氷上でも舗装路でも驚きのポテンシャル!ブリヂストンから新世代スタッドレスタイヤ「BLIZZAK WZ-1」登場!

「これが本当にスタッドレスタイヤなのか?」その凄さを実感させられるスタッドレスタイヤ「BLIZZAK WZ-1(ブリザック ダブルゼットワン)」が、ブリヂストンから9月より発売されます。このタイヤのポイントはブリザック史上、最強とも言える冬用タイヤとしての氷雪性能に加え、夏タイヤとしても驚愕のドライ/ウェット性能を実現していることにあります。今回はその実力を、夏真っ盛りの横浜で体験して参りました。

↑ブリヂストン「BLIZZAK WZ-1」。商品設計基盤技術「ENLITEN」をスタッドレスに初採用し、“究極のカスタマイズ”としてスノー/アイスだけでなく、ドライ/ウェット性能でも優れた走行性能を発揮する。

ブリヂストンの新作スタッドレスタイヤ「WZ-1」の新技術とは?

ブリザックは1988年に誕生したブリヂストンを代表する冬用タイヤでもあり、同時に北海道・北東北主要5都市においては装着率24年連続ナンバーワンを誇る、日本でもっとも知られたスタッドレスタイヤとも言えます。

そのブリザックの前モデルである「BLIZZAK VRX3」が登場したのが4年前。その間に市場は大きく変化してきました。特に近年はゲリラ豪雨ならぬゲリラ豪雪といった突然の気象状況の変化に見舞われる機会が増え、それに伴ってユーザーが冬用タイヤに求める性能もより幅広いものとなっています。

こうした状況に対応するため、ブリヂストンは今年の冬シーズンに向けて、“新たなプレミアム”と位置付ける商品設計基盤技術「ENLITEN(エンライトン)」を乗用車用スタッドレスタイヤに初搭載した「BLIZZAK WZ-1」を発売することとしたのです。

↑商品名には従来の“VRX”ではなく、新世代を示す「WZ-1」を採用。ENLITENの技術が含まれていることもサイドウォールの刻印からもわかる。

ENLITENとは、タイヤの軽量化と転がり抵抗の低減により、環境負荷を低減しつつ、運動性能も両立させるための技術。ガソリン車ではCO2排出量の削減、電気自動車にとっては航続距離延長をもたらし、結果として環境に配慮したモビリティ社会の実現に貢献するというわけです。

氷上での滑りを抑えるには、接地面で発生する水をいかにコントロールするかにかかっているのは言うまでもありません。そこでスタッドレスタイヤであるWZ-1に、このENLITENを活かすために様々な新技術が投入されました。

トレッドパターンではブロックまわりへの水の回り込みを抑制する「L字ブロック」と、水をスポイトのように吸い上げて貯め込んでブロック面への水の浸入を抑える「L字タンクサイプ」を採用。しかし、これでも接地面には水が残ります。

そこでWZ-1には業界初となる新技術「親水性向上ポリマー」を配合した「Wコンタクト発泡ゴム」を搭載しました。これにより、ゴムの気泡による水の除去に加え、このポリマーとわずかに残った水の分子間力が水をグリップ力へと変換させるのです。

↑除水効果を向上させた「L字タンクサイプ」、親水性を高めた発泡ゴム「Wコンタクトゴム」を組み合わせ、ここに分子レベルの機能を追加することで水を徹底して除去している。

正直、ブロックパターンやサイプの話は理解できるとしても、分子レベルの話になるともはや化学の世界で、文系出身の筆者には「へぇ~、そうなんだ」としか思えません。とはいえ、ブリヂストンによれば、従来品であるVRX3比でブレーキ制動性能が11%短縮、氷上旋回時のラップタイムは4%短縮。さらに氷上での車両挙動の安定性も向上することになったということでした。

猛暑の中で実施されたスタッドレスの体験試乗会。その意味とは??

さて、今回の試乗体験は、新横浜にあるアイススケートリンクを基点として開催されました。幸いだったのは、試乗がこのスケートリンクと屋外の一般公道の2部構成で行われたことです。

当日は梅雨明け前からの猛暑が続いており、屋外は“危険なほどの暑さ”。この中で試乗を終えてスケートリンクに入ると、リンク内の冷気で一気に身体をクールダウンすることができたのです。正直、これには助かりました。

それにしても、どうしてこんな猛暑の中で試乗会を開いたのか? スタッドレスタイヤだけに、今までなら真冬の積雪地で行うことが当たり前だったはずです。

しかし、提示された試乗メニューを見てその意味がわかりました。ドライ路面ではフリー走行以外に、開発者も同乗しながら夏タイヤである「NEWNO(ニューノ)」との比較試乗も含まれていたのです。これこそ、WZ-1の開発陣が氷上性能だけにとどまらず、ドライ路面での性能に並々ならぬ自信を持っていることの現れ。

つまり、WZ-1がスタッドレスタイヤながら夏タイヤとしても十分通用することをアピールしたかったというわけです。

最初はWZ-1を装着した日産「アリア」で、一般道と首都高速を乗り継いで横浜赤レンガ倉庫へ向かいました。走り出してすぐにわかったのが、スタッドレスタイヤとは思えない静粛性です。路面からの振動が抑えられているのは、ブロックが大きめのスタッドレスタイヤでよくあることですが、その一方でこれが災いしてロードノイズは大きめとなるのがこれまでの常識でした。しかし、WZ-1ではスタッドレスタイヤとは思えない静かさだったのです。

↑スタッドレスタイヤとは思えない高い静粛性にビックリ! ハンドルのキレも良好で、高速走行時の直進性も極めて安定していた。

しかもステアリングを切っても反応が実にシャープで、この傾向は一般道だけでなく首都高速に入ってからも変わることはありませんでした。直進性も良好でACCを使って走っていても不安はまったくなし。

むしろ、この日の猛暑によってゴムは柔らかくなっており、そこから得られる乗り心地によってコンフォートカーのような快適さで走ることができたのです。

↑猛暑によって柔らかくなったゴムにより、コンフォートカーのような快適さな乗り心地が得られた。

続いてはNEWNOを履いたトヨタ「ヤリス」で一般道での試乗です。最初はBEVであるアリアからの乗り替えだったこともあり、ヤリス特有のざらついたエンジン音がやや鬱陶しく感じたものの、普通に一般道での走りをこなしてくれました。

次にWZ-1装着車に乗り換えて驚きました。アリア同様、路面からの振動を上手に抑えつつ、キレの良いハンドリングを示していたのです。正直言えば「NEWNOを上回っている?」と思ったほどです。

特に発進時の加速感がスムーズで、キレも良好なので交差点での右左折もごく自然に曲がっていくことができます。これなら街中のストップ&ゴーが繰り返されるシーンでもストレスは感じずに済むかもしれません。スタッドレスタイヤがドライ路面で「ここまで追い込めるとは思わなかった」というのが正直な感想でした。

前モデル「VRX3」との差は、定常円旋回ではっきり体感できた

最後はスタッドレスタイヤとして本領を発揮するであろう、アイススケートリンクでの試乗です。メニューはVRX3とWZ-1との比較が基本。発進でじわり加速とベタ踏み加速を試し、フルブレーキでの制動能力チェック。さらに定常円での旋回でのグリップコントロールを試しました。

↑氷上の試乗コースはスケートリンクを使用。好条件下での試乗ではあったが、スタッドレスとしての基本性能の高さもしっかり確認できた。

結論から言えば、加速でも制動力でもVRX3との差を見つけるのは難しかったというのが正直なところ。若干、加速時でWZ-1の方がしっかりと路面をつかんでいる感はありましたが、これも筆者の運転で本当に同じ条件で操作できていたかは疑問。ですので、直線路でのグリップ力という観点では両者に大きな差は体感できなかったと言えるでしょう。

↑氷上での発進加速によるグリップ力をチェックしているシーン。VRX3との比較では速度の上がり方がややスムーズだった気がした。
↑氷上で行った急制動のシーン。ブレーキを踏むタイミングが一定でないこともあり、VRX3との差を見つけるのは難しかった。

一方で違いをハッキリと体感できたのが定常円旋回でした。速度を出しすぎるとどうしても外側に膨らんでしまうので、アクセルコントロールは結構難しい。それでも徐々に慣れてくると、WZ-1はVRX3と比べて外側へ膨らむことがグッと減っていることがわかったのです。

仮に外へ膨らんだとしても、WZ-1はトラクションを結構早めに回復させており、いざアイスバーンで滑り始めたらこの差は大きな安心感となるでしょう。

↑氷上での試乗を行ったアイススケートリンク。すでに他の試乗で旋回しているため、表面はピカピカのアイスバーン状態だった。

もちろん、今回の氷上での試乗はアイススケートリンクという、管理されたコンディションでの話、実際の一般道路で同じような効果が得られるのかは試してみないとわからないと思います。とはいえ、WZ-1となって氷上性能のポテンシャルアップにつながっていることは間違いないようです。

ただ、ウィンターシーズンでWZ-1を使い、ドライ路面での快適さを味わってしまうと、「オールシーズンこれでいいんじゃない?」と思う人が多数出てきてしまう可能性は否定できません。

ブリヂストンとしては「シーズンごとに夏タイヤと冬タイヤはこれまで通り取り替えて欲しい」と訴えますが、ここまで夏タイヤの性能が上がってくると果たしてユーザーがそう思ってくれるでしょうか。

とはいえ、WZ-1は氷上性能の高さだけでなく、ドライ路面で走る機会が多い人にとっても高い満足度が得られるタイヤであることは、今回の試乗を通してはっきりとわかりました。そうした意味でもWZ-1は従来の概念を覆す、新世代のスタッドレスタイヤと断言できる優れたポテンシャルを持ったタイヤであることは間違いないでしょう。

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日立アプリが「今日なに作ろう?」から解放!キッチン家電の真価を引き出す「考えない献立作り」を体験してきた

毎日の料理作りのなかでも「献立決め」が負担という家庭は多いはず。なかには、料理を作るよりも献立を決めるほうが面倒、という声も聞かれます。

そんな中、日立グローバルライフソリューションズ(以下、日立)は、同社の家事サポートアプリ「ハピネスアップ」に「ぱっとレシピけいかく」機能を追加。同社のコネクテッド冷蔵庫や電子レンジと連携することで、冷蔵庫内の食材から1週間分の献立を組み立て、調理のサポートまでできるようになりました。とはいえ、この機能は実際どれくらい便利なのでしょうか? 今回、日立の体験会にてこの「考えなくてよい献立作り」を体験してきました。

↑「ぱっとレシピけいかく」はコネクテッド冷蔵庫や電子レンジと連携することで、献立作りや調理がより手軽になります。

日立の家電がなくても使える自動献立作成機能

「ぱっとレシピけいかく」機能を搭載したアプリ「ハピネスアップ」は、日立の家電ユーザー向けのアプリ。ただし、この自動献立作成機能については日立の家電を持っていなくても利用できます。ユーザーは、家にある食材や使いたい食材をアプリから選ぶだけ。するとアプリが、自動的に「最大1週間分の夕食レシピ」を、1日1品ずつ提案してくれます。筆者も実際に献立作成を体験してみましたが、一週間分のレシピが10秒ほどで完成。「カロリー少な目、タンパク質多め」といった傾向も設定できるので、ダイエット中の人にも便利そうです。

↑家にある食材を選ぶだけで最大一週間分のレシピを考案。
↑気に入らない料理がある場合は何度でもやり直しができます。
↑塩分控えめ、低糖質の料理など、料理の傾向も自分で選択可能です。

食材を把握する冷蔵庫と、調理を行うレンジを連携させることも

献立作りをサポートする「ぱっとレシピけいかく」は単体でも使えますが、日立のコネクテッド家電と連携させることで、献立選びがより手軽になります。たとえば、本来「ぱっとレシピけいかく」ではまず自宅にある食材を選択する必要がありますが、「冷蔵庫カメラ」と連携すれば食材を自動登録させることもできるのです。

冷蔵庫カメラとは、その名の通り冷蔵庫に搭載したカメラのこと。日立の一部の上位モデルに搭載しており、冷蔵庫のドアを開けるたびに庫内の状態を撮影してクラウドに画像をアップロードします。この画像をチェックすることで、スマートフォンからいつでも庫内の様子が確認できます。スーパーでの買い物中でも「いま冷蔵庫になにがあるか」がわかるという製品です。

↑写真は5月に発売されたばかりの冷蔵庫カメラ搭載の新モデル「まんなか冷凍 GXCCタイプ」。670Lと大容量ながら奥行き65.4cmというスリムさが特徴です。
↑本体上部に飛び出たカメラ。
↑冷蔵室や野菜室、冷凍室が開かれるたびに庫内を撮影してクラウドにアップロードします。

実はこの冷蔵庫カメラ、在庫を確認するだけではなく、撮影した画像から「食材検出」し、冷蔵庫内の食材をリスト化することができます。今回の「ぱっとレシピけいかく」は、このリストをもとに「今家にある食材で1週間分の献立を提案」が可能。つまり、家にある食材をわざわざ入力せずとも、庫内の食材で献立を組み立ててくれるのです。

↑ハピネスアップと連携可能な日立の冷蔵庫用アプリ「日立冷蔵庫コンシェルジュアプリ」では食材をひとつひとつ自動的に抽出して在庫のリスト化をサポート。ただし、写真の食材に名前を付けるのは手動入力が必要。ここは今後の進化が待たれます。
↑「ぱっとレシピけいかく」では、選んだ献立に必要な食材を「買い物メモ」としてリスト化する機能もあります。冷蔵庫と連携すれば、家にある食材を青色で表示します。

調理の「迷い」もなくしてくれる、電子レンジとの連携

「ぱっとレシピけいかく」で選ぶ料理のレシピには、日立の過熱水蒸気オーブンレンジ ヘルシーシェフの「クッキングメニューレシピ」が使われています。そのため、もちろん対応するオーブンレンジがあれば連携も可能です。ヘルシーシェフのアプリと連携することで、アプリから料理のレシピがチェックできるほか、料理に最適なオーブンレンジの設定を本体に送信することもできます。

体験会では、6月に発売した新製品「過熱水蒸気オーブンレンジ ヘルシーシェフ MRO-W1D」を使った実演も行われました。ヘルシーシェフ上位モデルは従来からレンジやオーブン、過熱水蒸気、グリル調理を複合的に利用し、材料を自動的に「イイ感じ」に調理するという「熱風旨み焼き」機能を搭載。新製品はこの熱風旨み焼きメニューに従来の「肉・魚」以外に「野菜」メニューが追加されました。体験会では、新機能である熱風旨み焼き(野菜)を使った料理の試食体験もできました。

↑「過熱水蒸気オーブンレンジ ヘルシーシェフ MRO-W1D」。
↑アプリの「送信」ボタンを押すことで、レンジ本体にメニューを登録。いちいち本体からメニューを選ぶ必要がありません。
↑今回から「熱風旨み焼き(野菜)」が追加されました。
↑熱風旨み焼き(野菜)機能で調理した野菜。試食をしてみると、すべての野菜にしっかり歯ざわりは残っているのに、中心まで火が通っていました。

食材の確認から調理まで。すべてがつながるスマート体験

便利なはずの高機能家電も、機能が多く、設定や操作が複雑で「使いこなせない」と感じることは意外と多いものです。冷蔵庫カメラと連動した最新便利機能や、300近いメニューが利用できる最新オーブンレンジも、うまく使いこなせなければ生活が便利にはなりません。その点、「ぱっとレシピけいかく」は、冷蔵庫の在庫から献立を提案できるうえ、レシピはワンタッチでレンジへ送信してくれるのが便利。自分であれこれ考えなくても、家電の持つ機能を自然に引き出して活用できる足掛かりになると感じました。

↑「ハピネスアップ」は家電の不具合発生を通知したり、修理依頼もできる「家電の救急アラート」も搭載。さまざまな角度から家電と生活をサポートします。

今回の体験では家電を連携させることによる手軽さを体感できましたが、冷蔵庫もレンジもすぐに買い替えるのは難しい家庭も多いはず。そんなとき、まずはアプリだけで使える「ぱっとレシピけいかく」の献立提案機能を試してみるのもオススメです。スマホひとつで「今日何作ろう?」の悩みから解放される……まずはその手軽さをぜひ体感してほしいと思います。

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大阪工場を取材…サントリージンが世界で評価されるワケは“和食”にあった!【2026年春工場見学開始】

「ROKU〈六〉」「翠(SUI)」などのジンをはじめ、さまざまな“洋酒”を製造している「サントリー大阪工場」が、2026年の春から一般見学ツアーを開始すると発表。GetNaviお酒・グルメアドバイザーの中山秀明氏が先立って行われた取材会に参加し、その一部を体験してきた。工場の内部やサントリーの戦略、さらにジンの最前線をお伝えする。

↑サントリーがつくるジンの代表的銘柄が、サントリージャパニーズクラフトジン「ROKU〈六〉」。2017年の発売から8年で、世界第2位のプレミアムジンへと成長した(2024年販売数量/IWSR2025データより)。

ジンの歴史と概要。ジュニパーベリーとは?

ジンは、ラム、テキーラ、ウォッカと並び「世界四大スピリッツ(蒸溜酒)」に数えられる酒。諸説あるものの、一般論ではオランダの医学博士が1660年に薬用酒として研究開発した、ジュニパーベリー(西洋ねずの実)を主体とする薬用酒がルーツとされています。

↑ジュニパーベリー。ウッディーでビターな甘みのある香りが特徴で、熟した果実を乾燥させスパイスとして利用する。工場見学ツアーでは他のボタニカルを含め、実物を見たり嗅いだりできる。

ジンの語源も、ジュニパーベリーにあり。オランダやフランス語圏でジュニエーブル、イェネーフェルなどと呼ばれていたものが、イギリスに渡りジュネヴァと呼ばれ、やがて「ジン」の愛称に短縮され広まっていきました。

定義としても、ジュニパーベリーはジンに欠かせません。そのほか穀物由来のスピリッツであること(例:ラムなどで重用されるサトウキビなどの糖蜜由来の場合、他の要素を満たしていても一般的にジンとはいわない)、アルコール度数が37.5%以上であることなどが条件です。

↑ジンの製造工程一例。「サントリー大阪工場」取材時の動画モニターを撮ったもので、一般見学でも動画でわかりやすく解説してもらえる。

トレンドの背景に欧州で生まれた“クラフトジン”がある

ジンは近年、国内外で飛躍的に市場が成長した洋酒の代表格といえます。火付け役といわれているのが、クラフトジンのムーブメント。パイオニア的なブランドのひとつが、英国ロンドンで2008年に蒸溜所が設立された「シップスミス」です。

↑サントリーの資料より。右上の写真にあるボトルが「シップスミス」。

やがてその熱は日本にも伝播し、2017年にはサントリーもジャパニーズクラフトジン「ROKU〈六〉」を発売。スタートアップによる銘柄も続々誕生し、いまや国内の小規模蒸溜所は約140もあるとか。そしてトレンドの起爆剤となったのが、2020年に誕生した「翠(SUI)」です。

「翠(SUI)」は、ソーダ割りでフードペアリングを推奨する飲み方提案も支持を得て、その後2022年にデビューした「翠ジンソーダ缶」もメガヒット。いまでは各社から、缶のジンソーダやジントニックが発売されるほど定着しています。

↑サントリーが推計した国内のジン市場データ。「翠ジンソーダ缶」が発売された2022年に、大きく伸長している点に注目。

浸漬タンクとつながった巨大蒸溜釜が並ぶ様は圧巻

「サントリー大阪工場」内部へと話題を進めましょう。同工場の歴史は古く、1919(大正8)年に同社(当時は鳥井商店)草創期の大ヒットぶどう酒「赤玉ポートワイン」をビン詰めする工場として開設(当時の名称は築港工場)。やがてスピリッツやリキュール全般を製造開発する工場へと規模が拡大し、いまに至ります。

↑工場内には歴代の名酒とともに歴史を紹介するギャラリーも。「赤玉ポートワイン」は1907(明治40)年に誕生し、1973(昭和48)年に「赤玉スイートワイン」へと名称変更。

来春スタートが見込まれる工場見学において、目玉のひとつとなりそうなのが、蒸溜器が見渡せるデッキです。驚くべきは、その大きさと設備。筆者がこれまで、いくつかのジン蒸溜所を取材したなかでも、ここまで高さのある蒸溜器は初めてかもしれません。なおかつ、メインとなる蒸溜釜の形が、ウイスキー蒸溜で頻用されるような銅製の単式蒸溜器(ポットスチル)に似ている点もポイント。

↑種類の異なる4基の蒸溜器が稼働。複層階のフロアで構成されていることからも、その巨大さがわかる。

加えてもうひとつ珍しいのは、蒸溜釜に設えられた浸漬(しんせき)タンク。これは、生産能力増強と品質向上を目的に新設した、画期的なシステムです。従来は蒸溜釜内でボタニカルの浸漬と蒸溜を同時に行っていたところを、タンクで浸漬してから蒸溜釜へ移送する工程にしたことで、生産性向上を実現。さらには、浸漬温度、時間、攪拌(かくはん)を制御できるようになり、品質もアップしたといいます。

↑浸漬タンクと蒸溜釜が、パイプでつながっている。

4基の蒸溜器は今回新調した設備となりますが、それぞれ種類が異なる理由は、素材ごとに原酒のつくりわけをするため。例えば桜やバナナなどにはクリアで繊細な酒質を得やすい「減圧蒸溜釜」を、柑橘系の素材には精溜度の高い蒸溜ができる「ピール・レクチ」を、ただし柚子などには「ピール・スチル」を、ジュニパーベリーなどジンの伝統的なボタニカルには「ジン・スチル」を、と使いわけることで、各素材に理想的な原酒をつくり出します。

↑蒸溜器を一望できる、見学デッキの壁に設置されている展示。訪れた際は、4基それぞれがどの蒸溜器か見比べてみよう。

「クリエイションルーム」ではテイスティングやセミナーを予定

そしてもうひとつの目玉が、「クリエイションルーム」と呼ばれる会場。ここは360度のスクリーンに没入感のある映像を流せるシアターとなっていて、見学ツアーではジンに関するテイスティングやセミナーなどが予定されています。

↑「クリエイションルーム」。席も円形に設えられている。

取材会では矢野哲次工場長がサントリーのものづくり精神や大阪工場について、スピリッツ・ワイン商品開発研究部の伊藤定弘部長が「ROKU〈六〉」の魅力をテイスティング講座形式で教えてくれました。特に筆者が感銘を受けたのは、同社が思い描く「The Japanese Craft」の考え方です。

↑スピリッツ・ワイン商品開発研究部 部長の伊藤定弘さん。360度の映像は桜をはじめ、柚子、玉露なども。

一言で例えるならば「和食」。その哲学はジンのブレンドにも表れており、料理でいえば「炊き合わせ」が挙げられます。というのも、一般的なジンの製法は原料を一括で浸漬、蒸溜するところ、「ROKU〈六〉」や「翠(SUI)」では素材ごとにつくりわけた複数の原料酒をブレンドしているからです。

↑イメージとしての、「ROKU〈六〉」と一般的なジンとの製法の違い。

日本料理の「炊き合わせ」も、素材ごとに別々に調理して提供時にお椀で合わせる。これにより、各素材の味や色の個性を最大限に楽しめるのです。ラーメンで例えれば、豚や鶏の白湯と魚介ダシを一緒に煮込むのではなく、それぞれ炊きわけ提供直前に合わせるWスープの手法が、サントリー流のジンに通じるレシピといえるでしょう。

↑取材会では、ここでしか味わえない桜や柚子の原料酒もテイスティング。こうしてテイスティングすると、素材の個性がよくわかる。

冒頭でも触れたように、一般見学ツアーは2026年の春ごろを予定しており、具体的なツアー内容や、参加は予約制なのか、工場までのアクセスは、料金はいくらなのかといった具体的な内容は決まっていません。とはいえ着々と準備は進められており、遠くない未来に発表されることでしょう。

↑「サントリー大阪工場」の住所は、大阪府大阪市港区海岸通3-2-30。すぐそばには天保山運河。USJや2025大阪・関西万博会場から比較的近い場所にある。(写真提供/サントリー)

GetNavi webでもその動向を追い、情報を入手次第お伝えするので要チェック。ジンのトレンドにも引き続き注目です。

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リファービッシュ家電の品質って、ホントに良いの? 月2500台を新品同然によみがえらせる、CLAS倉庫潜入レポート

欲しい家電を少しでも安く手に入れたいとき、選択肢の一つが「リファービッシュ品」ではないでしょうか。新品と比べて安く利用できるのがメリットの一つで、昨今だとHHKBがリファービッシュ品を数量限定で発売してはすぐ売り切れるなど、注目度の高さがうかがい知れる例があります。ただ、実際の品質はどうなのかが気になりますよね。

家具・家電レンタル・サブスクサービス「CLAS(クラス)」の船橋倉庫に赴き、月間2500件ものリペア(修繕)・クリーニングを行う現場を取材。1年半使われ、かなり汚れている洗濯機が10分で白さを取り戻すさまは、見事の一言でした!

↑CLASの船橋倉庫内、家電のクリーニングエリア。壁には「ユーザーの気持ちに立ったクリーニング」というスローガンが掲示されていました(写真右奥)。

 

 

「クリーニング工程を経ないものは一つもありません」

リファービッシュとは「整備・修復された」の意味で、出荷・販売後にメーカーに戻された製品を新品同様の状態に戻すことを指します。CLASは「家具や家電を捨てずに再利用し、循環させるビジネス」を手掛けており、レンタルを終えて返却された製品は次のユーザーの手に渡る前に、専門スタッフによって動作確認とクリーニングが行われます。きれいにするだけではなく、できるだけ捨てないように直しているというのがスゴいですね。

倉庫長の笹川敦史さんも、「返却された商品は、まずはクリーニングされます。クリーニング工程を経ないものは一つもありません」と力強く断言。土日も含め、1日に約70個の商品を検品しており、月間にして2500個強、引っ越しシーズンの3月には3000個に達することもあると言います。なおこれは個人利用のみの数字で、法人利用の家具・家電を含めるとさらに多くなるとのこと。

↑小型家電のクリーニングエリアの様子。色々な角度から家電をチェックし、布と洗剤で汚れを丁寧に落としていました。

倉庫に返却される商品の汚れや破損は実にさまざま。「ガタつき、機能の不備から、日常使いによる生活汚れまで、本当に色々ですね」と笹川さん。利用期間の長さに比例する部分もあるようです。最短で当日返却もあり得ますが、大体のユーザーは最短でも4か月以上は使用しているとのこと。中には、冷蔵庫や洗濯機を購入せず、CLASでずっとレンタルし続けている人もいると言います。長期間利用後に返された家具は、汚れの落とし甲斐がありそうです!

専任者が目と手でチェックしてリペア。修理費用の負担は誰が?

故障している場合はクリーニングだけでは不十分で、「リペア」工程に回されます。家具担当3名、家電担当2名、計5名のリペア専任者が長年の経験を活かして、故障原因の特定や修復方法を見極めています。家具と家電とで、リペアのアプローチが大きく異なるそう。 

家具:修理箇所がわからないようにすることが重要。研磨、塗装、ツヤ合わせを行い、違和感がないように仕上げる。特に手間がかかるのがアルミの鏡面仕上げ。3時間以上かかることも
家電:機械的・電気的な部分、基板を交換するような作業が中心。最も時間がかかる工程は故障原因の特定で、一つ一つ問題をつぶして確認する必要がある

 「クリーニングの時点で違和感や迷いがあったら、すぐにリペア専任者やリーダーに確認してもらっています。リペア専任者が『自分が使いたいと思えるレベル』まで持っていくことが基準です。まさにサービスの命ですから」(笹川さん)

筆者が工場内に足を踏み入れると、ちょうどアロマディフューザーのリペアに取り掛かろうとしている専任者がいました。スイッチを押しても電源が入らなくなっているとのこと。原因は特定済みで、基盤を取り換えれば問題なく動作するはずだと言いますが……。

↑スタッフが慣れた手つきでアロマディフューザーのパーツを取り外し、内部を見せてくれました。故障原因と思われる部分に、黄色のマスキングテープが貼られています(写真右)。

「じゃあ始めますね」。そう言うや否や、問題部分の基盤を迷いなく取り外したリペア専任者。用意してあった替えの基盤に付け替えると、何事もなかったかのように電源がつきました。この間わずか1分程度。非常にスムーズです。 

今回は15分くらいで原因を特定できたものの、時にはメーカーに問い合わせて必要な部品を手配する必要があったり、どれだけ時間をかけても直せなかったりするケースもあるそう。それだけに「工数をかけたものが直った瞬間は本当にうれしい」のだとか。

ただ、あまりに専門的な知識を要する修理はメーカーに依頼することも。その際の費用はCLASが負担します。「明らかにお客様起因で壊れている場合は請求させていただくこともあります」(笹川さん)。

↑家具(木製イス)のリペアの様子。足のガタつきを直す過程で空けた穴をカモフラージュし、違和感がないように仕上げていました。

 “判断の目”が、倉庫に届く前から利くこともあります。配送ドライバーと連携し、「どう見ても汚れや壊れ具合が酷いものがあれば事前に画像を送ってもらい、倉庫へ商品が到着すると同時に廃棄や売却を決めるケースもあります」と笹川さん。倉庫内外で連携し、廃棄する場合にはそもそもクリーニングの段階にさえ進めないようにすることで、業務の効率化を図っているようです。 

蓄積した1年半分の汚れを、10分でほぼ落とす熟練技

「リペアは難しそうだけど、クリーニングはそこまで大変じゃなさそうじゃない?」……なんて思うかもしれませんが、そんなことはありません。 

大型家電のクリーニングエリアでは、18か月間のレンタルを終えて返却された全自動洗濯機を掃除する様子を見学させてもらいました。洗濯槽やパルセーターなど各パーツを取り外すと、底部分は思わず顔を背けたくなるような汚れっぷり! さっそくスタッフが、高圧洗浄機で汚れを洗い流していきます。

↑汚れが溜まりやすい「溝」が多いパーツも、無駄のない動きできれいにしていきます。

大型家電ともなるとパーツも大きく、分解したり洗浄する角度を変えたりするのも重労働に見えます。しかしノンストップで手際よく高圧洗浄を続けること10分、汚れやサビがここまで落ちました。それぞれ、左が洗浄前、右が洗浄後です。

↑左が洗浄前、右が洗浄後。
↑左が洗浄前、右が洗浄後。

既に見違えるようですが、これで完了ではありません。必要に応じて二度、三度とクリーニングを重ね、綿棒やメラミンスポンジなども使ってできる限りきれいにしてから送り出すそう。手元に届いた時に使用感はあっても汚れがそこまで気にならず、買うより断然安く使えるというなら、数年にわたって利用し続けたくなるのも頷ける話です。

もしサイズ感や使い心地を確かめたうえで、「レンタルはもう十分。ちゃんと買って使いたい」と思うことがあれば、「あとから購入」サービスで手軽にゲットできます。支払ったレンタル料金は購入価格から差し引かれるので、損はありません。 

大きな買い物の前に、リファービッシュ品でお試し

リファービッシュ現場は想像以上に高度な技術と経験、そして扱う商品への真摯な気持ちが必要なのだとわかりました。倉庫の至る所で、クリーニングやリペアに黙々と、手際よく取り組む職人たちの姿は頼もしかったです。さまざまな家具・家電のビフォーアフターを目の当たりにして、リファービッシュ品の質の高さに驚きました。

家具や家電はこまめに買い替える機会が少ないので、買った後でイメージと違ったり、そもそも使えなかったりしたときの心理的・金銭的ダメージが大きいもの。大きな買い物をする前のお試としてリファービッシュ品を活用し、出費を抑えるのは賢い手段なのでは。CLASでは様々なアイテムをレンタルできるので、まさしく「購入前にちょっとお試ししたい」ときに便利ですね!

※電気用品安全法に基づき、「あとから購入」対象外の商品があります

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ありそうでなかった!パナソニック本拠地で新EV充電器&新スポットライトが示した、電池と電気のちょっと未来

大阪府門真市と言えば、パナソニックの本拠地。この敷地内に新設された「Culture Base.」(以前は社食棟だったらしい)に招かれた取材班は、「電池=EV用充電器」と「電気=スポット照明」の(ちょっと先の)明るい未来とご対面したのだった!

お悩み解決型EV充電器、参上!

「はい、この中でEVもしくはPHEVに乗っている方は……あ、いらっしゃらない。日本でのEV普及率ってそんなもんです(笑)」とユーモアを交えて話す福々しい御仁こそ、パナソニックでEV用充電器の企画を担当する田中政行課長である。

↑パナソニック エレクトリックワークス社の田中政行課長。

ご指摘の通り「2035年にはすべての新車を電動化へ!」と政府の掛け声はあるものの、その進展が肌身に感じられることは少ない。事実、2024年新車販売における日本のEVやPHEV普及率はわずか2%。9%の米国、33%の欧州、38%の中国の背中は遠くなるばかりだ。

それでもクルマの未来は電池にある。燃費に比べ電費に優れる、環境性能が高い、有事の非常用電源にも使えるからだ。パナソニックでは2010年からEV、PHEV用普通充電器を手掛けており、もっとも手ごろな「EVコンセント」製品においては市場をほぼ占めているという。

↑3年連続国内軽規格EV販売台数№1「日産サクラ」。

「まだまだ、とは言いながらも、街中ではプリウスをはじめとするHVや三菱アウトランダーなどのPHEVはよく走っていますし、日産のリーフやサクラ、テスラなどのEVも見かけるようになってきました。そんな現ユーザーにもお悩みがありまして、たとえば『満充電まで時間がかかりすぎる』とか『車載充電ケーブルの出し入れが面倒』『充電器の仕様が設置場所の実態に合わない』。それらをまるっと解決するのが今回の新製品なのです!」と田中さん。

↑別体型となった新ELSEEV hekia S(左)と一体型の従来品(右)。

お悩み解決型EV用充電器「ELSEEV hekia S」2025年モデルの特長は以下の3点。

1.本体とコネクタホルダを別体に……これまで充電器本体と一体だったコネクタホルダを分離したことで設置自由度を向上! 

2.4.8kWhモデルを追加……普及している3kWhモデルに比べ出力をUPさせ、充電時間を約35%短縮!

3.リニューアルも簡単……3kWhから4.8kWhへのリニューアルは本体(場合によりブレーカーも)交換でOK!

特に家庭用ユーザーからの「充電って、思ったより時間かかるのよねえ~」という声は切実で、たとえば~夜遅く仕事から戻ったパパのEVを翌朝の保育園送迎に使ったら残量が残り少なく、出先で立ち往生しないか心配! なんてお悩みは「あるある」だそう。このあたりがEV乗り換えへの心理的なハードルとなっている。

↑盗電防止用カギ付きもラインナップ。

そこで充電器の出番! もっとも一般的な3kWhを出力が倍の6kWh充電器に換えれば単純に充電時間は半分になるが、この場合、宅内配線も6kWhに対応するタフ仕様にする必要がありかなり大掛かりな工事となってしまう。しかしその中間の4.8kWhなら本体の交換のみ(ブレーカー交換が必要な場合もある)で充電時間を約35%短縮できるのだから、「だったらウチもやっちゃう⁉」となること間違いなし!

↑住宅や施設などの建物から離れた駐車場へELSEEV hekia Sを設置するときに使用する専用Dポールも同時発売。

「複数の充電器を設置するため左右間隔を詰めたい」「右側ホルダだと左利きには使いづらい」といったお悩みに対してはコネクタホルダ別体化で応え、充電ケーブルの長さ変更も実現(前モデルは5mのみ)。充電器をふたつ取り付けできるポールの開発は、EVやPHEVなどのクルマ2台に1ポールで対応するためだ。これってシンプルだけど“患部によく効く!”改良なんだなあ~。

↑車庫の状況によりそい、使い勝手に即した設置ができる新「ELSEEV hekia S」。

「日本の普及率が低いことを伸びしろがあると捉えています。ビリビリ、いやバリバリ「ELSEEV hekia S」の応援よろしくお願いします!」と鼻息荒い田中さんでした。

↑田中さんをもう一度!

そのオフィス、照明で「あかぬけ」ちゃえ!

お次は明かりだ。

↑新・旧モデル、展示用スケルトンモデル勢揃いの図。

「照明は場の印象や雰囲気を変えることができる手段であるため、近年特に採用事例が増えています」。そう語るのはパナソニック ライティング事業部でオフィスライティング「TOLSO」の商品企画を担当する上田泰佑さんだ。

↑パナソニック エレクトリックワークス社の上田泰佑さん。

この日お披露目された「TOLSO+ BeAm Free」(トルソープラス ビームフリー)はそんなイマドキの明かり最前線と言えるだろう。なにしろ上田さんご自身「今までにないスポットライトです!」と、まるで久米宏のように宣言するのだから。

↑新製品「TOLSO+ BeAm Free」。カラーはブラックとホワイトをラインナップ。

スポットライトは対象物をピンポイントで照らしより魅力的に見せる照明器具で、これまで主に店舗照明として使われてきた。しかし近年オフィスでの採用が増えている。背景にあるのはエリア分けされたフリーアドレスオフィス=ABWオフィスの増加だ。ABWとはアクティビティ・ベースド・ワーキングオフィスのことで、目的ごとにエリアを分けて構成されるオフィス空間である。

ABWオフィスではスポットライトなどを活用した照明の種類、照度によるメリハリがシームレスにエリアを分ける。他方、中心部が集中的に明るいスポット照明の特性上、目が疲れやすいという意見もあった。え、オフィスには不向きなの?

↑左がベースライトを使用した均一照明。右がベースライト+スポットを使用したメリハリ照明の一例。

「スポットライトは光の均斉度(きんせいど)が低いため中心と周辺の明るさムラが大きく、実際、目が疲れやすいとも言われていました。そうしたオフィス導入における障壁を打破したのが「TOLSO+ BeAm Free」なのですよ!」と上田さん、照明のようにアツく語ります。

↑「TOLSO+ BeAm Free」。無線対応モデルもスタンバイ!

目が疲れやすいお悩みに対しては、従来品「TOLSO」に比べ約3倍の均斉度をもたせデスクなど作業面を広く照らすように。

↑均斉度の高い配光を実現した「TOLSO+」(左)と従来モデル(右)。

また「弁当箱みたいな電源部がデカいし視覚的にもちょっとなあ~」とのお声に対しては「やればできるじゃん!」(っていうか最初からやってよ!)の電源一体型を実現。

↑左・従来品。右・電源一体となりコンパクト化された新製品。

さらに配光角度を変えられる「BeAm Free」機構によって狭角度~広角度まで自在なライティングが可能だ。

↑左・挟角。右・広角。カメラのズームレンズのようにスポット幅調整は自在だ。

ここだけの話だが、実は「TOLSO+」となって威力を発揮したのがコスパ。

従来製品より広角度を照らせるため、2席を1台でまかなえるようになった。つまり設置台数を半減させられるから、イニシャルコストだって最大半減(どっかのスマホの宣伝みたいだが・笑)というわけ! 

昨今、企業においては社員=人財との認識が高まり、いかに優秀な人材にアプローチしうるかが課題となっている。その意味でも、スポットライトでめりはりのある「あかぬけたオフィス空間」「働きたくなるオフィス空間」を整えるニーズは高い。明かりが果たす役割は大きいのだ。

↑今回の発表会会場となった「CULTURE BASE」。基本、社食なのだけど社員の課外活動スペース(!)としても活用されるほか、ジェンダーフリートイレや祈禱部屋の設置など実験的要素も盛り込む。

大阪万博、昭和100年、ちょっと先の未来

ここわずか数年で、移動も働き方も大きく変わった。むろんその撃鉄はコロナショックだ。今年は昭和100年でEXPO70から55年目、二度目のバンパク絶賛開催中の2025年である。パナソニックが手掛けるEV充電器の刷新とあかりによる快適オフィスの提案は万博みたいな空想的未来ではなく、ちょっと先行く利便への水先案内となるはずだ。

パナソニック
EV・PHEV用充電設備「ELSEEV」
電源一体型スポットライト「TOLSO+ BeAm Free」

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猛暑の夜にこれ以上のごほうびある?屋上ビアガーデンでアサヒ「キンキン冷感タンブラー」の真価を味わう

近年の猛暑には困ったものですよね。ただ、暑ければ暑いほどキンキンに冷えたビールがウマいんだよなぁ……。なんてことを考えていた折、アサヒビールがビールの「冷え」に本気で向き合った新企画を始めたと聞きました。その新企画とは、アサヒビールのお酒が飲める全国のビアガーデンにて、「アサヒスーパードライ」を「スーパードライキンキン冷感タンブラー」(以下キンキン冷感タンブラー)で提供するというもの。ただでさえうまいスーパードライをキンキン状態で、屋外で楽しめるとは。これは行くしかないでしょう!

↑ご覧の通り、いい眺めです。一緒に参加した会社のビール好きメンバーもリラックスしている様子。

 

というわけで、同企画の実施店舗のひとつ、東京・六本木の「ARK HILLS SOUTH TOWER ROOFTOP LOUNGE」にやってきました! こちらは複合商業施設「アークヒルズ」の屋上に位置するラグジュアリーなビアガーデンです。いや~眺めがイイ!

 

牛・豚・鶏とシーフードが楽しめる飲み放題BBQコースを体験

ここでキンキン冷感タンブラーの魅力が存分に味わえる、飲み放題のBBQコースを体験します。今回体験するのは、牛・豚・鶏とシーフード、各種サイドメニューがセットになった「TURF&SURF BBQプラン」(120分飲み放題付9500円~)です。コースがスタートし、キンキン冷感タンブラーに入ったスーパドライが登場!  待ってました!

↑前菜のカプレーゼやナチョスが並んだテーブルにビールが到着! タンブラーは見るからに冷えていていい姿です。

 

まずは参加メンバーとカンパ~イ! そして、スーパドライをひと口。……おお~ ウマい!そして、 冷たい! これだけ冷たいと、キリっとした辛口がより引き立ちますね。これは普通のスーパードライじゃない、例えるなら、スープゥー・ドゥルァーイ(CMの声)だ!

メインとなる肉も到着! これをテーブルの傍らにある本格グリルでじっくりと焼いていきます。これは贅沢ですね。大勢の仲間と楽しんだら、盛り上がること間違いなし。

↑ペッパー・ビーフやジャークチキンマリネ、骨付きソーセージ、ホタテの和風だし醬油などを焼いていきます。グリルが大きいので肉が小さく見えますが、かなりのボリュームでした!

 

↑我々と反対側の開放的なスペースでは、団体客が大いに盛り上がっていました。

 

キンキン冷感タンブラーが圧倒的に冷たいワケ

しかし、ジューシーな肉とビールって、なんでこんなに合うんでしょうね。うまみたっぷりの肉を口いっぱいにほおばって、つめた~いビールで流し込む幸せ……これはもう、たまりません。

そして、このキンキン冷感タンブラー、その名に違わず、圧倒的に冷たいですね。飲んで冷たいし、手に持つと超冷たいし、口に触れて冷たいし。身体の内側と外側で冷たさを感じられるというか。

 

その冷たさにはどんな秘密があるの? と調べてみると、3つの特徴があることがわかりました。(1)冷たさを実感できる1.2mmの薄い飲み口(2)持った瞬間から冷えを実感できるアルミ製(3)辛口カーブの色が変化し、冷たさが目で見てわかる――とのこと。

 

(1)(2)については感じた通りですが、(3)が面白いですね。なんでも示温(しおん)インキという温度によって色が変わる特殊なインキを採用しており、冷えているときは中央の波のようなマーク(辛口カーブ)が青くなるそう。なるほど、(1)(2)の触覚で冷たさを感じさせ、(3)の視覚でも冷たさを感じさせようというわけか。確かに、タンブラーが自身の冷たさで汗をかいた状態と、辛口カーブの青さがマッチしてより涼やかに感じます。

↑常温のキンキン冷感タンブラー。辛口カーブは白のままです。

 

猛暑下に威力を発揮するタンブラーで楽しんで!

というわけで、キンキン冷感タンブラーで楽しむBBQ、存分に堪能させていただきました。特に同タンブラーは、連日、気温が30℃を超えてくるいまこそ絶大な威力を発揮するはず。みなさんもぜひ、同タンブラーで提供する店を探して楽しんでみてください。また、このキンキン冷感タンブラー付きのスーパードライ缶のカートンが発売中のほか、示温インキを採用したスーパードライのデザイン缶も発売中とのこと。こちらも手に入れて、自宅で楽しんでみてはいかがでしょうか。

↑キンキン状態を示す、ブルーに変色した辛口カーブ。ぜひ見に行ってみてください!

 

【今回取材した店舗】

ARK HILLS SOUTH TOWER ROOFTOP LOUNGE

●住所:東京都港区六本木1丁目4 5 アークヒルズサウスタワ 屋上 スカイパーク

●開催期間:2025年4月14日(月)~10月26日(日)

●営業時間:平日15:00~22:30 土日祝 12:00~22:30

●アクセス:六本木一丁目駅より徒歩1分

●電話:03-5549-1550(問い合わせ専用)

 

【スーパードライキンキン冷感タンブラーでアサヒビールを提供するそのほかのビアガーデンの例】

日本橋高島屋 S.C. BBQ BEER GARDEN

東京都中央区日本橋 2丁目 4-1高島屋 S.C. 本館 屋上

 

THE SKY RESORT BBQ SOGO OMIYA

埼玉県さいたま市大宮区桜木町 1丁目 6−2そごう大宮店 屋上 10階

 

ニュートーキョー川崎モアーズ屋上網焼き BBQビヤガーデン

神奈川県川崎市川崎区駅前本町7

 

新型マシンを徹底解説!ブリヂストンが冠スポンサーを務める世界最大のソーラーカーレースで王座奪還を目指す日本最強チームを取材

東海大学は6月16日、神奈川県平塚市にある湘南キャンパスにおいて、同大学が誇るソーラーカーチームが8月にオーストラリアで開催される世界最高峰のソーラーカーレース「Bridgestone World Solar Challenge 2025」(BWSC2025)への参戦体制発表会を実施しました。同大学はこのレースで過去に2度、総合優勝を果たし、それ以外でも常に上位に入賞している強豪チーム。今大会での活躍が期待されています。

 

太陽の力だけで豪州を縦断! 世界最大級のソーラーカーレース

BWSCとは、1987年から2年に一度開催されているソーラーカーレース。オーストラリア北部のダーウィンから南部のアデレードまでの約3000kmを太陽光発電のみで走り、その勝敗は走破するのに要した総走行時間によって決定されます。

↑実際のコースの地図。文字通りオーストラリアを縦断。コースは赤土が続く砂漠地帯の一般道で、オーストラリア人でさえ足を踏み入れることは稀。サソリや毒グモに遭遇することもあるそうです。そんななか、夜は自分たちで張ったテントに泊まり、翌日に備えます。

 

東海大学の資料によれば、今回の大会には18カ国37チームが参加。レースは8月24日にスタートし、5日後の28日にアデレードにゴールする予定で進められます。

 

説明会当日は、今回の参戦体制についての説明が行われたほか、レースで実際に走行する最新のソーラーカー「2025年型 Tokai Challenger」を初お披露目。さらに説明会終了後には、東海大学・湘南キャンパス内でデモ走行も行われました。

↑お披露目された「2025年型 Tokai Challenger」。その車体には、協賛企業の名前がズラリ。東レと東レ・カーボンマジックが軽量で高強度な素材「炭素繊維」と成型技術を提供したり、大和リビングが先発隊の宿泊先を提供したりと、車体から大会中の生活まで、様々な企業に支えられています。

 

ソーラーカーチームの総監督を務める佐川耕平氏(工学部機械システム工学科 准教授)は、「(BWSCへの参戦目的は)再生可能エネルギーと次世代モビリティの可能性を追求し、このレースで培った技術を社会に還元することにある」と述べるとともに、「協賛企業との協業のもと、2011年に勝ち取った栄冠(総合優勝)を再び奪還することも大きな目標」と話しました。

↑右から、今回チームの総監督を務める佐川耕平氏、広報班の鬼頭優菜氏(経営学部3年)、学生ドライバーの小平苑子氏(大学院 工学研究科機械工学専攻修士1年)。

 

レースの過酷度がより高まった!? 今大会の新レギュレーション

そうしたなか、今回のレースで見逃せないのがレギュレーションの変更です。影響の大きな変更点を中心に紹介しましょう。

 

車体サイズが大きくなりソーラーパネルの面積も約1.5倍に!

一つめの変更点は車体サイズの大型化です。従来の全長5000×全幅2200×全高1600mmから全長5800×全幅2300×全高1650mmにサイズアップされ、これに伴ってソーラーパネルを載せる面積も広がったのです。

 

東海大学ではこれに合わせて、ソーラーパネルの面積を従来比1.5倍の6m2まで拡大して対応することにしました。

↑「2025年型 Tokai Challenger」のソーラーパネル部分(ドライバーが乗り込むために車体上部が開いた状態になっています)。パネルの枚数は2023年は258枚だったのに対し、今回は384枚と126枚も増えました。

 

バッテリー容量が約半分に減り難易度がアップ

一方でやっかいなのが、バッテリーのレギュレーション変更です。これまではバッテリーの種類ごとに総質量規定が定められており、バッテリー容量は最大でおよそ5kWhまで認められていました。しかし、今回からはすべてのバッテリーに対して容量が「約3kWh」に統一されたのです。

↑これは従来の半分近くの容量です。満充電できる量が減るため、蓄電したバッテリーでの走行距離がおのずと短くなることを意味します。

 

開催月が変わり、ソーラーカーの命綱「日照時間」がぐっと短く

レースの開催日程も今までの10月開催から8月へと変更され、ソーラーカーにとって厳しいものとなりました。オーストラリアは南半球にあるため、8月は冬に相当し、気温が低くなるだけでなく、雨季となって太陽が顔を見せる時間がぐっと短くなります。ソーラーカーにとってかなり厳しい条件となることは間違いないでしょう。

↑日照時間が短くなるため、平均日射量が2/3以下に減ってしまいます。

 

このほかにも車体のオーバーハング(タイヤの中心から外側にある車体部分。前輪はフロントオーバーハング、後輪はリアオーバーハングという)をホイールベース(前輪/後輪間の長さ)の60%以内に収める規定が追加されました。

 

「2025年型 Tokai Challenger」ではこれに対応するため、ホイールベースの長さを2900mmに延長し、その結果、フロントのオーバーハングは1200mm、リアのオーバーハングは1680mmに変更。

↑さらに、路面の「スピードハンプ」を乗り越えられることが条件に加えられたことで、最低地上高の制限がなくなったのもポイントになります。

 

ノウハウの蓄積がある東海大チームだからこそできた新規定対策

こうしたレギュレーションの変更により、どの出場チームもレースを展開するうえで新たに様々な対策が必要となりました。そこで東海大学では、主に「基本形状」「空力性能」「エネルギーマネジメント」の3つを再検討したと言います。

 

検討ポイント1. 基本形状

ソーラーカーの形状は、基本的に“カタマラン型”と“モノハル型”の2つのいずれかを選ぶことになります。今回、東海大学は、どちらの基本形状を選ぶかを改めて検討しなおしたそうです。

 

カタマラン型は双胴型ともいい、その名称の通り、二つのボートを甲板でつないだような形状をしていることが特徴で、ソーラーパネルの面積を広く取れるのがメリットです。一方のモノハル型は単胴型とも呼ばれるモノコック型の形状で、ソーラーパネルの面積に制約は出るものの、空気抵抗の少なさで優位に立つことができます。

 

東海大学ではかつて、カタマラン型を採用していた時期もありましたが、2017年大会からはモノハル型へと変更。以来、高い発電予測技術と空力技術の蓄積により、モノハル型でも高い性能を実現できることが改めて確認され、結果として、今大会でも高い運動性能と安定した走行が期待できるモノハル型を採用することになったそうです。

↑2015年の大会出場時の車体。このときまではカタマラン型が採用され、その後はモノハル型を採用し続けてきました。今回、どちらの形状がふさわしいかを改めて検証し直し、モノハル型を継続して採用することが決定。

 

検討ポイント2. 空力性能

レギュレーションの変更により、空気抵抗を抑えて走行するための力「空力性能」をより高める工夫も求められるようになりました。車体の大型化やホイールベースの延長は当然ながら空気抵抗の増大につながりますし、さらに最低地上高の規定がなくなったことでフロア下の形状がより空気抵抗の影響を受けやすくなったからです。

 

そこでチームでは協賛企業であるトヨタシステムズから提供された計算機資源をフル活用。100以上にも及ぶ形状を検討し、機械学習も併用した空力開発も実施できることを活かして他チームにはない床面形状を実現しています。これがより高い空力性能の確保につながりました。

↑東海大学チームの車体では、多数の形状から床面形状を検討した結果、フロントタイヤ内側の底面を凹ませることで、空気抵抗力を3.5%減少することに成功。

 

その効果は抜群で、東海大学によれば、2023年型に比べてソーラーパネル面積が1.5倍に拡大したにもかかわらず、空気抵抗の増大は1.3倍を大幅に下回ることができたそうです。

 

検討ポイント3. エネルギーマネジメント

そしてレース勝敗の鍵を握るのが「エネルギーマネジメント」です。車体サイズの大型化により、ソーラーパネルの搭載可能面積こそ増えましたが、一方でバッテリー容量が実質半減しているのは大きなハンデとなります。

 

そこでチームでは、気象衛星ひまわりによる天候予測と高度なリモートセンシング技術を駆使して、詳細な日射量や風速分布といった気象データを入手。これらのデータを、より効率的で最適なエネルギーマネジメントに結びつけて、勝利につなげていこうというわけです。

↑センシング技術を用い、単位面積あたりどのぐらいの太陽エネルギーが届いているかを分析。ドライバー以外のメンバーはサポートカーに乗って並走し、これらの気象データをもとに、走行計画を立て、ドライバーに伝えます。

 

目指せ王座奪還! BWSC2025にかける東海大学チームの思い

長年に渡って東海大学のソーラーカーレース参戦に携わり、この春、東海大学学長に就任した木村英樹氏は、発表会の冒頭、「大学としてはチャレンジする学生たちを応援していきたい。経験上、優勝する難しさは重々わかっているが、チャレンジしなければなかなか手が届くものではない。皆さんには(優勝する目標に向けた)気概を持って、ぜひオーストラリアでチャレンジしてもらいたい」と挨拶。

↑1996年からこの大会に出場し、チームへの指導を続けてきた木村英樹学長。この春、東海大学学長に就任されました。

 

また、2023年大会に続いて今大会でもドライバーとして参加する小平苑子氏は、「前大会では5位でも完走できたことで満足していたが、2年間の活動を続けるなかで悔しさも感じるようになった」とし、今大会では「23年の時に自分たちの前を走っていたチームよりも早くアデレードに到着し、メンバー全員の力を100%出し切って優勝を果たしたい」と参戦への意気込みを語りました。

↑小平苑子氏。

新型車両の走りはいかに!? いよいよデモ走行スタート!

記者会見後は、湘南キャンパスの中央通りへと場所を移しデモ走行へ。車体は、チームメンバーによって試走会場へと運ばれました。

↑軽量素材で作られているため、総重量は150kg程度。チームメンバーによって軽々と持ち上げられました。

 

 

コックピットには、小平苑子氏が乗り込み、協賛企業の関係者と多くの記者が見守るなか、快走を見せました。太陽電池で走るため、現場に響くのはタイヤが地面を擦る音のみ。かなり静かに走り抜けて行きます。速度は、太陽電池のみで90 km/h、電池を合わせると最大時速は130︎km/hまで出せるそうです。

 

↑コックピットに乗り込んだ小平苑子氏。エネルギーを無駄なく走行に使用するべく、コックピット内にはいっさい冷暖房設備がなく、小さな空気取り入れ口があるのみ。そのためレース中のドライバーは、体力的にも過酷な状況に置かれます。

 

↑操縦席も極限までコンパクトな設計で、小柄なドライバーでも窮屈に感じる狭さです。体はほぼ動かせないため、すべての操作系統はハンドル部分に集約。アクセルやブレーキもダイヤルつまみになっています。

 

↑東海大学ソーラーカーチームのユニフォームを着たチームメンバー。BWSCは参加チーム間の交流が盛んで「ユニフォーム交換」まで行われるとか。なかでも東海大学チームのユニフォームは、海外チームから「交換して欲しい」と声をかけられるくらい大人気なんだそう。

 

今大会で16回目となるBWSC2025は、8月23日の予選を経て24日にレースがスタート。そこから5日かけて走行し、28日にアデレードでのゴールが予定されています。レースの様子は、InstagramとFacebookの公式アカウントにて随時、紹介されるとのこと。これまで培ってきた経験とノウハウが、再び優勝という栄冠を勝ち取れるか。活躍に期待したいと思います。

 

 

資料提供/東海大学 撮影/鈴木謙介 編集/鈴木翔子

単なる無料喫煙所じゃない「音」と「食」の贅沢空間。原宿に期間限定でオープンした「THE SMOKING LOUNGE by Ploom」に行ってきた!

5月27日から公式ショップなどで先行発売されていた、JTの新型加熱式タバコ用デバイス「プルーム・オーラ(Ploom AURA)」と、専用タバコスティック「EVO(エボ)」が、7月1日に全国発売(コンビニなど)となりました。今回は「プルーム・オーラ」が体験できるポップアップストア「THE SMOKING LOUNGE by Ploom」をご紹介します。期間限定でオープンしたこの店舗、”世界一音響の良い喫煙所”として注目のスポットです!

 

 

↑「プルーム・オーラ」は全4色で、各2980円(条件により980円~)。「エボ」は3フレーバーあり、各550円(税込)。

 

↑「THE SMOKING LOUNGE by Ploom」は7⽉2⽇から7⽉31⽇まで、東京・原宿で営業。

 

原宿キャットストリートに期間限定でオープン

「THE SMOKING LOUNGE by Ploom」の最寄りは、東京メトロ「明治神宮前〈原宿〉駅」で、JR「原宿駅」もしくは、東京メトロ「表参道駅」からも徒歩圏内。おしゃれなカフェやショップなどが建ち並ぶキャットストリートにあります。窓がないので外観から中の様子は見えませんが、インパクト大の建物です。

↑「世界一の喫煙所」と自負する理由は、豪華すぎるコンテンツにあり。

 

20歳以上から利用でき、入場は無料。もちろんJT製品しか吸えない、なんてことはありません。3フロア構成となっており、紙巻きタバコのみ3階の専用室限定ですが、加熱式タバコは全フロアで吸うことができます。

↑3階の喫煙専用室。ここなら加熱式タバコはもちろん、紙巻きタバコもOK。

 

1階はショップと、スタンディングのカフェダイナーエリア。スタッフに希望を伝えれば、「プルーム・オーラ」のレンタルや専用タバコスティックのテイスティングができます。「エボ」3種のフレーバーほか、「メビウス」と「キャメル」も全種類試せるのはうれしい。

↑もちろん購入も可能。しかも「プルーム・オーラ」は8月17日まで全国発売を記念した1480円(税込)となるので、同店でも特別価格に。

 

フードは人気の3店が集結。限定コラボメニューもあり!

カフェダイナーは東京や神奈川で人気を博す3店舗が集結し、「プルーム・オーラ」や「エボ」との絶品ペアリングを楽しめるメニューを販売。加えて、各店の特別コラボメニューも見逃せません。

↑左から「PIZZA SLICE」、「RoJean」、「POOLSIDE COFFEE」。

 

まずは、代官山を拠点に東京で数軒展開している「PIZZA SLICE」から。同店はニューヨークスタイルの巨大なピザが名物で、ここでは「ガーリックバター チーズスティック スライス」715円(税込)と、「スロッピージョー スライス」770円(税込)などが「RoJean」とのコラボメニューとなります。

↑「ガーリックバター チーズスティック スライス」。「RoJean」の自家製バターミルクランチソース付き。

 

カウンターの中央は、世田谷・池ノ上の「RoJean」。米国中西部、カンザスのグランマ(おばあちゃん)直伝のレシピによる家庭料理が味わえるカフェで、「バナナブレッド」650円(税込)、「パイ」850円(税込)、「ブラウニーサンデー」1400円(税込)などを提供します。

↑こちらは土・日曜限定の「スロッピージョーズ」1400円(税込)。甘辛く煮込んだ挽肉を、ふわふわのバンズで挟んだボリューミーなサンドで、ピクルスと厚切りポテトチップス付き。

 

↑こちらも「RoJean」のメニュー。「ライムエイド」700円(税込/アルコール追加200円)で、グリーンアップル/レモン/チェリー/ブルーラズベリーなど数種のフレーバーで展開。

 

そして神奈川からは、逗子・葉山のスペシャルティコーヒーショップ「POOLSIDE COFFEE」が出店。フルーティーな香りと爽やかな口当たりが個性的なコーヒー豆と紅茶葉をセレクトし、夏にベストマッチなおいしさを提供します。

↑「アイスコーヒー」700円(税込)や「アイスラテ」750円(税込)のほか、「アイスティー」700円(税込)なども用意。

 

日本初公開の音響で別次元のサウンド体験

↑2階へ上る階段。1階だけでも豪華すぎるが、2階はさらに贅沢。

 

2階の目玉は、ニューヨークを拠点に活動し、世界の音楽好きを魅了するDevon Turnbull(デヴォン・ターンブル)氏によるスピーカー「Ojas(オージャス)」と、ノルウェーの高級スピーカーブランド「NNNN」のコラボモデルスピーカー「ONシリーズ」です。

↑奥に鎮座するサウンドシステムが、日本初公開となる「ONシリーズ」の「ON2」。この空間が“世界一音響の良い喫煙所”の所以。

 

今回のポップアップでは、そのなかでも最大級サイズの「ON2」を日本で初めて導入。圧巻の音響空間で臨場感あふれるサウンドに包まれながら、1階で購入したフードやドリンクとともに、ゆったりくつろぎながら心地良いひとときを堪能できます。

↑各席には、加熱式タバコを満喫できる環境が用意。こちらも自由に体験できるため、プラチナシートになることは必至。

 

BGMのプレイリストは「Ojas」創始者のデヴォン氏や野村訓市氏など、名だたるクリエイターがキュレーション。1時間ごとに多彩な選曲で至福の空間を演出し、なおかつ金曜以外の17~20時は楽曲のリクエストも受け付けてくれます(「プルーム・オーラ」ユーザーが対象)。

↑2階のスモーキング ラウンジ。壁には時代を彩った名盤がズラリ。

 

週末イベントには豪華ゲストも登場!

営業期間中の毎週金曜と土曜にはスペシャルイベントも開催予定。テレビにも引っ張りだこの人気芸人によるトークライブ、有名ヒップホップアーティストやDJによるライブが、すべて無料で楽しめます。出演情報など、詳細は公式インスタグラム(@ploom_popup)でご確認を。

↑毎週末開催されるスペシャルイベントには、人気芸人も出演予定。トークライブの事前申し込み制なので、応募方法は公式インスタグラム(@ploom_popup)をチェック。

 

筆者は、かつて明治通り沿いにあった「Ploom Shop 渋谷店」をよく利用していましたが、今回のポップアップストアはその店からも近く、実にうれしいニュースです。近くで用事がある愛煙家のみなさん、ぜひ足を運んでみましょう!

 

撮影/鈴木謙介

 

THE SMOKING LOUNGE by Ploom

住所:東京都渋⾕区神宮前6-14-2 クレインズ6142 1F~3F
日程:2025年7⽉2⽇〜7⽉31⽇
営業時間:11:00〜20:00(⾦曜のみ~21:00)

 

アップルの「Liquid Glass」が次世代iPhoneに与える影響は?WWDX25を取材して考えてみた

アップルの世界開発者会議「WWDC25」を、本社Apple Parkで取材しました。

 

今回のWWDCでは、iOS 26を筆頭とする次世代のAppleプラットフォームの発表とともに、「Liquid Glass(リキッドグラス)」という新しいデザインが発表されています。秋に正式リリースを迎えるiOS 26を、おそらくは次世代のiPhoneも搭載してくるでしょう。Liquid Glassの特徴や、次のiPhoneのハードウェアに与える影響を考察してみたいと思います。

↑アップルは、次世代のOSに採用する新デザイン「Liquid Glass」を発表しました。

 

Liquid Glassはユーザー体験を変える「デジタルメタ素材」

今のiPhoneのOSは、2013年のiOS 7から採用するフラットデザインを練り上げながら、長らく踏襲してきたものです。新しいLiquid Glassデザインは、2023年のWWDCでアップルが発表した空間コンピューティングデバイス「Apple Vision Pro」の基幹ソフトウェアである「visionOS」の、立体的で没入感のあるインターフェイスにインスパイアされたとも言われています。平面なiPhoneのディスプレイにコンテンツと操作ボタンなど複数のレイヤー(層)を重ねて描き分け、視覚的な立体感と奥行き感を表現しているところが大きな特徴です。

↑Apple Vision ProのvisonOSが先行採用した立体的なユーザーインターフェースのコンセプトがLiquid Glassにも活きています。

 

アップルのLiquid Glassは、まるで光を映し込んだガラス、あるいは水滴のような表現をデジタルキャンパスの中に描く「デジタルメタ素材」のようです。ユーザーが画面をスクロールすると、操作に合わせて“Liquid Glassの素材”でつくられたホーム画面のアプリアイコンやフォルダが光を帯びて反応します。透過表示の部分が背景の壁紙の色や輪郭に重なると、色が滲んだりカタチが屈曲するエフェクトがずっと見ていても飽きません。

↑アップルは新しいデザインを採用するユーザーインターフェースの中に、Liquid Glassをデジタル世界のマテリアルとして作り上げて、各所のコントロールボタンに採用しました。

 

iPhoneなどデバイスの画面を操作する時に、Liquid Glass世代のOS以降は移り変わる光の表現、ガラスや水滴のような素材感が動的に伝わる感覚が得られます。例えばブラウザーアプリの画面をスクロールすると、アドレスバーの裏側に焦点をぼかしたページのテキストや写真が半透過表示になります。

 

一方で、筆者はいまのフラットデザインも好きだし、何事も新しいものに慣れるまで時間がかかるタイプです。Liquid GlassのOSに本格的に切り替えるべき時が来ることに、少しの寂しさも感じています。

↑ページをスクロールしたり、コントロールボタンを動かすと光が屈折して、色があわく滲む効果などが楽しめます。

 

新しいデザインが次世代のAppleデバイスにもたらすもの

Liquid Glassデザインは、ユーザーインターフェースとコンテンツの複雑なレイヤーが奥行き方向にも広がっていくのが特徴です。したがって、iPhoneなどのデバイスが搭載するディスプレイには高い解像度とダイナミックレンジの再現力が求められるようになります。

 

スマホに4Kディスプレイを搭載するトレンドは、ソニーのXperia 1シリーズが解像度FHD+のディスプレイを採用した頃にもう落ち着いてしまったように筆者は思っています。しかし、もしかすると「ベゼルレスデザイン」のようにディスプレイ周囲の縁をさらに狭くして、没入感を高める方向性の進化はあり得るかもしれません。よりベゼルレスに迫るデザインになったiPhoneのディスプレイを水面のように見立てて、透過表示のウィジェットやアプリアイコンが浮かぶ美しい様子をぜひ楽しみたいものです。

↑iOS 26ではクリアモードのアイコンに色を付けてカスタマイゼーションが楽しめるようになります。色の鮮やかさ、透明感、輝きを存分に表現できるディスプレイの性能が求められます。

 

また、今回のLiquid GlassデザインはiPhoneのiOSだけでなく、ほかのmacOSにiPadOS、watchOS、visionOS、tvOSにも広く同時に起きる革新であることにも注目するべきです。視覚的な一貫性、ユーザー体験の共通性を意識しながら、次世代のOSアップデートは秋以降から正式に実行されます。iPhoneに慣れ親しんできたユーザーは、これまで以上にiPad、Mac、そしてApple Watchへと使うデバイスをスイッチした時の違和感がなく、自然で直感的な操作体験が得られるでしょう。Appleデバイスがより有機的に連携する感覚は、Liquid Glassデザインのインパクトだけでなく、これまでにアップルが構築してきた様々なデバイス連携のための機能と、AirDropに代表される便利な機能によってもさらに強く感じられると思います。

 

今年のWWDCで、アップルは新しいハードウェアを発表していません。もしかすると、例年9月上旬に実施されるiPhoneの発表会で、Liquid GlassデザインのOSを載せたハードウェアを一気に発表するのではないかと筆者は予想しています。iPhoneシリーズにiPadの入門機、Apple Watchシリーズとプラスα(Apple TV 4Kか、筐体にガラスをふんだん使ったMac Proが爆誕?)といったところでしょうか。

 

ウワサされているiPhone 17 Airのような、iPhoneにとっても新規カテゴリになるようなプロダクトがあるのだとすれば、それはLiquid Glassデザインの幕開けを象徴する斬新なデザインを纏っているのかもしれません。

↑Liquid Glassデザインを採用する次世代のAppleデバイスにどんな面白い製品が誕生するのか楽しみです。

 

ともあれ、アップルはLiquid Glassデザインについて、それが表層的な要素ではなく、次世代のハードウェアとソフトウェアのあり方を規定する重要な基盤に位置付けています。同時にApple Intelligenceの革新も力強く前に進めながら、ユーザーと一体になって知的に反応する、まったく新しいデバイスがLiquid Glassの時代に生まれることも期待しつつ、秋のiOS 26ほか新OSの正式リリースを楽しみに待ちましょう。

アップルの「Liquid Glass」が次世代iPhoneに与える影響は?WWDX25を取材して考えてみた

アップルの世界開発者会議「WWDC25」を、本社Apple Parkで取材しました。

 

今回のWWDCでは、iOS 26を筆頭とする次世代のAppleプラットフォームの発表とともに、「Liquid Glass(リキッドグラス)」という新しいデザインが発表されています。秋に正式リリースを迎えるiOS 26を、おそらくは次世代のiPhoneも搭載してくるでしょう。Liquid Glassの特徴や、次のiPhoneのハードウェアに与える影響を考察してみたいと思います。

↑アップルは、次世代のOSに採用する新デザイン「Liquid Glass」を発表しました。

 

Liquid Glassはユーザー体験を変える「デジタルメタ素材」

今のiPhoneのOSは、2013年のiOS 7から採用するフラットデザインを練り上げながら、長らく踏襲してきたものです。新しいLiquid Glassデザインは、2023年のWWDCでアップルが発表した空間コンピューティングデバイス「Apple Vision Pro」の基幹ソフトウェアである「visionOS」の、立体的で没入感のあるインターフェイスにインスパイアされたとも言われています。平面なiPhoneのディスプレイにコンテンツと操作ボタンなど複数のレイヤー(層)を重ねて描き分け、視覚的な立体感と奥行き感を表現しているところが大きな特徴です。

↑Apple Vision ProのvisonOSが先行採用した立体的なユーザーインターフェースのコンセプトがLiquid Glassにも活きています。

 

アップルのLiquid Glassは、まるで光を映し込んだガラス、あるいは水滴のような表現をデジタルキャンパスの中に描く「デジタルメタ素材」のようです。ユーザーが画面をスクロールすると、操作に合わせて“Liquid Glassの素材”でつくられたホーム画面のアプリアイコンやフォルダが光を帯びて反応します。透過表示の部分が背景の壁紙の色や輪郭に重なると、色が滲んだりカタチが屈曲するエフェクトがずっと見ていても飽きません。

↑アップルは新しいデザインを採用するユーザーインターフェースの中に、Liquid Glassをデジタル世界のマテリアルとして作り上げて、各所のコントロールボタンに採用しました。

 

iPhoneなどデバイスの画面を操作する時に、Liquid Glass世代のOS以降は移り変わる光の表現、ガラスや水滴のような素材感が動的に伝わる感覚が得られます。例えばブラウザーアプリの画面をスクロールすると、アドレスバーの裏側に焦点をぼかしたページのテキストや写真が半透過表示になります。

 

一方で、筆者はいまのフラットデザインも好きだし、何事も新しいものに慣れるまで時間がかかるタイプです。Liquid GlassのOSに本格的に切り替えるべき時が来ることに、少しの寂しさも感じています。

↑ページをスクロールしたり、コントロールボタンを動かすと光が屈折して、色があわく滲む効果などが楽しめます。

 

新しいデザインが次世代のAppleデバイスにもたらすもの

Liquid Glassデザインは、ユーザーインターフェースとコンテンツの複雑なレイヤーが奥行き方向にも広がっていくのが特徴です。したがって、iPhoneなどのデバイスが搭載するディスプレイには高い解像度とダイナミックレンジの再現力が求められるようになります。

 

スマホに4Kディスプレイを搭載するトレンドは、ソニーのXperia 1シリーズが解像度FHD+のディスプレイを採用した頃にもう落ち着いてしまったように筆者は思っています。しかし、もしかすると「ベゼルレスデザイン」のようにディスプレイ周囲の縁をさらに狭くして、没入感を高める方向性の進化はあり得るかもしれません。よりベゼルレスに迫るデザインになったiPhoneのディスプレイを水面のように見立てて、透過表示のウィジェットやアプリアイコンが浮かぶ美しい様子をぜひ楽しみたいものです。

↑iOS 26ではクリアモードのアイコンに色を付けてカスタマイゼーションが楽しめるようになります。色の鮮やかさ、透明感、輝きを存分に表現できるディスプレイの性能が求められます。

 

また、今回のLiquid GlassデザインはiPhoneのiOSだけでなく、ほかのmacOSにiPadOS、watchOS、visionOS、tvOSにも広く同時に起きる革新であることにも注目するべきです。視覚的な一貫性、ユーザー体験の共通性を意識しながら、次世代のOSアップデートは秋以降から正式に実行されます。iPhoneに慣れ親しんできたユーザーは、これまで以上にiPad、Mac、そしてApple Watchへと使うデバイスをスイッチした時の違和感がなく、自然で直感的な操作体験が得られるでしょう。Appleデバイスがより有機的に連携する感覚は、Liquid Glassデザインのインパクトだけでなく、これまでにアップルが構築してきた様々なデバイス連携のための機能と、AirDropに代表される便利な機能によってもさらに強く感じられると思います。

 

今年のWWDCで、アップルは新しいハードウェアを発表していません。もしかすると、例年9月上旬に実施されるiPhoneの発表会で、Liquid GlassデザインのOSを載せたハードウェアを一気に発表するのではないかと筆者は予想しています。iPhoneシリーズにiPadの入門機、Apple Watchシリーズとプラスα(Apple TV 4Kか、筐体にガラスをふんだん使ったMac Proが爆誕?)といったところでしょうか。

 

ウワサされているiPhone 17 Airのような、iPhoneにとっても新規カテゴリになるようなプロダクトがあるのだとすれば、それはLiquid Glassデザインの幕開けを象徴する斬新なデザインを纏っているのかもしれません。

↑Liquid Glassデザインを採用する次世代のAppleデバイスにどんな面白い製品が誕生するのか楽しみです。

 

ともあれ、アップルはLiquid Glassデザインについて、それが表層的な要素ではなく、次世代のハードウェアとソフトウェアのあり方を規定する重要な基盤に位置付けています。同時にApple Intelligenceの革新も力強く前に進めながら、ユーザーと一体になって知的に反応する、まったく新しいデバイスがLiquid Glassの時代に生まれることも期待しつつ、秋のiOS 26ほか新OSの正式リリースを楽しみに待ちましょう。

「日本は最後の空白地帯」TCLの中国本社とディスプレイ製造工場で取材した日本市場攻略の狙いと驚きの技術力

日本のテレビ市場には「レグザ」「アクオス」「ブラビア」「ビエラ」などの著名ブランドがひしめく。そのなかでいま着実に存在感を増しているのが、ハイセンスやTCLといった中国メーカーだ。今回GetNavi webは、TCLの本拠地を訪れる機会を得た。5月に発売された新製品「C8K」の企画と製造の両現場で見た、同社の技術力と日本におけるマーケティング戦略、そして次の一手とは?

↑TCLの本拠地、中国・深圳の本社を訪ねた。

 

日本市場は「攻略できていない最後の空白地帯」

現在の日本のテレビ市場は、いわば“群雄割拠”の状態といっていい。2024年における販売台数シェアはTVS レグザが約25%で首位、続いてシャープ(約20%)、ハイセンス(約16%)までで過半を占め、10%を下回ったソニーとパナソニックを、TCLが約10%で上回る結果となった。冒頭でも触れたように、この市場を席巻するのは中国メーカーだ。特にTCLは、近年のMini LEDテレビの投入などで“プレミアムゾーン”への進出も進めており、従来の中国ブランドに想起しがちな“低価格帯ブランド”の枠を超えつつある。

 

とはいえ、いまだ10%程度にとどまっている、ともいえる上、金額ベースとなると状況は異なる。

 

「日本市場は、TCLにとっていまだ攻略しきれていない最後の“空白地帯”です」──そう語ったのは、TCLの製品全体を統括する宦 吉鋒(カン・キチホウ)氏だ。

↑TCL BU プロダクトマネジメントセンターの宦 吉鋒氏。プロダクトの全体的な責任者を務める。

 

TCLはこれまで、北米・欧州・東南アジアなど多くの地域で高いシェアを獲得してきたが、日本市場では“ブランド”という壁が厚い。だが、同社はそれを「挑戦すべき特異な市場」と捉えており、戦略的に大きな意義を見出しているようだ。

 

「日本が非常に大きな市場であることは間違いありません。しかも、LEDが生まれた国(※編集部注:中村修二氏が1993年に高輝度青色発光ダイオードを発明し、白色LED化を可能にした。2014年にノーベル物理学賞を受賞。)であり、技術革新の最前線でもあります。長年にわたり、ソニーやパナソニックといった世界的に著名なブランドをはじめ、カラーテレビ以外でも、ダイキンや三菱電機など、家電業界全体において常に業界の技術の最前線に位置してきました。
ですから、東南アジア市場に代表されるように、日本ブランドに対して非常に強い好意と信頼を寄せている地域は多いのです。その日本市場において消費者に認めてもらうことができれば、TCLのグローバルブランドとしての信頼性はさらに高まるでしょう」(張 国栄氏)

↑TCLでアジア・ロシア・オセアニア地域のマーケティング責任者を務める、張 国栄(チョウ・コクエイ)氏。

 

TCLが掲げる日本市場での中期目標は、「トップ3ブランドの一角を担う」こと。具体的には「シャープの位置を狙いたい」という発言も飛び出したが、その実現には、製品の性能だけでなく、“ブランド”と“サービス”の信頼性を積み上げることが不可欠だという。

 

「日本の消費者は製品だけでなく、サポート体制やローカライズにも厳しい目を持っています。我々はアフターサービスにも注力し、地域に根ざした信頼獲得を目指しています」(宦 吉鋒氏)

 

↑2025年2月に、オリンピックのオフィシャルパートナーとしての契約締結を発表したTCL。そこかしこにオリンピックのロゴマークが。

 

日本市場に投入した新製品「C8K」に込められたもの

「C8Kは、従来の液晶テレビの常識を再定義するモデルです」と、製品責任者である宦 吉鋒氏は語る。TCLが2025年5月に日本市場で投入した新製品群のうち、同モデルは同社の次世代技術とデザイン哲学を象徴するモデルで、TCLが得意とするMini LED技術を中心に、画質・音質・デザインのすべてにおいて飛躍的な進化を遂げている。3つのポイントに絞って確認していこう。

 

1.画質へのこだわり──“Mini LEDのパイオニア”としての画づくり

Mini LEDとは、従来のLEDよりも小型(約0.1mm)のLEDを多数使用したバックライト技術で、高密度配置により画面の明暗を細かく制御でき、高コントラスト・高輝度・色再現性に優れた映像表現が可能になる。現在、各社のプレミアムモデルに採用されているが、TCLは、このMini LED搭載テレビ(「X10」シリーズ)を2019年に世界で初めて発売したパイオニアだ。

 

「Mini LEDの核心技術は、より高い分割数と輝度で、コントラストを劇的に向上させることにあります。『C8K』では、3600分割に迫るローカルディミングと5000ニトのピーク輝度によって、これまでにないリアルな映像体験が可能になりました」と宦氏は語る。

↑「C8K」(写真提供/TCLジャパン)

 

とはいえ単に分割数を増やすだけではなく、効率的なバックライト制御技術が重要だという。

 

「通常、超高コントラストの映像表現には1万分割以上の制御が必要とされますが、当社のMini LED技術では、5000分割でも同等の画質が得られる制御アルゴリズムを開発しています。これは、Mini LEDの本質を理解し、それをいかに精密に操るかにかかっているんです」(宦 吉鋒氏)

 

また、TCLはMini LEDを単なる高画質技術にとどまらず、「持続可能な映像体験のコア」と位置付けている。省エネ性能や長寿命設計との両立も進めており、「パフォーマンスと環境配慮の両立は、今後のディスプレイ開発において避けて通れないテーマ」と宦氏は強調する。

 

「C8K」は、こうしたTCLのMini LED開発思想の集大成であり、最新のWHVAパネルや量子ドットフィルム、ハロ現象の制御システム等との組み合わせによって、明暗差の豊かな映像と映り込みの少なさ、視野角の広さを両立させている。

 

「消費者が映像に求める“深み”と“鮮やかさ”を両立すること。これが『C8K』の画づくりの根本思想なんです」(宦 吉鋒氏)

 

2.音質へのこだわり──Bang & Olufsenとの共同設計

この没入感は、音響面でも補強されている。デンマークの高級オーディオブランド「Bang & Olufsen(バング&オルフセン)」とのコラボレーションは、話題性もじゅうぶんだ。

 

「音は、映像と同じくらい重要な要素です。リビングという空間において、没入感のある体験を生み出すには、テレビからの“音の出し方”まで徹底して設計しなければなりません」(宦 吉鋒氏)

↑「C8K」に搭載されたBang & Olufsenの音響システム。スピーカーはテレビの裏側に位置している。(写真提供/TCLジャパン)

 

「C8K」では、筐体内のスピーカー配置や振動制御をBang & Olufsenの設計思想に基づいて最適化。さらに、TCL独自のオーディオアルゴリズムによって、低音の厚みと中高音の明瞭感を両立させることに成功している。特に注目すべきは、映像と音の一体感である。

 

「『C8K』では“音が画面から聞こえてくる”ような定位感を大事にしました。そのために、視聴距離・角度・反響特性などのデータを取り込み、AIで自動補正する技術も盛り込んでいます」(宦 吉鋒氏)

 

また、テレビスピーカーにありがちな“こもった音”を回避するために、スピーカーボックスの内部形状にも工夫を加え、クリアな音像と響きを実現。これにより、別体のサウンドバーがなくてもじゅうぶんな音響体験を提供できる仕上がりとなっている。

 

「テレビはもはや“見る”だけの機械ではなく、“空間を演出する道具”です。だからこそ、音にまで責任を持つ必要があるのです。Bang & Olufsenとの提携は、その哲学の現れです」(宦 吉鋒氏)

 

↑本社ロビーに展示されていた、日本でも発売され話題となった「A300」。

 

↑展示されていたのは、Bang & Olufsenと共同開発したサウンドバーが付属する「A300 Pro」。日本未発売。

 

3.デザインへのこだわり──極限まで削ぎ落とした“黒縁”処理

↑「C8K」のベゼル部分。

 

テレビは“空間を演出する道具” ──それを体現するもうひとつの特長に“黒縁”の処理がある。「ベゼルレスデザイン」を徹底的に追求しており、液晶パネルの表示エリアと物理枠の間に残されていた“表示されない黒”の領域──黒縁部分すらも排除した設計となっているのだ。

 

「多くのテレビは“ベゼルレス”と謳ってはいても、実際には6〜10mm程度の非表示領域が存在しており、それが視覚的な没入感を損なう原因となっているんです。『C8K』ではその固定観念を壊し、“画面が浮いて見える”ような視覚体験を目指しました」(宦 吉鋒氏)

 

TCLは、過去10年以上にわたり液晶テレビのベゼル縮小に取り組んできたが、「C8K」では従来の“狭額縁設計”からさらに進化し、表示エリアのすぐ外側にある黒いマージン領域(非表示領域)を、22もの特許を駆使してほぼゼロに抑える設計に成功している。

 

「第1世代の幅広ベゼルでは、30mmの物理フレームと10mmの黒縁がありました。第2世代では10mm+8mm、第3世代の“ベゼルレス”でも非表示領域が6〜10mmほど残っていました。『C8K』ではこれをほぼ0mmまで抑え、“視界の中に枠が存在しない”映像体験を実現。我々はこれを“第4世代液晶テレビ”と位置づけています」(宦 吉鋒氏)

↑左が「C8K」。黒縁部分の差は一目瞭然だ。(写真提供/TCLジャパン)

 

↑こちらは同じくベゼルレス技術を搭載した98インチのテレビ。

 

この設計には高度なパネル貼り合わせ技術と、表示エリアの精密な制御技術が不可欠。これを担い実現するのが、TCL Technologies傘下のTCL CSOT(TCL華星)だ。続いて、同社の深圳と恵州にある同社の工場も訪ねた。

 

日本ブランドをも支える、TCLのディスプレイ技術

TCLが世界市場で競争力を高めている背景には、傘下にあるディスプレイ製造会社、TCL CSOTの存在が大きい。「TCLはおよそ2700億元(約6兆円)超もの投資を行ってきた」(張氏)という同社は、Mini LEDやOLED(有機EL)、Micro LEDといった次世代パネル技術の研究開発・量産で世界をリードしている。

↑TCLの本社と同じく深圳にあるTCL CSOTの本社工場。

 

↑こちらは深圳から120km離れた恵州の同社工場。

 

TCLのディスプレイ製造部門として2009年に設立されたTCL CSOT。中国国内だけで11の製造ラインをもつ。現在では世界の主要テレビメーカーへのパネル供給も行っており、「シェア上位に位置する某日本メーカーのハイエンドMini LEDモデルは、その大部分にTCL CSOT製のパネルが使われています」(周 明忠氏)という事実が、同社の技術信頼性を物語っている。

 

↑取材に答えたTCL CSOT技術企画センターの周 明忠(シュウ・ミンチュウ)センター長。

 

↑TCL CSOT深圳工場の全景を模型で確認。今回は第8.5世代(約2500×2200mm ・40〜55インチのテレビに使われる)のパネルを月間16万枚生産する「T2」を見学した。

 

まず特徴的なのは、垂直統合的ビジネスモデルだという。TCL CSOTは、開発・設計・製造・供給までを一貫して担う体制を構築しており、パネル技術の上流から下流までを自社グループ内で完結させることで、スピードと柔軟性のある対応を実現している。

 

「例えばソニーのような外部ブランドに対しても、非常に細かい仕様変更に対応できる体制を構築しているのです」(周 明忠氏)

 

しかも、液晶ディスプレイと有機ELディスプレイそれぞれの多様な製造方式に対応できるコア技術を複数保有しているのも武器だ。

 

「あらゆる製品カテゴリに柔軟に対応できる“技術の全方位展開”がTCL CSOTの強みです。単に技術を持つだけでなく、常に“市場が何を求めているか”を重視しています」とも語る。

 

↑同じく深圳工場の模型。左手前は日本のガラスメーカー、AGC(旧・旭硝子)の工場。ここで液晶パネルのベースとなるガラスが製造され、隣接するディスプレイパネルの製造ラインへ自動で運ばれていく。

 

↑こちらは恵州の工場外観。内部の撮影は許されなかったが、製造ラインは完全自動化されており、人間が担うのはクオリティコントロールや製造機械の点検のみ。300mにも及ぶラインで、見学中に見かけた“人”はたった3人だった。

 

↑工場で使用する電力のうち年間で1900万kWh以上の電力は屋根に設置された自社製の太陽光パネルで賄われている。この太陽光パネル事業は今後、日本市場へも参入を予定しているという。

 

↑恵州の工場は、隣に工場で働くスタッフのための寮も用意されている。“寮”と表現するにはあまりに立派な建物だ。

 

さらに2024年4月、TCL CSOTはLGディスプレイの中国・広州工場を総額108億元(約2228億円)で買収。この買収によって、従来の液晶製造ラインに加え、WRGB OLEDなどの製造技術や大型CID(商業用ディスプレイ)製品への対応力が大きく広がったという。

 

「買収によって技術のラインナップが一段と充実し、航空用ディスプレイや屋外大型パネル、セキュリティ用途など、多様な製品カテゴリーに対応可能になりました」(Tony Kim氏)

↑TV・業務用ディスプレイKA部の副部長、Tony Kim(トニー・キム)氏。

 

このカバー範囲の広さは、工場内に設けられたショールームからもうかがい知れる。民生品を中心に一部を紹介しよう。

 

RGB独立駆動パネルにAIによる画質・音質最適化…
“次世代テレビ”への取り組み

2025年に入っても、日本のテレビ市場では新技術の話題が続く。3月にソニーは、RGBが独立発光するバックライトを採用したディスプレイシステムを発表、5月にはTVSレグザが、国内初採用となる“RGB4スタック有機ELパネル”を搭載するモデルを市場投入した。また同ブランドは、AIとセンシング技術を組み合わせた「レグザ インテリジェンス」を横断的に展開、生活に寄り添うAIテレビを標榜し、視聴体験を根底から変えようとしている。

 

こうした状況の中、もちろんTCLおよびパネル製造を担うTCL CSOTも、AIを重要な技術ドライバーと捉えており、「C8K」をはじめとするプレミアムモデルにはAI映像処理エンジン「AiPQ PRO エンジン」を搭載している。

 

「AIは今後のディスプレイにおいて不可欠な技術です。TCL CSOTではAIによる映像最適化処理や、視聴環境に応じたダイナミック制御の研究も進めています」(TCL CSOT/Tony氏)

 

さらにTCLの宦氏は、「TCLではAIを“画質向上のための道具”としてだけでなく、“使いやすさ”の文脈でも重視しており、音声制御やUX設計にも深く関わってきます」と、“体験価値の革新”を目指す姿勢は明確だ。

 

グローバルにおける圧倒的スケールを携えて日本進出を進めるTCLは、技術、そして開発思想によって今後どのように市場へインパクトを与えるのか? しばらく目を離せそうにない。

 

欧州ブランドの世界戦略は「日本製」だった!ドイツのツヴィリングが20年目に明かす、包丁「MIYABI」ブランドの裏側

眼鏡の里・鯖江。鞄の里・豊岡。金属加工の里・燕三条などと同様、刃物と言えば岐阜県の関市! ここに本拠を構えるツヴィリング関工場の包丁「MIYABI」が20周年を迎えた。切れ味はもとより、仕上げ、ヒストリーに至るまでJAPANにこだわる「MIYABI」の最高到達点「MIYABI 粋-IKI-」誕生の現場に潜入だ!

 

関鍛冶の歴史は700年超

「普段、一般の方へのファクトリーツアーなどは実施しておりませんが、今回はMIYABIがどのような環境、どのような職人によって生み出されているかご覧いただけます」。そう語るのはツヴィリング J.A. ヘンケルスジャパン株式会社の製造管理マネージャー、中村好氏。

 

岐阜県関市と言えば刃物のまちというイメージが定着しているが、それもそのはず、日本刀を手掛ける関鍛冶の歴史はもう700年を超える。鍛冶の歴史、伝統、技術があってこその、現在の「刃物のまち関市」なのだ。

↑古の、神事としての刀鍛冶を伝える展示。

 

↑見どころ満載! 700年に及ぶ関鍛冶の技を伝えるミュージアム「関鍛冶伝承館」

 

ツヴィリングが関で包丁を作ることに決めた理由

さて今回の主役、ツヴィリングの「MIYABI」が掲げる「MADE IN JAPAN」の背景にあるものはなにか? まずは「MIYABI」ブランドがスタート時(2005)から海外マーケットに狙いを定めていたこと。そして、時を同じくして北米・欧州で大きなうねりとなっていた日本食ブームに欠かせない“世界一の包丁を作る”という高い目標であり、それを実現しうるのは「MADE IN SEKI JAPAN」に他ならないという自負である。

↑「MIYABI」の刃にある「雅」と日の丸のアイコンがMADE IN JAPANの証。

 

刃物のまち関市で製造される刃物はもちろんツヴィリング製品だけではないが、ツヴィリング関工場のように、工程の多くを一貫して内製できるメーカーは多くない。関市はまち全体がひとつの工場のように機能し、工程ごとに職人が手を動かす刀鍛冶同様の事業構造をもっているためだ。その意味でツヴィリング関工場は関市全体の縮図と言えるし、逆説的には多くの工程を内製できる環境だからこそ「MIYABI」を生み出すことができたのだ。

 

包丁が生みだされる現場とは?

工場というイメージには、こだわるがゆえの気難しそうな職人たち、黙々と手を動かすベテランといった定型がつきまとう。しかしそれと異なるのがツヴィリング関工場だった。

↑ハンドル部の研磨工程。若手、男女を問わず職人が作業に集中する。

 

さすがに機械音こそ盛大だが、クリーンで、整然としている。刃物を扱うコワモテの職人集団……という取材陣の妄想とは異なるジオラマが展開されていた。気温35℃以上の日には自由に食べていいアイスクリームの冷蔵庫まであるくらいだ(記名式なのがちゃんとしてますね・笑)

 

「包丁作りの主工程は、熱処理~ブレード研磨~ハンドル加工に分類されます」。とは工場責任者の山田昌之氏 。

↑ちょっと「刃物の露天商」のような(失礼!)雰囲気をまとう工場責任者の山田昌之氏。

 

時にユーモアを混ぜながらツヴィリング関工場の価値を取材陣に話す同氏は、いわばツヴィリング関工場の語り部的存在だ。

 

「ツヴィリングは1731年にドイツ・ゾーリンゲンで創業した刃物メーカー『ツヴィリング・ヨハン・アブラハム・ヘンケルス』社が運営する主要ブランドですが、その中でももっとも手作業にこだわるプレミアムブランドこそが「MIYABI」です。というのも、たとえば刃物づくりにおいて魂を入れる作業に等しい「研ぎ工程」でも、ドイツでは普及品から高級品まですべて工作機械で自動化しています。日独はともにモノづくり大国ですが、モノづくりに対するドイツらしい合理性とも読めそうで興味深いですね。くくって言いますと、ツヴィリング関工場の手作業には本国からも大きな価値と期待が寄せられているわけです!」。山田氏の表情は、どこか誇らしげだ。

↑本国で使用している刃物研磨機械も稼働中。ツヴィリング関工場では普及ラインの商品に使用している。

 

「Meister  Workshop」だからできる「MIYABI 粋-IKI-」

ツヴィリング関工場の特色として第一に指を折るのが「Meister Workshop」の存在だろう。これ、つまりは「職人工房」。

↑選抜された匠たち9名が作業に没頭する「Meister Workshop」。

 

「『Meister Workshop』はツヴィリング関工場に勤める職人およそ200名から選び抜かれた匠たち9名の作業場です。彼らだけに着用が許される黒いキャップがその証で、この工房自体、床も、壁も、装飾も、作業場のレイアウトも、職人たちがDIYで作り上げたもの。どうです、かっこいいでしょ!」と山田氏。確かにF-1サーキットのピットよろしく、雰囲気も、色使いもメリハリがあって洒脱な印象だ。

 

「Meister Workshop」では20周年記念モデル「MIYABI 粋-IKI-」の量産を行っているが、近い将来にはテストサンプルの製作、オーダーメイド品の製造なども行っていく予定だという。

 

製造現場のリーダーであり関の卓越技能者である加藤伸一氏に「MIYABI 粋-IKI-」ならではの製造上の特長を尋ねた。

↑ツヴィリング関工場製造現場のリーダーの加藤伸一氏。「MIYABI」のほかツヴィリングの高級ライン「ボブクレーマー」も手掛ける刃物の匠だ。

 

「とことん手作業にこだわる点です。私が担当するハンドル加工でもっとも重視するのは握った時の微妙な感覚。左右対称は当然として、指掛かり、フィット感を仔細に検討しながら、太さや角度を研削していきます。どう仕上げるかというより“握った時の違和感を消す作業”と言えますね」。

↑「MIYABI 粋-IKI-」のハンドル研削工程。「「MIYABI 粋-IKI-」は直線、曲線のつながりが複雑なので他製品より精緻な作業が求められます」と加藤氏。

 

↑水研ぎ工程。

 

↑ブレードとハンドルのウッドブロックを接着する工程。

 

事実、「MIYABI 粋-IKI-」製造における手作業の割合は約8割、工程数はおよそ140にも及ぶというから驚きだ。これらの事実からも、普及品の数十倍に及ぶ手間、時間、工程をかけて生まれるのが「MIYABI 粋-IKI-」であることが判るだろう。

 

岐阜・関市・そして「MIYABI 粋-IKI-」 

↑「MIYABI 粋-IKI-」のインスピレーションの元となったのは岐阜の夜、景色、川面に映る月などの雅やかさだ。

 

「世界へ向けてMADE IN JAPANの包丁「MIYABI」を提案し、走り続けて20年。これを期にもう一皮むけたい、そんな思いを込めて生み出したのが記念モデル「MIYABI 粋-IKI-」です」と語るのは、長く「MIYABI」のプロダクトマネージャーを務める石井彦次氏。

 

「インスピレーションの元となったのはずばり岐阜の夜。自然、伝統、川面に映る月、そんな雅やかなシーンを包丁に表現したいと考えました。「MIYABI 粋-IKI-」のハンドルは直線と曲線を組み合わせた複雑な形状をしています。ハンドルは一本ごとに異なる木目をもつ天然のメープル瘤材を使用しており、ぬくもり、エージング等をお楽しみいただけるよう、職人が丁寧に仕上げています」と石井氏。

↑通常ハンドル材として使われることの少ないメープル瘤材を採用。独特の木目が使い手を魅了する。

 

「敢えて困難に挑む」のは職人の本能なのかも知れない。すでに世界のキッチンナイフ市場においてプレミアムブランドの地位を築いている「MIYABI」が周年とはいえなぜその上を、はっきり言えば、より困難な道を歩もうとするのだろうか?

 

「ドイツ本国では当初、トップ・オブ・トップに位置する「MIYABI 粋-IKI-」を“敢えて”製造しようとすることに懐疑的でした」と笑顔を見せるのは、ツヴィリング日本法人のアンドリュー・ハンキンソン代表だ。

↑ツヴィリング日本法人の代表アンドリュー・ハンキンソン代表。

 

「彼らがそう言う理由は明白です。「MIYABI」はすでに世界一の包丁だから。しかしようやく完成したサンプルを本国へ送ると、世界中のディーラーから注文が舞い込む事態になってしまいました! 嬉しい反面、とてもそんな需要に応えることはできません。そこで私は本国に伝えました。これを日本だけで売りたい、と」。

 

「MIYABI」が歩んだ20年。それはわれわれ日本人自身が気づけなかった包丁作りの価値を、ドイツ目線で世界標準化してきた歳月と言える。そしてその集大成こそが20周年記念モデル「MIYABI 粋-IKI-」なのだと知れば、6万円を超えるプライスタグが高いか否か、モノこだわり派の読者の皆さんには……もう、おわかりですね?

ツヴィリング
MIYABI 20周年記念ナイフコレクション「MIYABI 粋-IKI-」
「小刀(100㎜)」3万8500円/「牛刀(200㎜)」6万6000円/「三徳(180㎜)」6万500円 ※すべて税込

 

【現地取材】サムスンが実現した未来の家「ex-Home」に行ったら料理の自動調理も睡眠改善もスマホとAIで便利過ぎた

日本でスマホブランドとしての地位を確立しているサムスンですが、地元韓国はもちろん世界では、家電ブランドとしても知られています。しかも、さまざまなスマートデバイスを接続して管理できる「SmartThings」を使ったスマートホームも実現。一歩進んだ家電ライフを提供しています。

 

筆者は先日、サムスンの本拠地である韓国・水原(スオン)へ渡って取材。この記事では、サムスンが提案するスマートホームを体感するために、サムスンの本社ビルや関連施設が集まった「デジタルシティ」内にあるモデルハウス「ex-Home(イーエックスホーム)」を見学した際の様子をレポートしていきます。

 

SmartThingsとAIによる便利な生活を体験できるex-Home

ex-Homeは2023年3月にオープンした3階建てのモデルハウスです。サムスンの製品が10種、SmartThings対応製品が8種、通信規格の異なるスマートデバイスと接続してSmartThingsで管理できるようになる「Samsung SmartThings Hub」7種が設置されています。

↑ex-Homeの外観。367平方メートルの3階建て住宅です。

 

SmartThingsは、サムスンが提供するスマートホームのプラットフォーム。サムスンの製品はもちろん、ほかのメーカーのスマート家電でもSmartThingsに対応していればスマホアプリで管理できます。このとき、同じWi-FiにSmartThings対応の家電が接続されているのであれば管理に問題はありません。ですが、なかにはZigBeeやZ-Waveといった、日本ではなじみのない無線規格を使ったSmartThings対応の製品もあり、そんなときに活躍するのがSamsung SmartThings Hub。異なる無線をつなぐ橋渡しのような役割をしてくれて、ハブを経由させることでアプリでの管理が可能になります。

 

ex-Homeでは、SmartThingsに加えてAIを活用してどれだけ便利な生活ができるのかを体験できます。

 

アプリからリビングの環境を自在にコントロール

始めにデモで紹介されたのはリビング。たとえばエアコンを運転しているときに、SmartThingsのアプリ側で「カーテンを閉めると冷房効果が上がります」とオススメしてくれます。また、家族で映画を楽しむシーンでは、「もっと没入感を高めてはどうですか?」とオススメし、アプリからボタンのタップひとつで照明が暗くなるなど、リビングの環境を変えてくれました。これらのオススメはおそらくAIによるものでしょう。

↑スマホの画面をディスプレイに転送してデモを実施。アプリでは「エアコンが稼働しているときは、カーテンを閉めて日光を遮ると冷房効果が上がる」と提案されています。

 

さらに、テレビとスマホを連携させて、スマホをテレビのリモコン代わりとして使用するデモも披露されました。サブスクリプションの映像サービスをタップひとつで起動したり、2基のスピーカーの出力を切り替えたりといったことが可能。テレビのリモコンが見当たらないときに、スマホで代用するのは便利さを感じられます。

↑右側のディスプレイがスマホ画面。スマホがリモコンになり、各種サブスクリプションサービスのアイコンをタップするとサービスが立ち上がります。

 

↑テレビと接続しているホームシアターシステムの一覧がスマホから確認可能。出力の切り替えや音量の操作もできます。

 

自動で正確な量の水が出る。スタイリッシュで近未来なキッチン

デモの中で特におもしろかったのはキッチンでした。まず目を引いたのはディスプレイ付きの冷蔵庫。韓国や欧米で販売されている、AIが搭載された家電シリーズ「Bespoke AI」の製品です。この冷蔵庫をスマホと連携させ、スマホの画面をディスプレイに表示させてデモを進めていきます。

↑Bespoke AIの冷蔵庫。

 

アプリから市販のミールキットを撮影すると、調理工程などの情報が表示されます。工程を読み進めて下にスクロールしていくと、「クックトップに送信」「浄水器に送信」というボタンが出てきました。ここで浄水器のボタンを押すと、キッチンの浄水器から水が流れてきます。このとき、ミールキットの調理に必要な750mlの水が正確な量で出るそうです。

↑ミールキットのバーコードをアプリのスキャン画面から読み取ります。

 

↑レシピなどの下にオレンジのボタンが出てきました。浄水器アイコンのボタンを押すと……。

 

↑浄水器から水が自動で出てきました。鍋をセットしておかないと大変な目に遭っていたでしょう。

 

次にクックトップに送信すると、詳細な情報がIHクッキングヒーターに表示。同時に表示されたOKボタンを押すと自動調理がスタートします。火加減や加熱時間も自動で調整されるとのこと。

 

スマホのタップから水が流れるところはかなりスムーズで、スタイリッシュさを感じました。計量しながら水を出す手間がないため、実用性も高いです。自動調理は火加減の難しい料理などでは特に便利でしょう。デモはミールキットの場合だったので、ほかの料理をする場合だとどうなるのかが気になりますが、家庭での料理は格段にラクになると想像できます。

 

アプリからは食洗器の稼働も可能。最適な洗浄モードが自動で選ばれるそうです。

 

いまある住宅にBespoke AIの冷蔵庫を取り入れただけで、デモと同じことをできるようにするのはかなり困難でしょう。水道やIHクッキングヒーターにもなんらかのSmartThings対応製品が入っていると想像できるからです。ですが新築やキッチンの改築時に思い切ってまとめてSmartThingsの導入は可能なはず。近未来な調理シーンながら実現可能でもあると考えると魅力的なデモに見えました。

 

AIが起床から睡眠までサポートしてくれる寝室

場所を寝室に移動し、朝起きたときのシーンをデモで見せてもらいました。起床時間になるとAIが自動で認識して照明を点灯させ、カーテンが開き、ベッドの足元側にある大型スクリーンがせり上がり、好きなチャンネルが表示されます。なにがなんでも起こすという気概を感じますね。

↑寝室での起床時。

 

起きてスマホを手に取ると、今日の天気やスケジュールを確認できます。その画面を下にスクロールすると「エナジースコア」が表示。これは自分の体調を数値化したもので、睡眠の記録も見られます。睡眠時間のほか、睡眠の質を数値化した睡眠スコア、深い眠りや浅い眠りなどを把握する睡眠段階などが記録されています。

 

デモ時の睡眠スコアは77点で、悪くはないけど改善の余地があるとのこと。そんなときにアプリ内でAIによる睡眠の分析を見て、改善につなげられるそうです。デモでは室温と湿度を適切に維持するよう提案されました。

↑ここではスマホではなくタブレットでデモ。睡眠時間は7時間20分で、睡眠スコアは77点と表示されました。

 

↑AIの分析からアドバイスをもらえます。睡眠中は室内の湿度を40~50%に維持するよう記載されています。

 

ここからさらに、アプリ内でどのデバイスをどのようにコントロールすればよいかをAIがオススメしてくれます。提案に従ってデバイスの設定を変更すれば睡眠時の環境を改善できるわけです。

 

睡眠に入ると再びAIが自動で認識し、大型スクリーンを収納してカーテンを閉め照明を消してくれます。またエアコンや空気清浄器のライティングもオフになります。AIによる睡眠の認識や、睡眠中の記録については「Galaxy Ring」や「Galaxy Watch」を使用。睡眠においてはウェアラブルデバイスの方が、相性がいいことを改めて紹介されました。

 

サムスンのスマートホームは日本でいつ実現するの?

いずれのデモもスマートホームの理想形といえるものでした。ですが、ご存じのとおり日本ではサムスン製の家電は販売されておらず、ex-Homeと同じような家に暮らすのは現時点で不可能です。また、SmartThingsのアプリは日本でも利用できますが、対応する製品で日本でも購入できるものは照明デバイスやスマートリモコンなど限定的。一部製品とGalaxyスマホとの連携が可能という程度に留まっています。

 

もちろんスマホとタブレットを接続させて使うなど、Galaxy製品同士であればSmartThingsによるスムーズな連携を国内でも体感できます。

 

それでもデモを見せてもらって夢が膨らむのはスマートホームの実現。ひとつのプラットフォームで家中の家電を制御できたらなあと夢想せずにはいられません。そのためにもSmartThingsの国内における拡大と家電の再参入を期待したいところです。

 

【フォトギャラリー】(画像をタップすると閲覧できます)

「詰め放題」が太っ腹すぎてイナズマ級の衝撃!「ブラックサンダー ワク ザクファクトリー」は大人も楽しい工場見学施設だった

1994年に誕生し、今年で30周年を迎えるチョコレート菓子「ブラックサンダー」。その製造の裏側を初めて一般公開する工場見学施設「ブラックサンダー ワク ザクファクトリー(以下、ワク ザクファクトリー)」が、有楽製菓の豊橋夢工場内に5月27日にオープンします。

 

メディア向け先行内覧会が5月20日に開催されたので、一般公開に先駆けて取材してきました。同施設の目玉は大きく分けて二つ。全長約71.5メートルに及ぶ「工場見学通路」と、約80種類もの豊富な商品ラインナップをそろえる「ワクザクSHOP」です。単なる工場見学の枠を超えた、総合エンターテインメント施設としての完成度の高さにビックリしました!

↑ブラックサンダー発売30周年記念プロジェクト「30の楽雷(らくらい)」の目玉企画として注目を集める同施設。

 

超ビッグサイズ! ブラックサンダーの「門」がお出迎え

JR新所原駅から徒歩約24分、車では豊橋駅から約30分の立地にある「ワク ザクファクトリー」。施設に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは高さ3メートル超の巨大な門「スーパーブラックサンダー」です。通常サイズの300倍ということで、すさまじい存在感! ビスケットのザクザク感やチョコレートの質感も再現されていて、思わず触りたくなります。

↑写真左奥部分に4つの穴が開いており、顔を出せるようになっています。ブラックサンダーと一体化した写真を撮れます!

 

↑「スーパーブラックサンダー」の内部。チョコレートとクッキー部分とで、粒度の異なる素材を使う徹底ぶりです。

 

同社経営品質部の牧宏郎さんの案内で、工場見学通路から見て回ることに。「スーパーブラックサンダー」をくぐり抜けて進んでいきます。

↑同社経営品質部の牧宏郎さん。ユーモアにあふれた、ブラックサンダーらしい世界観をいかに表現するかにこだわってコンテンツを企画したそう。

 

工場見学通路の手前には開けた空間「ワクザクシアター」があり、湾曲した壁と床を使ったプロジェクションマッピングが楽しめます。「ブラックサンダーの具材」視点で、製造から出荷までの工程を約2分間で体験できます。運ばれ、砕かれ、熱され、冷やされ……没入感たっぷりの内容です。

↑砕かれた具材が、チョコレートの滝に飲み込まれていく様子。ぜひ現地で全貌を見届けてください!

 

リアルな製造現場が目前に!「あの味」が生まれる瞬間を見て、学びも深まる

ブラックサンダーの製造工程をCGで見て視覚的に理解した後は、工場見学通路でさらに学びを深められます。

↑製造ラインに並行して設けられた通路。壁には、機械や製造工程にまつわる説明が、図と文でわかりやすく書かれていました。※今回はメディア向け内覧会のため特別に許可をもらって撮影しています

 

通路に設けられた14か所の窓を通じ、実際のブラックサンダー製造工程を堪能! チョコレートのコーティングから包装まで、普段は決して見ることのできない「あの味」が生まれる瞬間を目の当たりにできます。

↑通路の壁に記されたブラックサンダーの歴史。そのほか、有楽製菓が取り組む「スマイルカカオプロジェクト」についても詳しく紹介されていました。

 

大きなカッターでカットされていく様子や、「裸」のブラックサンダーがチョコレートの滝をくぐってチョコをまとう様も興味深かったですが、特に印象に残ったのは包装工程に関わる「パラレルロボット」。並んで流れてくるブラックサンダーから、規則正しい動きで一つずつピックアップし、レーンに乗せていく動きはずっと眺めていても飽きないほど。ぜひ現地で確かめてみてください。

 

また、通路を進む際にあわせて楽しみたいのがスタンプラリー。6か所あるスタンプ台を順に回り、重ねて押すことで、一枚の絵が完成するようになっていますよ!

 

めちゃくちゃおトクでは⁉ 太っ腹ルールの「ブラックサンダー詰め放題」

工場見学通路を見終わったら施設入口横にある、リニューアルオープンした直営店「ワクザク SHOP」へ。定番のブラックサンダーシリーズ、地域限定シリーズなど各種おみやげが幅広く取りそろえられています。オープン記念商品として「ブラックサンダー車缶」「ブラックサンダーミニバー入りバケツ」「ブラックサンダーカップアイス」の3種類が新登場!

↑ここでしか買えない、「ブラックサンダー車缶」。ブラックサンダーミニバー4本と、ロゴステッカーが入っています。

 

↑ショップで購入できる注目アイテム。中央の「ブラックサンダー スカジャン」はなんと、2万1000円(税込)!

 

自分へのごほうびにはもちろん、誰かへのプレゼントとして買いたいものも“ザクザク”ですが、このショップに来たらぜひやってほしいのが「ブラックサンダー詰め放題」! 10時10分より30分に1回実施(各回定員12名)されるイベントで、チケットはレジで購入できます。1回1100円です。

↑ショップ内にあるブラックサンダーの山。見るだけで童心に返ってしまいます。

 

とにかくルールが太っ腹なのです。制限時間が3分で、なんと「袋からはみ出してもOK」!

↑詰め放題で使う袋。破れても交換はナシ!破けた部分はスタッフがテープで補修してくれますが、その間にも制限時間は過ぎていくので注意!

 

内覧会に集ったメディアはみんな「良い大人」なわけですが、誰も彼もが鬼気迫った表情で、袋の限界に挑んでいました。もちろん筆者もです。「一番下の段を隙間なく詰めるのがコツ」とのことなので、最初は焦らずじっくりと土台を固めました。3分経ったら袋を持ち上げて5秒間静止し、その間に落ちたものは没収となります。慎重に積み上げたブラックサンダーが崩れないように願う、緊張の一瞬です。

↑袋から大胆に飛び出ていますが、これでもOKなんです!

 

筆者の全力詰めの結果は写真のとおりです。数えたところ、全部で34本でした。2025年5月現在、ブラックサンダー1本あたりの価格は40円(税別)なので、じゅうぶん元が取れています。何より、詰めまくっているときの楽しさはプライスレス……! 次に遊びに来たときも、絶対に挑戦したいです。

 

アンバサダーじゃなくて「アンバサンダー」? 就任式も実施

内覧会では、「就任式」も行なわれました。ブラックサンダーがお菓子として初めて、豊橋市の観光アンバサダー「とよはしアンバサンダー」に就任し、豊橋市の島村喜一副市長から有楽製菓の代表取締役社長・河合辰信氏に「委嘱状」が手渡されました。

↑ブラックサンダーが豊橋市の観光大使として正式に認定されたことで、今後さらに地域との結びつきが強くなりそうです。

 

ブラックサンダーファンはもちろん、友人同士や家族連れでも楽しみつつ学んで回れる施設です。夏休みの自由研究のヒントにもなりそうですね。豊橋駅からは車で約30分の場所なので、愛知観光の候補に入れてみては!

 

なお入館料はかかりませんが、見学通路は予約ページからの「事前予約」が必要なので、ご注意を。

 

ブラックサンダー ワク ザクファクトリー
所在地:愛知県豊橋市原町蔵社88
営業時間:10時〜17時(SHOPのみ)
定休日:年末年始、お盆期間

なぜパナソニックの配線器具がベトナムで売れるのか? “現地の相棒”が「躍進の理由」と「中国メーカーの真の武器」を語る

コンセントなどの配線器具の国内市場で、8割以上のシェアを誇っているパナソニック エレクトリックワークス社。同社の配線器具は、その信頼性を武器に、世界でも支持を伸ばしている。世界シェアはフランスのルグラン社に次ぐ2位だが、アジアでは1位。特にベトナム・インド・トルコを重点国に位置付け、大きな生産拠点を築いている。

↑ロングセラー商品のフルカラーシリーズ。

 

だが、同社には近年大きなライバルが現れている。中国のメーカーだ。不動産バブルが崩壊した同国では、配線器具の需要が低下し、数多くのメーカーが東南アジアでのビジネス拡大に注力しているという。これからの国際競争をどう勝ち抜いていくのか。今回は、同社の重要拠点であるベトナム・ホーチミンを訪れ、同国内で配線器具の製造・販売を手がけるパナソニック エレクトリックワークスベトナム社の坂部正司社長、同社製品の販売代理店・Nanocoグループのルーン・リュク・ヴァンCEOに話を聞いた。

 

パナソニックのベトナム国内シェア1位を陰で支える販売代理店

1994年、パナソニック(当時は松下エレクトリックワークス)の配線器具がベトナムに進出した。海路輸送における地理的な優位性、人件費の安さ、安定した社会情勢に加え、将来の経済成長を見込んでのことだった。

 

「パナソニックは、1994年のベトナム進出以降、同国内で着々と販売網を広げてきました。当初は他国で製造した製品をベトナムに輸入して販売する形式をとっていましたが、2014年にはホーチミン近郊のビンズオンに大規模な工場を建設し、生産体制を強化。2017年にベトナム国内のシェア1位を獲得しました。現在ではそのシェアをさらに伸ばし、5割程度を占めています」(坂部さん)

↑パナソニックがベトナムで展開しているコンセントなどの配線器具。

 

その成長を陰で支えてきたのが、販売代理店のNanocoグループだ。同グループは、1994年に松下エレクトリックワークスとパートナー契約を締結。30年以上の時を経たいまでも、パナソニックの代理店として、配線器具などの販売を続けている。

 

「Nanocoグループは、1991年、私の父によって設立されました。当時はベトナムの経済政策が変わって民間の会社がようやく認められるようになった時代で、Nanocoグループは国内で33社目の民間企業でした」(ルーンさん)

↑ホーチミンにあるNanocoグループの本社ビル。筆者が訪問したときには、旧正月の飾りが出ていた。

 

Nanocoグループは、パナソニックのベトナム事業拡大と足並みをそろえる形で大きく成長。現在の同グループの売り上げの8割を、パナソニック製品が占めている。

↑パナソニック エレクトリックワークスベトナム社の坂部社長(左)とNanocoグループのルーン・リュク・ヴァンCEO(右)。

 

「かつて、パナソニックの製品は、ベトナム人にとっては高価でプレミアムなものでした。しかし、国の経済が発展したいまでは、高収入を得る人も増えてきました。現在、ベトナム国内におけるパナソニックの知名度は高く、同社の高品質な製品を使うことが一種のステータスのようになっています。また、幅広い価格帯・様々な特徴を持った製品が開発されたことでラインナップが広がり、ユーザー層が増えました。私たちはそんな製品をユーザーに届けられることを幸せに思っています」(ルーンさん)

 

Nanocoグループはベトナム全土に広いネットワークを構築している。現在では国内に21の営業所を有し、隣のカンボジアにも拠点を持つ。各営業所からトラックを2時間ほど走らせれば、ベトナムのどこへでも製品を届けられるという。

↑Nanocoグループがベトナム各所に構えている拠点のマップ。文字が緑になっている箇所は、営業所の設立に向けて調査中のエリアだという。

 

「全ての営業所が、販売・倉庫・配達・アフターサービスの4つの役割を持っています。これらのなかでも特に力を入れているのがアフターサービスです。ベトナムの施工業者は作業の質が低いことも多く、優秀な製品を使っていても取り付け方の悪さからトラブルが起こってしまうことがあります。ですから、そのトラブルをいち早く解決するためのアフターサービスが大切なのです」(ルーンさん)

 

坂部さんは、パナソニックの武器は「安定した品質とサプライチェーンの強さ」だと語る。その供給網の一端を担っているのが、Nanocoグループなのだ。

↑Nanocoグループは、配線器具以外にも幅広いジャンルのパナソニック製品を取り扱っている。写真は同グループのショウルームにあった空気清浄機。

 

中国メーカーの真の武器は「順応の速さ」

坂部さんもルーンさんも、中国のメーカーを大きなライバルと位置付けている。実際、アジアの他国ではパナソニックが中国メーカーにシェアを奪われることもあった。

 

「フィリピンでは、2022年までシェア1位でしたが、2023年には3位まで転落してしまいました。当時は中国の不動産バブルが崩壊したタイミングで、中国国内向けの製品が、フィリピンを含む近隣国に流入してきた影響です。この影響は、中東エリアまで波及しました」(坂部さん)

 

ルーンさんも、中国メーカーの進出に強い危機感を抱いている。北の国境が中国に接しているベトナムは、中国企業にとっては進出しやすい国なのだ。

 

「中国からベトナムには、入ってこようと思えばすぐに進出できる距離にあります。ですから、いまのうちに製品の価値を構築しておかないと、将来的に勝ち残れません。中国メーカーの特徴について、コストが低い、あるいは品質が良いと言う人もいますが、私の考えは違います。彼らの真の強みは、順応するスピードの速さです。中国企業は、現地で流通している製品を凄まじいスピードで学び、コピーし、アレンジしてきます。だから、顧客が欲しい製品を素早く提供できるのです。Nanocoグループはカンボジアにも拠点を持っていますが、メインの市場はあくまでベトナム国内。だから、まずはここを守り抜かなければなりません。製品開発のスピードで中国勢に負けないよう、我々が顧客から直接拾った声をパナソニックに届けて、製品開発の参考にしてもらっています」(ルーンさん)

 

パナソニックも、製品開発のスピードを上げるよう取り組んでいる。これまではベトナムで販売する製品の企画を国外で行うこともあったが、2025年には企画開発から生産までを一気通貫でできる体制をベトナムのビンズオン工場で整えた。これにより、企画からリリースまでの時間が40%も削減されたという。

↑パナソニック・ビンズオン工場。新棟も竣工し、増産体制を整えている。

 

米中の貿易摩擦の影響で中国勢の進出が強まる

取材中、ルーンさんが中国メーカーのことを「北からの侵略者」と呼ぶ一幕もあった。それだけ、中国勢への意識が強いのだ。

 

「トランプ政権の誕生で、米中の貿易摩擦は再び加速するでしょう。そうなると、中国企業は米国を避けるようになるので、東南アジアへ進出する傾向が強まります。簡単な状況ではありませんが、パナソニックとの信頼関係を活かして、勝ち残っていきたいと考えています」(ルーンさん)

↑ルーンさんは終始、非常に流暢な英語を話していた。

 

一方の坂部さんは、高い目標を掲げている。ベトナム国内でも、日本と同レベルのシェアを獲得するという目標だ。

 

「パナソニックの当面の目標は、2030年までに、ベトナム国内で70〜80%のシェアを獲得することです。現状の50%という数字からすると高い目標ですが、可能な数字だと考えています」(坂部さん)

 

昨今、日本国内においても、中国メーカーの躍進は著しいものがある。彼らとの厳しい争いのなかで、日本企業が勝ち残るにはどうすればよいのか。ベトナムの地で続く、パナソニックとNanocoグループによる挑戦は、そのヒントを示唆するものになりそうだ。

ベトナムで“日本品質”を再現せよ!「配線器具シェア5割」パナソニックの躍進を支える「3つの道場」

私たちが日々暮らしているなかで、何気なく使っているコンセントなどの配線器具。普段の生活においては特に意識を向けない製品ですが、これらがない暮らしはもはや考えられません。

 

配線器具の世界トップシェアを目指してベトナムに注力

その配線器具の市場で、日本国内8割以上のシェアを獲得しているメーカーが、パナソニック(パナソニック エレクトリックワークス社)です。国内では向かうところ敵なしといっても過言ではない地位を築いている同社は、海外にも手を広げています。

↑パナソニック製配線器具のなかでも、次世代の標準モデルにあたるアドバンスシリーズ。

 

パナソニックの配線器具の世界シェアは、フランスのルグラン社に次ぐ2位。同社がトップの座を目指すにあたって、特に注力している国のひとつがベトナムです。人口が1億人を突破し、経済成長が著しいベトナム。1994年に同国へ進出したパナソニックの配線器具事業は着々と販路を広げ、現在では同国内のシェア5割を獲得しています。

↑ベトナムの大都市・ホーチミンの市街。高いビルも多く建ち、都会化が進んでいる。

 

パナソニックの製品がベトナムで支持を集めている要因は、日本で培った品質の高さです。急成長を遂げる国のなかで確かな存在感を放つ日本のものづくりと、ベトナムならではのユニークな特徴を、現地工場で取材しました。

 

「3つの道場」による手厚い研修で、高い生産性と品質を実現

パナソニックのベトナム事業の中核となっているのが、ビンズオンにある工場です。ビンズオンは、同国の首都ホーチミンから北に約30km離れたところにある工業都市。多数の企業の工場が同所に集まり、工業団地を形成しています。

↑パナソニック ビンズオン工場。

 

この工場が生産を開始したのは2014年のこと。タイのアユタヤ工場が2011年の洪水で水没してしまったことを受け、すでに販売網の構築が済んでいたベトナムに生産拠点を築こうとしたのが設立のきっかけでした。ビンズオン工場の創業開始から3年後の2017年には、パナソニックの配線器具は、ベトナム国内のシェア1位を獲得。ビンズオン工場は、同国におけるパナソニックの躍進を支える力の源になっています。

↑ビンズオン工場で製造されているコンセントやスイッチ。ベトナムのコンセントは、日本で使われているAタイプに加え、Cタイプも普及している。

 

ビンズオン工場の特徴は、日本の津工場から移植した信頼性の高いものづくりです。津工場から派遣された技術者が現地で指導を行うことで、日本と変わらない品質の維持を可能にしています。

↑パナソニック津工場で行われている金型のメンテナンス。高い技術力が要求される。

 

ビンズオン工場の工場長を務める内藤吉洋さんも、津工場でキャリアを積んできました。内藤さんによると「新しく入った従業員をいきなり製造ラインに入れることはない」といいます。この工場の新入社員は、1週間のOJT研修を経ることで、ようやく製品の製造に携われるようになります。

↑ビンズオン工場・工場長の内藤吉洋さん。

 

その研修の舞台となるのが「ものづくり道場」です。新入社員は入社後の1週間、この道場で製品や工程についての知識を学んでから、製造ラインに入ります。以前は安全関連の講習のみを行なって製造の現場に配属する仕組みでしたが、それでは生産性が上がらなかったため、新たにこの道場を設立したそうです。

↑ものづくり道場の内部。動画に加え、実技での学習を行う。左手に見えるテーブルでは、組み立てを実践しながら学ぶ。

 

ものづくり道場の設立による効果はてきめんで、従来では新入社員が現場で独り立ちできるまで12週間ほどかかっていましたが、6週間に短縮できたそうです。また、複雑な製品の組み立てにおいても、高い品質を保つことができるようになりました。

↑ブレーカーの組み立ての様子。ブレーカーは構造が複雑なため、ビンズオン工場のなかでも特に高い技能を要求される作業だという。片足をバーに置いて作業するのはベトナム人の特徴で、多くの従業員が同じ姿勢をとっていた。

 

ビンズオン工場で生産される製品の品質を支えているのは、ものづくり道場だけではありません。組み立て機の構造や過去の改善事例を学ぶ「技術道場」、安全の重要性を体感しながら学ぶ「安全道場」も設置されています。これらの道場が、パナソニックの信頼性を支えているというわけです。

↑各道場の看板には、ベトナム語、日本語、英語が併記されていた。ちなみに、安全道場は日本の津工場にも設置されている。

 

↑現場で起きた課題を付箋に書いてホワイトボードに貼り、改善策を検討する「大部屋」も部門ごとに設けられている。「工程が複雑すぎて組み立てづらい」「部品の欠品が多い」など寄せられる課題は様々で、月に85件程度の課題が可視化されているという。

 

働き者のベトナム人は、「もっと働きたい」と離職する人も多い

手厚い研修が求められるのには、ベトナムならではの事情があります。というのも、同国では全体的に離職率が高い傾向にあり、国全体の平均で2〜3%ほどの水準になっています。ビンズオン工場の従業員の離職率はそれよりも低い1.5%ではありますが、毎月20人程度の新入社員が入るため、十分な教育体制が欠かせないのです。

↑製品の梱包作業の様子。職場に響くのは機械の音のみで、従業員は黙々と作業していた。

 

離職率が高いと聞くと、ベトナム人は働くのを嫌がっている……と思われるかもしれませんが、実は全く逆というのも興味深いポイントです。離職の理由の上位には、なんと「労働時間が短くて稼げない」というものがあるのだそう。1日に12時間以上働きたいという人が多く、実際にビンズオン工場では2交代制の24時間操業を行なっているとのこと。

↑配線器具の組み立てと高電圧に耐えられるか否かの検査を行う機械。ビンズオン工場の自動化率は2022年には42%だったが、2025年には90%にすることを目標にしている。

 

ベトナム人が働き者であることを象徴するエピソードがもうひとつあります。それは、コロナ禍で街がロックダウン状態になったときのこと。そのときはビンズオン工場の生産も一時止まってしまいましたが、7割近い従業員が外部と隔離して工場に寝泊まりし、缶詰状態になってまで生産を再開したといいます。工場に寝泊まりするかどうかの判断は、従業員個々の自由。そこまでしての操業維持、しかも多くの従業員の意思による参加は、日本ではなかなか想像できないでしょう。

↑コロナ禍のころの写真。左には、工場内に布団を敷いて寝ている様子が写っている。

 

従業員は社員食堂にこだわりを持ち、サッカーに夢中

社員食堂に関するこだわりが強いのも、ベトナム人ワーカーの特徴です。内藤さんによると「食事への関心が高く、労働組合との折衝では食堂のメニューについての要望が出ることが多い」といいます。ベトナム国内では社員食堂を無料にしている企業が多いそうで、ビンズオン工場でも無料となっています。

↑社員食堂。4つのメニューから好みのものを選んで、事前予約するシステムになっている。工場が24時間操業であるため、食堂も1日中開いている。

 

また、ベトナムではいまサッカーが大人気。ビンズオン工場の従業員のサッカー熱も相当なもので、工場の敷地内にはサッカーコートが整備されています。従業員で構成されたチームが工場内に20もあり、社内だけでなく、他社のチームも含めた大会が開催されているそうです。内藤さんもこの大会に出たことがあるといい、「現地スタッフはサッカーになると本気で、ボールを持っていると工場長であろうが厳しく削ってくる」のだとか。

↑工場敷地内にあるサッカーコート。

 

現地ならではの光景をもうひとつ。ベトナムの街を歩いていると、道を行き交うバイクの数に圧倒されますが、それはこの工場でも同じです。敷地内のバイク駐輪場の光景は圧巻の一言。これも、日本ではなかなかお目にかかれないものでしょう。

↑多数のバイクが並ぶ駐輪場。道についているタイヤ痕は、安全の啓蒙もかねて社内で開催したバイクコンテストの際のものだ。ビンズオン工場では963人が働いているが、そのうちクルマで通勤しているのはわずか7名。近くに公共交通機関もないため、ほとんどの従業員がバイクで通っている。

 

2030年に80%のシェア獲得へ。生産力と技術力でライバルとの争いを制する

東南アジアに展開するパナソニックの配線器具の製造を長く担ってきたのは、タイのアユタヤ工場でした。アユタヤ工場では東南アジア向けにローカライズされた製品の開発を古くから行なってきたため、多くのノウハウが蓄積されています。

 

対するビンズオン工場は、これからの未来を担う存在です。現時点でもアユタヤ工場を凌ぐ生産力を誇るうえ、2024年1月には新棟が竣工し、増産体制が整っています。おまけに、敷地内にはまだ空き地があるので、さらなる規模の拡大も可能です。

↑竣工後1年あまりが経過した新棟。建物内には、まだ空きスペースがあり、増産の余地は大きい。

 

製品の開発についても、2025年にはビンズオン工場内で企画からリリースまで全てを行える体制が整う予定です。これにより、国外で企画した製品をビンズオンで生産する場合に比べて、リードタイムを約40%も削減できるといいます。

↑躍進するビンズオン工場だが、課題もある。ベトナム国内のサプライヤーの原材料品質が低いのだ。写真はコンセントの部品だが、この原材料である難燃性樹脂の品質には、特に問題があるという。そのため一部の原材料は、近隣国からの輸入に頼っている。

 

ビンズオン工場では、従業員の技術力も確実に向上しており、パナソニックの全世界の技術者を対象に行う社内の技能競技会では、工場設立から約7年でアユタヤ工場に並ぶ成績になりました。いまでは、全世界の工場のなかでも上位に入る水準になっているそうです。

↑技術道場で学ぶベトナム人従業員。バグが起きてしまった機械を修理する実践を行っていた。

 

ベトナムでパナソニックの配線器具を展開するパナソニック エレクトリックワークスベトナム社の坂部正司社長は、「ベトナムの需要にあった新製品の開発によって、2030年には同国内でのシェアを70〜80%まで伸ばしたい」と野心的な目標を語ります。同国でのパナソニックの配線器具事業が、2012年から2017年の間に3倍の成長を遂げてシェア1位を獲得するに至った過去を考えれば、それも不可能な数字ではないでしょう。

↑パナソニック エレクトリックワークスベトナム社の坂部正司社長。

 

東南アジアの配線器具市場にはライバルも多く、特に、不動産バブルが崩壊した中国のメーカーが数多く参入してきています。パナソニックがこれらのライバルを圧倒できれば、日本の製造業に勇気を与えることができそうです。

つくり手が語りかけてくる!? “神泡”体験だけじゃない、サントリー京都ビール工場見学ツアーの独自性

ユーミンの名曲「中央フリーウェイ」に登場する“ビール工場”といえば、「サントリー〈天然水のビール工場〉東京・武蔵野」のこと。この武蔵野のビール工場のほか、同社では京都と熊本・阿蘇でも工場見学を実施しています。うち京都工場はしばらくの間、リニューアルに向けて工事中でしたが、いよいよ改装を終え、4月15日から一般公開を再開しました。そこで筆者は京都工場を訪問。今回は見学内容の一部を紹介するとともに、東京や熊本の工場にはない、ここだけの体験もお伝えします。

↑「サントリー〈天然水のビール工場〉京都」。写真左手前のモニュメントは、1970年の大阪万博で、サントリー館のシンボルとして設置されていた「御酒口(みきぐち)」。なお、工場見学ツアーは要予約となっており、詳細を知りたい方は公式サイトをチェック。

 

 

所要時間約90分の工場見学ツアーに参加

京都工場へのアクセスは、阪急京都線「西山天王山駅」から徒歩で約10分。またはJR京都線「長岡京駅」からの無料シャトルバスに乗っても約10分で着きます。

↑「長岡京駅」西口バスターミナルの1番乗り場が、無料シャトルバスの停留所。ビール工場のラッピングが施されたバスなので、すぐにわかるはず。

 

工場見学の名称は、「ザ・プレミアム・モルツ おいしさ発見ツアー」。所要時間は約90分となります。到着したら、まずは見学受付の建物で10分弱のウェルカムムービーを視聴。こちらも今回リニューアルされたポイントで、“仕込”に使われる天然水を育む地元のロケーションや、工場でビールづくりに励むつくり手の思いなどが映像のメインテーマとなっています。

↑「ザ・プレミアム・モルツ おいしさ発見ツアー」は、ここからスタート。

 

「つくり手等身大モニター」は京都だけのコンテンツ

次は実際の仕込みなどが行われている巨大な工場へ移動し、ビールの素材についてパネルとモニターの映像を見ながら学んでいきます。全行程には案内係のガイドが付き添い、質問などにも答えてくれます。

↑ビールの主原料はそれぞれ、天然水、麦芽、ホップ(と酵母)。上部のモニターでは、「きょうと西山」の天然水がどのように育まれ、ビールの“仕込”に使われるのかなどを映像で紹介。

 

パネルには実際に醸造で使われている麦芽とホップも展示され、ホップは香りをかぐことができます。ちなみに、「ザ・プレミアム・モルツ」で使われているのは、欧州産の希少で硬い「ダイヤモンド麦芽」と、チェコ・ザーツ産の香り高い「ファインアロマホップ」です。

↑乾燥させてペレット状になったホップ(左)の香りを体感できます。

 

次はパネルのすぐ先にある、横幅約7.5メートルの大型モニターの前へ移動。これも新設されたものとなっており、“仕込”工程についてのムービーを視聴します。なお、製造工程の説明に加えて、つくり手が映像で登場するのもポイント。こちらは京都工場だけの見どころのひとつとなっています。これは「つくり手等身大モニター」と呼ばれ、ビールづくり細部へのこだわりを、つくり手の等身大映像を使ってリアルに伝えるもの。

↑大型モニターでは、「ザ・プレミアム・モルツ」に欠かせない麦芽を2回煮出す「ダブルデコクション製法」や、段階にわけてホップを投入する「アロマリッチホッピング製法」などを紹介。

 

「つくり手等身大モニター」は、工程別で6か所に設置。つくり手は各所3名、合計18名からランダムで登場するので、参加するたびに異なる話を聞くことができます。

↑この「つくり手等身大モニター」に登場しているつくり手は、「仕込担当者」。

 

“仕込”からパッケージングまで、工場ならではの臨場感を体験

大型モニターのすぐ後ろには巨大なガラス張りの仕込室があり、ここで実際の仕込に使われるタンクを見学。天然水と麦芽を混ぜ合わせ、でんぷんから糖へ分解して麦汁の素をつくる「仕込層(マッシュタン)」、麦汁のもとを煮出してビールの味に厚みをつける「仕込釜(マッシュケトル)」、麦芽の殻を取り除く「濾(ろ)過槽(ロイタータン)」、煮沸してホップ由来の香りや苦みを付与する「煮沸釜(ワートケトル)」、煮沸が終わった麦汁のなかの不要物を取り除く「沈殿槽(ワールプール)」がそれぞれ配置されています。

↑“仕込”工程を、「仕込槽」「濾過槽」「煮沸槽」「沈殿槽」で行っている。釜であるため、室内の温度はやや高め。

「仕込」の次は、「発酵」と「貯酒」。この大きな建物に隣接するようにそびえ立つ巨大な筒は、実は発酵タンクとなっており、そのサイズは1本直径6メートル、高さ20メートル。3階建てのビルが約12メートルなので、そのスケールの大きさに驚かされます。

↑発酵と貯酒は、通路の壁に仕込まれたグラフィカルなパネルと、「つくり手等身大モニター」などで解説。

 

ろ過はその名の通りですが、発酵と貯酒を経て熟成を終えたビールから、オリ(沈殿物)を取り除き、役目を終えた酵母を除去する工程。こちらは窓から室内をのぞく見学となりますが、タンクがたくさんのパイプでつながれている様子は、「いかにも工場」といった光景で、心が躍ります。

↑ろ過工程の部屋。

 

その後は新しく加わった品質管理についての紹介を見学。醸造されたビールは缶と業務用の樽に詰められ、缶は箱へと梱包されていきます(パッケージング)。ここでは三面からなる横長の大型スクリーンで流れを詳しく学び、その後は実際にフィラー(充填機)などが稼働している部屋を見学できます。

↑パッケージングラインを映した3面スクリーン。まるで参加者が缶になったかのような目線で製造ラインを体感できます。

 

↑中央右に見える機械がフィラーです。

 

お待ちかねの試飲! 注ぎたての“神泡”プレモルを3杯まで

製造現場の見学終了後は、受付をした建物内のゲストルームへ。そう、お待ちかねの試飲です! ここでは「ザ・プレミアム・モルツ」自慢の“神泡”をじっくり体験できるのがポイント。

↑ゲストルームのサービスカウンターには、新しくなった「ザ・プレミアム・モルツ」のロゴがキラリ。ここで注ぎのスペシャリストがサーブしてくれます。ちなみに、この日はCMでもおなじみ、ジャズ風にアレンジされたタッタタラリラでポンポコリンな曲も流れていました!

 

飲める銘柄は「ザ・プレミアム・モルツ」「同 〈ジャパニーズエール〉香るエール」「同 マスターズドリーム」が計3杯まで。なお、20歳未満の人には「サントリー緑茶 伊右衛門」や「なっちゃん」などのソフトドリンクが用意されています。

↑おつまみが2種付いてくるのもうれしいところ。

 

京都工場ならではのおもてなしとしては、オリジナルデザインが描かれたグラスや、京野菜を使ったおつまみ「京都 堀川ごぼうチップス」などを用意しているのがポイント。また、特別な機械で泡の表面に描かれる「神泡アート」も、独自のデザインが用意されています。

↑2杯目は「ザ・プレミアム・モルツ 〈ジャパニーズエール〉香るエール」。「神泡アート」のデザインは10種から選べます。今回は、工場外観のイラストをセレクト。

 

試飲に加え、ぜひ体験しておきたいのが「神泡セルフサーブ」。こちらはスタッフのレクチャーを受けながら、実際にサーバーからビールを注がせてもらえるコンテンツです。“神泡”品質でつくられたビール、それを丁寧にメンテナンスされたサーバーで注ぐとあって失敗の可能性は少ないですが、やはり極上の一杯が注げたときの感動はひとしおです。

↑自分で注いだビールは、おいしさもまた格別!

 

受付やゲストルームがある建物には、入口すぐの場所に「ブルワリーショップ」が併設されているので、お土産はここでゲットしましょう。京都工場にしかないロゴグラスや、タオル、アパレルなど、限定品もたくさんあります。

↑京都工場限定のお土産が買えるブルワリーショップ。

 

ちなみに、同工場と「サントリー山崎蒸溜所」の距離は近いので(JR「長岡京駅」の隣が「山崎駅」)、運よく両方が予約できればハシゴで見学も可能です。キンキンに冷えたビールがおいしい季節も到来し、万博で関西が激アツないま、サントリーの工場見学は要チェックですよ。

 

【DATA】

サントリー〈天然水のビール工場〉京都

住所:京都府長岡京市調子3-1-1
アクセス:阪急京都線「西山天王山駅」徒歩約10分、JR京都線「長岡京駅」西口より無料シャトルバスで約10分
営業時間:9:30~17:00(ショップは11:00~16:45)
定休日:年末年始、工場休業日(臨時休業あり)

 

「ザ・プレミアム・モルツ」おいしさ発見ツアー(要予約)

所要時間:90分
参加費:1000円 ※ファミリー向けコースを選択した場合、20歳未満は無料
※ツアー詳細は、ホームページをご確認ください。

 

パナソニックが恒例の保護犬猫譲渡会を開催。きっかけは空間除菌脱臭機「ジアイーノ」から

パナソニックは、4月12日と13日の2日間、東京・有明のTFTホールで「パナソニック保護犬猫譲渡会2025」を開催しました。今回で6回目となるこのイベントには14の犬猫保護団体が参加し、2日間で1794人が来場。202頭の保護犬猫たちが新しい家族との出会いを求めました。

 

今回筆者は、4月12日午後の保護犬譲渡会の模様を取材。さまざまな背景を背負った一頭一頭の物語や、参加している保護団体の思い、パナソニックならではの企画についてレポートします。

 

一頭一頭の物語に心を動かされる

一口に保護犬といっても、譲渡会に集まる犬たちにはそれぞれ異なる背景があります。野犬として生きてきた子、ブリーダーの飼育放棄により保護された子、猟犬として活躍していた子など、一頭一頭に物語があるのです。

↑譲渡会に参加した犬たちのプロフィール。保護に至った経緯はさまざまです。

 

茨城県で野犬を中心に保護活動をしている「いぬ助け」のブースにいた、ののちゃんという犬は、2024年10月31日に保護されました。10月20日頃に5頭の子犬を出産しており、その子犬たちとともに保護されたのです。子犬のうち3頭には里親が見つかりましたが、残りの2頭とののちゃんは、新しい家族を探しています。

 

ののちゃんは過去に罠にかかってしまったことから、左前足の指が欠けています。それでもがんばって歩こうとする姿には、胸を打たれるものがあります。

 

野犬は通常、動きが素早く、身体の大きな男性を苦手とする傾向があるそうですが、ののちゃんは近所の男性に餌付けをされて育ったため、警戒心が低いそうです。筆者がカメラを向けたときも、怖がることなく写真を撮らせてくれました。

↑ののちゃん。人懐っこくて吠えることもなく、かわいらしいです。

 

野犬が保護されてから、里親のもとに向かうまでの期間はさまざまです。早い子なら1か月程度で新たな家族のもとへ行けるようになりますが、野犬時代のトラウマを抱える子のなかには、3年もの間保護され続けているケースもあるといいます。いぬ助けでは、どうすれば犬たちにストレスをかけずに捕獲できるか、日々試行錯誤を続けているのだそうです

↑譲渡会場で犬を撫でるGetNavi webスタッフ。撫で続けていると、気づいた頃には長い時間が経っていました。

 

また譲渡会場のエントランス壁面では、新たな家族に出会い、幸せな日々を送る元保護犬猫たちの写真展が開催されていました。写真とともに語られるそれぞれのストーリーには、心を動かされるものがあります。

↑元保護犬猫の写真展。昨年まではパネルで展示されていましたが、今回はディスプレイに表示される形式に変わりました。

 

犬もチャリティーマーケットも全国から集まる

譲渡会場の一角に、元気よく走り回る犬が多くいるブースがありました。千葉県市川市を拠点に活動する「GUNDOG RESCUE CACI」です。この団体は、鳥猟犬に特化した保護活動を展開しています。積極的な性格な犬は、猟犬ゆえのものです。

 

ブースに近寄ると、ファンキーくんという犬が筆者に寄ってきました。ファンキーくんが千葉の動物愛護センターから保護されたのは2025年1月。猟犬である彼らを里親のもとに送り届けるには、家庭犬としての訓練をする必要があり、半年ほどのトレーニングを要するケースが多いそうです。ファンキーくんのように3か月で里親探しに移ることができる犬は稀有だといいます。

↑ファンキーくん。柵の外にいた筆者の足に、鼻をこすりつけてきました。

 

GUNDOG RESCUE CACIの特徴は、全国から広く犬を保護していること。というのも、猟犬を保護できる団体が少ないため、さまざまな場所から保護の要請がくるといいます。今回の譲渡会にも、福島県いわき市や、より遠くの秋田県で保護された犬が参加していました。過去には、九州から保護したというケースもあるそうです。

↑GUNDOG RESCUE CACIから参加した保護犬のプロフィール。右端のグルーヴくんはいわきで保護されました。

 

譲渡会と並行して開催されたチャリティーマーケットにも、全国からの出店がありました。能登や北海道など幅広い場所から店が集まり、犬猫に関するグッズが販売。またマーケットの近くには、前回まではなかったカフェスペースが新設され、猫を模したドーナツなどのスイーツが売られており、来場者の憩いの場所となっていました。

↑チャリティーマーケットで売られていた奥能登の塩。売り上げの一部が地震に被災した猫たちの医療費に充てられます。

 

セミナーブースでは、犬猫に関するさまざまな講演が開催されました。筆者が訪れたときには、ロイヤルカナンジャポン合同会社の高村悟史さんによる「知らなきゃ損!? ペットフードの栄養学について」が開催中でした。ロイヤルカナンジャポンは、犬と猫の”真の健康”を実現するプレミアムペットフードメーカーとして知られています。

↑セミナー会場では、多くの人が講演に聞き入っていました。

 

パナソニックならではの家電展示コーナーも

会場には、パナソニックならではの家電展示コーナーも設けられていました。その中心となっていたのは、空間除菌脱臭機「ジアイーノ」の展示。実はこの製品こそ、パナソニックが保護犬猫譲渡会を開催するきっかけでした。

 

パナソニックでは2021年から、社会貢献事業として動物保護団体にジアイーノを寄贈する活動を開始しました。そのなかで、保護団体からの「譲渡会を主催してほしい」という要望を受け、2022年から譲渡会を始めたのです。

 

今回展示されていたジアイーノ ペットエディションは、1時間風量を上げて運転するスピード脱臭モードを搭載。また、風量切り替え時には急に音量が大きくなってペットを驚かさないよう、ゆっくりと風量を増す工夫がされています。

↑ジアイーノの実力を体験できるコーナー。ペットフードの強い匂いも、ジアイーノを使えばまるで感じなくなります。

 

また、コンパクトモデルは通常モデルと同等の18畳の適用面積を持ち、排水は月1回のみでOKという利点があります。従来機種では週1回排水する必要がありましたが、電極の耐久性を向上させることで、メンテナンス頻度を大幅に減らすことに成功したそうです。

↑ジアイーノペットエディション(左)とコンパクトモデル。サイズの違いは歴然ですが、適用面積はともに18畳です。

 

掃除機コーナーには、マイクロミストにより目に見えない床の窪みにはまった細かな埃をしっかり吸い上げるMC-NX810KMがありました。本機は8万9100円(税込)という高価格ながらも売れ行きは好調で、特にごみ収集ドック付きモデルが人気とのこと。そのほか、根強い人気のペット用バリカンや、ミラーレス一眼のLUMIXも展示されていました。

↑MC-NX810KM。本機のマイクロミストは、フローリング以外にも、カーペットや畳など、あらゆる床面に対応します。本ブースでは、床面に散ったごみを吸い上げる体験も可能でした。

 

パナソニックのこうした活動は、年間1万2000頭以上の犬や猫が殺処分されている日本の現状を少しでも改善したいという思いから続けられています。今回の譲渡会に集った202頭の保護犬猫は、参加団体が保護している子たちのあくまで一部。すべての保護犬猫が、一日も早く新しい家族と出会い、幸せな生活を始められることを願ってやみません。