフィスの設計を依頼される一級建築士。風水や家相の観点から注意した方がいい行いを、YouTubeやオンラインサロンなどを通じて紹介しています。八納さんからそれらを学ぶ中で、「貧乏神に好かれる家」の条件に当てはまる行為として多くの人が陥っていた共通項が、上記のアンケート結果で導き出された5項目。

 

「貧乏神に好かれる家に住んでいると、ネガティブなことばかり起きがちに。しかし、環境を整えていけば、確実に改善されますよ」(G proportion アーキテクツ一級建築士事務所代表、一級建築士・八納啓創さん、以下同)

 

ここからは、“貧乏神に好かれる”家の条件から、その要因と対策を具体的に見ていきます。

 

1.床に物を直置きしている

「片付けが苦手な人は、床に物を置きがちになると思います。床に物を置くと、部屋はたちまち汚れていきますよ。掃除がしにくい上に、見た目も不快。汚部屋化は、人生を蝕む最大の要因です。“自分は汚れた部屋に住むダメな人間だ”というレッテルを、自分に貼ってしまうことになります。普段は床に物を置かない人でも、疲れが溜まっていたり、忙しかったりすると、とりあえず床に物を置いてしまいますよね。床には物を置かないと決めることと、置いてしまっている状況に気づいたときにすぐに片付けること。これを意識するだけで、目の前の現実が好転していきます」

 

2.玄関に靴や物がいくつも置いてあり、ごちゃごちゃしている

「玄関はその人や家族の第一印象を表す場所であり、風水でも重要視されるエリアです。玄関が汚れていたり、ごちゃついていたりしていると、人を招きたくはないですよね。風通しの悪い玄関は、物事の滞りにつながります。最低限の靴のみが出ていて、シューズボックスの中はスッキリ。良い香りや素敵な絵が迎えてくれる空間を心がけましょう。チャンスや人脈を得たいときは、玄関や部屋を整えてみてください」

 

3.水回りが汚い

「トイレをピカピカに磨くと出世する、という話を聞いたことはありますよね。トイレ以外にも洗面所や台所のシンク、浴室など、ヌメリや悪臭の発生しやすい水回りは、風水や家相の視点から見ても運気を下げる要因になりやすい場所です。汚れやすい水回りを清潔に保つことは、住まいからの悪影響を回避する最善策です。水回りの掃除は後回しにしない。それを意識するだけで、仕事も人間関係もうまくいきます」

 

4.照明の電球が切れていたり、壊れているものが置いてある

「壊れているものが家にある状態は心身にも支障が起きます。これは、『ゴミがある、壊れている』という情報が脳の中のゴミとなって蓄積され、思考の妨げになってしまうからです。空間からの情報というのは、脳に影響を及ぼすということを覚えておきましょう。好きなものに囲まれていれば、自然と部屋の中も整えたくなるもの。そして、部屋の中が整っていれば、脳に入ってくる情報も心地よく整理されていくのです」

 

5.自宅があまり好きではない(自宅に愛着がない)

「これ、意外と当てはまる方はいるのではないでしょうか。そもそも、家が好きとか嫌いとかを考えたことがない方も少なくないでしょう。一方で、幸せな暮らしと成功を手に入れている人は、自分の家のことが好きで、気に入っているものに囲まれた暮らしにこだわっています。ソファが好き、オーダーメイドの椅子が自慢、お気に入りの器を集めるなど、自宅の好きな場所を増やしていきましょう」

 

1日10分掃除でOK! 貧乏神の撃退法

貧乏神を追い出すためには、床に物を置かずに掃除をして、心地よい空間をキープする心がけを。

 

「住まいを雑に扱い大切にしていない状態は、貧乏神が寄り付きます。『うちは狭いんだよね』『日当たりが悪くて最悪』など、家の悪口もご法度。
住まいを整えていくための効果的な対策は、1日10分掃除です。『今日は玄関、明日はトイレ』など、毎日1か所を決めて、10分以内の掃除を続けていきましょう。1日わずか10分でも、1か月後には見違えるほど部屋の中が整ってきます。10分が難しければ、5分でも3分でもOK。無理なく継続できる範囲で続けてみてください」

 

八納さんによると、多くの成功者は風水や家相などの統計学を活用しているといいます。なぜ、そしてどのように取り入れているのでしょうか?

多くの成功者は、風水や家相を味方につけている!

多くの成功者は風水や家相などの統計学を活用しているという八納さん。

 

「幸せに成功している経営者は、経験値で目に見えない力の存在を感じているので、風水や家相に対しての明確なエビデンスがなくても取り入れる傾向にあります。実際に、店舗や経営がうまくいかない経験をしてから、風水や家相を意識して対策をした結果、事態が好転する経験値を持っている人は多く、わたしの元に事務所や自宅の設計を依頼してくるお客さまは、風水や家相を重視する傾向が強いですね。

『風水の鑑定をして、仕事運の悪い間取りだったらどうしよう?』など、風水や家相の鑑定結果を聞くのが怖い方もいるかもしれません。もし、家庭運が悪い間取りだったと分かった場合、夫婦やパートナーとのコミュニケーションを今まで以上に大切にするという努力ができますよね。そのように、強化するべきポイントだと捉えれば、事態がよくなっていきます。そして多くの場合、課題を克服した頃には、家庭運の悪い間取りから引っ越すようなことが起きるのです。

ちなみに、風水は今から約4,000年前に中国で発祥した環境学です。衣食住、行動などの環境を整えることで、運を呼び込んでいきます。一方の家相とは、5世紀ごろに中国から入ってきた風水の原型のようなものが、日本の気候風土によりオリジナルに体系立てられた統計学で、日本特有の気候風土のなか、自然との調和を考えつくられています。風水と家相は別のものなので、混在して取り入れるのは避けましょう」

 

貧乏神が転じて福の神へ!
幸運な住まいは簡単に手に入る

風水や家相のネガティブな結果はそこを強化するきっかけだと捉えれば、悪い情報も怖くなくなります。

 

「ピンチはチャンスという言葉がありますが、物事をどう捉えるかが大切です。貧乏神が好む家の条件を知ったことは、自分が貧乏神に好かれているかどうかを知る答え合わせではなく、よりよくなるための情報なのです。家への関心が薄いと貧乏神は寄ってくるので、家を好きになることもポイントです。植物を育てるときに良い言葉をかけるとスクスクと育つのと同じ。家のことを気にかけ、手をかけ、好きな場所を増やしていけば、家の状態はどんどんよくなりますよ。今、お住まいの家には、狭い、日当たりが悪い、駅からのアクセスが悪いなど、ネガティブな要因がある方もいるでしょう。でも、家も人間と同じで、短所があれば長所もあるもの。長所を伸ばし、良いところを増やしていく意識で捉えてください。子育てとも似ていますね」

 

住まいも植物も子育ても、長所を伸ばして大切に育んでいく意識で向き合うことがポイントだそう。住環境を味方につけて、よい流れを手に入れたいですね。

 

【プロフィール】

一級建築士 / 八納啓創

株式会社G proportionアーキテクツ代表取締役。年商数百億円の経営者や独立開業で成功している医師、保険業界で西日本ナンバーワンの実績を上げている経営者、ベストセラー作家といった成功者4000人の自宅やオフィス設計を通じて、「一流の人が持っている住まい観」を「普遍的に活用できる知恵」へと体系化。人と地球に優しい建築をモットーに、省エネ・高断熱・高気密×風水・家相の間取り設計を行う。著書に『年間20棟以下の工務店が武器にしたい風水 アフターコロナを生き抜く経営戦略』(Kindle)、『なぜ一流の人は自分の部屋にこだわるのか?』(KADOKAWA)、『「住んでいる部屋」で運命は決まる! 心も空間も、スッキリさせる方法』(三笠書房)、『住む人が幸せになる家のつくり方』(サンマーク出版)、『わが子を天才に育てる家』(PHP研究所)がある。

捨てられないなら“寄せ”ればいい! 新発想のズボラメソッドで悩まず部屋を片付ける

例えば1週間のうち、片付けにどれくらいの時間を費やしていますか? 毎日のように片付けているはずなのに、なぜかすぐに散らかってしまう、また週末のたびに片付けに時間をとられているという人は、もしかしたら“片付け”の捉え方自体を見直したほうがいいのかもしれません。

 

今回は、整理収納アドバイザーであり“幸せ住空間セラピスト”として活動する古堅純子さんに、片付けられない人のための片付け方を教えていただきました。

 

モノの仕分けはしなくていい!

片付けの方法はさまざま。ところが、「たいていみなさんが一番に手をつけるのが“モノの仕分け”」なのだと古堅さん。必要なものと不要なものを分けてから、不要なものは捨て、必要なものは整理整頓し、出し入れしやすいように収納する。それが、従来の片付けの基本でした。

 

でも、古堅さんの新しい片づけメソッドの根底は、「モノを仕分けることや、しまうことばかりが片づけではない」というところにあります。

 

「仕分けて整理する方法が合っている方は、もうとっくに家が片付いているし、きれいな部屋を保てているでしょう。でも、そうでないから片付けや収納についての本を買ったり、このような記事を読んだりしているのではないでしょうか?

これまでのやり方では片づかない! と諦めている人に向けて考えた新しい方法では、まずモノを“いる・いらない”と仕分けすることからは始めません。仕分けって、ひとつひとつのモノと向き合って、いるのかいらないのか考えなくてはならないので、すごく時間がかかってしまうんですよね。仕分けだけで一日が終わってしまい、肝心の部屋はまったく片づいていない! なんて残念な結果に終わることもあります。また、仕分けと収納が終えられて、クローゼットの中は使いやすくてキレイになったけれど、リビングは散らかり放題……という本末転倒の家もよく見かけます」(住空間セラピスト・古堅純子さん、以下同)

 

モノを捨てるのではなく“活かす”ことを考える

仕分けからはじめない古堅流の片付けでは、モノを捨てることも推奨していません。古堅さんが数々のお宅を訪問して片付けてきた経験からも、“片付けること=モノを捨てることではない”というのです。

 

「片付けというと、とにかくモノを捨てて減らさなきゃと思っている方も多いのですが、実際に仕分けていただくと、時間をかけて仕分けたわりに、捨てる量は微々たるものだったりします。一室片付けてもゴミ袋ひとつ分しか捨てるものがなく、まだモノが溢れているのだとしたら、仕分けするのは無駄ですよね。

それに、せっかく買ったりいただいたりしたものを、部屋を片付けたいという理由だけでなんでも捨ててしまうのは悲しいですよね。捨てられない、捨てたくないならいっそ、“モノを大切に使う”という基本的なことに立ち返ってみてもいいのではないでしょうか」

 

モノを“寄せて”、空間の“景色”を変える

それでは、どのように片付けたらいいのでしょうか? 古堅さんが教えてくださったのは、「部屋の中の空間を“景色”ととらえること」でした。

 

「まずはリビングのような、多くの時間を過ごす場所について考えてみましょう。その空間を“景色”として見たとき、美しいでしょうか? 居心地がよいと感じる景色になっていますか? 棚の上の飾り物の周囲に、レシートや取れてしまったボタンなども置いてしまってはいませんか? 後で開封しようと思っている請求書やチラシが、テーブルの上に積まれていませんか?

その部屋の景色を美しく整えることこそが、はじめに手をつけるべき片付けです。下記のポイントに従って、まずはモノを“寄せて”みてください」

 

1. テーブルの上のモノを寄せる

「テーブルやデスク、キッチンのカウンターなど、作業をしたり食事をしたりする場所にモノを置くのをやめましょう。何かしようとするときに、必ずモノをどかしてからしなくてはなりませんし、そこにモノがあるだけで部屋全体が雑多に見え、景色が悪くなってしまいます」

 

2. 床にモノを寄せる

「床に置いてしまったモノは、視界にも入りづらいし、しゃがまないと取れないので、いったん床に置いてしまったら最後です。それがいつもの景色となり、片付けようと思えなくなってしまいます。掃除機もかけづらいので、どんどん部屋が荒んでいってしまいます」

 

3. 飾り物以外のモノを寄せる

「棚の上をよく見ると、飾るためではないモノが置かれていることがあります。棚の上は飾るためだけのモノを置く、と決めるだけでも景色は変わります。飾っておいたガラス皿に小銭を入れたりしては、せっかく飾った景色が崩れてしまいますよ」

 

古堅さんが提案する「寄せる」とは、その場にある片付けなければならないもの、景色を邪魔しているものをまとめてしまうこと。ではその“寄せた”モノはどうしたらいいのでしょうか?

 

寄せたものは“ざっくりボックス”に入れて“更地”を作る

さて、1〜3に沿って寄せたモノは、ひとまず“ざっくりボックス”に入れて、視界に入らないようにしてしまいましょう。

 

「景色を美しく保つため、寄せたモノはぜんぶざっくりボックスに入れ、“更地”にします。まずは見えなくなればいいので、とにかくリビングの景色をきれいにしましょう。部屋に余裕があるなら、一部屋を“ざっくり部屋”にしてどんどん放り込んでいくのでも構いません。寄せただけなので片付いているわけではありませんが、ただ視界から消すだけで景色が変わり、きれいになった部屋を体感できます」

 

こうして視界からモノを消して整えた景色を変えてしまう最大の敵は、“チョイ置き”だそう。チョイ置きしないためにも、さまざまな場所にざっくりボックスを用意しておきます。

 

こちらは届いた雑誌や見なくてはならない書類を入れた“ざっくりボックス”。「捨てるわけにはいかないけれど、片付けるには手間がかかる、というものは全部ここに入れて、年に何度か時間があるときに中身を見直します」

 

こちらはヨガウエアとポーチを入れるための“ざっくりボックス”。「秋に何度かヨガに行くのですが、いちいちタンスに出し入れするのが面倒なので、こうしてリビングの片隅に置いています。また、いつも使っているポーチもバッグなどのついチョイ置きしてしまいそうなものも、景色が悪くなるので、ざっくりボックスの中に隠します」

 

“ざっくりボックス”は、こんなふうにリビングの片隅に置いておきます。

 

「ただこれだけのことで、部屋が片付いて見えませんか?部屋のチョイ置きがなくなるだけで、景色が保てるんです。散らかしてしまってからでは、かなりがんばらないと片付かなくなってしまいますから、散らかさない暮らしを意識して過ごすことが大切です」

 

こちらは緊急事態用の“ざっくりボックス”です。「急な来客があるときや、乾いた洗濯物がすぐに畳めないときなどは、折り畳み式のざっくりボックスにとりあえず入れて、押し入れなどに隠しておきましょう。いったん視界から消すだけで、きれいなリビングに戻すことができます。折り畳み式なので、使わないときはコンパクトにしまっておけます」

 

“ざっくりボックス”以外にも、こんな寄せ方がありました。普段使う爪切りやリモコンなどは、引き出しつきの机に寄せてしまえば、景色を保ちつつ必要なものはそばに置くことができます。

 

寄せたものは、“ざっくりボックス”に入れてひとまず景色を整える。このほかにも、景色を美しく保つためのコツを教えていただきました。

 いつも使うものには収納場所を確保する

収納場所を作る必要があるものには、しっかりとスペースを確保しておきましょう。

 

「ウォーターサーバーの水や食材の定期宅配の箱など、“使い切ったらなくなるもの”は、いつかなくなるからという言い訳ができるので、つい玄関に置いてしまいがち。でもそれ、本当に“いつか”なくなりますか? 食材の定期宅配の箱なんて、週に一度取りにきてはくれるけれど、また注文したときに同じ場所に箱を置いてしまいますよね。結果的にずっと玄関が狭い上に、景色も悪くなります。そういうものがない方が景色はよくなりますから、隠せる場所を準備しましょう」

 

古堅さん宅では、ストックしているお茶や炭酸水を、見えないように棚の下に収納していました。「ストックの飲料はキッチンに置くと邪魔になるので、リビングに置く方がいつでも家族が取り出しやすくて便利なのでそうしています。どこで使うかを考えてモノの置き場を考えることも大切です」

 

こちらはお子さんのバッグを置くための棚。普段使っているバッグも、置き場が決まっていればソファの上に投げ出したり、床置きしたりの防止につながります。「バッグは高さのある棚に置くと、ひらいて中身を取り出しやすくて便利ですよ」

 

いつも使う調味料も、出しっぱなしにせず、きちんと扉のある棚にしまっておきます。「キッチンは特に油や水で汚れやすいので、なるべくモノを出しておかないようにします。しまっておけば瓶に埃がついて汚れてしまうこともほとんどありませんから、きれいな状態を保っておけます」

 

収納場所の優先順位を考えて片付ける

リビングの景色がきれいになってきたら、家のさまざまな場所にある収納場所も、優先順位に応じて中身を見直してみましょう。リビングにいちばん近く、取り出しやすい場所にある収納には、もっとも優先順位の高いものを入れます。

 

「わたしはモノを、“死んでいるモノ”と“生きているモノ”に分けています。死んでいるモノとは、まったく動きがなくただ取ってあるだけのもの。昔のアルバムや思い出の品、効かなくなったCDなどは、ほとんどしまってあるだけで動かないのでこちらに属します。普段使わないので、寝室の奥の押し入れや、二階の使わない部屋などに寄せておきましょう。

一方、生きているモノとは、毎日着ているコートや洗い替えのマスク、掃除機などで、一日のうちに一度は必ず出し入れする必要のあるものです。実は、この“生きているモノ”こそが、部屋を散らかす原因になるモノなんです。つまり、“生きているモノ”を日々どこに置くかを考えることこそが、部屋の景色を保つ秘訣になります。リビングにあるいちばんいい収納棚を生きているモノの置き場にして、散らからないリビングを実現させましょう」

 

一日一度は“更地”に戻す

モノがとりあえずなくなってきれいな状態が作れたら、不思議とこの状態を保ちたい気持ちが生まれてくると古堅さんはいいます。

 

「テーブルで食事をしたらすぐにテーブルの上のものをキッチンに戻し、書類はざっくりボックスに入れ……としていると、自然とテーブルの上はいつもきれいに片付きます。この景色を“更地の状態”と覚えておきましょう。もしここにモノが一時的にのってしまっても、数は多くないので片付けやすくなります。一日に一度はここを“更地に戻す”と決めて、居心地のよい部屋の景色をキープする習慣を身につけましょう」

 

「キッチンは、ガスコンロとシンクに挟まれた部分がもっとも大切な作業スペースですよね。ここにはモノを置きっぱなしにしないように気をつけ、いつでも料理しやすいよう、清潔な更地にしておきます」

 

疲れたら…きれいになったら何をしたいか思い描く

最後に。片付けは、しているうちにだんだん疲れてきて、やる気が失せてしまうこともあるでしょう。そんなときは、“部屋がきれいになったら何をしたいか”を考えるといいそう。

 

「片づいたリビングでなら、刺繍を広げることもできるでしょう。ヨガマットを置いてヨガをするスペースを作ることもできるかもしれません。きれいになった寝室で、アロマを焚こうという気持ちが湧いてくるかもしれません。モチベーションを上げるためにも、きれいになった部屋でどんなことがしたいか考えてみてください。こんな部屋にしたいというイメージが明確になると、ワクワクする気持ちが湧いてきて、やる気を支えてくれますよ」

 


『シニアのための なぜかワクワクする片づけの新常識』(朝日新書)
古堅さんの著書では、モノが多い家庭や家族で住んでいる家の片付け方を中心に解説しています。実家が片付かない!と嘆いている人の参考にもなりそうです。

 

いつも見ている景色がきれいになると、不思議と人は“寄せたモノ”が気になるようになるそうです。そこからやっと、物置部屋に寄せてしまった“死んだモノ”や、とりあえず収納したモノに目を向けて片付ければいいのです。収納の中よりも、まずは自分がいつもいる場所がきれいであることが大切。日々を暮らす空間をいつも美しい景色に整えてみましょう。

 

【プロフィール】

幸せ住空間セラピスト / 古堅純子

1998年、老舗の家事代行サービス会社に入社。20年以上現場第一主義を貫き、お客様のもとへ通っている。5000軒以上のお宅に伺いサービスを重ね、独自の古堅式メソッドを確立。個人宅や企業内での整理収納コンサルティング、収納サービスを提供する傍ら、これまでの経験を生かして家事効率化支援事業を展開、オンラインでのコンサルティングも好評を博している。テレビ・ラジオ・雑誌などメディア取材協力も多数。幅広い世代に向けての講演も行う。著書に『マンガで古堅式 夢をかなえる片づけのルーティン』(ジービー)や『定年前にはじめる生前整理 人生後半が変わる4ステップ』(講談社+α新書)がある。
週末ビフォーアフター=https://youtube.com/channel/UC2n1IMilrQjKlokyBop1Tyw
ブログ=https://ameblo.jp/junko-furukata/

年末の大掃除前に「家掘り」してみませんか?

2020年も残り2か月! お家にいることが多かったので年末の大掃除は念入りにやりたいところですよね。年末は掃除だけに集中したいのですが、ついつい後回しにしてしまう、洋服や雑貨の整理、キッチン用品や家電など心のどこかで「もういらないなー」と思っていても「ま、いっか!」と毎年持ち越しているものが今年も増えていく……。

 

そんな憂鬱な気持ちになっている方は、『使い果たす習慣』(森 秋子・著/KADOKAWA・刊)を読んでみるといいかも。ブログ「ミニマリストになりたい秋子のブログ」で人気の森 秋子さんが実践する「家掘り」を今回はご紹介していきます!

 

「家掘り」って何?

最初「家掘り」と聞いて、何をどうするのか全く想像がつかなかったのですが、本の中でこんな風に紹介されていました。

 

家にあるたくさんのものに対する視点を変えたら、私の世界は輝きました。「これはこう使う」という固定概念を取り払えば、もっともっと家を使い果たすことができます。

何もないように見える土の中に、大きな芋が埋まっている芋掘りのように、私に必要なものがある時には「家掘り」をします。

何がでてくるか、ドキドキしながら楽しむ「掘るり」です。

 (『使い果たす習慣』より引用)

 

『使い果たす習慣』の中に出てくる「家掘り」されたアイテムだと、固形石鹸を置く石鹸置きを家で使わなくなったガラス皿に変えて素敵なインテリアにしたり、DMが入っていたビニール袋を丸めて掃除スポンジとして使ったり、いらない服を三角にカットしてガーランドに作り変えたり、使わない乳液をトイレ掃除に使ったり、どれも意外で楽しそうなことばかり! 家掘りを楽しめるようになってくると、新しいものを買う楽しさよりも、家の中にあるものを生かして、使い果たすことの方が楽しくなってくると感じられました。

 

「安いから」「便利だから」「いつか使えそう」でついつい買ってしまっているものも、家掘りを重ねていくことで買う前にブレーキがかけられるようになるかもしれませんね。

 

「仕事部屋」は、わざわざ作らなくてもいい?

リモートワークが増え、「書斎が欲しいな」とか「仕事机を作りたい」と考えた人も多いかもしれません。中には引越しをしたなんて人もいるかもしれませんね。私もダイニングテーブルでずっと仕事をしているので、暇さえあれば、オフィス机やオフィスチェアを見て「欲しいなぁ〜」と思っているのですが、秋子さんの手にかかれば、なんと洗面台がプライベートオフィスになってしまうんです!

 

洗面所にはスツールをひとつ置いていて、ときにプライベートオフィスに変わります。密室になるから集中できるのです。密談をするときにも風呂は最適です。

仕事をするときは洗面台を机にしてPCを置いたり、資料を読んだりします。

リビングの明かりは暖色系なので、洗面所の白色灯はよく見え、ぼんやりしたときも洗面所の鏡を見るとハッと我に返りやすいです。「絶対これをやらなきゃダメだ!」と切羽詰まっているときに篭ります。

 (『使い果たす習慣』より引用)

 

我が家にはスツールがない&洗面台のフリースペースの幅が少ないので、「こういう時の家掘りだ!」と家の中をウロウロしていたところ、本棚にピタっとノートパソコンがハマるスペースを発見! 今までスタンディングワーク(立って仕事をする)に抵抗があったのですが、この原稿も立って書き始めてみたらなんだか快適じゃないですか!(笑)

 

仕事は専用の机と椅子があった方がいい! というのが定説ですが、それが自分に合うか合わないかは人それぞれ。やってみたら意外とハマった! なんてこともあるので、自分の固定概念を取っ払う家掘りの真髄に触れたような気がしました。

 

使い果たせる「素材」を選ぶようにする

『使い果たす習慣』の表紙にある「やかん」ですが、これは著者の秋子さんが実際に15年以上前に購入し、現在も使っているという銅製のやかん。味が出ていて素敵ですよね! キラキラで綺麗なもの=いいものという固定概念を捨てられれば、愛着も湧いてくるし、大事に使い続けようという気持ちになれますよね。

 

でも、使い続けるためには、ものの素材にも注目しておくことが大切です。いくら自分が使い続けたい! と思っていても壊れてしまったり、劣化が激しくなってしまえば使い果たす前に壊れてしまうことも。どんな素材を選ぶのが良いのでしょうか?

 

ものには、長く使っていくと「劣化していくか」「たくましくなるか」のふたつの道しかありません。

プラスチック製やフッ素樹脂加工のものは、使ったその日から劣化する道をたどります。一方、ステンレス、銀、ガラス、木、革などの素材は、使い込むほどに味が出てたくましくなっていきます。

 (『使い果たす習慣』より引用)

 

実は私もこの本を読んで、長年欲しいと思っていた南部鉄器を手に入れました。今までは、電気湯沸かし器を使ったり、汚くなったやかんはゴミに出して、また安いやかんを買ってを繰り返していたのですが、奮発して2万円で購入!! ここから一生使うつもりで買ったので、あと40年生きるとしても1年あたり500円(笑)。ちょっとお金はかかったけれど、いい買い物をしたな〜としみじみしています。

 

他にも『使い果たす習慣』には、洋服のこと、モノの買い方について、お金を使わずにお出かけする極意など、秋子さんの暮らしを楽しむコツがたくさん紹介されています。大掃除で出てきたものを「ま、いっか!」と来年に持ち越したり、新しいモノを買うことでなんとなく気持ちを紛らわしている方は、ぜひ読んでみてくださいね。きっと読み終わるころには、「家堀り」をしてみたくなることは必至。家掘りをしていく中で、モノと向き合うことができて、本当に必要なものやことに目を向けられるようになるでしょう。私も来年に「ま、いっか!」を持ち越さないためにも、いらないものは捨てる、使えそうなものは使い果たすを実践していこうと思います!

 

【書籍紹介】

使い果たす習慣

著者:森 秋子
発行:KADOKAWA

「足りない」よりも「あるから大丈夫」を増やす。ステップダウンして深呼吸できる生活。

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机の上がモノで溢れている……。ならばキングジムのスキマ棚でスペースをひねり出せ!

【きだてたく文房具レビュー】机上にスペースを創り出す棚

 

オフィスのデスクは、だいたい幅1200㎜×奥行き700㎜というあたりが標準的。この面積で広々と仕事ができるかというと、まずそんなことはない。

 

まずPCとキーボードにマウス、モニターがあって、下手するとノートPCも1台あって、資料を並べてペン立てを置いて……となると、あとはA4の書類を広げたらデスクの表面は見えなくなる、という感じだろう。

↑筆者の会社デスク(1100×700㎜)。机の天板はほとんど見えない↑筆者の会社デスク(1100×700㎜)。机の天板はほとんど見えない

 

せめて、もうちょっと広い場所で余裕を持って仕事ができれば……と思ったとき、まず手がけるべきは新たな“土地開発”、いや“開拓”だ。1200×700㎜程度のデスクトップはもう限界なんだし、もっと手つかずの場所……天井まで広がる“タテの空間”を新たに宅地造成するべきなのだ!

 

そういう意欲に溢れたオフィス環境改善アイテムが、キングジムから発売されているので、ぜひ紹介したい。

 

液晶モニター上空を小物スペースに活用

かつてPCのモニターがブラウン管だった時代(15年くらい前)、奥行きのあるモニターの上は、クリップケースや卓上カレンダーなどの小物置きスペースとして機能していなかっただろうか。いまや、薄い液晶モニターがベーシックになってしまったせいで、ブラウン管モニター上にあった小物たちは行き場を失ってしまったのだ。

↑キングジム「ディスプレイボード」(500㎜タイプ)3780円↑キングジム「ディスプレイボード」(500㎜タイプ)3780円

 

じゃあそのスペースを復活させればいいじゃん? ということで発売されたのが「ディスプレイボード」だ。液晶モニターの上にセットするだけで、500㎜×168㎜(幅200㎜タイプもある)という広い面積の小物置きスペースが出現してしまうのだから、まさにかつて失われた土地の再発見ツールである。

↑棚板の裏面に取り付けられたアーム。アーム位置は、液晶モニター裏の凹凸に合わせて変更が可能↑棚板の裏面に取り付けられたアーム。アーム位置は、液晶モニター裏の凹凸に合わせて変更が可能

 

↑モニターの裏面にアームを突っ張るように設置すれば、棚が完成↑モニターの裏面にアームを突っ張るように設置すれば、棚が完成

 

取り付け方は簡単で、まずボード手前のフチを液晶モニターの上辺に引っかけるように載せたら、あとはアーム2本を曲げてモニター背面に突っ張るようにセットするだけ。これで、安定したフラットな棚が出来上がり。

 

アーム先端の接地部分は上下左右に動くので、iMacのように背面が湾曲しているタイプのモニターにも、安定して取り付けることが可能だ。

↑デスク上で場所を取るもの、ちょっと置いておくだけのものなど、かなり気楽にポイポイ置ける↑デスク上で場所を取るもの、ちょっと置いておくだけのものなど、かなり気楽にポイポイ置ける

 

ボード自体は幅500㎜タイプで耐荷重1kgまでなので、デスク上でかさばっていた小物あれこれを載せるぐらいなら、まず問題はなし。

 

着座状態で手を伸ばすのには少し高い位置に天板が来るので、できれば、椅子から立ち上がったときに手にするもの、もしくは単に視線を向けるだけのものを配置するのがベストだ。筆者はスマホやPC作業用のメガネ、卓上カレンダーなどを置いている。

 

さらに広大な面積を空中に生み出すには?

筆者にとってディスプレイボードは、もはやこれなしではデスクトップの土地運用が立ち行かないぐらいの存在だが、欠点がひとつある。

 

液晶モニターはデスクに1台しかないので、これ以上の増設が難しいということだ。

↑キングジム「マグトレー」5378円↑キングジム「マグトレー」5378円

 

そういう苦情がキングジムに寄せられたかどうかは不明だが、それじゃあという感じで昨年末、新たに発売されたのが、空中に増設可能な棚「マグトレー」だ。

 

吸着部に強力な磁石を内蔵し、スチール面に貼り付けられるため、パーテーションやスチールラックの側面、デスク引き出し面などにバンバンと棚が増やせるのである。

↑写真で右上に見えるフラットな部分にネオジム磁石が内蔵されている。下の縁はずり落ち防止のゴムストッパー。これで耐荷重を稼いでいる↑写真で右上に見えるフラットな部分にネオジム磁石が内蔵されている。下の縁はずり落ち防止のゴムストッパー。これで耐荷重を稼いでいる

 

天板の面積は320㎜×230㎜と、ありがたいことに書類を入れたA4クリアホルダーをそのまま平置き可能。

 

さらにネオジム磁石のパワーで、耐荷重はなんと3kg。これなら書類を入れたリング式ファイルを空中に並べて立てておく、なんて使い方もできるだろう。

↑外す時は下からヒョイと持ち上げるだけ。あっけなく簡単に取り外しできる↑外す時は下からヒョイと持ち上げるだけ。あっけなく簡単に取り外しできる

 

磁石は吸着部の上辺に集中しているので、しっかりと貼り付く一方、外すときは下から軽く持ち上げるだけで取り外せるようになっている。

 

また、漏れた磁力を利用して、クリップをまとめて貼っておけるクリップポケットも付いており、置いた資料を整理するのに外したクリップをひとまずここにくっ付けておく、なんて使い方もOKだ。

↑書類を留めていたクリップなどは、ここに一時保管できる↑書類を留めていたクリップなどは、ここに一時保管できる

 

↑オフィス入り口のドアに、呼び出し電話を載せてしまうことだってできる↑オフィス入り口のドアに、呼び出し電話を載せてしまうことだってできる

 

オフィス内であれば、ホワイトボード脇に貼ってマーカーやイレーサーを置いたり、受付近くに貼って呼び出し用の内線電話を設置したり。アイデア次第でいくらでも“土地”が簡単に生み出せるのは、とにかく便利のひと言である。

↑ディスプレイボードとマグトレーで、一気にデスクの上がスッキリ!↑ディスプレイボードとマグトレーで、一気にデスクの上がスッキリ!

 

↑あらためて、最初の写真と比較してみよう↑あらためて、最初の写真と比較してみよう

 

マグトレー、ディスプレイボードとも数千円と、少々お値段はするが、しかし都会の狭小オフィスで棚の分の面積が“無”から生み出せるのだと考えれば、ハッキリ言ってまったく高くはないはずだ(なんなら、面積あたりの地価を計算してみるといい)。

 

そういう意味では、こういった空間の有効活用系アイテムは今後もっと注目されるジャンルになるだろう。

 

【著者プロフィール】

きだてたく

最新機能系から駄雑貨系おもちゃ文具まで、なんでも使い倒してレビューする文房具ライター。現在は文房具関連会社の企画広報として企業のオリジナルノベルティ提案なども行っており、筆箱の中は試作用のカッターやはさみ、テープのりなどでギチギチ。著書に『日本懐かし文房具大全』(辰巳出版)、『愛しき駄文具』(飛鳥新社)など。