AIが画像に映っていないものまで“復元”するだと!? 海外で話題の無料サービス「Let’s Enhance」を使ってみた

テクノロジーが発展しても、画質の粗い画像には悩まされ続けます。「SNSのプロフィール画像に良さそう!」と思ってもサイズを拡大するとモザイクのようになってしまったり、昔の画像を使おうと思ったらサイズが小さいものしか見つからなかったり、いろいろな場面で「クオリティを復元するような技術があればいいのに」と思うことってありますよね。

 

ちょっとでも画像ソフトを使ったことのある方なら「映っていないものを”復元”する」ということがいかに難しいかご存知でしょう。街頭の監視カメラの粗い映像を分析して高画質にするというのはSF映画ではよく登場するテクノロジーですが、そう簡単に行かないのが現実です。

 

しかし先日発表されたLet’s Enhanceというオンラインサービスを使うと、そんな技術の実現も近いことが分かりますよ。

20171121_kubo05↑ Let’s Enhanceのホーム画面

 

フォトショップなどの画像ソフトを使えば、画像に写り込んでいる邪魔なものを消したり、存在しないものを作り込んだりということは可能です。また、低解像度の写真から大きなサイズの写真を作る「single image super-resolution(SISR)」と呼ばれるテクノロジーの研究は数十年間行われており、最近ではAIが「機械学習」をしながら画素数を増やして写真の表現力を高める方法もドイツの研究機関から提案されています。しかし、元の画像を全自動で“復元”してくれるテクノロジーがオンラインで使えるというのは新しいことかもしれません。

 

Let’s Enhanceはウェブベースのサービスとなっており、自分の持っている画像をアップロードすると自動で画質を向上させたファイルを生成してくれます。AIはまず画像が人間なのか、風景なのか、動物なのか、といったカテゴリを判断するそうです。そして、そのカテゴリに応じて適切なアルゴリズムを使うとのこと。試しに画質を落とした画像で実験してみました。

20171121_kubo01↑ 修正前

 

画質を落としたハスキー犬の画像(上)はLet’s Enhanceを使うと・・・

20171121_kubo02↑ 修正後

 

こうなりました。確かに粗さがスムーズになっています。ポートレートはどうでしょうか。

20171121_kubo03↑ 修正前

 

20171121_kubo04↑ 修正後

 

確かに肌や目の周りがスッキリとして画質の低さも気にならなくなりました。もちろん画像のサイズは10倍以上に増えてしまっているので、「サイズを小さいまま画質を良くする」というテクノロジーではありません。

 

ファイルのサイズを大きくするのにも便利

Let’s Enhanceが生成してくれるファイルには3種類あります。1つ目はJPEGで生成される圧縮アーティファクトという歪みを修正してくれる画質に「Anti-JPEG」というフィルターを使ったファイル。2つ目は「Boring」フィルターで、オリジナルの特徴を残したまま画質を改善するというもの。そして3つ目の「Magic」フィルターは、画像データベースを利用してアップロードされた画像には存在していないディテールを作り上げてしまうというもの。そんなことができてしまうのですね。上記の犬の画像は「Magic」フィルター、白黒の人物の画像は「Anti-JPEG」フィルターによるものです。

 

Let’s Enhanceはファイル5つまでは無料で利用することが可能。それ以降はオリジナルファイル10個ごとに約5ドルの利用料金がかかりますが、70個だと約20ドルとお得な価格になっています。

 

Let’s Enhanceは一般の方でも昔のデジカメや携帯電話で撮影した画像を保存したいときや、これまでは難しかった画像を作ってみたいときなどに活用できそうです。Twitter上でも「昔の家族写真に使うのにピッタリ」「ファイナルファンタジー9の背景画像、サイズが320×200のものをアップロードして1280×900のpngファイルを作れた! ゲームの“リマスター”ができるなんてスゴい!!」と興奮の声が集まっています。

 

確かに「壁紙に使いたいけど小さ過ぎる」という画像を大きくするのにも向いています。使い方もシンプルなので、AIが作り出す画像に興味のある方はぜひお試しください。

 

Let’s Enhance:  https://letsenhance.io/